(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】術中の患者の可動性を予測し、可動性に関連する手術ステップを特定するためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/10 20160101AFI20240711BHJP
【FI】
A61B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503982
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 US2022037640
(87)【国際公開番号】W WO2023003912
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521234397
【氏名又は名称】カールスメッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100170209
【氏名又は名称】林 陽和
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー ナイル パトリック
(72)【発明者】
【氏名】エスターバーグ ジャスティン
(57)【要約】
患者の外科矯正をモデル化するためのコンピュータ実装方法及び関連システムが本明細書で開示される。幾つかの実施形態において、方法は、患者データを取得するステップを含む。画像データは、患者の脊椎の領域の生来の解剖学的構成を描写することができる。方法はまた、生来の解剖学的構成及び/又は矯正された解剖学的構成における患者の脊椎の仮想モデルを生成するステップを含む。方法はまた、1又は2以上の軟組織手術ステップを特定するステップと、軟組織手術ステップの効果を予測するステップと、矯正された解剖学的構成を達成するための外科処置計画を生成するステップとを含むことができる。軟組織手術ステップは、矯正された解剖学的構成を達成するために脊椎の椎骨の術中可動性を調整することができる。外科処置計画は、矯正された解剖学的構成への椎骨の移動を促進するのに役立つ軟組織手術ステップの少なくとも1つを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の外科矯正をモデル化するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の脊椎の1又は2以上の領域の画像データを含む患者データを取得するステップであって、前記画像データが、前記患者の脊椎の生来の解剖学的構成を描いている、ステップと、
矯正された解剖学的構成における前記患者の脊椎の仮想モデルを生成するステップと、
前記矯正された解剖学的構成を達成するために前記脊椎の椎骨の術中可動性を調整するための1又は2以上の軟組織手術ステップを特定するステップと、
前記矯正された解剖学的構成を達成するための外科処置計画を生成するステップであって、前記外科処置計画が、前記矯正された解剖学的構成への前記椎骨の移動を容易にする前記軟組織手術ステップの少なくとも1つを含む、ステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
ユーザによる観察のために前記仮想モデルを用いて術中可動性をシミュレートするステップと、
前記1又は2以上の軟組織手術ステップに起因する前記シミュレーションにおける術中可動性を特定するステップと、
を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記軟組織手術ステップのうちの少なくとも1つのユーザ選択を受信するステップと、
前記選択された軟組織手術ステップに起因する術中可動性を表すように前記シミュレーションを更新するステップと、
を更に含む、請求項2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記外科処置計画のための手術ステップを生成するステップと、
医師による観察のために前記手術ステップを仮想的にシミュレートするステップと、
を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
実行される前記1又は2以上の軟組織手術ステップに基づいて術中の脊椎可動性を予測するステップと、
前記予測された術中の脊椎可動性に基づいて、1又は2以上の術中矯正値を決定するステップであって、前記術中矯正値は、最大伸延、脊椎前弯矯正、後弯矯正、側弯矯正、又は脊椎すべり症矯正のうちの少なくとも1つを含む、ステップと、
を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
実行される前記1又は2以上の軟組織手術ステップに基づいて術後の脊椎可動性を予測するステップ
を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
特定された前記1又は2以上の軟組織手術ステップに起因する前記脊椎の椎骨の調整された術中可動性の術中シミュレーションを生成するステップと、
前記術中シミュレーションの医師による観察を提供するステップと、
前記医師からの入力を受信するステップであって、前記入力が前記外科処置計画を生成する際のものである、ステップと、
を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
補助的な外科処置のための医師入力を受信するステップであって、前記1又は2以上の軟組織手術ステップが、前記医師入力を受信するステップに基づいて選択され、前記補助的な外科処置が、前記外科処置計画の一部である、ステップ
を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記患者の脊椎の関節可動性をシミュレートするステップと、
前記シミュレートされた関節可動性に基づいて、前記特定された軟組織手術ステップの1又は2以上を選択するステップと、
前記選択された1又は2以上の軟組織手術ステップに関連する術後の関節可動性を予測するステップと、
を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記1又は2以上の軟組織手術ステップが、
前記患者の脊椎に沿って靱帯を切断するステップと、
椎間板の環状部の少なくとも一部を除去するステップと、
脊椎に沿って軟骨を切除するステップと、
を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記1又は2以上の軟組織手術ステップが、減圧処置を含む、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
減圧処置に対する神経減圧スコアを予測するステップ
を更に含む、請求項11に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
複数の減圧計画を生成するステップと、
前記各減圧計画について減圧スコアを決定するステップと、
前記減圧計画のうちの1つの減圧計画の選択を受信するステップと、
選択された前記減圧計画に基づいて減圧外科処置計画を生成するステップと、
を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記術中可動性を調整するために除去する1又は2以上の骨組織を特定するステップを更に含み、前記減圧計画は、椎弓切除術、椎弓切開術、微小椎間板切除術、椎間孔拡大除術、及び骨棘処置のうちの少なくとも1つを含む、
請求項13に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
外科矯正をモデル化するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の脊椎の1又は2以上の領域の画像データを含む患者データを取得するステップであって、前記画像データが、前記患者の脊椎の生来の解剖学的構成を描いている、ステップと、
前記患者の脊椎の少なくとも1つの矯正された解剖学的構成を生成するステップと、
前記矯正された解剖学的構成に向けて前記患者の脊椎を調整するため一次脊椎処置に関する入力を受信するステップと、
補助脊椎処置のセットを特定するステップと、
前記補助脊椎処置のうちの1つの補助脊椎処置の選択を受信するステップと、
前記矯正された解剖学的構成における前記患者の脊椎に基づいて、選択された前記補助的脊椎処置の結果を予測するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記補助脊椎処置のセットが、椎弓切除術、椎弓切開術、微小椎間板切除術、椎間孔拡大術、及び骨棘処置を含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記補助脊椎処置のうちの選択された1つの補助脊椎処置を仮想的にシミュレートするステップ
を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
解剖学的構成に対する外科矯正をモデル化するためのコンピュータ実装方法であって、
患者データを取得するステップであって、前記患者データが、前記患者の脊椎の1又は2以上の領域の画像データを含み、前記画像データは、生来の解剖学的構成を描いている、ステップと、
前記生来の解剖学的構成に基づいて、前記患者の脊椎の仮想モデルを生成するステップと、
前記1又は2以上の領域の標的解剖学的構成を決定するステップであって、前記標的解剖学的構成が前記生来の解剖学的構成とは異なる、ステップと、
前記患者の脊椎の術中可動性を調整するために、前記患者の脊椎を取り囲む軟組織特徴に対する1又は2以上の術中外科的変更を特定するステップであって、前記軟組織特徴に対する前記1又は2以上の術中外科的変更が、前記患者の脊椎の仮想モデル及び前記標的解剖学的構成に少なくとも部分的に基づいて特定される、ステップと、
前記患者の脊椎を取り囲む前記軟組織特徴に対する前記1又は2以上の術中外科的変更及び前記患者データに少なくとも部分的に基づいて、結果として生じる解剖学的構成を予測するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項19】
前記患者の脊椎を取り囲む軟組織特徴に対する1又は2以上の術中外科的変更を特定するステップが、
複数の参照患者データセットに少なくとも部分的に基づいて、機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップであって、前記複数の参照患者データセットの各々が、参照患者の脊椎に関するデータ、前記参照患者の脊椎に対して行われた参照術中外科的変更、及び結果として生じる参照解剖学的構成を有する、ステップと、
前記機械学習アルゴリズムを前記患者の脊椎の仮想モデル及び前記標的解剖学的構成に適用するステップと、
を含む、請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項20】
前記結果として生じる解剖学的構成を予測するステップが、
複数の参照患者データセット及び前記1又は2以上の術中外科的変更に少なくとも部分的に基づいて、機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップであって、前記複数の参照患者データセットの各々が、参照患者の脊椎に関するデータ、前記参照患者の脊椎に対して行われた参照術中外科的変更、及び結果として生じる参照解剖学的構成を有する、ステップと、
前記機械学習アルゴリズムを前記患者の脊椎の仮想モデル及び前記1又は2以上の術中外科的変更に適用するステップと、
を更に含む、請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項21】
外科医から、前記1又は2以上の術中外科的変更に対する調整を含む1又は2以上の入力を受信するステップと、
前記外科医からの前記入力に基づいて、前記結果として生じる解剖学的構成の予測を更新するステップと、
を更に含む、請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項22】
前記1又は2以上の術中外科的変更を実行するための命令を生成するステップ
を更に含む、請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項23】
前記結果として生じる解剖学的構成を予測するステップが、前記1又は2以上の術中外科的変更の完了に対する障害を特定するステップを含む、
請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項24】
前記結果として生じる解剖学的構成を予測するステップが、前記軟組織特徴に対する1又は2以上の術中外科的変更に関連するリスクを特定するステップを含む、
請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項25】
整形外科矯正をモデル化するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の脊椎の仮想モデルを生成するステップであって、前記仮想モデルが、前記患者の脊椎の少なくとも一部の解剖学的構成及び前記患者の脊椎の一部を取り囲む1又は2以上の軟組織特徴を表す、ステップと、
前記患者の脊椎の一部の所望の解剖学的構成を決定するステップと、
前記所望の解剖学的構成に少なくとも部分的に基づく外科処置計画の指示を受信するステップと、
前記患者の脊椎の仮想モデル及び前記外科処置計画を複数の参照症例と比較するステップと、
前記患者の脊椎の仮想モデル及び前記外科処置計画と、前記複数の参照症例のサブセットとの間の類似性に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の参照症例のサブセットを選択するステップと、
前記複数の参照症例のサブセットに少なくとも部分的に基づいて、前記外科処置計画の結果を予測するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項26】
前記外科処置計画に対する1又は2以上の変更を特定するステップであって、前記1又は2以上の変更の各々は、前記患者の脊椎の一部の術中可動性を調整するために前記患者の脊椎の一部を操作する1又は2以上のステップを含む、ステップを更に含み、
前記外科処置計画の結果を予測するステップが、更に、前記外科処置計画に対する前記1又は2以上の変更に少なくとも部分的に基づく、
請求項25に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項27】
前記外科処置計画に対する前記1又は2以上の変更を生成するステップが、
前記複数の参照症例のサブセットに少なくとも部分的に基づいて機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップと、
前記機械学習アルゴリズムを前記患者の脊椎の仮想モデル及び前記外科処置計画に適用するステップと、
を含む、請求項26に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項28】
前記外科処置計画に対する前記1又は2以上の変更が、患者固有の障害に対処し、前記患者固有の障害が、前記患者の脊椎の椎体の患者固有の特徴、前記患者の脊椎を取り囲む患者固有の軟組織特徴、骨密度の患者固有の異常、前記複数の参照症例のサブセットにおける骨の回復傾向、及び前記複数の参照症例のサブセットにおける軟組織の回復傾向のうちの1又は2以上を含む、
請求項26に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項29】
前記外科処置計画に対する前記1又は2以上の変更を生成するステップが、前記患者の脊椎の術中可動性を予測するステップを含み、前記患者固有の障害が、前記患者の脊椎の術中可動性に影響を及ぼす患者固有の特徴を含む、
請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項30】
前記外科処置計画に対する前記1又は2以上の変更を生成するステップが、脊柱靱帯を切断する候補位置を特定するステップを含む、
請求項26に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項31】
前記外科処置計画の結果を予測するステップが、
前記複数の参照症例のサブセットに少なくとも部分的に基づいて機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップと、
前記機械学習アルゴリズムを前記患者の脊椎の仮想モデルと前記外科処置計画に対する前記1又は2以上の変更とに適用するステップと、
を含む、請求項26に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項32】
前記外科処置計画の結果を予測するステップが、前記患者の脊椎の術後の可動性を予測するステップを含む、
請求項25に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項33】
前記患者及び外科医に特有の外科手技データを取得するステップであって、前記外科手技データは、前記外科医に好ましい手術手技、前記患者に好ましい手術手技、及び前記外科医に特有の結果の記録のうちの1又は2以上を示す、ステップを更に含み、前記外科処置計画の結果を予測するステップは、更に、前記外科手技データに基づいている、
請求項25に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項34】
外科処置を術中に調整するためのコンピュータ実装方法であって、
患者データ及び外科処置計画を取得するステップであって、前記患者データが、患者の脊椎の少なくとも一部の仮想モデル及び前記患者の脊椎の一部を取り囲む1又は2以上の軟組織特徴を含む、ステップと、
外科医から、前記患者データに対する1又は2以上の更新を受信するステップであって、前記更新が、前記患者の脊椎の一部及び/又は前記患者の脊椎の一部を取り囲む前記1又は2以上の軟組織特徴に関する術中データを含む、ステップと、
更新された前記患者データに少なくとも部分的に基づいて、前記外科処置計画の調整のための1又は2以上の選択肢を生成するステップと、
前記外科処置計画に対する1又は2以上の選択肢の調整の各々について、前記外科処置計画の調整及び前記更新された患者データに基づいて、前記外科処置の結果を予測するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項35】
前記外科処置計画に対する調整のための前記1又は2以上の選択肢を生成するステップが、
複数の参照患者データセットに少なくとも部分的に基づいて機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップであって、前記複数の参照患者データセットの各々は、参照患者の脊椎、前記参照患者の脊椎に対して実行された参照外科処置、及び前記参照外科処置の結果に関するデータを有する、ステップと、
前記機械学習アルゴリズムを前記更新された患者データに適用し、前記外科処置計画に対する前記1又は2以上の調整を決定するステップと、
を含む、請求項34に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項36】
前記外科処置計画に対する調整のための前記1又は2以上の選択肢の各々について前記外科処置の結果を予測するステップが、
前記複数の参照患者データセットに少なくとも部分的に基づいて機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップであって、複数の参照患者データセットの各々は、参照患者の脊椎、前記参照患者の脊椎に対して実行された参照外科処置、及び参照外科処置の結果に関するデータを有する、ステップと、
前記機械学習アルゴリズムを、前記外科処置計画に対する調整のための1又は2以上の選択肢及び前記更新された患者データの各々に適用するステップと、
を含む、請求項34に記載のコンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2021年7月20日に出願された米国仮特許出願第63/223,827号に対する優先権を主張し、その開示内容は引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、予測分析を使用して伸延及び脊椎前弯等の術中可動性を予測するため、並びに医療処置を改善するための新規及び/又は追加の手術ステップを特定するためのシステムを含む、患者固有の医療ケアに関する。
【背景技術】
【0003】
整形外科手術は、脊椎手術、手の手術、肩及び肘の手術、全関節再建術(関節形成術)、頭蓋骨再建術、小児整形外科、足及び足首の手術、筋骨格腫瘍学、外科的スポーツ医学、及び整形外科的外傷を含む、様々な状況において、多くの異なる疾患を矯正又は軽減することができる。脊椎手術自体は、頸椎、胸椎、腰椎、仙骨の1又は2以上の様々な処置及び標的を包含し、脊椎の変形又は変性、及び/又は関連する腰痛、脚痛、その他の体の痛みを治療するために行うことができる。脊椎インプラントを用いて治療できる一般的な脊椎変形には、脊柱側弯症、脊柱前弯症、後弯症(過弯症又は低弯症)のような不規則な脊椎湾曲、及び不規則な脊椎変位(例えば、脊椎すべり症)が含まれる。整形外科インプラントを用いて治療できる他の脊椎疾患には、変形性関節症、腰椎変性椎間板疾患又は頸椎変性椎間板疾患、腰椎脊柱管狭窄症及び頸椎脊柱管狭窄症が挙げられる。整形外科手術の成功は、結果として生じる解剖学的構成に依存することが多く、この解剖学的構成は、ひいては、患者の身体及び/又は外科医の器具の術中可動性に依存することが多い。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、本発明の技術の実施形態による患者固有の医療ケアを提供するためのコンピュータシステムを示すネットワーク接続図である。
【0005】
【
図2】
図2は、
図1に示されるタイプのシステムに接続して使用するのに適したコンピュータデバイスを示す図である。
【0006】
【
図3】
図3は、本発明の技術の幾つかの実施形態による、患者固有の医療を提供するための方法を示すフロー図である。
【0007】
【
図4A】
図4Aは、本発明の技術の幾つかの実施形態による、患者の生来の解剖学的構成の仮想モデルの様々な例を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の技術の幾つかの実施形態による、患者の生来の解剖学的構成の仮想モデルの様々な例を示す図である。
【
図4C】
図4Cは、本発明の技術の幾つかの実施形態による、患者の生来の解剖学的構成の仮想モデルの様々な例を示す図である。
【0008】
【
図5A】
図5Aは、本発明の技術の幾つかの実施形態による方法に関連して使用及び/又は生成できる例示的なデータセットを示す図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の技術の幾つかの実施形態による方法に関連して使用及び/又は生成できる例示的なデータセットを示す図である。
【
図5C】
図5Cは、本発明の技術の幾つかの実施形態による方法に関連して使用及び/又は生成できる例示的なデータセットを示す図である。
【0009】
【
図6】
図6は、本発明の技術の幾つかの実施形態による、外科処置のための患者固有の計画を生成するための術前方法を示すフロー図である。
【0010】
【
図7】
図7は、本発明の技術の幾つかの実施形態による、外科処置のための患者固有の計画を外科処置中に患者固有の解剖学的構造に適合させるための術中方法を示すフロー図である。
【0011】
【
図8】
図8は、本発明の技術の更なる実施形態による、外科処置のための患者固有の計画を外科処置中に患者固有の解剖学的構造に適合させるための術中方法を示すフロー図である。
【0012】
【
図9】
図9は、一実施形態による、術中可動性を調整するための段階を有する例示的な手術計画を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。同様に、幾つかの構成要素及び/又は動作は、本発明の技術の実施態様の一部を議論する目的で、異なるブロックに分離するか、又は単一のブロックに組み合わせることができる。更に、本発明の技術は様々な変更及び代替形態に適用できるが、特定の実施態様を実施例として図面に例示的に示し以下に詳細に説明する。しかしながら、この意図は、本発明の技術を記載された特定の実施態様に限定するものではない。
【0014】
(概要)
患者に対する医療治療の計画をモデル化及び/又は更新するためのシステム及び方法が本明細書で開示される。システム及び方法の例示的な応用は、脊椎外科処置の計画の生成及び/又は更新のための方法に適用することができる。幾つかの実施形態において、本方法は、患者データを取得するステップと、患者データに基づいて矯正された解剖学的構成の患者の脊椎の仮想モデルを生成するステップとを含むことができる。幾つかの実施形態では、患者データは、患者の脊椎の生来の解剖学的構成の描写を含む、患者の脊椎の1又は2以上の領域の画像データを含む。次いで、本方法は、矯正された解剖学的構成を達成するために患者の脊椎の椎骨の術中可動性を調整するための1又は2以上の補助的な、代替の、追加の、及び/又は従来とは異なるステップ及び/又は処置(「追加的ステップ」又は「補助的ステップ」と総称する)を特定するステップを含むことができる。追加ステップは、患者の脊椎を取り囲む軟組織(例えば、靱帯、筋肉、神経、椎間板等)の操作、及び/又は追加の椎骨操作(例えば、標的椎骨の外側の椎骨、及び/又は標的椎骨に対する追加の手術ステップ)を含むことができる。追加ステップの具体例としては、被験者の脊椎に沿って靱帯を切断するステップと、椎間板の環状部の少なくとも一部を除去するステップと、脊椎に沿って軟骨を切除するステップと、追加の減圧処置、骨切り術、及び/又は脊椎関節突起切除術を実施するステップと、意図しない(又は所望されない)骨癒合を中断するステップと、及び/又は骨の奇形及び/又は不規則性に対処するステップと(例えば、線維性異形成に対処する)を含むことができる。次に、本方法は、追加の手術ステップのうちの少なくとも1つを含む手術計画を生成するステップを含むことができる。
【0015】
幾つかの実施形態において、整形外科矯正のための予測モデル化システムは、脊椎の伸延及び/又は前弯などの患者の可動性を予測することができる。術前計画において、システムは、術中可動性を予測して、外科処置中に解剖学的特徴がどのように移動する可能性があるかを医師が理解するのを助けることができる。幾つかの実施形態では、システムは、例えば、軟組織解放、骨組織解放、組織特性(例えば、骨質、骨密度、組織密度分布、骨強度等)、及び/又は関節特性(例えば、関節硬さ、関節可動性等)に基づいて予測を決定することができる。外科医の手術手技は、脊椎の術中特性に影響を与える可能性があるので、外科医の手技履歴を予測に組み込むことができる。軟組織の解放には、限定ではないが、靱帯、環状部、軟骨又は同様のものの解放を含むことができる。骨組織解放は、限定ではないが、骨切り、望ましくない癒合の中断、脊椎関節突起切除、奇形骨、骨の不規則性、又は同様のものを含むことができる。軟組織解放及び/又は骨組織解放を予測して、追加の予測(例えば、術中予測、術後予測等)を生成することができる。
【0016】
システムは、例えば、局所的な解剖学的環境条件に基づいて術後矯正を予測することができる。画像解析を用いて、実際の可動性、術前の可動性、術後の可動性(例えば外科的介入後の可動性)を決定することができる。予測モデルは手術ロボット環境に組み込むことができる。予測モデル化は、例えば、手術計画、局所解剖学、及び/又は予想される手術介入に基づいて仮想手術を行うように構成されたアルゴリズム又はソフトウェアに組み込むことができる。幾つかの実施形態では、予測モデル化は、包括的な予測を提供するために手術計画に組み込むことができる。
【0017】
システムは、解剖学的構造をナビゲートするための潜在的な外科的操作を特定することができる。例えば、システムは、限定ではない、ブリッジング骨棘、自己癒合セグメント、及び/又は可動性に影響を及ぼす他の解剖学的特徴を特定することができる。システムは、このような特徴を仮想的に切断するための仮想矯正を実行することができる。幾つかの処置において、システムは、ブリッジング骨棘を仮想的に切断することができ、患者の画像、シミュレーション等を観察する際に、外科医に仮想物を通知することができる。システムは、手術計画を提供するために、1又は2以上の可動性制限特徴を術前にセグメント化することができる。手術経路は、脊椎の所望の術中可動性のための仮想カットに基づいて決定することができる。システムは、インプラントの挿入、隣接する解剖学的要素(例えば、隣接する椎体、隣接する棘突起等)の再配置等を容易にするために、所望の術中可動性を可能にする手術ステップを実行するための最適位置を決定することができる。
【0018】
幾つかの実施形態では、システムは、各患者について、複数レベル又はレベル毎に矯正量を予測することができる。システムは、将来の症例の1又は2以上の手術段階を計画することができる。レベルごとの機械学習アルゴリズムを使用して、レベルの矯正を予測することができる。術後の患者データ(例えば、レベルごとのデータ)の記録を収集して、標的可動性、脊椎矯正などの達成を容易にした手術段階を決定することができる。幾つかの実施形態では、レベル毎の矯正は、少なくとも部分的には、画像解析によって決定することができる。
【0019】
システムは、1又は2以上の手術計画、患者固有のインプラント等を生成することができる。外科処置の完了後、患者データは、取り出すことができる。取り出された患者データは、術後の測定値、矯正を評価するための画像データ(例えば、一定期間にわたって取り込まれた画像データ)、疾患進行スコア、又は同様のものを含むことができる。データは、脊椎の前側、脊椎の後側等の特定の領域について収集することができ、各症例についてタグ付けすることができる。システムは、外科的介入を容易にするための可動性を提供する一方で、標的術後矯正を提供するための最適な外科的処置を決定することができる。一部の癒合術では、解剖学的特徴を標的癒合位置に移動させるために、後方のファセットカプセルを除去し、及び関節のバーリングを行うことができる。
【0020】
本システムは、患者の脊椎の術中能力を予測するために、手術計画の変更を特定することができる。脊椎の術中可動性に影響を与える特徴又は障害は、医師のために特定することができる。解剖学的要素の可動性を調整するための処置は、恒久的な脊椎矯正を提供するための外科ステップの前に行われる補助的な脊椎処置とすることができる。補助的脊椎処置が標的結果にどのように影響するかを予測するために、複数のシミュレーションを実行することができる。更に、補助的な外科処置は、術中可動性増加を反転させる、及び/又は術後の可動性を抑制又は制限するステップを含むことができる。例えば、脊椎に沿った靱帯が切断されて隣接する椎骨の術中伸延がなされた場合、例えば椎間デバイスを移植させた後、靱帯を再び結合させることができる。これにより、正常な機能を回復させながら、術中可動性を高めることができる。補助的脊椎処置はまた、例えば、骨組織間の望ましくない癒合を切断する、骨組織を除去する(例えば、関節界面のバーリング)、又は同様のことによって、恒久的に可動性を増加させる外科的ステップを含むことができる。従って、補助的脊椎処置は、個々の関節、関節群、標的身体部位等の可動性を一時的又は恒久的に調整することができる。
【0021】
様々な実施形態において、本方法は、患者データの術中更新を受信するステップと、患者データを1又は2以上の参照患者例と比較するステップと、術中患者データに基づいて1又は2以上の追加ステップを特定するステップと、外科手術及び/又は所望の解剖学的構成に対する1又は2以上の障害を特定するステップと、追加ステップを含む外科処置の結果として生じる解剖学的構成を予測するステップと、障害及び/又は追加ステップに関する外科医からの術中入力を受信するステップと、及び/又は外科処置の更新計画を生成するステップとを含む。様々な実施形態において、仮想モデル化、プラン生成、障害の特定、追加ステップの特定、及び/又は解剖学的結果の予測は、機械学習モデル、人工知能(AI)モデル、ニューラルネットワーク、及び/又は他の何れかの適切なコンピュータモデル化モジュールによって実行される。
【0022】
本方法はまた、仮想モデルを用いて術中可動性をシミュレーションするステップを含むことができる。このような実施形態において、仮想モデルは、医療提供者(例えば、外科医)及び/又は患者が、追加ステップに関連する術中可動性を視覚化することを可能にする。例えば、仮想モデルは、1又は2以上の追加の手術ステップに起因する術中可動性、並びに各ステップ後の変化を特定することができる。幾つかの実施形態において、仮想モデルはまた、更新された計画における手術ステップを医療提供者が仮想的にシミュレートすることを可能にする。幾つかの実施形態において、本方法は、後で手術計画を生成する際に使用することができる入力を医療提供者から受信するステップを含む。例えば、入力は、手術計画に組み込まれるべき特定された追加ステップのうちの1又は2以上の選択を含むことができる。
【0023】
幾つかの実施形態において、本方法は、更新された計画に組み込まれた1又は2以上の追加の手術ステップに基づいて術中の脊椎可動性を予測するステップと、予測された可動性に基づいて1又は2以上の術中矯正値を決定するステップとを含む。術中矯正値は、最大伸延、脊椎前弯矯正、側弯矯正、及び脊椎すべり症矯正のうちの少なくとも1つを含むことができる。幾つかの実施形態において、本方法は、実行される1又は2以上の軟組織手術ステップに基づいて、術後の脊椎可動性を予測するステップを含む。
【0024】
幾つかの実施形態において、本方法は、複数の外科処置の計画を生成するステップと、複数の外科処置の計画の各々から解剖学的結果を予測するステップと、複数の外科処置の計画のうちの1つの選択を受信するステップと、選択された計画に基づいて完全な手術計画を生成するステップと、を含むことができる。幾つかの実施形態では、例えば、複数の外科処置は、椎弓切除術、椎弓切除術、微小椎弓切除術、椎間孔拡大術、及び/又は骨棘処置を含み、医療提供者が脊柱減圧処置の範囲から選択することを可能にする。
【0025】
理解を容易にするために、本明細書に開示されたシステム及び方法は、主に脊椎手術及び/又は処置の例の文脈で論じられている。しかしながら、当業者であれば、本発明の範囲はそのように限定されないことを理解するであろう。例えば、本明細書に開示されたシステム及び方法は、他の様々な整形外科手術及び生体内の他の様々な解剖学的構造等の他の様々な医療用途にも適用することができる。
【0026】
(図の説明)
図1は、本発明の技術の幾つかの実施形態による、医療ケアに関する患者固有の予測推奨を提供するためのコンピュータシステム100を示すネットワーク接続図である。本明細書で更に詳細に説明するように、システム100は、治療計画のための1又は2以上の補助的、代替的、追加的、及び/又は従来とは異なるステップ(「追加ステップ」又は「補助ステップ」と総称する)を特定しながら、患者のための医療治療計画を生成及び/又は更新するように構成される。システム100はまた、治療計画の結果又は転帰(例えば、患者の脊椎に提供される正確な解剖学的矯正、患者の脊椎の可動性、又は何れかの他の好適な結果)を予測するように構成される。幾つかの実施形態では、システムは、1又は2以上の追加ステップを特定すること、及び特定された各ステップの結果を単独及び組み合わせで正確に予測することの両方を行うように構成される。
【0027】
幾つかの実施形態では、システム100は、外傷(例えば、骨折)、癌、変形、変性、痛み(例えば、背中の痛み、脚の痛み)、不規則な脊椎湾曲(例えば、脊柱側弯症、脊柱前弯症、後弯症)、不規則な脊柱変位(脊椎すべり症、側方変位、軸方向変位など)、変形性関節症、腰椎変性椎間板症、頸椎変性椎間板症、腰椎脊柱管狭窄症、頸椎脊柱管狭窄症、又はこれらの組み合わせ等の整形外科的又は脊椎疾患又は障害を患っている患者のための医療治療計画を生成するように構成される。医療治療計画は、手術情報、手術計画、技術推奨(例えば、デバイス及び/又は器具推奨)、及び/又は医療デバイス設計を含むことができる。例えば、医療治療計画は、少なくとも1つの治療手術(例えば、外科手術又は介入)及び/又は少なくとも1つの医療デバイス(例えば、移植される医療デバイス(本明細書では「インプラント」又は「移植されたデバイス」とも呼ばれる)又はインプラント送達器具)を含むことができる。
【0028】
幾つかの実施形態では、システム100は、本明細書では「患者固有の」又は「個別化された」治療計画とも呼ばれる、特定の患者又は患者群に対してカスタマイズされた処置のステップを有する医療治療計画を生成及び/又は更新する。患者固有の治療計画は、少なくとも1つの患者固有の外科処置、外科処置の少なくとも1つの患者固有の(追加の)ステップ、及び/又は患者の特定の特徴(例えば、状態、解剖学的特徴、軟組織特徴、病理学的特徴、状態、病歴)、外科医の好ましい操作、及び/又は外科処置の他のステップに対して設計及び/又は最適化された患者固有の医療デバイスの少なくとも1つの設計を含むことができる。例えば、患者固有の外科処置は、患者の固有の解剖学的構造内で術中可動性を増加させ、これにより術後の結果を改善することが予測されるステップを含むことができる。しかしながら、患者固有の治療計画はまた、特定の患者用にカスタマイズされていない態様を含むことができることは理解されたい。例えば、患者固有の又は個別化された外科処置は、患者固有ではない1又は2以上の指示、部分、ステップ等を含むことができる。同様に、医療デバイスの患者固有の又は個別化された設計は、患者固有ではない1又は2以上の要素を含むことができる。個別化インプラント設計は、医療デバイス、器具、及び/又は手術キットを含む患者固有の技術の製造又は選択に使用することができる。例えば、個別化された手術キットは、1又は2以上の患者固有のデバイス、患者固有の器具、非患者固有の技術(例えば、標準的な器具、デバイス等)、使用説明書、患者固有の治療計画情報、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0029】
図1に示されるように、システム100は、クライアントコンピュータデバイス102を含み、これは、スマートフォン、モバイルデバイス、ラップトップ、デスクトップ、パーソナルコンピュータ、タブレット、ファブレット、又は当該技術分野において公知の他のこのようなデバイス等のユーザデバイスとすることができる。本明細書で更に議論されるように、クライアントコンピュータデバイス102は、1又は2以上のプロセッサ、及び本明細書で説明される方法を実行するために1又は2以上のプロセッサによって実行可能な命令を記憶するメモリを含むことができる。クライアントコンピュータデバイス102は、患者を治療している医療提供者に関連付けることができる。
図2は、単一のクライアントコンピュータデバイス102を示しているが、代替の実施形態では、クライアントコンピュータデバイス102は、代わりに、クライアントコンピュータデバイス102に関して本明細書で説明される動作が代わりにコンピュータシステム及び/又はコンピュータデバイスによって実行できるように、複数のコンピュータデバイスを包含するクライアントコンピュータシステムとして実装することができる。
【0030】
クライアントコンピュータデバイス102は、治療される患者に関連する患者データセット108を受信するように構成される。患者データセット108は、患者の状態、解剖学的構造、病理学的構造、病歴、嗜好、及び/又は患者に関連する他の情報又はパラメータを代表するデータを含むことができる。例えば、患者データセット108は、病歴、外科的介入データ、治療結果データ、経過データ(例えば、医師のメモ)、患者フィードバック(例えば、QOLアンケート、調査を使用して取得されたフィードバック)、臨床データ、提供者情報(例えば、医師、病院、手術チーム)、患者情報(例えば、人口統計、性別、年齢、身長、体重、病態の種類、職業、活動レベル、組織情報、健康評価、併存疾患、健康関連QOL(HRQL))、バイタルサイン、診断結果、投薬情報、アレルギー、画像データ(例.カメラ画像、磁気共鳴画像(MRI)画像、超音波画像、コンピュータ支援断層撮影(CAT)スキャン画像、陽電子放出断層撮影(PET)画像、X線画像)、診断機器情報(例えば、製造業者、モデル番号、仕様、ユーザが選択した設定/構成等)、又はこれらに類するものを含むことができる。幾つかの実施形態では、患者データセット108は、患者特定番号(ID)、年齢、性別、体格指数(BMI)、腰椎前弯、コブ角、骨盤固有角、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、回転変位、及び/又は脊椎の治療レベルの1又は2以上を表すデータを含む。幾つかの実施形態では、患者データセット108は、患者の軟組織特徴を表すデータを含む。幾つかの実施形態では、患者の軟組織特徴を表すデータは、患者の解剖学的構造における靱帯のサイズ、健康状態、強度、柔軟性、成長、及び/又は統合に関するデータを含む。例えば、患者の脊椎の一部について、患者の軟組織特徴を表すデータは、フラバン靱帯、前縦靱帯、後縦靱帯、棘間靱帯、棘上靱帯、横靱帯、ファセット莢膜靱帯、及び/又は何れかの他の適切な靱帯の測定値を含むことができる。幾つかの実施形態において、患者の軟組織特徴を表すデータは、患者の環状線維、線維軟骨、神経、腱、筋肉等のデータを含む。システムは、脊椎構成及び軟組織の部分的又は完全な切断に基づいて、予測された術中可動性データ(例えば、単一レベルの術中可動性、多レベルの術中可動性等)を生成することができる。
【0031】
クライアントコンピュータデバイス102は、通信ネットワーク104を介してサーバ106に動作可能に接続され、従って、クライアントコンピュータデバイス102とサーバ106との間のデータ転送を可能にする。通信ネットワーク104は、有線及び/又は無線ネットワークとすることができる。通信ネットワーク104は、無線である場合、可視光通信(VLC)、マイクロ波アクセスのための世界的相互運用性(WiMAX)、ロングタームエボリューション(LTE)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、赤外線(IR)通信、公衆交換電話網(PSTN)、電波、及び/又は当該技術分野で知られている他の通信技術等の通信技術を使用して実装することができる。
【0032】
「治療支援ネットワーク」又は「処方的分析ネットワーク」とも呼ばれることがある、サーバ106は、1又は2以上のコンピュータデバイス及び/又はシステムを含むことができる。本明細書で更に議論されるように、サーバ106は、1又は2以上のプロセッサと、本明細書で説明される方法を実行するために1又は2以上のプロセッサによって実行可能な命令を記憶するメモリとを含むことができる。幾つかの実施形態では、サーバ106は、ハードウェア及び/又は仮想コンピューティングリソースの何れかの適切な組み合わせにわたる分散「クラウド」コンピュータシステム又は設備として実装される。
【0033】
クライアントコンピュータデバイス102及びサーバ106は、患者固有の医療ケアを提供するために、本明細書に記載の様々な方法を個々に又は集合的に実行することができる。例えば、本明細書に記載される方法のステップの一部又は全部は、クライアントコンピュータデバイス102単独、サーバ106単独、又はクライアントコンピュータデバイス102及びサーバ106の組み合わせによって実行することができる。従って、本明細書では、特定のオペレータをサーバ106に関して説明するが、これらのオペレータは、クライアントコンピュータデバイス102によっても実行することができ、逆もまた同様であることを理解されたい。
【0034】
サーバ106は、本明細書に記載の治療計画方法に有用な参照データを記憶するように構成された少なくとも1つのデータベース110を含む。参照データは、同一又は他の患者からの履歴データ及び/又は臨床データ、同一又は他の医療提供者による患者の以前の手術及び/又は他の治療から収集されたデータ、医療デバイス設計に関連するデータ、研究グループ又は調査グループから収集されたデータ、診療データベースからのデータ、学術機関からのデータ、インプラント製造業者又は他の医療デバイス製造業者からのデータ、イメージング研究からのデータ、シミュレーションからのデータ、臨床試験、人口統計データ、治療データ、結果データ、死亡率等を含むことができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、データベース110は複数の参照患者データセットを含み、各患者参照データセットは対応する参照患者に関連付けられる。例えば、参照患者は、以前に治療を受けた患者又は現在治療を受けている患者とすることができる。各参照患者データセットは、対応する参照患者の状態、解剖学的構造、病理学的構造、病歴、疾患進行、嗜好、及び/又は患者データセット108に関して本明細書に記載されるデータの何れか等の参照患者に関連する他の情報又はパラメータを代表するデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、参照患者データセットは、術前データ、術中データ、及び/又は術後データを含む。例えば、参照患者データセットは、患者ID、年齢、性別、BMI、腰椎前弯、コブ角、骨盤固有角、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、回転変位、軟組織特徴、及び/又は脊椎の治療レベルの1又は2以上を表すデータを含むことができる。別の例として、参照患者データセットは、外科処置又は介入(例えば、外科的アプローチ、骨切除、外科的操作、矯正操作、インプラント又は他のデバイスの配置)の説明など、参照患者に実施された少なくとも1つの治療処置に関する治療データを含むことができる。幾つかの実施形態では、治療データは、物理的特性(例えば、サイズ、形状、体積、材料、質量、重量)、機械的特性(例えば、剛性、強度、弾性率、硬度)、及び/又は生物学的特性(例えば、骨統合、細胞接着、抗細菌特性、抗ウイルス特性)など、参照患者の治療に使用される少なくとも1つの医療デバイスの医療デバイス設計データを含む。更に別の例では、参照患者データセットは、矯正された解剖学的メトリクス、癒合の有無、HRQL、活動レベル、職場復帰、合併症、回復時間、有効性、死亡率、及び/又はフォローアップ手術のような、参照患者の治療の結果を表す結果データを含むことができる。
【0036】
幾つかの実施形態では、サーバ106は、複数の医療提供者コンピュータシステム(例えば、システム112a~112c、集合的に112)から参照患者データセットの少なくとも一部を受信する。サーバ106は、1又は2以上の通信ネットワーク(図示せず)を介して医療提供者コンピュータシステム112に接続することができる。各医療提供者コンピュータシステム112は、対応する医療提供者(例えば、医師、外科医、診療所、病院、医療ネットワークなど)に関連付けることができる。各医療提供者コンピュータシステム112は、対応する医療提供者によって治療された参照患者に関連付けられた少なくとも1つの参照患者データセット(例えば、参照患者データセット114a~114c、集合的に114)を含むことができる。参照患者データセット114は、例えば、電子医療記録、電子健康記録、生物医学データセットなどを含むことができる。参照患者データセット114は、医療提供者コンピュータシステム112からサーバ106によって受信され得、データベース110に格納するために異なるフォーマットに再フォーマットすることができる。任意選択的に、参照患者データセット114は、表された患者パラメータが本明細書に記載される治療計画方法において有用である可能性が高いことを確実にするために処理(例えば、クリーニング)することができる。
【0037】
本明細書で更に詳細に説明するように、サーバ106は、参照データに基づいて患者固有の治療計画データ(例えば、治療手術、医療デバイス)を生成する1又は2以上のアルゴリズムで構成することができる。幾つかの実施形態では、患者固有データは、患者データセット108と参照データとの間の相関に基づいて生成される。これに加えて、又は代替として、サーバ106は、治療計画に対する1又は2以上の調整を特定することができる。例えば、サーバ106は、治療される患者の解剖学的特徴の術中可動性に影響する医療処置のための1又は2以上の追加ステップを特定することができる。幾つかの実施形態において、追加ステップは、患者の結果を改善する患者の解剖学的特徴に対する二次矯正治療を提供することができる。加えて及び又は代替的に、サーバ106は、回復時間、臨床エンドポイントに基づく有効性、成功の可能性、予測死亡率、予測関連フォローアップ手術等を含む、治療計画及び/又は1又は2以上の特定された追加ステップからの結果を予測することができる。幾つかの実施形態では、サーバ106は、患者データ(患者滞在中に得られた患者データを含む)を連続的又は定期的に分析して、ほぼリアルタイム又はリアルタイムのリスクスコア、死亡率予測等を決定することができる。
【0038】
幾つかの実施形態では、サーバ106は、本明細書に記載の患者固有の治療計画方法の1又は2以上のステップを実行するための1又は2以上のモジュールを含む。例えば、描かれている実施形態では、サーバ106は、データ分析モジュール116及び治療計画モジュール118を含む。代替の実施形態では、これらのモジュールの1又は2以上を互いに組み合わせることができ、又は省略することができる。従って、本明細書では、特定の操作を1又は複数の特定のモジュールに関して説明しているが、これは限定を意図したものではなく、このような操作は、代替の実施形態では、1又は複数の異なるモジュールによって実行することができる。
【0039】
データ解析モジュール116は、患者データから患者の解剖学的特徴の仮想モデルを生成する1又は2以上のアルゴリズムで構成することができる。幾つかの実施形態では、例えば、データ解析モジュール116は、画像データをコンパイルして患者の骨構造の3次元(3D)仮想モデルを生成し、次いで、患者の軟組織特徴に関するデータを3D仮想モデルに重ね合わせることができる。この3D仮想モデルにより、外科医又は他の医療提供者は、患者の現在の解剖学的構造を視覚化することができると共に、サーバ106により特定された手術ステップを視覚化することができる。
【0040】
データ分析モジュール116は、患者固有の治療計画を策定する際に有用である可能性が高いデータベース110からの参照データのサブセットを特定するための1又は2以上のアルゴリズムで構成することができる。例えば、データ解析モジュール116は、患者固有データ(例えば、クライアントコンピュータデバイス102から受信された患者データセット108)をデータベース110からの参照データ(例えば、参照患者データセット)と比較して、類似データ(例えば、参照患者データセット内の1又は2以上の類似患者データセット)を特定することができる。比較は、年齢、性別、BMI、腰椎前弯、骨盤固有角、及び/又は治療レベル等の1又は2以上のパラメータに基づくことができる。パラメータは、各参照患者の類似性スコアを計算するのに使用することができる。類似性スコアは、患者データセット108及び参照患者データセット間の統計的相関を表すことができる。従って、類似性スコアが、指定された閾値を上回るか、下回るか、又は指定された閾値にあるかどうかに基づいて、類似患者を特定することができる。例えば、以下により詳細に説明するように、各パラメータに値を割り当て、対象患者及び各参照患者間の差の集計を決定することにより、比較を実行することができる。集計された差が閾値を下回る参照患者は、類似患者とみなすことができる。
【0041】
データ解析モジュール116は、更に、例えば、患者データセット108及び/又は対応する参照患者の治療結果との類似性に基づいて、参照患者データセットのサブセットを選択する1又は2以上のアルゴリズムで構成することができる。例えば、データ解析モジュール116は、参照患者データセット内の1又は2以上の類似患者データセットを特定し、及び類似患者データセットが好ましい又は所望の治療結果を示すデータを含むか否かに基づいて、類似患者データセットのサブセットを選択することができる。結果データは、矯正された解剖学的メトリクス、癒合の有無、HRQL、活動レベル、合併症、回復時間、有効性、死亡率、又はフォローアップ手術等の1又は2以上の結果パラメータを表すデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、以下に更に詳細に説明するように、データ解析モジュール116は、各結果パラメータに値を割り当てることによって結果スコアを計算する。結果スコアが指定の閾値を上回るか、下回るか、又は指定の閾値である場合、患者は良好な結果を有すると考えられる。
【0042】
幾つかの実施形態では、データ解析モジュール116は、(例えば、臨床医、外科医、医師、医療提供者からの)ユーザ入力に少なくとも部分的に基づいて、参照患者データセットのサブセットを選択する。例えば、ユーザ入力は、類似の患者データセットを特定する際に使用することができる。幾つかの実施形態では、類似性及び/又は結果パラメータの重み付けは、臨床医の入力に基づいて類似性及び/又は結果スコアを調整するために、医療提供者又は医師によって選択することができる。更なる実施形態では、医療提供者又は医師は、類似性及び/又は結果スコアを生成するのに使用される類似性及び/又は結果パラメータのセットをそれぞれ選択する(又は新たな類似性及び/又は結果パラメータを定義する)ことができる。
【0043】
幾つかの実施形態では、データ解析モジュール116は、患者パラメータ以外の基準に基づいて参照患者データセットのセット又はサブセットを選択するのに使用される1又は2以上のアルゴリズムを含む。例えば、1又は2以上のアルゴリズムは、医療提供者パラメータ(例えば、病院/医師の専門性、実施された処置の数、病院ランキング等の医療提供者ランキング/スコアに基づく)及び/又は医療資源パラメータ(例えば、診断機器、設備、手術ロボット等の手術機器)、又は現在の医療提供者に対する処置の結果及びリスクプロファイルを予測するのに使用することができる他の非患者関連情報に基づいて、サブセットを選択するのに使用することができる。例えば、類似の診断機器から取り込まれた画像を有する参照患者データセットを集約して、診断機器間のばらつきによる不規則性を低減又は制限することができる。更に、患者固有の治療計画は、類似の医療提供者(例えば、従来と類似の結果、医師の専門知識、手術チームなどを有する医療提供者)からのデータを用いて、特定の医療提供者のために作成することができる。幾つかの実施形態では、参照医療提供者データセット、病院データセット、医師データセット、手術チームデータセット、治療後データセット及び他のデータセットを利用することができる。一例として、戦場手術を行うための患者固有の治療計画は、類似の戦場手術からの参照患者データ及び/又は戦場手術に関連するデータセットに基づくことができる。別の例では、患者固有の治療計画は、利用可能な手術ロボットシステムに基づいて生成することができる。参照患者データセットは、同様の条件下(例えば、手術チームの規模及び能力、病院資源等)で同等の手術ロボットシステムを用いて手術された患者に基づいて選択することができる。
【0044】
治療計画モジュール118は、データ分析モジュール116からの出力に基づいて、少なくとも1つの治療計画(例えば、術前計画、手術計画、術後計画、所定の手術計画における追加ステップ、所定の手術計画に対する追加ステップ、一次医療処置に対する補助的な手術処置等)を生成する1又は2以上のアルゴリズムで構成することができる。手術計画は、矯正された標的解剖学的構成を達成するように設計することができ、1又は2以上の軟組織手術ステップを含む。軟組織手術ステップは、矯正された解剖学的構成への解剖学的特徴の移動を促進することができる。軟組織手術ステップはまた、組織の切断、解離、切断、及び/又は除去を含むことができる。例えば、靱帯(例えば、棘上靱帯、棘間靱帯、脊柱靱帯など)を切断して、隣接する棘突起にアクセスし離間させることができる。幾つかの例示的な計画では、軟組織手術ステップは、患者の脊椎に沿って位置する軟組織の切断、環椎の少なくとも一部の除去、及び/又は脊椎に沿った軟骨の切除のうちの1又は2以上を含む。治療計画モジュール118は、解剖学的要素を仮想的に動かして、所望の動きを阻害又は妨げる軟組織を特定することができる。軟組織手術ステップのシミュレーションを実行し、解剖学的要素の位置決め可能性を達成するため推奨される軟組織手術ステップを選択することができる。
【0045】
幾つかの例示的な手術計画では、軟組織手術ステップは、1又は2以上の減圧処置を含む。システムは、各減圧処置について減圧スコアを予測することができる。神経減圧スコアは、例えば、患者が感じる痛みの予測減少率に基づくことができる。システムは、複数の減圧計画を生成し、各減圧計画について減圧スコア(例えば、術後疼痛スコア、神経減圧スコアなど)を決定し、減圧計画のうちの1つの選択を受け取り、選択された減圧計画に基づいて減圧手術計画を生成することができる。ユーザは、患者の脊椎の矯正構成に基づいて、選択された減圧計画を修正することができる。減圧計画は、椎弓切除術、椎弓切除術、微小椎弓切除術、椎弓切除術、及び/又は骨棘処置のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0046】
手術計画及びシミュレーションを容易にするために、各ステップに起因する解剖学的要素の移動量を予測することができる。シミュレーションは、患者の脊椎又は特定の関節の関節可動性を予測することができる。ユーザは、シミュレーションされた関節可動性に基づいて、特定された軟組織手術ステップの1又は2以上を選択することができる。治療計画モジュール118は、選択された軟組織手術ステップに関連する術中の関節可動性及び/又は術後の関節可動性を予測することができる。これにより、ユーザは、解剖学的要素の再配置を助けるための軟組織手術ステップを有する手術計画を選択することができる。
【0047】
幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118は、患者固有の治療計画を生成するため及び/又は治療計画の結果を予測するための少なくとも1つの予測モデルを開発及び/又は実装するように構成される。予測モデルは、臨床知識、統計学、機械学習、AI、ニューラルネットワーク等を用いて開発することができる。幾つかの実施形態では、データ解析モジュール116からの出力は、データセット、患者パラメータ、医療提供者パラメータ、医療リソースパラメータ、治療処置、医療デバイス設計、及び/又は治療結果間の相関関係を特定するために(例えば、統計学、機械学習、ニューラルネットワーク、AIを使用して)解析される。これらの相関関係を用いて、生成された治療計画及び/又は特定の患者にとって良好な結果をもたらす可能性及び/又は1又は2以上の追加ステップが結果に及ぼす影響を予測する少なくとも1つの予測モデルを開発することができる。予測モデルは、例えば、データをモデルに入力し、モデルの出力を期待される出力と比較することにより、検証することができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118は、参照患者からの以前の治療データに基づいて治療計画を生成及び/又は更新するように構成される。例えば、治療計画モジュール118は、参照患者データセット及び/又は類似患者データセットの選択されたサブセットをデータ解析モジュール116から受信し、選択されたサブセットから治療データを決定又は特定することができる。治療データは、例えば、対応する患者にとって好ましい又は所望の治療結果に関連する治療処置データ(例えば、外科的処置又は介入データ及び/又は外科医の手技データに関するデータ)及び/又は医療デバイス設計データ(例えば、移植プラント設計データ)を含むことができる。治療計画モジュール118は、治療処置データ、処置のための追加の特定された処置、及び/又は医療デバイス設計データを分析して、治療される患者のための最適な治療プロトコルを決定することができる。例えば、治療処置、処置のための追加の特定されたステップ、及び/又は医療デバイス設計は、値を割り当てられ、集計されて治療スコアを生成することができる。患者固有の治療計画は、スコア(例えば、より高い又は最も高いスコア;より低い又は最も低いスコア;指定された閾値を上回る、下回る、又は指定された閾値であるスコア)に基づいて治療計画を選択することによって決定することができる。個別化された患者固有の治療計画は、患者固有の技術又は患者固有の選択された技術に少なくとも部分的に基づくことができる。
【0049】
代替的に又は組み合わせて、治療計画モジュール118は、データセット間の相関関係に基づいて、治療計画を生成し、及び/又は追加のステップを特定することができる。例えば、治療計画モジュール118は、(例えば、データ分析モジュール116によって特定されるような)良好な結果を有する類似の患者からの治療処置データ及び/又は術中に受けたデータを相関させることができる。相関分析は、相関係数値を値又はスコアに変換することを含むことができる。値/スコアは、1又は2以上の統計的有意性を決定するために、集計、フィルタ、又は他の方法で分析することができる。これらの相関は、治療される患者にとって最適である又は好ましい結果をもたらす可能性が高い治療処置及び/又は医療デバイス設計を決定するのに使用することができる。
【0050】
代替的に又は組み合わせて、治療計画モジュール118は、1又は2以上のAI技術を使用して、治療計画を生成し、及び/又は追加のステップを特定することができる。AI技術は、人間の知能の態様、例えば、学習、推論、計画、問題解決、意思決定などをシミュレートすることができるコンピュータシステムを開発するのに使用することができる。AI技術は、限定ではないが、ケースベース推論、ルールベースシステム、人工ニューラルネットワーク、決定木、サポートベクターマシン、回帰分析、ベイジアンネットワーク(例えば、ナイーブベイズ分類器)、遺伝的アルゴリズム、セルオートマトン、ファジー論理システム、マルチエージェントシステム、群知能、データマイニング、機械学習(例えば、教師あり学習、教師なし学習、強化学習)、及びハイブリッドシステムを含むことができる。
【0051】
幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118は、1又は2以上のトレーニングされた機械学習モデルを用いて治療計画を生成する。様々な種類の機械学習モデル、アルゴリズム、及び技術が、本発明の技術と共に使用するのに適している。幾つかの実施形態では、機械学習モデルは、モデルのパラメータ(例えば、人工ニューラルネットワークにおける「ニューロン」間の結合の重み)を適合させるために使用される例のデータセットであるトレーニングデータセットで最初にトレーニングされる。例えば、トレーニングデータセットは、複数の参照患者データセット又はその選択されたサブセット(例えば、複数の類似患者データセット)のような、データベース110に記憶された参照データの何れかを含むことができる。
【0052】
幾つかの実施形態では、機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク又はナイーブベイズ分類器)は、教師あり学習法(例えば、勾配降下又は確率的勾配降下)を使用して、トレーニングデータセット上でトレーニングすることができる。トレーニングデータセットには、生成された「入力ベクトル」と、関連する対応する「回答ベクトル」(一般に標的と表記される)とのペアを含めることができる。現在のモデルは、トレーニングデータセットと共に実行され、トレーニングデータセットの各入力ベクトルについて、標的と比較される結果を生成する。比較の結果及び使用されている特定の学習アルゴリズムに基づいて、モデルのパラメータが調整される。モデルフィッティングは、変数選択及びパラメータ推定の両方を含むことができる。適合されたモデルは、検証データセットと呼ばれる第2のデータセット中のオブザベーションに対する応答を予測するのに使用できる。検証データセットは、モデル・パラメータをチューニングしながら、トレーニングデータセットでのモデル・フィットの不偏評価を提供できる。検証データセットは、早期の停止、例えば、検証データセット上の誤差が増加したときにトレーニングを停止することによって、正則化に使用することができる。幾つかの実施形態では、検証データセットの誤差はトレーニング中に変動する可能性があり、オーバーフィッティングが本当に始まったときを決定するためにアドホックルールを使用することができる。最後に、テストデータセットを使用して、トレーニングデータセットに対する最終的なモデルの適合度を偏りなく評価することができる。
【0053】
治療計画を生成するために、患者データセット108をトレーニングされた機械学習モデルに入力することができる。参照患者データセット及び/又は類似患者データセットの選択されたサブセット、選択されたサブセットからの治療データ、及び/又は術中に得られた患者データセット等の追加データも、トレーニングされた機械学習モデルに入力することができる。次いで、トレーニングされた機械学習モデルは、様々な候補治療処置、計画された治療処置のための追加ステップ、及び/又は医療デバイス設計が、患者に好ましい結果をもたらす可能性が高いか否かを計算することができる。これらの計算に基づいて、トレーニングされた機械学習モデルは、患者のための少なくとも1つの治療計画を選択することができる。複数のトレーニングされた機械学習モデルが使用される実施形態では、モデルを順次又は同時に実行して結果を比較することができ、トレーニングデータセット及び/又は更新された患者データセットを使用して定期的に更新することができる。治療計画モジュール118は、モデルの予測精度スコアに少なくとも部分的に基づいて、機械学習モデルの1又は2以上を使用することができる。
【0054】
治療計画モジュール118によって生成される患者固有の治療計画は、少なくとも1つの患者固有の治療処置(例えば、手術計画又は介入)及び/又は少なくとも1つの患者固有の医療デバイス(例えば、インプラント又はインプラント送達器具)を含むことができ、治療計画モジュール118によって生成される患者固有の治療計画に対する更新は、患者固有の治療処置に対する少なくとも1つの追加ステップ及び/又は患者固有の医療デバイスに対する少なくとも1つの修正を含むことができる。患者固有の治療計画は、手術計画全体又はその一部を含むことができる。同様に、患者固有の治療計画に対する更新は、外科処置に対する単一の追加処置、その一部、追加処置に対する複数の選択肢、及び/又は外科処置全体を含むことができる。更に、1又は2以上の患者固有の医療デバイスを、対応する外科処置のために特別に選択又は設計することができ、従って、患者固有の技術の様々な構成要素を組み合わせて患者を治療するのに使用することができる。
【0055】
幾つかの実施形態では、患者固有の治療処置は、脊椎手術、股関節手術、膝関節手術、顎関節手術、手関節手術、肩関節手術、肘関節手術、全関節再建術(関節形成術)、頭蓋骨再建術、足関節手術又は足首関節手術等の整形外科処置を含む。脊椎手術は、腰椎椎体間固定術(LIF)、後方腰椎椎体間固定術(PLIF)、前方腰椎椎体間固定術(ALIF)、横椎体間固定術又は経椎体間腰椎椎体間固定術(TLIF)、側方腰椎椎体間固定術(LLIF)、直接側方腰椎椎体間固定術(DLIF)、又は極側方腰椎椎体間固定術(XLIF)などの脊椎固定術を含むことができる。幾つかの実施形態において、患者固有の治療処置及び/又はその更新は、患者固有の外科処置の1又は2以上の態様を実行するための説明及び/又は指示、及び/又は患者固有の外科処置に対する追加ステップを含む。例えば、患者固有の外科処置は、外科的アプローチ、矯正操作、骨切除、又は移植されるインプラントの配置の1又は2以上を含むことができる。別の例では、患者固有の外科処置の更新は、治療部位又はその周囲で追加の組織を除去する指示、主たる治療部位に隣接する補助部位で骨の異常(例えば、ブリッジング骨棘又は自骨セグメンテーション)を除去する指示等を含むことができる。
【0056】
幾つかの実施形態では、患者固有の医療デバイスの設計は、整形外科インプラントの設計及び/又は整形外科インプラントを移植するための器具の設計を含む。このようなインプラントの例としては、限定ではないが、ネジ(例えば、骨ネジ、脊椎ネジ、ペディクルスクリュー、ファセットスクリュー)、椎体間デバイス(例えば、椎体間インプラント)、椎体間固定(「IBF」)デバイス、棘突起間スペーサー、ケージ、プレート、エンドプレート、ロッド、ディスク、融合デバイス、スペーサー、ロッド、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、スキャフォールド、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、リベット、コネクタ、テザー、ファスナー、人工関節、股関節インプラント等が挙げられる。器具の例としては、限定ではないが、スクリューガイド、カニューレ、ポート、カテーテル、挿入器具、減圧器具等が挙げられる。
【0057】
患者固有の医療デバイス設計は、対応する医療デバイスの物理的特性(例えば、サイズ、形状、体積、材料、質量、重量)、機械的特性(例えば、剛性、強度、弾性率、硬度)、及び/又は生物学的特性(例えば、骨統合性、細胞接着性、抗細菌特性、抗ウイルス特性)の1又は2以上を表すデータを含むことができる。例えば、整形外科インプラントの設計は、インプラントの形状、サイズ、材料、及び/又は有効剛性(例えば、格子密度、ストラットの数、ストラットの位置等)を含むことができる。幾つかの実施形態では、生成された患者固有の医療デバイス設計は、デバイス全体の設計である。或いは、生成された設計は、デバイス全体ではなく、デバイスの1又は2以上の構成要素に対する設計とすることができる。
【0058】
幾つかの実施形態では、設計は、標準的な既製の構成要素と共に使用することができる1又は2以上の患者固有のデバイス構成要素のためのものである。例えば、脊椎手術では、IBFデバイスは、標準的な構成要素及び患者特有のカスタマイズされた構成要素の両方を含むことができる。幾つかの実施形態では、生成された設計は、標準的な既製の送達器具と共に使用できる患者固有の医療デバイスのためのものである。例えば、インプラント(エンドプレート、拡張デバイス、スクリューなど)は、患者用に(例えば、患者の解剖学的構造に適合するように、及び/又は患者固有の医療処置を考慮して)設計及び製造することができ、インプラントを送達するための器具は標準的な器具とすることができる。このアプローチにより、移植される構成要素を患者の解剖学的構造及び/又は外科医の好みに基づいて設計及び製造し、治療を強化することができる。本明細書に記載される患者固有のデバイスは、患者の体内への送達、治療部位への配置、及び/又は患者の解剖学的構造との相互作用を改善することが期待される。
【0059】
患者固有の治療計画が医療デバイスを移植する外科処置を含む実施形態では、治療計画モジュール118はまた、インプラントパラメータ(例えば、種類、寸法)、インプラントの利用可能性、術前計画の態様(例えば、初期インプラント構成、患者の解剖学的構造の検出及び測定等)、インプラントのFDA要件(例えば、FDA規制に準拠するための特定のインプラントパラメータ及び/又は特性)、又は同様のもののような様々な種類のインプラント手術情報を記憶することができる。幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118は、インプラント手術情報を機械学習ベースのモデル及びアルゴリズムに使用可能なフォーマットに変換することができる。例えば、インプラント手術情報は、数式用の特定の特定子でタグ付けできるか、又は、トレーニングされた機械学習モデルに供給するのに適した数値表現に変換できる。治療計画モジュール118はまた、解剖学の2次元又は3次元画像又はモデル等の患者の解剖学に関する情報、及び/又は解剖学の生物学、幾何学、及び/又は機械的特性に関する情報を記憶することができる。解剖学的情報は、インプラントの設計及び/又は配置を知らせるために使用することができる。
【0060】
治療計画モジュール118によって生成された治療計画は、ユーザ(例えば、臨床医、外科医、医療提供者、患者)に出力するために、通信ネットワーク104を介してクライアントコンピュータデバイス102に送信することができる。幾つかの実施形態では、クライアントコンピュータデバイス102は、治療計画及び/又はデータ解析モジュール116によって生成された患者の解剖学的特徴の仮想モデルを出力するためのディスプレイ122を含むか、又はディスプレイ122に動作可能に結合される。ディスプレイ122は、治療計画及び/又は仮想モデルの様々な態様を視覚的に描写するためのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含むことができる。例えば、ディスプレイ122は、外科的アプローチ、治療レベル、矯正操作、組織切除、及び/又は移植されるインプラントの配置など、患者に実施される外科処置の様々な態様を示すことができる。視覚化を容易にするために、患者の解剖学的特徴の仮想モデルを、表示のための外科処置と統合することができる。別の例として、ディスプレイ122は、患者に移植される医療デバイスのデバイスデザイン135、例えばデバイスデザイン135の2次元又は3次元モデルを表示することができる。ディスプレイ122はまた、外科手術が行われる場所及び/又はデバイスが移植される場所である患者の解剖学的構造の仮想モデルを、二次元又は三次元画像で示すことができる。クライアントコンピュータデバイス102は、ユーザが表示された治療計画を修正、選択、承認、及び/又は拒否することを可能にする1又は2以上のユーザ入力デバイス(図示せず)を更に含むことができる。
【0061】
幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118によって生成された医療デバイス設計は、クライアントコンピュータデバイス102及び/又はサーバ106から、対応する医療デバイスを製造するための製造システム124に送信できる。製造システム124は、オンサイト又はオフサイトに配置することができる。現場での製造は、患者とのセッションの回数及び/又は手術を実施できるようになるまでの時間を短縮することができ、一方、現場外での製造は、複雑なデバイスを製造するのに有用である。オフサイト製造施設は特殊な製造設備を有することができる。幾つかの実施形態では、より複雑なデバイス構成要素はオフサイトで製造することができ、より単純なデバイス構成要素はオンサイトで製造することができる。
【0062】
様々なタイプの製造システムが、本明細書の実施形態に従って使用するのに適している。例えば、製造システム124は、3D印刷、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタル光処理(DLP)、溶融堆積モデル化(FDM)、選択的レーザ焼結(SLS)、選択的レーザ溶融(SLM)などの付加製造用に構成することができる、 選択的熱焼結(SHM)、電子ビーム溶解(EBM)、積層造形(LOM)、粉末床印刷(PP)、熱可塑性プラスチック印刷、直接材料堆積(DMD)、インクジェット写真樹脂印刷、又はこれらに類似する技術、或いはこれらの組み合わせが挙げられる。代替的に又は組み合わせて、製造システム124は、CNC機械加工、放電加工(EDM)、研削加工、レーザ切断、ウォータージェット機械加工、手動機械加工(例えば、フライス加工、旋盤/旋削加工)、又は同様の技術、又はこれらの組み合わせのような、除去(従来の)製造のために構成することができる。製造システム124は、製造指示又はデータ(例えば、CADデータ、3Dデータ、デジタル設計図、立体造形データ、又は本明細書に記載される様々な製造技術に適した他のデータ)に基づいて、1又は2以上の患者固有の医療デバイスを製造することができる。システム100の異なる構成要素は、製造システム124によって使用される製造データの少なくとも一部を生成することができる。製造データは、限定するものではないが、製造命令(例えば、付加製造装置、減算製造装置等によって実行可能なプログラム)、3Dデータ、CADデータ(例えば、CADファイル)、CAMデータ(例えば、CAMファイル)、パスデータ(例えば、プリントヘッドパス、ツールパス等)、材料データ、公差データ、表面仕上げデータ(例えば、表面粗さデータ)、規制データ(例えば、FDA要件、償還データ等)等を含むことができる。製造システム124は、受信した製造データに基づいて、インプラントの設計の製造可能性を分析することができる。インプラントの設計は、形状、表面等を変更し、及び製造指示を生成することによって最終化することができる。幾つかの実施形態では、サーバ206は、製造システム124に送信される製造データの少なくとも一部を生成する。
【0063】
製造システム124は、CAMデータ、印刷データ(例えば、粉末床印刷データ、熱可塑性樹脂印刷データ、写真樹脂データ等)等を生成することができ、及び付加製造装置、除去製造装置、熱処理装置等を含むことができる。付加製造装置は、3Dプリンタ、立体造形デバイス、デジタル光処理デバイス、溶融堆積造形デバイス、選択的レーザ焼結デバイス、選択的レーザ溶融デバイス、電子ビーム溶融デバイス、付加製造デバイス、パウダーベッドプリンタ、熱可塑性樹脂プリンタ、直接材料堆積デバイス、又はインクジェット写真樹脂プリンタ、又はこれらに類する技術とすることができる。除去製造装置としては、CNCマシン、放電加工機、グラインダー、レーザカッター、ウォータージェットマシン、手動マシン(フライス盤、旋盤等)、又はこれらに類する技術を挙げることができる。複雑な形状、表面仕上げ、材料特性等を有する移植されるインプラントを製造するために、付加技術及び除去技術の両方が使用できる。生成された製造指示は、製造システム124に、患者固有の設計と一致する又は治療上同一の患者固有の整形外科インプラントを製造させるように構成することができる。幾つかの実施形態では、患者固有の医療デバイスは、製造を簡略化するために、設計間で共有される特徴、材料及び設計を含むことができる。例えば、異なる患者用の展開可能な患者固有の医療デバイスは、同様の内部展開機構を有するが、異なる展開構成を有することができる。幾つかの実施形態では、患者固有の医療デバイスの構成要素は、利用可能なプレファブリケーションされた構成要素のセットから選択され、選択されたプレファブリケーションされた構成要素は、製造指示又はデータに基づいて変更できる。
【0064】
本明細書に記載の治療計画は、外科医、手術ロボット、又はこれらの組み合わせによって実行することができ、従って治療の柔軟性を可能にする。幾つかの実施形態では、外科処置は、全て外科医によって、全て外科ロボットによって、又はこれらの組み合わせによって実施することができる。例えば、外科処置の1つの段階を外科医が手動で行い、処置の別の段階を外科用ロボットが行うことができる。幾つかの実施形態では、治療計画モジュール118は、手術ロボット(例えば、ロボット手術システム、ナビゲーションシステム等)に外科処置を部分的に又は完全に実行させるように構成された制御命令を生成する。制御命令は、クライアントコンピュータデバイス102及び/又はサーバ106によってロボット装置に送信できる。
【0065】
治療計画に従って患者を治療した後、データ分析モジュール116及び/又は治療計画モジュール118を更新するために、1又は2以上の期間にわたって治療経過を監視することができる。治療後データは、データベース110に格納された参照データに追加することができる。治療後データは、患者固有の治療計画、患者固有の医療デバイス、又はこれらの組み合わせを開発するための機械学習モデルをトレーニングするのに使用することができる。
【0066】
システム100の構成要素は、多くの異なる方法で構成することができることが理解されるであろう。例えば、代替の実施形態では、データベース110、データ分析モジュール116及び/又は治療計画モジュール118は、サーバ106ではなく、クライアントコンピュータデバイス102の構成要素とすることができる。別の例として、データベース110、データ分析モジュール116、及び/又は治療計画モジュール118は、単一のサーバ106又はクライアントコンピュータデバイス102ではなく、複数の異なるサーバ、コンピュータシステム、又は他のタイプのクラウドコンピュータリソースにわたって配置することができる。
【0067】
更に、幾つかの実施形態では、システム100は、多数の他のコンピュータシステム環境又は構成で動作可能である。本発明の技術と共に使用するのに適したコンピュータシステム、環境、及び/又は構成の例としては、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドデバイス又はラップトップデバイス、携帯電話、ウェアラブル電子デバイス、タブレットデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースシステム、プログラマブル家電、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステム又はデバイスの何れかを含む分散コンピュータ環境等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
図2は、本発明の技術の幾つかの実施形態による、
図1のシステム100に関連して使用するのに適したコンピュータデバイス200を示す。コンピュータデバイス200は、クライアントコンピュータデバイス202又はサーバ206等、
図1のシステム100の様々な構成要素に組み込むことができる。コンピュータデバイス200は、1又は2以上のプロセッサ210(例えば、CPU、GPU、HPUなど)を含む。プロセッサ210は、デバイス内の単一の処理ユニット又は複数の処理ユニットとすることができ、又は複数のデバイスに分散させることができる。プロセッサ210は、例えば、PCIバス又はSCSIバス等のバスを使用して、他のハードウェアデバイスに結合できる。プロセッサ210は、本明細書に記載される方法の何れかを実行するためのプログラム命令等の、1又は2以上のコンピュータ可読プログラム命令を実行するように構成することができる。
【0069】
コンピュータデバイス200は、例えば、コンピュータデバイス200のユーザからのアクションを通知するために、プロセッサ210に入力を提供する1又は2以上の入力デバイス220を含むことができる。アクションは、入力デバイスから受信された信号を解釈し、通信プロトコルを使用して情報をプロセッサ210に通信するハードウェアコントローラによって媒介できる。入力デバイス220は、例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、赤外線センサ、タッチパッド、ウェアラブル入力デバイス、カメラ又は画像ベースの入力デバイス、マイク、及び他のユーザ入力デバイスを含むことができる。
【0070】
コンピュータデバイス200は、テキスト、仮想モデル、仮想処置、手術計画、インプラント、グラフィック、及び/又は画像(例えば、骨又は軟組織の局所密度など、ある位置における組織の密度を表す放射密度単位又はハウンスフィールド単位を示すボクセルを有する画像)などの様々なタイプの出力を表示するのに使用されるディスプレイ230を含むことができる。幾つかの実施形態では、ディスプレイ230は、グラフィカル及びテキストによる視覚的フィードバックをユーザに提供する。プロセッサ210は、デバイス用ハードウェアコントローラを介してディスプレイ230と通信することができる。幾つかの実施形態では、ディスプレイ230は、入力デバイス220がタッチスクリーンを含む場合、又は視線方向監視システムを備える場合など、ディスプレイ230の一部として入力デバイス220を含む。代替の実施形態では、ディスプレイ230は、入力デバイス220とは別個である。ディスプレイデバイスの例としては、LCDディスプレイスクリーン、LEDディスプレイスクリーン、突出部、ホログラフィックディスプレイ、又は拡張現実ディスプレイ(例えば、ヘッドアップディスプレイデバイス又はヘッドマウントデバイス)等が挙げられる。
【0071】
任意選択的に、他のI/Oデバイス240もまた、ネットワークカード、ビデオカード、オーディオカード、USB、ファイヤワイヤ又は他の外部デバイス、カメラ、プリンタ、スピーカ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、ディスクドライブ、又はブルーレイデバイス等のプロセッサ210に結合することができる。他のI/Oデバイス240は、MRI装置、X線装置、CT装置などを含む画像診断装置などの直接接続された医療機器からの情報のための入力ポートを含むこともできる。他のI/Oデバイス240は、ネットワークを介して又は例えばデータベースに格納された以前に取り込まれたデータ等の他のソースから、これらのタイプの機械からデータを受信するための入力ポートを更に含むことができる。
【0072】
幾つかの実施形態では、コンピュータデバイス200はまた、ネットワークノードと無線又は有線ベースで通信可能な通信デバイス(図示せず)を含む。通信デバイスは、例えばTCP/IPプロトコルを使用して、ネットワークを介して他のデバイス又はサーバと通信することができる。コンピュータデバイス200は、通信デバイスを利用して、画像形成装置、製造装置などを含む複数のネットワークデバイスにわたって操作を分配することができる。
【0073】
コンピュータデバイス200は、メモリ250を含むことができ、このメモリ250は、単一のデバイス内にあるか、又は複数のデバイスに分散することができる。メモリ250は、揮発性及び不揮発性記憶用の様々なハードウェアデバイスの1又は2以上を含み、読み出し専用メモリ及び書き込み可能メモリの両方を含むことができる。例えば、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、様々なキャッシュ、CPUレジスタ、読み出し専用メモリ(ROM)、及びフラッシュメモリ、ハードドライブ、フロッピーディスク、CD、DVD、磁気記憶デバイス、テープドライブ、デバイスバッファ等の書き込み可能な不揮発性メモリを備えることができる。メモリは、基礎となるハードウェアから切り離された伝播信号ではなく、従って、メモリは非一時的である。幾つかの実施形態では、メモリ250は、例えば、プログラム、ソフトウェア、データ又はこれらを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体である。幾つかの実施形態では、メモリ250は、オペレーティングシステム262、1又は2以上の外科処置モジュール264、及び他のアプリケーションプログラム266等のプログラム及びソフトウェアを記憶するプログラムメモリ260を含むことができる。外科処置モジュール264は、本明細書に記載される様々な方法(例えば、
図1に関して記載されるデータ分析モジュール216及び/又は治療計画モジュール218)を実行するように構成される1又は2以上のモジュールを含むことができる。メモリ250はまた、例えば、プログラムメモリ260又はコンピュータデバイス200の何れかの他の要素に提供できる患者データ、参照データ、設定データ、ユーザオプション又はプリファレンス等を含むことができるデータメモリ270を含むことができる。
【0074】
図3は、本発明の技術の幾つかの実施形態による、患者固有の医療ケアを提供するための方法300を示す流れ図である。図示された実施形態では、方法300は、データ段階310、モデル化及び予測段階320、並びに実行段階330を含む。データ段階310は、治療される患者のデータ(例えば、病理データ、患者データ、画像データ、軟組織データ等)を収集すること、及び患者データを参照データ(例えば、病理データ、患者データ、画像データ、軟組織データ、手術データ、及び/又は結果データとして含む先行患者データ)と比較することを含むことができる。例えば、患者データセットを受信することができる(ブロック312)。次に、患者データセットを使用して、患者の脊椎及び周囲の軟組織の仮想モデルなど、患者の解剖学的特徴の仮想モデルを生成することができる(ブロック314)。患者データセット及び/又は仮想モデルは、例えば、複数の参照患者データセット内の1又は2以上の類似患者データセットを特定するために、複数の参照患者データセットと比較することができる(ブロック316)。複数の参照患者データセットの各々は、年齢、性別、BMI、腰椎前弯、コブ角、骨盤固有角、椎間板高さ、セグメント柔軟性、骨質、回転変位、脊椎の治療レベル、靱帯の発達、靱帯の柔軟性又は伸展、又は筋肉の発達の1又は2以上を表すデータを含むことができる。
【0075】
複数の参照患者データセットのサブセットは、例えば、患者データセットとの類似性及び/又は対応する参照患者の治療結果に基づいて、選択することができる(ブロック318)。例えば、患者データセット及び参照患者データセットの比較に基づいて、各参照患者データセットについて類似性スコアを生成することができる。類似性スコアは、患者データと参照患者データセットとの間の統計的相関を表すことができる。類似性スコアに少なくとも部分的に基づいて、1又は2以上の類似患者データセットを特定することができる。
【0076】
幾つかの実施形態では、選択されたサブセットの各患者データセットは、有利な治療結果(例えば、単一の標的結果、集約結果スコア、結果閾値に基づく有利な治療結果)を示すデータを含み、及び/又は関連付けられる。データは、例えば、矯正された解剖学的メトリクス(例えば、提供された矯正、術後の可動性等)、癒合の存在、健康関連クオリティ・オブ・ライフ、活動レベル、又は合併症のうちの1又は2以上を表すデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、データは、結果スコアであるか又は結果スコアを含み、この結果スコアは、単一の標的結果、集計結果、及び/又は結果閾値に基づいて計算することができる。
【0077】
任意選択的に、データ段階310は、選択されたサブセットの少なくとも1つの患者データセットについて(例えば、少なくとも1つの類似の患者データセットについて)、好ましい治療結果に関連する外科処置データ及び/又は医療デバイス設計データを特定又は決定することを含むことができる。外科処置データは、外科的アプローチ、矯正操作、骨切除、医療デバイス配置、又は医療デバイス設計の1又は2以上を表すデータを含むことができる。少なくとも1つの医療デバイス設計は、対応する医療デバイス及び/又は患者の物理的特性、機械的特性、又は生物学的特性のうちの1又は2以上を表すデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの患者固有の医療デバイス設計は、患者の解剖学的特徴及び/又は手術計画に合わせてカスタマイズされたインプラント又はインプラント送達器具の設計を含む。
【0078】
モデル化及び予測段階320では、外科処置計画及び/又は医療デバイスの設計が生成又は受信される(ブロック322)。例えば、幾つかの実施形態では、外科処置計画の生成は、患者データセット及び/又は参照患者データセットの選択されたサブセットに基づいて(例えば、統計学、機械学習、ニューラルネットワーク、AI等を使用して)少なくとも1つの予測モデルを構築することを含むことができる。予測モデルは、患者の解剖学的構造における固有の特徴などの患者固有の特徴を考慮した外科処置の計画の生成を行うように構成することができる。
【0079】
幾つかの実施形態では、予測モデルは、少なくとも部分的に、外科処置及び/又は医療デバイス設計を生成する1又は2以上のトレーニングされた機械学習モデルを含む。例えば、トレーニングされた機械学習モデルは、患者を治療するための複数の候補外科処置及び/又は医療デバイス設計を決定することができる。各外科処置は、対応する医療デバイス設計と関連付けることができる。幾つかの実施形態では、外科処置及び/又は医療デバイス設計は、データ段階310に関して上述したように、良好な結果に関連する外科処置データ及び/又は医療デバイス設計データに基づいて決定される。各外科処置及び/又は対応する医療デバイス設計について、トレーニングされた機械学習モデルは、患者の標的結果(例えば、良好な又は所望の結果)を達成する確率を計算することができる。次いで、トレーニングされた機械学習モデルは、少なくとも部分的に、計算された確率に基づいて、少なくとも1つの外科処置及び/又は対応する医療デバイス設計を選択することができる。
【0080】
ブロック322の幾つかの実施形態では、外科処置は、外科医、医師、又は他の医療提供者から受信される。幾つかのこのような実施形態では、外科処置計画は、外科処置の一般化された計画(例えば、処置に関与する一般的な処置)及び/又は外科医の外科処置の好ましい技術に対応する。
【0081】
外科処置の計画が生成及び/又は受信されると、モデル化及び予測段階320は、外科処置の1又は2以上の追加ステップを特定することを含むことができる(ブロック324)。追加ステップは、患者の解剖学的構造、手術ツール、及び/又は移植されるインプラントデバイスの設計の術中可動性を変更することができる。例えば、追加ステップは、患者の脊椎の手術される部分の椎体の可動性を増加させることを可能にする脊椎靱帯の解離を含むことができる。追加ステップはまた、術後の結果を改善し、外科処置中に利用可能なアクセスを利用するために、補助的な解剖学的特徴を標的とすることができる。例えば、追加ステップは、手術される患者の脊椎の一部に隣接するブリッジング骨棘及び/又は自己癒合セグメントの補助的除去を含むことができる。この除去は、一次外科処置にとって重要でない場合もあるが、除去によって患者の脊椎の術後結果の可動性を改善することができる。
【0082】
外科処置のための1又は2以上の追加ステップを特定した後、モデル化及び予測段階320は、ブロック324で特定された追加ステップの1つ、一部、及び/又は全てを組み込んだ外科処置からの解剖学的結果を予測すること(ブロック326)を含むことができる。幾つかの実施形態では、外科処置の結果を予測することは、患者データセット及び/又は参照患者データセットの選択されたサブセットに基づいて(例えば、統計学、機械学習、ニューラルネットワーク、AI等を使用して)少なくとも1つの予測モデルを開発することを含むことができる。予測モデルは、上述した方法の何れかによって生成することができる。生成されると、予測モデルは、患者データ及び追加ステップの1つ、一部、及び/又は全てを含む手術計画に適用できる。例えば、幾つかの実施形態では、予測モデルを患者データに適用し、ブロック324で特定された追加ステップの各組み合わせを手術計画の中に統合することができる。幾つかの実施形態では、予測結果は、矯正解剖学的メトリクス、癒合の有無、HRQL、活動レベル、合併症、回復時間、有効性、死亡率、又はフォローアップ手術等の1又は2以上の結果パラメータを表すデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、予測された結果は、各結果パラメータに値を割り当てることによって結果スコアを予測することを含むことができ、患者及び/又は医療提供者が予測された結果を迅速に評価することを可能にする。
【0083】
任意選択的に、モデル化及び予測段階320は、医療処置を実行する外科医などの医療提供者からのフィードバックのステップを含むことができる。フィードバックは、好ましい追加ステップ及び/又は追加ステップに対する微調整の指示を含むことができる。フィードバックはまた、外科処置計画に組み込まれる追加ステップの選択を含むことができる。幾つかの実施形態では、フィードバックを受信した後、モデル化及び予測段階320は、1又は2以上の更なる追加ステップを特定すること、及び更なる追加ステップを組み込んだ外科処置からの解剖学的結果を予測することを含むことができる。
【0084】
次いで、モデル化及び予測段階320は、実行段階330で使用するために、追加ステップの1又は2以上(又は幾つかの実施形態では、全く)を有する外科処置の更新された計画を生成すること(ブロック328)を含む。実行段階330は、更新された計画に従って外科処置計画を実行すること(ブロック334)を含む。外科処置は、手動、外科用ロボット、又はこれらの組み合わせによって実行することができる。外科処置が手術ロボットによって実行される実施形態では、ブロック328において更新された計画を生成することは、ブロック332において、手術ロボットに少なくとも部分的に患者固有の外科処置を実行させるように構成された制御命令を生成することを含むことができる。幾つかの実施形態では、ブロック328で更新された計画を生成することは、更新された計画に基づいて1又は2以上のインプラントの計画を生成することを含む。例えば、更新された計画が、椎体の1又は2以上の不規則部を除去することを含む場合、更新された計画はまた、除去を考慮して(例えば、不規則部を除去した後に患者固有のトポロジーにカスタマイズされた係合面を有する)インプラントを製造することを含むことができる。
【0085】
方法300は、様々な方法で実施及び実行することができる。幾つかの実施形態では、方法300の1つ又は2つ以上のステップ(例えば、データ段階310及び/又はモデル化及び予測段階320)は、メモリに記憶され、本明細書に記載されるコンピュータデバイス及びシステム(例えば、システム100)の何れか(例えば、クライアントコンピュータデバイス102及び/又はサーバ106)の1又は2以上のプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読命令として実装することができる。或いは、方法300の1又は2以上のステップ(例えば、実行段階330)は、医療提供者(例えば、医師、外科医)、ロボット装置(例えば、手術ロボット)、製造システム(例えば、製造システム124)、又はこれらの組み合わせによって実行することができる。幾つかの実施形態では、方法300の1又は2以上のステップが省略される(例えば、実行段階330)。
【0086】
図4A~4Cは、本発明の技術の幾つかの実施形態による、患者の生来の解剖学的構成の仮想モデル400の様々な例を示す。図示の実施形態では、仮想モデル400は、患者の脊椎の様々な部分における患者の生来の解剖学的構成の3D視覚表現である。例えば、
図4Aの仮想モデル400は、L4椎骨レベルから仙骨まで延びる脊柱の一部の3D視覚表現を含む。勿論、仮想モデル400は、頸椎、胸椎、腰椎、及び仙骨を含む患者の脊柱の他の領域を含むことができる。更に、例えば
図4Cに図示するように、仮想モデル400は、軟骨、軟組織、血管組織、神経組織など、
図4Aに図示した骨構造と重ね合わせた付加的な構造を含むことができる。
【0087】
図4Bは、仮想モデル400の異なるビューを示す仮想モデルディスプレイ450(本明細書では「ディスプレイ450」と呼ぶ)を示す。仮想モデルディスプレイ450は、仮想モデル400の1又は2以上の冠状断面402、仮想モデル400の1又は2以上の軸方向断面404、及び/又は仮想モデル400の1又は2以上の矢状断面406を含む、
図4Aの仮想モデル400の3Dビューを含むことができる。勿論、他のビューも可能であり、仮想モデルディスプレイ450に含めることができる。更に、上述したように、追加の構造(例えば、軟組織)を仮想モデル400に含められ、またディスプレイ450に含めることができる。幾つかの実施形態では、仮想モデル400はインタラクティブであり、ユーザが仮想モデル400の向き又はビューを操作(例えば、回転)し、表示された断面の深さを変更し、特定の骨構造を選択して分離し、非骨構造(例えば、軟骨、軟組織、脈管組織、神経組織等)を追加及び/又は除去し、非骨構造を分離する、又は同様のことを行うことができる。
【0088】
図4Cは、患者の脊椎の一部において骨構造と共に重畳された軟組織特徴410を含む仮想モデル400の一例を示す。図示されているように、軟組織特徴は、前縦靱帯、後縦靱帯、横突間靱帯、腓靱帯、ファセット莢膜靱帯、棘間靱帯、棘上靱帯、及び椎間板の線維柱を含む。幾つかの実施形態では、仮想モデル400は、
図3の方法300によって特定された1又は2以上の追加ステップをユーザが視覚化して、患者の脊椎の可動性に対するステップの影響を視覚化できるようにすることができる。例えば、仮想モデル400は、ユーザが、計画された手術計画に加えて、軟組織特徴の何れかを操作することの効果を視覚化することを可能にすることができる。
【0089】
図5A~5Cは、本明細書に記載の方法(例えば、
図3に関して説明したデータフェーズ310)に関連して使用及び/又は生成できる例示的なデータセットを示す。
図5Aは、治療される患者の患者データセット500を示す。患者データセット500は、患者ID及び複数の術前患者メトリクス(例えば、年齢、性別、BMI、腰椎前弯(LL)、骨盤固有角率(PI)、及び脊椎の治療レベル(level))を含むことができる。
【0090】
図5Bは、複数の参照患者データセット510を示す。描かれている実施形態では、参照患者データセット510は、研究グループ(Study Group X)からの第1のサブセット512、診療データベース(Practice Y)からの第2のサブセット514、及び学術グループ(University Z)からの第3のサブセット516を含む。代替の実施形態では、参照患者データセット510は、本明細書で既に説明したように、他のソースからのデータを含むことができる。各参照患者データセットは、患者ID、複数の術前患者メトリクス(例えば、年齢、性別、BMI、腰椎前弯(LL)、骨盤固有角率(PI)、及び脊椎の治療レベル(level))、治療結果データ(Outcome)(例えば、癒合(fused)の有無、HRQL、合併症)、及び治療処置データ(Surg.Intervention)(例えば、インプラントデザイン、インプラント配置、手術アプローチ)を含むことができる。
【0091】
図5Cは、患者データセット500と参照患者データセット510との比較を示す。上述したように、患者データセット500を参照患者データセット510と比較して、参照患者データセットから1又は2以上の類似患者データセットを特定することができる。幾つかの実施形態では、参照患者データセット510からの患者メトリクスが数値に変換され、患者データセット500からの患者メトリクスを比較して、各参照患者データセットについて類似度スコア520(「術前類似度」)を計算する。閾値未満の類似度スコアを有する参照患者データセットは、患者データセット500と類似していると考えることができる。例えば、描かれている実施形態では、参照患者データセット510aは9の類似度スコアを有し、参照患者データセット510bは2の類似度スコアを有し、参照患者データセット510cは5の類似度スコアを有し、参照患者データセット510dは8の類似度スコアを有する。これらのスコアの各々は閾値20未満であることに起因して、参照患者データセット510a~dは類似患者データセットであると特定される。
【0092】
類似参照患者データセット510a~dの治療結果データを解析して、成功確率が最も高い外科処置及び/又はインプラント設計を決定することができる。例えば、各参照患者データセットの治療結果データは、良好な結果の可能性を表す数値結果スコア530(「結果指数」)に変換することができる。描かれている実施形態では、参照患者データセット510aは1の結果スコアを有し、参照患者データセット510bは1の結果スコアを有し、参照患者データセット510cは9の結果スコアを有し、参照患者データセット510dは2の結果スコアを有する。結果スコアが低いほど良好な結果の可能性が高くなることに相関する実施形態では、参照患者データセット510a、510b、及び510dを選択することができる。次いで、選択された参照患者データセット510a、510b、及び510dからの治療処置データを使用して、治療される患者に好ましい結果をもたらす可能性が高い少なくとも1つの外科処置(例えば、インプラントの配置、外科的アプローチ)及び/又はインプラントの設計を決定することができる。
【0093】
図6~
図8は、本発明の技術の幾つかの実施形態による、外科処置のための患者固有の計画を生成及び/又は更新するための様々な方法600、700、800を示す。方法600、700、800は、様々な方法で実施及び実行することができる。幾つかの実施形態では、方法600、700、800の1又は2以上のステップは、メモリに格納され、本明細書に記載されるコンピュータデバイス及びシステム(例えば、システム100)の何れか(例えば、クライアントコンピュータデバイス102及び/又はサーバ106)の1又は2以上のプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読命令として実装することができる。或いは、方法600、700、800の1又は2以上のステップは、医療提供者(例えば、医師、外科医)、ロボット装置(例えば、手術ロボット)、製造システム(例えば、製造システム124)、又はこれらの組み合わせによって実行することができる。幾つかの実施形態では、方法600、700、800の1又は2以上のステップは省略される(例えば、
図6~8に図示される任意選択のリターン)。
【0094】
図6は、本発明の技術の幾つかの実施形態による、外科処置のための患者固有の計画を生成するための術前方法600(「方法600」)を示す流れ図である。ブロック602において、方法600は、患者データを取得するステップを含む。幾つかの実施形態では、ブロック602で患者データを取得するステップは、医療ネットワーク内の様々なサーバ等の1又は2以上のサーバから患者データセット(例えば、画像データ、病理データ、軟組織データ等)を受信するステップを含む。
【0095】
ブロック604において、方法600は、患者データに基づいて患者の解剖学的特徴の1又は2以上の仮想モデルを生成するステップを含む。結果として生じる垂直モデルの実施例は、
図4A~4Cに関して上記でより詳細に議論され、仮想モデルが、患者の骨格構造及び/又はこれらを取り囲む軟組織特徴の視覚化を医療提供者に提供することを例示している。上述したように、幾つかの実施形態では、仮想モデルはインタラクティブとすることができ、医療従事者が様々な解剖学的特徴を操作して、その操作の結果を視覚化することを可能にする。
【0096】
ブロック606において、方法600は、外科処置計画に関する入力を受信するステップを含む。外科処置計画は、患者の解剖学的特徴に関連する病理に対処するように構成された1又は2以上のステップを含む。例えば、脊柱側弯症の患者の場合、外科処置計画は、脊柱側弯症を少なくとも部分的に改善するために2又は3以上の椎体を融合させるステップを含むことができる。様々な実施形態において、外科処置計画は、医療提供者から受信され、患者に固有であり、データベースから受信され、患者に関連する様々な病理学的状態に対して標準化され、及び/又は患者固有の医療ケアシステムから受信される(例えば、
図1のサーバ106から)。
【0097】
ブロック608、610において、方法600は、外科処置計画のための1又は2以上の追加ステップを特定するステップを含む。より具体的には、方法600は、ブロック608において、受信された外科処置計画を支援する1又は2以上の追加ステップを特定するステップと、ブロック610において、一次外科処置計画に付随する1又は2以上の追加ステップ及び/又は処置を特定するステップを含む。例えば、ブロック608で特定された追加ステップは、処置される解剖学的特徴の術中可動性を増加させる軟組織関連の調整(例えば、切開、解離、操作、及びその他)を含むことができる。その結果、特定された追加ステップは、処理される解剖学的特徴に外科処置が与える矯正を増加させることができる。同様に、ブロック610で特定された追加ステップは、外科処置の結果の態様を改善する、軟組織関連の調整及び/又は隣接する解剖学的構造への調整を含むことができる。例えば、ブロック610で特定される追加ステップは、解剖学的特徴の術後シフト及び/又は外科処置が解剖学的特徴に与える矯正に関連する痛みを低減する隣接解剖学的構造の切開、解剖、操作等を含むことができる。
【0098】
ブロック612において、方法600は、ブロック608、610で特定された追加ステップを含む様々な外科処置の結果を予測するステップを含む。幾つかの実施形態では、結果を予測するステップは、機械学習モデル、AIモデル、ニューラルネットワーク等をトレーニングして、1又は2以上の追加ステップを含む外科処置の結果としての解剖学的構成を予測するステップを含む。例えば、上述したように、参照患者データを用いて機械学習モデルをトレーニングし、1又は複数の外科的ステップに関連する解剖学的効果及び/又は結果を予測することができ、場合によっては、対象患者と類似性を有する参照患者に分離される。幾つかのこのような実施形態では、結果を予測するステップは、予測された解剖学的構成を反映するように仮想モデルを調整するステップを含み、医療提供者及び/又は患者が予測された結果を視覚化することを可能にする。幾つかの実施形態では、結果を予測するステップは、所望の解剖学的構成を定義するステップと、1又は2以上の追加ステップを含む外科処置が所望の解剖学的構成を達成する可能性が高いかどうかを予測するステップとを含む。幾つかの実施形態において、結果を予測するステップは、結果スコアを生成するステップを含む。結果スコアは、予測された解剖学的構成が所望の解剖学的構成にどれだけ近いか、予測された解剖学的構成が1又は2以上の追加ステップによって改善されるか否か、及び/又は1又は2以上の追加ステップに関連する危険因子を反映することができる。方法600は、追加ステップの各々を個別に、及び/又は追加ステップの可能な各組み合わせを含む外科処置の結果を予測するステップを含むことができる。
【0099】
ブロック614において、方法600は、ブロック608、610において特定された追加ステップに関する外科医(又は他の医療提供者)からの入力を受信するステップを含む。入力は、方法600が認識しなかった追加ステップに関連するリスクの特定、追加ステップの1又は2以上の修正、1又は2以上の追加ステップの選択、1又は2以上の選択された追加ステップの命令、及び/又は何れかの他の適切な指示を含むことができる。
【0100】
ブロック616において、方法600は、外科医からの入力及び特定及び/又は選択された追加ステップに基づいて、外科処置の更新計画を生成するステップを含む。例えば、更新された計画を生成するステップは、1又は2以上の追加ステップの受信された選択に基づいて、外科処置計画をコンパイルするステップを含むことができる。幾つかの実施形態では、更新された計画は、外科医及び/又は何れかの他の医療提供者が従うように指示するためにフォーマットされる。幾つかの実施形態では、更新された計画の1又は2以上のステップ(最大で計画全体及びこれを含む)は、手術ロボット及び/又は何れかの他の適切な自動化システムによる実行のためにフォーマットされる。例えば、幾つかの実施形態では、外科医が外科処置計画の別のステップを実行する間に、1又は2以上の追加の軟組織ステップが、手術ロボットによる実行のためにフォーマットすることができる。幾つかの実施形態では、外科処置計画の更新された計画を生成するステップは、外科処置計画のためにインプラントをカスタム製造する1又は2以上のステップを含む。例えば、インプラントは、外科処置の更新計画をサポートするように(例えば、治癒期間中に弱くなった関節をサポートするように)、及び/又は外科処置計画の更新を考慮するように(例えば、更新された外科処置の後に予想される患者固有のトポロジーに1又は2以上の表面をカスタマイズするように)カスタム製造することができる。
【0101】
図7は、本発明の技術の幾つかの実施形態による、外科処置のための患者固有の計画を外科処置中に患者固有の解剖学的構造に適合させるための術中方法700(「方法700」)を示す流れ図である。本方法は、ブロック702から始まり、ここで、本方法700は、外科処置の1又は2以上のステップを実行するステップを含む。このステップは、外科医、他の医療提供者、及び/又は手術ロボットが、外科処置の計画の一部(又は全部)を実行することによって実行できる。
【0102】
ブロック704において、方法700は、術中患者データを取得するステップを含む。術中患者データは、術前に得ることができるよりも、1又は2以上の解剖学的特徴のより正確な描写を提供できる術中画像データを含むことができる。例えば、術中患者データは、外科処置によって処理される骨格特徴を取り囲む1又は2以上の軟組織特徴の正確な描写を提供することができる。幾つかの実施形態では、術中患者データは、外科処置の実行ステップに対する解剖学的応答の測定値を含む。例えば、術中患者データは、外科処置の実行ステップによって提供される前弯矯正及び/又は冠状矯正の測定値を含むことができる。解剖学的反応の測定により、外科処置計画に対する術中の微調整の効果を高めることができる。
【0103】
ブロック706において、方法700は、術中患者データに基づいて患者の解剖学的構成の仮想モデルを更新するステップを含む。幾つかの実施形態では、仮想モデルの更新は、更新された患者データに従って描かれた解剖学的特徴を更新するステップを含む。幾つかの実施形態において、更新は、更新された患者データに基づいて、患者の解剖学的特徴の操作に対する予測された解剖学的応答を更新するステップを含む。
【0104】
ブロック708において、方法700は、更新された仮想モデルに基づいて、外科処置計画に対する1又は2以上の障害を特定するステップを含む。特定された障害は、外科処置の計画を更に実行することに対する障害(例えば、アクセスポイントをブロックする軟組織特徴による)、外科処置を通じて所望の解剖学的構成を達成することに対する障害(例えば、予測された解剖学的応答を下回る測定された解剖学的応答に基づいて)、及び同様のものを含むことができる。
【0105】
ブロック710において、方法700は、外科処置計画のための1又は2以上の追加ステップを特定するステップを含む。幾つかの実施形態では、特定された1又は2以上の追加ステップは、特定された障害に応答する。例えば、方法700が所望の解剖学的構成を達成するための障害を特定した場合、方法700は、障害に対処する追加のステップを特定するステップを含むことができる。非限定的な特定の例では、方法700は、患者の脊椎の術中可動性を制限し、これにより外科処置が脊椎解剖学に所望の矯正を提供することを妨げている脊椎靱帯を特定することができる。従って、方法700は、患者の脊椎の術中可動性を増加させるために靱帯を操作(例えば、解離)する1又は2以上のポイントを特定することができる。幾つかの実施形態では、特定された1又は2以上の追加ステップは、仮想モデルの更新に応答する。例えば、方法700は、矯正することができる補助解剖学的特徴(例えば、ブリッジング骨棘)の特定に基づいて追加ステップを特定するステップを含むことができる。別の例では、方法700は、患者が追加の矯正処置(例えば、患者がより重要な解剖学的矯正又はより集中的な処置に確実に反応する(又は耐える)ことを示す患者データの更新)に基づいて追加のステップを特定するステップを含むことができる。
【0106】
ブロック712において、方法700は、ブロック710で特定された追加ステップ及び/又はブロック708で特定された障害に関する外科医(又は他の医療提供者)からの入力を受信するステップを含む。入力は、方法700が認識しなかった追加ステップに関連するリスクの特定、追加ステップの1又は2以上の修正、方法700が特定しなかった1又は2以上の追加ステップ(例えば、特定された障害への対処)、1又は2以上の追加ステップの選択、1又は2以上の選択された追加ステップの操作順序に関する入力、及び/又は何れかの他の適切な指示を含むことができる。
【0107】
任意選択的に、外科医からの入力を受信した後、方法700は、ブロック708、710に戻り、1又は2以上の更なる障害及び/又は追加ステップを特定することができる。例えば、外科医が障害物に対処する1又は2以上の追加ステップを指示する実施形態では、方法700は、ブロック708に戻って、入力に基づいて何れかの追加障害物を特定し、及び/又はブロック710に戻って、入力に基づいて追加ステップを特定することができる。
【0108】
ブロック714において、方法700は、外科医からの入力及び特定及び/又は選択された追加ステップに基づいて、外科処置の更新計画を生成するステップを含む。上述したように、更新計画は、外科医及び/又は何れかの他の医療提供者が従うように指示するため、及び/又は手術ロボット及び/又は何れかの他の適切な自動化システムによる実行(部分的又は全体的)のためにフォーマットすることができる。更に、上述したように、外科処置のための更新された計画を生成するステップは、(例えば、外科処置のための更新された計画を考慮して)患者固有のインプラントをカスタム製造する1又は2以上のステップを含むことができる。
【0109】
図8は、本発明の技術の更なる実施形態による、外科処置のための患者固有の計画を外科処置中に患者固有の解剖学的構造に適合させるための術中方法800(「方法800」)を示す流れ図である。本方法は、ブロック802において、外科処置の1又は2以上のステップを実行するステップで始まる。このステップは、外科医、他の医療提供者、及び/又は手術ロボットが、外科処置の計画の一部(又は全部)を実行することによって実行できる。
【0110】
ブロック804において、方法800は、術中患者データを取得するステップを含む。上述したように、術中患者データは、術中画像データ、外科処置の実行ステップに対する解剖学的応答の測定値、患者の仮想モデルに対する更新、及び/又は何れかの他の適切なタイプの術中データを含むことができる。
【0111】
ブロック806において、方法800は、更新された患者データを複数の参照患者症例と比較するステップを含む。
図1及び
図5A~
図5Cに関して上記でより詳細に説明したプロセス及びサーバモジュールと同様に、方法800は、更新された患者データを参照患者症例と比較して、類似データ及び/又は類似症例を特定することができる。比較は、
図1~
図7に関して上述したデータパラメータの何れかに基づくことができる。パラメータは、各参照患者症例について類似性スコアを計算するのに使用することができ、類似性スコアは、患者データと参照患者症例との間の統計的相関を表すことができる。
【0112】
ブロック808において、方法800は、複数の参照患者症例のサブセットを選択するステップを含む。参照患者症例のサブセットは、患者データと参照患者症例のサブセットとの間の類似性及び/又は参照患者症例のサブセットにおける治療結果に基づいて選択することができる。例えば、参照患者症例のサブセットは、ブロック806で生成された類似性スコア及び参照患者症例における所望の治療結果に基づいて選択され、(a)類似の解剖学的及び/又は生物学的特徴を有する患者、及び(b)類似の患者に対して良好な結果をもたらした治療の両方を特定することができる。
【0113】
ブロック810において、方法800は、外科処置計画のための1又は2以上の追加ステップを特定するステップを含む。幾つかの実施形態では、1又は2以上の追加のステップは、所望の治療結果を有する類似の患者において行われた追加のステップに基づいて特定することができる。幾つかの実施形態では、特定は、複数の参照患者症例のサブセットに対して機械学習モデル、AIモデル、ニューラルネットワーク等をトレーニングするステップを含むことができる。上記でより詳細に議論したように、トレーニングされた機械学習モデル、AIモデル、ニューラルネットワーク、及び/又は同様のコンピュータモデルは、次いで、1又は2以上の追加ステップを特定するために患者データに適用できる。トレーニングされたモデルは、医療提供者が追加ステップと改善された治療結果との間の因果関係メカニズムを認識する前に達成された治療結果を改善する追加ステップを特定できると考えられる。また、トレーニングされたモデルは、既知の制限よりも精度を向上させて、患者固有の特徴に対する追加ステップの制限を特定することができると考えられる。
【0114】
ブロック812において、方法800は、ブロック810において特定された追加ステップの1又は2以上が外科処置計画に組み込まれた場合の手術処置の結果を予測するステップを含む。上述したように、様々な実施形態において、方法800は、追加ステップの各々を個別に、及び/又は追加ステップの可能な組み合わせの各々を含む外科処置の結果を予測するステップを含むことができる。幾つかの実施形態では、結果を予測するステップは、機械学習モデル、AIモデル、ニューラルネットワーク等をトレーニングして、1又は2以上の追加ステップを含む外科処置の結果として生じる解剖学的構成を予測するステップを含む。例えば、上述したように、参照患者症例は、1又は複数の外科的ステップに関連する解剖学的効果及び/又は結果を予測するために機械学習モデルをトレーニングするのに使用することができ、場合によっては対象患者と類似性を有する参照患者に分離される。幾つかのこのような実施形態において、結果を予測するステップは、予測された解剖学的構成を反映するように患者の仮想モデルを調整するステップを含み、医療提供者(例えば、外科医)が予測された結果を視覚化することを可能にする。幾つかの実施形態において、結果を予測するステップは、追加ステップの1又は2以上を含む外科処置が所望の治療結果を達成する可能性が高いかどうかを予測するステップを含む。幾つかの実施形態において、結果を予測するステップは、結果スコアを生成するステップを含む。結果スコアは、予測された治療結果が所望の治療結果にどれだけ近いか、予測された治療結果が1又は2以上の追加ステップによって改善されるかどうか、1又は2以上の追加ステップに関連する危険因子、及び/又は予測された治療結果の他の様々な好適な評価を反映することができる。
【0115】
ブロック814において、方法800は、ブロック810において特定された追加ステップに関する外科医(又は他の医療提供者)からの入力を受信するステップを含む。入力は、方法800が認識しなかった追加ステップに関連するリスクの特定、追加ステップの1又は2以上の修正、方法800が特定しなかった1又は2以上の追加ステップ、1又は2以上の追加ステップの選択、1又は2以上の選択された追加ステップの順序、及び/又は何れかの他の適切な指示を含むことができる。
【0116】
任意選択的に、外科医からの入力を受信するステップの後、方法800は、ブロック810に戻り、1又は2以上の更なる追加ステップを特定することができる。例えば、外科医が患者固有のリスクを入力する実施形態では、方法800は、ブロック810に戻って、患者固有のリスクに基づいて更なる追加のステップを特定することができる。次いで、方法800は、ブロック812に戻って、特定された更なる追加ステップに基づいて、処置される解剖学的特徴の術中及び/又は術後の可動性への影響を予測することができる。
【0117】
ブロック816において、方法800は、外科医からの入力及び特定及び/又は選択された追加ステップに基づいて、外科処置計画の更新された計画を生成するステップを含む。上述したように、更新された計画は、外科医及び/又は他の何れかの医療提供者が従うように指示するため、及び/又は手術ロボット及び/又は他の何れかの適切な自動化システムによる実行(部分的又は全体的)のためにフォーマットすることができる。更に、上述したように、外科処置計画の更新された計画を生成するステップは、外科処置計画の更新された計画を考慮してインプラントをカスタム製造する1又は2以上のステップを含むことができる。
【0118】
図9は、一実施形態による、本明細書に記載される方法に関連して使用及び/又は生成できる、患者固有の外科処置のための例示的な外科処置計画900を示す。外科処置計画900は、本明細書に開示される手術ステップ、分析、及び/又は他のデータの全て又は一部を組み込むことができる。例えば、外科処置計画900は、
図6~7の方法に関連して議論された出力及びパラメータを含むことができる。外科処置計画900は、限定ではないが、術中及び/又は術前患者メトリクス902(例えば、
図5A~5Cに関連して論じられた術前患者メトリクス)、術後予測患者メトリクス904(例えば、
図5A~5Cに関連して論じられた術後予測患者メトリクス)、脊椎可動性の標的組織(例えば、
図4Cに関連して論じられた組織)、矯正値、シミュレーション出力等を含むことができる。術前情報902は、患者の生来の解剖学的構成を示す仮想モデル910の前方及び側方ビューのような解剖学的特徴のビューを含むことができる。仮想モデル910の前方ビューは、患者が脊柱の異常な湾曲(例えば、脊柱側弯症)を有することを示している。図示された仮想モデル910の側面図は、患者が椎間板の崩壊又は隣接する椎体終板の間の間隔の減少を有することを示す。計画された術後データ904は、同じ患者の矯正された解剖学的構成(椎体再配置1012を含む)を示す計画された術後矯正バーチャル920の前方及び側方ビューのような解剖学的特徴のビューを含むことができる。仮想モデル920は、術前モデル910に示された異常な解剖学的構成を考慮している。ユーザは、術前及び術後データ902、904を視覚的に比較して、予測される手術結果を評価することができる。
【0119】
外科処置計画900はまた、術中計画又はデータ922(「術中計画922」)を含むことができる。術中計画922は、外科処置の1又は2以上の段階のデータ(例えば、手術ステップ、脊椎可動性等)を含むことができる。図示された2段階外科処置計画900は、第1段階メトリクス930及び第2段階メトリクス940を含み、これらは、術中可動性を調整するための何れかの数の軟組織手術ステップを含むことができ、また、例えば
図4C、
図6、
図7、及び
図8に関連して論じられたデータ(例えば、軟組織データ、補助ステップ/処置データ、予測結果、更新された術中計画、手術ステップに対する障害、術中可動性に対する予測効果、及び/又は術後可動性等)を含むことができる。ユーザは、外科処置のタイプ、ステージパラメータ(例えば、ステージの最大数又は最小数)、手術ステップパラメータ(例えば、ステージごと、外科処置ごと等の手術ステップを選択する)、及び他の外科処置計画パラメータを選択することができる。幾つかの実施形態では、複数の術中計画を生成し、ユーザによる視覚的比較のために表示することができる。ユーザは、外科計画の1又は2以上の部分について入力(例えば、承認、拒絶、修正等)を提供することができる。システムは、ユーザの承認を受けるまで、何れかの数の計画(例えば、計画900、922)を生成することができる。
【0120】
引き続き
図9を参照すると、第1段階930は、仮想モデル(例えば、
図6、
図7、及び
図8に関連して議論された仮想モデル)を使用してシミュレートされた計画された軟組織手術ステップ950a、950b(集合的に「手術ステップ950」)を含むことができる。第1段階930は、標的組織(例えば、標的靱帯、結合組織など)の切断/切断、及び医師がレビュー可能な関連メトリクス(例えば、術中メトリクス、術後メトリクス、矯正値、脊椎メトリクスなど)を含むことができる。仮想モデルは、例えば、手術ステップの順序変更、追加、除去、及び/又は修正によって、医師が術中の手術ステップを計画するのに役立つ。術前データ902、術後データ904、及び/又は術中計画922は、医師の入力に基づいて更新することができる。
【0121】
医師は、承認ボタンを選択することにより、第1段階のメトリクス930をレビュー及び承認することができる。次いで、コンピュータシステムは、承認されたステップ950に基づいて可動性調整手術ステップ、器具、移植されるインプラントなどを設計することができる(例えば、承認された調整/結果のための矯正解剖学的構成を達成するために脊椎の椎骨の術中可動性を設計する)。医師が術中可動性を修正したい場合、医師は修正ボタンを選択することができる。その後、医師は調整のための1又は2以上のパラメータ又はメトリクスを入力することができる。医師入力の例は、例えば、
図6のブロック606及び614、
図7のブロック712、及び
図8のブロック814に関連して議論される。コンピュータシステムは、入力されたパラメータ、メトリクス、又は他の入力に従って脊椎モデルを更新することができる。
【0122】
第1段階の仮想モデルは、第1の標的組織(例えば、患者の右側の横靱帯間膜を切断する)を交互する器具955aに関連する術中可動性(例えば、可動域、自由度、予測される矯正値、予測される矯正値の位置等)を示す矢印(例えば、矢印952a、954a)を含む。矯正値は、最大伸延、前弯矯正、側弯矯正、及び/又は脊椎辷り症矯正のうちの少なくとも1つを含むことができる。矢印(例えば、矢印952b、954b)は、軟組織を交互に切断する器具955b(例えば、患者の左側の横靱帯間を切断する)に関連する術中可動性(例えば、可動域、自由度、予測矯正値、予測矯正値の位置等)を示す。ユーザは、矢印に基づいて、インプラントの調整能力を修正又は承認することができる。
【0123】
第2段階のメトリクス940は、器具960a、960bを使用して実行されるステップに関連する術中可動性を示す、異なるレベル(脊椎の下側として図示される)における手術ステップ960a、960bに関連する術中可動性を含むことができる。ユーザは、矢印、予測されたメトリクス等に基づいて、脊椎可動性の調整能力を修正又は承認することができる。融合処置の場合、システムは、アクセス経路、切断される組織(例えば、ALIFの前長手方向靱帯、TLIFの横靱帯等)を選択することにより、1又は2以上のタイプの脊椎融合処置(例えば、LIF、ALIF、PLIF、TLIF等)をシミュレートし、1又は2以上の仮想モデルを用いて処置を仮想的に実行することができる。シミュレーションは、三次元モデル、表面、及び/又は仮想表現を用いて生成することができる。シミュレーションは、例えば、CADソフトウェア、有限要素解析(FEA)ソフトウェア(例えば、移植されるインプラント、組織等の応力を解析する)等を用いて、患者データ、器具構成、インプラント設計データ等に基づいて生成することができる。ユーザは、モデルの表示、操作(例えば、回転、移動等)、修正、パラメータ設定(例えば、境界条件、特性等)、及び/又はモデルとの対話を行うことができる。
【0124】
医師は、異なる負荷条件に対する個々の標的術中構成及び/又は術後構成を承認/選択することができる。ステージ内の手術ステップ、ステージ数、生成されたメトリクス、仮想モデル、及びその他のデータは、外科処置、ユーザ入力等に基づいて選択することができる。可動性を調整するための計画は、1又は2以上の機械学習アルゴリズムを用いて生成することができる。機械学習アルゴリズムは、参照患者データセットに少なくとも部分的に基づくことができる。参照患者データセットは、参照患者の脊椎、参照患者の脊椎に対して行われた参照外科処置、調節可能な可動性、術中データ、及び/又は参照外科処置の結果に関するデータを含むことができる。機械学習アルゴリズムは、新しい又は更新された患者データを用いて更新(例えば、再トレーニング)され、外科処置計画の調整を決定することができる。計画、段階などを生成するために、他のトレーニング技術を使用することができる。幾つかの実施形態では、術前患者データ、術中患者データ、又はその両方を使用して計画を生成することができる。例えば、術中患者データを機械学習アルゴリズムに入力して、外科処置計画中の計画を生成することができる。
【0125】
図1~
図9に関して上述したシステム及び方法の何れかを、単一の患者に対して複数回実行することができ、単一の医療治療計画に対して複数回実行することも可能であることが理解されるであろう。例えば、システム及び方法が矯正脊椎外科処置に適用される実施形態において、上述したシステム及び方法は、患者の脊椎全体に加えて、レベルごとのスケール、2レベルごとのスケール、3レベルごとのスケール、領域ごとのスケール、又は何れかの他の適切なスケールで適用することができる。例えば、計画生成方法は、各々が椎骨ペアに固有である複数の外科処置計画を生成するために反復的に実行され、次いで、複数の外科処置計画に基づいて外科処置の完全な計画をコンパイルするために実行できる。このような実施形態において、椎骨ペア間の反復は、全体的な外科処置を改善する各椎骨ペアに特有の小さな追加ステップを特定するのに役立ち、一方、複数の計画をコンパイルする反復は、より大規模な追加ステップを特定するのに役立ち、及び/又は複数の計画間の効率を実現するのに役立つ。
【0126】
更に、
図1~
図9に関して上述したシステム及び方法の何れにおいても、医療処置後に患者データを定期的に収集することもできる。次いで、治療後の患者データは、外科処置によって実際に提供された解剖学的矯正及び/又は外科処置の成功の評価のような、医療処置の結果を定量化するのに使用することができる。例えば、治療後の患者データは、患者の解剖学的特徴の画像データ;解剖学的特徴を取り囲む軟組織特徴の評価;痛み、体感、可動性、及び/又は柔軟性に関する患者からの評価;及び/又は何れかの他の適切な点のデータを含むことができる。治療後の患者データは、その後、本明細書に開示されたシステム及び方法を用いた更なる医療処置のための参照症例として使用することができる。例えば、治療後の患者データは、新たな患者のための更なる機械学習モデル、AIモデル、ニューラルネットワーク等をトレーニングするのに使用することができる。従って、治療後の患者データを収集することにより、システムは、どの追加ステップが実際に結果の改善をもたらしたか、どの追加ステップが結果の改善を最ももたらしたか、どのステップが結果の改善をもたらさなかったか、どのような患者固有の特徴が結果の改善につながり得るか、及びこのようなものを特定することができる。従って、本明細書に開示されたシステム及び方法は、時間の経過とともに、医療の有効性を高めることが期待される。
【0127】
(実施例)
本発明の技術は、例えば、以下に記載される様々な態様に従って例示される。本発明の技術の態様の様々な実施例は、便宜上、番号付きの実施例(1、2、3等)として記載される。これらは例として提供されるものであり、本発明の技術を限定するものではない。従属の実施例の何れかは、何れかの適切な方法で組み合わせて、それぞれの独立の実施例にすることができることに留意されたい。他の実施例も同様の方法で提示することができる。
1.患者の外科矯正をモデル化するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の脊椎の1又は2以上の領域の画像データを含む患者データを取得するステップであって、上記画像データが、上記患者の脊椎の生来の解剖学的構成を描いている、ステップと、
矯正された解剖学的構成における上記患者の脊椎の仮想モデルを生成するステップと、
上記矯正された解剖学的構成を達成するために上記脊椎の椎骨の術中可動性を調整するための1又は2以上の軟組織手術ステップを特定するステップと、
上記矯正された解剖学的構成を達成するための外科処置計画を生成するステップであって、上記外科処置計画が、上記矯正された解剖学的構成への上記椎骨の移動を容易にする上記軟組織手術ステップの少なくとも1つを含む、ステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
2.ユーザによる観察のために上記仮想モデルを用いて術中可動性をシミュレートするステップと、
上記1又は2以上の軟組織手術ステップに起因する上記シミュレーションにおける術中可動性を特定するステップと、
を更に含む、実施例1に記載のコンピュータ実装方法。
3.上記軟組織手術ステップのうちの少なくとも1つのユーザ選択を受信するステップと、
上記選択された軟組織手術ステップに起因する術中可動性を表すように上記シミュレーションを更新するステップと、
を更に含む、実施例2に記載のコンピュータ実装方法。
4.上記外科処置計画のための手術ステップを生成するステップと、
医師による観察のために上記手術ステップを仮想的にシミュレートするステップと、
を更に含む、実施例1~3の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
5.実行される上記1又は2以上の軟組織手術ステップに基づいて術中の脊椎可動性を予測するステップと、
上記予測された術中の脊椎可動性に基づいて、1又は2以上の術中矯正値を決定するステップであって、上記術中矯正値は、最大伸延、脊椎前弯矯正、後弯矯正、側弯矯正、又は脊椎すべり症矯正のうちの少なくとも1つを含む、ステップと、
を更に含む、実施例1~4の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
6.実行される上記1又は2以上の軟組織手術ステップに基づいて術後の脊椎可動性を予測するステップを更に含む、実施例1~5の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
7.特定された上記1又は2以上の軟組織手術ステップに起因する上記脊椎の椎骨の調整された術中可動性の術中シミュレーションを生成するステップと、
上記術中シミュレーションの医師による観察を提供するステップと、
上記医師からの入力を受信するステップであって、上記入力が上記外科処置計画を生成する際のものである、ステップと、
を更に含む、実施例1~6の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
8.補助的な外科処置のための医師入力を受信するステップであって、上記1又は2以上の軟組織手術ステップが、上記医師入力を受信するステップに基づいて選択され、上記補助的な外科処置が、上記外科処置計画の一部である、ステップを更に含む、実施例1~7の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
9.上記患者の脊椎の関節可動性をシミュレートするステップと、
上記シミュレートされた関節可動性に基づいて、上記特定された軟組織手術ステップの1又は2以上を選択するステップと、
上記選択された1又は2以上の軟組織手術ステップに関連する術後の関節可動性を予測するステップと、実施例1~8の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
10.上記1又は2以上の軟組織手術ステップが、
上記患者の脊椎に沿って靱帯を切断するステップと、
椎間板の環状部の少なくとも一部を除去するステップと、
脊椎に沿って軟骨を切除するステップと、
を含む、実施例1~9の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
11.上記1又は2以上の軟組織手術ステップが、減圧処置を含む、実施例1~10の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
12.減圧処置に対する神経減圧スコアを予測するステップを更に含む、実施例11に記載のコンピュータ実装方法。
13.複数の減圧計画を生成するステップと、
上記各減圧計画について減圧スコアを決定するステップと、
上記減圧計画のうちの1つの減圧計画の選択を受信するステップと、
選択された上記減圧計画に基づいて減圧外科処置計画を生成するステップと、
を更に含む、実施例11及び12の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
14.上記術中可動性を調整するために除去する1又は2以上の骨組織を特定するステップを更に含み、上記減圧計画は、椎弓切除術、椎弓切開術、微小椎間板切除術、椎間孔拡大除術、及び骨棘処置のうちの少なくとも1つを含む、実施例13に記載のコンピュータ実装方法。
15.外科矯正をモデル化するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の脊椎の1又は2以上の領域の画像データを含む患者データを取得するステップであって、上記画像データが、上記患者の脊椎の生来の解剖学的構成を描いている、ステップと、
上記患者の脊椎の少なくとも1つの矯正された解剖学的構成を生成するステップと、
上記矯正された解剖学的構成に向けて上記患者の脊椎を調整するため一次脊椎処置に関する入力を受信するステップと、
補助脊椎処置のセットを特定するステップと、
上記補助脊椎処置のうちの1つの補助脊椎処置の選択を受信するステップと、
上記矯正された解剖学的構成における上記患者の脊椎に基づいて、選択された上記補助的脊椎処置の結果を予測するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
16.上記補助脊椎処置のセットが、椎弓切除術、椎弓切開術、微小椎間板切除術、椎間孔拡大術、及び骨棘処置を含む、実施例15に記載の方法。
17.上記補助脊椎処置のうちの選択された1つの補助脊椎処置を仮想的にシミュレートするステップを更に含む、実施例15及び16の何れかに記載の方法。
18.解剖学的構成に対する外科矯正をモデル化するためのコンピュータ実装方法であって、
患者データを取得するステップであって、上記患者データが、上記患者の脊椎の1又は2以上の領域の画像データを含み、上記画像データは、生来の解剖学的構成を描いている、ステップと、
上記生来の解剖学的構成に基づいて、上記患者の脊椎の仮想モデルを生成するステップと、
上記1又は2以上の領域の標的解剖学的構成を決定するステップであって、上記標的解剖学的構成が上記生来の解剖学的構成とは異なる、ステップと、
上記患者の脊椎の術中可動性を調整するために、上記患者の脊椎を取り囲む軟組織特徴に対する1又は2以上の術中外科的変更を特定するステップであって、上記軟組織特徴に対する上記1又は2以上の術中外科的変更が、上記患者の脊椎の仮想モデル及び上記標的解剖学的構成に少なくとも部分的に基づいて特定される、ステップと、
上記患者の脊椎を取り囲む上記軟組織特徴に対する上記1又は2以上の術中外科的変更及び上記患者データに少なくとも部分的に基づいて、結果として生じる解剖学的構成を予測するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
19.上記患者の脊椎を取り囲む軟組織特徴に対する1又は2以上の術中外科的変更を特定するステップが、
複数の参照患者データセットに少なくとも部分的に基づいて、機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップであって、上記複数の参照患者データセットの各々が、参照患者の脊椎に関するデータ、上記参照患者の脊椎に対して行われた参照術中外科的変更、及び結果として生じる参照解剖学的構成を有する、ステップと、
上記機械学習アルゴリズムを上記患者の脊椎の仮想モデル及び上記標的解剖学的構成に適用するステップと、
を含む、実施例18に記載のコンピュータ実装方法。
20.上記結果として生じる解剖学的構成を予測するステップが、
複数の参照患者データセット及び上記1又は2以上の術中外科的変更に少なくとも部分的に基づいて、機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップであって、上記複数の参照患者データセットの各々が、参照患者の脊椎に関するデータ、上記参照患者の脊椎に対して行われた参照術中外科的変更、及び結果として生じる参照解剖学的構成を有する、ステップと、
上記機械学習アルゴリズムを上記患者の脊椎の仮想モデル及び上記1又は2以上の術中外科的変更に適用するステップと、
を更に含む、実施例18及び19の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
21.外科医から、上記1又は2以上の術中外科的変更に対する調整を含む1又は2以上の入力を受信するステップと、
上記外科医からの上記入力に基づいて、上記結果として生じる解剖学的構成の予測を更新するステップと、
を更に含む、実施例18~20の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
22.上記1又は2以上の術中外科的変更を実行するための命令を生成するステップを更に含む、実施例18~21の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
23.上記結果として生じる解剖学的構成を予測するステップが、上記1又は2以上の術中外科的変更の完了に対する障害を特定するステップを含む、実施例18~24の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
24.上記結果として生じる解剖学的構成を予測するステップが、上記軟組織特徴に対する1又は2以上の術中外科的変更に関連するリスクを特定するステップを含む、実施例18~23の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
25.整形外科矯正をモデル化するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の脊椎の仮想モデルを生成するステップであって、上記仮想モデルが、上記患者の脊椎の少なくとも一部の解剖学的構成及び上記患者の脊椎の一部を取り囲む1又は2以上の軟組織特徴を表す、ステップと、
上記患者の脊椎の一部の所望の解剖学的構成を決定するステップと、
上記所望の解剖学的構成に少なくとも部分的に基づく外科処置計画の指示を受信するステップと、
上記患者の脊椎の仮想モデル及び上記外科処置計画を複数の参照症例と比較するステップと、
上記患者の脊椎の仮想モデル及び上記外科処置計画と、上記複数の参照症例のサブセットとの間の類似性に少なくとも部分的に基づいて、上記複数の参照症例のサブセットを選択するステップと、
上記複数の参照症例のサブセットに少なくとも部分的に基づいて、上記外科処置計画の結果を予測するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
26.上記外科処置計画に対する1又は2以上の変更を特定するステップであって、上記1又は2以上の変更の各々は、上記患者の脊椎の一部の術中可動性を調整するために上記患者の脊椎の一部を操作する1又は2以上のステップを含む、ステップを更に含み、
上記外科処置計画の結果を予測するステップが、更に、上記外科処置計画に対する上記1又は2以上の変更に少なくとも部分的に基づく、実施例25に記載のコンピュータ実装方法。
27.上記外科処置計画に対する上記1又は2以上の変更を生成するステップが、
上記複数の参照症例のサブセットに少なくとも部分的に基づいて機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップと、
上記機械学習アルゴリズムを上記患者の脊椎の仮想モデル及び上記外科処置計画に適用するステップと、
を含む、実施例26に記載のコンピュータ実装方法。
28.上記外科処置計画に対する上記1又は2以上の変更が、患者固有の障害に対処し、上記患者固有の障害が、上記患者の脊椎の椎体の患者固有の特徴、上記患者の脊椎を取り囲む患者固有の軟組織特徴、骨密度の患者固有の異常、上記複数の参照症例のサブセットにおける骨の回復傾向、及び上記複数の参照症例のサブセットにおける軟組織の回復傾向のうちの1又は2以上を含む、実施例26及び27の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
29.上記外科処置計画に対する上記1又は2以上の変更を生成するステップが、上記患者の脊椎の術中可動性を予測するステップを含み、上記患者固有の障害が、上記患者の脊椎の術中可動性に影響を及ぼす患者固有の特徴を含む、実施例28に記載のコンピュータ実装方法。
30.上記外科処置計画に対する上記1又は2以上の変更を生成するステップが、脊柱靱帯を切断する候補位置を特定するステップを含む、実施例26~29の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
31.上記外科処置計画の結果を予測するステップが、
上記複数の参照症例のサブセットに少なくとも部分的に基づいて機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップと、
上記機械学習アルゴリズムを上記患者の脊椎の仮想モデルと上記外科処置計画に対する上記1又は2以上の変更とに適用するステップと、
を含む、実施例26~30の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
32.上記外科処置計画の結果を予測するステップが、上記患者の脊椎の術後の可動性を予測するステップを含む、実施例25~31の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
33.上記患者及び外科医に特有の外科手技データを取得するステップであって、上記外科手技データは、上記外科医に好ましい手術手技、上記患者に好ましい手術手技、及び上記外科医に特有の結果の記録のうちの1又は2以上を示す、ステップを更に含み、上記外科処置計画の結果を予測するステップは、更に、上記外科手技データに基づいている、実施例25~32の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
34.外科処置を術中に調整するためのコンピュータ実装方法であって、
患者データ及び外科処置計画を取得するステップであって、上記患者データが、患者の脊椎の少なくとも一部の仮想モデル及び上記患者の脊椎の一部を取り囲む1又は2以上の軟組織特徴を含む、ステップと、
外科医から、上記患者データに対する1又は2以上の更新を受信するステップであって、上記更新が、上記患者の脊椎の一部及び/又は上記患者の脊椎の一部を取り囲む上記1又は2以上の軟組織特徴に関する術中データを含む、ステップと、
更新された上記患者データに少なくとも部分的に基づいて、上記外科処置計画の調整のための1又は2以上の選択肢を生成するステップと、
上記外科処置計画に対する1又は2以上の選択肢の調整の各々について、上記外科処置計画の調整及び上記更新された患者データに基づいて、上記外科処置の結果を予測するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
35.上記外科処置計画に対する調整のための上記1又は2以上の選択肢を生成するステップが、
複数の参照患者データセットに少なくとも部分的に基づいて機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップであって、上記複数の参照患者データセットの各々は、参照患者の脊椎、上記参照患者の脊椎に対して実行された参照外科処置、及び上記参照外科処置の結果に関するデータを有する、ステップと、
上記機械学習アルゴリズムを上記更新された患者データに適用し、上記外科処置計画に対する上記1又は2以上の調整を決定するステップと、
を含む、実施例34に記載のコンピュータ実装方法。
36.上記外科処置計画に対する調整のための上記1又は2以上の選択肢の各々について上記外科処置の結果を予測するステップが、
上記複数の参照患者データセットに少なくとも部分的に基づいて機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップであって、複数の参照患者データセットの各々は、参照患者の脊椎、上記参照患者の脊椎に対して実行された参照外科処置、及び参照外科処置の結果に関するデータを有する、ステップと、
上記機械学習アルゴリズムを、上記外科処置計画に対する調整のための1又は2以上の選択肢及び上記更新された患者データの各々に適用するステップと、
を含む、実施例34及び35の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
【0128】
当業者であれば、デバイス及び/又はプロセスを本明細書に規定する方法で記述し、その後、工学的手法を使用して、このような記述されたデバイス及び/又はプロセスをデータ処理システムに統合することが、当技術分野において一般的であることを認識するであろう。すなわち、本明細書に記載されたデバイス及び/又はプロセスの少なくとも一部は、合理的な量の実験を介してデータ処理システムに統合することができる。当業者であれば、典型的なデータ処理システムは、一般に、システムユニットハウジング、ビデオディスプレイデバイス、揮発性メモリ及び不揮発性メモリ等のメモリ、マイクロプロセッサ及びデジタルシグナルプロセッサ等のプロセッサ、オペレーティングシステム、ドライバ、グラフィカルユーザ界接、及びアプリケーションプログラム等の計算エンティティ、タッチパッド又はスクリーン等の1又は2以上の相互作用デバイス、及び/又はフィードバックループ及び制御モータ(例えば、位置及び/又は速度を感知するためのフィードバック;構成要素及び/又は量を移動及び/又は調整するための制御モータ)を含む制御システムのうちの1又は2以上を含むことを認識するであろう。典型的なデータ処理システムは、データコンピューティング/通信及び/又はネットワークコンピューティング/通信システムに典型的に見られるような、何れかの適切な市販の構成要素を利用して実装することができる。
【0129】
本明細書で説明する主題は、場合によっては、異なる他の構成要素内に含まれる、又は異なる他の構成要素と接続される、異なる構成要素を示す。このような描かれたアーキテクチャは単なる例であり、実際には、同じ機能を実現する他の多くのアーキテクチャを実装することができることを理解されたい。概念的な意味では、同じ機能を実現するための構成要素の配置は、所望の機能が実現されるように、実質的に「関連」している。従って、本明細書において、特定の機能を実現するために組み合わされる何れかの2つの構成要素は、アーキテクチャ又は中間構成要素に関係なく、所望の機能が実現されるように互いに「関連付けられる」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けされた何れかの2つの構成要素は、所望の機能性を達成するように互いに「作動可能に接続」又は「作動可能に結合」されていると見なすこともでき、及びそのように関連付けることが可能な何れかの2つの構成要素は、所望の機能性を達成するように互いに「作動可能に結合可能」であると見なすこともできる。動作可能に結合可能の具体例としては、物理的に嵌合可能及び/又は物理的に相互作用可能な構成要素、並びに/又は無線で相互作用可能及び/又は無線で相互作用可能な構成要素、並びに/又は論理的に相互作用可能及び/又は論理的に相互作用可能な構成要素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
本明細書に記載される実施形態、実施例、特徴、システム、デバイス、材料、方法及び技術は、幾つかの実施形態において、以下に記載される実施形態、実施例、特徴、システム、デバイス、材料、方法及び技術の何れか1又は2以上と同様とすることができる:
【0131】
2017年7月27日に出願された米国特許出願第16/048,167号、発明の名称「外科手術を支援及び増強するためのシステム及び方法」;
【0132】
2019年1月8日に出願された米国特許出願第16/242,877号、発明の名称「脊髄手術の間スクリュー配置を用いて外科医を支援するシステム及び方法」;
【0133】
2018年12月1日に出願された米国特許出願第16/207,116号、発明の名称「マルチ平面整形外科アライメントのためのシステム及び方法」;
【0134】
2019年3月13日に出願された米国特許出願第16/352,699号、発明の名称「整形外科インプラント固定のためのシステム及び方法」;
【0135】
2019年4月12日に出願された米国特許出願第16/383,215号、発明の名称「整形外科インプラント固定のためのシステム及び方法」;
【0136】
2019年9月12日に出願された米国特許出願第16/569,494号、発明の名称「整形外科インプラントのためのシステム及び方法」;
【0137】
2018年11月29日に出願された米国特許出願第62/773,127号、発明の名称「整形外科インプラントのためのシステム及び方法」;
【0138】
2019年10月31日に出願された米国特許出願第62/928,909号、発明の名称「組織特性に基づいて整形外科インプラントを設計するためのシステム及び方法」;
【0139】
2020年1月6日に出願された米国特許出願第16/735,222号、発明の名称「患者固有の医療手術及びデバイス、並びに関連のシステム及び方法」;
【0140】
2020年8月6日に出願された米国特許出願第16/987,113号、発明の名称「患者固有の人工椎間板及びに関連のシステム及び方法」;
【0141】
2020年8月11日に出願された米国特許出願第16/990,810号、発明の名称「患者固有データとの患者固有医療デバイスのリンク付け、並びに関連のシステム及び方法」;
【0142】
2020年10月30日に出願された米国特許出願第17/085,564号、発明の名称「組織特性に基づいて整形外科インプラントを設計するためのシステム及び方法」;
【0143】
2020年11月20日に出願された米国特許出願第17/100、396号、発明の名称「位置決め特徴部を有する患者固有の椎骨インプラント」;及び
【0144】
2021年7月20日に出願された米国仮特許出願第63/223,827号、発明の名称「術中の患者の可動性を予測し、可動性に関連する手術ステップを特定するためのシステム」。
【0145】
上記で特定された特許及び出願の全ては、引用によりその全体が組み込まれる。加えて、本明細書に記載される実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、及び技術は、特定の実施形態において、実施形態、特徴、システム、デバイス、又は他の事項の何れか1又は2以上に適用され、又はこれらと関連して使用することができる。
【0146】
(結論)
以上から、本発明の技術の特定の実施形態は、例示の目的で本明細書に記載されているが、周知の構造及び機能は、本発明の技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、詳細には示されておらず、又は記載されていないことは理解されるであろう。引用により本明細書に組み込まれる何れかの内容が本開示と矛盾する範囲においては、本開示が管理する。文脈上許容される場合、単数又は複数の用語はまた、それぞれ複数又は単数の用語を含むことができる。更に、「又は」という語が、2つ以上の項目のリストに関して、他の項目から排他的な単一の項目のみを意味するように明示的に限定されていない限り、このようなリストにおける「又は」の使用は、(a)リスト中の何れかの単一の項目、(b)リスト中の全ての項目、又は(c)リスト中の項目の何れかの組み合わせを含むと解釈すべきである。更に、本明細書において使用される場合、「A及び/又はB」のような表現「及び/又は」は、A単独、B単独、及びA及びBの両方を指す。更に、「備える」、「含む」、「有する」、及び「有する」という用語は、同じ特徴及び/又は他の特徴の付加的な種類の何れかの数が排除されないように、少なくとも言及された特徴を含むことを意味するために全体を通して使用される。
【0147】
上述のことから、本開示又は本発明の技術から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることも理解されるであろう。例えば、当業者であれば、本発明の技術の様々な構成要素を更に部分構成要素に分割することができること、又は本発明の技術の様々な構成要素及び機能を組み合わせ及び統合できることは、理解されるであろう。加えて、特定の実施形態の文脈で説明した技術の特定の態様はまた、他の実施形態では組み合わせること又は排除することができる。更に、本発明の技術の特定の実施形態に関連する利点について、これらの実施形態の文脈で説明してきたが、他の実施形態もこのような利点を示すことができ、全ての実施形態が本発明の技術の範囲にあるために必ずしもこのような利点を示す必要はない。従って、本開示及び関連の技術は、本明細書に明示的に示されない又は記載されない他の実施形態を包含することができる。
【国際調査報告】