(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】生物学的汚染物質除去のための三価ドープ酸化セリウム組成物の使用
(51)【国際特許分類】
A01N 59/16 20060101AFI20240711BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20240711BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240711BHJP
A01N 25/10 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A01N59/16 Z
A01P1/00
A01P3/00
A01N25/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503796
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2022037827
(87)【国際公開番号】W WO2023004013
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523373809
【氏名又は名称】ネオ ケミカルズ アンド オキサイデス、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プサラス、ディミトリオス
(72)【発明者】
【氏名】ハネリン、メイソン、リームス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムス、スティーブン ポール
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA01
4H011BA01
4H011BB18
4H011BC19
4H011DA02
4H011DC05
4H011DC10
4H011DD05
4H011DD07
4H011DH02
4H011DH04
(57)【要約】
三価ドープ酸化セリウム組成物は、細菌、ウイルス、真菌、原虫(例えばアメーバ)、酵母及び藻類等の生物学的汚染物質の除去を補助するのに有益である。これらの三価ドープ酸化セリウム組成物は、空気及び水を含む流体から、並びに固体表面からこれらの生物学的汚染物質を除去するために使用され得る。組成物はまた、支持材料を含む。生物学的汚染物質を除去するためにこれらの三価ドープ酸化セリウム組成物を含有する組成物を使用する方法もまた記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的汚染物質を除去するための組成物であって、
有機ポリマー、綿、ガラス繊維、又はそれらの混合物を含む支持材料と、
イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物と
を含み、
前記三価ドープ酸化セリウム組成物は、前記支持材料上又は前記支持材料内に堆積されている、組成物。
【請求項2】
前記支持材料が、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカーボナート、それらのコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される有機ポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ドーパントが、La、Nd、又はそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記支持材料が、綿である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記有機ポリマーが、ポリエチレン、ポリカーボナート、又はそれらの混合物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて約0.5~約80重量%の三価ドープ酸化セリウム組成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて約0.5~約50重量%の三価ドープ酸化セリウム組成物を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記生物学的汚染物質が、細菌、ウイルス、真菌、原虫、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、フィルタ材料又はプラスチックである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、前記生物学的汚染物質のおよそ90%以上を除去する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、前記生物学的汚染物質のおよそ99%以上を除去する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
接触時に生物学的汚染物質を除去するための方法であって、
有機ポリマー、綿、ガラス繊維又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む組成物を提供するステップと、
前記組成物を生物学的汚染物質と接触させるステップであって、前記生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、カビ、原虫、真菌、及びそれらの混合物からなる群から選択される、ステップと、
前記組成物との接触によって前記生物学的汚染物質の少なくとも約90%を除去するステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記組成物が、フィルタ材料又はプラスチックである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、前記生物学的汚染物質のおよそ99%以上を除去する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記生物学的汚染物質が、水性ストリーム中にある、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記生物学的汚染物質が、ガスストリーム中にある、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記接触させるステップが、前記組成物への固体のタッチによるものである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
生物学的汚染物質の目標濃度を設定するステップと、前記生物学的汚染物質を接触させた後に監視するステップとをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記生物学的汚染物質が、細菌、ウイルス、又はアメーバである、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
(i)ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカーボナート、それらのコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される有機ポリマーと、(ii)イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物であって、前記有機ポリマー上又は前記有機ポリマー内に堆積された三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む、生物学的汚染物質を除去するための組成物を含むプラスチック物品であって、
前記プラスチック物品の総重量に基づいて約50~約100重量パーセントの前記生物学的汚染物質を除去するための組成物を含む、プラスチック物品。
【請求項21】
前記組成物又は物品が、剛性又は弾性の形態である、請求項1に記載の組成物又は請求項20に記載の物品。
【請求項22】
流体を処理するための方法であって、
(i)有機ポリマー、綿、ガラス繊維、又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む組成物を提供するステップと、
(ii)ガスストリーム又は水性ストリームを含有する生物学的汚染物質を前記組成物と接触させるステップであって、前記生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、真菌、原虫、及びそれらの混合物からなる群から選択される、ステップと、
(iii)前記組成物との接触によって前記ガスストリーム又は水性ストリームから生物学的汚染物質を除去するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年7月21日に出願された米国仮出願第63/224,317号の優先権及び利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本開示は、生物学的汚染物質除去のための三価ドープ酸化セリウム(CeO2)組成物の使用に関する。これらの組成物は、抗微生物剤/抗菌剤/抗ウイルス剤として使用することができる。したがって、これらの組成物は、細菌、ウイルス、原虫(例えば、アメーバ)、真菌(例えばカビ)、藻類、酵母等を除去するための用途を有する。特に、これらの組成物は、接触により液体又は空気を含む流体、及び固体表面を処理する方法に使用され得る。
【0002】
序論
本開示は、一般に、接触によって細菌、ウイルス、及び他の微生物汚染物質を除去するための三価ドープCeO2組成物に関する。したがって、これらの三価ドープCeO2種を含有する組成物は、空気及び水性液体ストリームから生物学的汚染物質を除去することができ、特に、微生物が高濃度であっても非常に低濃度であっても、空気及び水から細菌及びウイルスを除去することができる。これらの三価ドープ酸化セリウムは、これらの重要な目的に有用にする独特の構造的及び電気化学的特性を有する。
【背景技術】
【0003】
空気及び水性系から生物学的汚染物質を除去するために、様々な技術が使用されてきた。そのような技術の例には、アルミナ等の高表面積材料への吸着、生物学的汚染物質よりも小さい細孔径を有するフィルタ、及び塩素及び臭素等の高酸化性材料の使用が含まれる。特定の金属は、金属の殺生物性効果である微量作用効果を示すので、使用も見出されている。微量作用効果を示すことが知られている金属は、Al、Sb、As、Ba、Si、B、Cu、Au、Pb、Hg、Ni、Ag、Th、Sn、及びZnである。これらを空気又は水性系処理のための技術に組み込むことは、ヒト及び動物の生命及びコストに対する毒性が大きな懸念であるため、依然として課題である。
【0004】
空気、水、及び他の水性系を含む流体から細菌、ウイルス及び他の微生物汚染物質を除去するための効果的かつ安価な抗菌材料の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、一般に、生物学的汚染物質を除去するための三価ドープ酸化セリウム組成物に関する。組成物は、支持材料及び三価ドープ酸化セリウムを含む。組成物は、生物学的汚染物質除去特性を有し、したがって、空気及び水を含む流体、並びに/又は表面から細菌又はウイルスを除去するための用途を有する。除去すべき生物学的汚染物質には、細菌、ウイルス、原虫(例えばアメーバ)、真菌(例えばカビ又は真菌)等が含まれる。
【0006】
本明細書に記載の生物学的汚染物質を除去するための組成物は、有機ポリマー、綿、ガラス繊維、又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントがドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物とを含み、三価ドープ酸化セリウム組成物は、支持材料上又は支持材料内に堆積されている。ある特定の実施形態において、三価ドープ酸化セリウム組成物は、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムからなる。
【0007】
特定の実施形態において、これらの組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.5~約80重量%の三価ドープ酸化セリウム組成物を含む。
【0008】
支持材料及び三価ドープ酸化セリウムを含有する組成物は、剛性又は弾性の形態であり、この組成物は、生物学的汚染物質を除去するための物品、例えば、フィルタ、固定床フィルタシステム、プラスチック又はガラスボトル又は容器、プラスチック又はガラスタッチ表面等にすることができる。
【0009】
一実施形態において、プラスチック物品が開示される。このプラスチック物品は、(i)ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカーボナート、それらのコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される有機ポリマーと、(ii)イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物であって、有機ポリマー上又は有機ポリマー内に堆積された三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む、生物学的汚染物質を除去するための組成物を含み、プラスチック物品は、プラスチック物品の総重量に基づいて約50~約100重量パーセントの生物学的汚染物質を除去するための組成物を含む。プラスチック物品は、フィルタ、固定床フィルタシステム、プラスチックボトル又は容器、プラスチックタッチ表面、プラスチックドアノブ又はハンドルカバー、プラスチックエレベータボタンカバー等であってもよい。
【0010】
本明細書に開示される生物学的汚染物質を除去するための組成物はまた、生物学的汚染物質を除去するための方法に使用され得る。これらの生物学的汚染物質には、細菌、ウイルス、原虫(例えばアメーバ)、真菌(例えばカビ又は真菌)等が含まれる。
【0011】
一実施形態において、接触時に生物学的汚染物質を除去するための方法は、(i)有機ポリマー、綿、ガラス繊維又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む組成物を提供するステップと、(ii)組成物を生物学的汚染物質と接触させるステップであって、生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、真菌、原虫(例えばアメーバ)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、ステップと、(iii)組成物との接触によって生物学的汚染物質の少なくとも約90%を除去するステップとを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、フィルタ材料又はプラスチックであってもよい。
【0012】
ある特定の実施形態において、方法は水性ストリームを処理し、生物学的汚染物質は水性ストリーム中にある。他の実施形態において、方法はガスストリームを処理し、生物学的汚染物質はガスストリーム中にある。さらに他の実施形態において、接触させるステップは、組成物への固体のタッチによるものであり、したがってタッチによって固体表面を処理する。
【0013】
ガスストリーム又は水性ストリームを処理する特定の実施形態において、方法は、生物学的汚染物質の目標濃度を設定するステップをさらに含んでもよい。これらの実施形態において、生物学的汚染物質が特定され得、その生物学的汚染物質の目標濃度が設定され得る。方法は、生物学的汚染物質について処理されたストリームを監視するステップをさらに含んでもよい。
【0014】
本方法の特定の実施形態において、これらの方法は、流体から生物学的汚染物質を除去するためのものである。これらの実施形態において、流体は、ガスストリーム又は水性ストリームであってもよい。これらの実施形態において、方法は、(i)有機ポリマー、綿、ガラス繊維、又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む組成物を提供するステップと、(ii)ガスストリーム又は水性ストリームを含有する生物学的汚染物質を組成物と接触させるステップであって、生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、真菌、原虫(例えばアメーバ)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、ステップと、(iii)組成物との接触によってガスストリーム又は水性ストリームから生物学的汚染物質を除去するステップとを含む。生物学的汚染物質は、90%以上の量で除去され得る。
【0015】
流体(例えばガス又は水性ストリーム)から生物学的汚染物質を除去するための他の実施形態において、方法は、(i)有機ポリマー、綿、ガラス繊維、又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む組成物を提供するステップと、(ii)ガスストリーム又は水性ストリームを含有する生物学的汚染物質を組成物と接触させるステップであって、生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、真菌(例えばカビ)、原虫(例えばアメーバ)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、ステップと、(iii)組成物との接触によってガスストリーム又は水性ストリームから生物学的汚染物質を除去するステップとを含む。生物学的汚染物質は、90%以上の量で除去され得る。これらの方法は、接触後に生物学的汚染物質を監視するステップをさらに含んでもよい。監視するステップは、サンプリングによって行われてもよく、又は連続的であってもよい。
【0016】
ガスストリーム又は水性ストリームを処理するこれらの方法は、生物学的汚染物質の目標濃度を設定するステップをさらに含んでもよい。これらの方法において、目的の生物学的汚染物質が特定され、次いでその生物学的汚染物質の目標濃度が設定される。方法は、処理されたストリーム中の生物学的汚染物質を監視するステップをさらに含んでもよい。監視するステップは、サンプリングによって行われてもよく、又は連続的であってもよい。
【0017】
特定の実施形態において、方法は、(i)有機ポリマー、綿、ガラス繊維、又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む組成物を提供するステップと、(ii)生物学的汚染物質の目標濃度を設定するステップと、(iii)ガスストリーム又は水性ストリームを組成物と接触させ、組成物との接触によって生物学的汚染物質を除去して処理されたストリームを得るステップと、(iv)生物学的汚染物質について処理されたストリームを監視するステップとを含み、生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、真菌(例えばカビ)、原虫(例えばアメーバ)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。目標濃度は、一定量の汚染物質(例えば、ウイルス、細菌、原虫/アメーバ、若しくは真菌)に設定することができ、又は検出限界に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】200nmのスケールバーを有する例1の組成物のSEM画像である。
【0019】
【
図2】10μmのスケールバーを有する例1の組成物のSEM画像である。
【0020】
【
図3A】100nmのスケールバーを有する例1の組成物のTEM画像である。
【0021】
【
図3B】20nmのスケールバーを有する例1の組成物のTEM画像である。
【0022】
【
図3C】5nmのスケールバーを有する例1の組成物のTEM画像である。
【0023】
【
図3D】5nmのスケールバーを有する例1の組成物の暗視野TEM画像である。
【0024】
【
図4】200nmのスケールバーを有する例2の組成物のSEM画像である。
【0025】
【
図5】20μmのスケールバーを有する例2の組成物のSEM画像である。
【0026】
【
図6A】200nmのスケールバーを有する例2の組成物のTEM画像である。四角形は、
図6Bに提示されたズームエリアを示す。
【0027】
【
図6B】20nmのスケールバーを有する例2の組成物のTEM画像である。四角形は、
図6C及び
図6Dに提示されたズームエリアを示す。
【0028】
【
図6C】5nmのスケールバーを有する例2の組成物のTEM画像である。
【0029】
【
図6D】5nmのスケールバーを有する例2の組成物の暗視野TEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
組成物、物品、及び方法が開示及び記載される前に、本開示は、本明細書に開示される特定の構造、プロセス工程、又は材料に限定されず、当業者によって認識されるようにその等価物に拡張されることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、限定することを意図するものではないことも理解されたい。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「三価ドーパント」への言及は、定量的又は供給源を限定するものと解釈されるべきではなく、「工程」への言及は、複数の工程を含み得、反応又は処理の「製造」又は「製品」への言及は、反応/処理の生成物のすべてであると解釈されるべきではなく、「処理」への言及は、そのような処理工程の1つ又は複数への言及を含み得る。したがって、処理する工程は、特定された処理生成物を生成するために、同様の材料/流れの複数回又は反復処理を含むことができる。
【0031】
生物学的汚染物質の単数形は、複数の指示対象も含む。例えば、「アメーバ(amoeba)」及び「ウイルス(virus)」は、それぞれ「アメーバ(amoebae)」及び「ウイルス(viruses)」への言及を含む。
【0032】
「約」又は「およそ」を有する数値は、典型的な実験分散を含む。本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は、記載された粒径、濃度範囲、時間枠、分子量、温度、又はpH等の値の統計的に有意な範囲内を意味する。そのような範囲は、示された値又は範囲の1桁以内、典型的には10%以内、さらにより典型的には5%以内であり得る。時には、そのような範囲は、所与の値又は範囲の測定及び/又は決定に使用される標準的な方法に典型的な実験誤差内にあり得る。「約」という用語に包含される許容可能な変動は、研究中の特定のシステムに依存し、当業者によって容易に理解され得る。本出願内に範囲が列挙されているときはいつでも、その範囲内の整数すべてが本発明の実施形態として企図される。
【0033】
本開示は、生物学的汚染物質を除去する活性を有する三価ドープCeO2組成物、及び生物学的汚染物質除去のためのそれらの使用に関する。したがって、本明細書に開示される三価ドープCeO2組成物は、生物学的汚染物質を除去することを意図した組成物及び/又は物品並びに生物学的汚染物質を除去する方法に使用される。これらの生物学的汚染物質には、細菌、ウイルス、真菌、原虫(例えばアメーバ)、酵母、及びそれらの混合物が含まれる。
【0034】
本明細書に開示される三価ドープ酸化セリウム(CeO2)を含有する組成物は、生物学的汚染物質を除去する。これらの組成物は、支持材料及び三価ドープCeO2を含む。三価ドープCeO2は、支持材料上又は支持材料内に堆積されている。
【0035】
三価ドープCeO2は、1つ又は複数の三価希土類でドープされた酸化セリウムである。酸化セリウムのCeは、Ce(IV)である。三価希土類ドーパントは、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、セリウム(Ce)、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。ある特定の実施形態において、三価ドーパントは、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、及びそれらの混合物であり、特定の実施形態において、三価ドーパントは、Nd、La、又はそれらの混合物である。
【0036】
支持材料は、有機ポリマー、綿、ガラス繊維、又はそれらの混合物を含む。有機ポリマーは、有機モノマーのホモポリマー又はコポリマーであってもよい。有機ポリマーはまた、熱可塑性エラストマー等の熱硬化性ポリマーであってもよい。本明細書で使用される場合、有機ポリマーは、ポリエチレン、ポリカーボナート、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、それらのコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0037】
本明細書に開示される組成物において、三価ドープ酸化セリウム組成物は、支持材料上又は支持材料内に堆積されている。したがって、組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.5~80重量%の三価ドープ酸化セリウムを含有する。ある特定の実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.5~50重量%の三価ドープ酸化セリウムを含有する。他の実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.5~25重量%の三価ドープ酸化セリウムを含有する。さらに他の実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.5~10重量%の三価ドープ酸化セリウムを含有する。さらなる実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.5~5重量%の三価ドープ酸化セリウムを含有する。
【0038】
支持材料及び三価ドープ酸化セリウムを含有する組成物は、剛性又は弾性の形態であり得る。組成物は、フィルタ又はプラスチック容器等の生物学的汚染物質を除去するための物品を形成し得る。物品は、剛性又は弾性の形態であり得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、支持材料は、有機ポリマーであってもよい。これらの実施形態のある特定のものでは、三価ドーパントは、Nd、La、又はそれらの混合物である。支持材料として有機ポリマーを使用するこの組成物が物品を形成する場合、物品はプラスチック物品であり得る。これらの実施形態において、有機ポリマーは、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカーボナート、それらのコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。特定の実施形態において、有機ポリマーは、ポリエチレン、ポリカーボナート、又はそれらの混合物である。プラスチックの場合、物品は、フィルタ、ボトル、容器、又は高頻度タッチサービス用のプラスチックカバーの形態であり得る。フィルタは、固定床であってもよい。ボトル又は容器は、液体用であってもよい。高頻度タッチ表面には、エスカレータ又は階段手すりカバー、エレベータボタンカバー、ドア、ドアハンドル又はノブ又はそのためのカバー、公共交通機関のカバー、電子取引用のタッチパッド等が含まれる。
【0040】
いくつかの実施形態において、支持材料は、綿であってもよい。これらの実施形態のある特定のものでは、三価ドーパントは、Nd、La、又はそれらの混合物である。支持材料として綿を使用するこの組成物が物品を形成する場合、物品はフィルタ又は布地であり得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、支持材料はガラス繊維であってもよい。これらの実施形態のある特定のものでは、三価ドーパントは、Nd、La、又はそれらの混合物である。支持材料としてガラス繊維を使用するこの組成物が物品を形成する場合、物品は、フィルタ、ボトル、容器、又は高頻度タッチ表面であり得る。フィルタは、固定床であってもよい。高頻度タッチ表面には、エレベータボタンカバー、ドア、公共交通機関のカバー、電子取引用タッチパッド等が含まれる。
【0042】
ある特定の実施形態において、支持材料は、綿及び有機ポリマーであってもよい。これらの実施形態のある特定のものでは、有機ポリマーは、ナイロン、ポリエステル、ポリアミド、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。これらの実施形態のある特定のものでは、三価ドーパントは、Nd、La、又はそれらの混合物である。支持材料としてのこの混合物が物品を形成する場合、物品はフィルタ又は布地であり得る。
【0043】
ある特定の実施形態において、支持材料は、ガラス繊維及び有機ポリマーであってもよい。有機ポリマーは、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカーボナート、それらのコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。これらの実施形態のある特定のものでは、有機ポリマーは、ポリエチレン、ポリカーボナート、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。これらの実施形態のある特定のものでは、三価ドーパントは、Nd、La、又はそれらの混合物である。支持材料としてのこの混合物が物品を形成する場合、物品は、フィルタ、ボトル、容器、又は高頻度タッチ表面であり得る。フィルタは、固定床であってもよい。高頻度タッチ表面には、エスカレータ又は階段手すりカバー、エレベータボタンカバー、ドア、ドアハンドル又はノブカバー、公共交通機関のカバー、電子取引用のタッチパッド等が含まれる。
【0044】
いくつかの実施形態において、支持材料は、ポリエチレン又はポリカーボナートであってもよい。これらの実施形態のある特定のものでは、三価ドーパントは、Nd、La、又はそれらの混合物である。組成物が物品を形成する場合、物品はプラスチック物品であってもよく、フィルタ、ボトル、容器、又は高頻度タッチ表面用のプラスチックカバーの形態であり得る。フィルタは、固定床であってもよい。
【0045】
特定の実施形態において、物品は、プラスチック物品である。プラスチック物品は、フィルタ、ボトル、容器、又は高頻度タッチ表面用のプラスチックカバーの形態であり得る。プラスチック物品は、(i)ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカーボナート、それらのコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される有機ポリマーと、(ii)イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物であって、有機ポリマー上又は有機ポリマー内に堆積された三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む、生物学的汚染物質を除去するための組成物を含み、プラスチック物品は、プラスチック物品の総重量に基づいて約50~約100重量パーセントの生物学的汚染物質を除去するための組成物を含む。これらの実施形態のある特定のものでは、三価ドーパントは、Nd、La、又はそれらの混合物である。これらの実施形態のある特定のものでは、有機ポリマーは、ポリエチレン、ポリカーボナート、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0046】
組成物が物品を形成する場合、物品は、物品の総重量に基づいて約50~約100重量%の、支持材料及び三価ドープ酸化セリウムを含有する組成物を含有する。ある特定の実施形態において、物品は、物品の総重量に基づいて約75~約95重量%の、支持材料及び三価ドープ酸化セリウムを含有する組成物を含有する。
【0047】
三価ドープ酸化セリウム及び支持体が弾性又は剛性の物品に形成される場合、物品はまた、バインダー、砂、砂利、グラスウール、金属又はプラスチック容器等を含み得る。
【0048】
本明細書に開示される組成物及び物品は、生物学的汚染物質のおよそ90%以上を除去することができる。ある特定の実施形態において、本明細書に開示される組成物及び物品は、生物学的汚染物質のおよそ99%以上を除去することができる。
【0049】
本明細書に開示される物品、組成物、及び方法によって除去される生物学的汚染物質には、ウイルス、細菌、真菌(例えばカビ又は真菌)、原虫(例えばアメーバ)、藻類、酵母等、及びそれらの混合物が含まれる。ある特定の実施形態において、本明細書に開示される物品、組成物、及び方法によって除去される生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、真菌(例えばカビ)、原虫(例えばアメーバ)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。特定の実施形態において、本明細書に開示される物品、組成物、及び方法によって除去される生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、アメーバ、及びそれらの混合物である。他の実施形態において、生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、及びそれらの混合物である。
【0050】
ある特定の実施形態において、除去される生物学的汚染物質には、廃水等の水性ストリーム中の懸念物質、及び空気によって運ばれる懸念物質が含まれる。
【0051】
細菌には、グラム陽性菌及びグラム陰性細菌が含まれる。細菌には、糞便性大腸菌を含む、水中に一般的に見られるものが含まれる。細菌には、例えば、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、大腸菌(Escherichia coli)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin resistant Staphylococcus aureus(MRSA))、レジオネラニューモフィラ(Legionella Pneumophila)、カンピロバクタージェジュニ(Campylobacter Jejuni)、サルモネラ(Salmonella)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、百日咳菌(Bordetella pertussis)等が含まれる。ウイルスには、例えば、ライノウイルス、コロナウイルス、ワクシニア、ポリオウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、パラミクソウイルス、インフルエンザウイルス、モルビリウイルス、A型肝炎ウイルス(HAV)、アデノウイルス(HAdV)、ロタウイルス(RoV)、サポウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、パラミクソウイルス、並びに他の腸内ウイルス、例えばノロウイルス(NoV)、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、レオウイルス及びアストロウイルス等が含まれる。他の微生物汚染物質には、原虫(例えばクリプトスポリジウム(Cryptosporidium))、特にアメーバ(例えばネグレリアフォーレリ(Naegleria fowleri))が含まれる。真菌であるさらなる微生物汚染物質には、トリコフィトンメンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)及びアスペルギルス(Aspergillus)が含まれる。
【0052】
三価希土類でドープされた酸化セリウムを含む、本明細書に開示される物品、組成物及び方法は、これらの生物学的汚染物質の濃度又は量を低減する。
【0053】
三価ドープ酸化セリウム組成物の作製方法
生物学的汚染物質の濃度を低減することができる三価ドープ酸化セリウム組成物は、本明細書に開示される方法によって作製される。
【0054】
三価希土類でドープされた酸化セリウムは、セリウム(IV)の塩水溶液を三価希土類の塩溶液と混合することによって作製される。これらの塩は、例えば硝酸塩を含む、水溶液に可溶性の任意の塩であり得る。ある特定の実施形態において、三価希土類ドーパントは、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。利用される塩水溶液の濃度は、約0.02~約3mol/Lであり得る。
【0055】
次いで、混合物は、約60~約120℃の温度で設定時間、及び約10分~約2時間還流することによって水熱的に調整される。次いで、調整された溶液は、沈殿に影響を与えるために水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化アンモニウム(NH4OH)等の塩基で処理される。得られた固体は水で洗浄され、熱処理されて、三価ドープ酸化セリウム組成物が得られる。熱処理は、約550~約800℃の温度で約10分~約2時間行われ得る。この最終熱処理は、得られた固体を乾燥させる。
【0056】
次いで、三価ドープ酸化セリウム組成物を使用して、支持材料及び三価ドープ酸化セリウム組成物を含む生物学的汚染物質を除去するための本明細書に開示される組成物を調製することができ、三価ドープ酸化セリウム組成物は、支持材料上又は支持材料内に堆積されている。
【0057】
組成物及び物品の調製
本明細書に開示される組成物は、三価ドープ酸化セリウム及び支持材料を含む。三価ドープセリウムは、上記のように調製される。支持材料は、有機ポリマー、綿、ガラス繊維、又はそれらの混合物から選択される。三価ドープ酸化セリウム及び支持材料のこの組成物は、ガス又は水性混合物を処理するために独立して使用され得る。又は、三価ドープ酸化セリウム及び支持材料の組成物は、ガス若しくは水性混合物を処理するために特別に設計された物品、例えばフィルタ若しくはプラスチック容器に組み込まれ得る。フィルタは、固定床であってもよい。フィルタは、ガス又は水性混合物又はストリームのために、したがってガス又は水性混合物又はストリームを濾過するために使用され得る。
【0058】
三価ドープ酸化セリウム組成物は、生物学的汚染物質を除去するための組成物を提供するために支持材料上又は支持材料内に堆積される。
【0059】
三価ドープ酸化セリウムは、支持材料の1つ又は複数の外面及び/又は内面に堆積させることができる。当業者は、一般に、支持材料の内面を細孔と称することが理解され得る。三価ドープ酸化セリウム組成物は、バインダーを用いて又は用いずに支持材料上に支持され得る。いくつかの実施形態において、三価ドープ酸化セリウム組成物は、スラリー堆積等の任意の従来技術を使用して支持材料に適用され得る。
【0060】
本明細書に開示される組成物を調製するプロセスは、いかなる特定のステップ又は方法によっても限定されず、一般に、三価ドープ酸化セリウムの支持材料への組み込み又は支持材料上への堆積をもたらす任意のものであり得る。三価ドープ酸化セリウムを支持材料に組み込むプロセスは、三価ドープ酸化セリウムを支持材料の生成に混合することを含む。一例として、三価ドープ酸化セリウムは、成形プロセスにおいて溶融ポリプロピレンに添加され得る。別の例として、三価ドープ酸化セリウムは、ポリ塩化ビニル樹脂、可塑剤、及び安定剤の混合物に添加され、ホットミキサ、続いて押出機に通されてもよい。
【0061】
三価ドープ酸化セリウムを支持材料上に堆積させるプロセスは、三価ドープ酸化セリウムを液体又は水溶液のいずれかで有機バインダーと混合することを含む。次いで、三価ドープ酸化セリウムと有機バインダーとの混合物は、支持材料の浸漬によって、又は塗り広げ若しくはエアブラッシングによって混合物で支持材料をコーティングすることによって、支持材料に結合される。有機バインダーはまた、スラリー堆積技術に使用され得る。
【0062】
ある特定の実施形態において、有機バインダーは、クエン酸、ポリウレタンジオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、亜麻仁油、及びそれらの混合物からなる群から選択される。三価ドープ酸化セリウムが支持材料に結合したら、任意選択でコーティングされた支持体を乾燥前に水ですすぎ、支持体に結合していない残留物を除去することができる。コーティングされた支持体を、次いで任意選択で、約20℃超及び約300℃未満の温度で約1~12時間、又は十分に乾燥するまで乾燥させることができる。ある特定の実施形態において、コーティングされた支持体を、次いで任意選択で、約20℃超及び約120℃未満の温度で乾燥させることができる。
【0063】
ガラス又はプラスチック等の溶融され得る支持材料の場合、支持体は、表面がちょうど軟化し始める点まで加熱され得、次いで、三価ドープ酸化セリウムが、半溶融材料と混合し始めるように表面上に配置され得る。冷却して再凝固させると、三価ドープ酸化セリウムが支持材料の表面に取り込まれる。利用される温度は、利用される支持材料に依存する。当業者は、利用される支持材料のための適切な温度を容易に決定することができるであろう。例えば、石英ガラスのこの温度は1000℃を超え、ホウケイ酸ガラスは約500~600℃であり、PVCは約200~300℃である。
【0064】
これらの固体支持体は、フィルタ及びプラスチック物品を含む物品を形成するために利用され得る。
【0065】
三価ドープ酸化セリウム組成物はまた、高頻度タッチ表面用の物品に組み込まれてもよく、この高頻度タッチ表面は、直接タッチ接触によって生物学的汚染物質と接触し得る。したがって、高頻度タッチ表面用の物品はまた、必ずしも流体の処理だけでなく、接触によって堆積した細菌及び/又はウイルスの低減に利用され得る。これらの物品は、液体用の容器、エレベータボタン、エスカレータ又は階段用のハンドレールカバー、ドア、ドアハンドル、ドアノブ、公共交通機関のカバー、電子取引用のタッチパッド、布地等であってもよい。
【0066】
三価ドープ酸化セリウム及び支持材料を含有する組成物は、フィルタ、固定床濾過システム、ボトル又は容器、高頻度タッチ表面等の弾性又は剛性物品に形成され得る。特定の実施形態において、物品は、プラスチック物品である。他の実施形態において、物品はフィルタである。これらの物品は、当業者によって十分に認識されているように、そのような物品が通常含有する任意の追加の必要な成分を含有してもよい。これらの物品を形成するための技術は、当業者に周知である。
【0067】
三価ドープ酸化セリウムを含有する組成物を使用するための方法
本出願は、三価ドープ酸化セリウムを含有する開示された組成物を使用して、生物学的汚染物質を除去するための方法に関する。ある特定の実施形態において、本出願は、三価ドープ酸化セリウムを含有する開示された組成物を使用して、生物学的汚染物質を除去及び目標濃度以下の生物学的汚染物質を確保するための方法に関する。これらの生物学的汚染物質には、細菌、ウイルス、原虫(例えばアメーバ)、真菌、藻類、酵母等が含まれる。これらの方法は、タッチ/直接接触によって流体(例えば水性ストリーム若しくはガスストリーム)又は固体物体の表面を処理することができる。
【0068】
本方法のある特定の実施形態において、水性ストリーム又はガスストリームを、三価ドープ酸化セリウムを含有する組成物と接触させる。本方法の他の実施形態において、潜在的に汚染された表面を、三価ドープ酸化セリウムを含有する組成物と接触させる。これらの潜在的に汚染された表面には、例えば、皮膚(例えば、手、指、手のひら等)が含まれ、接触は、三価ドープ酸化セリウムを含有する組成物又は物品に触れることによるものである。本明細書に開示される方法では、除去される生物学的汚染物質は、水性ストリーム又はガスストリーム中に含まれてもよく、又は物理的対象の表面上にあってもよい。
【0069】
いかなる理論にも束縛されることを望まないが、三価ドープ酸化セリウムと生物学的汚染物質との接触は、三価ドープ酸化セリウムとの吸着及び/若しくは反応、又は三価ドープ酸化セリウムと接触したときの不活性化のうちの1つ又は複数を生物学的汚染物質にもたらすと考えられる。生物学的汚染物質を三価ドープ酸化セリウムで吸着、反応及び/又は不活性化することにより、生物学的汚染物質含有流体(空気若しくは水性ストリーム)又は固体表面から生物学的汚染物質が除去される。
【0070】
生物学的汚染物質は、目標レベルまで、又は目標レベル未満まで除去することができる。いくつかの実施形態において、生物学的汚染物質は、検出不能なレベルまで除去され得る。目標レベルは、指定された量又は検出限界であってもよい。本明細書に記載の方法の一部として、除去される生物学的汚染物質が特定され得、汚染物質の目標量又はレベルが設定され得る。本明細書で企図される生物学的汚染物質のある特定のものについて、目標量又はレベルは、任意の検出可能な量であり得る。方法は、任意選択で、汚染物質について処理されたストリームを監視するステップをさらに含んでもよい。
【0071】
本明細書に開示される方法は、空気若しくは水を処理するために使用されてもよく、又はタッチによる接触によって汚染物質を処理するために使用されてもよい。タッチによる接触によって汚染物質を処理するために使用される場合、開示される組成物は、高頻度タッチ表面に組み込まれる。
【0072】
生物学的に汚染された空気及び/又は水を処理するために三価ドープ酸化セリウムを含有する開示された組成物を使用することは、空気及び/又は水処理方法の効率的な操作を可能にし、生物学的汚染物質の濃度が低減された処理されたストリームを提供する。本明細書に開示されるように、三価ドープ酸化セリウム組成物は、ガス又は水性混合物を処理するために特別に設計された物品、例えばフィルタ、固定床濾過システム、又は容器用のプラスチックに組み込まれ得る。
【0073】
本開示の方法は、空気及び/又は飲料水及び地下水から生物学的(例えば、細菌、ウイルス、アメーバ等)汚染物質を除去するために想定されるが、このプロセスは、望ましくない量の生物学的汚染物質を含有する任意のガス又は水性液体供給物を処理するために使用することができることが理解されよう。この方法はまた、汚染表面と三価ドープ酸化セリウムを含有する物品との直接接触によって生物学的汚染物質を除去するために想定される。
【0074】
ある特定の実施形態において、これらの方法は、(i)有機ポリマー、綿、ガラス繊維又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む組成物を提供するステップと、(ii)組成物を生物学的汚染物質と接触させるステップであって、生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、真菌、原虫、及びそれらの混合物からなる群から選択される、ステップと、(iii)組成物との接触によって生物学的汚染物質を除去するステップとを含む。生物学的汚染物質は、水性ストリーム若しくは液体ストリーム中に、又は三価ドープ酸化セリウムを含有する組成物と物理的に接触する物体の表面上に含有され得る。これらの方法は、接触後に生物学的汚染物質を監視するステップをさらに含んでもよい。監視するステップは、サンプリングによって行われてもよく、又は連続的であってもよい。
【0075】
特定の実施形態において、これらの方法は、(i)有機ポリマー、綿、ガラス繊維又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムからなる三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む組成物を提供するステップと、(ii)組成物を生物学的汚染物質と接触させるステップであって、生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、真菌(例えばカビ)、原虫(例えばアメーバ)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、ステップと、(iii)組成物との接触によって生物学的汚染物質を除去するステップとを含む。生物学的汚染物質は、水性ストリーム若しくは液体ストリーム中に、又は三価ドープ酸化セリウムを含有する組成物と物理的に接触する物体の表面上に含有され得る。これらの方法は、接触後に生物学的汚染物質を監視するステップをさらに含んでもよい。監視するステップは、サンプリングによって行われてもよく、又は連続的であってもよい。
【0076】
三価ドープ酸化セリウムと生物学的汚染物質との接触は、測定可能な量の生物学的汚染物質の除去をもたらす。いくつかの実施形態において、接触により、生物学的汚染物質の少なくとも約90%が除去される。他の実施形態において、接触により、生物学的汚染物質の少なくとも95%、又はより好ましくは99%又は99%+が除去される。
【0077】
三価ドープ酸化セリウムと生物学的汚染物質との接触は、生物学的汚染物質の量を効果的に低減し、ある特定の実施形態において、ガスストリーム又は水性ストリーム中の生物学的汚染物質の量を効果的に低減する。除去は、生物学的汚染物質の濃度のパーセント低減として表すこともできる。いくつかの実施形態において、三価ドープ酸化セリウムと生物学的汚染物質との接触は、その濃度を約75%超低減することができる。より典型的には、三価ドープ酸化セリウム組成物と生物学的汚染物質との接触は、その濃度を約80%超、より典型的には約85%超、より典型的には約90%超、より典型的には約95%超、より典型的には約97.5%超、より典型的には約99%超、さらにより典型的には約99.5%超低減することができる。
【0078】
特定の実施形態において、これらの方法は、流体から生物学的汚染物質を除去するためのものであり得る。これらの実施形態において、流体は、ガスストリーム又は水性ストリームであってもよい。これらの実施形態において、方法は、(i)有機ポリマー、綿、ガラス繊維、又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む組成物を提供するステップと、(ii)ガスストリーム又は水性ストリームを含有する生物学的汚染物質を組成物と接触させるステップであって、生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、真菌(例えばカビ)、原虫(例えばアメーバ)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、ステップと、(iii)組成物との接触によってガスストリーム又は水性ストリームから生物学的汚染物質を除去するステップとを含む。生物学的汚染物質は、90%以上の量で除去され得る。これらの方法は、接触後に生物学的汚染物質を監視するステップをさらに含んでもよい。監視するステップは、サンプリングによって行われてもよく、又は連続的であってもよい。
【0079】
ガスストリーム又は水性ストリームを処理するこれらの方法は、生物学的汚染物質の目標濃度を設定するステップをさらに含んでもよい。これらの方法において、目的の生物学的汚染物質が特定され、次いでその生物学的汚染物質の目標濃度が設定される。方法は、処理されたストリーム中の生物学的汚染物質を監視するステップをさらに含んでもよい。監視するステップは、サンプリングによって行われてもよく、又は連続的であってもよい。
【0080】
ある特定の実施形態において、方法は、(i)有機ポリマー、綿、ガラス繊維、又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む組成物を提供するステップと、(ii)生物学的汚染物質の目標濃度を設定するステップと、(iii)ガスストリーム又は水性ストリームを組成物と接触させ、組成物との接触によって生物学的汚染物質を除去して処理されたストリームを得るステップと、(iv)生物学的汚染物質について処理されたストリームを監視するステップであって、生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、真菌(例えばカビ)、原虫(例えばアメーバ)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、ステップとを含む。目標濃度は、一定量の汚染物質(例えば、ウイルス、細菌、原虫/アメーバ、若しくは真菌)に設定することができ、又は検出限界に設定することができる。生物学的汚染物質の監視は、当業者に周知の技術によって行うことができる。監視するステップは、サンプリングによって行われてもよく、又は連続的であってもよい。当業者は、ウイルス、細菌、原虫/アメーバ、真菌等を含む微生物汚染物質のリアルタイム及び連続監視技術を理解している。これらの技術には、光学技術及びセルカウンタが含まれる。
【0081】
水性ストリームを処理する特定の実施形態において、方法は、(i)有機ポリマー、綿、ガラス繊維、又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む組成物を提供するステップと、(ii)水性ストリームを組成物と接触させ、組成物との接触によって生物学的汚染物質を除去して処理された水性ストリームを提供するステップであって、生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、真菌(例えばカビ)、原虫(例えばアメーバ)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、ステップとを含む。これらの方法は、接触後に生物学的汚染物質を監視するステップをさらに含んでもよい。監視するステップは、サンプリングによって行われてもよく、又は連続的であってもよい。特定の実施形態において、方法は、生物学的汚染物質の目標濃度を設定するステップと、生物学的汚染物質について処理された水性ストリームを監視するステップとをさらに含んでもよい。目標濃度は、指定された量又は検出限界であってもよい。
【0082】
ガスストリームを処理する特定の実施形態において、方法は、(i)有機ポリマー、綿、ガラス繊維、又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む組成物を提供するステップと、(ii)ガスストリームを組成物と接触させ、組成物との接触によって生物学的汚染物質を除去して、処理されたガスストリームを提供するステップであって、生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、真菌(例えばカビ)、原虫(例えばアメーバ)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、ステップとを含む。これらの方法は、接触後に生物学的汚染物質を監視するステップをさらに含んでもよい。監視するステップは、サンプリングによって行われてもよく、又は連続的であってもよい。特定の実施形態において、方法は、生物学的汚染物質の目標濃度を設定するステップと、生物学的汚染物質について処理されたガスストリームを監視するステップとをさらに含んでもよい。目標濃度は、指定された量又は検出限界であってもよい。
【0083】
生物学的汚染物質が細菌又は真菌/カビである場合、除去は、コロニー形成単位(CFU)を使用することによって決定される低減%として表すことができる。これらの実施形態において、三価ドープ酸化セリウム組成物を含む組成物との接触後の細菌汚染物質の濃度は、約45コロニー形成単位CFU/ml~5×105CFU/mlであり得る。
【0084】
生物学的汚染物質が細菌及び/又はウイルスである場合、除去は、最確数(MPN)技術を使用することによって決定される低減%として表すことができる。最確数(MPN)は、10倍希釈で液体ブロス増殖を複製することによって試料中の生存微生物の濃度を推定するために使用される。
【0085】
生物学的汚染物質の目標濃度はまた、本方法の前及び本方法における接触後からの汚染物質のパーセント低減として設定することができる。ある特定の実施形態において、このパーセント低減は、約75%~約100%少なくすることができる。他の実施形態において、このパーセント低減は、約80%~約99.9%であり得る。
【0086】
生物学的汚染物質の目標濃度は、その汚染物質の検出限界に設定することができる。上述のように、生物学的汚染物質の目標濃度を設定することを含む実施形態において、本方法は、以下の追加のステップ:目的の生物学的汚染物質を特定するステップ、目標濃度を設定するステップ、及び接触させるステップの後に生物学的汚染物質を監視して、生物学的汚染物質が目標濃度を下回っていることを判定又は検証するステップのうちの1つ又は複数をさらに含み得る。生物学的汚染物質に応じて、目標濃度はその汚染物質の任意の検出可能な量であってもよく、本明細書に開示される方法は、その汚染物質の量が処理されたストリームで検出されない限り、水性ストリーム又はガスストリームを処理するのに有効である。これらの実施形態のうちの特定のものでは、処理される流れは水性ストリームであってもよく、標的汚染物質は、細菌、ウイルス、又は原虫(例えばアメーバ)であってもよい。例えば、処理されるストリームは水性又はガスストリームであり、標的汚染物質は、大腸菌(E.coli)、ポリオウイルス、コロナウイルス、ネグレリアフォーレリ(Naegleria fowleri)、パラミクソウイルス、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、レジオネラニューモフィラ(Legionella pneumophila)、コロナウイルス又はそれらの混合物であってもよい。ある特定の実施形態において、処理されるストリームは水性ストリームであり、標的汚染物質は、大腸菌(E.coli)、ポリオウイルス、ネグレリアフォーレリ(Naegleria fowleri)、レジオネラニューモフィラ(Legionella pneumophila)、コロナウイルス、又はそれらの混合物である。ある特定の実施形態において、処理されるストリームはガスストリームであり、標的汚染物質は、パラミクソウイルス、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、コロナウイルス、又はそれらの混合物である。
【0087】
これらの特定の方法は、(i)有機ポリマー、綿、ガラス繊維、又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む組成物を提供するステップと、(ii)生物学的汚染物質の目標濃度を設定するステップであって、汚染物質は、大腸菌(E.coli)、ポリオウイルス、コロナウイルス、ネグレリアフォーレリ(Naegleria fowleri)、パラミクソウイルス、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、レジオネラニューモフィラ(Legionella pneumophila)、コロナウイルス又はそれらの混合物からなる群から選択される、ステップと、(ii)ガスストリーム又は水性ストリームを組成物と接触させ、組成物との接触によって生物学的汚染物質を除去して処理されたストリームを得るステップと、(iii)生物学的汚染物質について処理されたストリームを監視するステップとを含む。目標濃度は、一定量の汚染物質に設定することができ、又は検出限界に設定することができる。この方法はまた、目標濃度を設定する前に目的の汚染物質を特定するステップを含んでもよい。
【0088】
本明細書で開示される方法に従って処理され得るガス供給物の例には、とりわけ、建物の換気システム、航空機又は車両の換気システム、及び周囲室内空気が含まれる。本明細書に開示される方法に従って処理され得る液体供給物の例には、とりわけ、水道水、井戸水、湖沼及び湿原からの水等の地表水、レクリエーション活動のための水、農業用水、工業プロセスからの廃水、並びに地熱流体が含まれる。フィルタではない生物学的汚染物質との物理的接触を伴う他の用途の例には、容器用のプラスチック又は高頻度タッチ面に組み込まれるプラスチック、例えばエレベータボタン、エスカレータのレールカバー、階段のレールカバー、電子取引用のタッチパッド、ドア、ドアノブ等への組み込みが含まれる。これらの高頻度タッチ表面はまた、ガラス又はガラスとプラスチックとの混合物を含み得る。
【0089】
三価ドープ酸化セリウム組成物は、細菌、ウイルス、原虫(例えばアメーバ)、真菌及び他の微生物汚染物質を除去することができ、いくつかの実施形態において、細菌、ウイルス、原虫(例えばアメーバ)、真菌及びそれらの混合物をガス又は液体供給物から除去することができる。
【0090】
一実施形態において、このプロセスは、三価ドープ酸化セリウム組成物を使用してガスストリーム又は水性ストリームから生物学的汚染物質を除去するために想定される。ガスストリームは、望ましくない量の生物学的及び/又は他の汚染物質を含む、又は含み得る換気システムのための周囲空気供給源又は複数の供給空気のうちの1つ又は複数であり得る。水性ストリームは、望ましくない量の生物学的及び/又は他の汚染物質を含む、又は含み得る飲料水及び地下水供給源の1つ又は複数であり得る。さらに、水性ストリームは、井戸水、地表水(湖、池及び湿原からの水等、天然及び人工及びレクリエーション目的のための水を含む)、農業用水、工業プロセスからの廃水、並びに地熱水を含み得るが、これらに限定されない。
【0091】
いくつかの実施形態において、生物学的汚染物質含有ガスストリーム中のガスがガス状態のままであるように、生物学的汚染物質含有ガスストリームは、温度及び圧力、通常は周囲温度及び圧力で器内の入口を通過する。この容器内で、生物学的汚染物質含有ガスストリームを三価ドープ酸化セリウム組成物と接触させる。三価ドープ酸化セリウムと生物学的汚染物質含有ガスストリームとの接触により、生物学的汚染物質が除去される。三価ドープ酸化セリウムと生物学的汚染物質含有ガスストリームとの接触により、測定可能な量の生物学的汚染物質が除去され、いくつかの実施形態において、生物学的汚染物質の少なくとも90%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは99%又は99%+が除去される。
【0092】
いくつかの実施形態において、生物学的汚染物質含有水性ストリーム中の水が液体状態のままであるように、生物学的汚染物質含有水性ストリームは、温度及び圧力、通常は周囲温度及び圧力で器内の入口を通過する。この容器内で、生物学的汚染物質含有水性ストリームを三価ドープ酸化セリウム組成物と接触させる。三価ドープ酸化セリウムと生物学的汚染物質含有水性ストリームとの接触により、測定可能な量の生物学的汚染物質が除去され、いくつかの実施形態において、生物学的汚染物質の少なくとも90%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは99%又は99%+が除去される。
【0093】
いくつかの実施形態において、三価ドープ酸化セリウム組成物は、固定床の形態である。さらに、三価ドープ酸化セリウム組成物を含有する固定床は、通常、三価ドープ酸化セリウムを含有する粒子を含む。三価ドープ酸化セリウム粒子は、最小の背圧及び固定床を通るガス又は水性ストリームの流量で、最大三価ドープ酸化セリウム粒子表面積をガス又は水性ストリームに曝露する形状及び/又は形態を有してもよい。しかしながら、所望であれば、三価ドープ酸化セリウム粒子は、ビーズ、押出物、多孔質ポリマー構造又はモノリス等の成形体の形態であってもよい。三価ドープ酸化セリウム組成物は、そのようなビーズ、押出物、多孔質ポリマー構造又はモノリス支持体上の層及び/又はコーティングとして支持され得る。
【0094】
三価ドープ酸化セリウム組成物と生物学的汚染物質含有流体との接触は、通常、約1~約100℃、より一般的には約5~約40℃の温度で行われる。さらに、三価ドープ酸化セリウムと生物学的汚染物質含有水性ストリームとの接触は、一般に約pH1~約pH11、より一般的には約pH3~約pH9のpHで行われる。三価ドープ酸化セリウム組成物と生物学的汚染物質含有流体との接触は、一般に、約30秒超及び約24時間以下の期間にわたって行われる。
【0095】
一般に、三価ドープ酸化セリウム組成物は、任意の生物学的汚染物質、特に細菌、ウイルス、原虫(例えばアメーバ)、真菌、酵母、及びそれらの混合物を処理するために使用され得る。本開示の三価ドープ酸化セリウムは、生物学的汚染物質除去に特に有利ないくつかの特性を有する。三価ドープ酸化セリウム組成物と生物学的汚染物質を含有するガスストリーム又は水性ストリームとの接触は、ガスストリーム又は水性ストリーム中の生物学的汚染物質レベルを効果的に低減することができる。典型的には、三価ドープ酸化セリウムと生物学的汚染物質との接触は、その濃度を約75%超低減することができる。より典型的には、三価ドープ酸化セリウム組成物と生物学的汚染物質との接触は、その濃度を約80%超、より典型的には約85%超、より典型的には約90%超、より典型的には約95%超、より典型的には約97.5%超、より典型的には約99%超、さらにより典型的には約99.5%超低減することができる。生物学的汚染物質が細菌又はカビである場合、%低減は、コロニー形成単位(CFU)を使用して数によって決定することができる。生物学的汚染物質が細菌又はウイルスである場合、%低減は、最確数(MPN)によって決定することができる。
【0096】
生物学的汚染物質を除去するために空気又は水を処理する方法は、第1の濃度の1つ又は複数の望ましくない生物学的汚染物質を含有する空気又は水ストリームを、三価ドープ酸化セリウム組成物を含む材料又は組成物に通すステップと、第1の濃度未満の1つ又は複数の望ましくない生物学的汚染物質の濃度を有する処理された空気又は水ストリームを得るステップとを含む。
【0097】
ある特定の実施形態において、除去される生物学的汚染物質は、ウイルスである。三価ドープ酸化セリウム組成物を含む物品又は組成物との接触後、ウイルスの濃度は、ウイルスの目標濃度以下であり得る。空気又はガスストリームを処理する場合、接触した(又は処理された)ストリームは、ウイルスの目標濃度以下のウイルス濃度を有する。これらの実施形態うち特に、ウイルスはコロナウイルスである。
【0098】
ある特定の実施形態において、除去される生物学的汚染物質は、細菌である。三価ドープ酸化セリウム組成物を含む物品又は組成物との接触後、細菌の濃度は細菌の目標濃度以下であり得る。空気又はガスストリームを処理する場合、接触した(又は処理された)ストリームは、細菌の目標濃度以下の細菌濃度を有する。これらの実施形態のうち特に、細菌は糞便性大腸菌である。
【0099】
ある特定の実施形態において、除去される生物学的汚染物質は、原虫(例えばアメーバ)である。三価ドープ酸化セリウム組成物を含む物品又は組成物との接触後、原虫(例えばアメーバ)の濃度は、原虫(例えばアメーバ)の目標濃度以下であり得る。空気又はガスストリームを処理する場合、接触した(又は処理された)ストリームは、原虫(例えばアメーバ)の目標濃度以下の原虫(例えばアメーバ)濃度を有する。これらの実施形態のうち特に、除去される原虫(例えばアメーバ)は、ネグレリアフォーレリ(Naegleria fowleri)及び/又はクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)である。
【0100】
ある特定の実施形態において、除去される生物学的汚染物質は、真菌(例えばカビ)である。三価ドープ酸化セリウム組成物を含む物品又は組成物との接触後、真菌の濃度は、真菌の目標濃度以下であり得る。空気又はガスストリームを処理する場合、接触した(又は処理された)ストリームは、真菌の目標濃度以下の真菌濃度を有する。これらの実施形態のうち特に、除去される真菌は、トリコフィトンメンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)及び/又はアスペルギルス(Aspergillus)である。
【0101】
三価ドープ酸化セリウム組成物を含む組成物又は材料との接触後の汚染物質の濃度は、約45コロニー形成単位CFU/ml~5×105CFU/mlであり得る。目標濃度は、ml当たり一定量の汚染物質(例えば、ウイルス、細菌、アメーバ、真菌)CFUに設定することができ、又は検出限界に設定することができる。
【実施例】
【0102】
以下の例は、三価ドープ酸化セリウム組成物及び方法をより詳細に説明するために提供されるが、本発明の範囲は決してそれによって限定されない。
【0103】
FEG Zeiss ultra 55(分解能1nm)を使用して、走査型電子顕微鏡(SEM)画像を収集した。FEI Titan Themis 200(分解能0.09nm)を使用して、透過型電子顕微鏡(TEM)画像を収集した。BET/BJH法(ASTM D3663-20)により、表面積、細孔半径及び細孔容積を測定した。Micromeritics Autopore IV 9500システムを使用して、Hg多孔度及び総Hg細孔容積を測定した。ASTM International test method D 4284-07に概説されている手順に従った。粒径は、Microtrac S3500を用いて測定した。Bruker D2 Phaser X線回折計を使用して、X線回折を行った。ピーク半値幅を使用して、結晶子サイズを決定した。Malvern Panalytical(Zetaziser Nano ZS)ZEN3600を使用して、ASTM E2865-12(2018)と同様の手順を用いてpHに対するゼータ電位を測定した。理解されるように、結晶子サイズは、XRD又はTEMによって測定され、個々の結晶のサイズである。Dxxサイズは、個々の結晶子から形成され、レーザー回折によって測定される粒子のサイズである。
【0104】
例1
以下の方法により、三価ドープ酸化セリウム組成物を調製した。1mol/LのCe(NO3)4溶液129mlを、1mol/LのLa(NO3)3溶液22ml及び1mol/LのNd(NO3)3溶液1.56mlと混合した。得られた溶液を、2時間加熱還流した。次いで、5.5mol/LのNH4OHをpH10に添加した。得られた固体を濾過し、洗浄水が<15mS/cmになるまでDI水で洗浄した。得られた粉末を、炉内で空気中550℃で少なくとも2時間加熱して、La/Ndドープ酸化セリウムを得た。
【0105】
図1及び
図2は、例1の組成物のSEM画像である。画像は、形状がやや球形の多孔質材料を示す。例1の組成物のTEM画像を、
図3A~3Dに示す。画像では球のクラスタが明らかであり、回折面が確認され得る。表面積は124.83m
2/g(BET)及び98.34m
2/g(BJH)であり、細孔半径は3.413nm、細孔容積は0.25cc/gであることが分かった。測定された細孔径<0.1μmのHg細孔容積は0.2cc/gと測定され、細孔径<1μmのHg細孔容積は0.36cc/gであり、総Hg細孔容積は0.88cc/gであった。粒度分布を測定した結果、D10は1.468μm、D50は7.149μm、D90は15.547μmであった。X線回折パターンは、CeO
2の既知のパターンに類似するピークを示す。ピーク半値幅を用いて結晶子サイズを決定した結果、86.7nmであった。pH7でのゼータ電位はおよそ15.6mVであることが見出され、等電点はpH7.44であると決定された。
【0106】
比較例1
以下の方法により、酸化セリウム(IV)組成物を調製した。密閉撹拌容器内で、硝酸に溶解した硝酸セリウム(IV)アンモニウム結晶から0.12M硝酸セリウム(IV)アンモニウム溶液1リットルを調製し、およそ90℃で約24時間保持した。別個の容器に、200mlの3M水酸化アンモニウム溶液を調製し、室温に保持した。その後、2つの溶液を合わせ、およそ1時間撹拌した。得られた沈殿物を、濾紙を備えたブフナー漏斗を用いて濾過した。次いで、脱イオン水を使用して固体をブフナー内で十分に洗浄した。洗浄/濾過ステップに続いて、湿潤水和物をマッフル炉内で約450℃で3時間焼成し、酸化セリウム(IV)組成物を形成した。
【0107】
比較例1の酸化セリウム(IV)組成物は、pH7でおよそ9.5mVのゼータ電位、約pH9.1での等電点、110~150m2/gの間の表面積、およそ2μmの粒径D10、およそ9μmの粒径D50、およそ25μmの粒径D90、及びおよそ10nmの結晶子サイズを有する。
【0108】
例2
以下の方法により、三価ドープ酸化セリウム組成物を調製した。1mol/LのCe(NO3)4溶液129mlを、1mol/LのLa(NO3)3溶液24mlと混合した。得られた溶液を、2時間加熱還流した。次いで、5.5mol/LのNH4OHをpH10に添加した。得られた固体を濾過し、洗浄水が<15mS/cmになるまでDI水で洗浄した。得られた粉末を、炉内で空気中550℃で少なくとも2時間加熱して、Laドープ酸化セリウムを得た。
【0109】
例2の組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を、
図3及び
図4に示す。画像は、形状がやや球形の多孔質材料を示す。例2の組成物の透過型電子顕微鏡(TEM)画像を、
図5に示す。画像では球のクラスタが明らかであり、回折面が確認され得る。表面積は120.464m
2/g(BET)及び143.087m
2/g(BJH)であり、細孔半径は3.245nm、細孔容積は0.285cc/gであることが分かった。測定された細孔径<0.1μmのHg細孔容積は0.23cc/gと測定され、細孔径<1μmのHg細孔容積は0.45cc/gであり、総Hg細孔容積は0.99cc/gであった。上記のようにして粒度分布を測定した結果、D10は1.301μm、D50は5.545μm、D90は13.109μmであった。
【0110】
例3
以下の手順により、細菌除去特性を測定した。研究当日に、細菌培養物の純度及び濃度を調べた。参照した細菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)又は大腸菌(Escherichia coli))を、30秒間均質化し、15分間静置した。微生物チャレンジを純度についてチェックし、次いで、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈した。次いで、試験を以下のように二重に実施した:100マイクロリットルの単一希釈細菌種懸濁液を、25mLのSterile DI水に懸濁した0.25gの選択された試験材料を含む50mLコニカルチューブ(Corning)に添加し、NIST追跡可能実験室タイマーを直ちに開始した。混合物を、30秒、5分、又は30分の総接触時間にわたって周期的にボルテックスすることによって中速で均質化した。直後に、1mLの試料を、9mLのD/E中和ブロス(基準)を含有する新しい50mLチューブに移し、均質化した。研究当日に、試料を直接、及び少なくとも2回の反復で様々な希釈で分析した。陽性対照及び陰性対照を試験対象と共に実施して、実験室標準の認定されたISO17025:2017方法論による品質管理及び基準データを提供した。細菌を分析し、SM 9215Cに従って、それぞれの培地上のコロニー形成単位(CFU)として数えた。陽性対照及び試験試料の回収率に基づいて、それぞれのパーセント低減を決定した。
【表1】
【表2】
【0111】
例4
例1の組成物のウイルス除去特性。参照したウイルスのアリコートを滅菌DI水に添加し、均質化した。25mLの調製された試験水を、0.25gの試験材料を含む50mLコニカルチューブ(Corning)に添加し、NIST追跡可能実験室タイマーを直ちに開始した。混合物をオービタルシェーカー上で中速で30分間の総接触時間で均質化した。直後に、1mLの試料を、9mLのD/E中和ブロス(基準)を含有する新しい50mLチューブに移し、均質化した。回収対照は、試験物質と同じ方法で均質化及び処理した25mLの試験水を含有する滅菌チューブからなった。研究当日に、試料を直接、及び少なくとも5回の反復で様々な希釈で分析した。陽性対照及び陰性対照を試験対象と共に実施して、実験室標準の認定されたISO17025:2017方法論による品質管理及び基準データを提供した。ポリオウイルス分析を、Buffalo Green Monkey(BGM)kidney Cell Monolayersを方法EPA1615に従って使用して行った。簡潔には、ウイルスを含有する試料のアリコートを、新たに調製したBGM細胞の単層に播種した。各試料容積を、5回の反復で播種した。各試料を、最低5つの10倍希釈液を使用して分析した。次いで、細胞をダルベッコ改変イーグル培地(dMEM、Mediatech Inc.,米国)培地2%ウシ胎児血清(FBS、Mediatech、米国)中、36.5℃及び5% CO
2で5日間インキュベートした。細胞を変性の徴候について顕微鏡で日常的に監視した。感染性の徴候(細胞傷害性効果;Cytopathic effects:CPE)を示すフラスコ中の細胞を陽性(+)として記録し、いずれのCPEを示さなかった細胞を陰性(-)として記録した。次いで、試料中のウイルス感染単位(IU)の最確数(MPN)を、MPNCALCソフトウェア(バージョン0.0.0.23)を使用して計算した。陽性対照及び試験試料の回収率に基づいて、それぞれのパーセント低減を決定した。ヒトコロナウイルスOC43(ATCC VR-1558)ウイルスを、宿主としてヒト回盲部結腸直腸腺癌HCT-8細胞株(ATCC CCL-244)を使用して増殖させ、最確数(MPN)として数えた。細胞を6ウェルプレート細胞培養フラスコで増殖させた。列挙のために、ウイルスを、標準的な方法9510(APHA、2012)に記載されるアッセイ方法論に従って感染単位として列挙した。方法論はEPA/600/R-95/178及び更新EPA/600/4-84/013と等価である。簡潔には、ウイルスを含有する試料のアリコートを、新たに調製したHCT8細胞の単層に播種した(およそ90%のコンフルエンス)。各試料容積を、5回の反復で播種した。次いで、細胞をダルベッコ改変イーグル培地(dMEM、Mediatech Inc.,米国)培地2%ウシ胎児血清(FBS、Mediatech、米国)中、35℃及び5% CO
2で8~10日間インキュベートした。細胞を変性の徴候について顕微鏡で日常的に監視した。感染性の徴候(細胞傷害性効果;CPE)を示すフラスコ中の細胞を陽性(+)として記録し、CPEを示さなかった細胞を陰性(-)として記録した。次いで、試料中の感染性ウイルスの最も可能性の高い数を、MPNCALCソフトウェア(バージョン0.0.0.23)を使用して計算した。陽性対照及び試験試料の回収率に基づいて、それぞれのパーセント低減を決定した。
【表3】
【表4】
【0112】
例5
比較例1の酸化セリウム組成物のウイルス除去特性。医療分野における殺ウイルス活性を評価するための定量的懸濁試験を行った。コロナウイルス代替物であるエンベロープDNAウイルス-ワクシニアを、スクリーニングのために選択し、以下の細胞培養培地を含んでいた:イーグル最小必須培地(EMEM)+10% FBS+2% Pen/Strep(培養培地)、EMEM+2% FBS+2% FCS+1% Pen/Strep(ウイルス培地)。生成物試験濃度は、0.1±0.01g/mL-1であり、希釈剤として蒸留水を使用した。懸濁した粉末を均一になるまで液体ボルテックスした。30±5分及び4±0.3時間の2つの浸漬時間にわたる接触分析を行った。試験温度は、37±2℃及び5% CO
2のインキュベーション条件で20±2℃に維持した。妨害物質はなく、試験生成物は正常で安定しているように見えた。活性抑制法は、氷冷培地で希釈して受動沈降を促進する方法であった。濾過は、使用しなかった。
【表5】
例6
ASTM E2197(化学物質の殺菌活性、殺ウイルス活性、殺真菌活性、殺マイコバクテリア活性及び殺胞子活性を決定するための標準的な定量的ディスクキャリア試験方法)に従ってトリコフィトンメンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)の胞子を調製した。胞子懸濁液のアリコートを滅菌DI水に添加し、均質化した。試験材料を以下のように試験した:25mLの調製された試験水を、0.25gの試験材料を含む50mLコニカルチューブに添加し、NIST追跡可能実験室タイマーを直ちに開始した。混合物をロータリーミキサで中速で30分及び60分の接触時間で均質化した。各接触時間の直後に、1mLの試料を、9mLのD/E中和ブロス(基準)を含有する新しい50mLチューブに移し、均質化した。回収対照は、試験物質と同じ方法で均質化及び処理した調製試験水25mLを含有する滅菌チューブからなった。研究当日に、真菌胞子懸濁液の純度及び濃度を調べた。研究当日に、試料を直接、及び少なくとも2回の反復で様々な希釈で分析した。陽性対照及び陰性対照を試験対象と共に実施して、実験室標準の認定されたISO17025:2017方法論による品質管理及び基準データを提供した。真菌を分析し、SM 9215Cに従って、ローズベンガル寒天(BD Difco)上のコロニー形成単位(CFU)として数えた。陽性対照及び試験試料の回収率に基づいて、それぞれのパーセント低減を決定した。
【表6】
【0113】
例7
例1の材料を脱イオン水に懸濁し、クエン酸等のバインダーを水に添加する。次いで、綿布等の基材を懸濁液に少なくとも1回浸漬する。基材を除去した後、乾燥させる。得られた布は、例1の組成物のコーティングをその表面に有する。次いで、このコーティングされた布を漏斗内に置き、水が通過したときに布が漏斗内に残るようにする。次いで、大腸菌(E.coli)で汚染された水を漏斗に注ぎ、コーティングされた布と接触させる。漏斗から収集された水を分析し、大腸菌(E.coli)の濃度が低減されていることが分かる。
【0114】
例8
例1の材料を脱イオン水に懸濁し、クエン酸等のバインダーを水に添加する。次いで、綿布等の基材を懸濁液に少なくとも1回浸漬する。基材を除去した後、乾燥させる。得られた布は、例1の組成物のコーティングをその表面に有する。次いで、このコーティングされた布をエアフィルタ上に置き、布がエアフィルタの表面を覆い、空気が布を通過できるようにする。次いで、フィルタをHVAC又は室内空気濾過ユニットに配置する。装置の電源を入れると、コロナウイルスで汚染された空気がフィルタを通過する。ユニットから排出された空気を分析し、コロナウイルス濃度が低減されていることが分かる。
【0115】
例9
ポリエチレン顆粒又は粉末を、例1の材料がおよそ1重量%になるように、例1の材料と機械的に混合する。次いで、混合物を加熱チャンバに供給して、ボトル等の最終使用製品を形成する。ボトルが例1のポリエチレン含有材料から形成された後、表面を大腸菌(E.coli)に曝露することによって、ポリエチレンに対する表面を抗菌特性又は静菌特性について試験する。次いで、表面を大腸菌(E.coli)について分析し、対照よりもコロニー形成単位が少ないことが分かる。形成されたボトルに低温殺菌されたミルクを入れ、ミルクが腐敗するのに必要な時間を観察することによって、別の試験を行う。例1の材料を含まないポリエチレンボトルと比較して、ミルクは腐敗するまでにより長い時間を要する。
【0116】
特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量等の特性、反応条件等を表すすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、反対のことが示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。
【0117】
技術の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の例に示される数値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0118】
本明細書に記載の組成物及び方法は、言及した目的及び利点、並びにそれらに固有の目的及び利点を達成するようによく適合されていることは明らかであろう。当業者であれば、本明細書内の方法及びシステムは多くの方法で実施することができ、したがって、前述の例示された実施形態及び例によって限定されるものではないことを認識するであろう。これに関して、本明細書に記載の異なる実施形態の任意の数の特徴を1つの単一の実施形態に組み合わせることができ、本明細書に記載の特徴のすべてよりも少ない又は多い代替の実施形態が可能である。
【0119】
本開示の目的のために様々な実施形態を説明したが、本開示によって十分に企図される範囲内である様々な変更及び修正を行うことができる。当業者に容易に想起されるであろう、本開示の精神に包含される多数の他の変更がなされてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的汚染物質を除去するための組成物であって、
有機ポリマー、綿、ガラス繊維、又はそれらの混合物を含む支持材料と、
イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物と
を含み、
前記三価ドープ酸化セリウム組成物は、前記支持材料上又は前記支持材料内に堆積されている、組成物。
【請求項2】
前記支持材料が、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカーボナート、それらのコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される有機ポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ドーパントが、La、Nd、又はそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記支持材料が、綿である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記有機ポリマーが、ポリエチレン、ポリカーボナート、又はそれらの混合物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて約0.5~約80重量%の三価ドープ酸化セリウム組成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて約0.5~約50重量%の三価ドープ酸化セリウム組成物を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記生物学的汚染物質が、細菌、ウイルス、真菌、原虫、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、フィルタ材料又はプラスチックである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、前記生物学的汚染物質のおよそ90%以上を除去する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、前記生物学的汚染物質のおよそ99%以上を除去する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
接触時に生物学的汚染物質を除去するための方法であって、
有機ポリマー、綿、ガラス繊維又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む組成物を提供するステップと、
前記組成物を生物学的汚染物質と接触させるステップであって、前記生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、カビ、原虫、真菌、及びそれらの混合物からなる群から選択される、ステップと、
前記組成物との接触によって前記生物学的汚染物質の少なくとも約90%を除去するステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記組成物が、フィルタ材料又はプラスチックである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、前記生物学的汚染物質のおよそ99%以上を除去する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記生物学的汚染物質が、水性ストリーム中にある、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記生物学的汚染物質が、ガスストリーム中にある、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記接触させるステップが、前記組成物への固体のタッチによるものである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
生物学的汚染物質の目標濃度を設定するステップと、前記生物学的汚染物質を接触させた後に監視するステップとをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記生物学的汚染物質が、細菌、ウイルス、又はアメーバである、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
(i)ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカーボナート、それらのコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される有機ポリマーと、(ii)イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物であって、前記有機ポリマー上又は前記有機ポリマー内に堆積された三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む、生物学的汚染物質を除去するための組成物を含むプラスチック物品であって、
前記プラスチック物品の総重量に基づいて約50~約100重量パーセントの前記生物学的汚染物質を除去するための組成物を含む、プラスチック物品。
【請求項21】
前記組成物又は物品が、剛性又は弾性の形態である、請求項1に記載の組成物又は請求項20に記載の物品。
【請求項22】
流体を処理するための方法であって、
(i)有機ポリマー、綿、ガラス繊維、又はそれらの混合物を含む支持材料と、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、及びそれらの混合物からなる群から選択される三価ドーパントでドープされた酸化セリウムを含む三価ドープ酸化セリウム組成物とを含む組成物を提供するステップと、
(ii)ガスストリーム又は水性ストリームを含有する生物学的汚染物質を前記組成物と接触させるステップであって、前記生物学的汚染物質は、細菌、ウイルス、真菌、原虫、及びそれらの混合物からなる群から選択される、ステップと、
(iii)前記組成物との接触によって前記ガスストリーム又は水性ストリームから生物学的汚染物質を除去するステップと
を含む方法。
【国際調査報告】