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特表2024-527009過電圧保護スパークギャップアセンブリおよび過電圧保護スパークギャップアセンブリを動作させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】過電圧保護スパークギャップアセンブリおよび過電圧保護スパークギャップアセンブリを動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
   H01T 1/04 20060101AFI20240711BHJP
   H01T 1/14 20060101ALI20240711BHJP
   H01T 1/16 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H01T1/04 C
H01T1/14 B
H01T1/16 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504544
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2022068581
(87)【国際公開番号】W WO2023006355
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】102021208076.6
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522067846
【氏名又は名称】デーン エスエー
【氏名又は名称原語表記】DEHN SE
【住所又は居所原語表記】Hans-Dehn-Strasse 1 92318 Neumarkt i.d.OPf. Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラウス、ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ラング、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ハース、セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】アイヒェンサー、ローラント
(72)【発明者】
【氏名】クローゼ、ユリアーネ
(72)【発明者】
【氏名】ダウム、リヒャルト
(57)【要約】
本発明は、過電圧保護スパークギャップアセンブリおよび過電圧保護スパークギャップアセンブリの動作方法を提供する。過電圧保護スパークギャップアセンブリは、第1の主端子(1a)と第2の主端子(1b)とを有する第1の過電圧保護スパークギャップ(1)、および第3の主端子(1a’)と第4の主端子(1b’)とを有する第2の過電圧保護スパークギャップ(1’)を有する。第1の主端子(1a)を、第1の端子接点(A1)を介して供給網の第1の電圧ライン(S1)に接続でき、第4の主端子(1b’)を、第2の端子接点(A2)を介して供給網の第2の電圧ライン(S2)に接続できる。第2の主端子(1b)および第3の主端子(1a’)は互いに電気的に接続される。第1の導電性プローブ装置(K2)は、第1の過電圧保護スパークギャップ(1)の摩耗部分(38)またはその近傍に導入され、特定の摩耗度の場合に、第1の導電性プローブ装置(K2)が第1の過電圧保護スパークギャップ(1)におけるアーク(41)に電気的に接触するようになる。第2の過電圧保護スパークギャップ(1’)は、第2の過電圧保護スパークギャップ(1’)におけるアークに電気的に接触する第2の導電性プローブ装置(33)を有する。第1の導電性プローブ装置(K2)および第2の導電性プローブ装置(33)は、第1の導電性プローブ装置(K2)と第2の導電性プローブ装置(33)との間の電流経路における電流の流れまたは電流の流れのうちの対応する部分が規定の基準を満たす場合に切り離し装置(A;7,8,11,12)を作動させるために作動信号(S)を出力する作動装置(28;4’’)を介して互いに電気的に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主端子(1a;101a;111a)と第2の主端子(1b;101b;111b)とを有する第1の過電圧保護スパークギャップ(1;101;111)、および第3の主端子(1a’;1a’’;1a’’’;1a’’’’)と第4の主端子(1b’;1b’’;1b’’’;1b’’’’)とを有する第2の過電圧保護スパークギャップ(1’;1’’;1’’’;1’’’’)
を有しており、
前記第1の主端子(1a;101a;111a)を、第1の端子接点(A1)を介して供給網の第1の電圧ライン(S1)に接続でき、前記第4の主端子(1b’;1b’’;1b’’’;1b’’’’)を、第2の端子接点(A2)を介して前記供給網の第2の電圧ライン(S2)に接続でき、
前記第2の主端子(1b;101b;111b)および前記第3の主端子(1a’;1a’’;1a’’’;1a’’’’)は、前記第1の過電圧保護スパークギャップ(1;101;111)と前記第2の過電圧保護スパークギャップ(1’;1’’;1’’’;1’’’’)とが直列に接続されるように、互いに電気的に接続され、
前記第1の過電圧保護スパークギャップ(1;101;111)は、前記第1の過電圧保護スパークギャップ(1;101;111)の摩耗部分(38;102;38a)またはその近傍に導入された第1の導電性プローブ装置(K2;K21;K22)を有し、特定の摩耗度の場合に、前記第1の導電性プローブ装置(K2;K21;K22)は、前記第1の過電圧保護スパークギャップ(1;101;111)におけるアーク(41)に電気的に接触し、前記第2の過電圧保護スパークギャップ(1’;1’’;1’’’;1’’’’)は、前記第2の過電圧保護スパークギャップ(1’;1’’;1’’’;1’’’’)におけるアークに電気的に接触する第2の導電性プローブ装置(33;K20;K220)を有し、
前記第1の導電性プローブ装置(K2;K21;K22)および前記第2の導電性プローブ装置(33;K20;K220)は、前記第1の導電性プローブ装置(K2;K21;K22)と前記第2の導電性プローブ装置(33;K20;K220)との間の電流経路(IV)における電流の流れまたは前記電流の流れのうちの対応する部分を検出するように構成された作動装置(28;4’’)を介して互いに電気的に接続され、
前記第1の端子接点(A1)を前記第1の主端子(1a;101a;111a)から切り離し、かつ/または前記第2の端子接点(A2)を前記第4の主端子(1b’;1b’’;1b’’’;1b’’’’)から切り離す切り離し装置(A;7,8,11,12;A’;MS)
をさらに有し、
前記作動装置(28;4’’)は、前記検出された電流の流れまたは前記電流の流れのうちの前記対応する部分が規定の基準を満たす場合に前記切り離し装置(A;7,8,11,12)を作動させるために作動信号(S)を出力するように構成される、過電圧保護スパークギャップアセンブリ。
【請求項2】
前記第1の過電圧保護スパークギャップ(1)は、少なくとも1つの領域に摩耗部分(38)として電気絶縁性のハードガス放出材料を有し、前記材料へと、前記第1の導電性プローブ装置(K2)が、前記領域内に包まれて関連のアークチャンバ(40)のアーク領域(41)から所定の距離に位置するように挿入されている、請求項1に記載の過電圧保護スパークギャップアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の過電圧保護スパークギャップ(1;111)は、少なくとも1つの領域に、摩耗部分(38a)として、とくには導電性のハードガス放出材料を有し、前記材料の付近に、前記第1の導電性プローブ装置(K22)が、前記領域の外部で関連のアークチャンバ(40b)のアーク領域から所定の距離に位置するように挿入されている、請求項1に記載の過電圧保護スパークギャップアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の過電圧保護スパークギャップ(101)は、少なくとも1つの領域に摩耗部分(102)として、電気絶縁性材料を有し、前記材料へと、前記第1の導電性プローブ装置(K21)が、前記領域内に包まれて関連のアークチャンバ(40a)のアーク領域から所定の距離に位置するように挿入されている、請求項1に記載の過電圧保護スパークギャップアセンブリ。
【請求項5】
前記第2の過電圧保護スパークギャップ(1’;1’’)は、平行に配置された複数のクエンチ板(21c)を有するクエンチチャンバ(25)において終わる第1および第2の発散形電極(21a、21b)を有し、前記第2の導電性プローブ装置(33)は、2つの隣り合うクエンチ板(21c)の間に配置され、あるいはクエンチ板(21c)に電気的に接続される、請求項1~4のいずれか一項に記載の過電圧保護スパークギャップアセンブリ。
【請求項6】
前記第2の過電圧保護スパークギャップ(1’’’)は、少なくとも1つの領域にハードガス放出材料(38’)を有し、前記材料へと、前記第2の導電性プローブ装置(K20)が、関連のアークチャンバ(40)のアーク領域(41)内に位置するように挿入される、請求項1~4のいずれか一項に記載の過電圧保護スパークギャップアセンブリ。
【請求項7】
前記第2の過電圧保護スパークギャップ(1’’’’)は、絶縁体領域(202)によって囲まれたアークチャンバ(40b)を備え、前記アークチャンバ(40b)へと、前記第2の導電性プローブ装置(K22)が、前記絶縁体領域(202)を通って導入される、請求項1~4のいずれか一項に記載の過電圧保護スパークギャップアセンブリ。
【請求項8】
前記切り離し装置(A)は、前記作動信号(S)によってトリガ可能である前記第1の主端子(1a;101a;111a)と前記第1の端子接点(A1)との間に接続された安全ヒューズ装置(8)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の過電圧保護スパークギャップアセンブリ。
【請求項9】
前記切り離し装置(A’)は、前記第1の主端子(1a;101a)と前記第1の端子接点(A1)との間に接続された機械式スイッチ装置(MS)を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の過電圧保護スパークギャップアセンブリ。
【請求項10】
前記作動装置(28;4’’)は、前記第1の導電性プローブ装置(K2;K21)と前記第2の導電性プローブ装置(33;K20;K220)との間の前記電流経路(IV)内に直列に接続された電流制限抵抗(28)およびインジケータヒューズ(4’’)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の過電圧保護スパークギャップアセンブリ。
【請求項11】
第1の主端子(1a;101a;111a)と第2の主端子(1b;101b;111b)とを有する第1の過電圧保護スパークギャップ(1;101;111)、および
第3の主端子(1a’;1a’’;1a’’’;1a’’’’)と第4の主端子(1b’;1b’’;1b’’’;1b’’’’)とを有する第2の過電圧保護スパークギャップ(1’;1’’;1’’’;1’’’’)
を有しており、
前記第1の主端子(1a;101a;111a)を、第1の端子接点(A1)を介して供給網の第1の電圧ライン(S1)に接続でき、前記第4の主端子(1b’;1b’’;1b’’’;1b’’’’)を、第2の端子接点(A2)を介して前記供給網の第2の電圧ライン(S2)に接続でき、
前記第2の主端子(1b;101b;111b)および前記第3の主端子(1a’;1a’’;1a’’’;1a’’’’)は、前記第1の過電圧保護スパークギャップ(1;101;111)と前記第2の過電圧保護スパークギャップ(1’;1’’;1’’’;1’’’’)とが直列に接続されるように、互いに電気的に接続されている、過電圧保護スパークギャップアセンブリを動作させるための方法であって、
第1の基準として、第1の導電性プローブ装置(K2;K21;K22)であって、特定の摩耗度の場合に前記第1の過電圧保護スパークギャップ(1;101;111)におけるアーク(41)に電気的に接触するように、前記第1の過電圧保護スパークギャップ(1;101;111)の摩耗部分(38;102;38a)またはその近傍に導入される、第1の導電性プローブ装置(K2;K21;K22)によって、前記第1の過電圧保護スパークギャップ(1;101;111)の特定の摩耗度を検出するステップと、
第2の基準として、前記第2の過電圧保護スパークギャップ(1’;1’’;1’’’;1’’’’)におけるアークに電気的に接触する第2の導電性プローブ装置(33;K20;K220)によって、前記第2の過電圧保護スパークギャップ(1’;1’’;1’’’;1’’’’)へのアークの進入を検出するステップと、
前記第1の基準および第2の基準の両方が満たされた場合に、前記第1の端子接点(A1)を前記第1の主端子(1a;101a)から切り離し、かつ/または前記第2の端子接点(A2)を前記第4の主端子(1b’;1b’’;1b’’’;1b’’’’)から切り離すステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記第1の導電性プローブ装置(K2;K21;K22)および前記第2の導電性プローブ装置(33;K20;K220)は、共通の電流経路(IV)内に配置されていて、
前記電流経路(IV)における電流の流れまたは前記電流の流れのうちの対応する部分を検出するステップと、
前記電流経路(IV)における前記検出された電流の流れまたは前記電流の流れのうちの前記対応する部分に基づき、切り離し装置(A;7,8,11,12)を作動させるために作動信号(S)を出力するように構成された作動装置(28;4’’)を作動させるステップと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記作動装置(28;4’’)は、機械式および/または電気式のエフェクトチェーンを作動させる、請求項11または12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電圧保護スパークギャップアセンブリおよび過電圧保護スパークギャップアセンブリを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
続流を回避し、あるいは消弧するための高圧を生成するためにハードガスの原理を利用する過電圧保護スパークギャップが、独国特許第102005024658号明細書から知られている。例えば、ハードガス放出材料として、POM(ポリオキシメチレン)が使用される。このような過電圧保護スパークギャップは、アーク負荷下で摩耗を被る。ハードガス放出材料の摩耗が或る限界を超えると、続流を消弧する能力が低下する。
【0003】
独国特許出願公開第102011051738号明細書が、発散形電極を有する過電圧保護スパークギャップを開示しており、対向する電極表面の間の距離が、点火領域において狭く保たれ、走行領域において広がっている。したがって、パルス電流負荷が、実質的に点火領域に制限される一方で、本線からの続流は、走行領域において発散形電極に沿って走行し、本線からの続流のアークは、クエンチチャンバ内で分割され、消弧される。
【0004】
国際公開第2015/028436号に、経時劣化検出部を備えたスパークギャップが記載されており、スパークギャップは、第1の放電電極と、第1の放電電極から離間した第2の放電電極とを有し、両者の間に、特定の電圧に達したときに、アーク放電が、第1の放電電極と第2の放電電極との間の放電ギャップに沿って形成される。放電ギャップは、電気絶縁材料によって少なくとも部分的に取り囲まれており、電気絶縁材料は、少なくとも1つの地点に導電部分を有し、導電部分は、アーク放電の影響によって損傷し、スパークギャップの経時劣化を、導電部分の流量または抵抗または静電容量を測定することによって判断することができる。
【0005】
(安全)ヒューズが、典型的には、SPD(サージ保護デバイス)としてのスパークギャップの上流に別個の構成要素として接続され、SPDが故障し、あるいは摩耗した場合に、本線からの続流を遮断することができる。(安全)ヒューズおよびSPDを、同じハウジングに収容することができる。これは、以下の欠点をもたらす。
【0006】
(1)対応する放電容量(8/20、10/350)を保証するために、上流に位置する(安全)ヒューズは、相応に大型であるように選択されなければならず、故障の場合に、本線からの続流が大きくなり、したがってシステムに大きな負荷を発生させる。
【0007】
(2)消耗したSPDが特定のインピーダンスを呈し、電流を少し制限する場合、上流に接続された(安全)ヒューズのトリップが(大幅に)遅れる可能性があり、設置された部品への熱応力が大きくなる可能性がある。加えて、電荷除去部が、本線からの続流を制限するが、消弧することはできないような様相で、経時劣化する可能性がある。この場合、電流経路全体の熱負荷が大きくなる可能性がある。
【0008】
(3)導体断面の寸法を、(1)および(2)で述べた負荷に対応する大きな電流に合わせて構成しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許第102005024658号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102011051738号明細書
【特許文献3】国際公開第2015/028436号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、請求項1に記載の過電圧保護スパークギャップアセンブリおよび請求項11に記載の過電圧保護スパークギャップアセンブリを動作させるための方法を提供する。
【0011】
好ましい発展が、それぞれの従属請求項に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の核心は、例えば経時劣化または過負荷に起因する過電圧保護スパークギャップの機能的能力の低下を監視し、例えば安全ヒューズ装置または機械式スイッチ装置を作動させることによってタイムリーに切り離すことである。
【0013】
本発明の着想は、第1の基準として、第1の導電性プローブ装置であって、特定の摩耗度において第1の過電圧保護スパークギャップにおけるアークに電気的に接触するように、第1の過電圧保護スパークギャップの摩耗部分に導入される、第1の導電性プローブ装置によって、第1の過電圧保護スパークギャップの特定の摩耗度を検出し、第2の基準として、第2の過電圧保護スパークギャップにおけるアークに電気的に接触する第2の導電性プローブ装置によって、第2の過電圧保護スパークギャップへのアークの進入を検出し、第1および第2の基準の両方が満たされた場合に、第1の端子接点を第1の主端子から切り離し、かつ/または第2の端子接点を第4の主端子から切り離すことである。
【0014】
好ましい実施形態によれば、第1の過電圧保護スパークギャップは、少なくとも1つの領域に摩耗部分としてハードガス放出材料を有し、前記材料へと、第1の導電性プローブ装置が、前記領域内に包まれて関連するアークチャンバのアーク領域から所定の距離に位置するように挿入されている。これにより、ハードガス放出過電圧保護スパークギャップの摩耗を確実に監視することができる。
【0015】
さらに好ましい実施形態によれば、第1の過電圧保護スパークギャップは、少なくとも1つの領域に、摩耗部分として、特に導電性のハードガス放出材料を有し、前記材料の近傍に、前記第1の導電性プローブ装置が、前記領域の外部で関連するアークチャンバのアーク領域から所定の距離に位置するように挿入されている。
【0016】
さらに好ましい実施形態によれば、第1の過電圧保護スパークギャップは、少なくとも1つの領域に摩耗部分として電気絶縁材料を有し、前記材料へと、前記第1の導電性プローブ装置が、前記領域内に包まれて関連するアークチャンバのアーク領域から所定の距離に位置するように挿入されている。これにより、絶縁体領域を有する過電圧保護スパークギャップの摩耗を確実に監視することができる。
【0017】
さらに好ましい実施形態によれば、第2の過電圧保護スパークギャップは、平行に配置された複数のクエンチ板を有するクエンチチャンバにおいて終わる第1および第2の発散形電極を有し、前記第2の導電性プローブ装置は、2つの隣り合うクエンチ板(21c)の間に配置され、あるいはクエンチ板(21c)に電気的に接続される。
【0018】
さらに好ましい実施形態によれば、第2の過電圧保護スパークギャップは、少なくとも1つの領域にハードガス放出材料を有し、前記材料へと、前記第2の導電性プローブ装置(K20)が、関連のアークチャンバ(40)のアーク領域(41)内に位置するように挿入される。
【0019】
さらに好ましい実施形態によれば、第2の過電圧保護スパークギャップは、絶縁体領域によって囲まれたアークチャンバを備え、アークチャンバに、絶縁体領域を通って第2の導電性プローブ装置が導入される。
【0020】
さらに好ましい実施形態によれば、切り離し装置は、作動信号によってトリガ可能であり、第1の主端子と第1の端子接点との間に接続された安全ヒューズ装置を有する。
【0021】
さらに好ましい実施形態によれば、切り離し装置は、第1の主端子と第1の端子接点との間に接続された機械式スイッチ装置を有する。
【0022】
さらに好ましい実施形態によれば、作動装置は、第1の導電性プローブ装置と第2の導電性プローブ装置との間の前記電流経路内に直列に接続された電流制限抵抗およびインジケータヒューズを有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施形態による過電圧保護スパークギャップアセンブリを例示するための回路図を示している。
図2】本発明の第2の実施形態による過電圧保護スパークギャップアセンブリを例示するための回路図を示している。
図3】本発明の第3の実施形態による過電圧保護スパークギャップアセンブリを例示するための回路図を示している。
図4】本発明の第4の実施形態による過電圧保護スパークギャップアセンブリを例示するための回路図を示している。
図5】本発明の第4の実施形態による過電圧保護スパークギャップアセンブリを例示するための回路図を示している。
【0024】
図面において、同様または機能的に同一の要素は、同じ参照符号で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1が、本発明の第1の実施形態による過電圧保護スパークギャップアセンブリを例示するための回路図を示している。
【0026】
図1において、参照符号1は、第1の主端子1aと第2の主端子1bとを有する第1の過電圧保護スパークギャップを示す。参照符号1’は、第3の主端子1a’と第4の主端子1b’を有する第2の過電圧保護スパークギャップを示す。
【0027】
第1の主端子1aは、第1の端子接点A1を介して供給網の第1の電圧ラインS1に接続することができ、第4の主端子1b’は、第2の端子接点A2を介して供給網の第2の電圧ラインS2に接続することができる。
【0028】
第2の主端子1bと第3の主端子1a’は、第1の過電圧保護スパークギャップ1と第2の過電圧保護スパークギャップ1’が直列に接続されるように、互いに電気的に接続されている。
【0029】
この例示的な実施形態の場合において、第2の過電圧保護スパークギャップ1’を、第1および第2の電圧ラインS1、S2の間に接続されたトリガ装置50を介してトリガすることができる。
【0030】
ブリッジイグナイタ7によってトリガすることができる安全ヒューズ装置8が、第1の主端子1aと第1の端子接点A1との間に接続されている。この例において、安全ヒューズ装置8の固有の安全機能は、後述されるように、摩耗または経時劣化の場合にスパークギャップアセンブリを切り離すように機能する。
【0031】
一方では、ブリッジイグナイタ7は、第1の主端子1aに接続され、他方では、電流制限抵抗12および作動信号Sによって制御することができるスイッチ装置11を介して、第2の電圧ラインS2に接続されてよい。
【0032】
したがって、構成要素7、8、11、12は、第1の端子接点A1を第1の主端子1aから切り離すための切り離し装置Aを形成する。
【0033】
第1の過電圧保護スパークギャップ1は、原則として、独国特許第102005024658号明細書から知られているようなハードガス消弧による過電圧保護スパークギャップに対応する。さらに、第1の過電圧保護スパークギャップ1は、第1の過電圧保護スパークギャップ1の電気絶縁摩耗部分38へと導入された第1の導電性プローブ装置K2を有し、したがって、特定の程度の摩耗の場合に、第1の導電性プローブ装置K2が、第1の過電圧保護スパークギャップ1の主電極35、36の間のアークチャンバ40内のアーク41に電気的に接触する。第1のプローブ装置K2は、端子ラインK2’を介して外部に接続される。
【0034】
第1の過電圧保護スパークギャップ1は、少なくとも1つの領域における摩耗部分38として、アークに曝されたときにアークによる焼損の結果として経時劣化するハードガス放出材料を有する。領域38を、例えばPOM(ポリオキシメチレン)で構成することができる。例えばワイヤまたは導電性ストリップなどの第1の導電性プローブ装置K2は、当初は領域38へと挿入され、領域38内のアークチャンバ40のアーク領域41から一定の距離に位置し、ハードガス放出材料に包まれて、領域38のサンドイッチ構造内に配置される。
【0035】
領域38内のハードガス放出材料がアーク41によって第1の導電性プローブ装置K2まで焼損すると、第1の導電性プローブ装置K2は、第1の過電圧保護スパークギャップ1内のアーク41と電気的に接触し、その電位をタップする。
【0036】
第2の過電圧保護スパークギャップ1’は、例えば、独国特許出願公開第102011051738号明細書から知られているように、ホーンギャップである。とくには、第2の過電圧保護スパークギャップ1’は、第1および第2の発散形電極21a、21bを有する。点火領域Zにおいて、第1および第2の発散形電極21a、21bの間の距離は小さく保たれるが、走行領域Lにおいて、第1および第2の発散形電極21a、21bの間の距離はどんどん大きくなる。第1および第2の発散形電極21a、21bは、平行に配置された複数のクエンチ板21cを有するクエンチチャンバ25において終わる。
【0037】
他の実施形態(図示せず)において、電極またはバッフル板は、クエンチチャンバの下方の或る程度の距離で終わってもよい。その場合、アークは、その膨張によってクエンチチャンバまでの距離を擬似的に架橋する。
【0038】
第2の過電圧保護スパークギャップ1’は、第2の過電圧保護スパークギャップ1’内のアークと電気的に接触する第2の導電性プローブ装置33を有し、第2の導電性プローブ装置33は、例えば、やはりワイヤまたは導電性ストリップである。この例において、第2の導電性プローブ装置33は、隣り合う2つのクエンチ板21cの間に配置される。
【0039】
第1の導電性プローブ装置K2と第2の導電性プローブ装置33とは、この場合には電流制限抵抗28およびインジケータヒューズ4’’を有する作動装置28、4’’を介して、互いに電気的に接続される。
【0040】
作動装置28、4’’は、第1の過電圧保護スパークギャップ1の領域38が摩耗した場合に、第1の導電性プローブ装置K2と第2の導電性プローブ装置33との間の電流経路IVにおける電流の流れまたは電流の流れのうちの対応する部分を検出するように構成される。
【0041】
作動装置28;4’’は、検出された電流の流れまたは電流の流れのうちの対応する部分が規定の基準を満たす場合に、切り離し装置Aを作動させるために、インジケータヒューズ4’’が作動信号Sを出力するように構成される。
【0042】
図1に示される構成要素はすべて、好ましくは、2つの部分からなる装置(図示せず)のプラグイン部分に配置される。2つの部分は、ベース部分(取り付け、端子接触、など)およびプラグイン部品(スパークギャップ)からなる。
【0043】
第2の過電圧保護スパークギャップ1’の目的は、主に「経時劣化/摩耗」の場合に本線からの続流を制限および遮断することである。この挙動は、先行技術の設備の場合に上流に接続されたヒューズの本質的な機能に対応する。そのような事象が発生すると、作動装置28、4’’によって検出され、作動信号(電気的、機械的、・・・)Aが、下流に位置するエフェクトチェーンへと送信される。このエフェクトチェーンは、最終的に、ベース部分とプラグイン部分との間の対応する絶縁耐力で電気的分離を実施する。結果として、スパークギャップアセンブリは、供給網から切り離される。上述の動作モードは、異なるスパークギャップ技術の間の特徴的な時間関連の協調によって達成される。
【0044】
一方では、本技術は、冒頭で説明した先行技術の不利な態様を克服し、他方では、設置のために空間、時間、および個々の構成要素をあまり必要としない。これは、設備における故障の確率も低下させる。
【0045】
通常の動作において、第1および第2の過電圧保護スパークギャップ1、1’の直列接続は、過電圧事象の場合にトリガ装置50によって導電状態に設定される。第1の過電圧保護スパークギャップ1は、アークがクエンチチャンバ25に進入可能になる前に、本線からの続流を制限し、消弧する。電流経路IVは、働かないままである。
【0046】
ここで第1の過電圧保護スパークギャップ1が摩耗限界に達すると、もはや本線からの続流を制限することができず、領域38内の所定の破壊点が働き、第1のプローブ装置K2がアーク41からの電位に達する。
【0047】
しかしながら、本線からの続流が流れ続け/増加し続けるため、今やアークは、第2の過電圧保護スパークギャップ1’のクエンチチャンバ25に流れ込む。結果として、この場合に、本線からの続流が制限/消弧される。これは、プローブ電流経路IVの作動を伴う。プローブ電流経路IVによる「経路」は、最初は電流/アークにとって最も魅力的であるため、いずれにしても、少なくとも部分的に転流して、作動装置28、4’’を作動させ、したがって切り離し装置Aを作動させる。
【0048】
図2が、本発明の第2の実施形態による過電圧保護スパークギャップアセンブリを例示するための回路図である。
【0049】
第2の実施形態は、第1および第2の主端子1a’’、1b’’を有する第2の過電圧保護スパークギャップ1’’がトリガを有さないという点で、第1の実施形態から相違する。適切な寸法によって、トリガ装置50を省くことが可能であり、したがって構成要素の数がさらに低減される。
【0050】
加えて、第2の実施形態においては、第1の主端子1aと第1の端子接点A1との間に接続された安全ヒューズ装置8に代わる切り離し装置A’としての機械式スイッチ装置MSに、作動信号Sが直接作用する。
【0051】
それ以外は、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様のやり方で構成される。
【0052】
図3が、本発明の第3の実施形態による過電圧保護スパークギャップアセンブリを例示するための回路図である。
【0053】
第3の実施形態は、第1および第2の主端子1a’’’、1b’’’を有する第2の過電圧保護スパークギャップ1’’’が、ホーンギャップを有さず、代わりに、やはりハードガス消弧による過電圧保護スパークギャップを有するという点で、第1の実施形態から相違する。
【0054】
第2の過電圧保護スパークギャップ1’’’は、第2の過電圧保護スパークギャップ1’’’の主電極35、36の間のアークチャンバ40内のアーク41と電気的に接触するように、例えばPOMからなる第2の過電圧保護スパークギャップ1’’’の電気絶縁性の摩耗部分38’に導入された第2の導電性プローブ装置K20を有する。第2のプローブ装置K20は、端子ラインK20’を介して外部に接続される。第2の導電性プローブ装置K20は、アーク41の電位が常に到達するように領域38’に深く導入され、このようにして、第1の過電圧保護スパークギャップ1の経時劣化と第2の過電圧保護スパークギャップへのアーク41の進入とのANDリンクを確実に生成することができる。それ以外では、第2の導電性プローブ装置K20の構造は、第1のプローブ装置K2の構造に対応する。
【0055】
この第3の実施形態の場合、電流経路IVは、第1のプローブ装置K2から作動装置28、4’’を介して第2のプローブ装置K20まで延びる。
【0056】
それ以外は、第3の実施形態は、第1の実施形態と同様のやり方で構成される。
【0057】
図4が、本発明の第4の実施形態による過電圧保護スパークギャップアセンブリを例示するための回路図である。
【0058】
第4の実施形態は、第1および第2の主端子101a、101bを有する第1の過電圧保護スパークギャップ101が、ハードガス放出領域を有さず、代わりに、絶縁体領域102に囲まれ、第1および第2の主電極35a、36aの間に位置するアークチャンバ40aを有する点で、第1の実施形態から相違する。
【0059】
端子ラインK21’を介して電流経路IVへと外部に接続された第1の導電性プローブ装置K21が、ハードガス放出領域38と同様の様相で摩耗を被る絶縁体領域102に導入される。
【0060】
第1および第2の主端子1a’’’’、1b’’’’を有する第2の過電圧保護スパークギャップ1’’’’も同様に、絶縁体領域202によって囲まれ、第1および第2の主電極35b、36bの間に位置するアークチャンバ40bを有する。
【0061】
端子ラインK220’を介して電流経路IVへと外部に接続された第2の導電性プローブ装置K220が、アークチャンバ40b内に導入される。したがって、第2の導電性プローブ装置K220は、アークチャンバ40bへのアークの進入を常に検出する。
【0062】
それ以外は、第4の実施形態は、第1の実施形態と同様のやり方で構成される。
【0063】
図5が、本発明の第4の実施形態による過電圧保護スパークギャップアセンブリを例示するための回路図である。
【0064】
第5の実施形態は、第1および第2の主端子111a、111bを有する第1の過電圧保護スパークギャップ111が、アークに曝されたときにアークによる焼損の結果として経時劣化する導電性のハードガス放出領域38aを有する点で、第1の実施形態から相違する。領域38aを、例えばB-POM(黒色ポリオキシメチレン)で構成することができる。導電性のハードガス放出領域38aは、第1および第2の主電極35b、36bの間に位置するアークチャンバ40bを取り囲む。
【0065】
端子ラインK22’を介して電流経路IVへと外部に接続された第1の環状導電性プローブ装置K22は、空隙70を介して、間隔を空けた様相で、摩耗を被る導電性のハードガス放出領域38aまたはその近傍に導入される。
【0066】
ここで第1の過電圧保護スパークギャップ111が摩耗限界に達し、導電性のハードガス放出領域38aが焼失した場合、もはや本線からの続流を制限することができず、第1のプローブ装置K22はアークの電位に達する。
【0067】
それ以外は、第5の実施形態は、第1の実施形態と同様のやり方で構成される。
【0068】
以上、本発明を、好ましい例示的な実施形態の助けによって上記で詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、さまざまなやり方で変更可能である。
【0069】
とくに、本発明は、切り離し装置の下流に位置するエフェクトチェーンを機械的に作動させる図示の作動装置に限定されず、代わりに、例えば純粋に電子的な様相で実施することも可能である。
【0070】
第2の導電性プローブ装置は、隣り合う2つのクエンチ板の間に配置される必要はなく、代わりに、クエンチ板に電気的に接続されてもよい。
【0071】
絶縁性のハードガス放出材料の場合、第1の導電性プローブ装置をその近傍に挿入することもでき、したがって、特定の摩耗度の場合に、前記プローブ装置に第1の過電圧保護スパークギャップのアークが到達する。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】