(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】歯列弓受容要素
(51)【国際特許分類】
A61C 17/00 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
A61C17/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504512
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2022070440
(87)【国際公開番号】W WO2023006559
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ボースマ ヨルデルト マリア
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト ルツ クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】バト ラヴィンドラ
(72)【発明者】
【氏名】バッカー‐ファン デル カンプ ガートルード リエッテ
(72)【発明者】
【氏名】ゴッテンボス バート
(72)【発明者】
【氏名】ブランダオ シルヴァ プリシラ
(57)【要約】
歯列弓受容要素は、ユーザの歯を受容するための形状適合可能構造で形成された弓状部を有する。弓状部装着段階中に形状適合可能構造が対象の歯列弓の形状に対応する形状にされた後に形状適合可能構造の剛性を増加させるために、アクチュエータが使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの歯を受容するための形状適合可能構造で形成された弓状部と、
弓状部装着段階中に前記形状適合可能構造が対象の歯列弓の形状に対応する形状にされた後に前記形状適合可能構造の剛性を増加させるためのアクチュエータ構成部と、
前記アクチュエータ構成部を制御するためのコントローラと
を備え、
前記形状適合可能構造は、流体内に固体状態粒子がある少なくとも1つのチャンバを備え、前記アクチュエータ構成部は、前記剛性を増加させるために前記チャンバから流体を放出するための圧力源を備え、
前記圧力源は、負圧を付与するように制御可能であり、前記固体状態粒子の漏れを防止するフィルタによって前記少なくとも1つのチャンバに接続されている、歯列弓受容要素。
【請求項2】
前記歯に面する前記弓状部の表面に洗浄及び/又は治療用構成部を更に備える、請求項1に記載の歯列弓受容要素。
【請求項3】
前記洗浄及び/又は治療用構成部は、毛房構成部、毛束レイアウト若しくはエラストマーベースの洗浄要素、及び/又は流体チャンネル、及び/又は電極、及び/又は発光要素若しくは導光路を備える、請求項2に記載の歯列弓受容要素。
【請求項4】
前記コントローラは、更に、前記洗浄及び/又は治療用構成部の動作を実現するように前記圧力源を調節するためのものである、請求項2又は3に記載の歯列弓受容要素。
【請求項5】
前記アクチュエータ構成部は、更に、前記弓状部装着段階中に粒子の前記チャンバに圧力調節を適用するためのものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の歯列弓受容要素。
【請求項6】
前記固体状態粒子の前記チャンバは、個別に制御可能な圧力レベルを各々が有するチャンバセグメントの列を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の歯列弓受容要素。
【請求項7】
前記チャンバセグメントの列は、粒子を含有する少なくとも2つのチャンバセグメントと、粒子を含有しない中間セグメントとを備え、前記アクチュエータ構成部は前記中間セグメントを膨らませ又は萎ませる、請求項6に記載の歯列弓受容要素。
【請求項8】
前記弓状部は、歯肉線の顎側における位置決めのための第1の形状適合可能構造を有する第1のセクションと、前記歯肉線の歯側における位置決めのための第2の形状適合可能構造を有する第2のセクションとを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の歯列弓受容要素。
【請求項9】
前記第1及び第2のセクションは、ゴム継手又はばね要素又はヒンジなどの結合要素によって接合される、請求項8に記載の歯列弓受容要素。
【請求項10】
外側シェルと、前記弓状部装着段階中に前記歯に向かって前記弓状部を押しつけるための付勢構成部とを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の歯列弓受容要素。
【請求項11】
前記付勢構成部は空気区画室を備え、前記アクチュエータ構成部は、前記空気区画室に圧力を付与するための圧力源を更に備える、請求項10に記載の歯列弓受容要素。
【請求項12】
前記付勢構成部は、磁気アクチュエータ又はばね構成部を備える、請求項10に記載の歯列弓受容要素。
【請求項13】
ユーザの歯を受容するための形状適合可能構造で形成された弓状部と、
弓状部装着段階中に前記形状適合可能構造が対象の歯列弓の形状に対応する形状にされた後に前記形状適合可能構造の剛性を増加させるためのアクチュエータ構成部と
を備え、
前記形状適合可能構造は、油と磁場に反応する微小粒子との混合物から成る磁気レオロジー流体を含み、前記磁気レオロジー流体は、前記磁場に曝されたときに、その生来の粘度及び有効流体硬度を増加させ、前記アクチュエータ構成部は磁場源を備える、歯列弓受容要素。
【請求項14】
前記弓状部装着段階中に前記弓状部に装着されるインサートを備え、前記弓状部装着段階の後に前記インサートに代わって置かれる洗浄及び/又は治療用構成部を更に備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の歯列弓受容要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば歯の洗浄、治療又は保護用マウスピースの一部としての、歯列弓を受容するための要素に関する。
【背景技術】
【0002】
歯を迅速に及び効率的に洗浄し得るマウスピースに大きな関心が持たれている。洗浄用マウスピースは、典型的には、歯列弓受容要素と、歯列弓受容要素内で(又はこれと一緒に)作動又は振動される毛房(又は他の洗浄要素)のセットとを備える。
【0003】
洗浄用マウスピースを使用した自動的な歯のブラッシングは、台頭しつつある技術になっている。いくつかのマウスピースベースの歯洗浄システムが発展段階にあり、特には、ブラッシング時間が短く(例えば、6~30秒)なることを求めている。従って、これらのシステムは、速度と使用の容易さとを主な価値推進要因として有する。
【0004】
マウスピースは、口の内側に置かれ、歯に装着される洗浄システムの一部であり、歯に面する洗浄用毛房を有する。典型的には、マウスピースは、一方の顎の歯を覆う1つの弓状部又は両方の顎の歯を覆う一対の弓状部を備える。システムは、典型的には、使用時に口の外部に残る他の部品(例えば、モーター及び電子回路を有するハンドル)を有する。
【0005】
ブラッシング動作を提供するために歯の表面に対して移動又は振動するようにマウスピース又は毛房のみが駆動される。
【0006】
十分な洗浄性能を達成するための課題のうちの1つは、十分な毛房が歯の表面に届いて洗浄力が伝達されることを保証するために、歯へのマウスピースの適切な装着を保証することである。人々の(又は、実際上、動物の)歯のサイズ及び湾曲には大きな差があり、顎の原型にも大きなばらつきがあるので、「1つのサイズで全てにフィット」するソリューションを生み出すことはほとんど不可能である。例えば、ブラッシング用マウスピースは、しばしば、1つのサイズで、又は種々のサイズ(例えば、小、中、大サイズ)で提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
単一サイズのマウスピースを有するシステムにおいて、デザインは、しばしば、平均的寸法に基づく。しかしながら、消費者のうちには、マウスピースが大きすぎて毛房が歯に接触しないので、洗浄がうまくいかないか又は全く洗浄されないという事態を体験するものがいる。他の消費者のうちには、マウスピースが単に小さすぎるために歯の上にマウスピースを配置できないものもいる。
【0008】
本発明は、人々の間に見られる歯(顎)及び噛み合わせのタイプのばらつきに対処するための個人化されたやり方による歯列弓への歯受容要素の装着に関する。
【0009】
米国特許出願第2009/208898号は、加圧された洗浄用流体の流れを送達するマウスピースを開示している。
【0010】
WO2020/017963は、洗浄用毛房を担持する変形可能な陥凹壁部を有する圧力チャンバを有するマウスピースを開示している。往復運動を提供するために、圧力チャンバにおける圧力に応じて陥凹壁部が前後に移動する。
【0011】
米国特許出願第2020/253702号は、密閉された区画室の周りに形成された柔軟性の膜を有するマウスピースを開示している。区画室における圧力は、洗浄動作を実施するように調整される。
【0012】
DE10230736は、歯洗浄用マウスピースを開示している。
【0013】
米国特許第9504542号は、可逆的に変形可能な柔軟性の材料で形成された歯洗浄用マウスピースを開示している。柔軟なマウスピースの連続的な緩和及び収縮が、歯洗浄機能を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は特許請求の範囲によって定められる。
【0015】
本発明の態様に従った実施例によると、
ユーザの歯/顎を受容するための形状適合可能構造で形成された弓状部と、
弓状部装着段階中に形状適合可能構造が対象の歯列弓の形状に対応する形状にされた後に形状適合可能構造の剛性を増加させるためのアクチュエータ構成部と
を備える歯列弓受容要素が提供される。
【0016】
この要素デザインは、対象の歯の形状に合致するように変形され得る形状適合可能弓状部を備える。次いで、これは、ユーザの歯を洗浄するための洗浄用構成部のしっかりとした支持を提供し得るように、剛性を大きくされ得る。このようにして、この要素は、ユーザの口腔及び歯の位置及び向きのサイズ及び形状に合致される。これは、サイズフィッティング及び輪郭追従(幾何学的構造フィッティング)を提供し得る。故に、歯列弓のサイズ及び形状は、全体的な弓状部形状に関連し、又は歯列弓に沿った歯の表面さえも関連しており、又は両方の顎の互いに対する位置/向き(噛み合わせタイプ)にさえも関連している。
【0017】
剛性制御は、好ましくは、弓状部の一時的な又は可逆的な3D形状を設定するが、代わりに、単一平面における歯の弓形状の周りの輪郭のみを設定するなど、ある方向のみにおける形状ロックを提供してもよい。形状は(単一のユーザのために)一度だけ設定され得、又は、再設定が時々必要とされるが、必ずしも毎回の使用の前に必要とされるものではない。
【0018】
歯列弓受容要素は、洗浄用マウスピースの一部であるが、光線療法のため又は歯の白色化のためのものでもよく、又は、マウスガード、下顎前方移動デバイス、又は矯正器具であってもよい。
【0019】
歯列弓受容要素は、人間のために又はペットなどの動物のために使用され得る。
【0020】
この要素の個人化された装着は、例えば、(歯肉線、隣接歯間エリア、並びに舌側及び頬側エリアを洗浄するための)洗浄用毛房が、より良好に歯の表面に到達し、被覆することを可能とする。
【0021】
形状適合可能構造は、例えば、流体内に固体状態粒子がある少なくとも1つのチャンバを備え、アクチュエータ構成部は、剛性を増加させるためにチャンバから流体を放出するための圧力源を備える。流体は、液体又はガス又は両者の混合物であってよい。好ましくは、圧力源は負圧源(大気に対して)であるが、正圧を付与するように制御可能でもあってもよい。
【0022】
これは、剛性の制御を実現するためのやり方の1つである。これは、流体のような状態と固体のような状態との間での可逆的な遷移を提供するために、粒状ジャミングの原理を利用する。例えば、粒子の抜け出しを防止するためにチャンバと圧力源との間にフィルタが具備される。粒子は、ポリマー、セラミック、金属、又は天然物である。また、種々の粒子サイズ及び形状が使用される。
【0023】
歯列弓受容要素は、歯に面する弓状部の表面に洗浄及び/又は治療用構成部を更に備える。
【0024】
洗浄及び/又は治療用構成部は、弓状部に受容される毛房構成部など、弓状部とは別個の部分として形成されてもよく、又は、弓状部自体の表面であってもよい。例えば、洗浄用構成部は、毛房構成部又は毛束レイアウト又はエラストマーベースの洗浄要素を備える。例えば、毛房構成部は、弓状部の内側面及び/又は外側面を裏打ちする。
【0025】
歯列弓受容要素は、洗浄及び/又は治療用構成部の動作を実現するように圧力源を調節するためのコントローラを更に備える。このように、洗浄及び/又は治療機能は、同一の圧力源によって実現され得る。剛性を周期的に適合させることによって、硬度を設定するために使用されるものと同一の圧力制御を使用して微小運動が誘起され得る。
【0026】
例えば、アクチュエータ構成部は、正圧など、弓状部装着段階中に粒子のチャンバに圧力調節を適用するためのものでもある。この正圧は、初期の輪郭追従及び形状適合可能弓状部の剛性が小さい状態における把持を向上させるために使用される。
【0027】
圧力における正の傾斜又は増加が使用され、時間経過に伴う圧力勾配(dp/dt)又は絶対圧の大きさ(Δp)が使用される。
【0028】
アクチュエータ構成部は、洗浄用構成部の動作の一部として正圧などの圧力調節も付与してもよい。
【0029】
固体状態粒子のチャンバは、個別に制御可能な圧力レベルを各々が有するチャンバセグメントの列を備え得る。
【0030】
別個の圧力源(コンプレッサ又は真空生成器)によって異なる圧力レベルが達成され、さもなければ、チャンバの幾何学的形状又は材料特性が、異なるチャンバセグメントにおける動作圧力レベルの制御を提供するように設計され得る。
【0031】
チャンバセグメントの列は、顎の上での又は顎に沿った直線移動を誘起し、それによって、洗浄を実現するために望ましい運動を提供するために使用され得る。上下運動及び歯列弓方向に沿った運動を制御することが可能である。
【0032】
上述されたように、正圧レベルは、初期装着段階中にも制御され得る。
【0033】
チャンバセグメントの列は、粒子を含有する少なくとも2つのチャンバセグメントと、粒子を含有しない中間セグメントとを備え、アクチュエータ構成部は中間セグメントを膨らませ又は萎ませるように適合される。
【0034】
この中間チャンバは、コントローラとして機能する。例えば、正圧は、両側のチャンバセグメントを外側に押しやり、負圧はこれらを引き入れる。端部のチャンバセグメントのうちの1つを(その局所的な剛性を増加させることによって)ロックすることによって、1つのチャンバの歯に沿った移動が制御され得る。これと組み合わされて、全体的な形状適合可能弓状部が、顎全体に届くように歯に沿って這うように進む。同様の構成が、洗浄及び/又は治療用構成部が上下に移動することを可能とするためにも使用され得る。
【0035】
弓状部は、歯肉線の顎側における位置決めのための第1の形状適合可能構造を有する第1のセクションと、歯肉線の歯側における位置決めのための第2の形状適合可能構造を有する第2のセクションとを備え得る。
【0036】
これらのセクションは異なる性質を有し得る。第1の形状適合可能構造は、歯肉に形状適合し得、歯肉に沿って移動し得、第2の形状適合可能構造は、歯に形状適合し得、歯に沿って移動し得る。
【0037】
これらの構造は、キャタピラのように交互に又は非同期的に形状適合及び移動するように制御され得る。故に、形状適合と移動との順次的なステップが存在する。いくつかのユニットが形状適合状態にあるとき、他のユニットは萎まされ、移動可能である。
【0038】
第1の及び第2のセクションは、例えば、結合要素によって接合される。このことは、第1の形状適合可能構造が歯肉を把持している間に第2の形状適合可能構造が歯を洗浄すること、又はその逆を可能とする。
【0039】
歯列弓受容要素は、外側シェルと、弓状部装着段階中に歯に向かって弓状部を押しつけるための付勢構成部とを備え得る。
【0040】
この外側シェルは、装着中に及び負圧が付与される前/間に、歯又は歯肉へと形状適合可能弓状部を操縦することを助ける。
【0041】
付勢構成部は空気区画室を備え、アクチュエータ構成部は、空気区画室に圧力を適用するための圧力源を更に備え得る。こうして、弓状部装着段階中に歯に向かって粒子チャンバを押しつけるために、別個の空気区画室が使用され得る。
【0042】
代替的に、付勢構成部は、磁気アクチュエータ又はばね構成部を備え得る。このように、粒子チャンバを歯に向かって付勢するために他のやり方が存在する。
【0043】
形状適合可能構造は、磁場に曝されたときにその生来の粘度及び有効流体硬度を増加させる流体を含み、アクチュエータ構成部は磁場源を備え得る。このことは、弓状部の剛性を制御するための代替的なやり方を提供する。磁場を使用した流体ダンパーが、流体の粘度を変化させるために使用され、そのやり方によって、減衰する又は局所的に変化する(例えば、より高くなる)硬度を提供する。磁気レオロジー(「MR」)ダンパーは、MR流体の物理的特性を利用する。MR流体は、磁場を受けたときにその粘度を変化させる。MR流体は、油(通常、シリコーン油)と磁場に反応する微小粒子(例えば、鉄の粒子)との混合物から成る。
【0044】
装着段階において、弓状部と歯との間に毛房又は他の洗浄用構成部のためのいかなる空間も残されない。例えば、装着は、毛房がすでに所定位置にある状態で実施されるが、これには、弓状部装着段階中に毛房が変形されてしまうというリスクがある。
【0045】
代替的な選択肢として、2つのレイヤ材料によって装着ステップを実施するやり方があり、内側レイヤ(歯の弓形状に近い方のレイヤ)は、歯列弓受容要素と歯との間に既定の距離をもたらすとともに、毛房パッドによって置き換えられ得る。この場合、歯列弓受容要素は、弓状部装着段階中に弓状部に装着されるインサートを備え、弓状部装着段階の後にインサートに代わって置かれる洗浄及び/又は白色化用構成部を更に備える。
【0046】
故に、弓状部の装着は、洗浄及び/又は白色化用構成部が所定位置にない状態で行われるが、特定の構成部(毛房、スポンジ、導光路、白色化ペースト、流体チャンネル、電極など)を追加するための空間を残している。
【0047】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施形態から明らかであり、これらを参照して明瞭にされるであろう。
【0048】
次に、本発明のより良好な理解のために、及び、本発明がどのように実行されるかをより明確に示すために、添付の図面が例示のみを目的として参照される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図2】弓状部の形状適合可能構造の実施例を図示する図である。
【
図3】粒子で形成された柔軟性要素を図示する図である。
【
図4】弓状部の初期のジャミングされていない状態を図示する図である。
【
図5】弓状部内への歯の沈み込みを図示する図である。
【
図6】歯列弓の形状に弓状部を形状適合させるための真空の適用を図示する図である。
【
図7】歯の界面における微小運動を可能とするために材料の剛性の制御可能で可逆的な調整を生むために使用される圧力プロファイルを図示する図である。
【
図8】個別に制御可能な負圧レベルを各々が有するチャンバセグメントの列を図示する図である。
【
図9】キャタピラ構造が下側部及び上側部で形成された弓状部の変形例を図示する図である。
【
図10】装着が弓状部に装着されたインサートによって実施される実施例を図示する図である。
【
図11】様々な手段によって形状をロックされ得るセグメント構造を図示する図である。
【
図12】ワイヤ又はレイヤが外力によってロックされる変形可能構造を図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明が、図面を参照して説明される。
【0051】
詳細な説明及び特定の実施例は、装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を示すが、単なる例示を目的とすると意図されるものであり、本発明の範囲を限定すると意図されるものではないことが理解されるべきである。本発明の装置、システム、及び方法のこれらの及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からより良好に理解されよう。図面は単なる概略であって、縮尺通りに描かれていないことが理解されるべきである。同一の又は類似の部分を示すために図面全体を通じて同一の参照番号が使用されていることも理解されるべきである。
【0052】
本発明は、ユーザの歯を受容するための形状適合可能構造で形成された弓状部を有する歯列弓受容要素を提供する。弓状部装着段階中に形状適合可能構造が対象の歯列弓の形状に対応する形状にされた後に形状適合可能構造の剛性を増加させるために、アクチュエータが使用される。
【0053】
このようにして、弓状部は、アクティブでないとき(洗浄又はブラッシングをしていないとき)には、非常に柔軟である。いったん口内に置かれると、ユーザが弓状部を噛み、弓状部の形状は、歯にできる限り接近して装着されるように適合される。続いて、この形状は、アクチュエータによって固定される。例えば、粒子を含有するチャンバとして形成された弓状部では、硬化機能を実現するために真空又は負圧が付与される。次いで、この硬化された弓状部は、洗浄要素及びそれらのアクチュエータを歯及び歯肉線に対する正しい位置に保持するために使用される。
【0054】
本発明は洗浄用マウスピースを参照して説明されるが、本発明は、光線療法システム又は歯の白色化システムに適用されてもよく、又は、本発明は、マウスガード、下顎前方移動デバイス、又は矯正器具であってもよい。
【0055】
図1は、ユーザの歯を受容するための形状適合可能構造で形成された弓状部20を備える歯列弓受容要素10を図示する。この実施例において、弓状部20は、外側シェル22に受容されている。
【0056】
弓状部装着段階中に歯に向かって弓状部20を押しつけるために付勢構成部24が備えられる。この付勢構成部は、以下において更に説明されるように、所望の洗浄運動を生むためにも使用されるが、他の構成部が洗浄移動を提供することも可能である。剛性の外側シェルは、付勢構成部としても働き得る。
【0057】
図2において図示されるように、この実施例において、弓状部20の形状適合可能構造は、流体42内に固体状態粒子40がある少なくとも1つのチャンバを備える。
【0058】
粒子で充填された柔軟なボリュームは、硬い形状を生むために減圧され得る。この手法は、一般に、バルクロッキングソリューションとして知られている。
図2は、局所的に剛性のポイントを誘起することによって、形状適合可能構造20の全体的構造の変形の範囲を制約するため、又は、全体形状の変形を制御するために使用される撓曲又は継手部44も図示する。
【0059】
図3は、粒子40で形成された柔軟性要素を図示する。矢印46は、粒子の間で相互作用する力を表す。この粒状ジャミングは、外力が付与されたときに互いに対して粒子をロックし、形状ロック機能を提供する。
【0060】
図1に戻ると、歯列弓受容要素10は、弓状部装着段階中に形状適合可能構造が対象の歯列弓の形状に対応する形状にされた後に形状適合可能構造の剛性を増加させるためのアクチュエータ構成部を更に備える。図示された実施例において、アクチュエータ構成部は、
図3において図示されたように剛性を増加させるためにチャンバから流体を放出するための圧力源30を備える。このモードにおいて、圧力源は、負圧源として機能するが、正圧を付与するように制御可能でもある。
【0061】
負圧源は、粒子の漏れを防止するフィルタ32によってチャンバに接続される。負圧源は、コントローラ34によって制御される。
【0062】
図1の実施例は、シェル22内での弓状部20の相互運動又は実際のところ一体化されたユニットとしての弓状部及びシェルの相互運動を提供するための任意選択的な偏心駆動構成部36も図示する。このような偏心駆動は、洗浄用マウスピースの相互ブラッシング運動を提供するために知られている。しかしながら、任意の適切な伝達設計のモーターが、機械的洗浄運動又は揺動又は振動を生成するために使用されてよい。
【0063】
偏心駆動は、弓状部20に適用される真空又は負圧プロファイルと組み合わされ得る制御されたデバイスの振動を適用する。このようにすることによって、例えば、偏心駆動トレインを使用して、(微小運動としての)上下の揺動が(例えば、歯の上部から歯肉線に向かって)生成されている間に、真空又は負圧(オフセット圧)プロファイルの付与によって輪郭追従(歯の表面に向かう及び歯の表面から離間する運動)が達成され得る。
【0064】
上述されたように、(任意選択的な)付勢構成部24は、シェルを基準として使用してチャンバを歯に向かって押し進める。付勢構成部は、蛇腹構造、すなわち、空気区画室を備え、アクチュエータ構成部は、空気区画室に圧力を付与するための別のアクチュエータ又は圧力源を更に備える。代わりに、付勢構成部は、磁気アクチュエータ又は機械的ばね構成部を備えてもよい。
【0065】
シェルは、構造の恒久的な部分であってもよく、又はシェルは、装着段階のためにのみ使用されてもよい。
【0066】
もしも付勢構成部が蛇腹構造であるならば、毛房などの洗浄用構成部の移動を生むために蛇腹は膨らまされ得及び萎まされ得る。蛇腹を作動させるために使用されるポンプは、チャンバにおいて真空を生むために使用されるものと同一のものであり得る。
【0067】
歯をブラッシングするために、ユーザは、デバイスを口腔内に挿入する。この初期ステップ中に、弓状部20は、
図4の断面図に図示されているようにジャミングされていない状態にある。弓状部20は、柔らかく、しなやかであり、顎/歯の幾何学的形状にある程度まで形状適合し得る。
図5において図示されるように、このことは弓状部内への歯の沈み込みを伴う。
【0068】
弓状部は、典型的には、粒子で充填された柔らかいシリコーン(又は任意の他の適切なエラストマー)である。
図6において図示されるような真空又は負圧の付与に際して、粒状ジャミングチャンバは収縮し、密度が増加され、それによって歯列弓の形状への形状適合を開始する。このことは、効果的な形状変化及び材料硬化をもたらす。真空又は負圧の結果として、粒子が移動し、より高密度に詰め込まれ、それによって、矢印によって示されるように、歯の表面に対して横方向/垂直方向の圧力及び力を及ぼす。
【0069】
マウスピースは、接触界面の幾何学的形状パターン(例えば、歯肉線のため及び歯間洗浄のための特定の幾何学的形状)を調整するために異なる粒子サイズ及び/又は形状を有するジャミング材料で充填された複数の真空チャンバを備える。
【0070】
洗浄機能を提供するため及び流体排水チャンネルを作るために、歯に面する弓状部の表面は突出した(V字状、U字状、ピラミッド状の)ラメラ又はフィンなどの把持のための輪郭を有する。これらは、真空の付与の際の弓状部と歯との間の界面における効率的な歯磨き粉スラリー分布のために使用される。
【0071】
粒状材料は、挽かれたコーヒー豆、黒コショウ、日干しされたメギ、SiO2球体、ポリカーボネートビーズ、若しくは任意の天然の又は人工的ポリマー粒子などのポリマー、セラミック、金属、又は天然物であってよい。
【0072】
このような設計は、向上された輪郭追従を可能とし、それによって、装着を向上させ、可変的な硬度制御によって洗浄要素へのより良好な負荷又はエネルギー伝達ももたらす。材料が硬化すると、より大きな有効接触硬度及びより小さな減衰が生じる。より大きな有効接触硬度及び/又はより小さな減衰は、より大きな負荷及びエネルギー伝達、特には洗浄要素から歯の表面への負荷伝達、及びモーターから洗浄要素へのモーターエネルギー伝達をもたらす。このような装着は、適用される力が低くても、より良好な連結及び輪郭追従が達成されるように、界面における摩擦を最大化することを可能とする。
【0073】
洗浄のための微小運動は、偏心モーターを使用することによって、及び、適用される真空を制御することによっても生成され得る。真空プロファイルは、ジャミングされた粒状チャンバの制御された変位(例えば、咬合ブラッシング)を誘起するように選択され得る。代替的に、チャンバの圧力制御で十分であり得、又は、実際上、硬い状態に変えられた後に弓状部の運動を提供するために付勢構成部が使用されてもよい。
【0074】
マウスピースは従来の毛束を使用するが、毛束のないマウスピースも可能であり、というのは、真空が付与されたときにざらつきのあるパターンを提供するために粒子が使用されるからである。
【0075】
弓状部と歯との間の界面に制御可能な硬度及び微小運動を生むために、様々な駆動スキームが負圧源に適用され得る。
【0076】
図7は、歯の界面において微小運動を可能とするために材料の剛性の制御可能で可逆的な調整を生むために使用される例示的な圧力プロファイルを図示する。コントローラは、可変的なオフセット(真空)圧力プロファイルを生成するように負圧源30に制御信号を送る。
【0077】
初期装着段階(期間A)中に僅かに過剰な圧力が付与される。これは、初期輪郭追従及びジャミングされていない状態における把持を向上させるために使用される。
【0078】
制御された変位(例えば、咬合ブラッシングのため)を提供するために、真空又は負圧は、初期装着段階後に、上限値(期間B)と下限値(期間C)との間で変化される。故に、負圧は、典型的には、ジャミングを誘起し、ジャミングのレベルを制御するために使用され、僅かに過剰な圧力は、ジャミングされていない状態において使用される。
【0079】
複数のチャンバの使用も、顎に沿った自動的な運動を生み得るキャタピラ設計を可能とする。
【0080】
図8は、個別に制御可能な負圧レベルを各々が有するチャンバセグメント80、82、84の列を図示する。1つの実施例において、チャンバセグメントの列は、粒子40(
図8においては図示されていない)を含有する少なくとも2つのチャンバセグメント80、84と、粒子を含有しない中間セグメント82とを備える。故に、この構造は、少なくとも3つのセクションを有し、これらは変化する正圧レベル又は負圧レベルに置かれ得る。アクチュエータ構成部は、運動制御のために、並びに硬度制御及びキャタピラのような移動の制御の両方ために他のセグメントの圧力を制御することのために、中間セグメント82を膨らませ又は萎ませるように適合される。
【0081】
これによって、セグメントは、交互に又は間欠的に顎に形状適合し得、顎に沿って移動(近心性-遠心性)し得るだけでなく歯列弓に沿った上下運動も行い得るキャタピラ構造を生む。このようにして、洗浄運動及びブラッシング運動の両方が、粒状ジャミング効果を利用することによって生み出され得る。
【0082】
チャンバ80、84は、ジャミング効果によってロックされ得、又はアンロックされ得る。これらのうちの一方がロックされたとき、中央のチャンバ82を制御することによって、他方はロックされたチャンバに向かうように又はチャンバから離間するように移動され得る。このようにして、キャタピラ構造は、顎全体に自動的に到達するように歯の上を這うように進むように制御され得、ハンズフリーなマウスピース動作を提供する。
【0083】
より詳細には、前方セクションを移動させるために、後方セクションは位置の保持のために高真空を有さなければならず、前方セクションは歯の上での滑動を可能とするために低真空を有さなければならない。
【0084】
フリーセクション(このシナリオにおいては前方セクション)は、移動しつつ振動するように揺動する真空(
図7において図示される)も有する。このことによって、偏心モーター駆動装置などの別個のアクチュエータの必要性が回避され得る。故に、キャタピラ設計は、全体的移動及び相互ブラッシング微小運動を可能とする。
【0085】
中央セクションが膨らまされたときに、フリーセクションの前部は更に移動する。もしも、続いて、駆動真空が前方ジャミングチャンバと後方ジャミングチャンバとの間で逆転されたならば、前方セクションは締めつけられ、後方セクションは歯の上を滑走し得、こうして、キャタピラ運動を生む。中央セクションを萎ませると、中央セクションは収縮され、後方端部を歯の弓形状に沿って前方端部に向かって更に移動させもする。
【0086】
図9は、キャタピラ構造が下側部90及び上側部92で形成され得る変形例を図示し、下側部90及び上側部92の各々は、異なるジャミングチャンバ性質を有する。上の図は歯の幅を横断する断面を図示し、下の図は歯の長さ方向における側面図を図示する。
【0087】
上側部92は歯肉線94の上方に位置して歯を包囲し、下側部90は歯肉線の下方に位置して歯肉に取りつけられる。
【0088】
故に、歯肉線の顎側における位置決めのための第1の形状適合可能構造90を有する第1のセクションと、歯肉線の歯側における位置決めのための第2の形状適合可能構造92を有する第2のセクションとが存在する。第1及び第2のセクションは、ゴム継手又はばね要素又はヒンジなどの柔軟な結合具96によって接合される。
【0089】
第1のセクション90は、上に説明されたキャタピラ運動を可能とするために異なる圧力及び真空レベルが付与され得る複数の下側チャンバ90a、90b、90を有する。故に、第1のセクション90は、歯肉の上を這うように進み得、自動的で芋虫のような近心-遠心運動を可能とする。上側部92は、良好な締めつけを可能としつつ、ユーザの歯の幾何学的形状に容易に形状適合する。
【0090】
上側セクション92は、歯の幾何学的形状への容易な形状適合を可能としつつ歯の表面に対する洗浄要素の締めつけを可能とするようなやり方で(負の)圧力が制御された1つ又は複数のジャミングチャンバを有し得る。下側セクションは、少なくとも3つのセクションを有さなければならず、そのうちの後方及び前方セクションは、マウスピースが歯肉の上を這うように進むことを可能とするような異なる真空又は圧力レベルを有する粒状ジャミングチャンバである。3つのセクションは、屈曲し得るとともに、伸長及び圧縮し得る。
【0091】
故に、この実施例において、這うように進む運動は歯肉に沿い、歯の上のセクションはこの運動に追従する。同様に又はその代わりに、歯の上のセクションをキャタピラ構造によって形成することによって、キャタピラ運動は歯の上で使用される。
【0092】
上述されたように、弓状部には洗浄用毛房若しくは毛束若しくはエラストマー、スポンジ状の洗浄要素又は流体チャンネル又は発光要素(LED)又は電極が装着され、それによって、歯/歯肉に面する弓状部の表面に洗浄及び/又は治療用構成部を提供する。
【0093】
図10は、弓状部に装着されたインサート100によって装着が実施される実施例を図示し、この設計は、弓状部装着段階の後にインサートに代わって置かれる毛房構成部を更に備える。
【0094】
図10は、フリー状態、これに続くインサート100の適用、形状フィッティング、次いでインサート100から洗浄用構成部102への交換を図示する。
【0095】
弓状部を装着するために、ユーザは先ず毛房パッドをインサート100に交換する。次いで、インサートを含むマウスピースが口の中に入れられ、ユーザはマウスピースを噛み締める。
【0096】
空気区画室などの付勢構成部が使用されるとき、これは、歯に向かって粒子チャンバを移動させるために使用される。続いて、チャンバにおいて真空が生み出され、チャンバを硬い構造に変える。付勢構成部は減圧され、ユーザは、マウスピースを取り出し得、インサートを毛房パッドと交換し得る。
【0097】
このステップは、使用後にマウスピースが固定的な形状に維持されるならば、一度だけ実施されればよい。しかしながら、ユーザがマウスピースをより容易に洗浄できるように、形状ロックは口腔洗浄の後に毎回逆転されてもよい。
【0098】
本発明は、U字状のマウスピース(上側又は下側の顎だけのためのもの)に適用されるが、上側及び下側の顎を同時に処理するH字状のマウスピースにも同一の手法が適用され、又は、実際上、J字状弓状部(1つ又は2つの顎の片側のためのもの)又はC字状弓状部(一方又は両方の顎を同時に洗浄する完全マウスピース)にも適用され、又は、1つ又は複数の個々の歯を治療するためのシステムにさえも適用される。
【0099】
上記の実施例は、粒子ジャミング効果に基づく。柔軟な構造を硬い構造に変化させるために、他の可能なやり方も存在する。
【0100】
外部のエネルギー場にさらされたときに剛性が大きくなる特定の材料を使用することによって、流体静力学圧力が使用される。例えば、粒子チャンバを使用する代わりに、磁場に曝されたときに非常に粘度が高くなる電磁流体が使用される。このような磁性流体の例は、水圧式減衰器においてすでに適用されている。
【0101】
別の例は、高速の振動などの高速の動きにさらされたときに固体として振る舞う非ニュートン流体の使用である。ポリジメチルシロキサン(PDSM)は、非ニュートン的振る舞いをもたらす粘弾性物質の一例である。粘弾性は、非ニュートン的流動の一タイプであり、長期間にわたっては粘性の液体として働くが、短期間にわたっては柔軟性の固体として働く材料を特徴づける。
【0102】
3D形状及びボリュームをロックする代わりに、形状ロックが特定の方向において達成されてもよい。
図3の継手部44がこの目的のために使用される。これは、歯の弓形状のより良好な輪郭追従を可能とする。弓状部の装着も、特定の方向において、より細かく調整され得る。例えば、もしもマウスピース上の柔軟性の指部が歯肉をマッサージするために使用されるならば、これらの指部に
図11のセグメントジャミング手法又は
図12のワイヤ/レイヤジャミング手法を適用することによって装着が向上される。
【0103】
図11は、複数のテンションワイヤ(A)、中心テンションワイヤ(B)、蛇腹接続部(C)又は柔らかい材料レイヤ(D)によって形状がロックされ得るセグメント構造を図示する。
【0104】
図12は、より硬い構造を生むために外力によってワイヤ(A)又はレイヤ(B)がロックされる変形可能構造を図示する。ワイヤ又はレイヤの長さが固定されるので、硬度がもたらされ、ロックされた形状、従って増加された硬度をもたらす。
【0105】
セグメントロック及びワイヤ/レイヤジャミング手法は、詳細に上に説明された粒子ジャミングソリューションに対する代替物として、又はこれに追加されるものとして使用可能である。
【0106】
ワイヤジャミングソリューションは、毛房が歯肉線に向かっていっそう方向づけられるように毛房パッドの形状を形成するためにも使用され得る。これは、ユーザが毛房パッドを歯の弓形状に配置した後に実施しなければならない追加的な形状形成ステップを伴う。
【0107】
本発明は、洗浄用マウスピースを参照して説明された。しかしながら、弓状部形状形成ソリューションは、歯の洗浄、歯の白色化、歯の矯正、歯の保護などの任意の目的のために歯を受容するための弓状部に使用されてもよい。例えば、これは、スポンジ状の材料の摩擦によって洗浄を提供するこすり洗いに基づくマウスピースにおいて使用される。
【0108】
マウスピースは、一次的な洗浄機能及び二次的な白色化若しくは治療機能などの複数の機能を有する。洗浄及び/又は治療用構成部は、例えば、毛房構成部、毛束レイアウト、エラストマーベースの洗浄要素、流体チャンネル(治療用化合物の送達のためのもの)、電極、発光要素及び導光路の任意の組み合わせを備え得る。
【0109】
特許請求された発明を実践するにあたって、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲を検討することにより、開示された実施形態に対する変形例が、当業者によって理解及び実行され得る。特許請求の範囲において、「備える、含む」という語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形の要素は、複数性を排除するものではない。
【0110】
特定の手段が互いに異なる従属請求項において列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0111】
もしも「適合される」という語が特許請求の範囲又は説明において使用されているならば、「適合される」という語は「構成される」という語と等価であると意図されることが留意される。
【0112】
特許請求の範囲における任意の参照記号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】