(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】タンパク質発現のためのmRNA、及びそのためのテンプレート
(51)【国際特許分類】
C12N 15/63 20060101AFI20240711BHJP
C12N 15/31 20060101ALI20240711BHJP
C12N 15/33 20060101ALI20240711BHJP
C12N 15/30 20060101ALI20240711BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20240711BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20240711BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20240711BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240711BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20240711BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240711BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C12N15/63 Z ZNA
C12N15/31
C12N15/33
C12N15/30
C12N15/88 Z
A61K31/7105
A61K39/00 H
A61P37/04
A61K9/127
A61K47/44
A61K9/51
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503485
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 KR2022010285
(87)【国際公開番号】W WO2023008793
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0098684
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0062306
(32)【優先日】2022-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519038714
【氏名又は名称】エスケー バイオサイエンス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン、チン ファン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ヨン チュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、フン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミン チ
(72)【発明者】
【氏名】イ、チョン ミン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076AA61
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC06
4C076EE51
4C085AA03
4C085BA99
4C085CC08
4C085DD62
4C085EE01
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4C085GG03
4C085GG04
4C086AA01
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4C086AA03
4C086AA04
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB09
(57)【要約】
本出願は、タンパク質発現のためのmRNA、及びそのためのテンプレートに係り、一実施例による遺伝子コンストラクトを含むmRNA転写ベクター、該mRNA転写ベクターを利用し、試験管内転写を行う段階を含むmRNA分子を製造する方法、該方法によって製造されたmRNA分子、及び該mRNA分子を有効成分として含む免疫原性組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RNA重合酵素(RNA polymerase)によって認識されるプローモーター領域、及び前記プローモーター領域と作動自在に連結された遺伝子コンストラクトを含むmRNA転写ベクターであり、
前記遺伝子コンストラクトは、
配列番号1、またはそれと90%以上の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってなる5’非翻訳部位(5’-UTR:5’-untranslated region領域と、
前記5’-UTR領域に作動自在に連結された、標的抗原をコーディングするヌクレオチド配列を含むオープンリーディングフレーム(ORF:open reading frame)領域と、
前記オープンリーディングフレーム領域に作動自在に連結された、配列番号2、またはそれと90%以上の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってなる単位体配列が2回繰り返される3’非翻訳部位(3’-UTR:3’-untranslated region)領域と、を含む、mRNA転写ベクター。
【請求項2】
前記プローモーター領域は、T7 RNA重合酵素、T3 RNA重合酵素、SP6 RNA重合酵素またはミトコンドリア重合酵素(POLRMT)のうちいずれか1つのRNA重合酵素によって認識される、請求項1に記載のmRNA転写ベクター。
【請求項3】
前記オープンリーディングフレーム領域は、病原体に由来する抗原をコーディングするヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のmRNA転写ベクター。
【請求項4】
前記病原体は、ウイルス、バクテリア、プリオン、菌類、原生動物、ウイロイド及び寄生動物によってなる群のうちから選択される、請求項3に記載のmRNA転写ベクター。
【請求項5】
前記3’-UTR領域は、前記単位体配列が直接連結されるか、あるいはリンカ配列によって連結されているヌクレオチド配列によってなる、請求項1に記載のmRNA転写ベクター。
【請求項6】
前記遺伝子コンストラクトは、前記5’-UTRに作動自在に連結された、5’キャップ(5’ cap)に転写されるヌクレオチド配列を追加して含む、請求項1に記載のmRNA転写ベクター。
【請求項7】
前記遺伝子コンストラクトは、前記3’-UTR領域に作動自在に連結された、ポリAテールに転写されるヌクレオチド配列を追加して含む、請求項1に記載のmRNA転写ベクター。
【請求項8】
前記ポリAテールは、20個ないし200個のアデニンによってなる、請求項7に記載のmRNA転写ベクター。
【請求項9】
前記mRNA転写ベクターは、プラスミドである、請求項1に記載のmRNA転写ベクター。
【請求項10】
前記mRNA転写ベクターは、線形化されたものである、請求項1に記載のmRNA転写ベクター。
【請求項11】
前記mRNA転写ベクターは、配列番号4または配列番号15のヌクレオチド配列によってなるプローモーター領域及び遺伝子コンストラクトを含み、
前記遺伝子コンストラクトは、
配列番号1のヌクレオチド配列によってなる5’-UTR領域と、
前記5’-UTR領域に作動自在に連結された、ORF領域と、
配列番号3のヌクレオチド配列によってなる3’-UTR領域と、を含む、請求項1に記載のmRNA転写ベクター。
【請求項12】
請求項1に記載のmRNA転写ベクターをテンプレートにし、試験管内転写(in vitro transcription)を行う段階を含む、mRNA分子を製造する方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法によって製造された、mRNA分子。
【請求項14】
請求項13に記載のmRNA分子、及び薬学的に許容可能な賦形剤を有効成分として含む、免疫原性組成物。
【請求項15】
前記mRNA分子は、少なくとも1以上の脂質成分と複合体を形成し、リポソーム、脂質ナノ粒子及び/またはリポプレックスを形成する、請求項14に記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
前記免疫原性組成物は、筋肉または皮下に投与される、請求項14に記載の免疫原性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質発現のためのmRNA、及びそのためのテンプレートに関する。
【0002】
本特許出願は、2021年07月27日に大韓民国特許庁に提出された大韓民国特許出願第10-2021-0098684号、及び2022年05月20日に大韓民国特許庁に提出された大韓民国特許出願第10-2022-0062306号に対して優先権を主張し、前述の特許出願の開示事項は、本明細書に参照として挿入される。
【背景技術】
【0003】
核酸基盤の治療、及びワクチン開発技術は、細胞レベルを超えて対象個体に適用されたとき、十分ではない転写、翻訳の効率を有することになり、治療剤として十分ではない効果を示し、それは、核酸基盤治療剤開発の限界として指摘されてきた。従って、感染性疾病の治療のための抗原性タンパク質に対する細胞内/外における発現能力を高めることは、人工的な核酸分子を利用した医薬品の開発において、必須な要件のうち一つである。また、核酸基盤の治療及びワクチン開発分野において、mRNA基盤の治療剤についても、安定性と翻訳効率とが高いmRNA配列を確保することが必須条件としてクローズアップされている。
【0004】
なお、mRNAワクチンは、mRNAによってコーディングされたタンパク質を抗原(antigen)にし、癌、感染性疾患、自己免疫疾患のような予防及び治療に使用される医薬品を称する。前記mRNAワクチンは、DNAワクチンと比較し、安定して量産が容易であるという長所があり、今後の抗癌ワクチン、及びパンデミック状況における感染性疾患ワクチンプラットフォームとにおいて、広く活用が期待されている。前記mRNAワクチンは、自然なmRNA構造を模倣して作製された人工的なRNA分子を有効成分として含み、前記RNA分子を利用し、個体の免疫系統を強化することを主要目標にする。現在、モドナのmRNA-1273、ビオンテック/ファイザのBNT162b2などは、緊急使用承認手続きを介して常用化されたが、そのようなmRNAワクチンは、RNA分子の不安定性により、細胞質への伝達のための技術的要素が必須に必要であるという点、細胞質にRNA分子が伝達された後、過多な先天性免疫反応によるRNA分子の損傷、または翻訳効率低下を最小化させなければならないという点において、前記mRNAワクチン技術分野に対する多角的な研究が要求される。特に、根本的に、naked mRNAが有しているToll様受容体アゴニスト(TLR agonist:toll-like receptor agonist)のようなアジュバント(adjuvant)の刺激を誘導する免疫活性化性質は、反対に、mRNAの転写信号伝逹体系を妨害するために、薬学的活性を示すほど、十分な量のmRNA抗原が発現されることを阻害すると知られている。そのような問題点を解決するために、免疫原性(immunogenicity)が除去されたり弱化されたりするmodified mRNAを利用し、ワクチンを製造しようとする試みが活発に進行中である。しかしながら、その場合には、mRNAの低い免疫原性のために、それも、効果的な体液性免疫反応及び/または細胞性免疫反応を誘導するのに限界があるという実情である。
【0005】
そのような技術的背景下において、医薬的に使用されるmRNA分子の効用性を向上させるための開発の一環として、mRNA分子の発現を向上させるか、あるいはその免疫原性を増進させるための多角的な研究が進められているが(韓国公開特許10-2022-0017377)、まだ不備であるという実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一態様は、RNA重合酵素(RNApolymerase)によって認識されるプローモーター領域、及び目的mRNA抗原の発現を向上させることができる遺伝子コンストラクトを含むmRNA転写ベクターを提供するものである。
【0007】
他の態様は、mRNA転写ベクターをテンプレートとして利用するmRNA分子を製造する方法、及び前記方法によって製造されたmRNA分子を提供するものである。
【0008】
さらに他の態様は、前記mRNA分子、及び薬学的に許容可能な賦形剤を有効成分として含む免疫原性組成物を提供するものである。
【0009】
本出願の他の目的及び利点は、添付された特許請求の範囲、及び図面と共に、下記の詳細な説明によってさらに明確になるであろう。本明細書に記載されていない内容は、本出願の技術分野、または類似した技術分野における熟練された者であるならば、十分に認識して類推することができるものであるので、その説明を省略する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様は、RNA重合酵素(RNApolymerase)によって認識されるプローモーター領域、及び前記プローモーター領域と作動自在に連結された、遺伝子コンストラクトを含むmRNA転写ベクターであり、
【0011】
前記遺伝子コンストラクトは、配列番号1、またはそれと90%以上の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってなる5’非翻訳部位(5’-UTR:5’-untranslated region領域;前記5’-UTR領域に作動自在に連結された、標的抗原をコーディングするヌクレオチド配列を含むオープンリーディングフレーム(ORF:open reading frame)領域;及び前記オープンリーディングフレーム領域に作動自在に連結された、配列番号2、またはそれと90%以上の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってなる単位体配列が2回繰り返される3’非翻訳部位(3’-UTR:3’-untranslated region)領域を含むmRNA転写ベクターを提供する。
【0012】
本明細書において用語「ヌクレオチド配列」は、複数のヌクレオチド単位体を含む高分子物質であり、具体的には、該複数のヌクレオチド単位体が、糖/ホスフェート基本骨格のホスホジエステル結合によって互いに連結されているポリマーを称し、用語「ポリヌクレオチド」、「核酸」、「核酸分子」と相互交換的に使用されうる。前記ポリヌクレオチドは、生命体に必須な生体高分子であり、固有の塩基配列を介して遺伝的情報をコーディングするRNAまたはDNAでもある。前記ポリヌクレオチドは、単離されるか(isolated)、人為的に合成されるか(artificially synthesized)、あるいは非天然発生または操作(non-naturally occurring or engineered)されたものであり、前述の「非天然発生または操作」は、自然状態で起こる存在そのままの状態ではなく、人為的な変形を加えて生成された状態を意味する。ここで、前述の人為的な変形は、自然なmRNA、具体的には、成熟mRNAの構造を模倣し、細胞において、標的抗原の発現を向上させるためのものでもある。
【0013】
本明細書において用語「mRNA(messenger RNA)」は、DNAテンプレートから転写され、DNAの遺伝情報を、細胞質内のリポソームに伝達するRNAを称する。真核有機体における転写(transcription)過程は、細胞の核内で進められ、未成熟RNA(premature RNA)を加工する過程を含む。具体的には、そのような過程を、転写後変形(post-transcriptional modification)と呼ばれ、スプライシング(splicing)、5’キャッピング(capping)、ポリアデニレーション(polyadenylation)、核またはミトコンドリアからの流出(export)のような過程を含む。そのような過程が進められた結果、特定のペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列に翻訳されうるヌクレオチド配列を含む成熟mRNA(mature mRNA)を生成する。一般的に、前記成熟mRNAは、選択的に、5’キャップ、5’-UTR、オープンリーディングフレーム、3’-UTR、及びポリAテールを含むものでもある。前記mRNAは、さまざまな公知の方法のうち、任意のものによって合成されるが、例えば、前記mRNAは、試験管内転写(IVT)を介して合成されうる。
【0014】
本明細書において用語「ベクター」は、適切な宿主細胞において、標的抗原を発現することができるベクターであり、遺伝子挿入物が発現されるように、作動自在に連結された調節要素を含む遺伝子作製物を称する。一実施例によるベクターは、プローモーター、オペレーター、開始コドン、終結コドン、ポリアデニル化シグナル及び/またはエンハンサーのような発現調節要素を含むものでもあり、該ベクターのプローモーターは、構成的または誘導性でもある。また、前記ベクターは、宿主細胞内において、安定して標的抗原を発現させることができる発現用ベクターでもある。前記発現用ベクターは、当業界において、植物、動物または微生物において、外来のタンパク質を発現するところに使用される通常のものを使用することができ、前記ベクターは、当業界に公知された多様な方法を介して構築されうる。前記ベクターにおいて、前述の遺伝子コンストラクト配列は、プローモーターに作動自在に連結されてもいる。用語「作動自在に連結された(operatively linked)」は、1つの機能が他のものによって影響を受けるように、単一核酸断片上において、ヌクレオチド配列が連結されたものを示しうる。一具体例において、前記ベクターは、宿主細胞において、標的抗原としてmRNA分子を発現することができるベクターでもあり、すなわち、mRNA転写ベクターを称するものでもある。前記mRNA転写ベクターは、DNA形態の遺伝子作製物として構成され、mRNA製造のためのテンプレートDNAを称するものでもある。そのために、前記mRNA転写ベクターは、RNA重合酵素によって認識されるプローモーターを含み、それを媒介にする転写(transcription)過程を介してmRNA分子を生成することができる。
【0015】
一具体例において、前記mRNA転写ベクターは、プラスミド形態でもあり、また、前記mRNA転写ベクターは、線形化されたベクター、具体的には、線形化されたプラスミドでもある。前記線形化されたプラスミドは、制限酵素が、認識部位においてプラスミドDNAを切断し、プラスミド構造を破壊する適する条件下において、該プラスミドDNAを制限酵素と接触させることによって得られる。前記線形化されたプラスミドは、遊離5’末端及び遊離3’末端を含み、それは、後続段階である試験管内転写過程を遂行するためのものでもある。また、前記プラスミドにおいて、プラスミドの種類、制限酵素認識部位のような要素は、当業界の公知の技術が非制限的に適用されうる。
【0016】
本明細書において用語「RNA重合酵素(RNA polymerase)」は、DNAから、一次転写体(primary transcript)RNAを合成する酵素を称する。前記RNA重合酵素としては、例えば、T7 RNA重合酵素、T3 RNA重合酵素、SP6 RNA重合酵素またはミトコンドリア重合酵素(POLRMT)でもある。前述の用語「RNA重合酵素によって認識されるプローモーター領域」は、前述の転写過程を介し、RNA重合酵素によって認識されるプローモーターmRNAを生成することができるテンプレートとして作用するDNA配列領域を称しうる。
【0017】
一具体例において、前記プローモーター領域は、細胞質において作用するRNA重合酵素によって認識されるものでもあり、例えば、T7 RNA重合酵素によって認識されるものであり、配列番号4または配列番号15のヌクレオチド配列、または前記ヌクレオチド配列と、少なくとも90%以上の配列同一性を有する配列によってなるものでもある。
【0018】
本明細書において用語「同一性」は、ポリマー分子間、例えば、核酸(例えば、DNA分子及び/またはRNA分子)間及び/またはポリペプチド間の全体関連性を称する。例えば、該ポリペプチドは、それらのアミノ酸配列が、少なくとも、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%同一であれば、互いに「実質的に同一である」と見なされる。2つの核酸配列またはポリペプチド配列の同一性パーセントの計算は、例えば、最適の比較目的のために、2つの配列を整列させることによって遂行されうる(例えば、最適整列のために、第1配列及び第2配列のうち一つまたは二つともにギャップが導入され、比較目的のために、非同一配列が無視されうる)。例えば、比較目的のために整列された配列の長さは、参照配列の長さの、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または実質的に100%である。続けて、相応する位置における核酸配列またはポリペプチド配列が比較される。2つの配列間の同一性パーセントの決定、及び配列の比較は、数学的アルゴリズムを利用して達成されうる。当業者に広く公知されているように、アミノ酸配列または核酸配列は、ヌクレオチド配列の場合、BLASTN、及びアミノ酸配列の場合、BLASTP、gapped BLAST及びPSIBLASTのように、商業的コンピュータプログラムにおいて入手可能なものを含む任意の多様なアルゴリズムを利用して比較されうる。
【0019】
本明細書において、ヌクレオチド配列の位置と係わり、取り立てての言及がなければ、5’末端から3’末端の方向に連結されるか、あるいは位置することを示す。
【0020】
また、前記遺伝子コンストラクトは、mRNA分子またはmRNA抗原の発現を向上させるための技術的要素であり、5’非翻訳部位領域、標的抗原をコーディングするヌクレオチド配列を含むオープンリーディングフレーム領域、及び3’非翻訳部位領域を含むものでもある。
【0021】
本明細書において用語「オープンリーディングフレーム(open reading frame)」は、一般的に、ペプチドまたはタンパク質に翻訳されうるさまざまなヌクレオチドトリプレット(triplets)の配列でもあり、用語「タンパク質コーディング領域」と相互交換的に使用されうる。前記オープンリーディングフレームは、その5’末端から始まる後続領域(subsequent region)に、望ましくは、開始コドン、すなわち、アミノ酸メチオニンをコーディングする3個のヌクレオチド配列の組み合わせ(ATGまたはAUG)を含み、3’末端方向の領域に、望ましくは、翻訳の終結を指示する停止コドン(例えば、TAA、TAG、TGA、またはUAA、UAG、UGA)を含むものでもある。用語「オープンリーディングフレーム領域」は、前述の転写過程を介し、オープンリーディングフレームmRNA、すなわち、目的mRNA抗原を生成することができるテンプレートとして作用するDNA配列領域を称しうる。
【0022】
本明細書において用語「5’非翻訳部位(5’-untranslated region)」は、前記オープンリーディングフレームの5’末端に位置する領域、具体的には、開始コドンから上流にあるmRNA領域を称する。前記用語「5’非翻訳部位領域」は、前述の転写過程を介し、5’非翻訳部位mRNAを生成することができるテンプレートとして作用するDNA配列領域を称しうる。
【0023】
本明細書において用語「3’非翻訳部位(3’-UTR:3’-untranslated region)」は、前記オープンリーディングフレームの3’末端に位置する領域、具体的には、停止コドンから下流にあるmRNA領域を称する。前記用語「3’非翻訳部位領域」は、前述の転写過程を介し、3’非翻訳部位mRNAを生成することができるテンプレートとして作用するDNA配列領域を称しうる。
【0024】
一具体例において、前記オープンリーディングフレーム領域は、病原体に由来する抗原をコーディングするヌクレオチド配列を含むものでもある。ここで、ウイルス(virus)、バクテリア(bacterium)、プリオン(prion)、菌類(fungus)、原生動物(protozoon)、ウイロイド(viroid)及び寄生動物(parasite)によってなる群のうちから選択されうるが、それらに制限されるものではない。例えば、前記オープンリーディングフレーム領域は、ウイルス表面タンパク質、その機能的ドメインをコーディングするヌクレオチド配列でもあるが、ヒトを含む哺乳類に感染され、病理学的症状を引き起こすことができるmRNA抗原であるならば、非制限的に拡張適用可能である。
【0025】
一具体例において、前記5’非翻訳部位領域は、ヒトヘモグロビンサブユニットα2(HBA2)に由来する配列を変形したものであり、配列番号1のヌクレオチド配列、または前記ヌクレオチド配列と、少なくとも90%以上の配列同一性を有する配列によってなるものでもある。
【0026】
一具体例において、前記3’非翻訳部位領域は、ヒトヘモグロビンサブユニットベータ(HBA2)に由来する配列を変形したものであり、配列番号2のヌクレオチド配列、または前記ヌクレオチド配列と、少なくとも90%以上の配列同一性を有する配列によってなる単位体配列が2回繰り返されるものでもある。ここで、前記3’非翻訳部位領域は、前記単位体配列が直接連結されるか、あるいはリンカー配列によって連結されているヌクレオチド配列によってなるものでもある。また、前記3’非翻訳部位領域は、配列番号3のヌクレオチド配列、または前記ヌクレオチド配列と、少なくとも90%以上の配列同一性を有する配列によってなるものでもある。
【0027】
また、前記遺伝子コンストラクトは、前記5’-UTRに作動自在に連結された、5’キャップ(5’ cap)に転写されるヌクレオチド配列、及び/または前記3’-UTR領域に作動自在に連結された、ポリAテールに転写されるヌクレオチド配列を追加して含むものでもある。
【0028】
本明細書において用語「5’キャップ(5’ cap)」は、ポリヌクレオチドの安定性及び発現効率に影響を及ぼす5’末端領域に位置する構造物であり、一般的には、変形されたヌクレオチド、特に、グアニンヌクレオチドの誘導体によって形成されうる。前記5’キャップは、m7G(5’)ppp(5’)(2’OMeA)pG、m7Gppp、Gppp、m7(3’OMeG)(5’)ppp(5’)(2’OMeA)pG、m7(3’OMeG)(5’)ppp(5’)(2’OMeG)pG、G(5’)ppp(5’)G、m7G(5’)ppp(5’)G、3′-O-Me-m7G(5’)ppp(5’)G、m7G(5’)ppp(5’)(2’OMeA)pGまたはm7G(5’)ppp(5’)(2’OMeA)pUのうちいずれか一つでもあるが、前述のところと同一機能性を有する公知の5’キャップが非制限的に適用されうる。
【0029】
本明細書において用語「ポリAテール(poly A tail)」は、RNA exo-nucleaseの分解過程を遅延させ、ポリヌクレオチドの安定性と生体内半減期とを延長させ、発現効率に影響を及ぼす3’末端領域に位置する構造物であり、一般的には、複数個のアデニンヌクレオチド配列によって形成されうる。一実施例において、前記ポリAテールは、20個ないし200個のアデニンによってなるものであり、例えば、20個ないし190個、20個ないし170個、20個ないし150個、20個ないし130個、20個ないし110個、20個ないし90個、20個ないし70個、20個ないし50個、20個ないし30個、30個ないし190個、30個ないし170個、30個ないし150個、30個ないし130個、30個ないし110個、30個ないし90個、30個ないし70個、または30個ないし50個の繰り返し的なアデニンヌクレオチド配列でもある。また、前記ポリAテールは、リンカーによって連結された複数の単位体によって構成されうる。
【0030】
一具体例において、前記mRNA転写ベクターは、配列番号4または配列番号15のヌクレオチド配列によってなるプローモーター領域及び遺伝子コンストラクトを含み、前記遺伝子コンストラクトは、配列番号1のヌクレオチド配列によってなる5’-UTR領域、前記5’-UTR領域に作動自在に連結されたORF領域、及び配列番号3のヌクレオチド配列によってなる3’-UTR領域を含むプラスミドでもある。
【0031】
一実施例によれば、特定5’-UTR領域及び特定3’-UTR領域の組み合わせを有する遺伝子コンストラクトを含む一実施例によるmRNA転写ベクターは、既存のベクターに比べ、高い効率でルシフェラーゼmRNAを発現させることができた。また、目的mRNA抗原として、コロナウイルススパイクタンパク質を採択して製造された一実施例によるmRNA分子は、ワクチン製剤形態で動物モデルに投与される場合、高いレベルの免疫反応を誘導し、多様な形態の変形を含むmRNA抗原においても、やはり有効な免疫原性(immunogenicity)を示したが、前記mRNA転写ベクターは、mRNA分子の製造、及び前記mRNA分子を含む治療剤またはワクチンの分野などで活用されうる。
【0032】
他の態様は、前記mRNA転写ベクターをテンプレートにし、試験管内転写(in vitro transcription)を遂行する段階を含むmRNA分子を製造する方法、及び前記方法によって製造されたmRNA分子を提供する。
【0033】
下記mRNA分子を製造する方法、及び前記方法によって製造されたmRNA分子に言及された用語または要素のうち、前記mRNA転写ベクターに係わる説明で言及されたようなところは、前述の通りである。
【0034】
本明細書において用語「試験管内転写(in vitro transcription)」は、目的mRNA分子が、無細胞システム(試験管内)で合成される過程であり、望ましくは、転写ベクターを構成するDNAが、mRNA転写体生成のためのテンプレートとして使用され、RNA重合酵素は、試験管内転写過程を制御するのに使用されうる。一般的に、試験管内RNA転写において、RNAのためのDNAテンプレートは、試験管内転写されるそれぞれのRNAに相応する特定cDNAのクローニング、及びそれをRNA試験管内転写のための適するベクターを導入することによって得られる。
【0035】
一具体例において、前記試験管内転写を行う段階は、前述の特定5’-UTR領域及び3’-UTR領域の組み合わせを有する遺伝子コンストラクトを含む一実施例によるmRNA転写ベクターを使用するものでもあり、それ以外の遂行条件、またはORF領域の構成は、目的により、適宜変更して実施されうる。
【0036】
さらに他の態様は、前記mRNA分子、及び薬学的に許容可能な賦形剤を有効成分として含む免疫原性組成物、免疫原性組成物を製造するための前記mRNA転写ベクター、あるいは前記転写ベクターによって製造されたmRNA分子の医薬的用途、または前記免疫原性組成物を個体に投与する段階を含む免疫反応を刺激する方法を提供する。
【0037】
下記免疫原性組成物に言及された用語または要素のうち、前記mRNA転写ベクター、mRNA分子を製造する方法、及び前記方法によって製造されたmRNA分子に係わる説明において言及されたようなところは、前述の通りである。
【0038】
本明細書において用語「免疫原性組成物」は、特定病原体または疾患につき、対象体から、特定程度の免疫性を誘導するのに効果的な活性成分、またはその有効量を含む物質を称し、用語である「ワクチン」、「ワクチン製剤」、「ワクチン組成物」と相互交換的に使用されうる。また、前記免疫原性組成物は、疾患または病原体による感染と関連する症状の重症度、持続時間、または他の徴候の低下を誘導する薬剤学的組成物でもある。従って、前記免疫原性組成物は、薬剤学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、緩衝剤、塩、界面活性剤、低温保護物質などを選択的に含むものでもある。
【0039】
本明細書において用語「免疫原性」は、特定病原体につき、免疫反応を誘発させる組成物の能力を意味し、前記免疫反応は、細胞毒性T-細胞及びサイトカイン生成T-細胞によって主に媒介される細胞免疫反応、またはヘルパーT細胞によって主に媒介された後、B細胞を活性化させ、抗体を生成させる体液免疫反応でもある。
【0040】
本明細書において用語「薬学的に許容可能な賦形剤」は、mRNA分子と結合/混合される場合、mRNA分子の活性を維持し、対象の免疫システムと反応しない任意の物質を含むものでもある。一例として、リン酸塩緩衝食塩水のようなバッファーシステム、界面活性剤、水、オイル/水エマルジョンのようなエマルジョン、及び多様な形態の湿潤剤、澱粉、牛乳、糖、特定形態のクレイ、ゼラチン、ステアリン酸またはその塩、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、タルク、植物性油脂、ガム、グリコール、あるいは他の公知された賦形剤のような任意の標準薬学賦形剤を含むが、それらに制限されるものではない。
【0041】
前記免疫原性組成物は、当業界に知られた任意の形態、例えば、液剤及び注射剤の形態でもあるが、それらに制限されるものではない。該液剤または該注射剤の場合、必要時、10~40%のプロピレングリコールなどを含むものでもある。前述の液剤または注射剤には、当業界に知られた任意の希釈剤または緩衝剤が含まれるものでもある。また、前記免疫原性組成物は、有効成分を含む製剤を、バイアルのような容器に保存し、使用前、注射剤に、必要な担体またはアズバント、食塩水などを付加することにより、使用直前に調製されもする。
【0042】
一具体例において、前記mRNA分子は、少なくとも1以上の脂質成分と複合体を形成し、リポソーム(liposomes)、脂質ナノ粒子(lipid nanoparticles)及び/またはリポプレックス(lipoplexes)を形成するものでもある。
【0043】
一具体例において、前記脂質ナノ粒子は、イオン化可能な陽イオン性脂質(ionizable cationic lipid)を一構成成分として含み、mRNAをカプセル化させたり、伝達効率、安定化に一助となるヘルパー脂質(helper lipid)、安定化剤(stabilizer)のようなその他成分も含むものでもある。
【0044】
一具体例において、脂質ナノ粒子は、陽イオン性脂質と中性脂質(例えば、リン脂質)、ステロールまたはステロイド(例えば、コレステロール)、PEG接合された脂質などを含むものでもある。そのとき、前記陽イオン性脂質の具体例としては、ALC-0315([(4-hydroxybutyl)azanediyl]di(hexane-6,1-diyl)bis(2-hexyldecanoate))、SM-102(9-Heptadecanyl 8-{(2-hydroxyethyl)[6-oxo-6-(undecyloxy)hexyl]amino}octanoate)、N,N-dioleyl-N,N-dimethyIammonium chloride(DODAC)、N-(l-(2,3-dioleyloxy)propyl)-N,N,N-trimethylammonium chloride(DOTMA)、N-(l-(2,3-dioleoyloxy)propyl)-N,N,N- trimethylammonium chloride (DOTAP)、N,N-dimethyl-(2,3-dioleyloxy)propylamine(DODMA)、N,N-distearyl-N,N-dimethylammonium bromide(DDAB)、1,2-dilinoleyloxy-N,N-dimethylaminopropane(DLinDMA)、1,2-dilinolenyloxy-N,Ndimethylaminopropane(DLenDMA)、DLin-KC2-DMA、(6Z,9Z,28Z,31Z)-Heptatriaconta-6,9,28,31-tetraen-19-yl 4-(dimethylamino)butanoate(DLinMC3-DMA,CAS 1224606-06-7)、((4-hydroxybutyl)azanediyl)bis(hexane-6,1-diyl)bis(2-hexyldecanoate)などを使用することができるが、特別にそれらに制限されるものではない。
【0045】
一具体例において、前記脂質ナノ粒子は、前述の種類のような陽イオン性脂質(全体脂質の35ないし60mol%範囲)、リン脂質(全体脂質の5ないし15mol%範囲)、コレステロール(全体脂質の30ないし50mol%範囲)、DMG-PEG2000のようなPEG接合脂質(全体脂質の0.5ないし2.5mol%範囲)を含むものでもあるが、特別にそれらに制限されるものではない。
【0046】
一具体例において、前記脂質ナノ粒子は、当業界の公知の成分を適用することができ、陽イオン性脂質、ヘルパー脂質、及びPEG接合された脂質を含むものでもある。ここで、該陽イオン性脂質は、例えば、ALC-0315及び/またはSM-102であり、ヘルパー脂質(helper lipid)は、DSPC(distearoylphosphatidylcholine)及び/またはコレステロール(Chol:cholesterol)であり、かつPEG接合脂質は、ALC-0159及び/またはPEG-DMG(PEG-dimyristoyl glycerol)でもあるが、例えば、ALC-0315:DSPC:Chol:ALC-0159(47.5mol%:10mol%:40.8mol%:1.7mol%)によってなる粒子でもあるが、それに制限されるものではない。
【0047】
一具体例において、前記脂質ナノ粒子の脂質として、WO2014/172045A1、WO2020/252589A1、WO2021/000041A1に開示された脂質化合物を特別な制限なしに使用することができ、PNI123/DSPC/コレステロール/PEG-DMG(50mol%:10mol%:38.5mol%または37.5mol%:1.5mol%または2.5mol%)、PNI123/DOPE/コレステロール/PEG-DMGを使用することができるが、それもまた、それに制限されるものではない。
【0048】
本明細書において用語「個体」は、疾病の治療または予防を必要とする対象を意味し、さらに具体的には、ヒトまたは非ヒトである霊長類、マウス(mouse)、犬、猫、馬及び牛のような哺乳類を意味する。
【発明の効果】
【0049】
一態様によるmRNA転写ベクター、及び前記転写ベクターを利用したmRNA分子を製造する方法によれば、特定遺伝子コンストラクトを含むことにより、高い効率に目的とするmRNA分子を発現させることができる。また、前記方法によって製造されたmRNA分子は、動物モデルにおいて、高いレベルの免疫反応を誘導させ、多様な感染症の治療または予防に適用されうるということを確認した。
【0050】
従って、一態様によるmRNA分子関連技術は、mRNA分子の製造、及び前記mRNA分子を含む治療剤分野またはワクチン分野などに活用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】一実施例によるmRNA転写ベクターの構造を簡略に示した図である。
【
図2】一実施例によるmRNA転写ベクターと、細胞内抗原発現レベルを比較するために作製されたmRNA転写ベクターの構造を簡略に示した図であり、Aは、pSKBS・ルシフェラーゼを示したものであり、BはpMod・ルシフェラーゼを示したものであり、CはpBNT・ルシフェラーゼを示したものである。
【
図3】一実施例によるmRNA転写ベクターを使用して製造されたルシフェラーゼmRNA分子を、HEK293細胞に形質感染させた後、それによるルシフェラーゼの活性を確認した結果である。
【
図4】一実施例によるコロナウイルス内スパイクmRNA分子を含む免疫原性組成物をマウスに投与した後、前記組成物によって誘導されたマウスの血清内IgGの抗体価を確認した結果である。
【
図5】一実施例によるコロナウイルス内全長スパイクmRNA分子(spike)またはRBD mRNA分子(RBD)を含む免疫原性組成物をマウスに投与した後、前記組成物によって誘導されたマウスの血清内IgGの抗体価を比較した結果である。
【
図6】一実施例による、ポリAテール配列が変形されたスパイクmRNA分子を含む免疫原性組成物をマウスに投与した後、前記組成物によって誘導されたマウスの血清内IgGの抗体価を比較した結果である。
【
図7】一実施例による、スパイクmRNA分子内ウリジン配列が変形されたmRNA分子を含む免疫原性組成物をマウスに投与した後、前記組成物によって誘導されたマウスの血清内IgGの抗体価を比較した結果である。
【
図8】一実施例による、それぞれのワクチン製剤が投与された動物モデル(G1ないしG5)を対象に、外部抗原刺激による、CD103
+,CD62L
high,CD44
high,CD4
+T細胞の比率変化を確認した結果である。
【
図9】一実施例による、それぞれのワクチン製剤が投与された動物モデル(G1ないしG5)を対象に、外部抗原刺激による、KI-67
+,CD62L
high,CD44
high,CD4
+T細胞の比率変化を確認した結果である。
【
図10】一実施例による、それぞれのワクチン製剤が投与された動物モデル(G1ないしG5)を対象に、外部抗原刺激による、KI-67
+,CD62L
high,CD44
high,CD8
+T細胞の比率変化を確認した結果である。
【
図11】一実施例による、それぞれのワクチン製剤が投与された動物モデル(G1ないしG5)を対象に、外部抗原刺激による、KI-67
+,CD62L
low,CD44
high,CD8
+T細胞の比率変化を確認した結果である。
【
図12】一実施例による、それぞれのワクチン製剤が投与された動物モデル(G1ないしG5)を対象に、オミクロンスパイクタンパク質抗原に対する免疫原性を、経時的に評価した結果であり、Aは、オミクロンRBD IgG1の抗体価レベルを確認した結果であり、Bは、オミクロンRBD IgG2aの抗体価レベルを確認した結果である。
【
図13】一実施例による、それぞれのワクチン製剤が投与された動物モデル(G1ないしG5)を対象に、武漢スパイクタンパク質抗原に対する免疫原性を経時的に評価した結果であり、Aは、武漢RBD IgG1の抗体価レベルを確認した結果であり、Bは、武漢RBD IgG2aの抗体価レベルを確認した結果であり、Cは、武漢S IgG1の抗体価レベルを確認した結果であり、Dは、武漢S IgG2aの抗体価レベルを確認した結果である。
【
図14】一実施例による、それぞれのワクチン製剤が投与された動物モデル(G1ないしG5)を対象に、シュードウイルス(pseudovirus)に対する中和能を評価した結果であり、VSV pseudotyped virus(REVACC SCIENTIFIC)で感染されたベロ(Vero)細胞株に対するserum dilution factor(VNT
50)を確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明の理解の一助とするために、望ましい実施例を提示する。しかしながら、下記の実施例は、本発明をさらに容易に理解するために提供されるものであるのみ、下記実施例により、本発明の内容が限定されるものではない。
【0053】
実施例1.mRNA抗原発現システムの作製、及び標的抗原の発現レベル比較
本実施例においては、一実施例によるmRNA抗原発現システムを使用し、細胞内標的抗原の発現レベルを向上させることができるか否かということを確認しようとした。そのために、標的抗原として、ルシフェラーゼ(luciferase)mRNAを使用し、一実施例によるmRNA転写ベクターを作製し、それを介して作製されたmRNA分子を、HEK293細胞に形質感染させた後、それらの発現レベルを定量的に比較した。
【0054】
1-1.mRNA転写ベクターの作製
図1に図示されているように、5’末端側から3’末端側にで、プローモーター領域配列、5’-UTR領域配列、ORF領域配列、3’-UTR領域配列及びポリA-テール領域配列が、順次に作動自在に連結された構造を基本骨格にし、mRNA転写ベクターを製造した。本実施例においては、pUC19プラスミドを使用し、KpnIとBamHIとの認識部位間(GGTACC~GGATCC)に、T7プローモーター及び5’-UTR領域配列(配列番号6)を挿入した後、前記プラスミドのXbaIとHindIIIとの認識部位間(TCTAGA~AAGCTT)に、3’-UTR及びA30LA70(配列番号7)を挿入し、pSKBSプラスミド(配列番号8)を作製した。その後、標的抗原であるルシフェラーゼ(luciferase)mRNAを発現させるために、前記プラスミドのBamHIとXbaIとの認識部位(GGATCC~TCTAGA)に、ルシフェラーゼ遺伝子(配列番号9)を挿入し、pSKBS・ルシフェラーゼプラスミド(配列番号10)を作製した。なお、前記pSKBS・ルシフェラーゼプラスミド内主要機能的構造物の遺伝的情報は、下記表1に示されている通りである。
【0055】
【0056】
また、一実施例によるpSKBS・ルシフェラーゼプラスミドとmRNA抗原との発現効率を比較するために、モドナ社の5’-UTR及び3’-UTRを含むpMod・ルシフェラーゼプラスミド(比較例1)、バイオエンテック社の5’-UTR及び3’-UTRを含むpBNT・ルシフェラーゼプラスミド(比較例2)をそれぞれ作製した(2004, NAR, A simple, rapid, high-fidelity and cost effective PCR based two step DNA synthesis method for long gene sequence)。具体的には、pMod・ルシフェラーゼプラスミドは、pUC19プラスミドを使用し、KpnIとBamHIとの認識部位(GGTACC~GGATCC)に、T7プローモーター及びモドナ社の5’-UTR領域配列(配列番号11)を挿入した後、前記プラスミドのXbaIとSacIIとの認識部位(TCTAGA~CCGCGG)に、モドナ社の3’-UTR領域配列(配列番号12)を挿入し、前記プラスミドのBamHIとXbaIとの認識部位(GGATCC~TCTAGA)に、ルシフェラーゼ遺伝子を挿入して作製した。また、pBNT・ルシフェラーゼプラスミドも、前記pMod・ルシフェラーゼプラスミド作製に使用された認識部位を採用し、同一方式により、バイオエンテック社の5’-UTR領域配列(配列番号13)及び3’-UTR領域配列(配列番号14)を挿入した。本実施例において作製されたmRNA転写ベクターの構造を
図2に示した。
【0057】
1-2.細胞内標的抗原の発現レベル評価
前記実施例1-1で製造されたプラスミドで形質転換された大腸菌を培養し、そこからプラスミドを分離させた後、EcoRV制限酵素を利用し、前記プラスミドを線形化させた。前記線形化されたプラスミドを、PCIエタノール沈澱法を利用して回収した後、それを、mRNA製造のための試験管内転写(IVT:in vitro transcription)反応に使用した。そのために、表2に記載された条件により、線形化されたプラスミドDNAテンプレートなどを混合した後、37℃で2時間反応させた。その後、前述の反応を終了させた後、そこに、2KU/mL濃度のDNase1を添加し、37℃で15分間反応させ、線形化されたプラスミドを除去した。その後、形質感染に適するmRNA分子を準備するために、MEGAclear(商標) Transcription Clean-Up Kit(Thermo Fisher)を利用し、合成されたmRNAを精製した。その後、HEK293細胞株に、前記精製されたmRNAを、Lipofectamine(商標) MessengerMAX(Thermo Fisher)を利用して形質感染させた。前記形質感染を行った時点から24時間経過後、ONE-Glo(商標) Luciferase Assay System(Promega)を介し、HEK293細胞株に発現されたルシフェラーゼの活性を測定し、前記測定された活性度を介し、ルシフェラーゼの相対的発現量を評価した。なお、対照群としては、形質感染を行っていない群(mock)を使用した。
【0058】
【0059】
図3は、一実施例によるmRNA転写ベクターを使用して製造されたルシフェラーゼmRNA分子を、HEK293細胞に形質感染させた後、それによるルシフェラーゼの活性を確認した結果である。前述の
図3に示されているように、一実施例によるmRNA転写ベクターを使用して製造されたルシフェラーゼmRNA分子は、宿主細胞に形質感染されるとき、高いレベルのルシフェラーゼ活性を示し、それを介し、目的mRNA抗原によるすぐれた細胞内発現効率を確認した。
【0060】
実施例2.mRNA抗原発現システムを利用した免疫原性組成物の効能評価
本実施例においては、一実施例によるmRNA抗原発現システムを使用し、動物モデルにおいて、有効な免疫反応を誘導することができるか否かということを確認しようとしたのである。そのために、標的抗原として、コロナスパイクmRNAを使用し、一実施例によるmRNA転写ベクターを作製し、それを介して作製されたmRNA分子を、脂質mRNA-LNP(mRNA-lipid nanoparticle)ワクチン製剤に剤形化させた後、それを動物モデルに投与し、それによる免疫原性、具体的には、抗体価形成レベルを評価した。
【0061】
2-1.mRNA転写ベクター及び目的mRNA分子の製造
mRNA転写ベクターは、前記実施例1-1と類似した方式で製造した。具体的には、本実施例においては、pUC19プラスミド、及び転写開始配列+1がAであり、転写開始配列+2がGであるT7プローモーター(配列番号15)を使用し、KpnIとBamHIとの認識部位間(GGTACC~GGATCC)に、前記プローモーター及び5’-UTR領域配列(配列番号16)を挿入した後、前記プラスミドのXbaIとHindIIIとの認識部位間(TCTAGA~AAGCTT)に、3’-UTR及びA20(配列番号17)を挿入し、pSKBS-AGプラスミド(配列番号18)を作製した。その後、前記プラスミドのBamHIとXbaIとの認識部位間(GGATCC~TCTAGA)に、SARS-CoV2β変異ウイルスのスパイク遺伝子(配列番号19)を挿入し、pSKBS-spike(SA)-AGプラスミド(配列番号20)を作製した。
【0062】
前述の作製されたpSKBS-spike(SA)-AGプラスミドを利用し、mRNAを作製した。さらに具体的には、前述の製造されたプラスミドによって形質転換された大腸菌を培養し、そこからプラスミドを分離した後、EcoRV制限酵素を利用し、前記プラスミドを線形化させた。前記線形化されたプラスミドを、PCIエタノール沈澱法を利用して回収した後、それをmRNA製造のための試験管内転写反応に使用した。そのために、表3に記載された条件により、線形化されたプラスミドDNAテンプレートなどを混合した後、37℃で2時間反応させた。その後、前述の反応を終了させた後、そこに2KU/mL濃度のDNase1を添加し、37℃で15分間反応させ、線形化されたプラスミドを除去した。その後、mRNAの3’末端にポリAテールを追加するために、Poly(A) Polymerase Tailing Kit(Lucigen)を利用し、表4の条件で物質を混合した後、37℃で1時間反応させた。その後、CIMmultus(登録商標)Oligo dT(Sartorius)カラムを使用し、合成されたmRNAをAKTA FPLC(GE Healthcare)で精製した。
【0063】
【0064】
【0065】
2-2.mRNA-LNPワクチン製剤の製造
前記実施例2-1の精製されたmRNA分子/原液を、脂質混合液(lipid mixture)に剤形化させ、脂質成分内mRNAが封入されたmRNA-LNP(lipid nanoparticle)を製造した。具体的には、前記mRNA原液を、formulation bufferでもって0.17mg/mLに希釈し、GenVoy-ILM(PRECISION NANOSYSTEMS)を、エタノールで1/2希釈した後、それらそれぞれをシリンジに充填した。その後、Ignite(商標)装備に、微細管カートリッジを装着させた後、前記mRNA希釈液が込められたシリンジと、前記GenVoy-ILM希釈液が込められたシリンジとを装着させ、3:1の体積比で反応させ、N/P比=4の条件で剤形化工程を遂行した。その後、剤形化工程が遂行された反応液を回収し、それに対し、Centrifugal ultrafiltration unit(MWCO 50kDa)を利用し、20倍以上体積のPBSでもって、バッファ交換(buffer exchange)を実施し、その濃縮を進めた。その後、mRNA-LNP原液を4℃に保管し、mRNA含量、及びカプセル化の比率の測定後、それを動物実験に使用した。
【0066】
2-3.免疫原性評価
前記実施例2-2で製造された5μgまたは25μgのmRNA-LNPが含まれた原液100μlが含まれた0.1mLの注射剤を、動物モデル(マウス、BALB/c、メス)に、0週目、2週目または3週目の間隔で、2回にわたって筋肉投与(IM)した。また、投与前及び投与後に動物モデルから採血された検体から血清を分離させた後、それを試料として使用し、ワクチン製剤によって生成されたIgGの抗体価を、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)で測定した。具体的には、96ウェルプレートの表面を、1μg/mLの抗原でコーティングした後、それを、2~8℃で18±2時間インキュベーションした。前記インキュベーションされたプレートを洗浄した後、室温で1時間、BSA溶液でブロッキングした。その後、前記プレートを洗浄した後、連続希釈を介して準備された血清希釈液をプレートに分注した。二次抗体であるGoat Anti-Mouse IgG-Alkaline phosphatase conjugatesを希釈してプレートに添加した後、室温で2時間反応させた。その後、前記プレートを洗浄し、そこに、1mg/mL p-ニトロフェニルあみん(nitrophenylamine)バッファを添加した後、室温でさらに2時間反応させた。その後、各ウェルに、3MNaOHを添加して反応を停止させた後、405nmと690nmとの吸光度を測定し、IgG抗体価のOD(optical density)値を算出した。
【0067】
図4は、一実施例によるコロナウイルス内スパイクmRNA分子を含むワクチン製剤をマウスに投与した後、前記製剤によって誘導されたマウスの血清内IgGの抗体価を確認した結果である。前述の図に示されているように、一実施例によるmRNA-LNPワクチン製剤を投与することにより、有効なレベルのIgG抗体価が形成されることを確認し、それは繰り返し投与により、その効能が強化されるということを知ることができた。
【0068】
2-4.多様な形態の変形を含むワクチン製剤による免疫原性評価
前述の実施例2-1ないし2-3と同一方式で、1)コロナウイルス内全長スパイクmRNA分子(spike)またはRBD mRNA分子(RBD)を含むワクチン製剤、2)ポリAテール配列が変形されたスパイクmRNA分子を含むワクチン製剤、3)スパイクmRNA分子内ウリジン配列が変形されたmRNA分子を含むワクチン製剤に対する免疫原性を評価した。具体的には、本実施例においてポリAテールは、それぞれ124nt長のポリAテール(A124、SA)、30nt長のポリAと、70nt長のポリAとがGCAUAUGACUリンカで連結されたポリAテール(A30LA70、SAL)を使用し、ウリジン配列の変形としては、ウリジンの代わりに、シュードウリジン(pseudouridine、Ψ)を適用した。
【0069】
図5ないし
図7は、一実施例によるコロナウイルス内全長スパイクmRNA分子(spike)またはRBD mRNA分子(RBD)を含むワクチン製剤、ポリAテール配列が変形されたスパイクmRNA分子を含むワクチン製剤、スパイクmRNA分子内ウリジン配列が変形されたmRNA分子を含むワクチン製剤をマウスに投与した後、前記組成物によって誘導されたマウスの血清内IgGの抗体価を比較した結果である。
図5ないし
図7に示されているように、多様な形態の変形を含むワクチン製剤においても、いずれも有効なレベルのIgG抗体価が形成されることを確認した。
【0070】
実施例3.動物モデルを利用した免疫反応誘導効能評価
本実施例においては、一実施例によるmRNA抗原発現システムを使用し、動物モデルにおいて、特定外部抗原に対する作用として、有効な免疫反応を誘導することができるか否かということを確認しようとしたのである。そのために、免疫反応に関与する細胞レベルの変化を評価し、コロナウイルス由来抗原の特性に起因する交差反応性を確認した。なお、mRNA転写ベクターは、前記実施例2-1のpSKBS-AGプラスミド(配列番号18)に対し、前記プラスミドのBamHIとXbaIとの認識部位間(GGATCC~TCTAGA)に、SARS-CoV2オミクロンスパイク・2P prefusion型遺伝子(配列番号21)、SARS-CoV2オミクロンスパイク・6Pprefusion型遺伝子(配列番号22)、またはSARS-CoV2武漢スパイク・2P prefusion型遺伝子(配列番号23)を導入して作製し、本実施例3において、ウリジン配列の変形としては、ウリジンの代わりに、N1-メチルシュードウリジン(N1-methyl pseudouridine、m1Ψ)を適用した。それを介して製造されたmRNAを剤形化させ、10μgのmRNA-LNPが含まれた原液100μlが含まれた0.1mLの注射剤を動物モデル(マウス、BALB/c、メス)にそれぞれ筋肉投与した。
【0071】
なお、本実施例においては、投与される製剤に含まれた有効物質の種類を基準に、下記表5に示されているように、総5個の群に分類して実験を行った。
【0072】
【0073】
その後、前記動物実験群に対し、外部抗原による刺激の種類により、別途の刺激を加えていない群(non)、SARS-CoV2抗原混合物(SARS-CoV-2(S1)、scanning(3629-1)、mebtech.com)で刺激を加えた群(peptide pool)、SARS-CoV2武漢スパイク抗原で刺激を加えた群(RBD武漢)、SARS-CoV2オミクロンスパイク抗原で刺激を加えた群(RBDオミクロン)にさらに分類し、それぞれの抗原による免疫反応誘導効能を評価した。
【0074】
3-1.細胞媒介免疫分析(T細胞分析)
前述の製造されたmRNA-LNP原液を、動物モデル(マウス、BALB/c、メス)に筋肉投与(IM)した。具体的には、0週目、2週目の2週間隔で2回投与し、二次免疫1週後に剖検を介して脾臓を摘出し、摘出された脾臓から赤血球を除去し、脾臓細胞を得た。前述の得られた脾臓細胞において、抗原に反応する細胞株を分析するために、武漢,オミクロン変異のSARS-CoV2 RBDタンパク質、またはSARS-CoV2 CD8 epitope prediction peptide pool(Sinobiological)で処理し、刺激(stimulation)させた後、KI-67 dye及びCD62L,CD44,、CD8抗体で標識した。前述のように準備された脾臓細胞において、FACS(fluorescence-activated cell sorting)を介し、抗原に反応するCD4 T細胞及びCD8 T細胞を分析し、その結果を
図8ないし
図11に示した。
【0075】
図8及び
図9は、一実施例による、それぞれのワクチン製剤が投与された動物モデル(G1ないしG5)を対象に、外部抗原刺激によるCD103
+,CD62L
high,CD44
high,CD4
+T細胞、及びKI-67
+,CD62L
high,CD44
high,CD4
+T細胞の比率変化を確認した結果であり、
図10及び
図11は、一実施例による、それぞれのワクチン製剤が投与された動物モデル(G1ないしG5)を対象に、外部抗原刺激によるKI-67
+,CD62L
high,CD44
high,CD8
+T細胞、及びKI-67
+,CD62L
low,CD44
high,CD8
+T細胞の比率変化を確認した結果である。
【0076】
前述の
図8及び
図9に示されているように、外部抗原、すなわち、SARS-CoV2抗原混合物、SARS-CoV2武漢またはSARS-CoV2オミクロンのスパイク抗原に対する免疫反応として、常駐記憶CD4 T細胞(CD4 memory resident T cell)及び増殖記憶CD4 T細胞(CD4 memory proliferation T cell)の比率が上昇することを確認した。また、
図10及び
図11に示されているように、外部抗原に対する免疫反応として、増殖記憶CD8 T細胞(CD8memory resident T cel)及びエフェクタ増殖CD8 T細胞(CD8 effector proliferation T cell)の比率が上昇することを確認した。
【0077】
3-2.体液性免疫分析(ELISA分析)
前述の製造されたmRNA-LNP原液を、動物モデル(マウス、BALB/c、メス)に筋肉投与(IM)した。0週目、2週目の2株間隔で2回投与し、投与前及び投与後の2週目、4週目に採血された検体から血清を分離させた。その後、前述の分離された血清を試料として使用して、ワクチン製剤によって生成されたIgGの抗体価を、前記実施例2-3と同一方式で、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)を介して測定した。その後、各ストレイン(strain)のRBDタンパク質及びspikeタンパク質を抗原にコーティングし、それに係わるIg抗体価を測定し、その結果を
図12及び
図13に示した。
【0078】
図12は、一実施例による、それぞれのワクチン製剤が投与された動物モデル(G1ないしG5)を対象に、オミクロンスパイクタンパク質抗原に対する免疫原性を、経時的に評価した結果であり、
図13は、一実施例による、それぞれのワクチン製剤が投与された動物モデル(G1ないしG5)を対象に、武漢スパイクタンパク質抗原に対する免疫原性を、経時的に評価結果である。
【0079】
図12及び
図13に示されているように、一実施例によって製造されたワクチン製剤は、前述の抗体価形成レベルに照らして見るとき、全ての時点にわたり、SARS-CoV2オミクロンスパイクmRNAワクチン製剤を投与したG1群及びG2群は、武漢スパイクタンパク質抗原に対して交差反応性を示し、SARS-CoV2武漢スパイクmRNAワクチン製剤を投与したG5群も、オミクロンスパイクタンパク質抗原に対して交差反応性を示すということを確認した。
【0080】
3-3.体液性免疫分析(PBNA:pseudovirion-based neutralization assay)
前述の製造されたmRNA-LNP原液を、動物モデル(マウス、BALB/c、メス)に筋肉投与(IM)した。0週目、2週目の2週間隔で2回投与し、投与後2週目に、採血された検体から血清を分離させた。その後、前述の分離された血清を試料として使用し、中和抗体分析(PBNA)を進めた。SARS-CoV2武漢(D614G)、オミクロン変異のspikeタンパク質を有し、ルシフェラーゼ(luciferase)遺伝子を含むVSV pseudotyped virus(REVACC SCIENTIFIC)を適切に希釈した。その後、それらを、前述のシリアル希釈(serial dilution)された血清試料と混合させ、ベロ(Vero)細胞株で処理し、24時間感染させた後、ルシフェラーゼの活性を測定し、その結果を
図14に示した。
【0081】
図14は、培養細胞につき、50%感染時、serum dilution factor(VNT
50、50%中和価(neutralization titers))を示したグラフであり、ワクチン製剤を接種したグループ(G1、G2及びG5)で生成された抗体が、互いに異なる変異のスパイクタンパク質を発現するシュードウイルス(pseudovirus)に対し、中和能があることを確認した。
【0082】
前述の本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者であるならば、本発明の技術的思想や、必須な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態に容易に変形が可能であるということを理解することができるであろう。従って、以上で記述された実施例は、全ての面において、例示的なものであり、限定的ではないと理解されなければならない。
【配列表】
【国際調査報告】