(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】インテリジェントマイクロ波調理システム
(51)【国際特許分類】
F24C 7/02 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
F24C7/02 301N
F24C7/02 315Z
F24C7/02 340J
F24C7/02 511G
F24C7/02 551Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503821
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 US2022037598
(87)【国際公開番号】W WO2023003880
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519397541
【氏名又は名称】チェイス,アーノルド
(71)【出願人】
【識別番号】519397552
【氏名又は名称】チェイス,ウィリアム
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】チェイス,アーノルド
(72)【発明者】
【氏名】チェイス,ウィリアム
【テーマコード(参考)】
3L086
【Fターム(参考)】
3L086AA04
3L086CA04
3L086CB01
3L086CC06
3L086DA20
3L086DA24
(57)【要約】
態様は、マイクロ波オーブンが様々なアイテムの最適な調理時間をインテリジェントに自己選択して、調理過剰/不足を防止するとともに、非インテリジェントマイクロ波オーブンに固有の調理の不整合を克服することを可能にするシステムを含む。調理時間の最適化は、高周波放射、調理時間、及び/又はマイクロ波オーブンのマイクロ波空洞内のターンテーブル又はプラッタの回転又は移動を制御して、その中の内容物をより均等に加熱することによって行うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
マイクロ波エネルギー源と、
マイクロ波オーブン空洞と、
前記マイクロ波オーブン空洞内でプラッタを移動させるように構成された作動システムと、
コントローラであって、
前記マイクロ波オーブン空洞内で加熱される標的物体の1つ以上のパラメータを決定するステップと、
前記1つ以上のパラメータに基づいて前記標的物体のベースライン分析を実行して、前記標的物体の加熱計画を決定するステップと、
前記マイクロ波エネルギー源を通電している間に、前記加熱計画及び1つ以上の観察された条件に基づいて、前記プラッタの位置及び運動速度を変更するように作動システムを制御するステップと、
前記標的物体の加熱が完了したと決定するステップと、
を行うように構成された、コントローラと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記1つ以上のパラメータは、前記システムの操作制御部のユーザインターフェースを通じて受信した入力に基づいて決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ以上のパラメータは、前記標的物体の冷凍状態又は非冷凍状態を指定する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記加熱計画の1つ以上の態様は、前記標的物体の前記冷凍状態と前記非冷凍状態の間で異なる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のパラメータは、調理レベルの好みを指定する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記ベースライン分析は、前記マイクロ波エネルギー源を通電することと、前記作動システムを制御して運動サイクルを通して前記プラッタを移動させることと、前記マイクロ波エネルギー源に関連するエネルギーパラメータを観察することとを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ベースライン分析は、前記運動サイクルを通して観察される前記エネルギーパラメータに基づいて、前記標的物体のヒートマップを生成し、前記加熱計画は、前記標的物体の温度プロファイルを均質化するためにエネルギー送達の増加又は減少が望まれる、1つ以上のセグメントを決定することを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記作動システムを制御するステップは、前記プラッタの移動を加速すること、前記プラッタの移動を減速すること、及び/又は前記1つ以上のセグメントのための揺動パターンで前記プラッタの位置を交互にすることのうちの1つ以上を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ヒートマップは、前記標的物体が加熱されるときの前記エネルギーパラメータに対して検出された変化に基づいて調整される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ以上の観察された状態は、前記標的物体によって受け入れられるエネルギー、入力エネルギー、及び/又は前記マイクロ波オーブン空洞内の温度のうちの1つ以上を監視することによって決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記標的物体の加熱は、較正可能な完了閾値を下回る前記標的物体によるエネルギー吸収の変化を検出することに基づいて、完了したと決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記標的物体の加熱は、前記標的物体による前記エネルギー吸収に関連する誘電損失パラメータを監視することと、終端温度に関連する前記誘電損失パラメータの目標値に達することとに基づいて、完了したと決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
マイクロ波オーブン空洞内で加熱される標的物体の1つ以上のパラメータを決定するステップと、
前記1つ以上のパラメータに基づいて前記標的物体のベースライン分析を実行して、前記標的物体の加熱計画を決定するステップと、
マイクロ波エネルギー源を通電している間に、前記加熱計画及び1つ以上の観察された条件に基づいて、前記マイクロ波オーブン空洞内のプラッタの位置及び運動速度を変更するように作動システムを制御するステップと、
前記標的物体の加熱が完了したと決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記1つ以上のパラメータは、前記標的物体の冷凍状態又は非冷凍状態を指定し、前記加熱計画の1つ以上の態様は、前記標的物体の前記冷凍状態と前記非冷凍状態の間で異なる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ベースライン分析は、前記マイクロ波エネルギー源を通電することと、前記作動システムを制御して運動サイクルを通して前記プラッタを移動させることと、前記マイクロ波エネルギー源に関連するエネルギーパラメータを観察することとを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ベースライン分析は、前記運動サイクルを通して観察される前記エネルギーパラメータに基づいて、前記標的物体のヒートマップを生成し、前記加熱計画は、前記標的物体の温度プロファイルを均質化するためにエネルギー送達の増加又は減少が望まれる、1つ以上のセグメントを決定することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記作動システムを制御するステップは、前記プラッタの移動を加速すること、前記プラッタの移動を減速すること、及び/又は前記1つ以上のセグメントのための揺動パターンで前記プラッタの位置を交互にすることのうちの1つ以上を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ヒートマップは、前記標的物体が加熱されるときの前記エネルギーパラメータに対して検出された変化に基づいて調整される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上の観察された状態は、前記標的物体によって受け入れられるエネルギー、入力エネルギー、及び/又は前記マイクロ波オーブン空洞内の温度のうちの1つ以上を監視することによって決定される、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記標的物体の加熱は、較正可能な完了閾値を下回る前記標的物体によるエネルギー吸収の変化を検出することに基づいて、完了したと決定される、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
コントローラによって、マイクロ波調理システムのマイクロ波オーブン空洞内で加熱される標的物体に対して自動撹拌が選択されているかどうかを決定するステップと、
前記コントローラによって、自動撹拌が選択されたとの決定に基づいて、前記標的物体の撹拌プロファイルを決定するステップと、
第一の加熱段階が完了するまで、前記マイクロ波調理システムのマイクロ波エネルギー源を通電するステップと、
前記マイクロ波調理システムの作動システムを制御して、前記マイクロ波エネルギー源を通電停止している間に前記撹拌プロファイルに基づいて、前記標的物体の位置及び運動速度を変更するステップと、
第二の加熱段階が実行される予定であるとの決定に基づいて前記マイクロ波エネルギー源を通電するステップと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記運動速度は、前記撹拌プロファイルの積極的設定に基づいて設定される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記標的物体が置かれる前記マイクロ波オーブン空洞内のプラッタは、1つ以上の把持部材を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第二の加熱段階が実行された後、前記マイクロ波エネルギー源を通電停止している間に前記撹拌プロファイルに基づいて、前記標的物体の前記位置及び運動速度を変更するように前記作動システムを制御するステップ
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年7月20日に出願された米国仮出願第63/223,683号の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示される主題は、概して調理システムに関し、より具体的には、インテリジェントマイクロ波調理システムに関する。
【背景技術】
【0003】
最近60年間にわたって、マイクロ波オーブン(microwave ovens)は、商業用使用と家庭用使用との両方において、普及してきたが、基礎となる制御技術は、依然としてユーザが手動で調理時間を入力することを必要とし、本質的に変化しないままである。この結果、マイクロ波オーブンのユーザは、マイクロ波オーブン内で加熱されるアイテムに最も適した調理時間及び電力設定に関して推測することになる。
【発明の概要】
【0004】
開示されるのは、1つ以上の電力特性を監視し、システム動作中に1つ以上の動作パラメータを調整するように構成されたマイクロ波調理システムである。
【0005】
実施形態は、システム、方法、及びコンピュータプログラム製品を含むことができる。
【0006】
一態様によれば、システムは、マイクロ波エネルギー源と、マイクロ波オーブン空洞と、マイクロ波オーブン空洞内でプラッタを移動させるように構成された作動システムと、コントローラとを含む。コントローラは、マイクロ波オーブン空洞内で加熱される標的物体の1つ以上のパラメータを自己決定するステップと、1つ以上のパラメータに基づいて標的物体のベースライン分析を実行するステップと、標的物体の加熱計画を自己決定し、作動システムを制御して、マイクロ波エネルギー源を通電している間に加熱計画及び1つ以上の観察された条件に基づいてプラッタの位置及び運動速度を変更し、標的物体の加熱が完了したときを自己決定するステップと、を行うように構成される。
【0007】
一態様によれば、方法は、マイクロ波オーブン空洞内で加熱される標的物体の1つ以上のパラメータを決定するステップと、1つ以上のパラメータに基づいて標的物体のベースライン分析を実行して、標的物体の加熱計画を決定するステップとを含む。方法は、また、マイクロ波エネルギー源を通電している間に、加熱計画及び1つ以上の観察された条件に基づいて、マイクロ波オーブン内のプラッタの位置及び運動速度を変更するように作動システムを制御するステップとと、標的物体の加熱が完了したと決定するステップと、を含む。
【0008】
一態様によれば、方法は、コントローラによって、マイクロ波調理システムのマイクロ波オーブン空洞内で加熱される標的物体に対して自動撹拌が選択されているかどうかを決定するステップと、コントローラによって、自動撹拌が選択されたとの決定に基づいて、標的物体の撹拌プロファイルを決定するステップと、を含む。マイクロ波調理システムのマイクロ波エネルギー源は、第一の加熱段階が完了するまで通電される。マイクロ波調理システムの作動システムは、マイクロ波エネルギー源を通電停止している間に撹拌プロファイルに基づいて、標的物体の位置及び運動速度を変更するように制御される。マイクロ波エネルギー源は、その後、第二の加熱段階が実行される予定であるとの決定に基づいて通電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の説明は、決して限定的であると見なされるべきではない。添付の図面を参照すると、同様の要素には、同様の番号が付されている。
【0010】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態によるインテリジェントマイクロ波調理システム(IMCS)の例示的な概略レイアウトを示す。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態によるIMCSのための調理プロセスを示す。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態によるIMCSのための調理プロセスの別の例を示す。
【
図4】本発明のいくつかの実施形態に従って、回転ターンテーブルを使用するIMCS調理セッションの例示的なヒートマップを示す。
【
図5A】本発明のいくつかの実施形態に従って、側方運動プラッタを使用するIMCS調理セッションの例示的ヒートマップを示す。
【
図5B】本発明のいくつかの実施形態に従う
図5Aの「ヒートマップ」の代表的なデータ出力を示す。
【
図6】様々な周波数及び温度での水の誘電損失グラフを示す。
【
図7】様々な温度における2.45GHzでの水の誘電損失グラフを示す。
【
図8】様々な温度における2.45GHzでの水の誘電損失グラフで、本発明のいくつかの実施形態に従って、様々な温度での使用について示された例示的なIMCSロジック経路アルゴリズムを用いたものを示す。
【
図9】本発明のいくつかの実施形態によるIMCSロジック回路図を示す。
【
図10A】本発明のいくつかの実施形態によるIMCSロジックに提示され、それによって分析され得る例示的なヒートマップを示す。
【
図10B】本発明のいくつかの実施形態による、
図10Aに示す「ヒートマップ」の代表的なデータ出力を示す。
【
図11】本発明のいくつかの実施形態による加熱プロセスを示す。
【
図12】本発明のいくつかの実施形態による自動撹拌プロセスを示す。
【
図13】本発明のいくつかの実施形態によるIMCSの撹拌システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
開示される装置及び方法の1つ以上の実施形態の詳細な説明は、図面を参照して、本明細書に、例示として提示され、限定するものではない。
【0012】
本発明の実施形態は、インテリジェントマイクロ波調理システム(IMCS)を含み、このIMCSは、マイクロ波オーブン操作で最も問題となる側面の1つで、大量の食品アイテムの調理を満足いくように一貫して制御できないという問題を大いに克服する。非マイクロ波オーブンは、アイテムをはるかにゆっくりと調理し、アイテムを調理するために必要なこの固有の時間の長さのために、そのようなオーブンは、調理されたアイテム自体の中の固有の熱移動を利用することができる。これによって、従来通り調理されたアイテム内の熱均一性の強化された対策が可能になる。マイクロ波オーブンの調理時間は、しばしば、秒単位で測定されるので、この方法で調理されたアイテムの大半は、最終的には、調理不足、調理過剰、又は不均一に調理される。さらに、マイクロ波加熱調理されたアイテムは、しばしば、数分間着座する(すなわち、調理後)ことが必要とされ、及び/又は調理されたアイテム内で少なくともある程度の熱移動が可能になるようにするために消費前に撹拌することが必要とされるので、時間を浪費し、加熱調理後のアイテムの全体的な温度の低下が犠牲になる。この差は、特に冷凍アイテムにおいて明白であり、食品の一部分は依然として冷凍に近いままであり得るが、食品の他の部分は、美味しく消費できる時点を超えて調理過剰になる。
【0013】
マイクロ波オーブンは、高周波(RF)エネルギーを使用することによって食品を調理し、RFエネルギーは、食品内の水分子を励起して、振動させ、次いで、アイテムを調理するための熱を生成する。(限定するものではないが)マイクロ波オーブン内のマグネトロンによって典型的に生成されるRFエネルギーの技術的限界により、マグネトロンの実際のRF出力電力レベルは、マグネトロン動作の常時、固定(例えば、100%)出力レベル(又はその小さなサブセット内)にとどまる必要がある。ほとんど全てのマイクロ波オーブンが「電力レベル」制御を含むが、これらの制御は、単に「デューティサイクル」、又はマグネトロンによる完全なRF生成のオン/オフ動作時間の割合を変更するだけ。典型的には、マイクロ波オーブンが「フル」パワーに設定されると、この設定は、マグネトロンによって生成されるRFエネルギーの連続的な(途切れない)生成をもたらす。より低い「電力」設定は、単に、完全「オン」状態と完全「オフ」状態との間で、マグネトロンの交互動作を引き起こし、「オフ」時間の割合は、「電力」レベルが低下するにつれて増加する。このように、選択された所望の電力レベルが低いほど、選択された時間中に生じる平均電力出力は少なくなり、これはより低い「デューティサイクル」として認識される。
【0014】
ユーザによって選択された「電力」レベルの設定にもかかわらず、全体的な調理時間と「電力レベル」の選択の両方の選択は、せいぜい、単にユーザによる推測である。個人は、典型的には、調理されるアイテムの正確な重量、アイテムに含まれる水又は氷のパーセンテージ、調理前又は後のアイテムの正確な温度、オーブンの実際の出力電力定格/ワット数、又はアイテムを適正/最適に調理するために必要とされる他の関連情報を知らない。さらに、マイクロ波オーブンのユーザは、食品に所望の熱を生成するためにエネルギーの変換を決定できる可能性は低い。包装されたアイテムに印刷され得る調理指示/推奨調理時間であっても、典型的には、包装された食品を適切に調理しようと試みるために、一連の追加の独立した手動で行われるステップがあり得る。マイクロ波オーブン製造業者のモデルの変動でも、マイクロ波オーブン空洞内の食品アイテム位置のわずかな変動でさえも、調理結果が変わることがある。
【0015】
オーブンで調理すべき時間、及びどの事前設定電力レベル(デューティサイクルのパーセンテージ)を選択された調理セグメント全体で使用するかをユーザが手動で選択する代わりに、例示的な実施形態では、IMCSは、調理されたアイテム自体をオーブンと動的に対話させ、アイテムを調理する時間を決定するようにオーブンに直接命令させ、加えて、オーブンと動的に相互作用し、例えば、調理されたアイテムによって実際に受け入れられ吸収されているエネルギーをリアルタイムで監視することによって、任意の所与の時間にどの電力レベル(デューティサイクル)で利用するかを動的に決定するようにオーブンに命令する。この設計は、オーブン自体が、アイテムが調理過剰になる前に調理プロセスをいつ停止するかを自動的に決定することを可能にするだけでなく、加えて、IMCSは、監視されるアイテムがオーブンによって十分に調理されたと見なされない場合、調理されるアイテムの典型的な調理時間を自動的に延長することができる。さらに、調理又は加熱されているアイテムが、その検出された[調理]エネルギーの吸収において領域エリア不整合を有する場合(これは、アイテムの一部のエリアが調理不足になり、その一方で、アイテムの他の領域は調理過剰になる場合がある)、IMCSは、電力出力、調理時間、及び調理中にアイテムの特定の部分に送達されるエネルギー等の複数の側面を動的に制御することができる。例えば、IMCSは、アイテムのそれらの部分のみに対して、すなわち、アイテムの他の部分に対して異なる/不整合な量の調理エネルギーを吸収したと既に決定されたそれらの部分のみに対して送達される調理エネルギーの量を同時に減少又は増加させることができ、したがって、マイクロ波オーブンに独特のインテリジェンスのレベル及び調理整合性をもたらす。
【0016】
マイクロ波調理デバイスは、生成及び送達されるマイクロ波エネルギー自体の物理的特性によって引き起こされる固有の共通の制限を共有する。より具体的には、マイクロ波又はそのための任意の無線周波数波は、生成される各周波数に関連する特定の物理的共振波長特性を有する。マイクロ波オーブンによって生成されるマイクロ波エネルギーは、本質的にマイクロ波空洞であるものに供給されるので、これは、本質的に、空洞、すなわち「マイクロ波オーブン」の内側に不均一な波パターンを設定し、これは、反射、位相干渉、相殺等によって引き起こされ、ホットスポット、「ヌル」エネルギーエリア等を生成する。さらに、マイクロ波オーブンとともに典型的に使用されるマグネトロンのタイプは、「精密」デバイスではないので、例えば、レーダー等の「精密」デバイスに典型的な設定又は特定の出力周波数を保持することができない。生成される出力周波数のこの固有の不安定性のために、特定の出力周波数及びその固有の物理的特性に対して最適化されるようにマイクロ波オーブン空洞を物理的に「仕立てる」ことはほとんど不可能である。この正味の結果は、マイクロ波調理に関連するエネルギー均一性送達のあまりにも典型的な欠如という形で現れる。
【0017】
オーブン空洞内のエネルギー均一性がないので、均質な性質の食品でさえも均等に加熱又は調理する能力は、根本的に課題となっている。マイクロ波空洞内のエネルギー分散均一性のこの欠如を軽減する試みにおいて、オーブン空洞内のエネルギーの不整合に対処し、さらに取り除く試みにおいて、RFパドル撹拌器の追加、食品ターンテーブルの回転等の様々な適応が長年にわたって開発されてきた。これらの適応は、空洞内のエネルギー均一性を高めるのにわずかにしか役立たなかったし、均一なレベルの調理を一貫して達成するという目標は、食品自体の不整合な構成及び組成によって依然として本質的に妨げられている。これにより、加熱される食品アイテムの異なる部分間で吸収されるエネルギーの速度が異なる可能性がある。調理後、食品アイテムの一部が非常に温かくなる一方で、同じ食品アイテムの他の部分がまだ冷凍状態又は低温状態にあることは、非常に典型的に生じる。
【0018】
先に指摘したように、マイクロ波オーブンのRFエネルギーは、水分子を振動させ、その結果、食品自体の中で熱が発生する。したがって、たとえ完全に一貫したエネルギー分布がマイクロ波空洞内で作り出されることができたとしても、食品自体の組成が原因で、調理/加熱の均一性の欠如が依然として存在することになる。次いで、マイクロ波オーブン内のエネルギー均一性の欠如が食品均一性の固有の欠如と組み合わされる場合、マイクロ波オーブンが理想的な結果を典型的に一貫して得られない理由は明らかになることがある。
【0019】
本発明の実施形態では、IMCSは、多くの点で従来のマイクロ波調理手法とは異なる。第一に、オペレータが調理又は加熱の開始前に所望の調理時間を手動で設定する要求がなく、IMCSは、調理プロセス中に食品又は他のマイクロ波オーブンで処理されたアイテム自体のエリアに送達され、吸収されるエネルギーのタイミング及び実際の量を直接的かつ動的に監視及び制御することができる。ユーザは、時間の近似を行う代わりに、食品によって吸収されるエネルギーを測定するIMCS特徴を使用することによって、食品のエネルギー飽和(例えば、加熱)を指定することができる。
【0020】
従来のマイクロ波調理アプローチは、様々な「自動」加熱、解凍、再加熱、又は他のいわゆる「スマート」調理オプションを提供しようと試みてきたが、これらの設計は、最適な調理時間を決定するために調理又は加熱プロセスを直接監視する能力に欠けている。そのようなアプローチは、単に、アイテムの全体的な温度を感知する、あるいは調理又は加熱されているアイテムによって生成されている蒸気の量を感知する等、全体的な二次的な状態又は結果として生じる状態を監視するにすぎない。これらの「間接的な」代理感知方法は、例えば、生成される蒸気のレベルと調理又は解凍されるアイテムの完全性との間の相関を一般化するために、オペレータが調理されるアイテムのサイズ及び/又は重量を手動で(及び正確に)示すことをさらに必要とする。さらに、そのような「間接的な」方法は、アイテム内の調理又は加熱の均一性を確実にするための能力又は制御を提供せず、したがって、調理又は加熱されているアイテムの部分が調理過剰又は調理不足になり、調理又は加熱の均一性に欠けるという結果をもたらす。これらの試みは、水分子の加熱がマイクロ波空洞内の無線周波数波と直接交差するものに限定されるというマイクロ波調理の直接問題に対処することを試みていない。蒸気/温度測定は、交差した分子から生じる熱又は蒸気を測定するが、交差していない分子から生じる熱又は蒸気を測定していない。
【0021】
対照的に、IMCSは、調理/加熱セッションの過程で送達される異なるエネルギーレベルの実際の標的割り当てを結果的にもたらす、継続的な動的監視を提供することができ、したがって、アイテムの調理又は加熱の実質的な均一性を提供する。さらに、IMCSは、いわゆる「自動」調理の制限、典型的には、アイテムが冷凍されていること、又は水含有量が高いことを必要とすることといった制限がない。
【0022】
「典型的な」マイクロ波オーブンは、多くの場合、回転速度一定のターンテーブル又は横方向に移動するプラッタのいずれかを備え、これは、エネルギー伝達の変動する場所及び結果として生じるエネルギー吸収を機械的に補償しようとして、調理中にその上に置かれるものを常に移動させる。非インテリジェントマイクロ波オーブンは、調理又は加熱されるアイテムの位置調整と、典型的でない電力レベルを経験している空洞内のエリアとの間にインテリジェントな相関関係を有さない。そのような連続的な「ランダムな」ターンテーブル回転又はプラッタ移動は、調理されたアイテムへのマイクロ波オーブンのエネルギー送達を盲目的に平均化しようという試みであるが、その一方で、依然として、アイテムの特定のエリアを標的化する能力に欠けている。理論的には、単純なターンテーブル回転又はプラッタシフトは、吸収されるエネルギーの均一性を改善するはずであるが、典型的なマイクロ波オーブンにおけるエネルギーシフト位置は、依然として本質的にランダムであり、これは、依然として、調理又は加熱されたアイテムには、典型的な調理過剰/調理不足部分が生じる。本質的に、そのようなアプローチは、均一化を試みて、成し遂げるために、十分なランダム性を積み重ねることによって均一加熱を達成しようとする
【0023】
マイクロ波オーブンによって調理されるように設計された事実上あらゆる事前包装された食品は、通常、「調理時間は、異なるオーブン電力レベルに伴って変動することがある」等のように、その包装上に調理の免責事項があることを特徴とする。この免責事項が必要なのは、パッケージ及び部分のサイズが異なるためで、各アイテムの物理的構成、調理セッション中に存在する同時に調理されるアイテムの数、アイテムの事前調理された周囲温度、マイクロ波内のプラッタ上の位置、及びマイクロ波モデル自体は、全てが影響を及ぼし、そのセッションのための最適な調理時間が変動し得るからである。したがって、アイテムの調理過剰/調理不足を回避するために、マイクロ波調理セッションごとに適切な調理時間を正確に手動で計算し、補償し、決定することを、人が「臨機応変」に(on the fly)」行うことは事実上不可能である。
【0024】
本開示の目的のために、「サイクル」は、加熱又は調理される標的物体全体の1つの完全な物理的回転及び「走査」を含む。IMCSによって「サイクル」を完了する物理的プロセスは、いくつかの形態をとることができる。まず、円形プラッタは、中心軸の周囲を360°行程で回転させてもよい。あるいは、矩形プラッタは、オーブン空洞内で予め設定された「左右」の線形又は楕円形の行程運動を完了させてもよい。これら及び他のそのような実施形態は、加熱又は調理されている物体の表面積の少なくとも全てが、走査されている物体内の表面積の各部分を表す送達される電力(例えば、誘電損失として)の付随記録とともに走査されていることを確実にするように設計される。
【0025】
回転ターンテーブルを利用する実施形態は、サーボモータ、位置エンコーダ、「回転終了」位置インデックス、又は回転サイクルの完了を追跡するための基準としての役割を果たす何らかの他の同様のデバイスマーキングを装備することができる。回転プラッタの中心は、加熱又は調理されるアイテムのおおよその中心と並ぶことを意味する。この位置決めインジケータを、例えば、アントレ及びサイドディッシュのコンパートメントパッケージングと併せて使用することにより、IMCSロジックが個々のセクタ領域を別々に分析することをさらに可能にすることができる。「セクタ」及び「セクション」という用語は、本明細書では互換的に使用される。同様に、プラッタは、前後のセンタリング標的位置を示す横位置表示線を備えていてもよい。
【0026】
ここで図面を参照すると、
図1は、本発明のいくつかの実施形態によるIMCS110(システム110とも呼ばれる)の例示的な概略レイアウトを示す。
図1は、IMCS110の例示的な概略レイアウトを表し、ユーザインターフェースを提供する操作制御部111を含んでいる。マイクロ波エネルギーは、マグネトロン等のマイクロ波エネルギー源118によって生成されるように、導波管開口部117を通してIMCS110のマイクロ波オーブン空洞116に入る。中心回転点115を有する回転プラッタ等のプラッタ112は、食品又は飲料等の標的物体をマイクロ波オーブン空洞116内で支持するように構成されることができる。プラッタ112は、回転サイクルが完了したことを処理システムに示すために、プラッタ112が「ホーム」位置にあるときに位置センサ114に信号を送る位置「ホーム」又は「スタート」位置インジケータ113を備えることができる。モータ等の作動システム119は、プラッタ112の位置及び運動速度を変更するように制御され得る。
【0027】
IMCS110のコントローラ120は、少なくとも1つの処理回路122を有する処理システムと、メモリシステム124と、入力/出力インターフェース125と、電力調整回路126とを含むことができる。処理回路122は、当技術分野で知られている任意のタイプのプロセッサ、マイクロコントローラ、又はプログラマブルロジックデバイスであり得る。メモリシステム124は、IMCSロジック(例えば、制御法則命令及びデータ)を通して、IMCS110を動作及び制御するのに使用される実行可能命令及び/又はデータを記憶するための揮発性及び不揮発性メモリを含むことができる。入力/出力インターフェースは、ユーザ入力(例えば、操作制御部111を介する)及びセンサ入力(例えば、電力/電流センサ、位置センサ、温度センサ、ドアセンサ等)等の入力を受信することができる。入力/出力インターフェース125は、マグネトロン、モータ、ライト、ファン、ディスプレイ等の出力を駆動することができる。入力/出力インターフェース125は、また、操作制御部111のユーザインターフェース134(例えば、キーパッド)を介してユーザ入力を受信し、操作制御部111のユーザディスプレイ136上に出力を生成することができる。電力調整回路126は、IMCS110内での様々な使用のために入力電力を変換することができる。いくつかの実施形態では、IMCSは、1つ以上の他のシステム又はデバイスとの通信を確立するための通信インターフェースを含んでもよい。IMCS110は、また、位置センサ114に加えて、入力電力130を監視するように動作可能なエネルギーセンサ128、温度センサ132、及び他のそのようなセンサ等の1つ以上のセンサを含むことができる。エネルギーセンサ128は、電流センサ又はエネルギー使用(例えば、マグネトロンへの入力電力)を決定することができる他のタイプのセンサ、ならびにRF出力(送達されたRFエネルギー)レベルセンサであることができる。エネルギーセンサ128は、ファン及びモータ等の他の電気構成要素の電気的に下流にあり、マグネトロン電流引き込みを検出するようにマグネトロン入力に近接する、感知位置として配置することができる。
【0028】
実施形態において、IMCS110は、回転ターンテーブル又はプラッタ112としての横方向シフトプラッタのいずれかを備えることができる。IMCS110内では、ターンテーブル又はプラッタの運動は、単純なランダム連続運動機能を超えて前進するように、インテリジェントかつ動的に位置付けられ、制御され、操作されることができる。IMCSターンテーブル及びプラッタは、「従来の」ターンテーブル及びプラッタとは数多くの点で異なる:第一に、ターンテーブル又はプラッタの回転又は側方移動速度は、調理セッション中に、連続的かつ動的に変化してもよい。第二に、IMCSターンテーブル及びプラッタは、動的双方向様式で動作可能であり得る。双方向動作内では、物理的なターンテーブル又はプラッタの移動は、小さな角度の弧を中心とする単純な「前後」(例えば、時計回り/反時計回り)の交互の方向の移動からの範囲であってもよく、又は移動は、また、ターンテーブル回転又はプラッタ領域全体のより大きな角度の「スライス」又はセクタ走査で動作してもよい。単一の調理サイクル内で、ターンテーブル又はプラッタの回転又は移動は、IMCSロジックによって動的に制御することができ、単方向様式(例えば、単一の全体的な回転又は移動サイクル内で回転又は移動速度を変化させる)で動作してもよく、又はプラッタ112は、各回転又は移動サイクル内でいくつかの異なる移動パターンの組み合わせで動作してもよい。単一の回転又は移動サイクルの部分は、また、連続的な単一速度ターンテーブル回転又はプラッタ移動を伴うセクタの組み合わせ、異なるターンテーブル回転速度又はプラッタ移動速度のために命令される複数の独立したセクタ、単一の全体的移動サイクル内の独立したセクションの「前後」回転又は移動速度を利用してもよい。さらに、ターンテーブル又はプラッタは、追加の集中エネルギーが特定のスポット又は領域に送達されることを可能にするために、回転又は移動を完全に停止させる時間の間、IMCSロジックによって命令されてもよい。単一サイクル内のターンテーブル又はプラッタの動きの特定のセクションのみを具体的に変化させる目的は、IMCSロジックが、実質的に標的物体のあらゆる領域に提示されるマイクロ波エネルギーを動的に変更することによって、調理される任意のアイテム内の熱/エネルギー吸収不整合の特定の非対称の「標的」領域を感知及び緩和する能力を可能にすることである。特定の食品の種類に応じて、「従来の」修正デューティサイクル動作は、IMCS動作要素と組み合わせて、水が液体形態で低含水量アイテム中に存在する時間を延長し、より良好な熱吸収プロファイルを作成するときに望ましい場合がある。さらに、制限された実際のRF電力低減が可能なインバータ電源を備える実施形態も、IMCSロジック及び制御システムに統合することができる。
【0029】
IMCS110は、例えば、2つの異なる経路を介して、動的監視及び分析を実行すること、すなわち、1)調理/加熱の完了状態を決定するために、完了した掃引ごとに、その以前の掃引と比較することを目的として、IMCSロジックによって送達される合計/全体のRF又は一次入力電力を監視して、IMCSロジックが調理/加熱プロセスを継続すべきか、又はプロセスを終了すべきかを制御すること、及び/又は2)調理又は加熱されるアイテムの各領域/セクタ/部分に送達され、受け入れられる瞬間の実際のRF電力レベルを決定することができる。
【0030】
実施形態では、IMCSは、各サイクル内の標的物体の各領域/セクタ/部分からの電力受容特性を動的に「学習」するために、ターンテーブル又はプラッタの運動を使用することができ、こうして、プラッタ回転の特定の角度位置又はプラッタの横方向位置で受け入れられるエネルギーレベルを定義することによって、調理されているアイテムによって以前に送達及び吸収されたエネルギーの量に対して各物理的位置を照合することによって、IMCSロジックのためのその掃引の位置「マップ」を作成する。本質的に、以前の回転又は移動走査のこの記録は、いわゆる「ヒートマップ」を作成し、ヒートマップの「強度」軸の高さは、ターンテーブル又はプラッタの任意の所与のセクションに既に送達されたエネルギーの累積及び/又は以前の量を表す。ヒートマップ内のデータは、IMCSロジックによって使用され、その後、所与の場所における標的食品アイテムによってさらに吸収されるエネルギーの量を等化することができ、このことは、調理セッションが完了した直後に、調理されたアイテム内で熱移動が生じるのを待つ必要なく、本質的に優れた熱均一性につながる。
【0031】
より速い及び/又はより強い運動等の修正された動作パラメータを有するプラッタ112は、空洞にエネルギーが送達されない間に、表面領域上のアイテムがより高い「G」力及び/又は「ジャーキーな」開始/停止及び/又は修正された円形運動(偏心)を受けることを可能にし、これにより、パッケージ内のソース等が横方向に広がり、調理中または加熱中の固体成分と混合する。プラッタ112は、そのような包装をプラッタ112の固定場所に固定するために、クリップ、可撓性ストラップ、より高い摩擦領域、又は食品容器又は事前包装された冷凍食品の場合に使用される他の把持もしくは保持器具等の1つ以上の把持部材140を含むことができる。自動撹拌は、有利には、調理プロセス内の優れた均一性をさらに達成するために、調理プロセスを手動で中断して、サイクルの途中でアイテムを除去し、カバーを剥がし、調理されている内容物を撹拌又は混合し、カバーを交換し、アイテムをプラッタ112に戻す必要性を排除するであろう。自動撹拌は、標的物体の撹拌プロファイルに従って実行することができ、コントローラ120は、作動システム119を駆動して、例えば、マイクロ波エネルギー源118を通電停止している間に、撹拌プロファイルに基づいて、プラッタ112の移動を制御する。
【0032】
プラッタ112は、任意のタイプのターンテーブル、長方形のプラッタ、又は標的物体がその上に配置及び移動制御され得る表面を有する他のそのような可動構成要素であり得る。したがって、「ターンテーブル」、「プラッタ」、又は標的物体の制御された加熱及び/又は撹拌のための可動表面を提供することができる他のそのようなアイテムへの言及は、概して、本明細書では「プラッタ」と呼ばれる。さらに、プラッタ112は、円形、長方形、又は他のそのような幾何学形状等の任意の好適な形状を有することができる。
【0033】
図2は、本発明のいくつかの実施形態によるIMCSのための調理プロセス200を示す。調理プロセス200は、
図1のIMCS110を使用して実施することができる。ブロック202において、ユーザは、
図1のプラッタ112上の容器内の食品等の標的物体が冷凍か非冷凍かを選択することができる。ブロック204において、ユーザは、食品タイプを選択することができる。食品タイプは、調理プロセスに影響を及ぼし得る水又は塩の含有量が多い可能性が高い食品を区別するのに役立ち得る。選択は、ユーザインターフェース134で受信されるユーザ入力を通じて行うことができる。
【0034】
ブロック206において、コントローラ120によって実行されるIMCSロジックは、予備電力掃引を行うことができる。予備電力掃引は、位置インジケータ113が最初に位置センサ114と整列し、プラッタ112が完全回転又は左右運動のために定位置で循環されるように、プラッタ112を位置付けるように作動システム119を制御してもよい。コントローラ120は、マイクロ波エネルギー源118を通電し、作動システム119を制御して、マイクロ波エネルギー源118に関連するエネルギーパラメータを観察しながら全サイクルを通してプラッタ112を移動させることができる。例えば、プラッタ112が円形プラッタである場合、プラッタ112は、回転の様々なセグメントにおける電力利用を決定するために、エネルギーセンサ128を監視しながら、360度回転させることができる。プラッタ112が横方向にシフトするプラッタである場合、プラッタ112は、ホーム位置を再確立するために、一方向の最高位置に移動され、その後、反対方向の最高位置に(例えば、右端から左端に)移動することができる。
【0035】
ブロック208において、ブロック206で収集されたデータに基づいて、ヒートマップの初期バージョンを生成することができる。ブロック210において、コントローラ120は、以前の掃引との送達電力レベルの比較に基づいて、プラッタ112のターンテーブル/プラッタのデューティサイクル及び/又は運動を修正するIMCSロジックを用いて、プラッタ112の後続の掃引(すなわち、運動のサイクル)を行うことができる。サイクルの掃引がさらに実行され、エネルギーパラメータの変化が観察されるにつれて、ヒートマップを更新することができる。ブロック212において、IMCSロジックは、調理/加熱セッションの終了を決定することができる。終了は、プラッタ112の完全な移動掃引中に送達される総平均電力の減少を観察したこと、又は固定時間量後に停止するのではなく、完全な掃引サイクル中に掃引の全てにわたって送達される電力が所定の均一性(例えば、セクション/セクタ送達電力変動の減少)を達成したことに基づくことができる。
【0036】
図3は、本発明のいくつかの実施形態によるIMCSのための調理プロセス300の別の例を示す。プロセス300は、
図1のIMCS110を使用して実行することができる。ブロック302において、プロセス300は、開始し、ブロック304に続く。ブロック304において、冷凍状態と非冷凍状態との間の選択が決定される。ブロック304で冷凍アイテムが選択されていることに基づいて、ブロック306において、調理方法の間で選択が実行される。
【0037】
ブロック308での手動調理選択に基づいて、ブロック310において、
図1のIMCS110を制御するために、従来の調理タイマ方法を選択することができる。ブロック312における自動調理方法選択に基づいて、ブロック314において、さらなるパーソナライゼーション選択を行うことができ、これは、食品アイテムのタイプをさらに識別することができる。ブロック316において、調理レベルバイアスを入力して、例えば、食品アイテムを好ましい高温又は低温の最終温度に加熱することができる。前記バイアス選択は、アイテム毎に変更されてもよく、又は全体的な個々の好みに適合するようにメモリ内に保持されてもよい。ブロック318において、初期電力走査を完了して、食品アイテムを少なくとも1つのフルサイクル(例えば、回転)にわたって回転又はシフトし、ブロック320で送達される全体の電力を決定することができる。ブロック322において、初期走査の結果を使用して電力使用マップを作成することもできる。ブロック324において、IMCS110は、食品を回転/調理し続け、新しいレベルの電力使用を比較して、温度差が存在する可能性が高い場所を決定することができる。ブロック326において、IMCS110のコントローラ120は、標的位置における加熱を監視及び調整するためにどのアルゴリズムを使用すべきかを決定することができる。例えば、冷凍食品は、調理前に食品を均等に解凍するために、よりゆっくりと加温される必要があり得る。ブロック328において、IMCSロジックは、加熱が継続するにつれて、後続の走査電力変動を監視し続けることができる。後続の走査電力変動が閾値レベルを超えて存在する場合、プロセス300はブロック324に戻る。後続の走査電力変動が閾値レベルを超えて存在しない場合、プロセス300は、ブロック330で終了する。
【0038】
ブロック304に戻ると、ブロック304で選択されている非冷凍アイテムに基づいて、ブロック332において、調理方法間で選択を実行する。ブロック334において、手動調理選択に基づいて、ブロック336において、
図1のIMCS110を制御するために、従来の固定調理タイマの調理方法を選択することができる。ブロック338での自動調理方法選択に基づいて、ブロック340において、食品タイプをさらに識別し得るさらなる個別化選択を行うことができる。ブロック342において、調理レベルバイアスを入力して、例えば、食品アイテムを好ましい高温又は低温の最終温度に加熱することができる。バイアス選択は、アイテム毎に変更されてもよく、又は全体的な個々の好みに適合するようにメモリ内に保持されてもよい。ブロック344において、初期電力走査を完了して、食品アイテムを少なくとも1つのフルサイクル(例えば、回転)にわたって回転又はシフトし、ブロック346で送達される全体的な電力を決定することができる。ブロック348において、初期走査の結果を使用して電力使用マップを作成することもできる。ブロック350において、IMCS110は、食品を回転/調理し続け、新しいレベルの電力使用を比較して、温度差が存在する可能性が高い場所を決定することができる。ブロック352において、IMCSロジックは、加熱が継続するにつれて、その後の全体的な電力変動を監視し続けることができる。後続の全体的な電力変動が閾値レベルを超えて存在する場合、プロセス300は、ブロック352に戻る。後続の電力変動が閾値レベルを超えて存在しない場合、プロセス300は、ブロック354で終了する。
【0039】
実施形態では、IMCS110のプラッタ又はターンテーブルは、特定の点又は場所を「開始」基準(例えば、位置インジケータ113)として使用することができ、したがって、IMCSロジックは、プラッタ又はターンテーブルの任意の所与のセクタエリアを履歴及び/又は現在の電力吸収レベルと正確にリンクすることができる。例として、ターンテーブルは、磁気スイッチを起動するように構成され、ターンテーブルに添着される磁石の使用、ホール効果センサの使用、プラッタ駆動シャフトの光学位置エンコーダの使用、360°回転あたり既知のステップ数を有するステッパモータ、又は、IMCSロジックによる使用のための開始点を確立するために当技術分野で知られている任意の他の位置追跡デバイスによって、「開始」回転位置を追跡することができる。例えば、プラッタの開始点を知ることによって、IMCSロジックは、回転サイクルの任意の点でプラッタの位置を動的に決定することができる。
【0040】
ターンテーブルの位置データは、360以上のセクタ位置サンプリングデータ点がターンテーブルの単一の完全な回転内で生成され得るように、高精度分解能を可能にする位置分解能能力を有してもよい。様々な他の実施形態では、例えば、単一回転の実際の位置精度は、代わりに、36度、10度サンプルのうちの1つに対するエネルギー吸収データを表してもよい。同様に、プラッタの横方向移動の分解能は、定義されたセグメント当たりの単一の角度運動分解能から定義されたセグメント当たりの複数の角度運動分解能まで変化してもよいことに留意されたい。分解能の粒度にかかわらず、各定義されたセグメントサンプルを他のセグメントと組み合わせて、定義された物理セグメント位置とその定義されたセグメントからの履歴エネルギー吸収との間の相関をIMCSロジックに提供することができる全体的なヒートマップを作成することができる。
【0041】
IMCSロジックは、例えば、(初期ヒートマップの作成に続く)調理サイクル中、常に、各セクション位置で送達された現在の電力を、電力データがIMCSロジックによって絶えず比較、分析、及び作用され得る以前の走査と比較することができる。例として、以前の走査上の「セクション#12」が他の近くのセクションよりもはるかに多くの電力を受け入れていた場合、その後の掃引において、IMCSロジックは、例えば、そのセクションだけにわたる回転減速によって生成される「待機時間(linger time)」を増やすこと、そのセクションに中心を置く前後の「揺動運動」を利用することによって、そのセクションに送達される平均電力をさらに増やすことができる。逆に、以前の走査におけるセクションが他のセクションに対する平均電力受容を下回った場合、IMCSロジックは、そのセクションにわたる回転速度上昇によって引き起こされる「待機時間」を減らすことによって、そのセクションに利用可能な平均送達電力を減らすことができる。
【0042】
IMCSロジックによって、掃引内のセクタの全てで受け入れられる総電力の両方を比較して、IMCSロジックは、その掃引に対する全体的な標的平均エネルギー受容を決定することができ、また、同じ画定されたセクタからの後続の走査間の電力吸収の変化に注目することができ、少なくとも2つのことを達成することができる。第一に、所与のセクタと隣接する1つ又は複数のセクタとの間の電力吸収差を動的に比較することによって、これらのセクタ間の差の大きさ(十分に大きい場合)は、IMCSロジックがセクタ固有の電力補正を行い、電力出力を増加させ、減少させ、瞬間的に停止させること、又は、各標的セクタと隣接する定義されたセクタとのデルタ(すなわち、差)が所定のデルタ差レベル未満に小さくなるまで、後続の回転において各具体的に定義されたセクタに対する以前の走査の送達された電力レベルを継続することを可能にする。これは、調理されたアイテムにおいて生じる均質な温度プロファイルをもたらす。完全な走査のための全体的に低減された電力読み取り値の所定の時点で、第二の動作モードに入り、第二の動作モードでは、完全に調理されたアイテムを示し得るアイテムの全体的な新たに低減された電力受容レベルを認識しようとして、所与の掃引のためのセクタの全ての合計が、完了した以前の走査と比較され得、次いで、調理セッションを終了するであろう。
【0043】
オーブン空洞に導入されるマイクロ波エネルギーは、主に氷及び/又は水の他の状態によって受け入れられ、吸収されるので、全体的なエネルギー受容の量及び速度は、オーブンの内容物中の残留水分の量に関する良好な代理指標である。IMCSロジックが特定の全体閾値レベルを超える総エネルギー吸収の全体的な減少を感知する場合、これは、調理されるアイテムが乾燥し始めたことのIMCSロジックへの指示であり、調理/加熱が終了しない場合、それは過度に調理されるであろう。このような状態では、IMCSロジックは、調理過剰になる前に調理サイクルを終了する。
【0044】
逆に、IMCSロジックが全体的なエネルギー受容速度のいかなる減少もまだ検出していない場合、これは、調理サイクルがまだ完了していないという良好な代理指標であり、調理サイクルを自動的に動的に延長することができる。エネルギー吸収の全体的な下方変化が最終的に認められるまで、この「比較、分析、及び拡張」プロトコルを順次継続することによって、これは、標的アイテムの調理不足又は不完全な解凍を防止する。いくつかの実施形態は、また、「フェイルセーフ」タイマを利用してもよく、これは、事前設定された動作期間が終了した後に、受け入れられた電力に変化がないにもかかわらず、また任意選択で、送達される電力の変化なしに継続するための調節可能な回転サイクルの回数を含む、調理セッションを終了する。プレートの空の部分と一致するような反復された「ゼロ」エネルギー吸収を示すセクタは、動的エネルギー均等化プロセスから除外される「非標的」エリアとして自動的に分類されるが、そのセクションは、依然として全体的な掃引エネルギー受容評価に含まれる。
【0045】
個人的な調理/加熱レベルの好みに適応するために、(調理セッションを終了するであろう)送達されるエネルギー低減レベルの全体的な閾値は、トースターにおける「うすい/こい(lighter/darker)」の個人的嗜好調整能力と同様に、調整可能であるか、又は動作的に歪めることが可能であり得る。これは、非IMCSにおけるように、従来のマイクロ波オーブンにおける所望の調理時間を調整することと同じではないことに留意されたい。IMCS110は、全体的な完全性及び全体的な均一性に基づいて、最適な調理時間を自動的に決定することができる。
【0046】
IMCS110にとって基本的なエネルギー送達/吸収レベルの監視は、瞬時の一次(主)電気消費(モータ等によって引き出される補助電力が少ない)又はIMCS110のマグネトロン(又は他のRF生成要素)によって消費される電気入力電力(例えば、ワット)のいずれかを監視することによって達成されても、あるいはオーブン空洞内の(調理)負荷によって受け入れられるRF出力電力を直接測定することによって達成され得る。実施形態に応じて、電力監視は、ピーク電力、平均電力であっても、あるいはその2つの組合せであってもよい。
【0047】
図4は、本発明のいくつかの実施形態による回転ターンテーブルを使用するIMCS調理セッションの例示的なヒートマップ400を示す。
図4の例では、ヒートマップ400は、
図1のプラッタ112が食品アイテムと共に回転するときに、
図1のコントローラ120のIMCSロジックによって決定することができる。ヒートマップ400の様々なセグメントにおいて、IMCS110の1つ以上のセンサを使用して、様々なセグメントにわたる全体的な電力送達を決定することができる。ヒートマップ400のいくつかのセグメントは、全体平均電力送達と実質的に整合することができるが、他のセグメントは、全体平均電力送達を上回る第一の閾値を超えても、あるいは全体平均電力送達を上回る第二の閾値を超えてもよく、第二の閾値は、第一の閾値よりも大きい。一例として、第一の閾値は、40%を超えることができ、第二の閾値は、70%を超えることができる。加熱される標的アイテムの特徴に応じて、異なるレベルの全体平均電力送達を含むセグメントをグループ化することができる。さらに、いくつかのセグメントは、許容されるセグメント平均電力を導出する平均電力送達の複数の変動を含んでもよい。
【0048】
例えば、第一の閾値を上回る領域402は、140~180度の間のセグメントに及ぶことができ、第一の閾値を上回る領域404は、回転軸から外向きに延在する50~60度の間のセグメントのエリアに及ぶことができる。さらなる例として、第一の閾値を上回る領域406は、300~310度の間のセグメント内に位置することができ、第一の閾値を上回る領域408は、270~290度の間のセグメント内に位置することができる。第一の閾値を上回る領域410は、250~260度の間のセグメント内に位置することができる。様々な領域402~410は、異なる半径方向位置及び総面積を有することができる。
【0049】
ヒートマップ400は、また、第二の閾値を上回る複数の領域を含むことができ、第二の閾値を上回る領域のうちのいくつかは、第一の閾値を上回る領域に物理的に近接してもよい。例えば、第二の閾値を上回る領域412は、110~120度の間のセグメントに位置することができ、第二の閾値を上回る領域414は、10~40度の間のセグメントに位置することができ、第二の閾値を上回る領域416は、340~360度の間のセグメントに位置することができ、第二の閾値を上回る領域418は、300~310度の間のセグメントに位置することができ、第二の閾値を上回る領域420は、260~270度の間のセグメントに位置することができ、第二の閾値を上回る領域422は、250~260度の間のセグメントに位置することができ、第二の閾値を上回る領域424は、240~250度の間のセグメントに位置することができる。領域420、422、及び424等のいくつかの領域は、角度的に近接してもよいが、領域420~424は、半径方向の差異があるので、組み合わされない。さらに、領域406、418、及び410、422は、同じ角度範囲にあるが、同じセクタ内の異なる半径方向位置に存在し得る。説明の目的で角度位置に関して説明されるが、中心枢動点からの物体又は物体の一部の距離は、無関係である。目的は、各セグメント内から受け入れられる平均電力を感知することである。
【0050】
概して、
図4の例では、異なる陰影を有する領域は、加熱が進行するにつれて経時的に変化し得る、異なる吸収率を有する様々なエリアの分布を表すことができる。例えば、スープ中の肉の塊は、野菜の塊及び共有ブイヨン(shared broth)と比較して異なる吸収速度を有することができ、ブイヨンは、バックグラウンド吸収速度を有してもよい。最初に、300~310度等のセグメントは、加熱が経時的に進行するにつれて、吸収の差異がより明白になるまで、ともに平均化された領域406及び418を有してもよい。加熱が継続する限り、領域406と418との間の差異は、加熱プロセス中に温度混合が生じ、電力送達差が小さくなるにつれて、小さくなってもよい。
【0051】
図5Aは、本発明のいくつかの実施形態による、横方向移動プラッタを使用するIMCS調理セッションの例示的なヒートマップ500を示す。
図1のプラッタ112が横方向に移動するプラッタである場合、領域は、角度又は極座標ではなく、x-y座標に対して定義することができる。例えば、第一の閾値を上回る領域502は、第一の閾値を上回る領域504と比較して、プラッタ112の反対端に近接して位置することができる。さらに、ヒートマップ500は、第二の閾値を上回る領域506、508、510を定義することもできる。
【0052】
図5Bは、本発明のいくつかの実施形態による
図5Aのヒートマップ500の代表的なデータ出力を示す。この図のプロット550に示すように、各エクスカーションサイクルについて、プラッタの位置は、「ホーム」インデックス位置(典型的には、相対的に「0」度)と、「X」軸上に示されている「0」又は「360」度によって表されるような「ホーム」位置への戻りとの間のコースを横断する。プラッタがそのコースを横断するにつれて、出力電力レベルは、対応して、「Y」軸上に記録される。グラフ上の任意のX/Y点に対して、例えば、他のエリアよりも50%以上の電力の出力レベルを受容した任意の位置等に対して、適切な事前設定措置がトリガされてもよく、後続の掃引サイクルは、それらの位置を加速する等、既に説明されたように、是正措置を講じるであろう。中心点の周りの円形プラッタ運動が使用されるか、直線運動を伴うプラッタが使用されるかにかかわらず、同じデータ収集及び対応する是正措置を利用してもよい。
【0053】
図6は、様々な周波数及び温度における水の誘電損失グラフ600を示す。水は、冷凍、蒸気、又は液体等の様々な物理的状態で存在し、各状態は、異なる誘電損失特性及び特徴を有することがよく知られている。これらの差は、水がどの物理的状態にあるかに応じて、水の監視される電力受容(「誘電損失」)に反映される。非インテリジェントマイクロ波オーブンは、無作為かつ非反応的な様式でエネルギーをアイテムに「盲目的に」送達するが、IMCS110は、本質的に、標的アイテムによって受容される瞬間レベルのエネルギーに起因して、調理/加熱されているアイテム自体から指示的な「フィードバック」を得る。
【0054】
オーブン内容物を調理すると、アイテム内の冷凍水分子は、物理的状態遷移を受け始め、これによって、RF生成要素からアイテムに受け入れられる電力の量が増加する。このことは、RF生成要素による主入力電力消費の増加及び/又は調理負荷によって受け入れられるRF電力の実際のレベルの上昇に反映される。
【0055】
マイクロ波スペクトルにおける一例として、
図7の誘電損失グラフ700に示すように、マイクロ波オーブンの公称2.4GHz周波数において、プロット702に示すように、約-23.3℃(-10°F)の温度で最初に調理を開始する冷凍アイテムは、温度が約32.2℃(90°F)に上昇するにつれて、約50の誘電損失が約20に減少する可能性がある。次いで、誘電損失は、ほぼ水の沸点(100℃、212°F)で、約35まで徐々に増加し得る。既知の誘電損失曲線に基づくアルゴリズムを使用することによって、IMCSロジックは、既知の温度/損失セグメントにわたる全体的なエネルギー吸収だけでなく、調理されるアイテムの全体的な含水量の減少の要因も追跡することができる。特に、誘電損失は、例えば、塩含有量のレベルに応じて、何らかの変動があり得るため、単一の曲線に正確に追従する必要はなく、塩の効果は、温度が増加するにつれて、より実質的となる。食品タイプ選択がユーザによって行われる場合、IMCSは、食品タイプにより密接に整合することが予期される誘電損失プロットを選択することができ、そのようなデータを実験的に収集するか、又は機械学習を通して学習して、
図1のメモリシステム124に記憶することができる。
【0056】
図8に示すように、誘電損失グラフ800は、アイテムの温度が冷凍又は非冷凍状態にあるかどうかに基づいて、異なるプロット領域を含むことができる。ユーザが、
図1の操作制御部111を使用して、「冷凍」又は「非冷凍」の初期アイテム状態のいずれかを選択することによって、IMCSロジックは、適切な使用のために誘電損失曲線の対応する部分、例えば、水の冷凍点以下の温度に関連する誘電損失値の下側領域802及び水の冷凍点超の温度に関連する誘電損失値の上側領域804を選択することができる。IMCSオーブンのさらなる実施形態は、サーミスタ又は他の温度感知デバイス(例えば、
図1の温度センサ132)の使用を含み、標的アイテムの事前調理温度を決定し、「冷凍」又は「非冷凍」ロジック選択を自動化してもよい。この実施形態でマイクロ波オーブン空洞116内に温度センサ132を含めることは、アイテムが最終調理温度に達したかどうかを決定しようとする従来の試みとは非常に異なる目的を果たすことに留意されたい。この場合、温度感知は、IMCSロジックがどの誘電損失曲線セグメントを利用するかを決定するために使用される。
【0057】
誘電損失は、電磁エネルギー(例えば、熱)の誘電材料の固有の散逸を定量化する。これは、損失角δ又は対応する損失正接(tanδ)のいずれかに関してパラメータ化することができる。両方とも、その実部及び虚部が電磁場の抵抗(損失)成分及びその反応性(損失)成分である複素平面におけるフェーザを指す。マイクロ波オーブンの文脈では、比誘電率は、「誘電率」と呼ぶことができ、したがって、これらの用語は、交換可能に使用することができる。比誘電率の実際の値は、直接測定する必要はない。むしろ、マイクロ波オーブン内で加熱されている水のマイクロ波エネルギーの吸収/受容レベルの変化は、特に、氷から水への状態変化又は水から蒸気への状態変化が生じるときに監視することができる。
【0058】
IMCSオーブンは、非冷凍スープ、加熱水等の水状態変化を受けない均質な又はほぼ均質なアイテムの調理を制御するために使用される場合、わざわざセクタ比較をする必要がなく、代わりに、実際の加熱されたアイテム温度の代用として役立ち得るエネルギー受容/誘電損失の全体的な速度を監視することにのみ依存し得る。誘電損失曲線の知識を有するIMCSロジックは、非冷凍液体を加熱するときの所望の温度プロキシとして曲線の上昇パーセンテージを使用してもよい。液体が沸騰温度に達することをユーザが望む場合、IMCSロジックは、誘電損失の上昇に追従し、次いで、含有水が沸騰し始める場合にそうであるように、エネルギー送達のプラトー又は減少を感知すると、加熱プロセスを終了することができる。空洞湿度の上昇を監視する前述の間接的な方法とは異なり、この場合でさえ、IMCSロジックは、送達され、受容されるRF電力の変化に依存し続ける。
【0059】
IMCSの様々な実施形態は、IMCSによってセクション/セクタ等化是正措置を講じる必要がある時点を決定するために、走査間の調整可能な「デルタ量」感度閾値差を含んでもよい。さらなる実施形態はまた、IMCSによって是正措置が講じられる時点を決定するために、送達/受容される電力レベル「変化率」を監視することを含んでもよい。さらに別の実施形態は、「スマート」食品選択ボタンの使用を含んでもよく、これは、様々な食品の適切な加熱及び含水量減少プロファイルを一意的に考慮に入れる。そのような食品セレクタボタンを使用すると、例えば、ポップコーン等の低水分食品の調理を最適化する1つ以上のロジック設定を改良することによって、自動調理プロセスをさらに強化することができる。この例では、送達された「電力レベル」の変化を依然として使用することができるが、電力レベルの変化は、他のタイプのアイテムとは異なるエネルギーデルタ感知特性を有することになる。
【0060】
様々なアイテム「プロファイル」ボタン又は設定から選択する形態のユーザ入力ガイダンスも、また、IMCSロジックの規則を微調整するために使用してもよい。ユーザがポップコーン用のボタン等の選択ボタンを使用することによって、急激な全体的な水分変化(及び付随する電力変化)が起こる可能性がある場合、IMCSロジックは、大部分又は全ての穀粒がポップするときの急速な全体的な電力低下を予想して、調理プロセスを適切に停止して、マイクロ波ポップコーンで典型的に起こる調理過剰を防止するように敏感にされ得る。
【0061】
IMCSの全体的な目標は、アイテムを均等に調理するために、状況に応じて、そのアイテムの部分に電力を送達することである。調理された全てのアイテムが均質及び/又は円形であり、回転軸を中心とする場合、アイテムは、均等に調理される。しかしながら、多くのアイテムは、典型的には、実際の回転中心からオフセットされ得る長方形プラッタ内に保持されるので、このアプローチでは、常に、着実に、かつ盲目的に、同じエネルギーレベルを送達するため、しばしば失敗することを意味する。
【0062】
場合によって、特にマイクロ波調理を意図した食品は、「サセプタ」包装として知られるものを利用し、これも自動的に調理される必要がある。サセプタは、パッケージング内の食品の褐変、カリカリ仕上げ等を助けるために、パッケージング内からの二次熱源を生成する。従来のマイクロ波オーブンでは、サセプタパッケージングは、ユーザに、オーブンの「ポップコーン」設定を使用しないように警告する。しかしながら、いくつかのIMCSの実施形態では、サセプタ食品タイプの選択は、そのような包装内のアイテムの自動調理をより理想的に扱うために行われてもよい。サセプタの組成は、サセプタ内又はサセプタに隣接する食品よりも大きな程度まで不均衡な量のマイクロ波エネルギーを意図的に吸収するように設計されているので、これは、IMCSロジックにとっては、最大マイクロ波エネルギー吸収の不変の外側エリアとして見えるであろう。「サセプタ」調理モードでは、IMCSロジックがそのような状態を検出すると、IMCSロジックは、サセプタの物理的位置を認識し、サセプタの調理動作を最大にするように、そのエリアへのエネルギーの送達を集中させることができる。
【0063】
図9は、本発明のいくつかの実施形態によるプロセス900としてのIMCSロジック概略図を示す。プロセス900は、ブロック902で始まる。ブロック904において、ユーザは、食品が冷凍状態にあるか非冷凍状態にあるかを、操作制御部111を介して選択することができ、食品タイプ等の他の支援情報を入力してもよい。食品アイテムを加熱するためのパラメータは、また、ブロック906のユーザ調理グラデーション嗜好調整に基づいて投入することができ、パラメータは、ブロック904で組み合わせられる。ブロック908において、初期全出力回転走査を実行することができる。全出力走査は、作動システム119を制御してプラッタ112を回転又は移動の途切れない完全サイクルを通してシフトさせながら、マイクロ波エネルギー源118を全出力(例えば、10の電力レベル10)で動作させることができる。エネルギー変動は、位置インジケータ113がプラッタ112とともに位置センサ114に対して移動するにつれて、表面上の任意の食品アイテムが回転/シフトされた位置に基づいて、観察することができる。初期掃引中に収集されたデータは、ブロック910でヒートマップを最初に作成するために使用される。ブロック912において、食品アイテムがマイクロ波エネルギー源118によって放出されたマイクロ波エネルギーを吸収し続け、作動システム119がプラッタ112を回転又はシフトさせ続けると、後続の走査が実行される。
【0064】
ブロック914において、IMCSロジックは、プラッタ112の複数のサイクル(例えば、完全な回転、セクタ走査等)にわたって観察されるような各セクタの走査間電力差を分析することができる。電力変化が観察され続けている間、ブロック916において、IMCSロジックは、続いて、次の回転のために各セクタに送達される電力を調整することができる。電力送達変更は、マイクロ波エネルギー源118によって放出されるマイクロ波エネルギーに曝露をより多く、又は少なく受けると予想される場所に食品アイテムの標的部分を置くプラッタ112の位置に基づいて、マイクロ波エネルギー源118の電力出力を増加又は減少させるためのデューティサイクル変更を含むことができる。さらに、電力送達調整は、IMCSロジックによって決定されるように、プラッタ112の移動速度及び/又はプラッタ112の移動方向を変更することができる。ブロック914において、後続の電力変化が観察されない(又は電力変化が完了閾値未満である)場合、ブロック918で調理が終了する。調理終了は、マイクロ波エネルギー源118を通電停止することと、作動システム119を非通電にすることと、ユーザに通知を出力すること、例えば、音声、内部空洞ライトの点滅、ユーザディスプレイ136上のメッセージとして、及び/又はIMCS110が外部通信をサポートする場合、別のデバイス(例えば、モバイルデバイス)上のメッセージとして出力することを含むことができる。
【0065】
さらなる例として、
図10Aは、回転当たり36個のセグメントを表すヒートマップ1000を示し、各セグメント(1005、1006、1007等)は、プラッタ112としての回転プラッタの完全な360度回転の10度「スライス」又は部分を含む。図示の各セグメントは、以前の回転において各角度セグメントに実際に送達された平均記録電力レベル(1001、1002、1003、1004等)を表す。この例では、セグメント1005は、出力電力の70%を受け入れたが、セグメント1006は、電力を全く受け入れなかった。電力レベル1001、1002、1003、及び1004は、異なる角度位置で受け入れられる電力を表し、電力は、各セグメント内で変化することができる。各セグメント(1005、1006、1007等)によって受け入れられた電力は、処理のためにIMCSロジックに転送される。電力受容は、いくつかの方法で間接的又は直接的に決定することができる。本質的に、内容物を調理又は加熱している間のIMCSは、調理プラッタ112の位置的状況に対してマイクロ波空洞の内容物によって受け入れられた無線周波数(RF)電力の量に、絶えず従う。前述のように、調理プラッタ112は、「ホーム」位置インデックス113を有し、そこから調理サイクル中に、定義されたエクスカーションコースを横断し、ホーム位置113に戻る。これらのエクスカーションが何回なされても、プラッタ位置と各セグメントによって受け入れられたエネルギーの瞬間量との間の関係を測定する必要がある。受け入れられるRFエネルギーの量を決定する方法は、いくつかある。第一の方法は、マグネトロン又は他のRF発生装置によって、その供給される電力入力で引き出される入力エネルギーの量を監視することである。IMCSは、空洞内容物によって受け入れられる出力エネルギーの量を決定してもよいが、この例では、IMCSは、経験的な出力測定値を決定する必要なく、相対出力測定値(例えば、様々なセグメント又はセクタ間で受け入れられる電力の相対量)を決定することができる。この文脈では、マグネトロンによって引き出される入力電力を(典型的にはワット単位で)測定することによって、RF電力効率に対して多かれ少なかれ固定された主電源電力があるので、RF出力電力を測定するための許容可能な代理がもたらされる。代替として、マグネトロンのRF出力レベルは、「順方向」電力レベル、逆方向電力レベル、又は両方を同時に監視することによって、直接測定されてもよく、それは、定在波比(SWR)表示をもたらす。
【0066】
図10Bは、本発明のいくつかの実施形態による、
図10Aに示すヒートマップ1000の代表的なデータ出力を示す。
図10Bのプロット1050に示すように、電力強度のパーセンテージは、度で定義されるプラッタの相対位置に対して変化することができる。例えば、一部の相対位置範囲では、電力受容がほとんど又は全くないこともあるが、他の位置範囲では、電力受容がより高く、変動することができる。プロット1050は、経時的に変化し、ヒートマップ1000は、加熱プロセス中に変化する。
【0067】
図11は、本発明のいくつかの実施形態による標的物体を加熱するプロセス1100を示す。プロセス1100は、
図1のIMCS110によって実行することができる。プロセス1100のステップは、特定の順序で示されているが、ステップは、追加、省略、さらには細分化、組み合わせすることも、又は
図11に示す順序とは異なる順序で実行することもできることを理解されたい。
【0068】
ブロック1102において、IMCS110のIMCSロジックは、IMCS110のマイクロ波オーブン空洞116内で加熱される標的物体の1つ以上のパラメータを決定することができる。1つ以上のパラメータは、IMCS110の操作制御部111のユーザインターフェース134を介して受信された入力に基づいて決定することができる。1つ以上のパラメータは、標的物体の冷凍状態又は非冷凍状態を指定することができる。1つ以上のパラメータは、また、「暖」温又は「高」温等の調理レベルの好みを指定することもでき、関連する温度範囲は、設定可能にすることができる(例えば、40℃~60℃対60℃~80℃等である)。
【0069】
ブロック1104において、IMCS110のIMCSロジックは、1つ以上のパラメータに基づいて標的物体のベースライン分析を実行して、標的物体の加熱計画を決定することができる。ベースライン分析は、マイクロ波エネルギー源118を通電することと、作動システム119を制御して運動サイクルを通してプラッタ112を移動させることと、マイクロ波エネルギー源118に関連するエネルギーパラメータを観察することとを含むことができる。ベースライン分析は、運動サイクルを通して観察されるエネルギーパラメータに基づいて、標的物体のヒートマップ及び/又は対応するデータマップを生成することができる。加熱計画は、標的物体の温度プロファイルを均質化するためにエネルギー送達の増加又は減少が望まれる場合、1つ以上のセグメントを含むことができる。加熱計画の1つ以上の態様は、標的物体の冷凍状態と非冷凍状態との間で異なることがある。例えば、マイクロ波エネルギー源118の電力レベル出力は、標的アイテムが冷凍状態のままである間、低減されたデューティサイクルレベルで動作させることができる。加熱計画は、「解凍のみ」計画、「解凍及び調理」計画、「再加熱」計画、「調理」計画、及び異なる所望の終了条件を設定する他のそのような変形例とすることができる。解凍及び調理計画が実行される場合、IMCSロジックは、誘電損失又は他のそのような値を監視して、標的アイテムが冷凍状態から非冷凍状態に遷移する可能性が高いときを予測し、終了条件が満たされるまで実行されるさらなる標的加熱を用いて、標的アイテムの様々な領域で観察される可能性が高い内部温度をさらに予測することができる。
【0070】
ブロック1106において、IMCS110のIMCSロジックは、マイクロ波エネルギー源118を通電している間に、加熱計画及び1つ以上の観察された条件に基づいて、プラッタ112の位置及び運動速度を変更するように作動システム119を制御することができる。ブロック1106の運動制御は、標的物体の加熱中に実行され、
図12及び
図13に関してさらに説明されるように、マイクロ波エネルギー源118を通電停止している間に実行され得る撹拌制御とは異なる。作動システム119の制御には、プラッタ112の移動を加速すること、プラッタ112の移動を減速すること、及び/又は1つ以上のセグメントのための揺動パターンでプラッタ112の位置を交互にすることのうちの1つ以上が含まれる。ヒートマップは、標的物体が加熱されるときのエネルギーパラメータに対して検出された変化に基づいて、動的に調整することができる。1つ以上の観察された状態は、標的物体によって受け入れられるエネルギー、入力エネルギー、及び/又はマイクロ波オーブン空洞116内の温度のうちの1つ以上を監視することによって決定することができる。
【0071】
ブロック1108において、IMCS110のIMCSロジックは、標的物体の加熱が完了したと決定することができる。標的物体の加熱は、設定可能な完了閾値を下回る標的物体による全体的なエネルギー吸収の走査変化によって走査を検出することに基づいて完了したと決定することができる。さらに、標的物体の加熱は、標的物体によるエネルギー吸収に関連する誘電損失パラメータを監視することと、最終温度に関連する誘電損失パラメータの標的値に達することとに基づいて完了したと決定することができる。
【0072】
ブロック1110において、IMCS110のIMCSロジックは、マイクロ波エネルギー源118の電源を通電停止して作動システム119を停止することができる。いくつかの実施形態では、標的物体の加熱が完了したと決定すると、作動システム119は、位置インジケータ113がホーム位置で位置センサ114と整列するまでプラッタ112を移動させ続け、その後、IMCS110の次の使用時にプラッタ112が初期走査のための整列位置で開始するように作動システム119を停止してもよい。他の実施形態では、IMCS110は、能動的加熱/加熱サイクルを終了した後、積極的な移動期間を起動して、IMCSプラッタ112上に存在する内容物を混合し、加熱/加熱されたアイテムのエリア又は内容物をさらに均等化することができる。
図12は、本発明のいくつかの実施形態による調理サイクル内での自動撹拌のプロセス1200を示す。プロセス1200は、
図1のIMCS110によって実行することができる。プロセス1200のステップは、特定の順序で示されているが、ステップは、追加、省略、さらには細分化、組み合わせすることも、又は
図11に示す順序とは異なる順序で実行することもできることを理解されたい。さらに、プロセス1200は、
図2、
図3、
図9、及び
図11のプロセス200、300、900、及び1100等の他のプロセスと組み合わせて実行することもできる。
【0073】
ブロック1202において、IMCS110のコントローラ120は、IMCS110のマイクロ波オーブン空洞116内で加熱される標的物体に対して、全体的な調理プロセス内の自動撹拌が選択されたかどうかを決定することができる。自動撹拌の選択は、ユーザインターフェース134を通じて行うことができる。さらに、自動撹拌は、食品タイプ選択の一部として組み込むことができ、別々に選択する必要はない。
【0074】
ブロック1204において、コントローラ120は、自動撹拌が選択されたとの決定に基づいて、標的物体の撹拌プロファイルを決定することができる。撹拌プロファイルは、調理プロセス全体内でどのくらい頻繁に撹拌が実行されるべきか、作動システム119がプラッタ112の回転/移動の方向をどのくらい急速に加速及び/又は変更すべきか、プラッタ112を標的変曲点間で回転/シフトさせる標的開始/停止位置、より遅い変化率とより速い変化率との間でスケーリングする積極的パラメータ、総撹拌時間、及び/又は他のそのようなパラメータ等の特徴を定義することができる。決定は、標的物体を加熱する前に行うことができ、及び/又は標的物体の加熱中に行う/調整することができる。さらに、撹拌プロファイルは、少なくとも1つの加熱段階の完了後に、決定又は調整することができる。
【0075】
ブロック1206において、コントローラ120は、第一の加熱段階が完了するまで、IMCS110のマイクロ波エネルギー源118に通電することができる。第一の加熱段階中のIMCS110の動作は、前述のプロセスのうちの1つ以上に従って実行してもよい。例えば、第一の加熱段階は、時間ベースの閾値ではなく、電力吸収又は相変化決定に関して定義されてもよい。
【0076】
ブロック1208において、コントローラ120は、マイクロ波エネルギー源118を通電停止している間に、撹拌プロファイルに基づいて、プラッタ112上の標的物体の位置及び運動速度を変更するようにIMCS110の作動システム119を制御することができる。したがって、第一の加熱段階が完了し、マイクロ波エネルギー源118の電源を通電停止した後、標的物体の内容物の自動撹拌を実行して、ユーザが介在し、内容物を手動で撹拌することを必要とすることなく、異なる電力吸収を有するエリアをさらに混合することができる。プラッタ112上の1つ以上の把持部材140は、プラッタ112に対して標的物体を保持して、プラッタ112が移動している間に標的物体が移動/転倒するリスクを減らすことができる。
【0077】
ブロック1210において、コントローラ120は、第二の加熱段階が実行される予定であるとの決定に基づいて、マイクロ波エネルギー源118を通電することができる。例えば、単一の加熱段階のみが使用される場合、自動撹拌は、加熱サイクルの終わりに実施してもよい。加熱プロセス中に自動撹拌が望ましい場合、加熱プロセスを2つ以上の加熱段階に分割することができる。したがって、自動撹拌は、第一の加熱段階と第二の加熱段階との間で起こってもよい。第二の加熱段階又は後続の加熱段階を完了した後、IMCS110は、第二の加熱段階及び/又は後続の加熱段階が実行された後に、マイクロ波エネルギー源118を通電停止している間に、撹拌プロファイルに基づいて標的物体の位置及び運動速度を変更するように作動システム119を制御し続けることができる。さらに、第二の加熱段階の後に、最終撹拌として、又は別の(例えば、第三の)加熱段階に備えて、追加の自動撹拌を実施してもよい。複数の撹拌ステップが完全加熱サイクルの一部として実施される場合、各撹拌ステップの撹拌プロファイルは異なり得る。例えば、第一の撹拌サイクルは、解凍段階と調理段階との間で実施してもよく、第二の撹拌サイクルは、調理段階の途中で実施することができる。各撹拌サイクルの運動速度は、撹拌プロファイルの積極的設定に基づいて設定することができる。例えば、撹拌速度は、標的物体が完全に解凍されていないとみなされる場合に、より積極的であってもよく、完全解凍状態と比較して、比較的に少量の液体状態材料を周囲に移動させるために、より積極的(例えば、より高い速度変化)な移動が望まれる。
【0078】
図13は、
図1のIMCS110等のIMCSの自動撹拌システム1300の一実施形態を示す。プラッタ112は、プラッタ位置1303の中心でプラッタモータ1301(例えば、
図1の作動システム119)に動作可能に接続され、円形回転アセンブリ1306の一部として、円形運動1304をプラッタ112に提供することができる。円形回転アセンブリ1306は、運動プラットフォーム1302に搭載されることができ、運動プラットフォーム1302は、第二のモータ1310と、円形回転アセンブリ1306に偏心運動1305のための能力をさらに提供するリンク機構1312とに動作可能に接続される。例えば、プラッタモータ1301が円形運動1304をプラッタ112に駆動する間、第二のモータ1310及びリンク機構1312は、円形回転アセンブリ1306の位置をシフトさせることができる。移動オプションのこの組み合わせは、
図12のプロセス1200を実行する間に、多種多様な撹拌プロファイルをサポートすることができる。
【0079】
マイクロ波オーブンターンテーブルは、歴史的に、円形プラッタの中心で回転するモータに接続されるが、本開示では、プラッタ112回転モータ(例えば、プラッタモータ1301)は、静止搭載アセンブリに貼付される代わりに、円形回転アセンブリ1306の偏心及び/又は楕円運動を提供する、偏心運動搭載アセンブリにさらに搭載されることができる。運動プラットフォーム1302及び第二のモータ1310は、円形回転アセンブリ1306に変動する不均等な求心力を導入することができ、これは、円形回転アセンブリ1306を、横方向移動を介して様々な物理的位置に繰り返しシフトさせることができる。
【0080】
「混合」(撹拌)動作中、プラッタモータ1301は、任意選択で停止することができ、運動プラットフォーム1302及び第二のモータ1310は多方向「シェイキング」を実行し、その結果、プラッタ112及びその直接取り付けアセンブリの急速な「前後」移動をもたらすことができる。本質的に、第二の可動アセンブリ上に取り付けられた可動プラッタアセンブリが存在し得る。第二の可動アセンブリの目的は、第一のアセンブリの位置を迅速に変更することであり、慣性による位置の急速な変化は、プラッタ112(及びその保持された内容物)を強い変化する「G」力にさらし、これにより、内容物の物理的撹拌を模倣するために、プラッタ112上に貼付された物体の内容物が、物体の様々な構成部分を効果的に混合または均質化することになり、これには、容器カバーを切り裂くこと、IMCSから容器を取り外すこと、フラットウェアを利用して容器内の内容物を手動で撹拌すること、容器を回収すること、容器をプラッタ112に戻すこと、及び手動で調理作業を再開することもする必要がない。偏心回転モータアセンブリの速度及び/又は出力に応じて、様々なレベルの「撹拌」強度が達成されてもよい。
【0081】
要約すると、実施形態は、マイクロ波オーブン調理の持続時間をインテリジェントに決定するためのシステムを含み、インテリジェントマイクロ波調理システム内の標的物体は、加熱又は調理されている前記物体内の特定のエリアの程度及びタイミングに関してオーブンに効果的に自己指示する。実施形態は、インテリジェントマイクロ波調理システムが、標的物体を最適に調理及び/又は加熱するために使用される最適な調理時間及び電力レベルを自律的かつ動的に自己決定するシステムを含むことができる。インテリジェントマイクロ波調理システムは、標的物体の1つ以上の許容エネルギー値を測定することができる。許容エネルギー値は、インテリジェントマイクロ波調理システムに関連するマイクロ波発生装置の入力エネルギーを監視することによって導出することができる。許容エネルギー値は、オーブン空洞に送達される実際の順方向RF出力電力を測定することによって導出することができる。許容エネルギー値は、オーブン空洞に送達される実際の逆RF出力電力を測定することによって導出することができる。許容エネルギー値は、オーブン空洞に送達されるRF出力電力の実際の標準波比(SWR)を測定することによって導出することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、インテリジェントマイクロ波調理システムは、標的物体の初期走査を作成し、標的物体のエリア及び受け入れられるエネルギーの初期量を表す「ヒートマップ」を作成する。走査は、回転ターンテーブル又は横方向に移動するプラッタの走査とすることができる。インテリジェントマイクロ波調理システムは、標的物体内の異なるエネルギー受容エリアの位置を示す以前のエネルギー送達走査に基づいて送達されるエネルギーを別々に変更するように構成することができる。インテリジェントマイクロ波調理システムは、調理サイクルを終了する時点を自己決定するように構成することができる。インテリジェントマイクロ波調理システムは、加熱サイクルを終了する時点を自己決定するように構成することができる。
【0083】
実施形態によれば、ターンテーブル又はプラッタの回転又は側方移動速度をインテリジェントに変更するためのシステムは、動的双方向様式で動作することができ、調理サイクル中に追加の集中エネルギーを特定のスポット又はエリアに送達するために回転又は移動を完全に停止することができる。
【0084】
実施形態によれば、インテリジェントマイクロ波調理システムは、標的物体の特性に基づいて、オーブン自体によって異なるアルゴリズムを動的に決定し利用することが可能になる。
【0085】
当業者によって理解されるように、本発明の態様は、システム、方法、又はコンピュータプログラム製品として具現化されてもよい。したがって、本発明の態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)、あるいはソフトウェアとハードウェアとの態様を組み合わせた実施形態(これらは全て、本明細書において「回路」、「モジュール」、又は「システム」と一般に呼ばれることがある)の形態をとることができる。さらに、本発明の態様は、コンピュータ可読プログラムコードが組み込まれた1つ以上のコンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。
【0086】
1つ以上のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせを利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体であっても、コンピュータ可読記憶媒体であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体のシステム、装置、又はデバイス、あるいはこれらの任意の好適な組み合わせであり得るが、それらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)は、1つ以上のワイヤを有する電気接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、ユニバーサルシリアルバス(USB)ドライブ、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、光ストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、又はこれらの任意の好適な組み合わせを含む。本明細書の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって使用するためのプログラム、又はそれらに関連するプログラムを含むか、又は記憶することができる任意の有形媒体であってもよい。
【0087】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ベースバンドで、又は搬送波の一部として、コンピュータ可読プログラムコードがその中に組み込まれた伝搬データ信号を含んでもよい。そのような伝搬信号は、電磁、光学、又はこれらの任意の好適な組み合わせを含むが、それらに限定されない、様々な形態のうちのいずれかを取ってもよい。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、又はデバイスによって使用するプログラム、又はそれらに関連するプログラムを通信、伝搬、又は伝送することができる、任意のコンピュータ可読媒体であってもよい。
【0088】
コンピュータ可読媒体上に具現化されたプログラムコードは、無線、有線、光ファイバケーブル、RF等、又はこれらの任意の好適な組合せを含むが、これらに限定されない任意の適切な媒体を使用して送信してもよい。
【0089】
本発明の態様のための動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)、Smalltalk(登録商標)、C++、Python(登録商標)等のオブジェクト指向プログラミング言語と、「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語等の従来の手続き型プログラミング言語とを含む、1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で及び部分的にリモートコンピュータ上で、又は完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行してもよい。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよく、あるいは接続は、外部コンピュータ(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用するインターネットを通じて)に行われてもよい。
【0090】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して上述してきた。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロックと、フローチャート図及び/又はブロック図のブロックの組み合わせとは、コンピュータプログラム命令によって実装され得ることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、機械を生成するためにコンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されてもよく、その結果、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロック又は複数のブロックにおいて特定される機能/動作を実施するための手段を生成するようになる。
【0091】
これらのコンピュータプログラム命令は、また、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイスに特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ可読媒体に記憶されてもよく、それにより、コンピュータ可読媒体に記憶された命令は、フローチャート及び/又はブロック図のブロック(単数又は複数)において指定された機能/動作を実施する命令を含む製品を生成する。
【0092】
コンピュータプログラム命令は、また、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイス上にロードされて、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラム可能な装置、又は他のデバイス上で実行させて、コンピュータ実装プロセスを生成してもよく、その結果、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイス上で実行する命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロック又は複数のブロックにおいて指定される機能/動作を実装するためのプロセスを提供するようになる。
【0093】
図面内のフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。この点に関して、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、指定されたロジック機能を実装するための1つ以上の実行可能命令を含むコードのモジュール、セグメント、又は部分を表してもよい。いくつかの代替的な実装形態では、ブロックに記された機能は、図に記された順序とは異なる順序で行われ得ることにも留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、あるいはブロックは、時として、関与する機能性に応じて、逆の順序で実行されてもよい。ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロックと、ブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせとは、指定された機能又は動作を実行する専用ハードウェアベースのシステム、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実装され得ることにも留意されたい。
【0094】
概して、本発明は、代替として、本明細書に開示される任意の適切な構成要素を含むか、それらから構成されても、又は本質的にそれらから構成されてもよい。本発明は、追加又は代替として、先行技術の組成物において使用される任意の成分、材料、成分、アジュバント又は種を欠くか又は実質的に含まないように、あるいは本発明の機能及び/又は目的の達成に必要でないように配合してもよい。
【0095】
特定の実施形態を説明してきたが、現在予想外であるか、又は予想外であり得る代替形態、修正形態、変形形態、改善形態、及び実質的な均等物が、出願人又は他の当業者に生じ得る。したがって、出願され、補正され得る添付の特許請求の範囲は、全てのそのような代替形態、修正形態、変形形態、改善形態、及び実質的な均等物を包含することが意図される。
【0096】
「約」という用語は、本出願の出願時に利用可能な機器に基づく特定の量の測定に関連する誤差の程度を含むことが意図される。
【0097】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、「1つの」及び「その」という単数形は、文脈が明確に別段の指示がない限り、複数形も含むことが意図される。「第一の」、「第二の」等の用語は、本明細書では、いかなる順序、量、又は重要性も示さず、むしろ、ある要素を別の要素から区別するために使用される。「例示的」という用語は、例を示す。さらに、「備える」及び/又は「備えている」という用語は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことが理解されよう。
【0098】
本開示は、1つ以上の例示的な実施形態を参照して説明されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、その要素を均等物で置き換えることができることは、当業者には理解されよう。さらに、本開示の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本開示の教示に適合させるために、多くの修正が行われ得る。したがって、本開示は、本開示を実施するために企図される最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されず、本開示は、特許請求の範囲内に入る全ての実施形態を含むことが意図される。
【国際調査報告】