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特表2024-527093ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)を組み込んだバイオポリマー組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)を組み込んだバイオポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/04 20060101AFI20240711BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C08L67/04 ZBP
C08K5/053
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505285
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 US2022038762
(87)【国際公開番号】W WO2023009773
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/226,813
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523348656
【氏名又は名称】ダニマー・アイピーシーオー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】バン・トランプ,フィリップ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CF18W
4J002CF18X
4J002CF19W
4J002CF19X
4J002EC056
4J002FD206
4J002FD326
4J002GA00
4J002GC00
4J002GG00
4J002GK01
4J002HA09
(57)【要約】
少なくとも第一ポリマーと、及び第二ポリマーと、を含むポリマー組成物が開示される。第一ポリマーは、少なくとも10モルパーセントの(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位でできている。第二ポリマーは、(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位を含まないポリ(ヒドロキシアルカノエート)でできている。第一ポリマーの作成法も開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ポリマーと、及び第二ポリマーと、のブレンドを含むポリマー組成物であって、前記第一ポリマーは、少なくとも10モルパーセントの(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位を含み、及び前記第二ポリマーは、(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位を含まないポリ(ヒドロキシアルカノエート)を含む、前記ポリマー組成物。
【請求項2】
前記第一ポリマーは、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記第一ポリマーは、コポリマー又はターポリマーを含み、前記コポリマー又はターポリマーは、以下
(3-ヒドロキシプロピオネート)である第一繰返し単位と、
式Iに従う第二繰返し単位と、
【化1】
任意選択で、式IIに従う第三繰返し単位と、
【化2】
を含み、
式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、1~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群より選択される、
請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記ポリマー組成物は、1~99重量パーセントの前記第一ポリマーと、及び99~1重量パーセントの前記第二ポリマーと、を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記ポリマー組成物は、25~75重量パーセントの前記第一ポリマーと、及び75~25重量パーセントの前記第二ポリマーと、を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記ポリマー組成物は、40~60重量パーセントの前記第一ポリマーと、及び60~40重量パーセントの前記第二ポリマーと、を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記ポリマー組成物は、更に、ポリカプロラクトン、ポリ(ブチレンスクシネート)、ポリ(ブチレンスクシネート-コ-ブチレンアジペート)、ポリ(乳酸)、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)、及びそれらの混合物からなる群より選択される少
なくとも1種の追加バイオポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記ポリマー組成物は、前記少なくとも1種の追加バイオポリマーを5~75重量パーセント含む、請求項7に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記第二ポリマーは、2-ヒドロキシアルカノエート繰返し単位、3-ヒドロキシアルカノエート繰返し単位、又は4-ヒドロキシアルカノエート繰返し単位を含み、これら繰返し単位はそれぞれ、1炭素分岐~12炭素分岐で分岐を有する又は有さない、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記第二ポリマーは、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート(「P(3HB-co-3HHx)」)を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
前記P(3HB-co-3HHx)は、75~99モルパーセントのヒドロキシブチレート繰返し単位と、及び1~25モルパーセントのヒドロキシヘキサノエート繰返し単位と、を含む、請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
前記P(3HB-co-3HHx)は、好ましくは、93~98モルパーセントのヒドロキシブチレート繰返し単位と、及び2~7モルパーセントのヒドロキシヘキサノエート繰返し単位と、を含む、請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
更に、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、人工甘味料、ステアリン酸化合物、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、ポリエステルワックス、ナノクレイ、ベヘン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ポリ(ヒドロキシブチレート)、チミン、シアヌル酸、シトシン、アデニン、ウラシル、グアニン、窒化ホウ素、及びそれらの混合物からなる群より選択される造核剤を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
更に、セバシン酸化合物、クエン酸化合物、アジピン酸脂肪エステル、コハク酸脂肪エステル、グルカル酸脂肪エステル、乳酸化合物、アルキルジエステル、クエン酸化合物、アルキルメチルエステル、二安息香酸化合物、炭酸プロピレン、数平均分子量200~10,000g/molを有するカプロラクトンジオール、数平均分子量400~10,000g/molを有するポリ(エチレングリコール)、植物油エステル、長鎖アルキル酸、アジピン酸化合物、グリセロール、イソソルビド誘導体若しくはそれらの混合物、ポリマー可塑剤、ヒドロキシブチレート以外のヒドロキシアルカノエート単量体残基を少なくとも18モルパーセント含むポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される可塑剤を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
更に、炭酸カルシウム、タルク、ナノクレイ、ナノセルロース、麻繊維、カオリン、カーボンブラック、珪灰石、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、雲母、シリカ、ドロマイト、硫酸バリウム、磁鉄鉱、ハロイサイト、酸化亜鉛、二酸化チタン、モンモリロナイト、長石、アスベスト、ホウ素、鋼鉄、カーボンナノチューブ、セルロース繊維、亜麻、綿、デンプン、多糖類、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、加工デンプン、キチン及びキトサン、アルギン酸化合物、グルテン、ゼイン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、多糖類、グアーガム、キサンタンガム、スクシノグリカン、天然ゴム、ロジン酸、リグニン、天然繊維、ジュート、ケナフ、ヘンプ、粉砕ナッツシェル、木粉、並びにそれらの混合物からなる群より選択される充填剤を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
更に、アクリル系樹脂及びエマルジョン、イソソルビド誘導体、天然ゴム、脂肪族ポリエステル、又はそれらの混合物からなる群より選択される耐衝撃性改良剤を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
更に、潤滑剤、抗酸化剤、安定剤、吸湿剤、カップリング剤、核剤、又は難燃剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
前記組成物は、更に、前記ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)と前記少なくとも1種の追加ポリ(ヒドロキシアルカノエート)との反応を誘導する触媒又は開始剤と、及び前記ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)と前記少なくとも1種の追加ポリ(ヒドロキシアルカノエート)との反応から形成された反応生成物と、を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項19】
請求項1に記載のポリマー組成物を含む変換品であって、フィルム、繊維、シート、成形品、ロトモールド成形品、押出ブロー成形品、射出延伸ブロー成形品、発泡体、基材のメルト塗布、及びカレンダー仕上げシートからなる群より選択される、前記変換品。
【請求項20】
ポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマー又はターポリマーの作成法であって、以下の工程:
ベータ-プロピオラクトンと、
式IIIに従う第一置換ベータ-プロピオラクトンと、
【化3】
任意選択で、式IVに従う第二置換ベータ-プロピオラクトンと、
【化4】
を1つにまとめて反応混合物を形成する工程、並びに
前記反応混合物を重合させて、コポリマー又はターポリマーを形成させる工程、コポリマー又はターポリマーは、以下
(3-ヒドロキシプロピオネート)である第一繰返し単位と、
式Iに従う第二繰返し単位と、
【化5】
任意選択で、式IIに従う第三繰返し単位と、
【化6】
を含み、
式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、1~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群より選択される、
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、仮出願第63/226,813号、2021年7月29日出願、の出願日の優先権を請求し、この出願の開示は、そのまま全体が参照として援用される。
【0002】
分野
本開示は、生分解性ポリマー組成物に関する。より詳細には、本開示は、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)を組み込んだ生分解性ポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
生分解性ポリマーは、商業的関心が増大しつつある分野である。有利なことに、生分解性ポリマーは、化石燃料ではなく、再生可能なバイオマス資源に由来することが可能である。そのうえ、従来の非分解性ポリマーが、典型的な埋立又は他の廃棄後、分解に何世紀も要する可能性があるのとは対照的に、生分解性ポリマー製品は、多くの環境において生分解性である。
【0004】
生分解性ポリマーのうち重要なクラスであるのは、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)すなわちPHAである。PHAは、天然の生分解性脂肪族ポリエステルであり、これらは、大規模細菌発酵により工業生産される。PHAポリマーのクラス内には、ホモポリマー型及びコポリマー型の両方を含めて、多種多様なポリマー構造が存在する。
【0005】
望ましく生分解性であるものの、細菌発酵によるPHAの製造は、比較的遅く、また費用がかかる可能性がある。したがって、生物学的プロセスではなく化学プロセスによって調製可能な、PHAを組み込んだ新規PHA組成物を提供することは、望ましいと思われる。
【発明の概要】
【0006】
第一の態様において、本開示は、ポリマー組成物を提供する。1つの実施形態に従って、ポリマー組成物は、少なくとも、第一ポリマーと、及び第二ポリマーと、を含む。第一ポリマーは、少なくとも10モルパーセントの(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位でできている。第二ポリマーは、(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位を含まないポリ(ヒドロキシアルカノエート)でできている。
【0007】
他の実施形態において、第一ポリマーは、コポリマー又はターポリマーである。このコポリマー又はターポリマーは、少なくとも、(3-ヒドロキシプロピオネート)である第一繰返し単位と、及び式Iに従う第二繰返し単位と、を含む。
【化1】
【0008】
任意選択で、コポリマー又はターポリマーは、式IIに従う第三繰返し単位も含むことができる。
【化2】
【0009】
上記の式I及び式IIについて、R1及びR2は、それぞれ独立して、1~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群より選択される。
【0010】
ある特定の実施形態において、ポリマー組成物は、好ましくは、約1~約99重量パーセントの第一ポリマーと、及び約99~約1重量パーセントの第二ポリマーと、でできている。より好ましくは、ポリマー組成物は、約25~約75重量パーセントの第一ポリマーと、及び約75~約25重量パーセントの第二ポリマーと、でできている。更により好ましくは、ポリマー組成物は、約40~約60重量パーセントの第一ポリマーと、及び約60~約40重量パーセントの第二ポリマーと、でできている。
【0011】
一部の例において、ポリマー組成物は、少なくとも1種の追加バイオポリマーも含むことができ、このバイオポリマーは、ポリカプロラクトン、ポリ(ブチレンスクシネート)、ポリ(ブチレンスクシネート-コ-ブチレンアジペート)、ポリ(乳酸)、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)、及びそれらの混合物からなる群より選択される。一部の実施形態において、ポリマー組成物は、少なくとも1種の追加バイオポリマーを約5~約75重量パーセント含むことができる。
【0012】
第二ポリマーについては、ある特定の実施形態において、第二ポリマーは、好ましくは、2-ヒドロキシアルカノエート繰返し単位、3-ヒドロキシアルカノエート繰返し単位、又は4-ヒドロキシアルカノエート繰返し単位でできており、これら繰返し単位はそれぞれ、1炭素分岐~12炭素分岐で分岐を有する又は有さない。
【0013】
一部の実施形態において、第二ポリマーは、好ましくは、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(「P(3HB-co-3HHx)」)でできている。より詳細には、一部の実施形態において、このP(3HB-co-3HHx)はそれ自身が、好ましくは約75~約99モルパーセントのヒドロキシブチレート繰返し単位と、及び約1~約25モルパーセントのヒドロキシヘキサノエート繰返し単位と、でできている。更により好ましくは、P(3HB-co-3HHx)は、約93~約98モルパーセントのヒドロキシブチレート繰返し単位と、及び約2~約7モルパーセントのヒドロキシヘキサノエート繰返し単位と、でできている。
【0014】
ポリマー組成物は、上記のポリマーに加えて、さまざまな添加剤も含むことができる。
【0015】
ある特定の実施形態に従って、ポリマー組成物は、好ましくは造核剤も含み、この造核剤は、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、人工甘味料、ステアリン酸化合物、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、ポリエステルワックス、ナノクレイ、ベヘン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ポリ(ヒドロキシブチレート)、チミン、シアヌル酸、シトシン、アデニン、ウラ
シル、グアニン、窒化ホウ素、及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0016】
一部の実施形態に従って、ポリマー組成物は、好ましくは可塑剤も含み、この可塑剤は、セバシン酸化合物、クエン酸化合物、アジピン酸脂肪エステル、コハク酸脂肪エステル、グルカル酸脂肪エステル、乳酸化合物、アルキルジエステル、クエン酸化合物、アルキルメチルエステル、二安息香酸化合物、炭酸プロピレン、数平均分子量200~10,000g/molを有するカプロラクトンジオール、数平均分子量400~10,000g/molを有するポリ(エチレングリコール)、植物油エステル、長鎖アルキル酸、アジピン酸化合物、グリセロール、イソソルビド誘導体若しくはそれらの混合物、ポリマー可塑剤、ヒドロキシブチレート以外のヒドロキシアルカノエート単量体残基を少なくとも18モルパーセント含むポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0017】
一部の例において、ポリマー組成物は、好ましくは充填剤も含み、この充填剤は、炭酸カルシウム、タルク、ナノクレイ、ナノセルロース、麻繊維、カオリン、カーボンブラック、珪灰石、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、雲母、シリカ、ドロマイト、硫酸バリウム、磁鉄鉱、ハロイサイト、酸化亜鉛、二酸化チタン、モンモリロナイト、長石、アスベスト、ホウ素、鋼鉄、カーボンナノチューブ、セルロース繊維、亜麻、綿、デンプン、多糖類、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、加工デンプン、キチン及びキトサン、アルギン酸化合物、グルテン、ゼイン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、多糖類、グアーガム、キサンタンガム、スクシノグリカン、天然ゴム、ロジン酸、リグニン、天然繊維、ジュート、ケナフ、ヘンプ、粉砕ナッツシェル、木粉、並びにそれらの混合物からなる群より選択される。
【0018】
ある特定の実施形態において、ポリマー組成物は、好ましくは耐衝撃性改良剤も含み、この耐衝撃性改良剤は、アクリル系樹脂及びエマルジョン、イソソルビド誘導体、天然ゴム、脂肪族ポリエステル、又はそれらの混合物からなる群より選択される。
【0019】
一部の例において、ポリマー組成物は、好ましくは、潤滑剤、抗酸化剤、安定剤、吸湿剤、カップリング剤、核剤、又は難燃剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤も含む。
【0020】
任意選択で、第一ポリマー及び第二ポリマーは、互いに更に反応することができる。すなわち、一部の例において、ポリマー組成物は、好ましくは、触媒又は開始剤を含むことができ、この触媒又は開始剤は、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)と、少なくとも1種の追加ポリ(ヒドロキシアルカノエート)との反応を誘導する。したがって、ポリマー組成物は、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)と少なくとも1種の追加ポリ(ヒドロキシアルカノエート)との反応で形成された反応生成物も含む。
【0021】
更なる態様において、本開示は、上記ポリマー組成物でできた変換品も提供する。例えば、本開示のある特定の実施形態において、変換品は、フィルム、繊維、シート、成形品、ロトモールド成形品、押出ブロー成形品、射出延伸ブロー成形品、発泡体、基材のメルト塗布、及びカレンダー仕上げシートからなる群より選択することができる。
【0022】
なおも別の態様において、本開示は、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマー又はターポリマーの作成法も提供する。1つの実施形態に従って、本方法は、以下:
ベータ-プロピオラクトンと、
式IIIに従う第一置換ベータ-プロピオラクトンと、
【化3】
及び(3)任意選択で、式IVに従う第二置換ベータ-プロピオラクトンと、
【化4】
を1つにまとめて反応混合物を形成する、第一工程を含む。本方法は、反応混合物を重合させて、コポリマー又はターポリマーを形成させる第二工程も含み、コポリマー又はターポリマーは、以下
(3-ヒドロキシプロピオネート)である第一繰返し単位と、
式Iに従う第二繰返し単位と、
【化5】
任意選択で、式IIに従う第三繰返し単位と、
【化6】
を含む。
【0023】
式I~式IVのそれぞれについて、R1及びR2は、それぞれ独立して、1~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群より選択される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、最初に、少なくとも、第一ポリマーと、及び第二ポリマーとを含む新規ポリマー組成物を提供する。第一ポリマーは、少なくとも10モルパーセントの(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位でできている。第二ポリマーは、(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位を含まないポリ(ヒドロキシアルカノエート)でできている。
【0025】
すなわち、組成物は、第一に、(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位を含むポリマーを含む。一般に、第一ポリマーは、(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位を少なくとも10モルパーセント含む。一部の実施形態において、第一ポリマーは、約10~約99モルパーセントの(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位を含むことができる。更により好ましくは、第一ポリマーは、約25~約100モルパーセントの(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位を含むことができる。
【0026】
一部の例において、ホモポリマー、すなわち第一ポリマーの実質的に全てが(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位でできている、であることが可能である。この場合、第一ポリマーは、単純にポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)と称することができる。
【0027】
しかしながら、他の実施形態において、第一ポリマーは、コポリマーであることも、更にはターポリマーであることも可能である。こうした実施形態において、このコポリマー又はターポリマーは、少なくとも、(3-ヒドロキシプロピオネート)である第一繰返し単位と、及び式Iに従う第二繰返し単位と、を含む。
【化7】
【0028】
任意選択で、第一ポリマーは、式IIに従う第三繰返し単位も含むことができる。
【化8】
【0029】
上記の式I及び式IIについて、R1及びR2は、それぞれ独立して、1~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群より選択される。
【0030】
ポリマー組成物は、第二ポリマーも含む。この第二ポリマーは、(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位を含まないポリ(ヒドロキシアルカノエート)である。
【0031】
一部の実施形態において、本開示に従って、第二ポリマーは、例えば、2-ヒドロキシ
アルカノエート繰返し単位、3-ヒドロキシアルカノエート繰返し単位、又は4-ヒドロキシアルカノエート繰返し単位でできてることが可能であり、これら繰返し単位はそれぞれ、1炭素分岐~12炭素分岐で分岐を有する又は有さない。
【0032】
一部の実施形態において、第二ポリマーは、好ましくは、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(「P(3HB-co-3HHx)」)でできている。より詳細には、一部の実施形態において、このP(3HB-co-3HHx)はそれ自身が、好ましくは約75~約99モルパーセントのヒドロキシブチレート繰返し単位と、及び約1~約25モルパーセントのヒドロキシヘキサノエート繰返し単位と、でできている。更により好ましくは、P(3HB-co-3HHx)は、約93~約98モルパーセントのヒドロキシブチレート繰返し単位と、及び約2~約7モルパーセントのヒドロキシヘキサノエート繰返し単位と、でできている。
【0033】
ポリマー組成物中の第一ポリマー及び第二ポリマーの相対量は、大幅に変化し得る。一般に、ポリマー組成物は、約1~約99重量パーセントの第一ポリマーと、約99~約1重量パーセントの第二ポリマーと、でできていることが可能である。
【0034】
より好ましくは、ポリマー組成物は、約25~約75重量パーセントの第一ポリマーと、及び約75~約25重量パーセントの第二ポリマーと、でできている。更により好ましくは、ポリマー組成物は、約40~約60重量パーセントの第一ポリマーと、及び約60~約40重量パーセントの第二ポリマーと、でできている。
【0035】
ポリマー組成物は、一部の例において、第一ポリマー及び第二ポリマーに加えて、少なくとも1種の追加バイオポリマーも含むことができる。この追加バイオポリマーは、ポリカプロラクトン、ポリ(ブチレンスクシネート)、ポリ(ブチレンスクシネート-コ-ブチレンアジペート)、ポリ(乳酸)、及びそれらの混合物からなる群より選択することができる。一部の実施形態において、ポリマー組成物は、少なくとも1種の追加バイオポリマーを約5~約75重量パーセント含むことができる。
【0036】
ポリマー組成物は、上記ポリマーに加えて、さまざまな添加剤も含むことができる。
【0037】
例えば、ポリマー組成物は、造核剤も含むことができ、この造核剤は、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、人工甘味料、ステアリン酸化合物、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、ポリエステルワックス、ナノクレイ、ベヘン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ポリ(ヒドロキシブチレート)、チミン、シアヌル酸、シトシン、アデニン、ウラシル、グアニン、窒化ホウ素、及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0038】
ポリマー組成物は、可塑剤も含むことができ、この可塑剤は、セバシン酸化合物、クエン酸化合物、アジピン酸脂肪エステル、コハク酸脂肪エステル、グルカル酸脂肪エステル、乳酸化合物、アルキルジエステル、クエン酸化合物、アルキルメチルエステル、二安息香酸化合物、炭酸プロピレン、数平均分子量200~10,000g/molを有するカプロラクトンジオール、数平均分子量400~10,000g/molを有するポリ(エチレングリコール)、植物油エステル、長鎖アルキル酸、アジピン酸化合物、グリセロール、イソソルビド誘導体若しくはそれらの混合物、ポリマー可塑剤、ヒドロキシブチレート以外のヒドロキシアルカノエート単量体残基を少なくとも18モルパーセント含むポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0039】
一部の例において、ポリマー組成物は、好ましくは充填剤も含み、この充填剤は、炭酸
カルシウム、タルク、ナノクレイ、ナノセルロース、麻繊維、カオリン、カーボンブラック、珪灰石、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、雲母、シリカ、ドロマイト、硫酸バリウム、磁鉄鉱、ハロイサイト、酸化亜鉛、二酸化チタン、モンモリロナイト、長石、アスベスト、ホウ素、鋼鉄、カーボンナノチューブ、セルロース繊維、亜麻、綿、デンプン、多糖類、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、加工デンプン、キチン及びキトサン、アルギン酸化合物、グルテン、ゼイン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、多糖類、グアーガム、キサンタンガム、スクシノグリカン、天然ゴム、ロジン酸、リグニン、天然繊維、ジュート、ケナフ、ヘンプ、粉砕ナッツシェル、木粉、並びにそれらの混合物からなる群より選択される。
【0040】
ある特定の実施形態において、ポリマー組成物は、好ましくは耐衝撃性改良剤も含み、この耐衝撃性改良剤は、アクリル系樹脂及びエマルジョン、イソソルビド誘導体、天然ゴム、脂肪族ポリエステル、又はそれらの混合物からなる群より選択される。
【0041】
一部の例において、ポリマー組成物は、好ましくは、潤滑剤、抗酸化剤、安定剤、吸湿剤、カップリング剤、核剤、又は難燃剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤も含む。
【0042】
本開示によるポリマー組成物は、典型的には、第一ポリマー及び第二ポリマーを、任意選択で組成物に含めることができる任意の他のポリマー又は添加剤と一緒に、ブレンドする、例えばメルトブレンドすることにより、調製される。このブレンドは、従来の溶融ブレンド技法、例えば、単軸スクリュー押出し、二軸スクリュー押出し、又は3本ロールミルなどを用いて達成することができる。
【0043】
別の実施形態において、第一ポリマーと第二ポリマーは、互いに更に反応することができる。すなわち、一部の例において、ポリマー組成物は、好ましくは、触媒又は開始剤を含むことができ、この触媒又は開始剤は、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)と、少なくとも1種の追加ポリ(ヒドロキシアルカノエート)との反応を誘導する。したがって、ポリマー組成物は、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)と少なくとも1種の追加ポリ(ヒドロキシアルカノエート)との反応で形成された反応生成物も含む。
【0044】
本開示は、上記で検討したポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマー又はターポリマーの作成法も提供する。1つの実施形態に従って、本方法は、以下:
ベータ-プロピオラクトンと、
式IIIに従う第一置換ベータ-プロピオラクトンと、
【化9】
及び任意選択で、式IVに従う第二置換ベータ-プロピオラクトンと、
【化10】
を1つにまとめて反応混合物を形成する、第一工程を含む。
【0045】
上記の式III及び式IVのそれぞれについて、R1及びR2は、それぞれ独立して、1~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群より選択される。
【0046】
本開示に従って、次いで、第二工程でこの混合物を重合させて、コポリマー又はターポリマーを形成させる。典型的には、重合反応は、反応温度約20~約120℃で行うことができる。典型的には、重合を補助するため、触媒又は開始剤、例えば、アルカリ金属又はアンモニウムアルコキシドも使用される。
【0047】
得られるコポリマー又はターポリマーは、以下
(3-ヒドロキシプロピオネート)である第一繰返し単位と、
式Iに従う第二繰返し単位と、
【化11】
任意選択で、式IIに従う第三繰返し単位と、
【化12】
でできている。
【0048】
上記の式I及び式IIのそれぞれについて、R1及びR2は、それぞれ独立して、1~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群より選択される。
【0049】
有利なことに、本開示に従って調製されるポリマー組成物は、ASTM D6400により特定した場合、工業的に及び/又は家庭内で堆肥化可能なものである。
【0050】
更なる態様において、本開示は、上記ポリマー組成物でできた変換品も提供する。例えば、本開示のある特定の実施形態において、変換品は、フィルム、繊維、シート、成形品、ロトモールド成形品、押出ブロー成形品、射出延伸ブロー成形品、発泡体、基材のメルト塗布、及びカレンダー仕上げシートからなる群より選択することができる。
【0051】
本開示は、同じく、以下の実施形態によって更に解説される:
【0052】
実施形態1.第一ポリマーと、及び第二ポリマーと、のブレンドを含むポリマー組成物であって、前記第一ポリマーは、少なくとも10モルパーセントの(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位を含み、及び前記第二ポリマーは、(3-ヒドロキシプロピオネート)繰返し単位を含まないポリ(ヒドロキシアルカノエート)を含む、前記ポリマー組成物。
【0053】
実施形態2.前記第一ポリマーは、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)を含む、実施形態1に記載のポリマー組成物。
【0054】
実施形態3.前記第一ポリマーは、コポリマー又はターポリマーを含み、前記コポリマー又はターポリマーは、以下
(3-ヒドロキシプロピオネート)である第一繰返し単位と、
式Iに従う第二繰返し単位と、
【化13】
任意選択で、式IIに従う第三繰返し単位と、
【化14】
を含み、
式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、1~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群より選択される、
実施形態1又は2に記載のポリマー組成物。
【0055】
実施形態4.前記ポリマー組成物は、約1~約99重量パーセントの前記第一ポリマーと、及び約99~約1重量パーセントの前記第二ポリマーと、を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0056】
実施形態5.前記ポリマー組成物は、約25~約75重量パーセントの前記第一ポリマ
ーと、及び約75~約25重量パーセントの前記第二ポリマーと、を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0057】
実施形態6.前記ポリマー組成物は、約40~約60重量パーセントの前記第一ポリマーと、及び約60~約40重量パーセントの前記第二ポリマーと、を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0058】
実施形態7.前記ポリマー組成物は、更に、ポリカプロラクトン、ポリ(ブチレンスクシネート)、ポリ(ブチレンスクシネート-コ-ブチレンアジペート)、ポリ(乳酸)、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)、及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の追加バイオポリマーを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0059】
実施形態8.前記ポリマー組成物は前記少なくとも1種の追加バイオポリマーを約5~約75重量パーセント含む、実施形態7に記載のポリマー組成物。
【0060】
実施形態9.前記第二ポリマーは、2-ヒドロキシアルカノエート繰返し単位、3-ヒドロキシアルカノエート繰返し単位、又は4-ヒドロキシアルカノエート繰返し単位を含み、これら繰返し単位はそれぞれ、1炭素分岐~12炭素分岐で分岐を有する又は有さない、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0061】
実施形態10.前記第二ポリマーは、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート(「P(3HB-co-3HHx)」)を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0062】
実施形態11.前記P(3HB-co-3HHx)は、約75~約99モルパーセントのヒドロキシブチレート繰返し単位と、及び約1~約25モルパーセントのヒドロキシヘキサノエート繰返し単位と、を含む、実施形態10に記載のポリマー組成物。
【0063】
実施形態12.前記P(3HB-co-3HHx)は、好ましくは、約93~約98モルパーセントのヒドロキシブチレート繰返し単位と、及び約2~約7モルパーセントのヒドロキシヘキサノエート繰返し単位と、を含む、実施形態10に記載のポリマー組成物。
【0064】
実施形態13.更に、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、人工甘味料、ステアリン酸化合物、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、ポリエステルワックス、ナノクレイ、ベヘン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ポリ(ヒドロキシブチレート)、チミン、シアヌル酸、シトシン、アデニン、ウラシル、グアニン、窒化ホウ素、及びそれらの混合物からなる群より選択される造核剤を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0065】
実施形態14.更に、セバシン酸化合物、クエン酸化合物、アジピン酸脂肪エステル、コハク酸脂肪エステル、グルカル酸脂肪エステル、乳酸化合物、アルキルジエステル、クエン酸化合物、アルキルメチルエステル、二安息香酸化合物、炭酸プロピレン、数平均分子量200~10,000g/molを有するカプロラクトンジオール、数平均分子量400~10,000g/molを有するポリ(エチレングリコール)、植物油エステル、長鎖アルキル酸、アジピン酸化合物、グリセロール、イソソルビド誘導体若しくはそれらの混合物、ポリマー可塑剤、ヒドロキシブチレート以外のヒドロキシアルカノエート単量体残基を少なくとも18モルパーセント含むポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される可塑剤を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0066】
実施形態15.更に、炭酸カルシウム、タルク、ナノクレイ、ナノセルロース、麻繊維、カオリン、カーボンブラック、珪灰石、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、雲母、シリカ、ドロマイト、硫酸バリウム、磁鉄鉱、ハロイサイト、酸化亜鉛、二酸化チタン、モンモリロナイト、長石、アスベスト、ホウ素、鋼鉄、カーボンナノチューブ、セルロース繊維、亜麻、綿、デンプン、多糖類、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、加工デンプン、キチン及びキトサン、アルギン酸化合物、グルテン、ゼイン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、多糖類、グアーガム、キサンタンガム、スクシノグリカン、天然ゴム、ロジン酸、リグニン、天然繊維、ジュート、ケナフ、ヘンプ、粉砕ナッツシェル、木粉、並びにそれらの混合物からなる群より選択される充填剤を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0067】
実施形態16.更に、アクリル系樹脂及びエマルジョン、イソソルビド誘導体、天然ゴム、脂肪族ポリエステル、又はそれらの混合物からなる群より選択される耐衝撃性改良剤を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0068】
実施形態17.更に、潤滑剤、抗酸化剤、安定剤、吸湿剤、カップリング剤、核剤、又は難燃剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0069】
実施形態18.前記組成物は、更に、前記ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)と前記少なくとも1種の追加ポリ(ヒドロキシアルカノエート)との反応を誘導する触媒又は開始剤と、及び前記ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)と前記少なくとも1種の追加ポリ(ヒドロキシアルカノエート)との反応から形成された反応生成物と、を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0070】
実施形態19.先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー組成物を含む変換品であって、フィルム、繊維、シート、成形品、ロトモールド成形品、押出ブロー成形品、射出延伸ブロー成形品、発泡体、基材のメルト塗布、及びカレンダー仕上げシートからなる群より選択される、前記変換品。
【0071】
実施形態20.ポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマー又はターポリマーの作成法であって、以下の工程:
ベータ-プロピオラクトンと、
式IIIに従う第一置換ベータ-プロピオラクトンと、
【化15】
任意選択で、式IVに従う第二置換ベータ-プロピオラクトンと、
【化16】
を1つにまとめて
反応混合物を形成する工程、並びに
前記反応混合物を重合させて、コポリマー又はターポリマーを形成させる工程、コポリマー又はターポリマーは、以下
(3-ヒドロキシプロピオネート)である第一繰返し単位と、
式Iに従う第二繰返し単位と、
【化17】
任意選択で、式IIに従う第三繰返し単位と、
【化18】
を含み、
式中、R1及びR2は、それぞれ独立して1~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群より選択される、
を含む、前記方法。
【0072】
以下の限定ではない実施例は、本発明のさまざまな追加態様を解説する。特に記載がない限り、温度は、摂氏度であり、パーセンテージは、配合物の乾燥重量に基づく重量パーセントである。
【実施例
【0073】
実施例1:
この実施例では、Bainbridge GAのDanimer Polymer Development Centerにて、40mm二軸スクリュー押出機を用いて、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)組成物の試料を配合した。試料に、ペンタエリスリトー
ルを1.0重量パーセントで加え、ペレット化を促進した。第一(対照)試料では、組成物は、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)(99重量パーセント)と、及びペンタエリスリトール(1重量パーセント)とのみを含むものであった。第二試料では、組成物は、約89重量パーセントの同じポリ(ヒドロキシアルカノエート)と、約10重量パーセントのポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)(P3HP)と、及び約1重量パーセントのペンタエリスリトールと、でできていた。
【0074】
材料を、典型的なR&D不明試料用PHAプロセスで目的溶融温度約165°Cとして処理した。メルトフローレートを、10kg重量を用いて175°Cで測定した。各試料の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の両方もまた、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、溶媒としてクロロホルムを用いて測定した。結果は以下の通りであった:
【表1】
【0075】
これらの結果は、組成物中に比較的少量のP3HPを含めることで、メルトフローレート(MFR)の劇的な上昇がもたらされたことを示す。これは特に驚くべきことである。なぜなら、分子量の尺度(Mn及びMw)のどちらも、P3HPを含有する試料の方が、対照試料よりも大きかったからである。
【0076】
本発明の好適な実施形態についての上記記載は、解説及び説明を目的として提示されてきたものである。それらは、網羅的であることを意図せず、本発明を開示されるそのままの形態に限定することも意図しない。上記の教示に照らして、明らかな修飾又は変更が可能である。実施形態は、本発明の原則及びその実用的応用の最良な解説を提供し、それにより当業者が様々な実施形態において、企図する特定用途によってはそれに適切なようにさまざまな修飾を用いて、本発明を利用することを可能にする取り組みにおいて、選択及び記載されるものである。そのような修飾及び変更は全て、それらに対して適正に、合法的に、及び公平に与えられる広さに従ってそれらを解釈した場合、添付の特許請求の範囲により定められるとおりの本発明の範囲内にある。
【国際調査報告】