(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】移動体のセンチメートル測位のための機器および方法
(51)【国際特許分類】
G01S 5/14 20060101AFI20240711BHJP
G01C 21/20 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
G01S5/14
G01C21/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527872
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 EP2022070842
(87)【国際公開番号】W WO2023002064
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524029024
【氏名又は名称】パリ・ションス・エ・レートル
(71)【出願人】
【識別番号】324003853
【氏名又は名称】エコール シュペリウール ドゥ フィジーク エ ドゥ シミ アンデュストリエル ドゥ ラ ヴィル ドゥ パリ
(71)【出願人】
【識別番号】519208029
【氏名又は名称】セントレ ナシオナル ドゥ ラ レシェルシェ サイエンティフィク
(71)【出願人】
【識別番号】507416908
【氏名又は名称】ソルボンヌ・ユニヴェルシテ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】オール,ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ディッチ,ティエリ
(72)【発明者】
【氏名】リュカ,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ジェロン,エマニュエル
【テーマコード(参考)】
2F129
5J062
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129AA03
2F129AA11
2F129BB07
2F129BB09
2F129BB19
2F129BB33
2F129BB34
2F129BB49
5J062AA08
5J062BB01
(57)【要約】
測位システム(9)は、機器(10)、およびnのポインタ位置を周期的に検索するカウンタを備える複数の固定基地局(12)を備える。
機器は、ポインタで読み出された値が搬送波を変調する少なくとも1つの点のパターンを備えるリクエストを放出するように構成された放出器を備える。
受信する各基地局は、
a)基地局が機器から受信したパターンを繰り返し、および/または
b)受信したパターンと、基地局のメモリに記憶された同一パターンとの間の、基地局が測定した第1の時間的パターンオフセットを表す
応答を放出する。
該機器は、
-各応答で受信したパターンの点の値と、機器のメモリに記憶された値との間の第2の時間的パターンオフセットを測定するための手段と、
-機器と各基地局の間の距離を
a)機器が放出したパターンと機器が基地局から受信した繰り返されたパターンとの間の合計パターンオフセット、ならびに/または
b)基地局が測定した第2のパターンオフセットおよび第1のパターンオフセット
の関数として決定するための手段と
を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器(10)および複数の固定基地局(12)を備える、この前記機器を測位するためのシステム(9)であって、前記機器は、nのポインタ位置(110)を周期的に検索するカウンタを備え、各前記基地局は、前記機器の前記カウンタがnの値を検索するための周期に実質的に等しい周期の間にnのポインタ位置(114)を周期的に検索するカウンタを備えるシステム(9)において、
-前記機器は、パターンメモリの位置を検索する前記機器のポインタで値が読み出された点(103)からなる少なくとも1つのパターン(101、110)を備えるリクエストを放出するように構成された放出器(66~70、72、73)を備え、前記機器の前記放出器は、順次読み出された前記パターンの前記点の値で搬送波を振幅変調および/または位相変調し、
-この前記リクエストを受信する各前記基地局は、応答(119)で前記リクエストに応答するように構成された放出器(66~70、72、73)を備え、
a)前記応答は、前記基地局が前記機器から受信した前記パターンを繰り返し、前記基地局の前記ポインタは、パターンのメモリ位置を検索して前記パターンの前記点の値をそこに記入し、次いでこれらの前記メモリ位置を検索して、放出すべきパターンの点の値をそこで読み出し、したがって、前記パターンの各前記点は、前記基地局が前記パターンを受信した時間に対して、前記基地局の前記カウンタの周期の複数倍だけ時間的にずれており、
b)前記応答は、受信したパターンと、前記基地局の前記ポインタにより値を検索した前記基地局の前記メモリに記憶された同一パターンとの間の、前記基地局が測定した第1の時間的パターンオフセットを表し、応答パターンの点の値は、前記基地局の前記ポインタが検索したメモリ位置で、前記機器が既知の位置から順次読み出され、前記基地局の前記放出器は、順次読み出した前記パターンの前記点の値で搬送波を変調し、
前記機器はまた、
-各前記応答で受信した前記パターンの前記点の前記値と、前記機器の前記ポインタにより順次検索した位置で前記機器の前記メモリに記憶された値との間の第2の時間パターンオフセット(29、36)を測定するための手段(61)と、
-前記機器と前記基地局の間の距離をそれぞれ
a)前記機器が放出した前記パターンと前記機器が前記基地局から受信した繰り返されたパターンとの間の合計パターンオフセット、
b)前記基地局が測定した第2のパターンオフセットおよび第1のパターンオフセット
の関数として決定するための手段(61)と、
-応答した各前記固定基地局の既知の位置、および前記決定するための手段により決定された、これらの前記基地局の各々に対する距離の関数として、機器の位置を決定するための手段(61)と
を備える
ことを特徴とするシステム(9)。
【請求項2】
前記機器(10)、および各前記基地局(12)がパターンオフセットを測定するための前記手段(61)を備える場合には各前記基地局(12)は、前記機器のクロック、および各前記基地局が前記オフセットを測定するための前記手段を備える場合には各前記基地局のクロックが発生させた正弦波信号の位相に対する、受信した信号の前記搬送波の位相シフトを測定するための手段(61)を備え、前記機器の前記距離を決定するための手段(61)は、測定されたオフセットに測定された位相シフトを加算して前記機器から各前記基地局までの距離を決定する、請求項1に記載のシステム(9)。
【請求項3】
前記機器(10)および前記基地局(12)が放出した信号(102)は、IQ直交状態にあり、この前記信号の前記搬送波の少なくとも1つの事前に規定された位相シフトに
関しては、Iチャネル上の信号は、一定であり、Qチャネル上の信号は、前記機器が放出した前記パターン(101、111)の振幅変調を運ぶ、請求項2に記載のシステム(9)。
【請求項4】
第1のオフセットおよび第2のオフセットを測定するために、前記基地局(12)および前記機器(10)は、IQ平面で受信したパターン(112、119)の点(108)の直線適合(105)を遂行するための手段(61)を備え、測定された各前記オフセットは、パターンオフセットと測定された前記位相シフトの和に等しく、この測定された前記位相シフトは、
-この前記平面内の垂直線と前記直線適合により得られた直線の間の角度(107)と
-この前記事前に規定された位相シフト
の間の差に等しい、請求項3に記載のシステム(9)。
【請求項5】
c)各前記基地局(12)は、前記IQ平面で受信した前記パターン(112)の前記点(108)の前記直線適合(105)を遂行するための手段(61)、および前記位相シフトを測定するための手段(61)を備え、この測定された前記位相シフトは、
-この前記平面内の垂直線と直線適合により得られた直線の間の角度と
-この事前に規定された位相シフト
の間の差に等しく、
各前記基地局の前記放出器(66~70、72、74)は、前記基地局が放出する信号の位相が、前記機器(10)が放出する信号(102)と同相であるように、受信した信号に対して、測定された位相シフトの2倍の負に位相シフトしたIQ信号を放出するように構成され、
d)前記機器は、前記IQ平面で受信したパターン(119)の点の直線適合(105)を遂行するための手段(61)、および前記位相シフトを測定するための手段(61)を備え、この測定された前記位相シフトは、
-この前記平面内の垂直線と直線適合により得られた直線の間の角度と
-この事前に規定された位相シフト
の間の差に等しく、
前記差を測定するために前記機器が利用する合計オフセットは、前記合計パターンオフセットの総和と前記機器の測定するための前記手段が測定した前記位相シフトの和である、
請求項3に記載のシステム(9)。
【請求項6】
前記カウンタの前記周期(100)は、前記機器(10)とこの前記機器からのリクエストに応答する可能性が高い前記基地局(12)との間の事前に規定された最大距離に対応する最大飛行時間の2倍よりも大きい、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム(9)。
【請求項7】
nの点からなるパターン(75)は、一定振幅およびランダムまたは擬似ランダムな位相を有するスペクトル(77)の逆フーリエ変換(76)である、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム(9)。
【請求項8】
前記機器(10)および前記基地局(12)の各前記放出器(66~70、72、73)は、異なる周波数を有する複数の搬送波上で信号を放出するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム(9)。
【請求項9】
すべての前記機器(10)およびすべての前記基地局(12)が放出した前記パターン(101)は同一である、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム(9)。
【請求項10】
少なくとも2つの異なる前記機器(10)が放出した前記パターン(101、111)は異なり、各前記機器が放出した信号は、この前記機器が放出したパターンを識別する、または表すデータを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム(9)。
【請求項11】
少なくとも2つの異なる前記期基地局(12)が放出した前記パターン(100、119)は異なり、各前記基地局が放出した信号は、この前記基地局が放出したパターンを識別する、または表すデータを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム(9)。
【請求項12】
前記基地局(12)が放出した各信号(45、49)は、この前記基地局の識別子を備え、前記機器(10)の決定するための前記手段(61)は、この前記基地局の前記識別子を用いてこの前記基地局の位置を決定するように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム(9)。
【請求項13】
前記基地局(12)の前記識別子は、前記基地局(12)の地理位置を備える、請求項12に記載のシステム(9)。
【請求項14】
すべての前記機器(10)およびすべての前記基地局(12)が放出する前記信号の周波数は、ISM(industrial、scientific、and medical、産業科学医療)帯にある、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム(9)。
【請求項15】
機器(10)であって、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム(9)の機器(10)。
【請求項16】
基地局(12)であって、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム(9)の基地局(12)。
【請求項17】
機器の測位を検証するために他の基地局(52)に向けた機器のように振る舞うように構成され、放出器(66~70、72、73)は、決定された位置がこの前記基地局のすでに保存された位置と異なる場合、変位メッセージを放出するように構成される、請求項16に記載の基地局(12)。
【請求項18】
機器の位置を決定するために地籍図の地点に関連した他の基地局に向けた機器のように振る舞うように構成される、請求項16または17に記載の基地局(12)。
【請求項19】
機器(10)および複数の固定基地局(12)を備えるシステムでこの前記機器を測位するための方法(80、130)であって、前記機器は、nのポインタ位置(110)を周期的に検索するカウンタを備え、各前記基地局は、前記機器の前記カウンタがnの値を検索するための周期に実質的に等しい周期の間にnのポインタ位置(114)を周期的に検索するカウンタを備える方法(80、130)において、
-前記機器により、パターンメモリの位置を検索する前記機器のポインタで値が読み出された点からなる少なくとも1つのパターン(101、111)を備えるリクエストを放出するステップ(131)であって、前記機器の放出器は、順次読み出された前記パターンの前記点の値で搬送波を変調するステップ(131)と、
-この前記リクエストを受信する各前記基地局により、応答(119)を放出するステップ(136、137)であって、
a)前記応答は、前記基地局が前記機器から受信した前記パターンを繰り返し、前記基地局の前記ポインタは、パターンのメモリ位置を検索して前記パターンの前記点の値をそこに記入し、次いでこれらの前記メモリ位置を検索して、放出すべきパターンの点の値をそこで読み出し、したがって、前記パターンの各前記点は、前記基地局が前記パターンを
受信した時間に対して、前記基地局の前記カウンタの周期の複数倍だけ時間的にずれており、
b)前記応答は、受信したパターンと、前記基地局の前記ポインタにより値を検索した前記基地局の前記メモリに記憶された同一パターンとの間の、前記基地局が測定した第1の時間的パターンオフセットを表し、応答パターンの点の値は、前記基地局の前記ポインタが検索したメモリ位置で、前記機器が既知の位置から順次読み出され、
基地局の放出器は、順次読み出した前記パターンの前記点の前記値で搬送波を変調する
ステップ(136、137)と、
-前記機器により、各前記応答で受信した前記パターンの前記点の前記値と、前記機器の前記ポインタにより順次検索された位置で前記機器のメモリに記憶された値との間の第2の時間的パターンオフセットを測定するステップ(138)と、
-前記機器により、前記機器と前記基地局の間の距離をそれぞれ
a)前記機器が放出した前記パターンと前記機器が前記基地局から受信した繰り返されたパターンとの間の合計パターンオフセット、
b)前記基地局が測定した第2のパターンオフセットおよび第1のパターンオフセット
の関数として決定するステップ(139)と、
-前記機器により、応答した各前記固定基地局の既知の位置、および決定するための前記手段により決定された、これらの前記基地局の各々に対する距離の関数として、前記機器の位置を決定するステップ(140)と
を備えることを特徴とする方法(80、130)。
【請求項20】
同じ固定基地局と信号を交換する2つの固定基地局が前記2つの固定基地局の各々およびこの前記同じ固定基地局に同じ時間間隔が割り当てられないように、固定基地局(12)の地理位置に従って前記固定基地局(12)に時間間隔またはタイムスロットを割り当てるステップ(93)を備える、請求項19に記載の方法(80、130)。
【請求項21】
地籍図の地点に関連する他の基地局に対して前記固定基地局を測位するステップ(92)を備える、請求項19または20に記載の方法(130)。
【請求項22】
請求項19~21のいずれか一項に記載の方法(130)、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム(9)、請求項15に記載の機器(10)、および/または請求項16~18のいずれか一項に記載の基地局(12)の使用法であって、地上車(11)または航空機を誘導し、室内または室外で歩行者を誘導し、セルフ車両のために駐車誤りを示し、環境の中に要素を地理的に配置し、土木工学、余暇、および旅行の用途のために拡張現実の目的でいくつかの機器を備える可視化システムの位置および配向を決定し、たとえばジェスチャインタフェースのためのジェスチャ、またはモーションキャプチャを決定する使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外または室内の環境での、移動体のセンチメートル測位のための機器および方法に関する。本発明は詳細には、市街地での車両の測位、車両および移動体の自律運転、視覚障害または運動機能障害のある人々のための補助、セルフサービス車両の駐車位置の検証、旅行または情報を広告することに適用される。
【背景技術】
【0002】
不適切な経路を検出することにより車両の車線で車両の位置を推定することは、自律移動のためだけではなく安全のためにも重要な要素である。現在の動向は、車内に搭載された多数のセンサを、たとえば衛星測位システム、カメラ、レーダ、およびライダ(lidar)を使用して車両の周囲を認識してデジタル地図の中に車両を位置決めすることに向かっている。しかしながら、これらのシステムは、それほど正確ではなく、多くの先入観の影響を受ける。衛星測位に基づく解決手段は、町では電磁波マルチパスを欠点として持ち、その結果、測位精度は数メートルである。
【0003】
他のシステムは、カメラを使用して道路または標識の側面を、たとえば地面反射を検出する、またはライダ使用する。カメラおよびライダは、駐車中の車両が目印をマスキングすることにより、および必要とされる計算機能力により、認識因子をぼかす状況が時間的に変動することにより妨害される。
【0004】
別の取り組み方法は、車両と固定インフラストラクチャの間の協働である。この取り組み方法では、インフラストラクチャおよび車両は、供給される情報の品質を保証するように通信する。その結果、車内に搭載されたシステムの作業は低減し、信頼度および堅牢性は増大する。しかしながら、これは、インフラストラクチャへの投資をかなり必要とする。
【0005】
道路表面上に位置決めされた受動要素を検出し受動要素から車両までの距離を決定できる、車内に搭載されたセンサを備えるシステムが公知である。したがって、これらの受動要素は、簡単で正確な受動的基準点の役割を果たし、あまり費用がかからない。しかしながら、この技術は、道によく適合するが、町または私的場所での問題に、たとえば地下駐車場で駐車するために直接適用できない。これは、町の中では、受動要素を含む路面標識が常に存在するわけではなく、道路の側面は、遮られていることが多く、それにより直接経路を、したがって正確な測位を邪魔するためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これらの欠点のすべてまたは一部を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明は、第1の様態により、請求項1に記載のシステムを想起する。
【0008】
これらを提供することにより、測位システムの精度は非常に高い。最小値として、オフセット測定は、パターンの整数の点であるとき、たとえば自己相関による測定の場合、パターンの2つの点を放出する間にかかる時間の2倍と信号の伝播速度の積である。パターンの点のオフセットの測定が、たとえばフーリエ変換による周波数分析に基づくために連続的であるときなど、測位の精度は、はるかにより高くなる可能性がある。
【0009】
いくつかの実施形態では、機器、および各基地がパターンオフセットを測定するための手段を備える場合には各基地局は、機器のクロックが、および各基地局がオフセットを測定するための手段を備える場合には各基地局のクロックが発生させた正弦波信号の位相に対する、受信した信号の搬送波の位相シフトを測定するための手段、測定されたオフセットに測定された位相シフトを加算して機器の距離を決定して機器から各基地局までの距離を測定するための手段を備える。
【0010】
これらを提供することにより、測位システムの精度は、信号位相シフトを弁別する能力の2倍と信号の伝播速度の積である。
【0011】
いくつかの実施形態では、機器および基地局が放出した信号は、IQ直交状態にあり、この信号の搬送波の少なくとも1つの事前に規定された位相シフトに関しては、Iチャネル上の信号は一定であり、Qチャネル上の信号は、機器が放出したパターンの振幅変調を運ぶ。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1のオフセットおよび第2のオフセットを測定するために、基地局および機器は、IQ平面で受信したパターンの点の直線適合を遂行する手段を備え、測定された各オフセットは、パターンオフセットと測定された位相シフトの和に等しく、この測定されたパターンシフトは、
-この平面内の垂直線と直線適合により得られた直線の間の角度と
-この事前に規定された位相シフト
の間の差に等しい。
【0013】
いくつかの実施形態では、
c)各基地局は、IQ平面で受信したパターンの点の直線適合を遂行するための手段、および位相シフトを測定するための手段を備え、この測定された位相シフトは、
-この平面内の垂直線と直線適合により得られた直線の間の角度と
-この事前に規定された位相シフト
の間の差に等しく、
各基地局の放出器は、受信した信号に対する、基地局が放出した信号の位相が、機器が放出した信号と同相であるように、測定された位相シフトの2倍の負に位相シフトしたIQ信号を放出するように構成され、
d)機器は、IQ平面で受信したパターンの点の直線適合を遂行するための手段、および位相シフトを測定するための手段を備え、この測定された位相シフトは、
-この平面内の垂直線と直線適合により得られた直線の間の角度と
-この事前に規定された位相シフト
の間の差に等しく、
差を測定するために機器が利用する合計オフセットは、合計パターンオフセットの総和と機器の測定手段が測定した位相シフトの和である。
【0014】
これらをそれぞれ準備する結果、測位システムの精度は、IQ平面内にある複数のnの同一直線上のパターンの点の位相シフトを弁別する能力の2倍と信号の伝播速度の積である。パターンの中に複数のnの点があるので、この精度は、振幅変調正弦波の位相シフト測定により得られた精度よりもさらに高い。
【0015】
いくつかの実施形態では、カウンタの周期は、機器と、この機器からのリクエストに応答する可能性が高い基地局との間の事前に規定された最大距離に対応する最大飛行時間の2倍よりも大きい。
【0016】
いくつかの実施形態では、nの点からなるパターンは、一定振幅およびランダムまたは擬似ランダムな位相を有するスペクトルの逆フーリエ変換である。
【0017】
これらを提供することにより、パターン時間シフトを決定するために使用するパターンの比較はより信頼できる。
【0018】
いくつかの実施形態では、機器および基地局の各放出器は、異なる周波数を有する複数の搬送波上で信号を放出するように構成される。
【0019】
搬送波に関連づけられた別の距離を法とする距離測定の不明確さは解決できる。
【0020】
いくつかの実施形態では、すべての機器およびすべての基地局が放出するパターンは同一である。
【0021】
これらを提供することにより、本発明の実装形態は、パターン時間シフトを測定するための手段の段階で、より容易になる。
【0022】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの異なる機器が放出したパターンは異なり、各機器が放出した信号は、この機器が放出したパターンを識別または表すデータを備える。
【0023】
これらを提供することにより、基地局は、機器を識別できる、または機器自身、パターン時間シフトを測定するために自分自身のパターンを識別できる。
【0024】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの異なる基地局が放出したパターンは異なり、各基地局が放出した信号は、この基地局が放出したパターンを識別または表すデータを備える。
【0025】
これらを提供することにより、機器は、自身が受信するパターンで各基地局を識別できる。
【0026】
いくつかの実施形態では、基地局が放出した各信号は、この基地局の識別子を備え、機器の決定手段は、この基地局の識別子を用いてこの基地局の位置を決定するように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、基地局の識別子は、基地局の地理位置を備える。
【0028】
これらを提供することにより、機器は、基地局が基地局の最新位置を機器に通知するので、異なる基地局の位置の最新データベースを記憶する必要がない。したがって、機器は簡素化され、測位はより信頼できる。
【0029】
いくつかの実施形態では、すべての機器およびすべての基地局が放出する信号の周波数は、ISM(industrial、scientific、and medical、産業科学医療)帯にある。
【0030】
第2の様態によれば、本発明は、本発明の主題であるシステムの機器を想起する。
【0031】
第3の様態によれば、本発明は、本発明の主題であるシステムの基地局を想起する。
【0032】
この基地局のいくつかの特定の実施形態では、基地局は、自身の測位を検証する、他の
基地局の方を向く機器のように動作するように構成され、放出器は、決定された位置がこの基地局のすでに保存された位置と異なる場合、変位メッセージを放出するように構成される。
【0033】
このようにして、基地局は検証でき、必要に応じて、自身の地籍図の位置を更新できる。
【0034】
有利な点は、以下である。
-基地局間の距離のネットワークの地理的較正は、実装するのが簡単であり、手間がかからず、労働集約的ではない。したがって、この較正は、費用がかからない。
-距離のネットワークを定期的に測定することにより、距離のネットワークが機能を果たしていることを検査し、したがって、そのことを常に検証し、誤動作を検出し、誤りを迅速に補正することが可能になる。
【0035】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの基地局は、自身の位置を決定する、地籍図の地点に関連した他の基地局の方を向く機器のように動作するように構成される。
【0036】
第4の様態によれば、本発明は、請求項18に記載の方法を想起する。
【0037】
いくつかの実施形態では、本発明の主題である方法は、同じ固定基地局と信号を交換する2つの固定基地局が2つの固定基地局の各々に、かつこの同じ基地局に同じ時間間隔が割り当てられないように、固定基地局の地理位置に従って固定基地局に時間間隔またはタイムスロットを割り当てるステップを備える。
【0038】
このようにして、第2の信号と衝突する危険性を大幅に低減する。
【0039】
いくつかの実施形態では、方法は、地籍図の地点に関連する他の基地局に対して固定基地局を測位するステップを備える。
【0040】
第5の様態によれば、本発明は、地上車または航空機を誘導し、室内または室外で歩行者を誘導し、セルフ車両のために駐車誤りを示し、環境の中に要素を地理的に配置し、土木工学、余暇、および旅行の用途のために拡張現実の目的でいくつかの機器を備える可視化システムの位置および配向を決定し、たとえばジェスチャインタフェースのためのジェスチャ、またはモーションキャプチャを決定する、本発明の主題である方法、本発明の主題であるシステム、本発明の主題である機器、および/または本発明主題である基地局の使用法を想起する。
【0041】
本発明の主題である機器、基地局、方法、および使用法の特定の目的、有利な点および特徴は、本発明の主題であるシステムのもの類似するので、ここで繰り返さない。
【0042】
本発明の他の有利な点、目的、および特定の特徴は、付録に含まれる図面を参照して、本発明の主題である機器および方法の少なくとも1つの特定の実施形態による限定しない記述から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】車内に搭載された移動機器、およびこの機器と通信状態にある2つの基地局を概略的に表す。
【
図2】特定の位相シフト測定を信号の形で概略的に表す。
【
図3】別の特定の位相シフト測定を信号の波で概略的に表す。
【
図4】基地局のオフセットに対する、機器が放出した64点固定周期パターンのオフセット、および機器が放出した信号の振幅スペクトルを表す。
【
図5】機器および基地局の周波数が完全に等しくないときの、第1の実施形態の測定例を示す。
【
図6】機器と基地局の間の通信、または2つの基地局間の通信を、データフレームの形で概略的に表す。
【
図7】道路網での固定基地局のネットワークのレイアウトを概略的に表す。
【
図8】機器の中で、または基地局の中で本発明を実装する電子回路を概略的に表す。
【
図9】機器の実施形態での距離の推定値のグラフを示す。
【
図10】パターンの1周期にわたり、およびパターンの100周期にわたり計算した、信号に対するノイズレベルの関数として2つの64点固定周期パターンの点でのオフセットを推定する際の誤差を表す。
【
図11】本発明の主題である方法の特定の実施形態でのステップを論理図の形で概略的に表す。
【
図12】パターンの周期的繰り返しの時系列表示である。
【
図13】パターンを表す放出信号をIQ平面で表す。
【
図14】
図13に例示する放出信号に対応する受信信号をIQ平面で表す。
【
図15】パターンの1つ~2つの間の繰り返しを備えるリクエストの伝送および受信の時系列表示である。
【
図16】
図15に例示するリクエストに対する応答の伝送および受信の時系列表示である。
【
図17】本発明の主題である方法の特定の実施形態でのステップを論理図の形で表す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本明細書は、限定しない方法で示され、本明細書では、実施形態の各特性は、有利な方法で任意の他の実施形態の任意の他の特性と組み合わせることができる。
【0045】
本明細書の全体を通して、「機器」という用語は、測位リクエストを放出する装置の品目を指し、「基地局」という用語は、測位リクエストに応答する装置の各品目を指す。本明細書で記述するように、各基地局は、好ましくは、機器に類似する、さらには機器と同一の装置の品目を備え、その結果、各基地局は、他の基地局に対する自身の地理位置を決定できる。本明細書の全体を通して、
図7を参照して記述するように、固定基地局が自身の地理位置を決定する機器の役割を果たす場合を除き、機器は移動し、基地局は固定していると考えられる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの基地局は移動し、それにより、車内に搭載された移動基地局を有する移動体それぞれの測位が可能になる。
【0046】
図は縮尺どおりではないことに留意されたい。
【0047】
図1は、測位機器10の環境を概略的に示し、この場合、測位機器10は、車両11の中に組み込まれる。移動機器10は、好ましくはたとえば街灯柱、道路標識、特定の支柱の上、または建造物の壁の上の高所に据え付けられた固定基地局12と通信する。機器10および固定基地局12は、測位システム9を形成する。移動機器10および固定基地局12は、それぞれ計算ユニットに結合した固定電磁波放出器/受信側機器13を備える。
【0048】
測位は、移動機器10と固定基地局12の間の電磁波の飛行時間(time of flight、の頭文字TOF)により得られる。移動機器10の位置を決定するために、従来の最新技術では、いくつかの固定基地局12の使用、ならびに固定基地局12または車内に搭載された移動機器10の放出器/受信器すべての周波数および位相の正確な同期を必要とする少なくとも3つの距離測定が必要である。周波数同期は比較的簡単であるが
、位相同期は絶対時計を必要とする。衛星測位システムでは、この絶対時計は、町の中または建造物の中で測位するために必要な密な地上系ネットワークの場合には実現できない超安定原子時計により得られる。本発明の目的は、そのような絶対時計を使用することなく距離測定を行うことである。
【0049】
情報提供のために、固定基地局12および車内に搭載された移動機器10の放出器/受信器の発振器は、実質的に同じ周波数fを有するが、一方の位相は、他方に既知ではなく、逆も同様であると仮定する。正確に同じ周波数fを有するという事実は、これらの未知の位相は、経時的に一定であることを意味する。機器および基地局の周波数が実質的に等しいだけであり、等しくない場合、未知の位相は、経時的にゆっくりと変化するが、後に示すように、これにより測位の精度は制限されない。この未知の位相シフトを排除するために、固定基地局12および車内に搭載された移動体11上の移動機器10の放出器/受信器の中に据え付けられたIQ変調器/復調器から得られる未加工の(I,Q)信号を使用する。
【0050】
直交振幅変調(「I/Q」、「IQ」または「QAM」)は、2つの入力信号により転送された情報に従って搬送波自体および直交した波(搬送波から90°位相シフトした波)の振幅を修正することにより搬送波を変調する形をとる。
【0051】
これは、放出すべき情報に基づき搬送波の振幅および位相を同時に修正することを意味する。
【0052】
QAMタイプの変調を使用して2つのアナログ信号を放出するとき、放出信号は、
s(t)=I(t)cos(2πf0t)+Q(t)cos(2πf0t+π/2)
の形をとり、
式中、I(t)およびQ(t)は、変調信号であり、f0は、搬送周波数である。
【0053】
受信器の段階で、2つの変調信号は、コヒーレント復調器を使用することにより変調できる。そのような変調器は、別個に受信した信号を第一に余弦と、第二にπ/2だけ位相シフトした余弦と乗じる。2つの乗算は、それぞれI(t)チャネルおよびQ(t)チャネルの推定値を作り出す。使用する2つの搬送波が直交する性質のおかげで、2つの変調信号を独立に抽出可能である。
【0054】
理想的なシナリオでは、I(t)チャネルは、受信した信号と余弦信号を乗じることにより復調される。
ri(t)=s(t)cos(2πf0t)
ri(t)=I(t)cos(2πf0t)cos(2πf0t)+Q(t)cos(2πf0t+π/2)cos(2πf0t)
【0055】
三角恒等式を使用することにより
ri(t)=(1/2)I(t)[1+cos(4πf0t)]+1/2Q(t)cos(4πf0t+π/2)
ri(t)=(1/2)I(t)+1/2[I(t)cos(4πf0t)+Q(t)cos(4πf0t+π/2)]
が得られる。
【0056】
信号ri(t)に低域フィルタを適用し、それにより、高周波成分(4πf0t)を除去し、(1/2)I(t)の項だけが残る。この信号は、Q(t)チャネルにより影響を受けず、これは、I(t)チャネルがQ(t)チャネルと独立に受信できることを例証することが留意される。類似する方法で、受信信号s(t)とπ/2だけ位相シフトした余
弦信号を乗じることによりQ(t)チャネルを受信する。
【0057】
IQ位相の決まりごとに関しては、「I成分」(または「Iチャネル」)および「Q成分」(または「Qチャネル」)の項は、それぞれ同相信号および直交位相信号を示す一般的方法である。2つの信号は、一般にいくつかの情報を運ぶ比較的低周波の関数により変調された高周波(または搬送波)正弦波振幅を備える。2つの搬送波は直交しており、Iは、Qに対して1/4サイクルずれている、または同等には、3/4サイクルだけQに先行する。
【0058】
図2および
図3では、これらの直交する正弦波の一方だけを示して位相シフトおよび距離測定の動作について説明し、これは、IQ直交信号では一定のI成分および/またはQ成分に対応する。
【0059】
機器10は、第1の正弦波信号21を放出する。基地局12に到達する、この信号21に関する飛行時間が原因で、この基地局12が受信した信号22は、信号21に対して位相シフトしており、位相遅れ23を有する。この基地局12は、信号21の周波数に実質的に等しい周波数を有するが、信号21に対して未知の位相差だけ位相シフトした位相を有する信号24を提供するクロックを有する。
【0060】
図2に示す実施形態では、信号22を受信した基地局12は、自身のクロック24に対する、信号22の位相遅れ25を測定する。この基地局12は次いで、信号21を放出した機器10にクロック信号24と同期した信号26、および位相遅れ25を表すメッセージを放出する。信号21を放出した機器10に到達する、この信号26に関する飛行時間が原因で、この機器10が受信した信号27は、信号26に対して位相シフトしており、位相遅れ28は、位相遅れ23に等しい。
【0061】
機器10は、信号21に対する、信号27の位相遅れ29を測定する。機器10は、基地局12から受信したメッセージの位相遅れ25の値を抽出し、位相遅れ25を位相遅れ29に加算する。このようにして、機器10は、位相遅れ23の2倍を得て、これから、機器10と、信号26を戻すことにより応答した基地局12との間の距離dを演繹する。これは、位相遅れ23の2倍が4×π×d/λに等しいからであり、式中、λは、波21の波長である。
【0062】
言い替えれば、波22が基地局12の受信器に到達するとき、この受信器には、この波が機器10の放出器によりいつ放出されたかに関する情報がない。基地局12は、自身の局部発振器の位相に対する、この波の位相25を決定できるだけである。以下でφ12と呼ばれるこの位相は、
φ12=角度(Q2/I2)=φ2-(φ1-2×π×d/λ) (1)
により、基地局12のIQ復調器からの出力で得た信号(I1,Q2)を使用して直接測定され、
式中、
-φ1は、機器10の放出器の局部発振器の未知の位相であり、
-φ2は、基地局12の受信器の局部発振器の位相であり、
-dは、機器10と基地局12の間の距離であり、
-λは、機器10が放出した波の波長である。
【0063】
したがって、機器10の局部発振器の位相が既知ではないとき、自分自身で受信した位相25により、距離dを決定することはできない。
【0064】
波を受信した基地局12は、値φ12を包含するメッセージを、波を放出した機器10
に送信する。したがって、機器10は、自身のIQ変調器からの出力で、信号(I1,Q1)を受信し、これにより、
φ21=角度(Q1/I1)=φ1-(φ2-2×π×d/λ) (2)
のように位相φ21を計算可能になる。
【0065】
この式(2)では、距離dを除きすべてが既知であり、したがって、距離dは、
φ12+φ21=4×π×d/λ (3)
であるので、波長λの半分を法として決定できる。
【0066】
法としての不確実性は、たとえばλ=c/fであり、式中、cは光速であるので、電磁波に関するいくつかの周波数fを、したがっていくつかの波長を使用することにより、または既知のフレーム相間技法(
図6を参照)を使用することにより、解決できる。
【0067】
図4に示す実施形態では、法とする不確実性は、経時的に一定の信号I(t)、および周期が所望の距離範囲で電磁波の往復時間に対応し、かつスペクトルが最大で、採用する通信システムの帯域幅により決定される最大周波数f
maxまで密の固定周期パターンに対応する信号Q(t)を使用することにより解決される。たとえば、振幅は一定であるが位相がランダムなスペクトル77の逆フーリエ変換により、所与の数の点上のパターンを得る(
図4参照)。基地局が受信した信号がIQ復調されるとき、基地局はまた、自身が発生させる、機器が放出したパターンと同じパターンを有する固定周期信号を記録する。このように、基地局は、I成分が一定であるように、ある角度だけ自身のIQ平面を回転させることにより位相25を決定する。したがって、この角度は、所望の位相25の逆であり、回転後に得たQ成分は、受信時に基地局が記録した固定周期パターンと比較でき、これにより、基地局は、相間関係を使用することにより、またはオフセット信号に対するフーリエ変換の性質を使用することにより、他方に対する各々のオフセットを得ることが可能になる。位相25の認識、および外向きの信号に関しては基地局が、戻り信号に関しては機器が計算したオフセットの認識は、広い距離範囲にわたり距離を高い精度で得ることを可能にする。
図4は、パターン75と同一の、基地局の固定周期パターン76(s
2)に対する、機器が放出した64点固定周期パターン75(s
1)の4,123点によるオフセットを示す。
【0068】
図4に示す実施形態では、機器10は、単一周波数で発振している信号ではなく、許可された帯域幅に周波数サポートが制限された既知の固定周期パターン77により変調された第1のクロックの周波数で発振している信号75を送信する。基地局12は、機器10から信号を受信するとき、上記で記述するように、受信した信号の搬送波と自身の局部発振器の間の位相を測定し、さらにまた機器10から受信した固定周期パターンと基地局12で発生させた同一の固定周期パターンの間の時間シフトも測定する。基地局12は次いで、基地局12の固定周期パターンにより変調された第2の周波数で発振する信号だけではなく、クロックと測定したパターン間のオフセットとの間の位相シフトに関する情報も機器10に送信する。機器10がこの情報を受信するとき、機器10もまた受信した信号の搬送波と自身の局部発振器の間の位相シフト、およびさらにまた受信したパターンと自身のローカルな固定周期パターンの間のオフセットも測定できる。
【0069】
さらにまた、基地局12に関する類似する情報をメッセージにより受信すると、位相シフトの加算と組み合わせることにより、波長を法とする機器10と基地局12の間の距離が得られる。オフセットの追加と組み合わせることにより、固定周期パターンの繰り返し周波数に対応する波長を法とする、機器10と基地局12の間の距離が得られる。したがって、パターンオフセット77と組み合わせることにより、パターンの帯域幅により制限される精度で広い距離範囲が可能になり、一方、位相シフトを組み合わせることにより、波長以下の精度が得られる。ある変形形態では、基地局12は、受信したパターンと同相
になるようにパターンオフセットにより変調された、受信した搬送波と同相になるように、位相シフトした第2のクロックの周波数で発振する信号を送信する。したがって、位相シフトおよびオフセットの情報を送信する必要はなく、機器10の段階で戻って受信した位相シフトおよびオフセットは、機器10と基地局12の間の距離に直接比例する。
【0070】
図3に示す実施形態では、信号22を受信した基地局12は、自身のクロックに対する、信号22の位相遅れ25を測定する。この基地局12は次いで、位相進み32が位相遅れ25に等しい、クロック信号24と同期した信号31を、信号21を放出した機器10に放出する。したがって、信号31は、この基地局12が受信した信号22と同相である。
【0071】
信号21を放出した機器10にこの信号31が到達する飛行時間が原因で、この機器10が受信した信号33は、信号31に対して位相シフトしており、位相遅れ34は、位相遅れ23に等しい。機器10は、信号21と信号33の間の位相遅れ36を測定する。このようにして、機器10は、位相遅れ23を得て、これから、機器10と、信号26を戻すことにより応答した基地局12との間の距離dを演繹する。これは、位相遅れ23の2倍が4×π×d/λに等しいためであり、式中、λは、波21の波長である。
【0072】
言い替えれば、基地局12は、自身が受信するものを機器10に送信し、この場合、I=I2およびQ=Q2である。これは、
図3の信号22および31が示すように、受信してきたものと同相の波を送信することと等化である。実際には、機器が信号
I×cos(2πf
0t+φ1)
を送信する場合、
基地局は、伝播による遅延が原因で、
I×cos(2πf
0(t-d/c)+φ1)
に比例する信号を受信する。復調およびフィルタ処理の後、基地局が測定したI成分およびQ成分は、それぞれ
×cos(-2πf
0d/c+φ1-φ2)およびI×cos(-2πf
0d/c+φ1-φ2-π/2)
に比例する。
【0073】
基地局は、次いで同じIQ点、またはそれに比例するIQ点を、すなわち、信号
I×cos(-2πf0d/c+φ1-φ2)×cos(2πf0t+φ2)+
I×cos(-2πf0d/c+φ1-φ2-π/2)×cos(2πf0t+φ2+π/2)
を送信する。
機器は、この信号を伝搬遅延の後に受信する、すなわち、
I×cos(-2πf0d/c+φ1-φ2)×cos(2πf0(t-d/c)+φ2)+
I×cos(-2πf0d/c+φ1-φ2-π/2)×cos(2πf0(t-d/c)+φ2+π/2)
を受信する。
【0074】
復調およびフィルタ処理の後、機器が測定したI成分およびQ成分は、それぞれ
I×cos(-2πf0d/c+φ1-φ2)×cos(-2πf0d/c+φ2-φ1)+
I×cos(-2πf0d/c+φ1-φ2-π/2)×cos(2πf0d/c+φ2-φ1+π/2)
および
I×cos(-2πf0d/c+φ1-φ2)×cos(-2πf0d/c+φ2-φ
1-π/2)+
I×cos(-2πf0d/c+φ1-φ2-π/2)×cos(-2πf0d/c+φ2+π/2-φ1-π/2)
に比例し、上式は、三角法の規則を使用することにより、それぞれI成分およびQ成分に関して、
I×cos(4πf0d/c)およびI×cos(4πf0d/c+π/2)
が導かれ、これは、機器および基地局のクロックの未知の位相φ1およびφ2と独立に位相4×π×d/λ=4πf0d/cが得られることを示している。
【0075】
いくつかの実施形態では、特にパターンの帯域幅が第1の周波数を法とする不確実性を解決するのに十分ではない場合、2つの周波数の使用と固定周期パターンの使用を組み合わせることが可能である。
【0076】
本発明の異なる実施形態はまた、2つの発振器が正確に同じ周波数fを有するわけではない場合にうまく動作することに留意されたい。
図5は、機器10および基地局12の局部発振器の周波が単に実質的に等しいだけであり、正確に同じであるわけではないとき、機器10と基地局12の間の実際の測定例を示す。したがって、2つの発振器の間の位相は、機器10に関して、および遠隔基地局12に関して、ここでは複素平面内に示すIQ点の矢印37および38により示すように、経時的に変動する。この位相は、たとえ経時的に変化しても、反対方向に、機器10の観点によれば矢印37に、または遠隔基地局12の観点によれば矢印38に変動する。したがって、第1の実施形態によれば、各瞬間の位相の総計を通して2つの測定値を組み合わせることにより、理論的に固定した、複素位相平面内の点が作り出され、この場合、精度は、式(3)によれば4×π×d/λに対応する測定ノイズが原因で6.4°である。第2の実施形態である
図3では、波I=I2(t)およびQ=Q2(t)を送信すれば十分である。
【0077】
このように、折返し時間は、考慮することが容易な固定位相を作り出す。
【0078】
機器が非常に限られた計算能力しか有しない低下した動作モードでは、機器の位置は、周囲にある少なくとも5つの基地局が同時に測定した位相を使用して、基地局で計算できる。この実施形態では、機器は、周囲にあるいくつかの基地局が受信する第1の信号を放出する。これらの基地局の各々は、測定されたIQ点を自身のタイムスロットで送信するが、第1の機器が送信した識別子により、低下したモードで動作していることを認識し、戻された信号は、機器ではなく、取り囲むこれらの基地局の各々により測定される。取り囲むこれらの基地局は次いで、その他の基地局の各々が測定した位相を組み合わせることができ、これにより、一方の基地局に向けて、または別の基地局を介して直接、機器の電磁波の異なる経路を決定できるようになる。基地局は、基地局を隔てる距離を知っているので、測定された異なる距離は、機器が計算する必要なしに機器の位置を決定可能にする。機器の位置は、通信ネットワークにより、したがってより長い、またはより短い待ち時間で利用可能にできる。したがって、これは、リアルタイムの情報を必要としない機器に、たとえば、セルフサービス車両の駐車の検証に特に適している。
【0079】
これらすべての事例では、本発明を利用する有利な点は、
-測定は、ほとんど瞬時であること、
-たとえばこのタイプの用途で使用されていない周波数帯である2.4GHzの周波数としてはセンチメートル未満の高い空間精度、
-固定基地局の段階で(インフラストラクチャを管理または使用する運用者に有用である)または車内に搭載された移動機10の段階で(移動体で、特にこれによりネットワーク待ち時間が回避されるので、移動体が自律的である場合に有用である)測定を行うことができること、
-主要な技術上の飛躍的な進歩がまったくなく、産業開発を促進し費用を制限する既存システムを採用するだけであること
を備える。
【0080】
本発明は、信頼でき費用がかからない方法で移動体/インフラストラクチャ協働により環境の中で、詳細には都市または室内で、たとえば駅で、位置をセンチメートル単位で迅速に得ることができるようにする。本発明は、基準と呼ばれる固定基地局12と移動体の中に組み込まれた移動機器10との間の電磁波の飛行時間の測定を伴う。各固定基地局12に対する機器10の距離の測定は、信頼でき迅速であり、精度は5センチメートル未満(典型的には1センチメートル)である。
【0081】
位相の動作、
図2におけるメッセージでの位相シフトの伝送、または
図3におけるリターンの信号31の位相シフトは、機器10のクロックと遠隔基地局12のクロックの間の時間同期の距離の決定を排除するために、応答するこの基地局12により行われる。
【0082】
実際には、機器10は、自身の位置を決定するために、機器10が自身の距離dを測定する、関連する各基地局12を識別できなければならない。同様に、信号26または31の間で、下流で衝突するのを回避する必要がある。これら2つの理由で、機器10と各基地局12の間で交換される信号は、
図6に示すように、フレーム42、45、および49として構築される。上流に向けたフレーム42はたとえば、
搬送波41の周波数、
-機器の識別子、
-場合によっては利用する実施形態を示す、応答を要求する可能性があるリクエスト、および
-場合によってはエラーの検出および/または補正のための符号
を表すメッセージを運ぶ。
【0083】
次いで機器10は、リスニングモードの動作に切り替わる。
【0084】
各遠隔基地局12は最初、リスニングモードにある。
図2および
図3を参照して記述するように、第1の基地局12は、機器10とこの第1の基地局12の間のフレームの飛行時間が原因で、搬送波41に対して位相シフトした搬送波43でフレーム42を受信する。この第1の基地局12は、事前に規定された時間間隔44の後、自身に割り当てられたタイムスロットでこのメッセージに応答し、次いでリスニングモードに戻る。第2の基地局12は、機器10とこの第2の基地局12の間のフレームの飛行時間が原因で、搬送波41に対して位相シフトした搬送波47でフレーム42を受信する。この第2の基地局12は、事前に規定された時間間隔48の後、自身に割り当てられたタイムスロットでこのメッセージに応答し、次いでリスニングモードに戻る。
【0085】
下流に向けたフレーム45および49はたとえば、
-搬送波41の周波数、
-基地局12の識別子、
-リクエストへの応答、たとえば位相25、
-リクエストを送信した機器10の識別子、および
-場合によってはエラーの検出および/または補正のための符号
を表すメッセージを運ぶ。
【0086】
フレームを介して通信する別の有利な点は、この通信により、詳細には長い距離dで、実施形態に応じておおよそ半波長を法とする距離dの測定の不確実性を解決するフレームオフセットを測定可能になる。フレームおよび搬送波はまた有利には、上記に記述するよ
うに、機器および基地局のI成分およびQ成分が独立しているという性質を使用することにより、同時に放出できる。
【0087】
いくつかの実施形態では、固定基地局12に対して機器10の距離を決定するための手段は、たとえば機器10が基地局12の地理位置のデータベースを保持するので、基地局12の識別子を用いて基地局12の位置を決定するように構成される。
【0088】
いくつかの実施形態では、基地局12の識別子は、自身の地理位置を備える。したがって、機器10は、異なる基地局12がこれらの基地局12の最新位置を機器に通知するので、これらの基地局12の位置の最新データベースを記憶する必要がない。機器10は簡素化され、測位は、より信頼性があり、より高速である。
【0089】
図7に示すように、黒い円板で表す基地局51の間の距離の自動測定、および白い円板で表すいくつかの地籍図の地点52の認識は、迅速な較正、検査、および付随する出来事の検出を可能にする。
【0090】
実際には、正確な測位は、同程度に正確な基準点を必要とする。
【0091】
電子回路、たとえば固定基地局51および車内に搭載された機器10の回路60は、完全に類似する可能性がある。したがって、固定基地局51と車内に搭載された機器10を有する移動体との間の距離を決定することは、固定基地局51の間の距離を決定するのとまったく同じくらい簡単である。固定基地局51の間の距離は、定期的に測定でき、以前の状況に対するどんな違いも、たとえば固定基地局51を保持する支柱に対する事故または悪意のある活動に起因する違いも、迅速に検出され既知になる。したがって、基地局51のネットワーク50は、対応する固定基地局51を使用停止にすることにより、または対応する固定基地局51の正確な位置を再計算することにより、迅速に対処できる。これにより、このネットワーク50に高い堅牢性が導入される。また、基地局51の間の距離は、既知であるので、それにより、距離の密なネットワークが形成される。したがって、これらの地点の絶対測位は、たとえば地理座標が完全に規定された地籍図の地点52が作り出す少なくとも3つの絶対基準点を必要とする。
【0092】
固定機器51は、その識別子により認識されることに留意されたい。この距離ネットワークを地理上の地点と整合させるために、較正段階の間に、
-技術者は、既知の地理上の地点に、たとえば地籍図の地点に移動基地局を配置し、
-周囲にある基地局からこの既知の地理上の地点までの距離により、距離ネットワークは、この既知の座標に関連づけられるように制約され、
-技術者は、好ましくは大きく離れた他の既知の地理上の地点を用いてこの動作を少なくとも2回遂行し、
-距離のネットワークを完全に制約するために最小3つの地理上の地点が必要であり、より多くの地理上の地点を使用することにより、固定基地局51のネットワーク全体の精度を改善する冗長性が可能になる。
【0093】
したがって、較正は、固定基地局51の間で相互接続のネットワークを自動的に構築すること、および次いで地籍図の地点52に位置決めされた移動基地局を技術者が追加することから構成される。したがって、技術者による数少ない動作で、したがって短期間で、距離のネットワーク50を完全に制約することが可能である。
【0094】
自動化可能な(
図7参照)、固定基地局51の間の距離によるタイムスロット割当てにより、第2の信号および下流に向けたフレームと衝突する危険性は、大幅に低減される。
【0095】
3つ以上の基地局51を使用するとき、これは、地理上の地点を有する必要があるが、基地局51は、次々に機器の役割を果たし、周囲にある基地局51に照会する。この機器51と十分足りる基地局51の間の距離が既知であるとき、機器51は、自身の地理位置を計算し、基地局のマイクロ波システム(このシステムは、好ましくは2.4GHz帯でWi-Fiと共存できる)を直接使用するネットワーク接続を介して、またはたとえば追加の携帯電話接続を介して、このデータ項目を利用可能にする。
【0096】
各基地局51はまた、基地局のネットワークに属する各基地局の地理位置を決定する中央コンピュータシステム(図示せず)に未加工の距離データを送信できる。地理位置を決定するために少なくとも4つの基準基地局までの距離が必要である。これは、1つの基準基地局までの距離は、可能な位置の球を規定するからである。2つの距離があれば、2つの球の交点は、可能な位置を円に制限する。3つの距離があれば、3つの球の交点として2つの可能な地点だけが残る。4つの距離は、すべての不確実性を解決する。それに加えて、球の間の交点の精度を改善するために、考慮された4つの基地局に関して、固定基地局がすべて整列しているわけではないことが好ましい。
【0097】
自律移動体の場合、移動機器10は、距離に直接アクセスでき、したがって追加待ち期間なしに自身の位置を計算できるように、自律的である。位相に関して得られる精度は、
図5の例で10°未満、すなわち6.4°であり、これにより、60MHzだけ分離した2つの周波数を、たとえば2.42GHzおよび2.48GHzの周波数を使用することにより、5メートルの範囲で2.4GHzの周波数に関して3ミリメートル~4ミリメートルの精度で距離を推定可能になる。この5メートルの範囲を超えると、各機器の変換器が直接範囲に含む約15nsの精度、または60MHzの帯域幅の精度しか必要としないフレーム遅延検出を使用する。
【0098】
したがって、
-較正は、実装するのが簡単であり、迅速であり、労働集約的ではない。したがって、較正は、費用がかからない。
-距離のネットワークを定期的に測定することにより、機器を検査し、したがって、距離のネットワークが機能を果たしていることを常に検証し、誤動作を検出し、必要に応じて誤りを補正することが可能になる。
【0099】
いくつかの実施形態では、時間間隔またはタイムスロットを固定基地局51に割り当てるために、固定基地局51の地理位置を考慮し、その結果、同じ固定基地局51と信号を交換する2つの固定基地局51は、これらの基地局51に、および同じ基地局に同じ時間間隔を割り当てられない。
図7では、基準S「X」は、この方法で割り当てられた1~8の間のタイムスロット番号「X」を示す(基地局に割り当てられたタイムスロットの一部分だけを示す)。当然のことながら、1つの基地局がより大きな、たとえば16というタイムスロット番号を有する場合、基地局間の2つ以上の通信範囲に制約を拡張できる。たとえば、直接、または中間固定基地局を通して、同じ固定基地局51と信号を交換する2つの固定基地局51は、これらの基地局51に、同じ固定基地局に、および中間基地局に、同じ時間間隔を割り当てられない。
【0100】
図8は、本発明の主題である機器または基地局の電子回路の実現例を示す。この回路は、たとえば2.4GHzのISM帯で動作するマイクロ波IQ伝送/受信ヘッドエンドを備える。この伝送/受信ヘッドエンドは、クロック72とも呼ばれる発振器、1/4波長移相器73、低域フィルタ66、ミキサ67、加算器74、ならびに増幅器68および69を備える。送信アンテナ70および受信アンテナ71は、アナログ部分を完成させる。デジタル部分は、DA変換器64および65、AD変換器62および63、ならびに機器と基地局の間で、および基地局間で信号および通信を取り扱う計算ユニット61を備える
。計算ユニット61は、受信モジュールからIQ点を読み出し、計算を遂行し、放出モジュールにIQ点を書き込む。計算ユニット61はまた、プログラムおよびデータの、詳細には以下で記述するパターンのメモリ(図示せず)を備える。
【0101】
この回路の一実装例では、マイクロ波ヘッドエンドは、放出用ADRF6720回路(分数(PLL/VCO)発振器を組み入れる広帯域(700MHz~3GHz)直交変調器の登録商標)および受信用ADRF6820(分数(PLL/VCO)発振器を組み入れる広帯域(695MHz~2700MHz)直交変調器の登録商標)回路から構成される。これら2つの回路は、放出および受信のために同じ局部発振器72を使用する。当然のことながら、少なくとも復調またはデジタル化の後にIQ信号にアクセスできるようにする任意の他の回路を使用できる。また、回路が動作するために電池または商用電源(図示せず)が必要である。この機器は、完全に従来型であり、IQ信号は、位相を、したがって距離を、次いで位置を決定するために必要な動作を行うために計算ユニット61に簡単に利用できるようになることに留意されたい。
【0102】
2つの(機器の)回路60Aと(基地局の)Bの間でこれらの回路を隔てる距離を決定する通信の単一フェーズでは、
-回路Bは、リスニングモードにあり、回路Aは、放出モードにある。
-放出モードにある回路Aは、短時間の間、典型的には1マイクロ秒、固定周波数を、次いでメッセージを、典型的には命令を、たとえば距離測定の開始を、およびデータの項目を、たとえば回路Aの識別子を放出する。
-リスニングモードにある回路Bは、信号を受信し、(I,Q)点を記録し、メッセージを復号する。
-
図3に例示する実施形態による距離測定の場合、リスニングモードにあった回路Bは、放出モードに切り替わり、次いですでに受信した(I,Q)点だけではなく応答メッセージも、たとえば回路Bの識別子も備える信号を送信する。
-同時に、放出モードにあった回路Aは、リスニングモードに切り替わり、応答を待つ。
-回路Aは、応答を受信するとき、受信した信号の(I,Q)点を記録し、位相を、次いで波長を法とする、回路AおよびBを隔てる距離を決定する。
-波長を法とする不確実性を解決するために、手順は、次いで別の周波数fで再度始まる、またはフレームオフセットを測定する。
-3つの回路Bで少なくとも3つの距離をこの方法で得ていた場合、回路Aは、自身の地理位置を決定する。
【0103】
回路Bでは、計算ユニット61は、一方では信号22での、回路Aの第1のクロックから得られる発振する信号と、他方では回路Bの第2のクロックから得られる発振する信号との間の第1の位相シフトを測定するための手段を形成する。
【0104】
回路Aでは、回路Aの第1のクロックから得られる発振する信号と回路Bの第2のクロックから得られる発振する信号との間の第2の位相シフトを測定するための手段、および第1の位相シフトおよび第2の位相シフトに基づき、回路Bを備える基地局に対する、回路Aを備える機器の距離を決定するための手段を形成する。
【0105】
図9は、周波数2.4GHzおよび2.46GHzを使用して法とする不確実性を解決する、すでに示した回路を備える機器および基地局に関して、異なる距離に関する実験的測定のグラフをエラーバー付きで示す。グラフのy軸は、実際の距離に対応し、x軸は、2つの周波数から生じる飛行時間に基づき計算した距離に対応する。この例では、計算した距離yと実際の距離xの間の関係は、y=x+25.7センチメートルである。
【0106】
25.7センチメートルという系統的オフセットは、信号を増幅および復調するために構成要素が必要とする時間に対応する。この時間長は固定されているので、この時間長を較正し、この時間長を系統的に演繹することは容易である。機器および基地局の周波数が等しい場合、往復時間は、距離の決定にまったく影響を及ぼさないことに留意されたい。これらの周波数が完全には等しくない場合(
図5)、信号(遠隔基地局側で22、および機器側で27または33)の獲得は、信号がアンテナに到達する瞬間と、信号が計算ユニットによりサンプリングされた瞬間との間に、類似する制御された時間長で行われなければならない。
図9での距離の推定値の精度は、距離に応じて1ミリメートル~3.25ミリメートルの間である。
【0107】
図10は、パターンの1周期および100周期にわたり計算した、信号に対するノイズレベルの関数として2つの64点固定周期パターンの点でオフセットを推定する際の誤差を、すなわち誤差78および誤差79示す。この誤差は、高速フーリエ変換(fast Fourier transform、FFT)により測定され、相間関係よりも良好な測位精度を可能にする。したがって、利用できる距離の範囲を増大させる固定周期パターンを使用するこの場合、
図10は、固定周期パターンが64点から構成されるときのオフセットの推定値に関するノイズの影響を示し、この64点パターンは、周波数31が一定の振幅およびランダムな位相を有する64点スペクトルのフーリエ変換を使用して計算される。この場合、パターンのサンプリングは20MHzであり、オフセットを推定する際の誤差は、単一周期の固定周期パターンを考慮するときには信号の0.63%のノイズでは、および100周期の固定周期パターンを考慮するときには信号の6.3%のノイズでは、サンプリング時間の1%未満である。したがって、誤差は、信号に対するノイズのレベルに比例して増大し、考慮する周期数の平方根に比例して低減する。
【0108】
図11は、本発明の主題である方法の実施形態80のステップについて記述する。ステップ81の間、回路Aは、第1の信号21を放出する。ステップ82の間、回路Bは、信号22を受信する。ステップ83の間、回路Bは、信号22と自身のクロック72の信号の間の位相シフトを決定する。ステップ84の間、回路Bは、動作モードに応じて応答信号26または31の中に第1の位相シフトを含ませる(
図2および
図3参照)。ステップ85の間、回路Bは、応答信号を放出する。ステップ86の間、回路Aは、応答信号を受信する。ステップ87の間、回路Aは、受信した信号と自身のクロック72の間の位相シフトを測定する。任意選択で、ステップ88の間、回路Aは、距離の不確実性の解決を遂行する。ステップ89の間、回路Aは、4つの異なる基地局を用いて少なくとも4つの距離を得たかどうかを判断する。得た場合、ステップ90の間、回路Aは、自身が自身の距離を得た関連する基地局の位置にアクセスし、基地局の地理位置を決定する。この位置はまた、回路Aに取り付けられた内部ユニットから受信した情報に依存する可能性があり、固定基地局を用いて少なくとも5つの距離を受信した場合、アルゴリズムを使用して最も確からしい位置を決定できることを理解できる。
【0109】
ステップ91の間、たとえば低トラフィック期間の間、詳細には夜間に、またはこの基地局の予想外の動作の原因である場合がある、基地局に含まれる内部センサ(図示せず)により明らかになった衝撃を検出したときに、基地局の回路Bは、互いにステップ81~91を行って基地局のそれぞれの位置を更新する。ステップ92の間、定期的に、たとえば毎年、基地局の回路Bは、互いに、および地籍図の地点に位置決めされた移動できる移動基地局を用いて、ステップ81~90を行って基地局のそれぞれの位置を更新する。ステップ93の間、固定基地局のそれぞれの位置に従って固定基地局に時間間隔(タイムスロット)を割り当て、下流で衝突する危険性を低減する。
【0110】
図12は、3回繰り返された8つの点を備えるパターン101の例を示し、繰り返しの間に時間間隔はない。
【0111】
自身の測位のために、機器10は、基地局12にリクエストを送信し、このリクエストは、好ましくはこのパターン101の、たとえば1周期~2周期100の間の少なくとも1つの完全な周期パターン101を備える。2つ以上の完全な周期パターン101を備えるリクエストが好ましい。これは、受信したとき、サンプリングは、完全に同期しており、したがって、送信された信号のうち1つの点103を失う可能性があるためである。パターン101の少なくとも1つの点103だけではなく完全なパターン101も送信することにより、これにより、完全なパターン101を獲得することが確実になる。しかしながら、完全な1周期100を獲得することにより、単純な相関関係の場合よりも正確な時間シフト計算を行うことが可能になる。
【0112】
いくつかの実施形態では、カウンタの周期は、機器10と、この機器10からのリクエストに応答する可能性が高い基地局12との間の事前に規定された最大距離に対応する最大飛行時間の2倍よりも大きい。
【0113】
距離測定でカウンタの半周期と信号の伝播速度の積を法とするのを回避するこの条件を満たすために、たとえばメモリに記憶されたパターンをすべての機器10およびすべての基地局12のための同一パターンセグメント(図示せず)で補うことにより、固定長パターンまたは可変長パターン101を提供できることに留意されたい。
【0114】
機器10およびあらゆる基地局12はそれぞれ、パターンの連続する点の値を記録および読み出すことができるメモリ領域を指すポインタのnの位置を周期的にスキャンするカウンタを備える。これらのポインタは、パターンの最後のサンプルまたは点が読み出されたとき、ゼロにリセットされる。パターンのnの位置を検索する周期は、機器10および基地局12では実質的に等しく、これらのカウンタおよびポインタを同期させることはない。
【0115】
これらのパターン101を利用する本発明の異なる実施形態について以下で記述する。以下でA/およびB/により参照する実施形態では、基地局12は、受信するパターン101を再放出することにより中継器のように動作するので、機器10と同じ繰り返すパターンを有する必要がない。
【0116】
A/いくつかの実施形態では、機器10が放出した固定周期パターンを受信すると、基地局12は、少なくとも1周期にわたり固定周期パターンを記録し、次いで、周期パターン101の所与の整数周期100の後に、固定周期パターンを受信した順序で機器10に再放出する。
【0117】
この整数は、往復時間に、したがって基地局12の計算速度に、さらにまた応答するために利用可能なタイムスロットに依存する(いくつかの基地局は、単一リクエストに応答できる)。したがって、各周期100で、まるでカウンタが開始点に戻ったかのようなものであり、所与の数の値は、整数であるという条件で、重要ではない。それにもかかわらず、再放出前のこの時間は、周波数ドリフトと両立できなければならず、たとえば、20MHzの周波数および64点パターンで1秒の間であり、最大整数は、312500である。使用される整数は、好ましくは利用可能な第1のタイムスロットに対応する数である。
【0118】
機器10は、基地局12が再放出したパターンを受信するとき、このパターンと自分自身の固定周期パターンを比較し(たとえば、相関関係またはフーリエ変換)これから、時間シフトが機器10と基地局12の間の距離に比例し、電磁波の速度に反比例する、放出され受信した2つのパターン間の時間シフトを演繹する。
【0119】
B/いくつかの実施形態では、機器10が放出した固定周期パターンを受信すると、基地局12は、少なくとも完全な1周期100にわたり固定周期パターンを記録し、次いで固定周期パターンを受信した順序でn番目のサンプルから再放出し、受信した最後のサンプルを再放出した後、n-1番目まで再放出されたのは受信した最初のサンプルである。したがって、再放出は、周期パターンの整数周期および周期の何分の1かの後に行われ、この何分の1かは、固定周期パターン101の周期100内のサンプル数、たとえば
図12に示すパターン101では8に対する数nの比に対応する。
図15および
図16は、これらの実施形態に対応する。
【0120】
周期の何分の1かを利用することにより、パターン101の整数周期が示す瞬間に応答することが回避される。たとえば、応答タイムスロットが基地局12の往復時間に対して正確に規定されなかった場合、基地局12は、整数周期ではなく、単にこの数の何分の1かを待つことにより自身の応答時間を調節できる。
【0121】
機器10は、基地局12が再放出したパターンを受信するとき、このパターンと自分自身の固定周期パターン101を比較し、これから、時間シフトが機器10と基地局12の間の距離に比例し電磁波の速度に反比例する、放出され受信した2つのパターン間の時間シフトを演繹する。
【0122】
C/いくつかの実施形態では、機器10が放出した固定周期パターンを受信すると、基地局12は、この受信パターンと自分自身の固定周期パターンを比較して、これから、機器と基地局の間の第1の時間シフトを演繹する。基地局12は次いで、自身の固定周期パターン101の少なくとも1周期で、この第1の時間シフトをデジタルデータとして表す情報項目を機器10に放出する。基地局12が放出した固定周期パターンを受信すると、機器10は、この受信パターンと自分自身の固定周期パターンを比較して、これから、第2の時間シフトを演繹する。放出されたデータで第1の時間シフトを読み出し、これら2つの時間シフトを加算して機器10と基地局12の間の絶対同期を排除することにより、機器10は、自身と基地局12の間の距離を演繹する。
【0123】
D/いくつかの実施形態では、機器10が放出した固定周期パターンを受信すると、基地局12は、固定周期パターンをメモリに記憶し、次いでポインタを用いて固定周期パターンを読み出す。パターン101の点を読み出すと、機器10は、固定周期パターンを基地局12に放出し、基地局12は、その固定周期パターンを機器10に放出する。機器10は、固定周期パターンの少なくとも1周期を放出するとき、自身のポインタをゼロに設定し、自身のポインタを用いてデータを読み出し、たとえばQチャネル上で自身のIQ放出システムにデータを利用可能にし、Iチャネルは、
図13に示すように、位相測定に関して一定のままである。
【0124】
基地局12は、リクエストの受信を検出するとき、最初のIQサンプルを受信するときに自分自身のポインタの値を記憶し、次いで再放出の時間に、ポインタの値に対応するサンプルから始まり固定周期パターンを周期的に再放出する。したがって、機器10は、基地局12が再放出した信号を検出するとき、IQ平面(
図14)の回転による位相を検出でき、次いで、再整列すると、送信されたパターンと自分自身の固定周期パターンを比較し、これから、2つのパターン101の間の時間シフトを演繹する。IQ平面内の位相シフトを測定することにより、詳細にはマイクロ波通信でかなりのノイズがある場合にパターンにより推定される距離の精度を改善可能になる。
【0125】
上記で記述する実施形態のいずれでも、ステップのシーケンスは、ある変形形態では、詳細には通信ノイズが大きいとき、2つの別個の通信チャネルを同時または順次に使用す
るために繰り返される。
【0126】
図12は、パターン101の繰り返し周期100を示す。各機器および各基地局の中にあるクロックは、このパターン101を同じ周期100で検索するためにパターンメモリとポインタの同期を遂行する。
【0127】
図13は、パターンを表す放出信号102をIQ平面で示す。パターンの、異なる可能な値を点103により示す。
【0128】
図14は、放出信号102に対応する受信信号104をIQ平面で示す。この受信信号104は、放出パターン102の点103ごとに点108を備える。この信号の受信側、すなわちリクエストでは基地局、およびリクエストに対する応答では機器は、受信した点の直線適合105、次いでIQ平面の原点を通過する、直線適合直線105に垂直な直線106、および次いで直線106の位相107を決定する。受信時の位相107と(
図13の例ではゼロである)位相の間の差は、位相シフトしたポインタ自体を用いて測定した、この信号の放出とこの信号の受信の間の位相シフトに対応する。本発明を利用することにより、このポインタの位相シフトを排除して(機器から基地局への)外に向けた信号および(基地局から機器への)戻り信号の飛行時間(TOF)だけにより位相シフトを測定可能になる。
【0129】
したがって(通信方向に応じて機器10または基地局12である可能性がある)放出側は、Iチャネル上で定数を、Qチャネル上で自身の固定周期パターンの少なくとも1周期を送信し、IQ図では、その結果、y軸のQが変化する間にx軸のIは定数であるので、垂直方向に整列した一連の点が得られる。放出中、伝播の遅延は、波長あたり完全な一回転を通してIQ平面を回転させる。したがって、受信時、受信したIQ点は、受信側のIQ平面内で整列しているが、受信側から放出側を分離する波長の何分の1かに対応する角度で垂直線から傾いた線上で整列する。情報を決定し、したがって、たとえば回帰後に直線適合105を、すなわち受信したIQ点が整列する線の傾きを推定する簡単な方法である。この線105から、送信された一定のIに対応し線上の基準点を与えるIQ平面の原点までの距離、および余接が単に線の傾きである回転角を外挿する。
【0130】
この方法で得た位相シフトは、放出側と受信側の間の距離に関する微細スケールの情報を提供する。
【0131】
当然のことながら、Iチャネルが運ぶ値は、一定である必要はなく、パターン101は、Qチャネルにより運ばれる必要はない。放出された信号は、たとえば、
図14を参照して示すように放出時に位相シフトしている可能性があり、放出時の位相の認識は、機器が外向きの信号および戻り信号の飛行時間に起因する合計位相シフトを決定するのに十分である。直線適合105後、パターン全体にわたり位相を測定することにより、詳細にはノイズがあまりにも大きいときに推定した距離の精度は、改善可能になる。
【0132】
図15および
図16は、8つのサンプルを伴うパターンに関する完全な往復シーケンスを示す。距離決定の精度を増大させる搬送波位相シフト測定の任意選択の使用法について再度詳述しない。
【0133】
図15は、伝送を、すなわち、パターン101により変調されたリクエスト信号の放出(上部)および受信(下部)を示す。最上部の線でポインタ10の位置110を示す。このポインタは、メモリに記憶されたパターン101の(0~7でインデックスする)8つの値を周期的にスキャンする。信号が放出されたとき、放出された信号111を変調するためのポインタが示すメモリ位置で、少なくとも1周期100の間パターン101の値を
読み出す。機器10と基地局12の間の距離が原因で、基地局12が受信した信号112は、放出された信号に対して遅延113だけ時間がずれている。
図15についての記述の残りの部分では、基地局12は、ポインタ値114が示すように、受信した信号112が運ぶパターンの点を表す第1のサンプルを受信したときに自身のポインタをゼロに設定する。当然のことながら、
図16を参照して記述するように、ポインタをゼロにリセットする必要はない。たとえば、第1のサンプルを受信したときのポインタの位置は、基地局12により記憶でき、パターンを機器に送信するための開始位置として使用できる。
【0134】
時間長115は、受信した信号112をサンプリングするための時間、および信号が運ぶパターンの値を記憶するための時間である。
【0135】
図16は、伝送を、すなわち、
図15に示すリクエスト112に応答する応答信号119の放出(下部)および受信(上部)を示す。
【0136】
基地局12は、受信した信号112の第1のサンプルを受信した後、したがって、基地局のポインタ114が、
図16の最下部で、
-パターンのこの第1のサンプルを受信したときにこのポインタがゼロにリセットされた場合には値「0」に、または
-この第1のサンプルを受信したときにこのポインタが有していた値に
戻ったとき、整数周期100の後にパターン送出を開始する。
【0137】
少なくとも1周期100の間、パターン111の点は、基地局12により機器10に放出される。基地局12と機器10の間の距離が原因で、機器が受信した信号119は、基地局が放出した信号に対する遅延113に等しい遅延118だけ時間がずれている。機器10のポインタ110で読み出したパターンと基地局12から受信したパターン119の間の時間シフトを測定することにより、機器10は、外向きの信号および戻り信号の飛行時間の総計を決定し、これから機器10と基地局12の間の距離を推定できる。
【0138】
定期的に放出されるパターンは、すべての機器10およびすべての基地局12で共通である必要がなく、機器10と基地局12の間の距離を決定するための時間を過ぎて永続する必要もないことに留意されたい。
【0139】
詳細には、実施形態AおよびBでは、パターンは、中継器として使用される基地局12が既知である必要はない。
【0140】
しかしながら、パターン101の2点間の時間は、受信した信号のサンプルがこれらの点に対応するように、基地局12が既知でなければならない。
【0141】
機器10のカウンタが指し示すパターンの点は、基地局12がオフセットまたは位相シフト測定を行う場合、基地局12が既知でなければならない。
【0142】
上記の記述を読むと理解できるように、機器10を測位するためのシステム9は、この機器10および複数の固定基地局12を備える。機器10は、パターンメモリの位置を検索する機器のポインタで値が読み出された点からなる少なくとも1つのパターンを備えるリクエストを放出するように構成された放出器を備え、機器の放出器は、順次読み出されたパターンの点の値で搬送波を振幅変調および/または位相変調する。
【0143】
各基地局12は、上記で記述する実施液体A~Dに対応する応答でリクエストに応答するように構成された放出器を備える。
【0144】
実施形態AおよびBでは、応答は、基地局12が機器10から受信したパターンを繰り返し、基地局のポインタは、メモリ位置を検索して、受信したパターンの点の値をそこ記入し、次いでこれらのメモリ位置を検索して、放出すべきパターンの点の値をそこから読み出し、したがって、パターンの各点は、基地局がパターンを受信した時間に対して、基地局のカウンタの周期の複数倍だけ時間的にずれている。
【0145】
実施形態Cでは、応答は、受信したパターンと、基地局12のポインタにより値を検索した基地局12のメモリに記憶された同一パターンとの間の、基地局12が測定した第1のパターン時間シフトを表す。この第1の時間シフトはたとえば、応答を形成するフレームで、付随する放出されたパターンと共にデータの中に挿入される。応答パターンの点の値は、機器が既知の位置から、基地局のポインタにより検索したメモリ位置で順次読み出される。
【0146】
基地局12の放出器はまた、順次読み出したパターンの点の値で搬送波を振幅変調および/または位相変調する。
【0147】
機器10はまた、
-各応答で受信したパターンの点の値と、機器10のポインタにより順次検索した位置で機器10のメモリに記憶された値との間の第2の時間パターンオフセットを測定するための手段61と、
-機器と基地局の間の距離をそれぞれ、
実施形態AおよびBでは、リクエストで機器10が最初に放出したパターンと、基地局12が繰り返し、機器10がこの基地局12から受信したパターンの間の合計パターンオフセット、
実施形態Cでは、機器10が測定した第2のパターンオフセット、および基地局12が測定した第1のパターンオフセット。
の関数として決定するための手段61と
を備える。
【0148】
機器10はまた、応答した各固定基地局の既知の位置、および決定手段により決定された、これらの基地局の各々に対する距離の関数として、機器の位置を決定するための手段61を備える。
【0149】
パターンオフセット測定だけに基づく測位システムの精度は、パターンの2つの点を放出する間の時間長の2倍と信号の伝播速度との積である。
【0150】
いくつかの好ましい実施形態では、機器10は、自身のクロックが発生させた正弦波信号の位相に対する、受信した信号の搬送波の位相シフトを測定するための手段を備える。基地局12がパターンオフセットを測定するための手段を備える場合(実施形態C)この基地局12はまた、好ましくは機器12のクロックが発生させた正弦波信号の位相に対する、機器から受信した信号の搬送波の位相シフトを測定するための手段を備える。
【0151】
この位相シフトは、
図1~
図11を参照して記述するように測定できる。
【0152】
機器10の距離を決定するための手段は、機器から各基地局までの距離を決定するために、信号往復に関して測定した合計位相シフトを、この往復に関して測定した合計位相シフトに加算する。
【0153】
上記で記述するように、いくつかの実施形態では、機器10および各基地局12が放出した信号は、IQ直交状態にある。この信号の搬送波の少なくとも1つの事前に規定され
た位相シフトについては、Iチャネル上の信号は一定であり、Qチャネル上の信号は、機器が放出したパターンの振幅変調を運ぶ。好ましくは、
図13に示すように、事前に規定された位相シフトは、ゼロである。
【0154】
その上に、第1のオフセットおよび第2のオフセットを測定するために、基地局および機器は、IQ平面で受信したパターンの点の直線適合を遂行するための手段を備える。したがって、測定した位相シフトは、
-この平面内の垂直線と直線適合により得られた直線の間の角度と
-この事前に規定された位相シフト(
図13に示す場合、ゼロ)
の間の差に等しい。
【0155】
したがって、機器と基地局の間の距離を測定するために使用する、測定されたオフセットは、パターンオフセットとこの方法で測定した位相シフトの和に等しい。
【0156】
いくつかの実施形態では、
c)各基地局は、IQ平面で受信したパターンの点の直線適合を遂行するための手段、および位相シフトを測定するための手段を備え、この測定された位相シフトは、
-この平面内の垂直線と直線適合により得られた直線の間の角度と
-この事前に規定された位相シフト
の間の差に等しく、
各基地局の放出器は、基地局が放出した信号の位相が、機器が放出した信号と同相であるように、受信した信号に対して、測定された位相シフトの2倍の負に位相シフトしたIQ信号を放出するように構成され、
d)機器は、IQ平面で受信したパターンの点の直線適合を遂行するための手段、および位相シフトを測定するための手段を備え、この測定された位相シフトは、
-この平面内の垂直線と直線適合により得られた直線の間の角度と
-この事前に規定された位相シフト
の間の差に等しく、
差を測定するために機器が利用する合計オフセットは、合計パターンオフセットの総計と機器の測定手段が測定した位相シフトの和である。
【0157】
これらをそれぞれ準備する結果、測位システムの精度は、IQ平面内にある複数のnの同一直線上のパターンの点の位相シフトを弁別する能力の2倍と信号の伝播速度の積である。パターン内の複数のnの点が原因で、この精度は、簡単な正弦波信号の位相シフト測定により得られる精度よりもさらに高い。
【0158】
いくつかの実施形態では、すべての機器およびすべての基地局が放出するパターンは、同一である。このように、本発明の実装形態は、時間的パターンオフセットを測定するための手段の段階で、より容易になる。
【0159】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの異なる機器が放出したパターンは異なり、各機器が放出した信号は、この機器が放出したパターンを識別する、または表すデータを備える。したがって、時間的なパターンオフセットを測定するために、基地局は、機器を識別できる、または機器自体、自分自身のパターンを識別できる。
【0160】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの異なる基地局が放出したパターンは異なり、各基地局が放出した信号は、この基地局が放出したパターンを識別する、または表すデータを備える。したがって、機器は、自身が受信するパターンで各基地局を識別できる。
【0161】
いくつかの実施形態では、基地局が放出した各信号は、この基地局の識別子であり、機
器の決定手段は、この基地局の識別子を用いてこの基地局の位置を決定するように構成される。
【0162】
いくつかの実施形態では、基地局の識別子は、基地局の地理位置を備える。
【0163】
第2の様態によれば、本発明は、本発明の主題であるシステムの機器を想起する。
【0164】
第3の様態によれば、本発明は、本発明の主題であるシステムの基地局を想起する。
【0165】
この基地局のいくつかの特定の実施形態では、この基地局は、自身の測位を検証する他の基地局に向けた機器のように動作し、放出器は、決定された位置がこの基地局のすでに保存された位置と異なる場合、変位メッセージを放出するように構成される。
【0166】
このようにして、基地局は検証でき、必要に応じて、自身の地籍図の位置を更新できる。有利な点は、以下である。
-基地局間の距離のネットワークの地理的較正は、実装するのが簡単であり、手間がかからず、労働集約的ではない。したがって、費用はかからない。
-距離のネットワークを定期的に測定することにより、距離のネットワークが機能を果たしていることを検査し、したがって、そのことを常に検証し、誤動作を検出し、必要に応じて誤りを補正することが可能になる。
【0167】
図17は、この機器10および複数の固定基地局12を備えるシステムで機器10を測位するための方法を示す。
【0168】
この方法130は、
-機器により、パターンメモリの位置を検索する機器のポインタで値が読み出された点からなる少なくとも1つのパターンを備えるリクエストを放出するステップ131であって、機器の放出器は、順次読み出されたパターンの点の値で搬送波を変調するステップ131と、
-基地局12により第1の信号を受信するステップ132と、
-このリクエストを受信する各基地局により応答を放出するステップ137と、
-機器10により、各応答で受信したパターンの点の値と、機器のポインタにより順次検索された位置で機器10のメモリに記憶された値との間の第2の時間的パターンオフセットを測定するステップ138と、
-機器により、機器と少なくとも4つの基地局12の間の距離を決定するステップ139と、
-機器により、応答した各固定基地局の既知の位置、および決定手段により決定された、これらの基地局の各々に対する距離の関数として機器の位置を決定するステップ140と
を備える。
【0169】
好ましくは、第1の信号は、
図13に示すように直交状態にある。
【0170】
好ましくは、
-ステップ133の間、特に
図14に関して上記で記述するような直線適合を基地局12により遂行し、
-ステップ134の間、第1の位相シフト測定を行い、
-ステップ135の間、基地局12により第1のオフセット測定を行い、
-ステップ136の間、測定した位相シフトおよびオフセットを表すデータを、機器10のために基地局12が放出したリクエストに対する応答に対応する第2の信号の中に組
み入れ、
-ステップ138は、直線適応後の位相シフトの測定を備える。
【0171】
方法130は、実施形態Cに対応し、実施形態AおよびBに対応する変形形態では、基地局12は、機器10から受信したパターンの中継器のように動作する。したがって、基地局12は、パターンオフセットを測定する必要がない。それにもかかわらず、基地局12は、
-応答信号の搬送波を、受信したパターンと同相にでき、受信したパターンと自身のクロックの間の位相シフトの測定値を伝送できる、または
-応答信号の搬送波を、この搬送波がリクエスト信号の搬送波と同期するように位相シフトできる。
【0172】
これら2つの代替形態により、機器は、外向きのリクエストおよび戻り応答に起因する合計位相シフトを測定できるようになり、したがって、機器10と基地局12の間の距離の測定値を改良できるようになる。
【0173】
方法は、機器が受信するパターンを自身が繰り返すだけではなく、さらにまたこの基地局が行ったオフセットの測定値の伝送も備えることができることに留意されたい。
【0174】
ステップ91~93について、
図11に関してすでに詳述した。ステップ91および92は、パターンオフセットに、ならびに/または搬送波および/もしくはパターンの位相シフトに基づく距離測定を利用できる。
【0175】
本発明はまた、地上車または航空機を誘導し、歩行者を誘導し、室内または室外の環境で視覚障害の、または運動機能障害の人を誘導し、室内または室外の環境で要素を地理的に配置し、セルフ車両のために駐車誤りを示し、土木工学、余暇、および旅行の用途のために拡張現実の目的でいくつかの機器を備える可視化システムの位置および配向を決定し、たとえばジェスチャインタフェースのためのジェスチャ、またはモーションキャプチャを決定する、本発明の主題である方法および/または機器の使用法に関する。
【国際調査報告】