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特表2024-526919結晶及び非結晶に関連付けられた急性炎症性関節炎の処置において使用する為の、コルヒチンを含有する関節内注射の為の剤形
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  • 特表-結晶及び非結晶に関連付けられた急性炎症性関節炎の処置において使用する為の、コルヒチンを含有する関節内注射の為の剤形 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】結晶及び非結晶に関連付けられた急性炎症性関節炎の処置において使用する為の、コルヒチンを含有する関節内注射の為の剤形
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/165 20060101AFI20240711BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240711BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A61K31/165
A61K9/127
A61K9/10
A61K47/34
A61K47/32
A61K47/36
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P17/02
A61P25/00
A61P29/00
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503726
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2022069416
(87)【国際公開番号】W WO2023001627
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】21306016.3
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524025602
【氏名又は名称】ピーケー メッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100166718
【弁理士】
【氏名又は名称】石渡 保敬
(72)【発明者】
【氏名】サンソン,シャルル
(72)【発明者】
【氏名】ハヨズ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】エア ,ハン-コン
(72)【発明者】
【氏名】プリカン,ゴーティエ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076AA19
4C076AA94
4C076AA95
4C076BB11
4C076BB15
4C076CC03
4C076CC04
4C076CC19
4C076EE12
4C076EE16
4C076EE22
4C076EE23
4C076EE24
4C076EE26
4C076EE30
4C076EE37
4C076EE38
4C076EE42
4C076EE49
4C076FF01
4C076FF14
4C076FF31
4C076FF33
4C076FF57
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA21
4C084MA23
4C084MA24
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA12
4C084NA13
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB151
4C084ZB152
4C206AA01
4C206AA02
4C206GA02
4C206GA30
4C206KA17
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA41
4C206MA43
4C206MA44
4C206MA85
4C206MA86
4C206NA05
4C206NA12
4C206NA13
4C206ZA96
4C206ZB11
4C206ZB15
(57)【要約】
【課題】本発明は、結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎、特には、前記医薬組成物の関節内への関節内注射による、結晶関連の関節炎の発病またはフレア、又は腱炎及び関節包炎の急性型、の処置において使用する為の、コルヒチンを含有する制御された放出微粒子を含む懸濁物の形態下の医薬組成物であって、前記微粒子が10μm超の平均粒径を有し、前記微粒子中の前記コルヒチンの80重量%を放出する為に必要とされる時間が、1日を超え、及び15日間に達する場合があり、前記コルヒチンが、懸濁物の1ml当たり2.5~2500μgの範囲の濃度で存在し、及び前記医薬組成物が、0.1ml~5mlの範囲の体積を有する、前記医薬組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎、特には、前記医薬組成物の関節内への関節内注射による、結晶関連の関節炎の発病またはフレア、又は腱炎及び関節包炎の急性型、の処置において使用する為の、コルヒチンを含有する制御された放出微粒子を含む懸濁物の形態下の医薬組成物であって、前記微粒子が10μm超の平均粒径を有し、前記微粒子中の前記コルヒチンの80重量%を放出する為に必要とされる時間が、1日を超え、及び15日間に達する場合があり、前記コルヒチンが、懸濁物の1ml当たり2.5~2500μgの範囲の濃度で存在し、及び前記医薬組成物が、0.1ml~5mlの範囲の体積を有する、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記コルヒチンが、懸濁物の1ml当たり5~2000μg、特には懸濁物の1ml当たり5~1500μg、特には懸濁物の1ml当たり5~1000μg、より特には懸濁物の1ml当たり5~500μg、の範囲の濃度で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記微粒子は、ポリマーマトリックス又は多胞体リポソームを含む微粒子である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記微粒子が、コルヒチン及びポリマーマトリックスを含む微粒子であり、前記ポリマーマトリックスが、少なくともポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー、少なくともポリ(カプロラクトン)、又は少なくともポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマーとポリ(カプロラクトン)との組み合わせを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎が、非結晶関連の急性関節炎、例えば、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡及び結晶関連の関節炎の発病またはフレア、又は腱炎及び関節包炎の急性型、から選択され、特には、痛風、軟骨石灰化症、石灰化性腱炎、及びミルウォーキー肩症候群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記関節が、中足指節関節、中手指節関節、膝関節、肩関節、手首関節、肘関節、足首関節、股関節、椎骨関節及び中足関節から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記微粒子中の前記コルヒチンの80重量%を放出する為に必要とされる時間が、1日を超え、例えば1.5日間であり、及び10日間に達する場合があり、1日を超え、例えば1.5日間であり、及び7日間に達する場合があり、1日を超え、例えば1.5日間であり、及び5日間に達する場合があり、並びに例えば、1日を超え、例えば、1.5日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間又は10日間であり、より特には1日を超え、例えば1.5日間、であり、及び7日間に達する場合があり、又は2日~15日間、2日~10日間、及び2日~7日間に含まれる、請求項1~6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
コルヒチンの50重量%未満が投与12時間後に放出される、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
該医薬組成物が、前記関節内注射の12時間後のコルヒチンの全身濃度を、5ng/mL未満、特には2ng/mL未満、より特には1ng/mL未満、に維持する為に、且つコルヒチンの滑液濃度を、2ng/mL超、特には2~500ng/mLを含むように、より特には2~250ng/mLを含むように、より特には2~200ng/mLを含むように、例えば2~100ng/mLを含むように、更により特には2~50ng/mLを含むように、維持する為に有効であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記微粒子が、100μm未満、特には80μm未満、より特には50μm未満、例えば10~50μm、15~40μm、又は10~40μm、の平均粒径を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が、10μm以上の平均粒径を有するコルヒチンを含有する制御された放出微粒子を含む粉末の形態下の製剤を、水性注射用ビヒクルと混合することによって得られ、ここで、前記医薬組成物が任意的に、等張化剤、湿潤剤、粘度増強剤、密度増強剤又はそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を含み、及び前記添加剤は、水性注射用ビヒクル中又は粉末中に存在してもよい、請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
10秒-1の剪断速度において、5~1000mPa.s、特には5~500mPa.s、特には5~100mPa.s、より特には5~50mPa.s、の粘度を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物が、コルヒチンを含有する即時放出剤形を更に含み、特には、コルヒチンの総量に対する即時放出コルヒチンの最大重量比が25%である、請求項1~12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ポリマーマトリックスが、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマーとは異なるポリ(ラクチド)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマーとは異なるポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、PLGA-b-PEO-b-PLGA、PLGA-b-PEO、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(トリメチルカーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(バレロラクトン)、ポリ(アルファー-ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ無水物、ポリ(オルトエステル)、ポリ(アセタール)、ポリウレタン、ポリチオエステル、ポリホスホエステル、ポリ(エステル-co-アミド)、ポリ(ビニルアルコール)、PVA-g-PLGA、ポリ(エーテルエステル)マルチブロックコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタクリレート)、PEO-PPO-PEO、ゼラチン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸;多糖類、例えば、アルギン酸塩、デンプン、キトサン及びデキストラン、並びにそれらの任意の組み合わせから選択される1以上の追加のポリマー又はコポリマーを更に含み、特には、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマーと異なるポリ(ラクチド)、及びポリ(カプロラクトン)から選択される、請求項4~13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記ポリマーマトリックスが、前記ポリマーマトリックスの総重量に対して、70重量%超、特には80重量%超、更により特には90重量%超、の量の、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー、ポリ(カプロラクトン)、又はポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマーとポリ(カプロラクトン)との組み合わせを含む、請求項4~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記コルヒチンと前記微粒子の総重量との間の薬剤負荷含量又は重量パーセント比が、0.1%~35%、特には0.5~30%、更により特には1~25%、例えば2~20%、の範囲である、請求項1~15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記体積が前記関節に適合され、すなわち、肩関節については2~5ml、椎骨関節については1~2ml、中足関節については0.1~1ml、中足指節関節については0.1~0.5ml、中手指節関節については0.1~0.5ml、膝関節については2~5ml、手首関節については0.5~1ml、肘関節については2~5ml、足首関節については1~3ml、及び股関節は2~5ml、の範囲である、請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
アタザナビル、クラリスロマイシン、ダルナビル、リトナビル、インジナビル、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ロピナビル、リトナビル、ネファゾドン、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、テリスロマイシン、チプラナビル、アンプレナビル、アプレピタント、ジルチアゼム、エリスロマイシン、フルコナゾール、ホスアンプレナビル、ベラパミル、シクロスポリン及びラノラジンから選択される少なくとも1つの活性成分によって、同時に、別々に又は逐次的に処置される腎障害及び/又は肝障害を有する患者における結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎、特には、結晶関連の関節炎の発病またはフレア、又は腱炎及び関節包炎の急性型、の処置において使用する為のものである、請求項1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
コルヒチンを含有する制御された放出微粒子を含む医薬組成物であって、前記微粒子が10μm超の平均粒径を有し、前記医薬組成物がイン・ビトロ(in vitro)溶解プロフィールを呈し、コルヒチンの25%未満が60分以内に放出され、コルヒチンの50%未満が12時間で放出され、前記コルヒチンが懸濁物の1ml当たり2.5~2500μgの範囲の濃度で存在し、前記医薬組成物が0.1ml~5mlの範囲の体積を有する、前記医薬組成物。
【請求項20】
コルヒチンを含有する制御された放出微粒子とポリマーマトリックスとを含む粉末の形態の製剤であって、前記微粒子が10μm以上の平均粒径を有し、前記ポリマーマトリックスが、少なくともポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー、少なくともポリ(カプロラクトン)、又は少なくともポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマーとポリ(カプロラクトン)との組み合わせを含み、前記コルヒチンと前記微粒子の総重量との重量パーセント比が、0.1~35重量%、特には0.5~30重量%、より特には1~25重量%、更により特には2~20重量%、の範囲にある、前記製剤。
【請求項21】
前記粉末がコルヒチンを含有する即時放出剤形を更に含み、特には、コルヒチンの総量に対する即時放出コルヒチンの最大重量比が25%である、請求項20に記載の製剤。
【請求項22】
関節内注射の為に適した無菌且つ注射可能な懸濁物の形態下の医薬組成物であって、該医薬組成物は、請求項20又は21に記載の粉末の形態下の製剤と水性注射用ビヒクルとを混合することにより得られ、ここで、該医薬組成物は任意的に、等張化剤、湿潤剤、粘度増強剤、密度増強剤又はそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を含み、前記添加剤は、水性注射用ビヒクル中又は粉末中に存在してもよい、前記医薬組成物。
【請求項23】
コルヒチンが、懸濁物の1ml当たり5~2000μg、特には懸濁物の1ml当たり5~1500μg、特には懸濁物の1ml当たり5~1000μg、より特には懸濁物の1ml当たり5~500μg、の範囲の濃度で存在する、請求項22に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルヒチンによる関節における炎症性疼痛の処置の分野に関する。本発明において目的とされる関節における炎症性疼痛は、結晶関連及び非結晶関連の急性関節炎、特には関節炎の発病またはフレア、及び腱炎及び関節包炎の急性型であり、単に急性疾病を対象とする。コルヒチンは、制御された放出剤形を介して関節内注射により局所的に投与される。
【背景技術】
【0002】
炎症性関節炎は、例えば、痛み、腫れ、こわばり、可動域の減少などの症状を伴う関節の炎症によって特徴付けられる、一群の慢性自己免疫疾病及び自己炎症性疾病である。患者は一般的に、1以上の関節において非常に強い症状を伴う急性期と、非活動的な期間とを交互に経験する。炎症性関節炎には、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡、又は微結晶性疾病など、幾つかの疾病及び状態を包含する。
【0003】
特には、微結晶性関節症のクラスは、関節における微結晶の沈着によって引き起こされる局所組織の炎症に対応する。これらの結晶は炎症反応及び激しい関節痛を引き起こす。この疾病のクラスは、特には結晶の性質において異なるところの幾つかの状態を包含する:痛風(尿酸一ナトリウム-MSU(monosodium urate))、軟骨石灰化症(ピロリン酸カルシウム-CPP(calcium pyrophosphate))、石灰化性腱炎(リン酸カルシウム)及びミルウォーキー肩症候群(リン酸カルシウム)などである。この文脈において、結晶に関連付けられた関節症は、複数回の非常に痛みを伴う急性発病またはフレア、その後の痛み、障害、及び生活の質の低下によって特徴付けられる。
【0004】
腱炎は、腱の炎症であり、該腱の炎症は、幾つかの要因、例えば、外傷性(traumatic)、退行性(degenerative)、医原性(iatrogenic)、すなわち薬剤誘発性(drug-induced)、加齢及び炎症、を包含する上記の幾つかの要因、によって二次的に起こり、痛み及び障害の原因となる。腱炎はどの年齢に関係なく生じるが、スポーツ又は腱への周期的な何らかの激しい牽引を多く行う成人の間でよくみられる。腱は加齢とともに弾力性を失い、弱くなる傾向がある為に、高齢者がまた影響を受けやすい。慢性的な痛みの症状はまた、石灰化性腱炎において、並びに急性型の石灰化性腱炎において存在する。
【0005】
関節包炎は、痛み及びこわばりを生じる関節包(capsule)の炎症である。関節包炎は肩に起こることが多く、この場合には五十肩(frozen shoulder)とも呼ばれうる。
【0006】
腱炎及び関節包炎については、本発明は主に、急性型、例えば石灰化性腱炎、を対象とする。
【0007】
これらの急性の関節疾病に対して推奨される処置は、多くの場合対症療法であり、痛みを制御することが目的である。一般的には、第一選択肢は、経口非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:nonsteroidal anti-inflammatory drugs)、経口又は関節内コルチコステロイド、経口コルヒチン(痛風に対する法律で承認されている)である。可能であり且つ関節にアクセスできる場合に、すなわち大きな関節(膝、足首、手首、肘及び肩)の場合には、全身投与を回避し、従って重大な副作用のリスクを回避する為に、関節内コルチコステロイド注射が医師によって考慮される。
【0008】
コルチコステロイドの関節内投与は、関節疾病全般に数十年に亘って使用されており、痛み及び可動性における改善を可能にするが、その効果は持続しない(即時放出型の場合は数週間)。しかしながら、これらの投与の毒物学的観点は非常に問題であり、また物議を醸す。事実、注射後数週間にわたる全身への影響、例えば、クッシング症候群、高血糖、骨密度の低下及び感染症のリスクを包含する上記の全身への影響が言及されている。後者は、感染性因子が関節に直接侵入した結果、又は免疫反応が低下し、そして潜伏していた結核感染が再活性化された結果である。この種の処置は特には、合併症、例えば糖尿病又は骨粗鬆症、を持つ、リスクの高い患者には適応しない。加えて、関節軟骨及び腱への損傷として、局所組織に対する悪影響がまた指摘されている。
【0009】
その結果、医療現場において、関節内コルチコステロイド注射の頻度及び量は制限されている。それ故に、即時放出型の生薬製剤(the immediate release galenic forms)の場合に、1年/1部位当たり最大3回の注射とし、且つ2回の注射の間隔を3ヵ月以上あけることが推奨されている。コルチコステロイドの最初の関節内徐放性製剤(Flexion TherapeuticsによるZilretta登録商標)が2017年にFDAにより骨関節炎について承認され、数ヶ月間の継続処置が可能になった。しかしながら、この製品は反復投与については承認されていない。
【0010】
それ故に、コルチコステロイドの関節内投与は、非常に痛みを伴う発作、例えば痛風発作又は軟骨石灰化症、の為の最適な処置とは思えない。
【0011】
コルヒチンは、チューブリンと結合して微小管の重合を阻害し、細胞骨格成並びに全ての細胞プロセス、例えば、細胞分裂、遊走及び細胞形状を包含する上記の全ての細胞プロセスを不安定化させる能力に関連した多面的効果によって特徴付けられる薬剤である。これらの作用の中で、コルヒチンは免疫系に影響を及ぼし、そして、複数の炎症経路を下方制御し、好中球の機能と遊走とを減少させることをもたらす。それ故に、コルヒチンは家族性地中海熱、ベーチェット病、微結晶性疾病など幾つかの炎症性疾病において使用され且つ承認されている。
【0012】
コルヒチンは実に長い間、結晶関連の関節炎の非特異的処置の為に用いられてきている。過去50年間、急性痛風及び偽痛風の対症療法の為に使用される経口薬としては、コルヒチンと共に即効性のNSAIDとコルチコイドとの短期コースの使用が考慮されてきている。下記の文献、George Nuki,MB,FRCP “Colchicine:its Mechanism of Action and Efficacy in Crystal-Induced Inflammation”,Current Rheumatology Reports,2008,10:218~227において、コルヒチンの経口投与の予防的及び治療的有効性がレビューされている。さらに上記論文において、強力な下剤効果、骨髄抑制、神経筋症、横紋筋融解症などのコルヒチンの副作用が広範囲に記載されており、特に腎不全患者や過剰摂取に伴う高い死亡率が見られる。コルヒチンの副作用、例えば、強力な瀉下作用、骨髄抑制、神経筋症及び横紋筋融解症、特には腎不全を有する患者における副作用、並びに過量投与に関連付けられた高い死亡率、が記載されている。
【0013】
従って、コルヒチンの治療指数は極めて狭い。それ故に,コルヒチンの有効性はほぼ証明されているにも関わらず、これらの理由の為に、コルヒチンの使用は依然として制限されている。
【0014】
その上、活性物質を関節内に直接的に投与することによって、関節における炎症、すなわち部位、を処置することが知られているが、該活性物質が上記関節から比較的容易に逃げてしまい、従って治療効果が低下することが判っている。
【0015】
コルヒチンの徐放性カプセル化は、様々な担体、例えばポリマーミクロスフェア、において報告されている(Das,G.S.et al.“Colchicine Encapsulation within Poly(Ethylene Glycol)-Coated Poly(Lactic Acid)/Poly(ε-Caprolactone) Microspheres-Controlled Release Studies” Drug Delivery,7:7544,129~138 (2000))。この文献において、コルヒチンは、他の疾病、例えば、血管形成術又は血管損傷後の再狭窄、の処置において研究されており、そして、この機会に、コルヒチンの局所送達の為にポリ乳酸/ポリ(ε-カプロラクトン)ミクロスフェア内にコルヒチンを封入化する試みが行われた。コルヒチンを含有する生分解性微粒子を含む別の組成物は、Gradus-Pizlo Irmina et al:“local delivery of biodegradable microcapsules containing colchicine or a colchicine analogue:effects on 再狭窄 and implications of catheter-based drug delivery”,Journal of The American College of Cardiology,vol.26,no. 6,pages 1549~1557において報告されているように、壁内送達(intramural delivery)を介して同じ病理、すなわち再狭窄、の処置を求めることが更に記載されている。治療標的が本発明のものとは全く異なることが明らかになった。加えて、結果は有望なものでなく、毒性の危険性を指摘している。事実、局所毒性の徴候が、コルヒチン又はコルヒチン類似体を含む微粒子を注入した動脈の上にある筋肉層において観察されたが、対照微粒子において観察されなかった。両方の開示について、下記の記載で明らかになるように、粒径が本発明において実施される粒子のものよりも小さいことに更に注目する価値がある。
【0016】
加えて、コルヒチンは、米国特許第US5,747,060号明細書において、やはり本発明の枠組みにおいて対象とされる以外の効果とは別の効果として、麻酔薬の局所投与によって生じる麻酔効果の持続時間の延長に作用するものとして以前に報告されている。従って、コルヒチンは、上記特許明細書の実施例1において、即時放出の形態で、すなわち水性液に直接的に添加されて、坐骨神経の周囲に、ブピバカインと同時に共投与されている。
【0017】
国際公開第WO2006/066419号パンフレットは、コルヒチンの麻酔効果の延長に関する該コルヒチンの同じ効果、すなわちバニロイド受容体アゴニスト(vanilloid receptor agonist)と別の分子、おそらくコルヒチン、との組み合わせを開示する。実施例は、関節包炎の処置の為に関節内に注射するレジニフェラトキシンとコルヒチンとの組み合わせを含む組成物を開示する。しかしながら、該注射は更に即時放出専用であり、コルヒチンの局所プロファイルと全身薬物動態(systemic pharmacokinetics)を制御することを目的とせず、及びその治療的曝露を延長することも目的としない。
【0018】
結晶関連の関節炎の処置の為にコルヒチンを用いることは十分に確立されている。しかしながら、現在、コルヒチンは即時放出経口剤形下でのみ商品化されており、通常、結晶関連の関節症の処置の為の1日投与量は1mg/日程度である。FDAが承認している急性痛風フレアの処置量は、該フレアの最初の徴候時にコルヒチン1.2mgを投与し、1時間後に0.6mgを投与するものである(https://www.fda.gov/drugs/postmarket-drug-safety-information-patients-and-providers/colchicine-marketed-colcrys-information)。EULARによる推奨された急性フレアの為のコルヒチン第一選択処置は、1mgの負荷量と1時間後の0.5mgの負荷量である(Richette,P.et al.Ann.Rheum.Dis.76,29~42(2017))。しかしながら、上記で説明されたように、本明細書において更に詳細に説明されているように、コルヒチンの治療的に有効な用量に局所的に到達することは、経口投与されたコルヒチンの低い耐性又は高い毒性によって妨げられ、薬剤の処方を極めて複雑にする。
【0019】
コルヒチンは最近、MSU(尿酸ナトリウム:Monosodium Urate)結晶誘発痛風関節炎を有するスイスアルビノマウス(Swiss albino mice)モデルの関節内に注入されたナノエマルジョンシステムで報告された:Aboumanei et al,“intra-articular formulation of colchicine loaded nanoemulsion systems for enhanced locoregional drug delivery: In vitro characterization,99mTc coupling and in vivo biodistribution studies”,DOI:10.1080/03639045.2021.1934865。99mTc-ColNE-5並びに99mTc-Col溶液(99mTcColS)の生体内分布パターンが研究された。しかしながら、上記の開示は、このようにコルヒチンそれ自体とは異なる分子であるところの放射性標識化されたコルヒチンの、24時間を超えない期間内の観察に限定されている。99mTcのような放射性核種を伴う標識化は、その電荷、親油性及び安定性の修飾故に、標識化されたエンティティの生体内分布のパターンに強い影響を有することができることが十分に知られている(Decristoforo et al.“The influence of chelator on the pharmacokinetics of 99mTc-labelled peptides.” Q.J.NUCL.MED.46 3 (2002):195~205)。その上、上記文献は、上記で説明されているように、治療指数が狭いという技術的な問題、及びコルヒチンに非常に特異的な問題、すなわち毒性上の理由から避けられるべき最大全身濃度、について沈黙している。従って、上記文献は、全身レベルでの毒性を伴わずに、考慮された病態の急性型と闘う為の効果的な局所濃度に到達することができる、より高いサイズ及び標的化された用量を有する微粒子システムについてまた沈黙している。すなわち、ColNE-5、すなわち「コルヒチンナノエマルジョン系」は3時間未満で40%のコルヒチンの放出を提供するが、それは本発明において要求されるように、副作用を回避する為のコルヒチンの制御された全身濃度の充足に反している。投与直後のそのような迅速な放出を有しない放出プロファイルを達成することは、本明細書において以下に説明されているように、「バースト放出」(burst release)とも呼ばれ、そのような範囲で副作用という点で有害である可能性があるということは、上記論文から予測可能でなかったそのような非自明なアプローチを意味する。言い換えれば、ヒトの治癒の為に適したコルヒチン制御放出プロフィールは、上記論文において明らかにされておらず、更により特には、結晶関連又は非結晶関連の急性炎症性関節炎の処置の為に、特には非結晶関連の急性関節炎、例えば、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡、を処置する際に、又は結晶関連の関節炎の発病またはフレア、例えば、痛風、軟石灰化症、石灰化性腱炎及びミルウォーキー肩症候群、を処置する際に、有効である。
【0020】
コルヒチンの静脈(IV)内注射が急性の痛風発作の処置において有効であると考えられており、1回当たり注射量は2~3mgを超えない(Nuki,G.Colchicine:Its mechanism of action and efficacy in crystal-induced inflammation.Curr.Rheumatol.Rep.10,218~227(2008))。しかしながら、たとえ消化器系(GI)の副作用が静脈(IV)内投与で回避されることができたとしても、重篤な毒性が不適切な投与に関連付けられる(Wallace SL,S.J.Review:systemic toxicity associated with the intravenous administration of colchicine-guidelines for use.J Rheumatol.15,495~9(1988),Bonnel,R.A.,Villalba,M.L.,Karwoski,C.B.& Beitz,J.Deaths associated with inappropriate intravenous colchicine administration.J.Emerg.Med.22,385~387(2002))。このことにより、当局は急性の痛風処置の為のコルヒチン静注(IV)の使用を廃止した(Zhang,W.et al.EULAR evidence-based recommendations for gout.Part II:Management.Report of a task force of the EULAR Standing Committee for International Clinical Studies Including Therapeutics(ESCISIT).Ann.Rheum.Dis.65,1312~1324(2006))。コルヒチンのi.v.注射の試みは更には、E.Niel et al,“Colchicine today”,Joint Bone Spine 73(2006)672~678において報告されているように、当業者がコルヒチンの注射を思い描くことをほとんど思いとどまらせている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
それ故に、特には全身投与の間に観察される副作用を回避する為の、及びコルヒチンの利用可能な用量を最適化することによって有効性を改善する為の、特には局所濃度を高めることによって、疼痛部位でのその局所作用時間を延長する為の、特には結晶関連炎症性関節炎及び非結晶関連炎症性関節炎の急性の危機を処置する為の、コルヒチンについての新規な剤形、投与経路及び標的投与量を開発する必要性が残ってる。
【0022】
本発明は、このようなニーズに応えることにより、炎症に対するその作用から得られる利点を増大させること及び何らかの副作用のレベルをも抑制することを目的とする。
【0023】
本発明の利点の1つは、コルヒチンの局所又は滑液濃度とその全身濃度との間の適切な比を尊重する特定のコルヒチン放出プロフィールを達成する為の新しい手段を提供することであり、局所的に最良の治療作用を提供すること及び同時に潜在的な全身毒性を回避することに適している。
【0024】
本発明に従う医薬組成物の投与によって得られる副作用の低減の故に、更に、微結晶性関節疾病においてかなり一般的な慢性併存疾病(高血圧、慢性腎臓病、糖尿病、心臓病、免疫抑制...)に罹患している人々(痛風患者の50%が少なくとも3つの併存疾病を有する)の為に更により特には適している。事実、コルヒチン、NSAIDS又はコルチコステロイドのいずれかに対する重大な禁忌が頻繁に行われる為に、複数の合併症を持つ微結晶性関節疾病患者の管理は、医療従事者にとって依然として課題である。
【0025】
既存の経口コルヒチン治療と比較して、本発明は、胃腸の副作用を回避することに加えて、腎障害及び肝障害を患っている患者、又はかなり普及している薬剤であるCYP3A4/PGP薬剤阻害剤を併用投与されている患者に対する重大な毒性リスクを防止する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
第1の観点に従うと、結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎、特には、該医薬組成物の関節内への関節内注射による、結晶関連の関節炎の発病またはフレア、又は腱炎及び関節包炎の急性型、の処置において使用する為の、コルヒチンを含有する制御された放出微粒子を含む懸濁物の形態下の医薬組成物であって、該微粒子が10μm超の平均粒径を有し、該微粒子中の該コルヒチンの80重量%を放出する為に必要とされる時間が、1日を超え、及び15日間に達する場合があり、該コルヒチンが、懸濁物の1ml当たり2.5~2500μgの範囲の濃度で存在し、及び該医薬組成物が、0.1ml~5mlの範囲の体積を有するところの上記の医薬組成物が本明細書において提供される。
【0027】
結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎又は腱炎及び関節包炎の急性型の処置において使用する為の、関節内注射の為に適した、コルヒチンを含有する制御された放出微粒子を含む懸濁物の形態下での医薬組成物であって、該微粒子が10μm超の平均粒径を有し、ここで、該微粒子中の該コルヒチンの80重量%を放出する為に必要とされる時間が1日~15日であり、ここで、該コルヒチンは、0.05~5mg/mlの懸濁物であり、該医薬組成物が0.1ml~5mlの範囲の体積を有するところの上記の医薬組成物が本明細書において更に記載されている。
【0028】
第2の主要な実施態様に従うと、本明細書では更に、コルヒチンを含有する制御された放出微粒子とポリマーマトリックスとを含む粉末の形態下の製剤であって、該微粒子が10μm以上の平均粒径を有し、及び該ポリマーマトリックスが、少なくともポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー、少なくともポリ(カプロラクトン)、又は少なくともポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマーとポリ(カプロラクトン)との組み合わせを含み、該コルヒチンと該微粒子の総重量との重量比が0.1~35重量%、特には0.5~30重量%、より特には1~25重量%、更により特には2~20重量%、の範囲であるところの上記の製剤が提供される。
【0029】
コルヒチンを含有する制御された放出微粒子とポリマーマトリックスとを含む粉末の形態下の製剤であって、該微粒子が10μm以上の平均粒径を有し、及び該ポリマーマトリックスが、少なくともポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー、少なくともポリ(カプロラクトン)、又は少なくともポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマーとポリ(カプロラクトン)との組み合わせを含み、該コルヒチンと該微粒子の総重量との重量比が1~35重量%、特には2~30重量%、より特には5~25重量%、更により特には10~20重量%、の範囲であるところの上記の製剤が提供される。
【0030】
第3の主要な実施態様に従うと、コルヒチンを含有する制御された放出微粒子を含む医薬組成物であって、該微粒子が10μm超の平均粒径を有し、該医薬組成物は、イン・ビトロ(in vitro)溶解プロフィールを呈し、コルヒチンの25%未満が60分以内に放出され、コルヒチンの50%未満が12時間以内に放出され、該コルヒチンが懸濁物の1ml当たり2.5~2500μgの範囲の濃度で存在し、該医薬組成物が0.1ml~5mlの範囲の体積を有するところの上記の医薬組成物が本明細書において更に提供される。
【0031】
第4の主要な実施態様に従うと、コルヒチンを含有する制御された放出微粒子とポリマーマトリックスとを含む粉末の形態の製剤であって、該微粒子が、10μm以上の平均粒径を有し、該ポリマーマトリックスが、少なくともポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー、少なくともポリ(カプロラクトン)、又は少なくともポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマーとポリ(カプロラクトン)との組み合わせを含み、該コルヒチンと該微粒子の総重量との重量パーセント比が0.1~35重量%、特には0.5~30重量%、より特には1~25重量%、更により特には2~20重量%、の範囲にあるところの上記の製剤が本明細書において更に提供される。
【0032】
第5の主要な実施態様に従うと、関節内注射の為に適した無菌且つ注射可能な懸濁物の形態下の医薬組成物であって、該医薬組成物は、上記された粉末の形態下の製剤と水性注射用ビヒクルとを混合することによって得られ、ここで、該医薬組成物は任意的に、等張化剤、湿潤剤、粘度増強剤、密度増強剤又はそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を含み、該添加剤は、水性注射用ビヒクル中又は粉末中に存在してもよいところの該医薬組成物が本明細書において更に提供される。
【0033】
本明細書に後述されている関節内注射の為に適した医薬組成物は、結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎を処置する際に有効であり、特には非結晶関連の急性関節炎、例えば、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡、を処置する際に有効であり、又は結晶関連の関節炎の発病またはフレア、例えば、痛風、軟骨石灰化症、石灰化性腱炎及びミルウォーキー肩症候群、を処置する際に有効であり、長期副作用を最小限に抑える。
【0034】
関節内注射の為に適した該医薬組成物は、痛みの部位内への又は痛みの部位の近傍への注射による局所投与又は滑膜投与の為に適している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、ラットモデルの足首関節内に注入された本発明に適合する懸濁物の痛みの処置における有効性を示すイン・ビボ(in vivo)試験の結果を表す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
上記の「背景」の段落から明らかなように、コルヒチンの処方は現在では経口組成物のみが入手可能である故に微妙であり、毒性の高いリスク、例えば、胃腸症状及び神経筋障害、が観察されている。他の活性剤との相互作用にリンクされたリスクがまた更に報告されている。そしてまた、毒性に関する制約から、率直に言って、局所注射は何十年も敬遠されてきている。
【0037】
事実、コルヒチンの有効局所投与量は0.015mg/kg~0.030mg/kgが推奨されること、及び0.1mg/kgで毒性限界に達すること、0.8mg/kgで致死量に達することが文献的に確立されている(E.Niel et al,“Colchicine today”,Joint Bone Spine 73 (2006) 672~678)。従って、コルヒチンについての治療域の狭さは処方する医師にとって懸念の原因であると結論付けられている。
【0038】
本発明者等は、関節痛疾病における経口コルヒチン又は関節内コルチコステロイドの処置と比較して、コルヒチンの制御放出の為の懸濁物の形態下の医薬組成物の関節内注射が、微粒子中のコルヒチンの80重量%を放出する為に要求される時間が1日を超え、及び15日に達する場合があり、該コルヒチンが、懸濁物の1ml当たり2.5~2500μgの範囲の濃度で存在し、及び該医薬組成物が、0.1ml~5mlの範囲の体積を有する。
【0039】
該医薬組成物の使用が対象となる疾病は非常に重篤である。従って、最も適切な投与量を達成する為に完璧に適合した処置法を持つことは極めて重要である。
【0040】
本発明に従う使用方法又は処置方法がまた、本明細書において後述されているように、全身経路を介して投与される場合に、特には高齢者、又は腎不全若しくは肝不全を有する患者において、コルヒチンとの薬剤相互作用にリンクされた重大な毒性リスクを低減するという利点を有する。
【0041】
関節内コルチコステロイドと比較して、この処置はまた、全身への影響、例えば、クッシング症候群、高血糖、高血圧、骨密度の低下、又は感染症のリスク、を回避することができるという利点がある。加えて、それにより、関節軟骨及び腱への損傷として、局所組織に対する悪影響のリスクが減少する。
【0042】
定義
【0043】
本明細書において使用される場合に、語「患者」は、動物、例えば、繁殖、交配若しくは保存目的の為の貴重な動物、又は好ましくは、本明細書に記載されている1以上の疾病及び状態に罹患している、又は罹患する可能性を有する、ヒト又はヒト小児のいずれかを云う。
【0044】
特に、本願において使用される場合に、語「患者」は、哺乳動物、例えば、非ヒト動物(例えば、げっ歯類、猫、犬、霊長類)、又はヒトを包含する上記の哺乳動物を云い、好ましくは、該対象はヒトであり、また鳥類に及ぶ。
【0045】
本明細書に記載されている疾病及び状態の処置を必要としているそれらの患者の識別は、当業者の能力及び知識の範囲内である。当業者である獣医師又は医師は、臨床検査、身体検査、病歴/家族歴、又は生物学的検査及び診断検査の使用によって、そのような処置を必要とする患者を容易に識別することができる。
【0046】
本発明の文脈において、本明細書において使用される場合に、語「処置する」又は「処置」は、非結晶関連急性炎症性関節炎、例えば、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡、の進行を逆転させ、緩和し、若しくは阻害すること、又は結晶関連急性炎症性関節炎、特には、結晶関連の関節炎の発病またはフレア、例えば、痛風、軟骨石灰化症、石灰化性腱炎及びミルウォーキー肩症候群、並びに腱炎及び関節包炎の急性型、を処置することを意味する。
【0047】
本明細書において使用される場合に、「有効量」は、本明細書において記載されている疾病及び状態、すなわち、結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎、特には非結晶関連の急性関節炎、例えば、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡の疾病の症状を軽減、除去、処置又は制御する際に、又は結晶関連の関節炎の発病またはフレア、例えば、痛風、軟骨石灰化症、石灰化性腱炎及びミルウォーキー肩症候群、並びに腱炎及び関節包炎の急性型、を処置する際に、有効であるところの本発明の化合物の量を云う。語「制御する」は、本明細書に記載されている疾病及び状態の進行の減速、中断、停止、又は中止でありうる全てのプロセスを云うことが意図されているが、必ずしも全ての疾病及び状態の症状の完全な除去を示すものではなく、予防的処置を包含することが意図されている。
【0048】
語「処置有効量」は、結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎、特には非結晶関連の急性関節炎、例えば、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡、を処置する際に、又は結晶関連の関節炎の発病またはフレアを処置する際に、例えば、炎症性疼痛の開始が生じた後に投与された場合に、検査後に炎症性疼痛における軽減をもたらす際に、有効であるところの化合物の濃度を云う。
【0049】
本明細書において使用される場合に、語「医薬的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は合理的な利益/リスク比に見合った他の問題の合併症無しに、ヒト及び動物の組織と接触する為に適した化合物、材料、添加剤、組成物又は剤形を云う。
【0050】
語「医薬的に許容される担体、アジュバント、又はビヒクル」は、医薬的に許容される添加剤、例えば、製剤化される化合物の薬理学的活性を破壊しないところの非毒性の担体、アジュバント又はビヒクル、を云う場合がある。
【0051】
本発明の枠組みにおいて、語「疼痛部位」(painful site)又は語「痛みの部位」(site of the pain)は、本製品を注射されることができる、痛みを引き起こす関節領域を意味する。それは膝関節、股関節、中手指節関節、肩関節、手首関節、肘関節、中足指節関節、足首関節、椎骨関節及び中足関節であることができる。
【0052】
語「制御された放出組成物」又は「制御された放出微粒子」は、該組成物又は該微粒子が、活性成分の特定期間にわたる特定された量の体内への放出、すなわち特定の薬剤動態プロファイル、を可能にすることを意味する。語「制御された放出」は、即時放出と比較して変更されている全ての種類の放出を包含する。言い換えれば、語「制御された放出」は「修正された放出」と等価であり、及び本明細書において後に定義されている延長された放出(extended releases)、並びに遅延された放出(delayed release)及びパルス放出(pulse releases)を包含する。
【0053】
語「延長された放出」(extended releases)、「持続された放出」(prolonged release)及び「徐放」(sustained release)は、本発明の枠組みにおいて等価であると考えられる。このタイプの放出は、即時放出と比較して放出が時間と共に延長されること、すなわち、それは活性成分が時間と共にゆっくりと放出されること、を意味し、患者にとって薬剤の摂取頻度を少なくすることを可能にする。言い換えれば、活性成分は特定の期間にわたって徐々に放出され、一般的に、最大濃度を低下させることによって副作用の軽減を目指す。
【0054】
「薬剤負荷含量」は、微粒子の質量に対する該微粒子中の薬剤の質量比を意味する。
【0055】
語「平均粒径」又は「D50」は、粒子体積分布をこの粒子径の上半分と下半分とに分割するところのミクロン単位における粒子径を意味する。
【0056】
実施例において主に使用されている語「D10=x μm」は、粒子の10%がx μm以下の大きさを有することを意味する。
【0057】
実施例において主に使用されている語「D90=y μm」は、粒子の90%がy μm以下の大きさを有することを意味する。
【0058】
制御された放出又は修正された放出は、もちろん、即時放出と制御された放出との組み合わせの結果として生じうる。
【0059】
コルヒチン
【0060】
コルヒチンは、イヌサフラン(meadow saffron)又はオータムクロッカス(autumn crocus)(Colchicum autumnale)の球茎から抽出されるアルカロイドである。そのIUPAC名は、N-[(7S)-1,2,3,10-テトラメトキシ-9-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[a]ヘプタレン-7-イル]アセトアミド(CAS64-86-8)である。
【化1】
【0061】
コルヒチンは、エナンチオマーのラセミ形態で存在しうる。全ての上記の形態は本発明の範囲内に包含される。
【0062】
その上、それらを得る為に使用される溶媒に依存して、様々な結晶形態で存在しうる。ありうる溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、ベンゼン又は他の適切な溶媒が挙げられうる。そのような結晶形態の全てがまた、本発明の一部を形成する。
【0063】
痛風抑制薬として、及びそのチューブリン相互作用活性を介した抗炎症剤として主に知られている。それは、経口経路によって投与されるが、静脈内投与がまた試みられたが、過度の毒性を理由に断念された。
【0064】
治療的使用及び治療的方法
【0065】
1つの実施態様において、本明細書において記載された関節内注射の為に適した医薬組成物は、処置された関節部位でのコルヒチンの濃度レベルが、経口投与後に古典的に得られる全身投与量を上回り、すなわち5nM(2ng/mL)を上回り、及び全身濃度レベルが15nM(6ng/mL)の値未満に留まるような用量及び制御された放出様式でコルヒチンを送達する。(Terkeltaub,R.A.et al.High versus low dosing of oral colchicine for early acute gout flare:Twenty-four-hour outcome of the first multicenter,randomized,double-blind,placebo-controlled,parallel-group,dose-comparison colchicine study.Arthritis Rheum.62,1060~1068(2010))。
【0066】
1つの実施態様に従うと、本発明の医薬組成物は更に、12時間後のコルヒチンの全身濃度を、5ng/mL未満、特には2ng/mL未満、より特には1ng/mL未満、に維持する為に、且つコルヒチンの滑液濃度を、2ng/mL超、特には2~500ng/mLを含むように、より特には2~250ng/mLを含むように、より特には2~200ng/mLを含むように、例えば2~100ng/mLを含むように、更により特には2~50ng/mLを含むように、維持する為に有効であることを特徴とする。
【0067】
本発明のまさに核心を表す、コルヒチンの許容可能な全身濃度と、同時に適切な治療効果を有する為に適したコルヒチンの局所濃度とを可能にする特定の放出プロフィールはこれまで得られたことがなく、特にはウサギにおけるイン・ビボ(in vivo)モデルでの本明細書の下記の実施例7において示されている。ウサギの投与量からヒトの投与量を予測する為に保健当局(Health Authorities)によって提案されたような古典的なアロメトリックモデル(allometric models)に体重からスケーリングすることと組み合わせたこれらの結果は、上記で説明されたように、例外的に狭い治療指数の故にコルヒチンの投与において当業者が直面していた技術的問題の解決を支持することを可能にする。
【0068】
本発明に従う医薬組成物を用いて得られるコルヒチンの局所濃度又は滑液濃度とコルヒチンの全身濃度との間の特定の比、すなわち特定のイン・ビトロ(in vitro)溶解速度及び/又はイン・ビボ(in vivo)放出速度を介して、本発明者等は、副作用を回避しながら患者を解放する為の驚くほど十分に適合した手段を発見したことが分かる。言い換えれば、本発明に適合する制御された製剤が成功裡に考案される前に、該パラメーターは真剣に評価され、そして定義された。
【0069】
1つの特定の実施態様に従うと、コルヒチンの局所濃度又は滑液濃度と、本発明に従う医薬組成物を関節に注射した後に得られるコルヒチンの全身濃度との間の比は、100~1000の範囲でありうる。
【0070】
該コルヒチンの局所濃度及び全身濃度を決定する為に、当業者は、任意の既知の方法を使用しうる。例えば、LC-MS分析が用いられうる。
【0071】
本発明の枠内で達成されるようなコルヒチンの放出の該特定の制御の例示はまた、実施例1、2及び3において例示されているように並びに実施例8において実施されているように、イン・ビトロ(in vitro)溶解プロフィールを介して例示され且つ特徴付けられうる。
【0072】
1つの実施態様に従うと、そのような溶解試験を実施する為に使用されうる溶解媒体は、リン酸緩衝液(pH7.4)であってもよい。
【0073】
1つの実施態様に従うと、回転速度は50~200rpm、特には60~100rpm、の範囲であってもよい。この攪拌は、特には水平運動による、振とう培養器によって得られうる。
【0074】
1つの実施態様に従うと、溶解度は、異なる間隔で、例えば1日間、2日間、3日間、5日間、7日間、8日間、9日間、10日間、及び13日間で、例えば350nmで、UV分光光度計を用いたUV分析により測定される。
【0075】
1つの例として、本明細書の詳細な方法に従って溶解試験が実施されうる。
【0076】
10~30mgのコルヒチン微粒子のアリコートが、80rpmに設定された水平振とうインキュベーター(例えば、GFLによって市販されている3033モデル)内で37℃で維持された、0.02%アジ化ナトリウムを含む50mLのリン酸緩衝液(50mM,pH7.4)中に懸濁される。異なる間隔で、3mLの培地が取り出され、そして、同量の新鮮な培地と交換され、そして、350nmでUVによって分析される。
【0077】
上記されているように、放出制御型は、関節における痛み及び炎症を処置する為に局所的に投与される。該製剤の局所投与は、患者の痛みの部位で、例えば、中足指節関節、中手指節関節、膝関節、肩関節、手首関節、肘関節、足首関節、股関節、椎骨関節及び中足関節を包含する、上記の患者の痛みの部位で、又は痛みの部位の近傍での関節内腔又は関節周囲腔内への注射によって行われうる。中足部は、後足部と前足部との間に位置する足の前側の部分である。それは、立方骨、舟状骨、3つの楔状骨で構成されている。足根中央関節と足根中足骨関節は夫々、中足部を後足部及び前足部に結合する。該中足部は複雑で且つ複合的な領域であり、及び観察される浮腫の炎症は一般的にびまん性である。
【0078】
1つの実施態様において、本発明は、関節における痛み、特には結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎、より特には、非結晶関連の急性関節炎、例えば、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡から選択される非結晶関連の急性関節炎、の処置、又は、結晶関連の関節炎の発病またはフレア、例えば、痛風、軟骨石灰化症、石灰化性腱炎及びミルウォーキー肩症候群、並びに腱炎及び関節包炎の急性型、の処置、に特化している。
【0079】
実施例10において示されているように、本発明に従う医薬組成物をラットモデルにおける足首関節内に注射した後、カラギーナンで誘発された炎症ラットモデルにおいて痛みが測定されており、注射後2時間から少なくとも24時間まで痛みが有意に減少することが実証された。
【0080】
1つの実施態様において、関節内注射の為に適した組成物は、痛風発作の処置に特化している。
【0081】
1つの実施態様において、関節内注射の為に適した組成物は、軟骨石灰化症の処置に特化している。
【0082】
1つの実施態様において、関節内注射の為に適した組成物は、急性及び慢性の石灰化性腱炎の処置に特化している。
【0083】
1つの実施態様において、関節内注射の為に適した組成物は、ミルウォーキー肩症候群の処置に特化している。
【0084】
1つの実施態様において、関節内注射の為に適した組成物は、腱炎の処置に特化している。
【0085】
1つの実施態様において、関節内注射の為に適した組成物は、関節包炎の処置に特化している。
【0086】
投与は、微粒子中のコルヒチンの80重量%を放出する為に必要な時間が1日を超え、及び15日間に達する場合があり、特には1.5日~15日の間にあり、該コルヒチンが、懸濁物の1ml当たり2.5~2500μgの範囲の濃度で存在し、及び医薬組成物が、0.1ml~5mlの範囲の容積を有することを条件として、単回注射又は逐次注射により実施され得る。換言すれば、単回注射によって又は連続注射として実施されてもよい。言い換えれば、単回注射又は連続注射、好ましくは単回注射、は、0.25~12500μgの範囲のコルヒチン重量を局所的に提供する。
【0087】
1つの実施態様において、注射は複数回(2回、3回、4回又はそれ以上)行われる。この実施態様において、注射が実行されるその後の各回は、注射が実行された前の回から適当な期間が経過した後に実行される。この適当な期間は、例えば、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年、又はそれ以上であることができる。
【0088】
特定の実施態様に従うと、コルヒチンは、懸濁物の1ml当たり0.1~4mg、特には懸濁物の1ml当たり0.1~2.5mg、特には懸濁物の1ml当たり0.25~2.5mg、より特には懸濁物の1ml当たり0.5~1.5mg、の範囲の濃度で存在する。
【0089】
別の特定の実施態様に従うと、コルヒチンは、懸濁物の1ml当たり5~2000μg、特には懸濁物の1ml当たり5~1500μg、特には懸濁物の1ml当たり5~1000μg、より特には懸濁物の1ml当たり5~500μg、の範囲の濃度で存在する。
【0090】
特定の実施態様において、懸濁物の形態下の同じ医薬組成物は、何らかの痛みを伴う関節への関節内注射の為に使用されうる。しかしながら、注射されるべき医薬組成物の量は、標的の関節に適合されうる。これは本発明の利点の一つであり、それは、対応する必要量を適合させることによって、適用部位毎に適合した量のコルヒチンを単一の濃度で与えうる。
【0091】
1つの実施態様において、2つ以上の異なる痛みを伴う関節内に同時に注射が行われうる。
【0092】
例えば、肩に注射されうる本発明に従う懸濁物の形態下の医薬組成物の体積は、2ml~5mlで変動してもよい。
【0093】
中足指節関節、例えば足趾、に注射されうる本発明に従う懸濁物の形態下の医薬組成物の量は、0.1~0.5mlで変動してもよく、典型的には0.25mlである。
【0094】
中手指節関節、例えば指、に注射されうる本発明に従う懸濁物の形態下の医薬組成物の量は、0.1~0.5mlで変動してもよく、典型的には0.25mlである。
【0095】
椎体関節に注射されうる本発明に従う懸濁物の形態下の医薬組成物の量は、1~2mlで変動してもよい。
【0096】
中足関節に注射されうる本発明に従う懸濁物の形態下の医薬組成物の量は、0.1~1mlで変動してもよい。
【0097】
膝に注射されうる本発明に従う懸濁物の形態下の医薬組成物の量は、2~5mlで変動してもよい。
【0098】
手首に注射されうる本発明に従う懸濁物の形態下の医薬組成物の量は、0.5~1mlで変動してもよい。
【0099】
肘に注射されうる本発明に従う懸濁物の形態下の医薬組成物の量は、2~5mlで変動してもよい。
【0100】
足首に注射されうる本発明に従う懸濁物の形態下の医薬組成物の量は、1~3mlで変動してもよい。
【0101】
股関節に注射されうる本発明に従う懸濁物の形態下の医薬組成物の量は、2~5mlで変動してもよい。
【0102】
1つの実施態様において、本発明に従う使用の為の医薬組成物は、その体積によって特徴付けられてもよく、その容量は、関節に適合されてもよく、すなわち、肩関節については2~5ml、椎骨関節については1~2ml、中足関節については0.1~1ml、中手指節関節については0.1~0.5ml、中手指節関節については0.1~0.5ml、膝関節については2~5ml、手関節については0.5~1ml、肘関節については2~5ml、足首関節については1~3ml、股関節については2~5mlである。
【0103】
任意の特定の患者に対する具体的な投与量及び処置レジメンは、様々な因子、例えば、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、薬剤の組み合わせ、処置する医師の判断、及び処置される特定の疾病の重症度を包含する上記の様々な因子、に依存するであろうことがまた理解されるべきである。
【0104】
1つの実施態様において、制御された放出は、5nM(2ng/mL)~5μM(2μg/mL)の範囲の関節コルヒチン最大濃度(Cmax)に到達する為に適している。
【0105】
好ましい実施態様に従うと、本発明の医薬組成物の注射により、関節内注射の12時間後に、5ng/mLを超えない、特には2ng/mLを超えない、より特には1ng/mLを超えない、コルヒチンの全身濃度に達することができる。
【0106】
加えて、本発明に従う制御された放出医薬組成物の注射は、2ng/mL超、特には2~500ng/mLで含まれ、より特には2~250ng/mLで含まれ、より特には2~200ng/mLで含まれ、例えば2~100ng/mLで含まれる、更により特には2~50ng/mLで含まれる、コルヒチンの滑液濃度を達成することができる。
【0107】
痛みを伴う関節内に注射されるべき必要とされる量は、痛みを伴う関節の種類に依存することができ、特にはその大きさに依存することができる。下記の表1は、本発明の枠内で実施されうる典型的な投与量を集めたものである。
【0108】
【表1】
【0109】
1つの実施態様において、本発明において使用される医薬組成物は、特には1回の関節内注射で投与され、結晶関連炎症性関節炎又は非結晶関連炎症性関節炎又は腱炎及び関節包炎の急性型の処置に特化され、該医薬組成物は、中足指節関節又は中手指節関節から選択される小関節の為に注射1回当たり0.25~12500μgのコルヒチンを含有する。
【0110】
別の実施態様において、本発明において使用される医薬組成物は、特には1回の関節内注射で投与され、結晶関連炎症性関節炎又は非結晶関連炎症性関節炎又は腱炎及び関節包炎の急性型の処置に特化され、該医薬組成物は、手首関節の為に注射1回当たり1.25~2500μgのコルヒチンを含有する。
【0111】
別の実施態様において、本発明において使用される医薬組成物は、特には1回の関節内注射で投与され、結晶関連炎症性関節炎又は非結晶関連炎症性関節炎又は腱炎及び関節包炎の急性型の処置に特化され、該医薬組成物は、中足関節の為に注射1回当たり0.25~2500μgのコルヒチンを含有する。
【0112】
別の実施態様において、本発明において使用される医薬組成物は、特には1回の関節内注射で投与され、結晶関連炎症性関節炎又は非結晶関連炎症性関節炎又は腱炎及び関節包炎の急性型の処置に特化され、該医薬組成物は、椎骨関節の為に注射1回当たり2.5~5000μgのコルヒチンを含有する。
【0113】
別の実施態様において、本発明において使用される医薬組成物は、特には1回の関節内注射で投与され、結晶関連炎症性関節炎又は非結晶関連炎症性関節炎又は腱炎及び関節包炎の急性型の処置に特化され、該医薬組成物は、膝関節、股関節、肩関節及び肘関節から選択される関節の為に注射1回当たり5~12500μgのコルヒチンを含有する。
【0114】
1つの実施態様に従うと、本発明において使用される医薬組成物は、特には1回の関節内注射で投与され、結晶関連炎症性関節炎又は非結晶関連炎症性関節炎又は腱炎及び関節包炎の急性型の処置に特化され、該医薬組成物は、0.25~12500μgのコルヒチン、特には0.25~10000μgのコルヒチン、より特には0.25~7500μg、例えば0.25~500μgのコルヒチン、を含む。1つの実施態様において、本発明において使用される医薬組成物は例えば、0.5~10000μgのコルヒチン、特には0.5~7500μgのコルヒチン、より特には0.5~500μgのコルヒチン、を含みうる。1つの実施態様において、本発明において使用される医薬組成物は例えば、1~10000μgのコルヒチン、特には1~7500μgのコルヒチン、より特には1~5000μgのコルヒチン、を含みうる。1つの実施態様において、本発明において使用される医薬組成物は例えば、2~10000μgのコルヒチン、特には2~7500μgのコルヒチン、を含みうる。
【0115】
1つの実施態様において、該医薬組成物は、処置されるべき病理の性質に依存して、1日~9日間に優る期間、1日~8日の期間、1日~7日の期間、1日~6日の期間、例えば5日、6日、7日、8日、9日又は10日の期間、より特には5日の期間、痛みを伴う関節における治療的に許容可能な濃度のコルヒチンを維持する為に適しうる。
【0116】
1つの実施態様において、本発明に従う使用の為の医薬組成物は、微粒子中のコルヒチンの80重量%を放出する為に要求される時間が1日を超え、例えば1.5日であり、10日に達する場合があり、1日を超え、例えば1.5日であり、及び7日に達する場合があり、1日を超え、例えば1.5日であり、及び5日に達する場合があり、1日を超え、例えば1.5日であり、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、又は10日に達する場合があり、1日を超え、例えば1.5日であり、2日~10日間、及び2日~7日間、という事実によって特徴付けられる
【0117】
1つの実施態様において、本発明において使用される医薬組成物は、5~10日間投与されてもよく、該医薬組成物は、1~7.5mgのコルヒチン、2~6mgのコルヒチン、又は3~5mgのコルヒチンを含有する。
【0118】
1つの実施態様において、本発明において使用される医薬組成物は、6~9日間投与されてもよく、該医薬組成物は、2~7.5mgのコルヒチン、又は特には3~5mgのコルヒチン、を含む。
【0119】
結晶関連炎症性関節炎又は非結晶関連炎症性関節炎又は腱炎及び関節包炎の急性型の1つの急性期の処置の為に、幾つかの実施態様において、コルヒチンの投与量が、10%、20%、30%、40%、更にはそれ以上低減されうることが明らかである。
【0120】
1つの特定の実施態様に従うと、該処置は、同じ条件及び病態下で、別の急性のフレアが生じたときに、該処置が更新されてもよい。
【0121】
1つの実施態様に従うと、より特には、微結晶又は非結晶関連炎症性関節炎の存在に関連付けられた急性関節炎、より特には痛風発作、軟骨石灰化症及び急性石灰化性腱炎の処置の為に、該医薬組成物は、初期関節コルヒチン濃度を提供する為に適しうる。
【0122】
該医薬組成物は、バースト放出(burst release)を示してもよく又は示さなくてもよい。本発明の枠組みにおいて、「バースト放出」は、放出速度が安定なプロフィールに達する前に、放出媒体中に配置された直後、すなわち本発明において関節内への注入直後に、薬剤の初期ボーラス(bolus)が放出されることを意味する。
【0123】
いずれにしても、バースト放出の長さは、0~1日、例えば1日目の初めから1日目の終わりまで、であってもよく、特には0~6時間、0~3時間、更により特には0~2時間、である。
【0124】
従って、バースト放出が生じる場合、投与に応じて、本発明に従う医薬組成物は、投与部位、例えば、節内腔及び/又は関節周囲腔においてコルヒチンの初期放出を提供しうる。コルヒチンの初期放出が一旦収まると、コルヒチン微粒子製剤の制御された放出は、投与後の追加の治療期間、炎症及び/又は痛みと闘う為の治療的(例えば、関節内及び/又は関節周囲)濃度のコルヒチンを提供し続ける。
【0125】
特定の実施態様において、本発明に従って使用する為の医薬組成物は、重要なバースト放出を示さない。上記実施態様に従うと、50重量%未満のコルヒチンが投与後12時間で放出される。このことは特には、前文で議論されているように、Aboumanei et alに関する際立った特徴である。
【0126】
別の観点に従うと、本発明は、結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎、特には非結晶関連の急性関節炎、例えば関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡、又は結晶関連の関節炎の発病またはフレア、又は腱炎及び関節包炎の急性型の処置の為の方法であって、関節内への関節内注射に適しており、有効量のコルヒチンを含有する制御された放出微粒子を含む医薬組成物を、それを必要とする患者に痛みを伴う関節に注射することによって投与することを少なくとも含み、該微粒子は10μm超の平均粒径を有し、ここで、該微粒子中の該コルヒチンの80重量%を放出する為に必要とされる時間が1日を超え、及び15日に達する場合があり、特には1.5日~15日で含まれ、該コルヒチンが懸濁物の1ml当たり2.5~2500μgの範囲の濃度で存在し、該医薬組成物が、0.1ml~5mlの範囲の体積を有するところの上記の方法に関する。
【0127】
別の観点になお従うと、本発明は、結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎、特には非結晶関連の急性関節炎、例えば、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡、又は結晶関連の関節炎の発病またはフレア、又は腱炎及び関節包炎の急性型の処置の為の方法であって、制御された放出の為の少なくとも効率的な量のコルヒチンを、それを必要とする患者の関節へ注射することによって投与することを少なくとも含む上記の方法に関する。
【0128】
結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎、特には結晶関連関節炎の発病またはフレア、又は腱炎及び関節包炎の急性型の処置の為の方法であって、
本明細書に後述されている粉末の態様の形態下で、水性注射用ビヒクルと混合することによって、無菌且つ注射可能な懸濁物の形態下で医薬組成物を調製及び/又は提供すること、ここで、該医薬組成物が任意的に、等張化剤、湿潤剤、粘度増強剤、密度増強剤又はそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を含み、ここで、該添加剤が、水性注射用ビヒクル中又は粉末中に存在しうる;並びに、
該医薬組成物を、それを必要とする患者の痛みを伴う関節内に注射すること、ここで、該注射されるべき体積が注射部位に適合される、
を少なくとも含む上記の方法が本明細書において更に提供される。
【0129】
関節内注射の為に適した医薬組成物を調製する為の、キット又は製造品であって、該キット又は製造品は、(i)水性注射用ビヒクル、及び(ii)本明細書において後述される粉末を別々の区画に含み、ここで、添加剤が、等張化剤、湿潤剤、粘度増強剤、密度増強剤又はそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤が、該水性注射用ビヒクル中又は該粉末中に存在しうるところの上記のキット又は製造品が本明細書において更に提供される。
【0130】
上記実施態様において、上記キット又は製造品は、例えば二重チャンバを備えているプレフィルドシリンジ(prefilled syringe)又は医療装置の形態下であってもよい。上記実施態様において、2つのコンパートメント又は二重チャンバは、当業者に既知のあらゆる手段によって、本明細書に後述されている水性注射用ビヒクルと粉末との混合を可能にしうる。更に実施態様において、上記手段は、例えば使用者が及ぼしうる圧力を通じて、貫通可能な膜又は破壊可能なダイアフラムの形態をとりうる。
【0131】
該実施態様において、上記キット又は製造品は、得られた医薬組成物を対象の関節内に導入するよう使用者に指示するラベルを更に含んでいてもよい。
【0132】
本発明は特には、腎障害及び/又は肝障害を有する患者、又は薬剤で同時に処置された患者の処置の為に適している。事実、腎障害及び/又は肝障害を有する患者の場合には、特には痛風フレアの処置において、コルヒチンの推奨された経口投与量の調整が必要であり、投与スキームの適合が必要とされる。その上、コルヒチンの経口処置を用いて、好ましくない副作用及び致命的な薬剤相互作用を引き起こす薬剤が過去に同定されており、安全性プロファイルが大幅に変更され、そして、コルヒチンの経口投与量の調整が必要となり、それにより、例えば、コルヒチンの経口投与量を2~3倍減らす必要がありうる。
【0133】
従って、1つの実施態様において、本発明に適合する医薬組成物は、腎障害及び/又は肝障害を有する患者に投与されうる。特には、コルヒチンの血漿レベルは、内在因子の腎障害又は肝障害が重度のグレード(Severe grade)に達したときに毒性閾値まで上昇するとみなされる。
【0134】
腎機能障害を有する患者は、医師にとって既知の技術、例えば、クレアチニン・クリアランス方法を介して又は糸球体濾過速度(GFR:Glomerular Filtration Rate)方法、によって同定され、そして分類されてもよい。上記方法は特には、Worboys PD,Wong SL,Barriere SL.Pharmacokinetics of intravenous telavancin in healthy subjects with varying degrees of renal impairment.Eur J Clin Pharmacol.2015 Jun;71(6):707~714において記載されている。本発明に従う使用及び方法は例えば、GFR方法によって設定される全てのグレード、例えばグレード1~グレード5、の腎障害を有する患者を処置する為に実施されうる。本発明に従う使用及び方法は、GFR方法によって設定される高グレード、例えばグレード3~5、の腎障害を有する患者の為により特には適しうる。
【0135】
肝障害を有する患者は、医師にとって既知の技術、例えば、チャイルド・ピュー(Child-pugh)のスコア方法を介して又はMELDスコアを介して、同定され、そして分類されてもよい。上記方法は特には、Tsoris A,Marlar CA.Use Of The Child Pugh Score In Liver Disease.2021 Mar 22.In: StatPearls [Internet].Treasure Island (FL):StatPearls Publishing; 2022 Jan-.PMID:31194448、又はインターネット上の下記のリンク:https://liverfellow.org/post/meld-score-part1及びhttps://liverfellow.org/post/meld-score-part2において詳述されている。本発明に従う使用及び方法は例えば、チャイルド・ピューの方法によって設定された全てのスコア、レート及び/又は分類、例えば軽度、中等度、重度、の肝障害を有する患者を処置する為に実施されうる。本発明に従う使用及び方法はより特には、チャイルド・ピューの方法によって設定される重度の肝障害の高いスコア、割合及び/又は分類、例えば中等度及び重度の肝障害、を有する患者に適しうる。
【0136】
従って、本発明の枠組みにおいて、コルヒチンの全身血漿レベルが毒性につながる閾値未満に維持される故に、経口投与されるときにコルヒチンの用量調節を現在必要とする内因性因子の影響、例えば腎障害及び/又は肝障害、を有する患者を処置する場合であっても、コルヒチンの用量調節が必要とされない。
【0137】
従って、1つの実施態様において、本発明に従って使用する為の医薬組成物は、該医薬組成物が投与される患者が腎障害及び/又は肝障害を有するという事実によって更に特徴付けられている。
【0138】
1つの別の実施態様において、本明細書で前に定義されている、結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎、特には非結晶関連の急性関節炎、例えば、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡、又は結晶関連の関節炎の発病またはフレア、又は腱炎及び関節包炎の急性型、特には腎障害及び/又は肝障害を有する患者に対する、特にはそのような障害に応じてコルヒチンの投与量が減らされない上記の腎障害及び/又は肝障害を有する患者に対する、非結晶関連の急性炎症性関節炎、を処置する為の方法が更に提供される。
【0139】
1つの実施態様において、本発明に適合する医薬組成物は、本明細書において後に詳述されているように、広範な薬剤と共に共投与されてもよく、特には、そのような薬剤と共投与されたときに、経口コルヒチンとの古典的な処置と比較して改善された安全性プロファイルを示す。
【0140】
本発明により回避されることを可能にする薬剤相互作用の例は、経口コルヒチンでの処置の枠内において明確に同定され且つ医師に周知であるところの薬剤との相互作用である。潜在的な薬剤相互作用がある場合に、古典的な方法では、周知の推奨に従って、相互作用の重症度に依存してコルヒチン経口薬の投与量を調整、すなわち減量する。
【0141】
そのような薬剤間相互作用(DDI:drug drug interactions)は、幾つかの薬剤がP-gp及び/又はCYP3A4を阻害し、避けられなければならない、コルヒチンの過剰な血漿中濃度のピーク、特にはコルヒチンの6ng/mLを超えるピーク、を発生させるという事実によって説明されうる。
【0142】
本発明の1つの利点は、過剰な血漿濃度が回避され、且つ経口投与されたときに行わなければならないコルヒチンの投与量を調整すること無しに薬剤の共投与が可能であるという事実にある。
【0143】
従って、1つの実施態様において、本発明に従って使用する為の医薬組成物は、該医薬組成物が投与される患者が、下記の活性成分、すなわち、アタザナビル(atazanavir)、クラリスロマイシン(clarithromycin)、ダルナビル(darunavir)、リトナビル(ritonavir)、インジナビル(indinavir)、イトラコナゾール(itraconazole)、ケトコナゾール(ketoconazole)、ロピナビル(lopinavir)、リトナビル(ritonavir)、ネファゾドン(nefazodone)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)、サキナビル(saquinavir)、テリスロマイシン(telithromycin)、チプラナビル(tipranavir)、アンプレナビル(amprenavir)、アプレピタント(aprepitant)、ジルチアゼム(diltiazem)、エリスロマイシン(erythromycin)、フルコナゾール(fluconazole)、ホスアンプレナビル(fosamprenavir)、ベラパミル(verapamil)、シクロスポリン(cyclosporine)及びラノラジン(ranolazine)、によって同時に、別々に又は逐次的に処置されうるという事実によって更に特徴付けられる。
【0144】
従って、上記で定義される使用の為の医薬組成物であって、該医薬組成物は、患者における結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎、特には結晶関連の関節炎の発病またはフレア、又は腱炎及び関節包炎の急性型の処置において使用する為のものであり、該患者は、アタザナビル、クラリスロマイシン、ダルナビル、リトナビル、インジナビル、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ロピナビル、リトナビル、ネファゾドン、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、テリスロマイシン、チプラナビル、アンプレナビル、アプレピタント、ジルチアゼム、エリスロマイシン、フルコナゾール、ホスアンプレナビル、ベラパミル、シクロスポリン及びラノラジンから選択される活性成分のうちの少なくとも1つによって同時に、別々に又は逐次的に処置されるところの上記の医薬組成物が本明細書において提供される。
【0145】
従って、患者に対する、本明細書の上記で定義された、結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎、特には非結晶関連の急性関節炎、例えば、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡、又は結晶関連の関節炎の発病またはフレア、又は腱炎及び関節包炎の急性型の処置の為の方法であって、該患者は、アタザナビル、クラリスロマイシン、ダルナビル、リトナビル、インジナビル、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ロピナビル、リトナビル、ネファゾドン、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、テリスロマイシン、チプラナビル、アンプレナビル、アプレピタント、ジルチアゼム、エリスロマイシン、フルコナゾール、ホスアンプレナビル、ベラパミル、シクロスポリン及びラノラジンから選択される活性成分のうちの少なくとも1つによって同時に、別々に又は逐次的に処置され、特には、ここで、コルヒチンの用量が、そのような薬剤の併用投与に応答して減少しないところの上記の方法が本明細書において更に提供される。
【0146】
コルヒチンを含有する制御された放出微粒子
【0147】
コルヒチンを含有する制御された放出微粒子は、様々な微粒子、例えば、(i)ポリマーマトリックスを含む微粒子、又は(ii)多胞体リポソーム(multivesicular liposomes)、の形態をとりうる。
【0148】
1つの実施態様に従うと、該微粒子は、100μm未満、特には80μm未満、より特には50μm未満、例えば10~50μm、例えば10~40μm、又は15~40μm、の平均粒径を有する。
【0149】
1つの実施態様に従うと、該微粒子は、50μm以下、特には40μm以下、例えば5μm~40μm、のD10値を有する粒度分布を有する。
【0150】
1つの実施態様に従うと、該微粒子は、150μm以下、特には100μm以下、例えば20μm~100μm、のD90値を有する粒度分布を有する。
【0151】
これらの範囲は、所与の集団における全ての微粒子の平均サイズを指すことが理解される。任意の個々の微粒子のサイズは、平均サイズの上又は下の標準偏差内にある可能性がある。
【0152】
本発明の文脈では、「微粒子」とは、任意の形状で且つ任意の材料からなる粒子であり、特には医薬組成物内の人体内、特には関節(articulations or joints)内、への注入に適しており、10μm超且つ100μm未満の平均粒子径を有するものを意味する。
【0153】
本発明に従って使用される医薬組成物の為に適した微粒子は、様々なタイプの微粒子、例えば、ミクロスフェア、微粒子マトリックス、ミクロスフェアマトリックス、マイクロカプセル、ロッド(rods)、ウエハース、錠剤、繊維及びペレット、から選択されうる。
【0154】
(i)ポリマーマトリックスを含む微粒子
【0155】
該ポリマーマトリックスは、制御された放出微粒子を得る為に適した様々なポリマーから選ばれてもよい。そのようなポリマーマトリックスは人体に対して無毒である。
【0156】
1つの実施態様に従うと、ポリマーマトリックスを形成するポリマーは生分解性である。
【0157】
本発明の文脈において、「生分解性」材料は、酵素的又は加水分解的に分解し、分解生成物がバイオマスへと統合され、及び/又は代謝若しくは腎濾過によって有機体から除去されることが証明されているところの材料を云う。
【0158】
無害且つ生分解性のポリマーは天然であってもよく又は合成であってもよい。
【0159】
1つの実施態様に従うと、本発明に従って使用される医薬組成物において使用される微粒子のポリマーマトリックスは、少なくともポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー(すなわちPLGA)を含む。
【0160】
該実施態様に従うと、該ポリマーマトリックスは、該ポリマーマトリックスの総重量に対して、70重量%超の量、特には80重量%超の量、更により特には90重量%超の量、のPLGAを含みうる。
【0161】
別の実施態様に従うと、本発明に従って使用される医薬組成物において使用される微粒子のポリマーマトリックスは、少なくともポリ(カプロラクトン)(PCL)を含む。
【0162】
好適なポリマーは、商業的に入手可能であり、RESOMER(Evonik Industries AG,Germany)、LACTEL(Durect,USA)、PURASORB(Corbion NV,The Netherlands)、Viatel(Ashland,USA)として知られているが、これらに限定されるものでない。
【0163】
適切なポリマーの例が表2においてリスト化されている。
【0164】
【表2】
【0165】
該実施態様に従うと、ポリマーマトリックスは、該ポリマーマトリックスの総重量に対して、70重量%超の量、特には80重量%超の量、更により特には90重量%超の量、のPCLを含んでいてもよい。
【0166】
別の実施態様に従うと、本発明に従って使用される医薬組成物において使用される微粒子のポリマーマトリックスは、少なくともPCLと少なくともPLGAの組み合わせを含む。
【0167】
特定の実施態様において、本発明に従って使用する為の医薬組成物は、該微粒子によって特徴付けられ、該微粒子はコルヒチン及びポリマーマトリックスを含み、該ポリマーマトリックスが、少なくともポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー、少なくともポリ(カプロラクトン)、又は少なくともポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマーとポリ(カプロラクトン)との組み合わせを含む。
【0168】
1つの実施態様において、該ポリマーマトリックスは、該ポリマーマトリックスの総重量に対して、70重量%超、特には80重量%超、更により特には90重量%超、の量の、(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー、ポリ(カプロラクトン)、又はポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマーとポリ(カプロラクトン)との組み合わせを含む。
【0169】
該実施態様に従うと、該ポリマーマトリックスは、該ポリマーマトリックスの総重量に対して、70重量%超、特には80重量%超、更により特には90重量%超、のPCL及びPLGAの組み合わせを含んでいてもよい。
【0170】
該ポリマーマトリックスは、1以上の追加のポリマー、1以上のコポリマー、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。該1以上の追加のポリマー、1以上のコポリマー、又はそれらの組み合わせは、該ポリマーマトリックスの総重量に対して、0~30重量%、特には0~20重量%、より特には0~10重量%、の範囲の量で該ポリマーマトリックス中に存在していてもよい。
【0171】
好適な追加のポリマー又はコポリマーの非限定的な例は、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー(すなわちPLA)とは異なるポリ(ラクチド)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー(すなわちPGA)とは異なるポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)(すなわちPEO)、PLGA-b-PEO-b-PLGA、PLGA-b-PEO、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(トリメチルカーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(バレロラクトン)、ポリ(アルファー-ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ無水物、ポリ(オルトエステル)、ポリ(アセタール)、ポリウレタン、ポリチオエステル、ポリホスホエステル、ポリ(エステル-co-アミド)、ポリ(ビニルアルコール)(すなわちPVA)、PVA-g-PLGA、ポリ(エーテルエステル)マルチブロックコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタクリレート)、PEO-PPO-PEO(pluronics)、ゼラチン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸;多糖類、例えば、アルギン酸塩、デンプン、キトサン及びデキストラン、並びにそれらの任意の組み合わせを包含し、特には、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマーと異なるポリ(ラクチド)、及びポリ(カプロラクトン)から選択される。
【0172】
1つの実施態様に従うと、該コルヒチンと該微粒子の総重量との間の薬剤負荷含量又は重量パーセント比が、0.1%~35%、特には0.5~30%、更により特には1~25%、例えば2~20%、の範囲である。
【0173】
1つの実施態様において、本発明に従う制御された放出微粒子はPLGAミクロスフェアである。言い換えれば、該実施態様において、該ポリマーマトリックスは、追加のポリマー又はコポリマーを何ら含まない。
【0174】
ポリマーマトリックスとしてPLGAコポリマーが使用される場合、それらは、グリコール酸に対する乳酸の分子量及びモノマー比の幅広い範囲を有し、特には75:25~50:50、更に特には50:50であることができる。ポリマーを製造する当技術分野において知られている任意の好適な方法が使用されることができ、分子量は典型的には、5~150kDa、特には5~80kDa、より特には5~50kDa、例えば10~150kDa、10~80kDa、又は10~50kDa、の範囲である。
【0175】
更に特定の実施態様に従うと、ポリマーマトリックスを形成するポリマーは、ポリマーマトリックスの総重量に対して、例えば100重量%の量で、PLGAを含み、該PLGAは、以下によって定義される:
5~80kDaの分子量、及び、
75:25~50:50のラクチド:グリコリドのモル比。
【0176】
より特定の実施態様に従うと、ポリマーマトリックスを形成するポリマーは、該ポリマーマトリックスの総重量に対して、例えば100重量%の量で、PLGAを含み、該PLGAは、以下によって定義される:
5~50kDaの分子量、及び、
50:50のラクチド:グリコリドのモル比。
【0177】
1つの実施態様に従うと、PLGAは、末端キャップされたカルボン酸(carboxylic endcapped)又は末端キャップされたエステル末端(ester endcapped)であり、特には末端キャップされたカルボン酸、である。
【0178】
別の実施態様に従うと、微粒子マトリックスは、2つのPLGAコポリマー、すなわち、特には、1つは低分子量及び1つは高分子量、のブレンドを含むことができ、更には該ブレンドから構成されてもよい。
【0179】
該微粒子は、薬剤放出プロフィールを調節する為の医薬的に許容される添加剤、例えば、中鎖トリグリセリド、ポリ(オキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル(例えばポリソルベート20、ポリソルベート80)、ソルビタン脂肪酸エステル、シクロデキストリン、レシチン、マンニトール、スクロース、無機塩及びそれらの組み合わせ、を更に含んでいてもよい。
【0180】
微粒子のポリマーマトリックスは、1以上の添加剤を含んでいてもよい。該添加剤は、該ポリマーマトリックス中に、該ポリマーマトリックスの総重量に対して、15重量%を超えない量、特には10重量%を超えない量、より特には5重量%を超えない量、で存在しうる。
【0181】
1つの実施態様において、コルヒチンを含有する制御された放出微粒子を含む医薬組成物であって、該微粒子が10μm超の平均粒径を有し、該医薬組成物がイン・ビトロ(in vitro)溶解プロフィールを呈し、コルヒチンの25%未満が60分以内に放出され、コルヒチンの50%未満が12時間で放出され、該コルヒチンが懸濁物の1ml当たり2.5~2500μgの範囲の濃度で存在し、該医薬組成物が0.1ml~5mlの範囲の体積を有するところの上記医薬組成物が提供される。
【0182】
上記で説明されているように、患者の快適さの為に且つ安全性の為に、関節内への関節内注射の為に適し、複数回の注射を必要すること無しに、この注射のおかげで患者を安心させることができる、たった1回の注射で済むところの医薬組成物を探すことが有利である。
【0183】
上記の要件を満たす制御された放出が達成されることが、例示部分、すなわち実施例8、から明らかである。
【0184】
1つの実施態様に従うと、該医薬組成物は更に、関節内注射の12時間後のコルヒチンの全身濃度を、5ng/mL未満、特には2ng/mL未満、より特には1ng/mL未満に維持する為に、且つコルヒチンの滑液濃度を、2ng/mL超、特には2~500ng/mLを含むように、より特には2~250ng/mLを含むように、より特には2~200ng/mLを含むように、例えば2~100ng/mLを含むように、更により特には2~50ng/mLを含むように、維持する為に有効であることによって特徴付けられる。
【0185】
本発明は更に、コルヒチンを含有する制御された放出微粒子とポリマーマトリックスとを含む粉末の形態の製剤であって、該微粒子が10μm以上の平均粒径を有し、該ポリマーマトリックスが、少なくともポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー、少なくともポリ(カプロラクトン)、又は少なくともポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマーとポリ(カプロラクトン)との組み合わせを含み、該コルヒチンと該微粒子の総重量との重量パーセント比が、0.1~35重量%、特には0.5~30重量%、より特には1~25重量%、更により特には2~20重量%、の範囲にあるところの上記製剤に関する。
【0186】
本発明の上記観点に従うと、該粉末は、コルヒチンを含有する即時放出剤形を更に含み、特には、ここで、コルヒチンの総量に対する即時放出コルヒチンの最大重量比は25%である。
【0187】
本発明は更に、関節内注射の為に適した無菌且つ注射可能な懸濁物の形態下の医薬組成物であって、該医薬組成物は、上述されているように、粉末の形態下の製剤と水性注射用ビヒクルとを混合することにより得られ、ここで、該医薬組成物は任意的に、等張化剤、湿潤剤、粘度増強剤、密度増強剤又はそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を含み、該添加剤は、水性注射用ビヒクル中又は粉末中に存在してもよいところの上記の医薬組成物に関する。
【0188】
1つの実施態様において、該医薬組成物は、懸濁物の1ml当たり0.05~5mg、特には懸濁物の1ml当たり0.1~4mg、特には懸濁物の1ml当たり0.1~2.5mg、より特には懸濁物の1ml当たり0.25~2.5mg、更により特には懸濁物の1ml当たり0.5~1.5mg、の範囲のコルヒチン濃度によって特徴付けられる。
【0189】
1つの更なる実施態様において、該医薬組成物は、懸濁物の1ml当たり5~2000μg、特には懸濁物の1ml当たり5~1500μg、特には懸濁物の1ml当たり5~1000μg、より特には懸濁物の1ml当たり5~500μg、の範囲のコルヒチン濃度によって特徴付けられる。
【0190】
ポリマーマトリックスを含む微粒子の入手の為の製造プロセス
【0191】
平均粒径が10μm~100μmの範囲にあるポリマー微粒子を製造する為に適した任意のプロセスが、本発明の枠組みにおいて適切であると考えられる。
【0192】
そのような製造プロセスのうち、乳化に基づくプロセス、例えば、高圧ホモジナイゼーション、例えば、バッチモード又は連続モードにおけるローター・ステーター(rotor-stator)ホモジナイザーを用いた高圧ホモジナイゼーション、又は膜乳化(membrane emulsification)、引き続き、抽出/蒸発による有機溶媒除去が挙げられうる。
【0193】
そのような方法の一般的な原理に関する限り、エマルジョンが調製され、そして、決められた大きさの孔を有する膜上で処理されてもよい。得られたミクロスフェアは、有機溶媒の抽出、そして蒸発の後に回収され、洗浄され、そして、凍結乾燥されることができる。
【0194】
1つの特定の実施態様に従うと、該微粒子が、O/W直接エマルションから、又はW/O/W二重エマルション技術から製造されてもよい。
【0195】
1つの特定の実施態様に従うと、該微粒子が、水中油中固形型(Solid-in-Oil-in-Water)(S/O/W)二重エマルション技術から製造されてもよい。
【0196】
Schoubben,A.,Ricci,M.& Giovagnoli,S.Meeting the unmet: from traditional to cutting-edge techniques for poly lactide and poly lactide-co-glycolide microparticle manufacturing.J.Pharm.Investig.49,381~404 (2019)は、本発明の枠組みにおいて使用されることができるPLGA微粒子を製造する為の様々な方法をレビューしている。
【0197】
Piacentini,E.Pharmaceutical Particles Design by Membrane Emulsification:Preparation Methods and Applications in Drug Delivery.Curr.Pharm.Des.23,302~318 (2018)は、本発明の枠組みにおいて使用されうるそのような膜乳化技術の様々な設計をレビューしている。
【0198】
本発明に従う微粒子を得る為に適した他の製造アプローチは、スピニングディスク(spinning disk)による微粒化、噴霧乾燥による微粒化、流動床コーティング、又はそれらの組み合わせである。
【0199】
代替的には、該微粒子は、ドロップオンデマンド(drop-on-demand)、ドロップバイドロップ(drop-by-drop)、ジェットブレイクアッププロセス(jet break-up processes)、例えば、インクジェット印刷又はマイクロ流体工学、を用いて製造されてもよい。
【0200】
代替的には、該微粒子は、超臨界流体技術を用いて製造されてもよい。
【0201】
代替的には、該微粒子は、微細加工方法(microfabrication methods)、例えば、テンプレート及びモールドに基づく技術(template and mold-based techniques)、例えばソフトリソグラフィー(soft lithography)、を用いて製造されてもよい。
【0202】
これらの全ての製造工程は、当業者に周知である。
【0203】
上記で引用された製造工程は、当業者に周知である。
【0204】
(ii)多胞体リポソーム(MULTIVESICULAR LIPOSOMES)
【0205】
多胞体リポソーム(MVL)は10~30μmの平均直径を有する球状粒子であり、且つハニカム様構造(honeycomb-like structure)に配列された非同心円状の多重脂質二重層からなる。これらの脂質層は、水溶性薬剤、例えばコルヒチン、を封入する為に使用されることができるところの多数の水で満たされた水性コンパートメントを囲む。
【0206】
MVLは古典的に、少なくとも1つの両親媒性脂質と1つの中性脂質から構成される。該両親媒性脂質は、リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン又はホスファチジルグリセロール、から選択される。該中性脂質は、アシル鎖中に14~18個の炭素原子を含むモノ不飽和脂肪酸エステル部分(例えば、トリオレイン、トリパルミトオレイン)、アシル鎖中に6~8個の炭素原子を含む飽和脂肪酸エステル部分(例えば、トリカプロイン、トリカプリリン)及びそれらの組み合わせを有するトリグリセリドから選択される。コレステロールがまた、該組成物において使用されることができる。
【0207】
MVLは、水中油中水型(water-in-oil-in-water)二重乳化プロセスを用いることによって得られる。第1の工程において、油中水型エマルションが、揮発性で且つ水と混和しない有機溶媒中に可溶化したところのリン脂質、トリオレイン、トリカプリリン及びコレステロールを、カプセル化されるべき水溶化された薬剤を含む水性液と混合することによって調製される。次に、この第1のエマルジョンが第2の水性液と混合することによって乳化されて、水中油中水型エマルジョンが生成される。第1のエマルジョン及び第2のエマルジョンを形成する為に必要なエネルギーは、機械的、超音波処理、又はそれらの組み合わせのいずれかによって提供されることができる。MVLは、ガスストリッピング(gas stripping)又はフラッシング(flushing)を用いて揮発性有機溶媒を二重エマルションから除去することによって最終的に得られる。最後に、カプセル化されていない物質の除去、MVLの濃縮及び緩衝液の交換は、ジアフィルトレーション(diafiltration)又はクロスフローろ過システム(cross-flow filtration system)のいずれかを用いて行われる。
【0208】
1つの実施態様において、コルヒチンを封入したMVLを製造する為に使用される中性脂質は、トリオレイン:トリカプリリン=50:50~0:100の範囲の比を有する混合物を含む。
【0209】
医薬組成物
【0210】
本発明の枠内において使用される医薬組成物は、有効量のコルヒチンを含有する無菌且つ注射可能な組成物、特には懸濁組成物、の態様をとりうる。
【0211】
本発明の意味における「無菌」とは、本発明に従う組成物中の考慮される化合物に対して、投与経路、例えば上記された投与経路、なかんずく関節内又は関節を通じた投与経路、の為の安全要件を保証することができる環境を意味する。事実、明白な理由から、本発明に従う組成物は、宿主部位で望ましくない副反応を開始することができる汚染体を含まないことが必須である。
【0212】
本発明の枠内において使用される医薬組成物は、上記された微粒子を含む粉末の形態下で製剤を用いて調製されうる。1つの実施態様に従うと、該医薬組成物は、関節内注射の為に適した、コルヒチンの制御された放出の為の無菌且つ注射可能な組成物である。
【0213】
その注射可能な特性により、本発明に従う組成物は、生理学的に許容される媒体(「水性注射用ビヒクル」とも呼ばれる)を必然的に含む。
【0214】
「生理学的に許容される培地」は、毒性がなく、組成物、例えば本発明において考慮されるような組成物、の注入及び/又は適用に適合するところの培地を意味する。
【0215】
本発明は、より特には、上記で定義した使用の為の医薬組成物であって、該医薬組成物は、10μm以上の平均粒径を有するコルヒチンを含有する制御された放出微粒子を含む粉末の形態下の製剤を、水性注射用ビヒクルと混合することによって得られ、ここで、該医薬組成物は任意的に、等張化剤、湿潤剤、粘度増強剤、密度増強剤又はそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を含み、及び該添加剤は、水性注射ビヒクル中又は粉末中に存在しうるところの上記の医薬組成物に関する。
【0216】
該組成物は、溶媒、又は生理学的に許容される溶媒の混合物を含んでいてもよい。
【0217】
該組成物は、生理学的に許容される水性媒体を含んでいてもよい。
【0218】
本発明の為に適した水性媒体は例えば、水を挙げられうる。
【0219】
本発明に従う組成物の調製の為に適した等張化剤は、糖類及び塩化ナトリウムを挙げられうる。
【0220】
水性注射剤は特には、等張化剤、湿潤剤、粘度増強剤又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0221】
等張化剤のうち、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、スクロース、グリセリン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、シクロデキストリン及びマルトデキストリンが挙げられうる。
【0222】
湿潤剤のうち、ポリ(オキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、例えば商品名「TWEEN(登録商標)」(登録商標)下で商業的に入手可能なもの、ソルビタン脂肪酸エステル、例えば商品名「SPAN」下で商業的に入手可能なもの、ポロキサマー及びレシチンが挙げられうる。
【0223】
粘度向上剤のうち、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、のグリコサミノグリカン(例えば、ヒアルロン酸)、デキストラン、コラーゲン、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)、アルギン酸、アカシアガム、デンプンが挙げられうる。
【0224】
特定の実施態様に従うと、該医薬該組成物は、10秒-1の剪断速度で、5~1000mPa.s、特には5~500mPa.s、特には5~100mPa.s、より特には5~50mPa.s、の粘度を有する。
【0225】
1つの実施態様に従うと、該医薬組成物は更に、コルヒチンを含有する即時放出剤形を含みうる。そのような即時放出剤形の存在は、痛みを迅速に緩和するように、迅速な関節コルヒチン濃度を達成することを目的とする。1つの実施態様において、コルヒチンの総量に対する即時放出コルヒチンの最大重量比は25%である。
【0226】
本発明の或る実施態様において、コルヒチンの総量に対する即時放出コルヒチンの重量比は、0~5%、0~10%、0~15%又は0~20%であってもよい。
【0227】
幾つかの実施態様において、即時放出形態の放出の長さは0~6時間である。幾つかの実施態様において、即時放出形態の放出の長さは0~2時間である。
【0228】
即時放出剤形は、上記されている制御された放出微粒子と組み合わせられるところの即時画分の形態をとってもよく、又は本発明に従って、粉末の形態下で最終製剤を調製するときにギア微粒子が混合されるところの連続相中に存在してもよい。上記の連続相は、勿論、該微粒子内に既に存在するものよりも更に適切な医薬的に許容される任意の添加剤を含んでいてもよい。
【0229】
追加の活性成分
【0230】
処置されるべき特定の状態又は疾病に依存して、その状態を処置する為に通常投与されるところの追加の治療剤がコルヒチンと組み合わせて投与されうる。
【0231】
本明細書において使用される場合、語「組み合わせ」、「併用」及び関連語は、該追加の活性成分をコルヒチンと共に、同時又は逐次的に投与することを云う。例えば、別個の単位剤形において、又は単一の単位剤形において一緒に、追加の活性成分と共に、組み合わせが同時又は逐次的に投与されうる。
【0232】
1つの実施態様に従うと、ヒアルロン酸は痛みを伴う関節内に注射されてもよく、例えば、本発明に従う粉末又は医薬組成物中に存在してもよい。関節炎、例えば骨関節炎、処置におけるヒアルロン酸の使用は、ビスコサプリメント(viscosupplementation)として周知である。それ故に、1つの実施態様に従うと、本発明は、ヒアルロン酸を更に含む本発明に従うコルヒチンを含む医薬組成物を提供する。
【0233】
幾つかの実施態様において、本発明は、少なくとも追加の治療剤を更に含む、本発明に従うコルヒチンを含む医薬組成物を提供する。適切な追加の活性成分は、以下において更に詳細に記載されている。
【0234】
1つの実施態様に従うと、下記の活性成分、特には任意の抗炎症活性成分、が組み合わせられてもよい:
(i)コルチコステロイド、例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、ブデノシド、モメタゾン、シクレソニド、フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、及び医薬的に許容されるそれらの塩、特には低用量で、
(ii)NSAID、例えば、アスピリン、ジクロフェナク、アセクロフェナク、スリンダク、ケトロラク、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、フルビプロフェン、インドメタシン、プログルメタシン、チアプロフェン酸、メロキシカム(meloxicam)、ピロキシカム(piroxicam)、テノキシカム(tenoxicam)、エトドラク(etodolac)及びセレコキシブ(celecoxib)、エトリコキシブ(etoricoxib)、パレコキシブ(parecoxib)、ロフェコキシブ(rofecoxib)、バルデコキシブ(valdecoxib)、及びそれらの医薬的に許容される塩、
(iii)抗IL-1β剤、例えば、アナキンラ(anakinra)、カナキヌマブ(canakinumab)、リロナセプト(rilonacept)、及びそれらの医薬的に許容される塩、
(iv)抗IL-6剤、例えば、トシリズマブ(tocilizumab)、シルツキシマブ(siltuximab)、サリルマブ(sarilumab)、及びそれらの医薬的に許容される塩、
(v)抗TNFα剤、例えば、アダリムマブ(adalimumab)、エタネルセプト(etanercept)、インフリキシマブ(infliximab)、セルトリズマブ(certolizumab)、ゴリムマブ(golimumab)、及びそれらの医薬的に許容される塩、
(vi)抗血管新生剤、例えばベバシズマブ()、及びその医薬的に許容される塩、
(vii)抗NGF(Nerve Growth Factors:神経成長因子)剤、例えばファシヌマブ(fasinumab)、タネズマブ(tanezumab)、フルラヌマブ(fulranumab)、ABT-110、及びそれらの医薬的に許容される塩、
(viii)オピオイド、例えば、フェンタニル、モルヒネ、ブプレノルフィン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシコドン、メペリジン、及びそれらの医薬的に許容される塩、
(ix)クラスIグルコーストランスポーター(例えば、GLUT-1/GLUT-3)の阻害剤、例えば、サイトカラシンB、WZB-117、STF-31、BAY-876、
(x)それらの組み合わせ。
【0235】
上記の追加の活性成分は、即時放出剤形及び/又は制御された放出剤形の下で製剤化されてもよい。
【0236】
該組成物の投与
【0237】
本発明の枠組みにおいて使用される医薬該組成物は、当技術分野において既知の方法のいずれかを用いて注射されることができる。
【0238】
特には、該医薬該組成物は、関節内注射の為に適した注射デバイス(injection device)、例えば19~29G、好ましくは22~29G、より好ましくは25~29G、の針を備えたシリンジ(syringe)、によって投与されうる。
【0239】
特許請求の範囲を含む本明細書全体を通じて、表現「~を含む」は、特には断りのない限り、「少なくとも1つを含む」と同義であるとして理解されるべきである。
【0240】
表現「...~...」(between...and...)、「...~...の範囲」(ranging from...to...)は、別段の定めがない限り、その限界が包括的であることを意味すると理解されるべきである。
【0241】
下記の実施例及び図は、本発明を非限定的に説明する為に示されたものである。
【0242】
実施例
【0243】
分析方法
【0244】
粒径が、光学顕微鏡を用いて決定された(N=100粒子が解析された、Olympus BX51 with Stream Software)。
【0245】
微粒子の薬剤負荷量は、50mLのメスフラスコ内に30mgの微粒子を2.5 mLのアセトニトリルで溶解することによって決定された。溶解後、22.5mLのメタノールが加えられ、そして、ボルテックス下で混合された。次に、該フラスコが水で満たされ、ボルテックスを用いて十分に混合された。次に、培地が4000rpmで30分間遠心分離され、そして、上清が0.45μmのPTFEフィルター(Acrodisc wwPTFE)を通じてろ過され、最初の2mLが捨てられる。この溶液のアリコートがHPLCによって分析されて、該微粒子の薬剤負荷が決定される。
【0246】
HPLCによる分析は、シリカベースの逆相C8カラム[GL Sciences,Inertsil C8-3,4.6×250mm]と移動相[55%のメタノール、45%の6.8g/L KH2PO4溶液,希釈されたリン酸でpH 5.5に調整された溶液]を用いて、流速1mL/分、UV検出254nmで行われた。
【0247】
微粒子からのイン・ビトロ(in vitro)放出試験の為に、10~30mgの微粒子のアリコートが、37℃に維持された0.02%アジ化ナトリウムを含むリン酸緩衝液(10mM又は50mM,pH7.4)50mL内に懸濁され、水平振盪された(GFLによって商業化されているインキュベーターモデル3033)。異なる間隔で、3mLの培地が除去され、そして、同量の新しい培地と交換され、そして、350nmでUVによって分析された。
【0248】
生物学的培地(血漿及び関節内洗浄液)中のコルヒチンのアッセイが、Kinetex C18(100mm×2.1mm×1.7μm)LCカラム及び緩衝液[緩衝液A:H2O+FA0.1%(圧縮率0.45)及び緩衝液B:MeOH+FA0.1%(圧縮率1.25)]を備えたリニアイオントラップ四重極(linear Ion Trap Quadrupole)LC/MS/MS分光計を用い、流速0.5ml/分でLC-MSによって行われた。
【0249】
血漿中のコルヒチンを測定する為に、採取した血液が、4℃、1300Gで、12分間遠心分離された。回収された血漿50μlのアリコートがマイクロタイタープレートに入れられ、そして、100μlのMeOHが各ウェル中に加えられた。遠心分離が、2200Gで、12分間行われ、そして、上清が回収された。SPE処理が、LC-MS分析を実行する前に行われた。
【0250】
関節内洗浄液中の遊離のコルヒチンをアッセイする為に、微粒子が、生体サンプルから除去されて、放出されたコルヒチンのみが確実にアッセイされた。これは真空を通じた濾過によって行われた。回収されたサンプルは、血漿サンプルと同様に処理された。
【0251】
実施例1:徐放コルヒチン微粒子
【0252】
0.23gのコルヒチン(Indena,Italy)と0.91gのPLGA Resomer RG 503H(Evonik Industries AG,Essen,Germany)とを2.51gのジクロロメタン(Merck)中にボルテックス下で溶解することによって、有機溶媒相が調製された。
【0253】
乳化工程が、高剪断乳化(Heidolph homogenizer DIAX 900,11600rpm)の下で1分間、1%のPVA溶液(Mowiol 4-88,Sigma-Aldrich)5gを有機相に加えることによって行われた。
【0254】
次に、エマルジョンが硬化浴(1%のPVA水性液0.5L)内に注がれ、そして、オーバーヘッドスターラーを用いて300rpm、3時間撹拌された。
【0255】
次に、12μmの孔径を有するステンレス製スクリーンにエマルジョンを注ぎ込み、そして、50mLの蒸留水で3回洗浄することによって、固体粒子が水性相から分離された。
【0256】
次に、該微粒子がガラス皿に移され、5℃で7mbarの圧力下で18時間乾燥され、そして、琥珀色のガラスバイアル内で保存された。
【0257】
次に、該微粒子のイン・ビトロ(in vitro)プロファイルを包含する分析試験が実施された。結果が下記の表3においてまとめられている。
【0258】
【表3】
【0259】
本実施例において、コルヒチンが負荷されたPLGA微粒子が調製され、該PLGA微粒子は、35μmの平均粒子径を有し、7日後にその薬剤含量の80%を放出した。
【0260】
実施例2:徐放コルヒチン微粒子
【0261】
0.7gのコルヒチン(Indena,Italy)と1.05gの滅菌PLGA Resomer RG 503H(Evonik Industries AG,Essen,Germany)とを2.5gのジクロロメタン(Merck)中にボルテックス下で溶解することによって、有機溶媒相が調製された。
【0262】
乳化工程が、高剪断乳化(Heidolph homogenizer DIAX 900,11600rpm)の下で1分間、1%の滅菌PVA溶液(Mowiol 4-88,Sigma-Aldrich)5gを有機相に加えることによって層流フード(laminar flow hood)内で行われた。
【0263】
次に、エマルジョンが硬化浴(注射用滅菌水を用いて調製された、1%のPVA水性液0.5L)内に注がれ、そして、オーバーヘッドスターラーを用いて300rpm、3時間撹拌された。
【0264】
次に、12μmの孔径を有するステンレス製スクリーンにエマルジョンを注ぎ込み、そして、50mLの注射用滅菌水で3回洗浄することによって、固体粒子が水性相から分離された。
【0265】
次に、該微粒子がガラス皿に移され、5℃で7mbarの圧力下で18時間乾燥され、そして、密封した、琥珀色のガラスバイアル内で、5℃で保存された。
【0266】
イン・ビトロ(in vitro)プロファイルを包含する分析試験が、実施例1と同様に行われ、下記の表4において示されている。
【0267】
【表4】
【0268】
本実施例において、コルヒチンが負荷されたPLGA微粒子が調製され、該PLGA微粒子は、17μmの平均粒子径を有し、2日~5日の間にその薬剤含量の80%を放出した。
【0269】
実施例3:徐放コルヒチン微粒子
【0270】
0.7gのコルヒチン(Indena,Italy)と0.79gのPLGA Resomer RG 503H及び0.26gのPLGA Resomer RG 502H(Evonik Industries AG,Germany)とを2,52gのジクロロメタン(Merck)中にボルテックス下で溶解することによって、有機溶媒相が調製された。
【0271】
乳化工程が、高剪断乳化(Heidolph homogenizer DIAX 900,11600rpm)の下で1分間、1%のPVA溶液(Mowiol 4-88,Sigma-Aldrich)5gを有機相に加えることによって行われた。
【0272】
次に、エマルジョンが硬化浴(1%のPVA水性液0.5L)内に注がれ、そして、オーバーヘッドスターラーを用いて300rpm、3時間撹拌された。
【0273】
次に、12μmの孔径を有するステンレス製スクリーンにエマルジョンを注ぎ込み、そして、50mLの蒸留水で3回洗浄することによって、固体粒子が水性相から分離された。
【0274】
次に、該微粒子がガラス皿に移され、5℃で7mbarの圧力下で18時間乾燥され、そして、琥珀色のガラスバイアル内で保存された。
【0275】
イン・ビトロ(in vitro)プロファイルを包含する分析試験が、実施例1と同様に行われ、下記の表5において示されている。
【0276】
【表5】
【0277】
本実施例において、コルヒチンが負荷されたPLGA微粒子が調製され、該PLGA微粒子は、32μmの平均粒子径を有し、1日~2日の間にその薬剤含量の80%を放出した。
【0278】
実施例4:徐放コルヒチン微粒子-高剪断インラインミキサーを用いた連続乳化
【0279】
微粒子が、0.8mmの微細な孔を持つエマルションステータースクリーン(emulsion stator screen)を備えたSILVERSON L5M-A高せん断インライン混合アセンブリ(high shear in-line mixing assembly)(SILVERSON Machines,East Longmeadow,Massachusetts,U.S.A.)を使用して調製された。ミキシングチャンバーの底部入口ポートには、直径1mmのバイトンチューブ(Viton tubing)及び直径5mmのバイトンチューブを通じて2つの異なるペリルスタティックポンプ(perilstatic pump)に接続されたメイルランティー(male run tee)が備えられていた。出口ポートには、直径5mmのバイトンチューブが備えられていた。
【0280】
分散相は、25gのPLGAコポリマー(Resomer RG503H,Evonik Industries AG,Germany)と4.4gのコルヒチンを100gの酢酸エチル(Alfa Aesar)中に溶解することによって調製された。
【0281】
これとは別に、1重量%のPVAを含む水性液998gに酢酸エチル74.9gを加えることによって連続相が調製された。
【0282】
乳化工程について、Silversonの回転数が2000rpmに設定され、そして、分散相が直径1mmの入口チューブを通じて約20g/分の流量で供給され、連続相が同時に直径5mmの入口チューブを通じて約200g/分の流量で供給された。
【0283】
結果として得られたエマルジョンが、有機溶媒を抽出する為に使用された6Lの水溶液の入ったビーカーに加えられ、そして、ラボ用ミキサーを用いて300rpmで撹拌された。
【0284】
2時間の抽出時間の後、結果として得られた懸濁物が12μmの孔径を有するステンレス製スクリーンを通じて通され、150mLの蒸留水で3回濯がれ、そして、最後に凍結乾燥された。
【0285】
実施例5:医薬組成物-注射用懸濁物の調製
【0286】
パイロジェンフリー(pyrogen-free)の添加剤を使用し、1.4%の低粘度カルボキシメチルセルロースナトリウム(Aqualon CMC 7LF PH BET,Ashland)、0.1%のポリソルベート20(Acros Organics)、0.13%のリン酸水素二ナトリウム二水和物、0.1%のクエン酸(Roth)及び0.65%の塩化ナトリウム(Roth)からなる水性注射用ビヒクルが調製された。溶液の最終pHは、濃水酸化ナトリウム溶液(Roth)を用いて7.2に調整された。次に、ビヒクルが、121℃で15分間オートクレーブ滅菌され(MultiControl 2,CertoClav)、層流ベンチ(laminar air flow bench)下で、溶液の5mLアリコートが10mLバイアル内に無菌的に移された。
【0287】
実施例2に従って調製された微粒子20mgのアリコートが、ボルテックスミキサーを用いて各バイアル内に分散された。
【0288】
この医薬該組成物は、結晶関連及び非結晶関連の急性炎症性関節炎、特には非結晶関連の急性関節炎、例えば、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡、又は結晶関連の関節炎の発病またはフレアを処置する為の関節内注射用のものであり、特定の関節内注射部位に適合されるべき注射容量を有する。
【0289】
1つの例において、0.26mgのコルヒチンを含む0.25mLの容量が、27Gゲージの注射針を用いて第1中足趾節関節内に注射されることができる。
【0290】
別の例において、2.59mgのコルヒチンを含む2.5mLの容量が、23Gゲージの注射針を用いて膝関節内に注射されることができる。
【0291】
実施例6:徐放コルヒチン微粒子、該徐放コルヒチン微粒子を含む医薬組成物
【0292】
微粒子が下記のように調製された:1重量%ポリビニルアルコール(PVA:polyvinyl alcohol)溶液が、2970gの水を70℃に加熱することによって調製された。30gのPVAが磁気攪拌下でそこに分散され、そして、調製物が、更に使用する前に冷却された。
【0293】
4gのコルヒチンが、ボルテックス攪拌を用いて14.3gの塩化メチレン中に溶解された。次に、6gのPLGA 50:50 Resomer 503Hが混合物内に導入され、そして、溶解するまでボルテックスされて、ポリマー薬剤溶液が形成された。
【0294】
予め調製されたPVA 1重量%溶液28.6gが、高剪断(11600RPM)下で30秒掛けて薬剤-ポリマー溶液に添加されて、プレエマルジョン(pre-emulsion)が形成された。10Gヘッドを備えたHeidolph Diax 900ローターステーターミキサー(rotor stator mixer)が使用された。
【0295】
攪拌が更に30秒間続けられ、その後、該プレエマルジョンが、予め調製された1重量%のPVA溶液2860gを含む硬化浴内に一気に注がれた。
【0296】
IKA 10cmの4枚羽根プロペラ攪拌機を用い、攪拌速度を250RPMに設定し、塩化メチレンが蒸発するまで3時間、攪拌が維持された。
【0297】
形成された微粒子は、スイングバケット遠心分離機を用いて4000RPMで3分間遠心分離されて、水相の主要部分が除去され、そして、濃縮された粒子スラリーが得られ、セルロースフィルター(直径12.5cm)で分離された。
【0298】
次に、該微粒子が、200mlの水で濯がれた。
【0299】
洗浄された微粒子がモレキュラーシーブ上のガラス皿内で一晩保存され、5mBar及び棚温度5℃に設定された2-4 LSCplus Epsilonで18時間真空乾燥された。
【0300】
次に、集められた微粒子が、5℃で保存された。
【0301】
イン・ビトロ(in vitro)プロファイルを包含する分析試験が、実施例1と同様に行われ、下記の表6において示されている。
【0302】
【表6】
【0303】
本実施例において、コルヒチンが負荷されたPLGA微粒子が調製され、該PLGA微粒子は、29μmの平均粒子径、及び31.1重量%の薬剤負荷含量を有した。
【0304】
パイロジェンフリー(pyrogen-free)の添加剤を使用し、1.4%の低粘度カルボキシメチルセルロースナトリウム(Aqualon CMC 7LF PH BET,Ashland)、0.1%のポリソルベート20(Acros Organics)、0.13%のリン酸水素二ナトリウム二水和物、0.1%のクエン酸(Roth)及び0.65%の塩化ナトリウム(Roth)からなる水性注射用ビヒクルが層流下で調製された。溶液の最終pHは、濃水酸化ナトリウム溶液(Roth)を用いて7.2に調整された。次に、ビヒクルが、121℃で15分間オートクレーブ滅菌され(MultiControl 2,CertoClav)、層流ベンチ(laminar air flow bench)下で、溶液の2mLアリコートが5mLバイアル内に無菌的に移された。
【0305】
下記の実施例7において記載されているイン・ビボ(in vivo)注射の15分前に、この実施例に従って調製された微粒子16mgのアリコートが、ボルテックスミキサーを用いて、均一な分散が得られるまで、2mLの注射用ビヒクルを含む各バイアル内に層流下で分散された。このようにして調製されたコルヒチンが負荷されたPLGA微粒子懸濁物は、2.49mg/ml(すなわち、2490μg/ml)のコルヒチン濃度を与えた。
【0306】
実施例7:イン・ビボ放出挙動
【0307】
この実施例は、炎症を起こしたウサギの膝関節内に実施例6において製造されたコルヒチンが負荷されたPLGA微粒子を注射した後に、ウサギの関節洗浄液と血漿との両方においてアッセイされたコルヒチン濃度を示す。
【0308】
材料及び方法
【0309】
生後75日の雄のニュージーランドウサギ(Male New Zealand)が実験の為に用いられた。膝関節の炎症は、400μLのリン酸緩衝生理食塩水中に分散された25mgの尿酸一ナトリウム結晶の注射によってトリガーされた。結晶注入の直後に、実施例6において記載されているようにして製造されたコルヒチンが負荷されたPLGA微粒子懸濁物200μLが炎症ウサギ膝関節内に注入され、従って、約0.5mgのコルヒチンが投与された。
【0310】
血漿中の遊離コルヒチンを定量する為に、T2時間後、T6時間後、及びT24時間後からT120時間後まで採血が毎日行われた。
【0311】
関節洗浄液がT6時間、T24時間、T72時間及びT120時間に採取されて、微粒子から遊離されたコルヒチンが定量化された。ここでは、4匹のウサギが各時点で安楽死された。
【0312】
結果
【0313】
両タイプの生物学的サンプルに対するアッセイが、上記された方法に従ってLC-MSによって行われ、結果が下記の表7及び表8において示されている。
【0314】
【表7】
【0315】
【表8】
【0316】
結論
【0317】
この実施例は、本発明に従う懸濁物の形態下での医薬組成物が、関節内注射による徐放性コルヒチン微粒子の投与後、コルヒチンの全身濃度を1.5ng/mL未満に維持することができる一方、100ng/mL以上の滑液濃度を維持することができることを示す。これらの結果は、ヒトにおいて同様の濃度比及び閾値を達成するヒト投与量を選択する為に外挿されうる。この外挿は、投与量が古典的なアプローチ、例えば保健当局(Health Authorities)によって推奨されているような古典的なアプローチ、を用いて体表面積による正規化に基づくところのアロメトリックスケーリング(allometric scaling)、又は標的関節に依存して同様の局所濃度を目標にすることによって行われうる。
【0318】
いかなる理論にも拘束されること無しに且つウサギ(動物の平均体重1.8kg)に投与された0.5 mgの用量に基づいて、ヒト等価用量は、6.3mg、すなわち6300μg(Nair,A.;Jacob,S.(2016).A simple practice guide for dose conversion between animals and human, Journal of Basic and Clinical Pharmacyにおいて例示されているように、体表面積のアロメトリックスケーリング(allometric scaling)に基づいて計算された70kgの基準体重)から、2.7mg、すなわち2700μg(ヒトの膝関節における同様の局所濃度を目標)、及び0.9mg、すなわち900μg(ヒトの膝関節における同様の局所濃度を目標とし、アロメトリックスケーリングを併用)の範囲であろう。ヒトにおけるこれらの計算された用量は、上記表1においてで報告された中関節/大関節用量と一致している。
【0319】
最後に、上記の実施例は、ヒトにおいて、本発明に従う懸濁物の形態下の医薬組成物が、関節内注射による徐放性コルヒチン微粒子の投与後に、コルヒチンの全身濃度を、5ng/mL未満、特には2ng/mL未満、より特には1ng/mL未満、に維持することができ、且つコルヒチンの滑液濃度を、2ng/mL超、特には2~500ng/mLを含むように、維持することができ、一方、滑液濃度を6ng/mL超に維持されうることを示す。
【0320】
実施例8:安定性及びイン・ビトロ(in vitro)放出プロフィール
【0321】
材料及び方法
【0322】
実施例6において記載された乾燥コルヒチン微粒子の安定性が、5℃で5ヵ月間保存した後に試験された。
【0323】
次に、イン・ビトロ放出プロファイルが、上記の実施例1、実施例2及び実施例3と同様に評価された。イン・ビトロ放出プロファイルは、製造の2日後に行われ、その後5℃で5ヶ月間保存された後に行われた。
【0324】
結果
【0325】
コルヒチンの徐放性微粒子は安定であるとして述べられた。
【0326】
放出データが下記の表9に示されている。
【0327】
【表9】
【0328】
結論
【0329】
上記微粒子は、5℃で5ヵ月間保存した後でも同等の溶解プロフィールを示し、且つ放出特性の点で本発明の要件に適合していることが結論付けられうる。
【0330】
実施例9:徐放性コルヒチン微粒子、及び徐放性コルヒチン微粒子を含む医薬組成物
【0331】
微粒子が下記のように調製された:1重量%のポリビニルアルコール(PVA)溶液が、2970gの水を70℃に加熱することによって調製された。30gのPVAが磁気攪拌下でそこに分散され、そして、調製物が、更なる使用の前に冷却された。
【0332】
4.03gのコルヒチンが、ボルテックス攪拌を用いて10.75mLの塩化メチレン中に溶解された。次に、6.02gのPLGA 50:50 Resomer 503Hが混合物内に導入され、溶解するまでボルテックスされて、ポリマー薬剤溶液が形成された。
【0333】
予め調製された1重量%のPVA溶液28.6gが、高剪断(11000RPM)下で60秒掛けて薬剤-ポリマー溶液に添加されて、プレエマルジョン(pre-emulsion)が形成された。S25N 10Gヘッドを装備したIKA T25 Ultra-Turraxローターステーターミキサー(rotor stator mixer)が使用された。
【0334】
該プレエマルジョンが、予め調製された1重量%のPVA溶液2860gを含む硬化浴内に一気に注がれた。
【0335】
2枚羽プロペラ攪拌機を用い、攪拌速度を300RPMに設定し、塩化メチレンが蒸発するまで3時間、攪拌が維持された。
【0336】
形成された微粒子は、スイングバケットGT2R遠心分離機を用いて4000RPMで3分間遠心分離されて、水相の主要部分が除去され、そして、濃縮された粒子スラリーが得られ、12~25μmのワットマン(Whatman)セルロースフィルターで分離された。
【0337】
次に、該微粒子が、150mlの水で濯がれた。
【0338】
次に、洗浄された微粒子が0.08mBar、15℃の棚温度で17時間真空乾燥された。
【0339】
次に、集められた微粒子が、5℃で保存された。
【0340】
イン・ビトロ(in vitro)プロファイルを包含する分析試験が、実施例1と同様に行われ、下記の表10において示されている。
【0341】
【表10】
【0342】
本実施例において、コルヒチンが負荷されたPLGA微粒子が調製され、該PLGA微粒子は、15μmの平均粒子径、及び22.02重量%の薬剤負荷含量を有した。
【0343】
パイロジェンフリー(pyrogen-free)の添加剤を使用し、1.4%の低粘度カルボキシメチルセルロースナトリウム(Aqualon CMC 7LF PH BET,Ashland)、0.1%のポリソルベート20(Emprove Essential,Merck社製)、0.13%のリン酸水素二ナトリウム二水和物(Roth)、0.1%のクエン酸(Roth)及び0.65%の塩化ナトリウム(Roth)からなる水性注射用ビヒクルが層流下で調製された。溶液の最終pHは、濃水酸化ナトリウム溶液(Roth)を用いて6.9に調整された。次に、ビヒクルが、121℃で20分間オートクレーブ滅菌され(Systec 3150EL)、層流下で、55mLのアリコートが100mLバイアル内に無菌的に移された。
【0344】
下記の実施例10において記載されているイン・ビボ(in vivo)注射の15分前に、この実施例に従って調製された10mgの微粒子のアリコートが、均質な分散液が得られるまで30秒間超音波処理を用いて55mLの注射用ビヒクル中に分散された。このようにして調製されたコルヒチンが負荷されたPLGA微粒子懸濁物は、0.04mg/ml、すなわち40μg/mlのコルヒチン濃度を与えた。
【0345】
実施例10:痛みに対する有効性-イン・ビボ(in vivo)研究
【0346】
この実施例は、コルヒチンを負荷されたPLGA微粒子が、ラットモデルにおいて炎症を起こした足首関節における痛みに対する効果を示す。
【0347】
材料及び方法
【0348】
4週齢の雄のスプレイグドーリー(Sprague Dawley)ラットが、この実験の為に用いられた。炎症を起こした関節足首内に、カプセル化されたコルヒチンの2μg投与による効果が評価された。
【0349】
下記の表11において詳述されているように、該ラットは9匹ずつの2群に無作為に分けられた:
【0350】
【表11】
【0351】
カラギーナン及びPBSが、Sigma Aldrichから供給された。
【0352】
各群において、動物に上記表11において記載された処置薬がまず注射され、次に炎症物質が注射された。5分未満の遅れが、2回の注射の間に測定された。
【0353】
足首関節の炎症が、30μLのリン酸緩衝生理食塩水に分散させた1mgのカラギーナンを注射することで誘発された。全ての注射は、動物の左足関節後部に行われた。
【0354】
痛みの評価が、フォン・フレイ・ヘア(Von Frey hairs)(Bioseb,France)を用いて行われた。これらは、足に対してわずかな座屈を生じさせる為に十分な力で、足底表面に対して垂直に提示された。刺激が数秒間隔で提示され、以前の刺激に対するあらゆる挙動反応を明らかに解決することが可能にされた。足が急激に引っ込められる場合に陽性反応が認められた。該ヘアを取り除いた直後にひるむことがまた陽性反応とみなされた。歩行は曖昧な反応とみなされ、そのような場合には、刺激が繰り返された。フォン・フレイ・ヘアは強さの昇順に提示された(0.4;0.6;1;1.4;2;4;6;8;10;15;26)。各ヘアは5回提示され、各回5秒間保持された。各ラットについて、70%の反応を引き起こすヘアの強さに達するまで、上向きの刺激のいずれかがテストされた。
【0355】
動物の基礎反応が、実験を開始する3日前(D-3)に評価された。左右両方の後足底面が評価された。
【0356】
投与後(D0)、左足底面(炎症有り/投与)と右足底面(対照)との両方における痛みが、注射から2時間後(D0+2h)、6時間後(D0+6h)及び24時間後(D1)に評価された。収集されたデータは、D-3における基礎反応に関して正規化された。
【0357】
結果
【0358】
図1において提示されている結果は、ラットの足首関節内に直接注入されたPLGA微粒子を介して運ばれた2μgのコルヒチンが、カラギーナンによってトリガーされた上記関節の炎症によって誘発された痛みを有意に減少させたことを示す。痛みの減少は2時間で観察され、そして、6時間及び24時間で主に抑制されたままである。
【0359】
正規化されたグループ間のデータの差が統計的に有意であるかを評価する為に、各グループと各時点における正規性と相補性が、生データと対数変換されたデータとに対してまず試験された。次に、一元配置分散分析(one-way analysis of variance)(ANOVA)又はクラスカル・ワリス順位和検定(Kruskal-Wallis Rank Sum test)が行われ、多重性を考慮する為にダネット(Dunnett)の多重比較検定が行われた。
【0360】
注射後2時間(D0+2h)、6時間(D0+6h)及び24時間(D1)において、2μgのコルヒチンで注射されたグループ(Colch-Carraグループ)とPBS対照群(PBS-Carraグループ)との間のフォン・フレイ・ヘア閾値の差は統計的に有意である(「D0+2h」p値<0.05,「D0+6h」p値<0.01,「D1」p値<0.05)。これらの統計的に有意な結果は、他の多重検定手順、例えば、テューキーHSD(Tukey Honest Significant Differences)、を用いることによって同様に得られる。結果がまた、フォン・フレイ(Von Frey)測定の非線形性を考慮する為に対数変換されたデータで確認された。
【0361】
いかなる理論にも束縛されること無しに且つラット(動物の平均体重250g)に投与された2μgの用量に基づいて、ヒト等価用量は、0.33mg、すなわち330μg(Nair,A.;Jacob,S.(2016).A simple practice guide for dose conversion between animals and human, Journal of Basic and Clinical Pharmacyにおいて例示されているように、体表面積のアロメトリックスケーリング(allometric scaling)に基づいて計算された基準体重70kg)から、又は(ヒトの膝関節における同様の局所濃度を標的とする)15μg(ヒトの膝関節における同様の局所濃度を目標とし、アロメトリックスケーリングを併用)まで の範囲であろう。ヒトにおけるこれらの計算された用量は、上記表1において報告された中関節/大関節用量と一致している。
図1
【国際調査報告】