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特表2024-526996デバイス制御方法及び装置、電子デバイス並びに記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】デバイス制御方法及び装置、電子デバイス並びに記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/00 20060101AFI20240711BHJP
   H02M 7/515 20070101ALI20240711BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H02M7/00 Z
H02M7/515 Z
H02M3/00 Y
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504262
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 CN2022109817
(87)【国際公開番号】W WO2023024849
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110994389.6
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】熊勇
(72)【発明者】
【氏名】汪勇
(72)【発明者】
【氏名】陳勇
(72)【発明者】
【氏名】肖勝賢
(72)【発明者】
【氏名】張徳地
【テーマコード(参考)】
5H006
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
5H006AA04
5H006BB02
5H730AA12
5H730FF09
5H730XX50
5H770AA19
5H770BA12
5H770BA15
5H770HA19Z
5H770LB10
(57)【要約】
本出願は、通信の技術分野に関し、デバイス制御方法及び装置、電子デバイス並びに記憶媒体を提供する。該方法は、デバイスの第1システムへのアクセスが検出された場合、第1システムのシステム情報と、デバイスに記録された第2システムのシステム情報とを取得するステップ(101)と、第1システムのシステム情報と第2システムのシステム情報を事前にトレーニング済の学習モデルに入力し、第1システムと第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果を取得するステップ(102)と、第1システムと第2システムが同一のシステムではない場合、出力をロックするようにデバイスを制御するステップ(103)と、を含み、第2システムは、第1システムへアクセスする前にデバイスがアクセスしたことのあるシステムであり、システム情報にはN個(Nは1よりも大きい整数)のカテゴリの情報が含まれている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスの第1システムへのアクセスが検出された場合、前記第1システムのシステム情報と、前記デバイスに記録された第2システムのシステム情報とを取得するステップと、
前記第1システムのシステム情報と前記第2システムのシステム情報とを事前にトレーニング済の学習モデルに入力し、前記第1システムと前記第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果を取得するステップと、
前記第1システムと前記第2システムが同一のシステムではない場合、出力をロックするように前記デバイスを制御するステップと、を含み、
前記第2システムは、前記第1システムへアクセスする前に前記デバイスがアクセスしたことのあるシステムであり、
前記システム情報にはN個(Nは1より大きい整数)のカテゴリの情報が含まれている、
デバイス制御方法。
【請求項2】
前記学習モデルは、前記N個のカテゴリに1対1で対応するN個のカテゴリモデルと1つの統合モデルとを含み、
前記第1システムのシステム情報と前記第2システムのシステム情報とを事前にトレーニング済の学習モデルに入力し、前記第1システムと前記第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果を取得する前記ステップは、
前記第1システムのシステム情報と、前記第2システムの対応するカテゴリのシステム情報とをそれぞれ前記N個のカテゴリモデルに入力し、N個の判定結果を取得するステップと、
前記N個の判定結果を前記統合モデルに入力し、前記第1システムと前記第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果を取得するステップと、を含む、
請求項1に記載のデバイス制御方法。
【請求項3】
前記N個のカテゴリモデルは、
前記システム情報のうち各部材の配置構成に基づいて、前記第1システムの配置構成と前記第2システムの配置構成とが適合するか否かを示す結果を前記判定結果として取得するための配置構成モデルと、
前記システム情報のうち各部材の南向き/北向きの対象に基づいて、前記第1システムの南向き/北向きの対象と前記第2システムの南向き/北向きの対象とが適合するか否かを示す結果を前記判定結果として取得するための構造モデルと、
前記システム情報のうち各部材に発生したイベント集合に基づいて、前記第1システムのイベント集合と前記第2システムのイベント集合とが適合するか否かを示す結果を前記判定結果として取得するための変遷モデルと、
前記システム情報のうち各部材の基本設定パラメータに基づいて、前記第1システムの基本設定パラメータと前記第2システムの基本設定パラメータとが適合するか否かを示す結果を前記判定結果として取得するための基本設定モデルと、
前記システム情報のうち各部材のバージョンパラメータに基づいて、前記第1システムのバージョンパラメータと前記第2システムのバージョンパラメータとが適合するか否かを示す結果を前記判定結果として取得するためのバージョンモデルと、のうちのいずれか1つ又は任意の組合せを含む、
請求項2に記載のデバイス制御方法。
【請求項4】
前記デバイスに適用され、
前記第1システムのシステム情報と、前記デバイスに記録された第2システムのシステム情報とを取得する前記ステップは、
前記第1システムから送信された前記第1システムのシステム情報を受信するとともに、前記デバイスに記憶された前記第2システムのシステム情報を取得するステップを含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス制御方法。
【請求項5】
前記第1システムにおける監視ユニットに適用され、
前記第1システムのシステム情報と、前記デバイスに記録された第2システムのシステム情報とを取得する前記ステップは、
前記デバイスから送信された前記第2システムのシステム情報を受信するとともに、前記第1システムに記憶された前記第1システムのシステム情報を取得するステップを含み、
出力をロックするように前記デバイスを制御する前記ステップは、
前記デバイスにおける盗難処理ユニットにイネーブル信号を出力して、前記盗難処理ユニットをイネーブルにし、前記デバイスを制御して出力をロックさせるステップを含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス制御方法。
【請求項6】
前記学習モデルは、機械学習モデルである、
請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス制御方法。
【請求項7】
前記第1システムと前記第2システムは、いずれも電源システムであり、前記デバイスは、整流器、インバータ、無停電電源装置、及び、DC/DCシステムのうちのいずれか1つである、
請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス制御方法。
【請求項8】
デバイスの第1システムへのアクセスが検出された場合、前記第1システムのシステム情報と、前記デバイスに記録された第2システムのシステム情報とを取得するための取得モジュールと、
前記第1システムのシステム情報と前記第2システムのシステム情報を事前にトレーニング済の学習モデルに入力し、前記第1システムと前記第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果を取得するための入力モジュールと、
前記第1システムと前記第2システムが同一のシステムではない場合、出力をロックするように前記デバイスを制御するための制御モジュールと、を備え、
前記第2システムは、前記第1システムへアクセスする前に前記デバイスがアクセスしたことのあるシステムであり、
前記システム情報にはN個(Nは1より大きい整数)のカテゴリの情報が含まれている、
デバイス制御装置。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続されたメモリと、を備え、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサで実行可能なコマンドが記憶されており、前記コマンドが前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサは、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス制御方法を実行可能になる、
電子デバイス。
【請求項10】
プロセッサにより実行された場合に請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス制御方法を実現する、コンピュータプログラムが記憶されている、
コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、出願番号が「202110994389.6」であり、出願日が2021年8月27日である中国特許出願に基づいて該中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、援用により本出願に取り込まれる。
【0002】
本出願は通信の技術分野に関し、特にデバイス制御方法及び装置、電子デバイス並びに記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
通信電源技術の発展に伴い、通信電源における蓄電池や給電ケーブル、整流器といったデバイスの値上がりが続いている。全世界の通信事業者は新たにデバイスの盗難という非常に深刻な問題に直面することとなった。
【0004】
デバイスの盗難問題を解決するための技術者の基本的な構想は、通常、デバイスの盗難が検出された場合に出力をロックしてデバイスを利用不能にすることで、盗む価値を低下させ、ひいてはデバイスの盗難問題を緩和することである。デバイスの盗難の検出について、これまでに提案された構想は、GPS測位システムをデバイス内に設け、デバイスの初めての起動時にその初期地理位置を設定しておき、現在の地理位置に変更が検出されるとデバイスが盗難されたと判定し、出力をロックするようにデバイスを制御することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、デバイス内にGPS測位システムを設けると、デバイスのハードウェアコストが大きく跳ね上がってしまう。また、例えば整流器等のデバイス内にGPS測位システムを設けることは、技術的に相当困難であり、例えば、設けられる電磁体と通気路の間の影響や、アンテナの取付等を考えなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の実施例は、デバイスの第1システムへのアクセスが検出された場合、第1システムのシステム情報と、デバイスに記録された第2システムのシステム情報とを取得するステップと、第1システムのシステム情報と第2システムのシステム情報を事前にトレーニング済の学習モデルに入力し、第1システムと第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果を取得するステップと、第1システムと第2システムが同一のシステムではない場合、出力をロックするようにデバイスを制御するステップと、を含み、第2システムは、第1システムへアクセスする前にデバイスがアクセスしたことのあるシステムであり、システム情報にはN個(Nは1より大きい整数)のカテゴリの情報が含まれている、デバイス制御方法を提供する。
【0007】
本出願の実施例は、デバイスの第1システムへのアクセスが検出された場合、第1システムのシステム情報と、デバイスに記録された第2システムのシステム情報とを取得するための取得モジュールと、第1システムのシステム情報と第2システムのシステム情報を事前にトレーニング済の学習モデルに入力し、第1システムと第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果を取得するための入力モジュールと、第1システムと第2システムが同一のシステムではない場合、出力をロックするようにデバイスを制御するための制御モジュールと、を備え、記第2システムは、第1システムへアクセスする前にデバイスがアクセスしたことのあるシステムであり、システム情報にはN個(Nは1より大きい整数)のカテゴリの情報が含まれている、デバイス制御装置をさらに提供する。
【0008】
本出願の実施例は、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続されたメモリと、を備え、メモリには、少なくとも1つのプロセッサで実行可能なコマンドが記憶されており、コマンドが少なくとも1つのプロセッサにより実行されることで、少なくとも1つのプロセッサは、上記デバイス制御方法を実行可能になる、電子デバイスをさらに提供する。
【0009】
本出願の実施例は、プロセッサにより実行された場合に上記デバイス制御方法を実現する、コンピュータプログラムが記憶されている、コンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本出願の一実施例のデバイス制御方法の具体的なフローチャート1である。
図2】本出願の一実施例のデバイス制御方法の具体的なフローチャート2である。
図3】本出願の一実施例の電源システムの模式ブロック図である。
図4】本出願の一実施例の配置構成モデルの模式ブロック図である。
図5】本出願の一実施例の構造モデルの模式ブロック図である。
図6】本出願の一実施例の変遷モデルの模式ブロック図である。
図7】本出願の一実施例の基本設定モデルの模式ブロック図である。
図8】本出願の一実施例のバージョンモデルの模式ブロック図である。
図9】本出願の一実施例の統合モデルの模式ブロック図である。
図10】本出願の一実施例の学習モデルの構築及びトレーニングの具体的なフローチャートである。
図11】本出願の一実施例のデバイス制御方法の具体的なフローチャート3である。
図12】本出願の一実施例のデバイス制御装置の模式ブロック図である。
図13】本出願の一実施例の電子デバイスの模式ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例の主な目的は、デバイス制御方法及び装置、電子デバイス並びに記憶媒体を提供することであり、状況の変化を識別することでデバイスの盗難を検出する方法を提供し、ハードウェアを追加で設ける必要がなく、ハードウェアを設けることによる技術的な困難を克服する。
【0012】
本出願の実施例の目的、技術手段及び利点をより明らかにするために、以下、図面を参照しながら本出願の各実施例を詳しく説明する。本出願の各実施例において、本出願に対する理解を深めるために技術的な詳細を多く説明するが、これらの技術的な詳細及び以下の各実施例に基づく種々の変形と修飾がなくても、本出願で保護を請求する技術手段を実現することができることは、当業者であれば理解できよう。以下の各実施例の区分は、説明の便宜のためのものであり、本出願の具体的な実現形態を何ら限定するものではなく、各実施例は、矛盾しない限り互いに組み合わせ、引用することができる。
【0013】
本出願の一実施例は、デバイスが現在アクセス中の第1システムと、最初にアクセスした第2システムとが一致するか否かを識別することによって、デバイスが現在盗難されている否かを識別し、デバイスが盗難されていると判定した場合、出力をロックするようにデバイスを制御することにより、盗む価値を低下させ、さらに、デバイスの盗難問題を緩和するための、デバイス制御方法に関する。
【0014】
本実施例のデバイス制御方法の具体的な手順を図1に示す。
【0015】
ステップ101において、デバイスの第1システムへのアクセスが検出された場合、第1システムのシステム情報と、デバイスに記録された第2システムのシステム情報とを取得する。
【0016】
ステップ102において、第1システムのシステム情報と第2システムのシステム情報を事前にトレーニング済の学習モデルに入力し、第1システムと第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果を取得する。
【0017】
ステップ103において、第1システムと第2システムが同一のシステムではない場合、出力をロックするようにデバイスを制御する。
【0018】
本実施例において、デバイスは第1システムにアクセスする前に第2システムにアクセスしたことがあるので、デバイスには第2システムのシステム情報が記録されている。第1システムには第1システムのシステム情報が記憶されている。システム情報には複数のカテゴリの情報が含まれている。デバイスの第1システムへのアクセスが検出された場合、第1システムのシステム情報と第2システムのシステム情報を、事前にトレーニング済の学習モデルに入力し、複数のカテゴリの情報に基づいて、第1システムと第2システムが同一のシステムであるか否かを総合的に判定する必要がある。第1システムと第2システムが同一のシステムではないと判定した場合、デバイスが盗難されていると認定する。このとき、出力をロックするようにデバイスを制御し、該デバイスを正常に使用できないようにして、盗む価値を低下させ、ひいてはデバイスの盗難問題を緩和する。本出願の実施例は、アクセスしたシステムのシステム情報のみに基づいて、デバイスが現在アクセス中のシステムに変化が生じたか否かをソフトウェアによって総合的に判定し、アクセス中のシステムに変化が生じたと判定した場合、出力をロックするようにデバイスを制御する。デバイス内にGPS測位システムを設ける場合と比べて、デバイスの盗難を検出するためにハードウェアを追加で設ける必要がなくなり、デバイスのハードウェアコストを大幅に低下させる。その上、ソフトウェアはハードウェアよりも実現しやすいため、従来のハードウェアに存在した技術的な困難を克服できる。
【0019】
一実施例において、第1システムと第2システムはいずれも電源システムであり、デバイスは、整流器、インバータ、無停電電源装置及びDC/DCシステムのうちのいずれか1つである。
【0020】
デバイスの盗難問題を解決するために、本出願の実施例では1つの日常生活の場面を想定する。休学していた学生が学校に戻り、ある教室の前を通っている時に、中にいる教師と学生たちが全て見知らぬ顔だと気付いたと仮定する。この場合、この学生がこの集団に属さない確率が高いと判定することができる。これは、整流器が盗まれた後に電源システムに変化が生じた(状況に変化が生じた)ことによく似た社会心理学の一例である。
【0021】
この社会心理学の例に基づき、機械学習等により、所在する状況の変化をデバイスに自動的に識別させ、変化が発生したと判定した場合、ロックで使用禁止とすることで、盗む価値を低下させ、デバイスの盗難問題を緩和する方法が考えられる。
【0022】
集団の理論において、集団は社会心理学の研究対象として、次の基本的な特徴とパラメータを有する。
【0023】
1)集団の構成。集団を構成するメンバーの状況である。
【0024】
2)集団の構造。コミュニケーションの構造、権力の構造(例えば、指導と被指導の関係)、傾向の構造、感情の構造、人間関係の構造等である。集団を共通の活動に従事する主体と見なす場合、集団の活動構造、即ち、共通の活動における集団メンバーの役割分担の状態をさらに含む。
【0025】
3)集団の変遷。集団に発生する各種の変遷イベント、つまり、集団における人間関係の動的な表現である。
【0026】
4)集団の価値及び規範。集団及びそのメンバーにより遵守すべきだと認定される行為の基準やルール等である。集団の規範が集団のメンバー全体により遵守及び履行されることを確保するための集団の制裁体制をさらに含んでもよい。
【0027】
5)集団の発展レベル。
【0028】
一実施例において、社会心理学では一般的に上記5つの点から集団について分析・考察する。これに基づいて、本実施例ではデバイスの所在状況の変化を識別し、ひいてはその盗難を判定することで、この5つの基本特徴とパラメータを参照してモデルを構築することができる。このように、運用状況の識別をソフトウェアにより実現するので、デバイスの盗難を検出するためにハードウェアを追加で設ける必要がなくなり、デバイスのハードウェアコストを大幅に低減できる。その上、ソフトウェアはハードウェアよりも実現しやすいため、従来のハードウェアに存在した技術的な困難を克服できる。
【0029】
以下、第1システムと第2システムがいずれも電源システムであり、デバイスが整流器である場合を例として説明する。
【0030】
整流器が最初に第2システムにアクセスしたとき、第2システムの監視ユニットは、第2システムの基本特徴とパラメータ情報等を第2システムのシステム情報として取得して記録する。具体的には、これらのシステム情報をEEPROM/FLASH等の不揮発性のメモリに記憶し、通信プロトコールによって、記載された各種の情報をアクセスしているシステムにおける各部材に送信してもよい。整流器は、これらの情報を受信して記録する。
【0031】
第2システムの作動中に、第2システムの基本特徴とパラメータ情報に変化が発生したり、例えば電池容量が100Ahから150Ahになるというように第2システムの特徴パラメータの変化が発生するなど、部材の交換、バージョンアップ、安全事故等の重大イベントが発生した場合や、或いは、第2システムにおいて、例えば整流器の交換、交流配電ソフトウェアのアップデートや、火事、盗難等の重大事件が発生した場合、第2システムにおける監視ユニットは、記憶された第2システムのシステム情報を更新すると同時に、同期して記録を更新及び記憶するように、アクセスしている各整流器に通知する。
【0032】
整流器が第1システムにアクセスした場合、第1システムは、第1システムのシステム情報と整流器に記録された第2システムのシステム情報とを取得する。第2システムのシステム情報は第2システムの状況を示し、第1システムのシステム情報は第1システムの状況を示している。システム情報には通常N種のカテゴリの情報が含まれる。第1システムが第2システムであるか否かを総合的に判定するために、本出願の実施例では、事前にトレーニング済の学習モデルに第1システムのシステム情報と第2システムのシステム情報を入力することで、第1システムと第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果を取得し、第1システムと第2システムが同一のシステムではないと判定した場合、整流器が盗まれたと認定し、このとき、出力をロックするように整流器を制御する。さらに、警報信号を発するように整流器を設定してもよい。
【0033】
一実施例において、学習モデルは、N個のカテゴリモデルと1つの統合モデルを含み、N個のカテゴリモデルとN個のカテゴリとは1対1で対応する。図2を参照し、ステップ201及びステップ203は、ステップ101及びステップ103とほぼ同様であり、ここで繰り返して述べない。ただし、ステップ202がサブステップ2021とサブステップ2022とを含む点が異なっている。
【0034】
サブステップ2021において、N個のカテゴリモデルに、第1システムのシステム情報と第2システムの対応するカテゴリのシステム情報をそれぞれ入力することにより、N個の判定結果を取得する。
【0035】
サブステップ2022において、統合モデルにN個の判定結果を入力することにより、第1システムと第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果を取得する。
【0036】
電源システムを例として、図3を参照すると、電源システムの核心的な構成は、通信電源監視ユニット(Center Supervision Unit,CSU)、スマート整流器、リチウム電池パック等からなり、選択可能に、電源システムは、交流配電ユニットや直流配電ユニット、交流/直流電気メータ、及びその他の環境検出ユニット等をさらに含んでもよい。各部材間で通信ネットワークを介してデータのやり取りを行う。具体的には、コンピュータルームのフィールド監視ユニット(Field Supervision Unit,FSU)が各システムの間のデータを監視し、具体的に通信ネットワークを介してCSUとデータのやり取りを行う。CSUも同様に通信ネットワークを介して整流器、電池パック、交流配電ユニット、直流配電ユニット、交流電気メータ、直流電気メータ等のデバイスとデータのやり取りを行う。
【0037】
一実施例において、図3を参照すると、N個のカテゴリモデルは、配置構成モデル、構造モデル、変遷モデル、基本設定モデル、バージョンモデルのうちのいずれか1つ又は任意の組合せを含んでもよい。
【0038】
配置構成モデルは、システム情報のうち各部材の配置構成に基づいて、第1システムの配置構成と第2システムの配置構成とが適合するか否かを示す結果を判定結果として取得する。
【0039】
第1システムと第2システムがいずれも電源システムである場合を例として、図4における配置構成モデルの入出力模式図を参照すると、配置構成モデルの入力パラメータは、システム情報のうち、整流器、電池及び各部材の数と適合数とを含む。システム情報は第1システムのシステム情報と第2システムのシステム情報を含む。判定結果は配置構成の状態値であり、「0」は変化なしを示し「1」は変化ありを示す。
【0040】
構造モデルは、システム情報における各部材の南向き(Southbound)と北向き(Northbound)の対象に基づいて、第1システムの南向き/北向きの対象と第2システムの南向き/北向きの対象とが適合するか否かを示す結果を判定結果として取得する。
【0041】
第1システムと第2システムがいずれも電源システムである場合を例として、図5における構造モデルの入出力模式図を参照すると、構造モデルの入力パラメータは、システム情報のうち、整流器、電池、監視ユニット及び各部材の南向き/北向きの対象を含む。システム情報は第1システムのシステム情報と第2システムのシステム情報を含む。判定結果は集団の構造の状態値であり、「0」は変化なしを示し「1」は変化ありを示す。
【0042】
変遷モデルは、システム情報のうち各部材に発生したイベント集合に基づいて、第1システムのイベント集合と第2システムのイベント集合とが適合するか否かを示す結果を判定結果として取得する。
【0043】
第1システムと第2システムがいずれも電源システムである場合を例として、図6における変遷モデルの入出力模式図を参照すると、変遷モデルの入力パラメータは、システム情報のうち、交換記録の数と適合数、バージョンアップの数と適合数、及び安全事故の数と適合数を含む。システム情報は第1システムのシステム情報と第2システムのシステム情報を含む。判定結果は集団の変遷の状態値であり、「0」は変化なしを示し「1」は変化ありを示す。
【0044】
基本設定モデルは、システム情報のうち各部材の基本設定パラメータに基づいて、第1システムの基本設定パラメータと第2システムの基本設定パラメータとが適合するか否かを示す結果を判定結果として取得する。
【0045】
第1システムと第2システムがいずれも電源システムである場合を例として、図7における基本設定モデルの入出力模式図を参照すると、基本設置モデルの入力パラメータは、システム情報のうち、作動モード/電池容量/負荷切断電圧及びその他の参照する必要のあるパラメータ値を含む。システム情報は第1システムのシステム情報と第2システムのシステム情報を含む。判定結果は集団の規範の状態値であり、「0」は変化なしを示し「1」は変化ありを示す。
【0046】
バージョンモデルは、システム情報のうち各部材のバージョンパラメータに基づいて、第1システムのバージョンパラメータと第2システムのバージョンパラメータとが適合するか否かを示す結果を判定結果として取得する。
【0047】
第1システムと第2システムがいずれも電源システムである場合を例として、図8におけるバージョンモデルの入出力模式図を参照すると、バージョンモデルの入力パラメータは、システム情報のうち、整流器/電池及び各部材のバージョン数と適合数を含む。システム情報は第1システムのシステム情報と第2システムのシステム情報を含む。判定結果は集団のレベルの状態値であり、「0」は変化なしを示し「1」は変化ありを示す。
【0048】
N個のカテゴリモデルから出力された判定結果を取得した後に、これらの判定結果を統合モジュールに入力する。図9における統合モジュールの入出力模式図を参照すると、統合モデルの入力パラメータはN個のモデルから出力された判定結果を含む。一実施例において、判定結果はそれぞれ、配置構成の状態値、集団の構造の状態値、集団の変遷の状態値、集団の規範の状態値、及び集団のレベルの状態値であり、出力パラメータは第1システムと第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果であり、「0」は変化なしを示し「1」は変化ありを示す。
【0049】
本実施例において、N個のカテゴリモデルを具体的に限定し、N個のカテゴリモデルにより判定される情報は、それぞれシステムの異なる次元からの情報であり、設置されるカテゴリモデルが多くなるほど、総合的な判定により得られる結果はより正確になる。各部材の配置構成とは、各部材の現在接続数、記載数及び適合数等である。各部材の南向き/北向きの対象とは、各部材間の接続関係である。各部材に発生したイベント集合は、システムにおける各部材に発生した、例えば部材交換、バージョンアップ、安全事故等のイベントの集合を含む。各部材の基本設定パラメータは、システムにおける各部材の作動モード、電池容量、過熱保護点、過電圧保護点等を含む。各部材のバージョンパラメータは、システムにおける各部材のバージョン状況を含む。
【0050】
一実施例において、事前にトレーニング済の学習モデルに第1システムと第2システムのシステム情報を入力する前に、学習モデルの構築及びトレーニングが必要になる。学習モデルは、具体的に、機械学習モデルであっても、深層学習モデルであってもよい。一実施例において、機械学習モデルを学習モデルとして用いる。機械学習モデルは、深層学習モデル等よりも消費するリソースが少なく、これによりデバイス制御方法の適用範囲を広げることができる。
【0051】
具体的に、配置構成モデル、構造モデル、変遷モデル、基本設定モデル、バージョンモデル及び統合モデルを事前に構築し、トレーニングしておき、トレーニング済の配置構成モデル、構造モデル、変遷モデル、基本設定モデル、バージョンモデル及び統合モデルを学習モデルとしてもよい。学習モデルは、デバイス、例えば、整流器において、構築及びトレーニングされてもよいが、デバイスのリソースが不足する場合、学習モデルは、第1システムと第2システムの監視システムにおいて、それぞれ構築及びトレーニングされてもよい。
【0052】
第1システムにおける学習モデルの構築及びトレーニングのステップを、具体的に図10のフローチャートに示す。第2システム又は整流器における学習モデルの構築及びトレーニング方法も同様であるため、以下で繰り返し説明しない。
【0053】
ステップ301において、大量の通信電源システムの基本特徴とパラメータをサンプルデータとして収集する。
【0054】
技術者は、先ず第1システムの監視システムにおいて各学習モデルを構築しトレーニングする必要がある。具体的に、技術者は、大量の通信電源システムの基本特徴とパラメータをサンプルデータとして収集する。これらのサンプルデータは、整流器が配置され得る全ての適用状況におけるサンプルデータ、例えば整流器が直流コンピュータルームのコアネットワーク電源、マクロ基地局のベースフレーム、埋込式電源、マイクロ基地局の埋込式電源、壁掛け式電源等に配置される状況でのサンプルデータを含む。これらのサンプルデータは、具体的にツールソフトウェアを配置することで迅速且つ自動的に生成することができる。
【0055】
集団の構成のサンプルデータを例として説明する。通信電源システムが100Aの壁掛け式電源に適用された状況において、整流器、電池、監視ユニット、交流配電及び直流配電の配置数が、それぞれ2、1、1、0、0個であると仮定した場合、実際の作動数は、2、1、1、0、0個である可能性がある。通信電源システムが300Aの埋込式電源に適用された状況において、配置数がそれぞれ6、2、1、0、0個であると仮定した場合、実際の作動数は、5、2、1、0、0個、又は、4、2、1、0、0個である可能性がある。通信電源システムが2000Aのコアネットワーク電源に適用された状況において、配置数が、それぞれ40、4、2、1、1と仮定した場合、実際の作動数は、30~40、2~4、2、1、1個である可能性がある。このように、論理上実際に発生しうるサンプルデータに一致していれば使用可能であり、したがって、ツールソフトウェアによってサンプルデータを自動的、大量且つ迅速に生成することができる。
【0056】
ステップ302において、サンプルデータをタグ付けする。
【0057】
具体的に、状況の変化なしを示すタグ「0」と、状況の変化ありを示すタグ「1」との2種類のタグを設定してもよい。これらのサンプルデータを手動でタグ付けしてもよいし、所定のルールに従ってツールソフトウェアによって自動的にタグ付けしてもよい。
【0058】
ステップ303において、サンプルデータを処理する。
【0059】
具体的には、数式によってサンプルデータに対して正規化処理を行うことにより、処理後のデータを全て(0,1)の間にしてもよい。ここで、Xrealは実際のサンプルの真の値であり、Xは正規化処理後のデータであり、Xmaxは対応する種類のデータサンプルの最大値又は上限値であり、Xminは対応する種類のデータサンプルの最小値又は下限値である。
【0060】
例えば、整流器の現在接続数が11であり、整流器の現在接続数の範囲を0~100と仮定すると、整流器の現在接続数11を正規化処理すると0.11になる。また、例えば、整流器、電池、監視ユニット、交流配電、及び、直流配電等部品の南向き/北向きの対象については、例えばフィールド監視ユニットFSUを1.0とし、監視ユニットを0.9とし、直流配電を0.8とし、電池を0.7とし、整流器を0.6とするなど、(0,1)の間の1つのID値を簡単に定義してもよい。監視ユニットの北向きの対象がFSUである場合、その北向きの対象を{1.0}と示してもよい。南向きの対象が電池と整流器である場合、その南向きの対象を{0.7,0.6}と示してもよい。
【0061】
ステップ304において、トレーニングセット、バリデーションセット、テストセットを作成する。
【0062】
具体的には、トレーニングセット、バリデーションセット、テストセットを6:2:2の割合で作成してもよい。先ずトレーニングセットによってモデルをトレーニングしておく必要があるため、必要なサンプルデータの数が多い。トレーニングセットによってモデルをトレーニングした後で、データ数が比較的少ないバリデーションセットを用いてトレーニング済のモデルに対してバリデーションを行い、さらに、データ数が比較的少ないテストセットを用いて、トレーニング済のモデルに対してテストと補正を行ってもよい。
【0063】
ステップ305において、配置構成モデルを構築しトレーニングする。
【0064】
具体的には、上記集団の理論における第1点(集団の構成)に対応して、集団の構成モデルを構築しトレーニングする。配置構成モデルの入力パラメータは第1システムと第2システムにおける各部材の配置構成を含み、出力パラメータは配置構成に変化なし又は変化ありであり、さらにトレーニングセット、バリデーションセット及びテストセットを含むトレーニングデータを用いて、配置構成モデルをトレーニングする。
【0065】
ステップ306において、構造モデルを構築しトレーニングする。
【0066】
具体的には、上記集団の理論における第2点(集団の構造)に対応して、集団の構造モデルを構築しトレーニングする。構造モデルの入力パラメータは第1システムと第2システムにおける各部材の南向き/北向きの対象を含み、出力パラメータは、南向き/北向きの対象に変化なし又は変化ありであり、さらにトレーニングセット、バリデーションセット及びテストセットを含むトレーニングデータを用いて、構造モデルをトレーニングする。
【0067】
ステップ307において、変遷モデルを構築しトレーニングする。
【0068】
具体的には、上記集団の理論における第3点(集団の変遷)に対応して、集団の変遷モデルを構築しトレーニングする。変遷モデルの入力パラメータは第1システムと第2システムにおける各部材に発生したイベント集合、例えば、部品交換、バージョンアップ、及び安全事故等を含み、出力パラメータは、イベント集合に変化なし又は変化ありであり、さらにトレーニングセット、バリデーションセット及びテストセットを含むトレーニングデータを用いて、変遷モデルをトレーニングする。
【0069】
ステップ308において、基本設定モデルを構築しトレーニングする。
【0070】
具体的には、上記集団の理論における第4点(集団の価値及び規範)に対応して、集団の規範モデルを構築しトレーニングする。基本設定モデルの入力パラメータは、第1システムと第2システムにおける各部材の基本設定パラメータ、例えば、作動モード、電池容量、過熱保護点及び過電圧保護点等を含み、出力パラメータは基本設定パラメータに変化なし又は変化ありであり、さらにトレーニングセット、バリデーションセット及びテストセットを含むトレーニングデータを用いて、基本設定モデルをトレーニングする。
【0071】
ステップ309において、バージョンモデルを構築しトレーニングする。
【0072】
具体的には、上記集団の理論における第5点(集団の発展レベル)に対応して、集団のレベルモデルを構築しトレーニングする。バージョンモデルの入力パラメータは、第1システムと第2システムにおける各部材のバージョンパラメータを含み、出力パラメータは、基本設定パラメータに変化なし又は変化ありであり、さらにトレーニングセット、バリデーションセット及びテストセットを含むトレーニングデータを用いて、バージョンモデルをトレーニングする。
【0073】
なお、ここでステップ305からステップ309までの順番は限定されない。また、設置効率を向上させるために、配置構成モデルからバージョンモデルのうちの一部のモデルを同時に構築及びトレーニングしてもよい。
【0074】
ステップ310において、統合モデルを構築しトレーニングする。
【0075】
具体的には、図9における統合モデルの入出力模式図を参照すると、統合モデルの入力パラメータは、配置構成モデルからバージョンモデルまでのそれぞれから出力された判定結果である。出力パラメータは第1システムと第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果であり、デバイスが第1システムに属したことがあるか否かを示す結果として理解してもよい。さらにトレーニングセット、バリデーションセット及びテストセットを含むトレーニングデータを用いて、統合モデルをトレーニングする。
【0076】
一実施例において、実際の状況に応じて、以上の6つの学習モデルから1つ又は複数を選んで設置してもよい。
【0077】
N+1個のトレーニング済の学習モデルが構築および設置され、学習モデルがいずれもデバイスに設置された場合、上記デバイス制御方法は、デバイスに適用可能である。学習モデルがいずれも第1システムにセットされた場合、上記デバイス制御方法は、第1システムに適用可能である。デバイスと第1システムのいずれにも学習モデルが設置された場合、上記方法は、デバイスによって実行されてもよいし、第1システムによって実行されてもよい。
【0078】
一実施例において、図11のフローチャートを参照すると、ステップ402とステップ102はほぼ同様であるので、ここで繰り返して説明しない。
【0079】
サブステップ4011において、デバイスの第1システムへのアクセスが検出された場合、事前にトレーニング済の学習モデルがデバイスに設置されているか否かを判定し、YESの場合、サブステップ4012に移行し、NOの場合、サブステップ4013に移行する。
【0080】
サブステップ4012において、第1システムから送信された第1システムのシステム情報を受信するとともに、デバイスに記憶された第2システムのシステム情報を取得する。
【0081】
サブステップ4013において、第1システムが第2システムのシステム情報を受信するとともに、第1システムに記憶された第1システムのシステム情報を取得するよう、第2システムのシステム情報を第1システムに送信する。
【0082】
ステップ403において、第1システムと第2システムが同一のシステムではない場合、デバイスにおける盗難処理ユニットにイネーブル信号を出力して盗難処理ユニットをイネーブルにし、デバイスを制御して出力をロックさせる。
【0083】
具体的には、デバイスは、第1システムへのアクセス後に、短時間、例えば5分間は正常の出力を維持するが、この間にデバイスは事前にトレーニング済の学習モデルがデバイスに設置されているか否かを判定する。デバイスに設置されている場合、第1システムから第1システムのシステム情報を取得し、取得した第1システムと第2システムのシステム情報をともに学習モデルに入力して総合的に判定する。デバイスに設置されていない場合、学習モデルが第1システムに設置されている判定する。このときデバイスは第2システムのシステム情報を第1システムに送信し、第1システムが、取得した第2システムのシステム情報と第1システムのシステム情報をともに学習モデルに入力して総合的に判定できるようにする。
【0084】
図3は、トレーニング済の学習モデルが第1システムの監視ユニットに設置された例を示している。監視ユニットは、整流器に記録された第2システムのシステム情報を取得し、第1システムと第2システムのシステム情報を配置構成モデル、構造モデル、変遷モデル、基本設置モデル及びバージョンモデルにそれぞれ入力し、さらに5つのモデルにより得られた判定結果を統合モデルに入力することにより、整流器が第1システムに属したことがあるか否かを示す結果を取得する。そして、整流器の盗難処理ユニットに結果を入力する。整流器が第1システムに属したことがある場合、整流器の正常の出力を維持する。整流器が第1システムに属したことがない場合、整流器が盗まれたと認定し、盗難処理ユニットが整流器を制御して出力をロックさせる。
【0085】
一実施例において、それぞれトレーニング済の配置構成モデル、構造モデル、変遷モデル、基本設置モデル及びバージョンモデルにそれぞれ異なる情報を入力する。例えば、配置構成モデルに、現在のシステム情報のうち、第1システムの各部材の配置構成と、記載されたシステム情報のうち、第2システムの各部材の配置構成とを入力する。構造モデルに、現在のシステム情報のうち、第1システムの各部材の南向き/北向きの対象と、記載されたシステム情報のうち、第2システムの各部材の南向き/北向きの対象とを入力する。変遷モデルに、現在のシステム情報のうち、第1システムの各部材に発生したイベント集合と、記載されたシステム情報のうち、第2システムの各部材に発生したイベント集合とを入力する。基本設定モデルに、現在のシステム情報のうち、第1システムの各部材の基本設定パラメータと、記載されたシステム情報のうち、第2システムの各部材の基本設定パラメータとを入力する。バージョンモデルに、現在のシステム情報のうち、第1システムの各部材のバージョンパラメータと、記載されたシステム情報のうち、第2システムの各部材のバージョンパラメータとを入力する。そして、配置構成モデル、構造モデル、変遷モデル、基本設定モデル及びバージョンモデルから出力された判定結果を、統合モデルに入力することで、第1システムと第2システムが同一のシステムであるか否かを総合的に判定する。デバイスが第1システムに属したことがあるか否かを総合的に判定すると理解してもよい。デバイスが第1システムに属したことがあると判定した場合、デバイスの正常の作動状態を維持し、デバイスが第1システムに属したことがないと判定した場合、デバイスが盗まれたと認定し、このとき出力をロックするようにデバイスを制御する。さらに、警報信号を発するように整流器を設定してもよい。
【0086】
明らかに、第1システムと第2システムが複雑になるほど、その中に含まれる整流器、電池、交流・直流配電装置等のサブ部材の数が多くなり、集団の基本特徴とパラメータが多くなり、且つ顕著になる。ひいては整流器の特徴識別及び場面識別の正確率を有効に向上させることができる。
【0087】
通常、整流器等のデバイスは壊れやすいため、通信事業者は、速やかに交換して給電の安全を確保するために、整流器等のデバイスを予備部材として多めに購入するのが一般的である。これらの予備部材も同様に盗難に遭うリスクがあることは明らかである。
【0088】
一実施例において、あるステーションの通信電源の起動時、全ての予備整流器を使用確率の最も小さいスロット(例えば、最後のスロット)に1ずつ挿入し、上記のようなデバイスを第2システムへアクセスさせる操作を順次実行し、全ての予備整流器に、現在アクセス中の電源システムの基本特徴パラメータ情報を記録して記憶させる。そして、予備整流器を現在アクセス中の電源システムから除去してもよい。これらの予備整流器が転売され、他の電源システムに挿入されたり、或いは、競争相手のメーカにより通電されると、整流器は、状況の変化を自動的に識別し、さらに出力をロックすることで、盗む価値を低下させ、ひいてはデバイスの盗難問題を緩和することができる。
【0089】
本出願の一実施例は、デバイス制御装置に関し、図12を参照すると、該デバイス制御装置は、取得モジュール1と、入力モジュール2と、制御モジュール3とを備え、取得モジュール1は、入力モジュール2に接続され、入力モジュール2は、制御モジュール3に接続されている。
【0090】
取得モジュール1は、デバイスの第1システムへのアクセスが検出された場合、第1システムのシステム情報とデバイスに記録された第2システムのシステム情報を取得する。第2システムは、第1システムへアクセスするより前に、デバイスがアクセスしたことのあるシステムである。入力モジュール2は、第1システムのシステム情報と第2システムのシステム情報を事前にトレーニング済の学習モデルに入力し、第1システムと第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果を取得する。システム情報にはN個のカテゴリの情報が含まれ、Nは1よりも大きい整数である。制御モジュール3は、第1システムと第2システムが同一のシステムではないと判定した場合、出力をロックするようにデバイスを制御する。
【0091】
明らかに、本実施例は、上記の方法実施例に対応する装置の実施例であり、本実施例は、上記方法実施例と互いに組み合わせて実施することができる。上記方法実施例で説明された関連の技術的な詳細は、本実施例においても有効であり、重複を避けるためにここで繰り返して説明しない。したがって本実施例で説明された関連の技術的な詳細は上記方法実施例に応用することもできる。
【0092】
なお、本実施例に記載された各モジュールは、いずれも論理モジュールであり、実際の運用において、1つの論理ユニットは1つの物理ユニットであっても、1つの物理ユニットの一部であっても、複数の物理ユニットの組合せで実現するものであってもよい。また、本出願の革新性を顕著にするために、本実施例において、本出願が示した技術課題の解決と関連性が低いユニットは記載されていないが、本実施例において他のユニットが存在しないことを意味するわけではない。
【0093】
本出願の一実施例は、デバイスに関し、図13に示すように、該デバイスは、少なくとも1つのプロセッサ501と、少なくとも1つのプロセッサ501に通信可能に接続されたメモリ502とを備える。メモリ502には、少なくとも1つのプロセッサ501で実行可能なコマンドが記憶されている。コマンドが少なくとも1つのプロセッサ501により実行されることで、少なくとも1つのプロセッサ501は、上記デバイス制御方法を実行可能になる。
【0094】
また、メモリとプロセッサは、バスによって接続される。バスは、任意の数の相互接続されたバスとブリッジとを含んでもよい。バスは、1つ又は複数のプロセッサとメモリの各種回路を接続する。バスが、周辺デバイス、電圧レギュレータ、パワー管理回路等のような各種の他の回路を接続してもよいことは、本分野で周知のことであるため、ここでさらに詳しく説明しない。バスインターフェスはバスと送受信機とのインターフェスとして機能する。送受信機は1つの素子であってもよいし、例えば複数の受信器と送信器を含む複数の素子であってもよく、伝送媒体での他の各装置との通信用のユニットとして機能する。プロセッサによって処理されたデータはアンテナを介して無線媒体で伝送される。また、アンテナはデータを受信してプロセッサに伝送する。
【0095】
プロセッサは、バス及び通常の処理を管理するとともに、タイマ、周辺デバイスとのインターフェス、電圧調節、電源管理及びその他の制御機能を含む各種の機能を提供する。メモリは、プロセッサが操作の実行時に使用するデータを記憶するためにも使用される。
【0096】
本出願の一実施例は、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体に関する。コンピュータプログラムは、プロセッサにより実行された場合に上記の方法実施例を実現する。
【0097】
即ち、当業者であれば理解できるように、上記実施例の方法における全部又は一部のステップは、プログラムにより関連ハードウェアに指示することで遂行することができる。該プログラムは記憶媒体に記憶され、デバイス(シングルチップマイクロコンピュータ、チップ等であってもよい)又はプロセッサに本出願の各実施例に記載される方法の全部又は一部のステップを実行させるための複数のコマンドを含む。上記記憶媒体は、Uディスク、モバイルハードディスク、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、磁気ディスク、光ディスク等のプログラムコードを記憶可能な各種の媒体を含む。
【0098】
当業者であれば理解できるように、上記各実施例は、本出願を実現するための具体的な実施例であり、実際の運用において、本出願の精神と範囲から逸脱せずに、形式上及び細部で各種変更を加えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
N個のカテゴリモデルから出力された判定結果を取得した後に、これらの判定結果を統合モデルに入力する。図9における統合モデルの入出力模式図を参照すると、統合モデルの入力パラメータはN個のモデルから出力された判定結果を含む。一実施例において、判定結果はそれぞれ、配置構成の状態値、集団の構造の状態値、集団の変遷の状態値、集団の規範の状態値、及び集団のレベルの状態値であり、出力パラメータは第1システムと第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果であり、「0」は変化なしを示し「1」は変化ありを示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
集団の構成のサンプルデータを例として説明する。通信電源システムが100Aの壁掛け式電源に適用された状況において、整流器、電池、監視ユニット、交流配電ユニット及び直流配電ユニットの配置数が、それぞれ2、1、1、0、0個であると仮定した場合、実際の作動数は、2、1、1、0、0個である可能性がある。通信電源システムが300Aの埋込式電源に適用された状況において、配置数がそれぞれ6、2、1、0、0個であると仮定した場合、実際の作動数は、5、2、1、0、0個、又は、4、2、1、0、0個である可能性がある。通信電源システムが2000Aのコアネットワーク電源に適用された状況において、配置数が、それぞれ40、4、2、1、1と仮定した場合、実際の作動数は、30~40、2~4、2、1、1個である可能性がある。このように、論理上実際に発生しうるサンプルデータに一致していれば使用可能であり、したがって、ツールソフトウェアによってサンプルデータを自動的、大量且つ迅速に生成することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
例えば、整流器の現在接続数が11であり、整流器の現在接続数の範囲を0~100と仮定すると、整流器の現在接続数11を正規化処理すると0.11になる。また、例えば、整流器、電池、監視ユニット、交流配電ユニット、及び、直流配電ユニット等部品の南向き/北向きの対象については、例えばフィールド監視ユニットFSUを1.0とし、監視ユニットを0.9とし、直流配電を0.8とし、電池を0.7とし、整流器を0.6とするなど、(0,1)の間の1つのID値を簡単に定義してもよい。監視ユニットの北向きの対象がFSUである場合、その北向きの対象を{1.0}と示してもよい。南向きの対象が電池と整流器である場合、その南向きの対象を{0.7,0.6}と示してもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
具体的には、上記集団の理論における第5点(集団の発展レベル)に対応して、バージョンモデルを構築しトレーニングする。バージョンモデルの入力パラメータは、第1システムと第2システムにおける各部材のバージョンパラメータを含み、出力パラメータは、バージョンパラメータに変化なし又は変化ありであり、さらにトレーニングセット、バリデーションセット及びテストセットを含むトレーニングデータを用いて、バージョンモデルをトレーニングする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスの第1システムへのアクセスが検出された場合、前記第1システムのシステム情報と、前記デバイスに記録された第2システムのシステム情報とを取得するステップと、
前記第1システムのシステム情報と前記第2システムのシステム情報とを事前にトレーニング済の学習モデルに入力し、前記第1システムと前記第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果を取得するステップと、
前記第1システムと前記第2システムが同一のシステムではない場合、出力をロックするように前記デバイスを制御するステップと、を含み、
前記第2システムは、前記第1システムへアクセスする前に前記デバイスがアクセスしたことのあるシステムであり、
前記システム情報にはN個(Nは1より大きい整数)のカテゴリの情報が含まれている、
デバイス制御方法。
【請求項2】
前記学習モデルは、前記N個のカテゴリに1対1で対応するN個のカテゴリモデルと1つの統合モデルとを含み、
前記第1システムのシステム情報と前記第2システムのシステム情報とを事前にトレーニング済の学習モデルに入力し、前記第1システムと前記第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果を取得する前記ステップは、
前記第1システムのシステム情報と、前記第2システムの対応するカテゴリのシステム情報とをそれぞれ前記N個のカテゴリモデルに入力し、N個の判定結果を取得するステップと、
前記N個の判定結果を前記統合モデルに入力し、前記第1システムと前記第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果を取得するステップと、を含む、
請求項1に記載のデバイス制御方法。
【請求項3】
前記N個のカテゴリモデルは、
前記システム情報のうち各部材の配置構成に基づいて、前記第1システムの配置構成と前記第2システムの配置構成とが適合するか否かを示す結果を前記判定結果として取得するための配置構成モデルと、
前記システム情報のうち各部材の南向き/北向きの対象に基づいて、前記第1システムの南向き/北向きの対象と前記第2システムの南向き/北向きの対象とが適合するか否かを示す結果を前記判定結果として取得するための構造モデルと、
前記システム情報のうち各部材に発生したイベント集合に基づいて、前記第1システムのイベント集合と前記第2システムのイベント集合とが適合するか否かを示す結果を前記判定結果として取得するための変遷モデルと、
前記システム情報のうち各部材の基本設定パラメータに基づいて、前記第1システムの基本設定パラメータと前記第2システムの基本設定パラメータとが適合するか否かを示す結果を前記判定結果として取得するための基本設定モデルと、
前記システム情報のうち各部材のバージョンパラメータに基づいて、前記第1システムのバージョンパラメータと前記第2システムのバージョンパラメータとが適合するか否かを示す結果を前記判定結果として取得するためのバージョンモデルと、のうちのいずれか1つ又は任意の組合せを含む、
請求項2に記載のデバイス制御方法。
【請求項4】
前記デバイスに適用され、
前記第1システムのシステム情報と、前記デバイスに記録された第2システムのシステム情報とを取得する前記ステップは、
前記第1システムから送信された前記第1システムのシステム情報を受信するとともに、前記デバイスに記憶された前記第2システムのシステム情報を取得するステップを含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス制御方法。
【請求項5】
前記第1システムにおける監視ユニットに適用され、
前記第1システムのシステム情報と、前記デバイスに記録された第2システムのシステム情報とを取得する前記ステップは、
前記デバイスから送信された前記第2システムのシステム情報を受信するとともに、前記第1システムに記憶された前記第1システムのシステム情報を取得するステップを含み、
出力をロックするように前記デバイスを制御する前記ステップは、
前記デバイスにおける盗難処理ユニットにイネーブル信号を出力して、前記盗難処理ユニットをイネーブルにし、前記デバイスを制御して出力をロックさせるステップを含む、
請求項に記載のデバイス制御方法。
【請求項6】
前記学習モデルは、機械学習モデルである、
請求項に記載のデバイス制御方法。
【請求項7】
前記第1システムと前記第2システムは、いずれも電源システムであり、前記デバイスは、整流器、インバータ、無停電電源装置、及び、DC/DCシステムのうちのいずれか1つである、
請求項に記載のデバイス制御方法。
【請求項8】
デバイスの第1システムへのアクセスが検出された場合、前記第1システムのシステム情報と、前記デバイスに記録された第2システムのシステム情報とを取得するための取得モジュールと、
前記第1システムのシステム情報と前記第2システムのシステム情報を事前にトレーニング済の学習モデルに入力し、前記第1システムと前記第2システムが同一のシステムであるか否かを示す結果を取得するための入力モジュールと、
前記第1システムと前記第2システムが同一のシステムではない場合、出力をロックするように前記デバイスを制御するための制御モジュールと、を備え、
前記第2システムは、前記第1システムへアクセスする前に前記デバイスがアクセスしたことのあるシステムであり、
前記システム情報にはN個(Nは1より大きい整数)のカテゴリの情報が含まれている、
デバイス制御装置。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続されたメモリと、を備え、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサで実行可能なコマンドが記憶されており、前記コマンドが前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサは、請求項に記載のデバイス制御方法を実行可能になる、
電子デバイス。
【請求項10】
プロセッサにより実行された場合に請求項に記載のデバイス制御方法を実現する、コンピュータプログラムが記憶されている、
コンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】