(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ある容量の液体の存在または非存在を判定することを可能にする液体処理装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20240711BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
G01N1/00 101G
G01N35/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505243
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2022071429
(87)【国際公開番号】W WO2023006988
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522046494
【氏名又は名称】オスラー ダイアグノスティックス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Osler Diagnostics Limited
【住所又は居所原語表記】King Charles House, Park End Street, Oxford, OX1 1JD, UK
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リリス,バリー
(72)【発明者】
【氏名】マリンソン,ジャスパー
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ジミシュクマール
(72)【発明者】
【氏名】ホワイティング,マイルス
(72)【発明者】
【氏名】ラクストン,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ヨーマン,マーク
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
【Fターム(参考)】
2G052AA29
2G052AB01
2G052AB11
2G052AB16
2G052AD06
2G052AD26
2G052AD46
2G052CA11
2G052DA02
2G052DA12
2G052DA22
2G052GA21
2G052HA01
2G052HA11
2G052JA06
2G052JA07
2G052JA08
2G058EA06
2G058EB11
2G058GA11
2G058GB02
(57)【要約】
本明細書に記載の実施形態は、液体試料を受け取るように構成された入口導管と、入口導管と流体連通する、試料妥当性制御チャンバを備える第1の流路であって、試料妥当性制御チャンバが、試料妥当性制御チャンバ内のある容量の液体の存在または非存在を判定することを可能にするように構成される、第1の流路と、入口導管と流体連通する第2の流路であって、第1の流路よりも高い液圧抵抗を提供するように構成される、第2の流路とを備える、液体処理装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料を受け取るように構成された入口導管と、
前記入口導管と流体連通する、試料妥当性制御チャンバを備える第1の流路であって、前記試料妥当性制御チャンバが、前記試料妥当性制御チャンバ内のある容量の液体の存在または非存在を判定することを可能にするように構成される、第1の流路と、
前記入口導管と流体連通する第2の流路であって、前記第1の流路よりも高い液圧抵抗を提供するように構成される、第2の流路と
を備える、液体処理装置。
【請求項2】
ユーザが前記試料妥当性制御チャンバ内の前記ある容量の液体の前記存在または非存在を判定することができるように、前記試料妥当性制御チャンバが見えるインジケータ領域を備える、請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項3】
前記試料妥当性制御チャンバが見える前記インジケータ領域が、前記第1の流路内の試料妥当性制御チャンバ入口ポートの下流にある、請求項2に記載の液体処理装置。
【請求項4】
前記第2の流路が出口導管を備え、前記出口導管が前記入口導管よりも小さい断面積を有する、請求項1~3のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項5】
前記試料妥当性制御チャンバが、
前記入口導管から液体を受け取るように構成された試料妥当性制御チャンバ入口ポートと、
前記第2の流路と流体接続している試料妥当性制御チャンバ出口ポートと
を備え、
前記試料妥当性制御チャンバ出口ポートと前記インジケータ領域との間の距離が、前記試料妥当性制御チャンバ入口ポートと前記インジケータ領域との間の距離よりも小さい、請求項2に従属する場合の請求項2~4のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項6】
前記第1の流路が、特定の容量の液体を貯蔵するように構成された計量チャンバをさらに備え、前記計量チャンバが、
前記入口導管から液体を受け取るように構成された計量チャンバ入口ポートと、
前記第2の流路と流体接続されている計量チャンバ出口ポートと
を備える、請求項1~4のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項7】
前記第1の流路が、前記計量チャンバと前記試料妥当性制御チャンバとの間の流体接続を提供するコネクタ導管を備える、請求項6に記載の液体処理装置。
【請求項8】
前記コネクタ導管の断面積が、前記計量チャンバの断面積よりも小さい、請求項7に記載の液体処理装置。
【請求項9】
前記第2の流路が出口導管を備え、前記コネクタ導管の断面積が前記出口導管の断面積以上である、請求項7または8に記載の液体処理装置。
【請求項10】
前記試料妥当性制御チャンバが前記計量チャンバの下流にある、請求項6~9のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項11】
前記計量チャンバ出口ポートと前記インジケータ領域との間の距離が、前記計量チャンバ入口ポートと前記インジケータ領域との間の距離よりも小さい、請求項2に従属する場合の請求項6~10のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項12】
前記第2の流路が、前記インジケータ領域の方向に延びる出口導管セクションを備える、請求項2に従属する場合の請求項2~11のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項13】
前記第1の流路が、前記試料妥当性制御チャンバと流体連通する通気廃棄物チャンバを備える、請求項1~12のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項14】
前記試料妥当性制御チャンバが、前記廃棄物チャンバへの流体接続を提供する廃棄物出口を備え、前記廃棄物出口が、前記試料妥当性制御チャンバの上端と下端との間に位置し、前記試料妥当性制御チャンバの上端と前記インジケータ領域との間の距離が、前記試料妥当性制御チャンバの下端と前記インジケータ領域との間の距離よりも小さい、請求項13に記載の液体処理装置。
【請求項15】
多孔質材料のパッドをさらに備え、前記パッドが、前記試料妥当性制御チャンバ内の液体と接触するように構成される、請求項1~14のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項16】
吸収性材料のパッドをさらに備え、前記パッドが、前記試料妥当性制御チャンバ内の液体を吸収するように構成される、請求項1~14のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項17】
前記試料妥当性制御チャンバが見える、前記液体処理装置の壁に設けられた閉塞材料をさらに備え、前記閉塞材料が、前記閉塞材料がある量の液体と接触するまで前記試料妥当性制御チャンバの少なくとも一部を閉塞するように構成される、請求項1~16のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項18】
穿刺可能な液体貯蔵容器内のある容量の液体への流体接続を提供するように構成された液体貯蔵容器インターフェースであって、前記液体貯蔵容器から液体を抽出することを可能にするように構成された液体抽出出口を備える、液体貯蔵容器インターフェースをさらに備え、
前記液体抽出出口が、前記液体貯蔵容器から抽出された液体が前記入口導管に受け取られるように、前記入口導管と流体連通している、
請求項1~17のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項19】
第1の構成から第2の構成に作動可能な液体抽出機構をさらに備え、前記液体抽出機構が、前記液体抽出機構が前記第1の構成から前記第2の構成に作動するときに、前記液体貯蔵容器内の気体の容量と前記液体抽出出口との間に圧力差を提供するように構成される、請求項18に記載の液体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ある容量の液体の存在または非存在を判定することを可能にする液体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポイントオブケア診断装置は、典型的には、生物学的試料(全血、血清または血漿など)に対してイムノアッセイなどの診断試験を行うために使用される。このような診断検査を行うためには、生体試料を診断装置に移送する必要がある。その後、診断装置は、診断試験を行うために、診断装置内の流体(例えば、生物学的試料、試薬、緩衝液など)の動きを制御し、バイオマーカーの測定を行う分析装置(または機器)に挿入される。
【0003】
全血または血漿などの生物学的試料は、典型的には、ポイントオブケア診断装置に受け取られる。既存の装置は、液体が装置内に受け取られたことをユーザが確認することを可能にする観察窓を含む。しかしながら、ユーザが観察窓を見る場合、ユーザは、十分な容量の液体が受け取られたかどうかを認識していない場合がある。これは、液体が何らかの形態のユーザの行動によって装置内に受け取られる場合、ユーザが、いつその行動を止めることができるか分からないことを意味する。
【0004】
さらに、観察窓の充填は、装置の他の流体構成要素への意図しない液体の流れをもたらす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、ユーザの使いやすさを向上させ、装置の他の流体構成要素への意図しない液体の流れを最小限に抑える、ある容量の液体の存在または非存在を判定することを可能にする装置が必要とされている。
【0006】
概要
この概要は、詳細な説明でより詳細に説明される概念を紹介する。それは、特許請求される主題の本質的な特徴を特定するために使用されるべきではなく、特許請求される主題の範囲を限定するためにも使用されるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、液体試料を受け取るように構成された入口導管と、入口導管と流体連通する、試料妥当性制御チャンバを備える第1の流路であって、試料妥当性制御チャンバが、試料十分性制御チャンバ内のある容量の液体の存在または非存在を判定することを可能にするように構成される、第1の流路と、入口導管と流体連通する第2の流路であって、第1の流路よりも高い液圧抵抗を提供するように構成される、第2の流路とを備える、液体処理装置が提供される。
【0008】
試料妥当性制御チャンバにより、ユーザは、特定の容量の液体が液体処理装置に受け取られたかどうかを判定することができる。例えば、ユーザは、診断試験を実行することを可能にするのに十分な容量の液体が受け取られたかどうかを判定することができる場合がある。第2の流路のより高い液圧抵抗は、液体が、第2の流路よりも優先して、第1の流路内の試料妥当性制御チャンバを充填することを意味する。これは、液体処理装置の他の流体構成要素(例えば、診断カートリッジの他のチャンバ)への流体の流れなしに(または最小限に抑えながら)視覚的指標をユーザに提供することができることを意味する。
【0009】
液体処理装置は、ユーザが試料妥当性制御チャンバ内のある容量の液体の存在または非存在を判定することができるように、試料妥当性制御チャンバが見えるインジケータ領域を備えてもよい。これは、十分な液体が液体処理装置に受け取られたときをユーザが知ることを意味する。ユーザの行動が入口導管内に液体を受け取らせることである場合、ユーザへの指標は、いつそのような行動を止めることができるかをユーザが知ることを意味する。さらに、液体貯蔵容器から液体を抽出する液体抽出機構にユーザが力を加えることによって液体が液体処理装置内に受け取られる場合、ユーザへの指標は、診断試験を進める前に、ユーザがいつ液体貯蔵容器を液体抽出機構から取り外すことができるかを知ることを意味する。
【0010】
試料妥当性制御チャンバが見えるインジケータ領域は、第1の流路内の試料妥当性制御チャンバ入口ポートの下流にあってもよい。例えば、液体貯蔵容器から液体を抽出する液体抽出機構にユーザが力を加えることによって液体が液体処理装置に受け取られる場合、その力は液体処理装置の上方から加えられる(例えば、診断カートリッジがその側にある場合)。試料妥当性制御チャンバ入口ポートの下流に配置されたインジケータ領域を設けることによって、ユーザは、液体抽出機構に力を加えるときに装置の上から視覚的指標を容易に見ることができる。インジケータ領域は、液体処理装置の壁に設けられてもよい。インジケータ領域は、液体処理装置の壁に観察窓を備えてもよい。試料妥当性制御チャンバ入口ポートの下流に配置されたインジケータ領域を提供することはまた、液体が試料妥当性制御チャンバの充填を開始した後にユーザへの視覚的指標が提供されることを確実にする。
【0011】
第2の流路は、出口導管を備えてもよい。出口導管は、入口導管よりも小さい断面積を有してもよい。これは、第2の流路の液圧抵抗を増加させて、第1の流路を通って試料妥当性制御チャンバに入る液体の流れを促進する。出口導管は、試料妥当性制御チャンバを介して入口導管と流体連通してもよい。
【0012】
試料妥当性制御チャンバは、入口導管から液体を受け取るように構成された試料妥当性制御チャンバ入口ポートと、第2の流路と流体接続された試料妥当性制御チャンバ出口ポートとを備えてもよい。試料妥当性制御チャンバ出口ポートとインジケータ領域との間の距離は、試料妥当性制御チャンバ入口ポートとインジケータ領域との間の距離よりも小さくてもよい。試料妥当性制御チャンバ入口ポートよりもインジケータ領域までの距離が短くなるように試料妥当性制御チャンバ出口ポートを配置することにより、液体処理装置が使用されているときの試料妥当性制御チャンバ出口ポート上のヘッド圧力が低下する(すなわち、インジケータ領域が上方に向けられている場合、インジケータ領域が入口導管よりも高いことを意味する)。この向きでのヘッド圧力の低下は、試料妥当性制御チャンバ出口ポートを通る(すなわち、第2の流路内に入る)液体の流れを妨げる。
【0013】
第1の流路は、特定の容量の液体を貯蔵するように構成された計量チャンバをさらに備えてもよく、計量チャンバは、入口導管から液体を受け取るように構成された計量チャンバ入口ポートと、第2の流路と流体接続されている計量チャンバ出口ポートとを備える。計量チャンバは、液体の特定の容量を保持し、液体処理装置が移動または振盪された場合に特定の容量が変位する可能性が低減される。
【0014】
第1の流路は、計量チャンバと試料妥当性制御チャンバとの間に流体接続を提供するコネクタ導管を備えてもよい。コネクタ導管の断面積は、試料妥当性制御チャンバを通して見える計量チャンバの容量を最小にするために、計量チャンバの断面積よりも小さくてもよい。試料妥当性制御チャンバを通して見える計量チャンバの容量を最小化することにより、試料妥当性制御チャンバがある容量の液体を含むという偽陽性の指標の可能性が低減される。
【0015】
第2の流路は、出口導管を備えてもよい。コネクタ導管の断面積は、出口導管の断面積以上であってもよい。これは、第2の流路の液圧抵抗を増加させ、それにより、第1の流路を通って試料妥当性制御チャンバに入る液体の流れを促進する。
【0016】
試料妥当性制御チャンバは、計量チャンバの下流にあってもよい。計量チャンバの下流に試料妥当性制御チャンバを配置することにより、計量チャンバが試料妥当性制御チャンバの前に充填されることを確実にし、それにより、十分な容量の液体が液体処理装置に受け取られることを確実にする。
【0017】
計量チャンバ出口ポートとインジケータ領域との間の距離は、計量チャンバ入口ポートとインジケータ領域との間の距離よりも小さくてもよい。計量チャンバ入口ポートよりもインジケータ領域までの距離が短くなるように計量チャンバ出口ポートを配置することにより、液体処理装置が使用されているときの計量チャンバ出口ポート上のヘッド圧力が低下する(すなわち、インジケータ領域が上方に向けられている場合、インジケータ領域が入口導管よりも高いことを意味する)。この向きでのヘッド圧力の低下は、計量チャンバ出口ポートを介した第2の流路への液体の流れを妨げる。
【0018】
第2の流路は、インジケータ領域の方向に延びる出口導管セクションを備えてもよい。インジケータ領域の方向への出口導管セクションの延長は、液体処理装置が使用されているときの出口導管内の潜在的な圧力ヘッドを増加させる(すなわち、インジケータ領域が上方に向けられている場合、インジケータ領域が入口導管よりも高いことを意味する)。出口導管内の潜在的な圧力ヘッドのこの増加により、液体が第2の流路を通って流れる傾向が低減される。第2の流路は、出口導管セクションと流体連通する追加の出口導管セクションをさらに備えてもよく、追加の出口導管セクションは、出口導管セクションの延長方向とは反対の方向に延びる。
【0019】
第1の流路は、試料妥当性制御チャンバと流体連通する通気廃棄物チャンバを備えてもよい。通気廃棄物チャンバを使用することにより、任意の過剰な液体のための出口が提供され、そのような過剰な液体が第2の流路を充填することはない。
【0020】
試料妥当性制御チャンバは、廃棄物チャンバへの流体接続を提供する廃棄物出口を備えてもよく、廃棄物出口は、試料妥当性制御チャンバの上端と下端との間に位置し、試料妥当性制御チャンバの上端とインジケータ領域との間の距離は、試料妥当性制御チャンバの下端とインジケータ領域との間の距離よりも小さい。このように廃棄物出口を配置することにより、試料妥当性制御チャンバを使用して液体の具体的な容量を計量してもよく、それにより、別個の計量チャンバの必要性が回避される。
【0021】
液体処理装置は多孔質材料のパッドをさらに備えてもよく、パッドは、試料妥当性制御チャンバ内の液体と接触するように構成される。多孔質材料のパッドを使用することは、液体が多孔質材料を通って流れると、試料妥当性制御チャンバがある容量の液体を含有するという指標を提供するが、試料妥当性制御チャンバを必要なレベルまで充填する前に試料妥当性制御チャンバの内容物を閉塞する。これにより、試料妥当性制御チャンバが必要な容量の液体を含むという偽陽性の指標の可能性が低減される。
【0022】
代替的に、液体処理装置は、吸収性材料のパッドを備えてもよく、パッドは、試料妥当性制御チャンバ内の液体を吸収するように構成される。吸収性材料のパッドを使用することにより、試料妥当性制御チャンバがある容量の液体を含むという持続的な指標が提供され、それにより、ユーザは、試料妥当性制御チャンバがある容量の液体を含むことを容易に判定することができる。
【0023】
液体処理装置は、試料妥当性制御チャンバが見える、液体処理装置の壁に設けられた閉塞材料をさらに備えてもよく、閉塞材料は、閉塞材料がある量の液体と接触するまで試料妥当性制御チャンバの少なくとも一部を閉塞するように構成される。閉塞材料は、閉塞材料が光学的により透明になるまでユーザが試料妥当性制御チャンバの内容を見ることができないため、試料妥当性制御チャンバがある容量の液体を含むという偽陽性の指標の可能性を低減する。
【0024】
液体処理装置は、穿刺可能な液体貯蔵容器内のある容量の液体への流体接続を提供するように構成された液体貯蔵容器インターフェースであって、液体貯蔵容器から液体を抽出することを可能にするように構成された液体抽出出口を備える、液体貯蔵容器インターフェースをさらに備えてもよく、液体抽出出口は、液体貯蔵容器から抽出された液体が入口導管に受け取られるように、入口導管と流体連通している。したがって、液体処理装置を使用して、液体貯蔵容器から液体を抽出し、液体貯蔵容器から抽出されたある容量の液体の存在または非存在を判定することができる場合がある。
【0025】
液体処理装置は、第1の構成から第2の構成に作動可能な液体抽出機構をさらに備えてもよく、液体抽出機構は、液体抽出機構が第1の構成から第2の構成に作動するときに、液体貯蔵容器内の気体の容量と液体抽出出口との間に圧力差を提供するように構成される。したがって、液体処理装置を使用して、ユーザによって加えられた力を使用して液体貯蔵容器から液体を抽出し、液体貯蔵容器から抽出されたある容量の液体の存在または非存在を示す指標を提供してもよく、その結果、ユーザは、液体貯蔵容器から液体を抽出するために使用される力の印加を止めることができる。
【0026】
インジケータ領域は、外部装置がセンサ(例えば、光学センサ、または電気化学センサ)を使用して試料妥当性制御チャンバ内のある容量の液体の存在または非存在を判定することを可能にしてもよい。したがって、液体処理システムは、前の段落のいずれか1つに記載の液体処理装置と、試料妥当性制御チャンバ内のある容量の液体の存在または非存在を判定するように構成されたセンサ(例えば、インジケータ領域を介する)を備える外部装置とを備えてもよい。液体処理装置は、例えば、診断試験を行うために、診断プロトコルに従って液体処理装置内の流体の流れを制御する分析装置内に収容されてもよい。そのような例では、ある容量の液体の存在または非存在は、分析装置内に位置する光学センサを使用して検出されてもよい。光学センサが試料妥当性制御チャンバ内においてある容量の液体が存在しないことを検出した場合、診断試験を直ちに停止してもよい。これは、診断テストが実行され、エラーメッセージが出力されるのをユーザが待つ必要がなくなり、ユーザが別の液体処理装置を使用して診断テストを再試行することができることを意味するため、タイムクリティカルな診断テストにおいて有利である。
【0027】
具体的な実施形態は、例としてのみ、添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】カートリッジと流体連通する第1の液体抽出装置の概略図である。
【
図2A】第1の液体抽出装置とカートリッジとの取り付けの模式図である。
【
図2B】第2の液体抽出装置とカートリッジとの取り付けの模式図である。
【
図3】試料妥当性制御チャンバを備える液体処理装置の等角図である。
【
図4】
図3に示す液体処理装置の第1および第2の成形部品の正面図である。
【
図5】
図3に示す液体処理装置のアセンブリを示す図である。
【
図6】ある容量の液体の存在または非存在を判定するために使用される向きにある
図3の液体処理装置の正面図であり、いくつかの構成要素は部分的に透明で示されている。
【
図7】試料妥当性制御チャンバを備える代替的な液体処理装置の等角図である。
【
図8】
図7に示す液体処理装置の第1および第2の成形部品の正面図である。
【
図9】
図7に示す液体処理装置のアセンブリを示す図である。
【
図10】ある容量の液体の存在または非存在を判定するために使用される向きにある
図7の液体処理装置の正面図であり、いくつかの構成要素は部分的に透明で示されている。
【
図11】試料妥当性制御チャンバを備えるさらなる代替的な液体処理装置の等角図である。
【
図12】
図11に示す液体処理装置の第1および第2の成形部品の正面図である。
【
図13】
図11に示す液体処理装置のアセンブリを示す図である。
【
図14】ある容量の液体の存在または非存在を判定するために使用される向きにある
図11の液体処理装置の正面図であり、いくつかの構成要素は部分的に透明で示されている。
【
図15】液体抽出装置に垂直方向に挿入されている採血管を示す図である。
【
図16A】試料妥当性制御チャンバを備える液体処理装置の流体構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の実施態様は、装置内に受け取られた試料の容量が試料の診断試験を行うのに十分であるかどうかを示す試料妥当性インジケータを含む液体処理装置を特に参照して以下に説明される。しかしながら、本明細書に記載の実施態様はまた、他の状況で使用される液体試料の十分性を示すために使用されてもよいことが理解されよう。
【0030】
図1は、カートリッジ100の形態の液体処理装置と流体連通する第1の液体抽出装置200を示す概略図である。
図1に示すように、カートリッジ100は、複数の導管102を介して流体連通する複数のチャンバを含む。具体的には、複数のチャンバは、主チャンバ104と、試薬チャンバ106と、混合チャンバ108と、廃棄物チャンバ110と、測定チャンバ112とを含む。カートリッジ100はまた、各々がそれぞれの導管102を通る流体の流れを制御する複数のバルブ114を含む。センサ116は、測定チャンバ112内の溶液に対して測定(例えば、電気化学測定)を行うために使用される。
【0031】
チャンバ間の流体の流れは、ポンプ導管122を介して主チャンバ104に正圧または負圧を加えるように構成された外部ポンプ120によって制御される。正圧または負圧は、バルブ114のいずれが開放されているかに応じて、1つのチャンバから別のチャンバに流体を分注するか、または吸引する。例えば、試薬チャンバ106から主チャンバ104に試薬を吸引する場合(例えば、試料と混合するために)、試薬チャンバ106と主チャンバ104との間のバルブ114を開き、ポンプ120により主チャンバ104に負圧が加えられる。
【0032】
液体抽出装置200は、入口導管14を介してカートリッジ100と流体連通している。以下でさらに詳細に説明するように、液体抽出装置200は、穿刺可能な液体貯蔵容器(例えば、
図1には示されていない採血管)から液体試料(例えば血液)を抽出するように構成される。液体試料が液体貯蔵容器から抽出されると、液体試料は、入口導管14を介して計量チャンバ16に圧力下で移送される。その後、液体試料は、ポンプ120を使用して負圧を加えることによって、計量チャンバ16から出口導管43を介して主チャンバ104内に吸引することができる。
【0033】
次いで、試薬チャンバ106から主チャンバ104に試薬を吸引することによって、試料を主チャンバ104内の1つ以上の試薬と組み合わせることができる。試料と試薬とを混合するために、主チャンバ104と混合チャンバ108との間で溶液を繰り返し移送してもよい。次いで、溶液は測定チャンバ112に分注されてもよく、そこでセンサ116を使用して溶液に対して電気化学測定が行われる。主チャンバ104または測定チャンバ112からの任意の廃液は、廃棄物チャンバ110に移送されてもよい。
【0034】
液体抽出装置200は、採血管などの穿刺可能な液体貯蔵容器が収容されるシリンダ202(または管)の形態のレセプタクルを備える。液体抽出装置200はまた、第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成へとシリンダ202内で作動可能な、ピストン204の形態の作動可能な液体抽出機構を含む。
図1では、ピストン204は、第2の液体抽出機構構成で示されている。
【0035】
ピストン204は、ピストン204とシリンダ202との間にシールを提供するように構成されたOリングシール210の形態のシール要素を含む。シリンダ202は、ピストン204が
図1に示す第2の構成にあるときに、空気がOリングシール210の周りを流れることを可能にすることによってOリングシール210を損なうように構成された凹部212を含む。
【0036】
液体抽出装置200は、ピストン204に固定して取り付けられた針206の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)を含む。針206は、液体貯蔵容器を穿刺する(例えば、採血管の隔壁を穿刺することによって)ように構成されている。針206は、採血管から抽出された液体が流れることができる液体抽出出口208を備える。
【0037】
シリンダ202はまた、液体抽出装置200から液体を、それが採血管から抽出された後に除去することを可能にする出口216を備える。出口216は、入口導管14と流体連通しており、それにより、液体が液体抽出装置200からカートリッジ100に移送されることが可能になる。
【0038】
第1の液体抽出機構において、ピストン204は、シリンダ202内の出口216の上方に位置している(すなわち、
図1に示すよりもシリンダ202の端壁218からさらに離れている)。
【0039】
ピストン204およびシリンダ202は共に、チャンバを画定する。採血管を針206に接続した後、ピストン204が第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成に作動すると、チャンバの容量が低下する。ピストン204が出口216を越えて作動すると、チャンバはOリングシール210によってシールされているので、チャンバの容量の低下は、チャンバ内の空気の圧力の増加をもたらす。チャンバ内の空気圧の増加は、針206を介して採血管内に空気を押し込み、採血管内の気体の容量の圧力を増加させる。チャンバおよび採血管内の空気の圧力の上昇は、ピストン204が第2の構成に向かって作動するときに継続する。
【0040】
ピストン204が第2の構成になると、Oリングシール210は凹部212と位置合わせされ、その結果損なわれ、これは、チャンバ内の加圧空気がOリングシール210の周りを流れることができることを意味する。これにより、チャンバと流体連通している液体抽出出口208における圧力が低下し、それにより、採血管内の気体の容量と液体抽出出口208との間に圧力差が生じる。この圧力差は、採血管から針206を介して、Oリングシール210の周りに、および出口216を介して液体抽出装置200から液体を押し出す。
【0041】
液体抽出装置200は、安全機構250が針206を隠す第1の安全機構構成(
図1に示す)から、安全機構250が針206を露出させる第2の安全機構構成に作動可能な安全機構250を備える。安全機構250は、液体抽出装置200が第1の向き(例えば、水平)にあるときには安全機構250の第1の安全機構構成から第2の安全機構構成への作動を防止するが、液体抽出装置200が第2の向き(例えば、垂直)にあるときには安全機構250の第1の安全機構構成から第2の安全機構構成への作動を許可するブロック要素(図示せず)をさらに備える。
【0042】
カートリッジ100は、十分な量の液体が液体貯蔵容器(例えば採血管)から抽出されたという視覚的指標をユーザに提供する試料妥当性制御チャンバ24をさらに備える。特に、試料妥当性制御チャンバ24は、特定の診断試験に十分な容量の液体が抽出されたという視覚的指標を提供してもよい。例えば、
図15に示すように、試料妥当性制御チャンバ24は、液体抽出装置が垂直方向にあるとき(すなわち、液体抽出装置が液体貯蔵容器から液体を抽出するために使用される場合)に上方に配設されたカートリッジ100の側壁の光学的に透明な窓130を通して視覚的指標を提供するように構成される。
【0043】
試料妥当性制御チャンバ24は、入口導管14(液体抽出装置200を使用して抽出された流体を受け取る)と流体連通する第1の流路の一部を形成する。カートリッジ100はまた、特定の容量の液体を貯蔵するように構成された計量チャンバ16を含む。第1の流路は、計量チャンバ16と、計量チャンバ16と試料妥当性制御チャンバ24との間の流体接続を提供するコネクタ導管22と、試料妥当性制御チャンバ24と、試料妥当性制御チャンバ24と流体連通する通気廃棄物チャンバ44とを含む。カートリッジ100は、計量チャンバ16内の出口ポートから延びる出口導管43を備える第2の流路をさらに備える。出口導管43は、カートリッジ100の主チャンバ104内に液体を吸引することを可能にする。以下でより詳細に説明するように、代替的な実施態様は、計量チャンバ16もコネクタ導管22も含まなくてもよく、その場合、出口導管43は、特定の容量の液体を計量するように構成された試料妥当性制御チャンバ内の出口ポートから延びる。
【0044】
第2の流路(出口導管43を含む)は、第1の流路(試料妥当性制御チャンバ24と、任意選択的に、計量チャンバ16およびコネクタ導管22とを含む)よりも高い液圧抵抗を提供する。これは、第1の流路を通る液体の流量が第2の流路を通る流量よりも大きいことを意味する。第1の流路を通るより高い流量は、出口導管43を充填することなく、液体が試料妥当性制御チャンバ24に流入して、十分な容量の液体が受け取られたという視覚的指標を提供することを意味する。
【0045】
試料妥当性制御チャンバを含む液体処理装置の実施態様について、
図3~
図16Bを参照してより詳細に説明する。
【0046】
図1に示す液体抽出装置200の出口216は、シリンダ202の側壁に設けられている。
図2Aは、第1の液体抽出装置200とカートリッジ100との間の取り付けをより詳細に示す。出口216がシリンダ202の側壁に設けられる場合、液体抽出装置200とカートリッジ100との間の流体連通は、出口216を、入口導管14内への流体の通過を可能にするカートリッジ100内の孔またはビアと位置合わせすることによって提供されてもよい。出口216と孔またはビアとの位置合わせは、接着剤(例えば、感圧接着剤)の層を使用して液体抽出装置200をカートリッジ100に取り付けることによって提供されてもよい。
【0047】
図2Bは、第2の液体抽出装置300がカートリッジ(例えば、カートリッジ100)に取り付けられている、カートリッジへの液体抽出装置の代替的な取り付けを示す。
図2Aに示す液体抽出装置200と同様に、液体抽出装置300は、採血管などの穿刺可能な液体貯蔵容器が収容されるシリンダ302を備える。
【0048】
液体抽出装置300はまた、シリンダ302内で第1の構成から第2の構成に移動可能なピストン304を備える。ピストン304には、空気が液体貯蔵容器に流入するための経路を提供し、液体(例えば血液)が液体貯蔵容器から流出するための経路を提供する液体貯蔵容器インターフェース(例えば、針306)が取り付けられている。
【0049】
しかしながら、
図2Aに示す液体抽出装置200とは対照的に、シリンダ302は、シリンダ302の端壁318に設けられた出口316を備える。
図2Bに示すように、シリンダ302内の出口316は、シリンダ302の基部から突出するコネクタ322と流体連通してもよい。コネクタ322は、プッシュフィットアタッチメントによって(例えば、コネクタ322をカートリッジの対応する孔またはアパーチャに挿入することによって)、もしくはルアーロックを使用して、または任意の他の適切なタイプの流体コネクタによって、液体抽出装置300をカートリッジに取り付けることを可能にする。
【0050】
これらの取り付け機構は、液体抽出装置のシリンダ内の出口の位置に特有ではないことが理解されよう。特に、
図2Bに示す液体抽出装置300は、接着剤を使用してカートリッジに取り付けられてもよく、
図2Aに示す液体抽出装置200は、シリンダ202の側壁から突出するコネクタを備えてもよく、これにより、プッシュフィット機構もしくはルアーロック機構、または任意の他の適切なタイプの流体コネクタを使用してカートリッジ100に取り付けることが可能になる。代替的に、
図2Aおよび
図2Bに示す液体抽出装置200、300は、カートリッジ内に一体化されてもよい。例えば、シリンダ202、302は、カートリッジ100と共に成形(または他の方法で製造)されてもよい。
【0051】
以下に、ある容量の液体の非存在の存在を判定することを可能にする試料妥当性制御チャンバを備える液体処理装置の実施態様を説明する。以下に説明する液体処理装置の実施態様の各々は、液体試料を受け取るように構成された入口導管を備える。入口導管は、液体試料が液体貯蔵容器から抽出され、液体処理装置の入口導管に移送されるように、液体貯蔵容器から液体を抽出するための液体抽出装置(例えば、
図1、
図2Aおよび
図2Bを参照して上述したもの)からの出口と流体連通してもよい。液体抽出装置は、試料妥当性制御チャンバを備える液体処理装置と同じ液体処理装置の一部(例えば、液体試料に対して診断試験を実行するために使用されるマイクロ流体カートリッジなどのカートリッジの一部)であってもよい。代替的に、入口導管は、シリンジまたはピペットから液体試料を受け取ってもよく、その場合、液体処理装置は液体抽出装置を備えなくてもよい。
【0052】
本明細書に記載の液体処理装置の実施態様は、入口導管と流体連通する2つの流路を備える。第1の流路は、試料妥当性制御チャンバを備え、その一方で、第2の流路は、例えばカートリッジの他の流体構成要素に液体を吸引することを可能にする出口導管を備える。第2の流路は、第1の流路よりも高い液圧抵抗を提供するように構成される。これは、液体が、第2の流路よりも優先して、第1の流路を通って(そして結果的に試料妥当性制御チャンバに)流れることを意味する。
【0053】
システムの液圧抵抗(Rh)は、摩擦抵抗と局所(分離)抵抗の2つの成分に分類できる。摩擦抵抗は、周囲の壁への運動量伝達から生じ、Darcy-Weisbachの経験式を使用して計算することができる。局所抵抗は、渦の形成に起因して、流れの方向が変化するときの機械的エネルギーの散逸によって引き起こされる。局所抵抗は、流体流路に沿った入口および出口特徴部、屈曲部およびフローアダプタによって引き起こすことができる。このような局所抵抗は、パイプの狭窄部または大気へのオリフィス排出部に関する理論を使用して計算することができる。
【0054】
特定の流路に沿った総液圧抵抗は、摩擦抵抗と局所抵抗とを合計することによって計算することができる。
【0055】
【0056】
導管のネットワークでは、直列の合計を使用して等価抵抗を計算することができる。したがって、直列のチャネルの場合、
【0057】
【0058】
上記から、特定の流路の液圧抵抗は、流路に沿った流体構成要素の摩擦抵抗または局所抵抗を調節することによって調整されてもよいことが理解されよう。本明細書に記載の液体処理装置の実施態様では、第2の流路は、第1の流路よりも高い液圧抵抗を提供するように構成される。
【0059】
図3~
図6は、試料妥当性制御チャンバ424を備える液体処理装置400を示す。液体処理装置400は、試料妥当性制御チャンバ424内のある容量の液体の存在または非存在を判定することを可能にする。
図5に最もよく示されているように、液体処理装置400は、第1の成形部品410と、第2の成形部品440と、第1の成形部品410内の1つ以上の流体特徴部をシールするように構成された第1のシール層460と、第2の成形部品440内の1つ以上の流体特徴部をシールするように構成された第2のシール層480とを備える。代替的に、第1のシール層460および第2のシール層480は、第1の成形部品460および第2の成形部品440の両方の流体特徴部をシールする単一のシール層として設けられてもよい。第1の成形部品410および第2の成形部品440のうちの1つ以上は、例えばポリカーボネートまたはポリプロピレンから形成されてもよい。液体処理装置400の構成要素は、例えば、感圧接着剤などの接着剤を使用して組み立てられる。第1の成形部品410および第2の成形部品440は、診断試験を行うために使用されるカートリッジ内に流体構成要素を画定してもよい(すなわち、液体処理装置400がそのようなカートリッジに組み込まれている場合)。代替的に、液体処理装置400は、プッシュフィットアタッチメント、ルアーロック、または任意の他の適切なタイプの流体コネクタを使用してそのようなカートリッジと流体的に結合することができる独立型モジュールであってもよい。
【0060】
図3に戻ると、液体処理装置400が、第1の成形部品410によって画定されるシリンダ412を備えていることを見ることができる。シリンダ412は、
図1、
図2Aおよび
図2Bを参照して上述した液体抽出装置200、300のうちの1つのシリンダであってもよい。すなわち、シリンダ412は、液体貯蔵容器から液体を抽出するために使用される液体抽出装置200,300の構成要素を備えてもよい。
【0061】
液体処理装置400は、シリンダ412への流体接続を提供する入口導管414をさらに備える。入口導管414は、第1の成形部品410と第1のシール層460とによって画定される。
【0062】
入口導管414は、同じく第1の成形部品410および第1のシール層460によって画定される計量チャンバ416と流体連通している。計量チャンバ416は、特定の容量の液体を貯蔵するように構成され、入口導管414への流体接続を提供する計量チャンバ入口ポート418(
図4参照)を備える。計量チャンバ416は、第1のシール層460に設けられた孔462および第2のシール層480に設けられた対応する孔482の形態で
図5に示される第1の計量チャンバ出口ポートを備える。
【0063】
第1の計量チャンバ出口ポートは、計量チャンバ416と、第2の成形部品440および第2のシール層480によって画定されるU字形出口導管442(
図4に示す)との間の流体接続を提供する。出口導管442は通気され、液体が計量チャンバ416から液体処理装置400の別の流体構成要素に吸引されることを可能にする。例えば、液体処理装置400がカートリッジ(例えば、
図1に示すカートリッジ100)内に組み込まれている場合、出口導管442は、液体がカートリッジのチャンバ(例えば、
図1の主チャンバ104)に吸引されることを可能にする場合がある。出口導管442は、
図4を参照して以下でさらに詳細に説明される。
【0064】
図3に戻ると、計量チャンバ416が、コネクタ導管422への流体接続を提供する第2の計量チャンバ出口ポート420をさらに備えていることを見ることができる。コネクタ導管422は、第1の成形部品410と第1のシール層460とによって画定される。コネクタ導管422は、計量チャンバ416と、第1の成形部品410および第1のシール層460によって画定される試料妥当性制御チャンバ424との間の流体接続を提供する。コネクタ導管422は、計量チャンバ416および試料妥当性制御チャンバ424よりも小さい断面積を有し、これは、コネクタ導管422が計量チャンバ416と試料妥当性制御チャンバ424との間に狭窄部を画定することを意味する。コネクタ導管422によって画定される狭窄部は、試料妥当性制御チャンバ424を通して見える計量チャンバ416の容量を低下させる。
【0065】
図4に最もよく示されているように、試料妥当性制御チャンバ424は、コネクタ導管422への流体接続を提供する、より広い上端426およびより狭い下端428を有する円錐形状を有する。したがって、下端428は、試料妥当性制御チャンバ424に対する試料妥当性制御チャンバ入口ポートを提供する。試料妥当性制御チャンバ424内のある容量の液体の存在または非存在を判定することができるように液体処理装置400が使用される場合、液体処理装置400は
図6に示す向きにある。この向きでは、試料妥当性制御チャンバ424は、計量チャンバ416の上方に配置され、これは、試料妥当性制御チャンバ424が計量チャンバ416の下流にあることを意味する。
【0066】
試料妥当性制御チャンバ424は、試料妥当性制御チャンバ424内のある容量の液体の存在または非存在を判定することを可能にする。
図3~
図6に示す例では、液体処理装置400は、液体処理装置400の壁402に設けられた透明または半透明の観察窓430(
図3に示す)の形態のインジケータ領域を備える。壁402は、第1の成形部品410によって画定される。試料妥当性制御チャンバ424は、液体処理装置400内のインジケータ領域を通して(すなわち、観察窓430を通して)見ることができる。
【0067】
液体処理装置400が使用されているとき(すなわち、試料妥当性制御チャンバ424内のある容量の液体の存在または非存在を判定するために)、
図6に示すように、観察窓430は試料妥当性制御チャンバ424の上方に配置される。言い換えれば、インジケータ領域は、試料妥当性制御チャンバ入口ポート(すなわち、試料妥当性制御チャンバ424の下端428)の下流にある。
【0068】
さらに、
図6に示す向きでは、試料妥当性制御チャンバ424の上端426は、試料妥当性制御チャンバ424の下端428よりも上方に配置されている。さらに、第2の計量チャンバ出口ポート420は、第1の計量チャンバ出口ポートの上方に配置され、第1の計量チャンバ出口ポートは、計量チャンバ入口ポート418の上方に配置される。言い換えれば、試料妥当性制御チャンバ424の上端426とインジケータ領域との間の距離は、試料妥当性制御チャンバ424の下端428の間の距離よりも小さい。また、第2の計量チャンバ出口ポート420とインジケータ領域(観察窓430)との間の距離は、第1の計量チャンバ出口ポートとインジケータ領域との間の距離よりも小さく、第1の計量チャンバ出口ポートとインジケータ領域との間の距離は、計量チャンバ入口ポート418とインジケータ領域との間の距離よりも小さい。
【0069】
試料妥当性制御チャンバ424は、第2の成形部品440および第2のシール層480によって画定される廃棄物チャンバ444への流体接続を提供する廃棄物出口432(
図4に示す)をさらに備える。廃棄物出口432は、試料妥当性制御チャンバ424の上端426と試料妥当性制御チャンバ424の下端428との間に設けられている。廃棄物出口432は、試料妥当性制御チャンバ424からのオーバーフローの形態で設けられ、これは、試料妥当性制御チャンバ424内の液面レベルが廃棄物出口432のレベルに達すると、任意の追加の液体が廃棄物出口432を介して廃棄物チャンバ444にオーバーフローすることを意味する。廃棄物出口432と廃棄物チャンバ444との間の流体接続は、第1のシール層460の開口部464(
図5に示す)および第2のシール層480の対応する開口部(図示せず)によって提供される。
【0070】
図6に最もよく示されているように、廃棄物チャンバ444は、第2のシール層480に設けられた廃棄物チャンバベント434を介して通気される。廃棄物チャンバ444と廃棄物チャンバベント434との間の流体接続は、第1のシール層460の通気孔466(
図5に示す)および第2のシール層480の対応する開口部(図示せず)によって提供される。廃棄物チャンバベント434は、廃棄物チャンバ444内の流体の加圧を防ぐ。
【0071】
図4に最もよく示されているように、U字形出口導管442は、第1の計量チャンバ出口ポートから試料妥当性制御チャンバ424の方向に延びる第1の出口導管セクション446を備える。言い換えれば、第1の出口導管セクション446は第1の計量チャンバ出口ポートからインジケータ領域に向かって(すなわち、観察窓430が設けられている壁402に向かって)延びる。液体処理装置400が使用される向きを示す
図6に示されるように、第1の出口導管セクション446は、使用時に第1の計量チャンバ出口ポートから壁402に向かって垂直に(すなわち、インジケータ領域の方向に)延びる。
【0072】
出口導管442は、第1の出口導管セクション446を第2の出口導管セクション450に接続するU字形屈曲部448をさらに備え、第2の出口導管セクション450は、第1の出口導管セクション446に平行に延び、その後、第1の出口導管セクション446から離れるように湾曲して第1の出口導管セクション446に垂直に延びる。第2の出口導管セクション450は、第1の出口導管セクション446に対して垂直に延びた後、出口導管442の端部452で終端する。
【0073】
したがって、液体処理装置400は、各々が入口導管414と流体連通する2つの流路を備える。第1の流路は、第1の計量チャンバ出口ポートの下流の計量チャンバ416の部分と、第2の計量チャンバ出口ポート420と、コネクタ導管422と、試料妥当性制御チャンバ424と、廃棄物出口432と、廃棄物チャンバ444とを備える。第2の流路は、第1計量チャンバ出口ポートと出口導管442とを備える。2つの流路間の接合部は、計量チャンバ416内にある。したがって、第1の計量チャンバ出口ポートは、第2の流路への入口を提供する。
【0074】
第2の流路は、第1の流路よりも高い液圧抵抗を提供する。第2の流路のより高い液圧抵抗を提供するために、出口導管442は、入口導管414および計量チャンバ416の各々よりも狭く(すなわち、より小さい断面積を有する)、コネクタ導管422の断面積以下の断面積を有する。出口導管442のより小さい断面積は、入口導管414、計量チャンバ416およびコネクタ導管422よりも増大した液圧抵抗を提供する。さらに、出口導管442はコネクタ導管422よりも長く、これもまた、その液圧抵抗を増大させる働きをする。さらに、液体が第1の出口導管セクション446に押し込まれると、液体の柱が第1の出口導管セクション446に形成される。この液体の柱は、第2の流路へのさらなる液体の流れに対する液圧抵抗を増加させる。第2の流路の液圧抵抗はまた、試料妥当性制御チャンバ424の液圧抵抗よりも高い。
【0075】
使用時には、液体処理装置400は、最初に
図6に示す向きに配向される。この向きでは、(例えば、
図1を参照して説明したように)シリンダ412内に配設された液体抽出機構を使用して液体貯蔵容器から液体が抽出されてもよく、結果として、圧力下で入口導管414に液体が流入する。上述したように、入口導管414は、代替的に、例えばピペットまたはシリンジから液体の流れを受け取ってもよい。
【0076】
加圧された液体は、入口導管414を通って計量チャンバ416内に流れ、計量チャンバ416を充填する。同時に、いくらかの液体が第2の流路に押し込まれる(すなわち、第1の計量チャンバ出口ポートを通って出口導管442に入る)。しかしながら、第2の流路のより高い液圧抵抗の結果として、液体は第1の流路を通って流れ、それによって計量チャンバ416を充填する傾向を有し、これは少量の液体のみが出口導管442に押し込まれることを意味する。第2の流路への液体の流れは、液体処理装置400が
図6に示す向きにあるとき(すなわち、観察窓430が上方に向けられているとき、観察窓430が入口導管414よりも高いことを意味する)、第1の出口導管セクション446内の任意の液体の圧力ヘッドによってさらに減速される。さらに、第1の計量チャンバ出口ポート(すなわち、孔462、482によって提供される第2の流路への入口)を通る液体の流れは、液体の圧力低下をもたらし、液体が第2の流路に流入する傾向をさらに低減する。
【0077】
計量チャンバ416の充填中、試料妥当性制御チャンバ424内の観察窓430を通して見える計量チャンバ416の割合は、視覚的狭窄部として作用するコネクタ導管422のより小さい断面積によって最小化される。コネクタ導管422によって提供される狭窄部は、ユーザが計量チャンバ416内の液体を、試料妥当性制御チャンバ424内のある容量の液体として誤って識別するリスクを低減する。計量チャンバ416が充填された後、コネクタ導管422によって提供される狭窄部はまた、気泡が計量チャンバ416に入るのを防止するのに役立つ(例えば、液体処理装置400が移動または振盪される場合)。
【0078】
計量チャンバ416が充填されると、加圧された液体は、第1の流路を通って流れ続ける。特に、加圧された液体は、コネクタ導管422によって提供される狭窄部を通って流れ、試料妥当性制御チャンバ424を充填し始める。この時点で、ユーザは、液体処理装置400の壁402の観察窓430を介して、試料妥当性制御チャンバ424内の液体の容量を見ることができる。試料妥当性制御チャンバ424の円錐形状は、試料妥当性制御チャンバ424が充填されるにつれて液体の容量の視覚的指標の直径が増加することを意味する。ユーザが試料妥当性制御チャンバ424内にある容量の液体が存在すると判定すると、入口導管414への液体の流れを停止することができる。例えば、ユーザは、シリンダ412内に配設された液体抽出機構を使用して、液体が抽出される採血管に力を加えることを停止することができる。これは、試料妥当性制御チャンバ424内に液体が存在するためには、計量チャンバ416が充填されていなければならないことをユーザが知っているためである。その結果、ユーザは、特定の診断試験に必要な十分な容量(すなわち、計量チャンバ416の容量)の液体が液体処理装置400に受け取られたことを知る。ユーザはまた、採血管をシリンダ412から取り外すことができること、および診断試験を行うことができることを知る。
【0079】
試料妥当性制御チャンバ424内の液面レベルが廃棄物出口432に達すると、試料妥当性制御チャンバ424に導入された任意の追加の液体は、廃棄物出口432によって提供されるオーバーフロー上を流れ、続いて通気廃棄物チャンバ444に流入する。
【0080】
第2の流路によって提供されるより高い相対的液圧抵抗は、出口導管442内ではなく、第1の流路を通って試料妥当性制御チャンバ424内への液体の流れを促進する。これは、例えば、カートリッジの他の流体構成要素への意図しない液体の流れなしに、特定の診断試験のために十分な容量の液体が液体処理装置400に受け取られたことをユーザが判定することができることを意味する。
【0081】
第2の流路によって提供される液圧抵抗を増加させるために、インジケータ領域(すなわち、観察窓430)の方向における第1の出口導管セクション446の範囲が最大化される。例えば、第1の出口導管セクション446は、試料妥当性制御チャンバ424の下端428と同じ高さまで延びてもよい(
図6に示す向きから見たとき)。代替的に、第1の出口導管セクション446は、下端428よりもさらに、または廃棄物出口432よりもさらに延びて、液体処理装置400が
図6に示す向きにあるときに第1の出口導管セクション446内の液体によって提供される潜在的な圧力ヘッドを最大にすることによって、出口導管442への液体の流れをさらに妨げてもよい。これにより、液体が出口導管442内のU字形屈曲部448を越えて流れる傾向が低減され、それによって液体の意図しない吸引(例えば、カートリッジ内に)が低減される。
【0082】
なお、ユーザがある容量の液体の存在または非存在を判定する代わりに、外部機器のセンサ(例えば、光学センサ)を使用して、ある容量の液体の存在または非存在を判定してもよい。例えば、液体処理装置400は、診断試験を行うために使用されるカートリッジに実装されてもよい。カートリッジは、診断試験を行うために、診断プロトコルに従ってカートリッジ内の流体の流れを制御する分析装置に収容されてもよい。そのような例では、ある容量の液体の存在または非存在は、分析装置内に位置する光学センサを使用して検出されてもよい。光学センサが試料妥当性制御チャンバ424内にある容量の液体が存在しないことを検出した場合、診断試験を直ちに停止してもよい。これは、診断テストが実行され、エラーメッセージが出力されるのをユーザが待つ必要がなくなり、ユーザが別のカートリッジを使用して診断テストを再試行することができることを意味するため、タイムクリティカルな診断テストにおいて有利である。分析装置は、光学センサを使用する代わりに、試料妥当性制御チャンバ424内のある容量の液体の存在または非存在を検出するための代替の検出手段(例えば電気化学的検出手段)を含んでもよい。
【0083】
図7~
図10は、試料妥当性制御チャンバ524を備える代替的な液体処理装置500を示す。
図3~
図6に示す液体処理装置400とは対照的に、液体処理装置500の計量機能は、試料妥当性制御チャンバ524によって提供され、別個の計量チャンバがないことを意味する。
【0084】
液体処理装置500は、第1の成形部品510と、第2の成形部品540と、第1のシール層560と、第2のシール層580(任意選択的に、単一のシール層として組み合わされる)とを備え、以下に説明する相違点を除き、各々が
図3~
図6に示す液体処理装置400の対応する特徴部と同じ機能を有する。
【0085】
液体処理装置500は、シリンダ512への流体接続を提供する入口導管514をさらに備える。入口導管514は、試料妥当性制御チャンバ524と流体連通している。試料妥当性制御チャンバ524は、第1のシール層560に設けられた孔562、および第2のシール層580に設けられた対応する孔582の形態で
図9に示す試料妥当性制御チャンバ出口ポートを備える。試料妥当性制御チャンバ出口ポートは、試料妥当性制御チャンバ524と、試料妥当性制御チャンバ524から液体処理装置500の別の流体構成要素に液体を吸引することを可能にする出口導管542との間の流体接続を提供する。出口導管542は、
図3~
図6に示す液体処理装置400の出口導管442と同じ構造を有する。
【0086】
図8に戻ると、試料妥当性制御チャンバ524が、より広い上端526およびより狭い下端528を有する円錐形状を有していることを見ることができる。下端528は、試料妥当性制御チャンバ524に対する試料妥当性制御チャンバ入口ポートを提供する。試料妥当性制御チャンバ入口ポートは、入口導管514への流体接続を提供する。
【0087】
液体処理装置500の試料妥当性制御チャンバ524は、試料妥当性制御チャンバ524内の液体に曝される多孔質または吸収性材料のパッド590を備える。パッド590は、液体処理装置500のインジケータ領域を通して見ることができる。具体的には、
図7~
図10に示す例では、パッド590は、液体処理装置500の壁502に設けられた透明または半透明の観察窓530を通して見ることができる。パッド590は、液体がパッド590に接触すると視覚的インジケータを提供する。例えば、ユーザは、液体を、それが多孔質材料のパッドを通過すると、またはそれが吸収性材料のパッドによって吸収されると見ることができる場合がある。別の例として、パッド590は液体を吸収すると色を変えてもよい。
【0088】
液体処理装置500が使用されているとき(すなわち、試料妥当性制御チャンバ524内のある容量の液体の存在または非存在を判定することを可能にするために)、液体処理装置500は
図10に示す向きにある。この向きでは、試料妥当性制御チャンバ出口ポートは、試料妥当性制御チャンバ入口ポート(すなわち、下端528)の上方に配置される。言い換えれば、試料妥当性制御チャンバ出口ポートとインジケータ領域(例えば、観察窓530)との間の距離は、試料妥当性制御チャンバ入口ポートとインジケータ領域との間の距離よりも小さい。
【0089】
液体処理装置500では、第2の成形部品540は、(
図10に示す向きで見たときに)試料妥当性制御チャンバ524の上端と重なるように、(液体処理装置400の第2の成形部品440と比較して)延びている。これは、入口導管514内の液体が液体処理装置500の壁502を通して見えないように、第2の成形部品540が入口導管514内の液体を閉塞することを意味する。
【0090】
図8に示すように、試料妥当性制御チャンバ524は、廃棄物チャンバ544への流体接続を提供する廃棄物出口532を備え、廃棄物出口は、廃棄物チャンバベント534を介して通気される。廃棄物出口532は、試料妥当性制御チャンバ524の上端526と試料妥当性制御チャンバ524の下端528との間に設けられている。特に、廃棄物出口532は、診断試験に必要な特定の容量の液体の充填レベルより上に設けられる。廃棄物出口532は、試料妥当性制御チャンバ524からのオーバーフローの形態で設けられ、これは、試料妥当性制御チャンバ524が診断試験に必要な液体の具体的な容量を含有すると、任意の追加の液体が廃棄物出口532を介して廃棄物チャンバ544にオーバーフローすることを意味する。
【0091】
試料妥当性制御チャンバ524は、廃棄物出口532と流体連通する溢出サブチャンバ536と、廃棄物チャンバ544への流体接続を提供する第1のシール層560の開口部564(および第2のシール層580の対応する開口部584)とをさらに備える。
【0092】
廃棄物出口532は、溢出サブチャンバ536への狭窄流路を提供する。多孔質または吸収性材料のパッド590は、廃棄物出口532の上方に配置される。これは、廃棄物出口532によって提供される、狭窄流路を通過する液体が、多孔質または吸収性材料のパッド590上を通過することを意味する。液体は、廃棄物出口532を通過すると、溢出サブチャンバ536に流入し、続いて開口部564、584を通って廃棄物チャンバ544に流入する。
【0093】
したがって、液体処理装置500は、各々が入口導管514と流体連通する2つの流路を備える。第1の流路は、試料妥当性制御チャンバ出口ポートの下流にある試料妥当性制御チャンバ524の部分と、廃棄物出口532と、溢出サブチャンバ536と、廃棄物チャンバ544とを備える。第2の流路は、試料妥当性制御チャンバ出口ポートと出口導管542とを備える。流路間の接合部は、試料妥当性制御チャンバ524内にあり、これは、試料妥当性制御チャンバ出口ポートが第2の流路への入口を提供することを意味する。上述の液体処理装置400と同様に、液体処理装置500の第2の流路は、第1の流路よりも高い液圧抵抗を提供する。
【0094】
使用時には、液体処理装置500は、最初に
図10に示す向きに配向される。入口導管514は、この向きで加圧された液体の流れを受け取る。加圧された液体は、入口導管514を通って試料妥当性制御チャンバ524に流入する。液体は、その低い液圧抵抗の結果として第1の流路に流入し、それによって試料妥当性制御チャンバ524を廃棄物出口532のレベルまで充填する。これは、試料妥当性制御チャンバ524が診断試験に必要な容量の液体を含有することを意味する。
【0095】
同時に、いくらかの液体が、試料妥当性制御チャンバ出口ポートを通って第2の流路に押し込まれ、出口導管542に入る。しかしながら、第2の流路のより高い液圧抵抗の結果として、液体は第1の流路を通って流れ、それによって試料妥当性制御チャンバ524を充填する傾向を有し、これは少量の液体のみが出口導管542に押し込まれることを意味する。
【0096】
試料妥当性制御チャンバ524の充填中、試料妥当性制御チャンバ524内の液体は、液体処理装置500の壁502を通して見ることはできない。液体が試料妥当性制御チャンバ524を廃棄物出口532のレベルまで充填すると、液体は廃棄物出口532を通って多孔質または吸収性材料のパッド590の上を流れ、これは観察窓530を通して見ることができる。液体がパッド590に接触すると、ユーザは、試料妥当性制御チャンバ524内のある容量の液体の存在を判定することができる。特に、ユーザは、特定の診断試験に必要な十分な容量の液体が液体処理装置500に受け取られたと判定する。
【0097】
廃棄物出口532を通って流れる液体は、重力の下で溢出サブチャンバ536に入り、続いて通気廃棄物チャンバ544に流入する。
【0098】
別個の計量チャンバおよびコネクタ導管の欠如は、液体処理装置500の試料妥当性制御チャンバ524への入口に狭窄部がないことを意味する。これは、
図3~
図6に示す液体処理装置400の出口導管542上の背圧と比較して、出口導管442上の背圧が低いことを意味する。さらに、試料妥当性制御チャンバ524を使用して液体の具体的な容量を計量することにより、液体処理装置400と比較して、十分な容量の液体の存在または非存在を示すために必要な血液の量が少なくなる。その結果、液体処理装置500は、液体処理装置400と比較して、診断試験を実行するために必要な試料の容量が低下する。
【0099】
廃棄物出口532によって提供される狭窄部は、試料妥当性制御チャンバ524の充填後に気泡が試料妥当性制御チャンバ524に入るのを防ぐ(例えば、液体処理装置が移動または振盪される場合)。
【0100】
上述した液体処理装置500の修正例として、多孔質または吸収性材料のパッド590を使用しなくてもよい。この場合、試料妥当性制御チャンバ524内の液体の存在の視覚的指標は、廃棄物出口532を通る液体の流れによって提供され、これは観察窓530を通して見ることができる。
【0101】
図11~
図14は、試料妥当性制御チャンバ624を備えるさらなる代替的な液体処理装置600を示す。
図7~
図10に示す液体処理装置500とは対照的に、液体処理装置600の試料妥当性制御チャンバ624からの廃棄物出口は、狭窄流路を流れることなく、廃棄物チャンバに直接流入する。
【0102】
液体処理装置は、第1の成形部品610と、第2の成形部品640と、第1のシール層660と、第2のシール層680(任意選択的に、単一のシール層として組み合わされる)とを備え、以下に説明する相違点を除き、各々が
図3~
図6に示す液体処理装置400の対応する特徴部と同じ機能を有する。
【0103】
図7~
図10に示す液体処理装置500と同様に、
図11~
図14に示す液体処理装置600は、シリンダ612への流体接続を提供する入口導管614を備える。入口導管614は、試料妥当性制御チャンバ624と流体連通している。試料妥当性制御チャンバ624は、第1のシール層660に設けられた孔662の形態で
図13に示す試料妥当性制御チャンバ出口ポートと、第2のシール層680に設けられた対応する孔682とを備える。試料妥当性制御チャンバ出口ポートは、試料妥当性制御チャンバ624と、試料妥当性制御チャンバ624から液体処理装置600の別の流体構成要素に液体を吸引することを可能にする出口導管642との間の流体接続を提供する。出口導管642は、
図3~
図6に示す液体処理装置400の出口導管442と同じ構造を有する。
【0104】
図12に戻ると、試料妥当性制御チャンバ624が、より広い上端626およびより狭い下端628を有する円錐形状を有していることを見ることができる。下端628は、試料妥当性制御チャンバ624に対する試料妥当性制御チャンバ入口ポートを提供する。試料妥当性制御チャンバ入口ポートは、入口導管614への流体接続を提供する。
【0105】
液体処理装置600の試料妥当性制御チャンバ624は、試料妥当性制御チャンバ624内の液体に曝される多孔質または吸収性材料のパッド690を備える。パッド690は、液体処理装置600のインジケータ領域を通して見ることができる。具体的には、
図11~
図14に示す例では、パッド690は、液体処理装置600の壁602に設けられた透明または半透明の観察窓630を通して見ることができる。パッド690は、液体がパッド690に接触すると視覚的インジケータを提供する。例えば、ユーザは、液体を、それが多孔質材料のパッドを通過すると、またはそれが吸収性材料のパッドによって吸収されると見ることができる場合がある。別の例として、パッド690は、液体を吸収すると色を変えてもよい。
【0106】
液体処理装置600が使用されているとき(すなわち、試料妥当性制御チャンバ624内のある容量の液体の存在または非存在を判定することを可能にするために)、液体処理装置600は
図14に示す向きにある。この向きでは、試料妥当性制御チャンバ出口ポートは、試料妥当性制御チャンバ入口ポート(すなわち、下端628)の上方に配置される。言い換えれば、試料妥当性制御チャンバ出口ポートとインジケータ領域(例えば、観察窓630)との間の距離は、試料妥当性制御チャンバ入口ポートとインジケータ領域との間の距離よりも小さい。
【0107】
試料妥当性制御チャンバ624は、液体処理装置400の廃棄物チャンバ444と同じ構造を有する廃棄物チャンバ644への流体接続を提供する廃棄物出口を備える。廃棄物チャンバ644は、廃棄物チャンバベント(図示せず)を介して通気される。廃棄物出口は、第1のシール層660の開口部664および第2のシール層680の対応する開口部684の形態で設けられている。廃棄物出口は、試料妥当性制御チャンバ624の上端626と試料妥当性制御チャンバ624の下端628との間に設けられている。特に、廃棄物出口は、診断試験に必要な特定の容量の液体の充填レベルより上に設けられる。廃棄物出口(すなわち、開口部664、684)は、試料妥当性制御チャンバ624からのオーバーフローの形態で設けられ、これは、試料妥当性制御チャンバ624が診断試験に必要な液体の具体的な容量を含有すると、任意の追加の液体が廃棄物出口を介して廃棄物チャンバ644にオーバーフローすることを意味する。
【0108】
多孔質または吸収性材料のパッド690は、試料妥当性制御チャンバ624から廃棄物出口を通る液体の流れがパッド690上を流れるように配置される。
【0109】
したがって、液体処理装置600は、各々が入口導管614と流体連通する2つの流路を備える。第1の流路は、試料妥当性制御チャンバ出口ポートの下流にある試料妥当性制御チャンバ624の部分と、試料妥当性制御チャンバ624からの廃棄物出口と、廃棄物チャンバ644とを備える。第2の流路は、試料妥当性制御チャンバ出口ポートと出口導管642とを備える。流路間の接合部は、試料妥当性制御チャンバ624内にあり、これは、試料妥当性制御チャンバ出口ポートが第2の流路への入口を提供することを意味する。上述の液体処理装置400と同様に、液体処理装置600の第2の流路は、第1の流路よりも高い液圧抵抗を提供する。
【0110】
使用時(すなわち、
図14に示す向き)には、液体処理装置600の動作は、以下の点を除いて、上述した液体処理装置500の動作と同じである。
【0111】
試料妥当性制御チャンバ624の充填レベルが廃棄物出口のレベルに達する前に、多孔質または吸収性材料のパッド690は、試料妥当性制御チャンバ624の内容物を閉塞する閉塞材料として作用する。液体が試料妥当性制御チャンバ624を廃棄物出口のレベルまで充填すると、液体は廃棄物出口(すなわち、開口部664、684)を通って多孔質または吸収性材料のパッド690の上を流れ、これは観察窓630を通して見ることができる。液体がパッド690に接触すると、ユーザは、試料妥当性制御チャンバ624内のある容量の液体の存在を判定することができる。特に、ユーザは、特定の診断試験に必要な十分な容量の液体が液体処理装置600に受け取られたと判定する。
【0112】
廃棄物出口を通って流れる液体は、続いて通気廃棄物チャンバ644に流入する。
液体処理装置600の試料妥当性制御チャンバ624からの廃棄物出口における狭窄部の欠如は、液体処理装置500の出口導管542および液体処理装置400の出口導管442上の背圧と比較して、出口導管642上の背圧が低いことを意味する。さらに、試料妥当性制御チャンバ624を使用して液体の具体的な容量を計量することにより、液体処理装置400と比較して、十分な容量の液体の存在または非存在を示すために必要な血液の量が少なくなる。その結果、液体処理装置600は、液体処理装置400と比較して、診断試験を実行するために必要な試料の容量が低下する。
【0113】
多孔質または吸収性材料のパッド690は、いくつかの異なるタイプの液体試料(例えば、血清、血液、血漿)と接触したときに視覚的指標を提供するように構成されてもよい。これは、液体処理装置600を備えるカートリッジが、異なる液体試料タイプを含む多種多様な診断試験に使用されてもよいことを意味する。
【0114】
図15は、液体抽出装置200のシリンダに挿入されている採血管11を示す。この例では、液体抽出装置200は、上述の液体処理装置400の機能を含むカートリッジ100と一体である。
図1、
図2Aおよび
図2Bを参照して上述したように、液体抽出装置は、採血管11への流体接続を提供するように構成された液体貯蔵容器インターフェース(例えば、針)を備える。液体貯蔵容器インターフェースは、液体が採血管11から抽出されることを可能にするように構成された液体抽出出口を備える。液体抽出出口は、採血管11から抽出された液体が入口導管に受け取られるように、カートリッジ内の入口導管(例えば、液体処理装置400の入口導管414)と流体連通する。
【0115】
ここでも、
図1、
図2Aおよび
図2Bを参照して上述したように、液体抽出装置200は、第1の構成から第2の構成に作動可能な液体抽出機構をさらに備え、液体抽出機構は、液体抽出機構が第1の構成から第2の構成に作動するときに、液体貯蔵容器内の気体の容量と液体抽出出口との間に圧力差を提供するように構成される。
【0116】
採血管11は、カートリッジ100が垂直方向にあるときにシリンダに挿入されているように示されている。
図15はまた、カートリッジ100の側壁にある、光学的に透明な観察窓130の形態のインジケータ領域を示す。試料妥当性制御チャンバ(および/または多孔質または吸収性材料のパッド)は、窓130を通して見ることができる。窓130は、例えば、液体処理装置400の観察窓430の形態で設けられてもよい。
【0117】
図16Aは、試料妥当性制御チャンバ24を備える液体処理装置の流体構成の概略図である。流体構成は、
図1に示す流体構成要素を参照して説明される。特に、入口導管14への入口(例えば、液体抽出装置からの出口)は、点(1)として示され、計量チャンバ入口ポートは点(2)として示され、出口導管43への流体接続を提供する第1の計量チャンバ出口ポートは、点(3)として示され、出口導管43の端部は、点(4)として示され、コネクタ導管22への流体接続を提供する第2の計量チャンバ出口ポートは、点(5)として示され、そして、廃棄物チャンバ44への流体接続を提供する、試料妥当性制御チャンバ24からの廃棄物出口は、点(6)として示されている。
【0118】
図16Bは、
図16Aに示す流体構成と等価な回路の概略図である。
図16Bに示すように、点(1)~(6)の各々は、それぞれの局所抵抗RhL1~RhL6を提供する。さらに、点(1)と点(2)との間(すなわち、入口導管14)に摩擦抵抗Rh1/2が設けられ、点(3)と点(4)との間(すなわち、出口導管43)に摩擦抵抗Rh3/4が設けられ、点(2)と点(5)との間(すなわち、計量チャンバ16)に摩擦抵抗Rh2/5が設けられ、そして、点(5)と点(6)との間(すなわち、コネクタ導管22および試料妥当性制御チャンバ24)に摩擦抵抗Rh5/6が設けられている。
【0119】
点(1)の圧力はP1であり、これは大気圧(P0)よりも大きく、加圧された流体が液体処理装置に提供されることを意味する。点(6)の圧力は、大気圧P0と、点(1)の上の点(6)の高さから生じる重力圧力成分(すなわち、ρgh6)との和である。点(4)の圧力は、大気圧P0と、点(1)の上の点(4)の高さから生じる重力圧力成分(すなわち、ρgh4)との和である。
【0120】
図16Aおよび
図16Bに示すように、2つの流路は、入口導管14と流体連通している。点(2)、(5)、(6)に沿って第1の流路が設けられている。点(3)と点(4)との間には、第2の流路が設けられている。入口導管14を通る液体流量はQ
Aで表され、第2の流路を通る液体流量はQ
Bで表され、そして、第1の流路を通る液体流量はQ
Cで表されている。Q
A=Q
B+Q
Cであることが理解されよう。
【0121】
液体が第2の流路(すなわち、(3)~(4))を通ってカートリッジに流入するのを防ぐために、QBはQCよりもはるかに小さい、すなわちQB≪QCでなければならない。
【0122】
乱流を仮定した円形パイプに沿った抵抗は、Darcy-Weisbachの経験式および円形断面を使用して計算することができる。
【0123】
【0124】
式中、
Δpは、パイプ内の2点間の圧力降下であり、
fDは、Colebrookの式またはChurchillの式などの近似から計算されたDarcy摩擦係数であり、
Lは、2点間のパイプの長さであり、
g=9.81m/s2、
Dはパイプの直径であり、
Kiは、パイプの液圧抵抗係数であり、
Qは流量である。
【0125】
式3を使用して、
図16Aおよび
図16Bに示す導管/チャネルによって提供される液圧抵抗の摩擦成分を計算することができる(すなわち、Rh1/2、Rh3/4、Rh2/5およびRh5/6)。式3から分かるように、液圧抵抗は流量の2乗に反比例する。
【0126】
オリフィスまたはビア(例えば、点(3))によって提供される局所抵抗は、オリフィス板を通る流れの理論、および通過点(3)の近似であるBernoulliの方程式を使用して導出することができる。
【0127】
【0128】
式中、
Cdは、排出係数であり、典型的には、ビアまたはオリフィスについては0.65~0.7である。
【0129】
dは、ビアまたはオリフィスの直径であり、
Dはパイプの直径(すなわち、ビアまたはオリフィスの上流)であり、
P上流は、ビアまたはオリフィスの上流の圧力であり、
P下流は、ビアまたはオリフィスの下流の圧力であり、
ρは液体の密度である。
【0130】
式4から、次のようになる。
【0131】
【0132】
式中、
Δpは、ビアまたはオリフィスの上流および下流の点間の圧力降下であり、
K3は、オリフィスまたはビアの(例えば、点(3)での)液圧抵抗係数である。
【0133】
式5から分かるように、ここでも、液圧抵抗は流量の2乗に反比例する。
点(5)における狭窄部(すなわち、コネクタ導管22によって提供される狭窄部)によって提供される局所抵抗は、拡張および収縮流動理論を使用して導出することができる。局所抵抗は狭窄部の角度に依存する。局所抵抗は、以下によって与えられる。
【0134】
【0135】
式中、
Δpは、狭窄部の上流および下流の点間の圧力差であり、
K5は、狭窄部の(例えば、点(5)での)液圧抵抗係数であり、
Qは流量である。
【0136】
K5の式は、狭窄部の角度(すなわち、より広い上流パイプとより狭い下流パイプとの間の狭窄部の角度であり、段付き狭窄部はθ=90°を有する)に依存する。具体的には、θ≦45°の場合:
【0137】
【0138】
式中、
θは狭窄部の角度であり、
dは、狭窄部の下流のパイプの直径であり、
Dは、狭窄部の上流のパイプの直径である。
【0139】
θ>45°の場合:
【0140】
【0141】
式6から分かるように、ここでも、液圧抵抗は流量の2乗に反比例することを見ることができる。
【0142】
第1の流路(点(2)~(5)~(6))の総液圧抵抗は、以下によって与えられる。
【0143】
【0144】
第2の流路(点(3)~(4))の総液圧抵抗は、以下によって与えられる。
【0145】
【0146】
上記の式から、第1および第2の流路の総液圧抵抗は、点(4)と点(6)との間の高さ変動を無視すると、各々が流路を通る流量の二乗に反比例することを見ることができる。
【0147】
【0148】
式中、Kiは流路の液圧抵抗係数である。 式11
これは、以下を意味する。
【0149】
【0150】
上述したように、第1および第2の流路の端部は大気圧にある。これは、点(4)と点(6)との間の高さ変動を無視すると、第1の流路にわたる圧力降下は、第2の流路にわたる圧力降下と同じであることを意味する。
【0151】
これは、以下を意味する。
KC×QC
2=KB×QB
2、これはKB/KC=QC
2/QB
2を意味する。
【0152】
第2の流路を通るより低い流量を提供するために、第1の流路を通る流量QCは、第2の流路を通る流量QBよりもN倍高い、すなわち、
【0153】
【0154】
QBのN倍高い流量QCを提供するために、式14から示されるように、第2の流路の液圧抵抗は、第1の流路の液圧抵抗よりもN2倍大きい必要がある。
【0155】
【0156】
第2の流路の液圧抵抗の調整の1つの具体例として、採血管から液体を抽出し、十分な容量の液体(約300μL以下)が抽出されたことを視覚的に示す目標時間は、10~30秒である。この具体例では、液体の抽出中に出口導管が完全に充填されないことを確実にするために、第1の流路を通る予想流量QCは5~30μL/sであり、第2の流路を通る好ましい流量QBは0.1~1μL/sである。
【0157】
この具体例では、Nの好ましい値は5、20および50である。
式14から、N=5の値を提供するためには、第2の流路の液圧抵抗は第1の流路の液圧抵抗よりもN2=25倍高い必要があること、N=20の値を提供するためには、第2の流路の液圧抵抗は、第1の流路の液圧抵抗よりもN2=400倍高い必要があること、およびN=50の値を提供するためには、第2の流路の液圧抵抗は第1の流路の液圧抵抗よりもN2=2500倍高い必要があることを見ることができる。
【0158】
本明細書に記載のシステムおよび方法に対するさらなる変形または修正は、以下の段落に記載されている。
【0159】
上述の液体処理装置のインジケータ領域は、試料妥当性制御チャンバが見える装置の壁に閉塞材料をさらに備えてもよい。閉塞材料は、試料妥当性制御チャンバの上部を形成する成形壁に導入された凹凸(roughness)の形態で提供されてもよく、凹凸は、乾燥時にはかすんで見え、湿潤時には透明に見えるように構成される。この場合、閉塞材料は、第1または第2の成形部品の材料と同じ材料である。閉塞材料は、閉塞材料がある量の液体と接触するまで、試料妥当性制御チャンバの少なくとも一部を閉塞するように構成されてもよい。
【0160】
例えば、液体処理装置400は、液体が試料妥当性制御チャンバ424内の特定の充填レベルに達するまで、計量チャンバ416内の液体を閉塞する閉塞材料を備えてもよい。別の例として、液体処理装置500は、試料妥当性制御チャンバ524の上部を覆うように第2の成形部品540を延ばす代わりに、閉塞材料を備えてもよい。液体処理装置500、600では、閉塞材料は、多孔質または吸収性材料のパッド590、690の上に設けられてもよく、または閉塞材料がある量の液体と接触したときにのみパッド590、690が見えるようにパッド590、690に組み込まれてもよい。さらなる例として、液体処理装置600は、閉塞材料がある量の液体と接触すると、試料妥当性制御チャンバ624の内部を見ることができるように、多孔質または吸収性材料のパッド690の代わりに閉塞材料を組み込んでもよい。閉塞材料は、ある容量の液体と接触すると、光学的により透明になる材料であってもよい(例えば、光結合効果を使用する)。
【0161】
上記の実施態様は、Vacutainer(RTM)などの採血管から液体を抽出することに関して説明されているが、上記の実施態様は、採血管とはサイズおよび/または形状が異なる場合がある他の形態の穿刺可能な液体貯蔵容器から液体を抽出するのにも適していることが理解されよう。そのような場合、シリンダの寸法は、液体が抽出される液体貯蔵容器のサイズおよび形状に適合されてもよい。
【0162】
さらに、上記の実施態様は、1つ以上の針の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)を使用するが、液体貯蔵容器内のある容量の液体への(例えば、採血管11内のある容量の液体への)流体接続を提供することができる限り、他の液体貯蔵容器インターフェースを実施してもよい。
【0163】
上記の実施態様における「針」という用語は、金属針に限定されることを意図するものではなく、ピストンと一体の穿刺要素など、採血管の隔壁を穿刺するように構成された他の穿刺要素を包含することを意図している。
【0164】
最後に、上記の実施態様は、液体抽出機構を作動させるためにユーザによって加えられる力に関して説明されているが、液体抽出機構は、ユーザ入力を必要とせずに代替的に(例えば、モータの制御下で)作動されてもよいことが理解されよう。
【0165】
一般的な点として、上記の実施態様は、カートリッジを使用して行われる診断試験で使用するための液体を抽出することに関して説明されているが、上記の液体処理装置は、広範囲の他の目的のために、試料妥当性制御チャンバ内のある容量の液体の存在または非存在を判定することを可能にするのに適していることが理解されよう。
【0166】
本明細書で使用される「チャンバ」という用語は、チャンバの特定の形状または寸法を伝えることを意図していない。さらに、「チャンバ」という用語の使用は、「導管」と「チャンバ」との間の界面で断面積に段階的な変化があることを意味しない。特に、本明細書に記載のチャンバは、チャンバの領域においてより広い断面を有する連続導管を使用して実施されてもよい。
【0167】
本明細書で使用される「導管」という用語は、流体が流れる密閉された通路の任意の形態を意味することを意図しており、代替的に通路、チャネル、パイプ、またはダクトと呼ばれてもよい。
【0168】
本明細書で使用される「ポート」という用語は、導管に流体入口または出口点を提供する開口部を意味することを意図しており、代替的に開口部、ビア、オリフィス、孔、またはアパーチャと呼ばれてもよい。
【0169】
単数形の用語「1つの(a)」および「1つの(an)」は、「1つかつ唯一の(one and only one)」を意味すると解釈されるべきではない。むしろ、それらは、特に明記しない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである。「備える、含む(comprising)」という単語および「備える、含む(comprises)」および「備える、含む(comprise)」を含むその派生語は、記載された特徴の各々を含むが、1つ以上のさらなる特徴の包含を排除しない。
【0170】
上記の実施態様は、例としてのみ説明されており、説明された実施態様は、すべての点で例示的なものとしてのみ考慮されるべきであり、限定的なものではない。本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施態様の変形が行われてもよいことが理解されよう。説明されていないが、添付の特許請求の範囲内にある多くの変形例があることも明らかであろう。
【国際調査報告】