(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】エアロゾル生成デバイス及びエアロゾル生成デバイスの動作状態を示す方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/20 20200101AFI20240711BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240711BHJP
【FI】
A24F40/20
A24F40/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503428
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2022070198
(87)【国際公開番号】W WO2023001822
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】モンティコネ,ピエール・パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ブーチュイギュア,レイス・スリマン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC01
4B162AC12
(57)【要約】
エアロゾル生成デバイス(10)は、デバイス(10)の外側から視認可能であり、且つ長手方向に延びる熱変色材料と、熱変色材料に対してデバイス(10)の内部にあり、及び熱変色材料と同じ長手方向に本質的に延び、且つ熱変色材料に少なくとも重なる熱伝達構造とを有し、熱伝達構造の熱抵抗は、長手方向に増加する。更に、エアロゾル生成デバイスの少なくとも1つの動作状態を、外側から視認可能な熱変色材料の色を変化させることによって示す方法であって、熱変色材料の少なくとも2つの部分は、熱変色材料に対してデバイスの内部にある熱伝達構造の熱抵抗が熱変色材料及び熱伝達構造の長手方向に増加することに起因して、逐次的に加熱される、方法が提示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成デバイス(10)であって、
前記デバイス(10)の外側から視認可能であり、且つ長手方向に延びる熱変色材料(22)、
前記熱変色材料(22)に対して前記デバイス(10)の内部にあり、及び前記熱変色材料(22)と同じ前記長手方向に本質的に延び、且つ前記熱変色材料(22)に少なくとも重なる熱伝達構造(20)
を有し、前記熱伝達構造(20)の熱抵抗は、前記長手方向に増加する、エアロゾル生成デバイス(10)。
【請求項2】
前記熱抵抗は、前記デバイス(10)のマウスピース端において最も高い、請求項1に記載のエアロゾル生成デバイス(10)。
【請求項3】
前記熱変色材料(22)は、前記デバイスの表面上に形成された少なくとも1つの凹部内に充填される、請求項1又は2に記載のエアロゾル生成デバイス(10)。
【請求項4】
前記熱変色材料(22)は、ロイコ染料ベースの塗料である、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(10)。
【請求項5】
前記熱変色材料(22)に対して前記デバイス(10)の内部にある前記熱伝達構造(20)は、温度を少なくとも約75%、好ましくは最大で約90%だけ低下させるように適合される、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(10)。
【請求項6】
前記熱変色材料(22)に対して前記デバイス(10)の内部にある前記熱伝達構造(20)は、前記デバイス(10)の長手方向においてオーブン(18)よりも短い、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(10)。
【請求項7】
前記熱伝達構造(20)は、前記長手方向において前記オーブン(18)に完全に重なる、請求項6に記載のエアロゾル生成デバイス(10)。
【請求項8】
前記熱変色材料(22)に対して前記デバイス(10)の内部にある前記熱伝達構造(20)は、電気抵抗によって加熱されるように適合される、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(10)。
【請求項9】
前記熱変色材料(22)は、前記デバイス(10)の表面の少なくとも1つの部分に設けられる、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(10)。
【請求項10】
前記熱伝達構造(20)は、少なくとも2つの異なる材料であって、その含有量が前記長手方向に沿って変化する、少なくとも2つの異なる材料で構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(10)。
【請求項11】
前記異なる材料は、少なくとも1つの段差(24)を設けられる、請求項10に記載のエアロゾル生成デバイス(10)。
【請求項12】
前記異なる材料は、前記長手方向に測定される異なる厚さを有する少なくとも2つの突起(26)を設けられる、請求項10又は11に記載のエアロゾル生成デバイス(10)。
【請求項13】
エアロゾル生成デバイスの少なくとも1つの動作状態を、前記デバイスの外側から視認可能な熱変色材料の色を変化させることによって示す方法であって、熱変色材料の少なくとも2つの部分は、前記熱変色材料に対して前記デバイスの内部にある熱伝達構造の熱抵抗が前記熱変色材料及び前記熱伝達構造の長手方向に増加することに起因して、逐次的に加熱される、方法。
【請求項14】
熱は、オーブン及び/又は電気抵抗から前記熱変色材料に伝達される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記オーブン及び/又は電気抵抗は、コントローラによって制御される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成デバイス及びエアロゾル生成デバイスの動作状態を示す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来の喫煙製品は、液体が気化されて、ユーザによって吸入され得るエアロゾル生成デバイスによって一層置き換えられている。これに関連して、ユーザによる吸入の準備ができていることに関連するエアロゾル生成デバイスの少なくとも1つの動作状態、例えば加熱状態をユーザに示すことが望ましい。
【0003】
米国特許第10849360B2号明細書は、LEDアレイを有するエアロゾル生成デバイスに関連し、LEDは、同様にアレイ内に設けられたヒータに対応して切り換えられ、且つ/又はコントローラによって制御される。更に、ヒータに対応する示温塗料を設けることができる。類似のデバイスは、韓国特許出願公開第20200000635A号明細書及び中国実用新案第210747275U号明細書から導くことが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それにもかかわらず、制御ロジックを複雑にすることなく、デバイスの単純な構造を維持しながら、説明されている情報をユーザに提供する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これは、請求項1及び13の主題によって達成される。
【0006】
したがって、エアロゾル生成デバイスは、デバイスの外側から視認可能であり、且つ長手方向に延びる熱変色材料を有し、この長手方向は、典型的には、デバイスの長手方向、換言すればデバイスの最も長い側部に対応する方向でもあり得る。更に、熱伝達構造は、熱変色材料に対してデバイスの内部に設けられ、且つ熱変色材料と同じ長手方向に本質的に延び、且つ熱変色材料に少なくとも重なる。最後に、好ましくは熱伝達材料を有する熱伝達構造の熱抵抗は、長手方向に漸進的又は段階的に増加するが、いずれの場合にも必ずしも単調な曲線に従うわけではない。
【0007】
この構造は、長手方向に延びる熱変色材料がその色を漸進的又は段階的に変化させるという効果を有する。具体的には、熱変色材料の第1の部分、一部又はセクションが最初にその色を変化させ、したがって例えば加熱が始まったことをユーザに示し得る。熱抵抗の漸進的な増加に起因して、加熱が継続され、加熱の温度が上昇し、それにより熱抵抗が部分的に増加するにもかかわらず、一層多くの熱が熱変色材料に伝達されるにつれて、熱変色材料の更なる部分、セクション又は一部は、その色を漸進的に変化させる。逐次的に加熱され、その結果として色が変化する一部は、バー又はカラムの形状を本質的に有することができるが、商標、ブランド又はロゴに類似させることもできる。
【0008】
説明された構造は、比較的堅牢、安価且つ人間工学的であり、熱変色材料の連続的な色変化に対応する連続的な加熱プロセスをユーザが実際に注視及び観察できるという事実により、加熱が完了するのを待っているユーザを楽しませることさえできる。これに関連して、本明細書で説明されるインジケータが初期的に視認不可又はほぼ視認不可であるように、熱変色材料は、元来、デバイスの外側の色に本質的に対応する色を有することができる。更に、熱変色材料は、有利には、連続的な加熱が容易に視認可能であるように、加熱されたときにデバイスの外側の色と著しく異なる色に変化するように選択され得る。更に、進行性の色変化は、熱変色材料を設けられたデバイスの同一の恒常的な部分における単純で静的な色変化と比較して、ユーザが加熱の進行を判断することがより容易になるという利点を有する。更に、本デバイスは、内部構造及び制御ロジックの両方に関して単純化することができる。
【0009】
更なる請求項において、有利な実施形態が記載される。
【0010】
現時点で好ましいように、デバイスのマウスピース端において熱抵抗が最も高い場合、これは、進行的な色変化がマウスピースに向かって移動し、それにより、ユーザが、色変化の進行方向にあるマウスピースが吸入のために使用できるようになるまで、加熱が進行しているという認識を容易に理解できるという利点を有する。
【0011】
熱変色材料、特に塗料は、デバイスの表面上に形成された少なくとも1つの凹部内に充填された場合、円滑に且つ視覚的に魅力的にデバイス内に組み込むことができる。このようにして、材料は、容易に視認可能であり、同時にデバイス表面上での中断を回避するか又は少なくとも最小限に抑えることができる。
【0012】
熱変色材料の具体的なタイプに関して、ロイコ染料ベースの塗料が現在好ましい。
【0013】
オーブンなどのヒータから熱変色材料に熱を伝達させる役割を果たす熱伝達構造の詳細に関して、これは、好ましくは、熱伝達構造の内部端に存在する温度を少なくとも約75%、好ましくは最大で約90%だけ低下させるように適合される。これは、熱を伝達する必要があるが、デバイスの外側表面が熱過ぎてはならないという事実に関連し、なぜなら、高過ぎる温度がユーザの手に加えられる危険が生じることになるためである。典型的には、約250℃のオーブンの目標温度を考慮すると、熱伝達構造の外側端部、換言すれば熱変色材料に本質的に接触して熱を熱変色材料に伝達させるその端部又は表面における温度は、最大で約45℃でなければならない。
【0014】
熱は、ある程度ヒータ構造の長手方向に伝達され得るため、ヒータ構造は、デバイスの内部のオーブン又は他のヒータよりも長手方向に短く保つことができる。このようにして構造を単純化することができ、それでもなお熱を十分に伝達させることができる。
【0015】
これは、熱伝達構造が長手方向に加熱デバイスに完全に重なる場合、特に良好に保証され得る。
【0016】
熱が加熱デバイスによって熱伝達構造に直接伝達される場合、内部構造を特に単純化することができるが、熱伝達構造は、代わりに又は加えて、電気抵抗によって加熱されるように適合され得る。これは、例えば、加熱の進行に基づいて容易に制御することができる。
【0017】
上で既に示したように、熱変色材料がデバイス表面の少なくとも1つの部分に設けられる場合、それは、特に容易であり、特に視認可能となるであろう。
【0018】
その長手方向に増加する熱伝達構造の熱抵抗に関して、これは、少なくとも2つの異なる材料であって、その含有量が長手方向に沿って変化する、少なくとも2つの異なる材料で熱伝達構造を構成することによって容易に実現され得る。異なる材料は、典型的には、異なる熱抵抗を有し、その含有量を長手方向に沿って変化させることにより、熱抵抗を適切に変動させる、具体的には考慮する方向に応じて増加又は減少させることができる。
【0019】
2つの異なる材料のこのような組合せは、異なる材料に少なくとも1つの段差が設けられる場合、特に容易に実現され得る。したがって、異なる材料が相補的に組み合わされる場合、段差に沿って測定される寸法は、熱伝達構造の全体にわたって同一のままとなるが、長手方向に沿って異なる材料の異なる含有量が存在する。
【0020】
異なる材料は、長手方向に測定される異なる厚さを有する少なくとも2つの突起を設けられ、これらの突起が互いに噛み合うように組み合わされ、それにより、長手方向に沿った熱抵抗も適切に調整され得る場合、同じ効果が本質的に達成される。
【0021】
本明細書に記載されるエアロゾル生成デバイスの少なくとも1つの動作状態を示す方法では、熱変色材料の少なくとも2つの部分は、上で詳述した構造に起因して逐次的に加熱される。本明細書に記載される方法の更なる詳細及び好ましい実施形態は、本デバイスのものに本質的に対応し、したがって本方法にも適用され得る。これは、本明細書で言及されるあらゆる方法の特徴を考慮して逆も同様である。
【0022】
以下では、本発明の例示的な実施形態を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本明細書に記載されるインジケータを有するエアロゾル生成デバイスの一連の概略図を示す。
【
図2】第1の実施形態におけるデバイスの主要部分の内部構造を示す。
【
図3】第2の実施形態におけるデバイスの主要部分の内部構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1から分かるように、エアロゾル生成デバイス10は、最も長い側部、したがって
図1において垂直に延びる長手方向を有する矩形の外観を本質的に有することができる。デバイス10の上部では、タバコスティック12を視認することができ、したがって、
図1に従う上端部は、マウスピース端に本質的に対応する。
図1Aから分かるように、図示する実施形態では、加熱が始まる前に、熱変色材料は、本質的にデバイス10の外側と同じ色を有するため、熱変色材料は、本質的に視認できない。
【0025】
しかしながら、
図1Bから分かるように、図示する実施形態では、加熱が始まるにつれて、図示する実施形態では横方向の中央且つ長手方向の中央の直上に置かれた円又は大きいドット14が現れて、加熱が始まったことを示す。
図1C~
図1Eから分かるように、ドット14が成長し、
図1Eで視認できるような一種のカラム16を形成するように、色変化がマウスピース端に向かって本質的に進行する。カラムがマウスピース端に向かって成長しなくなると直ちに、加熱が完了し、最初のパフを吸引できることがユーザに示される。
【0026】
図2は、デバイス10の内部構造のいくつかの詳細を示す。この詳細は、タバコスティック12が本質的に挿入される管状オーブン18が存在し、熱伝達構造20がその実質的な長さに沿ってオーブンに当接する限りにおいてのみ関連する。図示する実施形態では、熱伝達構造20の長さは、オーブンの長さよりも短く、本質的に熱伝達構造20の全てがオーブン18に当接する。熱伝達構造20の外側に熱変色材料22が設けられ、これは、
図1Bのドット14として且つ最終的に
図1Eのカラム16として逐次的に視認できる。
図2の実施形態では、熱伝達構造は、デバイス10の小さい方の側面の1つに向かって設けられる。
【0027】
対照的に、
図3の実施形態では、熱伝達構造20は、
図1の観察者に面する大きい方の側面の1つに向かって設けられる。これは、内部構造を示すために側面が取り外されていなければ、小さい方の側面の1つが
図3の観察者に向いているという事実から分かるのに対して、大きい方の側面の1つが
図2の観察者に面するであろうことが
図2の寸法から分かる。
【0028】
図5で更に詳細に示すように、
図3では、異なる斜線を施した2つの異なる材料が熱伝達構造を形成し、図示する実施形態では3つの段差24をそれぞれ設けられることが既に示されている。更に、2つの異なる材料は、
図3、
図4及び
図5において左から右に測定した寸法が、全ての図面において垂直方向である長手方向に沿って同じに維持されるように相補的に互いに組み合わされる。しかしながら、
図5の底部に存在する大部分の材料は、
図5の上部の方に存在する大部分の材料よりも小さい熱抵抗を有するという事実に起因して、熱抵抗は、底部でより小さく、上部に向かうにつれて漸進的に増加する。結果として、色変化は、
図1に示すように進行する。
【0029】
これは、熱伝達構造を一緒に構成する両方の材料が複数の突起26を有し、その幅が長手方向に沿って変化する、
図4に示す代替的実施形態にも当てはまる。具体的には、より低い熱抵抗を有する材料の、長手方向に測定した幅は、
図4の底部でより大きく、
図4の上部でより小さく、これは、より高い熱抵抗を有する他の材料について厳密に反対であり、それにより、総熱抵抗は、
図4の上部に向かって増加する。具体的には、2つの材料は、噛み合いを組み合わせたものであり、換言すれば、各突起は、他の材料の2つの突起間のスペース内に収容され、それにより、
図3及び
図5の実施形態の場合におけるような、所望の熱抵抗勾配を有する本質的に中実の熱伝達構造が実現される。この結果、
図1に示す色変化の同じ進行又は垂直方向への動きが得られることになる。換言すれば、図面の上部に向かうにつれて熱抵抗が増加することに起因して、上部に向かうにつれて色が変化し、所望の視覚効果が実現される。
【国際調査報告】