(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】組織修復用粉末製剤及びその製造方法、並びにそれを含む組織修復用注射剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61L 27/18 20060101AFI20240711BHJP
A61L 27/54 20060101ALI20240711BHJP
A61L 27/60 20060101ALI20240711BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240711BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240711BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A61L27/18
A61L27/54
A61L27/60
A61K9/14
A61K47/34
A61K47/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503533
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 KR2022010688
(87)【国際公開番号】W WO2023003384
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0095722
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521268484
【氏名又は名称】サムヤン、ホールディングス、コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】SAMYANG HOLDINGS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジ フン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ヘ ソン
(72)【発明者】
【氏名】リム,スー ミー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076BB11
4C076CC01
4C076DD67
4C076EE17A
4C076EE23A
4C076EE48A
4C081AB19
4C081BC02
4C081CA191
4C081CC01
4C081CE11
4C081DA11
(57)【要約】
本発明は、組織修復用粉末製剤及びその製造方法、並びにそれを含む組織修復用注射剤組成物に関し、より具体的には、親水性生体適合性高分子と疎水性生体適合性高分子との共重合体であり、水性媒質中で特定の範囲の平均直径を有するミセル(micelle)形態のナノ粒子を形成し、及び/又は、前記親水性高分子の分子量に対する前記疎水性高分子の分子量の比率が特定レベル以下である、生体適合性共重合体を含み、粉末状の輸送、保管及び取り扱いが容易であり、室温で水性媒質に容易に溶解して安定なナノ粒子を形成し、体内に導入された後にはマクロファージに貪食されることなくコラーゲンを誘導して優れた組織修復効果を示す、粉末製剤及びその製造方法、並びにそれを含む組織修復用注射剤組成物に関するものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性生体適合性高分子と疎水性生体適合性高分子との共重合体である生体適合性共重合体を含む組織修復用粉末製剤であって、
(1)前記生体適合性共重合体が、水性媒質中で動的光散乱法により測定した平均直径が20nm超~100nm以下のミセル形態のナノ粒子を形成するか[条件(1)];又は
(2)前記生体適合性共重合体内の前記親水性生体適合性高分子の数平均分子量(Mn1)と前記疎水性生体適合性高分子の数平均分子量(Mn2)との比(Mn1/Mn2)が、1.84以下であるか[条件(2)];又は
(3)前記生体適合性共重合体が、前記条件(1)及び(2)をすべて満たすものである組織修復用粉末製剤。
【請求項2】
生体適合性共重合体が、前記条件(1)を満たすものである請求項1に記載の組織修復用粉末製剤。
【請求項3】
生体適合性共重合体が、前記条件(2)を満たすものである請求項1に記載の組織修復用粉末製剤。
【請求項4】
生体適合性共重合体が、前記条件(1)及び(2)をすべて満たすものである請求項1に記載の組織修復用粉末製剤。
【請求項5】
親水性生体適合性高分子が、ポリエチレングリコール又はその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるものである請求項1に記載の組織修復用粉末製剤。
【請求項6】
疎水性生体適合性高分子が、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチック-グリコリド)、ポリマンデル酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサン-2-オン、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカーボネート及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるものである請求項1に記載の組織修復用粉末製剤。
【請求項7】
親水性生体適合性高分子が、ポリエチレングリコール(PEG)、メトキシポリエチレングリコール(mPEG)及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、疎水性生体適合性高分子が、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチック-グリコリド)及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるものである請求項1に記載の組織修復用粉末製剤。
【請求項8】
親水性生体適合性高分子のゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量が、1,000g/mol~30,000g/molである請求項1に記載の組織修復用粉末製剤。
【請求項9】
疎水性生体適合性高分子のゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量が、500g/mol~30,000g/molである請求項1に記載の組織修復用粉末製剤。
【請求項10】
生体適合性共重合体のゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量が、2,000g/mol~40,000g/molである請求項1に記載の組織修復用粉末製剤。
【請求項11】
凍結乾燥補助剤をさらに含む請求項1に記載の組織修復用粉末製剤。
【請求項12】
凍結乾燥補助剤が、ラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール及びラクチトールからなる群から選択される1つ以上である請求項11に記載の組織修復用粉末製剤。
【請求項13】
局所麻酔剤をさらに含む請求項1に記載の組織修復用粉末製剤。
【請求項14】
前記局所麻酔剤が、アンブカイン(ambucaine)、アモラノン(amolanone)、アミロカイン(amylocaine)、ベノキシネート(benoxinate)、ベンゾカイン(benzocaine)、ベトキシカイン(betoxycaine)、ビフェナミン(biphenamine)、ブピバカイン(bupivacaine)、ブタカイン(butacaine)、ブタンベン(butamben)、ブタニリカイン(butanilicaine)、ブテタミン(butethamine)、ブトキシカイン(butoxycaine)、カルチカイン(carticaine)、クロロプロカイン(chloroprocaine)、コカエチレン(cocaethylene)、コカイン(cocaine)、シクロメチカイン(cyclomethycaine)、ジブカイン(dibucaine)、ジメチソキン(dimethysoquin)、ジメトカイン(dimethocaine)、ジペロドン(ジペロドン)、ジシクロニン(dycyclonine)、エクゴニジン(ecgonidine)、エクゴニン(ecgonine)、塩化エチル(ethyl chloride)、エチドカイン(etidocaine)、ベータオイカイン(beta-eucaine)、ユープロシン(euprocin)、フェナルコミン(fenalcomine)、フォルモカイン(formocaine)、ヘキシルカイン(hexylcaine)、ヒドロキシテトラカイン(hydroxytetracaine)、p-アミノン安息香酸イソブチル(isobutyl paminobenzoate)、メシル酸ロイシノカイン(leucinocaine mesylate)、レボキサドロール(levoxadrol)、リドカイン(lidocaine)、メピバカイン(mepivacaine)、メプリルカイン(meprylcaine)、メタブトキシカイン(metabutoxycaine)、塩化メチル(methyl chloride)、ミルテカイン(myrtecaine)、ネーパイン(naepaine)、オクタカイン(octacaine)、オルトカイン(orthocaine)、オキセサゼイン(oxethazaine)、パレトキシカイン(parethoxycaine)、フェナカイン(phenacaine)、フェノール(phenol)、ピペロカイン(piperocaine)、ピリドカイン(piridocaine)、ポリドカノール(polidocanol)、プラモキシン(pramoxine)、プリロカイン(prilocaine)、プロカイン(procaine)、プロパノカイン(propanocaine)、プロパラカイン(proparacaine)、プロピポカイン(propipocaine)、プロポキシカイン(propoxycaine)、プソイドコカイン(psuedococaine)、ピロカイン(pyrrocaine)、ロピバカイン(ropivacaine)、サリチルアルコール(salicyl alcohol)、テトラカイン(tetracaine)、トリカイン(tolycaine)、トリメカイン(trimecaine)、ゾラミン(zolamine)、及びそれらの塩からなる群から選択される1つ以上である請求項13に記載の組織修復用粉末製剤。
【請求項15】
親水性生体適合性高分子の存在下で疎水性生体適合性高分子用単量体を重合して、親水性生体適合性高分子と疎水性生体適合性高分子との共重合体を製造する工程;及び前記製造された共重合体を乾燥する工程;を含む組織修復用粉末製剤の製造方法であって、
(1)前記生体適合性共重合体が、水性媒質中で動的光散乱法により測定した平均直径が20nm超~100nm以下のミセル形態のナノ粒子を形成するか[条件(1)];又は
(2)前記生体適合性共重合体内の前記親水性生体適合性高分子の数平均分子量(Mn1)と前記疎水性生体適合性高分子の数平均分子量(Mn2)との比(Mn1/Mn2)が、1.84以下であるか[条件(2)];又は
(3)前記生体適合性共重合体が、前記条件(1)及び(2)をすべて満たすものである組織修復用粉末製剤の製造方法。
【請求項16】
疎水性生体適合性高分子用単量体が、ラクチド、グリコリド、マンデル酸、カプロラクトン及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるものである請求項15に記載の組織修復用粉末製剤の製造方法。
【請求項17】
請求項1~14のいずれか1項に記載の組織修復用粉末製剤;及び
薬学的に許容される注射用担体;
を含む、組織修復用注射剤組成物。
【請求項18】
請求項1~14項のいずれか1項に記載の組織修復用粉末製剤及び薬学的に許容される注射用担体を室温で混合することを含む、組織修復用注射剤組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織修復用粉末製剤及びその製造方法、並びにそれを含む組織修復用注射剤組成物に関し、より具体的には、親水性生体適合性高分子と疎水性生体適合性高分子との共重合体であり、水性媒質中で特定の範囲の平均直径を有するミセル(micelle)形態のナノ粒子を形成し、及び/又は、前記親水性高分子の分子量に対する前記疎水性高分子の分子量の比率が特定レベル以下である、生体適合性共重合体を含み、粉末状の輸送、保管及び取り扱いが容易であり、室温で水性媒質に容易に溶解して安定なナノ粒子を形成し、体内に導入された後にはマクロファージに貪食されることなくコラーゲンを誘導して優れた組織修復効果を示す、粉末製剤及びその製造方法、並びにそれを含む組織修復用注射剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、若い頃から素敵に歳を重ねていくウエルエイジング(well-aging)に関心を持つ人が増えている。現在の美容市場は、ゆっくり、そして美しく健康的に歳を重ねていくアンチエイジングに注目が集まっているといっても過言ではない。老化の最も一般的な兆候の1つは、ボリュームの減少である。特に顔にボリュームがないと老けてみすぼらしく見えるため、ボリュームを与えるフィラーに関心を集まっている。従って、フィラー市場は年々急成長しており、現在、全世界で2兆ウォン以上の市場を形成している。
【0003】
現在、フィラー材料として様々な物質が使用されており、中でもヒアルロン酸フィラーは世界のフィラー市場の90%以上を占めているが、体内での半減期が1日から3日以内であり、持続性が非常に低く、生内での吸収が非常に速いという問題がある。そこで、ヒアルロン酸を架橋物質で結合することにより、吸収時間を延長させた製品が販売されている。しかし、このような架橋品の場合、架橋物質であるBDDE(1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル)が有毒な発ガン物質であるため、その除去工程に伴う工程費用の増加、微生物汚染による製品廃棄、残留物の検出による製品廃棄などの損失が発生する問題がある。
【0004】
このため、生体内で分解する高分子を用いた組織修復用製品が数多く開発されており、従来の生体適合性高分子を用いたフィラー製剤としては、水不溶性高分子をミクロサイズの粒子に加工した後、粘稠な賦形剤又は増粘剤で分散させた製剤が開発されて使用された。例えば、直径20~50マイクロメートルのポリ乳酸(PLA)粒子をカルボキシメチルセルロース(CMC)の水溶液に分散させた製剤、又は直径20~50マイクロメートルのポリカプロラクトン(PCL)粒子をCMCとグリセリン(Glycerin)の水溶液に分散させた製剤が使用されてきており、しかし、このような製剤は、注射時に微粒子が針に詰まることによる手術の不便さや、粒子が均一に分散されていないために均一な組織修復効果が得られないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、毒性のおそれがなく、組織修復用生体材料として適した機能性、物性及び安全性を確保し、輸送、保管及び取り扱いが容易でありながら、優れた組織修復効果を発揮する組織修復用製品及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面では、親水性生体適合性高分子と疎水性生体適合性高分子との共重合体である生体適合性共重合体を含む組織修復用粉末製剤であって、
(1)前記生体適合性共重合体が、水性媒質中で動的光散乱法により測定した平均直径が20nm超~100nm以下のミセル形態のナノ粒子を形成するか[条件(1)];又は
(2)前記生体適合性共重合体内の前記親水性生体適合性高分子の数平均分子量(Mn1)と前記疎水性生体適合性高分子の数平均分子量(Mn2)との比(Mn1/Mn2)が、1.84以下であるか[条件(2)];又は
(3)前記生体適合性共重合体が、前記条件(1)及び(2)をすべて満たすものである、組織修復用粉末製剤を提供する。
【0007】
本発明の別の側面は、親水性生体適合性高分子の存在下で疎水性生体適合性高分子用単量体を重合して、親水性生体適合性高分子と疎水性生体適合性高分子との共重合体を製造する工程;及び
前記製造された共重合体を乾燥する工程;を含む組織修復用粉末製剤の製造方法であって、
(1)前記生体適合性共重合体が、水性媒質中で動的光散乱法により測定した平均直径が20nm超~100nm以下のミセル形態のナノ粒子を形成するか[条件(1)];又は
(2)前記生体適合性共重合体内の前記親水性生体適合性高分子の数平均分子量(Mn1)と前記疎水性生体適合性高分子の数平均分子量(Mn2)との比(Mn1/Mn2)が、1.84以下であるか[条件(2)];又は
(3)前記生体適合性共重合体が、前記条件(1)及び(2)をすべて満たすものである組織修復用粉末製剤の製造方法を提供する。
【0008】
本発明のまたさらに別の側面は、前記本発明の組織修復用粉末製剤;及び薬学的に許容される注射用担体;を含む、組織修復用注射剤組成物を提供する。
本発明のさらに別の側面は、前記本発明の組織修復用粉末製剤及び薬学的に許容される注射用担体を室温で混合することを含む、組織修復用注射剤組成物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明による組織修復用粉末製剤は、毒性がなく、輸送、保管及び取り扱いが容易であり、室温で水性媒質に容易に溶解して、水性媒体中で平均直径が20nm超~100nm以下のミセル(micelle)形態の安定なナノ粒子を形成して、体内に導入された後には、体内環境の影響により疎水性高分子の疎水性凝集によりナノ粒子が自己組織化して大きな構造体を形成し、マクロファージに貪食されることなくコラーゲンを誘導して優れた組織修復効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実験例2で行った粒子径の測定結果を示す図である。
【
図2】本発明の実験例4における組織修復効果の動物実験の結果を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の組織修復用粉末製剤は、親水性生体適合性高分子と疎水性生体適合性高分子との共重合体である生体適合性共重合体を含む。
一実施形態において、前記生体適合性共重合体は、水性媒質中で動的光散乱法により測定した平均直径が20nm超~100nm以下のミセル(micelle)形態のナノ粒子を形成する[条件(1)]。
前記水性媒質は、例えば、水(より具体的には、蒸溜水)であってもよい。
前記動的光散乱(DLS)法は、従来分散液中のナノ粒子径を測定する非浸透的確立された技術であり、粒子のブラウン運動を利用して、懸濁液中の経時的な散乱光の強度を測定する方法である。この散乱光強度の変動を換算して粒子の平均直径を求めると、ストークス・アインシュタインの関係式により、前記拡散係数から粒子の平均直径を求めることができる。
【0012】
前記生体適合性共重合体が水性媒質中で形成するナノ粒子の平均直径(DLS測定時)が20nm以下又は100nmを超える場合、そのような共重合体を使用して製造された粉末製剤が組織修復効果を示さない可能性がある。
より具体的には、前記生体適合性共重合体が水性媒質中で形成されるナノ粒子の平均直径(DLSによる測定値)は、20nm超、21nm以上、25nm以上、30nm以上、35nm以上、40nm以上、45nm以上、50nm以上又は55nm以上であってもよく、また、100nm以下、100nm未満、95nm以下、90nm以下又は85nm以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0013】
別の実施形態において、前記生体適合性共重合体において、前記親水性生体適合性高分子の数平均分子量(Mn1)と前記疎水性生体適合性高分子の数平均分子量(Mn2)との比(Mn1/Mn2)が1.84以下である[条件(2)]。
前記親水性及び疎水性生体適合性高分子の数平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。
前記ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)とは、物理的な溶出メカニズムが、分析成分の流体学的体積のサイズに応じて、大きな成分が先に溶出し、小さな成分が後に溶出方法であり、大きな分子は多孔質ゲルの細孔に入ることができず、速やかに通過する一方、小さな分子はゲルの細孔に入ることができ、そこに保持されるため、ゆうくりと通過することができ、相対分子量は、カラムを速く通過する分子順に分析される。
【0014】
前記生体適合性共重合体中のMn1/Mn2比が1.84を超えると、そのような共重合体を使用して製造された粉末製剤は組織修復効果を示さない可能性がある。
より具体的には、前記生体適合性共重合体中のMn1/Mn2比は、1.84以下、1.82以下、1.8以下、1.78以下、1.76以下又は1.75以下であってもよい。前記Mn1/Mn2比の下限は特に限定されなく、例えば、0.5以上、0.55以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、0.9以上又は0.95以上であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0015】
好ましい実施形態においては、前記生体適合性共重合体は、前記条件(1)及び(2)をすべて満たす。
【0016】
具体的には、前記親水性生体適合性高分子は、ポリエチレングリコール又はその誘導体(例えば、アルコキシ-又はヒドロキシ-ポリエチレングリコール)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよく、より具体的には、ポリエチレングリコール(PEG)、メトキシポリエチレングリコール(mPEG)及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
また、具体的には、前記疎水性生体適合性高分子は、アルファ(α)-ヒドロキシ酸由来単量体の高分子であってもよく、より具体的にはポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチック-グリコリド)、ポリマンデル酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサン-2-オン、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカーボネート及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよく、より具体的には、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチック-グリコリド)及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0017】
具体的には、前記親水性生体適合性高分子のGPCによる数平均分子量(Mn1)(単位:g/mol)は、1,000以上、2,000以上、3,000以上又は4,000以上であってもよく、また、30,000以下、25,000以下、20,000以下又は15,000以下であってもよい。
具体的には、前記疎水性生体適合性高分子のGPCによる数平均分子量(Mn2)(単位:g/mol)は、500以上、1,000以上、1,500以上又は2,000以上であってもよく、また、30,000以下、25,000以下、20,000以下又は15,000以下であってもよい。
具体的には、生体適合性共重合体のGPCによる総数平均分子量は、2,000以上、5,000以上、8,000以上又は10,000以上であってもよく、また、40,000以下、35,000以下、30,000以下又は25,000以下であってもよい。
【0018】
本発明の組織修復用粉末製剤は、前記生体適合性共重合体に加えて、薬学的粉末製剤に通常使用可能な1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
一実施形態において、本発明の組織修復用粉末製剤は、凍結乾燥補助剤(凍結乾燥剤とも呼ばれる)をさらに含むことができる。
具体的には、前記凍結乾燥補助剤は、ラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール及びラクチトールからなる群から選択される1つ以上であってもよい。
【0019】
一実施形態において、本発明の組織修復用粉末製剤は、局所麻酔剤をさらに含むことができる。
具体的には、前記局所麻酔剤はアンブカイン(ambucaine)、アモラノン(amolanone)、アミロカイン(amylocaine)、ベノキシネート(benoxinate)、ベンゾカイン(benzocaine)、ベトキシカイン(betoxycaine)、ビフェナミン(biphenamine)、ブピバカイン(bupivacaine)、ブタカイン(butacaine)、ブタンベン(butamben)、ブタニリカイン(butanilicaine)、ブテタミン(butethamine)、ブトキシカイン(butoxycaine)、カルチカイン(carticaine)、クロロプロカイン(chloroprocaine)、コカエチレン(cocaethylene)、コカイン(cocaine)、シクロメチカイン(cyclomethycaine)、ジブカイン(dibucaine)、ジメチソキン(dimethysoquin)、ジメトカイン(dimethocaine)、ジペロドン(ジペロドン)、ジシクロニン(dycyclonine)、エクゴニジン(ecgonidine)、エクゴニン(ecgonine)、塩化エチル(ethylchloride)、エチドカイン(etidocaine)、ベータオイカイン(beta-eucaine)、ユープロシン(euprocin)、フェナルコミン(fenalcomine)、フォルモカイン(formocaine)、ヘキシルカイン(hexylcaine)、ヒドロキシテトラカイン(hydroxytetracaine)、p-アミノン安息香酸イソブチル(isobutylpaminobenzoate)、メシル酸ロイシノカイン(leucinocainemesylate)、レボキサドロール(levoxadrol)、リドカイン(lidocaine)、メピバカイン(mepivacaine)、メプリルカイン(meprylcaine)、メタブトキシカイン(metabutoxycaine)、塩化メチル(methylchloride)、ミルテカイン(myrtecaine)、ネーパイン(naepaine)、オクタカイン(octacaine)、オルトカイン(orthocaine)、オキセサゼイン(oxethazaine)、パレトキシカイン(parethoxycaine)、フェナカイン(phenacaine)、フェノール(phenol)、ピペロカイン(piperocaine)、ピリドカイン(piridocaine)、ポリドカノール(polidocanol)、プラモキシン(pramoxine)、プリロカイン(prilocaine)、プロカイン(procaine)、プロパノカイン(propanocaine)、プロパラカイン(proparacaine)、プロピポカイン(propipocaine)、プロポキシカイン(propoxycaine)、プソイドコカイン(psuedococaine)、ピロカイン(pyrrocaine)、ロピバカイン(ropivacaine)、サリチルアルコール(salicylalcohol)、テトラカイン(tetracaine)、トリカイン(tolycaine)、トリメカイン(trimecaine)、ゾラミン(zolamine)、及びこれらの塩からなる群から選択される1つ以上であってもよい。
【0020】
本発明の組織修復用粉末製剤は、凍結乾燥又は他の乾燥方法(例:スピン乾燥など)により乾燥されて粉末の性状を有する製剤であってもよい。
【0021】
本発明の他の側面は、親水性生体適合性高分子の存在下で疎水性生体適合性高分子用単量体を重合して、親水性生体適合性高分子と疎水性生体適合性高分子との共重合体を製造する工程;及び 前記製造された共重合体を乾燥する工程;を含む組織修復用粉末製剤の製造方法であって、(1)前記生体適合性共重合体が、水性媒質中で動的光散乱法により測定した平均直径が20nm超~100nm以下のミセル形態のナノ粒子を形成するか[条件(1)];又は (2)前記生体適合性共重合体内の前記親水性生体適合性高分子の数平均分子量(Mn1)と前記疎水性生体適合性高分子の数平均分子量(Mn2)との比(Mn1/Mn2)が、1.84以下であるか[条件(2)];又は(3)前記生体適合性共重合体が、前記条件(1)及び(2)をすべて満たす組織修復用粉末製剤の製造方法を提供する。
【0022】
本発明の組織修復用粉末製剤の製造方法において、前記親水性生体適合性高分子、疎水性生体適合性高分子及び生体適合性共重合体は、前述したものと同様である。
具体的に、前記疎水性生体適合性高分子用単量体は、アルファ(α)-ヒドロキシ酸由来単量体であってもよく、より具体的には、ラクチド、グリコリド、マンデル酸、カプロラクトン及びそれらの組み合わせからなる群から選択されることであってもよく、さらに具体的には、ラクチド、グリコリド、マンデル酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択されることであってもよいが、それらに限定されるものではない。
前記親水性生体適合性高分子の存在下で疎水性生体適合性高分子用単量体を重合する工程は、公知の方法及び条件に従って行うことができる。
具体的には、前記生体適合性共重合体の乾燥は、凍結乾燥又は他の乾燥方法(例:スピン乾燥など)により行うことができ、より具体的には、凍結乾燥により行うことができるが、これに限定されるものではない。生体適合性共重合体の凍結乾燥は、前述した凍結乾燥補助剤の存在下で行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0023】
本発明の組織修復用粉末製剤は、室温で水性媒質に容易に溶解して、平均直径が20nm超~100nm以下のミセル形態の安定なナノ粒子を形成し、体内に導入された後には、体内環境の影響を受けて疎水性高分子の疎水性凝集によりナノ粒子が自己組織化して大きな構造体を形成し、マクロファージに貪食されることなくコラーゲンを誘導し、優れた組織修復効果を示す。
本発明において、前記組織修復効果とは、外傷、炎症、老化などにより皮膚組織に壊死、欠損などが生じた場合に、その組織を元の状態で戻す効果をいう。
したがって、本発明のまた別の側面は、前記本発明の組織修復用粉末製剤;及び薬学的に許容される注射用担体;を含む、組織修復用注射剤組成物を提供する。
【0024】
本発明の組織修復用注射剤組成物に含まれる薬学的に許容される注射用担体としては、従来公知のものを制限なく使用することができ、例えば、注射用蒸溜水、生理食塩水、5%ブドウ糖、緩衝液(例えば、リン酸緩衝液(PBS))及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の組織修復用注射剤組成物は、前述した成分に加えて、注射用製剤に使用可能な通常の添加剤を1つ以上さらに含むことができる。
【0025】
本発明のさらに別の側面は、前記本発明の組織修復用粉末製剤及び薬学的に許容される注射用担体を室温で混合することを含む、組織修復用注射剤組成物の製造方法を提供する。
本発明の組織修復用注射剤組成物の製造方法において、「室温」とは、1~30℃、20~30℃、22~28℃、より具体的には24~26℃(例えば、25℃)を意味する。
既存の組織修復用高分子製品の粉末製剤は、水溶液の形態で製造するために加熱する必要がある(例えば、高分子の融点と水の沸点との間で温度を上昇させる必要がある)。しかし、本発明の組織修復用粉末製剤は、室温でも水性媒質に容易に溶解するため、その水溶液形態の注射剤組成物を室温で容易に製造及び使用することができる。
【0026】
以下、本発明を以下の一実施例を参照してより詳細に説明する。ただし、実施例は本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲はこれによって何ら制限されるものではない。
【実施例】
【0027】
製造例1:粉末製剤の製造
目標の数平均分子量(Mn)が15,000g/molの生体適合性共重合体を得るためには、親水性生体適合性高分子として、数平均分子量(Mn1)が9,850g/mol(GPC測定)のメトキシポリエチレングリコール(mPEG)の存在下、D,L-ラクチド単量体を触媒下で重合し、次いで得られた共重合体を乾燥して粉末製剤を得た。GPC測定の結果、製造されたmPEG-ポリ(D,L-ラクチド)共重合体の数平均分子量(Mn)は、15,500g/molであり、疎水性高分子の分子量は、測定された共重合体の分子量から親水性高分子の分子量を差し引いて計算した。mPEG(共重合体内の親水性高分子)の数平均分子量(Mn1)とポリ(D,L-ラクチド)(疎水性高分子)の数平均分子量(Mn2)との比(Mn1/Mn2)は1.74であった。
【0028】
製造例2:粉末製剤の製造
生体適合性共重合体の目標数平均分子量(Mn)を17,000g/molとした以外は、製造例1と同様にして粉末製剤を製造した。GPCの測定結果、製造されたmPEG-ポリ(D,L-ラクチド)共重合体の数平均分子量(Mn)は17,200g/molであり、疎水性高分子の分子量は、測定された共重合体の分子量から親水性高分子の分子量を差し引いて計算した。mPEG(共重合体内の親水性高分子)の数平均分子量(Mn1)とポリ(D,L-ラクチド)(疎水性高分子)の数平均分子量(Mn2)との比(Mn1/Mn2)は1.34であった。
【0029】
製造例3:粉末製剤の製造
生体適合性共重合体の目標数平均分子量(Mn)を20,000g/molとした以外は製造例1と同様にして粉末製剤を製造した。GPCの測定結果、製造されたmPEG-ポリ(D,L-ラクチド)共重合体の数平均分子量(Mn)は20,200g/molであり、疎水性高分子の分子量は、測定された共重合体の分子量から親水性高分子の分子量を差し引いて計算した。mPEG(共重合体内の親水性高分子)の数平均分子量(Mn1)とポリ(D,L-ラクチド)(疎水性高分子)の数平均分子量(Mn2)との比(Mn1/Mn2)は0.95であった。
【0030】
比較例1
mPEG-ポリかプロラクトン共重合体からなる市販品(ミラクルL、Dexlevo社製)を凍結乾燥して粉末として製造した製剤を比較例1として使用した。
【0031】
比較例2:粉末製剤の製造
生体適合性共重合体の目標数平均分子量(Mn)を12,000g/molとした以外は、製造例1と同様にして粉末製剤を製造した。GPCの測定結果、製造されたmPEG-ポリ(D,L-ラクチド)共重合体の数平均分子量(Mn)は12,350g/molであり、疎水性高分子の分子量は、測定された共重合体の分子量から親水性高分子の分子量を差し引いて計算した。mPEG(共重合体内の親水性高分子)の数平均分子量(Mn1)とポリ(D,L-ラクチド)(疎水性高分子)の数平均分子量(Mn2)との比(Mn1/Mn2)は2.8であった。
【0032】
比較例3:粉末製剤の製造
目標の数平均分子量(Mn)25,000g/molの生体適合性共重合体を得るために、親水性生体適合性高分子として、数平均分子量(Mn1)20,000g/mol(GPC測定)のメトキシポリエチレングリコール(mPEG)の存在下、D,L-ラクチド単量体を触媒下で重合、得られた共重合体を乾燥して粉末製剤を得た。GPCの測定結果、製造されたmPEG-ポリ(D,L-ラクチド)共重合体の数平均分子量(Mn)は25,650g/molであり、疎水性高分子の分子量は、測定された共重合体の分子量から親水性高分子の分子量を差し引いて計算した。mPEG(共重合体内の親水性高分子)の数平均分子量(Mn1)とポリ(D,L-ラクチド)(疎水性高分子)の数平均分子量(Mn2)との比(Mn1/Mn2)は3.5であった。
【0033】
比較例4:粉末製剤の製造
目標の数平均分子量(Mn)の23,000g/molの生体適合性共重合体を得るために、親水性生体適合性高分子として、数平均分子量(Mn1)20,000g/mol(GPC測定)のメトキシポリエチレングリコール(mPEG)の存在下、D,L-ラクチド単量体を触媒下で重合し、得られた共重合体を乾燥して粉末製剤を得た。GPCの測定結果、製造されたmPEG-ポリ(D,L-ラクチド)共重合体の数平均分子量(Mn)は23,500g/molであり、疎水性高分子の分子量は、測定された共重合体の分子量から親水性高分子の分子量を差し引いて計算した。mPEG(共重合体内の親水性高分子)の数平均分子量(Mn1)とポリ(D,L-ラクチド)(疎水性高分子)の数平均分子量(Mn2)との比(Mn1/Mn2)は5.7であった。
【0034】
比較例5:粉末製剤の製造
目標の数平均分子量(Mn)15,000g/molの生体適合性共重合体を得るために、親水性生体適合性高分子として、数平均分子量(Mn1)が9,800g/mol(GPC測定)のメトキシポリエチレングリコール(mPEG)の存在下、ε-カプロラクトン単量体を触媒下で重合し、得られた共重合体を乾燥して粉末製剤を得た。GPCの測定結果、製造されたmPEG-PCL共重合体の数平均分子量(Mn)は15,100g/molであり、疎水性高分子の分子量は、測定された共重合体の分子量から親水性高分子の分子量を差し引いて計算した。mPEG(共重合体内の親水性高分子)の数平均分子量(Mn1)とポリ(D,L-ラクチド)(疎水性高分子)の数平均分子量(Mn2)との比(Mn1/Mn2)は1.85であった。
前記mPEG-PCLを室温で混合して水溶液として製造した場合、分散安定性が悪く高分子粒子が沈殿するため粒径分析が困難であり、結果の信頼性が低かった。従って、前記mPEG-PCLに水を加え、80℃に加熱して混合して高分子コロイド水溶液を製造し、この溶液を5重量%濃度で希釈して粒径分析を行った。
【0035】
実験例1:高分子の分子量の分析
製造例1~3及び比較例1~5の共重合体の数平均分子量(Mn)は、下記表に示す条件でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行うことにより測定した。その結果を下記表1に示した。
【0036】
【0037】
実験例2:水性媒質中のポリマーナノ粒子の平均直径の測定
製造例1~3及び比較例1~5の製剤を、水性媒質として注射用水に添加して濃度5重量%の溶液を製造し、水性媒質中に形成されたポリマーナノ粒子の平均直径を、マルボルン(Malvern)社製のゼータサイザーナノシリーズ90を使用した動的光散乱(DLS)法により測定した。製造例1~3の粉末製剤を水性媒質に溶解すると、水性媒質中で肉眼で確認しくい微細なサイズのポリマーナノ粒子が形成されていることが確認された。前記平均直径の測定結果を
図1及び下記表1に示した。
【0038】
【0039】
実験例3:粉末製剤の水溶液の安定性の確認
製造例3の粉末製剤を5重量%濃度で注射用水に室温で溶解し、経時的に状態を観察することにより水溶液の安定性を確認した。製造例3の粉末製剤は20分以内に完全に溶解し、肉眼で粒子は観察されず、3時間放置後も大きな変化ははく、肉眼で粒子も観察されなかった。
【0040】
比較として、比較例製品(ミラクルL)の凍結乾燥粉末製剤を注射用水に5重量%濃度で室温で添加し、経時的に状態を観察した。比較例製品(ミラクルL)の凍結乾燥粉末製剤の分散液は不透明で白濁しており、3時間後にも粒子は溶解せず、注射用水に沈殿又は分散されていた。
【0041】
実験例4:動物実験による組織修復用製剤としての有効性の検証
本発明による粉末製剤の組織修復に対する有効性を動物実験により検証した。動物実験は生後5週齢のSDラット(オリエントバイオ株式会社より購入)を使用して行った。
前記動物実験では、生後5週のSDラットの両側に生理食塩水と試験物質を投与した。実験期間中の飼育環境は、温度24±2℃、相対湿度50±10%、照明時間12時間に設定し、餌は自由に摂食させた。
対照として生理食塩水、試験物質として前記製造例1及び3で製造した各粉末製剤を注射用水に溶解した水溶液(濃度5%、10%、20%)、及び比較群として比較例1の製品(ミラクルL)及び比較例2~5の粉末製剤を注射用水に溶解した水溶液(20%濃度)を100μLずつ一定速度で注入し。6週間後、実験動物を犠牲にし、試料注入部位の皮膚組織(
図2の上部の矢印で示した部分)をマッソン・トリクローム(MT)で染色し、組織内のコラーゲン形成を観察し、新たなコラーゲン生合成力を評価した。その結果を
図2(
図2の下部)に示した。
【0042】
図2より、比較例、特に、ミラクルLに比べて、製造例の製剤の水溶液は優れたコラーゲン形成を示し、特に製造例3製剤は、比較例、特に、ミラクルLと比較して有意に太いコラーゲン線維が多数形成されていることが確認された。
すなわち、これにより、本発明による粉末製剤は、比較例、特に、ミラクルLと比較して、輸送、保管及び取り扱いが容易であり、室温で容易に水性媒質に溶解するという利点を有し、体内に導入された後、より効率的にコラーゲン形成を誘導し、優れた組織修復効果を示すことが確認された。
【国際調査報告】