(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】NTCセンサ及びNTCセンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01C 7/04 20060101AFI20240711BHJP
H01C 7/18 20060101ALI20240711BHJP
H01C 17/28 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H01C7/04
H01C7/18
H01C17/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503508
(86)(22)【出願日】2022-07-04
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2022068430
(87)【国際公開番号】W WO2023001532
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102021118569.6
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】イーレ, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツ フンダー, エリザベート
(72)【発明者】
【氏名】ファイル, ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ホヤス, ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィチャンドラン, スブラマニアン
(72)【発明者】
【氏名】チャバン, ダナンジャイ
【テーマコード(参考)】
5E032
5E034
【Fターム(参考)】
5E032BA23
5E032BB10
5E032CA11
5E032CC11
5E032CC16
5E032DA02
5E034BA09
5E034BB01
5E034DA02
5E034DA07
5E034DB05
5E034DC02
5E034DC04
5E034DE12
(57)【要約】
本発明は、チップ(1)と、それぞれ接点(5,6,7)を備える2本の平行なワイヤ(2)と、前記チップ(1)とそれぞれの前記ワイヤ(2)の前記接点(5,6,7)との間の接触部と、を含み、前記ワイヤ(2)の延在方向に対して垂直な各方向における前記NTCセンサの最大の横方向の寸法は、前記チップ(1)と前記ワイヤ(2)の横方向の寸法の和と同じか又はこれより小さい、NTCセンサ(100)に関する。本発明は、更に、NTCセンサ(100)の製造方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ(1)と、それぞれ接点(5,6,7)を備える2本の平行なワイヤ(2)と、前記チップ(1)とそれぞれの前記ワイヤ(2)の前記接点(5,6,7)との間の接触部と、を含むNTCセンサ(100)であって、前記ワイヤ(2)の延在方向に対して垂直な各方向における前記NTCセンサの最大の横方向の寸法は、前記チップ(1)と前記ワイヤ(2)の横方向の寸法の和と同じか又はこれより小さい、NTCセンサ(100)。
【請求項2】
前記NTCセンサ(100)の前記最大の横方向の寸法は、同じ方向における前記チップ(1)の横方向の寸法より大きくない、請求項1に記載のNTCセンサ(100)。
【請求項3】
前記ワイヤ(2)の延在方向に対して垂直な各方向における前記チップ(1)の横方向の寸法は、同じ方向における前記2本のワイヤ(2)の合計寸法より大きくない、請求項1又は2に記載のNTCセンサ(100)。
【請求項4】
前記チップ(1)は、0.6mmの最大の横方向の拡がりを有する、請求項1に記載のNTCセンサ(100)。
【請求項5】
前記チップ(1)は、内部電極を有するセラミック製の多層部品である、請求項1に記載のNTCセンサ(100)。
【請求項6】
前記チップ(1)は、モノリシックなNTCサーミスタセラミックを含む、請求項1に記載のNTCセンサ(100)。
【請求項7】
前記2本のワイヤ(2)は、直接的に互いに隣接している、請求項1に記載のNTCセンサ(100)。
【請求項8】
前記ワイヤ(2)の端面は接点(5,6)として機能し、前記接点(5,6)上に前記チップ(1)が取り付けられている、請求項1に記載のNTCセンサ(100)。
【請求項9】
前記ワイヤ(2)の前記接点(6)はL字形に形成されており、前記チップ(1)はL字形の前記接点(6)上に取り付けられている、請求項1に記載のNTCセンサ(100)。
【請求項10】
前記接点(7)は、前記ワイヤ(2)の絶縁シース(4)からの露出によって形成されている、請求項1に記載のNTCセンサ(100)。
【請求項11】
前記接触部は、少量のはんだによって形成されている、請求項1に記載のNTCセンサ(100)。
【請求項12】
前記接触部は、導電性接着剤によって形成されている、請求項1に記載のNTCセンサ(100)。
【請求項13】
前記チップ(1)及び前記接触部を含む前記NTCセンサ(100)のセンサヘッドは、ポリマー材料(8)によって被覆されている、請求項1に記載のNTCセンサ(100)。
【請求項14】
前記ワイヤ(2)の延在方向に対して垂直な各方向における、被覆する前記ポリマー材料(8)を含む前記センサヘッドの前記横方向の寸法は、同じ方向における前記2本のワイヤ(2)の前記合計寸法の2倍より大きくない、請求項13に記載のNTCセンサ(100)。
【請求項15】
以下のステップを含む、NTCセンサ(100)の製造方法。
接点(5,6,7)を有する2本のワイヤ(2)を準備するステップ、
NTCサーミスタセラミックを含むチップ(1)を準備するステップ、
前記ワイヤ(2)の延在方向に対して垂直な各方向における前記NTCセンサ(100)の最大の横方向の寸法が、前記チップ(1)及び前記ワイヤ(2)の横方向の寸法の和より小さいように、前記ワイヤの前記接点(5,6,7)に前記チップ(1)を配置するステップ、及び、
はんだ付け又は導電性接着剤の塗布により、前記チップ(1)と前記ワイヤ(2)との間の機械的な接合及び電気的な接触を形成するステップ
【請求項16】
前記はんだ付けのために必要な熱は、電圧を印加した際の前記NTCサーミスタセラミックの自己発熱によって供給される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記導電性接着剤は、電圧を印加した際の前記NTCサーミスタセラミックの自己発熱によって硬化される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記導電性接着剤は、紫外光の照射によって硬化される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ワイヤ(2)は平行に配置されており、絶縁シースからの前記ワイヤ(2)の露出により、前記ワイヤ(2)に沿って複数の接点(7)が形成されており、前記接点(7)上にはそれぞれ1つのチップ(1)が取り付けられており、前記ワイヤ(2)は、続いて、複数のNTCセンサ(100)が得られるよう、個々のチップ(1)の間で細断される、請求項15~18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NTCセンサ及びNTCセンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックコーティングを有する従来利用可能なNTCサーミスタ温度センサは、従来の組み立て及びコーティング技術によって製造される。
【0003】
NTCサーミスタセラミックの電気抵抗は、温度が変わると変化する。特に、NTCサーミスタの抵抗は、温度の上昇と共に減少する。この場合、NTCは、負の温度係数を表す。NTCサーミスタは、ホットワイヤとも呼ばれる。
【0004】
NTCサーミスタセラミックは、接続ワイヤを介して回路に組み込まれる。そのようにして、回路内の抵抗の変化を通じて間接的にNTCサーミスタの温度が測定され得る。NTCサーミスタの温度は、通常、周囲温度に依存するので、そのようにして、周囲温度も測定され得る。プラスチックハウジングは、サーミスタを環境の影響から保護することができるが、周囲温度の測定を可能にするためには、良好な熱伝導性を有するべきである。
【0005】
NTCサーミスタ素子の例は、特許文献1から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005017816号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、既知のNTCセンサ及びNTCセンサの製造方法を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
定義された課題は、少なくとも部分的に、本発明によるNTCセンサによって解決され得る。
【0009】
NTCセンサは、チップと、それぞれが接点を有する2本の平行なワイヤと、チップとワイヤの各々の接点との間の接触部と、を含む。
【0010】
この場合、ワイヤの延在方向に対して垂直な各方向におけるNTCセンサの最大の横方向の寸法は、チップ及びワイヤの横方向の寸法の和と等しいか又はこれより小さい。
【0011】
延在方向と呼ばれるのは、ワイヤが延びる方向である。ワイヤは、互いに平行に、好ましくは直線状に配置されている。
【0012】
ワイヤは、絶縁シースを備え得る。ワイヤは、直接的に互いに隣接し又は隔てられ得る。それは、2本の単一のワイヤ、又は、2本のワイヤの絶縁シースが直接的に接合された二重ワイヤであり得る。
【0013】
ワイヤは接点を有し、そこでは導電性のワイヤは絶縁シースを備えない。これは、例えば、ワイヤ端部、又は、絶縁シースが狙いを定めて除去されたワイヤの側方の部位であり得る。
【0014】
チップは、ワイヤの接点に配置されている。チップは、当該チップの最大の寸法が、ワイヤの延在方向に対して垂直に配向されるように、配置され得る。この配置は、2つの接点が2つの平行に延びるワイヤ上で互いに隣接して形成されることにより、達成される。
【0015】
チップとワイヤとの間には、機械的な接合及び電気的な接触の両方が形成されている。
【0016】
好ましくは、チップは、ワイヤに接続された電気的な接触のための外部電極を備える。チップとワイヤとの間の接合又は接触は、はんだ付け又は導電性接着剤の塗布によって確立される。
【0017】
上述したように、各方向におけるNTCセンサの最大の横方向の寸法は、チップ及びワイヤの横方向の寸法の和と等しいか又はこれより小さい。
【0018】
横方向寸法と呼ばれるのは、2つの平行に延びるワイヤの延在方向に対して垂直な方向におけるNTCセンサの各寸法である。
【0019】
はんだ又は接着剤のような少量の接触材料との狙いを定めた接触、及び、ワイヤへのチップの有利な配置により、NTCチップの外形寸法は、上述したように縮小され得る。これは、とりわけ、NTCセンサが、小さな寸法を有する挿入チャネルを通じて、小さな寸法を有するアセンブリ内へ、容易に挿入され得るという利点を有する。
【0020】
この場合、挿入チャネルと呼ばれるのは、特に、アセンブリの外側と、センサが設置されるべきアセンブリ内の部位との間の、露出している経路である。したがって、挿入チャネルの露出している断面の寸法は、非常に小さく選択され得る。アセンブリ全体は、可能な限り小さく具現され得るが、これにより、スペース及びコストが削減される。
【0021】
一実施形態によれば、NTCセンサの最大の横方向の寸法は、同じ方向におけるチップの横方向の寸法より大きくないか、又は僅かに大きいだけである。
【0022】
これは、ワイヤへのチップの有利な配置によって達成され得る。更に、これは、はんだ又は接着剤のような少量の接触材料との有利な接触によって達成され得る。
【0023】
チップは、この実施形態では、NTCセンサが挿入チャネルを通じてアセンブリ内におけるその設置状況に挿入される際、制限構成要素である。チップが可能な限り小さな寸法で具現される場合、NTCセンサのサイズも最小化され得る。
【0024】
一実施形態において、ワイヤの延在方向に対して垂直な各方向におけるチップの横方向の寸法は、同じ方向における2本のワイヤの寸法より大きくない。
【0025】
例えば、2本のワイヤが互いに隣接する方向において、チップの寸法は、ワイヤの直径の和より大きくない。好ましくは、ワイヤは、横方向におけるNTCセンサの寸法がチップの寸法より大きくないよう、互いに直接的に隣接している。
【0026】
これに対して垂直な、ワイヤが互いに隣接していない方向において、チップの横方向の寸法は、ワイヤのうちの1つの直径より大きくない。
【0027】
ワイヤは、好ましくは、全ての実施形態において、両方とも同じ直径を有する。
【0028】
一実施形態において、ワイヤの延在方向に対して垂直な各方向におけるチップの横方向の寸法は、同じ方向における2本のワイヤの寸法より小さい。
【0029】
ワイヤの直径は、それぞれ、存在し得る絶縁シースを含めて測定される。
【0030】
チップの最大寸法は、2本のワイヤの直径の和より大きくない。したがって、ワイヤが適用されたチップを含むセンサヘッドは、好ましくは、ワイヤの残りの部分の寸法とほとんど異ならない寸法を有する。センサヘッドは、通常、最も広い寸法を有するセンサの部分である。したがって、非常に小さなセンサヘッドを有する上述したセンサは、チャネルを通じてワイヤが挿入され得る、例えばバッテリのような非常に小さなアセンブリにも、問題なく組み込まれ得る。
【0031】
一実施形態では、チップは、0.6mmの最大の拡がりを有する。
【0032】
周囲のシースを有するワイヤの典型的な寸法は、0.3mmである。したがって、互いに直接的に隣接する2本のワイヤ又は二重ワイヤは、0.6mmの幅を有する。ワイヤのヘッド端部に0.6mmの最大の拡がりを有するチップが取り付けられ、チップが適切に配向される場合、それにより、チップが横方向においてワイヤを越えて突出しないことが保証される。したがって、センサヘッドは、ワイヤと比較して、ほとんど大きくないか又は僅かに大きいだけの寸法を有する。
【0033】
より小さな又はより大きな直径を有するワイヤの場合、チップは、相応してより小さな又はより大きな寸法を有し得るが、チップとワイヤとの間の寸法比は維持されるべきである。
【0034】
チップは、好ましくは、直方体形状に具現されている。チップの最大の拡がりは、0.6mmである。最大の拡がり方向に対して垂直な横方向におけるチップの拡がりは、最大で0.3mmである。チップが、それぞれ0.3mmの直径を有する2つの隣接するワイヤのヘッド端部に適切な配向で取り付けられる場合、チップは、それにより、横方向においてワイヤを越えて突出しない。
【0035】
チップとワイヤとの間の接触面に対して垂直な第3の方向に沿った、すなわちワイヤの延在方向に沿ったチップの拡がりは、可変であり得るが、好ましくは0.33mmの最大の拡がりを有する。
【0036】
一実施形態では、チップは、内部電極を有するセラミック製の多層部品である。
【0037】
多層部品は、その間に金属製の内部電極が設けられた、複数のNTCサーミスタセラミック層から成る。このような多層部品の電気抵抗は、非常に正確に定義され得る。例えば、1%未満の抵抗許容差が達成され得る。
【0038】
NTC材料の抵抗は、温度に依存する。より高い温度では、抵抗は低下する(ホットワイヤ)。温度に依存する抵抗の挙動は、抵抗-温度特性によって表される。抵抗許容差は、ノミナル温度に対して、1%の値を超えないように設定され得る。
【0039】
説明される実施形態では、内部電極は、チップの表面上の外部電極によって、電気的に接触され得る。外部電極は、好ましくは、チップの対向する2つの側面に取り付けられている。外部電極は、キャップ状に構成され、チップの異なる側面を覆い得る。好ましくは、多層部品内で積層された内部電極は、それぞれ、対向して配置された2つの外部電極と交互に接続されている。
【0040】
外部電極は、例えば銀から成るメタライゼーション層を含み、当該メタライゼーション層は、例えば、後続のベーキングを伴う浸漬プロセスを介して塗布される。加えて、Ni-Sn(ニッケル-すず)層が電気的に塗布され得る。Ni-Sn層は、好ましくは、銀から成るメタライゼーション層の外側に塗布される。
【0041】
更なる実施形態によれば、チップは、モノリシックなNTCサーミスタセラミックを含む。したがって、チップ内のセラミックは、貫通モノリスとして成形され得る。セラミックの内部には、内部電極のような更なる構成要素はない。このようなチップは、非常に容易に提供され得る。チップの接触のために、2つの対向する表面上に外部電極が存在する。
【0042】
一実施形態では、2本のワイヤが平行に配置され、好ましくは、互いに隣接して直線状に延びる。
【0043】
被覆されたワイヤの場合、ワイヤの絶縁シースは、直接的に互いに隣接し得る。
【0044】
互いに隣接するワイヤは、電子アセンブリ内に組み込まれる場合、隔てて配置されたワイヤよりも必要とするスペースが小さい。前述した寸法を有するチップは、互いに隣接する2本のワイヤを介して容易に接触され得る。
【0045】
好ましい実施形態では、それは、2本の単一のワイヤではなく、2本のワイヤのシースが強固に接合された二重ワイヤである。このような二重ワイヤは、単一のワイヤと比較して、生産プロセスにおいて取り扱いが容易である。
【0046】
一実施形態では、ワイヤの端面は、チップが取り付けられる接点として機能する。
【0047】
ワイヤの端面は、ワイヤの尖っていない端部として具現され得る。尖っていない端部は、例えば、ワイヤがその長手方向に対して横方向に細断されるときに生じる。この尖っていない端部において、金属製の導電性ワのイヤは、絶縁シースから露出する。
【0048】
必要に応じて、シースは、ワイヤ端部の端面の周りで更に除去され得る。シースは、例えば、機械的な切断によって又はレーザアブレーションによって、除去され得る。
【0049】
その寸法が、更に好ましくは互いに平行に配置されたワイヤの寸法を超えないか又は僅かしか超えないチップが、ワイヤの端面に直接的に塗布される場合、チップは、横方向においてワイヤを越えて突出しないか又は僅かしか突出しない。その場合、チップは、さながら、ワイヤと同様の寸法を有するワイヤの延長部である。センサヘッドの、すなわちその中に取り付けられたワイヤを有するチップの寸法は、チップの寸法にほぼ対応する。そのようにして、センサヘッドは、ワイヤと共にアセンブリ内に容易に挿入され得る。
【0050】
一実施形態では、接点はL字形に形成されており、チップはL字形の接点上に取り付けられる。
【0051】
好ましくは、ワイヤの端面は、L字形に形成された接点として機能する。このために、前述したワイヤの尖っていない端部は、当該端部がシャベル形状を有するよう、部分的に平坦化され得る。
【0052】
平坦化された方向における各ワイヤの寸法は、ワイヤの直径と比較して無視し得る。ワイヤの平坦化された側面は、シャベルの刃と同様に成形されている。
【0053】
シャベルの刃のように成形された面は、チップに取り付けられ得る大きな接触面を提供する。そのようにして、チップとワイヤとの間の、安定かつ確実な接続及び低い接続抵抗を有する電気的な接触が、確立される。
【0054】
特に、2本のワイヤの(シャベルの刃のように成形された)L字形の面は、チップの2つの対向する外面に設けられ得る。そのようにして、チップは、ワイヤ間に配置され得るが、これにより、センサの安定性が更に向上する。
【0055】
ワイヤの平坦化により、センサヘッドの寸法は、この実施形態においても、チップの寸法にほぼ対応する。チップ寸法が適切に選択される場合、センサヘッドは、横方向においてワイヤを越えて突出しないか又はほとんど突出せず、したがって、さながら、同様の寸法を有するワイヤの延長部を形成する。そのようにして、センサヘッドは、ワイヤと共にアセンブリ内に容易に挿入され得る。
【0056】
一実施形態では、接点は、そのために企図されたワイヤの部分が絶縁シースから露出されることによって、形成されている。
【0057】
一実施形態では、チップとワイヤとの間の接続は、はんだ付けによって確立される。
【0058】
一実施形態では、接触部は、可能な限り少ない量のはんだによって形成されている。
【0059】
一実施形態では、はんだ付けのために必要な熱は、電圧を印加した際のNTCサーミスタセラミックの自己発熱によって供給される。
【0060】
チップがはんだ付けされることになるワイヤのワイヤ端部には、はんだペーストが塗布される。はんだペーストは、鉛、スズ、亜鉛、銀、銅、金、アンチモン及びビスマスのような種々の金属から成り得る。好ましくは、はんだペーストは鉛フリーであり得る。更に、はんだペーストにはフラックスが浸透され得る。
【0061】
続いて、チップは、はんだペーストで濡れたワイヤ端部間のホーデ(Horde)内に配置され得る。ワイヤを介して、電圧が印加される。電圧の印加により、チップのNTCサーミスタセラミックが加熱される。
【0062】
チップの自己発熱により、はんだペーストは溶融し、続いて冷却されると凝固する。はんだ付けされた接点が、このようにして生成される。
【0063】
チップが自己発熱する際の、少ないものの局所に制限された熱供給により、はんだ接続部の製造は、最少量のはんだペーストの使用により可能になる。チップ及び当該チップにはんだ付けされたワイヤ端部を含むセンサヘッドの寸法は、そのようにして最小化され得る。
【0064】
はんだ接続部当たりのはんだペーストの量は、好ましくは、はんだ接続部がセンサの横方向の寸法に全く又はほとんど影響を及ぼさないほど少ない。はんだペーストの量は、チップ及びワイヤの寸法に依存し、好ましくは0.1mg~10mgである。
【0065】
上述したように製造されたはんだ接続部は、非常に高い強度を有する。特に、自己発熱により製造されたはんだ接続部の強度は、その製造のために熱が外部から供給される従来のはんだ接続部の強度よりも高い。
【0066】
はんだ接続部の強度は、更に、非常に正確に調整可能である。好ましくは、はんだ接続部は、最大6N(ニュートン)の引張力に耐える。より好ましくは、はんだ接続部は、最大8N若しくは最大10N又はそれよい大きな引張力に耐える。
【0067】
一実施形態では、チップとワイヤの接点との間の接触部は、導電性接着剤によって形成されている。導電性接着剤は、例えば、例えば銀から成る金属粒子のような導電性粒子が分散されたポリマー材料を含む。
【0068】
一実施形態では、接触部は、可能な限り少ない量の接着剤によって形成されている。
【0069】
接着剤の量は、好ましくは、接着剤がセンサの横方向の寸法に全く又はほとんど影響を及ぼさないほど少ない。接触部当たりの接着剤の量は、チップ及びワイヤの寸法に依存し、好ましくは0.1mg~10mgである。
【0070】
一実施形態では、導電性接着剤は、電圧を印加した際のNTCサーミスタセラミックの自己発熱によって硬化される。
【0071】
はんだ付けに関して上述したものと同様に、電圧は、ワイヤ及び導電性接着剤から形成されるブリッジを介して、チップに印加され得る。電圧の印加は、NTCサーミスタ材料の加熱をもたらす。
【0072】
少ないものの局所に制限された熱供給により、チップとワイヤとの間の強固な接続が、最少量の接着剤により確立され得る。
【0073】
一実施形態によれば、NTCセンサのセンサヘッドは、ポリマー材料によって被覆されている。センサヘッドは、チップ及び接触部を含む。
【0074】
ポリマー材料による被覆は、センサヘッド、すなわちワイヤが接続されたチップを、外部の機械的、化学的又は物理的影響から保護する。被覆は、好ましくは、電気絶縁性であり、水分を透過させない。
【0075】
センサヘッドは、チップと、それに塗布されたワイヤの接点と、例えばはんだ又は導電性接着剤によって形成されるチップとワイヤとの間の接触部と、ポリマー材料から成るコーティングと、を含み得る。
【0076】
コーティングは、例えば液体ポリマー材料中に浸漬することによって、熱収縮チューブを被覆することによって、又は、流動床中でセンサヘッドに塗布されたポリマー粉末を溶融することによってなど、種々の技術を用いて塗布され得る。
【0077】
代替的に、コーティングは、センサヘッドのポリマー粉末中への浸漬、及び、これに続くはんだ付け又は接着剤の硬化の場合と同様のチップの自己発熱によっても、得ることができる。最後に述べた方法は、特に薄いコーティングの形成を可能にし、当該コーティングは、最小の材料消費で形成されるが、センサヘッドを隙間なく包囲する。
【0078】
代替的に、コーティングは、塗布の後、チップの自己発熱、及びその後の炉中での熱処理よって、硬化され得る。
【0079】
一実施形態では、ワイヤの延在方向に対して垂直な各方向における、被覆ポリマー材料を含むセンサヘッドの横方向の寸法は、同じ方向における2本のワイヤの合計寸法の2倍より大きくない。
【0080】
一実施形態では、ワイヤの延在方向に対して垂直な各方向における、被覆ポリマー材料を含むセンサヘッドの横方向の寸法は、同じ方向における2本のワイヤの合計寸法より大きくない。
【0081】
好ましくは、ワイヤの直径は、0.3mm以下であり、したがって、2つの直径の合計は、0.6mm以下である。
【0082】
好ましくは、ワイヤは、互いに隣接して直線状に延びる。2本のワイヤは、強固に接合された二重ワイヤとして具現され得る。したがって、互いに隣接する2本のワイヤ、又は、延在方向において互いに隣接し接続された2本のワイヤから成る二重ワイヤの幅は、0.6mm以下である。
【0083】
センサヘッドの幅は、ワイヤの延在方向に対して垂直な同じ方向において、ワイヤの直径にかかわらず、好ましくは1.3mm以下である。
【0084】
0.6mmの二重ワイヤの幅の場合、センサヘッドの幅は、好ましくは1.2mm以下、より好ましくは1mm以下、更により好ましくは0.8mm以下である。
【0085】
有利な実施形態では、センサヘッドは、二重ワイヤ又は2本の平行なワイヤより広くない。
【0086】
特に有利な実施形態では、センサヘッドの幅は、約0.6mm又は正確に0.6mm又は0.6mm未満である。
【0087】
ワイヤの延在方向に対して垂直であり、幅に対して垂直なセンサヘッドの寸法は、1.3mm以下、好ましくは0.6mm以下である。特に好ましくは、センサヘッドの上記寸法は、0.3mmのワイヤ直径以下である。
【0088】
電気部品及び電子部品がますます小型化され、ますます自動化されることにより、小型化された部品に組み込まれ得る非常に小さな寸法を有するセンサへの需要が増大している。ここでの制限要因は、通常、当然に接続ワイヤより大きな拡がりを有するセンサヘッドである。
【0089】
好ましくは残りのワイヤの寸法をもはや超えないセンサヘッドの寸法の最小化により、センサ全体が、ワイヤをセンサヘッドと共に電子部品内へ挿入することにより、容易に使用され得る。
【0090】
可能な使用領域は、例えば、自動車又は産業分野におけるバッテリ及び蓄電池である。
【0091】
本発明は、更に、NTCセンサの製造方法に関する。本方法に従って製造されたNTCセンサは、NTCセンサに関連して前述した特徴の全て又はいくつかを有し得る。更に、上述したセンサは、以下に説明される特徴の全てを有することができ、説明される方法によって製造され得る。
【0092】
NTCセンサの製造方法は、複数のステップを含む。
【0093】
1つのステップでは、接点を有する2本のワイヤと、NTCサーミスタセラミックを含むチップと、が準備される。
【0094】
チップは、ワイヤの接点に配置され、その結果、ワイヤの延在方向に対して垂直な各方向におけるNTCセンサの最大の横方向の寸法は、チップ及びワイヤの横方向の寸法の和より小さい。
【0095】
NTCセンサの最大の寸法は、一実施形態では、チップの寸法より大きくない。チップの寸法は、好ましい実施形態では、同じ方向における2本のワイヤの寸法よりも大きくない。
【0096】
チップとワイヤとの間の機械的な接合及び電気的な接触は、はんだ付け又は導電性接着剤の塗布によって形成される。
【0097】
方法の一実施形態では、チップとワイヤとの間の接続は、はんだ付けによって確立される。
【0098】
一実施形態では、はんだ付けのために必要な熱は、電圧を印加した際のNTCサーミスタセラミックの自己発熱によって供給される。
【0099】
このために、接点にはんだペーストが塗布されたワイヤは、チップ、好ましくはチップの外部電極と、接触させられる。
【0100】
はんだペーストは、鉛、スズ、亜鉛、銀、銅、金、アンチモン及びビスマスのような種々の金属から成り得る。好ましくは、はんだペーストは鉛フリーであり得る。更に、はんだペーストにはフラックスが浸透され得る。
【0101】
続いて、ワイヤを介してチップに電圧が印加される。電圧の印加により、NTCサーミスタセラミックが加熱される。
【0102】
チップの自己発熱により、はんだペーストは溶融し、続いて冷却されると凝固する。
【0103】
はんだペーストは、好ましくは、はんだペーストを有するリザーバにワイヤを浸漬することにより、ワイヤの接点に塗布され得る。代替的に、ディスペンサー装置を通じて、計量されたはんだペーストが、接点に塗布され得る。後者は、とりわけ、接点がワイヤの端部にではなくワイヤの側部に配置される場合に、適している。
【0104】
チップが自己発熱する際の、少ないものの局所に制限された熱供給により、はんだ接続部の製造は、最少量のはんだペーストの使用により可能になる。チップ及び当該チップにはんだ付けされたワイヤ端部を含むセンサヘッドの寸法は、そのようにして最小化され得る。
【0105】
上述したように製造されたはんだ接続部は、非常に高い強度を有する。特に、自己発熱により製造されたはんだ接続部の強度は、その製造のために熱が外部から供給される従来のはんだ接続部の強度よりも高い。
【0106】
はんだ接続部の強度は、更に、非常に正確に調整可能である。好ましくは、はんだ接続部は、最大6N(ニュートン)の引張力に耐える。より好ましくは、はんだ接続部は、最大8N若しくは最大10N又はそれよい大きな引張力に耐える。
【0107】
方法の一実施形態では、チップとワイヤの接点との間の接合及び電気的な接触は、導電性接着剤によって確立される。導電性接着剤は、例えば銀から成る金属粒子のような導電性粒子が分散されたポリマー材料を含む。
【0108】
方法の一実施形態では、導電性接着剤は、電圧を印加した際のNTCサーミスタセラミックの自己発熱によって硬化される。
【0109】
電圧の印加は、NTCサーミスタ材料の加熱をもたらす。少ないものの局所に制限された熱供給により、チップとワイヤとの間の強固な接続が、最少量の接着剤により確立され得る。
【0110】
好ましくは、ワイヤ端部が、第1のステップにおいて接着剤に短時間浸漬され、その結果、いくらかの接着剤がワイヤの接点に付着する。続いて、ワイヤの接点が、チップの外部電極又は外部メタライゼーション上に載置され、チップが加熱される。このために、電圧が、ワイヤ及び導電性接着剤から成る材料ブリッジを介して、チップに印加され得る。加熱により、熱硬化性接着剤が硬化し、ワイヤとチップとの間に強固な機械的接続及び導電性接続が確立される。
【0111】
方法の一実施形態では、導電性接着剤は、紫外光の照射によって硬化される。このために、熱硬化性接着剤の代わりに紫外線硬化型接着剤が使用される。その他の点は、前述の実施形態のように行われ得る。次いで、接着剤を硬化させるために、外部紫外線放射源が必要とされる。
【0112】
方法の一実施形態では、ワイヤは平行に配置されている。この場合、絶縁シースからそれぞれのワイヤを露出させることによって、ワイヤに沿って複数の接点が形成されている。
【0113】
接点上にそれぞれ1つのチップが載置され、続いて、ワイヤが個々のチップの間で細断され、その結果、複数のNTCセンサが得られる。
【0114】
上述した方法によって、チップは、ワイヤの側部にも塗布され接触され得る。これは、とりわけ、ワイヤコイルから直接的にNTCセンサを連続的に製造する場合に適している。
【0115】
ワイヤコイルは、このために、それぞれ所定の部分が巻き出される。接点は、次いで、絶縁シースから切断され、チップが接点上に塗布される。
【0116】
続いて、個々のセンサを得るために、チップ間のワイヤが細分される。チップがそれぞれ両方のワイヤと接触できるようにするために、それぞれ2つの隣接する接点が、2本のワイヤ上で露出されなければならない。
【0117】
好ましくは、シースは、チップ全体が残りのシース内に埋め込まれ、2つの接点上に直接的に載置され得るように、除去される。その場合、チップ全体は、直接的に金属製のワイヤ上に載置され得る。センサヘッドは、この実施形態では、チップの寸法を超えないか又はほとんど超えない寸法を有する。
【0118】
一実施形態では、このために平行に配置されたワイヤに沿って、ワイヤに沿って形成された複数の接点上に複数のチップが載置され、続いて、ワイヤが個々のチップの間で細断され、その結果、複数のNTCセンサが得られる。
【0119】
ワイヤは、このために、好ましくは、互いに隣接して直線状に配置されている。それぞれ1対の接点が、2本のワイヤのそれぞれに1つずつ、ワイヤに沿って互いに隣接して配置されている。接点の各対の上に、チップが配置され得る。相応して具現されたワイヤは、NTCセンサの連続生産を可能にする。
【0120】
ワイヤは、互いに隣接する2本の単一のワイヤ、二重ワイヤ、又は、部分的に巻き戻されたワイヤコイルであり得る。
【0121】
以下において、本発明が、実施例及びこれに付随する図面に基づいて、詳細に説明される。図面において類似の又は明らかに同一の要素には、同一の参照符号が付されている。図面及び図面中の大きさの比率は、縮尺どおりではない。本発明は、図面に示された実施例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【
図2】NTCサーミスタチップの第1の実施例を示す。
【
図6】コーティングを有するNTCセンサの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0123】
図1には、NTCセンサ100の第1の実施例が示されている。
【0124】
チップ1と2本のワイヤ2が準備される。チップ1は、NTCサーミスタ材料を含む。NTCは、ここでは負の温度係数を表す。すなわち、サーミスタ材料は、より高い温度において、より小さな電気抵抗を有する(ホットワイヤ)。
【0125】
チップ1は、
図2に示されており、直方体形状の構造を有する。チップは、長さLが最大0.6mm、幅Wが0.3mm、高さHが0.33mmである。長手方向の両端において、チップは、外部電極3を介して電気的に接触している。外部電極3は、好ましくは、長手方向の両端上に、キャップ状に載せられている。
【0126】
外部電極3は、例えば銀から成るメタライゼーション層を含み、当該メタライゼーション層は、例えば、後続のベーキングを伴う浸漬プロセスを介して塗布される。加えて、Ni-Sn層が電気的に塗布され得る。
【0127】
チップ1は、本実施例では、内部電極を有するセラミック製の多層部品として具現されている。それぞれ2つのセラミック層の間には、金属製の内部電極が配置されている。内部電極は、好ましくは、交互に2つの外部電極3によって電気的に接触される。
【0128】
このような多層部品の電気抵抗は、非常に正確に設定され得る。抵抗許容差、すなわち、ノミナル温度における予め定められた所望の電気抵抗からの抵抗のあり得る偏差は、1%未満である。
【0129】
代替的に、チップ1は、ここでは図示されていない実施例において、モノリシックNTCセラミックブロックを含み得る。NTCセラミックブロックは、内部電極を備えず、容易に製造し得る。2つの対向する側には、NTCセラミックブロック上に外部電極3が塗布されている。当該外部電極は、好ましくは、セラミックブロックの側面全体を覆い、当該外部電極を介して、NTCセラミックブロックが電気的に接触され得る。
【0130】
ワイヤ2は、例えば、銀めっきされたニッケルワイヤ、銅ワイヤ、銅撚り線、Cu、Ag若しくはPtシースを有するNi-Fe又はCr-Niワイヤである。
【0131】
ワイヤ2は、好ましくは、電気絶縁シース4によって覆われている。シース4は、例えばパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テフロン(登録商標)、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、シリコーン、ポリエステル、ポリアクリル酸塩、エポキシポリマー、樹脂若しくはエポキシ樹脂のような非導電性ポリマー材料から成る。
【0132】
2本のワイヤ2は、それらの端面に尖っていない端部5を有し、そこで導電性ワイヤが露出している。したがって、尖っていない端部5は、チップ1が取り付けられる接点である。
【0133】
このために、複数の可能な方法がある。
【0134】
第1の例示的な方法によれば、ワイヤ2の尖っていない端部5は、はんだペーストに浸漬され、それによって、少量のはんだペーストが、ワイヤ2の尖っていない端部5の上に塗布される。続いて、はんだペーストが塗布されたワイヤ2の尖っていない端部5が、チップ1の2つの対向する外部電極3に配置される。
【0135】
次いで、チップ1にワイヤを介して電圧が印加される。電圧の印加によりチップ1が加熱され、はんだペーストが溶融する。はんだペースト中のフラックスが蒸発し、それに続く冷却により、はんだが硬化する。したがって、外部電極3とワイヤ2の接点との間のはんだ接続は、電圧を印加した際のチップ1の自己発熱によってのみ得られる。
【0136】
上述した方法は、チップ1とワイヤ2との間の確実な接続を得るために少なくとも必要な最少量のはんだペーストの塗布を可能にする。このようにして、チップ1及び接続ワイヤ2を含むセンサヘッドの寸法が、最小化され得る。
【0137】
代替的な方法では、チップ1は、ワイヤ2の接点上に接着される。このために、ワイヤ2の尖っていない端部5は、熱硬化性接着剤中に浸漬される。続いて、ワイヤの尖っていない端部5が、チップ1の外部電極3上に塗布される。ワイヤに電圧を印加することにより、チップ1が加熱され、熱硬化性接着剤が硬化される。
【0138】
代替的な方法では、チップ1が、同様にワイヤ2の接点上に接着される。このために、ワイヤ2の尖っていない端部5は、紫外線硬化型接着剤中に浸漬される。続いて、ワイヤ2の尖っていない端部5が、チップ1の外部電極3上に塗布される。続いて、紫外光を照射することにより、接着剤が硬化される。
【0139】
接着剤は導電性である。このような接着剤の例は、例えば銀粒子のような導電性の金属粒子を含むポリマー系接着剤である。上述した方法は、チップ1とワイヤ3との間の接続を確立するための最少量の接着剤の塗布を可能にし、その結果、センサヘッドの寸法が最小化され得る。
【0140】
更に、センサヘッドの幾何学的形状は、チップ1の適切な寸法によって、及び、ワイヤ2上のチップ1の有利な配置によって、最適化される。
【0141】
例えば、本方法では、互いに隣接する2本のワイヤ2の2つの直径の和より長くなく、ワイヤ2の直径より広くない、チップ1が使用される。
【0142】
長さLは、ここ及び以下において、2つの外部電極3の間のチップ1の寸法であると理解される。この拡がり方向は、2本のワイヤ2が互いに隣接する方向に対応する。
【0143】
ここ及び以下において、チップ1の幅Wと呼ばれるのは、チップ1とワイヤ2との間の接触面に対して垂直な拡がり方向である。ここ及び以下において、高さHと呼ばれるのは、接触面に対して垂直な方向である。
【0144】
チップ1は、ここでは、互いに隣接する2本のワイヤ2の尖っていない端部5上に配置される。チップ1の寸法によって、当該チップは、長さ及び幅のいずれにおいても、ワイヤ2を越えて突出しない。したがって、センサヘッドは、残りの二重ワイヤ2より長くもなく幅広くもない。
【0145】
図3及び
図4は、NTCセンサ100の第2及び第3の実施例を示す。第1の実施例と一致する第2及び第3の実施例の特徴は、明示的には説明されない。
【0146】
第1の実施例とは異なり、第2及び第3の実施例におけるワイヤ2は、L字形の端部6を有する。すなわち、ワイヤの端面は、尖っていない態様で具現されておらず、シャベル状に成形されている。
【0147】
ここでL字形とは、ワイヤ2がその端部で平坦化されていることを意味する。したがって、ワイヤ2の平坦な部分は、シャベルの刃と類似した幾何学的形状を有する。ワイヤ2のL字形の端部6は、チップ1の外部電極3上に横方向に取り付けられ得る。L字形の端部6は、ワイヤ2の尖っていない端部5と比較して、ワイヤ2とチップ1との間の接触面がより大きくされる、という利点を有する。
【0148】
ワイヤ2のL字形の端部6は、
図3に示されているように、2つの反対側の端部においてキャップ状の外部電極3上に載せられるか、又は、
図4に示されているように、同じ側からそれらに接触するか、のいずれかであり得る。
【0149】
2つの外部電極3が同じ側から接触する場合、チップ1の一方の側面上に2つの外部電極3が存在しなければならない。
【0150】
正確な配置は、とりわけ生産中の実用性に依存する。ワイヤ2のL字形の端部6は、ワイヤ2の残りの平坦でない部分の直径と比較して無視できる、非常に小さい寸法を有する。したがって、第2及び第3の実施例の上述した構成においても、センサヘッドは、残りの二重ワイヤ2に沿った寸法と比較して、かろうじて大きな寸法を有する。
【0151】
ワイヤとチップとの間の接触面は、本実施例においては、接続抵抗の小さい確実な接触が達成されるのに十分なほどに大きく具現され得る。
【0152】
大きな接触面により、更に、センサの機械的な安定性が高められる。チップが、
図4に示されているように、ワイヤ間に配置されると、センサの機械的な安定性は更に向上され得る。
【0153】
図5は、NTCセンサ100の第4の実施例を示す。第1の実施例と一致する第4の実施例の特徴は、明示的には説明されない。
【0154】
第1の実施例とは異なり、第4の実施例におけるワイヤ2は、その最終的なサイズにまだ切断されておらず、完全なワイヤコイル200として存在する。生産プロセスの前に、所定の長さを有する部分が、それぞれワイヤコイル200からほどかれる。
【0155】
続いて、導電性ワイヤ2までの接点7の絶縁シース4が除去されることにより、接点7がワイヤ2の横方向で露出する。常に2本のワイヤ2において、2つの隣接する接点7が露出する。本実施例では、シース4は、好ましくは、チップ1全体がワイヤ2上に直接的に取り付けられ得るように、かつ、ワイヤ2及びチップ1を含むセンサヘッドが不必要に大きな寸法を有さないように、除去される。
【0156】
前述の実施例のように、チップ1は、接着及びはんだ付けの両方によって、ワイヤ2に固定され得る。このために、好ましくは、ディスペンサー装置によって、少量のはんだペースト又は接着剤が、露出した接点7に塗布される。続いて、チップ1が接点7上に取り付けられ得る。電圧を印加することにより、ワイヤ2上に取り付けられた全てのチップ1への接続は、同時にはんだ付けされ、又は、接着剤が同時に硬化され得る。
【0157】
チップ1が完全に取り付けられた後、チップ1を有する二重ワイヤ2は、それぞれ、所望の個々のセンサ100を得るために、チップ1の間で切断される。
【0158】
上述した方法により、作業工程を節約することができ、チップ1の大量生産を簡略化することができる。
【0159】
上述した実施形態にかかわらず、センサヘッドは、外部の機械的な影響からの保護のため、汚染からの保護のため、湿気からの保護のため、及び、電気絶縁のために、ポリマー材料によって被覆される。
【0160】
図6は、コーティング8を有する例示的なNTCセンサを示す。ワイヤの延在方向における
図6に示されたセンサの寸法HL及びCL、並びに、それに垂直な寸法は、例示的なものにすぎないと理解されるべきであり、必ずしも本発明によるNTCセンサの寸法に対応しない。
【0161】
ここで、寸法HLは、ワイヤの延在方向におけるワイヤ端部からのセンサヘッドの寸法である。寸法CLは、ワイヤの延在方向における、センサヘッド及びワイヤの周りのコーティング8全体の寸法である。寸法HDは、ワイヤの延在方向に対して垂直な方向における、回転対称なコーティングの直径である。
【0162】
被覆は、チップ1がワイヤ2に接続された後に実行される。ポリマー材料は、種々の方法によって塗布され得る。
【0163】
例えば、センサヘッドは、ポリマー粉末から成るリザーバ内に浸漬され、続いて、電圧の印加により自己発熱し得る。これにより、ポリマー粉末が溶融され、センサヘッドの周囲に薄いポリマーコーティングが形成される。この方法により、非常に薄いコーティング8が形成され得るため、センサヘッドの寸法は更に最小化され得る。
【0164】
好ましくは、被覆ポリマー材料8を含むセンサヘッドの横方向の寸法HDは、ワイヤの延在方向に対して垂直な任意の方向において、2本のワイヤの同じ方向における合計寸法の2倍以下であり、より好ましくは、2本のワイヤの同じ方向における合計寸法以下である。
【0165】
加えて、硬化度を増大させるために、炉中で熱後処理が行われ得る。
【0166】
代替的な方法では、センサヘッドは、コーティング8を形成するために、既に液化されたポリマー材料中に浸漬される。浸漬の後、コーティング8は硬化されなければならない。
【0167】
第3の可能な方法によれば、熱収縮チューブがセンサヘッド上に被せられ、炉中で熱を供給することにより収縮させられる。収縮パラメータを選択することによって、収縮は、センサヘッドの完全かつ密なコーティングが生成されるように調整され得る。
【0168】
別の方法では、ポリマー粉末が静電的に帯電させられ、流動床中でガス流を供給することにより流動化させられる。静電的に帯電した粉末粒子は、流動床中に浸漬されたセンサヘッドに付着したままであり、次いで、炉中で加熱され、溶融され、続いて硬化され得る。
【0169】
前述した4つの方法は全て、センサヘッドを保護するために、有利な薄いポリマーコーティング8の塗布を可能にする。
【0170】
大量生産プロセスでは、個々のNTCセンサ100がワイヤコイル200からワイヤ2を分離することによって個別化される前に、ポリマーコーティングがセンサヘッドの周りに塗布され得る。
【符号の説明】
【0171】
1 チップ
2 ワイヤ
3 外部電極
4 シース
5 尖っていない端部
6 L字形の端部
7 側方の接点
8 コーティング
100 NTCセンサ
200 ワイヤコイル
【国際調査報告】