(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ベクター製造方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/867 20060101AFI20240711BHJP
C12N 7/02 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C12N15/867 Z
C12N7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503401
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 US2022037544
(87)【国際公開番号】W WO2023003844
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521438515
【氏名又は名称】2セブンティ バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クラル, ケリー マリー
(72)【発明者】
【氏名】クチェウスキ, マイケル クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】バッタチャリヤ, モウミタ
(72)【発明者】
【氏名】ケリー, クリステン
(72)【発明者】
【氏名】カパディア, アドナン
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA97X
4B065BA02
4B065BC01
4B065BD14
4B065CA44
(57)【要約】
本開示は、ウイルスベクターの製造および精製方法を提供する。特に、本開示は、懸濁液中で成長させた宿主細胞からレンチウイルスベクターを製造するための改善された方法を提供する。より具体的には、本開示は、細胞を適当な数に成長させること、レンチウイルスパッケージングプラスミド、トランスファープラスミド、およびトランスフェクション剤でトランスフェクトすること;エンドヌクレアーゼで処理すること;懸濁培養物上清を採取し、清澄化すること;アフィニティークロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィーを使用してレンチウイルスベクターを捕捉し、濃縮すること;濃縮されたレンチウイルスベクターを濾過すること;レンチウイルスベクターを限外濾過し、透析濾過すること;レンチウイルスベクターを製剤化すること;ならびに製剤化バルクレンチウイルスベクターを滅菌濾過することを含む、改善された大規模レンチウイルス製造方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンチウイルスベクター(sLVV)を生成するための懸濁方法であって、
(a)大規模懸濁培養物に生宿主細胞を接種すること;
(b)レンチウイルスパッケージングプラスミド、トランスファープラスミド、およびトランスフェクション剤を含む混合物を用いて、前記大規模懸濁培養物中の前記宿主細胞を一過性にトランスフェクトすること;
(c)トランスフェクションの約36時間~約48時間後(トランスフェクションの開始後)にエンドヌクレアーゼを前記懸濁培養物上清に添加すること;
(d)タンデムデプスフィルターおよび二重層フィルターを使用して、前記懸濁培養物上清を採取し、清澄化すること;
(e)クロマトグラフィーを使用して、前記採取され、清澄化された懸濁培養物上清から前記レンチウイルスベクターを捕捉し、濃縮すること;
(f)前記濃縮されたレンチウイルスベクターを濾過すること;
(g)接線流濾過(TFF)を使用し、前記レンチウイルスベクターを限外濾過し、透析濾過すること;ならびに
(h)前記レンチウイルスベクターを製剤化して、製剤化バルクレンチウイルスベクターを生成すること、および前記製剤化バルクレンチウイルスベクターを滅菌濾過することを含む、懸濁方法。
【請求項2】
前記方法が、200L~2000Lの懸濁培養物を接種することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、200L~1000Lの懸濁培養物を接種することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、200L~500Lの懸濁培養物を接種することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、200Lの懸濁培養物を接種することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記大規模懸濁培養物に、約40.0×10
8~約120.0×10
8個の生宿主細胞が接種される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記宿主細胞が、HEK293細胞、HEK293S細胞、懸濁培養に適合させたHEK293T細胞(HEK293T)、HEK293F細胞、HEK293FT細胞、HEK293FTM細胞、およびHEK293E細胞からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記宿主細胞が、HEK293T細胞である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記大規模細胞懸濁培養物が、培養培地で培養された宿主細胞を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記大規模細胞懸濁培養物が、培養培地で約3日間培養された宿主細胞を含み、前記3日後、前記培養培地が、新鮮な培養培地と交換される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記大規模細胞懸濁培養物が、培養培地で約3日間培養された宿主細胞を含み、前記3日後、前記培養培地が、交互接線流濾過(ATF)を使用して新鮮な培養培地と交換される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記培養培地が、無血清の化学的に規定された細胞培養培地である、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記宿主細胞が、リン酸カルシウム、カチオン性脂質、およびカチオン性ポリマーからなる群から選択されるトランスフェクション剤を含む前記混合物で一過性にトランスフェクトされる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記宿主細胞が、DEAE-デキストラン、ポリブレン、デンドリマー、およびポリエチレンイミン(PEI)からなる群から選択されるカチオン性ポリマーであるトランスフェクション剤を含む前記混合物で一過性にトランスフェクトされる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記宿主細胞が、PEIを含むトランスフェクション剤を含む前記混合物で一過性にトランスフェクトされる、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記トランスフェクション剤が、PEIを含み、前記混合物が、約5、約5.5、約6、約6.4、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、または約10のN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記トランスフェクション剤が、約14~約18時間、前記懸濁培養物に添加され、任意選択的に、前記懸濁培養物が、交互接線流濾過(ATF)を使用した新鮮な培養培地との培養培地交換に供される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記レンチウイルスパッケージングプラスミドが、レンチウイルスgag、pol、およびrevならびに異種エンベロープタンパク質をコードする、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記レンチウイルスパッケージングプラスミドが、水疱性口内炎ウイルス(VSV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント(例えば、VSV-G)、球菌ウイルス(COCV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、マラバウイルス(MARAV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ピリウイルス(PIRYV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ニパウイルス(NiV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、センダイウイルス(SeV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、モルビリウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、イヌジステンパー(CDV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、麻疹ウイルス(MV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、シンドビスウイルス(SINV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、テナガザル白血病ウイルス(GALV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ネコ内在性レトロウイルス(RD114)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ネコ白血病ウイルス(FeLV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ヒヒ内在性レトロウイルス(BaEV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、B型肝炎(HBV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、C型肝炎(HCV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、および狂犬病ウイルス(RABV)エンベロープタンパク質またはそのバリアントからなる群から選択される異種エンベロープタンパク質をコードする、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記トランスファープラスミドが、パッケージング可能なレンチウイルスベクターゲノムを含むポリヌクレオチドを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記トランスファープラスミドが、左のキメラ(5’)レンチウイルスLTRを含むパッケージング可能なレンチウイルスベクターゲノムを含むポリヌクレオチドを含み、前記5’LTRの前記プロモーターが、異種プロモーター;Psi(Ψ)パッケージングシグナル;中心ポリプリントラクト/DNAフラップ(cPPT/FLAP);レトロウイルス輸送エレメント(RRE);対象のポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーター;および右(3’)の自己不活性化(SIN)レンチウイルスLTRで置換されている、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記エンドヌクレアーゼが、セラチア・マルセセンスから誘導され、任意選択的に、前記エンドヌクレアーゼが、組換えNucAエンドヌクレアーゼである、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記エンドヌクレアーゼが、DNAとRNA切断活性の両方を有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記エンドヌクレアーゼが、BenzonaseまたはDenaraseである、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記エンドヌクレアーゼが、約60U/mlまたは約30U/mlの濃度で添加される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記エンドヌクレアーゼが、トランスフェクションの約36時間~約72時間後に前記懸濁培養物上清に添加される、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記エンドヌクレアーゼが、トランスフェクションの約36時間~約48時間後に前記懸濁培養物上清に添加される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記エンドヌクレアーゼが、トランスフェクションの約48時間後に前記懸濁培養物上清に添加される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記エンドヌクレアーゼが、トランスフェクションの約44時間後に前記懸濁培養物上清に添加される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記エンドヌクレアーゼが、トランスフェクションの約40時間後に前記懸濁培養物上清に添加される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記エンドヌクレアーゼが、トランスフェクションの約36時間後に前記懸濁培養物上清に添加される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記エンドヌクレアーゼが、約1~約2時間、前記培養物に添加される、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記採取および清澄化工程が、少なくとも約40μmまたは少なくとも約60μmの混入物を保持する前記タンデムデプスフィルターならびに約0.45μm~約0.8μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.22μm~約0.45μmの最終フィルター孔サイズを備える二重層フィルターを通して、前記懸濁培養物上清を濾過することを含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記清澄化された懸濁培養物が、任意選択的に、1M HEPESを用いて、約pH7.0または約pH7.2に調整される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記レンチウイルスベクターが、アフィニティークロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィーを使用して、前記採取され、清澄化された懸濁培養物上清から捕捉され、濃縮される、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記上清が、アフィニティークロマトグラフィーカラムまたは陽イオン交換クロマトグラフィーカラムを通過する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記アフィニティークロマトグラフィーが、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーである、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
前記陽イオン交換クロマトグラフィーが、硫酸陽イオン交換クロマトグラフィーである、請求項35または36に記載の方法。
【請求項39】
前記硫酸陽イオン交換クロマトグラフィーが、約45μmのビーズサイズおよび/または約100nmの平均孔サイズを有するカラムを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
約50mM HEPES、約100mM NaCl、pH7を含む洗浄緩衝液が、前記クロマトグラフィーカラム上にポンプで吸い上げられる、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
約50mM HEPES、約400mM NaCl、pH8を含む溶出緩衝液が、前記クロマトグラフィーカラム上にポンプで吸い上げられる、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
約50mM HEPES、約300mM NaCl、pH7.2を含む洗浄緩衝液が、前記クロマトグラフィーカラムを通過する、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
約50mM HEPES、約1M NaCl、pH7.5を含む溶出緩衝液が、前記クロマトグラフィーカラムを通過する、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記濾過工程(f)は、約0.45μm~約0.8μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.2μm~約0.45μmの最終フィルター孔サイズを備えた二重層フィルターを通して、前記濃縮されたレンチウイルスベクターを濾過することを含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記レンチウイルスベクターが、約100kDa~約500kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備えた中空繊維接線流濾過(TFF)フィルターを使用して、限外濾過され、透析濾過される、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記中空繊維TFFフィルターが、約100kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備える、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記中空繊維TFFフィルターが、約300kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備える、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記中空繊維TFFフィルターが、約500kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備える、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記レンチウイルスベクターが、透析濾過緩衝液に透析濾過され、任意選択的に、前記透析濾過緩衝液が、約50mM HEPES、約100mM NaCl、pH7.50である、請求項45~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記レンチウイルスベクターが、透析濾過緩衝液に透析濾過され、任意選択的に、前記透析濾過緩衝液が、約50mM HEPES、pH7.0である、請求項45~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記レンチウイルスベクターが、透析濾過緩衝液に透析濾過され、任意選択的に、前記透析濾過緩衝液が、約50mM L-His、pH7.0である、請求項45~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記レンチウイルスベクターを、2×幹細胞成長培地(SCGM)中で1:1で製剤化して、前記製剤化バルクレンチウイルスベクターを生成する、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記レンチウイルスベクターが、HEPESおよびスクロースを含む緩衝液中で1:1で製剤化され、任意選択的に、前記緩衝液が、L-プロリン、ポロクサマー188、またはNaClをさらに含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記レンチウイルスベクターが、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、および約100mM L-プロリンを含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記レンチウイルスベクターが、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、および約0.2~約2.0ポロクサマー188を含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記レンチウイルスベクターが、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、および150mM NaClを含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記レンチウイルスベクターが、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、150mM NaCl、および約0.2~約2.0mg/mlポロクサマー188を含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記レンチウイルスベクターが、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約150mM NaCl、および約0.2~約2.0mg/mlポロクサマー188を含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記レンチウイルスベクターが、L-ヒスチジン、スクロース、およびL-プロリンを含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記レンチウイルスベクターが、約5mM L-ヒスチジン、約146mMスクロース、および約100mM L-プロリンを含む緩衝液中で1:1で製剤化され、任意選択的に、前記製剤が、約0.2~約2.0mg/mLポロクサマー188をさらに含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記製剤化バルクレンチウイルスベクターが、任意選択的に、0.45μmのプレフィルターを備えた0.22μmのフィルターを通して滅菌濾過される、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記方法が、前記製剤化バルクレンチウイルスベクターの充填仕上げを行い、最終レンチウイルスベクターを生成すること、および前記最終レンチウイルスベクターを凍結することをさらに含む、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記方法が、前記製剤化バルクレンチウイルスベクターを凍結することをさらに含む、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記方法が、前記製剤化バルクレンチウイルスベクターを解凍すること、前記製剤化バルクレンチウイルスベクターを滅菌濾過すること、前記製剤化バルクレンチウイルスベクターの充填仕上げを行い、最終レンチウイルスベクターを生成すること、および前記最終レンチウイルスベクターを凍結することをさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記最終レンチウイルスベクターが、≦-65℃で凍結される、請求項62~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
懸濁レンチウイルスベクターを生成する方法であって、
(a)約50mLの培養培地を含むP0懸濁培養物に、約10.0×10
6~約15.0×10
6個の生HEK293T細胞を接種すること;
(b)約100mLの培養培地を含むP1懸濁培養物に、前記P0懸濁培養物から得られた約30.0×10
6~約70.0×10
6個の生HEK293T細胞を接種すること;
(c)それぞれが、約200mLの培養培地を含む三つのP2懸濁培養物に、前記P1懸濁培養物から得られた約11.0×10
7~約19.0×10
7個の生HEK293T細胞を接種すること;
(d)それぞれが、約1.0Lの培養培地を含む三つのP3懸濁培養物に、前記プールされたP2懸濁培養物から得られた約55.0×10
7~約95.0×10
7個の生HEK293T細胞を接種すること;
(e)約20.0Lの培養培地を含むP4懸濁培養物に、前記プールされたP3懸濁培養物から得られた約40.0×10
8~約120.0×10
8個の生HEK293T細胞を接種すること;
(f)約200.0Lの培養培地を含むP5懸濁培養物に、前記P4懸濁培養物から得られた約40.0×10
8~約120.0×10
8個の生HEK293T細胞を接種すること;
(g)前記P5懸濁培養物を約3日間培養し、交互接線流濾過(ATF)を使用して、前記P5懸濁培養物の前記培養培地を約190.0Lの新鮮な培養培地と交換すること;
(h)前記培養培地交換後、前記P5懸濁培養物をトランスフェクトして、レンチウイルスベクターを生成することであって、前記トランスフェクト工程が、ポリエチレンイミン(PEI)と複合体化された、トランスファープラスミドならびにgag、pol、rev、VSV-gをコードするプラスミドDNAを含む約10.0Lの培養培地を添加することを含む、生成すること;
(i)トランスフェクション後、ATFを使用して、前記P5懸濁培養物の前記培養培地を約200.0Lの新鮮な培養培地と交換すること;
(j)トランスフェクションの約36時間~約48時間後、前記P5懸濁培養物をエンドヌクレアーゼで約1時間~約2時間処理すること;
(k)60μm以上の粒子を保持するタンデムデプスフィルター、および0.8μmおよび0.45μmの孔サイズを備えた二重層フィルターを使用して、前記P5懸濁培養物上清を採取し、清澄化すること;
(l)ヘパリンクロマトグラフィーまたは硫酸陽イオン交換クロマトグラフィーを含む、前記採取され、清澄化されたP5懸濁培養物上清から前記レンチウイルスベクターを捕捉し、濃縮すること;
(m)0.8μmおよび0.45μmの孔サイズを備えた二重層フィルターを使用して、前記濃縮されたレンチウイルスベクターを濾過すること;
(n)接線流濾過(TFF)を使用して前記レンチウイルスベクターを限外濾過して、前記レンチウイルスベクターをさらに濃縮し、前記レンチウイルスベクターを透析濾過緩衝液に透析濾過し、これにより、バルクレンチウイルスベクターを生成すること;ならびに
(o)前記レンチウイルスベクターを製剤化して、製剤化バルクレンチウイルスベクターを生成することを含む、方法。
【請求項67】
前記培養培地が、無血清の化学的に規定された細胞培養培地である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記PEI/DNA混合物についてのN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比が、約5、約5.5、約6、約6.4、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、または約10である、請求項66または請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記PEIが、約14~約18時間、前記懸濁培養物に添加され、任意選択的に、前記懸濁培養物が、交互接線流濾過(ATF)を使用した新鮮な培養培地との培養培地交換に供される、請求項66~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記トランスファープラスミドが、パッケージング可能なレンチウイルスベクターゲノムを含むポリヌクレオチドを含む、請求項66~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記トランスファープラスミドが、左のキメラ(5’)レンチウイルスLTRを含むパッケージング可能なレンチウイルスベクターゲノムを含むポリヌクレオチドを含み、前記5’LTRの前記プロモーターが、異種プロモーター;Psi(Ψ)パッケージングシグナル;中心ポリプリントラクト/DNAフラップ(cPPT/FLAP);レトロウイルス輸送エレメント(RRE);対象のポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーター;および右(3’)の自己不活性化(SIN)レンチウイルスLTRで置換されている、請求項66~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記エンドヌクレアーゼが、セラチア・マルセセンスから誘導される、請求項66~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記エンドヌクレアーゼが、DNaseとRNase活性の両方を有する、請求項66~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記エンドヌクレアーゼが、BenzonaseまたはDenaraseである、請求項66~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記エンドヌクレアーゼが、約60U/mlまたは約30U/mlの濃度で添加される、請求項66~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記清澄化された懸濁培養物が、任意選択的に、1M HEPESを用いて、約pH7.0または約pH7.2に調整される、請求項66~75に記載の方法。
【請求項77】
前記硫酸陽イオン交換クロマトグラフィーが、約45μmのビーズサイズおよび/または約100nmの平均孔サイズを有するカラムを含む、請求項66~76に記載の方法。
【請求項78】
約50mM HEPES、約100mM NaCl、pH7を含む洗浄緩衝液が、前記ヘパリンクロマトグラフィーカラム上にポンプで吸い上げられる、請求項66~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
約50mM HEPES、約400mM NaCl、pH8を含む溶出緩衝液が、前記ヘパリンクロマトグラフィーカラム上にポンプで吸い上げられる、請求項66~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
約50mM HEPES、約300mM NaCl、pH7.2を含む洗浄緩衝液が、前記陽イオン交換クロマトグラフィーカラム上にポンプで吸い上げられる、請求項66~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
約50mM HEPES、約1M NaCl、pH7.5を含む溶出緩衝液が、前記陽イオン交換クロマトグラフィー上にポンプで吸い上げられる、請求項66~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記レンチウイルスベクターが、約100kDa、約300kDaもしくは約500kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備えた中空繊維TFFフィルターを使用して、限外濾過され、透析濾過緩衝液に透析濾過される、請求項66~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記透析濾過緩衝液が、約50mM HEPES、約100mM NaCl、pH7.50である、請求項66~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記透析濾過緩衝液が、約50mM HEPES、pH7.0である、請求項66~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記レンチウイルスベクターが、透析濾過緩衝液に透析濾過され、任意選択的に、前記透析濾過緩衝液が、約50mM L-ヒスチジン、pH7.0である、請求項66~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記レンチウイルスベクターを、2×幹細胞成長培地(SCGM)中で1:1で製剤化して、前記製剤化バルクレンチウイルスベクターを生成する、請求項66~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記レンチウイルスベクターが、HEPESおよびスクロースを含む緩衝液中で1:1で製剤化され、任意選択的に、前記緩衝液が、L-プロリン、ポロクサマー188、またはNaClをさらに含む、請求項66~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記レンチウイルスベクターが、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、および約100mM L-プロリンを含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項66~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記レンチウイルスベクターが、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、および約0.2~約2.0mg/mlポロクサマー188を含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項66~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記レンチウイルスベクターが、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、および約150mM NaClを含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項66~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記レンチウイルスベクターが、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、約150mM NaCl、および約0.2~約2.0mg/mlポロクサマー188を含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項66~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記レンチウイルスベクターが、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約150mM NaCl、および約0.2~約2.0mg/mlポロクサマー188を含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項66~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記レンチウイルスベクターが、L-ヒスチジン、スクロース、およびL-プロリンを含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項66~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記レンチウイルスベクターが、約5mM L-ヒスチジン、約146mMスクロース、および約100mM L-プロリンを含む緩衝液中で1:1で製剤化され、任意選択的に、前記製剤が、約0.2~約2.0mg/mLポロクサマー188をさらに含む、請求項66~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記方法が、前記製剤化バルクレンチウイルスベクターの充填仕上げを行い、最終レンチウイルスベクターを生成すること、および前記最終レンチウイルスベクターを凍結することをさらに含む、請求項66~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記方法が、前記製剤化バルクレンチウイルスベクターを凍結することをさらに含む、請求項66~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記方法が、前記製剤化バルクレンチウイルスベクターを解凍すること、前記製剤化バルクレンチウイルスベクターを滅菌濾過すること、前記製剤化バルクレンチウイルスベクターの充填仕上げを行い、最終レンチウイルスベクターを生成すること、および前記最終レンチウイルスベクターを凍結することをさらに含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記最終レンチウイルスベクターが、≦-65℃で凍結される、請求項95~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
ウイルスベクターを生成するための懸濁方法から宿主細胞タンパク質(HCP)を低減する方法であって、
(a)ウイルスベクター(例えば、請求項1~98のいずれか一項に従い製造されたウイルスベクター)を含む、採取され、清澄化された懸濁培養物上清を用意すること;
(b)陽イオン交換クロマトグラフィーを使用して、前記採取され、清澄化された懸濁培養物上清から前記ウイルスベクターを捕捉し、濃縮すること;
(c)前記濃縮されたウイルスベクターを濾過すること;
(d)接線流濾過(TFF)を使用して、前記ウイルスベクターを限外濾過し、透析濾過すること;ならびに
(e)前記ウイルスベクターを製剤化して、製剤化バルクウイルスベクターを生成すること、および前記製剤化バルクウイルスベクターを滅菌濾過することを含む、方法。
【請求項100】
前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記ウイルスベクターが、水疱性口内炎ウイルス(VSV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント(例えば、VSV-G)、球菌ウイルス(COCV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、マラバウイルス(MARAV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ピリウイルス(PIRYV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ニパウイルス(NiV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、センダイウイルス(SeV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、モルビリウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、イヌジステンパー(CDV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、麻疹ウイルス(MV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、シンドビスウイルス(SINV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、テナガザル白血病ウイルス(GALV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ネコ内在性レトロウイルス(RD114)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ネコ白血病ウイルス(FeLV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ヒヒ内在性レトロウイルス(BaEV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、B型肝炎(HBV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、C型肝炎(HCV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、および狂犬病ウイルス(RABV)エンベロープタンパク質またはそのバリアントからなる群から選択される異種エンベロープタンパク質でシュードタイプ化される、請求項99または請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記ウイルスベクターが、水疱性口内炎ウイルス(VSV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント(例えば、VSV-G)からなる異種エンベロープタンパク質でシュードタイプ化される、請求項99~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記採取および清澄化工程が、少なくとも約40μmまたは少なくとも約60μmの混入物を保持する前記タンデムデプスフィルターならびに約0.45μm~約0.8μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.22μm~約0.45μmの最終フィルター孔サイズを備える二重層フィルターを通して前記懸濁培養物上清を濾過することを含む、請求項99~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記清澄化された懸濁培養物が、任意選択的に、1M HEPESを用いて、約pH7.0または約pH7.2に調整される、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記上清が、前記陽イオン交換クロマトグラフィーカラムを通過する、請求項99~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記陽イオン交換クロマトグラフィーが、硫酸陽イオン交換クロマトグラフィーである、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記硫酸陽イオン交換クロマトグラフィーが、約45μmのビーズサイズおよび/または約100nmの平均孔サイズを有するカラムを含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
約50mM HEPES、約300mM NaCl、pH7.2を含む洗浄緩衝液が、前記クロマトグラフィーカラムを通過する、請求項99~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
約50mM HEPES、約1M NaCl、pH7.5を含む溶出緩衝液が、前記クロマトグラフィーカラムを通過する、請求項99~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記濾過工程(c)は、約0.45μm~約0.8μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.2μm~約0.45μmの最終フィルター孔サイズを備えた二重層フィルターを通して、前記濃縮されたウイルスベクターを濾過することを含む、請求項99~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記ウイルスベクターが、約100kDa~約500kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備えた中空繊維接線流濾過(TFF)フィルターを使用して、限外濾過され、透析濾過される、請求項99~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記中空繊維TFFフィルターが、約100kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備える、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記中空繊維TFFフィルターが、約300kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備える、請求項111に記載の方法。
【請求項114】
前記中空繊維TFFフィルターが、約500kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備える、請求項111に記載の方法。
【請求項115】
前記ウイルスベクターが、透析濾過緩衝液に透析濾過され、任意選択的に、前記透析濾過緩衝液が、約50mM HEPES、pH7.0である、請求項111~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記ウイルスベクターが、HEPESおよびスクロースを含む緩衝液中で1:1で製剤化され、任意選択的に、前記緩衝液が、L-プロリン、ポロクサマー188、またはNaClをさらに含む、請求項99~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記ウイルスベクターが、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、および約100mM L-プロリンを含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項99~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記ウイルスベクターが、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、および約0.2~約2.0ポロクサマー188を含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項99~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記ウイルスベクターが、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリンおよび約150mM NaClを含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項99~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記ウイルスベクターが、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、約150mM NaCl、および約0.2~約2.0mg/mlポロクサマー188を含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項99~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
前記ウイルスベクターが、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約150mM NaCl、および約0.2~約2.0mg/mlポロクサマー188を含む緩衝液中で1:1で製剤化される、請求項99~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記製剤化バルクウイルスベクターが、任意選択的に、0.45μmのプレフィルターを備えた0.22μmのフィルターを通して滅菌濾過される、請求項99~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記方法が、前記製剤化バルクウイルスベクターの充填仕上げを行い、最終ウイルスベクターを生成すること、および前記最終ウイルスベクターを凍結することをさらに含む、請求項99~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記方法が、前記製剤化バルクウイルスベクターを凍結することをさらに含む、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記方法が、前記製剤化バルクウイルスベクターを解凍すること、前記製剤化バルクウイルスベクターを滅菌濾過すること、前記製剤化バルクウイルスベクターの充填仕上げを行い、最終ウイルスベクターを生成すること、および前記最終ウイルスベクターを凍結することをさらに含む、請求項122~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記最終ウイルスベクターが、≦-65℃で凍結される、請求項123~125のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる、2021年7月19日に出願された米国仮出願第63/223,249号の35 U.S.C.§119(e)に基づく利益を主張する。
【0002】
本発明は、ウイルスベクター生成および精製の改善された方法に関する。本発明はまた、ウイルスベクターを製造する改善された方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連分野に関する記載
オンコレトロウイルス起源とレンチウイルス起源の両方のレトロウイルスベクターは、まだ遺伝子送達ビヒクルとして満たされていない可能性を豊富に有している。臨床グレードのウイルス遺伝子療法ベクターの大規模製造は、ベクターの安定性、力価、および効力を維持しながら混入物を除去する、ベクター生成および精製のための拡張可能な単位操作を含む多くの障害に直面する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、概して、部分的には、レンチウイルスベクターを製造するための改善された方法に関する。特に、本開示は、懸濁液中で成長させた宿主細胞からレンチウイルスベクターを製造するための改善された方法を提供する。
【0005】
本開示の一態様では、大規模懸濁培養物に生宿主細胞を接種すること;レンチウイルスパッケージングプラスミド、トランスファープラスミド、およびトランスフェクション剤を含む混合物を用いて、大規模懸濁培養物中の宿主細胞を一過性にトランスフェクトすること;トランスフェクションの約36時間~約48時間後(トランスフェクションの開始後)にエンドヌクレアーゼを懸濁培養物上清に添加すること;タンデムデプスフィルターおよび二重層フィルターを使用して、懸濁培養物上清を採取し、清澄化すること;クロマトグラフィーを使用して、採取され、清澄化された懸濁培養物上清からレンチウイルスベクターを捕捉し、濃縮すること;濃縮されたレンチウイルスベクターを濾過すること;接線流濾過(TFF)を使用し、レンチウイルスベクターを限外濾過し、透析濾過すること;ならびにレンチウイルスベクターを製剤化して、製剤化バルクレンチウイルスベクターを生成すること、および製剤化バルクレンチウイルスベクターを滅菌濾過することを含む、レンチウイルスベクター(sLVV)を生成するための懸濁方法が提供さる。
【0006】
様々な実施形態では、方法は、200L~2000Lの懸濁培養物に接種することを含む。一部の実施形態では、方法は、200L~1000Lの懸濁培養物に接種することを含む。一部の実施形態では、方法は、200L~500Lの懸濁培養物に接種することを含む。一部の実施形態では、方法は、200Lの懸濁培養物に接種することを含む。
【0007】
様々な実施形態では、大規模懸濁培養物は、約40.0×108~約120.0×108個の生宿主細胞に接種される。一部の実施形態では、宿主細胞は、HEK293細胞、HEK293S細胞、懸濁培養に適合させたHEK293T細胞(HEK293T)、HEK293F細胞、HEK293FT細胞、HEK293FTM細胞、およびHEK293E細胞からなる群から選択される。一部の実施形態では、宿主細胞は、HEK293T細胞である。
【0008】
様々な実施形態では、大規模細胞懸濁培養物は、培養培地中で培養された宿主細胞を含む。一部の実施形態では、大規模細胞懸濁培養物は、培養培地中で約3日間培養された宿主細胞を含み、3日後、培養培地は、新鮮な培養培地と交換される。一部の実施形態では、大規模細胞懸濁培養物は、培養培地中で約3日間培養された宿主細胞を含み、3日後、培養培地は、交互接線流濾過(ATF)を使用し、新鮮な培養培地と交換される。一部の実施形態では、培養培地は、無血清の化学的に規定された細胞培養培地である。
【0009】
様々な実施形態では、宿主細胞は、リン酸カルシウム、カチオン性脂質、およびカチオン性ポリマーからなる群から選択されるトランスフェクション剤を含む混合物で一過性にトランスフェクトされる。一部の実施形態では、宿主細胞は、DEAE-デキストラン、ポリブレン、デンドリマー、およびポリエチレンイミン(PEI)からなる群から選択されるカチオン性ポリマーであるトランスフェクション剤を含む混合物で一過性にトランスフェクトされる。一部の実施形態では、宿主細胞は、PEIを含むトランスフェクション剤を含む混合物で一過性にトランスフェクトされる。一部の実施形態では、トランスフェクション剤は、PEIを含み、混合物は、約5、約5.5、約6、約6.4、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、または約10のN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比を有する。
【0010】
様々な実施形態では、トランスフェクション剤は、約14~約18時間、懸濁培養物に添加され、任意選択的に、懸濁培養物は、交互接線流濾過(ATF)を使用した新鮮な培養培地との培養培地交換に供される。
【0011】
様々な実施形態では、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、レンチウイルスgag、pol、およびrevならびに異種エンベロープタンパク質をコードする。
【0012】
様々な実施形態では、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、ベジクロウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、パラミクソウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、アルファウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、ガンマレトロウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、オルトヘパドナウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、ヘパシウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、およびリッサウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアントからなる群から選択される異種エンベロープタンパク質をコードする。
【0013】
特定の実施形態では、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、ニパウイルスエンベロープタンパク質、センダイウイルス(SeV)エンベロープタンパク質、モルビリウイルスエンベロープタンパク質、イヌジステンパー(CDV)エンベロープタンパク質、および麻疹ウイルスエンベロープタンパク質からなる群から選択される異種エンベロープタンパク質をコードする。
【0014】
様々な実施形態では、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、シンドビスウイルス(SINV)エンベロープタンパク質をコードする。
【0015】
様々な実施形態では、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、テナガザル白血病ウイルス(GALV)エンベロープタンパク質、ネコ白血病ウイルス(FeLV)エンベロープタンパク質、ネコ内在性レトロウイルス(RD114)エンベロープタンパク質、およびヒヒ内在性レトロウイルス(BaEV)エンベロープタンパク質からなる群から選択される異種エンベロープタンパク質をコードする。
【0016】
様々な実施形態では、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、B型肝炎ウイルス(HBV)エンベロープタンパク質をコードする。
【0017】
様々な実施形態では、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、C型肝炎ウイルス(HCV)エンベロープタンパク質をコードする。
【0018】
様々な実施形態では、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、狂犬病ウイルス(RABV)をコードする。
【0019】
様々な実施形態では、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント(例えば、VSV-G)、球菌ウイルス(COCV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、マラバウイルス(MARAV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ピリウイルス(PIRYV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ニパウイルス(NiV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、センダイウイルス(SeV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、モルビリウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、イヌジステンパー(CDV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、麻疹ウイルス(MV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、シンドビスウイルス(SINV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、テナガザル白血病ウイルス(GALV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ネコ内在性レトロウイルス(RD114)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ネコ白血病ウイルス(FeLV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ヒヒ内在性レトロウイルス(BaEV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、B型肝炎(HBV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、C型肝炎(HCV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、および狂犬病ウイルス(RABV)エンベロープタンパク質またはそのバリアントをコードする。
【0020】
好ましい実施形態では、VSVエンベロープタンパク質は、VSV-Gまたはそのバリアントである。
【0021】
様々な実施形態では、トランスファープラスミドは、パッケージング可能なレンチウイルスベクターゲノムを含むポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、トランスファープラスミドが、左のキメラ(5’)レンチウイルスLTRを含むパッケージング可能なレンチウイルスベクターゲノムを含むポリヌクレオチドを含み、5’LTRのプロモーターが、異種プロモーター;Psi(Ψ)パッケージングシグナル;中心ポリプリントラクト/DNAフラップ(cPPT/FLAP);レトロウイルス輸送エレメント(RRE);対象のポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーター;および右(3’)の自己不活性化(SIN)レンチウイルスLTRで置換されている。
【0022】
様々な実施形態では、エンドヌクレアーゼは、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)から誘導され、任意選択的に、エンドヌクレアーゼは、組換えNucAエンドヌクレアーゼである。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、DNA切断活性とRNA切断活性の両方を有する。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、BenzonaseまたはDenaraseである。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、約60U/mlまたは約30U/mlの濃度で添加される。
【0023】
様々な実施形態では、エンドヌクレアーゼは、トランスフェクションの約36時間~約72時間後に懸濁培養物上清に添加される。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、トランスフェクションの約36時間~約48時間後に懸濁培養物上清に添加される。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、トランスフェクションの約48時間後に懸濁培養物上清に添加される。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、トランスフェクションの約44時間後に懸濁培養物上清に添加される。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、トランスフェクションの約40時間後に懸濁培養物上清に添加される。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、トランスフェクションの約36時間後に懸濁培養物上清に添加される。
【0024】
様々な実施形態では、エンドヌクレアーゼは、約1~約2時間、培養物に添加される。
【0025】
様々な実施形態では、採取および清澄化工程は、少なくとも約40μmまたは少なくとも約60μmの混入物を保持するタンデムデプスフィルターならびに約0.45μm~約0.8μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.22μm~約0.45μmの最終フィルター孔サイズを備える二重層フィルターを通して懸濁培養物上清を濾過することを含む。
【0026】
様々な実施形態では、清澄化された懸濁培養物は、任意選択的に、1M HEPESを用いて約pH7.0または約pH7.2に調整される。
【0027】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、アフィニティークロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィーを使用して、採取され、清澄化された懸濁培養物上清から捕捉され、濃縮される。一部の実施形態では、上清は、アフィニティークロマトグラフィーカラムまたは陽イオン交換クロマトグラフィーカラムを通過する。一部の実施形態では、アフィニティークロマトグラフィーは、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーである。一部の実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィーは、硫酸陽イオン交換クロマトグラフィーである。一部の実施形態では、硫酸陽イオン交換クロマトグラフィーは、約45μmのビーズサイズおよび/または約100nmの平均孔サイズを有するカラムを含む。
【0028】
様々な実施形態では、約50mM HEPES、約100mM NaCl、pH7を含む洗浄緩衝液は、クロマトグラフィーカラム上にポンプで吸い上げられる。
【0029】
様々な実施形態では、約50mM HEPES、約400mM NaCl、pH8を含む溶出緩衝液は、クロマトグラフィーカラム上にポンプで吸い上げられる。
【0030】
様々な実施形態では、約50mM HEPES、約300mM NaCl、pH7.2を含む洗浄緩衝液は、クロマトグラフィーカラムを通過する。様々な実施形態では、約50mM HEPES、約1M NaCl、pH7.5を含む溶出緩衝液は、クロマトグラフィーカラムを通過する。
【0031】
様々な実施形態では、濃縮されたベクターの濾過は、約0.45μm~約0.8μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.2μm~約0.45μmの最終フィルター孔サイズを備えた二重層フィルターを通して濃縮されたレンチウイルスベクターを濾過することを含む。
【0032】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、約100kDa~約500kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備えた中空繊維接線流濾過(TFF)フィルターを使用して、限外濾過され、透析濾過される。一部の実施形態では、中空繊維TFFフィルターは、約100kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備える。一部の実施形態では、中空繊維TFFフィルターは、約300kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備える。一部の実施形態では、中空繊維TFFフィルターは、約500kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備える。
【0033】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、透析濾過緩衝液に透析濾過され、任意選択的に、透析濾過緩衝液は、約50mM HEPES、約100mM NaCl、pH7.50である。
【0034】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、透析濾過緩衝液に透析濾過され、任意選択的に、透析濾過緩衝液は、約50mM HEPES、pH7.0である。
【0035】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、透析濾過緩衝液に透析濾過され、任意選択的に、透析濾過緩衝液は、約50mM L-ヒスチジン、pH7.0である。
【0036】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターを、2×幹細胞成長培地(SCGM)中で1:1で製剤化して、製剤化バルクレンチウイルスベクターを生成する。
【0037】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、HEPESおよびスクロースを含む緩衝液中で1:1で製剤化され、任意選択的に、緩衝液は、L-プロリン、ポロクサマー188、またはNaClをさらに含む。
【0038】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、および約100mM L-プロリンを含む緩衝液中で1:1で製剤化される。
【0039】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、および約0.2~約2.0mg/mlポロクサマー188を含む緩衝液で1:1で製剤化される。
【0040】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、および約150mM NaClを含む緩衝液中で1:1で製剤化される。
【0041】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、約150mM NaCl、および約0.2~約2.0mg/mlポロクサマー188を含む緩衝液で1:1で製剤化される。
【0042】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約150mM NaCl、および約0.2~約2.0mg/mlポロクサマー188を含む緩衝液で1:1で製剤化される。
【0043】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、L-ヒスチジン、スクロース、およびL-プロリンを含む緩衝液中で1:1で製剤化される。
【0044】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、約5mM L-ヒスチジン、約146mMスクロース、および約100mM L-プロリンを含む緩衝液中で1:1で製剤化され、任意選択的に、製剤は、約0.2~約2.0mg/mLポロクサマー188をさらに含む。
【0045】
様々な実施形態では、製剤化バルクレンチウイルスベクターは、任意選択的に、0.45μmのプレフィルターを備えた0.22μmのフィルターを通して滅菌濾過される。
【0046】
様々な実施形態では、方法は、製剤化バルクレンチウイルスベクターの充填仕上げを行い、最終レンチウイルスベクターを生成すること、および最終レンチウイルスベクターを凍結することをさらに含む。
【0047】
様々な実施形態では、方法は、製剤化バルクレンチウイルスベクターを凍結することをさらに含む。
【0048】
様々な実施形態では、方法は、製剤化バルクレンチウイルスベクターを解凍すること、製剤化バルクレンチウイルスベクターを滅菌濾過すること、製剤化バルクレンチウイルスベクターの充填仕上げを行い、最終レンチウイルスベクターを生成すること、および最終レンチウイルスベクターを凍結することをさらに含む。一部の実施形態では、最終レンチウイルスベクターは、≦-65℃で凍結される。
【0049】
別の態様では、約50mLの培養培地を含むP0懸濁培養物に約10.0×106~約15.0×106個の生HEK293T細胞を接種すること;約100mLの培養培地を含むP1懸濁培養物に、P0懸濁培養物から得られた約30.0×106~約70.0×106個の生HEK293T細胞を接種すること;それぞれが、約200mLの培養培地を含む三つのP2懸濁培養物に、P1懸濁培養物から得られた約11.0×107~約19.0×107個の生HEK293T細胞を接種すること;それぞれが、約1.0Lの培養培地を含む三つのP3懸濁培養物に、プールされたP2懸濁培養物から得られた約55.0×107~約95.0×107個の生HEK293T細胞を接種すること;約20.0Lの培養培地を含むP4懸濁培養物に、プールされたP3懸濁培養物から得られた約40.0×108~約120.0×108個の生HEK293T細胞を接種すること;約200.0Lの培養培地を含むP5懸濁培養物に、P4懸濁培養物から得られた約40.0×108~約120.0×108個の生HEK293T細胞を接種すること;P5懸濁培養物を約3日間培養し、交互接線流濾過(ATF)を使用して、P5懸濁培養物の培養培地を約190.0Lの新鮮な培養培地と交換すること;培養培地交換後、P5懸濁培養物をトランスフェクトして、レンチウイルスベクターを生成すること、当該トランスフェクト工程は、ポリエチレンイミン(PEI)と複合体化された、トランスファープラスミドならびにgag、pol、rev、VSV-gをコードするプラスミドDNAを含む約10.0Lの培養培地を添加することを含む;トランスフェクション後、ATFを使用して、P5懸濁培養物の培養培地を約200.0Lの新鮮な培養培地と交換すること;トランスフェクションの約36時間~約48時間後、P5懸濁培養物をエンドヌクレアーゼで約1時間~約2時間処理すること;60μm以上の粒子を保持するタンデムデプスフィルター、および0.8μmおよび0.45μmの孔サイズを備えた二重層フィルターを使用して、P5懸濁培養物上清を採取し、清澄化すること;ヘパリンクロマトグラフィーまたは硫酸陽イオン交換クロマトグラフィーを含む、採取され、清澄化されたP5懸濁培養物上清からレンチウイルスベクターを捕捉し、濃縮すること;0.8μmおよび0.45μmの孔サイズを備えた二重層フィルターを使用して、濃縮されたレンチウイルスベクターを濾過すること;接線流濾過(TFF)を使用してレンチウイルスベクターを限外濾過して、レンチウイルスベクターをさらに濃縮し、レンチウイルスベクターを透析濾過緩衝液に透析濾過し、これにより、バルクレンチウイルスベクターを生成すること;およびレンチウイルスベクターを製剤化して、製剤化バルクレンチウイルスベクターを生成することを含む、懸濁レンチウイルスベクターを生成する方法が提供される。
【0050】
様々な実施形態では、培養培地は、無血清の化学的に規定された細胞培養培地である。
【0051】
様々な実施形態では、PEI/DNA混合物についてのN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比は、約5、約5.5、約6、約6.4、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、または約10である。
【0052】
様々な実施形態では、PEIは、約14~約18時間、懸濁培養物に添加され、任意選択的に、懸濁培養物は、交互接線流濾過(ATF)を使用した新鮮な培養培地との培養培地交換に供される。
【0053】
様々な実施形態では、トランスファープラスミドは、パッケージング可能なレンチウイルスベクターゲノムを含むポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、トランスファープラスミドが、左のキメラ(5’)レンチウイルスLTRを含むパッケージング可能なレンチウイルスベクターゲノムを含むポリヌクレオチドを含み、5’LTRのプロモーターが、異種プロモーター;Psi(Ψ)パッケージングシグナル;中心ポリプリントラクト/DNAフラップ(cPPT/FLAP);レトロウイルス輸送エレメント(RRE);対象のポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーター;および右(3’)の自己不活性化(SIN)レンチウイルスLTRで置換されている。
【0054】
様々な実施形態では、エンドヌクレアーゼは、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)から誘導され、任意選択的に、エンドヌクレアーゼは、組換えNucAエンドヌクレアーゼである。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、DNA切断活性とRNA切断活性の両方を有する。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、BenzonaseまたはDenaraseである。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、約60U/mlまたは約30U/mlの濃度で添加される。
【0055】
様々な実施形態では、清澄化された懸濁培養物は、任意選択的に、1M HEPESを用いて約pH7.0または約pH7.2に調整される。
【0056】
様々な実施形態では、硫酸陽イオン交換クロマトグラフィーは、約45μmのビーズサイズおよび/または約100nmの平均孔サイズを有するカラムを含む。
【0057】
様々な実施形態では、約50mM HEPES、約300mM NaCl、pH7.2を含む洗浄緩衝液は、アフィニティークロマトグラフィーカラムまたは陽イオン交換クロマトグラフィーカラム上にポンプで吸い上げられる。
【0058】
様々な実施形態では、約50mM HEPES、約1M NaCl、pH7.5を含む溶出緩衝液は、アフィニティークロマトグラフィーカラムまたは陽イオン交換クロマトグラフィー上にポンプで吸い上げられる。
【0059】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、約100kDa、約300kDaもしくは約500kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備えた中空繊維TFFフィルターを使用して、限外濾過され、透析濾過緩衝液に透析濾過される。
【0060】
様々な実施形態では、透析濾過緩衝液は、約50mM HEPES、約100mM NaCl、pH7.50である。
【0061】
様々な実施形態では、透析濾過緩衝液は、約50mM HEPES、pH7.0である。
【0062】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターを、2×幹細胞成長培地(SCGM)中で1:1で製剤化して、製剤化バルクレンチウイルスベクターを生成する。
【0063】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、HEPESおよびスクロースを含む緩衝液中で1:1で製剤化され、任意選択的に、緩衝液は、L-プロリン、ポロクサマー188、またはNaClをさらに含む。
【0064】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、および約100mM L-プロリンを含む緩衝液中で1:1で製剤化される。
【0065】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、および約0.2mg/mlポロクサマー188を含む緩衝液で1:1で製剤化される。
【0066】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、および約150mM NaClを含む緩衝液中で1:1で製剤化される。
【0067】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、約150mM NaCl、および約0.2mg/mlポロクサマー188を含む緩衝液で1:1で製剤化される。
【0068】
様々な実施形態では、レンチウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約150mM NaCl、および約0.2mg/mlポロクサマー188を含む緩衝液で1:1で製剤化される。
【0069】
様々な実施形態では、方法は、製剤化バルクレンチウイルスベクターの充填仕上げを行い、最終レンチウイルスベクターを生成すること、および最終レンチウイルスベクターを凍結することをさらに含む。
【0070】
様々な実施形態では、方法は、製剤化バルクレンチウイルスベクターを凍結することをさらに含む。
【0071】
様々な実施形態では、方法は、製剤化バルクレンチウイルスベクターを解凍すること、製剤化バルクレンチウイルスベクターを滅菌濾過すること、製剤化バルクレンチウイルスベクターの充填仕上げを行い、最終レンチウイルスベクターを生成すること、および最終レンチウイルスベクターを凍結することをさらに含む。一部の実施形態では、最終レンチウイルスベクターは、≦-65℃で凍結される。
【0072】
別の態様では、ウイルスベクターを生成するための懸濁方法から宿主細胞タンパク質(HCP)を低減する方法が提供される。様々な実施形態では、HCPを低減する方法は、(a)ウイルスベクター(例えば、本明細書で企図される製造されたウイルスベクター)を含む採取され、清澄化された懸濁培養物上清を用意すること;(b)陽イオン交換クロマトグラフィーを使用して、採取され、清澄化された懸濁培養物上清からウイルスベクターを捕捉し、濃縮すること;(c)濃縮されたウイルスベクターを濾過すること;(d)接線流濾過(TFF)を使用して、ウイルスベクターを限外濾過し、透析濾過すること;ならびに(e)ウイルスベクターを製剤化して、製剤化バルクウイルスベクターを生成すること、および製剤化バルクウイルスベクターを滅菌濾過することを含む。
【0073】
様々な実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。
【0074】
様々な実施形態では、ウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント(例えば、VSV-G)、球菌ウイルス(COCV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、マラバウイルス(MARAV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ピリウイルス(PIRYV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ニパウイルス(NiV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、センダイウイルス(SeV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、モルビリウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、イヌジステンパー(CDV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、麻疹ウイルス(MV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、シンドビスウイルス(SINV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、テナガザル白血病ウイルス(GALV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ネコ内在性レトロウイルス(RD114)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ネコ白血病ウイルス(FeLV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ヒヒ内在性レトロウイルス(BaEV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、B型肝炎(HBV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、C型肝炎(HCV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、および狂犬病ウイルス(RABV)エンベロープタンパク質またはそのバリアントからなる群から選択される異種エンベロープタンパク質でシュードタイプ化される。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント(例えば、VSV-G)からなる異種エンベロープタンパク質でシュードタイプ化される。
【0075】
様々な実施形態では、採取および清澄化工程は、少なくとも約40μmまたは少なくとも約60μmの混入物を保持するタンデムデプスフィルターならびに約0.45μm~約0.8μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.22μm~約0.45μmの最終フィルター孔サイズを備える二重層フィルターを通して懸濁培養物上清を濾過することを含む。
【0076】
様々な実施形態では、清澄化された懸濁培養物は、任意選択的に、1M HEPESを用いて約pH7.0または約pH7.2に調整される。
【0077】
様々な実施形態では、上清は、陽イオン交換クロマトグラフィーカラムを通過する。
【0078】
様々な実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィーは、硫酸陽イオン交換クロマトグラフィーである。一部の実施形態では、硫酸陽イオン交換クロマトグラフィーは、約45μmのビーズサイズおよび/または約100nmの平均孔サイズを有するカラムを含む。
【0079】
様々な実施形態では、約50mM HEPES、約300mM NaCl、pH7.2を含む洗浄緩衝液は、クロマトグラフィーカラムを通過する。
【0080】
様々な実施形態では、約50mM HEPES、約1M NaCl、pH7.5を含む溶出緩衝液は、クロマトグラフィーカラムを通過する。
【0081】
様々な実施形態では、濾過工程(c)は、約0.45μm~約0.8μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.2μm~約0.45μmの最終フィルター孔サイズを備えた二重層フィルターを通して濃縮されたウイルスベクターを濾過することを含む。
【0082】
様々な実施形態では、ウイルスベクターは、約100kDa~約500kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備えた中空繊維接線流濾過(TFF)フィルターを使用して、限外濾過され、透析濾過される。一部の実施形態では、中空繊維TFFフィルターは、約100kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備える。一部の実施形態では、中空繊維TFFフィルターは、約300kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備える。一部の実施形態では、中空繊維TFFフィルターは、約500kDaの孔サイズまたは分子量カットオフを備える。
【0083】
様々な実施形態では、ウイルスベクターは、透析濾過緩衝液に透析濾過され、任意選択的に、透析濾過緩衝液は、約50mM HEPES、pH7.0である。
【0084】
様々な実施形態では、ウイルスベクターは、HEPESおよびスクロースを含む緩衝液中で1:1で製剤化され、任意選択的に、緩衝液は、L-プロリン、ポロクサマー188、またはNaClをさらに含む。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、および約100mM L-プロリンを含む緩衝液中で1:1で製剤化される。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、および約0.2~約2.0のポロクサマー188を含む緩衝液で1:1で製剤化される。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、および約150mM NaClを含む緩衝液中で1:1で製剤化される。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、約150mM NaCl、および約0.2~約2.0mg/mlポロクサマー188を含む緩衝液で1:1で製剤化される。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約150mM NaCl、および約0.2~約2.0mg/mlポロクサマー188を含む緩衝液で1:1で製剤化される。
【0085】
様々な実施形態では、製剤化バルクウイルスベクターは、任意選択的に、0.45μmのプレフィルターを備えた0.22μmのフィルターを通して滅菌濾過される。
【0086】
様々な実施形態では、方法は、製剤化バルクウイルスベクターの充填仕上げを行い、最終ウイルスベクターを生成すること、および最終ウイルスベクターを凍結することをさらに含む。
【0087】
様々な実施形態では、方法は、製剤化バルクウイルスベクターを凍結することをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、製剤化バルクウイルスベクターを解凍すること、製剤化バルクウイルスベクターを滅菌濾過すること、製剤化バルクウイルスベクターの充填仕上げを行い、最終ウイルスベクターを生成すること、および最終ウイルスベクターを凍結することをさらに含む。
【0088】
様々な実施形態では、最終ウイルスベクターは、≦-65℃で凍結される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【
図1】
図1は、懸濁培養物からのレンチウイルスベクターの生成のための上流のプロセスフロー、下流のプロセスフローおよび充填完了の例を示す。
【
図2】
図2は、懸濁培養物からのレンチウイルスベクターの生成のための上流のプロセスフロー、下流のプロセスフローおよび充填完了の例を示す。
【
図3A】
図3A~3Cは、gag、pol、rev、およびvsv-gのパッケージングプラスミドのプラスミドマップを示す。
【
図4】
図4は、懸濁培養物からのレンチウイルスベクターの生成のための上流プロセスフロー、下流プロセスフローおよび充填完了の例を示す。
【
図5】
図5は、異なるLVV製造方法間の総感染力価収量の比較を示す。
【
図6】
図6は、異なるLVV製造方法間の感染力価の比較を示す。
【
図7】
図7は、異なるLVV製造方法間の粒子の感染力に対する比の比較を示す。
【
図8】
図8は、異なるLVV製造方法間の正規化宿主細胞タンパク質(HCP)の比較を示す。
【
図9】
図9は、異なるLVV製造方法間の累積宿主細胞タンパク質(HCP)対数減少の比較を示す。
【
図10】
図10は、異なるLVV製造方法間の工程宿主細胞タンパク質(HCP)対数減少の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0090】
A.概要
本開示は、概して、部分的には、臨床使用のためのレトロウイルスベクターを製造するための改善された大規模プロセスに関する。いかなる特定の理論によって結び付けられることを望むものではないが、本開示は、臨床グレードのレトロウイルスおよびレンチウイルスベクターを生成するための製造プロセスを提供する最初のものである。本明細書で企図される製造プロセスを使用して生成されるベクターは、当該技術分野に存在する方法によって合致されない感染性および純度を有する臨床規模で生成される。さらに、本開示は、製造されたウイルスベクター上清からの宿主細胞タンパク質(HCP)を低減するための方法を提供する。
【0091】
当該技術分野に存在する製造プロセスは、通常、ベクター品質を犠牲にしてウイルスベクター量を増加させるという側面で誤っている。本明細書で企図される製造プロセスは、品質のための取引量の技術分野における問題を解決し、商業規模で高品質の臨床グレードベクターの生成を可能にする。実際に、本明細書で企図されるプロセスは、より高い感染力価(TU/ml)、および一部の実施形態では、同等またはより低い宿主細胞タンパク質(HCP)レベルを示す。
【0092】
企図される製造プロセスは、ウイルスベクターを生成する上流のプロセス、およびウイルスベクターを精製する下流プロセスを含む。企図される製造プロセスは、バイオリアクター内に大規模宿主細胞培養物を確立すること;ウイルスアクセサリー遺伝子をコードするパッケージングプラスミドおよびトランスファープラスミドを含む混合物で宿主細胞を一過性にトランスフェクトすること;トランスフェクトされた宿主細胞を培養して、ウイルスを生成すること;および粗レンチウイルスベクターを含有する培養上清を収集し、処理して、不純物を除去し、濃縮し、臨床使用のためにウイルスベクターを製剤化することを含む。
【0093】
特定の実施形態では、本明細書で企図される製造プロセスは、大規模、例えば、少なくとも200Lの作業量であるバイオリアクターに播種するのに十分な量の宿主細胞まで、宿主細胞を徐々により大量の量で解凍し、培養し、拡大することを含む上流プロセスを含む。播種された宿主細胞は、所望の密度まで培養され、培地は交換され、細胞は、トランスフェクション剤、ウイルスアクセサリー遺伝子をコードするパッケージングプラスミド、および治療用導入遺伝子を含むパッケージング可能なウイルスベクターゲノムをコードするトランスファープラスミドを含む混合物でトランスフェクトされる。トランスフェクションに十分な時間の後、別の培地交換が行われ、トランスフェクトされた宿主細胞を培養して、ウイルスベクターを約一~約三日間生成する。好ましい実施形態では、宿主細胞は、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中で培養される。
【0094】
特定の実施形態では、本明細書で企図される製造プロセスは、バイオリアクターの内容物をDNAエンドヌクレアーゼで処理すること;濾過によって懸濁培養物上清を採取し、清澄化すること;アフィニティークロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィーを使用して、得られた濾液中のウイルスベクターを捕捉し、濃縮すること;ウイルスベクターを含む溶出物を濾過すること;接線流濾過(TFF)を使用して、ウイルスベクターを限外濾過し、透析濾過すること;培養培地中でウイルスベクターを製剤化して、製剤化バルクウイルスベクターを生成することを含む下流プロセスを含む。一実施形態では、製剤化バルクレンチウイルスベクターは、滅菌濾過され、充填され、凍結され;その後、解凍され、滅菌濾過され、最終充填仕上げに供される。別の実施形態では、バルクレンチウイルスベクターは、滅菌濾過され、最終充填仕上げに供され、凍結される。
【0095】
好ましい実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクターであり、さらにより好ましい実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。
【0096】
組み換え(すなわち、操作された)DNA、ペプチド及びオリゴヌクレオチド合成、免疫アッセイ、組織培養、形質変換(例、エレクトロポレーション、リポフェクション)、酵素反応、精製ならびに関連する技術及び手法は、本明細書を通じて引用され、考察される、微生物学、分子生物学、生化学、分子遺伝学、細胞生物学、ウイルス学及び免疫学における様々な一般的及びより具体的な参考文献に記載されるように一般的に行われてもよい。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons、2008年7月に更新)、Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience;Glover,DNA Cloning:A Practical Approach,vol.I&II(IRL Press,Oxford Univ.Press USA,1985)、Current Protocols in Immunology(Edited by:John E.Coligan,Ada M.Kruisbeek,David H.Margulies,Ethan M.Shevach,Warren Strober 2001 John Wiley&Sons,NY,NY)、Real-Time PCR:Current Technology and Applications,Edited by Julie Logan,Kirstin Edwards and Nick Saunders,2009,Caister Academic Press,Norfolk,UK、Anand,Techniques for the Analysis of Complex Genomes,(Academic Press,New York,1992)、Guthrie and Fink,Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology(Academic Press,New York,1991)、Oligonucleotide Synthesis(N.Gait,Ed.,1984)、Nucleic Acid The Hybridization(B.Hames&S.Higgins,Eds.,1985)、Transcription and Translation(B.Hames&S.Higgins,Eds.,1984)、Animal Cell Culture(R.Freshney,Ed.,1986)、Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)、Next-Generation Genome Sequencing(Janitz,2008 Wiley-VCH)、PCR Protocols(Methods in Molecular Biology)(Park,Ed.,3rd Edition,2010 Humana Press)、Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press,1986)、the treatise,Methods In Enzymology(Academic Press,Inc.,N.Y.)、Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells(J.H.Miller and M.P.Calos eds.,1987,Cold Spring Harbor Laboratory)、Harlow and Lane,Antibodies,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1998)、Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Mayer and Walker,eds.,Academic Press,London,1987)、Handbook Of Experimental Immunology,Volumes I-IV (D.M.Weir andCC Blackwell,eds.,1986)、Roitt,Essential Immunology,6th Edition,(Blackwell Scientific Publications,Oxford,1988)、Current Protocols in Immunology(Q.E.Coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevach and W.Strober,eds.,1991)、Annual Review of Immunology、並びにAdvances in Immunologyなどの専門誌の研究論文を参照されたい。
【0097】
B.定義
本開示をより詳細に記載する前に、本明細書において使用されるべきある特定の用語の定義を提供することは、その理解に役立ちうる。
【0098】
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって普遍的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書中に記載するものと類似した、又は均等の方法及び材料を、特定の実施形態の実施又は検証に使用することができるが、本明細書においては好ましい組成物、方法及び材料の実施形態を開示している。本開示の目的に対し、以下の用語を、以下に規定する。
【0099】
冠詞「a」、「an」及び「the」は、本明細書において、当該冠詞の文法上の対象の一つ又は複数(すなわち少なくとも一つ、又は一つもしくは複数)を指すために使用される。例示として、「an element」とは、一つの要素、又は一つもしくは複数の要素を意味する。
【0100】
選択肢(例、「又は」)の使用は、いずれか一つ、両方、又はその選択肢の任意の組み合わせを意味すると理解されたい。
【0101】
「および/または」という用語は、いずれか一つ、またはその選択肢の両方を意味すると理解されたい。
【0102】
本明細書において使用される場合、「約」または「およそ」という用語は、基準の数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、大きさ、量、重さ、または長さに対し、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%までも変化する数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、大きさ、量、重さ、または長さを指す。一つの実施形態では、「約」または「およそ」という用語は、基準の数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、大きさ、量、重さ、または長さに関し、±15%、±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%または±1%の数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、大きさ、量、重さ、または長さの範囲を指す。
【0103】
一実施形態では、例えば、1~5、約1~5、又は約1~約5といった範囲は、当該範囲に包含される各数値を指す。例えば、一つの非限定的かつ単に例示的な実施形態では、範囲「1~5」は、表現1、2、3、4、5、又は1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、若しくは5.0、又は1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、もしくは5.0と同等である。
【0104】
本明細書中で使用するように、用語「実質的に」は、基準の数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、大きさ、量、重さ、又は長さと比較して、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上である数量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量、又は長さを指す。一実施形態では、「実質的に同じ」は、参照の量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量又は長さとほぼ同じである効果、例えば、生理学的効果を生じる量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、又は長さを指す。
【0105】
本明細書全体を通じて、文脈が別段要求しない限り、語句「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含むこと」は、規定される工程もしくは要素又は工程もしくは要素のグループを含むことを暗示するが、任意の他の工程もしくは要素又は工程もしくは要素のグループを除外することを暗示しないことは理解されるだろう。「~からなる」とは、語句「からなる」に先行するもの全てを含み、それらに限定されることを意味する。このように、文言「~からなる」は、列記される要素が必要又は義務であり、他の要素は存在し得ないことを示す。「本質的に~からなる」とは、当該文言の後に列記される任意の要素、及び列記される要素に関して本開示中に特定される活性若しくは作用に干渉しない、又は寄与しない他の要素に限定される任意の要素を含むことを意味する。このように、文言「本質的に~からなる」は、列記される要素が必須又は義務であり、しかし列記される要素の活性又は作用に実質的に影響を与える他の要素は存在しないことを示す。
【0106】
本明細書全体を通じて「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」、「関連する実施形態」、「ある実施形態」、「追加的な実施形態」、もしくは「さらなる実施形態」、又はそれらの組み合わせに対する参照は、当該実施形態と関連付けて記載される特定の性質、構造又は特徴が、少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。このように、本明細書全体の様々な箇所での前述の文言の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。更に、特定の性質、構造、又は特徴は、一つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わされ得る。また、一実施形態でのある性質の肯定的な列挙は、特定の実施形態では当該性質の除外の根拠として機能することを理解されたい。
【0107】
用語「ベクター」は、別の核酸分子を細胞またはゲノムに移送または輸送する能力がある核酸分子、微生物、またはウイルスを指すために本明細書で使用される。ベクターの例示的な例としては、例えば、プラスミド(例えば、DNAプラスミドまたはRNAプラスミド)、トランスポゾン、コスミド、細菌人工染色体、細菌、およびウイルスベクターが挙げられる。
【0108】
「ウイルスベクター」という用語は、核酸分子の移行または細胞および/もしくはゲノムへの統合を典型的には促進するウイルス由来核酸エレメントを含む核酸分子を指すために特定の実施形態で使用される。「ウイルスベクター」という用語はまた、特に好ましい実施形態では、核酸を細胞および/またはゲノムに輸送する能力がある改変ウイルスまたはウイルス粒子のいずれかを指す。ウイルスベクターは、主に、ウイルスから誘導される構造的および/または機能的遺伝エレメントを含有してもよい。好ましい実施形態での使用に適したウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
レトロウイルスベクターは、遺伝子送達のための一般的なツールである(Miller,2000,Nature.357:455-460)。本明細書で使用される場合、「レトロウイルス」または「レトロウイルスベクター」という用語は、そのゲノムRNAを直鎖二本鎖DNAコピーに逆転写し、その後、そのゲノムDNAを宿主ゲノムに共有的に組み込むウイルスベクターを指す。特定の実施形態での使用に好適な例示的なレトロウイルスベクターには、これらに限定されないが、モロニーマウス白血病ウイルス(M-MuLV)、モロニーマウス肉腫ウイルス(MoMSV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MuMTV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、ネコ白血病ウイルス(FLV)、スプマウイルス、フレンドマウス白血病ウイルス、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)及びラウス肉腫ウイルス(RSV))、並びにレンチウイルスから誘導されるものが含まれる。
【0110】
本明細書で使用される場合、「レンチウイルス」という用語は、複合レトロウイルスの群(又は種)を指す。本明細書で企図される特定の実施形態での使用に適したレンチウイルスベクターの例としては、限定されないが、HIV(ヒト免疫不全ウイルス、HIV1型およびHIV2型を含む);ビスナマエディウイルス(VMV);カプリン関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、およびシミアン免疫不全ウイルス(SIV)から誘導されるものが挙げられる。
【0111】
「プロベクター」または「プロウイルス」という用語は、宿主ゲノムに統合されたウイルスベクターを指す。プロベクターは、ウイルスベクターに類似しているが、逆転写中に生成された3’LTRの二つのコピーを含み、例えば、Pluta and Kacprzak,2009を参照されたい。
【0112】
特定の実施形態では、ウイルスベクターは、5’LTR、パッケージングシグナル、cPPT/FLAPエレメント、RNA輸送エレメント、導入遺伝子、および3’LTRを含む。ウイルスベクターは、任意選択的に、転写後制御エレメントおよびポリアデニル化シグナル/配列を含み得る。
【0113】
「長末端反復(LTR:long terminal repeat)」という用語は、レトロウイルスゲノムの末端に位置する塩基対のドメインを指し、本来の配列ではLTRはダイレクトリピートであり、U3、RおよびU5領域を含有する。LTRは、概して、レトロウイルス遺伝子の発現(例えば、遺伝子転写物の促進、開始、およびポリアデニル化)ならびにウイルス複製に基本的な機能をもたらす。LTRは、転写調節エレメント、ポリアデニル化シグナルおよびウイルスゲノムの複製および統合に必要な配列を含む多数の制御シグナルを含有する。ウイルスLTRは、U3、R、およびU5と呼ばれる三つの領域に分けられる。U3領域は、エンハンサーエレメントおよびプロモーターエレメントを含有する。U5領域は、プライマー結合部位とR領域との間の配列であり、ポリアデニル化配列を含有する。R(繰り返し)領域は、U3領域およびU5領域が隣接している。LTRは、U3領域、R領域およびU5領域から構成され、ウイルスゲノムの5’末端と3’末端の両方に存在する。5’LTRに隣接するものは、ゲノムの逆転写(tRNAプライマー結合部位)および粒子へのウイルスRNAの効率的なパッケージング(Psi部位)に必要な配列である。
【0114】
本明細書で使用される場合、「改変されたLTR」という用語は、天然ウイルス5’LTRおよび/または3’LTRにおける一つまたは複数のヌクレオチド付加、欠失または置換を指す。当業者であれば、LTRが参照LTRと比較して改変されているかどうかを決定することができるであろう。LTRの一方または両方は、一つまたは複数の改変を含んでもよい。3’LTRの改変は、ウイルスベクターを複製欠損させることを含むがこれに限定されない、ウイルスベクターシステムの安全性を改善するためにしばしば行われる。
【0115】
本明細書で使用される場合、「複製欠損」という用語は、感染性ウイルス粒子が生成されないように(例えば、複製欠損ウイルス子孫)、完全で有効に複製する能力がないウイルスベクターを指す。
【0116】
「自己不活化」(SIN:self-inactivating)ウイルスベクターとは、複製能力を欠いたベクターを指し、例えば右(3’)LTRエンハンサー-プロモーター領域はU3領域として知られているが、この領域が(例えば欠失または置換により)改変されて、ウイルス複製の最初のラウンドを超えたウイルス転写が阻害される、レトロウイルスまたはレンチウイルスのベクターなどがある。これは、右(3’)LTR U3領域がウイルス複製中に左(5’)LTR U3領域の鋳型として使用され、したがって、ウイルス転写物は、U3エンハンサープロモーターなしでは作製できないためである。自己不活化は、ベクターDNA、すなわちベクターRNAを生成するために使用されるDNAの3’LTRのU3領域に欠失を導入することで実現されることが好ましい。そうすることで、逆転写の間にこの欠失がプロウイルスDNAの5’LTRに移送される。レンチウイルスベクターの場合、そうしたベクターは、LTR TATA boxの除去(例えば-418~-18の欠失)を含む大幅なU3欠失に耐用性があり、ベクター力価の大きな低下は伴わないことが判明している。
【0117】
追加の安全性の強化は、5’LTRのU3領域を、ウイルスベクター生成中にウイルスベクターゲノムの転写をもたらすための異種プロモーター(すなわち、キメラ5´LTR)で置き換えることによってもたらされる。キメラ5’LTRプロモーターは、Tat非依存的な様式で高レベルの転写をもたらすことができる。本明細書で企図される特定の実施形態での使用に適した異種プロモーターの例としては、サルウイルス40(SV40)(例えば、初期または後期)、サイトメガロウイルス(CMV)(例えば、前初期)、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、および単純ヘルペスウイルス(HSV)(チミジンキナーゼ)プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
「R領域」は、キャッピング基の開始(すなわち、転写の開始)で始まり、ポリAトラクトの開始直前に終わるLTR内の領域を指す。R領域はまた、U3領域およびU5領域に隣接しているとして定義される。R領域は、逆転写中に、ゲノムの一方の端から他方の端への新生DNAの移行を可能にするのに役割を果たす。
【0119】
特定の実施形態で企図されるウイルスベクターは、TARエレメントを含む。「TAR」という用語は、LTRのR領域に位置する「トランス活性化応答」遺伝エレメントを指す。このエレメントは、トランス活性化因子(tat)遺伝エレメントと相互作用して、ウイルス複製を強化する。しかしながら、このエレメントは、5’LTRのU3領域が異種プロモーターによって置換されるウイルスベクターにおいては必要とされない。
【0120】
本明細書において使用される場合、「パッケージングシグナル」または「パッケージ配列」という用語は、ウイルスゲノム内に位置する配列を指し、ウイルスカプシドまたはウイルス粒子内にウイルスRNAを挿入するために必要とされる。例えば、Clever et al.,1995.J.of Virology,Vol.69、No.4、pp.2101-2109を参照されたい。いくつかのウイルスベクターは、ウイルスゲノムのキャプシド形成に必要な最小パッケージングシグナル(psi[Ψ〕または〔Ψ+]配列としても言及される)を使用する。したがって、本明細書で使用される場合、「パッケージング配列」、「パッケージングシグナル」、「psi」および記号「Ψ」という用語は、ウイルス粒子形成中のウイルスRNA鎖のキャプシド形成に必要な非コード配列を参照して使用される。
【0121】
本明細書において使用される場合、「FLAP因子」、または「cPPT/FLAP」という用語は、その配列が、ウイルスベクターの中心ポリプリントラクト(central polypurine tract)と中心末端配列(central termination sequences)(cPPTおよびCTS)を含む核酸を指す。適切なFLAP因子は、米国特許第6,682,907号およびZennou,et al.,2000,Cell,101:173に記載されている。ウイルス逆転写中、中心ポリプリントラクト(cPPT)でのプラス鎖DNAの中心開始および中心終結配列(CTS)での中心終結は、中心DNA FLAPという三本鎖DNA構造の形成をもたらす。いかなる理論によって結びつけられることを望むものではないが、DNA FLAPは、ウイルスベクターゲノム核輸入のシス活性決定因子として作用してもよく、および/またはウイルスの力価を増加させてもよい。
【0122】
「輸出因子」という用語は、シス作用性の転写後制御因子を指し、細胞の核から細胞質へのRNA転写物の輸送を制御する。RNA排出エレメントの例としては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)rev応答エレメント(RRE)(例えば、Cullen et al.,1991.J.Virol.65:1053;and Cullen et al.,1991.Cell 58:423を参照)が挙げられるが、これに限定されない。
【0123】
本明細書で使用される場合、「転写後制御エレメント」または「PRE」という用語は、例えば、キャッピング、スプライシング、ポリ(A)テール付加、およびmRNA安定性を制御することによって、mRNAレベルでの発現を制御するシス作用エレメントを指す。PTEの例示的な例としては、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後制御エレメント(WPRE;Zufferey et al.,1999,J.Virol.,73:2886);B型肝炎ウイルス(HPRE)に存在する転写後制御エレメント(Huang and Yen,1995,Mol.Cell.Biol.,5:3864);および同様のもの(Liu et al.,1995,Genes Dev.,9:1766)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
本明細書で使用される場合、「ポリ(A)部位」又は「ポリ(A)配列」という用語は、RNAポリメラーゼIIによって発生期のRNA転写物の終止及びポリアデニル化の両方を指向するDNA配列を示す。ポリアデニル化配列は、ポリ(A)テールをコード配列の3’末端に付加することによってmRNA安定性を促進することができ、したがって、翻訳効率の向上に寄与する。切断及びポリアデニル化は、RNA中のポリ(A)配列によって指向される。哺乳類プレmRNAのコアポリ(A)配列は、切断ポリアデニル化部位に隣接する二つの認識エレメントを有する。典型的には、ほぼ不変のAAUAAA六量体が、U残基又はGU残基が豊富な、より可変性であるエレメントの上流20~50ヌクレオチドに存在する。初期転写物の切断はこれら二つのエレメントの間で発生し、5’切断産物に最大で250個のアデノシンが付加される。特定の実施形態では、コアポリ(A)配列は、ポリA配列(例えば、AATAAA、ATTAAA、AGTAAA)である。
【0125】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」又は「核酸」という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、及びDNA/RNAハイブリッドを指す。ポリヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖であってもよく、かつ組換え、合成、又は単離のいずれかであってもよい。ポリヌクレオチドとして、限定されるものではないが、プレメッセンジャーRNA(プレmRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、RNA、ゲノムRNA(gRNA)、プラス鎖RNA(RNA(+))、マイナス鎖RNA(RNA(-))、合成RNA、合成mRNA、ゲノムDNA(gDNA)、PCR増幅DNA、相補的DNA(cDNA)、合成DNA、または組み換えDNAが挙げられる。特定の実施形態で企図されるポリヌクレオチドの例示的な例としては、トランスファープラスミド、ウイルス構造タンパク質および/またはアクセサリータンパク質、例えば、gag、ポリ、tat、rev、および/またはenvをコードするプラスミド、ならびに対象のポリヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチドバリアント」および「バリアント」などという用語は、本明細書に記載される参照配列のいずれかと少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを指し、典型的には、バリアントは、参照配列の少なくとも一つの生物学的活性を維持する。ポリヌクレオチドバリアントは、一つ以上のヌクレオチドが、参照ポリヌクレオチドに比べて、付加若しくは欠失若しくは異なるヌクレオチドで置換されたポリヌクレオチドを含む。この点に関して、当該技術分野において、参照ポリヌクレオチドに対し、変異、付加、欠失、及び置換を含むある特定の改変がなされ、改変されたポリヌクレオチドは、参照ポリヌクレオチドの生物学的機能又は生物学的活性を保持し得ると十分に理解されている。
【0127】
本明細書で使用される場合、「対象のポリヌクレオチド」という用語は、発現されることが望まれるベクターに挿入される治療用ポリペプチドを含む、一つまたは複数のポリヌクレオチド、例えば、ポリペプチド(すなわち、対象のポリペプチド)をコードするポリヌクレオチドを指す。特定の実施形態では、ベクターおよび/またはプラスミドは、一つまたは複数の治療用RNA、例えば、shRNA、miRNA、もしくはshmiR、および/または治療用ポリペプチドをコードする一つまたは複数の対象のポリヌクレオチドを含む。
【0128】
ポリヌクレオチドは、コード配列自体の長さにかかわらず、本明細書の他の箇所に開示されるか当該技術分野で知られている、プロモーターおよび/またはエンハンサー、非翻訳領域(UTR)、コザック配列、ポリアデニル化シグナル、付加的な制限酵素部位、多重クローニング部位、内部リボソーム侵入部位(IRES)、リコンビナーゼ認識部位(例えば、LoxP、FRT、およびAtt部位)、終止コドン、転写終結シグナル、および自己切断ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、エピトープタグなどの他のDNA配列と組み合わされてもよく、その結果、それらの全体的な長さが大幅に変動してもよい。ゆえに、ほとんどすべての長さのポリヌクレオチド断片が採用され得ること、好ましくは全体の長さは調製の容易さ、および意図される組み換えDNAプロトコールでの用途により制限されることが企図される。
【0129】
用語「作動可能に連結した」は、記載される構成要素が、それらが意図された様式で機能することができるような関係にある並置を意味する。
【0130】
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーならびにそのバリアントおよび合成類似体を指すために、本明細書で互換的に使用される。したがって、これらの用語は、一つまたは複数のアミノ酸残基が、対応する天然アミノ酸の化学類似体などの合成非天然アミノ酸であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に生じるアミノ酸ポリマーに適用される。ポリペプチドの例示的な例としては、特定の実施形態の組成物および方法における使用に適したグロビンポリペプチドが挙げられるが、これに限定されない。また、例えば、米国特許第6,051,402号、第7,901,671号、第9,068,199号を参照されたく、その開示および特許請求の範囲全体は、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる。
【0131】
本明細書で企図される特定の実施形態はまた、ポリペプチド「バリアント」を含む。列挙ポリペプチド「バリアント」は、少なくとも一つのアミノ酸残基の付加、欠失、切断、修飾、および/または置換によって参照ポリペプチドと区別され、生物学的活性を保持するポリペプチドを指す。ある特定の実施形態では、ポリペプチドバリアントは、当該技術分野で公知の保存的または非保存的であり得る一つまたは複数の置換によって参照ポリペプチドと区別される。ある特定の実施形態では、バリアントポリペプチドは、参照ポリペプチドの対応する配列と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性または類似性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、アミノ酸の付加または欠失は、参照ポリペプチドのC末端および/またはN末端で生じる。
【0132】
追加の定義は、本開示全体を通じて記載されている。
【0133】
C.上流ウイルスベクター製造プロセス
本明細書で企図される上流製造プロセスは、大量のバイオリアクター内で宿主細胞の集団を培養することと、宿主細胞を、トランスファープラスミド、パッケージングプラスミドおよびトランスフェクション剤を含む混合物でトランスフェクトすること;およびトランスフェクトされた宿主細胞を培養して、ウイルスベクターを生成することを含む。特定の実施形態では、本明細書で企図される上流製造プロセスは、様々な下流製造プロセスと組み合わせて使用することができる。
【0134】
本明細書の特定の実施形態で企図される上流製造プロセスは、宿主細胞のワーキングセルバンクを解凍すること;大量のバイオリアクターに播種するのに十分な量の宿主細胞まで、徐々により大量の量で宿主細胞を培養し、拡大すること;大量のバイオリアクターに宿主細胞を播種し、トランスフェクションに十分な密度に達するまで宿主細胞を培養すること;バイオリアクター内の培養培地を交換すること;宿主細胞を、トランスフェクション剤、ウイルスアクセサリー遺伝子をコードするパッケージングプラスミドおよび治療用導入遺伝子を含むパッケージング可能なウイルスベクターゲノムをコードするトランスファープラスミドを含む混合物でトランスフェクトすること;トランスフェクションされた細胞を、完全トランスフェクションに十分な期間培養すること;バイオリアクター内の培養培地を交換すること;および細胞を約一~約三日間培養して、ウイルスベクターを生成することを含む。
【0135】
本明細書の特定の実施形態で企図される上流製造プロセスは、宿主細胞のワーキングセルバンクを解凍すること;大量のバイオリアクターに播種するのに十分な量の宿主細胞まで、徐々により大量の量で宿主細胞を培養し、拡大すること;大量のバイオリアクターに宿主細胞を播種し、トランスフェクションに十分な密度に達するまで宿主細胞を培養すること;バイオリアクター内の培養培地を交換すること;宿主細胞を、トランスフェクション剤、ウイルスアクセサリー遺伝子をコードするパッケージングプラスミドおよび治療用導入遺伝子を含むパッケージング可能なウイルスベクターゲノムをコードするトランスファープラスミドを含む混合物でトランスフェクトすること;トランスフェクションされた細胞を、完全トランスフェクションに十分な期間培養すること;バイオリアクター内の培養培地を交換すること;および細胞を約一~約三日間培養して、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターを生成することを含む。
【0136】
様々な実施形態では、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクターの上流製造プロセスは、宿主細胞のワーキングセルバンクを解凍すること、約18日間にわたって無血清の化学的に規定された細胞培養培地中で徐々により大量の量で宿主細胞を拡大すること;例えば、少なくとも200リットルの作業量の、大量のバイオリアクターに、ある量の生宿主細胞を接種すること、および無血清の化学的に規定された細胞培養培地中で宿主細胞を約三日間培養すること;バイオリアクター内の細胞培養培地を、新鮮な無血清の化学的に規定された細胞培養培地と交換すること;細胞を、トランスフェクション剤、ウイルスアクセサリー遺伝子をコードするパッケージングプラスミドおよび治療用導入遺伝子を含むパッケージング可能なウイルスベクターゲノムをコードするトランスファープラスミドを含む混合物でトランスフェクトすること;バイオリアクター内の培養培地を、約12時間~約20時間のトランスフェクションまたは約14時間~約18時間のトランスフェクションで、新鮮な無血清の化学的に規定された細胞培養培地と交換すること;およびトランスフェクトされた宿主細胞を約一日間または約三日間培養して、レトロウイルスベクターを生成することを含む。好ましい実施形態では、培養上清は、約一日間または約三日間のレトロウイルス生成中に一回収集される。特定の実施形態では、培養上清は、約一日間~約三日間のレトロウイルスベクター生成中に一回、二回、または三回収集される。
【0137】
1.宿主細胞
本明細書で企図される大規模ウイルスベクター生成プロセスは、ウイルス構造遺伝子および/またはアクセサリー遺伝子、例えば、gag、pol、env、rev、tat、vif、vpr、vpu、vpx、および/またはnef遺伝子をコードするトランスファーベクターおよびプラスミドを、宿主細胞の集団に導入することを含む。
【0138】
「宿主細胞」は、ウイルスベクターを生成するように改変される細胞を指す。特定の実施形態では、宿主細胞は、パッケージング細胞およびプロデューサー細胞を含む。「パッケージング細胞」は、ウイルスベクターゲノムのウイルスベクターへのパッケージングを可能にするウイルス構造および/またはアクセサリー遺伝子を発現するように改変された宿主細胞である。パッケージング細胞は、ウイルスベクターゲノムをウイルスベクターにパッケージングするためのパッケージングシグナルを含有しない。「プロデューサー細胞」は、ウイルスベクターゲノムをウイルスベクターにパッケージングするためのパッケージングシグナルを含むウイルスベクターゲノムを含有するパッケージング細胞である。
【0139】
好ましい実施形態では、宿主細胞は、懸濁培養で培養され得るか、または懸濁培養に適合される能力がある哺乳類細胞である。
【0140】
特定の実施形態では、特定の実施形態での使用に適した宿主細胞には、CHO細胞、A549細胞、およびHEK293細胞ならびにその誘導体が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、宿主細胞は、HEK293細胞、HEK293S細胞、懸濁培養に適合させたHEK293T細胞(HEK392T)、HEK293F細胞、HEK293FT細胞、HEK293FTM細胞、およびHEK293E細胞からなる群から選択される。より好ましい実施形態では、宿主細胞は、HEK293T細胞である。
【0141】
2.拡大培養
宿主細胞は、多くの場合、ワーキングセルバンクの一部としてアリコートで保存される。ワーキングセルバンクは、宿主細胞拡大培養における再現性を最大化するために、宿主細胞の実質的に類似したアリコートを保存する便利な方法である。特定の実施形態で企図される上流製造プロセスは、宿主細胞を解凍し、宿主細胞を徐々により大量の量で培養して、大規模バイオリアクターに播種するのに十分な数の生宿主細胞を生成することを企図した。特定の実施形態での使用に適した大規模バイオリアクターとしては、少なくとも100L、少なくとも200L、少なくとも250L、少なくとも500L、少なくとも1000L、少なくとも1500L、または少なくとも2000Lの作業量を有するバイオリアクターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
特定の実施形態では、ワーキングセルバンクは解凍され、宿主細胞は、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24日の総時間にわたって徐々により大量の量で、1、2、3、4、5、6回またはそれ以上の培養ラウンド(例えば、P0、P1、P2、P3、P4、P5)を通して拡大される(または継代される)。
【0143】
宿主細胞は、化学的に規定された細胞培養培地中での拡大のため培養される。好ましい実施形態では、宿主細胞は、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中で培養される。特定の実施形態での使用に適した無血清の化学的に規定された細胞培養培地の例示的な例としては、限定されないが、Freestyle 293発現培地、Ex-Cell 293無血清培地、Expi293発現培地、およびOpti-MEM還元血清培地が挙げられる。宿主細胞は、約37℃および約pH7で培養される。
【0144】
特定の実施形態では、ワーキングセルバンクは解凍され、宿主細胞培養物が、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%の生細胞が少なくとも約.5×106細胞/mL、少なくとも約1×106細胞/mL、少なくとも約1.5×106細胞/mL、少なくとも約2×106細胞/mL、または少なくとも約2.5×106細胞/mLの生細胞密度に達するまで、宿主細胞は、約50mLの培地の体積(例えば、少なくとも250mLの培養容器)で培養される。特定の実施形態では、50mLの培養物は、P0(第一継代)培養物と呼ばれる。
【0145】
特定の実施形態では、P0培養物からの生宿主細胞が、十分な密度に達した後、宿主細胞培養物が、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%の生細胞が、少なくとも約2.5×106細胞/mL、少なくとも約3×106細胞/mL、少なくとも約3.5×106細胞/mL、少なくとも約4×106細胞/mL、少なくとも約4.5×106細胞/mL、少なくとも約5×106細胞/mL、少なくとも約5.5×106細胞/mL、少なくとも約6×106細胞/mL、少なくとも約6.5×106細胞/mL、少なくとも約7×106細胞/mL、少なくとも約7.5×106細胞/mL、少なくとも約8×106細胞/mL、8.5×106細胞/mL、少なくとも約9×106細胞/mL、少なくとも約9.5×106細胞/mL、少なくとも約10×106細胞/mL、少なくとも約10.5×106細胞/mL、少なくとも約11×106細胞s/mL、少なくとも約115×106細胞/mL、少なくとも約12×106細胞/mL、少なくとも約12.5×106細胞/mL、少なくとも約13×106細胞/mL、少なくとも約13.5×106細胞/mL、少なくとも約14×106細胞/mL、少なくとも約14.5×106細胞/mL、または少なくとも約15×106細胞/mLの生細胞密度に達するまで、細胞は、約100mLの培地の培養体積(例えば、少なくとも500mLの培養容器)まで拡大される。特定の実施形態では、100mLの培養物は、P1(第二継代)培養物と呼ばれる。
【0146】
特定の実施形態では、P1培養物からの生宿主細胞が、十分な密度に達した後、宿主細胞培養物が、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%の生細胞が、少なくとも約2.5×106細胞/mL、少なくとも約3×106細胞/mL、少なくとも約3.5×106細胞/mL、少なくとも約4×106細胞/mL、少なくとも約4.5×106細胞/mL、少なくとも約5×106細胞/mL、少なくとも約5.5×106細胞/mL、少なくとも約6×106細胞/mL、少なくとも約6.5×106細胞/mL、少なくとも約7×106細胞/mL、少なくとも約7.5×106細胞/mL、少なくとも約8×106細胞/mL、8.5×106細胞/mL、少なくとも約9×106細胞/mL、少なくとも約9.5×106細胞/mL、少なくとも約10×106細胞/mL、少なくとも約10.5×106細胞/mL、少なくとも約11×106細胞s/mL、少なくとも約115×106細胞/mL、少なくとも約12×106細胞/mL、少なくとも約12.5×106細胞/mL、少なくとも約13×106細胞/mL、少なくとも約13.5×106細胞/mL、少なくとも約14×106細胞/mL、少なくとも約14.5×106細胞/mL、または少なくとも約15×106細胞/mLの生細胞密度に達するまで、細胞は、それぞれが約200mLの培地の培養体積(例えば、少なくとも1Lの培養容器)を有する一回、二回または三回培養物まで拡大される。特定の実施形態では、200mLの培養物は、P2(第三継代)培養物と呼ばれる。
【0147】
特定の実施形態では、P2培養物からの生宿主細胞が、十分な密度に達した後、宿主細胞培養物が、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%の生細胞が、少なくとも約2.5×106細胞/mL、少なくとも約3×106細胞/mL、少なくとも約3.5×106細胞/mL、少なくとも約4×106細胞/mL、少なくとも約4.5×106細胞/mL、少なくとも約5×106細胞/mL、少なくとも約5.5×106細胞/mL、少なくとも約6×106細胞/mL、少なくとも約6.5×106細胞/mL、少なくとも約7×106細胞/mL、少なくとも約7.5×106細胞/mL、少なくとも約8×106細胞/mL、8.5×106細胞/mL、少なくとも約9×106細胞/mL、少なくとも約9.5×106細胞/mL、少なくとも約10×106細胞/mL、少なくとも約10.5×106細胞/mL、少なくとも約11×106細胞s/mL、少なくとも約115×106細胞/mL、少なくとも約12×106細胞/mL、少なくとも約12.5×106細胞/mL、少なくとも約13×106細胞/mL、少なくとも約13.5×106細胞/mL、少なくとも約14×106細胞/mL、少なくとも約14.5×106細胞/mL、または少なくとも約15×106細胞/mLの生細胞密度に達するまで、細胞は、それぞれが約1Lの培地の培養体積(例えば、少なくとも3Lの培養容器)を有する一回、二回または三回培養物まで拡大される。特定の実施形態では、1Lの培養物は、P3(第四継代)培養物と呼ばれる。
【0148】
特定の実施形態では、P3培養物からの生宿主細胞が、十分な密度に達した後、宿主細胞培養物が、少なくとも約85%、または少なくとも約90%の生細胞が、少なくとも約2.5×106細胞/mL、少なくとも約3×106細胞/mL、少なくとも約3.5×106細胞/mL、少なくとも約4×106細胞/mL、少なくとも約4.5×106細胞/mL、少なくとも約5×106細胞/mL、少なくとも約5.5×106細胞/mL、少なくとも約6×106細胞/mL、少なくとも約6.5×106細胞/mL、少なくとも約7×106細胞/mL、少なくとも約7.5×106細胞/mL、少なくとも約8×106細胞/mL、8.5×106細胞/mL、少なくとも約9×106細胞/mL、少なくとも約9.5×106細胞/mL、少なくとも約10×106細胞/mL、少なくとも約10.5×106細胞/mL、少なくとも約11×106細胞s/mL、少なくとも約115×106細胞/mL、少なくとも約12×106細胞/mL、少なくとも約12.5×106細胞/mL、少なくとも約13×106細胞/mL、少なくとも約13.5×106細胞/mL、少なくとも約14×106細胞/mL、少なくとも約14.5×106細胞/mL、または少なくとも約15×106細胞/mLの生細胞密度に達するまで、細胞は、約20Lの培地の体積のバイオリアクター(例えば、少なくとも50Lの体積を有するバイオリアクター)での培養物まで拡大される。特定の実施形態では、20mLの培養物は、P4(第五継代)培養物と呼ばれる。
【0149】
特定の実施形態では、P4培養物からの生宿主細胞が、十分な密度に達した後、少なくとも約200Lの作業量を有する大規模バイオリアクター(P5、第六継代培養物)は、少なくとも約0.1×106生細胞/mL、少なくとも約0.15×106細胞/mL、少なくとも約0.2×106細胞/mL、少なくとも約0.25×106細胞/mL、少なくとも約0.3×106細胞/mL、少なくとも約0.35×106細胞/mL、少なくとも約0.4×106細胞/mL、少なくとも約0.45×106細胞/mL、または少なくとも約0.5×106細胞/mLで播種される。
【0150】
様々な実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約40.0×108~約120.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約50.0×108~約120.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約60.0×108~約120.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約70.0×108~約120.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約80.0×108~約120.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約90.0×108~約120.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約100.0×108~約120.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約110.0×108~約120.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約40.0×108~約110.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約40.0×108~約100.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約40.0×108~約90.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約40.0×108~約80.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約40.0×108~約70.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約40.0×108~約60.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約40.0×108~約50.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約50.0×108~約110.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約60.0×108~約100.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約70.0×108~約90.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約40.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約50.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約60.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約70.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約80.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、約90.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、100.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、110.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。一部の実施形態では、大規模懸濁バイオリアクターは、120.0×108個の生宿主細胞に播種/接種される。
【0151】
細胞は、トランスフェクション前の生細胞密度が、少なくとも約2.5×106細胞/mL、少なくとも約3×106細胞/mL、少なくとも約3.5×106細胞/mL、少なくとも約4×106細胞/mL、少なくとも約4.5×106細胞/mL、少なくとも約5×106細胞/mL、少なくとも約5.5×106細胞/mL、少なくとも約6×106細胞/mL、少なくとも約6.5×106細胞/mL、少なくとも約7×106細胞/mL、または少なくとも約7.5×106細胞/mLになるまで、約二、約三、または約四日間培養される。
【0152】
特定の実施形態では、大規模バイオリアクター中で培養された宿主細胞は、所望の形質導入前生細胞密度に到達し、バイオリアクター中の細胞培養培地は、新鮮な化学的に規定された細胞培養培地と交換される。特定の実施形態では、交互接線流濾過(ATF)フィルター単位、TFFフィルター単位、または音響フィルター単位を使用して、培地交換を行う。一実施形態では、ATFフィルター単位を使用して、培地交換を行う。一実施形態では、TFFフィルター単位を使用して、培地交換を行う。一実施形態では、音響フィルター単位を使用して、培地交換を行う。好ましい実施形態では、バイオリアクター培地が交換された後、宿主細胞は、トランスフェクションの準備ができている。
【0153】
3.トランスフェクション
トランスフェクションは、物理的または化学的方法(非ウイルス性)によって宿主細胞に一つまたは複数のポリヌクレオチドを導入するプロセスである。「トランスフェクション」は、非ウイルス法によってネイキッドDNAを細胞に導入するプロセスを指す。トランスフェクションは、安定または一過性であり得る。特定の実施形態では、宿主細胞は、ウイルスベクターゲノムをパッケージングするための一つまたは複数のウイルス構造および/またはアクセサリー遺伝子をコードする一つまたは複数のプラスミド、パッケージングシグナルを含むトランスファープラスミドならびに導入遺伝子(例えば、治療用遺伝子、対象の遺伝子、もしくは対象のポリヌクレオチド)を含むウイルスベクターゲノム、ならびにトランスフェクション剤を含む混合物で一過性にトランスフェクトされる。
【0154】
「トランスフェクション剤」は、宿主細胞へのDNAのトランスフェクションを増加させる分子である。本明細書で企図される特定の実施形態での使用に適したトランスフェクション剤の例示的な例としては、リン酸カルシウム、カチオン性脂質、およびカチオン性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
本明細書で企図される特定の実施形態での使用に適したカチオン性脂質の例示的な例としては、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロペル]-N,N,N-トリメチルアンモニウム(DOTMA);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-スペルミンカルボキサミド〕エチル-N,N-ジメチル-1-プロパンアンモニウムトリフルオロ酢酸塩(DOSPA、リポフェクタミン);1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP);N-[1-(2,3-ジミリストイルオキシ)プロピル]-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)臭化アンモニウム(DMRIE),3-β-[N-(N,N’-ジメチルアミノエタン)カルバモイル〕コレステロール(DC-Chol);ジオクタデシルアミドグリセリルスペルミン(DOGS、Transfectam);および臭化イメチルジオクタデシルアンモニウム(DDAB)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、カチオン性脂質は、リポフェクタミンである。
【0156】
本明細書で企図される特定の実施形態での使用に適したカチオン性ポリマーの例示的な例としては、DEAE-デキストラン、ポリブレン、デンドリマー、およびポリエチレンイミン(PEI)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
特定の実施形態では、大規模バイオリアクター中の宿主細胞は、トランスフェクション剤、ウイルス構造および/またはアクセサリー遺伝子をコードする一つまたは複数のプラスミド、ならびにヒト治療用導入遺伝子をコードするパッケージング可能なウイルスベクターゲノムを含むトランスファープラスミドを含む混合物で一過性にトランスフェクトされる。好ましい実施形態では、トランスフェクション剤は、カチオン性ポリマーを含み、より好ましい実施形態では、カチオン性ポリマーは、PEIを含み、さらにより好ましい実施形態では、カチオン性ポリマーは、直鎖状PEIを含む。
【0158】
特定の実施形態では、PEI/DNA混合物についてのN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比は、約5~約10、または約5、約5.5、約6、約6.4、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、もしくは約10である。一部の実施形態では、PEI/DNA混合物についてのN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比は、約5~約10である。一部の実施形態では、PEI/DNA混合物についてのN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比は、約5である。一部の実施形態では、PEI/DNA混合物についてのN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比は、約5.5である。一部の実施形態では、PEI/DNA混合物についてのN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比は、約6である。一部の実施形態では、PEI/DNA混合物についてのN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比は、約6.4である。一部の実施形態では、PEI/DNA混合物についてのN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比は、約6.5である。一部の実施形態では、PEI/DNA混合物についてのN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比は、約7である。一部の実施形態では、PEI/DNA混合物についてのN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比は、約7.5である。一部の実施形態では、PEI/DNA混合物についてのN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比は、約8である。一部の実施形態では、PEI/DNA混合物についてのN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比は、約9.5である。一部の実施形態では、PEI/DNA混合物についてのN(PEI中のNH2アミン):P(DNA骨格中のリン酸基)の比は、約10である。
【0159】
好ましい実施形態では、一つまたは複数のプラスミドは、レトロウイルスgag、pol、rev、異種エンベロープタンパク質、および任意選択的に、tatをコードするポリヌクレオチドを含み、より好ましくは、一つまたは複数のプラスミドは、レンチウイルスgag、pol、rev、および異種エンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0160】
特に好ましい実施形態では、一つまたは複数のプラスミドは、レンチウイルスgagおよびpolをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド、レンチウイルスrevをコードするプラスミド、ならびにベジクロウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、パラミクソウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、アルファウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、ガンマレトロウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、オルトヘパドナウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、ヘパシウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、およびリッサウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント由来のエンベロープ糖タンパク質を含むが、これらに限定されない異種エンベロープ糖タンパク質をコードするプラスミドを含む。
【0161】
特に好ましい実施形態では、一つまたは複数のプラスミドは、レンチウイルスgagおよびpolをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド、レンチウイルスrevをコードするプラスミド、ならびに水疱性口内炎ウイルス(VSV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント(例えば、VSV-G)、球菌ウイルス(COCV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、マラバウイルス(MARAV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ピリウイルス(PIRYV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ニパウイルス(NiV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、センダイウイルス(SeV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、モルビリウイルスエンベロープタンパク質またはそのバリアント、イヌジステンパー(CDV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、麻疹ウイルス(MV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、シンドビスウイルス(SINV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、テナガザル白血病ウイルス(GALV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ネコ内在性レトロウイルス(RD114)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ネコ白血病ウイルス(FeLV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、ヒヒ内在性レトロウイルス(BaEV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、B型肝炎(HBV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、C型肝炎(HCV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント、および狂犬病ウイルス(RABV)エンベロープタンパク質またはそのバリアント由来のエンベロープ糖タンパク質を含むが、これらに限定されない異種エンベロープ糖タンパク質をコードするプラスミドを含む。
【0162】
好ましい実施形態では、トランスファーベクターは、パッケージング配列を含み、ヒト治療用導入遺伝子をコードするHIVレンチウイルスベクター骨格を含み、好ましくは、トランスファーベクターは、パッケージング配列を含み、重篤な遺伝子疾患または癌の処置のためのヒト治療用導入遺伝子をコードするHIV-1レンチウイルスベクター骨格を含む。特定の実施形態では、トランスファーベクターは、パッケージング配列を含み、ヘモグロビン異常症の処置のためのヒト治療用グロビン、CALDの処置のためのABCD1遺伝子、または癌の処置のためのキメラ受容体、例えば、キメラ抗原受容体、T細胞受容体、もしくはDARICをコードするパッケージング配列を含むHIV-1レンチウイルスベクター骨格を含む。
【0163】
特定の実施形態では、大規模バイオリアクター中の宿主細胞は、直鎖状PEI、レンチウイルスgagおよびpolをコードするプラスミド、revをコードするプラスミド、VSV-Gをコードするプラスミドならびにヒト治療用導入遺伝子をコードするパッケージ可能なHIV-1ベースのレンチウイルスベクターゲノムを含むトランスファープラスミドを含む混合物で一過性にトランスフェクトされる。特定の実施形態では、レンチウイルスgagおよびpol、rev、ならびに/またはVSV-Gは、ヒト細胞における発現および/または安定性に最適化されたコドンである。特定の実施形態では、トランスファープラスミドおよびパッケージングプラスミドは、選択カセットまたは遺伝子を含む。好ましい実施形態では、トランスファープラスミドおよびパッケージングプラスミドは、RNAout選択カセット(Nature Technology)を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、または約20時間トランスフェクトされる。特定の実施形態では、宿主細胞は、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、または約18時間トランスフェクトされる。より特定の実施形態では、宿主細胞は、約14時間~約18時間トランスフェクトされる。
【0164】
宿主細胞トランスフェクションが完了した後、例えば、トランスフェクションの約14時間~約18時間後に、交互接線流濾過(ATF)フィルター単位、TFFフィルター単位、または音響フィルター単位を使用して、培地交換を行う。一実施形態では、ATFフィルター単位を使用して、培地交換を行う。一実施形態では、TFFフィルター単位を使用して、培地交換を行う。一実施形態では、音響フィルター単位を使用して、培地交換を行う。特定の実施形態では、バイオリアクター培地が交換された後、宿主細胞は、ウイルスベクター生成のため培養される。
【0165】
特定の実施形態では、ウイルスベクター生成は、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中で、トランスフェクションの約36時間から約48時間後、トランスフェクションの約36時間から約48時間後、トランスフェクションの約36時間から約46時間後、トランスフェクションの約36時間から約44時間後、トランスフェクションの約38時間から約48時間後、トランスフェクションの約38時間から約46時間後、トランスフェクションの約38時間から約44時間後、またはトランスフェクションの約38時間から約42時間後(例えば、トランスフェクションの36時間後は、トランスフェクション混合物の宿主細胞への添加の36時間後である)に生じる。特定の実施形態では、ウイルスベクター生成は、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中で、トランスフェクションの約36時間、約37時間、約38時間、約39時間、約40時間、約41時間、約42時間、約43時間、約44時間、約45時間、約46時間、約47時間または約48時間後まで生じる。特定の実施形態では、ウイルスベクター生成は、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中、トランスフェクションの約38時間、約39時間、約40時間、約41時間、または約42時間後まで生じる。
【0166】
特定の実施形態では、ウイルスベクター生成は、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中、約12時間~約48時間、約18時間~約48時間、約18時間~約36時間、約18時間~約30時間、約20時間~約28時間、または約22時間~約26時間生じる。特定の実施形態では、ウイルスベクター生成は、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約25時間、約26時間、約27時間、約28時間、約29時間、約30時間、約31時間、約32時間、約33時間、約34時間、約35時間、約36時間、約37時間、約38時間、約39時間、約40時間、約41時間、約42時間、約43時間、約44時間、約45時間、約46時間、約47時間または約48時間生じる。
【0167】
特定の実施形態では、懸濁培養物上清は、十分なウイルスベクター生成を確実にするために、一回または複数回試料採取され、分析される。
【0168】
様々な実施形態では、懸濁培養物上清は、ウイルスベクター生成の期間中に一回、二回、三回またはそれ以上収集される。特定の実施形態では、懸濁培養物上清は、ウイルスベクター生成中に一回収集される。好ましい実施形態では、十分なウイルスベクター生成後、懸濁培養物上清は、下流製造プロセスの開始前に収集されない。
【0169】
D.下流ウイルスベクター製造プロセス
ウイルスベクター生成は、上流製造プロセスの終わりを印付る。下流製造プロセスは、ウイルスベクター生成期間の終わりに開始する。本明細書で企図される下流製造プロセスは、ウイルスベクター生成期間の終わりに、懸濁培養物上清にヌクレアーゼを添加すること;濾過を使用して、懸濁培養物上清を採取し、清澄化すること;クロマトグラフィーを使用して、採取され、清澄化された懸濁培養物上清からウイルスベクターを捕捉し、濃縮すること;ウイルスベクターを濾過すること;ウイルスベクターを限外濾過し、透析濾過すること;およびウイルスベクターを製剤化することを含む。特定の実施形態では、バルク製剤化ウイルスベクターは、滅菌濾過され、凍結され;その後、解凍され、滅菌濾過され;最終充填仕上げに供され;次いで、凍結される。他の特定の実施形態では、バルク製剤化ウイルスベクターは、滅菌濾過され、最終充填仕上げに供され;次いで、凍結される。
【0170】
本明細書の特定の実施形態で企図される下流製造プロセスは、ウイルスベクター生成期間の終わりに懸濁培養物上清にエンドヌクレアーゼを添加すること;タンデムデプス濾過を使用して、懸濁培養物上清を採取し、清澄化すること;アフィニティークロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィーを使用して、採取され、清澄化された懸濁培養物上清からウイルスベクターを捕捉し、濃縮すること;ウイルスベクターを濾過すること;接線流濾過を使用して、ウイルスベクターを限外濾過し、透析濾過すること;および細胞培養培地中でウイルスベクターを製剤化することを含む。特定の実施形態では、バルク製剤化ウイルスベクターは、滅菌濾過され、≦-65℃で凍結され;その後、解凍され、滅菌濾過され;最終充填仕上げに供され;次いで、≦-65℃で凍結される。他の特定の実施形態では、バルク製剤化ウイルスベクターは、滅菌濾過され、最終充填仕上げに供され;次いで、≦-65℃で凍結される。
【0171】
本明細書の特定の実施形態で企図される下流製造プロセスは、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター生成期間の終わりに懸濁培養物上清にエンドヌクレアーゼを添加すること;タンデムデプス濾過および第二のフィルターを使用して、懸濁培養物上清を採取し、清澄化すること;ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィーを使用して、採取され、清澄化された懸濁培養物上清からレトロウイルスベクターを捕捉し、濃縮すること;濃縮されたレトロウイルスベクターを濾過すること;中空繊維接線流濾過を使用して、レトロウイルスベクターを限外濾過し、透析濾過すること;およびレトロウイルスベクターを製剤化することを含む。特定の実施形態では、バルク製剤化レトロウイルスベクターは、滅菌濾過され、≦-65℃で凍結され;その後、解凍され、滅菌濾過され;最終充填仕上げに供され;次いで、≦-65℃で凍結される。他の特定の実施形態では、バルク製剤化レトロウイルスベクターは、滅菌濾過され、最終充填仕上げに供され;次いで、≦-65℃で凍結される。
【0172】
様々な実施形態では、レトロウイルスベクター生成および精製のための下流製造プロセスは、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター産生期間の終わりに懸濁培養物上清に、DNAエンドヌクレアーゼ、例えば、BenzonaseまたはDenaraseを添加すること;タンデムデプス濾過および第二のフィルターを使用して、懸濁培養物上清を採取し、清澄化すること、第二のフィルターは、プレフィルター膜および濾過膜を備える;ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィーを使用して、採取され、清澄化された懸濁培養物上清からレトロウイルスベクターを捕捉し、濃縮すること;プレフィルター膜および濾過膜を備えたフィルターを用いて、濃縮されたレトロウイルスベクターを濾過すること;中空繊維接線流濾過を使用して、レトロウイルスベクターを限外濾過し、透析濾過すること、TFFは、約100kDa~約500kDaの分子量カットオフを有する;および製剤緩衝液(例えば、2×幹細胞成長培地(SCGM))中レトロウイルスベクターを、任意選択的に、一部の実施形態では、好ましくは、1:1の比で含有する溶出物を製剤化することを含む。特定の実施形態では、バルク製剤化レトロウイルスベクターは、滅菌濾過され、≦-65℃で凍結され;その後、解凍され、滅菌濾過され;最終充填仕上げに供され;次いで、≦-65℃で凍結される。他の特定の実施形態では、バルク製剤化レトロウイルスベクターは、滅菌濾過され、最終充填仕上げに供され;次いで、≦-65℃で凍結される。
【0173】
特定の実施形態では、本明細書で企図される下流製造プロセスは、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、または少なくとも約100倍もしくはそれ以上のウイルスベクター濃度をもたらす。
【0174】
1.ヌクレアーゼ消化
上流ウイルスベクター製造プロセスは、十分なウイルスベクターが生成された後、終了する。ウイルスベクター上清は、RNA、宿主細胞トランスフェクション由来のプラスミドDNおよびウイルスベクター生成中の宿主細胞の溶解物由来のゲノムDNAを含むが、これらに限定されない残留核酸を含んでもよい。かかる残留核酸は、潜在的に毒性であり、本明細書で企図される製造プロセスから生成される任意のウイルスベクターの有効性を減少させる。ヌクレアーゼ消化工程の目的は、ウイルスベクター生成上清中のこれらの残留核酸の量を低減することである。
【0175】
様々な実施形態では、ヌクレアーゼは、ウイルスベクター生成プロセスの終了時にウイルスベクター産生上清に添加される。特定の実施形態では、ヌクレアーゼは、エンドヌクレアーゼであり、好ましい実施形態では、ヌクレアーゼは、DNA/RNAエンドヌクレアーゼ(DNAとRNAの両方を切断するエンドヌクレアーゼ)である。本明細書で企図される下流製造プロセスの特定の実施形態での使用に適したエンドヌクレアーゼの例示的な例としては、Benzonase(登録商標)エンドヌクレアーゼ(EMD Millipore)、Denarase(登録商標)エンドヌクレアーゼ(c-LEcta GmbH)、デコンタミナーゼ(商標)エンドヌクレアーゼ(AG Scientific)、およびセラチア・マルセセンス由来の組換えNucAタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0176】
好ましい実施形態では、セラチア・マルセセンス由来のBenzonase(登録商標)エンドヌクレアーゼまたは組換えNucAタンパク質は、ウイルスベクター生成プロセスの終了時にウイルスベクター産生上清に添加される。
【0177】
特定の実施形態では、MgCl2を、エンドヌクレアーゼと共にウイルスベクター生成上清に添加して、エンドヌクレアーゼが触媒的に活性であることを確実にする。様々な実施形態では、エンドヌクレアーゼは、トランスフェクションの約36時間~約72時間後に懸濁培養物上清に添加される。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、トランスフェクションの約36時間~約48時間後に懸濁培養物上清に添加される。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、トランスフェクションの約48時間後に懸濁培養物上清に添加される。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、トランスフェクションの約44時間後に懸濁培養物上清に添加される。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、トランスフェクションの約40時間後に懸濁培養物上清に添加される。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、トランスフェクションの約36時間後に懸濁培養物上清に添加される。
【0178】
特定の実施形態では、下流ウイルスベクター製造プロセスのヌクレアーゼ消化工程は、適当な温度およびウイルスベクター生成上清に存在する混入核酸を消化するのに十分な時間行われる。特定の実施形態では、ヌクレアーゼ消化は、約2℃~約8℃で一晩行われる。特定の実施形態では、ヌクレアーゼ消化は、約36℃~約38℃で、約一、約二、または約三時間行われる。好ましい実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約36℃、約37℃、または約38℃で、約一、約二、または約三時間行われる。より好ましい実施形態では、Benzonase(登録商標)エンドヌクレアーゼ消化は、約37℃で約1~2時間行われる。
【0179】
様々な実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約20U/ml~約70U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約50U/ml~約70U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約55U/ml~約65U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約20U/ml~約40U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約25U/ml~約35U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約50U/ml~約70U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約20U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約25U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約30U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約35U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約40U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約45U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約50U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約55U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約60U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約65U/mlの濃度で行われる。一部の実施形態では、エンドヌクレアーゼ消化は、約70U/mlの濃度で行われる。
【0180】
ヌクレアーゼが、ウイルスベクター生成上清に存在する細胞外核酸を十分に消化した後、上清は、清澄化され、濾過される。
【0181】
2.清澄化
特定の実施形態で企図される下流ウイルスベクター製造プロセスは、清澄化工程をさらに含む。清澄化の最終的な目的は、下流クロマトグラフィーおよびウイルスベクターの精製のためのウイルスベクター生成上清の調製である。清澄化工程は、ウイルスベクター捕捉、クロマトグラフィー、および精製の前に、混入物、例えば、宿主細胞および細胞破片を除去する。
【0182】
特定の実施形態では、清澄化工程は、一次清澄化工程および二次清澄化工程を含む。特定の実施形態では、一次浄化工程は、デプス濾過を含み、二次清澄化工程は、膜濾過を含む。
【0183】
デプスフィルターは、規定された孔サイズまたは構造を有さない。デプスフィルターは、規定されたサイズの粒子を保持するように特別に設計された勾配密度構造を備える。粒子は、フィルター媒体の深さ全体に保持される。デプスフィルター媒体は、セルロース、珪藻土、または特定のサイズの混入物を保持するのに適した他の材料を含み得る。対照的に、膜フィルターは、膜表面で膜の孔サイズによって除外される特定のサイズの粒子を保持する。特定の実施形態では、膜フィルターは、プレ濾過前および濾過膜を有する。好ましい実施形態では、プレ濾過膜は、濾過膜よりも大きな孔サイズを有し、濾過膜の目詰まりまたは汚れを低減するように機能する。複数の形式のデプスフィルターおよび膜フィルターが市販されている。
【0184】
様々な実施形態では、懸濁培養物上清を採取し、清澄化することは、タンデムデプス濾過(一次清澄化)および膜濾過工程(二次清澄化)の工程を含む。
【0185】
特定の実施形態では、タンデムデプスフィルターは、少なくとも約40μm~約60μmの混入物を保持する。特定の実施形態では、タンデムデプスフィルターは、少なくとも約40μm、約50μm、または約60μmの混入物を保持する。好ましい実施形態では、タンデムデプスフィルターは、少なくとも約60μmの混入物を保持する。好ましい実施形態では、タンデムデプスフィルターは、約60μm以上の混入物を保持する。
【0186】
特定の実施形態では、タンデムデプスフィルターは、約40μm~約60μmより大きなサイズを有する混入物を保持する。特定の実施形態では、タンデムデプスフィルターは、約40μm、約50μm、または約60μmより大きなサイズを有する混入物を保持する。好ましい実施形態では、タンデムデプスフィルターは、約60μmより大きなサイズを有する混入物を保持する。
【0187】
特定の実施形態では、膜濾過は、二重層濾過である。特定の実施形態では、二重層フィルターは、プレフィルター膜および濾過膜を備える。特定の実施形態では、二重層フィルターは、約0.45μm~約0.8μmのプレフィルター孔サイズを備えたプレフィルター膜および約0.22μm~約0.45μmの最終フィルター孔サイズを備えた最終濾過膜を含む。特定の実施形態では、二重層フィルターは、約0.45μm~約のプレフィルター孔サイズを備えたプレフィルター膜および約0.22μmの最終フィルター孔サイズを備えた最終濾過膜を含む。特定の実施形態では、二重層フィルターは、約0.8のプレフィルター孔サイズを備えたプレフィルター膜および約0.45μmの最終フィルター孔サイズを備えた最終濾過膜を含む。
【0188】
様々な実施形態では、懸濁培養物上清を採取し、清澄化することは、約40μm、約50μm、または約60μmより大きなサイズを有する混入物を保持するタンデムデプスフィルターを使用したタンデムデプス濾過(一次清澄化)の工程ならびに約0.45μm~約0.8μmのプレフィルター孔サイズを有するプレフィルター膜および約0.22μm~約0.45μmの最終フィルター孔サイズを有する最終濾過膜を備えた二重層フィルターを使用した膜濾過工程(二次清澄化)を含む。
【0189】
特定の実施形態では、懸濁培養物上清を採取し、清澄化することは、約60μm以上のサイズを有する混入物を保持するタンデムデプスフィルターを使用したタンデムデプス濾過(一次清澄化)の工程または約0.45μmのプレフィルター孔サイズを有するプレフィルター膜および約0.22μmの最終フィルター孔サイズを有する最終濾過膜を備えた二重層フィルターを使用した膜濾過工程(二次清澄化)を含む。
【0190】
特定の実施形態では、懸濁培養物上清を採取し、清澄化することは、約60μm以上のサイズを有する混入物を保持するタンデムデプスフィルターを使用したタンデムデプス濾過(一次清澄化)の工程または約0.8μmのプレフィルター孔サイズを有するプレフィルター膜および約0.45μmの最終フィルター孔サイズを有する最終濾過膜を備えた二重層フィルターを使用した膜濾過工程(二次清澄化)を含む。様々な実施形態では、清澄化された懸濁培養物は、1M HEPESを用いて約pH7.0またはpH7.2に調整される。一部の実施形態では、清澄化された懸濁培養物は、約pH7.0に調整される。一部の実施形態では、清澄化された懸濁培養物は、約pH7.2に調整される。
【0191】
ウイルスベクター生成上清が採取され、清澄化された後、それは、任意選択的に、適当な温度、例えば、約4℃、約20℃、約30℃、または約37℃で、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、または約24時間保存されてもよい。採取および清澄化、ならびに任意選択的に保存後、ウイルスベクターは、クロマトグラフィーを使用して捕捉され、濃縮される。
【0192】
3.クロマトグラフィー
特定の実施形態で企図される下流ウイルスベクター製造プロセスは、クロマトグラフィー工程をさらに含む。クロマトグラフィーは、通常、採取され、清澄化されたウイルスベクター生成上清からウイルスベクターを捕捉し、採取され、清澄化されたウイルスベクター産生上清中の望ましくない不純物がカラムを通過することを可能にするように設計された樹脂またはビーズを充填したカラムで行われる。次いで、捕捉されたウイルスベクターは、脱離剤を使用してカラムから移動または溶出される。
【0193】
特定の実施形態では、クロマトグラフィーは、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、またはマルチモードクロマトグラフィーである。
【0194】
イオン交換クロマトグラフィー(IEX)は、それらの総電荷に基づいてイオン化可能な分子を分離することを伴う。IEXは、陰イオン交換クロマトグラフィーと陽イオン交換クロマトグラフィーの両方を含む。陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)は、精製目的のためにウイルスベクター粒子の負に荷電した表面を利用する。AEXは、不活化HIV-1ワクチンを調製するため、およびレトロウイルス、例えば、レンチウイルスベクターの精製のため使用されてきた。特定の実施形態では、採取され、清澄化されたウイルスベクター生成上清由来のウイルスベクターは、陰イオン交換クロマトグラフィーを使用して捕捉され、濃縮される。陽イオン交換クロマトグラフィーは、イオン交換クロマトグラフィー(IEX)の別の形態である。陽イオン交換クロマトグラフィーは、正味の正の表面電荷を有する分子に対する親和性を有する負に荷電したイオン交換樹脂を使用する。ここで、レンチウイルス上清のpHをLVV等電点より下に調整して、LVVに全体として正の正味の表面電荷を与え、負に荷電した樹脂ビーズに結合させることができる。
【0195】
したがって、様々な実施形態では、LVV上清は、イオン交換クロマトグラフィーカラム上にポンプで吸い上げられる。一部の実施形態では、LVV上清は、陽イオン交換クロマトグラフィーカラム上にポンプで吸い上げられる。特定の実施形態では、LVV上清は、硫酸陽イオン交換クロマトグラフィー(例えば、Toyopearl(商標)Sulfate-650F)上にポンプで吸い上げられる。一部の実施形態では、硫酸陽イオン交換クロマトグラフィーは、約45μmのビーズサイズおよび/または約100nmの平均孔サイズを有するカラムを含む。
【0196】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、規定された孔サイズのビーズを含む樹脂を使用して、それらのサイズに基づいて分子を分ける。分子は、サイズ順にSEC樹脂から溶出する:ビーズ孔に閉じ込められていない大きな分子は、より短い距離を移動し、ビーズ孔によって溶出される第一かつ小さい分子は、最後に溶出する。異なる孔サイズのビーズを購入して、所望の解像度を得ることができる。SECは、野生型レトロウイルスおよびレトロウイルスベクターを精製するために使用されてきた。レトロウイルスベクターは、そのサイズが大きいためビーズ孔から排除され、カラムの空隙容積で溶出する一方で、より小さい分子量の混入物は、カラムによって遅らせられ、より後の画分に溶出する。特定の実施形態では、採取され、清澄化されたウイルスベクター生成上清由来のウイルスベクターは、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して捕捉され、濃縮される。
【0197】
アフィニティークロマトグラフィー(AC)は、特定のクロマトグラフィー吸着体に対するそれらの高度に選択的な親和性に基づいて分子を分ける。残念ながら、適当な吸着体の選択を複雑にするウイルス膜の組成についてはほとんど知られていない。ウイルスベクターは、精製を促進するためにその表面上に親和性タグを発現するように操作されており、例えば、MoMLVは、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)によって精製されたヘキサヒスチジン親和性タグを発現するように改変されている。MoMLVウイルスベクターはまた、ストレプトアビジンとビオチンとの間の相互作用を利用することによって精製されている。ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーは、偽型レトロウイルスベクター、例えば、VSV-G偽型レンチウイルスベクターを含む、細胞表面受容体としてヘパラン硫酸を使用するウイルスベクターを精製するために使用されている。特定の実施形態では、採取され、清澄化されたウイルスベクター生成上清由来のウイルスベクターは、アフィニティークロマトグラフィーを使用して捕捉され、濃縮される。
【0198】
マルチモードまたは混合モードクロマトグラフィー(MMC)は、単一の樹脂に複数のクロマトグラフィーモードを組み込む。分子は、単一の特徴ではなく、いくつかのそれらの特徴に基づいて分けられ得るため、MMCは、樹脂の選択性を強化する。
【0199】
好ましい実施形態では、採取され、清澄化されたウイルスベクター生成上清由来のウイルスベクターは、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを使用して捕捉され、濃縮される。特定の実施形態では、採取され、清澄化されたウイルスベクター生成上清は、必要に応じて、約7.0のpHに調整される。採取され、清澄化されたウイルスベクター生成上清は、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムを通過し、カラムは、洗浄緩衝液(例えば、50mM HEPES、100mM NaCl、pH7.0)を用いて一回または複数回洗浄され、溶出される(例えば、50mM HEPES、400mM NaCl、pH8.0)。
【0200】
好ましい実施形態では、採取され、清澄化されたウイルスベクター生成上清由来のウイルスベクターは、陽イオン交換クロマトグラフィーを使用して捕捉され、濃縮される。様々な実施形態では、クロマトグラフィーは、硫酸陽イオン交換クロマトグラフィーである。特定の実施形態では、採取され、清澄化されたウイルスベクター生成上清は、必要に応じて、約7.2のpHに調整される。採取され、清澄化されたウイルスベクター生成上清は、硫酸陽イオン交換クロマトグラフィーカラムを通過/上にポンプで吸い上げられ、カラムは、洗浄緩衝液(例えば、約50mM HEPES、約300mM NaCl、pH7.2)を用いて一回または複数回洗浄され、溶出される(例えば、約50mM HEPES、約1M NaCl、pH7.5)。
【0201】
濃縮されたウイルスベクターを含む得られた溶出物を濾過して、不純物をさらに除去する。
【0202】
4.クロマトグラフィー後濾過
特定の実施形態で企図される下流ウイルスベクター製造プロセスは、ウイルスベクターのクロマトグラフィー精製後の濾過工程を含む。クロマトグラフィー後濾過は、ウイルスベクターの精製を妨げる可能性のある不純物をさらに除去することによって、クロマトグラフィー工程の下流の単位操作を保護する。
【0203】
特定の実施形態では、濾過工程は、約0.45μm~約0.8μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.22μm~約0.45μmの最終フィルター孔サイズを備えた二重層フィルターを通して濃縮されたウイルスベクターを濾過することを含む。
【0204】
特定の実施形態では、濾過工程は、約0.45μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.22μmの最終フィルター孔サイズを備えた二重層フィルターを通して濃縮されたウイルスベクターを濾過することを含む。
【0205】
特定の実施形態では、濾過工程は、約0.8μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.45μmの最終フィルター孔サイズを備えた二重層フィルターを通して濃縮されたウイルスベクターを濾過することを含む。
【0206】
特定の実施形態では、濃縮されたウイルスベクターがフィルターを通過した後、フィルターを透析濾過緩衝液で追跡して、ウイルスベクターの回収を最大化する。
【0207】
次いで、濾過されたウイルスベクター溶液は、限外濾過を使用してさらに精製され、濃縮され、次いで、透析濾過される。
【0208】
5.限外濾過/透析濾過
特定の実施形態で企図される下流ウイルスベクター製造プロセスは、製剤化のための調製において、ウイルスベクターをさらに精製し、濃縮するための限外濾過工程および濃縮され、濾過されたウイルスベクター緩衝液の緩衝液を透析濾過緩衝液(例えば、約50mM HEPES、約100mM NaCl、pH7.5;または約50mM HEPES、pH7.0;または約50mM L-ヒスチジン、pH7.0)に交換するための透析濾過工程をさらに含む。
【0209】
特定の実施形態では、ウイルスベクターは、不純物をさらに除去し、ウイルスベクターを濃縮するために限外濾過され、次いでその後、バルクウイルスベクター製剤化に適当な緩衝液に透析濾過される。
【0210】
特定の実施形態では、ウイルスベクターは、濾過され、濃縮され、その後、接線流濾過を使用して透析濾過される。好ましい実施形態では、ウイルスベクターは、濾過され、濃縮され、その後、接線流濾過を使用して透析濾過される。中空繊維TFFモジュールまたはフィルターを使用して、不純物を同時に濃縮し、除去し、高度に活性なレトロウイルスベクターを得る。中空繊維TFFモジュールまたはフィルターはまた、ウイルスベクターをバルクウイルスベクター製剤化に適した緩衝液に透析濾過するための便利なツールとして使用されてきた。
【0211】
特定の実施形態では、TFFシステムは、ウイルスベクターを含有する供給液を中空繊維TFFモジュールにポンプ注入することを含む。TFFモジュールの孔サイズは、ウイルスベクターが孔を通過せず、TFFモジュールに保持された溶液である回収液に濃縮されるように選択され、一方で、不純物を含有する透過物は、孔を通過する。
【0212】
特定の実施形態では、TFFシステムを使用して、ウイルスベクター含有溶液の透析濾過または緩衝液交換を行う。TFFシステムは、変化イオン濃度、pH、塩、糖、非水性溶媒、分離非結合分子を除去し、改変し、および/または交換し、低分子量の混入物を除去するための有効な方法である。
【0213】
特定の実施形態では、中空繊維TFFモジュールまたはフィルターを使用して、透析濾過および/または限外濾過を行い、さらに精製し、濃縮し、緩衝液交換を行う。本明細書で企図される特定の実施形態で使用するための適当なTFFシステムは、例えば、EMD Millipore、Sigma、GE Healthcare、Sartorius、およびRepligenから市販されている。
【0214】
特定の実施形態では、中空繊維TFFモジュールまたはフィルターは、約100kDa~約500kDaの孔サイズおよび約0.5m2、約1.0m2、約2.5m2、約5.0m2、約10m2、または約20m2の表面積を備える。特定の実施形態では、中空繊維TFFモジュールまたはフィルターは、約100kDa~約500kDaの孔サイズおよび約1.00m2、約1.05m2、約1.10m2、約1.15m2、約1.20m2、約1.25m2、約1.30m2、約1.35m2、約1.40m2、約1.45m2、約1.50m2、約1.55m2、約1.60m2、約1.65m2、約1.70m2、約1.75m2、約1.80m2、約1.85m2、約1.90m2、約1.95m2、約2.00m2、2.00m2、約2.05m2、約2.10m2、約2.15m2、約2.20m2、約2.25m2、約2.30m2、約2.35m2、約2.40m2、約2.45m2、または約2.50m2の表面積を備える。
【0215】
特定の実施形態では、中空繊維TFFモジュールまたはフィルターは、約100kDa、約200kDa、約300kDa、約400kDaまたは約500kDaの孔サイズおよび約1.00m2、約1.05m2、約1.10m2、約1.15m2、約1.20m2、約1.25m2、約1.30m2、約1.35m2、約1.40m2、約1.45m2、約1.50m2、約1.55m2、約1.60m2、約1.65m2、約1.70m2、約1.75m2、約1.80m2、約1.85m2、約1.90m2、約1.95m2、約2.00m2、2.00m2、約2.05m2、約2.10m2、約2.15m2、約2.20m2、約2.25m2、約2.30m2、約2.35m2、約2.40m2、約2.45m2、または約2.50m2の表面積を備える。
【0216】
特定の実施形態では、中空繊維TFFモジュールまたはフィルターは、約100kDa、約200kDa、約300kDa、約400kDaまたは約500kDaの孔サイズおよび約1.00m2、約1.05m2、約1.10m2、約1.15m2、約1.20m2、約1.25m2、約1.30m2、約1.35m2、約1.40m2、約1.45m2、約1.50m2、約1.55m2、約1.60m2、約1.65m2、約1.70m2、約1.75m2、約1.80m2、約1.85m2、約1.90m2、約1.95m2、約2.00m2、2.00m2、約2.05m2、約2.10m2、約2.15m2、約2.20m2、約2.25m2、約2.30m2、約2.35m2、約2.40m2、約2.45m2、または約2.50m2の表面積を備える。
【0217】
特定の実施形態では、中空繊維TFFモジュールまたはフィルターは、約100kDaの孔サイズおよび約1.25m2、約1.30m2、約1.35m2、約1.40m2、約1.45m2、または約1.50m2の表面積を備える。特定の実施形態では、中空繊維TFFモジュールまたはフィルターは、約200kDaの孔サイズおよび約1.25m2、約1.30m2、約1.35m2、約1.40m2、約1.45m2、または約1.50m2の表面積を備える。特定の実施形態では、中空繊維TFFモジュールまたはフィルターは、約300kDaの孔サイズおよび約1.25m2、約1.30m2、約1.35m2、約1.40m2、約1.45m2、または約1.50m2の表面積を備える。特定の実施形態では、中空繊維TFFモジュールまたはフィルターは、約400kDaの孔サイズおよび約1.25m2、約1.30m2、約1.35m2、約1.40m2、約1.45m2、または約1.50m2の表面積を備える。特定の実施形態では、中空繊維TFFモジュールまたはフィルターは、約500kDaの孔サイズおよび約1.25m2、約1.30m2、約1.35m2、約1.40m2、約1.45m2、または約1.50m2の表面積を備える。
【0218】
特定の実施形態では、下流ウイルスベクター製造プロセスは、約100kDa、約200kDa、約300kDa、約400kDa、または約500kDaの孔サイズを有する中空繊維TFFモジュールを使用して行われる限外濾過工程を含み、製剤化の調製においてウイルスベクターを含有する緩衝液を透析濾過緩衝液(例えば、50mM HEPES、100mM NaCl、pH7.5;または50mM HEPES、pH7.0)に交換するための中空繊維TFFモジュールを使用して行われる透析濾過工程をさらに含む。
【0219】
6.製剤化
特定の実施形態で企図される下流ウイルスベクター製造プロセスは、適当な緩衝液および/または薬学的に許容し得る培地中でウイルスベクターを製剤化することをさらに含む。ウイルスベクターは、ベクターを安定化させ、凍結/解凍サイクルを通してベクター活性を保持するように製剤化される。
【0220】
特定の実施形態で企図される限外濾過および透析濾過工程は、精製、濃縮およびウイルスベクターの透析濾過緩衝液(例えば、約50mM HEPES、約100mM NaCl、pH7.5;または約50mM HEPES、pH7.0;または約50mM L-ヒスチジン、pH7.0)への透析濾過をもたらす。
【0221】
特定の実施形態では、ウイルスベクターを製剤化するために、透析濾過されたウイルスベクターの体積は、適当な製剤緩衝液または薬学的細胞培養培地を等体積の2×濃縮して希釈される。特定の実施形態では、ウイルスベクターは、等体積の透析濾過されたウイルスベクターを2×濃縮された無血清の化学的に規定された細胞培養培地に希釈することによって製剤化される。適当な製剤培地の例示的な例としては、2×Freestyle 293発現培地、2×Ex-Cell 293無血清培地、2×Expi293発現培地、2×Opti-MEM還元血清培地、および2×幹細胞成長培地(SCGM、CellGenix)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0222】
ある特定の実施形態では、ウイルスベクターは、等体積の透析濾過されたウイルスベクターを2×濃縮されたSCGMに希釈することによって製剤化される。一部の実施形態では、50mM HEPES、100mM NaCl、pH7.50に透析濾過されたウイルスベクターは、2×SCGM中で1:1に希釈することによって製剤化される。一部の実施形態では、約50mM HEPES、pH7.0中に透析濾過されたウイルスベクターは、HEPESおよびスクロースを含む緩衝液中で1:1に希釈することによって製剤化され、任意選択的に、緩衝液は、L-プロリン、ポロクサマー188、またはNaClをさらに含む。一部の実施形態では、約50mM HEPES、pH7.0中に透析濾過されたウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、および約100mM L-プロリンを含む緩衝液中で1:1に希釈することによって製剤化される。一部の実施形態では、約50mM HEPES、pH7.0中に透析濾過されたウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、および約0.2~約2.0mg/mLポロクサマー188を含む緩衝液中で1:1に希釈することによって製剤化される。一部の実施形態では、約50mM HEPES、pH7.0中に透析濾過されたウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、および約150mM NaClを含む緩衝液中で1:1に希釈することによって製剤化される。一部の実施形態では、約50mM HEPES、pH7.0中に透析濾過されたウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約100mM L-プロリン、約150mM NaCl、および約0.2~約2.0mg/mLポロクサマー188を含む緩衝液中で1:1に希釈することによって製剤化される。一部の実施形態では、約50mM HEPES、pH7.0中に透析濾過されたウイルスベクターは、約5mM HEPES(pH7.0)、約146mMスクロース、約150mM NaCl、および約0.2~約2.0mg/mLポロクサマー188を含む緩衝液中で1:1に希釈することによって製剤化される。
【0223】
様々な実施形態では、約50mM L-ヒスチジン、pH7.0中に透析濾過されたウイルスベクターは、L-ヒスチジン、スクロース、およびL-プロリンを含む緩衝液中で1:1に希釈することによって製剤化される。様々な実施形態では、約50mM L-ヒスチジン、pH7.0中に透析濾過されたウイルスベクターは、約5mM L-ヒスチジン、約146mMスクロース、および約100mM L-プロリンを含む緩衝液中で1:1に希釈することによって製剤化され、任意選択的に、製剤は、約0.2~約2.0mg/mLポロクサマー188をさらに含む。
【0224】
様々な実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約0.2mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約0.3mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約0.4mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤化緩衝液は、約0.5mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約0.6mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約0.7mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約0.8mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約0.9mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約1.0mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約1.1mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約1.2mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約1.3mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約1.4mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約1.5mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約1.6mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約1.7mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約1.8mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約1.9mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、1:1希釈のための製剤緩衝液は、約2.0mg/mLポロクサマー188を含む。
【0225】
ウイルスベクターはバルクで製剤化され、多くの場合、特定の実施形態では、好ましくは、製剤化バルクウイルスベクターと呼ばれる。
【0226】
7.製剤後の濾過
特定の実施形態で企図される下流ウイルスベクター製造プロセスは、ウイルスベクターの製剤後の濾過工程をさらに含む。製剤後の濾過は、製剤化バルクウイルスベクター中の粒子および不純物をさらに除去する。
【0227】
特定の実施形態では、濾過工程は、約0.5μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.2μmの最終フィルター孔サイズを備えた二重層フィルターを通して製剤化バルクウイルスベクターを濾過することを含む。
【0228】
特定の実施形態では、製剤化バルクウイルスベクターがフィルターを通過し、回収された後、濾過された製剤化バルクウイルスベクターは、最終充填仕上げが行われ得るまで、凍結保存されるか、または保持工程(凍結保存なし)に供される。
【0229】
特定の実施形態では、製剤化バルクウイルスベクターがフィルターを通過し、回収された後、最終充填仕上げは、濾過され製剤化バルクウイルスベクターで行われ、その後、凍結保存される。
【0230】
8.凍結保存
特定の実施形態で企図される下流ウイルスベクター製造プロセスは、最終充填仕上げのような時間がバルクウイルスベクター上で行われ得るまで、濾過された製剤化バルクウイルスベクターを凍結保存することをさらに含む。製剤化バルクウイルスベクターの凍結保存は、ベクターの安定性および生物学的活性が、実質的に維持されるように、ならびに/またはウイルスベクターの安定性および生物学的活性の喪失が最小化されるように行われる。
【0231】
本明細書で使用される場合、「凍結保存すること」または「凍結保存」は、ゼロ以下の温度に冷却することによってウイルスベクターを保存することを指す。特定の実施形態では、濾過された製剤化バルクウイルスベクターは、凍結保護剤をさらに含む。特定の実施形態では、ウイルスベクターは、凍結保護をもたらすように製剤化される。
【0232】
様々な実施形態では、濾過された製剤化バルクウイルスベクターは、約-20℃未満、約-21℃未満、約-22℃未満、約-23℃未満、約-24℃未満、約-25℃未満、約-26℃未満、約-27℃未満、約-28℃未満、約-29℃未満、約-30℃未満、約-31℃未満、約-32℃未満、約-33℃未満、約-34℃未満、約-35℃未満、約-36℃未満、約-37℃未満、約-38℃未満、約-39℃未満、約-40℃未満、約-41℃未満、約-42℃未満、約-43℃未満、約-44℃未満、約-45℃未満、約-46℃未満、約-47℃未満、約-48℃未満、約-49℃未満、約-50℃未満、約-51℃未満、約-52℃未満、約-53℃未満、約-54℃未満、約-55℃未満、約-56℃未満、約-57℃未満、約-58℃未満、約-59℃未満、約-60℃未満、約-61℃未満、約-62℃未満、約-63℃未満、約-64℃未満、約-65℃未満、約-66℃未満、約-67℃未満、約-68℃未満、約-69℃未満、約-70℃未満、約-71℃未満、約-72℃未満、約-73℃未満、約-74℃未満、約-75℃未満、約-76℃未満、約-77℃未満、約-78℃未満、約-79℃未満、または約-80℃未満で凍結保存されるか、または凍結される。当業者は、-80℃の温度が、-20℃の温度未満であることを理解する。
【0233】
様々な実施形態では、濾過された製剤化バルクウイルスベクターは、約-65℃未満、約-70℃未満、約-75℃未満、または約-80℃未満で凍結保存されるか、または凍結される。
【0234】
特定の実施形態では、冷却速度は、1℃~3℃/分である。
【0235】
9.充填仕上げ
本明細書で企図される下流製造プロセスは、充填仕上げ工程をさらに含む。ウイルスベクターは、典型的には、単回使用体積に分注され、ベクターの安定性および生物学的活性を保護し、ウイルスベクターの熱不活化を最小化するために凍結保存される。
【0236】
「充填仕上げ」または「充填および仕上げ」は、容器、例えば、バイアル、アンプルなどを、製剤化ウイルスベクターで充填すること、およびウイルスベクターを流通用にパッケージングするプロセスを終えることを含む、下流製造プロセスの一部を指す。
【0237】
特定の実施形態では、充填仕上げは、介在する凍結保存工程なしで、濾過された製剤化ウイルスベクター上で行われる。充填仕上げ後、ウイルスベクターは、本明細書で企図される方法に従って凍結保存される。特定の実施形態では、ウイルスベクターは、約-65℃未満、約-70℃未満、約-75℃未満、または約-80℃未満で凍結保存されるか、または凍結される。
【0238】
特定の実施形態では、充填仕上げは、介在する保持工程ありだが、介在する凍結保存工程なしで、濾過された製剤化ウイルスベクター上で行われる。充填仕上げ後、ウイルスベクターは、本明細書で企図される方法に従って凍結保存される。特定の実施形態では、ウイルスベクターは、約-65℃未満、約-70℃未満、約-75℃未満、または約-80℃未満で凍結保存されるか、または凍結される。
【0239】
特定の実施形態では、凍結保存された濾過された製剤化バルクウイルスベクターは、充填仕上げ前に解凍され、滅菌濾過される。特定の実施形態では、濾過工程は、約0.5μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.2μmの最終フィルター孔サイズを備えた二重層フィルターを通して解凍された製剤化バルクウイルスベクターを濾過することを含む。濾過後、充填仕上げは、製剤化ウイルスベクターを用いて行われる。充填仕上げ後、ウイルスベクターは、本明細書で企図される方法に従って凍結保存される。特定の実施形態では、ウイルスベクターは、約-65℃未満、約-70℃未満、約-75℃未満、または約-80℃未満で凍結保存されるか、または凍結される。
【0240】
E.組成物
本明細書で企図される組成物は、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスまたはレンチウイルスベクターを含み得る。組成物には、薬学的組成物が含まれるが、これらに限定されない。「薬学的組成物」とは、細胞又は動物への投与に対し、薬学的に許容される溶液又は生理学的に許容される溶液中で、単独で、又は一つ以上の他の治療モダリティと併用されて製剤化される組成物を指す。事実上、組成物に含有され得る他の構成要素に制限はないが、追加される剤は、意図される療法を送達する組成物の能力に有害な影響を与えないものとする。
【0241】
本明細書において、語句「薬学的に許容される」は、適切な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を伴わずにヒト及び動物の組織と接触して使用することに適し、合理的な利益/リスク比に見合った、それら化合物、物質、組成物及び/又は剤型を指すために採用される。
【0242】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」は、限定されないが、ヒトまたは家畜での使用に許容されるものとして米国食品医薬品局によって承認されている、アジュバント、担体、賦形剤、滑剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、染料/着色剤、香味剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒、界面活性剤、または乳化剤を含む。例示的な薬学的に許容される担体としては、これらに限定されないが、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロース、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのその誘導体;トラガカンス;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバター、ワックス、動物及び植物性脂肪、パラフィン、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、酸化亜鉛;ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びダイズ油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチル及びラウレートエチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、リン酸緩衝液、および医薬製剤で採用される任意の他の適合性のある物質が挙げられる。
【0243】
特定の実施形態では、組成物は、ウイルスベクターおよび生理的に許容可能な緩衝液または培地を含む。
【0244】
特定の実施形態では、組成物は、ウイルスベクターおよび透析濾過緩衝液(例えば、約50mM HEPES、約100mM NaCl、pH7.5;または約50mM HEPES、pH7.0;または約50mM L-ヒスチジン、pH7.0)を含む。
【0245】
特定の実施形態では、組成物は、ウイルスベクターおよび薬学的細胞培養培地を含む。適当な培地の例示的な例としては、2×Freestyle 293発現培地、2×Ex-Cell 293無血清培地、2×Expi293発現培地、2×Opti-MEM還元血清培地、および2×幹細胞成長培地(SCGM、CellGenix)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0246】
特定の実施形態では、組成物は、ウイルスベクター、透析濾過緩衝液、及び1×SCGMを含む。
【0247】
ある特定の実施形態では、組成物は、HEPESベースの製剤中にウイルスベクターを含む。
【0248】
ある特定の実施形態では、組成物は、L-ヒスチジンベースの製剤中にウイルスベクターを含む。
【0249】
一部の実施形態では、組成物は、ウイルスベクター、HEPES、およびスクロースを含み、任意選択的に、緩衝液は、L-プロリン、ポロクサマー188、またはNaClをさらに含む。
【0250】
一部の実施形態では、組成物は、ウイルスベクター、約27.5mM HEPES(pH7.0)、約73mMスクロース、および約50mM L-プロリンを含む。
【0251】
一部の実施形態では、組成物は、ウイルスベクター、約27.5mM HEPES(pH7.0)、約73mMスクロース、約50mM L-プロリン、および約0.1~約1.0mg/mlポロクサマー188を含む。
【0252】
一部の実施形態では、組成物は、ウイルスベクター、約27.5mM HEPES(pH7.0)、約73mMスクロース、約50mM L-プロリン、および約75mM NaClを含む。
【0253】
一部の実施形態では、組成物は、ウイルスベクター、約27.5mM HEPES(pH7.0)、約73mMスクロース、約50mM L-プロリン、約75mM NaCl、および約0.1~約1.0mg/mlポロクサマー188を含む。
【0254】
一部の実施形態では、組成物は、ウイルスベクター、約27.5mM HEPES(pH7.0)、約73mMスクロース、約75mM NaCl、および約0.1~約1.0mg/mlポロクサマー188を含む。
【0255】
一部の実施形態では、組成物は、ウイルスベクター、L-ヒスチジン、スクロース、およびL-プロリンを含む。
【0256】
一部の実施形態では、組成物は、ウイルスベクター、約27.5mM L-ヒスチジン、約73mMスクロース、および約50mM L-プロリンを含み、任意選択的に、製剤は、約0.1~約1.0mg/mL ポロクサマー188をさらに含む。
【0257】
一部の実施形態では、組成物は、約0.1mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.2mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.3mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.4mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.5mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.6mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.7mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.8mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.9mg/mLポロクサマー188を含む。一部の実施形態では、組成物は、約1.0mg/mLポロクサマー188を含む。
【0258】
当業者であれば、本明細書で企図される組成物の特定の実施形態は、薬学分野で周知であり、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,volume I and volume II.22nd Edition.Edited by Loyd V.Allen Jr.Philadelphia,PA:Pharmaceutical Press;2012に記載される構成成分などの他の構成成分を含み得ることを理解するであろう。
【0259】
本明細書において引用される全ての刊行物、特許出願、および登録された特許は、あたかも個々の刊行物、特許出願、または登録された特許が、参照により組み込まれることを具体的かつ個別に示したかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0260】
前述の実施形態は、明確性及び理解を目的として、図及び実施例により詳細に記載されているが、本明細書において企図される教示に照らし、特定の変化及び改変が、添付の請求の範囲の主旨又は範囲から逸脱することなく実施されうることが当業者には容易に明らかであろう。以下の実施例は、説明の目的のみで提供され、限定の目的で提供されるものではない。当業者であれば、本質的に類似した結果をもたらすために変更又は修正されうる様々な非臨界パラメータを容易に認識するであろう。
【実施例】
【0261】
実施例1
レンチウイルスベクター懸濁製造プロセス2.0
HEK293Tワーキングセルバンクを、250mL培養容器中で培養し、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中、37.0℃および8.0%CO2で培養した。このP0培養物の適当な生細胞密度を確認した後、培養物を500mL培養容器に継代し、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中、37.0℃および8.0%CO2で培養した。このP1培養物の適当な生細胞密度を確認した後、培養物を1L培養容器に継代し、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中、37.0℃および8.0%CO2で培養した。このP2培養物の適当な生細胞密度を確認した後、培養物を3L培養容器に継代し、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中、37.0℃および8.0%CO2で培養した。このP3培養物の適当な生細胞密度を確認した後、培養物を50L培養容器に継代し、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中、37.0℃および8.0%CO2で培養した。このP4培養物の適当な生細胞密度を確認した後、培養物を200Lバイオリアクター(P5培養物)に継代し、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中、37.0℃およびpH7.0で培養した。このP5培養物の適当な生細胞密度を確認した後、培養培地を、交互接線流濾過(ATF)を使用して、190Lの新鮮な無血清の化学的に規定された細胞培養培地に交換した。
【0262】
トランスフェクションの前に、パッケージング可能なレンチウイルスベクターゲノムおよびgag/pol、rev、ならびにVSV-GパッケージングプラスミドおよびPEI構成成分を含むトランスファープラスミドを、10Lの体積で無血清の化学的に規定された細胞培養培地中で一緒に混合した。DNA/PEI混合物を、P5懸濁培養物に約14~約18時間添加し、その後、ATFを使用した新鮮な無血清の化学的に規定された細胞培養培地との培養培地交換に供した。
【0263】
トランスフェクションから(トランスフェクション開始後)約36~48時間後、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中で希釈したBenzonaseエンドヌクレアーゼ(50~75U/mLの最終濃度)およびMgCl2を、200Lのバイオリアクター培養物に添加し、37℃で約1~2時間インキュベートした。
【0264】
Benonzase処理した培養物を、約60μmを超える混入物を保持するタンデムデプスフィルターを通して、次いで約0.8μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.45μmの最終フィルターを有する二重層フィルターを通してポンプ注入した。
【0265】
清澄化したベクター生成上清を、偽親和性ヘパリンクロマトグラフィーを使用して、捕捉し、濃縮した。上清をクロマトグラフィーカラム上にポンプで吸い上げ、洗浄し、溶出緩衝液(例えば、50mM HEPES、400mM NaCl、pH8)中に溶出した。濃縮ベクター溶液を、約0.8μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.45μmの最終フィルターを有する二重層フィルターを通してポンプ注入した。
【0266】
濾過した濃縮ベクターを、約300kDa~約500kDaの分子量カットオフまたは孔サイズを有する中空繊維TFFカラムを通してポンプ注入した。次いで、保持液を透析濾過緩衝液(例えば、50mM HEPES、100mM NaCl、pH7.5)に対して透析濾過し、2x/1×SCGM製剤ストック溶液の1:1希釈液で製剤化して、製剤化バルクレンチウイルスベクター(LVV)を形成した。製剤化したバルクLVVを滅菌グレードフィルターで濾過し、バルク保存容器に充填し、充填/仕上げを行うまで、≦-65℃で保存した。
【0267】
凍結製剤化バルクLVVを解凍し、アリコートを一緒にプールし、最終濾過を行う前に混合し、その後、West Pharmaceuticals製のすぐに使用できる容器/クロージャーおよび自動充填ラインを使用して充填/仕上げを行った。
【0268】
実施例2
レンチウイルスベクター懸濁製造プロセス2.5
HEK293Tワーキングセルバンクを、250mL培養容器中で培養し、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中、37.0℃および8.0%CO2で培養した。このP0培養物の適当な生細胞密度を確認した後、培養物を500mL培養容器に継代し、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中、37.0℃および8.0%CO2で培養した。このP1培養物の適当な生細胞密度を確認した後、培養物を1L培養容器に継代し、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中、37.0℃および8.0%CO2で培養した。このP2培養物の適当な生細胞密度を確認した後、培養物を3L培養容器に継代し、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中、37.0℃および8.0%CO2で培養した。このP3培養物の適当な生細胞密度を確認した後、培養物を50L培養容器に継代し、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中、37.0℃および8.0%CO2で培養した。このP4培養物の適当な生細胞密度を確認した後、培養物を200Lバイオリアクター(P5培養物)に継代し、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中、37.0℃およびpH7.0で培養した。このP5培養物の適当な生細胞密度を確認した後、培養培地を、交互接線流濾過(ATF)を使用して、190Lの新鮮な無血清の化学的に規定された細胞培養培地に交換した。
【0269】
トランスフェクションの前に、パッケージング可能なレンチウイルスベクターゲノムおよびgag/pol、rev、ならびにVSV-GパッケージングプラスミドおよびPEI構成成分を含むトランスファープラスミドを、10Lの体積で無血清の化学的に規定された細胞培養培地中で一緒に混合した。DNA/PEI混合物を、P5懸濁培養物に約14~約18時間添加し、その後、ATFを使用した新鮮な無血清の化学的に規定された細胞培養培地との培養培地交換に供した。
【0270】
トランスフェクションから(トランスフェクション開始後)約36~48時間後、無血清の化学的に規定された細胞培養培地中で希釈したDenaraseエンドヌクレアーゼ(~30U/mL)およびMgCl2を、200Lのバイオリアクター培養物に、37℃で約1~2時間添加した。
【0271】
Denarase処理した培養物を、約60μmを超える混入物を保持するタンデムデプスフィルターを通して、次いで約0.8μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.45μmの最終フィルターを有する二重層フィルターを通してポンプ注入した。
【0272】
清澄化したベクター生成上清を、カチオン交換硫酸塩クロマトグラフィーを使用して、捕捉し、濃縮した。上清をクロマトグラフィーカラム上にポンプで吸い上げ、洗浄緩衝液(例えば、50mM HEPES、300mM NaCl、pH7.2)中で洗浄し、溶出緩衝液(例えば、50mM HEPES、1M NaCl、pH7.5)中に溶出した。濃縮ベクター溶液を、約0.8μmのプレフィルター孔サイズおよび約0.45μmの最終フィルターを有する二重層フィルターを通してポンプ注入した。
【0273】
濾過した濃縮ベクターを、約300kDa~約500kDaの分子量カットオフまたは孔サイズを有する中空繊維TFFカラムを通してポンプ注入した。次いで、保持液を透析濾過緩衝液(例えば、50mM HEPES、pH7.0)に対して透析濾過し、濃縮製剤培地(例えば、5mM HEPES、146mMスクロース、100mM L-プロリン、pH7.0)の1:1希釈液で製剤化して、製剤化バルクレンチウイルスベクター(LVV)を形成した。製剤化したバルクLVVを滅菌グレードフィルターで濾過し、充填/仕上げを行うまで、2~8℃で保存した。
【0274】
冷却中間バルクを滅菌濾過し、すぐに使用できる容器/クロージャー(West Pharmaceuticals社)および自動充填ラインを使用して充填/仕上げを行った。
【0275】
実施例3
レンチウイルスベクター製造プロセスの比較
実施例1および2に記載の懸濁液製造プロセス(すなわち、プロセスsLVV 2.0及びsLVV 2.5)を接着製造プロセス(aLVV)と比較した。aLVVを、Gorman et al.,Molecular Therapy,Volume 23,Supplement 1,May 2015に記載される通り生成した。sLVV 2.0を、実施例1に記載される通り生成し(
図1も参照)、一方、sLVV 2.5を、2Lの最終培養スケール(適宜スケールした体積)で生成し、実施例2に記載した中間バルク単位操作まで精製した(
図4も参照)。中間バルク工程は、残留不純物の観点から最終LVV産物を表しており、したがって、2.0sLVVプロセス(
図1)およびaLVVプロセスによって生成した最終LVV産物と比較する。プロセス収率を、感染力価収率によって決定し、これを、HOS細胞のウイルス形質導入によって測定する。LVV産物の純度を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって測定する、残留宿主細胞タンパク質(HCP)濃度に基づいて比較する。さらに、相対残留p24カプシドタンパク質濃度対感染力価(粒子対感染率比)を、LVV純度の尺度としてプラットフォーム間で比較する。残留p24もELISAにより測定する。
【0276】
図5に示すように、懸濁液2.0 sLVVプロセスは、
図6に示すように、産生細胞培養スケールの増加(2.0 sLVVについては200Lに対してaLVVについては40L)、ならびに感染力価濃度の増加に部分的に起因する、aLVV生成プロセスと比較して、総感染力価(TU)が約10倍の増加を示す。2.5sLVVプロセスは、2.0sLVVと同様の中間バルク力価濃度を生じ(
図6)、元のaLVVプロセスよりも高い感染力価を維持する。さらに、2.0および2.5sLVVプロセスは、aLVVプロセスと比較して、粒子対感染率(VP/TU)比の一貫性がより高いことを示す(
図7を参照)。
【0277】
さらに、sLVV 2.5プロセスは、sLVV2.0プロセスと比較して、宿主細胞タンパク質(HCP)不純物減少の大幅な改善をもたらす。sLVV2.0プロセスは、aLVVプロセスと比較して感染力価が10倍増加したが、感染力価に対して正規化した場合、プロセス全体を通してHCPレベルも10倍を超えて増加した。しかしながら、sLVV 2.5プロセスは、中間バルクLVVから実質的に高い宿主細胞タンパク質の減少を達成することができ、一方で、LVV生成プロセスと同等の正規化したHCPレベルをもたらした(
図8)。HCP対数減少値は、aLVVとsLVV 2.5プロセスとの間で類似しており、これは、類似の不純物除去性能を示す(
図9)。いかなる特定の理論によって結び付けられることを望むものではないが、2.5sLVVプロセス中の改善したHCP除去の一つの潜在的な理由は、硫酸カチオン捕捉クロマトグラフィーカラムの導入に起因する。
図10に示すように、ヘパリン親和性結合カラムは、クロマトグラフィー単位操作工程にわたって<1.0logの平均HCP対数減少を達成するが、硫酸カラムは、クロマトグラフィー中に約1.5log減少を示し、これは、1.0logのHCPのsLVV 2.5プロセスに対するHCP減少の全体的な増加に寄与する(中間バルクでのHCP濃度の>10倍減少)。
【0278】
概して、以下の特許請求の範囲において、使用された用語は、特許請求の範囲を、本明細書及び特許請求の範囲に開示されている特定の実施形態に限定させるものと解釈されるべきではないが、かかる特許請求の範囲が権利を与える等価物の完全な範囲とともに全ての可能な実施形態を含むものと解釈されるべきである。したがって、請求の範囲は、本開示により限定されない。
【国際調査報告】