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特表2024-527113正確な眼科測定値を生成するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】正確な眼科測定値を生成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
A61F9/007 200C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505451
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 IB2022056765
(87)【国際公開番号】W WO2023007328
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/227,100
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】プーリア シャリフ カシャーニ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ハンター ペティット
(72)【発明者】
【氏名】ブラント ギレン
(57)【要約】
本開示の特定の態様は、眼科測定デバイスを提供する。本デバイスは、患者の眼の解剖学的特徴の測定値を生成するように構成された1つ又は複数の眼科測定機構と、医師が眼科測定デバイスと対話することを可能にするように構成されたユーザインタフェースと、メモリとを含む。本デバイスは、ハードウェアプロセッサも含み、ハードウェアプロセッサは、測定値を測定基準と比較することに基づいて、測定値が測定基準を満たすか否かを判断することと、測定値が測定基準を満たさないと判断すると、1つ又は複数の眼科測定機構に解剖学的特徴の新しい測定値を生成させることと、新しい測定値を測定基準と比較することに基づいて、新しい測定値が測定基準を満たすか否かを判断することと、新しい測定値が測定基準を満たすと判断すると、ユーザインタフェースに新しい測定値を表示させることとを行うように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科測定デバイスであって、
患者の眼の解剖学的特徴の測定値を生成するように構成された1つ又は複数の眼科測定機構と、
医師が前記眼科測定デバイスと対話することを可能にするように構成されたユーザインタフェースと、
メモリと、
前記メモリとデータ通信するハードウェアプロセッサであって、
前記測定値を測定基準と比較することに基づいて、前記測定値が前記測定基準を満たすか否かを判断することと、
前記測定値が前記測定基準を満たさないと判断すると、前記1つ又は複数の眼科測定機構に前記解剖学的特徴の新しい測定値を生成させることと、
前記新しい測定値を前記測定基準と比較することに基づいて、前記新しい測定値が前記測定基準を満たすか否かを判断することと、
前記新しい測定値が前記測定基準を満たすと判断すると、前記ユーザインタフェースに前記新しい測定値を表示させることと、
を行うように構成されたハードウェアプロセッサと、
を含む眼科測定デバイス。
【請求項2】
前記測定値が前記測定基準を満たさないと判断すると、前記ハードウェアプロセッサは、
前記ユーザインタフェースに、前記解剖学的特徴を再測定するプロンプトを表示させることと、
前記プロンプトに応答して前記解剖学的特徴を再測定するユーザ入力を受信することであって、前記1つ又は複数の眼科測定機構に前記新しい測定値を生成させることは、前記ユーザ入力に応答したものである、受信することと、を更に行う、請求項1に記載の眼科測定デバイス。
【請求項3】
前記測定値が前記測定基準を満たさないと判断すると、前記ハードウェアプロセッサは、
前記測定値及び前記測定基準を分析して、前記測定値を改善するための、前記1つ又は複数の眼科測定機構の1つ又は複数の提案されるデバイスパラメータ設定を識別することと、
前記ユーザインタフェースに、前記1つ又は複数の提案されたデバイスパラメータ設定を表示させることと、を行うように更に構成される、請求項1に記載の眼科測定デバイス。
【請求項4】
前記ハードウェアプロセッサは、前記1つ又は複数の提案されたデバイスパラメータ設定及びユーザ入力を通して受信された前記1つ又は複数の提案されたデバイスパラメータ設定の確認に基づいて、前記1つ又は複数の眼科測定機構を自動的に再構成するように更に構成される、請求項3に記載の眼科測定デバイス。
【請求項5】
前記測定基準は、前記患者の別の眼の前記解剖学的特徴の別の測定値を含み、
前記測定値を前記測定基準と比較することは、前記測定値と前記別の測定値との間の差が閾値距離内に入るかどうかを判断することを含み、及び、
前記測定値が前記測定基準を満たさないと判断することは、前記測定値と前記別の測定値との間の前記差が前記閾値距離内に入らないと判断することを含む、請求項1に記載の眼科測定デバイス。
【請求項6】
前記閾値距離は、患者固有である、請求項5に記載の眼科測定デバイス。
【請求項7】
前記ハードウェアプロセッサは、前記患者の患者プロファイルに基づいて前記閾値距離を判断するように更に構成され、前記患者プロファイルは、前記患者についての人口統計学的情報と、前記患者についての術前測定値、術中測定値、術後測定値、実際の治療データ又は満足度情報の少なくとも1つを記憶するためのフィールドとを含む、請求項6に記載の眼科測定デバイス。
【請求項8】
前記測定基準は、前記測定値が入ると予想される予想値の閾値範囲を含み、及び、
前記測定値が前記測定基準を満たさないと判断することは、前記測定値が前記予想値の範囲内に入らないと判断することを含む、請求項1に記載の眼科測定デバイス。
【請求項9】
前記ハードウェアプロセッサは、前記測定値が前記予想値の範囲内に入らないという判断に基づいて、前記1つ又は複数の眼科測定機構が較正、再構成又はメンテナンスを必要とすると判断するように更に構成される、請求項8に記載の眼科測定デバイス。
【請求項10】
角膜測定器、光学バイオメトリデバイス、オートレフラクトメータ、角膜トポグラファ、眼波面収差計、光干渉断層撮影(OCT)デバイス又は角膜曲率計の1つ又は複数を含む、請求項1に記載の眼科測定デバイス。
【請求項11】
前記測定基準は、前記眼の前記解剖学的特徴の以前に生成された測定値を含み、
前記測定値を前記測定基準と比較することは、前記測定値と、前記以前に生成された測定値との間の差が閾値距離内に入るかどうかを判断することを含み、及び、
前記測定値が前記測定基準を満たさないと判断することは、前記測定値と、前記以前に生成された測定値との間の前記差が前記閾値距離内に入らないと判断することを含む、請求項1に記載の眼科測定デバイス。
【請求項12】
眼科測定システムであって、
患者の眼の解剖学的特徴の測定値を生成するように構成された眼科測定デバイスと、
医師が前記眼科測定デバイスと対話することを可能にするように構成されたユーザインタフェースと、
前記眼科測定デバイスに通信可能に結合されたハードウェアプロセッサであって、
前記測定値を測定基準と比較することに基づいて、前記測定値が前記測定基準を満たすか否かを判断することと、
前記測定値が前記測定基準を満たさないと判断すると、前記眼科測定デバイスに前記解剖学的特徴の新しい測定値を生成させることと、
前記新しい測定値を前記測定基準と比較することに基づいて、前記新しい測定値が前記測定基準を満たすか否かを判断することと、
前記新しい測定値が前記測定基準を満たすと判断すると、前記ユーザインタフェースに前記新しい測定値を表示させることと、
を行うように構成されたハードウェアプロセッサと、
を含む眼科測定システム。
【請求項13】
前記測定値が前記測定基準を満たさないと判断すると、前記ハードウェアプロセッサは、
前記ユーザインタフェースに、前記解剖学的特徴を再測定するプロンプトを表示させることと、
前記プロンプトに応答して前記解剖学的特徴を再測定するユーザ入力を受信することであって、前記眼科測定デバイスに前記新しい測定値を生成させることは、前記ユーザ入力に応答したものである、受信することと、を更に行う、請求項12に記載の眼科測定システム。
【請求項14】
前記測定値が前記測定基準を満たさないと判断すると、前記ハードウェアプロセッサは、
前記測定値及び前記測定基準を分析して、前記測定値を改善するための、前記眼科測定デバイスの1つ又は複数の提案されるデバイスパラメータ設定を識別することと、
前記ユーザインタフェースに、前記1つ又は複数の提案されたデバイスパラメータ設定を表示させることと、を行うように更に構成される、請求項12に記載の眼科測定システム。
【請求項15】
前記ハードウェアプロセッサは、前記1つ又は複数の提案されたデバイスパラメータ設定及びユーザ入力を通して受信された前記1つ又は複数の提案されたデバイスパラメータ設定の確認に基づいて、前記眼科測定デバイスを自動的に再構成するように更に構成される、請求項14に記載の眼科測定システム。
【請求項16】
前記測定基準は、前記患者の別の眼の前記解剖学的特徴の別の測定値を含み、
前記測定値を前記測定基準と比較することは、前記測定値と前記別の測定値との間の差が閾値距離内に入るかどうかを判断することを含み、及び、
前記測定値が前記測定基準を満たさないと判断することは、前記測定値と前記別の測定値との間の前記差が前記閾値距離内に入らないと判断することを含む、請求項12に記載の眼科測定システム。
【請求項17】
前記閾値距離は、患者固有である、請求項16に記載の眼科測定システム。
【請求項18】
前記ハードウェアプロセッサは、前記患者の患者プロファイルに基づいて前記閾値距離を判断するように更に構成され、前記患者プロファイルは、前記患者についての人口統計学的情報と、前記患者についての術前測定値、術中測定値、術後測定値、実際の治療データ又は満足度情報の少なくとも1つを記憶するためのフィールドとを含む、請求項17に記載の眼科測定システム。
【請求項19】
前記測定基準は、前記測定値が入ると予想される予想値の閾値範囲を含み、及び、
前記測定値が前記測定基準を満たさないと判断することは、前記測定値が前記予想値の範囲内に入らないと判断することを含む、請求項12に記載の眼科測定システム。
【請求項20】
眼科測定デバイスを再構成する方法であって、
複数の患者プロファイルを集計して、グローバルデータセットを形成することであって、各患者プロファイルは、複数の眼科診療の1つにおいて治療された対応する患者と関連し、且つ前記対応する患者についての患者の眼の解剖学的特徴の測定値、処置結果又は人口統計学的情報及び患者病歴情報の1つ又は複数を含む、形成することと、
各患者プロファイルを共通のフォーマットにフォーマット化することと、
前記複数の眼科診療の残りの眼科診療と比べて最低平均満足結果数を有する、前記複数の眼科診療のうちの第1の眼科診療を識別することと、
前記第1の眼科診療の前記最低平均満足結果数が、前記眼科測定デバイスと関連するエラーによって引き起こされると判断することと、
前記眼科測定デバイスを自動的に再構成することと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、白内障手術等の外科処置中に使用するための正確な眼科測定値(例えば、術前、術中等)を取得するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
白内障手術は、一般に、患者の眼の天然の水晶体を人工眼内レンズ(IOL)に置き換えることを含む。特定の既存の眼科システムは、患者に対して実行される白内障手術の手術計画の準備を促進するために、患者の眼の術前光学測定値(例えば、眼軸長及び角膜曲率測定値)を利用する。手術計画は、所望の屈折率結果を達成するようにIOLタイプ及び最適なIOL度数を選択するための詳細を含み得る。しかしながら、不正確な測定値は、最適未満のIOL度数に繋がる恐れがある。したがって、不良な品質の測定値は、白内障手術の有効性を減少させ、追加の手術又は非外科的介入が患者にとって必要となり得る不良な屈折結果に繋がる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、患者の屈折率結果の改善に繋がる正確な測定値を生成するための改良されたシステム及び技法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施形態は、眼科測定デバイスを提供し、本眼科測定デバイスは、患者の眼の解剖学的特徴の測定値を生成するように構成された1つ又は複数の眼科測定機構を含む。本眼科測定デバイスは、医師が眼科測定デバイスと対話することを可能にするように構成されたユーザインタフェースを更に含む。本眼科測定デバイスは、メモリ及びメモリとデータ通信するハードウェアプロセッサも含む。ハードウェアプロセッサは、測定値を測定基準と比較することに基づいて、測定値が測定基準を満たすか否かを判断することと、測定値が測定基準を満たさないと判断すると、1つ又は複数の眼科測定機構に解剖学的特徴の新しい測定値を生成させることと、新しい測定値を測定基準と比較することに基づいて、新しい測定値が測定基準を満たすか否かを判断することと、新しい測定値が測定基準を満たすと判断すると、ユーザインタフェースに新しい測定値を表示させることとを行うように構成される。
【0005】
特定の実施形態は、眼科測定システムを提供する。本システムは、患者の眼の解剖学的特徴の測定値を生成するように構成された眼科測定デバイスと、医師が眼科測定デバイスと対話することを可能にするように構成されたユーザインタフェースとを含む。本システムは、眼科測定デバイスに通信可能に結合されたハードウェアプロセッサを更に含み、ハードウェアプロセッサは、測定値を測定基準と比較することに基づいて、測定値が測定基準を満たすか否かを判断することと、測定値が測定基準を満たさないと判断すると、眼科測定デバイスに解剖学的特徴の新しい測定値を生成させることと、新しい測定値を測定基準と比較することに基づいて、新しい測定値が測定基準を満たすか否かを判断することと、新しい測定値が測定基準を満たすと判断すると、ユーザインタフェースに新しい測定値を表示させることとを行うように構成される。
【0006】
特定の実施形態は、眼科測定デバイスを再構成する方法を提供する。本方法は、複数の患者プロファイルを集計して、グローバルデータセットを形成することであって、各患者プロファイルは、複数の眼科診療の1つにおいて治療された対応する患者と関連し、且つ対応する患者についての患者の眼の解剖学的特徴の測定値、処置結果又は人口統計学的情報及び患者病歴情報の1つ又は複数を含む、形成することを含む。本方法は、各患者プロファイルを共通のフォーマットにフォーマット化することを更に含む。本方法はまた、複数の眼科診療の残りの眼科診療と比べて最低平均満足結果数を有する、複数の眼科診療のうちの第1の眼科診療を識別することと、第1の眼科診療の最低平均満足結果数が、眼科測定デバイスと関連するエラーによって引き起こされると判断することとを含む。本方法は、眼科測定デバイスを自動的に再構成することを更に含む。
【0007】
他の実施形態は、上述した方法及び本明細書に記載の方法を実行するように構成された処理システム、処理システムの1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、処理システムに、方法及び本明細書に記載される方法を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体、上述した方法及び本明細書に更に記載される方法を実行するためのコードを含む、コンピュータ可読記憶媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品、上述した方法及び本明細書に更に記載される方法を実行するための手段を含む処理システムを提供する。
【0008】
以下の説明及び関連する図面は、1つ又は複数の実施形態の特定の例示的な機構を詳述する。
【0009】
添付の図面は、1つ又は複数の実施形態の特定の態様を示し、したがって本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書に記載の幾つかの実施形態により、(例えば、外科処置の準備中又は外科処置中に)患者の眼の1つ又は複数の解剖学的特徴の測定値を取得、処理及び/又は検証する一例の測定値処理システムのブロック図を示す。
図2】本明細書に記載の態様による、患者の眼の測定値を取得、処理及びその正確性を検証するための図1のサーバの動作を示すシーケンス図である。
図3】本明細書に記載の態様による、患者の眼の測定値を取得、処理及びその正確性を検証するための図1の測定デバイスの動作を示すシーケンス図である。
図4】本明細書に記載の幾つかの実施形態による、複数の眼科診療からの情報を集計し、それに基づいてランク情報を生成するために、図1のシステムの構成要素間で交換される通信又は構成要素によって実行される処理を示すシーケンス図である。
図5】本明細書に記載の特定の態様を実行又は実施する処理システム、サーバ又はデバイスの一実施形態の図である。
図6】本開示の実施形態による、複数の眼科診療からの情報を集計し、眼科診療と関連する不良な屈折結果の1つ又は複数の原因を識別するための動作例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするために、図面間で共通の同一要素を示すために、可能な場合には同一の参照符号が使用される。更なる説明を伴わずに、1つの実施形態の要素及び機構を他の実施形態に有益に組み込み得ることが企図される。
【0012】
上述したように、白内障手術の準備において、医師は、光学バイオメータ等の眼用測定デバイス(本明細書では測定デバイスと呼ばれる)を使用して、患者の眼の1つ又は複数の解剖学的特徴の術前測定値を取得し得る。そのような解剖学的特徴の例には、患者の眼の軸長、角膜の曲率、水晶体の厚さ、前眼房深さ等がある。本明細書では、測定値は、眼の解剖学的特徴と関連する値(例えば、数又は任意の他の測定単位)を指すか又は含み得ることに留意されたい。
【0013】
種々の理由に起因して、特定の場合、測定デバイスにより捕捉される術前測定値は、患者の眼の実際の測定値を正確に反映しないことがある。したがって、測定デバイスは、不正確な術前測定値を提供し得る。測定デバイスが不正確な測定値を出力する原因には、デバイス関連の問題(例えば、較正問題)、オペレータ関連の問題(例えば、医師が測定を不正確に実行する)及び患者関連の問題(例えば、プロセス中、視線を固定点に固定しない等により患者が協力しない、患者がドライアイ等の病状を経験している等)があり得る。上述したように、不正確な術前測定値をIOL度数計算に使用することにより、不適切なIOL度数の選択、したがって不良な術後屈折結果に繋がる恐れがある。しかしながら、特定の既存の術前眼科測定システム及びデバイスは、不正確な測定値を自動的に検出するように装備又は構成されていない。
【0014】
加えて、白内障手術中、外科医は、術中収差計等の術中眼用測定デバイスを利用して、眼科診療時に患者に関して生成された術前測定値を検証し得る。例えば、水晶体の取り出しに続いて、外科医は、術中収差計を使用して、角膜の曲率及び無水晶体眼の他の解剖学的特徴を測定し得る。しかしながら、術前測定デバイスと同様に、特定の既存の術中眼科測定システム及びシステムも、術中及び/又は術前測定値の正確性を自動的に検証するように装備及び構成されていない。
【0015】
したがって、本開示の特定の態様は、患者の眼の1つ又は複数の解剖学的特徴と関連する測定値を取得し、処理し、且つその正確性を検証する測定システム及びデバイスを提供する。特定の実施形態では、本明細書に記載の測定システム及びデバイスは、不正確な測定値を自動的に識別してフラグ付けし、患者の眼の解剖学的特徴の再測定を事前対応的に調整又は要求するように構成される。特定の実施形態では、本明細書に記載の測定システム及びデバイスは、新しく正確な測定値を使用し、続く分析及び計算で使用するために不正確な測定値を置換し得る。不正確な測定値を正確な測定値で置換することにより、医師は、有益には、続く分析、判断、IOL選択等に不正確な測定値を使用することを回避し得る。
【0016】
本明細書における幾つかの実施形態は、例えば、測定値の正確性/不正確性及び測定値を利用する処置での対応する屈折結果に基づいて、眼の測定値を生成及び/又は処置を患者の眼に対して実行する眼科診療をランク付けすることを含む。したがって、異なる眼科診療は、それらの測定値、屈折結果、機器、医師等を比較して、潜在的な改良エリアを識別することができる。
【0017】
本明細書に記載のシステム、方法及び技法は、術前、術中及び術後に利用され得ることに留意されたい。
【0018】
測定値処理システム例
図1は、患者の眼110の1つ又は複数の解剖学的特徴の測定値を取得、処理及び検証する一例の測定値処理システム100(眼科測定システムとも呼ばれる)のブロック図を示す。システム100は、ネットワーク150を通して、互いに遠隔に配置され得る、種々の眼科診療における測定デバイスと通信可能に結合されるサーバ104を含む。例えば、サーバ104は、眼科診療120における測定デバイス102と通信可能に結合される。測定デバイス102は、患者の眼110の1つ又は複数の解剖学的特徴を測定するために使用される1つ又は複数の測定デバイスを表す。サーバ104は、ピア眼科診療130における測定デバイス132にも通信可能に結合される。特定の実施形態では、測定デバイス132は、測定デバイス102と同様の構成要素及び同様の機能を含む。ここでの眼科診療とは、(1)患者の術前及び/又は術後測定値が生成される眼科クリニック、及び/又は(2)患者の術中測定値が生成される眼科手術診療を指し得ることに留意されたい。
【0019】
サーバ104は、患者データを患者プロファイル115に記憶するデータストア106にも結合される。特定の実施形態では、データストア106は、眼科診療120及びピア眼科診療130から受信した患者データを記憶する中央及び/又はクラウドベースのデータベース又はリポジトリであり得る。特定の実施形態では、データストア106は、眼科診療120等の特定の眼科診療での使用に特化した構内又はクラウドベースのデータベース又はリポジトリを表し得る。
【0020】
幾つかの実施形態では、サーバ104は、眼科診療120、ピア眼科診療130並びに対応する測定デバイス102及び132によりそれぞれアクセス可能な中央(例えば、クラウドベースの)計算システムである。例えば、サーバ104は、「クラウド」サービスを通して提供されるコンピューティングリソース(例えば、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はコンピューティングシステムを含む)に対応し得る。特定の実施形態では、サーバ104は、眼科診療120に専用及び/又はローカルな計算システムを指し得る。幾つかの例では、ネットワーク150は、1つ以上のスイッチング措置、ルータ、ローカルリアネットワーク(例えば、イーサネット)、ワイドエリアネットワーク(例えば、インタネット)及び/又はその他を含み得る。
【0021】
測定デバイス102は、図1に示されるように、角膜前面の曲率及び非点収差、眼軸長、前眼房深さ、中心角膜厚、角膜直径、水晶体厚、前部角膜形状並びに患者の眼110の種々の他の光学構成要素と関連する任意の他の測定値の1つ又は複数の測定値を生成するように構成された任意の眼用測定デバイスを含む。幾つかの実施形態では、測定デバイス102は、角膜測定器、光学バイオメトリデバイス、オートレフラクトメータ、角膜トポグラファ、眼波面収差計、光干渉断層撮影(OCT)デバイス、角膜曲率計、術中OCTデバイス、掃引源OCTデバイス、術中収差計デバイス等の1つ又は複数を含む。
【0022】
測定デバイス102は、プロセッサ124を含み、プロセッサ124は、幾つかの実施形態では、メモリ126により提供される命令を実行して、測定値を生成、処理し、感覚データ(例えば、デバイス機構123により提供される)を処理して測定値を生成し、画像データを生成、処理し、測定値を検証し、測定値を表示させ、オペレータがユーザインタフェース128を通して測定デバイス102を操作等できるようにする。測定デバイス102は、メモリ126も含み、メモリ126は、処理及び分析のためにプロセッサ124により使用される命令及び/又はデータを記憶するローカルストレージ(例えば、揮発性又は不揮発性)に対応し得る。プロセッサ124による分析の更なる詳細を以下提供する。
【0023】
測定デバイス102は、医師等のユーザが測定デバイス102と対話し、測定デバイス102を制御できるようにするユーザインタフェース128を更に含む。ユーザインタフェース128は、医師が患者プロファイルデータ、測定値、機器パラメータ等のデータを操作、対話又は閲覧できるようにする任意のインタフェースを含む。幾つかの実施形態では、ユーザインタフェース128は、医師が測定デバイス102を操作、対話及び操作できるようにするグラフィカルユーザインタフェースを含む。
【0024】
測定デバイス102は、患者の眼110の1つ又は複数の解剖学的特徴を測定し、それに基づいて測定値を生成するためのデバイス機構123を含む。このようなデバイス機構123の非限定的な例としては、光学機構、放射機構、撮像機構、センサ/撮像機構及び制御機構の少なくとも1つが挙げられる。光学機構は、患者の眼110の対象オブジェクトに投射され、対象オブジェクトによって反射された光を集束させ、方向付けるための1つ又は複数のレンズ又は他の光学構成要素を含む。光学機構により、測定デバイス102が患者の眼110を観察及び分析し、光ビームを眼に焦点合わせするなどして、患者の眼110の測定値を生成することが可能になる。
【0025】
放射機構は、患者の眼110に信号(例えば、光ビーム、超音波等)を投影するように構成された光又は他の信号源を含む。放射機構は、医師によって必要に応じて又は自動化された方法において、位置決め、合焦、電力レベル又は他の方法で信号を向けることに関して調整可能であり得る。センサ/撮像機構は、眼から反射又はエコーバックされる信号を生成、受信、処理及び/又はデジタル化する機構を含む。センサ/撮像機構は、受信した信号に基づいて多次元画像及び/又は測定値を生成する役割を果たす。センサ/撮像機構は、受信した信号に基づいて画像データを取得、記憶及び/又は処理することができる。OCTデバイスにおけるセンサ/撮像特徴の例には、光検出器、デジタル信号処理構成要素、画像処理構成要素等を挙げることができる。
【0026】
制御機構により、医師は、測定デバイス102のデバイス機構123を有効化、無効化及び調整することができる。例えば、制御機構には、放射機構をオン/オフするための制御等、放射機構の調整を可能にする構成要素が含まれる。同様に、制御機構は、例えば、光学機構の自動又は手動の焦点合わせ又は光学機構の移動を可能にして、異なる対象又は対象の部分を見ることができるように光学機構の調整を可能にする構成要素を含む。幾つかの実施形態では、ユーザインタフェース128は、制御機構を含む。
【0027】
特定の実施形態では、眼科診療120は、測定デバイス102を使用して術前測定値を取得、処理して、外科処置(例えば、白内障手術)に向けた準備において手術計画を準備し得る。特定の実施形態では、眼科診療120は、手術室と併せて測定デバイス102を使用して、外科処置を完了する前に術中測定値を取得及び処理し得る。
【0028】
測定デバイス102は、処理及び記憶のために測定値をサーバ104に通信する。サーバ104は、データストア106へのアクセスを管理し、ネットワーク150を介してアクセス可能なデータを処理する1つ又は複数のプロセッサ及び対応するメモリ(図示せず)を含む。処理及び記憶の一環として、サーバ104は、測定値を測定デバイス102から受信し、眼110が測定された患者の患者プロファイル115に測定値を関連付けて記憶し得る。
【0029】
上述したように、データストア106は、眼科診療120又はピア眼科診療130において測定値が生成された患者の患者プロファイル115を記憶する。データストア106内の各患者プロファイル115は、対応する患者についての患者の病歴及び人口統計学的情報116、光学測定値117、患者の手術と関連する実際の治療データ118及び患者満足度情報119を記憶し得る。幾つかの実施形態では、患者プロファイル115は、測定が行われた又は処置が実行された眼科診療120についての情報及び患者の眼110の測定値の生成に使用された測定デバイス102についての情報を更に含む。
【0030】
各患者の病歴及び人口統計学的情報116は、患者の年齢、性別、民族性、人種、手術歴情報、基礎疾患(例えば、眼病)、遺伝子構造、患者の生活様式(例えば、長時間にわたるデジタルディスプレイ画面の使用)等を含む。光学測定値117は、測定デバイス102等の1つ又は複数の測定デバイスにより提供される術前、術中及び/又は術後測定値を含み得る。幾つかの実施形態では、光学測定値117は、当業者に既知のように、患者の眼の解剖学的特徴の他の詳細を含む。幾つかの実施形態では、光学測定値117は、術前又は術中測定の正確又は不正確測定値フラグ等の記憶された光学測定値の1つ又は複数のフラグを示すフラグデータを含み得る。正確測定値フラグは、正確な測定値を示す一方、不正確測定値フラグは、不正確な測定値を示す。
【0031】
正確な測定値は、本明細書で使用される場合、患者の眼110の解剖学的特徴の後述する測定基準と予想又は所望の関係を有する測定デバイス102により生成された測定値に対応する。他方では、不正確な測定値は、患者の眼110の解剖学的特徴の測定基準と予想又は所望の関係を有しない測定値に対応する。種々の測定基準の例を以下提供する。
【0032】
実際の治療データ118には、例えば、その患者に使用されたIOLの実際のIOLパラメータ(IOLタイプ、IOL度数等)及びその患者の治療に関する他のあらゆる追加の関連情報が含まれる。実際の治療データ118は、その患者のための白内障手術の施行方法、治療に使用されたツール及び手術中に行われた具体的な処置に関する他の情報を示し得る。幾つかの実施形態では、実際の治療データ118は、手術を実行若しくは手術計画を生成した医師に関する情報又は手術前及び手術中に使用された医療機器に関する情報を含む。各患者プロファイル115に含まれる患者満足度情報119は、処置に伴う患者の満足度を、手術結果に伴う満足又は不満足の二進指示として示し得る。
【0033】
データストア106は、患者の眼110(例えば、左眼)に提供される測定値の正確性を検証するための測定基準を更に記憶する。測定基準は、(1)患者の他方の眼(例えば、右眼)と関連する測定値並びに患者の左眼及び右眼と関連する測定値間の差の予想される範囲に対応する閾値距離、(2)同じ眼、即ち患者の眼110と関連する以前に生成された測定値及び同じ眼と関連する、現在生成された測定値と、以前に生成された測定値との間の差の予想される範囲に対応する閾値距離、(3)各測定値が正常又は典型的な測定値の範囲外であるか否かを判断するための1つ又は複数の閾値範囲等を含み得る。測定基準は、単一の測定基準又は複数の測定基準を指し得るか又は含み得ることに留意されたい。
【0034】
更に、測定基準は、患者固有又は非患者固有であり得る。患者固有の測定基準は、例えば、患者プロファイル115に記憶された患者の情報に基づいて患者に規定又は決定される情報を指し得る。非患者固有の測定基準は、全患者に一般に使用される情報を指し得る。一例では、患者固有の測定基準は、光学測定値117の一部として患者プロファイル115に記憶される。非患者固有の測定基準は、患者のプロファイル115の一部として又は適用性がより広いデータストア106に記憶され得る。幾つかの実施形態では、異なるタイプの測定基準は、特定の順序又は優先度で適用される。例えば、患者の他方の眼と関連する測定値を含む患者固有の測定基準は、他の測定基準よりも優先され得る。
【0035】
一例では、測定デバイス102は、患者の左眼の軸長の測定値を生成し、左眼の軸長測定値が正確であるか否かの検証に使用される測定基準は、(1)患者の右眼の軸長、及び(2)閾値距離を含む。患者の右眼の軸長は、患者固有であるが、特定の実施形態では、閾値距離は、患者固有又は非患者固有であり得る。
【0036】
閾値距離は、患者の右眼の軸長と組み合わせて、患者の左眼の正確な軸長測定値が入ると予想される予想範囲を識別する。例えば、患者の右眼の軸長が22ミリメートル(mm)であり、閾値距離が0.5mmである場合、患者の左眼に対して測定デバイス102により生成される22.3mmの軸長は、正確であると見なされ得る(即ち22.3-22<0.5)。しかしながら、その例では、患者の左眼に対して測定デバイス102により生成される23mmの軸長は、不正確であると見なされ得る(即ち23-22>0.5)。
【0037】
非患者固有閾値距離は、多数の患者(例えば、数千又は数百万の患者)と関連する右眼及び左眼の測定値(例えば、軸長、角膜の曲率等)間の差の観察に基づき得る。例えば、非患者固有の閾値距離は、患者プールにおける右眼測定値と左眼測定値との間の平均差に対応し得る。他方では、患者固有の閾値距離は、その患者に特に決定された閾値距離を指す。患者固有の閾値距離の適用は、患者の左眼と右眼との間の関係が患者の病歴及び人口統計学的特性に応じて異なり得るため、特に有利であり得る。
【0038】
例えば、第1の特性(例えば、人種又は民族性のタイプ、手術歴、遺伝子構造、基礎疾患)を有する患者の左眼及び右眼の軸長間の差は、最大で0.7mmの長さであり得る一方、第2の特性(例えば、人種又は民族性のタイプ、手術歴、遺伝子構造、基礎疾患)を有する患者の左眼及び右眼の軸長閾値間の差は、最大で0.5mmの長さであり得る。そのような例では、左眼及び右眼の測定値を比較する場合、0.7mmの閾値距離は、第1の特性を有する患者への使用により適切であり得る一方、0.5mmの閾値距離は、第2の特性を有する患者への使用により適切であり得る。これは、患者の測定値を検証する際、患者固有の閾値距離(又は他の測定基準)を使用することが有利であり得る理由の非常に簡単な例である。幾つかの実施形態では、患者固有の閾値距離は、更に後述するように、機械学習の使用を通して決定することができる。
【0039】
代替的に、患者固有の閾値距離は、閾値距離ライブラリと組み合わせてルールベースの手法を使用して識別することができる。そのような例では、閾値距離ライブラリは、異なるタイプの患者集団に異なる閾値距離を含み得る。これらの異なるタイプの患者集団は、人口統計学的情報、基礎疾患(例えば、眼疾患)、遺伝子構造、処置歴(白内障手術又はレーザ支援in-situ角膜曲率形成(LASIK)手術を受けたことがある)等に基づいて分類し得る。例えば、眼疾患のない患者に使用される閾値距離は、他の人と比較してかなりの近視である患者と異なり得る。そのような例では、患者の軸長間の差がより大きいことは、正確であると判断され得、必ずしも不正確な測定値を示すわけではない。したがって、ルールベースのモデルを使用して、第1の眼疾患背景を有する第1の集団は、第2の眼疾患背景を有する第2の集団と異なる閾値距離を有する。その結果、ルールベースの手法では、患者の測定値の正確性の検証に何れの閾値距離が使用されるかは、患者が入る集団に依存する。
【0040】
上述したように、別の例では、測定基準は、同じ眼、即ち患者の眼110の以前に生成された測定値及び同じ眼と関連する、現在生成された測定値と、以前に生成された測定値との間の差の予想される範囲に対応する閾値距離を含み得る。現在生成された測定値は、正確性が検証されている測定値を指す。眼の解剖学的特徴は、それほど変化すると予想されない(少なくとも短い時間期間にわたり及び眼が外傷、手術、疾患等を受けないと仮定する)ため、眼の現在生成された測定値を同じ眼の以前に生成された測定値と比較することは、現在生成された測定値が正確であるか否かを示し得る。この比較において閾値が使用され得る。例えば、角膜曲率は、70~80年にわたり5%等の特定の割合を超えて変化すると予想されず、その場合、現在測定された角膜曲率が以前測定された角膜曲率の5%内であるとき、現在測定された角膜曲率は、正確であると見なされる。現在生成された測定値と、以前に生成された測定値との比較に使用される閾値距離も患者固有(例えば、ルールベースの手法、機械学習等を使用して決定される)又は非患者固有であり得る。
【0041】
上述したように、患者固有の閾値距離(例えば、異なる眼の測定値間の比較又は現在生成された測定値と、以前に生成された測定値との間の比較に使用される)は、更に後述するように機械学習の使用を通して決定され得る。例えば、サーバ104は、トレーニング済みのMLモデルを使用して、患者プロファイル115に記憶された患者の固有情報に基づいて患者の閾値距離を推奨し得る。患者プロファイル115は、測定値の種々の正確性の検証で使用される患者固有の閾値距離を推奨することができるMLモデルをトレーニングするにあたり使用されるデータセット(「トレーニングデータセット」と呼ばれる)を生成するために、患者の記録を提供し得る。
【0042】
幾つかの場合、サーバ104は、MLモデルのトレーニングに使用されるモデルトレーナを採用し得る。モデルトレーナは、トレーニングデータセットと併せて1つ又は複数のMLアルゴリズムを使用して、MLモデルをトレーニングする。特定の実施形態では、トレーニング済みMLモデルは、所与の患者の患者固有の閾値距離を生成又は予測するために使用される、例えば重み及びパラメータを用いた関数を指す。幾つかの実施形態では、患者の異なる閾値範囲等の生成に異なるMLアルゴリズムが使用され得る。例えば、あるモデルは、患者の軸長測定値を検証するための閾値距離を推奨するようにトレーニングされ得、別のモデルは、患者の角膜曲率測定値を検証するための閾値距離を推奨するようにトレーニングされ得る。
【0043】
MLアルゴリズムは、教師あり学習アルゴリズム、教師なし学習アルゴリズム及び/又は半教師あり学習アルゴリズムを含み得る。教師なし学習は、ラベル付き回答のない入力データからなるデータベースから推論を引き出すために使用されるタイプの機械学習アルゴリズムである。教師あり学習は、例えば、入力を出力に例としての入力-出力ペアに基づいてマッピングする関数を学習するMLタスクである。教師あり学習アルゴリズムには、一般に、回帰アルゴリズム、分類アルゴリズム、決定木、ニューラルネットワークなどが含まれ得る。
【0044】
患者の情報を含む特定の入力セットに基づいてトレーニングされ、展開されると、MLモデルは、患者に固有の閾値距離を出力として生成又は予測することができる。特定の態様では、モデルトレーナは、患者と関連する入力のセットを取り、患者に固有の閾値距離を提供するように構成された多入力単出力(MISO)MLモデルをトレーニングする。MISO MLモデルをトレーニングするために、幾つかの実施形態では、モデルトレーナは、多数の患者の患者プロファイル115に基づいて生成されたラベル付きデータセットを利用し得る。データセットは、そのような実施形態では、例えば、特定の過去の患者の病歴及び人口統計学的情報、光学測定値、実際の治療データ並びに患者満足度情報をそれぞれ示す複数のサンプルを含む。
【0045】
例えば、そのようなデータセット内の各サンプルは、i)患者の病歴及び人口統計、光学測定値、実際の治療データ等の1つ又は複数を含む患者プロファイル115からの入力データ、ii)患者の測定値の検証に使用される閾値距離を含む出力データ、及び(iii)患者満足度情報を含む。MISO MLモデルをトレーニングするために、トレーナは、各サンプルをMISO MLモデルに通して、満足のいく手術結果に繋がる正確な測定値の識別に仮説的に繋がる閾値距離を予測する。モデルトレーナは、その後、得られた誤差(即ちY-YΛ)に基づいてMIMO MLモデルをトレーニングし、これは、MIMO MLモデルにより予測された閾値距離と、患者記録中に示されている、対応する患者に使用された閾値距離との間の差を指す。
【0046】
換言すれば、モデルトレーナは、予測される閾値距離と、満足のいく手術結果を示した患者の測定値の検証に使用される閾値距離との間の誤差(又はずれ)を最小化するように、MLモデルにおける重みを調整する。より多くのサンプルをMIMO MLモデルに通し、重みの調整を続けることにより、特定の時点以降、MIMO MLモデルは、誤り率の非常に低い極めて正確な予測を行うようになる。その時点で、MIMO MLモデルは、現在の患者に関する入力セットを取り入れ、現在の患者にとって満足のいく手術結果になる尤度を上げる最適な閾値距離を予測するように展開可能な状態となる。トレーニング済みMISOモデルは、現在の患者の測定値を検証するために、サーバ104又はプロセッサ124により使用されるように展開され得る。推奨された閾値距離は、次いで、データストア106内の患者プロファイル115に記憶することができる。
【0047】
幾つかの実施形態では、例えば、データストア106に記憶された測定基準は、更新され得ることに留意されたい。新しい患者固有又は非患者固有の測定基準が生成され、新しい測定基準としてデータストア106に記憶されるか又は既存の測定基準を置換することができる。
【0048】
特定の実施形態では、サーバ104は、測定デバイス102により生成された測定値の正確性を検証する。例えば、サーバ104は、測定デバイス102により生成され、ネットワーク150を経由してサーバ104に送信された測定値を、データストア106内の患者プロファイル115に記憶された測定基準と比較して、更に後述するように、測定値が正確であるか否かを判断する。
【0049】
特定の他の実施形態では、測定デバイス102のプロセッサ124は、測定デバイス102又はそのデバイス機構123により生成された測定値の正確性を検証する。例えば、プロセッサ124は、測定デバイス102により生成された測定値を、データストア106からネットワーク150を経由してプロセッサ124に送信された患者プロファイル115から取得された測定基準と比較する。
【0050】
以下の図2は、サーバ104が、例えば、図1の種々の構成要素を含むクラウドベースのシステムにおいて測定値の正確性を検証するシーケンス図を説明する。他方では、以下の図3は、プロセッサ124が、測定デバイス102により生成された測定値の正確性を検証するシーケンス図を説明する。
【0051】
図2は、本明細書に記載の態様による、患者の眼(例えば、患者の眼110)の解剖学的特徴の測定値を取得、検証及び処理するために、例えばクラウドベースのアーキテクチャにおいて、図1のシステム100の構成要素間で交換される通信又は構成要素による処理を示すシーケンス図200である。シーケンス図200及び対応する説明には、図1のシステム100の構成要素への参照が含まれるが、シーケンス図200のステップは、その例示的な実施形態に限定されず、構成要素の他の種々の組み合わせに適用することができる。更に、シーケンス図200は、図示されたステップの各々又はそれのみを実行しなくてはならないわけではなく、示されるステップを何れの特定の順序で実行することにも限定されない。
【0052】
シーケンス図200は、サーバ104、データストア106及び測定デバイス102間の対話を示す。シーケンス図200は、通信ステップ202で開始され、測定デバイス102は、例えば、ユーザ入力を通して患者識別データを受信する。患者識別データは、患者の氏名、識別子等を含み得、医師が測定デバイス102を用いて測定している眼110の患者を識別する。幾つかの実施形態では、医師は、例えば、ユーザインタフェース128を介して患者識別データを測定デバイス102に提供する。代替的に、ユーザインタフェース128とは別個の眼科診療120におけるユーザインタフェースは、患者識別データを受信し、それを測定デバイス102又はサーバ104に提供する。
【0053】
通信ステップ204では、測定デバイス102は、ステップ202で受信した患者識別データをサーバ104に通信する。
【0054】
通信ステップ206では、サーバ104は、ステップ202で受信した患者識別データを使用して、対応する患者のデータストア106における患者プロファイル115にアクセスする。代替的に、サーバ104は、患者識別データを使用して、対応する患者の患者プロファイル115を提供するようにデータストア106に問い合わせ得る。
【0055】
通信ステップ208では、データストア106は、サーバ104に、要求された患者プロファイル115及び対応する患者固有及び非患者固有測定基準を提供する。後述するように、サーバ104は、測定基準を使用して、ステップ212で測定デバイス102により生成された測定値の正確性を検証することができる。
【0056】
通信ステップ210では、サーバ104は、任意選択的に、患者プロファイル115を測定デバイス102に提供する。
【0057】
通信ステップ212では、測定デバイス102は、例えば、測定デバイス102のデバイス機構123を使用して、患者の眼の解剖学的特徴の測定値(例えば、眼の軸長、角膜の曲率等)を生成する。測定デバイスは、医師によるレビューのために測定値を(例えば、画像、値、3Dモデル等の携帯で)測定デバイス102等のユーザインタフェース128に表示することもでき、それにより医師が測定値に伴う任意の懸念事項を識別できるようにする。
【0058】
通信ステップ214では、測定デバイス102は、測定値をサーバ104に提供する。
【0059】
処理ステップ216では、サーバ104は、測定値の少なくとも1つを処理して、測定値が正確であるか又は不正確であるかを判断する。先に紹介したように、サーバ104は、測定値を測定基準と比較することに基づいて測定値の正確性を検証し得る。
【0060】
例えば、サーバ104は、ステップ214において、測定デバイス102から患者の眼の一方の軸長の測定値(第1の眼の測定値と呼ばれる)を受信する。サーバ104は、例えば、患者プロファイル115から、患者の他方の眼の軸長の以前取得された測定値(第2の又は他方の眼の測定値と呼ばれる)及び閾値距離を含む測定基準を受信することもできる。一例では、第2の眼の測定値は、ステップ212で測定デバイス102から受信される測定値の一部として取得され得ることに留意されたい。別の例では、第2の眼の測定値は、サーバ104がステップ208で患者プロファイルを受信するとき、サーバ104により取得される光学測定値117の一部として受信され得る。
【0061】
第1の眼の測定値を第2の眼の測定値と比較して、第1の眼の測定値が正確であるか又は不正確であるかを判断することは、サーバ104が第1の眼の測定値と第2の眼の測定値との間の差を計算することを含み得る。サーバ104は、次いで、差を閾値距離と比較する。第1の眼の測定値と第2の眼の測定値との間の差が閾値距離内である場合、サーバ104は、第1の眼の測定値を正確として識別し、差が閾値距離よりも大きい場合、サーバ104は、第1の眼の測定値を不正確として識別する。したがって、サーバ104は、第2の眼の測定値及び閾値距離を含む測定基準に基づいて、第1の眼の測定値の正確性を判断することが可能である。
【0062】
特定の実施形態では、サーバ104は、現在生成された測定値(即ちサーバ104により正確性が検証されている測定値)を同じ眼の以前に生成された測定値と比較し得る。例えば、右眼の軸長に対応する現在生成された測定値を、同じ眼の軸長に対応する以前に生成された測定値と比較して、差を計算し得る。サーバ104は、次いで、差を閾値距離と比較する。現在生成された測定値と、以前に生成された測定値との間の差が閾値距離内である場合、サーバ104は、現在生成された測定値を正確として識別し、差が閾値距離よりも大きい場合、サーバ104は、現在生成された測定値を不正確として識別する。
【0063】
特定の実施形態では、以前に生成された測定値は、以前の手術で患者に生成された測定値を含み得る。例えば、測定デバイス102は、白内障手術の準備として患者の眼の角膜曲率と関連する測定値を生成した術前測定デバイスであり得る。術前測定値が正確であるか否かを判断するために、サーバ104は、現在生成された測定値を患者の以前の手術前に生成された測定値と比較し得る。そのような比較は、以前の手術が眼の光学構成要素の測定値に影響を与えるタイプの手術ではない場合、術前測定値が正確であるか否かの良好な指示を提供し得る。しかしながら、レーザ支援in-situ角膜曲率形成(LASIK)手術のような場合、患者の眼の測定値は、手術により大きく影響を受け得る。そのような場合、サーバ104は、代わりに、現在生成された測定値を、患者のLASIK手術後に生成された測定値と比較し得る。
【0064】
特定の実施形態では、以前に生成された測定値は、測定デバイス102以外の測定デバイスにより患者に対して生成された術前測定値(同じクリニック及び同じ日であるが、異なる測定デバイス(例えば、別の製造業者等)を用いて生成された測定値)を含み得る。例えば、測定デバイス102は、白内障手術の準備として患者の眼の角膜曲率と関連する測定値を生成した術前測定デバイスであり得る。術前測定値が正確であるか否かを判断するために、サーバ104は、現在生成された測定値を、別の術前測定デバイスにより生成された測定値と比較し得る。
【0065】
特定の実施形態では、以前に生成された測定値は、同じ手術で生成された術前測定値を含み得る。例えば、測定デバイス102は、患者の眼の角膜曲率と関連する測定値を生成した術中測定デバイスであり得る。術中測定値が正確であるか否かを判断するために、サーバ104は、術中測定値(例えば、現在生成された測定値)を、クリニックにより提供される術前測定値(例えば、以前に生成された測定値)と比較し得る。
【0066】
特定の実施形態では、以前に生成された測定値は、測定デバイス102以外のデバイスにより生成された術中測定値を含み得る。例えば、測定デバイス102は、患者の眼の角膜曲率と関連する測定値を生成した術中測定デバイスであり得る。術中測定値が正確であるか否かを判断するために、サーバ104は、術中測定値(例えば、現在生成された測定値)を、例えば同じ日の同じ手術設備において別の術中測定デバイスにより提供された術中測定値(例えば、以前に生成された測定値)と比較し得る。
【0067】
上述したように、閾値距離(例えば、右眼と左眼との測定値間の比較に使用されるか又は現在生成された測定値と、以前に生成された測定値との比較に使用されるかを問わず)は、患者固有又は非患者固有であり得る。閾値距離が患者固有である一例では、サーバ104は、上述したように、(1)MLモデルを使用して、患者プロファイル115における患者自身の情報に基づいて患者固有の閾値距離を判断し得るか、又は(2)患者が何れの集団に入るかに基づいて閾値距離ライブラリを使用し得る。
【0068】
特定の実施形態では、サーバ104は、測定デバイス102からの現測定値を閾値距離と比較して、患者の眼110の現測定値が正確であるか否かを判断し得る。現測定値が閾値範囲内に入る場合、サーバ104は、現測定値が正確であると識別する。現測定値が閾値範囲に入らない場合、サーバ104は、現測定値が不正確であると識別する。一例として、人間の眼の軸長が一般に18mmから27mmの範囲に入る場合、60mm軸長測定値を示す測定値は、不正確な測定値を示し得る。幾つかの実施形態では、患者の眼間の対応する測定値の比較に基づいて正確性を検証することができる測定値の他の例には、とりわけ、前眼房深さ測定値、水晶体厚測定値及び角膜厚測定値がある。
【0069】
特定の実施形態では、更に後述するように、サーバ104は、異なる患者に対して測定デバイス102により生成され、対応する閾値範囲外にある複数の測定値のパターンを検出した場合、測定デバイス102が較正外であると判断し得る。そのような実施形態では、サーバ104は、(1)測定デバイス102に、測定デバイス102が較正外であることを示すプロンプトを自動的に表示させ得るか、(2)測定デバイス102を自動的に較正し得るか、(3)測定デバイス102を評価及び較正するように医師に自動的に通知し得るか、又は(4)測定デバイス102の動作を終了若しくは終了させ得る。
【0070】
先に紹介したように、サーバ104は、測定基準から個々の基準を特定の順序又は優先度で選択し得る。幾つかの実施形態では、サーバ104は、測定値を複数の測定基準と比較することにより、測定値の正確性を検証することを選択し得る。幾つかの実施形態では、サーバ104は、測定された解剖学的特徴に基づいて測定値の正確性を検証するにあたり使用する測定基準を選択し得、特定の解剖学的特徴の測定値は、正確性を検証するために特定の測定基準を採用する。
【0071】
ステップ216において、測定デバイス102により生成された測定値が不正確であるとサーバ104が判断した場合、通信ステップ218において、サーバ104は、測定値を不正確としてフラグ付けし、測定デバイス102が患者の眼を再測定することを要求し得る。幾つかの実施形態では、測定デバイス102は、例えば、ユーザインタフェース128を介して不正確な測定値及び再測定要求を医師に示す。幾つかの実施形態では、サーバ104は、測定デバイス102のユーザインタフェースに、不正確な測定値、不正確な測定値が不正確である程度(例えば、不正確な測定値と測定基準との間の差)、不正確な測定値の原因の識別に基づいて不正確な測定値を修正するために推奨される行動指針を表示させる。図示されていないが、医師は、測定デバイス102を用いて、患者の眼を再測定するか又は再測定要求をオーバーライドし得る。幾つかの実施形態では、測定値が不正確であると判断した後、サーバ104は、医師からのいかなる入力もなく自動的に測定デバイス102に患者の眼を再測定させ得ることに留意されたい。
【0072】
本明細書における特定の実施形態は、上述したように、患者の眼の軸長測定値の正確性の検証に関して説明されるが、本明細書に記載の実施形態は、患者の眼の他の測定値の正確性、例えば角膜曲率測定値(例えば、平均K)、前眼房深さ測定値、水晶体厚測定値、角膜厚測定値等の正確性の検証にも同様に適用可能であることに留意されたい。
【0073】
通信ステップ219では、先に紹介したように、サーバ104は、不正確な測定値及び対応するフラグを患者プロファイル115に記憶し得る。幾つかの実施形態では、サーバ104は、不正確な測定値と測定基準との間の差、不正確な測定値を修正するために推奨される行動指針等の情報を患者プロファイル115に記憶することもできる。
【0074】
ステップ216において、測定値が正確であるとサーバ104が判断した場合、次いで通信ステップ220において、サーバ104は、例えば、ユーザインタフェース128を介して、測定値が正確であることを医師に示す。通信ステップ221では、サーバ104は、次いで、将来アクセスするために、正確な測定値をデータストア106内の患者プロファイル115に記憶する。
【0075】
シーケンス図200では、サーバ104は、ステップ218及び219又はステップ220及び221の両方ではなく何れかを実行することに留意されたい。換言すれば、測定値が不正確である場合、ステップ218及び219が実行され得、測定値が正確である場合、ステップ220及び221が実行され得る。シーケンス図200に示されていないが、患者の眼の再測定及び再測定の結果として生成された測定値の正確性の検証は、ステップ212~216、218及び219又は220及び221を繰り返すことも含み得る。
【0076】
幾つかの実施形態では、サーバ104は、特定の眼科診療(眼科診療120等)における測定デバイス(測定デバイス102等)に関する情報を監視する。サーバ104は、そのような情報を監視し、そのような測定デバイスが測定値を不正確にさせるか否かを判断する。例えば、サーバ104は、不正確な測定値を識別すると随時、不正確な測定値を生成した測定デバイス102と関連するカウンタをインクリメントすることもできる。サーバ104は、カウンタにより示された値を閾値機器エラーと定期的に比較し得る。カウンタ値が閾値機器エラーを超えた場合、サーバ104は、その測定デバイス102に対して機器エラーフラグを生成し得る。機器エラーフラグは、そのような例では、不正確な測定値のパターンを示し、それにより測定デバイス102と関連する潜在的な技術的問題を示す。例えば、機器エラーフラグは、適切な動作を保証するために、上述したように、測定デバイス102が評価又は再較正されるべきであることを眼科診療120に対して示し得る。
【0077】
以下の図3は、測定デバイス102のプロセッサ124が、測定デバイス102により生成された測定値を検証するシーケンス図を説明する。シーケンス図300及び対応する説明には、図1のシステム100の構成要素への参照が含まれるが、シーケンス図300のステップは、その例示的な実施形態に限定されず、構成要素の他の種々の組み合わせに適用することができる。更に、シーケンス図300は、図示されたステップの各々又はそれのみを実行しなくてはならないわけではなく、示されるステップを何れの特定の順序で実行することにも限定されない。
【0078】
上述したように、シーケンス図200は、測定デバイス102により生成された測定値を取得及び検証するためのクラウドベースのサーバ104の動作を示す。他方では、シーケンス図300は、シーケンス図200と同様に、測定デバイス102のデバイス機構123により生成された測定値を取得及び検証するための測定デバイス102のプロセッサ124の動作を示す。シーケンス図300は、プロセッサ124、デバイス機構123並びに測定デバイス102及びデータストア106のユーザインタフェース128間の対話を示す。シーケンス図300は、図2のシーケンス図200に示される動作と同様の多くの動作を実行する。シーケンス図200及び300間の対応するステップは、対応する機能及び動作等を有する。したがって、シーケンス図200におけるステップに対応する、シーケンス図300におけるステップについては、簡潔にするために、対応する説明を繰り返さない。
【0079】
シーケンス図300では、通信ステップ302~310は、通信ステップ202~210に対応し、患者識別データは、ユーザインタフェース128により受信され、プロセッサ124に通信される。プロセッサ124は、データストア106から患者プロファイル115を要求、受信し、それから患者プロファイル115(少なくとも部分的に)をユーザインタフェース128に提供する。特定の実施形態では、プロセッサ124と測定デバイス102及びデータストア106との間の通信は、直接又は間接的に(例えば、サーバを通して)実行され得る。
【0080】
通信ステップ312では、プロセッサ124は、デバイス機構123が患者の眼110の解剖学的特徴の測定値を生成することを要求し得る。
【0081】
処理ステップ314では、デバイス機構123は、測定値を生成する。
【0082】
ステップ316~323は、シーケンス図200のステップ214~221に対応する。ステップ318において、幾つかの実施形態では、測定値が不正確であると判断した後、プロセッサ124は、医師からのいかなる入力もなく自動的にデバイス機構123に患者の眼を再測定させ得ることに留意されたい。
【0083】
眼科診療をランク付けするための通信フロー例
幾つかの実施形態では、データストア106は、例えば、地理的領域に従って複数の眼科診療から情報を集計する。データストア106は、データストア106に記憶された患者プロファイル115からデータを集計する。そのようなデータを集計することにより、サーバ104は、図4を参照して更に説明されるように、複数の眼科診療のランク情報又は推奨を生成することができる。
【0084】
図4は、複数の眼科診療から情報を集計し、それに基づいてランク情報を生成するために、例えば図1のシステム100の構成要素間で交換される通信又は構成要素により実行される処理を示すシーケンス図400である。ランク情報は、個々の眼科診療に提供される場合、眼科診療が測定及び処置、したがって患者結果を改善できるようにし得る。幾つかの実施形態では、流れ図400は、眼科診療の測定値、満足のいく手術結果及びランクを改善するための推奨又は示唆を低ランク眼科診療に提供する処理を含む。
【0085】
シーケンス図400及び対応する説明には、システム100の構成要素への参照が含まれるが、シーケンス図400のステップは、その例示的な実施形態に限定されず、構成要素の他の種々の組み合わせに適用することもできる。更に、シーケンス図400は、図示されたステップの各々又はそれのみを実行する必要があるわけではなく、示されるステップを図示の順序で実行することに限定されない。
【0086】
シーケンス図400は、示されるように、処理ステップ402で開始され、データストア106は、眼科診療120又はピア眼科診療130と相互作用した患者の患者プロファイル115を集計して、グローバルデータセットを作成する。幾つかの実施形態では、患者プロファイル115を集計することは、集計された患者プロファイルをフォーマット化することを含む。フォーマット化することは、患者プロファイルが同じフィールド(例えば、先に紹介したように、患者の病歴及び人口統計学的情報116、光学測定値117、患者の手術と関連する実際の治療データ118並びに対応する患者の患者満足度情報119)を含むことを保証することを含み得る。
【0087】
通信ステップ404では、データストア106は、グローバルデータセットをサーバ104に提供するか又はサーバ104にグローバルデータセットへのアクセスを提供する。
【0088】
処理ステップ406では、サーバ104は、グローバルデータセットを処理して、異なる眼科診療間でデータを比較して、眼科診療のランク情報を生成する。幾つかの実施形態では、サーバ104は、グローバルデータを分析し、患者の肯定的な屈折結果数に基づいて眼科診療をランク付け、肯定的な屈折結果は、患者満足度情報119に基づいて識別される。幾つかの実施形態では、個々の眼科診療のランクは、個々の眼科診療の品質スコアに対応又は品質スコアを表す。
【0089】
幾つかの場合、患者満足度情報119のみでは、眼科診療の品質に関する全体像を提供しないことがある。幾つかの実施形態では、サーバ104は、眼科診療をランク付ける際、患者満足度情報119と共に術前及び術中測定値の分析を組み込む。例えば、サーバ104は、満足した患者(例えば、肯定的な屈折結果を有する患者)が最高数であると共に、最高数の正確な術前及び術中測定値を用いて眼科診療をランク付けし得る。
【0090】
幾つかの実施形態では、サーバ104は、各診療の患者の左眼測定値と右眼測定値との間の差(例えば、軸長測定値、平均角膜曲率測定値等)に基づいて眼科診療をランク付けし得る。例えば、ランクは、以下の式に基づいて各診療に対して生成され得る。
ランク=(Σ(ALOD-ALOS)/AAL)+Σ(AKOD-AKOS)/AK))/NPP
【0091】
上記の式において、ALODは、患者nの左眼の軸長を指す。ALODは、患者nの右眼の軸長を指す。AALは、診療で測定された平均軸長を指す。AKODは、患者nの左眼の平均角膜曲率を指す。AKは、診療で測定された平均角質曲率を指す。NPPは、患者nの数を指す。
【0092】
幾つかの実施形態では、サーバ104は、眼科診療のランク及び光学測定値、実際の治療データ並びに眼科診療の対応する患者の患者満足度情報を分析して、眼科診療のランク、測定の正確性及び/又は患者満足度を改善するために推奨を生成し得る。
【0093】
例えば、サーバ104は、低ランクを有する特定の眼科診療からの患者の患者プロファイル115に基づいて、多くの不正確な測定値の原因が、一貫して不正確な測定値を提供し、再測定要求をオーバーライドする、眼科診療の特定の医師であると判断し得る。サーバ104は、特定の眼科診療と関連する患者プロファイル115を常時分析することに基づいて医師を識別し得る。例えば、分析に含まれる情報は、不正確な測定値の数、再測定要求のオーバーライド数、不良な結果を報告した患者数、不良な屈折結果の数(例えば、術後測定値により示される)等を含み得る。全ての患者のこの情報を分析し、これらのパラメータに基づいて眼科医療診療の異なる医師を比較することにより、サーバ104は、眼科診療の低ランクの原因が医師の不正確な測定であると判断することが可能である。
【0094】
特定の実施形態では、サーバ104は、特定の眼科診療からの患者の患者プロファイル115に基づいて、眼科診療の低ランクを招いた不正確な測定値が特定の測定デバイスと関連する技術的問題であると判断し得る。例えば、幾つかの実施形態では、測定デバイス102は、較正外であるか、壊れているか又は他の問題を有し得、不正確な測定を生じさせた可能性がある。例えば、サーバ104は、不正確な測定値の数、再測定要求のオーバーライド数、不良な結果を報告した患者数、不良な屈折結果の数(例えば、術後測定値により示される)及び他の情報を引き続き分析して、診療の不良な患者結果が特定の測定デバイスにより提供された不正確な測定値に起因すると判断し得る。
【0095】
幾つかの実施形態では、サーバ104は、低ランクの原因を正し、したがって眼科診療ランクを改善するために推奨を提供し得る。例えば、測定デバイス102が不正確な測定値の原因であるとサーバ104が判断する場合、サーバ104は、問題を是正するために再較正、交換又は他の動作を推奨し得る。同様に、医師が不正確な測定値の原因であるとサーバ104が判断する場合、サーバ104は、医師を識別し、訓練又は問題を是正するための他の動作を推奨し得る。
【0096】
幾つかの実施形態では、サーバ104は、患者固有の測定基準に基づいて且つ/又は不正確な測定値の識別された原因に基づいて、測定を改善するために測定デバイス102に提案されるデバイスパラメータ設定を識別する。幾つかの実施形態では、サーバ104は、提案された設定を低ランクの眼科診療に提供し、提案される設定は、より高いランクを有する眼科診療から取得される。
【0097】
通信ステップ408では、サーバ104は、識別されたランク情報、不良なランクの原因又は他の問題及び問題を是正するための推奨をデータストア106に提供する。幾つかの実施形態では、図示されていないが、サーバ104は、眼科診療120等の関連する眼科診療にこの情報を直接提供する。幾つかの実施形態では、サーバ104は、複数の眼科診療のランク情報をデータストア106に提供し、識別された原因及び/又は解決策を特定の影響を受ける眼科診療に別個の通信(図示せず)として別個に送信する。特定の実施形態では、サーバ104は、例えば、測定デバイス102で識別された問題を解決するための構成命令(例えば、ソフトウェアパッチ、ソフトウェア更新、較正命令等)を送信し得る。通信ステップ410は、この伝送の一例を示す。
【0098】
通信ステップ410では、サーバ104は、眼科診療120の測定デバイス102に構成命令を送信して自動的に再構成(例えば、測定デバイス102の設定を再較正、更新及び/又は変更)する。
【0099】
処理ステップ412では、測定デバイス102は、構成命令を受信及び実行し、それにより、測定デバイス102は、その構成を自動的に変更する。
【0100】
例示的な処理システム
図5は、測定デバイス102、サーバ104等の1つ又は複数を表し得る計算システム500の一実施形態の図である。具体的には、計算システム500は、シーケンス図200、300及び400並びに動作600の1つ又は複数に示された動作を実行するように構成され得る。
【0101】
図5は、システム500の構成要素が例えばシステムバス505を介して互いに電子通信する計算システム500を示す。バス505は、プロセッサ510を読取り専用メモリ(ROM)520、ランダムアクセスメモリ(RAM)525など(例えば、PROM、EPROM、FLASH-EPROM及び/又は任意の他のメモリチップ又はカートリッジ)の種々のメモリ構成要素に結合する。システム500は、プロセッサ510に接続された、近接した又は統合された高速メモリのキャッシュ512を更に含み得る。幾つかの実施形態では、システム500は、プロセッサ510による高速アクセスのために、キャッシュ512を介してROM520、RAM525及び/又は1つ又は複数の記憶デバイス530に記憶されたデータにアクセスし得る。
【0102】
幾つかの実施形態では、1つ又は複数の記憶デバイス530は、ソフトウェアモジュール532、534、536及び538等のソフトウェアモジュールを記憶する。プロセッサによって実行されると、ソフトウェアモジュール532、534、536及び538は、プロセッサ510に、本明細書に記載のプロセス等の種々の動作を実行させる。幾つかの実施形態では、ソフトウェアモジュール532、534、536又は538の1つ又は複数は、本明細書に記載のMLモデル又は他のアルゴリズムを含む。
【0103】
ソフトウェアモジュール532は、上述した測定基準を使用して測定値の正確性を検証するようにプロセッサ510をプログラムする命令(例えば、コンピュータ可読コードの形態で)を含む。ソフトウェアモジュール534は、上述したように、構成命令を使用して測定デバイスを再構成するようにプロセッサ510をプログラムする命令を含む。ソフトウェアモジュール536は、上述したように、眼科診療のランク情報を生成するようにプロセッサ510をプログラムする命令を含む。ソフトウェアモジュール538は、閾値距離等の患者固有の測定基準を決定する(例えば、MLモデル又はライブラリを使用して)ようにプロセッサ510をプログラムする命令を含む。
【0104】
システム500は、1つのプロセッサ510のみによって示されているが、プロセッサ510は、1つ又は複数の中央処理装置(CPU)、マルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、グラフィックス処理装置(GPU)及びテンソル処理装置(TPU)等を表し得る。幾つかの例では、システム500は、スタンドアロンサブシステムとして、コンピューティングデバイスに追加されたボードとして、仮想マシンとして又はクラウドベースの処理マシンとして実装され得る。
【0105】
システム500とのユーザ対話又はシステム間の通信を可能にするために、システム500は、通信インタフェース540及び入力/出力(I/O)デバイス545を含む。幾つかの例では、通信インタフェース540は、1つ又は複数のネットワーク又は通信バス規格に従って通信を提供するために、1つ又は複数のネットワークインタフェース、ネットワークインタフェースカードなどを含む。幾つかの例では、通信インタフェース540は、ネットワークを介してシステム500と通信するためのインタフェースを含む。幾つかの例では、I/Oデバイス545は、1つ又は複数のユーザインタフェースデバイス(例えば、グラフィカルユーザインタフェース(例えば、ユーザインタフェース128)、キーボード、ポインティング/選択デバイス(例えば、マウス、タッチパッド、スクロールホイール、トラックボール、タッチスクリーンなど)、オーディオデバイス(例えば、マイクロフォン及び/又はスピーカ)、センサ、アクチュエータ、ディスプレイデバイスなど)を含み得る。
【0106】
1つ又は複数の記憶デバイス530のそれぞれは、ハードディスク、光学媒体、ソリッドステートドライブなどによって提供されるもののような非一時的及び不揮発性記憶デバイスを含み得る。幾つかの例では、1つ又は複数の記憶デバイス530の各々は、システム500と同じ場所に配置される(例えば、ローカル記憶デバイス)か、又はシステム500から離れている(例えば、クラウドストレージデバイス)。
【0107】
図6は、本開示の実施形態による、複数の眼科診療から情報を集計し、眼科診療と関連する不良な屈折結果の1つ又は複数の原因を識別する一例の動作600を示す。例えば、動作600は、サーバ104等の図1のシステム100の1つ又は複数の構成要素により実行され得る。
【0108】
ブロック604では、患者プロファイル115等の複数の患者プロファイルが受信及び/又は集計される。集計された患者プロファイルは、先に紹介したグローバルデータとして記憶し得る。
【0109】
ブロック606では、集計された複数の患者プロファイルがフォーマット化される。
【0110】
ブロック608では、最低ランクの眼科診療は、複数の眼科診療の残りの眼科診療と比べて満足した患者又は結果の平均数が最低であることに基づいて識別される。
【0111】
ブロック610では、肯定的な結果の平均数が最低であることの原因が機器又は医師のエラーであると判断される。
【0112】
ブロック612では、システムは、機器又は医師のエラーが原因であることの指示を第1の眼科診療に提供する。
【0113】
追加的な考察
前述の説明は、当業者が本明細書に記載される種々の実施形態を実践することができるように提供されている。本明細書に記載される例は、特許請求の範囲に記載の範囲、適用性又は実施形態を限定するものではない。これらの実施形態に対する種々の修正形態は、当業者に容易に明らかであり、本明細書で定義する一般的な原理は、他の実施形態に適用され得る。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、議論された要素の機能及び配置に対する変更形態がなされ得る。種々の例では、必要に応じて、種々の手順又は構成要素を省略、置換又は追加し得る。例えば、記載された方法は、記載された順序と異なる順序で実行され得、種々のステップが追加、省略又は組み合わされ得る。加えて、幾つかの例に関して説明した機構は、他の幾つかの例で組み合わされ得る。例えば、本明細書で示される幾つの態様を用いて装置を実装し得るか又は方法を実施し得る。更に、本開示の範囲は、本明細書に記載の本開示の種々の態様に加えて又はそれ以外の他の構造、機能又は構造及び機能を使用して実施されるそのような装置又は方法を網羅することを意図する。本明細書で開示される本開示の何れの態様も、請求項の1つ又は複数の要素により具現化され得ると理解すべきである。
【0114】
本明細書で使用される場合、「例示」という語は、「例、事例又は実例として機能すること」を意味する。本明細書で「例示的」として記載される任意の態様は、必ずしも他の態様よりも好ましいか又は有利であると解釈されるべきではない。
【0115】
本明細書で使用される場合、項目のリスト「の少なくとも1つ」を指す語句は、単一の要素を含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。例として、「a、b又はcの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c及びa-b-c並びに複数の同じ要素の任意の組合せ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c並びにc-c-c又はa、b及びcの他の任意の順序)を網羅することが意図される。
【0116】
本明細書で使用される場合、「決定する」という用語は、多様な作用を包含する。例えば、「決定する」は、算出すること、計算すること、処理すること、導出すること、調査すること、検索すること(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造で検索すること)、確認することなどを含み得る。加えて、「決定する」は、受け取る(例えば、情報を受け取る)こと、アクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスする)ことなどを含み得る。「決定する」は、解明すること、選択すること、選定すること、定めることなども含み得る。
【0117】
本明細書に開示される方法は、方法を達成するための1つ又は複数のステップ又は作用を含む。方法ステップ及び/又は作用は、特許請求の範囲から逸脱することなく、相互交換可能であり得る。換言すれば、ステップ又は作用の具体的な順序の指定がない限り、具体的なステップ及び/又は作用の順序及び/又は使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく変更され得る。更に、上記の方法の種々の動作は、対応する機能を実行することができる任意の適切な手段によって実行され得る。これらの手段は、回路、特定用途向け集積回路(ASIC)又はプロセッサを含むが、これらに限定されない、種々のハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素及び/又はモジュールを含み得る。一般に、図に示されている操作がある場合、それらの操作には、同様の番号が付けられた対応する同等の手段及び機能の構成要素が含まれ得る。
【0118】
以下の特許請求の範囲は、本明細書に示す実施形態に限定されることを意図されず、特許請求の範囲の文言に一致する全範囲が認められるべきである。特許請求の範囲において、単数形での要素への言及は、具体的にそのような定めがない限り、「1つ及び1つのみ」を意味することを意図するものではなく、むしろ「1つ又は複数」を意味するものである。具体的に別段の定めがない限り、「幾つか」という用語は、1つ又は複数を指す。特許請求の範囲のいかなる要素も、要素が「~するための手段」という語句を使用して明示的に列挙されない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されるべきではないか、又は方法請求項の場合、要素は「~のためのステップ」という語句を使用して列挙される。当業者に知られているか又は後に知られることになる、本開示全体を通して記載された種々の態様の要素に対する全ての構造的及び機能的均等物は、本明細書に参照により明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。更に、本明細書に開示した何れのものも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているか否かにかかわらず、公衆に献呈されることを意図されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】