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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ホイール用リム
(51)【国際特許分類】
   B60B 5/02 20060101AFI20240711BHJP
   B29C 70/42 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B60B5/02 J
B60B5/02 F
B29C70/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503374
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 GB2021053371
(87)【国際公開番号】W WO2023002143
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】2110639.8
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518443993
【氏名又は名称】ダイマグ グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウェイクマン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】デ ランジ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,マイケル
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC03
4F205AD16
4F205AD17
4F205AG03
4F205AG19
4F205AH19
4F205HA08
4F205HA14
4F205HA22
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HB11
4F205HC05
4F205HF05
4F205HT16
4F205HT26
(57)【要約】
本明細書では、ホイール用リムが開示され、リムは、バレルであって、バレルの対向する縁部から半径方向外側に延在する第1及び第2のフランジを有し、第1及び第2のフランジのそれぞれ軸方向内側に配置された第1のビードシート及び第2のビードシートを備えるバレルを備え、バレル、ならびに第1及び第2のフランジは、ポリマーマトリックスで結合された構造繊維の層を備え、予め形成されたインサートが、構造繊維の層間に配置され、インサートは、リムに軸方向及び/又は半径方向に加えられた荷重もしくは衝撃からエネルギーを吸収及び/又は偏向及び/又は散逸するように作用し、ならびに/あるいはホイールのフープ剛性を増加させるように作用する材料を含み、インサートは、断面で見たときに(リムの軸が断面の平面に平行である)、2つの細長い部分を有し、インサートの第1の細長い部分は第1又は第2のフランジの1つの中に延在し、インサートの第2の細長い部分は第1又は第2のビードシートの下にそれぞれ延在し、それにより、第1及び第2の部分は断面がほぼ「L」字形状を一緒に形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレルであって、前記バレルの対向する縁部から半径方向外側に延在する第1及び第2のフランジを有し、前記第1及び前記第2のフランジのそれぞれ軸方向内側に配置された第1のビードシート及び第2のビードシートを備える、バレルを備え、
前記バレル、ならびに前記第1及び前記第2のフランジが、ポリマーマトリックスで結合された構造繊維の層を備え、
予め形成されたインサートが、構造繊維の層間に配置され、
前記インサートが、リムに軸方向及び/又は半径方向に加えられた荷重もしくは衝撃からエネルギーを吸収及び/又は偏向及び/又は散逸するように作用し、ならびに/あるいは前記ホイールのフープ剛性を増加させるように作用する材料を含み、前記インサートが、断面で見たときに(前記リムの軸が前記断面の平面に平行である状態で)、2つの細長い部分を有し、前記インサートの第1の細長い部分が前記第1又は前記第2のフランジの1つの中に延在し、前記インサートの第2の細長い部分が前記第1又は前記第2のビードシートの下にそれぞれ延在し、それにより、第1及び第2の部分は断面がほぼ「L」字形状を一緒に形成する、ホイール用リム。
【請求項2】
構造繊維の第1の複数の層が、前記インサートの前記第2の細長い部分の上方(すなわち、半径方向外側)に前記ビードシートを形成し、構造繊維の第2の複数の層が、前記第2の細長い部分の下方(すなわち、半径方向内側)に配置され、前記構造繊維の第1の複数の層と前記構造繊維の第2の複数の層との厚さの比が、約2:1~約1:2、任意選択的に約3:2~約2:3、任意選択的に約4:3~約3:4、任意選択的に約5:4~約4:5である、請求項1に記載のホイール用リム。
【請求項3】
構造繊維の第2の複数の層が、前記第1の複数の層の厚さと同じか又はそれより大きい厚さである、請求項2に記載のホイール用リム。
【請求項4】
前記予め形成されたインサートが、圧縮性材料、エラストマー材料、及び多孔性材料から選択される材料を含むか、又は前記圧縮性材料、前記エラストマー材料、及び前記多孔性材料から選択される材料からなる、請求項1~3のいずれか1項に記載のホイール用リム。
【請求項5】
前記多孔性材料が、射出成形発泡体材料である、請求項4に記載のホイール用リム。
【請求項6】
前記予め形成されたインサートが、前記インサートを形成する中空シェルを備えるか、又は前記中空シェルからなり、任意選択的に、前記中空シェルが剛性材料から形成され、任意選択的に、前記剛性材料が金属、プラスチック、及び圧縮成形炭素繊維から選択され、任意選択的に、前記金属がアルミニウムである、請求項1~3のいずれか1項に記載のホイール用リム。
【請求項7】
第1及び第2のフランジがそれぞれ、請求項1に定義されたインサートを含み、第1のインサートが、前記第1のフランジ内に延在するその第1の細長い部分と、前記第1のビードシートの下に延在するその第2の細長い部分とを有し、第2のインサートが、前記第2のフランジ内に延在するその第1の細長い部分と、前記第2のビードシートの下に延在するその第2の細長い部分とを有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のホイール用リム。
【請求項8】
前記リムが、四輪車両用ホイール用であり、前記第1のフランジが、車両に取り付けられたときに外側フランジであり、前記インサートの前記第1の細長い部分が、前記第1のフランジの1つの中に延在し、前記インサートの前記第2の細長い部分が、前記第1のビードシートの下に延在する、請求項1~7のいずれか1項に記載のホイール用リム。
【請求項9】
前記インサートの前記第1の細長い部分が、前記第1のフランジの1つの中に延在し、前記インサートの前記第2の細長い部分が、前記第1のビードシートの下に延在し、第1の安全ビードが、前記第1のビードシートの軸方向内側に位置し、前記インサートが、前記第1のビードシート及び前記第1の安全ビードの外側輪郭にほぼ追従する、請求項1~8のいずれか1項に記載のホイール用リム。
【請求項10】
前記リムが、前記バレルから半径方向内側に延在し、ホイールアタッチメント、例えばスポークが取り付けられ得る第3のフランジを備え、前記第3のフランジが、前記第3のフランジの輪郭に追従し、前記第3のフランジの両側でバレルの半径方向内側に沿って延在する構造繊維のさらなる層によって形成され、それにより、任意選択で、前記第3のフランジが前記第1のフランジと前記バレルの同じ側に位置する場合に前記第1のフランジであってもよいフランジの軸方向外側縁部に沿って延在する、請求項1~9のいずれか1項に記載のホイール用リム。
【請求項11】
前記構造繊維のさらなる層が三軸布帛を含む、請求項10に記載のホイール用リム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のリムを備えるホイール。
【請求項13】
請求項12に記載のホイールを備える車両。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか1項に記載のリムを製造する方法であって、
前記構造繊維及び前記予め形成されたインサートを組み立て、前記ポリマーマトリックスによってそれらを一緒に結合して前記リムを形成することを含む、方法。
【請求項15】
前記方法が、前記インサートを前記構造繊維と組み立てる前に前記インサートを形成するために材料を成形することを含み、任意選択的に、前記成形が射出成形又は圧縮成形である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ホイール、特に、繊維複合材料及び/又はプラスチック材料を含むリムなどの非金属リムを有するホイールに関する。本明細書に記載のリム及びホイールは、例えば、自動車、オートバイ、自転車及び航空機などの電動車両及び非電動車両と共に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
繊維強化プラスチックなどの複合材料から作られたホイールは、近年大きな進歩を遂げている。しかしながら、最近の設計でさえ、特定の欠点を有する場合がある。例えば、非常に高い及び/又は突然の軸方向もしくは半径方向の荷重あるいは衝撃を受けるいくつかのホイールは、ホイールの構造的完全性の喪失を受ける可能性があり、タイヤの収縮及び/又は車両の制御の喪失につながるおそれがある。これは、高速を経験する自動車及びオートバイにとって特に懸念される。さらに、リムへの構造的損傷は、単に修理されるのではなく、正確な損傷評価が困難であり、容易に交換可能な要素がないため、安全上の理由から、リム全体を交換する必要があることを意味し得る。場合によっては、損傷がリム上で検出されないことがあり、これは、ホイールが車両で使用され、その後故障する場合に安全上の問題となり得る。
【0003】
出願人は、国際公開第2017/046555号に記載されているように、1つ又は複数のインサートがホイールに含まれており、ホイールの一次構造要素及び他の部分に対するそれらの位置決めが重要である分野において進歩した。本公報に記載のホイールは、インサートなしのホイールと比較して、SAEJ328試験において優れていることが分かった。特に効果的な実施形態は、リムの両側に2つのインサートを有するものであり、一方は直立フランジ内に延在し、他方はビードシートの下にあり、一次荷重経路はそれらの間を通過する。本発明者らは、製造の容易さが改善されたが、SAEJ328試験、コーナリング疲労試験、13度衝撃試験、内側リム衝撃試験、及び90度リム衝撃試験などの機械的試験において少なくとも比較可能に良好に機能するこのホイールの改善を進めようとした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/046555号
【発明の概要】
【0005】
第1の態様では、ホイール用のリムであって、リムは、
バレルであって、バレルの対向する縁部から半径方向外側に延在する第1及び第2のフランジを有し、第1及び第2のフランジのそれぞれ軸方向内側に配置された第1のビードシート及び第2のビードシートを備える、バレルを備え、
バレル、ならびに第1及び第2のフランジは、ポリマーマトリックスで結合された構造繊維の層を備え、
予め形成されたインサートが、構造繊維の層間に配置され、インサートは、リムに軸方向及び/又は半径方向に加えられた荷重もしくは衝撃からエネルギーを吸収及び/又は偏向及び/又は散逸するように作用し、ならびに/あるいはホイールのフープ剛性を増加させるように作用する材料を含み、インサートは、断面で見たときに(リムの軸が断面の平面に平行である)、2つの細長い部分を有し、インサートの第1の細長い部分は第1又は第2のフランジの1つの中に延在し、インサートの第2の細長い部分は第1又は第2のビードシートの下にそれぞれ延在し、それにより、第1及び第2の部分は断面がほぼ「L」字形状を一緒に形成する、リムが提供される。
【0006】
第2の態様では、第1の態様のリムを備えるホイールが提供される。
【0007】
第3の態様では、第2の態様のホイールを備える車両が提供される。
【0008】
第4の態様では、第1の態様のリムを製造するための方法が提供され、本方法は、第1の態様に記載のリムを形成するために、構造繊維及び予め形成されたインサートを組み立て、それらをポリマーマトリックスによって共に結合することを含む。
【0009】
複合ホイールの従来技術のリムの典型的な設計は、バレルの対向する縁部から半径方向外側に延在する2つのフランジを有するバレルである。バレルは、概して円筒形である。ビードシートは、通常、バレルの軸方向内側に配置される。ビードシートは、タイヤの内側リムをホイール上に取り付ける面である。フランジは、ホイール上でタイヤの横方向(すなわち、軸方向)の移動を防止する。一般に、市販の複合ホイールは、フランジ、ビードシート、及びビードシート間のバレルの部分を形成するように一体成形され、輪郭形成されたリムを有する。本発明者らは、ビードシートを介した突然の及び/又は高い荷重の伝達が、ホイールの構造的完全性の喪失の原因の1つであり得ることを見出した。本明細書に記載のリムの実施形態は、車両又は航空機における高性能状況での使用を可能にする軽量構造及び所望の特性を依然として有しながら、複合ホイールが突然の及び/又は高い軸方向及び/又は半径方向荷重による損傷を受ける傾向を低減する。それらはまた、機械的試験において同等の性能を依然として有しながら、いくつかの従来技術のリムよりも製造が容易で費用対効果が高い。また、リムの設計により、国際公開第2017/046555号に記載されているように、例えば、各フランジ内/各フランジの近くに2つのインサートを有するリムと比較して、リムを構築することができる方法に利点があることも分かっている。本明細書に記載のインサートを備えた新しいリムは、レイアップがより速く、手動で構築する場合、工員はより少ない訓練しか必要としない。これはまた、リムをより容易に自動化プロセスで構築することができることを意味する。また、ポリマーマトリックスを形成する樹脂は、構造繊維の層により迅速かつ一定に注入し、これにより、品質に関してリムを大量生産する際の問題が少なくなることが分かった。また、国際公開第2017/046555号に記載のものと比較して、タイヤ取り付け面の表面多孔性及び本明細書に記載のリムのラッカー前の著しく少ない表面仕上げ作業に関する問題が少ない。本明細書に記載の新しいリムはまた、90度(半径方向)荷重試験において、2つのインサートを有するもの、すなわち国際公開第2017/046555号に記載のものよりも良好に機能することが分かっている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】四輪車両のホイールに使用するための本明細書に開示されるリムの一実施形態の断面図を示す。
図1B図1Aのリムの外側フランジの拡大図である。
図2】以下の実施例でより詳細に説明する、各フランジの中/近くに2つのインサートを有する比較リムを示す。
図3A】半径方向から見たときに、織物の繊維の軸の1つが、軸方向に平行であり、すなわちフランジ間方向(A-第1のフランジから第2のフランジ)に沿って延びる、リムに使用するための三軸布帛を概略的に示す。
図3B】半径方向から見たときに、織物の繊維の軸が、いずれも軸方向に平行ではなく、すなわちフランジ間方向(第1のフランジから第2のフランジ)に沿って延びていない、リム、例えば外層で使用するための二軸布帛を概略的に示す。織物の各軸は、フランジ間方向(又は軸方向A)に対して約45°の角度にある。
図4】リム(本明細書に記載されているようなものであってもよい)と、センターピースとを備えるホイールを示す。リムの内部構成要素は、明確にするためにこの図には示されていない。
図5】試験されるドラム及びホイールを含む半径方向荷重試験用の試験機器を概略的に示す。
図6A】ホイールの軸に垂直な機器を示す、90度(半径方向)衝撃試験のための試験機器を概略的に示す。
図6B】ホイールの軸に沿った機器を示す、90度(半径方向)衝撃試験のための試験機器を概略的に示す。試験機器は、タイヤが地面に接触した状態で試験ホイールが取り付けられる角度付き固定具を備え、ドロップマスは、リムのタイヤ側に衝撃エネルギーを与えるように設定された高さから落下される。
図7A】13度(横方向)衝撃試験で使用するための機器を概略的に示す。
図7B】13度(横方向)衝撃試験で使用するための機器を概略的に示す。試験機器は、試験ホイールが取り付けられる角度付き固定具を備える。ドロップマスは、図7A(ホイールの断面を示す)及び図7B図7Aから90度、すなわち図7Aの右側から示されている)に示すように、リムの側面に衝撃エネルギーを与えるために設定された高さから落下される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
構造繊維及びポリマーマトリックス
バレル、ならびに第1及び第2のフランジは、ポリマーマトリックスに結合された構造繊維の層を備える。
【0012】
任意選択的に、構造繊維の少なくとも一部は、半径方向から見たときに、リムによって画定された軸に沿って第1のフランジからの方向に延在する。本明細書に記載されるように、繊維が特定の方向に沿って延在するか、又は特定の方向に平行である場合、繊維は、その方向から20°以下の角度、任意選択的にその方向から15°以下の角度、任意選択的にその方向から10°以下の角度、任意選択的にその方向から5°以下の角度、任意選択的にその方向から3°以下の角度、任意選択的にその方向から1°以下の角度、任意選択的にその方向に正確に平行であってもよい。
【0013】
構造繊維は、炭素繊維、アラミド繊維及びガラス繊維から選択されてもよい。
【0014】
一実施形態では、構造繊維は織物を形成する。構造繊維は、織物に織られ、編まれ、縫合され、編組され、巻かれ、ステープル留めされ、又は他の方法で結合されていてもよい。一実施形態では、構造繊維は、(リムを形成するためにポリマーマトリックスによって結合される前に)他の繊維及び/又はポリマーによって結合されていてもよい。構造繊維の少なくとも一部は、例えば二軸又は三軸布帛内で互いに整列していてもよく、又は互いに対してランダムに配向されていてもよい。好ましくは、繊維の少なくとも一部は、例えば二軸又は三軸布帛内で互いに整列しており、好ましくは、繊維の少なくとも一部は、(以下により詳細に説明するように)フランジ間方向に配向されている。構造繊維は、3D(三次元)材料、例えば繊維が三次元に配向された材料、例えば3D製織プロセス又は3D編組プロセスで形成された材料で、形成されていてもよい。
【0015】
一実施形態では、構造繊維は、二軸又は三軸布帛の形態である。二軸又は三軸布帛は、織られてもよく、又は非捲縮布帛の形態であってもよい。非捲縮布帛は、2つ又は3つの異なる方向(それらがそれぞれ二軸であるか三軸であるかに応じて)に延びる構造繊維を有するものであるが、異なる方向に延びる構造繊維は一緒に織られず、代わりに織物内に異なる層を形成し、各層は第3の繊維、接着剤又は他の手段で縫合することによって一緒に結合される。二軸布帛は、本明細書では、2組の繊維を有する織物として定義することができ、各組は、互いに90°~140°の角度であり得る、互いに一定の角度で配置又は配向されている。三軸布帛は、本明細書では、3組の繊維を有する織物として定義することができ、各組は他の組の1つに対して異なる配向であり、例えば、第1の組は0°、第2の組は第1の組に対して+60°、第3の組は第1の組に対して-60°である。三軸布帛は、本明細書に記載されるように、3つの方向に配向された構造繊維を含んでもよく、任意選択的に、第4の方向にさらなる繊維、例えば構造繊維をさらに含んでもよく、これは他の繊維と織り込まれるか、又は他の繊維に縫い付けられてもよい。これにより、製造プロセスを支援することができる。
【0016】
一実施形態では、構造繊維の少なくとも一部は、リムによって画定された軸に実質的に平行な方向にバレルを通って延在する。
【0017】
一実施形態では、バレル、ならびに第1及び第2のフランジ内の構造繊維の層の少なくとも1つは、三軸布帛又は二軸布帛を含む。本明細書に記載の二軸布帛及び三軸布帛は、好ましくは炭素繊維から形成される。
【0018】
一実施形態では、充填構成要素は、リム内に、例えば第1のフランジ及び/もしくは第2のフランジ内に、ならびに/又は第1のビードシート及び/もしくは第2のビードシートの下に配置され、充填構成要素は、それぞれ第1のフランジ及び/又は第2のフランジ内のリムの周囲に少なくとも部分的に延びる。一実施形態では、充填構成要素は、バレル内のインサートの上方の構造繊維の層がバレル内のインサートの下方の繊維の層と交わる位置でインサートに隣接して配置され、充填構成要素は、リムの周囲に少なくとも部分的に延びる。しかしながら、本明細書に記載されるように、成形された発泡体インサート及びビードシート内の三軸繊維の使用は、この領域における樹脂の蓄積の傾向を減少させ、したがって充填構成要素の必要性を減少させた。
【0019】
一実施形態では、充填構成要素は、インサートの第1の細長い部分の端部に隣接して配置され、この端部は、リムの軸から半径方向に最も遠くに配置された端部である。
【0020】
一実施形態では、充填構成要素が第3のフランジ内に配置され、充填構成要素は、第3のフランジ内のリムの周囲を少なくとも部分的に延びる。
【0021】
一実施形態では、充填構成要素は、リムの周りを円周方向に延在する実質的に一方向の繊維材料を含む。繊維材料は、一緒に絡み合ってもよく、例えば、一緒に編組されてもよく、ロープを形成してもよい。繊維材料は、一次構造要素又は外層に使用される同じタイプの構造繊維であってもなくてもよい構造繊維を含んでもよい。充填構成要素の構造繊維は、炭素、アラミド及びガラス繊維から選択される繊維を含んでもよい。
【0022】
ポリマーマトリックスは、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーから選択されるポリマーを含み得る。ポリマーマトリックスは、エポキシ樹脂(EP)、ポリエステル樹脂(UP)、ビニルエステル樹脂(VE)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ビスマレイミド(BMI)、ポリエーテルイミド(PEI)及びベンゾオキサジンから選択されるポリマーを含み得る。
【0023】
バランスのとれたレイアップ及び構造繊維の層
一実施形態では、構造繊維の第1の複数の層は、インサートの第2の細長い部分の上方(すなわち、半径方向外側)にビードシートを形成し、構造繊維の第2の複数の層は、第2の細長い部分の下方(すなわち、半径方向内側)に配置される。任意選択的に、構造繊維の第1の複数の層と構造繊維の第2の複数の層との厚さの比は、約2:1~約1:2、任意選択的に約3:2~約2:3、任意選択的に約4:3~約3:4、任意選択的に約5:4~約4:5である。一実施形態では、構造繊維の第2の複数の層は、第1の複数の層の厚さと同じか又はそれより大きい厚さである。
【0024】
一実施形態では、構造繊維の第1の複数の層は、インサートの第2の細長い部分の上方(すなわち、半径方向外側)にビードシートを形成し、第1の複数の層はそれぞれ、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を含み、構造繊維の第2の複数の層は、第2の細長い部分の下方(すなわち、半径方向内側)に配置され、第2の複数の層はそれぞれ、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を含む。任意選択的に、各層がリムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有する、構造繊維の第1の複数の層と、各層がリムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有する構造繊維の第2の複数の層との厚さの比は、約2:1~約1:2、任意選択的に約3:2~約2:3、任意選択的に約4:3~約3:4、任意選択的に約5:4~約4:5であってもよい。一実施形態では、構造繊維の第2の複数の層は、第1の複数の層の厚さと同じか又はそれより大きい厚さである。
【0025】
一実施形態では、第1のフランジ内の構造繊維の第1の複数の層は、インサートの第1の細長い部分から軸方向内側に配置され、第1のフランジ内の構造繊維の第2の複数の層は、第1のフランジの1つの中に延在するインサートの第1の細長い部分の軸方向外側に配置され、任意選択的に、構造繊維の第1の複数の層と構造繊維の第2の複数の層との厚さの比は、約2:1~約1:2、任意選択的に約3:2~約2:3、任意選択的に約4:3~約3:4、任意選択的に約5:4~約4:5である。一実施形態では、フランジ内の構造繊維の第2の複数の層は、フランジ内の第1の複数の層の厚さと同じか又はそれより大きい厚さである。
【0026】
一実施形態では、第1のフランジ内の構造繊維の第1の複数の層は、インサートの第1の細長い部分から軸方向内側に配置され、第1の複数の層は、それぞれ、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を含み、第1のフランジ内の構造繊維の第2の複数の層は、第1のフランジの1つの中に延在するインサートの第1の細長い部分の軸方向外側に配置され、第2の複数の層は、それぞれ、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を含み、任意選択的に、各層がリムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有する、構造繊維の第1の複数の層と、各層がリムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有する、構造繊維の第2の複数の層との厚さの比は、約2:1~約1:2、任意選択的に約3:2~約2:3、任意選択的に約4:3~約3:4、任意選択的に約5:4~約4:5である。一実施形態では、フランジ内の構造繊維の第2の複数の層は、フランジ内の第1の複数の層の厚さと同じか又はそれより大きい厚さである。
【0027】
一実施形態では、第2のフランジ内の構造繊維の第1の複数の層は、インサートの第1の細長い部分から軸方向内側に配置され、第1のフランジ内の構造繊維の第2の複数の層は、第2のフランジの1つの中に延在するインサートの第1の細長い部分の軸方向外側に配置され、任意選択的に、構造繊維の第1の複数の層と、構造繊維の第2の複数の層との厚さの比は、約2:1~約1:2、任意選択的に約3:2~約2:3、任意選択的に約4:3~約3:4、任意選択的に約5:4~約4:5である。一実施形態では、第2のフランジ内の構造繊維の第2の複数の層は、第2のフランジ内の第1の複数の層の厚さと同じ又はそれより大きい厚さである。
【0028】
一実施形態では、構造繊維の第1の複数の層は、インサートの第2の細長い部分の上方(すなわち、半径方向外側)にビードシートを形成し、第1の複数の層は、バレルに沿って第2のフランジ内に延在し(任意選択的に、これらの層の各々は、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を含み、及び/又は三軸布帛である)、構造繊維の第2の複数の層は、第2の細長い部分の下方(すなわち、半径方向内側)に配置され、第2の複数の層は、バレルに沿って第2のフランジ内に延在する(任意選択的に、これらの層の各々は、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を含み、及び/又は三軸布帛である)。任意選択的に、各層がリムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有する、構造繊維の第1の複数の層と、各層がリムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有する構造繊維の第2の複数の層との厚さの比は、約2:1~約1:2、任意選択的に約3:2~約2:3、任意選択的に約4:3~約3:4、任意選択的に約5:4~約4:5であってもよい。一実施形態では、構造繊維の第2の複数の層は、第1の複数の層の厚さと同じか又はそれより大きい厚さである。
【0029】
一実施形態では、第1のフランジ内の構造繊維の第1の複数の層は、第1のフランジ内のインサートの第1の細長い部分から軸方向内側に配置され、第1の複数の層は各々、バレルに沿って第2のフランジ内に延在し(任意選択的に、これらの層の各々は、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を含む、及び/又は三軸布帛である)、第1のフランジ内の構造繊維の第2の複数の層は、第1のフランジ内に延在するインサートの第1の細長い部分の軸方向外側に配置され、第2の複数の層は各々、バレルに沿って第2のフランジ内に延在し(任意選択的に、これらの層の各々は、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を含む、及び/又は三軸布帛である)、任意選択的に、各層が、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有する、構造繊維の第1の複数の層と、各層が、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有する、構造繊維の第2の複数の構造繊維との厚さの比は、約2:1~約1:2、任意選択的に約3:2~約2:3、任意選択的に約4:3~約3:4、任意選択的に約5:4~約4:5である。一実施形態では、フランジ内の構造繊維の第2の複数の層は、フランジ内の第1の複数の層の厚さと同じか又はそれより大きい厚さである。
【0030】
一実施形態では、構造繊維の第1の複数の層は、第2のフランジ内のインサートの第2の細長い部分の上方(すなわち、半径方向外側)にビードシートを形成し、第1の複数の層は、バレルに沿って第1のフランジ内に延在し(任意選択的に、これらの層の各々は、リムの軸方向に平行な方向に延在する構造繊維を含む、及び/又は三軸布帛である)、構造繊維の第2の複数の層は、第2のフランジ内の第2のインサートの第2の細長い部分の下方(すなわち、半径方向内側)に配置され、第2の複数の層は、バレルに沿って第1のフランジ内に延在し(任意選択的に、これらの層の各々は、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を含む、及び/又は三軸布帛である)。任意選択的に、各層がリムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有する、構造繊維の第1の複数の層と、各層がリムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有する構造繊維の第2の複数の層との厚さの比は、約2:1~約1:2、任意選択的に約3:2~約2:3、任意選択的に約4:3~約3:4、任意選択的に約5:4~約4:5であってもよい。一実施形態では、構造繊維の第2の複数の層は、第1の複数の層の厚さと同じか又はそれより大きい厚さである。
【0031】
上記の実施形態のいずれにおいても、第1のフランジ内の第1の複数の層と第2の複数の層との比は、第2のフランジ内の第1の複数の層と第2の複数の層との比と実質的に同じであってもよい。「実質的に同じ」は、それらが20%未満、任意選択的に10%未満、任意選択的に5%未満だけ異なることを示す。
【0032】
好ましくは、構造繊維の少なくとも1つの層、好ましくは構造繊維の少なくとも2つの層(及び好ましくは、各層は、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有して)は、第1のインサートの1つの側面に少なくとも部分的に沿って、全体的にバレルに沿って、及び第2のインサート(存在する場合)の1つの側面に少なくとも部分的に沿って延在する。好ましくは、構造繊維の少なくとも1つの層、好ましくは構造繊維の少なくとも2つの層(及び好ましくは、各層は、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有して)は、第1のインサートの半径方向外側面に少なくとも部分的に沿って、全体的にバレルに沿って、及び第2のインサート(存在する場合)の半径方向外側面に少なくとも部分的に沿って延在する。好ましくは、構造繊維の少なくとも1つの層、好ましくは構造繊維の少なくとも2つの層(及び好ましくは、各層は、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有して)は、第1のインサートの半径方向内側面に少なくとも部分的に沿って、全体的にバレルに沿って、及び第2のインサート(存在する場合)の半径方向内側面に少なくとも部分的に沿って延在する。
【0033】
好ましくは、各層が、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有し、任意選択的には三軸布帛である、構造繊維の少なくとも2つの層は、第1のインサートの1つの側面に少なくとも部分的に沿って、全体的にバレルに沿って、及び第2のインサート(存在する場合)の1つの側面に少なくとも部分的に沿って延在する。好ましくは、各層が、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有し、任意選択的には三軸布帛である、構造繊維の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの層は、第1のインサートの半径方向外側に少なくとも部分的に沿って、全体的にバレルに沿って、及び第2のインサート(存在する場合)の半径方向外側に少なくとも部分的に沿って延在する。好ましくは、各層が、リムの軸方向に平行な方向に延びる構造繊維を有し、任意選択的には三軸布帛である、構造繊維の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの層は、第1のインサートの半径方向内側に少なくとも部分的に沿って、全体的にバレルに沿って、及び第2のインサート(存在する場合)の半径方向内側に少なくとも部分的に沿って延在する。
【0034】
インサート(複数可)の材料
インサートは予め形成されており、これは、インサート、構造繊維及びポリマーマトリックスが、リムを形成するために、例えば、ポリマーマトリックスの設定によって一緒に結合される前にインサートが形成されていることを示す。インサートは、リムに軸方向及び/又は半径方向に加えられた荷重又は衝撃からエネルギーを吸収及び/又は偏向及び/又は散逸するように作用し、ならびに/あるいはホイールのフープ剛性を高めるように作用する材料を含む。インサートの材料は、構造繊維の材料及び/又はポリマーマトリックスの材料と異なっていてもよい。好ましくは、インサートは、インサートの外面の実質的に全体にわたって連続的な、すなわち非多孔質の表面を有する。
【0035】
一実施形態では、予め形成されたインサートは、圧縮性材料、エラストマー材料、及び発泡材料から選択される材料を含むか、又はそれからなる。材料は、多孔性エラストマー材料であってもよい。材料は、多孔性圧縮性材料であってもよい。多孔性材料は、ハニカム及び発泡体から選択することができる。多孔性材料は、連続気泡材料又は独立気泡材料、例えば連続気泡発泡体又は独立気泡発泡体であってもよい。独立気泡材料がより効果的であることが分かっている。材料が多孔性材料である場合、好ましくは、材料は、孔が連続面によって閉じられるように、インサートの実質的に外面全体にわたって連続した、すなわち非多孔質の表面を有する。
【0036】
発泡材料は、限定はしないが、既存の発泡材料を所望の形状に成形するための工具を使用すること、又は所望の形状の金型内で材料を発泡させることを含む、様々な方法で所望の形状に形成することができる。材料は、圧縮成形材料であってもよい。好ましくは、発泡材料は射出成形発泡体材料である。射出成形ポリウレタンなどの射出成形発泡体を使用することは、試験において依然として良好に機能するホイールを効率的に(例えば、エネルギー、費用及び時間の考慮事項に関して)製造するのに特に有効であることが分かっている。好ましくは、発泡体は、その上に成形プロセスから形成されたスキンを有する。この文脈におけるスキンは、発泡体の多孔性部分の少なくとも一部の上に延在して閉じるインサートの材料の連続層であり、任意選択的に、成形インサートの表面積の少なくとも90%がその上にスキンを有し、任意選択的に、成形インサートの表面積の少なくとも95%がその上にスキンを有し、任意選択的に、成形インサートの表面積の少なくとも99%がその上にスキンを有し、任意選択的に、成形インサートの表面積のすべてがその上にスキンを有する。これは、特に成形されたインサートが安全ビードの輪郭に従うときに、リムの特定の部分における樹脂の蓄積を回避し、機械的試験中のリムの構造的完全性を改善するために見出されており、それはまた、インサート及びリムの剛性の向上を促進する。
【0037】
インサートは、多孔性ポリマー材料、例えば、ポリマー発泡体又はポリマーハニカムであってもよい、ポリマー材料を含んでもよい。発泡体は、連続気泡又は独立気泡発泡体であってもよい。発泡体は、ポリメチルアクリルイミドなどの発泡ポリアクリルアミド、発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、発泡塩化ビニル、発泡アクリルポリマー、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリカーボネート、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)コポリマーなどの発泡ビニルニトリルから選択され得る発泡ポリマーを含んでもよい。一実施形態では、保護インサートは、スチレンブタジエンなどの合成ゴム、又は天然ゴムであってよいゴムなどのエラストマーポリマーを含む。エラストマーポリマーは発泡していてもいなくてもよい。
【0038】
インサートは、リムの周りに少なくとも部分的に、任意選択的に全周にわたって延在してもよい。一実施形態では、複数のインサートが、リムの周りに円周方向に延在し、一緒にリングを形成する。
【0039】
保護インサートは、BS4370又はASTM D 1622によって測定される場合、少なくとも10kg/m、任意選択的に少なくとも20kg/m、任意選択的に少なくとも30kg/m、任意選択的に少なくとも40kg/m、任意選択的に少なくとも100kg/m、任意選択的に少なくとも150kg/m、任意選択的に少なくとも200kg/mの密度を有することができる。保護インサートは、BS4370又はASTM D 1622によって測定される場合、500kg/m以下、任意選択的に400kg/m以下、任意選択的に320kg/m以下、任意選択的に110kg/m以下、任意選択的に75kg/m以下、任意選択的に60kg/m以下の密度を有することができる。
【0040】
保護インサートは、BS4370又はASTM D 1622によって測定される場合、10kg/m~500kg/m、任意選択的に50kg/m~500kg/m、任意選択的に200kg/m~500kg/m、任意選択的に200kg/m~400kg/m、任意選択的に200kg/m~400kg/m、任意選択的に250kg/m~350kg/mの密度を有することができる。保護インサートは、発泡ポリウレタン、好ましくは射出成形発泡ポリウレタンを含むことができ、BS4370又はASTM D 1622によって測定される場合、10kg/m~500kg/m、任意選択的に50kg/m~500kg/m、任意選択的に200kg/m~500kg/m、任意選択的に200kg/m~400kg/m、任意選択的に200kg/m~400kg/m、任意選択的に250kg/m~350kg/mの密度を有することができる。
【0041】
保護インサートは、ASTM D 1622によって測定される場合、10kg/m~120kg/m、任意選択的に20kg/m~120kg/m、任意選択的に30kg/m~120kg/m、任意選択的に40kg/m~80kg/m、任意選択的に40kg/m~60kg/m、任意選択的に40kg/m~80kg/mの密度を有することができる。保護インサートは、発泡ポリメタクリルイミドを含むことができ、ASTM D 1622によって測定される場合、10kg/m~120kg/m、任意選択的に20kg/m~120kg/m、任意選択的に30kg/m~120kg/m、任意選択的に40kg/m~80kg/m、任意選択的に40kg/m~60kg/m、任意選択的に40kg/m~80kg/mの密度を有することができる。
【0042】
任意選択的に30kg/m~120kg/m、場合により40kg/m~80kg/m、場合により40kg/m~60kg/m、場合により40kg/m~80kg/m
【0043】
発泡ポリウレタンを含んでもよく、又は発泡ポリウレタンであってもよい保護インサートは、BS4730に従って測定される場合、少なくとも0.1kPa、任意選択的に少なくとも0.2MPa、任意選択的に少なくとも0.3MPa、任意選択的に少なくとも0.4MPa、任意選択的に少なくとも0.5MPa、任意選択的に少なくとも0.6MPa、任意選択的に少なくとも0.7MPa、任意選択的に少なくとも0.8MPa、任意選択的に少なくとも0.9MPaの圧縮強度(上昇に平行)を有することができる。発泡ポリウレタンを含んでもよく、又は発泡ポリウレタンであってもよい保護インサートは、ASTM D 1621に従って測定される場合、6MPa以下、任意選択的に4MPa以下、任意選択的に3MPa以下、任意選択的に2MPa以下、任意選択的に1.5MPa以下、任意選択的に1MPa以下の圧縮強度を有することができる。発泡ポリウレタンを含んでもよく、又は発泡ポリウレタンであってもよい保護インサートは、ASTM D 1621に従って測定される場合、0.1MPa~6MPa、任意選択的に1MPa~6MPa、任意選択的に2MPa~5MPa、任意選択的に3MPa~5MPa、任意選択的に3.5MPa~4.5MPaの圧縮強度を有することができる。好適な発泡ポリウレタン発泡体は市販されている。
【0044】
独立気泡ポリメタアクリルイミド発泡体を含んでもよく、又は独立気泡ポリメタアクリルイミド発泡体であってもよい保護インサートは、ASTM D 1621に従って測定される場合、少なくとも0.1MPa、任意選択的に少なくとも0.2MPa、任意選択的に少なくとも0.3MPa、任意選択的に少なくとも0.4MPa、任意選択的に少なくとも0.5MPa、任意選択的に少なくとも0.6MPa、任意選択的に少なくとも0.7MPa、任意選択的に少なくとも0.8MPa、任意選択的に少なくとも0.9MPaの圧縮強度を有することができる。独立気泡ポリメタアクリルイミド発泡体を含んでもよく、又は独立気泡ポリメタアクリルイミド発泡体であってもよい保護インサートは、ASTM D 1621に従って測定される場合、5MPa以下、任意選択的に4MPa以下、任意選択的に3MPa以下、任意選択的に2MPa以下、任意選択的に1.5MPa以下、任意選択的に1MPa以下の圧縮強度を有することができる。独立気泡ポリメタアクリルイミド発泡体を含んでもよく、又は独立気泡ポリメタアクリルイミド発泡体であってもよい保護インサートは、ASTM D 1621に従って測定される場合、0.1MPa~5MPa、任意選択的に0.3MPa~4MPa、任意選択的に0.4MPa~4MPa、任意選択的に0.7MPa~3.5MPa、任意選択的に0.7MPa~2MPa、任意選択的に0.7MPa~1.5MPa、任意選択的に0.7MPa~1.3MPaの圧縮強度を有することができる。充填剤材料に使用され得る発泡体の例としては、Rohacell(登録商標)IG and IG-F foamsなどのRohacell(登録商標)から入手可能な独立気泡ポリメタアクリルイミド発泡体が挙げられる。
【0045】
保護インサートは、発泡ポリウレタンであってもよい発泡ポリマーを含んでもよく、発泡ポリマーはその上にスキンを有してもよい。スキンは、80~100、任意選択的に80~100のショアA硬度を有し得る。スキンは、20~60、任意選択的に30~50のショアD硬度を有し得る。ショアA及びショアD硬度は、20℃及び10万Paで測定することができる。
【0046】
保護インサートは、発泡ポリウレタンであってもよい発泡ポリマーを含んでもよく、発泡ポリマーは、独立気泡発泡ポリマーであってもよい。独立気泡発泡ポリマーは、ASTM 0-6226を使用して測定される場合、少なくとも80%、任意選択的に少なくとも90%、任意選択的に少なくとも95%、任意選択的に少なくとも98%の独立気泡含有量を有する発泡体として定義されてもよい。
【0047】
一実施形態では、予め形成されたインサートは、インサートを形成する中空シェルを含むか、又は中空シェルからなる。中空シェルは、剛性材料から形成されてもよく、すなわち、その形状を保持し、自重で変形しないように十分に剛性であってもよい。中空シェルの材料、例えば剛性材料は、金属又はプラスチックから選択することができ、任意選択的に金属はアルミニウムであってもよく、プラスチックは、熱可塑性プラスチック及び熱硬化性プラスチックから選択されてもよく、プラスチックは、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)から選択されてもよい。
【0048】
インサート(複数可)の形状/サイズ
インサートは、(リムの軸が断面の平面に対して平行である)断面で見たときに、第1及び第2の部分が断面がほぼ「L」字形状を一緒に形成するように、インサートの第1の細長い部分は、第1又は第2のフランジの一方の中に延在し、インサートの第2の細長い部分は、第1又は第2のビードシートの下にそれぞれ延在する、2つの細長い部分を有する。一実施形態では、インサートは、それぞれ、インサートの第1の細長い部分が第1のフランジの1つの中に延在し、インサートの第2の細長い部分が第1のビードシートの下に延在するように、第1のフランジ内及び第1のビードシートの下に位置する。実施形態では、インサートは、インサートの第1の細長い部分が第2のフランジ内に延在し、インサートの第2の細長い部分が第2のビードシートの下に延在するように、第2のフランジ内及び第2のビードシートの下に位置する。不活性物質の第1及び/又は第2の細長い部分は、(リムの軸が断面の平面に対して平行である)断面で見たときに、それぞれ一点に先細になっていてもよい。第1の細長い部分は、半径方向外側面の実質的に垂直な部分を有してもよく(再度断面で見た場合)、実質的に垂直な部分の下のインサートの半径方向外側面は、第2の細長い部分の遠位端に湾曲していてもよい(すなわち、リムの軸方向外面から軸方向に最も遠くに配置され、第2の細長い部分が先細になり得るインサートの部分)。
【0049】
一実施形態では、本明細書で定義されるインサートを含み、第1及び第2のフランジはそれぞれ、第1のインサートは、第1のフランジ内に延在するその第1の細長い部分及び第1のビードシートの下に延在するその第2の細長い部分を有し、第2のインサートは、第2のフランジ内に延在するその第1の細長い部分及び第2のビードシートの下に延在するその第2の細長い部分を有する。
【0050】
一実施形態では、リムは、四輪車両用のホイール用であり、第1のフランジは、車両に取り付けられたときに外側フランジであり、インサートの第1の細長い部分は、第1のフランジの1つの中に延在し、インサートの第2の細長い部分は、第1のビードシートの下に延在する。
【0051】
一実施形態では、第2の細長い部分は、安全ビードを含む第1又は第2のビードシートであってもよいビードシート全体の下に延在する。
【0052】
一実施形態では、第1の細長い部分は、それが位置するフランジの、ビードシートの底部(すなわち、インサートに最も近いビードシートの構造繊維)からフランジの上部(すなわち、リムの軸から半径方向に最も遠くに位置するフランジの一部)まで半径方向に測定される、長さの少なくとも80%、任意選択的に少なくとも90%延在する。
【0053】
ビードシートは、典型的には、タイヤが載置され得る概して平坦な部分である。安全ビードは、典型的には、最も近いフランジから離れる方向にタイヤの横方向(すなわち、軸に沿った)移動を防止する隆起部分(すなわち、ビードシートから軸方向に延在する)である。
【0054】
一実施形態では、インサートの第1の細長い部分は、第1のフランジ内に延在し、インサートの第2の細長い部分は、第1のビードシートの下に延在し、第1の安全ビードは、第1のビードシートの軸方向内側に位置し、インサートは、第1のビードシート及び第1の安全ビードの外側輪郭にほぼ追従する。
【0055】
一実施形態では、インサートの第1の細長い部分は、第2のフランジ内に延在し、インサートの第2の細長い部分は、第2のビードシートの下に延在し、第2の安全ビードは、第2のビードシートの軸方向内側に位置し、インサートは、第2のビードシート及び第2の安全ビードの外側輪郭にほぼ追従する。
【0056】
一実施形態では、構造繊維の1つ又は複数の層は、第1又は第2のフランジの上部にわたって延在し(リムの上部は、リムの軸から半径方向に最も遠いリムの一部である)、構造繊維の1つ又は複数の層の厚さは、第1又は第2のフランジの上部にわたって延在し、インサートの第1の細長い部分の軸方向外側に位置する繊維の厚さと同じか、又は好ましくは繊維の厚さ未満である。一実施形態では、構造繊維の1つ又は複数の層は、第1又は第2のフランジの上部にわたって延在し(リムの上部は、リムの軸から半径方向に最も遠いリムの一部である)、第1又は第2のフランジの上部にわたって延在する構造繊維の1つ又は複数の層の厚さとインサートの第1の細長い部分の軸方向外側に位置する繊維の厚さの比は、1:nであり、nは、少なくとも1、任意選択的に少なくとも1.5、任意選択的に少なくとも2、任意選択的に少なくとも2.2、任意選択的に1~5、任意選択的に1.5~5、任意選択的に1.5~4、任意選択的に1.5~4である。
【0057】
第3の半径方向内側に延在するフランジ
一実施形態では、リムは、バレルから半径方向内側に(すなわち、リムの軸に向かって)延在し、ホイールアタッチメント、例えばスポークが取り付けられ得る第3のフランジを備える。任意選択的に、第3のフランジは、第3のフランジの輪郭に追従し、第3のフランジの両側でバレルの半径方向内部に沿って延在する構造繊維のさらなる層によって形成され、任意選択的に、第3のフランジが第2のフランジよりも第1のフランジに近いバレル上に位置する場合には第1のフランジであってもよく、第3のフランジが第1のフランジよりも第2のフランジに近いバレル上に位置する場合には第2のフランジであってもよいフランジの軸方向外縁に沿って延在するように形成される。任意選択的に、構造繊維のさらなる層は、三軸布帛を含む。
【0058】
第3のフランジは、リムの周囲の途中まで、任意選択的には周囲全体にわたって延在してもよい。
【0059】
第3のフランジは、それを通って軸方向に(すなわち、リムの軸方向に平行な方向に)延在する1つ又は複数の開口部を有することができ、これにスポークを取り付けることができる。
【0060】
第3のフランジは、その中に1つ又は複数の充填構成要素を配置することができ、その各々は、リムの円周の周りに少なくとも部分的に延びる。複数の充填構成要素が存在する場合、それらはリムの軸に対して同心円状に配置されてもよい。一実施形態では、充填構成要素は、リムの周りを円周方向に延在する実質的に一方向の繊維材料を含む。繊維材料は、一緒に絡み合ってもよく、例えば、一緒に編組されてもよく、ロープを形成してもよい。繊維材料は、バレルで使用される同じタイプの構造繊維であってもよいか、又は同じでなくてもよい構造繊維、ならびに第1及び第2のフランジを含むことができる。充填構成要素の構造繊維は、炭素、アラミド及びガラス繊維から選択される繊維を含んでもよい。充填構成要素は、断面でその最長寸法がバレルから半径方向内側に延在するような、断面が細長いものであってもよい。
【0061】
一実施形態では、リムは、自動車などの四輪車両に適したホイール用であり、第1のフランジは外側フランジである。したがって、自動車などの四輪車両用のホイールも提供され、第1のフランジは外側フランジである。第3のフランジが存在する場合、第3のフランジは、(軸方向に沿って測定した場合に)第2のフランジよりも第1のフランジの近くに位置してもよい。
【0062】
一実施形態では、リムは、自動車などの四輪車両に適したホイール用であり、第1のフランジは内側フランジである。したがって、自動車などの四輪車両用のホイールも提供され、第1のフランジは内側フランジである。第3のフランジが存在する場合、第3のフランジは、(軸方向に沿って測定した場合に)第1のフランジよりも第2のフランジの近くに位置してもよい。
【0063】
一実施形態では、リムは、オートバイなどの電動車両であってもよい二輪車両に適したホイール用である。一実施形態では、リムは、自転車などの非電動車両であってもよい二輪車両に適したホイール用である。第3のフランジが存在する場合、第3のフランジは、(軸方向に沿って測定した場合に)第1のフランジと第2のフランジとの間にほぼ等距離に位置してもよい。
【0064】
一実施形態では、例えば二輪車両では、第1のフランジ及び第2のフランジは互いに同じ説明を有する。一実施形態では、例えば二輪車両では、第1のフランジ及び第2のフランジは、互いに実質的に対称なバージョンである。
【0065】
ホイール
本明細書に記載のリムを備えるホイールも提供される。ホイールは、スポークをさらに備えてもよい。スポークは、リムと一体的に形成されてもよく、リムは、モノブロック成形ホイールと呼ばれることもある。別の実施形態では、スポークは、リムと一体的に形成されず、例えば本明細書に記載の第3のフランジによって、又はインサート内に位置する締結具、例えばナット及び/又はボルトによってリムに締結されてもよく、それにより、締結具及び/又は締結具が取り付けられているスポークは、バレルの構造繊維を通って延在する。
【0066】
ホイールは、モノブロックホイール又はマルチピースハイブリッドホイールであってもよい。
【0067】
本明細書に記載のホイールを備える車両も提供される。
【0068】
リムを製造する方法
本明細書に記載のリムを製造する方法も提供され、本方法は、第1の態様に記載のホイールを形成するために、構造繊維及び予め形成されたインサートを組み立てること、及びそれらをポリマーマトリックスによって共に結合することを含む。これは、様々な構成要素、すなわち構造繊維及び予め形成されたインサート(複数可)を金型内で組み立て、次いでそれらをポリマーマトリックス内で一緒に結合することを含むことができる。布帛の形態であってもよい構造繊維の層は、重合して樹脂を形成する樹脂又は前駆体材料で予備含浸され、次いで、モノブロックホイール又はハイブリッドホイールを形成する場合、任意選択的にスポークを有するリムを形成するために金型内で硬化されてもよい。代替的な実施形態では、様々な構成要素は、金型内で組み立てられ、それらを組み立てるとき(例えば、湿式レイアップ工程又はプリプレグ工程において)又は金型を閉じた後(例えば、樹脂トランスファー成形技術中)、樹脂(又は樹脂を作製するための前駆体材料)が塗布され、ポリマーが硬化されてポリマーマトリックスを形成し、構成要素を一緒に結合する。第3のフランジを有する実施形態では、ホイールを形成するためにスポークを第3のフランジに取り付けることができる。一実施形態では、複数の開口部が第3のフランジ内に作製され、例えば、各開口部は第3のフランジを通って軸方向に延在し、第3のフランジにスポークは、例えばスポークの一部分又は各開口部を通って延在するスポークへの締結具によって取り付けられる。
【0069】
一実施形態では、本方法は、インサートを構造繊維と組み立てる前に、インサートを形成するために材料を射出成形することを含む。
【0070】
ここで、本発明の非限定的な実施形態を図面を参照して説明する。以下で言及される個々の特徴は、本明細書に記載される態様又は本明細書に記載される他の任意選択の好ましい特徴のいずれかと、関連する特徴を参照することなく、個別に組み合わせることができる。
【0071】
図1Aは、四輪車両のホイールに使用するためのリム1の一実施形態の断面図を示す。この実施形態では、リム101は断面で示されている。第1のフランジ101Aは、リムの外側フランジ、すなわちホイールが四輪車両に取り付けられたときに最も外側になるフランジを構成する。第2のフランジ101Bは、内側フランジ、すなわちホイールが四輪車両に取り付けられたときに最も内側になるフランジを構成する。第1のフランジ101Aの軸方向内側には、第1のビードシートB1が配置されている。第2フランジ101Bの軸方向内側には、第2のビードシートB2が配置されている。
【0072】
第1のフランジ101A、バレル101D、及び第2のフランジ101Bを通って延在する複数の、例えば、少なくとも2つの層、任意選択的に少なくとも3つ、任意選択的に少なくとも4つの層の3軸繊維によって形成された一次構造要素103。一次構造要素は、使用時にリムによって支えられる半径方向及び/又は横方向荷重の大部分を支えることができる。一次構造要素は、一次構造要素中の構造繊維の第1の複数の層の厚さと構造繊維の第2の複数の層の厚さとの比が約2:1~約1:2であり、約1:1であってもよいという点で、バランスのとれたレイアップである。一次構造要素は、第1のフランジの輪郭の周りに少なくとも部分的に、バレル全体に沿って延在し、第2のフランジの輪郭の周りに少なくとも部分的に延在し、及び/又はリムの軸方向に平行に延びる少なくとも一部の構造繊維を有する織物の層を有する構成要素であると考えることができる。
【0073】
平織二軸炭素繊維材料の2層を備える外層(102)は、一次構造要素上に配置される。
【0074】
保護インサート104は、3軸構造繊維103の層間に配置されている。図1A及び図1Bに見られるように、(リムの軸が断面の平面に対して平行である)断面で見たときに、インサートは2つの細長い部分を有し、それぞれ、インサートの第1の細長い部分(104A)は第1のフランジ(この場合、外側フランジ)に延在し、インサートの第2の細長い部分(104B)は第1のビードシート(B1)の下に延在し、それにより、第1の部分及び第2の部分は断面がほぼ「L」字形状を一緒に形成する。インサートの第2の細長い部分は、第1のビードシートの下に延在し、第1の安全ビード(B1S)、すなわちビートシートの平坦部分に対して隆起した部分は、第1のビードシートの軸方向内側に位置し、インサートは、第1のビードシート及び第1の安全ビードの外側輪郭にほぼ追従する。安全ビードは、そうでなければ厚さの増加した炭素繊維、一方向構造繊維(例えば、編組コード)、又は製造の複雑さ、費用を追加させ、潜在的にリムに弱点を導入する量の増加した樹脂で作られる必要があるため、これはリムの以前の設計よりも有利であることが分かっている。以下の実施例に示すように、本開示によるリムは、先行する設計と比較して良好に機能するが、製造がはるかに簡単である。図に示す実施形態では、保護インサート104は、射出成形ポリウレタン発泡体などの適切な材料から形成された独立又は連続気泡発泡体であってよい発泡体を含む。圧縮成形発泡体も使用することができる。成形発泡体の使用は、機械加工又はフライス加工などの所望の形状への機械加工を必要とする発泡体に対する改善であることが分かった(すなわち、発泡体は所望の形状に形成されず、したがって、それらが所望の形状になるように切断又は他の方法で形成される必要がある)。成形発泡体を使用することにより、廃棄物が回避され、より複雑な形状をより経済的に作ることが可能になった。成形発泡体はまた、切断発泡体が典型的には有していない、スキンをその上に有する。これは、発泡体をより剛性にし、リムの製造中に樹脂進入から発泡体を封止するという点でいくつかの利点を有することが分かった。すなわち、インサートへの樹脂の進入は構造上の利点なしにリムに重量を加える可能性があるため、望ましくない可能性がある。これにより、特にビードシートの上部における三軸布帛の使用、及びバランスのとれたレイアップと組み合わせて、機械的試験において驚くほど良好に機能するリムが提供された。
【0075】
図1A及び図1Bに示すリムは、第3のフランジ101Cを備える。第3のフランジは、バレルから半径方向内側に(すなわち、リムの軸に向かって)延在し、それにホイールアタッチメント、例えばスポークが取り付けられ得る。このフランジは、リムをスポークに(ホイールを形成するために)取り付け、それによって軸に取り付けるために使用することができるので、取り付けフランジと呼ぶことができる。第3のフランジは、第3のフランジの輪郭に続き、第3のフランジの両側でバレルの半径方向内側に沿って延在する構造繊維(106)のさらなる層によって形成され、それにより、第3のフランジは、第1のフランジの軸方向外側縁部に沿って延在する。構造繊維のさらなる層は、三軸布帛を含む。構造繊維のこの追加の層は、厳しい機械的試験(例えば、以下の実施例に記載されるもの)においてリムの構造的完全性を維持するのに重要であることが分かった。
【0076】
第3のフランジは、リムの周囲全体にわたって延在してもよい。
【0077】
第3のフランジは、軸方向に、すなわちホイールの軸の方向に貫通する複数の開口部(図示せず)を有する。開口部によってスポークをリムに取り付けることができる。
【0078】
第3のフランジは、その中に3つの充填構成要素(105)を配置しており、各充填構成要素は、リムの円周の周りに少なくとも部分的に延びる。充填構成要素は、リムの軸に対して同心円状に配置される。充填構成要素は、リムの周りで円周方向に延在する実質的に一方向の繊維材料を含む。繊維材料は編組されてロープを形成する。これは、本明細書ではヌードルと呼ばれ得る。繊維材料は、炭素繊維を含んでもよい。編組炭素繊維ヌードルは、例えばCristex(登録商標)から市販されている。代替で、断面が細長いインサートを含むことができ、断面で見ると、最も長い寸法で、バレルから半径方向内側に延在する。
【0079】
図1Aでは、第1のフランジ(101A、ここでは、外側フランジ)及び第2のフランジ(101B、ここでは、内側フランジ)ならびに第1及び第2のインサートは、第2のインサートがより薄い第2の細長い部分を有し、第2のビードシートの下から延びる第3のフランジがないことを除いて、互いに非常に類似する。
【0080】
炭素繊維材料(102、103及び106)の層及び保護インサート105は、ポリマーマトリックス(図には示されていないが、織物の層内及び層間に存在するポリマー)によって互いに結合される。炭素繊維層は、好ましくは、ポリマーマトリックスによって含浸された構造繊維を含み、すなわち、一次構造要素及びビードシートは繊維強化プラスチックである。保護インサートは、ポリマーマトリックスで含浸されていてもよく、又は含浸されていなくてもよく、例えば、発泡体を含む場合、これが連続気泡又は単独気泡発泡体であるか否かに応じて、ポリマーマトリックスによって他の成分に結合される。
【0081】
この実施形態では、リムは、ポリマーマトリックスによっても結合された外層102を備える。外層102は、両方のフランジ101A、101Bの各上部外向き縁部にわたって、バレルの内側全体(すなわち、リムの軸に最も近い側面)にわたって延在し、各フランジから軸方向内向きに延在して、上部三軸布帛層と共にビードシートB1、B2を形成し、外層の縁部102Eはバレル101D上で終了する。この実施形態では、外層102は、二軸布帛の形態の構造繊維を含む。好ましくは、この実施形態では、外層102及び一次構造要素103は各々、構造繊維を含む複数の織物層を含み、一次構造要素は外層よりも多数の織物層を含み、一次構造要素の織物層は実質的に三軸布帛である。
【0082】
代替で、外側織物は、綾織物又は編組織物(図示せず)であってもよい。
【0083】
一次構造要素103では、一次構造要素の構造繊維の少なくとも一部は、半径方向Rから見たときに、リムによって画定された軸に実質的に平行な方向に一次構造要素を通って延在する。言い換えれば、構造繊維の少なくとも一部は、第1のフランジと第2のフランジとの間の最短経路に沿って第1のフランジから第2のフランジまでリムを通って延在する(例えば、図3Aに概略的に示すように)。図1A及び図1Bでは、これはページと同じ平面内にあり、第1の構造的構成要素に示されている線に沿っている。一次構造要素が二軸又は三軸布帛を含む場合、織物は、繊維の軸の1つがフランジ間方向に沿って、すなわちリムの軸方向Aに沿って延在するように整列される。
【0084】
図3Aは、半径方向Rから見たときに、一次構造要素103に使用するための三軸布帛を概略的に示し、織物の繊維の軸の1つは、軸方向に平行であり、すなわちフランジ間方向(第1のフランジから第2のフランジ)に沿って延びる。
【0085】
好ましくは、外層102は、半径方向Rから見たときに、リムによって画定される軸に対して実質的に平行な方向に外層を通って延在する繊維を実質的に欠いている。言い換えれば、外層は、第1のフランジと第2のフランジとの間の最短経路に沿って第1のフランジから第2のフランジまで延在する繊維を実質的に欠いている。外層が二軸布帛を含む場合、例えば、織物は、繊維の軸がフランジ間方向に沿っていないように整列される。繊維の各軸は、好ましくは、フランジ間方向と二軸布帛の繊維の2つの軸のいずれかとの間に少なくとも30°の角度があるように整列される。例えば、外層は二軸布帛であってもよく、繊維はフランジ間方向に対して約+/-45°に配向される。
【0086】
一実施形態では、一次構造要素は、三軸布帛に形成された構造繊維の少なくとも一層を含み、繊維の軸の1つは、半径方向Rから見て、フランジ間方向に沿って、すなわちリムの軸方向Aに沿って延在し、外層102は、二軸布帛に形成され、半径方向Rから見て、二軸布帛の繊維の軸のいずれもがフランジ間方向に沿って、すなわちリムの軸方向Aに沿っていないように整列した構造繊維の少なくとも一層を備える。
【0087】
図3Bは、半径方向から見た場合に、外層に、例えばビードシートの一部として使用するための二軸布帛を概略的に示し、織物の繊維の軸はいずれも軸方向に平行ではない、すなわちフランジ間方向(第1のフランジから第2のフランジ)に沿って延びていない。織物の各軸は、フランジ間方向(又は軸方向A)に対して約45°の角度にある。
【0088】
上述のように、好ましくは、一次構造要素は三軸布帛を含み、外層は二軸布帛を含み、織物の軸は上述のように配向されてもよい。三軸布帛は、本明細書に記載されるように、3つの方向に配向された構造繊維を含んでもよく、任意選択的に、第4の方向にさらなる繊維、例えば構造繊維をさらに含んでもよく、これは他の繊維と織り込まれるか、又は他の繊維に縫い付けられてもよい。これにより、製造プロセスを支援することができる。
【0089】
実施例
リムの製造
試験プログラムは、(i)本開示によるリムと、(ii)標準的なセンターピースとをそれぞれ備えるいくつかのホイールで実行された。
【0090】
本開示によるリム(101)を試験したが、これは実質的に図1A(フルリム)及び図1B(外側フランジの拡大図)に示す断面を有していた。このリムでは、外層(102)は平織二軸炭素繊維材料の2つの層を備え、一次構造要素(103)は三軸炭素繊維材料の6つの層を備え、この場合はバランスのとれたレイアップで、インサート(104)は射出成形ポリウレタンを含み、一方向構造繊維(105)は編組炭素繊維材料を含む。この場合、一次構造要素は、バレルの全体に沿って軸方向に延在し、インサートを完全に封止する繊維である。三軸布帛の6つの層は、バレル内で互いに接触しているが、インサートの両側に3つの三軸布帛の3つの層が配置されるようにインサートの周りで分割される。6つの層のうちの3つは、第1のフランジ上の103Jで縁部を有し、第1のビードシートに沿って、バレルに沿って、第2のビードシートに沿って延在し、次いで第2のフランジ上の103Jで別の縁部を有する。他の3つの層は、やはり第1のフランジ内の103Jで縁部を有するが、他の3つの層とは反対方向に延在し、したがってフランジの先端を越えて、フランジの軸方向外側縁部に沿って、軸に最も近く配置されたバレルの側面に沿って、次いで第2のフランジの軸方向外側縁部を越えて延在し、第2のフランジ内の103Jで別の縁部を有する。炭素繊維布帛を互いに結合するために使用された樹脂はエポキシ樹脂であった。一次構造要素の繊維は、繊維の軸の1つが(図3Aに概略的に示すように)フランジ間方向Aに沿って整列するように配向された。外層(103)の二軸平織の繊維は、両方の軸がフランジ間方向Aに対して約45度の角度になるように配向された(図3Bに概略的に示す)。三軸材料の2つの追加の強化テープ(106)を外側フランジの周りに巻き付け(二軸布帛の間に挟んで)、点106Aで始まり、点106Bで終了し、それによって外側強化テープが取り付けフランジの周りに延在し(すなわち、第3のフランジ)、一方向構造繊維(105)が充填材として取り付けフランジに巻き付けられた(図1に示すように)。第3のフランジの周りに延在する追加の三軸布帛は、様々な機械的試験において第3のフランジが剪断するリスクを最小限に抑えるために重要であることが分かった。射出成形インサートは、その上に効果的にスキンを有し、安全ビードの輪郭に追従するインサートと共に、リムの周りを周方向に延びる一方向構造繊維の必要性を低減するので有利であることが分かった(一方向構造繊維の1つの目的は、構造的弱点をもたらす可能性がある樹脂の蓄積を回避することである)。(対照的に、以前のバージョンであるMk2は、本明細書に記載のように、2つのさらなる一方向構造繊維、一方は安全ビードで、他方は平坦なビードシートからフランジの垂直部分への布帛の方向の変化で、を必要とし、これらのさらなる一方向構造繊維は、図2において「U」で示される。)
発泡ポリウレタンは、以下の特性を有していた。
【0091】
密度:290Kgm(BS4730により測定)
独立気泡含有率:98.9%(ASTM 0-6226により測定)
圧縮強度(上昇と平行):3800kPa(BS4730により測定)
スキン硬度、デュロメータ-ショアA:96、ショアD:42。
【0092】
第2のフランジ(内側フランジ)で、一次構造要素(103)の三軸布帛は、第1の(外側)フランジと同様に、インサートに最も近く配置された。上述したように、これらは第2のインサートを完全に封止し、端部はインサートの先端部の軸方向内側に配置された点(103J)で交わる(先端部はリムの軸から半径方向に最も遠くに配置された点である)。2つのさらなるより短い三軸布帛が第2のインサートの周りに配置され、両方が103Aで開始する布帛の端部を有し、次いで軸方向外側に向かってインサートの周りを延び、これらの三軸布帛の1つが103Bに端部を有し、別が103Cに有する(二軸布帛が102Eで終了するのと同じ点)。
【0093】
この実施形態における最も外側の布帛は、織二軸布帛であるが、これは、2組の糸(例えば、平織又は綾織である)からの二軸織構造又は非捲縮布帛であってよい。それは非炭素材料であってもよい。
【0094】
リム内の三軸布帛は二軸布帛に置き換えることができるが、性能は劣る。
【0095】
平織二軸炭素繊維(102)から始めて、乾燥炭素繊維を加熱したマンドレル上に積層することによってリムを製造し、炭素一方向編組布帛(N)を取り付けフランジに巻き付けた。次に、三軸炭素繊維布帛の六層(103)及び三軸炭素繊維布帛の追加の再強化テープ(106)を加えた。平織及び三軸炭素繊維布帛の層のうちの3つを引き戻して、インサート(104)及び炭素一方向構造繊維(N)を各フランジの先端部でそれらの間に配置することを可能にした。次に、平織及び三軸炭素繊維布帛の半分(すなわち、この場合、3つの層)をインサート上に巻き戻して、内側及び外側フランジを作成した。次いで、このドライレイアップを、セクションを含む外側金型に封入し、真空ポンプを使用してキャビティを真空化した。次いで、エポキシ樹脂バインダを、圧力の増大下で注入して、材料を注入及び固化させた。これをツール内に90℃で放置して硬化させ、次いで部分的に硬化した部分を金型から取り出し、室温から180℃まで上昇させて3時間オーブン内で完全に硬化させ、次いで180℃で1時間保持した後、冷却した。硬化した構成要素を手工及び機械仕上げしてバリを除去し、取り付けフランジに穴を開けた。次いで、リムを研磨して表面をキー止めし、保護ラッカーを噴霧によって塗布し、これを室温で硬化させて完成した表面特性を達成した。
【0096】
製造の複雑さの低減は、各フランジに2つのインサートを有する基準リム(Mk2と示す)と比較して、炭素繊維リム(Mk3)を製造するための費用を低減し、半自動又は自動製造の開発を可能にする。インサート上に炭素を巻き返すプロセスは複雑さが低減され、製造信頼性が向上し、必要時間が短縮される。乾燥材料を形成するのに必要な時間の大幅な短縮(少なくとも1時間)が達成され、製造の人件費が削減される。
【0097】
すべての試験されたホイールアセンブリは、図4に示すように組み立てられた、このサイズのリムを標準として使用されるようなセンターピースを含んでいた。選択されたセンターピースは、実際の使用における炭素繊維リムの能力を決定するのに適していた。
【0098】
インサート材料は、容易に変更することができ、より低い費用の材料をリムに使用することを可能にする。試験されたリムは、インサートとして低コストのポリウレタン材料を使用したが、この材料の置換は、工具の変更又は図1に記載の断面の変更なしに容易に可能である。コスト削減よりも機械的効率が必要とされる場合、より高い性能を達成するために、材料をはるかに高密度の材料又はより構造的な材料の一方に置き換えることも可能である。この材料の置換は、高価な工具の変更を必要とせず、同じ断面を使用して達成することができ、リムの変形を製造及び試験するためのコストを削減し、断面を作成するために使用されるプロセスを維持する。
【0099】
個々のリム間でインサート内の材料間を切り替えることも可能であり、製造ラインは、工具を交換する必要なく、異なる実行リム間で製造を切り替えることができる。
【0100】
リムの試験
実行された試験は、以下の段落に記載されており、これらの試験は、図2に概略的に示される断面を有する基準リムとの比較を可能にするための従来の試験プログラムと同様であった(以下にMk2設計と示す)。Mk2設計は、本出願人の以前の特許出願、国際公開第2017/046555号、例えば図1図2及び図3Aに記載されているリムを広く表しており、すなわち、三軸炭素繊維布帛によって形成された一次荷重経路が各フランジの2つのインサートの間を通過する。
【0101】
本開示によるリム(101)と標準センターピース(図4に示すように、107)とを備えるホイールに対して半径方向荷重試験を行った。試験機器の概略図を図5に示す。試験は、図5に示すように、試験ホイールが半径方向荷重下で取り付けられる被駆動ドラムA1を備え、この種の試験は、通常、半径方向疲労試験と呼ばれる。この図では、被駆動ドラムはA1で示され、試験中のホイールはA2で示され、ホイールのリムは101で示され、ホイールのスポークは107で示され、半径方向荷重は矢印A3で示される。タイヤの収縮点又はホイールの破損点として定義される、故障前のホイールの回転数が記録される。記載された試験は、SAE J2530に従って行われた。
【0102】
半径方向試験荷重は、このサイズのホイールを使用する車両の典型的な荷重である640kgに設定された。2.5の加速試験係数を各ホイール定格に乗算して、総印加試験荷重を計算した。試験は110万サイクルまで行った。ホイールは試験に合格し、目視検査でリムに損傷を示さず、初期タイヤ圧を保持した。ホイールの損傷していない状態は、より重い又はより長く続く試験に耐えることができたかを示唆しているが、結果が十分であると考えられたため、試験を終了した。
【0103】
90度(半径方向)衝撃試験を、本開示によるリムと標準センターピースとを備えるホイールで行った。試験機器の概略図を図6A(ホイールの断面図を示す)及び図6B(ホイールの軸と同じ方向からの図を示す)に示す。試験は、図6A及び図6Bに示すように、リムのタイヤ側に衝撃エネルギーを付与するために、ドロップマスが設定された高さから落下される、タイヤが地面に接触する状態で試験ホイールが取り付けられる角度付き固定具を備える。この種の試験は、通常、90度衝撃試験と呼ばれる。この図では、固定具はB1で示され、試験されているホイールはA2で示され、ホイールのリムは101で示され、ホイールのスポークは107で示され、ドロップマスはB2で示される。衝撃によって引き起こされる損傷の評価が行われ、タイヤは、衝撃後1分間圧力を完全に緩めないことが要求され、リムは、6mm未満の永久変形を有することが要求される。記載された試験は、フォード衝撃仕様に従って行われた。結果を以下の表Aに示す。
【0104】
ドロップマスは、高さ186mm、質量564kgに設定され、640kgの等価静的衝撃荷重を与えた。ホイールは試験に合格し、1分間にわたって空気を保持し、リムへの典型的な損傷を示し、4mmの永久変形を有した。損傷は、同様の荷重でのMk2リム試験と同じ程度であった。
【0105】
本開示によるリムと、標準的なセンターピースとを備えるホイールに対して、13度(横)衝撃試験を実施した。試験は、試験ホイールが取り付けられる角度付き固定具を備え、図7A(ホイールの断面を示す)及び図7B図7Aから90度で示す、すなわち図7Aの右側から示す)に示すように、リムの側面に衝撃エネルギーを付与するためにドロップマスが設定高さから落下される。この種の試験は、通常、13度衝撃試験と呼ばれる。この図では、固定具はC1で示され、試験中のホイールはA2で示され、ホイールのリムは101で示され、ホイールのスポークは107で示され、ドロップマスはC2で示される。衝撃によって引き起こされる損傷の評価が行われ、タイヤは衝撃後1分間圧力を完全に緩めないことが要求され、リムはセクションを完全に貫通する亀裂を有さないことが要求され、中心ピースはリムから分離しないことが要求され、中心ピースはいかなる亀裂も有さないことが要求される。記載された試験は、SAE J175に従って行われた。
【0106】
ドロップマスは、高さ230mm、質量564kgに設定され、640kgの等価静的衝撃荷重を与えた。2つの打撃が行われ、1つは弁孔で、1つはスポークを挟んで弁孔に対して180度であった。ホイールは、両方の試験に合格し、1分間超の間空気を保持して、リム又はセンターピースに亀裂はなく、リムからのセンターピースの分離も示さなかった。
【0107】
本明細書に記載の炭素繊維リムの設計(Mk3)は、同様の断面の以前の炭素繊維リムの設計(Mk2)と同等の試験性能を示す。また、ホイールの疲労寿命を維持する上でも利点があることが分かった。荷重経路がビードシートの下を通って延び、バランスのとれたレイアップに分割されていることにより、これは、構造を介してタイヤからの力をより均等に分配し、ビードシートとタイヤとの間の界面における応力集中を良好に除去することが分かった。
【0108】
新しい(Mk3)リムは、それらを手動で構築する場合、Mk2リムと比較してレイアップがより速く、人間の操作者はより少ない訓練しか必要としないことが分かった。また、リムをより容易に自動化された方法で構築することができる。また、ポリマーマトリックスを形成する樹脂は、Mk2リムと比較してMk3リムの構造繊維の層により迅速かつ一定して注入し、これにより、ホイールを大量生産する際の全体的な問題が少なくなり、各リムの品質が一般的に高くなることが分かった。Mk3リムはまた、Mk2リムと比較して、タイヤ取り付け面(ビードシート)の表面多孔性の問題が少なく、ラッカー前の表面仕上げ作業が著しく少なかった。
【0109】
以下の表Aでは、Mk2及びMk3リムの設計の90度(半径方向)荷重試験の試験結果を再現する。同じサイズ、直径21インチ及び12.5インチのMk3及びMk2リムの両方について、フォード内側リム衝撃試験を行った。
【0110】
表Aは、荷重及び結果を示す試験の概要の詳細を示す。
【0111】
【表1】
【0112】
試験は、Mk2の設計とMk3の設計との間でリム性能の有意な改善を示した。静的試験荷重850kgでは、Mk2リムは90度(半径方向)衝撃試験に合格せず、Mk3リムはこの試験に合格し、静的試験荷重を1000kgにさらに増加させたさらなる試験に合格した。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
【国際調査報告】