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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】粉体塗料組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 127/12 20060101AFI20240711BHJP
   C09D 5/03 20060101ALI20240711BHJP
   C09D 127/16 20060101ALI20240711BHJP
   C09D 127/20 20060101ALI20240711BHJP
   C09D 167/00 20060101ALI20240711BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240711BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20240711BHJP
【FI】
C09D127/12
C09D5/03
C09D127/16
C09D127/20
C09D167/00
C09D7/63
C09D7/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503893
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2022070568
(87)【国際公開番号】W WO2023001994
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】21306031.2
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュース, エレン
(72)【発明者】
【氏名】福山 雄大
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CD111
4J038CD131
4J038DD081
4J038DG011
4J038DG261
4J038GA11
4J038HA216
4J038KA03
4J038KA08
4J038KA20
4J038LA07
4J038MA02
4J038NA03
4J038NA04
4J038NA10
4J038NA11
4J038PA02
4J038PB05
4J038PC02
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1種のフルオロポリマー樹脂、少なくとも1種のポリエステル樹脂、およびイソシアネート架橋剤を含む粉体塗料組成物であって、該組成物中の該ポリエステル樹脂のヒドロキシル基に対する該イソシアネート架橋剤のイソシアネート基のモル比が2.5~5である、粉体塗料組成物に関する。本発明はさらに、該粉体塗料組成物の製造方法、該粉体塗料組成物の建築用粉体塗装のための使用、および該粉体塗料組成物を塗布および硬化して得られる粉体塗膜に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体塗料組成物であって
a)少なくとも1種のフルオロポリマー樹脂
b)少なくとも1種のポリエステル樹脂;および
c)イソシアネート架橋剤;
を含み、ここで、該組成物中の該ポリエステル樹脂のヒドロキシル基に対する該イソシアネート架橋剤のブロック化または非ブロック化イソシアネート基のモル比は、2.5~5である、粉体塗料組成物。
【請求項2】
上記ポリエステル樹脂が、好ましくは直鎖脂肪族構造または/および脂環式構造を有する、半結晶性ポリエステル樹脂である、請求項1に記載の粉体塗料組成物。
【請求項3】
上記組成物中の上記ポリエステル樹脂のヒドロキシル基に対する上記イソシアネート架橋剤のイソシアネート基のモル比が2.5~4.8、好ましくは2.8~4.5である、請求項1または2に記載の粉体塗料組成物。
【請求項4】
上記イソシアネート架橋剤が、ブロック化イソシアネート架橋剤および非ブロック化イソシアネート架橋剤から選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の粉体塗料組成物。
【請求項5】
上記イソシアネート架橋剤が、上記粉体塗料組成物中の樹脂成分の総重量に対して1~20%の量で存在し、そして/または上記フルオロポリマー樹脂が、上記粉体塗料組成物中の樹脂成分の総重量に対して5~90%の量で存在し、そして/または上記ポリエステル樹脂が、上記粉体塗料組成物中の樹脂成分の総重量に対して5~90%の量で存在する、請求項1から4のいずれか1項に記載の粉体塗料組成物。
【請求項6】
上記ポリエステル樹脂が半結晶性ポリエステル樹脂であり、該半結晶性ポリエステル樹脂が、以下から誘導される単位を含み、そして好ましくは該単位からなる、請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体塗料組成物:
-直鎖脂肪族ジカルボン酸および/または脂環式ジカルボン酸の中から選ばれる少なくとも1種のポリカルボン酸、及び
-直鎖脂肪族ジオールおよび/または脂環式ジオールの中から選ばれる少なくとも1種のポリオール、
ここで、上記ポリカルボン酸は、好ましくは直鎖脂肪族C4-C8ジカルボン酸、好ましくは直鎖脂肪族C4-C6ジカルボン酸、および/または脂環式ジカルボン酸の中から選択され、より好ましくはアジピン酸、コハク酸、1,5-ペンタン二酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、およびそれらの組み合わせの中から選択され;そして上記ポリオールは、好ましくは直鎖脂肪族C2-C8ジオール、好ましくは直鎖脂肪族C2-C6ジオール、より好ましくは直鎖脂肪族C4-C6ジオール、および/または脂環式ジオールの中から選択され、より好ましくは1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの組み合わせの中から選択される。
【請求項7】
上記ポリエステル樹脂が半結晶性ポリエステル樹脂であり、そして該半結晶性ポリエステル樹脂の溶融温度が75~150℃、好ましくは90~130℃である、請求項1または6に記載の粉体塗料組成物。
【請求項8】
上記フルオロポリマー樹脂が、ポリフッ化ビニリデンホモポリマーおよびポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)コポリマーの中から選択される、請求項1から7のいずれか1項に記載の粉体塗料組成物。
【請求項9】
上記イソシアネート架橋剤が、トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアン酸メチル)シクロヘキサン・イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1から8のいずれか1項に記載の粉体塗料組成物。
【請求項10】
レーザー回折分析により決定して、10~250μm、好ましくは30~150μmの粒子体積メジアン径Dv50を有する、請求項1から9のいずれか1項に記載の粉体塗料組成物。
【請求項11】
顔料、流動剤、脱ガス剤、ワックスおよびそれらの組み合わせの中から選択される他の添加剤をさらに含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の粉体塗料組成物。
【請求項12】
上記フルオロポリマー樹脂および上記ポリエステル樹脂を含むブレンド物を、上記イソシアネート架橋剤と混合することを含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の粉体塗料組成物の製造方法。
【請求項13】
上記混合が、上記フルオロポリマー樹脂および上記ポリエステル樹脂を含むブレンド物と上記イソシアネート架橋剤とをブレンダー、好ましくは押出機でブレンドすることによって溶融ブレンド物を形成し、そして上記方法が場合によっては該溶融ブレンド物を冷却後、フレーク、ペレット、小片又は粉末に変換することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
建築用粉体塗装のための、請求項1から11のいずれか1項に記載の粉体塗料組成物の使用。
【請求項15】
請求項1から11のいずれか1項に記載の粉体塗料組成物を塗布しそして硬化させることにより得られる粉体塗膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロポリマー、ポリエステル樹脂およびイソシアネート架橋剤をベースとする新規な粉体塗料組成物(粉末コーティング組成物)、およびそのような組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境汚染への増大する関心から、塗装(コーティング)工業は揮発性有機コンパウンド(VOC)なしの方向にシフトしている。
【0003】
粉体塗装は、VOCを含まずそして排気処理や廃水処理を必要としないため、環境的に有望な技術である。また、余分な材料は再利用することができる。
【0004】
アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂をベースとする粉体塗料は歴史的に使用されているが、耐候性に劣る。
【0005】
一方、フルオロポリマーをベースとする塗料は耐候性に優れている。しかし、フルオロポリマーは粉末に粉砕するのが難しく、フッ素化樹脂を含む塗装材料は一般に水又は溶剤を含み、粉末の形態ではない。
【0006】
上記の問題に対処するため、フルオロポリマーと別の樹脂とを含む粉体塗料を開発する試みがなされてきた。
【0007】
特許文献1は、フルオロポリマー樹脂と半結晶性ポリマー樹脂との合計重量に基づいて、a)少なくとも1種のフルオロポリマー樹脂10~90重量%と、b)少なくとも1種の半結晶性ポリエステル樹脂90~10重量%とのブレンド物を含む樹脂組成物に関する。
【0008】
特許文献2は、フッ素樹脂、ポリエステルポリマー、硬化剤、及び紫外線吸収剤を含む粉体塗料組成物であって、ここで該ポリエステルポリマーは、C8-15芳香族多塩基性カルボン酸化合物から誘導される単位と、C2-10多価アルコール化合物から誘導される単位とを含むポリエステルポリマーである粉体塗料組成物に関する。
【0009】
特許文献3は、ポリフッ化ビニリデンと、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂とを含有する粉体塗料材料用の組成物であって、該ポリフッ化ビニリデンと該樹脂との合計100質量部に対して、該ポリフッ化ビニリデンの含有量が30~90質量部である粉体塗料材料用の組成物に関する。
【0010】
特許文献4は、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、顔料、架橋性樹脂粒子、エポキシ樹脂、およびイソシアネート化合物を含む混合物を溶融混練し、冷却し、そして次に該混合物を粉砕して得られる粉体塗料組成物に関する。
【0011】
しかしながら、このような粉末組成物は、特に長期間の使用後に耐候性が低下し、その結果、接着性が不十分な塗膜となる傾向がある。実際、このような耐候性を評価する一般的な方法には、コーティングされたパネルを沸騰水中に一定時間浸漬することが含まれる。
【0012】
従って、特に長期使用後に、改善された耐候性および接着特性を有する塗膜を生成することを可能にする粉体塗料組成物が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3670570号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2868724号明細書
【特許文献3】国際公開第2016/002725号
【特許文献4】特許第5419828号公報
【発明の概要】
【0014】
本発明の第1の目的は、以下を含む粉体塗料組成物を提供することである:
a) 少なくとも1種のフルオロポリマー樹脂;
b) 少なくとも1種のポリエステル樹脂;および
c) イソシアネート架橋剤;
ここで、該組成物中の該ポリエステル樹脂のヒドロキシル基に対する該イソシアネート架橋剤のイソシアネート基のモル比は、2.5~5である。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、上記ポリエステル樹脂は、好ましくは直鎖脂肪族構造または/および脂環式構造を有する半結晶性ポリエステル樹脂である。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、上記組成物中の上記ポリエステル樹脂のヒドロキシル基に対する上記イソシアネート架橋剤のイソシアネート基のモル比は、2.5~4.8、好ましくは2.8~4.5である。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、上記イソシアネート架橋剤は、ブロック化イソシアネート架橋剤および非ブロック化イソシアネート架橋剤から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、上記イソシアネート架橋剤は、上記粉体塗料組成物中の樹脂成分の総重量に対して1~20%の量で存在し、そして/または上記フルオロポリマー樹脂は、上記粉体塗料組成物中の樹脂成分の総重量に対して5~90%の量で存在し、そして/または上記ポリエステル樹脂は、上記粉体塗料組成物中の樹脂成分の総重量に対して5~90%の量で存在する。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、上記ポリエステル樹脂は半結晶性ポリエステル樹脂であり、該半結晶性ポリエステル樹脂は、以下から誘導される単位を含むか、好ましくは該単位からなる:
-直鎖脂肪族ジカルボン酸および/または脂環式ジカルボン酸の中から選ばれる少なくとも1種のポリカルボン酸、および
-直鎖脂肪族ジオールおよび/または脂環式ジオールの中から選択される少なくとも1種のポリオール、
ここで、上記ポリカルボン酸は、好ましくは直鎖脂肪族C4-C8ジカルボン酸、好ましくは直鎖脂肪族C4-C6ジカルボン酸、および/または脂環式ジカルボン酸の中から選択され、より好ましくはアジピン酸、コハク酸、1,5-ペンタン二酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、およびそれらの組み合わせの中から選択される;そして上記ポリオールは、好ましくは、直鎖脂肪族C2-C8ジオール、好ましくは直鎖脂肪族C2-C6ジオール、より好ましくは直鎖脂肪族C4-C6ジオール、および/または脂環式ジオールの中から選択され、そしてより好ましくは、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの組み合わせの中から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、上記ポリエステル樹脂は半結晶性ポリエステル樹脂であり、ここで該半結晶性ポリエステル樹脂の溶融温度は75~150℃、好ましくは90~130℃である。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、上記フルオロポリマー樹脂は、ポリフッ化ビニリデンホモポリマーおよびポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)コポリマーの中から選択される。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、上記イソシアネート架橋剤は、トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアン酸メチル)シクロヘキサン・イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、およびこれらの組み合わせから選ばれる。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、上記粉体塗料組成物は、レーザー回折分析によって決定して10~250μm、好ましくは30~150μmの粒子体積メジアン径Dv50を有する。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、上記粉体塗料組成物は、顔料、流動剤、脱ガス剤、ワックスおよびそれらの組み合わせの中から選択される他の添加剤をさらに含む。
【0025】
本発明はまた、フルオロポリマー樹脂およびポリエステル樹脂を含むブレンド物をイソシアネート架橋剤と混合することを含む、上記粉体塗料組成物を製造する方法に関する。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、上記混合は、上記フルオロポリマー樹脂および上記ポリエステル樹脂を含むブレンド物と上記イソシアネート架橋剤とをブレンダー、好ましくは押出機中でブレンドして溶融ブレンド物を形成することによって行われ、この方法は、任意に、該溶融ブレンド物を冷却後、フレークに、ペレットに、小片にまたは粉末に変換することを含む。
【0027】
本発明はまた、上記粉体塗料組成物の建築用粉体塗装への使用に関する。
【0028】
本発明はまた、上記粉体塗料組成物を塗布しそして硬化させることにより得られる粉体塗膜に関する。
【0029】
本発明は、上記の必要性に対処することを可能にする。本発明は、特に長期間の使用後に、改良された耐候性および接着特性を有する塗膜を生成することを可能にする粉体塗料組成物を提供する。
【0030】
これは、フルオロポリマー樹脂、ポリエステル樹脂およびイソシアネート架橋剤を含む組成物であって、ここで、該組成物中の該ポリエステル樹脂のヒドロキシル基(OH)に対する該イソシアネート架橋剤のブロックされたまたはブロックされていないイソシアネート基(NCO)のモル比が2.5~5である該組成物の使用により達成される。より詳細には、特定のNCO対OHモル比は、製造された塗膜の耐候性を向上させること、換言すれば、長時間の風化作用後の塗膜の接着性を改良することを可能にする。事実、より低いNCO対OHモル比(例えば約1)を示す組成物は、本発明による組成物の耐候性よりも劣化した耐候性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を下記の記載中に、限定することなくより詳細に記述する。
【0032】
他に記載がない限り、本願でパーセントは重量パーセントである。
【0033】
粉体塗料組成物
第1の態様において、本発明は、以下を含む粉体塗料組成物に関する:
a)少なくとも1種のフルオロポリマー樹脂、
b)少なくとも1種のポリエステル樹脂、および
c)イソシアネート架橋剤であって、該組成物中のポリエステル樹脂のヒドロキシル基に対するイソシアネート架橋剤のイソシアネート基のモル比が2.5~5である、イソシアネート架橋剤。
【0034】
上記ポリエステル樹脂は、半結晶性ポリエステル樹脂であっても、無定形ポリエステル樹脂であってもよい。
【0035】
「半結晶性」とは非無定形を意味する。樹脂が半結晶性であるか無定形であるかを決定する相変化は、示差走査熱量測定(DSC)によって検出することができ、その方法は、高分子科学と工学の百科事典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)、第4巻、482-519頁、1986年(ウィリーインターサイエンス(Wiley lnterscience))に記載されている。樹脂に認識できる結晶化又は融解ピークが認められない場合、該樹脂は無定形と考えられる。樹脂が少なくとも一つの結晶化または融解ピークを示せば、該樹脂は半結晶性であると考えられる。一般に、DSC曲線で種々の融解ピークが観察される場合、これらの複数のピークは融解範囲によって特定される。本明細書で定義する「半結晶性」の用語は、厳密には半結晶性ポリマー(すなわち、識別可能なガラス転移温度Tgを示すポリマー)および結晶性ポリマー(すなわち、識別可能なガラス転移温度Tgを示さないポリマー)を包含することに留意すべきである。
【0036】
半結晶性(または結晶性)ポリエステル樹脂は、粉体塗料に使用される従来の無定形ポリエステル樹脂と、不均一な形態を有し(すなわち、相の混合物を含む)、通常、室温では不透明で白色であり、そして比較的低い溶融粘度に加えて、無定形の対応物よりも、一般的な有機溶媒、例えば、キシレン、ホワイトスピリット及びケトン類に、はるかに不溶性である。半結晶性ポリエステル樹脂は、一般に高度な構造規則性(すなわち、化学的、幾何学的および/または空間的対称性)を有する。
【0037】
本発明の粉体塗料組成物は、粉体塗料組成物中の樹脂成分の総重量に基づいて、以下を含み得る:
a) 少なくとも1種のフルオロポリマー樹脂を5~90重量%、
b) 少なくとも1種のポリエステル樹脂を5~90重量%、および
c) イソシアネート架橋剤を1~20重量%。
【0038】
本発明による粉体塗料組成物は、硬化性(または架橋性)粉体塗料組成物である。
【0039】
好ましくは、上記フルオロポリマー樹脂は、粉体塗料組成物中に、該粉体塗料組成物中の樹脂成分の総重量に基づいて、フルオロポリマー樹脂を10~90重量%、より好ましくは40~90重量%、更に好ましくは60~90重量%、更により好ましくは70~80重量%の量で存在する。
【0040】
好ましくは、上記ポリエステル樹脂は、粉体塗料組成物中の樹脂成分の総重量に基づいて、10~90重量%、より好ましくは10~60重量%、さらにより好ましくは10~40重量%、さらにより好ましくは20~30重量%の量で粉体塗料組成物中に存在する。
【0041】
上述のように、上記イソシアネート架橋剤は、上記組成物中の上記ポリエステル樹脂のヒドロキシル基に対する該イソシアネート架橋剤のイソシアネート基のモル比が2.5~5になる量で存在する。好ましい実施形態によれば、上記イソシアネート架橋剤は、上記組成物中の上記ポリエステル樹脂のヒドロキシル基に対する該イソシアネート架橋剤のイソシアネート基のモル比が2.5~4.8、好ましくは2.5~4.5となる量で存在する。該モル比は、以下の式を用いて計算することができる:
【0042】
モル比=(561/OH値(mgKOH/g))*(NCO含量(wt%)*架橋剤量(g))/42*半結晶性ポリエステル量(g)
【0043】
ここで、OH価はポリエステルのOH価であり、NCO含量は架橋剤のNCO含量である。
【0044】
イソシアネート架橋剤は、上記粉体塗料組成物中の樹脂成分の総重量に基づいて、3~17重量%、好ましくは6~17重量%の量で存在し得る。
【0045】
好ましい実施形態によれば、本発明の粉体塗料組成物において、フルオロポリマー樹脂、ポリエステル樹脂およびイソシアネート架橋剤は、樹脂成分の少なくとも1つを溶融することによって混合することができる。この場合、本発明の粉体塗料組成物は、フルオロポリマー樹脂、ポリエステル樹脂およびイソシアネート架橋剤を含む粒子を含む。
【0046】
他の実施形態によれば、本発明の粉体塗料組成物は、ドライブレンド(乾式混合)することができ、言い換えれば、該粉体塗料組成物は、フルオロポリマー樹脂の粉末と、ポリエステル樹脂の粉末と、イソシアネート架橋剤の粉末との混合物であることができる。
【0047】
好ましくは、上記粉末塗料組成物の粒子は、10~250μm、好ましくは30~150μm、例えば10~30μm、または30~50μm、または50~100μm、または100~150μm、または150~200μm、または200~250μmの体積メジアン径Dv50を有する。
【0048】
上記Dv50は、粒子の累積粒度分布の50パーセント(体積)における粒径である。このパラメータは、レーザー回折分析によって決定され得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、上記粉体塗料組成物は、少なくとも1種のフルオロポリマー樹脂、少なくとも1種のポリエステル樹脂、およびイソシアネート架橋剤から本質的に成る、またはこれらから成る。
【0050】
ポリエステル樹脂
上述したように、上記ポリエステル樹脂は、半結晶性ポリエステル樹脂であっても、無定形ポリエステル樹脂であってもよい。
【0051】
好ましい実施形態によれば、ポリエステル樹脂は半結晶性樹脂である。この場合、半結晶性ポリエステル樹脂は、好ましくは線状半結晶性ポリエステル樹脂である。
【0052】
「非結晶性ポリエステル」の用語は、示差走査熱量計(DSC)によって決定されるような結晶化または融点を示さないか、または微量の結晶化又は融点を示すポリエステルを広く定義する。
【0053】
「半結晶性ポリエステル」の用語は、DSCによって識別可能な結晶化または融点を有するポリエステルを広く定義する。
【0054】
ポリエステル樹脂は、(シクロ)脂肪族および/または芳香族ポリオールと、(シクロ)脂肪族および/または芳香族ポリカルボン酸またはこれらの酸をベースとする無水物、エステル若しくは酸塩化物との重縮合反応に基づくものであってもよい。適切なポリオールの例としては、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10-デカンジオール、1-4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、水添ビスフェノールA(または2,2-(ジシクロヘキサノール)プロパン)、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパノエート(CA, Reg. No.=115-20-4)を挙げることができる。使用され得る適切なポリカルボン酸としては、2~22個のメチレン基を有する直鎖状、(シクロ)脂肪族ポリカルボン酸および/または芳香族ポリカルボン酸が挙げられ、特に、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸およびナフタレンジカルボン酸が挙げられる。
【0055】
しかしながら、好ましくは、上記ポリエステル樹脂は、より好ましくは直鎖脂肪族および/または脂環式構造を有する半結晶性ポリエステル樹脂である。特に、そのような半結晶性ポリエステル樹脂は、以下から誘導される単位を含み得る:
-少なくとも直鎖脂肪族ジカルボン酸および/または脂環式ジカルボン酸の中から選択されるポリカルボン酸、および
-少なくとも直鎖脂肪族ジオールおよび/または脂環式ジオールの中から選ばれるポリオール。
【0056】
好ましくは、このような半結晶性ポリエステル樹脂は、芳香族ポリカルボン酸(芳香族ジカルボン酸など)および/または芳香族ポリオールから誘導される単位を含まない。
【0057】
さらに、このような半結晶性ポリエステル樹脂は、以下から誘導される単位から本質的に成るか、またはこれらから成ることができる:
-少なくとも直鎖脂肪族ジカルボン酸および/または脂環式ジカルボン酸の中から選択されるポリカルボン酸、および
-少なくとも直鎖脂肪族ジオールおよび/または脂環式ジオールの中から選択されるポリオール。
【0058】
有利には、上記直鎖脂肪族ジカルボン酸は、直鎖脂肪族C4-C8ジカルボン酸であり、より好ましくは直鎖脂肪族C4-C6ジカルボン酸である。例えば、それは直鎖脂肪族C4ジカルボン酸、直鎖脂肪族C5ジカルボン酸、直鎖脂肪族C6ジカルボン酸、直鎖脂肪族C7ジカルボン酸および/または直鎖脂肪族C8ジカルボン酸であってもよい。
【0059】
有利には、上記脂環式ジカルボン酸は、C6-C8脂環式ジカルボン酸である。
【0060】
好ましくは、上記ポリカルボン酸は、アジピン酸、コハク酸、1,5-ペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸およびそれらの組み合わせの中から選択される。
【0061】
好ましくは、上記直鎖脂肪族ジオールは、直鎖脂肪族C2-C8ジオールであり、より好ましくは直鎖脂肪族C2-C6ジオールであり、さらに好ましくは直鎖脂肪族C4-C6ジオールである。上記直鎖脂肪族ジオールは、直鎖脂肪族C2ジオール、直鎖脂肪族C3ジオール、直鎖脂肪族C4ジオール、直鎖脂肪族C5ジオール、直鎖脂肪族C6ジオール、直鎖脂肪族C7ジオールおよび/または直鎖脂肪族C8ジオールであり得る。
【0062】
有利には、上記脂環式ジオールは、C6-C8脂環式ジオールであり得る。
【0063】
好ましい実施形態において、上記ポリオールは、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの組み合わせの中から選択される。
【0064】
特に好ましい実施形態において、直鎖脂肪族および/または脂環式構造を有する上記半結晶性ポリエステル樹脂は、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレン1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートおよび1,4-シクロヘキサンジメタノールペンタジオネートの中から選択される。
【0065】
有意な結晶性を有するポリエステル樹脂を形成するためには、上記重縮合反応に使用される上記ポリカルボン酸およびポリオールが偶数の炭素原子を含むことが好ましいが、必須ではない。対称的に置換された脂肪族環状試薬、例えば1,4-シクロヘキサンジカルボン酸又は1,4-シクロヘキサンジメタノール、の使用は結晶化度を促進する傾向がある。しかし、このような試薬は、熱硬化性ポリエステル粉体塗料の通常の硬化温度よりも高い融解温度を有する半結晶性ポリエステル樹脂を生成する傾向がある。より低い融解温度を有する半結晶性ポリエステル樹脂を生成するためには、それらを式HO(CH2)nOHのジオールまたは式HOOC(CH2)nCOOHのジカルボン酸(ここで、nは偶数、好ましくは2~8、例えば4又は6である)と組み合わせて使用することが好ましいであろう。
【0066】
しかし、これは、重縮合反応に、奇数の炭素原子を含むモノマー性多価カルボン酸またはポリオールを使用すること、あるいはポリマーの結晶化を促進することが知られているある種の実験技術、例えば以下のような技術、を使用することを妨げるものではない:即ち、ポリエステル生成物をそのガラス転移温度(Tg)と融解温度(Tm)の中間の温度に一定時間維持する技術、あるいは合成を1,3-ジクロロベンゼンやジフェニルエーテルなどの高沸点有機溶媒中で行い(あるいは最終ポリエステル樹脂を該高沸点有機溶媒で処理し)、該ポリエステルを周囲温度まで冷却する前にそのTmより高く一定時間維持する技術。カルボン酸基含有ポリエステル樹脂の結晶化度を促進するためのこれらの技術および他の技術は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
【0067】
上記ポリエステル樹脂は、上述した樹脂の2種以上の混合物であってもよい。
【0068】
上記ポリエステル樹脂が無定形ポリエステルの場合、テレフタル酸、ネオペンチルグリコール及びトリメチロールプロパンなどの単位を含み得る。有用な市販の無定形ポリエステルの具体例としては、Cargill 3000(登録商標)樹脂、Rucote 105(登録商標)、REAFREE(登録商標)17014およびREAFREE(登録商標)5709が挙げられる。
【0069】
上記ポリエステル樹脂が半結晶性ポリエステル樹脂である場合、それは75℃~150℃、好ましくは90℃~130℃の融解温度を有することができ、例えばそれは75℃~90℃、または90℃~100℃、または100℃~110℃、または110℃~120℃、または120℃~130℃、または130℃~150℃の融解温度を有することができる。該融解温度は、ISO 11357-3:1999 プラスチック-示差走査熱量計(Plastics - Differential scanning calorimetry)(DSC) パート(Part)3に従って測定できるが、加熱速度は10℃/分とする。
【0070】
市販の半結晶性ポリエステル樹脂の具体例としては、UVECOAT(登録商標)9010、UV1605、UV2335、及びMatflex AHA90が挙げられる。
【0071】
上記ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgは、好ましくは100℃より低く、-20~50℃、より好ましくは-15~40℃であってもよい。いくつかの実施形態において、該ポリエステル樹脂は、-20~-10℃、または-10~0℃、または0~10℃、または10~20℃、または20~30℃、または30~40℃、または40~50℃、または50~55℃のガラス転移温度を有する。該ガラス転移温度は、ISO 11357-2 プラスチック-示差走査熱量計(Plastics - Differential scanning calorimetry)(DSC) パート(Part)2に従って測定することができるが、加熱速度は10℃/分である。DSCで調べると、半結晶性ポリエステル樹脂は2つのガラス転移を示すことがあり、一方は上記ポリエステル樹脂中の自由に動く無定形領域に起因するものであり、他方は隣接する結晶子によって動きが拘束された無定形領域に起因するものである。これらの場合、Tg値はいずれも上記の温度範囲内にある。
【0072】
上記ポリエステル樹脂は、好ましくは少なくとも15mgKOH/gの水酸基価を有する。これにより、適切な硬化を確保することができる。最も好ましくは、該ポリエステル樹脂は、少なくとも20mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。それは好ましくは、70mgKOH/g以下、最も好ましくは40mgKOH/g以下のヒドロキシル価を有する。特に、水酸基価は、15~20mgKOH/g、または20~25mgKOH/g、または25~30mgKOH/g、または30~35mgKOH/g、または35~40mgKOH/g、または40~50mgKOH/g、または50~60mgKOH/g、または60~70mgKOH/gであってよい。該ヒドロキシル価は、DIN 53240-2に従って測定することができる。
【0073】
好ましくはまた、上記ポリエステル樹脂は10mgKOH/g以下、より特に5mgKOH/g以下の酸価を有する。該酸価はASTM D-1639-90に従って測定することができる。
【0074】
このようなヒドロキシル価および酸価を有するポリエステル樹脂は、酸に対して過剰のアルコールを使用して、ポリオールと多価カルボン酸(またはこれらの酸をベースとする無水物、エステル、または酸塩化物)との重縮合反応によって調製することができる。
【0075】
代替のあまり好ましくない実施形態では、上記ポリエステル樹脂は、1gあたり少なくとも15mgKOH/gの酸価を有し、最も好ましくは少なくとも20mgKOH/gの酸価を有する。それ(上記ポリエステル樹脂)は70mgKOH/g以下、最も好ましくは40mgKOH/g以下の酸価を有していてもよい。それは例えば、15~20mgKOH/g、または20~30mgKOH/g、または30~40mgKOH/g、または40~55mgKOH/g、または55~70mgKOH/gの酸価を有していてもよい。それは10mgKOH/g以下、より特に5mgKOH/g以下のヒドロキシル価を有していてもよい。このようなヒドロキシル価および酸価を有するポリエステル樹脂は、アルコールに対して過剰量の酸を使用して、ポリオールと多価カルボン酸(またはこれらの酸をベースとする無水物、エステルまたは酸塩化物)との重縮合反応によって調製することができる。
【0076】
上記ポリエステル樹脂の数平均分子量Mnは、好ましくは少なくとも1500である。このような数平均分子量であれば、該ポリエステル樹脂は塗膜の強靭性に寄与することができる。少なくとも2000の数平均分子量Mnが特に好ましい。
【0077】
上記ポリエステル樹脂の数平均分子量Mnは、好ましくは15000以下、最も好ましくは5000以下である。特に4000までの数平均分子量は言及されるべきである。数平均分子量Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定し得る。
【0078】
いくつかの実施形態において、上記ポリエステル樹脂の数平均分子量Mnは、1500~2000、または2000~3000、または3000~4000、または4000~5000、または5000~6000、または6000~7000、または7000~8000、または8000~9000、または9000~10000、または10000~11000、または11000~12000、または12000~13000、または13000~14000、または14000~15000である。
【0079】
上記ポリエステル樹脂が半結晶性ポリエステル樹脂である場合、20~100J/g、好ましくは25~90J/gの融解熱を有することができる。融解熱は、ISO 11357-3:1999に従ってDSCにより決定することができるが、10℃/分の加熱速度で行う。例では、融解熱は、20~25J/g、または25~30J/g、または30~40J/g、または40~50J/g、または50~60J/g、または60~70J/g、または70~80J/g、または80~90J/gであってもよい。
【0080】
上記ポリエステル樹脂が無定形ポリエステル樹脂である場合、0~20J/g、好ましくは0~5J/gの融解熱を有し得る。
【0081】
上記ポリエステル樹脂は、165℃、せん断速度30s-1において、0.005~10Pa・sの溶融粘度を有することができる。特に、溶融粘度は、165℃、30s-1のせん断速度で、0.005~0.05 Pa・s、または0.05~0.5 Pa・s、または0.5~1 Pa・s、または1~2 Pa・s、または2~3 Pa・s、または3~4 Pa・s、または4~6 Pa・s、または6~8 Pa・s、または8~10 Pa・sであってよい。該溶融粘度は、ASTM D-4287-00に従って、165℃で測定し得る。
【0082】
上記ポリエステル樹脂は、DE 10 2006 057837に記載されているように調製し得る。
【0083】
フルオロポリマー樹脂
上記フルオロポリマー樹脂は、その骨格内に、少なくとも1つのフッ素原子を含むビニルモノマー、少なくとも1つのフルオロアルキル基を含むビニルモノマーおよび少なくとも1つのフルオロアルコキシ基を含むビニルモノマーの中から選択されるモノマーからの少なくとも1つの単位を含み得る。一例として、このモノマーは、フッ化ビニル;フッ化ビニリデン;トリフルオロエチレン(VF3);クロロトリフルオロエチレン(CTFE);1,2-ジフルオロエチレン;テトラフルオロエチレン(TFE);ヘキサフルオロプロピレン(HFP);パーフルオロ(アルキルビニル)エーテル、例えばパーフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニル)エーテル(PEVE)またはパーフルオロ(プロピルビニル)エーテル(PPVE);パーフルオロ(1,3-ジオキソール);パーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)(PDD);式CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2Xの生成物(式中、XはSO2F、CO2H、CH2OH、CH2OCNまたはCH2OPO3Hである);式CF2=CFOCF2CF2SO2Fの生成物;式F(CF2)nCH2OCF=CF2の生成物(式中、nは1、2、3、4または5である);式R1CH2OCF=CF2の生成物(式中、R1は水素またはF(CF2)mであり、mは1、2、3または4である); 式R2OCF=CH2の生成物(式中、R2はF(CF2)pであり、pは1、2、3または4である);パーフルオロブチルエチレン(PFBE);3,3,3-トリフルオロプロペンまたは2-トリフルオロメチル-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペンであることができる。
【0084】
上記フルオロポリマー樹脂はホモポリマーでもコポリマーでもよい。また、エチレンのような非フッ素化モノマーからの単位を含んでいてもよい。
【0085】
有利には、上記フルオロポリマー樹脂はポリフッ化ビニリデン樹脂である。
【0086】
上記ポリフッ化ビニリデン樹脂は好ましくはホモポリマーである。
【0087】
他の実施形態では、上記ポリフッ化ビニリデン樹脂は、フッ化ビニリデン単位と1種以上の他のモノマーからの単位とを含むコポリマーであってもよい。該他のモノマーの例は、フッ化ビニル;トリフルオロエチレン;クロロトリフルオロエチレン(CTFE);1,2-ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE);ヘキサフルオロプロピレン(HFP); パーフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニル)エーテル(PEVE)又はパーフルオロ(プロピルビニル)エーテル(PPVE)などのパーフルオロ(アルキルビニル)エーテル類;パーフルオロ(1,3-ジオキソール);パーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)(PDD);式CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2Xの生成物(式中、XはSO2F、CO2H、CH2OH、CH2OCNまたはCH2OPO3Hである);式CF2=CFOCF2CF2SO2Fの生成物;式F(CF2)nCH2OCF=CF2の生成物(式中、nは1、2、3、4または5である);式R'CH2OCF=CF2の生成物(式中、R'は水素またはF(CF2)zであり、zは1、2、3または4である); 式R''OCF=CH2の生成物(式中、R''はF(CF2)zであり、zは1、2、3または4である);パーフルオロブチルエチレン(PFBE);3,3,3-トリフルオロプロペンまたは2-トリフルオロメチル-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペンである。ヘキサフルオロプロピレンが好ましい。上記ポリフッ化ビニリデンコポリマーはまた、エチレンモノマーからの単位を含んでもよい。好ましくは、ポリフッ化ビニリデン樹脂が共重合体である場合、それはフッ化ビニリデン単位を少なくとも50重量%、更に好ましくは少なくとも60重量%、更に好ましくは少なくとも70重量%、更により好ましくは少なくとも80重量%を含む。
【0088】
上記ポリフッ化ビニリデン樹脂は、フッ化ビニリデン単位と、任意に以下から選択される1種以上の他のモノマーから誘導される単位とから構成され得る:フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、CTFE、1,2-ジフルオロエチレン、TFE、HFP、PMVE、PEVE若しくはPPVEなどのパーフルオロ(アルキルビニル)エーテル、パーフルオロ(1,3-ジオキソール)、PDD、式CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2Xの生成物(式中、XはSO2F、CO2H、-CH2OH、CH2OCNまたはCH2OPO3Hである)、式CF2=CFOCF2CF2SO2Fの生成物、式F(CF2)nCH2OCF=CF2の生成物(式中、nは1、2、3、4または5である)、式R'CH2OCF=CF2の生成物(式中、R’は水素またはF(CF2)zであり、zは1、2、3または4である);式R''OCF=CH2の生成物(式中、R''はF(CF2)zであり、zは1、2、3または4である)、PFBE、3,3,3-トリフルオロプロペンまたは2-トリフルオロメチル-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン。
【0089】
上記ポリフッ化ビニリデン樹脂は、フッ化ビニリデン単位と、任意に、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、CTFE、1,2-ジフルオロエチレン、TFEおよびHFPから選択される1種以上の他のモノマーから誘導される単位とから構成されていてもよい。
【0090】
上記ポリフッ化ビニリデン樹脂は、フッ化ビニリデン単位および任意にHFP単位から構成されていてもよい。
【0091】
上記フルオロポリマー樹脂は、上記の樹脂の2種以上の混合物であってもよい。
【0092】
上記フルオロポリマーは、剪断速度100s-1、230℃でASTMD3835に従ってキャピラリーレオメトリーにより測定して3000Pa・sより低く、より好ましくは1500Pa・sより低い粘度を有し得る。
【0093】
有利には、フルオロポリマー樹脂は、ポリエステル樹脂の融解温度または無定形ポリエステルのガラス転移温度よりも高い融解温度を有する。
【0094】
イソシアネート架橋剤
「イソシアネート架橋剤」とは、少なくとも1個のイソシアネート(NCO)基、好ましくは1個より多くのイソシアネート(NCO)基を含む架橋剤を意味する。イソシアネート架橋剤は、ブロック化イソシアネート基および/または非ブロック化イソシアネート基を含み得る。従って、各成分の比率が言及され測定される場合、イソシアネート基とは、ブロック化および/または非ブロック化イソシアネート基の合計を意味する。
【0095】
上記イソシアネート架橋剤は上記ポリエステル樹脂と反応し、特定の温度で組成物を硬化(架橋)させることを可能にする。
【0096】
好ましい実施形態において、フルオロポリマー樹脂はイソシアネート架橋剤と反応しない。特に、好ましい実施形態において、フルオロポリマー樹脂はヒドロキシ基を含まない。そして/またはフルオロポリマー樹脂はイソシアネート基と反応することができるいかなる反応性基も含まない。
【0097】
「ブロック化イソシアネート」とは、イソシアネート官能基が「ブロック化剤」と既に反応したイソシアネートの反応生成物を意味する。したがって、ブロックされたイソシアネートは、脱ブロッキング温度にさらされるまで反応せず、その温度で脱ブロッキングされる。
【0098】
好ましい実施形態によれば、上記イソシアネート架橋剤はブロック化イソシアネート架橋剤、すなわちブロック化イソシアネート基を含む架橋剤である。
【0099】
上記ブロック化剤は、特に、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、イソ-プロパノール、w-ヒドロペルフルオロアルコール、1-クロロ-2-プロパノール、1,3-ジクロロ-2-プロパノール、エチレンクロロヒドリン、フェノール、2-メチル-2-プロパノール、m-クレゾール、o-ニトロフェノール、p-ニトロフェノール、p-クロロフェノール、グアイアコール、レゾルシノール、フロログルシノール、1-ドデカンチオール、ベンゼンチオール、アセト酢酸エチル、マロン酸ジエチル、ε-カプロラクタム、カバミン酸エチル、ホウ酸及びアセチルアセトンから選択し得る。
【0100】
上記イソシアネート架橋剤は、トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアン酸メチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、およびこれらの組み合わせから選択することができる。
【0101】
市販の架橋剤の具体例としては、Vestagon(登録商標)B1530、Vestagon(登録商標)B1400、Vestagon BF1320、Vestagon(登録商標)BF1321、およびVestagon(登録商標) BF1540が挙げられる。
【0102】
その他の添加剤
上記粉体塗料組成物は、例えば、顔料、流動剤、脱気剤、ワックス、光沢を低下させるための平坦化剤、耐傷性を改良するための添加剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤および安定剤、ならびにそれらの組み合わせの中から選択される他の添加剤を含むこともできる。これらの他の添加剤は好ましくは、粉体塗料組成物の総重量に基づいて10~30重量%、好ましくは15~27重量%の量である。これらの添加剤は、Bodo Mueller, Ulrich Poth著 "塗料配合物(Coatings Formulation)", 第2改定版, ハノーバー(Hanover): ビンセンツ ネットワーク(Vincentz Network), 2011, 欧州塗料テクノロジーファイル(European Coatings Tech Files), ISBN 978-3-86630-891-6に記載されている。
【0103】
いくつかの実施形態によれば、上記粉体塗料組成物は顔料を含まない。
【0104】
他の実施形態によれば、上記粉体塗料組成物は、基体に塗布された時に不透明な塗膜を与えるために、1種以上の顔料を含む。これらの顔料は、該粉体塗料組成物中の樹脂成分の総重量の5~50重量%、好ましくは10~30重量%の量で存在し得る。
【0105】
調製プロセス
別の観点において、本発明は上記粉体塗料組成物を製造する方法に関する。
【0106】
かかる方法は、上記フルオロポリマー樹脂を上記ポリエステル樹脂および上記イソシアネート架橋剤、及び任意に他の添加剤と混合することを含む。
【0107】
上記の混合ステップは、粉末状の成分を乾式ブレンドするステップであってもよい。
【0108】
あるいはそして好ましくは、混合ステップは、成分の一部または全部を溶融ブレンドするステップであってもよい。このブレンド物は次に、固化後に粉末に粉砕される。成分の一部のみを溶融ブレンドしそして粉末に粉砕する場合、得られた粒子は粉末状の残りの成分と乾式ブレンドされる。
【0109】
溶融ブレンドの場合、上記フルオロポリマー樹脂および上記ポリエステル樹脂は、好ましくは既に均質にブレンドされているが、上記イソシアネート架橋剤および潜在的に添加剤と、該イソシアネート架橋剤が上記組成物の硬化を開始する温度よりも低い温度でブレンドすることができる。言い換えれば、該イソシアネート架橋剤は、溶融ブレンド中も不活性なままである。
【0110】
上記溶融ブレンドは、60~160℃、好ましくは60~140℃、より好ましくは80~140℃の温度で実施することができる。
【0111】
「均質なブレンド物」とは、巨視的に均質なブレンド物、すなわち肉眼で相分離が見られないブレンド物を意味する。
【0112】
ブレンダーは、好ましくは押出機または共混練機であり、より好ましくは二軸押出機または共混練機である。
【0113】
好ましくは、上記ブレンド物をまずフレーク、小片またはペレットのような固体コンパウンドに形成し、該固体コンパウンドを粉末に粉砕する。このステップを実行するために、例えばハンマーミル、ピンミル、摩耗ディスクまたは衝撃分級機ミルを使用する粉砕機など、任意の粉砕技術を使用することができる。
【0114】
本方法は、例えば粉末をふるいに通すことにより、所望の粒度分布を有する粉末粒子を選択するステップを含んでいてもよい。
【0115】
本発明はまた、上述のプロセスに従って製造される粉体塗料組成物にも関する。
【0116】
用途
別の態様において、本発明は、粉体塗料組成物の使用に関する。
【0117】
好ましくは、上記塗料組成物は、建築用粉体塗料(例えば、建築物の外壁塗装用)、または自動車用塗料に使用される。
【0118】
従って、上記建築用粉体塗料は高い耐候性を有する。例えば、ASTM D-523-60Eに従って測定した場合、4500時間後に60%以上の光沢保持率を示し得る。
【0119】
建築用粉体塗料は10年以上持続し得る。
【0120】
別の態様において、本発明は、以下を含む基材を塗装するためのプロセスに関する:
・上記粉体塗料組成物を基材上に塗布する;
・上記粉体塗料組成物を溶融する。
【0121】
上記基材は、木材であっても、アルミニウムや鋼等級のような金属であってもよい。
【0122】
上記基材への塗装は、静電噴霧によって行ってもよい。その場合、基材塗装のためのプロセスは下記のステップを含み得る:
・上記粉体塗料組成物を帯電させる;
・帯電させた粉末を基材に噴霧する;
・上記粉末で覆われた基材を、該粉末の溶融温度よりも高い温度に加熱する。
【0123】
上記粉体塗料組成物の溶融は、上記粉末の溶融温度よりも高い温度、例えば160℃~280℃、好ましくは180℃~250℃の温度に、上記粉末で覆われた基材を加熱することによって行うことができる。
【0124】
上記基材を塗装するプロセスは、基材上に塗布された粉体塗料組成物を硬化させるステップを含む。このステップは、該粉体塗料組成物を溶融するステップと同時に実施することができる。硬化は、該粉末塗料組成物を、例えば160℃~280℃、好ましくは180℃~250℃の温度に加熱することにより誘発することができる。
【0125】
本発明はまた、上記のような少なくとも1種の粉体塗料組成物を塗布しそして硬化させることによって得られる粉体塗膜に関する。
【0126】
本発明はまた、上記の粉体塗膜を含む物体に関する。
【実施例
【0127】
以下の実施例は、本発明を限定することなく例示する。
【0128】
実施例1
コンパウンド(配合物)AおよびBを以下のように調製した:
・コンパウンドA(比較コンパウンド):
・融点169℃、溶融粘度6kPoを有するPVDFホモポリマー、
・融点112℃、粘度0.7kPoを有するPVDF-HFPコポリマー、
・融点110℃、融解熱20.9J/g、ヒドロキシル価30~45mgKOH/g、溶融粘度1Pa.s未満を有する半結晶性ポリエステル(コハク酸ポリブチレン)、
・イソシアネート架橋剤(Vestagon B-1530、Evonik)、
・ベンゾイン(脱気剤)、および
・TiO2顔料(CR95、イシハラ)
を49.21/3.99/19.74/3.06/1.00/23.00の重量比で140℃にてブレンドした。NCO/OH=1/1のモル比であった。
【0129】
・コンパウンドB(本発明による):
・融点169℃、溶融粘度6kPoのPVDFホモポリマー、
・融点112℃、粘度0.7kPoのPVDF-HFPコポリマー、
・融点110℃、融解熱20.9J/g、ヒドロキシル価30~45mgKOH/g、ISO 3129による溶融粘度1Pa・s未満の半結晶性ポリエステル(コハク酸ポリブチレン)、
・イソシアネート架橋剤(Vestagon B-1530、Evonik)、
・ベンゾイン(脱気剤)、および
・TiO2顔料(CR95、イシハラ)
を43.26/7.64/14.89/10.21/1/23の重量比で110℃にてブレンドした。
NCO/OHのモル比は4.42/1であった。
【0130】
すべてのコンパウンドをそれぞれ高速ブレンダーで粉砕し、125μmメッシュでふるいにかけた。ふるいにかけた粉末をクロメート処理したアルミニウムパネルに静電スプレーし、240℃で15分間焼成した。
【0131】
次に、塗膜を以下の特性について評価した:
・AAMA 2605-13 8.4.1.1によるクロスハッチ接着性;
・ASTM D3359-02による、逆衝撃によるクロスハッチ接着性;
・AAMA 2605-13 A5.2.2による直接衝撃と逆衝撃;
・ASTM D4752によるMEK耐溶剤性(200ダブルラビング)
・耐候性はASTM D3451によるQUV試験4500時間後の光沢保持率で評価。光沢保持率が60%以上の場合は塗膜は「合格」、60%未満の場合は塗膜は「不合格」とする;
・塗装したパネルを沸騰水に5時間浸し、次にAAMA 2605-13 8.4.1.1に従ってクロスハッチ接着試験を行う沸騰水後の接着性。
【0132】
その結果を下表に示す:
【0133】
【表1】
【0134】
上記の表から、本発明による組成物は、請求の範囲外のNCO対OHモル比を有する組成物と比較して、長期使用後に改善された接着特性を提供することが明らかである。
【0135】
実施例2
コンパウンドC(NCO/OH比のモル比=1.1)は比較コンパウンドであり、コンパウンドD(NCO/OH比=3)、E(NCO/OH比のモル比=4)、F(NCO/OH比のモル比=4)およびG(NCO/OH比のモル比=5)は本発明によるコンパウンドである。
【0136】
コンパウンドCからGは、下記を用いて調製された:
● 融点169℃、溶融粘度6kPoのPVDFホモポリマーと、融点110℃、融解熱20.9J/g、ヒドロキシル価30~45mgKOH/g、溶融粘度<1Pa.sの半結晶性ポリエステルとから成るブレンド物;
● イソシアネート架橋剤(EvonikからのVestagon B1530);
● ベンゾイン(脱気剤);および
● TiO2顔料(Kronos 2160)。
【0137】
異なる成分の重量比、およびポリエステルのヒドロキシル価に関する架橋剤の当量を下表に報告する。コンパウンドC、D、EおよびGでは、樹脂のヒドロキシル価は約9.5mgKOH/gであり、コンパウンドFでは、ヒドロキシル価は7.4mgKOH/gである。
【0138】
【表2】
【0139】
上記樹脂は、以下の表に報告したとおり、PVDFホモポリマーと半結晶性ポリエステルを含む。該PVDFホモポリマーと該半結晶性ポリエステルの重量比は、該樹脂の総重量に対するものである。
【0140】
【表3】
【0141】
すべてのコンパウンドを二軸押出機で調製した後、超遠心ハンマーミルを用いて室温で粉砕し、120μmメッシュでふるい、Dv50が35μmの粉末を得た。ふるい分けした粉末を、クオリコート(Qualicoat)クラス3およびAAMA2605-13に準拠した5005タイプおよび6060タイプの非クロメート・アルミニウム・パネルに静電スプレーし、220℃で15分間焼き付けた。形成された塗膜の厚さは80~100μmであった。
【0142】
クオリコート3に従って,塗膜を以下の特性について評価した:
● AAMA 2605-13 8.4.1.1およびISO 2409 (クオリコートクラス(Qualicoat Class)3 2.4.1)に準拠したAL 5005パネルのクロスハッチ接着性。試験結果は0(完全接着)から5(試験中に塗膜がすべて剥がれたもの)まで段階的である;
●塗装パネルを沸騰水に5時間浸し、AAMA 2605-13 8.4.1.1およびISO 2409(Qualicoat Class 3 2.16)に従ってクロスハッチ接着試験を行うことによる沸騰水後の接着性。
● ISO1519(クオリコートクラス3 2.7)に従い、円錐形マンドレルを用いた曲げ試験後の機械的変形後の接着性;
● ASTM D3451に準拠したQUV試験4500時間後の光沢保持率で評価した耐候性。光沢保持率が60%以上であれば塗膜は「合格」、60%未満であれば塗膜は「不合格」とする。
【0143】
結果を以下の表に示す:
【0144】
【表4】
【0145】
上記の表から、本発明による組成物は、請求の範囲外のNCO対OHモル比を有する組成物と比較して、長期間の使用後に改善された接着特性を提供することが明らかである。

【国際調査報告】