(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 403/12 20060101AFI20240711BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20240711BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240711BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240711BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240711BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240711BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240711BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240711BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240711BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240711BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240711BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240711BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240711BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240711BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240711BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240711BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240711BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240711BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240711BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20240711BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240711BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240711BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240711BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240711BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240711BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20240711BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20240711BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C07D403/12 CSP
A61K31/4184
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P37/06
A61P9/00
A61P11/00
A61P3/00
A61P25/28
A61P31/12
A61P27/02
A61P35/00
A61P17/00
A61P31/04
A61P1/16
A61P1/18
A61P17/06
A61P21/00
A61P9/10
A61P9/04
A61P1/04
A61P43/00 105
A61P13/12
A61P3/04
A61P19/02
A61P31/14
A61P31/20
A61P17/10
A61P25/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503575
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 IB2022000396
(87)【国際公開番号】W WO2023002246
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2021120698
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503286424
【氏名又は名称】カルナバイオサイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138900
【氏名又は名称】新田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【氏名又は名称】森本 靖
(72)【発明者】
【氏名】松本 紘和
(72)【発明者】
【氏名】清位 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 詩穂理
(72)【発明者】
【氏名】澤 匡明
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC39
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA70
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB02
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZC21
4C086ZC41
4C086ZC52
4C086ZC54
(57)【要約】
STING経路の活性化を抑制する化合物が提供される。該化合物は、下式(I):
(式中、A
1、A
2、R
1~R
5は明細書参照)
で表される1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(I):
【化1】
(式中、A
1は窒素原子またはC-R
6を表わし、A
2は窒素原子またはC-R
7を表わし、R
1は、ハロゲン原子またはアルキル基を表わし、R
2、R
3、R
4、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表わし、R
5は、水素原子または置換されてもよいアルキル基を表わす。)
で示される1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
A
1およびA
2が、C-R
6およびC-R
7で表わされる、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
A
1およびA
2が、窒素原子およびC-R
7で表わされる、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
A
1およびA
2が、C-R
6および窒素原子で表わされる、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R
1がハロゲン原子で表わされる、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
該化合物が、下式(I-a):
【化2】
(式中、A
1は窒素原子またはC-R
6を表わし、A
2は窒素原子またはC-R
7を表わし、R
1は、ハロゲン原子またはアルキル基を表わし、R
2、R
3、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表わす。)
またはその薬学的に許容される塩で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
A
1およびA
2が、C-R
6およびC-R
7で表わされる、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
A
1が窒素原子で表わされ、A
2がC-R
7で表わされる、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
A
1がC-R
6で表わされ、A
2が窒素原子で表わされる、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
A
1およびA
2がそれぞれ、C-R
6およびC-R
7で表わされ、R
1が、ハロゲン原子で表わされる、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
A
1およびA
2がそれぞれ、C-R
6およびC-R
7で表わされ、R
6およびR
7がそれぞれ水素で表わされる、請求項6に記載の化合物。
【請求項12】
A
1およびA
2がそれぞれ、C-R
6およびC-R
7で表わされ、R
6およびR
7がそれぞれ水素で表わされ、R
1がハロゲン原子で表わされる、請求項6に記載の化合物。
【請求項13】
A
1およびA
2がそれぞれ、C-R
6およびC-R
7で表わされ、R
2、R
6およびR
7がそれぞれ水素で表わされ、R
1がハロゲン原子で表わされる、請求項6に記載の化合物。
【請求項14】
A
1およびA
2がそれぞれ、C-R
6およびC-R
7で表わされ、R
3、R
6およびR
7がそれぞれ水素で表わされ、R
1がハロゲン原子で表わされる、請求項6に記載の化合物。
【請求項15】
A
1およびA
2がそれぞれ、C-R
6およびC-R
7で表わされ、R
2、R
3、R
6およびR
7がそれぞれ水素で表わされ、R
1がハロゲン原子で表わされる、請求項6に記載の化合物。
【請求項16】
該化合物が、実施例1~29から選択される化合物である、請求項1~15のいずれか一項に記載された化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載された化合物および薬学的担体、等張剤、安定化剤または保存剤を含む、医薬組成物。
【請求項18】
患者または生体サンプルにおけるSTING経路の活性化を阻害する方法であって、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬組成物を前記患者に投与すること、または前記生体サンプルと接触させることを含む方法。
【請求項19】
患者におけるSTING媒介細胞反応に関連する疾患を治療する方法であって、前記患者に請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項20】
STING媒介細胞応答に関連する疾患が、炎症性疾患、自己免疫疾患、心血管疾患、肺疾患、代謝性疾患、神経変性疾患、ウイルス感染症、眼科疾患、及び癌から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
STING媒介細胞応答に関連する疾患が、乳児期発症のSTING関連血管障害(SAVI)、家族性狼瘡様症候群、アイカルディ・グティエール症候群(AGS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、敗血症、アルコール性肝疾患(ALD)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、膵炎、皮膚筋炎、黄斑変性症、乾癬、シェーグレン症候群、ニーマンピック病、インターフェロノパチー、梗塞、心不全、心筋症、腸の炎症、細胞老化、老化、COPA症候群、急性腎障害(AKI)、線維症、座瘡、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、アルツハイマー病(AD)、腎臓病、肥満、関節炎、ウイルス性肝炎、またはCOVID-19である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年7月21日出願の特願2021-120698の優先権の利益を享受し、その全体を本願で採用する。
【0002】
本発明は、医薬、特にSTING経路の活性化阻害作用を有する1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0003】
STING(STimulator of INterferon Genes)は、様々なRNAウイルスおよびDNAウイルスの感染などに対して自然免疫応答を誘導する分子として生体防御機構において重要な役割をはたしている。STINGは環状GMP-AMP合成酵素(cGAS)によって生成された環状ジヌクレオチドである環状GMP-AMP(cGAMP)等のリガンドと結合してTANK-binding kinase 1(TBK1)を活性化し、転写因子IRF3を介してI型IFN産生を誘導する(非特許文献1)。
【0004】
近年、腫瘍由来の自己DNAやミトコンドリアDNAなどによってもSTINGが活性化され、炎症促進性応答を誘導することが報告されており、癌や自己免疫疾患に対する創薬ターゲットとして注目が高まっている(非特許文献2)。
【0005】
ヒトSTINGはTmem173という遺伝子にコードされているが、このTmem173の変異による遺伝子疾患として、乳児発症性STING関連血管炎(SAVI:STING-Associated Vasculopathy with on set in Infancy)と呼ばれる自己炎症性疾患が報告されている。SAVI患者は変異によりSTINGが恒常的に活性化しており、過剰な炎症によって抗体産生異常と皮膚や肺の組織障害が引き起こされる(非特許文献3)。また、自己炎症性の遺伝疾患である家族性凍傷状狼瘡や家族性ループス様症候群の患者でも、STINGに活性化型変異が生じていることも報告されている(非特許文献4)。
【0006】
また、細胞内においてDNAの分解不全が原因で自己DNAが蓄積すると、STING経路の恒常的な活性化が生じ、自己免疫疾患が引き起こされることが知られている。エカルディ・グティエール症候群(AGS:Aicardi-Goutieres syndrome)もそのひとつと考えられており、この疾患モデルマウスでSTINGを欠損させると症状が抑制されることが報告されている(非特許文献5)。
【0007】
全身性エリテマトーデス(SLE,systemic lupus erythematosus)では、抗核抗体という自己抗体、特に抗DNA抗体が過剰に産生されており、これが原因となって過剰な免疫応答が引き起こされていると考えられているが、近年になって、STING経路の活性化がSLEの病態に重要なインターフェロン産生を誘導していることが明らかになった。すなわち、患者末梢血に含まれるcGAMPが病態スコアと相関しており、また患者血清中のcGAMPによるインターフェロン誘導が、STINGを欠損した細胞では抑制されることが報告されている(非特許文献6、7)。
【0008】
STINGは生体内の様々な免疫応答に関与していることから、多くの疾患にSTINGが関与していることも報告されている。例えば、病原体感染によって引き起こされる全身性炎症により臓器障害が起こる敗血症の研究において、敗血症モデルマウスでSTINGを欠損させると症状が軽減することが報告されている。(非特許文献8、9)また、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)や肝繊維症、急性膵炎や多発性関節炎などの炎症性疾患においても、モデルマウスを用いた検討によりSTINGの関与が明らかにされている(非特許文献10、11、12、13)。さらに、神経変性疾患であるパーキンソン病の患者では、ミトコンドリア恒常性の破綻により炎症性サイトカインが増加していることが明らかになっているが、モデルマウスでSTINGを欠損させると、これらの異常が改善されることが報告されている(非特許文献14、15)。
【0009】
したがって、STING経路の活性化阻害剤は、STING経路が関与している様々な炎症性、免疫疾患の治療に有用である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Paludan,S.R.and Bowie,A.G.,Immunity,2013,38(5),870-880
【非特許文献2】Motwani M.,et al.,Nat.Rev .Genet.,2019,20(11),657-674
【非特許文献3】Liu,Y.et al.,N.Engl.J.Med.,2014,371(6),507-518
【非特許文献4】Jeremiah,N.,et al.,J.Clin.Invest.,2014,124(12),5516-5520
【非特許文献5】Mackenzie,K.J.,et al.,ENBO J.,2016,35(8),831-844
【非特許文献6】An,J.,et al.,Arthritis Rheumatol.,2017,69(4),800-807
【非特許文献7】Kato,Y.,et al.,Ann.Rheum.Dis.,2018,77(10),1507-1515
【非特許文献8】Zeng,L.,et al.,Sci.Transl.Med.,2017,9(412)
【非特許文献9】Hu,Q.,et al.,EBioMedicine,2019,41,497-508
【非特許文献10】Yu,Y.,et al.,J.Clin.Invest.,2019,129(2),546-555
【非特許文献11】Iracheta-Vellve,A.,et al.,J.Biol.Chem.,2016,291(52),26794-26805
【非特許文献12】Maekawa,H.,et al.,Cell Rep.,2019,29(5),1261-1273.e6
【非特許文献13】Ahn,J.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.2012,109(47),19386-19391
【非特許文献14】Andrea,A.and Chen,Z.J.,Science,2019,363(6431)
【非特許文献15】Sliter,D.A.,et al.,Nature,2018,561(7722),258-262
【非特許文献16】Skopelja-Gardner S., et al., Nat. Rev. Nephrol., 2022 Jun 22:1-5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、医薬、特にSTING経路の活性化阻害作用(例えば、STINGまたはcGASの阻害作用による)を有する新規な1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下の(1)ないし(6)によって達成される。
(1)下式(I):
【化1】
(式中、A
1は窒素原子またはC-R
6を表わし、A
2は窒素原子またはC-R
7を表わし、R
1は、ハロゲン原子またはアルキル基を表わし、R
2、R
3、R
4、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表わし、R
5は、水素原子または置換されてもよいアルキル基を表わす。)
で示される1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(2)式(I)において、A
1がC-R
6、A
2がC-R
7で表わされる、上記(1)に記載の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(3)式(I)において、A
1が窒素原子、A
2がC-R
7で表わされる、上記(1)に記載の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(4)式(I)において、A
1がC-R
6、A
2が窒素原子で表わされる、上記(1)に記載の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(5)式(I)において、R
1がハロゲン原子で表わされる、上記(1)または(2)に記載の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(6)後記実施例1~29の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【発明の効果】
【0013】
本発明者らは、上記の課題を解決するために種々検討を重ねた結果、前記式(I)で示される新規な1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩が、優れたSTING経路の活性化阻害作用を示すことを見出し、本発明を完成させた。本発明により提供される化合物は、STINGを介した細胞応答に関連していることが知られている疾患、例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患あるいは癌等に対する予防または治療用医薬品(医薬組成物)として有用である。また、他の炎症性疾患や自己免疫疾患、癌に対する治療薬と組み合わせることにより、免疫応答等に対する効果が期待でき、治療用医薬品(医薬組成物)として有用である。さらに、STING阻害剤として、実験用、研究用の試薬としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例の代表化合物のSTINGアゴニスト刺激マウスモデルに対するIL-6産生抑制作用を示す(試験例3)
【
図2】実施例の代表化合物のSTINGアゴニスト刺激マウスモデルに対するIFN-β産生抑制作用を示す(試験例3)
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.発明の態様の全般的記述
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の新規な1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体は、下式(I):
【化2】
で表され、二環性の含窒素ヘテロアリール環が、1,2-ジアミノベンズイミダゾール環の2-アミノ基に置換した基本骨格を有する化合物である。
【0016】
より詳しくは、上記式(I)中、A1は窒素原子またはC-R6を表わし、A2は窒素原子またはC-R7を表わし、R1は、ハロゲン原子またはアルキル基を表わし、R2、R3、R4、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表わし、R5は、水素原子または置換されてもよいアルキル基を表わす。
【0017】
本発明の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の一態様として、式(I)において、A1およびA2がそれぞれC-R6およびC-R7で表わされる、1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩が包含される。
【0018】
本発明の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の一態様として、式(I)において、A1が窒素原子、A2がC-R7で表わされる、1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩が包含される。
【0019】
本発明の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の一態様として、式(I)において、A1がC-R6、A2が窒素原子で表わされる、1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩が包含される。
【0020】
本発明の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の一態様として、式(I)において、A1およびA2がそれぞれC-R6およびC-R7、R1がハロゲン原子で表わされる、1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩が包含される。
【0021】
本発明の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の一態様として、式(I)において、後記実施例1~29の化合物またはその薬学的に許容される塩が包含される。
【0022】
本発明の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の別の態様として、式(I-a):
または薬学的に許容される塩で表わされ、式中、A
1は窒素原子またはC-R
6を表わし、A
2は窒素原子またはC-R
7を表わし、R
1は、ハロゲン原子またはアルキル基を表わし、R
2、R
3、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。
【0023】
本発明の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の一態様として、式(I-a)において、A1およびA2がそれぞれC-R6およびC-R7で表わされる、1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩が包含される。
【0024】
本発明の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の一態様として、式(I-a)において、A1が窒素原子、A2がC-R7で表わされる、1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩が包含される。
【0025】
本発明の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の一態様として、式(I-a)において、A1がC-R6、A2が窒素原子で表わされる、1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩が包含される。
【0026】
本発明の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の一態様として、式(I-a)において、A1およびA2がそれぞれC-R6およびC-R7、R1がハロゲン原子で表わされる、1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩が包含される。
【0027】
本発明の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の一態様として、式(I-a)において、A1およびA2がそれぞれC-R6およびC-R7、R6とR7が水素で表わされる、1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩が包含される。
【0028】
本発明の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の一態様として、式(I-a)において、A1およびA2がそれぞれC-R6およびC-R7、R6とR7が水素、R1がハロゲン原子で表わされる、1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩が包含される。
【0029】
本発明の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の一態様として、式(I-a)において、A1およびA2がそれぞれC-R6およびC-R7;R2、R6とR7が水素、R1がハロゲン原子で表わされる、1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩が包含される。
【0030】
本発明の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の一態様として、式(I-a)において、A1およびA2がそれぞれC-R6およびC-R7;R3、R6とR7が水素、R1がハロゲン原子で表わされる、1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩が包含される。
【0031】
本発明の1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の一態様として、式(I-a)において、A1およびA2がそれぞれC-R6およびC-R7;R2、R3、R6とR7が水素、R1がハロゲン原子で表わされる、1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩が包含される。
【0032】
2.化合物と定義
本願明細書の用語について、以下に説明する。
【0033】
式(I)の化合物(例えば、1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体)への参照は、式(I-a)の化合物を含む、その下位概念および/または具体的化合物への参照を含む。
【0034】
「ハロゲン原子」とは、特段の限定のない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。
【0035】
アルキル基とは、特段の説明のない限り、炭素原子数が1~4の直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基(C1-4アルキル)を意味し、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等が例示される。
【0036】
次に前記用語に対する置換基について説明する。
【0037】
置換されてもよいアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子が例示され、一個、または同一もしくは異なるハロゲン原子が複数個、任意の位置に置換してよい。
【0038】
置換されてもよいアルキル基のその他の置換基としては、水酸基、メトキシ基、ジメチルアミノ基、シクロプロピル基、ジメチルカルバモイル基、シアノ基、モルホニル基等が例示され、前記ハロゲン原子も含めて、一個、または同一もしくは異なる置換基が複数個、アルキル基の任意の位置に置換してよい。
【0039】
本発明の化合物(I)は、例えば、置換基の種類によって、異性体が存在する場合がある。本明細書において、それらの異性体の一形態のみの化学構造で記載することがあるが、本発明には、構造上生じ得るすべての異性体(幾何異性体、光学異性体、互変異性体など)も含有し、異性体単体、またはそれらの混合物も含有する。
【0040】
本発明において、「水素原子」には1H及び2H(D)が含まれ、式(I)で表される化合物のいずれか1つ又は2つ以上の1Hを2H(D)に変換した重水素変換体も、式(I)で表される化合物に包含される。例えば、メチル基-CH3を有する化合物の場合、-CD3基、-CD2H基、または-CDH2基を有する化合物も包含される。
【0041】
また、本発明の化合物(I)の薬学的に許容される塩としては、塩酸、硫酸、炭酸、リン酸等との無機酸塩、ギ酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等との有機酸塩等が挙げられる。また、ナトリウム、カリウム等とのアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等とのアルカリ土類金属塩、低級アルキルアミン、低級アルコールアミン等との有機アミン塩、リジン、アルギニン、オルニチン等との塩基性アミノ酸塩の他、アンモニウム塩等も本発明に包含される。
【0042】
本発明の化合物(I)およびその薬学的に許容しうる塩には、その分子内塩、その水和物等の溶媒和物のいずれもが含まれる。
【0043】
本発明の化合物(I)およびその薬学的に許容される塩は、例えば以下の方法によって製造することができる。なお、以下に示した製造法において、定義した基が実施方法の条件下で変化するか、または当該方法を実施するのに不向きな場合、有機合成化学で通常用いられる方法、例えば、官能基の保護、脱保護[T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis 3rd Edition, John Wiley&Sons,Inc.,1999]等の手段を付すことにより容易に製造することができる。また、必要に応じて置換基導入等の反応工程の順序を変えることもできる。
【0044】
以下に一般的な反応スキームを用いて、本発明に開示されている1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体の合成を詳述する。ここで開示されている式(I)の本発明の化合物は、以下のスキーム1-7に記載の方法で製造することができ、また実施例に挙げているように、一般的な合成方法と、市販品の出発原料、または市販化合物から公知の方法もしくはそれに準じた方法により合成できる出発原料または当業者によく知られた方法を変化させることにより製造することができる。
【0045】
以下のスキーム中で示される各可変部位は、本発明中で供与される化合物で詳述される全ての官能基に当てはまる。式(I)の化合物の互変異性体および溶媒和物(例えば水和物)も本発明に含まれる。
【0046】
以下の説明で使用される略語、記号の意味は次の通りである。
EDCI・HCl:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
NMP:N-メチルピロリドン
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
Boc2O:二炭酸ジ-tert-ブチル
Boc:tert-ブトキシカルボニル
【0047】
3.本発明の化合物(I)の製法
式(I)で表される本発明の化合物は、例えばスキーム1によって製造することができる
[スキーム1]
【化3】
(式中、A
1、A
2、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5はそれぞれ前記と同義であり、PGは保護基を表す。)
【0048】
本発明の化合物(I)は、イソチオシアネート(III)とアニリン(IV)とのカップリング反応で得られるチオ尿素体を環化することにより得られる化合物(II)を、脱保護することによって製造することができる。すなわちイソチオシアネート(III)を溶媒中、0.5~1.5モル当量のアニリン(IV)と反応させることによって相当するチオ尿素体を得ることができる。
【0049】
溶媒は反応に不活性なものであればいずれでも良く、クロロホルム、THF、DMF、NMPなどを用いることができるが、好ましくはDMFを用いることができる。反応は0℃~100℃の範囲において、数分間~数日間で実施することができるが、好ましくは室温~80℃、10分間~24時間反応させることにより実施することができる。反応は、アニリンのNH2が反応したチオ尿素体およびヒドラジンのNHが反応したチオ尿素体の混合物を与えることがあり、これらの混合物を精製せずにそのまま次の反応に用いることができるが、精製してもよい。得られたチオ尿素体を、溶媒中、有機合成化学で一般的に用いられる縮合条件、例えば1~3モル当量のEDCI・HClなどの縮合剤を用いて環化反応させることによって化合物(II)を得ることができる。
【0050】
溶媒は反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されるものではないが、例えばDMF、THF、NMPなどを用いることができ、好ましくはDMFを用いることができる。反応は0℃~100℃の範囲において、数分~数日間で実施することができるが、好ましくは室温~80℃条件下、0.5時間~24時間反応させることにより実施することができる。得られた化合物(II)の保護基PGを有機化学で一般的に用いられる条件を用いて脱保護することにより、本発明の化合物(I)を得ることができる。
【0051】
スキーム1の原料として用いられるイソチオシアネート(III)は、例えばスキーム2に示されるように、化合物(V)から製造することができる。
[スキーム2]
【化4】
(式中、A
1、A
2、R
1およびR
2はそれぞれ前記と同義である。)
【0052】
イソチオシアネート(III)は、化合物(V)のアミノ基をイソチオシアネート基に変換することにより製造できる。すなわち、イソチオシアネート(III)は、化合物(V)を溶媒中、1~3モル当量のDIPEAなどの塩基存在下、1~3モル当量のチオホスゲンなどのイソチオシアネート化試薬と反応させることによって得ることができる。溶媒は反応に不活性なものであればいずれでも良く、クロロホルム、THFなどを用いることができるが、好ましくはTHFを用いることができる。反応は-20℃~50℃の範囲において、数分間~数日間で実施することができるが、好ましくは0℃~室温、10分間~24時間反応させることにより実施することができる。
【0053】
スキーム2の原料として用いられる化合物(V)は、例えばスキーム3に示されるように、化合物(VI)から製造することができる。
[スキーム3]
【化5】
(式中、A
1、A
2、R
1およびR
2はそれぞれ前記と同義である。)
【0054】
化合物(V)は、化合物(VI)のニトロ基を還元することにより製造することができる。すなわち、化合物(V)は、化合物(VI)を溶媒中、有機合成化学で通常用いられる還元方法、例えばパラジウムカーボンなどを用いた接触還元、スズ、亜鉛、鉄などを用いた金属還元等で、ニトロ基を還元することによって得ることができる。
【0055】
また、当該還元反応において、収率を改善する目的で、化合物(V)のアミノ基がBoc基で保護された化合物を経由することもできる。すなわち、化合物(VI)を溶媒中、塩化アンモニウムおよび亜鉛等の金属存在下、Boc2Oと反応させることによって、化合物(V)のアミノ基がBoc基で保護された化合物を得ることができる。当該Boc基は、塩酸等有機化学で一般的に用いられる条件で脱保護することができる。
【0056】
スキーム3の原料として用いられる化合物(VI)は、市販品として入手するか、または例えばスキーム4に示されるように、化合物(VII)から製造することができる。
[スキーム4]
【化6】
(式中、A
1、A
2、R
1およびR
2はそれぞれ前記と同義である。)
【0057】
化合物(VI)は、化合物(VII)をニトロ化することにより製造することができる。すなわち、化合物(VI)は、化合物(VII)を、有機化学で一般的に用いられるニトロ化反応条件、例えば、発煙硝酸、濃硫酸と硝酸の混酸などと反応させることによって得ることができる。ニトロ化剤は、特に限定されるものではないが、例えば濃硫酸存在下、1~5モル当量の硝酸カリウムを用いることができる。反応は-20℃~50℃の範囲において、数分間~数日間で実施することができるが、好ましくは0℃~室温で、10分間~1時間反応させることにより実施することができる。
【0058】
また、化合物(VI)は公知の方法[例えば、Bioorg.Med.Chem.2007,15,3248-3265またはTetrahedron Letters 2012,53,4841-4842参照.]またはそれに準じた方法によっても製造することができる。すなわち、化合物(VII)を溶媒中、1~5モル当量のニトロ化剤および1~5モル当量の酸クロリドと反応させることによって、化合物(VI)を得ることができる。溶媒は反応に不活性なものであればいずれでも良く、特に限定されるものではないが、例えば、反応溶媒としてアセトニトリル、ニトロ化剤として1~5モル当量の硝酸銀、酸クロリドとして1~5モル当量の塩化ベンゾイルを用いることができる。反応は-10℃~50℃の範囲において、数分間~数日間で実施することができるが、好ましくは0℃~室温条件下、1時間~24時間反応させることにより実施することができる。
【0059】
スキーム4の原料として用いられる化合物(VII)は、市販品として入手するか、公知の方法またはそれに準じた方法により製造することができる。
【0060】
スキーム2の原料として用いられる化合物(V)は、例えばスキーム5によっても製造することができる。
[スキーム5]
【化7】
(式中、A
1、A
2、R
1およびR
2はそれぞれ前記と同義であり、PGは保護基を表す。)
【0061】
化合物(V)は、化合物(IX)と化合物(X)を用いてフィッシャーインドール合成によって得られる化合物(VIII)を、脱保護することによって製造することができる。すなわち化合物(IX)を溶媒中、0.5~1.5モル当量の化合物(X)と、フィッシャーインドール合成の条件下で反応させることによって化合物(VIII)を得ることができる。溶媒は反応に不活性なものであればいずれでも良く、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、THF、トルエンなどを用いることができるが、好ましくは1,2-ジクロロエタン/トルエン混合溶媒を用いることができる。
【0062】
反応は0℃~100℃の範囲において、数分間~数日間で実施することができるが、好ましくは室温~100℃、30分間~24時間反応させることにより実施することができる。得られた化合物(VIII)の保護基を、有機合成化学で一般的に用いられる脱保護条件で処理することによって化合物(V)を得ることができる。
【0063】
スキーム5の原料として用いられる化合物(IX)及び化合物(X)は、市販品として入手するか、公知の方法またはそれに準じた方法により製造することができる。
【0064】
スキーム1の原料として用いられるアニリン(IV)は、例えばスキーム6に示されるように、化合物(XI)から製造することができる。
[スキーム6]
【化8】
【0065】
(式中、R3、R4およびR5はそれぞれ前記と同義であり、PGは保護基を表す。)
【0066】
アニリン(IV)は、化合物(XI)のニトロ基を還元することにより製造することができる。すなわち、アニリン(IV)は、化合物(XI)を溶媒中、有機合成化学で通常用いられる還元方法、例えばパラジウムカーボンなどを用いた接触還元、スズ、亜鉛、鉄などを用いた金属還元等で、ニトロ基を還元することによって得ることができる。
【0067】
スキーム6の原料として用いられる化合物(XI)は、例えばスキーム7に表す方法によって製造することができる。
[スキーム7]
【化9】
(式中、R
3、R
4およびR
5はそれぞれ前記と同義であり、Xはハロゲン原子を表し、PGは保護基を表す。)
【0068】
化合物(XI)は、化合物(XII)と化合物(XIII)を用いて、求核置換反応させることにより製造することができる。すなわち、化合物(XII)を溶媒中、0.5~2モル当量の化合物(XIII)と反応させることによって化合物(XI)を得ることができる。溶媒は反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されるものではないが、好ましくはNMPを用いることができる。反応は0℃~180℃の範囲において、数分間~数日間で実施することができるが、好ましくは室温~120℃の条件下、30分間~24時間反応させることにより実施することができる。
【0069】
また、スキーム7の原料として用いられる化合物(XII)と化合物(XIII)は、市販品として入手するか、または、公知の方法またはそれに準じた方法により製造することができる。
【0070】
なお、上記の方法を適宜組み合わせ、有機合成化学で通常用いられる方法(例えば、アミノ基の求核置換反応、アミノ基のアルキル化反応、光延反応、カルボキシル基を置換もしくは無置換カルボキサミド基へ変換する反応、鈴木-宮浦反応などのクロスカップリング反応、水素添加反応による炭素-炭素二重結合の還元)を実施することにより、所望の位置に所望の官能基を有する本発明の化合物(I)を得ることができる。
【0071】
4.本発明の化合物(I)の用途
本発明の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、経口投与、非経口投与または局所的投与に適した従来の薬学製剤(医薬組成物)の形態に調製することができる。
【0072】
経口投与のための製剤は、錠剤、顆粒、粉末、カプセルなどの固形剤、およびシロップなどの液体製剤を含む。これらの製剤は従来の方法によって調製することができる。固形剤は、ラクトース、コーンスターチなどのデンプン、微結晶性セルロースなどの結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、タルク、ステアリン酸マグネシウムなどのような従来の薬学的担体を用いることによって調製することができる。カプセルは、このように調製した顆粒または粉末をカプセルに包むことによって調製することができる。シロップは、ショ糖、カルボキシメチルセルロースなどを含む水溶液中で、本発明の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を溶解または懸濁することによって調製することができる。
【0073】
非経口投与のための製剤は、点滴注入などの注入物を含む。注入製剤もまた従来の方法によって調製することができ、等張化剤(例えば、マンニトール、塩化ナトリウム、グルコース、ソルビトール、グリセロール、キシリトール、フルクトース、マルトース、マンノース)、安定化剤(例えば、亜硫酸ナトリウム、アルブミン)、防腐剤(例えば、ベンジルアルコール、p-オキシ安息香酸メチル)中に適宜組み入れることができる。
【0074】
本発明の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の用量は、疾患の重症度、患者の年齢および体重、投薬形態などに従って変化させることができるが、通常は成人において1日あたり1mg~1,000mgの範囲であり、それは経口経路または非経口経路によって、1回、または2回もしくは3回に分割して投与することができる。
【0075】
また、本発明の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、STING阻害剤として、実験用、研究用の試薬として用いることもできる。
【0076】
また、本発明の化合物(I)を放射性標識した化合物は、PET用分子プローブとしても用いることもできる。
【0077】
いくつかの実施形態において、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物を患者に投与し、または生物学的試料と接触させて、その患者または試料において、STING経路活性化を阻害する方法(例えば、STINGまたはcGASの阻害により)を提供する。
【0078】
いくつかの実施形態において、STINGを介した細胞応答に関連している疾患の治療方法(例えば、STINGまたはcGASの阻害により)を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物を患者に投与することを含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、本発明は、そのSTINGを介した細胞応答に関連している疾患は、炎性症疾患、自己免疫疾患、心臓血管病、肺疾患、代謝性疾患、神経変性疾患、ウィルス感染症、眼科疾患、および癌から選択される。
【0080】
いくつかの実施形態において、本発明は、炎症性疾患の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、本発明は、自己免疫疾患の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、本発明は、心臓血管病の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、本発明は、肺疾患の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、本発明は、代謝性疾患の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、本発明は、神経変性疾患の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、本発明は、ウィルス感染症の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0087】
いくつかの実施形態において、本発明は、眼科疾患の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、本発明は、癌の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0089】
本発明の実施形態において、本発明は、そのSTINGを介した細胞応答に関連している疾患(例えば、STINGまたはcGAS関連疾患)は、乳児発症STING関連血管炎(SAVI)、家族性ルーパス様症候群、エカルディ・グティエール症候群(AGS)、全身性エリテマトーデス(SLE)(例えば、ループス腎炎、家族性凍傷状ループス)、敗血症、アルコール性肝障害(ALD)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、膵炎(例えば、急性)、皮膚筋炎、黄斑変性(例えば、萎縮型加齢黄斑変性)、乾癬、シェーグレン症候群、ニーマンピック病(例えば、C型)、インターフェロノパチー(例えば、1型インターフェロノパチー)、梗塞(例えば、心筋梗塞)、心不全、心筋症、腸炎(例えば、炎症性腸疾患IBD)、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、過敏性腸症候群(IBS)、細胞老化、老化、COPA症候群、急性腎障害(AKI),線維症(例えば、腎臓、肺、肝臓)、座瘡、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、腎疾患(例えば、慢性腎臓病)、肥満、関節炎(例えば、多発性関節炎, 関節リウマチ)、ウイルス肝炎、COVID-19である(例えば、非特許文献16参照)。
【0090】
いくつかの実施形態において、本発明は、乳児発症STING関連血管炎(SAVI)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、本発明は、家族性ルーパス様症候群の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、本発明は、エカルディ・グティエール症候群(AGS)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0093】
いくつかの実施形態において、本発明は、全身性エリテマトーデス(SLE)(例えば、ループス腎炎、家族性凍傷状ループス)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0094】
いくつかの実施形態において、本発明は、敗血症の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0095】
[0100]いくつかの実施形態において、本発明は、アルコール性肝障害(ALD)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0096】
[0101]いくつかの実施形態において、本発明は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0097】
[0096]いくつかの実施形態において、本発明は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0098】
[0096]いくつかの実施形態において、本発明は、膵炎(例えば、急性)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0099】
[0097]いくつかの実施形態において、本発明は、皮膚筋炎の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、本発明は、黄斑変性(例えば、萎縮型加齢黄斑変性)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、本発明は、乾癬の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、本発明は、シェーグレン症候群の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、本発明は、ニーマンピック病(例えば、C型)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、本発明は、インターフェロノパチー(例えば、1型インターフェロノパチー)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、本発明は、梗塞(例えば、心筋梗塞)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0106】
いくつかの実施形態において、本発明は、心不全の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、本発明は、心筋症の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0108】
いくつかの実施形態において、本発明は、腸炎(例えば、炎症性腸疾患IBD)、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、過敏性腸症候群(IBS)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0109】
いくつかの実施形態において、本発明は、細胞老化の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0110】
いくつかの実施形態において、本発明は、老化の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0111】
いくつかの実施形態において、本発明は、COPA症候群の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、本発明は、急性腎障害(AKI)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、本発明は、線維症(例えば、腎臓、肺、肝臓)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0114】
いくつかの実施形態において、本発明は、座瘡の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、本発明は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、本発明は、パーキンソン病(PD)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0117】
[[0100]いくつかの実施形態において、本発明は、アルツハイマー病(AD)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0118】
[0101]]いくつかの実施形態において、本発明は、腎疾患(例えば、慢性腎臓病)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0119】
[0102]いくつかの実施形態において、本発明は、肥満の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0120】
[0103]いくつかの実施形態において、本発明は、関節炎(例えば、多発性関節炎, 関節リウマチ)の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0121】
[0104]いくつかの実施形態において、本発明は、ウィルス肝炎の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0122】
[0105]いくつかの実施形態において、本発明は、COVID-19の治療方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。[0105]
【0123】
[0106]いくつかの実施形態において、本発明は、STINGで促進されたサイトカインの抑制方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。ある実施形態では、本発明の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、患者において、IFN-βおよびIL-6の産生を抑制する。
【0124】
[0107]いくつかの実施形態において、本発明は、野生型STING活性化を抑制する方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0125】
[0108]いくつかの実施形態において、本発明は、突然変異STING活性化を抑制する方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。
【0126】
[0109]いくつかの実施形態において、本発明は、患者の上昇したcGASを抑制する方法を提供し、該方法は、化合物(I)若しくはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物をその患者に投与することを含む。ある実施形態では、患者の野生型または突然変異STING活性化、または上昇したcGASを抑制する方法は、その患者の臨床上のバイオマーカーを測定することで決定してもよい。
【0127】
併用療法
[0110]いくつかの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、1つまたは複数の追加の治療薬および/またはレジメンと組み合わせて投与することができる。例えば、本明細書で提供されるSTING媒介細胞応答に関連する疾患(例えば、STINGまたはcGAS関連疾患)を治療する方法は、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上)を投与するステップをさらに含むことができる。
【0128】
[0111]本発明の追加的治療薬には、限定はされないが、例えば、小分子または組換え生物薬剤が包含される;例えば、アセトアミノフェン、[アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、エトドラク(Lodine(登録商標))およびセレコキシブなどの]非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)、コルヒチン(Colcrys(登録商標))、[プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾンなどの]コルチコステロイド、プロベネシド、アロプリノール、フェブキソスタット(Uloric(登録商標))、スルファサラジン(Azulfidine(登録商標))、[ヒドロキシクロロキン(Plaqueni1(登録商標))およびクロロキン(Aralen(登録商標))などの]抗マラリア薬、メトトレキサート(Rheumatrex(登録商標))、[金チオグルコース(Solganal(登録商標))、金チオリンゴ酸(Myochrysine(登録商標))およびオーラノフィン(Ridaura(登録商標))などの]金塩、D-ペニシラミン(Depen(登録商標)またはCuprimine(登録商標))、アザチオプリン(Imuran(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、クロランブシル(Leukeran(登録商標))、シクロスポリン(Sandimmune(登録商標))、レフルノミド(Arava(登録商標))、[エタネルセプト(Enbre1(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、ゴリムマブ(Simponi(登録商標))、セルトリズマブ ペゴル(Cimzia(登録商標))およびアダリムマブ(Humira(登録商標)) などの]抗TNF剤、アナキンラ(Kineret(登録商標))およびリロナセプト(Arcalyst(登録商標))などの抗IL-1剤、カナキヌマブ(Ilaris(登録商標))、トファシチニブなどの抗Jak阻害剤、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))などの抗体、アバタセプト(Orencia(登録商標))などの抗T細胞剤、[トシリズマブ(Actemra(登録商標))、ジクロフェナク、コルチゾン、ヒアルロン酸(Synvisc(登録商標)またはHyalgan(登録商標))などの]抗IL-6剤、タネズマブなどのモノクローナル抗体、[ヘパリン(Calcinparine(登録商標)またはLiquaemin(登録商標))やワルファリン(Coumadin(登録商標))などの]抗凝固剤、[ジフェノキシレート(Lomoti1(登録商標))やロペラミド(Imodium(登録商標))などの]下痢止め薬、コレスチラミンなどの胆汁酸結合剤、アロセトロン(Lotronex(登録商標)、ルビプロストン(Amitiza(登録商標)、[マグネシアミルク、ポリエチレングリコール(MiraLax(登録商標))、Dulcolax(登録商標)、Correcto1(登録商標) および Senokot(登録商標)などの]下剤、[ジサイクロミン(Benty1(登録商標))、Singulair(登録商標))などの]抗コリン薬または鎮痙薬、[アルブテロール (Ventolin(登録商標) HFA、Proventil(登録商標) HFA)、レバルブテロール (Xopenext(登録商標))、メタプロテレノール(Alupent(登録商標))、酢酸ピルブテロール(Maxair(登録商標))、硫酸テルブタリン(Brethaire登録商標))、キシナホ酸サルメテロール(Serevent(登録商標))およびフォルモテロール (Foradi1(登録商標))]などのβ2アゴニスト、臭化イプラトロピウム(Atrovent(登録商標))およびチオトロピウム(Spiriva(登録商標)) などの抗コリン薬、二プロピオン酸ベクロメタゾン(Beclovent(登録商標)、Qvar(登録商標)、Vanceri1(登録商標))、トリアムシノロン アセトニド(Azmacort(登録商標))、モメタゾン(Asthmanex(登録商標))、ブデソニド(Pulmocort(登録商標))、およびフルニソリド (Aerobid(登録商標))、Afviar(登録商標)、Symbicort(登録商標)、Dulera(登録商標)、クロモリン ナトリウム(Intal(登録商標))などの吸入コルチコステロイド、テオフィリン(Theo-Dur(登録商標)、Theolair(登録商標)、Slo-Bid(登録商標)、 Uniphy1(登録商標)、Theo-24(登録商標))およびアミノフィリンなどのメチルキサンチン、オマリズマブ(Xolair(登録商標))などのIgE抗体、ジドブジン(Retrovir(登録商標))、アバカビル(Ziagen(登録商標))、アバカビル/ラミブジン(Epzicom(登録商標))、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン(Trizivir(登録商標))、ジダノシン(Videx(登録商標))、エムトリシタビン(Emtriva(登録商標))、ラミブジン(Epivir(登録商標))、ラミブジン/ジドブジン (Combivir(登録商標))、スタブジン (Zerit(登録商標))、およびザルシタビン (Hivid(登録商標))、などのヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、デラビルジン (Rescriptor(登録商標))、エファビレンツ(Sustiva(登録商標))、ネバイラピン (Viramune(登録商標))およびエトラビリン (Intelence(登録商標))、などの非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、テノホビル (Viread(登録商標)) などのヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、アンプレナビル(Agenerase(登録商標))、アタザナビル(Reyataz(登録商標))、ダルナビル (Prezista(登録商標))、ホスアンプレナビル(Lexiva(登録商標))、インジナビル(Crixivan(登録商標))、ロピナビルおよびリトナビル(Kaletra(登録商標))、ネルフィナビル(Viracept(登録商標))、リトナビル(Norvir(登録商標))、サキナビル(Fortovase(登録商標)またはInvirase(登録商標))、およびチプラナビル (Aptivus(登録商標))などのプロテアーゼ阻害剤、エンフビルチド(Fuzeon(登録商標)) およびマラビロック (Selzentry(登録商標))などの侵入阻害剤、ラルテグラビル(Isentress(登録商標))、ドキソルビシン(Hydrodaunorubicin(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、デキサメタゾン(Decadron(登録商標))とレナリドマイド(Revlimid(登録商標))の組み合わせ、またはこれらの任意の組み合わせなどのインテグラーゼ阻害剤が挙げられる。
【0129】
[0112]いくつかの実施形態において、本発明は、炎症性疾患または自己免疫疾患を治療する方法であって、それを必要とする患者に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、1つまたは複数の追加の治療薬とを投与することを含む方法を提供する。追加の治療薬は、以下に限定されないが、ガンマグロブリン、免疫調節剤および免疫調節剤(例えば、シクロスポリン、Methotrexate(登録商標))、TNF拮抗剤(例えば、Humira(登録商標)、エタネルセプト、インフリキシマブ)、IL-1阻害剤(例えば、アナキンラ、カナキヌマブ、リロナセプト)、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、アプレミラスト)、JAK/STAT阻害剤(例えば、トファシチニブ、バリシチニブ、GLPG0634)、IRAK4阻害剤、レフルノミド、シクロホスファミド、リツキシマブ、ベリムマブ、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロン、副腎皮質ステロイド (例: プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン)、シクロホスファミド、アザチオプリン、スルファサラジン、パラセタモール、および/または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、エトドラク、セレコキシブ、コルヒチン)から選択される。
【0130】
[0113]いくつかの実施形態では、本発明は、乳児期発症のSTING関連血管障害(SAVI)を治療する方法であって、それを必要とする患者に式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および1つまたは複数の追加の治療薬を投与することを含む方法を提供し、追加の治療薬は、JAK阻害剤(例えば、トファシチニブ、ルキソリチニブ、フィルゴチニブ、およびバリシチニブ)から選択される。
【0131】
[0114]いくつかの実施形態において、本発明は、アイカルディ・グティエール症候群(AGS)を治療する方法であって、それを必要とする患者に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、1つまたは複数の追加の治療薬および/またはレジメを投与することを含む方法を提供し、追加の治療薬は、理学療法、呼吸器合併症の治療、発作に対する抗けいれん療法、経管栄養、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(例えば、エムトリシタビン(例:Emtriva(登録商標))、テノホビル(例:Viread(登録商標))、エムトリシタビン/テノホビル(例:Truvada(登録商標))、ジドブジン、ラミブジン、アバカビル)およびJAK阻害剤(例えば、トファシチニブ、ルキソリチニブ、フィルゴチニブ、およびバリシチニブ)から選択される。
【0132】
[0115]いくつかの実施形態において、本発明は、家族性ルーパス様症候群または全身性エリテマトーデス(SLE)(例えば、ループス腎炎、家族性凍傷状ループス)を治療する方法であって、それを必要とする患者に式(I)またはその薬学的に許容される塩と、1つまたは複数の追加の治療薬を投与することを含む方法を提供し、追加の治療薬は、ステロイド、局所免疫調節剤(例えば、タクロリムス軟膏(Protopic(登録商標))およびピメクロリムスクリーム(Elidel(登録商標))、サリドマイド(Thalomid(登録商標))、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID:例えば、イブプロフェンおよびナプロキセン)、抗マラリア薬(例えば、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil))、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン)および免疫調節薬(例えば、エボブルチニブ、イベルドマイド、ボクロスポリン、セネリモド、アザチオプリン(Imuran(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Endoxan(登録商標))、シクロスポリン(Neoral、Sandimmune(登録商標)、Gengraf(登録商標))、およびミコフェノール酸モフェチル、バリシチニブ、イグラチモド、フィロゴチニブ、GS-9876、ラパマイシン、およびPF-06650833、および生物学的製剤 (例えば、ベリムマブ(Benlysta(登録商標))、アニフロルマブ、プレザルマブ、MEDI0700、オビヌツズマブ、フォバリリズマブ、ルリズマブ、アタシセプト、PF-06823859、およびルピゾール、リツキシマブ、BT063、BI655064、BIIB059、アルデスロイキン(Proleukin(登録商標))、ダピロリズマブ、エドラチド、IFN-a-キノイド、0MS721、RC18、RSLY-132、セラリズマブ、XmAb5871、およびウステキヌマブ(Stelara(登録商標)から選択される。
例えば、全身性エリテマトーデスの非限定的な治療法としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs;例えば、イブプロフェンおよびナプロキセン)、抗マラリア薬(例えば、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil))、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)および免疫調節薬(例えば、イベルドマイド、ボクロスポリン、アザチオプリン(Imuran(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Endoxan(登録商標))、およびシクロスポリン(Neoral、Sandimmune(登録商標)、Gengraf(登録商標))、およびミコフェノール酸モフェチル、バリシチニブ、フィロゴチニブ、およびPF-06650833、および生物学的製剤(例えば、ベリムマブ(Benlysta(登録商標))、アニフロルマブ、プレザルマブ、MEDI0700、フォバリリズマブ、ルリズマブ、アタシセプト、PF-06823859、ルピゾール、リツキシマブ、BT063、BI655064、BIIB059、アルデスロイキン((Proleukin(登録商標))、ダピロリズマブ、エドラチド、IFN-α-キノイド、RC18、RSLV-132、セラリズマブ、XmAb5871、およびウステキヌマブ(Stelara(登録商標))が含まれる。
【0133】
[0116]いくつかの実施形態において、本発明は、関節炎(例えば、関節リウマチ)を治療する方法であって、それを必要とする患者に、式(I)の化合物および非限定的に選択される1つまたは複数の追加の治療薬を投与することを含む方法を提供する。追加の治療薬は、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、エトドラク(Lodine(登録商標))およびセレコキシブなどのステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾンなどのコルチコステロイド、スルファサラジン(Azulfidine(登録商標))、[ヒドロキシクロロキン(Plaqueni1(登録商標))およびクロロキン (Aralen(登録商標))などの]抗マラリア薬、メトトレキサート(Rheumatrex(登録商標))、[金チオグルコース (Solganal(登録商標))、金チオリンゴ酸(Myochrysine(登録商標))およびオーラノフィン(Ridaura(登録商標))などの]金塩、D-ペニシラミン(Depen(登録商標)またはCuprimine(登録商標))、アザチオプリン(Imuran(登録商標))、シクロホスファミド (Cytoxan(登録商標))、クロラムブシル (Leukeran(登録商標))、シクロスポリン(Sandimmune(登録商標))、レフルノミド(Arava(登録商標))、および[エタネルセプト (Enbre1(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、ゴリムマブ(Simponi(登録商標))、セルトリズマブ ペゴル (Cimzia(登録商標))、アダリムマブ(Humira(登録商標))などの]抗TNF剤、[アナキンラ (Kineret(登録商標)) やリロナセプト (Arcalyst(登録商標)) などの]抗IL-1剤、リツキシマブ (Rituxan(登録商標))などの抗体、アバタセプト (Orencia(登録商標))などの抗T細胞剤、および/またはトシリズマブ(Actemra(登録商標))などの抗IL-6剤から選択される。
【0134】
[0117] いくつかの実施形態において、本発明は、炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法であって、式(I)の化合物および1つまたは複数の追加の治療薬を、それを必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。追加の治療薬は、6-メルカプトプリン、AbGn-168H、ABX464、ABT-494、アダリムマブ、AJM300、アリカフォルセン、AMG139、アンルキンズマブ、アプレミラスト、ATR-107 (PF0530900)、自家CD34選択末梢血幹細胞移植、アザチオプリン、ベルティリムマブ、BI 655066、BMS-936557、セルトリズマブ ペゴル (Cimzia(登録商標))、コビトリモド、コルチコステロイド (例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン)、CP-690,550、CT-P13、シクロスポリン、DIMS0150、E6007、E6011、エトラシモド、エトロリズマブ、糞便微生物移植、フィグロチニブ、フィンゴリモド、フィラテグラスト(SB-683699) (旧名 T-0047)、GED0301、GLPG0634、GLPG0974、グセルクマブ、ゴリムマブ、GSK 1399686、HMPL- 004(アンドログラフィス・パニクラタエキス)、 I1V1U-838、インフリキシマブ、インターロイキン 2 (IL-2)、ヤヌスキナーゼ (JAK) 阻害剤、ラキニモド、マシチニブ (AB1010)、マトリックスメタロプロテイナーゼ 9 (MMP 9)阻害剤 (例えば、GS-5745 など)、MEDI2070、メサラミン、メトトレキサート、ミリキズマブ (LY3074828)、ナタリズマブ、NNC 0142-0000-0002、NNC0114-0006、オザニモド、ペフィシチニブ (JNJ-54781532)、PF-00547659、PF-04236921、PF-06687234、QAX576、RHB- 104、リファキシミン、リサンキズマブ、RPC1063 、SB012、SHP647、スルファサラジン、TD-1473、サリドマイド、チルドラキズマブ (MK 3222)、TJ301、TNF-Kinoid(登録商標)、トファシチニブ、トラロキヌマブ、TRK-170、ウパダシチニブ、ウステキヌマブ、UTTR1147A、V565、バテリズマブ、VB- 201、ベドリズマブ、およびヴィドフルディムスから選択されるがこれらに限定されない。
【0135】
[0118]いくつかの実施形態において、本発明は、式(I)の化合物と1つ以上の追加の治療薬とを、それを必要とする患者に投与することを含む、クローン病(CD)の治療方法を提供する。追加の治療薬は、アダリムマブ、CD34選択自己末梢血幹細胞移植、6-メルカプトプリン、アザチオプリン、セルトリズマブ ペゴル(Cimzia(登録商標))、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾンなど)、エトロリズマブ、E6011、糞便微生物移植、フィグロチニブ、グセルクマブ、インフリキシマブ、IL-2、JAK阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP 9)阻害剤(例えば、GS-5745)、MEDI2070、メサラミン、メトトレキサート、ナタリズマブ、オザニモド、RHB-104、リファキシミン、リサンキズマブ、SHP647、スルファサラジン、サリドマイド、ウパダシチニブ、V565、およびベドリズマブから選択されるが、これらに限定されない。
【0136】
[0119]いくつかの実施形態において、本発明は、潰瘍性大腸炎(UC)を治療する方法であって、式(I)の化合物および1つまたは複数の追加の治療薬を、それを必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。追加の治療薬は、AbGn-168H、ABT-494、ABX464、アプレミラスト、PF-00547659、PF-06687234、6-メルカプトプリン、アダリムマブ、アザチオプリン、ベルティリムマブ、ブラジクマブ (MEDI2070)、コビトリモド、セルトリズマブ ペゴル (Cimzia(登録商標))、CP-690,550、コルチコステロイド(例えば、マルチマックス ブデソニド、メチルプレドニゾロン)、シクロスポリン、E6007、エトラシモド、エトロリズマブ、糞便微生物移植、フィグロチニブ、グセルクマブ、ゴリムマブ、IL-2、IMU-838、インフリキシマブ、マトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP9)阻害剤(例えば、GS-5745)、メサラミン、ミリキズマブ (LY3074828)、RPC1063、リサンキズマブ (BI 6555066)、SHP647、スルファサラジン、TD-1473、TJ301、チルドラキズマブ (MK 3222)、トファシチニブ、ウステキヌマブ、UTTR1147A、およびベドリズマブから選択されるがこれらに限定されない
【0137】
[0120]いくつかの実施形態において、本発明は、式(I)の化合物と、1つ以上の追加の治療薬とを、それを必要とする患者に投与することを含む、過敏性腸症候群(IBS)の治療方法を提供する。追加の治療薬は、アロセトロン、胆汁酸抑制剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム)、クロロチャネル活性化剤(例えば、ルビプロストン)、コーティングされたペパーミントオイルカプセル、デシプラミン、ジシクロミン、エバスチン、エルキサドリン、ファミソイドX受容体アゴニスト(例えば、オベチコール酸)、糞便微生物叢移植、フルオキセチン、ガバペンチン、グアニル酸シクラーゼ-C アゴニスト (例えば、リナクロチド、プレカナチド)、イボデュタント、イミプラミン、JCM-16021、ロペラミド、ルビプロストン、ノルトリプチリン、オンダンセトロン、オピオイド、パロキセチン、ピナベリウム、ポリエチレングリコール、プレガバリン、プロバイオティクス、ラモセトロン、リファキシミン、およびタンパノールから選択されるがこれらに限定されない
【0138】
[0121]いくつかの実施形態において、本発明は、乾癬を治療する方法であって、式(I)の化合物と、1つ以上の追加の治療薬とを、それを必要とする患者に投与することを含む治療方法を提供する。追加の治療薬は、局所コルチコステロイド、局所クリサボロール/AN2728、局所SNA-120、局所 SAN021、局所タピナロフ、局所トカフェミブ、局所 IDP-118、局所 M518101、局所カルシポトリエンおよびジプロピオン酸ベタメタゾン(例えば、MC2-01 クリームおよび Taclonex(登録商標))、局所 P-3073、局所 LEO 90100(Enstilar(登録商標))、局所ジプロピオン酸ベタメタゾン (Semivo(登録商標))、プロピオン酸ハロベタゾール (Ultravate(登録商標))、ビタミン D 類似体 (例えば、カルシポトリエン (Dovonex(登録商標)) およびカルシトリオール (Vectical(登録商標))、アントラリン (例えば、Dritho-scalp(登録商標) および Dritho-creme(登録商標))、局所レチノイド (例えば、 タザロテン(例: Tazorac(登録商標) および Avage(登録商標))、カルシニューリン阻害剤 (例えば、 タクロリムス (Prograf(登録商標)) およびピメクロリムス (Elidel(登録商標))、サリチル酸、コールタール、保湿剤、光線療法 (例えば、太陽光への曝露、UVB光線療法、狭帯域UVB光線療法、Goeckerman療法) 、ソラレンと紫外線A(PUVA)療法、およびエキシマ レーザー)、レチノイド (例えば、アシトレチン (Soriatane(登録商標))、メトトレキサート (Trexa11(登録商標)、Otrexup(登録商標)、Rasuvo(登録商標)、Rheumatrex(登録商標))、Apo805K1、バリシチニブ、FP187、KD025、プルリゾール、VTP-43742、XP23829、ZPL-389、CF101 (ピクリデノソン)、LAS41008、VPD-737 (セルロピタント)、ウパダシチニブ (ABT-494)、アプルミラスト、トファシチビン、シクロスポリン(Neora1(登録商標)、Sandimmune(登録商標)、Gengraf(登録商標))、生物学的製剤 (例えば、エタネルセプト(Enbre1(登録商標))、エンタネルセプト-szzs (Elrezi(登録商標))、インフリキシマブ (Remicade(登録商標))、アダリムマブ (Humira(登録商標))、アダリムマブ-adbm(Cyltezo(登録商標))、ウステキヌマブ (Stelara(登録商標))、ゴリムマブ (Simponi(登録商標))、アプレミラスト (Otez1a(登録商標))、セクキヌマブ (Cosentyx(登録商標))、セルトリクスマブ ペゴル、セクキヌマブ、ティルドラキズマブ-asmn、インフリキシマブ-dyyb、アバタセプト、イキキズマブ (Taltz(登録商標))、ABP 710、BCD-057、BI695501、ビメキズマブ(UCB4940)、CHS-1420、GP2017、グセルクマブ (CNTO 1959)、HD203、M923、MSB 11022、ミリキズマブ(LY3074828) 、PF-06410293、PF-06438179、リサンキズマブ (BI655066)、SB2、SB4、SB5、siliq (ブロダルマブ)、ナミルマブ (MT203、チルドラキズマブ (MK-3222)、イキセキズマブ (Taltz(登録商標))、チオグアニン、およびヒドロキシ尿素 (例えば、 Droxia(登録商標)とHydrea(登録商標)) から選択されるがこれらに限定されない。
【0139】
例示的な免疫腫瘍薬
[0122]いくつかの実施形態では、1つ以上の他の治療薬は免疫腫瘍薬である。 本明細書で使用される場合、「免疫腫瘍薬」という用語は、対象における免疫応答を増強、刺激、および/または上方制御するのに有効な薬剤を指す。 いくつかの実施形態では、本発明の化合物を伴う免疫腫瘍薬の投与は、STING媒介細胞応答に関連する疾患(例えば、STINGまたはcGAS関連疾患)の治療において相乗効果を有する。
【0140】
[0123]免疫腫瘍薬は、例えば、小分子薬剤、抗体、または生物学的もしくは小分子であり得る。生物学的免疫腫瘍薬の例には、癌ワクチン、抗体、およびサイトカインが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。 いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体はヒト化抗体またはヒト抗体である。
【0141】
[0124]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、(i)刺激性(共刺激性を含む)受容体のアゴニスト、または(ii)T細胞上の抑制性(共抑制性を含む)シグナルのアンタゴニストであり、その両方は、抗原特異的な T細胞応答を増幅する。
【0142】
[0125]特定の刺激分子および阻害分子は、免疫グロブリン スーパー ファミリー(IgSF)のメンバーである。共刺激受容体または共抑制受容体に結合する膜結合リガンドの重要なファミリーのひとつは、B7ファミリーであり、これには、B7-1、B7-2、B7-H1(PD-L1)、B7-D(PD-L2)、B7-H2(ICOS-L)、B7-H3、B7-H4、B7-H5 (VISTA)、および B7-H6が含まれる。共刺激受容体または共抑制受容体に結合する膜結合リガンドの別のファミリーは、同族のTNF受容体ファミリーのメンバーに結合する分子のTNFファミリーであって、CD40およびCD40L、OX-40、OX-40L、CD70、CD27L、 CD30、CD30L、4-1BBL、CD137(4-1BB)、TRAIL/Apo2-L、TRAILR1/DR4、TRAILR2/DR5、TRAILR3、TRAILR4、OPG、RANK、RANKL、TWEAKR/Fn14、TWEAK、BAFFR、EDAR、XEDAR 、TACI、APRIL、BCMA、LTβR、LIGHT、DcR3、HVEM、VEGI/TL1A、TRAMP/DR3、EDAR、EDA1、XEDAR、EDA2、TNFR1、リンホトキシン α/TNFβ、TNFR2、TNFα、LTβR、リンホトキシン α1β2、FAS、FASL、RELT、DR6、TROY、NGFRが含まれる。
【0143】
[0126]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、T細胞の活性化を阻害するサイトカイン(例えば、IL-6、IL-10、TGF-β、VEGF、および他の免疫抑制性サイトカイン)、またはT細胞の活性化を刺激するサイトカインであり、免疫反応を刺激するために用いられる。
【0144】
[0127]いくつかの実施形態では、本発明の化合物と免疫腫瘍薬との組み合わせは、T細胞応答を刺激することができる。いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は(i)T細胞活性化を阻害するタンパク質(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)、例えばCTLA-4、 PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG-3、TIM-3、Galectin 9、CEACAM-1、BTLA、CD69、Galectin-1、TIGIT、CD113、GPR56、VISTA、2B4、CD48、GARP、PD1H、LAIR1、TIM-1およびTIM-4;等のアンタゴニストであり、または(ii)T細胞活性化を刺激するタンパク質、例えば、B7-1、B7-2、CD28、4-1BB (CD137)、4-1BBL、ICOS、ICOS-L、OX40、OX40L、GITR、GITRL、CD70、CD27、CD40、DR3、CD28H等のアゴニストである。
【0145】
[0128]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、NK細胞上の抑制性受容体のアンタゴニスト、またはNK細胞上の活性化受容体のアゴニストである いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、リリルマブなどのKIRのアンタゴニストである。
【0146】
[0129]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、マクロファージまたは単球を阻害または枯渇させる薬剤であり、限定されないが、エマクツズマブ(RG7155)を含むCSF-1Rアンタゴニスト抗体のようなCSF-1Rアンタゴニストが挙げられる。
【0147】
[0130]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、正の共刺激受容体を連結するアゴニスト剤、阻害性受容体を介してシグナル伝達を減弱させる遮断剤、アンタゴニスト、および全身的に抗腫瘍T細胞の頻度を増加させる1つまたは複数の薬剤、腫瘍微小環境内の異なる免疫抑制経路を克服する(例えば、阻害性受容体結合(例えば、PD-L1/PD-1相互作用)をブロックする)薬剤、Tregを枯渇または阻害する(例えば、抗CD25モノクローナル抗体(例えば、ダクリズマブ)を使用する)薬剤、またはex vivo 抗 CD25 ビーズ枯渇)、IDO などの代謝酵素の阻害、または T 細胞エネルギーまたは消耗の逆転/防止)、および腫瘍部位での自然免疫活性化および/または炎症を引き起こす薬剤から選択される。
【0148】
[0131]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬はCTLA-4アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、CTLA-4アンタゴニストは、アンタゴニスト性CTLA-4抗体である。いくつかの実施形態では、拮抗性CTLA-4抗体はヤーボイ(イピリムマブ)またはトレメリムマブである。
【0149】
[0132]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬はPD-1アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、PD-1アンタゴニストは点滴によって投与される。いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、プログラム死-1(PD-1)受容体に特異的に結合し、PD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、PD-1アンタゴニストは、アンタゴニスト性PD-1抗体である。いくつかの実施形態では、拮抗性PD-1抗体は、オプジーボ(ニボルマブ)、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)、またはMEDI-0680(AMP-514)である。いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬はピディリズマブ(CT-011)であり得る。いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、AMP-224と呼ばれる、IgG1のFc部分に融合されたPD-L2(B7-DC)の細胞外ドメインから構成される組換えタンパク質である。
【0150】
[0133]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬はPD-L1アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、PD-L1アンタゴニストは、アンタゴニスト性PD-L1抗体である。いくつかの実施形態では、PD-L1抗体は、アテゾリズマブ(RG7446)、デュルバルマブ(MEDI4736)、BMS-936559(WO2007/005874)、およびアベルマブ(MSB0010718C)である。
【0151】
[0134]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬はLAG-3アンタゴニストである。 いくつかの実施形態では、LAG-3アンタゴニストは、アンタゴニスト性LAG-3抗体である。いくつかの実施形態では、LAG3抗体は、レラトリマブ(BMS-986016)、またはIMP-731もしくはエフチラギモドアルファ(IMP-321)である。
【0152】
[0135]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬はCD137(4-1BB)アゴニストである。いくつかの実施形態では、CD137(4-1BB)アゴニストはアゴニストCD137抗体である。いくつかの実施形態では、CD137抗体はウレルマブまたはウトミルマブ(PF-05082566)である。
【0153】
[0136]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬はGITRアゴニストである。いくつかの実施形態では、GITRアゴニストはアゴニストGITR抗体である。いくつかの実施形態では、GITR抗体は、BMS-986153、BMS-986156、TRX-518(WO2006/105021、WO2009/009116)、またはMK-4166(WO2011/028683)である。
【0154】
[0137]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬はインドールアミン(2,3)-ジオキシゲナーゼ(IDO)アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、IDOアンタゴニストは、エパカドスタット(INCB024360、Incyte);インドキシモド (NLG-8189、NewLink Genetics Corporation);カプマニチブ (INC280、ノバルティス); GDC-0919 (ジェネンテック/ロシュ); PF-06840003 (ファイザー); BMS:F001287 (ブリストル・マイヤーズ スクイブ社); Phy906/KD108 (フィトシューティカ);キヌレニンを分解する酵素 (Kynase、Kyn Therapeutics)、およびNLG-919(W02009/073620、W02009/1156652、W02011/056652、W02012/142237)から選択される。
【0155】
[0138]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬はOX40アゴニストである。いくつかの実施形態では、OX40アゴニストは、アゴニスト性OX40抗体であるいくつかの実施形態では、OX40抗体はMEDI-6383またはMEDI-6469である。
【0156】
[0139]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬はOX40Lアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、OX40Lアンタゴニストは、アンタゴニスト性OX40抗体である。いくつかの実施形態では、OX40Lアンタゴニストはボンレロリズマブ(RG-7888)である。
【0157】
[0140]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬はCD40アゴニストである。いくつかの実施形態では、CD40アゴニストはアゴニストCD40抗体である。 いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬はCD40アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、CD40アンタゴニストはアンタゴニスト性CD40抗体である。 いくつかの実施形態では、CD40抗体はルカツムマブまたはダセツズマブである。
【0158】
[0141] いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬はCD27アゴニストである。いくつかの実施形態では、CD27アゴニストはアゴニストCD27抗体である。いくつかの実施形態では、CD27抗体はバルリルマブである。
【0159】
[0142]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬はエノブリツズマブ(MGA271)(B7H3に対する)である。
【0160】
[0143]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アナツモマブ マフェナトックス、アポリズマブ、アテゾリマブ、アベルマブ、ブリナツモマブ、BMS-936559、カトゥマキソマブ、デュルバルマブ、エパカドスタット、エプラツズマブ、インドキシモド、イノツズマブ オゾガマイシン、インテルマブ、イピリムマブ、イサクシマブ、ランブロリズマブ、MED14736、MPDL3280A、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、オラタツマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、リツキシマブ、チシリムマブ、サマリズマブ、またはトレメリムマブである。
【0161】
[0144]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は免疫刺激薬である。例えば、PD-1およびPD-L1阻害軸をブロックする抗体は、活性化された腫瘍反応性T細胞を解き放つ可能性があり、臨床試験では、従来は免疫療法に反応すると考えられていなかったいくつかの腫瘍タイプを含む、増加する腫瘍組織型において持続的な抗腫瘍反応を誘導することが示されている。例えば、Okazaki, T. et al. (2013) Nat. Immunol. 14, 1212-1218; Zou et al. (2016) Sci. Transl. Med. 8 参照。抗PD-1抗体ニボルマブ(オプジーボ(登録商標)、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社、ONO-4538、MDX1106、BMS-936558としても知られる)は、以前の抗血管新生療法の治療中または治療後に病気の進行を経験したRCC患者の全生存期間を改善する可能性を示している。
【0162】
[0145]いくつかの実施形態では、免疫調節治療薬は、腫瘍細胞のアポトーシスを特異的に誘導する。本発明で使用できる承認された免疫調節治療薬としては、ポマリドマイド(Pomalyst(登録商標)、Celgene)、レナリドマイド (Revlimid(登録商標)、Celgene);インゲノール メブテート (Picato(登録商標)、LEO Pharma)が挙げられる。
【0163】
[0146]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は癌ワクチンである。いくつかの実施形態では、癌ワクチンは、無症候性または最小限の症候性の転移性去勢抵抗性(ホルモン抵抗性)前立腺癌の治療用に承認されているシプリューセル-T(Provenge(登録商標), Dendreon/Valeant Pharmaceuticals)、黒色腫における切除不能な皮膚、皮下および結節性病変の治療用に承認された遺伝子組み換え腫瘍溶解性ウィルス療法のタリモジーン・ラヘルパレプベク(Imlygic(登録商標)、BioVex/Amgen、以前はT-VECとして知られていた)から選択される。いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、以下のような腫瘍溶解性ウイルス療法から選択される;ペキサチモジェン・デバシレプベク(PexaVec/JX-594、SillaJen/旧名Jennerex Biotherapeutics);肝細胞癌 (NCT02562755) および黒色腫 (NCT00429312)のため、GM-CSFを発現するように操作されたチミジンキナーゼ(TK)欠損ワクシニアウイルス;
pelareorep (Reolysin(登録商標)、Oncolytics Biotech) は、結腸直腸がん (NCT01622543) を含む多くの癌において、RAS 活性化されていない細胞では複製しない呼吸器腸管オーファン ウイルス (レオウイルス) の変異体;前立腺がん (NCT01619813);頭頸部扁平上皮がん (NCT01166542);膵臓腺癌 (NCT00998322);および非小細胞肺がん(NSCLC) (NCT 00861627);エナデノツシレフ(NG-348、PsiOxus、以前はColoAd1として知られていた)、卵巣がんにおいて全長CD80とT細胞受容体CD3タンパク質に特異的な抗体フラグメントを発現するように操作されたアデノウイルス(NCT02028117);転移性または進行性の上皮腫瘍、例えば結腸直腸癌、膀胱癌、頭頸部扁平上皮癌および唾液腺癌(NCT02636036)など;ONCOS-102 (Targovax/旧 Oncos)、黒色腫において GM-CSFを発現するように操作されたアデノウイルス (NCT03003676);腹膜疾患、結腸直腸癌または卵巣癌 (NCT02963831);GL-ONC1 (GLV-1h68/GLV-1h153、Genelux GmbH)、β-ガラクトシダーゼ (β-gal)/β-グルコロニダーゼまたはβ-gal/ヒトヨウ化ナトリウム共輸送体 (hNIS) をそれぞれ発現するように操作されたワクシニア ウイルス;腹膜癌腫症 (NCT01443260);卵管がん、卵巣がん (NCT 02759588);および膀胱がんにおいて GM-CSF を発現するように操作されたアデノウイルスであるCG0070 (Cold Genesys) (NCT02365818)。
【0164】
[0147]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、下記から選択される;プロドラッグ5-フルオロシトシンを細胞毒性薬の5-フルオロウラシルに変換できるシトシンデアミナーゼを発現するように操作されたTKおよびワクシニア成長因子欠損ワクシニアウイルスであるJX-929(SillaJen/旧Jennerex Biotherapeutics)、治療が難しい RAS 変異を対象としたペプチドベースの免疫療法剤のTG01 および TG02 (Targovax/旧 Oncos);操作されたアデノウイルスのTILT-123 (TILT Biotherapeutics);Ad5/3-E2F-de1ta24-hTNFa-IRES-hIL20;リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)の糖タンパク質(GP)を発現するように操作された水疱性口内炎ウイルス(VSV)であるVSV-GP (ViraTherapeutics)、これは抗原特異的CD8+T細胞応答を引き起こすように設計された抗原を発現するようにさらに操作することができる。
【0165】
[0148]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍剤は、キメラ抗原受容体、すなわちCARを発現するように操作されたT細胞である。このようなキメラ抗原受容体を発現するように操作されたT細胞はCAR-T細胞と呼ばれる。
【0166】
[0149]CARは、天然リガンド、細胞表面抗原に特異的なモノクローナル抗体に由来する単鎖可変フラグメント(scFv)に由来する結合ドメインから構成され、T細胞受容体(TCR)の機能末端であるエンドドメインに融合して構築され、TCR からの CD3-ゼータ シグナル伝達ドメインなど、T リンパ球で活性化シグナルを生成することができる。抗原が結合すると、このようなCARSはエフェクター細胞の内因性シグナル伝達経路にリンクし、TCR複合体によって開始されるものと同様の活性化シグナルを生成する。
【0167】
[0150]例えば、いくつかの実施形態では、CAR-T細胞は、US特許8,906,682に記載の一つで、抗原結合部位(例えば、CD19結合領域)を有する細胞外領域を含むよう操作され、T細胞抗原受容体複合体のゼータ鎖(例えば、CD3ゼータなど)の細胞内シグナル伝達ドメインに融合する。T細胞内で発現されると、CARは、抗原結合特異性に基づいて抗原認識を方向転換することができる。CD19の場合、抗原は悪性B細胞上で発現される。現在、幅広い適応症でCAR-Tを採用した数百の臨床試験が進行中です。現在、幅広い適応症でCAR-Tを採用した数百の臨床試験が進行中である。
[https://clinicaltrials.gov/ct2/results?term=chimeric+antigen+receptors&pg=1].
【0168】
[0151]いくつかの実施形態では、免疫刺激剤は、レチノイン酸受容体関連オーファン受容体γ(RORγt)の活性化剤である。RORγtは、CD4+ (Th17)およびCD8+(Tc17) T細胞の17型エフェクター サブセットの分化と維持、およびNK細胞などのIL-17発現自然免疫細胞サブ集団の分化において重要な役割を持つ転写因子である。いくつかの実施形態では、RORγtの活性化因子は、固形腫瘍の治療のための臨床試験において現在評価されているLYC-55716(Lycera)である(NCT02929862)。
【0169】
[0152]いくつかの実施形態では、免疫刺激剤は、トール様受容体(TLR)のアゴニストまたはアクチベーターである。TLRの適切なアクチベーターには、SD-101 (Dynavax)などのTLR9のアゴニストまたはアクチベーターが含まれる。SD-101は、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、およびその他のリンパ腫に対して研究されている免疫刺激性CpGである(NCT02254772)。本発明で使用され得るTLR8のアゴニストまたは活性化因子には、頭頸部の扁平上皮癌(NCT02124850)および卵巣癌(NCT02431559)について研究されているモトリモド(VTX-2337、VentiRx Pharmaceuticals)が含まれる。
【0170】
[0153]本発明で使用され得る他の免疫腫瘍薬としては、以下が含まれる;抗CD137モノクローナル抗体であるウレルマブ(BMS-663513、Bristol-Myers Squibb);抗CD27モノクローナル抗体のバリルマブ (CDX-1127、Celldex Therapeutics);抗OX40モノクローナル抗体のBMS-986178(Bristol-Myers Squibb);抗KIRモノクローナル抗体のリリルマブ(IPH2102/BMS-986015、Innate Pharma、Bristol-Myers Squibb);抗NKG2Aモノクローナル抗体のモナリズマブ(IPH2201、Innate Pharma、AstraZeneca);抗MMP9抗体のアンデカリキシマブ (GS-5745、Gilead Sciences);および抗GITRモノクローナル抗体のMK-4166 (Merck & Co.)。
【0171】
[0154]いくつかの実施形態では、免疫刺激剤は、エロツズマブ、ミファムルチド、トール様受容体のアゴニストまたは活性化因子、およびRORγtの活性化因子から選択される。
【0172】
[0155]いくつかの実施形態では、免疫刺激治療薬は組換えヒトインターロイキン15(rhIL-15)である。rhIL-15 は、黒色腫および腎細胞癌 (NCT01021059 およびNCT01369888) および白血病(NCT02689453) の治療法として臨床で試験されている。いくつかの実施形態では、免疫刺激剤は、組換えヒトインターロイキン12(rhIL-12)である。いくつかの実施形態では、IL-15に基づく免疫療法薬は、可溶性IL-15結合タンパク質IL-15と複合体化した内因性IL-15の合成形態から構成される融合複合体であるヘテロ二量体IL-15(hetIL-15、Novartis/Admune)であり、可溶性IL-15結合タンパクIL-15受容体アルファ鎖 (IL15:sIL-15RA)と複合体化した融合複合体である。黒色腫、腎細胞癌、非小細胞肺癌および頭頸部扁平上皮癌 (NCT02452268)の第1相臨床試験で試験されている。いくつかの実施形態では、組換えヒトインターロイキン12(rhIL-12)は、NM-IL-12(Neumedicines,Inc.)、NCT02544724またはNCT02542124である。
【0173】
[0156]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍剤は、Jerry L.Adamsら、「免疫腫瘍学における小分子に対する大きな機会」、Cancer Therapy 2015、Vol. 14、603~622ページに記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、Jerry L. Adamsらの表1に記載されている例から選択される。いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、Jerry L. Adamsらの表2に列挙されているものから選択される腫瘍免疫標的を標的とする小分子である。いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、Jerry L. Adamsらの表2に列挙されているものから選択される小分子薬剤である。
【0174】
[0157]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、Peter L.Toogood著「Small molecule immuno-oncology therapeutic agents」、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2018、Vol. 28、319~329ページに記載された小分子免疫腫瘍薬から選択され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、Peter L.Toogoodに記載された経路標的薬である。
【0175】
[0158]いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、Sandra L.Rossら、「Bispecific T cell engager (BiTE(登録商標)) antibody constructs can mediate bystander tumor cell killing」、PLoS ONE 12(8):e0183390、に記載されているものから選択され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物である。いくつかの実施形態では、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、CD19/CD3二重特異性抗体構築物である。いくつかの実施形態では、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、EGFR/CD3二重特異性抗体構築物である。いくつかの実施形態では、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物はT細胞を活性化する。いくつかの実施形態では、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物はT細胞を活性化し、バイスタンダー細胞上の細胞間接着分子1(ICAM-1)およびFASの上方制御を誘導するサイトカインを放出する。いくつかの実施形態では、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、誘導されたバイスタンダー細胞溶解をもたらすT細胞を活性化する。いくつかの実施形態では、バイスタンダー細胞は固形腫瘍内にある。いくつかの実施形態では、溶解されるバイスタンダー細胞は、BiTE(登録商標)活性化T細胞に近接している。いくつかの実施形態では、バイスタンダー細胞は、腫瘍関連抗原(TAA)陰性癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、バイスタンダー細胞は、EGFR陰性癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、PD-L1/PD1軸および/またはCTLA4を遮断する抗体である。いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、ex vivoで増殖した腫瘍浸潤性T細胞である。 いくつかの実施形態では、免疫腫瘍薬は、T細胞を腫瘍関連表面抗原(TAAs)と直接接続する二重特異性抗体構築物またはキメラ抗原受容体(CARs)である。
【0176】
5.さらなる実施形態
[0159]本発明のさらなる実施形態について以下に説明する。
これらの実施形態は例示的なものであり、請求される発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0177】
[0160]実施形態1
下式(I);
(式中、A
1は窒素原子またはC-R
6を表わし、
A
2は窒素原子またはC-R
7を表わし、
R
1は、ハロゲン原子またはアルキル基を表わし、
R
2、R
3、R
4、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表わし、
R
5は、水素原子または置換されてもよいアルキル基を表わす。)
で表される1,2-ジアミノベンズイミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【0178】
[0161]実施形態2
実施例1~29のいずれかに記載された化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【実施例】
【0179】
[0162]以下に実施例および試験例などを挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
[0163]化合物の同定は水素核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)およびマススペクトル(MS)により行った。1H-NMRは、特に指示のないかぎりは400MHzで測定されたものであり、また化合物および測定条件によっては交換性水素が明瞭に観測されない場合がある。なお、br.は幅広いシグナル(ブロード)を意味する。HPLC分取クロマトグラフィーは、市販のODSカラムを用い、水/アセトニトリル(ギ酸を含む)もしくは水/メタノール(ギ酸を含む)を溶出液としてグラジェントモードにて分取した。
【0180】
[0164]
参考例1
5-クロロ-3-イソチオシアナト-1H-インドールの製造
【化10】
(第1工程)
N-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミドの製造
【化11】
【0181】
[0165]
2,2-ジエトキシエタン-1-アミン(30g,225mmol)とDIPEA(34.92g,270mmol)のTHF溶液(210mL)にトリフルオロ酢酸無水物(51.87g,247mmol)を滴下し、滴下漏斗にTHF(30mL)を追加して残留試薬を滴下した。室温で1時間撹拌後、反応混合物を水(88mL)、濃塩酸(8mL)と塩化ナトリウム(4.8g)の混合溶液で二度洗浄し、有機層を減圧留去した。得られた残渣(34.9g)を1,2-ジクロロエタン/トルエンの混合溶媒(1:1,240mL)に溶解し、この溶液に4-クロロフェニルヒドラジン塩酸塩(36.41g,203mmol)を加え、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却後、水(60mL)を加え、0℃に冷却後、析出した固体をろ取した。固体を水で洗浄した後、1,2-ジクロロエタン/トルエンの混合溶媒(1:1,30mL)で洗浄した。得られた固体に2-プロパノール水溶液(20%,250mL)を加え、0℃に冷却後、固体をろ取し、乾燥させて、標記化合物(28.07g)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 11.39 (s, 1H), 11.28 (s, 1H), 7.93 - 7.87 (m, 1H), 7.82 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.14 (dd, J = 8.7, 2.1 Hz, 1H); LCMS(m/z) 261.0 [M-H]-.
【0182】
[0166]
(第2工程)
5-クロロ-1H-インドール-3-アミン塩酸塩の製造
【化12】
【0183】
[0167]
N-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(7.1g,27mmol)と2N塩酸/エタノール溶液(70mL)の混合物を80℃で終夜攪拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣に酢酸エチルを加え、固体をろ取し、乾燥させて、標記化合物(4.96g)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 11.63 (s, 1H), 10.35 (br.s, 3H), 7.72 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.19 (dd, J = 8.7, 2.1 Hz, 1H); LCMS(m/z) 167.0 [M+H]+.
【0184】
[0168]
(第3工程)
5-クロロ-3-イソチオシアナト-1H-インドールの製造
5-クロロ-1H-インドール-3-アミン塩酸塩(4.96g,24.43mmol)のTHF溶液(100mL)に、チオホスゲン(3.09g,26.9mmol)とDIPEA(6.31g,48.9mmol)を加え、室温で50分間攪拌した。反応混合物に酢酸エチルを加え、希塩酸と飽和食塩水で順に洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、標記化合物(5.04g)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 11.76 (s, 1H), 7.84 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 7.63 - 7.55 (m, 1H), 7.48 (dd, J = 8.7, 0.7 Hz, 1H), 7.24 (dd, J = 8.7, 2.0 Hz, 1H); LCMS(m/z) 207.1 [M-H]-.
【0185】
[0169]
参考例2
2-[2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ヒドラジン-1-カルボン酸tert-ブチルの製造
【化13】
(第1工程)
2-[2-ニトロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ヒドラジン-1-カルボン酸tert-ブチルの製造
【化14】
【0186】
[0170]
1-フルオロ-2-ニトロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(10g,47.8mmol)のNMP溶液(50mL)に、ヒドラジンカルボン酸tert-ブチル(9.48g,71.7mmol)を加え、80℃で終夜攪拌した。反応混合物を水で希釈した後、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、標記化合物(15.36g)を得た。
1H NMR (Chloroform-d) δ 9.15 (s, 1H), 8.50 - 8.45 (m, 1H), 7.72 (dd, J = 9.0, 2.1 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.44 (s, 1H), 1.49 (s, 9H).
【0187】
[0171]
(第2工程)
2-[2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ヒドラジン-1-カルボン酸tert-ブチルの製造
2-[2-ニトロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ヒドラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(15.36g,47.8mmol)をメタノール/THF/飽和塩化アンモニウム水溶液の混合溶媒(1:1:1,300mL)に溶解し、亜鉛末(15.63g,239mmol)を0℃で加え、0℃で20分間撹拌した。反応混合物をセライトろ過し、不要物を除去した。有機層を減圧濃縮して残った水層を酢酸エチルで抽出し、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、標記化合物(12.49g)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 8.89 (s, 1H), 7.15 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 6.85 - 6.77 (m, 2H), 6.59 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 5.02 (s, 2H), 1.42 (s, 9H).
【0188】
[0172]
参考例3
5,6-ジフルオロ-3-イソチオシアナト-1H-インドールの製造
【化15】
(第1工程)
5,6-ジフルオロ-3-ニトロ-1H-インドールの製造
【化16】
【0189】
[0173]
5,6-ジフルオロ-1H-インドール(3g,19.59mmol)と無水酢酸(4.32g,42.3mmol)の酢酸溶液(15mL)に、0℃で発煙硝酸(1.296g,20.57mmol)の酢酸溶液(9mL)を滴下し、室温で4時間撹拌した。反応混合物に水(30mL)を加えて反応を停止し、酢酸(4mL)を加えて、0℃に冷却後、析出した固体をろ取した。固体をアミン修飾シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-0:1)で精製し標記化合物(1.94g)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 12.81 (s, 1H), 8.71 (s, 1H), 7.97 (dd, J = 10.8, 7.9 Hz, 1H), 7.66 (dd, J =10.4, 6.8 Hz, 1H); LCMS(m/z) 197.1 [M-H]-.
【0190】
[0174]
(第2工程)
tert-ブチル(5,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)カルバミン酸の製造
【化17】
【0191】
[0175]
5,6-ジフルオロ-3-ニトロ-1H-インドール(1.9g,9.59mmol)をメタノール/THF/飽和塩化アンモニウム水溶液の混合溶媒(1:1:1,60mL)に加え、この懸濁液に亜鉛末(6.27g,96mmol)を0℃で加え、0℃で5分撹拌した後、Boc2O(2.512g,11.51mmol)を加え、0℃で30分撹拌した後、室温で1時間撹拌した。反応を完結させるために、亜鉛末(2.7g,41.3mmol)を追加し、さらに室温で3時間撹拌した。反応混合物をセライトろ過し、不溶物を除去した。ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-7:3)で精製し標記化合物(1.16g)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 10.87 (s, 1H), 9.18 (s, 1H), 7.73 (dd, J = 11.6, 8.2 Hz, 1H), 7.47 (s, 1H), 7.29 (dd, J = 11.3, 7.0 Hz, 1H), 1.49 (s, 9H); LCMS(m/z) 267.1 [M-H]-.
【0192】
[0176]
(第3工程)
5,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-アミン塩酸塩の製造
【化18】
【0193】
[0177]
tert-ブチル(5,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)カルバミン酸(1.16g,4.32mmol)と4N塩酸/酢酸エチル溶液(10mL)の混合物を室温で1時間攪拌した。析出した固体をろ取し、乾燥させて、標記化合物(650mg)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 11.59 - 11.54 (m, 1H), 10.14 (br.s, 3H), 7.61 (dd, J = 11.1, 7.9 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.49 (dd, J = 11.1, 7.0 Hz, 1H); LCMS(m/z) 169.1 [M+H]+.
【0194】
[0178]
(第4工程)
5,6-ジフルオロ-3-イソチオシアナト-1H-インドールの製造
5,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-アミン塩酸塩(650mg,3.18mmol)のTHF溶液(15mL)に、チオホスゲン(402mg,3.49mmol)とDIPEA(821mg,6.35mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応を完結させるために、チオホスゲン(402mg,3.49mmol)とDIPEA(821mg,6.35mmol)を追加し、さらに室温で1.5時間攪拌した。反応混合物に酢酸エチルと飽和食塩水を加え、セライトろ過し、不溶物を除去した。ろ液を水と飽和食塩水で順に洗浄し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、標記化合物(668mg)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 11.72 (s, 1H), 7.85 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 7.63 - 7.56 (m, 1H), 7.51 (dd, J = 10.9, 6.8 Hz, 1H); LCMS(m/z) 209.1 [M-H]-.
【0195】
[0179]
参考例4
4,5-ジフルオロ-3-イソチオシアナト-1H-インドールの製造
【化19】
(第1工程)
4,5-ジフルオロ-3-ニトロ-1H-インドールの製造
【化20】
【0196】
[0180]
4,5-ジフルオロ-1H-インドール(2.45g,16mmol)と無水酢酸(3.528g,34.6mmol)の酢酸溶液(15mL)に、0℃で発煙硝酸(1.059g,16.8mmol)の酢酸溶液(9mL)を滴下し、室温で1.5時間撹拌した。反応混合物に水(30mL)を加え、0℃に冷却後、析出した固体をろ取した。固体をアミン修飾シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-0:1、次いで酢酸エチル:メタノール=9:1)で精製し標記化合物(2.04g)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) 12.94 (s, 1H), 8.73 (s, 1H), 7.44 - 7.35 (m, 2H); LCMS(m/z) 197.1 [M-H]-.
【0197】
[0181]
(第2工程)
tert-ブチル(4,5-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)カルバミン酸の製造
【化21】
【0198】
[0182]
4,5-ジフルオロ-3-ニトロ-1H-インドール(2.04g,10.3mmol)をメタノール/THF/飽和塩化アンモニウム水溶液の混合溶媒(1:1:1,75mL)に加え、この懸濁液に亜鉛末(3.366g,51.5mmol)を0℃で加え、5分撹拌した後、Boc2O(2.472g,11.33mmol)を加え、室温で45分撹拌した。反応混合物をセライトろ過し、不溶物を除去した。ろ液を減圧濃縮し、残渣をアミン修飾シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-1:1)で精製し標記化合物(2.22g)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 11.20 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.16 - 7.01 (m, 2H), 1.45 (s, 9H); LCMS(m/z) 267.1 [M-H]-.
【0199】
[0183]
(第3工程)
4,5-ジフルオロ-1H-インドール-3-アミン塩酸塩の製造
【化22】
【0200】
[0184]
tert-ブチル(4,5-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)カルバミン酸(2.22g,8.28mmol)と4N塩酸/酢酸エチル溶液(10mL)の混合物を室温で30分攪拌した。析出した固体をろ取し、乾燥させて、標記化合物(1.35g)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 11.73 (s, 1H), 10.20 (br.s, 3H), 7.59 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.35 - 7.20 (m, 2H); LCMS(m/z) 169.1 [M+H]+.
【0201】
[0185]
(第4工程)
4,5-ジフルオロ-3-イソチオシアナト-1H-インドールの製造
4,5-ジフルオロ-1H-インドール-3-アミン塩酸塩(1348mg,6.59mmol)のTHF溶液(30mL)に、チオホスゲン(833mg,7.25mmol)とDIPEA(1703mg,13.18mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。反応混合物に酢酸エチルを加え、水と飽和食塩水で順に洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、標記化合物(1352mg)を得た。
1H NMR (Chloroform-d) δ 8.08 (br.s, 1H), 7.22 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.15 - 7.01 (m, 2H); LCMS(m/z) 209.1 [M-H]-.
【0202】
[0186]
参考例5
2-[2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-メチルヒドラジン-1-カルボン酸 tert-ブチルの製造
【化23】
(第1工程)
1-メチル-2-[2-ニトロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ヒドラジン-1-カルボン酸 tert-ブチルの製造
【化24】
【0203】
[0187]
1-フルオロ-2-ニトロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(10g,47.8mmol)のDMF溶液(100mL)に、1-メチルヒドラジン-1-カルボン酸 tert-ブチル(7.69g,52.6mmol)とトリエチルアミン(7.26g,71.7mmol)を加え、100℃で2時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し酢酸エチルで2回抽出した。得られた有機層を、水と飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、標記化合物(16.3g)を得た。
1H NMR (Chloroform-d) δ 9.31 (s, 1H), 8.49 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 7.71 (ddd, J = 8.9, 1.5, 0.6 Hz, 1H), 7.08 (dd, J = 9.1, 0.9 Hz, 1H), 3.26 (s, 3H), 1.42 (s, 9H) ; LCMS(m/z) 334.2 [M-H]-.
【0204】
[0188]
(第2工程)
2-[2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-メチルヒドラジン-1-カルボン酸 tert-ブチルの製造
1-メチル-2-[2-ニトロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ヒドラジン-1-カルボン酸 tert-ブチル(13.1g,38.3mmol)をメタノール/THF/飽和塩化アンモニウム水溶液の混合溶媒(5:5:4,280mL)に溶解し、亜鉛末(12.52g,191mmol)を0℃で加え、0℃で30分間撹拌した。反応混合物をセライトろ過し、不溶物を除去した。有機層を減圧濃縮して残った水層を酢酸エチルで抽出し、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、標記化合物(10.57g)を得た。
1H NMR (Chloroform-d) δ 7.06 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.04 (s, 1H), 3.53 (br.s, 2H), 3.19 (s, 3H), 1.42 (br.s, 9H).
【0205】
[0189]
参考例6
5,7-ジフルオロ-3-イソチオシアナト-1H-インドールの製造
【化25】
(第1工程)
N-(5,7-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミドの製造
【化26】
【0206】
[0190]
2,2-ジエトキシエタン-1-アミン(4.6g,34.5mmol)とDIPEA(5.36g,41.4mmol)のTHF溶液(35mL)にトリフルオロ酢酸無水物(7.98g,38mmol)を滴下し、滴下漏斗にTHF(5mL)を追加して残留試薬を滴下した。室温で40分撹拌後、反応混合物を飽和食塩水(15mL)と濃塩酸(1.15mL)の混合溶液で二度洗浄し、有機層を減圧留去した。得られた残渣(5.36g)を1,2-ジクロロエタン/トルエンの混合溶媒(1:1,40mL)に溶解し、この溶液に(2,4-ジフルオロフェニル)ヒドラジン塩酸塩(5.2g,28.8mmol)を加え、50℃で1.5時間攪拌した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をアミン修飾シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-7:3)で精製し、標記化合物(3.5g)を得た。
LCMS(m/z) 263.0 [M-H]-.
【0207】
[0191]
(第2工程)
5,7-ジフルオロ-1H-インドール-3-アミン塩酸塩の製造
【化27】
【0208】
[0192]
N-(5,7-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(3.5g,13.25mmol)と2N塩酸/エタノール溶液(30mL)の混合物を80℃で終夜攪拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣に酢酸エチルを加え、固体をろ取し、乾燥させて、標記化合物(2.3g)を得た。
LCMS(m/z) 169.1 [M+H]+.
【0209】
[0193]
(第3工程)
5,7-ジフルオロ-3-イソチオシアナト-1H-インドールの製造
5,7-ジフルオロ-1H-インドール-3-アミン塩酸塩(2.3g,11.24mmol)のTHF溶液(50mL)に、チオホスゲン(1.42g,12.37mmol)とDIPEA(2.91g,22.48mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1:0-4:1)で粗精製した。得られた粗生成物を酢酸エチルに溶解し、希塩酸と飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、標記化合物(2g)を得た。LCMS(m/z) 209.1 [M-H]-.
【0210】
[0194]
参考例7
2-[2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-エチルヒドラジン-1-カルボン酸 tert-ブチルの製造
【化28】
(第1工程)
1-エチル-2-[2-ニトロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ヒドラジン-1-カルボン酸 tert-ブチルの製造
【化29】
【0211】
[0195]
1-フルオロ-2-ニトロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(5.12g,24.49mmol)のNMP溶液(30mL)に、1-エチルヒドラジン-1-カルボン酸 tert-ブチル(5.1g,31.8mmol)を加え、80℃で終夜攪拌した。反応混合物を水で希釈した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、標記化合物(8.5g)を得た。
LCMS(m/z) 348.3 [M-H]-.
【0212】
[0196]
(第2工程)
2-[2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-エチルヒドラジン-1-カルボン酸 tert-ブチルの製造
1-エチル-2-[2-ニトロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ヒドラジン-1-カルボン酸 tert-ブチル(8.5g,24.33mmol)をメタノール/THF/飽和塩化アンモニウム水溶液の混合溶媒(1:1:1,180mL)に溶解し、亜鉛末(7.95g,122mmol)を0℃で加え、0℃で25分間撹拌した。反応混合物をセライトろ過し、不溶物を除去した。有機層を減圧濃縮して残った水層を酢酸エチルで抽出し、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得られた残渣をアミン修飾シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-7:3)で精製し、標記化合物(7.0g)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 7.53 (s, 1H), 6.86 - 6.84 (m, 1H), 6.82 - 6.76 (m, 1H), 6.50 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 5.04 (s, 2H), 3.47- 3.36 (m, 2H), 1.35 (br.s, 9H), 1.12 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
【0213】
[0197]
実施例1
N2-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1,2-ジアミン塩酸塩の製造
【化30】
(第1工程)
{2-[(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル}カルバミン酸tert-ブチルの製造
【化31】
【0214】
[0198]
5-クロロ-3-イソチオシアナト-1H-インドール(参考例1、1.5g,7.19mmol)のDMF溶液(50mL)に2-[2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ヒドラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(参考例2、2.3g,7.91mmol)を加え、50℃で終夜撹拌した。反応混合物を室温まで冷却後、酢酸エチルを加え、水と飽和食塩水で順に洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して得られた残渣をアミン修飾シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1:0-19:1)で粗精製し、チオ尿素体(2.06g)を得た。得られたチオ尿素体(2.06g,4.12mmol)をDMF(20mL)に溶解し、この溶液にEDCI・HCl(1.19g,6.18mmol)を加え、50℃で2.5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却後、酢酸エチルを加え、水と飽和食塩水で順に洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-0:1)で精製し、標記化合物(1.89g)を得た。
LCMS(m/z) 466.2 [M+H]+.
【0215】
[0199]
(第2工程)
N2-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1,2-ジアミン塩酸塩の製造
{2-[(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル}カルバミン酸tert-ブチル(1.89g,4.06mmol)と4N塩酸/酢酸エチル溶液(25mL)の混合物を室温で2時間攪拌した。析出した固体をろ取し、乾燥させて、標記化合物(1.35g)を得た。
1H NMR (Methanol-d4) δ 7.72 - 7.66 (m, 2H), 7.62 (s, 1H), 7.57 - 7.54 (m, 2H), 7.50 - 7.47 (m, 1H), 7.22 (dd, J = 8.8, 2.0 Hz, 1H); LCMS(m/z) 366.1 [M+H]+.
【0216】
[0200]
実施例2
N2-(5,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1,2-ジアミン ギ酸塩の製造
【化32】
(第1工程)
{2-[(5,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-1ーベンゾ[d]イミダゾール-1-イル}カルバミン酸 tert-ブチルの製造
【化33】
【0217】
[0201]
5,6-ジフルオロ-3-イソチオシアナト-1H-インドール(参考例3、150mg,0.714mmol)のDMF溶液(5mL)に2-[2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ヒドラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(参考例2、270mg,0.928mmol)を加え、50℃で終夜撹拌した。反応混合物を室温まで冷却後、酢酸エチルを加え、水と飽和食塩水で順に洗浄した。有機層を減圧留去して得られた残渣をアミン修飾シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1:0-19:1)で粗精製し、チオ尿素体(110mg)を得た。得られたチオ尿素体(110mg,0.219mmol)をDMF(2mL)に溶解し、この溶液にEDCI・HCl(63.1mg,0.329mmol)を加え、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却後、酢酸エチルを加え、水と飽和食塩水で順に洗浄した。有機層を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-1:1)で精製し、標記化合物(55mg)を得た。
LCMS(m/z) 468.1 [M+H]+.
【0218】
[0202]
(第2工程)
N2-(5,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1,2-ジアミン ギ酸塩の製造
{2-[(5,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-1ーベンゾ[d]イミダゾール-1-イル}カルバミン酸 tert-ブチル(55mg,0.118mmol)と4N塩酸/酢酸エチル溶液(1mL)の混合物を室温で6時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をHPLC分取クロマトグラフィーを用いて精製し、標記化合物を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 11.03 - 10.98 (m, 1H), 8.77 (s, 1H), 8.25 (s, 1H), 7.89 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.80 (dd, J = 11.7, 8.1 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.41 - 7.31 (m, 3H), 5.91 (s, 2H); LCMS(m/z) 368.1 [M+H]+.
【0219】
[0203]
実施例3
N2-(4,5-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)-N1-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1,2-ジアミン塩酸塩の製造
【化34】
(第1工程)
{2-[(4,5-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル}(メチル)カルバミン酸 tert-ブチルの製造
【化35】
【0220】
[0204]
4,5-ジフルオロ-3-イソチオシアナト-1H-インドール(参考例4、1.35g,6.42mmol)のDMF溶液(15mL)に2-[2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-メチルヒドラジン-1-カルボン酸 tert-ブチル(参考例5、2.55g,8.35mmol)を加え、60℃で5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却後、水で希釈し、酢酸エチルで2回抽出した。得られた有機層を、水と飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得られた残渣をアミン修飾シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-0:1、次いで酢酸エチル:メタノール=1:0-3:7)で粗精製し、チオ尿素体(2.52g)を得た。得られたチオ尿素体(2.517g,4.88mmol)をDMF(20mL)に溶解し、この溶液にEDCI・HCl(1.872g,9.77mmol)とピリジン(0.772g,9.77mmol)を加え、50℃で30分攪拌した。反応混合物を室温まで冷却後、水で希釈し、酢酸エチルで2回抽出した。得られた有機層を、水と飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-0:1)で精製し、標記化合物(1.596g)を得た。
1H NMR (Chloroform-d) δ 8.81 (s, 1H), 7.82 - 7.79 (m, 1H), 7.78 - 7.74 (m, 1H), 7.43 - 7.38 (m, 1H), 7.15 - 7.08 (m, 1H), 7.01 - 6.89 (m, 2H), 6.80 - 6.75 (m, 1H), 3.47 (s, 3H), 1.42 (s, 9H); LCMS(m/z) 482.2 [M+H]+.
【0221】
[0205]
(第2工程)
N2-(4,5-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)-N1-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1,2-ジアミン塩酸塩の製造
{2-[(4,5-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル}(メチル)カルバミン酸 tert-ブチル(1.595g,3.31mmol)と4N塩酸/酢酸エチル溶液(10mL)の混合物を室温で2時間攪拌した。析出した固体をろ取し、乾燥させて、標記化合物(1.172g)を得た。
1H NMR (Methanol-d4) δ 7.74 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.60 - 7.57 (m, 1H), 7.29 - 7.24 (m, 1H), 7.19 - 7.08 (m, 1H), 3.02 (s, 3H); LCMS(m/z) 382.2 [M+H]+.
【0222】
[0206]
実施例4
N2-(5,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)-N1-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1,2-ジアミンの製造
【化36】
(第1工程)
{2-[(5,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル}(メチル)カルバミン酸 tert-ブチルの製造
【化37】
【0223】
[0207]
5,6-ジフルオロ-3-イソチオシアナト-1H-インドール(参考例3、103mg,0.491mmol)のDMF溶液(1mL)に2-[2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-メチルヒドラジン-1-カルボン酸 tert-ブチル(参考例5、125mg,0.409mmol)を加え、50℃で1時間撹拌した後、70℃で2時間撹拌した。反応を完結させるために、5,6-ジフルオロ-3-イソチオシアナト-1H-インドール(20mg,0.095mmol)を追加し、70℃でさらに30分間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却後、水で希釈し、酢酸エチルで2回抽出した。得られた有機層を、水と飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得られた残渣をアミン修飾シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-0:1、次いで酢酸エチル:メタノール=1:0-3:7)で粗精製し、チオ尿素体(45mg)を得た。得られたチオ尿素体(43mg,0.083mmol)をDMF(1mL)に溶解し、この溶液にEDCI・HCl(32mg,0.167mmol)とピリジン(13.2mg,0.167mmol)を加え、50℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却後、水で希釈し、酢酸エチルで2回抽出した。得られた有機層を、水と飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-0:1)で精製し、標記化合物(21.6mg)を得た。
1H NMR (Chloroform-d) δ 8.28 (br.s, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.69 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.41 - 7.37 (m, 1H), 7.25 - 7.22 (m, 1H), 7.15 (dd, J = 10.3, 6.5 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.26 (s, 1H), 3.47 (s, 3H), 1.41 (s, 9H); LCMS(m/z) 482.2 [M+H]+.
【0224】
(第2工程)
N2-(5,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)-N1-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1,2-ジアミンの製造
{2-[(5,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル}(メチル)カルバミン酸 tert-ブチル(20.9mg,0.043mmol)と4N塩酸/酢酸エチル溶液(1mL)の混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物に飽和重曹水を加えて中和し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水と飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-0:1、次いで酢酸エチル:メタノール=1:0-9:1)で精製し、標記化合物(13.2mg)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 11.05 - 11.00 (m, 1H), 8.77 (s, 1H), 7.87 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.78 (dd, J = 11.7, 8.1 Hz, 1H), 7.55 - 7.53 (m, 1H), 7.44 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.42 - 7.31 (m, 2H), 6.60 - 6.51 (m, 1H), 2.81 (d, J = 5.5 Hz, 3H); LCMS(m/z) 382.1 [M+H]+.
【0225】
[0208]
実施例5
N2-(5,7-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)-N1-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1,2-ジアミンの製造
【化38】
(第1工程)
{2-[(5,7-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル}(メチル)カルバミン酸 tert-ブチルの製造
【化39】
【0226】
[0209]
5,7-ジフルオロ-3-イソチオシアナト-1H-インドール(参考例6、49.2mg,0.234mmol)のDMF溶液(2mL)に2-[2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-メチルヒドラジン-1-カルボン酸 tert-ブチル(参考例5、55mg,0.18mmol)を加え、50℃で終夜撹拌した。反応混合物を室温まで冷却後、酢酸エチルを加え、水と飽和食塩水で順に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して得られた残渣をアミン修飾シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1:0-1:1)で粗精製し、チオ尿素体(34mg)を得た。得られたチオ尿素体(34mg,0.066mmol)をDMF(0.7mL)に溶解し、この溶液にEDCI・HCl(18.97mg,0.099mmol)を加え、50℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却後、酢酸エチルを加え、水と飽和食塩水で順に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-1:1)で精製し、標記化合物(18.7mg)を得た。
LCMS(m/z) 482.2 [M+H]+.
【0227】
[0210]
(第2工程)
N2-(5,7-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)-N1-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1,2-ジアミンの製造
{2-[(5,7-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル}(メチル)カルバミン酸 tert-ブチル(18.7mg,0.039mmol)と4N塩酸/酢酸エチル溶液(1mL)の混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物に飽和重曹水を加えて中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-0:1)で精製し、標記化合物(10.3mg)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 11.52 - 11.48 (m, 1H), 8.80 (s, 1H), 7.93 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.58 - 7.54 (m, 1H), 7.48 - 7.40 (m, 2H), 7.37 - 7.32 (m, 1H), 7.05 - 6.95 (m, 1H), 6.60 - 6.53 (m, 1H), 2.81 (d, J = 5.5 Hz, 3H); LCMS(m/z) 382.1 [M+H]+.
【0228】
[0211]
実施例6
N2-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-N1-エチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1,2-ジアミン塩酸塩の製造
【化40】
(第1工程)
{2-[(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル}(エチル)カルバミン酸 tert-ブチルの製造
【化41】
【0229】
[0212]
5-クロロ-3-イソチオシアナト-1H-インドール(参考例1、1.2g,5.75mmol)のDMF溶液(30mL)に2-[2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-エチルヒドラジン-1-カルボン酸 tert-ブチル(参考例7、2.02g,6.33mmol)を加え、50℃で終夜撹拌した。反応混合物を室温まで冷却後、酢酸エチルを加え、水と飽和食塩水で順に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して得られた残渣をアミン修飾シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1:0-97:3)で粗精製し、チオ尿素体(1.7g)を得た。得られたチオ尿素体(1.7g,3.22mmol)をDMF(20mL)に溶解し、この溶液にEDCI・HCl(0.926g,4.83mmol)を加え、55℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却後、酢酸エチルを加え、水と飽和食塩水で順に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0-7:3)で精製し、標記化合物(1.38g)を得た。
LCMS(m/z) 494.2 [M+H]+.
【0230】
[0213]
(第2工程)
N2-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-N1-エチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1,2-ジアミン塩酸塩の製造
{2-[(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル}(エチル)カルバミン酸 tert-ブチル(1.38g,2.79mmol)と4N塩酸/酢酸エチル溶液(20mL)の混合物を55℃で45分間攪拌した。析出した固体をろ取し、乾燥させて、標記化合物(677mg)を得た。
1H NMR (Methanol-d4) δ 7.74 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.70 - 7.66 (m, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.58 - 7.55 (m, 1H), 7.53 - 7.51 (m, 1H), 7.50 - 7.47 (m, 1H), 7.23 (dd, J = 8.7, 2.0 Hz, 1H), 3.40 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 1.31 (t, J = 7.2 Hz, 3H); LCMS(m/z) 394.1 [M+H]+.
【0231】
[0214]
実施例7~29
以下の実施例化合物[表1]は、それぞれ対応する原料(市販品、または市販化合物から公知の方法もしくはそれに準じた方法により誘導体化した化合物)を用い、上述の実施例記載の方法に従い、必要に応じて、有機合成化学で通常用いられる方法を適宜組み合わせて製造した。また、各々の化合物の物理化学データを[表2]に示した。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0232】
【0233】
[0215]
試験例1
レポーター細胞を用いた細胞内ヒトSTING(hSTING)経路の阻害試験
STINGは、リガンド刺激により転写因子IRF3を活性化することから、IRF誘導性プロモーターの下流に組み込んだ分泌型アルカリホスファターゼ(SEAPレポーター)を用いたレポーターアッセイにより、STINGの活性を評価することができる。
すなわち、SEAPレポーターを組み込んだHEK-BlueTMISG細胞(invivogen社製、 #hkb-isg-1)を用いて、被験化合物のhSTING阻害活性を評価した。hSTINGの活性化は、文献記載の低分子リガンドCompound3を用いた刺激により行った(Ramanjulu、J.M.,et al.,Nature.2018,564(7736),439-443)。
【0234】
[0216]
96ウェルプレートにHEK-BlueTMISG細胞を播種し、37℃、5%CO2インキュベーター内で一晩培養した。この細胞培養プレートの各ウェルに、被験化合物の最終濃度が0.1~10μMになるように調整した被験化合物溶液を添加してCO2インキュベーター内で1時間培養後、Compound3(最終濃度10nM)を添加して、さらにCO2インキュベーター内で21時間培養した。各ウェルの培養上清を回収したのち、アルカリフォスファターゼの発色反応によりレポーター活性を測定した。
【0235】
[0217]
(阻害活性の評価方法)
被験化合物非添加かつCompound3添加群のレポーター活性を100%、被験化合物非添加かつCompound3非添加群のレポーター活性を0%として、各化合物濃度におけるレポーター活性から求めた阻害率と被験化合物濃度(対数)の回帰分析によりIC50値を求めた。
【0236】
[0218]
(評価結果)
本発明の代表化合物のhSTINGに対する阻害活性を表3に示す。hSTING阻害作用はIC
50値が、0.1μM未満を***印、0.1μM以上1μM未満を**印、1μM以上10μM未満を*印、10μM以上を-で示した。
【表3】
【0237】
[0219]
この結果は、本発明の化合物(I)が、STING経路の強い阻害活性を有することを示している。
【0238】
[0220]
試験例2
cGAMP刺激によるヒトIFN-βの産生阻害試験
ヒト単球細胞株THP-1細胞を用い、内在性リガンドであるcGAMPで刺激したときに産生されるIFN-β量を測定することにより、STING活性化に対する被験化合物の阻害活性を評価した。
【0239】
[0221]
THP-1細胞(ATCC社)を96ウェルプレートに播種したのち、添加後濃度が100nMになるように調整したPMA(Santa Cruz Biotechnology社)を添加して、37℃、5%CO2インキュベーター内で一晩培養した(10%FBS、50U/mLペニシリン/50μg/mLストレプトマイシン含有RPMI1640培地)。このプレートの各ウェルに、被験化合物の最終濃度が0.001~1μMになるように調整した被験化合物溶液を添加してCO2インキュベーター内で1時間培養した(DMSO最終濃度0.1%)。0.12μg/wellの2’3’-cGAMP(ChemieTek社、#CT-CGAMP)をLipofectamine2000(Invitrogen社)を用いてトランスフェクション法により細胞内に導入し、CO2インキュベーター内でさらに18時間培養した。各ウェルの培養上清を回収したのち、R&D human IFN-β Duoset(R&D systems社)を用いて培養上清中のヒトIFN-β産生量をELISA法により測定した。
【0240】
[0222]
(阻害活性の評価方法)
被験化合物非添加かつcGAMP添加群のヒトIFN-β産生量を100%、被験化合物非添加かつcGAMP非添加群のヒトIFN-β産生量を0%として、各化合物濃度におけるヒトIFN-β産生量から求めた阻害率と被験化合物濃度(対数)の回帰分析によりIC50値を求めた。
【0241】
[0223]
(評価結果)
本発明の代表化合物のIFN-β産生阻害活性を表4に示す。IFN-β産生阻害作用はIC
50値が、0.01μM未満を***印、0.01μM以上0.1μM未満を**印、0.1μM以上1μM未満を*印、1μM以上を-で示した。
【表4】
【0242】
[0224]
この結果は、本発明の化合物(I)が、細胞内でのSTINGの活性化により誘導されるIFN-βの強い産生抑制作用を有していることを示している。
【0243】
[0225]
試験例3
STINGアゴニスト刺激マウスモデルを用いたサイトカイン産生抑制試験
マウスSTINGアゴニストであるCMA(10-Carboxymethyl-9-acridanone)をマウスに投与し、STING経路を刺激後、血中に放出されるサイトカイン(IFN-βおよびIL-6)の産生量に対する本発明の化合物(I)の抑制作用を評価した。
【0244】
[0226]
(被験化合物溶液の調整)
被験化合物に、DMSO、ポリエチレングリコール#400、30%(w/v)ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを順に加えてよく混合し(5:20:75の溶媒組成)、被験化合物溶液を調整した。また溶媒投与群は、被験化合物を含まない同様の溶媒組成の溶液を用いた。
【0245】
[0227]
(CMA刺激反応)
C57BL/6Nマウス(雌、7-8週齢)に、溶媒または試験投与用量になるように調整した試験化合物溶液を経口投与した(各群4匹)。投与1時間後に、0.5%メチルセルロース溶液に懸濁させたCMA(東京化成工業)を、224mg/kgの投与用量になるようにマウスの腹腔内に投与した。CMA投与2時間後に、各マウスから採血し、血漿中のIFN-βおよびIL-6の濃度をDuoset ELISA Kit(R&D systems社)を用いて測定した。
【0246】
[0228]
(評価結果)
図1および2に結果を示す。
図1および2に示すように溶媒群と比較して、本発明の代表化合物はSTING刺激によるサイトカインの産生を有意に抑制もしくは抑制傾向を示した。本結果は、本発明の化合物(I)が、マウス生体内においてSTINGの活性化により誘導されるIFN-βやIL-6の産生抑制作用を有していることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0247】
[0229]
本発明により提供される化合物は、STINGを介した細胞応答に関連していることが知られている疾患、例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患あるいは癌等に対する予防または治療用医薬品(医薬組成物)として有用である。また、他の炎症性疾患や自己免疫疾患、癌に対する治療薬と組み合わせることにより、免疫応答等に対する効果が期待でき、治療用医薬品(医薬組成物)として有用である。さらに、STING阻害剤として、実験用、研究用の試薬としても有用である。
【0248】
[0230]
本発明の多くの実施形態を記載したが、これら基本的実施例は、本発明の化合物または方法利用する他の実施形態に改めてもよいことは明白である。よって、本発明の範囲は、実施例によって代表される具体的態様よりも、添付のクレームによって定義されるべきものである。
【国際調査報告】