(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】電気エネルギーを貯蔵するための電気化学セル
(51)【国際特許分類】
H01M 50/477 20210101AFI20240711BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20240711BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240711BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20240711BHJP
H01M 50/48 20210101ALI20240711BHJP
【FI】
H01M50/477
H01M50/474
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01M50/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503611
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2022066837
(87)【国際公開番号】W WO2023001464
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524017168
【氏名又は名称】アンペア エス.ア.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベスナード, ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ルレイ, デービッド
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H021AA02
5H021BB17
5H021CC09
5H021CC19
5H021CC20
5H021HH00
5H021HH10
5H028AA08
5H028BB07
5H028BB08
5H028CC07
5H028CC08
5H028CC12
5H028CC26
5H028HH00
5H029AJ05
5H029AL11
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ25
5H029CJ28
5H029DJ04
5H029DJ14
5H029EJ01
5H029HJ12
(57)【要約】
特に自動車を対象とした電気エネルギー貯蔵装置のための電気化学セルであって、電気化学セルは、複数の電極(3)と、複数の電極(3)の体積における変化に適合する圧縮装置(4)と、を備え、圧縮装置(4)は、ケース(5)と、そのさまざまな要素を互いに接触しているように保ち、したがってセルのより均一な動作を可能にするために、複数の電極(3)に対して適切な圧縮が一定に発揮されるのを可能にする少なくとも部分的に弾性変形可能な戻り要素(6)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを貯蔵するための電気化学セル(1)であって、前記電気化学セル(1)は、複数の電極(3)と、前記複数の電極(3)のための圧縮装置(4)と、前記複数の電極(3)および前記圧縮装置(4)を受け入れることができるリジッドなパッケージング(2)と、を備え、前記圧縮装置(4)は、
- 前記複数の電極(3)の体積に基づいて、第1の構成と第2の構成との間で変形するように構成される少なくとも部分的に弾性変形可能である少なくとも1つの戻り要素(6)であって、前記複数の電極と前記リジッドなパッケージング(2)の少なくとも一部との間に置かれる少なくとも1つの戻り要素(6)と、
- 1つまたは複数のパーツ(50)を備える金属のシェル(5)であって、表面が前記複数の電極(3)の前記体積に従って変化する、前記シェル(5)の2つの個別部分の少なくとも1つのオーバラップ領域(51)を有するように、前記シェル(5)は、前記少なくとも1つの戻り要素(6)と前記複数の電極(3)との間に置かれ、前記シェル(5)は、前記複数の電極(3)を包囲するシェル(5)と、
を備えることを特徴とする電気化学セル(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの戻り要素(6)は、リジッドなボディ(61)と、前記ボディ(61)に連結され、前記ボディ(61)に対して傾斜(α)を有する複数の弾性変形可能なフィン(62)と、を備え、前記少なくとも1つの戻り要素(6)が前記第1の構成にあって、当該複数のフィン(62)が前記ボディ(61)から突出するように延在するとき、前記傾斜(α)の値は最大であり、前記少なくとも1つの戻り要素(6)が前記第2の構成にあり、少なくとも前記複数のフィン(62)が延在して前記シェル(5)に接触するとき、前記傾斜αの値は最小である、
請求項1に記載の電気化学セル(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの戻り要素(6)は、形および/または角度(β)が前記複数の電極(3)の前記体積に従って変化する複数のしわまたは弾性変形可能な複数の折り返し(63)を備える「アコーディオン」構造を備える、
請求項1に記載の電気化学セル(1)。
【請求項4】
前記シェル(5)は、主軸(500)を中心とし、前記オーバラップ領域(51)の最小の表面は、前記主軸(500)から導出され且つ前記主軸(500)に対して垂直の平面において10から30°、特に10から20°の間に定義される角度セグメントによって区切られる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気化学セル(1)。
【請求項5】
前記複数の電極(3)は、延在軸(200)を中心とする巻回物に従っておよび/または延在軸(200)に沿って延在するスタックに従って配置され、前記少なくとも1つの戻り要素(6)および/または前記シェル(5)は、この種の軸を中心とする、
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気化学セル(1)。
【請求項6】
前記圧縮装置(4)は、前記複数の電極(3)および/または前記シェル(5)の少なくとも1つの寸法、特に最長寸法に沿って配置される複数の戻り要素(6)を備え、前記複数の戻り要素(6)は、前記寸法の全部または一部にわたり延在する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気化学セル(1)。
【請求項7】
前記複数の戻り要素(6)は、定義された前記寸法に沿った中心位置を有する第1の戻り要素(601)と、この同じ寸法に沿ってより端の位置を有する少なくとも1つの第2の戻り要素(602、603)と、を備え、前記第1の戻り要素(6)は、前記少なくとも1つの第2の戻り要素(602、603)より大きい剛性係数を有する、
請求項6に記載の電気化学セル(1)。
【請求項8】
前記電気化学セル(1)は、前記複数の電極(3)と前記シェル(5)との間に置かれるように、前記複数の電極(3)の周りに配置される電気絶縁リーフ(7)をさらに備える、
請求項1から7のいずれか一項に記載の電気化学セル(1)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの電気化学セル(1)を備える、特に自動車を対象とした電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの電気化学セル(1)および/または請求項9に記載の少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵装置を備える、ハイブリッドまたは電気自動車。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電気化学セル(1)を製造する方法であって、前記方法は、
- 前記少なくとも1つの戻り要素(6)をツール(8)上に、特に前記第1の構成で位置決めするステップ(E1)と、
- 前記シェル(5)を前記複数の電極(3)の周りに位置決めするステップと、
- 特に前記シェル(5)および前記少なくとも1つの戻り要素(6)が同心であるように、前記複数の電極(3)および前記シェル(5)によって形成されるアセンブリを、前記少なくとも1つの戻り要素(6)に向かって配置するステップ(E2)と、
次に、 - 前記少なくとも1つの戻り要素(6)が前記シェル(5)および前記複数の電極(3)を包囲するように、特に、前記戻り要素(6)が前記シェル(5)に対して並進運動によって変位する間、前記少なくとも1つの戻り要素(6)を変形させるステップ(E3)と、
次に、 - 前記複数の電極(3)、前記シェル(5)および前記少なくとも1つの戻り要素(6)によって形成される前記アセンブリを前記リジッドなパッケージング(2)内に挿入するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、電気エネルギー貯蔵装置、特に電気バッテリのための電気化学セルに関する。本発明はまた、前記セルを備える電気エネルギー貯蔵装置ならびにこの種の貯蔵装置および/またはこの種のセルを備える車両に関する。最後に、本発明は、電気化学セルを製造する方法に関する。
【0002】
電気自動車またはハイブリッド車において、現在の電気駆動手段は、電気貯蔵装置または電気バッテリを含み、これらは、熱機関の性能レベルと争うためにますます強力になっている。電気駆動性能レベルを上昇させることは主に、例えば貯蔵装置の体積を増加させることによって車両の走行距離を改善することに依存する。
【0003】
従来は、貯蔵装置(「バッテリパック」またはより簡単に「バッテリ」とも呼ばれている)は、特にリチウムまたはリチウムイオンタイプの複数のセルを備え、異なるアーキテクチャに従って製造可能である。いわゆる円筒形およびプリズム状セルは、予め製造され、カバーによって封止されたリジッドな金属ハウジング内にはめ込まれる電極の巻回物またはスタックから成る。
【0004】
セルの使用サイクルの間、電極の巻回物またはスタックは、それぞれ充電および放電の段階の間、体積による膨張または収縮を示す。この種の体積変化の大きさは、用いられる活物質に依存する。大きさは、例えば、負極の活物質としてシリコン技術を用いるとき、最大になる。さらに、これら要素の体積膨張は、セルのライフサイクルの間にも、特にその経時変化とともに観察される。
【0005】
また、電気化学セルのいくつかのタイプは、正しく動作するために、電極の巻回物またはスタックへ加圧することで、機械的強度および異なる要素間の接触を高めることを必要とする。この圧力は、固体電解質を有するセルの場合、特に重要である。この圧力はまた、充電および放電を行うとき、かなりの大きさのガス発生吸収(respiration)を示すシステムの場合、必要であると判明しており、シリコン技術に関して上述したように、圧力なしでは、物質間の接触の損失が観察され、バッテリの寿命に影響を及ぼす。
【0006】
例えばスプリングシステムまたはねじ込みプレートによって電気化学セルを加圧することを目的とする圧縮装置が、モジュールまたはバッテリパックのレベルに存在する。それにもかかわらず、これらの解決策は、フレキシブルなパッケージングを備える電気化学セル、すなわち「ポーチ」タイプの電気化学セルの場合にのみ、使用可能である。それにもかかわらず、これらの解決策は、リジッドなパッケージングを有するセルとは互換性がない。
【0007】
米国特許第9634351号の文献は、電極の巻回物が螺旋形の戻り要素によって保持されるリジッドなパッケージングを有する電気化学セルの一例を開示する。この種の戻り要素の目的は、電極の巻回物を適所にある状態に保つことによって、セルのアセンブリを容易にすることであるが、それはセルの寿命に相応した巻回物圧縮機能を有さない。特に、電極の巻回物の体積膨張とともに、圧力および局所的な機械的歪みは、戻り要素と電極の巻回物との間の接触面に発揮される。この圧力が局所的に適用されるので、結果として電極の巻回物の外部要素の剪断が生じる可能性が高い。加えて、この局所的圧力変化は、圧縮領域と非圧縮領域との間の局所的な不均一性につながりうるし、セルの経時変化の不均一性およびそれゆえセルの動作の劣化に潜在的につながる。
【0008】
本発明は、この文脈内にあり、電極の巻回物またはスタックのための圧縮装置を備えている電気化学セルを提案することによって、上述した欠点を解決することを目的としており、リジッドなパッケージングを有する電気化学セルの場合、モジュールまたはバッテリパックのレベルではなく、セル内でこの圧縮を実行する。このシステムは、バッテリの充電状態および経時変化状態に関係なく、一定の圧力を適用することを可能にする。
【0009】
本発明は、複数の電極と、複数の電極のための圧縮装置と、複数の電極および圧縮装置を受け入れることができるリジッドなパッケージングと、を備える電気化学セルを提案し、圧縮装置は、
- 複数の電極の体積に基づいて、第1の構成と第2の構成との間で変形するように構成される少なくとも部分的に弾性変形可能である少なくとも1つの戻り要素であって、複数の電極とリジッドなパッケージングの少なくとも一部との間に置かれる少なくとも1つの戻り要素と、
- 1つまたは複数のパーツを備える金属のシェルであって、表面が複数の電極の体積に従って変化する、シェルの2つの個別部分の少なくとも1つのオーバラップ領域を有するように、シェルは、少なくとも1つの戻り要素と複数の電極との間に置かれ、シェルは、複数の電極を包囲するシェルと、を備える。
【0010】
特に、少なくとも1つの戻り要素は、リジッドなボディと、ボディに連結され、ボディに対して傾斜αを有する複数の弾性変形可能なフィンと、を備えることができ、少なくとも1つの戻り要素が第1の構成にあるとき、傾斜αの値は、最大であるので、複数のフィンは、ボディから突出するように延在し、少なくとも1つの戻り要素が第2の構成にあるとき、傾斜αの値は、最小であり、少なくとも複数のフィンは、シェルに接触して延在する。
【0011】
代替的には、少なくとも1つの戻り要素は、形および/または角度βが複数の電極の体積に従って変化する複数のしわまたは弾性変形可能な複数の折り返しを備える「アコーディオン」構造を備えることができる。
【0012】
特に、シェルは、主軸を中心とすることができ、オーバラップ領域の最小の表面は、主軸から導出され、主軸に対して垂直の平面において定義され、10から30°の、特に10から20°の角度セグメントによって区切られる。
【0013】
複数の電極は、延在軸を中心とする巻回物に従っておよび/または延在軸に沿って延在するスタックに従って配置可能であり、少なくとも1つの戻り要素および/またはシェルは、この種の軸を中心とする。
【0014】
例示的実施形態によれば、圧縮装置は、複数の電極および/またはシェルの少なくとも1つの寸法、特に最長寸法に沿って配置される複数の戻り要素を備えることができ、複数の戻り要素は、前記寸法の全部または一部にわたり延在する。複数の戻り要素は、定義された寸法に沿った中心位置を有する第1の戻り要素と、この同じ寸法に沿ってより端の位置を有する少なくとも1つの第2の戻り要素と、を備えることができ、第1の戻り要素は、少なくとも1つの第2の戻り要素より大きい剛性係数を有する。
【0015】
さらに、電気化学セルは、複数の電極とシェルとの間に置かれるように、複数の電極の周りに配置される電気絶縁リーフを備えることができる。
【0016】
本発明はまた、上述した少なくとも1つの電気化学セルを備える、特に自動車を対象とした電気エネルギー貯蔵装置に関するものである。
【0017】
本発明はまた、本発明による少なくとも1つの電気化学セルおよび/または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵装置を備えるハイブリッドまたは電気自動車に関するものである。
【0018】
最後に、本発明は、上述したような電気化学セルを製造する方法に関するものであり、方法は、
- 少なくとも1つの戻り要素をツール上に、特に第1の構成で位置決めするステップと、
- シェルを複数の電極の周りに位置決めするステップと、
- 特にシェルおよび少なくとも1つの戻り要素が同心であるように、複数の電極およびシェルによって形成されるアセンブリを、少なくとも1つの戻り要素に向かって配置するステップと、
次に、 - 特に、少なくとも1つの戻り要素がシェルおよび複数の電極を包囲するように、戻り要素がシェルに対して並進運動によって変位する間、少なくとも1つの戻り要素を変形させるステップと、
次に、 - 複数の電極、シェルおよび少なくとも1つの戻り要素によって形成されるアセンブリをリジッドなパッケージング内に挿入するステップと、を含む。
【0019】
他の詳細、特徴および利点は、表示的および非限定的な方法で、以下の図面において示される異なる例示的実施形態を参照して、以下に与えられる詳細な説明を読むことで、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による電気化学セルの一実施形態の分解概略図である。
【
図3】第1の実施形態による戻り要素を備える電気化学セルの概略断面図である。
【
図4】第1の実施形態による戻り要素の斜視図である。
【
図5】
図3に示す電気化学セルの概略図であり、そのとき戻り要素は、第1の構成にある。
【
図6】
図3に示す電気化学セルの概略図であり、そのとき戻り要素は、第2の構成にある。
【
図7】第1の実施形態による戻り要素の横方向の概略図である。
【
図9】電気化学セルの代替実施形態の概略図である。
【
図10】第2の実施形態による戻り要素を備える電気化学セルの概略図であり、そのとき戻り要素は、第1の構成にある。
【
図11】第2の実施形態による戻り要素を備える電気化学セルの概略図であり、そのとき戻り要素は、第2の構成にある。
【
図12】本発明による電気化学セルを製造する方法のステップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1および
図2は、電気エネルギー貯蔵装置のための、本発明の一実施形態による電気化学セル1の製造の一例を提示する。「バッテリ」または「電気バッテリ」とも呼ばれるエネルギー貯蔵装置は、複数の電気化学セル1を備え、非限定的な例として、自動車、特にハイブリッドまたは電気駆動を有する車両を意図することができる。すべての図面において、異なる構成要素を分離する寸法および間隔が明快さのために誇張されてもよいことに留意されたい。
【0022】
電気化学セル1は、化学的な形でエネルギーを貯蔵し、電流の形でエネルギーを回復することができる。電気化学セルは、例えば、「リチウムイオン(li-ion)」とも呼ばれる「リチウムイオン(lithium-ion)」タイプとすることができる。概して、電気化学セル1は、リジッドなパッケージング2、複数の電極3および複数の電極3のための圧縮装置4を備える。
【0023】
リジッドなパッケージング2は、特に、少なくとも複数の電極3を受け入れ、電気化学セル1の負極端子を定義することができるハウジング21を備える。パッケージング2は、ハウジング21と協働するように構成されるカバー22をさらに備え、カバー22は、一旦ハウジング21に結合されると、複数の電極3が延在する密封空間を定義する。したがって、電気化学セル1は、特に円形ベースを有する円筒形の構造または多角形のベース、特に正方形または長方形を有するプリズム構造を有することができる。パッケージング2(特にハウジング21および/またはカバー22)は、例えば、ニッケルめっきアルミニウムで、または、ポリマー材料で製造可能である。したがって、「リジッドな」パッケージング2は、ほとんど変形しないか、またはまったく変形しないか、特にパッケージングの製造のために用いられる1つまたは複数の材料のためほとんど変形しないことを理解されたい。
【0024】
複数の電極3は、図示しない電気絶縁分離要素によって離された少なくとも1つのアノードおよび1つのカソードを備え、交互のアノードおよびカソードを示すように配置される。複数の電極3は、
図1から
図12に示すように巻回物に従って、または代替的にはスタックに従って配置可能である。図示しない他の代替例によれば、複数の電極3は、巻回物およびスタックの組み合わせに従って配置可能である。特に、複数の電極3が巻回物に従って配置されるとき、巻回物は、延在軸200を中心とし、一方、複数の電極3がスタックまたはスタックおよび巻回物の組み合わせに従って配置されるとき、巻回物は、この種の延在軸200に沿って延在することができる。スタッキングによるこの構成は、図示しないプリズム状の電気化学セルの場合、特に見ることができる。
【0025】
オプションで、電気化学セル1は、電解質(例えば、有機電解質)で少なくとも部分的に充填可能であり、複数の電極3を浸漬する。電解質は、非限定的な例として、ジメチル、エチレン、ジエチル、プロピレンまたはアセトニトリルの炭酸塩のような1つまたは複数の有機溶剤内に溶けるリチウム塩類(LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiTFSI、LiFSI、LiBOB)から成ることができる。
【0026】
本発明による圧縮装置4は、シェル5および少なくとも1つの戻り要素6を備える。
【0027】
シェル5は、金属材料、例えば、ステンレス鋼で製造される。シェル5は、1つまたは複数のパーツ50、特に、互いに対して配置され、シェル形状5に内接し、互いと協働するように構成される1つまたは複数のプレートまたはプレートレットを備えることができる。シェル5は、例えば、最初に平坦または実質的に平坦なパーツで製造可能であり、次にシェル5の形を採用するために、特に軸の周りに成形可能または配置可能である。
【0028】
シェル5は、電極3の巻回物またはスタックの輪郭に沿って複数の電極3を包囲するように構成される。換言すれば、延在軸200に対して垂直の平面において、シェルは、電極の巻回物またはスタックのベースの周りに沿って複数の電極を包囲するように構成される。シェル5は、複数の電極3との直接的または間接的な接触面を最大にするために、複数の電極3の巻回物またはスタックを補完するかまたは実質的に補完する形を有するように構成される。例えば、複数の電極3が巻回物に従って配置されるとき、シェル5は、好ましくは、円形ベースを有する。反対に、複数の電極3がスタックに従って配置されるとき、シェル5は、多角形のベース、特に正方形または長方形を有する。特に、シェル5は、特に、複数の電極3の延在軸200に一致することができる主軸500を中心とする。
【0029】
シェル5は、特に、電気化学セル1内に配置されるとき、複数の電極3の少なくとも輪郭または外周に沿って閉じた形を有するように寸法設定および成形される。シェル5は、複数の個別部分の少なくとも1つのオーバラップ領域51を有し、オーバラップ領域51は、シェル5の1つまたは複数のパーツ50に特有である。「オーバラップ」とは、延在軸200および/または主軸500に垂直な半径方向軸250に沿って、シェル5の複数の部分の重ね合わせであることを理解されたい。
図2、
図5、
図6および
図8に示すように、単一のパーツ50を備えるシェル5の場合、シェル5が電気化学セル1内に配置されるとき、第1の端部511および第2の端部512は、シェル5を形成するパーツ50内で互いに対向し、シェル5内で互いに重ね合わせて延在する。
【0030】
特に、シェル5は、可動構造を有する。同じオーバラップ領域51の部分511、512が、動作中に観察される複数の電極3の体積変化に基づいて、または、電気化学セル1の経時変化のためにさえ、互いに対して変位するというような方法で、シェル5は構成される。したがって、電気化学セル1の充電および放電のそれぞれの間、電極の体積による膨張または収縮に適応するために、シェル5のベースの主要寸法550は、変化させられる。「主要寸法」は、特に、円筒形のセルの場合、円形ベースの直径であり、または、プリズム状セルの場合、多角形のベースの対角線であることを理解されたい。したがって、この種の主要寸法550は、複数の電極の体積の膨張とともに増加し、逆に、その収縮とともに減少する。
【0031】
その結果は、少なくとも1つのオーバラップ領域51が複数の電極3の体積に従って可変的である表面を有するということである。複数の電極3の体積が最小であるとき、例えば、電気化学セル1が放電段階にある場合および/または耐用期間の開始時に、オーバラップ領域51の表面は、最大である。次に、シェル5の主要寸法550も最小である。複数の電極3の体積が増加するとき、例えば、電気化学セル1の充電の間および/またはその経時変化のため、第1の部分511および第2の部分512は、シェル5上の複数の電極3によって発揮される力のため、互いに対して変位する。次に、オーバラップ領域51の表面は、減少する。特に、最小の表面の値は、セルによって許可される、複数の電極の最大体積に基づいて、以前に予め定義可能であり、以下でさらに説明するように、この種の体積は、例えば、パッケージング2および/または戻り要素6の寸法によって条件付け可能である。
【0032】
好ましくは、オーバラップ領域51は、特に、考慮されるオーバラップ領域51の表面が最小であるとき、10から30°での、10から20°さえの、主軸500から導出される角度セグメントμに内接するように構成可能である。この種の構成の目的は、特に、シェル5の部分511、512の異常な変位を防止するとともに、「むき出しの」、すなわち、考慮される外周に沿ってシェル5によって包囲されない複数の電極の輪郭の領域の出現を防止することである。
【0033】
したがって、シェル5は、有利には、電気化学セル1のガス発生吸収を可能にするように構成され、その形は、その使用サイクルの間およびその寿命にわたっての両方において複数の電極3の体積変化に適合する。複数の電極3の体積変化、特に体積収縮に対するシェル5の動作は、さらに以下に詳述される。
【0034】
オプションであるが好ましくは、電気化学セル1は、加えて、半径方向軸250に沿って複数の電極3とシェル5との間に置かれるように、複数の電極3の周りに配置される電気絶縁リーフ7を備えることができる。特に、この種のリーフ7は、例えば、Mylar(登録商標)のポリエステルで製造可能である。この種のリーフ7は、電極3の巻回物またはスタックの周りに延在するように追加および配置される要素とすることができ、そのような追加および配置により、シェル5と電極3との間の直接接触ならびにその摩擦または短絡を防止する。代替的には、この種のリーフ7は、カソードと隣接するアノードとを分離するために、電極3の巻回物またはスタック内に組み込まれる絶縁要素の端部に対応することができる。次に、絶縁要素は、電極3のスタックまたは巻回物を包囲できるように寸法設定される。
【0035】
代替実施形態によれば、
図10および
図11に見られるように、シェル5は、複数のパーツ50、特にプレートまたはプレートレットを備えることができる。互いに対して可動なこれらのパーツ50は、一緒に協働し、シェル5を定義する形に内接するように構成される。例えば、図示するように、前記パーツ50は、円筒形または実質的に円筒形のシェル5の形状に内接するように配置される円筒のパーツに対応する。類似の原則は、プリズム構造のためにも実施可能である。
【0036】
上述したのと同様に、シェル5は、複数の電極3の輪郭または外周に沿って延在し、複数の電極3を包囲する。次に、シェル5は、複数のオーバラップ領域51を有し、オーバラップ領域の数は、特に、シェル5のパーツ50の数に等しい。図示の非限定的な例によれば、考慮されるプレート内で対向する第1のプレート52および第2のプレート53は、各々、第1の端部511および第2の端部512を備える。第1のプレート52の第1の端部511および第2のプレート53の第2の端部512は、第1のオーバラップ領域51’を形成するように配置され、第2のプレート53の第1の端部511および第1のプレート52の第2の端部512は、第2のオーバラップ領域51”を形成するように配置される。
【0037】
好ましくは、上述したように、第1のオーバラップ領域51’および第2のオーバラップ領域51”は、特に、考慮されるオーバラップ領域の表面が最小であるとき、10から30°の、特に10から20°の、主軸500から導出される角度セグメントに内接するように構成可能である。
【0038】
好ましくはまた、シェル5のパーツ50と複数の電極との間の接触面を最適化するために、同じパーツ50の部分511、512が1つのオーバラップ領域51からもう1つまでそれらの位置を交互にするように、シェル5の異なるパーツは配置される。例えば、図示例において、第1のプレート52の第1の部分511は、半径方向軸250に沿って、第1のオーバラップ領域51’の、複数の電極3と第2のプレート53の第2の部分512との間に置かれ、第1のプレート52の第2の部分512は、第2のオーバラップ領域51”において第2のプレート53の第1の部分511によって複数の電極3から少なくとも分離される。
【0039】
さらに、第1のオーバラップ領域51および第2のオーバラップ領域51が、対向するかまたは実質的に対向する位置を有するように、例えば、図示例ではシェル5において直径に沿って対向する位置を有するように、シェル5は構成可能である。
【0040】
電気化学セル1において、シェル5は、半径方向軸250に沿って複数の電極3と少なくとも1つの戻り要素6との間に置かれる。換言すれば、少なくとも1つの戻り要素は、半径方向軸250に沿って、一方では複数の電極3およびシェル5と、他方では少なくともパッケージング2の一部、特にハウジング21と、の間に置かれる。
図3から
図7および
図9から
図11は、圧縮装置4の異なる実施形態および代替例を記載する。
図3から
図7は、第1の実施形態によって製造される単一の戻り要素6を備える圧縮装置4の例を示す。
図10および
図11は、戻り要素6の第2の実施形態の製造の一例を示す。
図9は、第1の実施形態による複数の戻り要素を備える圧縮装置4の代替の製造を記載する。圧縮装置4が複数の戻り要素を備えるとき、戻り要素6に関して与えられる説明のすべてが複数の戻り要素の全部または一部まで拡大適用可能であることを理解されたい。また、圧縮装置4は、有利には、第2の実施形態による複数の戻り要素6、または代替的には、第1の実施形態および/または第2の実施形態による複数の戻り要素6を備えることができる。
【0041】
概して、戻り要素6は、少なくとも部分的に弾性変形可能であり、複数の電極3の体積に従って、少なくとも1つの第1の構成と1つの第2の構成との間で変形するように構成される。この種の構成が戻り要素6の最も端の位置を表現するものであり、少なくとも1つの中間位置が前記構成の間に存在できることを理解されたい。特に、第1の構成は、戻り要素6が、力を受けないときまたはこの種の力が減少するとき、戻り要素6の弾性特性によって戻るか、または、戻ることを目指すいわゆる「静止」構成とみなすことができる。
【0042】
第1の実施形態によれば、
図3から
図7に示す戻り要素6は、ボディ61および複数のフィン62を備える。
【0043】
ボディ61は、閉構造を有し、複数の電極3およびシェル5によって形成されるアセンブリを少なくとも包囲するように構成される。特に、ボディ61は、好ましくは、シェル5および/または複数の電極3の形を補完する形を有する。例えば、シェル5が円形ベースを有するとき、同じことが戻り要素6のボディ61にも適用され、それにより戻り要素6とシェル5との間の接触面を最適化する。類似の原則は、多角形のベース、特に正方形または長方形を有するシェル5にあてはまる。そのように、ボディ61は、有利には、複数の電極3の延在軸200および/またはシェル5の延在軸500と一致することができる軸600を中心とすることができる。換言すれば、複数の電極3および/またはシェル5および/または少なくとも1つの戻り要素6は、同心または実質的に同心とすることができる。
【0044】
ボディ61は、特に、剛性構造、すなわち、特に、ボディ61が複数の電極3の体積変化によって変形しないかまたはほとんど変形しないような構造を有する。したがって、ボディは、複数の電極3の許容された最大体積に限界を設定することに関与しうる。
【0045】
複数のフィン62は、ボディ61に連結され、弾性変形可能な構造を有する。特に、ボディ61および複数のフィン62は、一体成形のアセンブリを形成し、すなわち、ボディ61および複数のフィン62は、結果として戻り要素6の破壊または劣化に至らずには、互いに分離することができない。例えば、戻り要素6は、ステンレス鋼から製造可能であり、複数のフィン62は、次に、ボディ61に切り込みを入れることによって取得され、各フィン62は、ボディ61に含まれる開口64に接する。
【0046】
以下、フィン62に関する説明が与えられるが、フィンに関するいかなる特徴も、複数のフィン62の全部または一部まで拡大適用できることを理解されたい。フィン62は、細長い構造、例えば、長方形構造を有する。特に、フィン62は、ボディ61の軸600に平行または実質的に平行に、特にボディ61に沿って延在することができる。
【0047】
フィン62は、軸600に沿って測定される、ボディ61の高さ675の全部または一部にわたり延在することができる。非限定的な例によれば、フィン62は、少なくともボディ61の大部分の高さ675にわたり、例えば、この種の高さの70から95%にわたり延在することができる。代替的には、複数のフィン62は、ボディ61の高さ675に沿って、互いに連続して延在することができ、前記フィン62の各々は、次に、ボディ61の高さ675の一部にわたり延在する。特に、ボディ61は、軸600に沿って対向し、中実である、すなわちフィン62がない、2つの端のリップ65を備えることができる。また、戻り要素6は、シェル5の高さの全部または一部にわたり延在することができ、この種の高さは、シェル5が中心とする主軸500に沿って定義される。換言すれば、戻り要素6の高さ675は、有利には、シェル5の高さ以下とすることができ、シェル5は、戻り要素6によって発揮される力を分散する。したがって、戻り要素6の寸法を減少させることによって、電気化学セルのアセンブリの重量を減少することができる。
【0048】
フィン62は、その側の1つにおいてボディ61に連結され、ボディ61に対して可変的である傾斜αを有し、したがって、フィンを弾性変形可能にする。傾斜αのこの種の可変性の目的は、複数の電極3の体積およびシェル5のベースの主要寸法550から独立して、フィン62とシェル5との永続的な接触を確実にすることである。その結果、戻り要素6は、巻回物またはスタック内の適切な接触を維持するように、複数の電極3に対して一定かつ適切な圧縮を発揮し、この作用は、動作のサイクルまたは電気化学セル1の摩耗から独立して行われる。
【0049】
特に、
図5に示すように、少なくとも1つの戻り要素6が、第1の構成にあるとき、すなわち、複数の電極の体積およびシェル5の主要寸法550が最小であるとき、傾斜αの値は、最大である。次に、フィン62は、シェル5に対して、したがって、間接的に複数の電極3に対して圧縮力を発揮するために、ボディ61から突出するように配備され、延在する。戻り要素が第1の構成に変位するとき、すなわち、フィンが配備され、傾斜αが増加するとき、戻り要素6によって発揮される力は、ボディ5の変形につながり、特に互いに対するシェル5の部分511、512の変位につながる。オーバラップ領域の表面は増加し、シェル5の主要寸法550は減少する。したがって、戻り要素6は、複数の電極3の体積が減少するとき、例えば、放電段階の間、複数の電極3に対してシェル5を押圧することを可能にし、巻回物またはスタックのさまざまな構成要素の圧縮を可能にして、この圧縮によりその良好な接触を維持する。次に、戻り要素6が第1の構成にあるとき、シェル5を戻り要素6のボディ61から分離するギャップは、最大になるまで増加する。好ましい例として、フィン62は、厳密に90°未満、特に85°未満である最大傾斜αを有するように構成可能である。
【0050】
反対に、上述したように、複数の電極3の体積が増加するとき、複数の電極3は、シェル5に対して力を発揮し、シェル5はその力をフィン62に伝達する。次に、戻り要素6が第1の構成にあるとき、フィン62は、ボディ61の方に折り返され、フィン62の傾斜αは、観察されたものに対して減少する。このように折り返されるフィン62は、戻るとき、シェル5および複数の電極3に対して圧縮力を発揮し、また、上述したように、さまざまな構成要素との接触を維持することを可能にする。特に、少なくとも1つの戻り要素6が第2の構成にあるとき、すなわち、複数の電極の体積が、圧縮装置4および/またはセルのパッケージング2によって許容される最大限度に対して最大であるとき、傾斜αの値は最小である。特に、複数の電極の体積が最大であるとき、最小傾斜αは、ゼロとすることができるので、シェル5は、複数のフィン62およびボディ61の全部または一部に接触して延在するようになる。
【0051】
したがって、戻り要素6と組み合わせて、かつ、半径方向軸250に沿って戻り要素6と複数の電極3との間に置かれるシェル5の存在は、有利には、複数の電極3に対して戻り要素6によって発揮される圧縮力の均一な分散を確実にすることを可能にする。シェル5の外面501に対してフィン62によって局所的に発揮される力は、シェル5の構造において実際に分散される。シェル5の外面501に対向する内面502と電極3の巻回物またはスタックとの間の接触面が、フィン62とシェル5との間に観察される接触面より大きいので、したがって、複数の電極3に対して戻り要素6によって発揮される力のより均一な伝達を可能にする。
【0052】
この目的で、戻り要素6の複数のフィン62は、好ましくは、ボディ61の円周上の規則的な構成を有する。換言すれば、フィンは、ボディ61において周期的に分散され、規則的である隣接するフィン62を分離する間隔を有する。同様に、複数のフィン62のうちのフィン62は、好ましくは、同一の寸法を有する。
【0053】
ボディ61の円周に沿って分散される図示のフィン62の数が決して限定するものではないことにも留意されたい。戻り要素が、特に複数の図面において表現される数より多いか少ない異なる数のフィンを備えることができることを理解されたい。
【0054】
上述したように、圧縮装置4は、代替的には、有利には、複数の戻り要素6を備えることができ、各々は、少なくとも部分的にシェル5に接触して延在する。上述した説明は、必要な変更を加えて本代替例に適用され、戻り要素6に関する特徴は、複数の戻り要素6の全部または一部まで拡大適用可能である。
図9に示す例において、異なる戻り要素6は、上述したように第1の実施形態によって製造され、すなわち、各々は、ボディ61および複数のフィン62を備える。
【0055】
複数の戻り要素6は、複数の電極3および/またはシェル5の少なくとも1つの寸法、特に最長寸法に沿って配置される。換言すれば、複数の戻り要素6は、複数の電極3の延在軸200に沿っておよび/またはシェル5が中心とする主軸500に沿って配置可能である。例えば、この種の寸法は、シェル5の高さおよび/または図示するように円筒形の電気化学セル1の場合、電極3の巻回物の高さとすることができる。次に、複数の戻り要素6は、この種の寸法の全部または一部にわたり延在することができ、異なる戻り要素601、602、603は、互いに接触することができ、または接触しなくてもよい。
【0056】
この特定の場合において、圧縮装置4は、シェル5の主軸500に沿って、かつ、複数の電極3の巻回物の延在軸200に沿って、すなわち、それらの高さに沿って配置され、互いに接触する第1の戻り要素601、第2の戻り要素602および第3の戻り要素603を備える。特に、第1の戻り要素601および/または第2の戻り要素602および/または第3の戻り要素603は、同軸とすることができる。特に、第1の戻り要素601、第2の戻り要素602および第3の戻り要素603は、主軸500および/または延在軸200を中心とすることができ、すなわち、複数の戻り要素6の全部または一部および/またはシェル5および/または電極3の巻回物またはスタックは、同心とすることができる。
【0057】
第1の戻り要素601は、考慮される寸法に沿って中心位置を有し、一方、第2の戻り要素602および第3の戻り要素603は、この同じ寸法に沿ってより端の位置を有する。換言すれば、第2の戻り要素602および第3の戻り要素603は、主軸500および/または延在軸200に沿って第1の戻り要素601の両側に延在する。
【0058】
特に、異なる戻り要素は、異なる特性、例えば、異なる剛性係数を有するように構成可能である。実際、複数の電極3の体積の変化は、考慮される巻回物またはスタック内で不均一となりうる。特に、この種の変化が巻回物またはスタックの中心部においてより大きくなりうることが知られている。これが与えられると、複数の電極3および/またはシェル5の高さに沿って中心位置を有する第1の戻り要素601が、第2の戻り要素602および/または第3の戻り要素603より大きい剛性係数を特徴とするように、圧縮装置4は、有利には構成可能である。
【0059】
したがって、この種の構成は、以下に詳述するように、一方では、電気化学セル1のアセンブリを容易にすることを可能にし、他方では、シェル5に発揮される圧縮力を、巻回物またはスタックの異なるパーツで観察される複数の電極3の体積変化のいかなる不均一にも適合させる。図示され、詳細に上述した例が決して制限するものではないことを理解されたい。また、圧縮装置4が複数の戻り要素6を備えるとき、圧縮装置4は、3つより多いか少ない戻り要素6を備えることができ、上述した説明は、必要な変更を加えてこの種の代替例に適用される。また、次に、これらの異なる戻り要素6は、シェル5の高さの全部または一部にわたり延在するように、互いに接触して、または、互いからゼロ以外の距離を有して配置可能であり、有利には、シェル5は、これらの異なる戻り要素によって発揮される力を分散するのを可能にする。
【0060】
上述した異なる実施形態および代替例によって実施可能な図示しない他の代替例によって、電気化学セル1は、上述した実施形態および代替例の代替としてまたは組み合わせて、複数の電極3の少なくとも1つの寸法、特に最長寸法に沿って配置される複数のシェル5を備えることができる。換言すれば、複数のシェル5は、複数の電極3の延在軸200に沿って配置可能である。複数の戻り要素6に関して与えられる説明は、必要な変更を加えてここで適用され、複数のシェル5は、好ましくは、複数の電極の考慮される寸法のすべてにわたり延在する。
【0061】
図10および
図11は、戻り要素6がそれぞれ第1の構成および第2の構成にあるとき、戻り要素6の第2の実施形態を備える電気化学セル1の製造の一例を概略的に示す。図示される電気化学セル1は、その戻り要素6が上述したものと区別されるので、特に電気化学セル1の構造、戻り要素6の数またはシェル5に関して上述した説明は、必要な変更を加えて以下の説明に適用される。
【0062】
本実施形態において、戻り要素6または代替的には複数の戻り要素6の少なくとも1つの戻り要素6は、いわゆる「アコーディオン」構造を備える。特に、この種のアコーディオン構造は、好ましくは、シェル5および/または複数の電極3の形を補完する形に内接する。「アコーディオン」構造は、複数のしわを備えるか、または、図示するように、弾性変形可能であり、複数の電極3の、したがって、シェル5の主要寸法550の体積に従って可変である寸法を有する角度βによって定義される複数の折り返し63を備える構造であることを理解されたい。折り返しまたはしわ63は、ここでは、延在軸200または主軸500に対して垂直の平面において定義されるが、それにもかかわらず、折り返しまたはしわ63が、戻り要素6の高さの全部または一部にわたり延在できることを理解されたい。換言すれば、異なる折り返しまたはしわ63は、複数の電極3の延在軸200および/またはシェル5の主軸に沿って延在することができる。また、図示のしわまたは折り返し63の形が決して限定するものではないことを理解されたい。それゆえ、この種のしわまたは折り返し63は、図示するように、尖った、丸められたおよび/または平坦な端のパーツまたは頂点ならびに図示する直線部分または曲線部分を有することができる。
【0063】
上述したのと同様に、本実施形態による戻り要素6は、金属材料、特にステンレス鋼で製造可能である。
【0064】
折り返し63またはしわの角度βおよび/または形は、少なくとも1つの戻り要素6が第1の構成にあるか、すなわち、複数の電極の体積およびシェル5の主要寸法550が最小であるか、または、第2の構成にあるか、すなわち、複数の電極3の体積およびシェル5の主要寸法550が最大であるか、に従って変化する。
図10に示すように、一例として、戻り要素6が第1の構成で静止しているとき、各折り返しまたはしわ63に特有の角度値βは、40から120°、45から60°さえとすることができる。
【0065】
したがって、アコーディオン構造は、戻り要素6がシェル5を包囲し、シェル5に接触する領域と、シェル5に接触しない領域、すなわち、シェル5からゼロ以外の距離に延在することと、の間で交互である。戻り要素6の各折り返しまたはしわ63は、ここでは、シェル5の外側の輪郭または外周に沿ってシェル5との2つの接触領域によって区切られる。同様に、戻り要素6は、複数の電極3に向けられ、パッケージング2、特にパッケージングの内表面に接触して延在する。
【0066】
例えば、
図11の挿入に示すように、第2の実施形態に従う圧縮装置4は、シェル5とパッケージング2との間の戻り要素6の折り返しまたはしわ63のより大きいかより小さい押しつぶし(折り返しまたはしわ63が変形される)を実施することによって、電極3の巻回物またはスタックの体積の変化を可能にする。したがって、戻り要素6は、パッケージング2を支え、シェル5に一定に接触し、少なくとも部分的に接触し、接触領域においてシェル5に対して力を発揮する間、複数の電極3の体積の変化を可能にし、次に、力は、複数の電極3に均一に伝達される。複数の電極3の体積が増加するとき、シェル5の主要寸法5も増加し、戻り要素6をパッケージング2に対して押しつぶす。図示例において、折り返し63の直線部分は、円弧を形成するように変形し、次に、戻り要素6が第2の構成に到達するまで、角度βは段階的に減少する。次に、戻り要素6は、戻るとき、上述したように、シェル5および複数の電極3に対する圧縮力を発揮する。反対に、複数の電極3の体積が減少するとき、パッケージング2上で支えられる戻り要素6は、自然に第1の構成に戻る。戻り要素6は、シェル5に対して力を発揮し、その主要寸法550の減少につながり、複数の電極3に対してシェル5を押圧する。シェルに対して戻り要素6によって局所的にこのように発揮される圧縮力は、次に、第1の実施形態に関して、複数の電極により均一に伝達される。戻り要素6の押しつぶしの例が決して制限するものではなく、表示としてここで表現されるものであることを理解されたい。
【0067】
本発明はまた、上述したように、電気化学セル1を製造する方法に関する。特に、
図12に示す方法は、第1の実施形態による単一の戻り要素6を備える圧縮装置4を実施する。それにもかかわらず、本方法が、必要な変更を加えて、第2の実施形態に、および、複数の戻り要素6および/またはシェル5を備える製造の代替例に拡大適用されることを理解されたい。
【0068】
方法は、オプションで、交互のアノードおよびカソードを有するように、特に、上述したように、隣接するアノードおよびカソードが絶縁要素によって分離されるように、複数の電極3をスタッキングまたは巻回するステップを含むことができる。代替的には、複数の電極3は、予め供給され、巻回物またはスタックに従ってアセンブリ可能である。
【0069】
本発明による方法は、少なくとも1つの戻り要素6をツール8上に、特に少なくとも1つの戻り要素6を保持および/またはガイドするためのツール上に位置決めするステップE1を含む。圧縮装置4が複数の戻り要素6を備えるとき、複数の戻り要素6は、同じツール8上に配置される。ツールは、非限定的な例として、戻り要素6、特に戻り要素6の内面を少なくとも部分的に補完する形を有することができる。例えば、円筒形または実質的に円筒形に内接する戻り要素6のために、ツールは、円筒形を有することができる。特に、この種のツールは、戻り要素6が第1の構成にあるときおよび/または戻り要素6を第1の構成に位置決めするために、戻り要素6と協働するように構成可能である。
【0070】
並列に、シェル5は、複数の電極3の巻回物またはスタックの周りに位置決めされる。この種の位置決めステップは、少なくとも1つの戻り要素6をツール上に位置決めするステップE1より前に、同時にまたは後に実行可能である。
【0071】
電気化学セル1が電気絶縁リーフ7を備えるとき、本発明による方法は、シェル5を複数の電極3上に位置決めする前に、複数の電極3をリーフ7内に巻回するステップを含む。換言すれば、次に、シェル5は、リーフ7および電極3の巻回物またはスタックによって形成されるアセンブリの周りに配置され、リーフのみに直接接触する。
【0072】
次に、複数の電極3およびシェル5によって形成されるアセンブリは、ツールによって保持される少なくとも1つの戻り要素6に向かって配置されるE2。特に、この種のアセンブリは、シェル5および少なくとも1つの戻り要素6が同心であるように配置される。この特定の場合において、シェル5および戻り要素6の両方は、シェル5の主軸500および/または電極3の巻回物の延在軸200を中心とする。
【0073】
次に、変形ステップE3において、少なくとも1つの戻り要素6は、シェル5を包囲するように配置されるよう変形される。ステップE3において、少なくとも1つの戻り要素は、シェル5に対して変形および変位しE3、シェル5および複数の電極3を包囲する。特に、少なくとも1つの戻り要素6は、シェル5の主軸500および/または電極3の巻回物またはスタックの延在軸200に沿って、並進運動によって変位可能である。
【0074】
次に、複数の電極、シェル5および少なくとも1つの戻り要素6によって形成されるアセンブリは、リジッドなパッケージング2内に、特にハウジング21内に挿入可能である。次に、カバー22は、セルを密封して閉鎖するように配置され、次に封止される。代替的には、電気化学セル1が電解質を備えるとき、電解質は、圧縮装置4および複数の電極3が前記電解質内に漬かるような投入によってパッケージング2の閉鎖の前か後にハウジング21内に挿入される。次に、カバー22は位置決め可能であり、パッケージング2は封鎖および封止される。
【0075】
したがって、本発明は、特に自動車を対象とした電気エネルギー貯蔵装置のための電気化学セルを提案し、電気エネルギー貯蔵装置は、複数の電極および電気化学セルの動作のサイクルおよび経時変化の間に観察される複数の電極の体積変化に適している圧縮装置を備える。圧縮装置は、特に、シェルおよび少なくとも部分的に弾性変形可能な少なくとも1つの戻り要素を備える。この種の圧縮装置は、有利には、複数の電極に適している圧縮が、一定に発揮されるのを可能にし、この作用により、そのさまざまな要素が互いに接触するのを維持し、したがって、その動作およびそれゆえその経時変化のより良好な均一性を可能にし、したがって、新しい再充電モードにより適したものにする。
【0076】
しかしながら、本発明は、ここで記載および図示される手段および構成に限定されるべきではなく、また、いかなる等価な手段または構成にも、および、この種の手段のいかなる技術的に動作可能な組み合わせにも拡大適用される。特に、電気端子または電極数の形および寸法は、本文書において記載および図示される機能を究極的に果たす程度にまで、本発明を損なわずに修正可能である。
【国際調査報告】