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  • 特表-スリット特徴部を含むロードビーム 図1A-B
  • 特表-スリット特徴部を含むロードビーム 図2
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  • 特表-スリット特徴部を含むロードビーム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】スリット特徴部を含むロードビーム
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/21 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
G11B21/21 C
G11B21/21 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503423
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 US2022037507
(87)【国際公開番号】W WO2023003827
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】63/223,441
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/866,377
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517151084
【氏名又は名称】マグネコンプ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MAGNECOMPCORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】イー、クエン チー
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ロン
(72)【発明者】
【氏名】グラース、デイビッド
(57)【要約】
本明細書には、改良されたロードビームが記載される。いくつかの実施形態では、ロードビームは、遠位端部及び近位端部を含む主面であって、遠位端部が、先端溶接部と、ちり取り状部と、リフトタブと、を含む、主面と、主面及びちり取り状部から延びているサイドレールと、主面において先端溶接部の周りに配置されたスリットと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロードビームであって、
遠位端部及び近位端部を含む主面であって、前記遠位端部が、先端溶接部と、ちり取り状部と、リフトタブと、を含む、主面と、
前記主面及び前記ちり取り状部から延びるサイドレールと、
前記主面において前記先端溶接部の周りに配置されたスリットと、を備える、ロードビーム。
【請求項2】
前記スリットの凸状部分は、前記先端溶接部よりも遠位側にある、請求項1に記載のロードビーム。
【請求項3】
ちり取り状部形成線は、前記先端溶接部を通るように配置される、又は前記先端溶接部の前記近位端部を通るように配置される、請求項1に記載のロードビーム。
【請求項4】
前記ちり取り状部形成角度θは、15~25°とすることができる、請求項1に記載のロードビーム。
【請求項5】
前記スリットは、前記先端溶接部の周りで半円形状になっている、請求項1に記載のロードビーム。
【請求項6】
前記スリットは、前記先端溶接部の周りでU字形になっている、請求項1に記載のロードビーム。
【請求項7】
前記ちり取り状部は近位端部及び遠位端部を含み、前記近位端部は前記ちり取り状部形成線を含み、前記遠位端部はリフトタブを含む、請求項1に記載のロードビーム。
【請求項8】
前記リフトタブは、前記ちり取り状部よりも遠位に配置される、請求項7に記載のロードビーム。
【請求項9】
前記主面は、ディンプルを含む、請求項1に記載のロードビーム。
【請求項10】
前記主面は、窓を含む、請求項1に記載のロードビーム。
【請求項11】
請求項1に記載のロードビームを備える、サスペンション。
【請求項12】
前記スリットの凸状部分は、前記先端溶接部よりも遠位側にある、請求項11に記載のサスペンション。
【請求項13】
ちり取り状部形成線は、前記先端溶接部を通るように配置される、請求項11に記載のサスペンション。
【請求項14】
前記ちり取り状部形成角度θは、15~25°とすることができる、請求項11に記載のサスペンション。
【請求項15】
前記スリットは、前記先端溶接部の周りで半円形状になっている、請求項11に記載のサスペンション。
【請求項16】
前記スリットは、前記先端溶接部の周りでU字形になっている、請求項11に記載のサスペンション。
【請求項17】
前記ちり取り状部は近位端部及び遠位端部を含み、前記近位端部は前記ちり取り状部形成線を含み、前記遠位端部はリフトタブを含む、請求項11に記載のサスペンション。
【請求項18】
前記リフトタブは、前記ちり取り状部よりも遠位に配置される、請求項17に記載のサスペンション。
【請求項19】
前記主面は、ディンプルを含む、請求項11に記載のサスペンション。
【請求項20】
前記主面は、窓を含む、請求項11に記載のサスペンション。
【請求項21】
サスペンションであって、
ロードビームであって、前記ロードビームが、前記ロードビームの近位端部における取り付け領域と、前記ロードビームの遠位部分における剛性領域と、を含む、ロードビームと、
前記ロードビームの前記取り付け領域に取り付けられたベースプレートと、
前記ロードビームの前記剛性領域に取り付けられたフレクシャと、を備え、
前記ロードビームは、
遠位端部及び近位端部を含む主面であって、前記遠位端部が、先端溶接部と、ちり取り状部と、リフトタブと、を含む、主面と、
前記主面及び前記ちり取り状部から延びるサイドレールと、
前記主面において前記先端溶接部の周りに配置されたスリットと、をさらに備える、サスペンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハードディスクドライブ用サスペンションの分野に関する。より具体的には、本開示は、ハードディスクドライブ用のロードビームの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク記憶デバイスでは、情報を記憶するために回転ディスクが使用される。ディスク記憶デバイスは、通常、他の構成要素の取り付け点及び向きを提供するフレームと、ディスクを回転させるためにフレームに取り付けられたスピンドルモータとを含む。ヘッドスライダは、ディスク表面にデータを書き込み、ディスク表面からデータを読み取るための読み取り/書き込みヘッドを含む。ヘッドスライダは、適切なヘッドスライダ動作に必要な力及びコンプライアンス(compliance)の両方を提供するサスペンションによって、ディスクに対して支持され、適切に方向決めされる。記憶デバイス内のディスクがヘッドスライダ及びヘッドサスペンションの下で回転すると、ディスクの上方の空気も回転するため、エアベアリングが生成され、このエアベアリングが、サスペンションの空気力学的設計とともに作用して、揚力を生成する。揚力は、サスペンションのばね力によって抑えられ、ヘッドスライダを、「浮上高さ」と呼ばれるディスク上方の所望の高さ及びアラインメントに位置決めする。
【0003】
ディスクドライブ用のサスペンションは、ロードビーム及びフレクシャを含む。ロードビームは、典型的には、サスペンションをディスクドライブのアクチュエータに取り付けるための取り付け領域と、剛性領域と、取り付け領域と剛性領域との間のばね領域とを含む。ばね領域は、上述のようにドライブ動作中にサスペンションに発生する空気力学的揚力を抑えるばね力を提供する。フレクシャは、典型的には、ヘッドスライダが取り付けられるスライダ取り付け面を有するジンバル領域を含む。ジンバル領域は、エアベアリングによって生成された空気力学的な力に応じて、フレクシャの残りの部分に対して弾性的に移動可能である。ジンバル領域は、ヘッドスライダがピッチ方向及びロール方向に移動し、ディスク表面の変動をたどることを可能にする。
【発明の概要】
【0004】
本明細書には改良されたロードビームが記載される。本開示のいくつかの実施形態によれば、ロードビームは、遠位端部及び近位端部を含む主面であって、遠位端部が、先端溶接部と、ちり取り状部と、リフトタブとを含む、主面と、主面及びちり取り状部から延びるサイドレールと、主面において先端溶接部の周りに配置されたスリットと、を備える。
【0005】
本開示のいくつかの実施形態によれば、スリットの凸状部分は、先端溶接部よりも遠位側にある。
本開示のいくつかの実施形態によれば、ちり取り状部形成線は、先端溶接部を通るように配置される。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ちり取り状部形成角度θは、15~25°とすることができる。
本開示のいくつかの実施形態によれば、スリットは、先端溶接部の周りで半円形状になっている。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態によれば、スリットは、先端溶接部の周りでU字形になっている。
本開示のいくつかの実施形態によれば、ちり取り状部は近位端部及び遠位端部を含み、近位端部はちり取り状部形成線を含み、遠位端部はリフトタブを含む。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態によれば、リフトタブは、ちり取り状部よりも遠位に配置される。
本開示のいくつかの実施形態によれば、主面は、ディンプルを含む。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態によれば、主面は、窓を含む。
本開示のいくつかの実施形態によるロードビームを備えるサスペンションも提供される。
【0010】
複数の実施例が開示されているが、本開示の例示的な実施例を示して説明する以下の「発明を実施するための形態」から、本開示のさらに他の実施例が当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び「発明を実施するための形態」は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
【0011】
本開示の上記並びに他の利点及び特徴を得ることができる方法を説明するために、添付の図面に示された特定の例を参照することによって、上記した原理をより具体的に説明する。これらの図面は、本開示の例示的な態様のみを示しており、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。原理は、以下の図面を使用してさらに具体的かつ詳細に記載及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本開示のいくつかの実施形態による例示的なサスペンションの上面図である。
図1B】本開示のいくつかの実施形態による例示的なサスペンションの底面図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による例示的なロードビームの上面図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による例示的なロードビームの側面図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態による第2の例示的なロードビームの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書では、ロードビームについて記載する。本開示のいくつかの実施形態によるロードビームは、磁気ディスクドライブユニット用のサスペンションの一部である。ディスクドライブユニットは、回転磁気ディスク又は光ディスクを含み、このディスクには、ディスクドライブ上に記憶されたデータを構成する磁気的な1及び0のパターンが含まれている。磁気ディスク又は光ディスクは、駆動モータによって駆動される。いくつかの実施形態によるディスクドライブユニットは、ロードビーム、ベースプレート、及びジンバルを有するサスペンションを含み、ヘッドスライダが、ジンバルの遠位端部に近接してジンバルに取り付けられている。サスペンション又はロードビームの近位端部は、支持されている端部、すなわち、スエージ加工されるか又は他の方法でアクチュエータアームに取り付けられたベースプレートに最も近い端部である。サスペンション又はロードビームの遠位端部は、近位端の反対側の端部である、すなわち、遠位端部は、片持ち支持された端部である。
【0014】
ジンバルは、ベースプレートに結合されており、次いでベースプレートは、ボイスコイルモータに結合されている。ボイスコイルモータは、磁気ディスク上の正しいデータトラック上にヘッドスライダを位置決めするために、サスペンションを円弧状に移動させるように構成されている。ヘッドスライダは、ジンバル上に搭載されており、それにより回転磁気ディスク上の適切なデータトラックをたどるようにスライダがピッチ及びロールすることが可能になるため、パフォーマンスを低下させることなく、このような変動を許容する。このような変動には、典型的には、ディスクの振動、バンピングなどの慣性事象、及びディスク表面の不規則性が含まれる。
【0015】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のジンバルは、二段作動式(DSA:dual stage actuation)サスペンションの一部である。DSAサスペンションは、ベースプレート及びロードビームを含むことができる。ロードビームは、ジンバルを含む。ジンバルは、取り付けられたアクチュエータ及びジンバルアセンブリを含むことができる。アクチュエータは、読み取り/書き込みヘッドスライダを含むように構成されたDSAサスペンションのジンバル形アセンブリに直接作用するように動作可能である。
【0016】
いくつかの実施形態では、ジンバルは、アクチュエータを受け入れるように構成された少なくとも1つのアクチュエータジョイントを含んでもよい。ジンバルは、いくつかの実施形態によれば、ジンバルの両側に位置する2つのアクチュエータジョイントを含む。各アクチュエータジョイントは、アクチュエータ取り付けシェルフを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、各アクチュエータは、アクチュエータジョイント内のそれぞれの間隙に広がっている。アクチュエータは、接着剤によってスライダの舌部に固着されている。接着剤は、アクチュエータの各端部に戦略的に塗布された導電性又は非導電性エポキシを含んでもよい。アクチュエータからジンバルへの正及び負の電気的接続は、様々な技術によって行うことができる。アクチュエータは、作動されると伸縮して、サスペンションの遠位端部に取り付けられた読み取り/書き込みヘッドを移動させ、それによって取り付け端部間の間隙の長さを変化させる。
【0018】
いくつかの実施形態では、サスペンションは、単段作動サスペンション、二段作動デバイス、三段作動デバイス、又は他の構成として構成されてもよい。いくつかの実施形態では、三段作動式サスペンションは、マウントプレート領域及びジンバル上に同時にそれぞれ配置されたアクチュエータを含む。場合によると、アクチュエータの任意の変形形態が、本明細書で開示される実施例の目的のためにサスペンション上に組み込まれてもよい。言い換えれば、サスペンションは、本開示の範囲から逸脱することなく、示されたものよりも多い又は少ない構成要素を含んでもよい。しかしながら、示された構成要素は、開示される原理を実施するための例示的な実施例を開示するのに十分である。
【0019】
図1及び図2により詳細に示すように、サスペンション10は、一緒に取り付けられた複数の別個の構成要素を含む。サスペンション10は、フレクシャが取り付けられたロードビーム12を含む。ロードビーム12は、ステンレス鋼などの金属基板から形成されたほぼ平坦な構造である。ロードビーム12は、平坦で、ロードビーム12の大部分にわたって延びている主面14(例えば、ロードビーム12の上面又は底面)を含む。ロードビーム12は、サスペンション10の通常動作中に主面14の別々の部分が互いに対して動かないように、ほぼ剛体である。主面は、図2に示されるような窓38などの様々な特徴部によって中断されている。ロードビーム12はまた、他の窓を含んでもよい。窓は、ロードビーム12の基板を貫通して延びることによって、ロードビーム12の第1の側(例えば、上側)及び第2の側(例えば、下側)で開口している。窓は、組み立て中のアラインメントに使用することができ、窓は、ロードビーム12を軽量化及び/又は強化することができ、かつ/又は他の構成要素が、1つ以上の窓を通って延びることができる。
【0020】
ロードビーム12は、その近位端部に取り付け領域を含み、この取り付け領域にベースプレートが取り付けられる。取り付け領域及びベースプレートは、既知の方法でディスクドライブユニットのアクチュエータアームに取り付けられる。ロードビーム12はさらに、ロードビーム12の遠位部分における剛性領域と、剛性領域よりも近位かつ取り付け領域よりも遠位に位置するばね領域とを含む。フレクシャが、ロードビーム12の剛性領域に取り付けられ、ロードビーム12とスライダとの間に弾性接続を提供する。
【0021】
ロードビーム12のばね領域は、回転ディスクによって生成されるエアベアリングによってスライダに加えられる力に対抗する所望のグラム荷重を提供する。この目的のために、ばね領域は、正確なグラム荷重力を提供する予め形成された屈曲部又は半径を含んでもよい。グラム荷重は、ロードビーム12の剛性領域を通してフレクシャに伝達される。ディンプル9がロードビーム12の剛性領域とフレクシャとの間に延びて、グラム荷重の伝達点を提供してもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、ロードビーム12は、サイドレール22、24を含む。いくつかの実施形態では、サイドレール22、24は、高いねじれ振動数及び揺れ振動数を達成するために高い横方向剛性を有する。いくつかの実施形態では、サイドレール22、24は、ステンレス鋼で作製される。いくつかの実施形態では、サイドレール22、24は、概ね、ロードビーム12から直角に延びている。いくつかの実施形態では、ロードビーム12及びサイドレール22、24は、一体部品を構成する。いくつかの実施形態では、ロードビーム12及びサイドレール22、24は、ステンレス鋼からなる一体部品を構成する。
【0023】
いくつかの実施形態では、ロードビーム12の遠位端部は、ちり取り状部18及びリフトタブ16を含む。いくつかの実施形態では、ちり取り状部18は、近位端部26及び遠位端部28を含む。いくつかの実施形態では、リフトタブ16は、ちり取り状部18の遠位端部28に配置される。換言すれば、リフトタブ16は、ちり取り状部18よりも遠位にある。いくつかの実施形態では、近位端部26は、ちり取り状部18とロードビーム12の主面14との間にちり取り状部形成線30を画定している。
【0024】
いくつかの実施形態では、サイドレール22、24もまたちり取り状部18から延びている。いくつかの実施形態では、サイドレール22、24は、概ね、ちり取り状部18から直角に延びている。
【0025】
いくつかの実施形態では、ロードビーム12の遠位端部28は、先端溶接部20をさらに含む。いくつかの実施形態では、先端溶接部20は、平坦な主面14に配置されている。従来のロードビーム(スリットなし)におけるちり取り状部形成線は、先端溶接部よりも遠位側に配置されている。本開示のいくつかの実施形態では、ちり取り状部形成線30は、先端溶接部20を通って延びている。換言すれば、ちり取り状部形成線30は、従来のロードビーム(スリットなし)に比べてディンプル9に向かってシフトされている。いくつかの実施形態については、ちり取り状部形成線30は、従来のロードビームに比べてディンプル9に向かって0.05mm~0.5mmだけシフトされている。図2に示すように、ちり取り状部形成線30は、従来のロードビーム(スリットなし)におけるちり取り状部形成線に比べて、ディンプル9に向かって0.1mmだけシフトされている。
【0026】
いくつかの実施形態では、ロードビーム12の遠位端部は、先端溶接部20の周りに配置されたスリット32をさらに含む。いくつかの実施形態では、スリット32は、平坦な主面14に配置されている。いくつかの実施形態では、スリット32は、図2に示すように、半円形の形状である。いくつかの実施形態では、スリット32は、図4に示すように、U字形である。いくつかの実施形態では、スリット32の凸状部分(例えば、半円形状又はU字形)は、先端溶接部20よりも遠位にある。
【0027】
従来のロードビームでは、ロードビームの遠位端部に追加の先端溶接部があるために、ロードビームちり取り状部形成線がリフトタブに向かって(すなわち、先端溶接部よりも遠位側に)シフトされている。ロードビームの長さを同じに維持するためには、ちり取り状部形成角度を増加させて、目標のリフトタブオフセット高さを達成する。しかしながら、従来のロードビームでは、ちり取り状部形成角度が大きくなると、ロードビームの材料が過度に変形することにより、ロードビームレールに座屈を発生させる可能性が容易に生じ得る。
【0028】
いかなる特定の理論にも束縛されることなく、改良されたロードビーム12は、ロードビーム12のサイドレール22、24の座屈の問題を軽減する。スリット32により、ちり取り状部形成線30を、従来のロードビームに比べてディンプル9に向かってシフトさせる(すなわち、リフトタブ16から遠ざかるようにシフトさせる)ことが可能になる。また、スリット32により、従来のロードビーム(スリットなし)に比べて、ちり取り状部形成角度θを小さくすることが可能になることによって、従来のロードビームにおけるちり取り状部形成線でのサイドレールの座屈問題が軽減される。
【0029】
いくつかの実施形態では、リフトタブオフセット高さhを維持することができる一方で、従来のロードビーム(スリットなし)におけるちり取り状部形成角度θに比べて、ちり取り状部形成角度θを、2.0°~8.0°小さくすることができる。いくつかの実施形態では、従来のロードビーム(スリットなし)におけるちり取り状部形成角度θに比べて、ちり取り状部形成角度θを、4.0°~8.0°小さくすることができる。言い換えれば、図2の例示的な実施形態のちり取り状部形成角度θは、従来のロードビーム(スリットなし)のちり取り状部形成角度θよりも小さい。図3に示されるように、スリット32により、リフトタブオフセット高さhを維持することができる(この高さhは、いくつかの実施形態については、0.250mmである)一方で、ちり取り状部形成角度θを、24.7°まで小さくすることができる。いくつかの実施形態では、ちり取り状部形成角度θは、15~25°、18~25°、又は20~25°であってもよい。また、スリット32は、幅が狭くなっており、平坦な主面14に配置されているので、リフトタブ16の剛性を維持することができる。
【0030】
図4は、ロードビーム212の第2の例示的な実施形態を示す。図4に示すように、ちり取り状部形成線230は、従来のロードビーム(スリットなし)におけるちり取り状部形成線に比べて、ディンプル229に向かってシフトされている。いくつかの実施形態では、ちり取り状部形成線230は、従来のロードビーム(スリットなし)におけるちり取り状部形成線に比べて、図2の例示的な実施形態よりも大きく(すなわち、0.1mmよりも大きく)ディンプル229に向かってシフトされる。いくつかの実施形態では、ロードビーム212の遠位端部は、先端溶接部220の周りに配置されたスリット232をさらに含む。いくつかの実施形態では、スリット232は、平坦な主面214に配置されている。いくつかの実施形態では、スリット232は、図4に示すように、U字形である。いくつかの実施形態では、スリット232の凸状部分は、先端溶接部220よりも遠位にある。いくつかの実施形態では、ロードビーム212は、窓238も含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、リフトタブオフセット高さhを維持することができる一方で、従来のロードビーム(スリットなし)におけるちり取り状部形成角度θに比べて、ちり取り状部形成角度θを、2.0°~8.0°小さくすることができる。いくつかの実施形態では、従来のロードビーム(スリットなし)におけるちり取り状部形成角度θに比べて、ちり取り状部形成角度θを、4.0°~8.0°小さくすることができる。いくつかの実施形態では、従来のロードビーム(スリットなし)におけるちり取り状部形成角度θに比べて、ちり取り状部形成角度θを、図2の例示的な実施形態よりも(すなわち、4.0°を超えて)小さくすることができる。言い換えれば、図4の例示的な実施形態のちり取り状部形成角度θは、従来のロードビーム(スリットなし)におけるちり取り状部形成角度θ、並びに図2の例示的な実施形態のちり取り状部形成角度θよりも小さい(すなわち、24.7°未満)。いくつかの実施形態では、ちり取り状部形成角度θは、15~25°、18~25°、又は20~25°であってもよい。いかなる特定の理論にも束縛されることなく、改良されたロードビーム212は、ロードビーム212のサイドレール222、224の座屈の問題を軽減する。
【0032】
本明細書で説明する実施形態によるロードビームは、本明細書で説明するものを含むハードドライブサスペンションと共に使用されるように構成される。
複数の実施例が開示されるが、本開示の範囲内のさらに他の例は、例示的な実施例を示して説明する本明細書で提供される「発明を実施するための形態」から当業者には明らかとなるであろう。したがって、図面及び「発明を実施するための形態」は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。様々な実施例の特徴及び変更形態が、本明細書で論じられ、図面に示される。複数の実施例が開示されているが、本開示の例示的な実施例を示して説明する以下の「発明を実施するための形態」から、本開示のさらに他の実施例が当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び「発明を実施するための形態」は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
図1A-B】
図2
図3
図4
【国際調査報告】