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特表2024-527158物体の照明を生成するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】物体の照明を生成するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240711BHJP
   F21V 11/00 20150101ALI20240711BHJP
   F21V 11/18 20060101ALI20240711BHJP
   F21V 14/08 20060101ALI20240711BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240711BHJP
   F21S 8/06 20060101ALI20240711BHJP
   F21W 131/406 20060101ALN20240711BHJP
   F21W 131/405 20060101ALN20240711BHJP
   F21Y 113/10 20160101ALN20240711BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240711BHJP
【FI】
F21S2/00 622
F21V11/00 100
F21V11/18 100
F21V14/08
F21V23/00 140
F21S8/06 300
F21W131:406
F21W131:405
F21Y113:10
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525759
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 EP2022070008
(87)【国際公開番号】W WO2023001737
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102021118516.5
(32)【優先日】2021-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524023538
【氏名又は名称】ヴァイス,アルネ
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイス,アルネ
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】物体(60)の投光を作成するための装置(10)。
【解決手段】少なくとも1つの帯状の投射面(11)と、投射面(11)に投光するための少なくとも1つの光素子(13)とを備えている。投射面(11)は移動可能に配置されており、装置(10)は、投射面(11)を移動するための少なくとも1つの移動装置(28)を備えている。装置(10)は制御ユニットをも備えており、制御ユニットは、投射面(11)の移動に同期して、光素子(13)を制御するよう設計されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(60)の照明を生成するための装置(10)であって、
当該装置(10)は、少なくとも1つの帯状の投射面(11)を備えており、
当該装置(10)は、前記投射面(11)を照明するための少なくとも1つの光素子(13)を備えており、
前記投射面(11)は移動可能に配置されており、
当該装置(10)は、前記投射面(11)を移動するための少なくとも1つの移動装置(28)を備えており、
当該装置(10)は制御ユニットを備えており、前記制御ユニットは、前記投射面(11)の移動に同期して、前記光素子(13)を制御するよう設計されている、装置(10)。
【請求項2】
当該装置(10)は吊り下げ具(22)を有しており、
前記投射面(11)は、前記吊り下げ具(22)によって吊り下げられており、
前記少なくとも1つの移動の方向(28)は、並進的および/または回転方向に前記投射面(11)を移動するよう設計されている、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
当該装置(10)は複数の光素子(13)を備えており、前記光素子(13)は支持体(12)に配置されており、前記光素子(13)は個別に制御できるようにされており、
前記支持体(12)は前記投射面(11)に接続されており、
その結果、前記支持体(12)も、前記投射面(11)と一緒に、移動可能に配置されている、請求項1または2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記複数の光素子(13)は、前記支持体(12)上の少なくとも1つの列に配置されている、請求項3に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記複数の光素子(13)は、前記支持体(12)上で複数の、特に2つの列に配置されており、
前記列は、前記長手方向に、互いに平行に、かつオフセットされて配置されている、請求項4に記載の装置(10)。
【請求項6】
関連する支持体(12)を有する投射面(11)が、照明アーム(24)を形成しており、当該装置(10)は好ましくは、複数の照明アーム(24)を備えている、請求項3~5のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記投射面(11)および/または前記照明アーム(24)は、少なくともいくつかの区域で湾曲している、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記投射面(11)および/または前記照明アーム(24)は、それらの曲率を変更できるよう、柔軟に設計されている、請求項7に記載の装置(10)。
【請求項9】
投射面(11)または照明アーム(24)を、収縮し、かつ/または、折り畳むことができる、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記投射面(11)および/または前記照明アーム(24)は、少なくとも一部が、照明されることになる前記物体(60)に及ぶよう設計されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記投射面(11)および/または前記照明アーム(24)は、異なる拡散度を備える区域を有している、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項12】
前記投射面(11)上の区域が各光素子(13)に割り当てられており、
隣り合う区域への混信を回避するために、ライトシャフト(21)が、前記光素子(13)と、前記投射面(11)上の前記関連する区域との間に形成されている、請求項3~11のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項13】
物体の照明を生成するための方法であって、
当該方法は、請求項1~12のいずれか1項に記載の装置を使用する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の照明(illumination)を生成するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる環境に存在するかのように物体を撮影するという要求は、当該技術分野において周知である。これは通常、大きなLED表面により実現される。例えば、下記特許文献1は、撮影されることになる物体の所望の照明を生成するために使用する、大きな光面を開示している。しかし、これには例えば、異なる個々の投光(lighting)状況にシステムが適合するのが困難であり、かつ、大きな物体を照明することになる場合に特に、システムが非常にコスト集約的(cost-intensive)となる、といった多くの短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第1 393 124 B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、効果的、簡単かつ安価なやり方で物体を現実的に照明できる仕方で、物体の照明を生成するための装置および方法を改善するタスクに基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題は、少なくとも1つの帯状の投射面を備える、物体の照明を生成するための装置により解決される。好ましくは、装置は、正確に1つの帯状の投射面を備えている。さらには、装置は、複数(例えば、2つ、3つまたは4つ)の投射面を備えていてもよい。少なくとも1つの投射面は、フィルム、プレキシガラスまたはシリコンで形成されていてもよい。投射面の幅は、投射要素の長さの特に20%未満、最も好ましくは5%未満とされている。
【0006】
装置は、投射面を照明するための少なくとも1つの光素子をも備えている。投射面は移動可能に配置されており、その際、投射面を移動するための装置は、少なくとも1つの移動装置を有することになる。さらには、装置は制御ユニットを備えており、制御ユニットは、投射面の移動に同期して光素子を制御するよう設計されている。
【0007】
投射面は、裏側の投射面として特に理解すべきである。これは、少なくとも1つの投光素子が物体を直接照明せず、その代わりに投射面を、物体から見て裏側で照明し、その結果、物体が間接的な投光で照明されることを意味する。換言すれば、光素子は、照明されることになる物体の方向に、投射面を照明する。投射面は好ましくは、散乱性の透過光素子(diffuse transmitted light element)である。
【0008】
光素子は例えば、少なくとも1つの投射器、特にビデオプロジェクタまたはビーマであってもよい。これは、投射面全体を照明できる。さらには、装置は、好ましくは投射面の所定の区域を照明する、複数の投射器を有していてもよい。さらには、光素子はLED素子であってもよく、これは、好ましくは赤、緑および青という色の3つの発光ダイオードを備えており、最も好ましくは白色の追加のダイオードを有している。各光素子をピクセルとして設計してもよい。個々のLED素子は、かつ、好ましくはこれらの個々の発光ダイオードも、異なる強度および異なる色を有する光を混合できるよう、個別に制御できる。
【0009】
特に、装置は、投射面を吊り下げる吊り下げ具を有している。少なくとも1つの移動装置も、投射面を並進的および/または回転方向に移動するよう設計できる。特に、少なくとも1つの移動装置はモータを備えている。
【0010】
特に、吊り下げ具は、投射面の並進および/または回転移動用に、少なくとも1つの移動装置を備えている。この移動装置に加えて、装置は、好ましくは吊り下げ具全体を例えば並進的に移動できる、さらなる移動装置を備えていてもよい。並進移動により、移動する照明された投射面は、例えば光トンネルを作成できる。
【0011】
少なくとも1つの光素子は、画像情報を再生し、それにより投射面を照明するよう設計されている。「画像情報」という用語は、画像(好ましくは写真)および/または映像を意味していてもよい。例えば、これは単一の画像(例えばリアルタイムの収録または人工的に編集された画像)であってもよい。さらには、画像シーケンスまたは映像を、少なくとも1つの光素子により再生してもよい。これは、パノラマ写真にとって特に興味深い。
【0012】
少なくとも1つの光素子の制御は、好ましくは画像情報により規定された環境に物体が配置されているという印象を与えるような仕方で、投射面の移動に同期されている。特に、制御ユニットは、位置に応じて(すなわち、移動されることになる投射面の位置に応じて)投射面を制御するよう設計されている。回転の際に、制御ユニットは、角度に応じて投射面を制御するよう設計されており、それにより、移動しながら照明された投射面により、物体の十分な照明を実現できる。これにより、切り捨て部(tear-off edges)のない、半球形の照明という結果を得る。このようにして、物体の「人工的な」周囲の投光状況を、移動する投射面に表示でき、その寸法は、投射面の寸法よりも相当に大きいものである。
【0013】
カメラを使用して、好ましくは長時間露光モードで、物体を撮影する場合、物体がその本当の環境中に存在せず、画像情報を選択することにより意識的に影響され得る、異なる所望の環境に存在するという、光学的な印象が生み出される。このようにして、確実な周囲の投光状況を生成でき、これは次に、例えば、照明されることになる物体の鏡面または反射面で確実に反射される。ゆえに、物体の透明面を通じた屈折も現実的である。投射面は物体とカメラとの間を通過するが、投射面の好ましくは規則的な移動ゆえに、これは物体の画像上で不可視となっている。
【0014】
投射面は移動可能であり、少なくとも1つの光素子も移動可能であっても、または固定されていてもよい。
【0015】
装置は、物体の写真および/または映像を撮るためのカメラをも含んでいてもよく、カメラは好ましくは、投射面の移動および照明中に、長時間露光により物体を記録する。
【0016】
好ましくは、装置は多数の光素子を備えており、それにより光素子が支持体(carrier)に配置される。支持体も好ましくは帯状とされている。光素子は好ましくは個別に制御できる。支持体は、好ましくは投射面から距離を置いて、投射面に接続されていてもよく、その結果、支持体も投射面と一緒に移動させることができる。
【0017】
複数の光素子を好ましくは、少なくとも一列、好ましくは正確に一列に、支持体上に配置してもよい。好ましくは、複数の光素子を、複数列、好ましくは二、三または四列に支持体上に配置してもよく、それにより、これらを互いに対して平行かつ長手方向にオフセットして配置できる。列は、光素子の間の投光されない空間が横向きの移動で閉じるような仕方で、互いに対してオフセットできる。制御ユニットは、光素子の異なる列を、時間を遅らせて制御するよう設計できる。このようにして、特にシームレスな(換言すればギャップのない)移行を、光素子の異なる制御をされた列の光学的な結果の間で作成できる。制御はピクセルマッピングにより行うことができる。
【0018】
関連する支持体を有する投射面が主に照明アームを形成し、それによって、装置は好ましくは、正確に1つまたはそれ以上(例えば2つまたは3つの)照明アームを備えることができる。
【0019】
投射面、および/または、(光素子が支持体に形成されている場合)このようにして形成された投光アームは好ましくは、少なくともいくつかの区域で湾曲していてもよい。特に、投射面および/または投光アームは、少なくとも1つの区域で、最も好ましくは半円形に、湾曲している。さらには、湾曲した設計は、投射面および/または投光アームの長さ全体にわたって延びていてもよい。特に、物体を湾曲の中心点に配置してもよい。曲率は一定である必要はなく、異なる領域で変化してもよい。少なくとも1つの湾曲した区域に加えて、投射面および/または照明アームは、直線の区域または角度の付いた区域をも備えていてもよい。
【0020】
特に、投射面または照明アームは、物体の位置から始まる角度範囲(例えば、少なくとも45°、好ましくは少なくとも90°、より好ましくは少なくとも180°、最も好ましくは少なくとも270°の角度範囲)に及んでいてもよい。このことは好ましくは、すべての投射面または投光アームに当てはまる。ゆえに、投射面または投光アームは、吊り下げ具から物体の一方側または両側へと延びていてもよい。例えば、重量配分を最適化するために、平衡錘を、吊り下げ具から始めて、投射面または投光アームの反対側に配置してもよい。
【0021】
投射面および/または投光アームを、中央領域に、吊り下げ具から吊り下げてもよい。さらには、吊り下げ具における長手方向端部で端部領域に配置されていてもよい。
【0022】
異なる投射面または異なる投光アームを、例えば吊り下げ具に対して、異なる立体角で配置してもよい。投射面または投光アームを、周囲に均等に配置してもよい。例えば、好ましくは同じ曲率を有する2つの投射面または投光アームを、少なくとも90°の角距離で、最も好ましくは約180°の角距離で配置してもよい。
【0023】
投射面は主に、照明されることになる物体を少なくとも一部カバーするように設計されている。同じことを吊り下げ具にも当てはめることができる。特に、投射面および/または投光アームは、物体が湾曲(例えばアーチ形状または半円形状)の中心に配置される。
【0024】
特に、装置は、例えば吊り下げ具に加えて、投射面または投光アームを保持する支持構造を備えていてもよい。支持構造は吊り下げ具から吊り下げてもよく、それにより、投射面またはその支持体を、支持構造に直接配置することができ、それゆえに、吊り下げ具に間接的に配置することができる。さらには、吊り下げ具への直接の取り付けを提供できる。特に、投射面または投光アームを、例えば、ケーブルまたはストラップなどの固定要素によって、取り外し可能に支持構造に接続できる。これは、投射面、または、投光アーム全体を交換でき、かつ、それゆえに例えば拡散および/またはピクセルの種類を変化させられることを意味する。
【0025】
支持構造は複数の支持アームを備えていてもよく、それにより例えば、1つの支持アームまたは2つの支持アームを投光アームまたは投射面に割り当ててもよい。投射面または投光アームが物体の両側へと延びている場合、それに2つの支持アームを、各側に1つずつ、割り当てることもできる。支持アームは、例えば吊り下げ具から延びていてもよい。支持アームを、投射面または投光アームと同じ動き(例えば回転または並進)を行うような仕方で設計してもよい。特に、支持アームは、対応する投射面または投光アームと一緒に移動する。
【0026】
吊り下げられた構成の代わりに、投射面および/または投光アームを、床に配置された少なくとも1つの移動装置に配置してもよい。例えば、投射面は物体を、1つの移動装置から別の移動装置へと及ばせてもよく、それにより、移動装置は投射面または投光アームを回転および/または並進により移動するよう設計されている。移動装置は例えば、床上での移動用にローラを備えていてもよい。さらには、装置は例えば、その上を移動装置が移動できる、レールシステムを備えていてもよい。
【0027】
さらには、物体を提示表面に(例えばテーブルの表面に)配置してもよく、それにより、投射面または照明アームを物体に及ぶよう設計することもできる。例えば、支持構造を提示表面に(例えばテーブルのテーブル頂部に)配置してもよい。さらには、例えば、支持構造をテーブルの脚に配置して、それを囲んでもよい。投射面または投光アームの長手方向端部両方を、支持構造に取り付けてもよい。例えば、支持構造は、長手方向端部を取り付けできる支持アームを有していてもよい。投射面および/または照明アームを、移動装置により、物体の周りで回転および/または旋回させてもよい。例えば、支持構造は投射面または投光アームと一緒に、テーブルの脚の長手方向軸の周りを回転してもよい。
【0028】
さらには、装置は、物体を配置できる保持要素を備えていてもよい。保持要素は、例えば移動装置により回転移動をも行えるような仕方で設計されていてもよい。装置が、ベース(例えばベースプレート)上に移動可能に配置されている、少なくとも1つの投光アームをも備えていてもよい。投光アームを、受け入れ要素から少なくとも40°の角度で物体に及ぶような仕方で、配置してもよい。少なくとも1つの投光アームは、物体全体にも及んでいてもよい。
【0029】
好ましくは、投射面および/または照明アームは、それらの曲率を変更できるよう、柔軟にされている。換言すれば、設計は剛性でなく、曲率を外的な影響により変化させることができる。
【0030】
例えば、装置は、曲率を変更するためのユニットを有していてもよく、これは、それらの曲率が変化するよう、対応する力を投射面または照明アームに及ぼすことができる。制御ユニットは、画像の記録中に(すなわち、物体の照明の生成中に)曲率を変更するよう設計されていてもよい。
【0031】
曲率を変更するためのユニットは例えば、少なくとも1つのケーブルプルおよび/または錘を備えていてもよく、それにより、制御ユニットは、曲率を変更するためのユニットを、例えば光素子による照明に応じて曲率が変化するような仕方で制御できる。ケーブルプルは、ケーブルおよびプーリを備えていてもよい。ケーブルの一方の端部を吊り下げ具に取り付けてもよく、他方の端部は、吊り下げ箇所において、投射面または投光アームに取り付けてもよい。吊り下げ箇所は、投光アームもしくは投射面に対して固定されていてもよく、または、例えば力配分に応じその長さにわたって移動されても、または、動力化されて(motorised)いてもよい。
【0032】
投射面または投光アームは収縮させ、かつ/または、折り畳むことができる。収縮または折り畳みは、例えば動力化されていてもよい。例えば、吊り下げ具は、それを通じて投射面および/または投光アームを移動(換言すれば収縮)でき、その結果その位置が変化する、凹部を有していてもよい。凹部は、投射面または投光アームが凹部を通って移動するよう、貫通開口部とされていてもよい。投射面および/または投光アームの異なる下位領域も、互いへと伸縮してもよく、または、それらが互いに隣り合うように配置される仕方で収縮可能とされていてもよい。例えば、投射面または投光アームの少なくとも1つの端部が全体として吊り下げ具により近く配置され、それゆえに物体、カメラまたは表面に干渉しないことを実現できる。
【0033】
投射面および/または投光アームは、異なる拡散度を有する異なる区域を有していてもよい。さらには、装置は、異なる拡散度を実現し、かつ、同時または交互に制御できる、複数の帯状の投射面または複数の照明アームを有していてもよい。
【0034】
例えば、異なる投光アームを有する投射面は、少なくとも1つのレンズ、および/または、投射面用に使用される材料において、異なっていてもよい。さらには、投射の種類における相違があってもよい。例えば、対応する投射面が、ピクセルとして設計されている多数の光素子により照明されているか、または、少なくとも1つの投射器により投射面が照明されているかで、異なる拡散度が結果として得られてもよい。投射の特別なパラメータに関しても、相違があってもよい。例えば、光素子と投射面との間の距離が違っていてもよく、かつ/または、投射面における光素子の密度が違っていてもよい。使用される光素子も、異なっていてもよい。例えば、個々の光素子がRGBおよび白色光を備えていてもよく、他がUVまたは赤外光をも使用していてもよい。
【0035】
異なる特徴が、同じ投光アーム上の異なる光素子(例えば、異なる仕方で互いに隣り合うように配置された列の光素子)とも関係していてもよい。
【0036】
好ましくは、各光素子が投射面上で区域に割り当てられていてもよく、それにより、隣り合う区域への漏れ出しを回避するために、ライトシャフトを、光素子と、投射面上の関連する区域との間に形成できる。光は、光井(light well)において混合または拡散される。
【0037】
異なる光井の分離により、混信(すなわち、投射面の隣り合う区域の照明)が防止される。その結果、各区域が、混合されたパターンで一様に照明され、かつ、それでも隣り合う区域から明確に線引きされる。
【0038】
画像上で可視であってもよいであろう区域があまりにも明確に分離される可能性を打ち消すために、少なくとも投射面の2つの隣り合う区域の間の境界領域に、拡散要素を配置してもよい。さらには、照明されることになる投射面の表面全体に、拡散要素を配置してもよい。拡散要素は例えば、好ましくは0.1mm~3mm厚さとされていてもよい、シリコン層であってもよい。
【0039】
さらに好ましくは、光素子を、支持体の移動と反対の方向に移動できるような仕方で、支持体上に移動可能に配置してもよい。光素子のこの種の移動は、特に支持体の移動に対する対抗運動を行うことに資するものであり、これは投射面と一緒に行われ、その結果、対応する光素子が、対抗運動のおかげで同じ場所に少なくとも一時的に留まることができる。例えば、ローラまたはディスクなどの回転要素を、この目的のために支持体上に配置してもよく、これは、少なくとも限られた時間の間、支持体の移動に対して対抗運動を行うことができる。あるいは、装置は、光を光素子から投射面へと送る、光誘導構造を備えていてもよい。光誘導構造は、ミラーまたはライトシャフトであってもよい。光誘導構造の位置を変えることにより、上述した対抗運動を実現することもできる。あるいは、支持体の移動の方向と反対方向に画像情報を再生する複数の列の光素子により、同じ効果を達成することもできる。例えば、画像情報のいくらかを、光素子のサブセットにより、時間遅延させて再生することもでき、それにより光素子がオフセットされる。
【0040】
全体として、再生される画像情報は、依然として固定された位置に(好ましくは、物体に対し固定された角度で)明らかに留まることができ、その結果、高さおよび輝度が増加される。さらには、光素子のビーム角を、例えば対応するフラップにより、制限することができる。これにより例えば、光素子または投射面から、物体の画像または映像を記録するためのカメラへと、直射光が輝くのを防止することもできる。
【0041】
さらなる局面では、本発明は、上述した装置を使用して物体の照明を生成するための方法に関する。特に、この方法は、少なくとも1つの光素子の助けにより画像情報を再生すること、特に投射面上で投射を生成すること、および、投射面の照明と同期させて投射面を移動することを備えている。特に、制御は位置および角度に依存している。
【0042】
さらには、支持体に配置されている光素子を、例えば角度に応じ異なって減衰させてもよい。例えば、頂点により近く(例えば、吊り下げ具により近く)配置された光素子を、より強く減衰させてもよい。なぜなら、これらは、より短い距離を回転中にカバーし、それゆえに、より強い照明を生成するからである。この効果を防止するために、光素子は垂直なスリット状の日よけを有していてもよく、それにより、日よけのスリット状の出口が、それらが頂点により近く配置されているほど、狭くなる。減衰の相違を、例えば異なる拡散度によって実現することもできる。光素子を、より低い強度で制御することもできる。
【0043】
この方法は、カメラを使用して画像および/または映像を撮ることを含んでいてもよい。例えば、撮影および照明されることになる物体およびそのすぐ周辺の眺めのみを遮らないよう、日よけ要素をカメラの正面に配置してもよい。
【0044】
さらには、再生される画像情報の位置を、回転エンコーダと同期させてもよい。光素子の起動を、回転エンコーダと一様に同期されたクロックにより、制御してもよい。例えば、投光アームまたは投射面の正確な位置を、この目的のために判定してもよい。回転エンコーダは、継続的に、周期的に、かつ/または、要求があったときにのみ、その位置を再現してもよい。
【0045】
さらには、この方法を使用して、例えば、カメラが投射面の特定の位置で始動されることを判定してもよい。カメラの露光時間を、自動で、かつ/または、ユーザが前もって、事前設定しておくこともできる。露光時間は例えば、モータの速さと同期されていてもよい。この方法は、物体を直接照明し、かつ、それゆえに投射面を含まない、スポットライトなどの少なくとも1つの直接の光源の使用をも含んでいてもよい。光源を例えば、角度に応じて、または、ユーザの仕様に従って、好ましくは自動で、例えばその色のスペクトルに対し、少なくとも1つの光素子により生成されることになる照明に適合させてもよい。
【0046】
閉じた画像(closed image)(すなわち、明確な輪郭または二重のかつ/もしくは露光されていない領域を有さない画像)を作成するために、画像情報を、投射面の第1の回転中に再生することができ、それにより、先行する第1の回転において同じ位置でフェードインされた同じ画像情報が、第2の回転において再びフェードアウトされる。このようにして、画像情報の始まりおよび終わりを融合して、明確な輪郭を回避する。
【0047】
さらには、画像情報を、ユーザの介入で再生することもできる。この方法は、投射面に放射されることになる光の強度を設定することをも含んでいてもよい。くわえて、個々の光素子を、それらが放射光(例えばそれぞれの明度)のみを、カメラフラッシュに比べて、非常に短い時間の間、放射するような仕方で制御できる。
【0048】
個々の光素子は、それらの色および明るさの演出に関して測定でき、それにより、得られた測定結果を、均一な明るさおよび色の演出を実現するために、補正値として使用できる。換言すれば、得られた特定の測定結果を、個々の投光要素を制御する際に考慮できる。これにより、個々の投光要素の均等性を実現し、生じ得る製造公差(manufacturing tolerance)を補償する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明に係る装置の側面図である。
図2】本発明に係る装置の側面図である。
図3】本発明に係る装置の側面図である。
図4図3の区域の断面図である。
図5】本発明に係る装置の側面図である。
図6】本発明に係る装置の側面図である。
図7】本発明に係る装置の斜視図である。
図8】本発明に係る装置の斜視図である。
図9】本発明に係る装置の斜視図である。
図10】本発明に係る装置の斜視図である。
図11】本発明に係る装置の側面図である。
図12】本発明に係る装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、本発明に係る装置10の側面図を示しており、装置10は、帯状の投射面11を備えている。
【0051】
装置10は、投射面11が吊り下げられる、吊り下げ具22を備えている。さらには、装置は移動装置28を備えており、移動装置28は吊り下げ具22に配置されて、回転軸80を中心に投射面11を回転移動させる機能を果たす。
【0052】
投射面11は湾曲しており、物体60に及ぶことができる。装置は、2つの支持アーム32を備える支持構造31をも有しており、支持アーム32も吊り下げ具22に配置されていて、投射面11とともに回転できる。
【0053】
図1において、投射器14の形態の光素子13が各支持アーム32に配置されていて、画像情報を投射面11に投射するのに使用される。投射面11は、物体60が間接光によってのみ照明されるよう、裏側の投射面として設計されている。装置10の制御ユニットは、明瞭にするために、図1に示していない。同じことが以下の図面にも当てはまる。
【0054】
図2は、本発明に係るさらなる装置10の側面図を示しており、これは、以下の相違点を除いて、図1の装置10と同一である。図1の支持装置31が連続的な直線状の支持アーム32を備えているのに対し、図2の支持アーム32は、互いに対して角度を付けた直線状の区域を有している。これはアーチ形状に似ている。複数の投射器14が、光素子13として支持アーム32に配置されており、そのそれぞれが投射面11の1つの区域のみを照明してもよい。
【0055】
図3は、本発明に係るさらなる装置10の側面図を示しており、これは、以下の相違点を除いて、図2の装置10と同一である。投射器14は支持アーム32に配置されていないが、装置10は、複数の光素子13(すなわちLED素子15)が配置される、支持体12を有している(図4参照)。特に、LED素子15は、色が赤、緑および青の3つの発光ダイオードを備えている。投射面11と一緒に、光素子13を有する支持体12は照明アーム24を形成し、照明アーム24は吊り下げ具22の両側で物体に及んでいる。投光アーム24は、支持構造31に取り外し可能に固定でき、その際、これらの固定要素は、より明瞭にするために、図3に図示していない。
【0056】
照明アームの正確な構成を、図4において明瞭に見ることができ、図4図3の区域Aの断面図を示している。図4は、投射面11が、物体60から始まる最内層を形成するのに対して、支持体12は最外層を形成することを示している。LED素子15として設計されている光素子13は、物体60が間接的に照明されるよう、投射面11へと光を投げる。ライトシャフト21を提供することができ、これは、隣り合うLED素子15が混信するのを防止する、対応する破線の仕切りにより、図4に示されている。
【0057】
図5は、本発明に係るさらなる装置10の側面図を示している。図5は、矢印の方向に収縮可能または伸長可能に設計されている、投光アーム24を示している。投光アーム24は2つの長手方向端部、第1の長手方向端部25および第2の長手方向端部26を有している。吊り下げ具22は、第1の長手方向端部25が案内される凹部23を有していてもよい。収縮または伸長により、投光アームが吊り下げ具からぶら下がる位置が変更される。
【0058】
図6は、本発明に係る装置10の側面図を示しており、これは、以下の相違点を除いて、図5の発明に係る装置10に類似している。投光アーム24は、曲率を調整できるよう、柔軟にされている。この目的のために、装置10は、曲率を変更するためのユニット27を有しており、ユニット27は、ケーブル34と偏向プーリ35とを備える、ケーブルプル33を有している。ケーブル34は、一方の端部で吊り下げ具22に取り付けられおり、かつ、他方の端部に、投光アーム24に関する吊り下げ箇所33aを有している。これは、力配分に応じ、投光アームに対して固定されていても、または、その長さにわたって移動してもよい。ケーブルプル33が取り付けられている、図6に示す投光アーム24は、矢印の方向に、吊り下げ具22に近づくように移動させることもでき、その結果、異なる角度およびそれゆえに異なる力が、投光アーム24に作用する。
【0059】
図7は、本発明に係る装置10の斜視図を示しており、装置10は、その中に位置する物体60に約180°の角度で及ぶ、照明アーム24を備えている。投光アーム24はここでも、投射面11と、支持体12と、支持体12に配置された光素子13とを備えており、光素子13はLED素子15として設計されている。
【0060】
ここでも、投光アーム24は湾曲して、半アーチを形成している。その第1の長手方向端部25で、投光アーム24は第1の移動装置29に取り付けられているのに対し、その第2の長手方向端部26で、第2の移動装置30に取り付けられている。移動装置28は、矢印の方向への移動を可能にするよう機能する。このようにして、再び、好ましくは物体60を通って延びる中心軸周りの回転移動を実現できる。移動装置28は、例えばレール上を移動できる。
【0061】
図8は、照明アーム24を備える、本発明に係るさらなる装置10の斜視図を示している。装置は、以下の相違点を除いて、図3の装置と同一である。投光アーム24は、吊り下げ具22に直接的にではなく、支持構造31によって取り付けられている。さらには、支持アーム32は、より一層直線的な区域に分割されている。吊り下げ具22は、2本の柱36の間に配置されたケーブル34に配置されている。ゆえに、投光アーム24は、吊り下げ具22と、その中に配置された移動装置28とによって回転移動できるだけでなく、これも吊り下げ具の中に配置されているさらなる移動装置28により、ケーブルに沿って並進方向にも移動できる。
【0062】
図8は、装置10により照明された物体60の写真を撮るためにカメラ70をどのように使用できるかをも示している。ここでも、投光アーム24と支持構造31との間の固定要素は、図9に示していない。
【0063】
図9は、本発明に係るさらなる装置10の斜視図を示している。投光アーム24が吊り下げ具24から吊り下げられている。吊り下げ具22は複数の偏向プーリ35およびケーブル34を備えているが、これらは、支持構造31の2つの支持アーム32を介して、乗り物37に配置されている。ゆえに、移動は、純粋に回転方向にのみならず、乗り物37および乗り物でもあってもよい物体60と一緒に並進的にも起きてもよい。
【0064】
図10は、本発明に係るさらなる装置10の斜視図を示しており、装置10は、テーブル39のテーブルの脚40上の支持構造31に配置された投光アーム24をも有している。支持構造31は、テーブルの脚40を完全に取り巻く一方、2つの支持アーム32を有しており、その各々に長手方向端部、すなわち投光アーム24の第1の長手方向端部25および第2の長手方向端部26が取り付けられている。
【0065】
装置10は、支持構造31内に配置された移動装置28を有しており、移動装置28により、支持アーム32は、かつそれゆえに投射面11または照明アーム24も、テーブルの脚の長手方向軸回りに回転移動でき、かつそれゆえにテーブル上の物体60を十分に照明できる。
【0066】
図11は、本発明に係るさらなる装置10の側面図を示しており、装置10は、少なくともいくつかの区域で湾曲している照明アーム24をも有している。さらには、装置10は2つの投光アーム24を有している。これらの投光アーム24はそれぞれ移動装置28を備えており、それらは移動装置28によってベース(例えばベースプレート)上で移動可能とされている。移動装置28はローラとして模式的に示されている。
【0067】
装置10は受け入れ要素38をも備えており、好ましくは受け入れ要素38上に物体60を配置できる。受け入れ要素38は、さらなる移動装置28により回転できる。投光アーム24は、約40°の角度で受け入れ要素から物体60に及ぶ仕方で配置されている。
【0068】
図12は、本発明に係るさらなる装置10の側面図を示しており、装置10は、以下の相違点を除いて、図6の装置に類似している。この場合、曲率を変更するためのユニット27は2つのケーブルプル33を備えており、各々は偏向プーリ35およびケーブル34を備えており、これらは中央の吊り下げ具22に取り付けられている。ケーブル34の吊り下げ箇所33aを投光アーム24において移動できるのに対し、他のケーブルプル33のケーブル34の吊り下げ箇所は固定されていてもよい。投光アーム24は、その端部に沿って、程度の異なる柔軟性を有している。図12では、投光アーム24は、照明されることになる物体60がその上に配置され、かつ、物体60を回転するように設計されている、取り付け要素38まで延びている。
【符号の説明】
【0069】
10 装置
11 投射面
12 支持体
13 光素子
14 投射器
15 LED素子
21 光井
22 吊り下げ具
23 凹部
24 投光アーム
25 第1の長手方向端部
26 第2の長手方向端部
27 曲率変更用のユニット
28 移動装置
29 第1の移動設備
30 第2の移動設備
31 支持構造
32 支持アーム
33 ケーブルプル
33a 吊り下げ箇所
34 ロープ
35 遊び車
36 柱
37 乗り物
38 取り付け要素
39 テーブル
40 テーブルの脚
60 物体
70 カメラ
80 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】