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特表2024-526956精製ヒトRNA編集酵素を使用するための組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】精製ヒトRNA編集酵素を使用するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/28 20150101AFI20240711BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 35/51 20150101ALI20240711BHJP
   A61K 38/54 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240711BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 31/7064 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20240711BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20240711BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20240711BHJP
   C12N 15/55 20060101ALN20240711BHJP
【FI】
A61K35/28
A61P31/14
A61P31/12
A61K35/51
A61K38/54
A61K9/127
A61K9/51
A61P35/00
A61P43/00 111
A61K45/00
A61K35/76
A61K48/00
A61K31/506
A61K31/519
A61K31/7064
A61K31/4985
A61K31/713
C12N5/071
C12N15/113 102Z
C12N15/55
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503944
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2022038010
(87)【国際公開番号】W WO2023004113
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】63/224,818
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジェイミーソン, カトリオナ
(72)【発明者】
【氏名】ピネダ, ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】モレノ, エドゥアルド レイノソ
(72)【発明者】
【氏名】ファム, ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】レイドル, ルイーザ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA28
4B065CA31
4B065CA46
4C076AA19
4C076AA65
4C076AA95
4C076BB13
4C076BB27
4C076CC29
4C084AA02
4C084AA13
4C084AA17
4C084BA44
4C084CA18
4C084DC01
4C084MA24
4C084MA38
4C084MA56
4C084MA65
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZC201
4C084ZC202
4C086AA01
4C086BC42
4C086BC71
4C086CB05
4C086CB22
4C086EA16
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB44
4C087BB59
4C087BB65
4C087BC83
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB33
(57)【要約】
代替的な実施形態では、がん幹細胞のin vivo数を根絶または減少させるための方法であって、投与することを必要とする個体に、ADAR1(RNA1に関連するアデノシンデアミナーゼ)阻害薬を投与することを含み、ADAR1阻害薬が、細胞株およびヒトがん幹細胞アッセイにおいて、ADAR1 Nano-lucレポーター活性を低下させるか、または有意に低下させる、方法が提供される。代替的な実施形態では、RNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスを阻害するための方法であって、レンチウイルスADAR1過剰発現、およびレンチウイルスADAR1形質導入幹細胞のin vivo投与、必要に応じて静脈内(IV)投与を含み、必要に応じて前記幹細胞が臍帯血CD34+細胞または間葉系間質細胞である、方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
in vivoでのRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの阻害、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスの阻害を必要とする個体における、in vivoでRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスを阻害する、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスを阻害するための方法であって
レンチウイルスADAR1発現または過剰発現、およびレンチウイルスADAR1形質導入幹細胞のin vivo投与、必要に応じて静脈内(IV)投与を含み、必要に応じて前記幹細胞が、臍帯血CD34+細胞または間葉系間質細胞である、方法。
【請求項2】
in vivoでのRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製の阻害、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスの阻害を必要とする個体において、in vivoでRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製を阻害する、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスを阻害するための方法であって、ADAR1触媒ドメインナノタンパク質を、in vivoで送達または投与することを必要とする前記個体にin vivoで送達または投与することを含み、
必要に応じてリポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、またはナノリポソームに含有されたまたはリポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、またはナノリポソームに製剤化された前記ADAR1触媒ドメインナノタンパク質を送達または投与し、必要に応じて静脈内投与または吸入によって前記ADAR1触媒ドメインナノタンパク質を送達することを含む、方法。
【請求項3】
in vivoでのRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製の阻害、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスの阻害を必要とする個体において、in vivoでRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製を阻害する、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスを阻害する方法であって、ADAR1全長ドメインナノタンパク質を、in vivoで送達または投与することを必要とする前記個体にin vivoで送達または投与することを含み、
必要に応じて前記ADAR1全長ナノタンパク質がリポソーム中に含まれるか、またはリポソームと共に製剤化され、必要に応じて前記ADAR1全長ナノタンパク質が、静脈内投与または吸入によって送達または投与される、方法。
【請求項4】
in vivoでのRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製の阻害、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスの阻害を必要とする個体において、in vivoでRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製を阻害する、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスを阻害するための方法であって、ADAR1 Zアルファドメイン欠失ナノタンパク質送達を、in vivoで送達または投与することを必要とする前記個体にin vivoで送達または投与することを含み、
必要に応じて前記ADAR1 Zアルファドメイン欠失ナノタンパク質がリポソーム中に含まれるか、またはリポソームと共に製剤化され、必要に応じて前記ADAR1 Zアルファドメイン欠失ナノタンパク質が、静脈内投与または吸入によって送達または投与される、方法。
【請求項5】
がん幹細胞のin vivo数を根絶または減少させるための方法であって、投与することを必要とする個体に、ADAR1(RNA1に関連するアデノシンデアミナーゼ)阻害薬を投与することを含み、前記ADAR1阻害薬が、細胞株および/またはヒトがん幹細胞アッセイにおいて、ADAR1 Nano-lucレポーター活性を低下させるか、または有意に低下させる、方法。
【請求項6】
前記ADAR1阻害薬が、JAK2阻害剤を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記JAK2阻害剤が、フェドラチニブ、またはINREBIC(商標)、またはルキソリチニブ、またはJAKAFI(商標)を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ADAR1阻害薬が、STAT3阻害剤を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記ADAR1阻害薬が、8-アザ-アデノシン、ヌクレオシド類縁体またはインテグラーゼ阻害剤を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記ADAR1阻害薬が、ラルテグラビル(またはISENTRESS(商標))またはドルテグラビル(またはTIVICAY(商標))を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記ADAR1阻害薬が、レンチウイルスshRNA ADAR1ノックダウンベクターを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記ADAR1阻害薬が、レンチウイルスADAR1変異体ベクターを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記ADAR1阻害薬が、レンチウイルスADAR1 Zアルファドメイン欠失ベクターを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
ADAR1阻害薬が、インターフェロン阻害化合物を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項15】
前記ADAR1阻害薬が、レンチウイルスADAR1またはレンチウイルスADAR1 shRNAを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項16】
前記ADAR1阻害薬が、組換えヒト全長ADAR1を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項17】
前記ADAR1阻害薬が、組換えヒトADAR1触媒ドメインを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
前記ADAR1阻害薬が、組換えヒトZアルファドメイン欠失ADAR1を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項19】
前記ADAR1阻害薬がJAK2発現ベクター、必要に応じてレトロウイルスまたはレンチウイルスJAK2発現ベクター、必要に応じてレトロウイルスまたはレンチウイルスJAK2過剰発現ベクターを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項20】
前記ADAR1阻害薬が、非経口製剤、水溶液、リポソーム、注射液、錠剤、丸剤、ロゼンジ、カプセル、カプレット、スプレー、サシェ、吸入剤、粉末、凍結乾燥粉末、吸入剤、パッチ、ゲル、ゲルタブ、ナノ懸濁液、ナノ粒子、ナノリポソーム、マイクロゲル、ペレット、坐剤またはそれらの任意の組み合わせとして製剤化または製造され、
必要に応じて、薬物送達デバイスまたは製造品が、インプラントであるか、またはインプラントを含む、請求項5~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記ADAR1阻害薬が、1つの非経口製剤、1つの水溶液、1つのリポソーム、1つの注射液、1つの凍結乾燥粉末、1つの飼料、1つの食品、1つの栄養補助食品、1つのペレット、1つのロゼンジ、1つの液体、1つのエリキシル剤、1つのエアロゾル、1つの吸入剤、1つの接着剤、1つのスプレー、1つの粉末、1つの凍結乾燥粉末、1つのパッチ、1つの錠剤、1つの丸剤、1つのカプセル、1つのゲル、1つのゲルタブ、1つのロゼンジ、1つのカプレット、1つのナノ懸濁液、1つのナノ粒子、1つのナノリポソーム、1つのマイクロゲルまたは1つの坐剤において一緒に製剤化または製造される、請求項5~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記ADAR1阻害薬が、0.1mg~約1グラムの範囲の単位投与量で製剤化され、必要に応じて即時放出製剤または制御放出製剤として製剤化される、請求項5~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
がん幹細胞のin vivo数を根絶または減少させるためのADAR1阻害薬の使用であって、前記ADAR1阻害薬が、投与することを必要とする個体に投与され、
必要に応じて、前記ADAR1阻害薬が、
-JAK2阻害剤を含み、必要に応じて、前記JAK2阻害剤が、フェドラチニブ、もしくはINREBIC(商標)、もしくはルキソリチニブ、もしくはJAKAFI(商標);STAT3阻害剤;8-アザ-アデノシン、ヌクレオシド類縁体もしくはインテグラーゼ阻害剤;ラルテグラビル(もしくはISENTRESS(商標))もしくはドルテグラビル(もしくはTIVICAY(商標));レトロウイルスもしくはレンチウイルスshRNA ADAR1ノックダウンベクター;レトロウイルスもしくはレンチウイルスADAR1変異体発現ベクター;レンチウイルスADAR1 Zアルファドメイン欠失ベクター;インターフェロン阻害化合物;レンチウイルスADAR1もしくはレンチウイルスADAR1 shRNA;組換えヒト全長ADAR1タンパク質;組換えヒトADAR1触媒ドメインタンパク質;組換えヒトZアルファドメイン欠失ADAR1タンパク質;および/またはJAK2発現ベクター、必要に応じてレトロウイルスもしくはレンチウイルスJAK2発現ベクター、必要に応じてレトロウイルスもしくはレンチウイルスJAK2過剰発現ベクターを含む、使用。
【請求項24】
がん幹細胞のin vivo数の根絶または減少における使用のためのADAR1阻害薬であって、前記ADAR1阻害薬が、投与することを必要とする個体に投与され、
必要に応じて、前記ADAR1阻害薬が、
-JAK2阻害剤を含み、必要に応じて、前記JAK2阻害剤が、フェドラチニブ、もしくはINREBIC(商標)、もしくはルキソリチニブ、もしくはJAKAFI(商標);STAT3阻害剤;8-アザ-アデノシン、ヌクレオシド類縁体もしくはインテグラーゼ阻害剤;ラルテグラビル(もしくはISENTRESS(商標))もしくはドルテグラビル(もしくはTIVICAY(商標));レトロウイルスもしくはレンチウイルスshRNA ADAR1ノックダウンベクター;レトロウイルスもしくはレンチウイルスADAR1変異体発現ベクター;レンチウイルスADAR1 Zアルファドメイン欠失ベクター;インターフェロン阻害化合物;レンチウイルスADAR1もしくはレンチウイルスADAR1 shRNA;組換えヒト全長ADAR1タンパク質;組換えヒトADAR1触媒ドメインタンパク質;組換えヒトZアルファドメイン欠失ADAR1タンパク質;および/またはJAK2発現ベクター、必要に応じてレトロウイルスもしくはレンチウイルスJAK2発現ベクター、必要に応じてレトロウイルスもしくはレンチウイルスJAK2過剰発現ベクターを含む、ADAR1阻害薬。
【請求項25】
安定に形質導入されたヒト非インターフェロン応答性細胞株であって、RNAウイルス阻害を検出することを目的としてレンチウイルスADAR1過剰発現ベクターおよびNano-lucレポーターを該細胞株内に含み、必要に応じて前記RNAウイルスが、SARS-CoV-2またはインフルエンザAもしくはBである、安定に形質導入されたヒト非インターフェロン応答性細胞株。
【請求項26】
安定に形質導入されたヒトインターフェロン応答性細胞株であって、RNAウイルスまたはレトロウイルスによる感染後のRNAウイルス阻害を検出することを目的としてレンチウイルスADAR1過剰発現ベクターおよびNano-lucレポーターを該細胞株内に含み、必要に応じて前記ウイルスが、SARS-CoV-2、またはインフルエンザAもしくはB、またはHIVである、安定に形質導入されたヒトインターフェロン応答性細胞株。
【請求項27】
ADAR1アゴニストを同定するための方法であって、ADAR1 Nano-lucレポーターインターフェロン応答性細胞株およびインターフェロン細胞株を候補ADAR1アゴニストと接触させることを含む、方法。
【請求項28】
前記候補ADAR1アゴニストが、組換えヒト全長ADAR1を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記候補ADAR1アゴニストが、組換えヒトADAR1触媒ドメインを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記候補ADAR1アゴニストが、組換えヒトZアルファドメイン欠失ADAR1を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記候補ADAR1アゴニストが、レトロウイルスまたはレンチウイルスJAK2過剰発現ベクターを含む、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許協定条約(PCT)国際出願は、2021年7月22日の米国仮特許出願第(USSN)63/224,818号の35U.S.C.§119(e)に基づく優先権の利益を主張する。前述の出願は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に明示的に組み込まれる。本明細書で引用される全ての刊行物、特許、特許出願は、あらゆる目的のために参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、概して分子生物学および医学に関する。代替的な実施形態では、がん幹細胞のin vivo数を根絶または減少させるための方法であって、投与することを必要とする個体に、ADAR1(RNA1に関連するアデノシンデアミナーゼ)阻害薬を投与することを含み、ADAR1阻害薬が、細胞株およびヒトがん幹細胞アッセイにおいて、ADAR1 Nano-lucレポーター活性を低下させるか、または有意に低下させる、方法が提供される。代替的な実施形態では、RNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスを阻害するための方法であって、レンチウイルスADAR1過剰発現、およびレンチウイルスADAR1形質導入幹細胞のin vivo投与、必要に応じて静脈内(IV)投与を含み、必要に応じて幹細胞が臍帯血CD34+細胞または間葉系間質細胞である、方法が提供される。
【背景技術】
【0003】
背景
ADAR1による抗ウイルス脱アミノ化は、コロナウイルスおよびインフルエンザ、ならびにHIVのようなレトロウイルス等のRNAウイルスの複製を制限するアデノシンからイノシンへの(AからIへの(A-to-I))編集を誘導する。ADAR1による標的化塩基編集はまた、RNAに一塩基変化を導入してスプライスアクセプター部位およびマイクロRNA標的化に対する転写物感受性を変更し、最終的に翻訳の変化を変更する強力な手段として浮上した。更に、ADAR1によるZアルファDNA結合は、選択されたAlu含有領域内のエピゲノムを変更し得るが、ZアルファRNA結合は転写物の安定性の変化を誘導し得る。ADAR1による過剰編集は、主にAlu配列によって形成された二本鎖RNAループに関連して、生存および幹細胞転写物、lncRNAおよび一次マイクロRNAにおけるRNA変更を誘導し、がん幹細胞における治療耐性ならびに正常なヒト造血幹細胞の自己再生を促進する。
【0004】
先天性免疫抗ウイルス性デアミナーゼとして、ADAR1は、JAK2/STATおよびインターフェロンα、βおよびγシグナル伝達を介した炎症性サイトカインシグナル伝達後に転写活性化される。したがって、選択的JAK2およびSTAT3の阻害は、ADAR1活性化を妨げる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
代替的な実施形態では、in vivoでRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの阻害、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスの阻害を必要とする個体における、in vivoでRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスを阻害する、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスの阻害するための方法であって、レンチウイルスADAR1発現または過剰発現、およびレンチウイルスADAR1形質導入幹細胞のin vivo投与、必要に応じて静脈内(IV)投与を含み、必要に応じて幹細胞が臍帯血CD34+細胞または間葉系間質細胞である、方法が提供される。
【0006】
代替的な実施形態では、in vivoでRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製の阻害、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスの阻害を必要とする個体において、in vivoでRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製を阻害する、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスを阻害するための方法であって、ADAR1触媒ドメインナノタンパク質を、in vivoで送達または投与することを含み、必要に応じてリポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、またはナノリポソームに含有されたまたは製剤化されたADAR1触媒ドメインナノタンパク質を送達または投与し、必要に応じて静脈内投与または吸入によってADAR1触媒ドメインナノタンパク質を送達することを含む、方法が提供される。
【0007】
代替的な実施形態では、in vivoでのRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製の阻害、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスの阻害を必要とする個体において、in vivoでRNAウイルスまたはレトロウイルスの複製を阻害する、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスを阻害するための方法であって、ADAR1全長ナノタンパク質をin vivoで送達または投与することを含み、必要に応じてADAR1全長ナノタンパク質がリポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、またはナノリポソームに含まれるかまたはリポソームと製剤化され、必要に応じてADAR1全長ナノタンパク質が静脈内投与または吸入によって送達または投与される方法が提供される。
【0008】
代替的な実施形態では、in vivoでのRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製の阻害、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスの阻害を必要とする個体において、in vivoでRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製を阻害する、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスを阻害するための方法であって、ADAR1触媒ドメインナノタンパク質送達を、ADAR1 Zアルファドメイン欠失ナノタンパク質送達のin vivoでの送達または投与を含み、必要に応じてADAR1 Zアルファドメイン欠失ナノタンパク質がリポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、もしくはナノリポソーム中に含まれるか、またはリポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、もしくはナノリポソームと共に製剤化され、必要に応じてADAR1 Zアルファドメイン欠失ナノタンパク質が、静脈内投与または吸入によって送達または投与される、方法が提供される。
【0009】
代替的な実施形態では、in vivoでのRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの阻害、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスの阻害を必要とする個体において、in vivoでRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスを阻害する、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスを阻害するための、レンチウイルスADAR1形質導入幹細胞、必要に応じて臍帯血CD34+細胞または間葉系間質細胞の使用であって、in vivoでのレンチウイルスADAR1発現または過剰発現およびin vivo投与、必要に応じて静脈内(IV)投与を含む、使用が提供される。
【0010】
代替的な実施形態では、in vivoでのRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製の阻害、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスの阻害を必要とする個体において、in vivoでRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製を阻害する、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスを阻害するための、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)またはナノリポソームに含有されるかまたはリポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)またはナノリポソームに製剤化されたADAR1触媒ドメインナノタンパク質の使用が提供され、必要に応じてADAR1触媒ドメインナノタンパク質は、静脈内投与または吸入によって送達され、in vivo送達またはADAR1触媒ドメインナノタンパク質の投与を含む、使用が提供される。
【0011】
代替的な実施形態では、in vivoでのRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製の阻害、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスの阻害を必要とする個体において、in vivoでRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製を阻害する、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスを阻害するための、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、またはナノリポソームに含まれるか、またはリポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、またはナノリポソームと共に製剤化されるADAR1全長ナノタンパク質の使用であって、in vivo送達またはADAR1全長ナノタンパク質の投与を含み、必要に応じてADAR1全長ナノタンパク質が、静脈内投与または吸入によって送達または投与される、使用が提供される。
【0012】
代替的な実施形態では、in vivoでのRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製の阻害、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスの阻害を必要とする個体において、in vivoでRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスの複製を阻害する、必要に応じてRNAウイルスまたはレトロウイルスを阻害するための、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、またはナノリポソームに含有される、またはリポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、またはナノリポソームと共に製剤化されるADAR 1 Zアルファドメイン欠失ナノタンパク質の使用であって、in vivo送達またはADAR1 Zアルファドメイン欠失ナノタンパク質送達の投与を含み、必要に応じてADAR1 Zアルファドメイン欠失ナノタンパク質は、静脈内投与または吸入によって送達または投与される、使用が提供される。
【0013】
代替的な実施形態では、がん幹細胞のin vivo数を根絶または減少させるための方法であって、投与することを必要とする個体に、ADAR1(RNA1に関連するアデノシンデアミナーゼ)阻害薬を投与することを含み、ADAR1阻害薬が、細胞株およびヒトがん幹細胞アッセイにおいて、ADAR1 Nano-lucレポーター活性を低下させるか、または有意に低下させる、方法が提供される。
【0014】
本明細書で提供される方法の代替的な実施形態では、
-ADAR1阻害薬は、JAK2阻害剤を含み、必要に応じてJAK2阻害剤は、フェドラチニブ、もしくはINREBIC(商標)、もしくはルキソリチニブ、もしくはJAKAFI(商標)を含む;
-ADAR1阻害薬は、STAT3阻害剤を含む;
-ADAR1阻害薬は、8-アザ-アデノシン、ヌクレオシド類縁体またはインテグラーゼ阻害剤を含む;
-ADAR1阻害薬は、ラルテグラビル(もしくはISENTRESS(商標))もしくはドルテグラビル(もしくはTIVICAY(商標))を含む;
-ADAR1阻害薬は、レンチウイルスshRNA ADAR1ノックダウンベクターを含む;
-ADAR1阻害薬は、レンチウイルスADAR1変異体ベクターを含む;
-ADAR1阻害薬は、レンチウイルスADAR1 Zアルファドメイン欠失ベクターを含む;
-ADAR1阻害薬は、インターフェロン阻害化合物を含む;
-ADAR1阻害薬は、レンチウイルスADAR1もしくはレンチウイルスADAR1 shRNAを含む;
-ADAR1阻害薬は、組換えヒト全長ADAR1タンパク質を含む;
-ADAR1阻害薬は、組換えヒトADAR1触媒ドメインタンパク質を含む;
-ADAR1阻害薬は、組換えヒトZアルファドメイン欠失ADAR1タンパク質を含む;および/または
-ADAR1阻害薬はJAK2発現ベクター、必要に応じてレトロウイルスまたはレンチウイルスJAK2発現ベクター、必要に応じてレトロウイルスまたはレンチウイルスJAK2過剰発現ベクターを含む。
【0015】
代替的な実施形態では、ADAR1 Nano-lucレポーターインターフェロン応答性細胞株およびインターフェロン細胞株を候補ADAR1アゴニストと接触させることを含む、ADAR1アゴニストを同定するための方法が提供され、必要に応じて候補ADAR1アゴニストは組換えヒト全長ADAR1を含み、必要に応じて候補ADAR1アゴニストは組換えヒトADAR1触媒ドメインを含み、必要に応じて候補ADAR1アゴニストは、組換えヒトZアルファドメイン欠失ADAR1を含み、必要に応じて候補ADAR1アゴニストはレンチウイルスJAK2過剰発現ベクターを含む。
【0016】
代替的な実施形態では、安定に形質導入されたヒト非インターフェロン応答性細胞株であって、RNAウイルス阻害を検出することを目的としてレンチウイルスADAR1過剰発現ベクターおよびNano-lucレポーターを該細胞株内に含み、必要に応じてRNAウイルスが、SARS-CoV-2またはインフルエンザAもしくはBである、安定に形質導入されたヒト非インターフェロン応答性細胞株が提供される。
【0017】
代替的な実施形態では、安定に形質導入されたヒトインターフェロン応答性細胞株であって、RNAウイルスまたはレトロウイルスによる感染後のRNAウイルス阻害を検出することを目的としてレンチウイルスADAR1過剰発現ベクターおよびNano-lucレポーターを該細胞株内に含み、必要に応じてウイルスが、SARS-CoV-2、またはインフルエンザAもしくはB、またはHIVである、安定に形質導入されたヒトインターフェロン応答性細胞株が提供される。
【0018】
代替的な実施形態では、がん幹細胞のin vivo数を根絶または減少させるためのADAR1阻害薬の使用であって、ADAR1阻害薬が、投与することを必要とする個体に投与され、必要に応じて、ADAR1阻害薬が、JAK2阻害剤を含み、必要に応じて、JAK2阻害剤が、フェドラチニブ、もしくはINREBIC(商標)、もしくはルキソリチニブ、もしくはJAKAFI(商標);STAT3阻害剤;8-アザ-アデノシン、ヌクレオシド類縁体もしくはインテグラーゼ阻害剤;ラルテグラビル(もしくはISENTRESS(商標))もしくはドルテグラビル(もしくはTIVICAY(商標));レトロウイルスもしくはレンチウイルスshRNA ADAR1ノックダウンベクター;レトロウイルスもしくはレンチウイルスADAR1変異体発現ベクター;レンチウイルスADAR1 Zアルファドメイン欠失ベクター;インターフェロン阻害化合物;レンチウイルスADAR1もしくはレンチウイルスADAR1 shRNA;組換えヒト全長ADAR1タンパク質;組換えヒトADAR1触媒ドメインタンパク質;組換えヒトZアルファドメイン欠失ADAR1タンパク質;および/またはJAK2発現ベクター、必要に応じてレトロウイルスもしくはレンチウイルスJAK2発現ベクター、必要に応じてレトロウイルスもしくはレンチウイルスJAK2過剰発現ベクターを含む、使用が提供される。
【0019】
代替的な実施形態では、がん幹細胞のin vivo数の根絶または減少における使用のためのADAR1阻害薬であって、ADAR1阻害薬が、投与することを必要とする個体に投与され、必要に応じて、ADAR1阻害薬が、JAK2阻害剤を含み、必要に応じて、JAK2阻害剤が、フェドラチニブ、もしくはINREBIC(商標)、もしくはルキソリチニブ、もしくはJAKAFI(商標);STAT3阻害剤;8-アザ-アデノシン、ヌクレオシド類縁体もしくはインテグラーゼ阻害剤;ラルテグラビル(もしくはISENTRESS(商標))もしくはドルテグラビル(もしくはTIVICAY(商標));レトロウイルスもしくはレンチウイルスshRNA ADAR1ノックダウンベクター;レトロウイルスもしくはレンチウイルスADAR1変異体発現ベクター;レンチウイルスADAR1 Zアルファドメイン欠失ベクター;インターフェロン阻害化合物;レンチウイルスADAR1もしくはレンチウイルスADAR1 shRNA;組換えヒト全長ADAR1タンパク質;組換えヒトADAR1触媒ドメインタンパク質;組換えヒトZアルファドメイン欠失ADAR1タンパク質;および/またはJAK2発現ベクター、必要に応じてレトロウイルスもしくはレンチウイルスJAK2発現ベクター、必要に応じてレトロウイルスもしくはレンチウイルスJAK2過剰発現ベクターを含む、がん幹細胞のin vivo数の根絶または減少における使用のためのADAR1阻害薬が提供される。
【0020】
本発明の1またはそれを超える例示的な実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載される。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになる。
【0021】
本明細書で引用される全ての刊行物、特許、特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0022】
図面の簡単な説明
特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面(複数可)を伴うこの特許または特許出願公開の写しは、請求および必要な料金の支払いに応じて特許庁によって提供される。
【0023】
本明細書に記載の図面は、本明細書で提供される例示的な実施形態を例示するものであり、特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を限定することを意味するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1-1】以下の実施例1で更に詳細に考察するように、図1A図1Kは、BJ2168酵母発現系における組換えヒトADAR1触媒ドメイン(hADAR1 CD)の発現および精製のための例示的なプロセスを示す:図1Aは、酵母における発現のためのhADAR1触媒ドメイン(CD)コドン最適化をグラフにより説明する。図1Bは、hADAR1触媒ドメイン(CD)アミノ酸配列(配列番号1)を示し、Δループコンストラクトにおいて着色された(または明るい色の)アミノ酸が欠失している。図1Cは、例示的なpEG(KT)GST-TEV-hADAR1触媒ドメイン(CD)およびpEG(KT)GST-TEV-hADAR1CDΔループベクターマップの略図を示す。図1Dは、例示的なガラクトース誘導性発現系の概略図を示す。図1Eは、GSTタグ付きhADAR1触媒性ドメイン(CD)のガラクトース誘導性発現を確認するクーマシーブルー染色α-ADAR1ウエスタンブロットの画像を示す。図1Fは、酵母細胞抽出物からのタンパク質精製に関与する工程を示す例示的なワークフローの概要を示す。図1Gは、TEV酵素によるGSTタグの切断の成功を示すクーマシーブルー染色ゲルの画像を示す。図1Hは、最終精製工程後のhADAR1触媒ドメイン(CD)タンパク質生成物の純度を実証する銀染色ゲルの画像を示す。図1Iは、SUPERDEX 200 10/300 GL(商標)ゲル濾過カラムを使用した精製hADAR1触媒ドメイン(CD)のサイズ排除クロマトグラフィーからのデータをグラフで示す。図1Jは、質量分析による精製hADAR1触媒ドメイン(CD)タンパク質産物のタンパク質質量決定からのデータをグラフで示す。図1Kは、最終タンパク質生成物の純度を実証する、精製hADAR1触媒ドメイン(CD)の分析超遠心分離からのデータをグラフで示す。
図1-2】同上。
図2】以下の実施例1で更に詳細に考察するように、図2A図2Cは、BJ2168酵母発現系における組換えヒト全長ADAR1触媒ドメイン(hADAR1 CD)の発現および精製のための例示的なプロセスを示す:図2Aは、例示的なp424 10×Hisタグ付き全長ADAR1ベクターマップの略図を示す。図2Bは、例示的なガラクトース誘導性発現系の概略図を示す。図1Cは、10×Hisタグ付き全長ADAR1のガラクトース誘導性発現を確認するクーマシーブルー染色ゲルからのデータをグラフで示す。
図3】以下の実施例1で更に詳細に考察するように、図3A図3Cは、in vitroでの例示的なナノルシフェラーゼベースのRNAエディターゼ活性レポーターアッセイを示す:図3Aは、例示的なナノルシフェラーゼレポーター設計の概略図を示す。図3Bは、例示的なレンチウイルスナノルシフェラーゼRNAエディターゼレポーター発現ベクターの概略図を示す。図3Cの上部パネルは、FLAGタグ付きADAR1コンストラクトおよびNanoLuciferaseレポーターによる共トランスフェクション後のHEK293T細胞におけるADAR1エディターゼ活性についての濃度依存性および特異性を示すナノルシフェラーゼ活性アッセイをグラフで示す。図3C下部パネルは、FLAG-ADARタンパク質レベルの増加を実証するα-FLAGウエスタンブロット分析の画像を示す。図3D上部パネルは、pCDH/ADAR1とナノルシフェラーゼレポーターとの共形質導入後のK562細胞におけるADAR1 RNAエディターゼ活性を比較する例示的なナノルシフェラーゼ活性アッセイの概略図を示す。図3D下部パネルは、全ての条件について等しいADAR1タンパク質レベルを実証するα-ADAR1ウエスタンブロット分析の画像(左)、および全ての条件について、ならびに対照としての親の形質導入されていないK562細胞において、NanoLuciferaseレポーターの等しい発現を示すRT-PCR(右)を示す。
図4】以下の実施例1で更に詳細に考察するように、図4A図4Bは、in vitroでの例示的なナノルシフェラーゼベースのRNAエディターゼ活性レポーターアッセイを示す:図4A 上部パネルは、pCDHベクター/ADAR1とNanoLuciferaseレポーターとの共形質導入後のK562細胞におけるADAR1 RNAエディターゼ活性を比較するNanoLuciferase活性アッセイをグラフで示す。図4A下部パネルは、全ての条件について等しいADAR1タンパク質レベルを実証するα-ADAR1ウエスタンブロット分析の画像(左)、および全ての条件について、ならびに対照としての親の形質導入されていないK562細胞において、NanoLuciferaseレポーターの等しい発現を示すRT-PCR(右)を示す。図4Bは、RNAエディターゼ活性のin vivo視覚化を実証する、pCDH/野生型ADAR1/エディターゼ欠損ADAR1 E912Aおよびナノルシフェラーゼレポーターを共形質導入したK562細胞による新生仔肝内移植後の6.5週齢マウスのIVIS(商標)イメージングの画像を示す。
図5】以下の実施例1で更に詳細に考察するように、図5A図5Dは、shADAR1ノックダウン後のADAR1野生型(WT)およびADAR1変異体の安定なレンチウイルス過剰発現についての例示的なアッセイを示す:図5Aは、qPCR(HPRTに対して正規化)によって示されるように、shSchrambleおよびshADAR1による形質導入後のTF1a細胞における総ADAR1(左)およびADAR1 p150アイソフォーム(右)の発現レベルをグラフで示す。図5Bは、shSchrambleおよびshADAR1による形質導入後のTF1a細胞におけるADAR1のタンパク質レベルを示すウエスタンブロット分析の画像を示す。図5Cは、HAタグ付きshADAR1耐性(shR)ADAR1野生型、ADAR1エディターゼ欠損変異体E921A、ADAR1 DNA結合ドメイン欠損変異体dZaおよびADAR1変異体E912A dZaコンストラクトの例示的なレンチウイルス発現ベクターの概略図を示す。図5D(左)は、shRNA媒介ADAR1ノックダウンのバックグラウンドへのpCDH/ADAR1 shRベクターとNanoLuciferaseレポーターとの共形質導入後のTF1a細胞におけるADAR1 RNAエディターゼ活性を比較するNanoLuciferase活性アッセイをグラフで示す。図5D(右)は、全ての条件について同様のADAR1タンパク質レベルを実証するα-HAウエスタンブロット分析をグラフで示す。
図6】以下の実施例1で更に詳細に考察するように、図6A図6Dは、JAK/STAT経路におけるADAR1の関与を示し、ルキソリチニブおよびフェドラチニブ等のJAK阻害剤をADAR-1阻害薬として使用することができることを実証するデータを示す:図6Aは、PBS(対照)またはインターフェロンアルファ(HPRTに対して正規化)による処理の16時間後にqPCRによって示されるTF1a細胞におけるADAR1 p150アイソフォーム発現レベルをグラフで示す。図6Bは、PBS(対照)またはインターフェロンアルファで処理した16時間後のADAR1およびJAK/STAT経路の様々なメンバーのタンパク質レベルを示すTF1a細胞のウエスタンブロット分析の画像を示す。図6Cは、PBS(対照)、インターフェロンアルファ、ベータまたはガンマによる処理の16時間後にADAR1、STAT3およびホスホ-STAT3 Y705のタンパク質レベルを示す二次性AML(患者672)CD34+細胞のウエスタンブロット分析の画像を示す。図6Dは、1nM、10nMおよび100nMの濃度のJAK3阻害剤(FM-381)と比較した、FDA承認JAK2阻害剤(ルキソリチニブおよびフェドラチニブ)で処理した二次性AML(患者255)CD34+細胞のウエスタンブロット分析の画像を示す。様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
代替的な実施形態では、ヒト機能性抗ウイルスRNA編集酵素、ADAR1(RNA1に関連するアデノシンデアミナーゼ)および関連レンチウイルスベクター、編集レポーターおよび化合物の精製および産生のための方法、ならびに抗ウイルス化合物の発見、幹細胞拡大、がん幹細胞の阻害および選択的RNA塩基編集、ならびにSARS CoV-2およびレトロウイルスを含むRNAウイルスの阻害に関する使用方法が提供される。代替的な実施形態では、大量の組換えヒト全長ADAR1、Zアルファ結合ドメイン欠失ADAR1、およびADAR1の触媒ドメインを産生するための方法が提供される。
【0026】
代替的な実施形態では、ヒト全長ADAR1、Zアルファドメイン欠失ADAR1およびヒトADAR1の触媒ドメインを精製するための方法が提供される。
【0027】
代替的な実施形態では、RNAウイルスおよびレトロウイルスの複製を阻害することができる抗ウイルス化合物をスクリーニングする目的で、ADAR1過剰発現およびshRNAノックダウンを有するレンチウイルスADAR1 Nano-lucレポーター形質導入インターフェロン応答性および非応答性細胞株を製造するための方法が提供される。
【0028】
代替的な実施形態では、がん幹細胞を阻害することができるレンチウイルスADAR1 shRNAノックダウン、変異体およびZアルファドメイン欠失ADAR1ベクターを含む、ADAR1アンタゴニストを同定するための方法が提供される。
【0029】
代替的な実施形態では、幹細胞の生存および自己再生を増強することができるレンチウイルスADAR1過剰発現ベクター、および抗ウイルス活性を有するベクターを含む、ADAR1アゴニストを検出するための方法が提供される。
【0030】
ADAR1 in vivo送達および遺伝子送達ビヒクル
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法は、ウイルス、例えばレンチウイルスまたはアデノ随伴ウイルス(AAV)媒介ADAR1過剰発現を含むRNAウイルスまたはレトロウイルス、必要に応じてSARs-CoV-2ウイルスを阻害すること、および必要に応じて静脈内(IV)投与による、ウイルス、例えばレンチウイルスまたはAAV-ADAR1形質導入幹細胞のin vivo投与を含み、必要に応じて幹細胞は臍帯血CD34+細胞または間葉系間質細胞である。代替的な実施形態では、ウイルスベクターは、例えばADAR1送達ビヒクルとして、in vitro、ex vivo、またはin vivoで細胞または複数の細胞に送達される。
【0031】
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される発現ビヒクル、ベクター、組換えウイルス、または同等物は、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルスベクター、またはアデノウイルスベクター;AAV血清型AAV5、AAV6、AAV8もしくはAAV9;アカゲザル由来AAV、もしくはアカゲザル由来AAV AAVrh.10hCLN2;臓器指向性AAV;および/またはAAVキャプシド変異体もしくはAAVハイブリッド血清型であるか、それらを含む。代替的な実施形態では、AAVは、野生型(wt)AAVに対して非許容性である特定の細胞型を標的とする際の効率を高めるように、および/または目的の細胞型のみを感染させる際の有効性を改善するように操作される。代替的な実施形態では、ハイブリッドAAVは、1)トランスキャプシド形成、2)キャプシド表面への二重特異性抗体の吸着、3)モザイクキャプシドの操作、および/または4)キメラキャプシドの操作を含む1またはそれを超える改変によって、ハイブリッド血清型として再標的化または操作される。野生型(wt)ウイルスに対して非許容性である特定の細胞型を標的とする効率を高めるため、および目的の細胞型のみを感染させる有効性を改善するために、アデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドを操作する方法は当技術分野で周知であり、例えば、Wuら、Mol.Ther.2006 Sep;14(3):316-27.Epub 2006 Jul 7;Choiら、Curr.Gene Ther.2005 Jun;5(3):299-310.を参照されたい。
【0032】
例えば、アカゲザル由来AAV AAVrh.10hCLN2またはその等価物を使用することができ、アカゲザル由来AAVは、ヒトにおける既存の免疫によって阻害され得ない。例えば、ヒトにスケーラブルな用量でのラットおよび非ヒト霊長類のCNSへのAAVrh.10hCLN2の直接投与は許容され得る安全性プロファイルを有し、CNSにおける有意なペイロード発現を媒介することを教示する、Sondhiら、Hum Gene Ther.Methods.2012 Oct;23(5):324-35,Epub 2012 Nov 6;Sondhiら、Hum Gene Ther.Methods.2012 Oct 17を参照されたい。
【0033】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は霊長類の一般的な感染因子であり、したがって健康な霊長類はAAV媒介遺伝子導入治療戦略を阻害するAAV特異的中和抗体(NAb)の大きなプールを保有しているため、本明細書で提供される方法はまた、個別化された処置デザインを容易にし、治療有効性を高めるために、処置前に、特に頻繁に使用されるAAV8キャプシド構成成分を用いてAAV特異的NAbの患者候補をスクリーニングすることを含む。例えば、Sunら、J.Immunol.Methods.2013 Jan 31;387(1-2):114-20,Epub 2012 Oct11を参照されたい。
【0034】
任意のレンチウイルスベクターを使用して、本明細書で提供される方法を実施することができ、例えば、in vitro、ex vivo、またはin vivoで、ADAR1またはADAR1を発現する幹細胞等の細胞を、例えば、米国特許第11,299,752号、同第11,208,669号、同第11,078,495号、同第11,007,209号、および同第10,954,530号に記載されているように送達することができる。
【0035】
医薬組成物および製剤
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、ベクター、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソームまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、経口、非経口、吸入スプレーによる、経鼻、局所、髄腔内、髄腔内、脳内、硬膜外、頭蓋内または直腸を含む任意のまたは様々な手段による投与のために製剤化される。本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、ベクター、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソームまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、薬学的に許容され得る担体、アジュバントおよびビヒクルを更に含むことができる。代替的な実施形態では、本明細書で提供される薬物および本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物の治療的組み合わせは、例えば、注射経路によるだけでなく、様々な注入技術も含め、髄腔内、脳内もしくは硬膜外(髄腔内、脳内、硬膜外腔へと)、皮下、静脈内、筋肉内および/または動脈内投与を含む非経口投与用に製剤化される。いくつかの実施形態で使用される動脈内、髄腔内、頭蓋内、硬膜外、静脈内および他の注射は、カテーテルまたはポンプ、例えば髄腔内ポンプ、または植込み型医療デバイス(髄腔内ポンプまたはカテーテルであり得る)を介した投与を含み得る。
【0036】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、所望の投与経路に適合した日常的な手順(複数可)に従って製剤化される。代替的な実施形態では、本明細書で提供される薬物および本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物の治療的組み合わせは、凍結乾燥物、粉末、ロゼンジ、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、懸濁液、溶液またはエマルジョンとして油性または水性ビヒクル中に製剤化または製造され、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤等の製剤化剤を含むことができる。
【0037】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬を、埋め込みまたは注射用の調製物として製剤化することができる。したがって、例えば、化合物は、適切なポリマーもしくは疎水性材料(例えば、許容され得る油中のエマルジョンとして)もしくはイオン交換樹脂を用いて、または難溶性誘導体(例えば、難溶性塩として)として製剤化することができる。あるいは、有効成分は、使用前に、適切なビヒクル、例えば滅菌パイロジェンフリー水で構成するための粉末形態であり得る。これらの投与方法のそれぞれに適した代替的および例示的な製剤は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,A.Gennaro,ed.,20th edition,Lippincott,Williams&Wilkins,Philadelphia,Pa.を参照されたい。
【0038】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、滅菌水または生理食塩水、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール、合成または植物起源の油、水素化ナフタレン等と共に製剤化される。代替的な実施形態では、本明細書で提供される薬物、および本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物の治療的組み合わせは、活性化合物の放出を制御するための有用な賦形剤であり得る、生体適合性の生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー中に、またはそれと共に製剤化することができる。
【0039】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、エチレン-酢酸ビニル共重合体粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み型注入システム、髄腔内カテーテル、ポンプおよびインプラント等の非経口送達システムを使用して、ならびに/またはリポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソームの使用により投与される。非経口投与のための製剤はまた、頬側投与のためのグリココレート、直腸投与のためのメトキシサリチレート、または膣投与のためのクエン酸を含み得る。吸入投与のための製剤は、賦形剤として、例えばラクトースを含有することができ、または例えばポリオキシエチレン-9-アウリルエーテル(polyoxyethylene-9-auryl ether)、グリココレートおよびデオキシコレートを含有する水溶液、または点鼻剤の形態で投与するための油性溶液、または鼻腔内に適用されるゲルであり得る。
【0040】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬を、鼻腔内に投与する。この経路によって与えられる場合、適切な剤形の例は、当業者に知られているように、鼻スプレーまたは乾燥粉末である。例えば、経鼻製剤は、従来の界面活性剤、一般に非イオン性界面活性剤を含むことができる。界面活性剤が経鼻製剤に使用される場合、存在する量は、選択される特定の界面活性剤、特定の投与様式(例えば、滴剤またはスプレー剤)および所望の効果に応じて変化する。
【0041】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、滅菌注射用水性または油性懸濁液等の滅菌注射用調製物の形態である。この懸濁液は、これらの適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、公知の技術に従って製剤化され得る。滅菌注射用調製物はまた、1,3-ブタン-ジオール中の溶液等の非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液であってもよく、または凍結乾燥粉末として調製されてもよい。使用され得る許容され得るビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液がある。代替的な実施形態では、滅菌固定油が溶媒または懸濁媒体として従来用いられている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性固定油を使用することができる。代替的な実施形態では、オレイン酸等の脂肪酸も同様に注射剤の調製に使用され得る。静脈内投与のための製剤は、滅菌等張水性緩衝液中の溶液を含み得る。必要に応じて、製剤はまた、注射部位の痛みを和らげるために可溶化剤および局所麻酔薬を含むことができる。一般に、成分は、例えば、活性剤の量を示すアンプル(ampule)(アンプル((ampoule))またはサシェ等の密閉容器内の乾燥凍結乾燥粉末または無水濃縮物として、単位剤形で別々に供給されるかまたは一緒に混合される。化合物が注入によって投与される場合、化合物は、無菌医薬品グレードの水、生理食塩水またはデキストロース/水を含有する注入ボトルを含む製剤で分注することができる。化合物が注射によって投与される場合、成分を投与前に混合することができるように、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
【0042】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、殺菌性抗生物質および製剤を意図するレシピエントの体液と等張にする溶質を含有する(含む)ことができる水性および非水性滅菌注射溶液、ならびに/または懸濁化剤および増粘剤を含み得る、水性および非水性の滅菌懸濁液を更に含む。
【0043】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、局所投与用に、例えば液体、ローション、クリームまたはゲルの形態で製剤化される。局所投与は、処置領域に直接適用することによって達成することができる。例えば、そのような適用は、処置領域の皮膚上に製剤(ローションまたはゲル等)を擦ることによって、または適用もしくは処置領域上に液体製剤を噴霧適用することによって達成することができる。
【0044】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、バイオインプラントまたはバイオインプラント材料を含み、細胞とインプラントとの間の相互作用を改善するために、本発明の化合物または他の化合物でコーティングすることもできる。
【0045】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含む。
【0046】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、従来の結合剤および担体、例えばトリグリセリドと共に坐剤として製剤化される。
【0047】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、錠剤、丸剤、トローチ剤、ロゼンジ剤(例えば、米国特許第5,780,055号に記載されているものを参照)、水性または油懸濁剤、分散散剤または顆粒剤、乳剤、ハードもしくはソフトカプセル剤またはゲルタブ剤、ゲル剤、ゼリー剤、シロップ剤および/またはエリキシル剤等の経口製剤を含む。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物の製造のための当技術分野で公知の任意の方法に従って調製され得、そのような組成物は、口当たりのよい調製物を提供するために、甘味剤、矯味剤、香味剤、着色剤および保存剤を含む1またはそれを超える作用物質を含有し得る。経口製剤は、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等の標準的な担体を含むことができる。錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容され得る賦形剤と混合して有効成分を含有する錠剤が許容され得る。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム、ラクトース、カルシウムまたはリン酸ナトリウム等の不活性希釈剤;トウモロコシデンプンまたはアルギン酸等の造粒剤および崩壊剤;デンプン、ゼラチンまたはアカシア等の結合剤;ならびにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク等の滑沢剤であってもよい。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、または胃腸管内での崩壊および吸着を遅延させ、それによって長期間にわたる持続作用を提供するためのマイクロカプセル化を含む公知の技術によってコーティングされてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリル等の時間遅延材料を単独でまたはワックスと共に使用され得る。
【0048】
代替的な実施形態では、経口使用のための製剤は、有効成分が不活性固体希釈剤、例えばリン酸カルシウムもしくはカオリンと混合されるハードゼラチンカプセル剤、または有効成分が水もしくは油性媒体、例えば落花生油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混合されるソフトゼラチンカプセル剤である。
【0049】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、水性懸濁剤の製造に適した賦形剤と混合した活性材料を含む水性懸濁液を含む。例示的な賦形剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴム等の懸濁化剤、ならびに天然ホスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)等の分散剤または湿潤剤が含まれる。水性懸濁液はまた、p-ヒドロキシ-安息香酸エチルまたはp-ヒドロキシ-安息香酸n-プロピル等の1またはそれを超える保存剤、1またはそれを超える着色剤、1またはそれを超える香味剤およびスクロースまたはサッカリン等の1またはそれを超える甘味剤を含有してもよい。
【0050】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油等の植物油、または流動パラフィン等の鉱油に有効成分(例えば、本発明の化合物)を懸濁することによって製剤化することができる油懸濁液を含む。経口懸濁剤は、蜜蝋、硬パラフィンまたはセチルアルコール等の増粘剤を含有してもよい。上記のような甘味剤および香味剤を添加して、口当たりのよい経口調製物を提供してもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸等の酸化防止剤の添加によって保存され得る。
【0051】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、化合物の放出を制御し、それによって時限放出または持続放出化合物を提供する作用物質(agent)を含む。
【0052】
代替的な実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、例えば、米国特許出願公開第20080118560号に記載されているように、例えば、水不溶性の非膨潤両親媒性脂質である疎水性マトリックス形成剤、および融解可能な水溶性賦形剤である親水性マトリックス形成剤を含む、多粒子および/または固体分散製剤として製剤化または作製される。一実施形態では、薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、例えば、デンプン、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムまたはゼラチンとしての結合剤;微結晶セルロースまたはラクトース等の充填剤;クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、コーンスターチ等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル等の滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素およびタルク等の滑剤;ショ糖またはサッカリン、アスパルテーム、アセスルファム-K等の甘味料;ならびに/またはペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ香味剤等の香味剤の任意の組み合わせを含む錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤等に含有される。単位剤形がカプセル剤である場合、脂肪油等の液体担体を含むこともできる。
【0053】
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、コーティング、例えば、糖、シェラック、持続性および/もしくは他の腸溶コーティング剤を含むコーティング、または任意の薬学的に純粋なおよび/もしくは非毒性の作用物質を有する単位投与製剤を含む(または単位投与製剤に含有される、または包装される)。
【0054】
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、単位投与製剤を含み(または単位投与製剤に含有され、または包装され)、組成物または製造品のそれぞれの異なる化合物は、例えば、米国特許第7,384,653号に記載されているように、例えば、外側の塩基可溶層および内側の酸可溶層を有する丸剤、錠剤またはカプセル剤の異なる層中に含有される。代替的な実施形態では、本明細書で提供される薬物および本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物の治療的組み合わせは、単位投与製剤を含み(または単位投与製剤に含有されまたは包装され)、組成物または製造品の各異なる化合物は、例えば、米国特許出願公開第20050214223号に記載される異なる粘度の液体またはゲル中に含有される。代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、例えば、米国特許出願公開第20040228802号に記載されているように、例えば、苦味剤、鮮明な抑止/インジケータ色素、または微細な不溶性粒子状物質を含む乱用の潜在性が低減された単位投与製剤を含む(または単位投与製剤に含有される、または包装される)。
【0055】
担体
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、水溶液もしくは非水溶液、懸濁液、エマルジョンおよび固体を含むか、またはそれらと共にもしくはそれらとして製剤化される。本明細書に開示される使用に適した非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、およびオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルが挙げられるが、これらに限定されない。代替的な実施形態では、水性担体は、水、エタノール、アルコール/水溶液、グリセロール、エマルジョンおよび/または懸濁液(生理食塩水および緩衝媒体を含む)を含むことができる。経口担体は、エリキシル、シロップ、カプセル、錠剤であり得る。
【0056】
代替的な実施形態では、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エリキシルおよび加圧された化合物を調製するための担体を含む液体担体を使用して、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬を製造または製剤化する。有効成分を、水、有機溶媒、両方の混合物、または薬学的に許容され得る油もしくは脂肪等の薬学的に許容され得る液体担体に溶解または懸濁することができる。液体担体は、可溶化剤、乳化剤、バッファー、保存剤、甘味剤、香味剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘度調節剤、安定剤または浸透圧調節剤等の他の適切な医薬添加剤を含むことができる。
【0057】
代替的な実施形態では、本発明の化合物を製造または製剤化するために使用される液体担体は、水(上記のような添加剤、例えばセルロース誘導体、またはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を部分的に含有する)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、例えばグリコールを含む)およびそれらの誘導体、ならびに油(例えば、分留ヤシ油および落花生油)を含む。非経口投与の場合、担体は、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピル等の油性エステルも含むことができる。滅菌液体担体は、非経口投与のための化合物を含む滅菌液体形態で有用である。本明細書に開示される加圧化合物のための液体担体は、ハロゲン化炭化水素または他の薬学的に許容され得る噴射剤であり得る。
【0058】
代替的な実施形態では、固体担体は、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬を製造または製剤化するために使用され、ラクトース、デンプン、グルコース、メチル-セルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、マンニトール等の物質を含む固体担体を含む。固体担体は、香味剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁化剤、充填剤、流動促進剤、圧縮助剤、結合剤または錠剤崩壊剤として作用する1またはそれを超える物質を更に含むことができ、封入材料であってもよい。粉末において、担体は、微細に分割された活性化合物と混合された微細に分割された固体であり得る。錠剤では、活性化合物を、必要な圧縮特性を有する担体と適切な割合で混合し、所望の形状およびサイズに圧縮する。適切な固体担体としては、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidine)、低融点ワックスおよびイオン交換樹脂が挙げられる。錠剤は、必要に応じて1またはそれを超える補助成分と共に、圧縮または成形によって作製され得る。圧縮錠剤は、必要に応じて結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤と混合された粉末または顆粒等の自由流動形態の有効成分を適切な機械で圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することによって作製され得る。錠剤は、必要に応じてコーティングまたは割線が付けられてもよく、例えば、所望の放出プロファイルを提供するために様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用して、その中の有効成分の低速または制御放出を提供するように製剤化されてもよい。胃以外の腸の部分で放出を提供するために、錠剤に、必要に応じて腸溶コーティングを設けてもよい。
【0059】
代替的な実施形態では、非経口担体を使用して、ADAR1阻害薬(本明細書に開示される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含む)を製造または製剤化し、本明細書に開示される使用に適した非経口担体としては、限定されないが、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液および固定油が挙げられる。静脈内担体は、流体および栄養補充剤、リンゲルデキストロースに基づくもの等の電解質補充剤等を含むことができる。保存剤および他の添加剤はまた、例えば、抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、不活性ガス等を含むことができる。
【0060】
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬を製造または製剤化するために使用される担体は、当技術分野で公知の従来の技術を使用して、崩壊剤、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤等と必要に応じて混合することができる。当技術分野で一般的に知られているように、化合物と有害に反応しない方法を使用して担体を滅菌することもできる。
【0061】
本発明はまた、医薬組成物および製剤を含む、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬を含有する(含む)製造物品およびキットを提供する。例として、キットまたは製造物品のみが、本明細書に記載の所望の量の化合物(または化合物の医薬組成物)を含む容器(ボトル等)を含むことができる。そのようなキットまたは製造物品は、本明細書に記載の薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬を使用するための指示を更に含むことができる。指示は、容器に取り付けることができ、または容器を保持するパッケージ(ボックスまたはプラスチックもしくはホイルバッグ等)に含めることができる。
【0062】
本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、例えば、本明細書で提供される薬物および本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物の治療的組み合わせによるex vivoでの「細胞のローディング」を含む任意の方法またはプロトコルによって、身体に送達され得るか、または特定の組織もしくは臓器(例えば、筋肉または脳)に対して標的化され得、「ロードされた細胞」は、例えば、米国特許第20050048002号に記載されているように、中枢神経系(CNS)へと筋肉内、または髄腔内、脳内、または硬膜外投与される細胞である(is the administered)。
【0063】
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、最初に凍結乾燥され、次いで、例えば、米国特許第20080159984号に記載されているように、例えば脂肪族、環状または芳香族分子を含む疎水性媒体に懸濁される。
【0064】
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、薬学的に許容され得る塩を含むか、または薬学的に許容され得る塩として製剤化される。薬学的に許容され得る塩は、その適切な酸付加塩または塩基塩を含み得る。代替的な実施形態では、化合物を、Berge et al,J Pharm Sci,66,1-19(1977)に記載されているように製剤化することができる。
【0065】
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、例えば、鉱酸等の強無機酸、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩およびヨウ化水素酸塩、硫酸、リン酸 硫酸塩、重硫酸塩、ヘミ硫酸塩、チオシアン酸塩、過硫酸塩およびスルホン酸等のハロゲン化水素酸と共に;非置換もしくは(例えば、ハロゲンによって)置換されている酢酸などである1~4個の炭素原子のアルカンカルボン酸等の強有機カルボン酸と共に;飽和もしくは不飽和ジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸もしくはテトラフタル酸と共に;ヒドロキシカルボン酸、例えばアスコルビン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸もしくはクエン酸と共に;アミノ酸、例えばアスパラギン酸もしくはグルタミン酸と共に;安息香酸と共に;または非置換もしくは(例えば、ハロゲンによって)置換されているメタン-もしくはp-トルエンスルホン酸などである(C~C)-アルキル-もしくはアリール-スルホン酸等の有機スルホン酸と共に形成される塩として製剤化される。本発明の化合物はまた、薬学的に許容されない塩、例えば、塩が合成または分析プロセスまたはプロトコルにおける中間体として依然として価値があり得る塩を包含する。
【0066】
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、任意の許容され得る塩、例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、パントテン酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、酪酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタネート、グルコヘプタネート、グリセロホスフェート、シュウ酸塩、ヘプタノエート、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、ニコチン酸塩、パルモエート(palmoate)、ペクチネート、3-フェニルプロピオネート、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオン酸塩、酒石酸塩、ラクトビオン酸塩、ピボレート(pivolate)、カンホレート、ウンデカン酸塩およびコハク酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-クロロベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等の有機スルホン酸;ならびに、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、ヘミ硫酸塩、チオシアン酸塩、過硫酸塩、リン酸およびスルホン酸等の無機酸を含む。本明細書に開示される医薬組成物は、当技術分野で周知の日常的に実施される方法に従って調製することができる。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Mack Publishing Co.,20th ed.,2000;およびSustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978を参照されたい。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、本質的に塩基性であり、無機酸または有機酸と反応して薬学的に許容され得る酸付加塩を形成することができるアミンを含む薬学的に許容され得る塩の形態で提供され、例えば、そのような塩は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸およびリン酸等の無機酸、ならびにパラ-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸および酢酸等の有機酸、ならびに関連する無機酸および有機酸を含み、または必要に応じて、そのような薬学的に許容され得る塩は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキシン-1,6-ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、安息香酸メチル、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ベータ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩、馬尿酸塩、グルコン酸塩、ラクトビオン酸塩、メチレン-ビス-b-ヒドロキシナフトエート、ゲンチジン酸塩、イセチオネート、ジ-p-トルオイル酒石酸塩、メタン-スルホン酸塩、エタンススルホン酸塩、ベンゼンススルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩およびキナテスラウリルスルホン酸塩等の塩を含む。
【0068】
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、「優良医薬品製造基準」もしくはGMP、または「現行の優良医薬品製造基準」(cGMP)条件下で製造された組成物を含む。
【0069】
投与方法
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、経口、非経口、吸入スプレー、経鼻、局所、髄腔内、髄腔内、脳内、硬膜外、頭蓋内または直腸を含む任意のまたは様々な手段によって投与される。本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、薬学的に許容され得る担体、アジュバントおよびビヒクルと共に投与することができる。代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、様々な注入技術を含む注射経路によって投与される。動脈内、髄腔内、頭蓋内、硬膜外、静脈内および他の注射は、カテーテルまたはポンプ、例えば髄腔内ポンプ、または植込み型医療デバイス(髄腔内ポンプまたはカテーテルであり得る)を介した投与を含み得る。
【0070】
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、鼻腔内、筋肉内、静脈内、局所もしくは経口、またはそれらの組み合わせを含む任意の既知の方法または経路によって投与される。
【0071】
一実施形態は、経口投与のための本明細書で提供される薬物、ベクターまたはナノ粒子調製物を含むADAR1阻害薬を含む、医薬組成物または製剤、ブリスターパッケージ、蓋付きブリスターまたはブリスターカードもしくはパケット、クラムシェル、トレイもしくはシュリンクラップ、またはキットを含む製造物品を含む。
【0072】
代替的な実施形態では、全ての成分は、1つのブリスターパッケージ、蓋付きブリスターまたはブリスターカードもしくはパケット、クラムシェル、トレイもしくはシュリンクラップ、またはキット内にあってもよいが、例えば局所適用用、経口用または局所適用用に別個の成分を製剤化することができる。各成分は、別々に包装され得るか、または1つの単位用量として、例えば、1つのチューブ(例えば、ゲル、ローション等と共に)、アンプル、ブリスターパケット等として製剤化され得る。
【0073】
投与量
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬は、臨床医によって日常的に決定されるように、改善される疾患または状態、処置される個体の状態、処置の目標等に応じて、多様な異なる投与量および処置レジメンで製剤化および投与され、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Mack Publishing Co.(前出)の最新版を参照されたい。
【0074】
代替的な実施形態では、立体異性体、塩、水和物または溶媒和物を含む、本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬の有効量は、個体または対象(例えば、患者)の体重1kgあたり約0.1mg~約20.0mgである。別の変形例において、有効量は、個体もしくは対象(例えば、患者)の体重1kgあたり約0.1mg~約10.0mg、または患者の体重1kgあたり約0.1mg~約5.0mgである。あるいは、有効量は、個体または対象(例えば、患者)の体重1kgあたり約0.2mg~約2mgである。
【0075】
代替的な実施形態では、(例えば、固体投薬量、例えば、丸剤、錠剤またはロゼンジ剤として)本明細書で提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬の有効量は、当該個体、対象または患者の体重1kgあたり約0.1mg~約10.0mgであるか、または体重1kgあたり約0.1mg~約2.0mgであるか、または体重1kgあたり約0.1mg、約0.15mg、約0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.35mg、約0.4mg、約0.45mg、約0.5mg、約0.55mg、約0.6mg、約0.65mg、約0.7mg、約0.75mg、約0.8mg、約0.85mg、約0.9mg、約0.95mg、もしくは約1.0mgであるか、または本明細書で提供される薬物もしくは化合物、または本明細書で提供される方法を実施するために使用される組成物の有効量は、体重1kgあたり約0.1mg、約0.15mg、約0.2mg、約0.25mgもしくは約0.3mgである。
【0076】
代替的な実施形態では、(例えば、固体投薬量、例えば、丸剤、錠剤またはロゼンジ剤として)本明細書において提供される方法を実施するために使用される薬物、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソーム、ベクターまたはナノ粒子を含むADAR1阻害薬の有効量は、約0.25mg~約100mg、約0.5mg~約200mg、もしくは約1mg~約400mgであるか、または約0.25mg~約100mg、約0.5mg~約200mg、もしくは約1mg~約250mgを含む固体剤形であるか、または固体剤形が約5mg~約150を含むか、または固体剤形(例えば、丸剤、錠剤またはロゼンジ剤として)が約1mg~約75を含むか、または固体剤形が、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mgもしくは約75mgを含む。
【0077】
ナノ粒子、ナノリポ粒子およびリポソーム
例えばADAR1阻害薬を含む、本明細書で提供される方法および実施形態を実施するために使用される化合物および組成物を含むナノ粒子、ナノリポ粒子、小胞およびリポソーム膜が提供される。本明細書中に提供される実施形態を実施するために使用される化合物を含む多層リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソームは、例えば、Parkらの米国特許出願公開第20070082042号に記載のとおりである。多層リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソームは、本明細書で提供される実施形態を実施するために使用される組成物を捕捉するために、スクアラン、ステロール、セラミド、中性脂質または油、脂肪酸およびレシチンを含む油性構成成分の混合物を使用して、粒径が約200から5000nmまで調製することができる。
【0078】
リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノリポソームは、例えば、Parkらの米国特許出願公開第20070042031号に記載されるように、活性剤(例えば、ADAR1阻害薬、または本明細書で提供される方法を実施するために使用される任意の化合物)を封入してリポソームを製造する方法を含む、任意の方法を使用して作成することができ、この方法は、第1のリザーバ内に水溶液を提供することと、第2の容器内に有機脂質溶液を提供し、次いで、第1の混合領域内で水溶液を有機脂質溶液と混合してリポソーム溶液を製造することと、を含み、有機脂質溶液が、水溶液と混合して、活性剤を封入するリポソームを実質的に瞬時に生成し、その後直ちに、リポソーム溶液を緩衝液と混合して希釈リポソーム溶液を生成する。
【0079】
一実施形態では、例えば、米国特許出願公開第20070110798号に記載されるように、本明細書に提供される実施形態を実施するために使用されるリポソーム組成物は、例えば、本明細書に提供される化合物または本明細書に提供される方法を実施するために使用される化合物の所望の細胞型または臓器、例えば、脳への送達を標的化するための置換アンモニウムおよび/またはポリアニオンを含む。
【0080】
本明細書で提供される化合物を含むナノ粒子が提供され、例えば、米国特許出願公開第20070077286号に記載されるように、例えば、活性剤含有ナノ粒子(例えば、二次ナノ粒子)の形態で本明細書で提供される方法を実施するために使用される。一実施形態では、本明細書で提供される実施形態を実施するために使用される脂溶性活性剤、または二価もしくは三価の金属塩と作用するための脂肪可溶化水溶性活性剤を含むナノ粒子が提供される。
【0081】
一実施形態では、例えば、米国特許出願公開第20050136121号に記載されているように、固体脂質懸濁液を使用して、本明細書で提供される実施形態を実施するために使用される組成物を製剤化し、in vivo、in vitroまたはex vivoで哺乳動物細胞に送達することができる。
【0082】
代替的な実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用されるADAR1コード核酸またはベクターは、本明細書で提供される方法を使用してin vivoで送達され、RNAの形態であり得るか、またはRNAを含み得、これは、脂質製剤またはリポソーム中に製剤化され得、例えば、米国特許出願第US20210046173A1号に記載されているような製剤および方法を使用して、例えば筋肉内(IM)注射され得、米国特許出願第US20210046173A1号は、対象(例えば、筋肉内投与を介して)に、ADAR1をコードする核酸を含む(またはからなる、またはから本質的になる)またはコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むRNA(例えば、mRNA)を含むADAR1をコードする核酸を送達することを記載し、必要に応じて、RNA(またはDNA担持発現ビヒクル)は、コレステロールとDSPCとの混合物を含む非カチオン性脂質、もしくはPEG-脂質、もしくはPEG修飾脂質、もしくはLNP、もしくはイオン化可能なカチオン性脂質;または(13Z,16Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘニコサ-12,15-ジエン-1-アミン、コレステロール、DSPCおよびPEG-2000 DMGの混合物を含むリポソーム、もしくは脂質ナノ粒子(LNP)、もしくはナノリポソームに製剤化される。代替的な実施形態では、PEG-脂質は、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロールメトキシポリエチレングリコール(PEG-DMG)、PEG-ジステリルグリセロール(PEG-DSG)、PEG-ジパルメトレイル、PEG-ジオレイル、PEG-ジステアリル、PEG-ジアシルグリカミド(PEG-DAG)、PEG-ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(PEG-DPPE)、もしくはPEG-1,2-ジミリスチロキシルプロピル-3-アミン(PEG-c-DMA)であるか、またはPEG-脂質は、ジミリストイルグリセロールに結合したPEG(PEG-DMG)である。代替的な実施形態では、LNPは、20~99.8モル%のイオン化可能なカチオン性脂質、0.1~65モル%の非カチオン性脂質、および0.1~20モル%のPEG-脂質を含む。代替的な実施形態では、LNPは、(2S)-1-({6-[(3)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]ヘキシル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z)-オクタデカ-9-エン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン;(13Z,16Z)-N,N-ジメチル-3-ノニルドコサ-13,16ジエン-1-アミン;およびN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン;またはその薬学的に許容され得る塩、または前述のいずれかの立体異性体からなる群から選択されるイオン化可能なカチオン性脂質を含む。代替的な実施形態では、PEG修飾脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロールおよびそれらの混合物を含む。代替的な実施形態では、イオン化可能なカチオン性脂質は、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1、3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、ジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、(13Z,16Z)-N,N-ジメチル-3-ノニルドコサ-13,16-ジエン-1-アミン、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘンイコサ-12,15-ジエン-1-アミン、およびN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミンを含む。一実施形態では、脂質は、(13Z,16Z)-N,N-ジメチル-3-ノニルドコサ-13,16ジエン-1-アミンまたはN,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミンであり、これらはそれぞれPCT/US2011/052328に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本開示の非カチオン性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DUPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0DietherPC)、1-オレオイル-2コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16 Lyso PC)、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン,1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン,1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン,1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(ME 16.0 PE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、スフィンゴミエリン、またはそれらの混合物を含む。
【0083】
送達ビヒクル
代替的な実施形態では、任意の送達ビヒクルを使用して、本明細書で提供される方法を実施することができ、例えば、本明細書で提供される化合物および組成物、または本明細書で提供される方法を実施するために使用される化合物、例えばADAR1阻害薬を、例えばin vivo、in vitroまたはex vivoで哺乳動物細胞に送達することができる。例えば、ポリエチレンイミン誘導体等のポリカチオン、カチオン性ポリマーおよび/またはカチオン性ペプチドを含む送達ビヒクルは、例えば米国特許出願公開第20060083737号に記載されているように使用することができる。
【0084】
一実施形態では、乾燥したポリペプチド-界面活性剤複合体を使用して、本明細書で提供される化合物および組成物を製剤化するか、または本明細書で提供される実施形態を実施するために使用される化合物を、例えば、米国特許出願公開第20040151766号に記載されているように製剤化する。
【0085】
一実施形態では、本明細書で提供される方法を実施するために使用されるADAR1阻害薬は、例えば、米国特許第7,306,783号、同第6,589,503号に記載されているように、細胞膜透過ペプチドコンジュゲートを有するビヒクルを使用して細胞に適用することができる。一態様では、送達される組成物は、細胞膜透過ペプチドにコンジュゲートされる。一実施形態では、送達される組成物および/または送達ビヒクルは、例えば、高度に塩基性であり、ポリホスホイノシチドに結合する輸送媒介ペプチドを記載する米国特許第5,846,743号に記載されているように、輸送媒介ペプチドにコンジュゲートされる。
【0086】
一実施形態では、電気透過処理は、例えば、米国特許第7,109,034号、同第6,261,815号、同第5,874,268号に記載されているような任意のエレクトロポレーションシステムを使用して、組成物を細胞に送達するための主要なまたは補助的な手段として使用される。
【0087】
製造品、製剤およびキット
例えば、ADAR1(RNA1に関連するアデノシンデアミナーゼ)阻害薬を含む、例えば、フェドラチニブ、またはINREBIC(商標)、またはルキソリチニブ、またはJAKAFI(商標)等のJAK2阻害剤、またはSTAT3阻害剤、または8-アザ-アデノシン、ヌクレオシド類縁体またはインテグラーゼ阻害剤、またはラルテグラビル(またはISENTRESS(商標))またはドルテグラビル(またはTIVICAY(商標))、またはレンチウイルスshRNA ADAR1ノックダウンベクター、またはレンチウイルスADAR1変異体ベクター、またはレンチウイルスADAR1 Zアルファドメイン欠失ベクター、またはインターフェロン阻害化合物、またはレンチウイルスADAR1もしくはレンチウイルスADAR1 shRNA等を含む、本明細書で提供される方法を実施するための構成成分および組成物を含む、本明細書で提供される方法を実施するための製造品、製剤、医薬組成物または製剤、およびキットが提供され、必要に応じて、製造品およびキットは、本明細書で提供される方法を実施するための指示を更に含むことができる。
【0088】
上記の態様および実施形態のいずれも、概要、図および/または詳細な説明のセクションで本明細書に開示されているような任意の他の態様または実施形態と組み合わせることができる。
【0089】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0090】
本明細書で使用される場合、特に明記されない限り、または文脈から明らかでない限り、「または」という用語は包括的であると理解され、「または」と「および」の両方を包含する。
【0091】
本明細書で使用される場合、特に明記されない限り、または文脈から明らかでない限り、「約」という用語は、当技術分野における通常の許容範囲内、例えば平均の2標準偏差以内であると理解される。約(「約」という用語の使用)は、記載された値の20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内と理解することができる。文脈から明らかでない限り、本明細書で提供される全ての数値は、「約」という用語によって修飾される。
【0092】
特に明記しない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「実質的に全て」、「の実質的にほとんど」、「の実質的に全て」または「の大部分」という用語は、組成物の参照量の少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99.5%、またはそれを超える量を包含する。
【0093】
本明細書で参照される各特許、特許出願、刊行物および文書の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。上記の特許、特許出願、刊行物および文書の引用は、上記のいずれかが適切な先行技術であることを認めるものではなく、これらの刊行物または文書の内容または日付に関するいかなる承認も構成しない。単独でのこれらの文書の参照による組み込みは、任意の文書の内容の任意の部分が、特許出願に対する国または地域の法的開示要件を満たすために不可欠なものであると考えられるという主張または承認として解釈されるべきではない。それにもかかわらず、そのような文書のいずれかに依拠することについて、適切な場合には、審査当局または裁判所によって特許請求される主題に必須であると考えられる資料を提供することについて、権利が留保される。
【0094】
本発明の基本的な態様から逸脱することなく、上記に変更を加えることができる。本発明は、1またはそれを超える特定の実施形態を参照して実質的に詳細に説明されているが、当業者は、本出願で具体的に開示された実施形態に変更を加えることができ、更にこれらの修正および改善は本発明の範囲および趣旨の範囲内であることを認識する。本明細書に例示的に記載された本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素(複数可)の非存在下で適切に実施され得る。したがって、例えば、本明細書の各例では、「を含む」、「から本質的になる」、および「からなる」という用語のいずれかは、他の2つの用語のいずれかと置き換えることができる。したがって、使用される用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、図示および説明された特徴の均等物またはその一部は除外されず、本発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。本発明の実施形態は、以下の特許請求の範囲に記載される。
【0095】
本発明を、本明細書に記載の実施例を参照して更に説明するが、本発明はそのような例に限定されないことを理解されたい。
【実施例
【0096】
実施例
実施例において別段の記載がない限り、全ての組換えDNA技術は、例えば、Sambrook et al.(2012)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY、ならびにAusubel et al.(1994)Current Protocols in Molecular Biology,Current Protocols,USAの1巻および2巻に記載されているように、標準的なプロトコルに従って行われる。標準的な分子生物学技術の他の参考文献としては、Sambrook and Russell(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Third Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY,Volumes I and II of Brown(1998)Molecular Biology LabFax,Second Edition,Academic Press(UK)が挙げられる。ポリメラーゼ連鎖反応のための標準的な材料および方法は、Dieffenbach and Dveksler(1995)PCR Primer:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press、およびMcPherson at al.(2000)PCR-Basics:From Background to Bench,First Edition,Springer Verlag,Germanyに見出すことができる。
【0097】
実施例1:ヒト機能性抗ウイルスRNA編集酵素、ADAR1および関連レンチウイルスベクター、編集レポーターおよび化合物の精製および産生
この実施例は、例示的な方法を使用する本明細書に提供されるような方法が効果的であり、がん幹細胞のin vivo数を根絶するために、または減少させるために使用され得ることを実証する。
【0098】
方法
ヒトADAR1触媒ドメイン(CD)精製プロトコル
酵母株:サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)BJ2168
(Goode lab/発現ベクターから:pEG(KT)
(URA/LEUマイナス)(Zakarian lab/プリンストンから)
遺伝子:コドン最適化ADAR1-CD(GenScript)
【0099】
酵母成長培地(1リットル)
最小選択培地(URA/LEUマイナス成長培地):100mMリン酸カリウムpH6.0、6.7g酵母窒素ベース、1.92g合成アミノ酸ドロップアウトミックス(マイナスURA/LEU)、5.0g硫酸アンモニウム、10.0g
コハク酸、2%グリセロール、3%乳酸、2%ラフィノース。NaOHペレットを使用してpH媒体をpH6.0にし、0.22umフィルターを使用して滅菌する。
5×誘導培地:50g/L Select Yeast Extract、100g/L Bacto-Tryptone、10%D(+)-ガラクトース。0.22um滅菌フィルターを使用して培地を濾過する。
【0100】
精製緩衝液
酵母「ポップコーン」緩衝液:20mM Hepes pH8.0、150mM NaCl
-新鮮な1mM PMSFおよび1 Rocheプロテアーゼ阻害剤カクテルピルを添加する
YeastBuster溶解緩衝液(Novagen)
-1×THP、1mM 1,4-ジチオスレイトール(DTT)、1mMフェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)、1 Rocheプロテアーゼカクテルピルを添加する;
【0101】
GSTプルダウン緩衝液
GST結合緩衝液:20 mM Hepes pH8.0、150mM NaCl、0.1% Triton(登録商標) X100、5%グリセロール、1mM DTT
-新鮮な1mM PMSFおよび1 Rocheプロテアーゼ阻害剤カクテルピルを添加する
高塩洗浄緩衝液:20mM Hepes pH8.0、500mM NaCl、0.1% Triton X100、5%グリセロール、1mM DTT低塩洗浄緩衝液:20mM Hepes pH8.0、75mM NaCl、0.1% Triton X100、5%グリセロール、1mM DTT
【0102】
HiTrapヘパリンカラム(GE)緩衝液
緩衝液A:20mM Hepes pH8.0、75mM NaCl、5%グリセロール、1mM DTT、0.22um濾過緩衝液B:20mM Hepes pH8.0、1M NaCl、5%グリセロール、1mM DTT、
0.22um濾過
【0103】
透析緩衝液/タンパク質保存緩衝液:20mM Hepes pH8.0、150mM NaCl、5%グリセロール、1mM DTT
【0104】
Superdex 200 10/300 GL(GE)緩衝液
緩衝液A:20mM Hepes pH8.0、150mM NaCl、5%グリセロール、1mM DTT、0.22um濾過
【0105】
酵母成長手順
1.)滅菌した150mLバッフル付きフラスコ内で、15mLの最小選択培地(URA/LEUマイナス培地)に、新たに画線したURA/LEUマイナスプレートから採取した大きな単一酵母コロニーを接種する。培養物を250 RPMに設定したシェーカー内で30℃にて一晩成長させる。注:このプロトコルは、3リットルの酵母培養物を調製するために設計されている。
2.)翌日、各々1.5mLのスターター培養物の各々を2リットルバッフル付きフラスコ内の800mLの最小選択培地に接種する。培養物を250 RPMに設定した振盪機内で30℃にて一晩成長させる。
3.)翌朝、Spectronic 200分光光度計を使用して、600nmの波長を使用して培養物の光学密度(OD)を測定する。理想的な遺伝子発現のために、OD 600nmは1.0から2.0の間であるべきである。タンパク質発現を誘導するために、200mLの5×誘導培地を各フラスコに添加する。酵母を成長させる
250 RPMに設定した振盪機内で30℃にて24時間。
4.)500mLスピンボトルを使用して5K RPMで10分間培養物をスピンダウンすることによって酵母を回収する。全ての培養物がペレット化されるまでこの工程を繰り返す。
5.)上清を捨て、それらを酵母「ポップコーン」緩衝液に再懸濁することによってペレットを合わせる。まず、20mLの緩衝液中でペレットをボルテックスして再懸濁する。次に、酵母を50mLコニカルチューブに移し、卓上遠心分離機を用いて5K RPMで10分間酵母を再ペレット化する。洗浄液を廃棄し、ペレットを保存する。
6.)ペレットを、1mMのPMSFおよび1つのRocheプロテアーゼ阻害剤カクテルピルを含有する酵母「ポップコーン」緩衝液に再懸濁する。再懸濁のために、ペレット体積の半分を使用し、ボルテックスによって酵母を完全に再懸濁する(例えば、10mLの湿った酵母ペレットに対して5mLのポップコーン緩衝液を使用する)。注:Rocheプロテアーゼ阻害剤カクテルピルは、このプロトコルを通じて使用する前のこの時点でポップコーン緩衝液に事前可溶化する。
7.)最後に、酵母を50mLコニカルチューブ中の液体窒素に一滴ずつ滴下することによって酵母を「ポップコーン」にする。
長期保存のためにポップコーンを-80℃で保存する。
【0106】
酵母溶解プロトコル
1.)セラミック乳鉢と乳棒を予備冷却することによって溶解プロトコルを開始する。そうするため、ドライアイスを入れたバケツに乳鉢を入れる。必ず、乳鉢の側面をドライアイスで完全に覆う。更に、乳鉢に液体窒素を充填し、使用前に液体窒素を完全に放散させる。乳棒およびスパチュラはまた、工程2の前にそれらを液体窒素に浸漬することによって予冷する必要がある。注:液体窒素を取り扱う場合は必ず青色の極低温手袋を使用する。
2.)次に、少量の酵母ポップコーンを乳鉢に入れ、非常に微細な粉末が形成されるまで乳棒を円運動で慎重に操作することによって粉砕を開始する。これは、粉砕一ラウンドあたり最大10分かかる場合がある。
3.)粉砕した酵母材料、すなわち「粉末」を新しい50mLコニカルチューブに移す。酵母粉末を、必要な場合、次の工程を開始する前に-80℃で保存することができる。
4.)酵母粉末を室温で解凍する。粉末を解凍している間に、100mLのYeastBuster溶解緩衝液を活性化する。緩衝液を活性化するために、1mLの100×THP、1mM DTT、1mM PMSF、100uLシアナーゼ(50U/uL)および1 Rocheプロテアーゼ阻害剤カクテルピルを添加する。
5.)100mL全ての活性化Yeast Buster溶解緩衝液に粉末を再懸濁する。試料を振盪またはボルテックスしてはならない(これにより、タンパク質が損傷し、泡沫が形成される)!
6.)撹拌棒を備えた500mLビーカーに試料を入れ、室温で100 RPMで1時間撹拌する。
7.)予冷したダウンスホモジナイザー内で試料を30回ダウンシングすることによって溶解プロトコルを完了させる。これは、一度に15mLの試料を区分的にダウンシングして行うことができる。
8.)最後に、冷却した遠心分離機で抽出物を15K RPMで25分間回転させることによって、破壊されていない細胞および細胞破片をペレット化する。注:これらの回転速度に耐えるチューブ(例えば、Nalgene遠心管)を使用すること。
9.)ペレットを廃棄し、タンパク質を含む上清を新しい50mLコニカルチューブに移す。抽出物のタンパク質濃度を測定し、試料中のタンパク質の総量を決定する。後の使用のために液体窒素を使用して抽出物を急速凍結する。凍結抽出物を-80°Cで保存する。
【0107】
GST-ADAR1-CD精製プロトコル
1.)好ましくは水中、室温でタンパク質抽出物を解凍することによって開始する。解凍したら、抽出物をGST結合緩衝液で希釈して総体積を500mLにする。新鮮な1mM DTT、1mM PMSFおよび1 Rocheプロテアーゼ阻害剤カクテルピルを最終希釈抽出液(出発材料)に添加する。理想的には、抽出物の最終タンパク質濃度は1~2mg/mLである。
2.)抽出物を解凍している間に、150mL(3CV)の氷冷GST結合緩衝液でGST樹脂を予備平衡化する。
3.)次に、抽出物をGST樹脂上に通過させる。この工程が完了するまでに数時間かかるため、プロセス全体を通して抽出物およびフロースルーを氷上で保持する。更に、抗ADAR1または抗GSTウエスタンブロット分析のために100uLの出発材料およびフロースルーを保存する。
4.)抽出物を通過させた後、GST樹脂を、以下の洗浄緩衝液で洗浄し始める。
a.)100mL GST結合緩衝液;b.)100mL高塩洗浄緩衝液;c.100mL GST結合緩衝液;d.)100mLの低塩緩衝液。
5.)最後の洗浄後、ストップコックを取り外し、小さな黄色のキャップと交換し、パラフィルムで十分に密封する。
6.)50mLの低塩緩衝液を添加し、GST樹脂を慎重に再懸濁し、ビーズを全て4×50mLコニカルチューブに均一に移す(各チューブ約25mL)。
7.)1mMのDTTを含有する低塩緩衝液を各チューブに50mLまで充填する。最終的な溶出体積は150mL(およそ3CV)である。
8.)300uLのTEVプロテアーゼを各チューブに添加し、穏やかに回転させながら4°Cで一晩インキュベートする。
9.)翌日、全てのGST樹脂および溶液を精製カラムに戻す。最初に上部ねじキャップを解放/開き、カラムの内圧を解放する。次いで、底部スクリューキャップを慎重に開き、TEV溶出タンパク質を氷上の250mLビーカーに捕捉する。タンパク質濃度測定およびクーマシーブルー染色分析のために溶出の160uLを保存する。
10.)AKTA Pureシステム(FPLC)にタンデムに取り付けた5mL HiTrapヘパリンカラム(GE)に溶出(elution)をポンプ輸送することによって精製を進める。AKTA Pureシステムに記載された方法スクリプトを使用する。注:工程9から得られたミリグラム量は、試料中の全てのADAR1-CDタンパク質を捕捉するために必要なヘパリンカラムの数を決定する。
11.)SDS-PAGEゲル上のヘパリン画分を可視化し、それをクーマシーブルー染色で染色することによって、ADAR1-CDおよびTEVプロテアーゼを含む他の汚染タンパク質の分離を決定する。注:タンパク質の分離を決定することは、次の工程に進む前に決定的である。
12.)ADAR1-CDを含むが他の汚染タンパク質を含まないFPLC画分を収集し、それらを氷上の50mLコニカルチューブに移す。
13.)試料は高塩(約300mM)であるため、試料を、dH20中の1mM EDTA pH8.0で予め平衡化された透析チューブを使用して透析緩衝液中で透析する必要がある。透析チューブが10~14kDa以下のMWCOを有することを確認する。撹拌棒で穏やかに撹拌しながら3リットルの緩衝液中4℃で一晩透析する。
14.)翌朝、試料を氷上の新しい50mLコニカルチューブに慎重に移す。この時点で、10~14kDaのMWCOを有するMillipore Amicon-Ultra遠心分離スピンカラムを使用してタンパク質をいつでも濃縮できる。試料を5,000×gで20分間回転させる。20分後、試料を遠心分離機から取り出し、望ましくないタンパク質凝集を防ぐためにタンパク質溶液を慎重にピペッティングする。500uLの最終体積が達成されるまで試料を回転させ続ける。
15.)濃縮試料のタンパク質濃度を測定し、更なるSDS-PAGE分析のために20uLを保存し、液体窒素中で試料の残りを急速凍結する。この時点で、試料はいつでも下流適用できる。注:あるいは、濃縮工程の後、試料をSuperdex 200 10/300 GL(商標)ゲル濾過カラムに適用して、タンパク質を更に精製することができる。
【0108】
ナノルシフェラーゼレポーターの設計
in vivo RNAエディターゼレポーター構築
RNAエディターゼ応答性レポーターレポーターは、NanoLucと呼ばれる以下のDNA配列:
【化1】
をpCDH-EF1-T2A-copGFPレンチウイルス発現プラスミド(CD521A-1、SBI Systems Biosciences)にサブクローニングすることによって作製した。フォワードプライマー:GP17015XbaI/NanoLuc
(5’-ctagtctagactagccaaggtgagcgcgtca-3’)(配列番号3)
およびリバースプライマーGP17023 NotI/NanoLuc
5’-atagtttagcggccgccagaatgcgttc gcacag-3’(配列番号4)を使用して、NanoLuc配列の増幅を生じさせた。
【0109】
増幅後、pCDH-EF1-T2A-copGFPベクターを制限酵素XbaIおよびNotIで消化した。XbaI/NotI消化pCDH-EF1-T2A-copGFPへのインフレームの上記配列のライゲーションは、RNAエディターゼ活性に応答性のNanoLucレポーターを生成した。[TAG]終止コドンは、ナノルシフェラーゼの上流にあり、アデノシンのイノシンへのRNA編集に応答して、コドンは、[TGG]として翻訳され、終止コドンブロックが緩和され、レポーターナノルシフェラーゼの発現が誘導される。ハウスキーピング伸長因子1α(EF1)プロモーターは、レポーターの発現を駆動する。オリゴヌクレオチドプライマーは、Eton Bioscience(カリフォルニア州サンディエゴ)によって合成された。制限酵素分析およびDNA配列決定の両方を使用して、NanoLucレポーターの検証を完了した。
【0110】
ナノlucレポーターによるADAR1エディターゼ活性のin vivo可視化
形質導入
ATCC由来のK562細胞に、対照、ADAR1 WTまたはADAR1 E912A変異体ベクターを最初に形質導入し、安定に維持した。次いで、これらの安定な株に、等しいMOIのADAR1 NanoLucレポーターレンチウイルスを共形質導入した。次いで、細胞を継代培養し、マウスへの移植前に安定に維持した。
【0111】
移植および画像化
免疫無防備状態のRAG2-/-yc-/-マウスを飼育し、IACUC承認プロトコルに従ってSanford Consortium vivariumに収容した。新生仔(P2~P3)に、pCDH、ADAR1 WTまたはADAR1 E912AベクターおよびADAR1 NanoLucレポーター(全て)のいずれかを形質導入した100,000個のK562細胞を肝内移植した。マウスをモニタリングし、P21以降、毎週体重を測定した。非移植対照と比較して20%を超える体重減少(およそ7週齢)を有するマウスをIVISルミナイメージングシステムによって画像化した。Promega NANOLUC(商標)基質を40倍(滅菌PBS)で調製し、マウス体重(g)の10倍に相当する容量(ul)で腹腔内投与した。マウスを画像化後に安楽死させた。
【0112】
図の凡例
図1.BJ2168酵母発現系における組換えヒトADAR1触媒ドメイン(hADAR1 CD)の発現および精製。(A)酵母における発現のためのhADAR1 CDコドン最適化。(B)hADAR1 CDアミノ酸配列。着色アミノ酸は、Δループコンストラクトにおいて欠失されている。(C)pEG(KT)GST-TEV-hADAR1 CDおよびpEG(KT)GST-TEV-hADAR1 CDΔループベクターマップ。(D)ガラクトース誘導性発現系の概略図。(E)クーマシーブルー染色およびα-ADAR1ウエスタンブロットにより、GSTタグ付きhADAR1 CDのガラクトース誘導性発現が確認された。(F)酵母細胞抽出物からのタンパク質精製に関与する工程を示すワークフロー。(G)TEV酵素によるGSTタグの切断の成功を示すクーマシーブルー染色。(H)最終精製工程後のhADAR1 CDタンパク質産物の純度を実証する銀染色。(I)Superdex200 10/300 GLゲル濾過カラムを使用した精製hADAR1 CDのサイズ排除クロマトグラフィー。
【0113】
(J)質量分析による精製hADAR1 CDタンパク質産物のタンパク質質量決定。(K)最終タンパク質産物の純度を実証する精製hADAR1 CDの分析超遠心分離。
【0114】
図2.BJ2168酵母発現系における組換えヒト全長ADAR1の発現および精製。(A)p424 10×Hisタグ付き全長ADAR1ベクターマップ。(B)ガラクトース誘導性発現系の概略図。(C)10×Hisタグ付き全長ADAR1のガラクトース誘導性発現を確認するクーマシーブルー染色。
【0115】
図3.in vitroでのナノルシフェラーゼベースのRNAエディターゼ活性レポーターアッセイ。(A)ナノルシフェラーゼレポーター設計の概略図。レポーターは、プロモーター配列とナノルシフェラーゼ配列(Herbert配列)との間のUGA終止コドンを用いて設計された。細胞内にA-to-I編集が存在しない場合、ナノルシフェラーゼ配列の前の終止コドンがその転写を妨げる。したがって、シグナルは存在しない。ADAR1の存在下では、終止コドンはADAR1のA-to-I RNAエディターゼ活性を介して編集され、それによってもはやナノルシフェラーゼ配列の転写を妨げない。したがって、検出および定量することができる発光シグナルが存在する。(B)レンチウイルスナノルシフェラーゼRNAエディターゼレポーター発現ベクター。(C)上部パネル FLAGタグ付きADAR1コンストラクトおよびNanoLuciferaseレポーターによる共トランスフェクション後のHEK293T細胞におけるADAR1エディターゼ活性についての濃度依存性および特異性を示すNanoLuciferase活性アッセイ。下部パネル α-FLAGウエスタンブロット分析は、FLAG-ADARタンパク質レベルの増加を実証する。(D)上部パネル pCDH/ADAR1とNanoLuciferaseレポーターとの共形質導入後のK562細胞におけるADAR1 RNAエディターゼ活性を比較するNanoLuciferase活性アッセイ。下部パネル α-ADAR1ウエスタンブロット分析は、全ての条件について等しいADAR1タンパク質レベルを実証し(左)、RT-PCRは、全ての条件について、ならびに対照としての親の形質導入されていないK562細胞において等しいNanoLuciferaseレポーター発現を示す(右)。
【0116】
図4.in vivoでのナノルシフェラーゼベースのRNAエディターゼ活性レポーターアッセイ。(A)上部パネル pCDHベクター/ADAR1とNanoLuciferaseレポーターとの共形質導入後のK562細胞におけるADAR1 RNAエディターゼ活性を比較するNanoLuciferase活性アッセイ。下部パネル α-ADAR1ウエスタンブロット分析は、全ての条件について等しいADAR1タンパク質レベルを実証し(左)、RT-PCRは、全ての条件について、ならびに対照としての親の形質導入されていないK562細胞において等しいNanoLuciferaseレポーター発現を示す(右)。(B)pCDH/野生型ADAR1/エディターゼ欠損ADAR1 E912Aおよびナノルシフェラーゼレポーターを共形質導入したK562細胞による新生仔肝内移植後の6.5週齢マウスのIVIS(商標)イメージングは、RNAエディターゼ活性のin vivo視覚化を実証する。
【0117】
図5.ADAR1の安定なレンチウイルスshRNA媒介ノックダウン、ならびにshADAR1ノックダウン後のADAR1野生型およびADAR1変異体の安定なレンチウイルス過剰発現。(A)qPCR(HPRTに対して正規化)によって示されるように、shSchrambleおよびshADAR1による形質導入後のTF1a細胞における総ADAR1(左)およびADAR1 p150アイソフォーム(右)の発現レベルから、ADAR1の効率的な(90%)shRNA媒介ノックダウンが確認された。(B)ウエスタンブロット分析によって示されるように、shSchrambleおよびshADAR1による形質導入後のTF1a細胞におけるADAR1のタンパク質レベルは、ADAR1の効率的な(90%)shRNA媒介ノックダウンを実証する。(C)HAタグ付きshADAR1耐性(shR)ADAR1野生型、ADAR1エディターゼ欠損変異体E921A、ADAR1 DNA結合ドメイン欠損変異体dZaおよびADAR1変異体E912A dZaコンストラクトのレンチウイルス発現ベクター。(D)pCDH/ADAR1 shRベクターおよびNanoLuciferaseレポーターのshRNA媒介ADAR1ノックダウン(左)のバックグラウンドへの共形質導入後のTF1a細胞におけるADAR1 RNAエディターゼ活性を比較するナノルシフェラーゼ活性アッセイ。α-HAウエスタンブロット分析は、全ての条件について同様のADAR1タンパク質レベルを実証する。
【0118】
図6.潜在的なADAR1阻害薬としてのJAK/STAT経路およびJAK阻害剤におけるADAR1の関与。(A)PBS(対照)またはインターフェロンアルファ(HPRTに対して正規化)による処理の16時間後にqPCRによって示されるTF1a細胞におけるADAR1 p150アイソフォーム発現レベル。(B)PBS(対照)またはインターフェロンアルファで処理した16時間後のADAR1およびJAK/STAT経路の様々なメンバーのタンパク質レベルを示すTF1a細胞のウエスタンブロット分析。(C)PBS(対照)、インターフェロンアルファ、ベータまたはガンマによる処理の16時間後にADAR1、STAT3およびホスホ-STAT3 Y705のタンパク質レベルを示す二次性AML(患者672)CD34+細胞のウエスタンブロット分析。(D)1nM、10nMおよび100nMの濃度のJAK3阻害剤(FM-381)と比較した、FDA承認JAK2阻害剤(ルキソリチニブおよびフェドラチニブ)で処理した二次性AML(患者255)CD34+細胞のウエスタンブロット分析。
【0119】
本発明のいくつかの実施形態を説明した。それにもかかわらず、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることが理解され得る。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】