(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】賭け事を管理するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/34 20120101AFI20240711BHJP
【FI】
G06Q50/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503702
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 US2022037873
(87)【国際公開番号】W WO2023004037
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524024948
【氏名又は名称】4352286 ノバ スコシア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】4352286 NOVA SCOTIA LIMITED
【住所又は居所原語表記】314 Newlands Avenue, Sydney NS, B1S 1Z1 CANADA
(74)【代理人】
【識別番号】100098899
【氏名又は名称】飯塚 信市
(74)【代理人】
【識別番号】100163865
【氏名又は名称】飯塚 健
(72)【発明者】
【氏名】ジェソム, マイケル パトリック
【テーマコード(参考)】
5L050
【Fターム(参考)】
5L050CC54
(57)【要約】
賭け事を管理するためのコンピュータ・ベースの方法が提供される。方法は、ランダム化されたゲームプレイの複数のインスタンスを有する、賭け事についてのターゲット全ハウス・アドバンテージを最初に定義することを含む。次いで、方法は、ターゲット全ハウス・アドバンテージより大きいハウス・アドバンテージを定義するランダム化された結果を生成するための第1の潜在的ゲーム結果のセット、及びターゲット全ハウス・アドバンテージより小さいハウス・アドバンテージを定義するランダム化された結果を生成するための第2の潜在的ゲーム結果のセットを定義する。次いで、方法は、賭け事のコンテキストにおけるユーザのポジションを決定し、ユーザのポジションに基づいて、潜在的ゲーム結果のセットのうちの1つをアクティブとして定義する。ランダムなゲームプレイのインスタンスを開始するというユーザからの命令を受け取るとただちに、方法は、アクティブな潜在的ゲーム結果のセットに基づいて、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスの結果を返す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
賭け事を管理するためのコンピュータ・ベースの方法であって、
賭け事についてのターゲット全ハウス・アドバンテージを定義するステップであって、前記賭け事が、ランダム化されたゲームプレイの複数のインスタンスを備える、ステップと、
前記ターゲット全ハウス・アドバンテージより大きいハウス・アドバンテージを定義するランダム化された結果を生成するための第1の潜在的ゲーム結果のセットを定義するステップと、
前記ターゲット全ハウス・アドバンテージより小さいハウス・アドバンテージを定義するランダム化された結果を生成するための第2の潜在的ゲーム結果のセットを定義するステップと、
前記賭け事のコンテキストにおけるユーザのポジションを決定するステップと、
前記ユーザの前記ポジションに基づいて、前記第1の潜在的ゲーム結果のセット及び前記第2の潜在的ゲーム結果のセットのうちの1つをアクティブとして定義するステップと、
前記ランダム化されたゲームプレイのインスタンスを開始するという前記ユーザからの命令を受け取るステップと、
前記アクティブな潜在的ゲーム結果のセットに基づいて、前記ランダム化されたゲームプレイの前記インスタンスの結果を前記ユーザに返すステップと
を含む、コンピュータ・ベースの方法。
【請求項2】
前記賭け事のコンテキストにおける前記ユーザの前記ポジションを繰り返し決定するステップと、前記ユーザの前記ポジションに基づいて、前記潜在的ゲーム結果のセットのうちの1つをアクティブとして定義するステップと、前記ランダム化されたゲームプレイのインスタンスを開始するという前記ユーザからの命令を受け取るステップと、前記アクティブな潜在的ゲーム結果のセットに基づいて、前記ランダム化されたゲームプレイの前記インスタンスの結果を前記ユーザに返すステップとをさらに含み、前記結果が、前記ランダム化されたゲームプレイの前記インスタンスに従って前記ユーザの前記ポジションにインパクトを及ぼす、請求項1に記載のコンピュータ・ベースの方法。
【請求項3】
前記ユーザからの命令に基づいて開始されたゲームプレイの反復のサブセットに対して、前記アクティブな潜在的ゲーム結果のセットが、システム残高と前記ターゲット全ハウス・アドバンテージとの間の関係に基づいて選択される、請求項2に記載のコンピュータ・ベースの方法。
【請求項4】
反復の前記サブセットが、n番目の反復毎の構成要素となり、ここで、nが、前記ランダム化されたゲームプレイのインスタンスの開始前に定義された変数である、請求項3に記載のコンピュータ・ベースの方法。
【請求項5】
前記ターゲット全ハウス・アドバンテージが、0%である、請求項1に記載のコンピュータ・ベースの方法。
【請求項6】
前記ユーザが、全残高を有し、前記賭け事の前記コンテキスト内の前記ユーザのポジションが、前記ユーザの全残高がプラスであるかマイナスであるかに基づく、請求項1に記載のコンピュータ・ベースの方法。
【請求項7】
前記第1の潜在的ゲーム結果のセットが、前記ユーザの前記ポジションを決定した際に前記ユーザの全残高がプラスであるとき、アクティブとして定義され、前記第2の潜在的ゲーム結果のセットが、前記ユーザの前記ポジションを決定した際に前記ユーザの全残高がマイナスであるとき、アクティブとして定義される、請求項6に記載のコンピュータ・ベースの方法。
【請求項8】
前記ユーザの全残高が閾値金額を超えてプラス又はマイナスのとき、及び以前に定義された前記アクティブなゲーム結果のセットが、前記ユーザの現在の残高によって指示された前記アクティブなゲーム結果のセットとは異なる場合だけ、前記アクティブなゲーム結果のセットが変更される、請求項7に記載のコンピュータ・ベースの方法。
【請求項9】
前記ランダム化されたゲームプレイのインスタンスを開始するという前記ユーザからの命令を受け取る前に、前記ユーザからサブスクリプション料金を受け取るステップと、前記ユーザがアクティブなサブスクリプションを有するときだけ、前記ランダム化されたゲームプレイのインスタンスを開始するという命令を前記ユーザが投入可能なユーザ・インターフェースにおいて、前記ユーザにアクセスを提供するステップとをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ・ベースの方法。
【請求項10】
前記ユーザに関連付けられたアカウントのために前記ユーザから資金を受け取るステップであって、前記アカウントからの資金が、前記ランダム化されたゲームプレイのインスタンスに賭けるために前記ユーザによって使用され、前記アカウントの資金が、前記サブスクリプション料金とは無関係である、ステップをさらに含む、請求項9に記載のコンピュータ・ベースの方法。
【請求項11】
前記ターゲット全ハウス・アドバンテージが、0%である、請求項10に記載のコンピュータ・ベースの方法。
【請求項12】
前記ターゲット全ハウス・アドバンテージに対応するハウス・アドバンテージを定義するランダム化された結果を生成するための第3の潜在的ゲーム結果のセットを定義するステップと、前記ユーザが前記ゲームのコンテキスト内のポジションを有する前に、前記第3の潜在的ゲーム結果のセットをアクティブとして最初に定義するステップとをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ・ベースの方法。
【請求項13】
前記第3の潜在的ゲーム結果のセットが、前記ユーザの全残高が閾値金額を下回ってプラス又はマイナスである場合に、アクティブとして定義される、請求項12に記載のコンピュータ・ベースの方法。
【請求項14】
前記第1の潜在的ゲーム結果のセットが、前記ターゲット全ハウス・アドバンテージより大きいハウス・アドバンテージを第1の金額によって定義し、前記第2の潜在的ゲーム結果のセットが、前記ターゲット全ハウス・アドバンテージより小さいハウス・アドバンテージを前記第1の金額とは異なる第2の金額によって定義する、請求項1に記載のコンピュータ・ベースの方法。
【請求項15】
前記潜在的ゲーム結果のセットのそれぞれが、前記賭け事のインスタンスの成果を決定するための公式である、請求項1に記載のコンピュータ・ベースの方法。
【請求項16】
前記潜在的ゲーム結果のセットのそれぞれが、前記賭け事のインスタンスについての潜在的成果の配列又は行列であり、結果が、前記配列又は行列からランダムに選択される、請求項1に記載のコンピュータ・ベースの方法。
【請求項17】
賭け事へのアクセスを提供するためのゲーミング・システムであって、
ユーザが賭け事にアクセスし得るユーザ・インターフェース・デバイスであって、前記賭け事が、ランダム化されたゲームプレイの複数のインスタンスを備える、ユーザ・インターフェース・デバイスと、
前記賭け事を実行するための命令を格納するためのメモリと、
前記ランダム化されたゲームプレイの前記インスタンスについての複数の潜在的ゲーム結果のセットを含むデータベースと、
前記メモリに格納された前記命令に基づいて前記賭け事を実行し、前記複数の潜在的ゲーム結果のセットのうちの1つに基づいて、前記ランダム化されたゲームプレイのインスタンス毎に、ランダム化された成果を生成するためのプロセッサとを備え、
前記賭け事が、ターゲット全ハウス・アドバンテージを有し、
前記複数の潜在的ゲーム結果のセットのそれぞれが、前記賭け事の前記ランダム化されたゲームプレイの特定のインスタンスについてのランダム化された結果を生成し、その結果、前記複数の潜在的ゲーム結果のセットのうちの第1が、前記ターゲット全ハウス・アドバンテージより大きいハウス・アドバンテージを定義するランダム化された結果を生成し、前記複数の潜在的ゲーム結果のセットのうちの第2が、前記ターゲット全ハウス・アドバンテージより小さいハウス・アドバンテージを定義するランダム化された結果を生成し、
前記ユーザが、前記賭け事のコンテキスト内のポジションを有し、前記複数の潜在的ゲーム結果のセットのうちの1つが、前記ユーザのポジションに基づいてアクティブとして定義され、
前記ユーザ・インターフェース・デバイスから開始された前記ランダム化されたゲームプレイのインスタンス毎に、前記プロセッサが、前記インスタンスが開始されたときの前記アクティブな潜在的ゲーム結果のセットに少なくとも部分的に基づいて前記賭け事を実装する、
ゲーミング・システム。
【請求項18】
前記ターゲット全ハウス・アドバンテージが、0%である、請求項17に記載のゲーミング・システム。
【請求項19】
前記賭け事のコンテキスト内の前記ユーザのポジションが、前記ユーザの全残高がプラスであるかマイナスであるかに基づき、前記ユーザの全残高がプラスであるとき、前記第1の潜在的ゲーム結果のセットがアクティブとして定義され、前記ユーザの全残高がマイナスのとき、前記第2の潜在的ゲーム結果のセットがアクティブとして定義される、請求項17に記載のゲーミング・システム。
【請求項20】
ランダム化されたゲームプレイのインスタンスのサブセットに対して、前記潜在的ゲーム結果のセットが、システム残高と前記ターゲット全ハウス・アドバンテージとの間の関係に基づいて選択される、請求項17に記載のゲーミング・システム。
【請求項21】
前記ユーザは、前記賭け事を実装するサービスへのアクティブなサブスクリプションを前記ユーザが有している場合のみ、前記ユーザ・インターフェースにおいて前記賭け事へのアクセスを提供され、前記賭け事は、アクティブなサブスクリプションを維持するための料金とは無関係のユーザ・アカウントからの前記ランダム化されたゲームプレイのインスタンスのための賭け金を受け入れる、請求項17に記載のゲーミング・システム。
【請求項22】
前記複数の潜在的ゲーム結果のセットのそれぞれが、前記賭け事のインスタンスの成果を決定するための公式、又は前記賭け事のインスタンスについての潜在的成果の配列若しくは行列であり、結果が、前記公式に基づいて決定されるか、又は前記配列若しくは行列からランダムに選択される、請求項17に記載のゲーミング・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月22日に提出された米国仮特許出願第63/224,718号の優先権を主張し、その内容が、全体として本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、賭け事(game of chance)を管理(conduct)するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
公正なゲームとは、賭ける参加者が、一般に、妥当な時間内にその全てのベット(bets)の総額を取り戻すことを意味する。このような条件を満たすために、満たされなければならない第1の尺度は、賭け金(wager)を受け入れるゲームのRTPすなわち「リターン・トゥ・プレイヤ(Return to Player)」値が、100%に等しいことである。RTPが100%の単純なゲームは、コイン投げの正しいコール毎に、賭け金の2倍を返す、ダブル・オア・ナッシングのコイン・トス・ゲームである。このようなゲームについてのRTPの公式は、単に、50%(正しい推測のオッズ)*2(賞金)=100%(RTP)である。
【0004】
このゲームの例は、過度に単純に思われることもあるが、これはゲームであり、賭け金を許容する全てのゲームが、その多くの変形形態にもかかわらず、類似の様式でRTPを評価する。RTPの逆は、ゲーム運営者の観点を表現し、HAすなわち「ハウス・アドバンテージ(House Advantage)」と呼ばれる。HAは、単純に100%マイナスRTPである。既述のダブル・オア・ナッシングのコイン・トス・ゲームでは、HAは0%になるはずである。ギャンブル・ゲームは、典型的には、プラスのHAを維持し、プラスのHAは、州の管轄権によって設定されることが多く、例えば10%から5%までのHA、つまりプレイヤの観点では90%から95%までのRTPなど、理にかなった任意の範囲の値であることが可能である。
【0005】
他の因子のどれにも増して、賭博場(house)にとってゲームが経時的にどれだけ収益の高いものになるかを決定するのがHAのサイズである。しかし、HAが、組み合わされた全ての賭け金の期待損失の表現であるという誤解、又は、RTPが、組み合わされた全ての賭け金の期待利得の表現であるという誤解が、プレイヤ(及び、場合によっては運営者である場合もある)の間にある。例えば、95%のRTPのゲームをプレイするとき、プレイヤが$1のスモール・ベットで$1,000を賭けた場合、プレイヤは、5%の負け、つまり$50減らすことになると期待するべきであると誤って想定することがある。しかし、この考えは、勝敗のサイクルにおいて非常に重要な役割を果たす、ゲームの不安定さ(volatility)を反映していない。実際には、プラスのハウス・アドバンテージを伴うゲームにプレイヤが賭けるベットが多くなればなるほど、プレイヤ自身が掘る墓穴が深くなる。
【0006】
図1は、賭け事についての潜在的成果(outcome)のセットについての包絡線を示している。
図1に示されたグラフでは、図示の包絡線100は、プラスのハウス・アドバンテージを維持する伝統的な賭け事との関わり合いの効果及び結果を例示している。
図1に表されたゲームは、典型的な5%のハウス・アドバンテージ、及び5.15の標準偏差を有する。中心線110は、置かれた賭け金毎の期待値を例示しており、置かれた第1の賭け金が5%だけ低減し、次いで、繰返しの試行(trial)の中で悪化した。
【0007】
期待値110の公式、又は収益線は、単純に、HA*賭け金*nである(ここで、nは試行の数であり、HAはハウス・アドバンテージである)。「下側」及び「上側」の線120、130は、95%の信頼区間におけるゲームの不安定さを表現している。これらの上側及び下側の信頼帯120、130は正規分布に適合し、収益線110の近くつまり任意の所与の区間における中間値の近くの成果の範囲を表現しており、これにより、95%の信頼区間で表現された潜在的結果の包絡線を形成している。
【0008】
シミュレーションでは、n回の試行後の結果は、全ての利得の合計から全ての賭け金の合計を引くことによって単純に取得される(全利得-全ベット=収益)。中心線110の勾配は、ゲームの不安定さを考慮しない期待低下率を指示している。プレイヤの観点及び賭博場の観点からのこのグラフ上の最も重要な線は上の信頼帯130であり、なぜなら、プレイヤが金銭を勝ち得るか又は賭博場が金銭を失い得るゼロの損益平衡値より上のグラフのセクションだけをこれが指示するからである。しかし、40,681回のゲーム140の後、この回数分の賭け金を置いたプレイヤは、損益平衡のチャンスがほぼ0%であることに留意されたい。40,681回のゲーム140の後、ゲームの不安定さ及びそのRTP(つまりリターン・トゥ・プレイヤ値)が著しく超えられ、このポイント以降の全ての収益が賭博場へ行くことが予測される。
【0009】
図2は、パラメータが
図1のものとは異なる、賭け事の潜在的成果のセットについての包絡線を示している。図示のように、
図2のグラフは、100%のRTP値、及びしたがって、0%のハウス・アドバンテージを示している。これは、非常に異なる成果になり、よりバランスのとれた状況を例示している。ハウス・アドバンテージがない場合、例えばコイン・トス・ゲームのケースなどでは、どちらの側もアドバンテージを維持しない。
【0010】
したがって、賭け金からの期待値200つまり収益は、依然として、ゼロにおいてニュートラルにとどまる。しかし、上側及び下側の信頼帯210、220がグラフに追加されたとき、これらは、95%の信頼区間における潜在的成果の拡大した包絡線をこれらの線が作り出すことを例示している。図示の線は、√n倍拡大し、ここで、n=全試行である。したがって、0%のハウス・アドバンテージの単純な実装形態は、十分な繰返しの試行の後、賭博場又はプレイヤにとって大きな損失になり得る、予測不能なシステムになるはずである。
【0011】
図3A及び
図3Bは、
図2の包絡線210、220に類似の対応する包絡線に属する異なるゲームについての潜在的成果のセットを示している。図示のように、
図3Aは、標準偏差が6のスロット・ゲームのコンテキストにおける、5つのランダム化シミュレーションの挙動を示している。図示のように、ユーザは、これらのシミュレーションのそれぞれが期待値線200の近くにとどまるはずであると期待し得るが、実際には、決してそうならないはずである。したがって、
図3Aの最も下のシミュレーション300は、ほぼ全期間にわたってマイナスのままであるが、最も上のシミュレーション310は、連続した勝ちの状況にある。
【0012】
両方の観点から、置かれた5百万回の賭け金は、(ユーザによってもシステムによっても)決して取り戻され得ない深刻な損失になることがある。このモデルには「増大」又は「低下」がないので、0%のHAには、これらの線が損益平衡点に達することに対する影響力がない。したがって、このようなシステムは、非常に予測不能なはずである。
【0013】
これは、100%のRTP又は0%のハウス・アドバンテージにおける全てのゲームにとって依然として真である。
図3Bは、1という非常に適度な標準偏差を有するはずのコイン投げゲームのコンテキストにおける類似のセットアップについての結果を示している。
【0014】
これらの結果の予測不能性は、開始時に知ることができず、100%のRTPゲームが実際には実施されず、現実世界では持続不可能であることを意味している。全体として0%のハウス・アドバンテージを有しているにもかかわらず、プレイヤは、継続的なマイナスの状態になることがあり、ここで、プレイヤの全損失は克服するには大きすぎるか、逆に、プレイヤの全利得は失うには大きすぎ、つまり、プレイヤの全ベットの合計より下に落ちる。プレイヤの賭け金をプレイヤが常に取り戻すことを確保するための1つの方式は、システムから不安定さを取り除くことであるが、不安定さは、ゲームを楽しめるようにするものである。不安定さのない完全な払戻ゲームは、プレイヤと賭博場との間でベットが絶えず行き来するだけのものになるはずである。
【0015】
このような賭け事のインスタンスについての成果の不安定さを取り除くことなく、全体として個々のプレイヤにとって及びシステムにとっての予測可能性を生じる、賭け事の公正なプレイ・モデルが必要である。
【発明の概要】
【0016】
一部の実施形態では、賭け事を管理するためのコンピュータ・ベースの方法が提供される。この方法は、賭け事についてのターゲット全ハウス・アドバンテージを最初に定義することであって、前記賭け事が、ランダム化ゲームプレイの複数のインスタンスを有する、定義することを含む。
【0017】
次いで、方法は、ターゲット全ハウス・アドバンテージより大きいハウス・アドバンテージを定義するランダム化された結果を生成するための第1の潜在的ゲーム結果のセット(game results set)、及びターゲット全ハウス・アドバンテージより小さいハウス・アドバンテージを定義するランダム化された結果を生成するための第2の潜在的ゲーム結果のセットを定義する。
【0018】
次いで、方法は、賭け事のコンテキスト(context)におけるユーザのポジションを決定し、ユーザのポジションに基づいて、第1の潜在的ゲーム結果のセット及び第2の潜在的ゲーム結果のセットのうちの1つをアクティブとして定義する。次いで、ランダムなゲームプレイのインスタンスを開始するというユーザからの命令を受け取るとただちに、方法は、アクティブな潜在的ゲーム結果のセットに基づいて、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスの結果をユーザに返す。
【0019】
一部の実施形態では、方法は、賭け事のコンテキストにおけるユーザのポジションを繰り返し決定すること、及びユーザのポジションに基づいて、潜在的ゲーム結果のセットのうちの1つをアクティブとして定義することをさらに含む。次いで、方法は、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスを開始するというユーザからの命令を受け取り、アクティブな潜在的ゲーム結果のセットに基づいて、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスの結果をユーザに返す。したがって、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスの結果は、ユーザのポジションにインパクトを及ぼす。
【0020】
一部のこのような実施形態では、ユーザからの命令に基づいて開始されたゲームプレイの反復のサブセットに対して、アクティブな潜在的ゲーム結果のセットが、システム残高(balance)とターゲット全ハウス・アドバンテージとの間の関係に基づいて選択される。一部のこのような実施形態では、反復のサブセットは、n番目の反復毎の構成要素となり、ここで、nは、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスの開始前に定義された変数である。
【0021】
一部の実施形態では、ターゲット全ハウス・アドバンテージは、0%である。
【0022】
一部の実施形態では、ユーザは、全残高を有し、賭け事のコンテキスト内のユーザのポジションは、ユーザの全残高がプラスであるかマイナスであるかに基づく。一部のこのような実施形態では、第1の潜在的ゲーム結果のセットは、ユーザのポジションを決定した際にユーザの全残高がプラスであるとき、アクティブとして定義され、第2の潜在的ゲーム結果のセットは、ユーザのポジションを決定した際にユーザの全残高がマイナスであるとき、アクティブとして定義される。
【0023】
一部のこのような実施形態では、ユーザの全残高が閾値金額を超えてプラス又はマイナスのとき、及び以前に定義されたアクティブなゲーム結果のセットが、ユーザの現在の残高によって指示されたアクティブなゲーム結果のセットとは異なる場合だけ、アクティブなゲーム結果のセットが変更される。
【0024】
一部の実施形態では、方法は、サブスクリプション・ベースのサービスを提供する。このような実施形態では、方法は、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスを開始するというユーザからの命令を受け取る前に、ユーザからサブスクリプション料金を受け取ることを含む。次いで、方法は、ユーザがアクティブなサブスクリプションを有するときだけ、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスを開始するという命令をユーザが投入可能なユーザ・インターフェースにおいて、ユーザにアクセスを提供する。
【0025】
一部のこのような実施形態では、方法は、ユーザに関連付けられたアカウントのためにユーザから資金を受け取ることを含む。次いで、アカウントからの資金は、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスに賭けるためにユーザによって使用される。このような実施形態におけるアカウントの資金は、サブスクリプション料金とは無関係である。このような実施形態では、ターゲット全ハウス・アドバンテージは、0%でもよい。
【0026】
一部の実施形態では、方法は、ターゲット全ハウス・アドバンテージに対応するハウス・アドバンテージを定義するランダム化された結果を生成するための第3の潜在的ゲーム結果のセットを定義する。このような実施形態では、方法は、ユーザの第1のインスタンスによるゲームプレイの開始時など、ユーザがゲームのコンテキスト内のポジションを有する前に、第3の潜在的ゲーム結果のセットをアクティブとして最初に定義してもよい。一部のこのような実施形態では、第3の潜在的ゲーム結果のセットは、ユーザの全残高が閾値金額を下回ってプラス又はマイナスである場合に、アクティブとして定義される。
【0027】
一部の実施形態では、第1の潜在的ゲーム結果のセットは、ターゲット全ハウス・アドバンテージより大きいハウス・アドバンテージを第1の金額によって定義し、第2の潜在的ゲーム結果のセットは、ターゲット全ハウス・アドバンテージより小さいハウス・アドバンテージを第1の金額とは異なる第2の金額によって定義する。
【0028】
一部の実施形態では、潜在的ゲーム結果のセットのそれぞれは、賭け事のインスタンスの成果を決定するための公式である。一部の代替実施形態では、潜在的ゲーム結果のセットのそれぞれは、賭け事のインスタンスについての潜在的成果の配列(array)又は行列(matrix)である。次いで、結果が、配列又は行列からランダムに選択される。
【0029】
賭け事へのアクセスを提供するためのゲーミング・システムがさらに提供される。システムは、ユーザが賭け事にアクセスし得るユーザ・インターフェース・デバイスを含む。賭け事は、ランダム化されたゲームプレイの複数のインスタンスを備える。システムは、賭け事を実行(implement)するための命令を格納するためのメモリをさらに含む。システムは、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスについての複数の潜在的ゲーム結果のセットを含むデータベースをさらに含み、このようなデータベースは、メモリに格納されてもよい。
【0030】
システムは、メモリに格納された命令に基づいて賭け事を実行し、複数の潜在的ゲーム結果のセットのうちの1つに基づいて、ランダム化されたゲームプレイのインスタンス毎に、ランダム化された成果を生成するためのプロセッサをさらに含む。
【0031】
賭け事は、ターゲット全ハウス・アドバンテージを有し、複数の潜在的ゲーム結果のセットのそれぞれは、賭け事のランダム化されたゲームプレイの特定のインスタンスについてのランダム化された結果を生成し、その結果、複数の潜在的ゲーム結果のセットのうちの第1が、ターゲット全ハウス・アドバンテージより大きいハウス・アドバンテージを定義するランダム化された結果を生成し、複数の潜在的ゲーム結果のセットのうちの第2が、ターゲット全ハウス・アドバンテージより小さいハウス・アドバンテージを定義するランダム化された結果を生成する。
【0032】
ユーザは、賭け事のコンテキスト内のポジションを有し、複数の潜在的ゲーム結果のセットのうちの1つが、ユーザのポジションに基づいてアクティブとして定義される。次いで、ユーザ・インターフェース・デバイスから開始されたランダム化されたゲームプレイのインスタンス毎に、プロセッサは、インスタンスが開始されたときのアクティブな潜在的ゲーム結果のセットに少なくとも部分的に基づいて賭け事を実行する。
【0033】
一部の実施形態では、ターゲット全ハウス・アドバンテージは、0%である。
【0034】
一部の実施形態では、賭け事のコンテキスト内のユーザのポジションは、ユーザの全残高がプラスであるかマイナスであるかに基づく。次いで、第1の潜在的ゲーム結果のセットは、ユーザの全残高がプラスであるとき、アクティブとして定義されてもよく、第2の潜在的ゲーム結果のセットは、ユーザの全残高がマイナスのとき、アクティブとして定義される。
【0035】
一部の実施形態では、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスのサブセットに対して、潜在的ゲーム結果のセットが、システム残高とターゲット全ハウス・アドバンテージとの間の関係に基づいて選択される。
【0036】
一部の実施形態では、ユーザは、賭け事を実行するサービスへのアクティブなサブスクリプションをユーザが有している場合のみ、ユーザ・インターフェースにおいて賭け事へのアクセスを提供される。次いで、賭け事は、アクティブなサブスクリプションを維持するための料金とは無関係に、ユーザ・アカウントからのランダム化されたゲームプレイのインスタンスのための賭け金を受け入れてもよい。
【0037】
一部の実施形態では、複数の潜在的ゲーム結果のセットのそれぞれは、賭け事のインスタンスの成果を決定するための公式であり、結果は、公式に基づいて決定される。いくつかの代替実施形態では、複数の潜在的ゲーム結果のセットのそれぞれは、賭け事のインスタンスについての潜在的成果の配列又は行列であり、結果が、配列又は行列からランダムに選択される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、賭け事についての潜在的成果のセットについての包絡線の図である。
【0039】
【
図2】
図2は、パラメータが
図1のパラメータとは異なる、賭け事についての潜在的成果のセットについての包絡線の図である。
【0040】
【
図3A】
図3Aは、対応する包絡線に属する異なるゲームについての潜在的成果のセットの図である。
【
図3B】
図3Bは、対応する包絡線に属する異なるゲームについての潜在的成果のセットの図である。
【0041】
【
図4】
図4は、本開示による第1の潜在的ゲーム結果のセットについての包絡線内の潜在的成果のセットの図である。
【0042】
【
図5】
図5は、本開示による第2の潜在的ゲーム結果のセットについての包絡線内の潜在的成果のセットの図である。
【0043】
【
図6】
図6は、賭け事へのアクセスを提供するためのゲーミング・システムの図である。
【0044】
【
図7】
図7は、賭け事を実行するための方法を例示したフローチャートである。
【0045】
【
図8】
図8は、本開示による賭け事の実装形態についての潜在的成果のセットの図である。
【0046】
【0047】
【
図10】
図10は、本開示による賭け事を実行するための方法を例示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の原理による例証的実施形態の説明は、添付の図面と共に読まれることを意図しており、添付の図面は、書かれた説明全体の一部であると考えられるべきである。本明細書で開示される本発明の実施形態の説明では、方向又は向きへの何らかの言及は、説明の便宜を意図しているに過ぎず、何らかの方式で本発明の範囲を限定することを意図するものではない。「下側(lower)」、「上側(upper)」、「水平」、「垂直」、「上(above)」、「下(below)」、「上がる(up)」、「下がる(down)」、「一番上」、及び「一番下」、並びにその派生語(例えば,「水平に」、「下に(downwardly)」、「上に(upwardly)」等)などの相対的用語は、議論の中でその時記載されたような又は図面に示されたような向きを指すような意味にとられるべきである。これらの相対的用語は、説明の便宜のためのものに過ぎず、そのようなものとして明示的に指示のない限り、装置が特定の向きに構築又は動作されることを要求しない。「取り付けられた」、「貼られた」、「接続された」、「連結された」、「相互接続された」、及び類似のものなどの用語は、別途明確に記載のない限り、構造が直接的に又は介在する構造を通じて間接的に互いに固定された又は取り付けられた関係、及び、移動可能な又は強固な両方の取付け又は関係を指す。その上、本発明の特徴及び利益は、例示の実施形態への言及によって例示される。したがって、本発明は明確に、単独で又は特徴の他の組合せで存在し得る、特徴のいくつかの可能な非限定的組合せを例示するこのような例示的実施形態に限定されるべきではなく、本発明の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0049】
本開示は、現在想定されるような、本発明を実践する最善の1又は2以上のモードを説明する。本説明は、限定的意味で理解されることを意図するものではなく、添付の図面への参照によって専ら例証のために提示された本発明の例を提供して、本発明の利点及び構造を当業者に助言する。図面の様々な図では、同様の参照文字は、同様又は類似の部分を指名する。
【0050】
本開示は、一般に、賭け事を管理するための方法、及びこのような賭け事へのアクセスを提供するためのシステムを論じる。本明細書で論じられる賭け事は、一般に、ランダム化されたゲームプレイの複数のインスタンスを備える。したがって、ユーザは、コインを投げること、又は仮想スロット・マシン若しくはルーレット盤をプレイすることなど、ランダム化された又は部分的にランダム化された成果を有するゲームのインスタンスをプレイし得る。ゲームのインスタンスは、特に、ポーカー・ゲーム、異なるリール・ベースのゲーム、又は、キノなどの数字ゲームなど、同様にさらなる形式でもよい。次いで、賭け事は、このような個々のゲームプレイ・イベントの複数のインスタンスを含むはずである。
【0051】
本明細書で論じられる賭け事は、一般に、本明細書で論じられるような、ユーザのインターフェース・デバイスを通じてアクセスされる仮想ゲームである。本明細書で説明される賭け事を作り出すために組み合わさるゲームプレイの様々なインスタンスは、同じゲームプレイの複数のインスタンスでもよいか、又はこれらは、ユーザによって選択された別個のゲームのインスタンスでもよい。例えば、ユーザには、賭け事プラットフォーム内の様々なゲームへのアクセスが提供されてもよく、したがって、ユーザは、賭け事のインスタンス毎にこれらのゲームのうちの1つを選択してもよい。
【0052】
本明細書で使用されるようなハウス・アドバンテージは、典型的には、実装するシステム内のゲームに賭けられた通貨又は通貨同等物のパーセンテージの観点から表現された、システム運営者の全ての収益の合計を指す。対照的に、プレイヤに返される一定の資金つまりRTPは、このプレイヤによって置かれた全賭け金に対するプレイヤにとっての全利得を表す。
【0053】
上記で論じられたように、ハウス・アドバンテージが0%の不安定なゲームがさらなる修正なく提供された場合、賭博場による及びゲームのユーザつまりプレイヤによる損失の可能性が等しく高くなるはずであるが、ユーザにとって及びシステムにとって全体として全面的に予測不能なはずであるという意味で、結果は公正なゲームになるはずである。したがって、ゲームのユーザが損益平衡点、又は所与のハウス・アドバンテージについての予測ポイントを絶えず超えるようにデザインされた、0%などのターゲットのハウス・アドバンテージにおける公正なゲームを作り出すために、不安定さの管理の方法がシステムに導入され、所望のRTP又はハウス・アドバンテージの近くで利得及び損失のフローを旋回させる。このようなアプローチは、全体の結果を依然として管理しながら、システム内の不安定さを可能にする。
【0054】
このようなゲームを実施するために、本明細書に記載のシステム及び方法は、測定されるRTP又はハウス・アドバンテージが、ターゲットRTP又はハウス・アドバンテージをその中で対象とする、アドバンテージの別個の期間を定義する。これを行うために、実装される賭け事の少なくとも2つの異なるバージョンが使用され、ゲームの各バージョンは、異なるRTP又はハウス・アドバンテージでデザインされる。
【0055】
図4は、本開示による第1の潜在的ゲーム結果のセットについての包絡線内の潜在的成果のセットを示している。
図5は、本開示による第2の潜在的ゲーム結果のセットについての包絡線内の潜在的成果のセットを示している。図示のように、
図4の潜在的ゲーム結果のセットにはプラスのハウス・アドバンテージがあり、所与のハウス・アドバンテージを有する伝統的ゲームのような、経時的に低下する賭け金の期待値400になる。したがって、システム410、420内の異なる参加者は、結果の上側及び下側の信頼帯430、440によって定義された包絡線内でそれることがあるが、依然として、十分長い期間にわたって低下することが期待されるはずである。これは、ハウス・アドバンテージが伝統的ゲームより0%に近くなったとしても真である。したがって、
図4のグラフは、ハウス・アドバンテージが2%しかない状態で実装されたゲームの結果を示している。
【0056】
同様に、
図5は、潜在的成果のセットが、マイナスのハウス・アドバンテージを有していることを示している。これは、経時的に上昇する期待値500になる。このようなマイナスのハウス・アドバンテージは、このようなシステムを実装するシステム・アドミニストレータにとっての損失になるはずなので、伝統的な賭け事のコンテキストでは実装されないはずである。図示のように、このようなシステム510、520内の参加者は、上側及び下側の信頼帯530、540によって定義された包絡線内でそれることがあるが、依然として、十分長い期間にわたって上昇することが期待されるはずである。
【0057】
したがって、本明細書に記載のようなシステム及び方法は、ユーザのアカウント内の資金の上昇及び下降を制御するために、潜在的ゲーム結果の異なるセットの間で切り替えてもよい。これにより、システム及び方法は、ゲームの各インスタンスの不安定さが、このような賭け事に典型的な範囲内にとどまったとしても、このような賭け事のユーザつまりプレイヤが損益平衡点の近くにある状態を保つことができる。
【0058】
本明細書でさらに論じられるように、プラットフォームは、サブスクリプション・ベースのサービスでもよく、したがって、ユーザは、賭け事に参加するためにアクセス料金を支払う。次いで、ユーザは、ゲームプレイのコンテキスト内のユーザのポジションを表す、いずれかのサブスクリプション料金とは無関係の、別個のユーザ・アカウント残高を有してもよい。例えば、ユーザの現在のアカウント残高が、このアカウント残高へのユーザの預金より大きく、ユーザがプラスの残高を有し、ユーザの現在の残高が、このアカウント残高へのユーザの全預金より少ない場合、ユーザはマイナスの残高を有する。
【0059】
システム・アドミニストレータに収益をもたらすため、及び経費を支払うために、サブスクリプション料金を収集することによって、システム・アドミニストレータは、次いで、ハウス・アドバンテージを0%にセットすることによって、賭け事自体における収益を差し控えることができることがある。これは、本明細書に記載のシステム及び方法によって可能になるように、ハウス・アドバンテージを0%にセットした結果が予測可能になる場合のみ、可能になるはずである。
【0060】
図6は、賭け事へのアクセスを提供するためのゲーミング・システム600を示している。図示のように、ゲーミング・システム600は、一般に、コンピュータ610a又はスマートフォン610bなどのユーザ・インターフェース・デバイスを含んでもよく、ユーザは、これを通じて賭け事にアクセスしてもよい。賭け事は、コイン投げシミュレータ又は仮想スロット・マシンなどの、単一のゲーム又は単一のタイプのゲームでもよい。賭け事は、一般に、ランダム化されたゲームプレイの複数のインスタンスを備える。したがって、賭け事が仮想スロット・マシンの場合、仮想レバーを引く各々の回が、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスになるはずである。代替として、賭け事は、複数の別個のゲームをユーザに提供するプラットフォームでもよく、ゲームのそれぞれは、ランダム化されたゲームプレイの任意の特定のインスタンスに対して選択可能である。
【0061】
システム600は、賭け事を実装するための命令を格納するためのメモリ630、及び、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスについての複数の潜在的ゲーム結果のセットを含むデータベース640をさらに備える。潜在的ゲーム結果のセットは、典型的には、このゲーム結果のセットがアクティブである間に開始されたランダム化されたゲームプレイのいずれかのインスタンスについての成果を定義するはずである。したがって、ユーザが仮想レバーを引くことによってスロットの仮想ゲームを開始したとき、この引くことの結果は、アクティブなゲーム結果のセットによって定義されるはずである。
【0062】
このようなゲーム結果のセットは、潜在的な結果を指示するテーブルでもよく、このテーブルから、特定の結果がランダムに又は公式に従って選択される。したがって、結果は、配列若しくは行列として、又は、ランダム化された結果のオプションが提示され得る任意の他のフォーマットとして、提示されてもよく、そこから結果が引き出される。
【0063】
代替として、ゲーム結果のセットは、ランダム変数から特定の結果を生成するために使用される公式又はソフトウェア・ルーチンでもよい。このような潜在的ゲーム結果のセットは、
図3A及び
図3Bで示されたこれらの結果など、ニュートラルの結果を生成するように調整若しくは構成されてもよいか、又は、
図4若しくは
図5で示されたものなど、下降若しくは上昇結果を経時的に生成するように調整若しくは構成されてもよい。
【0064】
システム600は、メモリ630に格納された命令に基づいて賭け事を実行するため、及び、データベース640における複数の潜在的ゲーム結果のセットのうちの1つに基づいて、ランダム化されたゲームプレイのインスタンス毎に、ランダム化された成果を生成するための、プロセッサ620をさらに備えてもよい。プロセッサ620、メモリ630、及びデータベース640は、サーバ650に組み込まれてもよいし、又は他の方法で配布されてもよい。構成要素がサーバ650内にある場合、サーバには、ネットワーク・アダプタ660が提供されてもよい。
【0065】
同様に、データベース640、又は別々に接続されたデータベースは、サブスクリプション・ステータス又はアカウント残高など、ユーザ情報を維持してもよい。このような情報は、上述のシステム600上で賭け事を実装する方法によってアクセス可能でもよい。
【0066】
次いで、ユーザ・インターフェース・デバイス610a、610bは、ネットワーク・アダプタ660を経由して、インターネットなどのネットワーク670を通じてサーバ650にアクセスしてもよい。したがって、ゲームは、サーバ650と通信中のウェブサイト又はアプリケーションを経由してアクセスされてもよい。代替として、システムは、異なる方式で実装されてもよい。例えば、ゲームを動作させるプロセッサは、ユーザのインターフェース・デバイス610a、610bにインストールされてもよく、したがって、ゲームを実装するための命令を格納するメモリ630は、ローカルにインストールされる。次いで、ゲームはソフトウェア・アプリケーションで具体化されてもよく、データベース640はローカルでもよいし、インターネット650を経由してアクセスされるサーバ上にあってもよいし、又は様々なゲーム構成要素が、クラウド・システム内に配布されてもよい。
【0067】
図7は、本開示による賭け事を管理するための方法を例示したフローチャートである。方法は、
図1に関連して上記で論じられたシステム600上で実行されてもよいか、又は、任意の適切なコンピュータ・システム上で実装されてもよい。
【0068】
図示のように、方法は、(700において)実装されることになる賭け事についてのターゲット全ハウス・アドバンテージを最初に定義してもよい。上記で論じられたように、賭け事は、典型的には、ランダム化されたゲームプレイの複数のインスタンスを備える。このようなインスタンスは、仮想スロット・マシンなど、同じゲームプレイの複数のインスタンスでもよいか、又は、ゲームプレイの様々なタイプの複数のインスタンスでもよい。同様に、複数のインスタンスは、異なるテーマを有する仮想スロット・マシンといった、類似のタイプのゲームプレイであるが個々が異なるゲーム内にあってもよい。このようなゲームは、異なるレベルの不安定さを提供してもよく、潜在的成果が、異なるオッズで表されてもよい。
【0069】
一部の実装形態では、ターゲット全ハウス・アドバンテージは5%又は2%であり、それぞれ95%又は98%のRTPになり、このような実装形態では、賭け事内のゲームプレイのインスタンスのオッズは、ゲームプレイのインスタンスの十分大きなセットにわたって、システム運営者が、賭けられた全ての通貨の5%又は2%を勝つはずであるように調整されるはずである。ゲームプレイのインスタンスの成果が、コイン投げゲームのコンテキストにおけるように2値の場合、これは、賭博場がインスタンスのさらなる5%を勝つように期待される成果をゆがめたことによるものであるはずである。ゲームプレイのインスタンスの成果が、仮想スロット・マシンのコンテキストにおけるように異なる値を有する場合、成果は、所望のハウス・アドバンテージを生成するように、より精緻に調整可能である。
【0070】
一部の実施形態では、ターゲット全ハウス・アドバンテージは0%にセットされてもよく、賭けられた資金の100%が、賭け事のプレイヤつまりユーザに返されることになる。このようなシナリオでは、ゲームプレイを実装するシステム600のシステム運営者のために生成されることになる何らかの収入は、賭け金以外のソースから生じるはずである。上記及び下記で論じられるように、このような収入は、次いで、ユーザから収集されたサブスクリプション料金から生じてもよい。
【0071】
(700において)賭け事のためのターゲット全ハウス・アドバンテージが定義されると、方法は、ターゲット全ハウス・アドバンテージより大きいハウス・アドバンテージを定義するランダム化された結果を生成するために、(710において)第1の潜在的ゲーム結果のセットを定義する。次いで、ターゲット全ハウス・アドバンテージより小さいハウス・アドバンテージを定義するランダム化された結果を生成するために、(720において)第2の潜在的ゲーム結果のセットが定義される。このような潜在的ゲーム結果のセットの成果の例が、
図4及び
図5にそれぞれ示されている。
【0072】
したがって、ターゲット全ハウス・アドバンテージが0%であると定義された場合、第1の潜在的ゲーム結果のセットは、2%又は5%のハウス・アドバンテージを定義してもよく、その一方で、第2の潜在的ゲーム結果のセットは、-2%又は-5%のハウス・アドバンテージを定義してもよい。
【0073】
同様に、ターゲット全ハウス・アドバンテージが5%であると定義された場合、第1の潜在的ゲーム結果のセットは、7%のハウス・アドバンテージを定義してもよく、第2の潜在的ゲーム結果のセットは、3%のハウス・アドバンテージを定義してもよい。0%、2%、及び5%の全体のターゲットのハウス・アドバンテージが論じられ、第1及び第2の潜在的ゲーム結果のセットが、全体のターゲットの賭博場のプラス又はマイナス2%又は5%として定義されているが、多種多様なハウス・アドバンテージが想定され、これらのハウス・アドバンテージに対する多種多様な相殺物(offset)が想定されることが指摘される。
【0074】
一部の実施形態では、(725において)第3の結果のセットが定義されてもよい。このような第3の結果のセットは、賭け事のためのターゲット全ハウス・アドバンテージに等しくてもよく、アクティブな結果のセットとして最初に定義されてもよい。
【0075】
論じられているように、本明細書で論じられる賭け事の一部の実施形態では、サブスクリプション料金が、ユーザから収集されてもよい。したがって、このような実施形態では、方法は、次いで、(730において)ユーザからサブスクリプション料金を受け取ってもよく、この後、ユーザは、賭け事を実装するプラットフォームにアクセスする権限を付与されてもよい。このようなサブスクリプション料金によって、システム運営者は、比較的低いターゲット全ハウス・アドバンテージからの所得を補えることがあるか、又はこのようなサブスクリプション料金によって、システム運営者は、システムを運営することからの収益を依然として稼ぎながら、ターゲット全ハウス・アドバンテージをゼロにセットできることがある。上記のように、このようなサブスクリプション料金は、ユーザのアカウント残高とは無関係のシステム運営者に支払われてもよい。したがって、ユーザのアカウント残高は、賭け金を置くために資金提供され、使用されるが、このようなアカウント残高は、ユーザによって支払われるどのようなサブスクリプション料金を考慮することも含めることもないはずである。
【0076】
いずれにしても、ユーザが、最新のサブスクリプションを有することによって、又は他の方法によりシステム600内でアクティブなアカウントを有することによって、プラットフォームにアクセスする権限を付与されると、方法は、上記で論じられたように、ユーザ・インターフェース・デバイス610a、610bを典型的に経由して、プラットフォームへのアクセスを提供する(740)。
【0077】
ユーザがシステム600にアクセスすると、オプションとして、ユーザには、プレイする賭け事の選択肢が提示されてもよいか、又は、選ぶことが可能な単一の賭け事内の様々なゲームが提示されてもよい。次いで、ゲームを選ぶことは、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスを実装するために、このゲームへのユーザ・アクセスを与えるはずである。
【0078】
ユーザがシステム600にアクセスするか又はプレイするゲームを選ぶと、方法は、次いで、(760において)賭け事のコンテキスト内でユーザのポジションを決定してもよい。これは、ユーザの残高を評価して、ユーザが預金に比べてプラス又はマイナスの残高を有するかどうかを決定することによるものでもよい。したがって、ユーザの現在の残高が、全預金より大きい総額を反映している場合、ユーザは、プラスの残高を有していると決定されるはずであり、その一方で、ユーザの現在の残高が全預金より小さい総額を反映している場合、ユーザは、マイナスの残高を有していると決定されるはずである。
【0079】
ユーザのポジションは、プラスの残高又はマイナスの残高を有するものとして本明細書に記載されているが、ユーザのポジションの他の測定値も同様に想定される。したがって、システム600が0%のハウス・アドバンテージを有する賭け事を実装する場合には、プラス又はマイナスの残高が適切であることもあるが、ユーザの現在の残高を、全預金ではなく期待される残高と比較することによって、プラスのハウス・アドバンテージを有する実装形態がユーザのポジションを決定してもよい。
【0080】
いずれにしても、(760において)ゲーム内のユーザのポジションが決定されると、(770において)結果のセットがアクティブとして定義されてもよい。したがって、ユーザの全残高がプラスであるかマイナスであるかに基づいて、(760において)ユーザのゲームのコンテキスト内のポジションが決定された実施形態では、(710において定義された)第1の潜在的ゲーム結果のセットは、ユーザの全残高がプラスであるとき、アクティブとして定義されてもよく、(720において定義された)第2の潜在的ゲーム結果のセットは、ユーザの全残高がマイナスのとき、アクティブとして定義されてもよい。
【0081】
したがって、ターゲット全ハウス・アドバンテージが0%である場合、ユーザは、一般に、100%のリターン・トゥ・プレイヤを経時的に達成することが期待されるはずである。しかし、いつでも、ユーザが以前のゲームに勝つか負けたことが、結果としてプラス又はマイナスの残高になる。下記でより詳細に論じられるように、このような勝ち又は負けは経時的に積み上げることができ、結果として、ユーザの残高は、ユーザの全預金から著しく変動する。
【0082】
本明細書で記載される方法では、(760において)ユーザの残高がプラスであると決定された場合、(770において)第1の潜在的ゲーム結果のセットがアクティブとして定義され、これは、ゲーム結果に圧力をかけて、ユーザの預金の総計の方にユーザの残高を戻す。このような圧力の成果が、例えば
図4に示されている。同様に、(760において)ユーザの残高がマイナスであると決定されたとき、(770において)第2の潜在的ゲーム結果のセットがアクティブとして定義され、これは、逆の方向にゲーム結果に圧力をかけて、ユーザの預金の総計の方にユーザの残高を戻す。このような圧力の成果が、例えば
図5に示されている。
【0083】
(725において)第3の潜在的ゲーム結果のセットが定義された実施形態では、このような第3のセットは、ターゲット全ハウス・アドバンテージに等しくてもよい。したがって、ユーザが新しいアカウントを作成したとき、ユーザの残高がユーザの預金にちょうど等しいので、(770において)第3のセットがアクティブとして定義されてもよい。同様に、プレイヤの残高が絶えず戻ってプレイヤの預金にちょうど等しくなる場合、第3のセットがアクティブとして定義されてもよい。
【0084】
(725において)第3の潜在的ゲーム結果のセットが定義された一部の実施形態では、ユーザの残高がユーザの預金にちょうど等しい場合、又はユーザの残高が、1%若しくは2%内など、ユーザの預金の何らかの閾値金額内である場合、(770において)第3のセットがアクティブとして定義されてもよい。
【0085】
方法の実施形態では、ユーザは、ランダム化されたゲームプレイのゲームの複数のインスタンスを順番に開始してもよい。このような実施形態では、システムが、(760において)ゲームにおけるユーザ・ポジションを決定し、次いで、(770において)結果のセットをアクティブとして定義したとき、ユーザは、アクティブとして以前に定義された結果のセットを既に有していることがある。したがって、システムは、上記で論じられたように、ゲーム内のユーザのポジションについて直接の決定を行い、ユーザのポジションに基づいて、(770において)結果のセットをアクティブとして定義してもよい。上記で論じられた例では、第1の潜在的ゲーム結果のセットは、次いで、ユーザの全残高がプラスであるとき、アクティブとして定義されてもよく、第2の潜在的ゲーム結果のセットは、ユーザの全残高がマイナスのとき、アクティブとして定義されてもよい。代替として、一部の実施形態では、システムは、ユーザの全残高がプラス若しくはマイナスになる金額をさらに決定してもよいか、又は、ターゲット全ハウス・アドバンテージが0%とは異なるケースでは、ユーザの全残高が期待される残高とは異なる金額を決定してもよい。このような実施形態では、ユーザの全残高が閾値金額を超えてプラス又はマイナスのとき、及び以前に定義されたアクティブなゲーム結果のセットが、ユーザの現在の残高によって指示又は示唆されたアクティブなゲーム結果のセットとは異なる場合だけ、アクティブなゲーム結果のセットが、以前に定義されたアクティブな結果のセットから変更されてもよい。
【0086】
(770において)特定の結果のセットがアクティブとして定義されると、方法は、(780において)ランダム化されたゲームプレイのインスタンスを開始するという命令をユーザから受け取る。次いで、システムは、(790において)ランダム化されたゲームプレイのこのようなインスタンスを開始する。このような実装形態は、例えば、選択されたゲームに関連付けられたゲームプレイに関係のあるアニメーションをユーザに表示することによるものでもよく、その一方で、方法は、アクティブな結果のセットに基づいて適切な結果を決定する。例えば、ユーザによって選択されたゲームプレイが仮想スロット・マシンの場合、方法は、アクティブにスピンしているスロット・マシンのアニメーションをユーザに提示してもよい。アクティブな結果のセットに基づいてユーザにとって適切な成果を方法が決定すると、アニメーションは、次いで、決定された結果にスロット・マシンが到達したことをアニメーションにより示すことによって、(800において)アクティブな結果のセットに基づいて結果を返してもよい。
【0087】
(800において)結果がユーザに返されると、このような結果はユーザの記録に組み込まれ、(810において)ユーザの残高がアップデートされる。したがって、ユーザが自分の賭け金を得た場合、適切な金額がユーザの残高に加算され、その一方で、ユーザが自分の賭け金を失った場合、適切な金額がユーザの残高から減算される。
【0088】
一部の実施形態では、次いで、ユーザには、(820において)もう一度プレイするオプションが提示される。次いで、ユーザはプラットフォームを出るか、もう一度プレイすることを選ぶことができる。図示の実施形態は、ユーザが以前の反復においてプレイした同じ特定のゲームに戻ることを示し、したがって、(760における)ゲーム内のユーザのポジションを決定することに進むが、ユーザは、同様に、(740における)プラットフォーム全体のためのアクセス・ポイントに戻ることができ、このような選択肢が提示された実施形態では、(750において)ランダム化されたゲームプレイの次のインスタンスのために異なるゲームを選択することができる。
【0089】
いずれにしても、(820において)ランダム化されたゲームプレイのインスタンスのさらなる反復をプレイすることをユーザが選んだ後、方法は、(810において)以前の結果に基づいて既にアップデートされたユーザの残高に今回は基づいて、(760において)賭け事のコンテキスト内のユーザのポジションをもう一度決定する。方法は、(760における)このような決定の結果に基づいて、(770において)潜在的ゲーム結果のセットをアクティブとして定義し、次いで、(780において)ランダム化されたゲームプレイのインスタンスを開始するという命令を受け取る。次いで、方法は、(790において)ランダム化されたゲームプレイのこのようなインスタンスを開始し、アクティブとして定義された潜在的ゲーム結果のセットに基づいて、(800において)インスタンスの結果を返す。
【0090】
このような反復は繰り返し行われてもよく、このような反復毎に、ゲーム内のユーザのポジションの新しい決定(760)が実行されてもよい。
【0091】
記載の方法への様々な修正が実施されてもよいことが理解されよう。例えば、本明細書に記載の実施形態では、ターゲット全ハウス・アドバンテージは0%でもよく、このようなシナリオでは、
図4に示されたように、下降の結果のセットが、2%のハウス・アドバンテージをもたらしてもよく、その一方で、
図5に示されたように、上昇の結果のセットが、-2%のハウス・アドバンテージをもたらしてもよい。このアプローチは対称の結果をもたらし、したがって、システムは、ユーザがプラス又はマイナスの残高を有するときの等しいレートのようなニュートラル状態の方に、ユーザ・アカウント残高を動かすために圧力をかける。しかし、一部の実施形態では、これらの結果のセットにおけるハウス・アドバンテージを修正することによって、非対称な圧力がかけられてもよい。したがって、一部の実施形態では、上昇の結果のセットが、-2%のハウス・アドバンテージをもたらすこともあり、その一方で、下降の結果のセットが、5%のハウス・アドバンテージをもたらすこともある。
【0092】
同様に、図示及び記載された複数の潜在的ゲーム結果のセットは、任意の特定のゲームについての2つの潜在的ゲーム結果のセット又は3つの潜在的ゲーム結果のセットのいずれかを備えるが、一部の実施形態は、追加のゲーム結果のセットを提供することが理解されよう。したがって、一部の実施形態では、ユーザ・アカウントが期待される以上にそれた場合のターゲット全ハウス・アドバンテージとはさらに異なるハウス・アドバンテージを提供するために、追加のゲーム結果のセットが提供されてもよい。したがって、第1及び第2の潜在的な結果のセットが2%及び-2%のハウス・アドバンテージをそれぞれ提供し得る場合、並びに第3の潜在的な結果のセットが0%のハウス・アドバンテージを提供し得る場合、特定のシナリオにおいて増加された圧力をかけるために、例えば5%及び-5%のハウス・アドバンテージをそれぞれ有する第4及び第5の潜在的な結果のセットが提供されてもよい。
【0093】
図8は、本開示による賭け事の実装形態についての潜在的成果を示している。図示のように、
図4及び
図5にそれぞれ示されたものなどの成果を生成する下降の結果のセットと上昇の結果のセットとを切り替えることによって、シミュレートされたユーザ840は、上限860及び下限870によって定義されたより大きい包絡線内で移り変わるのではなく、ターゲット期待値850のずっと近くになる。
【0094】
したがって、図示のグラフでは、RTPが100%を超えたとき、RTPが100%より下に落ちるか100%に達するまで、98%の期間が導入された。同じように、RTPが損益平衡ラインより下に落ちたとき、このラインを超えたか又は達するまで、102%の期間が持続された。ちょうど100%において、100%のRTPの第3の「ニュートラル」セットが使用された。プレイヤ及び賭博場両方の観点から、利得及び損失がいつも通り発生していたが、全ての低下及び増大が、最後には、繰り返し無視できるほどまで低減された。
【0095】
図9は、
図3Aの包絡線内のシステム残高を示している。図示のように、0%のハウス・アドバンテージを実施する非圧縮システムのシステム残高は、結果が個人ユーザにとって予測不能であるのと同じように、予測不能である。
【0096】
さらに、全ての個人ユーザが、本明細書に記載の方法を使用して個別に圧縮された成果を伴う賭け事をプレイしていたとしても、システムは、全体として、予測不能な残高を有し続けてもよい。これは、部分的に、プレイヤが記載のシステム内でプレイするのをいつでも停止又は中止してもよいからである。したがって、個人ユーザは、ユーザのアカウント残高をユーザの預金の方に圧縮する機会をシステムが有さないように、前もってプレイを停止してもよい。したがって、全体のシステム残高はマイナスでもよい。
【0097】
このような実施形態では、
図7を参照して上記で論じられたものに類似の方法が、差が顕著な状態で実施されてもよい。
図10に示されたように、
図7の方法が、(760において)ゲーム内のユーザ・ポジションを決定し、次いで、ゲーム内のユーザのポジションに基づいて、(770において)結果のセットをアクティブとして定義した場合、
図10の方法は、全体のシステム残高とターゲット全ハウス・アドバンテージとの間の関係に基づいてさらなる分析を追加する。
【0098】
図10は、本開示による賭け事を管理するための方法を例示したフローチャートである。図示のように、(1010において)プラットフォームへのアクセスが提供されると、方法は、一部の実施形態では、(1020において)特定のインスタンスに対してプレイする特定の賭け事をユーザが選択できるようにする。
【0099】
ユーザが、特定のインスタンスが実行されることになる特定のゲームに誘導されるか又は特定のゲームを選択すると、システム600は、この特定の反復に対して、方法が、(1030において)システム全体の分析を実行するべきかどうかを決定する。このステップは、アクティブとして定義されることになる結果のセットが、(1040において)システム全体の分析に基づくべきか、(1050において)ゲーム内のユーザのポジションに基づくべきかを決定するはずである。
【0100】
システム全体の分析が実施されるべきであることを(1030において)システムが決定した場合、システムは、システムの個人ユーザに関して上記で論じられたものに類似の様式でシステム全体のステータスを評価してもよい。したがって、方法は、(1040において)システム全体の残高がシステム内の預金合計より大きいか小さいかを決定してもよい。次いで、システムは、このようなシステム全体の決定の結果に基づいて、(1060において)結果のセットをアクティブとして定義してもよい。したがって、システムが全体として、マイナスの残高を有する場合、システムは、プラスのハウス・アドバンテージを実装するために、
図4に示された結果を生成する結果のセットなど、下降の結果のセットを実装してもよい。同様に、システムが全体として、プラスの残高を有する場合、システムは、
図5に示された結果を生成する結果のセットなど、上昇の結果のセットを実装してもよい。
【0101】
システム全体の分析が実施されるべきではないことを(1030において)システムが決定した場合、システムは、代わりに、
図7に関して上記で論じられたのとほぼ同じように、(1050において)ゲーム内のユーザのポジションを決定し、(1070において)結果のセットをアクティブとして適宜定義する。
【0102】
(1030における)このようなシステム全体の分析が実行されるべきかどうかについての決定は、いくつかの因子に基づいてもよい。例えば、一部の実施形態では、決定は、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスの何回の反復が特定のユーザによって開始されたかに基づいてもよい。したがって、一部の実施形態では、どの結果のセットをアクティブとして定義するべきかについての決定は、典型的には、(1050において)ゲーム内のユーザのポジションに基づくが、システム内でユーザがゲームを開始するn番目の反復毎に、システムは、(1030において)システム全体の分析を行うはずである。したがって、システム600は、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスがいくつユーザによって開始されたかについての全体のカウントを維持してもよい。
【0103】
同様に、システム600は、システム全体で、(1030において)システム全体の分析を実施するべきかどうかについての決定を行ってもよい。したがって、システム内の任意のランダム化されたゲームプレイのインスタンスのn番目の反復毎に、(1040における)システム全体のステータスに基づいて、(1060において)アクティブな結果のセットの定義をトリガしてもよい。
【0104】
このような実施形態では、nは、典型的には、ランダム化されたゲームプレイのインスタンスの開始前に定義された変数である。このような変数は、システム全体で永久に定義されてもよく、したがって、例えば、ゲームプレイの結果の20番目の反復毎に、アクティブな結果のセットがシステム全体のステータスによって定義されるか、又は変数自体が、システム全体のステータスに基づいてもよい。例えば、システム全体の残高が、ターゲット全ハウス・アドバンテージからさらにそれた場合、システムがその選択をシステム全体のステータスにより頻繁に基づくようにするために、nの値は低減されてもよい。
【0105】
(1060又は1070それぞれにおいて)システム全体のステータス又はゲーム内のユーザ・ポジションに基づいて、結果のセットがアクティブとして定義されると、方法は、
図7に関して上記で論じられたものとほぼ同じように進む。次いで、方法は、(1080において)ランダム化されたゲームプレイのインスタンスを開始するという命令をユーザから受け取り、次いで、(1090において)このようなインスタンスを開始する。次いで、方法は、(1100において)アクティブな結果のセットに基づいて、ユーザに対する適切な成果を決定し、(1110において)プレイヤの記録をアップデートする。
【0106】
次いで、(1120において)もう一度プレイすることをユーザが選んだ場合、システムは、アップデートされたプレイヤの記録に基づいて、結果のセットをアクティブとして定義する前に、システム全体の分析が行われるべきかどうかをもう一度決定する(1030)。
【0107】
本発明は、いくつかの記載の実施形態に関して、かなり詳しく且ついくらかの特殊性で説明されてきたが、任意のこのような特殊性若しくは実施形態又は任意の特定の実施形態に限定されるべきであることを意図するものではなく、むしろ従来技術の観点からこのような特許請求の範囲の最も広い可能な解釈をもたらすように、及びしたがって、本発明の意図したスコープを実質的に包含するように、添付の特許請求の範囲を参照しながら解釈されるべきである。さらに、前述は、現在予想されない本発明の不十分な修正が、それでもなお、その同等物を表し得るにもかかわらず、可能にする記述を利用可能な発明者によって予想される実施形態の観点から本発明を説明している。
【国際調査報告】