(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】刺激印加装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240711BHJP
A61N 1/04 20060101ALI20240711BHJP
A61N 5/06 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/04
A61N5/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504934
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 KR2022013378
(87)【国際公開番号】W WO2023243767
(87)【国際公開日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】10-2022-0072656
(32)【優先日】2022-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524032781
【氏名又は名称】ニューログリン インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NEUROGRIN INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【氏名又は名称】井上 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】キム ソングァン
(72)【発明者】
【氏名】チェ スンファン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ヒラ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジフン
【テーマコード(参考)】
4C053
4C082
【Fターム(参考)】
4C053BB01
4C053BB23
4C053BB26
4C053BB36
4C053JJ11
4C053JJ15
4C053JJ21
4C053JJ33
4C082PC10
4C082PJ11
(57)【要約】
刺激印加装置が開示される。本発明の実施例に係る刺激印加装置は対象部位に刺激を印加するように構成される刺激印加部、および前記刺激印加部と結合されるハウジングを含み、前記ハウジングは、前記対象部位の一側に配置され、前記刺激印加部を収容する第1ハウジング、および前記対象部位の他側に配置され、前記刺激印加部を収容する第2ハウジングを含み、前記第1ハウジングに収容された前記刺激印加部および前記第2ハウジングに収容された前記刺激印加部は、互いに磁気的引力(magnetic attractive force)を印加するように構成され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象部位に刺激を印加するように構成される刺激印加部、および、
前記刺激印加部と結合されるハウジングを含み、
前記ハウジングは、
前記対象部位の一側に配置され、前記刺激印加部を収容する第1ハウジング、および、
前記対象部位の他側に配置され、前記刺激印加部を収容する第2ハウジングを含み、
前記第1ハウジングに収容された前記刺激印加部および前記第2ハウジングに収容された前記刺激印加部は、互いに磁気的引力(magnetic attractive force)を印加するように構成される、刺激印加装置。
【請求項2】
前記刺激印加部は、
前記ハウジングに収容され、前記対象部位に前記刺激を印加するように構成される刺激電極(stimulating electrode)を含む磁石部材を含み、
前記磁石部材は、
前記ハウジング部分のうち前記対象部位に向かう一側に偏るように位置する、請求項1に記載の刺激印加装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、
前記磁石部材を収容し、前記対象部位に隣接するように位置する印加部材収容部を含み、
前記印加部材収容部は、
前記対象部位に向かう一面に陥没形成されて前記磁石部材を収容する収容空間を含む、請求項2に記載の刺激印加装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、
前記印加部材収容部と連続し、前記印加部材収容部に反対となる方向に延長形成される導線案内部を含み、
前記導線案内部は、
その内部に位置し、その延長方向に沿って貫通形成されて延長方向の一端部は前記収容空間と連通し、延長方向の他端部は外部と連通する案内中空を含む、請求項3に記載の刺激印加装置。
【請求項5】
前記刺激印加部は、
前記磁石部材と通電して前記磁石部材に電力および制御信号を印加するように構成される制御部を含む、請求項2に記載の刺激印加装置。
【請求項6】
前記制御部は前記ハウジングの外側に位置し、
前記制御部と前記磁石部材の間で延びて前記制御部および前記磁石部材とそれぞれ通電するように構成される導線部材を含む、請求項5に記載の刺激印加装置。
【請求項7】
前記刺激印加部は、
前記磁石部材に隣接するように前記ハウジングの内部に収容されて前記磁石部材に電力および制御信号を印加するように構成されるバッテリーを含む、請求項2に記載の刺激印加装置。
【請求項8】
対象部位に刺激を印加するように構成される刺激印加部、および、
前記刺激印加部と結合されるハウジングを含み、
前記ハウジングは、
前記刺激印加部を収容し、前記対象部位の一側を覆い前記対象部位に形成された開口部に挿入されるメインハウジング、
前記刺激印加部を収容し、前記対象部位の他側に隣接するように位置するサブハウジング、および、
前記メインハウジングおよび前記サブハウジングの間で延びて前記対象部位の他の他側に据え置かれるように構成される据置部材を含む、刺激印加装置。
【請求項9】
前記メインハウジングは、
前記対象部位に向かって突出形成されて前記対象部位の前記開口部に挿入される挿入突出部を含み、
前記刺激印加部は、
前記挿入突出部に配置されて前記対象部位の前記開口部に隣接した部分に前記刺激を印加するように構成される、請求項8に記載の刺激印加装置。
【請求項10】
前記刺激印加部は、
刺激電極を含んで前記対象部位に電気的刺激を印加するように構成される磁石部材、および、
前記対象部位に光学的刺激を印加するように構成される光刺激印加部材を含む、請求項8に記載の刺激印加装置。
【請求項11】
前記磁石部材は、
前記メインハウジングおよび前記サブハウジングのうちいずれか一つ以上に配置され、
前記光刺激印加部材は、
前記メインハウジングおよび前記サブハウジングのうちいずれか一つ以上に、前記磁石部材に隣接するように配置される、請求項10に記載の刺激印加装置。
【請求項12】
前記磁石部材は、
前記メインハウジングおよび前記サブハウジングのうちいずれか一つ以上に配置され、
前記光刺激印加部材は、
前記メインハウジングおよび前記サブハウジングのうちいずれか一つ以上に、前記磁石部材に隣接するように配置される、請求項10に記載の刺激印加装置。
【請求項13】
前記刺激印加部は、
刺激電極を含んで前記対象部位に電気的刺激を印加するように構成される磁石部材、および、
前記磁石部材と通電して前記磁石部材に電力および制御信号を印加するように構成される制御部を含み、
前記制御部は前記ハウジングの外部に配置されて導線部材によって前記磁石部材と通電するように構成される、請求項9に記載の刺激印加装置。
【請求項14】
前記刺激印加部は、
前記ハウジングに収容され、刺激電極を含んで前記対象部位に電気的刺激を印加するように構成される磁石部材、および、
前記磁石部材に隣接するように前記ハウジングに収容され、前記磁石部材と通電して前記磁石部材に電力および制御信号を印加するように構成されるバッテリーを含む、請求項9に記載の刺激印加装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は刺激印加装置に関し、より具体的には、認知機能回復のための刺激を提供することができ、対象部位に容易に付着され得る刺激印加装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脳血管疾患に伴われる認知障害である血管認知障害のうち最も重症の形態である血管性認知症は、脳血管疾患によって脳組織が損傷を受けて認知症が発生する場合である。血管性認知症は記憶力の障害が主要な特徴として現れる。
【0003】
認知症は後天的に知的能力を喪失し、認知障害、行動および性格の段階的な荒廃をもたらす臨床症状を示す退行性疾患であって、人口の急速な高齢化とともに深刻な社会問題の一つであり、保健福祉国家の建設に深刻な社会問題として台頭している代表的な老年期疾患であり、これによる付加的な看病人に対する医療費の増加は国家経済の足を引っ張っているのが実情である。
【0004】
これまで薬物的治療法としてdonepezil、galantamineのようにアルツハイマー認知症に活用される薬剤が提示されてきたが、これらの効果はアルツハイマー認知症で現れるものに比べて半分に及ぶ程度である(Battle et al.,Cochrane Database of Systematic Reviews 2021)。また、認知機能障害に対して頚部に手術的方法で移植する形態で迷走神経刺激技術が活用されたことがあるが、侵襲的であるため殆ど容易に適用し難い側面があった。
【0005】
そこで、本発明者らは血管性認知症で損傷した認知機能回復のための技術として、非侵襲的で着脱可能な形態の治療技術に対する必要性が浮上した。
【0006】
韓国公開特許第10-2014-0037803号公報は、医療疾患治療用装置、システムおよび方法を開示する。具体的には、顔面に頭蓋外部に位置した三次神経の表在性分枝の皮膚を刺激できる医療疾患治療用装置、システムおよび方法を開示する。
【0007】
ところが、前記先行文献が開示する医療疾患治療用装置、システムおよび方法は、バンド形態の電極アセンブリを利用して身体部位に刺激を印加するように構成される。したがって、バンド形態の電極アセンブリが着用され難い身体部位には適用され難い限界がある。
【0008】
韓国特許第10-2386264号公報は、携帯装置を通じての非侵襲性神経刺激を開示する。具体的には、患者の一つ以上の神経に電気刺激を印加して状態を好転させることができる非侵襲性携帯装置を開示する。
【0009】
ところが、前記先行文献が開示する非侵襲性神経刺激もバンド等を通じて身体部位に結合されることを前提とする。したがって、前記先行文献は微小な身体部位などに刺激を印加しようとする場合、刺激印加のための装置を前記微小な身体部位に付着するための方案を提示できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2014-0037803号公報
【特許文献2】韓国特許第10-2386264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記のような問題点を解決するためのもので、本発明の目的は刺激を印加しようとする部位に容易に結合され得る刺激印加装置を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は前記部位に結合された後、容易に取り外すことができる刺激印加装置を提供することである。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、非侵襲的な方法で認知機能を回復させることができる刺激印加装置を提供することである。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、前記部位への装着が容易な刺激印加装置を提供することである。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、電子薬を利用する場合、非侵襲的で着脱が可能であるため容易に適用が可能であり、移植手術などに伴う危険を減少させて持続的に使われ得る刺激印加装置を提供することである。
【0016】
しかし、本発明が達成しようとする技術的課題は以上で言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一側面によると、対象部位に刺激を印加するように構成される刺激印加部、および、前記刺激印加部と結合されるハウジングを含み、前記ハウジングは、前記対象部位の一側に配置され、前記刺激印加部を収容する第1ハウジング、および前記対象部位の他側に配置され、前記刺激印加部を収容する第2ハウジングを含み、前記第1ハウジングに収容された前記刺激印加部および前記第2ハウジングに収容された前記刺激印加部は、互いに磁気的引力(magnetic attractive force)を印加するように構成される、刺激印加装置が提供される。
【0018】
この時、前記刺激印加部は、前記ハウジングに収容され、前記対象部位に前記刺激を印加するように構成される刺激電極(stimulating electrode)を含む磁石部材を含み、前記磁石部材は、前記ハウジング部分のうち前記対象部位に向かう一側に偏るように位置する、刺激印加装置が提供され得る。
【0019】
また、前記ハウジングは、前記磁石部材を収容し、前記対象部位に隣接するように位置する印加部材収容部を含み、前記印加部材収容部は、前記対象部位に向かう一面に陥没形成されて前記磁石部材を収容する収容空間を含む、刺激印加装置が提供され得る。
【0020】
この時、前記ハウジングは前記印加部材収容部と連続し、前記印加部材収容部に反対となる方向に延長形成される導線案内部を含み、前記導線案内部はその内部に位置し、その延長方向に沿って貫通形成されて延長方向の一端部は前記収容空間と連通し、延長方向の他端部は外部と連通する案内中空を含む、刺激印加装置が提供され得る。
【0021】
また、前記刺激印加部は、前記磁石部材と通電して前記磁石部材に電力および制御信号を印加するように構成される制御部を含む、刺激印加装置が提供され得る。
【0022】
この時、前記制御部は前記ハウジングの外側に位置し、前記制御部と前記磁石部材の間で延びて前記制御部および前記磁石部材とそれぞれ通電するように構成される導線部材を含む、刺激印加装置が提供され得る。
【0023】
また、前記刺激印加部は、前記磁石部材に隣接するように前記ハウジングの内部に収容されて前記磁石部材に電力および制御信号を印加するように構成されるバッテリーを含む、刺激印加装置が提供され得る。
【0024】
また、本発明の他の側面によると、対象部位に刺激を印加するように構成される刺激印加部、および前記刺激印加部と結合されるハウジングを含み、前記ハウジングは、前記刺激印加部を収容し、前記対象部位の一側を覆い前記対象部位に形成された開口部に挿入されるメインハウジング、前記刺激印加部を収容し、前記対象部位の他側に隣接するように位置するサブハウジング、および前記メインハウジングおよび前記サブハウジングの間で延びて前記対象部位の他の他側に据え置かれるように構成される据置部材を含む、刺激印加装置が提供される。
【0025】
この時、前記メインハウジングは、前記対象部位に向かって突出形成されて前記対象部位の前記開口部に挿入される挿入突出部を含み、前記刺激印加部は、前記挿入突出部に配置されて前記対象部位の前記開口部に隣接した部分に前記刺激を印加するように構成される、刺激印加装置が提供され得る。
【0026】
また、前記刺激印加部は、刺激電極を含んで前記対象部位に電気的刺激を印加するように構成される磁石部材、および前記対象部位に光学的刺激を印加するように構成される光刺激印加部材を含む、刺激印加装置が提供され得る。
【0027】
この時、前記磁石部材は、前記メインハウジングおよび前記サブハウジングのうちいずれか一つ以上に配置され、前記光刺激印加部材は、前記メインハウジングおよび前記サブハウジングのうちいずれか一つ以上に、前記磁石部材に隣接するように配置される、刺激印加装置が提供され得る。
【0028】
また、前記磁石部材は、前記メインハウジングおよび前記サブハウジングのうちいずれか一つ以上に配置され、前記光刺激印加部材は、前記メインハウジングおよび前記サブハウジングのうちいずれか一つ以上に、前記磁石部材に隣接するように配置される、刺激印加装置が提供され得る。
【0029】
この時、前記刺激印加部は、刺激電極を含んで前記対象部位に電気的刺激を印加するように構成される磁石部材、および前記磁石部材と通電して前記磁石部材に電力および制御信号を印加するように構成される制御部を含み、前記制御部は前記ハウジングの外部に配置されて導線部材によって前記磁石部材と通電するように構成される、刺激印加装置が提供され得る。
【0030】
また、前記刺激印加部は、前記ハウジングに収容され、刺激電極を含んで前記対象部位に電気的刺激を印加するように構成される磁石部材、および前記磁石部材に隣接するように前記ハウジングに収容され、前記磁石部材と通電して前記磁石部材に電力および制御信号を印加するように構成されるバッテリーを含む、刺激印加装置が提供され得る。
【発明の効果】
【0031】
前記の構成により、本発明の実施例に係る刺激印加装置は刺激を印加しようとする部位に容易に結合され得る。
【0032】
また、前記の構成により、本発明の実施例に係る刺激印加装置は前記部位に結合された後、容易に取り外される。
【0033】
また、前記の構成により、本発明の実施例に係る刺激印加装置は非侵襲的な方法で認知機能を回復させることができる。
【0034】
また、前記の構成により、本発明の実施例に係る刺激印加装置は前記部位への着用が容易となり得る。
【0035】
また、前記の構成により、本発明の実施例に係る刺激印加装置は非侵襲的で着脱が可能であるため容易に適用が可能であり、移植手術などに伴う危険が少なく、血管性認知症によって損傷した認知機能の回復が可能である。これに伴い、本発明は患者の認知機能回復のための持続的治療技術として活用され得る。
【0036】
本発明の効果は前記した効果で限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の一実施例に係る刺激印加装置を図示する使用状態図である。
【
図2】
図1の刺激印加装置を図示する分解斜視図である。
【
図3】
図1の刺激印加装置を図示する背面図(a)および平面図(b)である。
【
図4】
図1の刺激印加装置の構成を図示するブロック図である。
【
図5】本発明の他の実施例に係る刺激印加装置を図示する使用状態図である。
【
図6】
図5の刺激印加装置を図示する左側面図(a)および右側面図(b)である。
【
図7】
図5の刺激印加装置の構成を図示するブロック図である。
【
図8】血管性認知症を誘発するための手術的方法の図式である。
【
図9】経皮的迷走神経刺激による心拍数減少を確認した結果である。
【
図10】一時的総頚動脈結紮によって誘発された血管性認知症の記憶力障害結果を示す。
【
図11a】記憶力障害を示す血管性認知症動物で経皮的迷走神経刺激(taVNS)による認知機能回復を確認した結果を示す。
【
図11b】記憶力障害を示す血管性認知症動物で経皮的迷走神経刺激(taVNS)による認知機能回復を確認した結果を示す。
【
図11c】記憶力障害を示す血管性認知症動物で経皮的迷走神経刺激(taVNS)による認知機能回復を確認した結果を示す。
【
図11d】記憶力障害を示す血管性認知症動物で経皮的迷走神経刺激(taVNS)による認知機能回復を確認した結果を示す。
【
図11e】記憶力障害を示す血管性認知症動物で経皮的迷走神経刺激(taVNS)による認知機能回復を確認した結果を示す。
【
図11f】記憶力障害を示す血管性認知症動物で経皮的迷走神経刺激(taVNS)による認知機能回復を確認した結果を示す。
【
図12】経皮的迷走神経刺激によるグリンパティックシステム循環活性化を確認した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は多様な異なる形態で具現され得ここで説明する実施例に限定されない。本発明を明確に説明するために図面で説明に関わらない部分は省略し、明細書全体を通じて同一または類似する構成要素に対しては同じ参照符号を付した。
【0039】
本明細書および請求の範囲に使われた単語と用語は通常的または辞書的な意味で限定解釈されず、自身の発明を最善の方法で説明するために発明者が用語と概念を定義できる原則に則って本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。
【0040】
したがって、本明細書に記載された実施例と図面に図示された構成は本発明の好ましい一実施例に該当し、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので該当構成は本発明の出願時点でこれを代替する多様な均等物と変形例があり得る。
【0041】
以下の説明では本発明の特徴を明確にするために、一部の構成要素に対する説明が省略され得る。
【0042】
以下の説明で使われる「通電」という用語は、一つ以上の部材が互いに電流または電気的信号を伝達可能に連結されることを意味する。一実施例で、通電は導線部材などによる有線の形態またはブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi、RFIDなどの無線の形態で形成され得る。
【0043】
本発明において「電子薬」は電子(electronics)と薬品(pharmaceutical)の合成語であって、脳と神経細胞で発生する信号を調節して病気を治療する電子装置を意味する。本発明において「電子薬」は身体の生物学的機能または病理学的過程で影響と変形を与えるための副作用が最小化された物理刺激を活用して、難治性疾患を含んだ多様な病気に薬のような治療効果を目的とする医療機器であり得る。
【0044】
特に、電子薬は以下で説明される本発明の各実施例に係る刺激印加装置10、20で備えられ得る。
【0045】
電子薬は治療が必要な特定部分のみを選んで刺激するので副作用を最小化でき、個体の特性を考慮して刺激条件を個別化できるためオーダーメード型治療が可能であり、万一の場合、薬効を直ちに中断できる長所を有している。前記刺激を与える部位は身体の局所部位、特定細胞、中枢または末梢神経系であり得、好ましくは、前記羅列した脳の特定領域を刺激することによって、認知機能を回復させることができる。
【0046】
以下の説明で使われる「対象部位T」という用語は、本発明の実施例に係る刺激印加装置10、20が印加する刺激が伝達される任意の部位を意味する。一実施例で、対象部位Tは人体または動物の身体の一部分と定義され得る。一実施例で、対象部位Tは耳(ear)部位であり得る。
【0047】
以下の説明で使われる「刺激」という用語は、目標とする効果を達成するために対象部位Tに印加される任意の形態の信号などを意味する。一実施例で、刺激は電流の通電による電気的形態であり得る。他の実施例で、刺激は光の照射を通じての光学的形態であるか、声等を通じての音響的形態であり得る。
【0048】
以下で、本発明の実施例に係る刺激印加装置10、20は着用者の特定身体部位、例えば耳(ear)部位に着用されることを前提として説明される。代案として、本発明の実施例に係る刺激印加装置10、20の効果を最大化するために、本発明の実施例に係る刺激印加装置10、20は他の機器と連動して作動し得る。
【0049】
例えば、本発明の実施例に係る刺激印加装置10、20は脳/生体信号記録装置、例えばEEG(Electroencephalography)、MEG(Magnetic Encephalography)、NIRS(Near-Infrared Spectroscopy)、PPG(Photoplethysmography)、GSR(Galvanic Skin Response)等と連動して作動し得る。
【0050】
ひいては、本発明の実施例に係る刺激印加装置10、20は多様なウェアラブル機器(VR、ヘッドホン、イヤホン、メガネ、非侵襲的経皮的刺激用腕輪、アンクレットなどのアクセサリ、スマートウォッチなど)等と連動して作動してもよい。
【0051】
図1~
図4を参照すると、本発明の一実施例に係る刺激印加装置10が図示される。図示された実施例に係る刺激印加装置10は、対象部位Tに取り外し可能に結合されて対象部位Tに刺激を印加するように構成され得る。
【0052】
図示された実施例で、刺激印加装置10はハウジング100および刺激印加部200を含む。
【0053】
ハウジング100は刺激印加装置10の外形を形成する。ハウジング100は刺激印加装置10が対象部位Tに結合される部分である。ハウジング100は対象部位Tに比べて小型の大きさを有するように形成され得る。
【0054】
ハウジング100は軽量でありながらも高剛性の素材で形成され得る。対象部位Tに結合された刺激印加装置10が自重(self-weight)により任意に分離される状況を防止するためである。
【0055】
ハウジング100は非伝導性(non-conductive)素材で形成され得る。対象部位Tに伝達されるべき刺激が任意にハウジング100に漏洩する状況を防止するためである。
【0056】
一実施例で、ハウジング100は絶縁プラスチックなどの合成樹脂素材で形成され得る。
【0057】
ハウジング100は複数個で備えられ得る。複数個のハウジング100はそれぞれ対象部位Tに結合されるものの、互いに異なる位置に配置され得る。一実施例で、複数個のハウジング100は対象部位Tを挟んで互いに対向するように配置され得る。
【0058】
図示された実施例で、ハウジング100は第1ハウジング100aおよび第2ハウジング100bを含んで二つ備えられる。第1ハウジング100aおよび第2ハウジング100bは対象部位Tを挟んで対向するように配置される。この時、後述される刺激印加部200の磁石部材210が印加する磁力によって、第1ハウジング100aおよび第2ハウジング100bはそれぞれ対象部位Tに結合される。
【0059】
第1ハウジング100aおよび第2ハウジング100bは対象部位Tに結合される方向に差があるものの、その構造および機能は同一である。したがって、以下で同じ技術的特徴に対する説明の場合「ハウジング100」で通称して説明する。
【0060】
ハウジング100は導線部材Wと結合される。ハウジング100の内部に収容される刺激印加部200は導線部材Wを通じて外部と通電し得る。
【0061】
ハウジング100は刺激印加部200と結合される。刺激印加部200はハウジング100に収容された状態で対象部位Tに刺激を印加するように構成され得る。
【0062】
図示された実施例で、ハウジング100は導線案内部110および印加部材収容部120を含む。
【0063】
導線案内部110はハウジング100が導線部材Wと結合される部分である。導線案内部110はその内部に導線部材Wが貫通する空間(すなわち、後述される案内中空111)が形成される。導線案内部110は導線部材Wが延びる方向に沿って延長形成される。
【0064】
導線案内部110は印加部材収容部120と結合される。導線案内部110に貫通された導線部材Wは印加部材収容部120まで延びて印加部材収容部120に収容された刺激印加部200と結合、通電し得る。
【0065】
導線案内部110は導線部材Wを支持して印加部材収容部120に案内できる任意の形状であり得る。図示された実施例で、導線案内部110は四角形の断面を有し、一方向に延長形成される。
【0066】
この時、導線案内部110の断面の角のうち一対の角は他の対の角に比べて長く形成され得る。
図2に図示された実施例で、導線案内部110の断面は左右方向の延長長さが上下方向の延長長さより長く形成される。
【0067】
したがって、導線案内部110の各面のうち、図示された実施例での上側面または下側面がより広い面積を有するように形成されて対象部位Tへの結合がより容易であることが理解され得るであろう。
【0068】
導線案内部110の内部には案内中空111が貫通形成される。
【0069】
案内中空111は導線部材Wが貫通する通路である。案内中空111は導線案内部110の外部と収容空間121を連通する。
【0070】
案内中空111は導線案内部110と同じ方向、すなわち前記一方向に延長形成される。案内中空111の延長方向の一端部、すなわち外側端部は開放形成される。換言すると、案内中空111の前記一端部は導線案内部110の延長方向の端部のうち外側に向かう一端部に開放形成される。案内中空111の前記一端部は外部と連通し、導線部材Wが挿入される。
【0071】
案内中空111の延長方向の他端部、すなわち内側端部も開放形成される。案内中空111の前記他端部は導線案内部110の延長方向の端部のうち印加部材収容部120と結合される他端部に開放形成される。案内中空111の前記他端部は収容空間121と連通し、収容空間121に収容された磁石部材210と結合、通電する。
【0072】
案内中空111は導線部材Wが貫通できる任意の形状であり得る。図示された実施例で、案内中空111は四角形の断面を有し、導線案内部110の延長方向に沿って延長形成された四角筒状の空間で形成される。
【0073】
印加部材収容部120は刺激印加部200、具体的には磁石部材210を収容する。また、刺激印加装置10が無線の形態で備えられる実施例で、印加部材収容部120はバッテリー230も収容することができる。
【0074】
印加部材収容部120はハウジング100が対象部位Tと接触する部分である。印加部材収容部120はできるだけ広い表面積を有するように形成されて、対象部位Tとの接触状態が安定的に維持され得る。
【0075】
印加部材収容部120は導線案内部110と結合される。導線案内部110の案内中空111に挿入された導線部材Wは印加部材収容部120の内部に形成された収容空間121まで延長され得る。
【0076】
この時、前述した通り、第1ハウジング100aおよび第2ハウジング100bは対象部位Tを挟んで対向するように配置され得る。第1ハウジング100aおよび第2ハウジング100bは対象部位Tのそれぞれ異なる側面に接触することができる。この時、印加部材収容部120およびこれに収容された刺激印加部200が対象部位Tの前記異なる側面にそれぞれ接触され得る。
【0077】
したがって、印加部材収容部120は刺激印加装置10が対象部位Tに接触する一部分を形成すると言えるであろう。
【0078】
印加部材収容部120は刺激印加部200を収容し、対象部位Tに隣接するように位置し得る任意の形状であり得る。図示された実施例で、印加部材収容部120は円形の断面を有し、上下方向の厚さを有する円板状である。
【0079】
印加部材収容部120の内部には収容空間121が形成される。
【0080】
収容空間121は刺激印加部200を収容する。収容空間121は案内中空111と連通する。収容空間121に収容された刺激印加部200の磁石部材210は導線部材Wを通じて制御部220と結合、通電し得る。
【0081】
収容空間121は印加部材収容部120の面のうち第1ハウジング100aおよび第2ハウジング100bが互いに対向する一面に陥没形成される。
図2に図示された実施例では収容空間121が第1ハウジング100aおよび第2ハウジング100bの上側面に陥没形成されるものとして図示された。
【0082】
ただし、これは理解の便宜のためのものであり、収容空間121は第1ハウジング100aの下側面および第2ハウジング100bの上側面にそれぞれ形成されて互いに対向するように配置されることが理解できるであろう。
【0083】
収容空間121の各側方のうち互いに対向するように配置される一側は開放されて外部と連通する。磁石部材210または磁石部材210とバッテリー230は前記一側を通じて収容空間121に収容され得る。
【0084】
収容空間121は磁石部材210または磁石部材210とバッテリー230を収容できる任意の形状であり得る。図示された実施例で、収容空間121は印加部材収容部120と同様に、円形の断面を有し上下方向の高さを有する円板状の空間で形成される。
【0085】
刺激印加部200は刺激印加装置10が結合された対象部位Tに刺激を印加するように構成される。刺激印加部200は対象部位Tに適切な刺激を印加できる任意の形態で備えられ得る。図示された実施例で、刺激印加部200は電気的刺激を対象部位Tに印加するように構成される。
【0086】
刺激印加部200は対象部位Tに刺激を印加するための一構成、前記一構成と通電して、電力または制御信号を供給する他の構成を含むことができる。
【0087】
図示された実施例で、刺激印加部200は磁石部材210、制御部220およびバッテリー230を含む。
【0088】
磁石部材210は対象部位Tに刺激を印加する前記一構成で備えられる。磁石部材210の内部には刺激電極(stimulating electrode)が備えられて、対象部位Tに電気的刺激が印加され得る。前記刺激電極は制御部220またはバッテリー230と通電して、電力および制御信号が伝達されるように構成され得る。
【0089】
磁石部材210は印加部材収容部120の収容空間121に収容される。この時、収容空間121の一側は開放形成されるところ、磁石部材210は印加部材収容部120の外側に部分的に露出され得る。
【0090】
磁石部材210は第1ハウジング100aおよび第2ハウジング100bにそれぞれ備えられる。第1ハウジング100aに収容された磁石部材210および第2ハウジング100bに収容された磁石部材210は対象部位Tを挟んで対向するように配置される。
【0091】
この時、第1ハウジング100aに収容された磁石部材210と第2ハウジング100bに収容された磁石部材210は互いに対して磁気的引力(magnetic attractive force)を印加するように構成され得る。換言すると、各ハウジング100a、100bに収容された磁石部材210は互いを引く方向の磁気的引力を形成する。
【0092】
したがって、対象部位Tを挟んで配置される第1ハウジング100aに収容された磁石部材210および第2ハウジング100bに収容された磁石部材210は対象部位Tの異なる面にそれぞれ隣接するように位置した状態で維持され得る。
【0093】
したがって、
図1に図示された通り、本発明の一実施例に係る刺激印加装置10はイヤホン(earphone)の形態で形成され得ることが理解され得るであろう。
【0094】
磁石部材210は相互間に磁気的引力を形成し、内部に刺激電極を収容し、刺激電極を通じて伝達された電力および制御信号によって発生する刺激を対象部位Tに伝達できる任意の形態で備えられ得る。一実施例で、磁石部材210はネオジム磁石(Neodymium Magnet)の形態で備えられ得る。
【0095】
磁石部材210は導線部材Wと結合、通電する。磁石部材210に備えられる刺激電極は外部の制御部220から電力および制御信号が伝達されて作動し得る。
【0096】
磁石部材210は収容空間121の形状に対応するように形成され得る。前述した通り、収容空間121は円形の断面を有し上下方向の厚さを有する円板状であるので、磁石部材210も円形の断面を有し上下方向の厚さを有する円板状で形成され得る。
【0097】
磁石部材210が円板状で形成される実施例で、磁石部材210の面のうち外側に露出される一面は対象部位Tに隣接するように位置して、対象部位Tに刺激を印加するように構成され得る。また、前記実施例で、磁石部材210の前記一面は対象部位Tを挟んで対向するように配置される他の磁石部材210と磁気的引力を形成することができる。
【0098】
磁石部材210は制御部220およびバッテリー230と結合、通電する。
【0099】
制御部220は磁石部材210に備えられる刺激電極が対象部位Tに刺激を印加するための電力および制御信号を伝達する。伝達された電力および制御信号によって刺激電極が作動して対象部位Tに刺激を印加することができる。一実施例で、磁石部材210は電気的刺激を印加するように構成され得ることは前述した通りである。
【0100】
制御部220は磁石部材210と通電する。制御部220がハウジング100の外側に備えられる実施例で、制御部220は導線部材Wを通じて磁石部材210と通電し得る。このため 、前記実施例の場合、刺激印加装置10が有線イヤホン(wired earphone)の形態で備えられると言えるであろう。
【0101】
制御部220は情報の入力、演算、出力および電力の伝達が可能な任意の形態で備えられ得る。一実施例で、制御部220は情報の入力、演算および出力のための構成であり、マイクロプロセッサ(microprocessor)、CPUなどを含むことができる。また、制御部220は電力の貯蔵または伝達が可能であるように、キャパシタ(capacitor)を含んで構成され得る。
【0102】
前記実施例で、制御部220には制御信号に関連した情報の入力を受けるための入力部(図示されず)を含むことができる。前記入力部(図示されず)は着用者または使用者が刺激印加装置10の作動を制御するための情報を任意の形態で入力を受けるように構成され得る。一実施例で、前記入力部(図示されず)はボタン(button)、ダイヤル(dial)またはタッチスクリーン(touch screen)等の形態で構成され得る。
【0103】
バッテリー230は磁石部材210に備えられる刺激電極が対象部位Tに刺激を印加するための電力および制御信号を伝達する。伝達された電力および制御信号によって刺激電極が作動して対象部位Tに刺激を印加することができる。
【0104】
バッテリー230はハウジング100に結合される。バッテリー230は磁石部材210とともに印加部材収容部120に形成された収容空間121に収容され得る。前記実施例で、磁石部材210はバッテリー230から電力および制御信号が直接伝達されるように構成され得る。すなわち、前記実施例で、磁石部材210は導線部材Wを通じて外部の制御部220と通電しなくてもよい。
【0105】
したがって、前記実施例の場合、刺激印加装置10が無線イヤホン(wireless earphone)の形態で備えられると言えるであろう。
【0106】
この時、バッテリー230は制御部220と同様に、情報の入力、演算、出力および電力の伝達が可能な任意の形態で備えられ得る。一実施例で、バッテリー230は制御部220と同様に情報の入力、演算および出力のための構成と電力の伝達または貯蔵のための構成を含んで構成され得る。
【0107】
前記実施例で、バッテリー230がさらに収容されるように収容空間121の大きさが増加するように構成され得る。または収容空間121の大きさは維持されるものの、磁石部材210およびバッテリー230の大きさがそれぞれ小型化されてすべて収容空間121に収容されるように構成され得る。
【0108】
以上で説明した本発明の一実施例に係る刺激印加装置10は、対象部位Tを挟んで互いに対向するように配置される一対のハウジング100a、100bが備えられる。一対のハウジング100a、100bにはそれぞれ刺激を印加する刺激電極を含む磁石部材210が備えられる。各ハウジング100a、100bに収容された磁石部材210は互いに向かって磁気的引力を形成するように構成される。
【0109】
これに伴い、刺激印加装置10は別途の結合のための構成がなくとも、一対のハウジング100a、100bが対象部位Tを挟んで対向するように配置された状態で維持され得る。また、各ハウジング100a、100bがそれぞれ隣接するように配置される対象部位Tの両側にそれぞれ刺激が印加され得る。
【0110】
その結果、本発明の実施例に係る刺激印加装置10は侵襲的方法によらずとも、対象部位Tに適切な刺激を印加して意図した効果を達成することができる。また、刺激印加装置10は磁力によって対象部位Tに容易に結合または取り外しされ得る。
【0111】
一実施例で、刺激印加装置10は有線の形態で備えられ得る。前記実施例で、磁石部材210はハウジング100に収容されるものの、制御部220はハウジング100の外部に配置され得る。この時、磁石部材210は導線部材Wにより制御部220と結合、通電し得る。前記実施例で、刺激印加装置10がより小型化され得る。
【0112】
他の実施例で、刺激印加装置10は無線の形態で備えられ得る。前記実施例で、磁石部材210はハウジング100に収容され、同様にハウジング100に収容されたバッテリー230と結合、通電し得る。前記実施例で、刺激印加装置10の着用が容易に進行され得る。
【0113】
図5~
図8を参照すると、本発明の他の実施例に係る刺激印加装置20が図示される。図示された実施例に係る刺激印加装置20は対象部位Tに取り外し可能に結合されて対象部位Tに刺激を印加するように構成され得る。
【0114】
前述した実施例に係る刺激印加装置10と比較した時、本実施例に係る刺激印加装置20はハウジング300が単一の部材で形成されて対象部位Tに結合されることに差がある。
【0115】
また、本実施例に係る刺激印加装置20は前述した刺激印加装置10が対象部位Tに印加する電気的刺激だけでなく、光学的刺激も印加できるように構成される。
【0116】
図5を参照すると、本実施例に係る刺激印加装置20が付着される対象部位Tは耳(ear)部位、特に左側耳部位であり得る。代案として、本実施例に係る刺激印加装置20は据置部材320が据え置かれ得る任意の部位に結合され得る。
【0117】
前記実施例で、刺激印加装置20は対象部位Tの一側と他側、図示された実施例で耳部位の外側と内側に刺激を印加するように構成され得る。換言すると、刺激印加装置20は対象部位Tが外側に露出される部分(すなわち、前記一側)および内側に遮られる部分(すなわち、前記他側)に刺激を印加するように構成され得る。
【0118】
図示された実施例で、刺激印加装置20はハウジング300および刺激印加部400を含む。
【0119】
ハウジング300は刺激印加装置20の外形を形成する。ハウジング300は刺激印加装置20が対象部位Tに結合される部分である。ハウジング300は対象部位Tに比べて小型の大きさを有するように形成され得る。
【0120】
ハウジング300は互いに連続する複数個の部分を含むことができる。複数個の前記部分は互いに異なる素材で形成され得る。
【0121】
この時、ハウジング300の一部分は軽量でありながらも高剛性の素材で形成され得る。対象部位Tに結合された刺激印加装置20が自重(self-weight)により任意に分離される状況を防止するためである。
【0122】
また、ハウジング300の他部分は軟性(softness)素材で形成され得る。後述されるように、対象部位Tの形状に合わせて形状変形され、対象部位Tに密着結合されるためである。
【0123】
ハウジング300は非伝導性(non-conductive)素材で形成され得る。対象部位Tに伝達されるべき刺激が任意にハウジング300に漏洩する状況を防止するためである。
【0124】
一実施例で、ハウジング300の前記一部分は絶縁プラスチックなどの合成樹脂素材で形成され得る。また、ハウジング300の前記他部分はゴム、シリコンなどの素材で形成され得る。
【0125】
ハウジング300は導線部材Wと結合される。ハウジング300の内部に収容される刺激印加部400は導線部材Wを通じて外部と通電し得る。
【0126】
ハウジング300は刺激印加部400と結合される。刺激印加部400はハウジング300に収容された状態で対象部位Tに刺激を印加するように構成され得る。
【0127】
図示された実施例で、ハウジング300はメインハウジング310、据置部材320およびサブハウジング330を含む。
【0128】
メインハウジング310はハウジング300の外形の一部を形成する。メインハウジング310はハウジング300が対象部位Tの一部分と結合される。図示された実施例で、メインハウジング310は耳の穴(earhole)を覆って対象部位Tと結合される。
【0129】
メインハウジング310は対象部位Tの外側に露出される。刺激印加装置20が有線イヤホンの形態で備えられる実施例で、メインハウジング310は導線部材Wを通じて外部に備えられる制御部420と結合、通電し得る。
【0130】
メインハウジング310の内部には刺激印加部400が収容される。メインハウジング310に隣接するように位置する対象部位Tの一部分は刺激印加部400が印加する刺激が伝達され得る。
【0131】
メインハウジング310はハウジング300の各構成のうち最も大きい体積を有するように形成される。刺激印加部400の各構成の少なくとも一部はメインハウジング310の内部に収容され得る。
【0132】
刺激印加装置20が無線イヤホンの形態で備えられる実施例で、メインハウジング310には刺激印加装置20の作動状態を表示するインジケーター(indicator)が備えられ得る。
【0133】
図示された実施例で、メインハウジング310は対象部位Tの幅方向の延長長さが対象部位Tの高さ方向の延長長さより長く形成される。メインハウジング310の形状は対象部位Tの一部分と結合され、対象部位Tに刺激を印加できる任意の形状であり得る。
【0134】
図示された実施例で、メインハウジング310は挿入突出部311を含む。
【0135】
挿入突出部311はメインハウジング310が対象部位Tに形成された開口部に挿入される部分である。対象部位Tが耳である実施例で、挿入突出部311は耳の穴に挿入され得る。
【0136】
挿入突出部311はメインハウジング310の面のうち対象部位Tに向かう一面、図示された実施例で内面に形成される。刺激印加装置20が対象部位Tに結合されると、挿入突出部311は前記開口部に挿入されて外側に任意に露出されない。
【0137】
挿入突出部311に隣接するように刺激印加部400が備えられる。具体的には、メインハウジング310部分のうち挿入突出部311に隣接した部分に磁石部材410および光刺激印加部材440が備えられる。磁石部材410および光刺激印加部材440は対象部位T部分のうち挿入突出部311に隣接するように位置する一部分に電気的刺激および光学的刺激を印加するように構成される。
【0138】
図6に図示された実施例で、磁石部材410および光刺激印加部材440は据置部材320とサブハウジング330が連続する部分と挿入突出部311の間に位置する。換言すると、磁石部材410および光刺激印加部材440はメインハウジング310の内側面の一部分に位置する。
【0139】
挿入突出部311は対象部位Tに形成された開口部に挿入され得る任意の形状であり得る。図示された実施例で、挿入突出部311は円形の断面を有し、対象部位Tに向かって突出形成されたイヤチップ(ear tip)の形態で備えられる。
【0140】
挿入突出部311は可撓性(flexible)素材で形成され得る。形状変形されて対象部位Tに形成された開口部に挿入された後、本来の形状に復元し前記開口部に挿入された状態で維持されるためである。一実施例で、挿入突出部311はシリコン素材で形成され得る。
【0141】
挿入突出部311は選択的に備えられ得る。すなわち、図示された実施例では刺激印加装置20に挿入突出部311が備えられるが、他の実施例で、刺激印加装置20には挿入突出部311が備えられなくてもよい。いずれの場合であれ、刺激印加装置20が対象部位Tに安定的に結合されればよい。
【0142】
据置部材320はハウジング300の外形の他の一部を形成する。据置部材320は刺激印加装置20が対象部位Tに据え置かれる部分である。据置部材320はメインハウジング310と連続するものの、外側に向かって膨らんでいるようにラウンド状に形成される。換言すると、据置部材320はメインハウジング310に向かう一側に中心を有し外側に湾曲するように形成される。
【0143】
据置部材320はメインハウジング310と連続する。据置部材320はメインハウジング310と通電して、メインハウジング310に収容されたバッテリー430または光源部材450等が印加する電力および制御信号が伝達され得る。
【0144】
据置部材320はサブハウジング330と連続する。据置部材320はサブハウジング330と通電して、伝達された電力および制御信号はサブハウジング330に収容された磁石部材410に伝達され得る。
【0145】
据置部材320はメインハウジング310およびサブハウジング330の間で延びる。
図6に図示された実施例で、据置部材320の延長方向の一端部はメインハウジング310と結合、通電する。据置部材320の延長方向の他端部はサブハウジング330と結合、通電する。
【0146】
図示された実施例で、据置部材320はその上側が外側に向かって膨らんでいるようにラウンド状に形成される。据置部材320がラウンド状に形成される部分の他側、図示された実施例で下側は開放形成され得る。据置部材320は前記他側、すなわち下側を通じて対象部位Tに据え置かれ得る。
【0147】
据置部材320は可撓性素材で形成され得る。対象部位Tの形状により形状変形され、対象部位Tに安定的に据え置かれるためである。
【0148】
据置部材320の外形は軟性素材で形成され得る。据置部材320は対象部位Tに直接接触する部分であるので、異物感が最小化されるためである。
【0149】
一実施例で、据置部材320はシリコン(silicon)素材で形成され得る。
【0150】
サブハウジング330はハウジング300の外形の残りの一部を形成する。サブハウジング330は対象部位Tの他部分に隣接するように位置する。対象部位Tが耳である実施例で、サブハウジング330は耳の内側に位置する。
【0151】
サブハウジング330には刺激印加部400の一部が収容される。サブハウジング330が隣接するように位置する対象部位Tの前記他部分はサブハウジング330に収容された刺激印加部400が印加する刺激が伝達され得る。
【0152】
サブハウジング330はメインハウジング310および据置部材320と結合、通電する。図示された実施例で、サブハウジング330はメインハウジング310が偏るように位置する一側、すなわち下側に偏るように位置する。サブハウジング330は据置部材320の延長方向の前記他端部と結合、通電する。
【0153】
サブハウジング330の内部には空間が形成される。前記空間には刺激印加部400の一部の構成、例えば磁石部材410が収容され得る。サブハウジング330の内部に収容された磁石部材410は隣接するように位置する対象部位Tに刺激を印加することができる。
【0154】
図6に図示された実施例で、磁石部材410はサブハウジング330の面のうち外側面、すなわち刺激印加装置20が対象部位Tに結合されていない状態で外部に露出される一側面に配置される。
【0155】
サブハウジング330に収容された磁石部材410が作動するための電力および制御信号はメインハウジング310に収容された刺激印加部400の構成によって印加され得る。
【0156】
刺激印加部400は刺激印加装置20が結合された対象部位Tに刺激を印加するように構成される。刺激印加部400は対象部位Tに適切な刺激を印加できる任意の形態で備えられ得る。図示された実施例で、刺激印加部400は電気的刺激または光学的刺激を対象部位Tに印加するように構成される。
【0157】
刺激印加部400は対象部位Tに刺激を印加するための一構成、前記一構成と通電して、電力または制御信号を供給する他の構成を含むことができる。
【0158】
図示された実施例で、刺激印加部400は磁石部材410、制御部420、バッテリー430、光刺激印加部材440および光源部材450を含む。
【0159】
磁石部材410は対象部位Tに刺激を印加する一構成で備えられる。一実施例で、磁石部材410は対象部位Tに電気的刺激を印加するように構成され得る。磁石部材410の内部には刺激電極が備えられて、対象部位Tに電気的刺激が印加され得る。前記刺激電極は制御部420またはバッテリー430と通電して、電力および制御信号が伝達されるように構成され得る。
【0160】
磁石部材410はハウジング300の内部に収容される。この時、磁石部材410は複数個備えられて、複数個の磁石部材410はハウジング300の互いに異なる部分にそれぞれ収容され得る。複数個の磁石部材410は対象部位Tの互いに異なる部分にそれぞれ電気的刺激を印加するように構成され得る。
【0161】
図示された実施例で、磁石部材410は二つ備えられてメインハウジング310およびサブハウジング330にそれぞれ収容され得る。メインハウジング310に収容された磁石部材410は挿入突出部311に隣接した対象部位T部分に電気的刺激を印加することができる。サブハウジング330に収容された磁石部材410はサブハウジング330に隣接した対象部位Tの他部分に電気的刺激を印加することができる。
【0162】
この時、
図6に図示された通り、複数個の磁石部材410は他の方向に向かって電気的刺激を印加するように配置され得る。図示された実施例で、複数個の磁石部材410は対象部位Tの外側および内側で電気的刺激を印加するように配置される。
【0163】
すなわち、図示された実施例で、複数個の磁石部材410は対象部位Tの内側と外側をそれぞれ囲むように配置され得る。
【0164】
磁石部材410は相互間に磁気的引力を形成し、内部に刺激電極を収容し、刺激電極を通じて伝達された電力および制御信号によって発生する刺激を対象部位Tに伝達できる任意の形態で備えられ得る。一実施例で、磁石部材410はネオジム磁石の形態で備えられ得る。
【0165】
磁石部材410は導線部材Wと結合、通電する。磁石部材410に備えられる刺激電極は外部の制御部420から電力および制御信号が伝達されて作動し得る。
【0166】
磁石部材410はメインハウジング310またはサブハウジング330より小さい大きさを有するように形成され得る。前記実施例で、磁石部材410はメインハウジング310またはサブハウジング330の内部に収容されて外部に任意に露出しないように構成され得る。
【0167】
磁石部材410は制御部420およびバッテリー430と結合、通電する。
【0168】
制御部420は磁石部材410に備えられる刺激電極が対象部位Tに刺激を印加するための電力および制御信号を伝達する。伝達された電力および制御信号によって刺激電極が作動して対象部位Tに刺激を印加することができる。一実施例で、磁石部材410は電気的刺激を印加するように構成されるのは前述した通りである。
【0169】
また、制御部420は光源部材450と結合、通電する。制御部420は光源部材450が作動するための電力および制御信号を伝達する。光源部材450は伝達された電力および制御信号により光(light)を生成して光刺激印加部材440に伝達することができる。
【0170】
制御部420は磁石部材410と通電する。制御部420がハウジング300の外側に備えられる実施例で、制御部420は導線部材Wを通じて磁石部材210と通電し得る。したがって、前記実施例の場合、刺激印加装置20が有線イヤホンの形態で備えられると言えるであろう。
【0171】
制御部420は情報の入力、演算、出力および電力の伝達が可能な任意の形態で備えられ得る。一実施例で、制御部420は情報の入力、演算および出力のための構成であり、マイクロプロセッサ、CPUなどを含むことができる。また、制御部420は電力の貯蔵または伝達が可能であるように、キャパシタを含んで構成され得る。
【0172】
前記実施例で、制御部420には制御信号に関連した情報の入力を受けるための入力部(図示されず)を含むことができる。前記入力部(図示されず)は着用者または使用者が刺激印加装置20の作動を制御するための情報を任意の形態で入力を受けるように構成され得る。一実施例で、前記入力部(図示されず)はボタン、ダイヤルまたはタッチスクリーンなどの形態で構成され得る。
【0173】
バッテリー430は磁石部材410に備えられる刺激電極が対象部位Tに刺激を印加するための電力および制御信号を伝達する。伝達された電力および制御信号によって刺激電極が作動して対象部位Tに刺激を印加することができる。
【0174】
バッテリー430はハウジング300に収容される。一実施例で、バッテリー430は相対的に大きい体積を有するように形成されるメインハウジング310の内部に収容され得る。前記実施例で、磁石部材410はバッテリー430から電力および制御信号を直接伝達されるように構成され得る。すなわち、前記実施例で、磁石部材410は導線部材Wを通じて外部の制御部420と通電しなくてもよい。磁石部材410はバッテリー430と結合、通電する。
【0175】
また、バッテリー430は光源部材450と結合、通電する。バッテリー430は光源部材450が作動するための電力および制御信号を伝達する。光源部材450は伝達された電力および制御信号により光を生成して光刺激印加部材440に伝達することができる。
【0176】
したがって、前記実施例の場合、刺激印加装置20が無線イヤホンの形態で備えられると言えるであろう。
【0177】
この時、バッテリー430は制御部420と同様に情報の入力、演算、出力および電力の伝達が可能な任意の形態で備えられ得る。一実施例で、バッテリー430は制御部420と同様に情報の入力、演算および出力のための構成と電力の伝達または貯蔵のための構成を含んで構成され得る。
【0178】
光刺激印加部材440は対象部位Tに刺激を印加する他の構成で備えられる。一実施例で、光刺激印加部材440は対象部位Tに光学的刺激を印加するように構成され得る。前記光学的刺激は制御部420またはバッテリー430と通電して電力および制御信号が伝達されるように構成され得る。
【0179】
光刺激印加部材440は光源部材450と結合、通電して光(light)が伝達され、これを対象部位Tに伝達できる任意の形態で備えられ得る。一実施例で、光刺激印加部材440は光繊維(optical fiber)の形態で備えられ得る。
【0180】
光刺激印加部材440はメインハウジング310に収容される。光刺激印加部材440は挿入突出部311に隣接するように配置されて対象部位Tに光学的刺激を印加するように構成され得る。光刺激印加部材440は磁石部材410および磁石部材410が隣接するように配置される挿入突出部311に隣接するように位置する。
【0181】
図6には、光刺激印加部材440がメインハウジング310にのみ備えられるものとして図示された。代案として、光刺激印加部材440はサブハウジング330にも備えられて、複数個の地点で対象部位Tに光学的刺激が印加されるように構成され得る。
【0182】
この時、サブハウジング330に備えられる光刺激印加部材440は磁石部材410と同様に、対象部位Tの内側に光学的刺激を印加するように配置され得る。すなわち、追加で備えられる光刺激印加部材440は
図6の(b)に図示された、サブハウジング330に配置された磁石部材410に隣接するように配置され得る。
【0183】
光刺激印加部材440は制御部420またはバッテリー430と結合、通電する。すなわち、刺激印加装置20が有線イヤホンの形態で備えられる実施例で、光刺激印加部材440は導線部材Wにより制御部420と結合、通電し得る。刺激印加装置20が無線イヤホンの形態で備えられる実施例で、光刺激印加部材440はハウジング300、具体的にはメインハウジング310に収容されたバッテリー430と結合、通電し得る。
【0184】
光源部材450は光刺激印加部材440に光を伝達する。伝達された光は光刺激印加部材440を通じて光学的刺激の形態で対象部位Tに提供され得る。光源部材450は光刺激印加部材440と結合される。
【0185】
光源部材450は光刺激印加部材440と結合される。光源部材450は制御部420またはバッテリー430と結合、通電する。光源部材450が光を生成するために要求される電力および制御信号は制御部420またはバッテリー430に伝達され得る。
【0186】
図示された実施例では、メインハウジング310に磁石部材410および光刺激印加部材440が、サブハウジング330に磁石部材410が備えられるものとして図示された。
【0187】
代案として、磁石部材410および光刺激印加部材440はメインハウジング310およびサブハウジング330のうちいずれか一つ以上にそれぞれ備えられ得る。この時、メインハウジング310またはサブハウジング330に位置する磁石部材410および光刺激印加部材440は互いに隣接するように配置され得る。
【0188】
刺激印加装置20が有線イヤホンの形態で備えられる実施例で、光源部材450はハウジング300の外部に備えられ得る。前記実施例で、光源部材450と他の部材間の通電は導線部材Wにより形成され得る。
【0189】
刺激印加装置20が無線イヤホンの形態で備えられる実施例で、光源部材450はハウジング300、具体的にはメインハウジング310の内部に備えられ得る。前記実施例で、光源部材450と他の部材間の通電は直接結合、通電するか、導線部材Wにより形成され得る。この時、導線部材Wは外部に露出しないことが理解され得るであろう。
【0190】
以上で説明した本発明の他の実施例に係る刺激印加装置20は、対象部位Tの開口部に挿入される挿入突出部311および対象部位Tに据え置かれる据置部材320を含む。したがって、刺激印加装置20が複数個の位置で対象部位Tに結合されるところ、刺激印加装置20の結合状態が安定的に維持され得る。
【0191】
また、刺激印加装置20は複数個の地点で対象部位Tに刺激を印加するように構成され得る。一実施例で、対象部位Tに電気的刺激を印加する磁石部材410は複数個備えられてメインハウジング310の挿入突出部311およびサブハウジング330にそれぞれ備えられ得る。複数個の磁石部材410は対象部位Tの互いに異なる部分にそれぞれ電気的刺激を印加するように構成され得る。
【0192】
一実施例で、刺激印加装置20は互いに異なる形態の刺激を印加するように構成され得る。一実施例で、対象部位Tに電気的刺激を印加するように構成される磁石部材410および光学的刺激を印加するように構成される光刺激印加部材440がすべて備えられ得る。
【0193】
前記実施例で、磁石部材410および光刺激印加部材440は同時にまたは異なる時に互いに異なる形態の刺激を対象部位Tに印加することができる。
【0194】
その結果、本発明の実施例に係る刺激印加装置20は侵襲的方法によらずとも、対象部位Tに適切な刺激を印加して意図した効果を達成することができる。また、刺激印加装置20は磁力によって対象部位Tに対して容易に結合または取り外され得る。
【0195】
一実施例で、刺激印加装置20は有線の形態で備えられ得る。前記実施例で、磁石部材410および光刺激印加部材440はハウジング300に収容されるものの、制御部420および光源部材450はハウジング300の外部に配置され得る。この時、磁石部材410および光刺激印加部材440は導線部材Wにより制御部420または光源部材450と結合、通電し得る。前記実施例で、刺激印加装置20がより小型化され得る。
【0196】
他の実施例で、刺激印加装置20は無線の形態で備えられ得る。前記実施例で、磁石部材410および光刺激印加部材440はハウジング300に収容され、同様にハウジング300に収容されたバッテリー430または光源部材450と結合、通電し得る。前記実施例で、刺激印加装置20の着用が容易に進行され得る。
【0197】
以下では、前述した本発明の実施例に係る刺激印加装置10、20の適用様態を実施例によって詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を具体的に例示するものであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
【0198】
[実施例1]
【0199】
血管性認知症誘発のための動物モデル製作
【0200】
本発明の電子薬による認知機能障害回復効果を確認するために、血管性認知症が誘発された動物モデルを製作した。
【0201】
血管性認知症を誘発するために、
図8に示された通り、8週齢C57BL/6マウスをisoflurane呼吸麻酔させた後、前頸部を切開して総頚動脈(Common carotid artery)を両側に露出した後、25分間血管クランプで一時的に結紮して脳血流を減少させた(transient Bilateral Common Carotid Artery Occlusion、以下「tBCCAO」)。以後、手術部位を縫い合わせた(Soares et al.,Behavioural Brain Research、2013)。
【0202】
実験動物は大韓バイオリンクで入手し、すべての動物は12時間の明暗周期と恒温、除湿が維持されるキョンヒ大学実験動物室で飼育され、水と食べ物も自由に供給された。研究の遂行はキョンヒ大学動物実験倫理委員会の指針に基づいた。すべての動物実験手続きは動物実験倫理委員会の承認を得たKHSASP-22-302のプロトコルを遵守した。
【0203】
[実施例2]
【0204】
経皮的迷走神経刺激による心拍数減少確認
【0205】
迷走神経刺激による生体調節の有効性を評価するバイオマーカーとして心拍数と関連指標(HRVなど)が提示されていることに基づいて(Saku et al.,Physiological Reports、2014;Gureal et al.,Brain Stimulation、2020)、有効な電気刺激の印加による副交感神経系の作動と生体調節の有無を確認するために、刺激中に心電図を撮影し分当たり心拍数を追跡した。
【0206】
その結果、
図8に示された通り、迷走神経を刺激した場合、電気的刺激によって心拍数が減少することを確認した。
【0207】
[実施例3]
【0208】
一時的総頚動脈結紮によって誘発された血管性認知症の記憶力障害評価
【0209】
総頚動脈血管結紮による血管性認知症で誘発された記憶力障害を評価するために下記のような二種類の実験を遂行した。
【0210】
<3-1>個体認識テスト
【0211】
認知障害に対する認知能力および記憶力障害を評価するために、新しい事物に対する短期記憶を評価する行動実験である個体認識テスト(Novel object recognition test)を遂行した。
【0212】
個体認識テストは40cm×40cm×40cmの白色アクリルで製作された正六面体のアリーナで進行された。個体としては5cm×5cm×5cmの大きさのプラスチックで製作された青色の正六面体の個体と赤色の四角錐の個体を利用した。すべての個体の質感と体積は類似しており、実験動物の偏重された選好がないことを確認した後、実験を進めた。個体認識テストは適応期(habituation phase)、慣れ親しみ期(familiarization phase)、実験期(test phase)で構成された。アリーナ内での実験動物の活動はビデオで記録された。まず、適応期には本実験期の前日に10分ほど空のアリーナ内に置いてアリーナ空間に適応できるようにするものの、実験動物の自由な運動機能に障害がないかを評価した。翌日の慣れ親しみ期には同じ個体2個をアリーナ内部に対角線で位置させた後、実験動物が10分間自由に探索活動をできるようにした。1時間後、実験期には慣れ親しみ期に探索するようにした個体と、新しい個体をアリーナ内部に位置させた後、各個体に対する実験動物の探索活動時間を測定した。探索活動は実験動物の鼻が個体に向かっており、かつ実験動物の胴体の真ん中が個体から2cmほど離れている時と定義した。
【0213】
実験結果、
図10Aおよび10Bに示された通り、総頚動脈血管結紮による血管性認知症が誘発されたマウスは、正常マウスに比べて顕著に新しい物体に関心を示す時間および頻度が減少したことを確認することができた。
【0214】
<3-2>Y迷路(Y-maze)
【0215】
短期記憶力を測定する実験として順次行動する能力を評価するための方法として、空間に対する作業記憶を評価する行動実験であるY迷路実験を実施した。
【0216】
測定装備であるY-迷路装置は白色のアクリル板[枝:横8cm、縦30cm、高さ14cm]で製作したY字状の四方が閉塞された迷路で構成されており、三つの枝が折れる角度は120°で配置されている。それぞれの枝をA、B、Cに決めた後、一つの枝に実験動物を注意して置き、8分の間自由にY-迷路で動くようにした後、実験動物が入った各枝を天井に設置したカメラを通じて記録した。各枝に入った回数および順序を測定して自発的変更率(spontaneous alteration (%))を評価した。変更(alteration)は3個の他の枝に順次入る場合を変更数(実際の変更:actual alternation、すなわちABC、BCA、CABの順序)として認めた。連続で入らない場合は点数として認定しなかった。変更行動力(alternation behavior)は三つの枝すべてに重ならないように入ることと定義され、次の数学式によって自発的変更行動力(spontaneous alteration)を計算した。したがって、%変更率は下記の数学式1で計算した。
【0217】
[数学式1]
【0218】
%変更率=[総変更数]/[枝に入った総回数-2]*100
【0219】
実験結果、
図10Cおよび10Dに示された通り、Y-迷路実験結果、総頚動脈結紮手術3日目と7日目で、運動機能の障害は誘発されず、有意に記憶力障害によって遂行能力が下落することを確認した。
【0220】
すなわち、総頚動脈結紮手術3日目と7日目で有意に記憶力障害によって遂行能力が下落することを確認した。
【0221】
[実施例4]
【0222】
記憶力障害を示す血管性認知症動物で経皮的迷走神経刺激(taVNS)による認知機能回復
【0223】
反復的で長期的な経皮的迷走神経刺激が認知機能を回復させるかを確認するために、呼吸麻酔状態で刺激を与えた後、行動評価を施行した。
【0224】
具体的には、一時的総頚動脈結紮(transient Bilateral Common Carotid Artery Occlusion、tBCCAO)により血管性認知症を誘発させ、その後刺激印加装置10、20で刺激を与えて認知機能回復の有無を確認した。これに対する実験遂行計画は
図11aおよび
図11dの通りである。認知機能に対する行動実験は実施例3で前述した個体認識テストとY-迷路テストを進めた。対照群は刺激なしに麻酔のみ遂行した群(Anesthesia only)である。
【0225】
その結果、手術後3日目に行動評価結果、経皮的迷走神経刺激群(taVNS)で刺激なしに麻酔のみ施行した群に比べて有意に個体認識テスト(
図11b)とY-迷路(
図11c)の遂行能力が増加することを確認した。手術後7日目には刺激対照群(non-taVNS)に対しても有意味な増加を見せて認知機能を回復させることを確認した(
図11e、f)。
【0226】
[実施例5]
【0227】
経皮的迷走神経刺激による脳脊髄液循環活性化
【0228】
経皮的迷走神経刺激による血管性認知症での認知機能向上のメカニズムを探索するために、脳脊髄液循環に及ぼす影響を確認した。
【0229】
脳脊髄液イメージングは
図12Aに示された通り、生きている個体を麻酔させた後、2mm×2mm大きさの透明なガラスのカバーガラス(Matsunami Glass、大阪、日本)を植立するための大きさで頭蓋骨をメスで切除した後、生体ボンド(Vetbond、3M)とデンタルセメントを通じてカバーガラスを大脳皮質の上に固定した。イメージングウインドウを確保した後、大槽(cisterna magna)を通じて脳脊髄液蛍光トレーサー(FITC-dextran;Invitrogen)を注入して脳脊髄液の循環を観察した。(Iliff et al.,Science Translational Medicine、2012)
【0230】
その結果、経皮的迷走神経刺激前(
図12B)に比べて刺激後(
図12C)の脳脊髄液の循環による脳脊髄液蛍光トレーサーの蛍光の強度と領域が増加することを確認した。これにより、経皮的迷走神経刺激により脳脊髄液循環が活性化して血管性認知症で認知機能が向上することを確認した。
【符号の説明】
【0231】
10、20 刺激印加装置
100 ハウジング
100a 第1ハウジング
100b 第2ハウジング
110 導線案内部
111 案内中空
120 印加部材収容部
121 収容空間
200 刺激印加部
210 磁石部材
220 制御部
230 バッテリー
300 ハウジング
310 メインハウジング
311 挿入突出部
320 据置部材
330 サブハウジング
400 刺激印加部
410 磁石部材
420 制御部
430 バッテリー
440 光刺激印加部材
450 光源部材
W 導線部材
T 対象部位
【国際調査報告】