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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 40/35 20160101AFI20240711BHJP
   A23K 20/20 20160101ALI20240711BHJP
   A23K 50/10 20160101ALI20240711BHJP
【FI】
A23K40/35
A23K20/20
A23K50/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505559
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2022071462
(87)【国際公開番号】W WO2023007008
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】2111040.8
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521151359
【氏名又は名称】グラスポート バイオ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLASPORT BIO LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】オフラハーティ ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ソーン カミラ
(72)【発明者】
【氏名】リー チュイ サン
(72)【発明者】
【氏名】フリエル ルアイリ
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005BA01
2B005BA07
2B005BA09
2B150AA02
2B150AB01
2B150AB02
2B150AB03
2B150AE05
2B150AE26
2B150BC02
2B150BC03
2B150DH01
2B150DH13
2B150DH33
2B150DJ01
(57)【要約】
本発明は、概して、特に消化管における酸化還元電位を制御することにより、動物におけるメタン生成を低減させるための組成物及び方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の胃における酸化還元電位を増加させることにより前記動物からのメタン産生を低減させる方法であって、酸化剤を含む組成物を前記動物に経口投与することを含む方法。
【請求項2】
動物からのメタン産生を低減させるための方法であって、酸化剤を含む組成物を前記動物に経口投与することを含み、前記組成物は、胃の酸化還元電位を少なくとも約1時間の期間にわたって少なくとも約+100mV増加させる用量で前記動物に投与される、方法。
【請求項3】
動物に経口投与するためのボーラスの形態の組成物であって、
(i)酸化剤、
(ii)賦形剤、及び
(iii)コーティング
を含む組成物。
【請求項4】
ペレットの形態の組成物であって、
(i)尿素過酸化水素、又は過酸化マグネシウム、又はそれらの組合せ、
(ii)食物成分、及び
(iii)コーティング
を含む組成物。
【請求項5】
前記組成物は、ヨウ化物又はヨウ化物の供給源を実質的に含まない、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物は、ペルオキシダーゼ若しくはカタラーゼ、ペルオキシダーゼ産生生物、又は過酸化物の分解を触媒する非生物学的触媒を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法又は組成物。
【請求項7】
前記酸化剤は、酵素酸化剤系である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法又は組成物。
【請求項8】
前記動物は反芻動物である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記動物はウシである、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記動物は反芻動物であり、前記胃は第一胃である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記胃における食物の消化率を実質的に低減させない、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
飼料効率を増加させる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記胃を実質的に生物除去せずにメタン生成菌を阻害することによりメタンを低減させる、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記酸化剤は、酸素(O2)の供給源である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法又は組成物。
【請求項15】
前記酸素の供給源は過酸化物の供給源である、請求項14に記載の方法又は組成物。
【請求項16】
前記酸化剤は、過酸化水素、尿素過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化ナトリウム、過酸化リチウム、及び過酸化カルシウム、又はそれらの組合せから選択される酸素の供給源である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法又は組成物。
【請求項17】
前記酸化剤は、尿素過酸化水素である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法又は組成物。
【請求項18】
前記酸化剤は、過酸化カルシウムである、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法又は組成物。
【請求項19】
前記酸化剤は過酸化物産生細菌であり、任意に、前記過酸化物産生細菌は乳酸菌である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法又は組成物。
【請求項20】
経口投与前に前記組成物を食物に添加することを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
(i)給餌前に前記組成物を食物に振りかけるステップ、及び(ii)食物及び組成物の混合物を反芻動物に給餌するステップを含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物は食物成分を更に含み、任意に、前記食物成分は、トウモロコシ、大麦、大豆、及び/又は糖蜜を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法又は組成物。
【請求項23】
前記組成物は、ココナッツ油、ギルセリン、グリセロール、シリカヒドロゲル、ポリ(メチルメタクリレート)カプセル化、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、アルギネート、ポリ(ビニルピロリドン)PVP、硬質脂肪、エチルセルロース、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)、アクリル酸、ヒドロキシエチルメタンクリレート-オリゴ(ヒドロキシブチレート)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、メタクリルアミドキトサン、シアノアクリレート、アルギン酸ナトリウム、ポリイソブチレン、イソブチレンイソプレンコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリイソプレン、ポリエチレン、酢酸ビニル、又はそれらの組合せを含むコーティングを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の組成物又は方法。
【請求項24】
前記組成物は、ココナッツ油を含むコーティングを含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の組成物又は方法。
【請求項25】
前記組成物は、酸化鉄、酸化亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、水素化脂肪、又はそれらの組合せを含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物は、前記動物の胃における酸化還元電位を少なくとも約+100mV増加させる、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物の経口投与は、経口投与後少なくとも約1時間の期間にわたって、前記動物の胃における酸化還元電位を上昇させる、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物の経口投与は、前記胃において約-200mV~約-100mVの酸化還元電位を、少なくとも約1時間、誘導及び維持する、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物の経口投与は、前記胃のpHを10%よりも大きくは低減させない、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
追加の抗メタン生成剤を投与することを更に含む、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記追加の抗メタン生成剤は3-ニトロオキシプロパノールである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物の約0.01~約0.1質量%は前記酸化剤である、請求項1~31のいずれか1項に記載の組成物又は方法。
【請求項33】
前記組成物の約0.05質量%~約10質量%は前記酸化剤であり、好ましくは約0.1%~約5%、好ましくは約0.5%~約2.5%、好ましくは約1%~約2%である、請求項1~32のいずれか1項に記載の組成物又は方法。
【請求項34】
前記組成物の実質的に全ては前記酸化剤である、請求項1~33のいずれか1項に記載の組成物又は方法。
【請求項35】
使用される前記組成物は、請求項1~34のいずれか1項に記載の組成物である、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物からの温室効果ガス産生を低減するための組成物及び方法に関する。特に、本発明は、概して、動物の消化管における酸化還元電位を制御することにより動物からのメタン産生を低減するための新しい方法、及びそのような方法に有用な、酸化剤を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
農産業には、動物、例えば反芻動物、並びに特に牛肉及び乳製品産業のための畜牛の飼育から温室効果ガス、特にメタンが大量に産生されることに関して重大な懸念が存在する。こうした動物の第一胃に存在するメタン生成微生物(例えば、メタン生成古細菌)等のメタン生成菌は、摂取食物を分解してメタンを産生する。2006年国連食糧農業機関報告書によると、その大部分がウシである畜産部門は、輸送部門よりも18%多い温室効果ガス排出量(CO2換算で測定)を発生させている。
従って、農産業の二酸化炭素排出量を削減する必要性が存在する。
組成物及び動物のメタン産生を低減するための方法におけるそれらの使用は、当技術分野で、例えば国際公開第2020/074672号パンフレットにて公知であるが、そのような取り組みは、例えば、ヨウ化物を含む様々な組成物及び様々な方法に焦点を当てている。また、一部の以前の取り組みは、例えば、生物除去(defaunation)並びに/又は高濃度の過酸化物及び/若しくはヨウ化物の侵襲的手法に焦点を当てており、場合によっては、反応性種を生成するか又は反応性種に依存している。しかしながら、生物除去は、消化率に対して好ましくない否定的効果を及ぼす可能性がある(動物性能及び飼料効率に否定的影響を及ぼす可能性がある)。動物からの温室効果ガス産生を低減するための新しい組成物及び新しい方法が依然として必要とされている。
更に、農産業では一般に、汚染物質及び禁止物質の残留物はいずれも、食物連鎖に入る動物製品には存在しないか、又は消費者の健康に対する有害効果が生じ得ないレベルで存在することが有利である。これには、主要な食用種(例えば、ウシ、ヒツジ/ヤギ、ブタ、及び家禽)に由来する肉、肉製品、乳が挙げられる。例えば、有機塩素化合物、ブロモホルム、及び有機リン化合物等の化学残留物の場合、動物は、食用製品中のそのような汚染物質の残留レベルが消費者に健康リスクを引き起こす可能性のあるレベルを下回っている場合にのみ、食物製品に好適である。従って、種々の汚染物質に関する肉及び乳製品中の最大残留限度/レベル(MRL)は、例えば、EU法(例えば、指令96/23/EC)に基づき規制当局により規定されている。
例えば、メタン排出量を低減するために動物の飼料に海藻又は海藻抽出物を使用する場合の問題の1つは、有毒なブロモホルム残留物の存在である。また、海藻又は植物抽出物中の他の成分は、ヒト食物連鎖に入る動物製品の食物価値又は容認性に否定的効果を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
一部の食物成分は、MRLを有しないが、依然として考慮されなければならない。例えば、ヨウ素はヒトにとって必須の栄養素であるが、過剰なヨウ素摂取は否定的な健康への影響を及ぼす可能性があるという証拠が幾つか存在する。その結果、ヨウ素の1日食事摂取量ガイドラインが開発されている。ヒト食物連鎖に入る動物製品にとって、通常量の製品の摂取が1日摂取量ガイドラインを超えることになる程度までヨウ素レベルが上昇していないことが有利である。そのような成分が存在しないことを可能にする、動物からの温室効果ガス産生を低減するための新しい組成物及び新しい方法が依然として必要とされている。
【0004】
定義
「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」並びに「からなる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む(comprising)」組成物は、排他的にXからなっていてもよく、又は何か追加のもの、例えばX+Yを含んでもよい。「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」も包含し、例えば、Xを「含む(comprising)」組成物は、X、及び組成物の本質的な特徴に実質的に効果を及ぼさない他の任意の成分からなっていてもよい。代替的に又は加えて、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、例えば、成分の95%又はそれよりも多くを構成することを意味することができる。
「ORP」という用語は、従来手段により、例えばORP計を使用して測定することができる酸化還元電位を意味する。動物における例示的なアッセイ法については、下記を参照されたい。
「メタン生成」及び「メタン産生」という用語は同義的に使用され、本状況では両方とも、例えば微生物、例えば古細菌又は他の生物によるメタン(CH4)の生物学的産生を意味する。「メタン生成菌」という用語は、メタン(CH4)を産生する生物(例えば、メタン生成古細菌などの微生物)を指す。
「~の供給源」という用語は、例えば、化学的若しくは物理的な解離、溶解、及び/又は化学的若しくは生化学的分解(例えば、反芻動物の第一胃等の動物の消化管における)により、化学的実体(例えば、イオン又は過酸化物などの分子)を直接的又は間接的に提供/放出する物質又は組成物を意味することができる。例えば、過酸化水素、尿素過酸化水素、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、及びそれらの組合せは全て酸素の供給源であり、特に過酸化物の供給源である。また、「~の供給源」という用語は、物質自体を包含してもよく、例えば「Xの供給源」はそれ自体が「X」であってもよい。
「活性成分」という用語は、主に、生物学的効果(例えば、メタン低減)に関与する成分を意味する。一般に、この用語には、メタン低減効果を有しない(少なくとも主機能として)賦形剤、充填剤、及び食物等は含まれない。
【0005】
「ヨウ化物」という用語は、ヨウ化物イオン(I)を意味することができ、また、ヨウ化物イオンの供給源、例えばヨウ化物塩(例えば、KI)を意味することができる。
「生物除去」という用語は、生態系における個体数の低減又は動物相の排除、例えば、動物の胃、例えば第一胃に存在する微生物(例えば、原生動物)の個体数の実質的な低減又は排除を意味する。これは、通常、別の効果による二次的なわずかな低減ではなく、個体数の実質的な低減を指す。
「消化率」という用語は、動物の消化管に取り込まれた食糧のうち、体内に吸収されたものの、例えば質量による割合を意味する。消化率は従来手段により測定することができる。例えば、消化率は、動物が摂取した食糧と、代謝及び/又は吸収されずに排泄された食糧残渣との質量の差から計算することができる。
「酸化剤」という用語は、ORPを増加させるあらゆるもの(例えば、あらゆる化合物、組成物、又は生物学的系)を意味する。種々の酸化剤が当技術分野で公知である。
「酸素の供給源」という用語は、例えば、溶液中の過酸化物又は過酸化物イオンの分解により酸素を放出する化合物又は組成物を意味する。過酸化物又は過酸化物の供給源からの酸素の放出は、任意選択で、生物(例えば、酵母)、酵素(例えば、ペルオキシダーゼ又はカタラーゼ)、又は金属(例えば、鉄)により触媒することができる。種々の酸素の供給源が当技術分野で公知である。
【0006】
「過酸化物」という用語は、「過酸化物イオン」(O2 2-)を意味することができ、過酸化物イオンの供給源(例えば、過酸化水素、尿素過酸化水素、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過炭酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、過酸化リチウム、及びそれらの組合せ等)を意味することもできる。
「ニトレート」という用語は、硝酸イオン(NO3 -)を意味することができ、硝酸イオンの供給源、例えば硝酸塩(例えば、NaNO3)を意味することもできる。
「消化管」という用語は、本発明の状況では、通常、ほとんどのメタン産生が生じる消化管の単一の構成要素を意味する。これは、通常、胃(例えば、反芻動物の第一胃)であるが、一部の動物では大腸であってもよい。これは、消化器管の第一室であってもよい。「消化管」(及び「胃」及び「第一胃」)という用語は、本発明の状況では、通常、口も食道も含まない。例えば、ORPの増加が考察される場合、これは、胃及び/又は大腸及び/又は小腸における効果にのみ関する場合がある。本明細書全体を通して、好ましい実施形態は、記載の方法及び組成物であり、その場合、「消化管」という用語は、「胃」に置き換えられるか、又は「第一胃」という用語に置き換えられる。非反芻動物に関する一部の実施形態では、「胃」が「大腸」に置き換えられることを除いて、本方法は、本明細書に記載の通りである。最も好ましい実施形態では、本発明は、反芻動物の第一胃で作用するように構成されている。
【0007】
「ORPの上昇」及び「ORPの増加」という用語は同義的に使用され、以前よりも酸化的であるようにORPを高めることを意味する。正常レベルは、例えば、本発明の組成物の投与前の系(例えば、動物の消化管)にて、又は本発明の組成物の非存在下での参照系にて測定することができる。ORPの増加は、Ehが正常値と比べてより正の値へと増加することを意味する。更なる目標の増加については、本明細書に記載されている。
「Cmax」という用語は、通常、本状況では、動物の消化管又は消化管の特定の部分(例えば、反芻動物の第一胃、又は第一胃の特定の部分)で達成される、物質、化合物、イオン等の最大(又はピーク)濃度を意味し、Cmaxは、身体のその部分からの任意の流体(例えば、第一胃液)で測定することができる。
「消化率を低減させずに」という用語は、消化率の低減がないことを意味することができるが、例えば、消化率を実質的に低減させずに、消化率をわずかに低減させることも包含することができる。
一般に、本出願全体を通じて、「実質的に」という用語は、約25%以下、好ましくは約20%以下、好ましくは約15%以下、好ましくは約10%以下、最も好ましくは約5%以下の逸脱を意味することができる。例えば、「実質的に」という用語は、特定の値からの逸脱が約15%以下であることを意味することができる。
一般に、「約」という用語は、約25%以下、好ましくは約20%以下、好ましくは約15%以下、好ましくは約10%以下、最も好ましくは約5%以下の逸脱を意味することができる。例えば、「約」という用語は、特定の値からの逸脱が約15%以下であることを意味することができる。
「投与」は、通常、経口であり、動物に給餌すること、動物自身が摂食すること、及び一部の実施形態では、特定の剤形、例えばボーラスを投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】模擬第一胃モデルにおけるガス産生、特にメタン産生に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図2】模擬第一胃モデルにおけるメタン産生容積に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図3】模擬第一胃モデルにおいて産生されたガスの総容積に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図4】模擬第一胃モデルにおいて産生されたメタンの1日量に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図5】模擬第一胃モデルにおいて産生されたアンモニアの量に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図6】模擬第一胃モデルにおける第一胃液の酸性度に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図7】模擬第一胃モデルにおける乾物消化率に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図8】模擬第一胃モデルにおける、まぐさベース飼料の乾物消化率に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図9】模擬第一胃モデルにおける、飼料組成物の乾物消化率に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図10】模擬第一胃モデルにおける、飼料組成物及びまぐさベース飼料の平均乾物消化率に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図11】模擬第一胃モデルにおける、ガス産生、特にメタン産生に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図12】模擬第一胃モデルにおける、メタン産生容積に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図13】模擬第一胃モデルにおいて産生されたガスの総容積に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図14】模擬第一胃モデルにおいて産生されたメタンの1日量に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図15】模擬第一胃モデルにおける、第一胃液の酸性度に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図16】模擬第一胃モデルにおける、乾物消化率に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図17】模擬第一胃モデルにおける、まぐさベース飼料の乾物消化率に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図18】模擬第一胃モデルにおける、飼料組成物の乾物消化率に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図19】模擬第一胃モデルにおける、飼料組成物及びまぐさベース飼料の平均乾物消化率に対する様々な組成物の効果を示す図である。
図20】対照群、低用量CaO2群、及び高用量CaO2群での、ウシの第一胃における経時的なin vivo ORPレベルを示す。
図21】研究した畜牛で測定された第一胃ORPレベルを0から50時間までの時間の関数として示す図である。
図22】研究した畜牛で測定された第一胃ORPレベルを50から100時間までの時間の関数として示す図である。
図23】ORPに対する様々な酸化剤の効果を時間の関数として示す図である。 こうした図は、関連実験の詳細及び結果が考察されている本出願の実施例においてより詳細に説明されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の概要
本発明者らは、動物において消化率に実質的な否定的影響を及ぼさずにメタン産生を低減する新しい組成物及び新しい方法を発見した。特に、新しい組成物及び新しい方法は、消化管、例えば第一胃の著しい生物除去を行わずにメタン産生を低減させる。一部の原生動物は内部共生生物としてメタン生成古細菌を保持しており、一部のメタンはこうした古細菌により産生される。生物除去は、原生動物の個体数を低減することができる。しかしながら、驚くべきことに、原生動物は酸素を消費することが知られているにも関わらず、酸素供給及びORPを増加させることにより、メタン産生を減少させることができることを見出した。また、本発明の組成物及び方法は、メタン生成を阻害し、消化管においてメタン生成菌ではなく動物に対して摂取食物のより多くを利用可能にすることにより、動物の飼料効率を向上させることができる。
【0010】
一態様では、本発明は、動物の胃における酸化還元電位を増加させることにより動物からのメタン産生を低減させるための方法であって、酸化剤を含む組成物を動物に経口投与することを含む方法に関する。本発明者らは、酸化還元電位(ORP)を好ましい範囲内に維持することが、消化機能に否定的な影響を及ぼすことなくメタン産生を低減させるための全く新しい驚くほど効果的な手法であることを見出した。これまでの取り組みは、ORPを制御する意図を持たずに、生物除去及び/又は高濃度の過酸化物若しくは反応性種の生成などの侵襲的な手法に焦点を当てている。
更なる態様では、本発明は、動物からのメタン産生を低減させると共に、動物におけるアンモニア産生を増加させるための方法であって、酸化剤を含む組成物を動物に経口投与することを含み、酸化剤は尿素過酸化水素を含む、方法に関する。驚くべきことに、この方法は、反芻動物のメタン産生を低減させると同時に、アンモニア産生を促進することが発見された。特に、本発明者らは、酸化剤である尿素過酸化水素(UHP)が、動物からのメタン産生を低減させると共に、動物におけるアンモニア産生を増加させることに特に効果的であることを観察した。
更なる態様では、本発明は、動物からのメタン産生を低減させるための方法であって、酸化剤を含む組成物を動物に経口投与することを含み、組成物は、動物の胃の酸化還元電位を少なくとも1時間にわたって少なくとも+100mV増加させる用量で動物に投与される、方法に関する。本発明者らは、こうした用量が、本発明の方法(例えば、反芻動物におけるメタン産生を低減させるための)に特に効果的又は最適であり、こうした用量が、消化率に否定的な影響を及ぼさずにメタン産生を低減させることができることを発見した。
【0011】
更なる態様では、本発明は、動物に経口投与するためのボーラスの形態の組成物であって、(i)酸化剤、(ii)賦形剤、及び(iii)コーティングを含む組成物に関する。本発明者らは、驚くべきことに、こうした組成物を定期的に経口投与して、動物からのメタン産生の所望の低減(例えば、数日の期間にわたって反芻動物からのメタン産生を持続的に低減すること)を達成することができることを発見した。
更なる態様では、本発明は、(i)尿素過酸化水素又は過酸化マグネシウム又はそれらの組合せ、(ii)食物成分、及び(iii)コーティングを含む、ペレットの形態の組成物に関する。本発明者らは、コーティングが、使用前の環境要因及び/又は経口投与中の唾液から活性成分を保護することができ、酸化剤の放出を持続させることができることを発見した。
【0012】
詳細な説明
本出願は、複数のセクションに分けて書かれている。しかしながら、各セクションを単独で読むべきではない。別様の指定のない限り、各セクションは、他のセクションと組み合わせて読むべきであり、つまり、本出願全体を全体として捉えるべきである。これは、例えば、「組成物」セクションに記載の組成物は全て、「方法」セクションと組み合わせて読まれることが意図されていることを意味する(つまり、好ましい組成物は、そうした方法に好適であり、好ましい方法では、本明細書に記載の組成物が使用される)。また、種々の任意選択で好ましい特徴は、本明細書の異なる部分から抜き出した場合であっても、組み合わせることができる。同様に、全ての「態様」及び「実施形態」は組み合わせることができる。明示的な記載のない限り、実施形態を分離することは意図されていない。
本発明は、概して、ORPを増加させるための方法を提供する。特に、本発明の方法は、動物の消化管における、例えば胃における、例えば反芻動物の第一胃においてORPを上昇させることを含んでもよい。これは、通常、酸化剤を使用して達成される。例えば、本発明は、消化管における酸素供給を増加させてORPを増加させ、所望のORP範囲を達成するための方法を提供する。本発明の方法は、動物からのメタン産生を低減させる。
【0013】
本発明の方法は、概して、動物(例えば、反芻動物)の消化管に存在するメタン生成菌を阻害すること、及び特に、メタン生成菌(例えば、反芻動物の第一胃内に存在するメタン生成菌)のメタン生成活性(つまり、メタン産生)を阻害することを含んでいてもよい。理論に束縛されることは望まないが、動物の消化管におけるORPを上昇させること、特にORPを所望の範囲内に上昇させることは、例えば、メタン生成代謝経路を不利にすることによりメタン生成菌を阻害することができる(つまり、微生物のメタン生成活性を阻害することができる)。一部の実施形態では、メタン生成菌は、メタン生成古細菌である。
本発明の方法は、通常、非治療的である。従って、本発明の方法は、疾患の予防的又は治療的処置を主要な目的とするものではない(ただし、本発明は、メタン産生を低減させるという所望の効果に伴う有益な健康効果を排除するものではない)。
【0014】
ORPレベル:
メタン生成には、通常、約-200mV又はそれよりも低いORP又は酸化還元が必要である。第一胃の正常な平均ORPは、約-100mVを大きく下回っており、例えば、乳牛の場合、平均第一胃ORPは約-200mVであり得る。従ってメタン生成は、特に、例えば食後の期間にORPが一過性に変動してより低くなる際に生じる。本発明の方法は、平均ORPを増加させることができ、従って、ORPのメタン生成レベルに到達する変動の頻度を低減させる(従って、メタン生成を低減させる)ことができる。また、本発明の方法は、食後の期間におけるメタン生成レベルの変動を低減させることができる。
ORPの増加は、一般に、平均ORPが自然に生じるレベルを上回って(例えば、反芻動物では、約-200mVを上回って)増加することを意味する。この増加は、望ましくは、消化率に否定的効果を示すほど高過ぎないものである必要がある。例えば、ベースラインを超える約+500mVの閾値を上回る持続的な(例えば、少なくとも1時間の)増加を避けることが望ましい場合がある。しかしながら、この閾値を上回る一過性の増加は許容することができる。
一過性の増加は、短期間、例えば約1時間未満、好ましくは約30分間未満、好ましくは約15分間未満しか続かない。
【0015】
本発明は、ORPを、ベースラインよりも少なくとも約+10mV、少なくとも約+50mV、少なくとも約+100mV、少なくとも約+150mV、少なくとも約+200mV、少なくとも約+250mV、及び/又は少なくとも約+300mV上回って上昇させることができる。例えば、本発明は、動物の消化管(例えば、反芻動物の第一胃)におけるORPを少なくとも約+100mV(例えば、ベースラインの約-200mVから投与後の約-100mVまで)上昇させることができる。
一部の実施形態では、本発明は、動物の消化管(例えば、反芻動物の第一胃)におけるORPを特定の電位を上回るように上昇させる。特に、本発明は、ORPを、少なくとも約-200mV、少なくとも約-150mV、少なくとも約-100mV、少なくとも約-50mV、少なくとも約0mV、少なくとも約50mV、及び/又は少なくとも約100mVへと増加させることができる。例えば、本発明は、好ましくは、動物の消化管(例えば、反芻動物の第一胃)におけるORPを少なくとも約-100mVへと増加させることができる。
【0016】
好ましい実施形態では、本発明は、ORPを、持続期間にわたって特定の所望の範囲内へと増加させることにより、消化管におけるORPを制御する。特に、本発明は、消化管における平均ORPを、一定期間にわたって、約-200mV~約+250mV、好ましくは約-200mV~約+200mV、好ましくは約-200mV~約+150mV、好ましくは約-150mV~約+150mV、好ましくは約-100mV~約+150mV、好ましくは約-100mV~約+100mV、好ましくは約-100mV~約+50mV、好ましくは約-100mV~約0mVの範囲へと増加させることができる。例えば、本発明は、好ましくは、一定期間にわたって、ORPを約-100mV~約+150mVの範囲へと増加させることにより、消化管におけるORPを制御することができる。この期間は、本明細書の他所に記載されており、通常は持続性であり、例えば、数時間、数日、又は更に数週間に及ぶ場合がある。
【0017】
更に好ましい実施形態では、本発明は、消化管における平均ORPを0mVを上回らない範囲へと増加させることができる。例えば、一部の実施形態では、本発明は、消化管における平均ORPを、一定期間にわたって、約-300mV~約0mV、好ましくは約-250mV~約0mV、好ましくは約-200mV~約0mV、好ましくは約-150mV~約0mV、好ましくは約-100mV~約0mV、好ましくは約-50mV~約0mV、好ましくは約-100mV~約+50mV、好ましくは約-100mV~約0mVの範囲へと増加させる。一部の実施形態では、本発明は、消化管における平均ORPを、一定期間にわたって、約-300mV~約-50mV、好ましくは約-250mV~約-50mV、好ましくは約-200mV~約-50mV、好ましくは約-150mV~約-50mV、好ましくは約-100mV~約-50mV、好ましくは約-50mV~約-50mV、好ましくは約-100mV~約+50mV、好ましくは約-100mV~約-50mVの範囲へと増加させる。一部の実施形態では、本発明は、消化管における平均ORPを、一定期間にわたって、約-300mV~約-100mV、好ましくは約-250mV~約-100mV、好ましくは約-200mV~約-100mV、好ましくは約-150mV~約-100mVの範囲へと増加させる。一例として、本発明は、少なくとも1時間にわたって、消化管における平均ORPを、約-200mV~約-100mVの範囲へと増加させることができる。この期間は、本明細書の他所に記載されており、通常は持続性であり、例えば、数時間、数日、又は更に数週間に及ぶ場合がある。
【0018】
一部の実施形態では、反芻動物の第一胃における平均ORP又はベースラインORPは、約-500mV~約-200mVであり得る。例えば、乳牛又は肉牛の第一胃における平均ORP又はベースラインORPは、約-500mV~約-200mVであり得る。しかしながら、一部の実施形態では、平均ORP又はベースラインORPは、例えば、反芻動物の特定の種及び/若しくは品種、並びに/又は反芻動物の食餌に応じて様々であり得る。第一胃におけるORPは、例えばORP計を使用する等、従来手段により測定することができる。動物における例示的なアッセイ法については下記を参照されたい。
【0019】
使用中のORPプロファイル:
本発明の方法及び組成物は、概して、消化管におけるORPを持続的期間にわたって上昇させることが可能である。例えば、その期間は、少なくとも約1時間、好ましくは少なくとも約2時間、好ましくは少なくとも約3時間、好ましくは少なくとも約4時間、好ましくは少なくとも約5時間、好ましくは少なくとも約6時間、好ましくは少なくとも約12時間であってもよい。例えば、その期間は、少なくとも約1時間であってもよい。一部の実施形態では、その期間は更により長く、例えば、少なくとも約1日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、又は少なくとも約1か月である。例えば、その期間は、少なくとも約1週間であってもよい。より長い期間は、特に、コーティングされた組成物又はボーラス組成物を使用すると適用可能である。例えば、期間がより長いと、毎日の給餌の必要性が回避されるという利点がある。
特に組成物を食物と同時に与える場合、少なくとも約2時間にわたってORPを増加させることが好ましいことが多い。なぜならば、これは、1日の中でメタン生成が最も高くなる期間(つまり、給餌後2時間)と一致する可能性があるためである。
一部の実施形態では、本発明は、動物の消化管(例えば、反芻動物の第一胃)において所望のORP範囲を、持続期間(例えば、少なくとも約1時間、好ましくは少なくとも約2時間)にわたって維持する。特に、本発明は、ORPを、約-200mV~約+300mV、約-200mV~約+250mV、約-200mV~約+200mV、約-200mV~約+150mV、約-150mV~約+150mV、約-100mV~約+150mV、約-100mV~約+50mV、及び/又は約-100mV~約0mV、好ましくは約-100mV~約+150mVの範囲に維持することができる。例えば、本発明は、動物の消化管(例えば、反芻動物の第一胃)におけるORP範囲を持続期間(例えば、少なくとも1時間)にわたって約-100mV~約+150mVの範囲に維持することができる。
【0020】
ORPを、一定期間にわたって、例えば少なくとも約1時間にわたって、最大ORP+/-約100mVの窓内に維持することができる。
動物の消化管におけるORPは、通常、投与後一定期間にわたって上昇する。通常は、少なくとも+100mV上昇する。これは、通常、少なくとも約1時間、好ましくは少なくとも約2時間、好ましくは少なくとも約3時間にわたってである。例えば、ORPを、少なくとも約2時間にわたって、少なくとも約+100mV上昇させることができる。ORPを、消化管の特定の構成要素、例えば、消化管の主要胃構成要素、例えば、反芻動物の第一胃において上昇させることができる。増加は、単一の時点で測定してもよく、又は一定期間にわたって測定して、例えば平均を取ってもよい。これは、従来手段、例えば、実施例3に記載の方法により測定することができる。
【0021】
一部の実施形態では、本発明は、動物の消化管における好ましいORPプロファイルを提供する。本発明は、ORPを、約+50mV(初期ORPからピークORPまで)増加させることができ、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+50mV上昇したままであってもよい。好ましくは、本発明は、ORPを、約+100mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+100mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+150mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+150mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+200mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+200mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+250mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+250mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+300mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+300mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+350mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+350mV上昇したままである。例えば、本発明は、ORP(例えば、反芻動物の第一胃における)を約+100mV(初期ORPからピークORPまで)増加させることができ、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+100mV上昇したままであってもよい。
【0022】
一部の実施形態では、本発明は、メタン産生の低減に好適である、動物の消化管におけるORPプロファイルを提供する。本発明は、ORPを、約+50mV(初期ORPからピークORPまで)増加させることができ、ORPは、少なくとも約2時間の初期期間にわたって約+50mV上昇したままであってもよい。好ましくは、本発明は、ORPを、約+100mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約2時間の初期期間にわたって約+100mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+150mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約2時間の初期期間にわたって約+150mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+200mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約2時間の初期期間にわたって約+200mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+250mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約2時間の初期期間にわたって約+250mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+300mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約2時間の初期期間にわたって約+300mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+350mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約2時間の初期期間にわたって約+350mV上昇したままである。例えば、本発明は、ORP(例えば、反芻動物の第一胃における)を、約+100mV(初期ORPからピークORPまで)増加させることができ、ORPは、少なくとも約2時間の初期期間にわたって約+100mV上昇したままであってもよい。
【0023】
一部の実施形態では、本発明は、動物の消化管における好ましいORPプロファイルを提供する。本発明は、ORPを、約+50mV(初期ORPからピークORPまで)増加させることができ、ORPは、少なくとも約3時間の初期期間にわたって約+50mV上昇したままであってもよい。好ましくは、本発明は、ORPを、約+100mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約3時間の初期期間にわたって約+100mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+150mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約3時間の初期期間にわたって約+150mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+200mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約3時間の初期期間にわたって約+200mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+250mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約3時間の初期期間にわたって約+250mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+300mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約3時間の初期期間にわたって約+300mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+350mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約3時間の初期期間にわたって約+350mV上昇したままである。例えば、本発明は、ORP(例えば、反芻動物の第一胃における)を約+100mV(初期ORPからピークORPまで)増加させることができ、ORPは、少なくとも約3時間の初期期間にわたって約+100mV上昇したままであってもよい。
【0024】
一部の実施形態では、ORPの増加は過剰ではない。幾つかの理由で、例えば、生物除去効果の低減、及び好気的環境(他のガス、例えばCO2が形成され得る環境)の低減のため、ORPの過剰な増加を回避することが有利であり得る。
例えば、約+500mVを超えるORPの増加を回避することができる(例えば、ピークORPを平均ベースラインORPと比較して)。代替的に、約+400mVを超えるORPの増加を回避することができる。代替的に、約+300mVを超えるORPの増加を回避することができる。代替的に、約+200mVを超えるORPの増加を回避することができる。代替的に、約+150mVを超えるORPの増加を回避することができる。一部の実施形態では、こうした閾値を超える増加は一過性に過ぎない。
代替的に又は加えて、経時的なORP曲線の傾き(「dORP/dT」)は、投与後の期間では急峻ではなくてもよい。例えば、dORP/dTは、投与後約1時間にわたって約+500mV/時を下回ってもよい。
ORPの過剰な増加は、制御された様式で酸化をもたらすことが多い酸化剤の性質により回避することができる。代替的に又は加えて、組成物からの酸化剤の放出緩徐は、例えば、コーティングされていない組成物と比べてコーティングが放出を緩徐させるコーティングされた組成物を使用して製剤化することにより達成することができる。
【0025】
好ましい実施形態では、本発明は、消化管(例えば、反芻動物の第一胃)に好気性環境(例えば、約0mV又はそれよりも正のORPを有する環境)を持続期間にわっては生じさせない。しかしながら、一部の実施形態では、一過性の好気性環境を許容することができる。従って、本発明は、一部の実施形態では、平均で約+300mVを上回る持続的なORP増加を回避することができる(例えば、少なくとも1時間にわたって)。好ましくは、平均で約+200mVを上回る持続的なORP増加を回避することができる。好ましくは、平均で約+150mVを上回る持続的なORP増加を回避することができる。好ましくは、平均で約+100mVを上回る持続的なORP増加を回避することができる。好ましくは、平均で約+50mVを上回る持続的なORP増加を回避することができる。好ましくは、平均で約0mVを上回る持続的なORP増加を回避することができる。例えば、平均で約0mVを上回る持続的な(例えば少なくとも1時間の)ORP増加を回避することができる。
【0026】
一部の実施形態では、本方法は、組成物の投与後に過酸化物イオンのピーク濃度が高くなることを回避する。例えば、組成物の投与後の消化管の過酸化物のCmaxは約10mMを下回ってもよい。これは、コーティングを含む組成物を投与することにより達成することができる。そのような組成物は、一定期間にわたって過酸化物イオン増加の制御をもたらすことができる。これにより、有益なことであるが、あらゆる放出された過酸化物(又は他の酸化剤)がその放出と同様の速度で消費されることを可能にすることができる。この効果は継続させることができ、消化率に否定的な影響を及ぼさずに、動物からのメタン産生の持続的低減を可能にすることができる。
【0027】
動物におけるORP測定は、経口投与により第一胃に加えられるボーラス中の保護されたリモートORP電極を使用することにより便利に行うことができ、リモートORP電極はデータをリモートデータロガーに送信することができる。例えば、実施例3には、使用することができる例示的なアッセイが提供されている。
代替的には、従来の経口真空試料採取装置を使用して口から胃液(例えば、第一胃液)試料を採取し、次いで従来のORPプローブ及びORP計でORPを測定することによりORPを測定することができる。
【0028】
代替的には、ORP計及びORPプローブをフィステルを介して胃(例えば、第一胃)に直接挿入してもよい。
組成物の用量は、特定のORP変化(例えば、第一胃ORPの+100mV増加)が達成されるまで、それに応じて調整することができる。
引用されているORPの数値及び限界は、通常、実施例1のRUSITEC系等のin vitroモデルにおける数値が参照されている(動物において達成されるORPであると記載されている場合あっても)。例えば、動物の第一胃にて約+100mVのORP増加をもたらすと言われている方法は、RUSITECモデルで約+100mVの増加が観察された場合、この要件を満たしていると言うことができる。ウシ以外の動物の場合、このモデルをそれに応じて適合させることができる。例えば、温度、唾液、消化物を調整して、他の動物の消化管をモデル化することができる。加えて又は代替的に、当技術分野では、ブタの大腸内容物又は他の単胃内容物を複製する従来のバイオリアクターが公知である。代替的に、数値測定は、従来方法における対象間のばらつきを低減させるために、この場合も動物のグループ(例えば、8匹の動物)から平均を取る、in vivo研究からの平均を参照することができる。
【0029】
使用中のORPプロファイルの任意選択の相
一部の実施形態では、本発明の組成物を反芻動物に投与する場合、第一胃のORPプロファイルは、2つの相:第1の相(「修正相」)及び第2の相(「維持相」)を含む。
修正相では、ORPを、本発明の組成物の投与後に増加させることができる。この相では、投与間に、ORPがベースライン値(例えば、未処置の対照反芻動物で測定して、例えば約-500mV~約-200mV、特に肉牛では約-425mV)を下回る一時的な期間があってもよく、例えば、これは、反芻動物に対する本発明の組成物の投与間の間隔(例えば、反芻動物に対する本発明の組成物の給餌間の間隔)で生じる可能性がある。
維持相(修正相の直後であってもよい)では、ORPは、投与間のベースライン値を実質的に下回ることがもはや無くなってもよい(例えば、ORPは、ベースライン値を約100mvよりも大きく下回らない)。
【0030】
ORPベースライン値は、例えば、反芻動物の特定の種及び/若しくは品種、並びに/又は反芻動物の食餌に応じて様々であり得る。第一胃におけるORPは、例えばORP計を使用する等、従来手段により測定することができる。動物における例示的なアッセイ法については下記を参照されたい。
ベースラインを下回るORPの一時的な低下(例えば、修正相における)が観察される場合があるが、本発明は依然として、投与後の最初からORPの増加をもたらし、あらゆる一時的な低下を、時間の経過と共に、及び給餌サイクルを反復すると共に低減させることができるか又は完全に収束させることができる(例えば、維持相において)。本発明は、メタン生成活性の低減が達成される程度にまで、ORPの全体的な増加を提供する。
一部の実施形態では、本明細書にわたって他所で説明されているORPに対する効果は、修正相で達成することができる。一部の好ましい実施形態では、本明細書にわたって他所で説明されているORPに対する効果は、維持相で達成することができる。一部の好ましい実施形態では、本明細書にわたって他所で説明されているORPに対する効果は、修正相及び維持相の両方で達成することができる。
【0031】
一部の好ましい実施形態では、組成物が実質的に定期的な間隔で反芻動物に投与される場合、修正相は、反芻動物に対する本発明の組成物の最初の投与から約350時間未満にわたって継続する。より好ましくは、修正相は、反芻動物に対する本発明の組成物の最初の投与から約300時間未満にわたって継続する。特に好ましい実施形態では、修正相は、反芻動物に対する本発明の組成物の最初の投与から約275時間未満にわたって継続する。最も好ましくは、修正相は、反芻動物に対する本発明の組成物の最初の投与から約250時間未満にわたって継続する。これは、例えば、本発明の組成物が約24時間毎に1回の頻度で投与される場合に達成することができる。
一部の好ましい実施形態では、組成物が実質的に定期的な間隔で反芻動物に投与される場合、修正相は、反芻動物に対する本発明の組成物の最初の投与から、その反芻動物に対する本発明の組成物の14回目の投与までよりも短い期間(例えば、14日間よりも短い期間)しか継続しなくてもよい。より好ましくは、修正相は、反芻動物に対する本発明の組成物の最初の投与から、その反芻動物に対する本発明の組成物の12回目の投与までよりも短い期間(例えば、12日間よりも短い期間)しか継続しなくてもよい。より好ましくは、修正相は、反芻動物に対する本発明の組成物の最初の投与から、その反芻動物に対する本発明の組成物の10回目の投与までよりも短い期間(例えば、10日間よりも短い期間)しか継続しなくてもよい。
【0032】
好ましい実施形態では、維持相は修正相の後に続く(上記に記載のように)。好ましくは、維持相の間、処置した反芻動物の第一胃におけるORPは、ベースライン値(未処置対照動物で測定して、例えば約-500mV~約-200mV、特に肉牛では約-425mV)を約150mVよりも大きく下回って低下しない。より好ましくは、処置した動物の第一胃におけるORPは、ベースライン値(未処置対照動物で測定して、例えば約-500mV~約-200mV、特に肉牛では約-425mV)を約100mVよりも大きく下回って低下しない。より好ましくは、処置した動物の第一胃におけるORPは、ベースライン値(未処置対照動物で測定して、例えば約-500mV~約-200mV、特に肉牛では約-425mV)を約50mVよりも大きく下回って低下しない。最も好ましくは、処置した動物の第一胃におけるORPは、ベースライン値(未処置対照動物で測定して、例えば約-500mV~約-200mV、特に肉牛では約-425mV)を実質的に下回って低下しない。しかしながら、一部の実施形態では、維持相の間、上述の好ましい許容値(例えば約100mV)を超えてベースラインを下回る一過性(例えば1時間の期間未満の)低下も許容することができる。維持相及び修正相の状況では、「XmVよりも大きくベースライン値を下回って低下しない」という語句は、一般に、ORPが、XmVよりも大きくベースライン値よりもマイナスにならないことを意味する。
【0033】
メタン低減:
本発明は、動物からのメタン産生を低減させる方法を提供する。好ましい実施形態では、本発明の方法は、動物から産生されるメタンの容積を、少なくとも約5%、より好ましくは少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約35%、より好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約45%、より好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約55%低減する。例えば、低減は、少なくとも約40%であってもよい。
【0034】
アンモニア産生:
一態様では、本発明は、動物におけるアンモニア産生を増加させるための方法を提供する。アンモニア産生を増加させるそのような方法では、一般に、尿素含有酸化剤が使用される。
本発明は、動物におけるアンモニア産生を増加させつつ、動物からのメタン産生を低減させるための方法であって、酸化剤を含む組成物を動物に経口投与することを含み、酸化剤は尿素過酸化水素を含む、方法を提供する。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、動物におけるアンモニア産生の少なくとも約5%、より好ましくは少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約35%、より好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約45%、より好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約55%、より好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約100%の増加に結び付く。例えば、増加は、少なくとも約40%であってもよい。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、反芻動物からのメタン産生を低減させ、また動物におけるアンモニア産生を増加させる。
【0035】
投与
本発明の方法は、通常は、組成物の経口投与を含む。組成物は、動物の食餌に対する栄養補助剤として(例えば、飼料添加物として)食物と共に投与してもよく、又は動物に食物とは別に組成物を投与するボーラスとして投与してもよく、又は組成物自体が動物食物製品であってもよい。
組成物がボーラスである場合、本発明の方法は、組成物を経口投与するステップを含む。組成物が食物添加剤である場合、本発明の方法は、(i)組成物を食物に添加するステップ、及び(ii)食物を経口投与するステップを含む。
組成物が動物飼料の形態である場合、本発明の方法における投与は、動物に給餌するステップを含む(これには、動物自らに摂食させる等の任意の通常の給餌技法が包含される)。
一部の実施形態では、本発明の方法は、医薬の投与と同様に組成物(例えば、ボーラス)を投与することを含む。場合によっては、動物の食餌は、本発明の組成物を含む飼料からなる(又はから本質的になる)。場合によっては、動物の食餌は、本発明の組成物からなる(又はから本質的になる)。一部の実施形態では、投与ステップは、動物に給餌することである。
一部の実施形態では、動物の食餌は、放牧及び給餌の組合せからなり、本発明の組成物及び方法は、給餌中に投与される。
【0036】
一部の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、実質的に定期的な間隔で投与される。例えば、その後の組成物の投与間の間隔は、約24時間であってもよい。
一部の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、1日1回投与される。一部のそのような実施形態では、毎日投与する場合、その後の組成物の投与間の間隔は約24時間であってもよい。
一部の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、1日1回よりも高頻度で投与される。一部の特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、1日当たり少なくとも2回投与される。好ましくは、本発明の組成物は1日2回投与される。本明細書に記載の実施例に基づき、本発明の添加物を1日1回ではなく1日2回動物に投与することは、メタン生成の低減及び動物性能の向上という関連付けられる利点と共に、ORPプロファイルの向上をもたらすことができることが予想される。
【0037】
用量及び使用時の量:
用量は、動物に与える飼料の量に基づいて調整することができる。例えば、動物に経口投与する組成物の量を制御するために、飼料1kg当たりの特定量の組成物を添加してもよい。従って、一部の実施形態では、本方法は、(i)組成物を食物と混合するステップ、及び(ii)食物及び組成物を動物に経口投与するステップを含む。組成物自体が食物を含んでいてもよい。一部の実施形態では、組成物は動物の食餌の一部を形成する。一部の実施形態では、組成物は、動物の食餌全体を構成するのに十分な食物を含む。
本発明の方法は、本発明の組成物を特定の投薬量で動物に経口投与することを含んでいてもよく、投薬量は、動物の消化管(例えば、反芻動物の第一胃)におけるORPに特定の変化をもたらすように調整される。本発明の一態様は、用量を決定するための方法であって、組成物を投与すること、ORPに対する効果を測定すること、及び所望のORPを達成するように組成物の用量を調整することを含む方法である。本明細書に記載のように、消化管(例えば胃、例えば第一胃)におけるORPは、ORP電極及びORP計の使用などの従来手段により測定することができる。
本発明の組成物は、動物の食餌中の総乾物摂取量に応じて用量決定することができる。有利には、動物の乾物摂取量に応じた用量決定では、組成物が投与される動物の年齢、種、及び/又は活動による食餌の変動が考慮される。好ましい実施形態では、酸化剤の用量は、動物の乾物摂取量の約0.01%~約5%、好ましくは約0.05%~約4%、好ましくは約0.1%~約3%、好ましくは約0.1%~約2%である。例えば、動物に投与される酸化剤の用量は、動物の乾物摂取量の約0.1%~約2%であってもよい。例えば、組成物が毎日投与される一部の実施形態では、動物に投与される組成物の1日用量は、動物の1日乾物摂取量の約0.1%~約2%であってもよい。好ましくは、%数値は、乾物摂取量の質量%である。
【0038】
一部の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、より高い用量で投与してもよい。例えば、酸化剤の好ましい用量は、動物の乾物摂取量(質量による)の約0.01%~約20%、好ましくは約0.1%~約15%、好ましくは約0.5%~約10%、好ましくは約1%~約5%であってもよい。
本発明は、酸化剤を含む組成物を動物(例えば、反芻動物)に、体重1kg当たり約0.01~約70mgの過酸化水素を動物に提供する用量で経口投与することを含む方法を提供する。好ましくは、この方法における組成物は、体重1kg当たり約0.01~約60mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を動物に提供する用量で動物に投与される。好ましくは、組成物は、体重1kg当たり約0.01~約50mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を動物に提供する用量で動物に投与される。好ましくは、組成物は、体重1kg当たり約0.01~約40mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を動物に提供する用量で動物に投与される。好ましくは、組成物は、体重1kg当たり約0.01~約35mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を動物に提供する用量で動物に投与される。
【0039】
例えば、本発明の方法は、酸化剤を含む組成物を動物(例えば、反芻動物)に、体重1kg当たり約0.01~約35mgの過酸化水素を動物に提供する用量で投与することを含んでいてもよい。
この態様の一部の好ましい実施形態では、用量は、体重1kg当たり0.1~70mg、好ましくは0.1~60mg、好ましくは0.1~50mg、好ましくは0.1~40mg、好ましくは0.1~35mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を動物に提供する。例えば、本発明の方法は、酸化剤を含む組成物を動物(例えば、反芻動物)に、体重1kg当たり0.1~35mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を動物に提供する用量で投与することを含んでいてもよい。
この態様の一部の好ましい実施形態では、用量は、体重1kg当たり1~70mg、好ましくは1~60mg、好ましくは1~50mg、好ましくは1~40mg、好ましくは1~35mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同量の酸素を提供する酸化剤)を動物に提供する。例えば、本発明の方法は、酸化剤を含む組成物を動物(例えば、反芻動物)に、体重1kg当たり1~35mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を動物に提供する用量で投与することを含んでいてもよい。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、本発明の組成物を反芻動物(例えば、ウシ)に、体重1kg当たり8~35mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を反芻動物に提供する用量で、経口投与することを含む。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、本発明の組成物を反芻動物(例えばヒツジ)に、体重1kg当たり3~15mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を反芻動物に提供する用量で経口投与することを含む。
【0040】
一部の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、より高い用量で投与してもよい。例えば、酸化剤の好ましい用量は、動物に対して、体重1kg当たり0.01~約1050mgの酸化剤、好ましくは、体重1kg当たり約0.01~約500mgの酸化剤、好ましくは、体重1kg当たり約0.01~約350mgの酸化剤、好ましくは、体重1kg当たり約0.1~約250mgの酸化剤、好ましくは、体重1kg当たり約0.5~約150mgの酸化剤、好ましくは、体重1kg当たり約1~約100mgの酸化剤であってもよい。
用量は、動物に対する体重1kg当たりの過酸化水素ではなく、動物の食餌における総乾物摂取量の%に基づくことが好ましい。これは、動物の乾物摂取量に応じた用量決定が、組成物が投与される動物の年齢、種、品種、及び/又は活動による食餌の変動を考慮することができるためであり得る。
本発明は、第一胃容積1L当たり1~250mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を反芻動物に提供する用量で組成物を反芻動物に経口投与することを含む方法を提供する。
【0041】
好ましくは、組成物は、第一胃容積1L当たり1~200mg、好ましくは1~150mg、好ましくは5~150mg、好ましくは10~150mg、好ましくは20~150mg、好ましくは30~150mg、好ましくは35~150mgの過酸化水素(又は、この量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を反芻動物に提供する用量で、動物に投与される。
例えば、本発明の方法は、組成物を反芻動物に、第一胃容積1L当たり35~150mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を反芻動物に提供する用量で経口投与することを含んでいてもよい。
【0042】
一部の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、より高い用量で投与することができる。例えば、本発明は、組成物を反芻動物に、第一胃容積1L当たり0.01~2250mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を反芻動物に提供する用量で、好ましくは、第一胃容積1L当たり0.1~1500mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を反芻動物に提供する用量で、好ましくは、第一胃容積1L当たり0.1~750mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を反芻動物に提供する用量で、好ましくは、第一胃容積1L当たり0.1~500mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を反芻動物に提供する用量で、好ましくは、第一胃容積1L当たり1~300mgの過酸化水素(又はこの量の過酸化水素と同じ量の酸素を提供する酸化剤)を反芻動物に提供する用量で経口投与することを含む方法を提供する。
考察されているように、本発明は、通常、著しい濃度の過酸化物(例えば、過酸化水素)それ自体を提供することを目的とするものではない。投薬量及び量は、通常、酸素の供給源を提供し、したがってORPを上昇させるのに好適である。過酸化物は、特に過酸化物が製剤から制御された様式で放出される場合、過酸化物が反応種ではなく酸素の供給源として作用するような速度で分解することができる。
【0043】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、動物の消化管(例えば、反芻動物の第一胃)における過酸化物の濃度を実質的に増加させない。例えば、本発明の方法は、好ましくは、組成物の投与後の特定の期間(例えば、1時間)にわたって、第一胃の過酸化物イオンの濃度を、特定の値(つまり、約10mMのCmax)を上回って増加させない。一部の実施形態では、本発明の方法は、好ましくは、組成物の投与後の特定の期間(例えば、1時間)にわたって、第一胃の過酸化物イオンの濃度を、約15mMのCmaxを上回って増加させない。一部の実施形態では、本発明の方法は、好ましくは、組成物の投与後の特定の期間(例えば、約1時間)にわたって、第一胃の過酸化物イオンの濃度を、約20mMのCmaxを上回って増加させない。
一部の実施形態では、本発明の方法は、本発明の組成物を反芻動物に、反芻動物の第一胃にて0.01~100mMのCmax、又は0.01~50mMのCmax、又は0.01~40mMのCmax、又は0.01~30mMのCmax、又は0.01~20mMのCmax、又は0.01~15mMのCmax、又は0.01~10mMのCmaxの過酸化水素又は過酸化物イオンを提供する用量で経口投与することを含む。例えば、本発明の方法は、本発明の組成物を反芻動物に、反芻動物の第一胃にて0.01~10mMのCmaxの過酸化水素又は過酸化物イオンを提供する用量で経口投与することを含んでいてもよい。
【0044】
一部の実施形態では、本発明の方法は、本発明の組成物を反芻動物に、反芻動物の第一胃にて0.1~100mMのCmax、又は0.1~50mMのCmax、又は0.1~40mMのCmax、又は0.1~30mMのCmax、又は0.1~20mMのCmax、又は0.1~15mMのCmax、又は0.1~10mMのCmaxの過酸化水素又は過酸化物イオンを提供する用量で経口投与することを含む。例えば、本発明の方法は、本発明の組成物を反芻動物に、反芻動物の第一胃にて0.1~10mMのCmaxの過酸化水素又は過酸化物イオンを提供する用量で経口投与することを含んでいてもよい。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、本発明の組成物を反芻動物に、反芻動物の第一胃にて100mM未満、好ましくは50mM未満、好ましくは40mM未満、好ましくは30mM未満、好ましくは20mM未満、好ましくは15mM未満、好ましくは10mM未満のCmaxの過酸化水素又は過酸化物イオンを提供する用量で経口投与することを含む。例えば、本発明の方法は、本発明の組成物を反芻動物に、反芻動物の第一胃にて10mM未満のCmaxの過酸化水素又は過酸化物イオンを提供する用量で経口投与することを含んでいてもよい。
【0045】
一部の実施形態では、本発明の方法は、用量が目標用量まで徐々に増加する用量漸増期間を含んでいてもよい。目標用量は、本明細書に記載の用量のいずれであってもよい。例えば、本発明の方法は、所与の動物への最初の7~14回の投与(例えば、14回)にわたって、組成物が目標用量の少なくとも約10%の初期用量で動物に投与される用量漸増期間を含んでいてもよい。好ましくは、本発明の方法は、最初の7~14回(例えば7回)の投与にわたって、目標用量の少なくとも約50%の初期用量で組成物を動物に投与する用量漸増期間を含んでいてもよい。好ましくは、本発明の方法は、組成物が、最初の3~7回(例えば7回)の投与にわたって標的用量の少なくとも約75%の初期用量で動物に投与される用量漸増期間を含んでいてもよい。
【0046】
特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、約25~300g(例えば、25g、50g、100g、150g、200g、又は300g、特に200g)の過酸化カルシウムを動物に提供する組成物を動物に投与することを含む。好ましくは、本発明の方法は、約25~300g(例えば、25g、50g、100g、150g、200g、又は300g、特に200g)の過酸化カルシウムを動物に提供する組成物を動物に1日1回投与することを含んでいてもよい。一部のそのような実施形態では、組成物は、約25~300g(例えば、25g、50g、100g、150g、200g、又は300g、特に200g)の過酸化カルシウムを含む。一部のそのような実施形態では、組成物は、1日給餌が約25~300g(例えば、25g、50g、100g、150g、200g、又は300g、特に200g)の過酸化カルシウムを提供するような割合の飼料及び過酸化カルシウムを含む。
【0047】
消化率:
本発明は、動物(例えば反芻動物)の消化率に否定的影響を及ぼさずに(例えば消化率を実質的に低減させずに)反芻動物におけるメタン産生を低減させるための方法を提供する。
消化率、特に乾物消化率は、消化前の総飼料物質に対する割合として、消化後に存在する飼料物質から計算することができる(例えば、乾燥質量により)。好ましくは、本発明の方法は、消化率を約25%よりも大きく低減させない。より好ましくは、本発明の方法は、消化率を約20%よりも大きく低減させない。より好ましくは、本発明の方法は、消化率を約15%よりも大きく低減させない。好ましくは、本発明の方法は、消化率を約10%よりも大きく低減させない。より好ましくは、本発明の方法は、消化率を約7%よりも大きく低減させない。より好ましくは、本発明の方法は、消化率を約6%よりも大きく低減させない。より好ましくは、本発明の方法は、消化率を約5%よりも大きく低減させない。より好ましくは、本発明の方法は、消化率を約4%よりも大きく低減させない。より好ましくは、本発明の方法は、消化率を約3%よりも大きく低減させない。より好ましくは、本発明の方法は、消化率を約1%よりも大きく低減させない。例えば、低減は、約5%未満であってもよい。「消化率を実質的に低減させずに」という用語は、消化率がこうした量だけ低減されないことを意味してもよい。
【0048】
本発明は、反芻動物におけるメタン産生を低減させるための方法であって、消化管(例えば、反芻動物の第一胃)の実質的な生物除去が回避される方法を提供する。好ましくは、本発明の方法では、長期間の処置(例えば、1週間、好ましくは1か月)後でさえ、実質的な生物除去が回避される。ある程度のわずかな一過性の生物除去は生じる可能性がある。
一部の好ましい実施形態では、本発明の方法は、反芻動物における第一胃原生動物個体数を約40%よりも大きく低減させない。好ましくは、本発明の方法は、反芻動物における第一胃原生動物個体数を約25%よりも大きく低減させない。好ましくは、本発明の方法は、反芻動物における第一胃原生動物個体数を約20%よりも大きく低減させない。好ましくは、本発明の方法は、反芻動物における第一胃原生動物個体数を約10%よりも大きく低減させない。特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、反芻動物における第一胃原生動物個体数を実質的に低減させない。一部の実施形態では、原生動物個体数は、例えば、試料を採取し、顕微鏡を使用して原生動物を計数する等の従来手段により測定される。
【0049】
本発明は、消化管(例えば反芻動物の第一胃)におけるマイクロバイオーム機能を実質的に低減させずにメタン産生を低減させるための方法であって、マイクロバイオーム機能は栄養素を動物にとって利用可能なものにする(及びメタン生成を含まない)、方法を提供する。好ましくは、本発明の方法は、マイクロバイオーム機能を約20%よりも大きく、好ましくは約15%よりも大きく、好ましくは約10%よりも大きく、好ましくは約5%よりも大きく、好ましくは約4%よりも大きく、好ましくは約3%よりも大きく、好ましくは約2%よりも大きく、好ましくは約1%よりも大きく低減させない。最も好ましくは、本発明の方法は、消化管(例えば、反芻動物の第一胃)における原生動物の個体数を低減させない。
本発明は、飼料効率を実質的に低減させずにメタン産生を低減させるための方法を提供する。一般に、動物にとって利用可能な可消化炭素へと変換される飼料の割合は、本発明の方法により低減されない。特に、本発明は、動物にとって利用可能な可消化炭素へと変換される飼料の割合を約30%よりも大きく低減させなくてもよく、好ましくは約20%よりも大きく低減させなくてもよく、好ましくは約10%よりも大きく低減させなくてもよく、最も好ましくは、動物にとって利用可能な可消化炭素へと変換される飼料の割合は実質的に低減されない。一部の実施形態では、本発明の方法は、動物にとって利用可能な可消化炭素へと変換される飼料の割合を少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%。好ましくは少なくとも約15%。好ましくは少なくとも約20%。好ましくは少なくとも約25%増加させることができる。例えば、本発明の方法は、動物(例えば、反芻動物)にとって利用可能であり得る可消化炭素へと変換される飼料の割合を実質的に低減させないことが可能である。
【0050】
動物におけるメタン産生を低減させる以前の方法は、多くの場合、生物除去を含み、その代償として特にマイクロバイオーム機能の障害により消化率が低減される。このタイプの手法は、メタン産生のレベルが、消化管(例えば第一胃)中のメタン生成菌個体数及び/又は原生動物個体数の低減と相関することにより特徴付けることができる。そのような従来法は、長期使用(例えば、数日又は数週間)には好適ではない可能性があり、以前の実験は、多くの場合、長期使用を調査する前に終了している。
好ましくは、本発明の方法は、消化管を実質的に酸性化せず、例えば、本発明の方法は、第一胃のpHを実質的に低減させないことが可能である。好ましくは、本発明の方法は、第一胃のpHを約6を下回って低減させない。好ましくは、本発明の方法は第一胃のpHを約6.1を下回って低減させない。好ましくは、本発明の方法は第一胃のpHを約6.2を下回って低減させない。好ましくは、本発明の方法は、第一胃のpHを約6.3を下回って低減させない。好ましくは、本発明の方法は、第一胃のpHを約6.4を下回って低減させない。例えば、本発明の方法は、第一胃のpHを約6.4を下回って低減させない。消化管のpHは、組成物の投与後の初期数時間(例えば、約2時間)、約6.4を下回って低下しない可能性がある。
一部の実施形態では、本発明の方法及び本発明の組成物は、動物に投与する場合、組成物が投与される動物の体重を実質的に低減させない。その代わりに、本発明の方法及び本発明の組成物は、動物に投与する場合、好ましくは動物の体重の増加を引き起こし、それは例えば消化率の向上によるものであり得る。
【0051】
安全性:
好ましくは、本発明の方法は安全である。特に、本発明の方法は、好ましくは、毒性成分を実質的に含まない組成物の投与を含む。あらゆる毒性成分は、存在する場合、好ましくは非毒性量であり、及び/又は経時的に非毒性濃度を提供する。一部の実施形態では、毒性成分は全く存在しない。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、動物(例えば、反芻動物)により又はから産生される肉及び/又は乳中のヨウ化物の濃度を実質的に増加させない。
好ましくは、本発明の組成物は、動物に投与しても安全である。特に、本発明の組成物は、好ましくは、毒性成分を実質的に含まない。あらゆる毒性成分は、存在する場合、好ましくは非毒性量であり、及び/又は経時的に非毒性濃度を提供する。一部の実施形態では、毒性成分は全く存在しない。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、動物に投与する場合、動物(例えば、反芻動物)により又はから産生されるか肉及び/又は乳中のヨウ化物の濃度を実質的に増加させない。
【0052】
使用中の更なる成分:
本発明の方法は、追加の抗メタン生成剤(つまり、動物からのメタンの産生を低減させる物質又は組成物)の投与を更に含んでいてもよい。一部の追加の抗メタン生成剤は当技術分野で公知であり、例えば、3-ニトロオキシプロパノール(3NOP)、コエンザイムMアナログ、ハロゲン化脂肪族C1~C2炭化水素、例えばブロモホルム;プテリン化合物、ヒドロキシメチルグルタリル-CoA(HMG-S-CoA)レダクターゼ阻害剤、脂肪及び脂肪酸、植物二次代謝産物、例えば、タンニン、フラボノイド、有機硫黄化合物、エッセンシャルオイル、アリシン、代替水素シンク、例えば、ニトレート及びスルフェート、ニトロ化合物、プロピオネート及びブチレートエンハンサー、不飽和有機酸、水素産生細菌に対する阻害剤、例えばイオノフォア又はバクテリオシンである。好ましい抗メタン生成剤は3NOPである。そのような追加のメタン生成剤は、本明細書で開示される組成物の(i)投与前に、(ii)投与後に、又は(iii)投与と同時に投与することができる。下記で言及されているように、そのような抗メタン生成剤も、組成物中に存在してもよい。
一部の好ましい実施形態では、本発明の方法は、1つのみの抗メタン生成剤を投与することを含む。一部の実施形態では、本方法は、追加の抗メタン生成剤の投与を含まない。例えば、本発明の方法は、3NOPを実質的に含まない(例えば、3NOPを含まない)組成物を投与することを含んでいてもよい。
【0053】
更なる態様では、本発明は、動物からのメタン産生を低減させるための方法であって、動物に組成物を経口投与することを含み、組成物は、(i)過酸化物の供給源及び(ii)カタラーゼを含む、方法に関する。更なる態様では、本発明は、動物からのメタン産生を低減させるための方法であって、動物に組成物を経口投与することを含み、組成物は、(i)過酸化物の供給源及び(ii)ペルオキシダーゼを含む、方法に関する。本発明者らは、過酸化物の供給源及びペルオキシダーゼ又はカタラーゼを両方とも含む組成物が、過酸化物の酸素への分解の加速を呈することを発見した。ペルオキシダーゼ又はカタラーゼの存在には、ORPの増加(酸素放出の向上による)と共に、過酸化物の蓄積(過酸化物の分解による)及び過酸化物蓄積に関連付けられるあらゆる否定的効果、例えば第一胃の生物除去を低減するという利点がある。
【0054】
本発明の更なる方法:
一態様では、本発明は、消化率を実質的に低減させずに動物の消化管における酸化還元電位を増加させることにより動物からのメタン産生を低減させるための方法であって、酸化剤を含む組成物を動物に経口投与することを含む方法を提供する。本発明者らは、実質的な消化率の低減を回避すると共に酸化還元電位を増加させることが、メタン産生を低減するための新しい効果的な手法であることを発見した。この手法は、消化率の低減という代償を払って生物除去を行うことに焦点を当てることができる以前のアプローチとは対照的であり得る。
一態様では、本発明は、消化率を実質的に低減させずに動物の消化管における酸化還元電位を増加させることにより、動物からのメタン産生を低減させる方法であって、酸化剤を含む組成物を動物に経口投与することを含み、組成物の約0.05%(質量による)が酸化剤である、方法に関する。好ましくは、酸化剤は、組成物の約0.1%であり、好ましくは約0.15%、好ましくは約0.3%、好ましくは約0.6%、好ましくは約1.2%、好ましくは約2%、好ましくは約2.5%である。
【0055】
ヨウ化物、ニトレート、及びチオシアネート:
好ましくは、本発明の組成物は、ヨウ化物又はヨウ化物の供給源を実質的に含まない。好ましくは、本発明の組成物は、ヨウ化物又はヨウ化物の供給源を含まない。例えば、ヨウ化物は、乳等のその後の動物産物に見出される可能性があるため、動物食物製品にはヨウ化物が存在しないことが一般に望ましい。特に、本発明の組成物は、1質量%未満のヨウ化物又はヨウ化物の供給源を含んでいてもよい。より好ましくは、本発明の組成物は、0.5質量%未満のヨウ化物又はヨウ化物の供給源を含んでいてもよい。より好ましくは、本発明の組成物は、0.1質量%未満のヨウ化物又はヨウ化物の供給源を含んでいてもよい。より好ましくは、本発明の組成物は、0.01質量%未満のヨウ化物又はヨウ化物の供給源を含んでいてもよい。最も好ましくは、本発明の組成物は、ヨウ化物又はヨウ化物の供給源を含まない。例えば、本発明の組成物は、0.01質量%未満のヨウ化物又はヨウ化物の供給源を含んでいてもよい。
【0056】
好ましい実施形態では、本発明の組成物中のあらゆるヨウ化物又はヨウ化物の供給源は、本発明の組成物が、使用中に、組成物を経口投与した動物(反芻動物など)により又はから産生される肉及び/又は乳中のヨウ化物の濃度を実質的に増加させないようなレベルである。ヨウ化物濃度の増加は、実質的に同じ食餌を摂取しているが、食餌の一部として又はそれに加えて本発明の組成物を受け取っていない動物の通常のヨウ化物レベルと比べて測定することができる。
好ましくは、本発明の組成物は、ニトレート又はニトレートの供給源を実質的に含んでいなくてもよい。特に、本発明の組成物は、1質量%未満のニトレート又はニトレートの供給源を含んでいてもよい。より好ましくは、本発明の組成物は、0.5質量%未満のニトレート又はニトレートの供給源を含んでいてもよい。より好ましくは、本発明の組成物は、0.1質量%未満のニトレート又はニトレートの供給源を含んでいてもよい。より好ましくは、本発明の組成物は、0.01質量%未満のニトレート又はニトレートの供給源を含んでいてもよい。最も好ましくは、本発明の組成物は、ニトレート又はニトレートの供給源を含まない。例えば、本発明の組成物は、0.01質量%未満のニトレート又はニトレートの供給源を含んでいてもよい。好ましくは、本発明の組成物はニトレートを含まない。
好ましくは、本発明の組成物は、チオシアネート又はチオシアネートの供給源を実質的に含まない。好ましくは、本発明の組成物は、チオシアネート又はチオシアネートの供給源を含まない。特に、本発明の組成物は、1質量%未満のチオシアネート又はチオシアネートの供給源を含んでいてもよい。より好ましくは、本発明の組成物は、0.1質量%未満のチオシアネート又はチオシアネートの供給源を含んでいてもよい。より好ましくは、本発明の組成物は、0.01質量%未満のチオシアネート又はチオシアネートの供給源を含んでいてもよい。最も好ましくは、本発明の組成物は、チオシアネート又はチオシアネートの供給源を含まない。例えば、本発明の組成物は、0.01質量%未満のチオシアネート又はチオシアネートの供給源を含んでいてもよい。
【0057】
製剤化:
本発明の組成物は、好ましくは経口投与用に製剤化されている。
【0058】
本発明の好ましい組成物は、腸溶性製剤の特徴、例えば腸溶性コーティングを含まない。本発明の好ましい組成物は、酸化剤を(少なくとも)動物の胃(例えば第一胃)に送達することが可能である。本発明の好ましい組成物は、酸化剤を、例えば唾液に曝露するために(少なくとも)動物の口及び食道に送達することが可能である。一部の好ましい実施形態では、組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含まない。
一部の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、組成物が投与される動物の腸(例えば、後腸又は結腸)への酸化剤の送達を回避するように製剤化されている。一部の実施形態では、これは、腸溶性製剤特徴、例えば腸溶性コーティングを含まない組成物により達成することができる。一部の好ましい実施形態では、組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含まない。
【0059】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、ボーラスの形態であってもよい。ボーラスは、通常、経口投与され、消化管に留まり、一定期間にわたって酸化剤を放出するように構成されている、酸化剤を含む単一の単位剤形である。
【0060】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、酸化リン(V)(P25)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化鉄(例えば、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、又はそれらの組合せ)、酸化亜鉛(ZnO)、及び/若しくは酸化マグネシウム(MgO)等(しかしながら、これらに限定されない)の1つ若しくは複数の酸化物;ワックス;炭酸塩;微量元素;ステアリン酸マグネシウム;水素化脂肪;塩;動物用ボーラスのための従来の賦形剤;又はそれらの組合せ(例えば、これらの全て)を含んでいてもよい。
一部の実施形態では、本発明の組成物は、酸化リン(V)(P25)、酸化ナトリウム(Na2O)、及び/若しくは酸化マグネシウム(MgO)等(しかしながら、これらに限定されない)の1つ又は複数の酸化物;ワックス;炭酸塩;微量元素;塩;動物用ボーラスのための従来の賦形剤、又はそれらの組合せ(例えば、これらの全て)を含んでいてもよい。
一部の実施形態では、組成物は、酸化鉄(例えば、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、又はそれらの組合せ)、酸化亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、水素化脂肪、又はそれらの組合せ(例えば、これらの全て)を含んでいてもよい。
【0061】
本発明がボーラスの形態である一部の実施形態では、組成物は、動物用ボーラスのための従来の賦形剤を含んでいてもよい。本発明がボーラスの形態である一部の実施形態では、組成物は、酸化鉄、酸化亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、硬化脂肪、又はそれらの組合せ(例えば、これらの全て)を含んでいてもよい。
組成物がボーラスとして投与される場合、投与は定期的であってもよく、例えば、ボーラスは、週1回及び/又は月1回投与してもよい。通常、ボーラスは、週1回又はそれより低い頻度で投与されることになる。例えば、ボーラスは2週毎に投与してもよい。ボーラスは、任意選択で、外皮及び/又はコーティングを含んでもよい。本発明の組成物は、従来手段を使用してボーラスとして製剤化することができる。
【0062】
本発明の組成物は、動物食物製品であってもよい。
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、飼料添加物として製剤化される。そのような組成物は、摂取前の食物への添加に好適である。
本発明の飼料添加物は、動物飼料成分を更に含んでいてもよい。種々の許容可能な動物飼料成分が当技術分野で公知であり、好ましい動物飼料成分は、トウモロコシ、大麦、大豆、及び/又は糖蜜である。一部の実施形態では、本発明の組成物は、食物、例えば、動物の食餌全体に好適な食物を含む(つまり、更に含む)動物食物製品として提供することができる。一部の実施形態では、本発明は、給餌前の動物飼料への添加に好適な飼料添加物として提供される。この場合、組成物は任意選択で食物を含んでいてもよく、又は組成物は食物を含んでいなくてもよい。
また、本発明の組成物は、水、生理食塩水、エマルジョン、ゲル、ヒドロゲル、又はペレット用固形物等の薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤を含んでいてもよい。
【0063】
組成物及び本発明の方法に使用するための組成物は、賦形剤を更に含んでいてもよい。種々の好適な賦形剤は当技術分野で公知である。賦形剤としては、付着防止剤、結合剤、コーティング、着色剤、崩壊剤、香料、流動促進剤、滑沢剤、保存剤、吸着剤、甘味剤、及びビヒクルを挙げることができる(しかしながら、これらに限定されない)。
一部の実施形態では、更なる賦形剤としては、密度調整剤、水溶性増量剤、水不溶性増量剤、及びポリマーを挙げることができる(しかしながら、これらに限定されない)。
本発明の組成物は、水溶液、生理食塩溶液、エマルジョン、ゲル、ヒドロゲル、ペースト、ペレット、又は粉末として提供することができる。好ましい実施形態では、飼料添加物はペレットとして提供される。別の好ましい実施形態では、飼料添加物は粉末として提供される。
【0064】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、濃縮配給物に組み込まれた粉末として提供することができる。他の実施形態では、本発明の組成物は、フィードナット(feed nut)に組み込まれた圧縮粉末として提供することができる。
本発明の組成物は、一般に、固体形態であってもよく又は液体形態であってもよい。好ましくは、本発明の組成物は、個体形態である。代替的に、本発明の組成物は液体形態であってもよく、例えば、本発明の組成物は液体酸化剤(例えば、過酸化物の液体供給源、例えば、過酸化物のカプセル化された液体供給源)を含んでいてもよい。
一部の好ましい実施形態では、組成物及び本発明の方法で使用するための組成物は、かじり石でも舐め石でもない。一部の実施形態では、本発明の組成物は飼料用であり、かじったりするためのものでも、舐めたりするためのものでも、又はフィステル装着及び/又はカニューレ挿入を介して投与するためのものでもない。
【0065】
任意選択のコーティング:
一態様では、本発明は、酸化剤及びコーティングを含む、動物に経口投与するための組成物を提供する。
本明細書に記載の本発明の組成物は、好ましくはコーティングを含んでいてもよい。代替的に、組成物はカプセルであってもよい。
一態様では、本発明は、酸化剤及びコーティングを含む、動物に経口投与するための組成物であって、好ましくはヨウ化物の供給源を含まない組成物を提供する。
コーティングは、組成物の保管安定性の向上に好適であってもよい。従って、一部の好ましい実施形態では、組成物は、コーティングされた保管安定性組成物である。例えば、一部の実施形態では、本発明の組成物は、酸化剤の劣化を低減し、保管安定性を向上させる(例えば、空気中での劣化を低減する)コーティングを含む。
コーティングは、有機飼料物質の存在下での劣化防止にも好適であり得る。例えば、一部の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、動物飼料の存在下で酸化剤の劣化を低減するコーティングを含む。そのようなコーティングは、組成物を食物と混合してからその混合物が摂取されるまでの期間における劣化を低減することができる。代替的に又は加えて、そのようなコーティングは、組成物を食物と混合し保管する際の劣化を低減することにより保管安定性を向上させることができる。
【0066】
コーティングは、組成物の放出プロファイルを向上させることもできる。例えば、一部の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、消化管への酸化剤の放出を緩徐するコーティングを含む。そのようなコーティングは、例えば制御放出、例えば遅延放出及び/又は持続放出を提供することができる。
コーティングを有する組成物は、本発明の別の組成物(例えば実施例1及び2の組成物)を固体形態(例えばペレット)として製剤化し、次いでペレットをコーティング物質でコーティングすることにより調製することができる。
好ましいコーティング組成物は、意図されている部位(例えば胃、例えば反芻動物の第一胃)に対してORPの増加を送達する。この特徴は、口内での酸化剤劣化の回避に有利であり得る。例えば、好ましいコーティングは唾液耐性である(例えば、経口投与中の唾液による酸化剤の劣化又は放出を低減する)。また、コーティングは、好ましくは口内の炎症を回避することができる。また、コーティングは、好ましくはメタン生成の主要部位(例えば胃、例えば反芻動物の第一胃)を標的とすることができる。代替的な実施形態では、組成物は腸溶性コーティングを含む。腸溶性コーティングを使用すると、胃及び小腸を通過して大腸での放出を可能にすることができる。
【0067】
好ましいコーティングされた組成物は、ORPの送達を延長する。徐放性コーティングは、組成物が、過酸化物の供給源を酸化剤として含む場合に特に好ましい場合がある。特に、これは、過酸化物濃度を低く保ち、例えば、濃度がより高いことにより引き起こされる可能性のある第一胃の生物除去による、消化率に対する実質的な否定的影響を回避するのに役立ち得る。一部の好ましい実施形態では、組成物は徐放性コーティングを含む。
例えば、酸化剤が過酸化物の供給源である場合、高濃度の過酸化物、例えば特定の値(例えば、約10mM、約15mM、又は約20mM)を上回るCmaxの過酸化物の第一胃への放出を回避することが望ましい場合がある。そのため、本発明の組成物は、動物に投与した際に放出を制御又は延長するコーティングでコーティングし、従って、動物の消化管(例えば、反芻動物の第一胃等の胃)における過酸化物濃度の突然の及び/又は実質的な増加を回避することが好ましい場合がある。
【0068】
また、好ましいコーティングは、組成物を圧力から保護することが可能である。また、好ましいコーティングは、組成物を水分から保護することが可能である。また、好ましいコーティングは、組成物を熱から保護することが可能である。有利には、そのような特徴は、投与前の、例えば加工、生産、及び/又は保管中の組成物の劣化(例えば、過酸化物の供給源の分解)を防止することができる。
好ましいコーティングは、以下のものの少なくとも1つを含む:油(例えばココナッツ油)、ギルセリン(gylcerin)、グリセロール、シリカヒドロゲル、ポリ(メチルメタクリレート)カプセル化、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、アルギネート、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、硬質脂肪、エチルセルロース、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)、アクリル酸、ヒドロキシエチルメタンクリレート(methancrylate)-オリゴ(ヒドロキシブチレート)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、メタクリルアミドキトサン、シアノアクリレート、アルギン酸ナトリウム、ポリイソブチレン、イソブチレンイソプレンコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリイソプレン、ポリエチレン、酢酸ビニル、及びこれらの組合せ。そのようなコーティングは、個々に使用してもよく、又は組み合わせて使用してもよい。例えば、過酸化水素をPVPに結合させ、更にPLGAにカプセル化することができる。酸素放出速度を緩徐するために、好ましくは、カプセル化/封入用の疎水性物質を使用してもよいが、酸素の放出/拡散速度を増加させるために親水性物質を使用してもよい。
好ましいコーティングは非腸溶性コーティングである。例えば、好ましいコーティングは、動物の(少なくとも)胃(例えば第一胃)への送達を防止する構成を有していなくてもよい。例えば、好ましいコーティングは、低pH環境(例えば、pH4未満)での放出を防止するように構成された特徴を含んでいなくてもよい。
【0069】
組成物中の投与量及び量:
本発明の組成物は、動物の体重に基づく用量の酸化剤を含んでいてもよい。例えば、一部の好ましい実施形態では、組成物は、体重1kg当たり約1~約35mg(例えば、約8~約35mg又は約3~約15mg)の過酸化水素を動物に提供する用量を含む。代替的に、組成物は、体重1kg当たり約1~約35mg(例えば、約8~約35mg又は約3~約15mg)の過酸化水素と同量の過酸化物イオンを提供する(例えば、消化管に送達される)用量の酸化剤を含んでいてもよい。
【0070】
本発明の組成物は、より高い用量又はより低い用量の酸化剤を含んでもよい。例えば、一部の実施形態では、本発明の組成物は、動物の体重1kg当たり約0.01~約1050mgの用量の酸化剤を含んでいてもよい。好ましくは、本発明の組成物は、動物の体重1kg当たり約0.01~約500mgの用量の酸化剤を含む。好ましくは、本発明の組成物は、動物の体重1kg当たり約0.01~約350mgの用量の酸化剤を含む。好ましくは、本発明の組成物は、動物の体重1kg当たり約0.1~約250mgの用量の酸化剤を含む。好ましくは、本発明の組成物は、動物の体重1kg当たり約0.5~約150mgの用量の酸化剤を含む。好ましくは、本発明の組成物は、動物の体重1kg当たり約1~約100mgの用量の酸化剤を含む。
好ましい実施形態では、例えば動物がウシである場合、本発明の組成物は、体重1kg当たり約8~約35mgの過酸化水素を動物に提供する用量を含んでいてもよい。代替的に、組成物は、体重1kg当たり約8~約35mgの過酸化水素と同量の過酸化物イオンを提供する(例えば、消化管に送達される)用量の酸化剤を含んでいてもよい。
【0071】
好ましい実施形態では、例えば動物がウシである場合、本発明の組成物は、体重1kg当たり約0.01~約2250mgの過酸化水素(例えば、体重1kg当たり約0.01~1500mgの過酸化水素、体重1kg当たり約0.01~750mgの過酸化水素、体重1kg当たり約0.1~350mgの過酸化水素、又は体重1kg当たり約8~100mgの過酸化水素)を動物に提供する用量を含んでいてもよい。代替的に、組成物は、体重1kg当たり約0.01~約2250mgの過酸化水素(例えば、体重1kg当たり約0.01~1500mgの過酸化水素、体重1kg当たり約0.01~750mgの過酸化水素、体重1kg当たり約0.1~350mgの過酸化水素、又は体重1kg当たり約8~100mgの過酸化水素)と同量の過酸化物イオンを提供する(例えば、消化管に送達される)用量の酸化剤を含んでいてもよい。
好ましい実施形態では、例えば動物がヒツジである場合、本発明の組成物は、体重1kg当たり約3~約15mgの過酸化水素を動物に提供する用量を含んでいてもよい。代替的に、組成物は、体重1kg当たり約3~約35mgの過酸化水素と同量の過酸化物イオンを提供する(例えば、消化管に送達される)用量の酸化剤を含んでいてもよい。
好ましい実施形態では、例えば動物がヒツジである場合、本発明の組成物は、体重1kg当たり約0.01~約750mgの過酸化水素(例えば、体重1kg当たり約0.1~350mgの過酸化水素、又は体重1kg当たり約8~100mgの過酸化水素)を動物に提供する用量を含んでいてもよい。代替的に、組成物は、体重1kg当たり約0.01~約750mgの過酸化水素(例えば、体重1kg当たり約0.1~350mgの過酸化水素、又は体重1kg当たり約8~100mgの過酸化水素)と同量の過酸化物イオンを提供する(例えば、消化管に送達される)用量の酸化剤を含んでいてもよい。
【0072】
本発明の組成物は、動物の胃容積に基づく用量を含んでいてもよい。例えば、本発明の組成物は、反芻動物の第一胃容積に基づく用量を含んでいてもよい。
本発明の組成物は、より高い用量の酸化剤を含んでいてもよい。例えば、一部の実施形態では、本発明の組成物は、第一胃容積1L当たり約150~450mgの過酸化水素を反芻動物に提供する用量を含む。代替的に、組成物は、第一胃容積1L当たり約150~約450mgの過酸化水素と同量の過酸化物イオンを反芻動物に提供する(例えば、消化管に送達される)用量の酸化剤を含んでいてもよい。
例えば、一部の実施形態では、本発明の組成物は、第一胃容積1L当たり約35~約150mgの過酸化水素を反芻動物に提供する用量を含む。代替的に、組成物は、第一胃容積1L当たり約35~約150mgの過酸化水素と同量の過酸化物イオンを反芻動物に提供する(例えば、消化管に送達される)用量の酸化剤を含んでいてもよい。
【0073】
本発明の組成物は、消化管(例えば胃、例えば第一胃)にて達成される特定のCmaxの過酸化水素又は過酸化物イオンを提供するように構成された用量を含んでいてもよい。例えば、一部の実施形態では、反芻動物の第一胃に約0.5~約30mMのCmaxの過酸化水素又は過酸化物イオンを提供する用量が好ましい。
本発明の組成物は、消化管(例えば胃、例えば第一胃)にて達成される特定のCmaxの過酸化水素又は過酸化物イオンを提供するように構成された用量を含んでいてもよい。例えば、一部の実施形態では、反芻動物の第一胃に約0.1~約10mMのCmaxの過酸化水素又は過酸化物イオンを提供する用量が好ましい。
一部の実施形態では、本発明の組成物は、動物の消化管において(例えば胃において、例えば反芻動物の第一胃において)ORPを特定の量だけ上昇させる用量の酸化剤を提供するように製剤化されている。特に、本発明の組成物は、ORPを少なくとも約+10mV、好ましくは少なくとも約+50mV、好ましくは少なくとも約+100mV、好ましくは少なくとも約+150mV、好ましくは少なくとも約+200mV、好ましくは少なくとも約+250mV、好ましくは少なくとも約+300mV上昇させる用量の酸化剤を含んでいてもよい。例えば、本発明の組成物は、動物の消化管において(例えば胃において、例えば反芻動物の第一胃において)ORPを少なくとも約+100mV上昇させる用量の酸化剤を含んでいてもよい。
【0074】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、動物の消化管において(例えば胃において、例えば反芻動物の第一胃において)特定のORP範囲を維持する用量の酸化剤を提供するように製剤化されている。特に、本発明の組成物は、動物の消化管(例えば、反芻動物の第一胃)においてORPを一定期間にわたって、-250mV~+250mV、好ましくは-200mV~+200mV、好ましくは-200mV~+150mV、好ましくは-200mV~+100mV、好ましくは-200mV~+50mV、好ましくは-200mV~0mV、好ましくは-200mV~-50mV、最も好ましくは約-150mV~約-50mVに維持する用量の酸化剤を提供するように製剤化してもよい。この期間は、少なくとも約1時間であってもよい。代替的に、この期間は、少なくとも約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、又は約6時間であってもよい。例えば、本発明の組成物は、動物の消化管(例えば胃、例えば反芻動物の第一胃)において一定期間にわたって約-150mV~-50mVのORP範囲を提供する用量の酸化剤を提供するように製剤化してもよい。
【0075】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、動物の消化管(例えば胃、例えば反芻動物の第一胃)において平均ORPを特定の電位を上回って上昇させる用量の酸化剤を提供するように製剤化してもよい。特に、本発明の組成物は、平均ORPを少なくとも約-200mV、好ましくは少なくとも約-150mV、好ましくは少なくとも約-100mV、好ましくは少なくとも約-50mV、好ましくは少なくとも約-0mV、好ましくは少なくとも約+50mV、最も好ましくは少なくとも約+100mVへと増加させることができる。平均ORPは、好ましくは、投与から投与後約1時間までの期間に取られる。一部の代替的実施形態では、平均ORPは、投与から投与後約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、又は約6時間までの期間に取られる。
【0076】
例えば、本発明の組成物は、動物の消化管(例えば胃、例えば反芻動物の第一胃)において平均ORPを、投与から投与後約1時間までの期間に少なくとも約-150mVへと増加させる用量の酸化剤を提供するように製剤化することができる。
組成物は、組成物の投与後の一定期間にわたって、ORPを上昇させるのに好適である。通常、本発明の組成物は、ORPを少なくとも約-150mVへと上昇させることが可能であるように製剤化されている。組成物は、好ましくは、少なくとも約1時間、好ましくは少なくとも約2時間、好ましくは少なくとも約3時間、好ましくは少なくとも約4時間、好ましくは少なくとも約4時間、好ましくは少なくとも約5時間、好ましくは少なくとも約6時間にわたって、目標レベルの又はそれを上回るORPを提供するように製剤化されている。例えば、ORPを、少なくとも6時間にわたって、少なくとも約-200mVへと上昇させることができる。ORPは、消化管の主要胃構成要素、例えば第一胃において上昇する。これは、消化器管の最初の室であってもよい。増加は、単一の時点で測定してもよく、又は一定期間にわたって測定して、例えば平均を取ってもよい。ORPは、従来手段、例えば実施例3に記載の方法により測定することができる。
【0077】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、動物の消化管(例えば胃、例えば反芻動物の第一胃)においてORPの一過性上昇をもたらすように製剤化することができる。特に、本発明の組成物は、ORPを一定期間にわたって少なくとも約0mVへと、好ましくは少なくとも約+50mVへと、好ましくは少なくとも約+100mVへと、最も好ましくは少なくとも約+150mVへと上昇させることができる。この期間は、約1時間であってもよく、又は約2時間であってもよく、又は約3時間であってもよい。この期間は、約4時間未満であってもよく、又は約3時間未満であってもよく、又は約2時間未満であってもよい。例えば、本発明の組成物は、4時間未満の期間にわたって、少なくとも+50mVへのORPの上昇をもたらすように製剤化されていてもよい。
【0078】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、動物の消化管(例えば胃、例えば反芻動物の第一胃)において特定のORPプロファイルをもたらす。本発明の組成物は、少なくともある特定の期間にわたって、初期値(平均)を上回る少なくともある特定の電位へとORPを増加させる用量の酸化剤を提供するように製剤化することができる。例えば、一部の好ましい実施形態では、組成物は、ORPを約+50mV(初期ORPからピークORPまで)増加させる用量の酸化剤を提供するように製剤化されており、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+50mV上昇したままであってもよい。好ましくは、本発明は、ORPを約+100mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+100mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを約+150mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+150mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを約+200mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+200mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを約+250mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+250mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを約+300mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+300mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+350mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+350mV上昇したままである。例えば、本発明の組成物は、ORPを(例えば、反芻動物の第一胃において)約+100mV(初期ORPからピークORPまで)増加させる用量の酸化剤を提供するように製剤化することができ、ORPは、少なくとも約1時間の初期期間にわたって約+100mV上昇したままであってもよい。
【0079】
本発明の組成物は、ORPを約+50mV(初期ORPからピークORPまで)増加させる用量の酸化剤を提供するように製剤化することができ、ORPは、少なくとも約4時間の初期期間にわたって約+50mV上昇したままであってもよい。好ましくは、本発明は、ORPを、約+100mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約4時間の初期期間にわたって約+100mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+150mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約4時間の初期期間にわたって約+150mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+200mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約4時間の初期期間にわたって約+200mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+250mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約4時間の初期期間にわたって約+250mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+300mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約4時間の初期期間にわたって約+300mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+350mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約4時間の初期期間にわたって約+350mV上昇したままである。例えば、本発明の組成物は、ORPを(例えば、反芻動物の第一胃において)約+100mV(初期ORPからピークORPまで)増加させる用量の酸化剤を提供するように製剤化することができ、ORPは、少なくとも約2時間の初期期間にわたって約+100mV上昇したままであってもよい。
【0080】
本発明は、ORPを、約+50mV(初期ORPからピークORPまで)増加させてもよく、ORPは、少なくとも約8時間の初期期間にわたって約+50mV上昇したままであってもよい。好ましくは、本発明は、ORPを、約+100mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約8時間の初期期間にわたって約+100mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+150mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約8時間の初期期間にわたって約+150mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+200mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約8時間の初期期間にわたって約+200mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+250mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約8時間の初期期間にわたって約+250mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+300mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約8時間の初期期間にわたって約+300mV上昇したままである。好ましくは、本発明は、ORPを、約+350mV(初期ORPからピークORPまで)増加させ、ORPは、少なくとも約8時間の初期期間にわたって約+350mV上昇したままである。例えば、本発明の組成物は、ORPを(例えば、反芻動物の第一胃において)約+100mV(初期ORPからピークORPまで)増加させる用量の酸化剤を提供するように製剤化することができ、ORPは、少なくとも約3時間の初期期間にわたって約+100mV上昇したままであってもよい。
【0081】
本明細書に記載の多数の実施形態では、最小のORP増加が言及されている。そのような実施形態の追加の好ましい特徴は、組成物及び方法が目標範囲内に入るORP増加を提供し、従って過剰な増加を回避するような最大のORP増加である。例えば、一部の好ましい実施形態では、ORP増加は、目標最小値を約100mV、約150mV、約200mV、約250mV、約300mV、約350mV、又は約400mVよりも大きく上回らない。好ましい実施形態では、ORP増加は、目標最小値を約200mVよりも大きく上回らない。例えば、一定期間にわたって約+50mV(初期ORPからピークORPまで)のORPの増加をもたらす実施形態の場合、一部の好ましい実施形態では、ORP増加は約+50mV~約+150mVである。最大ORPを設定することは、言及されている全てのORP増加(例えば、目標最小値を約100mV、約150mV、約200mV、約250mV、約300mV、約350mV、又は約400mV上回る)の好ましい実施形態である。
【0082】
一態様では、本発明は、酸化剤を含む組成物であって、先行する実施形態のいずれかに記載の通り、動物の消化管(例えば、反芻動物の第一胃)においてORPを増加及び/又は維持する用量の酸化剤を提供するように製剤化されている組成物を提供する。
好ましい実施形態では、本発明の組成物の約0.05%(質量による)、好ましくは約0.1%、好ましくは約0.15%、好ましくは約0.3%、好ましくは約0.6%、好ましくは約1.2%、好ましくは約2%、好ましくは約2.5%は酸化剤である。例えば、本発明の組成物の約1.2%(質量による)は酸化剤であってもよい。
好ましい実施形態では、本発明の組成物の少なくとも約0.05%(質量による)、好ましくは少なくとも約0.1%、好ましくは少なくとも約0.15%、好ましくは少なくとも約0.3%、好ましくは少なくとも約0.6%、好ましくは約1.2%、好ましくは少なくとも約2%、好ましくは少なくとも約2.4%は酸化剤である。例えば、本発明の組成物の約1.2%(質量による)は酸化剤であってもよい。
一部の実施形態では、本発明の組成物の約0.05%~約10%(質量による)、好ましくは約0.1%~約5%、好ましくは約0.5%~約2.5%、好ましくは約1%~約2%は酸化剤である。
【0083】
他の実施形態では、本発明の組成物の実質的に全ては酸化剤である。例えば、本発明の組成物の約90%よりも多く、約95%よりも多く、約99%よりも多く、又は約100%(質量による)は酸化剤であってもよい。
特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、約25gの過酸化カルシウムを含む。別の特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、約50gの過酸化カルシウムを含む。別の特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、約100gの過酸化カルシウムを含む。別の特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、約150gの過酸化カルシウムを含む。別の特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、約200gの過酸化カルシウムを含む。別の特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、約300gの過酸化カルシウムを含む。
【0084】
組成物中の更なる成分:
本発明の組成物は、ペルオキシダーゼ若しくはカタラーゼ、及び/又はペルオキシダーゼ産生生物(例えば酵母)等のペルオキシダーゼの供給源を更に含んでいてもよい。本発明の組成物にペルオキシダーゼ又はカタラーゼを導入すると、過酸化物の酸素への分解の加速を可能にすることができる。これには、過酸化物蓄積及び過酸化物蓄積に関連付けられるあらゆる否定的効果、例えば第一胃の生物除去を最小限に抑えつつ、ORP増加を最大化するという利点がある。代替的には、過酸化物の酸素への分解を加速させる非生物学的触媒(例えば、鉄等の金属イオン)を使用してこれを達成することができる。従って、本発明の組成物は、ペルオキシダーゼ、ペルオキシダーゼの供給源、ペルオキシダーゼ産生生物、及び/又は非生物学的触媒(過酸化物の酸素への分解を加速させる)を更に含んでいてもよい。
本発明の組成物は、追加の活性成分、例えば、追加の抗メタン生成剤(つまり、動物からのメタンの産生を低減させる物質又は組成物)を更に含んでいてもよい。一部の追加の抗メタン生成剤は、例えば、3-ニトロオキシプロパノール(3NOP)、コエンザイムMアナログ、ハロゲン化脂肪族C1~C2炭化水素、例えばブロモホルム;プテリン化合物、ヒドロキシメチルグルタリル-CoA(HMG-S-CoA)レダクターゼ阻害剤、脂肪及び脂肪酸、植物二次代謝産物、例えば、タンニン、フラボノイド、有機硫黄化合物、エッセンシャルオイル、アリシン、代替水素シンク、例えば、ニトレート及びスルフェート、ニトロ化合物、プロピオネート及びブチレートエンハンサー、不飽和有機酸、水素産生細菌に対する阻害剤、例えばイオノフォア又はバクテリオシンである。好ましい抗メタン生成剤は3NOPである。一部の実施形態では、更なる活性成分は、本組成物と同じ製剤である(例えば、単位投与量製剤に混合されている)。しかしながら、他の実施形態では、組成物は、本明細書に記載の酸化剤を含む1つの部分、及び本明細書に記載の更なる活性成分を含む少なくとも1つの他の部分を含み、好ましくは、2つの部分は、別々に、同時に、又は順次に投与することができる。
【0085】
一部の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、1つのみの抗メタン生成剤を含む。一部の実施形態では、組成物は、追加の抗メタン生成剤の投与を含まない。例えば、本発明の方法は、3NOPを実質的に含まなくてもよい。一態様では、本発明は、酸化剤及びカタラーゼを含む、動物に経口投与するための組成物を提供する(好ましくは、組成物はヨウ化物の供給源を含まない)。
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、過酸化物の供給源である酸化剤を含み、ペルオキシダーゼを更に含む。種々のペルオキシダーゼが当技術分野で公知であり、一般に、ヘムペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、シトクロムcペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、バナジウムブロモペルオキシダーゼ、マンガンペルオキシダーゼ、NADHペルオキシダーゼが挙げられる(しかしながら、これらに限定されない)。
一部の好ましい実施形態では、本発明の酸化剤及び/又は組成物は、ペルオキシダーゼを実質的に含まない。
【0086】
本発明者らは、酸化剤(例えば酸素の供給源、特に過酸化物の供給源)及びペルオキシダーゼ又はカタラーゼを両方とも含む組成物が、酸素への分解の加速を呈することを発見した。そのような組成物は、酸化剤濃度、例えば過酸化物蓄積を最小限に抑えつつ、酸素を迅速に放出することによりORPを増加させるという利点を有する。これは、例えば、高い過酸化物レベル又は過酸化物蓄積に関連付けられる否定的効果、例えば、第一胃の生物除去及び消化率に対する否定的効果を回避するのに都合よい可能性がある。
しかしながら、一部の好ましい実施形態では、ペルオキシダーゼ又はカタラーゼの非存在下での酸化剤の自然分解は、酸化剤濃度、例えば過酸化物蓄積を最小限に抑えつつ酸素を迅速に放出することによりORPを増加させる効果を達成するのに十分である。従って、一部の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、カタラーゼ及び/又はペルオキシダーゼを実質的に含まない。
【0087】
酸化剤:
一般に、本発明の方法は、動物(例えば、反芻動物)に酸化剤を投与することを含む。通常、酸化剤は酸素の供給源である。
酸化剤は、好ましくは、過酸化物の供給源である。酸素の供給源としての過酸化物の供給源。
過酸化物の供給源は、過酸化水素、尿素過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化ナトリウム、過酸化リチウム、及び過酸化カルシウム、又はそれらの組合せを含む(しかしながら、これらに限定されない)リストから選択することができる。一部の好ましい実施形態では、過酸化物の供給源は、過酸化水素、尿素過酸化水素、過酸化マグネシウム、過酸化ナトリウム、過酸化リチウム、及び過酸化カルシウム、又はそれらの組合せを含むリストから選択することができる。一部の好ましい実施形態では、過酸化物の供給源は、過酸化水素、尿素過酸化水素、過酸化マグネシウム、過酸化ナトリウム、及び過酸化リチウム、又はそれらの組合せを含むリストから選択することができる。一部の好ましい実施形態では、過酸化物の供給源は、尿素過酸化水素、過酸化マグネシウム、過酸化ナトリウム、及び過酸化リチウム、又はそれらの組合せを含むリストから選択することができる。金属イオンは、過酸化物の酸素への分解を触媒することができる。
【0088】
一部の好ましい実施形態では、過酸化物の供給源(酸素の供給源)は、過酸化水素、尿素過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化ナトリウム、過酸化亜鉛、過酸化リチウム、及び過酸化カルシウム、又はそれらの組合せを含む(しかしながら、これらに限定されない)リストから選択することができる。
特に好ましい実施形態では、過酸化物の供給源(酸素の供給源)は、尿素過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化ナトリウム、過酸化リチウム、及び過酸化カルシウム、又はそれらの組合せを含む(しかしながら、これらに限定されない)リストから選択される。
特に好ましい過酸化物の供給源は、尿素過酸化水素である。本発明者らは、尿素過酸化水素が特に効果的であり、例えば、アンモニア産生に対して追加の利点を有することを見出した。
【0089】
別の特に好ましい過酸化物の供給源は、過酸化カルシウムである。本発明者らは、過酸化カルシウムが、特に経口投与の場合、第一胃において望ましいORP増加をもたらすことを見出した。
過酸化物の供給源(酸素の供給源)は、好ましくは、固体形態である。一部の実施形態では、これは、過酸化物の供給源が、固体成分として動物の飼料に組み込まれていることを意味する。一部の他の実施形態では、これは、過酸化物の供給源が、経口投与用の固体ボーラスとして製剤化されていることを意味する。
他の潜在的な酸素の供給源としては、ペルフルオロカーボン及びエンドペルオキシドが挙げられる。
代替的に、酵素的な酸素の供給源を使用することができる。また、酵母等の他の生物学的触媒が存在していてもよい。
一態様では、本発明は、動物からのメタン産生を低減させるための方法であって、尿素過酸化水素、過酸化マグネシウム、又はそれらの組合せを含む組成物を動物に経口投与することを含み、好ましくは、組成物はヨウ化物又はヨウ化物の供給源を実質的に含まない、方法を提供する。例えば、好ましくは、本発明は、動物からのメタン産生を低減させるための方法であって、尿素過酸化水素を含む組成物を動物に経口投与することを含み、好ましくは、組成物はヨウ化物又はヨウ化物の供給源を実質的に含まない、方法を提供する。本発明者らは、尿素過酸化水素、過酸化マグネシウム、又はそれらの組合せを含む組成物の経口投与が、特に反芻動物におけるメタン産生の低減に特に効果的であることを発見した。
【0090】
酵素酸化剤系:
一部の実施形態では、酸化剤は、酵素酸化剤系であってもよい。例えば、組成物は、酵素、及び集合的に酸化効果を生成する更なる成分(例えば、酸素の供給源又は過酸化物の供給源)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、組成物は、動物の内因性成分と反応して酸化効果をもたらす酵素酸化剤系(例えば、酸素の供給源又は過酸化物の供給源)を含む。
好ましい実施形態では、酸化剤は非酵素性である。しかしながら、本発明の組成物中の酸化剤が酵素酸化剤系である実施形態の場合、酵素酸化剤系は、好ましくは、ペルオキシダーゼ、例えば動物ヘム依存性ペルオキシダーゼを含まない。好ましくは、本発明の組成物はラクトペルオキシダーゼを含まない。
酵素酸化剤系は当技術分野で公知である。1つの好ましい酵素酸化剤系は、オキシドレダクターゼ酵素、及びこの酵素が過酸化水素を産生するための適切な基質を含む。代替的に、基質は、内因性であってもよい(組成物中に存在しなくてもよい)。
一部の実施形態では、酵素酸化剤系は、グルコースとグルコースオキシダーゼとの反応を提供し、グルコン酸及び過酸化物の産生をもたらす。そのような系は、国際公開第2012140272号にて考察されている。この文献は、その全体が参照により組み込まれる。
【0091】
一部の実施形態では、酵素酸化剤系は、オキシドレダクターゼ酵素、及びこの酵素が過酸化水素を産生するための適切な基質を含む。オキシドレダクターゼは、グルコースオキシダーゼであってもよい。グルコースオキシダーゼは、グルコースと反応して過酸化水素を産生する。同様に、ガラクトースと反応して過酸化水素を産生するガラクトースオキシダーゼも使用することができる。
一部の実施形態では、過酸化物は、グルコースオキシダーゼの作用によりグルコースから産生させてもよい。
一部の実施形態では、本発明の組成物は、ジサッカリド糖を更に含んでいてもよい。ジサッカリドは、対応するグリコシド加水分解酵素、例えばスクロース及びスクラーゼにより加水分解され、モノサッカリド糖の放出が可能となる。モノサッカリド糖はひいては、対応するオキシドレダクターゼ酵素の使用による追加の過酸化水素の供給源として作用することができる。加えて、2つよりも多くの糖分子を含み、切断されて過酸化水素の供給源を産生するオリゴサッカリド又はポリサッカリドを添加してもよい。
一部の実施形態では、本発明の組成物は、過酸化水素の供給源を誘導するための2つの酵素:ジサッカリド糖を構成成分モノサッカリドへと分解するグリコシド加水分解酵素、及びモノサッカリド糖と反応して過酸化水素を放出する更なるオキシドレダクターゼを含む。
【0092】
一部の実施形態では、組成物は、追加の過酸化水素の供給源を更に含んでいてもよい。例えば、追加の過酸化水素の供給源は、過酸化水素の溶液の外因性添加、又は過炭酸ナトリウム等の好適な過酸化水素化物(perhydrate)によるその放出である。
代替的に又は加えて、少なからぬ酵素を使用して過酸化水素を産生させることができる。キサンチンオキシドレダクターゼ/オキシダーゼは、ヒポキサンチン又はキサンチンのいずれかと反応して過酸化水素を産生する。従って、キサンチンオキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及び/又はキサンチンを、過酸化水素を産生する組成物に添加してもよい。同様に、糖アルコールをそれらの適切なオキシダーゼ酵素と反応させて過酸化水素の供給源を産生させることができる。例えば、グリセロールオキシダーゼは、グリセロールと反応して過酸化水素の供給源を産生し、従ってグリセロールオキシダーゼ/グリセロールを組成物に添加してもよい。別の例は、マンニトールオキシダーゼと反応するマンニトールであろう。これに加えて、クエン酸は過酸化水素を放出することが知られており、従ってこれもまた組成物に添加することができる。
【0093】
同様に、L-アミノ酸オキシダーゼは、遊離アミノ酸と反応して過酸化水素を産生する酵素である。同様に、その添加(L-アミノ酸補完の有無に関わらず)は、過酸化水素の供給源を提供することができる。
オキシドレダクターゼ及び糖を変えることにより、他の酵素反応(L-アミノ酸オキシダーゼ及びL-アミノ酸、キサンチンオキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びキサンチン/ヒポキサンチン)により、過炭酸ナトリウムなどの過酸化水素化物の添加、又は過酸化水素の溶液の直接添加により、別の方法を過酸化水素の産生に使用することができる。
一部の実施形態では、過酸化物の供給源は、過酸化水素を分泌する乳酸菌等の第一胃微生物であってもよい。連鎖球菌(streptococci)等の第一胃中の種々の他の細菌は、過酸化水素の内因性供給源を提供するように作用することができる。そのような細菌により産生される過酸化物は、ひいては、過酸化物の分解により酸素の供給源として作用することができる。
一部の好ましい実施形態では、過酸化物の供給源は、第一胃微生物でも第一胃細菌でもない。例えば、一部の好ましい実施形態では、過酸化物の供給源(酸素の供給源)は乳酸菌ではない。
【0094】
動物対象:
本発明の組成物及び方法は、動物に対して使用するためのものである。本発明は、反芻動物において特に有用であり、最も好ましい対象は畜牛である。反芻動物の例としては、畜牛、ヒツジ、ヤギ、シカ、キリン、アンテロープ、及びラクダ等が挙げられる。好ましくは、反芻動物はウシ又はヒツジである。
一部の実施形態では、動物は、サイレージ給餌されている反芻動物であり、つまり反芻動物は、本発明の組成物を摂取する前又は本発明の方法に供される前に、サイレージ給餌されている。一部の実施形態では、動物(例えば、反芻動物)は放牧家畜であり、つまり動物(例えば、反芻動物)は、本発明の組成物を摂取する前又は本発明の方法に供される前に、牧草給餌されている。一部の実施形態では、動物は集中的に飼育されており、つまり動物(例えば、反芻動物)は、本発明の組成物を摂取する前又は本発明の方法に供される前に、バランスのとれた配給物又は濃縮飼料で給餌されている。一部の実施形態では、動物は集中的に飼育されており、つまり動物(例えば、反芻動物)は、本発明の組成物を摂取する前又は本発明の方法に供される前に、牧草地での屋外放牧により給餌されている。本発明は、他の非反芻動物、特にブタでの使用にも好適である。そのような動物は反芻動物ではないが、それでも著しい量のメタンを産生する。
一部の好ましい実施形態では、動物は、フィステル装着もカニューレ挿入もされていない。特に好ましい実施形態では、動物は、フィステル装着されていない反芻動物(例えば、ウシ)である。例えば、これは、その動物がフィステルもカニューレも外科的に装着されていない牛であることを意味することができる。
【0095】
動物性能増強
更なる態様では、本発明は、動物性能を向上させるための、酸化剤を含む組成物を提供する。組成物は、本明細書の他所に記載のような本発明の任意の組成物であってもよい。好ましい実施形態では、本明細書に記載の、動物からのメタン産生を低減させるための方法は、動物性能を向上させることを更に含んでいてもよい。
一部の実施形態では、本発明は、過剰な水素からメタンではなく揮発性脂肪酸を生成する非メタン生成微生物経路を奨励する。一部の実施形態では、非メタン生成微生物経路としては、フマル酸還元及び/又は発酵を挙げることができる。一部の実施形態では、メタン生成活性の低減は、第一胃における、揮発性脂肪酸を生成する非メタン生成活性(例えば、酢酸生成活性)の増加、及び/又は非メタン生成微生物個体数(例えば、発酵微生物個体数及びフマル酸還元微生物個体数)の増加を伴ってもよい。第一胃における、揮発性脂肪酸を生成する非メタン生成活性(例えば、酢酸生成活性)の増加、及び/又は非メタン生成微生物個体数(例えば、発酵微生物個体数及びフマル酸還元微生物個体数)の増加の結果として、より多くの水素を廃メタンガスではなく揮発性脂肪酸の産生に振り向けることができるため、動物性能の向上を観察することができる。本発明は、過剰な水素からメタンではなく酢酸を生成する非メタン生成微生物経路を奨励することができる。一部の実施形態では、非メタン生成微生物経路として、酢酸生成(例えば、ホモ酢酸生成)微生物経路を挙げることができる。従って、メタン生成活性の低減は、第一胃における酢酸生成(例えば、ホモ酢酸生成)活性の増加及び/又は酢酸生成菌(例えば、ホモ酢酸生成菌)個体数の増加を伴う可能性がある。酢酸生成(例えばホモ酢酸生成)活性の増加及び/又は酢酸生成菌(例えばホモ酢酸生成菌)個体数の増加の結果として、より多くの水素を廃メタンガスではなく酢酸の生成に振り向けることができるため、動物性能の向上を観察することができる。
【0096】
本発明は、過剰な水素からメタンではなくプロピオン酸及び/又は中鎖脂肪酸(例えば吉草酸及び/又はカプロン酸)を生成する非メタン生成微生物経路を奨励することができる。従って、メタン生成活性の低減は、第一胃における、プロピオン酸及び/若しくは中鎖脂肪酸(例えば、吉草酸及び/若しくはカプロン酸)を産生する微生物活性の増加、並びに/又はプロピオン酸産生及び/若しくは中鎖脂肪酸産生(例えば、吉草酸産生及び/若しくはカプロン酸産生)微生物個体数の増加を伴う可能性がある。
更なる態様では、本発明は、動物性能を向上させるための方法であって、酸化剤を含む組成物を動物に経口投与することを含む方法を提供する。組成物は、本明細書の他所に記載のような本発明の任意の組成物であってもよい。
【0097】
好ましい実施形態では、動物性能の向上は、乳産生の増加、動物体重獲得の増加、動物の乳質の向上、動物の胃(例えば第一胃)における揮発性脂肪酸含有量の増加、動物(例えば肉牛)の飼育終了時間の低減、屠体品質の向上、飼料効率の向上、及び/又は飼料回復率(feed recuperation ratio)の向上である。好ましい実施形態では、そのような向上はいずれも、本発明の方法、組成物、又は使用に供されていない動物と比べて測定することができる。
好ましい実施形態では、「乳産生の増加」という用語は、乳容積収量の増加及び/又は乳固形分収量の増加を含むことができる。好ましい実施形態では、「乳容積収量の増加」という用語は、本発明に供されていない反芻動物により産生される平均容積と比較した乳容積の増加を意味する。好ましい実施形態では、「乳固形分収量の増加」という用語は、本発明に供されていない反芻動物により産生される平均質量と比較した乳固形分質量の増加を意味する。
【0098】
一実施形態では、本発明の方法は、乳容積収量を少なくとも1%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳容積収量を少なくとも2%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳容積収量を少なくとも5%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳容積収量を少なくとも10%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳容積収量を少なくとも15%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳容積収量を少なくとも20%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳容積収量を少なくとも25%増加させる。
別の実施形態では、本発明の方法は、乳容積収量を少なくとも1%~約2%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳容積収量を約1%~約5%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳容積収量を約1%~約10%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳容積収量を約1%~約15%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳容積収量を約1%~約20%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳容積収量を約1%~約25%増加させる。
【0099】
一実施形態では、本発明の方法は、乳固形分収量を少なくとも1%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳固形分収量を少なくとも2%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳固形分収量を少なくとも5%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳固形分収量を少なくとも10%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳固形分収量を少なくとも15%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳固形分収量を少なくとも20%増加させる。一実施形態では、本発明の方法は、乳固形分収量を少なくとも25%増加させる。
実施形態では、本発明の方法は、乳固形分収量を約1%~約2%増加させる。実施形態では、本発明の方法は、乳固形分収量を約1%~約5%増加させる。実施形態では、本発明の方法は、乳固形分収量を約1%~約10%増加させる。実施形態では、本発明の方法は、乳固形分収量を約1%~約15%増加させる。実施形態では、本発明の方法は、乳固形分収量を約1%~約20%増加させる。実施形態では、本発明の方法は、乳固形分収量を約1%~約25%増加させる。
一部の実施形態では、「飼育終了時間の低減」は、本発明の方法に供されていない動物の平均飼育終了時間と比較して、屠殺前の最終所定質量に到達するまでにかかる時間の低減を意味する。本発明の方法は、飼育終了時間を、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも5日、少なくとも10日、又は少なくとも20日低減することができる。
【0100】
また、一部の実施形態では、本発明は、第一胃にて揮発性脂肪酸(VFA)の増加をもたらすことができる。好ましい実施形態では、本発明の方法を使用すると、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、及び/又はカプロン酸から選択される1つ又は複数のVFAの濃度を増加させることができる。好ましい実施形態では、本発明の方法は、少なくとも約1%のVFA濃度の増加をもたらす。好ましくは、本発明の方法は、少なくとも約5%のVFA濃度の増加をもたらす。好ましくは、本発明の方法は、少なくとも約10%のVFA濃度の増加をもたらす。反芻動物等の動物の微生物消化により産生され得るこうしたVFAは、最も迅速に代謝されるため、VFA産生の重要な指標であり得る。一部の実施形態では、VFAの増加は、動物における消化の増加の指標であり、従って、望ましい結果である。
【0101】
好ましい実施形態では、本発明は、酢酸生成活性の増加及び/又は酢酸生成菌個体数の増加を加速させる第2の成分を投与することを含んでいてもよい。好ましい実施形態では、第2の成分はプロバイオティクスを含む。
好ましい実施形態では、第2の成分は酢酸生成菌の生培養物を含んでいてもよい。例えば、第2の成分は、以下の少なくとも1つ、又はそれらの組合せを含んでいてもよい:アセチトマクラム・ルミニス(acetitomaculum ruminis)、アセトアナエロビウム・ノテラエ(acetoanaerobium noterae)、アセトバクテリウム・バキイ(acetobacterium bakii)、アセトバクテリウム・カルビノリカム(acetobacterium carbinolicum)、アセトバクテリウム・デハロゲナンス(acetobacterium dehalogenans)、アセトバクテリウム・フィメタリウム(acetobacterium fimetarium)、アセトバクテリウム・マリクム(acetobacterium malicum)、アセトバクテリウム・パルドサム(acetobacterium paludosum)、アセトバクテリウム・ツンドラエ(acetobacterium tundrae)、アセトバクテリウム・ウィエリンガエ(acetobacterium wieringae)、アセトバクテリウム・ウッディ(acetobacterium woodii)、アセトハロビウム・アラバチクム(acetohalobium arabaticum)、アセトネマ・ロングム(acetonema longum)、アルカリバキュラム・バッキ(alkalibaculum bacchi)、ブラウティア・コッコイデスga-1a(blautia coccoides ga-1a)、ブラウティア・ヒドロゲンオトロフィカ(blautia hydrogenotrophica)、ブラウティア・プロダクタu-1a(blautia producta u-1a)、ブラウティア・スキンキイ(blautia schinkii)、ブチリバクテリウム・メチロトロフィクムa(butyribacterium methylotrophicum a)、カルデリハビタンス・マリティムス(calderihabitans maritimus)、カルボキシドテルムス・フェリレズセンス(carboxydothermus ferrireducens)、カルボキシドテルムス・ヒドロゲンオホルマンス(carboxydothermus hydrogenoformans)、カルボキシドテルムス・ペルティナクス(carboxydothermus pertinax)、クロストリジウム・アセチクム(clostridium aceticum)、クロストリジウム・アウトエタノゲヌムa(clostridium autoethanogenum a)、クロストリジウム・カルボキシジボランス(clostridium carboxidivorans)、クロストリジウム・コスカチイa(clostridium coskatii a)、クロストリジオイデス(clostridioides)、ジフィシル630a(difficile 630a)、クロストリジウム・ドラケイ(clostridium drakei)、クロストリジウム・ホルミクアセチクム(clostridium formicaceticum)、クロストリジウム・ルジュングダーリイ(clostridium ljungdahlii)、クロストリジウム・マグヌム(clostridium magnum)、クロストリジウム・メトキシベンゾボランス(clostridium methoxybenzovorans)、クロストリジウム・ラグスダレイ(clostridium ragsdalei)、クロストリジウム・スカトロゲネス(clostridium scatologenes)、デスルホトマクルム・テルモベンゾイクム(desulfotomaculum thermobenzoicum)亜種テルモシントロフィクム(thermosyntrophicum)、ユーバクテリウム・アグレガンス(eubacterium aggregans)、ユーバクテリウム・リモスム(eubacterium limosum)、フクシエラ・アルカリアセチゲナ(fuchsiella alkaliacetigena)、フクシエラ・フェリレズセンス(fuchsiella ferrireducens)、ホロファガ・ホエチダク(holophaga foetidac)、マルビンブリアンチア・ホルマテキシゲンス(marvinbryantia formatexigens)、ムーレラ・グリセリニック(moorella glycerinic)、ムーレラ・ムルデリ(moorella mulderi)、ムーレラ・サーモアセチカ(moorella thermoacetica)、ムーレラ・テルモアウトトロフィカ(moorella thermoautotrophica)、オキソバクテル・ペンニギイ(oxobacter pfennigii)、スポロムサ・アシドボランス(sporomusa acidovorans)、スポロムサ・アエリボランス(sporomusa aerivorans)、スポロムサ・マロニカ(sporomusa malonica)、スポロムサ・オバタ(sporomusa ovata)、スポロムサ・パウシボランス(sporomusa paucivorans)、スポロムサ・リザエ(sporomusa rhizae)、スポロムサ・シルバセチカ(sporomusa silvacetica)、スポロムサ・スファエロイデス(sporomusa sphaeroides)、スポロムサ・テルミチダ(sporomusa termitida)、テルリスポロバクテル・グリコリクスRD-1a(terrisporobacter glycolicus rd-1a)、テルリスポロバクテル・マヨンベイ(terrisporobacter mayombei)、テルムアセトゲニウム・ファオイム(thermacetogenium phaeum)、テルモアナエロバクテル・キブイ(thermoanaerobacter kivui)、及びトレポネマ・プリミチア(treponema primitia)。また、第2の成分は、酢酸生成菌増殖を刺激する成分を含んでいてもよい。
【0102】
好ましい実施形態では、第2の成分は、フマル酸低減菌の生培養物を含んでいてもよい。例えば、第2の成分は、プロテオバクテリア(proteobacteria)、フソバクテリア(fusobacteria)、及びファーミキューテス門(firmicutes)の少なくとも1つの微生物を含んでいてもよい。例えば、第2の成分は、ミツオケラ・ジャラルジニイ(mitsuokella jalaludinii)、エンテロコッカス・ファエカリス(enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・ファエシウム(enterococcus faecium)、フィブロバクター・スクシノゲネス(fibrobacter succinogenes)、セレノモナス・ラクチリカ(selenomonas lactilyca)、セレノモナス・ルミナンチウム(selenomonas ruminantium)、ベイロネラ・パルビュラ(veillonella parvula)、及びウォリネラ・スクシノゲネス(wolinella succinogenes)の少なくとも1つ、又はそれらの組合せを含んでもよい。また、第2の成分は、フマル酸低減菌増殖を刺激する成分(例えば、フマル酸)を含んでいてもよい。
【0103】
更なる態様では、本発明は、動物性能を向上させるための方法であって、追加の抗メタン生成剤及び/又は酸化剤、並びに揮発性脂肪酸を生成する非メタン生成活性の増加及び/又は非メタン生成微生物個体数(例えば、発酵微生物個体数及びフマル酸低減微生物個体数)の増加を加速させる第2の成分を動物に経口投与することを含む方法を提供する。好ましい実施形態では、本発明は、動物性能を向上させるための方法であって、追加の抗メタン生成剤及び/又は酸化剤、並びに酢酸生成活性の増加及び/又は酢酸生成菌個体数の増加を加速させる第2の成分を反芻動物に経口投与することを含む方法を提供する。一部の追加の抗メタン生成剤は当技術分野で公知であり、例えば、3-ニトロオキシプロパノール(3NOP)、コエンザイムMアナログ、ハロゲン化脂肪族C1~C2炭化水素、例えばブロモホルム;プテリン化合物、ヒドロキシメチルグルタリル-CoA(HMG-S-CoA)レダクターゼ阻害剤、脂肪及び脂肪酸、植物二次代謝産物、例えば、タンニン、フラボノイド、有機硫黄化合物、エッセンシャルオイル、アリシン、代替水素シンク、例えば、ニトレート及びスルフェート、ニトロ化合物、プロピオネート及びブチレートエンハンサー、不飽和有機酸、水素産生細菌に対する阻害剤、例えばイオノフォア又はバクテリオシン、海藻及び海藻抽出物である。好ましい抗メタン生成剤は3NOPである。
【0104】
好ましい実施形態では、本発明は、動物性能を向上させるための方法であって、3NOP、並びに任意選択で酢酸生成活性の増加及び/又は酢酸生成菌個体数の増加を加速させる第2の成分(例えば、プロバイオティクス)を動物(例えば、反芻動物)に投与することを含む方法を提供する。
一部の好ましい実施形態では、本発明の方法は、胃(例えば第一胃)の酢酸生成菌(例えばホモ酢酸生成菌)個体数を、例えば、約10%よりも多く増加させる。好ましくは、本発明の方法は、胃(例えば第一胃)の酢酸生成菌(例えばホモ酢酸生成菌(homoacteogen))個体数を約20%よりも多く増加させる。好ましくは、本発明の方法は、胃(例えば第一胃)の第一胃酢酸生成菌個体数を約25%よりも多く増加させる。好ましくは、本発明の方法は、胃(例えば第一胃)の酢酸生成菌個体数を約30%よりも多く増加させる。一部の実施形態では、酢酸生成菌個体数は、従来手段、例えば試料を採取し顕微鏡を使用して酢酸生成菌を計数することにより測定される。
【0105】
一部の実施形態では、本発明は、本発明の反復投与後、経時的に動物性能の向上(例えば、体重獲得)を達成する。例えば、動物性能の向上(例えば、体重獲得)は、維持相で達成することができる。
一部の実施形態では、例えば修正相中に動物性能の一時的な低減(例えば、体重喪失)が起こり、続いて例えば維持相中に動物性能の長期的向上(例えば、体重獲得)が起こる。
理論に束縛されることは望まないが、動物性能の一時的又は一過性の低減(例えば、体重喪失)は、水素蓄積により引き起こされる可能性がある。一部の実施形態では、水素蓄積期間後に、非メタン生成微生物経路が増加する期間、及びメタン産生の長期的低減が続く。
【0106】
また、本発明は、以下の追加の番号付き実施形態に関する。
1. 動物性能を向上させるための、酸化剤を含む組成物。
2. 動物性能を向上させるための方法であって、酸化剤を含む組成物を動物に経口投与することを含む方法。
3. 動物性能を向上させるための方法であって、追加の抗メタン生成剤及び/又は酸化剤、並びに揮発性脂肪酸を生成する非メタン生成活性の増加及び/又は非メタン生成微生物個体数の増加を加速させる第2の成分を動物に経口投与することを含む方法。
4. 非メタン生成活性の増加は、酢酸生成活性の増加を含む、実施形態3に記載の方法。
5. 非メタン生成微生物個体数の増加は、酢酸生成菌個体数の増加を含む、実施形態3又は4に記載の方法。
6. 組成物は、ヨウ化物又はヨウ化物の供給源を実質的に含まない、任意の先行する実施形態に記載の方法又は組成物。
7. 組成物は、ペルオキシダーゼ若しくはカタラーゼ、ペルオキシダーゼ産生生物、又は過酸化物の分解を触媒する非生物学的触媒を含む、任意の先行する実施形態に記載の方法又は組成物。
8. 酸化剤は、酵素酸化剤系である、任意の先行する実施形態に記載の方法又は組成物。
9. 動物は反芻動物である、任意の先行する実施形態に記載の方法。
10. 動物はウシである、任意の先行する実施形態に記載の方法。
11. 動物は反芻動物であり、胃は第一胃である、実施形態2又は3に記載の方法。
12. 動物性能の向上は、乳産生の増加、動物体重獲得の増加、動物の乳品質の向上、動物の胃(例えば、第一胃)における揮発性脂肪酸含有量の増加、動物(例えば、肉牛)の飼育終了時間の低減、屠体品質の向上、飼料効率の向上、及び飼料回復率の向上の1つ又は複数を含む、任意の先行する実施形態に記載の方法又は組成物。
13. 酸化剤は、酸素(O2)の供給源である、任意の先行する実施形態に記載の方法又は組成物。
14. 酸素の供給源は過酸化物の供給源である、実施形態13に記載の方法又は組成物。
15. 酸化剤は、過酸化水素、尿素過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化ナトリウム、過酸化リチウム、及び過酸化カルシウム、又はそれらの組合せから選択される酸素の供給源である、任意の先行する実施形態に記載の方法又は組成物。
16. 酸化剤は、尿素過酸化水素である、任意の先行する実施形態に記載の方法又は組成物。
17. 酸化剤は、過酸化カルシウムである、任意の先行する実施形態に記載の方法又は組成物。
18. 酸化剤は過酸化物産生細菌であり、任意選択で過酸化物産生細菌は乳酸菌である、任意の先行する実施形態に記載の方法又は組成物。
19. 経口投与前に組成物を食物に添加することを含む、任意の先行する実施形態に記載の方法。
20. (i)給餌前に組成物を食物に振りかけるステップ、及び(ii)食物及び組成物の混合物を反芻動物に給餌するステップを含む、任意の先行する請求項に記載の方法。
21. 組成物は食物成分を更に含み、任意選択で食物成分は、トウモロコシ、大麦、大豆、及び/又は糖蜜を含む、任意の先行する実施形態に記載の方法又は組成物。
22. 組成物は、ココナッツ油、ギルセリン、グリセロール、シリカヒドロゲル、ポリ(メチルメタクリレート)カプセル化、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、アルギネート、ポリ(ビニルピロリドン)PVP、硬質脂肪、エチルセルロース、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)、アクリル酸、ヒドロキシエチルメタンクリレート-オリゴ(ヒドロキシブチレート)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、メタクリルアミドキトサン、シアノアクリレート、アルギン酸ナトリウム、ポリイソブチレン、イソブチレンイソプレンコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリイソプレン、ポリエチレン、酢酸ビニル、又はそれらの組合せを含むコーティングを含む、任意の先行する実施形態に記載の組成物又は方法。
23. 組成物は、ココナッツ油を含むコーティングを含む、任意の先行する実施形態に記載の組成物又は方法。
24. 組成物は、酸化鉄、酸化亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、水素化脂肪、又はそれらの組合せを含む、任意の先行する実施形態に記載の組成物。
25. 組成物は、動物の胃における酸化還元電位を少なくとも約+100mV増加させる、任意の先行する実施形態に記載の方法。
26. 組成物の経口投与は、経口投与後少なくとも約1時間の期間にわたって、動物の胃における酸化還元電位を上昇させる、任意の先行する実施形態に記載の方法。
27. 組成物の経口投与は、胃において少なくとも約1時間にわたって約-200mV~約-100mVの酸化還元電位を誘導及び維持する、任意の先行する実施形態に記載の方法。
28. 組成物の経口投与は、胃のpHを10%よりも大きく低減させない、任意の先行する実施形態に記載の方法。
29. 追加の抗メタン生成剤を投与することを更に含む、任意の先行する実施形態に記載の方法。
30. 追加の抗メタン生成剤は3-ニトロオキシプロパノールである、任意の先行する実施形態に記載の方法。
31. 組成物の約0.01~約0.1質量%は酸化剤である、任意の先行する実施形態に記載の組成物又は方法。
32. 質量により組成物の約0.05%~約10%、好ましくは約0.1%~約5%、好ましくは約0.5%~約2.5%、好ましくは約1%~約2%は酸化剤である、任意の先行する実施形態に記載の組成物又は方法。
33. 組成物の実質的に全ては酸化剤である、任意の先行する実施形態に記載の組成物又は方法。
34. 使用される組成物は、任意の先行する実施形態に記載の組成物である、任意の先行する実施形態に記載の方法。
35. 動物性能を向上させるための、任意の先行する実施形態に記載の組成物の使用。
【実施例
【0107】
本発明の組成物及び方法を、以下の非限定的な実施例により説明する。
実施例1 - RUSITEC組成物スクリーニング1回目の実行
第一胃シミュレーション技法(RUSITEC)として知られている、第一胃を調査するための十分に確立されているアッセイは、Czerkawski及びBreckenridgeにより記載されている(British Journal of Nutrition、1997年、38巻(3号)、371~384頁)。本発明者らは、RUSITEC系を使用して、飼料添加物としての本発明の一連の組成物の効果をex vivoでスクリーニングした。
【0108】
実験の詳細:RUSITEC設定には800ml容器を使用し、スクリーニングされる各飼料添加物/対照毎に4つの複製系を使用した。下記に示す結果は、4回の複製実験の結果の平均である。容器内で試験されているものと同様の食餌に順応させた>3頭のフィステル装着ドナー動物から、新しい第一胃液及び消化物を収集した。収集した内容物は、ばらつきを排除するためにプールした。容器毎に最低500mlの第一胃液及び90gの消化物を収集した。消化物を使用する目的は、繊維マット上に微生物が複製し、新たに導入された飼料バッグにそれらが付着することを可能にすることである。各実験毎に、対照組成物又は飼料添加物を含む組成物のいずれかを含む飼料組成物を、多孔性バッグ内のRUSITEC系に添加した。加えて、牧草サイレージを含む第2のバッグ(「まぐさバッグ」)を容器に加えた。450mlの第一胃液、350mlの嫌気性唾液、飼料組成物を含む適切なバッグ、まぐさバッグ、及び80gの消化物プールを各容器に添加した。添加前に、飼料組成物及びまぐさバッグの各々の乾燥質量を記録した。人工唾液を、McDougall(Biochemical Journal、1948年、43巻(1号)、99~109頁)に従って調製し、1時間当たり27.5mlの速度で容器に圧送した。実験手順の間は、各容器を39℃の一定温度に保った。オーバーフロー容器は2℃に保った。24時間毎に飼料組成物を含むバッグを取り出し、新しいバッグと交換し、まぐさバッグを48時間毎に交換した。以下の飼料組成物をRUSITEC系に添加した。
【0109】
参照組成物CO:焙煎大麦、小麦蒸留器乾燥穀物、乾燥穀物、乾燥ビートパルプ、大豆(豆)皮、サトウキビ糖蜜、フレーク状トウモロコシ、大豆、塩化ナトリウム、及び炭酸カルシウムからなる対照組成物(20g)。
参照組成物A(「LARS 1X」):0.54gの尿素過酸化水素、0.06gのヨウ化カリウム、及び組成物CO(20g)からなる飼料組成物。
本発明の組成物B:0.54gの尿素過酸化水素及び組成物CO(20g)からなる飼料組成物。
【0110】
結果1.1:測定には、バイオガス産生、特にメタン酸性及びアンモニア産生が含まれていた。産生されたガスの総容積、特に、この系から発生したメタン及びアンモニアの容積を21日間にわたってモニターした。加えて、容器及びオーバーフロー第一胃液のpHを毎日測定した。結果は添付の図1にも示されている。
【表1】

1対照と比べた総ガス中のCH4割合の低減(%)=(COの総ガス中のCH4割合(%)-Xの総ガス中のCH4割合(%))/COの総ガス中のCH4割合(%)×100。ここで、Xは、A、B、又はCである。
2対照と比べた1日CH4産生量の低減(%)=(COのCH4産生(mmol/日)-BのCH4産生(mmol/日))/COのCH4産生(mmol/日)×100。
【0111】
結論1.1:ヨウ化物の供給源を含まない組成物Bは、対照と比べて総ガス発生容積の著しい低減を達成したことが観察された(図3を参照)。また、組成物Bは、対照と比べてメタン産生容積の著しい(50%よりも大きな)低減を達成した(図2を参照)。また、組成物Bは、対照と比べて、第一胃内で1日当たりに産生されるメタンの量の全体的な低減を達成した(図4を参照)。
結果1.2:21日間の実験期間にわたってRUSITECから発生したCH4の累積容積を記録した。
【表2】

pHもモニターした。結果は図6に示されている。
【0112】
結論1.2:表1.2に示されているように、組成物Bの投与は、対照と比べて、21日間の治験期間にわたって第一胃から発生するメタンの累積容積を著しく減少させた。注目すべきことに、減少は、対照と比べて60%を超えていた。
注目すべきことに、図6に示されているように、組成物Bの投与は、対照組成物COと比較して第一胃の実質的な酸性化に結び付かなかった。特に、組成物Bは、上記に記載のメタン産生量の低減に加えて、対照組成物COと同様のpHを維持したことが観察された。
この実質的な酸性化の欠如は驚くべきことである。バイオガス産生結果から、第一胃でのメタン産生を阻害する組成物は、揮発性脂肪酸の代謝形成も促進することになることが予想される(理論に束縛されることは望まないが)。従って、対応する第一胃の酸性化は(反芻動物における飼料の消化率に否定的影響を及ぼす可能性がある)、予想することができるが、観察されなかった。
【0113】
実験1.3:乾物消化率に対する各飼料添加剤組成物の効果は、上記に記載のRUSITECモデルを使用した模擬消化の前後での飼料組成物の乾燥質量の変化を測定することにより評価した。
上記で指定した交換間隔の各々において、飼料組成物バッグ又はまぐさバッグを容器から取り出した際に、これを25mlの唾液で洗浄して、できるだけ多くの微生物を剥離させ、洗浄液を容器に戻した。治験の最後の7日間(15~21)は、唾液洗浄に続いて、加熱、洗剤、又は脱水を用いずに洗濯機で飼料バッグ及びまぐさバッグを30分間のすすぎサイクルで洗浄した。洗浄後、バッグを55℃の温度で48時間乾燥させ、乾燥質量を記録した。
結果1.3:スクリーニングした組成物の各々の乾物消化率を、上記に記載のように測定した。
【表3】

3消化率(%)=(1-(消化後の飼料物質の乾燥質量/消化前の飼料物質の乾燥質量))×100。
4平均消化率は、ペレット及びまぐさ組成物の両方の平均消化率を指す。
【0114】
結論1.3:こうした結果は、図7~10に示されているように、組成物Bの投与が消化率に対して実質的な否定的影響を及ぼさないと考えられることを示す。注目すべきことに、組成物Bは、対照組成物COと同様であり、活性対照組成物Aよりも大幅に消化率を保持していることが観察された。
【0115】
結果1.4:この系から発生したアンモニアの容積を21日間にわたってモニターした。
【表4】
【0116】
結論1.4:組成物Bの投与は、対照組成物COと比較して、第一胃から発生するアンモニアの量の全体的な増加を達成した。注目すべきことに、図5に示されているように、組成物Bは、対照組成物COと比べてより大きな、及び活性対照組成物Aよりも大きな増加を達成したことが観察された。
【0117】
第一胃でのアンモニア産生の低減は、第一胃の生物除去に結び付く。そのため、本発明の組成物Bについて本発明者らが観察したアンモニア産生レベルの上昇は、本発明の方法及び組成物が第一胃の実質的な生物除去を回避することを示唆している。従って、本発明者らは、本発明の方法及び組成物が、驚くべきことに、第一胃の実質的な生物除去を引き起こさずに、メタン産生の望ましい低減を達成することができ、それにより、第一胃生物除去に関連付けられる一部の否定的効果、例えば、消化率の低減を回避することができることを示した。
結果1.5:対照組成物実験及び組成物B実験で生成された揮発性脂肪酸(VFA)の量(1リットル当たりのミリモル)を21日目に測定した。
【表5】
【0118】
実施例2 - RUSITEC組成物スクリーニング2回目の実行
追加の一連の組成物を使用して、実施例1の方法を繰り返した。
参照組成物CO:焙煎大麦、小麦蒸留器乾燥穀物、乾燥穀物、乾燥ビートパルプ、大豆(豆)皮、サトウキビ糖蜜、フレーク状トウモロコシ、大豆、塩化ナトリウム、及び炭酸カルシウムからなる対照組成物(20g)。
参照組成物D(「UHP 0.5×」):0.27gの尿素過酸化水素及び組成物CO(20g)からなる飼料組成物。
組成物E(「MgO2 0.5×」):0.162gの過酸化マグネシウム複合体(この複合体は、24%~28%の過酸化マグネシウムを含む)及び組成物CO(20g)からなる飼料組成物。
参照組成物G(「UHP 0.25×」):0.135gの尿素過酸化水素 組成物CO(20g)からなる飼料組成物。
【0119】
結果2.1:測定は、上記に記載のように、バイオガス産生及びpHを含んでいた。
【表6】
【0120】
組成物D、E、及びGの投与により、対照と比べて、第一胃から発生するガスの総容積の低減が達成された。組成物Dは、対照と比べて総ガス発生容積の最も大きな低減を達成した(図13も参照)。
組成物D、E、及びGの投与により、対照組成物COと比較して、第一胃から発生するメタンの容積の全体的な著しい低減が達成された。注目すべきことに、組成物Dは、対照組成物COと比べて、メタン産生容積の50%よりも大きな低減を達成した(図12も参照)。
組成物D、E、及びGの投与により、対照組成物COと比較して、第一胃で産生される1日当たりのメタン量の全体的な著しい低減が達成された。注目すべきことに、組成物Dは、対照組成物COと比べて、1日メタン産生量の50%よりも大きな低減を達成した(図14も参照)。
【0121】
顕著には、図15に示されているように、組成物D、E、及びGの投与は、対照組成物COと比較して第一胃の著しい酸性化に結び付かなかった。特に、組成物D及びGは、上記に記載のメタン産生量の低減に加えて、対照組成物COと比べてpHの増加をもたらしたことが観察された。こうした結果は、組成物D、E、及びGが、第一胃の酸性化を引き起こさずに、及び消化率に否定的影響を及ぼさずに、メタン産生に対して阻害効果を呈することができることを示唆している。
【0122】
結果2.2:スクリーニングした組成物の各々の乾物消化率を、上記に記載のように測定した。
【表7】
【0123】
結論2.2:乾物消化率の結果は、図16~19に示されているように、組成物D、E、又はGの投与が、消化率に実質的な否定的影響を及ぼさないと考えられることを示している。
【0124】
例示的な実施例3 - ORPアッセイ
動物の胃におけるORP(及びORPに対する本発明の組成物の効果)は、ORP測定のための従来手段により測定することができる。例えば、以下の好ましい方法を使用することができる:(i)市販のpHボーラスを応用することによりORP計ボーラスを調製し、(ii)ORP測定を開始し、(iii)研究中の組成物を投与し、(iv)定期的な間隔でORP測定を行うことにより、ORPに対する組成物の経時的な効果を測定する。
【0125】
例えば、動物の胃(例えば第一胃)におけるORPは、ボーラス電極を使用して測定することができ、ボーラス電極は、口から又はフィステルを介して第一胃に挿入される約100mm×20mmのカプセルである。ボーラスは、測定値を500mの範囲内の制御ステーションデータロガーに送信する。
【0126】
実施例4 - ORPデータ
初期実験は、本発明の組成物及び方法が、動物の胃、特に反芻動物の第一胃においてORPを増加させることを実証した。本発明者らは、メタン生成には、通常、消化管(例えば第一胃)において約-200mV又はそれよりも低いORPが必要であることを観察した。本発明者らは、本発明の組成物(例えば、実施例1及び2の組成物B、D、E、G)が、持続的期間、例えば約2~4時間よりも長期間にわたって、動物の消化管において少なくとも約+100mVのORPの増加を達成する(つまり、ORPを約-100mVを上回って上昇させる)ことが可能であることも観察した。
【0127】
考察:理論に束縛されることは望まないが、こうした結果は、ORPの増加が、消化率を実質的に低減させずに(及びその結果として飼料効率及び動物性能が維持される)メタン生成活性を低減させることに関与することを裏付けるものであると考えられる。特に、過酸化物供給源を使用する場合、胃の過酸化物の濃度は低いままである(急速な分解により酸素が持続的に供給されることを確実にするように過酸化物が持続的に放出されるため)。上昇したORPは持続したままであり、従って過酸化物供給源組成物は、過酸化物のわずかで無視できる程度の生物除去効果により引き起こされるあらゆるメタン生成活性を低減させるのではなく、酸素の供給源として機能している。
【0128】
実施例5 - In vivoメタン排出量研究
実験
異なる用量の飼料添加物の給餌が腸内発酵に及ぼすことになる影響を決定するために、メタン排出量研究を実施した。一般に、動物(この例では、治験開始時に体重およそ80kgの成体雌ヒツジ)に、飼料添加物を添加した500gの濃縮食餌(30%トウモロコシ粉、30%大麦、16.5%大豆皮、15.5%大豆粕、5%糖蜜、3%ミネラル及びビタミン)を毎日午前8時に給餌した。濃縮物/添加物の食べ残しを全て記録した。その後、ヒツジには一日中牧草サイレージ及び水を自由に摂取させ、食べたサイレージの量を各動物毎に記録した。
【0129】
全ての動物の体重を実験の開始時(「1週目」)及び49日後(「7週目」)に記録した。
メタン排出量を、可搬型蓄積室(PAC、Portable Accumulation Chamber)を使用することにより記録した。簡単に言うと、これらは、個々の動物が1時間の期間滞在する密閉室である。この期間中、メタン、酸素、及び二酸化炭素の測定を、0分、25分、及び50分時に行う。こうしたデータ点は、3つのガスの時間別及び日別の排出率が可能になるように温度及び湿度が調整されている。動物を、上記で規定のように1週目及び9週目にPACに入れた。
少なくとも2歳の成体雌ヒツジ12頭を、6頭ずつ2群に分割した。一方の群は1日当たり2.355gの用量の尿素過酸化水素を受け取り(群1と称する)、他方の群は1日当たり4.71gの用量の尿素過酸化水素を受け取った(群2と称する)。
【0130】
対照群:ヒツジには、動物飼料を含む飼料濃縮物0.5kgを7週間の期間にわたって毎日給餌した。
処置群1(UHP 0.5×):ヒツジに、対照群と同じ動物飼料及び0.15%(質量による)の尿素過酸化水素を含む飼料濃縮物0.5kgを7週間の期間にわたって毎日給餌した。
処置群2(UHP 1×):ヒツジに、対照群と同じ動物飼料及び0.3%(質量による)の尿素過酸化水素を含む飼料濃縮物0.5kgを7週間の期間にわたって毎日給餌した。
1日当たりのメタン排出量(CH4/日)及び動物の体重当たりのメタン排出量(CH4/BW)は、以下の表に見ることができる。
【0131】
結果
研究の1週間目及び7週間目の各動物の平均メタン産生量を下記に示す。動物の体重(BW)と比べたメタン産生量も示されている(つまり、動物の体重1kg当たりのメタンのリットル数)。
【表8】

【表9】

【表10】

【表11】
【0132】
実施例6 - In vivo飼料効率研究
実験:飼料添加物の摂取が動物性能にどのような影響を及ぼすことになるかを決定するための研究を実施した。動物飼料のエネルギー含有量の2~12%が腸内発酵により失われると推定されている。この研究では、腸内発酵の潜在的な低減により、追加のエネルギーが動物へと振り向けられることになるか否かを調査した。これは、飼料:獲得指標の向上、つまり、食べた餌の1単位当たりの体重増加率を向上させる動物の能力により分かる。
【0133】
60頭の成体雌ヒツジ(平均開始体重はおよそ80kg)を、1群当たり20頭のヒツジの3つの同数群に分割した。動物に、上記の動物研究-メタン排出量に記載のように給餌した。動物を対照群(飼料添加物を与えない)、処置群1(尿素-過酸化水素2.355gを毎日投与)、処置群2(尿素-過酸化水素4.71gを毎日投与)にグループ分けした。
実験の開始時(1日目)及び研究終了時(49日目)に動物の体重を測定した。研究全体を通じて、摂取された全ての飼料(DMI)の質量を秤量及び記録した。
【0134】
飼料:獲得の比を以下のように計算した。
体重獲得=最終体重-開始体重
飼料:獲得の比=体重獲得/1日DMI
以下の表に見られるように、これは、個々の動物ベース及び群ベースで計算した。
【0135】
結果:研究の開始時及び終了時の動物の体重が、動物の平均1日乾物摂取量(DMI)と共に下記に示されている。次いで、DMIに対する体重獲得の比を計算して、各動物の飼料効率を決定した。
【表12】

【表13】

【表14】

【表15】
【0136】
結論:尿素過酸化水素を含む飼料濃縮物を投与した処置群は、7週目までにメタン産生量の著しい減少を示した。飼料効率の結果は、こうした処置が体重獲得に否定的影響を及ぼさず、従って飼料の消化率に実質的な否定的影響を引き起こさなかったことを実証している。注目すべきことに、処置群の動物は、対照群よりも平均して体重をより多く獲得しており、本発明が消化率及び飼料効率に肯定的影響を及ぼすことが実証された。理論に束縛されることは望まないないが、本発明の組成物及び方法は、動物におけるORPを増加させ、メタン生成を低減させることにより、消化管内のメタン生成菌ではなく、動物に対してより多くの食物質量を振り向けることができる。
【0137】
実施例7 - より高い投与量の動物研究
実施例5及び6に記載の研究に基づく更なる動物研究が、2つの更なる処置群においてより高用量の尿素過酸化水素を使用して進行中である。より高い投与量の研究は、0.6%尿素過酸化水素(UHP 2×)及び1.2%尿素過酸化水素(UHP 4×)を含む飼料濃縮組成物を試みることを含む。より高濃度の尿素過酸化水素を含む処置は、反芻動物からのメタン産生低減により効果的となる一方で、消化率に実質的な否定的影響を及ぼさないこと及び飼料効率を潜在的に向上させること等の他の有益な特性も保持することが予想される。
【0138】
実施例8 - Ex vivo生物除去研究
実験:第一胃液中の原生動物個体数に対する本発明の組成物の効果を調査するために、ex vivo研究を実施した。この研究は、希釈した新しい第一胃液(「RF」)を、漸増濃度の尿素過酸化水素及びヨウ化カリウムを含む試験組成物(「UHP+KI」)及び対照組成物(「水」及び「N2:CO2」)で処置すること、試料を更に希釈すること、及び次いで原生動物個体数を顕微鏡で計数することで構成されていた。実験を三重重複で繰り返した。実験は、N2:CO2(80:20)雰囲気下の密閉バイアル中で実施した。
結果:下記に示されているように、原生動物数は、未処置試料と比較して、本発明の処置による影響を実質的に受けなかった。更に、試験処置濃度の増加に伴う原生動物個体数の減少傾向は観察されなかった。
【表16】
【0139】
結論:驚くべきことに、試験処置に関連付けられる原生動物数の低減はない。更に、試験組成物の濃度の増加と原生動物数のあらゆる低減との間には何らの関係性もない。従って、本発明の組成物は、試験した濃度では第一胃を実質的に生物除去しないと考えられることが予想されるだろう。
この実験では、ヨウ化カリウムを使用した。理論に束縛されることは望まないないが、ヨウ化カリウムは、尿素過酸化水素の分解及びその結果として生じる酸素の放出を促進すると予想される。本明細書の他の実験は、ヨウ化カリウムの非存在下でも同様の酸素放出が可能であることを実証しているため、ヨウ化カリウムを実質的に含まない本発明の処置組成物でも同様の結果が予想される。
【0140】
また、この実験は、第一胃液を大気ガス(N2及びCO2)の混合物に曝露することが、原生動物数の減少と関連付けられたことを示している。これは、例えばフィステルを介して第一胃液を大気ガスに曝露することが、原生動物数の低減、つまり生物除去に結び付く可能性があることを示唆している。
【0141】
実施例9 - 更なるORPアッセイ及びデータ
実験:畜牛の第一胃ORPに対する、本発明の飼料添加物の効果を調査するために、in vivo研究を実施した。この研究は、各ウシにORP測定ボーラスを投与して、ORP読取値を10分毎に記録することを可能にすること、畜牛を3つの群:対照群(本発明の飼料添加物を一切有しない飼料を受け取る)、低用量群(1日当たり100gのCaO2を飼料と共に受け取り、添加物は単回朝給餌で送達される)、及び高用量群(1日当たり200gのCaO2を飼料と共に受け取り、添加物は単回朝給餌で送達される)に分割することを含んでいた。およそ450時間後に第一胃を切開した。
【0142】
結果:
この研究の結果は図20に示されている。図20は、それぞれ対照群、低用量群、及び高用量群を10分間隔で測定した、経時的な第一胃のORPレベル(mV)をグラフ化したものである。
対照群の動物で測定した平均ベースラインORP読取値は、約-440mVである。この平均ベースラインORP読取値である約-440mVは、対照ORPと、添加物を摂取した動物によるORPの増加との比較の支援に有用であり得る。およそ450時間後に第一胃を切開した。この時点以降のORP結果は無視されるべきである。
毎朝の給餌後、第一胃のORPは、少なくとも1時間の持続期間にわたって少なくとも+100mV増加する。
処置動物の場合、複数回の給餌サイクルの後、持続的なORP上昇の継続時間が、各々のその後の給餌のたびにより長くなるという累積効果が観察された。
加えて、給餌サイクルの数が増加すると共に、処置動物のベースラインは、対照群で観察されたベースラインを上回って徐々に増加した。この効果は、高投与量群で特に顕著である。最初の約300~350時間の初期期間にわたって「修正相」を観察することができるが、それは、ORPプロファイルが全体的な増加を示し、各投与後に特定の増加を示す一方で、投与間にベースラインを下回るORPの一時的な低減があるためである。
最初の約300~350時間の初期期間の後、研究終了まで「維持相」を観察することができ、この相では、ORPプロファイルは全体的な増加を示し、各投与後に特定の増加があり、投与間にベースラインを下回るORPの実質的な低減はない。
【0143】
結論:in vivoで観察されたORPプロファイルは、RUSITEC ex vivoアッセイで生成されたORPプロファイルと一致しており、ORPの増加とメタン排出量の低減との間の強い相関関係も観察された。従って、処置動物ではメタン排出量の対応する低減が予想される。
処置動物のベースラインORPが経時的に徐々に増加するという観察は、本発明の処置がより高いベースラインORPへの持続的な移行をもたらすことを示唆する。
【0144】
実施例10 - ex vivo(RUSITEC)アッセイとin vivo ORP測定との比較
更に、ex vivo(RUSITEC)及びin vivo研究を実施して、畜牛の第一胃ORPに対する本発明の飼料添加物の効果と、RUSITEC実験で観察された効果(実施例1及び2に記載のもの等)との間の相関性を調査した。
実験10.1:in vivo研究は、実施例9に記載のものと同じORP測定ボーラスを4頭のウシに投与することを含んでいた。B423及びB419と名付けた2頭のウシに、3kgの従来の飼料濃縮混合物に組み込んだ1日当たり221.7gの過酸化カルシウム(CaO2)を給餌した。B420及びB421と名付けた2頭のウシは対照動物であり、本発明の添加物が存在しない1日当たり3kgの従来の飼料濃縮混合物のみを給餌した。ORP測定ボーラスは約13時間目に第一胃に入り、約18時間目に動物への飼料(添加物を有するか又は有しない)の投与を開始した。
結果10.1:図21及び22には、研究した畜牛の第一胃の測定ORPレベル(y軸)が時間(x軸)の関数として示されている。
【0145】
実験10.2:in vivoデータと比較するために、実施例1及び2に記載の種々のRUSITEC実験を設定し、16日目にORPを24時間にわたって測定し、過酸化カルシウムを含む、幾つかの異なる酸化剤を試験した。RUSITEC第一胃系におけるORPを定期的間隔で測定した。
結果10.2:図23には、試験した酸化剤の各々について、ORP(mV、x軸)が時間(時、y軸)の関数としてプロットされている。
【0146】
結論:in vivoでのORPプロファイルは、同じ含有率の(つまり当量用量の)過酸化カルシウムのRUSITEC ex vivoモデルで観察されたプロファイルと同等である。これにより、ex vivoモデル(RUSITEC)が第一胃応答を反映していることが確認される。
【0147】
当業者であれば、上述の説明から、本明細書に記載のものに加えて、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない本発明の様々な変更が明らかであろう。そのような改変も、添付の特許請求の範囲に入ることが意図されている。本出願で引用されている全ての特許、特許出願、及び出版物を含む全ての参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
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【国際調査報告】