(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】液化ガスの貯蔵設備
(51)【国際特許分類】
F17C 3/04 20060101AFI20240711BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
F17C3/04 A
B63B25/16 F
B63B25/16 103
B63B25/16 104
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502645
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2022069695
(87)【国際公開番号】W WO2023001678
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ボユー マルク
(72)【発明者】
【氏名】デラノー セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ルコント クリストフ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172AB05
3E172BA06
3E172BB02
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD02
3E172CA32
3E172DA23
3E172EB10
(57)【要約】
本発明は、支持構造(2)とタンク(71)と、を備えた貯蔵設備(1)に関し、天井壁(4)は開口(7)を画定するように局所的に途切れており、天井壁(4)の一次断熱バリア(12)は、縁部一次断熱ブロック(39)と一次断熱パネルとを備えており、厚さ方向における縁部一次断熱ブロックの剛性は一次断熱パネルより高く、貯蔵設備は少なくとも2つの固定支持部(26)を備えており、各固定支持部(26)は脚部とキャップ(29)とを備えており、縁部一次断熱ブロックは1つの固定支持部の第1の部分に並ぶように配置されていると共に、第1のアンカー装置によってキャップに固定されており、一次断熱パネルは当該固定支持部の第2の部分に並んで延在し、一次断熱パネルは第2のアンカー装置によってキャップに固定されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属の支持構造(2)と、当該支持構造に配置された密閉断熱タンク(71)と、を備えた液化ガスの貯蔵設備(1)であって、
前記密閉断熱タンクは当該密閉断熱タンクの厚さ方向に外部から内部に向かって、
前記支持構造(2)に固定された二次断熱バリア(10)と、
前記二次断熱バリア(10)に配置された金属の二次密閉メンブレン(11)と、
前記二次密閉メンブレン(11)に配置された一次断熱バリア(12)と、
前記一次断熱バリア(12)に配置されて前記液化ガスと接触する一次密閉メンブレン(13)と、
を備えており、
前記支持構造は上部支持壁(8)を備えており、
前記密閉断熱タンク(71)は、前記上部支持壁(8)に固定された天井壁(4)を備えており、
前記天井壁(4)は、荷役パイプを通す荷役開口(7)を画定するように局所的に途切れており、
前記天井壁(4)の前記二次断熱バリア(10)は、前記荷役開口(7)の縁部(25)に隣接する縁部二次断熱ブロック(34)と、第1の方向において前記縁部二次断熱ブロック(34)と並ぶ二次断熱パネル(14)と、を備えており、
前記荷役開口は、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向(T)に延在しており、
前記天井壁(4)の前記一次断熱バリア(12)は、前記荷役開口(7)の前記縁部に隣接する縁部一次断熱ブロック(39)と、前記第1の方向(L)において前記縁部一次断熱ブロック(39)と並ぶ一次断熱パネル(18)と、を備えており、
前記厚さ方向における前記縁部一次断熱ブロック(39)の剛性は前記一次断熱パネル(18)より高く、
前記貯蔵設備は、前記荷役開口(7)の前記縁部に沿って前記上部支持壁(8)に固定された複数の金属の二次固定支持部(26)を備えており、
前記二次固定支持部(26)は、前記第2の方向(T)における前記縁部二次断熱ブロック(34)の両面それぞれに設けられており、
前記各二次固定支持部(26)は、前記第1の方向(L)に延在する設置長さを有する二次脚部(30)と、前記二次脚部(30)に固定された二次キャップ(29)と、を備えており、
前記縁部一次断熱ブロック(39)は1つの前記二次固定支持部(26)の第1の部分に並ぶように配置されていると共に、第1のアンカー装置(45)によって前記二次固定支持部(26)の前記二次キャップ(29)に固定されており、
前記一次断熱パネル(18)は、前記第1の方向(L)において前記二次固定支持部(26)の前記第1の部分に隣接する第2の部分に並んで延在し、
前記一次断熱パネル(18)は第2のアンカー装置(46)によって前記二次キャップ(29)に固定されている
ことを特徴とする貯蔵設備(1)。
【請求項2】
前記二次断熱バリアは、前記縁部二次断熱ブロック(34)に配置された二次当接プレート(40)を備えており、
前記二次密閉メンブレンの縁部分が前記二次当接プレート(40)に固定されている、
請求項1記載の貯蔵設備。
【請求項3】
前記天井壁(4)の前記二次密閉メンブレン(11)は、前記第1の方向(L)に延在する複数の平行なストレーキを備えており、
前記各ストレーキは、平面状の中央部分と、前記中央部分より前記密閉断熱タンクの内部に向かって突出する2つの隆起縁部とをそれぞれ有し、
前記ストレーキは前記第2の方向(T)において繰り返しパターンで並んでいると共に、前記隆起縁部の高さで密閉するように互いに溶接されており、
少なくとも1つの前記ストレーキが前記荷役開口によって途切れており、
途切れた前記ストレーキの縁部分が前記二次当接プレート(83)に固定されている、
請求項2記載の貯蔵設備。
【請求項4】
前記縁部一次断熱ブロック(39)は、底部プレートと、当該底部プレートに対して平行なカバープレートと、前記カバープレートを前記底部プレートから離隔して保持する支持スペーサプレートと、を有する箱の形態であり、
前記箱に断熱詰め物が詰め込まれている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の貯蔵設備。
【請求項5】
前記一次断熱パネル(18)は前記厚さ方向に順に、少なくとも1つの断熱発泡体層(17)と少なくとも1つの剛性プレート(15,16)と、を備えている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の貯蔵設備。
【請求項6】
前記縁部一次断熱ブロック(39)は平行六面体状であり、前記第2の方向(T)に対して垂直な2つの側面を有し、
少なくとも1つの前記側面が前記第1のアンカー装置(45)によって前記二次固定支持部(26)の前記二次キャップ(29)に固定されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の貯蔵設備。
【請求項7】
前記縁部一次断熱ブロック(39)の前記第2の方向の寸法は、2つの隣接し合う前記二次固定支持部(26)間の距離に等しく、
前記縁部一次断熱ブロック(39)の前記2つの側面はそれぞれ、2つの第1のアンカー装置(45)によって2つの前記二次固定支持部(26)の前記二次キャップ(29)に固定されている、
請求項6記載の貯蔵設備。
【請求項8】
前記縁部一次断熱ブロック(39)は支持面を有し、
前記第1のアンカー装置(45)は、
前記二次キャップ(29)に固定されたベース(48)と、
前記ベースに固定され、前記厚さ方向に延在して前記二次密閉メンブレン(11)の開口部を密閉するように貫通するスタッド(49)と、
前記スタッドに取り付けられて、前記縁部一次断熱ブロック(39)を前記二次固定支持部(26)に固定するように前記縁部一次断熱ブロック(39)の前記支持面に支持される支持部材(50)と、
を備えている、
請求項1から7までのいずれか1項記載の貯蔵設備。
【請求項9】
前記縁部一次断熱ブロック(39)の少なくとも1つの前記側面に凸部(44)が設けられており、
前記支持面は前記凸部に形成されている、
請求項8を引用する請求項6記載の貯蔵設備。
【請求項10】
前記一次断熱パネル(18)は支持面を有し、
前記第2のアンカー装置(46)は、
前記二次キャップ(29)に固定されたベース(48)と、
前記ベースに固定され、前記厚さ方向に延在して前記二次密閉メンブレンの開口部を密閉するように貫通するスタッド(49)と、
前記スタッドに取り付けられて、前記一次断熱パネルを前記二次固定支持部(26)に固定するように前記一次断熱パネルの前記支持面に支持される支持要素(50)と、
を備えている、
請求項1から9までのいずれか1項記載の貯蔵設備。
【請求項11】
前記一次断熱パネル(18)の前記支持面は、前記一次断熱パネルのコーナ部(58)の高さに配置され、又は前記コーナ部から離隔して配置されている、
請求項10記載の貯蔵設備。
【請求項12】
前記第1のアンカー装置(45)及び/又は前記第2のアンカー装置(46)はさらに、前記スタッドの一体不可分の部分を構成するフランジ(54)を備えており、
前記フランジは前記スタッドの径方向外側に向かって突出し、前記二次密閉メンブレンに密閉するように前記二次密閉メンブレンの前記開口部の周囲において固定されている、
請求項8から11までのいずれか1項記載の貯蔵設備。
【請求項13】
前記縁部二次断熱ブロック(34)と前記二次断熱パネル(14)との間の境界面と、前記荷役開口(7)の縁部と、の前記第1の方向における距離は、前記縁部一次断熱ブロック(39)と前記一次断熱パネル(18)との間の境界面と前記荷役開口(7)の縁部との間の距離より大きい、
請求項1から12までのいずれか1項記載の貯蔵設備。
【請求項14】
前記第1のアンカー装置(45)及び前記第2のアンカー装置(46)は同一に形成されており、前記第1のアンカー装置と前記第2のアンカー装置とは前記第1の方向(L)に互いに離隔している、
請求項1から13までのいずれか1項記載の貯蔵設備。
【請求項15】
前記第2の方向(T)に延在して密閉性に前記二次断熱バリアを前記荷役開口から分離する接続アングル部材(36)を備えており、
前記接続アングル部材は第1のフランジ(37)と、当該第1のフランジに接続された第2のフランジ(38)と、を備えており、
前記第1のフランジは前記二次当接プレート(40)に固定されており、前記第2のフランジは、前記上部支持壁に固定されたアンカーフラット部材(69)に溶接されている、
請求項2を引用する請求項1から14までのいずれか1項記載の貯蔵設備。
【請求項16】
前記二次パネル(30)は前記第1の方向(L)において前記アンカーフラット部材(69)から、好適には15mm以上、より好適には20mm以上の距離に離隔している、
請求項15記載の貯蔵設備。
【請求項17】
前記貯蔵設備は浮体構造物の形態であり、前記支持構造は当該浮体構造物の二重船殻(72)から成り、前記第1の方向(L)は前記浮体構造物の長手方向(L)であり、前記浮体構造物は好適には、低温の液体製品を輸送するための船舶(70)である、
請求項1から16までのいずれか1項記載の貯蔵設備。
【請求項18】
低温の液体製品の移送システムであって、
請求項17記載の貯蔵設備と、
前記浮体構造物の前記船殻に設置された前記密閉断熱タンク(71)を外部の浮体式又は陸上貯蔵設備(77)に接続するように配置された断熱パイプ(73,79,76,81)と、
前記断熱パイプを介して前記外部の浮体式若しくは陸上貯蔵設備から前記浮体構造物の前記密閉断熱タンクへ又は前記浮体構造物の前記密閉断熱タンクから前記外部の浮体式若しくは陸上貯蔵設備へ液体製品の流れを駆動するためのポンプと、
を備えていることを特徴とする移送システム。
【請求項19】
請求項17記載の貯蔵設備の積込み又は揚げ荷を行う方法であって、
断熱パイプ(73,79,76,81)を介して外部の浮体式若しくは陸上貯蔵設備(77)から前記浮体構造物の前記密閉断熱タンク(71)へ又は前記浮体構造物の前記密閉断熱タンク(71)から前記外部の浮体式若しくは陸上貯蔵設備(77)へ低温の液体製品を送る
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉メンブレンが設けられた密閉断熱タンクを備えた液化ガスの貯蔵設備の分野に関するものである。本発明は特に、液化ガスを低温で貯蔵及び/又は輸送するための密閉断熱タンク、例えば大気圧で液化天然ガス(LNG)を約-163℃で輸送するためのタンク又は液化石油ガス(LGP)を例えば-50℃~0℃の温度で輸送するためのタンク等の分野に関するものである。かかるタンクは陸上又は浮体構造物に設置することができる。浮体構造物の場合、上記のタンクは当該タンクの推進用燃料として供される液化ガスの輸送用又は当該液化ガスの受入用のタンクとすることができる。
【背景技術】
【0002】
例えば国際公開第2019234360等の従来技術から、船舶の支持構造に組み込まれた密閉断熱タンクであって、二次断熱バリアと二次密閉メンブレンと一次断熱バリアと一次密閉メンブレンとを備えるた密閉断熱タンクが知られている。タンクは、互いに組み付けられた複数のタンク壁を含む。二次密閉メンブレンは、複数の平行なストレーキを含む。各ストレーキはそれぞれ、第1の方向に延在する平面状の中央部分と、平面状の中央部分の両面それぞれに配置された2つの隆起縁部と、を含み、隆起縁部は中央部分よりタンクの内部に向かって突出する。よって、上記のストレーキは第2の方向において繰り返しパターンで並べられ、隆起縁部の高さで互いに溶接接合される。この種の二次密閉メンブレンは一般に緊張メンブレン(membrane tendue)と呼ばれ、コルゲートメンブレンとは異なり、第1の方向に引張力や圧縮力を吸収できるゾーンを有しない。
【0003】
この種の構造では、例えば荷役パイプを通すための開口の高さで二次密閉メンブレンが途切れている。よって、二次密閉メンブレンこのような途切れ部の高さで終了して支持構造に直接接続されることにより、特に密閉メンブレンの熱収縮、例えば船殻ガーダーの屈曲に関連する船殻の変形や、タンクの充填レベルに起因する引張力や圧縮力を吸収する。
【0004】
韓国公開特許10-2020-0144178号公報には、液体ドームによって形成される上記のような途切れ部の高さに設けられたタンク壁の構成が記載されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の背景である一思想は、開口付近の一次密閉メンブレンの支持部を設計することである。
【0006】
本発明の背景である他の一思想は、一次断熱バリアの組立てを簡素化することである。
【0007】
一実施形態では本発明は、金属の支持構造と、当該支持構造に配置された密閉断熱タンクと、を備えた液化ガスの貯蔵設備を提供するものであり、当該貯蔵設備は、前記密閉断熱タンクは当該密閉断熱タンクの厚さ方向に外部から内部に向かって、前記支持構造に固定された二次断熱バリアと、前記二次断熱バリアに配置された金属の二次密閉メンブレンと、前記二次密閉メンブレンに配置された一次断熱バリアと、前記一次断熱バリアに配置されて前記液化ガスと接触する一次密閉メンブレンと、を備えており、前記支持構造は上部支持壁を備えており、前記密閉断熱タンクは、前記上部支持壁に固定された天井壁を備えており、前記天井壁は、荷役パイプを通す荷役開口を画定するように局所的に途切れており、前記天井壁の前記二次断熱バリアは、前記荷役開口の第2の方向に延在する縁部に隣接する縁部二次断熱ブロックと、前記第2の方向に対して垂直な第1の方向において前記縁部二次断熱ブロックと並ぶ二次断熱パネルと、を備えており、前記天井壁の前記一次断熱バリアは、前記荷役開口の前記縁部に隣接する縁部一次断熱ブロックと、前記第1の方向において前記縁部一次断熱ブロックと並ぶ一次断熱パネルと、を備えており、前記厚さ方向における前記縁部一次断熱ブロックの剛性は前記一次断熱パネルより高く、前記貯蔵設備は、前記荷役開口の前記縁部に沿って前記上部支持壁に固定された複数の、具体的には少なくとも2つの金属の二次固定支持部を備えており、前記二次固定支持部は、前記第2の方向における前記縁部二次断熱ブロックの両面それぞれに設けられており、前記各二次固定支持部は、前記第1の方向に延在する設置長さ(longueur d’assise)を有する二次脚部と、前記二次脚部に固定された二次キャップと、を備えており、前記縁部一次断熱ブロックは1つの前記二次固定支持部の第1の部分に並ぶように配置されていると共に、第1のアンカー装置によって前記二次固定支持部の前記二次キャップに固定されており、前記一次断熱パネルは、前記第1の方向において前記二次固定支持部の前記第1の部分に隣接する第2の部分に並んで延在し、前記一次断熱パネルは第2のアンカー装置によって前記二次キャップに固定されている。
【0008】
上記の構成により、天井壁の各種部位間の厚さ方向の熱収縮差に起因する段差の出現を抑えつつ、一次密閉メンブレンの支持を実現することができる。実際、ここで二次固定支持部の上に、剛性が異なる縁部一次断熱ブロックと一次断熱パネルとが配されて、天井壁における断熱パネルのみを含む部位と、当該天井壁における二次固定支持部により形成される部位であってその上に縁部一次断熱ブロックが配される部位と、の間の移行ゾーンを形成する。さらに、一次断熱パネルが二次キャップに直接固定されるので、一次断熱パネルの固定が容易になる。
【0009】
上記の貯蔵設備の実施形態は、以下の構成のうちいずれか1つ又は複数を具備することができる。
【0010】
一実施形態では、前記二次断熱バリアは、前記縁部二次断熱ブロックに配置された二次当接プレートを備えており、前記二次密閉メンブレンの縁部分が前記二次当接プレートに固定されている。
【0011】
一実施形態では、前記天井壁の前記二次密閉メンブレンは、前記第1の方向に延在する複数の平行なストレーキを備えており、前記各ストレーキは、平面状の中央部分と、前記中央部分より前記タンクの内部に向かって突出する2つの隆起縁部とをそれぞれ有し、前記ストレーキは前記第2の方向において繰り返しパターンで並んでいると共に、前記隆起縁部の高さで密閉するように互いに溶接されており、少なくとも1つの前記ストレーキが前記荷役開口によって途切れている。
【0012】
一実施形態では、途切れた前記ストレーキの縁部分が前記二次当接プレートに固定されている。
【0013】
一実施形態では、前記縁部一次断熱ブロックは、底部プレートと、当該底部プレートに対して平行なカバープレートと、前記カバープレートを前記底部プレートから離隔して保持する支持スペーサプレートと、を有する箱の形態であり、前記箱に、例えばパーライト、焼成シリカ、シリカのエアロゲル、又はガラスウール等の断熱詰め物が詰め込まれている。
【0014】
一実施形態では、前記一次断熱パネルは前記厚さ方向に順に、少なくとも1つの断熱発泡体層と少なくとも1つの剛性プレートと、を備えている。例えば、一次断熱パネルは底部プレートとカバープレートとの間に断熱発泡体層を備えている。
【0015】
一実施形態では、前記断熱発泡体はポリマー発泡体、例えばポリウレタン発泡体等である。一実施形態では、この断熱発泡体の密度は100kg/m3超、好適には120kg/m3以上、特に130又は150又は210kg/m3である。
【0016】
一実施形態では、上記の構造的断熱発泡体は強化された発泡体、例えばガラス繊維等の繊維によって強化された発泡体等である。
【0017】
一実施形態では、前記底部パネルは合板パネル、又はガラス繊維を含む複合材料パネルである。一実施形態では、前記カバーパネルは合板パネル、又はガラス繊維を含む複合材料パネルである。
【0018】
一実施形態では、前記縁部一次断熱ブロックの前記厚さ方向の熱収縮係数は前記一次断熱パネルの前記厚さ方向の熱収縮係数未満である。
【0019】
一実施形態では、前記縁部一次断熱ブロックは平行六面体状であり、前記第2の方向に対して垂直な2つの側面を有し、少なくとも1つの前記側面が前記第1のアンカー装置によって前記二次固定支持部の前記二次キャップに固定されている。
【0020】
一実施形態では、前記縁部一次断熱ブロックの前記第2の方向の寸法は、2つの隣接し合う前記二次固定支持部間の距離に等しく、前記縁部一次断熱ブロックの前記2つの側面はそれぞれ、2つの第1のアンカー装置によって2つの前記二次固定支持部の前記二次キャップに固定されている。
【0021】
一実施形態では、前記縁部一次断熱ブロックは支持面を有し、前記第1のアンカー装置は、前記二次キャップに固定されたベースと、前記ベースに固定され、前記厚さ方向に延在して前記二次密閉メンブレンの開口部を密閉するように貫通するスタッドと、前記スタッドに取り付けられて、前記縁部一次断熱ブロックを前記二次固定支持部に固定するように前記縁部一次断熱ブロックの前記支持面に支持される支持部材と、を備えている。
【0022】
一実施形態では、前記縁部一次断熱ブロックの少なくとも1つの前記側面に凸部が設けられており、前記支持面は前記凸部に形成されている。
【0023】
一実施形態では、前記一次断熱パネルは支持面を有し、前記第2のアンカー装置は、前記二次キャップに固定されたベースと、前記ベースに固定され、前記厚さ方向に延在して前記二次密閉メンブレンの開口部を密閉するように貫通するスタッドと、前記スタッドに取り付けられて、前記一次断熱パネルを前記二次固定支持部に固定するように前記一次断熱パネルの前記支持面に支持される支持要素と、を備えている。
【0024】
一実施形態では、前記一次断熱パネルの前記支持面は、前記一次断熱パネルのコーナ部の高さに配置され、又は前記コーナ部から離隔して配置されている。
【0025】
一実施形態では、前記第1のアンカー装置及び/又は前記第2のアンカー装置はさらに、前記スタッドの一体不可分の部分を構成するフランジを備えており、前記フランジは前記スタッドの径方向外側に向かって突出し、前記二次密閉メンブレンに密閉するように前記二次密閉メンブレンの前記開口部の周囲において固定されている。
【0026】
一実施形態では、前記第1のアンカー装置及び/又は前記第2のアンカー装置はさらに、前記スタッドに被さって係合するフランジを備えており、前記フランジは、前記二次密閉メンブレンに密閉するように前記二次密閉メンブレンの前記開口部の周囲において固定されており、前記フランジと前記スタッドとの間の相対運動が可能となるように、変形可能なシール部が前記フランジを前記スタッドに密閉するように接続する。
【0027】
一実施形態では、前記縁部二次断熱ブロックと前記二次断熱パネルとの間の境界面と、前記荷役開口の縁部と、の前記第1の方向における距離は、前記縁部一次断熱ブロックと前記一次断熱パネルとの間の境界面と前記荷役開口の縁部との間の距離より大きい。
【0028】
一実施形態では、前記第1のアンカー装置及び前記第2のアンカー装置は同一に形成されており、前記第1のアンカー装置と前記第2のアンカー装置とは前記第1の方向に互いに離隔している。
【0029】
一実施形態では前記貯蔵設備は、前記第2の方向に延在して密閉性に前記二次断熱バリアを前記荷役開口から分離する接続アングル部材(アングル鉄材)を備えており、前記接続アングル部材は第1のフランジと、当該第1のフランジに接続された第2のフランジと、を備えており、前記第1のフランジは前記二次当接プレートに固定されており、前記第2のフランジは、前記上部支持壁に固定されたアンカーフラット部材に溶接されている。
【0030】
一実施形態では、前記二次パネルは前記第1の方向において前記アンカーフラット部材から、好適には15mm以上、より好適には20mm以上の距離に離隔している。
【0031】
一実施形態では、前記二次断熱バリアが前記縁部二次断熱ブロックと前記二次断熱パネルとを備えており、前記第1の方向において前記縁部二次断熱ブロックに隣接する前記二次断熱パネルの構造は他の前記二次断熱パネルの構造とは異なり、例えば、前記第1の方向において前記縁部二次断熱ブロックに隣接する前記二次断熱パネルの前記厚さ方向の剛性は他の前記二次断熱パネルより大きく、又は、前記第1の方向において前記縁部二次断熱ブロックに隣接する前記二次断熱パネルの熱収縮係数は他の前記二次断熱パネルより低い。
【0032】
一実施形態では、前記二次当接プレートの上面に金属製の二次固定プレートが固定されており、前記又は各ストレーキにおける前記荷役開口によって途切れた縁部分が前記金属製の二次固定プレートに溶接されている。
【0033】
一実施形態では、金属製の二次固定プレートが鉄とニッケルとの合金により、例えばインバー(Invar、登録商標)により作製されており、又は鉄とマンガンとの合金又はステンレス鋼により作製されている。
【0034】
一実施形態では前記変形可能なシール部は変形可能なベローズを含み、前記変形可能なベローズは中空であり、前記スタッドに沿って当該スタッドの周囲において軸方向に延在する。前記変形可能なベローズは、例えばステンレス鋼により作製されている。
【0035】
一実施形態では、前記第1のアンカー装置及び/又は前記第2のアンカー装置は前記変形可能なベローズを覆う円筒状の鐘状部材を備えている。
【0036】
一実施形態では、前記第1のアンカー装置及び/又は前記第2のアンカー装置の前記ベースは前記二次固定支持部の前記二次キャップにねじ留め又は溶接されている。
【0037】
一実施形態では、前記二次支持部分の前記第1の方向の前記設置長さは300mm以上である。
【0038】
前記一次密閉メンブレンを作製できる態様は種々存在する。一実施形態では、前記天井壁の前記一次密閉メンブレンは、前記第1の方向と前記第2の方向とに並んで互いに溶接されている複数のコルゲート状金属プレートを備えており、前記一次密閉メンブレンは、前記第1の方向に延在するコルゲーションの第1列と、前記第2の方向に延在するコルゲーションの第2列と、を備えている。
【0039】
一実施形態では、前記第2の方向において2つの隣り合う前記二次固定支持部間の間隔は、1つの前記ストレーキの当該第2の方向の寸法の整数倍に等しく、例えば、1つの前記ストレーキの前記第2の方向の寸法に等しい。
【0040】
一実施形態では、1つの前記ストレーキの前記第2の方向の寸法は510mmである。
【0041】
一実施形態では、前記又は各ストレーキにおける前記金属製の二次固定プレートに溶接された縁部分の厚さは、前記荷役開口から離隔した前記ストレーキの厚さより大きい。
【0042】
前記厚さは前記厚さ方向で測定される寸法、すなわち、前記第1の方向及び前記第2の方向に対して垂直な方向で測定される寸法である。
【0043】
一実施形態では、前記縁部分の前記厚さは1.5mm以上である。縁部から離隔した前記ストレーキの厚さは1mm未満、例えば0.7~1mmとすることができる。
【0044】
一実施形態では、前記タンクは前記荷役開口内に配されたカバーを備えており、前記カバーは、前記天井壁と前記上部支持壁との間に位置する金属密閉壁及び断熱構造を備えており、前記カバーは前記上部支持壁に固定されており、前記金属密閉壁は金属接続ストリップによって前記一次密閉メンブレンに密閉するように接続されている。
【0045】
一実施形態では、前記カバーの前記断熱構造は複数のカバー断熱ブロックを備えており、前記各カバー断熱ブロックは、カバープレートと、支持スペーサプレートによって離隔して保持された底部プレートと、側面と、を有する箱の形態であり、前記箱に断熱詰め物が詰め込まれている。
【0046】
一実施形態では、前記カバー断熱ブロックの構造と前記縁部一次断熱ブロックの構造及び/又は前記縁部二次断熱ブロックの構造とは同一である。例えば、前記各縁部一次断熱ブロック、カバー断熱ブロックは、合板木製の箱の形態、又はガラス繊維を含む複合材料箱の形態である。
【0047】
よって前記厚さ方向の熱収縮は、前記カバーの断熱ブロックと、開口の周囲を形成する断熱ブロックとにかなり近くなり、又はこれら両断熱ブロックの間で実質的に同じとなり、このゾーンにおける段差現象が抑えられる。
【0048】
一実施形態では、前記二次密閉メンブレン、前記カバーの前記天井壁、及び/又は前記接続ストリップは、膨張係数が低い金属により作製されており、この金属は例えば、熱膨脹係数が0.5×10-6~2×10-6K-1である鉄とニッケルとの合金である。また、膨張係数が典型的には7×10-6K-1のオーダである鉄とマンガンとの合金を用いることも可能である。
【0049】
一実施形態では、二次固定支持部は鋼製であり、例えば炭素鋼又はステンレス鋼により作製されている。
【0050】
一実施形態では、前記二次密閉メンブレンはステンレス鋼製である。
【0051】
一実施形態では前記支持構造は、前記第1の方向における前記タンクの両側それぞれに後部コファダム壁と前部コファダム壁とを備えており、前記荷役開口は両コファダム壁のうち1つの付近に、例えば後部コファダム壁の付近に形成されており、前記二次固定支持部は前記開口と他方のコファダム壁との間、例えば前部コファダム壁との間に配されている。
【0052】
このようにして前記二次固定支持部と前記二次当接ビームとにより、天井壁の二次密閉メンブレンの大部分、すなわち開口と前部コファダム壁との間に延在する部分における引張及び圧縮力の吸収が可能となる。
【0053】
一実施形態では、前記二次固定支持部が並ぶ前記荷役開口の縁部は、前記第1の方向において前記開口と前記前部コファダム壁との間に位置する前記荷役開口の長手方向前端の縁部である。
【0054】
上述の貯蔵設備は、例えばLNG貯蔵用等の陸上貯蔵設備、又は、沿岸若しくは深海浮体構造物、特にメタンタンカー船、浮体式貯蔵再ガス化設備(FSRU)、浮体式生産貯蔵積出(FPSO)施設等に設置することができる。かかる設備は任意の種類の船舶の燃料タンクとして供することも可能である。
【0055】
一実施形態では、上記の貯蔵設備は浮体構造物の形態であり、前記支持構造は当該浮体構造物の二重船殻から成り、前記第1の方向は前記浮体構造物の長手方向である。
【0056】
一実施形態では、前記浮体構造物は低温の液体製品を輸送するための船舶である。
【0057】
一実施形態では、本発明は低温の液体製品の移送システムも提供するものであり、前記移送システムは、上記の貯蔵設備と、前記船舶の前記船殻に設置された前記タンクを外部の浮体式又は陸上貯蔵設備に接続するように配置された断熱パイプと、前記断熱パイプを介して前記外部の浮体式若しくは陸上貯蔵設備から前記船舶の前記タンクへ又は前記船舶の前記タンクから前記外部の浮体式若しくは陸上貯蔵設備へ低温の液体製品の流れを駆動するためのポンプと、を備えている。
【0058】
一実施形態では、本発明は上記の貯蔵設備の積込み又は揚げ荷を行う方法も提供するものであり、当該方法では、断熱パイプを介して外部の浮体式若しくは陸上貯蔵設備から前記船舶の前記タンクへ又は前記船舶の前記タンクから前記外部の浮体式若しくは陸上貯蔵設備へ低温の液体製品を送る。
【0059】
添付の図面を参照して、本発明の特定の実施形態についての以下の説明を読めば、本発明をより良好に理解できると共に、本発明の他の目的、詳細、特徴及び利点がより明らかとなる。以下の説明の特定の実施形態はあくまで例示であり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図2】タンクの荷役開口付近のゾーンにおける第1の実施形態の天井壁の内側から見た部分斜視図であり、同図は
図1の細部 II に対応する。
【
図3】第2の実施形態の長手方向前縁部付近の天井壁の部分側面図である。
【
図4】第1のアンカー装置及び第2のアンカー装置を備えた二次固定支持部の部分斜視図である。
【
図5】他の一実施形態のアンカー装置の部分斜視図である。
【
図6】第3の実施形態の長手方向前端の縁部付近の天井壁の部分側面図である。
【
図7】第4の実施形態の長手方向前端の縁部付近の天井壁の部分側面図である。
【
図8】メタンタンカー船タンクと、当該タンクの積込み/揚げ荷を行うためのターミナルと、を一部除去して示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
慣習に倣い、地球の重力場を基準としたタンク壁の向き如何にかかわらず、「上」又は「上方」又は「上部」との用語は、タンクの内部に近い位置を意味し、「下」又は「下方」又は「下部」との用語は、支持構造に近い位置を意味する。よって、
図2~7は貯蔵設備における実際のポジションを逆さにしたポジションで表されている。
【0062】
図1は、液化ガスの貯蔵及び輸送のためのメタンタンカー船70を示す。しかし、本発明はこの種の船舶に限定されない。
【0063】
図1に示されている船舶70は、支持構造2内に4つのタンク71が配されて固定された貯蔵設備1を備えており、船舶70の内部船殻が支持構造2を形成している。各タンク71は多面体形状であり、複数のタンク壁を備えており、これら複数のタンク壁が互いに組み付けられることにより内部スペース3を形成し、また特に、天井壁4と後部コファダム壁5と前部コファダム壁6とを形成する。前部コファダム壁6と後部コファダム壁5とは船舶70の長手方向Lに離隔していると共に、天井壁4の上部分に固定されている。上記の複数のタンク71の荷役作業を行うため、荷役パイプを通すための荷役開口7が天井壁4に形成されており、上記のパイプは不図示の構造に固定することができる。天井壁4は支持構造2の上部支持壁8に固定されている。上部支持壁8には、上記の荷役パイプを支持構造2に通すための開口部も設けられている。
【0064】
荷役開口7は、LNGをハンドリングするための装置の例えば充填ライン、非常用ポンピングライン、揚げ荷用ポンプに接続された揚げ荷ライン、噴霧ライン、噴霧用ポンプに接続された供給ライン等の各種アイテムの貫通ポイントとして供される。上記の装置の各種アイテムの動作は自明である。
【0065】
荷役開口7は、天井壁4における後部コファダム壁5付近に設けられている。
【0066】
図2は、荷役開口7付近のゾーンにおける第1の実施形態の当該タンクの内側から見た天井壁4の斜視図である。
【0067】
以下、天井壁4の多層構造についてより具体的に説明する。
【0068】
液化天然ガス(LNG)等の液化ガスの貯蔵用の密閉断熱タンク71の天井壁4の多層構造は厚さ方向において当該タンクの外部から内部に向かって順に、上部支持壁8に保持された二次断熱バリア10と、二次断熱バリア10に設置された二次密閉メンブレン11と、二次密閉メンブレン11に設置された一次断熱バリア12と、一次断熱バリア12に設置され、タンク71に入った液化天然ガスに接触する一次密閉メンブレン13と、を備えている。
【0069】
二次断熱バリア10は複数の二次断熱パネル14を備えており、これらの二次断熱パネル14はアンカー装置9によって上部支持壁8に固定されている。二次断熱パネル14の全体形状は平行六面体状であり、これら複数の二次断熱パネル14は例えば、長手方向Lと、当該長手方向Lに対して垂直な横方向Tとに複数の平行な列で配置されている。
【0070】
天井壁4の二次密閉メンブレン11は、複数の金属製ストレーキが繋がった連続的な層を備えており、これらのストレーキは隆起縁部を有する。ストレーキは、二次断熱バリア10の二次断熱パネル14に設置される平面状の中央部分を有し、また上記の隆起縁部は、平面状の中央部分の横方向T両面に2つ配置されており、隆起縁部は中央部分よりタンクの内部に向かって突出している。ストレーキは隆起縁部で複数の平行な溶接サポートに溶接されており、これらの溶接サポートは、二次断熱パネル14における二次密閉メンブレン11と接触する表面の高さに形成された溝に固定されている。ストレーキは例えば、鉄とニッケルの合金であるインバー(登録商標)製であり、このインバー(登録商標)の膨脹係数は典型的には1.2×10-6~2×10-6K-1である。
【0071】
図2に、天井壁4の一次断熱バリア12が複数の一次断熱パネル18を備えているのが示されており、これらの一次断熱パネル18は固定具9を用いて二次断熱パネル14に固定されている。一次断熱パネル18の全体形状は平行六面体状となっている。さらに、一次断熱パネル18の寸法は二次断熱パネル14の寸法と実質的に等しくすることができ、又は異なることができる。
図2に示されている実施形態では、一次断熱パネル18は長手方向Lにおいて二次断熱ブロック14に対してオフセットするように配置されており、オプションとして横方向Tにも二次断熱ブロック14に対してオフセットするように配置することができる。
【0072】
図4に示されている実施形態では、特に二次断熱パネル14及び一次断熱パネル18は底部プレート15と、カバープレート16と、当該底部プレート15とカバープレート16との間に挟まれてカバープレート16に付着した1層又は複数層の断熱ポリマー発泡体17と、を有する。断熱ポリマー発泡体17は特にポリウレタン系発泡体とすることができ、オプションとして繊維により強化することができ、特にガラス繊維により強化することができる。
【0073】
図2に示されている実施形態では、二次断熱バリア10の二次断熱パネル14は少なくとも2つの異なる種類の構造を有し、例えば上記の構造と、底部プレート15とカバープレート16と支持スペーサプレートとを有する箱の形態の構造と、の2種類の構造を有し、上記の支持スペーサプレートは厚さ方向において底部プレート15とカバープレート16との間に延在し、例えばパーライト、ガラスウール又はロックウール等の断熱詰め物が充填される複数のコンパートメントを画定する。これらの異なる構造は、その構造をタンクのどこに配置するかに応じて選択される。不図示の一実施形態では、一次断熱パネル18も少なくとも2つの異なる種類の構造を有することができる。かかる構造の例が、国際公開第2019077253号に記載されている。
【0074】
図2及び
図3に示されているように、一次密閉メンブレン13は長手方向Lと横方向Tとに並んで互いに溶接されている複数のコルゲート状金属プレートを備えている。一次密閉メンブレン13は、長手方向Lに延在する第1列のコルゲーション27と、横方向Tに延在する第2列のコルゲーション28と、を備えている。
【0075】
荷役開口7を画定するため、天井壁4は局所的に途切れて、ここに荷役パイプを通せるようにされている。よって、密閉メンブレン11,13及び断熱バリア10,12は
図2に示されているように、荷役開口7の全周囲において途切れている。
【0076】
この開口の高さにおいて密閉及び断熱の連続性を保証するため、タンク71は、荷役開口7内に配されたカバー19を備えている。カバー19は、金属密閉壁20と、当該金属密閉壁20と上部支持壁8との間に位置する断熱構造21と、を備えている。カバー19は前記上部支持壁8に固定されている。金属密閉壁20によって、天井壁4の一次密閉メンブレン13との密閉の連続性が実現されると共に、断熱構造21によって断熱の連続性が実現される。
【0077】
断熱構造21は1つ又は複数のカバー断熱ブロック22を備えており、カバー断熱ブロック22は例えば、底部プレートとカバープレートと支持スペーサプレートとを有する箱の形態であり、上記の支持スペーサプレートは厚さ方向において底部プレートとカバープレートとの間に延在し、例えばパーライト、ガラスウール又はロックウール等の断熱詰め物が充填される複数のコンパートメントを画定する。上記の1つ又は複数のカバー断熱ブロック22は、荷役パイプを通すための(1つ又は複数の)貫通孔(不図示)を有する。
【0078】
カバー19の密閉壁20は例えば、複数の平面状の金属プレートを互いに溶接したものを含む。密閉壁20にはさらに、荷役パイプを通す複数のカバー開口部(不図示)が設けられている。貯蔵設備1はさらに、
図2に示されているようにカバーの密閉壁20と天井壁4の一次密閉メンブレン13とを密閉するように接続するための金属接続ストリップ24も備えている。
【0079】
荷役開口7の高さで一次密閉メンブレン13がカバー19の密閉壁20に接続されている場合、二次密閉メンブレン11の方は当該荷役開口7の縁部の高さで途切れており、二次密閉メンブレン11が上部支持壁8に密閉するように直接接続されて、二次断熱バリア10とカバー19との間の隙間を密閉する。この接続は二次接続アングル部材36によってなされており、二次接続アングル部材36は第1の二次フランジ37と、当該第1の二次フランジ37に接続された第2の二次フランジ38と、を備えており、
図3に具体的に示されているように、第1の二次フランジ37は二次密閉メンブレン11に接続されており、第2の二次フランジ38は、上部支持壁8に固定されたアンカーフラット部材69に溶接されている。よって、二次密閉メンブレン11の一部のストレーキが開口7によって途切れ、上部支持壁8に接続されている。
【0080】
二次密閉メンブレン11は上記の上部支持壁8との接続の高さにおいて、当該二次密閉メンブレン11の動作に関連する圧縮力及び引張力を二次接続アングル部材36に伝達することができる。これらの力は、荷役開口7の長手方向前端の縁部25の高さであって、長手方向Lにおいてカバー19と前部コファダム壁6との間に位置する縁部25の高さにおいて特に高くなっている。実際、カバー19を後部コファダム壁5付近に配置することにより、カバー19と前部コファダム壁6との間の二次密閉メンブレン11の長手方向寸法が、カバー19と後部コファダム壁5との間の二次密閉メンブレン11の長手方向寸法より格段に大きくなり、これにより船殻の変形又は熱収縮に対して、長手方向前端の縁部25の高さにおいて大きな力が生じる。さらに、長手方向前端の縁部25にかかる上記の力は、二次密閉メンブレン11の向きにより特に大きくなっている。実際、二次密閉メンブレン11の向きは、ストレーキの平面状の中央部分が船舶70の長手方向Lに延在する向きとなっている。よってこの方向には、引張力や圧縮力を吸収できるゾーンが設けられていない。
【0081】
二次接続アングル部材36への負荷を軽減すると共に二次密閉メンブレン11との溶接部への負荷を軽減するため、特定の支持構造は、横方向Tに延在する長手方向前端の縁部25に沿って設けられる。これについては、下記にて詳細に説明する。
【0082】
図2,3,6及び7には特に、種々の実施形態の荷役開口7の長手方向前端の縁部25の高さにおける上記の支持構造の配置が示されている。
【0083】
貯蔵設備1は、横方向Tに並んだ複数の金属製の二次固定支持部26を備えており、二次固定支持部26は互いに離隔して、好適には規則的な間隔で離隔して、荷役開口7の長手方向前端の縁部25に沿って延在する。
【0084】
各二次固定支持部26はそれぞれ、長手方向Lに延在する二次キャップ29を有し、二次キャップ29は二次脚部30に溶接されている。例えば、二次脚部30は上部支持壁8に溶接又はねじ留めされている。よって二次固定支持部26は、長手方向Lに延在する設置長さを有し、この設置長さは、二次脚部30が支持構造に固定される高さで測定されるものであり、長手方向Lでの傾倒や屈曲に抗することができるものである。
【0085】
図4及び
図5に示されているように、二次脚部30はH字断面のビーム(厚さ方向に直交する平面における断面形状)の形態となっている。二次脚部30は、プレートから成る第1の分岐部31と、接続プレート3によって長手方向Lに第1の分岐部31から離隔したプレートから成る第2の分岐部32と、を有する。上部支持壁8の高さにおける第1の分岐部31と第2の分岐部32との間の長手方向Lの隙間が設置長さに相当する。二次脚部30が長手方向Lに十分な慣性モーメントを提供するのであれば、二次脚部30の断面形状を別の形状とすることも可能である。
【0086】
二次断熱バリア10は複数の縁部二次断熱ブロック34を備えており、各縁部二次断熱ブロック34はそれぞれ、横方向Tに隣り合う2つの固定支持部26間に挟まれている。各縁部二次断熱ブロック34の上面に二次当接プレート40が、例えば接着、ステープル、又はねじ留めにより取り付けられている。
【0087】
二次密閉メンブレン11は、二次当接プレート40の上面に固定された金属製の二次固定プレート35を備えている。よって、特に
図3に示されているように、接続アングル部材36の第1のフランジ37は金属製の二次固定プレート35の第1の部分に溶接されると共に、開口7によって途切れたストレーキは金属製の二次固定プレート35の第2の部分に溶接されている。
【0088】
二次当接プレート40の方は、その各横方向縁部で、固定具41が当該二次当接プレート40を二次キャップ29に押し付けることにより当該二次キャップ29に固定される。
【0089】
また、長手方向Lにおける二次当接プレート40の直進移動をブロックするようにも構成されている。こうするため、二次固定支持部26は、二次キャップ29に固定された当接具42を備えている。このようにして二次当接プレート40は、当接具42と、二次脚部30の第1の分岐部31における二次キャップ29から突出する縁部43とによって、長手方向Lにおいて定位置に保持される。よって、二次当接プレート40は固定支持部26によって長手方向Lと厚さ方向とにおいてしっかり支持され、これにより、運転中に二次メンブレンによって引張力や圧縮力がかかったときにこれを吸収することができる。
【0090】
特に
図3に示されているように、アングル部材を強化してアングル部材にしわが厚さ方向に生じるのを防止するため、アングル部材の第2の二次フランジ38の両面それぞれに支持プレート52が配置され、これらの支持プレート52は例えば合板製である。さらに、支持プレート52とアングル部材とが実質的に同じように収縮するようにし、支持プレート52の支持機能を確保するため、上記のような支持プレート52は、厚さ方向における熱収縮係数がアングル部材の熱収縮係数に近い材料から作製され、例えば、アングル部材がインバー(登録商標)製である場合には支持プレート52は合板製となる。金属接続ストリップ24を支持するため、カバー19と接続アングル部材26,49との間のスペースの上方にも支持プレート52が配置される。このスペースには、例えばガラスウールのブロック等の断熱詰め物53が充填される。
【0091】
天井壁4の一次断熱バリア12も二次断熱バリア10と同様に、荷役開口7の長手方向前端の縁部25に隣接する縁部一次断熱ブロック39を備えている。縁部一次断熱ブロック39は縁部二次断熱ブロック34と並ぶように配置される。よって、一次縁部断熱ブロック39と二次縁部断熱ブロック34とは、両縁部断熱ブロック39,34の開口7側の縁部の高さにおいて整列している。
【0092】
縁部一次断熱ブロック39も、隣り合っている又は隣り合っていない2つの二次固定支持部26の第1の部分と並ぶように形成されている。実際、縁部一次断熱ブロック39の長手方向寸法は二次固定支持部26の設置長さより短い。
【0093】
以下、長手方向前端の縁部25付近への一次断熱バリア12の固定について詳細に説明する。
【0094】
特に
図3及び
図6に示されているように、縁部一次断熱ブロック39は、横方向Tに対して垂直な2つの側壁を備えており、これらの各側壁はそれぞれ、縁部一次断熱ブロック39の側壁の下部分に形成された凸部44を有する。
【0095】
縁部一次断熱ブロック39は上記の各側壁の高さにおいて、第1のアンカー装置45を用いて二次キャップ29に固定されている。さらに、縁部一次断熱ブロック39に直接隣接する一次断熱パネル18も、第2のアンカー装置46を用いて上記の二次キャップ29に固定されている。
【0096】
よって、縁部一次断熱ブロック39に直接隣接する一次断熱パネル18は、二次固定支持部26の第2の部分に並ぶように形成され、この第2の部分は、縁部一次断熱ブロック39と並んで配置されている第1の部分に接続されている。当接具42が第1のアンカー装置45と第2のアンカー装置46との間に位置するように、二次固定支持部26の第2の部分は、二次キャップ29のうち長手方向Lにおける開口7からの距離が最大である縁部分に相当する。
【0097】
図6では、長手方向Lにおける縁部一次断熱ブロック39の長さは縁部二次断熱ブロック34の長さより短い。よって、二次断熱パネル14と一次断熱パネル18とは長手方向Lにクインカンクス形に配置され、これは、縁部二次断熱ブロック34と二次断熱パネル14との間の境界面が第1の方向において、縁部一次断熱ブロック39と一次断熱パネル18との間の境界面と整列しない、ということになる。
【0098】
図4は、第1の実施形態の第1のアンカー装置45及び第2のアンカー装置46を詳細に示しており、同実施形態では、両アンカー装置45,46が固定される二次固定支持部26のみが示されている。第2のアンカー装置46は、その内部を示すために一部切り取られて示されている。
【0099】
第1のアンカー装置45は、二次キャップ29に固定されたベース48と、ベース48に固定され、厚さ方向に延在して二次密閉メンブレン11の開口部を密閉するように貫通するスタッド49と、スタッド49に取り付けられて、縁部一次断熱ブロック39を二次固定支持部26に固定するように縁部一次断熱ブロック39の支持面に支持される支持要素50と、を備えており、上記の支持面は凸部44に形成されたものである。
【0100】
第2のアンカー装置46も同様に、二次キャップ29に固定されたベース48と、ベース48に固定され、厚さ方向に延在して二次密閉メンブレン11の開口部を密閉するように貫通するスタッド49と、スタッド49に取り付けられて、縁部一次断熱ブロック39を二次固定支持部26に固定するように、縁部一次断熱ブロック39に隣接する一次断熱パネル18に形成された支持面に支持される支持要素50と、を備えている。支持要素50は例えば、ナットによってスタッド49に固定されたプレートの形態である。ベース48は、
図4に示されているように、横方向Tにおけるスタッド49の両面それぞれに配置された固定ねじによって二次キャップ29にねじ留めすることができる。ベース48を溶接によって二次キャップ29に接合することも可能である。
【0101】
第1のアンカー装置45の場合、二次密閉メンブレン11の開口部は金属製の一次固定プレート35を貫通するように形成されているのに対し、第2のアンカー装置46の場合、二次密閉メンブレン11の開口部は、上記のストレーキのうち開口7によって途切れているストレーキの縁部分を貫通するように形成されている。
【0102】
図4に示されているように、第1のアンカー装置45及び第2のアンカー装置46はさらに、スタッド49に被さって係合するフランジ54を備えており、フランジ54は、二次密閉メンブレン11に密閉するように二次密閉メンブレン11の開口部の周囲において固定されており、フランジ54とスタッドとの間の相対運動が可能となるように、変形可能なシール部55がフランジ54をスタッド49に密閉するように接続する。
【0103】
フランジ54は、二次密閉メンブレン11の開口部の周囲に密閉するように固定されている。かかる密閉固定は、例えば溶接によって実現される。さらに、スタッド49は、当該スタッド49の径方向外側に向かって突出するアンカー肩部56を有する。また、変形可能なシール部55はフランジ54とスタッド49のアンカー肩部56とに密閉するように溶接されており、これにより、二次密閉メンブレン11におけるスタッド49の貫通部を密閉することができる。
図4に示されている実施形態では、変形可能なシール部55はベローズであり、これは例えばステンレス鋼により作製されたものである。これにより二次密閉メンブレン11とスタッド49との密閉された接続部はフレキシブルとなり、これにより、二次密閉メンブレン11に対する縁部一次断熱ブロック39及びその隣の一次断熱パネル18の相対運動が可能となり、これにより当該二次密閉メンブレン11の密閉の劣化のリスクを抑えることができる。
【0104】
変形可能なシール部55を保護するため、第1のアンカー装置45及び第2のアンカー装置46に鐘状部材57も設けられており、この鐘状部材57は、スタッド49が螺合されて変形可能なシール部55を覆う開口部を有する。図示の実施形態では、鐘状部材57の全体形状は円筒状となっている。
【0105】
図5は、第1のアンカー装置45及び第2のアンカー装置46の第2の実施形態を示す。同図では、ベース48の一部のみが示されている。
【0106】
図4の第1の実施形態とは対照的に、本実施形態のアンカー装置45,46のフランジ54はスタッド49の一体不可分の部分を形成するものである。すなわち、フランジ54はスタッド49の他の部分と同じ材料で同時期に形成されて、1つの同じ部分を構成する。よって、フランジ54はスタッド49の径方向外側に向かって突出し、二次密閉メンブレン11に密閉するように二次密閉メンブレン11の開口部の周囲において溶接されている。本実施形態では、アンカー装置45,46は変形可能なシール部及び鐘状部材及びアンカー肩部のいずれも有しない。
【0107】
縁部一次断熱ブロック39の隣に一次断熱パネル18を固定することについては、
図3及び
図6の2つの実施形態で示されているように、上記固定を実現できる態様は種々存在する。
【0108】
図3の実施形態では上記の一次断熱パネル18は、発泡体17に形成された開口を有すると共に、当該一次断熱パネル18における縁部一次断熱ブロックに隣接する下部コーナ部58の高さにカバーパネル16を備えている。下部コーナ部58にはバッテン59が設けられている。よって、第2のアンカー装置45の支持要素50は、バッテン59に形成された支持面に支持されることとなる。
【0109】
図6の実施形態では上記の一次断熱パネル18は、下部コーナ部58から遠隔の側面の高さにおいて発泡体17とカバーパネル16とに形成された開口を有する。上記の側面は横方向Tに対して垂直である。底部パネル15においてバッテン59が上記の開口で固定されている。よって、第2のアンカー装置45の支持要素50は、バッテン59に形成された支持面に支持されることとなる。よって、一次断熱パネル18のうち下部コーナ部58とバッテン59との間に位置する部分は、当該一次断熱パネル18の長手方向寸法を調整するための調整ゾーンとして供され得る。二次断熱バリア10では、縁部二次断熱ブロック34に隣接する二次断熱パネル14が調整ゾーンとしても供される。さらに、
図6に示されているように、この二次断熱パネル14の構造は他の二次断熱パネル14及び縁部二次断熱ブロック34のいずれとも異なることができ、これにより、当該二次断熱パネル14の厚さ方向の剛性及び/又は熱収縮係数が縁部二次断熱ブロック34の剛性及び/又は熱収縮係数から他の二次断熱パネル14の剛性及び/又は熱収縮係数までの間となるようにすることができる。
【0110】
図7の実施形態が
図6の実施形態と異なる点は、長手方向Lにおける二次脚部30とアンカープレート69との間隔がより大きくなっていることである。実際、
図6では二次脚部30とアンカープレート69との間の距離は10mmであるのに対し、
図7ではこのゾーンにおける溶接作業を行いやすくするため、この距離は20mmにまで拡大されている。こうするためには、二次脚部30と第2の二次フランジ38との間に合板製又は樹脂製のプレートを追加することもできる。さらに、二次脚部30の第1の分岐部31の端部43は
図7に示されているように、当該第1の分岐部31の他の部分に対して相対的にオフセットしたプレートを後者に溶接したものとすることができ、又は、当該端部における第2の分岐部31の他の部分に対するオフセットのみになる。
【0111】
図8を参照すると、メタンタンカー船70の一部を切り取った図が、当該船二重船殻72内に取り付けられた全体形状が角柱形の密閉断熱タンク71を示している。タンク71の壁は、当該タンクに入ったLNGと接触する一次密閉バリアと、一次密閉バリアと船舶の二重船殻72との間に配置された二次密閉バリアと、一次密閉バリアと二次密閉バリアとの間及び二次密閉バリアと二重船殻72との間にそれぞれ配置された2つの断熱バリアと、を備えている。
【0112】
自明の通り、LNGの貨物をタンク71へ又はタンク71から移送するため、適切なコネクタを用いて、船舶の上甲板上に配置された荷役パイプ73を海上又は港湾ターミナルに接続することができる。
【0113】
図8は、荷役ステーション75と海中パイプ76と陸上設備77とを備えた海上ターミナルの一例を示す。荷役ステーション75は、可動アーム74と、当該可動アーム74を支持するタワー78とからなる固定式の沖合設備である。可動アーム74は、荷役パイプ73に接続可能な断熱可撓管79の束を支持する。方向調整可能なこの可動アーム74は、あらゆるメタンタンカー積載量型式に適合する。タワー78の内部には、不図示の接続パイプが延在する。荷役ステーション75は、メタンタンカー70から陸上設備77への揚げ荷及び陸上設備77から船舶への積込みを行えるものである。陸上設備77は、液化ガス貯蔵タンク80と、海中パイプ76を介して荷役ステーション75に接続される接続パイプ81と、を備えている。海中パイプ76は、荷役ステーション75と陸上設備77との間で例えば5km等の長距離にわたって液化ガスを移送するためのものであり、これにより、荷役作業中にメタンタンカー船70を海岸から遠距離の場所に離した状態に維持することができる。
【0114】
液化ガスの移送に必要な圧力を発生させるため、船舶70に搭載されたポンプ及び/又は陸上設備77に装備されたポンプ及び/又は荷役ステーション75に装備されたポンプが使用される。
【0115】
複数の特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明はこれらの特定の実施形態に何ら限定されず、上記の手段の技術的均等物や、上記の手段の技術的に均等な組み合わせは全て、本発明の範囲に属するものであれば本発明に含まれることが明らかである。
【0116】
動詞「含む(include)」又は「含む(comprise)」及びその共役形の使用は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を排除しない。
【0117】
特許請求の範囲において、いかなる括弧書きの符号も、特許請求の範囲の限定と解すべきものではない。
【国際調査報告】