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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】減容固形分処理システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/12 20190101AFI20240711BHJP
   C02F 11/122 20190101ALI20240711BHJP
【FI】
C02F11/12 ZAB
C02F11/122
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502551
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 US2022073813
(87)【国際公開番号】W WO2023288327
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/222,740
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518038319
【氏名又は名称】ジョージア テック リサーチ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】GEORGIA TECH RESEARCH CORPORATION
(71)【出願人】
【識別番号】501281939
【氏名又は名称】デューク ユニヴァーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イー, シャノン
(72)【発明者】
【氏名】ディメニチ, ダンテ, サード
(72)【発明者】
【氏名】ホルコンビー, ウィリー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ホームズ, ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ノエル, アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】アゼヴェド, カイル
(72)【発明者】
【氏名】ゲイロー, ライアン
(72)【発明者】
【氏名】リクター, ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ターナー, トラヴィス
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン, クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】ホウキンス, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, グラハム
(72)【発明者】
【氏名】トロトチャウド, レナ
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA01
4D059BB01
4D059BD01
4D059BD21
4D059BE02
4D059BE16
4D059BJ01
4D059BK13
4D059EB01
4D059EB02
4D059EB06
4D059EB16
4D059EB20
(57)【要約】
糞便排泄物の減容固形分処理のシステムおよび方法が記載される。システムは、スラリバッチを受け取り、スラリバッチを高温で一定期間加熱して、病原体を含まないスラリを生成するよう構成された低温殺菌器(102)を含む。システムは、また、病原体を含まないスラリを圧縮して、減容固形分排泄物から液相を分離するように構成された機械式脱水プレス(14)を含む。減容固形分排泄物は糞便ケーキに形成される。システムは、また、液相を除去する手段と、空気ダクトシステム内に収容されたコンベヤを含む乾燥トンネルで(106)と、を含む。空気ダクトシステムは、糞便ケーキ上に強制的に空気を推進するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形分排泄物処理システムであって、
スラリバッチを受け取り、前記スラリバッチを高温で一定期間加熱して、病原体を含まないスラリを生成するよう構成された低温殺菌器であって、前記スラリバッチが少なくとも糞便を含む低温殺菌器と、
前記病原体を含まないスラリを圧縮して、減容固形分排泄物から液相を分離するように構成された機械式脱水プレスであって、前記減容固形分排泄物は糞便ケーキに形成される機械式脱水プレスと、
前記液相を除去する出口と、
空気ダクトシステム内に収容されたコンベヤを含む乾燥トンネルであって、前記空気ダクトシステムは、前記乾燥トンネル内の前記糞便ケーキ上に強制的に空気を推進するように構成されている乾燥トンネルと、を備える、固形分排泄物処理システム。
【請求項2】
前記低温殺菌器が、ある長さの配管と、前記配管内の前記スラリバッチを加熱するよう構成された1つまたは複数のヒータと、を備える、請求項1に記載の固形分排泄物処理システム。
【請求項3】
前記1つまたは複数のヒータが独立した温度制御を有する複数のヒータを備え、前記複数のヒータの各ヒータが、配管の前記長さに沿って巻き付けられ、配管のセクションの加熱ゾーンを画定する、請求項2に記載の固形分排泄物処理システム。
【請求項4】
前記機械式脱水プレスがフィルタアセンブリ、チャンバ、およびピストンを備える、請求項1に記載の固形分排泄物処理システム。
【請求項5】
前記機械式脱水プレスが濾液出口およびスキージをさらに備え、前記スキージが前記機械式脱水プレスから前記糞便ケーキを除去するように構成されている、請求項4に記載の固形分排泄物処理システム。
【請求項6】
前記機械式脱水プレスのフィルタアセンブリがフィルタスクリーンを備える、請求項4に記載の固形分排泄物処理システム。
【請求項7】
前記フィルタスクリーンがナイロンネットまたはステンレス鋼メッシュである、請求項6に記載の固形分排泄物処理システム。
【請求項8】
前記乾燥トンネルが前記糞便ケーキを水分含量4から10%まで乾燥させる、請求項1に記載の固形分排泄物処理システム。
【請求項9】
糞便ケーキのバッチを受け入れて収集するように構成された廃棄容器をさらに備える、請求項1に記載の固形分排泄物処理システム。
【請求項10】
人間の排泄物の処理方法であって、
糞便を含むスラリバッチを低温殺菌器に受け入れることと、
前記スラリバッチを高温で一定期間加熱することであって、前記一定期間は病原体を殺すのに十分であり、病原体が減少したスラリを生成する前記スラリバッチを加熱することと、
前記病原体が減少したスラリを機械式脱水プレスに送ることと、
前記病原体が減少したスラリを前記機械式脱水プレスで圧縮して、減容固形分排泄物から液相を分離することと、
前記液相を除去することと、
前記減容固形分排泄物から糞便ケーキを形成することと、
前記減容固形分排泄物をコンベヤ上に排出することと、
乾燥トンネル内で糞便ケーキから水分を除去することと、を備える人間の排泄物の処理方法。
【請求項11】
前記減容固形分排泄物から水分を除去することは、乾燥トンネル内で送る間に蒸発乾燥を提供するように、前記コンベヤ上の前記減容固形分排泄物上に強制的に空気を推進することを含む、請求項10に記載の人間の排泄物の処理方法。
【請求項12】
前記減容固形分排泄物が前記スラリバッチの容積の約20%以下である、請求項10に記載の人間の排泄物の処理方法。
【請求項13】
前記液相を除去することが、前記液相をバッファタンクシステムに送ることを含む、請求項10に記載の人間の排泄物の処理方法。
【請求項14】
前記スラリバッチの容積が約100mLである、請求項10に記載の人間の排泄物の処理方法。
【請求項15】
前記高温が少なくとも85℃である、請求項10に記載の人間の排泄物の処理方法。
【請求項16】
前記期間が約10分である、請求項10に記載の人間の排泄物の処理方法。
【請求項17】
前記糞便ケーキが4から10%の水分含有量まで乾燥される、請求項10に記載の人間の排泄物の処理方法。
【請求項18】
前記乾燥された糞便ケーキが、グラム当たり100未満の大腸菌(E.coli)数を有する、請求項10に記載の人間の排泄物の処理方法。
【請求項19】
前記糞便ケーキを廃棄容器に送ることをさらに含む、請求項10に記載の人間の排泄物の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2021年7月16日に出願された「減容固形分処理システム」と題する米国仮出願第63/222,740号の利益および優先権を主張し、その全内容は参照により本願明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
世界中で推定45億人が、安全で手頃な価格の衛生システムにアクセスしていない。高水準の子どもの死亡と病気は、病原体を含んだ糞便が食品や飲料水に混入する口腔糞便汚染に関連している。従来の衛生下水道システムが利用できない、または非実用的であるところでは、下水道を使用しない衛生システムが必要となる。
【発明の概要】
【0003】
本願明細書には、低温殺菌器、機械式脱水プレス、処理後の液相を除去する出口、および乾燥トンネルを備える固形分排泄物処理システムが開示される。低温殺菌器は、スラリバッチを受け取り、そのスラリバッチを高温で一定期間加熱して、病原体を含まないスラリを生成するように構成され、スラリバッチは少なくとも糞便を含む。機械式脱水プレスは、病原体を含まないスラリを圧縮して、糞便ケーキ内に形成される減容固形分排泄物から液相を分離するように構成されている。乾燥トンネルは、空気ダクトシステム内に収容されたコンベヤを備え、空気ダクトシステムは、乾燥トンネル内の糞便ケーキ上に強制空気を推進するように構成されている。また、開示された固形分排泄物処理システムを使用した人間の排泄物の処理方法も開示される。
【0004】
本開示の他のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明を検討すれば当業者には明らかになる、または明らかになるであろう。このような追加のシステム、方法、特徴、および利点はすべて、この説明に含まれ、本開示の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。さらに、記載された実施形態のすべての任意の好ましい特徴および変更は、本願明細書で教示される開示のすべての態様で使用可能である。さらに、従属請求項の個々の特徴、ならびに記載された実施形態のすべての任意の好ましい特徴および変更は、互いに組み合わせることができ、かつ相互に交換可能である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照するとよりよく理解できる。図面内の構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、代わりに本開示の原理を明確に示すことに重点が置かれている。図面において、同様の参照番号は、いくつかの図面を通して対応する部分を示す。
【0006】
図1図1は、本願明細書に記載の様々な実施形態による減容固形分処理システムの例示的な図を示す。
【0007】
図2A図2Aおよび2Bは、本願明細書に記載の様々な実施形態による図1の減容固形分処理システムの例示的な背面図および正面図を示す。
図2B図2Aおよび2Bは、本願明細書に記載の様々な実施形態による図1の減容固形分処理システムの例示的な背面図および正面図を示す。
【0008】
図3A図3Aおよび3Bは、本願明細書に記載の様々な実施形態による図1の減容固形分処理システムの例示的な低温殺菌器を示す。
図3B図3Aおよび3Bは、本願明細書に記載の様々な実施形態による図1の減容固形分処理システムの例示的な低温殺菌器を示す。
【0009】
図4A図4Aから4Dは、本願明細書に記載の様々な実施形態による図1の減容固形分処理システムの例示的なフィルタプレスを示す。
図4B図4Aから4Dは、本願明細書に記載の様々な実施形態による図1の減容固形分処理システムの例示的なフィルタプレスを示す。
図4C図4Aから4Dは、本願明細書に記載の様々な実施形態による図1の減容固形分処理システムの例示的なフィルタプレスを示す。
図4D図4Aから4Dは、本願明細書に記載の様々な実施形態による図1の減容固形分処理システムの例示的なフィルタプレスを示す。
【0010】
図5図5は、本願明細書に記載の様々な実施形態による図1の減容固形分処理システムの乾燥トンネルの一例を示す。
【0011】
図6A図6Aおよび6Bは、本願明細書に記載の様々な実施形態による図1の減容固形分処理システムの例示的な濃縮器を示す。
図6B図6Aおよび6Bは、本願明細書に記載の様々な実施形態による図1の減容固形分処理システムの例示的な濃縮器を示す。
【0012】
図7図7は、本願明細書に記載の様々な実施形態による固形分の体積を減少させる例示的な方法を示す。
【0013】
図8図8は、本願明細書に記載の様々な実施形態による、非下水道の単一ユニットトイレシステム内のモジュールとして使用される減容固形分処理システムの例示的な概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
衛生システムは、屋外での排泄や衛生設備の改善の欠如が一般的であり、病気につながる可能性がある世界の地域で必要とされている。下水道からの排泄物を受け取る従来の下水および廃水処理プラントは、導入と運営に多額の費用がかかる場合がある。排泄物を大規模に処理するために、集合トイレの技術が開発されている。しかし、下水道接続のない家庭でも導入できる、安全で手頃な価格の衛生システムへのアクセスを提供する技術が必要である。総合的に見て、世界中で水不足が深刻化する中、長距離にわたる排泄物の輸送における大量の水への依存を減らす衛生システムは、発展途上国だけでなく世界中でますます重要になる。
【0015】
これらの欠点に対処するために、独立型の非下水道トイレシステムで使用するためのシステムがここで議論される。このシステムは、人間の排泄物から病原体を不活化して排泄物を安全に処分できるように準備するように構成されることができる。このシステムは、きれいな水などの貴重な資源も回収できる。システムは、入力水または出力下水道に接続せずに動作するように構成され得る。一部のシステム例は、バッテリーベースであることも、オフグリッドの再生可能エネルギーによって電力を供給することもできる。システムは、低コストの製造と低運用コストを実現するために最適化できる。このシステムは、先進国と発展途上国だけでなく、貧しい都市環境でも運営される持続可能な衛生サービスを促進できる。
【0016】
ISO 30500規格は、水とエネルギーの消費を最小限に抑え、かつ人間の排泄物を安全な出力に変換する戦略を通じて、基本的な衛生ニーズに対応し、かつ経済的、社会的、および環境的持続可能性を促進するように設計された、下水道を使用しない衛生システムの技術標準を提供する。これらの衛生システムは、下水道や排水網に接続せずに動作し、かつ健康と環境の安全性および規制パラメータを満たすことを目的としている。いくつかの例では、本願明細書に記載されるシステムは、ISO 30500規格を満たす、またはそれを超える処理出力を提供するように構成され得る。
【0017】
例えば、人間の排泄物の流れには、尿、糞便、下痢などが含まれる可能性がある。衛生付随物には、トイレットペーパ、女性用衛生排泄物、おむつ、その他の紙製品などが含まれる。一部のトイレシステムでは、おむつなどの非有機製品を含む衛生付随物の一部を、人間の排泄物の流れとは別に受け取って処理できる。いくつかの例では、排泄物の流れは、人間の糞便および尿、経血、胆汁、フラッシュ水、肛門洗浄水、トイレットペーパ、他の体液および/または固形分を含む。さらに、排泄物の流れは、フラッシュ水、すすぎ水、洗浄水、フレッシュ水、消費水、飲料水、使用可能な水などを含む水を含むことができる。
【0018】
例えば、独立型の非下水トイレシステムは、液体処理システムと固形分処理システムを備えることができ、それぞれが別個のシステムとして動作するか、または人間の排泄物の処理のために相互接続することができる。独立型の非下水道トイレシステムは、少なくとも1つの分離システムを備えることもできる。いくつかの例では、人間の排泄物の流れの内容物を分離または個別に処理することができる。流れを分離は、原料を主に糞便、尿、および廃水流れに分割することにより、混合内容の人間の排泄物流れよりも効率的な処理が可能になる。100%の分離は現実的ではないため、流れ間のある程度の相互汚染は、後続の下流処理アプローチでは許容される。本願明細書に記載されるように、主に糞便を含む糞便流は、「褐色流」とも呼ばれる。褐色流はほとんどが糞便であるが、他の液体や固形分の排泄物が混合している可能性もある。例えば、褐色流には、糞便、トイレットペーパ、一部尿、および一部水が含まれている可能性がある。本願明細書で説明するように、「緑色流」には、大部分が水、一部尿、および一部トイレットペーパが含まれる可能性があり、かつ通常、糞便は含まれない。緑色流はほとんどが液体であり、一部固形分が含まれている。本願明細書に記載されるように、主に尿を含む尿流は、「黄色流」とも呼ばれる。例えば、黄色流には尿と一部水が含まれている可能性がある。本願明細書で記載されているように、廃水流は「青色流」とも呼ばれる。例えば、青色流には、主に、フラッシュ水、肛門洗浄水、またはトイレに注がれる過剰な水の形で廃水が含まれている可能性がある。いくつかの例では、青色流には一部尿も含まれる可能性がある。少量の糞便沈着物(主に下痢として認識される)、大量の尿沈着物、および過剰な量のフラッシュおよび肛門洗浄水の変動性が高いことを考慮し、将来の水不足の制約を考慮すると、流れの分離は、より低コストでより堅牢な処理ロセスをすることができる。
【0019】
上述の文脈において、糞便の排泄物流の減容固形分処理のためのシステムおよび方法の様々な例が本願明細書に記載されている。減容固形分処理システムは、個別に動作することも、独立型の非下水道トイレシステムで使用するように構成できる固形分処理システムである。糞便の排泄物流には、トイレシステムで収集された排泄物流に含まれる糞便に加えて、尿、水、およびその他の衛生設備に付随する物質が含まれる場合がある。減容固形分処理システムは、独立型の非下水道衛生システムにおける固形分処理のモジュールとして統合できる。例えば、成人の排泄物を水、二酸化炭素、および鉱物灰にするように構成された単一のユニットトイレシステムに使用するために、減容固形分処理モジュールを統合することができる。いくつかの例では、減容固形分処理システムは、ISO 30500規格を満たす、またはそれを超える処理出力を提供するように構成することができる。
【0020】
減容固形分処理システムは、人間の排泄物の糞便流や褐色流を処理するために使用できる。減容固形分処理システムに投入する前に褐色流を分離することによって、システムは、そこに含まれる固形分を処理するように動作することができる。さらに、褐色流から過剰な液体を除去し、かつ内容物を均質化することにより、褐色流スラリを得ることができる。例えば、褐色流スラリは、減容固形分処理システムの外部のシステムまたはモジュールで得ることができる。一例では、褐色流が収集タンクに受け入れられ、かつスラリに処理され得る。一例では、収集タンクは、複数の排泄物流を受け入れる流れ混合容器であってもよい。
【0021】
減容固形分処理のための方法およびシステムは、燃焼および灰への還元または他の手段による処分のいずれかに適した病原体を含まない糞便ケーキを生成するために、トイレ環境における人間の排泄物を処理するための低温殺菌および減容プロセスを含むことができる。いくつかの例では、減容固形分処理システムは、単一のユニットトイレシステムの一部として動作することができる。糞便スラリは低温殺菌ヒータに送られ、病原体が死滅するまで高温に保たれる。処理された排泄物スラリは、高温で機械式脱水フィルタプレスに移送できる。処理されたスラリは圧縮され、かつ減容固形分排泄物はフィルタプレスから糞便ケーキとしてコンベヤ上に排出される。投入されたスラリから糞便ケーキ出力への体積の変化は、水分含有量の変化として評価できる。例えば、投入されたスラリの水分含有量は96から99%であり、かつ出力されたプレスケーキの水分含有量は28から84%である可能性がある。この含水量の減少は、体積の少なくとも80%の減少に相当する。体積の減少は95%を超える場合がある。
【0022】
一例では、除去された液相は、別の液体処理システムでの処理のためにシステムの外に送られ得る。一例では、コンベヤは、8から10時間かけて糞便ケーキを廃棄容器まで送ることができる。一例では、コンベヤを乾燥トンネル内に収容することができる。乾燥トンネルは、送る間に糞便ケーキの上に強制空気を送り込み、糞便ケーキを蒸発乾燥させることを可能にする密閉型空気ダクトシステムである。最終的なケーキの水分含有量は4から10%で、その後の廃棄のために取り外し可能な容器に入れられる。一例では、糞便ケーキを外部燃焼システムで灰に変えることができる。
【0023】
以下の説明では、減容固形分処理システムとその構成要素の一般的な説明が提供され、これには、処理システムの動作の説明も含まれる。減容固形分処理システムの非限定的な例について説明する。いくつかの例では、この構成は、減容固形分処理システムを独立型の非下水道衛生システムを含む他のシステムと統合するためのオプションの接続を含むことができる。例えば、減容固形分処理システムは、尿および廃水処理システムと統合できる。
【0024】
図1に示されるように、減容固形分処理システム100は、低温殺菌器102、フィルタプレス104、および乾燥トンネル106を含むことができる。減容固形分処理システム100は、糞便スラリを受け取り、かつ病原体を含まない糞便ケーキを生成するように構成されている。減容固形分処理システム100は、バルブ、ポンプ、モータ、アクチュエータ、スイッチ、およびセンサ(図示せず)を操作するためのコントローラ115を備えることもできる。糞便スラリは、糞便を含むスラリであるが、他の排泄物を含むこともできる。本願明細書に記載されるように、糞便スラリは、糞便、尿、トイレットペーパ、および/または水を含み得る褐色流のスラリであり得る。糞便スラリは、固形分排泄物を均一な粒子サイズに分解するホモジナイザを備えた別個のシステムから受け取ることができる。例えば、ホモジナイザは、マセレータまたはグラインダなどであり得る。いくつかの例では、糞便スラリは、混合内容の人間の排泄物流から液体と固形分を分離するシステムから受け取ることができる。いくつかの例では、糞便スラリは固形分排泄物を保持するバッファタンクから受け取ることができる。
【0025】
糞便スラリのバッチを低温殺菌器102に受け入れることができる。いくつかの例では、糞便スラリのバッチは、分離および均質化システム、または人間の排泄物流から分離された固形分から糞便スラリを形成するホモジナイザを含む別のシステムから直接受け取ることができる。糞便スラリのバッチは、病原体を死滅させるのに十分な時間、低温殺菌器102内で高温で加熱することができる。例えば、高温は少なくとも85℃であり得る。例えば、糞便スラリのバッチは、低温殺菌器102内で約95℃で約10分間処理することができる。低温殺菌器102からの処理済み出力は、病原体を含まない、または病原体が減少した糞便スラリであり得る。一例では、低温殺菌器102は、病原体減少を達成するために、100mLバッチで1日6Lの糞便スラリを処理することができる。いくつかの例では、低温殺菌器の処理済みスラリ出力は、ISO 30500に準拠している。
【0026】
処理済みスラリは、低温殺菌器102からフィルタプレス104に送られることができる。フィルタプレス104は、固形分チャンバ114、ピストン116、およびフィルタゲート118を備える機械式脱水フィルタプレスであり得る。フィルタプレス104は、本願明細書では低温殺菌された褐色流とも呼ばれる処理済みスラリを固形分チャンバ114に受け取ることができる。フィルタプレス104は、ピストン116を作動させ、固形分チャンバ114の容積を減少させ、かつ処理済みスラリをフィルタゲート118に対して圧縮して糞便ケーキを形成するように構成される。フィルタゲート118はフィルタスクリーン120を備える。例えば、フィルタスクリーン120は、41から160μmのナイロンネット、140から508μmのステンレス鋼メッシュ、または他の多孔板であり得る。例えば、フィルタスクリーン120は、508μmのステンレス鋼メッシュフィルタであってもよい。処理済みスラリを圧縮すると、スラリから液体が抽出され、フィルタゲート118を介して排出され得る。抽出された液体または濾液を収集できる。いくつかの例では、濾液は、粒子を分離するために分離および均質化システムに送られ得る。
【0027】
フィルタゲート118は、フィルタから糞便ケーキを剪断してチャンバを開き、糞便ケーキを排出するために移動することができる。一例では、スキージ122は、湿った糞便ケーキを乾燥トンネル106に送るために、モータ124およびベルトドライブ125によって駆動され得る。乾燥トンネル106は、乾燥ベルトまたはコンベヤ130を備えることができる。乾燥トンネル106は、粘着相を介してフィルタケーキの含水量を、ベルトおよび固形分容器からの放出を可能にするレベルまで減少させることができる。一例では、乾燥トンネル106は、送る間に糞便ケーキの蒸発乾燥を提供するために糞便ケーキ上に強制空気を推進するように構成された密閉空気ダクトシステム134内に収容されたコンベヤ130を備えることができる。例えば、コンベヤ130は、2から3時間かけて糞便ケーキを廃棄容器132に送ることができる。
【0028】
いくつかの例では、減容固形分処理システム100は、濃縮器112、または液体処理システムの濃縮タンクとのインタフェースを備えることもできる。濃縮器は低温殺菌および蒸発モジュールにすることができる。例えば、混合排泄物は、減容固形分処理システム100に投入する前に、液体と固形分に分離することができる。液体処理システムは、液体処理システムでは処理できない固形分を含む廃棄される流体を出力できる。廃棄された流体は、濃縮器112内の流体を加熱することによって体積を減らすことができる。一例では、加湿空気および/またはオフガスが放出されて、濃縮物が残るように、加圧空気を濃縮器に導入することができる。凝縮された流出物または濃縮された体積は、乾燥トンネル106に送られて、残留水分含有量を除去することができる。一例では、乾燥トンネル106は、液体処理システムから濃縮物を受け取ることができる。例えば、乾燥トンネル106は、最大4L/日以上の濃縮物を蒸発させることができる。いくつかの例では、乾燥トンネル106は、ガスを排出する手段をさらに備えることができる。
【0029】
図2Aおよび2Bは、図1の例示的な減容固形分処理システム100の背面図および正面図を示す。この省スペースの例では、糞便スラリは低温殺菌器入口146に受け入れられ、かつ低温殺菌器102の配管140を通って低温殺菌器出口148に流れる。低温殺菌器出口148は、フィルタプレス入口126と流体連通している。低温殺菌後、処理済みスラリは、低温殺菌器出口148を介してフィルタプレス104に送られることができる。フィルタプレス104は、フィルタプレス出口128から放出される糞便ケーキを形成するように動作することができる。糞便ケーキは、一定期間乾燥トンネル106内を搬送され、乾燥トンネル出口150(図2B)を介して廃棄容器132に放出されることができる。
【0030】
図2Bに示されるように、乾燥トンネル106は、送る間に糞便ケーキ(図示せず)上に空気を強制的に送り込み、糞便ケーキを蒸発乾燥させるための密閉空気ダクトシステム134内に収容された乾燥ベルト136を備えることができる。乾燥トンネル106は、近位端152および遠位端154を有し、乾燥ベルト136は、近位端152および遠位端154のそれぞれに配置されたローラ138a、138bの周囲に延在する。乾燥機ベルト136は、糞便ケーキがフィルタプレス104から近位端152に送られる場所から、糞便ケーキが固形分廃棄容器132に放出される遠位端154まで糞便ケーキを搬送するように構成されている。いくつかの例では、乾燥機ベルト136は、近位端152から遠位端154まで傾斜して配置される。いくつかの例では、乾燥ベルト136は、空気の流れを可能にするメッシュを備えることができる。例えば、乾燥ベルト136は、ポリマーメッシュまたは金属メッシュで作ることができる。この例に示すように、減容固形分処理システム100は、乾燥した、またはほぼ乾燥した糞便ケーキを受け取るための固形分廃棄容器132を含むこともできる。糞便ケーキは、使用者によって廃棄容器132内で燃焼器または適切なシステムに送られ、灰に減らすか他の手段で処分することができる。
【0031】
図3Aおよび3Bは、さらに詳細に図2Aの例示的な低温殺菌器102を示す。低温殺菌器102は、配管140および1つまたは複数のヒータ142aからd(個別に「ヒータ142」、集合的に「ヒータ142」)を含むことができる。例えば、糞便スラリは、低温殺菌器入口146で配管140内に受け入れられ、病原体を殺すのに十分な時間、高温でヒータ142aからdによって加熱され、処理済みスラリが低温殺菌器出口148を通って出力される。この例では、ヒータ142は、管を取り囲むように構成されたヒータラップとすることができるが、他のタイプおよびヒータの構成に依存して実装することもできる。低温殺菌器入口146のバルブ156および低温殺菌器出口148のバルブ158はそれぞれ、それぞれの低温殺菌器入口146または低温殺菌器出口148を通るスラリの流れを制御するように構成することができる。低温殺菌器102は、配管140をフラッシングするための水の投入を受け取るように構成された、フラッシュ水入口160、およびバルブ162を含むこともできる。例えば、バルブ156、158、162は二方バルブであってもよい。低温殺菌器102は、過圧イベント中に低温殺菌器102を保護するために、圧力解放弁164および破裂圧力出口168を備えることもできる。
【0032】
例えば、糞便スラリのバッチは、低温殺菌器102内で約95℃で約10分間処理することができる。一例では、ヒータ142は、よりエネルギー効率の高い加熱を可能にするために独立して制御され得る。例えば、独立した温度制御を備えた複数のヒータ142を使用して、配管の長さに沿って複数のゾーンを形成することができる。一例として、図3に示すように、1つまたは複数のヒータ142aから142dは、配管140の周りに巻き付けられたヒータラップの複数のセクションであり得、複数の制御熱電対ポート144aから144d(個別に「熱電対ポート144」、集合的に「熱電対ポート144」)を介して独立して制御される複数の加熱ゾーンを形成する。この例では、温度制御用の熱電対ポート144が示されているが、ヒータ142の温度を測定および制御するための他のタイプおよび構成のデバイスに依存して実装することもできる。一例では、低温殺菌器は、出力がISO 30500で要求される病原体の低減を満たすように構成することができる。例えば、最終的な固形分中の大腸菌(E.coli)数は、1gあたり100 未満になる可能性がある。いくつかの例では、大腸菌数は、材料1g当たり19から2395の範囲であり得る。一部の例では、大腸菌数が検出限界を下回る場合がある。
【0033】
図4Aから4Dは、さらに詳細に図2Aの例示的なフィルタプレス104を示す。処理済みスラリは、フィルタプレス104の固形分チャンバ114内に受け取ることができる。固形分チャンバ114は、円筒形の形状であり、かつピストン116を受け入れるように構成され得る。ピストン116を作動させて固形分チャンバ114の容積を減少させ、かつフィルタゲート118に対して処理済みスラリに圧力を加えて糞便ケーキを形成することができる。抽出された流体は、フィルタゲート118を通過して収集されるか、または別の処理システムに送られることができる。糞便ケーキは、フィルタプレス出口128を介して乾燥トンネル106に放出することができる。
【0034】
図4Bは、図4Aのフィルタプレス104の一部の断面図を示す。処理済みスラリは、フィルタプレス入口126を介してフィルタプレス104の固形分チャンバ114内に受け入れられ得る。水平矢印で示されるように、ピストン116はスラリをフィルタスクリーン120に対して圧縮してケーキを形成することができる。
【0035】
図4Cは、フィルタゲート118のフィルタアセンブリ170の分解図を示す。フィルタアセンブリ170は、フィルタスクリーン120、フィルタサポートスクリーン172、ドレンスペーサ174、フィルタプレス入口126、および逆止弁176を備える。フィルタアセンブリ170は、フィルタアセンブリ170のシール178a、178bを含むこともできる。スラリは、フィルタプレス入口126を介して受け取られ、かつ逆止弁176を介して固形分チャンバ114に導入され得る。図4Dに示す垂直矢印でされるように、スキージ122は、移動してフィルタスクリーン120から糞便ケーキを除去し、糞便ケーキを乾燥トンネル106に放出することができる。
【0036】
図5は、より詳細に図2Bに示す乾燥トンネル106の断面図を示す。糞便ケーキは、乾燥トンネル入口129を介してフィルタプレス104から受け取ることができる。乾燥トンネル106は、送る間に糞便ケーキ(図示せず)上に強制的に空気を送り込み、糞便ケーキを蒸発乾燥させるように構成されている。乾燥トンネル106は、近位端152および遠位端154を有し、乾燥ベルト136は、近位端152および遠位端154のそれぞれに配置されたローラ138a、138bの周囲に延在する。乾燥機ベルト136は、糞便ケーキがフィルタプレス104から近位端152に送られる場所から、糞便ケーキが乾燥トンネル出口150を介して放出される遠位端154まで、糞便ケーキを搬送するように構成されている。いくつかの例では、乾燥トンネル106は、濃縮器112から個別に固形分出力を受け取ることもできる。
【0037】
減容固形分処理システム100が非下水道の単一のユニットトイレシステムの一部である場合、濃縮器112は、液体処理システムから塩および/または他の粒子状固形分を含む除かれた流体を受け取ることができる。図6Aおよび6Bは、減容固形分処理システム100の濃縮器112を示す。濃縮器112は、液体処理システムの濃縮タンクと接続できる低温殺菌および蒸発モジュールとすることができる。例えば、液体処理システムは、固形分を含み、および液体処理システムで処理できない除かれた流体を出力する可能性がある。除かれた流体は、濃縮器112内の流体を加熱することによって容積を減らすことができる。一例では、加湿空気および/またはオフガスが放出され、かつ濃縮物が残るように、加圧空気を濃縮器に導入することができる。
【0038】
図6Aに示されるように、濃縮器112は、ある体積の流体を保持するように構成された開放型濃縮器容器180と、開放型濃縮器容器180内に収容された複数のディスク186とを備えることができる。図6Bの断面図に示すように、複数のディスク186は、モータ190によって回転可能な軸188の周りに配置されて、軸188が回転するにつれて複数のディスクの少なくとも一部が流体によって濡らされる。ヒータ192は加熱コイル194を備えることができる。ヒータ192は、加熱コイル194が開放型濃縮容器180内に延在し、かつ開放型濃縮容器180内に含まれる流体の容積を加熱するように構成されるように配置することができる。いくつかの例では、濃縮器モジュール112は、開放型濃縮容器180の上に配置された筐体182を含むこともできる。いくつかの例では、濃縮器モジュール112は、湿った複数のディスク166上に空気流を提供し、濃縮される流体の蒸発を助ける空気取入口183および空気出口185をさらに備えることができる。例えば、送風機(図示せず)または1つまたは複数のファン184は、空気流を濃縮器112に導くことができる。図6Aに示されるように、筐体182は、濃縮器容器180を通して複数のディスク166にわたって空気を引き込むように配置された1つまたは複数のファン184aからc(個別に「ファン184」、集合的に「ファン184」)を備えることができる。空気取入口183は、開放型濃縮容器180と筐体182との間の隙間にあってもよい。別の例では、システム送風機(図示せず)は、同様の方法で複数のディスク166上に空気流を提供して、濃縮される流体の蒸発を助けることができる。
【0039】
濃縮器112は、液体処理モジュールから塩および/または他の粒子状固形分を含有する、ある量の除かれた流体を受け取ることができる。開放型濃縮容器180によって、一定量の流体を収容することができる。流体の容積は、軸188を超えて流れたり、回転を妨げたりしないレベルに維持することができる。流体の蒸発を助けるために、流体の容積をヒータ192および加熱コイル194によって加熱することができる。複数のディスクが加熱された容積の流体を通して回転すると、空気取入口183は、流体が蒸発して受け取った流体の固形分が残るように、空気を複数のディスク186上の濃縮器112に導くように構成することができる。図6Aに示される矢印は、一例における蒸発のための空気の流れの方向を示す。別の例では、空気流が反対方向に提供されるように、空気取入口183と空気出口185を逆にすることができる。例えば、ファン184は、濃縮器112を通して空気を吸引するように、または逆方向に動作して空気を濃縮器112に吹き込み、かつ開放型濃縮器容器180と筐体182との間の隙間から排出するように構成することができる。
【0040】
一例では、凝縮された流出物または濃縮された容積は、残留水分含有量を除去するために乾燥トンネル106に送られ得る。一例では、乾燥トンネル106は、濃縮器112から濃縮物を受け取ることができる。例えば、乾燥トンネル106は、最大4L/日以上の濃縮物を蒸発させることができる。いくつかの例では、乾燥トンネル106は、ガスを排出する手段をさらに備えることができる。別の例では、開放型濃縮器容器180内に含まれる容積の最大50%を、さらなる処理のためにバッファタンクシステムまたは他の処理モジュールに戻すことができる。
【0041】
図には示されていないが、減容固形分処理システム100は、バルブ、ポンプ、モータ、アクチュエータ、導管、スイッチ、センサなどをさらに備えることができる。減容固形分処理システム100は、バルブ、ポンプ、モータ、アクチュエータ、スイッチ、およびセンサを操作するためのコントローラ115(図1)を備えることもできる。例えば、コントローラ115は、温度を監視し、かつ低温殺菌器102のヒータラップ142を制御するために、低温殺菌器102内のセンサに接続され得る。
【0042】
図7は、本願明細書に記載される固形分の容積減少のための例示的な方法を示す。ボックス1502で、この方法は、糞便のスラリバッチを低温殺菌器に受け取ることを含むことができる。例えば、スラリは、ホモジナイザ、または分離および均質化システムなどのホモジナイザを含むシステムから受け取ることができる。別の例では、スラリをバッファタンクに受け取り、かつバッチで低温殺菌器に送ることができる。
【0043】
ボックス1504において、この方法は、スラリバッチを高温で一定期間加熱することを含むことができる。この時間は、病原体を殺すのに十分な時間であり、病原体が減少したスラリを生成することができる。例えば、病原体を殺すために少なくとも85°の温度を約10分間維持することができる。
【0044】
病原体が減少したスラリは、ボックス1506で機械式脱水プレスに移送され得る。脱水プレスは、病原体が減少したスラリを受け入れるチャンバと、圧力を加えてチャンバの容積を減少させるピストンとを含むことができる。ボックス1508において、この方法は、病原体が減少したスラリを機械式脱水プレスで圧縮して、減容固形分排泄物から液相を分離することを含むことができる。例えば、ピストンは、病原体が減少したスラリをフィルタに押し付けて、減容固形分排泄物から液相を分離することができる。ボックス1510では、液体を収集するか、または別のシステムに送ることによって、液相を除去することができる。液体の圧縮および除去により、ボックス1512で減容された固形分排泄物から糞便ケーキが形成される可能性がある。
【0045】
ボックス1514において、この方法は、減容された固形分排泄物をコンベヤ上に排出することを含むことができる。糞便ケーキまたは減容された固形分排泄物から形成されたケーキは、濡れている、および/または粘着性がある場合がある。ボックス1516において、この方法は、減容された固形分排泄物から水分を除去して糞便ケーキを形成することを含むことができる。糞ケーキを乾燥トンネルに送ることができ、そこで糞便ケーキの上に強制的に空気を送り、糞便ケーキをさらに乾燥させることができる。ボックス1518において、この方法は、糞便ケーキを廃棄容器に送ることを含むことができる。例えば、糞便ケーキはベルトまたはコンベヤを介して乾燥トンネルを通って一定期間にわたって送られ得る。
【0046】
減容固形分処理システム100は、様々なシステムおよび用途で使用するために構成することができる。上述したように、一例として、減容固形分処理システムは、独立型の非下水道トイレシステムで使用するように構成された固形分処理システムであり得る。減容固形分処理システム100は、液体処理システムおよび/または分離システムなどのシステムを含む単一のユニットトイレシステムの一部として動作し、統合されるように構成することができる。
【0047】
図8は、フロントエンドシステム1、バッファタンクシステム2、尿および廃水システム3、および減容固形分処理システム5を含む、非下水道の単一のユニットトイレシステムの例示的な概略図を示す。この例では、減容固形分処理システム5は、本願明細書に記載の減容固形分処理システム100を備えることができる。例えば、減容固形分処理システム5の低温殺菌器、フィルタプレス、乾燥トンネルは、本願明細書に記載されているように適合させることができる。この例に示すように、単一のトイレシステムには外部燃焼器6を含めることもできる。例えば、外部燃焼器6は、減容固形分処理システム5から出力される処理済み固形分を受け取るように構成され得る、非下水道の単一のユニットトイレシステムの一部であってもよい。
【0048】
この例では、フロントエンドシステム1は人間の排泄物を捕捉し、かつ混合排泄物の流れを緑色流と褐色流のうちの少なくとも1つに分離する。一部の例では、黄色流も分離できる。分離された緑色流、褐色流、および/または黄色流は、バッファタンクシステム2によってさらに処理できる。バッファタンクシステム2は、浄化された緑色流を尿および廃水処理システム3に出力し、および褐色流スラリを、糞便を含む固形分排泄物のケーキを生成できる減容システム5に出力するように構成することができる。単一のユニットトイレシステムは、システムの動作のための少なくとも1つのコントローラ、および/またはバルブ、ポンプ、モータ、センサ、および他のデバイスを含むシステムの1つまたは複数のモジュールを含む制御ユニットをさらに備えることができる。単一のユニットトイレシステムは、処理済み液体出力と処理済み固形分出力を供給するように構成できる。例えば、浄水および/または処理水は、さらに、フロントエンド1のフラッシュ水用システム内で使用することも、1つまたは複数のシステムまたはモジュールでの処理に使用することもできる。いくつかの例では、処理済み固形分排泄物は、ユーザがアクセスできる廃棄容器に置かれた乾燥または部分的に乾燥されたケーキであってもよい。ユーザは、乾燥または部分的に乾燥しされたケーキを外部燃焼器6に送って燃焼させることができる。
【0049】
態様
【0050】
以下の例示的な態様のリストは、本願明細書に提供される開示を裏付けており、また本開示によって裏付けられている。
【0051】
態様1.
固形分排泄物処理システムであって、
スラリバッチを受け取り、前記スラリバッチを高温で一定期間加熱して、病原体を含まないスラリを生成するよう構成された低温殺菌器であって、前記スラリバッチが少なくとも糞便を含む低温殺菌器と、
前記病原体を含まないスラリを圧縮して、減容固形分排泄物から液相を分離するように構成された機械式脱水プレスであって、前記減容固形分排泄物は糞便ケーキに形成される機械式脱水プレスと、
前記液相を除去する出口と、
空気ダクトシステム内に収容されたコンベヤを含む乾燥トンネルであって、前記空気ダクトシステムは、前記乾燥トンネル内の前記糞便ケーキ上に強制的に空気を推進するように構成されている乾燥トンネルと、を備える、固形分排泄物処理システム。
【0052】
態様2.
前記低温殺菌器が、ある長さの配管と、前記配管内の前記スラリバッチを加熱するよう構成された1つまたは複数のヒータと、を備える、態様1に記載の固形分排泄物処理システム。
【0053】
態様3.
前記1つまたは複数のヒータが独立した温度制御を有する複数のヒータを備え、前記複数のヒータの各ヒータが、配管の前記長さに沿って巻き付けられ、配管のセクションの加熱ゾーンを画定する、態様2に記載の固形分排泄物処理システム。
【0054】
態様4.
前記機械式脱水プレスがフィルタアセンブリ、チャンバ、およびピストンを備える、態様1から3のいずれか一項に記載の固形分排泄物処理システム。
【0055】
態様5.
前記機械式脱水プレスが濾液出口およびスキージをさらに備え、前記スキージが前記機械式脱水プレスから前記糞便ケーキを除去するように構成されている、態様4に記載の固形分排泄物処理システム。
【0056】
態様6.
前記機械式脱水プレスのフィルタアセンブリがフィルタスクリーンを備える、態様4または5に記載の固形分排泄物処理システム。
【0057】
態様7.
前記フィルタスクリーンが41から160μmのナイロンネットまたは140から508μmのステンレス鋼メッシュである、態様6に記載の固形分排泄物処理システム。
【0058】
態様8.
前記乾燥トンネルが前記糞便ケーキを水分含量4から10%まで乾燥させる、態様1から7のいずれか一項に記載の固形分排泄物処理システム。
【0059】
態様9.
糞便ケーキのバッチを受け入れて収集するように構成された廃棄容器をさらに備える、態様1から8のいずれか一項に記載の固形分排泄物処理システム。
【0060】
態様10.
人間の排泄物の処理方法であって、
糞便を含むスラリバッチを低温殺菌器に受け入れることと、
前記スラリバッチを高温で一定期間加熱することであって、前記一定期間は病原体を殺すのに十分であり、病原体が減少したスラリを生成する前記スラリバッチを加熱することと、
前記病原体が減少したスラリを機械式脱水プレスに送ることと、
前記病原体が減少したスラリを前記機械式脱水プレスで圧縮して、減容固形分排泄物から液相を分離することと、
前記液相を除去することと、
前記減容固形分排泄物から糞便ケーキを形成することと、
前記減容固形分排泄物をコンベヤ上に排出することと、
前記減容固形分排泄物から水分を除去して糞便ケーキを形成することと、を備える人間の排泄物の処理方法。
【0061】
態様11.
前記減容固形分排泄物から水分を除去することは、乾燥トンネル内で送る間に蒸発乾燥を提供するように、前記コンベヤ上の前記減容固形分排泄物上に強制的に空気を推進することを含む、態様10に記載の人間の排泄物の処理方法。
【0062】
態様12.
前記減容固形分排泄物がスラリバッチの容積の約20%以下である、態様10または11に記載の人間の排泄物の処理方法。
【0063】
態様13.
前記液相を除去することが、前記液相をバッファタンクシステムに送ることを含む、態様10から12のいずれか一項に記載の人間の排泄物の処理方法。
【0064】
態様14.
前記スラリバッチの容積が約100mLである、態様10から13のいずれか一項に記載の人間の排泄物の処理方法。
【0065】
態様15.
前記高温が少なくとも85℃である、態様10から14のいずれか一項に記載の人間の排泄物の処理方法。
【0066】
態様16.
前記期間が約10分である、態様10から15のいずれか一項に記載の人間の排泄物の処理方法。
【0067】
態様17.
前記糞便ケーキが4から10%の水分含有量まで乾燥される、態様10から16のいずれか一項に記載の人間の排泄物の処理方法。
【0068】
態様18.
前記乾燥された糞便ケーキが、グラム当たり100未満の大腸菌(E.coli)数を有する、態様10から17のいずれか一項に記載の人間の排泄物の処理方法。
【0069】
態様19.
前記糞便ケーキを廃棄容器に送ることをさらに含む、態様10から18のいずれか一項に記載の人間の排泄物の処理方法。
【実施例
【0070】
以下の実施例は、当業者に、本願明細書で請求される化合物、組成物、物品、装置、および/または方法がどのように作製および評価されるかについての完全な開示および説明を提供するために提示されるものであり、かつ、これらは本開示の純粋な例示であると意図されるものであるが、発明者らがその開示とみなすものの範囲を限定することを意図したものではない。数値(例えば、量、温度等)の正確性を確保するために努力が払われているが、多少の誤差や偏差は考慮する必要がある。他に指示がない限り、部は重量部であり、温度は℃または周囲温度であり、圧力は大気圧または大気圧付近である。
【0071】
試験プロトコル
【0072】
固形分ケーキ中の水分含有量の測定 試験プロトコル:水分含有量を測定するには、固形分の糞便ケーキサンプルまたはその一部を容器重量が測定されたアルミニウムパンに入れ、パンとサンプルを化学天秤で秤量する。サンプルを105℃で少なくとも2時間乾燥させ、およびパンとサンプルを化学天秤で再度計量する。次の式を使用して水分含有量を決定できる。
【0073】
固形分ケーキからの大腸菌(E.coli)抽出:E.coli(コロニー形成単位またはCFU)は、以下の手順に従って、本願明細書に記載の非下水道の単一のトイレシステムによって生成された糞便ケーキから抽出される。簡単に説明すると、滅菌リン酸緩衝食塩水(PBS)をケーキに加えて、よく混合する。乾燥ケーキは溶液の一部を吸収するが、液体の上澄部の一部も管内に残るはずである。この液体は、以下に説明する生物学的検査に使用できる。
【0074】
可能な限り低い検出限界を達成するために、生物学的検査のために除去するのに十分な上澄部を残すために、最小限の量のPBSが追加される。以下に説明する大腸菌(E.coli)検出試験プロトコルを使用した大腸菌(E.coli)の検出には、約1mLの上澄部が必要である。液体をピペッティングするのが難しい場合は、さらにPBSを追加してもよい。
【0075】
大腸菌(E.coli)を抽出するには、PBSの滅菌溶液を調製する。検査される糞便ケーキまたはその一部の重量が測定される。秤量した糞便ケーキを滅菌した50mL遠心分離管に入れる。20mLの滅菌PBSを遠心分離管に加えて、ケーキが砕けるまでボルテクサーを使用して完全に混合する。大きな固形分粒子が沈降するように、サンプルを5から10分間放置する。大きな粒子の沈降を助けるために、サンプルをオプションとして400rpmで10分間遠心分離する。遠心分離を高速回転で実行すべきでなく、または大腸菌(E.coli)が上澄部から落ちてしまう。
【0076】
管は45°の角度で保持されているため、上澄部が溜まり、簡単に除去できる。上澄部の量がサンプリングに不十分な場合は、追加のPBS10mLを追加して、ボルテックスとオプションとして遠心分離を繰り返すことができる。1000μLピペットチップは上澄部を除去するよう使用され、ピペットチップを詰まらせる可能性のある大きな粒子を避けるように注意する。
【0077】
大腸菌(E.coli)検査試験プロトコル:大腸菌(E.coli)(コロニー形成単位またはCFU)は、本願明細書に記載される「固形分ケーキからcoli抽出」手順に従って採取されたサンプルについて測定される。大腸菌(E.coli)CFUは、当技術分野で知られている任意の技術によって測定することができる。ここでは、3MTMカンパニー(米国ミネソタ州セントポール)のPETRIFILMTME.coli/大腸菌群カウントプレートを使用した。PETRIFILMTMプレートには、改変バイオレットレッド胆汁(VRB)栄養素、冷水溶性ゲル化剤、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-D-グルクロニド(BCIG、グルクロニダーゼ活性の指標)、およびコロニーの計数を容易にするためのテトラゾリウム指標が含まれている。
【0078】
サンプルは、バターフィールドのリン酸緩衝希釈水、0.1%のペプトン水、ペプトン塩希釈剤、4分の1のリンゲル液、0.85から0.90%の生理食塩水、亜硫酸水素塩を含まないレジンブロス(letheen broth)、蒸留水等の適切な滅菌希釈剤と混合または均質化される。
【0079】
PETRIFILMTMプレートを平らな面に置く。プレート上のトップフィルムが持ち上げられる。上記のように調製したサンプル懸濁液1mLを、接種領域に対して垂直に保持したピペットを使用して、プレートの底部フィルムの中央に分注する。トップフィルムは、気泡を捕らえることなくサンプル上に巻き付けられる。3MTMのPETRIFILMTMスプレッダを使用して、プレートの増殖領域全体に接種材料を広げる。スプレッダを取り外して、プレートを少なくとも1分間静置し、ゲルを形成させる。
【0080】
ゲル形成後、プレートを20枚以下のプレートのスタック内で水平にインキュベートする。インキュベーション時間は変動する可能性があり、かつ当業者は、製造業者が提供する説明書に基づいて、所与の用途に適切なインキュベーション時間を選択することができる。インキュベーション後、プレート上のコロニーは、標準的なコロニーカウンタまたは別の照明付き拡大鏡を使用して数えることができる。大腸菌(E.coli)および/または大腸菌群を検出するための一般的なインキュベーション時間は、37℃で18から24時間である。青色から赤青色に見え、かつ閉じ込められたガスに関連するコロニーは、確認された大腸菌(E.coli)としてカウントされる。コロニーはインキュベーターから取り出してから1時間以内に計数する必要があり、または、カウントする前、最大1週間、-15℃で保存することもできる。
【0081】
インキュベーション後の非常に高密度のプレートの場合、正確なカウントを得るために元のサンプルを希釈して、希釈量に基づいて適切な量補正を行う必要がある場合がある。
【0082】
PETRIFILMTMからのmLあたりのCFUを乾燥グラムあたりのCFUに変換するには、次の式を使用でき、ここで、総液体体積は、最初の糞便ケーキまたはその一部に添加されたPBSの総体積を指す。
【0083】
本願明細書で説明される実施形態の特徴は代表的なものであり、かつ代替実施形態では、特定の特徴および要素を追加または省略することができる。別段の指示がない限り、本開示は特定の材料、製造プロセス等に限定されず、変更することができることを理解されたい。また、本願明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、かつ限定することを意図したものではないことも理解されたい。本開示では、論理的に可能な場合には、工程を異なる順序で実行することも可能である。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図7
図8
【国際調査報告】