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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ケトアミド誘導体およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/08 20060101AFI20240711BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 31/472 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 31/4725 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 31/341 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C07K5/08
A61P31/14
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/427
A61K31/496
A61K31/472
A61K31/4725
A61K31/341
A61K31/513
A61K38/05
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505012
(86)(22)【出願日】2022-09-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 CN2022117124
(87)【国際公開番号】W WO2023036093
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】202111057236.5
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111296533.5
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210138841.3
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210793838.5
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210982186.X
(32)【優先日】2022-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519010293
【氏名又は名称】広東衆生睿創生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG RAYNOVENT BIOTECH CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 501, Building D, No.288, Shenzhou Road, Huangpu District, Guangzhou, Guangdong510700 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳小新
(72)【発明者】
【氏名】王晶晶
(72)【発明者】
【氏名】黄建洲
(72)【発明者】
【氏名】劉卓偉
(72)【発明者】
【氏名】龍超峰
(72)【発明者】
【氏名】陳曙輝
(72)【発明者】
【氏名】陳新海
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA07
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA14
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA03
4C086BC30
4C086BC42
4C086BC50
4C086BC82
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA10
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB33
4C086ZC20
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA12
4H045EA29
4H045FA20
(57)【要約】
本発明は、一群のケトアミド誘導体およびその用途を開示し、具体的に、式(IV)で示される化合物およびその薬学的に許容される塩を開示した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IV)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩。
(ここで、
は、式
で示される基およびRから選択され、
はそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OR11、CN、CHS(O)-およびNHR12、ならびにC1~3アルキルから選択され、前記C1~3アルキルは、1、2または3個のFで任意選択的に置換され、
11は、H、C1~3アルキル、CH(OCHCH-およびH(OCHCH-から選択され、前記C1~3アルキルは、1、2または3個のFで任意選択的に置換され、
12は、C1~3アルキル、CHCO-およびCHSO-から選択され、前記C1~3アルキル、CHCO-およびCHSO-は任意かつ独立に、1、2または3個のFで置換され、
mは、0、1および2から選択され、
pおよびqは、1、2、3、4、5および6から選択され、
nは、0、1、2、3および4から選択され、
は、C1~4アルキル、C3~6シクロアルキルおよびベンジルから選択され、前記C1~4アルキル、C3~6シクロアルキルおよびベンジルは、1、2または3個のFで任意選択的に置換され、
は、1、2または3個のFで任意かつ独立に置換されたC1~8アルキルから選択され、
環Aは、C3~10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキルおよびフェニルから選択され、
環Bは、C3~8シクロアルキルおよび5員ヘテロシクロアルキルから選択され、前記C3~8シクロアルキルおよび5員ヘテロシクロアルキルは、1または2個のRで任意選択的に置換され、
はそれぞれ独立して、HおよびC1~3アルキルから選択される。)
【請求項2】
は、Fおよびメチルから選択される
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
環Aは、C3~10シクロアルキルから選択される
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
環Aは、式
で示される基からなる群から選択される
請求項3に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】

で示される構造単位は、式
で示される基からなる群から選択される
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
は、tert-ブチルから選択される
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
は、Hおよびメチルから選択される
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
環Bは、式
で示される基からなる群から選択される
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】

で示される構造単位は、式
で示される基からなる群から選択される
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
化合物は、式(I-1)、(IV-1)および(IV-2)で示される構造から選択され、
ここで、R、R、R、nおよび環Aは、請求項1~5のいずれか1項に定義されるとおりである
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
化合物は、式(I-1a)、(IV-1a)および(IV-2a)で示される構造から選択され、
ここで、R、R、R、nおよび環Aは、請求項10に定義されるとおりである
請求項10に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
下式で示される化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
下式で示される化合物から選択される、請求項12に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
コロナウイルス感染を治療する方法であって、治療上有効量の請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および治療上許容される用量の他の抗ウイルス薬を該治療を必要とする被験者に投与することを含む
方法。
【請求項15】
前記コロナウイルスは、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoVまたはSARS-CoV-2およびそれらの変異体であることを特徴とする
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記他の抗ウイルス薬は、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、サキナビル、アンプレナビルまたはロピナビルであることを特徴とする
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一群のケトアミド誘導体およびその用途に関し、具体的に、式(IV)で示される化合物およびその薬学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0002】
2019年12月に発生した新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)による2型非定型肺炎は、急速に世界中を席巻し、人類の健康と社会発展にかつてない難題を突きつけている。
【0003】
コロナウイルスの3CLプロテアーゼとも呼ばれ主要なプロテアーゼは、ウイルス複製における重要なタンパク質であり、その主な機能は、ウイルスが発現する2つのポリタンパク質を加水分解することである。配列の解析から、3CLプロテアーゼが医薬品設計の重要な標的の一つとなる可能性があることが示唆された。その阻害剤の開発によって、コロナウイルスの複製プロセスを阻害することは、コロナウイルス感染症の予防と治療にとって非常に価値と意義を持つ。
【0004】
PF-07321332は、経口活性を有する強力なSARS-CoV 3CL PRO阻害剤であり、その構造は以下の通りである。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、式(IV)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
ここで、
は、式
で示される基およびRから選択され、
はそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OR11、CN、CHS(O)-およびNHR12、ならびにC1~3アルキルから選択され、上記のC1~3アルキルは、1、2または3個のFで任意選択的に置換され、
11は、H、C1~3アルキル、CH(OCHCH-およびH(OCHCH-から選択され、上記のC1~3アルキルは、1、2または3個のFで任意選択的に置換され、
12は、C1~3アルキル、CHCO-およびCHSO-から選択され、上記のC1~3アルキル、CHCO-およびCHSO-は任意かつ独立に、1、2または3個のFで置換され、
mは、0、1および2から選択され、
pおよびqは、1、2、3、4、5および6から選択され、
nは、0、1、2、3および4から選択され、
は、C1~4アルキル、C3~6シクロアルキルおよびベンジルから選択され、上記のC1~4アルキル、C3~6シクロアルキルおよびベンジルは、1、2または3個のFで任意選択的に置換され、
は、1、2または3個のFで任意選択的に置換されたC1~8アルキルから選択され、
環Aは、C3~10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキルおよびフェニルから選択され、
環Bは、C3~8シクロアルキルおよび5員ヘテロシクロアルキルから選択され、上記のC3~8シクロアルキルおよび5員ヘテロシクロアルキルは、1または2個のRで任意選択的に置換され、
はそれぞれ独立して、HおよびC1~3アルキルから選択され、
上記の「5員ヘテロシクロアルキル」は、O、S、SO、N、PおよびSeから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子または原子団を含む。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のRは、Fおよびメチルから選択され、他の変数は、本発明で定義されるとおりである。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の環Aは、式
で示される基からなる群から選択され、他の変数は、本発明で定義されるとおりである。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の式
で示される構造単位は、式
で示される基からなる群から選択され、他の変数は、本発明で定義されるとおりである。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のRは、tert-ブチルから選択され、他の変数は、本発明で定義されるとおりである。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のRは、Hおよびメチルから選択され、他の変数は、本発明で定義されるとおりである。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の環Bは、式
で示される基からなる群から選択され、他の変数は、本発明で定義されるとおりである。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の式
で示される構造単位は、式
で示される基からなる群から選択され、他の変数は、本発明で定義されるとおりである。
【0013】
本発明は、下式で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
ここで、
はそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OR11、CN、CHS(O)-およびNHR12、ならびにC1~3アルキルから選択され、上記のC1~3アルキルは、1、2または3個のFで任意選択的に置換され、
11は、H、C1~3アルキル、CH(OCHCH-およびH(OCHCH-から選択され、上記のC1~3アルキルは、1、2または3個のFで任意選択的に置換され、
12は、C1~3アルキル、CHCO-およびCHSO-から選択され、上記のC1~3アルキルは、1、2または3個のFで任意選択的に置換され、
mは、0、1および2から選択され、
pおよびqは、1、2、3、4、5および6から選択され、
nは、0、1、2、3および4から選択され、
は、C1~4アルキル、C3~6シクロアルキルおよびベンジルから選択され、上記のC1~4アルキル、C3~6シクロアルキルおよびベンジルは、1、2または3個のFで任意選択的に置換され、
環Aは、C3~10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキルおよびフェニルから選択され、
環Bは、C3~6シクロアルキルおよび5員ヘテロシクロアルキルから選択され、上記のC3~6シクロアルキルおよび5員ヘテロシクロアルキルは、1または2個のRで任意選択的に置換され、
はそれぞれ独立して、HおよびC1~3アルキルから選択され、
上記の「5員ヘテロシクロアルキル」は、O、S、SO、N、PおよびSeから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子または原子団を含む。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のRは、Fおよびメチルから選択され、他の変数は、本発明で定義されるとおりである。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の環Aは、式
で示される基からなる群から選択され、他の変数は、本発明で定義されるとおりである。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の式
で示される構造単位は、式
で示される基からなる群から選択され、他の変数は、本発明で定義されるとおりである。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のRは、Hおよびメチルから選択され、他の変数は、本発明で定義されるとおりである。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の式
で示される構造単位は、
で示される基からなる群から選択され、他の変数は、本発明で定義されるとおりである。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物は、式(I-1)、(IV-1)および(IV-2)で示される構造から選択される。
ここで、R、R、R、nおよび環Aは、本発明で定義されるとおりである。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物は、式(I-1a)、(IV-1a)および(IV-2a)で示される構造から選択される。
ここで、R、R、R、nおよび環Aは、本発明で定義されるとおりである。
【0021】
本発明のさらなる実施形態は、上記の各変数の任意の組み合わせから得られる。
【0022】
本発明は、下式で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0023】
本発明は、下式で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0024】
本発明は、治療上有効量の本発明のいずれか1つの技術的解決手段に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および治療上許容される用量の他の抗ウイルス薬を該治療を必要とする被験者に投与することを含む併用投与の方法を提供する。
【0025】
本発明は、治療上有効量の本発明のいずれか1つの技術的解決手段に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および治療上許容される用量の他の抗ウイルス薬を該治療を必要とする被験者に投与することを含むコロナウイルス感染を治療する方法をさらに提供する。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の他の抗ウイルス薬は、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、サキナビル、アンプレナビルまたはロピナビルである。上記のコロナウイルス感染を治療する方法において、本発明のいずれか1つの技術的解決手段に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩は、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、サキナビル、アンプレナビルまたはロピナビルに対して1:1~5:1の質量比であり、具体的には1:1、2:1、3:1、4:1または5:1などである。該比率範囲にある2つの治療成分が2つの相乗効果を達成するのに役立ち、より優れた統合的治療効果を実現することが、実験により驚くべきことに見出され、さらに、上記の方法は、同一の単位製剤に含まれる治療成分、すなわち複合製剤を通じて投与することができ、また、異なる治療成分を含む製剤の個別投与、すなわち臨床併用投薬が可能である。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のコロナウイルス感染は、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoVまたはSARS-CoV-2およびそれらの変異体である。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のコロナウイルス感染は、SARS-CoV-2およびそれらの変異体である。
【0029】
本発明はまた、以下の合成経路を提供する。
技術的効果
【0030】
本発明の化合物は、優れた新型コロナウイルスMproプロテアーゼに対するインビトロでの阻害活性を有し、細胞レベルでの優れたインビトロでの抗コロナウイルス活性を有し、細胞毒性を有さない。本発明の化合物は、薬物動態学的研究において、参照分子PF-07321332よりも血漿中の曝露量が有意に高く、クリアランス速度が遅く、半減期が長く、薬物動態学的特性が優れている。
定義および説明
【0031】
特に断りのない限り、本明細書で使用される以下の用語および語句は、以下の意味を有するものとする。特定の用語または語句は、特に定義がない場合、不明確または不明瞭とみなされるべきではなく、一般的な意味で理解されるべきものである。本明細書において、商品名が記載されている場合、それは対応する商品またはその有効成分を指すことを意図している。
【0032】
本文で使用する「薬学的に許容される」という用語は、信頼できる医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、他の問題や合併症がなく、妥当な利益/リスク比に見合ったヒトおよび動物組織と接触して使用するのに適している化合物、材料、組成物および/または剤形を指す。
【0033】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明で見出される特定の置換基を有する化合物と比較的無毒な酸または塩基から調製される本発明の化合物の塩を意味する。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩は、純粋な溶液または適切な不活性溶媒中でそのような化合物の中性形態を十分な量の塩基と接触させることにより得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミンもしくはマグネシウ塩または類似の塩が挙げられる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩は、純粋な溶液または適切な不活性溶媒中でそのような化合物の中性形態を十分な量の酸と接触させることにより得ることができる。
【0034】
本発明の薬学的に許容される塩は、酸または塩基を含む親化合物から従来の化学的方法を用いて合成することができる。一般的に、このような塩の調製方法は、これらの化合物を遊離酸または塩基の形態で、水もしくは有機溶媒またはそれらの混合物中で、化学量論的量の適切な塩基または酸と反応させることによって調製されるものである。
【0035】
「医薬組成物」とは、本出願に記載の化合物、その異性体またはその薬学的に許容される塩の1種以上、および生理学的/薬学的に使用可能な担体および賦形剤などのその他成分を含有するものを示す。医薬組成物は、生体への投薬を促進し、活性成分の吸収を容易にしその生物学的活性を発揮することを意図する。
【0036】
「治療上有効量」という用語は、投与された場合、疾患の1つ以上の症状または治療状況の進行をある程度まで阻止または遅らせるのに十分な化合物の量を含むことを意味する。「治療上有効量」という用語は、生体分子(例えば、タンパク質、酵素、RNA、またはDNA)、細胞、組織、系統、動物、またはヒトの生物学的または薬理学的反応を検知するのに十分な化合物の量も指す。このような反応は、研究者、獣医師、医師、臨床医が望むものである。
【0037】
特に断りのない限り、「異性体」という用語は、幾何異性体、シス-トランス異性体、立体異性体、鏡像異性体、光学異性体、ジアステレオマーおよび互変異性体を含むものとする。
【0038】
本発明の化合物は、特定の幾何または立体異性体の形態が存在し得る。本発明では、シスおよびトランス異性体、(-)-および(+)-鏡像体、(R)-および(S)-鏡像体、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、およびそのラセミ混合物および他の混合物、例えば鏡像異性体またはジアステレオマーが豊富な混合物を包含するすべてのこれらの化合物が想定され、これらの混合物はすべて本発明の範囲に含まれる。アルキルなどの置換基には、別の不斉炭素原子が存在する場合がある。これらの異性体およびそれらの混合物は、すべて本発明の範囲に含まれる。
【0039】
特に断りのない限り、「鏡像異性体」または「光学異性体」という用語は、互いに鏡像関係を持つ立体異性体を意味する。
【0040】
特に断りのない限り、「シス-トランス異性体」または「幾何異性体」という用語は、二重結合または環形成炭素原子の単結合が自由に回転できないことによって生じることを指す。
【0041】
特に断りのない限り、「ジアステレオマー」という用語は、分子が2つ以上のキラル中心を持ち、分子間で非鏡像関係にある立体異性体を意味する。
【0042】
特に断りのない限り、「(+)」は、右旋性を表し、「(-)」は、左旋性を表し、「(±)」は、ラセミを表す。
【0043】
特に断りのない限り、くさび形実線結合(
)およびくさび形破線結合(
)で、1つの立体中心の絶対配置を表し、直線形実線結合(
)および直線形破線結合(
)で、立体中心の相対配置を表し、波線(
)で、くさび形実線結合(
)またはくさび形破線結合(
)を表し、または波線(
)で直線形実線結合(
)または直線形破線結合(
)を表す。
【0044】
特に断りのない限り、「1つの異性体が豊富な」、「異性体が豊富な」、「1つの鏡像体が豊富な」または「鏡像体が豊富な」という用語は、それにおける1つの異性体または鏡像体の含有量が100%未満であり、かつ60%以上、または70%以上、または80%以上、または90%以上、または95%以上、または96%以上、または97%以上、または98%以上、または99%以上、または99.5%以上、または99.6%以上、または99.7%以上、または99.8%以上、または99.9%以上である。
【0045】
特に断りのない限り、「異性体の過剰量」または「鏡像体の過剰量」という用語は、2つの異性体または2つの鏡像体の間の相対百分率の差の値である。例えば、その一方の異性体または鏡像体の含有量が90%で、もう一方の異性体または鏡像体の含有量が10%である場合、異性体または鏡像体の過剰量(ee値)は80%である。
【0046】
光学活性な(R)-および(S)-異性体ならびにDおよびL異性体は、キラル合成やキラル試薬またはその他の従来の技術を用いて調製することができる。本発明のある化合物の1つの鏡像体を得るには、不斉合成またはキラル補助剤を有する誘導作用によって調製することができるが、ここで、得られたジアステレオマー混合物を分離し、かつ補助基を分解させて所要の純粋な鏡像異性体を提供する。あるいは、分子に塩基性官能基(例えばアミノ基)または酸性官能基(例えばカルボキシ基)が含まれる場合、適切な光学活性な酸または塩基とジアステレオマーの塩を形成させ、次に本分野で公知の従来方法によってジアステレオマーの分割を行った後、回収して純粋な鏡像体を得る。また、鏡像異性体とジアステレオマーの分離は、通常、クロマトグラフィー法によって行われ、上記のクロマトグラフィー法はキラル固定相を使って、かつ任意選択的に化学誘導法(例えばアミンからカルバミン酸塩を生成させる)と併用する。
【0047】
本発明の化合物は、当該化合物を構成する1つまたは複数の原子に、非天然の比率の原子同位元素が含まれてもよい。例えば、トリチウム(H)、ヨウ素-125(125I)またはC-14(14C)のような放射性同位元素で化合物を標識することができる。又、例えば、水素を重水素で置換して重水素化医薬品を形成し、重水素と炭素からなる結合は通常の水素と炭素からなる結合よりも強固で、未重水素化医薬品と比べ、重水素化医薬品は毒性・副作用の低下、医薬品の安定性の増やし、治療効果の増強、医薬品の生物半減期の延長などの優勢がある。本発明の化合物のすべての同位元素の構成の変換は、放射性の有無を問わず、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0048】
「任意選択的」または「任意選択的に」という用語は、その後に説明される事件または状況が発生する可能性があるが、必ずしも発生するわけではないことを意味し、この説明は、上記の事件または状況が発生する場合だけでなく、上記の事件または状況が発生しない場合を包含する。
【0049】
「置換された」という用語は、特定の原子での任意の1つ以上の水素原子が置換基で置換されることを意味し、置換基は、特定の原子価状態が正常であり、置換された化合物が安定であれば、重水素および水素の変異体を含んでもよい。置換基が酸素(つまり=O)の場合、2つの水素原子が置換されることを意味する。芳香族基では酸素置換は起こらない。「任意選択的に置換され」という用語は、置換または非置換を意味し、特に明記しない限り、置換基の種類および数は化学的に達成可能な基準に基づいて任意であり得る。
【0050】
任意の変数(Rなど)が化合物の構成や構造において1回以上現れる場合、それぞれの場合におけるその定義は独立している。したがって、例えば、ある基が0~2個のRで置換されている場合、上記の基は、任意選択的に最大2個のRで置換されていてもよく、それぞれの場合のRには独立した選択肢がある。さらに、置換基および/またはその変異体の組み合わせは、そのような組み合わせが安定した化合物を産生する場合にのみ許容される。
【0051】
1つの連結基の数が0の場合は、例えば、-(CRR)-では、この連結基が単結合であることを意味する。
【0052】
置換基の数が0の場合は、該置換基が存在しないことを意味し、-A-(R)はその構造が実際に-Aであることを意味する。
【0053】
置換基が空位の場合は、該置換基が存在しないことを意味し、例えば、A-XでXが空位の場合、その構造が実際にAであることを意味する。
【0054】
そのうちの変数の1つが単結合から選択される場合、それが連結する2つの基が直接連結していることを意味し、例えば、A-L-ZはLが単結合を表す場合、その構造が実際にA-Zであることを意味する。
【0055】
置換基の結合が環内の2つ以上の原子に架橋できる場合、このような置換基はこの環内の任意の原子に結合することが可能であり、例えば、構造単位
は、その置換基Rがシクロヘキシルまたはシクロヘキサジエンのいずれの位置で置換され得ることを意味する。挙げられた置換基が被置換基にどの原子を介して結合しているかを示していない場合、そのような置換基は、その原子のいずれかを介して結合していてもよく、例えば、ピリジル基は、置換基として、ピリジン環内の炭素原子のいずれかを介して被置換基に結合していてもよい。
【0056】
挙げられた連結基は、その連結方向を示さない場合、その連結方向が任意であり、例えば、
の連結基Lが-M-W-である場合、-M-W-は、環Aと環Bを左から右への読み取り順序と同じ方向に連結して
を構成してもよく、環Aと環Bを左から右への読み取り順序反対の方向に連結して
を構成してもよい。上記の連結基、置換基および/またはその変異体の組み合わせは、そのような組み合わせが安定した化合物を生成する場合にのみ許容される。
【0057】
特に明記しない限り、ある基が1つ以上の連結可能な部位を有する場合、その基の部位のいずれか1つ以上は、化学結合を介して他の基に連結することができる。該化学結合の連結モードが無指向性であり、連結可能な部位にH原子がある場合、化学結合が連結されると、該部位のH原子の数は、連結された化学結合の数に応じて減少し、対応する価数の基を形成する。上記の部位と他の基との化学結合は、直線形実線結合(
)、直線形破線結合(
)、または波線(
)で表すことができる。例えば、-OCHにおける直線形実線結合は、その基の酸素原子を介して他の基に連結していることを表し、
における直線形破線結合は、その基の窒素原子の両端で他の基に連結していることを表し、
における波線は、そのフェニル基中の1位と2位の炭素原子を介して他の基に連結していることを表す。
【0058】
特に明記しない限り、環における原子の数は通常、環の員数として定義され、例えば、「5~7員環」は、5~7個の原子がその周りに配列されている「環」を指す。
【0059】
特に明記しない限り、Cn~n+mまたはCn~n+mは、n~n+m個の炭素のいずれの具体的例が含まれ、例えば、C1~12にはC、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、およびC12が含まれ、さらにn~n+mのいずれの範囲も含み、例えばC1~12にはC1~3、C1~6、C1~9、C3~6、C3~9、C3~12、C6~9、C6~12、およびC9~12などが含まれ、同様に、n員~n+m員は、環における原子数がn~n+m個であることを表し、例えば、3~12員環には、3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環、9員環、10員環、11員環、および12員環が含まれ、さらにn~n+mのいずれの範囲も含み、例えば3~12員環には3~6員環、3~9員環、5~6員環、5~7員環、6~7員環、6~8員環、および6~10員環などが含まれる。
【0060】
特に明記しない限り、「C1~8アルキル」という用語は、1~8個の炭素原子からなる直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を表すのに用いられる。上記のC1~8アルキルにはC1~6、C1~5、C1~4、C1~3、C1~2、C2~6、C2~4、C、C、CおよびCアルキルなどが含まれ、一価(例えば、メチル)、二価(例えば、メチレン)または多価(例えば、メチン)であってもよい。C1~8アルキルの実例には、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピルおよびイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、s-ブチルおよびt-ブチルを含む)、ペンチル(n-ペンチル、イソペンチルおよびネオペンチルを含む)、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
特に明記しない限り、「C1~4アルキル」という用語は、1~4個の炭素原子からなる直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を表すのに用いられる。上記のC1~4アルキルにはC1~2、C1~3およびC2~3アルキルなどが含まれ、一価(例えば、メチル)、二価(例えば、メチレン)または多価(例えば、メチン)であってもよい。C1~4アルキルの実例には、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピルおよびイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、s-ブチルおよびt-ブチルを含む)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
特に明記しない限り、「C1~3アルキル」という用語は、1~3個の炭素原子からなる直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を表すのに用いられる。上記のC1~3アルキルにはC1~2およびC2~3アルキルなどが含まれ、一価(例えば、メチル)、二価(例えば、メチレン)または多価(例えば、メチン)であってもよい。C1~3アルキルの実例には、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピルおよびイソプロピルを含む)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
特に明記しない限り、「C3~10シクロアルキル」は、単環式、二環式および三環式系を含む3~10個の炭素原子からなる飽和環状炭化水素基を意味し、ここで、二環式および三環式系には、スピロ環、平行環および架橋環が含まれる。上記のC3~10シクロアルキルにはC3~8、C3~6、C3~5、C4~10、C4~8、C4~6、C4~5、C5~8またはC5~6などが含まれ、一価、二価または多価であってもよい。C3~10シクロアルキルの実例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニル、[2.2.2]ビシクロオクタン、[4.4.0]ジシクロデカンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
特に明記しない限り、「C3~8シクロアルキル」は、単環式、二環式および三環式系を含む3~8個の炭素原子からなる飽和環状炭化水素基を意味し、ここで、二環式および三環式系には、スピロ環、平行環および架橋環が含まれる。上記のC3~8シクロアルキルにはC3~8、C3~6、C3~5、C4~8、C4~6、C4~5、C5~8またはC5~6などが含まれ、一価、二価または多価であってもよい。C3~8シクロアルキルの実例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、スピロ[2.4]シクロヘキサンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
特に明記しない限り、「C3~6シクロアルキル」は、単環式、二環式および三環式系を含む3~6個の炭素原子からなる飽和環状炭化水素基を意味し、ここで、二環式および三環式系には、スピロ環、平行環および架橋環が含まれる。上記のC3~6シクロアルキルにはC3~4、C3~5、C4~5、C5~8またはC5~6などが含まれ、一価、二価または多価であってもよい。C3~6シクロアルキルの実例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
特に明記しない限り、「3~10員ヘテロシクロアルキル」という用語は、それ自体で、または他の用語と組み合わせて、それぞれ、3~10個の環原子からなる飽和環状基を意味し、そのうちの1、2、3または4個の環原子は独立して、O、S、N、PおよびSeから選択されるヘテロ原子であり、残りは炭素原子であり、ここで窒素原子は任意選択的に4級化されており、窒素、硫黄およびリンヘテロ原子は、任意選択的に酸化され得る(すなわちNO、S(O)およびP(O)、pは1または2である)。そのヘテロシクロアルキルには、単環式、二環式および三環式系が含まれ、ここで、二環式および三環式系にはスピロ環、平行環および架橋環が含まれる。さらに、該「3~10員ヘテロシクロアルキル」に関しては、ヘテロ原子は、ヘテロシクロアルキルが分子の残りの部分に連結している位置を占めていてもよい。上記の3~10員ヘテロシクロアルキルには、3~9員、3~8員、3~6員、5~9員、5員、6員、7員、8員および9員のヘテロシクロアルキルなどが含まれる。3~10員ヘテロシクロアルキルの実例には、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロチエニル(テトラヒドロチエン-2-イルおよびテトラヒドロチエン-3-イルなどを含む)、テトラヒドロフラニル(テトラヒドロフラン-2-イルなどを含む)、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル(1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニルなどを含む)、ピペラジニル(1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどを含む)、モルホリニル(3-モルホリニル、4-モルホリニルなどを含む)、ジオキサニル、ジチアニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、1,2-オキサジニル、1,2-チアジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル、またはジオキセパニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
特に明記しない限り、「5員ヘテロシクロアルキル」という用語は、それ自体で、または他の用語と組み合わせて、それぞれ、5個の環原子からなる飽和環状基を意味し、そのうちの1、2または3個の環原子は独立して、O、S、N、PおよびSeから選択されるヘテロ原子であり、残りは炭素原子であり、ここで窒素原子は任意選択的に4級化されており、窒素、硫黄およびリンヘテロ原子は、任意選択的に酸化され得る(すなわちNO、S(O)およびP(O)、pは1または2である)。5員ヘテロシクロアルキルの実例には、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロチエニル(テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イルなどを含む)、テトラヒドロフラニル(テトラヒドロフラン-2-イルなどを含む)、テトラヒドロピラニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
本発明の化合物は、当業者に公知の様々な合成方法によって調製することができ、以下に列挙する具体的な実施形態、他の化学合成方法と合わせた実施形態および当該技術分野における当業者に周知の同等の代替方法を含み、好ましい実施形態は本発明の実施例が含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
本発明の化合物は、当業者に周知の従来方法により構造を確認することができ、本発明が化合物の絶対配置に関するものであれば、該絶対配置は、当該分野における従来の技術手段を使用して確認することができる。例えば、単結晶X線回折(SXRD)では、培養した単結晶から、Bruker D8 venture回折計を用いて、光源:CuKα線、走査モード:φ/ω走査で回折強度データを収集し、関連データを収集後に、直接法(Shelxs97)で結晶構造をさらに解析することによって、絶対配置を確認することができる。
【0070】
本発明で使用される溶媒は、市販として取得されることができる。
【0071】
本発明は、以下の略称が使用された。
ACNはアセトニトリル、Bocはtert-ブトキシカルボニル、Bnはベンジル、DCMはジクロロメタン、DMSOはジメチルスルホキシド、℃は摂氏、hrは時間、LiBHは水素化ホウ素ナトリウム、THFはテトラヒドロフラン、Tsはp-トルエンスルホニル、Acはアセチル、Meはメチル、Etはエチルを表す。
【0072】
化合物は、当該分野における従来の命名規則に基づくか、またはChemDraw(登録商標)ソフトウェアを使用することにより命名され、市販の化合物は、サプライヤーのカタログ名を使用する。
【発明を実施するための形態】
【0073】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明の何らの不利な制限があることを意図するものではない。本明細書では、本発明を詳しく説明しているが、その具体的な実施形態も開示されており、当業者にとっては、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の具体的な実施形態に様々な変更および改良を加えることは、明らかである。
【0074】
実施例1
合成経路:
【0075】
ステップ1:化合物1-2の塩酸塩の合成
化合物1-1(500mg、1.75mmol)を酢酸エチル(5mL)に溶解し、塩化水素の酢酸エチル溶液(10mL、4N)を加え、20℃で2時間攪拌しながら反応させた。精製せずに減圧下で濃縮して、化合物1-2の塩酸塩を得た。HNMR(400MHz,CDOD)δ=4.28-4.20(m,1H),3.91-3.81(m,3H),3.45-3.35(m,2H),2.86-2.74(m,1H),2.48-2.36(m,1H),2.29-2.19(m,1H),2.02-1.94(m,1H),1.93-1.80(m,1H).
【0076】
ステップ2:化合物1-4の合成
化合物Boc-L-シクロヘキシルグリシン(1g、3.89mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に加え、2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N,N-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(1.77g、4.66mmol)を加え、0.5hr撹拌しながら反応させ、ジイソプロピルエチルアミン(1.26g、9.72mmol)、化合物1-3の塩酸塩(1.02g、4.66mmol)を加え、20℃で16時間攪拌しながら反応させた。反応液にメチルtert-ブチルエーテル(50mL)を加え、水(20mL)で洗浄し、3%クエン酸(20mL×2)で洗浄し、飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)で精製し、化合物1-4を得た。HNMR(400MHz,CDCl)δ=5.22-5.11(m,1H),4.36(d,J=3.9Hz,1H),4.27(dd,J=6.9,9.3Hz,1H),4.21-4.12(m,2H),3.83(dd,J=7.8,10.4Hz,1H),3.70(br dd,J=3.6,10.4Hz,1H),2.81-2.61(m,2H),1.82-1.70(m,6H),1.68-1.61(m,4H),1.56-1.48(m,2H),1.46-1.38(m,9H),1.29-1.22(m,4H),1.21-0.98(m,4H).
【0077】
ステップ3:化合物1-5の合成
化合物1-4(1.41g、3.34mmol)をテトラヒドロフラン(14mL)に加え、水酸化リチウム一水和物LiOH.HO(280.03mg、6.67mmol)の水(5mL)溶液を加え、20℃で16時間攪拌しながら反応させた。粗生成物を3%クエン酸溶液(50mL)で中和し、酢酸エチル(50mL)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、精製せずにろ過して、減圧下で濃縮して、化合物1-5を得た。HNMR(400MHz,DMSO-d)δ=12.58-12.23(m,1H),6.92-6.82(m,1H),4.11-3.94(m,2H),3.82-3.76(m,1H),3.72-3.62(m,1H),2.73-2.64(m,1H),2.62-2.55(m,1H),1.92-1.42(m,12H),1.40-1.32(m,9H),1.18-1.06(m,3H),1.00-0.81(m,2H).
【0078】
ステップ4:化合物1-6の合成
化合物1-5(650mg、1.65mmol)を2-ブタノン(7mL)に加え、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(222.63mg、1.65mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(379.03mg、1.98mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(638.84mg、4.94mmol)を加え、20℃で0.5hr攪拌しながら反応させ、次いで、化合物1-2の塩酸塩(366.88mg、1.65mmol)を加え、20℃で16時間攪拌しながら反応させた。反応液に水(20mL)を加え、ジクロロメタン:メタノール(30mL×2、10:1)で抽出して、有機相を合わせて、3%クエン酸(20mL×2)で洗浄し、飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=20:1)で精製し、化合物1-6を得た。HNMR(400MHz,CDCl)δ=7.49-7.42(m,1H),6.23-6.05(m,1H),5.28-5.17(m,1H),4.64-4.51(m,1H),4.43-4.24(m,2H),3.92-3.81(m,1H),3.78-3.70(m,3H),3.39-3.27(m,2H),2.94-2.75(m,2H),2.57-2.36(m,2H),2.24-2.07(m,1H),1.94-1.50(m,14H),1.49-1.41(m,9H),1.27-0.95(m,6H).
【0079】
ステップ5:化合物1-7の合成
化合物1-6(3.10g、5.51mmol)をテトラヒドロフラン(31mL)に溶解し、0℃で水素化ホウ素リチウム(240.02mg、11.02mmol)を加えて、20℃までゆっくり昇温して2h反応させた。反応液に水(10mL)および酢酸エチル(20mL)を加えて10min攪拌すると、白色固体を析出させ、ろ過して目的生成物1-7の粗生成物として、ろ過ケーキを得た。[M+1]+=535.4。
【0080】
ステップ6:化合物1-8の合成
化合物1-7(0.5g、935.13μmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、次に、デスマーチン試薬(594.94mg、1.40mmol)を反応系に加え、25℃で16h攪拌しながら反応させた。反応系に飽和チオ硫酸ナトリウム(15mL)および飽和炭酸水素ナトリウム溶液(15mL)を加えて10min攪拌すると、ジクロロメタン(50mL×2)で抽出し、有機相を飽和食塩水(15mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮して化合物1-8の粗生成物を得た。[M+1]+=533.4。
【0081】
ステップ7:化合物1-9の合成
化合物1-8(436mg、818.52μmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、氷酢酸(58.98mg、982.22mmol)、シクロペンチルイソシアニド(94.44mg、982.22μmol)を反応系に加え、25℃で2h攪拌しながら反応させた。反応系に飽和塩化アンモニウム溶液(10mL)を加えて10min攪拌すると、ジクロロメタン(20mL)で抽出し、有機相を水(10mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で精製し、化合物1-9を得た。[M+1]+=688.4。
【0082】
ステップ8:化合物1-10の合成
化合物1-9(190mg、276.22μmol)をメタノール(3mL)に溶解し、次に、炭酸カリウム(95.44mg、690.54μmol)の水(2mL)溶液を加えた。20℃で16h攪拌しながら反応させた。反応系に3%クエン酸(20mL)を加え、ジクロロメタン(40mL)で3回抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に減圧下で濃縮した。1-10の粗生成物を得た。[M+1]=646.5。
【0083】
ステップ9:化合物1-11の合成
化合物1-10(238.00mg、368.52μmol)をジクロロメタン(24mL)に溶解し、次に、デスマーチン試薬(203.19mg、479.08μmol)を加えた。20℃で18h攪拌しながら反応させた。反応系にチオ硫酸ナトリウム(15mL)および炭酸水素ナトリウム溶液(15mL)を加えて10min攪拌すると、ジクロロメタン(50mL×2)で抽出し、有機相を飽和食塩水(15mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=20:1)で精製し、生成物1-11を得た。[M+1]=644.5。
【0084】
ステップ10:化合物1-12の合成
化合物1-11(125mg、194.16μmol)をテトラヒドロフラン(3mL)に溶解し、次に、塩化水素・酢酸エチル(4M、2.91mL)を加えた。20℃で1h攪拌しながら反応させた。反応液をオイルポンプで直接回転蒸発させ、回転蒸発を少量のジクロロメタンで繰り返して、化合物1-12を得た。[M+1]=544.4。
【0085】
ステップ11:化合物1の合成
化合物1-12(125mg、229.91μmol)をテトラヒドロフラン(2.5mL)に溶解し、0℃で無水トリフルオロ酢酸(193.15mg、919.63μmol)、ピリジン(127.30mg、1.61mmol)を加えた。20℃で16h攪拌しながら反応させた。反応系に水(20mL)を加え、ジクロロメタン(40mL×2)で抽出し、有機相を3%クエン酸(40mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(40mL×2)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。粗生成物を分取HPLCで分離して化合物1を得た。[M+1]=640.0;HNMR(400MHz,CDOD)δ ppm 0.94-1.10(m,2H),1.13-1.32(m,3H)1.32-1.46(m,1H),1.47-1.57(m,3H),1.59-1.68(m,4H),1.69-1.81(m,6H),1.83-2.00(m,5H),2.01-2.17(m,1H),2.19-2.38(m,1H),2.49-2.57(m,1H),2.58-2.70(m,1H),2.73-2.89(m,1H),3.20-3.26(m,1H),3.37-3.45(m,1H),3.73-3.86(m,1H),3.88-3.97(m,1H),4.03-4.10(m,1H),4.11-4.18(m,1H),4.19-4.29(m,1H),4.29-4.37(m,1H),4.39-4.47(m,1H),4.57-4.60(m,2H).
【0086】
実施例2
合成経路:
【0087】
ステップ1:化合物2-1の合成
化合物1-8(630mg、1.18mmol)をジクロロメタン(7mL)に溶解し、氷酢酸(85.23mg、1.42mmol)および化合物ベンジルイソシアニド(166.26mg、1.42mmol)を反応系に加えた。20℃で16h攪拌しながら反応させた。反応は飽和塩化アンモニウム溶液(20mL)でクエンチし、ジクロロメタン(40mL×2)で抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=20:1)で精製して化合物2-1を得た。[M+1]=710.4。
【0088】
ステップ2:化合物2-2の合成
化合物2-1(519mg、731.12μmol)を無水メタノール(7.8mL)に溶解し、次に、炭酸カリウム(252.61mg、1.83mmol)の水(5.2mL)溶液を反応系に加え、20℃で16h攪拌しながら反応させた。反応に水(10mL)を加え、ジクロロメタン(20mL)で2回抽出し、有機相を3%クエン酸(10mL)、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。精製せずに化合物2-2を得た。[M+1]+=668.3。
【0089】
ステップ3:化合物2-3の合成
化合物2-2(420mg、628.90μmol)をジクロロメタン(4.2mL)に溶解し、デスマーチン試薬(346.76mg、817.57μmol)を反応系に加え、20℃で16h攪拌した。反応液にチオ硫酸ナトリウム(15mL)および飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)を加え、ジクロロメタン(50mL)で2回抽出し、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=20:1)で精製して化合物2-3を得た。[M+1]=666.4。
【0090】
ステップ4:化合物2-4の塩酸塩の合成
化合物2-3(50mg、75.10μmol)をテトラヒドロフラン(0.5mL)に溶解し、4M塩化水素の酢酸エチル溶液(1.13mL)を反応系に加え、20℃で2h攪拌しながら反応させた。反応液を、減圧下で濃縮し、回転蒸発を少量のジクロロメタンで形状が白色の泡になるまで繰り返した。化合物2-4の塩酸塩を得た。[M+1]=566.4。
【0091】
ステップ5:化合物2の合成
化合物2-4の塩酸塩(42.98mg、75.98μmol)をテトラヒドロフラン(0.5mL)に溶解し、0℃に冷却し、ピリジン(42.07mg、531.83μmol)、無水トリフルオロ酢酸(63.83mg、303.91μmol)を加えた。反応液を室温の20℃に昇温して16h攪拌した。反応液に水(10mL)を加え、ジクロロメタン(10mL×2)で抽出し、有機相を合わせて3%クエン酸(10mL)で洗浄し、次に飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。粗生成物を分取HPLCで分離して化合物2を得た。[M+1]=662.0。
【0092】
実施例3
合成経路:
【0093】
ステップ1:化合物3-1の合成
化合物1-8(223mg、418.65μmol)をジクロロメタン(2.5mL)に溶解し、氷酢酸(30.17mg、502.37μmol)、tert-ブチルイソシアニド(41.76mg、502.37μmol)を反応系に加え、25℃で2h攪拌しながら反応させた。反応は、反応系に飽和塩化アンモニウム溶液(5mL)を加えて10min攪拌すると、ジクロロメタン(10mL)を加えて抽出を行い、有機相を水(5mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で精製し、化合物3-1を得た。[M+1]=676.4。
【0094】
ステップ2:化合物3-2の合成
化合物3-1(122mg、180.51μmol)をメタノール(2.5mL)に溶解し、次に、炭酸カリウム(62.37mg、451.28μmol)の水(1.5mL)溶液を加えた。20℃で16h攪拌しながら反応させた。反応系に3%クエン酸(10mL)を加え、ジクロロメタン(20mL)で3回抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(15mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に減圧下で濃縮した。化合物3-2の粗生成物を得た。[M+1]=634.4。
【0095】
ステップ3:化合物3-3の合成
化合物3-2(1.2g、1.89mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶解し、次に、デスマーチン試薬(1.04g、2.46mmol)を加えた。20℃で18h攪拌しながら反応させた。反応系にチオ硫酸ナトリウム(60mL)および炭酸水素ナトリウム溶液(60mL)を加えて10min攪拌すると、ジクロロメタン(120mL×2)で抽出し、有機相を飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:1)で精製し、化合物3-3を得た。[M+1]=632.5。
【0096】
ステップ4:化合物3-4の合成
化合物3-3(380mg、601.46μmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、次に、塩化水素・酢酸エチル(4M、9.02mL)を加えた。20℃で1h攪拌しながら反応させた。反応液を、オイルポンプで直接乾燥させ、減圧濃縮を少量のジクロロメタンで形状が白色粒子になるまで繰り返して、化合物3-4を得た。[M+1]+=532.4。
【0097】
ステップ5:化合物3の合成
化合物3-4(380mg、714.71μmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、次に、0℃で無水トリフルオロ酢酸(395.73mg、5mmol)、ピリジン(600.44mg、2.86mmol)を加えた。20℃で16h攪拌しながら反応させた。反応系に水(60mL)、ジクロロメタン(120mL×2)を加えて抽出を行い、有機相を3%クエン酸(120mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(120mL×2)で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。粗生成物を分取HPLCで分離して化合物3を得た。HNMR(400MHz,CDOD)δ ppm 0.88-1.33(m,6H)1.34-1.45(m,9H)1.47-2.01(m,15H)2.19-2.44(m,1H)2.51-2.90(m,3H)3.18-3.28(m,1H)3.69-4.03(m,2H)4.16-4.31(m,1H)4.37-4.48(m,1H)4.53-4.67(m,1H).[M+1]=628.4.
【0098】
実施例4
合成経路:
【0099】
ステップ1:化合物4-2の合成
化合物4-1をN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解し、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N,N-テトラメチルウロニウム(1.24g、3.27mmol)を加えて0.5h攪拌すると、ジイソプロピルエチルアミン(1.41g、10.90mmol、1.90mL)および化合物1-3の塩酸塩(527.06mg、2.40mmol)を加え、20℃で2h反応させた。反応系に酢酸エチル(200mL)および3%クエン酸溶液(100mL)を加えて抽出を行い、分離により有機相を得て、さらに半飽和食塩水(100mL)で中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=1:0~10:1)で精製して化合物4-2を得た。HNMR(400MHz,CDCl3)δ=5.44-5.24(m,1H),4.44(dd,J=6.6,8.8Hz,1H),4.36(d,J=3.8Hz,1H),4.20-4.14(m,2H),3.85(dd,J=7.9,10.3Hz,1H),3.66(dd,J=3.5,10.3Hz,1H),2.75-2.64(m,2H),1.98-1.59(m,13H),1.50-1.43(m,9H),1.27-1.25(m,3H).
【0100】
ステップ2:化合物4-3の合成
4-2(0.8g、2.03mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)および水(6mL)に溶解し、水酸化リチウム一水和物(170.19mg、4.06mmol)を加え、20℃で16h攪拌した。反応系にジクロロメタン(200mL)および3%クエン酸(100mL)を加えて抽出を行い、分離により有機相を得て、さらに飽和食塩水(100mL)で中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮して化合物4-3を得た。HNMR(400MHz,CDOD)δ=4.36(br d,J=8.3Hz,1H),4.29-4.23(m,1H),3.95-3.77(m,2H),3.73(br t,J=6.2Hz,1H),2.76-2.61(m,2H),2.02-1.57(m,13H),1.44(s,9H).
【0101】
ステップ3:化合物4-4の合成
4-3(0.7g、1.91mmol)を2-ブタノン(15mL)に溶解し、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(258.11mg、1.91mmol)および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(439.43mg、2.29mmol)を加えて0.5h攪拌すると、ジイソプロピルエチルアミン(1.23g、9.55mmol、1.66mL)および化合物1-2の塩酸塩(467.88mg、2.10mmol)を加え、20℃で16h反応させた。反応系に3%クエン酸(100mL)およびジクロロメタン(200mL)を加えて抽出を行い、分離により有機相を得て、さらに飽和食塩水(100mL)で抽出を行い、分離により有機相を得て、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=1:0~10:1)で精製して化合物4-4を得た。HNMR(400MHz、CDOD)δ=8.65(br d,J=8.4Hz,1H),7.99-7.69(m,1H),7.61-7.44(m,1H),4.58-4.44(m,1H),4.34(d,J=8.0Hz,1H),4.22(d,J=4.0Hz,1H),3.92(dd,J=7.9,10.3Hz,1H),3.78(br dd,J=3.6,10.3Hz,1H),3.72(s,3H),3.30-3.26(m,2H),2.89-2.77(m,1H),2.75-2.50(m,3H),2.36-2.25(m,1H),2.21-2.08(m,1H),2.05-1.52(m,14H),1.49-1.39(m,9H).
【0102】
ステップ4:化合物4-5の合成
化合物4-4(0.75g、1.40mmol)をテトラヒドロフラン(7.5mL)に溶解し、0℃に冷却し、水素化ホウ素リチウム(91.66mg、4.21mmol)を加え、20℃までゆっくり昇温して1h反応させた。反応系に半飽和NHCl(30mL)を加えて30min攪拌すると、反応をクエンチし、次に、ジクロロメタン(60mL×2)を加えて抽出を行い、分離により有機相を得て、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。化合物4-5を得た。HNMR(400MHz,CDOD)δ=4.35(br d,J=7.9Hz,1H),4.22-4.14(m,1H),4.04-3.89(m,2H),3.85-3.66(m,2H),3.50(br t,J=5.2Hz,2H),3.29-3.25(m,1H),2.91-2.78(m,1H),2.74-2.56(m,3H),2.44(br d,J=7.6Hz,1H),2.36-2.25(m,1H),2.00-1.74(m,14H),1.44(s,9H).
【0103】
ステップ5:化合物4-6の合成
4-5(0.55g、1.09mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶解し、デスマーチン試薬(506.49mg、1.19mmol)を加え、25℃で16h攪拌した。反応系に飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(30mL×2)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(30mL×2)およびジクロロメタン(60mL)を加えて抽出を行い、分離により有機相を得て、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。化合物4-6を得た。HNMR(400MHz,CDCl)δ=9.56-9.44(m,1H),8.01(br d,J=6.0Hz,1H),6.14-5.97(m,1H),5.50-5.35(m,1H),4.55-4.29(m,3H),3.94-3.83(m,1H),3.65(br d,J=7.3Hz,1H),3.42-3.29(m,2H),2.94-2.76(m,2H),2.74-2.68(m,1H),2.60-2.49(m,1H),2.39(td,J=3.2,5.9Hz,1H),1.97-1.60(m,15H),1.44(s,8H).
【0104】
ステップ6:化合物4-7の合成
化合物4-6(0.75g、1.49mmol)をジクロロメタン(7.5mL)に溶解し、氷酢酸(107.10mg、1.78mmol)およびtert-ブチルイソシアニド(148.27mg、1.78mmol)を加え、20℃で2h攪拌した。反応系に飽和塩化アンモニウム溶液(30mL)およびジクロロメタン(60mL)を加えて抽出を行い、分離により有機相を得て、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。化合物4-7を得た。[M+1]=648.2。
【0105】
ステップ7:化合物4-8の合成
化合物4-7(0.8g、1.23mmol)をメタノール(6.5mL)および水(4mL)に溶解し、炭酸カリウム(426.69mg、3.09mmol)を加え、20℃で2h攪拌した。反応系に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(30mL)を加えて10min攪拌すると、ジクロロメタン(60mL)を加えて抽出を行い、分離により有機相を得て、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=1:0~10:1)で精製して化合物物4-8を得た。HNMR(400MHz,CDCl)δ=7.08(br d,J=8.3Hz,1H),6.87-6.62(m,1H),6.07-5.94(m,1H),5.98(br s,1H),5.35(br d,J=8.6Hz,1H),4.52-4.30(m,2H),4.28-3.98(m,3H),3.74-3.57(m,1H),3.33(br d,J=8.3Hz,2H),2.81-2.65(m,3H),2.54(td,J=8.0,15.5Hz,1H),2.41-2.31(m,1H),2.03-1.69(m,13H),1.63-1.52(m,2H),1.46-1.41(m,9H),1.38-1.32(m,9H).
【0106】
ステップ8:化合物4-9の合成
化合物4-8(0.65g、1.07mmol)をジクロロメタン(12mL)に溶解し、デスマーチン試薬(682.67mg、1.61mmol)を加え、20℃で16h反応させた。反応系に、飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(30mL×2)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(30mL×2)およびジクロロメタン(60mL)を加えて抽出を行い、分離により有機相を得て、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=1:0~10:1)で精製して化合物4-9を得た。[M+1]=604.5。
【0107】
ステップ9:化合物4-10のトリフルオロアセテートの合成
化合物4-9(450mg、745.34μmol)をジクロロメタン(6mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1.5mL)を加え、20℃で1h反応させた。反応系を減圧下で濃縮して、目的化合物4-10のトリフルオロアセテートを得た。HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ=8.51(d,J=8.4Hz,1H),8.04(br s,3H),7.64(s,1H),5.75(s,1H),5.23-5.05(m,1H),4.29-4.22(m,1H),4.20-4.10(m,1H),3.79-3.65(m,1H),3.63-3.55(m,1H),3.15-3.04(m,1H),2.69(br d,J=7.4Hz,3H),2.44-2.34(m,1H),2.25-2.17(m,1H),1.85-1.51(m,13H),1.48-1.33(m,2H),1.30(s,9H).
【0108】
ステップ10:化合物4の合成
4-10のトリフルオロアセテート(275mg、546.03μmol)をジクロロメタン(2.7mL)に溶解し、0℃でピリジン(431.91mg、5.46mmol)および無水トリフルオロ酢酸(286.71mg、1.37mmol)を加え、20℃で2h反応させた。反応系に3%クエン酸溶液(30mL)およびジクロロメタン(60mL*2)を加えて抽出を行い、分離により有機相を得て、さらに飽和食塩水(60mL)で中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で精製して、化合物4を得た。HNMR(400MHz,CDCl)δ=8.09(br d,J=5.9Hz,1H),7.40(br d,J=8.6Hz,1H),6.89-6.71(m,1H),5.92-5.79(m,1H),5.41-5.20(m,1H),4.90-4.68(m,1H),4.28(d,J=3.5Hz,1H),4.01-3.82(m,1H),3.61-3.46(m,1H),3.40-3.29(m,2H),2.86(br d,J=11.0Hz,1H),2.81-2.74(m,1H),2.55-2.42(m,1H),2.00-1.62(m,17H),1.40-1.37(m,9H).
【0109】
実施例5
合成経路:
【0110】
ステップ1:化合物5-2の合成
化合物5-1(0.65g、2.67mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解し、次に、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N,N-テトラメチルウロニウム(1.22g、3.21mmol)を反応系に加え、20℃で0.5h攪拌した。次に、ジイソプロピルエチルアミン(863.20mg、6.68mmol)および化合物1-3の塩酸塩(704.37mg、3.21mmol)を反応系にそれぞれ加え、20℃で5h攪拌しながら反応させた。反応液を3%クエン酸(30mL)で直接希釈し、酢酸エチル(60mL)で抽出し、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。カラムで精製して、留分を減圧下で直接濃縮した。化合物5-2を得た。[M+1]+=409.2。
【0111】
ステップ2:化合物5-3の合成
化合物5-2(1g、2.11mmol)をテトラヒドロフラン(18mL)および水(6mL)に溶解し、水酸化リチウム一水和物(176.83mg、4.21mmol)を反応系に加えた。25℃で12h攪拌しながら反応させた。反応液を3%クエン酸(30mL)で希釈し、酢酸エチル(60mL)で抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。精製せずに製品を得た。化合物5-3を得た。[M+1]=381.2。
【0112】
ステップ3:化合物5-4の合成
化合物5-3(1g、2.63mmol)を2-ブタノン(40mL)に溶解し、次に、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(355.13mg、2.63mmol)および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(604.61mg、3.15mmol)を反応系に加え、25℃で0.5h攪拌しながら反応させ、次に、ジイソプロピルエチルアミン(1.36g、10.51mmol)および化合物1-2の塩酸塩(702.28mg、3.15mmol)を反応系に加え、16h攪拌しながら反応させた。反応液をジクロロメタンで抽出し(30mL)、有機相を3%クエン酸(30mL)、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。カラムで精製して化合物5-4を得た。[M+1]=549.3。
【0113】
ステップ4:化合物5-5の合成
化合物5-4(1.24g、2.26mmol)をテトラヒドロフラン(30mL)に溶解し、次に、水素化ホウ素リチウム(147.67mg、6.78mmol)を反応系に加え、25℃で3h攪拌しながら反応させた。反応液をジクロロメタンで抽出し(30mL)、有機相を飽和塩化アンモニウムでクエンチし(30mL)、飽和食塩水で洗浄し(30mL)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。化合物5-5を得た。[M+1]=521.3。
【0114】
ステップ5:化合物5-6の合成
化合物5-5(0.5g、960.32μmol)をジクロロメタン(20mL)に溶解し、次に、デスマーチン試薬(448.04mg、1.06mmol)を反応系に加え、25℃で16h攪拌しながら反応させた。反応は飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)およびチオ硫酸ナトリウム溶液(20mL)でクエンチし、ジクロロメタン(60mL)で抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。化合物5-6を得た。[M+1]=519.3。
【0115】
ステップ6:化合物5-7の合成
化合物5-6(0.6g、1.16mmol)および氷酢酸(83.36mg、1.39mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶解し、次に、tert-ブチルイソシアニド(115.40mg、1.39mmol)を反応系に加え、25℃で3h攪拌しながら反応させた。反応液を水で直接希釈し(20mL)、ジクロロメタン(60mL)で抽出し、有機相を合わせて乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物5-7を得た。[M+1]+=662.4。
【0116】
ステップ7:化合物5-8の合成
化合物5-7(0.4g、604.39μmol)をメタノール(12mL)に溶解し、次に、炭酸カリウム(208.83mg、1.51mmol)の水溶液(6mL)を反応系に加え、25℃で12h攪拌しながら反応させた。反応液を水(50mL)で希釈し、ジクロロメタン(60mL)で抽出し、有機相を合わせて3%クエン酸(15mL)、飽和食塩水(20mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮して化合物5-8を得た。[M+1]=620.4。
【0117】
ステップ8:化合物5-9の合成
化合物5-8(0.35g、564.71μmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、次に、デスマーチン試薬(359.27mg、847.06μmol)を反応系に加え、25℃で12h攪拌しながら反応させた。反応は飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)およびチオ硫酸ナトリウム溶液(20mL)でクエンチし、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後にろ過し、濃縮して、化合物5-9を得た。[M+1]=618.4。
【0118】
ステップ9:化合物5-10の合成
化合物5-9(240mg、388.49μmol)をジクロロメタン(6mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1.5mL)を加え、20℃で1h反応させた。反応液を濃縮して化合物5-10を得た。[M+1]=518.4。
【0119】
ステップ10:化合物5の合成
化合物5-10(180mg、347.72μmol)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、0℃でピリジン(275.05mg、3.48mmol)および無水トリフルオロ酢酸(182.58mg、869.30μmol)を加え、20℃で2h反応させた。反応系にジクロロメタン(60mL)および3%クエン酸溶液(30mL)を加えて抽出を行い、分離により有機相を得て、さらに飽和食塩水(30mL)を加えて抽出を行い、分離により有機相を得て、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。カラムクロマトグラフィーで精製して化合物5を得た。HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 9.79-9.92(m,1H)8.46(d,J=8.13Hz,1H)7.12-7.99(m,2H)5.95-6.29(m,1H)4.89-5.14(m,1H)4.02-4.38(m,2H)3.57-3.86(m,2H)2.87-3.30(m,3H)2.63-2.76(m,1H)2.01-2.42(m,3H)1.36-1.99(m,15H)1.26-1.33(m,9H)1.15-1.26(m,2H).
【0120】
実施例6
合成経路:
【0121】
ステップ1:化合物6-2の合成
水素化ホウ素ナトリウム(10.42g、275.44mmol)をテトラヒドロフラン(300mL)に溶解し、3回窒素置換し、0℃に冷却し、化合物6-1(20g、140.65mmol)をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解し、反応系にゆっくり滴下し、次に、三フッ化ホウ素エチルエーテル(281.30mmol、34.72mL)をゆっくり滴下した。反応液を20℃まで昇温し2h攪拌した。エタノール(1L)を加え、15min攪拌後、反応液を濃縮し、水(100mL)、ジクロロメタン(100mL×3)を加えて抽出を行い、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に濾液を減圧下で濃縮して化合物6-2を得た。HNMR(400MHz,CDCl)δ ppm 3.6(s,2H),1.40-1.56(m,5H),1.23-1.37(m,5H),0.93(s,3H).
【0122】
ステップ2:化合物6-3の合成
化合物6-2(17.99g、140.32mmol)をジクロロメタン(180mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(45.37g、210.47mmol)およびシリカゲル(45g、748.59mmol)を加えた。反応液を20℃で16h攪拌した。反応液をろ過し、濾液を20℃で減圧下で濃縮し、粗生成物6-3を得てそのまま次の反応に供した。HNMR(400MHz,CDCl)δ ppm 9.37(s,1H),1.16-1.54(m,10H),0.93(s,3H).
【0123】
ステップ3:化合物6-4の合成
化合物6-3(17g、134.71mmol)をクロロホルム(150mL)に溶解し、R-フェニルグリシノール(18.48g、134.71mmol)を加え、反応液を20℃で2h攪拌すると、0℃に冷却し、トリメチルシリルシアニド(26.73g、269.42mmol、33.71mL)を加え、反応液を20℃で16h攪拌した。反応液を減圧下で濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)で精製して、化合物6-4を得た。HNMR(400MHz,CDCl)δ ppm 7.13-7.27(m,5H),3.89-3.96(m,1H),3.61-3.69(m,1H),3.37-3.47(m,1H),2.92 - 3.02(m,1H),1.03-1.41(m,10H),0.93(s,3H). [M+1]=273.2.
【0124】
ステップ4:化合物6-5の合成
化合物6-4(10g、36.71mmol)をメタノール(100mL)およびジクロロメタン(100mL)に溶解し、0℃に冷却し、四酢酸鉛(13.56g、27.53mmol)を加え、3回窒素置換し、0℃で2h攪拌しながら反応させた。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(200mL)、ジクロロメタン(45mL×3)を加えて抽出を行い、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に濾液を減圧下で濃縮して粗生成物6-5を得た。[M+1]=241.0.
【0125】
ステップ5:化合物6-6の合成
化合物6-5(5.4g、22.47mmol)を塩酸(6M、490mL)に溶解し、反応液を100℃まで昇温して24h攪拌した。反応液を室温まで冷却し、クロロホルム(300mL×3)で抽出し、水相を減圧下で濃縮して化合物6-6を得た。HNMR(400MHz,CDOD)δ ppm 4.46(s,1H),1.41-1.74(m,10H),1.20(s,3H).
【0126】
ステップ6:化合物6-7の合成
化合物6-6(3.6g、17.33mmol)をメタノール(36mL)に溶解し、トリエチルアミン(52.00mmol、7.24mL)および二炭酸ジ-tert-ブチル(26.00mmol、5.97mL)を加え、反応液を20℃で4h攪拌した。反応液をクエン酸水溶液(3%)でpH=3に調整し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に濾液を減圧下で濃縮して化合物6-7を得た。
【0127】
ステップ7:化合物6-8の合成
化合物6-7(1.5g、5.53mmol)および化合物1-3の塩酸塩(1.46g、6.63mmol)を酢酸エチル(15mL)に溶解し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.86g、22.11mmol、3.85mL)およびn-プロピルリン酸無水物(5.28g、8.29mmol、4.93mL、50%酢酸エチル溶液)を加え、反応液を55℃で16h攪拌した。水(30mL)を反応液に加え、酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0~10:1)で精製して、化合物6-8を得た。[M+1]=437.1.
【0128】
ステップ8:化合物6-9の合成
化合物6-8(1.52g、3.48mmol)をメタノール(15mL)および水(5mL)に溶解し、水酸化リチウム一水和物(166.77mg、6.96mmol)を加え、反応液を20℃で16h攪拌した。反応液を3%クエン酸水溶液でpH=3に調整し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に濾液を減圧下で濃縮して化合物6-9を得た。[M-56+H]=353.2.
【0129】
ステップ9:化合物6-10の合成
化合物6-9(1.42g、3.48mmol)および化合物1-1(1.50g、4.18mmol、TsOH)を酢酸エチル(15mL)に溶解し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.80g、13.92mmol、2.42mL)およびn-プロピルリン酸無水物(5.28g、8.29mmol、4.93mL、50%酢酸エチル溶液)を加え、55℃で16h攪拌しながら反応させた。反応液に30mL水を加え、酢酸エチル(30mL)で3回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0-10:1)で精製して、化合物6-10を得た。[M+1]=577.4.
【0130】
ステップ10:化合物6-11の合成
化合物6-10(605mg、1.05mmol)をTHF(12mL)に溶解し、LiBH(45mg、2.1mmol)を0℃でゆっくり加え、20℃までゆっくり昇温して2h反応させた。反応液に飽和塩化アンモニウム溶液(10mL)をゆっくり加え、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に濾液を減圧下で濃縮して化合物6-11を得た。[M+1]=549.1.
【0131】
ステップ11:化合物6-12の合成
化合物6-11(575mg、1.05mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、デスマーチン試薬(533.35mg、1.26mmol)を加え、反応液を20℃で16h攪拌した。反応液に飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(10mL)および飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)を加え、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0-10:1)で精製して、化合物6-12を得た。[M+1]=547.1.
【0132】
ステップ12:化合物6-13の合成
化合物6-12(330mg、603.63μmol)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、酢酸(72.50mg、1.21mmol、69.04μL)およびシクロペンチルイソシアニド(68.92mg、724.35μmol、80.14μL)を加え、反応液を20℃で2h攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を加え、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0~10:1)で精製して、化合物6-13を得た。[M+1]=702.4.
【0133】
ステップ13:化合物6-14の合成
化合物6-13(304mg、433.12μmol)をメタノール(3mL)および水(2mL)に溶解し、炭酸カリウム(149.65mg、1.08mmol)を加え、反応液を20℃で4h攪拌した。反応液を3%クエン酸水溶液でpH=3に調整し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に濾液を減圧下で濃縮して粗生成物化合物6-14を得て、そのまま次の反応に供した。[M+1]=660.2.
【0134】
ステップ14:化合物6-15の合成
化合物6-14(285.7mg、432.97μmol)をジクロロメタン(6mL)に溶解し、デスマーチン試薬(220.37mg、519.57μmol)を加え、反応液を20℃で16h攪拌した。飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(10mL)および飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)を反応液に加え、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0~10:1)で精製して、6-15を得た。[M+1]=658.4.
【0135】
ステップ15:化合物6-16のトリフルオロアセテートの合成
化合物6-15(265.8mg、404.05μmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(921.40mg、8.08mmol、598.31μL)を加え、反応液を20℃で2h攪拌した。反応液を減圧下で濃縮し、化合物6-16のトリフルオロアセテートを得て、そのまま次の反応に供した。[M+1]=558.3.
【0136】
ステップ16:化合物6の合成
化合物6-16のトリフルオロアセテート(271mg、403.43μmol)をジクロロメタン(3mL)中に溶解し、0℃でピリジン(223.38mg、2.82mmol、227.94μL)および無水トリフルオロ酢酸(127.10mg、605.14μmol、84.17μL)を加え、反応液を20℃までゆっくり昇温して2h攪拌した。水(10mL)を反応液に加え、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、3%クエン酸(50mL)および飽和食塩水(50mL)でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を分取HPLC(クロマトグラフィーカラム:Xtimate C18 100*30mm*3μm;移動相:[A:水(ギ酸)-B:アセトニトリル]:アセトニトリル%:40%-80%、8min)で精製して化合物6を得た。HNMR(400MHz,CDCl)δ ppm 7.01-7.27(m,1H),6.76-6.99(m,1H),6.05-6.46(m,1H),5.02-5.43(m,1H),4.59-4.75(m,1H),4.25-4.49(m,1H),4.09-4.23(m,1H),3.75-4.08(m,1H),3.59-3.73(m,1H),3.25-3.54(m,2H),2.42-2.92(m,3H),1.82-2.37(m,8H),1.25-1.80(m,20H),0.90-1.20(m,4H). [M+1]=654.4.
【0137】
実施例7
合成経路:
【0138】
ステップ1:化合物7-2の合成
7-1(90g、348.41mmol)をジクロロメタン(900mL)に溶解し、デスマーチン試薬(162.55g、383.26mmol)を加えた。反応液を20℃で2h攪拌した。反応液を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(900mL)でクエンチし、炭酸ナトリウム水溶液でpHを7~8に調整し、分液し、水相をジクロロメタン(900mL)で抽出し、有機相を合わせて、減圧下で濃縮し、化合物7-2を得て、粗生成物をそのまま次の反応に供した。
【0139】
ステップ2:化合物7-3の合成
N-シクロペンチルホルムアミド(2.79g、24.68mmol)をジクロロメタン(55mL)に溶解し、20℃でバージェス試薬(7.67g、32.19mmol)を加え、反応液を20℃で1時間攪拌した。水(1.93mL)を加えて30分間攪拌した。次に、7-2(5.5g、21.46mmol)および酢酸(2.45mL)を加え、反応液を20℃で12時間攪拌した。反応液に2.5%亜塩素酸ナトリウム水溶液(105.62mL)を加え、30分間攪拌した。反応液を分液し、水相をジクロロメタン(50mL×2)で抽出し、有機相を合わせて、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物7-3をそのまま次のステップに供した。
【0140】
ステップ3:化合物7-4の合成
7-3(2g、5.41mmol)をメタノール(60mL)および水(30mL)に溶解し、炭酸カリウム(5.04g、36.45mmol)を加え、反応液を20℃で2時間攪拌した。反応液をクエン酸飽和溶液でpH5~6に調整し、次に、ジクロロメタン(100mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を酢酸エチル(50mL)に加え、2時間撹拌しながらn-ヘプタン(50mL)を滴下し、固体をろ過し、ろ過ケーキを真空中で乾燥させて化合物7-4を得た。
[M-100+1]=269.9.
【0141】
ステップ4:化合物7-5の塩酸塩合成
7-4(10g、24.30mmol)を酢酸エチル(20mL)に溶解し、塩化水素・酢酸エチル溶液(4M、5.41mL)を加え、反応液を25℃で12時間攪拌した。反応液をろ過し、濾液を真空中で乾燥させて化合物7-5の塩酸塩を得た。[M+1]=270.0.
【0142】
ステップ5:化合物7-7の合成
化合物7-6(2.00g、6.04mmol)をテトラヒドロフラン(30mL)に溶解し、亜鉛粉末(3.25g、49.70mmol)、二塩化ジルコノセン(2.19g、7.24mmol)およびジブロモメタン(1.15g、6.64mmol)を加え、反応液を80℃に加熱して、5時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水(5mL)を加え、ろ過し、濾液を収集し、メチルtert-ブチルエーテル(100mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を高速シリカゲルクロマトグラフィー法(ISCO(登録商標);12g SepaFlash(登録商標) 高速シリカゲルカラム、溶離液0~20%酢酸エチル/石油エーテル、流速30mL/min)で精製して、化合物7-7を得た。[M+1]=330.1.
【0143】
ステップ6:化合物7-8の合成
窒素保護下、ジエチル亜鉛(1M、THF、37.95mL)をジクロロメタン(45mL)に加え、反応液を0℃で攪拌し、次に、トリフルオロ酢酸(4.33g、37.95mmol)を加え、30分間攪拌した。化合物7-7(2.50g、7.59mmol)のジクロロメタン溶液(70mL)を加え、反応液を25℃でまでゆっくり昇温して16時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)を加えて分液し、水相をジクロロメタン(100mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を高速シリカゲルクロマトグラフィー法(ISCO(登録商標);12g SepaFlash(登録商標) 高速シリカゲルカラム、溶離液0~20%酢酸エチル/石油エーテル、流速30mL/min)で精製して、化合物7-8を得た。[M+1]=344.1.
【0144】
ステップ7:化合物7-9の合成
化合物7-8(600.00mg、1.75mmol)をエタノール(30mL)に溶解し、ジオキサン塩酸塩溶液(4M、500.00μL)および乾燥パラジウム炭素(200mg、10%含有量)を加え、反応液を水素雰囲気下(15Psi)、25℃で12時間撹拌しながら反応させた。反応液をろ過し、濾液を収集して減圧下で濃縮し、化合物7-9を得て、粗生成物をそのまま次のステップに供した。
【0145】
ステップ8:化合物7-10の合成
化合物7-9A(852.41mg、3.69mmol)および7-9(735.00mg、3.51mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(30mL)およびジクロロメタン(40mL)に溶解し、2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(1.81g、4.77mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.36g、10.53mmol)を加え、反応液を窒素保護下で25℃で16時間撹拌しながら反応させた。反応液を4Mクエン酸水溶液200mlに注ぎ、ジクロロメタン(100mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を高速シリカゲルクロマトグラフィー法(ISCO(登録商標);12g SepaFlash(登録商標) 高速シリカゲルカラム、溶離液0~20%酢酸エチル/石油エーテル、流速30mL/min)で精製して、化合物7-10を得た。[M+Na]=445.2。
【0146】
ステップ9:化合物7-11の合成
化合物7-10(1.30g、3.08mmol)をテトラヒドロフラン(6mL)、水(6mL)およびメタノール(6mL)に溶解し、水酸化リチウム一水和物(387.30mg、9.23mmol)を加え、反応液を25℃で1時間撹拌しながら反応させた。反応液をジクロロメタン100mLに注ぎ、希釈し、次に、1N塩酸水溶液50mLを加えて分液し、有機相を抽出し、水相をジクロロメタン(50mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後に濾液を減圧下で濃縮し、化合物7-11を得て、粗生成物をそのまま次のステップに供した。[M-tBu+1]=339.1.
【0147】
ステップ10:化合物7-12の塩酸塩の合成
化合物7-11(1.20g、3.04mmol)をtert-ブチルメチルエーテル(10mL)に溶解し、塩化水素・酢酸エチル(4M、760.45μL)を加え、反応液を25℃で0.5時間撹拌しながら反応させた。反応液を減圧下で濃縮し、化合物7-12の塩酸塩を得て、粗生成物をそのまま次のステップに供した。[M+1]=295.1.
【0148】
ステップ11:化合物7-13の合成
化合物7-12の塩酸塩(1.20g、3.63mmol)をメタノール(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(1.84g、18.14mmol)およびトリフルオロ酢酸エチル(1.03g、7.25mmol)を加え、反応液を25℃で12時間撹拌しながら反応させた。反応液を減圧下で濃縮し、ジクロロメタン(100mL)を加え、5%クエン酸水溶液100mLで洗浄し、分液しで抽出し、水相をジクロロメタン(200mL×2)で抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、有機相を濃縮乾固した。粗生成物をメチルtert-ブチルエーテルと石油エーテル(1:6、10mL)の混合溶媒中で25℃で1時間攪拌し、ろ過することによって粗生成物7-13を得て、そのまま次のステップに供した。[M+1]=390.9.
【0149】
ステップ12:化合物7-13Aおよび7-13Bの合成
化合物7-13(100mg、256.15μmol)を分取HPLC(クロマトグラフィーカラム:Xtimate C18 150*40mm*5μm;移動相:[A:水(塩酸)-B:アセトニトリル];アセトニトリル%:43%-63%、10min)で精製して、7-13A(前ピーク、保持時間:4.198min、[M+1]=391.2)および7-13B(後ピーク、保持時間:4.377min、[M+1]=391.2)を得た。分析方法:クロマトグラフィーカラム:ChromCore 120 C18 3μm、3.0*30mm;移動相:[A:水(トリフルオロ酢酸)-B:アセトニトリル];アセトニトリル%:10%-80%6分間内、その後80%0.5分間保持、流速0.8mL/分間。
【0150】
ステップ13:化合物7-14Aの合成
化合物7-13A(35mg、89.65μmol)および7-5の塩酸塩(41.12mg)をDCM(0.5mL)に溶解し、1-エチル-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(20.62mg、107.58μmol)、2-ヒドロキシピリジン-1-オキシド(2.49mg、22.41μmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(34.76mg、268.96μmol)を加え、反応液を25℃で1時間撹拌しながら反応させた。反応液をジクロロメタン(5mL)で希釈し、飽和クエン酸水溶液(1mL)および飽和食塩水(1mL)でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、有機相を濃縮乾固して、粗生成物7-14Aを得て、そのまま次のステップに供した。[M+1]=642.2。
【0151】
ステップ14:化合物7-14Bの合成
化合物7-13B(25.00mg、64.04μmol)および7-5の塩酸塩(29.37mg)をDCM(0.5mL)に溶解し、1-エチル-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(14.73mg、76.84μmol)、2-ヒドロキシピリジン-1-オキシド(1.78mg、16.01μmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(24.83mg、192.11μmol)を加え、反応液を25℃で1時間撹拌しながら反応させた。反応液をジクロロメタン(5mL)で希釈し、飽和クエン酸水溶液(1mL)および飽和食塩水(1mL)でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、有機相を濃縮乾固して、粗生成物7-14Bを得て、そのまま次のステップに供した。[M+1]=642.2。
【0152】
ステップ15:化合物7Aの合成
化合物7-14A(50mg、77.92μmol)をDCM(0.5mL)に溶解し、デスマーチン試薬(39.66mg、93.50μmol)を加え、反応液を25℃で1時間撹拌しながら反応させた。反応液をジクロロメタン(10mL)で希釈し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(2mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2mL)および飽和食塩水(2mL)でそれぞれ洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、有機相を濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=1:1~0:1)で精製して、化合物7Aを得た。[M+1]=640.2。
【0153】
ステップ16:化合物7Bの合成
化合物7-14B(35mg、54.54μmol)をDCM(0.5mL)に溶解し、デスマーチン試薬(27.76mg、65.45μmol)を加え、反応液を25℃で1時間撹拌しながら反応させた。反応液をジクロロメタン(10mL)で希釈し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(2mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2mL)および飽和食塩水(2mL)でそれぞれ洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、有機相を濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=1:1~0:1)で精製して、化合物7Bを得た。HNMR(400MHz,CDCl)δ ppm 8.95(br d,J=4.02Hz,1H),7.31(br d,J=9.29Hz,1H),6.76(br d,J=7.78Hz,1H),5.56(s,1H),5.00-5.10(m,1H),4.71(d,J=9.03Hz,1H),4.44(s,1H),4.10-4.19(m,1H),4.05(t,J=9.91Hz,1H),3.66(dd,J=6.40,10.67Hz,1H),3.28-3.37(m,2H),3.02(q,J=7.11Hz,1H),2.37-2.53(m,3H),1.95-2.25(m,5H),1.81-1.92(m,2H),1.64-1.76(m,1H),1.63-1.78(m,4H),1.39-1.51(m,3H),1.20-1.35(m,3H),1.06-1.08(m,1H),1.08(s,9H),0.56-0.59(m,3H),0.45-0.48(m,1H).[M+1]=640.2.
【0154】
生物学的試験
【0155】
実験例1:新型コロナウイルスMproプロテアーゼに対する被験化合物のインビトロでの阻害活性の評価
1.実験材料:
1.1試薬、消耗品、およびソース:
Tris:Sigma;
EDTA:Sigma;
NaCl:Sigma;
384 well Plate:Perkin Elmer;
Dimethyl sulfoxide(DMSO):Sigma;
Substrate(Dabcyl-KTSAVLQSGFRKM-(Edans)):GenScript;
SARS-CoV-2 Mpro:WuXi AppTec;
GC376:TargetMol。
1.2機器、ソース:
SpectraMax M2e マイクロプレートリーダー:Molecular Devices;
Echo 655 リキッドハンドラー:Labcyte;
卓上高速遠心機:Eppendorf。
2.実験方法:
化合物をDMSOに溶解し、被験濃度の要件に従ってEcho655を用いて3倍勾配で希釈し、10つの濃度点として、1濃度あたり2つの二重ウェルとして、384ウェルプレートに入れた。Mproタンパク質と基質を試験緩衝液(100mM NaCl、20mM Tris-HCL、1mM EDTA)で希釈し、Mproタンパク質を384ウェルのテストプレートに加え、化合物とともに室温で30minインキュベートし、次に、基質を加え、試験濃度はMproタンパク質が25nM、基質が25μMであった。30℃の恒温インキュベーターで60分間インキュベートした。その後、マイクロプレートリーダーを使用して、Ex/Em=340nm/490nmの蛍光シグナル値を検出した。同時に、基質と化合物の両方を含むが、Mproタンパク質を含まないバックグラウンドウェルがコントロールとして検出された。
3. データ分析:
1)阻害率は以下の式を用いて算出された。
阻害率%=[(化合物-BG化合物)-(ZPE-BGZPE)]/[(HPE-BGHPE)-(ZPE-BGZPE)] * 100%
HPE:100%阻害のコントロールとし、25nM Mproタンパク質+25μM基質+1μM GC376を含む
ZPE:阻害のコントロールがなく、25nM Mproタンパク質+25μM基質を含むが、化合物を含まない
化合物:試験化合物ウェル。25nM Mproタンパク質+25μM基質+化合物を含む
BG:バックグラウンドコントロールウェル。25μM基質+化合物を含むが、Mproタンパク質を含まない
2)化合物の阻害率データ(阻害率%)を、GraphPad Prismソフトウェアを用いてlog(agonist)vs. response--Variable slope非線形フィッティングによる分析を行い、化合物のIC50値を得て、実験結果を表1に記載している。
結論:本発明の化合物は、優れたインビトロでの新型コロナウイルスMproプロテアーゼに対する阻害活性を有する。
【0156】
実験例2:化合物のインビトロでの抗コロナウイルス活性を評価するための細胞変性モデルの応用
1.実験材料
1.1. 試薬、消耗品、およびソース
MEM培地:Sigma;
L-グルタミン(L-Glutamine):Gibco;
非必須アミノ酸:Gibco;
二重抗体(Penicillin-Streptomycin Solution):
HyClone;
ウシ胎児血清(FBS):ExCell;
リン酸緩衝液(DPBS):Corning;
0.25%トリプシン:Gibco
CellTiter Glo細胞生存性アッセイキット:Promega;
レムデシビル(Remdesivir):MCE;
96 ウェルプレート:Grenier。
1.2. 機器とソース
マイクロプレートリーダー:BioTek;
セルカウンター:Beckman;
COインキュベーター:Thermo。
1.3.細胞とウイルス
MRC5細胞とコロナウイルスHCoV OC43はATCCから購入した。
MRC5細胞は、10%ウシ胎児血清(Excell)、1%二重抗体(Hyclone)、1%L-グルタミン(Gibco)および 1%非必須アミノ酸(Gibco)を添加したMEM(Sigma)培地で培養した。5%ウシ胎児血清(Excell)、1%二重抗体(Hyclone)、1%L-グルタミン(Gibco)および1%非必須アミノ酸(Gibco)を添加したMEM(Sigma)培地を実験培地とした。
2.実験方法
細胞を一定の密度(表2)で96ウェルマイクロプレートに播種し、5%CO、37℃のインキュベーター内で一晩培養した。翌日、倍率希釈した化合物(8濃度点、2つの二重ウェル)を1ウェルあたり50μLずつ添加した。次いで、希釈したウイルスを、1ウェルあたり100TCID50、1ウェルあたり50μLで細胞に添加した。細胞コントロール(細胞、化合物処理またはウイルス感染を行わない)、ウイルスコントロール(ウイルスに感染した細胞、化合物処理なし)および培地コントロール(培地のみ)を設定した。該実験の培地の最終容量は200μL、培地中のDMSOの最終濃度は0.5%であった。細胞は5%CO、33℃のインキュベーターで5日間培養した。細胞生存性は、細胞生存性アッセイキットCellTiter Glo(Promega)を用いて検出した。細胞毒性アッセイは、抗ウイルスアッセイと同じ条件で行ったが、ウイルス感染はなかった。
3.データ分析
化合物の抗ウイルス活性および細胞毒性は、それぞれ、異なる濃度における化合物のウイルス誘発細胞変性効果の阻害率(%)および細胞生存率(%)で表した。計算式は以下の通りであった。
阻害率(%)=(テストウェルの読み取り値-ウイルスコントロールの平均値)/(細胞コントロールの平均値-ウイルスコントロールの平均値)×100
細胞生存率(%)=(テストウェルの読み取り値-培地コントロールの平均値)/(細胞コントロールの平均値-培地コントロールの平均値)×100
化合物の阻害率および細胞生存率を、GraphPad Prismを用いて非線形フィッティングによる分析を行い、化合物の半数効果濃度(EC50)および半数細胞毒性濃度(CC50)の値を算出し、実験結果を表3に記載している。
結論:本発明の化合物は、細胞レベルでの優れたインビトロでの抗コロナウイルス活性を有し、細胞毒性を有さない。
【0157】
実験例3:マウス薬物動態学的試験
本研究では、C57BL/6J雄マウスを供試動物として使用し、LC/MS/MS法を適用して、静脈内注射および強制経口投与したマウスの異なる時点における試験化合物の血漿中濃度を定量的に測定し、マウスにおける被験薬の薬物動態プロファイルを評価する。
試験化合物溶液を、マウス(一晩絶食、6~8週齢)に経口投与および強制経口投与した。動物の静脈内投与後、0.083h、0.25h、0.5h、1.0h、2.0h、4.0h、8.0h、24.0hの時点でマウスの伏在静脈から40μLの血液を採取し、EDTA-K2を添加した抗凝固チューブに入れ、4℃、3200gで10min遠心分離して血漿を回収した。血漿サンプルを処理した後、LC-MS/MS法により血中薬物濃度を測定した。動物の強制経口投与後、0.25h、0.5h、1.0h、2.0h、4.0h、6.0h、8.0h、24.0hの時点でマウスの伏在静脈から40μLの血液を採取し、EDTA-K2を添加した抗凝固チューブに入れ、4℃、3200gで10min遠心分離して血漿を回収した。血漿サンプルを処理した後、LC-MS/MS法により血中薬物濃度を測定した。実験結果を表4および表5に記載している。
NDは検出されなかったことを示し、NAは測定しなかったことを示している。
結論:本発明の化合物は、参照分子PF-07321332よりも、血漿中での曝露が著しく高く、クリアランス速度が遅く、半減期が長く、薬物動態学的特性が優れている。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IV)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩。
(ここで、
は、式
で示される基およびRから選択され、
はそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OR11、CN、CHS(O)-およびNHR12、ならびにC1~3アルキルから選択され、前記C1~3アルキルは、1、2または3個のFで任意選択的に置換され、
11は、H、C1~3アルキル、CH(OCHCH-およびH(OCHCH-から選択され、前記C1~3アルキルは、1、2または3個のFで任意選択的に置換され、
12は、C1~3アルキル、CHCO-およびCHSO-から選択され、前記C1~3アルキル、CHCO-およびCHSO-は任意かつ独立に、1、2または3個のFで置換され、
mは、0、1および2から選択され、
pおよびqは、1、2、3、4、5および6から選択され、
nは、0、1、2、3および4から選択され、
は、C1~4アルキル、C3~6シクロアルキルおよびベンジルから選択され、前記C1~4アルキル、C3~6シクロアルキルおよびベンジルは、1、2または3個のFで任意選択的に置換され、
は、1、2または3個のFで任意かつ独立に置換されたC1~8アルキルから選択され、
環Aは、C3~10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキルおよびフェニルから選択され、
環Bは、C3~8シクロアルキルおよび5員ヘテロシクロアルキルから選択され、前記C3~8シクロアルキルおよび5員ヘテロシクロアルキルは、1または2個のRで任意選択的に置換され、
はそれぞれ独立して、HおよびC1~3アルキルから選択される。)
【請求項2】
は、Fおよびメチルから選択される
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
環Aは、C3~10シクロアルキルから選択される
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
環Aは、式
で示される基からなる群から選択される
請求項3に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】

で示される構造単位は、式
で示される基からなる群から選択される
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
は、tert-ブチルから選択される
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
は、Hおよびメチルから選択される
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
環Bは、式
で示される基からなる群から選択される
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】

で示される構造単位は、式
で示される基からなる群から選択される
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
化合物は、式(I-1)、(IV-1)および(IV-2)で示される構造から選択され、
ここで、R、R、R、nおよび環Aは、請求項1~5のいずれか1項に定義されるとおりである
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
化合物は、式(I-1a)、(IV-1a)および(IV-2a)で示される構造から選択され、
ここで、R、R、R、nおよび環Aは、請求項10に定義されるとおりである
請求項10に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
下式で示される化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
下式で示される化合物から選択される、請求項12に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
コロナウイルス感染を治療する医薬品の製造における、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および他の抗ウイルス薬の使用。
【請求項15】
前記コロナウイルスは、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、SARS-CoV、MERS-CoVまたはSARS-CoV-2およびそれらの変異体であることを特徴とする
請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記他の抗ウイルス薬は、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、サキナビル、アンプレナビルまたはロピナビルであることを特徴とする
請求項14に記載の使用。
【国際調査報告】