(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】粉末状の糖類代替品
(51)【国際特許分類】
A21D 2/18 20060101AFI20240711BHJP
A21D 2/26 20060101ALI20240711BHJP
A21D 10/00 20060101ALI20240711BHJP
A21D 10/04 20060101ALI20240711BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240711BHJP
A21D 13/00 20170101ALI20240711BHJP
A21D 13/80 20170101ALI20240711BHJP
【FI】
A21D2/18
A21D2/26
A21D10/00
A21D10/04
A23L5/00 N
A21D13/00
A21D13/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506630
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2022071720
(87)【国際公開番号】W WO2023012170
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505090469
【氏名又は名称】プラトス ナームローズ フェノートサップ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】ボズマンズ,ギートゥルイ
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ハーセンドンク,イングリッド
(72)【発明者】
【氏名】パレイト,ブラム
【テーマコード(参考)】
4B032
4B035
【Fターム(参考)】
4B032DB05
4B032DB06
4B032DB24
4B032DG08
4B032DK02
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4B035LP02
4B035LP03
(57)【要約】
本発明は、1種または複数の修飾デンプンと、1種または複数のフルクタンと、1種または複数のタンパク質製品と、1種または複数のデンプン製品と、任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤とを含む、粉末状の糖類代替品、ならびにそれを得る方法を提供する。本発明は、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品を含む食品製品およびそれを得る方法をさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 1種または複数の修飾デンプン20.0~80.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン20.0~70.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.50~10.0%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品0.50~20.0%(w/w)と、
- 任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤と
を含む、粉末状の糖類代替品。
【請求項2】
人工原料および/または合成化学物質を最大0.010%(w/w)含む、請求項1に記載の糖類代替品。
【請求項3】
前記1種もしくは複数のタンパク質製品が、ゲル形成性タンパク質であり、および/または、少なくとも30.0%(w/w、乾物比)のタンパク質含有量を有する、請求項1または2に記載の糖類代替品。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の粉末状の糖類代替品を含むケーキミックスまたはケーキプレミックス。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の糖類代替品または請求項4に記載のケーキミックスもしくはケーキプレミックスを含む、ドウまたはバッター製品。
【請求項6】
粉と、卵または卵製品と、任意選択で、膨化剤、油脂および甘味剤のうちの1種または複数とをさらに含む、請求項5に記載のドウまたはバッター製品。
【請求項7】
ケーキバッターである、請求項5または6に記載のドウまたはバッター製品。
【請求項8】
前記ケーキバッターが、
- 粉15.0~30.0%(w/w)と、
- 油脂5.0~30.0%(w/w)と、
- 卵または卵製品7.0~25.0%(w/w)と、
- 1種または複数の修飾デンプン3.0~22.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン3.0~18.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.20~11.4%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品0.20~30.0%(w/w)と、
- 任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤と、
- 100.0%(w/w)までの水と
を含むクリームタイプケーキバッターである、請求項7に記載のドウまたはバッター製品。
【請求項9】
前記ケーキバッターが、
- 粉7.0~30.0%(w/w)と、
- 卵または卵製品10.0~45.0%(w/w、液状卵換算)と、
- 1種または複数の修飾デンプン3.0~22.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン3.0~18.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.20~13.9%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品0.20~30.0%(w/w)と、
- 任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤と、
- 100.0%(w/w)までの水と
を含むスポンジタイプケーキバッターである、請求項7に記載のドウまたはバッター製品。
【請求項10】
前記粉末状の糖類代替品以外に甘味剤を含まない、請求項5から9のいずれか一項に記載のドウまたはバッター製品。
【請求項11】
請求項1から3のいずれか一項に記載の粉末状の糖類代替品または請求項5から10のいずれか一項に記載のドウもしくはバッター製品を含む食品製品であって、好ましくは前記食品製品がベーカリーまたはパティスリー製品であり、より好ましくは前記ベーカリーまたはパティスリー製品がケーキ、さらにより好ましくはクリームケーキまたはスポンジタイプケーキである、食品製品。
【請求項12】
粉末状の糖類代替品を調製する方法であって、少なくとも
- 1種または複数の修飾デンプン20.0~80.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン20.0~70.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.50~10.0%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品0.50~20.0%(w/w)と、
- 任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤と
の、混合物を調製するステップを含む、方法。
【請求項13】
請求項5から10のいずれか一項に記載のドウまたはバッター製品を調製する方法であって、請求項1から3のいずれか一項に記載の粉末状の糖類代替品を、粉、卵または卵製品、ならびに任意選択で、膨化剤、油脂および甘味剤のうちの1種または複数に添加するステップを含む、方法。
【請求項14】
ベーカリーまたはパティスリー製品を調製する方法であって、請求項1から3のいずれか一項に記載の粉末状の糖類代替品を、粉、卵または卵製品、ならびに任意選択で、膨化剤、油脂および甘味剤のうちの1種または複数に混合することによりドウまたはバッター製品を調製するステップと、前記ドウまたはバッター製品を焼成し、それにより前記ベーカリーまたはパティスリー製品を得るステップとを含む、方法。
【請求項15】
- 1種または複数の修飾デンプン20.0~80.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン20.0~70.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.50~10.0%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品0.50~20.0%と、
- 任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤と
を含む組成物の、甘味剤の完全または部分的な代替物としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品加工の分野に関する。より詳細には、本発明は、糖類代替品、より特定的には、クリーンラベルの糖類代替品、より特定的には、ケーキにおいて使用されるクリーンラベルの糖類代替品に関する。本発明は、さらに、糖類が低減されたケーキバッター、およびそれを用いて作られたケーキ、ならびにそれを得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーキは、粉、糖類、卵および油脂源(マーガリン、油など)を異なる比率で典型的に含み、その結果、多種多様な異なるタイプのケーキがもたらされる。任意選択的な原料は、例えば、乳化剤、粉乳、(乳)タンパク質、親水コロイド、ガム、(天然のおよび/または化学的もしくは物理的に修飾された)デンプン、ココアパウダー、酵素またはアロマである。
【0003】
糖類は、ケーキ系における主要な原料である。甘味をもたらすこと、および品質保持期間を増加させることに加えて、糖類は、重要な技術的機能性を有する。糖類はバッターに粘性をもたらすが、粘性は、良好な体積を有するケーキを得るための、混合中および焼成の初期段階における空気の取込みおよびガスセル(gas cell)の安定化にとって必須である。さらに、糖類は、デンプン糊化およびタンパク質変性が生じる温度に影響を与える。これにより、デンプンおよびタンパク質のネットワーク形成、ひいては構造固定化の遅延が生じることで窯伸び(oven rise)の時間が長くなり、最終的に、きめ細かく均一かつ多孔性のクラム構造を有するケーキが得られる。
【0004】
近年、肥満ならびに関連する代謝および心血管疾患にますます注意が払われるようになってきた。消費者は不安を抱き、政府は課税により糖類を禁止しようとし、そのことが食品業界に対し、カロリー含有量が低下しており栄養プロファイルが改善されている製品を生産するように圧力をかけている。
【0005】
しかし、焼成製品における糖類の複雑な機能性を考えると、ケーキレシピにおける添加糖類の量を、その求められる性質を変えることなしに低減または排除することについては、決して明らかになっているとはいえない。糖類の甘い味を維持するには、スクラロース、アスパルテームまたはステビオールグリコシドなどの高甘味度甘味料(HIS、high intensity sweetener)が使用される場合がきわめて多い。HISの甘味付与力(sweetening power)はスクロースの何倍も強いことから、ケーキ製品に同様の甘味をもたらすには、このような原料がごく少量あれば足りる。そうした理由から、これらのHISは、ケーキの調製の際に糖類の他の機能性を一部肩代わりする(例えば、粘性を創出すること、および、デンプン糊化を遅延させることにより)バルキング剤(bulking agent)、例えばポリデキストロースなどと組み合わされることが多い。しかし、現時点では、必ずしも全てのHISおよびバルキング剤がクリーンラベルではなく、また、それらの中には、あまりにも大量に消費されると腸の不快感を生じるおそれのあるものもある。食品原料に関する自らの意識の高まり、および、食品ラベルの記載内容に対する自らの認識に基づいて、多数の添加物を含有する食品を回避したいとの消費者の要望はますます高まっている。このことは、食品メーカーに対して、添加物を含有する参照品の製品特性に少なくとも匹敵する製品特性を有する、(より)クリーンラベルである食品を生産するための自然原料およびその誘導物を考え出すことを迫り、焼成食品用の糖類置換え品の開発にさらなる面での複雑さをもたらす。さらに、原料としての側面、例えば、安定性、コスト、利用可能性、規制当局の認可、食事制限、および製造現場での使いやすさなどが、製品処方の際に考慮される必要がある。欧州連合および欧州自由貿易連合においては、食品添加物として使用される物質は、「E番号」でコード化されたリストに記載されている。他の国々では、添加物は、タイプの異なる類似したリストに整理されている。
【0006】
糖類低減のための他の方法は、ベーカリー製品中の糖類(の一部)を、ポリオール、例えばソルビトール、グリセロール、マルチトール、エリトリトールなどで、または、オリゴ糖もしくは多糖、例えばポリデキストロースもしくはフルクトオリゴ糖で、または、これらの組合せで、代替することである。ただし、ポリオールは、欧州および一部の他の国々においては添加物の地位を有してもいる。さらに、ポリオールの過剰消費は、緩下剤効果を誘発する。これまでに知られている解決策の大半は、ケーキレシピにおける糖類の全量を代替することを可能にするものでもなければ、糖類の1対1代替品として使用できるものでもない。
【0007】
希少糖類(少量で自然界に見出される糖類)は、低カロリーの糖類代替原料として最近関心を集めている。商業的規模の量で生産されると、希少糖類の中には、糖類の甘味だけではなくそのバルキングおよび物理的挙動ももたらすものがある。今日まで、いくつかの希少糖類が市販されており、その例としては、タガトース、および、ごく最近ではアルロースが挙げられる。前者はE番号を有し、後者には、米国食品医薬品局(FDA)の「一般的に安全と認められている(GRAS、Generally Recognised as Safe)」という地位が2012年に与えられた。アルロースのEUにおける新規食品(Novel Food)関係書類は、未だ保留中である。
【発明の概要】
【0008】
ケーキ作製の際に、添加糖類またはポリオールの完全または部分的代替物として重量を基準にして1:1で使用することができ、添加糖類と類似した機能性を有するクリーンラベルの(すなわち、E番号表示のない)粉末状の糖類代替品についての満足な解決策は、現時点では入手できない。したがって、新規の粉末状の糖類代替品を開発する必要性が依然として存在する。
【0009】
本発明者らは、驚くべきことに、(i)1種または複数の修飾デンプン(modified starch)と、(ii)1種または複数のフルクタンと、(iii)卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品と、(iv)1種または複数のデンプン製品(すなわち、任意の供給源の非修飾または天然デンプン、すなわち、由来元の植物における当該デンプンの元の構造をそのまま保持しているデンプン)と、(v)任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤との組合せが、食品製品、好ましくはベーカリーまたはパティスリー製品、例えばケーキなどにおいて粉末状の糖類代替品として機能しつつ、同等のまたは高度に類似した視覚的およびテクスチャー的特性(例えば、体積、硬さ、凝集性、復元力、弾力性および粘着性)とともに、同等のまたは高度に類似した官能特性(例えば、望ましくない後味がないことなど)を保持することを見出した。さらに、本発明の粉末状の糖類代替品は、原型となる食品製品(すなわち、甘味剤を含み、粉末状の糖類代替品を含まないもの)と同等のまたは高度に類似した品質保持期間を有する食品製品、好ましくはベーカリーまたはパティスリー製品、例えばケーキなどの調製を可能にする。
【0010】
さらに、本発明の粉末状の糖類代替品を使用することにより、糖類を完全にでも部分的にでもよいが代替すること、例えば、糖類を含む食品製品のレシピにおける糖類の10.0%(w/w)~100.0%(w/w)を、重量を基準にして1:1で代替することができる。このことは本発明の粉末状の糖類代替品を使いやすいものにするが、その理由は、糖類を含む食品製品のレシピを、本発明の粉末状の糖類代替品を組み込むために特別に改変する必要がないからである。
【0011】
加えて、本発明の粉末状の糖類代替品は、添加甘味剤をより少量含むかまたは全く含まない、好ましくは添加糖類および/またはポリオールを全く含まない、したがってより健康的である(例えば、カロリー含有量が低下しており栄養プロファイルが改善されている)食品製品、好ましくはベーカリーまたはパティスリー製品、例えばケーキなどを調製するために、使用することができる。
【0012】
第1の態様は、
- 1種または複数の修飾デンプン20.0~80.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン20.0~70.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.50~10.0%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品0.50~20.0%(w/w)と、
- 任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤と
を含む粉末状の糖類代替品を提供する。
【0013】
特定的な実施形態において、糖類代替品は、人工原料および/または合成化学物質を最大0.010%(w/w)含む。
特定的な実施形態において、1種または複数のタンパク質製品は、ゲル形成性タンパク質であり、および/または、少なくとも30.0%(w/w、乾物比)のタンパク質含有量を有する。
【0014】
さらなる態様は、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品を含むケーキミックスまたはケーキプレミックスを提供する。
さらなる態様は、本明細書に教示の糖類代替品または本明細書に教示のケーキミックスもしくはケーキプレミックスを含む、ドウまたはバッター製品を提供する。
【0015】
特定的な実施形態において、ドウまたはバッター製品は、粉と、卵または卵製品と、任意選択で、膨化剤(leavening agent)、油脂および甘味剤のうちの1種または複数とをさらに含む。
【0016】
特定的な実施形態において、ドウまたはバッター製品は、ケーキバッターである。
特定的な実施形態において、ケーキバッターは、
- 粉15.0~30.0%(w/w)と、
- 油脂5.0~30.0%(w/w)と、
- 卵または卵製品7.0~25.0%(w/w)と、
- 1種または複数の修飾デンプン3.0~22.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン3.0~18.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.20~11.4%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品0.20~30.0%(w/w)と、
- 任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤と、
- 100.0%(w/w)までの水と
を含むクリームケーキバッターである。
【0017】
特定的な実施形態において、ケーキバッターは、
- 粉7.0~30.0%(w/w)と、
- 卵または卵製品10.0~45.0%(w/w、液状卵換算として表す)と、
- 1種または複数の修飾デンプン3.0~22.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン3.0~18.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.20~13.9%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品0.20~30.0%(w/w)と、
- 任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤と、
- 100.0%(w/w)までの水と
を含むスポンジタイプケーキバッターである。
【0018】
特定的な実施形態において、ドウまたはバッター製品は、粉末状の糖類代替品以外に甘味剤を含まない。
さらなる態様は、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品または本明細書に教示のドウもしくはバッター製品を含む食品製品であって、好ましくは前記食品製品がベーカリーまたはパティスリー製品であり、より好ましくは前記ベーカリーまたはパティスリー製品がケーキ、さらにより好ましくはクリームケーキまたはスポンジタイプケーキである、食品製品を提供する。
【0019】
さらなる態様は、粉末状の糖類代替品を調製する方法であって、少なくとも
- 1種または複数の修飾デンプン20.0~80.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン20.0~70.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.50~10.0%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品0.50~20.0%(w/w)と、
- 任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤と
の、混合物を調製するステップを含む、方法を提供する。
【0020】
さらなる態様は、本明細書に教示のドウまたはバッター製品を調製する方法であって、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品を、粉、卵または卵製品、ならびに任意選択で、膨化剤、油脂および甘味剤のうちの1種または複数に添加するステップを含む、方法を提供する。
【0021】
さらなる態様は、ベーカリーまたはパティスリー製品を調製する方法であって、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品を、粉、卵または卵製品、ならびに任意選択で、膨化剤、油脂および甘味剤のうちの1種または複数に混合することによりドウまたはバッター製品を調製するステップと、該ドウまたはバッター製品を焼成し、それにより該ベーカリーまたはパティスリー製品を得るステップとを含む、方法を提供する。
【0022】
さらなる態様は、
- 1種または複数の修飾デンプン20.0~80.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン20.0~70.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.50~10.0%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品0.50~20.0%と、
- 任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤と
を含む組成物の、甘味剤の完全または部分的な代替物としての使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の方法および本発明において使用される装置について説明する前に、本発明は、記載されている特定的な方法、構成成分または装置に限定されず、したがって、方法、構成成分および装置は当然ながら変わる可能性があることは理解されたい。本明細書において使用される専門用語は限定的なものであることを意図しておらず、その理由は、本発明の範囲は添付の「特許請求の範囲」によってのみ限定されることになるからである、ということも理解されたい。
【0024】
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての専門用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に通常理解される意味と同じ意味を有する。本発明の実行または試験においては、本明細書に記載されたものと類似または等価の任意の方法および材料を使用しうるが、好ましい方法および材料を次に記載する。
【0025】
本明細書および添付の「特許請求の範囲」において、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈によりそうでないことが明確に示されていない限り、単数形と複数形との両方を包含する。
【0026】
用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」および「~で構成される(comprised of)」は、本明細書において使用される場合、「含む、包含する(including)」、「含む、包含する(includes)」、または「含有する(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、包含的またはオープンエンドなものであり、追加的な詳述されていない構成要素、要素または方法ステップを排除しない。この表現が、特定の特徴、部品や部分またはステップを「含む(comprises)」製品または方法に言及するものである場合、当該表現は、他の特徴、部品や部分またはステップも存在しうる可能性に言及しているが、そこに挙げられた特徴、部品や部分またはステップのみを含有する実施形態に言及している場合もある。用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」および「~で構成される(comprised of)」は、用語「~からなる(consisting of)」も包含する。
【0027】
数字の範囲を用いて行われる数値の列挙は、当該範囲に含まれる全ての値および範囲の一部分、ならびに、記載された端点を含む。
測定可能な値、例えばパラメーター、量、期間などに言及する際に使用される用語「約」および「およそ」は、本明細書において開示される本発明に変動が適用される限りにおいて、指定された値のおよび指定された値からの+/-10%以下、好ましくは+/-5%以下、より好ましくは+/-1%以下、さらにより好ましくは+/-0.1%以下の変動を包含することが意図される。用語「約」または「およそ」により言及される値そのものも開示されていることは理解されるべきである。
【0028】
本明細書を通じた「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」への言及は、当該実施形態に関連して記載された特定的な特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に包含されることを意味する。したがって、本明細書を通じてさまざまな箇所で「一実施形態において(in one embodiment)」または「実施形態において(in an embodiment)」という語句が出現した場合、必ずしもその全てが同一実施形態に言及しているとは限らないが、その可能性もある。さらに、1つまたは複数の実施形態においては、特定的な特徴、構造または特性は、本開示から当業者には明らかとなろうが、任意の適当な様式で組み合わされてもよい。さらに、本明細書に記載されている一部の実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが他の特徴は含まないが、当業者には理解されるであろうが、異なる実施形態の特徴の組合せは、本発明の範囲内にあり、異なる実施形態を形成することが意図される。例えば、添付の「特許請求の範囲」では、特許請求される実施形態はどれでも任意の組合せで使用されることが可能である。
【0029】
本発明者らは、驚くべきことに、(i)1種または複数の修飾デンプンと、(ii)1種または複数のフルクタンと、(iii)卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品と、(iv)1種または複数のデンプン製品(すなわち、任意の供給源の非修飾または天然デンプン、すなわち、由来元の植物における当該デンプンの元の構造をそのまま保持しているデンプン)と、(v)任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤との組合せが、食品製品、好ましくはベーカリーまたはパティスリー製品、例えばケーキなどにおいて粉末状の糖類代替品として機能しつつ、当該食品製品において糖類と同等のまたは高度に類似した複雑な機能性を実証することを見出した。例えば、本発明者らは、焼成されたベーカリー製品、例えばケーキなどにおいて、本発明の粉末状の糖類代替品は、当該の焼成されたベーカリーまたはパティスリー製品のものと同等のまたは高度に類似した体積、硬さ、凝集性、復元力、弾力性および粘着性を保持できることを実証した。
【0030】
さらに、本発明の粉末状の糖類代替品を使用することにより、糖類を完全にでも部分的にでもよいが代替すること、例えば、糖類の10.0%(w/w)~100.0%(w/w)を、重量を基準にして1:1で代替することができる。このことは本発明の粉末状の糖類代替品を使いやすいものにするが、その理由は、糖類を含む食品製品のレシピを、本発明の粉末状の糖類代替品を組み込むために特別に改変する必要がないからである。
【0031】
通常のケーキの処方に使用される典型的な甘味剤であるスクロース、グルコースおよびフルクトースのカロリー摂取量は4kcal/gであり、可消化性炭水化物の値と類似しているが、これに対して、油脂は9kcal/g、タンパク質は4kcal/g、および繊維は2kcal/gである。本発明者らは、食品用途において、添加されるスクロース、グルコースまたはフルクトース(の一部)をより低カロリーの原料、例えば繊維などで代替することにより、食品のカロリー含有量を低減させることができることを見出した。加えて、繊維の消費は、多様な健康上の利益に関係している。したがって、糖類(の一部)を繊維で代替することは、カロリー低減と健康増進の潜在的可能性との両方をもたらす。さらに、糖類をより消化の遅い成分、例えばデンプンまたはタンパク質などで代替することは、食品のカロリー含有量を低減させはしないが、食品の血糖指数を低下させ、ひいては糖類による健康への悪影響を低減させる。したがって、本発明の粉末状の糖類代替品は、より健康的な(例えば、カロリー含有量が低下しており栄養プロファイルが改善されている)食品製品、好ましくはベーカリーまたはパティスリー製品、例えばケーキなどを調製するために使用することができる。
【0032】
さらに、本明細書に教示の糖類代替品は、既知の糖類代替品、例えばマルチトールなどより優れており、その理由は、本明細書に教示の糖類代替品は、食品製品、好ましくはベーカリーまたはパティスリー製品における味の変質、例えば金属的な後味などの原因にならないからである。
【0033】
したがって、本発明の第1の態様は、
- 1種または複数の修飾デンプン20.0~80.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン20.0~70.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.50~10.0%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品0.50~20.0%と、
- 任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤と
を含む、またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる、粉末状の糖類代替品を提供する。
【0034】
換言すれば、特定的な実施形態において、粉末状の糖類代替品は、クリーンラベルの粉末状の糖類代替品である。本発明の文脈において、用語「クリーンラベル」は、人工原料および/または合成化学物質を最大0.010%(w/w)、最大0.005%(w/w)、最大0.002%(w/w)、最大0.001%(w/w)含む、好ましくは全く含まない、食品製品および食品原料について使用される。人工原料または合成化学物質の非限定的な例としては、欧州連合、より特定すれば欧州食品安全機関(EFSA)によるE番号によりコード化された食品添加物が挙げられる。E番号は当技術分野において公知であり、英国食品基準庁のホームページhttps://www.food.gov.uk/business-guidance/approved-additives-and-e-numbersで調べることができる。E番号としては、着色料(E100~E199)、保存料(E200~E299)、酸化防止剤および酸度調整剤(E300~E399)、増粘剤、安定化剤および乳化剤(E400~E499)、pH調整剤および固化防止剤(E500~E599)、調味剤(E600~E699)、抗生物質(E700~E799)、光沢剤、ガスおよび甘味料(E900~E999)、ならびにその他の添加物(E1100~1599)が挙げられる。人工原料または合成化学物質についての同様の定義またはそのリストは、他の国々によっても確立されてきている。
【0035】
人工原料および/または合成化学物質のさらなる非限定的な例としてはポリデキストロースが挙げられ、これは、グルコースの合成ポリマーであり、E番号E1200によりコード化されている。
【0036】
本発明の文脈において、用語「修飾デンプン」は、デンプンの修飾により創出された任意の物質を含む。好ましくは、修飾とは、非化学的な修飾、例えば物理的修飾もしくは酵素的修飾(例えば加水分解)など、またはこれらの組合せである。デンプンの非化学的な修飾は、クリーンラベルの修飾デンプンを得ることを可能にする。修飾デンプンは、コムギ、トウモロコシ、ワキシー種のトウモロコシ、コメ、バレイショおよびタピオカ、好ましくはトウモロコシから得ることができる。
【0037】
特定的な実施形態において、該1種または複数の修飾デンプンは、オリゴ糖(すなわち、2個から10個までの単糖を含む)、多糖(例えば、典型的には10個を超える単糖を含む、例としては約100~200個の単糖を含む)、またはその組合せを含む、またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる。
【0038】
特定的な実施形態において、該1種または複数の修飾デンプンは、可消化性の修飾デンプンである。
特定的な実施形態において、該粉末状の糖類代替品は、難消化性の修飾デンプンを含まない。
【0039】
特定的な実施形態において、該1種または複数の修飾デンプンは、マルトトリオース、マルトテトラオース、デキストリン、マルトデキストリンもしくはこれらの組合せを含む、またはそれらから本質的になる、またはそれらからなる。より特定的な実施形態において、該1種または複数の修飾デンプンは、マルトデキストリン、好ましくはトウモロコシ由来マルトデキストリンを含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなる。
【0040】
特定的な実施形態において、オリゴ糖または多糖は、1から40までの、5から40までの、10から40までの、5から30までの、10から30までの、15から30までの、または15から25までの、好ましくは10から30までのデキストロース当量値(DE)を有する。
【0041】
好ましくは、該1種または複数の修飾デンプンは、16~20のDEを有するトウモロコシ由来マルトデキストリン、さらにより好ましくは、16~20のDEを有するクリーンラベルのマルトデキストリンである。
【0042】
特定的な実施形態において、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品は、1種または複数の修飾デンプンを、20.0~80.0%w/w、30.0~80.0%w/w、好ましくは30.0~70.0%w/w、40.0~70.0%w/w、30.0~60.0%w/w、より好ましくは40.0~60.0%w/w含む。1種または複数の修飾デンプンの前述量は、粉末状の糖類代替品における1種または複数の修飾デンプンの総量を指しており、異なる供給源に由来するものであってもよい。
【0043】
用語「フルクタン」は、本明細書において使用される場合、フルクトース分子のオリゴマーおよびポリマーであって、還元性分子(例としてグルコース)などの末端分子を、または別の残基、例えばステビオールグリコシル残基もしくはモグロシル(mogrosyl)残基などを、好ましくは還元性分子を含む、フルクトース分子のオリゴマーおよびポリマーを指す。
【0044】
特定的な実施形態において、該1種または複数のフルクタンは、イヌリン、フルクトオリゴ糖もしくはこれらの組合せを含む、またはそれらから本質的になる、またはそれらからなる。
【0045】
特定的な実施形態において、該1種または複数のフルクタンは、リュウゼツラン、コムギ、タマネギ、バナナ、ニンニク、アスパラガス、キクイモ、エンドウ、チコリもしくはこれらの組合せ、好ましくはチコリ根を由来元とするフルクタンを含む、またはそれらから本質的になる、またはそれらからなる。好ましくは、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品における1種または複数のフルクタンは、チコリ根由来イヌリンまたはチコリ根由来フルクトオリゴ糖である。より好ましくは、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品における1種または複数のフルクタンは、クリーンラベルである。特定的な実施形態において、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品は、1種または複数のフルクタンを、20.0~70.0%w/w、20.0~60.0%w/w、20.0~50.0%w/w、25.0~60.0%w/w、好ましくは25.0~50.0%w/w、より好ましくは30.0~40.0%w/w含む。1種または複数のフルクタンの前述量は粉末状の糖類代替品における1種または複数のフルクタンの総量を指しており、異なる供給源に由来するものであってもよい。
【0046】
本明細書に教示の粉末状の糖類代替品の1種または複数のタンパク質製品は、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質(例えば、単離されたコムギグルテン)、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質(例えば、ヒヨコマメタンパク質、レンズマメタンパク質、ソラマメタンパク質またはダイズタンパク質)からなる群から選択される。
【0047】
好ましくは、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品のタンパク質製品は、卵タンパク質、カゼイン、乳清タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、マメ科植物タンパク質、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。より好ましくは、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品のタンパク質製品は、卵白タンパク質である。
【0048】
特定的な実施形態において、粉末状の糖類代替品における、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品は、クリーンラベルである。
【0049】
いくつかの他の実施形態において、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品は、ゲル形成性タンパク質である。
【0050】
用語「ゲル形成性」は、本明細書において使用される場合、分子(例えばタンパク質)が、ゲルとも呼ばれる粘弾性の凝集体を、特に加熱時に形成する能力(すなわち、ゲル化性またはゲル化)を指す。タンパク質ゲルは、ポリマー-ポリマーおよびポリマー-溶媒相互作用が秩序立った形で生じ、結果として、少ない割合のタンパク質による多量の水の固定化が得られる、三次元ネットワークである。ゲルは、タンパク質から形成されうるものであり、部分的にアンフォールディングされたタンパク質が非コイル状のポリペプチドセグメントを作り出し、このポリペプチドセグメントが特異的な位置で相互作用することにより三次元の、例えば凝固物としてのまたは架橋されたネットワークを形成すると生じる。二次構造のわずかな変化を伴うタンパク質の部分的なアンフォールディングは、ゲル化には典型的に必要とされる。天然構造の部分的なアンフォールディングは、さまざまな因子、例えば、加熱や、酵素、酸、アルカリおよび/または尿素での処理などの作用と関連している可能性がある。タンパク質は、自発的に、または、熱および/もしくは酵素誘導により、好ましくは熱誘導により、ゲルを形成しうる。ゲルを結び付ける力のタイプは、天然タンパク質の特性に依存することになろう。このような力としては、疎水性相互作用、水素結合、静電相互作用および/またはジスルフィド架橋が挙げられる。当業者には、本発明における考慮対象となるゲル形成性またはゲル化性タンパク質は、加熱した際の、例えば、加熱速度0.5~10℃/分で20℃から95℃へ、30℃から95℃へ、または40℃から95℃へ、例えば50℃から90℃へ、または50℃から95℃へ加熱した際のレオロジー特性の変化を測定することにより、非ゲル化性タンパク質と容易に区別されることが可能であることは理解される。
【0051】
特定的な実施形態において、タンパク質製品は、Rapid Visco Analyzer(Perkin-Elmer)での測定時に、7.5分かけて行われる50.0から95.0℃への温度増加中に、および/または、それに続く95℃で5分間の保持段階中に、水中のタンパク質溶液/分散液の粘度12.0%(w/w)が100.0%近くに増加していれば、ゲル形成性であると判断される。当該分析においては、非ゲル化性タンパク質溶液の粘度は、温度増加を受けても(本質的には)増加しない。
【0052】
一部の実施形態において、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品は、植物または動物源を由来元とする、タンパク質に富む画分であり、すなわち、粉末状の糖類代替品において使用されるタンパク質製品中のタンパク質濃度は、当該タンパク質製品の由来元である植物または動物源におけるタンパク質濃度より高い。好ましくは、該1種または複数のタンパク質製品は、タンパク質を少なくとも30.0%(w/w、乾物比)、または少なくとも40.0%(w/w、乾物比)、好ましくは少なくとも50.0%(w/w、乾物比)、または少なくとも60.0%(w/w、乾物比)、より好ましくは少なくとも70.0%(w/w、乾物比)含む。
【0053】
一部の実施形態において、特に、該1種または複数のタンパク質製品が、卵タンパク質ではないタンパク質を含む場合は、該1種または複数のタンパク質製品は、限定された加水分解、例えば酵素的加水分解に供されてもよい。
【0054】
一部の実施形態において、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品は、酵素的に修飾されてもよく、この場合に用いられるのは、例えば、架橋酵素、例としてトランスグルタミナーゼなど、または別のタンパク質修飾酵素、例としてペプチジルもしくはタンパク質グルタミナーゼなどである。
【0055】
一部の実施形態において、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品は、加水分解されているうえに酵素的に修飾されているものであってもよいし、または、酵素的に修飾されているが加水分解はされていないものであってもよい。
【0056】
一部の実施形態において、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品は、例えば熱処理および/または脱アミド化によって物理的または化学的に修飾されていてもよい。
【0057】
特定的な実施形態において、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品は、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品を、0.50~10.0%w/w、好ましくは1.0~8.0%w/w、より好ましくは1.0~5.0%w/w含む。
【0058】
卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品の前述量は、粉末状の糖類代替品における、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品の総量を指しており、異なる供給源に由来するものであってもよい。
【0059】
一部の実施形態において、特に、該1種または複数のタンパク質製品が、卵タンパク質ではないタンパク質を含む場合は、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される該1種または複数のタンパク質製品が、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品中に、粉末状の糖類代替品の他の原料に由来するあらゆる他のタンパク質に加えて、存在する。
【0060】
用語「デンプン製品」は、本明細書において使用される場合、任意の供給源の非修飾または天然デンプン、すなわち、由来元の植物における当該デンプンの元の構造をそのまま保持しているデンプンを指す。したがって、デンプン製品は、修飾デンプンを含まない。特定的な実施形態において、デンプン製品は、化学的、物理的および/または酵素的処理によって修飾されていない。デンプン製品は、非精製、半精製、精製デンプンもしくはこれらの任意の組合せを含む、またはそれらから本質的になる、またはそれらからなるものであってもよい。適当なデンプン製品は、コムギ、トウモロコシ、ワキシー種のトウモロコシ、コメ、タピオカ、バレイショ、カラスムギ、ライムギ、ソバ、キノア、ダイズ、マメ科植物、またはこれらの組合せから得ることができる。好ましくは、デンプン製品は、トウモロコシ、ワキシー種のトウモロコシ、コメ、タピオカ、バレイショ、カラスムギ、ライムギ、ソバ、キノア、ダイズ、マメ科植物、またはこれらの組合せから得られる。より好ましくは、デンプン製品は、コメ粉、タピオカデンプン、もしくはこれらの組合せを含む、またはそれらから本質的になる、またはそれらからなる。
【0061】
特定的な実施形態において、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品は、1種または複数のデンプン製品を、0.50~20.0%w/w、1.0~20.0%、好ましくは1.0~15.0%、または1.0~10.0%、より好ましくは2.0~10.0%含む。一部の実施形態において、0.50~20.0%w/w、1.0~20.0%w/w、好ましくは1.0~15.0%w/w、または1.0~10.0%w/w、より好ましくは2.0~10.0%w/wの1種または複数のデンプン製品は、該粉末状の糖類代替品の他の原料に由来するあらゆる他のデンプンも包含する。
【0062】
特定的な実施形態において、該1種または複数の酵素は、アミラーゼ、マルトジェニックアミラーゼ(maltogenic amylase)、マルトトリオース形成性アミラーゼ(maltotriose-forming amylase)、マルトテトラオース形成性アミラーゼ、ペプチダーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、トランスグルタミナーゼ、グルコースオキシダーゼ、カーボハイドレートオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、イヌリナーゼおよびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。好ましくは、該1種または複数の酵素は、マルトテトラオース形成性アミラーゼ、マルトースジェニックアミラーゼ、(ホスホ)リパーゼおよびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。好ましくは、該1種または複数の酵素は、マルトテトラオース形成性アミラーゼ、マルトジェニックアミラーゼ、ホスホリパーゼ、リパーゼおよびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0063】
用語「還元剤」は、本明細書において使用される場合、分子の反応部位に水素原子を付加させることが可能な化合物を指す。適当な還元剤の例は、グルタチオン、システイン、および不活性化酵母(不活性酵母、失活酵母、または酵母自己消化物とも呼ばれる)である。好ましくは、還元剤は、不活性化酵母を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなる。
【0064】
特定的な実施形態において、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品は、該1種または複数の還元剤を0.10~10.0%w/w、好ましくは0.20~5.0%w/w、より好ましくは0.30~2.50%w/w含む。
【0065】
特定的な実施形態において、粉末状の糖類代替品は、1種または複数の修飾デンプン;1種または複数のフルクタン;卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品;1種または複数のデンプン製品;ならびに任意選択で1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤以外に、原料を含まない。
【0066】
さらなる態様は、粉末状の糖類代替品、例えば本明細書に教示の粉末状の糖類代替品を調製する方法であって、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品の全ての原料を任意の特定的な順序で加え合わせるステップを含む、方法を提供する。
【0067】
特定的な実施形態において、本方法は、少なくとも
- 1種または複数の修飾デンプン20.0~80.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン20.0~70.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.50~10.0%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品0.50~20.0%(w/w)と、
- 任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤と
の混合物を任意の特定的な順序で調製するステップを含む。
【0068】
特定的な実施形態において、全ての原料は、乾燥粉末として混合物中に含められる。
本発明のさらなる態様は、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品を含むケーキミックスまたはケーキプレミックスを提供する。好ましくは、前記ケーキミックスまたはケーキプレミックスは、本明細書に教示のケーキバッターおよび/またはケーキ製品を調製するのに適したものである。
【0069】
用語「ケーキ」は、本明細書において使用される場合、主要な原料として(コムギ)粉、糖類(レシピの一部であり、本明細書に教示の糖類代替品により代替されていない場合)、油脂および卵または卵製品を含有する、バッターをベースにした焼成製品を指す。ケーキのタイプに依存して、粉、糖類および卵または卵製品の比率は変わってこよう。ケーキは、原料(例えば、ベーキングパウダー、卵、乳化剤、タンパク質など)の添加により、および/またはケーキの調製プロセス(例えば、バッターの泡立て)により、空気を含ませる場合がある。本発明の文脈において、ケーキ製品は、当技術分野において公知の任意のケーキ製品でありうる。ケーキの非限定的な例は、ローフタイプの(loaf)クリームおよびパウンドケーキ、カップタイプのクリームおよびパウンドケーキ、スポンジケーキ、マフィン、ケーキドーナツおよびブラウニーである。
【0070】
典型的には、ケーキミックスは、水、油脂(油、バター、マーガリン)および卵もしくは卵製品を除くケーキレシピの全ての原料、または、水および油脂(油、バター、マーガリン)を除くケーキレシピの全ての原料、またはさらには、水を除くケーキレシピの全ての原料を含む。典型的には、ケーキプレミックスは、粉および糖類(レシピの一部であり、本明細書に教示の糖類代替品により代替されていない場合)の全部または一部が除かれているケーキミックスである。したがって、当業者は、液体(例えば、水、乳および/もしくは液状卵)、粉ならびに/または糖類(レシピの一部であり、本明細書に教示の糖類代替品により代替されていない場合)をケーキプレミックスに加えることにより、本明細書に記載のケーキバッターを得ることが可能になりうる、ということを理解するであろう。さらに、当業者は、乳および/または卵は粉末状の形態でケーキミックス中またはケーキプレミックス中に存在することが可能である、ということも理解するであろう。
【0071】
特定的な実施形態において、該ケーキミックスまたはケーキプレミックスは、油脂、脱水された卵もしくは卵製品、糖類もしくは甘味料、膨化剤、および/または乳化剤をさらに含む。好ましくは、該ケーキミックスまたはケーキプレミックスは、甘味剤、例えば糖類および/または甘味料などを含まない。
【0072】
特定的な実施形態において、該ケーキミックスまたはケーキプレミックスは、1つまたは複数のアロマ成分、フレーバー成分、親水コロイド(例えば、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガム、キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、セルロース、変性セルロースおよびペクチン)、繊維(例えば、柑橘類繊維、穀物繊維)、還元剤(例えば、システインまたはグルタチオン)、酸化剤、酵母エキス、酵素活性ダイズ粉、デンプン(例えば、天然のもの、化学的および/もしくは物理的に修飾されたもの)、ココアパウダー、チョコレート、着色剤、粉乳、ならびに/または酵素をさらに含むことができる。
【0073】
さらなる態様は、ケーキミックスまたはケーキプレミックスにおける本明細書に教示の粉末状の糖類代替品の使用を提供する。
さらなる態様は、ケーキミックスまたはケーキプレミックスを調製する方法であって、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品を、以下のケーキミックスまたはケーキプレミックス原料、すなわち、油脂、脱水された卵もしくは卵製品、糖類もしくは甘味料、膨化剤、および/または乳化剤のうちの1種または複数に添加するステップを含む方法を提供する。
【0074】
特定的な実施形態において、本明細書に記載のケーキミックスまたはケーキプレミックスの原料が混合物中に組み入れられる順序は、特に定めなく(すなわちランダムに)行われうる。
【0075】
本発明の別の実施形態は、本明細書に教示の糖類代替品を含むドウまたはバッター製品、好ましくはバッターを提供することである。該ドウまたはバッター製品は、ベーカリーまたはパティスリー製品、例えば本明細書の別の箇所に記載のものなどの調製に適した任意のドウまたはバッター製品でありうる。本明細書に教示の糖類代替品は、ドウまたはバッターにおいて、慣用的に添加される糖類またはポリオールを任意のレベル、好ましくは10.0~100.0%(w/w)で代替することができる。好ましくは、置換えは、重量を基準にして1対1で行われる。
【0076】
したがって、さらなる態様は、本明細書に教示の糖類代替品または本明細書に教示のケーキミックスもしくはケーキプレミックスを含む、ドウまたはバッター製品を提供する。
特定的な実施形態において、該ドウまたはバッター製品は、
- 1種または複数の修飾デンプン3.0~22.0%(w/w)、好ましくは10.0~20.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン3.0~18.0%(w/w)、好ましくは3.0~15.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品(すなわち、粉および/または卵もしくは卵製品中に存在する、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される、あらゆるタンパク質製品に加えて)0.20~3.0%(w/w)、好ましくは0.20~2.0%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品(すなわち、粉中に存在する場合があるデンプン製品以外に)0.20~5.0%、好ましくは0.50~3.0%(w/w)と、
- 100.0%(w/w)までの、粉、卵または卵製品、水、膨化剤、油脂および甘味剤(本明細書に教示の糖類代替品に加えて)のうちの1種または複数と
を含む。
【0077】
特定的な実施形態において、本明細書に教示のドウまたはバッター製品は、通常の食品製品レシピ、例えば通常のベーカリーまたはパティスリー製品レシピ、好ましくは通常のケーキレシピに存在する添加糖類および/またはポリオールを総量で最大90.0%(w/w)、最大80.0%(w/w)、最大70.0%(w/w)、最大60.0%(w/w)、最大50.0%(w/w)、最大40.0%(w/w)、最大30.0%(w/w)、最大20.0%(w/w)、最大10.0%(w/w)、最大5.0%(w/w)含む。
【0078】
例えば、通常のケーキレシピが糖類を約25.0%w/w含む場合、本明細書に教示の糖類代替品は前記糖類を全て代替することができ、その結果、糖類もポリオールも含まないケーキレシピが得られる。したがって、特定的な実施形態において、本明細書に教示のドウまたはバッター製品は、添加された糖類もポリオールも含まない。本発明の文脈において、用語「添加糖類および/またはポリオール」は、通常の食品製品レシピ、例えば通常のベーカリーまたはパティスリー製品レシピ、好ましくは通常のケーキレシピに存在する、グリセロールを除く糖類および/またはポリオールを指定するために使用される。用語「添加糖類および/またはポリオール」は、本明細書において使用される場合、単糖(例えば、グルコース、フルクトース、デキストロース)、二糖(例えば、スクロース、マルトース、ラクトース)およびこれらから誘導されたポリオール(例えば、ソルビトール、マルチトール)またはそれらの組合せも指す。
【0079】
特定的な実施形態において、本明細書に教示のドウまたはバッター製品は、添加甘味剤を含まない(すなわち、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品以外に甘味剤を含まない)。
【0080】
該ドウまたはバッター製品は、所望のタイプの製品に対応する任意のタイプのものでありうる。バッターの非限定的な例は、スポンジケーキ、シフォンケーキ、クリームケーキ、モイストケーキ、カステラケーキ、卵不使用のケーキ、(蒸し)ケーキドーナツ、マフィン、カップケーキ、ローフタイプのケーキ、レイヤーケーキ、クッキー、ビスケットおよびこれらのバリエーションを調製するためのバッターである。好ましいバッターは、スポンジケーキおよびクリームケーキ用のケーキバッターである。
【0081】
通常のケーキバッター製品は、糖類および/またはポリオール10.0~30.0%(w/w)、好ましくは20.0~30.0%(w/w)を典型的に含む。
したがって、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品は、重量を基準にして1:1で使用されることによって糖類および/またはポリオールを代替することができるので、特定的な実施形態において、ケーキバッター製品は、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品を、または、甘味剤(好ましくは糖類および/またはポリオール)と本明細書に教示の粉末状の糖類代替品との組合せを、10.0~30.0%(w/w)、好ましくは15.0~30.0%(w/w)含むことができる。
【0082】
ケーキバッターの原料のタイプおよび量は所望のケーキのタイプに依存して変わる可能性があるものの、本明細書に教示のケーキバッターの大半は、粉と、卵または卵製品と、甘味剤と、任意選択で油脂とを含有する。
【0083】
したがって、特定的な実施形態において、該ケーキバッターは、
- 粉と、
- 卵または卵製品と、
- 本明細書に教示の糖類代替品と、
- 任意選択で、膨化剤と、
- 任意選択で、油脂と、
- 任意選択で、甘味剤と
を含む、またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる。
【0084】
特定的な実施形態において、本明細書に教示のドウまたはバッターは、膨化剤、油脂、またはこれらの組合せを含む。
特定的な実施形態において、本明細書に教示のドウまたはバッター製品は、添加甘味剤を、同じタイプの通常のケーキバッターより少なく含む。
【0085】
特定的な実施形態において、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品は、1対1基準(w/w)で使用されることによって、ドウまたはバッターレシピ、例えばケーキバッターレシピにおいて慣用的に使用される甘味剤、好ましくは糖類および/またはポリオールを置き換える。当業者は、一定の実施形態、例えば、特定の高甘味度甘味料を本明細書に教示の粉末状の糖類代替品により代替する場合などにおいては1対1(w/w)基準は適用できないことを理解するであろう。
【0086】
別の好ましい実施形態において、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品は、通常のドウまたはバッター組成、好ましくはケーキバッター組成において、甘味剤、好ましくは糖類および/またはポリオールを、10.0~100.0%(w/w)、好ましくは20.0~100.0%(w/w)、より好ましくは30.0~100.0%(w/w)、さらにより好ましくは70.0~100.0%(w/w)、または最大100.0%(w/w)、代替する。好ましくは、本明細書に教示のドウまたはバッター、好ましくはケーキバッターは、添加甘味剤を含まない(すなわち、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品以外に甘味剤を含まない)。
【0087】
特定的な実施形態において、本明細書に教示のケーキバッターは、
- 粉、例えばコムギ粉15.0~30.0%(w/w)、好ましくは20.0~30.0%(w/w)と、
- 油脂5.0~30.0%(w/w)、好ましくは10.0~25.0%(w/w)と、
- 卵または卵製品7.0~25.0%(w/w)、好ましくは10.0~25.0%(w/w)と、
- 1種または複数の修飾デンプン3.0~22.0%(w/w)、好ましくは10.0~20.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン3.0~18.0%(w/w)、好ましくは3.0~15.0%(w/w)と、
- 該粉および/または卵もしくは卵製品中に存在する場合がある、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択されるタンパク質製品以外に、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.20~3.0%(w/w)、好ましくは0.20~2.0%(w/w)と、
- 該粉中に存在する場合があるデンプン製品以外に、1種または複数のデンプン製品0.20~5.0%、好ましくは0.50~3.0%(w/w)(例えば、コムギ粉中に存在する場合があるコムギデンプン以外に、コムギデンプン0.20~5.0%、好ましくは0.50~3.0%(w/w))と、
- 任意選択で、1種または複数の酵素と、
- 任意選択で、1種または複数の還元剤と、
- 100.0%までの水と
を含む、またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる、クリームタイプケーキバッターである。
【0088】
クリームタイプケーキバッターのレシピの粉は例えばマメ科植物タンパク質を含む可能性があり、卵または卵製品は卵タンパク質を含む可能性があるので、クリームタイプケーキバッターにおける、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品の総量は、0.20~11.4%(w/w)、好ましくは0.20~10.4%(w/w)でありうる。
【0089】
クリームタイプケーキバッターのレシピの粉は例えば1種または複数のデンプン製品を含む可能性があるので、クリームタイプケーキバッターにおける1種または複数のデンプン製品の総量は、0.20~30.0%、好ましくは0.50~28.0%(w/w)でありうる。
【0090】
したがって、特定的な実施形態において、本明細書に教示のケーキバッターは、
- 粉、例えばコムギ粉15.0~30.0%(w/w)、好ましくは20.0~30.0%(w/w)と、
- 油脂5.0~30.0%(w/w)、好ましくは10.0~25.0%(w/w)と、
- 卵または卵製品7.0~25.0%(w/w)、好ましくは10.0~25.0%(w/w)と、
- 1種または複数の修飾デンプン3.0~22.0%(w/w)、好ましくは10.0~20.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン3.0~18.0%(w/w)、好ましくは3.0~15.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.20~11.4%(w/w)、好ましくは0.20~10.4%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品0.20~30.0%、好ましくは0.50~28.0%(w/w)と、
- 任意選択で、1種または複数の酵素と、
- 任意選択で、1種または複数の還元剤と、
- 100.0%までの水と
を含む、またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる、クリームタイプケーキバッターである。
【0091】
特定的な実施形態において、クリームケーキバッターは、添加甘味剤を含まない(すなわち、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品以外に甘味剤を含まない)。
特定的な実施形態において、ケーキバッターは、
- 粉、例えばコムギ粉7.0~30.0%(w/w)、好ましくは20.0~30.0%(w/w)と、
- 卵または卵製品10.0~45.0%(w/w、液状卵換算)、好ましくは35.0~45.0%(w/w、液状卵換算)と、
- 1種または複数の修飾デンプン3.0~22.0%(w/w)、好ましくは10.0~20.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン3.0~18.0%(w/w)、好ましくは3.0~15.0%(w/w)と、
- 該粉および/または卵もしくは卵製品中に存在する場合がある、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択されるタンパク質製品以外に、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.20~3.0%(w/w)、好ましくは0.20~2.0%(w/w)と、
- 該粉中に存在する場合があるデンプン製品以外に、1種または複数のデンプン製品0.20~5.0%、好ましくは0.50~3.0%(w/w)と、
- 任意選択で、1種または複数の酵素と、
- 任意選択で、1種または複数の還元剤と、
- 100.0%までの水と
を含む、またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる、スポンジタイプケーキバッターである。
【0092】
スポンジタイプケーキバッターのレシピの粉は例えばマメ科植物タンパク質を含む可能性があり、卵または卵製品は卵タンパク質を含む可能性があるので、スポンジタイプケーキバッターにおける、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品の総量は、0.20~13.9%(w/w)、好ましくは0.20~12.9%(w/w)でありうる。
【0093】
スポンジタイプケーキバッターのレシピの粉は例えば1種または複数のデンプン製品を含む可能性があるので、スポンジタイプケーキバッターにおける1種または複数のデンプン製品の総量は、0.20~30.0%、好ましくは0.50~28.0%(w/w)でありうる。
【0094】
したがって、特定的な実施形態において、ケーキバッターは、
- 粉、例えばコムギ粉7.0~30.0%(w/w)、好ましくは20.0~30.0%(w/w)と、
- 卵または卵製品10.0~45.0%(w/w、液状卵換算)、好ましくは35.0~45.0%(w/w、液状卵換算)と、
- 1種または複数の修飾デンプン3.0~22.0%(w/w)、好ましくは10.0~20.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン3.0~18.0%(w/w)、好ましくは3.0~15.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.20~13.9%(w/w)、好ましくは0.20~12.9%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品0.20~30.0%、好ましくは0.50~28.0%(w/w)と、
- 任意選択で、1種または複数の酵素と、
- 任意選択で、1種または複数の還元剤と、
- 100.0%までの水と
を含む、またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる、スポンジタイプケーキバッターである。
【0095】
特定的な実施形態において、スポンジケーキバッターは、添加甘味剤を含まない(すなわち、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品以外に甘味剤を含まない)。
用語「粉」は、本明細書において使用される場合、ケーキの調製に適した任意の粉または粉の混合物を指す。適当な粉の例は、書籍「The technology of cake making」、E.B.BennionおよびG.S.T.Bamford著、1997、Springer Scienceの第2章「flour specification(粉の仕様)」に記載されており、同書籍は参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
用語「油脂」は、本明細書において使用される場合、室温で液体である油脂(すなわち油)、および/または、室温で固体である油脂を指す。油脂は、動物および/または植物由来のものでありうる。油脂は、ケーキの調製用として当技術分野で公知の任意の適当な油脂でありうる。適当な油脂の非限定的な例は、植物油(例えば、ダイズ油、ヒマワリ油、ヤシ油、キャノーラ油)、ショートニング(例えば、乳化型ショートニングまたは非乳化型ショートニング)、マーガリン、バター、粉末油脂および油脂ペーストである。
【0097】
用語「卵または卵製品」は、本明細書において使用される場合、新鮮卵(例えば、卵白、卵黄、全卵)、液状卵、冷凍卵、粉末卵(例えば、卵白粉末、卵黄粉末、全卵粉末、卵アルブミン粉末)、またはこれらの組合せを指す。卵または卵製品は低温殺菌されていてもよい。特定的な実施形態において、卵または卵製品は、卵白粉末と卵黄粉末との組合せであってもよい。
【0098】
用語「膨化剤」は、本明細書において使用される場合、できあがった焼成製品の軽さおよび柔らかさの要因となる、ドウまたはバッターにおいて使用される1種または複数の物質を指す。二酸化炭素の形成は、化学作用剤が水分、熱、酸性、または他の誘因に反応することにより誘導される。本発明のバッター中の膨化剤は、ケーキの調製に適した任意の膨化剤でありうる。本明細書にいう膨化剤は、ベーキングパウダーなどの化学化合物である。ベーキングパウダーは、二酸化炭素担体(典型的には炭酸水素塩)と膨化酸(leavening acid)(典型的には、低分子量の有機(無機)酸)とを典型的に含む。一般に認識されている無機膨化酸としては、第一リン酸カルシウム(Ca(H2PO4)2)、硫酸ナトリウムアルミニウム(NaAl(SO4)2.12H2O)、ピロリン酸二ナトリウム(Na2H2P2O7)、ならびにリン酸ナトリウムアルミニウム(NaH14Al3(PO4)8.4H2OおよびNa3H15Al2(PO4)8)を挙げることができる。一般に認識されている有機膨化酸は、クエン酸、グルコノ-δ-ラクトン、クリームターター、酒石酸、フマル酸または乳酸を含みうる。他の膨化剤、例えばリン酸不使用の膨化剤なども使用されうる。
【0099】
ドウまたはバッター製品中における膨化剤の存在の代替または捕捉として、ドウまたはバッター製品を機械的に膨化させることも可能である。機械的な膨化の際は、機械的手段を用いてドウまたはバッター中に空気が取り込まれる。
【0100】
用語「甘味剤」は、本明細書において使用される場合、甘い味を有する任意の食品グレードの物質またはその任意の混合物を指す。甘味剤は、任意の糖類または誘導体でありうる。甘味剤の非限定的な例は、単糖(例えば、グルコース、フルクトース、デキストロース、ガラクトース)、二糖(例えば、スクロース、マルトース、ラクトース)およびこれらから誘導されたポリオール(例えば、ソルビトール、マルチトール)またはそれらの組合せである。特定的な実施形態において、甘味剤は、粉末状の形態で、またはシロップとして、存在しうる。当業者は、ケーキレシピにおける(通常の)甘味剤の量を低減させると甘味の知覚が低減される(可能性がある)ことを理解するであろう。ケーキの甘味のこのような不足は、例えば、少量の高甘味度甘味料を使用することにより補うことが可能である。高甘味度甘味料(本明細書においては「甘味料」とも呼ばれる)の例は、スクラロース、アスパルテームまたはステビオールグリコシドである。
【0101】
特定的な実施形態において、ドウまたはバッター製品、好ましくはケーキバッターは、1種または複数の乳化剤をさらに含みうる。用語「乳化剤」は、本明細書において使用される場合、ケーキバッターの水性相に脂質成分(油、ショートニング、マーガリン)を乳化混入させること、混合時におけるバッターの空気混入を容易にするおよび/もしくは増加させること、ならびに/または、焼成時においてエアセル(air cell)を安定化および/もしくは保持することを目的としてケーキレシピに用いられる物質を指す。ケーキにおいて典型的に使用される乳化剤の非限定的な例は、脂肪酸のモノおよびジグリセリド、脂肪酸のモノおよびジグリセリドの乳酸エステル、脂肪酸のモノおよびジグリセリドの酢酸または乳酸エステル、モノおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、脂肪酸のポリグリセロールモノエステル、脂肪酸のプロピレングリコールエステル、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリソルベート、脂肪酸のスクロースエステル、ならびにレシチン(キャノーラ、ダイズ、ヒマワリ)である。
【0102】
特定的な実施形態において、ドウまたはバッター製品、好ましくはケーキバッターは、1つまたは複数のアロマ成分、フレーバー成分、親水コロイド(例えば、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガム、キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、セルロース、変性セルロースおよびペクチン)、繊維(例えば、柑橘類繊維、穀物繊維)、還元剤(例えば、システインまたはグルタチオン)、酸化剤、酵母エキス、酵素活性ダイズ粉、デンプン(例えば、天然のもの、化学的および/もしくは物理的に修飾されたもの)、ココアパウダー、チョコレート、着色剤、ならびに/または酵素をさらに含みうる。当業者は、これらの原料を組み合わせて所望のタイプのケーキ製品を得る方法を承知している。
【0103】
特定的な実施形態において、ドウまたはバッター製品、好ましくはケーキバッターは、アミラーゼ、オキシダーゼ、プロテアーゼ(ペプチダーゼ)、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、トランスグルタミナーゼおよびリポキシゲナーゼからなる群から選ばれる追加的な酵素をさらに含みうる。特定的な実施形態において、ドウまたはバッター製品は、本明細書に教示の糖類代替品中に存在する1種または複数の酵素に加えて、1種または複数の酵素を含む。
【0104】
特定的な実施形態において、ドウまたはバッター製品、好ましくはケーキバッターは、他の非化学的膨化剤、例えば酵母またはサワードウなどをさらに含みうる。
さらなる態様は、ドウまたはバッター製品における本明細書に教示の粉末状の糖類代替品の使用を提供する。
【0105】
さらなる態様は、本明細書に教示のドウまたはバッター製品を調製する方法であって、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品を、粉、卵または卵製品、ならびに任意選択で、膨化剤、油脂および甘味剤のうちの1種または複数に添加するステップを含む方法を提供する。
【0106】
特定的な実施形態において、本明細書に記載のドウまたはバッター製品の原料が混合物中に組み入れられる順序は、特に定めなく(すなわちランダムに)行われうる。
特定的な実施形態においては、粉末状の糖類代替品の原料(すなわち、1種または複数の修飾デンプンと、1種または複数のフルクタンと、卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品と、1種または複数のデンプン製品と)がまず混合されて混合物になった後に、この粉末状の糖類代替品を、粉、卵または卵製品、ならびに任意選択で、膨化剤、油脂および甘味剤のうちの1種もしくは複数に混合する。
【0107】
さらなる態様は、本明細書に教示の糖類代替品を含む食品製品を提供する。食品製品は、当技術分野で公知の任意の食品製品のうち、その通常レシピが甘味剤、好ましくは糖類および/またはポリオールを含む食品製品でありうる。
【0108】
さらなる態様は、食品製品における本明細書に教示の糖類代替品の使用を提供する。
さらなる態様は、本明細書に教示の糖類代替品を含む食品製品を調製する方法を提供する。
【0109】
さらなる態様は、本明細書に教示のドウまたはバッター製品から調製されたベーカリーまたはパティスリー製品を提供する。
ベーカリーおよびパティスリー製品としては、先に記載のケーキバッターおよびケーキ、ならびに他の製品、例えば、パン、ソフトロール、ベーグル、ドーナツ、デニッシュペストリー、シューペストリー、餅パン、ハンバーガーロール、ピザ、ピタパン、チャバタ、スポンジケーキ、クリームケーキ、パウンドケーキ、マフィン、カップケーキ、蒸しケーキ、ワッフル、ブラウニー、ケーキドーナツ、酵母発酵ドーナツ(yeast raised donut)、バゲット、ロールパン、クラッカー、クッキー、ビスケット、パイクラスト、ラスクなどが挙げられる。好ましくは、前記ベーカリーまたはパティスリー製品は、ケーキ、より好ましくは、クリームケーキまたはスポンジタイプケーキである。
【0110】
ケーキまたはケーキ製品は、いくつかのテクスチャーパラメーター、例えば、ケーキ製品の硬さ、復元力、弾力性、凝集性、噛み応えおよび粘着性などにより定義されることが可能である。
【0111】
テクスチャーパラメーターは、ケーキ製品から得たケーキクラム試料またはホール(すなわち、完全な形の)ケーキ製品についてテクスチャープロファイル分析(TPA:Texture Profile Analysis)を実施することにより評価されうる。TPAは、TPAを実施するための当業者に公知の任意のシステムを用いて実施することができる。例えば、そのようなシステムは、テクスチャー分析器(例として、TAXT2i、Stable Micro Systems)であってもよい。
【0112】
より詳細には、ケーキ製品のテクスチャーパラメーター、例えば、硬さ、復元力、弾力性、凝集性、噛み応えおよび粘着性などは、テクスチャー分析器を用いてケーキ試料にTPAを実施した際に登録された力-時間曲線から算出できる。TPAにおいては、変形負荷(deformation)と変形負荷との間に短い待ち時間を設けた2回連続の変形負荷をケーキクラム試料に与えて、テクスチャー分析器のロードセルにより登録された力を時間の関数として測定する。例えば、円筒形のケーキクラム試料(例として、直径45mm、高さ40mmのもの)に、円筒形のプローブ(例として、直径100mmのもの)を用いて、製品の最初の高さを50%にする最大変形量での2回連続の変形負荷を、変形負荷スピード2mm/s、および、2回連続の変形負荷間の待ち時間3sで実施してもよい。試料を変形させるのに必要な力は、時間の関数(すなわち、力-時間曲線)として記録することが可能である。
【0113】
所与のテストにおける参照試料として使用されるケーキクラム試料(例えば、本明細書に記載の糖類代替品の代わりに糖類および/またはポリオールを含むケーキバッターから調製されたケーキ製品のケーキクラム試料)のそれぞれのテクスチャーパラメーターの値として100という値を設定することが可能である。前記参照試料とは異なるケーキクラム試料のパラメーター値は、この参照試料に対する相対値として表されうる。
【0114】
用語「硬さ」は、本明細書において使用される場合、規定された変形(例えば、ケーキクラム試料またはホールケーキ製品の最初の高さを50%にする固定された変形量)をケーキ製品のケーキクラム試料またはホールケーキ製品に与えるのに必要な最大の力を指す。用語「硬さ」は、ケーキクラム試料またはホールケーキ製品を圧縮するのに要する力に関連した意味合いを指すこともある。
【0115】
用語「復元力」は、本明細書において使用される場合、ケーキ製品のケーキクラム試料またはホールケーキ製品が、ある一定の変形負荷を与えられた後にその元の形に戻るスピード(および度合い)を指す。復元力は、変形負荷を与えられた後に製品が「その元の高さを取り戻すために抗う」能力の高さについての測定値である。本明細書の別の箇所に記載のTPA法に基づいて、復元力を、プローブが上方向に動いている時間帯についての1回目の変形曲線下の表面(surface)の、プローブが下方向に動いている時間帯についての1回目の変形曲線下の表面に対する比率(%)として算出してもよい。
【0116】
用語「弾力性」は、本明細書において使用される場合、ケーキ製品が本明細書の別の箇所に記載のTPA法の1回目の圧迫の際に変形させられ、1回目の変形負荷と2回目の変形負荷との間に設けられた目標待機時間(target wait time)の間待機させられた後に当該ケーキ製品が物理的に跳ね返る能力の高さについての表現を指す。弾力性は、ケーキクラム試料の最初の高さと比較した、1回目の変形負荷および3秒間の休止後のケーキクラム試料の高さ(%)として算出してもよい。
【0117】
用語「凝集性」は、本明細書において使用される場合、ケーキ製品のケーキクラムが、擦られたり折り曲げられたりした際にまとまった状態を保つ度合いを指す。本明細書の別の箇所に記載のTPA法に基づいて、凝集性を、2回目の変形曲線(すなわち、下方向および上方向)下の表面と1回目の変形曲線(すなわち、下方向および上方向)下の比率との比率(%で表される)として算出してもよい。
【0118】
用語「粘着性」は、本明細書において使用される場合、ケーキに変形負荷を与えた後にケーキ表面からプローブを放すのに必要な負の力を指す。
あるいは、一定のケーキテクスチャーパラメーターは、ケーキ専門家からなるパネルを用いた官能分析を実施することにより評価することもできる。ケーキ専門家とは、ケーキの鮮度を説明する異なるケーキテクスチャー特性、すなわち、柔らかさ(すなわち、硬さの反対)、湿潤性および凝集性を全て個別かつ独立に説明および採点するように訓練されているケーキ消費者である。
【0119】
特定的な実施形態、例えば、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品が通常のケーキレシピにおける全ての糖類および/またはポリオールを代替する実施形態などにおいては、そのようにして作られたケーキ製品は、通常のケーキ製品(すなわち、糖類および/またはポリオールを含むもの)と同等のまたは高度に類似したテクスチャー的特性を含む。
【0120】
特定的な実施形態においては、
- 本明細書に教示のケーキ製品の体積は、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品の代わりに糖類および/もしくはポリオールなどの甘味剤を使用して調製されたケーキ製品である参照ケーキ製品の体積より最大15.0%、最大10.0%もしくは最大5.0%高くもしくは低く、
- 本明細書に教示のケーキ製品の硬さは、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品の代わりに糖類および/もしくはポリオールなどの甘味剤を使用して調製されたケーキ製品である参照ケーキ製品の硬さより最大15.0%、最大10.0%もしくは最大5.0%高くもしくは低く、
- 本明細書に教示のケーキ製品の凝集性は、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品の代わりに糖類および/もしくはポリオールなどの甘味剤を使用して調製されたケーキ製品である参照ケーキ製品の凝集性より最大15.0%、最大10.0%もしくは最大5.0%高くもしくは低く、
- 本明細書に教示のケーキ製品の復元力は、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品の代わりに糖類および/もしくはポリオールなどの甘味剤を使用して調製されたケーキ製品である参照ケーキ製品の復元力より最大15.0%、最大10.0%もしくは最大5.0%高くもしくは低く、
- 本明細書に教示のケーキ製品の弾力性は、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品の代わりに糖類および/もしくはポリオールなどの甘味剤を使用して調製されたケーキ製品である参照ケーキ製品の弾力性より最大15.0%、最大10.0%もしくは最大5.0%高くもしくは低く、および/または
- 本明細書に教示のケーキ製品の粘着性は、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品の代わりに糖類および/もしくはポリオールなどの甘味剤を使用して調製されたケーキ製品である参照ケーキ製品の粘着性より最大15.0%、最大10.0%もしくは最大5.0%高いもしくは低い。
【0121】
特定的な実施形態において、ケーキ製品は、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも2週間の品質保持期間を有する。特定的な実施形態において、本明細書に教示のケーキ製品の品質保持期間は、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品の代わりに糖類および/またはポリオールなどの甘味剤を使用して調製されたケーキ製品である参照ケーキ製品の品質保持期間に等しいまたはきわめて近い。
【0122】
さらなる態様は、食品製品、好ましくはベーカリーまたはパティスリー製品、より好ましくはケーキ製品のテクスチャー的特性(例えば、体積、硬さ、凝集性、復元力、弾力性および/または粘着性)を維持しながら前記食品の健康特性を改善するための、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品の使用を提供する。
【0123】
さらなる態様は、本明細書に教示のベーカリーまたはパティスリー製品を調製する方法であって、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品を、粉、卵または卵製品、ならびに任意選択で、膨化剤、油脂および甘味剤(本明細書に教示の糖類代用品ではないもの)のうちの1種または複数に混合することによりドウまたはバッター製品を調製するステップと、該ドウまたはバッター製品を焼成し、それにより該ベーカリーまたはパティスリー製品を得るステップとを含む方法を提供する。
【0124】
さらなる態様において、本発明は、ケーキを調製する方法であって、
- ケーキバッター原料を混合することによりケーキバッターを調製するステップであり、前記原料が、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品を含むステップと、
- 該ケーキバッターを焼成してケーキを作製するステップと
を含む、方法を提供する。
【0125】
ある好ましい実施形態において、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品は、1対1基準(w/w)で使用されることによって、慣用的に使用されている甘味剤を置き換える。
別の好ましい実施形態において、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品は、通常のケーキにおいて、甘味剤を、10.0~100.0%(w/w)、好ましくは20.0~100.0%(w/w)、より好ましくは30.0~100.0%(w/w)、さらにより好ましくは70.0~100.0%(w/w)、または最大100.0%(w/w)、代替する。好ましくは、本明細書に記載のケーキは、添加甘味剤を含まない。
【0126】
本発明の特に有利な点は、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品を使用する本発明の方法に従って調製されるバッターおよびケーキは、既存の(半)工業的または職人的環境で調製することができる点である。バッター調製または焼成プロセスに合わせて何かを変える必要はない。
【0127】
さらなる態様では、本発明は、本発明の方法により得られるケーキバッターおよび/またはケーキを提供する。本発明の方法に従って得られるケーキバッターおよびケーキは、慣用的に使用される甘味剤を使用して調製される対抗品と比べて、添加甘味剤をより少なく含むかまたは全く含まず、本明細書に教示の糖類代替品がクリーンラベルである場合には添加物表示の付加(E番号の付加など)の必要がなく、および/または、品質面、例えば、焼成製品の体積、構造もしくはテクスチャーに悪影響を与えない。ケーキ(およびその対応するケーキバッター)は、任意のタイプのものでありうる。ケーキの非限定的な例は、スポンジケーキ、シフォンケーキ、クリームケーキ、モイストケーキ、カステラケーキ、(蒸し)ドーナツ、マフィン、カップケーキ、ローフタイプのケーキ、レイヤーケーキ、およびこれらのバリエーションである。好ましいケーキは、スポンジケーキおよびクリームケーキである。
【0128】
さらなる態様において、本発明は、食品製品における、好ましくは、ベーカリーおよびパティスリー製品であって、その通常のレシピが1種または複数の甘味剤を含む製品における、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品の使用に関する。ベーカリーおよびパティスリー製品としては、先に記載のケーキバッターおよびケーキ、ならびに他の製品、例えば、パン、ソフトロール、ベーグル、ドーナツ、デニッシュペストリー、シューペストリー、餅パン、ハンバーガーロール、ピザ、ピタパン、チャバタ、スポンジケーキ、クリームケーキ、パウンドケーキ、マフィン、カップケーキ、蒸しケーキ、ワッフル、ブラウニー、ケーキドーナツ、酵母発酵ドーナツ、バゲット、ロールパン、クラッカー、クッキー、ビスケット、パイクラスト、ラスクなどが挙げられる。
【0129】
したがって、換言すれば、さらなる態様は、
- 1種または複数の修飾デンプン20.0~80.0%(w/w)と、
- 1種または複数のフルクタン20.0~70.0%(w/w)と、
- 卵タンパク質、乳タンパク質、単離された穀物タンパク質、油糧種子タンパク質、塊茎タンパク質、根タンパク質およびマメ科植物タンパク質からなる群から選択される1種または複数のタンパク質製品0.50~10.0%(w/w)と、
- 1種または複数のデンプン製品0.50~20.0%と、
- 任意選択で、1種もしくは複数の酵素および/または1種もしくは複数の還元剤と
を含む組成物の、例えば食品製品レシピ、好ましくはベーカリーまたはパティスリー製品レシピ、より好ましくはケーキレシピなどにおける1種または複数の甘味剤、好ましくは糖類および/またはポリオール、より好ましくはスクロースの完全または部分的な代替物としての使用を提供する。
【0130】
好ましい実施形態において、本発明は、慣用的に使用される甘味剤、好ましくは糖類および/またはポリオールを1対1基準(w/w)で置き換えるための、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品の使用を提供する。
【0131】
別の好ましい実施形態において、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品は、通常のケーキバッター組成において甘味剤を、10.0~100.0%(w/w)、好ましくは20.0~100.0%(w/w)、より好ましくは30.0~100.0%(w/w)、さらにより好ましくは100.0%(w/w)、置き換えるために使用される。
【0132】
当業者は、本明細書に教示の製品の特定的な実施形態は本明細書に教示の方法および使用にも適用可能であり、その逆も同様であることを理解するであろう。
本発明をその特定的な実施形態と共に説明してきたが、多くの代替手段、改変形およびバリエーションは、前述の説明に照らせば当業者には明白であろうことは明らかである。したがって、以下のような代替手段、改変形およびバリエーションを全て、添付の「特許請求の範囲」の精神および広範な範囲に包含することが意図される。
【0133】
前述の態様および実施形態は、以下の非限定的な例によりさらに支持される。
【実施例】
【0134】
実施例1
クリームケーキ
表1にリスト化した原料を使用してクリームケーキを調製した。
【0135】
【0136】
【0137】
プロセス
- パドルを使用したプラネタリーミキサー(Hobart 型式N50)を用い、スピード1で2分間およびスピード2で2分間、全ての原料を一段階で混合する。
【0138】
- このバッター(型1個当たり300gg)をデッキオーブンで180℃にて50分間焼成する。
- 2時間後、このケーキをプラスチック袋に詰める。
ケーキの評価
焼成の24時間後にケーキの体積およびテクスチャーパラメーターを測定する。体積は、菜種置換法により測定する。測定は、2連で実施する。ケーキクラムの硬さ(柔らかさの反対としての硬さ)、凝集性、復元力および弾力性を、テクスチャー分析器(TAXT2、Stable Micro Systems、英国)を用いたケーキクラム試料のテクスチャープロファイル分析(TPA)により評価する。円筒形のケーキクラム試料(直径=45mm、高さ40mm)に、円筒形のプローブ(直径=100mm)を用いて、製品の最初の高さを50%にする最大変形量での2回連続の変形負荷を、変形負荷スピード2mm/秒、および、2回連続の変形負荷間の待ち時間3sで実施する。テクスチャー分析器のロードセルにより測定された力を時間の関数として記録する。測定は、4連で実施する。
【0139】
硬さは、ケーキ試料の最初の高さを50%にする固定された変形量を与えるのに必要な最大の力である。
凝集性は、2回目の変形曲線(下方向+上方向)下の表面と1回目の変形曲線(下方向+上方向)下の比率との比率(パーセンテージで表される)として算出される。
【0140】
復元力は、プローブが上方向に動いている時間帯についての1回目の変形曲線下の表面の、プローブが下方向に動いている時間帯についての1回目の変形曲線下の表面に対する比率(パーセンテージ)として算出される。
【0141】
弾力性は、1回目の変形負荷および3sの休止後のケーキ円筒の高さを当該ケーキ円筒の最初の高さと比較した値(パーセンテージ)として算出する。
粘着性は、変形負荷を与えた後にケーキ表面からプローブを放すのに必要な負の力である。
【0142】
表2は、焼成の24時間後に得たケーキの体積およびテクスチャー特性を一覧化したものであり、100に設定してある参照ケーキ(1)の結果との相対値として表している。ケーキ6は膨らまず、評価は不可能であった。
【0143】
【0144】
表3は、焼成の14日後に得たケーキ13のケーキテクスチャー特性を一覧化したものであり、100に設定してある参照ケーキ(1)の結果との相対値として表している。
【0145】
【0146】
この結果は、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品を使用することにより、焼成の24時間後および14日後の時点で同等のまたは高度に類似したテクスチャー的特性を保持しながら、クリームケーキにおける糖類(例えばスクロース)を最大100%代替することが可能であることを示すものである。
【0147】
実施例2
スポンジケーキ
表4にリスト化した原料を使用してスポンジケーキを調製した。
【0148】
【0149】
プロセス
- ウィスクを使用したプラネタリーミキサー(Hobart 型式N50)を用い、スピード1で1分間およびスピード3で4分間、全ての原料を一段階で混合する、
- このケーキバッターを焼き型に分け入れる(型1個当たりバッター400g)、
- デッキオーブンで180℃にて30分間焼成する、
- 2時間後、このケーキをプラスチック袋に詰める。
ケーキの評価
実施例1におけるのと同様に、ケーキのテクスチャーを評価した。
【0150】
表5は、焼成の24時間後に得たケーキの体積およびテクスチャー特性を一覧化したものであり、100に設定してある参照ケーキ(1)の結果との相対値として表している。
【0151】
【0152】
この結果は、本明細書に教示の粉末状の糖類代替品を使用することにより、同等のまたは高度に類似したテクスチャー的特性を保持しながら、スポンジケーキにおける糖類(スクロース)を最大100%代替することが可能であることを示すものである。
【0153】
実施例3
シフォンケーキ
表6にリスト化した原料を使用してシフォンケーキを調製した。
【0154】
【0155】
プロセス
- ウィスクを使用したプラネタリーミキサー(Hobart 型式N50)を用い、スピード3で5分間、油を除く全ての原料を混合する。油を添加し、スピード1で1分間、再び混合する。
- このバッター(型1個当たり475g)をデッキオーブンで180℃にて35分間焼成する。
- 型をテーブルに打ち付ける。
- 2時間後、このケーキをプラスチック袋に詰める。
ケーキの評価
実施例1におけるのと同様に、ケーキのテクスチャーを評価した。
【0156】
表7は、焼成の24時間後に得たケーキの体積およびテクスチャー特性を一覧化したものであり、100に設定してある参照ケーキ(1)の結果との相対値として表している。
【0157】
【0158】
実施例4
蒸しケーキドーナツ
表8にリスト化した原料を使用して蒸しケーキドーナツを調製した。
【0159】
【0160】
プロセス
- パドルを使用したプラネタリーミキサー(Hobart N50)を用い、低速で1分間および中速で2分間、全ての原料を混合する。
- 1個につき40~50gのドーナツバッターを、油を塗ったケーキドーナツパンに絞り袋を用いて入れる
- Rationalスチームキャビネットオーブンで103℃にて6分間蒸し焼きする。
ドーナツの評価
蒸しドーナツを評価する訓練を受けた人々からなるパネルにより、ドーナツバッターおよび蒸しドーナツの特性を評価した。結果を表9に示す。
【0161】
【0162】
実施例1に記載のテクスチャープロファイル分析により、蒸しドーナツのテクスチャーをさらに評価した。結果を表10に示す。
【0163】
【国際調査報告】