(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】医療技術システムと治療提案方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20240711BHJP
A61F 2/34 20060101ALI20240711BHJP
A61B 34/00 20160101ALI20240711BHJP
【FI】
A61B17/56
A61F2/34
A61B34/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506698
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2022072018
(87)【国際公開番号】W WO2023012310
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】102021120380.5
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローニャ アリッサ シールヨット-ヘルムレ
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ ヘティヒ
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA06
4C097BB01
4C097BB04
4C160LL12
4C160LL26
4C160LL27
(57)【要約】
本開示は、インプラントを用いて骨を治療する際に使用する医療システムに関する。メモリ装置には、パラメータ情報、治療情報および成功情報を含む、以前の治療介入のための治療データ記録が保存されている。データ処理装置は、今後の治療介入について、提供されたパラメータ情報に基づいて、かつ成功情報と以前の治療介入のパラメータ情報とのリンクに応じて、成功治療介入に関して少なくとも1つの選択された治療種類を決定する。少なくとも1つの選択された治療種類に関する治療提案がユーザに提供される。本開示はまた、治療提案を提供するための方法に関する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント(46)による骨の治療、特にヒト骨盤骨(48)への人工寛骨臼(50)の埋め込み、特に再置換介入に使用するための医療技術システムであって、データ処理装置(12)と、メモリ装置(14)と、通知装置(18)と、を備え、
前記メモリ装置(14)において、複数の先行治療介入に基づいて、
前記骨(46)の病的状態を示す複数の対象化可能パラメータを備えるパラメータ情報(34)と、
好ましくは予め定義された治療タイプのグループからの、治療介入のために患者(52)に対して実施される治療タイプを示す治療情報(36)と、
治療介入の成功を示す成功情報(38)と、が互いにリンクされて保存され、治療データセットにおいてそれぞれの治療介入に割り当てられるか、または割り当て可能であり、
前記データ処理装置(12)は、静的モデル、特に主成分分析を介して、前記治療データセットから、それぞれの治療タイプの成功にとって決定的である、治療タイプのための関連パラメータを決定するように構成および適合されており、
前記データ処理装置は、今後の治療介入のために、
前記今後の治療介入のパラメータを前記複数の先行治療介入の決定された前記関連パラメータと比較し、
特に、成功治療介入に関して前記治療タイプのグループから少なくとも1つの選択された治療タイプを決定し、前記少なくとも1つの選択された治療タイプに関する治療提案を前記通知装置(18)でユーザに提供するために、前記今後の治療介入のパラメータと決定された前記関連パラメータとの間の偏差が、所定の許容範囲内にある、医療技術システム。
【請求項2】
前記システムは、前記骨(46)の実際状態を示す初期データセット(62)を提供するための分析装置(20)を備え、
前記データ処理装置(12)が、前記初期データセット(62)に基づいて前記パラメータ情報(34)を提供するためのパラメータの少なくとも一部を決定するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記データ処理装置(12)は、前記患者(52)の実際状態のために前記初期データセット(62、66)から前記骨(46)内に存在するインプラント(42)を計算上除去するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記データ処理装置(12)は、前記初期データセット(62、66)に基づいて前記患者(52)の健康状態データセット(70)を計算により決定するように構成およびプログラムされており、
好ましくは、前記データ処理装置(12)は、前記健康状態データセット(70)を、前記インプラント(42)の計算上の除去後の前記初期データセット(62)または前記初期データセット(66)と比較することによって、パラメータの少なくとも一部を決定することを特徴とする、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記データ処理装置(12)は、成功治療介入のための確率とリンクされた、前記少なくとも1つの選択された治療タイプを決定するように構成およびプログラムされ、
前記ユーザへの前記治療提案は、前記確率の表示を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記データ処理装置(12)は、前記治療タイプのグループから2つ以上の選択された治療タイプを決定し、
前記2つ以上の選択された治療タイプに関する前記治療提案を前記通知装置(18)に提供するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記データ処理装置(12)は、それぞれの治療タイプの特性的特徴と、治療介入のための前記パラメータ情報(34)のパラメータの少なくとも一部、好ましくは選択されたパラメータとの間の定量的関係(86)を作成するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記定量的関係(86)を作成するために、前記データ処理装置(12)が機械学習アルゴリズムおよび/またはニューラルネットワークを使用することを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記データ処理装置(12)は、それぞれの治療介入のための前記定量的関係(86)において前記成功情報(38)を特徴付けるように構成およびプログラムされており、
前記少なくとも1つの選択された治療タイプを決定するための基礎として前記定量的関係(86)を使用し、
特に、治療介入が成功した場合、予め決定されたまたは予め決定可能な閾値内で前記今後の治療のパラメータと一致するパラメータが、提案のために優位に決定的であることを特徴とする、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記データ処理装置(12)は、自己学習するように構成され、
ユーザの介入なしに前記定量的関係(86)を作成するようにプログラムされていることを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記システム(10)は、治療介入の完了後にユーザからデータ入力を受けるための少なくとも1つの入力装置(16、24)を備え、
前記データ処理装置(12)は、前記データ入力に基づいて前記成功情報(38)を作成し、前記成功情報(38)を前記パラメータ情報(34)および前記治療情報(36)とともに前記治療データセット(32)に保存するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記入力装置(24)が、前記データ処理装置(12)から空間的に離れて配置された少なくとも1つの携帯可能な追加装置(26)であるか、または少なくとも1つの前記追加装置(26)が前記入力装置(24)を備え、
ユーザアプリケーションプログラムが前記追加装置(26)に実行可能に保存されており、
前記ユーザの前記データ入力が通信接続を介して前記追加装置(26)から前記データ処理装置(12)に送信可能であることを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
コンピュータに実装された選択方法であって、
データ処理装置(12)により、メモリ装置から先行治療介入の治療データセットを読み取るステップであって、前記治療データセットが、特に、前記先行治療介入のパラメータ情報(34)、治療情報(36)および/または成功情報(38)を備える、読み取るステップと、
静的モデル、特に主成分分析によって、成功治療タイプと、前記成功治療タイプに有意に影響する関連パラメータの選択量との間の相関を、前記治療データセットから決定するステップと、
前記データ処理装置(12)により、初期データセット(62、66)を読み取るステップと、
前記データ処理装置(12)により、特に成形骨モデルの助けを借りて、前記初期データセット(62、66)から健康状態データセット(70)を計算するステップと、
前記データ処理装置(12)により、前記健康状態データセット(70)と前記初期データセット(62、66)とを比較することにより、パラメータ情報(34)の差分または偏差を決定するステップと、
前記データ処理装置(12)により、決定された前記関連パラメータに関して、決定された前記差分または偏差をフィルタリングするステップと、
フィルタリングされた前記差分を、過去の成功治療介入に対応する差分と比較し、前記差分が所定の許容範囲内にある過去の治療データの量を決定するステップと、
過去の成功治療データの決定された前記量、特に前記治療情報(36)を通知装置(18)によって出力するステップと、
を備える方法。
【請求項14】
前記治療情報(36)は、治療介入のための治療タイプのグループを備え、
前記パラメータ情報(34)は、治療介入のためのパラメータを備え、
前記成功情報(38)は、前記先行治療介入の成功を備え、
前記治療データセットは、それぞれの治療タイプを、前記パラメータと治療介入の成功とリンクさせることを特徴とする、請求項13に記載のコンピュータに実装された選択方法。
【請求項15】
コンピュータの実行時に、請求項13または14の1つに記載の選択方法の方法ステップを前記コンピュータに実行させるコマンドを備える、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インプラントによる骨の治療に用いる医療技術システムに関する。
【0002】
さらに、本開示は、インプラントによる骨の今後の治療のための治療提案を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の医療システムおよび方法は、特にヒト骨盤骨への人工寛骨臼の埋め込みに用いられる。
【0004】
既存のインプラント、特に骨盤内の人工寛骨臼を除去し、新しいインプラントに置き換える再置換手術がその適用例である。
【0005】
骨、特に骨盤に対する治療介入の場合、介入前の骨の状態を記述することが知られている。「治療介入」とは、特に、前述のインプラントを用いた患者の治療とみなすことができる。特に、治療介入は、実際状態の分析および/または計画、実際の意味での外科的介入、および好ましくは術後の状態のフォローアップ治療または分析などの準備段階を含んでもよい。
【0006】
治療中に、例えば、骨欠損が特定され、それに基づいて、外科医は、どのインプラントおよび/またはどの外科技術を使用するかを決定しなければならない。骨欠損を分類すること、および/または骨欠損をセグメントごとに記載することが知られている。
【0007】
先行技術
DE 10 2018 116 588 A1は、医療技術ツールセットおよび対応する方法を記載する。欠陥があると考えられる骨の実際状態データセットが作成される。健康状態データセットおよび計画データセットが、健康状態データセットに基づいて計算される。骨を治療するための外科医の指示が、例えば骨の特性的な解剖学的特徴に関する情報を含む計画データセットの作成に組み込まれる。計画データセットは、表示装置上で外科医に示すことができる。ツールセットは、医療用ナビゲーションシステムと、骨上に基準を定めることができるマーキング装置と、を備える。計画データセットは、骨と空間的に関連して表示装置上に表示することができ、これにより、骨の特性的ランドマークが計画データセットの特性的ランドマークに割り当てられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
開示内容の簡単な説明
本開示の目的は、骨の治療においてユーザ、特に外科医を支援する治療提案を提供するための医療システムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示によれば、その目的は、特許請求項1に記載の医療技術システム(または医療装置/器具)によって、特に、インプラントを用いた骨の治療、特にヒトの骨盤骨への人工寛骨臼の埋め込みにおいて使用するための医療システム(または医療装置/器具)によって解決され、それは特に再置換介入のためのものであって、システムは、データ処理装置、メモリ装置および通知装置を備えるか、または有しており、
メモリ装置において、複数の先行治療介入に基づいて、
骨盤骨の病的状態を示す複数の対象化可能パラメータを備えるパラメータ情報と、
好ましくは予め定義された治療タイプのグループからの、治療介入のために患者に対して実施される治療タイプを示す治療情報と、
治療介入の成功を示す成功情報と、が互いにリンクされて保存され、(電子的に読み取り可能な)治療データセットにおいてそれぞれの治療介入に割り当てられるか、または割り当て可能であって、
データ処理装置は、静的モデルを介して、治療データセットから、それぞれの治療タイプの成功にとって決定的である、(複数の先行治療介入の)(個々の)治療タイプのための、(関連)パラメータを決定するように構成および提供される。さらに、データ処理装置は、今後の治療介入のために、成功治療介入に関して治療タイプのグループから少なくとも1つの選択された治療タイプを決定するため、今後の治療介入のためのパラメータを、複数の先行治療介入の決定された(関連)パラメータと比較し、少なくとも1つの選択された治療タイプに関する治療提案を通知装置においてユーザに提供する。
【0010】
好ましくは、今後の治療介入のパラメータと(過去の)治療データセットのパラメータ情報との間の偏差が計算され、特に、今後の治療介入のパラメータと治療データセットの決定された関連パラメータとの間の偏差が計算される。この偏差は、好ましくは所定の許容範囲内にあるべきである。このように、関連パラメータにおいて今後の治療介入のパラメータと類似している先行治療介入の量を決定することができる。このようにして、類似の関連パラメータを有する、成功先行治療介入の治療タイプを、今後の治療介入のための有望な/成功しそうな治療タイプとして決定することができる。
【0011】
インプラントによる骨の治療、特に再治療介入に使用するための医療システムまたは機器は、データ処理装置、メモリ装置および通知装置を備える。
メモリ装置において、複数の先行治療介入に基づいて、
骨の病的状態を示す複数の対象化可能パラメータを備えるパラメータ情報と、
好ましくは予め定義された治療タイプのグループから、治療介入のために患者(52)に対して実施される治療タイプを示す治療情報と、
治療介入の成功を示す成功情報と、が互いにリンクされて保存され、治療データセットにおいてそれぞれの治療介入に割り当てられまたは割り当て可能であって、
データ処理装置は、
静的モデル、特に主成分分析によって、それぞれの治療タイプのための治療データセットから、それぞれの治療タイプの成功にとって決定的なものである関連パラメータを決定するステップと、
今後の治療介入について、今後の治療介入のパラメータを、複数の先行治療介入の決定された関連パラメータと比較するステップであって、今後の治療介入のパラメータと決定された関連パラメータとの間の偏差が所定の許容範囲内にある、比較するステップと、
成功治療介入に関して、治療タイプのグループから少なくとも1つの(成功しそうな)治療タイプを選択するステップと、
少なくとも1つの選択された治療タイプを、通知装置を介してユーザに出力するステップという方法ステップを電子的に読み取り可能な形式で含む。
【0012】
データ処理装置は、さらに、実行ユニット、特にCPUに、上記方法ステップを(電子的に)実行させてもよい。
【0013】
換言すれば、本開示によれば、データ処理装置は、静的モデル、特に主成分分析によって、治療データセットから、それぞれの治療タイプの成功にとって決定的である、治療タイプの関連パラメータを決定し、今後の治療介入のために、今後の治療介入のパラメータを、複数の先行治療介入の決定された関連パラメータと比較するように構成および適合(プログラム)されており、成功治療介入に関して治療タイプのグループから少なくとも1つの選択された治療タイプを決定し、少なくとも1つの選択された治療タイプについての治療提案を通知装置においてユーザに提供するため、(特に)今後の治療介入のパラメータと決定された関連パラメータとの間の偏差は、所定の許容範囲内にある。
【0014】
本開示による医療技術システムでは、先行治療介入に関する情報が保存されてもよい。本実施例において、「治療介入」は、特に、インプラント、特に骨盤骨内の人工寛骨臼を埋め込まれた患者に対する単一のカスタマイズ可能な治療であってよい。治療データセットは、各治療介入についてメモリ装置に保存される。治療データセットは、特に骨の術前状態を記述するパラメータ情報、患者に実施された治療タイプに関する治療情報、および特に術後に得られた成功情報を備える。
【0015】
本開示は、先行治療介入中に得られた経験が、別の患者に対する今後の治療介入だけでなく、将来の治療介入にも利用可能であり、システムによって、特に自動的に、治療提案を提供するために利用可能であることを考慮に入れている。パラメータ情報は、例えば、定量的な骨欠損分析の出力である複数の対象化可能なパラメータを備える。データ処理装置は、治療データセットに保存された先行治療介入の経験値に基づいて、可能な治療タイプのグループから少なくとも1つの選択された治療タイプを決定するように構成およびプログラムされている。少なくとも1つの選択された治療タイプは、通知装置において提供される対応する治療提案を介してユーザに提案される。ユーザは、提示された治療提案を受け入れることができ、これに基づいて治療介入を実行することができる。あるいは、ユーザが、治療提案から逸脱して、治療タイプのグループから異なる治療タイプを選択できるようにしてもよい。このようにして、予め定義されたパラメータ情報に基づいて選択された治療タイプの成功情報に基づいて外科医が得た経験は、未来の治療介入に有利に使用することができ、これらの治療介入においてユーザを支援することができる。
【0016】
本実施例において、ユーザは、特に自然人、特に外科医であってよい。あるいは、ユーザは、例えば、データ処理装置であってもよく、またはそのようなデータ処理装置を備えていてもよく、当該データ処理装置には治療提案が出力され、例えば、ヒューマンマシンインターフェースの意味で、操作者によって制御される自動化されたおよび/または手動の方法で少なくとも部分的に治療介入を制御および/または実行する。
【0017】
治療データセットは、さまざまに異なる方法でメモリ装置に保存されてもよい。特に、独立したファイルをそれぞれの治療データセットに割り当てる必要はないが、これも可能であろう。さまざまに異なる治療介入のパラメータ情報、治療情報および成功情報は、例えば、互いにリンクされるとともに治療介入にリンクされたそれぞれの情報がいつでも識別できるように、データベースに一緒に保存されてもよい。例えば、治療データセットは、例えばリレーショナルデータベースのリレーションを介してマトリックス形式で保存される。
【0018】
治療データセットが、メモリ装置に集中的に保存され得るか、またはメモリ装置が分配方式で構成されてもよい、分散方式で保存され得ることが提供されてもよい。
【0019】
システムが、骨の実際状態を示す初期データセットを提供するための分析装置を備え、データ処理装置が、初期データセットに基づいてパラメータ情報を提供するためのパラメータの少なくとも一部を決定するように構成およびプログラムされていると好ましい。このようにして、パラメータ情報のパラメータを術前に取得することができる。例えば、初期データセットは、分析装置から通信インターフェースを介してデータ処理装置に送られる。特に、データ処理装置は、初期データセットを分析し、例えば、定量的な骨欠損分析の目的で骨のセグメンテーションを実行してもよい。
【0020】
分析装置は、例えば、X線装置および/またはCT装置であり、初期データセットは、実際状態のX線画像および/またはCTデータセットであり、またはこれらを備える。
【0021】
有利なことに、データ処理装置は、患者の実際状態のため初期データセットから骨内に存在するインプラントを計算上除去するように構成されおよびプログラムされている。再置換手術の際には、既存のインプラントが除去され、新しいインプラントと交換される。この目的のために、データ処理装置の初期データセットが、インプラント(すなわち、初期データセット中のインプラントに遡る寄与)を含まない分析に利用可能であると有利である。
【0022】
データ処理装置は、好ましくは、初期データセットに基づいて患者の健康状態データセットを計算により決定するように構成およびプログラムされている。
【0023】
好ましくは、データ処理装置が、健康状態データセットを、初期データセットと、または利用可能であれば、上記で説明したようにインプラントを計算上除去した後の初期データセットと比較することによって、パラメータの少なくとも一部を決定することが提供される。健康状態データセットは、例えば、骨の統計的に最も可能性の高い健康状態(天然の状態)が再構築される統計的形式モデルの助けを借りて作成される。定量的な骨欠損分析は、例えば、「健康状態データセット」と「初期データセット」の状況を比較することによって、場合によってはインプラントなしで実施することができる。
【0024】
初期データセットおよび/または健康状態データセットには、例えば、骨の3D表現が含まれる。
【0025】
パラメータ情報のパラメータは、例えば、
骨の少なくとも一部における相対的および/または絶対的な骨量減少、
骨の少なくとも一部における相対的および/または絶対的な新生骨形成、
骨盤内の寛骨臼の卵円形度、
骨盤の寛骨臼の中心角、
インプラントの骨内移動の経時的変化、
骨の壁欠損、
インプラントに使用可能な支持面、の少なくとも1つを含んでもよい。
【0026】
治療タイプのグループは、例えば、以下の1つまたは複数によって互いに異なる:
インプラントのタイプ、
埋め込み技術、
規格品インプラントの使用、
患者固有のインプラントの使用、
インプラント固定のための、別体のアンカーエレメントの使用、
骨補填材の使用、の1つまたは複数によって互いに異なる。
【0027】
冒頭で述べたように、治療タイプのグループ(「治療態様」ともいう)が提供される場合、これらは、特に、技術的に利用可能なおよび/または使用される解決策に基づいて、互いに異なっていてもよい。股関節の再置換手術を例にとると、
a)半球状のセメントを含まないカップで、力によるはめ込みで固定されるプレスフィットカップ、
b)セメントを含まない半球状カップで、骨接触面積が50%未満であるため、充填(augmentation)とねじによる固定を追加しなければならない充填ありプレスフィットカップ、
c)残存骨に十分な接触面がない場合にねじ止めするための、欠損部のブリッジ要素としてのサポートシェル、
d)患者固有にカスタマイズ、という治療タイプが提供されてもよい。
【0028】
上記の例は、例として、それぞれの治療タイプを反映したにすぎないということは言うまでもない。
【0029】
有利には、データ処理装置は、成功治療介入のための確率とリンクされた、選択された少なくとも1つの治療タイプを決定するように構成およびプログラムされ、ユーザへの治療提案は、その確率の表示を備える。このようにして、ユーザは、それに基づいて少なくとも1つの治療タイプを決定することができる、更なる価値ある情報を受け取る。
【0030】
例えば、確率は閾値確率として規定されてもよく、治療成功は低確率閾値を越えたとき、または高確率閾値以下において発生する。代替的または追加的に、確率を、治療成功が発生する確率区間として規定することも考えられる。
【0031】
データ処理装置は、好ましくは、治療タイプのグループから2つ以上の選択された治療タイプを決定し、2つ以上の選択された治療タイプに関する治療提案を通知装置に提供するように構成およびプログラムされている。例えば、データ処理装置が、実行される予定の治療介入のパラメータ情報に基づいて、1つより多い治療タイプが成功する可能性が高いと判断した場合、治療提案は、2つ以上の治療タイプの表示を備えてもよい。
【0032】
後者の場合、好ましくは、治療提案は、選択された治療タイプの少なくとも2つについて、成功治療介入のそれぞれの確率の表示を含む。これにより、実施される予定の治療介入のために治療タイプを選択する際にユーザを支援する。
【0033】
データ処理装置が、それぞれの治療タイプの特性的特徴と、特に先行治療介入についてのパラメータ情報のパラメータの少なくとも一部、好ましくは選択されたパラメータとの間の定量的な関係を作成するように構成およびプログラムされていると好ましい。特に、定量的関係は、各治療タイプ内で骨欠損の特性的特徴が識別され、パラメータに関連する静的モデルであってもよいし、静的モデルを形成してもよい。この目的のために、データ処理装置は、例えば、パラメータに異なる重み付けをしてもよい。
【0034】
例えば、定量的関係を作成するために、実行可能で実現可能なアルゴリズムがデータ処理装置に保存されていてもよい。アルゴリズムは、例えばPC分析(PCA、主成分分析)を介して、特性的特徴を識別するために使用されてもよい。
【0035】
例えば、定量的関係を作成するために、データ処理装置が機械学習アルゴリズムおよび/またはニューラルネットワークを使用することが好ましい。
【0036】
データ処理装置が、それぞれの治療介入のためのこの定量的関係において成功情報を含めるように構成およびプログラムされ、少なくとも1つの選択された治療タイプを決定するための基礎としてこの定量的関係を使用すると有利である。
【0037】
例えば、以前の治療介入が成功した場合、予め定義されたまたは予め決定可能な閾値内で今後の治療のパラメータと一致するパラメータのセットを認識することができる。これらのパラメータは、例えば、治療タイプの決定において優位に決定的なものとして認識されてもよく、これにより治療タイプの特性的特徴を導き出すことができる。そして、以前の経験に基づいて、少なくとも1つの最良の治療タイプを提案することが可能である。
【0038】
データ処理装置は、好ましくは、携帯可能な追加装置として構成され、ユーザの介入なしに定量的関係を作成するようにプログラムされている。
【0039】
新しい治療介入の治療データセットは、好ましくはメモリ装置に保存され、将来の治療提案のために考慮される。
【0040】
好ましくは、本システムは、治療介入の完了後にユーザからデータ入力を受けるための少なくとも1つの入力装置を備える。好ましくは、データ入力は、完了直後に提供されるのではなく、患者の予め決定されたまたは予め決定可能な順応時間の後に提供される。
【0041】
データ処理装置は、好ましくは、データ入力に基づいて成功情報を作成し、それをパラメータ情報および治療情報とともに治療データセットに保存するように構成およびプログラムされている。
【0042】
本開示の好ましい実施形態において、入力装置は、データ処理装置から空間的に離れて配置された少なくとも1つの携帯可能な追加装置であってもよく、または、少なくとも1つの追加装置が入力装置を備え、ユーザアプリケーションプログラムが追加装置に実行可能に保存され、ユーザのデータ入力が、通信接続を介して追加装置からデータ処理装置に送信可能である。ユーザアプリケーションプログラムは、例えば、追加装置上で実行可能に保存される、いわゆるアプリであってもよい。追加装置は、例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータである。追加装置の入力はデータ処理装置に送信され、データ処理装置は成功情報を作成して保存する。
【0043】
特に、上記実施形態では、操作者を必要とせず、患者自身がユーザアプリケーションプログラムを用いてシステムの保守や改良に貢献できるという利点がある。
【0044】
ユーザデータセットは、特に成功情報に関して、その後変更してもよい。例えば、適用された治療タイプの成功の査定が時間と共に変化する場合、成功情報のためのデータ入力を置換および/または補足することができる。
【0045】
本開示の好ましい実施形態において、システムは、各々が少なくとも1つのインプラントを含む複数の医療装置ツールセットが格納されるストック装置を含んでもよく、提供情報が、少なくとも1つのツールセットを提供するための治療提案に応答して、データ処理装置からストック装置に送られる。提供情報の送付は、ユーザの介入なしに、データ処理装置によって自発的に送られてもよい。あるいは、治療タイプを選択した後に、ユーザが提供情報の送信をトリガすることも考えられる。現在好ましい実施形態では、適切なインプラントを備えるツールセットが治療タイプに対して確実に提供される。この点に関する情報は、例えば、治療データセットに保存されてもよい。インプラントに加えて、ツールセットは、例えば、挿入器具および/または他の外科器具を備えてもよい。
【0046】
ストック装置は、提供情報を介してこれが要求された場合、ツールセットの後続配送要求を自動的に出すことが考えられる。
【0047】
データ処理装置が集中的に構成されること、またはデータ処理装置がコンピュータネットワークによって提供または形成されることが提供されてもよい。例えば、クラウドを介して実現される分散型のデータ処理装置を用いてもよい。
【0048】
冒頭で述べたように、本開示は方法にも関する。
【0049】
特に前述のタイプの医療システムを使用して、インプラントによる骨の今後の治療のための治療提案を提供するための、本開示による方法は、
先行治療介入に対してそれぞれの治療介入に割り当てられた、または割り当て可能な治療データセットをメモリ装置に提供することであって、そのメモリ装置には、
骨の病的状態を示す複数の対象化可能パラメータを備えるパラメータ情報と、
好ましくは予め定義された治療タイプのグループから、治療介入における患者の治療タイプを示す治療情報と、
治療介入の成功を示す成功情報と、がリンクされた形で保存される、前記提供することと、
データ処理装置を用いて、成功治療介入に関して、そのために提供されたパラメータ情報に基づいて、かつ成功情報と複数の先行治療介入のパラメータ情報とのリンクに応じて、今後の治療介入のための治療タイプのグループから少なくとも1つの選択された治療タイプを決定することと、
選択された治療タイプによる治療の提案を提供することと、を備える。
【0050】
本開示はさらに、コンピュータ実装の(事前)選択方法または提案方法に関する。この方法は、以下のステップ、すなわち、
データ処理装置によって、メモリ装置から、先行または過去の治療介入の治療データセットを抽出または読み出すステップであって、治療データセットは、先行治療介入のパラメータまたはパラメータ情報(特に、大腿骨の幅)、治療情報(特に、介入タイプおよび/またはインプラントタイプ)および/または成功情報(特に、二値成功パラメータ:はい/いいえ)を備える、抽出または読みだすステップと、
データ処理装置によって、静的モデルによって、特に主成分分析によって、治療データセットから、それぞれの治療タイプの成功(特に成功:はい)にとって決定的であるそれぞれの治療タイプの(関連)パラメータを決定する(特に、成功治療タイプと、成功治療タイプに有意に影響する(関連)パラメータの選択量との間の相関を決定する)ステップと、
データ処理装置による実際状態のデータセット(初期データセット)、特にパラメータを持つ患者のCT画像を読み取るステップと、
実際状態データセット(初期データセット)に基づいて、データ処理装置により、特に成形骨モデルの助けを借りて、目標状態データセット(健康状態データセット)を計算するステップと、
データ処理装置により、目標状態のデータセットと実際状態のデータセットとを比較することにより、パラメータ/パラメータ情報の差分または偏差を決定するステップと、
データ処理装置により、関連パラメータに関する決定された差分または偏差をフィルタリングするステップと、
パラメータのフィルタリングされた差分を、過去の成功治療介入に対応するパラメータと比較し、差分が互いに類似している(特に許容範囲内にあり、例えば関連パラメータの相対的差分の合計が可能な限り小さい)過去の治療データの量を決定するステップと、
過去の成功治療データの決定された量、特に治療情報を、通知装置、特にディスプレイによって出力するステップと、を含む。
【0051】
特に、治療情報は、治療に使用される予定のインプラントおよび/またはインプラントの埋め込みに使用される器具を含んでもよい。
【0052】
過去の治療データセットの(関連)パラメータを決定するステップでは、好ましくは、個々の過去の治療介入のパラメータ情報と過去の治療介入の成功情報との間の定量的関係が決定される。どのパラメータが治療介入の成功にとって決定的であるかを決定することができる。関連パラメータはまた、治療介入の成功にとっての特性的特徴であってもよい。定量的関係は、静的モデル、特に主成分分析(PCA)、または機械学習アルゴリズムおよび/またはニューラルネットワークによって決定されてもよい。このようにこのステップでは、特に、治療介入の成功に関連しているパラメータのセットを決定することができる。
【0053】
実際状態のデータセットを読み込むステップでは、好ましくは、骨または(欠陥のある)インプラントを有する骨の初期データセットが読み込まれる。初期データセットは、骨の3D表現を有するCTデータセットまたはX線画像であってもよい。
【0054】
実際状態データセットから目標状態データセットを計算するステップでは、健康状態データセットである目標状態データセットは、好ましくは、骨の統計的形式モデルによって計算される。好ましくは、統計的に確率の高い骨の健康状態が算出される。
【0055】
目標状態データセット(健康状態データセット)と実際状態データセット(初期状態データセット)とを比較することにより、好ましくは、パラメータまたはパラメータ情報を決定することができる。特に、これは、目標状態データセットと実際状態データセットとの間の差分であってもよい。パラメータは、骨欠損を定量的に検出できるように、少なくとも部分的に対象化可能であってもよい。
【0056】
次のステップでは、目標状態データセットと実際状態データセットとを比較することによって決定されたパラメータは、特に統計モデルによって、過去の治療データセットに基づいて関連すると分類されたパラメータのみが考慮されるようにフィルタリングされてもよい。換言すれば、関連パラメータの値のみが考慮されてもよい。
【0057】
次のステップでは、目標状態データセットと実際状態データセットとの差分、すなわち、上記治療介入の決定されたパラメータが、過去の治療データセットのパラメータ情報と比較される。特に、関連パラメータのみ、すなわちフィルタリングされたパラメータのみが比較される。
【0058】
特に、パラメータ情報が今後の治療介入の対応するパラメータ情報と類似している過去の治療データの量が決定される。ここで、類似しているとは、個々のパラメータ間の差が所定の許容範囲内にあることを意味する。特に、過去の治療データの量は、(関連パラメータの)パラメータ情報が今後の治療介入のパラメータと類似している過去の治療データからの治療タイプの量であってもよい。特に、過去の治療データの量は、成功した過去の治療介入に限定してもよい。
【0059】
したがって、過去の治療データの具体的な量は、決定されたパラメータに対して成功する可能性が特に高い治療タイプの量であってもよい。したがって、決定された治療タイプは、特に有望であってもよい。
【0060】
(関連パラメータの)偏差の総和も決定されてよく、偏差の総和が特に小さい場合、治療タイプは特に有望であると分類されてもよい。
【0061】
指定された量の過去の治療データは、最終ステップでユーザに出力される。ユーザは、(治療データから治療タイプのための)適格な提案を受けることができる。
【0062】
決定されたパラメータと実施された治療介入の成功/失敗を治療データに追加して、データセットを拡張することができる。
【0063】
好ましくは、治療情報は、治療介入のための治療タイプのグループを備えてよく、パラメータ情報は、治療介入のためのパラメータを備えてよく、成功情報は、先行治療介入の成功を備えてもよい。治療データセットは、それぞれの治療タイプと、パラメータおよび治療介入の成功とをリンクさせてもよい。
【0064】
本開示の目的は、コンピュータによって実行されると、コンピュータに前記態様の1つによる方法のステップを実行させるコマンドを含む、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体によってさらに解決される。
【0065】
本開示によるシステムの説明に関連して既に述べた利点は、本方法を使用する場合にも達成することができる。上述の説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
本開示による方法の有利な構成例は、本開示によるシステムの有利な実施形態から生じる。この点に関しても、先行する説明を参照することができる。
【0067】
本開示の好ましい実施形態に関する以下の説明は、図面と併せて、本開示をより詳細に説明するのに役立つ。以下に示す。
【
図1】好ましい実施形態における本開示による医療システムの模式図。
【
図3】
図1に示すシステムのストック装置の模式図。
【
図4】インプラントを有する病的と考えられる骨、特に人工寛骨臼を持つ骨盤の骨で、再手術を受ける予定のもの。
【
図6】インプラントを計算上除去した
図4の骨盤骨の3D表示の模式図。
【
図7】計算により決定された骨盤骨の健康状態の3D表示の模式図。
【
図8】今後の治療介入中のシステムの動作を示す模式図。
【0068】
図面の説明
図1は、参照符号10を付した本開示による医療システムの一般的に有利な実施形態の模式図である。システム10は、本開示による方法およびその方法の有利な構成例を実施するのに好適である。以下、システム10の動作の説明に関連して、方法の手順を説明する。
【0069】
システム10は、データ処理装置12と、メモリ装置14と、入力装置16と、通知装置18と、分析装置20と、ストック装置22と、を備える。システム10の前述の構成要素は、集中的に同じ場所に配置されてもよいし、空間的に分散して配置されてもよい。
【0070】
例えば、データ処理装置12は、例えばコンピュータのように集中的に構成され配置されてもよい。あるいは、データ処理装置12は、例えばクラウドサービスを利用して、空間的に分散されたコンピュータまたはサーバによって構成されてもよい。
【0071】
メモリ装置14についても同様であり、集中的に構成してもよいし、空間的に分散して構成してもよい。メモリ装置14は、データ処理装置12と統合されていてもよいし、またはデータ処理装置12に含まれていてもよい。
【0072】
特に、分析装置20および/またはストック装置22が、システム10の他の構成要素、特にデータ処理装置12から離れた位置に構成され、配置されることが提供されてもよい。
【0073】
さらなる入力装置24は、システム10、特にデータ処理装置12と動作可能に接続されていてもよく、特に情報技術の観点から通信接続を介して結合されていてもよい。入力装置24は、携帯可能な追加装置26として構成される。
図1には、そのような追加装置26が2つ示されている。入力装置24は、システム10の一部であってもよい。
【0074】
システム10の構成要素は、情報を交換するために、互いに有線および/または無線で結合または接続することができる。
【0075】
入力装置16および/または24は、異なる方法で設計されていてよく、例えば、キーボード、コンピュータマウス、タッチスクリーンおよび/または他の入力手段を備えてもよい。また、例えば音声入力も考えられる。
【0076】
通知装置18は、特に、ユーザに対して視覚的な通知を出力するための光学的表示ユニット28であるか、または光学的表示ユニット28を備える。
【0077】
本構成例において、分析装置20は、例えばCT装置30であるか、またはCT装置30を備える。
【0078】
メモリ装置14は、データ取得およびデータ管理のためにシステム10が使用された患者の骨の治療の治療データセット32を保存する。
【0079】
各治療データセット32が、システム10を用いてそれぞれの治療介入に割り当てられる。それぞれの治療データセット32は、先行治療介入について、パラメータ情報34、治療情報36および成功情報38を備える(
図2)。
【0080】
ここで、
図2の表現は模式的なものである。情報34、36、38は、さまざまな方法でそれぞれの治療データセット32に保存されてもよい。例えば、治療データセットは、例えばリレーショナルデータベースにマトリックス形式で格納され、以下に説明する
図5は、治療データセット32の内容の例示的なマトリックス表現を模式的に示している。
【0081】
図3に模式的に示すストック装置22は、医療ツールセット40をストックし管理するために使用される。それぞれのツールセット40は、特に、骨の治療に使用されるインプラント42、特に人工寛骨臼を備える。さらに、各ツールセット40は、例えば、インプラント42の埋め込み中に使用される少なくとも1つの外科器具44を備えてもよい。
【0082】
図4は、人間の骨盤骨48として設計された、治療予定の骨46の斜視図である。骨盤骨48にはインプラント42が挿入され、この場合は人工寛骨臼50である。前述のように、システム10は、病的であると考えられ、例えば、特に骨欠損を有する骨盤骨48の治療に使用される。今回の場合、インプラント42は再手術で除去され、新しいインプラントと交換される。
【0083】
本開示は、再手術における使用に限定されず、骨盤骨48の治療における使用に限定されないことを理解されたい。
【0084】
特に
図8を参照して以下に説明する、今後の治療介入のために、治療データセット32に格納された情報は、患者52の治療のための治療タイプを提案するためにシステム10によって評価される。
【0085】
システム10の機能原理について、まず
図5から
図7を参照する。
【0086】
システム10は、複数の先行治療介入の治療データセット32を使用して、患者52の治療のための治療タイプの治療提案を提出する。多数の治療介入がシステム10に保存され、それによって利用可能であると有利である。例えば、少なくとも約50件の治療介入が有利であり、より好ましくは少なくとも約200件の治療介入が有利であり、数が多ければ多いほど好ましい。パラメータ情報34、治療情報36および成功情報38は、それぞれの場合に考慮される。
【0087】
それぞれの治療データセット32のパラメータ情報34は、骨46の病的状態を示す複数の対象化可能なパラメータを備える。
図5は、先行治療介入のための複数のパラメータのマトリックス表現54を模式的に示している。
【0088】
例えば、少なくとも20個前後、好ましくは40個以上のパラメータを用いると好ましい。
【0089】
先行治療介入において、それぞれの患者52は、好ましくは予め定義された治療タイプのグループからの治療タイプに従って治療される。
図5は、これを一例として、先行治療介入にリンクされた治療タイプを示すマトリックス表現56で示す。各治療データセット32の治療情報36は、患者52に対して実施された治療タイプを示す。例として、
図5は5つの異なる治療タイプのグループを示す。
【0090】
さらに、それぞれの治療データセット32の成功情報38が利用される。それぞれの治療介入に対する成功査定は、マトリックス表現58で示される。例として、
図5は、成功情報の6つの異なる分類を示している。
【0091】
パラメータ情報34の対象化可能なパラメータを決定するために、欠陥があると考えられる骨46の初期データセット62が、特に術前データ取得60の間にCT装置30を用いて最初に作成される。再手術の場合、初期データセット62はインプラント42からの寄与を含む。特に、初期データセット62は、CTデータセットおよび/または骨46の3D表現を有するX線画像を備える。初期データセット62は、骨46の実際状態を示し、データ処理装置12がパラメータの少なくとも一部を提供するための基礎となる。
【0092】
初期データセット62は、CT装置30によって自動的におよび/またはユーザによってデータ処理装置12に提供されてもよい。
【0093】
データ処理装置12は、初期データセット62のセグメンテーション64を実行するように構成されプログラムされている。再手術の場合、初期データセット62のインプラント42に起因する寄与はデータ処理装置12によって計算上除去され、それによって、インプラント42からの寄与のない適合された初期データセット66が作成される。再手術ではなく、インプラント42を初めて埋め込む場合には、この計算除去のステップは省略することができ、セグメント化された初期データセット62をデータ処理装置12によって直接使用することができる。
【0094】
図6は、適応初期データセット66における骨46の3D表現を模式的に示す。
【0095】
その後、データ処理装置12は、初期データセット、この場合は初期データセット66に基づいて、患者52の骨46の健康状態データセットを計算により決定する。このステップは、
図5において参照符号68で示されている。
図7は、健康状態データセット70における骨46の3D表現を示す。
【0096】
健康状態データセットを算出するために、例えば、骨46について統計的な形式モデルを用いてもよい。骨46の統計的に確率の高い健康状態(天然状態)が算出される。
【0097】
健康状態データセット70を初期データセット66と比較することにより、パラメータ、ひいてはパラメータ情報34を提供することができる。パラメータは、骨欠損を定量的に記録できるように、少なくとも部分的に対象化可能である。
図5の参照符号72は、対応する欠損分析を示す。
【0098】
パラメータ情報34は、マトリックス表現54によって記号化されるように、それぞれの治療データセット32に格納される。
【0099】
ユーザ、特に外科医は、パラメータ情報34を考慮して、患者52に適した治療タイプを選択することができる。選択された治療74は、治療タイプのグループの選択から選択することができる。参照符号76は、マトリックス表現56に従って記号化されたそれぞれの治療介入に対する治療タイプの選択を示す。
【0100】
データ処理装置12は、治療タイプとパラメータ情報を互いに関連付けるように構成されている。これは、マトリックス表現78を用いて
図5に示されている。これは、治療タイプに従ってグループ化され、それぞれの治療介入および対応するパラメータ情報34を反映する例示的なテーブルを示す。特に、各治療タイプにテーブル80が割り当られてもよい。
【0101】
この可視化は例示的なものに過ぎず、メモリ装置14で使用されるデータ構造によっては、異なるタイプのデータの保存および/または可視化が提供され得ることが理解される。
【0102】
術後、ユーザは先行介入に対する成功査定82を実施してもよい。治療74および成功査定82を示すためのユーザからのデータ入力は、特に入力装置16および/または24を介して行われてもよい。ユーザが使用可能なユーザアプリケーションプログラム(例えばアプリ)が追加装置26に実行可能に格納されており、それを介してデータ入力を受信し、追加装置26からデータ処理装置12に送信することができれば有利である。特に、追加装置26を使用すると、患者52を成功査定82に含めることが可能になる。
【0103】
データ処理装置12は、入力されたデータに基づいて、マトリックス表現58に例示するように、分析84を介して成功情報を生成する。
【0104】
図5がさらに模式的に示すように、データ処理装置12は、先行治療介入に基づいて定量的関係86を作成するように構成およびプログラムされている。特に、定量的関係86は、それぞれの治療タイプの特性的特徴と、パラメータ情報34のパラメータの少なくとも一部との間に作成される。データ処理装置12は、定量的関係86にそれぞれの成功情報38を含む。
【0105】
特に、このようにして、データ処理装置12は、各治療タイプにおける骨欠損の主な特徴に関する情報と、選択された治療タイプの成功に関する指標とを備える静的モデルを作成する。
【0106】
データ処理装置12は、好ましくは、定量的関係86を独立して作成するように構成およびプログラムされている。従って、データ処理装置12は、ユーザのサポートなしに定量的関係86を作成するように自己学習的に構成およびプログラムされてもよい。例えば、機械学習アルゴリズムおよび/またはニューラルネットワークが、関係86を作成するために使用される。
【0107】
参照符号88は、PC分析(PCA、Principal Component Analysis主成分分析)の図の一例である。PC分析は、それぞれの治療タイプの特性的特徴を特定するために使用されてもよく、例えば、上述の機械学習アルゴリズムやニューラルネットワークを用いて実行される。
【0108】
システム10の治療データセット32を有するデータベースは、拡張可能であってもよい。それぞれの治療介入のためのパラメータ情報34、治療情報36、および成功情報38は、データ処理装置12によって補足され、評価され、定量的関係86を改善するために使用されてもよい。
【0109】
今後の治療介入(
図8)のために、パラメータ情報34は、治療される予定の骨46の欠陥分析72に基づいて生成される。
【0110】
データ処理装置12は、提供されたパラメータ情報34と定量的関係86とに基づいて、治療タイプのグループから少なくとも1つの選択された治療タイプを決定することができる。
【0111】
関係86は、成功情報38を、それぞれの治療タイプと同様に先行治療介入のパラメータ情報34ともリンクさせるので、データ処理装置12は、(推定上)成功の治療介入に関して、選択された治療タイプを決定することができる。少なくとも1つの治療タイプの決定には参照符号90が付される。
【0112】
これに基づいて、データ処理装置12は、
図8に参照符号92で示すように、少なくとも1つの選択された治療タイプに関する治療提案を通知装置18においてユーザに提供することができる。
【0113】
本開示は、治療提案92を以前の経験に基づいて行うことができるという利点を提供する。好ましくは十分に構成された外科医のこの経験は、将来の治療介入に有利に使用することができ、ユーザをこれらの治療介入において支援することができる。
【0114】
ユーザ、特に外科医は、治療提案92を受け入れることができる。あるいは、ユーザは、治療提案から逸脱して別の治療タイプを決定することができる。
【0115】
ユーザが治療タイプを決定すると、データ処理装置12は関連する提供情報をストック装置22に送信することができる。これに基づいて、ストック装置22は、治療タイプに適したインプラント42をツールセット40に提供することができる。この点に関する情報が、治療データセット32に格納されてもよい。妥当な場合、ストック装置22は、割り当てられたツールセット42の再注文を自動的にトリガしてもよい。
【0116】
データ処理装置12は、選択された治療タイプに対する治療介入が成功する確率を決定すると好ましい。治療提案92は、好ましくは、治療介入が成功する確率の表示を備えてもよい。
【0117】
さらに、データ処理装置12が、治療タイプのグループから2つ以上の選択された治療タイプを決定することが提供されてもよい。治療提案92は、2つ以上の選択された治療タイプの表示を備えてもよい。
【0118】
好ましくは、後者の構成例では、治療提案は、選択された治療タイプのうちの少なくとも2つの成功治療介入のためのそれぞれの確率の表示を備える。
【0119】
図9は、本開示による選択方法のフローチャートである。この方法は、以下のステップを備える。ステップS1において、先行治療介入の治療データセットがデータ処理装置12によってメモリ装置から抽出され、治療データセットは特に先行治療介入のパラメータ情報34、治療情報36および/または成功情報38を備える。ステップS2において、それぞれの治療タイプの成功にとって決定的である、それぞれの治療タイプの関連パラメータが、静的モデルを介して治療データセットからデータ処理装置12によって決定される。従って、成功治療タイプと、成功治療タイプに有意に影響する(関連)パラメータの選択量との間の相関が決定される。特に、統計モデルは主成分分析であってもよい。ステップS3において、データ処理装置12は、初期データセット62または実際状態データセットを読み込む。初期データセット62は、特に骨46のCTデータセットである。ステップS4では、データ処理装置12によって、実際状態データセット(初期データセット62)に基づいて、目標状態データセットまたは健康状態データセット70が計算される。特に、健康状態データセット70は、成形骨モデルを用いて計算される。
【0120】
ステップS5において、データ処理装置12は、健康状態データセット70と初期データセット62とを比較することにより、パラメータ/パラメータ情報34の差分または偏差を決定する。ステップS6において、決定された関連パラメータに関する決定された差分または偏差は、データ処理装置12によってフィルタリングされる。ステップS7において、パラメータのフィルタリングされた差分が、過去に成功治療介入の対応するものと比較される。さらに、差分が互いに類似している、または特に(所定の)許容範囲内にある、例えば関連パラメータの相対的な差分の合計が可能な限り小さい過去の治療データの量が決定される。ステップS8では、過去の成功治療データの決定された量が通知装置18によって出力される。
【符号の説明】
【0121】
10 医療システム
12 データ処理装置
14 メモリ装置
16 入力装置
18 通知装置
20 分析装置
22 ストック装置
24 入力装置
26 追加装置
28 光表示装置
30 CT装置
32 治療データセット
34 パラメータ情報
36 治療情報
38 成功情報
40 ツールセット
42 インプラント
44 外科器具
46 骨
48 骨盤骨
50 寛骨臼
52 患者
54、56、58 マトリックス表現
60 データ取得
62 初期データセット
64 セグメンテーション
66 適合済み初期データセット
68 天然状態の再構築
70 健康状態データセット
72 欠陥分析
74 治療
76 選択治療タイプ
78 マトリックス表現
80 表
82 成功査定
84 分析
86 量的関係
88 PC分析
90 治療タイプの決定
92 治療提案
【手続補正書】
【提出日】2024-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラン
トによる骨の治
療に使用するための医療技術システムであって、データ処理装
置と、メモリ装
置と、通知装
置と、を備え、
前記メモリ装
置において、複数の先行治療介入に基づいて、
前記
骨の病的状態を示す複数の対象化可能パラメータを備えるパラメータ情
報と、
予め定義された治療タイプのグループからの、治療介入のために患
者に対して実施される治療タイプを示す治療情
報と、
治療介入の成功を示す成功情
報と、が互いにリンクされて保存され、治療データセットにおいてそれぞれの治療介入に割り当てられるか、または割り当て可能であり、
前記データ処理装
置は、静的モデ
ルを介して、前記治療データセットから、それぞれの治療タイプの成功にとって決定的である、治療タイプのための関連パラメータを決定するように構成および適合されており、
前記データ処理装置は、今後の治療介入のために、
決定された前記関連パラメータについて、前記今後の治療介入
の値を前記複数の先行治療介入の
対応する値と比較し
、
成功治療介入に関して前記治療タイプのグループから少なくとも1つの選択された治療タイプを決定し、
前記少なくとも1つの選択された治療タイプに関する治療提案を前記通知装置でユーザに提供す
る、医療技術
のシステム。
【請求項2】
比較の間、前記今後の治療介入の前記値と前記複数の先行治療介入の前記対応する値との間の偏差が、所定の許容範囲内にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムは、前記
骨の実際状態を示す初期データセットを提供するための分析装
置を備え、
前記データ処理装
置が、前記初期データセッ
トに基づいて前記パラメータ情
報を提供するための
前記値と対象化可能なパラメータ
との少なくとも一部を決定するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記データ処理装
置は、前記患
者の実際状態のために前記初期データセッ
トから前記
骨内に存在するインプラン
トを計算上除去するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記データ処理装
置は、前記初期データセッ
トに基づいて前記患
者の健康状態データセッ
トを計算により決定するように構成およびプログラムされて
いる
ことを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記データ処理装置は、前記健康状態データセットを、前記インプラントの計算上の除去後の前記初期データセットと比較することによって、前記値の少なくとも一部を決定することを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記データ処理装
置は、成功治療介入のための確率とリンクされた、前記少なくとも1つの選択された治療タイプを決定するように構成およびプログラムされ、
前記ユーザへの前記治療提案は、前記確率の表示を備えることを特徴とする、請求項
1に記載のシステム。
【請求項8】
前記データ処理装
置は、前記治療タイプのグループから2つ以上の選択された治療タイプを決定し、
前記2つ以上の選択された治療タイプに関する前記治療提案を前記通知装
置に提供するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項
1に記載のシステム。
【請求項9】
前記データ処理装
置は、それぞれの治療タイプの特性的特徴と、治療介入のための前記パラメータ情
報のパラメータの少なくと
も選択されたパラメータとの間の定量的関
係を作成するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項
1に記載のシステム。
【請求項10】
前記定量的関
係を作成するために、前記データ処理装
置が機械学習アルゴリズムおよび/またはニューラルネットワークを使用することを特徴とする、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
前記データ処理装
置は、それぞれの治療介入のための前記定量的関
係において前記成功情
報を特徴付けるように構成およびプログラムされており、
前記少なくとも1つの選択された治療タイプを決定するための基礎として前記定量的関
係を使用し、
予め決定されたまたは予め決定可能な閾値内で、
これら値が前記今後の治療の
前記対応する値と一致するパラメータが、提案のために優位に決定的であることを特徴とする、請求項
9に記載のシステム。
【請求項12】
治療介入が成功した場合に、前記選択された治療タイプが選択されることを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記データ処理装
置は、自己学習するように構成され、
ユーザの介入なしに前記定量的関
係を作成するようにプログラムされていることを特徴とする、請求
項9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記システ
ムは、治療介入の完了後にユーザからデータ入力を受けるための少なくとも1つの入力装
置を備え、
前記データ処理装
置は、前記データ入力に基づいて前記成功情
報を作成し、前記成功情
報を前記パラメータ情
報および前記治療情
報とともに前記治療データセッ
トに保存するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項
1に記載のシステム。
【請求項15】
前記入力装
置が、前記データ処理装
置から空間的に離れて配置された少なくとも1つの携帯可能な追加装
置であるか、または少なくとも1つの前記追加装
置が前記入力装
置を備え、
ユーザアプリケーションプログラムが前記追加装
置に実行可能に保存されており、
前記ユーザの前記データ入力が通信接続を介して前記追加装
置から前記データ処理装
置に送信可能であることを特徴とする、請求項
14に記載のシステム。
【請求項16】
前記静的モデルは、主成分分析である、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
コンピュータに実装された選択方法であって、
データ処理装
置により、メモリ装置から先行治療介入の治療データセットを読み取るステッ
プと、
静的モデ
ルによって、成功治療タイプと、前記成功治療タイプに有意に影響する関連パラメータの選択量との間の相関を、前記治療データセットから決定するステップと、
前記データ処理装
置により、初期データセッ
トを読み取るステップと、
前記データ処理装
置により
、前記初期データセッ
トから健康状態データセッ
トを計算するステップと、
前記データ処理装
置により、前記健康状態データセッ
トと前記初期データセッ
トとを比較することにより、パラメータ情
報の差分または偏差を決定するステップと、
前記データ処理装
置により、決定された前記関連パラメータに関して、決定された前記差分または偏差をフィルタリングするステップと、
フィルタリングされた前記差分を、過去の成功治療介入に対応する差分と比較し、前記差分が所定の許容範囲内にある過去の治療データの量を決定するステップと、
過去の成功治療データの決定された前記
量を通知装
置によって出力するステップと、
を備える、
コンピュータに実装された選択方法。
【請求項18】
前記治療データセットが、前記先行治療介入のパラメータ情報(34)、治療情報(36)および/または成功情報(38)を備え、および/または、前記データ処理装置が、成形骨モデルの助けを借りて、前記初期データセットから健康状態データセットを計算し、および/または、過去の成功治療データの決定された前記量が、前記治療情報である、請求項17に記載のコンピュータに実装された選択方法
【請求項19】
前記治療情
報は、治療介入のための治療タイプのグループを備え、
前記パラメータ情
報は、治療介入のためのパラメータを備え、
前記成功情
報は、前記先行治療介入の成功を備え、
前記治療データセットは、それぞれの治療タイプを、前記パラメータと治療介入の成功とリンクさせることを特徴とする、請求項
18に記載のコンピュータに実装された選択方法。
【請求項20】
コンピュータの実行時に、請求項
17に記載の選択方法の方法ステップを前記コンピュータに実行させるコマンドを備える、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
ステップS5において、データ処理装置12は、健康状態データセット70と初期データセット62とを比較することにより、パラメータ/パラメータ情報34の差分または偏差を決定する。ステップS6において、決定された関連パラメータに関する決定された差分または偏差は、データ処理装置12によってフィルタリングされる。ステップS7において、パラメータのフィルタリングされた差分が、過去に成功治療介入の対応するものと比較される。さらに、差分が互いに類似している、または特に(所定の)許容範囲内にある、例えば関連パラメータの相対的な差分の合計が可能な限り小さい過去の治療データの量が決定される。ステップS8では、過去の成功治療データの決定された量が通知装置18によって出力される。
以下、本明細書で開示する技術の特徴を列挙する。
(項目1)
インプラント(46)による骨の治療、特にヒト骨盤骨(48)への人工寛骨臼(50)の埋め込み、特に再置換介入に使用するための医療技術システムであって、データ処理装置(12)と、メモリ装置(14)と、通知装置(18)と、を備え、
前記メモリ装置(14)において、複数の先行治療介入に基づいて、
前記骨(46)の病的状態を示す複数の対象化可能パラメータを備えるパラメータ情報(34)と、
好ましくは予め定義された治療タイプのグループからの、治療介入のために患者(52)に対して実施される治療タイプを示す治療情報(36)と、
治療介入の成功を示す成功情報(38)と、が互いにリンクされて保存され、治療データセットにおいてそれぞれの治療介入に割り当てられるか、または割り当て可能であり、
前記データ処理装置(12)は、静的モデル、特に主成分分析を介して、前記治療データセットから、それぞれの治療タイプの成功にとって決定的である、治療タイプのための関連パラメータを決定するように構成および適合されており、
前記データ処理装置は、今後の治療介入のために、
前記今後の治療介入のパラメータを前記複数の先行治療介入の決定された前記関連パラメータと比較し、
特に、成功治療介入に関して前記治療タイプのグループから少なくとも1つの選択された治療タイプを決定し、前記少なくとも1つの選択された治療タイプに関する治療提案を前記通知装置(18)でユーザに提供するために、前記今後の治療介入のパラメータと決定された前記関連パラメータとの間の偏差が、所定の許容範囲内にある、医療技術システム。
(項目2)
前記システムは、前記骨(46)の実際状態を示す初期データセット(62)を提供するための分析装置(20)を備え、
前記データ処理装置(12)が、前記初期データセット(62)に基づいて前記パラメータ情報(34)を提供するためのパラメータの少なくとも一部を決定するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記データ処理装置(12)は、前記患者(52)の実際状態のために前記初期データセット(62、66)から前記骨(46)内に存在するインプラント(42)を計算上除去するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、項目1または2に記載のシステム。
(項目4)
前記データ処理装置(12)は、前記初期データセット(62、66)に基づいて前記患者(52)の健康状態データセット(70)を計算により決定するように構成およびプログラムされており、
好ましくは、前記データ処理装置(12)は、前記健康状態データセット(70)を、前記インプラント(42)の計算上の除去後の前記初期データセット(62)または前記初期データセット(66)と比較することによって、パラメータの少なくとも一部を決定することを特徴とする、項目2または3に記載のシステム。
(項目5)
前記データ処理装置(12)は、成功治療介入のための確率とリンクされた、前記少なくとも1つの選択された治療タイプを決定するように構成およびプログラムされ、
前記ユーザへの前記治療提案は、前記確率の表示を備えることを特徴とする、項目1から4のいずれか一項に記載のシステム。
(項目6)
前記データ処理装置(12)は、前記治療タイプのグループから2つ以上の選択された治療タイプを決定し、
前記2つ以上の選択された治療タイプに関する前記治療提案を前記通知装置(18)に提供するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、項目1から5のいずれか一項に記載のシステム。
(項目7)
前記データ処理装置(12)は、それぞれの治療タイプの特性的特徴と、治療介入のための前記パラメータ情報(34)のパラメータの少なくとも一部、好ましくは選択されたパラメータとの間の定量的関係(86)を作成するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、項目1から6のいずれか一項に記載のシステム。
(項目8)
前記定量的関係(86)を作成するために、前記データ処理装置(12)が機械学習アルゴリズムおよび/またはニューラルネットワークを使用することを特徴とする、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記データ処理装置(12)は、それぞれの治療介入のための前記定量的関係(86)において前記成功情報(38)を特徴付けるように構成およびプログラムされており、
前記少なくとも1つの選択された治療タイプを決定するための基礎として前記定量的関係(86)を使用し、
特に、治療介入が成功した場合、予め決定されたまたは予め決定可能な閾値内で前記今後の治療のパラメータと一致するパラメータが、提案のために優位に決定的であることを特徴とする、項目7または8に記載のシステム。
(項目10)
前記データ処理装置(12)は、自己学習するように構成され、
ユーザの介入なしに前記定量的関係(86)を作成するようにプログラムされていることを特徴とする、項目7から9のいずれか一項に記載のシステム。
(項目11)
前記システム(10)は、治療介入の完了後にユーザからデータ入力を受けるための少なくとも1つの入力装置(16、24)を備え、
前記データ処理装置(12)は、前記データ入力に基づいて前記成功情報(38)を作成し、前記成功情報(38)を前記パラメータ情報(34)および前記治療情報(36)とともに前記治療データセット(32)に保存するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、項目1から10のいずれか一項に記載のシステム。
(項目12)
前記入力装置(24)が、前記データ処理装置(12)から空間的に離れて配置された少なくとも1つの携帯可能な追加装置(26)であるか、または少なくとも1つの前記追加装置(26)が前記入力装置(24)を備え、
ユーザアプリケーションプログラムが前記追加装置(26)に実行可能に保存されており、
前記ユーザの前記データ入力が通信接続を介して前記追加装置(26)から前記データ処理装置(12)に送信可能であることを特徴とする、項目11に記載のシステム。
(項目13)
コンピュータに実装された選択方法であって、
データ処理装置(12)により、メモリ装置から先行治療介入の治療データセットを読み取るステップであって、前記治療データセットが、特に、前記先行治療介入のパラメータ情報(34)、治療情報(36)および/または成功情報(38)を備える、読み取るステップと、
静的モデル、特に主成分分析によって、成功治療タイプと、前記成功治療タイプに有意に影響する関連パラメータの選択量との間の相関を、前記治療データセットから決定するステップと、
前記データ処理装置(12)により、初期データセット(62、66)を読み取るステップと、
前記データ処理装置(12)により、特に成形骨モデルの助けを借りて、前記初期データセット(62、66)から健康状態データセット(70)を計算するステップと、
前記データ処理装置(12)により、前記健康状態データセット(70)と前記初期データセット(62、66)とを比較することにより、パラメータ情報(34)の差分または偏差を決定するステップと、
前記データ処理装置(12)により、決定された前記関連パラメータに関して、決定された前記差分または偏差をフィルタリングするステップと、
フィルタリングされた前記差分を、過去の成功治療介入に対応する差分と比較し、前記差分が所定の許容範囲内にある過去の治療データの量を決定するステップと、
過去の成功治療データの決定された前記量、特に前記治療情報(36)を通知装置(18)によって出力するステップと、
を備える方法。
(項目14)
前記治療情報(36)は、治療介入のための治療タイプのグループを備え、
前記パラメータ情報(34)は、治療介入のためのパラメータを備え、
前記成功情報(38)は、前記先行治療介入の成功を備え、
前記治療データセットは、それぞれの治療タイプを、前記パラメータと治療介入の成功とリンクさせることを特徴とする、項目13に記載のコンピュータに実装された選択方法。
(項目15)
コンピュータの実行時に、項目13または14の1つに記載の選択方法の方法ステップを前記コンピュータに実行させるコマンドを備える、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【国際調査報告】