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特表2024-527074選択的寛容化-寛容原性樹状細胞を選択的に生成する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】選択的寛容化-寛容原性樹状細胞を選択的に生成する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0784 20100101AFI20240711BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20240711BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240711BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C12N5/0784
A61K35/15
A61P37/06
A61P37/02
A61P29/00 101
A61P21/04
A61P21/02
A61P19/02
A61P17/06
A61P17/00
A61P17/02
A61P5/14
A61P7/06
A61P7/04
A61P3/10
A61P1/04
A61K39/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505125
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2022071403
(87)【国際公開番号】W WO2023006971
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/203,726
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21196099.2
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515181948
【氏名又は名称】トランシミューン アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】515183023
【氏名又は名称】イェール ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】エデルソン,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ヘンコ,カーステン
(72)【発明者】
【氏名】ソーボレフ,オルガ
(72)【発明者】
【氏名】ハンロン,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】バッサル,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】タツノ,カズキ
(72)【発明者】
【氏名】ハン,パトリック
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB10
4B065AC20
4B065BD25
4B065CA44
4C085AA03
4C085BA01
4C085CC01
4C085DD01
4C085EE01
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087NA14
4C087ZA53
4C087ZA55
4C087ZA68
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZA94
4C087ZA96
4C087ZB07
4C087ZB08
4C087ZB15
4C087ZC06
4C087ZC35
(57)【要約】
本発明は、寛容原性樹状細胞を選択的に生成する方法に関する。本発明はさらに、移植前に投与した場合に移植片の免疫原性を低下させる、記載される方法によって得られた患者特有の寛容原性樹状細胞に関する。本発明はまた、移植片対宿主病などの炎症状態を軽減または予防する際に使用するための患者特有の寛容原性樹状細胞にも関する。具体的には、この方法は、移植片対宿主病を軽減するために使用することができる。本発明の寛容原性樹状細胞はまた、自己免疫疾患の治療にも使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寛容原性樹状細胞を選択的に産生する方法であって、
a)ドナーからの樹状細胞を準備するステップと、
b)ステップa)の前記樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシスドナー樹状細胞を、ステップc)からの生理学的レシピエント樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法。
【請求項2】
ステップd)の後、ステップb)の前記アポトーシスドナー樹状細胞をステップc)の前記生理学的レシピエント樹状細胞とコインキュベートするステップが実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コインキュベートするステップが、少なくとも0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間実施される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アポトーシスドナー樹状細胞を、前記レシピエントからの前記生理学的樹状細胞と合わせるステップd)が、前記レシピエント内で行われる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ステップa)の前記樹状細胞が、前記ドナーの体外血液試料に由来する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ステップa)の前記樹状細胞が、前記ドナー由来のPBMCのプレート通過によって得られている、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ステップb)の前記アポトーシス因子が、ソラレンおよびUVA、リボフラビンリン酸およびUVA、ならびに/または5-アミノレブリン酸および光を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ソラレンが、8-MOPおよびアモトサレンを含む群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ソラレンが、8-MOPである、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
ステップc)の前記生理学的樹状細胞が、前記レシピエント由来のPBMCのプレート通過によって得られている、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ドナーおよび/またはレシピエントが、哺乳動物、好ましくはヒトである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
寛容原性樹状細胞を選択的に産生する方法であって、
a)レシピエントの相補的ハプロドナーからの樹状細胞を準備するステップと、
b)ステップa)の前記樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)前記レシピエントのハプロドナーからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス相補的ハプロドナー樹状細胞を、ステップc)の生理学的ハプロドナー樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法。
【請求項13】
ステップd)の後、ステップb)の前記アポトーシス相補的ハプロドナー樹状細胞を、ステップc)の前記生理学的ハプロドナー樹状細胞とコインキュベートするステップが実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コインキュベートするステップが、少なくとも0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間実施される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップb)の前記アポトーシス相補的ハプロドナー樹状細胞を、ステップc)の前記生理学的ハプロドナー樹状細胞と合わせるステップd)が、前記ハプロドナー内で行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
ステップa)の前記樹状細胞が、前記レシピエントの相補的ハプロドナーの体外血液試料に由来する、請求項12から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
ステップa)の前記樹状細胞が、前記レシピエントの相補的ハプロドナー由来のPBMCのプレート通過によって得られている、請求項12から15のいずれかに記載に方法。
【請求項18】
ステップb)の前記アポトーシス因子が、ソラレンおよびUVA、リボフラビンリン酸およびUVA、ならびに/または5-アミノレブリン酸および光を含む、請求項12から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記ソラレンが、8-MOPおよびアモトサレンを含む群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ソラレンが、8-MOPである、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
ステップc)の前記生理学的樹状細胞が、前記レシピエントのハプロドナー由来のPBMCのプレート通過によって得られている、請求項12から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記相補的ハプロドナー、前記ハプロドナーおよび/または前記レシピエントが、哺乳動物、好ましくはヒトである、請求項12から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
寛容原性樹状細胞を選択的に産生する方法であって、
a)レシピエントからの樹状細胞を準備するステップと、
b)ステップa)の前記樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)前記レシピエントからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス樹状細胞を、ステップc)の前記生理学的樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法。
【請求項24】
ステップd)の後、ステップb)の前記アポトーシス樹状細胞を、ステップc)の前記生理学的樹状細胞とコインキュベートするステップが実施される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記コインキュベートするステップが、少なくとも0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間実施される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ステップb)の前記アポトーシス樹状細胞を、ステップc)の前記生理学的樹状細胞と合わせるステップc)が、前記レシピエント内で行われる、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
ステップa)の前記樹状細胞が、前記レシピエントの体外血液試料に由来する、請求項23から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
ステップa)の前記樹状細胞が、前記レシピエント由来のPBMCのプレート通過によって得られている、請求項23から27のいずれかに記載に方法。
【請求項29】
ステップb)の前記アポトーシス因子が、ソラレンおよびUVA、リボフラビンリン酸およびUVA、ならびに/または5-アミノレブリン酸および光を含む、請求項23から28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記ソラレンが、8-MOPおよびアモトサレンを含む群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ソラレンが、8-MOPである、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
ステップc)の前記生理学的樹状細胞が、前記レシピエント由来のPBMCのプレート通過によって得られている、請求項23から31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記ドナーおよびレシピエントが、哺乳動物、好ましくはヒトである、請求項23から32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
請求項1から11のいずれかに記載の方法によって得られた寛容原性樹状細胞。
【請求項35】
請求項12から22のいずれかに記載の方法によって得られた寛容原性樹状細胞。
【請求項36】
請求項23から33のいずれかに記載の方法によって得られた寛容原性樹状細胞。
【請求項37】
移植片対宿主病を予防または軽減する方法で使用するための請求項34から36に記載の寛容原性樹状細胞。
【請求項38】
寛容原性樹状細胞を選択的に産生する方法であって、
a)対象から得られた樹状細胞の第1の試料を準備するステップと、
b)ステップa)の前記樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)前記対象から得られた樹状細胞の第2の試料を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス樹状細胞を、ステップc)の前記樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法。
【請求項39】
ステップd)の後、ステップb)の前記アポトーシス樹状細胞を、ステップc)の生理学的樹状細胞とコインキュベートするステップが実施される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記コインキュベートするステップが、少なくとも0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間実施される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
ステップb)の前記アポトーシス樹状細胞を、ステップc)の前記樹状細胞と合わせるステップd)が、前記対象内で行われる、請求項38から40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
ステップa)の前記樹状細胞が、前記対象の体外血液試料に由来する、請求項38から41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
ステップa)の前記樹状細胞が、前記対象由来のPBMCのプレート通過によって得られている、請求項38から42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記樹状細胞を抗原分子とインキュベートするステップa1)をさらに含む、請求項38から43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記抗原分子が、自己抗原である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記抗原分子が、天然源に由来するか、化学的に合成されるか、または組換えにより産生される、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記抗原分子が、細胞に由来する、請求項44または45に記載の方法。
【請求項48】
前記自己抗原が、Rh血液型抗原、血小板インテグリンGpIIb:IIIa、基底膜コラーゲンIV型の非コラーゲン性ドメイン、表皮カドヘリン、連鎖球菌細胞壁抗原、C型肝炎抗原を伴うまたは伴わないリウマチ因子IgG複合体、膵臓β細胞抗原、ミエリン塩基性タンパク質、プロテオリピドタンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、デスモグレイン3、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、アセチルコリン受容体、カルボキシペプチダーゼH、クロモグラニンA、グルタメートデカルボキシラーゼ、イモジェン-38、インスリン、インスリノーマ抗原-2および2β、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、プロインスリン、α-エノラーゼ、アクアポリン-4、β-アレスチン、S100-β、シトルリン化タンパク質、コラーゲンII、熱ショックタンパク質、ヒト軟骨糖タンパク質39、La抗原、ヌクレオソームヒストンおよびリボ核タンパク質(snRNP)、リン脂質-β-2糖タンパク質I複合体、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ、U-1低分子リボ核タンパク質複合体のSm抗原、膵島細胞抗原、細胞質リンカータンパク質-170(CLIP-170)、シェーグレン症候群抗原A(SS-A/Ro)、シェーグレン症候群抗原B(SS-B/La)、シェーグレンループス抗原(SL)ならびに強皮症抗原70(Scl-70)を含む群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
ステップb)の前記アポトーシス因子が、ソラレンおよびUVA、リボフラビンリン酸およびUVA、ならびに/または5-アミノレブリン酸および光を含む、請求項38から48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記ソラレンが、8-MOPおよびアモトサレンを含む群から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ソラレンが、8-MOPである、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
ステップc)の前記樹状細胞が、前記対象由来のPBMCのプレート通過によって得られている、請求項38から51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記対象が、哺乳動物、好ましくはヒトである、請求項38から52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
請求項38から53のいずれかに記載の方法によって得られた寛容原性樹状細胞。
【請求項55】
自己免疫疾患の治療で使用するための請求項54に記載の寛容原性樹状細胞。
【請求項56】
前記自己免疫疾患が、多発性硬化症、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、筋萎縮性側索硬化症、尋常性天疱瘡、乾癬、重症筋無力症、甲状腺炎、強皮症、シェーグレン症候群、血小板減少性紫斑病、クリオグロブリン血症、自己免疫性溶血性貧血、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、アジソン病、セリアック病、慢性疲労症候群、大腸炎、クローン病、線維筋痛症、甲状腺機能亢進症、グレーブス病、甲状腺機能低下症、橋本病、子宮内膜症、悪性貧血、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー病およびリウマチ熱を含む群から選択される、請求項55に記載の使用のための寛容原性樹状細胞。
【請求項57】
それを必要とする対象における自己免疫疾患を治療する方法であって、有効量の請求項54に記載の寛容原性樹状細胞を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項58】
それを必要とする対象における自己免疫疾患を治療する方法であって、前記方法が、有効量の寛容原性樹状細胞を前記対象に投与することを含み、前記寛容原性樹状細胞が、前記対象から得られたアポトーシス樹状細胞由来の物質、自己抗原、それらの断片、またはそれらの組合せを含む生理学的樹状細胞を含む、方法。
【請求項59】
前記自己免疫疾患が、多発性硬化症、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、筋萎縮性側索硬化症、尋常性天疱瘡、乾癬、重症筋無力症、甲状腺炎、強皮症、シェーグレン症候群、血小板減少性紫斑病、クリオグロブリン血症、自己免疫性溶血性貧血、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、アジソン病、セリアック病、慢性疲労症候群、大腸炎、クローン病、線維筋痛症、甲状腺機能亢進症、グレーブス病、甲状腺機能低下症、橋本病、子宮内膜症、悪性貧血、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー病およびリウマチ熱を含む群から選択される、請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
前記自己抗原が、Rh血液型抗原、血小板インテグリンGpIIb:IIIa、基底膜コラーゲンIV型の非コラーゲン性ドメイン、表皮カドヘリン、連鎖球菌細胞壁抗原、C型肝炎抗原を伴うまたは伴わないリウマチ因子IgG複合体、膵臓β細胞抗原、ミエリン塩基性タンパク質、プロテオリピドタンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、デスモグレイン3、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、アセチルコリン受容体、カルボキシペプチダーゼH、クロモグラニンA、グルタメートデカルボキシラーゼ、イモジェン-38、インスリン、インスリノーマ抗原-2および2β、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、プロインスリン、α-エノラーゼ、アクアポリン-4、β-アレスチン、S100-β、シトルリン化タンパク質、コラーゲンII、熱ショックタンパク質、ヒト軟骨糖タンパク質39、La抗原、ヌクレオソームヒストンおよびリボ核タンパク質(snRNP)、リン脂質-β-2糖タンパク質I複合体、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ、U-1低分子リボ核タンパク質複合体のSm抗原、膵島細胞抗原、細胞質リンカータンパク質-170(CLIP-170)、シェーグレン症候群抗原A(SS-A/Ro)、シェーグレン症候群抗原B(SS-B/La)、シェーグレンループス抗原(SL)ならびに強皮症抗原70(Scl-70)を含む群から選択される、請求項58または69に記載の方法。
【請求項61】
対象から得られたアポトーシス樹状細胞由来の物質を含むex vivo寛容原性樹状細胞。
【請求項62】
自己抗原またはその断片をさらに含む、請求項61に記載のex vivo寛容原性樹状細胞。
【請求項63】
(a)対象から得られた樹状細胞の試料と、
(b)アポトーシス因子と、
(c)それらの自己抗原または断片と
を含む、組成物。
【請求項64】
前記アポトーシス因子が、ソラレン、リボフラビンリン酸、または5-アミノレブリン酸を含む、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
前記ソラレンが、8-MOPおよびアモトサレンを含む群から選択される、請求項64に記載の組成物。
【請求項66】
前記ソラレンが、8-MOPである、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
前記自己抗原が、Rh血液型抗原、血小板インテグリンGpIIb:IIIa、基底膜コラーゲンIV型の非コラーゲン性ドメイン、表皮カドヘリン、連鎖球菌細胞壁抗原、C型肝炎抗原を伴うまたは伴わないリウマチ因子IgG複合体、膵臓β細胞抗原、ミエリン塩基性タンパク質、プロテオリピドタンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、デスモグレイン3、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、アセチルコリン受容体、カルボキシペプチダーゼH、クロモグラニンA、グルタメートデカルボキシラーゼ、イモジェン-38、インスリン、インスリノーマ抗原-2および2β、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、プロインスリン、α-エノラーゼ、アクアポリン-4、β-アレスチン、S100-β、シトルリン化タンパク質、コラーゲンII、熱ショックタンパク質、ヒト軟骨糖タンパク質39、La抗原、ヌクレオソームヒストンおよびリボ核タンパク質(snRNP)、リン脂質-β-2糖タンパク質I複合体、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ、U-1低分子リボ核タンパク質複合体のSm抗原、膵島細胞抗原、細胞質リンカータンパク質-170(CLIP-170)、シェーグレン症候群抗原A(SS-A/Ro)、シェーグレン症候群抗原B(SS-B/La)、シェーグレンループス抗原(SL)ならびに強皮症抗原70(Scl-70)を含む群から選択される、請求項61もしくは62に記載のex vivo寛容原性樹状細胞、または請求項63から66のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寛容原性樹状細胞を選択的に産生するための方法に関する。本発明はさらに、寛容原性樹状細胞を生成することによって移植前の移植片の免疫原性を低下させる方法に関する。本発明はまた、記載される方法によって得られた寛容原性樹状細胞を含む、寛容原性樹状細胞にも関する。寛容原性樹状細胞は、移植前に投与された場合に移植片の免疫原性を低下させる。本発明はまた、移植片対宿主病および/または自己免疫疾患などの炎症状態を軽減または予防する際に使用するための寛容原性樹状細胞にも関する。具体的には、寛容原性樹状細胞は、移植片対宿主病を軽減するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
ある遺伝的に異なるヒト(ドナー)から別のヒト(レシピエント)への臓器、組織または細胞の移植は、依然としていくつかの疾患に対する決定的な治療法であるが、臓器およびドナーの利用可能性によって制限される。適切なドナーは、主要組織適合抗原(MHC)またはHLA抗原として知られている細胞表面抗原の同一またはほぼ同一のプロファイルを有する個体である。しかしながら、同じ個体からの移植(自己移植または自家移植)は必ずしも利用できるとは限らず、異なる個体からの移植(同種異系移植または同種移植)の広範な適用は、MHCまたはHLA抗原の相違によって制限される。HLA抗原の各々には多くの代替形態(対立遺伝子)が存在するため、2つの非血縁個体が、HLAが厳密に一致する可能性は非常に低い。ある遺伝的に異なる個体から別の個体への臓器または組織の移植後の副作用は、非常に危険な可能性がある。主な副作用は、移植された臓器または組織の免疫学的拒絶反応である。これは、移植片を攻撃するレシピエント(臓器、皮膚など)の免疫系によって引き起こされる場合がある。さらに、移植片はレシピエントを攻撃する場合もある(GvHD)。拒絶反応を予防または制限するために、患者は典型的には、免疫抑制薬の併用を受ける。これらの薬物は通常、全体的に免疫抑制性であるため、重篤な感染症に対するレシピエントの感受性が大幅に高まる。これらの副作用により、免疫系の残りを無傷のままにしながら、他の重要な臓器を傷つけることなく、移植組織の拒絶反応をより選択的に抑制できる治療法の探索が促されている。移植臓器の拒絶反応を逆転させる1つのアプローチは、8-MOPなどのDNA架橋剤、およびUV光による血液の処理を含むプロセスである、体外フォトフェレーシス(ECP)の適用である。移植片対宿主病(GvHD)の治療におけるECPのプラスの効果を説明する1つの可能性のある機構は、血液試料に含まれる単球が、8-MOPおよびUV光の組合せに曝露されると免疫抑制樹状細胞に分化することである。これらの免疫抑制樹状細胞は、免疫寛容を促進すると想定される。しかしながら、適切なドナーのプールを増加させ、治療法を進歩させ、および/または自己免疫疾患、特に移植片対宿主病を予防し、さらにECPおよびECP様プロセスの免疫抑制効果の背後にある可能性のある機構を解明するために、同種異系移植の選択的寛容化を改善することは非常に価値があるであろう。
【発明の概要】
【0003】
本発明の1つの目的は、寛容原性樹状細胞を選択的に産生するための方法を提供することである。別の目的は、抗原特異的寛容原性樹状細胞を選択的に産生するための方法を提供することである。別の目的は、移植前に移植片の免疫原性を低下させる寛容原性樹状細胞を選択的に産生するための方法を提供することである。
【0004】
本発明の別の目的は、ex vivo寛容原性樹状細胞を含む寛容原性樹状細胞を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、本発明の方法によって得られた寛容原性樹状細胞を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、GvHDを予防または軽減させる際に使用するための寛容原性樹状細胞を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、例えば、皮膚などの臓器移植の拒絶反応を予防または軽減する際に使用するための寛容原性樹状細胞を提供することである。
【0008】
さらに別の目的は、GvHDを治療する方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、自己免疫疾患を治療する際に使用するための寛容原性樹状細胞を提供することである。
【0010】
さらに別の目的は、自己免疫疾患を治療する方法を提供することである。
【0011】
これらおよび他の目的は、本明細書以下の説明から明らかになるように、独立請求項の主題によって解決される。本発明の好ましい実施形態のいくつかは、従属請求項の主題を形成する。本発明のさらに他の実施形態は、以下の説明から理解することができる。
【0012】
以下に例示的に説明される本発明は、本明細書に具体的に開示されていない、要素(複数または単数)、限定(複数または単数)が存在しない場合でも適切に実施することができる。
【0013】
本発明は、以下の特定の実施形態に関して、特定の図面を参照して説明されるが、本発明はそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0014】
本発明は、本明細書以下に提示されるデータおよび臨床試験にある程度基づいており、これは、アポトーシス樹状細胞が健康な樹状細胞に取り込まれた場合、アポトーシス樹状細胞が同種異系移植に対する将来の移植レシピエントの免疫系を寛容化することができるという洞察をもたらす。驚くべきことに、本発明者らは、アポトーシス樹状細胞がドナーまたは将来のレシピエントに由来し得ることを見出した。また、アポトーシス樹状細胞がドナーに由来する場合、そのドナーは、将来のレシピエントに対して、HLAが一致してもよいか、または一致しなくてもよい。好ましくは、健康な樹状細胞は、ECPから派生したプロセスの本発明の文脈においてin vitroで産生される。本発明者らは、単球および血小板を含む、白血球除去された(leukapheresed)血液試料がプレートを通過すると、樹状細胞が効率的に生成され得ることを観察した。しかしながら、血液試料は少なくとも単球を含まなければならない。単球は、せん断応力を加えると健康な樹状細胞に成熟することが見出されている。血小板が存在する場合、成熟プロセスは改善され得る。重要なことには、この方法を使用すると、高価なサイトカインカクテルを追加することを必要とせずに、単球は健康な樹状細胞に成熟され得る。上記のプロセスは、in vivoで行われると想定されている態様のいくつかを模倣しているため(Han et al., 2020, “Platelet P-selectin initiates cross-presentation and dendritic cell differentiation in blood monocytes”, Science Advancesを参照のこと)、プレート通過によって生成された樹状細胞は、以下では「生理学的樹状細胞」(phDC)と呼ばれる。
【0015】
したがって、移植ドナーまたは将来のレシピエントに由来するアポトーシス樹状細胞は、将来のレシピエントからの抗原源をphDCに提供し、それによって効率的な寛容原性免疫応答を開始するという仮説が立てられる。本発明は、アポトーシス樹状細胞をphDCと直接接触させることによって、このプロセスを促進および改善する。直接インキュベーションにより、選択的に産生された寛容原性樹状細胞を投与すると、同種異系移植に対する将来のレシピエントの寛容性を改善し、したがってGvHDなどの炎症状態を軽減または排除することが可能になる。本発明のphDCは、サイトカインカクテルへの曝露などの他の方法によって産生された樹状細胞よりも効率的である。さらに、phDCは標準化され、再現可能な方法で産生でき、強力な寛容原性樹状細胞を生成するプロセスの良好な制御をもたらす。さらに、phDCは自己免疫疾患の治療に使用することができる。
【0016】
寛容原性樹状細胞の上記の選択的生成は、第1、第2および第3の態様として以下に記載される異なる手段で利用することができる。
【0017】
第1の態様:ドナー樹状細胞がアポトーシスを引き起こす、寛容原性樹状細胞を選択的に産生する方法
第1の態様では、本発明は、
a)ドナーからの樹状細胞を準備するステップと、
b)ステップa)の樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシスドナー樹状細胞を、ステップc)からの生理学的レシピエント樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法に関する。
【0018】
一実施形態では、方法は、移植前に実施される。
一実施形態では、方法は、移植前に移植片またはその一部の免疫原性を選択的に低下させるためである。
一実施形態では、上記の方法のステップは、同時に実施される。
一実施形態では、上記の方法のステップは、連続的に実施される。したがって、レシピエントからのphDCは、アポトーシス因子に曝露されない。一実施形態では、レシピエントからのphDCは、方法の間のいかなる時点においてもアポトーシス因子に曝露されない。
【0019】
一実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、ドナーから得られる。
一実施形態では、ステップc)の樹状細胞は、レシピエントから得られる。
原則として、樹状細胞がドナーから得られた後、ドナー樹状細胞は生存可能であってもよいか、または生存可能でなくてもよい。ドナー樹状細胞は、例えば、アポトーシス状態になり、それらがステップc)からの生理学的レシピエント樹状細胞と合わせられるまで凍結保存され得る。
【0020】
一実施形態では、ドナーは同種異系である。一実施形態では、ドナーはハプロドナー(haplo-donor)である。
【0021】
一実施形態では、本発明は、
a)ドナーからの樹状細胞を準備するステップと、
b)ステップa)の樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシスドナー樹状細胞を、ステップc)からの生理学的レシピエント樹状細胞と合わせるステップと、
d1)ステップd)の混合物をコインキュベートするステップと
を含む、方法に関する。
【0022】
一実施形態では、混合物を共培養するステップd1)は、少なくとも0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間実施される。
【0023】
一実施形態では、アポトーシスドナー樹状細胞を、レシピエントからの生理学的樹状細胞と合わせるステップd)は、レシピエント内で行われる。
一実施形態では、上記の方法のステップは、同時に実施される。
一実施形態では、上記の方法のステップは、連続的に実施される。したがって、レシピエントからのphDCは、アポトーシス因子に曝露されない。
【0024】
方法のステップb)では、方法のステップa)においてドナーから得られる樹状細胞は、アポトーシス因子に曝露される。一実施形態では、アポトーシス因子は、ソラレンおよびUVA、リボフラビンリン酸およびUVA、ならびに/またはアミノレブリン酸および光を含む。特に好ましいソラレンは、8-MOPおよびアモトサレンである。最も好ましいソラレンは8-MOPである。最も好ましい実施形態では、アポトーシス因子は、8-MOPおよびUVAの組合せである。
実施形態は、好ましくは、ドナーからの本質的に全ての樹状細胞がアポトーシス因子と接触するように選択されるべきである。8-MOP/UVAの場合、ドナーからの本質的に全ての樹状細胞は8-MOPと接触し、UVA光に曝露されるべきである。8-MOPおよびUVAの典型的な用量は、100ng/mL~300ng/mLの8-MOPの濃度と組み合わせた1J/cm~3J/cmのUVAである。
【0025】
好ましい実施形態では、UVAの用量は、3J/cm以下、2J/cm以下、または1J/cm以下である。他の好ましい実施形態では、8-MOPの用量は、300ng/mL、250ng/mL、200ng/mLまたは100ng/mL以下である。特に好ましい実施形態では、8-MOPの用量は200ng/mLであり、UVAの用量は1J/cmである。
【0026】
本発明の文脈において、樹状細胞は、特に、体外フォトフェレーシス(ECP)から派生したプロセスを使用して単球のプレート通過によって得ることができる。
【0027】
単球の体外活性化およびそれからの樹状細胞の生成のための方法および装置は、国際公開第2014/106629A1号パンフレット、国際公開第2014/106631A1号パンフレット、国際公開第2016/001405A1号パンフレット、および国際公開第2017/005700A1号パンフレットに記載されており、これらの各々はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。ECPは、血液試料またはその画分に由来する単球を、機械的ストレス(例えば、せん断力)および血漿成分(例えば、血小板)またはその誘導体もしくは模倣物に曝露することによって、単球を活性化して、本明細書ではphDCとも呼ばれる健康な生理学的樹状細胞に分化させるプロセスを表す。ECPおよびphDCへの単球の分化を含むECPから派生したプロセスは、大規模ECP装置、例えば、臨床ECP装置(例えば、THERAKOS(登録商標)CELLEX(登録商標)装置)、もしくは小型ECP装置、例えば、国際公開第2017/005700A1号パンフレットに記載されているトランス免疫化(Transimmunization)プレート;またはプラスチックバッグ(例えば、血液、血液成分、細胞療法などのためのプラスチックバッグ)などのバッグで実施され得る。
【0028】
本発明者らは、phDCが、正確なin vitroでの実験室条件下でより高い再現性および制御可能性で生理学的に(サイトカインなどの化学物質を必要とせずに)生成されるため、上記の方法によって得られたphDCが、サイトカインまたはレシピエントからの直接単離などの他の方法によって得られたDCと比較して有利であることを見出した。
【0029】
したがって、特に好ましい実施形態では、レシピエントのphDCは、血液試料またはその画分を装置のフローチャンバーに通過させることによって、血液試料に含まれる単球をせん断力に供することによって得られる。好ましくは、血小板はフローチャンバー内に存在し、それは、レシピエントの血液試料もしくはその画分に由来してもよいか、または別個に提供されてもよい。加えて、または代わりに、血漿成分がフローチャンバー内に存在してもよく、それは、レシピエントの血液試料もしくはその画分に由来してもよいか、または別個に提供されてもよい。しかしながら、phDCの生成は、血小板および/または血漿成分の不在化でも機能する。
【0030】
レシピエントの単球は、任意の適切な手段によって、例えば、血液試料またはその画分から得ることができる。血液試料の画分は、例えば、白血球および血小板を含むバフィーコートであり得る。あるいは、血液試料の画分は、単離された末梢血単核細胞(PBMC)であってもよい。PBMCは、例えば、Ficoll-Hypaque勾配(Isolymph、CTL Scientific)上の遠心分離を使用して血液試料から単離され得る。別の例では、血液試料の画分は精製または濃縮された単球調製物であってもよい。単球は、例えば、プラスチック接着;CD14磁気ビーズ陽性選択(例えば、Miltenyi Biotec製);および単球単離キットII(Miltenyi Biotec)の1つ、2つ、または3つ全てを使用してPBMCから濃縮され得る。
【0031】
任意の適切な体積の血液が使用され得る。血液試料(例えば、画分が由来する血液試料)は、約1μLから約500mLの間、例えば、約1μLから約10mLの間、約1μLから約5mLの間、約1μLから約1mLの間、約1μLから約750μLの間、約1μLから約500μLの間、約1μLから約250μLの間、約10mLから約450mLの間、約20mLから約400mLの間、約30mLから約350mLの間、約40mLから約300mLの間、約50mLから約200mLの間、または約50mLから約100mLの間であってもよい。一部の実施形態では、血液試料もしくはその画分、または追加の血液試料もしくはその画分は、約100mL以下(例えば、約50mL~約100mL)である。
【0032】
一部の実施形態では、ECP装置は、小型ECP装置、例えば、トランス免疫化(TI)プレートである。一部の実施形態では、ECP装置はプラスチックバッグである。当業者は、例えば、遺伝子発現を評価することなどによって、phDCを含む樹状細胞を単球から区別する方法をよく知っている。
【0033】
科学的理論に拘束されるものではないが、本発明者らは、現時点では、本発明の顕著な効果は、損傷を受けた、特に、レシピエントの生理学的DCに抗原を提供し、レシピエントの免疫系に寛容シグナルを提供する、ソラレンおよびUVA(PUVA)、特に8-MOPおよびUVAの組合せなどのアポトーシス因子によって損傷を受けた、死にかけているDCによるものであると想定している。phDCが同種異系であるPUVA処理したアポトーシスDCからそのような寛容原性シグナルを受け取った場合、phDCは(受け取った寛容原性シグナルに加えて)、同種異系のPUVA処理したアポトーシスDCからの抗原をそれらの表面上に提示することができ、それによって抗原特異的寛容原性反応を引き起こすことが可能になる。同様に、抗原の供給源もまた、免疫細胞、例えば、単球またはリンパ球に由来していてもよい。したがって、免疫細胞、例えば、単球またはリンパ球は、抗原特異的寛容原性反応を生成するために、アポトーシスを引き起こし、phDCと合わせられ得る。しかしながら、損傷を受けたDCまたは単球などの関連する前駆細胞が好ましい。
【0034】
一実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、ドナーの体外血液試料に由来する。別の実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、ドナー由来のPBMCのプレート通過によって得られている。したがって、ドナーの樹状細胞もまた、phDCであり得る。レシピエントに関して上述した体外血液試料およびPBMCの提供に関する全ての実施形態は、ドナーにも適用される。
【0035】
一実施形態では、レシピエントおよびドナーは哺乳動物である。哺乳動物としては、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ブタ、イヌ、ネコ、ウマおよびげっ歯動物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、レシピエントおよびドナーはヒトである。
【0036】
一実施形態では、移植片は、腎臓移植片、膵臓移植片、肝臓移植片、心臓移植片、肺移植片、腸移植片、皮膚移植片、骨髄移植片または幹細胞移植片である。
【0037】
一実施形態では、幹細胞移植片は、造血幹細胞移植片である。
【0038】
上記の実施形態の全ては、in vitroで実施され得る。
【0039】
本発明の方法は、造血幹細胞移植に関連する免疫欠如の治療のための他の治療法と併用して適用され得る。
【0040】
第1の態様の以下の実施形態については、第1の態様に関連する上記の実施形態の全てが必要な変更を加えて適用される:
【0041】
一実施形態では、本発明は、
a)ドナーから得られた樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップ、
b)ステップa)のアポトーシスドナー樹状細胞を、レシピエントから得られた生理学的樹状細胞と合わせるステップ
を含む、方法に関する。
【0042】
上記の実施形態では、さらに上記の実施形態について記載されるように、ステップd1)に対応するコインキュベーションが実施され得る。
一実施形態では、上記の方法のステップは、同時に実施される。
一実施形態では、上記の方法のステップは、連続的に実施される。したがって、レシピエントから得られたphDCは、アポトーシス因子に曝露されない。一実施形態では、レシピエントからのphDCは、方法の間、いかなる時点においてもアポトーシス因子に曝露されない。
【0043】
一実施形態では、本発明は、
a)ドナーから免疫細胞、好ましくはリンパ球を準備するステップと、
b)ステップa)の免疫細胞、好ましくはリンパ球をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス免疫細胞、好ましくはアポトーシスリンパ球を、ステップc)からの生理学的レシピエント樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法に関する。
【0044】
第1の態様の実施形態の全ては、上記の実施形態に必要な変更を加えて(すなわち、ドナーから得られた樹状細胞が、ドナーから得られた免疫細胞、好ましくはリンパ球によって置き換えられて)適用される。
【0045】
方法はまた、アポトーシスを引き起こす単球などの樹状細胞関連細胞に基づいて実施され得る。したがって、別の実施形態では、本発明は、
a)ドナーから単球を準備するステップと、
b)ステップa)の単球をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス単球を、ステップc)からの生理学的レシピエント樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法に関する。
【0046】
第1の態様の実施形態の全ては、上記の実施形態に必要な変更を加えて(すなわち、ドナーから得られた樹状細胞が、ドナーから得られた単球によって置き換えられて)適用される。
【0047】
第2の態様:相補的ハプロドナー樹状細胞がアポトーシスを引き起こす、寛容原性樹状細胞を選択的に産生する方法
第2の態様では、本発明は、
a)レシピエントの相補的ハプロドナーからの樹状細胞を準備するステップと、
b)ステップa)の樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントのハプロドナーからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス相補的ハプロドナー樹状細胞を、ステップc)の生理学的ハプロドナー樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法に関する。
【0048】
一実施形態では、方法は移植前に実施される。
【0049】
一実施形態では、方法は、移植前に移植片またはその一部における免疫原性を選択的に低下させるためである。
一実施形態では、上記の方法のステップは、同時に実施される。
一実施形態では、上記の方法のステップは、連続的に実施される。したがって、レシピエントのハプロドナーからのphDCは、アポトーシス因子に曝露されない。一実施形態では、レシピエントのハプロドナーからのphDCは、方法のいずれの時点でもアポトーシス因子に曝露されない。
一実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、レシピエントの相補的ハプロドナーから得られる。
一実施形態では、ステップc)の樹状細胞は、レシピエントのハプロドナーから得られる。
原則として、樹状細胞が相補的ハプロドナーから得られた後、樹状細胞は、生存可能であってもよいか、または生存可能でなくてもよい。相補的ハプロドナー樹状細胞は、例えば、アポトーシス状態になり、それらが、ステップc)からの生理学的ハプロドナー樹状細胞と合わせられるまで凍結保存されてもよい。
【0050】
一実施形態では、本発明は、
a)レシピエントの相補的ハプロドナーからの樹状細胞を準備するステップと、
b)ステップa)の樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントのハプロドナーからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス相補的ハプロドナー樹状細胞を、ステップc)の生理学的ハプロドナー樹状細胞と合わせるステップと、
d1)ステップd)の混合物をコインキュベートするステップと
を含む、方法に関する。
【0051】
一実施形態では、混合物を共培養するステップd1)は、少なくとも0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間実施される。
【0052】
一実施形態では、ステップb)のアポトーシス相補的ハプロドナー樹状細胞を、ハプロドナーからの生理学的樹状細胞と合わせるステップd)は、ハプロドナー内で行われる。
【0053】
一実施形態では、上記の方法のステップは、同時に実施される。
一実施形態では、上記の方法のステップは、連続的に実施される。したがって、レシピエントのハプロドナーからのphDCは、アポトーシス因子に曝露されない。一実施形態では、レシピエントのハプロドナーからのphDCは、方法のいずれの時点でもアポトーシス因子に曝露されない。
方法のステップb)では、方法のステップa)においてレシピエントの相補的ハプロドナーから得られる樹状細胞は、アポトーシス因子に曝露される。一実施形態では、アポトーシス因子は、ソラレンおよびUVA、リボフラビンリン酸およびUVA、ならびに/またはアミノレブリン酸および光を含む。特に好ましいソラレンは、8-MOPおよびアモトサレンである。最も好ましいソラレンは、8-MOPである。最も好ましい実施形態では、アポトーシス因子は、8-MOPおよびUVAの組合せである。
【0054】
実施形態は、好ましくは、レシピエントの相補的ハプロドナーからの本質的に全ての樹状細胞がアポトーシス因子と接触するように選択されるべきである。8-MOP/UVAの場合、レシピエントの相補的ハプロドナーからの本質的に全ての樹状細胞は、8-MOPと接触し、UVA光に曝露されるべきである。8-MOPおよびUVAの典型的な用量は、100ng/mL~300ng/mLの8-MOPの濃度と組み合わせた1J/cm~3J/cmのUVAである。
【0055】
好ましい実施形態では、UVAの用量は、3J/cm以下、2J/cm以下、または1J/cm以下である。他の好ましい実施形態では、8-MOPの用量は、300ng/mL、250ng/mL、200ng/mLまたは100ng/mL以下である。好ましい実施形態では、8-MOPの用量は200ng/mLであり、UVAの用量は1J/cmである。
【0056】
第1の態様に関して記載されるように、本発明の文脈における樹状細胞は、特に、単球を活性化して健康なphDCに分化させる、体外フォトフェレーシス(ECP)から派生したプロセスを使用して単球のプレート通過によって得ることができる。第1の態様について記載されるphDCの生成に関する全ての実施形態は、第2の態様におけるphDCの生成にも適用される。
【0057】
したがって、特に好ましい実施形態では、ハプロドナーのphDCは、血液試料またはその画分を装置のフローチャンバーに通過させることによって、血液試料に含まれる単球をせん断力に供することによって得られる。好ましくは、血小板はフローチャンバー内に存在し、それは、ハプロドナーの血液試料もしくはその画分に由来してもよいか、または別個に提供されてもよい。加えて、または代わりに、血漿成分がフローチャンバー内に存在してもよく、それは、ハプロドナーの血液試料もしくはその画分に由来してもよいか、または別個に提供されてもよい。しかしながら、phDCの生成は、血小板および/または血漿成分の不在化でも機能する。
【0058】
ハプロドナーの単球は、任意の適切な手段によって、例えば、血液試料またはその画分から得ることができる。血液試料の画分は、例えば、白血球および血小板を含むバフィーコートであり得る。あるいは、血液試料の画分は、単離された末梢血単核細胞(PBMC)であってもよい。PBMCは、例えば、Ficoll-Hypaque勾配(Isolymph、CTL Scientific)上の遠心分離を使用して血液試料から単離され得る。別の例では、血液試料の画分は精製または濃縮された単球調製物であってもよい。単球は、例えば、プラスチック接着;CD14磁気ビーズ陽性選択(例えば、Miltenyi Biotec製);および単球単離キットII(Miltenyi Biotec)の1つ、2つ、または3つ全てを使用してPBMCから濃縮され得る。
【0059】
任意の適切な体積の血液が使用され得る。血液試料(例えば、画分が由来する血液試料)は、約1μLから約500mLの間、例えば、約1μLから約10mLの間、約1μLから約5mLの間、約1μLから約1mLの間、約1μLから約750μLの間、約1μLから約500μLの間、約1μLから約250μLの間、約10mLから約450mLの間、約20mLから約400mLの間、約30mLから約350mLの間、約40mLから約300mLの間、約50mLから約200mLの間、または約50mLから約100mLの間であってもよい。一部の実施形態では、血液試料もしくはその画分、または追加の血液試料もしくはその画分は、約100mL以下(例えば、約50mL~約100mL)である。
【0060】
一部の実施形態では、ECP装置は、小型ECP装置、例えば、トランス免疫化(TI)プレートである。一部の実施形態では、ECP装置はプラスチックバッグである。当業者は、例えば、遺伝子発現を評価することなどによって、phDCを含む樹状細胞を単球から区別する方法をよく知っている。
【0061】
科学的理論に拘束されるものではないが、本発明者らは、現時点では、本発明の顕著な効果は、損傷を受けた、特に、ハプロドナーの生理学的DCに抗原を提供し、ハプロドナーの免疫系に寛容シグナルを提供する、ソラレンおよびUVA(PUVA)、特に8-MOPおよびUVAの組合せなどのアポトーシス因子によって損傷を受けた、死にかけているDCによるものであると想定している。phDCが相補的ハプロドナーからのPUVA処理したアポトーシスDCからそのような寛容原性シグナルを受け取った場合、phDCは(受け取った寛容原性シグナルに加えて)、PUVA処理したアポトーシスDCからの抗原をそれらの表面上に提示することができ、それによってハプロドナーにおいて抗原特異的寛容原性反応を引き起こすことができる。GvHDなどの炎症状態は、第2の態様に記載されるように処理されたハプロドナーからの移植を受けたレシピエントにおいて軽減または排除される。同様に、抗原の供給源もまた、免疫細胞、例えば、リンパ球または単球に由来していてもよい。したがって、免疫細胞、例えば、リンパ球または単球は、抗原特異的寛容原性反応を生成するために、アポトーシスを引き起こし、ハプロドナーphDCと合わせられ得る。しかしながら、損傷を受けたDCまたは単球などの関連する前駆細胞が好ましい。
【0062】
一実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、レシピエントの相補的ハプロドナーの体外血液試料に由来する。別の実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、レシピエントの相補的ハプロドナー由来のPBMCのプレート通過によって得られている。したがって、レシピエントの相補的ハプロドナーの樹状細胞もまた、phDCであり得る。
【0063】
一実施形態では、相補的ハプロドナーおよびハプロドナーは哺乳動物である。哺乳動物としては、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ブタ、イヌ、ネコ、ウマおよびげっ歯動物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、相補的ハプロドナーおよびハプロドナーはヒトである。
【0064】
一実施形態では、移植片は、腎臓移植片、膵臓移植片、肝臓移植片、心臓移植片、肺移植片、腸移植片、骨髄移植片または幹細胞移植片である。
【0065】
一実施形態では、幹細胞移植は、造血幹細胞移植片である。
【0066】
第2の態様の以下の実施形態については、第1および第2の態様に関連する上記の実施形態の全てが必要な変更を加えて適用される:
【0067】
一実施形態では、本発明は、
a)レシピエントの相補的ハプロドナーから得られた樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
b)ステップa)のアポトーシスレシピエントの相補的ハプロドナー樹状細胞を、レシピエントのハプロドナーから得られた生理学的樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法に関する。
【0068】
全ての方法のステップは、in vitroで実施され得ることを理解する必要がある。
一実施形態では、上記の方法のステップは、同時に実施される。
一実施形態では、上記の方法のステップは、連続的に実施される。したがって、レシピエントのハプロドナーから得られたphDCは、アポトーシス因子に曝露されない。
一実施形態では、レシピエントのハプロドナーからのphDCは、方法のいずれの時点でもアポトーシス因子に曝露されない。
【0069】
一実施形態では、本発明は、
a)レシピエントの相補的ハプロドナーから免疫細胞、好ましくはリンパ球を準備するステップと、
b)ステップa)の免疫細胞、好ましくはリンパ球をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントのハプロドナーからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス相補的ハプロドナー免疫細胞、好ましくはアポトーシス相補的ハプロドナーリンパ球を、ステップc)の生理学的ハプロドナー樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法に関する。
【0070】
第2の態様の実施形態の全ては、上記の実施形態に必要な変更を加えて(すなわち、レシピエントの相補的ハプロドナーから得られた樹状細胞が、レシピエントの相補的ハプロドナーから得られた免疫細胞、好ましくはリンパ球によって置き換えられて)適用される。
方法はまた、アポトーシスを引き起こす単球などの樹状細胞関連細胞に基づいて実施され得る。したがって、別の実施形態では、本発明は、
a)レシピエントの相補的ハプロドナーから単球を準備するステップと、
b)ステップa)の単球をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントのハプロドナーからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス相補的ハプロドナー単球を、ステップc)の生理学的ハプロドナー樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法に関する。
第1の態様の実施形態の全ては、上記の実施形態に必要な変更を加えて(すなわち、レシピエントの相補的ハプロドナーから得られた樹状細胞が、レシピエントの相補的ハプロドナーから得られた単球によって置き換えられて)適用される。
【0071】
第3の態様:レシピエント樹状細胞がアポトーシスを引き起こす、寛容原性樹状細胞を選択的に産生する方法
第3の態様では、本発明は、
a)レシピエントからの樹状細胞を準備するステップと、
b)ステップa)の樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス樹状細胞を、ステップc)の生理学的樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法に関する。
【0072】
一実施形態では、方法は、移植前に実施される。
一実施形態では、方法は、移植前に、移植片またはその一部における免疫原性を選択的に低下させるためである。
一実施形態では、上記の方法のステップは、同時に実施される。
一実施形態では、上記の方法のステップは、連続的に実施される。したがって、レシピエントからのphDC(ステップc)は、アポトーシス因子に曝露されない。一実施形態では、ステップc)のレシピエントからのphDCは、方法のいずれの時点でもアポトーシス因子に曝露されない。
【0073】
一実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、レシピエントから得られる。
一実施形態では、ステップc)の樹状細胞は、レシピエントから得られる。
原則として、樹状細胞がレシピエントから得られた後(ステップa)、樹状細胞は、生存可能であってもよいか、または生存可能でなくてもよい。樹状細胞は、例えば、アポトーシス状態であり、それらがステップc)からの生理学的レシピエント樹状細胞と合わせられるまで凍結保存され得る。
【0074】
一実施形態では、本発明は、
a)レシピエントからの樹状細胞を準備するステップと、
b)ステップa)の樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス樹状細胞を、ステップc)の生理学的樹状細胞と合わせるステップと、
d1)ステップd)の混合物をコインキュベートするステップと
を含む、方法に関する。
【0075】
一実施形態では、混合物を共培養するステップd1)は、少なくとも0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間実施される。
【0076】
一実施形態では、アポトーシスレシピエント樹状細胞を、レシピエントからの生理学的樹状細胞と合わせるステップd)は、レシピエント内で行われる。
一実施形態では、上記の方法のステップは、同時に実施される。
一実施形態では、上記の方法のステップは、連続的に実施される。したがって、レシピエントからのphDC(ステップc)は、アポトーシス因子に曝露されない。一実施形態では、ステップc)のレシピエントからのphDCは、方法のいずれの時点でもアポトーシス因子に曝露されない。
【0077】
方法のステップb)では、方法のステップa)においてレシピエントから得られる樹状細胞は、アポトーシス因子に曝露される。一実施形態では、アポトーシス因子は、ソラレンおよびUVA、リボフラビンリン酸およびUVA、ならびに/またはアミノレブリン酸および光を含む。特に好ましいソラレンは、8-MOPおよびアモトサレンである。最も好ましいソラレンは、8-MOPである。最も好ましい実施形態では、アポトーシス因子は、8-MOPおよびUVAの組合せである。
実施形態は、好ましくは、レシピエントからの本質的に全ての樹状細胞がアポトーシス因子と接触するように選択されるべきである。8-MOP/UVAの場合、レシピエントからの本質的に全ての樹状細胞は、8-MOPと接触し、UVA光に曝露されるべきである。8-MOPおよびUVAの典型的な用量は、100ng/mL~300ng/mLの8-MOPの濃度と組み合わせた1J/cm~3J/cmのUVAである。
【0078】
好ましい実施形態では、UVAの用量は、3J/cm以下、2J/cm以下、または1J/cm以下である。他の好ましい実施形態では、8-MOPの用量は、300ng/mL、250ng/mL、200ng/mLまたは100ng/mL以下である。好ましい実施形態では、8-MOPの用量は200ng/mLであり、UVAの用量は1J/cmである。
【0079】
第1および第2の態様に関して記載されるように、本発明の文脈における樹状細胞は、特に、単球を活性化して健康なphDCに分化させる、体外フォトフェレーシス(ECP)から派生したプロセスを使用して単球のプレート通過によって得ることができる。第1の態様について記載されるphDCの生成に関する全ての実施形態は、第3の態様についてのphDCの生成にも適用される。
【0080】
したがって、特に好ましい実施形態では、レシピエントのphDCは、血液試料またはその画分を装置のフローチャンバーに通過させることによって、血液試料に含まれる単球をせん断力に供することによって得られる。好ましくは、血小板はフローチャンバー内に存在し、それは、レシピエントの血液試料もしくはその画分に由来してもよいか、または別個に提供されてもよい。加えて、または代わりに、血漿成分がフローチャンバー内に存在してもよく、それは、レシピエントの血液試料もしくはその画分に由来してもよいか、または別個に提供されてもよい。しかしながら、phDCの生成は、血小板および/または血漿成分の不在化でも機能する。
【0081】
レシピエントの単球は、任意の適切な手段によって、例えば、血液試料またはその画分から得ることができる。血液試料の画分は、例えば、白血球および血小板を含むバフィーコートであり得る。あるいは、血液試料の画分は、単離された末梢血単核細胞(PBMC)であってもよい。PBMCは、例えば、Ficoll-Hypaque勾配(Isolymph、CTL Scientific)上の遠心分離を使用して血液試料から単離され得る。別の例では、血液試料の画分は精製または濃縮された単球調製物であってもよい。単球は、例えば、プラスチック接着;CD14磁気ビーズ陽性選択(例えば、Miltenyi Biotec製);および単球単離キットII(Miltenyi Biotec)の1つ、2つ、または3つ全てを使用してPBMCから濃縮され得る。
【0082】
任意の適切な体積の血液が使用され得る。血液試料(例えば、画分が由来する血液試料)は、約1μLから約500mLの間、例えば、約1μLから約10mLの間、約1μLから約5mLの間、約1μLから約1mLの間、約1μLから約750μLの間、約1μLから約500μLの間、約1μLから約250μLの間、約10mLから約450mLの間、約20mLから約400mLの間、約30mLから約350mLの間、約40mLから約300mLの間、約50mLから約200mLの間、または約50mLから約100mLの間であってもよい。一部の実施形態では、血液試料もしくはその画分、または追加の血液試料もしくはその画分は、約100mL以下(例えば、約50mL~約100mL)である。
【0083】
一部の実施形態では、ECP装置は、小型ECP装置、例えば、トランス免疫化(TI)プレートである。一部の実施形態では、ECP装置はプラスチックバッグである。当業者は、例えば、遺伝子発現を評価することなどによって、phDCを含む樹状細胞を単球から区別する方法をよく知っている。
【0084】
科学的理論に拘束されるものではないが、本発明者らは、現時点では、本発明の顕著な効果は、損傷を受けた、特に、レシピエントの生理学的DCに抗原を提供し、レシピエントの免疫系に寛容シグナルを提供する、ソラレンおよびUVA(PUVA)の組合せによって損傷を受けた、死にかけているDCによるものであると想定している。phDCがPUVA処理したアポトーシス自己DCからそのような寛容原性シグナルを受け取った場合、phDCは(受け取った寛容原性シグナルに加えて)、自己PUVA処理したアポトーシスDCからの抗原をそれらの表面上に提示することができ、それによって抗原特異的寛容原性反応を引き起こすことができる。同様に、抗原の供給源もまた、免疫細胞、例えば、単球またはリンパ球に由来していてもよい。したがって、免疫細胞、例えば、単球またはリンパ球は、抗原特異的寛容原性反応を生成するために、アポトーシスを引き起こし、phDCと合わせられ得る。しかしながら、損傷を受けたDCまたは単球などの関連する前駆細胞が好ましい。
【0085】
一実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、レシピエントの体外血液試料に由来する。別の実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、レシピエント由来のPBMCのプレート通過によって得られている。一実施形態では、レシピエントは哺乳動物である。哺乳動物としては、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ブタ、イヌ、ネコ、ウマおよびげっ歯動物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、レシピエントはヒトである。
【0086】
一実施形態では、移植片は、腎臓移植片、膵臓移植片、肝臓移植片、心臓移植片、肺移植片、腸移植片、骨髄移植片または幹細胞移植片である。一実施形態では、幹細胞移植片は、造血幹細胞移植片である。
【0087】
上記の実施形態の全ては、in vitroで実施され得る。
【0088】
本発明の方法は、造血幹細胞移植に関連する免疫欠如の治療のための他の治療法と併用して適用され得る。
【0089】
第3の態様の以下の実施形態については、第3の態様に関連する上記の実施形態の全てが必要な変更を加えて適用される:
【0090】
一実施形態では、本発明は、
a)レシピエントから得られた樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
b)ステップa)のアポトーシスレシピエント樹状細胞を、レシピエントから得られた生理学的樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法に関する。
【0091】
上記の実施形態では、さらに上記の実施形態について記載されるように、ステップd1)に対応するコインキュベーションが実施され得る。
一実施形態では、上記の方法のステップは、同時に実施される。
一実施形態では、上記の方法のステップは、連続的に実施される。したがって、レシピエントからのphDC(ステップb)は、アポトーシス因子に曝露されない。一実施形態では、ステップb)のレシピエントから得られたphDCは、方法のいずれの時点でもアポトーシス因子に曝露されない。
一実施形態では、本発明は、
a)レシピエントから免疫細胞、好ましくはリンパ球を準備するステップと、
b)ステップa)の免疫細胞、好ましくはリンパ球をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス免疫細胞、好ましくはアポトーシスリンパ球を、ステップc)の生理学的樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法に関する。
【0092】
第3の態様の実施形態の全ては、上記の実施形態に必要な変更を加えて(すなわち、レシピエントから得られた樹状細胞が、レシピエントから得られた免疫細胞、好ましくはリンパ球によって置き換えられて)適用される。
【0093】
方法はまた、アポトーシスを引き起こす単球などの樹状細胞関連細胞に基づいて実施され得る。したがって、別の実施形態では、本発明は、
a)レシピエントから単球を準備するステップと、
b)ステップa)の単球をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス単球を、ステップc)の生理学的樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法に関する。
【0094】
第1の態様の実施形態の全ては、上記の実施形態に必要な変更を加えて(すなわち、レシピエントから得られた樹状細胞が、レシピエントから得られた単球によって置き換えられて)適用される。
【0095】
第4の態様:第1の態様による方法によって得られた寛容原性樹状細胞
第4の態様では、本発明は、第1の態様(上記の全ての実施形態を含む)による方法によって得られた寛容原性レシピエント樹状細胞に関する。
一実施形態では、第1の態様による方法によって得られた寛容原性レシピエント樹状細胞は、ドナーからの将来の移植片の免疫原性を低下させる。
【0096】
第5の態様:第2の態様による方法によって得られた寛容原性樹状細胞
第5の態様では、本発明は、第2の態様(上記の全ての実施形態を含む)による方法によって得られた寛容原性ハプロドナー樹状細胞に関する。
一実施形態では、第2の態様による方法によって得られた寛容原性ハプロドナー樹状細胞は、ハプロドナーからの将来の移植片の免疫原性を低下させる。
【0097】
第6の態様:第3の態様による方法によって得られた寛容原性樹状細胞
第6の態様では、本発明は、第3の態様(上記の全ての実施形態を含む)による方法によって得られた寛容原性レシピエント樹状細胞に関する。
一実施形態では、第3の態様による方法によって得られた寛容原性レシピエント樹状細胞は、将来の移植片の免疫原性を低下させる。
【0098】
第7の態様:移植片対宿主病を予防または軽減する方法で使用するための第4の態様による寛容原性樹状細胞
第7の態様では、本発明は、移植片対宿主病を予防または軽減する方法で使用するための第4の態様(上記の第1および第4の態様の全ての実施形態を含む)による寛容原性樹状細胞に関する。
一実施形態では、第1の態様の方法によって得られた寛容原性樹状細胞は、移植を必要とする同種異系またはハプロ同一(haploidentical)レシピエントの治療で使用するためである。このような治療が移植前に行われると、GvHDを発症するリスク、およびGvHDが発症した場合のその重症度は、移植前に寛容原性樹状細胞を投与していない場合と比較して大幅に軽減する。
【0099】
第8の態様:移植片対宿主病を予防または軽減する方法で使用するための第5の態様による寛容原性樹状細胞
第8の態様では、本発明は、移植片対宿主病を予防または軽減する方法で使用するための第5の態様(上記の第2および第5の態様の全ての実施形態を含む)による寛容原性樹状細胞に関する。
一実施形態では、第2の態様の方法によって得られた寛容原性樹状細胞は、移植を必要とするハプロ同一レシピエントの治療で使用するためである。このような治療が移植前に行われると、GvHDを発症するリスク、およびGvHDが発症した場合のその重症度は、移植前に寛容原性樹状細胞を投与していない場合と比較して大幅に軽減する。
【0100】
第9の態様:移植片対宿主病を予防または軽減する方法で使用するための第6の態様による寛容原性樹状細胞
第9の態様では、本発明は、移植片対宿主病を予防または軽減する方法で使用するための第6の態様(上記の第3および第6の態様の全ての実施形態を含む)による寛容原性樹状細胞に関する。
一実施形態では、第3の態様の方法によって得られた寛容原性樹状細胞は、移植を必要とする同種異系またはハプロ同一レシピエントの治療で使用するためである。このような治療が移植前に行われると、GvHDを発症するリスク、およびGvHDが発症した場合のその重症度は、移植前に寛容原性レシピエント樹状細胞を投与していない場合と比較して大幅に軽減する。
【0101】
第10の態様:寛容原性樹状細胞を選択的に産生する方法
第10の態様では、本発明は、
a)対象から得られた樹状細胞の第1の試料を準備するステップと、
b)ステップa)の樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)対象から得られた樹状細胞の第2の試料を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス樹状細胞を、ステップc)の樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法に関する。
【0102】
一実施形態では、方法は、寛容原性樹状細胞の選択的産生に関する。
一実施形態では、アポトーシス樹状細胞を樹状細胞と合わせるステップd)は、対象内で行われる。
一実施形態では、上記の方法のステップは、同時に実施される。
一実施形態では、上記の方法のステップは、連続的に実施される。したがって、ステップc)のDCは、アポトーシス因子に曝露されない。一実施形態では、ステップc)のDCは、方法の間のいずれの時点でもアポトーシス因子に曝露されない。
【0103】
一実施形態では、本発明は、
a)対象から得られた樹状細胞の第1の試料を準備するステップと、
b)ステップa)の樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)対象から得られた樹状細胞の第2の試料を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス樹状細胞を、ステップc)の樹状細胞と合わせるステップと、
d1)ステップd)の混合物をコインキュベートするステップと
を含む、方法に関する。
【0104】
一実施形態では、樹状細胞の両方の試料(ステップa)およびc))は同じ対象から得られる。一実施形態では、混合物を共培養するステップd1)は、少なくとも0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間実施される。
一実施形態では、上記の方法のステップは、同時に実施される。
一実施形態では、上記の方法のステップは、連続的に実施される。したがって、ステップc)のDCは、アポトーシス因子に曝露されない。
【0105】
方法のステップb)では、方法のステップa)において対象から得られる樹状細胞が、アポトーシス因子に曝露される。一実施形態では、アポトーシス因子は、ソラレンおよびUVA、リボフラビンリン酸およびUVA、ならびに/またはアミノレブリン酸および光を含む。特に好ましいソラレンは、8-MOPおよびアモトサレンである。最も好ましいソラレンは、8-MOPである。最も好ましい実施形態では、アポトーシス因子は、8-MOPおよびUVAの組合せである。
【0106】
実施形態は、好ましくは、対象からの本質的に全ての樹状細胞がアポトーシス因子と接触するように選択されるべきである。8-MOP/UVAの場合、対象からの本質的に全ての樹状細胞は、8-MOPと接触し、UVA光に曝露されるべきである。8-MOPおよびUVAの典型的な用量は、100ng/mL~300ng/mLの8-MOPの濃度と組み合わせた1J/cm~3J/cmのUVAである。
【0107】
好ましい実施形態では、UVAの用量は、3J/cm以下、2J/cm以下、または1J/cm以下である。他の好ましい実施形態では、8-MOPの用量は、300ng/mL、250ng/mL、200ng/mLまたは100ng/mL以下である。好ましい実施形態では、8-MOPの用量は200ng/mLであり、UVAの用量は1J/cmである。
【0108】
第1および第2の態様に関して記載されるように、本発明の文脈における、すなわち、第10の態様にも関する樹状細胞は、特に、単球を活性化して健康なphDCに分化させる、体外フォトフェレーシス(ECP)から派生したプロセスを使用して単球のプレート通過によって得ることができる。
一実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、対象からのPBMCのプレート通過によって得られている。一実施形態では、ステップc)の樹状細胞は、対象からのPBMCのプレート通過によって得られている。したがって、ステップa)および/またはステップc)の樹状細胞は生理学的DCと呼ばれ得る。第1の態様について記載されているphDCの生成に関する全ての実施形態は、第10の態様についてのphDCの生成にも適用される。一実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、対象から得られた体外血液試料から得られている。一実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、対象から得られた体外血液試料から得られ、ステップc)の樹状細胞は、対象からのPBMCのプレート通過によって得られている。
【0109】
したがって、特に好ましい実施形態では、対象のphDCは、血液試料またはその画分を装置のフローチャンバーに通過させることによって、血液試料に含まれる単球をせん断力に供することによって得られる。好ましくは、血小板はフローチャンバー内に存在し、それは、対象の血液試料もしくはその画分に由来してもよいか、または別個に提供されてもよい。加えて、または代わりに、血漿成分がフローチャンバー内に存在してもよく、それは、対象の血液試料もしくはその画分に由来してもよいか、または別個に提供されてもよい。しかしながら、phDCの生成は、血小板および/または血漿成分の不在化でも機能する。
【0110】
対象の単球は、任意の適切な手段によって、例えば、血液試料またはその画分から得ることができる。血液試料の画分は、例えば、白血球および血小板を含むバフィーコートであり得る。あるいは、血液試料の画分は、単離された末梢血単核細胞(PBMC)であってもよい。PBMCは、例えば、Ficoll-Hypaque勾配(Isolymph、CTL Scientific)上の遠心分離を使用して血液試料から単離され得る。別の例では、血液試料の画分は精製または濃縮された単球調製物であってもよい。単球は、例えば、プラスチック接着;CD14磁気ビーズ陽性選択(例えば、Miltenyi Biotec製);および単球単離キットII(Miltenyi Biotec)の1つ、2つ、または3つ全てを使用してPBMCから濃縮され得る。
【0111】
任意の適切な体積の血液が使用され得る。血液試料(例えば、画分が由来する血液試料)は、約1μLから約500mLの間、例えば、約1μLから約10mLの間、約1μLから約5mLの間、約1μLから約1mLの間、約1μLから約750μLの間、約1μLから約500μLの間、約1μLから約250μLの間、約10mLから約450mLの間、約20mLから約400mLの間、約30mLから約350mLの間、約40mLから約300mLの間、約50mLから約200mLの間、または約50mLから約100mLの間であってもよい。一部の実施形態では、血液試料もしくはその画分、または追加の血液試料もしくはその画分は、約100mL以下(例えば、約50mL~約100mL)である。
【0112】
一部の実施形態では、ECP装置は、小型ECP装置、例えば、トランス免疫化(TI)プレートである。一部の実施形態では、ECP装置はプラスチックバッグである。当業者は、例えば、遺伝子発現を評価することなどによって、phDCを含む樹状細胞を単球から区別する方法をよく知っている。
【0113】
科学的理論に拘束されるものではないが、本発明者らは、現時点では、本発明の顕著な効果は、損傷を受けた、特に、対象の生理学的DCに抗原を提供し、対象の免疫系に寛容シグナルを提供する、ソラレンおよびUVA(PUVA)の組合せによって損傷を受けた、対象からの死にかけているDCによるものであると想定している。phDCがPUVA処理したアポトーシス自己DCからそのような寛容原性シグナルを受け取った場合、phDCは(受け取った寛容原性シグナルに加えて)、自己PUVA処理したアポトーシスDCからの抗原、特に自己抗原をそれらの表面上に提示することができ、それによって抗原特異的寛容原性反応を引き起こすことができる。同様に、抗原の供給源もまた、免疫細胞、例えば、リンパ球に由来していてもよい。したがって、免疫細胞、例えば、リンパ球は、抗原特異的寛容原性反応を生成するために、アポトーシスを引き起こし、対象のphDCと合わせられ得る。
【0114】
一実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、対象の体外血液試料に由来する。別の実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、対象由来のPBMCのプレート通過によって得られている。
【0115】
一実施形態では、本発明は、以下のステップ(上記の全ての実施形態は、必要な変更を加えて以下の実施形態にも適用される):
a)対象から得られた樹状細胞の第1の試料を準備するステップと、
a1)樹状細胞を抗原分子とインキュベートするステップと、
b)ステップa1)のインキュベートした樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)対象から得られた樹状細胞の第2の試料を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス樹状細胞を、ステップc)の樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法に関する。
【0116】
一実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、対象由来のPBMCのプレート通過によって得られている。一実施形態では、ステップc)の樹状細胞は、対象由来のPBMCのプレート通過によって得られている。一実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、対象由来の体外血液試料から得られている。一実施形態では、ステップa)の樹状細胞は、対象由来の体外血液試料から得られ、ステップc)の樹状細胞は対象由来のPBMCのプレート通過によって得られている。
【0117】
一実施形態では、抗原分子は自己抗原である。一実施形態では、自己抗原は、1つまたは複数の自己免疫障害に関連する。一実施形態では、抗原分子は、天然源に由来するか、化学的に合成されるか、または組換えによって産生される。一実施形態では、抗原分子は細胞に由来する。
【0118】
以下の表Aは、自己免疫疾患に関連する例示的な自己抗原、および寛容原性phDCを使用して自己免疫疾患の改善を評価するために使用され得る例示的な動物モデル系のリストを示す(実験7および8も参照のこと)。
【0119】
【表1-1】
【0120】
【表1-2】
【0121】
【表1-3】
【0122】
【表1-4】
【0123】
【表1-5】
【0124】
【表1-6】
【0125】
【表1-7】
【0126】
【表1-8】
【0127】
【表1-9】
【0128】
【表1-10】
【0129】
一実施形態では、自己抗原は、Rh血液型抗原、血小板インテグリンGpIIb:IIIa、基底膜コラーゲンIV型の非コラーゲン性ドメイン、表皮カドヘリン、連鎖球菌細胞壁抗原、C型肝炎抗原を伴うまたは伴わないリウマチ因子IgG複合体、膵臓β細胞抗原、ミエリン塩基性タンパク質、プロテオリピドタンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、デスモグレイン3、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、アセチルコリン受容体、カルボキシペプチダーゼH、クロモグラニンA、グルタメートデカルボキシラーゼ、イモジェン-38、インスリン、インスリノーマ抗原-2および2β、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、プロインスリン、α-エノラーゼ、アクアポリン-4、β-アレスチン、S100-β、シトルリン化タンパク質、コラーゲンII、熱ショックタンパク質、ヒト軟骨糖タンパク質39、La抗原、ヌクレオソームヒストンおよびリボ核タンパク質(snRNP)、リン脂質-β-2糖タンパク質I複合体、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ、U-1低分子リボ核タンパク質複合体のSm抗原、膵島細胞抗原、細胞質リンカータンパク質-170(CLIP-170)、シェーグレン症候群抗原A(SS-A/Ro)、シェーグレン症候群抗原B(SS-B/La)、シェーグレンループス抗原(SL)ならびに強皮症抗原70(Scl-70)を含む群から選択される。一実施形態では、自己抗原は、ミエリン塩基性タンパク質およびコラーゲンから選択される。
【0130】
一実施形態では、対象は哺乳動物である。哺乳動物としては、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ブタ、イヌ、ネコ、ウマおよびげっ歯動物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0131】
上記の実施形態の全ては、in vitroで実施され得る。
【0132】
本発明の方法は、自己免疫疾患の治療のための他の治療法と併用して適用され得る。例えば、自己免疫疾患は、上記の表Aに記載されている任意の自己免疫疾患であり得る。他の自己免疫疾患は当該技術分野で公知である。
【0133】
第11の態様:第10の態様による方法によって得られた寛容原性樹状細胞
第11の態様では、本発明は、第10の態様(上記の全ての実施形態を含む)による方法によって得られた寛容原性樹状細胞に関する。
【0134】
第12の態様:自己免疫疾患の治療で使用するための第11の態様による寛容原性樹状細胞
第12の態様では、本発明は、自己免疫疾患の治療で使用するための第11の態様(上記の第10および第11の態様の全ての実施形態を含む)による寛容原性樹状細胞に関する。
自己免疫疾患の治療では、寛容原性樹状細胞の投与により、生活の質の改善;疾患の症状の重症度の軽減;自己免疫細胞の数の減少;生存期間の延長などのいくつかの改善効果が得られることが企図される。
有益な効果の指標は当該技術分野で周知であり、特定の用途に対する適切な指標は当業者によって決定され得る。
このような治療の後、自己免疫疾患またはそれに関連する症状の重症度は、寛容原性樹状細胞を投与しない場合と比較して大幅に軽減される。
【0135】
一実施形態では、自己免疫疾患は、多発性硬化症、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、筋萎縮性側索硬化症、尋常性天疱瘡、乾癬、重症筋無力症、甲状腺炎、強皮症、シェーグレン症候群、血小板減少性紫斑病、クリオグロブリン血症、自己免疫性溶血性貧血、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、アジソン病、セリアック病、慢性疲労症候群、大腸炎、クローン病、線維筋痛症、甲状腺機能亢進症/グレーブス病、甲状腺機能低下症/橋本病、子宮内膜症、悪性貧血、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー病およびリウマチ熱を含む群から選択される。
【0136】
別の実施形態では、それを必要とする対象における自己免疫疾患を治療する方法であって、本明細書に記載される寛容原性樹状細胞のいずれかの有効量を対象に投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
【0137】
別の実施形態では、それを必要とする対象における自己免疫疾患を治療する方法であって、方法は、有効量の寛容原性樹状細胞を対象に投与することを含み、寛容原性樹状細胞は、対象から得られたアポトーシス樹状細胞由来の物質、自己抗原、それらの断片、またはそれらの組合せを含む生理学的樹状細胞を含む、方法が本明細書で提供される。
【0138】
前述の方法のいずれかでは、自己免疫疾患は、多発性硬化症、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、筋萎縮性側索硬化症、尋常性天疱瘡、乾癬、重症筋無力症、甲状腺炎、強皮症、シェーグレン症候群、血小板減少性紫斑病、クリオグロブリン血症、自己免疫性溶血性貧血、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、アジソン病、セリアック病、慢性疲労症候群、大腸炎、クローン病、線維筋痛症、甲状腺機能亢進症/グレーブス病、甲状腺機能低下症/橋本病、子宮内膜症、悪性貧血、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー病およびリウマチ熱を含む群から選択され得る。
【0139】
前述の方法のいずれかでは、自己抗原は、Rh血液型抗原、血小板インテグリンGpIIb:IIIa、基底膜コラーゲンIV型の非コラーゲン性ドメイン、表皮カドヘリン、連鎖球菌細胞壁抗原、C型肝炎抗原を伴うまたは伴わないリウマチ因子IgG複合体、膵臓β細胞抗原、ミエリン塩基性タンパク質、プロテオリピドタンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、デスモグレイン3、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、アセチルコリン受容体、カルボキシペプチダーゼH、クロモグラニンA、グルタメートデカルボキシラーゼ、イモジェン-38、インスリン、インスリノーマ抗原-2および2β、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、プロインスリン、α-エノラーゼ、アクアポリン-4、β-アレスチン、S100-β、シトルリン化タンパク質、コラーゲンII、熱ショックタンパク質、ヒト軟骨糖タンパク質39、La抗原、ヌクレオソームヒストンおよびリボ核タンパク質(snRNP)、リン脂質-β-2糖タンパク質I複合体、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ、U-1低分子リボ核タンパク質複合体のSm抗原、膵島細胞抗原、細胞質リンカータンパク質-170(CLIP-170)、シェーグレン症候群抗原A(SS-A/Ro)、シェーグレン症候群抗原B(SS-B/La)、シェーグレンループス抗原(SL)ならびに強皮症抗原70(Scl-70)を含む群から選択され得る。
【0140】
第13の態様:Ex Vivo寛容原性樹状細胞
第13の態様では、本発明は、対象から得られたアポトーシス樹状細胞由来の物質を含むex vivo寛容原性樹状細胞に関する。
一部の実施形態では、対象から得られたアポトーシス樹状細胞由来の物質には、ポリペプチド、核酸、細胞小器官もしくはその一部、または任意の他の細胞内容物が含まれる。
一部の実施形態では、ex vivo寛容原性樹状細胞は、自己抗原またはその断片を含む。本明細書(例えば、表A)に記載される任意の自己抗原を含む、任意の適切な自己抗原が含まれ得る。ポリペプチド抗原の場合、断片は、任意の適切なサイズ、例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、または1000アミノ酸のものであり得る。
一部の実施形態では、ex vivo寛容原性樹状細胞は、1種類の自己抗原またはその断片を含む。他の実施形態では、ex vivo寛容原性樹状細胞は、2個、3個、4個、5個、10個、またはそれ以上の異なる自己抗原またはその断片を含み得る。
一部の実施形態では、自己抗原は、Rh血液型抗原、血小板インテグリンGpIIb:IIIa、基底膜コラーゲンIV型の非コラーゲン性ドメイン、表皮カドヘリン、連鎖球菌細胞壁抗原、C型肝炎抗原を伴うまたは伴わないリウマチ因子IgG複合体、膵臓β細胞抗原、ミエリン塩基性タンパク質、プロテオリピドタンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、デスモグレイン3、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、アセチルコリン受容体、カルボキシペプチダーゼH、クロモグラニンA、グルタメートデカルボキシラーゼ、イモジェン-38、インスリン、インスリノーマ抗原-2および2β、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、プロインスリン、α-エノラーゼ、アクアポリン-4、β-アレスチン、S100-β、シトルリン化タンパク質、コラーゲンII、熱ショックタンパク質、ヒト軟骨糖タンパク質39、La抗原、ヌクレオソームヒストンおよびリボ核タンパク質(snRNP)、リン脂質-β-2糖タンパク質I複合体、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ、U-1低分子リボ核タンパク質複合体のSm抗原、膵島細胞抗原、細胞質リンカータンパク質-170(CLIP-170)、シェーグレン症候群抗原A(SS-A/Ro)、シェーグレン症候群抗原B(SS-B/La)、シェーグレンループス抗原(SL)ならびに強皮症抗原70(Scl-70)を含む群から選択される。
対象は、本明細書(例えば、表A)に開示されるいずれかの自己免疫疾患を含む、自己免疫疾患を患っている場合がある。
【0141】
第14の態様:対象から得られた樹状細胞の試料を含む組成物
第14の態様では、本発明は、(a)対象から得られた樹状細胞の試料と、(b)アポトーシス因子と、(c)自己抗原またはその断片とを含む、組成物に関する。
組成物は、本明細書に開示される任意のアポトーシス因子を含む、任意の適切なアポトーシス因子を含み得る。一部の実施形態では、アポトーシス因子は、ソラレン、リボフラビンリン酸、5-アミノレブリン酸、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態では、アポトーシス因子はソラレンである。一部の実施形態では、ソラレンは、8-MOPおよびアモトサレンを含む群から選択される。一部の実施形態では、ソラレンは8-MOPである。
一部の実施形態では、組成物は自己抗原またはその断片を含む。本明細書(例えば、表A)に記載される任意の自己抗原を含む、任意の適切な自己抗原が含まれ得る。ポリペプチド抗原の場合、断片は任意の適切なサイズ、例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、または1000アミノ酸のものであり得る。
一部の実施形態では、組成物は、1種類の自己抗原またはその断片を含む。他の実施形態では、組成物は、2個、3個、4個、5個、10個、またはそれ以上の異なる自己抗原またはその断片を含み得る。
一部の実施形態では、自己抗原は、Rh血液型抗原、血小板インテグリンGpIIb:IIIa、基底膜コラーゲンIV型の非コラーゲン性ドメイン、表皮カドヘリン、連鎖球菌細胞壁抗原、C型肝炎抗原を伴うまたは伴わないリウマチ因子IgG複合体、膵臓β細胞抗原、ミエリン塩基性タンパク質、プロテオリピドタンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、デスモグレイン3、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、アセチルコリン受容体、カルボキシペプチダーゼH、クロモグラニンA、グルタメートデカルボキシラーゼ、イモジェン-38、インスリン、インスリノーマ抗原-2および2β、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、プロインスリン、α-エノラーゼ、アクアポリン-4、β-アレスチン、S100-β、シトルリン化タンパク質、コラーゲンII、熱ショックタンパク質、ヒト軟骨糖タンパク質39、La抗原、ヌクレオソームヒストンおよびリボ核タンパク質(snRNP)、リン脂質-β-2糖タンパク質I複合体、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ、U-1低分子リボ核タンパク質複合体のSm抗原、膵島細胞抗原、細胞質リンカータンパク質-170(CLIP-170)、シェーグレン症候群抗原A(SS-A/Ro)、シェーグレン症候群抗原B(SS-B/La)、シェーグレンループス抗原(SL)ならびに強皮症抗原70(Scl-70)を含む群から選択される。
樹状細胞は、本明細書(例えば、表A)に開示されるいずれかの自己免疫疾患を含む、自己免疫疾患を患っている対象から得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
図1】ECP白血病ハプロ同一試験の概略設計を示す図である。
図2】ECP白血病ハプロ同一試験の概略設計を示す図である。
図3】Balb/C→B6完全不一致GVHD系の概略設計を示す図である。結果も示される。
図4】移植片のEx vivoソラレンUVA処理(PUVA)が、完全MHC不一致モデルにおいてGVHDを改善することを示す図である。マウスに、-4日目の移植前または0日目の移植の日に2×10個のMC38腫瘍細胞を皮下注射した。マウスに、-1日目に950cGyで致死照射した。0日目に、マウスはBalb/c→B6移植を受けた。マウスは、操作されていない10×10個の脾細胞とともに、または同種異系刺激(allo-stimulated)移植片のex vivo PUVA処理の後、5×10個の同種異系T細胞枯渇骨髄(BM)細胞の静脈内注射を受けた。対照として、マウスの群は、腫瘍接種後、同系BMおよび脾細胞を与えられた。(A、パネル1~3)全ての群の平均体重、GvHDスコアおよび生存率のプールされたデータ。(B)平均腫瘍体積。
図5】心臓移植のカプラン・マイヤーの生存曲線を示す図である。
図6】対象の特徴を示す図である。
図7】GVHDのグレードおよびステージを示す図である。
図8】急性GVHDの累積発生率を示す図である。非血縁ドナー解析は、5/6のHLAが一致した血縁ドナーを有した1人の患者を含む。
図9】広範囲の慢性GVHDの累積発生率を示す図である。
図10】全生存率を示す図である。非血縁ドナー解析は、5/6のHLAが一致した血縁ドナーを有した1人の患者を含む。
図11】移植関連死亡の累積発生率を示す図である。非血縁ドナー解析は、5/6のHLAが一致した血縁ドナーを有した1人の患者を含む。
図12】歴史的対照の選択基準を示す図である。
図13】研究対象および歴史的対照の対象の特徴を示す図である。
図14】多変量解析における移植転帰の相対リスクおよび95%信頼区間(対照群は参照として使用され、1.0の相対リスクを割り当てられる)を示す図である。
図15】グレードII~IVの急性GVHDの累積発生率を示す図である。
図16】無病生存率の調整済み確率を示す図である。
図17】生存率の調整済み確率を示す図である。
図18】8-MOP/UVAにより損傷を受けた同系PBMC(PUVA syn PBMC)または8-MOP/UVAにより損傷を受けた同種異系PBMC(PUVA allo PBMC)とインキュベートされたphDCに対する新鮮なPBMC単独のPD-L1発現を示す図である。
図19-1】1人のドナーからのCFSE標識化レスポンダーT細胞(T細胞)を、同じドナー(同系培養)または非血縁ドナー(MLR)からのガンマ線照射刺激因子PBMCとコインキュベートしたことを示す図である。MLR反応を抑制するために、一部の培養物に同系8-MOP/UVA処理PBMC、および同系TIプレート通過phDC(MLR+PUVA syn.PBMC+phDC)をさらに補充した。レスポンダーCD8およびCD4 T細胞の増殖を、フローサイトメトリー(FACS)によるCFSE希釈を測定することによってアッセイした(A、B)。レスポンダーCD8およびCD4 T細胞の活性化状態を、活性化T細胞を検出するためにCD44およびPD1発現を使用してFACSによってさらに評価した(C、D)。N=解析した血液ドナーの数;p値=ウェルチ補正を用いた対応のないt検定。
図19-2】1人のドナーからのCFSE標識化レスポンダーT細胞(T細胞)を、同じドナー(同系培養)または非血縁ドナー(MLR)からのガンマ線照射刺激因子PBMCとコインキュベートしたことを示す図である。MLR反応を抑制するために、一部の培養物に同系8-MOP/UVA処理PBMC、および同系TIプレート通過phDC(MLR+PUVA syn.PBMC+phDC)をさらに補充した。レスポンダーCD8およびCD4 T細胞の増殖を、フローサイトメトリー(FACS)によるCFSE希釈を測定することによってアッセイした(A、B)。レスポンダーCD8およびCD4 T細胞の活性化状態を、活性化T細胞を検出するためにCD44およびPD1発現を使用してFACSによってさらに評価した(C、D)。N=解析した血液ドナーの数;p値=ウェルチ補正を用いた対応のないt検定。
【発明を実施するための形態】
【0143】
以下の一般的な定義が提供される。
【0144】
「含む」という用語が本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、それは他の要素を排除するものではない。本発明の目的のために、「からなる」という用語は、「から構成される」という用語の好ましい実施形態であるとみなされる。本明細書以下で、群が少なくとも一定数の実施形態を含むと定義される場合、これは、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群を開示するとも理解されるべきである。
【0145】
本発明の目的のために、「得られた」という用語は、「得ることができる」という用語の好ましい実施形態であるとみなされる。本明細書以下で、例えば、抗体が特定の供給源から得ることができると定義される場合、これは、この供給源から得られる抗体を開示するとも理解されるべきである。
【0146】
単数名詞を指すときに不定冠詞または定冠詞、例えば、「1つの(a)」、「1つの(an)」または「その」が使用される場合、これは、何か他のものが具体的に明記されていない限り、その名詞の複数形を含む。本発明の文脈における「約」または「およそ」という用語は、当業者が問題になっている特徴の技術的効果を依然として保証することを理解する精度の範囲を意味する。この用語は、典型的には、示された数値からの±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、さらにより好ましくは±5%の偏差を示す。
【0147】
さらに、本明細書および特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」もしくは「(i)」、「(ii)」、「(iii)」、「(iv)」などの用語は、同様の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的または時系列の順序を説明するために使用されているわけではない。このように使用される用語は、適切な状況下では交換可能であり、本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載または例示された以外の順序で操作可能であることが理解さるべきである。
【0148】
「第1」、「第2」、「第3」または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」もしくは「(i)」、「(ii)」、「(iii)」、「(iv)」などの用語が、方法または使用またはアッセイのステップに関連している場合、特に指定されない限り、ステップ間に時間または時間間隔の一貫性はない。すなわち、ステップは同時に実施されてもよいか、または本明細書上記もしくは下記に示されるように適用において他に指定されない限り、このようなステップの間に、秒、分、時間、日、週、月もしくはさらには年の時間間隔があってもよい。
【0149】
技術用語はそれらの一般的な意味で使用される。特定の意味が特定の用語に変換される場合、用語の定義は、その用語が使用される文脈で以下に与えられる。
【0150】
本明細書で使用される場合、「移植片(trasnplant)」とは、哺乳動物個体(「ドナー」)から取り出され、全体または一部を同じ(「自己」)または異なる(「同種異系」)哺乳動物個体(「レシピエント」)に再導入するのに適した任意の細胞の試料を指す。移植片は、新たに得られ、培養され、または凍結されてもよいが、無菌性を維持し、生存能力を促進するのに適した条件下で維持されている。移植片という用語は、移植片(graft)という用語と交換可能に使用される。
【0151】
本発明の方法は、クラスIおよびクラスIIのHLA抗原の全てまたはほぼ全てを共有する、厳密にHLAが一致した個体;HLA抗原の半分を共有する同胞などのハプロ同一である個体;または非血縁、したがってほとんどHLAが一致していない個体に対して実施され得る。本発明の文脈において、「ハプロドナー」とは、将来のレシピエントの一方の遺伝的な親を指すが、「相補的ハプロドナー」という用語は、もう一方の遺伝的な親を指す。したがって、将来のレシピエントは子供である。言い換えれば、母親がハプロドナーである場合、父親は子供(将来のレシピエント)の相補的ハプロドナーであり、その逆も同様である。第1の態様の好ましい実施形態では、レシピエントおよびドナーは非血縁である。第2の態様の好ましい実施形態では、ハプロドナーおよび相補的ハプロドナーの各々は、将来のレシピエントのHLA抗原の半分を有する。
【0152】
個体間のHLA同一性の程度は、ポリメラーゼ連鎖反応、混合リンパ球反応(MLR)、および血清学的測定を含む、当該技術分野で公知の方法によって容易に実証され得る。
【0153】
本明細書で使用される場合、「抗原」という用語は、動物に注射または吸収される組成物を含む、動物における抗体の産生またはT細胞応答を刺激することができる化合物、組成物、または物質を指す。抗原は、異種免疫原によって誘導されるものを含む、特定の体液性免疫または細胞性免疫の産生物と反応する。この用語は、「免疫原」または「抗原分子」という用語と交換可能に使用される。「抗原」という用語は、全ての関連する抗原エピトープを含む。「抗原」、「抗原分子」または「免疫原」という用語は、依然として抗原として作用可能であるそれらの断片を含む。「エピトープ」または「抗原決定基」とは、B細胞および/またはT細胞が応答する抗原上の部位を指す。一例では、レシピエント抗原は、末梢血白血球(単球または単球由来細胞を含む)のプレート通過から得られた樹状細胞などの樹状細胞からの抗原を含む。
【0154】
本明細書で使用される場合、「免疫原性」という用語は、抗原などの物質、細胞、またはその一部が、ヒトまたは動物の体内で免疫応答を引き起こす能力を指す。
【0155】
本明細書で使用される場合、「自己抗原」という用語は、自己抗原に特異的な活性化T細胞の存在が疾患の発生または進行と相関するように、自己免疫疾患に関連すると当業者によって考えられている宿主抗原(または微生物スーパー抗原)を指す。
【0156】
自己抗原は、定義された自己免疫標的抗原、例えば、定義された自己免疫標的抗原、例えば、多発性硬化症では、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)MBP84~102、もしくはMBP143~168と特定された標的抗原;膵島細胞抗原;ブドウ膜炎では、S抗原;または関節リウマチでは、II型もしくは他の種類のコラーゲン;SLEでは、細胞質リンカータンパク質-170(CLIP-170);シェーグレン症候群抗原A(SS-A/Ro)、シェーグレン症候群抗原B(SS-B/La)、シェーグレンループス抗原(SL);強皮症抗原70(Scl-70);グレーブス病では、甲状腺受容体;重症筋無力症では、アセチルコリン受容体であり得る。本発明の自己抗原はまた、自己免疫に関連することが知られているMHC分子、例えば、1型糖尿病、関節リウマチおよび多発性硬化症などの、いくつかの一般的な自己免疫疾患に対する感受性を与えるHLA-DQおよび-DR分子、または反応性関節炎および強直性脊椎炎に対する感受性を与えることが知られているHLA-B27分子から溶出されたペプチド混合物も含む。本発明の自己抗原はまた、自己免疫疾患に関連するWIC分子に結合すると予測される合成ペプチドであってもよい。個々の自己抗原がまだ特徴付けられていない他の自己免疫疾患の場合、本発明の方法の実施に適した自己抗原は、罹患組織(例えば、関節リウマチでは滑膜細胞、乾癬では皮膚病変など)からの細胞または細胞抽出物であり得る。自己抗原という用語はまた、自己抗原として作用するその断片も含む。
【0157】
本明細書で使用される場合、「免疫細胞」とは、造血起源であり、免疫応答において役割を果たす細胞を広範に指す。免疫細胞には、B細胞およびT細胞などのリンパ球;白血球;ナチュラルキラー細胞;ならびに単球、樹状細胞、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、好塩基球、および顆粒球などの骨髄細胞が含まれる。
【0158】
本明細書で「DC」とも称される「樹状細胞」は、抗原物質を処理し、それを免疫系の他の細胞、とりわけT細胞に提示する抗原提示免疫細胞である。DCは抗原を捕捉して処理するように機能する。DCが抗原を飲食運動する場合、それらは、抗原を、DC表面上に提示される、より小さな断片、通常はペプチドに処理し、それらは、例えば、MHC分子を介して抗原特異的T細胞に提示する。抗原を取り込んだ後、DCはリンパ節に移動する。成熟中、DCは、Toll様受容体(TLR)を介したシグナル伝達を含む、様々なシグナルによって促されて、活性化および増殖するように同族エフェクターT細胞(Teff)を誘導する共刺激シグナルを発現し、それによって抗原に対するT細胞媒介性免疫応答を開始することができる。あるいは、DCは、Teffが適切に活性化しないように共刺激シグナルを提供せずに(または共抑制シグナルを提供しながら)抗原特異的T細胞に抗原を提示することができる。このような提示は、例えば、抗原を認識するT細胞の死滅もしくはアネルギーを引き起こし得るか、または制御性T細胞(Treg)の生成および/もしくは増殖を誘導し得る。「樹状細胞」という用語は、分化した樹状細胞、未成熟、および成熟樹状細胞を含む。これらの細胞は、ある特定の細胞表面マーカー(例えば、CD11c、MHCクラスII、ならびに少なくとも低レベルのCD80およびCD86)、CD11b、CD304(BDCA4))の発現によって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、DCは、CD8、CD103、CD1dなどを発現する。他のDCは、CD3、CD14、CD19、CD56などの系統マーカーの不在によって特定され得る。さらに、樹状細胞は、アロ応答(allorespons)および混合リンパ球反応(MLR)を刺激する能力によって機能的に特徴付けられ得る。
【0159】
「寛容原性DC」とは、例えば、特定の抗原に対するエフェクターT細胞応答を減少させることによって、抗原特異的制御性T細胞の数の増加をもたらすことなどによって、抗原特異的T細胞媒介性免疫応答などの、免疫応答を抑制するか、または寛容原性免疫応答を生成することができる樹状細胞を指す。寛容原性DCは、ex vivoおよび/またはin vivoでの抗原特異的寛容原性免疫応答の誘導によって特徴付けられ得る。このような誘導は、誘導された寛容原性樹状細胞によって提示される1つまたは複数の目的の抗原に対する寛容原性免疫応答の誘導を指す。寛容原性樹状細胞は、以下の特性、i)ex vivoおよび/もしくはin vivoでナイーブT細胞をFoxp3+T制御性細胞に変換することができる(例えば、ナイーブT細胞におけるFoxP3の発現を誘導する);ii)ex vivoおよび/もしくはin vivoでエフェクターT細胞を欠失させることができる;iii)ex vivoで少なくとも1つのTLRアゴニストによる刺激時にそれらの寛容原性表現型を保持する(および一部の実施形態では、そのような刺激に応答して共刺激分子の発現を増加させる);iv)ex vivoで少なくとも1つのTLRアゴニストによる刺激時にそれらの酸素消費速度を一時的に増加させない;v)発現マーカーPDL1の発現の増加、ならびに/またはvi)発現マーカーGILZの発現の増加のうちの少なくとも1つによって特徴付けられ得る寛容原性表現型を有する。項目v)およびvi)は、単球またはPBMCとの比較によって評価され得る。
【0160】
「寛容原性免疫応答」は、抗原またはそのような抗原を発現する細胞、組織、臓器などに特異的な免疫抑制をもたらし得る任意の免疫応答を意味する。このような免疫応答は、抗原またはそのような抗原を発現する細胞、組織、臓器などに特異的な望ましくない免疫応答のあらゆる減少、遅延、または阻害を含む。このような免疫応答はまた、抗原またはそのような抗原を発現する細胞、組織、臓器などに特異的な望ましい免疫応答のあらゆる刺激、産生、誘導、促進または動員も含む。したがって、寛容原性免疫応答は、抗原反応性細胞によって媒介され得る抗原に対する望ましくない免疫応答の欠如または減少、および抑制細胞の存在または促進を含む。本明細書で提供される寛容原性免疫応答は、免疫学的寛容を含む。「寛容原性免疫応答を生成する」とは、抗原またはそのような抗原を発現する細胞、組織、臓器などに特異的な前述の免疫応答のいずれかの生成を指す。
【0161】
寛容原性免疫応答は、CD4+T細胞、CD8+T細胞またはB細胞の増殖および/または活性のあらゆる減少、遅延または阻害を含む。寛容原性免疫応答は、抗原特異的抗体産生の減少も含む。寛容原性免疫応答はまた、CD4+Treg細胞、CD8+Treg細胞、Breg細胞などの制御性細胞の刺激、誘導、産生または動員をもたらすあらゆる応答も含み得る。一部の実施形態では、寛容原性免疫応答は、制御性細胞の産生、誘導、刺激または動員によって特徴付けられる制御性表現型への変換をもたらすものである。
【0162】
寛容原性免疫応答はまた、CD4+Treg細胞および/またはCD8+Treg細胞の刺激、産生または動員をもたらすあらゆる応答も含む。CD4+Treg細胞は、転写因子FoxP3を発現し、炎症応答および自己免疫炎症性疾患を阻害することができる(Human regulatory T cells in autoimmune diseases. Cvetanovich G L, Hafler D A. Curr Opin Immunol. 2010 December; 22(6):753-60. Regulatory T cells and autoimmunity. Vila J, Isaacs J D, Anderson A E. Curr Opin Hematol. 2009 July; 16(4):274-9)。このような細胞はまた、B細胞に対するT細胞の働きを抑制し、自己抗原および外来抗原の両方に対する寛容を誘導する(Therapeutic approaches to allergy and autoimmunity based on FoxP3+ regulatory T-cell activation and expansion. Miyara M, Wing K, Sakaguchi S. J Allergy Clin Immunol. 2009 April; 123(4):749-55)。CD4+Treg細胞は、APC上のクラスIIタンパク質によって提示されると抗原を認識する。クラスIによって提示される抗原を認識するCD8+Treg細胞もまた、B細胞に対するT細胞の働きを抑制し、自己抗原および外来抗原の両方に対する寛容を誘導する抗原特異的抑制の活性化をもたらし得る。一部の実施形態では、提供される寛容原性樹状細胞は、両方の種類の応答(CD4+TregおよびCD8+Treg)を効果的にもたらし得る。他の実施形態では、FoxP3は、マクロファージ、iNKT細胞などの他の免疫細胞において誘導され得、本明細書で提供される寛容原性樹状細胞も同様にこれらの応答のうちの1つまたは複数をもたらし得る。
【0163】
寛容原性免疫応答には、Tregサイトカインなどの制御性サイトカインの誘導;抑制性サイトカインの誘導;炎症性サイトカイン(例えば、IL-4、IL-1b、IL-5、TNF-α、IL-6、GM-CSF、IFN-γ、IL-2、IL-9、IL-12、IL-17、IL-18、IL-21、IL-22、IL-23、M-CSF、C反応性タンパク質、急性期タンパク質)、ケモカイン(例えば、CCL-2、CXCL8、MCP-1、RANTES、MIP-1α、MIP-1β、MIG、ITACまたはIP-10)の阻害、抗炎症性サイトカイン(例えば、IL-4、IL-13、IL-10など)、プロテアーゼ(例えば、MMP-3、MMP-9)、ロイコトリエン(例えば、CysLT-1、CysLT-2)、プロスタグランジン(例えば、PGE2)またはヒスタミンの産生;Th17、Th1またはTh2免疫応答に対する極性化の阻害;エフェクター細胞特異的サイトカイン:Th17(例えば、IL-17、IL-25)、Th1(IFN-γ)、Th2(例えば、IL-4、IL-13)の阻害;Th1-、Th2-、またはTh17-特異的転写因子の阻害;エフェクターT細胞の増殖の阻害;エフェクターT細胞のアポトーシスの誘導;寛容原性樹状細胞特異的遺伝子の誘導;FoxP3発現の誘導;IgE誘導またはIgE媒介性免疫応答の阻害;抗体応答の阻害(例えば、抗原特異的抗体産生);Tヘルパー細胞応答の阻害;TGF-βおよび/またはIL-10の産生;自己抗体のエフェクター機能の阻害(例えば、細胞の枯渇、細胞もしくは組織の損傷、または補体活性化の阻害)なども含まれるが、これらに限定されない。
【0164】
前述のいずれも、1つもしくは複数の動物モデルにおいてin vivoで測定することができるか、またはin vitroで測定することができる。当業者は、そのようなin vivoまたはin vitro測定に精通している。望ましくない免疫応答または寛容原性免疫応答は、例えば、免疫細胞の数および/または機能を評価する方法、四量体解析、ELISPOT、フローサイトメトリーに基づくサイトカイン発現の解析、サイトカイン分泌、サイトカイン発現プロファイリング、遺伝子発現プロファイリング、タンパク質発現プロファイリング、細胞表面マーカーの解析、免疫細胞受容体遺伝子使用のPCRベースの検出(T. Clay et ak, “Assays for Monitoring Cellular Immune Response to Active Immunotherapy of Cancer” Clinical Cancer Research 7:1127-1135 (2001)を参照のこと)などを使用してモニタリングすることができる。望ましくない免疫応答または寛容原性免疫応答はまた、例えば、血漿または血清中のタンパク質レベル、T細胞またはB細胞の増殖および機能的アッセイを評価する方法などを使用してモニタリングすることもできる。一部の実施形態では、寛容原性免疫応答は、FoxP3の誘導を評価することによってモニタリングすることができる。
【0165】
好ましくは、寛容原性免疫応答は、本明細書に記載される疾患、障害または状態、特にGvHDの発症、進行または病理の阻害をもたらす。一部の実施形態では、望ましくない免疫応答の減少または寛容原性免疫応答の生成は、臨床エンドポイント、臨床有効性、臨床症状、疾患バイオマーカーおよび/または臨床スコアを決定することによって評価することができる。
【0166】
本明細書で使用される場合、「動物」または「哺乳動物」という用語は、ヒトを含む、全ての哺乳動物を包含する。好ましくは、本発明の哺乳動物はヒト対象である。
【0167】
本明細書で使用される場合、「曝露する」という用語は、すぐ近くまたは直接接触する状態または条件にすることを指す。
【0168】
「造血細胞移植」(HCT)という用語は、本明細書では、患者の造血系を再構成するために細胞(造血幹細胞;造血前駆細胞とも呼ばれる)の注入を伴う処置である、血液および骨髄移植(BMT)を指すために使用される。
【0169】
本明細書で使用される場合、「自己免疫障害」または「自己免疫症候群」という用語は、免疫系が健康な体組織の自己成分を誤って攻撃して破壊する場合に生じる状態を指す。自己免疫障害は、1つまたは複数の臓器または組織の種類に影響を与える場合がある。自己免疫障害の影響を受けやすい臓器および組織には、血管、結合組織、甲状腺または膵臓などの内分泌腺、関節、筋肉、赤血球、および皮膚が含まれる。
【0170】
アポトーシス因子への曝露を使用する本発明の任意の方法のステップでは、アポトーシス因子は、ソラレンおよびUVA、リボフラビンリン酸およびUVA、ならびに/またはアミノレブリン酸および光を含む。特に好ましいソラレンは、8-MOPおよびアモトサレンである。以下の量は方向性を示す目的のためである。当業者は、細胞をアポトーシスにする効果を達成する、適用される濃度および用量を容易に見出すことができる。リボフラビンリン酸の濃度は1mM~100mMであり得る。アモトサレンの濃度は50pM~500pMであり得る。前述のリボフラビンまたはアモトサレンに伴う光線量は、1J/cm~10J/cmであり得る。対応する光はUVAまたは青色光であり得る。8-MOPの濃度は0.2μM~2.5μM(または43ng/mL~540ng/mL)であり得る。それに伴う光線量は0.5J/cm~5J/cmであり得る。光はUVAまたは青色光であり得る。
【0171】
本発明の方法、または方法の特定のステップは、プラスチックバッグなどのバッグにおいて実施され得る。プラスチック材料が考慮される場合、ポリオレフィン、ポリエチレン、フルオロポリマー、ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、または医療用途として承認されている他のプラスチックフィルムに基づくプラスチックフィルム製のバッグを使用することができる。本発明の好ましい実施形態では、バッグはエチレン酢酸ビニル共重合体製である。バッグは、試料または細胞混合物が可視光またはUV光で照射され得るように、ある程度の透明性を提供する材料から作製され得る。
【0172】
ここで、本発明をいくつかの具体的な例に関して説明するが、これらは例示目的のためであり、限定的に解釈されるべきではない。
【0173】
実験
実験1-phDCの産生
全ての研究は、健康なヒトのボランティアによって提供された血液を用いて実施した。末梢血を1:100の5,000U/mLのヘパリン(McKesson Packaging Services)中に収集し、製造業者のプロトコールに従ってIsolymph(CTL Scientific Supply Corp.)上での密度勾配遠心分離によって血小板含有PBMCを単離した。自己血漿(血小板も含有する)を収集し、保存した。洗浄したPBMCおよび血小板を自己血漿中に再懸濁し、トランス免疫化(TI)チャンバーまたは臨床ECPプレートのいずれかで1時間インキュベートした。
【0174】
TIチャンバーにおいて、シリンジポンプを使用して0.09mL/分の速度で細胞を通過させた。プレート通過後、細胞を収集し、いずれかの付着細胞をチャンバーから剥離するのに役立つようにプレート表面をはじくか、または軽くたたくことによって物理的に摂動を加えながらTIチャンバーを100%のFBSで0.49mL/分で洗浄した。臨床ECPプレートにおいて、細胞を24mL/分の流速で通過させ、その後、いずれかの付着細胞を剥離するのに役立つようにプレート表面をはじくか、または軽くたたくなどの物理的摂動を加えながら、ヒトAB血清(Lonza BioWhittaker)で100mL/分で洗浄した。TIチャンバーまたはECPプレートのいずれかを通過したPBMCを収集し、洗浄し、15%のヒトAB血清(Lonza BioWhittaker)、1%のペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen、Carlsbad、CA)、および1%のL-グルタミン(Invitrogen、Carlsbad、CA)を補充したフェノールレッド(Gibco、Carlsbad、CA)を含まないRPMI中で標準的な条件下で一晩培養した。翌日、生理学的樹状細胞を採取した(掻き取ることによるいずれかの付着細胞の採取を含む)。
【0175】
実験2:ECP白血病ハプロ同一移植試験-概略設計および予測される結果
1.母親(将来のドナー)は、父親のECP処理血液の注入により父系抗原に対して寛容化する
2.母親が父系抗原に対して実際に寛容化されているかの確認が実施される(父親の細胞に対するMLR反応が低下し、父親のHLA型に対する抗体が存在しない)
3.処置された母親から白血病の子供に骨髄を移植する
4.子供の骨髄生着を評価する
5.試験のエンドポイント-骨髄生着、GvHDの発生率および重症度、がんの再発率を評価する
【0176】
上記の処置を図1に示す。
【0177】
上記の処置を適用すると、移植が事前に寛容化されていたため、子供はGvHDを発症していないか、または軽減されたGvHDの症状を示す。
【0178】
実験3:ECP白血病ハプロ同一移植試験-概略設計および予測される結果
1.ハプロタイプ骨髄移植または免疫除去の前処置の前に、レシピエントを寛容原性ECPで処置する(完全に一致した移植片に関するFrancine Fossの試験設計に従う、実験1を参照のこと)
2.移植を行うが、移植後のシクロホスファミド用量(PTCy)が減少する。
3.骨髄生着を評価する
4.試験のエンドポイント-骨髄生着、GvHDの発生率および重症度、がんの再発率を評価する
【0179】
上記の処置を図2に示す。
【0180】
上記の処置を適用すると、PTCyの減少が、抗腫瘍免疫を維持するために可能になる。PTCyを完全に省略してECPに置き換えてもよい。
【0181】
実験4:PUVA処理した樹状細胞によるGvHDの予防
材料および方法
1 -4日目に、将来の移植片レシピエントマウス(C57BL/6、H2b MHCハプロタイプ)にC57BL/6腫瘍(MC38結腸癌)を皮下(側腹部)に接種する。
2 -1日目に、将来の移植片レシピエント(腫瘍を有する)に、そのマウス自体の免疫系を除去する致死量(950cGy)のガンマ線照射を与える。
3 移植日(0日目)に、組織を移植のために準備する。
a.非移植片対照では、照射したC57BL/6マウスは移植を受けない。
b.同系対照では、天然のC57BL/6免疫系を、C57BL/6骨髄および脾細胞を戻すことによって再構築する。
c.同種異系対照移植片では、レシピエントを、Balb/cドナーマウス(H2d MHCハプロタイプ)からの完全に不一致の骨髄および脾細胞で再構築する。
d.同種異系PUVA移植片では、Balb/c骨髄および脾細胞(樹状細胞を含む)を、致死量を照射したC57BL/6脾細胞と5時間インキュベートし、次いでペトリ皿中で非常に低い用量のPUVA(200ng/mLの8-MOP、0.1J/cmのUVA)で処理する。
4 準備した組織は、照射した腫瘍を有するレシピエントに移植する。
5 次いで、レシピエントを、骨髄生着(生存、後に血液解析によって確認する)、GvHD、および腫瘍成長についてモニタリングする。
・ 照射されたが、移植片を受けていないマウスは、14日目までに一様に死亡する。
・ 同系対照マウスは十分に生着し、GvHDを発症せず(移植片が完全に一致するため予測される)、大きな腫瘍を成長させる。
・ 同種異系対照マウスは十分に生着し、約25日目に一様に致死的な重度のGvHDを発症し(移植片が完全に不一致であるため予測される)、腫瘍成長は、比較的遅く、致死性が速いため評価することが難しい。
・ 同種異系PUVAマウスは十分に生着し、GvHDの兆候を全く示さず(47日目)、腫瘍は成長するが、成長率は同系対照マウスの約50%であるように見え、すなわち、GvT効果によって部分的に制御される。
【0182】
結果を以下の表1ならびに図3および図4に示す。図3はまた、上記の方法を概略的に示す。
【0183】
結果
【0184】
【表2】
【0185】
本発明者らは、驚くべきことに、低用量の8-MOP/UVAを用いて、すなわち本発明の方法に従って処理した移植片がGvHDを予防することを見出した。その理論的根拠は、死にかけている樹状細胞を取り込んだ健康な樹状細胞がレシピエントの移植片に寛容を提供することである。
【0186】
実験5:心臓移植生存率に対する体外フォトフェレーシス(ECP)で処理したドナー脾細胞の移植前注入の効果
ドナーマウスは、BALB/c(H-2)、オス、8~14週であった。レシピエントマウスは、C57BL/c、オス、10~14週(n=24)であった。ドナーマウスの脾細胞を採取し、2つの群に分けた。1群のドナー細胞をフローチャンバー内でせん断力に供した(図5の「未処置」)。2群からドナー細胞をフローチャンバーおよびECP内でせん断力に供した(図5の「ECP」)。10匹のレシピエントマウスに未処理のドナー細胞を与え、一方、14匹のレシピエントマウスにECP処理したドナー細胞を与えた。
【0187】
レシピエントマウスにおける注入前のドナー細胞の処理は以下の通りであった:
【0188】
37℃で60分間、0.4mLのPRP画分をフローチャンバー内に導入することによって、フローチャンバーを多血小板血漿(PRP)でコーティングした。
ドナー脾細胞を、13.33mL中に4億個の細胞の濃度で60mLシリンジを使用してフローチャンバー内に注入した。
【0189】
8-MOPを、1億個の細胞あたり20mLのPBS中に200μLの量(200ng/mL)でフローチャンバーに添加することによってECPを実施した。細胞を、約20~22mW/cmで200秒間UVAに曝露した。レシピエントマウスに、レシピエントマウスあたりおよそ5,000万個の細胞で処理ドナー細胞を与えた。
【0190】
レシピエントマウスにドナー細胞を注入してから7日後に心臓移植を実施した。転帰は、手術後の日数の生存率として図5に報告している。図5から理解できるように、未処理のドナー細胞を与えられたレシピエントマウス(すなわち、1群、せん断力に供しただけのドナー細胞)は手術後約9日目に死亡するが、ECPドナー細胞を与えられたレシピエントマウス(すなわち、2群、せん断力およびECPに供したドナー細胞)は手術後29日目まで生存した。したがって、レシピエントが移植前にECP処理した脾細胞(脾細胞は健康な樹状細胞を含む)などのECP処理したドナー細胞を与えられた場合、同種異系移植はレシピエントにおいて有意に良好に寛容化される。ECP処理したドナー細胞によるレシピエントの前処置は、同種移植片の長期間の生存およびドナー特異的寛容をもたらすと結論付けることができる。
【0191】
実験6:標準的な骨髄破壊的前処置および同種異系造血幹細胞移植を受けている患者における急性GVHDの予防のための体外フォトフェレーシス
材料および方法
対象
研究および同意書は、全ての参加施設の治験審査委員会または同等の機関によって承認された。全ての対象は、治験治療を開始する前に、承認された同意書に署名した。適格基準には、血液悪性腫瘍ならびに骨髄破壊的前処置レジメンおよび同種異系HCTによる治療を妨げない臓器機能を有する18~60歳の対象が含まれた。対象は、治療選択肢が同種異系骨髄移植またはPBSC移植である血液悪性腫瘍と診断されている場合、研究に適格であった。対象は、疾患が寛解状態であるかどうかに関係なく、または疾患の1回目もしくは2回目の再発後に登録可能であった。対象は、少なくとも40kgの体重で、20000/cmmを超える血小板数を有し、ソラレンまたはクエン酸塩製剤に対する既知の感受性がないことが要求された。対象は、全てのHLA-A、BおよびDR遺伝子座において血清学的もしくは分子的に一致する血縁ドナー、または1つのHLA-Aもしくは-B遺伝子座で不一致であるが、HLA-DR遺伝子座において分子的に一致する血縁ドナー、またはHLA-A、-B、およびDR遺伝子座において分子的に一致する非血縁ドナーを有する必要があった。登録は2002年の10月から2004年の1月まで行われたため、HLA-C照合は定期的に実施しなかった。GVHD対象に対する前処置レジメンおよび予防は、CY(連続2日間、1日あたり60mg/kg)およびTBI(分割用量で3または4日間にわたって10~13.5Gyを供給した)を与えた。GVHD予防は、D-1から開始するCSP3~5mg/kg IVであり、トラフレベルを200から600ng/mLの間に保つように調整した。再発またはCSPに不寛容であった対象を除き、臨床的に許容される場合、CSPを経口投与に変更し、D100より早く漸減しなかった。一致した血縁ドナーからHCTを受けた対象に、1日目にMTX10mg/mのIVを与え、3、6、および11日目には5mg/m2を与えたが、不一致の血縁ドナーまたは一致した非血縁ドナーを有する対象に、1日目にMTX15mg/m、ならびに3、6、および11日目に10mg/mを与えた。MTXの投与量は、急性GVHDに対する均一の予防を提供するために治験責任医師間の合意に基づいた。各研究施設の施設ガイドラインに従って支持療法および予防的抗菌治療が与えられた。
【0192】
体外フォトフェレーシス
以前に記載されているように(Miller et al., 2004)、UVAR XTS機器(Therakos、Exton、PA、USA)を使用してECPを実施した。通常、メトキサレン溶液(UVADEX Therakos)を使用する前に、各治療について少なくとも1500mLのバフィーコート血液の収集を実施し、メトキサレン溶液は、バフィーコートの収集が完了した後であるが、光活性化プロセスの前にECP回路の再循環バッグに注入された。光活性化の完了後、処理したバフィーコートを対象に再注入した。患者は、前処置レジメンを開始する前の4日以内に2日連続でECPを受けた。
【0193】
GVHDおよび有害事象の等級付け
有害事象の等級付けは、確立された基準(有害事象共通用語規準、バージョン3.0、2003年12月12日)に従って実施した。改変されたSeattle-Glucksberg基準を、急性GVHDの病期分類に使用し(Glucksberg et al., 1974)、限定的および広範な慢性GVHDの診断基準は、Schulman et al., 1980によって記載されている通りであった。急性および慢性GVHDの診断の均一性を保証するために、治験責任医師は、試験開始前に診断基準に関する訓練を受けた。各治験責任医師は、急性または慢性のGVHDの存在を判定するために、彼/彼女の研究施設で適切な診断方法を採用した。
【0194】
統計
研究解析。主な解析は、移植後最初の100日におけるグレードII~IVの急性GVHDの発生率であり、急性GVHDを発症せずに死亡する競合リスクに対応するために累積発生率関数を使用して計算した。同様に、累積発生率法を使用して、競合するリスクに対応するために慢性GVHD、移植関連死亡(TRM)、および再発に関する発生率を計算した。全生存(OS)および無病生存(DFS)の確率を、95%信頼区間でカプラン・マイヤー積極限推定値を使用して記述した。治療失敗(死亡または再発)は、DFS評価で使用した事象であった。事象までの時間の中央値などの記述統計も計算した。
【0195】
歴史的対照との比較。歴史的対照は、CIBMTRが管理するデータベースを使用して特定した。CIBMTRは、Medical College of Wisconsinの国際骨髄移植レジストリ(International Bone Marrow Transplant Registry)(IBMTR)、ならびに連続的な同種異系および自己HCTに関する詳細なデータを調整統計センターに提供する、世界中で450を超える移植センターのボランティアワーキンググループから構成される全米骨髄バンク(National Marrow Donor Program)の研究提携先である。参加センターは、全ての移植を継続的に報告することを要求され、コンプライアンスが現場監査によって監視される。データベース内の全ての患者は長期的に追跡され、毎年の評価が含まれる。コンピューターによるエラーのチェック、提出されたデータの医師によるレビュー、および参加センターの現場監査により、データの品質が保証される。この期間中にCIBMTRによって実施された観察研究は、インフォームドコンセントを放棄し、治験審査委員会およびMedical College of Wisconsinのプライバシー責任者によって決定されたHIPAA規制に準拠して行われた。CIBMTRは登録および研究の2つのレベルでデータを収集する。登録データには、疾患の種類、年齢、性別、移植前の疾患ステージおよび化学療法の反応性、診断日、移植片の種類(骨髄および/または血液由来の幹細胞)、高用量の前処置レジメン、移植後の疾患の進行および生存、新たな悪性腫瘍の発症ならびに死因が含まれる。登録患者についての進行または死亡に関するデータの要求は6か月間隔である。参加している全てのCIBMTR施設が登録データを提供する。研究データは、代表性を保証するために加重ランダム化スキームを使用して選択された登録患者のサブセットで収集され、詳細な疾患、移植前および移植後の臨床情報が含まれる。この研究についての歴史的対照は研究データベースから得られた。ECP研究の対象は2002年から2004年の間に移植された。CIBMTR対照は、この研究についての適格基準を1997年から2004年の間に移植された対象に適用することによって選択された。対照についてのより長い時間枠を使用して、合理的な統計的検出力で調整された比較のために適切な数の対象を確保した。研究対象および対照対象の両方についての転帰データは、追跡調査期間の相違を調整するために1年で打ち切った。研究対象および対照は2つの異なる時期に移植されたため、移植の年(1997~1999年対2000~2004年)を対照の転帰に及ぼす潜在的な影響について調べた。1997~1999年に移植された対照対象と2000~2004年に移植された対照対象の1年間の転帰に差はなかった。研究対象および対照を、多変量コックス回帰解析を使用して比較した。比例性に関する試験を、時間依存の共変量を追加することによって実施した。これらの試験は、比例性の仮定が有効であることを示した。段階的後退法を使用して、転帰に関連する有意な共変量(ECPの使用以外)を特定した。モデル構築において考慮した可変要素は、年齢、性別、人種、ドナー関係、HLA適合、移植片の種類、疾患の種類、移植時の疾患の状態、およびCMV血清学的状態であった。治療効果(ECP)はモデル構築の全てのステップに含まれた。ECP治療と他の有意な共変量との間の潜在的な相互作用に関する試験では、有意な相互作用は明らかにされなかった。全体およびDFSの1年の調整した確率を最終的なCoxモデルから推定し、受けた治療で層別化し、各予後因子についてのプールされた試料割合値によって重み付けした。これらの調整した確率は、同様の予後因子を有する集団における転帰の可能性を推定する。
【0196】
結果
対象およびドナーの特徴
66人の対象をECP研究に登録した。9つの研究センターが各々1~16人の対象を登録した(研究センターあたり平均で7人の対象)。しかしながら、3人の対象はECPによる治験治療を受けず、1人の患者は研究の同意を取り下げ、1人の患者は移植が遅れ、1つのセンターではECP機器に機械的な問題があった。1人の対象はECPを受けたが、疾患の急速な進行のために移植されなかった。研究の完了後、62人の対象が、修正された治療意図のある集団のデータセットにおいて評価可能であるとみなされた。これらの対象のうちの2人は、その後のECP機器に関する機械的問題のために、前処置レジメンを開始する前に1回のECP治療だけを受けた。対象、疾患、ドナーの特徴、および疾患の状態の情報を図6にまとめる。
【0197】
生着
1人の対象は生着せず、28日目に呼吸不全(原因不明)で死亡した。全ての他の対象は、満足のいく好中球および血小板の回復を示し、後期移植不全はなかった。好中球数4500/mLに達するまでの時間の中央値(範囲)は、骨髄移植片を受けた対象では21(14~39)日、末梢血移植片を受けた対象では14(13~28)日であった。血小板420000/cmmを達成するのに相当する時間は、それぞれ、14(11~43)日および14(6~56)日であった。
【0198】
GVHD
グレードII~IVの急性GVHDが、30人の血縁ドナーHCTレシピエントのうちの9人(30%)、および32人の一致した非血縁または1つのHLA抗原が不一致の血縁ドナーHCTレシピエントのうちの13人(41%)を含む、62人の対象のうちの22人(36%)で発症した(図7)。皮膚は最も頻繁で、最も重度に罹患している臓器であり、対象の38%がステージ2以上の皮膚病変を有し、一方で、対象の16%および13%が、それぞれ、ステージ2以上の胃腸管または肝臓の病変を有した(図7)。グレードII~IVの急性GVHDの100日の累積発生率は35%(95%CI、23~48%)であった(図8)。40人(66%)の患者は、生検により急性GVHDであることが証明された。100日目以前の初期の慢性GVHDまたは100日目以降の後期急性GVHDを有していると記載された患者はいなかった。最初の診断およびグレードII~IVの最大グレードの急性GVHDまでの時間の中央値は、両方について35日であり、最初の診断では18~52日および最大グレードでは22~96日の範囲であった。53人の対象が慢性GVHDについて評価可能であった。7人の患者は100日目前に死亡し(急性GVHD3人、特発性肺炎1人、多臓器系不全3人)、2人の患者は、慢性GVHDが発生したかどうかを判断するために収集したデータが不十分であった。慢性GVHDは53人の対象のうちの21人(40%)で発生した(限定的:8人(15%)、広範囲:13人(25%))。限定的および広範囲の慢性GVHDの1年間の累積発生率は38%(95%CI、21~47%)であった(図9)。
【0199】
毒性
研究中に発生した最も頻繁な重篤な有害事象は、発熱8人(13%)、発熱性好中球減少症4人(7%)、および多臓器系不全3人(5%)であった。ECPに直接起因する有害事象には、ECPを受けている間に低血圧を経験した2人の対象が含まれた。CMVの再活性化が17人(27%)の対象で発生し、そのうち、肺組織にCMV疾患を有する2人の対象が気管支鏡検査からの生検標本において実証された。2人(3%)の対象が研究へ参加している間に全身性の真菌感染症を有し、1人は移植後19日で発症し、もう1人は移植後9か月で発症した。
【0200】
生存率
生存している患者の追跡調査の中央値は371日(範囲、366~643日)であり、62人の対象のうちの48人(77%)が生存していた。移植後100日および1年の生存率のカプラン・マイヤー推定値は、それぞれ、89%(95%CI、78~97%)および77%(95%CI、64~86%)であった。血縁および非血縁ドナーのHCTレシピエントについてのOSの1年の確率は、それぞれ、89%(95%CI、70~96%)および66%(95%CI、46~80%)であった(図10)。DFSの1年の確率は、全ての患者で69%(95%CI、64~86%)、血縁ドナーのHCT後は79%(95%CI、59~90%)、および非血縁ドナーのHCT後は60%(95%CI、40~75%)であった。再発は7人(11%)の患者で発生した。14人(23%)の対象は死亡した:3人は血縁ドナーの移植後、および11人は非血縁ドナーの移植後。死因は、再発(1人)、急性GVHD(3人)、慢性GVHD(1人)、感染症(4人)、多臓器系不全(3人)、および特発性肺炎(2人)であった。TRMの1年の累積発生率は21%(95%CI、11~31%)であり、血縁および非血縁ドナー移植後の累積発生率は、それぞれ、10%(95%CI、1~20%)および31%(95%CI、18~50%)であった(図11)。
【0201】
CIBMTR対照と比較したECP研究対象
CIBMTRデータベースを使用して、研究対象と同様の特徴を有する歴史的対照を検索した。対照対象は、図12に定義された適格基準を満たす必要があった。合計347人の対照対象を特定した。それらの特徴を、図13の研究対象の特徴と比較する。ECP治療した対象は、対照よりも40歳を超え、コーカサス人であり、非血縁ドナーを有する可能性が高かった。基礎疾患の分布も顕著に異なった。これらの相違の潜在的な影響を多変量解析において考慮した。多変量解析により、歴史的対照と比較してECP治療した対象では有意により低い発症率のグレードII~IVの急性GVHDが明らかになった(相対リスク[RR]、0.61;95%CI、0.38~0.97)(P=0.04)(図14)。このより低い率は、発生率の絶対的な減少ではなく、ECP治療した対象における急性GVHDの発症の実質的な遅延によるものであった(図15)。急性GVHDのグレードII~IVの累積発生率の確率は、研究患者では36%(95%CI、25~48%)、および歴史的対照コホートでは39%(95%CI、33~44%)であった(図15)。歴史的対照と比較してECP治療した対象ではTRMも減少したが、これは統計的に有意ではなかった(RR、0.55;95%CI、0.29~1.04)(P=0.065)。群間で静脈閉塞疾患または間質性肺炎に差はなかった。しかしながら、日和見感染は対照患者の85人(24%)および研究患者の5人(8%)で発生した(P=0.008)。DFSおよびOSの調整済み確率は、歴史的対照よりもECP治療した対象において有意に高かった(図16および17)。1年での調整済みDFS率は、ECP治療した対象では74%(95%CI、62~82%)、および歴史的対照コホートでは63%(95%CI、58%~67%)であった(治療失敗のRR[再発または死亡]、0.60;95%CI、0.36~0.99)(P=0.045)。1年での調整済みOS率は、ECP治療した対象では83%(95%CI、72~90%)、および歴史的対照では67%(95%CI、62~71%)であった(死亡のRR、0.44;95%CI、0.24~0.80)(P=0.007)。
【0202】
考察
この単一の第II相研究の結果を大局的に捉えるために、ECP研究対象との比較に適した歴史的対照を特定するために研究の完了時にCIBMTRとの協力が行われた。この研究の患者についての適格基準を使用して対照を選択した。しかしながら、図13に示すように、群間の特徴の分布にはいくつかの相違があり、ECP研究対象は高齢であり、非血縁ドナー移植片を受ける可能性が高く、両方ともGVHDのリスクの増加と関連している。歴史的対照群に有利なこれらの重要な人口統計学的差異の存在にもかかわらず、ECP治療したコホートでは急性GVHDがよりゆっくりと発生した。予後因子の差異を調整した多変量解析により、群間の急性GVHD(グレードII~IV)の割合に有意な差があり(図15)、急性GVHDの発症までの時間が有意に遅延していることが明らかになった。急性GVHDの絶対発生率はECPでより低くなかったが、多変量解析により、歴史的対照コホートと比較してECP研究コホートではTRMが少なく、治療失敗(再発およびTRM)が少なく、全体およびDFSが多い傾向が明らかになった。レジメン関連の毒性は、歴史的対照と比較してECP治療した患者の日和見感染が有意に少なかったことを除いて、群間で同様であった。急性GVHDの発症が遅いこと自体は、前処置レジメンおよび移植手順からより多くの回復を可能にし、より高度な免疫再構築を可能にし、これらの患者がコルチコステロイドの副作用に良好に耐性があり、末端臓器損傷を少なくし、感染症を克服できるため、有益であり得る。再発の評価のための追跡調査期間は短かったが、再発率は2つの群間で有意な差がなかったため、ECPは同種異系免疫媒介性移植片対悪性腫瘍効果を抑制しないようであった。
【0203】
実験7:寛容原性phDCを使用した自己免疫疾患の改善
この例では、寛容原性phDCを使用して自己免疫疾患の改善を評価するために動物モデルを使用する。
【0204】
自己免疫疾患について多くの認められている動物モデルが利用可能であり、例示的な動物モデルを上記の表Aに示す。必要に応じて、寛容原性phDCまたは対照による処置の前に自己免疫疾患を誘発する。動物モデルに関連する臨床基準に従って動物を検査し、スコア付けする。一部の例では、動物を以下のように4つの処置群に分ける:
a)未処置の動物
b)自己抗原を提示する健康なphDCによる処置
c)自己抗原を提示する8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCによる処置
d)自己抗原を含む8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCを内部移行させた健康なphDCによる処置
【0205】
上記の処置群についてのphDCは以下のように生成できる:
b)自己抗原を提示する健康なphDC:
単球を健康な同系動物から得、記載されているように(Ventura et al. J Vis Exp. 2019 May 17; 147)TIプレートを通過させ、抗原の取り込みを確実にするために自己抗原と一晩インキュベートする。
c)自己抗原を提示する8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDC:
単球を健康な同系動物から得、上記のようにTIプレートを通過させ、次いで細胞損傷を誘発するのに十分な用量で8-MOPおよびUVAに曝露し、自己抗原と一晩インキュベートする。
d)自己抗原を含む8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCを内部移行させた健康なphDC:
群c)からの細胞を同数の新鮮な単球と合わせ、上記のようにTIプレートを通過させ、一晩コインキュベートして、健康なphDCによって自己抗原を含む8-MOP/UVAで損傷したphDCの取り込みを確実にする。
【0206】
上記のように生成したphDCを、典型的には少なくとも3回、適切な用量(例えば、少なくとも1×10個の細胞/動物)で、動物モデルに適切な時間間隔下で、適切な群のマウスに静脈内投与する。
【0207】
動物を、特定のモデルに適切な期間、自己免疫疾患について(例えば、毎日)モニタリングする。さらに、動物を実験中の異なる時点で屠殺することができる:
(i)疾患の誘発前、すなわち健康な動物;
(ii)疾患誘発後であるが、処置していない、すなわち免疫化動物;
(iii)2回目と3回目のワクチン接種の間、すなわち中間時点;
(iv)実験の終了時、すなわちエンドポイント
【0208】
安楽死後、動物から試料(例えば、脾臓、ならびに鼠径リンパ節および腋窩リンパ節)を得、単一細胞懸濁液中で解離し、免疫化および処置に対する免疫応答を評価するために使用する。標準的な免疫応答アッセイには、細胞表面または細胞内フローサイトメトリーによる免疫細胞表現型解析、炎症性または抗炎症性サイトカイン分泌アッセイ(例えば、ELISA、Luminex、ELISpot)、および自己抗原再刺激(例えば、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)希釈)に応答したT細胞増殖が含まれる。
【0209】
例示的な結果は以下を含む:
a)未処置の動物:
- モデルで予測されるものと一致する進行性疾患。
b)自己抗原を提示する健康なphDCによる処置:
- 進行性疾患、健康なphDCの追加の免疫効果により、モデルで予測されるよりも重篤になる可能性がある。
c)自己抗原を提示する8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCによる処置:
- 進行性疾患、8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCが注射した動物の健康なDCに取り込まれることのいくらかの寛容原性効果により、モデルで予測されるよりも低い重症度になる可能性がある。
d)自己抗原を含む8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCを内部移行させた健康なphDCによる処置:
- 自己抗原を保有する8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCを取り込んだ健康なphDCの寛容原性効果により、疾患が顕著に軽減し、したがって疾患を制御および軽減させることができる。
【0210】
実験8:寛容原性phDCを使用した多発性硬化症(MS)を含む自己免疫疾患の改善
この例では、マウスモデルを使用して、寛容原性phDCがMSなどの自己免疫疾患を改善するかどうかを評価する。
【0211】
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)はヒトMSの広範に認められているマウスモデルであり、ヒトの臨床疾患と多くの類似点を有する。マウスEAEモデルは、進行性麻痺、CNS炎症、および脱髄を特徴とし、主にミエリン特異的CD4+T細胞によって媒介されるが、CD8+細胞およびB細胞も役割を果たす。したがって、EAEマウスは、自己免疫疾患環境における樹状細胞による寛容誘導のモデル化のために使用することができる。
【0212】
1.EAEは、当該技術分野で公知の標準的なプロトコールに従って、完全フロイントアジュバント(CFA)エマルション中のミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)ペプチドMOG35~55またはMOG1~125で免疫化し、続いてPBS中の百日咳毒素(PTX)の投与により、11~13週齢のメスのC57BL/6マウスにおいて誘導される。
【0213】
2.EAEは免疫化の8~18日後に発症すると予測される。疾患誘発後、全ての動物を健康状態について毎日検査し、以下の標準的なEAE臨床基準に従ってスコア付けする:0、無症状;0.5、尾の遠位半分の緊張喪失;1、尾全体の緊張喪失;1.5、後肢の衰弱;2、後肢麻痺;2.5、後肢対麻痺;3、前肢の衰弱;4、四肢不全麻痺;4.5、重度の四肢不全麻痺;5、四肢麻痺;および6、死亡。平均臨床スコアが1.0を超えた最初の日に処置を開始し、これは、大多数のマウスにおける臨床的に関連した疾患の発症を反映している。
【0214】
3.マウスを以下のように、各々少なくとも10匹の動物の4つの処置群に分ける:
a)未処置のマウス
b)MOG抗原を提示する健康なphDCによる処置
c)MOG抗原を提示する8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCによる処置
d)MOG抗原を含む8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCを内部移行させた健康なphDCによる処置
【0215】
4.上記の処置群についてのphDCは以下のように生成する:
b)MOG抗原を提示する健康なphDC:
単球を健康な同系マウスから得、記載されているように(Ventura et al. J Vis Exp. 2019 May 17; 147)TIプレートを通過させ、MOG抗原と一晩インキュベートして抗原の取り込みを確実にする。
【0216】
c)MOG抗原を提示する8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDC:
単球を健康な同系マウスから得、上記のようにTIプレートを通過させ、次いで細胞損傷を誘発するのに十分な用量で8-MOPおよびUVAに曝露し、MOG抗原と一晩インキュベートする。
【0217】
d)MOG抗原を含む8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCを内部移行させた健康なphDC:
群c)からの細胞を同数の新鮮な単球と合わせ、上記のようにTIプレートを通過させ、一晩コインキュベートして、健康なphDCによってMOG抗原を含む8-MOP/UVAで損傷したphDCの取り込みを確実にする。
【0218】
5.上記のように生成したphDC(4.を参照のこと)を、例えば、以下のように、少なくとも3回、少なくとも1×10個の細胞/マウスの用量で、適切な群(3.を参照のこと)のマウスに静脈内投与する:
- 最初の日に、平均臨床スコアは1.0を超え、大多数のマウスにおける臨床的に関連する疾患の発症を反映している(例えば、免疫化後13日目)
- 最初の処置用量の4日後(例えば、免疫化後17日目)
- 2回目の処置用量の4日後(例えば、免疫化後21日目)
【0219】
6.免疫化後少なくとも4週間まで、マウスをEAE臨床スコアについて毎日モニタリングする。
【0220】
7.さらに、マウスを実験中の異なる時点で屠殺することができる:
(i)EAE誘発前、すなわち健康なマウス;
(ii)EAE誘導後であるが、処置していない、すなわち免疫化マウス;
(iii)2回目と3回目のワクチン接種の間、すなわち中間時点;
(iv)実験の終了時、すなわちエンドポイント
安楽死後、脾臓、ならびに鼠径リンパ節および腋窩リンパ節を得、単一細胞懸濁液中で解離し、免疫化および処置に対する免疫応答を評価するために使用する。標準的な免疫応答アッセイには、細胞表面または細胞内フローサイトメトリーによる免疫細胞表現型解析、炎症性または抗炎症性サイトカイン分泌アッセイ(例えば、ELISA、Luminex、ELISpot)、およびMOGペプチド再刺激(例えば、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)希釈)に応答したT細胞増殖が含まれる。
脊髄も安楽死の時に採取し、4%のパラホルムアルデヒド(PFA)で固定し、組織学および免疫組織化学による疾患の追加評価のために使用する。典型的な組織学的解析には、炎症病巣数、アポトーシス細胞数、脱髄の程度(ミエリン塩基性タンパク質についての免疫組織化学)が含まれる。
【0221】
例示的な結果は以下を含む:
a)未処置のマウス:
- このモデルで予測されるものと一致する進行性EAE疾患。
- 免疫学的検査による、MOG抗原に対して反応する炎症性免疫細胞の検出。
- 組織学的検査による、モデルと一致する軸索傷害および炎症損傷の兆候。
【0222】
b)MOG抗原を提示する健康なphDCによる処置:
- 進行性EAE疾患、健康なphDCの追加の免疫効果により、このモデルで予測されるよりも重篤になる可能性がある。
- 免疫学的検査による、MOG抗原に対して反応する炎症性免疫細胞の検出の増加。
- 組織学的検査による、より重篤な軸索傷害および炎症損傷の兆候。
【0223】
c)MOG抗原を提示する8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCによる処置:
- 進行性EAE疾患、8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCが注射したマウスの健康なDCに取り込まれることのいくらかの寛容原性効果により、このモデルで予測されるよりも低い重症度になる可能性がある。
- 免疫学的検査による、MOG抗原に対して反応する炎症性免疫細胞の検出の多少の減少。
- 組織学的検査による、低い重症度の軸索傷害および炎症損傷の兆候。
【0224】
d)MOG抗原を含む8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCを内部移行させた健康なphDCによる処置:
- MOG抗原を保有する8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCを取り込んだ健康なphDCの寛容原性効果により、EAE疾患が顕著に軽減し、したがってEAE疾患を制御および軽減させることができる。
- 免疫学的検査による、Tregなどの寛容原性免疫細胞の検出、およびMOG抗原に対して反応する炎症性免疫細胞の顕著な減少。
- 組織学的検査による、軸索傷害および炎症損傷の顕著な減少。
【0225】
実験9:寛容原性phDCを使用した他の自己免疫疾患の改善
この例では、適切な動物モデル(例えば、上記の表Aに記載される動物モデル)を使用して、寛容原性phDCが自己免疫疾患を改善するかどうかを評価する。
【0226】
例えば、非肥満糖尿病(NOD)マウスは、インスリン依存性糖尿病(IDDM)の当該技術分野で認められているモデルである。この例では、実験7および8に記載されるものと同様のアプローチを使用してNODマウスを評価する。
【0227】
動物を、NODマウスに関連する臨床基準に従って検査し、スコア付けする。一部の例では、動物を以下のように4つの処置群に分ける:
a)未処置の動物
b)自己抗原(例えば、膵臓β細胞抗原)を提示する健康なphDCによる処置
c)自己抗原(例えば、膵臓β細胞抗原)を提示する8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCによる処置
d)自己抗原(例えば、膵臓β細胞抗原)を含む8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCを内部移行させた健康なphDCによる処置
【0228】
上記の処置群についてのphDCは、以下のように生成することができる:
b)自己抗原(例えば、膵臓β細胞抗原)を提示する健康なphDC:
単球を健康な同系動物から得、記載されているように(Ventura et al. J Vis Exp. 2019 May 17; 147)TIプレートを通過させ、自己抗原と一晩インキュベートして、抗原の取り込みを確実にする。
【0229】
c)自己抗原(例えば、膵臓β細胞抗原)を提示する8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDC:
単球を健康な同系動物から得、上記のようにTIプレートを通過させ、次いで細胞損傷を誘導するのに十分な用量で8-MOPおよびUVAに曝露し、自己抗原(例えば、膵臓β細胞抗原)と一晩インキュベートする。
【0230】
d)自己抗原(例えば、膵臓β細胞抗原)を含む8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCを内部移行させた健康なphDC:
群c)からの細胞を同数の新鮮な単球と合わせ、上記のようにTIプレートを通過させ、一晩コインキュベートして、健康なphDCによる自己抗原(例えば、膵臓β細胞抗原)を含む8-MOP/UVAで損傷したphDCの取り込みを確実にする。
【0231】
上記のように生成したphDCを、典型的には少なくとも3回、適切な用量(例えば、少なくとも1×10個の細胞/動物)で、動物モデルに適切な時間間隔下で、適切な群のマウスに静脈内投与する。
【0232】
動物を糖尿病の表現型についてモニタリングする。さらに、動物を実験中の異なる時点で屠殺することができる:
(i)疾患の誘発前、すなわち健康な動物;
(ii)疾患の誘発後であるが、処置していない、すなわち免疫化動物;
(iii)2回目と3回目のワクチン接種の間、すなわち中間時点;
(iv)実験の終了時、すなわちエンドポイント
【0233】
安楽死後、動物から試料(例えば、脾臓、ならびに鼠径リンパ節および腋窩リンパ節)を得、単一細胞懸濁液中で解離し、免疫化および処置に対する免疫応答を評価するために使用する。標準的な免疫応答アッセイには、細胞表面または細胞内フローサイトメトリーによる免疫細胞表現型解析、炎症性または抗炎症性サイトカイン分泌アッセイ(例えば、ELISA、Luminex、ELISpot)、および自己抗原再刺激(例えば、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)希釈)に応答したT細胞増殖が含まれる。
【0234】
例示的な結果は以下を含む:
a)未処置の動物:
- NODモデルで予測されるものと一致する進行性疾患。
b)自己抗原を提示する健康なphDCによる処置:
- 進行性疾患、健康なphDCの追加の免疫効果により、NODモデルで予測されるよりも重篤になる可能性がある。
c)自己抗原を提示する8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCによる処置:
- 進行性疾患、8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCが注射した動物の健康なDCにより取り込まれることのいくらかの寛容原性効果により、NODモデルで予測されるよりも低い重症度になる可能性がある。
d)自己抗原を含む8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCを内部移行させた健康なphDCによる処置:
- 自己抗原を保有する8-MOP/UVAで損傷したアポトーシスphDCを取り込んだ健康なphDCの寛容原性効果により、疾患が顕著に減少し、したがって疾患を制御および軽減させることができる。
【0235】
他の自己免疫疾患も、上記と同様のアプローチを使用して評価することができる。
【0236】
実験10:寛容原性phDCを使用した自己免疫疾患の治療
自己免疫疾患を有するヒト患者を、本明細書に記載されるように産生された寛容原性phDCを使用して治療する。
【0237】
例えば、樹状細胞の試料は、自己免疫疾患(例えば、MS)を患っている患者から得られる。樹状細胞は、アポトーシス因子(例えば、ソラレンおよびUVA(PUVA)、特に8-MOPおよびUVAの組合せ)に曝露される。一部の例では、アポトーシス因子に曝露されている樹状細胞に自己抗原も追加される。例えば、MSの場合、表Aに記載されている任意の適切な自己抗原、例えば、MBPおよび/またはMOGを追加することができる。細胞は、一定の時間、および細胞がアポトーシスを引き起こすような条件下で、アポトーシス因子に曝露される。
【0238】
次いで、得られたアポトーシス樹状細胞を、本明細書に記載されるように産生した生理的樹状細胞と合わせ、例えば、対象に投与する前に少なくとも0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間、コインキュベートすることができる。あるいは、組合せは、コインキュベーションなしで直接対象に直接投与することもできる。phDCによる治療は、自己免疫疾患の改善をもたらすと予測される。
【0239】
実験11:PUVAで損傷したPBMCとインキュベートしたヒトphDCにおけるPD-L1発現の増加
ヒトphDCを、健康なボランティアの血液からTIプレートを使用して生成し、同数の8-MOP/UVAで処理した同系PBMC(PUVA syn PBMC)、または同種異系PBMC(PUVA allo PBMC)と一晩インキュベートした。PD-L1発現(生CD14+ phDC画分の平均蛍光強度、MFIとして報告する)を18時間でフローサイトメトリーにより測定すると、同種異系または同系PUVAで処理したPBMCのいずれかとのコインキュベーション後、前駆体単球ではなく、健康なphDCで有意に高いレベルで発現していることが見出された(図18)。N=解析した血液ドナーの数;p値=ウェルチ補正を用いた対応のないt検定。
【0240】
実験12:MLRアッセイにおけるレスポンダーT細胞のPD1発現の減少
MLR(混合リンパ球反応)アッセイを、健康なボランティアのドナーからの血液を使用して設定した。簡潔に述べると、1人のドナーからの210個の精製したCFSE標識化レスポンダーT細胞(T細胞)を、同じドナー(同系培養)または非血縁ドナー(MLR)からの410個のガンマ線照射(3000rad)刺激因子PBMCとコインキュベートした。MLR反応を抑制するために、一部の培養物には110個の同系8-MOP/UVA処理したPBMC、および110個の同系のTIプレートを通過させたphDC(MLR+PUVA syn.PBMC+phDC)を追加で補充した。5日間の培養後、レスポンダーCD8およびCD4 T細胞の増殖を、フローサイトメトリー(FACS)によりCFSE希釈を測定することによってアッセイした(A、B)。レスポンダーCD8およびCD4 T細胞の活性化状態を、CD44およびPD1発現を使用してFACSによってさらに評価して、活性化T細胞を検出した(C、D)。CD8およびCD4 T細胞の両方について、健康なphDCおよびPUVAで処理したPBMCの追加により、増殖および活性化の両方が有意に抑制された(図19)。N=解析した血液ドナーの数;p値=ウェルチ補正を用いた対応のないt検定。
【0241】
さらに、本発明は以下の実施形態に関する。
1.寛容原性樹状細胞を選択的に産生する方法であって、
a)ドナーからの樹状細胞を準備するステップと、
b)ステップa)の樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシスドナー樹状細胞を、ステップc)からの生理学的レシピエント樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法。
2.ステップd)の後、ステップb)のアポトーシスドナー樹状細胞をステップc)の生理学的レシピエント樹状細胞とコインキュベートするステップが実施される、1に記載の方法。
3.コインキュベートするステップが、少なくとも0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間実施される、2に記載の方法。
4.アポトーシスドナー樹状細胞を、レシピエントからの生理学的樹状細胞と合わせるステップd)が、レシピエント内で行われる、1に記載の方法。
5.ステップa)の樹状細胞が、ドナーの体外血液試料に由来する、1に記載の方法。
6.ステップa)の樹状細胞が、ドナー由来のPBMCのプレート通過によって得られている、1に記載の方法。
7.ステップb)のアポトーシス因子が、ソラレンおよびUVA、リボフラビンリン酸およびUVA、ならびに/または5-アミノレブリン酸および光を含む、1に記載の方法。
8.ソラレンが、8-MOPおよびアモトサレンを含む群から選択される、7に記載の方法。
9.ソラレンが、8-MOPである、8に記載の方法。
10.ステップc)の生理学的樹状細胞が、レシピエント由来のPBMCのプレート通過によって得られている、1に記載の方法。
11.ドナーおよび/またはレシピエントが、哺乳動物、好ましくはヒトである、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10に記載の方法。
12.寛容原性樹状細胞を選択的に産生する方法であって、
a)レシピエントの相補的ハプロドナーからの樹状細胞を準備するステップと、
b)ステップa)の樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントのハプロドナーからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス相補的ハプロドナー樹状細胞を、ステップc)の生理学的ハプロドナー樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法。
13.ステップd)の後、ステップb)のアポトーシス相補的ハプロドナー樹状細胞を、ステップc)の生理学的ハプロドナー樹状細胞とコインキュベートするステップが実施される、12に記載の方法。
14.コインキュベートするステップが、少なくとも0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間実施される、13に記載の方法。
15.ステップb)のアポトーシス相補的ハプロドナー樹状細胞を、ステップc)の生理学的ハプロドナー樹状細胞と合わせるステップd)が、ハプロドナー内で行われる、12に記載の方法。
16.ステップa)の樹状細胞が、レシピエントの相補的ハプロドナーの体外血液試料に由来する、12に記載の方法。
17.ステップa)の樹状細胞が、レシピエントの相補的ハプロドナー由来のPBMCのプレート通過によって得られている、12に記載の方法。
18.ステップb)のアポトーシス因子が、ソラレンおよびUVA、リボフラビンリン酸およびUVA、ならびに/または5-アミノレブリン酸および光を含む、12に記載の方法。
19.ソラレンが、8-MOPおよびアモトサレンを含む群から選択される、18に記載の方法。
20.ソラレンが、8-MOPである、19に記載の方法。
21.ステップc)の生理学的樹状細胞が、レシピエントの相補的ハプロドナー由来のPBMCのプレート通過によって得られている、12に記載の方法。
22.相補的ハプロドナー、ハプロドナーおよび/またはレシピエントが、哺乳動物、好ましくはヒトである、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21のいずれかに記載の方法。
23.寛容原性樹状細胞を選択的に産生する方法であって、
a)レシピエントからの樹状細胞を準備するステップと、
b)ステップa)の樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)レシピエントからの生理学的樹状細胞を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス樹状細胞を、ステップc)の生理学的樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法。
24.ステップd)の後、ステップb)のアポトーシス樹状細胞を、ステップc)の生理学的樹状細胞とコインキュベートするステップが実施される、23に記載の方法。
25.コインキュベートするステップが、少なくとも0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間実施される、24に記載の方法。
26.ステップb)のアポトーシス樹状細胞を、ステップc)の生理学的樹状細胞と合わせるステップc)が、レシピエント内で行われる、23に記載の方法。
27.ステップa)の樹状細胞が、レシピエントの体外血液試料に由来する、23に記載の方法。
28.ステップa)の樹状細胞が、レシピエント由来のPBMCのプレート通過によって得られている、23に記載に方法。
29.ステップb)のアポトーシス因子が、ソラレンおよびUVA、リボフラビンリン酸およびUVA、ならびに/または5-アミノレブリン酸および光を含む、23に記載の方法。
30.ソラレンが、8-MOPおよびアモトサレンを含む群から選択される、29に記載の方法。
31.ソラレンが、8-MOPである、30に記載の方法。
32.ステップc)の生理学的樹状細胞が、レシピエント由来のPBMCのプレート通過によって得られている、23に記載の方法。
33.ドナーおよびレシピエントが、哺乳動物、好ましくはヒトである、23から32のいずれかに記載の方法。
34.移植片が、臓器または幹細胞移植である、1から33のいずれかに記載の方法。
35.1から11のいずれかに記載の方法によって得られた寛容原性樹状細胞。
36.12から22のいずれかに記載の方法によって得られた寛容原性樹状細胞。
37.23から34のいずれかに記載の方法によって得られた寛容原性樹状細胞。
38.移植片対宿主病を予防または軽減する方法で使用するための35から37に記載の寛容原性樹状細胞。
39.寛容原性樹状細胞を選択的に産生する方法であって、
a)対象から得られた樹状細胞の第1の試料を準備するステップと、
b)ステップa)の樹状細胞をアポトーシス因子に曝露するステップと、
c)対象から得られた生理学的樹状細胞の第2の試料を準備するステップと、
d)ステップb)のアポトーシス樹状細胞を、ステップc)の生理学的樹状細胞と合わせるステップと
を含む、方法。
40.ステップd)の後、ステップb)のアポトーシス樹状細胞を、ステップc)の生理学的樹状細胞とコインキュベートするステップが実施される、39に記載の方法。
41.コインキュベートするステップが、少なくとも0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間実施される、40に記載の方法。
42.ステップb)のアポトーシス樹状細胞を、ステップc)の生理学的樹状細胞と合わせるステップc)が、対象内で行われる、39に記載の方法。
43.ステップa)の樹状細胞が、対象の体外血液試料に由来する、39から42のいずれかに記載の方法。
44.ステップa)の樹状細胞が、対象由来のPBMCのプレート通過によって得られている、43に記載に方法。
45.樹状細胞を抗原分子とインキュベートするステップa1)をさらに含む、39から44のいずれかに記載の方法。
46.抗原分子が、自己抗原である、45に記載の方法。
47.抗原分子が、天然源に由来するか、化学的に合成されるか、または組換えにより産生される、45または46に記載の方法。
48.抗原分子が、細胞に由来する、45または46に記載の方法。
49.自己抗原が、Rh血液型抗原、血小板インテグリンGpIIb:IIIa、基底膜コラーゲンIV型の非コラーゲン性ドメイン、表皮カドヘリン、連鎖球菌細胞壁抗原、C型肝炎抗原を伴うまたは伴わないリウマチ因子IgG複合体、膵臓β細胞抗原、ミエリン塩基性タンパク質、プロテオリピドタンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、デスモグレイン3、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、アセチルコリン受容体、カルボキシペプチダーゼH、クロモグラニンA、グルタメートデカルボキシラーゼ、イモジェン-38、インスリン、インスリノーマ抗原-2および2β、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、プロインスリン、α-エノラーゼ、アクアポリン-4、β-アレスチン、S100-β、シトルリン化タンパク質、コラーゲンII、熱ショックタンパク質、ヒト軟骨糖タンパク質39、La抗原、ヌクレオソームヒストンおよびリボ核タンパク質(snRNP)、リン脂質-β-2糖タンパク質I複合体、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ、U-1低分子リボ核タンパク質複合体のSm抗原、膵島細胞抗原、細胞質リンカータンパク質-170(CLIP-170)、シェーグレン症候群抗原A(SS-A/Ro)、シェーグレン症候群抗原B(SS-B/La)、シェーグレンループス抗原(SL)ならびに強皮症抗原70(Scl-70)を含む群から選択される、46に記載の方法。
50.ステップb)のアポトーシス因子が、ソラレンおよびUVA、リボフラビンリン酸およびUVA、ならびに/または5-アミノレブリン酸および光を含む、39から49のいずれかに記載の方法。
51.ソラレンが、8-MOPおよびアモトサレンを含む群から選択される、50に記載の方法。
52.ソラレンが、8-MOPである、50に記載の方法。
53.ステップc)の生理学的樹状細胞が、対象由来のPBMCのプレート通過によって得られている、39から52のいずれかに記載の方法。
54.対象が、哺乳動物、好ましくはヒトである、39から53のいずれかに記載の方法。
55.39から54のいずれかに記載の方法によって得られた寛容原性樹状細胞。
56.自己免疫疾患の治療で使用するための55に記載の寛容原性樹状細胞。
57.自己免疫疾患が、多発性硬化症、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、筋萎縮性側索硬化症、尋常性天疱瘡、乾癬、重症筋無力症、甲状腺炎、強皮症、シェーグレン症候群、血小板減少性紫斑病、クリオグロブリン血症、自己免疫性溶血性貧血、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、アジソン病、セリアック病、慢性疲労症候群、大腸炎、クローン病、線維筋痛症、甲状腺機能亢進症、グレーブス病、甲状腺機能低下症、橋本病、子宮内膜症、悪性貧血、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー病およびリウマチ熱を含む群から選択される、56に記載の使用のための寛容原性樹状細胞。
58.それを必要とする対象における自己免疫疾患を治療する方法であって、有効量の55に記載の寛容原性樹状細胞を対象に投与することを含む、方法。
59.それを必要とする対象における自己免疫疾患を治療する方法であって、方法が、有効量の寛容原性樹状細胞を対象に投与することを含み、寛容原性樹状細胞が、対象から得られたアポトーシス樹状細胞由来の物質、自己抗原、それらの断片、またはそれらの組合せを含む生理学的樹状細胞を含む、方法。
60.自己免疫疾患が、多発性硬化症、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、筋萎縮性側索硬化症、尋常性天疱瘡、乾癬、重症筋無力症、甲状腺炎、強皮症、シェーグレン症候群、血小板減少性紫斑病、クリオグロブリン血症、自己免疫性溶血性貧血、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、アジソン病、セリアック病、慢性疲労症候群、大腸炎、クローン病、線維筋痛症、甲状腺機能亢進症、グレーブス病、甲状腺機能低下症、橋本病、子宮内膜症、悪性貧血、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー病およびリウマチ熱を含む群から選択される、58または59に記載の方法。
61.自己抗原が、Rh血液型抗原、血小板インテグリンGpIIb:IIIa、基底膜コラーゲンIV型の非コラーゲン性ドメイン、表皮カドヘリン、連鎖球菌細胞壁抗原、C型肝炎抗原を伴うまたは伴わないリウマチ因子IgG複合体、膵臓β細胞抗原、ミエリン塩基性タンパク質、プロテオリピドタンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、デスモグレイン3、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、アセチルコリン受容体、カルボキシペプチダーゼH、クロモグラニンA、グルタメートデカルボキシラーゼ、イモジェン-38、インスリン、インスリノーマ抗原-2および2β、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、プロインスリン、α-エノラーゼ、アクアポリン-4、β-アレスチン、S100-β、シトルリン化タンパク質、コラーゲンII、熱ショックタンパク質、ヒト軟骨糖タンパク質39、La抗原、ヌクレオソームヒストンおよびリボ核タンパク質(snRNP)、リン脂質-β-2糖タンパク質I複合体、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ、U-1低分子リボ核タンパク質複合体のSm抗原、膵島細胞抗原、細胞質リンカータンパク質-170(CLIP-170)、シェーグレン症候群抗原A(SS-A/Ro)、シェーグレン症候群抗原B(SS-B/La)、シェーグレンループス抗原(SL)ならびに強皮症抗原70(Scl-70)を含む群から選択される、59または60に記載の方法。
62.対象から得られたアポトーシス樹状細胞由来の物質を含むex vivo寛容原性樹状細胞。
63.自己抗原またはその断片をさらに含む、62に記載のex vivo寛容原性樹状細胞。
64.(a)対象から得られた樹状細胞の試料と、
(b)アポトーシス因子と、
(c)それらの自己抗原または断片と
を含む、組成物。
65.アポトーシス因子が、ソラレン、リボフラビンリン酸、または5-アミノレブリン酸を含む、64に記載の組成物。
66.ソラレンが、8-MOPおよびアモトサレンを含む群から選択される、65に記載の組成物。
67.ソラレンが、8-MOPである、66に記載の組成物。
68.自己抗原が、Rh血液型抗原、血小板インテグリンGpIIb:IIIa、基底膜コラーゲンIV型の非コラーゲン性ドメイン、表皮カドヘリン、連鎖球菌細胞壁抗原、C型肝炎抗原を伴うまたは伴わないリウマチ因子IgG複合体、膵臓β細胞抗原、ミエリン塩基性タンパク質、プロテオリピドタンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、デスモグレイン3、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、アセチルコリン受容体、カルボキシペプチダーゼH、クロモグラニンA、グルタメートデカルボキシラーゼ、イモジェン-38、インスリン、インスリノーマ抗原-2および2β、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、プロインスリン、α-エノラーゼ、アクアポリン-4、β-アレスチン、S100-β、シトルリン化タンパク質、コラーゲンII、熱ショックタンパク質、ヒト軟骨糖タンパク質39、La抗原、ヌクレオソームヒストンおよびリボ核タンパク質(snRNP)、リン脂質-β-2糖タンパク質I複合体、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ、U-1低分子リボ核タンパク質複合体のSm抗原、膵島細胞抗原、細胞質リンカータンパク質-170(CLIP-170)、シェーグレン症候群抗原A(SS-A/Ro)、シェーグレン症候群抗原B(SS-B/La)、シェーグレンループス抗原(SL)ならびに強皮症抗原70(Scl-70)を含む群から選択される、62もしくは63に記載のex vivo寛容原性樹状細胞、または64から67のいずれか1つに記載の組成物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19-1】
図19-2】
【国際調査報告】