(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】光導体及び光導体を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
F21V 8/00 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
F21V8/00 340
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503991
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2022067216
(87)【国際公開番号】W WO2023006309
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】102021003866.5
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】ヤン テオ ゲルト・ジーメン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ラーレス
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン フランク ループレヒト・ゲップナー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ミューライゼン
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA31
3K244CA03
3K244DA00
3K244EA08
3K244EA12
3K244EC17
3K244LA02
(57)【要約】
本発明は、光導体(1)を製造するための方法に関し、光導体(1)の未加工品(3)は、付加製造によって形成され、未加工品(3)は、そのあと、少なくとも1つの機械加工ツール(W)を用いて後処理される。本発明によれば、未加工品(3)は、光分離位置(2)として規定されていない少なくとも1つの領域においてのみ後処理される。更に本発明は、光導体(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導体(1)を製造するための方法であって、前記光導体(1)の未加工品(3)は、付加製造によって形成され、前記未加工品(3)は、そのあと、少なくとも1つの機械加工ツール(W)を用いて後処理されるものであり、前記未加工品(3)は、光分離位置(2)として規定されていない少なくとも1つの領域においてのみ後処理され、前記付加製造によって、前記未加工品(3)の少なくとも1つの所定の部分に凹部(4)が形成されるものであり、前記未加工品(3)の後処理のために前記少なくとも1つの機械加工ツール(W)が使用され、前記凹部(4)内における前記未加工品(3)の少なくとも1つの表面部分に、前記未加工品(3)の後処理のために使用される前記少なくとも1つの機械加工ツール(W)が到達できないように、前記少なくとも1つの機械加工ツール(W)が構成される、前記方法。
【請求項2】
前記未加工品(3)の付加製造によって、前記凹部(4)の開口部の長さ、及び/又は幅、及び/又は直径、及び/又は内径が前記未加工品(3)の後処理のために使用される前記少なくとも1つの機械加工ツール(W)の長さ、及び/又は幅、及び/又は直径、及び/又は面積よりも小さくなるように、及び/又は少なくとも1つの前記凹部(4)の深さが前記未加工品(3)の後処理のために使用される前記少なくとも1つの機械加工ツール(W)の高さよりも大きくなるように、前記未加工品(3)の前記少なくとも1つの所定の部分に前記凹部(4)が形成され、及び前記未加工品(3)の後処理のために使用される前記少なくとも1つの機械加工ツール(W)が構成されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記未加工品(3)の付加製造によって、一定の寸法を有する前記凹部(4)、又は前記凹部の経路にわたり少なくとも1つの寸法が変化する前記凹部(4)が形成されることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記未加工品(3)は、研磨及び/又はポリッシングによって後処理されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記研磨及び/又は前記ポリッシングによって後処理された少なくとも1つの領域と、前記付加製造によってのみ形成された表面を有し、前記表面が前記付加製造によって形成された前記凹部(4)内に位置する、少なくとも1つの規定された光分離位置(2)とを有する、請求項4記載の方法を用いて製造された光導体(1)。
【請求項6】
前記凹部(4)は、一定の寸法又は前記凹部の経路にわたり変化する少なくとも1つの寸法を有することを特徴とする、請求項5記載の光導体(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導体を製造するための方法及び光導体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、従来技術からは、少なくとも1つの出発材料から、3次元の物体を付加製造(Additive Manufacturing)するための装置及び方法が公知である。この装置は、物体の3Dデータに基づいて、出発材料の堆積すべき層の印刷経路を計算するように設計されている制御装置を有する。装置は更に、複数の自由度で可動であって、またエンドエフェクタと、そのエンドエフェクタに取り付けられた押出機又は印刷ヘッドとを備えるアクチュエータ装置を有する。アクチュエータ装置及び押出機又は印刷ヘッドは、計算された印刷経路に依存する制御装置の設定に応じて、出発材料を押出機又は印刷ヘッドから層状に堆積させるために、制御装置と通信を行うように接続されている。アクチュエータ装置は、少なくとも4の自由度で可動であり、この場合、制御装置は、物体の構成部材特性を設定するために、シミュレーションモデルに基づいて、堆積すべき層の経路距離、配向及び/又は経路を考慮して、印刷経路を計算する。
【0003】
特許文献2には、照明される可視面を備えた、自動車用の装備部品が記載されている。装備部品は、支持体と、複合フィルムと、光源とを備える。複合フィルムは、支持体上に配置されており、装備部品の可視面を形成する。複合フィルムは、光導体層と、散乱層と、2つのラッカ層とを有しているので、光源によって生成された光ビームを複合フィルムに結合させることができ、また複合フィルムを用いて、装備部品の可視面が面状に照らされる。
【0004】
特許文献3からは、光学素子及びこの光学素子を使用する照明システムが公知である。この光学素子は、前面と、背面と、周囲縁部とを有する光導体、並びに光導体の前面に直接的に配置されている光散乱性の3D構造を含む。光散乱性の3D構造は、光導体の前面を部分的に覆うように配置されている。光散乱性の3D構造は、この3D構造と相互作用する光を散乱させ、散乱した光の少なくとも一部が光導体の背面において、光導体から出射するように配置されている。
【0005】
特許文献4には、照明装置が記載されている。照明装置は、3Dプリンティングを用いて製造された光導体と、照明手段とを含む。光導体は、光の反射、吸収及び/又は散乱によって、入射した光に影響を及ぼすことができる複数の区間を有する。装置は、照明手段を収容するための開口部を有する。照明手段は、光導体の縁部と係合するように適合されている別個のハウジング内に設けられている。照明手段は、1つ以上のLEDを含む。光導体は、反射性又は散乱性のベース層を含む。
特許文献5からは、少なくとも1つの光源を含む超薄型の照明素子が公知である。光導体素子は、少なくとも1つの表面の少なくとも一部に複数の離散的な微細光学表面レリーフ構造を含む光導体層を含む。各表面レリーフ構造は、高さが約10マイクロメートル以下のオーダ及び各横方向寸法が約10マイクロメートル以下のオーダの基礎構造的特徴を含む。各表面レリーフ構造の数、配置及びサイズ、並びに表面レリーフ構造の構造的特徴の高さ及び横方向寸法は、光導体素子に結合される光の、所望の度合の分離変調を提供するために変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE102019111620A1
【特許文献2】DE102014112470A1
【特許文献3】WO2017/029281A1
【特許文献4】GB2580883A
【特許文献5】US2008/0266863A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が基礎とする課題は、従来技術に対して改善された、光導体を製造するための方法、及び従来技術に対して改善された光導体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を備えた光導体を製造するための方法、及び請求項5の特徴を備えた光導体によって解決される。
【0009】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0010】
特に車両用、特に車両構成部材用の光導体を製造するための本発明による方法では、光導体の未加工品が付加製造によって形成され、そのあと、未加工品が少なくとも1つの機械加工ツールを用いて後処理される。この種の後処理は、マシニング後処理又は切削加工後処理又は材料除去後処理又は機械的後処理とも称される。
【0011】
本発明によれば、未加工品は、光分離位置として規定されていない少なくとも1つの領域においてのみ後処理される。この領域は、特に未加工品の表面全体にわたり延在し、特に少なくとも1つの光分離位置又は各光分離位置の表面を除いた、未加工品の周面全体、即ち外面にわたり延在する。即ち、未加工品は、光分離位置が規定されていない箇所では後処理され、また1つの光分離位置又は各光分離位置が規定されている箇所では、未加工品は後処理されない。
【0012】
特に車両用、特に車両構成部材用の本発明による光導体は、この方法を用いて製造される。光導体は、本発明によれば、少なくとも1つの後処理された領域と、規定された少なくとも1つの光分離位置とを有し、この光分離位置は、付加製造によってのみ形成された表面を有する。後処理された領域は、特に光導体の表面全体にわたり延在し、特に少なくとも1つの光分離位置又は各光分離位置の表面を除いた、光導体の周面全体、即ち外面にわたり延在する。
【0013】
従って、本発明による解決手段は、特に、後処理を制限することによって、その種の付加製造された光導体の表面において局所的な粗度の違いを生じさせることができる。以下において更に記述するように、この制限は、特に、付加製造によって形成される未加工品の1つ以上の所定の幾何学的形状を介して行われる。
【0014】
光導体に結合された光をその光導体内において誘導するための、本発明による解決手段を用いて製造された光導体の機能は、全反射の原理に基づいている。この原理を満たすためには、光導体に十分に平滑な表面が存在している必要があるが、そのような表面は付加製造によって達成することができない。従って、付加製造によって製造された未加工品は、そのあと、記述の方式で後処理され、それによって、全反射が生じるように未加工品の表面が平滑化される。
【0015】
光導体の未加工品は、光導体に結合した光がここでは拡散的に散乱し、その結果、光導体内には留まらないように、付加製造の直後では粗い表面を有している。これに対して、十分に平滑化された後処理された表面では、拡散性の散乱は行われないか、又は極めて僅かにしか行われずに、光は鏡面反射される。何故ならば、十分に平滑な表面によって、全反射についての条件、即ち全反射の臨界角を維持することができるからである。従って、これに応じて、光導体の記述の方式で後処理された領域は、平滑な表面を有し、光は分離されず、その一方で、光導体の後処理されていない少なくとも1つの光分離位置又は各光分離位置は、付加製造によって形成された粗面を含み、この粗面において、光導体に結合された光が、拡散性の散乱によって光導体から分離される。
【0016】
従って、本発明による解決手段は、特に簡単な方式で、付加製造による光導体の製造を実現する。このツールを用いない製造によって、光導体の従来の射出成形による製造と、その際に使用される複雑な射出成形ツールに伴う非常に高いコストが削減される。従って、本発明による解決手段は、コスト的に非常に有効であり、これによって、少量の連続生産又は単一部品製造も経済的に有意義な方式で行うことができる。
【0017】
本発明による解決手段は、更に、生産個数に依存しない製造コストによって、カスタマイズ化の高い可能性を提供する。
【0018】
本発明による解決手段によって、射出成形では実現できないか、又は非常に大きな労力を伴うことでしか実現できない複雑な幾何学形状、例えばバイオニクス構造、アンダーカット及び他の複雑な幾何学形状を有する光導体を非常に簡単な方式で製造することができる。
【0019】
本発明による解決手段、特にその際に使用される付加製造は、更に、例えば光導体を構成部材、例えば装飾部品に統合することによって、特に光導体の未加工品が構成部材上に、又は構成部材と共に付加製造によって形成されることによって、マルチマテリアル構造による機能統合の増大も可能にする。これによって、例えば、光導体を備えた構成部材に必要とされる取付けスペースの低減が実現される。更にはこれによって、付加的な設計自由度が実現され、これによって例えば、特に車両の室内光に関して、更なる光技術革新が実現される。
【0020】
付加製造の多材料機能によって、例えば、所定のカラーグラデーションを実現するために、構造内に着色された構成部品を含む光導体も実現することができる。
【0021】
光を分離させるために、記述の解決手段では、少なくとも1つの光分離位置又は各光分離位置には、製造にコストが掛かる、形状公差が小さい幾何学的な構造、特にプリズムの形態の構造は必要とされないので、それによって、相応の労力と、その結果生じるコストとが節約される。
【0022】
後処理のために、本発明による解決手段では、エッジの丸み付けが行われる後処理方法を使用することができる。その種のエッジの丸み付けは、本発明による解決手段では問題とならないが、これとは対照的に、従来技術では製造にコストが掛かる、形状公差が小さい幾何学的な構造では、その種の後処理法によって損傷が生じるおそれがある。
【0023】
光分離のために従来技術において形成されるプリズムとは異なり、本発明による解決手段によって、均一な光分布が実現される。何故ならば、この光分離は、付加製造によって形成された光導体の後処理されていない表面の細かな粗さを介して、少なくとも1つの光分離位置又は各光分離位置において行われるからである。これによって、光の散乱がより微小になり、またきめ細かく分散される。
【0024】
本発明によれば、未加工品の付加製造によって、光導体の少なくとも1つの光分離位置が規定されている未加工品の少なくとも1つの所定の部分、又は光導体1の各光分離位置が規定されている未加工品の各部分には、凹部が形成され、未加工品の後処理のために少なくとも1つの機械加工ツールが使用され、凹部内における未加工品の少なくとも1つの表面部分には、未加工品の後処理のために使用される機械加工ツールが到達できないように、少なくとも1つの機械加工ツールが構成される。例えば、未加工品の付加製造によって、光導体の少なくとも1つの光分離位置が規定されている未加工品の少なくとも1つの所定の部分、又は光導体の各光分離位置が規定されている未加工品の各所定の部分には、凹部が形成されており、また未加工品の後処理には、例えば少なくとも1つの機械加工ツールが使用され、このとき、少なくとも1つの凹部の開口部は、未加工品の後処理のために使用される少なくとも1つの機械加工ツールのサイズよりも小さくなるように、特に凹部の開口部の長さ、及び/又は幅、及び/又は直径、及び/又は内径が未加工品の後処理のために使用される少なくとも1つの機械加工ツールの長さ、及び/又は幅、及び/又は直径、及び/又は面積よりも小さくなるように、及び/又は少なくとも1つの凹部の深さが未加工品の後処理のために使用される少なくとも1つの機械加工ツールの高さよりも大きくなるように、凹部が形成され、及び少なくとも1つの機械加工ツールが構成される。
【0025】
従って本発明によれば、付加製造によってのみ形成された、光導体の規定された少なくとも1つの光分離位置又は規定された各光分離位置の表面は、付加製造によって形成された凹部内に存在する。
【0026】
従って、記述の解決手段は、非常に簡単な方式で、光分離位置として規定さていない領域においてのみ未加工品を後処理することを実現する。何故ならば、凹部及び後処理のために使用されるツールの構成によって、光分離位置として規定されている少なくとも1つの領域又は各領域における未加工品の表面が、使用されるツールによって後処理できないことが保証されているからである。従って、未加工品の表面が、規定された少なくとも1つの分離位置又は各分離位置においては後処理されないことを保証するために、後処理に関して付加的な予防措置を講じる必要はない。従って、記述の解決手段は、特に、凹部の形態の未加工品の1つ以上の所定の幾何学的な欠落部を介して達成される後処理の制限によって、付加製造された光導体の表面における局所的な粗度の違いを生じさせることができる。
【0027】
本方法の1つの考えられる実施形態では、未加工品が、研磨、特に摩擦研磨、及び/又はポリッシングによって後処理される。従って、後処理のために使用される少なくとも1つの機械加工ツールは、少なくとも1つの研磨ボディ及び/又はポリッシングボディとして形成されているか、又は少なくとも1つのその種の研削ボディ及び/又はポリッシングボディを含む。
【0028】
従って、本発明による光導体においては、少なくとも1つの後処理された領域が、研磨及び/又はポリッシングによって後処理される。
【0029】
この種の後処理法、例えば摩擦研磨では、ツール、特に研磨ボディ及び/又はポリッシングボディと、被加工物、ここでは光導体の未加工品との間の相対運動によって平滑化が達成される。ここで記述する方法では、上述の方式で、未加工品の被加工物幾何学形状の表面の領域のみが平滑化され、ツール、特に研磨ボディ及び/又はポリッシングボディは、その領域を相応にスライドして、その領域を通過して平滑化を行うことができ、即ちその領域に沿って平滑化を行うことができる。このことは、上述の方式では、少なくとも1つの光分離位置又は各光分離位置においては実現できないので、従って、光導体の未加工品の表面は、そこでは後処理されない。
【0030】
従って、上述の実施形態では、技術的な解決手段の本質は以下の点にある。つまり、光導体の未加工品の表面における少なくとも1つの所定の位置、即ち規定された少なくとも1つの光分離位置又は複数のその種の位置では、後処理のために使用される少なくとも1つのツール、例えば研磨ボディ及び/又はポリッシングボディが未加工品の後処理の間に作用し得ない、及び/又は少なくとも限定的にしか作用できないような幾何学形状を、光導体の付加製造された未加工品が有しており、従って、そのような幾何学形状と、その上に規定された、付加製造によって形成された表面の粗さの局所的な変動とによって、光導体に沿った光分離を所期の方法で調整することができる。
【0031】
少なくとも1つの凹部又は各凹部は、例えば、ブラインドホール、溝、間隙又は他の凹部として形成することができる。既に言及したように、凹部は、未加工品の付加製造によって形成される。少なくとも1つの凹部又は各凹部の開口部は、有利には、後処理のために使用される少なくとも1つのツール、特に研磨ボディ及び/又はポリッシングボディよりも小さい。従って、光分離位置として規定されている各位置における未加工品の表面は後処理されず、その一方で、有利には、未加工品の残りの表面は後処理され、特に平滑に研磨される、及び/又はポリッシングされる。表面の粗い部分は、その後、分離構造として用いられ、従って光導体の光分離位置を形成し、また光導体の残りの表面では全反射が行われる。
【0032】
未加工品の付加製造によって、例えば一定の寸法を有する凹部又は各凹部が形成されるか、凹部の経路にわたり少なくとも1つの寸法が変化する凹部又は各凹部、例えば可変の深さ及び/又は幅を有する、及び/又は可変の直径を有する、及び/又は可変の内径を有する、凹部又は各凹部が形成される。この場合、凹部の経路は、未加工品、ひいては光導体の長手方向及び/又は幅方向及び/又は深さ方向及び/又は周方向に配向されていてもよい。
【0033】
光導体においては、凹部又は各凹部が、相応に、例えば一定の寸法を有するか、又は凹部の経路にわたり変化する少なくとも1つの寸法を有する。
【0034】
各凹部の構造及び各光分離位置の構造を形成するために、多くのヴァリエーションが実現され、単純な直線状の凹部以外にも多くの別の幾何学形状が考えられる。
【0035】
光分離位置又は複数の光分離位置のそのように形成された分離構造は、特に、更なる労力を要せずとも、段階的に形成することができる。このようにして、例えば体積散乱等によって分離構造が無くとも既に存在する光導体の不所望で不均一な放射を、その不均一な放射とは逆のグラジエントを介して均一化することができる。均一化の代わりに、又は均一化に加えて、所定の輝度の経路を達成するために、例えば装飾部品として形成されており、且つ光導体を含む構成部材の所定の領域を演出するために、漸次的な分離構造も利用することができる。光分離位置又は複数の光分離位置の漸次的な形成は、特に、凹部又は複数の凹部を相応に形成することによって達成され、特に上述の方式で、凹部の経路にわたり変化する少なくとも1つの寸法によって、又は凹部の経路にわたり変化する凹部の複数の寸法若しくは全ての寸法によって、及び/又は相互に異なる寸法を有する複数の凹部によって達成される。
【0036】
特に、付加製造によって、少なくとも1つの光分離位置又は各光分離位置における未加工品の表面、即ち後処理されておらず、それによって付加製造によって形成されたままの粗さに起因して光が分離される領域における未加工品の表面を、所定の方式で配向させることもでき、即ち所定の方式で、特に光導体の周囲表面、特に後処理された表面とは異なる方式で位置合わせすることも実現される。これによって、特に、拡散性の光分離の他に鏡面的な部分も存在するような粗さが存在する場合、分離される光の方向も調整することができる。
【0037】
付加製造は、3Dプリンティングとも称される。光導体の未加工品の付加製造は、例えば、フォトポリマジェッティング、立体リソグラフィ、又は光投影法、特にDLP(デジタル・ライト・プロセッシング)によって行われる。光投影法、特にDLPを用いて、有利には、未加工品の形成に用いられる材料に対して所期の方法で照射が行われ、それによって材料は所期の方法で硬化される。
【0038】
光導体は、例えば、その製造中に既に他の構成部材、特に車両構成部材に埋め込むことができる。つまり、光導体の未加工品は、付加製造によって、別の構成部材、特に車両構成部材上に既に形成される。代替的に、例えば、上述の方式で既に完成された光導体を、先ず、他の構成部材、特に車両構成部材に埋め込むことができる、即ち、その上及び/又はその内部に配置することができる。
【0039】
従って、構成部材、特に車両構成部材は、少なくとも1つのその種の光導体を有することができる。少なくとも1つの光導体は、この構成部材、特に車両構成部材上に、又はこの構成部材、特に車両構成部材内に配置されており、特に埋め込まれている。
【0040】
以下では、本発明の実施例を、図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】光導体の未加工品の長手方向断面図を概略的に示す。
【
図2】
図1に示した未加工品を平面図で概略的に示す。
【
図3】
図1及び
図2による、長手方向断面図で示した未加工品の後処理を概略的に示す。
【
図4】
図3に示した後処理を平面図で概略的に示す。
【
図5】光を誘導している間の、製造された光導体の長手方向断面図を概略的に示す。
【
図6】光を誘導している間の、製造された光導体を平面図で概略的に示す。
【
図7】光導体の別の実施形態の長手方向断面図を概略的に示す。
【
図8】
図7に示した光導体を平面図で概略的に示す。
【
図9】光導体の別の実施形態の長手方向断面図を概略的に示す。
【
図10】
図9に示した光導体を平面図で概略的に示す。
【
図11】光導体の別の実施形態の長手方向断面図を概略的に示す。
【
図13】光導体の別の実施形態の長手方向断面図を概略的に示す。
【
図15】光導体の別の実施形態の長手方向断面図を概略的に示す。
【
図17】光導体の別の実施形態の長手方向断面図を概略的に示す。
【
図19】光導体の別の実施形態の長手方向断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
いずれの図においても、相互に対応する部分には、同一の参照符号を付している。
【0043】
以下では、
図1から
図20に基づいて、光導体1を製造するための方法を説明し、特に
図5から
図20において、この方法を用いて製造される導光体1の実施形態を説明する。光導体1は、特に、光を案内するための透明又は少なくとも半透明の構成部材である。
【0044】
光導体1は、
図5に示されているように、全反射の原理に従って機能し、また光導体1に結合される光Lを所定の幾何学形状に沿って案内することができる。この幾何学形状は、例えば、光導体1が配置されている、ここでは図示していない構成部材によって設定されている。しかしながら、光を案内する以外にも、同様に
図5に示されているように、多くの場合は構成部材の規定の位置において、周囲の構造への所期の光分離が行われるべきである。従って有利には、光導体1は、少なくとも1つの分離位置を有し、この分離位置において、光Lは再び分離され、
図5に示す例では拡散的に分離される。
【0045】
例えば、車両用の特定の室内光コンセプトを実現するために、従来では、射出成形された光導体が使用されることが多い。その場合、光分離のために、プリズムが設けられており、このプリズムによって、全反射の臨界角が所期の方法で遮られ、光Lが分離される。
【0046】
以下において記述する解決手段では、光分離のための別のアプローチと、それに付随する、光導体1の別の製造方法とが記述される。この解決手段は、例えば、従来用いられている解決手段に代わるものであってもよいし、従来用いられている解決手段を相補的に補完するものであってもよいし、特にプリズムを介する分離の実現が困難である場合に使用されてもよい。
【0047】
このことは特に、ここで記述する、付加製造による光導体1の別の製造の場合である。何故ならば、この付加製造は、全反射を実現するために光導体1の表面の後処理を必要とするからである。この後続の後処理によって、構成部材縁部の部品の丸み付けが行われ、その結果、これによって、プリズムに関して実現可能な幾何学形状の制限が生じる。
【0048】
従って、以下に記述する光分離のための方法は、特に付加製造される光導体1に適している。この方法によって、光Lの分離がどの位置で行われるかを局所的に調整することができる。つまり、それぞれの光分離位置2を設定することができ、また以下において記述する光導体1の製造によって形成することができる。
【0049】
従って、以下において記述する解決手段でもって、後続の後処理に対する高い要求を課す幾何学形状、特にプリズムを使用することなく、透明又は少なくとも半透明の、特に付加製造された光導体1にそれぞれ設けられている光分離位置2において所期の方法で光Lの分離が実現される。
【0050】
特に、記述の解決手段によって、この種の光導体1を、付加製造によって簡単且つ廉価な方式で製造することが実現される。このことは、他の方式では、製造技術的に非常に大きな手間を伴うことでしか実現されない。
【0051】
記述の解決手段によって、付加製造された光導体1の別の問題も解決される。その種の光導体1は、部分的に高い体積散乱に基づいて、光Lをその外面を介して放射する。これは、従来の射出成形された光導体よりも強く生じ、またより低い均一性でもって生じる。特に、放射は、長手方向にわたり特に指数関数的なものとなる。ここで記述する解決手段は、この問題を解決することができ、また均一な放射をもたらす。
【0052】
既に言及したように、ここで記述する光導体1は、基本的に全反射の原理に従い機能する。この原理を満たすためには、十分に平滑な表面が必要となる。使用される製造方法では、この平滑な表面が達成されない場合、
図5に示すような全反射が行われるように表面を平滑化することを可能にする後処理方法を使用することができる。その種の後処理は、多くの場合、付加製造された光導体1を実現する際に必要となる。これは、以下において記述する解決手段のために利用される。
【0053】
従って、光導体1を製造するための方法では、
図1から
図4に例示した光導体1の未加工品3が、付加製造、例えばフォトポリマジェッティング、立体リソグラフィ、又は光投影法、特にDLP(デジタル・ライト・プロセッシング)によって生成され、そのあと、この未加工品3が、
図3及び
図4において例示的に且つ非常に簡略化されて概略的に示されているように、少なくとも1つの機械加工ツールWを用いて後処理される。
【0054】
未加工品3は、本来の付加製造ステップの直後に、光Lがここでは拡散的に散乱され、その結果、光導体1内には留まらないように粗い表面を有している。これに対して、十分に平滑化されている加工された表面では、拡散性の散乱は行われないか、又は極めて僅かにしか行われずに、光Lは鏡面反射される。何故ならば、十分に平滑な表面によって、全反射についての条件、即ち全反射の臨界角を維持することができるからである。
【0055】
従って、これに応じて、光導体1の後処理された位置は、平滑な表面、即ち、後処理によって平滑化された表面gOを有し、また光Lは分離されず、その一方で、光導体Lの後処理されていない位置は、粗面rO、即ち、未加工品3の付加製造によって形成された粗面rOを含み、この粗面rOにおいて、光Lは、拡散性の散乱によって光導体1から分離することができる。
【0056】
従って、光導体1を製造するための方法では、光分離位置2として規定されていない少なくとも1つの領域においてのみ、未加工品3が後処理される。この領域は、特に未加工品3の表面全体にわたり延在し、特に少なくとも1つの光分離位置2又は各光分離位置2の表面を除いた、未加工品3の周面全体、即ち外面にわたり延在する。即ち、未加工品3は、光分離位置2が規定されていない箇所では後処理され、また1つの光分離位置2又は各光分離位置2が規定されている箇所では、未加工品3は後処理されない。
【0057】
これを非常に簡単且つ確実な方式で実現するために、
図1から
図20に示すように、例えば未加工品3の付加製造によって、光導体1の少なくとも1つの光分離位置2が規定されている未加工品3の少なくとも1つの所定の部分、又は光導体1の各光分離位置2が規定されている未加工品3の各部分には、凹部4が形成されており、また未加工品3の後処理には少なくとも1つの機械加工ツールWが使用され、このとき、未加工品3の少なくとも1つの表面部分の凹部には、未加工品3の後処理のために使用される少なくとも1つの機械加工ツールWが到達できないように、凹部4が形成され、また少なくとも1つの機械加工ツールWが構成されている。
【0058】
例えば、未加工品3の付加製造によって、光導体1の少なくとも1つの光分離位置2が規定されている未加工品3の少なくとも1つの所定の部分、又は光導体1の各光分離位置2が規定されている未加工品3の各所定の部分には、凹部4が形成されており、また未加工品3の後処理には、例えば少なくとも1つの機械加工ツールWが使用され、このとき、少なくとも1つの凹部4の開口部は、未加工品3の後処理のために使用される少なくとも1つの機械加工ツールWのサイズよりも小さくなるように、特に凹部4の開口部の長さ、及び/又は幅、及び/又は直径、及び/又は内径が未加工品3の後処理のために使用される少なくとも1つの機械加工ツールWの長さ、及び/又は幅、及び/又は直径、及び/又は面積よりも小さくなるように、及び/又は少なくとも1つの凹部4の深さが未加工品3の後処理のために使用される少なくとも1つの機械加工ツールWの高さよりも大きくなるように、凹部4が形成され、また少なくとも1つの機械加工ツールWが構成されている。
【0059】
従って、付加製造によってのみ形成された、光導体1の規定された少なくとも1つの光分離位置2又は規定された各光分離位置2の表面は、付加製造によって形成された凹部4内に存在する。
【0060】
従って、記述の解決手段は、非常に簡単な方式で、光分離位置2として規定されていない領域においてのみ未加工品3を後処理することを可能にする。何故ならば、凹部4及び後処理のために使用されるツールWの構成によって、光分離位置2として規定されている少なくとも1つの領域又は各領域における未加工品3の表面が、使用されるツールWによって後処理できないことが保証されているからである。従って、未加工品3の表面が、規定された少なくとも1つの分離位置2又は各分離位置2においては後処理されないことを保証するために、後処理に関して付加的な予防措置を講じる必要はない。従って、記述の解決手段は、特に、凹部4の形態の未加工品3の1つ以上の所定の幾何学的な欠落部を介して達成される後処理の制限によって、付加製造された光導体1の表面における局所的な粗度の違いを生じさせることができる。
【0061】
本方法の1つの可能な実施形態では、
図3及び
図4に非常に簡略化されて概略的に示唆されているように、未加工品3が、研磨、特に摩擦研磨、及び/又はポリッシングによって後処理される。従って、後処理のために使用される少なくとも1つの機械加工ツールWは、少なくとも1つの研磨ボディ及び/又はポリッシングボディとして形成されているか、又は少なくとも1つのその種の研削ボディ及び/又はポリッシングボディを含む。
【0062】
従って、光導体1においては、少なくとも1つの後処理された領域が、研磨及び/又はポリッシングによって後処理される。
【0063】
この種の後処理法、例えば摩擦研磨では、ツールW、特に研磨ボディ及び/又はポリッシングボディと、被加工物、ここでは光導体1の未加工品3との間の相対運動によって平滑化が達成される。ここで記述する方法では、上述の方式で、未加工品3の被加工物幾何学形状の表面の領域のみが平滑化され、ツールW、特に研磨ボディ及び/又はポリッシングボディは、その領域を相応にスライドして、その領域を通過して平滑化を行うことができ、即ちその領域に沿って平滑化を行うことができる。このことは、上述の方式では、少なくとも1つの光分離位置2又は各光分離位置2においては実現できないので、従って、光導体1の未加工品3の表面は、そこでは後処理されない。
【0064】
従って、技術的な解決手段の本質は有利には以下の点にある。つまり、光導体1の未加工品3の表面における少なくとも1つの所定の位置、即ち規定された少なくとも1つの光分離位置2又は複数のその種の位置では、後処理のために使用される少なくとも1つのツールW、例えば研磨ボディ及び/又はポリッシングボディが未加工品3の後処理の間に作用し得ない、及び/又は少なくとも限定的にしか作用できないような幾何学形状を、光導体1の付加製造された未加工品3が有しており、従って、そのような幾何学形状と、その上に規定された、付加製造によって形成された表面の粗さの局所的な変動とによって、光導体1に沿った光分離を所期の方法で調整することができる。
【0065】
少なくとも1つの凹部4又は各凹部4は、例えば、ブラインドホール、溝、間隙又は他の凹部4として形成することができる。既に言及したように、凹部4は、未加工品3の付加製造によって形成される。
図1から
図20には、例示的に、凹部4の種々の形状が示されている。
【0066】
凹部4は、
図1から
図6において、長手方向に延び、且つ一定の幅及び深さを有する溝として形成されており、この溝は、光導体1の一方の端面の領域において終端している。
【0067】
図7及び
図8において、凹部4は、長手方向に延び、且つ一定の深さと一様に増大する幅とを有する溝として形成されており、この溝は、光導体1の一方の端面の領域において終端している。これによって、光分離位置2の表面は、この端面の方向において拡大し続ける。
【0068】
図9及び
図10において、凹部4は、長手方向に延び、一定の深さを有し、且つ拡大の度合が漸次的に大きくなる幅を有する溝として形成されており、この溝は、光導体1の一方の端面の領域において終端している。これによって、光分離位置2の表面は、この端面の方向において拡大し続ける。
【0069】
図11及び
図12においては、複数の凹部4、ここでは5つの凹部4が規定されており、これらの凹部4は、横断方向において相互に並んで配置され、またそれぞれが、長手方向に延び、且つ不変の幅及び深さを有する細長い溝として形成され、また溝は、光導体1の一方の端面の領域において終端している。ここでは、中央の凹部4が最も長く形成されており、凹部4の長さは、横断方向において外側に向かうに連れて短くなる。つまり、外側の凹部4が最も短い。これらの溝は、特に、それぞれ細長いスリットとして形成されている。
【0070】
図13及び
図14においては、複数の凹部4、ここでは5つの凹部4が、それぞれ鋸歯状に形成されている。つまり、凹部4は、光導体1の長手方向において傾斜している底面を有する。凹部4は、光導体1の長手方向において相前後して配置されており、また異なる長さ、幅及び深さを有し、この場合、光導体1の中央の領域に配置されている凹部4の長さ、幅及び深さが最も小さく、光導体1の端面の方向に続く凹部4では、長さ、幅及び深さがそれよりも大きくなる。各凹部4は、光導体1の右側の端面の方向において最も深くなっている。従って、ここでは、凹部4の幅及び深さ、ひいては光分離位置2の幅及び深さ、特にそれらの有効光分離面の幅及び深さが漸次的に変化している。
【0071】
図15及び
図16においても同様に、複数のその種の鋸歯状の凹部4が規定されているが、ここでは、それらの凹部4はいずれも同じに形成されており、長手方向及び横断方向において相互にずらされて配置されている。凹部4の数は、光導体1の一方の端面の方向に向かって増加しているので、光導体1のこの端面の方向において、光分離位置2、特にその有効光分離面の漸次的な増大が達成される。
【0072】
図17及び
図18においては、複数の、ここでは4つの半球状の凹部4が規定されており、この場合、光導体1の中央の領域に配置されている凹部4が最も小さく、凹部4のサイズは光導体1の端面の方向に向かって増大する。従って、半球の半径も大きくなり、また各光分離位置2の面積も大きくなる。
【0073】
図19及び
図20においては、複数の、ここでは4つの環状の凹部4が形成されており、この場合、凹部4の深さ及び環状の開口幅は、光導体1の中央の領域において最も小さく、光導体1の端面の方向に向かって増大し、従って、端面側の凹部4において最大となる。各凹部4の深さは、外側の環状縁部において最も小さく、内側の環状縁部において最も大きくなる。内側の環状縁部をそれぞれ形成している中心柱の直径も、同様に、光導体1の中央の領域に配置されている凹部4において最も小さく、光導体1の端面の方向に向かって増大し、従って端面側の凹部4において最大となる。各凹部4のこの中心柱の表面も後処理されており、従って平滑化されており、即ち、これらのピンも平滑化された表面gOを有する。特に、中心柱は、後処理のための比較的小型のツールW、特に比較的小型の研磨ボディ及び/又はポリッシングボディの使用を可能にする。この場合、各中心柱によって、その種の小型のツールWの各凹部4への進入も阻止される。
【0074】
少なくとも1つの凹部又は各凹部4の開口部は、有利には、後処理のために使用される少なくとも1つのツールW、特に研磨ボディ及び/又はポリッシングボディよりも小さい。従って、光分離位置2として規定されている各位置における未加工品3の表面は後処理されず、その一方で、有利には、未加工品3の残りの表面は後処理され、特に平滑に研磨される、及び/又はポリッシングされる。表面の粗い部分、即ち粗面rOは、その後、分離構造として用いられ、従って光導体1の光分離位置2を形成し、また光導体1の残りの表面、即ち平滑化された表面gOでは、全反射が行われる。
【0075】
未加工品3の付加製造によって、例えば
図1から
図6、
図11及び
図12に示すような、例えば一定の寸法を有する凹部4又は各凹部4が形成されるか、若しくは
図7から
図10及び
図13から
図20に示すような、凹部の経路にわたり少なくとも1つの寸法が変化する凹部4又は各凹部4、例えば可変の深さ及び/又は幅を有する、及び/又は可変の直径を有する、及び/又は可変の内径を有する凹部4又は各凹部4が形成される。この場合、凹部の経路は、未加工品3、ひいては光導体1の長手方向及び/又は幅方向及び/又は深さ方向及び/又は周方向に配向されていてもよい。
【0076】
光導体1においては、凹部4又は各凹部4が、相応に、例えば一定の寸法を有するか、又は凹部の経路にわたり変化する少なくとも1つの寸法を有する。
【0077】
各凹部4の構造及び各光分離位置2の構造を形成するために、多くのヴァリエーションが実現され、単純な直線状の凹部4以外にも、
図1から
図20に例示したような多くの別の幾何学形状が考えられる。
【0078】
光分離位置2又は複数の光分離位置2のそのように形成された分離構造は、特に、更なる労力を要せずとも、段階的に形成することができる。このようにして、例えば体積散乱等によって分離構造が無くとも既に存在する光導体1の不所望で不均一な放射を、
図7から
図20による例に示されているように、その不均一な放射とは逆のグラジエントを介して均一化することができる。ここで、1つの光分離位置2の面積又は複数の光分離位置2の共通面積は、光導体1の一方の端面、ここでは右側の端面の方向において恒常的に増大する。ここで有利には、光導体1への光の結合は、光導体1の他方の端面、ここでは左側の端面を介して行われる。
【0079】
均一化の代わりに、又は均一化に加えて、所定の輝度の経路を達成するために、例えば装飾部品として形成されており、且つ光導体1を含む構成部材の所定の領域を演出するために、漸次的な分離構造も利用することができる。光分離位置2又は複数の光分離位置2の漸次的な形成は、特に、凹部4又は複数の凹部4を相応に形成することによって達成され、特に上述の方式で、凹部の経路にわたり変化する少なくとも1つの寸法によって、又は凹部の経路にわたり変化する凹部4の複数の寸法若しくは全ての寸法によって、及び/又は相互に異なる寸法を有する複数の凹部4によって達成される。
【0080】
特に、付加製造によって、少なくとも1つの光分離位置2又は各光分離位置2における未加工品3の表面、即ち後処理されておらず、それによって付加製造によって形成されたままの粗さに起因して光Lが分離される領域における未加工品3の表面を、所定の方式で配向させることもでき、即ち所定の方式で、特に光導体1の周囲表面、特に後処理された表面とは異なる方式で位置合わせすることも実現される。これによって、特に、拡散性の光分離の他に鏡面的な部分も存在するような粗さが存在する場合、分離される光Lの方向も調整することができる。これに関する例は、
図13から
図16における鋸歯状の凹部4である。ここで、光Lは、例えば斜めに分離され、ここでは光導体1の一方の端面、ここでは右側の端面の方向において斜めに分離される。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導体(1)を製造するための方法であって、前記光導体(1)の未加工品(3)は、付加製造によって形成され、前記未加工品(3)は、そのあと、少なくとも1つの機械加工ツール(W)を用いて後処理されるものであり、前記未加工品(3)は、光分離位置(2)として規定されていない少なくとも1つの領域においてのみ後処理され、前記付加製造によって、前記未加工品(3)の少なくとも1つの所定の部分に凹部(4)が形成されるものであり、前記未加工品(3)の後処理のために前記少なくとも1つの機械加工ツール(W)が使用され、前記凹部(4)内における前記未加工品(3)の少なくとも1つの表面部分に、前記未加工品(3)の後処理のために使用される前記少なくとも1つの機械加工ツール(W)が到達できないように、前記少なくとも1つの機械加工ツール(W)が構成される、前記方法。
【請求項2】
前記未加工品(3)の付加製造によって、前記凹部(4)の開口部の長さ、及び/又は幅、及び/又は直径、及び/又は内径が前記未加工品(3)の後処理のために使用される前記少なくとも1つの機械加工ツール(W)の長さ、及び/又は幅、及び/又は直径、及び/又は面積よりも小さくなるように、及び/又は少なくとも1つの前記凹部(4)の深さが前記未加工品(3)の後処理のために使用される前記少なくとも1つの機械加工ツール(W)の高さよりも大きくなるように、前記未加工品(3)の前記少なくとも1つの所定の部分に前記凹部(4)が形成され、及び前記未加工品(3)の後処理のために使用される前記少なくとも1つの機械加工ツール(W)が構成されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記未加工品(3)の付加製造によって、一定の寸法を有する前記凹部(4)、又は前記凹部の経路にわたり少なくとも1つの寸法が変化する前記凹部(4)が形成されることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記未加工品(3)は、研磨及び/又はポリッシングによって後処理されることを特徴とする、請求項1
又は2記載の方法。
【請求項5】
前記研磨及び/又は前記ポリッシングによって後処理された少なくとも1つの領域と、前記付加製造によってのみ形成された表面を有し、前記表面が前記付加製造によって形成された前記凹部(4)内に位置する、少なくとも1つの規定された光分離位置(2)とを有する、請求項4記載の方法を用いて製造された光導体(1)。
【請求項6】
前記凹部(4)は、一定の寸法又は前記凹部の経路にわたり変化する少なくとも1つの寸法を有することを特徴とする、請求項5記載の光導体(1)。
【国際調査報告】