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特表2024-527167量子計算における、又は量子計算に関する改善
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】量子計算における、又は量子計算に関する改善
(51)【国際特許分類】
   G06N 10/40 20220101AFI20240711BHJP
【FI】
G06N10/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530061
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 GB2022052016
(87)【国際公開番号】W WO2023007190
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】2111032.5
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524002175
【氏名又は名称】ユニバーサル クオンタム リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドビア,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ロマシュコ,ザック デビッド
(57)【要約】
複数の独立した回転ゲートを備えるデバイスであって、各回転ゲートが、それぞれの回転ゲートのキュービット位置において所定の強度の磁場を生成するように構成された磁石を備える、デバイス。磁場は、キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、キュービット位置においてキュービットの共鳴周波数を生成するように構成されている。デバイスは、複数の独立した回転ゲートにわたって所定の期間、共鳴周波数の電磁場を生成するように構成された第1の電磁場源を更に備える。各独立した回転ゲートは、それぞれの独立した回転ゲートで、独立して、キュービットを、所定の期間内の所定の時間で共鳴から外すように構成されたコントローラを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の独立した回転ゲートを備えるデバイスであって、各回転ゲートが、それぞれの前記回転ゲートのキュービット位置において所定の強度の磁場を生成するように構成された磁気構造を備え、前記磁場が、あるキュービットの共鳴周波数を、前記キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、前記キュービット位置において設定するように構成されており、前記デバイスが、
前記複数の独立した回転ゲートにわたって所定の期間、前記共鳴周波数の電磁場を生成するように構成された第1の電磁場源を更に備え、
各独立した回転ゲートが、
前記所定の期間内の所定の時間に、それぞれの独立した回転ゲートで、独立して、前記キュービットを共鳴から外すように構成されたコントローラを備える、デバイス。
【請求項2】
複数の独立した位相回転ゲートを備えるデバイスであって、各位相回転ゲートが、前記それぞれの回転ゲートのキュービット位置において所定の強度の磁場を生成するように構成された磁気構造を備え、前記磁場が、あるキュービットの共鳴周波数を、前記キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、前記キュービット位置において設定するように構成されており、
各独立した回転ゲートが、
所定の期間、前記それぞれの独立した回転ゲートで、独立して、前記キュービットを共鳴から外すように構成されたコントローラを備える、デバイス。
【請求項3】
各独立した回転ゲートが、前記コントローラによって制御され、前記キュービット位置において前記磁場を調整するように構成された磁気スイッチを更に備え、前記キュービットを共鳴から外すことが、前記磁気スイッチを切り替えることを含む、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記磁気スイッチが電磁石を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
組み合わされた前記所定の強度の磁場及び前記磁場が、第2の共鳴周波数を生成し、前記デバイスが、前記第2の共鳴周波数の電磁場を生成するように構成された第2の電磁場源を更に備える、請求項3又は4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の電磁場と前記第2の電磁場との間の周波数差が少なくとも1MHzである、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記独立した回転ゲートが、前記キュービットを位置決めするように構成された複数の電極を更に備え、前記キュービットを共鳴から外すことが、前記電極に電圧を適用して、前記キュービットを移動させることを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記磁場が磁場勾配を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記磁気構造が電磁石を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記磁気構造が、前記キュービット位置において前記磁場を変化させ、所定の時間で前記キュービットを共鳴から外すように構成された磁気バイパスを備え、前記コントローラが、前記磁気バイパススイッチを制御して、前記キュービット位置において前記磁場を変化させるように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記磁気構造が、通電ワイヤを備え、前記磁気バイパスが、前記ワイヤを通る前記電流の経路を変更するためのスイッチを備える、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記所定の時間が、前記共鳴周波数の単一の期間である、先行請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
第1の回転ゲートにおける第1のキュービットと、第2の回転ゲートにおける第2のキュービットと、を更に備える、先行請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
複数のキュービット位置において複数のキュービットに独立した回転を適用する方法であって、前記キュービットが、磁気的に敏感な電子状態を有し、前記方法が、
前記キュービット位置において所定の強度の磁場を生成することであって、前記磁場が、共鳴周波数を、前記キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、前記キュービット位置において設定する、生成することと、
所定の期間、前記複数のキュービットにわたって、前記共鳴周波数の電磁場を生成することと、
前記所定の期間内の所定の時間に、前記複数のキュービットからのあるキュービットを共鳴から外すことと、を含む、方法。
【請求項15】
複数のキュービット位置において複数のキュービットに独立した位相回転を適用する方法であって、前記キュービットが、磁気的に敏感な電子状態を有し、前記方法が、
前記キュービット位置において所定の強度の磁場を生成することであって、前記磁場が、共鳴周波数を、前記キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、前記キュービット位置において設定する、生成することと、
所定の期間にわたって、前記複数のキュービットからのあるキュービットを共鳴から外すことと、を含む、方法。
【請求項16】
前記キュービットを共鳴から外すことが、前記キュービット位置に追加の磁場を適用することを含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
所定の強度の磁場をキュービット位置において生成することが、磁場勾配を生成することを含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記キュービットを共鳴から外すことが、前記キュービットの前記共鳴周波数が変化するように前記キュービットを移動させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記磁場が、磁気バイパスを備える磁気構造によって生成され、前記キュービットを共鳴から外すことが、前記キュービット位置において前記磁場を変化させるように前記磁気スイッチを制御することを含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記磁気構造が、通電ワイヤを備え、前記磁気バイパスが、前記ワイヤを通る前記電流の経路を変更するためのスイッチを備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
デバイスであって、量子プロセッサと、第1の周波数で第1の電磁場を生成するように構成された第1の電磁場源と、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で第2の電磁場を生成するように構成された第2の電磁場源と、を備え、前記量子プロセッサが、
第1の磁場を生成する第1の位置と第2の磁場を生成する第2の位置とを有する切替可能な磁石と、
空間内に磁場勾配を生成するように構成された磁気構造と、を備え、キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、前記切替可能な磁石が第1の位置にある状態では、第1の位置における前記磁場が、前記第1の位置において、あるキュービットの共鳴周波数を前記第1の周波数に設定し、第2の位置における前記磁場が、前記第2の位置において、あるキュービットの共鳴周波数を前記第2の周波数に設定し、
前記切替可能な磁石が前記第2の位置にあるときに、前記第1の位置において、あるキュービットが前記第2の周波数の共鳴周波数を有する、デバイス。
【請求項22】
磁気的に敏感な電子状態を有するキュービットの共鳴周波数を変更する方法であって、前記方法が、
空間内に磁場勾配を生成することであって、前記キュービットの前記磁気的に敏感な電子状態に起因して、第1の位置における前記磁場が、前記第1の位置において、あるキュービットの共鳴周波数を第1の周波数に設定し、第2の位置における前記磁場が、前記第2の位置において、あるキュービットの共鳴周波数を前記第2の周波数に設定する、生成することと、
前記第1の位置において、あるキュービットが前記第2の周波数の共鳴周波数を有するように、追加的な磁場を生成することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子計算における、又は量子計算に関する改善に関し、特に、磁気的に敏感なキュービットに対する部位特異的ゲート制御を達成することに関する。
【発明の概要】
【0002】
一般に、いわゆる「古典的計算」とは異なり、量子計算は、データを生成又は変更するための粒子又は物質の量子力学的特性に依存する。データは、2つの状態量子力学的システムである量子ビット又は「キュービット」によって表されてもよい。古典的計算とは異なり、キュービットは量子状態の重ね合わせであってもよい。量子計算の別の特徴は、1つの粒子又は原子の状態が別の粒子又は原子によって影響を受けるキュービット間のもつれである。
【0003】
量子力学的キュービットは、ゼロと1との組み合わせとして情報を同時に符号化することができる。このような特性により、古典的コンピュータでは伝統的に困難であった数多くの複雑な数値アプリケーションが可能になる。例としては、人工知能、画像処理及び認識、暗号、又は安全な通信などが挙げられる。
【0004】
イオン超微細電子状態(Zeeman分割状態)内では、磁場の使用、及び異なるキュービット状態として使用される異なる電子レベル、及びマイクロ波放射又はレーザーを使用してレベル間を移動する電子によって明らかにすることができる。
【0005】
イオントラップ量子コンピュータでは、表面イオントラップは、量子計算で使用されるイオンを制御するために使用され、表面電極は、自由空間に浮遊されたイオンを操作及び捕捉するための電場を生成するために使用される。イオントラップの表面電極電位は、次々にDACによって制御される。表面電極は電場を生成し、この電場を使用してイオンを周りに移動させることができる。
【0006】
量子コンピュータでは、異なるチャネルを使用して、異なるキュービットに対処する。これらのチャネルは、異なる磁場及び勾配を使用してイオンなどの磁気的に敏感なキュービットを生成することができる、異なる共鳴周波数の形態を取ることができる。
【0007】
しかしながら、Zeeman状態が非対称的に分割を開始する前に使用できる磁場の範囲は限定されているのみである。したがって、異なるチャネルを使用することによって全体的にサポートされ得るチャネルの数は限られている。限られた数のゲート、及び固定パラメータを有するゲートのみがある場合、固定パラメータは特定のチャネル内の全てのキュービットに適用され得るため、これは問題ではない。
【0008】
しかしながら、異なる部位で可変パラメータを必要とするいくつかのゲートがある。可変パラメータを有するゲートの一例は、キュービットの回転がゲート内のパラメータである回転ゲートである。これらのゲートについては、各ゲートに対して異なる回転が使用されてもよい。これは、各異なるパラメータが異なるチャネルを必要とするため、問題である。デバイス内のチャネル数が制限されていることを考慮すると、これは同時に生成し得るゲートの数を制限する。結果として、このような配置のランタイムはかなり長くなる。
【0009】
回転ゲートは、適用され得るキュービットの任意の回転を必要とする。磁気的に敏感なキュービットについては、電磁場を使用して回転を適用することができる。
【0010】
本発明は、このような背景から生まれた。
【0011】
本発明によると、複数の独立した回転ゲートを備えるデバイスが提供されていて、各独立した回転ゲートは、それぞれの独立した回転ゲートのキュービット位置において所定の強度の磁場を生成するように構成された磁石を備え、磁場が、あるキュービットの共鳴周波数を、キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、キュービット位置において設定するように構成されている。デバイスは、複数の独立した回転ゲートにわたって所定の期間、共鳴周波数の電磁場を生成するように構成された第1の電磁場源を更に備え、各独立した回転ゲートは、所定の期間内の所定の時間に、それぞれの独立した回転ゲートで、独立して、キュービットを共鳴から外すように構成されたコントローラを備える。
【0012】
加えられる回転はx軸又はy軸の周りであり、z軸は磁石によって生成される磁場に平行である。電磁場源によって生成される1つの電磁パルスと別の電磁パルスとの間の相対回転軸は、パルス位相を調整することによって変更することができる。例えば、第1の電磁パルスが第1の時点で第1の電磁パルスをパルスし、第2の電磁パルスが第2の時間(倍数)π/2の後である場合、第1の電磁パルスは軸(例えば、x軸)のうちの1つの周りの回転を制御し、第2の電磁パルスは他方の軸(例えば、y軸)の周りの回転を制御する。
【0013】
キュービットを共鳴から外すことは、異なる磁場内にあるようにキュービットを移動させることを含んでもよく、又はキュービットが異なる周波数で共鳴するように磁場を変更することを含んでもよい。
【0014】
各独立した回転ゲートに対して磁石を形成し、各それぞれの独立した回転ゲートに対してキュービット位置において所定の強度の磁場を生成する、単一のより大きな磁気構造が存在し得る。
【0015】
1つ、又は各独立した回転ゲートは、キュービット位置において磁場を調整するように構成された磁気スイッチを更に備えてもよく、キュービットを共鳴から外すことは、磁気スイッチを切り替えることを含む。したがって、所定の期間中、キュービット位置における磁場は、キュービットの共鳴周波数が変化し、キュービットは電磁場に対してもはや敏感でなくなるように変化する。
【0016】
組み合わされた所定の強度の磁場及び磁場は、第2の共鳴周波数が生成され、デバイスは、第2の共鳴周波数の電磁場を生成するように構成された第2の電磁場源を更に備える。したがって、キュービットは、第1の共鳴周波数から第2の共鳴周波数へと移動されてもよい。第1の共鳴周波数と第2の共鳴周波数との間の差は、2つの共鳴周波数間の干渉がほとんどないようにすることが好ましい。このようにして、周波数差は少なくとも1MHzであってもよい。
【0017】
1つ、又は各独立した回転ゲートは、キュービットを位置決めするように構成された複数の電極を更に備えてもよく、またキュービットを共鳴から外すことは、電極に電圧を適用して、キュービットを移動させることを含む。
【0018】
磁場は、磁場勾配を含んでもよい。これは、異なる横方向位置が異なる磁場に供され、したがって異なる共鳴周波数を有することを意味する。このように、キュービットを外すことは、キュービットを異なる磁場に供することをもたらし、したがって異なる周波数で共鳴することになる。
【0019】
磁気スイッチは、簡単にオン及びオフを切り替えることを可能にする電磁石を備えてもよい。追加的に、磁場を生成するための磁石は、電磁石を備えてもよい。
【0020】
独立した回転ゲートのうちの1つ又は全ての磁石は、キュービット位置において磁場を変化させ、所定の時間で共鳴からキュービットを外すように構成された磁気バイパスを備えてもよく、コントローラは、磁気バイパススイッチを制御してキュービット位置において磁場を変化させるように構成されている。
【0021】
磁石は、通電ワイヤを備えることができ、磁気バイパスは、ワイヤを通る電流の経路を変更するためのスイッチを備える。スイッチはトランジスタであってもよい。
【0022】
所定の時間は、ラビ周波数の単一の期間であってもよく、それによって回転の程度をキュービットに適用することが可能になる。
【0023】
本発明の別の態様によれば、磁気的に敏感なキュービットに回転を適用する方法が提供される。方法は、キュービット位置において磁場を生成させることであって、磁場がキュービット位置において共鳴周波数を生成させることと、所定の期間の間、共鳴周波数で所定の時間、電磁場を生成させることと、所定の期間内の所定の時間に、キュービットを共鳴から外すこととを含む。
【0024】
キュービットを共鳴から外すことは、キュービット位置に追加的な磁場を適用することを含み得る。追加的に、キュービット位置において磁場を生成することは、磁場勾配を生成することを含む。磁場勾配がある場合、キュービットを共鳴から外すことは、キュービットの共鳴周波数が変化するようにキュービットを移動させることを含む。
【0025】
複数の独立した位相回転ゲートを備えるデバイスが提供されていて、各位相回転ゲートは、それぞれの回転ゲートのキュービット位置において所定の強度の磁場を生成するように構成された磁石を備え、磁場が、あるキュービットの共鳴周波数を、キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、キュービット位置において設定するように構成されている。各独立した位相回転ゲートは、それぞれの独立した位相回転ゲートで、独立して、キュービットを共鳴から外すように構成されたコントローラを備える。位相回転は、z軸の周りにある。
【0026】
共鳴周波数は、「基準クロック」を設定し、キュービットを共鳴周波数から外すことによって、キュービットの位相を調整することができる。例えば、磁場を増加させると、キュービットの角周波数が増加し、したがって、位相が増加する(「基準クロック」周波数と比較して)。磁場を低減することは、キュービットの角周波数を低減し、したがって、位相を低減する(「基準クロック」周波数と比較して)。基準クロック周波数に対する所望の位相回転が達成されると、キュービットは共鳴に戻すように移動され、したがって共鳴周波数での回転を再開することができる。
【0027】
コントローラは、所定の期間、共鳴から外されるキュービットを制御してもよく、そしてキュービットはその後、共鳴へと戻されてもよい。
【0028】
1つ、又は各位相回転ゲートは、磁気スイッチを備え得る。磁気スイッチは、キュービットを共鳴から外すために使用することができ、それゆえにキュービットの位相を調整することができる。磁気スイッチは電磁石を備えてもよい。
【0029】
1つ、又は各位相回転ゲートは、キュービットを位置決めするように構成された複数の電極を備えてもよく、キュービットを共鳴から外すことは、電極に電圧を適用して、キュービットを移動させることを含む。磁場は、磁場勾配を含んでもよく、したがって、キュービットを移動させることは、キュービットが供される磁場を変化させる。これにより、角周波数、したがって、「基準クロック」周波数に対する位相が変化する。
【0030】
磁石は、キュービット位置において磁場を変化させて、キュービットを共鳴から外すように構成された磁気バイパスを備えてもよい。磁石は、通電ワイヤを備えることができ、磁気バイパスは、ワイヤを通る電流の経路を変更するためのスイッチを備え得る。
【0031】
第1の位相回転ゲートに第1のキュービット、及び第2の位相回転ゲートに第2のキュービットがあってもよい。異なる磁場が、それらの位相を変更するために、キュービットの各々に適用されてもよい。このようにして、より大きなスケールのプロセッサ内の異なるキュービットに異なる位相回転を適用してもよい。
【0032】
本発明によると、複数のキュービット位置において複数のキュービットに独立した回転を適用する方法が提供されており、キュービットは磁気的に敏感な電子状態を有する。方法は、所定の強度の磁場をキュービット位置において生成することを含み、磁場が、キュービットの共鳴周波数を、キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、キュービット位置において設定し、複数のキュービットからのあるキュービットを共鳴から外すことを含む。キュービットは、所定の期間の間共鳴から外されてもよく、その後、共鳴へと戻されてもよい。
【0033】
キュービットを共鳴から外すことは、キュービット位置に追加的な磁場を適用することを含み得る。所定の強度の磁場をキュービット位置において生成させることは、磁場勾配を生成することを含み得る。キュービットを共鳴から外すことは、キュービットの共鳴周波数が変化するようにキュービットを移動させることを含み得る。
【0034】
磁場は、磁気バイパスを備える磁石によって生成されてもよく、キュービットを共鳴から外すことは、キュービット位置において磁場を変化させるように磁気スイッチを制御することを含んでもよい。
【0035】
磁石は、通電ワイヤを備えることができ、磁気バイパスは、ワイヤを通る電流の経路を変更するためのスイッチを備え得る。
【0036】
本発明によれば、デバイスであって、量子プロセッサと、第1の周波数で第1の電磁場を生成させるように構成された第1の電磁場源と、第1の周波数とは異なる第2の周波数において第2の電磁場を生成させるように構成された第2の電磁場源とを備える、デバイスが存在する。量子プロセッサは、第1の磁場を生成する第1の位置及び第2の磁場を生成する第2の位置を有する切替可能な磁石を備える。量子プロセッサはまた、空間内に磁場勾配を生成するように構成された磁気構造を備え、キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、切替可能な磁石が第1の位置にある状態で、第1の位置にある磁場が、第1の位置において、あるキュービットの共鳴周波数を第1の周波数に設定し、第2の位置にある磁場が、第2の位置において、あるキュービットの共鳴周波数を第2の周波数に設定する。切替可能な磁石が第2の位置にあるときに、第1の位置におけるキュービットは、第2の周波数での共鳴周波数を有する。
【0037】
本発明によれば、磁気的に敏感な電子状態を有するキュービットの共鳴周波数を変更する方法が提供されており、方法が、空間内に磁場勾配を生成することであって、キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、第1の位置にある磁場が、第1の位置において、あるキュービットの共鳴周波数を第1の周波数に設定し、第2の位置にある磁場が、第2の位置において、あるキュービットの共鳴周波数を第2の周波数に設定する。方法は、第1の位置のキュービットが第2の周波数で共鳴周波数を有するように、追加的な磁場を生成することを更に含む。
【0038】
追加的な磁場は、磁場の勾配又は形状が同じままであるが、磁気的にオフセットされるようにオフセットである。
【0039】
磁場勾配は、リニア又は非リニアであってもよい。
【0040】
ここで本発明を、実施例としてのみであるが、添付図面を参照しながら、更により具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】量子コンピュータ内でゲートが生成するチャネルの配置を示す。
図2】量子ゲートを示す。
図3】本発明による複数のゲートの配置を示す。
図4】代替的な量子ゲート配置を示す。
図5】本発明による磁場生成手段を示す。
図6a】代替的な量子ゲートを示す。
図6b】代替的な量子ゲートを示す。
【0042】
図1は、量子コンピュータにおけるチャネル1、2、3、4の配置を示す。磁場勾配が適用され、チャネルは、およそ1mT間隔及びおよそ10μmの距離の間隔で形成される。
【0043】
イッテルビウムイオンをキュービットとして使用して、磁場の非存在下で12.64GHzの2S1/2 F=0マニホールドとF=1マニホールドとの間の超微細な分割がある。加えて、F=1、mF=+/-1状態の周波数は、Zeeman効果に起因して磁場とともに直線的に増加/減少する。これらの状態の様々な組み合わせが、キュービットを作製するために提案されている。
【0044】
各異なる磁場は、異なるエネルギーレベル分割を有し、これは次に、異なる周波数の電磁場を使用して対処され得る。例えば、チャネル1のキュービットは、分割周波数よりも15MHz高い電磁場を使用してアドレス指定することができ、チャネル2のキュービットは、分割周波数よりも30MHz高い電磁場を使用してアドレス指定することができる。したがって、チャネルは、異なる電磁周波数を使用してアドレス指定される。
【0045】
デバイス上には、複数のマルチチャネル領域があり、各領域は、チャネルの同じ磁場勾配及び配置を有する。したがって、周波数分割より30MHz高い電磁場がデバイスに適用されると、チャネル2の全てのキュービットに適用される。回転が0~2πの任意の値であり得る回転ゲートがある場合、電磁場の持続時間に応じて、同じ回転が、磁場及びキュービットの位置が同じままである場合に、デバイス上の任意のゲートのチャネル2の任意のキュービットに適用される。
【0046】
図2は、磁場構造(例えば、通電ワイヤを使用して生成される)10、11及び磁場内のキュービット15の位置を示す。この実施例では、磁場は、分割周波数を30MHz上回る共鳴周波数を設定する2mTである。通電ワイヤの電磁石を含む磁気スイッチ20は、近くに位置決めされている。
【0047】
分割周波数より+15MHz高い電磁場を生成させるように構成された電磁場源26がある。同様に、電磁場源27、28、29は各々、分割周波数より+30MHz、+45MHz、及び+60MHz高い磁場を生成させるように構成される。
【0048】
電磁場源27は、(チャネル2に適用される)分割周波数(+30MHz)を上回る30MHzの周波数で、ラビ周波数の持続時間2πの電磁場を生成する。2π電磁場全体がキュービット15に適用される場合、2πの回転が生成し得る。しかしながら、(ラビ周波数の)時間π/2で、コントローラ41は磁気スイッチを切り替える。これは、磁気スイッチ20に電流を適用することによって達成される。磁気スイッチは、キュービット位置において磁場を増大させ、それによってキュービットの共鳴を変化させる。(ラビ周波数の)点π/2では、キュービットは+30MHz波と共鳴しなくなり、したがって回転は停止し得る。したがって、π/2の回転が適用され、それ以上は適用されない。このように異なる回転を適用することができる。例えば、4π/3の回転が必要な場合、磁気スイッチを4π/3でオンに切り替えることができる。
【0049】
磁気スイッチによって適用される磁場は、キュービットを共鳴周波数から外すのに十分である。共鳴周波数からキュービットを外すのに十分であり得る。代替的に、1mTの磁場を適用することができ、これは次のチャネルにキュービットを取り込むのに十分である。電磁場源28(+45MHzで)が電磁場を生成している場合、キュービットは電磁場源28の期間に従って回転されてもよい。例えば、追加的な回転があってもよい。
【0050】
図3は、複数のキュービットがあるデバイス上の複数のゲートを図示し、各々が同一のチャネルにある、すなわち同一の共鳴周波数を有する。見て分かるとおり、各ゲートに対してコントローラ41がある。グローバル電磁場は、共鳴周波数(例えば、分割周波数より+30MHz高い)で2πの間生成される。各それぞれのゲートのコントローラ41は、各キュービットが異なる回転を有するように、異なる時間に各磁気スイッチを切り替えることができる。例えば、1つのキュービットは、π/3回転、別のπ/2、別の3π/2などを有し得る。したがって、単一の電磁波は、チャネル2の全てのキュービット(すなわち、30MHzで共鳴する全てのキュービット)に伝送され得るが、個々のスイッチを使用することによって異なるキュービットに適用される異なる回転である。これは、全てのキュービット位置に対して単一のコントローラを示すが、個々のキュービット位置ごとに異なるコントローラを使用することができる。
【0051】
この実施形態は、磁場勾配を使用して説明されているが、磁気スイッチはまた、静的(すなわち、勾配なし)磁場と併せて使用することができる。
【0052】
図4は、各々コントローラ41に接続された電極対31、32、33、34、35、36、37、38の配置を図示する。電圧を電極に適用して、キュービットを移動させることができる。キュービットを移動させる磁場勾配があるシステムについては、キュービットが供される磁場、したがって共鳴周波数が変化する。したがって、チャネル2のキュービットでは、+30MHz電磁場中の所定の時間で電極に電圧を適用して、キュービット5μmをx方向に移動させることができる。例えば、電圧は、電磁場内のラビ周波数の時間π/2で適用され得る。これにより、キュービットが入る磁場、したがって共鳴周波数が変化する。したがって、キュービットは、電磁場のπ/2のみに供され、したがって、適用されるラビ周波数のπ/2のみの回転を受ける。
【0053】
このように、適用される回転は、電磁パルス(共鳴周波数にて)が適用される期間に、イオンのラビ周波数を掛けたものに等しい。
【0054】
図5は、デバイス上の3つの同一のゲートを図示し、各ゲート配置は、図4に図示したものと類似しており、各ゲートは、それ自体のコントローラ41を有する。上述の図3と同様に、各ゲートのそれぞれのキュービットを独立して移動させることによって、異なる回転を各異なるキュービット位置に適用することができる。
【0055】
図6aは、図1~4の配置と併せて使用される磁場勾配を生成させるための通電ワイヤの従来の配置を示す。しかしながら、図6bは、キュービットを共鳴から外す代替方法として使用され得るバイパスがある、代替通電ワイヤを示す。バイパスは、代替的な電流経路へのスイッチを備える。電流経路を変更すると、磁場が変化し、そのためキュービットの共鳴周波数が変化する。コントローラ41によって制御される電磁場内の所定の時間において、スイッチは切り替えられ、電流は異なる経路を取る。
【0056】
理解されるとおり、図6bに図示するように、バイパス配置を各々有する、デバイス上に多くのゲートがあってもよい。
【0057】
上述の回転はx軸又はy軸の周りであり、z軸は磁石によって生成される磁場に平行である。電磁場源によって生成される1つの電磁パルスと別の電磁パルスとの間の相対回転軸は、パルス位相を調整することによって変更することができる。
【0058】
z軸は磁場によって画定されるが、x軸及びy軸は相対的であり、第1の回転が実施されるまで(第1の電磁パルスによって)画定されない。その後、それに続く全ての回転はこれに対するものである。例えば、第2の電磁パルスが、第1の電磁パルス(共鳴周波数に基づく)に対してπ/2の位相を有する場合、第2の回転はy軸の周りにあることになる。例えば、wが共鳴(又は角度)周波数である形態A(t)*sin(w*t+Φ)の単一周波数パルスについて、tは時間であり、Φはパルス位相であり、回転軸はcos Φ*x+sin Φ*yによって与えられる。
【0059】
磁石によって生成される磁場は、キュービットに対する共鳴基準周波数を設定する。したがって、キュービットが供される磁場が変化すると、キュービットの角回転が変化する。したがって、角回転の速度は、基準周波数に対して増加又は基準周波数に対して減少され得る。これにより、基準周波数に対する位相変化が生じる。例えば、磁場の増加は、角周波数の増加をもたらし、基準周波数に対する位相の増加をもたらす。磁場の減少は、角周波数の減少をもたらし、クロック周波数に対する位相の減少をもたらす。
【0060】
キュービットは、基準周波数に対する位相変化を生成する所定の期間の間、共鳴から外されることができる。記述されるように、図2、3、4、5、及び6bに図示した共鳴からキュービットを外す方法及び装置は全て、所定の期間、共鳴からキュービットを外すために使用され得る。当業者によって理解されるように、電磁場源26、27、28及び29は、位相回転に必要とされない。
【0061】
キュービットは、所定の期間、共鳴から外されて第2の共鳴周波数になることができる。位相差は、所定の期間にわたる2つの共鳴周波数間の回転の差によって生成される。したがって、特定の位相差を誘導することができる。
【0062】
図2に示すように、キュービット位置における共鳴周波数は、磁場構造10、11によって設定され、コントローラ41は磁気スイッチを制御する。磁気スイッチは、角回転が増大し、したがってキュービットの位相が基準周波数に対して増大するように、キュービット位置において磁場を増大させる。基準周波数に対して所望の回転を達成するために、所定の時間の間のみ、キュービットは共鳴から外れる。
【0063】
磁気スイッチ20は、磁場を増加させるものとして説明されているが、磁場強度及びキュービット位置を等しく減少させることができる。
【0064】
図3は、個々のキュービットの位相回転を制御することができるように、各々がコントローラ及び磁気スイッチを有する複数のゲートを図示する。
【0065】
図4及び5は、各ゲートが複数の電極を含む配置を図示する。この実施例では、磁場構造は磁場勾配を生成し、電極に適用される異なる電圧は、キュービットが変化として供される磁場勾配が変化するように、キュービットを移動させる。所定の時間の間、キュービットは共鳴から外されて、元の共鳴周波数のクロックに対して所定の位相差を生成し、次いで共鳴に戻って、角(又は共鳴)周波数での角回転を再開する。
【0066】
図6bは、所定の期間、キュービットで磁場を変化させて、キュービットを共鳴から外して位相差を誘発するために使用することができる磁気バイパスを示す。
【0067】
図2、3、4、5、及び6bに図示したキュービットを共鳴から外す方法は、それぞれ独立して、又は代替的に組み合わせて使用することができる。例えば、磁場及びキュービットの位置の両方を変更することができる。
【0068】
本発明は、各ゲートに対して別個の磁石の使用を説明するが、代替物は、全てのゲートのキュービット位置において所定の磁場を生成する複数のゲートにわたる単一の磁気構造である。
【0069】
本発明は、各ゲートに対するコントローラの使用を説明するが、当業者であれば、単一のコントローラを使用して、全てのゲートを独立して制御することができることを理解するであろう。
【0070】
ここでの値は例示的であるが、物理的及び磁気的の両方に、チャネル間の異なる間隔が使用されてもよい。
【0071】
図1は、複数のチャネルを有する磁場勾配を示す。説明したように、追加的な磁場が領域全体に適用されてもよい。これは、磁場の全体的な形状、又は勾配は、同じままであろうが、全領域にわたって磁場を増加又は減少させる効果を有することになる。図1に図示した磁場からのオフセットがある。適用された追加の磁場が1mTであった場合、チャネル1に元々あったキュービットは、チャネル2にあることになる(キュービットが供される総磁場が2mTであるため)。同様に、チャネル2での以前のキュービットはチャネル3にある。このようにして、空間内でキュービットを移動させることなく、チャネル間でキュービットを移動させることが可能である。
【0072】
異なるチャネル間の直線距離は、少なくとも500nmであってもよく、少なくとも1MHzの周波数差を有してもよい。
【0073】
図2の磁気スイッチを使用して、追加的なオフセット磁場を適用することができる。別の方法として、磁気バイパス(磁場勾配を生成するために使用される磁気構造とは無関係)が使用されてもよい。バイパス又はスイッチでは、第1の位置には、第1のグローバル磁場、又はオフセットがあり、キュービットは第1のチャネル内にあってもよい。第1のグローバル磁場、又はオフセットは、ゼロであってもよいが、ゼロでなくてもよい。しかしながら、バイパス又はスイッチでは、第2の位置において、第2のグローバル磁場、又はオフセットがあり、キュービットは、グローバル磁場の変化、又はオフセットに起因して、第2のチャネル(空間内で移動することなく)にあり得る。この方法は、隣接したチャネル間、又は隣接していないチャネル間でキュービットを移動させるために使用され得る。
【0074】
図1に示す磁場勾配はリニアである。しかしながら、リニアでなくてもよく、四角形又は正方形形状であってもよい。
【0075】
本発明は、単一のキュービットゲートと組み合わせて説明されてきたが、2つ以上のキュービットゲートに等しく良好に適用され得る。
【0076】
本発明の様々な更なる態様及び実施形態は、本開示を考慮して当業者には明らかであろう。
【0077】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、他方を有するか、又は有さない2つの特定の特徴又は構成要素の各々の特定の開示として取られるべきである。例えば、「A及び/又はB」は、各々が本明細書に個別に記載されているかのように、(i)A、(ii)B、及び(iii)A及びBの各々の特定の開示として取られるべきである。
【0078】
文脈が別途指示しない限り、上述の特徴の説明及び定義は、本発明の任意の特定の態様又は実施形態に限定されず、記載される全ての態様及び実施形態に等しく適用される。
【0079】
当業者であれば、本発明はいくつかの実施形態を参照して例として説明されているが、更に理解するであろう。開示された実施形態に限定されず、代替的な実施形態は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく構築され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
【手続補正書】
【提出日】2024-05-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の独立した回転ゲートを備えるデバイスであって、各回転ゲートが、それぞれの前記回転ゲートのキュービット位置において所定の強度の磁場を生成するように構成された磁気構造を備え、前記磁場が、あるキュービットの共鳴周波数を、前記キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、前記キュービット位置において設定するように構成されており、前記デバイスが、
前記複数の独立した回転ゲートにわたって所定の期間、前記共鳴周波数の電磁場を生成するように構成された第1の電磁場源を更に備え、
各独立した回転ゲートが、
前記所定の期間内の所定の時間に、それぞれの独立した回転ゲートで、独立して、前記キュービットを共鳴から外すように構成されたコントローラを備える、デバイス。
【請求項2】
複数の独立した位相回転ゲートを備えるデバイスであって、各位相回転ゲートが、前記それぞれの回転ゲートのキュービット位置において所定の強度の磁場を生成するように構成された磁気構造を備え、前記磁場が、あるキュービットの共鳴周波数を、前記キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、前記キュービット位置において設定するように構成されており、
各独立した回転ゲートが、
所定の期間、前記それぞれの独立した回転ゲートで、独立して、前記キュービットを共鳴から外すように構成されたコントローラを備える、デバイス。
【請求項3】
各独立した回転ゲートが、前記コントローラによって制御され、前記キュービット位置において前記磁場を調整するように構成された磁気スイッチを更に備え、前記キュービットを共鳴から外すことが、前記磁気スイッチを切り替えることを含む、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記磁気スイッチが電磁石を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
組み合わされた前記所定の強度の磁場及び前記磁場が、第2の共鳴周波数を生成し、前記デバイスが、前記第2の共鳴周波数の電磁場を生成するように構成された第2の電磁場源を更に備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の電磁場と前記第2の電磁場との間の周波数差が少なくとも1MHzである、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記独立した回転ゲートが、前記キュービットを位置決めするように構成された複数の電極を更に備え、前記キュービットを共鳴から外すことが、前記電極に電圧を適用して、前記キュービットを移動させることを含む、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項8】
前記磁場が磁場勾配を含む、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項9】
前記磁気構造が電磁石を含む、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項10】
前記磁気構造が、前記キュービット位置において前記磁場を変化させ、所定の時間で前記キュービットを共鳴から外すように構成された磁気バイパスを備え、前記コントローラが、前記磁気バイパススイッチを制御して、前記キュービット位置において前記磁場を変化させるように構成されている、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項11】
前記磁気構造が、通電ワイヤを備え、前記磁気バイパスが、前記ワイヤを通る前記電流の経路を変更するためのスイッチを備える、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記所定の時間が、前記共鳴周波数の単一の期間である、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項13】
第1の回転ゲートにおける第1のキュービットと、第2の回転ゲートにおける第2のキュービットと、を更に備える、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項14】
複数のキュービット位置において複数のキュービットに独立した回転を適用する方法であって、前記キュービットが、磁気的に敏感な電子状態を有し、前記方法が、
前記キュービット位置において所定の強度の磁場を生成することであって、前記磁場が、共鳴周波数を、前記キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、前記キュービット位置において設定する、生成することと、
所定の期間、前記複数のキュービットにわたって、前記共鳴周波数の電磁場を生成することと、
前記所定の期間内の所定の時間に、前記複数のキュービットからのあるキュービットを共鳴から外すことと、を含む、方法。
【請求項15】
複数のキュービット位置において複数のキュービットに独立した位相回転を適用する方法であって、前記キュービットが、磁気的に敏感な電子状態を有し、前記方法が、
前記キュービット位置において所定の強度の磁場を生成することであって、前記磁場が、共鳴周波数を、前記キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、前記キュービット位置において設定する、生成することと、
所定の期間にわたって、前記複数のキュービットからのあるキュービットを共鳴から外すことと、を含む、方法。
【請求項16】
前記キュービットを共鳴から外すことが、前記キュービット位置に追加の磁場を適用することを含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
所定の強度の磁場をキュービット位置において生成することが、磁場勾配を生成することを含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項18】
前記キュービットを共鳴から外すことが、前記キュービットの前記共鳴周波数が変化するように前記キュービットを移動させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記磁場が、磁気バイパスを備える磁気構造によって生成され、前記キュービットを共鳴から外すことが、前記キュービット位置において前記磁場を変化させるように前記磁気スイッチを制御することを含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項20】
前記磁気構造が、通電ワイヤを備え、前記磁気バイパスが、前記ワイヤを通る前記電流の経路を変更するためのスイッチを備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
デバイスであって、量子プロセッサと、第1の周波数で第1の電磁場を生成するように構成された第1の電磁場源と、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で第2の電磁場を生成するように構成された第2の電磁場源と、を備え、前記量子プロセッサが、
第1の磁場を生成する第1の位置と第2の磁場を生成する第2の位置とを有する切替可能な磁石と、
空間内に磁場勾配を生成するように構成された磁気構造と、を備え、キュービットの磁気的に敏感な電子状態に起因して、前記切替可能な磁石が第1の位置にある状態では、第1の位置における前記磁場が、前記第1の位置において、あるキュービットの共鳴周波数を前記第1の周波数に設定し、第2の位置における前記磁場が、前記第2の位置において、あるキュービットの共鳴周波数を前記第2の周波数に設定し、
前記切替可能な磁石が前記第2の位置にあるときに、前記第1の位置において、あるキュービットが前記第2の周波数の共鳴周波数を有する、デバイス。
【請求項22】
磁気的に敏感な電子状態を有するキュービットの共鳴周波数を変更する方法であって、前記方法が、
空間内に磁場勾配を生成することであって、前記キュービットの前記磁気的に敏感な電子状態に起因して、第1の位置における前記磁場が、前記第1の位置において、あるキュービットの共鳴周波数を第1の周波数に設定し、第2の位置における前記磁場が、前記第2の位置において、あるキュービットの共鳴周波数を前記第2の周波数に設定する、生成することと、
前記第1の位置において、あるキュービットが前記第2の周波数の共鳴周波数を有するように、追加的な磁場を生成することと、を含む、方法。
【国際調査報告】