(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】固体酸化物電解セルスタックの過渡運転のための方法
(51)【国際特許分類】
C25B 15/00 20060101AFI20240711BHJP
C25B 9/77 20210101ALI20240711BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20240711BHJP
【FI】
C25B15/00 303
C25B9/77
C25B9/23
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503627
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2022069657
(87)【国際公開番号】W WO2023001669
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】キュンガス・ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ブレノウ・ベングト・ピーダ・ゴスタウ
(72)【発明者】
【氏名】ハイレデール-クラウスン・トマス
(72)【発明者】
【氏名】ラス-ハンスン・イェベ
(72)【発明者】
【氏名】ナアビュー・トビーアス・ホルト
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021AB25
4K021BA02
4K021BC06
(57)【要約】
本発明は、カソード側およびアノード側を有する固体酸化物電解セル(SOEC)スタックの過渡運転のための方法であって、CO2を含むフラッシュガスをアノード側に供給すること、および活性セル面積1cm2あたり0.001~0.05A、例えば活性セル面積1cm2あたり0.01~0.05Aの低い電解電流を、それによってアノード側で酸素を生成するため、またはカソード側における既に利用可能な任意の酸素をアノード側に移すために、SOECスタック中のセルに流すことを含む方法に関する。前記方法はまた、シャットダウンの間、アノード側でCO2を含むフラッシュガスを用いてSOECスタックを運転し、SOECスタックの先行の通常運転下で生成される酸素を含むアノード生成物ガスを、低電流を流さずに、リサイクルすることを含む。本発明により、少量のO2を生成して、アノード側における酸素濃度(pO2)およびオキシ電極の安定性を確保することが可能である。本発明は、オキシ電極だけでなく、カソード側における燃料電極の保護ももたらす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード側およびアノード側を有する固体酸化物電解セル(SOEC)スタックの過渡運転のための方法であって、以下:
- 前記アノード側へCO
2を含むフラッシュガスを供給すること;
- アノード側で酸素を生成するため、またはカソード側における既に利用可能な任意の酸素をアノード側に移すために、活性セル面積1cm
2あたり0.001~0.05Aの低い電解電流を、SOECスタックにおけるセルに流すこと、
を含む方法。
【請求項2】
前記の低い電解電流が、活性セル面積1cm
2あたり0.01~0.05Aである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下:
(a)中断されたホットアイドル運転、ここで、ホットアイドル運転は、通常のSOECスタック運転温度より低い、例えば通常のSOECスタック運転温度よりも10~200℃、例えば、50~200℃または100~200℃低い温度でのSOECスタックの開放電圧(OCV)運転として定義され、前記の中断されたホットアイドル運転は、CO
2を含む前記フラッシュガスを前記アノード側に供給し、前記低い電解電流をSOECスタックにおけるセルに流し、および酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームを形成するために酸素を電気化学的に生成することによって行われる;
または
(b)CO
2を含む前記フラッシュガスを前記アノード側に供給し、SOECスタックの先行の通常運転の間に生成する酸素を含むアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部を、例えば前記の酸素を含むアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部をフラッシュガスと組み合わせることによって、フラッシュガスにリサイクルし;前記の低い電解電流をSOECスタックにおけるセルに流し、および酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームを形成するために酸素を電気化学的に生成することによる、シャットダウン運転;
または
(c)CO
2を含むフラッシュガスを前記アノード側に供給することによる;およびCO
2、CO、H
2O、H
2およびそれらの混合物のいずれか、任意にまた不活性物質、例えばN
2、He、Arおよびそれらの混合物のいずれかを含むカソード側供給材料ガスストリームを、前記カソード側に供給し;カソード側における既に利用可能な前記酸素の少なくとも一部を前記アノード側に移すために、SOECスタックにおけるセルに前記の低い電解電流を流すことによる、スタートアップ運転、
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
(a)がさらに、
酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部をリサイクルすること、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
運転(a)の酸素が富化されたアノード側生成物ガス、または運転(b)の酸素を含むアノード側生成物ガスストリームが、5~100体積%、例えば10~60体積%、例えば20~40体積%、または例えば80~100体積%、例えば95~100体積%のO
2という酸素含有率を有する、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
運転(a)または(b)においてリサイクルされる、酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部が、5体積%~90体積%の間、例えば、10、20、30、40、50、60、70、80または85体積%、好適には5~50体積%の範囲内である、請求項3~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
CO
2を含むフラッシュガスが、5~100体積%のCO
2、例えば20~100、40~100、50~100、60~100、70~100、80~100体積%のCO
2を含み、好適には、前記フラッシュガスが99.5体積%以上のCO
2を有する純CO
2である、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
(c)、すなわちスタートアップ運転において、カソード側供給材料ガスが、1種または複数の還元性化学種、好適にはCOおよび/またはH
2、ならびに前記還元性化学種に加えて、CO
2および/またはH
2Oを含む、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
(c)が以下:
- 前記カソード側供給材料ガスを、通常のSOECスタック運転温度よりも100~200℃低い第1の温度まで加熱すること;
- 引き続き、前記カソード側供給材料ガスにおけるCO
2および/またはH
2Oの濃度を増加させ、通常のSOECスタック運転温度までさらに加熱すること、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(a)中断されたホットアイドル運転、(b)シャットダウン運転または(c)スタートアップ運転のいずれかが、500~700℃またはそれ未満の温度で運転されることを含む、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
スタックにおけるセルに流される低い電解電流が、活性セル面積1cm
2あたり0.02~0.04A、例えば活性セル面積1cm
2あたり0.03Aである、請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記の過渡運転がシャットダウン、すなわち運転(b)であり、不活性フラッシュガス、特にCO
2を含むガスストリーム、例えば純CO
2の流量が、活性セル面積1cm
2あたり0.02NL/分以下、例えば活性セル面積1cm
2あたり0.002NL/分である、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
カソード側およびアノード側を有する固体酸化物電解セル(SOEC)スタックの過渡運転のための方法であって、
CO
2を含むフラッシュガスを前記アノード側に供給し、SOECスタックの先行の通常運転の間に生成する酸素を含むアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部を前記フラッシュガスにリサイクルし;任意に、引き続き、活性セル面積1cm
2あたり0.001~0.05Aの低い電解電流をSOECスタックにおけるセルに流し、および酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームを形成するために酸素を電気化学的に生成することによる、シャットダウン運転、
を含む、前記方法。
【請求項14】
前記の低い電解電流が、活性セル面積1cm
2あたり0.01~0.05Aである、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カソード側とアノード側とを有する固体酸化物電解セル(SOEC)スタック、好適にはCO2電解および/またはH2O電解に適合されたSOECスタックの過渡運転のための、より具体的にはSOECスタックのホットアイドル、シャットダウンおよびスタートアップ運転等の安全な過渡運転のための方法に関する。本発明の実施態様は、CO2を含むフラッシュガスをアノード側に供給すること、および活性セル面積1cm2あたり0.001~0.05A、例えば活性セル面積1cm2あたり0.01~0.05Aの低い電解電流を、それによってアノード側で酸素を生成するため、またはカソード側における既に利用可能な任意の酸素をアノード側に移すために、SOECスタック中のセルに流すこと、を含む。本発明の他の実施態様は、シャットダウンの間、アノード側でCO2を含むフラッシュガスを用いてSOECスタックを運転し、SOECスタックの先行の通常運転下で生成される酸素を含むアノード生成物ガスを、低電流を流さずに、リサイクルすることを含む。本発明は、アノード側における酸素濃度(pO2)およびオキシ電極の安定性を確保するために少量のO2を生成することを可能にする。本発明は、オキシ電極だけでなく、カソード側における燃料電極の保護ももたらす。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物電解セル(SOEC)は、H2OをH2に、CO2をCOに、またはH2OとCO2の組み合わせを合成ガス、すなわちH2とCOを含有するガス混合物に電気化学的に還元するために使用することができる。この転化は固体酸化物電解セルのカソード(燃料)側で起こる。セルのアノード(オキシ)側では、酸素が電気化学的に生成される。SOECは当技術分野において周知であるように、通常、SOECスタックを形成するためにスタックされる。
【0003】
SOECスタックの通常運転の間、すなわち過渡運転がなしの間、例えば一酸化炭素が富化された(電解セルを出る)カソード側ガスストリームは、(固体酸化物電解セルに入る)カソード側供給材料ガスよりも高い濃度の一酸化炭素を有する。従って、例えばCO2を含むカソード側供給材料ガスが、SOECスタックのカソード側に供給されると、CO2の少なくとも一部が電気化学的にCOに還元され(すなわち、COが電気化学的に生成され)、それによって、COが富化されたカソード側生成物ガスが形成される。さらに、H2OおよびCO2の混合物を含むカソード側供給材料ガスが、運転中のSOECのカソード側に供給されると、H2OまたはCO2のいずれかまたは両方の少なくとも一部が電気化学的に還元され、それによって、それぞれ、水素およびH2およびCOが富化されたカソード側生成物ガスが形成される。同様に、O2が富化された(電解セルを出る)アノード側ガスストリームは、(固体酸化物電解セルに入る)アノード側供給材料ガスストリームよりも高いO2濃度を有する。この定義によれば、10%O2、90%CO2のアノード側生成物ガスストリームは、もしアノード側供給材料ガスストリームが10%未満の酸素含有率を有する場合、O2が富化されているとみなすことができる点に留意されたい。同様に、10%O2、90%CO2のアノード側生成物ガスストリームは、ガス中の酸素含有率は大気中の空気におけるよりも低いが、前記定義によればO2が富化されているとみなされる。
【0004】
また、通常運転の間、通常のスタック運転温度(本明細書では通常運転温度とも呼ぶ)は、好適には600~1000℃、例えば700、750℃または800℃であり、これは、連続的に電解電流を流されるスタックにおけるCOの生成中に使用される温度である。電解質として使用されるセラミック膜において十分な酸化物イオン伝導率に達するためには高温、例えば700または800℃が通常必要である。一般的に使用される電解質材料には、安定化ジルコニア、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ドープセリア、ドープランタンガレートなどが含まれる。一般に使用されるオキシ電極材料には、ペロブスカイト材料、例えばSrドープLaMnO3(LSM)、SrドープLaFeO3(LSF)、SrドープLaCoO3(LSC)、SrドープLa(Co,Fe)O3(LSCF)、SrドープSmCoO3等多数が含まれる。ペロブスカイト材料はさらに、一般的には、ドープされたセリアと混合されて、複合酸素電極(SOECアノード)を形成する。Sr以外のドーパント、例えばCa、Baが、ペロブスカイト以外の材料、例えばRuddlesden-Popper相のように知られている。従って、一般的に使用されるオキシ電極材料のほとんどは、アルカリ土類金属、例えばSr、CaまたはBaを含む。典型的な例には、上述のLSM、LSC、LSCF、ならびにSrドープBa(Co,Fe)O3(BSCF)、CaドープLaFeO3(LCF)等が含まれる。
【0005】
これらの物質は全て、SrCO3、BaCO3、CaCO3等の形成のため、CO2に富む雰囲気中では分解しやすい。分解は、1)温度、2)オキシ電極の細孔の周囲および内部のCO2濃度、3)オキシ電極の細孔の周囲および内部のO2濃度に依存する。オキシ電極材料の熱力学的分解、ひいては炭酸塩の形成には、より低い温度、特に800℃未満がより有利である。さらに、分解には、高いCO2濃度および低いO2濃度がより有利である。オキシ電極材料が分解するにつれて、それはその電気化学的活性を失い、それによって性能の喪失をもたらす。上で挙げた傾向により、SOECスタックは、特に過渡運転の間、例えばホットアイドル、シャットダウンまたはスタートアップ運転の間に、炭酸塩形成による損傷を特に受けやすい。
【0006】
炭酸塩形成のリスクのために、SOECオキシ電極は、典型的には、純粋なCO2、またはCO2に富むガスストリームに曝されることはない。代わりに、SOECのオキシ側は、典型的には、空気でフラッシングされる。特に、SOECスタックのアノード側におけるフラッシュガスとしてのCO2の使用は、過渡運転の間は有害であるが、例えば空気の代わりの好適なフラッシュガスとしてのSOECの通常運転に関しては、空気を使用するとアノード側からカソード側に特に窒素が漏れ出すリスクがあるため、有益である。窒素は除去が困難であることが知られており、それは最終的には、例えばCOと一緒にカソード側から生成物ストリーム中で運ばれる。
【0007】
本出願人のWO2016091636(特許文献1)、WO2013131778(特許文献2)およびWO2014254253(特許文献3)には、固体酸化物電解セルまたはSOECスタック中でのCO2の電気分解による高純度COの製造が記載されている。これらの特許出願は、COを生成しているSOECスタック、すなわち、通常の運転温度で電解電流が連続的に流されるスタックのみを扱っている。これらの出願では、スタックがスタートアップ、シャットダウンまたはホットアイドルの間にどのように運転されるかについては言及されていない。本出願人のWO2012159644(特許文献4)は、固体酸化物燃料電池(SOFC)の電気的アノード保護(EAP:electric anode protection)を記載している。本出願人のWO2011137916(特許文献5)は、SOFCの燃料電極をその寿命を通して酸化から保護という目的とともに、過渡運転、例えばスタートアップおよびシャットダウン運転の間の燃料電池スタック(SOFC)の電気的アノード保護を記載している。本出願人のWO2014114348(特許文献6)は、酸素分子の流入を最小化するために供給材料側および/または酸素側でN2フラッシングを行うSOECスタックのホットアイドルの場合を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2016091636
【特許文献2】WO2013131778
【特許文献3】WO2014254253
【特許文献4】WO2012159644
【特許文献5】WO2011137916
【特許文献6】WO2014114348
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、CO2電気分解および/またはH2O電気分解におけるSOECスタックのスタートアップ、シャットダウンおよびホットアイドル運転のための安全な方法を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、CO2をアノード側でフラッシュガスとして使用しながら、SOECスタックの安全かつ円滑な過渡運転を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらおよび他の目的は、本発明によって解決される。
【0012】
従って、第1の態様において、本発明は、カソード側およびアノード側を有する固体酸化物電解セル(SOEC)スタックの過渡運転のための方法であって、以下:
- 前記アノード側へCO2を含むフラッシュガスを供給すること;
- 活性セル面積1cm2あたり0.001~0.05A、例えば活性セル面積1cm2あたり0.01~0.05Aの低い電解電流を、それによってアノード側で酸素を生成するため、またはカソード側における既に利用可能な任意の酸素をアノード側に移すために、SOECスタック中のセルに流すこと、
を含む方法である。
【0013】
本発明は、低い電流が流されている時にアノード(オキシ電極)およびカソード(燃料電極)の両方の保護をもたらし、ならびに過渡運転の間のアノード側におけるフラッシュガスとしてのCO2の使用を提供する。それによって、オキシ電極および接触層における有害な炭酸塩形成のリスクが軽減される。さらに、前記SOECスタックはCO2および/またはH2O電気分解に適合されているために通常運転の間の使用のためにCO2が既に使用可能であり得るので、通常運転への/通常運転からの移行は円滑である。これにより、安全かつ円滑な過渡運転が達成される。
【0014】
通常、SOECスタックにおけるいずれかの電極の電気的保護、例えば電気的アノード保護、またはSOECスタックにおける同等の電気的カソード保護が存在し、かつ、SOECスタックにおけるアノード側で空気または不活性フラッシュガス、例えばN2が使用される従来技術とは対照的に、本発明は、同時にSOECスタックにおけるアノード側でCO2を含むフラッシュガスを使用しながら、簡単な方法で、オキシ電極だけでなく燃料電極の保護も可能にする。
【0015】
一実施態様において、前記方法は以下を含む:
(a)中断されたホットアイドル運転、ここで、ホットアイドル運転は、通常のSOECスタック運転温度より低い、例えば通常のSOECスタック運転温度よりも10~200℃、例えば、50~200℃または100~200℃低い温度でのSOECスタックの開放電圧(OCV)運転として定義され、前記の中断されたホットアイドル運転は、CO2を含む前記フラッシュガスを前記アノード側に供給し、前記低い電解電流をSOECスタックにおけるセルに流し、酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームを形成するために酸素を電気化学的に生成することによって行われる;
または
(b)CO2を含む前記フラッシュガスを前記アノード側に供給し、SOECスタックの先行の通常運転の間に生成する酸素を含むアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部を、フラッシュガスに、例えば前記の酸素を含むアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部をフラッシュガスと組み合わせることによって、リサイクルし;前記の低い電解電流をSOECスタックにおけるセルに流し、および酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームを形成するために酸素を電気化学的に生成することによる、シャットダウン運転;
または
(c)CO2を含むフラッシュガスを前記アノード側に供給することによる;およびCO2、CO、H2O、H2およびそれらの混合物のいずれか、任意にまた不活性物質、例えばN2、He、Arおよびそれらの混合物のいずれかを含むカソード側供給材料ガスストリームを、前記カソード側に供給し;カソード側における既に利用可能な前記酸素の少なくとも一部を前記アノード側に移すために、SOECスタックにおけるセルに前記の低い電解電流を流すことによる、スタートアップ運転。
【0016】
本明細書で使用される場合に、語句「カソード側における既に利用可能な任意の酸素」および「カソード側における既に利用可能な酸素」は、カソード側に漏れた可能性のある酸素を意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合に、語句「過渡運転」は、SOECスタックの非連続的な運転を意味し、スタックは、連続的な電流の供給を含む、SOECの通常運転に対応する定常状態に達していない。本明細書で使用される場合に、過渡運転は、ホットアイドルおよびそれに関してホットアイドルを中断すること、シャットダウンおよびスタートアップを含む。
【0018】
本明細書で使用される場合に、「ホットアイドル運転」はまた、「ホットアイドル」又は「ホットアイドルモード」とも呼ぶ。「ホットアイドル運転」はすでに上述したように、通常のSOECスタック運転温度より低い、例えば通常のSOECスタック運転温度よりも10~200℃、例えば、50~200℃または100~200℃低い温度でのSOECスタックの開放電圧(OCV)運転として定義される。OCVでは、外部負荷が接続されておらず、電流がなく、従って生成ガスも生成されない。電位差は、2つの電極におけるpO2差のみによる。
【0019】
本明細書で使用される場合に、シャットダウン運転または単にシャットダウンは、SOECスタックを冷却し、通常運転中に流された電流を除去することによって、通常運転から離れたSOECの運転を意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合に、SOECスタックのスタートアップ運転または単にスタートアップは、低い開始温度、例えば室温から、SOECの通常温度および通常運転に至るまでのSOECスタックの運転を意味する。
【0021】
通常運転は、活性セル面積1cm2あたり0.05Aより著しく高い、典型的には0.1A/cm2以上、例えば0.45A/cm2以上の電流を、600~1000℃、好適には700~750℃または700~800℃の通常SOECスタック運転温度で、連続的に流すことを含む。
【0022】
本明細書で使用される場合に、語句「CO2および/またはH2O電解」は、燃料側(カソード)での3つの運転モードを意味する:1)CO2電解、2)H2O電解、3)組み合わされたCO2およびH2O電解。
【0023】
本明細書で使用される場合に、「H2OおよびCO2電解」は、共電気分解、すなわち共電気分解モードを意味し、CO2および特にH2O(水蒸気)が電気分解される。従って、前記カソード側にH2OとCO2の混合物を供給することによって、SOECスタックが共電解モードでの通常運転を意図することは理解されよう。このようにして得られた、一酸化炭素および水素に富むカソード側生成物ガスストリームは、合成ガス(syngasまたはsynthesis gas)である。合成ガスは、当該技術分野において周知であるように、炭素酸化物、主に一酸化炭素、と水素とを含むガス混合物を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合に、語句「H2/N2」、または類似の語句、例えば「H2/H2O」は、対応する種の混合物を意味し、従って、H2/N2はH2とN2の混合物を意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合に、語句カソード側および燃料側は、互換的に使用される。また、カソードが、電気分解運転モードにおける燃料電極を意味することも理解されよう。
【0026】
本明細書で使用される場合に、語句アノード側およびオキシ側は、互換的に使用される。アノードが、電気分解運転モードにおける酸素(オキシー)電極を意味することは理解されよう。
【0027】
本明細書で使用される場合に、語句「Xに富む」は、例えばXが酸素である場合、「ストリームにおけるXの濃度が、対応の供給材料ガスにおけるXの濃度と比較して増加している」として理解される。
【0028】
本明細書で使用される場合に、語句「電気化学的に生成する」は、化学種が電気化学的プロセス、すなわち電子移動を伴う化学的プロセスを介して形成されるプロセスを指す。そのようなプロセスには、例えば、酸素発生反応(2O2-=O2+4e-)、水還元反応(H2O+2e-=H2+O2-)および二酸化炭素還元反応(CO2+2e-=CO+O2-)が含まれる。
【0029】
本明細書で使用される場合に、特定のガスストリーム、例えばアノード側生成物ガスストリーム「の少なくとも一部」という語句は、ガスストリーム全体または当該ストリームの一部分が使用されることを意味する。前記ガスストリームは、単純に、同一組成の各部分に分割されてもよい。ガスの成分の分離を指すことは意図されていない。
【0030】
本発明は、アノード側でフラッシュガスとしてCO2を使用する場合に、過渡運転の間にSOECスタックを安全に取り扱うことを確実にする。通常、過渡モード、例えば、ホットアイドルは、開放電圧(OCV)で実施され、すなわち、電流は流されない。従って、過渡モードの間、供給材料ガスがSOECスタックを通過するだけなので、多くの場合に生成物ガス自体は生成しない。
【0031】
さらに、本発明は、例えば実施態様(a)において、SOECスタックを、アノード側にフラッシュガスとしてCO2を含むガスを用いて運転し、0.001~0.05A/cm2、例えば0.01~0.05A/cm2の低電流を流して、アノード生成物ガスの一部として少量のO2を生成し、それによって酸素濃度(pO2)および従ってオキシ電極の安定性を確保することによって、さもなければ通常であるホットアイドル(通常、OCV下で実施される)を改変する。任意に、以下の実施態様に記載されるように、このように生成されたアノード生成物ガスのリサイクルが提供される。従って、ホットアイドルモードでの過渡運転は通常、OCVを伴い、すなわち電流を伴わないが、本発明は、活性セル面積1cm2あたり0.001~0.05A、例えば0.01~0.05A/cm2の低電流を流すことにより、ホットアイドルモードを意図的に中断する。アノードにおける炭酸塩形成のリスクが、pO2の増加により著しく減少する。
【0032】
別の態様において、本発明はまた、カソード側およびアノード側を有する固体酸化物電解セル(SOEC)スタックの過渡運転のための方法であって、以下:
CO2を含むフラッシュガスを前記アノード側に供給し、SOECスタックの先行の通常運転の間に生成する酸素を含むアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部を前記フラッシュガスにリサイクルし;任意に、引き続き、活性セル面積1cm2あたり0.001~0.05A、例えば0.01~0.05A/cm2の低い電解電流をSOECスタックにおけるセルに流し、および酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームを形成するために酸素を電気化学的に生成することによる、シャットダウン運転、
を含む方法を含む。
【0033】
従って、これは、本発明の第1の態様に従う実施態様(b)の代替を表す。従って、この代替実施態様によれば、本発明は、シャットダウンの間、アノード側におけるフラッシュガスとしてCO2を含むガスを用いてSOECスタックを運転し、SOECスタックの先行の通常運転下で生成される酸素を含むアノード生成物ガスをリサイクルすることを含む。低電流は流さない。通常運転は、アノード生成物ガスのリサイクルを含み得る。この代替実施態様は、通常運転の間に流された電流が除去された直後にシャットダウンモードで運転されるSOECスタックに対応する。アノードにおける炭酸塩形成のリスクが、pO2の増加により著しく減少する。任意に、前記の低電流が引き続いて流され、それによって、少量のO2がさらに生成し、オキシ電極に安定性がもたらされる。前記低電流は、リサイクルを依然として行っている間に、またはリサイクルを行った後にも、引き続き流してもよい。
【0034】
通常のSOECスタック運転(すなわち過渡運転ではない)の間、アノードとカソードとの間に挟まれた電解質が酸素イオン(O2-)をカソード(燃料電極)からアノード(オキシ電極)に移し、そこで酸素イオンが結合して酸素(O2)になる。実施態様(c)によるスタートアップ運転として本発明の方法を実施する場合、SOECスタックにおける電解質が、酸素イオン(O2-)をカソードから、例えば、反応CO2+2e-=CO+O2-またはH2O+2e-=H2+O2- から、アノードに移す。カソード側における既に利用可能な任意の酸素 -無用の漏れによってカソード側に移動したかもしれない望ましくない酸素- は、前記の低い電解電流でカソード側からアノード側に「送り出される(pumped)」。アノードにおける炭酸塩形成のリスクが、pO2の増加により著しく減少する。
【0035】
オキシ電極(アノード)における炭酸塩形成の可能性は、温度、CO2濃度およびO2濃度の関数である。通常よりも低い温度への曝露の間(スタートアップ、シャットダウン、ホットアイドルの間)の炭酸塩形成を回避するために、上述のように本発明は、オキシ電極の細孔の内部、およびまた、オキシ電極近傍の、例えばオキシ電極の上のガスチャネルにおけるO2の増加した濃度をもたらす。従って、本発明は、炭酸塩形成によるオキシ電極の劣化を防止し、それによって、特に通常運転下でのCO2および/またはH2O電解のために使用される場合に、SOECスタックの過渡運転下での安全な運転をもたらす。
【0036】
一実施態様において、運転(a)、すなわち中断されたホットアイドル運転はさらに以下を含む:酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部を、例えば酸素が富化されたアノード側生成物ガスの少なくとも一部をフラッシュガスと組み合わせることによって、リサイクルすること。前記の低電流が流されると、酸素がアノード側で生成され、アノード側生成物ガスストリームの一部として出る。これは、例えば酸素が富化されたアノード側生成物ガスの少なくとも一部をフラッシュガスと組み合わせることにより、リサイクルされる。従って、アノードにおける炭酸塩形成のリスクが、増加したpO2によりさらに軽減される。さらに、前記低電流の使用は、必要とされるリサイクルの量を低下させ、従って、リサイクルループにおける電力消費を低減する。
【0037】
一実施態様において、運転(a)、すなわち中断されたホットアイドルの酸素が富化されたアノード側生成物ガス、または運転(b)、すなわちシャットダウンの酸素を含むアノード側生成物ガスストリームは、5~100体積%、例えば10~60体積%、例えば20~40体積%;または例えば80~100体積%、例えば95~100体積%のO2の酸素含有率を有する。
【0038】
別の実施態様において、運転(a)、すなわち中断されたホットアイドル、または運転(b)シャットダウンにおいてリサイクルされる、酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部は、5体積%~90体積%、例えば、10、20、30、40、50、60、70、80または85体積%である。これらの値がフラッシュガスに対するリサイクルガスの量を表すことは理解されよう。安全上の理由から、リサイクルガス量は、50体積%以下、好適には5~50体積%の酸素含有率を維持するように調整される。O2濃度が高すぎると、特に酸素が生成物として使用されない運転モードにおいて、望ましくない。同時に、酸素の含有率は、オキシ電極の炭酸塩形成および解離を回避するのに十分に高い。
【0039】
一実施態様では、CO2を含むフラッシュガスが、5~100体積%のCO2、例えば20~100、40~100、50~100、60~100、70~100、80~100体積%のCO2を含む。特定の実施態様において、フラッシュガスは純粋なCO2である。ここで使用される場合に、純粋なCO2は、99.5体積%CO2以上の純度を有する。従って、ここで本発明の方法は、i)CO2が、通常運転の間、すなわちCOの生成の間に、スタックのアノード側(オキシ側)のフラッシュガスとして使用されることが意図され、かつ同時に、ii)酸素含有ガス、例えば空気または純粋な酸素が、特にスタートアップ、シャットダウンまたはホットアイドルの間にオキシ側フラッシングのために、提供されない場合に、適用可能である。また、通常、空気(N2/O2)が、SOECスタックの通常運転の間にアノード側におけるフラッシュガスとして使用される一方で、本発明は、CO2、好ましくは純粋なCO2を含むガスをフラッシュガスとして意図的に使用することも理解されよう。従って、SOECが例えば純粋なCOを生成するために使用され、従ってCO2フラッシュガスが(空気の代わりに)オキシ側で使用される場合に、本発明は特に有利である。それによって、フラッシュガス(空気)を提供するための専用の送風機または空気圧縮機の必要性がなく、これらはスタートアップ、シャットダウンおよび中断されたホットアイドルの間にだけ運転される必要があろう。
【0040】
好適には、CO2を含むフラッシュガスは、空気(N2/O2)を含まない。好適にはまた、窒素の含有率は低いか、または存在せず、すなわち、窒素は不在であり、例えば10体積%未満、または1体積%未満、例えば、0.1体積%または0体積%のN2である。好適には、純粋なCO2もまた存在しない。フラッシュガスにおいて窒素含有率が低いか、または窒素が存在しないことは、酸素富化ストリームにおける窒素含有率が低くなり、これは多くの場合に望ましい:低窒素は、例えばスタートアップの間の、SOECの燃料側に漏れる窒素のリスクを減少させる。そのような窒素は次いで除去される必要があり、そこでは後ほど通常運転の間に高純度の一酸化炭素がカソード側生成物ガス流として取り出される必要がある。
【0041】
注目すべきは、SOECのオキシ側がスタートアップ、シャットダウンまたはホットアイドルの間にフラッシュガスとしての純粋なCO2に曝露される場合、通常、オキシ電極において有害な炭酸塩形成のリスクがあることである。本発明により、このリスクは、オキシ側フラッシュガス中の酸素含有率を、例えばスタックのオキシ側から出る一部のガスをオキシ側入口にリサイクルして戻すことにより、増加させることによって、および/または上述のように、低い電解電流、すなわち活性セル面積1cm2あたり0.001~0.05A、例えば活性セル面積1cm2あたり0.01~0.05A/cm2を、スタックにおけるセルに流すことによって、防がれる。例えば、前記スタックは、1~5Aの範囲の電流及び109cm2または100cm2の活性セル面積(1つのセルの活性セル面積)を使用することができ、従って、流される低電流の上記範囲に対応する。また、本願の目的に関して、語句「電流」が上記で計算されたような「電流密度」としても理解されることは理解されよう。
【0042】
従って、前記低電流は、「電気的電極(アノード-カソード)保護」(electric electrode (anode-cathode) protection)に相当する。「アノード-カソード」が、「アノードおよびカソード」を意味することは理解されよう。従って、本願の目的に関して、語句「電気的電極(アノード-カソード)保護」は、流される低電流(活性セル面積1cm2あたり0.001~0.05A、例えば活性セル面積1cm2あたり0.01~0.05A)による、アノードおよびカソードの電気的保護を意味する。
【0043】
従って、本発明によって、低電流は、アノードとカソードの両方を保護する。これは、燃料電極(カソード)から無用のO2を「送り出し」て(pump)、その中のニッケルを還元状態に維持し、および同時にオキシ電極(アノード)をCO2との反応から保護し、なぜならこちら側でO2が発生して保護ガスとして作用するからである。
【0044】
一実施態様において、運転(c)、すなわちスタートアップ運転において、カソード側供給材料ガスは、1種または複数の還元性化学種、好適にはCOおよび/またはH2を、例えば1体積%の1種または複数の還元性化学種を含む。特定の実施態様において、カソード側供給材料ガスはまた、すなわち前記還元性化学種に加えて、CO2および/またはH2Oを含む。
【0045】
上述のように、カソード側に還元環境、例えば少なくとも1体積%の還元性化学種を有することが望ましい。従って、例えばH2Oおよび/またはCO2を伴うスタートアップにおいて、還元性化学種、特にH2および/またはCOも存在する。例えば、カソード側供給材料ガスは、CO/CO2を含み得る。
【0046】
特定の実施態様において、ステップ(c)はさらに以下を含む:
- 前記カソード側供給材料ガスを、通常のSOECスタック運転温度よりも100~200℃低い第1の温度、例えば550℃または650℃の第1の温度まで、加熱すること;
- 引き続き、前記カソード側供給材料ガスにおいてCO2および/またはH2Oを供給し、通常のSOECスタック運転温度まで、例えば750℃または800℃までさらに加熱すること。
【0047】
例えば、スタートアップは、室温(20~25℃)で開始することができ、希薄な(lean)H2混合物、例えば低含有率のH2を有するH2/N2混合物がカソード側供給材料ガスにおいて供給される。例えば650℃に加熱した後、CO2および/またはH2Oが提供され、次いで例えば750℃または800℃の必要とされる通常運転温度に加熱される。
【0048】
一実施態様では、前記方法が500~700℃以下の温度で運転することを含む。これらの温度は、SOECスタックの通常の運転温度よりも100~200℃低いことが理解されよう。例えば、運転温度は、好適には、本発明によると、すなわち過渡運転下で、500℃または550℃または600℃であり、SOECスタックの通常の温度は、それぞれ、例えば700℃または750℃または800℃である。
【0049】
十分な酸化物イオン伝導度に達するためには高温が必要であるが、高温は、例えば長いスタートアップ時間ももたらし得る。しかしながら、CO2の使用は特に800℃未満で問題であることが知られているため、SOECスタックのオキシ側において同時にCO2を使用しながら、温度を600℃以下に低下させてスタートアップ時間を減らすことは、非常に反直感的である。従って、本発明はまた、CO2を含むガスのフラッシュガスとしての所望の使用を同時に提供しながら、500~700℃以下の温度で運転することによってより短いスタートアップを提供することも可能とし、なぜなら炭酸塩生成のリスクが軽減されるためである。
【0050】
従って今回、SOECスタックは、SOECアノードがCO2を含む供給材料ガスに曝露されるにもかかわらず、著しい性能劣化なしに、過渡条件、特に通常運転中よりも低い温度で運転することができる。さらに、オキシ電極材料の選択におけるより良好な柔軟性が可能である。例えば、LSMはLSCFよりも安定であるにもかかわらず、ここではLSCFオキシ電極を使用することも可能である。後者は、LSMと比較して、固体酸化物電解セルにおけるオキシ電極としてより高い活性(性能)を有することが知られているので、特に好適である。
【0051】
二酸化炭素を使用することの有害な影響は、広範に研究されてきた。例えば、S.Darvishら(Journal of Power Sources, 336(2016)351-359)により、SrCO3生成の可能性が、温度、CO2分圧、O2分圧およびLSCF組成の関数として、熱力学的および電気化学的計算を用いて研究された。彼らは、CO2富化条件下でのLSCF分解が、以下の反応を介して起こることを提案した:
LSCF(反応物)+CO2=LSCF(生成物)+SrCO3+(Co,Fe)3O4+Fe2O3。
【0052】
ここで、LSCF(反応物)は、CO2曝露前のLSCFサンプルであり、LSCF(生成物)は、CO2曝露後のサンプル(新しい相の形成のため、LSCF(反応物)とは異なった組成を有し得る)であり、(Co,Fe)3O4はスピネル構造を有するコバルト-鉄混合酸化物であり、Co:Feの比は変化し得、Fe2O3はコランダムである。S.Darvishらは、高いCO2分圧および低いO2分圧がSrCO3形成の熱力学的可能性を増加させることを示した。より具体的には、彼らは、1)427℃超の温度で、SrCO3が研究した全ての温度において、より低い酸素分圧で安定になり;2)温度が高いほど、酸素分圧の変化がSrCO3の安定性に与える影響が著しくなることを示した。さらにより具体的には、彼らは、727℃の還元条件下(10-5気圧の酸素分圧)で30体積%のCO2に曝露すると、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3 (LSCF)の50%超が熱力学的にSrCO3に分解するはずであることを示した。さらに、SrCO3は、LSCF中のSr濃度が増加し、および/またはLSCF中のFe濃度が減少するにつれて、より安定になる。彼らはまた、(La0.8Sr0.2)0.98MnO3(LSM)の安定性をLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(LSCF)の安定性と比較し、LSMがCO2富化ガス中でLSCFよりも安定であると結論付けた。
【0053】
上記に加えてさらに、V.Esposito et al.,Solid State Ionics,227(2012)46-56は、組成La0.6Sr0.4CoO3-δ’を有するLSCが、800℃で純粋なCO2に曝露されると、La0.6Sr0.4-xO3-δ”+xSrCO3+0.5(δ’+δ”)O2+xCoOに分解することを示した。ここで、δ’およびδ’’は、ペロブスカイト中の酸素非化学量論を表し、xは分解の程度(0<x≦0.4)を表す。分解は、x線回折および熱重量分析によって確認された。LSC膜を通した酸素流量(すなわち性能)は、膜を780℃で純CO2に曝露した場合、4倍を超えて低下した。Esposito等は、「CO2の使用は800℃未満で特に有害である」と結論付けている。
【0054】
一実施態様において、スタックにおけるセルに流される低い電解電流は、活性セル面積1cm2あたり0.02~0.04A、例えば活性セル面積1cm2あたり0.03Aである。アノード側での低電流および従ってO2生成は、カソードチャンバへの漏れ速度(リーク電流と呼ばれることもある)に対抗しなければならない。この値は、フレッシュな純粋なスタックでは低くなるが(例えば0.001~0.005A/cm2)、スタックまたはガスケットが劣化すると、例えば0.05A/cm2以上まで、大きくなるが、その場合には、スタックは損傷を受けすぎて運転を継続できない。従って、スタックに流される前記低電流は、SOECスタックが過渡条件下で運転される場合にリーク電流も防止する。
【0055】
一実施態様において、前記の過渡運転はシャットダウン、すなわち運転(b)であり、不活性フラッシュガス、特にCO2を含むガスストリーム、例えば純CO2の流量が、活性セル面積1cm2あたり0.02NL/分以下、例えば活性セル面積1cm2あたり0.002NL/分である。前記流量は、前記電解電流を同時に流しながら使用される。また、これらが、SOECスタックのシャットダウンを実施する際に、オキシ電極の細孔内部の酸素濃度を増加させるのに特に適した条件であることも見出された。
【0056】
本発明の第1の態様の実施態様および関連する利点のいずれも、前記「本発明の別の態様」に従う代替実施態様とともに使用できること、および逆もまた同様であることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】
図1は、CO
2フラッシュに暴露された、ホットアイドル電解セル(OCV下、すなわち電流なし;過渡運転)のオキシ電極の細孔内部および周囲のO
2濃度を示す概略図である。
【
図2】
図2は、CO
2フラッシュに暴露された通常運転下(過渡運転なし)の電解セルのオキシ電極の細孔内部および周辺のO
2濃度を示す概略図である。
【
図3】本発明、特に本発明の前記の別の態様による実施態様に従う
図3は、CO
2フラッシュに曝露されたがオキシ側リサイクルを伴うホットアイドル電解セル(OCV下、すなわち電流なし;過渡運転)のオキシ電極の細孔内部および周囲のO
2濃度を概略的に示す:通常運転中に使用された電流を直ちに除去した後にシャットダウン。
【
図4】本発明に従う
図4は、CO
2フラッシュに曝露された、中断されたホットアイドル電解セルのオキシ電極の細孔内部および周囲のO
2濃度を概略的に示す:ホットアイドル過渡運転、ただし、低電解電流を流すことによって中断され、従って「電気的電極(アノードーカソード)保護」を可能に。
【0058】
図1を参照すると、SrドープLa(Co,Fe)O
3(LSCF)オキシ電極は、CO
2フラッシュガスに曝露される。酸素分圧(pO
2)が、オキシ電極の長さおよび高さ(厚さ、h)に沿って、ガス入口に対応する長さx=0からガス出口に対応する長さx=Lまで示される。酸素の不在または非常に低いpO
2は、炭酸塩形成のリスクを増加させる。
【0059】
図2を参照すると、通常運転下、SrドープLa(Co,Fe)O
3(LSCF)オキシ電極は、CO
2フラッシュガスに曝露される。電解質を通る酸素イオン流は、オキシ電極を通して、しかしまたガス入口(x=0)からガス出口(x=L)までオキシ電極の上方のガスチャネルにおいても、酸素勾配をもたらす。増加したpO
2のために、通常運転の間の炭酸塩リスクが低下する。
【0060】
図3(本発明の別の態様)を参照すると、リサイクルガス中の酸素が、至る所でpO
2を増加させることが観察される。オキシ電解質を通してpO
2の減少は起こらず、オキシ電解質を通して酸素の勾配は存在しない。同様に、ガス入口(x=0)からガス出口(x=L)まで、オキシ電極の上方のガスチャネルにおいて酸素勾配は存在しない。増加したpO
2のために、炭酸塩リスクが著しく低下する。
【0061】
図4(本発明)を参照すると、
図2に関連して観察されたものと同様に、炭酸塩リスクがまた、増加したpO
2(
図3と同じ高レベルのpO
2ではないが)のために低下する。
【0062】
図3におけるようなリサイクルを、
図4におけるように低電流を流すこと(「電気的電極(アノードーカソード)保護」)と組み合わせると、炭酸塩のリスクを大幅に低減することの他に、必要とされるリサイクルも減少させ、従ってリサイクルループにおける電力消費も低減させる。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
図3におけるようなリサイクルを、
図4におけるように低電流を流すこと(「電気的電極(アノードーカソード)保護」)と組み合わせると、炭酸塩のリスクを大幅に低減することの他に、必要とされるリサイクルも減少させ、従ってリサイクルループにおける電力消費も低減させる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.カソード側およびアノード側を有する固体酸化物電解セル(SOEC)スタックの過渡運転のための方法であって、以下:
- 前記アノード側へCO
2
を含むフラッシュガスを供給すること;
- アノード側で酸素を生成するため、またはカソード側における既に利用可能な任意の酸素をアノード側に移すために、活性セル面積1cm
2
あたり0.001~0.05Aの低い電解電流を、SOECスタックにおけるセルに流すこと、
を含む方法。
2.前記の低い電解電流が、活性セル面積1cm
2
あたり0.01~0.05Aである、上記1に記載の方法。
3.以下:
(a)中断されたホットアイドル運転、ここで、ホットアイドル運転は、通常のSOECスタック運転温度より低い、例えば通常のSOECスタック運転温度よりも10~200℃、例えば、50~200℃または100~200℃低い温度でのSOECスタックの開放電圧(OCV)運転として定義され、前記の中断されたホットアイドル運転は、CO
2
を含む前記フラッシュガスを前記アノード側に供給し、前記低い電解電流をSOECスタックにおけるセルに流し、および酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームを形成するために酸素を電気化学的に生成することによって行われる;
または
(b)CO
2
を含む前記フラッシュガスを前記アノード側に供給し、SOECスタックの先行の通常運転の間に生成する酸素を含むアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部を、例えば前記の酸素を含むアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部をフラッシュガスと組み合わせることによって、フラッシュガスにリサイクルし;前記の低い電解電流をSOECスタックにおけるセルに流し、および酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームを形成するために酸素を電気化学的に生成することによる、シャットダウン運転;
または
(c)CO
2
を含むフラッシュガスを前記アノード側に供給することによる;およびCO
2
、CO、H
2
O、H
2
およびそれらの混合物のいずれか、任意にまた不活性物質、例えばN
2
、He、Arおよびそれらの混合物のいずれかを含むカソード側供給材料ガスストリームを、前記カソード側に供給し;カソード側における既に利用可能な前記酸素の少なくとも一部を前記アノード側に移すために、SOECスタックにおけるセルに前記の低い電解電流を流すことによる、スタートアップ運転、
を含む、上記1または2に記載の方法。
4.(a)がさらに、
酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部をリサイクルすること、
を含む、上記3に記載の方法。
5.運転(a)の酸素が富化されたアノード側生成物ガス、または運転(b)の酸素を含むアノード側生成物ガスストリームが、5~100体積%、例えば10~60体積%、例えば20~40体積%、または例えば80~100体積%、例えば95~100体積%のO
2
という酸素含有率を有する、上記3または4に記載の方法。
6.運転(a)または(b)においてリサイクルされる、酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部が、5体積%~90体積%の間、例えば、10、20、30、40、50、60、70、80または85体積%、好適には5~50体積%の範囲内である、上記3~5のいずれか1つに記載の方法。
7.CO
2
を含むフラッシュガスが、5~100体積%のCO
2
、例えば20~100、40~100、50~100、60~100、70~100、80~100体積%のCO
2
を含み、好適には、前記フラッシュガスが99.5体積%以上のCO
2
を有する純CO
2
である、上記1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.(c)、すなわちスタートアップ運転において、カソード側供給材料ガスが、1種または複数の還元性化学種、好適にはCOおよび/またはH
2
、ならびに前記還元性化学種に加えて、CO
2
および/またはH
2
Oを含む、上記1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.(c)が以下:
- 前記カソード側供給材料ガスを、通常のSOECスタック運転温度よりも100~200℃低い第1の温度まで加熱すること;
- 引き続き、前記カソード側供給材料ガスにおけるCO
2
および/またはH
2
Oの濃度を増加させ、通常のSOECスタック運転温度までさらに加熱すること、
をさらに含む、上記8に記載の方法。
10.(a)中断されたホットアイドル運転、(b)シャットダウン運転または(c)スタートアップ運転のいずれかが、500~700℃またはそれ未満の温度で運転されることを含む、上記1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.スタックにおけるセルに流される低い電解電流が、活性セル面積1cm
2
あたり0.02~0.04A、例えば活性セル面積1cm
2
あたり0.03Aである、上記1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.前記の過渡運転がシャットダウン、すなわち運転(b)であり、不活性フラッシュガス、特にCO
2
を含むガスストリーム、例えば純CO
2
の流量が、活性セル面積1cm
2
あたり0.02NL/分以下、例えば活性セル面積1cm
2
あたり0.002NL/分である、上記1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.カソード側およびアノード側を有する固体酸化物電解セル(SOEC)スタックの過渡運転のための方法であって、
CO
2
を含むフラッシュガスを前記アノード側に供給し、SOECスタックの先行の通常運転の間に生成する酸素を含むアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部を前記フラッシュガスにリサイクルし;任意に、引き続き、活性セル面積1cm
2
あたり0.001~0.05Aの低い電解電流をSOECスタックにおけるセルに流し、および酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームを形成するために酸素を電気化学的に生成することによる、シャットダウン運転、
を含む、前記方法。
14.前記の低い電解電流が、活性セル面積1cm
2
あたり0.01~0.05Aである、上記13に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード側およびアノード側を有する固体酸化物電解セル(SOEC)スタックの過渡運転のための方法であって、以下:
- 前記アノード側へCO
2を含むフラッシュガスを供給すること;
- アノード側で酸素を生成するため、またはカソード側における既に利用可能な任意の酸素をアノード側に移すために、活性セル面積1cm
2あたり0.001~0.05Aの低い電解電流を、SOECスタックにおけるセルに流すこと、
を含む方法。
【請求項2】
前記の低い電解電流が、活性セル面積1cm
2あたり0.01~0.05Aである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下:
(a)中断されたホットアイドル運転、ここで、ホットアイドル運転は、通常のSOECスタック運転温度より低い、例えば通常のSOECスタック運転温度よりも10~200℃、例えば、50~200℃または100~200℃低い温度でのSOECスタックの開放電圧(OCV)運転として定義され、前記の中断されたホットアイドル運転は、CO
2を含む前記フラッシュガスを前記アノード側に供給し、前記低い電解電流をSOECスタックにおけるセルに流し、および酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームを形成するために酸素を電気化学的に生成することによって行われる;
または
(b)CO
2を含む前記フラッシュガスを前記アノード側に供給し、SOECスタックの先行の通常運転の間に生成する酸素を含むアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部を、例えば前記の酸素を含むアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部をフラッシュガスと組み合わせることによって、フラッシュガスにリサイクルし;前記の低い電解電流をSOECスタックにおけるセルに流し、および酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームを形成するために酸素を電気化学的に生成することによる、シャットダウン運転;
または
(c)CO
2を含むフラッシュガスを前記アノード側に供給することによる;およびCO
2、CO、H
2O、H
2およびそれらの混合物のいずれか、任意にまた不活性物質、例えばN
2、He、Arおよびそれらの混合物のいずれかを含むカソード側供給材料ガスストリームを、前記カソード側に供給し;カソード側における既に利用可能な前記酸素の少なくとも一部を前記アノード側に移すために、SOECスタックにおけるセルに前記の低い電解電流を流すことによる、スタートアップ運転、
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
(a)がさらに、
酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部をリサイクルすること、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
運転(a)の酸素が富化されたアノード側生成物ガス、または運転(b)の酸素を含むアノード側生成物ガスストリームが、5~100体積%、例えば10~60体積%、例えば20~40体積%、または例えば80~100体積%、例えば95~100体積%のO
2という酸素含有率を有する、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
運転(a)または(b)においてリサイクルされる、酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部が、5体積%~90体積%の間、例えば、10、20、30、40、50、60、70、80または85体積%、好適には5~50体積%の範囲内である、請求項3
または4に記載の方法。
【請求項7】
CO
2を含むフラッシュガスが、5~100体積%のCO
2、例えば20~100、40~100、50~100、60~100、70~100、80~100体積%のCO
2を含み、好適には、前記フラッシュガスが99.5体積%以上のCO
2を有する純CO
2である、請求項1
または3に記載の方法。
【請求項8】
(c)、すなわちスタートアップ運転において、カソード側供給材料ガスが、1種または複数の還元性化学種、好適にはCOおよび/またはH
2、ならびに前記還元性化学種に加えて、CO
2および/またはH
2Oを含む、請求項
3または4に記載の方法。
【請求項9】
(c)が以下:
- 前記カソード側供給材料ガスを、通常のSOECスタック運転温度よりも100~200℃低い第1の温度まで加熱すること;
- 引き続き、前記カソード側供給材料ガスにおけるCO
2および/またはH
2Oの濃度を増加させ、通常のSOECスタック運転温度までさらに加熱すること、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(a)中断されたホットアイドル運転、(b)シャットダウン運転または(c)スタートアップ運転のいずれかが、500~700℃またはそれ未満の温度で運転されることを含む、請求項
3または4に記載の方法。
【請求項11】
スタックにおけるセルに流される低い電解電流が、活性セル面積1cm
2あたり0.02~0.04A、例えば活性セル面積1cm
2あたり0.03Aである、請求項
3または4に記載の方法。
【請求項12】
前記の過渡運転がシャットダウン、すなわち運転(b)であり、不活性フラッシュガス、特にCO
2を含むガスストリーム、例えば純CO
2の流量が、活性セル面積1cm
2あたり0.02NL/分以下、例えば活性セル面積1cm
2あたり0.002NL/分である、請求項
3または4に記載の方法。
【請求項13】
カソード側およびアノード側を有する固体酸化物電解セル(SOEC)スタックの過渡運転のための方法であって、
CO
2を含むフラッシュガスを前記アノード側に供給し、SOECスタックの先行の通常運転の間に生成する酸素を含むアノード側生成物ガスストリームの少なくとも一部を前記フラッシュガスにリサイクルし;任意に、引き続き、活性セル面積1cm
2あたり0.001~0.05Aの低い電解電流をSOECスタックにおけるセルに流し、および酸素が富化されたアノード側生成物ガスストリームを形成するために酸素を電気化学的に生成することによる、シャットダウン運転、
を含む、前記方法。
【請求項14】
前記の低い電解電流が、活性セル面積1cm
2あたり0.01~0.05Aである、請求項13に記載の方法。
【国際調査報告】