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特表2024-526901テーパ形状を備えたロッカー構成要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】テーパ形状を備えたロッカー構成要素
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
B62D25/20 F ZHV
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503617
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 US2022073885
(87)【国際公開番号】W WO2023004309
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】63/223,498
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591187162
【氏名又は名称】シェイプ・コープ
【氏名又は名称原語表記】SHAPE CORP.
【住所又は居所原語表記】1900 Hayes St., Grand Haven, Michigan 49417, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】松井 孝司
(72)【発明者】
【氏名】藤川 且豊
(72)【発明者】
【氏名】カイパーズ、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】チン、ジェフア
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203AA31
3D203AA33
3D203BB12
3D203BB22
3D203BB38
3D203BB54
3D203BB55
3D203BB56
3D203BB62
3D203BB63
3D203CA02
3D203CA25
3D203CA36
3D203CA37
3D203CA53
3D203CA57
(57)【要約】
車両用ロッカー構成要素は、管状ビームの長さに沿って連続的に延びる横断面形状を有する管状ビーム(22)を含む。管状ビームの横断面形状は、車内高さ寸法を有する車内部分(26)と、車外高さ寸法を有する車外部分(28)とを含む。車外高さ寸法は、車内高さ寸法よりも小さい。管状ビームの横断面形状はまた、車内部分及び車外部分のそれぞれの上端間及び下端間を直線的に接続してテーパ形状を形成する上部平面壁(30)及び下部平面壁(32)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ロッカー構成要素であって、
管状ビームの長さに沿って連続的に延びる横断面形状を有する前記管状ビームを備え、
前記管状ビームの前記横断面形状は、車内高さ寸法を有する車内部分と、前記車内高さ寸法よりも小さい車外高さ寸法を有する車外部分とを含み、
前記管状ビームの前記横断面形状は、前記車内部分及び前記車外部分のそれぞれの上端間及び下端間を直線的に接続してテーパ形状を形成する上部平面壁及び下部平面壁を備える、
車両用ロッカー構成要素。
【請求項2】
シルインナーと、
前記シルインナーに沿って結合されたシルアウターとをさらに備え、
前記管状ビームは、前記管状ビームの前記車外部分が前記シルアウターに面する状態で、前記シルインナー及び前記シルアウターの間の開放容積内に配置される、
請求項1に記載のロッカー構成要素。
【請求項3】
前記車内部分が内壁を備え、前記車外部分が外壁を備え、
前記内壁及び前記外壁は前記上部平面壁と前記下部平面壁との間を一体的に接続する、請求項1又は2に記載のロッカー構成要素。
【請求項4】
前記内壁及び前記外壁、並びに前記上部平面壁及び下部平面壁が、前記管状ビームの前記長さに沿って延びる少なくとも1つの管状セクションを一緒に取り囲む、請求項3に記載のロッカー構成要素。
【請求項5】
前記内壁が、前記上部平面壁及び下部平面壁に対して45~90度の移行角度で配置された平面セクションを備える、請求項4に記載のロッカー構成要素。
【請求項6】
前記管状ビームが、前記上部平面壁及び下部平面壁の間に延び、前記管状ビームの内部容積を分割して少なくとも2つの管状セクションを形成する共通の中央壁を備える、請求項4に記載のロッカー構成要素。
【請求項7】
前記管状ビームが、前記管状ビームの共通の中央壁によって分割される中空開口部を有する一対の隣接する管状部材を有するように形成された金属板を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のロッカー構成要素。
【請求項8】
前記一対の隣接する管状部材が、互いに横方向に隣接して配置される、請求項7に記載のロッカー構成要素。
【請求項9】
前記金属板が、少なくとも1,500MPaの引張強さを有するマルテンサイト鋼を含む、請求項7に記載のロッカー構成要素。
【請求項10】
前記管状ビームが押出成形品を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のロッカー構成要素。
【請求項11】
ロッカーインサートであって、
管状ビームの長さに沿って連続的に延びる横断面形状を有する前記管状ビームを備え、
前記管状ビームの前記横断面形状は、車内高さ寸法を有する車内部分と、前記車内高さ寸法よりも小さい車外高さ寸法を有する車外部分とを含み、
前記管状ビームの前記横断面形状は、前記車内部分及び前記車外部分のそれぞれの上端間及び下端間を接続してテーパ形状を形成する上部壁及び下部壁を備える、
ロッカーインサート。
【請求項12】
前記車内部分が内壁を備え、前記車外部分が外壁を備え、
前記内壁及び前記外壁は前記上部壁と前記下部壁との間を一体的に接続する、請求項11に記載のロッカーインサート。
【請求項13】
前記上部壁及び下部壁がそれぞれ、前記車外部分に向かって角度を成した平面セクションを備える、請求項11又は12に記載のロッカーインサート。
【請求項14】
前記内壁及び前記外壁、並びに前記上部平面壁及び下部平面壁が、前記管状ビームの前記長さに沿って延びる少なくとも1つの管状セクションを一緒に取り囲む、請求項13に記載のロッカーインサート。
【請求項15】
前記内壁が、前記上部壁及び下部壁の前記平面セクションに対して45~90度の移行角度で配置される、請求項14に記載のロッカーインサート。
【請求項16】
前記管状ビームが、前記上部壁及び下部壁と一体的に接続し、前記上部壁と前記下部壁との間に延びる共通の中央壁を備える、請求項14に記載のロッカーインサート。
【請求項17】
前記管状ビームが、前記管状ビームの共通の中央壁によって分割される中空開口部を有する一対の隣接する管状部材を有するように形成された金属板を備える、請求項11~16のいずれか一項に記載のロッカーインサート。
【請求項18】
前記金属板が、少なくとも1,500MPaの引張強さを有するマルテンサイト鋼を含む、請求項17に記載のロッカーインサート。
【請求項19】
車両用ロッカー構成要素であって、
シルインナーと、
前記シルインナーに沿って結合されたシルアウターと、
前記シルインナー及び前記シルアウターの間の開放容積内に配置された管状ビームとを備え、
前記管状ビームは、前記管状ビームの長さに沿って連続的に延びる横断面形状を備え、
前記管状ビームの前記横断面形状は、車内高さ寸法を有する車内部分と、前記車内高さ寸法よりも小さい車外高さ寸法を有する車外部分とを含み、
前記管状ビームの前記横断面形状は、前記車内部分及び前記車外部分のそれぞれの上端間及び下端間に直線的に延びてテーパ形状を形成する上部平面壁及び下部平面壁を備え、
前記横断面形状は内壁及び外壁を備え、前記上部平面壁及び下部平面壁は、前記管状ビームの前記長さに沿って延びる少なくとも1つの管状セクションを一緒に取り囲む、
車両用ロッカー構成要素。
【請求項20】
前記管状ビームが、前記上部平面壁と前記下部平面壁との間に延び、前記管状ビームの内部容積を分割して少なくとも2つの管状セクションを形成する共通の中央壁を備える、請求項19に記載のロッカー構成要素。
【請求項21】
前記車内部分が内壁を備え、前記車外部分が外壁を備え、
前記内壁及び前記外壁は前記上部平面壁と前記下部平面壁との間を一体的に接続する、請求項19に記載のロッカー構成要素。
【請求項22】
前記内壁が、前記上部平面壁及び下部平面壁に対して45~90度の移行角度で配置された平面セクションを備える、請求項21に記載のロッカー構成要素。
【請求項23】
前記管状ビームが、前記管状ビームの共通の中央壁によって分割される中空開口部を有する一対の隣接する管状部材を有するように形成された金属板を備える、請求項19~22のいずれか一項に記載のロッカー構成要素。
【請求項24】
前記一対の隣接する管状部材が、互いに横方向に隣接して配置される、請求項23に記載のロッカー構成要素。
【請求項25】
前記金属板が、少なくとも1,500MPaの引張強さを有するマルテンサイト鋼を含む、請求項23に記載のロッカー構成要素。
【請求項26】
前記管状ビームが押出成形品を備える、請求項19~22のいずれか一項に記載のロッカー構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月19日に提出された米国仮特許出願第63/223,498号に付与された米国特許法第119条(e)に基づく利益及び優先権を主張するものであり、この先行出願の内容は本出願の一部とみなされ、参照により完全な形で本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、車両ボディ構造用のロッカー及びシルアセンブリに関し、より詳細には、ロッカー及びシルアセンブリ、サブアセンブリ等のためのロッカー及び補強インサートに関する。
【背景技術】
【0003】
車両フレーム及びボディ構造は、車両を支持するように設計され、また、保険要件並びに他の規制要件及び法的要件に従って車両内への侵入距離を防止するように、特定レベルの衝撃力を受け、吸収するように設計されている。車両への側面衝撃は、一般的にサイドポール衝撃試験で試験され、この試験は車両に大きな側面衝撃力を仕向ける。車両フレームは主に、車両フレームの下部車外部分に沿って前輪と後輪との間を長手方向に走るロッカーセクションで、これらの側面衝撃を吸収する。
【0004】
電気自動車及びハイブリッド電気自動車において対向するロッカーセクション間の横方向車内エリアにバッテリトレイが組み込まれた状態では、バッテリトレイ内の利用可能なバッテリ格納容積を最大にするために、側面衝撃侵入距離を短くすることが望まれる。例えば、ロッカーセクションに内部補強材を追加するなどしてロッカーセクションの剛性を高めて側面衝撃侵入の車内距離を短くすることが一般的に知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示はロッカー構成要素を提供し、このロッカー構成要素はロッカーシル及び/又はロッカーインサートを指す場合がある。本明細書で開示されるロッカー構成要素は、ロッカーの車外側の集中エリアから発し、荷重経路が車内に延びるにつれてロッカー構成要素の増加した高さにわたって放射又は発散する少なくとも2つの荷重経路を最適化するように設計されたテーパ形状を有する。ロッカー構成要素の車内壁と車外壁は、荷重経路を支持するテーパ壁とともに、台形の断面形状を形成し得る。このようなテーパ状のロッカー構成要素は、従来の正方形又は長方形の設計よりも質量を節約しながら、エネルギー吸収性能のための効果的な解決策を提供する。
【0006】
本開示の一態様は、管状ビームの長さに沿って連続的に延びる横断面形状を有する管状ビームを有するロッカー構成要素を提供する。管状ビームの横断面形状は、車内高さ寸法を有する車内部分と、車内高さ寸法よりも小さい車外高さ寸法を有する車外部分とを含む。管状ビームの横断面形状は、車内部分及び車外部分のそれぞれの上端間及び下端間を直線的に接続してテーパ形状を形成する上部平面壁及び下部平面壁を備える。
【0007】
いくつかの実施態様において、車内部分は内壁を含み、車外部分は外壁を含み、内壁及び外壁は上部平面壁と下部平面壁との間を一体的に接続し得る。いくつかの例において、内壁及び外壁、並びに上部平面壁及び下部平面壁は、管状ビームの長さに沿って延びる少なくとも1つの管状セクションを一緒に取り囲んでいる。いくつかの実施態様において、内壁は、45度~90度などの上部平面壁及び下部平面壁に対する移行角度で配置される平面セクションを含む。いくつかの例において、管状ビームは、上部平面壁及び下部平面壁の間に延び、管状ビームの内部容積を分割して少なくとも2つの管状セクションを形成する共通の中央壁を含む。
【0008】
本開示の実施態様は、以下の任意選択の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る。いくつかの実施態様において、ロッカー構成要素は、シルインナーと、シルインナーに沿って取り付けられるシルアウターとを含む。管状ビームは、管状ビームの車外部分がシルアウターに面する状態で、シルインナーとシルアウターとの間の開放容積内に配置され得る。例えば、管状ビームは、ブラケットを用いて直接又は間接的にシルインナー又はシルアウターに固定的に取り付けられてもよい。
【0009】
いくつかの実施態様において、管状ビームは、管状ビームの長さに沿って延びる少なくとも1つの閉じた管状セクションを有するように曲げられるか又は他の方法で変形される金属板から形成される。いくつかの例において、管状ビームは、管状ビームの共通の中央壁によって分割される中空開口部を有する一対の隣接する管状部材を有する。いくつかの例において、一対の隣接する管状部材は、互いに横方向に隣接して配置される。金属板は、少なくとも980MPa、例えば少なくとも1,500MPaの引張強さを有するマルテンサイト鋼であり得る。
【0010】
いくつかの実施態様において、車内部分は内壁を含み、車外部分は外壁を含み、内壁及び外壁は上部壁と下部壁との間を一体的に接続する。いくつかの例において、管状ビームは押出成形品を備える。さらに、場合によっては、管状ビームは、鋼板、アルミニウム板、鋼押出成形品、アルミニウム押出成形品、又は繊維複合材料を含む。
【0011】
本開示の別の態様は、管状ビームの長さに沿って連続的に延びる横断面形状を有する管状ビームを有するロッカーインサートを提供する。管状ビームの横断面形状は、車内高さ寸法を有する車内部分と、車内高さ寸法よりも小さい車外高さ寸法を有する車外部分とを含む。管状ビームの横断面形状は、車内部分及び車外部分のそれぞれの上端間及び下端間を接続してテーパ形状を形成する上部壁及び下部壁を含む。
【0012】
いくつかの実施態様において、車内部分は内壁を含み、車外部分は外壁を含み、内壁及び外壁は上部壁と下部壁との間を一体的に接続する。上部壁及び下部壁はそれぞれ、車外部分に向かって角度を成した平面セクションを含み得る。いくつかの例において、内壁及び外壁、並びに上部平面壁及び下部平面壁は、管状ビームの長さに沿って延びる少なくとも1つの管状セクションを一緒に取り囲む。いくつかの実施態様において、テーパ形状は、さらに、上部壁及び下部壁の平面セクションが内壁に対して45度~90度の移行角度で配置されることによって画定され得る。
【0013】
いくつかの実施態様において、管状ビームは、上部壁及び下部壁と一体的に接続し、上部壁と下部壁との間に延びる共通の中央壁を有する。管状ビームは、いくつかの例において、管状ビームの共通の中央壁によって分割される中空開口部を有する一対の隣接する管状部材を有するように形成される金属板を提供し得る。金属板は、少なくとも1,500MPaの引張強さを有するマルテンサイト鋼であり得る。
【0014】
本開示のさらに別の態様において、車両用ロッカー構成要素は、シルインナーと、シルインナーに沿って結合されたシルアウターと、シルインナー及びシルアウターの間の開放容積内に配置された管状ビームとを含む。管状ビームは、管状ビームの長さに沿って連続的に延びる横断面形状を含む。管状ビームの横断面形状は、車内高さ寸法を有する車内部分と、車内高さ寸法よりも小さい車外高さ寸法を有する車外部分とを含む。管状ビームの横断面形状は、車内部分及び車外部分のそれぞれの上端間及び下端間に直線的に延びてテーパ形状を形成する上部平面壁及び下部平面壁を備える。横断面形状は、内壁及び外壁を備え、上部平面壁及び下部平面壁は、管状ビームの長さに沿って延びる少なくとも1つの管状セクションを一緒に取り囲む。管状ビームは、上部平面壁と下部平面壁との間に延び、管状ビームの内部容積を分割して少なくとも2つの管状セクションを形成する共通の中央壁を含み得る。
【0015】
本開示の1つ又は複数の実施態様の詳細は、添付の図面及び以下の記載に記載されている。他の態様、利点、目的、及び特徴は、図面と併せて以下の明細書を検討すれば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ロッカーアセンブリを概略的に示す車両の側面立面図である。
図2】ロッカーアセンブリ及び他の構造構成要素を示す車両の上方斜視図である。
図3】ロッカーアセンブリの一例の断面図である。
図4】ロッカーアセンブリの他の例の断面図である。
図5】ロッカーインサートの一例の断面図である。
図6】ロッカーインサートの一例の断面図である。
図7】ロッカーインサートの一例の断面図である。
図8】ロッカー構成要素の一例の断面図である。
図9】ロッカー構成要素の一例の断面図である。
図10】ロッカー構成要素の一例の断面図である。
図11】ロッカーインサートの一例の断面図である。
図12】ロッカーインサートの一例の断面図である。
図13】ロッカーインサートの一例の断面図である。
図14】ロッカーインサートの一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
同様の参照数字は、図面全体を通して同様の部品を示す。
【0018】
ここで図面及びそこに描かれた説明に役立つ実施形態を参照すると、図1及び2に示されるものなど、車両100のボディ構造又はフレーム102のためのロッカーアセンブリ10が提供される。車両フレーム及び関連するロッカーアセンブリは、車両の異なる様式及び種類向けなど、様々な設計及び構成を有し得る。例えば、図1に示すように、車両100は、トラクションバッテリ又はバッテリモジュールなどのバッテリを有する車両の推進システムを少なくとも部分的に作動し得、このバッテリは、一般に車両100の前輪と後輪との間及び床付近に位置するバッテリトレイ104に支持され得る。車両バッテリトレイは、少なくとも部分的にバッテリトレイを支持し且つ車両フレームに固定するロッカーアセンブリの車内部分に取り付けることができる。例えば図2に示すように、車両100は、ロッカーアセンブリの間に取り付けられたバッテリトレイを含まない場合がある。そのような例では、フレーム102は、Aピラー、Bピラー、及びクロスメンバ等を支持するロッカーアセンブリ10を提供し得る。本開示の目的のための車両は、乗員移動、貨物輸送、又は任意の他の個人的、政府的、又は商業的目的のために使用されるものを含む、乗用車、トラック、バス、バン、スポーツ用多目的車等など、任意のタイプの陸上車両であり得る。
【0019】
車両ロッカーアセンブリ10は、例えば図3及び4に示すように、ロッカーパネル又はセクションと呼ぶこともできる内側シル部材14及び外側シル部材16で形成された中空の外側構造体12を含む。内側シル部材14は、外側シル部材16に沿って長手方向に取り付けられ、内側シル部材14と外側シル部材16との間に細長い中空空間18を画定する。外側構造体12を形成する内側及び外側シル部材14、16は、内側及び外側シル部材14、16の間の細長い中空空間18を取り囲んでいる。ロッカーインサート20は、外側ロッカー構造体12の中空空間18内に配置され、中空空間18の少なくとも一部又は長手方向セクションに沿って長手方向に延びている。ロッカーインサート20は、インサート20の長さに沿って概ね一貫した断面形状又はプロファイルを有する。ロッカーインサート20は、1つ又は複数の密閉された管状セクションを有する管状形状を備え得る。したがって、ロッカーインサート20は、ロッカー補強ビーム、又はいくつかの例ではシルアセンブリインサートと呼ばれることがある。
【0020】
ロッカーインサート20は、図3に示すように、管状ビーム22と、管状ビーム22を内側シル部材14と外側シル部材16との間で中空空間18に固定する少なくとも1つの取付ブラケット24とを含む。管状ビーム22は、管状ビーム22の長さに沿って連続的に延びる横断面形状を有する。示される例において、管状ビーム22の長さは、内側及び外側シル部材14、16間の中空空間18の長さに対応する。付加的な例では、管状ビームの長さ及び/又は一貫した断面形状は、組み立てられたシル部材によって提供される外側構造体のセグメントを越えて又はセグメント内に延在し得る。
【0021】
図3に示すように、管状ビーム22の横断面形状は、車内高さ寸法を有する車内部分26と、車外高さ寸法を有する車外部分28とを含み、高さ寸法は、図1及び2に示すように、車両に関する垂直寸法である。図3に示すものなどのいくつかの例において、管状ビーム22の車外高さ寸法は、車内高さ寸法よりも小さく、例えば少なくとも20%小さいか、少なくとも40%小さい。管状ビーム22の横断面形状はまた、テーパ形状を形成するように車内部分26及び車外部分28のそれぞれの上端間及び下端間を直線的に接続する上部平面壁30及び下部平面壁32を含む。上部壁30と下部壁32の車外縁部では、車外高さ寸法が上部壁30と下部壁32との間に狭いエリアを形成し、このエリアは外側シル部材16に与えられた衝撃荷重を集中した空間で受ける。結果として生じる衝撃エネルギーは、上部壁及び下部壁30、32上の概ね直線状の荷重経路に沿って横方向内側に伝達される。
【0022】
図3に示すように、車内端壁34及び車外端壁36はそれぞれ、管状ビーム22の角部において上部壁及び下部壁30、32と一体的に相互接続する実質的に平面状の垂直壁である。したがって、上部壁及び下部壁30、32は、車内端壁34及び車外端壁36とともに台形形状を形成する。管状ビーム22はまた、管状ビーム22の中空内部に沿って連続的に延びる中間壁38a、38bを含む。図3に示す中間壁38a、38bは垂直に延び、上部壁及び下部壁30、32間を一体的に相互接続し、管状ビームを多管構造として提供するように、中空内部を別々の中空管状内部に分割する。図3に示す多管構造は、分割された中空エリアを互いに横方向に隣接して位置決めし、実質的に内側シル部材14と外側シル部材16の内面間に横方向にまたがるようにする。いくつかの例において、端壁34、36は、管状ビームをその中空内部に取り付けて吊り下げるように、管状ビーム22の内面に取り付けられてもよい。
【0023】
図3にさらに示すように、ロッカーインサート20は、管状ビームをロッカーアセンブリ10の外側構造12に固定的に取り付けるためのブラケット24を含む。ブラケット24は、溶接、接着剤、留め具等などで管状ビームに固定される第1の部分を含む。ブラケット24は、この取付け部分から延びて、内側又は外側シル部材のフランジの一方に又はフランジ間など、内側又は外側シル部材14、16の少なくとも一方に取り付けられる第2の部分を提供する。図3に示すように、ブラケット24の上部は、車外シル部材16の上部フランジに溶接で固定されている。付加的な例において、ロッカーインサートの管状部材をロッカーアセンブリに固定するために、より多くの又は代替的なブラケットが使用され得ることが考えられる。さらに、異なる車両及び車両タイプが代替のシル部材設計を有し得るので、内側及び外側シル部材は、本明細書に示されたものとは異なる形状及び構成を有することがある。
【0024】
ロッカー構成要素及びその部分は、1つ又は複数の材料を含むことができ、様々な異なるタイプのプロセスで製造することができる。例えば、図3に示すように、ロッカーインサートの管状ビームは押出成形品であり、アルミニウム合金又は鋼合金で作ることができる。さらに、場合によっては、管状ビームは、鋼板、アルミニウム板、鋼押出成形品、アルミニウム押出成形品、又は引抜成形炭素繊維樹脂複合材料などの繊維複合材料を含む。いくつかの実施態様において、管状ビームは、管状ビームの長さに沿って延びる少なくとも1つの閉鎖管状セクションを有するように曲げられるか、又はその他の方法で変形される金属板から形成される。例えば、金属板はロール成形又はプレス成形され得る。金属板は、少なくとも980MPa、例えば少なくとも1,500MPaの引張強さを有するマルテンサイト鋼であり得る。
【0025】
次に図4を参照すると、ロッカーインサート120は、管状ビーム122と、管状ビーム122を内側シル部材14と外側シル部材16との間で中空空間18に固定する少なくとも1つの取付ブラケット124とを含む。管状ビーム122は、管状ビーム122の長さに沿って連続的に延びる横断面形状を有する。示される例において、管状ビーム122の長さは、内側及び外側シル部材14、16間の中空空間18の長さに対応する。付加的な例において、管状ビームの長さ及び/又は一貫した断面形状は、組み立てられたシル部材によって提供される外側構造のセグメントを越えて又はセグメント内に延在し得る。
【0026】
図4に示すように、管状ビーム122の横断面形状は、車内高さ寸法を有する車内部分126と、尖った形状に先細りする車外部分128とを含む。管状ビーム122の断面形状はまた、車内部分126及び車外部分128のそれぞれの上端間及び下端間を直線的に接続してテーパ形状を形成する上部平面壁130及び下部平面壁132を含む。上部壁及び下部壁130、132の車外縁部において、車外高さ寸法は、上部壁及び下部壁130、132間に、尖った形状として示される狭いエリアを形成し、このエリアは、外側シル部材16に与えられた衝撃荷重を集中した空間で受ける。結果として生じる衝撃エネルギーは、上部壁及び下部壁130、132上の概ね直線状の荷重経路に沿って横方向内側に伝達される。
【0027】
図4に示すように、車内端壁134及び車外端壁136はそれぞれ、管状ビーム122の角部において上部壁及び下部壁130、132と一体的に相互接続する実質的に平面状の垂直壁である。このように、上部壁及び下部壁130、132は、車内端壁134及び車外端壁136とともに、三角形の形状に類似するように、相対的に小さい車外端壁136を有する台形の形状を形成する。車外端壁136は、連続ビード又は中間スポット溶接などで外側シル部材16に溶接される。管状ビーム122は、管状ビーム122の中空内部に沿って連続的に延びる中間壁138a、138b、138cも含む。中間壁138a、138bは実質的に水平であるが、中間壁138cは垂直に延び、上部壁及び下部壁130、132間を一体的に相互接続している。中間壁138a、138b、138cは、管状ビームを多管構造として提供するように、中空内部を別々の中空管状内部に分割する。図4に示す多管構造は、分割された中空エリアを互いに横方向に隣接して位置決めし、実質的に内側及び外側シル部材14、16の内面間に横方向にまたがるようにする。いくつかの例において、端壁34、36は、管状ビームをその中空内部に取り付けて吊り下げるように、管状ビーム22の内面に取り付けられてもよい。
【0028】
図4にさらに示すように、ロッカーインサート120は、管状ビームをロッカーアセンブリ10の外側構造12に固定的に取り付けるためのブラケット124を含む。ブラケット124は、溶接、接着剤、留め具等などで管状ビームに固定される第1の部分を含む。ブラケット124は、この取付け部分から延びて、内側又は外側シル部材のフランジの一方に又はフランジの間など、内側又は外側シル部材14、16の少なくとも一方に取り付けられる第2の部分を提供する。図4に示すように、ブラケット124の上部部分は、車外シル部材16の上部フランジに溶接で固定される。
【0029】
図5~7を参照すると、テーパ形状を有する追加の例示的なロッカーインサート220、320、420が示されている。ロッカーインサート220、320、420はそれぞれ、内側シル部材と外側シル部材との間の中空空間内に配置されるように構成された管状ビームを含む。管状ビームは、管状ビームの長さに沿って連続的に延びる横断面形状を有し、ここで、テーパ形状は、車内部分226、326、426から車外部分228、328、428までテーパを有して向けられる。図6に示すように、上部壁330及び下部壁332はそれぞれ、第1の平面部分と、第1の平面部分よりもテーパ状であり、車外壁336の丸みを帯びた点で互いに相互接続する第2の平面部分とを含む。図7に示すように、管状ビーム420は、管状ビームの共通の中央壁438によって分割される中空開口部を有する一対の隣接する管状部材を有する。一対の隣接する管状部材は、ロッカーアセンブリに沿って広がるとき、横方向に互いに隣接して配置される。図5~7に示す例において、管状ビーム220、320、420を提供するために、ロール形成を介するなどして、金属板が形成されてもよい。
【0030】
同様に、図8~10において、少なくともロッカーインサートの車外部分528、628、728においてテーパ形状を有する断面形状を有する管状ビーム520、620、720を提供するために金属板が形成される。図8及び9に示すように、金属板は、板の反対側の端部に一体ブラケット524a、524b、624a、624bを形成するためにも使用される。ブラケットは、内側又は外側シル部材のフランジの一方に又はフランジの間など、内側及び外側シル部材14、16の間に固定される。図10に示すように、ロッカーインサート720は、丸みを帯びた車外部分及び車内部分726、728を有するテーパ断面形状を有し、管状ビームは、上側及び下側ブラケット724a、724bを用いて内側及び外側シルパネル14、16間の中空領域に固定される。
【0031】
ここで図11~14を参照すると、ロッカーインサート820~820’’’は、少なくともビームの車外部分828~828’’’において、例えばロッカーインサートを内側及び外側シルパネル14、16の間に固定する一体型ブラケットから車外においてテーパ形状を有する押出プロファイルによって提供される多管状ビーム822~822’’’として示されている。ビーム822~822’’’の横断面形状は、管状ビームの長さに沿って連続的に延びている。車内部分826~826’’’は、車内高さ寸法を有し、車外部分828~828’’’は、車内高さ寸法よりも小さい車外高さ寸法を有する。断面形状はまた、車内部分及び車外部分のそれぞれの上端間及び下端間を直線的に接続してテーパ形状を形成する上部平面壁830~830’’’及び下部平面壁832~832’’’を含む。図11~14に示すように、車内延在部は、車内部分826から車内に突出し、ロッカーアセンブリの内側シル部材と係合するための嵌合面を含む。
【0032】
開示されたロッカーアセンブリの補強インサートは、インサートがシル部材の一方又は両方の一体構成要素であるように、シル部材の一方又は両方と一体化され得ることが考えられる。例えば、インサートは、シル部材の一方又は両方を省略することを可能にするのに十分な嵌合構造を含み、それにより、インサートはロッカー構成要素と呼ばれることがある。
【0033】
冠詞「a」、「an」、及び「the」は、先の記載において要素の1つ又は複数が存在することを意味することが意図される。「備える」、「含む」、及び「有する」という用語は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在する可能性があることを意味する。さらに、本開示の「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、言及された特徴を同じく組み込んだ追加の実装形態の存在を除外すると解釈されることを意図していないことを理解されたい。本明細書に記載された数値、パーセンテージ、比率、又は他の値は、その値、及び本開示の実装形態に包含される当業者によって理解されるであろう、「約」又は「およそ」の記載された値である他の値も含むように意図されている。したがって、記載された値は、所望の機能を実行するため、又は所望の結果を達成するために、記載された値に少なくとも十分に近い値を包含するように、十分に広く解釈されるべきである。記載された値は、好適な製造プロセス又は生産プロセスで予想される変動を少なくとも含み、記載された値の5%以内、1%以内、0.1%以内、又は0.01%以内の値を含み得る。
【0034】
また、本開示の目的のために、本明細書で使用される「およそ」、「約」、及び「実質的に」という用語は、依然として所望の機能を果たすか、又は依然として所望の結果を達成する、記載された量に近い量を表す。例えば、「およそ」、「約」、及び「実質的に」という用語は、記載された量の5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、及び0.01%未満以内にある量を指す場合がある。さらに、先の記載におけるあらゆる方向又は基準枠は、単に相対的な方向又は動きであることを理解されたい。例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「後」、「前」、「垂直」、「水平」、「車内」、「車外」という用語及びそれらの派生語は、図1に示される方向に関するものとする。しかしながら、反対に明示的に指定された場合を除き、様々な代替的な向きが提供され得ることが理解される。また、添付の図面に示され、本明細書に記載された特定の装置及びプロセスは、添付の特許請求の範囲で定義された発明的概念の単なる例示的な実施形態であることを理解されたい。したがって、本明細書に開示された実施形態に関する特定の寸法及び他の物理的特性は、特許請求の範囲に明示的に記載されない限り、限定的であると見なされることはない。
【0035】
具体的に記載された実施形態における変更及び修正は、特許法の原則に従って解釈される添付の請求項の範囲によってのみ限定されることが意図される本発明の原理から逸脱することなく実施され得る。本開示は、説明に役立つ方法で記載されており、使用されてきた用語は、限定ではなく、記載の言葉の性質内にあることが意図されていることが理解されるであろう。本開示の多くの修正及び変形は、上記の教示に照らして可能であり、本開示は、具体的に記載された方法とは別の方法で実施されてもよい。
図1
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【国際調査報告】