(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】電流感知のためのフラックスゲート変換器
(51)【国際特許分類】
G01R 33/04 20060101AFI20240711BHJP
G01R 15/18 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
G01R33/04
G01R15/18 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503695
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2022069946
(87)【国際公開番号】W WO2023001719
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520011360
【氏名又は名称】レム・インターナショナル・エスエイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】バルテルミー・ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】クーテリエ・ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】レクディム・アテフ
【テーマコード(参考)】
2G017
2G025
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AB09
2G017AD42
2G017BA03
2G017BA10
2G017BA11
2G025AA14
2G025AB14
2G025AC05
(57)【要約】
フラックスゲート電流変換器(2)であって、制御回路(4)と、励磁コイル(8)によって囲まれた可飽和軟磁性コア(6)を含むフラックスゲート装置(2)と、を含み、制御回路は、軟磁性コアを交互に飽和させるために交流磁場を発生するように構成された励磁コイルに接続された励磁コイル駆動回路を含む、フラックスゲート電流変換器。励磁コイルは、第1の巻線(8a)および第2の巻線(8b)を含み、これらは、第1の巻線の入力および第2の巻線の出力を形成する共通点(9)において一緒に接続されており、第1の巻線は、第1のスイッチ(S1)に直列に接続され、第2の巻線は、第2のスイッチ(S2)に直列に接続されている。第1および第2のスイッチは、制御回路によって制御されて、第1の方向の磁場を磁性コアに発生させる励磁コイル電流を第1の巻線に供給し、第1の方向とは反対の第2の方向の磁場を磁性コアに発生させる励磁コイル電流を第2の巻線に供給する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラックスゲート電流変換器(2)であって、
制御回路(4)と、励磁コイル(8)によって囲まれた可飽和軟磁性コア(6)を含むフラックスゲート装置(2)と、を含み、
前記制御回路は、前記軟磁性コアを交互に飽和させるために交流磁場を発生するように構成された前記励磁コイルに接続された励磁コイル駆動回路を含み、
前記励磁コイルは、第1の巻線(8a)および第2の巻線(8b)を含み、これらは、前記第1の巻線の入力および前記第2の巻線の出力を形成する共通点(9)において一緒に接続されており、
前記第1の巻線は、第1のスイッチ(S1)に直列に接続され、前記第2の巻線は、第2のスイッチ(S2)に直列に接続され、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、前記制御回路によって制御されて、第1の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第1の巻線に供給し、前記第1の方向とは反対の第2の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第2の巻線に供給し、
前記制御回路は、前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)を含み、
前記制御回路は、前記コンパレータの出力に接続され、一方の励磁コイル巻線から他方の励磁コイル巻線に切り替わる間にデッドタイムを導入することを含め、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの動作のタイミングを制御するように構成されたPWMモジュール(28)を含む、フラックスゲート電流変換器。
【請求項2】
前記コンパレータ(24)の第1の入力(16a)は、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続されている、請求項1に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項3】
前記コンパレータの第2の入力が、前記コンパレータの出力レベルを調整するための調整可能な基準電圧を供給するDAC(16b)に接続されている、請求項1に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項4】
PWMモジュール(28)によって提供されるデッドタイムを含む相補信号を生成するために、前記PWMモジュールの出力に接続された組み合わせおよび順序論理セル(30)をさらに含む、請求項3に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項5】
スイッチング信号のタイミングを捕捉するために、前記PWMモジュール(28)の出力に接続されたキャプチャモジュール(32)を含む、請求項3に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項6】
前記変換器は、ADCモジュール(18)を含む、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続されたアナログ測定チャネル(M2)を含む、請求項1に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項7】
前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールの供給基準電圧を制御するための基準電圧源を含む、請求項6に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項8】
前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに接続され、前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)の入力(16b)にさらに接続された、DAC(26)をさらに含む、請求項6に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項9】
前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに供給される信号の測定値のゲインを増加させ、オフセットをスケーリングする増幅器(42)をさらに含む、請求項6に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項10】
前記制御回路は、前記フラックスゲート装置のハイサイドに接続された第1の抵抗器(12)をさらに含み、前記制御回路は、前記第1の抵抗器と並列のバイパス回路(14)に配置された第3のスイッチS3をさらに含み、これは、前記スイッチが閉位置に切り替えられたときに前記第1の抵抗器を短絡するように構成されている、請求項1に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項11】
前記磁性コア(6)に巻き付けられた試験巻線(10)をさらに含み、前記試験巻線は、ユーザーシステム(3)の電子回路に接続されるよう、前記フラックスゲート変換器の接続インターフェース(44)に接続されている、請求項1に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項12】
前記試験巻線は、前記試験巻線が第3の測定チャネルM3を提供するように、前記ユーザーシステム(3)から試験電流を受信し、かつ前記フラックスゲート装置内の磁場の測定信号に対応する第2の動作モードで前記ユーザーシステム(3)に電圧を出力するように構成されている、請求項11に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項13】
前記フラックスゲート変換器は、ユーザーシステム(3)に接続され、第1のPWMチャネルM1、第2のアナログチャネルM2、および前記試験巻線(10)によって提供される第3のチャネルM3の少なくとも3つの測定チャネルを有する電流測定システムを一緒に形成し、前記ユーザーシステムは、正しい動作または欠陥のある動作を決定するために、前記3つの測定チャネルからの測定信号の比較を計算するように構成されている、請求項1に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項14】
前記ユーザシステム(3)の電子回路は、前記測定チャネルの1つに影響する障害が発生した場合には、前記3つの測定信号のうち、互いに最も近い値を有する2つの測定信号を使用し、残りの測定信号を破棄するように構成されている、請求項13に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項15】
フラックスゲート電流変換器(2)であって、
制御回路(4)と、励磁コイル(8)によって囲まれた可飽和軟磁性コア(6)を含むフラックスゲート装置(2)と、を含み、
前記制御回路は、前記軟磁性コアを交互に飽和させるために交流磁場を発生するように構成された前記励磁コイルに接続された励磁コイル駆動回路を含み、
前記励磁コイルは、第1の巻線(8a)および第2の巻線(8b)を含み、これらは、前記第1の巻線の入力および前記第2の巻線の出力を形成する共通点(9)において一緒に接続されており、
前記第1の巻線は、第1のスイッチ(S1)に直列に接続され、前記第2の巻線は、第2のスイッチ(S2)に直列に接続され、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、前記制御回路によって制御されて、第1の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第1の巻線に供給し、前記第1の方向とは反対の第2の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第2の巻線に供給し、
前記変換器は、ADCモジュール(18)を含む、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続されたアナログ測定チャネル(M2)を含み、
前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに接続され、前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)の入力(16b)にさらに接続された、DAC(26)をさらに含む、フラックスゲート電流変換器。
【請求項16】
前記制御回路は、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)を含む、請求項15に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項17】
前記コンパレータの第2の入力が、前記コンパレータの出力レベルを調整するための調整可能な基準電圧を供給するDAC(16b)に接続されている、請求項16に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項18】
前記制御回路は、前記コンパレータの出力に接続され、一方の励磁コイル巻線から他方の励磁コイル巻線に切り替わる間にデッドタイムを導入することを含め、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの動作のタイミングを制御するように構成されたPWMモジュール(28)を含む、請求項16に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項19】
PWMモジュール(28)によって提供されるデッドタイムを含む相補信号を生成するために、前記PWMモジュールの出力に接続された組み合わせおよび順序論理セル(30)をさらに含む、請求項18に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項20】
スイッチング信号のタイミングを捕捉するために、前記PWMモジュール(28)の出力に接続されたキャプチャモジュール(32)を含む、請求項18に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項21】
前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに供給される信号の測定値のゲインを増加させ、オフセットをスケーリングする増幅器(42)をさらに含む、請求項15に記載のフラックスゲート電流。
【請求項22】
前記制御回路は、前記フラックスゲート装置のハイサイドに接続された第1の抵抗器(12)をさらに含み、前記制御回路は、前記第1の抵抗器と並列のバイパス回路(14)に配置された第3のスイッチS3をさらに含み、これは、前記スイッチが閉位置に切り替えられたときに前記第1の抵抗器を短絡するように構成されている、請求項15に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項23】
前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールの供給基準電圧を制御するために基準電圧源を含む、請求項22に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項24】
前記磁性コア(6)に巻き付けられた試験巻線(10)をさらに含み、前記試験巻線は、ユーザーシステム(3)の電子回路に接続されるよう、前記フラックスゲート変換器の接続インターフェース(44)に接続されている、請求項15に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項25】
前記試験巻線は、前記試験巻線が第3の測定チャネルM3を提供するように、前記ユーザーシステム(3)から試験電流を受信し、かつ前記フラックスゲート装置内の磁場の測定信号に対応する第2の動作モードで前記ユーザーシステム(3)に電圧を出力するように構成されている、請求項24に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項26】
前記フラックスゲート変換器は、ユーザーシステム(3)に接続され、第1のPWMチャネルM1、第2のアナログチャネルM2、および前記試験巻線(10)によって提供される第3のチャネルM3の少なくとも3つの測定チャネルを有する電流測定システムを一緒に形成し、前記ユーザーシステムは、正しい動作または欠陥のある動作を決定するために、前記3つの測定チャネルからの測定信号の比較を計算するように構成されている、請求項15に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項27】
前記ユーザシステム(3)の電子回路は、前記測定チャネルの1つに影響する障害が発生した場合には、前記3つの測定信号のうち、互いに最も近い値を有する2つの測定信号を使用し、残りの測定信号を破棄するように構成されている、請求項26に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項28】
フラックスゲート電流変換器(2)であって、
制御回路(4)と、励磁コイル(8)によって囲まれた可飽和軟磁性コア(6)を含むフラックスゲート装置(2)と、を含み、
前記制御回路は、前記軟磁性コアを交互に飽和させるために交流磁場を発生するように構成された前記励磁コイルに接続された励磁コイル駆動回路を含み、
前記励磁コイルは、第1の巻線(8a)および第2の巻線(8b)を含み、これらは、前記第1の巻線の入力および前記第2の巻線の出力を形成する共通点(9)において一緒に接続されており、
前記第1の巻線は、第1のスイッチ(S1)に直列に接続され、前記第2の巻線は、第2のスイッチ(S2)に直列に接続され、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、前記制御回路によって制御されて、第1の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第1の巻線に供給し、前記第1の方向とは反対の第2の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第2の巻線に供給し、
前記制御回路は、前記フラックスゲート装置のハイサイドに接続された第1の抵抗器(12)をさらに含み、
前記制御回路は、前記第1の抵抗器と並列のバイパス回路(14)に配置された第3のスイッチS3をさらに含み、これは、前記スイッチが閉位置に切り替えられたときに前記第1の抵抗器を短絡するように構成されており、
前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールの供給基準電圧を制御するための基準電圧源を含む、フラックスゲート電流変換器。
【請求項29】
前記制御回路は、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)を含む、請求項28に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項30】
前記コンパレータの第2の入力が、前記コンパレータの出力レベルを調整するための調整可能な基準電圧を供給するDAC(16b)に接続されている、請求項29に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項31】
前記制御回路は、前記コンパレータの出力に接続され、一方の励磁コイル巻線から他方の励磁コイル巻線に切り替わる間にデッドタイムを導入することを含め、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの動作のタイミングを制御するように構成されたPWMモジュール(28)を含む、請求項29に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項32】
PWMモジュール(28)によって提供されるデッドタイムを含む相補信号を生成するために、前記PWMモジュールの出力に接続された組み合わせおよび順序論理セル(30)をさらに含む、請求項31に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項33】
スイッチング信号のタイミングを捕捉するために、前記PWMモジュール(28)の出力に接続されたキャプチャモジュール(32)を含む、請求項31に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項34】
前記変換器は、ADCモジュール(18)を含む、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続されたアナログ測定チャネル(M2)を含む、請求項28に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項35】
前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに接続され、前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)の入力(16b)にさらに接続された、DAC(26)をさらに含む、請求項34に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項36】
前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに供給される信号の測定値のゲインを増加させ、オフセットをスケーリングする増幅器(42)をさらに含む、請求項35に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項37】
前記磁性コア(6)に巻き付けられた試験巻線(10)をさらに含み、前記試験巻線は、ユーザーシステム(3)の電子回路に接続されるよう、前記フラックスゲート変換器の接続インターフェース(44)に接続されている、請求項28に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項38】
前記試験巻線は、前記試験巻線が第3の測定チャネルM3を提供するように、前記ユーザーシステム(3)から試験電流を受信し、かつ前記フラックスゲート装置内の磁場の測定信号に対応する第2の動作モードで前記ユーザーシステム(3)に電圧を出力するように構成されている、請求項37に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項39】
前記フラックスゲート変換器は、ユーザーシステム(3)に接続され、第1のPWMチャネルM1、第2のアナログチャネルM2、および前記試験巻線(10)によって提供される第3のチャネルM3の少なくとも3つの測定チャネルを有する電流測定システムを一緒に形成し、前記ユーザーシステムは、正しい動作または欠陥のある動作を決定するために、前記3つの測定チャネルからの測定信号の比較を計算するように構成されている、請求項28に記載のフラックスゲート変換器。
【請求項40】
前記ユーザシステム(3)の電子回路は、前記測定チャネルの1つに影響する障害が発生した場合には、前記3つの測定信号のうち、互いに最も近い値を有する2つの測定信号を使用し、残りの測定信号を破棄するように構成されている、請求項39に記載のフラックスゲート変換器。
【請求項41】
フラックスゲート電流変換器(2)であって、
制御回路(4)と、励磁コイル(8)によって囲まれた可飽和軟磁性コア(6)を含むフラックスゲート装置(2)と、を含み、
前記制御回路は、前記軟磁性コアを交互に飽和させるために交流磁場を発生するように構成された前記励磁コイルに接続された励磁コイル駆動回路を含み、
前記励磁コイルは、第1の巻線(8a)および第2の巻線(8b)を含み、これらは、前記第1の巻線の入力および前記第2の巻線の出力を形成する共通点(9)において一緒に接続されており、
前記第1の巻線は、第1のスイッチ(S1)に直列に接続され、前記第2の巻線は、第2のスイッチ(S2)に直列に接続され、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、前記制御回路によって制御されて、第1の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第1の巻線に供給し、前記第1の方向とは反対の第2の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第2の巻線に供給し、
前記フラックスゲート変換器は、ユーザーシステム(3)に接続され、第1のPWMチャネルM1、第2のアナログチャネルM2、および前記試験巻線(10)によって提供される第3のチャネルM3の少なくとも3つの測定チャネルを有する電流測定システムを一緒に形成し、前記ユーザーシステムは、正しい動作または欠陥のある動作を決定するために、前記3つの測定チャネルからの測定信号の比較を計算するように構成されている、フラックスゲート電流変換器。
【請求項42】
前記制御回路は、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)を含む、請求項41に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項43】
前記コンパレータの第2の入力が、前記コンパレータの出力レベルを調整するための調整可能な基準電圧を供給するDAC(16b)に接続されている、請求項42に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項44】
前記制御回路は、前記コンパレータの出力に接続され、一方の励磁コイル巻線から他方の励磁コイル巻線に切り替わる間にデッドタイムを導入することを含め、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの動作のタイミングを制御するように構成されたPWMモジュール(28)を含む、請求項42に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項45】
PWMモジュール(28)によって提供されるデッドタイムを含む相補信号を生成するために、前記PWMモジュールの出力に接続された組み合わせおよび順序論理セル(30)をさらに含む、請求項44に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項46】
スイッチング信号のタイミングを捕捉するために、前記PWMモジュール(28)の出力に接続されたキャプチャモジュール(32)を含む、請求項44に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項47】
前記変換器は、ADCモジュール(18)を含む、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続されたアナログ測定チャネル(M2)を含む、請求項41に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項48】
前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに接続され、前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)の入力(16b)にさらに接続された、DAC(26)をさらに含む、請求項47に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項49】
前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに供給される信号の測定値のゲインを増加させ、オフセットをスケーリングする増幅器(42)をさらに含む、請求項48に記載の電流変換器。
【請求項50】
前記制御回路は、前記フラックスゲート装置のハイサイドに接続された第1の抵抗器(12)をさらに含み、前記制御回路は、前記第1の抵抗器と並列のバイパス回路(14)に配置された第3のスイッチS3をさらに含み、これは、前記スイッチが閉位置に切り替えられたときに前記第1の抵抗器を短絡するように構成されている、請求項41に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項51】
前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールの供給基準電圧を制御するために基準電圧源を含む、請求項50に記載のフラックスゲート変換器。
【請求項52】
前記磁性コア(6)に巻き付けられた試験巻線(10)をさらに含み、前記試験巻線は、ユーザーシステム(3)の電子回路に接続されるよう、前記フラックスゲート変換器の接続インターフェース(44)に接続されている、請求項41に記載のフラックスゲート電流変換器。
【請求項53】
前記試験巻線は、前記試験巻線が第3の測定チャネルM3を提供するように、前記ユーザーシステム(3)から試験電流を受信し、かつ前記フラックスゲート装置内の磁場の測定信号に対応する第2の動作モードで前記ユーザーシステム(3)に電圧を出力するように構成されている、請求項52に記載のフラックスゲート変換器。
【請求項54】
前記ユーザシステム(3)の電子回路は、前記測定チャネルの1つに影響する障害が発生した場合には、前記3つの測定信号のうち、互いに最も近い値を有する2つの測定信号を使用し、残りの測定信号を破棄するように構成されている、請求項41に記載のフラックスゲート変換器。
【請求項55】
消磁手順を実行するために請求項1、15、28、または41に記載のフラックスゲート変換器を動作させる方法であって、
ステップa)前記フラックスゲート装置の発振を停止することと、
ステップb)ステップaの後、限られた数の半周期、好ましくは20半周期未満、より好ましくは10半周期未満、例えば1~5半周期の持続時間にわたり、固定周波数および高い第1の飽和深度で前記フラックスゲート装置の発振を再開することと、
ステップe)ステップbの後、前記フラックスゲート装置の発振を停止することと、
ステップi)ステップeの後、前記第1の飽和深度より小さい中間の第2の飽和深度で前記フラックスゲート装置を自動発振シーケンスで動作させることと、
ステップj)ステップiの後、前記飽和深度を公称値まで漸減させることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流測定用途で使用されるフラックスゲート変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
フラックスゲート変換器は、電流測定用途で使用されることがよく知られており、それによって、フラックスゲート変換器は、測定される電流を搬送する1つ以上の一次導体によって発生する磁場の強度を測定する。フラックスゲート変換器は、可飽和軟磁性コアを含み、これは、軟磁性コアを交互に飽和させるように構成された制御回路に接続された励磁コイルによって囲まれている。特定の構成では、フラックスゲート変換器は、1つ以上の一次導体が中を通って延びる中央通路を囲む磁気回路コアのエアギャップ内に配置される小型の磁場感知構成要素である。別の既知の構成では、フラックスゲート可飽和磁性コア自体が、一次導体が中を通過する中央通路を形成している。
【0003】
閉ループ変換器では、磁気回路コアに磁気的に結合され、信号処理回路にフィードバック回路で接続された補償コイルがあり、補償コイルは一次導体によって発生する磁場を打ち消そうとする。このような配置は周知である。補償コイルがない、開ループ方式で、フラックスゲート変換器を使用することが可能であるが、フラックスゲート変換器の感度の高さを考慮して、それらは主に閉ループ構成で使用される。
【0004】
フラックスゲート変換器が磁気回路コアのエアギャップ内に配置された小型の磁場感知構成要素である構成では、補償コイルはエアギャップを有する磁気回路に巻き付けられ得るが、一次導体が中を通過する中央通路をフラックスゲート可飽和磁性コア自体が形成する構成では、励磁コイルが補償電流を供給するのに使用され得る。後者の場合、励磁電流信号は補償電流信号に重畳される。
【0005】
フラックスゲート変換器は、1つ以上の一次導体に流れる一次電流または差動電流の正確な測定を提供する。フラックスゲート変換器は、ホール効果検出器を使用する広く知られた変換器と比較して、高い感度および低いオフセットを有する。さらに、フラックスゲート変換器は、一次側と二次側との間の良好な絶縁を提供し、低周波AC電流(数kHzまで)およびDC電流を測定することができる。フラックスゲートセンサ技術は、DCおよびAC漏れ電流測定に使用されることも知られている。これらのタイプの変換器は、以下のような多くの分野で実装されている:
-バッテリー管理システム(バッテリーを通って流れる電流の測定)
-実験室用の基準センサ(較正機器)
-医療機器(例えば、磁気共鳴画像法)
【0006】
しかし、フラックスゲート検出器の磁性コアの飽和のための励磁電流を駆動させるため、ならびに補償電流を駆動させるために必要とされる電子機器により、このような電流変換器は、ホール効果検出器を備えた従来の開ループ電流変換器よりもコストが高くなり、小型化しにくくなる。従来のフラックスゲート検出器では、励磁電流は、通常Hブリッジ回路に基づく自動発振回路アーキテクチャによって通常生成される。このような従来の自動発振回路では、例えばデガウス手順を実施するために、積極的に飽和レベルを変更したり、特定のスタートアップシーケンスを定義したりすることは困難である。
【0007】
特定の用途では、電流測定システムは安全機能に関連しており、これは、特に漏れ電流または残留電流を測定することを意図したセンサの場合である。このような用途の例示的な例としては、例えば、ソーラーパネル用途または例えば車載充電システムのための自動車用途において、ACおよび/またはDC漏れ電流を検出するために使用されるセンサが挙げられる。
【0008】
自動車用途では、適用される安全規格の1つはISO26262規格であり、実施されるハザード分析およびリスクアセスメントに応じて、機能の安全レベルは、品質管理からASIL Dレベルの安全性までランク付けされる。自動車用途では、DC漏れ電流は、最も高い要求安全レベルであるASIL Dにランク付けされる安全機能となり得る。このレベルの安全性は、高い信頼性を要求し、高いコストにつながる。
【0009】
特定の用途では、電流変換器は、非常に低いオフセット誤差を有するべきである。これは、測定された電流のオフセットがバッテリーの充電状態の過大または過小評価につながるバッテリー監視装置の場合である。漏れ電流センサまたは残留電流センサの場合、センサはほとんどの場合ゼロであるか、またはゼロに近い電流を監視し、特定の限界値(閾値)を超える電流値の変化を検出する必要がある。そのため、このような用途では、非常に低いオフセット誤差を有する電流センサを使用する必要がある。
【0010】
しかし、磁場の測定に磁性材料コアを使用する電流センサには、磁性材料における残留磁気および保磁場(coercive magnetic field)の影響により磁気オフセットが発生するという欠点がある。変換器が磁気回路材料の磁性状態を再初期化するデガウス機能を含む場合、公称動作時の磁気オフセットは最小限に抑えることができるが、高感度のフラックスゲート変換器では、従来の再初期化では変換器を正確に動作させるのに十分でない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、正確で、しかも製造および実装にコスト効率のよい、電流測定用のフラックスゲート変換器を提供することである。
【0012】
ユーザーの要求に応じて容易に調整または較正される、電流測定用のフラックスゲート変換器を提供することが有利である。
【0013】
設置および操作が簡単である、電流測定用のフラックスゲート変換器を提供することが有利である。
【0014】
信頼性が高く、高い安全レベル規格に適合する、電流測定用のフラックスゲート変換器を提供することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、独立請求項に従った電流測定用のフラックスゲート変換器およびフラックスゲート変換器を動作させる方法を提供することによって達成された。
【0016】
本明細書に開示されるのは、制御回路と、励磁コイルによって囲まれた可飽和軟磁性コアを含むフラックスゲート装置と、を含むフラックスゲート電流変換器である。制御回路は、軟磁性コアを交互に飽和させる交流磁場を発生させるように構成された励磁コイルに接続された励磁コイル駆動回路を含む。
【0017】
励磁コイルは、第1の巻線および第2の巻線を含み、これらは、第1の巻線の入力および第2の巻線の出力を形成する共通点において一緒に接続されている。第1の巻線は第1のスイッチに直列に接続され、第2の巻線は第2のスイッチに直列に接続され、第1および第2のスイッチは、制御回路によって制御されて、第1の方向の磁場を磁性コアに発生させる励磁コイル電流を第1の巻線に供給し、第1の方向とは反対の第2の方向の磁場を磁性コアに発生させる励磁コイル電流を第2の巻線に供給する。
【0018】
本発明の第1の態様によれば、制御回路は、励磁コイルに接続された第1の入力を有するコンパレータを含み、制御回路は、コンパレータの出力に接続され、一方の励磁コイル巻線から他方の励磁コイル巻線に切り替わる間にデッドタイムを導入することを含め、第1および第2のスイッチの動作のタイミングを制御するように構成されたPWMモジュールを含む。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、変換器は、ADCモジュールを含む、第1および第2のスイッチの後に励磁コイルに接続されたアナログ測定チャネル(M2)を含み、アナログ測定チャネルは、ADCモジュールに接続され、励磁コイルに接続された第1の入力を有するコンパレータの入力にさらに接続されたDACをさらに含む。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、制御回路は、フラックスゲート装置のハイサイドに接続された第1の抵抗器をさらに含み、制御回路は、第1の抵抗器と並列のバイパス回路に配置された第3のスイッチS3をさらに含み、これは、このスイッチが閉位置に切り替えられたときに第1の抵抗器を短絡するように構成され、アナログ測定チャネルは、ADCモジュールの供給基準電圧を制御するために基準電圧源を含む。
【0021】
本発明の第4の態様によれば、フラックスゲート変換器は、第1のPWMチャネルM1、第2のアナログチャネルM2、および試験巻線によって提供される第3のチャネルM3の少なくとも3つの測定チャネルを有する電流測定システムを一緒に形成するためにユーザーシステムに接続され、ユーザーシステムは、正しい動作または欠陥のある動作を決定するために、3つの測定チャネルからの測定信号の比較を計算するように構成される。
【0022】
有利な実施形態では、コンパレータの第1の入力は、第1および第2のスイッチの後に励磁コイルに接続されている。
【0023】
有利な実施形態では、コンパレータの第2の入力は、コンパレータの出力レベルを調整するための調整可能な基準電圧を供給するDACに接続されている。
【0024】
有利な実施形態では、フラックスゲート変換器は、PWMモジュールによって提供されるデッドタイムを含む相補信号を生成するために、PWMモジュールの出力に接続された組み合わせおよび順序論理セルをさらに含む。
【0025】
有利な実施形態では、フラックスゲート変換器は、スイッチング信号のタイミングを捕捉するために、PWMモジュールの出力に接続されたキャプチャモジュールを含む。
【0026】
有利な実施形態では、変換器は、ADCモジュールを含む、第1および第2のスイッチの後に励磁コイルに接続されたアナログ測定チャネル(M2)を含む。
【0027】
有利な実施形態では、アナログ測定チャネルは、ADCモジュールに接続され、励磁コイルに接続された第1の入力を有するコンパレータの入力にさらに接続されたDACをさらに含む。
【0028】
有利な実施形態では、アナログ測定チャネルは、ADCモジュールに供給される信号の測定値のゲインを増加させ、オフセットをスケーリングする増幅器をさらに含む。
【0029】
有利な実施形態では、制御回路は、フラックスゲート装置のハイサイドまたはローサイドに接続された第1の抵抗器をさらに含み、制御回路は、第1の抵抗器と並列のバイパス回路に配置された第3のスイッチS3をさらに含み、これは、スイッチが閉位置に切り替えられたときに第1の抵抗器をバイパスするように構成されている。
【0030】
有利な実施形態では、アナログ測定チャネルは、ADCモジュールの供給基準電圧を制御するための基準電圧源を含む。
【0031】
有利な実施形態では、変換器は、磁性コアに巻き付けられた試験巻線をさらに含み、試験巻線は、ユーザーシステムの電子回路に接続されるよう、フラックスゲート変換器の接続インターフェースに接続される。
【0032】
有利な実施形態では、試験巻線は、試験巻線が第3の測定チャネルM3を提供するように、ユーザーシステムから試験電流を受信し、フラックスゲート装置内の磁場の測定信号に対応する第2の動作モードでユーザーシステムに電圧を出力するように構成されている。
【0033】
有利な実施形態では、フラックスゲート変換器は、第1のPWMチャネルM1、第2のアナログチャネルM2、および試験巻線によって提供される第3のチャネルM3の少なくとも3つの測定チャネルを有する電流測定システムを一緒に形成するためにユーザーシステムに接続され、ユーザーシステムは、正しい動作または欠陥のある動作を決定するために、3つの測定チャネルからの測定信号の比較を計算するように構成される。
【0034】
有利な実施形態では、ユーザーシステムの電子回路は、測定チャネルの1つに影響する障害が発生した場合には、3つの測定信号のうち、互いに最も近い値を有する2つの測定信号を使用し、残りの測定信号を破棄するように構成されている。
【0035】
本明細書では、消磁手順を実行するためにフラックスゲート変換器を動作させる方法も開示され、この方法は以下を含む:
ステップa)フラックスゲート装置の発振を停止すること;
ステップb)ステップaの後、限られた数の半周期、好ましくは20半周期未満、より好ましくは10半周期未満、例えば1~5半周期の持続時間にわたり、固定周波数および高い第1の飽和深度でフラックスゲート装置の発振を再開すること;
ステップe)ステップbの後、フラックスゲート装置の発振を停止すること;
ステップi)ステップeの後、前記第1の飽和深度より小さい中間の第2の飽和深度でフラックスゲート装置を自動発振シーケンスで動作させること;
ステップj)ステップiの後、飽和深度を公称値まで漸減させること。
【0036】
本発明のさらなる目的および有利な特徴は、特許請求の範囲、詳細な説明および添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1a】本発明の一実施形態によるフラックスゲート変換器の概略的な回路ブロック図である。
【
図1b】本発明の別の実施形態によるフラックスゲート変換器の概略的な回路ブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるフラックスゲート変換器を備えた電流測定システムの概略的なブロック図である。
【
図3a】安全要件を強化するための第1の構成を示す、本発明の一実施形態によるフラックスゲート変換器測定システムの概略的な簡略化されたブロック図である。
【
図3b】本発明の一実施形態による第2の構成を示す、
図3aと同様の図である。
【
図4a】磁気回路の残留磁気を定義された磁気オフセット値(例えば、変換器の初期較正中に設定されたものに対応する)にリセットする手順を示す。
【
図4b】本発明の一実施形態による磁気回路の残留磁気をリセットするためのスタートアップシーケンスおよび手順を使用しない場合と使用する場合の磁気フラックスゲート変換器の磁気オフセットレベルのプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図を参照すると、1つ以上の一次導体に流れる一次電流を測定するためのフラックスゲート電流変換器1は、フラックスゲート装置2と、フラックスゲート装置に接続された制御回路4と、を含む。
【0039】
フラックスゲート装置2は、可飽和磁性コアと、可飽和磁性コア6に巻き付けられた励磁コイル8と、を含む。励磁コイル8は、第1の巻線8aおよび第2の巻線8bの2つの巻線を含み、これらは第1の巻線の入力および第2の巻線の出力を形成する共通点9で互いに接続されている。励磁コイル8は、可飽和磁性コア6を交互に飽和させるために励磁コイルを通して励磁電流を供給するように構成された制御回路4によって制御される電源を含む励磁コイル駆動回路に接続されている。より具体的には、第1の巻線8aおよび第2の巻線8bには、順次交互に電流が供給され、これにより、第1の巻線8aの電流は、第1の方向の磁場を磁性コアに発生させ、第2の巻線8bの電流は、第1の方向とは反対の第2の方向の磁場を磁性コアに発生させ、磁性コアにおける変化する磁場は、オプションとして一方の巻線から他方の巻線への切り替えの間に短いデッドタイム期間を設けて、順次切り替えられる。
【0040】
磁性コアは、好ましくは、高透磁率ナノ結晶磁性材料、例えば、FeSiまたはFeCoベースのナノ結晶材料で作られており、その理由は、そのような材料の低温ドリフト、高透磁率、低保磁場、および適応可能な透磁率値にある。磁性材料は、長方形(縦磁場アニール)、円形(無磁場アニール)、平坦(横磁場アニール)というBHループ形状の特性を有し得る。BHループ形状に応じて、制御回路は、材料のBH特性の関数として磁性材料の交互飽和に達するように構成される。
【0041】
第1の巻線または第2の巻線のいずれかに供給する励磁電流の切り替えは、制御回路4によって制御される。
【0042】
制御回路4は、それぞれの第1および第2の巻線に直列に接続された第1のスイッチS1および第2のスイッチS2を介して励磁コイル巻線8a、8bに流れる電流を制御するマイクロコントローラ22を含む。これらのスイッチは、例えば、トランジスタを含むか、またはトランジスタからなることができる。「マイクロコントローラ」という用語は、スイッチS1、S2の動作を制御することができる任意のICプロセッサ、MCU、ASIC、FPGAまたは他の処理回路を含むことを意図している。
【0043】
制御回路は、共通点9に接続された第1の抵抗器12を含むことができる。
図1aの実施形態では、第1の抵抗器12は、フラックスゲート装置のハイサイドで共通点9に接続されている。
図1bの実施形態では、第1の抵抗器12は、フラックスゲート装置のローサイドで共通点9に接続されている。第1の抵抗器12は、パルス幅変調(PWM)測定モード用のフラックスゲート変換器の感度を設定するために使用され得る。
【0044】
制御回路は、スイッチS1、S2の後に励磁コイル巻線8a、8bに接続された第2の抵抗器20をさらに含み得る。第2の抵抗器は、アナログ測定モード用のフラックスゲート変換器の感度を設定するために使用され得る。
【0045】
制御回路は、第1の抵抗器をバイパスし、励磁コイルを通る電流を増加させるために、第1の抵抗器12と並列のバイパス回路14に配置された第3のスイッチS3を含み得る。増加した電流は、例えばデガウス手順の間に、磁性コアの深い飽和を実行するのに役立ち得る。
【0046】
制御回路は、マイクロコントローラ3内の高速コンパレータ24を含む自動発振回路部分を含む。コンパレータ24は、第1のスイッチS1および第2のスイッチS2の後で、これらのスイッチと第2の抵抗器20との間で励磁コイルに接続された第1の入力16aを有する。コンパレータは、スイッチS1、S2を交互に開閉する自動発振スイッチング信号を制御するために、磁性コアが飽和に達したときに励磁コイルのピーク電流を検出するように構成されている。
【0047】
コンパレータは、第2の入力16bにおいて、固定基準電圧(例えば、グランド、もしくは固定電圧レベルで)に接続され得、または、好ましい実施形態では、コンパレータの出力電圧を調整するための調整可能な基準電圧を供給するDAC26(デジタルアナログ変換器)に接続され得る。コンパレータは、巻線スイッチS1、S2の遷移中のグリッチを回避するために、選択可能なヒステリシス値および/またはデジタルフィルタリングを実装することができる。
【0048】
コンパレータの出力は、有利には、高速PWMモジュール28に接続され得、これは、両巻線スイッチS1、S2のタイミング制御を管理するため、特に励磁供給電流を一方の巻線から他方の巻線に切り替える間のデッドタイムを制御するために使用される。PWMモジュールは、巻線スイッチS1、S2の制御を同期させるために使用される。これは、高いスイッチング損失により巻線スイッチS1、S2を破壊させる最大発振周波数(例えば過電流の場合)を制限する。これは、巻線スイッチS1、S2間のデッドタイムを(ナノ秒の範囲で)正確に生成し、巻線スイッチS1、S2の遷移中のシュートスルーを防止するために使用される。PWMモジュールは、フラックスゲートの動作周波数を公称周波数に広げることによって、EMIノイズを低減するのにも使用される。
【0049】
PWMモジュールの出力は、有利には、巻線スイッチS1およびS2を交互に制御し、適切なタイミングでデッドタイムを挿入する役割を果たす、組み合わせおよび順序論理セル30に接続され得る。これは、基本的に、デッドタイム挿入用のANDゲートとNOTゲートと共に、(S1およびS2のシーケンスのための)Dフリップフロップを含み得る。よって、この回路部分は、切り替え間のデッドタイムの制御を含むフィルタリングおよび同期ユニットとして機能する。
【0050】
制御回路は、PWMモジュール28および論理セル30の回路部分の出力に接続された第1の入力キャプチャ32aおよび第2の入力キャプチャ32bを備えるキャプチャモジュール32を含み、入力キャプチャは、PWM測定モードのフラックスゲートのデューティサイクルを測定するためにスイッチング信号のタイミングを捕捉するために使用される。トランジスタのゲートまたはドレイン信号(例えば、MOSFET用)を使用する代わりに、マイクロコントローラ22からの同期信号を測定する方がより便利で信頼性が高く、それは、これらが、温度、供給電圧、および測定される漏れ電流に関して振幅および傾きがドリフトするためである。信号処理モジュール43は、入力キャプチャモジュール32とADC18によって出力された信号から電流を計算するように構成されている。
【0051】
アナログ測定出力の場合、制御回路は、有利には、ADCが高精度/低ドリフト電圧源を基準としない場合にレシオメトリック誤差(ratiometricity errors)を補償するために基準電圧源38をさらに含み得る。
【0052】
基準電圧源は、マイクロコントローラの外部にあり、マイクロコントローラ22内のアナログデジタル変換器(ADC)のレシオメトリック性(ratiometricity)のための低ドリフト基準電圧として使用され得る。
【0053】
制御回路は、有利には、必要に応じてフラックスゲート測定出力に対して温度補正を実行するために、マイクロコントローラ内またはマイクロコントローラの外部のいずれかで実行される温度測定の値を受信するための温度測定入力をさらに含むことができる。
【0054】
制御回路は、有利には、第2の抵抗器20を横切って取り込まれマイクロコントローラ18に供給される測定信号のゲインを増加させ、オフセットをスケーリングする増幅器42をさらに含むことができる。
【0055】
本発明の実施形態によるフラックスゲート変換器は、励磁コイルの切り替えを制御するPWM信号によって提供される第1の測定チャネルと、励磁コイルの電流を測定し、アナログデジタル(ADC)回路18による変換後にマイクロコントローラにおいてこのアナログ測定信号を処理する、励磁コイルへの接続によって提供される第2の測定チャネルと、を含む、複数の測定チャネルを含む。
【0056】
PWMモジュールの動作は、以下のモードを含むことができる:
-固定周波数でコンパレータによって同期されない(主にデガウスシーケンスに使用される)
-コンパレータにより同期され、周波数がコンパレータのトリガ信号に依存する(測定シーケンスのため、また、やはりデガウス中に使用される)
PWMモジュールのこれらの動作モードの両方において、PWMモジュールによって適用されるデューティサイクルは、固定または可変のいずれかにすることができる。
【0057】
本発明の実施形態によるフラックスゲート変換器の配置は、有利には以下を可能にする:
-フラックスゲートの動作モード(固定周波数または自動発振)を管理し、それによって固定周波数動作がデガウスシーケンスを実行するのに使用されること。低周波数動作は、高周波数動作に比べてデガウスシーケンスの効率を高める;
-例えばデガウスシーケンスのために、変換器の決定論的な停止および開始を管理するか、または変換器をスリープモードにすることであって、それによって、組み合わせおよび順序論理セルは、両方のスイッチS1、S2駆動信号を低(low)にすることにより開始および停止を制御し得る、こと;
-追加のハードウェア無しで磁場飽和値を増減させること;
-安全な適用のために、アナログおよびPWM冗長測定を自然に可能にすること;
-構成要素(パッシブ、アクティブ、MCU IO)の数を制限すること。
【0058】
よって、本発明の実施形態によるフラックスゲート変換器は、以下のことが可能である:
-可変デューティサイクルを有する自動発振動作モード、または例えばデガウス中に使用され得る固定周波数モードを含む、さまざまな動作モードを提供すること;
-周波数を所定の範囲にわたり広げることにより、EMIノイズを軽減すること;
-変換器内で直接磁場飽和レベルの調整(増減)を可能にすること(例えばデガウスシーケンス用)
-チェックシーケンスを実行するため(例えば安全機能のため、もしくはフラックスゲート変換器をスリープモードにするため)に、電源を完全に切らずに制御回路を停止させること
-例えば固有の冗長性および安全機能のために、アナログチャネルおよびPWMチャネルを含む、いくつかの測定チャネルを提供すること。
【0059】
本発明の一実施形態では、フラックスゲート装置2は、励磁コイルの巻線に加えて、磁性コア6に巻き付けられた試験巻線10をさらに含むことができる。この試験巻線は、変換器の診断範囲を拡大し、単純なアーキテクチャにおいて最高のASILレベルなどの高い安全基準を達成することを可能にする。本発明の実施形態が有利に実施され得る用途の1つは、DCおよびAC電流を測定するための、自動車の車載型充電器用途での使用である。
【0060】
試験巻線は、ユーザーシステム3の電子回路に接続するために、フラックスゲート変換器の接続インターフェース44に接続され得る。ユーザーシステムの電子回路は、試験巻線に試験電流を注入し、フラックスゲート変換器の測定出力を検証して、変換器の精度および適切な機能をチェックするように構成されている。PWM測定チャネル(第1の測定チャネルM1)とアナログ測定チャネル(第2の測定チャネルM2)の両方からの測定出力は、注入された試験電流に対応する期待される測定値に関してチェックされ、かつ/または、互いに比較され得る。
【0061】
試験巻線に試験電流を注入することは、試験時にセンサが適切に動作することを検証する良い方法である。試験が終了し、通常動作中に問題が発生した場合(例えば、構成要素のドリフトによる精度の低下など)、センサの不適切な動きを検証するために新たな試験サイクルを待つ必要があり、通常はオンラインで問題を診断するために追加のメカニズムが必要となる。試験巻線への電流の注入は、特定の期間および間隔(スタートアップ前)の間にのみ使用され、センサの公称動作中には使用されないため、冗長な経路ではない。試験巻線は、ユーザーシステムによって操作および制御されて、動作範囲にわたるフラックスゲート変換器の測定出力の直線性をチェックすることができるが、この試験手順は、フラックスゲート変換器の必要な反応時間よりも速く実行されなければならない。動作範囲が大きいほど、直線性チェックの時間は長くなり、これにより、チェックを実行できるようにするために、フラックスゲート変換器の反応時間を短くすることが必要となるであろう。
【0062】
ユーザーシステムはまた、もしくは代わりに試験巻線を使用して、DCトリッピング曲線(tripping curve)およびACトリッピング曲線を検証することができるが、必ずしも直線性を検証する必要はない。ユーザーシステムは試験巻線に電流を注入し、センサが作動する(trip)のに必要な時間を測定する。
【0063】
本発明の一態様によれば、試験巻線は、さらなる測定チャネル(第3の測定チャネルM3)を提供するためにフラックスゲート変換器の動作中に使用されるように構成される。試験巻線は、(フラックスゲート変換器に含まれるPWM測定と同様の)PWM測定を行うユーザーシステム3内の信号処理回路に接続され得る。試験巻線電圧は、漏れ電流に比例して変化するデューティサイクルを持つ方形波形を有する。ユーザーシステムは、例えば試験巻線電圧のゼロ交差を使用して、デューティサイクルを測定し、それによって、コンパレータは、0V遷移を検出するのに使用され得る。
【0064】
ユーザーシステム3は、3つの測定チャネルM1、M2、M3の比較を実行することができ、そのうちの2つは、ユーザーシステム3に2つの測定信号を出力するフラックスゲート変換器内で処理され、そのうちの1つ(試験巻線から)は、ユーザーシステム内で処理されて第3の測定値を計算する。3つの測定チャネルにより出力される測定値の差、例えば事前に定義された閾値よりも大きな差は、測定システムにおける障害を検出するために使用され得る。安全機能のために、測定システムに障害が発生した場合、電流測定システムは、3つの測定信号のうち、互いに最も近い値を持つ2つの測定信号に依存し、残りの測定信号を破棄するように構成され得る。
【0065】
さらに、一実施形態では、フラックスゲート変換器は、すでに第1の安全レベルを提供するアナログ測定チャネルおよびPWM測定チャネルM1、M2の比較を内部で計算するように構成されてもよく、フラックスゲート変換器によって出力された測定値は、次に、試験巻線の信号からユーザーシステムにおいて計算された測定値と比較され、第2の安全レベルを提供し得る。
【0066】
例えば磁性コアまたは励磁コイルにおける障害に起因するフラックスゲート変換器の破損または欠陥のある動作のコモンモードの原因(common mode causes)は、以下のような他の診断によってチェックすることができる。
-試験巻線を使用してフラックスゲートの発振周波数を測定する(周波数が間違っている場合は、動作が間違っていることを意味する(例えば、磁気回路損傷、自動発振回路が適切に動作していない);
-動作中の試験巻線上の電圧の振幅を測定する(センタータップブリッジ構成要素(center tapped bridge component)損傷、抵抗器増加);
-試験巻線を監視し、周波数を確認することによって、デガウスシーケンスが発生したことを確認する(特に周波数における良好なシーケンスは、磁気性能の良好なリセットを意味する);
【0067】
ユーザー側のチャネル測定は、好ましくは、これらがアナログ測定と比較された場合に互いに干渉しないため、PWM測定である。
【0068】
センタータップ付き励磁コイル(center tapped excitation coil)を形成する2つの巻線は、好ましくは同じ巻数を有するが、試験巻線の巻数は励磁コイルの巻数と異なっていてもよい。特に、試験巻線は、有利には、より高い電圧を有するために、より多くの巻数を有し得る。
【0069】
提案する安全アーキテクチャは、試験電流を注入して変換器の内部測定チャネルを試験するためまたはユーザーシステムに直接接続された外部測定チャネルとして使用され得るユーザーシステムによりアクセス可能な巻線を備えたフラックスゲート変換器を提供する際に合成され得る。本発明の試験巻線構成の利点は、変換器の試験のための電流の注入と、安全性のための追加(冗長)チャネルにおける一次電流の測定の両方のために、単一の要素を相互的にすることである。ユーザーシステム側の測定チャネルの帯域幅と反応時間は、試験巻線がリアルタイムで全動作範囲にわたる直線性を試験するために使用される場合の低減された帯域幅と比較すると、フラックスゲート変換器と同等である。通常は始動時に、ユーザーシステムの回路が試験巻線に電流を注入し、測定を検証する。測定が成功すると、ユーザーシステムの回路は、試験巻線に対する測定を起動する。
【0070】
通常はスタートアップ時(または充電部(live part)への通電前)に、ユーザーシステムは、試験巻線を使用してフラックスゲート変換器に電流を注入する。ユーザーシステムは、試験巻線に電流を注入し、注入された値が変換器内部の測定チャネルにより測定された値に対応することを確認する。ユーザーシステムは、電流を注入しながら、試験巻線のPWMを直接測定することもできる。最後に、ユーザーシステムは、ユーザーシステムで測定された注入電流とフラックスゲート変換器で測定された注入電流の比較を実行する。比較が事前に定義された閾値未満であれば、試験巻線が、フラックスゲート変換器の内部測定チャネルと同様に、適切に動作していることを意味する。
【0071】
この試験に合格した場合のみ、フラックスゲート変換器が適切に動作することを意味する(漏れ電流を正しく測定することを意味する)。その後、ユーザーシステムは、充電部に安全に通電できるようになり、ユーザーシステムは、注入回路を切り離し、この回路がフラックスゲート変換器の動作に干渉するのを防ぐ。
【0072】
本発明の一態様によれば、フラックスゲート変換器は、フラックスゲート変換器の磁気オフセットが較正中に設定されたもののままであることを保証するのを可能にする決定論的なものに磁気回路をリセットするシーケンスを含むことができる。このシーケンスは、有利には、以下の状況で動作され得る:
-フラックスゲート変換器の電源をオンにするたび
-ユーザーシステムの要求に応じて
-過電流発生後
【0073】
解決される主な問題の1つは、電源を切る時にフラックスゲートが動作を停止する方法に関するもので、これは、再開時の磁気オフセットに影響する。フラックスゲート変換器を通る電流が測定範囲外(過電流)になった場合のリセットも重要である。
【0074】
フラックスゲート変換器1の停止シーケンスでは、電源がオフに切り替えられると、フラックスゲート変換器に供給される電圧が、急速に低下し始め、これにより、電圧の振幅が特定のレベル未満に低下すると、励磁電流の振幅は、コンパレータ24のDAC入力16bの値に対応する閾値未満に低下する。したがって、コンパレータ24はトリガされず、高速PWMモジュール28もトリガされず、PWMモジュール28は、固定周波数モード(例えば、図示の実施例では5kHzに設定されている)でフラックスゲート変換器を動作させる。
【0075】
この実施例では、電源オフ前は、フラックスゲート磁性コアは、特定の周波数、例えば20kHzで自動発振し、飽和時の磁束密度+Hsatと-Hsatは実質的に一定である。電源オフ後、PWMモジュール28によって制御される固定周波数は、より低い値(例えば、この実施例では5kHz)に設定され、これにより、フラックスゲート磁性コアは、可変の(制御されない)磁束密度+Hsatおよび-Hsatを有する。磁気的な観点からは、これは、磁束密度+Hsatおよび-Hsatがコンパレータ24のDAC値入力によって設定される、飽和の深度が定義された高周波数ヒステリシスサイクルから、飽和の深度が定義されていない低周波数ヒステリシスサイクルへの切り替えに相当する。この定義されていない飽和の深度の原因は、周波数が低いほど飽和が深くなることであり、それは、第一に、電流経路の抵抗に打ち勝つのに十分高い供給電圧を前提として半周期が長くなると電流がより高く上昇し得るからであり、第二に、電圧が制限されることで電流をさらに増加させることができなくなっても、コアが飽和状態に長くとどまるからである。
【0076】
スイッチオフシーケンスの終わりに、磁性材料は、低周波数ヒステリシスサイクルから生じる未知の状態で停止する。
【0077】
次の始動時、フラックスゲート変換器は、この未知の状態から開始し、高周波自動発振状態で急速に安定するが、高周波状態への遷移は、磁性材料の磁気状態を完全に回復するわけではない。磁気オフセットは、部分的にスイッチオフシーケンスの影響を受ける。この違いは、通常の自動発振動作中にはヒステリシスサイクルが高周波数で掃引され、スイッチオフ中にはヒステリシスサイクルが低周波数で掃引されるという事実に由来する。磁性材料は、周波数が変わると異なる磁気特性およびヒステリシスサイクルを示す。これは、飽和の深度が両方の状況で異なるという事実によっても補強される。
【0078】
磁性コアの未知の磁化状態からの開始を避けるための第1の解決策は、低周波数でのフラックスゲート変換器の動作を防止し、コンパレータに入力される励磁信号電圧がDAC入力値よりも高い特定のレベル未満に低下した時点で発振を停止することである。フラックスゲート変換器を停止させるべき瞬間は、磁気回路が常に同じ状態に保たれることを確実にするために決定論的であるべきである。
【0079】
第2の好ましい解決策は、磁性材料の磁気状態を決定論的である定義されたものにリセットするために、フラックスゲート変換器の停止状態を検証することなく特定のスタートアップシーケンスを実行することを含む。
【0080】
有利なシーケンスの例を
図4aに示す。このシーケンスは、デガウス(DEGAUSS)(パート1)およびデガウス(パート2)とラベル付けされた2つのシーケンスとして一般化することができる。このシーケンスにおけるデガウスというラベルは、磁場および磁束密度が0に等しい従来のデガウス手順を表すことを意図しておらず、その代わりに、磁性材料の決定論的磁気状態(すなわち、既知または事前に定義された磁気オフセットを有する)を課す消磁手順を表すことを意図している。磁気回路の磁気状態を再初期化する方法は、始動後、過負荷後、または磁性材料の磁気状態に悪影響を及ぼす可能性のあるあらゆるシナリオ(例えば、高いピーク電流でコンデンサを充電するリレーを閉じる)の後に使用され得る。
【0081】
通常動作(「測定」):
スイッチS3は、フラックスゲートの飽和を制限するために開き;S1およびS2は、交互に閉じられ、第2の抵抗器R2を通過する電流がコンパレータ入力16bに供給されるDACの出力電圧によって決定される値よりも高い値まで増加したことをコンパレータが検出したときに開かれる。スイッチの各開放後、PWMモジュールによって決定された特定のデッドタイムが経過し、その後、直前の半周期中に開いていたスイッチが、例えばフリップフロップを使用して、論理30を介して閉じられる。
【0082】
デガウス(パート1):
ステップ(a)-消磁手順は、制御回路が点(a)において励磁コイルスイッチS1、S2を開く(すなわちオフに設定する)ことによってフラックスゲート装置2の発振を停止することによって開始される。バイパス回路スイッチS3は、スイッチを閉じる(すなわちオンに設定する)ように制御回路によって作動させることもできるが、特定の実施形態では、バイパス回路スイッチS3は、開いたまま(すなわちオフに設定したまま)にされてもよい。バイパススイッチが閉じられることによって作動されるか、開かれたままにされるかは、フラックスゲートコアに使用される材料の磁気特性に依存する。コンパレータ24の第1の入力16aへの信号も、励磁コイルスイッチS1、S2が開かれてコンパレータ出力信号を遮断した際に、一定に保たれる。
【0083】
ステップ(b)-次に、DAC26は、信号処理モジュール43によって制御され、例えば(到達できないほど高いフラックスゲートの遮断電流に対応する)最大値に近い、高振幅の第1の電圧信号を出力する。瞬間d(コンパレータ遅延点(d)の終わり)以降、フラックスゲート変換器は、PWMモジュールの設定値によって定義された固定周波数で動作され、このシーケンスの半周期の数は、信号処理ユニット43によって定義される。励磁電流と飽和の深度は、当然、供給電圧と回路の第1の抵抗器12および第2の抵抗器20によって制限される。
【0084】
一般的に、周波数はスイッチオフシーケンス中に到達される最小発振周波数より低くなければならず、低ければ低いほど良い。このシーケンスはフラックスゲート変換器のスタートアップに時間がかかり得るため、半周期の数とシーケンス全体の時間は最小にする必要があり、例えば10半周期未満、例えば1~5半周期とする。フラックスゲート変換器の消費電流は、このシーケンス中、最大であるか、または最大に近くなる。このシーケンスの後、フラックスゲートコアは、シーケンスが適用されるたびに同じであるため、明確に定義された最後の半周期の極性に応じて一方または他方の極性で高磁化状態になる。
【0085】
ステップ(e)-制御回路が点(e)で励磁コイルスイッチS1、S2を開く(すなわちオフに設定する)ことでフラックスゲート装置2の発振を停止することによって、固定周波数ステップが終了する。
【0086】
ステップ(f)-コンパレータの第2の入力16bに供給される高振幅の第1のDAC電圧信号は、公称電圧振幅に設定され、この公称電圧振幅は、ゼロであってもよいし、前記高振幅の電圧信号よりも低い非ゼロの公称電圧振幅であってもよい。
【0087】
デガウス(パート2):DAC遅延(点(g))、およびコンパレータ遅延(点(h))の間、またはその後に、励磁コイルスイッチS1、S2が閉じられ、バイパス回路スイッチS3も、スイッチを閉じる(すなわちオンに設定する)ことによって状態を変更するように制御回路によって作動され得る。バイパススイッチS3が作動されるかどうかは、それが前のシーケンスで既に閉じられているか否かによって決まる。
【0088】
ステップ(i)-コンパレータの第2の入力16bに供給されるDAC電圧信号は、公称電圧振幅よりも大きく、前記高振幅の第1の電圧信号よりも低い、中間的な高い第2の電圧振幅に設定される。このようにして、フラックスゲート変換器は、飽和深度が高い値から公称値までわずかに減少する自動発振シーケンスで動作する。この手順は、第1の抵抗器12が短絡され(スイッチS3が閉じられ)、飽和深度が増大するときに利用可能である。フラックスゲート変換器が自動発振で動作するため、励磁電流は磁性コアの飽和段階中にのみ増加し、消費電力は前のシーケンスと比較して低減される(しかし、公称動作モードのときよりも依然として高い)。
【0089】
ステップ(j)-中間的な高い第2の電圧振幅での短いシーケンス(点(j))の後、コンパレータの第2の入力16bに供給されるDAC電圧信号の振幅は、公称電圧(点(k))へ戻るよう傾き持続時間(slope duration)にわたって徐々に減少する。
【0090】
ステップ(k)-バイパス回路スイッチS3は、スイッチを開く(すなわちオフに設定する)ように制御回路によって作動させることもできるが、特定の実施形態では、バイパス回路スイッチS3は、閉じたままにする(すなわちオンに設定したままにする)ことができる。バイパススイッチが開かれることによって作動されるか、閉じたままにされるかは、フラックスゲートコアに使用される材料の磁気特性に依存する。
【0091】
ステップ(m)-特定のバイパススイッチ変更遅延の後、変換器の測定手順を開始することができる。
【0092】
図4a中:
-DAC遅延:DACが所望の設定に到達するのに必要な、マイクロ秒単位で表した遅延。このパラメータは、DAC自体のセトリング時間よりも長くなければならない;
-コンパレータ遅延:コンパレータが起動後に実効値(actual value)に到達するのに必要な、マイクロ秒単位で表した遅延。このパラメータは、コンパレータ電源オン/起動遅延またはコンパレータフィルタスチーリング時間(steeling time)遅延よりも大きくなければならない;
-低周波持続時間:ミリ秒単位で表されるこの持続時間は、フラックスゲートが事前に定義された固定周波数で発振する、所望の持続時間に対応する;
-S3変更遅延:スイッチS3の状態を変更した後、フラックスゲートが定常状態の自動発振周波数に到達するのに必要な、マイクロ秒単位で表した遅延。設定可能な状態とは、スイッチS3が所望の設定に応じて開かれるかまたは閉じられ得ることを意味する;
-TOP持続時間:マイクロ秒単位で表されるこの持続時間は、フラックスゲートが高電流(DAC 高い)で自動発振する、所望の持続時間に対応する;
-傾き持続時間:マイクロ秒単位で表されるこの持続時間は、DACが高い値から公称値まで減少する傾きに対応する。フラックスゲートは自動発振モードにあり、周波数は、DAC値が減少する間にわずかに増加する。
【0093】
図4bは、上述したシーケンスを使用しない場合(上側のプロット)と、上述したシーケンスを使用した場合(下側のプロット)のフラックスゲート変換器の磁気オフセットを示す。上側のプロットでは、提案されたスタートアップシーケンスを使用しないと、磁化値の範囲が大きくなり、未確定であり、かつ測定出力において正確に補償され得ない、磁気オフセットをもたらすことが分かる。下側のプロットでは、提案されたスタートアップシーケンスを使用することで、磁化値の範囲がはるかに小さくなり、測定出力においてより高い精度で補償され得る磁気オフセットを定義することができる。
【0094】
特徴部のリスト
電流測定システム
フラックスゲート電流変換器1
フラックスゲート装置2
可飽和軟磁性コア6
励磁コイル8
第1のコイル8a
第2のコイル8b
試験巻線10
試験巻線相互接続インターフェース44
制御回路4
第1の抵抗器12
第1の抵抗器バイパス回路14
バイパス回路スイッチS3
励磁コイルスイッチ
第1のスイッチS1
第2のスイッチS2
第2の抵抗器20
マイクロコントローラ(MCU)22
コンパレータ24
DAC26
PWMモジュール28
組み合わせおよび順次論理セル30(設定可能)
キャプチャモジュール32
第1の入力キャプチャ32a
第2の入力キャプチャ32b
第1の抵抗器スイッチ制御出力(IO)34
励磁コイル制御出力36
ADC18
増幅器42
基準電圧源38
温度測定モジュール40
信号処理モジュール43
第1の測定出力チャネルM1
第2の測定出力チャネルM2
第3の測定出力チャネルM3
ユーザーシステム3
相互接続回路
マイクロコントローラ5
【0095】
〔実施の態様〕
(1) フラックスゲート電流変換器(2)であって、
制御回路(4)と、励磁コイル(8)によって囲まれた可飽和軟磁性コア(6)を含むフラックスゲート装置(2)と、を含み、
前記制御回路は、前記軟磁性コアを交互に飽和させるために交流磁場を発生するように構成された前記励磁コイルに接続された励磁コイル駆動回路を含み、
前記励磁コイルは、第1の巻線(8a)および第2の巻線(8b)を含み、これらは、前記第1の巻線の入力および前記第2の巻線の出力を形成する共通点(9)において一緒に接続されており、
前記第1の巻線は、第1のスイッチ(S1)に直列に接続され、前記第2の巻線は、第2のスイッチ(S2)に直列に接続され、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、前記制御回路によって制御されて、第1の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第1の巻線に供給し、前記第1の方向とは反対の第2の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第2の巻線に供給し、
前記制御回路は、前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)を含み、
前記制御回路は、前記コンパレータの出力に接続され、一方の励磁コイル巻線から他方の励磁コイル巻線に切り替わる間にデッドタイムを導入することを含め、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの動作のタイミングを制御するように構成されたPWMモジュール(28)を含む、フラックスゲート電流変換器。
(2) 前記コンパレータ(24)の第1の入力(16a)は、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続されている、実施態様1に記載のフラックスゲート電流変換器。
(3) 前記コンパレータの第2の入力が、前記コンパレータの出力レベルを調整するための調整可能な基準電圧を供給するDAC(16b)に接続されている、実施態様1に記載のフラックスゲート電流変換器。
(4) PWMモジュール(28)によって提供されるデッドタイムを含む相補信号を生成するために、前記PWMモジュールの出力に接続された組み合わせおよび順序論理セル(30)をさらに含む、実施態様3に記載のフラックスゲート電流変換器。
(5) スイッチング信号のタイミングを捕捉するために、前記PWMモジュール(28)の出力に接続されたキャプチャモジュール(32)を含む、実施態様3に記載のフラックスゲート電流変換器。
【0096】
(6) 前記変換器は、ADCモジュール(18)を含む、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続されたアナログ測定チャネル(M2)を含む、実施態様1に記載のフラックスゲート電流変換器。
(7) 前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールの供給基準電圧を制御するための基準電圧源を含む、実施態様6に記載のフラックスゲート電流変換器。
(8) 前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに接続され、前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)の入力(16b)にさらに接続された、DAC(26)をさらに含む、実施態様6に記載のフラックスゲート電流変換器。
(9) 前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに供給される信号の測定値のゲインを増加させ、オフセットをスケーリングする増幅器(42)をさらに含む、実施態様6に記載のフラックスゲート電流変換器。
(10) 前記制御回路は、前記フラックスゲート装置のハイサイドに接続された第1の抵抗器(12)をさらに含み、前記制御回路は、前記第1の抵抗器と並列のバイパス回路(14)に配置された第3のスイッチS3をさらに含み、これは、前記スイッチが閉位置に切り替えられたときに前記第1の抵抗器を短絡するように構成されている、実施態様1に記載のフラックスゲート電流変換器。
【0097】
(11) 前記磁性コア(6)に巻き付けられた試験巻線(10)をさらに含み、前記試験巻線は、ユーザーシステム(3)の電子回路に接続されるよう、前記フラックスゲート変換器の接続インターフェース(44)に接続されている、実施態様1に記載のフラックスゲート電流変換器。
(12) 前記試験巻線は、前記試験巻線が第3の測定チャネルM3を提供するように、前記ユーザーシステム(3)から試験電流を受信し、かつ前記フラックスゲート装置内の磁場の測定信号に対応する第2の動作モードで前記ユーザーシステム(3)に電圧を出力するように構成されている、実施態様11に記載のフラックスゲート電流変換器。
(13) 前記フラックスゲート変換器は、ユーザーシステム(3)に接続され、第1のPWMチャネルM1、第2のアナログチャネルM2、および前記試験巻線(10)によって提供される第3のチャネルM3の少なくとも3つの測定チャネルを有する電流測定システムを一緒に形成し、前記ユーザーシステムは、正しい動作または欠陥のある動作を決定するために、前記3つの測定チャネルからの測定信号の比較を計算するように構成されている、実施態様1に記載のフラックスゲート電流変換器。
(14) 前記ユーザシステム(3)の電子回路は、前記測定チャネルの1つに影響する障害が発生した場合には、前記3つの測定信号のうち、互いに最も近い値を有する2つの測定信号を使用し、残りの測定信号を破棄するように構成されている、実施態様13に記載のフラックスゲート電流変換器。
(15) フラックスゲート電流変換器(2)であって、
制御回路(4)と、励磁コイル(8)によって囲まれた可飽和軟磁性コア(6)を含むフラックスゲート装置(2)と、を含み、
前記制御回路は、前記軟磁性コアを交互に飽和させるために交流磁場を発生するように構成された前記励磁コイルに接続された励磁コイル駆動回路を含み、
前記励磁コイルは、第1の巻線(8a)および第2の巻線(8b)を含み、これらは、前記第1の巻線の入力および前記第2の巻線の出力を形成する共通点(9)において一緒に接続されており、
前記第1の巻線は、第1のスイッチ(S1)に直列に接続され、前記第2の巻線は、第2のスイッチ(S2)に直列に接続され、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、前記制御回路によって制御されて、第1の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第1の巻線に供給し、前記第1の方向とは反対の第2の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第2の巻線に供給し、
前記変換器は、ADCモジュール(18)を含む、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続されたアナログ測定チャネル(M2)を含み、
前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに接続され、前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)の入力(16b)にさらに接続された、DAC(26)をさらに含む、フラックスゲート電流変換器。
【0098】
(16) 前記制御回路は、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)を含む、実施態様15に記載のフラックスゲート電流変換器。
(17) 前記コンパレータの第2の入力が、前記コンパレータの出力レベルを調整するための調整可能な基準電圧を供給するDAC(16b)に接続されている、実施態様16に記載のフラックスゲート電流変換器。
(18) 前記制御回路は、前記コンパレータの出力に接続され、一方の励磁コイル巻線から他方の励磁コイル巻線に切り替わる間にデッドタイムを導入することを含め、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの動作のタイミングを制御するように構成されたPWMモジュール(28)を含む、実施態様16に記載のフラックスゲート電流変換器。
(19) PWMモジュール(28)によって提供されるデッドタイムを含む相補信号を生成するために、前記PWMモジュールの出力に接続された組み合わせおよび順序論理セル(30)をさらに含む、実施態様18に記載のフラックスゲート電流変換器。
(20) スイッチング信号のタイミングを捕捉するために、前記PWMモジュール(28)の出力に接続されたキャプチャモジュール(32)を含む、実施態様18に記載のフラックスゲート電流変換器。
【0099】
(21) 前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに供給される信号の測定値のゲインを増加させ、オフセットをスケーリングする増幅器(42)をさらに含む、実施態様15に記載のフラックスゲート電流。
(22) 前記制御回路は、前記フラックスゲート装置のハイサイドに接続された第1の抵抗器(12)をさらに含み、前記制御回路は、前記第1の抵抗器と並列のバイパス回路(14)に配置された第3のスイッチS3をさらに含み、これは、前記スイッチが閉位置に切り替えられたときに前記第1の抵抗器を短絡するように構成されている、実施態様15に記載のフラックスゲート電流変換器。
(23) 前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールの供給基準電圧を制御するために基準電圧源を含む、実施態様22に記載のフラックスゲート電流変換器。
(24) 前記磁性コア(6)に巻き付けられた試験巻線(10)をさらに含み、前記試験巻線は、ユーザーシステム(3)の電子回路に接続されるよう、前記フラックスゲート変換器の接続インターフェース(44)に接続されている、実施態様15に記載のフラックスゲート電流変換器。
(25) 前記試験巻線は、前記試験巻線が第3の測定チャネルM3を提供するように、前記ユーザーシステム(3)から試験電流を受信し、かつ前記フラックスゲート装置内の磁場の測定信号に対応する第2の動作モードで前記ユーザーシステム(3)に電圧を出力するように構成されている、実施態様24に記載のフラックスゲート電流変換器。
【0100】
(26) 前記フラックスゲート変換器は、ユーザーシステム(3)に接続され、第1のPWMチャネルM1、第2のアナログチャネルM2、および前記試験巻線(10)によって提供される第3のチャネルM3の少なくとも3つの測定チャネルを有する電流測定システムを一緒に形成し、前記ユーザーシステムは、正しい動作または欠陥のある動作を決定するために、前記3つの測定チャネルからの測定信号の比較を計算するように構成されている、実施態様15に記載のフラックスゲート電流変換器。
(27) 前記ユーザシステム(3)の電子回路は、前記測定チャネルの1つに影響する障害が発生した場合には、前記3つの測定信号のうち、互いに最も近い値を有する2つの測定信号を使用し、残りの測定信号を破棄するように構成されている、実施態様26に記載のフラックスゲート電流変換器。
(28) フラックスゲート電流変換器(2)であって、
制御回路(4)と、励磁コイル(8)によって囲まれた可飽和軟磁性コア(6)を含むフラックスゲート装置(2)と、を含み、
前記制御回路は、前記軟磁性コアを交互に飽和させるために交流磁場を発生するように構成された前記励磁コイルに接続された励磁コイル駆動回路を含み、
前記励磁コイルは、第1の巻線(8a)および第2の巻線(8b)を含み、これらは、前記第1の巻線の入力および前記第2の巻線の出力を形成する共通点(9)において一緒に接続されており、
前記第1の巻線は、第1のスイッチ(S1)に直列に接続され、前記第2の巻線は、第2のスイッチ(S2)に直列に接続され、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、前記制御回路によって制御されて、第1の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第1の巻線に供給し、前記第1の方向とは反対の第2の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第2の巻線に供給し、
前記制御回路は、前記フラックスゲート装置のハイサイドに接続された第1の抵抗器(12)をさらに含み、
前記制御回路は、前記第1の抵抗器と並列のバイパス回路(14)に配置された第3のスイッチS3をさらに含み、これは、前記スイッチが閉位置に切り替えられたときに前記第1の抵抗器を短絡するように構成されており、
前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールの供給基準電圧を制御するための基準電圧源を含む、フラックスゲート電流変換器。
(29) 前記制御回路は、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)を含む、実施態様28に記載のフラックスゲート電流変換器。
(30) 前記コンパレータの第2の入力が、前記コンパレータの出力レベルを調整するための調整可能な基準電圧を供給するDAC(16b)に接続されている、実施態様29に記載のフラックスゲート電流変換器。
【0101】
(31) 前記制御回路は、前記コンパレータの出力に接続され、一方の励磁コイル巻線から他方の励磁コイル巻線に切り替わる間にデッドタイムを導入することを含め、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの動作のタイミングを制御するように構成されたPWMモジュール(28)を含む、実施態様29に記載のフラックスゲート電流変換器。
(32) PWMモジュール(28)によって提供されるデッドタイムを含む相補信号を生成するために、前記PWMモジュールの出力に接続された組み合わせおよび順序論理セル(30)をさらに含む、実施態様31に記載のフラックスゲート電流変換器。
(33) スイッチング信号のタイミングを捕捉するために、前記PWMモジュール(28)の出力に接続されたキャプチャモジュール(32)を含む、実施態様31に記載のフラックスゲート電流変換器。
(34) 前記変換器は、ADCモジュール(18)を含む、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続されたアナログ測定チャネル(M2)を含む、実施態様28に記載のフラックスゲート電流変換器。
(35) 前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに接続され、前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)の入力(16b)にさらに接続された、DAC(26)をさらに含む、実施態様34に記載のフラックスゲート電流変換器。
【0102】
(36) 前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに供給される信号の測定値のゲインを増加させ、オフセットをスケーリングする増幅器(42)をさらに含む、実施態様35に記載のフラックスゲート電流変換器。
(37) 前記磁性コア(6)に巻き付けられた試験巻線(10)をさらに含み、前記試験巻線は、ユーザーシステム(3)の電子回路に接続されるよう、前記フラックスゲート変換器の接続インターフェース(44)に接続されている、実施態様28に記載のフラックスゲート電流変換器。
(38) 前記試験巻線は、前記試験巻線が第3の測定チャネルM3を提供するように、前記ユーザーシステム(3)から試験電流を受信し、かつ前記フラックスゲート装置内の磁場の測定信号に対応する第2の動作モードで前記ユーザーシステム(3)に電圧を出力するように構成されている、実施態様37に記載のフラックスゲート電流変換器。
(39) 前記フラックスゲート変換器は、ユーザーシステム(3)に接続され、第1のPWMチャネルM1、第2のアナログチャネルM2、および前記試験巻線(10)によって提供される第3のチャネルM3の少なくとも3つの測定チャネルを有する電流測定システムを一緒に形成し、前記ユーザーシステムは、正しい動作または欠陥のある動作を決定するために、前記3つの測定チャネルからの測定信号の比較を計算するように構成されている、実施態様28に記載のフラックスゲート変換器。
(40) 前記ユーザシステム(3)の電子回路は、前記測定チャネルの1つに影響する障害が発生した場合には、前記3つの測定信号のうち、互いに最も近い値を有する2つの測定信号を使用し、残りの測定信号を破棄するように構成されている、実施態様39に記載のフラックスゲート変換器。
【0103】
(41) フラックスゲート電流変換器(2)であって、
制御回路(4)と、励磁コイル(8)によって囲まれた可飽和軟磁性コア(6)を含むフラックスゲート装置(2)と、を含み、
前記制御回路は、前記軟磁性コアを交互に飽和させるために交流磁場を発生するように構成された前記励磁コイルに接続された励磁コイル駆動回路を含み、
前記励磁コイルは、第1の巻線(8a)および第2の巻線(8b)を含み、これらは、前記第1の巻線の入力および前記第2の巻線の出力を形成する共通点(9)において一緒に接続されており、
前記第1の巻線は、第1のスイッチ(S1)に直列に接続され、前記第2の巻線は、第2のスイッチ(S2)に直列に接続され、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、前記制御回路によって制御されて、第1の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第1の巻線に供給し、前記第1の方向とは反対の第2の方向の磁場を前記磁性コアに発生させる励磁コイル電流を前記第2の巻線に供給し、
前記フラックスゲート変換器は、ユーザーシステム(3)に接続され、第1のPWMチャネルM1、第2のアナログチャネルM2、および前記試験巻線(10)によって提供される第3のチャネルM3の少なくとも3つの測定チャネルを有する電流測定システムを一緒に形成し、前記ユーザーシステムは、正しい動作または欠陥のある動作を決定するために、前記3つの測定チャネルからの測定信号の比較を計算するように構成されている、フラックスゲート電流変換器。
(42) 前記制御回路は、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)を含む、実施態様41に記載のフラックスゲート電流変換器。
(43) 前記コンパレータの第2の入力が、前記コンパレータの出力レベルを調整するための調整可能な基準電圧を供給するDAC(16b)に接続されている、実施態様42に記載のフラックスゲート電流変換器。
(44) 前記制御回路は、前記コンパレータの出力に接続され、一方の励磁コイル巻線から他方の励磁コイル巻線に切り替わる間にデッドタイムを導入することを含め、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの動作のタイミングを制御するように構成されたPWMモジュール(28)を含む、実施態様42に記載のフラックスゲート電流変換器。
(45) PWMモジュール(28)によって提供されるデッドタイムを含む相補信号を生成するために、前記PWMモジュールの出力に接続された組み合わせおよび順序論理セル(30)をさらに含む、実施態様44に記載のフラックスゲート電流変換器。
【0104】
(46) スイッチング信号のタイミングを捕捉するために、前記PWMモジュール(28)の出力に接続されたキャプチャモジュール(32)を含む、実施態様44に記載のフラックスゲート電流変換器。
(47) 前記変換器は、ADCモジュール(18)を含む、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの後に前記励磁コイルに接続されたアナログ測定チャネル(M2)を含む、実施態様41に記載のフラックスゲート電流変換器。
(48) 前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに接続され、前記励磁コイルに接続された第1の入力(16a)を有するコンパレータ(24)の入力(16b)にさらに接続された、DAC(26)をさらに含む、実施態様47に記載のフラックスゲート電流変換器。
(49) 前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールに供給される信号の測定値のゲインを増加させ、オフセットをスケーリングする増幅器(42)をさらに含む、実施態様48に記載の電流変換器。
(50) 前記制御回路は、前記フラックスゲート装置のハイサイドに接続された第1の抵抗器(12)をさらに含み、前記制御回路は、前記第1の抵抗器と並列のバイパス回路(14)に配置された第3のスイッチS3をさらに含み、これは、前記スイッチが閉位置に切り替えられたときに前記第1の抵抗器を短絡するように構成されている、実施態様41に記載のフラックスゲート電流変換器。
【0105】
(51) 前記アナログ測定チャネルは、前記ADCモジュールの供給基準電圧を制御するために基準電圧源を含む、実施態様50に記載のフラックスゲート変換器。
(52) 前記磁性コア(6)に巻き付けられた試験巻線(10)をさらに含み、前記試験巻線は、ユーザーシステム(3)の電子回路に接続されるよう、前記フラックスゲート変換器の接続インターフェース(44)に接続されている、実施態様41に記載のフラックスゲート電流変換器。
(53) 前記試験巻線は、前記試験巻線が第3の測定チャネルM3を提供するように、前記ユーザーシステム(3)から試験電流を受信し、かつ前記フラックスゲート装置内の磁場の測定信号に対応する第2の動作モードで前記ユーザーシステム(3)に電圧を出力するように構成されている、実施態様52に記載のフラックスゲート変換器。
(54) 前記ユーザシステム(3)の電子回路は、前記測定チャネルの1つに影響する障害が発生した場合には、前記3つの測定信号のうち、互いに最も近い値を有する2つの測定信号を使用し、残りの測定信号を破棄するように構成されている、実施態様41に記載のフラックスゲート変換器。
(55) 消磁手順を実行するために実施態様1、15、28、または41に記載のフラックスゲート変換器を動作させる方法であって、
ステップa)前記フラックスゲート装置の発振を停止することと、
ステップb)ステップaの後、限られた数の半周期、好ましくは20半周期未満、より好ましくは10半周期未満、例えば1~5半周期の持続時間にわたり、固定周波数および高い第1の飽和深度で前記フラックスゲート装置の発振を再開することと、
ステップe)ステップbの後、前記フラックスゲート装置の発振を停止することと、
ステップi)ステップeの後、前記第1の飽和深度より小さい中間の第2の飽和深度で前記フラックスゲート装置を自動発振シーケンスで動作させることと、
ステップj)ステップiの後、前記飽和深度を公称値まで漸減させることと、
を含む、方法。
【国際調査報告】