(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】胃拡張を検出し、誤嚥を防ぐためのエネルギー波屈折および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503735
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 US2022073987
(87)【国際公開番号】W WO2023004378
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391058060
【氏名又は名称】ベイラー カレッジ オブ メディスン
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンガルト、トッド
(72)【発明者】
【氏名】モータス、ジャレッド
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD01
4C601EE16
4C601GB03
(57)【要約】
本開示は、厄介な肺誤嚥に対処するものである。誤嚥リスクの予測的な「警告サイン」、および非常に病的でしばしば致命的な誤嚥イベントのリスクを低減させるための治療可能なリスク因子として胃拡張を検出することができる非侵襲的なシステムおよびデバイスを提案する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃体積を検出するためのシステムであって、エネルギー発生器と、少なくとも1つのエネルギー検出器とを備え、個体の胃体積を検出するように構成される、システム。
【請求項2】
前記エネルギー発生器は、力学的な波、電磁波、または物質波を生成し、あるいは複数のエネルギー発生器が、力学的な波、電磁波、および物質波の組合せを生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記エネルギー検出器は、該エネルギー発生器によって生成される波を検出する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも1つの取り付け構造をさらに備え、エネルギー検出器のアレイ、および任意選択で前記エネルギー発生器は、該取り付け構造に取り付けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記取り付け構造は、前記取り付け構造を個体に取り付けるための手段を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記取り付け構造は、前記取り付け構造を前記個体の皮膚に固定するための手段を備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
エネルギー検出器のアレイは、2つ、3つ、4つ、5つ以上のエネルギー検出器を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記エネルギー検出器は、互いに物理的に別個である、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記エネルギー検出器によって検出されたデータを処理し、胃の寸法を生成することができるコンピューティング・デバイスをさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
エネルギー検出器のアレイは、1次元アレイである、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
エネルギー検出器のアレイは、2次元アレイである、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
エネルギー検出器の1次元アレイにおける前記エネルギー検出器は、ランダムなパターン、順序付けられたパターン、または所望のパターンで構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
エネルギー検出器の2次元アレイにおける前記エネルギー検出器は、ランダムなパターン、順序付けられたパターン、または所望のパターンで構成される、請求項1から9のいずれか一項または請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
個体における肺誤嚥のリスクを減少させる方法であって、
a.請求項1から13のいずれか一項に記載のシステムを個体の腹部に配置するステップと、
b.前記エネルギー発生器を用いて該個体の該腹部にエネルギーを生成するステップと、
c.エネルギー検出器のアレイを用いて前記エネルギー発生器から該エネルギーを検出するステップとを含み、該検出するステップは、屈折データを生成する、方法。
【請求項15】
前記個体の胃の寸法を決定するために前記屈折データを処理するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
胃の寸法が前記肺誤嚥のリスクを示す閾値に到達するまたは超えるときに、予防的介入および/または治療的介入を前記個体に施すステップをさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記胃の寸法が10cmよりも大きい胃シルエット値を含むときに、予防的介入および/または治療的介入を前記個体に施すステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記胃の寸法が500cm
3よりも大きい胃体積を含むときに、予防的介入および/または治療的介入を前記個体に施すステップをさらに含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記胃の寸法が前記個体におけるベースライン測定値から100%増加するときに、予防的介入および/または治療的介入を前記個体に施すステップをさらに含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記予防的介入および/または治療的介入は、鎮静の中止、前記個体のポジショニング修正、経鼻胃管留置、ヒスタミン作動薬、プロトン・ポンプ阻害剤、運動促進薬、またはそれらの組合せを含む、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ヒスタミン作動薬は、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、またはそれらの組合せを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記プロトン・ポンプ阻害剤は、デクスランソプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、またはそれらの組合せを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記運動促進薬は、ドンペリドン、メトクロプラミド、エリスロマイシン、レンザプリド、またはそれらの組合せを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記個体の腹部表面上に前記エネルギー検出器を配置するステップをさらに含む、請求項14から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記腹部表面は、前記個体の皮膚または前記個体の衣服を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記腹部表面は、前記個体の後側または前側にある、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記検出器は、ランダムなパターン、順序付けられたパターン、または所望のパターンで前記個体の腹部表面上に配置される、請求項14から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
順序付けられたパターン、または所望のパターンは、直線、三角形、正方形、円形、ひし形、五角形、台形、または六角形である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記個体の絶食状態および/または胃内容物は不明である、請求項14から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記個体は、胃内容排出遅延を伴う、または胃内容排出遅延を伴っている疑いがある、請求項14から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記胃内容排出遅延は、糖尿病性胃不全麻痺、進行性肝機能障害、進行性腎機能障害、薬物療法、敗血症、炎症、腹膜炎、電解質異常、および/または麻薬によって引き起こされる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記個体は重症である、請求項14から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記個体は、信頼できないまたは不確かな病歴を有する、または不従順であった、請求項14から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ステップbおよびcは、連続的である、請求項14から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
個体における肺誤嚥のリスクを低減させる方法であって、該個体に少なくとも1つのソース波を生成するステップと、該個体上の1つまたは複数の規定された位置で該ソース波からの直接波および屈折波を検出するステップとを含み、該検出するステップは、屈折データを生成する、方法。
【請求項36】
前記個体の胃の寸法を決定するために前記屈折データを処理するステップをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記胃の寸法が前記肺誤嚥のリスクを示す閾値に到達するまたは超えるときに、予防的介入および/または治療的介入を前記個体に施すステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記胃の寸法が10cmよりも大きい胃シルエット値を含むときに、予防的介入および/または治療的介入を前記個体に施すステップをさらに含む、請求項36またが37に記載の方法。
【請求項39】
前記胃の寸法が約500cm
3よりも大きい胃体積を含むときに、予防的介入および/または治療的介入を前記個体に施すステップをさらに含む、請求項36から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記胃の寸法が前記個体におけるベースライン測定値から100%増加するときに、予防的介入および/または治療的介入を前記個体に施すステップをさらに含む、請求項36から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
予防的介入および/または治療的介入は、鎮静の中止、前記個体のポジショニング修正、経鼻胃管留置、ヒスタミン作動薬、プロトン・ポンプ阻害剤、運動促進薬、またはそれらの組合せを含む、請求項36から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記ヒスタミン作動薬は、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、またはそれらの組合せを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記プロトン・ポンプ阻害剤は、デクスランソプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、またはそれらの組合せを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記運動促進薬は、ドンペリドン、メトクロプラミド、エリスロマイシン、レンザプリド、またはそれらの組合せを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記個体の絶食状態および/または胃内容物は不明である、請求項35から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記個体は、胃内容排出遅延を伴う、または胃内容排出遅延を伴っている疑いがある、請求項35から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記胃内容排出遅延は、糖尿病性胃不全麻痺、進行性肝機能障害、および/または進行性腎機能障害によって引き起こされる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記個体は重症である、請求項35から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記個体は、信頼できないまたは不確かな病歴を有する、または不従順であった、請求項35から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
胃拡張を検出する方法であって、個体に少なくとも1つのソース波を生成するステップと、該個体上の1つまたは複数の規定された位置で該ソース波からの直接波および屈折波を検出するステップとを含み、該検出するステップは、屈折データを生成する、方法。
【請求項51】
前記個体の胃の寸法を決定するために前記屈折データを処理するステップをさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記胃の寸法が肺誤嚥のリスクを示す閾値に到達するまたは超えるときに、予防的介入および/または治療的介入を前記個体に施すステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記胃の寸法が10cmよりも大きい胃シルエット値を含むときに、予防的介入および/または治療的介入を前記個体に施すステップをさらに含む、請求項51または52に記載の方法。
【請求項54】
前記胃の寸法が500cm
3よりも大きい胃体積を含むときに、予防的介入および/または治療的介入を前記個体に施すステップをさらに含む、請求項51、52、または53に記載の方法。
【請求項55】
前記胃の寸法が前記個体におけるベースライン測定値から100%増加するときに、予防的介入および/または治療的介入を前記個体に施すステップをさらに含む、請求項51から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
予防的介入および/または治療的介入は、鎮静の中止、前記個体のポジショニング修正、経鼻胃管留置、ヒスタミン作動薬、プロトン・ポンプ阻害剤、運動促進薬、またはそれらの組合せを含む、請求項51から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記ヒスタミン作動薬は、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、またはそれらの組合せを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記プロトン・ポンプ阻害剤は、デクスランソプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、またはそれらの組合せを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記運動促進薬は、ドンペリドン、メトクロプラミド、エリスロマイシン、レンザプリド、またはそれらの組合せを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記個体の絶食状態および/または胃内容物は不明である、請求項50から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記個体は、胃内容排出遅延を伴う、または胃内容排出遅延を伴っている疑いがある、請求項50から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記胃内容排出遅延は、糖尿病性胃不全麻痺、進行性肝機能障害、および/または進行性腎機能障害によって引き起こされる、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記個体は重症である、請求項50から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記個体は、信頼できないまたは不確かな病歴を有する、または不従順であった、請求項50から62のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年7月21日に出願した米国仮特許出願第63/224,339号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示の実施形態は、少なくとも医学、医療デバイス、および生理学の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
麻酔合併症として一般に考えられるが、胃内容物の肺誤嚥は、入院患者の罹患率および死亡率の主要な原因の1つである。誤嚥は、重症患者の30%ほどの多さで起こり、誤嚥肺炎(1、2)を有する患者の少なくとも20%から30%の死亡率をもたらすものとして識別され得る。死亡率は、死亡率リスク因子(1、2)を有する誤嚥肺炎を有する患者の70%を超え得る。誤嚥肺炎は、誤嚥イベントを有する患者のほぼ半数で起こり得、長期のベンチレータのサポート、集中治療室滞在期間および病院滞在期間に関連する。
【0004】
誤嚥は、典型的には、病院に関連した患者の不動化、鎮静、または意識および/または腸運動性の低下についての他のリスク因子にしばしばよる、胃拡張、および健康を害した精神的状態に関連する。気管および肺の中に液体または固体物質が入るものとして定義される誤嚥は、十分な庇護喉頭反射を有さない患者が胃内容物を受動的にまたは能動的に逆流させるときに起こる。ほぼすべての場合、意識障害を有する患者における胃拡張の増大は、胃圧の増大および胃内容物の逆流をもたらし、これは、食道括約筋および喉頭コピテンシー機構(laryngeal competency mechanisms)の正常な保護機能バリアをそれぞれ打ち負かす。逆流、嘔吐、および誤嚥も、麻酔に関連して全く要素外に起こり得、深刻な結果を有し得る。
【0005】
誤嚥に起因する肺症候群は、低酸素症などの軽い症状が現れるものから完全な呼吸不全および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)まで、およびさらには心肺虚脱および死まで及ぶ。肺症候群の種類には、酸関連の肺炎(最も一般的)、粒子関連の誤嚥(例えば、気道閉塞)、または細菌感染、それに続く肺膿瘍、外因性リポイド肺炎、慢性間質性線維症、およびマイコバクテリウム・フォーチュイタム肺炎が含まれる。これらの症候群のいずれかが発症するかは、吸引物の組成および体積次第である。
【0006】
いずれの場合も、誤嚥の影響を最小にする鍵は、誤嚥が起こるのを防ぐことである。誤嚥の緩和は、通常、麻酔誘発性の意識の低下の前など、意識障害の期間の前に、患者が十分な断食の時間にさらされることに基づく。しかしながら、断食を確実にすることは、麻酔鎮静の導入を必要とする差し迫った状況または緊急の状況における患者には適用可能でない。
【0007】
重要なことには、周術期の誤嚥の発生に加えて、さらにもっと困惑する課題は、鈍感になったおよび/またはさもなければ正常に機能するGI活性を有さない入院患者に起こる誤嚥である。そのような状況では、長期間にわたる断食は、それが栄養失調を引き起こすので、入院患者において望ましくなく、実行可能でもない。そのような患者では、正常な胃腸機能および胃内容排出の確認および維持が、誤嚥を防ぐのに重要な考慮事項である。
【0008】
誤嚥リスク患者の一例は、(内因性のまたは医学的に誘発された)ある程度の意識減少を伴う敗血症および腸運動減少を有するもの、または同様の障害を有する術後の患者である。この文脈では、以下に示される予防的な措置は、より集中的な緊急モニタリング、評価、および介入が実行可能である直近の周術期に関連し得るが、そのような措置は、長期(数日の長さの)モニタリングが必要とされる後者のカテゴリーの患者にとって誤嚥治療の助けとならない。
【0009】
プリエンプティブな経鼻(NG)胃管留置は、誤嚥リスクを有する患者の誤嚥リスクの低減のためのオプションとして提案されてきた。しかしながら、これを一般的な実践として支持する証拠は、欠いている。さらに、現在の形態における経鼻胃管の留置は、嘔吐を引き起こす本来的なリスクを実際に有し、これは、誤嚥リスクを直感に反して増大させ得る。さらに、長期のNG管留置は、入院患者の罹患率についての知られているリスク因子である。したがって、(胃拡張の証拠などの)適切な兆候のないNG管留置は、勧められない。
【0010】
シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、およびラニチジンなどのヒスタミン(H2)アンタゴニスト、ならびにデクスランソプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、およびラベプラゾールなどのプロトン・ポンプ阻害剤(PPI)は、pHを増加させ、胃内容物の体積を減少させるのに有効であることが示されている。ドンペリドン、メトクロプラミド、エリスロマイシン、およびレンザプリドなどのプロキネティクスは、胃内容排出を促進し、誤嚥のリスクを低減させるはずである。誤嚥の後遺症を防ぐためにそのような薬剤を使用することの有効性は、同様に実証されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示は、誤嚥のリスクがある患者の肺誤嚥の可能性を低減させることに係る当業界において長年感じられてきた必要性を満足させる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の実施形態は、肺誤嚥のリスクがある個体における肺誤嚥のリスクを低減するために、胃の寸法を測定し、そのような寸法を利用する方法およびシステムに関する。システムは、少なくとも1つのエネルギー発生器と、少なくとも1つのエネルギー検出器とを備え得る。エネルギー発生器は、音波、力学的な波、および/または電磁波を含む波動エネルギーを生成し得る。エネルギー検出器は、エネルギー発生器によって生成されるエネルギーを検出することができる。いくつかの実施形態では、エネルギー検出器は、エネルギー検出器の特定のアレイを備える。エネルギー検出器のアレイは、1次元アレイまたは2次元アレイであり得る。いくつかの実施形態では、システムは、2つ、3つ、4つ、5つ以上のエネルギー検出器を備える。いくつかの実施形態では、システムは、取り付け構造を備える。取り付け構造は、エネルギー検出器および/またはエネルギー発生器を取り付けるための構造を備え得る。取り付け構造は、取り付け構造を個体に固定するための手段を備え得る。いくつかの実施形態では、取り付け構造は、取り付け構造を個体の皮膚に固定するための手段を備える。取り付け構造は、接着剤が永久的でない限り、任意の種類の接着剤を含んでもよい。
【0013】
本明細書に包含されるシステム、およびそのようなシステムを使用する方法は、コンピューティング・デバイスを含み得る。コンピューティング・デバイスは、本明細書に開示された任意のエネルギー検出器によって検出されたデータを処理することが可能であり得る。コンピューティング・デバイスは、エネルギー検出器によって検出されたデータから胃の寸法を生成することができる。
【0014】
特定の実施形態は、個体における肺誤嚥のリスクを低減させるための方法に関する。特定の実施形態は、個体における胃拡張を検出するための方法に関する。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に包含される任意のシステムを適切な位置で個体に配置するステップと、エネルギー発生器を用いて個体にエネルギーを生成するステップと、個体上のエネルギー検出器のアレイを用いてエネルギーを検出するステップとを備える。検出するステップは、具体的な実施形態において、屈折データを生成し得る。いくつかの実施形態では、方法は、個体に少なくとも1つのソース波を生成するステップと、個体上の1つまたは複数の規定された位置でソース波から直接波、反射波、および屈折波を検出するステップとを含み、検出するステップは、屈折データを生成する。エネルギー発生器および/またはエネルギー検出器は、個体の腹部表面上に配置され得る。腹部表面は、個体の後側、横側、または前側にあり得る。複数のエネルギー検出器があるときに、エネルギー検出器についてのアレイは、ランダムであってのよく、またはランダムでなくてもよい。検出器は、個体上にランダムなパターンまたは順序付けられたパターンで配置され得る。いくつかの実施形態では、パターンは、単に一例として、直線、三角形、正方形、円形、ひし形、五角形、台形、または六角形である。
【0015】
いくつかの実施形態では、方法は、個体の胃の寸法を決定するために屈折データを処理するステップを含む。個体は、胃の寸法が肺誤嚥または胃拡張のリスクを示す閾値に到達するまたは超えるときを含む少なくとも1つの予防的介入および/または治療的介入が施されてもよい。代替の場合には、アクションは行われない場合がある。いくつかの実施形態では、予防的介入および/または治療的介入は、胃の寸法が約10cm、11cm、12cm、13cm、14cm、15cm、16cm、17cm、18cm、19cm、または20cm以上よりも大きい胃シルエット値を含むときに、個体に施される。いくつかの実施形態では、予防的介入および/または治療的介入は、胃の寸法が約500cm3、510cm3、525cm3、550cm3、575cm3、600cm3、625cm3、650cm3、675cm3、700cm3以上よりも大きい胃体積を含むときに、個体に施される(Delgado-Arosら、Gastroenterology 2004年;126:432~440;Delgado-Arosら、Gastroenterology 2004年;127:1685~1694)。いくつかの実施形態では、予防的介入および/または治療的介入は、胃の寸法が個体におけるベースライン測定値から100%増加するときに個体に施される(Delgado-Arosら、Gastroenterology 2004年;126:432~440;Delgado-Arosら、Gastroenterology 2004年;127:1685~1694)。
【0016】
いくつかの実施形態では、個体は、予防的介入および/または治療的介入が施される。予防的介入および/または治療的介入は、鎮静の中止、個体のポジショニング修正、経鼻胃管留置、ヒスタミン作動薬、プロトン・ポンプ阻害剤、運動促進薬、またはそれらの組合せを含み得る。ヒスタミン作動薬は、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、またはそれらの組合せを含み得る。プロトン・ポンプ阻害剤は、デクスランソプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、またはそれらの組合せを含み得る。運動促進薬は、ドンペリドン、メトクロプラミド、エリスロマイシン、レンザプリド、またはそれらの組合せを含み得る。
【0017】
特定の実施形態は、胃拡張を検出することおよび肺誤嚥のリスクを検出することを含む、個体を検出するステップ、診断するステップ、治療するステップ、および/またはモニタリングするステップを包含する。いくつかの実施形態では、個体の絶食状態および/または胃内容物は不明である。いくつかの実施形態では、個体は、胃内容排出遅延を伴う、または胃内容排出遅延を伴っている疑いがある。胃内容排出遅延は、糖尿病性胃不全麻痺、進行性肝機能障害、および/または進行性腎機能障害によって引き起こされ得る。いくつかの実施形態では、個体は重症である。いくつかの実施形態では、個体は、信頼できないまたは不確かな病歴を有する。いくつかの場合には、個体は、絶食状態を維持するための指示に不従順であった。
【0018】
本明細書で説明される任意の実施形態は、本開示の任意の方法、組成、および/またはシステムに関して実施され得、逆もまた同様であることが考えられる。さらに、本開示の組成およびシステムは、本開示の方法を達成するために使用され得る。
【0019】
本開示の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、詳細な説明および具体的な例は、本開示の具体的な実施形態を示すが、本開示の精神および範囲内の種々の変更および修正が、この詳細な説明から当業者に明らかになるため、例示としてのみ与えられることを理解されたい。
【0020】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示の特定の態様をさらに示すために含まれる。本開示は、本明細書に提示される具体的な実施形態の詳細な説明と組み合わせて図面を参照することによって、より良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(単に一例としてより小さい暗い円として示される)個体に配置された受信器のアレイと、音響発生器(単一のより大きい円)(または力学的なエネルギー発生器を含む代替のエネルギー発生器)との一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
本出願全体を通して、「約」という用語は、値が測定方法または定量方法についての本来的な誤差変動を含むことを示すために使用される。
【0023】
「comprising」という用語と共に使用されるときの「a」または「an」という単語の使用は、「1つ」を意味し得るが、それは、「1つまたは複数の」、「少なくとも1つの」、および「1つまたは1つよりも多くの」の意味とも一致する。
【0024】
「および/または」という語句は、「および」または「または」を意味する。例示するように、A、B、および/またはCは、A単独、B単独、C単独、AとBの組合せ、AとCの組合せ、BとCの組合せ、あるいはA、B、およびCの組合せを含む。言い換えれば、「および/または」は、包含的なまたはとして働く。
【0025】
単語「備える、含む(comprising)」(ならびに「comprise」および「comprises」などのcomprisingの任意の形態)、「有する(having)」(ならびに「have」および「has」などのhavingの任意の形態)、「含む、備える(including)」(ならびに「includes」および「include」などのincludingの任意の形態)、または「含む(containing)」(ならびに「contains」および「contain」などのcontainingの任意の形態)は、包括的またはオープン・エンドであり、追加の記載されていない要素または方法ステップを除外しない。
【0026】
組成およびそれらを使用するための方法は、本明細書全体を通して開示された成分またはステップのいずれかを「含む(comprise)」、「本質的にからなる(consist essentially of)」、または「からなる(consist of)」ことができる。開示された成分またはステップのいずれか「本質的にからなる」組成および方法は、クレームされた開示の基本的および新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない特定の材料またはステップに特許請求の範囲を限定する。
【0027】
本明細書で使用されるような「胃の寸法」という用語は、個体の胃腸管または胃を含む胃腸管の任意の器官の任意のサイズ、長さ、幅、直径、半径、円周、面積、体積、容量、比率、または測定値を指し得る。
【0028】
「胃のシルエット」という用語は、個体の腹部の最大、最小、または平均の長さ、直径、半径、または円周を指し得る。
【0029】
本明細書全体を通して「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「特定の実施形態(a particular embodiment)」、「関連実施形態(a related embodiment)」、「特定の実施形態(a certain embodiment)」、「追加の実施形態(an additional embodiment)」、または「さらなる実施形態(a further embodiment)」、あるいはそれらの組合せの言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通して様々な箇所における前述の語句の出現は、同じ実施形態への必ずしもすべての言及とは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切なやり方で組み合わされてもよい。
【0030】
本開示の様々な態様は、範囲形式で提示され得る。範囲形式での説明は、便宜および簡潔のために過ぎず、本開示の範囲に対する柔軟でない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、明確に書き出されたかのように、具体的に開示されたすべての可能な部分範囲、およびその範囲内の個々の数値を有すると考えられるべきである。例えば、1から6などの範囲の説明は、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6まで等などの具体的に開示された部分範囲、およびその範囲内の個々の数字、例えば、1、2、3、4、5、および6を有するとみなされるべきである。これは、範囲の幅にかかわらず適用される。範囲が存在する場合、この範囲は、範囲の端点を含み得る。
【0031】
本明細書で使用される「個体」という用語は、いくつかの実施形態では、「患者」という用語と交換可能に使用されてもよく、概して、治療を必要としている個体を指す。個体は、人間、犬、猫、馬、豚、またはげっ歯類などの哺乳類であり得る。個体は、患者であってもよく、例えば、病気または病状を有する、または病気または病状を有する疑いがある、または病気または病状を有するリスクがある患者であり得る。個体は、病気を有し得る、または病気を有する疑いがあり得る。個体は、無症候性であってもよい。
【0032】
音響屈折(AR:Acoustic Refraction)法
音波は、音波が通過する媒体の音響インピーダンスによって規定される速度で進行する機械的摂動である。音波が、異なる音響インピーダンスを有する2つの材料間の界面に接近するとき、波動エネルギーの一部は界面で反射し、一部は界面を通って屈折する。波が表面に戻るまでの時間を測定するために、音響受信機のアレイが使用されてもよい。次いで、ソースから様々な受信器までの進行時間および音波の速度を使用して、スネルの屈折の法則(3)に基づく一般化相反法(GRM)を含む数学的モデリング技法を用いて表面近くの部分(組織)の界面を再構築し、それによって、輪郭が描かれた音響界面によって囲まれた(胃)容積の輪郭を描くことができる。
【0033】
本開示の特定の実施形態は、個人におけるエネルギーの生成および検出を含む方法を包含する。いくつかの実施形態では、エネルギーは波を含む。この波は、音波などの力学的な波であり得る。いくつかの実施形態では、エネルギーは、電磁エネルギーである。屈折可能な波を生成する任意のタイプのエネルギーが使用され得る。電波周波数および/または超音波周波数を含む任意の周波数の波が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは2つ以上のエネルギー発生器が使用される。いくつかの実施形態では、波は、エネルギー発生器から個体を通って進行する。波は、組織界面で屈折し得る。いくつかの実施形態では、直接波(すなわち、非屈折波)および屈折波は、1つまたは複数の検出器によって検出される。検出器は、検出器のアレイを含み得る。検出器のアレイは、1次元アレイまたは2次元アレイであり得る。検出器は、(直線を含む)線、三角形、正方形、円形、ひし形、五角形、台形、または六角形などの任意の幾何学的パターンで配置され得る。いくつかの実施形態では、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上の検出器がある。検出器は、音響検出器など、エネルギー発生器によって生成されたエネルギーを検出することができる任意の適切なデバイスであり得る。音響検出器は、マイクロフォンであってもよい。特定の実施形態では、屈折データは、エネルギー発生器が波を発生させた後に、各音響検出器が波を検出する時間を測定することによって生成される。
【0034】
特定の実施形態は、本明細書に記載された検出方法によって生成される屈折データを含むデータを処理するための方法を包含する。データを処理することができる任意の方法が使用され得る。いくつかの実施形態では、数学的方法が使用される。いくつかの実施形態では、数学的モデルは、予想される検出時間と実際の検出時間(すなわち、エネルギー発生器によって生成された波を各検出器が検出する時間)とを比較する。数学的方法は、一般化相反法を含み得る。数学的モデルは、波の周波数、組織固有の速度、臨界屈折角、および1つまたは複数の胃の寸法を確立するのに必要な他の変数を組み込むことができる。数学的方法は、屈折器速度解析および/または時間-深度計算を含み得る。
【0035】
熟練した操作者によって手動で操作されなければならない1つのセンサおよび1つの受信器ユニットを使用する一般に使用される超音波の医療技法と比較して、本明細書に包含されるシステムおよび方法は、組み合わせで腹部などの2次元モデルまたは3次元モデルをマップするためにデータを継続的に収集することができる、複数の空間的に距離をとった(すなわち、比較的に大きい体表面積にわたって)受信器を用いることができる。重要なことに、超音波とは対照的に、本明細書で使用されるAR受信器は、ターゲット画像(例えば、誤嚥のリスク・マーカである胃拡張を評価するために胃)をモニタリングするために規定された位置に予め配置されてもよく、したがって、受信器由来のデータを配置、操作、または分析するための熟練した操作者を必要としなくてもよい。いくつかの実施形態では、屈折データは、任意の所望のジオメトリを有する任意の所与のエリアにわたって同時に取得される。次いで、屈折データは、グラフィック表示され、ユーザ入力なしで計算にかけられ、分析を容易にし、自動化することができる。いくつかの実施形態では、この能力は、異常な胃拡張状態の自動的なユーザ独立のシグナリング、胃誤嚥についての本質的なリスク信号を可能にする。このシグナリングは、医療関係者が、ポジショニング修正、鎮静の中止、またはNG管留置などの予防的な誤嚥防止アクションを実施するようにトリガすることができる。このアプローチの有益な容易さおよび適用性に加えて、胃のサイズを評価するための均一な受信器の位置は、当業者によって決定されるようにすべての患者に対して一般的に決定され得、ユーザ特有の知識の問題、または患者特有の受信機配置の必要性をやはりなくす。特定の場合には、装置は、具体的に予め定められた位置を必要とせずに配置されてもよい。
【0036】
本明細書に開示されたAR方法と比較して、超音波データ取得、撮像、および分析は、解剖学的構造の知識を有する使用者に大きく依存し、超音波透過の深さによって制限される。例えば、胃などの3次元空間をマッピングするために、超音波スキャナは、胃の画像を取得するように、慎重なやり方で上腹部にわたって掃引されなければならない。この要件は、ターゲット(胃)の構造の解剖学的構造、周囲の解剖学的構造の使用者知識を必要とする。超音波ベースのイメージングは、十分なデータ取得を制限する空気で満たされた構造および骨の構造によっても制限される。超音波プローブ検査が行われるプロセスは、手動のイメージング・プロセスが頻繁に繰り返される必要があり、そのたびに、潜在的に一貫性のない画像セットの新しいセットが、訓練された技師または医師によって取得される必要があるという点でやはり厄介である。
【0037】
本開示のいくつかの態様は、入院患者におけるように、誤嚥リスクが長期の、不明確な、または決定されていないことを含む可能性である本質的にすべての臨床状況における誤嚥リスクを、(継続的にであることを含む)評価するための日常的で、低コストの方法論として有用であるAR技術の適用に関する。いくつかの実施形態では、胃の寸法は、連続的に測定され、特定の期間に測定され、および/または個人が治療のために到着したときに測定される。任意のそのような測定間隔は、固体のベースライン測定値を確立し得る。AR使用に関する3つの具体的な追加の臨床シナリオは、1)コミュニケーション・ギャップ、ノンコンプライアンスのために、または臨床状況の緊急性のために、絶食ガイドラインに従っていない術前の患者、2)推奨される絶食間隔が空の胃を保証するのが確実でない可能性がある重大な併存疾患のために胃内容排出遅延を伴う患者(例えば、糖尿病性胃不全麻痺、進行性肝機能不全または進行性腎機能不全、重症患者)、および3)信頼できないまたは不明な履歴を有する患者(例えば、言語障壁、認知機能障害、知覚異常)である。本明細書に包含されるAR技術は、すべてのそのような場合において、臨床医が誤嚥リスクを最小にするまたはなくすことを助けることができる。
【0038】
胃体積を検出するためのシステム
特定の実施形態は、胃体積を検出するためのシステムを包含する。このシステムは、本明細書に開示された任意の方法を実行することが可能であり得る。特定の実施形態では、システムは、エネルギー発生器を使用して力学的な波または電磁波を生成する。エネルギー発生器は、力学的な波または電磁波を生成することができる任意のデバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、エネルギー発生器は、衝撃力を生成する。いくつかの実施形態では、エネルギー発生器は、スピーカを備える。エネルギー発生器は、電波周波数を含む任意の周波数で波を生成することができる。
【0039】
特定の実施形態では、システムは、エネルギー発生器によって生成された波を検出する。いくつかの実施形態では、システムは、1つまたは複数の検出器を備える。検出器は、検出器のアレイを備えることができる。検出器のアレイは、一次元アレイまたは二次元アレイであり得る。検出器は、(直線を含む)線、三角形、正方形、円形、ひし形、五角形、台形、または六角形などの幾何学的パターンで配置され得る。検出器は、波動エネルギーを含むエネルギーを検出することができる任意のデバイスを含み得る。検出器は、エネルギー発生器によって生成されたエネルギーを検出することができる任意のデバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、検出器は、マイクロフォンを備える。検出器自体は、任意の形状およびサイズであってもよい。検出器は、横隔膜の下であるが骨盤の上など、個人の腹部に配置され得る。場合によっては、検出器は、背中に配置されてもよいが、正面の腹部の領域に対応して配置され得る。三次元出力が望まれる具体的な実施形態では、1つまたは複数の検出器が、個人の正面および個人の背面に配置されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、システムは、エネルギー発生器および検出器を保持するための取り付け構造を備える。取り付け構造は、プラスチック、金属、布、テープ、またはそれらの組み合わせなど、エネルギー発生器および検出器を保持するための任意の適切な材料を含み得る。特定の実施形態では、取り付け構造は、取り付け構造を個体に固定するための手段を含む。取り付け構造は、テープ、ストラップ、クリップ、ベルト、フック、または取り付け構造を個体に固定することが可能な他の構造を含み得る。いくつかの実施形態では、取り付け構造は、取り付け構造を個人の皮膚に固定するための手段を備える。取り付け構造は、個体の腹部および/または背中に固定されることが可能であり得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、システムは、エネルギー検出器によって検出されたデータを処理するためのコンピューティング・デバイスを備える。コンピューティング・デバイスは、胃の寸法を計算または生成するために、本明細書に記載された任意の数学的方法を含む任意の方法を使用することができる。
【0042】
図1を参照すると、システム100は、個体の前方位置101または個体の後方位置102のいずれかに(1つまたは)複数の検出器110およびエネルギー発生器120を備える。データは、個体の前方位置101または後方位置102における個体上の検出器110から収集され、必要に応じて、テレメトリ・ベースのローカル受信機130にアップロードされる、またはサンプル分析出力140として、GRM計算に基づく単純な計算アルゴリズム、もしくは人工知能/ニューラルネットワーク・システムによってデータを分析する暗号化されたクラウドベースのサーバにアップロードされる。このアルゴリズムは、音響屈折トポグラフィック・モデリングに基づいて胃拡張を決定するために使用される。画面などの単純な表示読み出し部150は、エンドユーザに、胃のリスク評価に関する「安全」または「危険」の推奨を示すメッセージを提供する。いくつかの場合には、読み出しは、携帯電話またはタブレットまたはコンピュータなどの遠隔受信機に電子的に転送される。すなわち、場合によっては、受信機/コンピュータは、患者ベースのデバイスに埋め込まれてもよく、アラームを信号で送るために、読み出しは、遠隔で送られ得る。
【0043】
肺誤嚥のリスクのある個体
特定の実施形態は、個体の胃拡張を検出すること、肺誤嚥のリスクを低減すること、および/または胃の寸法を検出することを包含する。いくつかの実施形態において、個体は緊急処置の必要があり、これは、個体の胃内容物が不明であることをもたらし得る。言語障壁、精神的無能力、および/または意思疎通の拒否などの他の状況および事情も、個人の胃内容物が不明である理由になり得る。
【0044】
本明細書に開示された方法およびシステムは、挿管されている、麻酔をかけられている、意識がない、および/もしくは眠っている個体、または間もなくそうなる個体を含む、任意の個体の胃内容物を決定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、個体は、絶食している、または絶食していない。本明細書に開示されたシステムおよび方法は、個体が絶食したか、またはしていなかったかを決定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、個体は、胃内容排出遅延を伴う、または胃内容排出遅延を伴っている疑いがある。胃内容排出遅延は、糖尿病性胃不全麻痺、進行性肝機能障害、および/または進行性腎機能障害などの様々な病気、症候群、または疾病によって引き起こされ得る。特定の実施形態では、個体は、重症である、または信頼できないまたは不確かな病歴を有する。本明細書に開示されたシステムおよび方法は、個体の胃の寸法を測定し、個体の肺誤嚥のリスクを決定することによって、個体を麻酔の下に置くリスクを低減させることができる。
【0045】
特定の実施形態は、個体における1つまたは複数の胃の寸法を測定するための方法およびシステムを包含する。測定された胃の寸法は、個体に肺誤嚥のリスクがあるか決定するために使用され得る。いくつかの閾値を使用して、個体に肺誤嚥のリスクがあるか、および/または胃拡張を有するかを決定することができる。いくつかの実施形態では、閾値は、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、11cm、12cm、13cm、14cm、15cm、16cm、17cm、18cm、19cm、20cm以上の長さを含む。長さは、胃などの胃腸管における臓器の最大、最小、または平均の長さであり得る。いくつかの実施形態では、閾値は、約20cm3、21cm3、22cm3、23cm3、24cm3、25cm3、26cm3、27cm3、28cm3、29cm3、30cm3、31cm3、32cm3、33cm3、34cm3、35cm3、36cm3、37cm3、38cm3、39cm3、40cm3、41cm3、42cm3、43cm3、44cm3、45cm3、46cm3、47cm3、48cm3、49cm3、50cm3、55cm3、60cm3、65cm3、70cm3、75cm3、80cm3、85cm3、90cm3、95cm3、100cm3、110cm3、115cm3、120cm3、125cm3、130cm3、135cm3、140cm3、145cm3、150cm3、155cm3、160cm3、170cm3、175cm3、180cm3、185cm3、190cm3、195cm3、200cm3、210cm3、220cm3、230cm3、240cm3、250cm3、260cm3、270cm3、280cm3、290cm3、300cm3、325cm3、350cm3、375cm3、400cm3、425cm3、450cm3、475cm3、500cm3、525cm3、550cm3、575cm3、600cm3、625cm3、650cm3、675cm3、700cm3、725cm3、750cm3、775cm3、800cm3、825cm3、850cm3、875cm3、900cm3、925cm3、950cm3、975cm3、1000cm3、1100cm3、1200cm3、1300cm3、1400cm3、1500cm3以上の胃体積を含む。いくつかの実施形態では、閾値は、以前の測定値からまたは知られているベースラインからの少なくとも1つの胃の寸法の増加を含む。この増加は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%、200%、225%、250%、275%、300%、325%、350%、375%、400%、425%、450%、475%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%、1250%、1500%、1750%、2000%、2250%、2500%、2750%、3000%、3250%、3500%、3750%、4000%、4250%、4500%、4750%、5000%、6000%、7000%、8000%、9000%以上であり得る。個体のベースラインは、個体が知られている胃内容物または知られている絶食状態を有するときに、胃の寸法を測定することによって決定され得る。ベースラインは、胃の寸法を1回または複数回測定することによって決定され得る。ベースラインは、胃の寸法を連続的に測定することによって決定され得る。特定の実施形態では、システムは、操作者が任意の閾値設定(すなわち、任意の値の任意の所望の直径または体積)を「ダイヤルイン」する能力を可能にする。
【実施例】
【0046】
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例に開示される技法は、本開示の実施形態の実施において十分に機能することが本発明者らによって発見された技法を表し、したがって、その実施のために特定のモードを構成すると考えられ得ることが当業者によって理解されるはずである。しかしながら、当業者は、本開示に鑑みて、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、開示されている具体的な実施形態において多くの変更がなされてもよく、同じまたは同様の結果をやはり得ることができることを理解するはずである。
【0047】
I.実施例I:胃拡張誤嚥リスクの予防的検出のための解決策
一実施形態では、AR胃部イメージング手法は、患者の胃を覆う患者の皮膚に接着された音響受信機のアレイと、受信機の中央に位置付けられる機械的発生器および/または音響発生器とを備える。受信器は、空間的に距離を置かれた異なる受信点(
図1)で発生器によって生成された音響エネルギー波の異なる到達時間を検出する。このアレイは、断続的に(例えば、8時間のシフト変更ごとに)、またはより頻繁な画像化分析を可能にするように延長された期間にわたって、医療用接着剤または医療用テープを用いて患者の腹部に接着されても接着されなくてもよい。
【0048】
一実施形態では、AR発生器-受信器システムは、信号到着時間を、胃の直径を計算するためにGRM計算などのアルゴリズムを用いるAR分析コンピュータに送信する。デバイスのこの計算要素は、特定の実施形態において、デバイス自体に固有であり得、あるいは、例えば、携帯電話、遠隔テレメトリ・クラウド・ベースの人工知能/ニューラル・ネットワーク、または他の適切なデバイスを含む、無線周波数または他のテレメトリ方法論によって接続され得る。このアレイの最終的な出力は、交通信号と同じくらい単純であり得る:赤色は、(標準の胃シルエット値を超える)満杯の胃を示し、したがって、さらなる評価または介入の根拠となり、緑色は、(標準の胃シルエット値以内に入る)空の胃を示し、さらなるステップが示されず、黄色は、中間値およびアクションを示す(これらの値は、プロスペクティブ研究に基づいて予め決定され、および/または個々の提供者もしくは機関によって設定され得る)。
【0049】
本明細書に開示され、クレームされた方法のすべては、過度の実験を行うことなく、本開示に照らして作製および実施されることが可能である。本開示の組成および方法が、好ましい実施形態の観点で説明されてきたが、本開示の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された方法に、およびこの方法のステップまたはステップの順序に、変更が適用されてもよいことは、当業者には明らかであろう。より具体的には、化学的および生理学的の両方に関連するある種の薬剤が、本明細書中に記載された薬剤の代わりに用いられてもよく、一方で、同じまたは同様の結果が達成されることは明らかである。当業者に明らかなすべてのそのような同様の置換および修正は、添付の特許請求の範囲によって定められるような本開示の精神、範囲および概念の範囲内にあるとみなされる。
参考文献
以下の参考文献は、本明細書に記載されたものに対して例示的な手順上または他の詳細の補足を与える程度まで、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
【0050】
(1)Norma A.Metheny,PhD、Ray E.Clouse,MD、Yie-Hwa Chang,PhD、Barbara J.Stewart,PhD、Dana A.Oliver,MPH、およびMarin H.Kollef,MD Tracheobronchial aspiration of gastric contents in critically ill tube-fed patients:frequency,outcomes,and risk factors.Crit Care Med.2006年;34:1007~1015。
【0051】
(2)Lanspa MJ;Jones BE;Brown SM;Dean N. Mortality,morbidity,and disease severity of patients with aspiration pneumonia.J Hosp Med.2013年;8:83~90。
【0052】
(3)Robert W.Lankston。The seismic refraction method:A viable tool for mapping shallow targets into the 1990s.Geophysics.1989年;54:1521~1663。
【国際調査報告】