(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】光線力学療法組成物及びその療法での治療の方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/409 20060101AFI20240711BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240711BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20240711BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240711BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240711BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240711BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240711BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240711BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240711BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240711BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240711BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240711BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240711BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240711BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240711BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A61K31/409
A61K9/06
A61K41/00
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/24
A61K47/10
A61K47/02
A61P17/00
A61P17/00 101
A61P17/02
A61P31/00
A61P31/10
A61P31/04
A61P43/00 125
A61K45/00
A61K47/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503365
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 US2022037734
(87)【国際公開番号】W WO2023003960
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2021/049928
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523084927
【氏名又は名称】ピナクル バイオロジクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クッチェラ,グレン,エム.
(72)【発明者】
【氏名】マン,トーマス,エス.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076DD21
4C076DD23
4C076DD38N
4C076DD55N
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4C084ZA891
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4C084ZB321
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4C086MA05
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4C086NA10
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZA90
4C086ZB32
4C086ZB35
(57)【要約】
日光暴露皮膚、創傷及び微生物感染の治療を対象とする組成物及び方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光増感剤と1つ以上のゲル化剤とを含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記光増感剤が、ポルフィリン、クロリン(HPPH;NPe6;テモポルフリン(Temoporfrin)(Foscan)、mTHPC))、ならびにバクテリオクロロフィルポルフィソーム、亜鉛ピロフェオホルビドポルフィソーム及びピロフェオフィオルビド(pyropheophyorbide)ポルフィソーム等のピロフェオホルビドナノ小胞にあるようなポルフィソーム、ならびにクロリン様化合物(ベンゾポルフィリン;ベルテポルフィン、バクテリオクロリン及びフタロシアニン、プルプリン(エチルエチオプルプリンすず);メタロポルフィリン(テキサフィリン);フェオホルビド(TOOKAD);プロトポルフィリン(Levulan、Metvix、5-ALA(PpIX))、ならびに非ポルフィリン系光増感剤、例えば、フェノチアジニウム塩、例えば、メチレンブルー、トルイジンブルー、ナイルブルー、シアニン、ヒペリシン及びカルコゲンピリリウム色素;PPA904;ベンゾフェノチアジニウム色素EtNBS;フルオレセイン及びローズベンガルが含まれるキサンテンクラスの蛍光色素;フラーレン(極性ジセリノール基または第四級ピロリジニウム基に結合したC60フラーレン);スクアラオゲニン(Squaraogenine)、BODIPY(ホウ素-ジピロメテン)色素、フェナレノン;ヒペリシン、ヒポクレリン、リボフラビン、クルクミン、二酸化チタン及びポルフィマーナトリウム(Photofrin(登録商標))、からなる群のうち1つ以上から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記光増感剤がポルフィマーナトリウムである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記ポルフィマーナトリウムが、約0.01重量%~約1.0重量%、または約0.05重量%~約0.7重量%、または約0.1重量%~約0.5重量%、または約0.15重量%~約0.3重量%の範囲の量である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記ポルフィマーナトリウムが、0.4重量%~0.6重量%の範囲の量である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ゲル化剤が、カルボマー、架橋、ポリアクリル酸、レシチン-PLO等のレシチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群のうちの1つ以上から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
少なくとも1つのゲル化剤はカルボマーである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記ゲル化剤が、ポリアルケニルエーテルまたはジビニルグリコールと架橋したアクリル酸のポリマーである、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記カルボマーがCarbopolポリマーである、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記ゲル化剤が、約0.5重量%~約3.0重量%、または約0.7重量%~約2.0重量%、または約0.8重量%~約1.2重量%の範囲の量である、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記ゲル化剤が、約1重量%からの範囲の量である、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物が1つ以上の透過促進剤をさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記透過促進剤が、プロピレングリコールSR、ポリエチレングリコール400SR、ポリエチレングリコール300LA、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及びポリソルベート80SRからなる群のうち1つ以上から選択される、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記1つ以上の透過促進剤が、プロピレングリコールSR、ジメチルスルホキシド、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群から選択される、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記1つ以上の透過促進剤が、約55.0重量%~約85重量%、または約60重量%~約80重量%、または約65重量%~約75重量%の範囲の量である、請求項12~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記医薬組成物が、光増感剤、ゲル化剤、1つ以上の透過促進剤、保水剤、可溶化剤/界面活性剤、及び保存剤を含む、請求項12~15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
i)前記保水剤が、約10重量%~約20重量%の範囲、または約15重量%の量であり、
ii)前記可溶化剤/界面活性剤が、1.0重量%~約5重量%、もしくは約1%~約3%、もしくは約2%の範囲の量であり、及び/または
iii)前記保存剤が、0.5重量%~約5重量%、もしくは約0.5重量%~約2重量%、もしくは約1重量%~約3重量%の範囲の量である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記医薬組成物が局所製剤である、請求項1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記局所製剤がポルフィマーナトリウムを含み、実施例7に記載されているような条件下でヒトの皮膚に適用される場合、少なくとも0.03%の前記ポルフィマーの表皮保持をもたらす、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記局所製剤がポルフィマーナトリウムを含み、対象の無傷のヒト皮膚に適用される場合、少なくとも0.03%(パーセント)の前記ポルフィマーを前記対象の表皮から真皮への層に提供する、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記組成物が、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が20%未満である、請求項19または20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
ポルフィマーナトリウム及び1つ以上の薬学的な許容される賦形剤を含む医薬局所製剤であって、対象の感染領域、または創傷に適用される場合、少なくとも0.03%の前記ポルフィマーを前記対象の真皮に提供する、前記医薬局所製剤。
【請求項23】
前記局所製剤が、少なくとも0.04%の前記ポルフィマーの表皮保持をもたらす、請求項19に記載の医薬局所製剤。
【請求項24】
前記組成物が、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が20%未満である、請求項22または23に記載の医薬局所製剤。
【請求項25】
前記医薬局所製剤が、ゲル化剤、1つ以上の透過促進剤をさらに含む、請求項22~24のいずれか1項に記載の医薬局所製剤。
【請求項26】
光増感剤、1つ以上のゲル化剤、及びPDTの増強剤を含む、医薬組成物。
【請求項27】
前記PDTの増強剤が、アジ化ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、臭化ナトリウム及びヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化ナトリウム及びセレノシアン酸カリウム(KSeCN)からなる群のうち1つ以上から選択される、請求項26に記載の医薬組み合わせ。
【請求項28】
前記PDTの増強剤がヨウ化カリウムである、請求項27に記載の医薬組み合わせ。
【請求項29】
前記ヨウ化カリウムが、約0.5重量%~約5重量%、約1.0重量%~約3重量%、または約1.3重量%~約2重量%の範囲の量である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記ヨウ化カリウムが、約1.66重量%の量である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記光増感剤が、ポルフィリン、クロリン(HPPH;NPe6;テモポルフリン(Foscan)、mTHPC))、ならびにバクテリオクロロフィルポルフィソーム、亜鉛ピロフェオホルビドポルフィソーム及びピロフェオフィオルビドポルフィソーム等のピロフェオホルビドナノ小胞にあるようなポルフィソーム、ならびにクロリン様化合物(ベンゾポルフィリン;ベルテポルフィン、バクテリオクロリン及びフタロシアニン、プルプリン(エチルエチオプルプリンすず);メタロポルフィリン(テキサフィリン);フェオホルビド(TOOKAD);プロトポルフィリン(Levulan、Metvix、5-ALA(PpIX))、ならびに非ポルフィリン系光増感剤、例えば、フェノチアジニウム塩、例えば、メチレンブルー、トルイジンブルー、ナイルブルー、シアニン、ヒペリシン及びカルコゲンピリリウム色素;PPA904;ベンゾフェノチアジニウム色素EtNBS;フルオレセイン及びローズベンガルが含まれるキサンテンクラスの蛍光色素;フラーレン(極性ジセリノール基または第四級ピロリジニウム基に結合したC60フラーレン);スクアラオゲニン(Squaraogenine)、BODIPY(ホウ素-ジピロメテン)色素、フェナレノン;ヒペリシン、ヒポクレリン、リボフラビン、クルクミン、二酸化チタン及びポルフィマーナトリウム(Photofrin(登録商標))、からなる群のうち1つ以上から選択される、請求項26~30のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記光増感剤がポルフィマーナトリウムである、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記ポルフィマーナトリウムが、約0.01重量%~約1.0重量%、または約0.05重量%~約0.7重量%、または約0.1重量%~約0.5重量%、または約0.15重量%~約0.3重量%の範囲の量である、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記ポルフィマーナトリウムが、0.01重量%~1.0重量%、または0.05重量%~0.7重量%、または0.1重量%~0.5重量%の範囲の量である、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記ポルフィマーナトリウムが、0.4重量%~0.6重量%の範囲の量である、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記ゲル化剤が、カルボマー、架橋、ポリアクリル酸、レシチン-PLO等のレシチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群のうちの1つ以上から選択される、請求項26~35のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
少なくとも1つのゲル化剤はヒドロキシプロピルセルロースである、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記ゲル化剤が、約0.5重量%~約3.0重量%、または約0.7重量%~約2.0重量%、または約0.8重量%~約1.2重量%の範囲の量である、請求項26~37のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記ゲル化剤が、約1重量%からの範囲の量である、請求項26~38のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記医薬組成物が1つ以上の透過促進剤をさらに含む、請求項26~39のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記透過促進剤が、プロピレングリコールSR、ポリエチレングリコール400SR、ポリエチレングリコール300LA、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、及びポリソルベート80SRからなる群のうち1つ以上から選択される、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記1つ以上の透過促進剤が、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びジメチルスルホキシドからなる群から選択される、請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記透過促進剤が、約55.0重量%~約85重量%、または約60重量%~約80重量%、または約65重量%~約75重量%の範囲の量である、請求項38~41のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記医薬組成物が、光増感剤、ヨウ化カリウム、ゲル化剤、1つ以上の透過促進剤、保水剤、及び保存剤を含む、請求項26~43のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記医薬組成物が、界面活性剤、抗酸化剤をさらに含む、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項46】
i)前記保水剤が、約10重量%~約20重量%の範囲、または約15重量%の量であり、
ii)前記保存剤が、0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約2重量%、または約1重量%~約3重量%の範囲の量である、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項47】
i)前記界面活性剤が、約1重量%~約3重量%、もしくは約2重量%の範囲の量であり、及び/または
ii)前記抗酸化剤が、0.5重量%~約1.5重量%、もしくは約1.0重量%の範囲の量である、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項48】
溶媒をさらに含む、請求項26~47のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項49】
前記溶媒が、約0.5重量%~約1.5重量%の範囲、または約1重量%の量である、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
前記医薬組成物が局所製剤である、請求項26~46のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記組成物が、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が20%未満である、請求項46~50のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項52】
対象における日光暴露皮膚を治療するための方法であって、前記方法は、それを必要とする前記対象に、請求項1~51のいずれか1項に記載の任意の医薬組成物を投与することを含み、前記組成物は、前記日光暴露皮膚に適用され、光が前記日光暴露皮膚に当てられる、前記方法。
【請求項53】
前記光は、波長が約380nm~約850nmの範囲である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記光は、波長が約630nmである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
治療される前記日光暴露皮膚は、慢性日光暴露皮膚、皺、色素斑、肝斑、日光角化症、脂漏性角化症、光損傷皮膚、ざ瘡、イボ、及び乾癬からなる群のうちの1つ以上から選択される、請求項52~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記対象が、前記光が前記日光暴露皮膚に当てられた際に、疼痛を被ることがない、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が、前記光が前記日光暴露皮膚に当てられた際に、疼痛の視覚的アナログスケールに従った疼痛を被ることがない、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
前記対象が、前記光が前記日光暴露皮膚に当てられた際に、疼痛の視覚的アナログスケールに従った2、1、またはそれより低いレベルの疼痛を被る、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記組成物が、前記対象の皮膚または創傷に15分間または30分間適用され、光が5~25分間当てられる、請求項55~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記組成物が、実施例6~11のいずれか1つに提供される通りに前記対象に適用される、請求項55~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記対象が、前記日光暴露皮膚に対する治療による浮腫またはそう痒症を発症しない、請求項55~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記対象が、前記日光暴露皮膚に対する前記治療による上記前処理スコア1より大きい紅斑病変を発症しない、請求項55~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記対象が、前記日光暴露皮膚対する前記治療による、紅斑スケールに従った1または2よりも高い紅斑病変を発症しない、請求項55~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記組成物が、前記対象の皮膚または創傷に15分間または60分間適用され、光が5分~25分間当てられる、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記組成物が、実施例6~11のいずれか1つに提供される通りに前記対象に適用される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記対象が、日光角化症に対して治療される、請求項52~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記対象が、脂漏性角化症に対して治療される、請求項52~65のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月10日に出願されたPCT出願第PCT/US2021/049928号、及び2021年7月20日に出願された仮出願第63/223,835号、及び2021年7月20日に出願された仮出願第63/223,8359号に対する優先権を主張するものであり、それらの開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
日光角化症(AK)は、一般に、罹患者の顔または前腕などの日光暴露領域上の病変として存在する前悪性の皮膚病変である。日光角化症は、米国及び世界的にも高頻度に見られる。40歳超の素因のある人の60%が少なくとも1つのAKに罹患したと推定されている。AKは、治療を受けなければ重篤な疾患に発展する可能性がある。例えば、AKは、症例の0.025%~16%で扁平上皮癌に発展すると推定されている。従って、検出された場合はAKの治療が推奨される。
【0003】
日光暴露皮膚は、色素斑、肝斑、及び一般的な光線性皮膚障害を含む、追加の損傷皮膚を引き起こす可能性があり、これらも治療することができる。AK及び日光暴露皮膚の治療法が存在し、例えば、除去処置(手術、レーザアブレーション、掻爬術、凍結療法)及び局所アミノラウリン酸(5-ALAまたはmel-ALA)を用いた光線力学療法(PDT)が挙げられる。光線力学療法(PDT)では、非毒性光増感剤(PS)と低強度の非温熱可視光の使用を組み合わせており、酸素の存在下で細胞傷害性種の生成をもたらす。PDTは、米国(US)及び他の多くの国々で、ある特定の悪性腫瘍及び他の疾患の治療での使用に長らく承認されてきた。初期の研究により、米国における臨床使用についての初のFDA承認PSであるポルフィマーナトリウム(Photofrin(登録商標),Concordia Laboratories Inc.)の開発に至った。この治療法の開発以来、PDTの使用が数多く提案及び評価されてきた。色素と光活性化の組み合わせはインビトロで細菌、ウイルス及び真菌に適用されているが、この技術はインビボで再現することが困難であったため、現在、米国では、そのような技術を用いてのインビトロで細菌、ウイルス及び真菌、または日光暴露によって引き起こされる損傷皮膚などのその他の適応症を治療するため、特に日光暴露の皮膚を治療するための使用については承認されていない。
【0004】
したがって、日光暴露によって引き起こされる損傷皮膚の効果的な光線力学的治療のための組成物及びその使用方法を開発する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、本開示は、光増感剤と1つ以上のゲル化剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示は、ポルフィマーナトリウムと1つ以上の薬学的な許容される賦形剤とを含む医薬局所製剤を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象における日光暴露によって引き起こされる損傷皮膚などの、損傷皮膚を治療するための方法を提供し、本方法は、それを必要とする対象に本明細書に開示される任意の医薬組成物または医薬製剤を投与することを含み、組成物は損傷皮膚または慢性日光暴露皮膚に適用され、光が損傷皮膚または慢性日光暴露皮膚に当てられる。特定の実施形態では、治療される日光暴露皮膚は、慢性日光暴露皮膚、皺、色素斑、肝斑、日光角化症、脂漏性角化症、光損傷皮膚、ざ瘡、イボ、及び乾癬からなる群のうちの1つ以上から選択される。特定の実施形態では、治療される日光暴露皮膚は、日光角化症である。
【0008】
別の実施形態では、対象は、光が日光暴露皮膚に当てられた際に、疼痛を被ることがない。別の実施形態では、対象は、光が日光暴露皮膚に当てられた際に、疼痛の視覚的アナログスケールに従った疼痛を被ることがない。
【0009】
別の実施形態では、対象は、日光暴露皮膚に対する治療から浮腫またはそう痒症を発症しない。別の実施形態では、対象は、日光暴露皮膚に対する治療から紅斑病変を発症しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例3に概説されている安定性試験における各製剤、製剤2、製剤3、製剤4、及び製剤5の表皮でのポルフィマーナトリウムの集積を示す。
【
図2】ポルフィマーナトリウム、PpIX及びmTHPCの波長活性域を示す。
【
図3】25℃/60%RHでの製剤7A、7B、及び7Cの安定性試験の結果を示す。
【
図4】40℃/75%RHでの製剤7A、7B、及び7Cの安定性試験の結果を示す。
【
図5】5℃での製剤7A、7B、及び7Cの安定性試験の結果を示す。
【
図6】25℃/60%RHでの製剤7D、7E、及び7Fの安定性試験の結果を示す。
【
図7】40℃/75%RHでの製剤7D、7E、及び7Fの安定性試験の結果を示す。
【
図8】5℃での製剤7D、7E、及び7Fの安定性試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一態様では、本開示は、疼痛、浮腫、そう痒症及び/または紅斑の最小化などの有害な副作用の最小化を伴う日光角化症の治療を含む、対象における慢性日光曝露によって引き起こされる損傷皮膚の光線力学的治療のための組成物及び方法を提供する。
【0012】
定義
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本開示の技術分野の当業者が共通して理解する意味を有する。以下の参考文献では、本開示で使用される用語の多くについての一般定義が当業者に提供されている:Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(2nd ed.1994)、The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker ed.,1988)、The Glossary of Genetics,5th Ed.,R.Rieger et al.(eds.),Springer Verlag(1991)、及びHale & Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)。本明細書で使用される場合、以下の用語は、他に明記しない限り、下記でそれらに与えられている意味を有する。
【0013】
本明細書で使用される場合、本記載及び特許請求の範囲で使用される「含む(comprise)」という動詞及びその変形は、その非限定的な意味で使用され、その語に続く項目が含まれるが、具体的に言及されていない項目が除外されるわけではないことを意味する。本開示は、特許請求の範囲に記載のステップ、要素、及び/または試薬を好適に「含む(comprise)」か、それら「からなる(consist of)」か、またはそれらから「本質的になって(consist essentially of)」よい。
【0014】
具体的に記述されるかまたは文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、用語「または」は包括的であることが理解される。具体的に記述されるかまたは文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、用語「a」、「an」、及び「the」は、単数または複数であることが理解される。
【0015】
本明細書全体を通して、用語「約」及び/または「おおよそ」は、数値及び/または範囲と組み合わせて使用され得る。用語「約」は、記述された値に近い値を意味すると理解される。さらに、「約[値]未満」または「約[値]より大きい」という語句は、本明細書で提供される用語「約」の定義を考慮して理解されるべきである。用語「約」及び「おおよそ」は同じ意味で使用され得る。
【0016】
本明細書に開示されるように、「光線力学療法」または「PDT」では、化学的光増感剤または無毒性の光活性化可能色素、非温熱可視光、及び活性酸素の使用を伴う。この療法は、(光増感剤を介して光として吸収された)エネルギーが酸素分子に移動して、細胞にとって有害な、一重項酸素及びスーパーオキシド等の極めて反応性の高いものへの媒介を生じさせることに基づいている。光線力学療法では、特定の波長の低出力可視光で光増感剤を始動させるための光源を必要とする。ほとんどの光学的光増感剤は、0.2cm~2.5cmの光透過深さに相当する380nm~850nmの波長の光によって駆動する。
【0017】
本明細書に開示されるように、PDTでは、可視光または近赤外光の吸収によって活性化されて最初に励起一重項状態を形成し、その後、寿命の長い励起三重項状態へと遷移する、「光増感剤」または「PS」を使用する。この三重項状態は、酸素の存在下で光化学反応を起こして、病原性微生物を破壊する及び/または損傷皮膚を治療することができる活性酸素種(一重項酸素を含む)を形成することができる。PDTの二重特異性は、感染組織におけるPSの集積に依存し、局部的な光送達にも依存している。本明細書に開示されるように、PSには、ポルフィリン系光増感剤及びテトラピロール構造、例えば、ポルフィリン、クロリン(HPPH;NPe6;テモポルフリン(Temoporfrin)(Foscan)、mTHPC))、ならびにバクテリオクロロフィルポルフィソーム、亜鉛ピロフェオホルビドポルフィソーム及びピロフェオフィオルビド(pyropheophyorbide)ポルフィソーム等のピロフェオホルビドナノ小胞にあるようなポルフィソーム、ならびにクロリン様化合物(ベンゾポルフィリン;ベルテポルフィン、バクテリオクロリン及びフタロシアニン、プルプリン(エチルエチオプルプリンすず);メタロポルフィリン(テキサフィリン);フェオホルビド(TOOKAD);プロトポルフィリン(Levulan、Metvix、5-ALA(PpIX))、ならびに非ポルフィリン系光増感剤、例えば、フェノチアジニウム塩、例えば、メチレンブルー、トルイジンブルー、ナイルブルー、シアニン、ヒペリシン及びカルコゲンピリリウム色素;PPA904;ベンゾフェノチアジニウム色素EtNBSが含まれ得るが、これらに限定されず、また、PSには、フルオレセイン及びローズベンガルが含まれるキサンテンクラスの蛍光色素;フラーレン(極性ジセリノール基または第四級ピロリジニウム基に結合したC60フラーレン)の他、スクアラオゲニン(Squaraogenine)、BODIPY(ホウ素-ジピロメテン)色素、フェナレノン;ヒペリシン、ヒポクレリン、リボフラビン、クルクミン、二酸化チタンを含めることもできる。本明細書で使用される場合、好ましいPSはポルフィマーナトリウム(Photofrin(登録商標))である。
【0018】
本明細書に開示されるように、「PDTの増強剤」とは、例えば、PDTに対して増強作用を有するヨウ化カリウム(KI)を指す。例えば、後に光で励起される微生物細胞とPSの混合物にKIを加えることにより、多くの対数単位のさらなる微生物の殺傷を得ることができる。ポルフィマーナトリウムにKIを加えることで、広いスペクトルのPDTを可能にする。本明細書に開示されるように、PDTの増強剤には、アジ化ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、臭化ナトリウム及びヨウ化カリウム、ナトリウム及びヨウ化物、ならびにセレノシアン酸カリウム(KSeCN)等の無機塩が含まれ得る。いくつかの実施形態では、PDTの増強剤はヨウ化カリウム(KI)である。
【0019】
投与が企図される「対象」という用語には、ヒト(すなわち、あらゆる年齢群の男性もしくは女性、例えば、小児対象(例えば、乳児、小児、青年)もしくは成人対象(例えば、若年成人、中年成人もしくは高齢成人))及び/または他の霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル);ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、及び/またはイヌ等の商業上関連する哺乳類が含まれる哺乳類;及び/または、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、及び/またはシチメンチョウ等の商業上関連する鳥類が含まれる鳥類が含まれるが、これらに限定されない。好ましい対象はヒトである。
【0020】
用語「治療すること」とは、対象における状態の少なくとも1つの症状を、軽減すること、緩和すること、遅延させること、低下させること、改善すること、または管理することのうちの1つ以上を意味する。用語「治療すること」はまた、状態を停止させること、状態の発症(すなわち、状態の臨床症状の前の期間)を遅延させること、または状態の発症もしくは悪化のリスクを低下させることのうちの1つ以上も意味し得る。
【0021】
用語「管理すること」には、上記で定義されているような治療的処置が含まれる。管理することには、当該技術分野で公知の方法によって決定される感染の定常状態レベルを達成することが含まれる。定常状態には、感染症(複数可)の重症度、感染症(複数可)の大きさ及び位置、感染症(複数可)中に存在する各種微生物病原体の数、抗生物質に耐性(tolerant)または耐性(resistant)である微生物病原体の量、本明細書に開示されるPS組成物を用いた場合等の治療に対する反応の程度、バイオフィルムの形成及び低減の程度、ならびに対象が経験した副作用、のうちの1つ以上の評価が含まれ得る。感染症の管理中、感染症は、重症度、感染の量もしくは程度、対象が経験した副作用の量、または対象の転帰の他の兆候において、増大から軽減へ変動する場合がある。ある期間、例えば、数日、数か月、または数年等にわたり、感染の臨床経過が改善したか、静菌性であるか、または悪化したかを評価するための上記要因の評価によって感染の管理の程度を決定することができる。いくつかの実施形態では、感染症を管理することには、他の場合には薬物耐性(tolerant)であるかまたは薬物耐性(resistant)である微生物病原体(複数可)の治療の成功が含まれる。
【0022】
本明細書に開示されるように、「日光暴露皮膚」は、顕著な慢性日光暴露、皺、色素斑、日光誘発ほくろ、脂漏性角化症、及び/または日光角化症などの日光損傷皮膚を有する、対象の任意の皮膚または身体領域を意味する。
【0023】
損傷の「重症度を軽減する」という用語は、任意の測定可能な基準に基づく損傷皮膚または慢性日光暴露皮膚の臨床経過の改善を指す。そのような基準は、日光角化症または光損傷皮膚などの損傷した皮膚の程度を減少させるなどの測定可能な指標を含むことができる。いくつかの実施形態では、日光角化症などの損傷皮膚、または光損傷皮膚もしくは日光曝露皮膚の重症度の軽減は、臨床徴候及び症状の改善を測定することによって決定される。例えば、日光角化症の重症度を軽減することは、例えば、荒れた皮膚パッチ及び/または鱗状の皮膚パッチを軽減し得る。いくつかの実施形態では、例えば、重症度を軽減することには、対象が症状の管理の成功に入るよう、症状の着実な低下を停止させることを伴う。他の実施形態では、重症度を軽減することにより、日光暴露皮膚の実質的から完全な治療がもたらされ得る。
【0024】
「有効量」とは、本明細書で使用される場合、所望の生物学的効果を達成するのに十分である量を指す。「治療的有効量」とは、本明細書で使用される場合、所望の治療効果を達成するのに十分である量を指す。例えば、治療有効量は、損傷皮膚または日光暴露皮膚の少なくとも1つの徴候または症状を改善するのに十分である量を指すことができる。
【0025】
「薬学的に許容される」という表現は、本明細書では、正当な医学的判断の範囲内で、過渡の毒性、刺激、アレルギー反応、もしくは他の問題または合併症を伴うことなく対象の組織と接触する使用に好適であり、妥当なベネフィット/リスク比に見合う、化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指すために使用される。
【0026】
治療方法に対する「反応」には、特に、好ましくない徴候及び症状の減少または改善、感染症またはその症状の進行の低下、有益な症状または臨床転帰の増加、副作用の軽減、疾患または適応の安定化、及び疾患または適応の部分的または完全な治療を含めることができる。
【0027】
「抗生物質感受性(susceptibility)または感受性(sensitivity)」とは、細菌が所与の抗生物質によって首尾よく治療されるかどうかを指す。同様に、「抗真菌薬感受性(susceptibility)または感受性(sensitivity)」とは、真菌が所与の抗生物質によって首尾よく治療されるかどうかを指す。感受性(susceptibility)の試験は、Kirby-Bauer法、Stokes法及び寒天ブロス希釈法等の当該技術分野で公知の方法によって実施することができる。細菌を死滅させること、または細菌が増殖するのを防ぐことにおける抗生物質の有効性はそれぞれ、ウェーハ、寒天、またはブロス培養等の培地での細菌増殖の、量が減少している領域として、または量が安定している領域として観察され得る。
【0028】
「抗微生物薬耐性(Antimicrobial resistance)」とは、ある微生物が、かつてはその微生物を首尾よく治療できた薬剤の作用に抵抗する能力を指す。複数の抗微生物薬に対して耐性である微生物は、多剤耐性(MDR)と呼ばれる。耐性は、特定の種類の細菌の自然耐性、遺伝子変異、またはある種が別の種から耐性を獲得する、という3つの機序のうち1つを介して生じる。変異は、薬物の不活性化、薬物の結合部位の変化、代謝経路の変化、及び薬物透過性の低下をもたらし得る。
【0029】
本明細書で使用される場合、本開示のPS組成物への言及を伴う「抗菌活性」、「抗真菌活性」及び「抗微生物活性」という用語は、特定の微生物を死滅させる能力及び/またはその増殖もしくは生殖を阻害する能力を指す。ある特定の実施形態では、抗菌活性または抗微生物活性は、細菌、例えば、グラム陽性菌(例えば、S.aureus)、グラム陰性菌(例えば、Moraxella catarrhalis)もしくはグラム陽性にもグラム陰性にも分類されない非定型細菌、または真菌(例えば、C.albicans)を、標準的技術に従って(例えば、液体培養または寒天プレートで)培養すること、培養物を本開示のPS組成物と接触させること、及び前記接触させることの後、細胞増殖をモニタリングすることにより評価される。例えば、液体培養では、細菌を、培養物の指数関数的増殖の中点を代表する光学濃度(「OD」)まで増殖させてよく、培養物を、1つ以上の濃度の1つ以上の本開示のPS化合物またはそのバリアントに曝露し、対照培養物に対するODをモニターする。対照培養物に対するOD低下は、抗菌活性(例えば、溶解性殺活性を示す)を表す。同様に、寒天プレート上に細菌コロニーを形成させ、プレートを本開示のPS組成物またはそのバリアントに曝露し、その後のコロニーの増殖を対照プレートに対して評価することができる。コロニーサイズの減少、またはコロニー総数の減少は、抗菌活性を示す。
【0030】
「バイオフィルム」は、細胞が、細胞同士で接着し、しばしば表面にも接着する、微生物の任意の栄養共生共同体を指す。これらの接着性細胞は、細胞外高分子物質(EPS)で構成される粘液性の細胞外マトリックス内部に包埋される。バイオフィルム形成時、抗生物質に対する微生物の耐性は、浮遊細菌のそれと比較して最大1000倍高い。細菌凝集体は、横方向に整列した細胞のクラスターであり、より複雑で密度の高い3D構造を有するバイオフィルムの発達を開始させることができる。いくつかの実施形態では、バイオフィルムは、細菌(例えば、Moraxella catarrhalis及びStaphylococcus aureus)の1つ以上の種及び/または1つ以上の異なる門(例えば、細菌及び真菌)を含み得る。
【0031】
用語「感染症」は、本明細書ではその最も広い意味で使用され、微生物細菌感染または真菌感染によって生じるような任意の感染症を指す。そのような感染症の例は、例えば、”Medical Microbiology”(Greenwood,D.,Slack,R.,Peutherer,J.,Churchill Livingstone Press,2002);”Mims’Pathogenesis of Infectious Disease”(Minis,C.,Nash,A.,Stephen,J.,Academic Press,2000);”Fields”Virology.(Fields,BN,Knipe DM,Howley,PM,Lippincott Williams and Wilkins,2001);及び”The Sanford Guide To Antimicrobial Therapy,”26th Edition,JP Sanford et al.(Antimicrobial Therapy,Inc.,1996)のような多数の周知の教科書に見いだすことができ、それらは参照によって本明細書に組み込まれる。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「予防剤(単数)」及び「予防剤(複数)」という用語は、本開示のPS組成物のような薬剤を指し、それは、疾患または障害、特に、日光角化症などの日光暴露皮膚に関連する疾患または障害を含む、損傷領域の1以上の徴候及び症状の予防、管理、または制御に使用することができる。
【0033】
本明細書で使用される場合、「実質的に」または「実質的な」とは、作用、特性(characteristic)、特性(property)、状態、構造、項目、もしくは結果の、完全もしくはほぼ完全な程度(extent)または程度(degree)を指す。例えば、「実質的に」密封されている物体の場合、その物体が完全に密封されているか、またはほぼ完全に密封されていることを意味する。絶対的完全性からの逸脱について許容可能な正確な程度は、場合によっては特定の状況に依存し得る。ただし、一般的に言えば、完成の近さは、全体としての結果が、絶対的かつ総合的な完成が得られたかのような結果と同じ結果になるようにする。「実質的に」の使用は、作用、特性(characteristic)、特性(property)、状態、構造、項目、もしくは結果の、完全またはほぼ完全な欠如を指すための否定的な意味合いで使用される場合にも同様に適用される。例えば、他の活性物質を「実質的に含まない」組成物の場合、他の活性物質を完全に欠くか、または他の活性物質をほぼ完全に欠いているために、その化合物が他の活性物質を完全に欠いている場合と同じ効果となる。言い換えれば、成分または要素または別の活性物質を「実質的に含まない」組成物は、その測定可能な効果がない限り、依然としてそのような項目を含有し得る。
【0034】
「重量当たりの重量」または「重量による重量」または「w/w」とは、重量または質量によって測定される、混合物内の特定の物質の割合を指す。本明細書で使用される場合、「重量%」とは、組成物の総重量のパーセントを指す。
【0035】
本明細書全体を通して、ある特定の量に対して数値範囲が提供される。これらの範囲がその範囲内の全ての部分範囲を含むことを理解されたい。したがって、「50~80」の範囲には、その範囲内の全ての可能な範囲(例えば、51~79、52~78、53~77、54~76、55~75、60~70など)が含まれる。さらに、所与の範囲内のすべての値は、その範囲に包含される範囲の端点であり得る(例えば、50~80の範囲には、55~80、50~75等のような端点を有する範囲が含まれる)。
【0036】
さらに、特許請求の範囲が任意の要素を除外するよう作成され得ることに留意されたい。したがって、本記述は、特許請求の範囲の要素の記述に関連した「のみ」、「唯一」等のような排他的用語の使用、または「否定的」限定の使用について前提となる根拠の役目を果たすことが意図される。
【0037】
本発明は、光増感剤と1つ以上の薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物等の組成物、及び対象における日光暴露によって引き起こされる損傷皮膚を治療するために対象に前記組成物を投与することに関連する方法に関する。
【0038】
医薬組成物
いくつかの実施形態では、本開示は、光増感剤、1つ以上のゲル化剤、及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤または担体を含む、医薬組成物を提供する。本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、医薬組成物は、光増感剤、ゲル化剤、1つ以上の透過促進剤、保水剤、安定化剤、可溶化剤、及び/または保存剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物には、1つ以上の溶媒、緩衝剤、増粘剤(bodifying agent)、抗酸化剤、安定化剤及び界面活性剤も含まれ得る。別の実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の光増感剤、ゲル化剤、1つ以上の透過促進剤、保水剤、可溶化剤、保存剤及び/または増強剤を含む。
【0039】
別の実施形態では、本開示は、光増感剤 1つ以上のゲル化剤と、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤または担体とを含む医薬組成物を提供する。本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、医薬組成物は、光増感剤、ゲル化剤、1つ以上の透過促進剤、保水剤、安定化剤、可溶化剤、及び/または保存剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物には、1つ以上の溶媒、緩衝剤、増粘剤(bodifying agent)、抗酸化剤、及び界面活性剤も含まれ得る。
【0040】
本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、光増感剤は、ポルフィリン系光増感剤及びテトラピロール構造、例えば、ポルフィリン、クロリン(HPPH;NPe6;テモポルフリン(Foscan)、mTHPC))、ならびにバクテリオクロロフィルポルフィソーム、亜鉛ピロフェオホルビドポルフィソーム及びピロフェオフィオルビドポルフィソーム等のピロフェオホルビドナノ小胞にあるようなポルフィソーム、ならびにクロリン様化合物(ベンゾポルフィリン;ベルテポルフィン、バクテリオクロリン及びフタロシアニン、プルプリン(エチルエチオプルプリンすず);メタロポルフィリン(テキサフィリン);フェオホルビド(TOOKAD);プロトポルフィリン(Levulan、Metvix、5-ALA(PpIX))、ならびに非ポルフィリン系光増感剤、例えば、フェノチアジニウム塩、例えば、メチレンブルー、トルイジンブルー、ナイルブルー、シアニン、ヒペリシン及びカルコゲンピリリウム色素;PPA904;ベンゾフェノチアジニウム色素EtNBSからなる群のうち1つ以上から選択され、また、PSには、フルオレセイン及びローズベンガルが含まれるキサンテンクラスの蛍光色素;フラーレン(極性ジセリノール基または第四級ピロリジニウム基に結合したC60フラーレン)の他、スクアラオゲニン、BODIPY(ホウ素-ジピロメテン)色素、フェナレノン;ヒペリシン、ヒポクレリン、リボフラビン、クルクミン、二酸化チタンを含めることもできる。本明細書で使用される場合、好ましいPSはポルフィマーナトリウム(Photofrin(登録商標))である。
【0041】
本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、ポルフィマーナトリウムは、約0.01重量%~約1.0重量%、または約0.05重量%~約0.7重量%、または約0.1重量%~約0.5重量%、または約0.15重量%~約0.3重量%の範囲の量である。いくつかの実施形態では、ポルフィマーナトリウムは、0.01重量%~1.0重量%、または0.05重量%~0.7重量%、または0.1重量%~0.5重量%、または0.15重量%~0.3重量%の範囲の量である。本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、ポルフィマーナトリウムは、約0.01重量%、約0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%から、約1.0重量%までの範囲の量で存在し、その間にあるすべての値及び部分範囲が含まれる。いくつかの実施形態では、ポルフィマーナトリウムは、約0.01重量%~約1.0重量%、または約0.05重量%~約0.7重量%、または約0.1重量%~約0.5重量%の範囲の量である。いくつかの実施形態では、ポルフィマーナトリウムは、0.01重量%~1.0重量%、または0.05重量%~0.7重量%、または0.1重量%~0.5重量%の範囲の量である。いくつかの実施形態では、ポルフィマーナトリウムは、約0.05重量%~約0.15重量%、または約0.15重量%~0.25重量%、または0.4重量%~0.6重量%の範囲の量である。
【0042】
本発明の医薬組成物にゲル化剤を加えてよい。ゲル化剤は、組成物の粘度を変更するために使用される任意の好適な物質である。例えば、ゲル化剤は、組成物の凝集が高まるよう、高度に架橋されているか、そうでなければ強い分子間相互作用を有し得る。様々なゲル化剤を用いることができ、これには、例えば、非限定的に、糖または糖から誘導されるアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール等、デンプン及びデンプン誘導体、セルロース誘導体、例えば、微結晶性セルロース、ナトリウム カホキシメチルセルロース(cahoxymethyl cellulose)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等、アタパルジャイト、ベントナイト、デキストリン、アルギン酸塩、カラギーナン、トラガントガム、アカシアガム、グアーガム、キサンタンガム、ペクチン、ゼラチン、カオリン、レシチン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、カルボマー及びカーボポール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、二酸化ケイ素、界面活性剤、界面活性剤/湿潤剤混合系、乳化剤、他の高分子材料、ならびにそれらの混合物等が含まれる。好適なゲル化剤の例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、Carbopol980等のアクリル酸、及びレシチン-PLO等のレシチンが挙げられる。
【0043】
皮膚への局所適用の場合、本開示の医薬組成物を、局所製剤用のゲル化剤の1つかまたは組み合わせと併用してよく、それらとして、水性液体、アルコール系液体、水溶性ゲル、ローション、軟膏、非水性液体基剤、鉱油基剤、鉱油とワセリンのブレンド、ラノリン、リポソーム、血清アルブミンまたはゼラチン等のタンパク質担体、粉末セルロースカルメル、カルボマーポリマー、例えば、カルボマーホモポリマー、カルボマーコポリマー、例えば、Carbopol(登録商標)ポリマー、ならびにそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。Carbopol(登録商標)ポリマーは、例えば、ポリアルケニルエーテルまたはジビニルグリコールとの、架橋アクリル酸ポリマーである。いくつかの実施形態では、Carbopol(登録商標)ポリマーは、Carbopol(登録商標)71G、Carbopol(登録商標)971P、Carbopol(登録商標)974P、Carbopol(登録商標)980、Carbopol(登録商標)981、Carbopol(登録商標)5984、Carbopol(登録商標)934、Carbopol(登録商標)934P、Carbopol(登録商標)940、Carbopol(登録商標)941及びCarbopol(登録商標)1342である。本発明の組成物は、ポリマー増粘剤、水、保存剤、活性界面活性剤または乳化剤、抗酸化剤、及び溶媒もしくは混合溶媒系が含まれる、半固体及びゲル様の媒体を含む。溶媒または混合溶媒系は、溶解した医薬品の比に合わせた微粒子の形成に重要である。ただし、微粒子の形成により、ポリマー増粘剤または保存剤の系がそれらの機能を果たす能力が妨げられてはならない。
【0044】
使用してよいポリマー増粘剤には、化粧品工業及び製薬工業で頻繁に使用される親水性及び水アルコール性のゲル化剤等の、当業者に公知のものが含まれる。好ましくは、親水性または水アルコール性のゲル化剤は、「CARBOPOL(登録商標)」(B.F.Goodrich,Cleveland,Ohio)、「HYPAN(登録商標)」(Kingston Technologies,Dayton,N.J.)、「NATROSOL(登録商標)」(Aqualon,Wilmington,Del.)、「KLUCEL(登録商標)」(Aqualon,Wilmington,Del.)、または「STABILEZE(登録商標)」(ISP Technologies,Wayne,N.J.)を含む。
【0045】
本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、ゲル化剤は、カルボマー、架橋、ポリアクリル酸、レシチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群のうち1つ以上から選択される。いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、ポリアルケニルエーテルまたはジビニルグリコールと架橋したアクリル酸のポリマーである。いくつかの実施形態では、ゲル化剤はカルボマーである。いくつかの実施形態では、カルボマーは、Carbopol(登録商標)71G、Carbopol(登録商標)971P、Carbopol(登録商標)974P、Carbopol(登録商標)980、Carbopol(登録商標)981、Carbopol(登録商標)5984、Carbopol(登録商標)934、Carbopol(登録商標)934P、Carbopol(登録商標)940、Carbopol(登録商標)941、及び/またはCarbopol(登録商標)1342である。
【0046】
本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、ゲル化剤は、約0.5重量%~約3.0重量%、または約0.7重量%~約2.0重量%、または約1.0重量%~約1.75重量%の範囲の量である。いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、0.5重量%~3.0重量%、または0.7重量%~2.0重量%、または1.0重量%~1.75重量%、または1.1重量%~1.6重量%、または1.2重量%~1.5重量%の範囲の量であり、その間にあるすべての値及び部分範囲が含まれる。いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、約0.5重量%~約3.0重量%、または約0.7重量%~約2.0重量%、または約0.5重量%~約1.5重量%の範囲の量である。いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、0.5重量%~3.0重量%、または0.7重量%~2.0重量%、または0.5重量%~1.5重量%の範囲の量である。
【0047】
いくつかの実施形態では、医薬組成物または医薬局所製剤はさらに、1つ以上の透過促進剤を含む。
【0048】
本明細書で定義されるように、「透過促進剤」は、皮膚浸透剤として作用し、かつ、活性物質が表皮組織を通過して真皮組織に入るかまたは真皮組織を通過する能力を増強させる、任意の物質を意味すると解される従って、透過促進剤は、例えば、浸透促進剤であり得る。いくつかの実施形態では、透過促進剤は、アルコール、アミド、脂肪酸、エステル、エーテルアルコール、界面活性剤、リン脂質、ピロリドンまたはテルペンのうちの1つ以上であり得る。特定の実施形態では、透過促進剤は、エタノール、イソプロピルアルコール、デカノール、オクタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、Azone(登録商標)(1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン)またはラウロカプラム、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGEE)等のtranscutol、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム;ポリソルベート(Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)80等)、ドデシルベタイン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、デシルメチルスルホキシド(DCMS)、d-リモネン、l-メントール、1,8-シネオール、N-メチル-1-2-ピロリドン(NMP)、2-ピロリドン(2P)、N-メチル-1-2-ピロリドン(NMP)、4-デシルオキサゾリジン-2-オン、ホスファチジルコリン、酸性ホスファターゼ、パパイン、及びホスホリパーゼCのうちの1つ以上であり得る。
【0049】
透過促進剤はまた、溶媒としての作用を有するか、もしくは溶媒和効果を有する場合もあれば、表面界面活性剤の促進剤として作用する、及び/または乳化剤として作用する場合もある。使用してよい透過促進剤には、当業者に公知のもの、ポリオール及びエステル、例えば、グリコールエステル(例えば、ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール)及びブタンジオール;スルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシド及びデシルメチルスルホキシド;エーテル、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(例えば、Transcutol(登録商標)P);脂肪酸、例えば、ラウリン酸、オレイン酸、及び吉草酸;脂肪酸エステル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、及びオレイン酸エチル;窒素化合物、例えば、尿素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド2-ピロリドン、エタノールアミン、メチル-2-ピロリドン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン;テルペン;アルカノン;有機酸、例えば、サリチル酸、クエン酸、及びコハク酸;アゾン、ポリソルベート、アルコール、ならびにそれらの任意の混合物が含まれる。さらに、透過剤または透過促進剤として、1つ以上の界面活性剤を使用することもできる。いくつかの実施形態では、透過促進剤は、プロピレングリコール、平均分子量200~4000のポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、Transcutol P、ポリソルベート80、ポリオキシグリセリド、Labrasol(登録商標)、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルイソソルビド、ジメチルスルホキシド、エタノール、Tween80、ラウレス-4、ブタンジオール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、ラウリン酸、オレイン酸、吉草酸、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、オレイン酸エチル、及びオレイン酸からなる群のうち1つ以上から選択される。透過促進剤の好適な例としては、ヘキシレングリコール、プロピレングリコールSR、ポリエチレングリコール400SR、ポリエチレングリコール300LA、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びポリソルベート80SRが挙げられる。
【0050】
いくつかの実施形態では、透過促進剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ならびにそれらにある様々な形態、分子量及びグレードのものからなる群のうち1つ以上から選択される。特定の実施形態では、透過促進剤は、プロピレングリコールSR、ポリエチレングリコール400SR、ポリエチレングリコール300LA、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド及びポリソルベート80SRからなる群のうち1つ以上から選択される。いくつかの実施形態では、透過促進剤は、プロピレングリコールSR、ジメチルスルホキシド、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルのうち1つから選択される。
【0051】
本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、1つ以上の透過促進剤は、約0.5重量%~約90重量%、約0.5重量%~約80重量%、約0.5重量%~約70重量%、または約1重量%~約60重量%、または約10重量%~約60重量%、または約5重量%~約30重量%、または約15重量%~約30重量%の範囲の量である。いくつかの実施形態では、透過促進剤は、0.5重量%~50重量%、または10重量%~40重量%、または15重量%~30重量%の範囲の量である。
【0052】
一実施形態では、2つ以上の透過促進剤が、真上に開示した範囲を有する単一組成物中に提供される。特定の実施形態では、4つの透過促進剤が単一組成物中に提供される。別の実施形態では、3つの透過促進剤が単一組成物中に提供される。別の実施形態では、2つの透過促進剤が単一組成物中に提供される。特定の実施形態では、2つ以上の浸透促進剤は、約55重量%~約85重量%、約65重量%~約80重量%、または約70重量%~約80重量%の範囲であり得る。別の実施形態では、単一組成物は、単一透過促進剤を含み得る。一実施形態では、単一透過促進剤は、約0.5重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約15重量%~約45重量%、または約20重量%~約40重量%、または約25重量%~約40重量%の範囲であり得る。1つの実施形態では、透過促進剤の少なくとも1つはDMSOである。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、可溶化剤を含む。本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、可溶化剤は、1.0重量%~約5重量%、もしくは約1重量%~約3重量%の範囲、または約2重量%の量である。いくつかの実施形態では、可溶化剤は、約1.0重量%、または約2重量%、または約3重量%、または約4重量%、または約5重量%の量である。
【0054】
本明細書に開示される組成物のいくつかの実施形態では、透過促進剤は、約0.5重量%、約1重量%、約5重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、約37重量%、約38重量%、約39重量%、約40重量%、約41重量%、約42重量%、約43重量%、約44重量%、約45重量%、約46重量%、約47重量%、約48重量%、約49重量%、約50重量%、約51重量%、約52重量%、約53重量%、約54重量%、約55重量%、約56重量%、約57重量%、約58重量%、約59重量%、約60重量%、約61重量%、約62重量%、約63重量%、約64重量%、約65重量%、約66重量%、約67重量%、約68重量%、約69重量%、約70重量%の範囲の量であり、その間にあるすべての部分範囲が含まれる。いくつかの実施形態では、透過促進剤は、約1.0重量%~約80重量%、または約15重量%~約75重量%の範囲の量である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物または医薬製剤は、約1.0重量%、約5.0重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、またはそれらの間の任意の部分範囲及び値を含む、1.0重量%~約60重量%の範囲の量のジメチルスルホキシドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物または医薬製剤は、約1.0重量%、約5.0重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、またはそれらの間の任意の部分範囲及び値を含む、1.0重量%~約60重量%の範囲の量のジエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物または医薬製剤は、1.0重量%~約60重量%の範囲の量のジエチレングリコールモノエチルエーテルと、1.0重量%~約60重量%の範囲の量のジメチルスルホキシドとを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物または医薬製剤は、約20重量%~約40重量%の量のジエチレングリコールモノエチルエーテルと、約10重量%~約50重量%の量のジメチルスルホキシドとを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物または医薬製剤は、約30重量%のジエチレングリコールモノエチルエーテルと、約20重量%または約40重量%のジメチルスルホキシドとを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、PDTの増強剤を含む。特定の実施形態では、PDTの増強剤は、アジ化ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化ナトリウム、及びセレノシアン酸カリウム(KSeCN)等の1つ以上の無機塩であり得る。特定の実施形態では、PDTの増強剤はヨウ化カリウム(KI)である。本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、PDTの増強剤(例えば、KI)の濃度は、約0.1mM~約1Mの範囲の量である。いくつかの実施形態では、PDTの増強剤 PDTの増強剤(例えば、KI)は、約10mM~約100mMの範囲の量である。例えば、いくつかの実施形態では、PDTの増強剤(例えば、KI)は、約10mM、または約20mM、または約30mM、または約40mM、または約50mM、または約60mM、または約70mM、または約80mM、または約90mM、または約100mMまたは約110mM、または約120mM、または約130mM、または約140mM、または約150mM、または約160mM、または約170mM、または約180mM、または約190mM、または約200mM、または約210mM、または約220mM、または約230mM、または約240mM、または約250mM、または約260mM、または約270mM、または約280mM、または約290mM、または約300mM、または約310mM、または約320mM、または約330mM、または約340mM、または約350mM、または約360mM、または約370mM、または約380mM、または約390mM、または約400mM、または約410mM、または約420mM、または約430mM、または約440mM、または約450mM、または約460mM、または約470mM、または約480mM、または約490mMから、約500mMまでの範囲の量であり、その間にあるすべての部分的な範囲及び値が含まれる。いくつかの実施形態では、PDTの増強剤 PDTの増強剤(例えば、KI)は、約100mMの量である。特定の実施形態では、本明細書における量または範囲にあるPDTの増強剤はKIである。
【0056】
いくつかの実施形態では、PDTの増強剤 PDTの増強剤(例えば、KI)は、約0.01重量%~約5重量%の範囲の量である。例えば、いくつかの実施形態では、PDTの増強剤(例えば、KI)は、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%、約4.0重量%、約4.2重量%、約4.4重量%、約4.6重量%、約4.8重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、約7.0重量%、約7.5重量%、約8.0重量%、約8.5重量%、約9.0重量%、約9.5重量%、約10.0重量%、約10.5重量%、約11.0重量%、約11.5重量%、約12.0重量%、約12.5重量%、約13.0重量%、約13.5重量%、約14.0重量%、約14.5重量%から、約15.0重量%までの範囲の量であり、その間にあるすべての部分的な範囲及び値が含まれる。いくつかの実施形態では、PDTの増強剤(例えば、KI)は、約0.5重量%~約5重量%、または約1重量%~約2重量%の範囲の量である。特定の実施形態では、本明細書における量または範囲にあるPDTの増強剤はKIである。
【0057】
本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、PDTの増強剤は、アジ化ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウム、及びヨウ化ナトリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、PDTの増強剤はヨウ化カリウム(KI)である。
【0058】
いくつかの実施形態では、医薬組成物または医薬局所製剤はさらに、1つ以上の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート80等のポリソルベートである。さらに、ポリソルベート80の代わりに他の界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、及び関連するアルキルエーテル硫酸塩 ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ならびにミレス硫酸ナトリウム等の硫酸塩;ポリエチレングリコールを使用してよく、ポリエチレングリコールの画分サイズは異なり得る。他の好適な界面活性剤としては、アルキルアリールエーテルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、及びステアリン酸ナトリウム等のカルボン酸塩、または非イオン性界面活性剤、例えば、エトキシラート、ポリヒドロキシ化合物の脂肪酸エステル、ソルビトールの脂肪酸エステル、スクロースの脂肪酸エステル、及びアルキルポリグルコシドが挙げられる。
【0059】
本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、界面活性剤は、0.01重量%~約5重量%の範囲の量であり、これには、約0.01%、約0.05%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%、約4.0重量%、約4.2重量%、約4.4重量%、約4.6重量%、約4.8重量%から、約5.0重量%までが含まれ、その間にあるすべての部分的な範囲及び値が含まれる。いくつかの実施形態では、溶媒は、約0.5重量%~約1.5重量%の範囲、または約1重量%の量である。
【0060】
いくつかの実施形態では、医薬組成物または医薬局所製剤はさらに、1つ以上の溶媒を含む。用いてよい許容される溶媒の中には、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、非水性溶媒を用いてよい。本出願での使用に好適な非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール
、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物性油、及びオレイン酸エチル等の注入可能な有機エステルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、溶媒はヘキシレングリコールである。
【0061】
本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、溶媒は、0.01重量%~約5重量%の範囲の量であり、これには、約0.01%、約0.05%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%、約4.0重量%、約4.2重量%、約4.4重量%、約4.6重量%、約4.8重量%から、約5.0重量%までが含まれ、その間にあるすべての部分的な範囲及び値が含まれる。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、約1重量%~約3重量%の範囲、または約2重量%の量である。
【0062】
本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、医薬組成物は局所製剤である。いくつかの実施形態では、局所製剤はポルフィマーナトリウムを含み、皮膚に適用される場合、少なくとも0.01%のポルフィマーナトリウムを対象の表皮から真皮への層に提供する。いくつかの実施形態では、少なくとも0.03%のポルフィマーナトリウムが保持される。いくつかの実施形態では、少なくとも0.04%のポルフィマーナトリウムが保持される。
【0063】
本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、局所製剤は、実施例7に記載のような以下の条件下で適用される。いくつかの実施形態では、少なくとも0.03%のポルフィマーナトリウムが表皮に保持される。いくつかの実施形態では、少なくとも0.04%のポルフィマーナトリウムが実施例7に記載のような条件で表皮に保持される。
【0064】
いくつかの実施形態では、本開示は、ポルフィマーナトリウムと1つ以上の薬学的な許容される賦形剤とを含有する医薬局所製剤を提供し、対象の皮膚に適用される場合、少なくとも0.01%のポルフィマーを対象の表皮から真皮への層に提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、ポルフィマーナトリウムと1つ以上の薬学的な許容される賦形剤とを含有する医薬局所製剤を提供し、対象の皮膚に適用される場合、少なくとも0.03%のポルフィマーを対象の表皮から真皮への層に提供する。いくつかの実施形態では、医薬局所製剤は、対象の皮膚に適用される場合、少なくとも0.04%のポルフィマーを対象の表皮から真皮への層に提供する。
【0065】
一実施形態では、本発明の医薬組成物はポルフィマーナトリウムで構成され、従来技術と比べて安定な組成物である。本明細書に開示される医薬局所製剤のいくつかの実施形態では、組成物は、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が20%未満である。本開示の医薬組成物のいくつかの実施形態では、局所製剤である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が20%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が19%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が18%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が17%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が16%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が15%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が14%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が13%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が12%未満である。
【0066】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、25℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が20%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、25℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が19%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、25℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が18%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、25℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が17%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、25℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が16%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、25℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が15%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、25℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が14%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、25℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が13%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、25℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が12%未満である。
【0067】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、5℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が20%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、5℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が19%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、5℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が18%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、5℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が17%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、5℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が16%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、5℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が5%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、5℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が14%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、5℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が13%未満である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、5℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が12%未満である。
【0068】
他の実施形態では、本開示の組成物は、5℃/60%RHで4週間の後、HPLCによるヘマトポルフィリン(HP)の不純物量が5%、4%、3%、または2%未満である。他の実施形態では、本開示の組成物は、25℃/60%RHで4週間の後、HPLCによるヘマトポルフィリン(HP)の不純物量が5%、4%、3%、または2%未満である。他の実施形態では、本開示の組成物は、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによるヘマトポルフィリン(HP)の不純物量が5%、4%、3%、または2%未満である。
【0069】
他の実施形態では、本開示の組成物は、5℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる全ヒドロキシビニルジュウテロポルフィリン(HVD)(異性体1及び2)の不純物量が10%、9%、8%、7%、6%、または5%未満である。他の実施形態では、本開示の組成物は、25℃/60%RHで4週間の後、HPLCによる全ヒドロキシビニルジュウテロポルフィリン(HVD)(異性体1及び2)の不純物量が10%、9%、8%、7%、6%、または5%未満である。他の実施形態では、本開示の組成物は、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる全ヒドロキシビニルジュウテロポルフィリン(HVD)(異性体1及び2)の不純物量が10%、9%、8%、7%、6%、または5%未満である。
【0070】
他の実施形態では、本開示の組成物は、5℃/60%RHで4週間の後、HPLCによるプロトポルフィリン(PP)の不純物量が5%、4%、3%、または2%未満である。他の実施形態では、本開示の組成物は、25℃/60%RHで4週間の後、HPLCによるプロトポルフィリン(PP)の不純物量が5%、4%、3%、または2%未満である。他の実施形態では、本開示の組成物は、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによるプロトポルフィリン(PP)の不純物量が5%、4%、3%、または2%未満である。
【0071】
本開示の組成物は、治療を必要とする対象にそれを行うために利用することができる。ある特定の実施形態では、対象は、ヒト等の哺乳類または非ヒト哺乳類である。ヒト等の対象に投与される場合、組成物または化合物は、例えば、本開示の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物として投与され得る。薬学的に許容される担体としての機能を果たすことができる材料のいくつかの例としては、(1)糖、例えば、ラクトース、グルコース及びスクロース、(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン、(3)セルロース、ならびにその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース及び酢酸セルロース、(4)粉末トラガント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤、例えば、カカオ脂及び坐剤ワックス、(9)油、例えば、ピーナツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油、(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール、(11)ポリオール及び糖アルコール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、及びポリエチレングリコール、(12)エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル、(13)寒天、(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)発熱性物質不含水、(17)等張生理食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝液;及び(21)塩化ナトリウム等の塩を含め、医薬製剤に用いられる他の無毒な相溶性物質が挙げられる。いくつかの実施形態では、そのような医薬組成物がヒト投与用である場合、水溶液は発熱性物質不含であるかまたは実質的に発熱性物質不含である。添加剤は、例えば、薬剤の遅延放出をもたらすよう、または1つ以上の細胞、組織もしくは器官を選択的に標的にするよう選択することができる。医薬組成物は、再構成用の凍結乾燥物、粉末、溶液、シロップ、注射液等のような単位剤形であり得る。組成物はまた、局所投与に好適な溶液中に存在し得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物は、局所投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、傷ついた皮膚の領域への局所投与用に製剤化される。傷ついた皮膚には、皮膚・軟部組織感染症、皮膚病変、小胞、慢性潰瘍、嚢胞、水膨れ、水疱、褥瘡潰瘍(床ずれ)及び他の圧迫性潰瘍等の開放性潰瘍、蜂窩織炎潰瘍、丹毒病変、創傷、熱傷、よう、せつ、皮膚潰瘍、あるいは皮膚が、損傷している、傷ついている、ひび割れている、割れている、及び/または他の状態に侵されている他の状態を含めることができるが、これらに限定されない。局所製剤には一般に、滅菌PBS、水、もしくは生理食塩緩衝液、または滅菌SM緩衝液等の滅菌緩衝液が含まれる。様々な緩衝液が本開示との関連において使用されてよく、当業者には容易に明らかとなるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、好適な緩衝液には、クエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウム、クエン酸、リン酸ナトリウム等のリン酸緩衝液、ホウ酸、炭酸水素ナトリウム、ならびにNa2HPO4、NaH2PO4及びKH2PO4の組み合わせが含まれる様々な混合リン酸緩衝液が挙げられる。いくつかの実施形態では、リン酸ナトリウム緩衝液が使用される。いくつかの実施形態では、クエン酸ナトリウム緩衝液が使用される。したがって、製剤のpHは、約5から約10まで異なる場合がある。いくつかの実施形態では、製剤のpHは、約5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、または約10である。いくつかの実施形態では、製剤のpHは約7.4である。
【0073】
皮膚への局所適用の場合、本開示の医薬組成物を、局所製剤用の担体の1つかまたは組み合わせと併用してよい。局所製剤用の担体は、半固体及び/またはゲル様の媒体を含んでよく、それらには、ポリマー増粘剤、水、保存剤、活性界面活性剤、乳化剤、及び/または溶媒もしくは混合溶媒系が含まれ得る。米国特許第5,863,560号では、薬品への皮膚の曝露に役立ち得る多くの異なる担体の組み合わせを開示しており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。担体は、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれるUS2008/0260697に開示されているように、放出制御製剤を伴う場合もあれば、伴わない場合もある。いくつかの実施形態では、担体は、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれるUS2009/0191254に開示されているように、粘性製剤、例えばゲルを、伴う場合もあれば、伴わない場合もある。
【0074】
いくつかの実施形態では、本開示の局所医薬組成物は密封容器で提供される。容器は、バイアル、シリンジ、チューブ、瓶、アンプル(例えば、ブローフィルシールのポリプロピレンアンプル)、小袋等であってよく、ガラス、プラスチック、または他の好適な材料を含むかまたはそれからなってよい。例えば、アンプルは一般に、長さが短いガラス管から工業的に製造され、ガストーチでの加熱及び重力によって成形される。コンピュータービジョン技術が、例えば、品質管理のために用いられることが多い。アンプルの充填及び密封は、自動化された機械によって行われ得る。ブランクアンプルを科学関連ガラス供給会社から購入して、例えば、小型ガストーチを、好ましくは不活性雰囲気下で用いて密封することができる。いくつかの実施形態では、容器はまた、医薬組成物に加え、不活性ガスで充填されてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、アンプルまたは他の好適な容器で提供され、以下に記載されているような、傷ついた皮膚との直接接触に好適な媒体、例えば、パッチ、ワイプ、包帯、被覆材へ、使用のために移される。
【0075】
いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物の局所投与は、被覆材の使用を含む。本開示の医薬組成物は、被覆材に組み込まれる場合、及び/または被覆材の使用と併せて別々に適用される場合がある。被覆材は、創傷を湿潤に保つこと、感染に対するバリアを形成すること、及び/または周囲の皮膚を乾燥状態に保つこと、及びPDT活性成分の光への曝露を制限することによって治癒を促進する。局所の創傷(例えば、皮膚・軟部組織感染症)を治療する場合は、創傷の水分の程度を考慮すべきである。多量の滲出液では、アルギン酸塩、フォーム、コラーゲン-アルギン酸塩の組み合わせ、カルボキシルメチルセルロース材料、またはガーゼが含まれるがこれらに限定されない水分吸収材料の選択を必要とする。滲出液が少なく乾燥した創傷は一般に、ハイドロゲルによく反応する。ハイドロゲルシートは、多くの場合、架橋親水性ポリマーの3次元網目構造を含む。非晶質ハイドロゲルは、組成物がハイドロゲルシートと同様であるが、架橋を欠く。ゲルはまた、コラーゲン、アルギン酸塩、または複合炭水化物等の追加の成分を含んでもよい。アルギン酸塩の被覆材は、多くの場合、ワカメに由来する天然多糖のカルシウム塩またはカルシウム-ナトリウム塩を含む。アルギン酸塩材料がナトリウムに富む創傷滲出液と接触すると、イオン交換が起こり、親水性ゲルを生成する。追加の被覆材の選択肢としては、粘着性バッキングフィルム等のフィルム、ゲル、及びシリコーンコーティングしたフォーム等のフォーム、ハイドロコロイド、コラーゲン系被覆材、吸収性ポリマー等が挙げられるが、これらに限定されない。ハイドロコロイド被覆材は、多くの場合、粘着性成分、吸収性成分、及びエラストマ成分を含む。例えば、カルボキシルメチルセルロースは、一般的な吸収性成分である。ハイドロファイバー被覆材もまた、多くの場合、カルボキシルメチルセルロース、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウムを含む。フォーム被覆材は、液体を保持することができる小さなオープンセルを有するポリマー、多くの場合はポリウレタンを含むことが多い。いくつかの種類のフォーム被覆材は、上面を覆う防水フィルムを有し、創傷接触面または創傷境界部に粘着性コーティングを有する場合がある。フィルム被覆材は、多くの場合、片面が粘着剤でコートされた1枚の薄い透明なポリウレタンシートを含む。シートは、気体及び水蒸気に対して透過性があるが、創傷の体液に対しては不透過性である。ハイドロファイバー被覆材は、多くの場合、カルボキシルメチルセルロースナトリウム繊維を含む。コラーゲン系被覆材は、多くの場合、ウシ、ブタ、ウマ、またはトリの供給源に由来する精製コラーゲンを含む。コラーゲン系被覆材は、例えば線維芽細胞産生を刺激することによって、創傷治癒を助けると考えられている。
【0076】
いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物の局所投与は、点滴注入を含む。本開示の医薬組成物は、点滴注入に組み込まれる場合、及び/または点滴注入の使用と併せて別々に適用される場合がある。点滴注入とは液体医薬組成物を徐々に、例えば、液体を一滴ずつ導入することによる投与を指す。典型的な点滴療法は、低い陽圧の下で創傷に流体を点滴する。点滴注入に使用するための装置には、例えば、Kritter型点滴カテーテルが挙げられる(例えば、Brent H.et al.2005.Wounds17(2):37-48を参照のこと)。液体の点滴注入及び分布を改善するための当該技術分野で公知の技術としては、点滴注入液による創傷の充填、多孔性の創傷充填剤の適用、及び/または陰圧閉鎖療法との組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本開示の組成物を所望の投与量にて、かつ好適な投与レジメンに従って送達するために、本明細書に記載されている投与方法及び/または当該技術分野で公知の投与方法を使用してよい。投与量及び投与レジメンは、特定の製剤、投与経路、治療される状態、及び他の因子により異なり得る。動物実験は、例えば、通常の医師の技能の範囲内である、ヒトの治療における有効用量の決定のための信頼性の高いガイダンスを提供し得る。有効用量の種間のスケーリングは、例えば、Mordenti,J.et al.“The use of interspecies scaling in toxicokinetics”in Toxicokinetics and New Drug Development,Yacobi et al.,Eds.,Pergamon Press,New York 1989,pp42-96によって記載されている原則に従って当業者が実施することができる。
【0078】
製剤は、好都合に、単位剤形で提示されてよく、薬学技術分野において周知の任意の方法により調製することができる。単一剤形を生産するために担体材料と合わせることができる活性成分の量は、治療される対象、特定の投与方法により異なる。単一剤形を生産するために担体材料と合わせることができる活性成分の量は一般に、治療効果を生み出す化合物の量である。
【0079】
組成物はまた、その中の活性成分が徐放または制御放出されるよう、例えば、所望の放出プロファイルが得られるよう割合を変えたヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム、ポルフィソーム、ナノ粒子及び/またはミクロスフェア等を使用して、製剤化することもできる。それらは、例えば、細菌捕集フィルターに通す濾過によるか、または使用直前に滅菌水もしくは他の何らかの滅菌注射用媒体に溶解することができる滅菌固体組成物形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
【0080】
局所投与に有用な液剤には、薬学的に許容されるエマルジョン、再構成用の凍結乾燥物(lyophile)、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、ゲル、シロップ及びエリキシル剤が含まれる。液剤は、活性成分に加えて、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、シクロデキストリン及びその誘導体、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(綿実油、ピーナツ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ及びゴマ油等)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ならびにソルビタンの脂肪酸エステル等、ならびにそれらの混合物等を含有することができる。不活性希釈剤の他に、局所用組成物には、湿潤剤、乳化及び懸濁剤、ならびに保存剤等のアジュバントを含めることもできる。
【0081】
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天、及びトラガント、ならびにそれらの混合物、のような懸濁剤を含有することができる。
【0082】
局所投与または経皮投与のための剤形には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入剤が含まれる。活性化合物は、薬学的に許容される担体、及び必要となり得る任意の保存剤または緩衝剤と共に、無菌条件下で混合することができる。軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、活性化合物に加えて、1つ以上の賦形剤または担体、例えば、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、ポリマー、塩、及び酸化亜鉛、もしくはそれらの混合物等を含有することができる。いくつかの実施形態では、PS組成物は、水溶液の形態である。いくつかの実施形態では、賦形剤は、塩化ナトリウムから選択される塩を含む。いくつかの実施形態では、賦形剤は塩化ナトリウムを含む。
【0083】
場合によっては、薬物の効果を持続させるために、薬物の吸収を遅くすることが望ましい。これは、難水溶性を有する結晶質または非晶質の材料の液体懸濁液の使用によって達成することができる。そのため、薬物の吸収速度はその溶出速度によって異なり、この溶出速度は、結晶サイズと結晶形態によって異なり得る。別法として、非経口投与された薬物形態の吸収遅延は、薬物を油性媒体に溶解または懸濁させることにより達成される。
【0084】
医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に対して毒性を示すことなく、特定の患者、組成物、及び投与方法に対する所望の治療効果を達成するのに有効な活性成分量が得られるよう、変えることができる。
【0085】
選択投与量レベルは、用いられる特定の化合物もしくは化合物の組み合わせまたはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、用いられる特定の化合物(複数可)の排泄速度、治療期間、用いられる特定の化合物(複数可)と併用される他の薬物、化合物及び/または材料、治療される対象の年齢、性別、体重、状態、全体的健康状態及び以前の病歴、ならびに医療分野で周知の同様の要因等の、様々な要因によって異なる。
【0086】
当該技術分野で通常の技能を有する医師または獣医は、必要とされる医薬組成物の治療的有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師または獣医は、医薬組成物または化合物の投与を、所望の治療効果を達成するために必要とされるレベルよりも低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加することができるであろう。「治療的有効量」とは、所望の治療効果を誘発するのに十分な化合物の濃度、または患者に治療が行われる頻度を意味する。化合物の有効量は、対象の体重、性別、年齢、及び病歴によって異なることが一般に理解される。有効量に影響する他の要因には、対象の状態の重症度、治療される障害、化合物の安定性、及び所望される場合は、本開示の化合物と共に投与される別の種類の治療剤を含めることができるが、これらに限定されない。薬剤の多回投与によって、さらに多い総用量を送達することができる。有効性及び投与量を決定するための方法は、当業者に公知である(参照により本明細書に組み込まれるIsselbacher et al.(1996)Harrison’s Principles of Internal Medicine 13 ed.,1814-1882)。
【0087】
一般に、本開示の組成物及び方法に使用される活性化合物の好適な用量は、治療効果を生み出すために有効な最低用量である化合物量となる。そのような有効用量は一般に、上記の要因によって異なる。
【0088】
湿潤剤、乳化剤及び滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム等、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、矯味剤及び香料、保存剤、ならびに抗酸化剤もまた、組成物中に存在し得る。
【0089】
薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、(1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等、(2)油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロール等、ならびに(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗酸化剤はフェノキシエタノールである。
【0090】
本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの実施形態では、抗酸化剤は、0.01重量%~約5重量%の範囲の量であり、これには、約0.01%、約0.05%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%、約4.0重量%、約4.2重量%、約4.4重量%、約4.6重量%、約4.8重量%から、約5.0重量%までが含まれ、その間にあるすべての部分的な範囲及び値が含まれる。いくつかの実施形態では、抗酸化剤は、0.5重量%~約1.5重量%の範囲、または約1.0重量%の量である。
【0091】
局所的送達方法には、塗布(例えば、指でぬぐうかまたはアプリケーターを用いる)、スプレー、フォーム、包帯、持続放出型パッチ、液体を吸収させたワイプ、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、直接提供されるか、または担体(複数可)中か、パッチ、ワイプ、包帯、被覆材、もしくは皮膚、特に、SSTIとの直接接触に好適な他の媒体にて提供される。
【0092】
理論に縛られることは望まないが、この成功は、光線力学的物質であるポルフィマーナトリウムと組み合わせた組成物によるものと考えられる。この組成物は、ポルフィマーナトリウムを安定化させることができる。さらに、皮膚浸透剤及び他の溶媒を含めることにより、ポルフィマーナトリウムの制御された放出及び透過が可能になる。さらに、組織表面での組成物の乾燥は、特定の組成物、特に保水剤を含んでいるものを選択することにより改善される。さらに、組成物の適切な粘度の選択により、展延(spreading)を高め、それにより活性物質を感染部位に限局する、効果的な皮膚接触が可能になる。
【0093】
使用方法
いくつかの実施形態では、本開示は、対象における日光暴露によって引き起こされる損傷した皮膚などの損傷皮膚を治療するための方法を提供し、それを必要とする対象に、治療的有効量のポルフィマーナトリウム含有組成物を投与することを含み、組成物は、日光暴露皮膚などの皮膚に適用される。特定の実施形態では、治療され得る損傷皮膚は、慢性日光暴露皮膚、皺のある皮膚、色素斑、肝斑、日光角化症、脂漏性角化症、光損傷皮膚、ざ瘡、イボ及び/または乾癬を含み得、ポルフィマーナトリウムを含有する薬学的組成物で治療され得、組成物は、日光暴露皮膚などの皮膚に適用される。
【0094】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象における日光暴露によって引き起こされる損傷皮膚を治療するための方法を提供し、本方法は、それを必要とする対象に本開示の任意の医薬組成物または医薬製剤を投与することを含み、組成物は損傷皮膚に適用され(例えば、日光暴露皮膚に適用される)、光が損傷皮膚に当てられる。いくつかの実施形態では、光は、波長が約380nm~約850nmの範囲である。いくつかの実施形態では、光は、波長が約400nm~約700nmの範囲である。いくつかの実施形態では、光は、波長が約630nmである。
【0095】
いくつかの実施形態では、本開示は、慢性日光暴露皮膚、皺、色素斑、肝斑、日光角化症、脂漏性角化症、光損傷皮膚、ざ瘡。イボ、及び乾癬を治療するための方法を提供し、本方法は、それを必要とする対象に、治療的有効量の本開示の組成物または製剤を投与することを含み、組成物または製剤は、光損傷皮膚に適用され、光が損傷皮膚に当てられる。いくつかの実施形態では、光は、波長が約380nm~約850nmの範囲である。いくつかの実施形態では、光は、波長が約400nm~約700nmの範囲である。いくつかの実施形態では、光は、波長が約630nmである。いくつかの実施形態では、治療は、日光角化症のためのものである。いくつかの実施形態では、治療は、脂漏性角化症のためのものである。
【0096】
いくつかの実施形態では、光線力学的治療のための方法は、光線力学的治療に起因する有害反応または副作用がないかまたは最小限で、日光曝露に起因する損傷皮膚を治療すること、または慢性日光曝露皮膚、皺、色素斑、肝斑、日光角化症、脂漏性角化症、光損傷皮膚、ざ瘡、イボ、及び乾癬を治療することを含む。特定の実施形態では、本開示は、日光角化症を治療するための方法を提供し、本方法は、それを必要とする対象に、治療的有効量の本開示の組成物または製剤を投与することを含み、組成物または製剤は、損傷皮膚に適用され、光が損傷皮膚に当てられ、疼痛、浮腫、そう痒症及び/または紅斑の最小化など、有害な副作用が最小限化される。特定の実施形態では、光線力学的物質はポルフィマーナトリウムである。別の特定の実施形態では、有害な副作用は、対象に局所的に適用された場合、他の光線力学的物質よりも多く最小限化される。事実、光線力学的物質の局所使用に関する最も重大な欠点の1つが、光照射中のかなりの疼痛である。例えば、5-ALA及びメチル-ALAのどちらの局所適用も、光照射中に特異性の疼痛を引き起こすことが知られており、薬物が、毛包、神経終末、表皮細胞及び皮脂腺に局在するという事実による可能性が高い。このため、この分野では、治療中の疼痛を軽減するための新規の方法が必要である。
【0097】
したがって、本発明の実施形態は、対象における日光暴露によって引き起こされる損傷皮膚を治療するための方法を含み、本方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載される任意の医薬組成物または医薬製剤を投与することを含み、組成物は、日光暴露皮膚に適用され、光が日光暴露皮膚に当てられ、疼痛、浮腫、そう痒症及び/または紅斑の最小化など、有害な副作用が最小限化される。特定の実施形態では、医薬組成物は、光増感剤及び1つ以上のゲル化剤を含む。特定の実施形態では、光増感剤はポルフィマーナトリウム(Photofrin(登録商標))である。
【0098】
本明細書の方法の別の特定の実施形態では、有害な副作用がないかまたは最小の状態で治療される日光暴露皮膚は、慢性日光暴露皮膚、皺、色素斑、肝斑、日光角化症、光損傷皮膚、ざ瘡、イボ、及び乾癬からなる群のうちの1つ以上から選択される。特定の実施形態では、本発明は、対象における日光暴露によって引き起こされる損傷皮膚を治療するための方法を含み、本方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載される任意の医薬組成物または医薬製剤を投与することを含み、組成物または製剤は、ポルフィマーナトリウムを含み、組成物は、日光暴露皮膚に適用され、光が日光暴露皮膚に当てられる。特定の実施形態では、対象は、光が日光暴露皮膚に当てられた際に、疼痛を被ることがない。別の実施形態では、対象は、光が日光暴露皮膚に当てられた際に、疼痛の視覚的アナログスケールに従った疼痛を被ることがない。例えば、Bodian CA,Freedman G,Hossain S,Eisenkraft JB,Beilin Y.The Visual Analog Scale for Pain.Anesthesiology 2001:95:1356-61を参照のこと。特定の実施形態では、対象は、光が日光暴露皮膚に当てられた際に、疼痛の視覚的アナログスケールに従った10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、またはそれより低いレベルの疼痛を被る。特定の実施形態では、対象は、光が日光暴露皮膚に当てられた際に、疼痛の視覚的アナログスケールに従った5、4、3、2、1、またはそれより低いレベルの疼痛を被る。特定の実施形態では、対象は、光が日光暴露皮膚に当てられた際に、疼痛の視覚的アナログスケールに従った3、2、1、またはそれより低いレベルの疼痛を被る。特定の実施形態では、対象は、光が日光暴露皮膚に当てられた際に、疼痛の視覚的アナログスケールに従った2、1、またはそれより低いレベルの疼痛を被る。
【0099】
別の態様では、本開示はまた、局所皮膚感染症を治療するための方法を提供し、それを必要とする対象に、治療的有効量のポルフィマーナトリウム含有組成物を投与することを含み、ここで、組成物は、皮膚感染症に適用される(例えば、感染表面に適用される)。いくつかの実施形態では、皮膚感染症は、複雑性及び非複雑性の両方の、皮膚・軟部組織感染症(SSTI)、急性細菌性皮膚・皮膚組織感染症(ABSSSI)である。
【0100】
いくつかの実施形態では、本開示は、感染領域を治療するための方法を提供し、それを必要とする対象に本開示の任意の医薬組成物または医薬製剤を投与することを含み、ここで、組成物は感染領域に適用され(例えば、創傷の表面に適用され)、光が感染領域に当てられる。いくつかの実施形態では、光は、波長が約380nm~約850nmの範囲である。いくつかの実施形態では、光は、波長が約400nm~約700nmの範囲である。いくつかの実施形態では、光は、波長が約630nmである。いくつかの実施形態では、本開示は、微生物感染症を治療するための方法を提供し、それを必要とする対象に、治療的有効量の本開示の組成物または製剤を投与することを含み、ここで、組成物または製剤は感染症に適用され、光が感染領域に当てられる。いくつかの実施形態では、光は、波長が約380nm~約850nmの範囲である。いくつかの実施形態では、光は、波長が約400nm~約700nmの範囲である。いくつかの実施形態では、光は、波長が約630nmである。いくつかの実施形態では、感染領域は創傷である。特定の実施形態では、創傷は局所創傷である。いくつかの実施形態では、その領域または局所創傷は、1つ以上の細菌性及び/または真菌性の病原体に感染している。いくつかの実施形態では、その領域または局所創傷は、抗生物質耐性の細菌性病原体に感染している。
【0101】
局所治療により、全身性有害作用を回避する、標的部位の濃度の増加をもたらす、及び全身療法には利用できない薬剤の使用を可能にし、バイオフィルム等のこれに限定されない全身療法と関連する微生物の耐性機序を回避する、という利点が提供される。いくつかの実施形態では、機械的なデブリードマンは、存在する細菌のバイオバーデンを低減し、局所抗菌療法(TAT)の時間依存性の治療域を開くので、局所治療を改善するのに使用されてもよい(Wolcott R.D,et al.2010.J.Wound Care,19:320-328)。
【0102】
いくつかの実施形態では、感染領域は、1つ以上のグラム陽性菌に感染している。いくつかの実施形態では、感染領域は、1つ以上のグラム陰性菌に感染している。いくつかの実施形態では、感染領域は、1つ以上の真菌性病原体に感染している。いくつかの実施形態では、感染領域は、グラム陽性菌のStaphylococcus aureus(+)、Staphylococcus aureus MRSA(+)、Peptostreptococcus anaerobius(+)、Proprionibacterium acnes(+)(現在では、Cutibacterium acnesと呼ばれる)、Bacillus thuringiensis(+)、Bacillus atrophaeus(+)、Streptococcus Mutans(+)、Streptococcus pneumoniae(+)に感染しているか、またはグラム陰性菌のPrevotella(-)、Porphyromonas gingivalis(-)、Salmonella enterica(-)、Escherichia coli(-)、Yersinia intermedia(-)、Acinetobacter baumannii(-)、Neisseria gonorrhea(-)、Haemophilus influenza(-)、Fusobacterium nucleatum(-)、もしくはMoraxella.Catarrhalis(-)に感染している。いくつかの実施形態では、感染領域は、Candida spp.のCandida albicans、Candida glabrata、Candida parasilosis、Candida krusei、Candida tropicalis、及び/またはCandida.Guilliermondiに感染している。いくつかの実施形態では、感染領域は、以下のグラム陽性細菌性病原体、すなわち、Staphylococcus aureus(+)、Staphylococcus aureus MRSA(+)、Peptostreptococcus anaerobius(+)、Proprionibacterium acnes(+)(現在では、Cutibacterium acnesと呼ばれる)、Bacillus thuringiensis(+)、Bacillus atrophaeus(+)、Streptococcus Mutans(+)、Streptococcus pneumoniae(+)に感染しているか、またはグラム陰性菌のPrevotella(-)、Porphyromonas gingivalis(-)、Salmonella enterica(-)、Escherichia coli(-)、Yersinia intermedia(-)、Acinetobacter baumannii(-)、Neisseria gonorrhea(-)、Haemophilus influenza(-)、Fusobacterium nucleatum(-)、もしくはMoraxella.Catarrhalis(-)のうちの1つ以上に感染している。いくつかの実施形態では、感染領域は、以下の真菌性病原体、すなわち、CandidaのC.albicans、C.glabrata、C.parasilosis、C.krusei、C.tropicalis、C.guilliermondiのうちの1つ以上に感染している。いくつかの実施形態では、感染領域は創傷である。特定の実施形態では、創傷は局所創傷である。
【0103】
いくつかの実施形態では、本開示のポルフィマーナトリウム組成物は、成人の細菌性副鼻腔炎の慢性副鼻腔炎に見いだされる細菌叢、例えば、Streptococcus pneumonia(グラム陽性の通性嫌気性菌)、Moraxella catarrhalis(グラム陰性、好気性菌)、Staphylococcus aureus(グラム陽性、通性嫌気性)、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)(グラム陽性の通性嫌気性菌)、Prevotella spp.(グラム陰性、偏性嫌気性菌)、Peptostreptococcus spp.(グラム陽性、嫌気性)、Fusobacterium nucleatum(グラム陰性、嫌気性)、Porphyromonas gingivalis(グラム陰性、嫌気性)、S.pneumoniae(グラム陽性の通性嫌気性菌)及びpropionibacterium acnes(グラム陽性、嫌気性)に対する活性を有する。
【0104】
SSTI等の感染症に存在するS.aureus及び他の細菌のバイオフィルムにより、感染の管理及び低減を成功させることがいっそう困難になる。例えばS.aureusを含有する、複数種のバイオフィルムを形成するSSTI関連細菌の組み合わせでは、比較可能な単一種のバイオフィルムよりも高い耐性、毒性及び病原性が示されている。SSTI患者におけるそのような複合バイオフィルムの存在は、これらの感染症の慢性的で持続的な性質の大きな原因であると見なされる。
【0105】
いくつかの実施形態では、細菌性病原体は、1つ以上の抗生物質に対して耐性を示す。特に懸念されるのは、メチシリン耐性Staphylococcus aureus株(MRSA)である。MRSAは、病院でのMRSA有病率が爆発的に増加した1990年代まで病院環境では珍しい出来事であった。MRSAは現在、特に英国では、病院に特有であると見なされている(Johnson A P et al.2001 J.Antimicrobial Chemotherapy 48(1):143-144)。さらに、MRSAは糖尿病性足感染症において新たな脅威となる(CDC:Centers for Disease Control and Preventionウェブサイトより2009年1月17日に取得)。
【0106】
本開示のポルフィマーナトリウム組成物は、複数の細菌株及び真菌株に対する活性を有する。いくつかの実施形態では、ポルフィマーナトリウム組成物は、グラム陽性菌のStaphylococcus aureus(+)、Staphylococcus aureus MRSA(+)、Peptostreptococcus anaerobius(+)、Proprionibacterium acnes(+)(現在では、Cutibacterium acnesと呼ばれる)、Bacillus thuringiensis(+)、Bacillus atrophaeus(+)、Streptococcus Mutans(+)、Streptococcus pneumoniae(+)に感染しているか、またはグラム陰性菌のPrevotella(-)、Porphyromonas gingivalis(-)、Salmonella enterica(-)、Escherichia coli(-)、Yersinia intermedia(-)、Acinetobacter baumannii(-)、Neisseria gonorrhea(-)、Haemophilus influenza(-)、Fusobacterium nucleatum(-)、もしくはMoraxella.Catarrhalis(-)、あるいは真菌性病原体のCandidaのC.albicans、C.glabrata、C.parasilosis、C.krusei、C.tropicalis、C.guilliermondiが挙げられるがこれらに限定されない複数の菌株に対して、インビトロ及びインビボで活性を有する。
【0107】
したがって、本開示のいくつかの実施形態では、グラム陽性菌のStaphylococcus aureus(+)、Staphylococcus aureus MRSA(+)、Peptostreptococcus anaerobius(+)、Proprionibacterium acnes(+)(現在では、Cutibacterium acnesと呼ばれる)、Bacillus thuringiensis(+)、Bacillus atrophaeus(+)、Streptococcus Mutans(+)、Streptococcus pneumoniae(+)に感染しているか、またはグラム陰性菌のPrevotella(-)、Porphyromonas gingivalis(-)、Salmonella enterica(-)、Escherichia coli(-)、Yersinia intermedia(-)、Acinetobacter baumannii(-)、Neisseria gonorrhea(-)、Haemophilus influenza(-)、Fusobacterium nucleatum(-)、もしくはMoraxella.Catarrhalis(-)、あるいはCandida spp.のCandida albicans、Candida glabrata、Candida parasilosis、Candida krusei、Candida tropicalis、及び/またはCandida.Guilliermondiに関連する感染及び創傷を治療及び/または予防する方法を提供する。
【0108】
いくつかの特定の実施形態では、感染または創傷を治療及び/または予防する方法は、ポルフィマーナトリウム組成物を使用する、ヒト及び動物の両方におけるStaphylococcus aureus、Staphylococcus aureus MRSA、P.anaerobius、P.acnes、B.thuringiensis、Bacillus.atrophaeus、S.Mutans、S.pneumoniae、Prevotella、P.gingivalis、S.enterica、E.coli、Y.intermedia、A.baumannii、N.gonorrhoea、H.influenza、F.nucleatum、M.catarrhalis、または真菌性病原体のCandida spp.のC.albicans、C.glabrata、C.parasilosis、C.krusei、C.tropicalis、C.guilliermondiのうちの1つ以上に関連する。他の態様では、本開示は、これらの細菌に関連する種または株と関連する感染を治療及び/または予防する方法を提供する。いくつかの実施形態では、細菌感染症はSSTIである。Staphylococcus aureus、Staphylococcus aureus MRSA、P.anaerobius、P.acnes、B.thuringiensis、B.atrophaeus、S.Mutans、S.pneumoniae、Prevotella、P.gingivalis、S.enterica、E.coli、Y.intermedia、A.baumannii、N.gonorrhoea、H.influenza、F.nucleatum、M.catarrhalisは、特にSSTIの個人における多くの重度日和見感染の原因である。
【0109】
いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物は、Staphylococcus aureus、Staphylococcus aureus MRSA、P.anaerobius、P.acnes、B.thuringiensis、B.atrophaeus、S.Mutans、S.pneumoniae、Prevotella spp.、P.gingivalis、S.enterica、E.coli、Y.intermedia、A.baumannii、N.gonorrhoea、H.influenza、F.nucleatum、M.catarrhalisに関連する創傷を治療及び/または予防するために企図される。いくつかの実施形態では、創傷は、真菌性病原体のCandida spp.のC.albicans、C.glabrata、C.parasilosis、C.krusei、C.tropicalis、C.guilliermondiのうちの1つ以上に感染しているか、または他の細菌の種または株と関連しており、これには、皮膚の感染、創傷内及び創傷周囲の感染、慢性潰瘍、熱傷と関連する潰瘍、術後感染、カテーテル及び外科的ドレーンに関連する感染、ならびに血液の感染等の感染領域が含まれるが、これらに限定されない。
【0110】
本開示のポルフィマーナトリウム組成物を使用するPDTには、副鼻腔炎、創傷、開放骨折、外科的インプラント、及び外科的処置に起因する感染が含まれるがこれらに限定されない、口腔感染症、頭頸部感染症、表在性及び/または皮下の感染症(例えば、細菌性及び/または真菌性感染症)に対する非侵襲性または低侵襲性の有効な治療としての用途がある。いくつかの実施形態では、組成物は、皮膚潰瘍、皮膚病変、小胞、嚢胞、水膨れ、水疱、褥瘡潰瘍(床ずれ)及び他の圧迫性潰瘍等の開放性潰瘍、慢性潰瘍、蜂窩織炎、膿痂疹及びそれと関連する潰瘍、丹毒及びそれと関連する病変、創傷、熱傷及びそれと関連する創傷、よう、せつ、あるいは皮膚が損傷している、ひび割れている、傷ついている、割れている、及び/または他の状態に侵されている、他の状態、に関連する感染が含まれるがこれらに限定されない、傷ついた皮膚の領域に関連する細菌感染症の治療及び/または予防において用いられる。
【0111】
本明細書に記載される実施形態のいずれかでは、ポルフィマーナトリウム組成物は、真菌性病原体のCandida,spp.のC.albicans、C.glabrata、C.parasilosis、C.krusei、C.tropicalis、C.guilliermondiのうちの1つ以上の感染症(例えば、SSTI、ABSSSI)を治療するために使用され得る。
【0112】
感染領域を治療するための方法のいくつかの実施形態では、ポルフィマーナトリウム組成物の投与後に、以下の(i)微生物(例えば、細菌及び/または真菌)のバイオフィルムを低減及び/または分散させること、(ii)微生物(例えば、細菌及び/または真菌)のバイオフィルムの成長もしくは形成を減弱させること、ならびに(iii)微生物(例えば、細菌及び/または真菌)のバイオフィルムの再形成もしくは拡大を予防すること、のうちの1つ以上が生じる。いくつかの実施形態では、ポルフィマーナトリウム組成物は、(i)細菌性もしくは真菌性病原体による感染の予防、及び/または(ii)細菌性もしくは真菌性病原体の減少、のうちの1つもしくは両方によって、皮膚及び軟部組織の細菌性もしくは真菌性感染症を治療する、管理する、及び/またはその重症度を軽減する。いくつかの実施形態では、ポルフィマーナトリウム組成物は、(i)細菌性もしくは真菌性病原体からの外毒素の生成もしくは分泌の予防、(ii)細菌性もしくは真菌性病原体の浮遊細胞の細胞生存率もしくは細胞増殖の阻害、(iii)細菌性もしくは真菌性病原体によるバイオフィルム形成の阻害、(iv)バイオフィルムもしくは微生物病原体の下層組織(例えば、皮下組織)に対する侵襲性の阻害、(v)バイオフィルムもしくは微生物病原体の下層組織(例えば、皮下組織)への病原性の阻害、(vi)細菌性もしくは真菌性病原体のバイオフィルム形成細胞のバイオフィルム生存能もしくはバイオフィルム成長の阻害、及び/または(vii)デブリードマン後のバイオフィルムの再形成の阻止、のうちの1つ以上によって感染症を治療する、管理する、またはその重症度を軽減する。いくつかの実施形態では、対象は、列挙された転帰のうちの2つ以上を経験する。いくつかの実施形態では、対象は列挙された結果のうちの3以上を経験する。いくつかの実施形態では、対象は列挙された結果のうちの4以上を経験する。いくつかの実施形態では、対象は列挙された結果のすべてを経験する。
【0113】
本開示の方法のいくつかの実施形態では、組成物または製剤の投与後、以下の(i)細菌性及び/または真菌性バイオフィルムを減少及び/または分散させること、(ii)細菌性及び/または真菌性バイオフィルムの成長もしくは形成を減弱させること、ならびに(iii)細菌性及び/または真菌性バイオフィルムの再形成もしくは拡大を予防すること、のうちの1つ以上が生じる。いくつかの実施形態では、対象は、列挙された転帰のうちの少なくとも1つを経験する。いくつかの実施形態では、対象は、列挙された転帰のうちの少なくとも2つを経験する。いくつかの実施形態では、対象は列挙された結果のすべてを経験する。感染領域を治療するための方法のいくつかの実施形態では、対象は、投薬完了後、以下の転帰、すなわち、再感染/再発の減少;発赤、膨張、硬結、滲出液、疼痛、熱感(感染部位)もしくは発熱が含まれる、感染の徴候及び/または症状の消失もしくは改善;生活の質の改善;侵襲性の病原体及び/またはバイオフィルムの根絶;抗生物質の同時全身投与の必要性の低減、のうちの1つ以上を経験する。
【0114】
いくつかの実施形態では、光線力学的治療のための方法には、光線力学的治療による有害反応もしくは副作用を伴わずに、またはそれらを最小限に抑えて感染症を治療することが含まれる。特定の実施形態では、組成物、次いで光が、対象の感染、皮膚または創傷に適用される場合、疼痛、浮腫、そう痒症及び/または紅斑の最小化等の有害な副作用が最小限化される。特定の実施形態では、光線力学的物質はポルフィマーナトリウムである。別の特定の実施形態では、有害な副作用は、対象に局所的に適用された場合、他の光線力学的物質よりも多く最小限化される。事実、光線力学的物質の局所使用に関する最も重大な欠点の1つが、光照射中のかなりの疼痛である。例えば、5-ALA及びメチル-ALAのどちらの局所適用も、光照射中に特異性の疼痛を引き起こすことが知られており、薬物が、毛包、神経終末、表皮細胞及び皮脂腺に局在するという事実による可能性が高い。このため、この分野では、治療中の疼痛を軽減するための新規の方法が必要である。
【0115】
したがって、本発明の実施形態には、対象での創傷を治療するための方法が含まれ、それを必要とする対象に、本明細書に記載される任意の医薬組成物または医薬製剤を投与することを含み、ここで、組成物は、対象に適用され、光が対象に当てられ、疼痛、浮腫、そう痒症及び/または紅斑の最小化等の有害な副作用が最小限化される。特定の実施形態では、医薬組成物は、光増感剤及び1つ以上のゲル化剤を含む。特定の実施形態では、光増感剤はポルフィマーナトリウム(Photofrin(登録商標))である。
【0116】
特定の実施形態では、対象は、光が対象の感染部、創傷または皮膚に当てられた際に、疼痛を被ることがない。別の実施形態では、対象は、光が対象の感染部、創傷または皮膚に当てられた際に、疼痛の視覚的アナログスケールに従った疼痛を被ることがない。例えば、Bodian CA,Freedman G,Hossain S,Eisenkraft JB,Beilin Y.The Visual Analog Scale for Pain.Anesthesiology 2001:95:1356-61を参照のこと。特定の実施形態では、対象は、光が対象に当てられた際に、疼痛の視覚的アナログスケールに従った10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、またはそれより低いレベルの疼痛を被る。特定の実施形態では、対象は、光が対象に当てられた際に、疼痛の視覚的アナログスケールに従った5、4、3、2、1、またはそれより低いレベルの疼痛を被る。特定の実施形態では、対象は、光が対象に当てられた際に、疼痛の視覚的アナログスケールに従った3、2、1、またはそれより低いレベルの疼痛を被る。特定の実施形態では、対象は、光が対象に当てられた際に、疼痛の視覚的アナログスケールに従った2、1、またはそれより低いレベルの疼痛を被る。
【0117】
本明細書での方法の特定の実施形態では、医薬組成物は、対象の感染及び/または皮膚に約1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、6分間、7分間、8分間、9分間、10分間、11分間、12分間、12分間、14分間、14分間、16分間、17分間、18分間、19分間、20分間、21分間、22分間、23分間、24分間、25分間、26分間、27分間、28分間、29分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、60分間、または120分間、適用される。別の実施形態では、光は、対象に約1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、6分間、7分間、8分間、9分間、10分間、11分間、12分間、12分間、14分間、14分間、16分間、17分間、18分間、19分間、20分間、21分間、22分間、23分間、24分間、25分間、26分間、27分間、28分間、29分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、60分間、または120分間、当てられる。
【0118】
特定の実施形態では、組成物は、対象に約15分間~約60分間適用され、光は、約5~約25分間当てられる。特定の実施形態では、組成物は、対象に約15分間~約30分間適用され、光は、約5~約25分間当てられる。別の実施形態では、対象は、紅斑病変を発症しない。別の実施形態では、対象は、対象に対する治療による、紅斑スケールに従った1または2よりも高い紅斑病変を発症しない。
【0119】
特定の実施形態では、組成物は、対象に約15分間~60分間適用され、光は、約5分間当てられる。特定の実施形態では、組成物は、対象に約15分間~30分間適用され、光は、約5分間当てられる。特定の実施形態では、光は5~25分間当てられる。特定の実施形態では、組成物は、本明細書に提供される実施例7~11のいずれか1つに提供されるように、対象に当てられる。別の実施形態では、対象は、日光暴露皮膚または損傷皮膚に対する治療から浮腫及び/またはそう痒症を発症しない。別の実施形態では、対象は、損傷皮膚または日光暴露皮膚に対する治療から紅斑病変を発症しない。別の実施形態では、対象は、日光暴露皮膚対する治療による、紅斑スケールに従った1または2よりも高い増加の紅斑病変を発症しない。
【0120】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、ポルフィマーナトリウム組成物は、1日3回、1日2回、1日1回、2日ごとに1回、3日に1回、週3回、週1回、2週に1回、月1回、または2か月に1回、投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、1日1回または週3回投与される。いくつかの実施形態では、対象は、複数用量のポルフィマーナトリウム組成物を約1週間~約12週間の範囲の時間、連日または毎週投与される。いくつかの実施形態では、対象は、複数用量のポルフィマーナトリウム組成物を約12週間よりも長い時間、連日または毎週投与される。例えば、約4ヵ月、約5ヵ月、約6ヵ月、約7ヵ月、約8ヵ月、約9ヵ月、約10ヵ月、約11ヵ月、または約1年。いくつかの実施形態では、対象は、複数用量のポルフィマーナトリウム組成物を約4週間~約10週間、連日または毎週投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最初の24時間、4時間ごとまたは6時間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最初の24時間以降、少なくともさらに3日間は12時間ごと、または24時間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくともさらに4日間は、12時間ごと、または24時間ごと投与される。
【0121】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、ポルフィマーナトリウム組成物は、1日3回、1日2回、1日1回、2日ごとに1回、3日に1回、週3回、週1回、2週に1回、月1回、または2か月に1回、投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、1日1回または週3回投与される。いくつかの実施形態では、対象は、複数用量のポルフィマーナトリウム組成物を約1週間~約12週間の範囲の時間、連日または毎週投与される。いくつかの実施形態では、対象は、複数用量のポルフィマーナトリウム組成物を約12週間よりも長い時間、連日または毎週投与される。例えば、約4ヵ月、約5ヵ月、約6ヵ月、約7ヵ月、約8ヵ月、約9ヵ月、約10ヵ月、約11ヵ月、または約1年。いくつかの実施形態では、対象は、複数用量のポルフィマーナトリウム組成物を約4週間~約10週間、連日または毎週投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最初の24時間、4時間ごとまたは6時間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最初の24時間以降、少なくともさらに3日間は12時間ごと、または24時間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくともさらに4日間は、12時間ごと、または24時間ごと投与される。
【0122】
実施形態
1.光増感剤と1つ以上のゲル化剤とを含む、医薬組成物。
【0123】
2.前記光増感剤が、ポルフィリン、クロリン(HPPH;NPe6;テモポルフリン(Foscan)、mTHPC))、ならびにバクテリオクロロフィルポルフィソーム、亜鉛ピロフェオホルビドポルフィソーム及びピロフェオフィオルビドポルフィソーム等のピロフェオホルビドナノ小胞にあるようなポルフィソーム、ならびにクロリン様化合物(ベンゾポルフィリン;ベルテポルフィン、バクテリオクロリン及びフタロシアニン、プルプリン(エチルエチオプルプリンすず);メタロポルフィリン(テキサフィリン);フェオホルビド(TOOKAD);プロトポルフィリン(Levulan、Metvix、5-ALA(PpIX))、ならびに非ポルフィリン系光増感剤、例えば、フェノチアジニウム塩、例えば、メチレンブルー、トルイジンブルー、ナイルブルー、シアニン、ヒペリシン及びカルコゲンピリリウム色素;PPA904;ベンゾフェノチアジニウム色素EtNBS;フルオレセイン及びローズベンガルが含まれるキサンテンクラスの蛍光色素;フラーレン(極性ジセリノール基または第四級ピロリジニウム基に結合したC60フラーレン);スクアラオゲニン(Squaraogenine)、BODIPY(ホウ素-ジピロメテン)色素、フェナレノン;ヒペリシン、ヒポクレリン、リボフラビン、クルクミン、二酸化チタン及びポルフィマーナトリウム(Photofrin(登録商標))、からなる群のうち1つ以上から選択される、実施形態1に記載の医薬組成物。
【0124】
3.前記光増感剤がポルフィマーナトリウムである、実施形態1に記載の医薬組成物。
【0125】
4.前記ポルフィマーナトリウムが、約0.01重量%~約1.0重量%、または約0.05重量%~約0.7重量%、または約0.1重量%~約0.5重量%、または約0.15重量%~約0.3重量%の範囲の量である、実施形態3に記載の医薬組成物。
【0126】
5.前記ポルフィマーナトリウムが、0.01重量%~1.0重量%、または0.05重量%~0.7重量%、または0.1重量%~0.5重量%、または0.15重量%~0.3重量%の範囲の量である、実施形態3に記載の医薬組成物。
【0127】
6.前記ゲル化剤が、Carbopolポリマー、カルボマー、架橋、ポリアクリル酸、レシチン-PLO等のレシチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群のうちの1つ以上から選択される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0128】
7.少なくとも1つのゲル化剤はカルボマーである、実施形態6に記載の医薬組成物。
【0129】
8.前記ゲル化剤が、ポリアルケニルエーテルまたはジビニルグリコールと架橋したアクリル酸のポリマーである、実施形態7に記載の医薬組成物。
【0130】
9.前記カルボマーが、CarbopolポリマーのCarbopol(登録商標)71G、Carbopol(登録商標)971P、Carbopol(登録商標)974P、Carbopol(登録商標)980、Carbopol(登録商標)981、Carbopol(登録商標)5984、Carbopol(登録商標)934、Carbopol(登録商標)934P、Carbopol(登録商標)940、Carbopol(登録商標)941、及び/またはCarbopol(登録商標)1342である、実施形態7に記載の医薬組成物。
【0131】
10.前記ゲル化剤が、約0.5重量%~約3.0重量%、または約0.7重量%~約2.0重量%、または約1.0重量%~約1.75重量%の範囲の量である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0132】
11.前記ゲル化剤が、0.5重量%~3.0重量%、または0.7重量%~2.0重量%、または1.0重量%~1.75重量%の範囲の量である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0133】
12.前記医薬組成物が1つ以上の透過促進剤をさらに含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0134】
13.前記透過促進剤が、プロピレングリコールSR、ポリエチレングリコール400SR、ポリエチレングリコール300LA、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及びポリソルベート80SRからなる群のうち1つ以上から選択される、実施形態7に記載の医薬組成物。
【0135】
14.前記透過促進剤が、1つのプロピレングリコールSR及びジエチレングリコールモノエチルエーテルから選択される、実施形態13に記載の医薬組成物。
【0136】
15.前記透過促進剤が、約1.0%~約60%、または約5%~約30%の範囲の量である、実施形態12~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【0137】
16.前記医薬組成物が、光増感剤、ゲル化剤、1つ以上の透過促進剤、保水剤、可溶化剤、及び保存剤を含む、実施形態12~15のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0138】
17.
i)前記保水剤が、約10重量%~約20重量%の範囲、または約15重量%の量であり、
ii)前記可溶化剤が、1.0重量%~約5重量%、もしくは約1%~約3%、もしくは約2%の範囲の量であり、及び/または
iii)前記保存剤が、0.5重量%~約5重量%、もしくは約0.5重量%~約2重量%、もしくは約1重量%~約3重量%の範囲の量である、実施形態16に記載の医薬組成物。
【0139】
18.前記医薬組成物が局所製剤である、実施形態1~17のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0140】
19.前記局所製剤がポルフィマーナトリウムを含み、実施例7に記載されているような条件下でヒトの皮膚に適用される場合、少なくとも0.03%(パーセント)の前記ポルフィマーを前記対象の表皮に提供する、実施形態18に記載の医薬組成物。
【0141】
20.前記局所製剤がポルフィマーナトリウムを含み、対象の無傷のヒト皮膚に適用される場合、少なくとも0.03%(パーセント)の前記ポルフィマーを前記対象の表皮から真皮への層に提供する、実施形態18に記載の医薬組成物。
【0142】
21.前記組成物が、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が20%未満である、実施形態19または20に記載の医薬組成物。
【0143】
22.ポルフィマーナトリウム及び1つ以上の薬学的な許容される賦形剤を含む医薬局所製剤であって、対象の感染領域、または創傷に適用される場合、少なくとも0.03%(パーセント)の前記ポルフィマーを前記対象の真皮に提供する、前記医薬局所製剤。
【0144】
23.前記局所製剤が、少なくとも0.04%(パーセント)の前記ポルフィマーを前記対象の表皮に提供する、実施形態19に記載の医薬局所製剤。
【0145】
24.前記組成物が、40℃/75%RHで4週間の後、HPLCによる不純物の総量が20%未満である、実施形態22または23に記載の医薬局所製剤。
【0146】
25.前記医薬局所製剤が、ゲル化剤、1つ以上の透過促進剤をさらに含む、実施形態22~24のいずれか1つに記載の医薬局所製剤。
【0147】
26.対象における日光暴露皮膚を治療するための方法であって、前記方法は、それを必要とする前記対象に、実施形態1~25のいずれか1つに記載の任意の医薬組成物を投与することを含み、前記組成物は、前記日光暴露皮膚に適用され、光が前記日光暴露皮膚に当てられる、前記方法。
【0148】
27.前記光は、波長が約380nm~約850nmの範囲である、実施形態26に記載の方法。
【0149】
28.前記光は、波長が約630nmである、実施形態27に記載の方法。
【0150】
29.治療される前記日光暴露皮膚は、慢性日光暴露皮膚、皺、色素斑、肝斑、日光角化症、脂漏性角化症、光損傷皮膚、ざ瘡、イボ、及び乾癬からなる群のうちの1つ以上から選択される、実施形態26~28のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
30.前記対象が、前記光が前記日光暴露皮膚に当てられた際に、疼痛を被ることがない、実施形態26~29のいずれか1つに記載の方法。
【0152】
31.前記対象が、前記光が前記日光暴露皮膚に当てられた際に、疼痛の視覚的アナログスケールに従った疼痛を被ることがない、実施形態30に記載の方法。
【0153】
32.前記対象が、前記光が前記日光暴露皮膚に当てられた際に、疼痛の視覚的アナログスケールに従った5、4、3、2、1、またはそれより低いレベルの疼痛を被る、実施形態31に記載の方法。
【0154】
33.前記組成物が、前記対象の皮膚または創傷に15~60分間適用され、光が5~25分間当てられる、実施形態26~32のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
34.前記組成物が、本明細書の実施例4~14のいずれか1つに提供される通りに前記対象に適用される、実施形態26~33のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
35.前記対象が、前記日光暴露皮膚に対する治療による浮腫またはそう痒症を発症しない、実施形態26~34のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
36.前記対象が、前記日光暴露皮膚に対する治療による紅斑病変を発症しない、実施形態26~35のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
37.前記対象が、前記日光暴露皮膚対する治療による、紅斑スケールに従った1または2よりも高い紅斑病変を発症しない、実施形態26~36のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
38.前記組成物が、前記対象の前記皮膚または創傷に15~60分間適用され、光が5~25分間当てられる、実施形態37に記載の方法。
【0160】
39.前記組成物が、本明細書の実施例6~14のいずれか1つに提供される通りに前記対象に適用される、実施形態38に記載の方法。
【0161】
40.前記対象が、日光角化症及び/または脂漏性角化症に対して治療される、実施形態26~39のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
41.表1または表5のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0163】
42.対象における日光暴露皮膚を治療するための方法であって、前記方法は、それを必要とする前記対象に、実施形態41に記載の任意の医薬組成物を投与することを含み、前記組成物は、前記日光暴露皮膚に適用され、光が前記日光暴露皮膚に当てられる、前記方法。
【0164】
43.感染領域を治療するための方法であって、前記方法は、それを必要とする対象に、実施形態41に記載の局所医薬組成物を投与することを含み、前記医薬組成物は、前記感染領域に適用される、前記方法。
【0165】
44.前記対象が、前記感染領域に当てられる波長が約630nmの光を投与される、実施形態42または43に記載の方法。
【0166】
45.前記感染領域が、微生物感染に起因する、実施形態43または44に記載の方法。
【0167】
46.前記感染領域が、
グラム陽性細菌Staphylococcus aureus(+)、Staphylococcus aureus MRSA(+)、Peptostreptococcus anaerobius(+)、Proprionibacterium acnes(+)(現在では、Cutibacterium acnesと呼ばれる)、Bacillus thuringiensis(+)、Bacillus atrophaeus(+)、Streptococcus Mutans(+)、Streptococcus pneumoniae(+)に感染している、及び/または、グラム陰性菌のPrevotella(-)、Porphyromonas gingivalis(-)、Salmonella enterica(-)、Escherichia coli(-)、Yersinia intermedia(-)、Acinetobacter baumannii(-)、Neisseria gonorrhea(-)、Haemophilus influenza(-)、Fusobacterium nucleatum(-)、もしくはMoraxella.Catarrhalis(-)に感染している、及び/または、Candida spp.のCandida albicans、Candida glabrata、Candida parasilosis、Candida krusei、Candida tropicalis、及び/またはCandida.Guilliermondiに感染している、実施形態45に記載の方法。
【実施例】
【0168】
以下の実施例は、本開示を例示するために提供されており、それらを限定するものとして解釈されるべきではない。
【0169】
実施例1:ポルフィマーナトリウム製剤1~6
従来のポルフィマーナトリウム溶液を用いて成功したインビトロ研究のインビボ研究への適用は、極めて困難である。例えば、従来のFDA承認のポルフィマーナトリウム調製物を用いた抗微生物光線力学療法を記載したインビボ試験では、インビトロでの有望な結果にもかかわらず、擦過傷のモデルにおいて否定的または様々な結果をもたらした。同様に、従来の再構成ポルフィマーナトリウム、例えば、濃稠化剤と混合されたもの等を含有する製剤は、ポルフィマーナトリウムの皮膚透過力が弱いことが生理食塩水中で影響したため、インビボでの有効性を改善しなかった。従来のFDA承認のポルフィマーナトリウム調製物は、溶液に再構成すると安定性に乏しい。したがって、再構成したポルフィマーナトリウムは、再構成時に直ちに、または24時間以内に使用しなければならない。調製された、より複雑で高度なポルフィマーナトリウム(0.2w/w%)製剤である製剤1~製剤6の組成を下表1に概説する。
【表1-1】
【表1-2】
【0170】
実施例2:製剤1~5に関する安定性及び皮膚透過性試験。
安定性試験
【0171】
ポルフィマーナトリウム製剤1~5の安定性を試験した。各製剤を、物理的及び化学的安定性について試験した。物理的試験には、外観(製品の視覚的な記述及び色)、pH及び顕微鏡検査が含まれる。化学的試験には、アッセイ(LC%)及び不純物、具体的にはポルフィマーナトリウムの分解産物を探索することが含まれる。HPLCの保持時間による検出について分析される特定の不純物/分解産物には、ポルフィマーナトリウムの加水分解生成物であるヘマトポルフィリン(HP)及びヒドロキシビニルジュウテロポルフィリン(HVD)(異性体1及び2)、ならびに脱水生成物であるプロトポルフィリン(PP)が含まれる。不純物の総量は、これらの不純物の蓄積である。
【0172】
環境室は、以下の温度(C)及び相対湿度(RH)条件に維持される:長期保存:25±2℃/60±5%RH。冷蔵:5±3℃。加速保存:40±2℃/75±5%RH。結果を
図1及び以下の表2にまとめる。
【表2-1】
【表2-2】
【0173】
表2に示すように、製剤1が、40℃にて24%を超える不純物を示すことを除き、製剤3及び製剤5は、5℃、25℃/60%RH及び40℃/75%RHにおいて4週間、物理的及び化学的に安定であった。これは、ポルフィマーナトリウムが、生理食塩水で再構成した場合に24時間しか安定でないことを考えると、驚くべき予想外の結果であった。
【0174】
実施例3:皮膚透過性試験
試験が完了し、製剤が、インビトロ環境においてヒト皮膚内に薬物を送達し、さらにはAPIを適切な皮膚層内部に保持する能力が示された。試験デザインのパラメータを下表3に示す。
【表3】
【0175】
この実験では、被験物質適用前に、各拡散セルのTEWLを測定して記録した。本試験では25g/m2/h以下の範囲が許容される。皮膚透過性実験で薬物を評価するため、自動インラインフロースルー型拡散セルシステム(PermeGear Collector FC 33、バージョン3.1)を使用した。7.8μLを送達するようセットしたポジティブディスプレイスメント式ピペットを使用して、被験物質を皮膚組織表面に均一に分注した。試験は、遮光環境かつ周囲に対して閉じられた条件下で実施された。24時間の時点を最大としてプロトコルに示されている間隔で画分を採取した。試料での曝光を防ぐための予防措置を講じるべきである。画分を採取し、直ちに蓋をし、アルミホイルに入れて-20℃で保存した。試験時間終了時、遮光環境下で組織の表面を乾いた綿棒で1回、洗浄溶媒(ヘキサン:アセトニトリル=1:9(v/v))で濡らした綿棒で1回、及び乾いた綿棒で1回洗浄した後、テープストリップを連続3回行った。綿棒及びテープストリップは、要請に応じて分析された。洗浄及びテープストリップが行われた皮膚を、真皮側を下にしてアルミホイルの上に置き、遮光環境で処理される。試料を、60℃に設定したオーブンにおおよそ2.0分間入れた。ピンセットを使用して、表皮を真皮から分離した。分離された試料を、それぞれラベルの付いた秤量済みバイアルに入れ、組織の重量を記録した。
【0176】
表皮及び真皮の試料を、遮光環境を維持しながら以下のプロトコルを使用して処理し、ホモジナイズした:500μLのホモジナイズ用混合物(水:アセトニトリル=1:1(v/v))を、皮膚試料を含有するラベル付きチューブに加えた。真皮は、10,000RPM、30秒を4回、45秒の一時停止期間にてホモジナイズされる。次いで、表皮が、10,000RPM、30秒を2回、45秒の一時停止期間にてホモジナイズされる。ホモジナイゼーション完了後、1000μLのアセトニトリルを加え、短時間ボルテックスした後、水浴で10分間超音波処理する。バイアルを遠心分離にかけ、上清を質量分析に使用する。以下の試料を薬物含量について分析した:異なる時点でのレセプター液試料;皮膚試料(最終時点での各セルの表皮及び真皮)、テープストリップ、及びマスバランス決定のために分析される綿棒。最終時点でのレセプター液(receiving fluid)への各製剤の透過プロファイル、ならびに表皮及び真皮への各製剤の透過を計算した。
【0177】
結果
皮膚保持試験では、適用24時間後、ポルフィマーナトリウムの透過が皮膚の表皮層に主に見られることが示された(
図1及び表4を参照のこと)。いずれの製剤も、レセプター液中のポルフィマーナトリウムの透過を示さなかった。
【表4】
【0178】
試験した製剤のうち、製剤3は、より高い表皮での保持を0.0481%にて示し、製剤2、製剤5及び製剤4がそれぞれ、0.0218%、0.0218%及び0.0183%にて続く。
【0179】
実施例4:KIの有無による局所ポルフィマーナトリウム製剤7A~7J
KIを含む場合、または含まない場合のナトリウムポルフィマー製剤7A~7Jを下表5に従って調製した。
【表5-1】
【表5-2】
【0180】
実施例5:ポルフィマーナトリウム製剤7A~7Fの安定性試験
KIを含まないポルフィマーナトリウム製剤7A、7B、及び7C(0.1、0.2、0.5w/w%)、ならびにKI(100mM)を含むポルフィマーナトリウム製剤7D、7E、及び7F(0.1、0.2、0.5w/w%)の安定性試験を行った。
【0181】
環境室は、以下の温度(C)及び相対湿度(RH)条件に維持される:長期保存:25±2℃/60±5%RH。冷蔵:5±3℃。加速保存:40±2℃/75±5%RH。
【0182】
各製剤のプロトタイプを物理的及び化学的安定性について試験した。物理的試験には典型的に、外観(製品の視覚的な記述及び色)、pH及び顕微鏡検査が含まれる。化学的試験には、アッセイ(表示量%)及び不純物が含まれる。
【0183】
結果:
25℃/60%RH、40℃/75%RH及び5℃で、2週間及び1か月保存したポルフィマーナトリウム製剤7A~7Fの安定性試験の結果を
図3~8に示す。
図3~8に示すように、2週間及び4週間における全試料のアッセイ値は、ナトリウムポルフィマーの表示量のおおよそ93~105%以内である。
【0184】
実施例6:ヨウ化カリウムを含む場合または含まない場合のポルフィマーナトリウムの送達のための製剤局所投与を受ける対象での皮膚反応の潜在的な持続時間及び強さを評価するための試験
本試験は、ヨウ化カリウムを含むかまたは含まないポルフィマーナトリウムを含有するゲル製剤バリエーションの単回局所適用後の健常志願者における皮膚刺激を評価するために設計された。
【0185】
試験群
図9に示されるように、第1のセットの対象では、使用されたバリエーションの2つは、2つの濃度(0.2%及び0.5%)の薬物ポルフィマーナトリウムを含む製剤3の適用であった。第2のセットの対象では、使用されたバリエーションの2つは、2つの異なる濃度の薬物ポルフィマーナトリウム0.2%(製剤7B)及び0.5%(製剤7C)を含む第2のゲル製剤であった。第3のセットの対象では、用いられたバリエーションの2つは、ポルフィマーナトリウム0.2%+100mMヨウ化カリウム(製剤7E)及びポルフィマーナトリウム(0.5%)+100mMヨウ化カリウム(製剤7F)を含む製剤であった。試験では、製剤適用、15分または30分のいずれかのインキュベーション期間、それに続くおおよそ50J/cm
2の630nmの光照射後の皮膚刺激を評価した。
【0186】
手順/方法
光過敏性の処置を一般的には各前腕の内側で行った。粘着面のある曝露用カフを、切創、挫傷、病変、そばかす、ほくろ、または瘢痕を可能な限り避けて皮膚に置いた。使い捨て用量パッチを置いた後、今後の追跡調査のカフ設置のため、マーカーを使用して座標を特定した。製剤をカフの開口部に適用し、30分間インキュベートした。領域のそれぞれを線量(50J/cm2;おおよそ5分間)に曝露した。被験者が感じ、言葉にした感覚を記録した。曝露完了後、局所製剤を投与された領域を、生理食塩水を浸したガーゼで拭き取り、残留または過剰の製剤をきれいにした。写真記録及び処置領域のあらゆる目に見える反応の記録を完了させた。収集データは、紅斑スケール及び写真記録に基づく対象の皮膚の呈色で構成された。視覚的アナログスケールを使用して、試験と関連する疼痛に関する情報を収集した。患者の皮膚反応及び症状(ある場合)のレベルと持続期間を、処置直後、処置の48時間後、1週間後及び2週間後に記録した。
【0187】
結果:
全72病変を通して疼痛、浮腫、またはそう痒症(かゆみ)に関する報告はなかった。
【0188】
紅斑が報告された。処置前、試料全体の72の処置部位のいずれでも、紅斑病変は認められなかった。また、処置の48時間後、1週間後、または2週間後において紅斑の報告はなかった。観察された紅斑はいずれも、曝露直後のみ(すなわち一過性)であり(表6~9を参照のこと)、不快感(かゆみまたは疼痛)を伴っていなかった。表6に示すように、全群において、2(ピンク)を超える評価は認められず、報告された場合、最も一般的な報告は、わずかにピンク色(61%)であった。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0189】
実施例7:ヨウ化カリウムを含む場合または含まない場合のポルフィマーナトリウムの送達のための製剤局所投与を受ける対象での皮膚反応の潜在的な持続時間及び強さを評価するための試験
本試験は、ヨウ化カリウムを含むかまたは含まないポルフィマーナトリウムを含有するゲル製剤バリエーションの単回局所適用後の健常志願者における皮膚刺激を評価するために設計された。
【0190】
試験では、製剤適用、30分のインキュベーション期間、それに続くおおよそ50J/cm
2の630nmの光照射後の皮膚刺激を評価した。この試料では、6人の対象に、実施例6に記載の製剤(製剤7B、7C、7E及び7F)を与えたが、試験部位は、脂漏性角化症及び化学角化症の証拠を含む、慢性日光曝露の証拠が存在する対象の体の様々な位置であった。
図10を参照のこと。
【0191】
手順/方法
光感度手順は、皺、色素斑及び/または脂漏性角化症及び化学角化症などの慢性日光曝露の証拠が存在する身体の様々な位置で実施した。粘着面のある曝露用カフを、切創、挫傷、病変、そばかす、ほくろ、または瘢痕を可能な限り避けて皮膚に置いた。使い捨て用量パッチを置いた後、今後の追跡調査のカフ設置のため、マーカーを使用して座標を特定した。製剤をカフの開口部に適用し、30分間インキュベートした。領域のそれぞれを線量(50J/cm2;おおよそ5分間)に曝露した。被験者が感じ、言葉にした感覚を記録した。曝露完了後、局所製剤を投与された領域を、生理食塩水を浸したガーゼで拭き取り、残留または過剰の製剤をきれいにした。写真記録及び処置領域のあらゆる目に見える反応の記録を完了させた。収集データは、紅斑スケール及び写真記録に基づく対象の皮膚の呈色で構成された。視覚的アナログスケールを使用して、試験と関連する疼痛に関する情報を収集した。患者の皮膚反応及び症状(ある場合)のレベルと持続期間を、処置直後、処置の48時間後、1週間後及び2週間後に記録した。
【0192】
具体的には、6人の対象の24個の領域がこの研究に含まれた。これらの19個の領域のうち、これらの19個の領域のうち、次のように領域は製剤及び630nm光を受けた:4つの領域が0.2%PS(製剤7B)、6つの領域が0.2%PS+KI(製剤7E)、4つの領域が0.5%PS(製剤7C)、5つの領域が0.5%PS+KI(製剤7F)。合計5つの領域が、対照として光(630nm)のみを受けた。投与のための非対照領域のうち、6つの領域が脂漏性角化症を有し、10個の領域が日光角化症を有し、2つの領域が日光曝露皮膚の証拠を有し、1つの領域が小さな色素斑(黒子)を有した。
【表10】
【0193】
上記に示すように、対象は、そう痒症、疼痛または浮腫の有害な副作用は最小であるか全く有さなかった。6人の対象のうち、1人の対象のみが、3つの異なる処置領域において非常に軽度の疼痛を知覚した。1人の対象は、日光角化症の1つの処置部位に一過性浮腫を有した。
【0194】
その投与後は、治療前の創傷または病変領域上の紅斑を増加させた。
【表11】
【0195】
上に示したように、全ての病変紅斑及び非病変紅斑は、48時間後に低下した。
結果:
【0196】
全ての対象が研究を完了した。特に患者における処置された領域の評価において、現れた紅斑が主に処置された領域内の病変に限られていたことに注目することが重要である(単一の対象における1つの病変を除く)。これは、日光角化症及び脂漏性角化病変として記載された病変の場合であった。これは、閾値以下の光及び薬物用量の組み合わせであると考えられるものの場合、処置された領域内の病変に対して幾分か選択的な効果が存在し、病変または処置された領域の外側の有害な副作用がほとんどないことを実証する。
【0197】
さらに、1人の対象(6人の対象のうち1人)を除いて、この研究において治療関連疼痛の報告はなかった。実施例6の最初の18人の患者に添加した場合、これは、ヨウ化カリウムの添加の有無に関わらず、試験した2つのポルフィマーナトリウム濃度(0.2%及び0.5%)の製剤が処置部位で疼痛を生じないという仮説を支持する。処置された4つの部位のうち3つの部位において疼痛を報告した対象において、慢性日光曝露群において、療法中のVASスコアは、(2)つの病変において1であり、(1)つの病変において2であった。治療直後に、対象は、2つの病変においてスコアが1の疼痛を報告し、第3の病変における疼痛は、光が除去された直後に消失した。従って、この場合、痛覚は許容できるものであり、露光の実施を妨げなかった。
結論:
【0198】
使用した研究パラメータからの感度を有する対象は、いたとしても非常に少ない。1人の対象は、非常に軽度の疼痛を知覚し、1人の対象は、日光角化症の1つの処置部位に一過性浮腫を有した。
【0199】
また、病変紅斑及び非病変紅斑の増加は全て、48時間経過したところで低下した。さらに、1つの色素病変が50%分解され、1つの日光角化症が3週間の経過観察来院時に完全に消失していたため、迅速な処置の証拠があった。従って、実施例6及び7は、疼痛や紅斑の増加などの有害な副作用を伴わずに、または軽度の副作用で、慢性曝露皮膚を治療する能力を示す。
【0200】
実施例8:ポルフィマーナトリウムの送達のための製剤の局所投与を受けた対象における日光角化症の治療を評価するための試験
2つの濃度のポルフィマーナトリウム(0.2%及び0.5%)の薬物7B及び7Cの適用を、日光角化症を有する一組の対象に適用する。試験では、製剤適用、30分のインキュベーション期間、それに続く5分間に渡るおおよそ50J/cm2の630nmの光照射後の日光角化症の皮膚反応の強さを評価した。
【0201】
手順/方法
一般に、局所用ポルフィマーナトリウムを用いて製剤7Bまたは7Cを用いた光線力学療法に対象における日光角化症を曝露する手順を行う。光線力学療法は、腕、胸または頭を含む上肢の病変を治療するために行われる。製剤を選択された領域に適用し、30分間インキュベートした。領域のそれぞれを線量(50J/cm2;おおよそ5分間)に曝露した。被験者が感じ、言葉にした感覚を記録した。曝露完了後、局所製剤を投与された領域を、生理食塩水を浸したガーゼで拭き取り、残留または過剰の製剤をきれいにし、紅斑スコアリングを記録した。処置領域におけるあらゆる目に見える反応及び症状の改善の写真試料及び記録を処置後に完了させた。
【0202】
結果:
日光角化症の分解または日光角化症の外観の低減は、製剤7B及び7Cをポルフィマー薬物と共に受けた対象によって達成される。さらに、ポルフィマー薬物を用いた製剤を受けた対象とポルフィマー薬を受けていない対象との間で、疼痛、浮腫、紅斑及び/またはそう痒症に差異はない。したがって、本開示は、当該技術分野で一般的に知られている有害な副作用を伴うことなく日光角化症を治療するための方法を提供する。
【0203】
実施例9:ヨウ化カリウムを含まないポルフィマーナトリウムの送達のための製剤の局所投与を受けた、慢性日光暴露皮膚及び脂漏性角化症の治療を評価するための試験
2つの濃度のポルフィマーナトリウム(0.2%及び0.5%)の薬物7B及び7Cの適用を、慢性日光暴露皮膚及び脂漏性角化症などの光損傷皮膚を有する一組の対象に適用する。試験では、製剤適用、30分のインキュベーション期間、それに続く5分間に渡るおおよそ50J/cm2の630nmのレーザー光照射後の光損傷皮膚の治療を評価した。
【0204】
手順/方法
手順は、一般に、対象の光損傷皮膚を治療するために行われる。ポリマナトリウムを含む製剤7Bまたは7Cを用いた光線力学療法を実施して、皺もしくは色素斑、または脂漏性角化症などの慢性日光曝露による軽度から中程度の光損傷皮膚を有する患者の上肢の光損傷皮膚を治療する。製剤を適用し、30分間インキュベートした。領域のそれぞれを線量(50J/cm2;おおよそ5分間630nm)に曝露した。被験者が感じ、言葉にした感覚を記録した。曝露完了後、局所製剤を投与された領域を、生理食塩水を浸したガーゼで拭き取り、残留または過剰の製剤をきれいにした。処置領域におけるあらゆる目に見える反応及び症状の改善の写真試料及び記録を処置後に完了させた。
【0205】
結果:
慢性日光暴露皮膚内の色素病変で処置された領域は、フォローアップ時に病変(脂漏性角化症)の少なくとも50%の明るさを示す。病変はまた、一般に、紅斑スコア1が増加することを示し、これは暴露後48時間以内に消失した。色素斑または皺などの光損傷皮膚の低減は、ポルフィマー薬物を含む製剤を受けた対象においても達成された。さらに、製剤を受けた対象と製剤を受けていない対象との間で、疼痛、浮腫、紅斑及び/またはそう痒症に差異はない。したがって、本開示は、当該技術分野で一般的に知られている有害な副作用を伴うことなく光損傷皮膚及び脂漏性角化症を治療するための方法を提供する。
【0206】
実施例10:ヨウ化カリウムを含むポルフィマーナトリウム及びを送達するための製剤の局所投与を受けた対象における日光角化症の治療を評価するための試験
ポルフィマーナトリウム0.2%+100mMヨウ化カリウム(製剤7E)及びポルフィマーナトリウム(0.5%)+100mMヨウ化カリウム(製剤7F)を含む製剤の適用を、日光角化症を有する一組の対象に適用する。試験では、製剤適用、30分のインキュベーション期間、それに続く5分間に渡るおおよそ50J/cm2の630nmの光照射後の日光角化症の暴露を評価した。
【0207】
手順/方法
この手順は、一般に、対象の日光角化症を治療するために行われる。製剤7EまたはFを用いた光線力学療法を実施して、日光角化症を有する上肢の病変を治療する。製剤を適用し、30分間インキュベートした。領域のそれぞれを線量(50J/cm2;おおよそ5~12分間)に曝露した。被験者が感じ、言葉にした感覚を記録した。曝露完了後、局所製剤を投与された領域を、生理食塩水を浸したガーゼで拭き取り、残留または過剰の製剤をきれいにした。後続のフォローアップにおける処置領域のあらゆる紅斑または症状の改善についての写真試料及び記録を各処置セッション後に完了させた。
【0208】
結果:
日光角化症の分解または日光角化症の外観の低減は、製剤7E及び7Fをポルフィマー薬物と共に受けた対象によって達成される。さらに、ポルフィマー薬物を用いた製剤を受けた対象と受けていない対象との間で、疼痛、浮腫、紅斑及び/またはそう痒症に差異はない。したがって、本開示は、当該技術分野で一般的に知られている有害な副作用を伴うことなく日光角化症を治療するための方法を提供する。
【0209】
実施例11:ヨウ化カリウムを含むポルフィマーナトリウムの送達のための製剤の局所投与を受けた、慢性日光暴露皮膚及び脂漏性角化症の治療を評価するための試験
ポルフィマーナトリウム0.2%+100mMヨウ化カリウム(製剤7E)及びポルフィマーナトリウム(0.5%)+100mMヨウ化カリウム(製剤7F)を含む製剤の適用を、光損傷皮膚を有する一組の対象に適用する。試験では、製剤適用、30分のインキュベーション期間、それに続く5分間に渡るおおよそ50J/cm2の630nmの光照射後の光損傷皮膚の治療を評価した。
【0210】
手順/方法
手順は、一般に、対象の光損傷皮膚を治療するために行われる。ポルフィマー及びヨウ化カリウムを含む製剤7Eまたは7Fを用いた光線力学療法を実施して、皺もしくは色素斑、または脂漏性角化症などの軽度から中程度の光損傷皮膚を有する上肢の光損傷皮膚を治療する。製剤を適用し、30分間インキュベートした。領域のそれぞれを線量(50J/cm2;おおよそ5分間)に曝露した。被験者が感じ、言葉にした感覚を記録した。曝露完了後、局所製剤を投与された領域を、生理食塩水を浸したガーゼで拭き取り、残留または過剰の製剤をきれいにした。処置領域におけるあらゆる目に見える反応及び症状の改善の写真試料及び記録を各処置後に完了させた。
【0211】
結果:
慢性日光暴露皮膚内の色素病変で処置された領域は、フォローアップ時に病変(脂漏性角化症)の少なくとも50%の明るさを示す。病変はまた、一般に、紅斑スコア1が増加することを示し、これは暴露後48時間以内に消失した。色素斑または皺などの光損傷皮膚の低減は、ポルフィマー薬物を含む製剤を受けた対象においても達成された。さらに、製剤を受けた対象と製剤を受けていない対象との間で、疼痛、浮腫、紅斑及び/またはそう痒症に差異はない。
【0212】
したがって、本開示は、当該技術分野で一般的に知られている有害な副作用を伴うことなく光損傷皮膚及び脂漏性角化症を治療するための方法を提供する。
【0213】
実施例12:DMSOを含み、ヨウ化カリウムを含む場合及び含まない場合のポルフィマーナトリウムの送達のための製剤局所投与を受ける対象での皮膚反応の潜在的な持続時間及び強さを評価するための試験
本試験は、DMSOを含み、ヨウ化カリウムを含むかまたは含まないポルフィマーナトリウムを含有するゲル製剤バリエーションの単回局所適用後の健常志願者における皮膚刺激を評価するために設計された。
【0214】
試験群
ポルフィマーナトリウム製剤(実施例4の製剤7I及び7J、表5)の皮膚反応の潜在的な持続時間及び強度を試験する。試験群の対象は、(i)ポルフィマーナトリウム0.5重量%+ジメチルスルホキシド(DMSO)40重量%+ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGEE)30重量%を含む製剤(製剤7I);または(ii)ポルフィマーナトリウム0.5重量%+DMSO40重量%+DEGEE30重量%+100mMヨウ化カリウム1.66重量%を含む製剤(製剤7J)を受ける。製剤は、慢性日光曝露の証拠が存在する対象の身体の様々な場所に適用される。プラシーボ群の対象は、ポルフィマーナトリウムを含まないゲル製剤を受ける。試験では、製剤適用、15分または30分または60分のいずれかのインキュベーション期間、それに続くおおよそ50J/cm2または100J/cm2の630nmの光照射後の皮膚刺激を評価した。
【0215】
手順/方法
光過敏性の処置を一般的には各前腕の内側で行った。粘着面のある曝露用カフを、切創、挫傷、病変、そばかす、ほくろ、または瘢痕を可能な限り避けて皮膚に置いた。使い捨て用量パッチを置いた後、今後の追跡調査のカフ設置のため、マーカーを使用して座標を特定した。製剤をカフの開口部に適用し、30分間インキュベートした。領域のそれぞれを線量(50J/cm2または100J/cm2;おおよそ6~12分間)に曝露した。被験者が感じ、言葉にした感覚を記録した。曝露完了後、局所製剤を投与された領域を、生理食塩水を浸したガーゼで拭き取り、残留または過剰の製剤をきれいにした。写真記録及び処置領域のあらゆる目に見える反応の記録を完了させた。収集データは、紅斑スケール及び写真記録に基づく対象の皮膚の呈色で構成された。視覚的アナログスケールを使用して、試験と関連する疼痛に関する情報を収集した。患者の皮膚反応及び症状のレベルと持続期間、ならびに安全性に関するデータを、処置直後、処置の48時間後、1週間後及び2週間後に記録した。
【0216】
組み入れ基準
対象は、以下の基準のすべてを満たさなければならない:
女性及び男性の健康なボランティア18~75歳;英語で効果的に理解及び通信することができ、書面による同意を提供することができる;フィッツパトリック皮膚タイプI~IV;各製剤及び線量を収容するための最小限の領域または部位の数を有する、試験される領域上の健康的かつ慢性日光暴露皮膚(日光角化症の証拠を伴うまたは伴わない)を有する;ならびに同意書に列挙される要件及び制限を承諾することを含む、書面によるインフォームドコンセントを与えることができる。
【0217】
除外基準
対象は、以下の理由のいずれかのために試験から除外される:
市販の日焼け器具の現在の使用;フィッツパトリック皮膚タイプV~VIを有する;計画された暴露部位での皮膚創傷または病変を有する;現在の皮膚癌または皮膚癌の個人歴を有する;糖尿病、乾癬、または他の炎症性皮膚状態を有する;喘息のためのステロイド、コルチコステロイド、吸入ステロイドの現在の使用;18歳未満または75歳以上の年齢;インフォームドコンセントを提供することができない;ポルフィリン症または他の内因性感光性疾患の病歴を有する;内前腕にタトゥーがある。
【0218】
実施例13:部分層創傷治癒モデルにおける、DMSOを含むかまたは含まない、100mMのKIを含むかまたは含まないポルフィマーナトリウムゲル製剤が微生物コロニー形成を減少/消失させる能力のインビボ評価。
本試験では、部分層創傷治癒モデルにおいて3つの異なる濃度のポルフィマーナトリウム(0.1%、0.2%、及び0.5%)のゲル製剤が100mMのKIを含む場合(製剤7D~F、7H)または含まない場合(製剤7A~C、7G)に、手術部位から微生物コロニー形成を減少/消失させる能力を評価した。この研究はまた、20%濃度のDMSOを含むゲル製剤中のポルフィマーナトリウムの能力を評価する(20重量%のDMSOを含む製剤7G~H)。
【0219】
本試験は、雌のヨークシャー豚で4日間にわたり行われた。デルマトームを使用して、おおよそ2.0cm(幅)×2.0cm(長さ)、深さ0.5mmの部分層創傷を動物の脊椎に並行して、被験物質処置群の動物の場合は1列5つの創傷を動物の両側に、及び/または対照群の動物の片側に1列8つ、反対側に第2の列の7つの創傷を形成した。
【0220】
創傷形成後、動物それぞれの指定された創傷をメチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA-ATCC 1768)に感染させた。対照群の動物の3つの創傷を非感染対照とし、接種をしなかった。創傷に包帯をし、一晩、細菌のコロニー形成を発生させた。被験物質処置群の指定された感染創に、単一コースの処置を行った。処置は、被験物質の適用、それに続く30分間のインキュベーション期間、その後の200J/cm
2での20分間の光活性化で構成された。対照群の指定された感染創には被験物質の適用が行われたが、光活性化には供されなかった。処置の直前、処置の1時間後及び24時間後に採取された創傷スワブ、ならびに処置の24時間後に採取された組織生検からの微生物負荷量を決定した。実験は、薄明かり(200ルクス未満)の下で行われた。処置群を下表13にまとめている。
【表12】
【0221】
実施例14:部分層創傷における微生物のコロニー形成及びバイオフィルムを減少/消失させるための、ヨウ化カリウムの有無、DMSOの有無によるポルフィマーナトリウムを評価するための試験
KIを含む場合、または含まない場合のナトリウムポルフィマー製剤7I及び7Jを実施例4の表5に従って調製した。
【0222】
ブタ対象の脊椎に並行して合計28の部分層創傷を形成し、部分層創傷のすべてをメチシリン耐性のS.aureus ATCC BAA 1768に感染させ、未処置群または異なる処置の処置群を下表13に記載する。
【表13】
【0223】
100マイクロリットル(100μL)の、107~108CFU/mLの濃度の新鮮培養したメチシリン耐性のStaphylococcus aureus(ATCC BAA 1768)を、滅菌ピペットを使用して全創傷の創傷それぞれの中心にスポッティングした。細菌接種材料を滅菌スパチュラを使用して被験部位に10秒間軽くこすりつけ(感染物質による曝露を創傷に限局し、創傷に隣接する正常な皮膚に曝露しないよう常に注意すること)、3分間乾燥させる。試験の処置手順をさらに下表14に記載する。
【0224】
製剤の適用は、続く5日間の光線療法を伴う特定のlegionに対するものである。スワブ試料は、製剤の適用前、光線療法後1時間、及び光線療法後24時間に採取する。24時間スワブ試料はまた、2、3、4、及び5日目の処置前スワブ試料ともなる。処置後24時間5日目、スワブ試料を採取し、続いて各病変の生検試料を採取する。
【表14-1】
【表14-2】
【0225】
それぞれのフォトフリン製剤(7I~7J)を創傷床に適用し、表14に示されている時間インキュベートした。製剤はその後、630nm発光レーザーに取り付けられた光ファイバーレンズを使用して、200J/cm2で適用(おおよそ20~25分)に続いて各創傷において活性化された。その後、処置1時間後に創傷を綿棒でぬぐい、再び包帯して巻く。
【0226】
表14にあるように、処置の24時間後、動物を安楽死させ、包帯を外し、微生物負荷量の決定のために創傷を綿棒でぬぐった。創傷組織を回収し、回収した組織の半分を組織学的検査のために10%ホルマリンに入れ、残り半分を、微生物負荷量の決定のために滅菌PBSを含有する秤量済みの培養チューブに入れた。
【0227】
創傷を処置し、手術部位を調べ、表14に示されている処置日に包帯を交換した。処置はすべて、ABSL-2条件下で実施された。処置日ごとに、外側に巻いた包帯を滅菌バサミを使用して取り除き、滅菌鉗子を使用して包帯を外した。処置の前、滅菌綿棒を(脊椎に対して)創傷の左上縁部から開始して右下の創縁部で終了するまで蛇行させながら用いて各創傷をぬぐった。スワブを、微生物負荷量の決定のために、1~2mLの滅菌PBSを含有する滅菌培養チューブに入れた。
【0228】
微生物負荷量の決定では、PBS及び創傷を含有するチューブをボルテックスし、溶出した細菌の段階希釈を滅菌PBSで調製し、オキサシリンスクリーン寒天培地(6μg/mLのオキサシリン及び4%NaClを含むミューラー・ヒントン寒天培地)に2連でプレーティングした。37℃でのインキュベーション後にプレート上のコロニーを計数し、細菌負荷量を創傷の体液1ミリリットル当たりのコロニー形成単位(CFU/mL)として報告した。
【0229】
組織検体を含有するチューブを秤量して組織質量を決定した。創傷組織をホモジナイズし、ホモジネートの段階希釈をPBSで調製し、オキサシリンスクリーン寒天培地に2連でプレーティングした。37℃でのインキュベーション後にプレート上のコロニーを計数し、細菌負荷量を、創傷組織1ミリグラム当たりのコロニー形成単位(CFU/mg)として報告する。
参照による組み込み
【0230】
本明細書で言及されたすべての刊行物及び特許は、個々の刊行物または特許が各々参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかの如く、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。矛盾がある場合は、本明細書でのいかなる定義も含め、本出願が優先する。
均等物
【0231】
対象開示の具体的な実施形態が考察されてきたが、上記の明細書は例示的なものであり、制限的なものではない。本明細書及び以下の特許請求の範囲の再考察時、本開示の多くの変形が当業者に明らかになるだろう。本開示の全範囲は、特許請求の範囲及びそれらの全範囲の均等物、ならびに本明細書及びそのような変形を参照することによって決定されるべきである。
【国際調査報告】