IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスケイシー ハイ・テック アンド マーケティング カンパニー・リミテッドの特許一覧 ▶ エスケーマイクロワークス 株式会社の特許一覧

特表2024-526826フォールディング耐久性を有する積層フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置
<>
  • 特表-フォールディング耐久性を有する積層フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置 図1a
  • 特表-フォールディング耐久性を有する積層フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置 図1b
  • 特表-フォールディング耐久性を有する積層フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置 図2
  • 特表-フォールディング耐久性を有する積層フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置 図3
  • 特表-フォールディング耐久性を有する積層フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置 図4
  • 特表-フォールディング耐久性を有する積層フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】フォールディング耐久性を有する積層フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20240711BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B32B27/00 103
B32B27/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502680
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 KR2022009140
(87)【国際公開番号】W WO2023008751
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0101029
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520287378
【氏名又は名称】エスケーマイクロワークス ソリューションズ 株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK microworks solutions Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】112, Seonggeo-gil, Seonggeo-eup, Seobuk-gu, Cheonan-si,Chungcheongnam-do 31044, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】523061191
【氏名又は名称】エスケーマイクロワークス 株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK microworks Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】84, Jangan-ro 309beon-gil, Jangan-gu, Suwon-si,Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュンキ
(72)【発明者】
【氏名】ウ、ソクジョン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヒョンウ
(72)【発明者】
【氏名】ハン、クォンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、クァンホ
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AG00A
4F100AK01A
4F100AK25C
4F100AK26C
4F100AK41C
4F100AK46B
4F100AK54B
4F100AL02B
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100EH46
4F100EJ08
4F100EJ65C
4F100GB41
4F100JA07C
4F100JK06
4F100JK07B
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
一実現例による積層フィルムは、基材フィルムと、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む弾性層と、前記基材フィルムと前記弾性層との間に介在されるプライマー層とを含むことにより、柔軟性を確保できるだけでなく、異種のフィルム間の付着力を確保してフォールディング耐久性を実現することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、
ポリエーテル-ブロック-アミドを含む弾性層と、
前記基材フィルムと前記弾性層との間に介在されるプライマー層と、を含む、積層フィルム。
【請求項2】
前記積層フィルムは、長さ5cmおよび幅1cmのサイズに裁断して、常温にて300mm/分の速度で180°剥離試験の際に、前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力が15gf/inch以上である、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
長さ12cmおよび幅4cmのサイズに裁断して、常温条件で、前記基材フィルムが内側に折り畳まれながら1.5Rの曲率半径となるように1回/秒のフォールディング速度で繰り返しフォールディングする際に、層間剥離が生じるまでのフォールディング回数が10万回以上である、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記プライマー層は、重量平均分子量が1000~7000のポリエステルアクリレートを含む、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記プライマー層は、アクリルアミド系化合物を含む、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項6】
前記プライマー層が、
ポリエステルアクリレート100重量部、および
アクリルアミド系化合物5重量部~40重量部を含む、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項7】
前記積層フィルムは、
常温および50%RH条件で96時間保管した後、
下記式(1)で算出される接着力変化率が35%以下である、請求項1に記載の積層フィルム:
接着力変化率(%)=[(AINT-AFIN)/AINT]×100...(1)
ここで、
INTは、前記条件の保管前の前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力(gf/inch)であり、
FINは、前記条件の保管後の前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力(gf/inch)であり、
各々の接着力は、前記積層フィルムを長さ5cmおよび幅1cmのサイズに裁断後、常温および300mm/分の速度で前記基材フィルムおよび前記弾性層を180°剥離しながらかかる荷重を測定して得られる。
【請求項8】
前記基材フィルムは、高分子フィルムまたは超薄型ガラス(UTG)を含む、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項9】
プライマー組成物を準備する段階と、
前記プライマー組成物を基材フィルム上に塗布し硬化させてプライマー層を形成する段階と、
前記プライマー層を介して前記基材フィルムと弾性層とをラミネーションして積層フィルムを製造する段階と、を含み、
前記弾性層は、ポリエーテル-ブロック-アミドを含み、
前記積層フィルムを長さ5cmおよび幅1cmのサイズに裁断して、常温にて300mm/分の速度で180°剥離試験の際に、前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力が15gf/inch以上と測定される、積層フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記プライマー組成物が、
ポリエステルアクリレート100重量部、および
アクリルアミド系化合物5重量部~40重量部を含む、請求項9に記載の積層フィルムの製造方法。
【請求項11】
ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルの前面上に配置される積層フィルムと、を含み、
前記積層フィルムは、
基材フィルムと、
ポリエーテル-ブロック-アミドとを含む弾性層と、
前記基材フィルムと前記弾性層との間に介在されるプライマー層と、を含み、
前記積層フィルムを長さ5cmおよび幅1cmのサイズに裁断して、常温にて300mm/分の速度で180°剥離試験の際に、前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力が15gf/inch以上と測定される、ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実現例は、フォールディング耐久性を有する積層フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ技術は、IT機器の発達に伴う需要に支えられ発展し続けており、カーブド(curved)ディスプレイ、ベンデッド(bended)ディスプレイなどの技術はすでに商用化されている。近年、大画面と携帯性とが同時に求められるモバイル機器分野において、外力に応じて柔軟に曲がったりフォールディング(folding)されたりし得る、フレキシブルディスプレイ(flexible display)装置が好まれている。特に、フォルダブル(foldable)ディスプレイ装置は、使用しないときは折りたたんで小さくして携帯性を高め、使用するときは広く広げて大画面を実現できることが大きな利点である。
【0003】
このようなフレキシブルディスプレイは、カバーウィンドウが柔軟な特性を有することが求められ、特にフォルダブルディスプレイ装置に適用されるフィルムは、フォールディングされた状態でフィルムに引張荷重が加え続けられるため、十分な柔軟性および層間接着力が確保できないと、クラックや層間剥離が発生し得る。
【0004】
そこで、特許文献1は、基材層の一面にウレタンアクリレート系樹脂とシリコーン系ゴムを用いた軟質層等を形成した保護フィルムを製造し、フレキシブルディスプレイのカバーウィンドウに適用することを開示している。しかし、このような保護フィルムは薄型で製造され、性能に限界があり、カバーウィンドウと異質感を有する問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許公開第2017-0109746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1aを参照して、インフォールディングタイプ1aの場合は、内側にフォールディングされるポイントp1に加わる荷重が加わり、また図1bを参照して、アウトフォールディングタイプ1bの場合は、外側にフォールディングされるポイントp2に加わることとなる。この場合、カバーウィンドウ10が十分な層間接着力や柔軟性を確保できないと、フォールディングの際に加わる荷重により層間剥離やクラックが発生して特性が低下しやすい。
【0007】
そこで、本発明者らが研究した結果、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む弾性層を、プライマー層を介して基材フィルムとラミネーションすることにより柔軟性を確保できるだけでなく、異種のフィルム間の付着力を確保してフォールディング耐久性を実現し得ることを見出した。
【0008】
したがって、以下の実現例により、層間接着力の確保による優れたフォールディング耐久性を有する積層フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実現例によると、基材フィルムと、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む弾性層と、前記基材フィルムと前記弾性層との間に介在されるプライマー層とを含む積層フィルムが提供される。
【0010】
他の実現例によると、プライマー組成物を準備する段階と、前記プライマー組成物を基材フィルム上に塗布し硬化させてプライマー層を形成する段階と、前記プライマー層を介して前記基材フィルムと弾性層とをラミネーションして積層フィルムを製造する段階とを含み、前記弾性層はポリエーテル-ブロック-アミドを含む、積層フィルムの製造方法が提供される。
【0011】
また他の実現例によると、ディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの前面上に配置される積層フィルムとを含み、前記積層フィルムは、基材フィルムと、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む弾性層と、前記基材フィルムと前記弾性層との間に介在されるプライマー層とを含む、ディスプレイ装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
前記実現例による積層フィルムは、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む弾性層がプライマー層を介して基材フィルムとラミネーションされることにより、柔軟性を確保するだけでなく、異種のフィルム間の付着力を確保してフォールディング耐久性を実現し得る。
【0013】
したがって、前記実現例による積層フィルムは、フレキシブルディスプレイ装置、例えばディスプレイが外部に露出するアウトフォールディングまたはインフォールディングタイプの装置のカバーに適用され、柔軟な特性をもって繰り返しフォールディングの際にも優れた性能が維持され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1a図1aは、インフォールディングタイプのフレキシブルディスプレイ装置を示すものである。
図1b図1bは、アウトフォールディングタイプのフレキシブルディスプレイ装置を示すものである。
図2図2は、一実現例によるディスプレイ装置の分解斜視図を示すものである。
図3図3は、一実現例による積層フィルムの断面図を示すものである(図2のA‐A')。
図4図4は、積層フィルムサンプルに対する剥離試験方法の一例を示すものである。
図5図5は、積層フィルムサンプルに対するフォールディング試験方法の一例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、様々な実現例および実施例を、図面を参照して具体的に説明する。
以下の実現例を説明するにおいて、関連する公知の構成または機能に関する具体的な説明が、要旨を不明瞭にし得ると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、図面における各構成要素の大きさは、説明のために誇張または省略されることがあり、実際に適用される大きさとは異なり得る。
【0016】
本明細書において、ある構成要素が他の構成要素の上/下に形成されるか、もしくは互いに連結または結合されるという記載は、これらの構成要素間に直接または他の構成要素を介して間接的に形成、連結または結合されることを全て含む。また、各構成要素の上/下に関する基準は、対象を観察する方向に応じて変わり得るものと理解されるべきである。
【0017】
本明細書において各構成要素を指す用語は、他の構成要素と区別するために使用されるものであり、実現例の範囲を限定する意図で用いられるものではない。また、本明細書において単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を指さない限り、複数の表現を含む。
【0018】
本明細書において「含む」という記載は、特定の特性、領域、段階、工程、要素および/または成分を具体化するためのものであり、特に反する記載がない限り、他の特性、領域、段階、工程、要素および/または成分の存在や付加を除外するものではない。
【0019】
本明細書において第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用されるものであり、前記構成要素は前記用語によって限定されるべきではない。前記用語は、ある構成要素を他の構成要素と区別する目的で使用される。
【0020】
本明細書に記載の化合物または高分子の分子量、例えば、数平均分子量または重量平均分子量は、周知の如く、炭素-12を基準とした相対質量として単位を記載しないが、必要に応じて同一数値のモル質量(g/mol)であるものと理解しても構わない。
【0021】
以下の実現例は、層間接着力の確保による優れたフォールディング耐久性を有する積層フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置を提供する。
【0022】
一実現例によるディスプレイ装置は、柔軟性を有し得る。例えば、一実現例によるディスプレイ装置はフレキシブルディスプレイ装置であり、具体的には、フォルダブルディスプレイ(foldable display)装置であり得る。より具体的に、前記フォルダブルディスプレイ装置は、フォールディング方向に応じてインフォールディング(in-folding)タイプまたはアウトフォールディング(out-folding)タイプであり得る。
【0023】
図1aおよび図1bは、それぞれインフォールディングタイプおよびアウトフォールディングタイプのフレキシブルディスプレイ装置を示す。図1aを参照すると、前記ディスプレイ装置は、フォールディング方向の内側に画面が位置するインフォールディングタイプのフレキシブルディスプレイ装置1aであり得る。または、図1bを参照すると、前記ディスプレイ装置は、フォールディング方向の外側に画面が位置するアウトフォールディングタイプのフレキシブルディスプレイ装置1bであり得る。
【0024】
このようなフレキシブルディスプレイは、カバーウィンドウが柔軟な特性を有することが求められ、ディスプレイが内側に位置するインフォールディングタイプおよびディスプレイが外部に露出されるアウトフォールディングタイプのディスプレイ装置の場合は、柔軟性だけでなく繰り返しフォールディングの際にも優れた性能が維持されることが求められる。
【0025】
図2は、一実現例によるディスプレイ装置の分解斜視図を示す。図2を参照すると、前記ディスプレイ装置1は、カバーウィンドウ10、ディスプレイパネル20、およびこれらを保護するフレーム40を含む。また、前記カバーウィンドウ10と前記ディスプレイパネル20との間に接着層が形成され得る。例えば、前記接着層は、光学的に透明な接着剤を含み得る。
【0026】
前記ディスプレイパネル20は、液晶ディスプレイ(LCD)パネルであり得る。または、前記ディスプレイパネル20は、有機発光ディスプレイ(OLED)パネルであり得る。前記有機発光ディスプレイ装置は、前面偏光板と有機発光ディスプレイパネルとを含み得る。前記前面偏光板は、前記有機発光ディスプレイパネルの前面上に配置され得る。より具体的に、前記前面偏光板は、前記有機発光ディスプレイパネルにおいて、画像が表示される面に接着され得る。前記有機発光ディスプレイパネルは、ピクセル単位の自発光によって画像を表示する。前記有機発光ディスプレイパネルは、有機発光基板と駆動基板とを含む。前記有機発光基板は、ピクセルにそれぞれ対応する複数の有機発光ユニットを含む。前記有機発光ユニットは、それぞれ、陰極、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、および陽極を含む。前記駆動基板は、前記有機発光基板に駆動的に結合される。すなわち、前記駆動基板は、前記有機発光基板に駆動電流のような駆動信号を印加し得るように結合され得る。より具体的に、前記駆動基板は、前記有機発光ユニットにそれぞれ電流を印加して、前記有機発光基板を駆動し得る。
【0027】
前記ディスプレイ装置1のカバーウィンドウ10には、一実現例によるフォールディング耐久性を有する積層フィルムが適用される。
【0028】
すなわち、一実現例によるディスプレイ装置は、ディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの前面上に配置される積層フィルムとを含む。
【0029】
一実現例による積層フィルムは、基材フィルムと、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む弾性層と、前記基材フィルムと前記弾性層との間に介在されるプライマー層とを含む。
【0030】
一実現例による積層フィルムは、長さ5cmおよび幅1cmのサイズに裁断して、常温にて300mm/分の速度で180°剥離試験の際に、前記基材フィルムと前記弾性層との間の接着力が15gf/inch以上と測定される。
【0031】
図3は、一実現例による積層フィルム(カバーウィンドウ)の断面図を示す(図2のA‐A')。
【0032】
図3を参照すると、一実現例による積層フィルム10は、基材フィルム100と、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む弾性層300と、前記基材フィルム100と前記弾性層300との間に介在されるプライマー層200とを含む。
【0033】
前記実現例による積層フィルムは、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む弾性層がプライマー層を介して基材フィルムとラミネーションされることにより、柔軟性を確保できるだけでなく、異種のフィルム間の付着力を確保してフォールディング耐久性を実現し得る。
【0034】
[積層フィルムの製造方法]
前記実現例による積層フィルムは、(1)プライマー組成物を準備する段階と、(2)前記プライマー組成物を基材フィルム上に塗布し硬化させてプライマー層を形成する段階と、(3)前記プライマー層を介して前記基材フィルムと弾性層とをラミネーションして積層フィルムを製造する段階と、を含んで製造される。前記積層フィルムは、長さ5cmおよび幅1cmのサイズに裁断して常温にて300mm/分の速度で180°剥離試験の際に、前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力が15gf/inch以上と測定される。
【0035】
以下、各段階別に具体的に説明する。
段階(1)として、プライマー組成物を準備する。
【0036】
前記プライマー組成物はバインダー樹脂を含み、例えば硬化性樹脂、具体的にUV硬化性樹脂を含み得る。
【0037】
一例として、前記プライマー組成物は、ポリエステルアクリレートを含み得る。ポリエステルアクリレート樹脂は、粘度が低くて作業性が良く、各種オリゴマーまたはポリマーとの相溶性が良い。
【0038】
前記ポリエステルアクリレートは、ポリエステル主鎖にアクリレート基(またはアクリロイル基)が置換された構造を有し得る。
【0039】
前記ポリエステルアクリレートは、必要に応じてアクリレート基を1~6個まで導入し得る。
【0040】
前記ポリエステルアクリレートは、まずポリエステルを調製した後、前記ポリエステルの両末端をアクリル酸と反応させて得られる。前記ポリエステルは、ジカルボン酸とジオールとの重合によって調製され得る。前記ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3-ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカジカルボン酸などがある。また、前記ジオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホンなどがある。
このようなポリエステルとアクリル酸との反応は酸触媒下で行われ得る。
【0041】
前記ポリエステルアクリレートは、オリゴマーまたはポリマーの形態を有し得る。例えば、前記ポリエステルアクリレートの重量平均分子量(Mw)は、1000以上、2000以上、2500以上、3000以上、3500以上、または3800以上であり、また、50000以下、30000以下、20000以下、10000以下、7000以下、5000以下、4500以下、または4000以下であり得る。具体的な一例として、前記ポリエステルアクリレートの重量平均分子量は1000~7000であり得る。
【0042】
他の例として、前記プライマー組成物は、アクリルアミド系化合物を含み得る。前記プライマー組成物がアクリルアミド系化合物を含むことにより、前記プライマー層の前記基材フィルムに対する接着力だけでなく、前記弾性層に対する接着力も向上させ得る。
【0043】
一例として、前記アクリルアミド系化合物は、下記化学式Iで表され得る。
【0044】
[化I]
ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の1価のC-C30脂環式基、置換または非置換の1価のC-C30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の1価のC-C30芳香族環基、置換または非置換の1価のC-C30芳香族ヘテロ環基、置換または非置換のC-C30アルキル基、置換または非置換のC-C30アルケニル基、もしくは置換または非置換のC-C30アルキニル基であり得る。
【0045】
具体的な一例として、前記アクリルアミド系化合物は、ジメチルアクリルアミドであり得る。
【0046】
また他の例として、前記プライマー組成物は、ポリエステルアクリレートおよびアクリルアミド系化合物をともに含み得る。
【0047】
前記プライマー組成物中のポリエステルアクリレートおよびアクリルアミド系化合物間の重量比は、一定の範囲内に調節されることにより層間接着力の面でさらに向上され得る。
【0048】
例えば、前記プライマー組成物は、ポリエステルアクリレート100重量部を基準に、アクリルアミド系化合物を1重量部以上、5重量部以上、10重量部以上、15重量部以上、または20重量部以上で含み得る。また、前記プライマー組成物は、ポリエステルアクリレート100重量部を基準に、アクリルアミド系化合物を60重量部以下、50重量部以下、40重量部以下、30重量部以下、または25重量部以下で含み得る。
【0049】
具体的に、前記プライマー組成物は、ポリエステルアクリレート100重量部、およびアクリルアミド系化合物5重量部~40重量部を含み得る。
【0050】
また他の例として、前記プライマー組成物は、その外に他のアクリル系樹脂をさらに含み得る。
【0051】
前記アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸系化合物から由来の繰り返し単位を有するオリゴマーまたはポリマーとして、前記(メタ)アクリル酸系化合物が重合して形成され得る。前記(メタ)アクリル酸系化合物は、(メタ)アクリル酸およびその誘導体を含み得る。前記(メタ)アクリル酸の誘導体は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系化合物を含み得る。本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸を含む。
【0052】
例えば、前記(メタ)アクリル酸系化合物は、(メタ)アクリル酸に炭素数1~12のアルキル基が置換されたエステル化合物を含み得る。例えば、前記(メタ)アクリル酸エステル系化合物は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの炭素数1~12のアルキル基で置換された(メタ)アクリル酸エステルを含むことができ、好ましくは、前記エステル化合物に置換されたアルキル基の炭素数は1~8個であり得る。
【0053】
具体例として、前記(メタ)アクリル酸系化合物は、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、末端に水酸基を有するラクトン変性(メタ)アクリレートなどを含むことができ、これらは単独でまたは2以上が組み合わされて使用され得る。
【0054】
前記プライマー組成物は、光開始剤をさらに含み得る。
前記光開始剤の例としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン、メチルベンゾイルホルメート、α,α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、2-ベンゾイル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド、またはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、商用の製品としては、IrgaCure(登録商標)184、Irgacure500、Irgacure651、Irgacure369、Irgacure907、Darocur(登録商標)1173、Darocur MBF、Irgacure819、Darocur TPO、Irgacure907、Esacure(登録商標)KIP100Fなどが挙げられる。前記光開始剤は、単独でまたは互いに異なる2種以上を混合して使用し得る。
【0055】
前記光開始剤は、前記バインダー樹脂(例えば、ポリエステルアクリレートおよびアクリルアミド系化合物)の総重量100重量部に対して、1重量部~10重量部、または3重量部~7重量部の量で前記プライマー組成物に含まれ得る。
【0056】
段階(2)として、前記プライマー組成物を基材フィルム上に塗布し硬化させてプライマー層を形成する。
【0057】
前記プライマー層は、プライマー組成物が基材フィルム上に塗布され、乾燥および硬化して形成され得る。
【0058】
前記プライマー組成物は、前述のバインダー樹脂、光開始剤、その他の添加剤および/または溶媒を含み得る。
【0059】
前記溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールのようなアルコール系溶媒;2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノールのようなアルコキシアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン系溶媒;プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルグリコールモノエチルエーテル、ジエチルグリコールモノプロピルエーテル、ジエチルグリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテルのようなエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族溶媒;などを、単独でまたは混合して使用し得る。
【0060】
前記溶媒の含有量は、プライマー組成物の物性を低下させない範囲内で多様に調節し得るので特に制限はされないが、前記プライマー組成物内の固形分の含有量が1重量%~50重量%となるように、具体的には1重量%~30重量%、より具体的には1重量%~10重量%となるように含まれ得る。前記範囲内で、前記プライマー組成物が適切な流動性および塗布性を有し得る。
【0061】
前記プライマー組成物は、バーコーティング、ナイフコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、ダイコーティング、マイクログラビアコーティング、コンマコーティング、スロットダイコーティング、リップコーティング、または溶媒成形(solution casting)法などにより基材フィルム上に塗布された後、乾燥および硬化してプライマー層を形成し得る。
【0062】
前記乾燥工程により前記プライマー組成物に含まれている溶媒が除去され得る。前記乾燥時の温度は、70℃以上、90℃以上、または110℃以上であり、例えば70℃~200℃、または90℃~150℃であり得る。乾燥時間は、例えば約1分~20分であり、具体的に1分~10分または3分~7分であり得る。
【0063】
前記プライマー層の硬化は、光および/または熱によって行われ得る。一例として、前記プライマー層は、UV硬化を経ることができ、UV硬化時の光量は、100mJ以上、200mJ以上、または300mJ以上であり、例えば、100mJ~1000mJ、または300mJ~700mJであり得る。
また、前記硬化は、部分硬化または完全硬化であり得る。
【0064】
段階(3)として、前記プライマー層を介して前記基材フィルムと弾性層とをラミネーションして積層フィルムを製造する。
【0065】
一例として、弾性層原料から弾性層を製造した後、前記プライマー層を介して前記基材フィルムと弾性層とをラミネーションして積層フィルムを製造し得る。
【0066】
前記弾性層は、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む組成物から製造される。例えば、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む組成物を溶融押出しキャスティングすることによって弾性層が製造され得る。前記溶融押出時の温度は、200℃以上または220℃以上であり、例えば200℃~300℃であり得る。その後、キャスティングされた弾性層を前記基材フィルムに形成されたプライマー層上に配置した後、一定の圧力を加えてラミネーションすることができる。前記弾性層を前記プライマー層上に配置する工程は、弾性層の製造以降の連続工程により行われ得る。
【0067】
前記ラミネーション工程は、例えばスクイージングロール等を用いて行うことができ、ラミネーションのための圧力は0kPa~20000kPaであり、具体的には0kPa~15000kPaで、例えば0kPa~10000kPaであり得る。または、前記ラミネーションのための圧力は1500kPa以上であり、具体的には3000kPa以上、5000kPa以上、または10000kPa以上で、例えば3000kPa~7000kPaであり得る。また、前記ラミネーション時の温度、具体的にスクイージングロールの温度は、0℃以上、5℃以上、または10℃以上であり、例えば10℃~120℃であり得る。
【0068】
他の例として、前記ラミネーション段階は、押出ラミネーション工程によって行われ得る。具体的には、前記弾性層の原料を溶融押出し、前段階で基材フィルムに形成されたプライマー層上でキャスティングしてラミネーションすることができる。これにより、1つの工程ラインにおいて積層フィルムを製造するための全工程が行われ得るため効率的である。このような押出ラミネーション工程において前述の押出温度およびラミネーション圧力を適用し得る。
【0069】
以上の方法により、基材フィルムと、ポリエーテル-ブロック-アミド樹脂を含む弾性層と、前記基材フィルムと前記弾性層との間に介在されるプライマー層と、を含む積層フィルムが得られる。
【0070】
[積層フィルムの特性]
前記積層フィルムは、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む弾性層とプライマー処理された基材フィルムとがラミネーションされて作製されることにより、前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力に優れ、異種の素材が複合により硬度と柔軟性とを同時に実現してフォールディング耐久性を確保し得る。
【0071】
一実現例によると、前記積層フィルムは、180°剥離試験の際に前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力が特定のレベル以上で測定される。
【0072】
図4は、積層フィルムサンプルに対する剥離試験方法の一例を示す。図4を参照して、剥離試験機20上に積層フィルムサンプル10aの一面を貼り付け、反対面を180°の角度(a)で剥離しながら、剥離中にかかる荷重(N)を測定し得る。
【0073】
前記剥離試験のために、積層フィルムサンプルを、例えば長さ5cm、幅1cmのサイズに裁断して使用し得る。前記剥離の際の速度は、例えば300mm/分であり、温度は常温(約25℃)であり得る。
【0074】
前記実現例による積層フィルムは、長さ5cmおよび幅1cmのサイズに裁断し常温にて300mm/分の速度で180°剥離試験の際に、前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力が15gf/inch以上と測定される。
【0075】
例えば、前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力は、15gf/inch以上、20gf/inch以上、25gf/inch以上、28gf/inch以上、または30gf/inch以上であり、また100gf/inch以下、50gf/inch以下、45gf/inch以下、または40gf/inch以下であり得る。具体的な例として、前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力は、15gf/inch~50gf/inch、15gf/inch~40gf/inch、15gf/inch~38gf/inch、20gf/inch~50gf/inch、25gf/inch~50gf/inch、25gf/inch~45gf/inch、または25gf/inch~40gf/inchであり得る。
【0076】
前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力が前記範囲であると、前記積層フィルムがフォルダブルディスプレイのカバーウィンドウに適用される際、多数の繰り返しフォールディングにも層間剥離が発生しないのであり得る。
【0077】
図1を参照して、前記試験中に剥離が発生する界面は、例えば、前記基材フィルム100と前記プライマー層200との間の界面、または前記プライマー層200と前記弾性層300との間の界面、またはそれらの両界面において一部ずつ剥離が発生し得る。具体的に、前記試験中に剥離が発生する箇所は、前記プライマー層200と前記弾性層300との間の界面であり、したがって、前記例示した接着力の範囲は、前記プライマー層と前記弾性層との間の界面の180°剥離強度とも理解し得る。
【0078】
他の実現例によると、前記積層フィルムは、長時間の保管後でも層間接着力の低下が少ないため、一定レベル以内の性能を維持することができる。
【0079】
具体的な一例として、前記積層フィルムは、常温および50%RH条件で96時間保管後に下記式(1)で計算される接着力変化率が45%以下、または40%以下であり得る。具体的に、前記積層フィルムは、常温および50%RH条件で96時間保管後に下記式(1)で計算される接着力変化率が35%以下であり得る。
接着力変化率(%)=[(AINT-AFIN)/AINT]×100...(1)
【0080】
ここで、AINTは、前記条件の保管前の前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力(gf/inch)であり、AFINは、前記条件の保管後の前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力(gf/inch)であり、それぞれの接着力は、前記積層フィルムを長さ5cmおよび幅1cmのサイズに裁断後、常温および300mm/分の速度で前記基材フィルムおよび前記弾性層を180°剥離しながらかかる荷重を測定して得られる。
【0081】
具体的な他の例として、前記積層フィルムは、常温および50%RH条件で240時間保管後に下記式(1)で計算される接着力変化率が80%以下、70%以下、または60%以下であり得る。具体的に、前記積層フィルムは、常温および50%RH条件で96時間保管後に下記式(1)で計算される接着力変化率が55%以下であり得る。
接着力変化率(%)=[(AINT-AFIN)/AINT]×100...(1)
【0082】
ここで、AINTは、前記条件の保管前の前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力(gf/inch)であり、AFINは、前記条件の保管後の前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力(gf/inch)であり、それぞれの接着力は、前記積層フィルムを長さ5cmおよび幅1cmのサイズに裁断後、常温および300mm/分の速度で前記基材フィルムおよび前記弾性層を180°剥離しながらかかる荷重を測定して得られる。
【0083】
また他の実現例によると、前記積層フィルムは、繰り返しフォールディングの際にも層間剥離やクラックが発生しないのであり得る。
【0084】
図5は、積層フィルムサンプルに対するフォールディング試験方法の一例を示す。図5を参照して、フォールディング試験機3上に積層フィルムサンプル10aを固定し、一定のフォールディング速度(回/秒)および曲率(R)条件で繰り返しフォールディングしながら、層間剥離やクラックが発生するか否かを確認し得る。
【0085】
前記フォールディング試験のために、積層フィルムサンプルを、例えば長さ12cm、幅4cmのサイズに裁断して使用し得る。前記フォールディングの際の速度は、例えば1回/秒であり、曲率は約1.5Rであり得る。
【0086】
一例として、長さ12cmおよび幅4cmのサイズに裁断して、常温条件で、前記基材フィルムが内側に折り畳まれながら1.5Rの曲率半径となるように1回/秒のフォールディング速度で繰り返しフォールディングする際に、層間剥離が生じるまでのフォールディング回数が10万回以上であり得る。例えば、前記フォールディング回数は、10万回以上、15万回以上、または20万回以上であり得る。前記範囲内で、前記積層フィルムをフレキシブルディスプレイ装置、例えばディスプレイが外部に露出されるアウトフォールディングタイプまたはインフォールディングタイプの装置のカバーに適用され、柔軟な特性をもって繰り返しフォールディングの際にも優れた性能が維持され得る。
【0087】
具体的には、インフォールディング(基材フィルムが内側にフォールディング)の場合は、20万回以上の繰り返しフォールディングの際にも層間剥離がない場合、アウトフォールディングの場合は、10万回以上の繰り返しフォールディングの際にも層間剥離がない場合に、優れるものと判定し得る。
【0088】
[基材フィルム100]
前記基材フィルムは、前記積層フィルム10に機械的特性を提供しながら前記プライマー層200のベース層として作用する。
【0089】
前記基材フィルムは高分子フィルムであり、またはガラス基板、具体的に厚さ約100μm未満の強化処理されたガラス基板であり得る。例えば、前記基材フィルムは、高分子フィルムまたは超薄型ガラス(UTG)を含み得る。
【0090】
具体的に、前記基材フィルムは高分子フィルムであり、すなわち前記基材フィルムは高分子樹脂を含み得る。
【0091】
前記基材フィルムに含まれる高分子樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系樹脂;イミド系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリウレタン系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;硫化ポリフェニレン系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラール系樹脂;アリレート系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂などを含み得る。これらは、単独でまたは2つ以上が組み合わされて使用され得る。
【0092】
前記基材フィルムは、高分子樹脂の他にフィラーをさらに含み得る。一例として、前記基材フィルムは、ポリイミド系樹脂およびフィラーを含み得る。
【0093】
前記フィラーは、硫酸バリウム、シリカおよび炭酸カルシウムからなる群より選択される1種以上であり得る。前記基材フィルムは、前記フィラーを含むことにより、粗さおよび巻取性を向上させることができ、さらに、フィルム作製の際、走行性およびスクラッチ改善効果を向上させることができる。
【0094】
前記フィラーの粒径は、0.01μm以上~1.0μm未満であり得る。例えば、前記フィラーの粒径は、0.05μm~0.9μmまたは0.1μm~0.8μmであり得るが、これに限定されるものではない。
【0095】
前記フィラーは、前記基材フィルムの総重量を基準に0.01重量%~3重量%の量で含まれ得る。例えば、前記フィラーは、前記基材フィルムの総重量を基準に、0.05重量%~2.5重量%、0.1重量%~2重量%、または0.2重量%~1.7重量%の量で含まれ得るが、これに限定されるものではない。
【0096】
前記基材フィルムの厚さは、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、または100μm以上であり、また、500μm以下、400μm以下、300μm以下、または200μm以下であり得る。具体的な例として、前記基材フィルムの厚さは20μm~500μmであり、より具体的には40μm~200μmまたは50μm~200μmであり得る。
【0097】
前記基材フィルムは、光学特性および機械的特性が一定の範囲で調整され得る。
【0098】
前記基材フィルムのヘイズは3%以下であり得る。例えば、前記基材フィルムのヘイズは、2%以下、1.5%以下、または1%以下であり得るが、これに限定されるものではない。
【0099】
前記基材フィルムの黄色度(YI)は5以下であり得る。例えば、前記基材フィルムの黄色度は、4以下、3.8以下、2.8以下、2.5以下、2.3以下、または2.1以下であり得るが、これに限定されるものではない。
【0100】
前記基材フィルムのモジュラスは、5GPa以上であり得る。例えば、前記基材フィルムのモジュラスは、5.2GPa以上、5.5GPa以上、6.0GPa以上、10GPa以下、5GPa~10GPa、または7GPa~10GPaであり得るが、これに限定されるものではない。
【0101】
前記基材フィルムの光透過率は80%以上であり得る。例えば、前記基材フィルムの光透過率は、85%以上、88%以上、89%以上、80%~99%、または85%~99%であり得るが、これに限定されるものではない。
【0102】
前記基材フィルムの圧縮強度は0.4kgf/μm以上であり得る。具体的に、前記基材フィルムの圧縮強度は、0.45kgf/μm以上または0.46kgf/μm以上であり得るが、これに限定されるものではない。
【0103】
前記基材フィルムの表面硬度はHB以上であり得る。具体的に、前記基材フィルムの表面硬度は、H以上または2H以上であり得るが、これに限定されるものではない。
【0104】
前記基材フィルムは、引張強度が15kgf/mm以上であり得る。具体的に、前記基材フィルムの引張強度は、18kgf/mm以上、20kgf/mm以上、21kgf/mm以上、または22kgf/mm以上であり得るが、これに限定されるものではない。
【0105】
前記基材フィルムは、伸び率が15%以上であり得る。具体的に、前記基材フィルムの伸び率は、16%以上、17%以上、または17.5%以上であり得るが、これに限定されるものではない。
【0106】
[ポリイミド系樹脂]
一例として、前記基材フィルムはポリイミド系樹脂を含んで良く、具体的に、前記基材フィルムは透明なポリイミド系フィルムであり得る。前記ポリイミド系樹脂は、ジアミン化合物とジアンヒドリド化合物とを含む反応物が、同時または順次反応して形成され得る。具体的に、前記ポリイミド系樹脂は、ジアミン化合物とジアンヒドリド化合物とが重合して形成されたポリイミド系重合体を含み得る。前記ポリイミド系樹脂は、ジアミン化合物とジアンヒドリド化合物との重合に由来するイミド(imide)繰り返し単位を含み得る。また、前記ポリイミド系樹脂は、ジカルボニル化合物をさらに含んで重合されたものであり、これにより、ジアミン化合物とジカルボニル化合物との重合に由来するアミド(amide)繰り返し単位をさらに含むポリアミド-イミド系重合体を含み得る。
【0107】
前記ジアミン化合物は特に制限されないが、例えば、芳香族構造を含む芳香族ジアミン化合物であり得る。例えば、前記ジアミン化合物は、下記化学式1の化合物であり得る。
【0108】
[化1]
前記化学式1において、Eは、置換または非置換の2価のC-C30脂環式基、置換または非置換の2価のC-C30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の2価のC-C30芳香族環基、置換または非置換の2価のC-C30芳香族ヘテロ環基、置換または非置換のC-C30アルキレン基、置換または非置換のC-C30アルケニレン基、置換または非置換のC-C30アルキニレン基、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-C(CH-、および-C(CF-の中から選択され、eは1~5の整数の中から選択され、eが2以上の場合、Eは互いに同一または異なり得る。
【0109】
本明細書において「置換された」とは、特に記載がない限り、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、エステル基、ケトン基、カルボキシル基、置換または非置換のC-C30アルキル基、置換または非置換のC-C30アルケニル基、置換または非置換のC-C30アルキニル基、置換または非置換のC-C30アルコキシ基、置換または非置換のC-C30脂環式有機基、置換または非置換のC-C30ヘテロ環基、置換または非置換のC-C30アリール基、および置換または非置換のC-C30ヘテロアリール基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されたものを指し、互いに隣接する2つの置換基は連結して環を形成することもあり得る。
【0110】
前記化学式1の(E)は、下記化学式1-1a~1-14aで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0111】
具体的に、前記化学式1の(E)は、下記化学式1-1b~1-13bで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0112】
より具体的に、前記化学式1の(E)は、前記化学式1-6bで表される基であり得る。
【0113】
一実現例において、前記ジアミン化合物は、フッ素含有置換基を有する化合物を含み得る。または、前記ジアミン化合物は、フッ素含有置換基を有する化合物からなり得る。この際、前記フッ素含有置換基はフッ素化炭化水素基であり、具体的にトリフルオロメチル基であり得るが、これに限定されるものではない。
【0114】
一実現例において、前記ジアミン化合物は1種のジアミン化合物を用い得る。すなわち、前記ジアミン化合物は単一成分からなり得る。
【0115】
例えば、前記ジアミン化合物は、下記のような構造を有する2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-Bis(trifluoromethyl)-4,4'-diaminodiphenyl、TFDB)を含み得るが、これに限定されるものではない。
【0116】
前記ジアンヒドリド化合物は複屈折値が低いため、前記ポリイミド系樹脂を含むフィルムの透過度のような光学物性の向上に寄与し得る。
【0117】
前記ジアンヒドリド化合物は特に限定されないが、芳香族構造を含む芳香族ジアンヒドリド化合物であり得る。例えば、前記芳香族ジアンヒドリド化合物は、下記化学式2の化合物であり得る。
[化2]
【0118】
前記化学式2において、Gは置換または非置換の4価のC-C30脂環式基、置換または非置換の4価のC-C30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の4価のC-C30芳香族環基、置換または非置換の4価のC-C30芳香族ヘテロ環基であり、前記脂環式基、前記ヘテロ脂環式基、前記芳香族環基、または前記芳香族ヘテロ環基が単独で存在するか、互いに結合され縮合環を形成するか、もしくは置換または非置換のC-C30アルキレン基、置換または非置換のC-C30アルケニレン基、置換または非置換のC-C30アルキニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-C(CH-、および-C(CF-の中から選択された連結基によって連結されている。
【0119】
前記化学式2におけるGは、下記化学式2-1a~2-9aで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0120】
例えば、前記化学式2におけるGは、前記化学式2-8aで表される基であり得る。
【0121】
一実現例において、前記ジアンヒドリド化合物は、フッ素含有置換基を有する化合物を含み得る。または、前記ジアンヒドリド化合物は、フッ素含有置換基を有する化合物からなり得る。なお、前記フッ素含有置換基はフッ素化炭化水素基であり、具体的にトリフルオロメチル基であり得るが、これに限定されるものではない。
【0122】
他の実現例において、前記ジアンヒドリド化合物は、1種の単一成分または2種の混合成分からなり得る。
【0123】
例えば、前記ジアンヒドリド化合物は、下記のような構造を有する2,2'-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンヒドリド(2,2'-Bis-(3,4-DiCarboxyphenyl)hexafluoropropane dianhydride、6FDA)を含み得るが、これに限定されるものではない。
【0124】
前記ジアミン化合物と前記ジアンヒドリド化合物とが重合してポリアミック酸を生成し得る。
【0125】
次いで、前記ポリアミック酸は、脱水反応によりポリイミドに転換され得る。
前記ポリイミドは、下記化学式Aで表される繰り返し単位を含み得る。
[化A]
前記化学式Aにおいて、E、G、およびeに関する説明は、前述の通りである。
【0126】
例えば、前記ポリイミドは、下記化学式A-1で表される繰り返し単位を含み得るが、これに限定されるものではない。
[化A-1]
前記化学式A-1におけるnは1~400の整数であり得る。
【0127】
前記ジカルボニル化合物は特に制限されないが、例えば、下記化学式3の化合物であり得る。
[化3]
【0128】
前記化学式3において、Jは、置換または非置換の2価のC-C30脂環式基、置換または非置換の2価のC-C30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の2価のC-C30芳香族環基、置換または非置換の2価のC-C30芳香族ヘテロ環基、置換または非置換のC-C30アルキレン基、置換または非置換のC-C30アルケニレン基、置換または非置換のC-C30アルキニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-C(CH-、および-C(CF-の中から選択され、jは1~5の整数の中から選択され、jが2以上の場合、Jは互いに同一または異なり、Xはハロゲン原子である。具体的に、Xは、F、Cl、Br、I等であり得る。より具体的に、Xは、Clであり得るが、これに限定されるものではない。
【0129】
前記化学式3の(J)は、下記化学式3-1a~3-14aで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0130】
具体的に、前記化学式3の(J)は、下記化学式3-1b~3-8bで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0131】
より具体的に、前記化学式3の(J)は、前記化学式3-1bで表される基、前記化学式3-2bで表される基、または3-3bで表される基であり得る。
【0132】
一実現例において、前記ジカルボニル化合物は、互いに異なる少なくとも2種のジカルボニル化合物を混合して使用し得る。前記ジカルボニル化合物が2種以上使用される場合、前記ジカルボニル化合物は、前記化学式3において(J)が前記化学式3-1b~3-8bで表される基の中から選択される2種以上が使用され得る。
【0133】
他の実現例において、前記ジカルボニル化合物は、芳香族構造を含む芳香族ジカルボニル化合物であり得る。
【0134】
例えば、前記ジカルボニル化合物は、第1ジカルボニル化合物および/または前記第1ジカルボニル化合物とは異なる第2ジカルボニル化合物を含み得る。
【0135】
前記第1ジカルボニル化合物および前記第2ジカルボニル化合物は、それぞれ芳香族ジカルボニル化合物(aromatic dicarbonyl compound)であり得る。
【0136】
前記第1ジカルボニル化合物および前記第2ジカルボニル化合物が、互いに異なる芳香族ジカルボニル化合物であり得るが、これに限定されるものではない。
【0137】
前記第1ジカルボニル化合物および前記第2ジカルボニル化合物がそれぞれ芳香族ジカルボニル化合物であると、ベンゼン環を含んでいるので、製造されたポリアミド-イミド樹脂を含むフィルムの表面硬度および引張強度のような機械的物性の向上に寄与し得る。
【0138】
前記ジカルボニル化合物は、下記のような構造を有するテレフタロイルクロリド(terephthaloyl chloride、TPC)、イソフタロイルクロリド(isophthaloyl chloride、IPC)、1,1'-ビフェニル-4,4'-ジカルボニルジクロリド(1,1'-biphenyl-4,4'-dicarbonyl dichloride、BPDC)、またはその組み合わせを含み得るが、これに限定されるものではない。
【0139】
例えば、前記第1ジカルボニル化合物はBPDCを含み、前記第2ジカルボニル化合物はTPCを含み得るが、これに限定されるものではない。
【0140】
具体的に、前記第1ジカルボニル化合物としてBPDC、前記第2ジカルボニル化合物としてTPCを適宜組み合わせて使用すると、製造されたポリアミド-イミド系樹脂を含むフィルムは高い耐酸化性を有し得る。
【0141】
または、前記第1ジカルボニル化合物はIPCを含み、前記第2ジカルボニル化合物はTPCを含み得るが、これに限定されるものではない。
【0142】
具体的に、前記第1ジカルボニル化合物としてIPC、前記第2ジカルボニル化合物としてTPCを適宜組み合わせて使用すると、製造されたポリアミド-イミド系樹脂を含むフィルムが高い耐酸化性を有することができ、製造コストが節減され得る。
【0143】
前記ジアミン化合物と前記ジカルボニル化合物とが重合して、下記化学式Bで表される繰り返し単位を形成し得る。
[化B]
前記化学式Bにおいて、E、J、e、およびjに関する説明は前述の通りである。
【0144】
例えば、前記ジアミン化合物と前記ジカルボニル化合物とが重合して、化学式B-1およびB-2で表されるアミド繰り返し単位を形成し得る。
【0145】
[化B-1]
前記化学式B-1のxは1~400の整数である。
【0146】
[化B-2]
前記化学式B-2のyは1~400の整数である。
【0147】
[ポリエステル系樹脂]
他の例として、前記基材フィルムはポリエステル系樹脂を含み、具体的に、前記基材フィルムは、透明なポリエステル系フィルムであり得る。
【0148】
前記ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸とジオールとが重縮合した単一重合体樹脂または共重合体樹脂であり得る。また、前記ポリエステル系樹脂は、前記単一重合体樹脂または共重合体樹脂が混合されたブレンド樹脂であり得る。
【0149】
前記ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3-ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカンジカルボン酸などがある。
【0150】
また、前記ジオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホンなどがある。
【0151】
好ましくは、前記ポリエステル系樹脂は、結晶性に優れた芳香族ポリエステル系樹脂であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を主成分とし得る。
【0152】
前記基材フィルムがポリエステル系フィルムの場合、前記ポリエステル系フィルムはポリエステル系樹脂、具体的にPET樹脂を約85重量%以上含み、より具体的に、90重量%以上、95重量%以上、または99重量%以上含み得る。他の例として、前記ポリエステル系フィルムは、PET樹脂以外に、他のポリエステル系樹脂をさらに含み得る。具体的に、前記ポリエステル系フィルムは、約15重量%以下のポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂をさらに含み得る。より具体的に、前記ポリエステル系フィルムは、約0.1重量%~10重量%、または約0.1重量%~5重量%のPEN樹脂をさらに含み得る。
【0153】
前記組成により、ポリエステル系フィルムが加熱、延伸などを経る製造過程において結晶化度が上昇し、引張強度などの機械的物性が向上され得る。
【0154】
[プライマー層200]
前記プライマー層200は、前記基材フィルム100と前記弾性層300との間に介在される。
【0155】
前記プライマー層はバインダー樹脂を含み、例えば硬化性樹脂、具体的にはUV硬化性樹脂を含み得る。
【0156】
一例として、前記プライマー層はポリエステルアクリレートを含み得る。ポリエステルアクリレートは、粘度が低くて作業性が良く、各種オリゴマーまたはポリマーとの相溶性が良い。
【0157】
前記ポリエステルアクリレートは、ポリエステル主鎖にアクリレート基(またはアクリロイル基)が置換された構造を有し得る。
【0158】
前記ポリエステルアクリレートは、例えばアクリレート基を1~6個、または1~3個有し得る。
【0159】
前記ポリエステルアクリレートは、オリゴマーまたはポリマーの形態を有し得る。例えば、前記ポリエステルアクリレートの重量平均分子量(Mw)は、1000以上、2000以上、2500以上、3000以上、または3500以上であり、また、50000以下、30000以下、20000以下、10000以下、7000以下、5000以下、または4500以下であり得る。具体的な一例として、前記ポリエステルアクリレートの重量平均分子量は1000~7000であり得る。
【0160】
他の例として、前記プライマー層は、アクリルアミド系化合物を含み得る。具体的に、前記アクリルアミド系化合物は下記化学式Iで表され得る。
【0161】
[化学式I]
【0162】
ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の1価のC-C30脂環式基、置換または非置換の1価のC-C30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の1価のC-C30芳香族環基、置換または非置換の1価のC-C30芳香族ヘテロ環基、置換または非置換のC-C30アルキル基、置換または非置換のC-C30アルケニル基、もしくは置換または非置換のC-C30アルキニル基であり得る。
【0163】
具体的な一例として、前記アクリルアミド系化合物はジメチルアクリルアミドであり得る。
【0164】
また他の例として、前記プライマー層は、ポリエステルアクリレートおよびアクリルアミド系化合物をともに含み得る。前記プライマー層中のポリエステルアクリレートおよびアクリルアミド系化合物間の重量比は、一定範囲内に調整されることにより層間接着力の面からさらに向上され得る。
【0165】
例えば、前記プライマー層は、ポリエステルアクリレート100重量部に対して、アクリルアミド系化合物を1重量部以上、5重量部以上、10重量部以上、15重量部以上、または20重量部以上で使用し得る。また、前記プライマー層は、ポリエステルアクリレート100重量部に対して、アクリルアミド系化合物を60重量部以下、50重量部以下、40重量部以下、30重量部以下、または25重量部以下で使用し得る。具体的に、前記プライマー層は、ポリエステルアクリレート100重量部、およびアクリルアミド系化合物5重量部~40重量部を含み得る。
【0166】
また他の例として、前記プライマー層は、他のアクリル系樹脂をさらに含んで良く、その具体的な例示は、前述のプライマー組成物の製造において説明した通りである。
【0167】
また、前記プライマー層は、光開始剤をさらに含んで良く、その具体的な例示は、前述のプライマー組成物の製造において説明した通りである。
【0168】
前記光開始剤は、前記バインダー樹脂(例えばポリエステルアクリレートおよびアクリルアミド系化合物)の総重量100重量部に対して、1重量%~10重量%、または3重量%~7重量%の量で前記プライマー層に含まれ得る。
【0169】
前記プライマー層の厚さは20nm~200nmであり得る。具体的に、前記プライマー層の厚さは、20nm~190nm、20nm~180nm、20nm~160nm、20nm~130nm、20nm~120nm、20nm~110m、20nm~80nm、30nm~200nm、30nm~190nm、30nm~180nm、30nm~160nm、30nm~130nm、30nm~120nm、30nm~110m、30nm~100m、または30nm~80nmであり得る。前記厚さ範囲内で、前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力が増加し得る。
【0170】
[弾性層300]
前記弾性層300は、ポリエーテル-ブロック-アミド(polyether-block-amide、PEBA)を含む。
【0171】
前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、剛性領域(rigid segment)であるポリアミド領域と、軟性領域(soft segment)であるポリエーテル領域の2つの相(phase)を含む。
【0172】
前記剛性領域は、結晶性(crystalline)領域または半結晶性(semi-crystalline)領域であり、前記軟性領域は、無定形(amorphous)領域であり得る。例えば、前記無定形領域をマトリックスとし、前記結晶形領域が前記マトリックスに分布される状態であり得る。
【0173】
このように、前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、剛性領域と軟性領域を同時に含んで、前記弾性層が相対的に強い機械的強度を有すると同時に、柔軟な特性および/またはエラストマー特性を有するようにし得る。
【0174】
前記弾性層が相対的に強い機械的強度を有すると同時にフレキシブルな特性および/またはエラストマー特性を有するようにし得る。
【0175】
前記ポリアミド領域は、融点が約80℃以上、具体的には約130℃~200℃、約150℃~200℃、または約170℃~200℃であり、実質的に結晶質の相で硬質領域を構成し得る。また、前記ポリエーテル領域は、ガラス転移温度が約-40℃以下、具体的には-80℃~-40℃であり、低い温度領域に存在して実質的に無定形の軟質領域を構成し得る。
【0176】
前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、分子内にカルボキシル基を2つ以上含むポリアミドと、分子内に水酸基を2つ以上含むエーテルとが結合したものであり得る。
【0177】
前記弾性層は、ポリエーテル-ブロック-アミドを含み、前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、ポリエーテルブロックおよびポリアミドブロックを含む1つ以上の共重合体を含み得る。これにより、前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、1つ以上のポリエーテルブロックと1つ以上のポリアミドブロックとを含む。
【0178】
ポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを含む共重合体(ポリエーテル-ブロック-アミド)は、反応性末端を含むポリエーテルブロックと、反応性末端を含むポリアミドブロックとが縮合重合したものであり得る。
【0179】
一例として、前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、ジアミン末端を含むポリアミドブロックと、ジカルボキシル末端を含むポリオキシアルキレンブロックとを含む縮合重合体であり得る。
【0180】
他の例として、前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、ジカルボキシル末端を含むポリアミドブロックと、ジアミン末端を含むポリオキシアルキレンブロックとを含む縮合重合体であり得る。
【0181】
前記ポリオキシアルキレンブロックは、ポリエーテルジオールと知られている脂肪族α,ω-ジヒドロキシル化ポリオキシアルキレン(aliphatic α,ω-dihydroxylated polyoxyalkylene)ブロックをシアノエチル化反応および水素化反応させて得られたものであり得る。
【0182】
前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、ジカルボキシル末端を含むポリアミドブロックと、ポリエーテルジオールブロックとを含む縮合重合体であり得る。このような場合、ポリエーテル-ブロック-アミドはポリエーテルエステルアミドである。
【0183】
例示的に、ジカルボキシル鎖末端を含むポリアミドブロックは、鎖制限ジカルボン酸の存在下でポリアミド前駆体の縮合重合体を含み得る。
【0184】
例示的に、ジアミン鎖末端を含むポリアミドブロックは、鎖制限ジアミンの存在下でポリアミド前駆体の縮合重合体を含み得る。
【0185】
例示的に、ジカルボキシル鎖末端を含むポリアミドブロックは、鎖制限ジカルボン酸の存在下でα、ω-アミノカルボン酸、ラクタムまたはジカルボン酸とジアミンとの縮合重合体を含み得る。
【0186】
前記ポリアミドブロックとしては、ポリアミド12またはポリアミド6が好ましい。
【0187】
前記ポリエーテル-ブロック-ポリアミドは、ランダムに分布した単位構造を有するブロックを含み得る。
【0188】
好ましくは、以下の3つのタイプのポリアミドブロックが適用され得る。
第1タイプとして、前記ポリアミドブロックは、カルボン酸と、脂肪族またはアリール脂肪族ジアミンとの縮合重合体を含み得る。前記カルボン酸は4~20個の炭素原子を有し、好ましくは6~18個の炭素原子を有し得る。前記脂肪族またはアリール脂肪族ジアミンは、2~20個の炭素原子を有し、好ましくは6~14個の炭素原子を有し得る。
【0189】
前記カルボン酸、具体的にジカルボン酸は、例えば、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(1,4-cyclohexanedicarboxylic acid)、1,2-シクロヘキシルジカルボン酸(1,2-cyclohexyldicarboxylic acid)、1,4-ブタンジオン酸(1,4-butanedioic acid)、アジピン酸(adipic acid)、アゼライン酸(azelaic acid)、スベリン酸(suberic acid)、セバシン酸(sebacic acid)、1,12-ドデカンジカルボン酸(1,12-dodecanedicarboxylic acid)、1,14-テトラデカンジカルボン酸(1,14-tetradecanedicarboxylic acid)、1,18-オクタデカンジカルボン酸(1,18-octadecanedicarboxylic acid)、テレフタル酸(terephthalic acid)、イソフタル酸(isophthalic acid)、ナフタレンジカルボン酸(naphthalenedicarboxylic acid)、二量体脂肪酸(dimerized fatty acid)などであり得る。
【0190】
前記ジアミンは、例えば、1,5-テトラメチレンジアミン(1,5-tetramethylenediamine)、1,6-ヘキサメチレンジアミン(1,6-hexamethylenediamine)、1,10-デカメチレンジアミン(1,10-decamethylenediamine)、1,12-ドデカメチレンジアミン(1,12- dodecamethylenediamine)、トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミン(trimethyl-1,6-hexamethylenediamine)、2-メチル-1,5-ペンタメチレンジアミン(2-methyl-1,5-pentamethylenediamine)、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン異性体(the isomers of bis(3-methyl-4-aminocyclohexyl)methan、BMACM)、2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン(2,2-bis(3-methyl-4-aminocyclohexyl)propane、BMACP)、ビス(パラ-アミノシクロヘキシル)メタン(bis(para-aminocyclohexyl)methane、PACM)、イソホロンジアミン(isophoronediamine、IPD)、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルネン(2,6-bis(aminomethyl)norbornane、BAMN)、ピペラジン(piperazine、Pip)、メタ-キシリレンジアミン(meta-xylylenediamine、MXD)、パラ-キシリレンジアミン(para-xylylenediamine、PXD)などであり得る。
【0191】
具体的に、ポリアミドブロックの第1タイプは、PA 412、PA 414、PA 418、PA 610、PA 612、PA 614、PA 618、PA 912、PA 1010、PA 1012、PA 1014、PA 1018、MXD6、PXD6、MXD10、またはPXD10を含み得る。
【0192】
第2タイプとして、前記ポリアミドブロックは、4~12個の炭素原子を有するジカルボン酸またはジアミンの存在下で、1つ以上のα,ω-アミノカルボン酸および/または6~12個の炭素原子を有する1つ以上のラクタムの縮合重合体を含み得る。前記ラクタムの例示としては、カプロラクタム、オエナントラクタム(oenantholactam)、ラウリルラクタム(lauryllactam)等がある。前記α,ω-アミノカルボン酸の例示としては、アミノカプロン酸(aminocaproic acid)、7-アミノヘプタン酸(7-aminoheptanoic acid)、11-アミノウンデカン酸(11-aminoundecanoic acid)、12-アミノドデカン酸(12-aminododecanoic acids)などがある。具体的に、前記ポリアミドブロックの第2タイプは、ポリアミド11、ポリアミド12、またはポリアミド6を含み得る。
【0193】
第3タイプとして、前記ポリアミドブロックは、1つ以上のα,ω-アミノカルボン酸(または1つ以上のラクタム)、1つ以上のジアミンおよび1つ以上のジカルボン酸の縮合重合体を含み得る。このような場合、前記ポリアミド(PA)ブロックは、下記のようなジアミン、2価酸(diacid)および共単量体(または共単量体(comonomers))を縮合重合して調製され得る。
【0194】
前記ジアミンとして、例えば、線状脂肪族ジアミン、芳香族ジアミンなどを適用し得る。前記2価酸として、例えば、脂環式2価酸、脂肪族2価酸、芳香族2価酸などを適用し得る。前記2価酸として、例えばジカルボン酸等を適用し得る。共単量体は、ラクタム、α,ω-アミノカルボン酸、そして、1以上のジアミンと1以上のジカルボン酸とが実質的に同一モルで含まれた混合物から選択されたものであり得る。前記共単量体は、結合したポリアミド前駆体単量体全体を基準に、50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下で含まれ得る。
【0195】
前記第3タイプによる縮合反応は、ジカルボン酸から選択された鎖制限剤の存在下で行われ得る。具体的に、鎖制限剤としてジカルボン酸が使用されて良く、前記ジカルボン酸は、前記1以上のジアミンに対して化学量論的に過量で導入され得る。
【0196】
前記第3タイプの代替形態として、前記ポリアミドブロックは、選択的に鎖制限剤の存在下で、6~12個の炭素原子を有する2種以上のα,ω-アミノカルボン酸、または2種以上のラクタム、または炭素原子数が互いに異なるラクタムとアミノカルボン酸との縮合重合体を含み得る。前記脂肪族α,ω-アミノカルボン酸は、例えば、アミノカプロン酸(aminocaproic acid)、7-アミノヘプタン酸(7-aminoheptanoic acid)、11-アミノウンデカン酸(11-aminoundecanoic acid)、12-アミノドデカン酸(12-aminododecanoic acid)などであり得る。前記ラクタムは、例えば、カプロラクタム、オエナントラクタム、ラウリルラクタムなどであり得る。
【0197】
前記脂肪族ジアミンは、例えば、ヘキサメチレンジアミン(hexamethylenediamine)、ドデカメチレンジアミン(dodecamethylene-diamine)、トリメチルヘキサメチレンジアミン(trimethylhexamethylenediamine)などであり得る。
【0198】
前記脂環式2価酸は、例えば、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸であり得る。また、前記脂肪族2価酸は、例えばブタンジオン酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、二量体脂肪酸(好ましくは二量体率98%以上;好ましくは水素化処理されたもの;Uniqema社の商標名Pripol、またはHenkel社の商標名Empolとして販売されているもの)、ポリオキシアルキレン-α,ω-2価酸等であり得る。
【0199】
前記芳香族2価酸は、例えばテレフタル酸、イソフタル酸などであり得る。
前記脂環式ジアミンは、例えばビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)と2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)の異性体、ビス(パラ-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)などであり得る。
【0200】
その他のジアミンとしては、例えば、イソホロンジアミン(IPDI)、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルネン(BAMN)、ピペラジンなどが挙げられる。
【0201】
アリール脂肪族ジアミンの例としては、メタ-キシリレンジアミン(MXD)およびパラ-キシリレンジアミン(PXD)などがあるが、これらに限定されない。
【0202】
ポリアミドブロックの第3タイプの例として、PA66/6、PA66/610/11/12などがある。
【0203】
PA66/6において、前記66はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン単位を表し、前記6はカプロラクタムの縮合で導入された単位を表す。
【0204】
前記PA66/610/11/12において、前記66はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン単位を表し、前記610はセバシン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン単位を表し、前記11はアミノウンデカン酸の縮合で導入された単位を表し、前記12はラウリルラクタムの縮合で導入された単位を表す。
【0205】
前記ポリアミドブロックの数平均分子量は400~20000であり、具体的には500~10000であり得る。
【0206】
前記ポリエーテルブロックとしては、例えば、1つ以上のポリアルキレンエーテルポリオール(polyalkylene ether polyol)、例えばポリアルキレンエーテルジオールであり、具体的には、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol、PPG)、ポリトリメチレングリコール(polytrimethylene glycol、PO3G)、ポリテトラメチレングリコール(polytetramethylene glycol、PTMG)、およびそれらの混合物またはそれらの共重合体から選択され得る。
【0207】
前記ポリエーテルブロックは、NH鎖末端を含むポリオキシアルキレン単位を含み、前記単位は、ポリエーテルジオールと知られている脂肪族α,ω-ジヒドロキシポリオキシアルキレン単位をシアノアセチル化して導入され得る。具体的には、ジェファーミン(例えば、ハンツマン(HUNTSMAN)社の商品であるジェファーミン(登録商標)D400、D2000、ED2003、またはXTJ542)が使用され得る。
【0208】
前記1つ以上のポリエーテルブロックは、例えばPEG、PPG、PO3GおよびPTMGのようなポリアルキレンエーテルポリオール、鎖末端にNHを含み、ポリオキシアルキレン配列を含むポリエーテル、それらがランダム配列および/またはブロック配列された共重合体(エーテル共重合体)、およびそれらの混合物から選択される1つ以上のポリエーテルを含む。
【0209】
前記ポリエーテルブロックは、共重合体の総重量に対して10重量%~80重量%で含まれ、具体的には20重量%~60重量%、または20重量%~40重量%で含まれ得る。前記ポリエーテルブロックの数平均分子量は200~1000であり、具体的には400~800、または500~700であり得る。
【0210】
前記ポリエーテルブロックは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリテトラメチレングリコールから導入されたものであり得る。
【0211】
前記ポリエーテルブロックは、カルボキシル末端を含むポリアミドブロックと共重合されポリエーテル-ブロック-アミドを形成し得る。
【0212】
前記ポリエーテルブロックは、アミン化を経てポリエーテルジアミンに転換された後、カルボキシル末端を含むポリアミドブロックと縮合してポリエーテル-ブロック-アミドを形成し得る。
【0213】
前記ポリエーテルブロックは、統計的に分散した単位を含むポリエーテル-ブロック-アミドを形成するために、ポリアミド前駆体および鎖制限剤と混合され得る。
【0214】
前記ポリエーテルは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)などであり得る。ポリテトラメチレングリコールはポリテトラヒドロフラン(PTHF)としても知られている。前記ポリエーテルブロックが、ジオールまたはジアミンの形態からポリエーテル-ブロック-アミドの鎖に導入され、前記ポリエーテルブロックは、それぞれPEGブロック、PPGブロックまたはPTMGブロックと称される。
【0215】
また、前記ポリエーテルブロックは、エチレングリコール(-OC-)、プロピレングリコール(-O-CH-CH(CH)-)、またはテトラメチレングリコール(-O-(CH-)から誘導された単位ではない他の単位を含んでも、当該ポリエーテルブロックは実現例の範囲に含まれるものと理解するべきである。
【0216】
前記ポリアミドブロックの数平均分子量は、例えば300~15000、または600~5000であり得る。前記ポリエーテルブロックの数平均分子量は100~6000、好ましくは200~3000であり得る。
【0217】
具体的に、前記ポリエーテル-ブロック-アミドに含まれるポリアミドブロックの含有量は、全ポリエーテル-ブロック-アミドを基準に50重量%以上であり得る。これは、高分子鎖内に統計的に分布する可能性を意味し得る。具体的に、前記ポリアミドブロックの含有量は50重量%~80重量%であり得る。また、前記ポリエーテル-ブロック-アミドに含まれるポリエーテルブロックの含有量は、全ポリエーテル-ブロック-アミドを基準に20重量%~50重量%であり得る。
【0218】
前記共重合体のポリアミドブロックとポリエーテルブロックの数平均分子量の比は、例えば1:0.25~1:1であり得る。具体的に、前記共重合体のポリアミドブロックの数平均分子量/ポリエーテルブロックの数平均分子量は、1000/1000、1300/650、2000/1000、2600/650、または4000/1000であり得る。
【0219】
前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを製造する第1段階と、前記ポリアミドブロックおよび前記ポリエーテルブロックを縮合重合して弾性ポリエーテル-ブロック-アミドを製造する第2段階とを含む、2段階の方法により製造され得る。または、前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、単一段階で単量体を縮合重合して製造され得る。
【0220】
前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、例えば20~75、具体的には30~70のショアD硬度を示し得る。
【0221】
前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、25℃にてメタクレゾールで測定した固有粘度が0.8dl/g~2.5dl/gであり得る。前記固有粘度は、ISO 307:2019に基づいて測定することができる。具体的に、溶液中の固有粘度は、ウベローデ(Ubbelohde)粘度計を用いて25℃にて0.5重量%の濃度のメタクレゾール溶液中で測定することができる。
【0222】
前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、例示的にアルケマ(Arkema)社のPebax(登録商標)、Pebax(登録商標)Rnew(登録商標)、Evonik社のVESTAMID(登録商標)Eなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0223】
前記弾性層は、光学特性が一定の範囲内に調整されることができ、それによりディスプレイ装置のカバーウィンドウに適用するのに有利である。
【0224】
前記弾性層のヘイズは、例えば3%以下であり、具体的には2%以下、1.5%以下、または1.2%以下であり得る。また、前記弾性層のヘイズは、0.01%以上、または0.1%以上であり得る。
【0225】
前記弾性層の可視光平均透過率は、例えば85%以上であり、具体的には88%以上、または90%以上であり得る。また、前記弾性層の可視光平均透過率は、99.99%以下であり得る。
【0226】
前記弾性層の厚さは、20μm以上、30μm以上、50μm以上、または100μm以上であり、また、500μm以下、400μm以下、300μm以下、または200μm以下であり得る。具体的な例として、前記基材フィルムの厚さは20μm~500μmであり、より具体的には50μm~200μmであり得る。
【0227】
[ハードコート層]
前記実現例による積層フィルムは、選択的に前記基材フィルム100上にハードコート層をさらに含み得る。
【0228】
前記ハードコート層は上面および下面を備え、そのうち下面は前記基材フィルムと対面し、上面は外部に露出した最外郭面であり得る。また、前記ハードコート層の下面は、前記基材フィルムの一面と直接接触するか、または追加のコーティング層を介して前記基材フィルムの一面と接合され得る。一例として、前記ハードコート層は、前記基材フィルムの一面上に直接形成されたものであり得る。
【0229】
前記ハードコート層は、積層フィルムの機械的物性および/または光学物性を向上させ得る。また、前記ハードコート層は、防眩、防汚、帯電防止などの機能をさらに含み得る。
【0230】
前記ハードコート層は、ハードコート剤として、有機成分、無機成分、および有無機複合成分のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0231】
一例として、前記ハードコート層は有機樹脂を含み得る。具体的に、前記有機樹脂は、硬化性樹脂であり得る。これにより、前記ハードコート層は硬化性コート層であり得る。また、前記有機樹脂はバインダー樹脂であり得る。
【0232】
具体的に、前記ハードコート層は、ウレタンアクリレート系化合物、アクリルエステル系化合物およびエポキシアクリレート系化合物からなる群より選択される1種以上を含み得る。より具体的に、前記ハードコート層は、ウレタンアクリレート系化合物およびアクリルエステル系化合物を含み得る。
【0233】
前記ウレタンアクリレート系化合物は、ウレタン結合を繰り返し単位で含み、複数の官能基を有し得る。
【0234】
前記ウレタンアクリレート系化合物は、ジイソシアネート化合物とポリオールとが反応して形成されたウレタン化合物の末端がアクリレート基で置換されたものであり得る。例えば、前記ジイソシアネート化合物は、炭素数4~12の直鎖状、分枝状または環状の脂肪族ジイソシアネート化合物および炭素数6~20の芳香族ジイソシアネート化合物のうちの少なくとも1つを含み得る。前記ポリオールは、2~4個のヒドロキシ基(-OH)を含み、炭素数4~12の直鎖状、分枝状または環状の脂肪族ポリオール化合物または炭素数6~20の芳香族ポリオール化合物であり得る。前記アクリレート基による末端置換は、イソシアネート基(-NCO)と反応し得る官能基を有するアクリレート系化合物によって行われ得る。例えば、ヒドロキシ基、アミン基などを有するアクリレート系化合物が用いられ、炭素数2~10のヒドロキシアルキルアクリレートまたはアミノアルキルアクリレートが用いられ得る。
【0235】
前記ウレタンアクリレート系化合物は2~15個の官能基を含み得る。
【0236】
前記ウレタンアクリレート系化合物の例としては、重量平均分子量1400~25000の2官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量1700~16000の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量500~2000の4官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量818~2600の6官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量2500~5500の9官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量3200~3900の10官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量2300~20000の15官能ウレタンアクリレートオリゴマーなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0237】
前記ウレタンアクリレート系化合物のガラス転移温度(Tg)は、-80℃~100℃、-80℃~90℃、-80℃~80℃、-80℃~70℃、-80℃~60℃、-70℃~100℃、-70℃~90℃、-70℃~80℃、-70℃~70℃、-70℃~60℃、-60℃~100℃、-60℃~90℃、-60℃~80℃、-60℃~70℃、-60℃~60℃、-50℃~100℃、-50℃~90℃、-50℃~80℃、-50℃~70℃、または-50℃~60℃であり得る。
【0238】
前記アクリルエステル系化合物は、置換または非置換のアクリレートおよび置換または非置換のメタクリレートからなる群より選択される1種以上であり得る。前記アクリルエステル系化合物は、1~10個の官能基を含み得る。
【0239】
前記アクリルエステル系化合物の例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(TMPEOTA)、グリセリンプロポキシトリアクリレート(GPTA)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート(PETA)、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(DPHA)などが挙げられるが、これに制限されない。
【0240】
前記アクリルエステル系化合物の重量平均分子量は、500~6000、500~5000、500~4000、1000~6000、1000~5000、1000~4000、1500~6000、1500~5000、または1500~4000であり得る。前記アクリルエステル系化合物のアクリレート当量は、50g/eq~300g/eq、50g/eq~200g/eqまたは50g/eq~150g/eqであり得る。
【0241】
前記エポキシアクリレート系化合物は、1~10個の官能基を含み得る。前記エポキシアクリレート系化合物の例としては、重量平均分子量100~300の1官能エポキシアクリレートオリゴマー、重量平均分子量250~2000の2官能エポキシアクリレートオリゴマー、または重量平均分子量1000~3000の4官能エポキシアクリレートオリゴマーなどが挙げられるが、これに制限されない。前記エポキシアクリレート系化合物のエポキシ当量は、50g/eq~300g/eq、50g/eq~200g/eq、または50g/eq~150g/eqであり得る。
【0242】
前記有機樹脂の含有量は、前記ハードコート層の総重量を基準に30重量%~100重量%であり得る。具体的に、前記有機樹脂の含有量は、ハードコート層の総重量を基準に40重量%~90重量%または50重量%~80重量%であり得る。
【0243】
前記ハードコート層は、選択的にフィラーをさらに含むことができる。前記フィラーは、例えば無機粒子であり得る。前記フィラーの例としては、シリカ、硫酸バリウム、ジンクオキシドまたはアルミナなどが挙げられる。前記フィラーの粒径は1nm~100nmであり得る。具体的に、前記フィラーの粒径は、5nm~50nm、または10nm~30nmであり得る。前記フィラーは、互いに異なる粒径分布を有する無機フィラーを含み得る。例えば、前記フィラーは、D50が20nm~35nmの第1無機フィラーと、D50が40nm~130nmの第2無機フィラーとを含み得る。前記フィラーの含有量は、前記ハードコート層の総重量を基準に、25重量%以上、30重量%以上、または35重量%以上であり得る。また、前記フィラーの含有量は、前記ハードコート層の総重量を基準に、50重量%以下、45重量%以下、または40重量%以下であり得る。好ましくは、前記ハードコート層は、シリカなどの無機フィラーを含まなくてもよい。この場合、例えば、前記基材フィルムと前述の組成のハードコート層との間の接合力が向上され得る。
【0244】
前記ハードコート層は、光開始剤をさらに含み得る。前記光開始剤の例としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン、メチルベンゾイルホルメート、α,α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、2-ベンゾイル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド、またはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、市販の製品としては、Irgacure184、Irgacure 500、Irgacure 651、Irgacure 369、Irgacure 907、Darocur1173、Darocur MBF、Irgacure 819、Darocur TPO、Irgacure 907、Esacure KIP 100Fなどが挙げられる。前記光開始剤は、単独でまたは互いに異なる2種以上を混合して使用し得る。
【0245】
前記ハードコート層は、防汚剤をさらに含み得る。例えば、前記ハードコート層は、フッ素系化合物を含み得る。前記フッ素系化合物は、防汚機能を果たし得る。具体的に、前記フッ素系化合物は、パーフルオロアルキル基を有するアクリレート系化合物であり、具体例として、パーフルオロヘキシルエチルアクリレート(perfluorohexyl ethyl acrylate)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0246】
前記ハードコート層は、帯電防止剤をさらに含み得る。前記帯電防止剤は、イオン系界面活性剤を含み得る。例えば、前記イオン系界面活性剤は、アンモニウム塩または第4級アルキルアンモニウム塩などを含み、前記アンモニウム塩および第4級アルキルアンモニウム塩は、塩化物、臭化物などのハロゲン化物を含み得る。
【0247】
その外にも前記ハードコート層は、界面活性剤、UV吸収剤、UV安定剤、黄変防止剤、レベリング剤、または色値を改善するための染料などの添加剤をさらに含み得る。例えば、前記界面活性剤は、1~2官能性のフッ素系アクリレート、フッ素系界面活性剤またはシリコーン系界面活性剤であり得る。前記界面活性剤は、前記ハードコート層内に分散または架橋されている形態で含まれ得る。また、前記UV吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、またはトリアジン系化合物などが挙げられ、前記UV安定剤としては、テトラメチルピペリジン(tetramethyl piperidine)などが挙げられる。これらの添加剤の含有量は、前記ハードコート層の物性を低下させない範囲内で多様に調節され得る。例えば、前記添加剤の含有量は、前記ハードコート層の総重量を基準に0.01重量%~10重量%であり得るが、これに限定されるものではない。
【0248】
前記ハードコート層は、単一層または2つ以上の層から構成され得る。一例として、前記ハードコート層は単一層で形成され、積層フィルムの耐久性を増加させるとともに、指紋防止または汚染防止の機能を同時に果たし得る。
【0249】
前記ハードコート層の厚さは、2μm以上、3μm以上、5μm以上、または10μm以上であり、また、50μm以下、30μm以下、20μm以下、または10μm以下であり得る。例えば、前記ハードコート層の厚さは2μm~20μmであり得る。具体的に、前記ハードコート層の厚さは5μm~20μmであり得る。前記ハードコート層の厚さが薄すぎると、基材フィルムを保護するのに十分な表面硬度を有しないため、積層フィルムの耐久性が低下し、厚すぎると積層フィルムの柔軟性が低下し、また積層フィルムの全体厚さが増加して薄膜化に不利となり得る。
【0250】
したがって、前記ハードコート層は、有機系組成物、無機系組成物、および有無機複合組成物のうちの少なくとも1つを含むハードコート組成物から形成されたものであり得る。例えば、前記ハードコート組成物は、アクリレート系化合物、シロキサン化合物、またはシルセスキオキサン化合物のうちの少なくとも1つを含み得る。また、前記ハードコート層は無機粒子をさらに含み得る。具体的な一例として、前記ハードコート層は、ウレタンアクリレート系化合物、アクリルエステル系化合物、およびフッ素系化合物を含むハードコート組成物から形成されたものであり得る。
【0251】
前記ハードコート層は、ハードコート組成物が基材フィルム上に塗布され、乾燥および硬化して形成され得る。
【0252】
前記ハードコート組成物は、前述の有機樹脂、光開始剤、防汚添加剤、帯電防止剤、その他の添加剤および/または溶媒を含み得る。
【0253】
前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールのようなアルコール系溶媒;2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノールのようなアルコキシアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン系溶媒;プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルグリコールモノエチルエーテル、ジエチルグリコールモノプロピルエーテル、ジエチルグリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテルのようなエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族溶媒;などを、単独でまたは混合して使用し得る。
【0254】
前記有機溶媒の含有量は、コーティング組成物の物性を低下させない範囲内で多様に調節できるので特に制限されないが、前記ハードコート組成物に含まれる成分中の固形分に対して、固形分:溶媒の重量比が約30:70~約99:1になるように含まれ得る。前記溶媒が前記範囲にあるとき、適切な流動性および塗布性を有し得る。
【0255】
前記ハードコート組成物は、10重量%~30重量%の有機樹脂、0.1重量%~5重量%の光開始剤、0.01重量%~2重量%の防汚添加剤、および0.1重量%~10重量%の帯電防止剤を含み得る。前記組成によると、ハードコート層の機械的特性および防汚、帯電防止特性がともに向上され得る。
【0256】
前記ハードコート組成物は、バーコーティング、ナイフコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、ダイコーティング、マイクログラビアコーティング、コンマコーティング、スロットダイコーティング、リップコーティング、溶液キャスティング(solution casting)などにより基材フィルム上に塗布され得る。
【0257】
その後、乾燥工程により前記ハードコート組成物に含まれている有機溶媒が除去され得る。前記乾燥工程は、40℃~100℃、好ましくは40℃~80℃、50℃~100℃、または50℃~80℃の温度条件で行われ、約1分~20分、好ましくはは1分~10分または1分~5分間行われ得る。
【0258】
その後、前記ハードコート組成物は、光および/または熱によって硬化し得る。
【0259】
(実施例)
以下に記述される実施例は、理解を容易にするためのものであるのみ、実現可能な範囲がこれらに限定されるものではない。
【0260】
[プライマー組成物の製造]
(製造例1)
ポリエステルアクリレート樹脂(2官能性、Mw:3800~4000、MIRAMER PS2500(Miwon Commercial社)およびN,N-ジメチルアクリルアミド(CAS 2680-03-7)を100:20の重量比で混合し、前記混合物100重量部を基準に5重量部の光開始剤(I-184、BASF社)を添加した。その後、溶媒としてメチルイソブチルケトン(MIBK)を用いて3重量%の固形分含有量となるように希釈してプライマー組成物(A-Primer 20)を得た。
【0261】
(製造例2)
ポリエステルアクリレート樹脂およびジメチルアクリルアミドを100:15の重量比で混合したことを除いては、前記製造例1の手順通りにして、プライマー組成物(A-Primer 15)を得た。
【0262】
(比較製造例1)
下記表1の組成で配合してプライマー組成物(F-Primer)を得た。
【0263】
【表1】
【0264】
[積層フィルムの製造]
(実施例1)
段階1)基材フィルムのプライマー処理
前記製造例1で得たプライマー組成物(A-Primer 20)を厚さ50μmの透明ポリイミド系フィルム(TPI、SKC社)の一面にコーティングし、120℃オーブンで5分間乾燥後、約500mJの光量でUV硬化を行い、約100nm厚のプライマー層を形成した。
【0265】
段階2)押出ラミネーション
ポリエーテル-ブロック-アミド樹脂(Arkema Pebax Rnew 72R53、Arkema社)を押出機に入れ、約240℃にて押出し、前記基材フィルム上に形成されたプライマー層上でキャスティングしてラミネーションした。ラミネーションのために約5000kPaの圧力を加え、その結果、基材フィルム上にプライマー層を介して厚さ50μmのPEBA層が形成された積層フィルムを得た。
【0266】
(実施例2)
プライマー層の形成のために、前記製造例2で得たプライマー組成物(A-Primer 15)を用いたことを除いては、前記実施例1の手順通りで積層フィルムを製造した。
【0267】
(比較例1)
厚さ50μmの透明ポリイミド系フィルム(TPI、SKC社)を別途のプライマー処理をせず、前記実施例1の段階2の手順通りにPEBAフィルムとラミネーションして積層フィルムを製造した。
【0268】
(比較例2)
プライマー層の形成のために、前記比較製造例1で得たプライマー組成物(F-Primer)を用いたことを除いては、前記実施例1の手順通りにして、積層フィルムを製造した。
【0269】
以上により製造されたフィルムの層構成を下記表2にまとめた。
【0270】
【表2】
【0271】
(試験例1:剥離試験(接着力))
積層フィルムサンプルを長さ5cm、幅1cmに裁断し、剥離試験機で180°剥離しながら層間接着力を測定した。図4を参照して、剥離試験機20上に積層フィルムサンプル10aの基材フィルム面を貼り付け、PEBAフィルム面をロードセルに貼り付けて、サンプルの長さ方向に沿って180°の角度(a)で剥離を進めた。その結果、剥離は、主に基材フィルムに形成されたプライマー層とPEBAフィルムとの界面(またはプライマー層がない場合は基材フィルムとPEBAフィルムとの界面)で発生しており、剥離中にロードセルにかかる荷重(N)を測定した。剥離試験は、180°の角度、300mm/分の速度、および常温(約25℃)の条件で行われた。
【0272】
(試験例2:接着力の経時変化)
積層フィルムサンプルに対して、前記試験例1と同様の方法で剥離試験を行って初期接着力を測定し、96時間(4日)または240時間(10日)の間常温(約25℃)および50%RH条件で保管後に最終接着力を測定した。接着力測定を5つのサンプルに対して行った後、最も高い値と最も低い値を除いた3つの平均値を算出した。その結果を下記表3にまとめた。
【0273】
接着力変化率(%)=[(AINT-AFIN)/AINT]×100
(AINTは、前記条件の保管前の前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力(gf/inch)であり、AFINは、前記条件の保管後の前記基材フィルムおよび前記弾性層間の接着力(gf/inch)である)
【0274】
(試験例3:フォールディング試験)
積層フィルムサンプルを長さ12cmおよび幅4cmに裁断してフォールディング試験機に装着し、繰り返しフォールディングンの際に層間剥離が発生するか否かを確認した。フォールディング試験は、1.5Rの曲率半径、1回/秒のフォールディング速度でインフォールディング(基材フィルムが内側にフォールディング)またはアウトフォールディング(基材フィルムが外側にフォールディング)を繰り返し行った。試験結果、インフォールディングの場合、20万回以上の繰り返しフォールディングの際にも全て層間剥離がなく、アウトフォールディングの場合、10万回以上の繰り返しフォールディングの際にも全て層間剥離がなく、クラックが発生しない場合に良好であると判定した。
以上の試験結果を下記表3に示す。
【0275】
【表3】
【0276】
前記表3から分かるように、積層構成およびプライマー層の組成が調整された実施例の積層フィルムは、層間接着力に優れるとともに、繰り返しフォールディング耐久性に優れ、フォルダブルディスプレイカバーウィンドウに適用するのに好適であることを確認した。一方、比較例の積層フィルムは、層間接着力が低調であり、繰り返しフォールディング耐久性も不足していた。また、比較例の積層フィルムに比べて実施例の積層フィルムは、時間の経過に伴う接着力の変化が少なかった。
【符号の説明】
【0277】
1:ディスプレイ装置
1a:インフォールディングタイプのフレキシブルディスプレイ装置
1b:アウトフォールディングタイプのフレキシブルディスプレイ装置
2:剥離試験機
3:フォールディング試験機
10:積層フィルム(カバーウィンドウ)
10a:サンプル
20:ディスプレイパネル
30:基板
40:フレーム
100:基材フィルム
200:プライマー層
300:弾性層
N:荷重
p1、p2:フォールディングされるポイント
a:剥離角度
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】