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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】力センサを備える超音波接合装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
B23K20/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504539
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2021071196
(87)【国際公開番号】W WO2023006199
(87)【国際公開日】2023-02-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522080546
【氏名又は名称】シュンク ソノジステム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】ムラー, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】グンター, ダニエル
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167BE02
4E167BE03
4E167BE04
4E167BE07
4E167BE10
4E167BE11
4E167DA04
4E167DC13
(57)【要約】
ソノトロード装置(3)、アンビル(5)、変位装置(7)及び力センサ(9)を備える超音波接合装置(1)が提案される。ソノトロード装置(3)は、ソノトロードヘッド(11)を有する。ソノトロード装置(3)の振動方向(17)を基準として、ソノトロードヘッド(11)が当該振動方向(17)で振動し、ソノトロード装置(3)が、ソノトロードヘッドから離間されて配置されているゼロ点位置(21)にて振動方向(17)で最小限振動するように、ソノトロード装置(3)は、ソノトロードヘッドから離れた領域(13)にてソノトロード装置で生成される超音波振動をソノトロードヘッド(11)に伝えるように構成されている。変位装置(7)は、変位方向(19)で互いに対して、ソノトロード装置(3)及びアンビル(5)を変位するように構成されている。力センサ(9)は、ゼロ点位置(21)に隣接する接触領域(23)に位置づけられ、力センサ(9)を活用して、変位方向(19)に平行である力センサ(9)上でソノトロード装置(3)によってかけられる力(Fs)が測定され得るような様式で構成されている。閉ループ制御装置(39)は、測定された力(Fs)に基づいて、超音波接合装置(1)の機能又は特性を調節することが可能である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波接合装置(1)であって、
ソノトロード装置(3)と、
アンビル(5)と、
変位装置(7)と、
力センサ(9)と、を備え、
前記ソノトロード装置(3)がソノトロードヘッド(11)を備え、
前記ソノトロード装置(3)の振動方向(17)を基準として、前記ソノトロードヘッド(11)が、前記振動方向(17)で振動し、前記ソノトロード装置(3)が、前記ソノトロードヘッドから離間して配置されているゼロ点位置(21)にて前記振動方向(17)で最小限振動するように、前記ソノトロード装置(3)が、前記ソノトロードヘッドから離れた領域(13)にて前記ソノトロード装置で生成される超音波振動を前記ソノトロードヘッド(11)に伝えるように構成されており、
前記変位装置(7)が、前記ソノトロード装置(3)及び前記アンビル(5)を変位方向(19)で互いに対して変位させるように構成されており、
前記力センサ(9)が、前記ゼロ点位置(21)に隣接して接触領域(23)に位置づけられており、前記力センサ(9)を活用して、前記ソノトロード装置(3)によって前記力センサ(9)に前記変位方向(19)と平行にかけられる力(Fs)が測定され得るように構成される、
超音波接合装置。
【請求項2】
前記接触領域(23)が、前記ゼロ点位置(21)に隣接して延在し、前記接触領域(23)内の、前記ゼロ点位置(21)までの最大距離が、前記ゼロ点位置(21)と前記ソノトロードヘッド(11)の幾何中心との間の距離の20%未満である、
請求項1に記載の超音波接合装置。
【請求項3】
前記ソノトロード装置(3)が、振動発生器(25)及びソノトロード(31)を備え、前記力センサ(9)が、前記ゼロ点位置(21)に隣接する前記接触領域(23)にて前記ソノトロード(31)上に配置されている、
請求項1又は2に記載の超音波接合装置。
【請求項4】
前記力センサ(9)の力測定面(35)と前記ソノトロード装置(3)の面(37)との間に置かれているベアリング要素(33)を更に備え、前記ベアリング要素(33)が、前記力センサ(9)の前記力測定面(35)を第1の面と接触させ、かつ前記ソノトロード装置(3)の前記面(37)を第2の面と接触させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の超音波接合装置。
【請求項5】
前記ベアリング要素(33)が、前記ソノトロード装置(3)よりも弾性である、
請求項4に記載の超音波接合装置。
【請求項6】
圧力が前記ソノトロードヘッド(11)と前記アンビル(5)との間にかけられるときには、前記力センサ(9)が前記ソノトロード装置(3)により圧力を受けるように前記力センサ(9)が配置されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載の超音波接合装置。
【請求項7】
前記力センサ(9)の信号を考慮して、前記超音波接合装置(1)の特性を調節するように構成されている閉ループ制御装置(39)を更に備える、
請求項1~6のいずれか一項に記載の超音波接合装置。
【請求項8】
前記力センサ(9)の信号を考慮して、前記閉ループ制御装置(39)が、前記ソノトロード装置(3)と前記アンビル(5)との間の前記変位装置(7)を用いて生成された力(Fa)を調節するように構成されている、
請求項7に記載の超音波接合装置。
【請求項9】
前記力センサ(9)の信号を考慮して、前記閉ループ制御装置(39)が、前記ソノトロード装置(3)における超音波生成を調節するように構成されている、
請求項7又は8に記載の超音波接合装置。
【請求項10】
前記力センサ(9)の信号に基づき、前記超音波接合装置(1)の現在の状態についての情報を決定するように構成されているモニタリング装置(41)を更に備える、
請求項1~9のいずれか一項に記載の超音波接合装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の超音波接合装置(1)を操作するための方法であって、前記方法が、
前記ソノトロード装置(3)によって前記力センサ(9)にかけられる力(Fs)を決定することと、
前記決定された力(Fs)を考慮して前記超音波接合装置(1)を操作することと、
を含む、方法。
【請求項12】
時間によって変動する前記決定された力(Fs)を考慮して、前記超音波接合装置(1)の特性を調節すること、
を更に含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記決定された力(Fs)を考慮して、前記ソノトロード装置(3)と前記アンビル(5)との間の前記変位装置(7)を用いて生成された力(Fa)を調節すること、
を更に含む、
請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記決定された力(Fs)を考慮して、前記ソノトロード装置(3)での超音波生成を調節すること、
を更に含む、
請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記決定された力(Fs)を考慮して、前記超音波接合装置(1)の現在の状態についての情報を決定して出力すること、
を更に含む、
請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波接合装置及び超音波接合装置を操作するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
広範な技術用途のために、機械的に固定された様式及び/又は導電性様式で、2つの構成要素をともに接合することが必要であり得る。例えば、種々の目的のために、機械的及び導電性様式でともにケーブルのストランドを接合することが必要な場合がある。こうすることで、例えば、車両内部で、例えば互いに、エネルギー源に、及び/又は制御システムに電化民生品を導電性様式で接続するために使用され得る配線用ハーネス又はケーブル配線を製造することが可能となる。
【0003】
いわゆる超音波接合は、導電性構成要素間の物質感結合を生成するために開発され、高い強度及び良好な導電性を提供した。これは、接合される構成要素を接合パートナーとして面接触した状態にし、低圧かつ高周波機械振動下で互いに対向して移動する、摩擦接合の特殊形態である。振動は、典型的には20kHz~50kHzの周波数を有する超音波振動が生成され、接合間のうちの少なくとも1つに伝達されるソノトロード装置を活用して生成され得る。続いてプラスチック流により、接合パートナーの材料が溶融する必要なく、面近くで接合パートナーが互いに浸透又は互いにかみ合うことが可能となる。したがって、超音波接合は、影響が少なく、迅速かつ経済的に、接合パートナーをともに結合するために使用され得る。
【0004】
超音波接合はまた、例えば、ストランド内部の個別のワイヤを接合圧縮するために、1つ以上のストランドを接触要素に接合するために、及び/又は金属シートを接合するためになど、複数のケーブルのストランドをともに接合するために、金属接合パートナーを接合するために特に使用され得る。この目的のために、接合パートナーは、一般には超音波接合装置の受容チャンバ内へと挿入され、次いで超音波振動ソノトロードのソノトロードヘッドとアンビルとの間にともに接合される。
【0005】
ソノトロード装置を用いた超音波接合中、接合される接合パートナーに超音波振動をかけることを可能とするため、ソノトロードは、典型的には振動発生器の一方の端部に機械的に連結される。ソノトロードは、振動発生器から離間された状態でソノトロードヘッドを有している。例えばコンバータを用い、任意選択でブースタを用いて修正される、振動発生器により生成される超音波振動は、典型的には、ソノトロードの細長い本体及び/又は追加の構成要素にわたって、ソノトロードヘッドへと伝えられる。互いに向かって互いに対してソノトロードとアンビルを変位し、そうすることでそれらの間の接合パートナーをクランプすることで、超音波振動は接合パートナーへと伝えられ得る。
【0006】
超音波接合作業の結果は、とりわけ、当該作業中に接合パートナーにかけられる力に応じて相当に変化し得ることが観察されている。
【発明の概要】
【0007】
超音波接合作業の結果を改善することが可能である、超音波接合装置及び超音波接合装置を操作するための方法が必要とされ得る。特に、例えば機械的強度、導電性などの接合パートナーに接続する接合継手によって得られる接合の特性が改善され得るような様式で、超音波接合作業がモニタリング及び/又は調節され得る間に優勢である状態を活用した対応する超音波接合装置又は操作方法が必要とされ得る。
【0008】
こうした要件は、独立請求項のうちの主題によって充足され得る。有利な実施形態は、従属請求項及び以下の説明に定義される。
【0009】
本発明の第1の態様は、ソノトロード装置、アンビル、変位装置及び力センサを備える超音波接合装置に関する。ソノトロード装置は、遠位領域にソノトロードヘッドを備える。振動方向を基準として、ソノトロードヘッドが、ソノトロード装置の振動方向で振動し、ソノトロード装置が、ソノトロードヘッドから離間されて配置されているゼロ点位置にて振動方向で最小限振動するように、ソノトロード装置は、ソノトロードヘッドから離れた領域にてソノトロード装置で生成される超音波振動をソノトロードヘッドに伝えるように構成されている。変位装置は、変位方向で互いに対して、ソノトロード装置及びアンビルを変位するように構成されている。力センサは、ゼロ位置に隣接する接触領域に位置づけられ、力センサを活用して、ソノトロード装置によって力センサに変位方向と平行にかけられる力が測定され得るように構成されている。
【0010】
第2の態様によれば、本発明の第1の態様の一実施形態による超音波接合装置を操作するための方法が提案される。方法は、少なくとも以下のステップ:
力センサ上でソノトロード装置によってかけられる力を決定するステップ、
決定された力を考慮して超音波接合装置を操作するステップ、を含む。
【0011】
いかなる方法であっても本発明の範囲を制限するものではないが、本発明の実施形態に関連する思想及び可能な特徴は、とりわけ、以下に記載の考え及び調査結果に基づいていると考えられ得る。
【0012】
大まかに、かつ簡潔にまとめると、本明細書に記載の思想の基本的概念は、接合作業中に接合パートナー上にかけられる力を可能な限り正確に測定する可能性を有する超音波接合装置を備えるものとしてみなされ得る。そのため、これらの力についての情報は、例えば、接合作業で使用されるパラメータを最適化するために使用され得る。所望の力測定は、ゼロ点位置の近くのソノトロード装置と相互作用する力センサを用いて好ましくは実行され得ることが見出されている。この位置づけでは、とりわけ、一方では力センサを活用して測定された力によって、接合作業中に接合パートナーに実際に作用する力について十分に正確な結論を引き出すことが可能であり、もう一方では、力センサは過度な振動にさらされないためである。
【0013】
本明細書に記載の超音波接合装置の実施形態の可能な詳細を、以下に説明する。
【0014】
超音波接合装置は、ソノトロード装置を有する。ソノトロード装置は、ソノトロードヘッドを超音波振動に設定するように設計される。この目的のために、ソノトロード装置は、典型的には、複数の構成要素、特に振動発生器及びソノトロードから構成される。振動発生器は、ソノトロード装置の近位端部に配置され、超音波振動を生成するために設けられている。この目的のために、振動発生器は、一般にはコンバータを有する。これは、周期的に変動する電気信号を機械振動に変換する。全てではないが多くの場合、振動発生器にブースタが更に設けられている。このブースタを活用し、機械振動は、振動発生器からソノトロードに伝えられる前に修正される。振動発生器では、超音波振動は振動方向に生成される。多くの超音波接合装置は、長手方向の振動、つまりその振動方向が、ソノトロード装置の長手方向範囲の方向に平行に進行する振動として超音波振動を生成させるように適合されている。超音波接合プロセスのために主に使用される振動の振幅は、ソノトロード装置内部の振動伝播の方向に進行する。典型的には細長いソノトロードでは、機械振動は、例えばソノトロード装置の遠位端部近くに据え付けられ得るソノトロードヘッドに導かれる。代替として、超音波接合装置は、原則として横方向振動を生成させるようにも構成され得る。
【0015】
ソノトロード装置は、力をかけ、かつ接合パートナーに超音波振動を伝えることの両方が意図されていることから、ソノトロード装置の種々の構成要素は、典型的にはハウジングに保持、取り付け、及び/又は支持されなければならない。特に超音波振動の結果として、言及された構成要素又は対応するホルダ、マウント若しくは支持体のいずれかに過度な負荷がかからないように、ソノトロード装置に沿って、ソノトロードが振動しない、又は隣接領域よりも著しく弱く少なくとも振動する1つ以上の位置が典型的には存在するという事実がここでは用いられる。こうした位置は、ゼロ点位置と従来は称され、ソノトロード装置に沿って伝えられる振動についてのノードを構成する。こうしたゼロ点位置に、又はこの近くに配置された、ホルダ、マウント又は支持体は、しばしばゼロ点ベアリングと称される。
【0016】
接合作業中、アンビルは、ソノトロード装置のソノトロードヘッドによって力を受け、振動し始める接合パートナーのカウンターベアリングとして機能する。アンビルはここで、ソノトロードヘッドに向かって変位され得る。あるいは、ソノトロードヘッドは、変位方向で、又は変位方向とは逆に、アンビルに向かって変位され、力を受け得る。更なる代替として、アンビルとソノトロードヘッドの両方が変位され得る。
【0017】
接合パートナーをともに接合するために、これらは、ソノトロードヘッドとアンビルとの間の受容チャンバに受容される。次いでソノトロードヘッド及びアンビルは、変位装置を活用して互いに向かって、互いに対して移動される。この目的のために、変位装置は、所望の相対運動を生じさせるために、油圧システム、空気圧システムなどの好適な機構を有し得る。超音波接合装置の設計に応じて、2つの構成要素のうちの1つは、静的な様式で保持され、もう一方の構成要素は、変位装置により変位方向に変位され得る。あるいは、両方の構成要素もまた変位され得る。変位方向は、ソノトロードヘッドが、超音波振動を伝えるために接合パートナーに接触するソノトロードヘッドの面に対して、横方向、好ましくは垂直に進行する。変位方向は、一般には、ソノトロード装置の長手方向範囲の方向に対して、横方向、特に垂直に進行する。
【0018】
原則として、種々の方法で接合パートナー上の超音波接合装置内部にかけられた力を決定することが考えられる。例えば、変位装置によって生じる力は、直接的に測定されることができる。ただし、こうした容易に実装可能なアプローチの場合には、変位装置で測定された力は、多くの場合、接合パートナーに実際にかけられた力に対応していないように捉えられることが観察されている。例えば、摩擦効果、接着効果(特に、いわゆるスリップスティック効果の形態)、変位中に変位装置によって移動される構成要素の場合に発生することがある、他の構成要素などに対する構成要素の一時的な傾斜は、接合パートナーに完全かつ再現可能に伝えられることのない、変位装置によって生じる力につながることが想定される。
【0019】
代替的なアプローチとしては、したがって、本明細書に記載の超音波接合装置が、ソノトロード装置のゼロ位置に隣接して力センサを配置することが提案される。ここで力センサは、ゼロ点位置にて、又はこうしたゼロ点位置から十分短い距離にて据え付けられている限られた接触領域内に配置されなければならない。
【0020】
力センサは、これを活用して、変位方向に対して平行に進行する方向でソノトロード装置によってかけられる力が測定され得るような様式で位置づけられ、構成されなければならない。この目的のために、力センサは、力がかけられ得る力測定面を有し得る。次いで力センサは、かけられた力に応じて力測定信号を生成させ得る。力センサは、例えば、力測定面によってソノトロード装置の面と直接又は間接的に接触した状態であり得る。特に、力測定面は、中間構成要素によって直接又は間接的に、伝えられる超音波振動の伝播方向に対して平行に延びるソノトロード装置の側面と相互作用し得る。
【0021】
ここで、ソノトロード装置によって力センサに伝えられる力の全てが、変位方向に対して平行に向けられる必要がないことに留意されたい。代わりに、こうした合力はまた、変位方向に対してある角度で進行し得る。ただし、力センサは、変位方向に対して平行に向けられているこうした合力の少なくとも一部、つまり、こうした合力の変位方向に対して平行に向けられている分力もまた測定され得るような様式で位置づけられ、かつ構成されなければならない。
【0022】
ソノトロード装置のゼロ点位置に隣接する接触領域における力センサの記載の配置及びソノトロード装置によって伝えられる力がこの力センサを活用して測定され得る様式によって、種々の利点が可能となり得る。
【0023】
特に、そのゼロ点位置に配置された力センサでの、ソノトロード装置によってかけられる力の測定により、接合パートナーのソノトロード装置によって最終的にかけられる力についての特に正確な結論が可能になることが観察されている。とりわけ、スリップスティック効果が原因の摩擦損失、接着損失、構成要素などの傾斜は、力センサがソノトロード装置と接触する位置と、ソノトロードヘッドが接合パートナーと相互作用する位置との間で、典型的には全く発生しない、又はほとんど発生しないことから、これが生じ得る。
【0024】
更には、ソノトロード装置の寸法は、典型的には非常に正確に知られている。したがって、力センサがソノトロード装置と相互作用する位置と、ソノトロードヘッドが接合パートナーと相互作用する位置との距離は、例えば、非常に正確に知られ得る。このため、公知の寸法に基づき、例えば、超音波接合装置内部のレバー比率についての結論が引き出され得る。したがって、力センサにより決定される力は、接合パートナーにかけられる力へと高精度で変換され得る。
【0025】
ソノトロード装置の長手方向範囲に沿って伝えられ、振動方向の振動にソノトロードヘッドを設定しなければならない超音波振動は、ゼロ点位置では振動方向では最小ではあるが、振動方向に対して横方向に振動する相当の振動がゼロ点位置で生じることが完全に可能であることが更に認識されている。言い換えれば、ソノトロード装置に沿って伝えられる長手方向の振動はゼロ点位置で最小であるが、それに対して垂直に向けられたラジアル方向の振動又は横方向の振動は、ゼロ点位置では相当なものとなる可能性がある。こうしたラジアル方向の振動は、これらがソノトロード装置の周期的な横方向の収縮によって引き起こされることから、収縮振動とも称されることができる。典型的には、ラジアル方向の振動は、長手方向の振動に対して180°の位相シフトで振動する。これらの振幅は、通常は著しく小さい。つまり、例えば長手方向の振動の振幅に対しては、おおよそその3分の1にすぎない。ラジアル方向の振動は、典型的には、変位装置の上記変位方向に対してほぼ平行に向けられており、これによって振動力として力センサに作用する。この力は、力センサの力測定面に対して実質的に垂直に向けられている。
【0026】
ラジアル方向の振動は、ソノトロードヘッドに伝えられる超音波振動と相関するため、ソノトロードヘッドにより接合パートナーに伝えられる超音波振動についての情報は、ラジアル方向の振動によって生じる力を測定することで導出され得る。特に、周波数、振幅及び/又は他の振動特性についての情報が導出され得る。例えば、ラジアル方向の振動の周波数は、典型的には、接合パートナーに伝えられる超音波振動の周波数と等しく、ラジアル方向の振動の位相及び/又は振幅は、一般には、接合パートナーに伝えられる超音波振動の対応する値と、所定の様式にて相関する。この情報は、超音波接合装置を活用して実行される接合作業に影響を与える、及び/又はこれを評価する上で役立ち得る。
【0027】
力センサがソノトロード装置のゼロ点位置に配置、又はこの近くに配置されるときには、これは、ソノトロード装置に沿って伝えられる超音波振動によって比較的わずかに負荷されることもまた更に観察される。これは、力センサが満たさなければならない仕様に、及び/又は力センサの寿命に有利な影響を有し得る。
【0028】
一実施形態によれば、力センサがソノトロード装置に配置される接触領域は、接触領域内部にて、ゼロ点位置に対する最大距離が、ゼロ点位置とソノトロードヘッドの幾何中心との間の距離の20%未満、好ましくは10%未満又は5%未満であるように、ゼロ点位置に隣接して延びなければならない。
【0029】
力センサが、ソノトロード装置のゼロ点位置にとって可能な限り近くに配置される場合には、これは有利であることが認識される。特に、ソノトロード装置の他の寸法に対して、特にゼロ点位置とソノトロードヘッドとの間の距離に対して、力センサがソノトロード装置と相互作用する位置は、ゼロ点位置から可能な限りわずかに離間されなければならない。例えば、ソノトロード装置の範囲の方向に測定された、力センサの幾何中心とゼロ点位置との間の横方向距離は、典型的には20mm未満、好ましくは10mm未満であり得る。例として言及されるこの距離は、ここでは、例えば、20kHzの領域で、ソノトロードヘッドの中心とゼロ点位置との間の横方向距離が例えば約60mm~約70mmであり得る超音波振動用に設計される、ソノトロード装置に関連する。より高い周波数用に設計されたソノトロード装置は、典型的には短く、したがって言及される距離は、より短くなるように選択されなければならない。
【0030】
こうすることで、とりわけ、力センサが一般には低い機械的強度を有する方向に力センサ上のソノトロード装置によってかけられる振動、特に長手方向の振動などは、低いまま維持されている。更に、力センサで容易に検出され得、任意選択でソノトロード装置によって伝えられる超音波振動についての結論を引き出すことが可能である、特にラジアル方向の振動などの振動は、力センサによって特に良好に測定され得る。
【0031】
例えば、力センサは、ソノトロード装置がそのゼロ点位置で支持又は取り付けられることによって、ゼロ点ベアリングに組み込まれ得る。
【0032】
一実施形態によれば、ソノトロード装置は、振動発生器及びソノトロードを備える。力センサは、ここで、ゼロ点位置に隣接する接触領域のソノトロードに配置される。
【0033】
言い換えれば、ソノトロード装置は大まかには、少なくとも2つの部品に分けられ得る。振動発生器は、例えばコンバータを用いて超音波振動を生成し、任意選択でブースタを用いてこれを修正する。次いで、生成された超音波振動は、ソノトロードに伝えられる。ソノトロードは、典型的には、振動発生器を備えた界面とソノトロードヘッドとの間の一部分である。1つ以上のノードは、振動発生器、特にその任意のブースタとソノトロードの両方にて生じ得る。これによって、1つ以上のゼロ点位置が存在し得る。振動発生器のゼロ点位置ではなく、ソノトロード上のゼロ点位置での力測定に使用されることになる力センサを配置することは有利であると認識されている。ソノトロード上のこうしたゼロ点位置に配置されている力センサについては、典型的には一体型ソノトロードによるソノトロードヘッドときわめて直接的な機械的結合が一般には存在している。ソノトロードから、隣接する接合パートナーに伝えられる力及び/又は振動についての結論は、こうすることで、力センサにより検出された力に基づいて容易に引き出され得る。
【0034】
一実施形態によれば、超音波接合装置は、力センサの力測定面とソノトロード装置の面との間に置かれたベアリング要素を更に備え、ベアリング要素は、力測定面を少なくとも第1の面と接触させ、かつソノトロード装置の面を少なくとも第2の面と接触させる。
【0035】
言い換えれば、力センサは、好ましくは、ソノトロード装置の面に対する力測定面に直接には静置し得ないが、中間ベアリング要素によって、その面と間接的に相互作用し得る。ベアリング要素は、ソノトロード装置から、力センサの力測定面に対して、修正された様式で対向するその第1の面に対する第2の面にてベアリング要素に作用する、特に超音波振動などの振動を伝えるように構成され得る。特に、ベアリング要素は、周波数スペクトルについて存在する超音波振動をフィルタリングするように、及び/又は振幅について超音波振動を減少させるように構成され得る。
【0036】
そのため、とりわけ力センサにおける過負荷を避けることが可能となる。一方、ベアリング要素の弾性特性及び/又は減衰特性が十分知られているとした場合、ソノトロード装置で作用する力及び/又は振動についての十分正確な結論は、力センサにより測定され、任意選択で振動する力に基づいて引き出され得る。例えば、ベアリング要素は、ガラス繊維複合体から形成され得る。そうしたベアリング要素は、約500MPaの層方向に対して垂直な圧縮強度(ISO604に従って測定)及び/又は約100kJ/mの層方向に平行な剪断強度(VDE 0318/2に従って測定)を有し得る。本明細書で言及された数値は、例としてのみ、指標の意味で理解されるべきであることに留意されたい。ベアリング要素は、ゼロ点位置に隣接する接触領域のソノトロード装置に接触し得る。
【0037】
一実施形態によれば、ベアリング要素は、ソノトロード装置よりも弾性であり得る。
【0038】
言い換えれば、ベアリング要素又はベアリング要素の材料は、ソノトロード装置、特にそのソノトロード又はそのそれぞれの材料よりも弾性率が低いものであり得る。例えば、ベアリング要素の材料の弾性率は、約22,000MPaであり得、曲げ試験によりISO 178 RTに従って測定される。本明細書に言及される数値は、例としてのみでかつ指標の意味で理解されるべきであることに留意されたい。したがって、ベアリング要素がソノトロード装置により準静的な力を受けるときに実質的に寸法的に安定し得るとしても、高周波振動は、それにもかかわらず、ベアリング要素によってある程度送信フィルタリングされ得る。
【0039】
一実施形態によれば、圧力がソノトロードヘッドとアンビルとの間にかけられるときには、力センサがソノトロード装置により圧力を受けるような様式で力センサが配置される。
【0040】
言い換えれば、力センサは、超音波接合装置の作業中に典型的には生じる力の下で圧力を受けるような様式で、好ましくは、ソノトロード装置に配置され、かつソノトロード装置と相互作用しなければならない。このように負荷された圧力は、多くの場合、対応する引張荷重よりもより容易に、かつ/又はより正確に測定され得る。大半の場合、超音波接合装置の動作中に典型的には発生する力は、ソノトロードヘッド及びアンビルが、それらの間に受容される接合パートナーと接触し、少なくともわずかにこれらをともに圧するために、変位装置によって互いに向かって移動されるという事実から生じる。一般には、アンビルから離れて向けられ、ソノトロードのゼロ点位置に配置された力センサに隣接するソノトロードの一部にわたって伝えられる力がソノトロードヘッドにかけられる。
【0041】
前述のように、本明細書に記載の超音波接合装置では、ソノトロードに作用する力は、力センサを活用して決定され得る。次いで決定された力によって、間に囲まれた接合パートナー上で、ソノトロードヘッドとアンビルの間にかけられる力について、結論を引き出すことが可能となる。特に、振動作用を有する力もまた決定され得る。接合作業中に接合パートナーに作用する力及び振動が、接合パートナーの接合に相当の影響を有し得るため、したがって、力センサにより決定される信号は、接合パートナーの接合に有利に影響を与えるために使用され得る。
【0042】
この目的のために、一実施形態による超音波接合装置は、力センサの信号を考慮して超音波接合装置の特性を調節するように構成されている閉ループ制御装置を更に備える。次いで、超音波接合装置は、力センサにより決定された力を考慮して超音波接合装置の特性が調節されるような様式で操作され得る。
【0043】
別の言い方をすれば、力センサによって送達される信号又は力測定は、超音波接合装置の1つ以上の特性を制御するだけでなく、調節もするために使用され得る。
【0044】
従来の超音波接合装置では、接合作業に影響を与える特性は、一般には制御システムによってのみ制御される。制御システムは目的のパラメータを特定するが、この目的のパラメータに従って実際に超音波接合装置の特性が生じるかどうかは考慮していない。対照的に、ここで提案される超音波接合装置の場合には、接合作業に影響を与える特性は、力センサからの信号を考慮して調節されることが可能でなければならない。信号は、超音波接合装置にてどの特性が実際に生じるのか、また所望の方法で目的のパラメータにその特性が従うのかどうかについての、十分に信頼でき、かつ/又は正確な情報を提供する。
【0045】
例えば、一実施形態によれば、力センサの信号を考慮して、閉ループ制御装置は、ソノトロード装置とアンビルとの間の変位装置を用いて生成された力を調節するように構成され得る。次いで、超音波接合装置は、ソノトロード装置とアンビルとの間で変位装置を用いて生成される力が、力センサにより決定された力を考慮して調節されるような様式で操作され得る。
【0046】
別の言い方をすれば、例えば、変位装置の機構、油圧システム、空気圧システム、電動サーボ駆動装置などがソノトロード装置及びアンビルを互いに向かって移動させる力は、通常は従来型の超音波接合装置での場合のように、目的の力を特定することのみに限らずに制御され得る。代わりに、力センサで決定される力は、力を設定するときには考慮され得る。制御された様式のみに指定された従来型の力設定では、どのような力が変位装置の変位時に接合パートナーに実際に生じるかを認識することが不可能であるが、力センサによって決定される力を考慮することで、接合パートナーに実際に作用する力についての結論を引き出すことが可能である。したがって、変位装置は、閉ループ制御装置によって好適な様式で調節され得る。その結果、実際に作用するこれらの力は、目的の仕様に従って設定され得る。例えば、変位装置によってソノトロードヘッドとアンビルとの間に設定された相対的位置及びこれによって接合パートナーに生じる力は、例えば、例えばスリップスティック効果及び/又はそれら自体を解消する傾斜の結果として、接合作業中に所望ではない様式にて変化した場合には再度調節され得る。
【0047】
更なる一実施形態によれば、力センサの信号を考慮して、閉ループ制御装置が、ソノトロード装置における超音波生成を調節するように構成され得る。次いで、超音波接合装置は、力センサにより決定された力によって変動する力を考慮して、ソノトロード装置の超音波生成が調節されるような様式で操作され得る。
【0048】
言い換えれば、力センサによって生成された信号及びそれによって提示される決定された力に基づき、接合作業中にどのような力が接合パートナーに実際に作用するかを結論付け得る。こうした力の進行についての変化の時間分解能は、接合パートナーに伝えられる超音波振動についての結論を可能とするには十分に高いものであり得る。接合パートナーにおけるこのような超音波振動は、かけられた力に応じて、及び/又は振動発生器によって生成された超音波振動に応じて、接合作業中に変化し得る。特に、測定された力は、そのゼロ点位置でのソノトロード装置の上記ラジアル方向の振動によって生じ得る。こうすることで、超音波の周波数範囲が経時的に変化し得る。こうした変化は、力センサによる力測定に基づいて認識され得る。その結果、力センサの信号に基づき、フィードバックが閉ループ制御装置に伝えられ得る。このフィードバックに基づいて、次いで閉ループ制御装置は、例えば振動発生器に制御信号を好適に適合することによって、超音波振動の発生を調節し得る。例えば、振動周波数及び/又は振幅などの接合作業の結果に影響を与える影響因子は、これによって可能な限り有利に修正かつ最適化され得る。
【0049】
更なる一実施形態によれば、超音波接合装置は、力センサの信号に基づき、超音波接合装置の現在の状態についての情報を決定するように構成されているモニタリング装置を更に備える。ここで、超音波接合装置は、力センサにより決定された力を考慮して、現在の状態についての情報が決定され、出力されるような様式で操作され得る。
【0050】
ここではとりわけ、力センサによって測定された力、特にこれらの力の経時的な進行によって、超音波接合装置の現在の状態についての結論が引き出し可能であることが観察されているという事実が使用され得る。例えば、力センサによって測定された力の進行が、ソノトロード及びアンビルが変位装置によって互いに向かって移動され、これによってそれらの間で接合パートナーをクランプしている間に挙動する方法によって、超音波接合装置内の現在の物理的特性の指標がもたらされ得る。例えば、こうした力の進行内での急激な変化又は急上昇は、超音波接合装置の機械的状態を示し得る。超音波接合装置の現在の状態についての対応する情報は、例えばそれに基づく超音波接合装置の操作に適合させることを可能にするため、及び/又は例えば、欠陥状態の場合に適切な是正措置を提供することを可能にするために、他の内部構成要素又は外部構成要素に、例えば信号として、出力又は送信され得る。
【0051】
本発明の実施形態の可能な特徴及び利点は、超音波接合装置を参照して本明細書にて部分的に、かつ超音波接合装置についての作業方法を参照して部分的に説明される。当業者は、個々の実施形態について記載された特徴が同様の様式で他の実施形態に好適に移行され得ること、本発明の更なる実施形態及び場合によっては相乗効果に到達するように適合及び/又は交換され得ることを理解するだろう。
【0052】
本発明の有利な実施形態は、添付の図面を参照して以下にて更に説明されるが、図面も説明も両方とも、いかなる方法によっても本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明の例示的実施形態による、超音波接合装置の概略図を示す。
図2図1の超音波接合装置の構成要素を通した、より詳細な断面図を示す。
図3】本発明による、超音波接合装置で決定され得るような、力の進行の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図は単に概略的なものであり、縮尺通りではない。種々の図面での同一の参照符号は、同一の特徴又は同一の効果を有する特徴を示す。
【0055】
図1は、超音波接合装置1の一実施形態の非常に概略的な図を示す。超音波接合装置1の詳細のいくつかは、図2に示されている。
【0056】
超音波接合装置1は、ソノトロード装置3、アンビル5、変位装置7及び力センサ9を有する。ソノトロード装置3は、近位領域13に、本明細書ではx方向と表される振動方向17で、超音波振動を発生させるためのコンバータ27とブースタ29を有する振動発生器25を有する。示された例では、長手方向の振動が生成される。つまり、振動方向17は、ソノトロード装置3の長手方向範囲に実質的に平行である。ソノトロード装置3は、ソノトロード31を更に有し、その遠位領域15にはソノトロードヘッド11を有する。反力を吸収することができるようにするために、ソノトロード装置3は、ブースタ29のゼロ点ベアリング45上に取り付けられ、かつソノトロード31上のゼロ点位置21に支持される。
【0057】
アンビル5は、ソノトロードヘッド11上方に据え付けられている。例えば、2つ以上のストランド又はケーブルの形態である接合パートナー43は、アンビル5とソノトロードヘッド11の間に受け入れられてもよい。
【0058】
変位装置7を活用し、アンビル5及びソノトロードヘッド11を備えたソノトロード装置3は、変位方向19で互いに対して移動され得る。変位方向19は、本明細書ではz方向と表される。示された例では、変位装置7は、アンビル駆動装置の形態であり得、例えば、力Faを用いてアンビル5を移動させるためのサーボ駆動装置又は空気圧シリンダを有し得る。
【0059】
力Faは、任意選択で測定され得る。ただし、変位装置7によって生じる力Faは、ソノトロード31で生じる、又は接合パートナー43に作用する力に必ずしも対応しないことが観察されている。力の損失は例えば、摩擦及びノイズの結果として発生することがあり、また、こうした力の損失は力Faを測定することでは認識されないことがある。別の言い方をすれば、変位装置7の駆動力Faは、例えばガイド及び/又は接合材料の摩擦によって影響され得る。更には、一般には、振幅と周波数と力の間には実証された関係を認めることができないことが観察されており、このため、このことは信頼できるものとして考慮されない場合がある。
【0060】
接合パートナー43に実際に作用する力と、場合によっては更に接合パートナー43にかけられる超音波振動とを良好に決定することができるように、超音波接合装置1は、力センサ9を有する。力センサ9は、ソノトロード31のゼロ点位置21に隣接する接触領域23に位置づけられる。力センサ9は、ソノトロード装置3のソノトロード31によってかけられる力Fsを測定することができるように構成されている。これらの力Fsは、少なくともそれらの分力のうちの1つとともに、ソノトロード31がかけられた力Faによってアンビル5を介して間接的に変位装置7による力を受ける変位方向19に対し、平行方向で作用する。
【0061】
力センサ9は、このように配置及び構成され、それによって、変位装置7で測定された力Faを用いた場合よりも、接合パートナー43に作用する力若しくは関連する力の進行とより直接的に有意に相関する力Fs又は力Fsの経時的な進行を検出する。
【0062】
力センサ9は、ソノトロード31のゼロ点位置21近くの接触領域23内部に配置されている。この接触領域23は、力センサ9がゼロ点位置21の十分近くに存在するような様式で寸法決めされている。したがって、力センサ9は長手方向の振動ではほとんど負荷されない。これは、ゼロ点位置21ではこうした長手方向の振動が最小であることによる。一方、力センサ9は、ソノトロード31内部のラジアル方向の振動による力を受けることがある。こうしたラジアル方向の振動は、長手方向の振動に相関する、ソノトロード31内部における時間によって変動する局所的圧縮が原因である、特にゼロ点位置21での横方向の収縮として発生する。この結果、ソノトロード31は、ゼロ点位置21の領域においては、その側面とともに上下に動くと捉えられる。
【0063】
力センサ9を活用して、そのゼロ点位置21でソノトロード31に作用する力は、このため高精度で決定され得る。こうした力と接合パートナー43に実際に作用する力との間には、一般には、直接的な相関が存在する。更に、これらの力の経時的な進行が記録され得る。したがって、特に、そのゼロ点でのソノトロード31の横方向の収縮が決定され得る。また、ソノトロード装置3による長手方向の振動についての情報、特に周波数、振幅及び/又はそれらの位相は、この情報から導出され得る。決定された情報は、超音波接合装置1を調節及び/又はモニタリングするために使用され得る。
【0064】
ベアリング要素33は、力センサ9の力測定面35とソノトロード31の対向する面37との間に置かれる。ベアリング要素33は、とりわけ、過負荷に対して、特にソノトロード31からの伝えられた長手方向の振動及び/又は過度なラジアル方向の振動による過負荷に対して、力センサ9を保護するように意図されている。このようにして、力センサ9の適切な寿命が達成され得る。
【0065】
一方、ベアリング要素33は、測定される力Fs及びその経時的な進行に過度に影響しない様式で構成されなければならない。その結果、例えば当該力の振幅及び/又は位相は、依然として、ソノトロード31において優勢であるような関連するパラメータと十分正確に相関する。
【0066】
力センサ9及びベアリング要素33は、一方では、超音波接合装置1のハウジング上に支持され、もう一方ではそのゼロ点位置21でソノトロード31を支持し得る。全体としては、ソノトロード31のある種のゼロ点ベアリングは、力センサ9及びベアリング要素33によって形成され得る。ここで優勢である力Fsは、力センサ9によって決定され得る。
【0067】
決定された力Fsに応答して力センサ9によって生成された信号は、閉ループ制御装置39及び/又はモニタリング装置41に送られ得る。
【0068】
閉ループ制御装置39は、これらの信号に基づき、目的をもって、超音波接合装置1の特性及び/又は機能を調節し得る。
【0069】
例えば、ソノトロード31とアンビル5の間の変位装置7を用いて生成された力Faは、力センサ9の信号を考慮して調節され得る。接合パートナー43に実際に作用する力は、こうすることで、従来型の超音波接合装置の場合よりも良好に調整され得る。
【0070】
更に、閉ループ制御装置39は、ソノトロード装置3において所望の超音波生成を生じさせるために、力センサ9の信号を使用して好適な様式でソノトロード装置3のコンバータ27を調節し得る。
【0071】
モニタリング装置41は、超音波接合装置1の現在の状態についての情報を決定するために、力センサ9から受信された信号を使用し得る。例えば、測定された力Fsの進行における急激な変化、つまり力の急上昇によって超音波振動の生成のスイッチをオンにする、又はオフにするときには、超音波接合装置1とその構成要素の現在の機械的状態について結論を引き出すことが可能となる。
【0072】
モニタリング装置41は、超音波接合装置1の現在の状態についての情報を閉ループ制御装置39に転送し得る。この結果、例えば情報がここで考慮され得る。あるいは、又は更に、こうした情報はまた、他の内部構成要素又は外部構成要素47に転送され得る。例えば、情報は、技術者が誤動作又は摩耗現象を認識させ、かつ適切な対策を開始することを可能とするため、ディスプレイ上に示され得る。
【0073】
図3は、例として、時間tに応じた力Fの進行を示す。一方では、変位装置7で直接測定された力Faが示され、もう一方では力センサ9で決定された力Fsが示されている。
【0074】
明確に確認され得るように、2つの力Fa及びFsの経時的な進行は、著しく異なっている。変位装置7で生じた力Faは、制御信号に従っており、実質的に矩形の進行を有する。
【0075】
ただし、ソノトロード31に作用する力であって、その結果、接合パートナー43に実質的に作用する力は、こうした矩形の進行とは著しく異なり得る。最初に、この力Fsは最初に急激に増加するが、その後最大値に達すると考えられる。
【0076】
超音波振動の生成が時間t1で開始するとすぐ、測定された力Fsは短時間のうちに再び増加する。これは、予め存在している傾斜、接着などが、超音波振動の影響下でそれ自体を解消させることがあることが理由であると考えられる。測定された力Fsが超音波振動の後に振動することも更に見られ得る。振動の周波数、振幅及び/又は位相などの振動パラメータは、ソノトロード31で優勢である超音波振動と相関すると考えられる。
【0077】
超音波振動の生成が時間t2で終了するとき、測定された力Fsはゆるやかに減少する。
【0078】
時間t3から、測定された力は再び急激に減少し、最終的には、超音波接合作業の前に優勢であった水準に実質的には達する。
【0079】
本明細書に記載の超音波接合装置1及び調節された様式でこれが操作され得る方法を用いて、特に接合が困難である接合パートナー又は品質が低下した接合パートナーの場合には、超音波接合プロセスにおける改善が達成され得る。潜在的に欠陥のある接合継手は、避けられ得る、かつ/又は認識され得る。
【0080】
最後に、「有する」、「含む」などといった用語は、任意の他の要素又はステップを排除するものではなく、「1つ」という用語は複数を排除するものではないことに留意されたい。上記例示的実施形態のうちの1つを参照して記載された特徴又はステップはまた、上記の例示的実施形態の他の特徴又はステップと組み合わせて使用され得ることが更に指摘されなければならない。特許請求における参照符号は、限定とみなされるべきではない。
【符号の説明】
【0081】
1 超音波接合装置
3 ソノトロード装置
5 アンビル
7 変位装置
9 力センサ
11 ソノトロードヘッド
13 近位領域
15 遠位領域
17 振動方向
19 変位方向
21 ゼロ点位置
23 接触領域
25 振動発生器
27 コンバータ
29 ブースタ
31 ソノトロード
33 ベアリング要素
35 力測定面
37 ソノトロード装置の面
39 閉ループ制御装置
41 モニタリング装置
43 接合パートナー
45 ブースタのゼロ点ベアリング
47 外部構成要素
Fa 変位装置による力
Fs 力センサでの力
x x方向
z z方向
図1
図2
図3
【国際調査報告】