(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】径方向に医療器具を折り畳む装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20240711BHJP
A61F 2/07 20130101ALI20240711BHJP
【FI】
A61F2/24
A61F2/07
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527893
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 IN2022050592
(87)【国際公開番号】W WO2023084532
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202121051873
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524030754
【氏名又は名称】メリル・ライフ・サイエンシーズ・ピーブイティー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100181113
【氏名又は名称】赤井 吉郎
(72)【発明者】
【氏名】ハルシャード・アムルトラール・パルマール
(72)【発明者】
【氏名】チラグ・ヴィノードバーイー・パテル
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA15
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC18
4C097MM08
(57)【要約】
医療デバイスを径方向に折り畳むためのデバイスおよび方法が開示される。デバイスは、医療デバイスをクリンピングすることができる改良されたクリンパーの形態である。本発明のクリンパーは、ベースプレート、ストッパー、2つのサイドプレート、ハンドル付きの2つのハウジングプレート、複数の顎部、2つのガイドプレート、少なくとも1つのギアリング、複数のギアピンを有する。顎部は、組み立てると、一連のアイリス開口を形成する。クリンパーのアセンブリには、アイリス開口からアクセスできる中央の開口がある。クリンピングする対象のデバイスは、中央の開口から挿入され、アイリス開口内に保持される。クリンピングは、アイリス開口のサイズを小さくすること(顎部を同期的に互いに移動させることによって)によって達成され、それによって人工装具の直径も小さくなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に拡張可能かつ折り畳み可能な人工装具を、直径を少なくとも部分的に拡張した状態からクリンピングされた状態まで縮小させるためにクリンピングするためのクリンピング装置であって、
ベースプレートと、
前記ベースプレートに対して自由に回転するように前記ベースプレートに取り付けられる2つのハウジングプレートであって、各ハウジングプレートは、中央のハウジング開口を備える円形のトレイ部と、前記トレイ部から伸びるハンドル部とを有し、前記2つのハウジングプレートを組み立てると、各ハウジングプレートのトレイ部が前記クリンピング装置の他のコンポーネントを収容するためのハウジングを形成し、各ハウジングプレートのハンドル部がハンドルを形成し、前記2つのハウジングプレートのうち少なくとも一方には、ハウジングプレートの内側に同心円状に取り付けられる円形のギアリングが設けられて、前記ギアリングはねじ山を有し、前記ギアリングは、内周を定める内径と、外周を定める外径とを有する、2つのハウジングプレートと、
ハウジングを形成するように互いに取り付けられる2つのガイドプレートであって、各ガイドプレートが、前記ギアリングの内周の内側で各ハウジングプレートの内側に同心円状に収められることによって、各ハウジングプレートが各ガイドプレートに対して自由に回転できるようになっていて、各ガイドプレートは、中央のガイド開口と、該ガイドプレートの中央部分から放射状に外側に向かって伸びる複数の同一の線形ガイドを有し、各線形ガイドが幅と長さとを有する、2つのガイドプレートと、
複数の同一の顎部であって、各顎部が、上面、テーパ面および2つの側面を有し、各顎部は、
(a)前記上面の穴であって、内側ねじ山を有する穴と、
(b)各顎部の2つの側面のそれぞれにある2つの溝であって、前記溝の幅が、前記ガイドプレートの線形ガイドの幅に対応していることによって、前記線形ガイドが前記溝に入り、前記顎部が線形ガイド上をスライドできるようになっている、2つの溝と、
(c)テーパ面であって、すべての顎部を組み立てたときに、各顎部のテーパ面が全体としてアイリス開口を形成し、前記アイリス開口のサイズは、前記ハンドルを動かすと前記顎部が同期して制御された動きをすることによって変化する、テーパ面と、をさらに含む、複数の同一の顎部と、
複数の同一のギアピンであって、各ギアピンは、ヘッド部と、ねじ切りされたピン部とを有し、前記ヘッド部は、前記ギアリングのねじ山と噛合する外側ねじ山を有し、前記ピン部のねじ山は、前記顎部の上面の穴のねじ山と噛み合う、複数の同一のギアピンと、を備え、
前記ハウジングプレートの中央ハウジング開口とガイドプレートの中央ガイド開口とは、前記人工装具をクリンピングするために前記顎部によって形成されるアイリス開口内に前記人工装具を受け取るように互いに一致し、
前記ハンドルを動かすと、前記ハウジングプレートが中央の円形の開口の周りに回転し、前記ギアリングが回転し、さらに前記ギアピンのヘッド部が回転することによって、前記ギアピンのピン部のねじ山が前記顎部の上面の穴の内側ねじ山内で回転し、前記顎部が前記ガイドプレートの線形ガイドに沿って径方向に移動し、前記アイリス開口のサイズが変化する、クリンピング装置。
【請求項2】
前記ハウジングプレートが2つのサイドプレートの間に保持され、前記ベースプレートに取り付けられることによって、前記ハウジングプレートがサイドプレートに対して自由に回転する、請求項1に記載のクリンピング装置。
【請求項3】
各ハウジングプレートが内径と立ち上がりエッジを有する、請求項1に記載のクリンピング装置。
【請求項4】
前記ギアリングが、前記ハウジングプレートの立ち上がりエッジの内径よりも小さな外径を有する、請求項1記載のクリンピング装置。
【請求項5】
前記ギアピンの各ヘッド部の直径が、前記ギアピンのピン部の直径よりも大きい、請求項1記載のクリンピング装置。
【請求項6】
前記ガイドプレートが、隆起したガイドエッジを有し、前記ガイドエッジは、前記ギアリングの内径よりも小さな外径を有する円形の形状の外周を有する、請求項1記載のクリンピング装置。
【請求項7】
前記ガイドプレートが、隆起したガイドエッジを有し、前記ガイドエッジは、前記ギアリングの内径よりも小さな外径を有する多角形の形状の外周を有する、請求項1記載のクリンピング装置。
【請求項8】
前記多角形の側面の数は、前記顎部の数と同じである、請求項7記載のクリンピング装置。
【請求項9】
前記ギアピンの数と各ガイドプレートの線形ガイドの数とがそれぞれ前記顎部の数と同じである、請求項1記載のクリンピング装置。
【請求項10】
各ガイドプレートの線形ガイドの数と、前記ギアピンの数と、前記顎部の数がそれぞれ12個である、請求項1から9のいずれか一項に記載のクリンピング装置。
【請求項11】
各ガイドプレート内の線形ガイドの数と、前記ギアピンの数と、前記顎部の数がそれぞれ12個よりも多いか、または12個より少ない、請求項1記載のクリンピング装置。
【請求項12】
前記ギアリングが前記2つのハウジングプレートのうち一方に固定して取り付けられ、他方のハウジングプレートがギアリングを有さない、請求項1から11のいずれか一項に記載のクリンピング装置。
【請求項13】
各ギアリングが各ハウジングプレートに取り付けられ、一方のギアリングは自由に回転し、他方のギアリングが前記ハウジングプレートに固定される、請求項1から12のいずれか一項に記載のクリンピング装置。
【請求項14】
各ギアリングが各ハウジングプレートに固定して取り付けられる、請求項1記載のクリンピング装置。
【請求項15】
前記ギアリングが、前記ギアリングが自由に回転するように、前記2つのハウジングプレートのうち一方に取り付けられ、他方のハウジングプレートがギアリングを有さない、請求項1から14のいずれか一項に記載のクリンピング装置。
【請求項16】
前記クリンピング装置が、ポリマー材料、金属材料、またはこれらの材料の組み合わせ製である、請求項1から15のいずれか一項に記載のクリンピング装置。
【請求項17】
前記ベースプレートが1つ以上のストッパーを含み、前記ストッパーは、前記ベースプレートに固定して取り付けられるか、または取り外し可能に取り付けられ、前記ハンドルの下方への動きを制限して前記ハンドルの最下位位置を定め、前記アイリス開口のサイズがさらに小さくなることを防止する、請求項1から16のいずれか一項に記載のクリンピング装置。
【請求項18】
前記人工装具が、バルーン拡張式人工装具または自己拡張式人工装具のいずれかである、請求項1から17のいずれか一項に記載のクリンピング装置。
【請求項19】
前記人工装具が、血管ステントまたは経カテーテル心臓弁のいずれかである、請求項1から18のいずれか一項に記載のクリンピング装置。
【請求項20】
クリンピング装置を組み立てる方法であって、
複数のハウジングプレートのうち少なくとも一方のハウジングプレートにギアリングを取り付けるステップと、
前記ハウジングプレートがガイドプレートに対して自由に回転するように、第1のガイドプレートを前記ギアリングの内周の内部で同心状に配置するステップと、
各ガイドプレートに複数のギアピンを取り付けるステップであって、各ギアピンのヘッド部がギアリングとねじ式に噛み合うようにし、噛み合った後は、各ギアピンが各軸上で自由に回転するようにする、ステップと、
複数の顎部の溝の各々を前記第1のガイドプレートの各線形ガイドに揃えると同時にねじ接続によって各顎部を前記ギアピンの各ピン部に取り付け、前記複数の顎部が均一な多角形のアイリス開口を形成するようにし、すべての顎部がピン部の同じ数のねじ山と噛み合うようにすることによって、すべての顎部が前記第1のガイドプレートの中心からの同じ径方向距離になるように吸ステップと、
第2のガイドプレートを同心円状に配置し、第1のガイドプレートに固定して取り付けることによって、前記ギアピンと前記顎部が取り付けられたハウジングを形成するステップと、
他方のハウジングプレートを前記第2のガイドプレート上に同心円状に配置し、他方のハウジングプレートが前記第1のガイドプレートのアセンブリに対して自由に回転するようにするステップと、
2つのハウジングプレートを互いに固定して取り付け、取り付け後に2つのハウジングプレートのハンドル部によって形成されたハンドルを含むハウジングを形成するステップと、を含む方法。
【請求項21】
前記ギアリングを取り付けるステップが、1つのギアリングを一方のハウジングプレートに取り付けて、該ギアリングが自由に回転するかまたは固定して取り付けられるようにするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記複数のギアピンを取り付けるステップが、前記第1のガイドプレートから突出したギアピンの各ヘッド部を、前記ハウジングプレート内に取り付けられたギアリングのねじ山と噛み合わせるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記複数のギアピンを取り付けるステップが、各ギアピンのピン部を顎部の上面に設けられた穴の内側ねじ山にねじ込むステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
複数の顎部の溝の各々を前記第1のガイドプレートの各線形ガイドに揃えることが、各顎部の側面の各溝を前記ガイドプレートの各線形ガイドと噛み合わせることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の顎部が均一な多角形のアイリス開口を形成することが、前記ガイドプレートにすべての顎部のテーパ面を取り付けて均一な多角形のアイリス開口を形成することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記第2のガイドプレートを配置するステップが、前記顎部の複数の第2の溝を前記第2のガイドプレートの線形ガイドと噛み合わせ、前記ギアピンのヘッド部が前記第2のガイドプレートのアセンブリから突出したままにして、前記ギアピンが各軸に沿って自由に回転するようにするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記他方のハウジングプレートを前記第2のガイドプレートの上に同心円状に配置することが、前記ギアピンのヘッド部のねじ山を、前記他方のハウジングプレート内に配置されたギアリングのねじ山と噛み合わせるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記ハウジングプレートの各側に1つ以上のサイドプレートを取り付け、前記サイドプレートの開口が前記ハウジングプレートの中央ハウジング開口と同心円状であり、前記ガイドプレートのガイド開口が中央の円形開口を形成し、前記ハウジングプレートが前記サイドプレートおよび前記ガイドプレートに対して前記中央の丸い開口を中心に自由に回転するようにステップを含む請求項20に記載の方法。
【請求項29】
サイドプレートと前記ハウジングプレートと前記ガイドプレートとのアセンブリをベースプレートに取り付け、前記サイドプレートと前記ガイドプレートとのアセンブリを静止させ、前記ハウジングプレートのアセンブリを前記ハンドルを上または下方向に動かすことで中央の丸い開口を中心に自由に回転するようにする、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記ギアリングを取り付けるステップが、前記ギアリングを一方のハウジングプレートに固定して取り付けるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記ギアリングを取り付けるステップが、1つのギアリングが自由に回転するように該ギアリングを一方のハウジングプレートに取り付けるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記ギアリングを取り付けるステップが、各ハウジングプレートに1つのギアリングを固定して取り付け、他方のギアリングが自由に回転するようにするステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
クリンピング装置を組み立てる方法であって、
複数のハウジングプレートのうち少なくとも一方のハウジングプレートに1つのギアリングを取り付け、該ギアリングが前記ハウジングプレート内で自由に回転するか、または固定して取り付けられるようにするステップと、
前記ギアリングが取り付けられたハウジングプレート内に第1のガイドプレートを同心円状に配置し、前記ハウジングプレートが前記第1のガイドプレートに対して自由に回転できるようにするステップと、
複数のギアピンを取り付け、各ギアピンのヘッド部が前記第1のガイドプレートから突出したままになるようにし、前記ギアピンのヘッド部の外側ねじと前記ハウジングプレートに取り付けられたギアリングのねじ山が噛み合うようにし,すべてのギアピンが各軸上で自由に回転するようにするステップと、
前記ギアピンのピン部を顎部の上面の穴の内側ねじ山にねじ込み、前記顎部を前記ギアピンに取り付け、各顎部の側面の各溝がガイドプレートの各線形ガイドと噛み合うようにし、前記顎部は、前記顎部が前記ギアピンの同じ数のねじ山と噛み合うように配置され、すべての顎部が前記ガイドプレートの中心からの同じ径方向距離になるようにし、すべての顎部とギアピンは、すべての顎部のテーパ面が均一な多角形のアイリス開口を形成するように取り付けられるようにするステップと、
第2のガイドプレートを前記第1のガイドプレートの上に同心円状に配置して、前記ギアピンと前記顎部が取り付けられたハウジングを形成するようにし、前記第2のガイドプレートの各溝が前記顎部の各第2の溝と噛み合い、前記ギアピンのヘッド部が2つのガイドプレートのアセンブリから突出したままになるようにし、前記ギアピンは各軸に沿って自由に回転するようにステップと、
他方のハウジングプレートを前記第2のガイドプレートの上に同心円状に配置し、前記他方のハウジングプレート内のギアリングのねじ山と前記ギアピンのヘッド部のねじ山を噛み合わせ、前記他方のハウジングプレートが2つのガイドプレートのアセンブリに対して自由に回転するようにするステップと、
両方のハウジングプレートを固定して取り付け、取り付け後、ハウジングが形成され、2つのハウジングプレートのハンドル部が完全なハンドルを形成し、2つのハウジングプレートのアセンブリは2つのガイドプレートのアセンブリに対して自由に回転するようにするステップと、
前記ハウジングプレートと前記ガイドプレートのアセンブリの各側にサイドプレートを取り付け、前記サイドプレートの中央開口が前記ハウジングプレートの中央ハウジング開口と前記ガイドプレートのガイド開口と同心円状になって中央の丸い開口を形成し、前記ハウジングプレートのアセンブリは前記中央の丸い開口を中心に前記サイドプレートと前記ガイドプレートに対して自由に回転するようにするステップと、
サイドプレートを互いにまた前記ガイドプレートと固定して取り付けし、前記ハウジングプレートのアセンブリは中央の丸い開口を中心に前記サイドプレートと前記ガイドプレートに対して自由に回転できるようにするステップと、
前記サイドプレートと前記ハウジングプレートと前記ガイドプレートのアセンブリを、ベースプレートに取り付け、前記サイドプレートと前記ガイドプレートのアセンブリを静止させて、前記ハウジングプレートのアセンブリは中央の丸い開口を中心に自由に回転するようにするステップと、を含み、
前記ハンドルを動かすと、前記ハウジングプレートが前記中央の丸い開口を中心に回転し、前記ギアリングが回転し、さらに前記ギアピンのヘッド部が回転することによって、前記ギアピンのピン部のねじ山が前記顎部の上面の穴の内側ねじ山内で回転し、前記顎部が前記ガイドプレートの線形ガイドに沿って径方向に移動し、前記アイリス開口のサイズが変化する、方法。
【請求項34】
請求項1から19のいずれか一項に記載のクリンピング装置を用いて、径方向に折り畳み可能で拡張可能な人工装具をクリンピングする方法であって、
ハンドルを上方に動かして、顎部によって形成されるアイリス開口のサイズを大きくし、前記アイリス開口のサイズが、クリンピングされる前記人工装具の直径よりも大きくなるようにするステップと、
前記人工装具を少なくとも部分的に拡張した状態で前記アイリス開口内に配置するステップと、
前記ハンドルを徐々に下方に動かして前記アイリス開口のサイズを小さくし、前記人工装具を一工程または複数工程でクリンピングするステップと、
前記人工装具のクリンピングされる直径を、判断によって前記ハンドルの下降運動を停止させることによって、または請求項17に記載のクリンピング装置のストッパーによってハンドルの下降運動をさらに制限することによって制御するステップと、
前記ハンドルを上方に動かして前記アイリス開口のサイズを大きくするステップと、
クリンピングされた前記人工装具を前記アイリス開口から取り出すステップと、を含む方法。
【請求項35】
前記人工装具がバルーン拡張可能式である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記人工装具を少なくとも部分的に拡張した状態で前記アイリス開口内に配置するステップが、クリンピングされた前記人工装具を前記アイリス開口内の収縮したバルーンの上に配置するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステント/支架のような径方向に収縮および拡張可能な支持構造体すなわちフレームを有する人工心臓を径方向に収縮させる装置および方法に関する。具体的には、本発明は、支持構造(ステント/支架/フレーム)および径方向に折り畳み可能な生体組織材料または合成材料からなる弁尖を含む経カテーテル人工心臓弁(THV)の直径を縮小することに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、体内の血管内腔内に留置することを目的とした人工装具には、径方向に折りたたむことができるサポート構造またはフレームが含まれる。人工装具の支持構造/フレームは円筒形であり、均一な直径またはテーパ形状を有する場合もあれば、軸方向に沿って直径が変化する場合もある。このような人工装具は、カテーテルを介して体内の血管内腔内に導入することで留置される。この際には、デリバリーカテーテル上で人工装具を径方向に折りたたむ(「クリンピング」とも呼ばれる)必要がある。当業者には、人工装具をクリンピングすることは、エントリープロファイルを小さくし、患者の血管系に導入して留置部位までデリバリーするために必要なことであることが知られているものである。留置部位では、フレームを径方向に展開することで人工装具が留置される。これらのデバイスのフレームは、自己拡張式またはバルーン拡張式のいずれかである。バルーン拡張式人工装具は、一般的に、バルーンカテーテルのバルーン上で、当初の大きな直径から縮小した直径にクリンピングされる。人工装具は、留置部位で、バルーンに流体を注入して加圧することで、径方向に拡張される。一般的には、生理食塩水が使用される。当業者は、バルーンカテーテルの構造と機能をよく理解しているものである。
【0003】
デリバリー用バルーンカテーテルのバルーンにクリンピングされた人工装具は、バルーンにしっかり固定して取り付けられなければならない。人工装具がバルーン上で緩んでいる場合、バルーン上の位置が変化したり、患者の血管系に導入して操作中にバルーンから外れたりする可能性がある。バルーンに適切に取り付けられていない人工装具は、滑り落ちたり外れたりして、失われたり、塞栓したりする可能性がある。また、クリンピングは、人工装具の変形や損傷を最小限に抑えるか、防止するように行わなければならない。同時に、クリンピング工程によってバルーンが損傷しないようにしなければならない。バルーンが損傷すると、血液がバルーン内に漏れ込んだり、注入液がバルーンから漏れ出たりする可能性がある。このような損傷はバルーンを弱め、破裂を引き起こす可能性がある。
【0004】
人工装具(プロテーゼとも称される)を留置するためのクリンピング操作は、人工装具を、バルーンカテーテルの収縮または部分収縮したバルーン上に、少なくとも部分的に展開した状態で配置し、クリンパーと呼ばれるクリンピング装置を使用して、人工課金をバルーンにクリンピングすることを含む。
【0005】
従来のクリンパーは、傾斜した面を持つ顎部(ジョー)と呼ばれる可動部がある。顎部を組み立てると、カメラのアイリス開口のような開口ができる。この開口には、少なくとも部分的に展開した人工心臓弁を収納できるだけの深さがある。開口の形状は、ほぼ円形である。顎部は、開口のサイズ/直径を縮小または拡大するために同期的に動く。クリンパーには、顎部のこのような動作のためのメカニズムがある。
【0006】
上記の通り、顎部の傾斜した表面によって形成されるアイリス開口は、ほぼ円形の形状をした正多角形である。当業者には明らかなことであるが、顎部の数を増やすと、形成される多角形の辺の数も増える。顎部の数を多くすると、形成される開口の形状は、顎部の数が少ない場合よりも滑らかな円となる。これは、顎部の数が多くなるにつれて、多角形の辺の長さが短くなるためである。市場に出回っているクリンパーは一般的に12個の顎部を組み込んでおり、これは十分かつ最適であると考えられている。
【0007】
アイリス開口の最小サイズを制御することが望ましい。これは、過剰なクリンピングを避け、デバイス内のフレーム構造や軟部組織、ポリマー成分などに損傷を与える可能性を低減するためである。
【0008】
従来、患者の欠陥心弁置換は、開胸手術で行われていた。開胸手術はリスクが高く、心弁置換を必要とする患者は一般的に70歳以上で、併発疾患を抱えていることが多い。多くの患者は、このような手術を受けるには臨床的に適しておらず、治療を受けることができない。近年、経カテーテル人工心弁置換術(THV)が普及しており、この技術は開胸手術を必要としないため、リスクが大幅に低減されている。
【0009】
THVの拡張時の直径は、一般的に約19~32mmの範囲である。THVは、生物学的材料(心膜など)で作られた弁構造を保持する支架構造(フレーム/ステント)を有する。THVは、通常、保存液(一般的にはグルタラアルデヒドの希薄溶液)に保存されている。乾燥した弁突を持つTHVは、開発中であるが、まだ製品化されていない。または、弁構成要素は、ポリウレタン(PU)などの合成材料で作られ、乾燥して保存することもできる。THVをバルーンカテーテル(デリバリーシステム)に装着する直前に、保存液に保存されているTHVをバルーンカテーテルのバルーンにクリンピングする。乾燥した弁突を持つTHVは、デリバリーカテーテルのバルーンに事前クリンピングすることができる。いずれの場合でも、弁構成要素を含むステントフレーム/支架をデリバリーシステムのバルーンにクリンピングする必要がある。
【0010】
直径の大きいTHV(最大32mm)に均一な圧力を加えて6mm以下に縮小し、クリンパーやTHVに高い機械的応力を発生させないような、顎部を均一に動かすことができるクリンパーが必要とされている。クリンパーの操作は簡単で、製造コストが低いことが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、サポートフレームを有するTHVなどのバルーン拡張式人工デバイス用の改良されたクリンパーおよびクリンピング方法について記載する。本発明はTHVに関する装置およびクリンピング方法を説明するが、血管ステント、ステントグラフトなどのような他のバルーン拡張可能な器具のクリンピングにも適している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のクリンパーは、少なくとも以下のいずれかを含む:ベースプレート、ストッパー、2枚のサイドプレート、ハンドル付きの2枚のハウジングプレート、複数の顎部、2枚のガイドプレート、少なくとも1つのギアリング、複数のギアピン。多くの構成部品(サイドプレート、ハウジングプレート、ガイドプレートなど)は2つの部分、すなわち2つの分割体になっている。それぞれの部品は、他の部品と同じか、他の部品の正反対のものである。これらの構成部品は、詳細な説明から明らかなように、クリンパーの組み立てを容易にするために2つの部品(または2つの分割体)になっている。例えば、ハウジングプレートの2つの部分(2つの分割体)を組み立てると、ハンドル付きの「ハウジング」が形成される。同様に、ガイドプレートの2つの部分(2つの分割体)が組み合わされると、「ガイドハウジング」を形成する。
【0013】
顎部は、同期的に組み立てると、集体的にアイリス開口を形成する。アイリス開口のサイズは、顎部を同期的に互いに同時移動させて小さくしたり大きくしたりすることができる。顎部は、以下に説明する機構により、このように移動させることができる。クリンパーのアセンブリには、アイリス開口からアクセスできる中央の開口がある。クリンピングする対象のデバイスは、中央の開口から挿入され、アイリス開口内に保持される。クリンピングは、アイリス開口のサイズを小さくすることによって達成され、それによってデバイスの直径が小さくなる。
【0014】
ハンドルの動きは、クリンパーのアセンブリ全体に回転運動を与える。ハンドルの上下運動により、ハウジング(2枚のハウジングプレートのアセンブリ)と、それぞれのハウジングプレートに取り付けられたギアリングが回転する。ギアリングの回転運動は、ギアリングのねじ山に係合しているギアピンのねじ山を回転させる。ギアピンのボトムピン部には、顎部のネジ穴に係合するネジ山がある。ギアピンの回転により、ギアピンのねじピン部が顎部の穴内の多少なりともねじ山に係合して回転することにより、顎部が移動する。顎部は、レールの形をした線形ガイドを持つガイドハウジング(2枚のガイドプレートのアセンブリ)内に配置されている。顎部には線形ガイドに係合する溝がある。したがって、顎部はガイドプレートの線形ガイドに沿って半径方向に同期して摺動し、直線的に移動する。したがって、顎部の動きはすべて、ギアピンと顎部のねじ穴の内側にあるギアとねじ山に基づいている。その結果、構成部品の動きがスムーズになり、クリンピング作業も均一になる。
【0015】
ハンドルの上方向への移動はアイリス開口のサイズを大きくし、下方向への移動はアイリス開口のサイズを小さくする。ストッパーをベースプレート上に取り外し可能に取り付けて、ハンドルを下方に移動させたときに、ハンドルがそれ以上下方に移動しないようにしてハンドルの位置を制限し、それによってアイリス開口の最小サイズを固定し、それ以上縮小することを制限し、それによって予め決定されたクリンピング径を達成することができる。この所定の直径は、中間的な直径または、クリンピングされる医療デバイスの過度なクリンピングを防ぐための直径である場合がある。過度なクリンピングは、人工デバイスの足場構造や、THV内に収容されている軟部組織/合成材料に損傷を与える可能性がある。ある実施形態では、クリンピング操作の要求に基づいて1つのストッパーを別のストッパーと交換することによって、異なるアイリス開口のサイズを達成するためのストッパーが複数個ある。別の実施態様では、非常に小さいクリンピング直径の場合、ストッパーは使用されず、ハンドルをさらに下方に動かしてアイリス開口のサイズをさらに小さくすることができる。
【0016】
本発明のクリンパーを使用するクリンピング方法は、デリバリーシステムの収縮したバルーン上に、少なくとも部分的に拡張した状態の医療器具を配置することを含む。必要に応じて、バルーンを部分的に拡張させて、医療デバイスをバルーンにより良く装着させることができる。次に、クリンパーのハンドルを上方向に動かして、アイリス開口のサイズを医療デバイスの直径よりも大きくする。バルーンと医療デバイスを、クリンパーのアイリス開口に少なくとも部分的に挿入する。次に、ハンドルを下方向に動かしてアイリス開口のサイズを小さくする。この下方向の動きは、開口のサイズを徐々に小さくするために、手動で制御される。このハンドルの下方向の動きは、既知の自動化技術を使用して自動化することもできる。下方向の動きは、望ましいクリンピングが達成されたときに停止する。このクリンピングは、複数段階で行われる場合がある。この段階では、ハンドルを上方向に動かして開口の直径を大きくし、バルーンにクリンピングされた医療デバイスをクリンパーから取り出すことができる。クリンピングの前にバルーンを部分的に拡張させた場合は、クリンピング操作中に徐々に収縮させる必要がある。
【0017】
その後、クリンピングされた医療デバイスの直径を確認する。クリンピング直径をさらに小さくするためにさらにクリンピングが必要な場合は、クリンピング操作を繰り返し、ハンドルを前の位置よりもさらに下方に動かす。
【0018】
上記の概要、および例示的な実施形態に関する以下の詳細説明は、添付の図と併せて読むことにより、よりよく理解することができるものである。本開示を説明する目的で、様々な例示的実施形態を図に示す。しかしながら、本開示は、本明細書に開示される説明および図に限定されるものではない。さらに、当業者ならば、図が縮尺通りでないことを理解するものである。可能な限り、同種の構成要素には同一の番号を付けている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に従って外部から見える部品を示す、組み立てられた状態のクリンパー100を示す。
【
図2】本開示の実施形態に従ったクリンパー100のベースプレート101を示す。
【
図3】本開示の実施形態に従ったクリンパー100のストッパー103を示す。
【
図4】本開示の実施形態に従ったクリンパー100のサイドプレート105を示す。
【
図5】本開示の実施形態に従ったクリンパー100のハウジングプレート107を示す。
【
図6】本開示の実施形態に従ったクリンパー100の顎部111を示す。
【
図7】本開示の実施形態に従ったクリンパー100のガイドプレート113を示す。
【
図8】本開示の実施形態に従ったクリンパー100のギアリング115を示す。
【
図9】本開示の実施形態に従ったクリンパー100のギアピン117を示す。
【
図10】本開示の実施形態に従ってクリンパー100を組み立てるための方法のフローチャートを示す。
【
図10a】本開示の実施形態によるクリンパー100の組立における異なる段階を示す。
【
図10b】本開示の実施形態によるクリンパー100の組立における異なる段階を示す。
【
図10c】本開示の実施形態によるクリンパー100の組立における異なる段階を示す。
【
図10d】本開示の実施形態によるクリンパー100の組立における異なる段階を示す。
【
図10e】本開示の実施形態によるクリンパー100の組立における異なる段階を示す。
【
図10f】本開示の実施形態によるクリンパー100の組立における異なる段階を示す。
【
図10g】本開示の実施形態によるクリンパー100の組立における異なる段階を示す。
【
図10h】本開示の実施形態によるクリンパー100の組立における異なる段階を示す。
【
図10i】本開示の実施形態によるクリンパー100の組立における異なる段階を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を説明する前に、以下のようにいくつかの単語や用語について定義する。「含む」や「備える」とその派生語は、無制限の含有を意味する。「または」という用語は包括的で、つまりおよび/またはを意味する。「連結されている」および「関連している」とその派生語は、含む、含まれる、相互接続する、含む、含まれる、接続する、または接続される、連結する、通信可能である、協働する、交互に挿入する、並べる、近接する、結びついている、または関連付けられている、特性を持つなどを意味する場合がある。特定の単語や用語の定義は本願全体にわたって与えられ、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、これらの定義がこれらの単語や用語のこれまでの使用だけでなく、将来の使用にわたって適用されることを理解するものである。
【0021】
本願全体にわたる「一実施形態」、「実施形態」、または類似の表現への言及は、特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも一つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書を通じて「一実施形態において」、「実施形態において」、および同様の表現が現れる場合、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らず、明示的に別段の指定がない限り、「1つまたは複数の、しかしすべての実施形態ではない」ことを意味する場合がある。用語「含む」、「備える」、「有する」およびその変形は、明示的に別段の定めがない限り、「を含むが、これに限定されない」を意味する。項目の列挙は、明示的に別段の定めがない限り、項目のいずれかまたはすべてが相互に排他的および/または相互に包含的であることを意味するものではない。単数形での用語は、明示的に指定されていない限り、複数を指すこともある。
【0022】
本開示の方法の例示的な実施形態の動作は、説明に便利なように特定の順次的な順序で説明されることがあるが、本開示の実施形態は、開示されている特定の順次的な順序以外の動作の順序を包含することができることを理解されたい。例えば、順次説明される動作は、場合によっては再編成されたり、同時並行的に実行されたりする可能性がある。さらに、ある特定の実施形態に関連して提供される説明および開示は、その実施形態に限定されるものではなく、本願で開示される任意の実施形態に適用することが可能である。さらに、簡略化のため、添付の図面には、公開されたシステム、方法、および装置を他のシステム、方法、および装置と組み合わせて使用できる様々な方法を示していない場合もある。
【0023】
さらに、これらの実施形態の記載された特徴、利点、および特性は、任意の適切な方法で組み合わせることができる。関連技術の当業者であれば、特定の実施形態の特定の特徴または利点の1つ以上を欠いても実施形態を実践できることを認識するものである。他の例では、特定の実施形態にはないすべての実施形態で追加の特徴および利点が認識され得る。これらの実施形態の特徴および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるか、または以下に記載される実施形態によって知ることができるものである。
【0024】
本発明は、バルーン拡張式または自己拡張式のステント/支架/支持フレームのような、径方向に折り畳み可能かつ拡張可能な支持構造すなわちフレームを有する医療器具/人工装具を径方向に折り畳む装置および方法を開示する。医療デバイス/人工デバイスは、サポート構造(ステント/支架/フレーム)と生物組織材料または合成材料で作られた弁尖を有する経カテーテル心臓弁(THV)などの人工心臓弁を含むことができる。これらの弁尖は、径方向に折りたためるようになっており、サポート構造内に収められている。さらに、THVには、内部スカート、外部スカートなどの1つ以上の他の構成要素が含まれる場合がある。これらのデバイスは、一般にバルーン拡張式である。
【0025】
本発明は、THVに関する径方向に折りたためる装置および方法を記載しているが、血管ステント、ステントグラフトなどの他のバルーン拡張式デバイスのクリンピングにも適している。本発明の装置は、32mm以上の大直径で拡張する大型のバルーン拡張式ステントまたは人工心臓弁(THV)をクリンピングするのにも適している。
【0026】
なお、図および以下に続く説明において、明細書で使用されている用語「人工デバイス」とは、血管ステント、グラフト、または人工心臓弁(THV)、静脈弁、およびその他の同様の弁などのバルーン拡張式人工デバイスを指す。用語「人工弁」は、THV、静脈弁、またはその他の同様の弁にも使用される。
【0027】
人工心臓弁は、バルーン拡張式フレームを有しており、このフレームには、既知の方法で弁構造が取り付けられている。当技術分野で知られているように、弁構造は、例えば牛心膜、豚心膜、馬心膜などのような組織から作られている場合がある。あるいは、弁構造は、ポリウレタン(PU)やその他の既知の合成材料から作られている場合がある。弁構造は、例えば縫合などの既知の方法でフレームに取り付けられる。人工心臓弁には、内部スカート、外部スカート、交連支持布などの他の構成要素が含まれる場合がある。内部スカートと外部スカートは、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの組織または布から作られている場合がある。
【0028】
同様に、用語「デリバリーシステム」、「デリバリーカテーテル」、または「カテーテル」は、血管内に人工デバイスを留置するために使用するデリバリー装置を指す。これらの用語は相互に使われるが、同じ意味を持つ。
【0029】
さらに、本発明の装置は、バルーンではなく拘束シースにクリンピングした状態(クリンピング状態)で装填できる自己拡張式ステントや人工弁をクリンピングするために使用できる。
【0030】
このような医療デバイスの直径を縮小するために使用する装置は、以下の明細書の記載では「クリンピング装置」、「クリンパー」、または「クリンピング器具」と呼ばれる。医療器具の直径を小さくする工程を、以下の明細書では「クリンピング」と呼ぶ。バルーン拡張型プロテーゼ装置の場合、いわゆるクリンピングは、医療/プロテーゼ装置をバルーン上で径方向に圧縮することにより、デリバリーカテーテルの収縮したバルーンに装着することになる。
【0031】
本発明で開示されているクリンパーは、ラ径方向に伸縮可能な医療/人工デバイスを単段階または複数段階のクリンピング操作でクリンピングすることができる。
【0032】
以下図面を参照する。
図1は、本発明のクリンパー100の外部から見える部品を示す。前述したように、本発明のクリンパー100は、拡張可能な医療デバイス(または拡張可能な人工デバイス)をクリンピングして、拡張可能な医療デバイスの直径を少なくとも部分的に拡張された状態から少なくとも部分的にクリンピングされた状態に縮小することができる。
【0033】
図1に示されるように、クリンパー100の外部から見える構成要素は、以下のとおりである。
図1は、ベースプレート101、1つまたは複数のストッパー103(オプション)、2つのサイドプレート105および105’(105’はアセンブリの反対側にあるため、1つのサイドプレート105のみが見える)、2つのハウジングプレート107および107’を組み立てることによって形成されるハウジング107A、ハンドル109、およびアイリス開口111a(「開口111a」または「中央開口111a」とも呼ばれる)を形成する複数の顎部111を含む。クリンパー100には、ガイドプレート、ギアリング、ギアピンなど(以下で詳細に説明)に限定されない、外部から見える部品内に内部的に配置された内部部品も含まれる。
【0034】
クリンパー100の構成部品は、生体適合性高分子材料または強化高分子材料で作られてもよく、強化は、ガラス繊維のような繊維状材料を高分子材料に組み込むことによって達成されてもよい。高分子材料としては、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリオキシメチレン(POM)、ナイロン、ポリエステル、ポリアミドポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等を挙げることができる。あるいは、クリンパー100の構成部品は、ステンレス鋼、チタンなどの生体適合性金属または金属合金から作られてもよい。構成部品は適切な機械的強度を有するべきである。高分子材料としては、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリオキシメチレン(POM)、ナイロン、ポリエステル、ポリアミドポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等を挙げることができる。あるいは、クリンパー100の構成部品は、ステンレス鋼、チタンなどの生体適合性金属または金属合金から作られてもよい。構成部品は適切な機械的強度を有するべきである。または、クリンパー100の構成要素は、ポリマー系材料と金属材料の組み合わせで作られている場合がある。クリンパー100の好ましい実施形態では、構成部品はABS、ポリアミド、POMなどの高分子材料および強化高分子材料から作られている。
【0035】
組み立てられたクリンパー100は、ベースプレート101の上に配置される。ベースプレート101の詳細を
図2に示す。ベースプレート101は、円形、正方形、長方形、楕円形などの事前定義された形状を有する場合がある。
図2の実施形態では、予め定義された形状は長方形である。ベースプレート101の形状は、組み立てられたクリンパー100を十分な支持力と安定性でしっかりと取り付けるのに十分な表面積を持つように選択される。
【0036】
図2の例示的なベースプレート101は、組み立てられたクリンパー100の取り付けを容易にするための複数の穴と空洞101aを含む。
図2に示す穴と空洞101aは例示的なものである。穴と空洞101aの構造と寸法は、ベースプレート101と噛み合うアセンブリクリンパー100の構成要素に対応する場合がある。
【0037】
オプションの1つまたは複数のストッパー103は、調整可能で取り外し可能である場合がある。したがって、ストッパー103は、ベースプレート101に脱着可能(取り外し可能)に取り付けることができる。ストッパー103の機能は、ハンドル109の下限位置を定義してハンドル109の下降運動を制限し、アイリス開口111aのサイズがさらに小さくなるのを防止することである。ストッパー103の長さは、クリンピングされる医療デバイスのクリンピングされた直径の特定の要件に依存する場合がある。例えば、ストッパー103の長さが小さいほど、医療デバイスのクリンピングされた直径は小さくなる。特定のクリンピングされた直径を達成するために、ベースプレート101に取り付け可能な長さの異なるストッパー103が複数個ある場合がある。この配置は、複数段階のクリンピングを容易にする。
図3は、本発明の実施例であるストッパー103を示す。
【0038】
本発明のクリンパー100は、2つの部分(2つの半分)からなるいくつかの構成要素を含む。これらの部分は、同一であるか、または互いの鏡像である。便宜のため、これらの構成要素のいずれかの部分が図に示されている。
【0039】
本発明は、さらに少なくとも2つのサイドプレートを含む場合がある。本明細書で説明したクリンパー100の実施形態は、2つのサイドプレート、すなわち、第1サイドプレート105と第2サイドプレート105’(
図4に示されている第1サイドプレート105)を含む。第1および第2サイドプレート105と105’の機能は、クリンパー100のハウジング107A(以下で説明する)を、ハウジング107A内に収容された他の構成要素とともに支持することである。サイドプレート105と105’は、構造的に類似していても異なっていてもよい。ある実施形態において、クリンパー100は、ベースプレート101の上方に取り付けられた2つのサイドプレート105と105’を備え、ハウジング107Aはそれらの間に収容される。ある実施形態において、第1サイドプレート105は第2サイドプレート105’の鏡像である。
【0040】
第2サイドプレート105’は、第1サイドプレート105の鏡像であるため、示されていない。例示的な第1サイドプレート105は、三角形のプレートであり、所定の深さと機械的強度を高めるための必要な補強リブを有する。
図4では、各サイドプレート105/105’には、内部コンポーネント(以下で説明する)付きの組み立てられたハウジング107Aを保持する中央開口105aがある。
【0041】
図1は、組み立て時のハウジング107Aの中央円形開口と同心に配置された、サイドプレート105の中央開口105aを示している。組み立てられたハウジング107Aは、第1サイドプレート105と第2サイドプレート105’の間に保持され、ハウジング107Aはサイドプレート105、105’の中央開口105aの周囲で自由に回転できる。第1サイドプレート105と第2サイドプレート105’はベースプレート101に取り付けられているため、組み立てられたハウジング107Aは2つのサイドプレート105、105’の間に適切に支持される。当業者であれば、組み立てられたハウジング107Aをサイドプレート105/105’の間に支持するために、サイドプレート105/105’を構成するさまざまな方法があることを理解するものである。
【0042】
サイドプレート105/105’の例示的な構造は、クリンパー100のハウジング107Aを保持および支持するのに役立つ。ただし、サイドプレート105/105’には、他の形状または構造が含まれる場合があり、そのような構造も本発明の範囲内に含まれることに留意されたい。
【0043】
ある一実施形態において、クリンパー100は、2つのハウジングプレート107と107’、すなわち、右ハウジングプレートと左ハウジングプレートを含む。ハウジングプレート107、107’は、ベースプレート101上に取り付けられた2つのサイドプレート105/105’の間に保持され、ハウジングプレート107、107’はベースプレート101に対して自由に回転できる。本発明のハウジングプレート107/107’はどちらも互いに鏡像である。組み立て時、2つのハウジングプレート107、107’はハウジング107Aを形成する。
【0044】
本発明のハウジングプレート107の1つの例示的な実施形態の構造は
図5に示されている。もう1つのハウジングプレート107’は、ハウジングプレート107の鏡像であるため、示されていない。どちらのハウジングプレート107/107’も、例えば円形であり、内径と立ち上がり縁e1を有する。立ち上がり縁e1は、例えば円形である場合がある。立ち上がり縁e1は、ハウジングプレート107/107’に、立ち上がり縁e1に一体成型された延長ハンドル部107bを有するトレイ(例えば、円形トレイ部)のような形状を与える。組み立て時のハウジングプレート107と107’の延長ハンドル部107bは、ハウジング107Aのハンドル109を形成する。
【0045】
どちらのハウジングプレート107/107’にも、中央ハウジング開口107c(または開口107c)が含まれる場合がある。図に示すように、中央ハウジング開口107cがある。5では、好ましくは円形(または丸型)形状を有する。
【0046】
各トレイ部分において2つのハウジングプレート107と107’を組み立てることで形成されるハウジング107Aは、ハウジングを形成し、クリンパー100の内部コンポーネント(以下で説明する)を収容するのに使用される。クリンパー100の内部コンポーネントは、2つのハウジングプレート107/107’を接合/組み立てて形成されるハウジング107Aの空間に収容される(以下で詳細に説明する)。
【0047】
図1に示すようにでは、クリンパー100には、複数の顎部111が含まれる場合がある。本発明の推奨実施形態において、クリンパー100には12個の顎部111が含まれる。ただし、顎部111の数は12個未満または12個を超える場合がある。顎部111は、
図1に示すように、全体として開口111a(またはアイリス開口)を形成するように、同期して放射状に移動する。開口111aは、ほぼ円形形状を形成する正多角形の形のアイリス開口であり、サイズ/直径を定義する。開口111aのサイズ/直径は、ハンドル109の動きに同期した顎部111の動きによって、制御された方法で変化させることができる。
【0048】
前述のように、アイリス開口111aは正多角形で形成される。多角形の辺の数は、顎部111の数と同じである。顎部111の数が多いほど、アイリス開口111aを形成する正多角形の辺が多くなり、より滑らかな、円に近い開口となる。ある実施形態において、アイリス開口111aは12個の顎部111によって形成される。
【0049】
すべての顎部111の構造は同じであることに留意されたい。しかしながら、異なる構造を有する顎部111を有する他の代替案も本発明の範囲内である。
図6は、単一の実施例である顎部111を示す。
図6に示すように、顎部111には、2つの側面のそれぞれに1つずつ、溝111bと111b’のセットが含まれる場合がある。ガイドプレート113/113’(以下で説明する)の線形ガイド113aは、溝111b/111b’に収まる。ある実施形態において、それぞれの溝111b/111b’の幅は、ガイドプレート113/113’の線形ガイド113aの幅に一致するように作られているため、線形ガイド113aは溝111b/111b’内に収まり、顎部111は線形ガイド113a上をスムーズにスライドできる。
【0050】
顎部111にはさらに、内側ねじのある穴111cを有する上面111eがある場合がある。
図6に示すようにでは、上面111eは平坦な面である。上記のねじは、ギアピン117(以下で説明する)のピン部のねじと噛み合うことができる。各顎部111には、上面111eとは反対側の端にテーパ状の面111dがある。すべての顎部111のテーパ状の面111dは、すべての顎部111が以下で説明するようにガイドプレート113/113’内に組み込まれたときに、アイリス開口111aを形成する。
【0051】
本発明のハウジングプレート107および107’はそれぞれ、1つのガイドプレート113および113’を保持できるように装備されている。ある実施形態において、クリンパー100は、「右ガイドプレート」および「左ガイドプレート」と呼ばれる2つのガイドプレート113および113’を含む。ある実施形態において、両方のガイドプレート113/113’は互いの鏡像である、つまりガイドプレート113’はガイドプレート113の鏡像である。ガイドプレート113、113’は、互いに取り付けられるとハウジングを形成する。顎部111とギアピン117は、ガイドプレート113、113’を組み立てることによって形成されるハウジング内に収容される。
【0052】
図7は、推奨実施形態の単一のガイドプレート113を示す。もう一方のガイドプレート113’は、ガイドプレート113の鏡像であるため、図示されていない。
図7に示すようにでは、ガイドプレート113には、
図7に示す多角形形状などの所定の形状の外周がある。ある実施形態において、多角形の辺の数は、顎部111の数と同じである。各ガイドプレート113/113’には、
図7に示すような形状の隆起したガイドエッジ113dが付いている場合があり、トレイ状の形状にする。
【0053】
隆起したガイドエッジ113dの外周は、ギアリング115の内径よりも小さい外寸を持つ多角形形状である場合がある。多角形の辺の数は、顎部111とギアピン117の数と同じである。また、隆起したガイドエッジ113dの外周は、ギアリング115の内径よりも小さい外寸を持つ円形である場合がある。
【0054】
ガイドプレート113/113’の外周は、ギアリング115の内径よりも小さい外寸を持つ(以下で説明する)。これにより、ガイドプレート113/113’はギアリング115内に収容することができる。各ガイドプレート113/113’は、ギアリング115の内周内側で対応するハウジングプレート107/107’内に同心円状にはめ込まれている。これにより、ハウジングプレートは、対応するガイドプレート113/113’に対して自由に回転することができる。
【0055】
ガイドプレート113/113’には、複数の線形ガイド113aがある場合がある。各線形ガイド113aは、互いに同じか異なる場合がある。ある実施形態において、線形ガイド113aはすべて同一である
図7に示すようにでは、線形ガイド113aは、ガイドプレート113の中心部分から周方向に伸びている。もう一方のガイドプレート113’にも、ガイドプレート113の線形ガイド113aの鏡像に対応する同様の線形ガイド113a’がある。ガイドプレート113/113’の線形ガイド113a/113a’は、顎部111の動きをガイドするレール状である場合がある。ある実施形態において、線形ガイド113a/113a’の数は、顎部111の数と等しい。ある実施形態において、線形ガイド113/113’の数と顎部111の数は12である。
【0056】
各線形ガイド113a/113a’には、所定の幅と所定の長さがある。各線形ガイド113aは、顎部111の1つの溝111bに収まる。前述のように、各顎部111には、両側面にそれぞれ1つずつ、2つの溝111bと111b’がある。もう一方の顎部111のもう一方の溝111b’は、もう一方のガイドプレート113’の対応する線形ガイド113a’と噛み合う。この配置により、顎部111はこれらの線形ガイド113a/113a’上を径方向にスライドすることで移動することができる。したがって、顎部111の径方向の移動方向は、線形ガイド113a/113a’によって制御される。
【0057】
ガイドプレート113/113’は、その中央にガイド開口113b(または中央ガイド開口113b)を含み、隆起したガイドエッジ113dに多数の部分開口113cを含むことができる。ある実施形態において、部分開口113cの数は、顎部111の数と等しい。ある実施形態において、ガイド開口113bは円形である。同様に、部分開口はおおよそ半円形であってもよい。
【0058】
図7に示すように、例示的なガイドプレート113には、対応する12個の顎部111の動きをガイドするための12個の線形ガイド113aがある。また、12個の部分開口113cもある。もう一方のガイドプレート113’には、同じ数の線形ガイド113a’と部分開口113cがある。当業者者は、顎部111と線形ガイド113a/113a’の数は12より少ないか多い場合があることを理解するものである。
【0059】
ハウジングプレート107/107’の少なくとも一方には、ハウジングプレート107/107’内に同心状に取り付けられたギアリング115が設けられている。一実施形態では、クリンパー100は単一のギアリング115を含む。代替実施形態では、クリンパー100は、2つのギアリング115、例えば「右ギアリング」と「左ギアリング」を含む。
図8に示すようにでは、ギアリング115は円形(丸形)であり、側面にねじ山115aを有する。2つのギアリングがある場合、両方のギアリング115は同一であってもよい。構造が類似しているため、両ギアリングは互換的に参照数字「115」で呼ばれる。各ギアリング115は、ギアリング115の内周を定める内径(内側直径)と、ギアリング115の外周を定める外径(外側直径)とを含む。ある実施形態において、ギアリング115の外径は、ハウジングプレート107/107’の円形隆起エッジe1の内径よりも小さい。これにより、各ギアリング115は、対応するハウジングプレート107/107’(右または左)の円形隆起エッジe1内に取り付けられることができる。ギアリング115の内径は、ガイドプレート113の外形よりも大きい。これにより、ガイドプレート113は、ギアリング115の内周内に配置することができる。ギアリング115のねじ山115aは、以下に説明するギアピン117のヘッド部117aのねじ山と噛み合う。
【0060】
クリンパーは、複数のギアピンを有する。各ギアピン117は、同じでも異なっていてもよい。ある実施形態において、ギアピン117はすべて同一である。ギアピン117の数は、顎部111の数と等しい場合がある。本発明の推奨実施形態において、12個の顎部111と12個の線形ガイド113a/113a’が存在するため、クリンパー100は12個のギアピン117を有する。ただし、顎部と線形ガイドの数によっては、ギアピンの数は12個より多くても少なくてもよい。
【0061】
図9は、ギアピン117の例示的な実施形態を示している。各ギアピン117は、上部の丸いヘッド(またはヘッド部)117aと下部のピン(またはピン部)117bを有する。ヘッド部117aの直径は、ピン部117bの直径よりも大きい。上部の丸いヘッド117aには、ギアリング115に存在するねじ山115aと噛み合う外側ねじ山がある。下部のピン部117bにも、顎部111の穴111c(上記で説明)のねじ山と噛み合うねじ山117cがある。
【0062】
上記の外部/内部コンポーネントはすべて組み立てられて、本発明のクリンパー100を形成する。
【0063】
前述のクリンパー100の組み立て方法は、
図10に示されている。
【0064】
本方法10は、少なくとも1つのギアリング115の1つが、ハウジングプレート107の1つに同心円状に取り付けられるステップ100aで開始される。別のギアリング115が存在する場合、残りのギアリング115は、別のハウジングプレート107’に取り付けられる場合がある。右ハウジングプレート107とギアリング115の組み立ての実施形態は、
図10aに示されており、ハウジングプレート107がベースプレート101の上に置かれた状態を示している。ただし、組み立ては必ずしもベースプレート101上で行う必要はない。
【0065】
ある一実施形態において、2つのギアリング115がある場合、一方のギアリング115は、取り付けられているハウジングプレート107に対して自由に回転できるような状態で装着され、もう一方のギアリング115は、取り付けられているハウジングプレート107’に対して自由に回転できないような状態でしっかり固定して取り付けられる。また、両方のギアリング115を、取り付けられているハウジングプレート107/107’に対して自由に回転できないような状態で、それぞれのハウジングプレート107/107’にしっかり固定して取り付けることもできる。別の実施形態において、一方のハウジングプレート(例えば、107)にしっかり固定して取り付けられるギアリング(例えば、115)が設けられ、もう一方のハウジングプレート107’にはギアリング115が設けられていない。推奨実施形態において、一方のギアリング115は自由に回転でき、もう一方のギアリングは固定して取り付けられ、自由に回転できない。
【0066】
ステップ100bで、ガイドプレート113の1つが、
図10aのハウジングプレート107とギアリング115の組立体に同心に配置され、10aガイドプレート113/113’の外形はギアリング115の内径よりも小さいため、ガイドプレート113/113’はギアリング115の内周内に配置することができる。ガイドプレート113は、ハウジングプレート107内に装着されたギアリング115の内周内に同心円状に配置される。このとき、ハウジングプレート107の中央ハウジング開口107cとガイドプレート113/113’の中央ガイド開口113bは同心円状になっている。
図10bは、ガイドプレート113がこのように装着されたアセンブリを示している。
図10bに示すようにでは、ガイドプレート113は、ハウジングプレート107に装着されたギアリング115の内周内に収まっている。この実施形態において、ガイドプレート113は、ハウジングプレート107がガイドプレート113に対して自由に回転できるように装着される。線形ガイド113aは径方向に伸びていることに留意されたい。
【0067】
ステップ100cでは、ギアピン117と顎部(ジョー)111が上記のアセンブリに取り付け/装着される。この配置を明確にするために、上記のアセンブリはギアピン117(顎部111なし)1つを含む
図10cで示されている。には、1つのアセンブリにギアピン117(顎部111なし)が1つ含まれている。
図10c、ギアピン117のヘッド部117aは、ガイドプレート113の部分的な開口113cから突き出し、ピン部117bはガイドプレート113の内側に突き出ている。この結果、ギアピン117のヘッド部117aの外側ねじは、M(ねじ式噛合)でギアリング115のねじ山115aと噛み合う。また、ギアピン117のピン部117bは、ガイドプレート113の隆起したガイドエッジ113dにある部分開口113c内に収まり、すべてのギアピン117はそれぞれの軸を中心に自由に回転できるようになる。図に示すギアピン117はサポートがなく、この位置に留まることができない。アセンブリは平らに置かなければならない。
図10cは、ギアピン117が最終的にどのように取り付けられるかを説明するために示されている。
【0068】
顎部111をギアピン117に取り付けるために、ギアピン117のピン部117bのねじ山117cと顎部111の穴111cのねじ山とかみ合う(ねじ式接続)。
図10dは、1つのギアピン117と1つの顎部111の外観を示している。顎部111をはめ込む際には、顎部111の溝111bの1つがガイドプレート113の線形ガイド113aの1つに揃ってかみ合うように注意する。ギアピン117と顎部111は支持されていないため、図に示すようにこの位置に留まることはできないことに留意されたい。アセンブリは平らに置かなければならない。
図10dは、ギアピン117と顎部111が最終的にどのように取り付けられるかを説明するために示されている。
【0069】
すべてのギアピン117とすべての顎部111は、
図10eに示すようにガイドプレート113内に同様に組み立てられる。すべての顎部111は、顎部111が噛み合っているギアピン117と同じ数のねじ山とかみ合うように配置されているため、すべての顎部111はガイドプレート113の中心からの径方向の距離が同じになる。このように、すべての顎部とギアピンが取り付けられることで、すべての顎部の先細り部分が合わさって均一な多角形のアイリス開口を形成する。さらに、1つの顎部111の先細り面111dが隣接する顎部111の対応する先細り面111dと接触しているため、上記のアセンブリは、平らに置かれている場合に特に安定する。さらに、このように一緒に配置されたとき、すなわち、すべての顎部111がガイドプレート113の中心から同じ半径方向距離にあるとき、すべての顎部111のテーパ面111dは、
図10eに明らかなように、中央にアイリス開口111aを形成する。
【0070】
ステップ100dでは、2つ目のガイドプレート113’が、
図10fに示すように、上記のアセンブリに同心円状にしっかり固定して配置されて取り付けられる。2つ目のガイドプレート113’の中央ガイド開口113bは、1つ目のガイドプレート113の中央ガイド開口113bおよび1つ目のハウジングプレート107の中央ハウジング開口107cと同心円状である。2つのガイドプレート113と113’は、顎部111とギアピン117を収容するハウジングを形成する。2つ目のガイドプレート113’を装着する際には、2つ目のガイドプレート113’の線形ガイド113aが対応する顎部111の2つ目の溝111b’に噛み合うように留意されたい。
【0071】
前述したように、ギアピン117のヘッド部117aは、2つのガイドプレート113/113’の各部分開口113cを介して2つのガイドプレート113/113’のアセンブリから突出している。ガイドプレート113、113’のそれぞれの部分開口113cは、すべてのギアピン117のピン部117bの上部が2つのガイドプレート113および113’のアセンブリから突出するための完全な開口を形成する。このように、すべてのギアピン117は、これらの完全な開口内でそれぞれの軸を中心に自由に回転できる。ハウジングプレート107は、このように形成されたアセンブリにおいて、ガイドプレート113/113’に対して自由に回転できる。
【0072】
ステップ100eでは、2つ目のハウジングプレート107’(もう一方のハウジングプレート107’)が、
図10gに示すように、1つ目のハウジングプレート107と揃えるために上記のアセンブリに同心円状に配置および装着されるように、中央ハウジング開口107c(両方のハウジングプレート107)とガイド開口113b(両方のガイドプレート113/113’)が同心円状になるようにする。第2のハウジングプレート107’を取り付ける際には、第2のハウジングプレート107’内の他方のギアリング115(設けられている場合)のねじ山がギアピン117のヘッド部117aのねじ山に係合し、第2のハウジングプレート107’がガイドプレート113及び113’の組立体に対して自由に回転できるように注意が払われる。ハウジングプレート107および107’は、取り付け後、2つのハウジングプレート107および107’のハンドル部107bが完全なハンドル109を形成し、ハウジング107Aが2つのガイドプレート113および113’のアセンブリに対して自由に回転できるように、ハウジング107Aを形成するために互いにしっかり固定して取り付けられる。
【0073】
ステップ100fで、
図10hに示すように、サイドプレート105と105’を上記のアセンブリに取り付ける。は、ハウジング107Aとすべての内部コンポーネントを備えたガイドプレート107/107’の組み合わせからなるアセンブリの両側に配置される。サイドプレート105/105’の中央開口105aは、ハウジングプレート107/107’の中央ハウジング開口107cとガイドプレート113/113’のガイド開口113bと同心円状である。この配置により、図に示す中央の丸い開口Yが形成される。10hある態様では、サイドプレート105/105’は、ハウジング107Aがサイドプレート105/105’とガイドプレート113/113’に対して中央の丸い開口Yを軸に自由に回転できるようにしっかり取り付けられる。サイドプレート105/105’、ハウジングプレート107/107’、ガイドプレート113/113’のアセンブリは、ベースプレート101に取り付けられ、サイドプレート105/105’とガイドプレート113/113’のアセンブリは取り付けられるが、ハウジング107Aはハンドルを上または下に動かすことで中央の丸い開口Yを軸に自由に回転できるようになる。
【0074】
したがって、ハウジングプレート107/107’の中央ハウジング開口107cとガイドプレート113/113’のガイド開口113bは、アイリス開口111a内に径方向に拡張および折り畳み可能な人工デバイスを受け入れるために一致する。
【0075】
上記のアセンブリには、オプションの取り外し可能なストッパー103が
図10iに示すように装着されている。
図10iは、ストッパー103がハウジングプレート107のハンドル109の動きを制限する垂直位置に設定されたクリンパー100を示している。ハンドル109はこれ以上下に動かすことができず、ストッパー103によって制限されたハンドル109の最下位位置に対応する開口111aの最小サイズ/直径が制限される。ハンドル109を上に動かすと、開口111aのサイズ/直径が大きくなり、最上位位置ではこの直径が最大になる。ストッパー103を短縮すると、開口111aの最小サイズ/直径が小さくなる。ストッパー103がない場合、ハンドル109はこれ以上下に動かすための制限がなく、開口111aのサイズ/直径は非常に低い値まで小さくなる。
【0076】
上記に開示されたクリンパー100は、以下に説明するように、所定の方法で動作する。ハンドル109の動きは、中央の円形開口Yの周りのハウジング107Aと、2つのガイドプレート113および113’によって形成されたハウジング内に配置された内部部品に回転運動を与える。この運動により、ギアリング115が回転し、その結果、ギアピン117のヘッド部117aが回転する。また、ギアピン117のピン部117bは、それぞれの顎部111の上面111eに設けられた穴111cの内側ねじ部内で回転することにより、顎部111をガイドプレート113/113’の線形ガイド113a/113a’に沿って半径方向に同期して摺動させて直線移動させる。この顎部111の移動により、顎部111のテーパ面111dによって形成される開口(アイリス開口)111aの大きさが変化(縮小または拡大)する。ハンドル109を上方に移動すると、ギアリング115も同じ方向に回転する。この動作によりギアピン117が回転し、顎部111が互いに離れてアイリス開口111aの大きさ/直径が大きくなる。ハンドル109を下方向に移動すると、同様に顎部111が互いに近づき、アイリス開口111aの大きさ/直径が小さくなる。
【0077】
本発明のクリンパー100を用いたクリンピング方法は、クリンピングされた医療器具(少なくとも部分的に拡張した状態)をデリバリーシステムの収縮したバルーン上に配置することを含む。必要な場合には、バルーンを部分的に膨らませて、医療器具をバルーンにうまく取り付けることができるようにすることもできる。次に、クリンパー100のハンドル109を上方向に移動して、アイリス開口111aの大きさを、少なくとも部分的に拡張された状態にあるプロテーゼ装置の直径よりも大きくする。バルーンとプロテーゼ装置は、クリンパー100のアイリス開口111aに、少なくとも部分的に挿入/配置される。その後、ハンドル109を下方向に徐々に移動させ、アイリス開口111aの大きさを小さくし、プロテーゼ装置の直径を小さくする、すなわちプロテーゼ装置をクリンピングする。この下方への移動は、アイリス開口111aの大きさを段階的に縮小するように手動で制御する。あるいは、この下向きの動きは自動化することもできる。ハンドル109の下向きの動きは、所望のクリッピングが達成されたときに停止される。これは、複数の段階で行われる場合もある。人工デバイスのクリンピングされた直径は、ハンドル109の下方向の動きを判断により停止するか、ストッパー103によりさらに下方向の動きを制限することによって制御できる。
【0078】
この段階で、ハンドル109を上方向に動かしてアイリス開口111aのサイズを大きくし、バルーンにクリンピングされた人工デバイスをクリンパー100の開口111aから取り出す。
【0079】
次に、クリンピングされた人工デバイスを検査して、所望のクリンピングレベルが達成されているかどうかを確認する。クリンピング直径をさらに小さくするためにさらにクリンピングが必要な場合は、クリンピング操作を繰り返し、ハンドルを前の位置よりもさらに下方に動かす。
【0080】
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。より一般的には、当業者は、本願で説明されているすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成は例示的なものにすぎず、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、本発明の教示が使用される特定の用途または用途によって異なることを容易に理解するものである。
【国際調査報告】