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特表2024-526886インプラント増強システムおよび使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】インプラント増強システムおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20240711BHJP
   A61F 2/46 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A61F2/38
A61F2/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503556
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 US2022073829
(87)【国際公開番号】W WO2023004279
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】63/223,640
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/263,615
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521358121
【氏名又は名称】パラゴン28・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PARAGON 28, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100230640
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 望
(72)【発明者】
【氏名】ベルトロッティ,ルチャーノ ベルナルディーノ
(72)【発明者】
【氏名】コワルチク,グレゴリー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】デオリオ,ジェイムズ キース
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC06
4C097DD09
4C097SC09
(57)【要約】
本開示は、脛骨部品の増強システムに関する。システムは、第1多孔質構造、第2多孔質構造、上面を有する上部、上面から増強部品の反対側に配置された底面を有する下部を有する増強部品を含む。システムは脛骨部品と器具も含み、脛骨部品は増強部品と結合するように構成されている。この器具は、増強部品と相補的な形状を持つ係合部分を含む。さらに、患者から撮像データを収集するステップと、遠位脛骨の空隙を特定するステップと、空隙に対応する増強部品を取得するステップと、増強部品を脛骨部品に結合するステップと、増強部品が脛骨の空隙を占めるように脛骨部品を脛骨に移植するステップとを有する、脛骨部品を増強する方法が開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脛骨部品の増強のためのシステムであって、
前記システムは、増強部品と、脛骨部品と、器具とを備え、
前記増強部品は、第1多孔質構造と、第2多孔質構造と、上面を有する上部と、前記上面から前記増強部品の反対側に配置された底面を有する下部と、を有し、
前記器具は、前記増強部品と相補的な形状を有する係合部分を有する、システム。
【請求項2】
前記増強部品は、前記脛骨部品の表面と結合可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1多孔質構造は、前記第2多孔質構造よりも高い位置に配置される(positioned proud)、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1多孔質構造は、第1気孔率を有し、
前記第2多孔質構造は、第2気孔率を有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1気孔率は前記第2気孔率よりも大きい、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記増強部品の上部は、前記増強部品の下部よりも相対的に上方に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記下部は少なくとも1つの第1横寸法を有し、
前記上部は少なくとも1つの第2横寸法を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1横寸法は、複数の横寸法であり、
前記複数の横寸法のそれぞれは、前記少なくとも1つの第2横寸法よりも大きい、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1横寸法は、複数の横方向寸法を有し、
前記複数の横方向寸法の大きさは、前記下部の底面から前記下部の上面に向かって減少する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記増強部品は、前記脛骨部品の表面に配置された突出部を受容するように構成された内部容積を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記器具は、前記増強部品の体積に対応する容積をリーマ加工するように構成されたリーマ器具である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記器具は、
ハンドルと、
前記ハンドルと結合される係合部品と、をさらに有し、
前記係合部品は、
下方係合部分の少なくとも側面および上面の少なくとも一部に配置された複数の第1係合特徴を有する下方係合部分と、
前記下方係合部分の上方に配置され、上方係合部分の少なくとも側面および上面の少なくとも一部に配置された複数の第2係合特徴を有する上方係合部分と、を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の第1係合特徴及び前記複数の第2係合特徴は、前記下方係合部分及び前記上方係合部分の表面から突出している、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
脛骨部品のための増強部品であって、
前記増強部品は、
少なくとも1つの横寸法を有する上部と、
下部の底面から前記下部の上面に向かって大きさが減少する複数の横寸法を有する下部と、を備える、増強部品。
【請求項15】
前記上部は前記下部の上方に位置し、前記下部と一体化している、請求項14に記載の増強部品。
【請求項16】
前記下部の前記底面から前記増強部品内に延びる中心容積をさらに有し、
前記中心容積は内面を有する、請求項15に記載の増強部品。
【請求項17】
前記増強部品の外面から前記増強部品の内面まで延び、前記中心容積から前記増強部品の前記外面への流体連絡を提供するボアをさらに有する、請求項16に記載の増強部品。
【請求項18】
第1気孔率を有する第1多孔質構造と、
第2気孔率を有する第2多孔質構造と、をさらに有し、
前記第1多孔質構造は前記第2多孔質構造よりも高い位置に配置される、請求項14に記載の増強部品。
【請求項19】
前記第1気孔率は前記第2気孔率よりも大きい、請求項18に記載の増強部品。
【請求項20】
脛骨部品を増強する方法であって、前記方法は、
患者から撮像データを収集することと、
前記撮像データから患者の脛骨の遠位部分における空隙を特定することと、
患者の前記空隙の容積に対応する体積を有する増強部品を取得することと、
前記増強部品を脛骨部品と結合させることと、
前記増強部品が患者の前記空隙の少なくとも一部を占めるように前記脛骨部品を移植することと、を含む、方法。
【請求項21】
脛骨部品と、
切断ヘッドを有する器具と、
前記脛骨部品と結合するための複数の増強部品であって、異なる方法で構成された複数の増強部品と、を備え、
前記切断ヘッドは、骨が前記複数の増強部品の少なくとも1つを受けるように骨を準備するように構成される、インプラントキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年7月20日に出願され、「Prosthetic Extension Stability Device and Hand Reamer」と題する米国仮出願第63/223,640号、および2021年11月5日に出願され、「Stem Augmentation Device Implant and Method of Use」と題する米国仮出願第63/263,615号に基づいて35U.S.C.セクション119(e)の優先権を主張し、両方の出願は、参照によってその全体が本明細書に含まれる。
【0002】
本開示は、外科的処置で採用される手術器具、ガイド、および使用方法に関する。本開示は、足および/または足首のさまざまな処置、例えば関節形成術で採用される足病学用のおよび整形外科用の器具、ガイド、および方法論に関する。より具体的には、限定的ではないが、本開示は、外科用器具、器具(およびその他の部品、例えば、インプラント、デバイス、システム、アセンブリなど)とともに採用されるガイド、および足首関節形成術を実行するための使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在利用可能な多くの外科器具やインプラント、および方法論は、患者のニーズに完全には対応していない。さらに、現在利用可能な多くの外科器具、インプラント、および方法論は、さまざまな患者の足首関節の特性を考慮できず、したがって、患者にとっての結果の好ましさを低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、関節形成術に向けた外科器具、インプラント、および方法を対象とする。
【0005】
本開示の第1態様は、脛骨部品を増強するためのシステムである。このシステムには、第1多孔質構造を有する増強部品と、第2多孔質構造と、上面を有する上部と、上面から増強部品の反対側に配置された底面を有する下部とが含まれる。システムは、脛骨部品と器具も含む。器具は、増強部品の形状と相補的な形状を有する係合部分を含む。
【0006】
本開示の第1態様によれば、増強部品は脛骨部品の面と結合可能である。
【0007】
本開示の第1態様によれば、第1多孔質構造は第2多孔質構造よりも高い位置に配置される(positioned proud)。
【0008】
本開示の第1態様によれば、第1多孔質構造には第1気孔率が、第2多孔質構造には第2気孔率が含まれている。
【0009】
本開示の第1態様によれば、第1気孔率は第2気孔率よりも大きい。
【0010】
本開示の第1態様によれば、増強部品の上部は、増強部品の下部よりも相対的に上方の位置にある。
【0011】
本開示の第1態様によれば、下部は少なくとも1つの第1横寸法を含み、上部は少なくとも1つの第2横寸法を含む。
【0012】
本開示の第1態様によれば、少なくとも1つの第1横寸法は、複数の横寸法であり、複数の横寸法のそれぞれは、少なくとも1つの第2横寸法よりも大きい。
【0013】
本開示の第1態様によれば、少なくとも1つの第1横寸法は、複数の横方向寸法を含み、複数の横方向寸法の大きさは、下部の底面から下部の上面に向かって減少する。
【0014】
本開示の第1態様によれば、増強部品は、脛骨部品の表面に配置された突出部を受容するように構成された内部容積を含む。
【0015】
本開示の第1態様によれば、器具は、増強部品の体積に対応する容積をリーマ加工するように構成されたリーマ器具である。
【0016】
本開示の第1態様によれば、器具はハンドルと係合部品を含む。係合部品は、ハンドルと結合され、下方係合部分の少なくとも側面および上面の少なくとも一部に配置された複数の第1係合特徴を含む下方係合部分と、下方係合部分の上方に配置され、上方係合部分の少なくとも側面および上面の少なくとも一部に配置された複数の第2係合特徴を含む上方係合部分とを含む。
【0017】
本開示の第1態様によれば、複数の第1係合特徴及び複数の第2係合特徴は、下方係合部分及び上方係合部分の表面から突出している。
【0018】
本開示の第2態様は、脛骨部品の増強部品である。増強部品は、少なくとも1つの横寸法を有する上部と、下部の底面から下部の上面に向かって大きさが減少する複数の横寸法を有する下部とを含む。
【0019】
本開示の第2態様によれば、上部は下部品の上方に位置し、一体化している。
【0020】
本開示の第2態様によると、増強部品は、下部の底面から増強部品内に延びる中心容積も含み、中心容積は内面を有する。
【0021】
本開示の第2態様によれば、増強部品は、増強部品の外面から増強部品の内面まで延び、中心容積から増強部品の外面への流体連絡を提供するボアも含む。
【0022】
本開示の第2態様によれば、増強部品は、第1気孔率を有する第1多孔質構造と、第2気孔率を有する第2多孔質構造も含み、第1多孔質構造は第2多孔質構造よりも高い位置に配置される。
【0023】
本開示の第2態様によれば、第1気孔率は第2気孔率よりも大きい。
【0024】
本開示の第2態様によれば、第2係合要素は、ポストとねじ切りからなる保持部分を含み、ポストは、第2アームと解放可能に結合するように構成され、ねじ切りは、アクチュエータと解放可能に結合するように構成される。
【0025】
本開示の第3態様は、脛骨部品を増強する方法である。方法は、患者から撮像データを収集することと、撮像日から患者の脛骨の遠位部分における空隙を特定することと、患者の空隙の容積に対応する体積を有する増強部品を取得することと、増強部品を脛骨部品と結合させることと、増強部品が患者の空隙の少なくとも一部を占めるように脛骨部品を移植することと、を含む。
【0026】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を示すものであり、本明細書の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。業界の標準的な慣行に従い、様々な特徴が縮尺通りに描かれている場合もあれば、そうでない場合もあることを強調しておく。実際、様々な特徴の寸法は、議論を明確にするために、任意に増やしたり減らしたりできる。図面は、本開示の発明の実施形態を例示するためのものであり、本発明を限定するものとして解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本開示による足首関節形成術のための例示的な増強システムの右前方透視図である。
図2】本開示による図1の足首関節形成術のための例示的な増強システムの正面図である。
図3】本開示による図1の足首関節形成術のための例示的な増強システムの一部の正面図である。
図4】本開示による図1の足首関節形成術のための例示的な増強システムの図3の一部の下面図である。
図5A】本開示による図1の足首関節形成術を実行するための例示的なシステムとともに実施される器具の左後方透視図である。
図5B】本開示による図1の足首関節形成術を実行するための例示的なシステムとともに実施される図5Aの器具のための付属品の側面断面図である。
図6】本開示による足首関節形成術を実行する際に実施される、図1の例示的なシステムとともに実施される図5Aの器具の上面図である。
図7】本開示による外科的処置を実行する際に実施される図1の例示的なシステムとともに実施される図5Aの器具の右前方の透視図である。
図8】本開示のよる外科的処置を実行する際に実施される図1の例示的なシステムとともに実施される図5Aの器具の部分の上面図である。
図9】本開示のよる外科的処置を実行する際に実施される図1の例示的なシステムとともに実施される図5Aの器具の部分の正面図である。
図10】本開示による足首関節形成術のための例示的な増強システム前方透視図である。
図11】本開示による図10の例示的な増強システムの左前方斜視図である。
図12】本開示による図10の例示的な増強システムの前方分解図である。
図13】本開示による図10の例示的な増強システムの上面図である。
図14】本開示による図10の例示的な増強システムの前方透視図である。
図15】本開示による図10の例示的な増強システムの一部の上面図である。
図16】本開示による全足首関節形成術の脛骨部品を配置する前の遠位な脛骨と腓骨の人体の正面図である。
図17】本開示による図10の増強システムとともに実施される例示的な器具に隣接した図15の人体の正面図である。
図18】本開示による図17の例示的な器具の実施の後における図15の人体の正面図である。
図19】本開示による図17の例示的な器具の実施の後で、図10の増強システムに隣接した図15の人体の正面図である。
図20】本開示による図17の例示的な器具の実施の後で、図10の増強システムの移植の後における図15の人体の正面図である。
図21】本開示による下肢のためのインプラントシステムの左前方透視図である。
図22】本開示による外科的処置を実行する際の実施のために図1の例示的なシステムとともに実施される図21のインプラントシステムの代替的な左前方透視図である。
図23】本開示による図1のインプラントシステムの一部を正面図である。
図24】本開示による図21のインプラントシステムの図23の部分の側面図である。
図25】本開示による図21のインプラントシステムの図23の部分の左前方透視図である。
図26】本開示による遠位の脛骨に移植された図21のインプラントシステムの図23の部分の代替的な左前方透視図である。
図27】本開示による図21のインプラントシステムとともに実施され得る器具の正面図である。
図28】本開示による図21のインプラントシステムとともに実施され得る図27の器具の左前方透視図である。
図29】本開示による図21のインプラントシステムとともに実施され得る器具の上面図である。
図30】本開示による図21のインプラントシステムとともに実施され得る図29の器具の左前方透視図である。
図31】本開示による図21のインプラントシステムとともに実施され得る器具の側面図である。
図32】本開示による図21のインプラントシステムとともに実施され得る図31の器具の正面図である。
図33】本開示による図21のインプラントシステムとともに実施され得る図31の器具の上面図である。
図34】本開示による図21のインプラントシステムとともに実施され得る他の器具とともに実施される図31の器具の側面図である。
図35】本開示による図21のインプラントシステムとともに実施され得る器具の側面図である。
図36】本開示による図21のインプラントシステムとともに実施され得る図35の器具の上面図である。
図37】本開示による図21のインプラントシステムとともに実施され得る図35の器具の右前方透視図である。
図38】本開示による図21のインプラントシステムとともに実施されてもよく、互いとともに実施される図29および図35の器具の左前方透視図である。
図39】本開示による図21のインプラントシステムの正面図である。
図40】本開示による図21のインプラントシステムの背面図である。
図41】本開示による図21のインプラントシステムの側面図である。
図42】本開示による脛骨部品から脱落した図3の例示的な増強システムの部分の透視図である。
図43】本開示による図42の脛骨部分と結合された図3の例示的な増強システムの部分の透視図である。
図44】本開示による図1の増強システムの組立プロセスの上面図である。
図45】本開示による図1の増強システムの結合プロセスの上面図である。
図46】本開示による図1の組立増強システムの側面図である。
図47】本開示による遠位の脛骨部分に移植された図1の組立増強システムの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明および後述の請求項において、近位、遠位、前部または足底側、後部または背側、内側、外側(lateral)、上方および下方という用語は、自然の骨の相対的な配置、または方向性に関する用語によって、骨またはインプラントの特定の部分を示すための標準的な用法によって定義される。例えば、「近位」は、胴体に最も近いデバイスまたはインプラントの部分を意味し、「遠位」は、胴体から最も遠いデバイスまたはインプラントの部分を示す。方向に関する用語として、「前方」は体の前側に向かう方向であって、「後方」は体の後側に向かう方向を意味し、「内側」は体の正中線に向かう方向を意味し、「側方」は体の側面に向かうまたは正中線から離れる方向であって、「上」は上方向を意味し、「下」は別の物体または構造の下の方向を意味します。さらに、特に足に関しては、「背側」という用語は足の甲を指し、「足底」という用語は足の底を指す。
【0029】
同様に、本明細書では、解剖学的構造または表面を基準として、位置または方向が使用される場合がある。例えば、本開示のインプラント、装置、器具、および方法が、足の骨との使用を参照して本明細書に記載されているように、足、足首、および下腿の骨は、インプラント、装置、器具、および方法の表面、位置、方向、または向きを説明するために使用されてもよい。さらに、本明細書に開示されたインプラント、装置、器具、および方法、ならびにそれらの態様、構成要素、特徴などは、簡潔にする目的で、身体の片側に関して記載されている。しかしながら、人体は対称線(正中線)を中心として比較的対称的または鏡面的であるため、本明細書に記載および/または図示されたインプラント、装置、器具、および方法、ならびにそれらの態様、構成要素、特徴などは、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、同じ目的または類似の目的のために身体の別の側と使用または関連付けるために、変更、変化、修正、再構成、またはその他の方法で変更され得ることが、ここに明示的に企図される。例えば、右足に関して本明細書に記載したインプラント、装置、器具、および方法、ならびにそれらの態様、構成要素、特徴などは、左足でも同様に機能するように鏡映しにしてもよい。さらに、本明細書で開示されるインプラント、装置、器具、および方法、ならびにそれらの態様、構成要素、特徴などは、簡潔にする目的で足に関して記載されているが、インプラント、装置、器具、および方法は、同様の構造を有する身体の他の骨にも使用できることを理解されたい。
【0030】
外科的処置は一般的に、インプラント(プレート、スクリュー、インプラントシステムの部品など)を隣接して(例えば、係合して、当接してなど)配置することで対処できる患者の急性または慢性の状態に対処するために行われる。これらの処置には、本明細書で例示的な関節形成処置として使用される足関節形成処置のような関節形成処置(例えば、人工関節置換術)、および様々なインプラント、システム、増強部品、および方法論の例示的な適用が含まれ得る。したがって、足関節形成術の適用は、本開示の内容が代替のインプラント、インプラントシステム、および手順/適用に適用され得るので、限定的ではなく、むしろ例示的であると考えられるべきである。
【0031】
足関節形成術のインプラントは、通常、骨の少なくともいくらかの切除が行われた後で、遠位脛骨および近位距骨と結合する少なくとも脛骨と距骨部品を一般的に含む。本開示のために、足関節形成術システムの脛骨部品は、本明細書に開示されたシステム、構成要素、および方法と関連して議論され、企図される。しかし、前記システム、構成要素、および方法は、様々な足関節形成術システムの距骨部品(または、足関節形成術システムまたはその他の関節形成術システムのその他の部品)にも適用可能であることに留意すべきである。
【0032】
足関節形成術システムの脛骨部品(本明細書に示し、以降に説明するものを含む)は、典型的には、遠位脛骨の少なくとも一部が切除された後、遠位脛骨に形成された凹部に衝突する(impacted)。手術によっては、また患者によっては、遠位脛骨が健常であり、十分な量の遠位脛骨で脛骨部品の切除と陥没に対応し、骨の支持(purchase)と成長を行うため、脛骨部品は遠位脛骨の望ましい位置に保持される。しかしながら、患者によっては、遠位脛骨に1つまたは複数の様々な不規則性が認められ、そのうちのいくつかは、術前の画像診断(CT、MRIなど)で確認でき、その他は術中に明らかになる場合がある。このような不規則性には、嚢胞、空洞、および、脛骨部品を保持するために必要な骨成長面や骨支持を提供するのに十分な量の健康な遠位脛骨が存在しないため、脛骨部品が遠位脛骨と適切に統合することを抑制するその他の遠位脛骨内の容積が含まれてもよい。標準的な脛骨部品は、通常、不規則性のない健全な遠位脛骨に配置されるように構成されている。しかしながら、不規則性が明らかになった場合(あるいは、足関節形成術の再手術など、解剖学的な課題がある場合)、標準的な脛骨部品は、患者の遠位脛骨の解剖学的構造に対応できない。
【0033】
したがって、遠位脛骨において不規則性を有する患者に標準的な脛骨部品を仕立てることが望ましい。場合によっては、カスタムインプラントで不規則性に対処することも可能だが、法外に高価で、リードタイムが長くかかることもある。さらに、カスタムインプラントでは、術中に確認された不規則性を考慮することはできない。標準的な脛骨部品を遠位脛骨の様々な不規則性に適合させるためには、脛骨部品の上面(頂面)と結合し、遠位脛骨におけるそのような不規則性の少なくとも一部を占めることができる補強材が必要であり、その結果、標準的な脛骨部品が切除された容積を占め、遠位脛骨の適切な表面に接触できる。このような補強材は、(骨成長面、骨支持などを介して)遠位脛骨の不規則性内で固定を提供することにより脛骨部品の固定を補助し、よって遠位脛骨の不規則性を呈する患者において、適宜標準的な脛骨部品を適応させる。
【0034】
図面を参照すると、いくつかの図を通して、同様の参照数字は、同様のまたは類似の構成要素を示すために使用され、特に図1図9を参照すると、より大きなインプラントシステム(例えば、関節形成システム)の一部であり得るインプラントシステム100の例示的な実施形態が図示されている。図示されるように、インプラントシステム100は、足関節全置換術システムの一部である脛骨部品システムであり、遠位脛骨の一部が切除された後、インプラントシステム100が遠位脛骨と結合される。インプラントシステム100は、ベース部分112とともに、底面114および上面116を有する脛骨部品110を含むように示されており、上面114は、底面116からベース部分112の反対側に配置されている。脛骨部品110は、ベース部分112の外側の表面上のテクスチャ118と、ベース部分112の上面116から上方に延びる突起120を含むように示されている。いくつかの実施形態では、脛骨部品110は、例えば1つの突起、3つの突起などの他の数の突起120を含んでもよい。図示されているように、突起120は、切除が発生した後、遠位脛骨との結合を容易にするように構成されており、突起120は、脛骨部品110のために遠位脛骨を準備する過程で臨床医によって形成された脛骨の対応する開口部内に延在している。テクスチャ118は、骨の成長を促進し、及び/又はそうでなければ脛骨部品を遠位脛骨に保持するように構成されてもよい。脛骨部品110は標準的な脛骨部品であり(例えば、カスタム部品を持たず、既製品として販売されているなど)、ここでは例示のために示されていることに留意すべきである。
【0035】
脛骨部品110は、上面116の中央部分に配置されたステム122(図12に示す)をさらに含み、ステム122は、上面116から上方に垂直に延びる(突起120と同様である)。ステム122は、突起122と同様の方法で配置されると、遠位脛骨内に上方(例えば、近位、上方向)に延びるように構成され、1つまたは複数の器具は、遠位脛骨内に、少なくとも一部をステム122が占める容積を形成する。図示のようにステム122は実質的に円筒形状を含み、ステムの下端は(突起120と同様に)上面116と一体であり、ステム122の上端は開いている。したがって、ステム122は、ステム122と相補的な円筒形状を有する中央開口部126(例えば、上面116によって容積の底部が画定された容積)を含む。ステム122がさらに、ステム122の側面に配置された開口124を含むことが示されている。図示されているように、開口124のそれぞれは実質的に同じサイズであるが、いくつかの態様では、前記開口124の1つまたは複数は代替サイズであってもよい(例えば、別の構成要素を収容するためなど)。同様に、開口124はすべて実質的に円形の形状であるが、いくつかの実施形態では代替形状を有してもよい。ステム122はまた、本明細書に示され説明される例示的な実施形態にしたがって、その全表面にテクスチャ118を含む。
【0036】
脛骨部品110の上面116に結合される増強部(augment)150が示されている。図2を参照すると、増強部150は、増強部150が脛骨部品に結合されたときに、ステム122の少なくとも一部を内部に受け入れる大きさの中央開口部166を含む。いくつかの態様において、増強部150は、接着剤またはセメントを介して脛骨部品と結合されてもよく、または他の結合方法(例えば、ファスナーなど)を実施してもよい。図示のように、脛骨部品110は単一の増強部150を含むが、いくつかの実施形態では、様々な形状及び/又はサイズの複数の増強部150が脛骨部品110と結合されてもよい。患者の遠位脛骨に移植されたとき、増強部150がステム122や突起120よりもさらに上方(近位、上方向)に延びるように、増強部150がステム122の高さよりも大きい高さを有することが示されている。増強部150は、患者の遠位脛骨における不規則性の相補的な容積の少なくとも一部を占めるように構成された容積を提供するように、脛骨部品と結合されてもよい(例えば、上面116上に配置される)。さらに、いくつかの態様において、増強部150は、不規則性の容積全体を占めるように構成されてもよく、または(例えば、所望の装着を容易にするために)不規則性よりも大きな容積を有するようにサイズ決めされてもよい。さらに、本明細書で引き続き示され説明されるように、増強部150は、増強部150を有する脛骨部品110の移植を容易にするように構成された1つまたは複数の補完的な器具を含んでもよい(例えば、増強部150を受容する容積に不規則性をリーミングするためのリーマなど)。いくつかの態様において、増強部は、撮像データを介して識別され測定された不規則性に基づくカスタムサイズであってもよい。さらに、いくつかの態様において、増強部150は、手術キットで提供される増強部150(及び/又は補強試験)のライブラリから臨床医によって選択されてもよく、それぞれの増強部150は、患者の遠位脛骨における様々な不規則性に対処するように、異なるサイズ/形状/幾何学形状を有する。不規則性(または潜在的に複数の不規則性)に対する増強部150の適切なバージョンは、増強部150が所望のように適合するために不規則性の形状の操作を必要とする場合があることに留意すべきである。
【0037】
このように、増強部150は下部152と上部154を有する。増強部150の下部152の形状は、円錐形の円錐台(例えば、円錐台とは、当該立体を切断する2本の平行線の間にある立体の部分である)の形状であり、上部154の形状は、高さよりも大きい直径を有する円柱の形状である。本明細書で後述する上部154の円筒形状は、移植前に脛骨の遠位部分に形成された相補的な円筒体積に対応する。このような円筒形状(上部154の両方と対応量)は、増強部150(および図示および記載されたとおりのシステムのその他の部品)と遠位脛骨との結合及びその保持を容易にするように構成されている。いくつかの態様において、増強部150の形状は可変であってもよいことに留意すべきである(例えば、下部152は上部154のそれよりも低い高さ/体積/表面積を有してもよく、下部152および上部154はそれぞれ代替形状を有してもよいなど)。
【0038】
増強部150はさらに、外面156、底面160、上面162、および内面164を含む。外面156は底面160と上面162との間に延びる。図示されているように、底面160は脛骨部品110の上面116と結合している。上面162は、底面から増強部150の反対側に配置され、増強部150の上部154の上面である。図4に示すように、内面164は、増強部150の中央開口部166の容積を規定する。増強部150はまた、一対の多孔質構造(例えば、格子構造、ウェブ構造、節構造、メッシュ構造など)を有する。 第1多孔質構造158と第2多孔質構造168を含む。図示のように、第1多孔質構造158は第2多孔質構造168に対して上方(proud)に配置されており、第1多孔質構造158は前述のすべての面に対して増強部150の外側の表面を画定している。第1多孔質構造158が、第2多孔質構造168よりも気孔率が大きい(例えば、より多孔性である)ことが示されている。図示ように、第1多孔質構造は(様々な設計入力と構造パラメータを満足させながら)実質的にランダムな構造であるのに対し、第2多孔質構造は(例えば、実質的に直交する成分を持つ)格子状の形状である。本明細書に示され説明されるような第1及び第2多孔質構造158、168は例示的なものであり、増強部150の様々な実施形態のために変更され得ることを理解されたい。例えば、患者の遠位脛骨における特定の不規則性は、例示的な増強部150に示される多孔度よりも大きいまたは小さい多孔度を有する1つまたは複数の多孔質構造と相性がよくてもよい(be conducive to)。最終的に、増強部150は、代替的な数の多孔質構造または代替多孔質構造、または2つ以上の多孔質構造の代替配置を含んでもよい。
【0039】
増強部150は、その外面156に配置された外部開口部170およびその内面164に配置された内部開口部174を含む。外部開口部170および内部開口部174は、外面156から内面164まで延びるボア172を画定し、したがって、表面間(および増強部150の外部と中央開口部166との間)の流体連通を確立する。いくつかの態様において、増強部150は、増強部150を脛骨部品110に結合するときに、医師が追加的な固定を行うためのオプション性を提供するために、ボア172を含んでもよい。例えば、医師は、増強部150の底面160と脛骨部品の上面116とを結合するために接着剤/セメントを実施することに加えて、ファスナー(例えば、ネジなど)を実施してもよい。このようなファスナーは、外部開口部170を通って、ボア172に挿入され、ボア172を通って(例えば、ボアがファスナーを受けて)、内部開口部174から出ることができる。ファスナー、したがってボア172は、ステム122の開口124のうちの1つ又は複数がファスナーの少なくとも一部を受けるように、ステム122の開口124のうちの1つ又は複数と位置合わせされてもよく、したがって増強部150と脛骨部品110との間に付加的な結合を提供する。
【0040】
次に図5A図9を参照すると、器具200が(図5を参照すると、患者の例示的な脛骨302および腓骨310と相対的に)示されている。器具200は、図5図9の例示的な実施形態に示されるように、ハンドル202の対向する端部に配置された第1端204及び第2端208を有するハンドル202を含むように示されている。ハンドル202の第1端204は、ハンドル202を通って延びる開口部206を含む。ハンドル200はまた、ハンドル200の第2端208に(または隣接して)配置された係合部分210を含み、係合部分210は第2端208と結合している。いくつかの態様において、係合部分210は、様々な手段(例えば、枢動可能に結合される、回転可能に結合されるなど)を介して第2端208と結合されてもよい。さらに、いくつかの態様では、係合部分210は、ハンドル200の第2端208と少なくとも部分的に一体であってもよい。
【0041】
次に図5Bを参照すると、ハンドル202の第2端208に配置された開口部206と結合され得る付属品250が示されている。付属品250が、開口部206を介してハンドル202との回転可能及び/又は旋回可能な結合を容易にするように構成されたステム252を含むことが示されている。ステム252は、1つまたは複数の形状および/または寸法を含んでもよく、形状の少なくとも1つは、開口部206の形状と相補的な形状である。例えば、図示のように、ステム252は、円筒部分が少なくとも部分的に開口部206によって受容され、及び/又は開口部206内に配置されてもよいように、開口部206の横方向の寸法(例えば、直径)よりも小さい横方向の寸法を有する実質的に円筒部分を含む。さらに、ステム252が、円筒部分の少なくとも一部を開口部206内に保持するように(したがって、付属品150をハンドル202と結合された状態で保持するように)、円筒部分の対向する端部に開口部206の寸法よりも大きい横方向の寸法を有する形状を含むことが示されている。付属品250はさらにノブ254を含むように示されており、ノブ254はステム252と回転可能及び/又は旋回可能に結合されている。図示のように、ノブ254は、ステム252の円筒部分よりも大きい第1の横方向寸法を有するステム252の前述の形状のうちの1つと係合するように構成された中央開口部を含む。ノブ254の中央開口部はまた、第2横方向寸法を有するように示されており、当該横方向寸法は、ステム252の円筒部分の横方向寸法よりも大きいが、円筒部分の横方向寸法よりも大きいステム252の端部形状よりも小さい(例えば、ノブ254の当該第2開口部は、開口部206の横方向寸法と同じか又は類似の横方向寸法を有してもよい)。したがって、ノブ252は、器具200のハンドル202の動きとは無関係に、ステム252に対して回転させることができ、本明細書で後述するように、器具200の他の操作を容易にできる。
【0042】
係合部分210が、第1部分212と第2部分222(例えば、それぞれ下部と上部)を含むことが示されており、第1部分212と第2部分222は互いに一体となっている。第1部分212は、底面214と上面218、さらに底面214と上面218の間に延びる側面216を含む。側面216は、側面216から側面216に対して斜め及び/又は直交する角度で延びる(例えば、突出する等)複数の第1係合特徴220を含む。さらに、図示されているように、第1係合特徴220は、実質的に互いに等距離に配置され、底面214から第1部分212の上面218まで側面216に沿って縦に延びている。いくつかの態様において、第1係合特徴220は、側面216を越えて(例えば、底面214および上面218を越えて)縦方向に延びてもよい。図示のような第1係合特徴220のそれぞれは、第1部分212の側面216から突出するリッジを含み、当該リッジはそれぞれ特定の方向に角度が付けられている(例えば、図6に示すように、第1係合特徴220は、係合部分210に対して実質的に反時計回りの方向に角度が付けられている)。第1部分212は、器具200(及び第1部分212)の実施が、増強部150の少なくとも一部を収容するために患者の遠位脛骨302内の空間をリーマ加工又は他の方法で構成できるように、増強部150の下部152と同様の形状を有するように構成される。したがって、係合部分210の第1部分212の形状は、増強部を参照して本明細書で先に定義したように、円錐の円錐台の一般的な形状を有する。
【0043】
係合部分210の第2部分222は、底面224と上面228、さらに底面224と上面228の間に延びる側面226を含む。図示されているように、第2部分222は、底面224が第1部分212の上面220に当接する(例えば、一体である)ように配置されている。第2部分222は、(増強部150の上部154と同様に)実質的に円筒形状を有し、円筒の直径が高さよりも大きいことが示されている(一方で、器具200のすべての幾何学的特性は、増強部150の幾何学的形状に基づいて変化する可能性がある)。第2部分222の形状は、増強部150の上部164の形状と相補的な遠位脛骨の容積をリーマ加工する(例えば、円筒状の容積をリーマ加工する)ように構成されている。第2部分222が、複数の第2係合特徴230を含むことが示されており、第2係合特徴230は、第1部分212のものと同じように及び/又は同様に配置されてもよい。図示のように、第2の係合特徴230は、側面226から横方向に延び(例えば、突出するなど)、さらに側面226の少なくとも高さに沿って縦方向に延びている。図示のように、第2係合特徴230は、第2部分222の底面224から縦に延び、上面228のすぐ先で終端し、上面228が第2係合特徴230を含むようになっている。増強部150は、3Dプリンティングで作成できるように構成されていてもよいことを理解されたい。
【0044】
図5を参照すると、器具200が、患者の例示的な脛骨302に係合することが示されている。係合部分210は、上面228が(例えば切除によって)遠位脛骨302に形成された凹部304の遠位面に接触するように配置されている。修正手順の例では、係合部分210は、以前は脛骨部品110のステム122を収容されていた遠位脛骨302の一部に配置されてもよい。このような例では、係合部分210の形状により、増強部150を収容するための容積のリーミングを行う際に、係合部分210がセルフセンタリングできる。すなわち、器具200の係合部分210の形状は、以前にステム122(または他の脛骨部品の突起物)を受容した遠位脛骨の凹部を中心とする(この例では、そこから同心円状に延びる)容積をリーマ加工するように構成されている。前の脛骨部品からのそのような凹部を提供しない処置では、係合部分は、医師によって特定された点を中心に位置し、最終的に、増強部150と脛骨部品110との結合後に増強部150が移植されたときに容積が増強部150(または少なくともその一部)を受容するように、増強部150の形状と相補的な形状を有する容積をリーミングするように構成される。図示されているように、器具200は、医師が、遠位脛骨302内の所望の容積をリーミングするために、ハンドル202によって器具200を半円状の経路232を往復するように操作できる手動使用器具である。経路232上の移動は、図5Bに示すように、医師が付属品250を介して器具200を操作することによって駆動されてもよい。例えば、器具200は、ノブ254を把持することによって半円経路232で操作されてもよく、ノブは、器具200のそのような操作および移動を容易にするように回転する。いくつかの態様において、器具200および/またはその一部は、様々な他の器具(例えば、電動工具/リーマ)と結合するように変更されてもよい。器具200はまた、3Dプリンティングで作成できるように構成/設計されてもよく、その結果、多くの器具に一般的な機械加工工程を省くことができる。
【0045】
次に図11図20を参照すると、増強部450と器具500との代替的な実施形態が示されている。増強部450は、増強部150と同じ及び/又は類似の1つまたは複数の特性を有してもよく、同様に、器具500は、器具200と同じ1つまたは複数の特性を有してもよい。図11図20に示すように、増強部450は、本明細書で以前に示され説明されたものと同じ脛骨部品システム100およびその構成要素に対して示されている。簡潔にするため、これらのコンポーネントの説明は省略する。しかしながら、増強部150及び器具200と同様に、増強部450及び器具500は、様々なインプラントシステム(脛骨及びその他)と組み合わせて実施でき、脛骨部品システム100は、例示的な脛骨部品として本明細書に示されていることを理解されたい。また、増強部450および器具500の用途には、少なくとも、ここで先に示され記載されたものが含まれることを理解されたい(例えば、カスタム設計による術前および/またはトライアリングプロセスによる術中のいずれであっても、患者の解剖学的構造における1つまたは複数の不規則性に対処するため)。
【0046】
増強部450は脛骨部品110の上面116と結合していることが示されている。図15を参照すると、増強部450は、中央開口部466を含み、中央開口部466は、増強部450が脛骨部品に結合されたときに、ステム122の少なくとも一部を受け入れる大きさになっている。いくつかの態様において、増強部450は、接着剤またはセメントを介して脛骨部品と結合されてもよく、または他の結合方法(例えば、ファスナーなど)を実施してもよい。図示のように、脛骨部品110は単一の増強部450を含むが、いくつかの実施形態では、様々な形状及び/又はサイズの複数の増強部450を脛骨部品110と結合してもよい。増強部450は、患者の遠位脛骨に移植されたときに、増強部450がステム122または突起120よりもさらに上方(近位、上方向)に延びるように、ステム122の高さよりも大きな高さを有することが示されている。増強部450は、患者の遠位脛骨における不規則性の相補的容積の少なくとも一部を占めるように構成された容積を提供するように、脛骨部品と結合してもよい(例えば、上面116上に配置される)。さらに、いくつかの態様において、増強部450は、不規則性の容積の全体を占めるように構成されてもよく、(例えば、所望の装着を容易にするために)不規則性よりも大きな容積を有するように大きさが決められてもよい。さらに、本明細書で引き続き示され説明されるように、増強部450は、脛骨部品110と増強部450との移植を容易にするように構成された1つまたは複数の補完的な器具(例えば、不規則性を、増強部450を受容する容積にリーマするためのリーマなど)を含んでもよい。いくつかの態様において、増強部450は、撮像データを介して特定され測定された不規則性に基づくカスタムサイズであってもよい。さらに、いくつかの態様において、増強部450は、手術キットで提供される増強部450(及び/又は増強試験)のライブラリから医師によって選択されてもよく、ここで、各増強部450は、患者の遠位脛骨における様々な不規則性に対処するように、異なるサイズ/形状/幾何形状を有する。不規則性(または潜在的に複数の不規則性)に適切なバージョンの増強部450を使用するには、増強部450を望むように適合させるために不規則性の形状を操作する必要がある場合があることに留意すべきである。
【0047】
図示されているように、増強部450は、本体452を有し、増強部450の本体452の形状は、円錐形の円錐台の形状である(例えば、円錐台は、当該立体を切断する2本の平行線の間にある立体の部分である。いくつかの態様において、増強部450の形状は可変であってもよいことに留意すべきである(例えば、本体452は、本体452の高さよりも大きいまたは小さい直径を有してもよく、本体452は代替形状を有してもよいなど)。増強部450はさらに、外面456、底面460、上面462、内面464を含む。外面456は底面460と上面462の間に延びている。図示されているように、底面460は脛骨部品110の上面116と結合している。上面462は、底面から増強部450の反対側に配置され、増強部450の本体454の上面である。図15に示す内面464は、増強部450の中央開口部466の容積を画定している。増強部450はまた、第1多孔質構造458と第2多孔質構造468を含む一対の多孔質構造(例えば、格子構造、ウェブ構造、節構造、メッシュ構造など)を有する。図示されているように、第1多孔質構造458は、第2多孔質構造468に対して上方(proud)に(例えば、内側構造体に対して外側構造体である)配置されており、第1多孔質構造458は、前述のすべての面について増強部450の外側の表面を画定している。第1多孔質構造458は、第2多孔質構造468よりも気孔率が高い(例えば、より多孔質である)ことが示されている。示されるように、第1多孔質構造458は実質的にランダムな構造(様々な設計入力と構造パラメータを満足させながら)であるのに対し、第2多孔質構造は格子状の形状(例えば、実質的に直交する成分を有する)を有する。本明細書に示され説明されるような第1多孔質構造458および第2多孔質構造468は例示的なものであり、増強部450の様々な実施形態に対して変更され得ることを理解されたい。例えば、患者の遠位脛骨に含まれる特定の不規則性は、例示的な増強部450に示される気孔率よりも大きいまたは小さい気孔率を有する1つまたは複数の多孔質構造と相性がよい可能性がある。最終的には、増強部450は、代替数の多孔質構造または代替多孔質構造、または2つ以上の多孔質構造の代替配置を含んでもよい。
【0048】
増強部450には、外面456に配置された外部開口部470および内面464に配置された内部開口部474が含まれる。外部開口部470及び内部開口部474は、外面456から内面464まで延びるボア472を画定し、したがって表面間(及び増強部450の外部と中央開口部466との間)の流体連通を確立する。いくつかの態様において、増強部450は、増強部450を脛骨部品110に結合する際に医師が追加的な固定を行うためのオプション性を提供するために、ボア472を含んでもよい。例えば、医師は、増強部450の底面460を脛骨部品の上面116と結合させるために接着剤/セメントを実施することに加えて、ファスナー476(例えば、ねじ等)を実施してもよい。ファスナー476は、外部開口部470を通って、ボア472に挿入され(例えば、ボアはファスナーを受ける)、ボア472を通って、内部開口部474から出てもよい。ファスナー476、したがってボア472は、ステム122の開口124のうちの1つまたは複数がファスナー476の少なくとも一部を受けるように、ステム122の開口124のうちの1つまたは複数と位置合わせされてもよく、したがって増強部450と脛骨部品110との間に付加的な結合を提供する。
【0049】
次に図16図20を参照すると、患者の模範的な脛骨302および腓骨310に対する器具500が示されている。器具500が、図17の例示的な実施形態に示すように、ハンドル502の対向する端部に配置された第1端504及び第2端508を有するハンドル502を含むことが示されている。ハンドル500は、ハンドル500の第2端508に配置された(または隣接した)係合部分510を含み、係合部分510は第2端508と結合している。いくつかの態様において、係合部分510は、様々な手段(例えば、旋回可能な結合、回転可能な結合など)を介して第2端508と結合されてもよい。さらに、いくつかの態様では、係合部分510は、ハンドル500の第2端508と少なくとも部分的に一体的であってもよい。
【0050】
係合部分510が、本体512を含むことが示されている。本体512は、底面514と上面518、および底面514と上面518の間に延びる側面516を含む。側面516は、側面516に対して斜めおよび/または直交する角度で、側面516から延びる(例えば、突出する、突出する等)複数の係合特徴520を含む。さらに、図示のように、係合特徴520は、実質的に互いに等距離に配置され、側面516に沿って、底面514から本体512の上面518まで縦方向に延びている。いくつかの態様において、係合特徴520は、側面516を越えて(例えば、底面514および上面518を越えて)縦方向に延びてもよい。図示のような係合特徴520のそれぞれは、本体512の側面516から突出するリッジを含み、当該リッジはそれぞれ特定の方向に角度をなしている(例えば、図6に示すような器具200の第1係合特徴220を参照して示したものと同様に、係合特徴520は、係合部分510に対して実質的に反時計回りの方向に角度をなしている)。本体512は、器具500(及び本体512)の実施が、増強部450の少なくとも一部(図18-20を参照)を収容するために患者の遠位脛骨302の凹部308(脛骨部品110に対応するための切除による凹部)内のボア306をリーマ加工又は他の方法で構成し得るように、増強部450の本体452と同様の形状を有するように構成される。したがって、係合部分510の本体512の形状は、増強部を参照して本明細書で先に定義したように、円錐の円錐台の一般的な形状を有する。増強部150は、3Dプリンティングが可能なように構成されていてもよいことを理解されたい。
【0051】
図17を参照すると、器具500は、患者の例示的な脛骨302と係合する直前の状態で示されている。係合部分510は、上面518が(例えば切除によって)遠位脛骨302に形成された凹部304の遠位面に接触するように配置されている。修正処置の例では、係合部分510は、以前は脛骨部品110のステム122を収容していた遠位脛骨302の一部に配置されてもよい。このような例では、係合部分510の形状により、増強部450を収容するための容積のリーマ加工を行う際に、係合部分510がセルフセンタリングできる。すなわち、器具500の係合部分510の形状は、以前にステム122(または他の脛骨部品の突起物)を受容した遠位脛骨の凹部を中心とする(この例では、そこから同心円状に延びる)容積をリーマ加工するように構成されている。前の脛骨部品からのそのような凹部を提供しない処置では、係合部分は、医師によって特定された点を中心に、最終的に、増強部450と脛骨部品110との結合後に移植されたときに容積が増強部450(または少なくともその一部)を受容するように、増強部450の形状と相補的な形状を有する容積をリーマ加工するように構成される。図示の器具500は、医師が、遠位脛骨302内の所望の容積をリーマ加工するために、ハンドル502によって器具500を半円状の経路532に沿って往復するように操作できる手動使用器具である。いくつかの態様において、器具500および/またはその一部は、様々な他の器具(例えば、電動工具/リーマ)と結合するように変更されてもよい。器具500はまた、3Dプリンティングできるように構成/設計されてもよく、その結果、多くの器具にとって一般的な機械加工工程を省くことができる。
【0052】
次に図21図26を参照すると、本開示の例示的な実施形態にしたがったインプラントシステム600が示されている。インプラントシステム600は、距骨部品602、中間部品604、および/または脛骨部品610のうちの少なくとも1つを含んでもよい。いくつかの態様において、距骨部品602は、距骨スペーサまたは他の部分的もしくは全体的な距骨置換インプラントであってもよく、これは、足の他の骨/関節とインターフェースを形成する(例えば、これと関節結合する、および/またはこれと融合を促進する)、および/または中間部品604などの他のインプラント構成要素とインターフェースを形成する(例えば、これと関節結合する)ように構成された1つまたは複数の表面を含んでもよい。いくつかの態様において、距骨部品602は、患者の踵骨312との融合を促進するように構成されてもよく、また、他のインプラントシステム(例えば、関節形成システム)の構成要素とインターフェースを形成するように構成されてもよい。さらに、いくつかの態様では、脛骨部品610は、中間部品604とインターフェースを形成するように構成された足関節形成術システムの脛骨部品と同じであってもよく、および/または類似していてもよく、したがって、距骨部品602および/または患者の生まれつきの距骨の少なくとも一部と結合するように構成された距骨部品を含む様々な距骨部品との互換性を提供する。インプラントシステム600は、図21図26に示されるように実施されてもよく、または、本明細書で先に示され説明されたものに限定されないが、システム間の互換性を有する様々な他の部品を含む代替構成で実施されてもよいことを理解されたい。
【0053】
脛骨部品610が、ベース部分612とともに、底部616および上面614のそれぞれを含むことが示されており、上面614は底面616からベース部分612の反対側に配置されている。脛骨部品610が、ベース部分612(少なくとも上面614を含む)の外側の表面上のテクスチャ618を含むことが示されている。テクスチャ118は、骨の成長を促進し、及び/またはそうでなければ脛骨部品610を遠位脛骨に保持するように構成されてもよい。脛骨部品610は標準的な脛骨部品であってもよいことに注意すべきである(例えば、カスタム部品を持たない、既製品として販売されているなど)。脛骨部品610はさらに、ベース部分612の底面616上に配置された凹部620を含むように示されており、図23の位置に示されるとき、底面616からベース部分612の中に上向きに延びている。凹部620は、その中の少なくとも1つの表面上に配置された1つまたは複数の係合特徴622を含んでもよく、1つまたは複数の係合特徴622は、他のインプラント部品との結合(例えば、解放可能、摺動可能など)を容易にするように構成される。図示されるように、係合特徴622は、中間部品604と解放可能に結合するように構成され、係合特徴622は、凹部620の長さの少なくとも一部に沿って延びる突起/溝として構成され、中間部品604の相補的な突起/溝と係合するように構成される。いくつかの態様において、1つまたは複数の係合特徴622は、凹部622内の代替構成および/または位置決めを含んでもよい。例えば、1つまたは複数の係合特徴622は、アリ溝(dovetail)構成または他の様々なインターフェース/係合構成を含んでもよい。脛骨部品610は、中間部品604を含むがこれに限定されない様々な中間部品と解放可能に結合可能であってもよく、すなわち、1つまたは複数の係合特徴622(および/または脛骨部品604の他の特徴)は、様々な他のインプラント構成要素および/またはインプラントシステムとインターフェースを形成するように構成されてもよいことが理解されるべきである。
【0054】
増強部650が脛骨部品610の上面616と結合していることが示されている。図示のように、増強部はベース部分612と一体であるが、いくつかの態様では、増強部は、ベース部分612との結合を容易にするように構成された1つまたは複数の機能(例えば、中央開口部など)を含んでもよい。図示のように、脛骨部品610は単一の増強部650を含むが、いくつかの実施形態では、様々な形状及び/またはサイズの複数の増強部650が脛骨部品610と結合されてもよい。増強部650は、患者の遠位脛骨における不規則性の相補的容積の少なくとも一部を占めるように構成された容積を提供するように構成されてもよい。図23図26に示すように、増強部650が、脛骨部品610の上面614の中心からずれて配置されていることが示されている。いくつかの態様において、増強部650は、患者の特定の解剖学的構造(例えば、遠位脛骨の空隙、ベース部分612を従来の中央配置からより前方、後方、内側、または外側に偏らせる医師の好みなど)に対処するように、脛骨部品610に対して選択的に配置されてもよい。さらに、いくつかの態様では、増強部650は、患者の脛骨302の髄内管によって受けられるように位置決めされてもよく、脛骨部品610のベース部分612は、ベース部分612に対する増強部650の位置に基づいて位置決めされる。さらに、いくつかの態様において、増強部650は、不規則性の容積の全体を占めるように構成されてもよく、不規則性よりも大きな容積を有するように(例えば、所望の装着を容易にするように)サイズが決められてもよい。さらに、本明細書で引き続き示され説明されるように、増強部650は、脛骨部品610と増強部650との移植を容易にするように構成された1つまたは複数の補完的な器具(例えば、不規則性を、増強部650を受容する容積にリーマ加工するためのリーマなど)を含んでもよい。いくつかの態様では、増強部は、撮像データを介して特定され測定された不規則性に基づくカスタムサイズであってもよい。さらに、いくつかの態様において、増強部650は、手術キットで提供される増強部650(および/または増強試験)のライブラリから医師によって選択されてもよく、ここで、各増強部650は、患者の遠位脛骨における様々な不規則性に対処するように、異なるサイズ/形状/幾何形状を有する。不規則性(または潜在的に複数の不規則性)に適切なバージョンの増強部650が、増強部650を希望通りに適合させるために、不規則性の形状を操作することを必要とする場合があることに留意すべきである。
【0055】
図23図26に示すように、増強部650には下部652と上部654とを有する。増強部650の下部652の形状は、円錐形の円錐台(例えば、円錐台とは、立体を切断する2本の平行線の間にある立体の一部分である)の形状であり、上部654の形状は、高さよりも大きい直径を有する円柱の形状である。本明細書で後述する上部654の円筒形状は、移植前に脛骨の遠位部分に形成された相補的な円筒形の容積に対応する。このような円筒形状(上部654と対応する容積の両方)は、増強部650(および図示および説明されたシステムの他の部品)と遠位脛骨との結合およびその保持を容易にするように構成されている。いくつかの態様において、増強部650の幾何学的形状は可変であってもよいことに留意すべきである(例えば、下部652は上部654のそれよりも低い高さ/体積/表面積を有してもよく、下部652および上部654はそれぞれ代替形状を有してもよい)。
【0056】
増強部650はさらに、外面656、底面660、及び上面662を含む。外面656は底面660と上面662との間に延びている。図示されているように、底面660は脛骨部品610の上面616と一体である。上面662は、底面から増強部650の反対側に配置され、増強部650の上部654の上面である。いくつかの態様では、増強部650は、増強部650の中央開口部の容積を画定する内面を含んでもよく、他の態様では、増強部650の中央部分は中実であってもよい。増強部650は、第1多孔質構造658と第2多孔質構造668を含む一対の多孔質構造(格子構造、ウェブ構造、節構造、メッシュ構造など)を有する。図示されているように、第1多孔質構造658は第2多孔質構造668に対して上方に配置されており、第1多孔質構造658は前述のすべての面に対して増強部650の外側の表面を画定している。第1多孔質構造658が、第2多孔質構造668よりも高い気孔率を有する(例えば、より多孔質である)ことが示されている。図示されるように、第1多孔質構造は実質的にランダムな構造(様々な設計入力と構造パラメータを満足させながら)であるのに対し、第2多孔質構造は格子状の形状を有する(例えば、実質的に直交する成分を有する)。本明細書に示され、説明されるような第1多孔質構造658および第2多孔質構造668は例示的なものであり、増強部650の様々な実施形態に対して変更され得ることを理解されたい。例えば、患者の遠位脛骨に含まれる特定の不規則性は、例示的な増強部650に示される気孔率よりも大きいまたは小さい気孔率を有する1つまたは複数の多孔質構造と相性がよい可能性がある。最終的に、増強部650は、代替数の多孔質構造または代替多孔質構造、または2つ以上の多孔質構造の代替配置を含んでもよい。
【0057】
次に図27図28を参照すると、本開示の例示的な実施形態による器具710が示されている。図示のような器具710は、システム600(例えば、脛骨部品610)の少なくとも一部の移植のために患者の遠位脛骨304を準備するために、患者の遠位脛骨304へのドリル穴および/または切断を容易にし、および/または案内するように構成されたガイドまたは他の器具であってもよい。いくつかの態様において、器具710は、手順における特定のステップを示すように色分けされていてもよく、または、色分けが器具710のサイズを示す手術キットに含まれる様々なサイズの複数の器具710のうちの1つであってもよい。器具710はまた、撮像データおよび/またはモデリングに基づいて患者の解剖学的構造に適合するように特別に生成(例えば、3Dプリンティングなど)された患者固有の器具/ガイドであってもよい。図示されているように、器具710は、ドリルまたは他の器具を、いくつかの態様では、ピンまたはガイドワイヤの配置を案内するように構成された少なくとも1つの開口部(図示されているように、2つの開口部)を含む縦方向の突起712を含む。器具710は、その中央部分714において、同様に、ピンおよび/またはワイヤを配置するためのドリルを案内するように構成された少なくとも1つの開口部をさらに含む。突起716は、中央部分714から突起712とは実質的に反対方向に延びるように示されており、突起716は、器具710の操作を容易にし、および/または医師による他の様々な動作を案内するように構成されてもよい。いくつかの態様において、器具710は、患者の解剖学的構造の一部と(例えば、ピンを介して、摺動可能に結合されるなど)解放可能に結合可能であってもよい。
【0058】
次に図29図30を参照すると、本開示による例示的な実施形態に係る器具720が示されている。器具710と同様に、器具720は、システム600(例えば、脛骨部品610)の少なくとも一部の移植のために患者の遠位脛骨304を準備するために、患者の遠位脛骨304へのドリル穴および/または切断を容易にし、および/または案内するように構成されたガイドまたは他の器具であってもよい。さらに、器具720は、患者の解剖学的構造の少なくとも一部と解放可能に結合するように構成されてもよい。いくつかの態様において、器具720は、手順における特定のステップを示すために色分けされていてもよく、または、色分けが器具720のサイズを示す手術キットに含まれる様々なサイズの複数の器具720のうちの1つであってもよい。器具720はまた、撮像データおよび/またはモデリングに基づいて患者の解剖学的構造に適合するように特別に生成された(例えば、3Dプリンティングされたなど)患者固有の器具/ガイドであってもよい。器具720は、ベース部分722を含み、ベース部分722に対して実質的に中央に位置する開口部724を含む。いくつかの態様において、開口部724は、特定の手術が行われ得る患者の解剖学的構造の一部分に対して位置決めされてもよい。例えば、器具720は、患者と解放可能に結合されたときに、開口部724が解剖学的構造の一部(例えば、遠位脛骨の髄内管)と整列し、医師が解剖学的構造の所望の部分のリーマ加工を確実にするように開口部724内にリーマの少なくとも一部を挿入できるように、特定の位置に開口部724を有するように生成されてもよい。いくつかの態様において、器具720は、患者の解剖学的構造の一部と(例えば、ピンを介して、摺動可能に結合されるなど)解放可能に結合可能であってもよい。
【0059】
次に図31図34を参照すると、本開示の例示的な実施形態による器具730が示されている。器具710、720と同様に、器具730は、システム600(例えば、脛骨部品610)の少なくとも一部の移植のために患者の遠位脛骨304を準備するために、患者の遠位脛骨304におけるドリル穴および/または切断を容易にし、および/または案内するように構成されたガイドまたは他の器具であってもよい。さらに、器具730は、患者の解剖学的構造の少なくとも一部と解放可能に結合するように構成されてもよい。いくつかの態様において、器具730は、処置における特定のステップを示すために色分けされてもよく、または、色分けが器具730のサイズを示す手術キットに含まれる様々なサイズの複数の器具730のうちの1つであってもよい。器具730はまた、撮像データおよび/またはモデリングに基づいて患者の解剖学的構造に適合するように特別に生成(例えば、3Dプリンティングなど)された患者固有の器具/ガイドであってもよい。 器具730は、ベース部分732に対して実質的に中央に(例えば、器具730に対して「中央」であってもなくてもよいベース部分732の中央部分において)位置する開口部738を含むベース部分732を含む。いくつかの態様において、開口部738は、器具730上で、特定の手術が行われ得る患者の解剖学的構造の一部分に対して位置決めされてもよい。例えば、器具730は、患者と解放可能に結合されたときに、開口部738が解剖学的構造の一部(例えば、遠位脛骨の髄内管)と整列し、医師が解剖学的構造の所望の部分のリーマ加工を確実にするように開口部738内にリーマの少なくとも一部を挿入できるように、特定の位置に開口部738を有するように生成されてもよい。器具730はまた、ベース部分732から実質的に直交する方向に、ベース部分732の端部分から延びる突起734を含むように示されている。突起734は、ドリル穴および/または医師によるワイヤ/ピンの配置を案内するように構成された少なくとも1つの開口部736(図示のように、2つの開口部)を含むように示されている。
【0060】
図34に示すように、器具730は、少なくとも1つの開口部736がその前方部分に配置されるように、患者の遠位脛骨304に配置されることができる。さらに、器具730は、例えば、器具750などの他の器具とともに実施されてもよく、器具750は、器具730および/または患者の解剖学的構造の1つまたは複数の部分を処置中に所望の位置に保持するように構成されてもよい。いくつかの態様において、器具730は、患者の解剖学的構造の一部と(例えば、ピンを介して、旋回可能に結合されるなど)解放可能に結合可能であってもよい。
【0061】
次に図34図38を参照すると、本開示の例示的な実施形態による器具740が示されている。器具740は、患者の遠位脛骨302および腓骨310と相対的に示されている。器具740は、ハンドル742と、ハンドル742の端部に配置されたヘッド744とを含むように示されている。図示されるように、ハンドル742は、ヘッド744とは反対側の端部においてより広い横方向寸法を有する実質的にテーパー状の構成を有する。器具740およびその部分は、本明細書で先に図示され説明された器具500と同じおよび/または類似であってもよく、したがって、本明細書で少なくとも図17に示されたものと同じおよび/または類似の方法で実施されてもよく、簡潔にするために繰り返さない。器具720、730は、器具740および/または他の類似の器具(例えば、図38に示すような)の1つまたは複数の特徴を収容する1つまたは複数の形状を有するように構成されてもよい。例えば、開口部724、738は、医師による遠位脛骨304のリーマ加工を案内するように、器具740のヘッド744の少なくとも一部をそこに受け入れるように構成されてもよい。いくつかの態様において、器具740は、患者の特定の解剖学的構造に適合するように構成されてもよい(例えば、ヘッド744は、より背が高く、より大きな横方向寸法を有するなど)。
【0062】
図39図41を参照すると、インプラントシステム600は、本開示の例示的な実施形態に従って、患者の脛骨304、腓骨310、および踵骨312に隣接して移植された状態で示されている。脛骨部品610は、患者の遠位脛骨304と結合されて示されており、図示されていないが、増強部650は、少なくとも部分的に脛骨304内(例えば、髄内管内)に配置されている。中間部品604は、中間部品604が脛骨部品610に対して実質的に下方/足底の位置に保持されるように、脛骨部品610と(ここでは図示されていないが、1つ以上の係合特徴622を介して)解放可能に結合されることが示されている。距骨部品602は、距骨部品602の上面が中間部品の下面と接触するように、中間部品604に対して下側/足底側に位置することが示されている。さらに、距骨部品602の少なくとも一部を通り、踵骨312を通って延びる一対の軌道690が示されている。一対の軌道690は、距骨部品604と踵骨312との配置を容易にするように構成された固定要素(例えば、ファスナー、ネジ、圧縮ネジ、ラグネジなど)の軌道に対応する(例えば、関節固定術(arthrodesis)、関節制動術(arthroeresis)など)。いくつかの態様では、距骨部品602と踵骨312との間の距骨下関節は、インプラントシステム600の1つまたは複数の構成要素を移植することを含む処置を行う際に融合されることがあるが、融合がすべての処置に含まれるとは限らない。
【0063】
インプラントシステム100、600、ならびに本明細書に示され、説明されるその構成要素および/または器具は、互換性があり、相互互換性があると考えられるべきであることを理解すべきである。すなわち、器具730を器具500およびインプラントシステム100と組み合わせて実施してもよく、インプラントシステム600を器具500および器具710と組み合わせて実施してもよい。さらに、本明細書に示され、説明される構成要素のいずれもが、患者の解剖学的構造に特異的に構成されてもよいことが理解されるべきである。例えば、増強部650は、患者の脛骨空隙または髄内管の寸法に対応する高さおよび横方向の寸法を有してもよく、または器具700のヘッド744は、患者の同様の解剖学的寸法に応じた大きさを有してもよい。
【0064】
図42図47は、移植前に医師によって組み立てられるインプラントシステム100を示す。図42は、増強部150を脛骨部品に結合する準備をしている医師を示している。図43は、医師が増強部150を脛骨部品110に接続する様子を示す。図44は、組み立てられたインプラントシステム100が、患者の遠位脛骨302への移植のために準備されている様子を示す。図45は、増強部150を脛骨部品110に固定するための工具を使用する医師を示す。図46は、移植前の遠位脛骨302に隣接するインプラントシステム100を示す。図47は、遠位脛骨302に移植されたインプラントシステム100を示す。
【0065】
インプラントシステム100は、2ピース構造体として示されているが、チタンまたは他の生体適合性金属材料から製造された1ピースであってもよいことが当業者には理解される。インプラントシステム100は、1ピース構成体または2ピース構成体(すなわち、脛骨部品および増強部)のいずれかとして、3Dプリンタまたは何らかの付加製造プロセスを使用して製造されてもよく、塊である金属棒から機械加工されてもよい。本明細書で説明するインプラントシステム100は、足首の人工関節インプラントに向けられているが、増強部要素は、術後にインプラントを安定させるために他の関節インプラントと共に使用され得ることが企図されている。例えば、増強部150は、全肩関節形成術システム、寛骨臼カップ、全膝の大腿骨または脛骨部品のいずれか、および患者の骨内に挿入される実質的に他のすべての人工関節装置に使用できる。
【0066】
インプラントシステムは、その好ましい実施形態に関連して説明されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の多くの可能な修正および変形を行うことができることを理解されたい。
【0067】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定するものではない。本明細書において、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、「備える(comprise)」(および「備える(comprises)」や「備える(comprising)」のようなcompriseの任意の形)、「有する(have)」(そして、「有する(has)」や「有する(having)」のようなhaveのあらゆる形)、「含む(include)」(および「含む(includes)」や「含む(including)」のようなincludeのあらゆる形式)、「収容する(contain)」(および、「収容する(contains)」や「収容する(containing)」など、containのあらゆる形式)という用語は、オープンエンドの連結動詞であることが理解されよう。その結果、1つまたは複数のステップまたは要素を「備える」、「有する」、「含む」、または「収容する」方法または装置は、それらの1つまたは複数のステップまたは要素を有するが、それらの1つまたは複数のステップまたは要素のみを有することに限定されない。同様に、1つまたは複数の特徴を「備える」、「有する」、「含む」、または「収容する」方法のステップまたは装置の要素は、それらの1つまたは複数の特徴を有するが、それらの1つまたは複数の特徴のみを有することに限定されない。さらに、ある方法で構成されている装置または構造は、少なくともその方法で構成されているが、記載されていない方法で構成されていてもよい。
【0068】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明された。本明細書で説明するアーキテクチャおよび動作の実施形態は、同じ一般的な特徴、特性、および一般的なシステム動作を提供するための複数の可能な配置の例示であると理解されよう。先の詳細な説明を読み、理解した上で、他者は修正や変更を思いつく。本発明が、このような修正および変更をすべて含むものと解釈されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
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図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
【国際調査報告】