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特表2024-527042可動レールに結合した複数のアームを有するワークピース移送システムの制御システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】可動レールに結合した複数のアームを有するワークピース移送システムの制御システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 5/00 20060101AFI20240711BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B25J5/00 E
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504936
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022070610
(87)【国際公開番号】W WO2023006602
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/226,900
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513137950
【氏名又は名称】ノルグレン オートメーション ソーリューションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】NORGREN AUTOMATION SOLUTIONS,LLC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ビギン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バーク,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ラリー,ハミルトン
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707AS23
3C707BS01
3C707BS15
3C707CX05
3C707CX07
3C707DS01
3C707FS01
3C707FT02
3C707HS27
3C707JS03
3C707NS09
(57)【要約】
例示的な方法は、ワークピースに対して行われる製造タスクを示すタスク識別情報を受信するステップであって、ワークピース移送システムは、レールと、レールに結合した複数のアームとを含み、各アームは、(i)それぞれの関節に結合した複数のアームリンク機構と、(ii)監視コントローラと通信するアームコントローラと、(iii)アームコントローラと通信し、それぞれの関節におけるそれぞれの回転アクチュエータを作動させて複数のアームリンク機構を互いに動かすように構成されたそれぞれの関節コントローラとを含む、ステップと;製造タスク及びワークピースに対応する動作計画を取得するステップと;それぞれのアームコントローラにコマンド信号を送信して、それぞれのコマンド信号をそれぞれの関節コントローラに通信し、動作計画を実行するステップと;最終的な所望の構成が達成されると、それぞれのアームコントローラにそれぞれの関節をロックするように命令するステップと;を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、当該方法は、
ワークピース移送システムの監視コントローラにおいて、連続するワークステーションを使用してワークピースに対して行われる製造タスクを示すタスク識別情報を受信するステップであって、前記ワークピース移送システムは、レールと、該レールに結合した複数のアームとを含み、各アームは、(i)それぞれの関節に結合した複数のアームリンク機構と、(ii)前記監視コントローラと通信するアームコントローラと、(iii)該アームコントローラと通信し、前記それぞれの関節におけるそれぞれの回転アクチュエータを作動させて前記複数のアームリンク機構を互いに動かすように構成されたそれぞれの関節コントローラとを含む、ステップと、
前記タスク識別情報に基づいて、前記監視コントローラが、前記製造タスク及び前記ワークピースに対応する動作計画を取得するステップであって、前記動作計画には、前記複数のアームの各アーム及び前記それぞれの関節について、それぞれの回転アクチュエータをいつ作動すべきか、及び前記複数のアームの最終的な所望の構成を達成するためにそれぞれの回転アクチュエータを作動させる順序を示す一連の動作が含まれる、ステップと、
前記監視コントローラが、前記複数のアームのそれぞれのアームコントローラにコマンド信号を送信して、それぞれのコマンド信号を前記それぞれの関節コントローラに通信し、前記動作計画を実行するステップと、
前記最終的な所望の構成が達成されると、前記監視コントローラが、前記それぞれのアームコントローラに前記それぞれの関節をロックするように命令するステップと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記動作計画には、前記複数のアームの各アーム及び前記アームの前記それぞれの関節に対する一連のウェイポイント(waypoint)がさらに含まれ、該ウェイポイントには、アームリンク機構又は関節が前記最終的な所望の構成に関連付けられた最終位置に向かう途中に想定される中間点が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動作計画には、前記一連のウェイポイントの各ウェイポイントにおける前記複数のアームの各アームの滞在時間がさらに含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記動作計画には、前記連続するワークステーションの間で前記ワークピースを移動させる間に、前記ワークピースと係合する際にアクティブになるアームサブセットの指標がさらに含まれ、前記コマンド信号を送信して前記動作計画を実行するステップは、
前記コマンド信号を送信して、前記複数のアームのうち、前記アームサブセット以外の残りのアームを非アクティブ位置に位置付けさせるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記監視コントローラと通信するヒューマン・マシンインターフェイスコンピュータ装置から、前記複数のアームの前記最終的な所望の構成又は前記複数のアームの各アームの前記一連の動作を変更する要求を受信するステップと、
これに応じて、前記監視コントローラが、前記動作計画を修正するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記監視コントローラにおいて、前記それぞれのアームコントローラから、(i)前記複数のアームの各アームのそれぞれの関節が動いているときの関節角度値、(ii)前記複数のアームが前記最終的な所望の構成に向けて移動しているかどうかを示す信号、(iii)前記それぞれの関節がロックされるかどうか、(iv)前記複数のアーム及び前記それぞれの回転アクチュエータが動作する準備ができているかどうか、(v)前記複数のアームのうちの特定のアームのアームリンク機構及び関節の数、及び(vi)アームが所望の最終位置に到達したことを示す指標のうちの1つ又は複数を示す状態情報を受信するステップをさらに含み、
前記コマンド信号を前記それぞれのアームコントローラに送信することは、前記状態情報に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のアームの各アームがエンドエフェクタに結合されており、当該方法は、
前記監視コントローラにおいて、前記それぞれのアームコントローラから前記エンドエフェクタの動作状態を示す部品存在情報を受信するステップと、
前記エンドエフェクタの動作状態の指標を提供するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記エンドエフェクタは吸引カップを含み、前記部品存在情報は、前記吸引カップが適用する真空圧力レベルを示し、当該方法は、
前記真空圧力レベルを閾値圧力レベルと比較して、前記エンドエフェクタの前記動作状態を決定するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ワークピース移送システムは、前記レールに結合されたレールアクチュエータをさらに含み、該レールアクチュエータは、前記レールと該レールに結合した前記複数のアームとを前記連続するワークステーションの間で移動させるように構成され、当該方法は、
前記監視コントローラと通信するシステムコントローラが、前記レールアクチュエータに命令して、前記レール、前記複数のアーム、及び該複数のアームに取り付けられた前記ワークピースを前記連続するワークステーションのうちの第1のワークステーションから前記連続するワークステーションのうちの第2のワークステーションに移動させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のワークステーションにおいて前記複数のアームから前記ワークピースを解放するステップと、
前記システムコントローラが、前記レールアクチュエータに命令して、前記レールと該レールに結合した前記複数のアームとを移動させて前記第1のワークステーションに戻し、別のワークピースに取り付けるステップと、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記タスク識別情報には、前記ワークピースのサイズ及び幾何学形状を示す情報が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
システムであって、当該システムは、
連続するワークステーションの間でワークピースを移送するように構成されたワークピース移送サブシステムであって、該ワークピース移送サブシステムは、レールと、該レールに結合した複数のアームとを含み、各アームには、(i)それぞれの関節で結合した複数のアームリンク機構と、(ii)アームコントローラと、(iii)前記アームコントローラと通信し、それぞれの関節におけるそれぞれの回転アクチュエータを作動させて前記複数のアームリンク機構を互いに動かすように構成されたそれぞれの関節コントローラとが含まれる、ワークピース移送サブシステムと、
様々なワークピースに対して行われる様々な製造タスクのタスク識別情報を含むタスク及びワークピースデータベースにアクセスできるシステムコントローラと、
前記システムコントローラ及び前記複数のアームのそれぞれのアームコントローラと通信する監視コントローラと、を含み、
該監視コントローラは、前記様々な製造タスクに対応するそれぞれの動作計画を含む動作計画データベースにアクセスでき、各動作計画には、前記複数のアームの各アーム及び前記それぞれの関節について、それぞれの回転アクチュエータをいつ作動すべきか、及び前記複数のアームの最終的な所望の構成を達成するためにそれぞれの回転アクチュエータを作動させる順序を示す一連の動作が含まれ、前記監視コントローラは、1つ又は複数のプロセッサと、命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体とを含み、前記命令が1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記監視コントローラに、
前記システムコントローラからタスク識別情報を受信すること、
前記タスク識別情報に対応する動作計画を取得すること、
前記複数のアームのそれぞれのアームコントローラにコマンド信号を送信して、それぞれのコマンド信号を前記それぞれの関節コントローラに通信し、動作計画を実行すること、及び
前記最終的な所望の構成が達成されると、前記それぞれのアームコントローラに前記それぞれの関節をロックするように命令すること、を含む動作を実行させる、
システム。
【請求項13】
前記動作計画には、(i)前記複数のアームの各アーム及び前記アームの前記それぞれの関節に対する一連のウェイポイント、及び(ii)該一連のウェイポイントの各ウェイポイントにおける前記複数のアームの各アームの滞在時間がさらに含まれ、前記ウェイポイントには、アームリンク機構又は関節が前記最終的な所望の構成に関連付けられた最終位置に向かう途中で想定される中間点が含まれる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記動作計画には、前記連続するワークステーションの間で前記ワークピースを移動させる間に、前記ワークピースと係合する際にアクティブになるアームサブセットの指標がさらに含まれ、前記コマンド信号を送信して前記動作計画を実行することは、
前記コマンド信号を送信して、前記複数のアームのうち、前記アームサブセット以外の残りのアームを非アクティブ位置に位置付けさせることを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記監視コントローラと通信するヒューマン・マシンインターフェイスコンピュータ装置をさらに含み、前記動作には、
前記ヒューマン・マシンインターフェイスコンピュータ装置から、前記複数のアームの前記最終的な所望の構成又は前記複数のアームの各アームの前記一連の動作を変更する要求を受信すること、及び
これに応じて、前記動作計画を修正すること、がさらに含まれる、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記動作には、
前記それぞれのアームコントローラから、(i)前記複数のアームの各アームの前記それぞれの関節が動いているときの関節角度値、(ii)前記複数のアームが前記最終的な所望の構成に向けて移動いているかどうかを示す信号、(iii)それぞれの関節がロックされるかどうか、(iv)前記複数のアーム及び前記それぞれの回転アクチュエータが動作する準備ができているかどうか、(v)前記アームリンク機構及び関節の数、及び(vi)アームが所望の最終位置に到達したことの指標のうちの1つ又は複数を示す状態情報を受信することがさらに含まれ、
前記コマンド信号を前記それぞれのアームコントローラに送信することは、前記状態情報に基づく、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数のアームの各アームはエンドエフェクタに結合されており、前記動作には、
前記それぞれのアームコントローラから、前記エンドエフェクタの動作状態を示す部品存在情報を受信すること、及び
前記エンドエフェクタの前記動作状態の指標を前記システムコントローラに提供すること、がさらに含まれる、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記エンドエフェクタは吸引カップを含み、前記部品存在情報は、前記吸引カップが適用する真空圧力レベルを示し、前記動作には、
前記真空圧力レベルを閾値圧力レベルと比較して、前記エンドエフェクタの前記動作状態を決定することがさらに含まれる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ワークピース移送サブシステムは、前記レールに結合されたレールアクチュエータをさらに含み、該レールアクチュエータは、前記レールと該レールに結合した前記複数のアームとを前記連続するワークステーションの間で移動させるように構成され、前記システムコントローラは、
前記レールアクチュエータに命令して、前記レール、前記複数のアーム、及び該複数のアームに取り付けられたワークピースを、前記連続するワークステーションのうちの第1のワークステーションから前記連続するワークステーションのうちの第2のワークステーションに移動させることを含む動作を行う、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記監視コントローラは、前記複数のアームに、前記第2のワークステーションで前記ワークピースを解放させることを含む更なる動作を行わせ、前記システムコントローラは、前記レールアクチュエータに命令して、前記レールと該レールに結合した前記複数のアームとを移動させて前記第1のワークステーションに戻し、別のワークピースに取り付けることを含む更なる動作を行わせる、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、可動レールに結合した複数のアームを有するワークピース移送システムの制御システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造施設では、多数の構成したワークピースに対して様々な製造及び組立作業が行われる。このような作業には、ワークピースに対して行われる製造作業(例えば、機械加工、溶接、スタンピング加工(stamping:打抜き加工)等)及び組立作業、並びにワークステーション同士の間のワークピースの取扱い及び往復移動の作業が含まれる。
【0003】
各ワークステーションにおいてワークピースに対して特定の作業を行うことができる。ワークステーションでの作業が完了すると、ワークピースは次の連続するワークステーションに移動され、そこで更なる作業が行われる。
【0004】
ワークピースの取扱い及び往復移動には、ワークピースに取り付けられるツーリングアセンブリを使用すること、及びワークピースをあるワークステーションから別のワークステーションに移動することが含まれる。様々な種類のワークピース及び関連する作業に対応するために、ツーリングアセンブリは多くの異なる構成をとることができる。従来のツーリングアセンブリは、様々なワークピースを固定するために様々な剛性マウントによって相互接続されたチューブ(tubing:チューブ配線)の様々なセクションを利用していたが、そのような設計では、典型的に、ツーリングアセンブリの調整が殆ど、又は全く提供されない。他の設計では、押出成形、スライドマウント、ボールマウント、及び鋸歯状の歯を利用しており、これによりチューブのセクションを、直線方向及び半径方向を含む様々な方向に調整できる。ただし、そのような設計では柔軟性が限られる。さらに、ワークピースが異なると、ツールアセンブリに異なるエンドエフェクタが必要になる場合がある。
【0005】
多数のツーリングアセンブリを調整又は交換し、特定のワークピースのためにエンドエフェクタを交換することは、適時且つ退屈なプロセスである。特に、異なる形状のワークピース毎に、異なるセットのツーリングアセンブリ及びエンドエフェクタツーリングを維持する場合があり、こうして、多数のツーリングアセンブリ及びエンドエフェクタツーリングを購入し、保管し、維持し、それにより産業環境において非効率が生じる。さらに、各ワークピースには異なる構成のツーリングアセンブリが必要になる場合がある。全てのワークピースの構成を手動で変更すると、時間もコストもかかり得る。
【0006】
こうして、予め位置決めしたツーリングアセンブリ及びエンドエフェクタツーリングの複数のセットを購入、保管、及び維持する必要なく、ワークピースの任意の構成に合わせて調整される自動ワークピース移送システムを提供することが望ましい場合がある。また、1つのコントローラがツーリングアセンブリを特定の構成に位置決めするように構成される一方、別のコントローラが、ワークピース及びワークピースに取り付けられたツーリングアセンブリを異なるワークステーションの間で移送するのを制御するように構成される、分散型制御システムを有することも望ましい場合がある。このようにして、ツーリングアセンブリは、かなりの重量に耐えられるように構成する必要がない。
【0007】
本明細書で行われる開示は、これら及び他の考慮事項に関して提示される。
【発明の概要】
【0008】
本明細書で説明する例の中で、本開示は、可動レールに結合した複数のアームを有するワークピース移送システムのための制御システム及び方法に関する実施態様について説明する。
【0009】
第1の実施態様の例では、本開示は方法を説明する。この方法は、ワークピース移送システムの監視コントローラにおいて、連続するワークステーションを使用してワークピースに対して行われる製造タスクを示すタスク識別情報を受信するステップであって、ワークピース移送システムは、レールと、レールに結合した複数のアームとを含み、各アームは、(i)それぞれの関節に結合した複数のアームリンク機構と、(ii)監視コントローラと通信するアームコントローラと、(iii)アームコントローラと通信し、それぞれの関節における回転アクチュエータを作動させて複数のアームリンク機構を互いに相対的に動かするように構成されたそれぞれの関節コントローラとを含む、ステップと;タスク識別情報に基づいて、監視コントローラが、製造タスク及びワークピースに対応する動作計画を取得する(retrieving:検索する)ステップであって、動作計画には、複数のアームの各アーム及びそれぞれの関節について、それぞれの回転アクチュエータをいつ作動すべきか、及び複数のアームの最終的な所望の構成を達成するためにそれぞれの回転アクチュエータを作動させる順序を示す一連の動作が含まれる、ステップと;監視コントローラが、複数のアームのそれぞれのアームコントローラにコマンド信号を送信して、それぞれのコマンド信号をそれぞれの関節コントローラに通信し、動作計画を実行するステップと;最終的な所望の構成が達成されると、監視コントローラが、それぞれのアームコントローラにそれぞれの関節をロックするように命令するステップと;を含む。
【0010】
第2の実施態様の例では、本開示はシステムを説明する。このシステムは、連続するワークステーションの間でワークピースを移送するように構成されたワークピース移送サブシステムであって、ワークピース移送システムは、レールと、レールに結合した複数のアームとを含み、各アームは、(i)それぞれの関節で結合した複数のアームリンク機構と、(ii)アームコントローラと、(iii)アームコントローラと通信し、それぞれの関節におけるそれぞれの回転アクチュエータを作動させて複数のアームリンク機構を互いに相対的に動かすように構成されたそれぞれの関節コントローラとを含む、ワークピース移送サブシステムと;様々なワークピースに対して行われる様々な製造タスクのタスク識別情報を含むタスク及びワークピースデータベースにアクセスできるシステムコントローラと;システムコントローラ及び複数のアームのそれぞれのアームコントローラと通信する監視コントローラと;を含み、監視コントローラは、様々な製造タスクに対応するそれぞれの動作計画を含む動作計画データベースにアクセスでき、各動作計画には、複数のアームの各アーム及びそれぞれの関節について、それぞれの回転アクチュエータをいつ作動すべきか、及び複数のアームの最終的な所望の構成を達成するためにそれぞれの回転アクチュエータを作動させる順序を示す一連の動作が含まれる。監視コントローラは、1つ又は複数のプロセッサと、命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体とを含み、命令が1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、監視コントローラに、第1の実施態様の例の動作を実行させる。
【0011】
上記の概要は、例示のみを目的としており、いかなる形でも限定することを意図したものではない。上述した例示的な態様、実施態様、及び特徴に加えて、更なる態様、実施態様、及び特徴は、図面及び以下の詳細な説明を参照することによって明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
例示的な実施例の特徴と考えられる新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に記載している。しかしながら、例示的な実施例は、好ましい使用形態、更なる目的及びその説明と同様に、本開示の例示的な実施例に関する以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照することによって最もよく理解されよう。
図1】例示的な実施態様による、ワークピースを移送するためのシステムを示す図である。
図2】例示的な実施態様による、アームの部分斜視図である。
図3】例示的な実施態様による、エンドエフェクタの三次元位置決め及び隣接するアームのアームリンク機構同士の間の重なりを可能にする、ワークピースを移送するためのシステムを示す図である。
図4】例示的な実施態様による、第1のレール及び第2のレールを有するシステムを示す図である。
図5】例示的な実施態様によるアームの斜視図である。
図6】例示的な実施態様によるシステムを示す図である。
図7】例示的な実施態様による、図6のシステムに対応するブロック図である。
図8】例示的な実施態様による、2つのワークピースを取り扱うための特定の構成のアーム606を含むワークピース移送サブシステムを示す図である。
図9】例示的な実施態様による、ワークピースを取り扱うための特定の構成のアームを含むワークピース移送サブシステムを示す図である。
図10】例示的な実施態様による、図9に示されるワークピースに係合するアームの部分拡大図である。
図11】例示的な実施態様による、別のワークピースを取り扱うための特定の構成のアームを含むワークピース移送サブシステムを示す図である。
図12】例示的な実施態様による、コンピュータ装置を例示するブロック図である。
図13】例示的な実施態様による、ワークピース移送システムを制御する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しながら、開示する実施例についてより詳細に説明するが、図面には、開示する実施例の全てではなく一部が示される。実際に、いくつかの異なる例を説明し得るが、これらの例は本明細書に記載した例に限定されるものとして解釈すべきではない。むしろ、これらの実施例は、本開示が徹底的且つ完全なものとなり、本開示の範囲が当業者に十分に伝わるように説明している。
【0014】
本明細書では、連続するワークステーションを含む製造環境で使用するための、可動レールに結合した複数のアームシステムを有するワークピース移送システムのための制御システム及び方法を開示する。アームは、ワークピースを連続するワークステーションの間で移送するためにワークピースに取り付け又は保持するように構成されたエンドエフェクタを含むツーリングアセンブリとして動作する。特に、アームは可動レールに取り付けられ、可動レールを作動させて、2つの連続するワークステーションの間でワークピースとともにアームを移動させる。
【0015】
制御システムは、いくつかのコントローラを含むことができる。システムコントローラは、どのワークに対して行うべき「ジョブ(job)」、タスク、又は動作を決定する。システムコントローラはまた、ワークピースに対して作業を行って、ワークピースを次のワークステーションに移動させるときに、可動レールを作動させて移動させるように構成される。
【0016】
制御システムは、システムコントローラと通信する監視コントローラをさらに含み、監視コントローラは、実行すべき「ジョブ」又はタスクの識別子又はタスク識別情報を受信するように構成され、識別子は、ワークピースの種類、対応するエンドエフェクタ、及びワークピースを適切に保持し、そのワークピースをワークステーション同士の間での移送を容易にするアームの対応する構成を示す。次に、監視コントローラは、アームが互いに衝突することなく所望のアーム構成を達成するためにアームが実行するウェイポイント(waypoint:経路上の地点情報)と一連の動作とを含む動作計画を取得する。
【0017】
各アームはそれぞれのアームコントローラを有することができる。さらに、各アームは、例えば電気モータ等の回転アクチュエータ用いた関節において互いに結合したいくつかのアームリンク機構を有してもよい。各関節は、それぞれのモータを制御するそれぞれの関節コントローラを有することができる。
【0018】
監視コントローラは、それぞれのアームコントローラと通信してそれぞれのアームの運動計画を実行し、次に、アームコントローラは、それぞれの関節コントローラと通信してアームリンク機構を特定の所望の構成に配置する。こうして、監視コントローラは、実行される特定の「ジョブ」に関連する特定の構成を達成するために、所定の運動計画に基づいてアームの動きを「調整」する。次に、監視コントローラは、アームに、関節を特定の構成で所定の位置にロックするように命令する。
【0019】
アーム構成が達成され、関節がロックされると、システムは、ワークピースを取り出して、そのワークピースをあるワークステーションから別のワークステーションに移動する準備が整う。特に、システムコントローラは、レールを作動させてワークステーションにおいてレールをワークピースの近く又は上部に配置し、レールをワークピースに向けて移動させ、アーム及びエンドエフェクタがワークピースに係合できるようにしてから、レールを次のワークステーションに移動させる。次に、ワークピースを解放し、レール及び関連するアームを邪魔にならない場所に移動して、ワークピースに対して製造作業を行うことができるようにする。次に、システムコントローラは、レールを作動させて以前のワークステーションに戻し、そこで次のワークピースのサイクルが再び開始する。
【0020】
この構成により、監視コントローラは、様々なアームの動作を調整又は協調させ、所定の動作計画に基づいて特定のタスクに適した構成にアームを自動的に配置する。監視コントローラはアームコントローラと通信し、次にアームコントローラは関節コントローラと通信して、タスクに対応する所望の構成にアームを配置する動作計画を実行する。こうして、異なるタスク又は異なるワークピースに合わせてアーム構成を調整することは、異なるタスク識別子を提供し、対応する動作計画を取得することによって自動的に行うことができる。この構成により、様々なジョブ及びタスク同士の間でツール構成を調整するのに必要な時間を大幅に短縮できる。
【0021】
さらに、システムコントローラは、重量の運搬がアームを介して行うのではなくレールを介して殆ど行われるように、レールをワークステーション同士の間で移動させる。そうして、関節におけるモータのサイズはワークピースと係合するのに十分であるが、大きな重量に耐えることができる必要はない。
【0022】
図1は、例示的な実施態様による、ワークピースを移送するためのシステム100を示す。システム100は、レール102と、レール102に結合した複数のアーム104とを含む。アーム104は、ツーリングアセンブリと呼ぶこともできる。以下に説明するように、アーム104はそれぞれ、レール102に回転可能に結合され、それぞれの関節で互いに回転可能に結合した複数のアームリンク機構を有する多関節アームとして構成される。アーム104がワークピース及び実行すべき作業に対応する特定の構成に配置されると、アーム104は、それらアーム同士の間又はレール102に対して相対運動することなく(例えば、クラッチ又はブレーキを介して)所定の位置にロックされる。
【0023】
システム100は、コネクタ108においてレール102に結合したレールアクチュエータ106も含む。システム100は、ワークピースを第1のワークステーションから第1のワークステーションに隣接する第2のワークステーションに移動させる移送動作を行うために使用される。ワークピースを第2のワークステーションに移動した後に、システム100は、第1のワークステーションに戻り、次のワークピースに対する移送動作を繰り返す。例えば、第1のワークステーションは、ワークピースに対して第1の動作を行う第1の機械を含むことができ、第2のワークステーションは、ワークピースに対して第2の動作を行う第2の機械を含むことができる。移送動作中に、レールアクチュエータ106は、レール102及びレール102に結合したアーム104を移動させ、アーム104はワークピースに取り付けられたエンドエフェクタを有しており、こうしてワークピースはレール102及びアーム104とともに移動する。
【0024】
レール102は、実質的に剛性の細長い部材とすることができる。レールアクチュエータ106は、レール102を2自由度以上で移動させるためにレール102に接続される。一例では、レールアクチュエータ106は、コネクタ108においてレール102に接続され、及びレール102から解放されることができ、コネクタ108は、レールアクチュエータ106に対するレール102の機械的、電気的、及び/又は空気圧による接続を提供するクイックリリース形式の接続である。別の例では、レールアクチュエータ106は、任意の適切な剛性の締結構造によってコネクタ108においてレール102に永久的に接続される。レールアクチュエータ106を使用すると、レール102及びレール102に接続した全てのアーム104をワークステーション同士の間で同時に移動させることができる。
【0025】
一例では、レールアクチュエータ106は、ワークステーション同士の間でレール102を移動させるように構成されたロボットマニピュレータであり得る。しかしながら、レールアクチュエータ106は、ワークステーション同士の間でレール102を移動させるように構成された任意のタイプの作動システム(例えば、電気、油圧、空気圧等)を含むことができる。
【0026】
アーム104の各アームは、レール102上の固定位置でレール102に接続される。アーム104のレール102への接続は、任意の適切な剛性の締結構造、又はアーム104をレール102に対して所望の位置に正確に位置決めし、正確に保持するように動作可能なクイックコネクト構造を使用して達成することができる。
【0027】
以下により詳細に説明するように、アーム104は、レール102に対して所望の構成で位置決めされ、その構成は、システム100によって取り扱われるワークピースの幾何学形状及び種類に依存する。一例では、多数のサイクルの移送動作が単一タイプのワークピースに対して実行され、特定のタイプの個々のワークピースのそれぞれは特定の幾何学形状を有する。異なる幾何学形状を有する異なるタイプのワークピースにシステム100を使用することが望ましい場合に、アーム104の一部又は全ての構成を変更して、異なるワークピースでの使用に適した構成を採用することができる。
【0028】
図2は、例示的な実施態様によるアーム200の部分斜視図を示す。アーム200は、例えば図1に示されるアーム104のいずれかを表す。図2に示されるように、アーム200は、アームリンク機構202、アームリンク機構204、及びアームリンク機構206等の複数のアームリンク機構を含む。
【0029】
アームリンク機構202~206は、関節208及び関節210等の1つ又は複数のそれぞれの関節によって相互接続される剛性の細長い部材である。特に、アームリンク機構202は、関節208によってアームリンク機構204に接続され、アームリンク機構204は、関節210によってアームリンク機構204に接続される。アームリンク機構202は、レール102に堅固に結合されるように示される。しかしながら、用途によっては、アームリンク機構202がレール102に対して回転できるようにする別の関節を介して、アームリンク機構202をレール102に結合できることを理解されたい。
【0030】
関節208、210は、例えば電気モータ等の回転アクチュエータを介して作動可能であり得る。各電気モータは、電気モータを制御するそれぞれの関節コントローラ(図示せず)を有することができる。アーム200はアームコントローラ(図2には図示せず、例えば、図3のアームコントローラ312を参照)を含むことができ、アームコントローラは、関節コントローラに通信し、関節208、210の電気モータを作動させて、関節208、210においてアームリンク機構202、204、及び206を互いに相対的に回転させるように命令する。
【0031】
関節208は、第1の軸線212の周りに回転を生じさせるように構成される。特に、関節208の電気モータを作動して所望の位置まで回転させることができ、これにより、アームリンク機構204がアームリンク機構202に対して第1の軸線212の周りに回転する。この調整により、アームリンク機構206も同様に動かすことができる。第2の関節210は、第2の軸線214の周りに回転するように構成される。特に、関節210の電気モータを作動して所望の位置まで回転させることができ、これにより、アームリンク機構206がアームリンク機構204に対して第2の軸線214の周りに回転する。
【0032】
エンドエフェクタ216は、関節210が配置される端部とは反対側の端部でアームリンク機構206に接続される。エンドエフェクタ216は、ワークピースと係合するように構成される。アーム104のエンドエフェクタは、移送動作中に同時にワークピースに係合し、それによりシステム100がワークピースを拾い上げて移動させることができる。図示の例では、エンドエフェクタ216は、真空カップ又は吸引カップとして構成される。ただし、グリッパ、磁石、シャベル等、他のタイプのエンドエフェクタも使用できる。
【0033】
図1に戻って参照すると、システム100の上面図は、アーム104が二次元座標系内で移動してアーム104のそれぞれの吸引カップを特定の座標に配置できることを示している。例では、アーム104の三次元(3D)運動を可能にするために、レール102を関節に対して上昇させることができる(すなわち、レールは関節と同一平面上にない)。このようにして、吸引カップは、座標系110(例えば、デカルト座標系)等の3D座標系に位置付けすることができ、アーム104の隣接するアームのアームリンク機構は、複雑なアーム構成を達成できるように互いに重なり合うことができる。
【0034】
図3は、例示的な実施態様による、エンドエフェクタの3D位置決め及び隣接するアームのアームリンク機構同士の間の重なりを可能にする、ワークピースを移送するためのシステム300を示す。システム300は、100のシステムと同様である。例えば、システム300は、中央位置に複数のアームが結合したレール302を有する。特に、第1セットのアーム304はレール302の一方の側に結合され、第2セットのアーム306はレール302の反対側に結合される。
【0035】
アームは、アームセット304、306の各アームがそれぞれの関節で接続したいくつかのアームリンク機構を有するという点で、上述のアーム104と同様である。さらに、レール302は、吸引カップの3D運動及び位置決めを可能にするために、アームの関節に対して高くなっている。換言すれば、アームの関節は、レール302と平面的ではない。むしろ、レール302は、少なくともいくつかの関節の上に垂直方向に位置付けされており、隣接するアームのアームリンク機構が重なり合うことを可能にするとともに、いくつかのアームリンク機構がレール302の反対側に(例えば、レール302の交差部の下を移動することによって)交差することを可能にする。
【0036】
特定の例として、アームセット304は、アーム308及びアーム310等の2つの隣接するアームを含む。アーム308は、アーム308のベース314に取り付けられたアームコントローラ312を有する。アーム308はさらに、第1の関節318においてベース314に結合した第1のアームリンク機構316を有しており、第2の関節322において第1のアームリンク機構316に結合した第2のアームリンク機構320を有する。電気モータ等の回転アクチュエータが、第1の関節318及び第2の関節322の各関節内に配置され、アームリンク機構316、320の互いに対する及びベース314に対する回転を容易にする。
【0037】
アーム308は、第1の関節318の回転アクチュエータ、例えば電気モータを制御するように構成された第1の関節コントローラ324をさらに含み、また、第2の関節322の回転アクチュエータ、例えば電気モータを制御するように構成された第2の関節コントローラ326も含む。
【0038】
アーム308は、吸引カップ330が取り付けられるチューブ328をさらに含む。ポート332を有するバルブ又はマニホールドがチューブ328に結合される。真空発生装置(例えばブロワー、図示せず)をポート332に流体的に結合して、チューブ328内に真空環境を生成し、吸引カップ330によりワークピースをその吸引カップ330に引き付ける動作を可能にすることができる。他のアームも同様に構成される。
【0039】
システム300は、監視コントローラ334をさらに含む。図6図7に関して以下で詳細に説明するように、監視コントローラ334は、システムコントローラと通信することができ、システムコントローラから、実行すべきタスク、ワークピースの種類、ワークピースの構成等を識別する情報(例えば、識別子)を受信するように構成される。次に、監視コントローラ334は、(i)タスク及びワークピースに対応する全てのアーム(すなわち、アームセット304、306)の構成であって、この構成は、アームセット304、306のうちのどのアームサブセットをアクティブとすべきであり、ワークピースと係合させるか、及びどのアームサブセットを非アクティブとすべきか、又「待機状態(parked)」にすべきかを規定する、構成と;(ii)ウェイポイント(例えば、アームリンク機構及び関節が、アームの所望の構成に関連付けられたアームの最終位置への軌道上に想定される中間点、座標、又は場所)と;(iii)ウェイポイントを達成するために、そして最終的には所望の構成を達成するためにアームが実行する、アームとそのそれぞれの関節とアームリンク機構との一連の動作と;を規定する動作計画を取得することができる。
【0040】
一例では、ウェイポイントは、アームが所望の最終位置を達成するために特定の一連の動作を通じて移動している間に、動作のコース又は軌道が変更される停止点又は点として考えることができる。換言すれば、動作計画は、各アーム及び各関節が最終的な所望の構成を達成するための一連のウェイポイントを示し、各アーム及びそれぞれの関節について、それぞれの回転アクチュエータをいつ動かすか、及び関節のそれぞれの回転アクチュエータを作動させる順序を示すの一連の動作を示す。ワークピースの構成、サイズ、及び幾何学的形状に基づいて、ワークピースと係合するアームサブセットには、アームセット304、306の全てのアームが含まれ得る。
【0041】
動作計画には、特定のセンサがアクティブであり監視対象であるかどうか、エンドエフェクタがアクティブであり制御対象であるかどうか等、他の情報を含めることができる。さらに、使用しないアームについては、動作計画には、そのエンドエフェクタが非アクティブであること、及びエンドエフェクタに関連付けられたセンサが監視対象でないことを示す情報を含めることができる。動作計画には、動作計画の実行中の関節速度を示す情報も含めることができる。
【0042】
次に、監視コントローラ334は、動作計画を実行するためのコマンドをアームコントローラ312(及び他のアームのそれぞれのアームコントローラ)に通信又は送信し、次にアームコントローラ312は、回転アクチュエータを作動させ、動作計画を実行させるコマンド信号を関節コントローラ324、326に送信する。
【0043】
各コントローラ、すなわち、監視コントローラ334、アームコントローラ312、及び関節コントローラ324、326は、1つ又は複数のプリント回路基板(PCB)を含むことができる。PCBは、銅積層板の1つ又は複数のシート層から非導電性基板のシート層上及び/又はシート層間にエッチングされた導電性トラック、パッド、他の特徴を使用して、電子部品(マイクロプロセッサ、集積チップ、コンデンサ、抵抗器等)を機械的に支持し、電気的に接続する。通常、部品はPCBにはんだ付けされて、電気的に接続され、機械的に固定される。
【0044】
一例では、関節コントローラ324、326はそれぞれのインバータを含むことができ、インバータは、直流(DC)電力を受け取り、このDC電力を三相交流(AC)電力に変換するように構成され、AC電力をそれぞれの電気モータのワイヤ巻線に供給することができる。例えば、インバータは、DCから三相への電力変換をサポートする半導体スイッチング装置の任意の構成を有する半導体スイッチングマトリックスを含むことができる。例えば、半導体スイッチングマトリクスは、入力DC端子に電気的に結合され、三相AC出力端子に接続されたブリッジ素子を有する三相を含むことができる。
【0045】
各コントローラ、すなわち、監視コントローラ334、アームコントローラ312、及び関節コントローラ324、326、又はコントローラのボードは、1つ又は複数のプロセッサを含み得るそれぞれのマイクロプロセッサを有することができる。プロセッサには、汎用プロセッサ(例えば、INTEL(登録商標)シングルコアマイクロプロセッサ又はINTEL(登録商標)マルチコアマイクロプロセッサ)、又は専用プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ、グラフィックスプロセッサ、又は特定用途向け集積回路(ASIC)プロセッサ)が含まれ得る。プロセッサは、コンピュータ可読プログラム命令(CRPI)を実行して、本明細書全体に亘って説明する動作を行うように構成され得る。プロセッサは、(例えば、CRPIを介して)ソフトウェアコード化した機能に加えて、又はその代替としてハードコード化した機能を実行するように構成され得る。コントローラはさらに、例えばアームリンク機構、関節、及び電気モータのフィードバック制御及び監視を容易にするために、複数のセンサをパッケージ化することができる。
【0046】
システム300の構成により、システム300は様々な複雑な構成をとることができる。レール302が関節318に対して上昇することにより、例えば、アーム308は、レール302の下の空間を通って回転し、レール302の反対側に横断することができ、他の全てのアームも同様である。アームは、いくつかのアーム又は隣接するアームのアームリンク機構を互いに上昇させながら回転するときに、さらに互いに交差することができる。このようにして、様々なワークピースに合わせて複雑な3D構成を実現できる。
【0047】
図1及び図3は、単一のレール(すなわち、レール102又はレール302)を有しており、アーム(アーム104又はアームセット304、306)が単一のレールの両側に取り付けられるシステム構成を示す。別の例示的な実施態様では、システムは、実質的に平行であり、ワークステーションの反対側に位置付けされたレールのタンデムペアを含むことができる。一対のレールを有する構成では、各アームは、隣接する一対のレールの内側の対向側に取り付けられる。
【0048】
図4は、例示的な実施態様による、第1のレール402及び第2のレール404を有するシステム400を示す。システム400は、連続するワークステーションを有する工業用スタンピングプレス、連続するワークステーションを有する組立ライン、いくつかの連続する溶接ワークステーションを含みる溶接ライン等の、連続するワークステーションを有するあらゆる製造作業で使用することができる。工業用プレスを例として使用し、図4について説明する。しかしながら、このシステムは、連続するワークステーションを含む他のセットアップでも実装できることを理解されたい。
【0049】
工業用スタンピングプレスでは、ワークピース406は、スタンピングプレスのワークステーション408内で段階的な形状にスタンピングされ、形成される。ワークステーション408でワークピース406に対して行われるスタンピングプロセスが完了すると、ワークピース406は次のワークステーションに移動され、次にレール402、404は別のワークピース410をワークステーション408に移動する。
【0050】
特に、レール402、404は、レール402、404の内側の対向側に結合したそれぞれのアームを有する。例えば、アーム412はレール402に結合され、アーム414はアーム412の反対側のレール404に結合される。アーム412、414のそれぞれは、それぞれのエンドエフェクタ又はツールに取り外し可能に結合することができる。図4に示される例示的な実施態様では、アーム412はグリッパ416に結合され、アーム414はそれぞれのグリッパ418に結合される。グリッパ416、418はワークピース410を把持して、ワークピース410を1つのワークステーションから取り出してそのワークピース410を次のワークステーション、例えばワークステーション408に移動できるようにする。
【0051】
注目すべきことに、図4に示されるように、他のアームがレール402、404に結合される。しかしながら、アーム412、414がワークピース410を取り扱い、往復移動させるのに十分であるため、これらのアームはワークピース410とは係合していない。そのため、他のアームは「待機状態」又は非アクティブな位置にある。レール402、404に結合したアームの構成は、スタンピングプロセスを通じてワークピース406、410を取り扱う「ジョブ」に適している。他のワークピース(例えば、より大きなワークピース)では、そのようなワークピースを往復移動させるためにより多くのアームを使用する必要があり得る。
【0052】
一例では、エンドエフェクタは、タスク及びワークピースの種類に基づいて、取り外され、他のエンドエフェクタと交換され得る。例えば、アームは、ある位置に移動し、そのアームに結合されるエンドエフェクタを解放し、次に、別のエンドエフェクタに取り付けることができる。
【0053】
アーム412、414がワークピース410上の所望の位置でワークピース410と係合するために、電気、油圧、及び/又は空気圧ライン(図示せず)がレール402、404を通ってその内側に延び、アーム421、414に延び、アーム412、414及びグリッパ416、418を作動させることができる。電気、油圧、及び/又は空気圧ラインは、アーム412、414及びグリッパ416、418に適切な電力を供給してそれらを作動させるために、電力及び加圧流体の供給源に接続される。グリッパ416、418(又は他のエンドエフェクタ)の正確な位置決め及び支持を与えるために、アーム412、414は、関節によってその端部が回転可能に結合される複数のアームリンク機構を有する。
【0054】
図5は、例示的な実施態様によるアーム500の斜視図を示す。アーム500は、アーム412、414等、図4に示されるアームのいずれかを表す。
【0055】
アーム500は、ベース502と、アーム500が結合されるレール(例えば、レール402又はレール404)から外側に延びるアームリンク機構504、アームリンク機構506、アームリンク機構508、及びアームリンク機構510等のアームリンク機構とを有する。アームリンク機構510は、エンドエフェクタ512(例えば、グリッパ)に結合される。
【0056】
アームリンク機構504~510は、関節において互いに回転可能に結合される。例えば、アームリンク機構504は関節514においてベース502に結合される。アームリンク機構506は、関節516においてアームリンク機構504に結合され、関節518においてアームリンク機構508に結合される。アームリンク機構508は関節520においてアームリンク機構510に結合され、アームリンク機構510は関節522においてエンドエフェクタ512に結合される。
【0057】
関節514~522の各関節は、電気モータ等の回転アクチュエータを内蔵することができる。電気モータは、それぞれの関節の周りで作動するときに、それぞれのアームリンク機構を回転させることができる。特に、電気モータは、関節514~522におけるアームリンク機構504~510の回転調整を提供し、エンドエフェクタ512の多軸位置決めを提供する。図5に示されるアームリンク機構及び関節の数は、説明のための一例である。用途に応じて、より多くの又はより少ないアームリンク機構及び関節を使用できる。
【0058】
アーム500及び他のアームのそれぞれは、アーム500のベース502に配置されたアームコントローラ524を有することができる。アームコントローラ524は、監視コントローラ(例えば、監視コントローラ334)から動作計画に関するコマンド及び情報を受信する。
【0059】
さらに、関節514~522の各関節、例えば各関節の各回転アクチュエータは、それぞれの関節コントローラによって制御される。特に、関節514は関節コントローラ526によって制御される。関節516は関節コントローラ528によって制御される。関節518は関節コントローラ530によって制御される。関節520は関節コントローラ532によって制御される。関節522は関節コントローラ534によって制御される。アームコントローラ524は、関節コントローラ526~534と通信し、それぞれにコマンド信号を送信して、アームリンク機構504~510を特定の順序で所望の構成又は動作計画によって規定された座標に移動させる。そうして、エンドエフェクタ512は、ワークピース410を取り扱うために所望に応じて位置決めすることができる。
【0060】
関節514~522が所望の位置に配置されると、それら関節514~522は、クラッチ又は他の機構を介して関節コントローラ526~534を介して所定の位置にロックされる。そうして、エンドエフェクタ512は、所定の位置に位置付けされ、多数の動作サイクルに亘って堅固に保持される。
【0061】
図4に戻って参照すると、グリッパ416、418がワークピース410に係合し、ワークピースがワークステーション408に移動する準備ができているときに、レールアクチュエータ(例えば、上述したレールアクチュエータ106)を使用して、レール402、404を垂直方向及び水平方向に移動させ、ワークピース410をワークステーション408に移動し易くする。スタンピングを行うためにワークピース410がワークステーション408に配置されると、レールアクチュエータは再びレール402、404を垂直方向及び水平方向に移動して邪魔にならない場所に移動し、それらレール402、404を元に戻して次のワークピースを選び取る。
【0062】
アーム412、414は同じ構成を維持する一方、レール402、404はワークピース410とともにアーム412、414を持ち上げる。このようにして、アーム412、414ではなく、レール402、404及びレールアクチュエータが、ワークピースの持上げ及び配置に必要な構造剛性及び強度を有する。
【0063】
次に、説明のための例として単一のレールシステムに関して制御システム及び方法を説明する。しかしながら、制御システム及び方法は、上述したシステム100、300、400のいずれか、又は任意の同様のシステムに適用可能であることを理解されたい。
【0064】
図6は、例示的な実施態様による、システム600を示し、図7は、システム600に対応するブロック図700を示す。システム600は、レール604及び複数のアーム606を有するワークピース移送サブシステム602を含む。レール604をワークステーション同士の間で移動させるために、レールアクチュエータ607(例えば、レールアクチュエータ106と同様)を、コネクタ609を介してレール604に結合することができる。
【0065】
図示するように、複数のアーム606は、レール604の両側に取り付けられた16本のアームを含む。アーム606は、アーム104、アーム200、アームセット304、306、アーム412、414、又はアーム500、又はこれら全てのアーム又は同様のアームの組合せと同様に構成することができる。各アームは、複数のアームリンク機構とアームリンク機構同士の間の関節とを有する。複数のアーム606は、吸引カップエンドエフェクタを含んで示される。しかしながら、他のエンドエフェクタも使用できることを理解されたい。一例では、複数のアーム606は、アームリンク機構及び関節の構成だけでなく、所望に応じて、特定の「ジョブ」及びワークピースタイプに適したエンドエフェクタのタイプも変更することができる。
【0066】
システム600は、監視コントローラ610(例えば、図3に関して上述した監視コントローラ334と同様)と通信するシステムコントローラ608を含む。図7のブロック図700に示すように、監視コントローラ610は、複数のアーム606のそれぞれのベースに取り付けられたそれぞれのアームコントローラ702A、702B、702C、702D、・・・、702P(すなわち、16個のアームコントローラ)と通信する。アームコントローラ702A~702Pの各アームコントローラは、それぞれのアームのそれぞれの関節コントローラ704A、704B、704C、704D、704E(例えば、5つの関節コントローラ)と順番に通信する。
【0067】
システム600は、システムコントローラ608及び監視コントローラ610の一方又は両方と通信するコンピュータ装置612(例えば、リモートコンピュータシステム)をさらに含む。コンピュータ装置612は、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェア又は動作計画を生成できる他のソフトウェアシステムを有することができる。上で述べたように、各タスク及びワークピースの動作計画には、最終的な所望の構成を達成するための各アーム及びそれぞれの関節の一連のウェイポイントと、各アーム及びそれぞれの関節について、それぞれの回転アクチュエータをいつ移動させるかを示す一連の動作及び関節のそれぞれの回転アクチュエータを作動させる順序を含めることができる。次に、動作計画は、システムコントローラ608及び/又は監視コントローラ610に送信され得る。
【0068】
いくつかの例示的な実施態様では、システム600は、ヒューマン・マシン(human-machine)インターフェイス、又はHMIコンピュータ装置614をさらに含むことができる。HMIコンピュータ装置614は、監視コントローラ610と通信する。HMIコンピュータ装置614を有する例示的なシステムでは、オペレータは、以下でより詳細に説明するように、そのHMIコンピュータ装置614を使用して監視コントローラ610とインターフェイス接続することができる。HMIコンピュータ装置614は、タッチスクリーン616を有することができ、これにより、オペレータは、ユーザが選択可能なオンスクリーングラフィカルアイテム(例えば、ボタン、メニュー、ウィジェット、スクロールバー、グラフィカルオブジェクト、オーディオインジケータ、アイコン等)を通じて、HMIコンピュータ装置614及び監視コントローラ610と対話して、ユーザインタラクションを容易にすることができる。
【0069】
図6図7のコントローラのいずれかを表すコンピュータ装置の例について、図12に関連して以下に説明する。各コントローラは、1つ又は複数のプロセッサと、実行可能命令を記憶するメモリとを有することができ、命令が1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、コントローラに本明細書で説明する動作を実行させる。メモリには他の情報及びデータベースも同様に保存できる。さらに、各コントローラは、システム600の他のコントローラ又は構成要素と通信するための通信インターフェイス(有線又は無線)を有する。
【0070】
図7を参照すると、実線は物理的な接続を示すのに対して、破線の矢印はネットワーク又はバス(例えば、コントローラエリアネットワーク、CAN、バス)上の電気信号線を示す。コンピュータ装置612及びHMIコンピュータ装置614は、それらがオプションであることを示すために破線で示される。
【0071】
システムコントローラ608は、タスク及びワークピースデータベース706を含む、又はそれにアクセスする。例えば、タスク及びワークピースデータベース706は、システム600が実行できる「ジョブ」のリストを含む。例えば、システム600が複数のワークステーションを備えたスタンピングプレスを含む場合に、タスク及びワークピースデータベース706内の各「ジョブ」は、実行すべきプロセスに関連する識別情報(例えば、実行すべきスタンピング操作の数、使用すべきワークステーションの数、各ワークステーションのプレス圧力等)を含むことができる。「ジョブ」には、製造プロセスを実行すべきワークピースに関する情報、例えば、ワークピースのサイズ、ワークピースの幾何博形状等も含まれる。
【0072】
各「ジョブ」には識別子を割り当てることができる。例えば、100個の「ジョブ」が保存される場合、例えば101~200までのシリアル番号を割り当てることができる。
【0073】
システムコントローラ608は、(例えば、有線又は無線ネットワークを介して)監視コントローラ610と通信する。システムコントローラ608は、いくつかの信号及び情報を監視コントローラ610に通信することができる。例えば、システムコントローラ608は、実行すべき「ジョブ」の識別子;システムコントローラ608と監視コントローラ610との間の通信状態を示す「ハートビート(heartbeat)」信号;システムエラーが発生した場合に、監視コントローラ610に全てのアームを停止するよう命令するSTOP信号;等を含む情報を提供することができる。
【0074】
監視コントローラ610は、動作計画データベース708を含むか、又はそれにアクセスする。ジョブ識別子に基づいて、監視コントローラ610は、動作計画データベース708から、(i)ジョブ識別子に関連付けられたタスク及びワークピースに対応する全てのアーム606の構成、(ii)ウェイポイント(例えば、アームリンク機構及び関節がアームの所望の構成に関連付けられたアームの最終位置までの軌道上に想定される中間点、座標、又は場所)、及び(iii)ウェイポイントを達成し、最終的に所望の構成を達成するためにアームが実行する、アーム及びそれらのそれぞれの関節及びアームリンク機構の一連の動作を規定する対応する動作計画を取得することができる。動作計画には、特定のセンサがアクティブであり監視対象であるかどうか、エンドエフェクタがアクティブであり制御対象であるかどうか等、他の情報を含めることができる。さらに、使用されないアームについては、それらエンドエフェクタが非アクティブであること、及びエンドエフェクタに関連付けられたセンサが監視対象でないことを示す情報を動作計画に含めることができる。動作計画には、動作計画の実行中の関節速度を示す情報も含めることができる。
【0075】
動作計画データベース708は、監視コントローラ610内に配置されるように示されるが、監視コントローラ610がその動作計画データベース708にネットワークアクセスすることで、他のコンピュータシステムに配置することもできることを理解されたい。例えば、動作計画データベース708は、システムコントローラ608内、或いは監視コントローラ610と通信する任意の他のコンピュータシステム又はサーバ内に格納することができる。
【0076】
監視コントローラ610は、次に、信号及び情報をシステムコントローラ608に送り返す。例えば、監視コントローラ610は、実行すべき現在の「ジョブ」の識別子;ワークピース移送サブシステム602及び機械(例えば、スタンピングプレス、溶接機、組立プラットフォーム等)の準備ができているかどうかを示す状態(status:ステータス)信号;任意のエラーメッセージ及び関連する診断情報;システムコントローラ608と監視コントローラ610との間の通信状態を示す「ハートビート」信号;HMIコンピュータ装置614又はシステムコントローラ608が監視コントローラ610へのコマンドを介して制御できるかどうか等を含む情報をシステムコントローラ608に提供することができる。
【0077】
図7に示すように、監視コントローラ610は、(16本のアームのうちの)アームコントローラ702A~702Pとも通信しており、アームコントローラ702A~702Pの各アームコントローラは、それぞれのアームの(5つの関節のうち)関節コントローラ704A~704Eと通信している。そうして、監視コントローラ610は、アームリンク機構及び各アームの関節のステータスに関連する情報を受信することができる。
【0078】
例として、監視コントローラ610は、アームコントローラ702A~702Pから(及び、それぞれのアームコントローラを介して関節コントローラ704A~704Eから)、関節及びアームリンク機構が動いているときの関節角度値;真空圧力値(エンドエフェクタが吸引カップの場合);エンドエフェクタがアームに結合されるかどうか、及びエンドエフェクタの状態を示す「部品存在(part-present)」信号(例えば、エンドエフェクタはアームに適切に取り付けられているか、吸引カップは予想どおりに動作するのに十分な真空圧を有しているか、エンドエフェクタが損傷しているかどうか等)、(「部品存在」信号に基づいて、監視コントローラ610はアームを停止するかどうかを決定する);監視コントローラ610とアームコントローラ702A~702Pとの間の通信状態を示す「ハートビート」信号;アームが所望の構成に向けて移動しているのか、それとも静止しているのかを示す信号;関節のクラッチがロックされているかどうか;アーム及びモータが動く準備ができているかどうか;アームリンク機構及び関節の数を含む各アームの詳細;各アームの識別子;アームが所望の命令された構成に達したことの指標;アーム等の動作上の問題を示す場合のエラーコード又はフラグ;を含む情報を受信することができる。
【0079】
次に、監視コントローラ610は、例えば、問題をトラブルシューティングするかどうか、動作計画の実行を継続するか停止するか等の情報に基づいて、アームコントローラ702A~702Pにコマンド信号を提供することができる。一例では、エンドエフェクタが吸引カップを含む場合に、部品存在情報は吸引カップが適用する真空圧力レベルを示し、監視コントローラ610は、次に、真空圧力レベルを閾値圧力レベルと比較することに基づいて、エンドエフェクタの動作状態に関する指標をシステムコントローラ608に提供することができる。
【0080】
監視コントローラ610は、次に、情報及びコマンドをアームコントローラ702A~702Pに通信する。例えば、監視コントローラ610は、アームコントローラ702A~702Pに、アームに割り当てられた識別子;アームを動かし続けるか停止すべきか;動作計画を実行する、つまり特定のシーケンスで移動し、特定のウェイポイントを通過するアームへのコマンド信号、各ウェイポイントにどれだけの時間滞在(dwell)するか等;実行すべき動作計画データベース708から取得した動作計画、すなわち、アームコントローラ702A~702P及び関節コントローラ704A~704Eによって実行される一連の動作コマンド;特定の関節に対するロック又はロック解除コマンドを無効にするクラッチ無効信号;それぞれの関節における特定のクラッチのクラッチ解放信号;アームコントローラをリセットし、エラーフラグをクリアするためのリセット信号;アームに関連付けられたエラーフラグの要求;アームの状態及び操作性の要求;アームコントローラに対する、アームリンク機構及び関節の数を含む各アームの詳細を提供する要求;各関節及び/又はアームリンク機構のリアルタイム位置を提供する要求;エンドエフェクタを作動させるためのコマンド(例えば、吸引カップを介して吸引を加える、グリッパのフィンガを操作してワークピースを掴む等)等を含む情報、要求、及びコマンドを提供することができる。
【0081】
一例では、監視コントローラ610は、ロードされる動作計画をアームコントローラ702~702Pに通信し、次に、アームコントローラ702A~702Pは、それぞれの関節コントローラにコマンドを送信することによって動作計画を実行する。別の例では、監視コントローラ610は、動作計画を実行するための連続コマンドをアームコントローラ702A~702Pに提供し、次にアームコントローラ702A~702Pはコマンドを各アームの関節コントローラ704A~704Eに通信する。コマンドは、アーム(つまり、関節及びアームリンク機構)を特定の順序で動かし、最終的に所望の構成が達成されるまで、アーム同士の衝突を避けながら各アームの特定のウェイポイントを達成する。
【0082】
そのような最終構成は、タスク及びワークピースの種類に基づく。図8図11は、システム600及びワークピース移送サブシステム602によって取り扱われるワークピースの種類に基づくいくつかの構成例を示す。
【0083】
図8は、例示的な実施態様による、2つのワークピースを取り扱うための特定の構成のアーム606を含むワークピース移送サブシステム602を示す。図8に示すように、ワークピース移送サブシステム602は、第1のワークピース800及び第2のワークピース802を同時に処理している。ワークピース800、802は比較的小さいので、アーム606はそれらワークピースの両方を同時に取り扱うことができる。説明のための例として、ワークピース800、802は車のフェンダーを表すことができる。
【0084】
アーム606の構成は、ワークピースを取り扱い、2つの連続するワークステーションの間でそれらワークピースを移動させるのに適している。図示されるように、アーム606は複雑に寄り添い、又は絡み合っており、アームのいくつかは他の隣接するアームと重なっている。例えば、アーム804は、アーム806の回転空間内にある。さらに、16本のアームのうち15本が使用され、1本のアーム808だけが、その吸引カップがワークピース802と係合しない非アクティブ位置に配置される。
【0085】
システムコントローラ608は、連続するワークステーションを通じてワークピース800、802を取り扱う「ジョブ」又はタスクに関連付けられた識別子を監視コントローラ610に提供する。次に、監視コントローラ610は、識別子に対応する動作計画を動作計画データベース708から取得する。次に、監視コントローラ610は、動作計画をアームコントローラ702A~702Pに提供するか、又は動作計画に基づいてアームコントローラ702A~702Pにコマンド信号を送信する。次に、アームコントローラ702A~702Pは、それぞれの関節コントローラ704A~704Eに、図8に示される最終構成が達成されるまで、特定のウェイポイントを通過する一連の動作を実行するように命令する。
【0086】
別の例では、ワークピース移送サブシステム602は、より小さなワークピースを取り扱い、そのワークピースをワークステーション同士の間で往復移動させることが必要な場合がある。図8に示すものよりも小さいワークピースには、異なるアーム構成が適している場合がある。
【0087】
図9は、例示的な実施態様による、ワークピース900を取り扱うための特定の構成のアーム606を含むワークピース移送サブシステム602を示し、図10は、ワークピース900に係合するアームの部分拡大図を示す。システムコントローラ608は、例えばオペレータ又はコンピュータ装置を介して、ワークピース900に対する一連の製造作業を含む新しい「ジョブ」を開始すべきであるという情報を受信する。次に、システムコントローラ608は、対応する動作計画を取得するために関連するジョブ識別子を監視コントローラ610に提供する。
【0088】
次に、監視コントローラ610は、アームコントローラ702A~702Pと通信して、動作計画を実行し、図9図10に示されるアーム構成を達成する。特に、レール604の一端にある4つのアーム902、及びレール604の他端にある別のセットの4つのアーム904を含む8つのアームは、ワークピースを取り扱う必要がないため、非アクティブ又は「待機」位置に配置される。図10に示すように、レール604の中間部分に結合した8つのアーム906は、レール604の近くに後退し、ワークピース900と係合する構成に配置される。
【0089】
大きくて異なるアーム構成を必要とする別のワークピースに対して製造作業を行うことが望ましい場合がある。例えば、図2のワークピース800、802が車のフェンダーを表す場合に、その後、車の大きなボディパネル(サイドパネル全体)に対して作業を行うことが望ましい場合がある。こうして、異なるアーム構成が必要になる場合がある。
【0090】
図11は、例示的な実施態様による、別のワークピース1100を取り扱うための特定の構成のアーム606を含むワークピース移送サブシステム602を示す。システムコントローラ608は、例えばオペレータ又はコンピュータ装置を介して、ワークピース1100に対する一連の製造作業を含む新しい「ジョブ」を開始すべきであるという情報を受信する。次に、システムコントローラ608は、対応する動作計画を取得するために関連するジョブ識別子を監視コントローラ610に提供する。
【0091】
次に、監視コントローラ610は、アームコントローラ702A~702Pと通信して、動作計画を実行し、図11に示されるアーム構成を達成する。特に、ワークピース1100のサイズのため、アーム606の全てが、ワークピース1100を係合するために使用される。さらに、吸引カップのいくつかはレール604の近くに配置されるが、他の吸引カップは、ワークピース1100の幅が広いため、ワークピース1100のエッジまで延びる。こうして、アーム1102等のいくつかのアームはレール604の近くまで後退させられるが、アーム1104等の他のアームは、ワークピース1100のエッジの近くまで外側に延びる。
【0092】
HMIコンピュータ装置614が使用される例示的なシステムでは、監視コントローラ610は、HMIコンピュータ装置614と通信し、信号を交換することができる。例として、監視コントローラ610は、HMIコンピュータ装置614に、関節及びアームリンク機構が動いているときの関節角度値;真空圧力値(エンドエフェクタが吸引カップの場合);監視コントローラ610とアームコントローラ702A~702Pとの間の通信状態を示す「ハートビート」信号;通信状態を示すエラーフラグ;アーム606が、命令されていないときに動いているかどうかを示すエラーフラグ;どの装置がコントロールを有するかの指標(例えば、システムコントローラ608又はHMIコンピュータ装置614がアーム606の動きを制御できるかどうか);アーム606が動いているか、停止しているか、待機しているか、又は移動の準備ができているか等、システムの現在の状態を示す信号;システムコントローラ608と監視コントローラ610との間、及び監視コントローラ610とアームコントローラ702A~702Pとの間の通信状態;システム600によって実行される現在の「ジョブ」の識別子;HMIコンピュータ装置614を介してシステム600のトラブルシューティングを容易にするためのエラーログ;等を含む情報を提供することができる。
【0093】
次に、HMIコンピュータ装置614は、監視コントローラ610に情報を送り返す。例えば、HMIコンピュータ装置614は、監視コントローラ610に、システム600に対するコントロールを得るための要求;真空をオン又はオフにする信号(エンドエフェクタに吸引カップが含まれる場合);真空生成システムのテスト及びメンテナンスを容易にするために、吸引カップ内での継続的な真空生成を可能にするコマンド;監視コントローラ610が、吸引カップ及び真空生成が適切に機能しているかどうかを判定する「部品存在」閾値圧力レベルを変更するコマンド;アーム又は特定の関節を新しい位置に動かすコマンド;関節をロック又はロック解除するコマンド;動作計画を修正するオーバーライド(override)コマンド;等を含む情報、要求、及びコマンドを提供することができる。
【0094】
説明のための例として、監視コントローラ610は、システムコントローラ608から「ジョブ」の識別子を受信し、関連する動作計画を取得し、アームコントローラ702A~702Pと通信して動作計画を実行し、所望の構成を達成することができる。アーム606が所望の構成を達成すると、オペレータは、その構成に対して修正を行うことが望ましいと判断する場合がある。例えば、オペレータは、アームリンク機構又は関節を掴んで修正した位置に動かすことができ、又はオペレータは、HMIコンピュータ装置614を使用して、アーム又は関節に修正した位置に移動するように命令することができる。
【0095】
別の例として、オペレータは、HMIコンピュータ装置614を使用して、ウェイポイントを修正する或いはアームの一連の動作中に関節又はアームリンク機構がウェイポイントに留まる時間を修正するか、又は他の修正を行うことができる。HMIコンピュータ装置614は、監視コントローラ610に修正を提供することができ、監視コントローラ610は、それに応じて、識別子に関連付けられた動作計画を修正する。
【0096】
こうして、HMIコンピュータ装置614は、ウェイポイントの修正、ウェイポイントの削除、新しいウェイポイントの挿入等に使用することができる。次に、監視コントローラ610は、それに応じて動作計画を修正し、修正した動作計画を動作計画データベース708に保存する。
【0097】
システム600の構成要素は、互いに、及び/又はそれぞれのシステムに結合した他の構成要素と相互接続して動作するように構成することができる。システム600の説明した動作又は構成要素のうちの1つ又は複数は、追加の動作又は物理的構成要素に分割する、或いはより少ない動作又は物理的構成要素に結合することもできる。いくつかの更なる例では、追加の動作及び/又は物理的構成要素が、図6図7によって示される例に追加され得る。さらに、システム600の構成要素又はモジュールのいずれかは、本明細書で説明する論理演算を実装するための1つ又は複数の命令を含むプログラムコードを実行するように構成されたプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ等)を含むか、プロセッサの形態で提供され得る。システム600はさらに、プログラムコードを格納する任意のタイプのコンピュータ可読媒体(非一時的な媒体)又はメモリ、例えば、ディスク又はハードドライブを含む記憶装置等を含み、プログラムが1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、システム600に、上述した動作を実行させる。一例では、システム600は他のシステム内に含まれてもよい。
【0098】
図12は、例示的な実施態様によるコンピュータ装置1200を例示するブロック図である。コンピュータ装置1200は、例えば、システムコントローラ608、監視コントローラ610、コンピュータ装置612、HMIコンピュータ装置614、アームコントローラ702A~702P、及び関節コントローラ704A~704E等の上述のコントローラのいずれかを表す。
【0099】
コンピュータ装置1200は、プロセッサ1202と、プロセッサ1202によって実行可能な実行可能命令1205を記憶したデータストレージ又はメモリ1204と、通信インターフェイス1206と、入出力インターフェイス1208とを含み、これらの全てはシステムバス1210又は同様の機構によって結合され得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ装置1200は、他の構成要素及び/又は周辺装置(例えば、着脱可能な記憶装置等)を含み得る。
【0100】
プロセッサ1202は、中央処理装置(CPU)、コプロセッサ(例えば、数学、グラフィックス、又は暗号化コプロセッサ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ、及び/又はプロセッサ動作を実行する集積回路又はコントローラの形式等の任意のタイプのコンピュータ処理要素のうちの1つ又は複数であり得る。場合によっては、プロセッサ1202は、1つ又は複数のシングルコアプロセッサであってもよい。他の場合には、プロセッサ1202は、複数の独立した処理ユニットを含む1つ又は複数のマルチコアプロセッサであってもよい。プロセッサ1202は、実行中の命令及び関連データを一時的に記憶するためのレジスタメモリ、並びに最近使用した命令及びデータを一時的に記憶するためのキャッシュメモリも含み得る。
【0101】
メモリ1204は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、及び不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、及び/又はテープストレージ等)を含むがこれらに限定されない、任意の形式のコンピュータ使用可能なメモリであってよい。こうして、メモリ1204は、メインメモリユニットと長期記憶装置との両方を表す。
【0102】
メモリ1204は、実行可能命令1205と、実行可能命令1205が動作し得るデータとを記憶する。一例として、メモリ1204は、実行可能命令1205を非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶することができ、その命令は、本明細書又は添付の図面で開示する方法、プロセス、又は動作のいずれかを実行するためにプロセッサ1202によって実行可能である。メモリ1204はまた、コンピュータ装置1200のオペレーティングシステムと、様々なソフトウェアモジュール、ファームウェア、及びアプリケーションとを含むことができる。メモリ1204は、システムコントローラ608の場合にはタスク及びワークピースデータベース706、又は監視コントローラ610の場合には動作計画データベース708等のデータベースをさらに含むことができる。
【0103】
通信インターフェイス1206は、コンピュータ装置1200が様々なネットワーク(例えば、インターネット、CANネットワーク、専用ネットワーク等)と通信できるようにする。通信インターフェイス1206は、イーサネット(例えば、ファストイーサネット、ギガビットイーサネット等)等の1つ又は複数の有線インターフェイスの形態をとってもよい。通信インターフェイス1206はまた、同軸ケーブル又は電力線等の1つ又は複数の非イーサネット媒体を介した通信、或いは同期光ネットワーキング(SONET)又はデジタル加入者線(DSL)技術等の広域媒体を介した通信をサポートすることもできる。通信インターフェイス1206はさらに、IEEE802.11(Wi-Fi)、BLUETOOTH(登録商標)、全地球測位システム(GPS)、又は広域無線インターフェイス等の1つ又は複数の無線インターフェイスの形態をとってもよい。しかしながら、他の形式の物理層インターフェイス及び他のタイプの標準又は専用の通信プロトコルを通信インターフェイス1206上で使用してもよい。さらに、通信インターフェイス1206は複数の物理インターフェイスを含んでもよい。例えば、コンピュータ装置1200のいくつかの実施態様は、イーサネット、BLUETOOTH(登録商標)、及びWi-Fiインターフェイスを含んでもよい。
【0104】
入出力インターフェイス1208は、ユーザ及び周辺装置とコンピュータ装置1200との対話を容易にすることができる。入出力インターフェイス1208は、キーボード、マウス、及びタッチスクリーン等の1つ又は複数のタイプの入力装置を含むことができる。同様に、入出力インターフェイス1208は、スクリーン、モニタ、プリンタ、及び/又は1つ又は複数の発光ダイオード(LED)等の1つ又は複数のタイプの出力装置を含み得る。さらに、又は代わりに、コンピュータ装置1200は、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)又は高品位マルチメディアインターフェイス(HDMI(登録商標))ポートインターフェイスを使用して他の装置と通信することができる。
【0105】
図13は、例示的な実施態様による、ワークピース移送システムを動作させるための方法1300のフローチャートである。方法1300は、例えば、システムコントローラ608及びHMIコンピュータ装置614(存在する場合)との通信に基づいてアーム606を制御するために、監視コントローラ610によって実行され得る。
【0106】
方法1300は、ブロック1302~1308のうちの1つ又は複数によって示されるように、1つ又は複数の動作又はアクションを含むことができる。ブロックは連続した順序で示されるが、場合によっては、これらのブロックは並行して実行され、及び/又は本明細書で説明する順序と異なる順序で実行してもよい。また、様々なブロックは、所望の実施態様に基づいて、より少ないブロックに結合する、追加のブロックに分割する、及び/又は削除することができる。
【0107】
さらに、本明細書で開示する方法1300及び他のプロセス及び動作に関して、フローチャートは、本実施例の1つの可能な実施態様の動作を示す。これに関して、各ブロックは、プロセッサ(例えば、監視コントローラ610のプロセッサ又はマイクロプロセッサ)或いは特定の論理演算又はプロセスのステップを実施するためのコントローラによって実行可能な1つ又は複数の命令を含む、モジュール、セグメント、又はプログラムコードの一部を表すことができる。プログラムコードは、例えば、ディスク又はハードドライブを含む記憶装置等、任意のタイプのコンピュータ可読媒体又はメモリに記憶され得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、及びランダムアクセスメモリ(RAM)のような短期間データを記憶するコンピュータ可読媒体等の、非一時的なコンピュータ可読媒体又はメモリを含み得る。コンピュータ可読媒体には、例えば読取り専用メモリ(ROM)、光ディスク又は磁気ディスク、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)等の二次又は永続的長期記憶装置等の非一時的な媒体又はメモリも含まれ得る。コンピュータ可読媒体は、他の揮発性又は不揮発性記憶システムであってもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータ可読記憶媒体、有形の記憶装置、又は他の製品と考えることができる。さらに、本明細書に開示する方法1300及び他のプロセス及び動作に関して、図13の1つ又は複数のブロックは、プロセス内で特定の論理演算を行うように構成された回路又はデジタル論理を表すことができる。
【0108】
ブロック1302において、方法1300は、ワークピース移送システム(例えば、システム100、300、400、600)の監視コントローラ(例えば、監視コントローラ334、610)において、連続するワークステーションを使用してワークピースに対して行われる製造タスク(例えば、すなわち「ジョブ」)を示すタスク識別情報を受信するステップを含む。ワークピース移送システムは、レール(例えば、レール102、302、402、404、604)と、レールに結合した複数のアーム(例えば、アーム104、200、304、306、412、414、500、606)とを含み、各アームは、(i)それぞれの関節に結合した複数のアームリンク機構と、(ii)監視コントローラと通信するアームコントローラ(例えば、アームコントローラ702A~702Pのいずれか)と、(iii)アームコントローラと通信し、それぞれの関節においてそれぞれの回転アクチュエータを作動させて、複数のアームリンク機構を互いに相対的に動かすように構成されたそれぞれの関節コントローラ(例えば、関節コントローラ704A~704E)と、を含む。タスク識別情報には、例えば、ワークピースのサイズ及び幾何学形状を示す情報が含まれ得る。
【0109】
ブロック1304において、方法1300は、タスク識別情報に基づいて、監視コントローラが、製造タスク及びワークピースに対応する動作計画を取得するステップを含み、動作計画には、複数のアームの各アーム及びそれぞれの関節について、それぞれの回転アクチュエータをいつ作動すべきか、及び複数のアームの最終的な所望の構成を達成するためにそれぞれの回転アクチュエータを作動させる順序を示す一連の動作が含まれる。
【0110】
上述したように、例では、動作計画は、複数のアームの各アーム及びアームのそれぞれの関節に対する一連のウェイポイントをさらに含むことができ、ウェイポイントは、アームリンク機構又は関節が最終的な所望の構成に関連付けられた最終位置に向かう途中で想定される中間点を含む。動作計画は、一連のウェイポイントの各ウェイポイントにおける複数のアームの各アームの滞在時間をさらに含むことができる。動作計画には、特定のセンサがアクティブであり監視対象であるかどうか、エンドエフェクタがアクティブであり制御対象であるかどうか等、他の情報を含めることができる。さらに、使用しないアームについては、動作計画には、それらのエンドエフェクタが非アクティブであること、及びエンドエフェクタに関連付けられたセンサが監視対象でないことを示す情報を含めることができる。動作計画には、動作計画の実行中の関節速度を示す情報も含めることができる。
【0111】
ブロック1306において、方法1300は、監視コントローラが、複数のアームのそれぞれのアームコントローラにコマンド信号を送信し、それぞれのコマンド信号をそれぞれの関節コントローラに通信し、動作計画を実行するステップを含む。
【0112】
一例では、動作計画は、連続するワークステーションの間でワークピースを移動させる間に、ワークピースと係合する際にアクティブとなるアームサブセット(例えば、8つのアーム906)の指標をさらに含む。この例では、コマンド信号を送信して動作計画を実行することは、コマンド信号を送信して、アームサブセット以外の複数のアームの残りのアーム(例えば、4つのアーム902及び4つのアーム904又はアーム808)を非アクティブな位置に位置決めすることを含むことができる。非アクティブなアームのセンサは監視対象でない可能性があり、そのエンドエフェクタはアクティブにされず、エンドエフェクタの動作に関連付けられたセンサは監視対象でない可能性がある。
【0113】
ブロック1308において、方法1300は、最終的な所望の構成が達成されると、監視コントローラが、それぞれのアームコントローラにそれぞれの関節をロックするように命令する(例えば、それぞれの関節でクラッチを作動させるか、又はブレーキをかけて、それぞれの関節を所定の位置にロックする)ことを含む。
【0114】
この方法は、本明細書全体を通じて説明するように、方法1300によって実施及び実行され得る追加の動作を含むことができる。一例として、この方法は、HMIコンピュータ装置614から、複数のアームの最終的な所望の構成又は複数のアームの各アームの一連の動作を変更する要求を受信するステップと、それに応じて、監視コントローラが、動作計画を修正するステップをさらに含むことができる。
【0115】
別の例では、この方法は、システムコントローラ608、HMIコンピュータ装置614、及びアームコントローラ702A~702Pから情報を通信及び受信するステップをさらに含むことができる。特定の例として、監視コントローラは、アームコントローラから、(i)複数のアームの各アームのそれぞれの関節が動いているときの関節角度値、(ii)複数のアームが最終的な所望の構成に向けて移動しているかどうかを示す信号、(iii)それぞれの関節がロックされるかどうか、(iv)複数のアーム及びそれぞれの回転アクチュエータが動作する準備ができているかどうか、(v)複数のアームのうちの特定のアームのアームリンク機構及び関節の数、及び(vi)アームが所望の最終位置に到達したことの指標のうちの1つ又は複数を示す状態情報を受信することができる。この例では、状態情報に基づいてそれぞれのアームコントローラにコマンド信号を送信する。例えば、情報のいずれかがエラーを示す場合に、監視コントローラ610は、動作計画の実行を停止し、エラーフラグ又は他の指標をオペレータに提供することができる。
【0116】
別の例では、複数のアームの各アームはエンドエフェクタに結合される。この例では、この方法は、監視コントローラにおいて、それぞれのアームコントローラから、エンドエフェクタの動作状態を示す部品存在情報を受信するステップと;エンドエフェクタの動作状態の指標を(例えば、システムコントローラ608に)提供するステップと;をさらに含むことができる。例えば、エンドエフェクタは吸引カップを含むことができ、部品存在情報は吸引カップが適用する真空圧力レベルを示す。この場合に、この方法は、真空圧力レベルを閾値圧力レベルと比較するステップをさらに含むことができる。真空圧力レベルが閾値未満である場合に、監視コントローラは、エンドエフェクタが適切に動作していないか、ワークピースに取り付ける準備ができていないと判定し、システムコントローラ608に動作を停止する指標を与え得る。
【0117】
別の例では、ワークピース移送システムは、レールに結合したレールアクチュエータを有しており、レールアクチュエータは、レールとこのレールに結合した複数のアームとを連続するワークステーションの間で移動させるように構成される。このシステムは、監視コントローラと通信するシステムコントローラを含むことができる。この例では、この方法は、システムコントローラが、レールアクチュエータに命令して、レール、複数のアーム、及び複数のアームに取り付けられたワークピースを、連続するワークステーションのうちの第1のワークステーションから連続するワークステーションのうちの第2のワークステーションに移動させるステップをさらに含むことができる。この方法は、第2のワークステーションにおいて複数のアームからワークピースを(例えば、監視コントローラ又はアームコントローラを介して)解放させるステップと、システムコントローラが、レールアクチュエータに命令して、レールとこのレールに結合した複数のアームとを第1のワークステーションに戻して、別のワークピースに取り付させるステップとをさらに含むことができる。
【0118】
上記の詳細な説明では、添付の図面を参照して、開示したシステムの様々な特徴及び動作について説明した。本明細書で説明する例示的な実施態様は、限定することを意図したものではない。開示したシステムの特定の態様は、多種多様な異なる構成に配置及び組み合わせることができ、その全てが本明細書で企図される。
【0119】
さらに、文脈が別段の示唆をしない限り、各図に示された特徴は互いに組み合わせて使用することができる。こうして、図は、一般に、図示した全ての特徴が各実施態様に必要なわけではないことを理解した上で、1つ又は複数の全体的な実施態様の構成要素の態様として見るべきである。
【0120】
さらに、本明細書又は特許請求の範囲における要素、ブロック、又はステップの列挙は、明確にするためのものである。こうして、そのような列挙は、これらの要素、ブロック、又はステップが特定の配置に従うこと、或いは特定の順序で実行されることを要求又は暗示するものとして解釈すべきではない。
【0121】
さらに、装置又はシステムは、図に提示された機能を実行するように使用又は構成してもよい。場合によっては、装置及び/又はシステムの構成要素は、そのような性能を可能にするように構成要素が実際に(ハードウェア及び/又はソフトウェアを用いて)構成及び構造化されるように、機能を実行するように構成してもよい。他の例では、装置及び/又はシステムの構成要素は、特定の方法で動作する場合等に、機能を実行するように適応される、機能を実行できる、又は機能に適するように構成してもよい。
【0122】
「実質的に」又は「約」という用語は、記載した特性、パラメータ、又は値を正確に達成する必要はないが、例えば、公差、測定誤差、測定精度の制限、及び当業者に知られている他の要因を含む偏差又は変動が、その特性が提供することを意図した効果を妨げない量で発生する可能性があることを意味する。
【0123】
本明細書で説明する構成は、例示のみを目的とする。そのため、当業者であれば、他の構成及び他の要素(例えば、マシン、インターフェイス、動作、順序、及び動作のグループ化等)を代わりに使用することができ、いくつかの要素は、所望の結果に従って完全に省略できることを理解するだろう。さらに、説明する要素の多くは、別個の又は分散した構成要素として、又は他の構成要素と連携して、任意の適切な組合せ及び場所で実装できる機能エンティティである。
【0124】
様々な態様及び実施態様について本明細書に開示するが、他の態様及び実施態様は当業者には明らかであろう。本明細書に開示する様々な態様及び実施態様は、例示を目的としたものであり、限定することを意図したものではなく、真の範囲は、そのような請求項が権利を有する均等物の全範囲とともに、以下の特許請求の範囲によって示される。また、本明細書で使用する用語は、特定の実施態様を説明することのみを目的としており、限定することを意図したものではない。
【0125】
こうして、本開示の実施態様は、以下に列挙する実施態様の例(EEE)の1つに関連し得る。
【0126】
EEE1は方法であり、この方法は、ワークピース移送システムの監視コントローラにおいて、連続するワークステーションを使用してワークピースに対して行われる製造タスクを示すタスク識別情報を受信するステップであって、ワークピース移送システムは、レールと、レールに結合した複数のアームとを含み、各アームは、(i)それぞれの関節に結合した複数のアームリンク機構と、(ii)監視コントローラと通信するアームコントローラと、(iii)アームコントローラと通信し、それぞれの関節におけるそれぞれの回転アクチュエータを作動させて複数のアームリンク機構を互いに相対的に動かすように構成されるそれぞれの関節コントローラとを含む、ステップと;タスク識別情報に基づいて、監視コントローラが、製造タスク及びワークピースに対応する動作計画を取得するステップであって、動作計画には、複数のアームの各アーム及びそれぞれの関節について、それぞれの回転アクチュエータをいつ作動すべきか、及び複数のアームの最終的な所望の構成を達成するためにそれぞれの回転アクチュエータを作動させる順序を示す一連の動作が含まれる、ステップと;監視コントローラが、複数のアームのそれぞれのアームコントローラにコマンド信号を送信して、それぞれのコマンド信号をそれぞれの関節コントローラに通信し、動作計画を実行するステップと;最終的な所望の構成が達成されると、監視コントローラが、それぞれのアームコントローラにそれぞれの関節をロックするように命令するステップと;を含む。
【0127】
EEE2はEEE1の方法であり、動作計画には、複数のアームの各アーム及びアームのそれぞれの関節に対する一連のウェイポイントがさらに含まれ、ウェイポイントには、アームリンク機構又は関節が、最終的な所望の構成に関連付けられた最終位置に向かう途中に想定される中間点が含まれる。
【0128】
EEE3はEEE2の方法であり、動作計画には、一連のウェイポイントの各ウェイポイントにおける複数のアームの各アームの滞在時間がさらに含まれる。
【0129】
EEE4は、EEE1~3のいずれかの方法であり、動作計画には、連続するワークステーションの間でワークピースを移動させる間に、ワークピースと係合する際にアクティブになるアームサブセットの指標がさらに含まれ、コマンド信号を送信して動作計画を実行するステップは、コマンド信号を送信して、複数のアームのうち、アームサブセット以外の残りのアームを非アクティブ位置に位置付けさせるステップを含む。
【0130】
EEE5は、EEE1~4のいずれかの方法であり、監視コントローラと通信するヒューマン・マシンインターフェイスコンピュータ装置から、複数のアームの最終的な所望の構成又は複数のアームの各アームの一連の動作を変更する要求を受信するステップと、それに応じて、監視コントローラが、動作計画を修正するステップとを含む。
【0131】
EEE6は、EEE1~5のいずれかの方法であり、監視コントローラにおいて、それぞれのアームコントローラから、(i)複数のアームの各アームのそれぞれの関節が動いているときの関節角度値、(ii)複数のアームが最終的な所望の構成に向けて移動しているかどうかを示す信号、(iii)それぞれの関節がロックされるかどうか、(iv)複数のアーム及びそれぞれの回転アクチュエータが動作する準備ができているかどうか、(v)複数のアームのうちの特定のアームのアームリンク機構及び関節の数、及び(vi)アームが所望の最終位置に到達したことを示す指標のうちの1つ又は複数を示す状態情報を受信するステップをさらに含み、コマンド信号をそれぞれのアームコントローラに送信することは、状態情報に基づく。
【0132】
EEE7は、EEE1~6のいずれかの方法であり、複数のアームの各アームはエンドエフェクタに結合されており、この方法は、監視コントローラにおいて、それぞれのアームコントローラからエンドエフェクタの動作状態を示す部品存在情報受信するステップと、エンドエフェクタの動作状態の指標を提供するステップとをさらに含む。
【0133】
EEE8はEEE7の方法であり、エンドエフェクタは吸引カップを含み、部品存在情報は、吸引カップが適用する真空圧力レベルを示し、この方法は、真空圧力レベルを圧力レベル閾値と比較して、エンドエフェクタの動作状態を決定するステップをさらに含む。
【0134】
EEE9は、EEE1~8のいずれかの方法であり、ワークピース移送システムは、レールに結合されたレールアクチュエータをさらに含み、レールアクチュエータは、レールとこのレールに結合した複数のアームとを連続するワークステーションの間で移動させるように構成され、この方法は、監視コントローラと通信するシステムコントローラが、レールアクチュエータに命令して、レール、複数のアーム、及び複数のアームに取り付けられたワークピースを連続するワークステーションのうちの第1のワークステーションから連続するワークステーションのうちの第2のワークステーションに移動させるステップをさらに含む。
【0135】
EEE10はEEE9の方法であり、第2のワークステーションにおいて複数のアームからワークピースを解放するステップと、システムコントローラが、レールアクチュエータに命令して、レールとこのレールに結合した複数のアームとを移動させて第1のワークステーションに戻し、別のワークピースに取り付けるステップとを含む。
【0136】
EEE11は、EEE1~10のいずれかの方法であり、タスク識別情報には、ワークピースのサイズ及び幾何学形状を示す情報が含まれる。
【0137】
EEE12はシステムであり、このシステムは、連続するワークステーションの間でワークピースを移送するように構成されたワークピース移送サブシステムであって、ワークピース移送サブシステムは、レールと、このレールに結合した複数のアームとを含み、各アームは、(i)それぞれの関節に結合した複数のアームリンク機構と、(ii)アームコントローラと、(iii)アームコントローラと通信し、それぞれの関節におけるそれぞれの回転アクチュエータを作動させて複数のアームリンク機構を互いに相対的に動かすように構成されたそれぞれの関節コントローラとを含む、ワークピース移送サブシステムと;様々なワークピースに対して行われる様々な製造タスクのタスク識別情報を含むタスク及びワークピースデータベースにアクセスできるシステムコントローラと;システムコントローラ及び複数のアームのそれぞれのアームコントローラと通信する監視コントローラと;を含み、監視コントローラは、様々な製造タスクに対応するそれぞれの動作計画を含む動作計画データベースにアクセスでき、各動作計画には、複数のアームの各アーム及びそれぞれの関節について、それぞれの回転アクチュエータをいつ作動すべきか、及び複数のアームの最終的な所望の構成を達成するためにそれぞれの回転アクチュエータを作動させる順序を示す一連の動作が含まれ、監視コントローラは、1つ又は複数のプロセッサと、命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体とを含み、命令が1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、監視コントローラに、システムコントローラからタスク識別情報を受信すること;タスク識別情報に対応する動作計画を取得すること;複数のアームのそれぞれのアームコントローラにコマンド信号を送信して、それぞれのコマンド信号をそれぞれの関節コントローラに通信し、動作計画を実行すること;及び最終的な所望の構成が達成されると、それぞれのアームコントローラに、それぞれの関節をロックするように命令すること;を含む動作を実行させる。
【0138】
EEE13はEEE12のシステムであり、動作計画には、(i)複数のアームの各アーム及びアームのそれぞれの関節に対する一連のウェイポイント、及び(ii)一連のウェイポイントの各ウェイポイントにおける複数のアームの各アームの滞在時間がさらに含まれ、ウェイポイントには、アームリンク機構又は関節が最終的な所望の構成に関連付けられた最終位置に向かう途中で想定される中間点が含まれる。
【0139】
EEE14は、EEE12~13のいずれかのシステムであり、動作計画には、連続するワークステーションの間でワークピースを移動させる間に、ワークピースと係合する際にアクティブになるアームサブセットの指標がさらに含まれ、コマンド信号を送信して動作計画を実行することは、コマンド信号を送信して、複数のアームのうち、アームサブセット以外の残りのアームを非アクティブ位置に位置付けすることを含む。
【0140】
EEE15は、EEE12~14のいずれかのシステムであり、監視コントローラと通信するヒューマン・マシンインターフェイスコンピュータ装置をさらに含み、動作には、ヒューマン・マシンインターフェイスコンピュータ装置から、複数のアームの最終的な所望の構成又は複数のアームの各アームの一連の動作を変更する要求を受信すること、及びこれに応じて、動作計画を修正することがさらに含まれる。
【0141】
EEE16は、EEE12~15のいずれかのシステムであり、動作には、それぞれのアームコントローラから、(i)複数のアームの各アームのそれぞれの関節が動いているときの関節角度値、(ii)複数のアームが最終的な所望の構成に向けて移動しているかどうかを示す信号、(iii)それぞれの関節がロックされるかどうか、(iv)複数のアーム及びそれぞれの回転アクチュエータが動作する準備ができているかどうか、(v)アームリンク機構及び関節の数、及び(vi)アームが所望の最終位置に到達したことの指標のうちの1つ又は複数を示す状態情報を受信することがさらに含まれ、コマンド信号をそれぞれのアームコントローラに送信することは、状態情報に基づく。
【0142】
EEE17は、EEE12~16のいずれかのシステムであり、複数のアームの各アームはエンドエフェクタに結合されており、動作には、それぞれのアームコントローラから、エンドエフェクタの動作可能状態を示す部品存在情報を受信すること、及びエンドエフェクタの動作状態の指標をシステムコントローラに提供することがさらに含まれる。
【0143】
EEE18はEEE17のシステムであり、エンドエフェクタは吸引カップを含み、部品存在情報は、吸引カップが適用する真空圧力レベルを示し、動作には、真空圧力レベルを閾値圧力レベルと比較して、エンドエフェクタの動作状態を決定することがさらに含まれる。
【0144】
EEE19は、EEE12~18のいずれかのシステムであり、ワークピース移送サブシステムは、レールに結合されたレールアクチュエータをさらに含み、レールアクチュエータは、レールとこのレールに結合した複数のアームとを連続するワークステーションの間で移動させるように構成され、システムコントローラは、レールアクチュエータに命令して、レール、複数のアーム、及び複数のアームに取り付けられたワークピースを、連続するワークステーションのうちの第1のワークステーションから連続するワークステーションのうちの第2のワークステーションに移動させることを含む動作を行わせる。
【0145】
EEE20はEEE19のシステムであり、監視コントローラは、複数のアームに、第2のワークステーションでワークピースを解放させることを含む更なる動作を行わせ、システムコントローラは、レールアクチュエータに命令して、レールと、レールに結合した複数のアームとを移動させて第1のワークステーションに戻し、別のワークピースに取り付けることを含む更なる動作を行わせる。
図1
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【国際調査報告】