(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】空調および/または暖房システムを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20240711BHJP
B60H 3/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B60H1/22 651C
B60H3/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505092
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2022070978
(87)【国際公開番号】W WO2023006768
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ジンミン、リウ
(72)【発明者】
【氏名】モハメド、ヤヒア
(72)【発明者】
【氏名】ロラン、アキキ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラン、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン、カール
(72)【発明者】
【氏名】ミュリエル、ポルト
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA04
3L211CA16
3L211EA32
3L211EA35
3L211EA44
3L211EA45
3L211EA56
3L211EA57
3L211FB05
3L211GA23
3L211GA26
(57)【要約】
本発明は、車両の車室へ送られるように企図された内気流(FAI)の空調および/または加熱のためのシステムを制御するための方法に関し、当該システムは冷媒(FR)の循環のためのループ(100)を備え、当該ループは、内気流(FAI)を冷却するための、冷媒(FR)と当該内気流との間での第1熱交換器(120)と、内気流(FAI)の循環方向で第1熱交換器(120)の下流側に位置した、内気流を加熱するための、冷媒(FR)と当該内気流または熱伝達流体(FC)との間での第2熱交換器(140)とを備える。当該方法は、内気流(FAI)を除湿するためのモードを複数の除湿モードから選出する少なくとも1つの段階(30)を具備し、当該選出段階(30)は、湿度制御パラメータと称されるシステムの少なくとも3つのパラメータの予め作成されたマップに基づいて実施され、それらのパラメータは、第1熱交換器(120)の上流側における内気流(FAI)の実温度(Tair_Hvac_in)、第2熱交換器(140)の下流側における温度設定値(Tinnercd_sp)、第1熱交換器(120)の下流側における温度設定値(Tevap_sp)、第1交換器を通る内気流の流量(Q)、空気の周囲温度(Tamb)、および/または空気の湿度(Hair)から選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室へ送られるように企図された内気流(FAI)の空調および/または加熱のためのシステムを制御するための方法であって、前記システムは冷媒(FR)の循環のためのループ(100)を備え、当該ループは、
- 前記内気流(FAI)を冷却するための、前記冷媒(FR)と当該内気流との間での第1熱交換器(120)と、
- 前記内気流(FAI)の循環方向で前記第1熱交換器(120)の下流側に位置した、前記内気流を加熱するための、前記冷媒(FR)と当該内気流または熱伝達流体(FC)との間での第2熱交換器(140)と、
を備え、
当該方法は、前記内気流(FAI)を除湿するためのモードを複数の除湿モードから選出する少なくとも1つの段階(30)を具備し、当該選出段階(30)は、湿度制御パラメータと称される前記システムの少なくとも3つのパラメータの予め作成されたマップに基づいて実施され、それらのパラメータは、前記第1熱交換器(120)の上流側における前記内気流(FAI)の実温度(T
air_Hvac_in)、前記第2熱交換器(140)の下流側における温度設定値(T
innercd_sp)、前記第1熱交換器(120)の下流側における温度設定値(T
evap_sp)、前記第1交換器を通る前記内気流の流量(Q)、空気の周囲温度(T
amb)、および/または空気の湿度(H
air)から選択される、制御方法。
【請求項2】
前記システムのパラメータのマップは、前記第1熱交換器(120)の上流側における前記気流の実温度(T
air_Hvac_in)、前記第2熱交換器(140)の下流側における温度設定値(T
innercd_sp)、および追加パラメータと称される他の湿度制御パラメータのうちの1つないし複数、並びに/または、これらの制御パラメータを算出ないし推定することを可能とする別のパラメータに応じて作成される、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記追加パラメータないしは前記追加パラメータのうちの1つは、前記第1交換器(120)の下流側における温度設定値(T
evap_sp)である、請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記追加パラメータないしは前記追加パラメータのうちの1つは、前記第1熱交換器(120)における前記空気の流量(Q)である、請求項2または3に記載の制御方法。
【請求項5】
除湿構成を決定する事前段階(20)を具備し、当該事前段階(20)が前記周囲温度(T
amb)の値に応じて実行される、前記請求項のうちいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記内気流を除湿するためのモードのうちの1つから、前記内気流を除湿するためのモードのうちのもう1つへと前記システムが切り替わるモード変更段階(40)を具備し、当該モード変更段階(40)が、前記除湿モードを選出する段階(30)の後に実施される、前記請求項のうちいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項7】
前記モード変更段階(40)は、前記第2交換器(140)の下流側における温度設定値(T
innercd_sp)または前記第1交換器(120)の下流側における温度設定値(T
evap_sp)が温度閾値(T
innercd_limit)に達したかどうかに依って実行される、請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記冷媒循環ループ(100)は、
- 前記冷媒(FR)と外気流(FAE)との間での第3熱交換器(160)であって、前記冷媒のための蒸発器および/または凝縮器として機能を選択的に果たすことのできる第3熱交換器(160)と、
- 前記冷媒のための圧縮機(110)と、
を更に備えている、前記請求項のうちいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項9】
前記冷媒ループ(100)は、
- 前記冷媒(FR)が、前記圧縮機(110)から、前記第2交換器(140)を備えた直列凝縮分枝と称される直列分枝(BSC)、前記第3交換器(160)を備えた中間直列分枝と称される直列分枝(BSI)、および前記第1交換器(120)を備えた直列蒸発分枝と称される直列分枝(BSE)を通って順次循環する、前記内気流(FAI)を除湿するための少なくとも1つの直列モード(DEHUM1,DEHUM2)と、
- 前記冷媒(FR)が、前記圧縮機(110)から、凝縮分枝(BPC)内、次に接続部(EB)から、蒸発器としての機能を果たす前記第3交換器(160)を備えた第1並列蒸発分枝と称される第1並列分枝(BPE1)内と、前記第1交換器(120)を備えた第2並列蒸発分枝と称される第2並列列分枝(BPE2)内とを並列で、順次循環する、前記内気流(FAI)を除湿するための少なくとも1つの並列モード(DEHUM3,DEHUM4)と、
で選択的に作動する、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記冷媒ループ(100)は、前記第2交換器(140)の下流側における温度設定値(T
innercd_sp)または前記第1交換器(120)の下流側における温度設定値(T
evap_sp)が第1温度閾値(T
innercd_limit1)に達したときに、前記内気流を除湿するための直列モードのうち第1のもの(DEHUM1)から、前記内気流を除湿するための直列モードのうち第2のもの(DEHUM2)へ、或いはその逆へと切り替わり、前記第1から前記第2の直列除湿モードへの切り替わりは、前記第2交換器(140)を通過する前記内気流(FAI)の割合を変化させる、請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記冷媒ループ(100)は、前記第2交換器(140)の下流側における温度設定値(T
innercd_sp)または前記第1交換器(120)の下流側における温度設定値(T
evap_sp)が第2温度閾値(T
innercd_limit2)に達したときに、前記内気流を除湿するための直列モードのうちの1つ(DEHUM2)から、前記内気流を除湿するための並列モードのうち第1のもの(DEHUM3)へ、或いはその逆へと切り替わる、請求項9と請求項10のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項12】
前記冷媒ループ(100)は、前記第2交換器(140)の下流側における温度設定値(T
innercd_sp)または前記第1交換器(120)の下流側における温度設定値(T
evap_sp)が第3温度閾値(T
innercd_limit3)に達したときに、前記内気流を除湿するための並列モード(DEHUM3,DEHUM4)のうちの1つから、前記内気流を除湿するための並列モードのうち第2のもの(DEHUM3,DEHUM4)へ、或いはその逆へと切り替わり、前記内気流を除湿するための第1の並列モードにおける第1膨張部材(130)の開度が、前記内気流を除湿するための第2の並列モードにおける当該第1膨張部材(130)の開度よりも大きく、前記第1から前記第2の並列除湿モードへの切り替わりは、前記第1交換器(120)を通過する前記冷媒の割合を変化させる、請求項9から11のいずれか一項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車両用の、空調(空気調節)および/または暖房システムを制御するための方法に関する。本発明は、より特定的には、上述の空調および/または暖房システムによって自動車両の車室内の湿度を制御することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車両には一般的に、車両の様々な区域や様々な構成要素を加熱したり冷却したりするのに用いられる冷媒の循環のためのループを備えた熱調整回路が設けられている。この回路を、車両の車室内へと送られる気流を熱的に処理するのに用いることが既知の慣行となっている。
【0003】
内燃機関の設けられた車両において、機関によって放出される熱エネルギーは、概して車室を暖房するのに十分なものである。これは、ハイブリッドや電動の車両についてはそうではない。
【0004】
そこで、空調モードで作動することで車両の車室を空調するのみならず、ヒートポンプ・モードで作動することでその車室を暖房するのにも熱調整回路を用いることが提案されてきている。
【0005】
これら従来の作動モードに加えて、車内へ導入される空気が多湿すぎるのを防止するように熱調整回路を除湿モードで用いることも既知の慣行となっている。多湿すぎることは、乗員乗客にとって不快であり、ウインドシールド(フロントガラス)やウインドウ(サイドガラス等)を曇らせてしまうかもしれないのである。この作動モードは、車室へ進入するように企図された空気を(乾燥させるために)前もって冷却してから、冷却されすぎた空気が車両の使用者へ送られないように、この空気を加熱することに基づいている。更に様々な除湿モードが知られており、車室内の所望の温度に応じて用いられている。
【0006】
既知の暖房および/または空調システムは従来、少なくとも気流を冷却するための第1熱交換器と、当該気流を加熱するための第2熱交換器とを備えた、冷媒の循環のためのループを具備している。第1交換器の下流側で気流が冷却されている温度と、第2交換器の下流側で気流が加熱されている温度とが、車両の車室内に望まれる気温および湿度の水準に応じて、ある設定値によって定められる。
【0007】
これらの空調および/または暖房システムにおいては、空調システムないしはその一部が、コンピューターによって制御される、そのコンピューターの役割は、車室内に望まれる気温に応じて、空調モード、ヒートポンプ・モード、および(1つないし複数の)除湿モードのうち最適なモードを決定することである。
【0008】
複数の除湿モードが存在する場合、コンピューターは、吹出し空気が所望の温度ではないときにモードを変更することができる。システムの熱慣性のせいで、乗員乗客が、暖かい気流を期待しているときには知覚される気流が冷たいと感じたり、その逆であったりすることとなるリスクがある。
【0009】
そのような反復的な調整は、特に遅いものとなってしまう可能性があり、この時間の間、車両の使用者らが不快な思いをし続けてしまう。使用者らは、要求温度を調節しがちでもあり、それだけ一層システムの動作が混乱してしまうこととなる。
【発明の概要】
【0010】
本発明による方法は、車両の使用者らにとって受け入れられる快適な状態を、既知の方法よりも迅速に達成することを目的としている。使用者のうちの一人が車室内の温度変更を求めている場合、本発明の方法は、適切な除湿モードを選び出すか、少なくとも適切な除湿モードへより容易に近付けることを可能とするものである。
【0011】
この点において本発明は、車両の車室へ送られるように企図された内気流(内部空気流)の空調および/または加熱のためのシステムを制御するための方法であって、当該システムは冷媒の循環のためのループを備え、当該ループは、
- 内気流を冷却するための、冷媒と当該内気流との間での第1熱交換器と、
- 内気流の循環方向で第1熱交換器の下流側に位置した、内気流を加熱するための、冷媒と当該内気流または熱伝達流体との間での第2熱交換器と、
を備え、
当該方法は、内気流を除湿するためのモードを複数の除湿モードから選出する少なくとも1つの段階を具備し、当該選出段階は、湿度制御パラメータと称されるシステムの少なくとも3つのパラメータの予め作成されたマップに基づいて実施され、それらのパラメータは、第1熱交換器の上流側における内気流の実温度、第2熱交換器の下流側における温度設定値、第1交換器の下流側における温度設定値、第1交換器を通る当該内気流の流量、空気の周囲温度、および/または空気の湿度から選択される、制御方法を提案するものである。第1熱交換器の上流側における内気流の温度は、測定ないしは推定されるやり方で「実際」のものである。
【0012】
本発明の方法において、除湿モードの選出は、既知の方法よりも早い。予め決められたマップによって、適切な除湿モード、ないしは、それに近づく除湿モードを、より直接的に選出することが可能となるのである。
【0013】
選択されたデータ、即ち第1熱交換器の上流側における内気流の実温度、第2熱交換器の下流側における温度設定値、第1交換器の下流側における温度設定値、第1交換器を通る当該内気流の流量、空気の周囲温度、および/または空気の湿度を調査することによって、本件出願人は、予め定められた除湿モードを、使用されるデータの各組と(マップ形態で)関連付けることができてきた一方で、次のことに気付いている。即ち、これらのデータ項目のうち少なくとも3つが用いられるならば、かくして選び出されたモードによって、反復を伴うことなく、ないしは反復回数を極めて最小限にしつつ所望の結果を達成し、或いは所望の結果に近付けることが可能となる、ということである。計測され、および/または設定値によって定められた関連データが知られている場合には、除湿モードを選出するためのデータの全てをマップが包含していることから、求められる除湿モードを選出するのにかかる時間が短縮されるのである。
【0014】
従って、本発明による方法は、使用者らによって望まれる周囲温度をより迅速に得て、使用者らの快適性を向上させることを可能とするのである。その方法はまた、上述した既知の方法に比べて、より少ない計算能力しか必要としない。
【0015】
一緒に、或いは別々に採用することのできる本発明の様々な特徴によれば、
- システムのパラメータのマップは、第1熱交換器の上流側における気流の実温度、第2熱交換器の下流側における温度設定値、および追加パラメータと称される他の湿度制御パラメータのうちの1つないし複数、並びに/または、これらの制御パラメータを算出ないし推定することを可能とする別のパラメータに応じて作成され、
- 追加パラメータないしは当該追加パラメータのうちの1つは、第1交換器の下流側における温度設定値であり、
- 追加パラメータないしは当該追加パラメータのうちの1つは、第1熱交換器における空気の流量であり、
- 当該方法は、除湿構成を決定する事前段階を具備し、当該事前段階が周囲温度の値に応じて実行され、
- 当該方法は、内気流を除湿するためのモードのうちの1つから、内気流を除湿するためのモードのうちのもう1つへとシステムが切り替わるモード変更段階を具備し、当該モード変更段階が、除湿モードを選出する段階の後に実施され、
- 当該モード変更段階は、第2交換器の下流側における温度設定値が温度閾値に達したかどうかに依って実行され、
- 当該モード変更段階は、第1交換器の下流側における温度設定値が温度閾値に達したかどうかに依って実行され、
- 冷媒循環ループは、
・冷媒と外気流(外部空気流)との間での第3熱交換器であって、冷媒のための蒸発器および/または凝縮器として機能を選択的に果たすことのできる第3熱交換器と、
・冷媒のための圧縮機と、
を更に備えており、
- 冷媒ループは、
・当該冷媒が、圧縮機から、第2交換器を備えた直列凝縮分枝と称される直列分枝、第3交換器を備えた中間直列分枝と称される直列分枝、および第1交換器を備えた直列蒸発分枝と称される直列分枝を通って順次循環する、内気流を除湿するための少なくとも1つの直列モードと、
・当該冷媒が、圧縮機から、凝縮分枝内、次に接続部から、蒸発器としての機能を果たす第3交換器を備えた第1並列蒸発分枝と称される第1並列分枝内と、第1交換器を備えた第2並列蒸発分枝と称される第2並列列分枝内とを並列で、順次循環する、内気流を除湿するための少なくとも1つの並列モードと、
で選択的に作動し、
- 冷媒ループは、第2交換器の下流側における温度設定値または第1交換器の下流側における温度設定値が第1温度閾値に達したときに、内気流を除湿するための直列モードのうち第1のものから、内気流を除湿するための直列モードのうち第2のものへ、或いはその逆へと切り替わり、第1から第2の直列除湿モードへの切り替わりは、第2交換器を通過する内気流の割合を変化させ、
- 冷媒ループは、第2交換器の下流側における温度設定値または第1交換器の下流側における温度設定値が第2温度閾値に達したときに、内気流を除湿するための直列モードのうちの1つから、内気流を除湿するための並列モードのうち第1のもの、或いはその逆へと切り替わり、
- 冷媒ループは、第2交換器の下流側における温度設定値または第1交換器の下流側における温度設定値が第3温度閾値に達したときに、内気流を除湿するための並列モードのうちの1つから、内気流を除湿するための並列モードのうち第2のものへ、或いはその逆へと切り替わり、内気流を除湿するための当該第1の並列モードにおける第1膨張部材の開度が、内気流を除湿するための第2の並列モードにおける当該第1膨張部材の開度よりも大きく、第1から第2の並列除湿モードへの切り替わりは、第1交換器を通過する冷媒の割合を変化させる。
【0016】
本発明の更なる目的および特徴は、添付図面を参照して与えられる以下の説明から、よりはっきりと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による制御方法を実施することを可能とする冷媒循環ループの模式的な描写。
【
図2A】第1の直列除湿モードでの作動を可能とする構成における
図1の冷媒循環ループの模式的な描写。
【
図2B】第2の直列除湿モードでの作動を可能とする構成における
図1の冷媒循環ループの模式的な描写。
【
図3】並列除湿モードでの作動を可能とする構成における
図1の冷媒循環ループの模式的な描写。
【
図4】周囲温度に応じて選出され得る様々な除湿モードを模式的に描くグラフ。
【
図5】本発明の好適な一実施形態において選出され得る様々な除湿モードのマップを示す図。
【
図6】第1熱交換器の下流側における温度設定値に応じての、第2熱交換器の下流側における第1、第2、および第3温度設定値の閾値の変化を示すために、
図6a、
図6b、
図6cが
図5を部分的に再現している図。
【
図7】
図5のマップに基づいた実施形態に従って適切な除湿モードを選出するためのアルゴリズムの模式的な描写。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を読み取るのをより容易にするため、同一の要素同士には同じ参照符号が付されている。幾つかの要素やパラメータには、序数が与えられ、換言すれば、例えば第1要素や第2要素、或いは第1パラメータや第2パラメータなどと称され得る。この序数化の目的は、似て非なる要素同士やパラメータ同士の間での区別を成すことである。この序数化は、1つの要素やパラメータが別のものに少しでも優先することを意味するものではなく、名称同士を入れ換えることができる。
【0019】
以下の説明において、「第2要素の上流側の第1要素」と言う表現は、流体の循環ないしは進行の方向に対して第1要素が第2要素の前に位置していることを意味する。同様に「第2要素の下流側の第1要素」と言う表現は、当該流体の循環ないしは進行の方向に対して第1要素が第2要素の後ろに位置していることを意味する。
【0020】
本発明は、車両の車室へ送られるように企図された内気流(FAI)の空調および/または加熱用のシステムを制御するための方法に関するものである。空調システムは、冷媒FRのための循環ループ100を備えている。この点で、冷媒に関しての上流側や下流側の概念は、ループの圧縮装置から出発して(新たなサイクルが始まる前に)当該圧縮装置へ戻る単一のサイクルにおいて冷媒によってループ内で成される行程との関連において理解されたい。
【0021】
電子制御ユニット(図示せず)が、様々な流体の特性を計測するセンサー類からの情報を受け取る。電子制御ユニットは、例えば車室内に望まれる温度などの、車両の乗員乗客によって発せられる設定値をも受け取る。電子制御ユニットは、受け取った設定値を達成するように熱調節システムを制御する目的で、様々なアクチュエータを作動させるための制御法則を履行する。
【0022】
種々の止め弁によって、冷媒回路100の様々な部分で冷媒の循環を許したり遮ったりすることが可能となっている。かくして、様々な止め弁の開閉を組み合わせることによって、熱調節システム内における多くの形式の熱交換を可能とする多様な選択肢に従って、回路100の各分枝内に冷媒を循環させることが可能となる。必要ならば、当該弁が逆止弁によって補われる。
【0023】
内気流FAIは、例えば車両の空調/暖房ユニット102内を循環する気流である。その気流は、特に車両のウインドシールドの底部の所に位置した空気取入口から生じるものである。その気流は、車両の車室への吹出口を通じて送られる。使用される冷媒は、例えばR1234yfなどの化学的な流体である。例えばR134aなどの別の冷媒を用いることもできる。
【0024】
ループ100と、その様々な要素とが、例示的な一実施形態により
図1に図解されている。この図において、ループ100は、ループ内での冷媒循環経路や、ループにおける一定の要素の状態(例えば開/閉)を示すことなく図解されている。
【0025】
この場合、冷媒のための循環ループ100は、
- 圧縮機110から成る圧縮装置と、
- 冷媒FRと内気流FAIとの間における、当該内気流を冷却するための第1熱交換器120と、
- 冷媒FRと、内気流FAIまたは熱伝達流体FCとの間における、当該内気流を加熱するための第2熱交換器140であって、内気流の循環方向で第1熱交換器120の下流側に位置した第2熱交換器と、
- 冷媒FRと外気流FAEとの間での第3熱交換器160であって、冷媒のための蒸発器および/または凝縮器としての機能を選択的に果たすことのできる第3交換器160と、
- 第1接続箇所EB1と第3交換器160との間に位置した第1膨張部材130と、
- 第2接続箇所EB2と第1交換器120との間に位置した第2膨張部材135と、
- 第3接続箇所EB3と圧縮機110との間に位置した、循環する多量の冷媒FRを蓄積するための蓄積装置115と、
を備えている。
【0026】
内気流FAIを加熱するため、第2交換器140に加えて、内気流FAIの循環方向で第2交換器の下流側に位置した加熱器180(特に、電熱器)を設けることができる。
【0027】
かくして、内気流FAIを冷却するための能力が常に、少なくとも部分的に第1交換器120に由来するのに対して、当該内気流FAIを加熱するための能力は常に、少なくとも部分的に第2交換器140に由来するのである。
【0028】
この局面では、間接的な構成の場合、(この例では)第2交換器140で熱交換を行うのに冷媒FRが直接的に用いられることはない。この点において、熱交換は、熱伝達流体FCと称される媒介的な流体によって実施することができる。従って、変形例として第2交換器140を、冷媒FRとグリコール水との間での熱交換器とすることができ、その場合、グリコール水が熱伝達流体として機能を果たす。
【0029】
外気流FAEは、例えば車両前面(特に、車両のラジエターグリル)を通り抜ける気流である。
【0030】
これらの考察の観点から、
図1に描かれたループはとりわけ、
図1から
図3を参照して以下で説明される5つの構成で用いることができる。
【0031】
ここで
図2Aを参照して、内気流FAIを除湿するための直列モードと称されるモードにあるときのループの作動原理を説明することとする。
【0032】
ループ100は、圧縮機110から始まって、間隔の狭い破線で識別される直列凝縮分枝BSC、直列凝縮分枝BSCよりも間隔の広い破線で識別される中間直列分枝BSI、および、中間直列分枝BSIよりも間隔の広い破線で識別される直列蒸発分枝BSEを順次備えている。直列凝縮分枝BSCは、上流側から下流側へと、第2交換器140と第1膨張部材130とを備えている。直列凝縮分枝BSCと中間直列分枝BSIとの間の接続部分の所に第3交換器160がある。中間直列分枝と直列蒸発分枝BSEとの間の接続部分の所に第2膨張部材135が位置している。直列蒸発分枝BSEは、上流側から下流側へと、第1交換器120と蓄積装置115とを備えている。最後に、直列蒸発分枝BSEと直列凝縮分枝BSCとの間の接続部分の所に圧縮機110が位置している。
【0033】
前述したように、第3交換器160は、冷媒FRのための蒸発器および/または凝縮器としての機能を選択的に果たすことができる。この構成において、第1膨張部材130は、(第1膨張部材130が全開しているか、或いは部分的に開いているときに)第3交換器160が凝縮器としての機能を果たすのに適切な開度ExV1を有している。その結果、冷媒FRは僅かしか、或いは全く膨張を受けず、第3交換器160はその最大凝縮能力に達する。
【0034】
圧縮機110内では、冷媒FRが低圧の気相から高圧の気相となる。その冷媒は、それから第2交換器140を通過し、そこで部分的に凝縮する。当該冷媒の一部が気体の形態のままであるのに対して、冷媒の他の部分は液体の形態へ戻るのである。冷媒の部分的な凝縮によって放出される熱によって、第2交換器140を通過する内気流FAIが加熱される。
【0035】
開放された不活動状態ないしは部分的な活動状態に準備された第1膨張部材130を通過してしまった冷媒は、第3交換器160に到達し、その中で凝縮し続ける。かくして冷媒FRの一部が第3交換器160内で液化し、本質的に液体の形態で当該第3交換器160を出て行く。第3交換器160内で冷媒FRによって放出された熱は、(できれば外気流FAEの空気流量Qbを生じさせるファン165によって補助された)当該第3交換器160を用いて、車外への気流FAEによって放散される。
【0036】
それから冷媒は、活動状態にある第2膨張部材135を通過することによって膨張を受ける。その結果、冷媒は膨張を経てから第1交換器120を通過するのである。第3交換器160内で凝縮しない場合よりも多くの量の冷媒FRが、第1交換器120の入口の所で液体の形態であることに留意されたい。その結果、第1交換器120内で冷媒FRが蒸発するのには、より多くのエネルギーが必要となる。従って、その冷媒はまた、当該第1交換器120を通過するときに、より多くの熱を吸収するのである。当該冷媒の蒸発のせいで、内気流FAIが冷却されて乾燥させられる。この構成においては、従って内気流FAIは順次、第1交換器120で冷却されて乾燥させられてから、第2交換器140で加熱される。この構成は、本発明の範囲内においてDEHUM2と称される第2の直列除湿モードに相当するものである。
【0037】
とはいえ、より低い温度を有した内気流FAIをもたらすことが可能である。この点において、循環ループ100は、閉鎖状態から開放状態まで移動することのできる要素170、例えば混合用フラップを備え、閉鎖状態では当該逸らし要素170が内気流FAIに第2交換器140を通過させ、開放状態では当該逸らし要素170が内気流FAIの少なくとも一部を第2交換器140から逸らすことができるようになっていることが有利である。当該混合用フラップ170は、例えば当該空調ユニット102内に位置している。
【0038】
図2Bに示すようにループ100が直列除湿構成で逸らし要素170が開放されているときには、内気流FAIがより冷たい温度を保っている。第1交換器120によって冷却されてきた内気流FAIは、第2交換器140を通過することなく直接、車両の車室内へ向かう。その気流は従って、この交換器内の冷媒の凝縮によって放出される熱を取り込むことはないのである。このループ100の構成は、本発明の範囲内においてDEHUM1と称される第1の直列除湿モードに相当するものである。その構成は、空調モードと同様のやり方で作動し、即ち、この特定の構成においては膨張部材130が開放されている。
【0039】
DEHUM2モードと同様、DEHUM1モードにおいて冷媒FRは第1交換器120を低圧の気体の形態で出て行く。その冷媒は、次に蓄積装置115を通過してから、新たなサイクルのために圧縮機110へ戻る。
【0040】
ここで
図3を参照して、内気流FAIを除湿するための並列モードと称されるモードにあるときのループ100の作動原理を説明することとする。
【0041】
ループ100は、圧縮機110から始まって、間隔の狭い破線で識別される凝縮分枝BPCを備えている。そして、第1接続箇所EB1から凝縮分枝BPCが2つの部分へと分けられている。第1部分BPC1が第1膨張部材130内へ出ているのに対して、第2部分BPC2は第2膨張部材135内へ出ている。第2交換器140は、凝縮分枝上の第1接続箇所EB1の上流側に位置している。ループ100は、凝縮分枝BPCよりも間隔の広い破線で識別される第1の並列蒸発分枝(第1並列分枝BPE1と称される)と、やはり凝縮分枝BPCよりも間隔の広い破線で識別される第2の並列蒸発分枝(第2並列分枝BPE2と称される)とを並列に備えている。この構成によれば、従って第1膨張部材130が凝縮分枝の第1部分BPC1と第1並列分枝BPE1との間の接続部分の所にあるのに対して、第2膨張部材135は凝縮分枝の第2部分BPC2と第2並列分枝BPE2との間の接続部の所にある。第1並列分枝BPE1は第3交換器160を備えている。第2並列分枝BPE2は第1交換器120を備えている。
【0042】
除湿モードDEHUM1,DEHUM2と同様に、冷媒FRは高圧の気体の形態で圧縮機110を出て行き、それから第2交換器140の出口の所で、当該第2交換器140内部での凝縮現象によって本質的に液体の形態へ戻る。
【0043】
次に冷媒FRは、接続箇所EB1から出発して分かれて行く。冷媒の一部が第1並列分枝BPE1を辿るのに対して、冷媒の他の部分は第2並列分枝BPE2を辿る。直列除湿モードDEHUM1,DEHUM2とは異なり、この構成では第1膨張部材130が活動状態にある。その結果、冷媒は、第3交換器160を通過する際に蒸発を受ける。そして冷媒FRは、凝縮分枝BPC1内での本質的に液体の形態から、第1並列分枝BPE1内での低圧の気体の形態をとる。従って、冷媒FRは第3交換器160内で熱を蓄えるのである。
【0044】
第2並列蒸発分枝BPE2を辿ることによって、冷媒FRはまず第2膨張部材135を通過し、そこで膨張を受ける。その冷媒は次に、第1交換器120を通過することによって蒸発を受けることで、当該第1交換器120の出口の所で低圧の気体の形態となっている。この相変化の間、従って冷媒FRは、熱を蓄えるのと同時に、第1交換器120における内気流FAIの冷却と乾燥とを引き起こす。
【0045】
この構成は、本発明の範囲内においてDEHUM3と称される第1の並列除湿モードに相当するものである。この構成によって、第3交換器160内に位置したエネルギーが第1交換器120内で捕らえられたエネルギーを補うよう、前者のエネルギーを捕らえることが可能となる。かくして捕らえられて圧縮機110からのエネルギーによって増大させられたエネルギーの総和によって、第2交換器140において内気流FAIを加熱することが可能となる。原理的には、上述した除湿モードDEHUM1およびDEHUM2と同程度に内気流が冷却されることとなる。しかしながら、交換器140を出て行く空気は、気流除湿モードDEHUM1およびDEHUM2よりも多く加熱されることとなる。
【0046】
当該第1BPE1および第2BPE2並列分枝から到来する冷媒FRは、第3接続箇所EB3で合流し、次に蓄積装置115を通過してから圧縮機110へ戻り、そして同じプロセスが始まる。
【0047】
ファン165を用いて第3交換器160の下流側での外気流の空気流量Q
bを変化させることによって、内気流FAIをより一層加熱することが可能となる。上述したように、
図3を参照すると、第1並列分枝BPE1内を循環する冷媒FRは、第3交換器160の隣接環境から熱を吸収することによって、当該第3交換器160内で加熱される。第3交換器160内で熱を捕らえる冷媒FRの能力が、第3交換器160の下流側における外気流の空気流量Q
bに大きく依存することから、これが必然的に第2交換器140の下流側で放出される熱に影響を与える。内気流FAIのより一層強い加熱を引き起こすこの構成によって、本発明の範囲内においてDEHUM4と称される第2の並列除湿モードで作動することが可能となるのである。
【0048】
第2膨張部材135の開度ExV2に対して第1膨張部材130の開度ExV1を増減させることによって、内気流FAIを更に加熱することも可能となる。これは、除湿モードDEHUM4において特に考慮される制御パラメータである。
【0049】
第3交換器160を不使用とすることができる、ということにも留意されたい。これは特に、内気流FAIが、車両の車室内で望まれる湿度に対応した相対湿度を有している場合に行われる。第3交換器160が使用されないときには、内気流FAIを加熱するための能力が第2交換器140を用いて内気流を加熱するための能力に相当するのに対して、内気流FAIを冷却するための能力は第1交換器120を用いて内気流を冷却するための能力に相当する状態で、システムが安定作動状態となる。この構成は、DEHUMSSと称される安定状態除湿モードと関連付けられる。第2交換器140によって内気流の加熱される温度は、第2熱交換器140の下流側における温度設定値Tinnercd_spを調節することによって、独立して変更することができる。内気流FAIの冷却される温度は、第1交換器120の下流側における温度設定値Tevap_spを変化させることによって、独立して変更することができる。
【0050】
既に述べたように、回路の低圧域内において、循環する多量の冷媒FRを蓄積するために蓄積装置115を設けることもできる。或いは、回路の高圧域内に位置した受け器を第1交換器120に設けることができる。
【0051】
要約すると、従ってループ100は、少なくとも5つあり得る除湿モードで作動することができる。
- 特に空調ユニットの混合用フラップの位置を考慮して、第2交換器140における冷媒と内気流との間での熱交換が僅かしか、ないしは全くない、1番目の直列除湿モード構成。以下、この除湿モードはDEHUMと1称される。
- 特に空調ユニットの混合用フラップの位置と第1膨張部材130での膨張とを考慮して、第2交換器140における冷媒と内気流との間での相当な熱交換のある、2番目の直列除湿モード構成。以下、この除湿モードはDEHUM2と称される。
- 第3交換器160を、制限された冷媒FRの流量と、ある一定の限度を下回る空気流量Qb1に相当した外気流とが通過する、3番目の並列除湿モード構成。以下、この除湿モードはDEHUM3と称される。
- 除湿モードDEHUM3よりも冷媒FR流量が大きくなるように、第3交換器を、強制気流に相当した外気流および/または、ある一定の限度を上回る空気流量Qb2を有した外気流が通過する、4番目の並列除湿モード構成。以下、この除湿モードはDEHUM4と称される。
- 第3交換器160の用いられない構成に相当する5番目の構成。以下、この除湿モードはDEHUMSSと称される。
【0052】
車両の車室内の周囲温度T
ambに応じて選出することのできる除湿モードが
図4に示されている。温度T1,T2,T3,およびT4は、T1≦T2≦T3≦T4のようになっている。図示するように、T1が例えば-2℃の周囲温度に相当する場合、T
amb≦T1に対しては、車室を温めるためにモードDEHUM4のみが用いられる。T4が例えば車両の車室内の25℃の周囲温度に相当する場合、T
amb≧T4に対しては、車室を冷やすためにモードDEHUM1のみが用いられる。温度T
ambがT1とT2との間、およびT3とT4との間である場合には、それぞれヒステリシス現象を認めることができる。T2とT3との間では、除湿モードの全てを選出することのできる範囲内に周囲温度T
ambが位置している。
【0053】
本発明による方法は、周囲温度Tambに応じて除湿構成を決定する事前段階20を備えることができる。この事前段階によって、複数の除湿モードからの選択が成されねばらなぬかどうかを決定することが可能となる。内気流を除湿するためのモードを選出する次の段階30は、この事前段階20の結果として除湿モードの選択が目下の構成において適切であると決定されている場合(例えば、周囲温度がT2とT3との間、或いはT1とT4との間ですらある場合)に実際の用途を有しているに過ぎない。
【0054】
本発明によれば、当該方法は、複数の除湿モードから内気流FAIを除湿するためのモードを選出する少なくとも1つの段階30を備えている。当該選出段階30は、少なくとも3つの(湿度制御パラメータと称される)システムのパラメータの(前もって作られた)マップに基づいて実施される。それらのパラメータは、第1熱交換器120の上流側における内気流FAIの実温度Tair_Hvac_in、第2熱交換器140の下流側における温度設定値Tinnercd_sp、第1交換器120の下流側における温度設定値Tevap_sp、第1交換器を通る当該内気流の流量Q、空気の周囲温度Tamb、および/または空気の湿度Hairから選択されたものである。
【0055】
上述した(少なくとも3つの湿度制御パラメータの)マップは、前もって作られて電子制御ユニットに記憶されている。それらのマップによって、上述した様々な除湿モード(即ち、DEHUM1,DEHUM2,DEHUM3,および/またはDEHUM4)を作動させることのできる制限条件同士の間を精確に識別することが可能となる。かくして、車両の車室内において湿度を制限しつつ望まれる温度に到達するために冷媒循環ループ100が作動されねばならない実際の諸条件を反映することが可能となる。
【0056】
段階30中に成される選出の信頼性は、作られるマップの数に左右される。システムが信頼されるために作られねばならないマップの数は、それらに応じてマップが作られるところの湿度制御パラメータ次第である。この点において、複数のマップが必要とされ得るのである。
【0057】
これらのマップが作られたならば、システムは、選出を行うことができ、必要ならば当該システムによって測定および/または算出された湿度制御パラメータの制限条件に応じてDEHUM1,DEHUM2,DEHUM3,DEHUM4,および/またはDEHUMSSのうちの適切な除湿モードへ切り替わることができる。従って、適切な除湿モードと関連付けられる構成に入るために、どのパラメータやパラメータの範囲が必要とされるかをリアルタイムで決定することは、もはや必要とされないのである。これは、所望の湿度に対しての差が観測される毎に当て嵌まる。換言すれば、除湿モードを選出する時点で、複数の除湿モードが利用可能であるとしても、システムは、様々な湿度制御パラメータの要求値をリアルタイムで算出せねばならぬことなく、この変更を迅速に行うのに必要なデータの全てを既に有しているのである。
【0058】
図5は、本発明の第1実施形態におけるマップの例を示している。当該の実施形態において、システムのパラメータのマップは、第1熱交換器120の上流側における気流の実温度T
air_Hvac_in、第2熱交換器140の下流側における温度設定値T
innercd_sp、および、追加パラメータと称される他の湿度制御パラメータのうちの1つないし複数に応じて作られる。変形例として、これらの湿度制御パラメータを算出ないし推定することを可能とする別のパラメータも存在し得る。
【0059】
この実施形態においては、各除湿モードと関連付けられる湿度制御パラメータの範囲や制限条件が、3つの組{Tinnercd_spi;Tair_Hvac_ini;追加湿度制御パラメータ}などのn次元のベクトルによって定められる。単純化の目的のために本発明が3つの組に限定されてはいるが、当該方法の実施は、3つのデータの組によって特徴付けられる3Dのマップに限定されるものではなく、湿度制御パラメータの4つの組、5つの組、等々によって特徴付けられる4D、5Dのマップ、等々を用いて実施することもできる、ということを当業者は理解するであろう。
【0060】
本発明の発明者らは、1つの除湿モードDEHUM1,DEHUM2,DEHUM3,およびDEHUM4から当該除湿モードのうちのもう1つへの切換えを可能とするために第2交換器140の下流側における温度設定値Tinnercd_spが達しなけらならない温度閾値の存在を強調してきた。かくして第2交換器140の下流側における温度設定値Tinnercd_spの第1温度閾値Tinnercd_limit1が存在して、第1および第2の直列除湿モードDEHUM1およびDEHUM2の作動条件同士の間の境界を定めている。同様に、温度閾値Tinnercd_limit2並びにTinnercd_limit3が、内気流を除湿するための第2の直列除湿モードDEHUM2および第1の並列モードDEHUM3、並びに第1および第2の並列除湿モードDEHUM3およびDEHUM4の作動条件同士の間の境界をそれぞれ限定している。温度閾値の概念は、2つの連続した除湿モード同士の間、即ち2つの除湿モードの一方が、2つの除湿モードの他方と同様の3つの組と関連付けられるところの2つの除湿モード同士の間でのみ現実的なものである。除湿モードDEHUM1からDEHUM3またはDEHUM4へ、またその逆へ切り替えることを可能とするために第2交換器140の下流側における温度設定値Tinnercd_spが達せねばならないのは単一の温度閾値ではなく、複数の温度閾値(この場合は、少なくともTinnercd_limit1およびTinnercd_limit2)である。同じことが、除湿モードDEHUM2からDEHUM4へ、またその逆へ切り替えることについて当て嵌まる。
【0061】
変形例として、除湿モードDEHUM1,DEHUM2,DEHUM3,およびDEHUM4のうちの1つから、当該除湿モードのうちのもう1つへの切り替えを可能とするために、第1交換器120の下流側における温度設定値Tevap_spが各温度閾値に達することができる。
【0062】
とはいえ、上記は不正確に温度閾値へ言及しているが、除湿モードのそれぞれで望まれる条件同士の間の識別を可能とするのは、実際には限度における3つの組、即ち{Tinnercd_spi=[Tinnercd_limit1,Tinnercd_limit2,Tinnercd_limit3];Tair_Hvac_ini;(1つないし複数の)追加湿度制御パラメータ}によって規定される閾値条件である。かくして、各除湿モードについてのループ100の作動条件が認定される。
【0063】
なおもこの実施形態の範囲内において、上記追加パラメータないしは上記追加パラメータのうちの1つを、第1交換器120の下流側における温度設定値T
evap_spとすることができるのが有利である。
図6a、
図6b、および
図6cは、各制限条件(特に、第2交換器140の下流側における温度設定値T
innercd_sp、第1熱交換器120の上流側における気流の実温度T
air_Hvac_in、および第1交換器120の下流側における温度設定値T
evap_spに応じた温度閾値T
innercd_limit1,T
innercd_limit2,およびT
innercd_limit3それぞれの変化を示している。
【0064】
これらの2Dマップは、第2交換器140の下流側における温度設定値Tinnercd_spまたは第1交換器の下流側における温度設定値Tevap_spの達する、1つの除湿モードからもう1つへの切り替えの限界を定める温度閾値の変化と、第1熱交換器120の上流側における内気流の実温度Tair_Hvac_inの変化とを示すことによって、各限度における3つの組{Tinnercd_spi=[Tinnercd_limit1,Tinnercd_limit2,Tinnercd_limit3];Tair_Hvac_ini;(1つないし複数の)追加湿度制御パラメータ}をより単純に表すことを可能としている。第1交換器120の下流側における温度設定値Tevap_spが低下するときには、温度閾値Tinnercd_limit1,Tinnercd_limit2,Tinnercd_limit3にかかわらず、同じ傾向が観測されるのである。即ち、
- 当該の湿度制御温度閾値Tinnercd_limit1,Tinnercd_limit2,Tinnercd_limit3が上昇し、並行して、
- 第1熱交換器120の上流側における内気流FAIの実温度Tair_Hvac_inが僅かに低下する。
【0065】
この段階では、様々な温度閾値Tinnercd_limit1,Tinnercd_limit2,Tinnercd_limit3を変化させることを可能とする各パラメータを確実に特定することができる。
【0066】
モードDEHUM1とDEHUM2との間における移行の限界を定める第1温度閾値Tinnercd_limit1は、本質的には第1交換器120の下流側における温度設定値Tevap_spに、それより低い程度で外気流の空気流量Qb(即ち、ファン165の空気流量Qb)によって左右される。直列除湿モードDEHUMおよびDEHUM2においては、冷媒FRが第1交換器120で熱を吸収せねばならない、従って内気流FAIを冷却せねばならない程度は、明らかに当該第1交換器120の下流側における温度設定値Tevap_sp次第である、ということを想起されたい。それは間接的には、第3交換器160で冷媒FRによって放出される熱によっても左右されるが、当該熱放出は随意にファン165の空気流量Qbによって補助される。車両の車室外へ放出される熱の増大が、それに応じて冷媒FRを冷却することを可能とするのである。
【0067】
モードDEHUM2およびEHUM3の作動条件同士の間の境界を限定する第2温度閾値Tinnercd_limit2は、専ら第1交換器120の下流側における温度設定値Tevap_spによって左右される。ファン165の空気流量Qbは、限られた影響しか有していない。それは、上記で分かるように、第1の並列除湿モードDEHUM3において、第3交換器160での熱交換に本質的な影響を与えることとなるのは、蒸発器としての機能を果たす第3交換器160の動作モードへの変更だからである。従って、外気流の空気流量Qbは、第2温度閾値Tinnercd_limit2への影響を殆ど有していないのである。
【0068】
モードDEHUM3およびDEHUM4の作動条件同士の間の限界を定める第3温度閾値Tinnercd_limit3は、第1交換器120の下流側における温度設定値Tevap_spと、外気流の空気流量Qbとの両者によって左右される。第1交換器の下流側における温度設定値Tevap_spに関しては、上記のことが適用され続ける。外気流の空気流量Qbに関しては、第2の並列除湿モードDEHUM4に達することを可能とする適切な構成へループが切り替わるために、ファン165によって生じる空気流量Qbを変化させることによって第3交換器160で熱を捕らえる冷媒FRの能力が調節される、ということを想起されたい。
【0069】
従って、外気流の空気流量Qbは、第1交換器120の下流側における温度設定値Tevap_spと同様に追加パラメータなのである。明らかに、その他の湿度制御パラメータを考えることができる。
【0070】
上記の筋書きのそれぞれにおいて、使用者が各設定値を調節して、例えば当該第1交換器120の下流側における温度設定値Tevap_spの低下を引き起こした場合、これにより温度閾値Tinnercd_1,Tinnercd_2,およびTinnercd_3の値が上昇させられる。かくして、第1交換器120の上流側における気流の所与の温度Tair_Hvac_inに対して、システムは、第2交換器140の下流側における温度設定値Tinnercd_spが上昇するにつれて、1つの除湿モードから別のものへ、より遅く切り替わることとなる。
【0071】
ここで
図7を参照すると、除湿モードを選出するためのアルゴリズムが(依然として
図5、
図6a、
図6b、および
図6cに示す実施形態に関して)模式的に示されいてる。
【0072】
アルゴリズムの入力データは、周囲温度Tamb、第1熱交換器120の上流側における気流の実温度Tair_Hvac_in、外気流の空気流量Qb、第1交換器120の下流側における温度設定値Tevap_sp、および第2交換器140の下流側における温度設定値Tinnercd_spである。
【0073】
初めに、上述した各除湿モードからの選出が成されねばならぬかどうかが決定されるべきである。上記で分かるように、これは、周囲温度Tambに応じて除湿構成を決定する事前段階20中に行われる。選出が成されるべきではない場合には、空調/暖房システムが適切なモードに据え置かれる(段階25)。様々な除湿モード同士の間で選出が成されねばならない場合には、第2交換器140の下流側における温度設定値Tinnercd_spの様々な温度閾値Tinnercd_limit1,Tinnercd_limit2,およびTinnercd_limit3をそれぞれ特定しているマップが用いられる。
【0074】
そして、アルゴリズムが第2交換器140の下流側における温度設定値Tinnercd_spを、温度閾値Tinnercd_limit1,Tinnercd_limit2,およびTinnercd_limit3のそれぞれと順次(これらの温度以下であるという条件で)比較する。そして、アルゴリズムは段階30で、比較の結果に応じて適切な除湿モードを選出するのである。
【0075】
当該方法は、内気流FAIを除湿するためのモードを選出する段階30に続いて、モードを変更する段階40を備えることができる。この段階40の間にシステムは、内気流を除湿するためのモードDEHUM1,DEHUM2,DEHUM3,DEHUM4,およびDEHUMSSのうちの1つから、内気流を除湿するためのモードのうちのもう1つへ(アルゴリズムの次の反復中に)切り替わる。そのようなモード変更は、特に入力データ項目のうちの1つが変化した場合に生じ得る。
図7のアルゴリズムは、車室内に適切な快適性をもたらすように選択された頻度でのループにおいて実行される。
【0076】
使用される膨張装置のそれぞれは、例えば電子膨張弁、即ち閉鎖位置と全開位置との間で冷媒流路面積を連続的に調節することのできる膨張弁である。この目的のために、システムの制御ユニットは、冷媒に得られる流路面積を制御する可動式遮断装置を動かす電気モーターを制御する。
【0077】
圧縮機110は、電動圧縮機、即ち電気モーターによって可動部分の駆動される圧縮機とすることができる。圧縮機110は、低圧冷媒のための吸込側(圧縮機の入口とも呼ばれる)と、高圧冷媒のための吐出側(圧縮機の出口とも呼ばれる)とを備えている。圧縮機110内部の可動部分は、冷媒を、入口側での低圧から出口側での高圧へと至らせる。1つないし複数の膨張装置で膨張した後、冷媒は、圧縮機110の入口へ戻って新たな熱力学サイクルを開始する。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室へ送られるように企図された内気流(FAI)の空調および/または加熱のためのシステムを制御するための方法であって、前記システムは冷媒(FR)の循環のためのループ(100)を備え、当該ループは、
- 前記内気流(FAI)を冷却するための、前記冷媒(FR)と当該内気流との間での第1熱交換器(120)と、
- 前記内気流(FAI)の循環方向で前記第1熱交換器(120)の下流側に位置した、前記内気流を加熱するための、前記冷媒(FR)と当該内気流または熱伝達流体(FC)との間での第2熱交換器(140)と、
を備え、
当該方法は、前記内気流(FAI)を除湿するためのモードを複数の除湿モードから選出する少なくとも1つの段階(30)を具備し、当該選出段階(30)は、湿度制御パラメータと称される前記システムの少なくとも3つのパラメータの予め作成されたマップに基づいて実施され、それらのパラメータは、前記第1熱交換器(120)の上流側における前記内気流(FAI)の実温度(T
air_Hvac_in)、前記第2熱交換器(140)の下流側における温度設定値(T
innercd_sp)、前記第1熱交換器(120)の下流側における温度設定値(T
evap_sp)、前記第1交換器を通る前記内気流の流量(Q)、空気の周囲温度(T
amb)、および/または空気の湿度(H
air)から選択される、制御方法。
【請求項2】
前記システムのパラメータのマップは、前記第1熱交換器(120)の上流側における前記気流の実温度(T
air_Hvac_in)、前記第2熱交換器(140)の下流側における温度設定値(T
innercd_sp)、および追加パラメータと称される他の湿度制御パラメータのうちの1つないし複数、並びに/または、これらの制御パラメータを算出ないし推定することを可能とする別のパラメータに応じて作成される、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記追加パラメータないしは前記追加パラメータのうちの1つは、前記第1交換器(120)の下流側における温度設定値(T
evap_sp)である、請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記追加パラメータないしは前記追加パラメータのうちの1つは、前記第1熱交換器(120)における前記空気の流量(Q)である、請求項2または
請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
除湿構成を決定する事前段階(20)を具備し、当該事前段階(20)が前記周囲温度(T
amb)の値に応じて実行される、
請求項1に記載の制御方法。
【請求項6】
前記内気流を除湿するためのモードのうちの1つから、前記内気流を除湿するためのモードのうちのもう1つへと前記システムが切り替わるモード変更段階(40)を具備し、当該モード変更段階(40)が、前記除湿モードを選出する段階(30)の後に実施される、
請求項1に記載の制御方法。
【請求項7】
前記モード変更段階(40)は、前記第2交換器(140)の下流側における温度設定値(T
innercd_sp)または前記第1交換器(120)の下流側における温度設定値(T
evap_sp)が温度閾値(T
innercd_limit)に達したかどうかに依って実行される、請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記冷媒循環ループ(100)は、
- 前記冷媒(FR)と外気流(FAE)との間での第3熱交換器(160)であって、前記冷媒のための蒸発器および/または凝縮器として機能を選択的に果たすことのできる第3熱交換器(160)と、
- 前記冷媒のための圧縮機(110)と、
を更に備えている、請求項6に記載の制御方法。
【請求項9】
前記冷媒ループ(100)は、
- 前記冷媒(FR)が、前記圧縮機(110)から、前記第2交換器(140)を備えた直列凝縮分枝と称される直列分枝(BSC)、前記第3交換器(160)を備えた中間直列分枝と称される直列分枝(BSI)、および前記第1交換器(120)を備えた直列蒸発分枝と称される直列分枝(BSE)を通って順次循環する、前記内気流(FAI)を除湿するための少なくとも1つの直列モード(DEHUM1,DEHUM2)と、
- 前記冷媒(FR)が、前記圧縮機(110)から、凝縮分枝(BPC)内、次に接続部(EB)から、蒸発器としての機能を果たす前記第3交換器(160)を備えた第1並列蒸発分枝と称される第1並列分枝(BPE1)内と、前記第1交換器(120)を備えた第2並列蒸発分枝と称される第2並列列分枝(BPE2)内とを並列で、順次循環する、前記内気流(FAI)を除湿するための少なくとも1つの並列モード(DEHUM3,DEHUM4)と、
で選択的に作動する、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記冷媒ループ(100)は、前記第2交換器(140)の下流側における温度設定値(T
innercd_sp)または前記第1交換器(120)の下流側における温度設定値(T
evap_sp)が第1温度閾値(T
innercd_limit1)に達したときに、前記内気流を除湿するための直列モードのうち第1のもの(DEHUM1)から、前記内気流を除湿するための直列モードのうち第2のもの(DEHUM2)へ、或いはその逆へと切り替わり、前記第1から前記第2の直列除湿モードへの切り替わりは、前記第2交換器(140)を通過する前記内気流(FAI)の割合を変化させる、請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記冷媒ループ(100)は、前記第2交換器(140)の下流側における温度設定値(T
innercd_sp)または前記第1交換器(120)の下流側における温度設定値(T
evap_sp)が第2温度閾値(T
innercd_limit2)に達したときに、前記内気流を除湿するための直列モードのうちの1つ(DEHUM2)から、前記内気流を除湿するための並列モードのうち第1のもの(DEHUM3)へ、或いはその逆へと切り替わる、
請求項9または請求項10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記冷媒ループ(100)は、前記第2交換器(140)の下流側における温度設定値(T
innercd_sp)または前記第1交換器(120)の下流側における温度設定値(T
evap_sp)が第3温度閾値(T
innercd_limit3)に達したときに、前記内気流を除湿するための並列モード(DEHUM3,DEHUM4)のうちの1つから、前記内気流を除湿するための並列モードのうち第2のもの(DEHUM3,DEHUM4)へ、或いはその逆へと切り替わり、前記内気流を除湿するための第1の並列モードにおける第1膨張部材(130)の開度が、前記内気流を除湿するための第2の並列モードにおける当該第1膨張部材(130)の開度よりも大きく、前記第1から前記第2の並列除湿モードへの切り替わりは、前記第1交換器(120)を通過する前記冷媒の割合を変化させる、
請求項9または請求項10に記載の制御方法。
【請求項13】
前記冷媒ループ(100)は、前記第2交換器(140)の下流側における温度設定値(T
innercd_sp
)または前記第1交換器(120)の下流側における温度設定値(T
evap_sp
)が第3温度閾値(T
innercd_limit3
)に達したときに、前記内気流を除湿するための並列モード(DEHUM3,DEHUM4)のうちの1つから、前記内気流を除湿するための並列モードのうち第2のもの(DEHUM3,DEHUM4)へ、或いはその逆へと切り替わり、前記内気流を除湿するための第1の並列モードにおける第1膨張部材(130)の開度が、前記内気流を除湿するための第2の並列モードにおける当該第1膨張部材(130)の開度よりも大きく、前記第1から前記第2の並列除湿モードへの切り替わりは、前記第1交換器(120)を通過する前記冷媒の割合を変化させる、請求項11に記載の制御方法。
【国際調査報告】