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特表2024-527175レボドパと組み合わせるオピカポンを用いたパーキンソン病に関連する疼痛の治療
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  • 特表-レボドパと組み合わせるオピカポンを用いたパーキンソン病に関連する疼痛の治療 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-22
(54)【発明の名称】レボドパと組み合わせるオピカポンを用いたパーキンソン病に関連する疼痛の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/198 20060101AFI20240712BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240712BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240712BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240712BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240712BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240712BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
A61K31/198
A61P43/00 121
A61K31/4439
A61P25/16
A61P25/04
A61P25/22
A61P25/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543464
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 PT2021050026
(87)【国際公開番号】W WO2022158992
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】PCT/PT2021/050001
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PT
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.掲載アドレス: https://www.clinicaltrialsregister.eu/ctr-search/trial/2020-001175-32/GB#A 2.掲載日: 令和2年8月7日 3.公開者: ビアル-ポルテラ エ コンパニア,ソシエダッド アノニマ
(71)【出願人】
【識別番号】509095086
【氏名又は名称】ビアル-ポルテラ エ コンパニア,ソシエダッド アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】パトリシオ、ソアレス、ダ、シルバ
(72)【発明者】
【氏名】ホセ、フランシスコ、ダ、コスタ、デ、ピノ、ロチャ
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC71
4C086GA08
4C086GA09
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA08
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA56
4C206HA03
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA02
4C206ZA05
4C206ZA08
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、パーキンソン病(PD)に関連する疼痛を治療する方法に関する。特に、本発明は、パーキンソン病に関連する疼痛(特に、変動に関連する疼痛)の治療のためのオピカポンの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーキンソン病に関連する疼痛の治療における使用のための、レボドパまたはその薬学的に許容可能な誘導体と組み合わせる、オピカポンまたはその薬学的に許容可能な誘導体。
【請求項2】
患者が、Kingのパーキンソン病疼痛スケール(KPPS)の合計スコアが40以上である、請求項1に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項3】
前記治療が、KPPSにおける前記患者の合計スコアを、好ましくは8以下のスコアに、より好ましくは10以下のスコアに、最も好ましくは12以下のスコアに、低下させる、請求項1または2に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項4】
治療される前記患者が、エンドオブドーズの運動症状の変動を経験する、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項5】
前記パーキンソン病に関連する疼痛が、エンドオブドーズの運動症状の変動に関連する疼痛である、請求項4に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項6】
前記エンドオブドーズの運動症状の変動に関連する疼痛が、KPPSの領域3による変動に関連する疼痛である、請求項5に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項7】
治療される前記患者が、KPPSの領域3におけるスコアが12以上である、請求項6に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項8】
前記治療が、KPPSの領域3における前記患者のスコアを、好ましくは2以下のスコアに、より好ましくは3以下のスコアに、最も好ましくは4以下のスコアに低下させる、請求項6または7に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項9】
前記パーキンソン病に関連する疼痛が、夜間の疼痛である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項10】
前記夜間の疼痛が、KPPSの領域4による夜間の疼痛である、請求項9に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項11】
治療される前記患者が、KPPSの領域4におけるスコアが8以上である、請求項10に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項12】
前記治療が、KPPSの領域4における前記患者のスコアを、好ましくは0.5以下のスコアに、より好ましくは1以下のスコアに、最も好ましくは2以下のスコアに、低下させる、請求項10または11に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項13】
治療される前記患者が、1つ以上のさらなる非運動症状を経験し、前記治療が、これら症状の1つ以上を軽減させる、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項14】
前記治療が、運動障害学会の非運動スケール(MDS-NMS)における前記患者の合計スコアを低下させる、請求項13に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項15】
治療される前記患者が、不安症を経験し、前記治療が、MDS-NMSの領域Bにおける前記患者のスコアを低下させる、請求項13または14に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項16】
治療される前記患者が、うつ病を経験し、前記治療が、MDS-NMSの領域Aにおける前記患者のスコアを低下させる、請求項13~15のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項17】
治療される前記患者が、睡眠障害を経験し、前記治療が、MDS-NMSの領域Kにおける前記患者のスコアを低下させる、請求項13~16のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項18】
前記組み合わせが、好ましくはカルビドパまたはベンセラジドから選択されるドパ脱炭酸酵素阻害剤(DDCI)をさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項19】
オピカポンまたはその薬学的に許容可能な誘導体が、好ましくは10~100mgのオピカポンに等価の用量で、より好ましくは25~50mgのオピカポンに等価の用量で、最も好ましくは50mgのオピカポンに等価の用量で、1日1回投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項20】
パーキンソン病に関連する疼痛を治療する方法であって、治療上有効な量のレボドパまたはその薬学的に許容可能な誘導体と組み合わせる治療上有効な量のオピカポンまたはその薬学的に許容可能な誘導体を、パーキンソン病に関連する疼痛をわずらうと同定された患者に投与することを含む、方法。
【請求項21】
パーキンソン病に関連する疼痛の治療において使用するための医薬の製造における、レボドパまたはその薬学的に許容可能な誘導体と組み合わせるオピカポンまたはその薬学的に許容可能な誘導体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーキンソン病(PD)に関連する疼痛を治療する方法に関する。特に、本発明は、パーキンソン病に関連する疼痛(特に、変動に関連する疼痛)の治療のためのオピカポンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
運動合併症はPDの最もよく知られた症状であるが、ジェームス・パーキンソン自身、彼の名を冠することになるこの疾患の非運動症状(NMS)に言及し、記述している。これらの症状には、睡眠問題、腸機能障害および疼痛が含まれる。しかしながら、PDの研究や治療は歴史的に運動症状のコントロールに重点が置かれており、NMSの重要性が広く認識されるようになったのは比較的最近のことである[Martinez-Fernandez et al, 2016]。
【0003】
疼痛は、PDのNMSの中でも最も頻度が高く、負担の大きいものの一つであり、PD患者の最大85%において重大な合併症であり、上記疾患の運動症状に先行することがある。疼痛は、PDの他のNMS(睡眠障害や心血管障害など)と関連することが示されており、疼痛、睡眠障害および自律神経異常には、非ドパミン作動性経路が関与する可能性のある共通の病態生理があるかもしれないことが示唆されている[Ghosh et al, 2020]。一方、PDで報告される疼痛の大部分は侵害受容性疼痛である[Truini et al, 2013]。ドパミンは、疼痛を調節し得、抗侵害受容的な役割を持つことが知られており[Allen et al, 2015]、ドパミン作動療法は、PDにおける疼痛の緩和に役立つことが示されている[Brefel-Courbon et al, 2005, 2013; Antonini et al, 2018; Rukavina et al, 2019]。したがって、PDにおける疼痛は、少なくとも部分的にはドーパミンに関連した病因を持つ可能性がある[Antonini et al, 2018; Seppi et al, 2019]。その結果、ドーパミン作動療法を最適化することで、PDに関連する疼痛の緩和に役立つかもしれない[Jung et al, 2015; Antonini et al, 2018; Rukavina et al, 2019; Dafsari et al, 2019]。しかしながら、PDに関連する疼痛におけるドパミン作動性療法の有用性に関する臨床エビデンスは不足しており[Seppi et al 2019]、このセッティングにおける先行研究には顕著な限界がある。
【0004】
第II相PANDA試験は、PDに関連する疼痛に対する治療を具体的に評価した最初の無作為化比較試験である。適格患者は、徐放性オキシコドン-ノロキソンまたはプラセボのいずれかを投与する群に無作為に割り付けられた。16週時点の24時間平均疼痛スコア(主要エンドポイント)に治療群間で有意差はみられなかった。しかしながら、疼痛の評価に使用された尺度は一般的な疼痛尺度(リッカート尺度)であり、プラセボ群ではレボドパがレスキュー治療としてより頻繁に使用されたため、これらの両方の要因が結果に影響を与えた可能性がある[Trenkwalder et al, 2015]。
【0005】
二重盲検探索的DOLORES試験は、主要アウトカムとしてPDに関連する疼痛に対するドパミンアゴニスト(ロチゴチン;経皮パッチとして投与)の効果を検討した最初の試験であった。この結果は、ロチゴチンが進行期PD患者のPDに関連する慢性疼痛を改善する可能性を示唆したが、サンプルサイズが小さかったため、この試験には統計学的に有意な治療差を検出する検出力はなかった[Rascol et al, 2016]。
【0006】
サフィナミド(モノアミン酸化酵素B阻害を含む複数の作用機序を有する薬剤)は、既存のレボドパベースの治療に追加した場合、プラセボと比較して、鎮痛薬の必要性を有意に減少させ、PDQ-39の疼痛に関連する3項目のうち2項目を有意に改善することが示された[Cattaneo et al, 2017]。サフィナミドは、不活性化状態のヒト電位依存性ナトリウムチャネル(VGSC)の状態依存性阻害薬であり、グルタミン酸作動性亢進の選択的阻害を調節する可能性があり、これはレボドパ療法に反応しない一部のPD非運動症状(特に、疼痛や精神神経症状)の治療に有効な戦略かもしれない、と著者らは指摘した。したがって、いずれの効果も、サフィナミドのモノアミン酸化酵素Bに対する作用に非依存性である可能性がある。
【0007】
レボドパは、現在でもPDの最も有効な対症療法である[Poewe et al, 2010]。しかしながら、レボドパは、経口投与後に末梢でドパ脱炭酸酵素(DDC)とカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)によって広範囲に代謝され、その結果、経口投与量のわずか1%しか脳に到達しない。さらに、レボドパによる長期治療は、「ウェアリングオフ」期間(エンドオブドーズ(end-of-dose)の運動症状の変動によって特徴付けられる)や薬剤誘発性ジスキネジアの発現によって複雑になる[Poewe et al, 2010]。PDに関連する疼痛は、このようなOFF期間中に増加することが多く、ジスキネジアを伴う患者は、多くの場合、疼痛感受性が亢進している[Cheon et al, 2009; Sung et al, 2020]。
【0008】
DDC(DDCI)およびCOMT(COMTI)の阻害剤は、レボドパのバイオアベイラビリティおよび脳への送達を増加させ、それによってウェアリングオフ症状を改善することから、PD患者においてレボドパの補助剤として一般的に使用されるが、潜在的にジスキネジアを悪化させる[Mueller,2015;Montioliら,2016]。国際公開第01/68083号によれば、COMTIは、あらゆる起源の疼痛(急性および慢性疼痛を含む)の治療またはコントロールに使用してもよい。しかしながら、この主張を支持する証拠は、炎症性疼痛の2つの動物モデル(すなわち、修正ランダルセリット試験および酢酸誘発ライジング試験)におけるニテカポンおよびエンタカポンの使用に限定されている。中枢性鎮痛の動物モデルを用いた第3の実験(ホットプレート試験)では、ニテカポンとエンタカポンの鎮痛作用が、CNSを介さず、何らかの(未同定の)末梢機序を介することが示された。当業者は、異なるサブタイプの疼痛は異なる治療に反応し、動物モデルにおける急性疼痛に対する効果は代替的な疼痛パラダイムにおける効果を示すものではないことを認識している。
【0009】
オピカポンは、第3世代の1日1回投与のCOMTIであり[Kiss et al, 2010; Almeida et al, 2013; Scott, 2016; Fabbri et al 2018]、PDおよびエンドオブドーズの運動症状の変動を有する患者を対象とした2つの重要な試験(BIPARK-IおよびBIPARK-II)[Ferreira et al, 2016; Lees et al, 2017]において、全般的に忍容性が高く、OFF時間の減少に有効であることが示されている。これらの試験に基づき、オピカポンは、レボドパ/DDCI製剤の補助療法として、PDおよびエンドオブドーズ運動症状の変動を有する患者において[Ongentys(登録商標)欧州製品特性概要書]またはOFFエピソードを有する患者において[Ongentys(登録商標)米国添付文書]、欧州、米国、日本、オーストラリアおよびその他の国々で承認されている。オピカポンは、BIPARK-II試験[Oliveira et al, 2015]およびより最近のOPTIPARK試験[Reichmann et al, 2020]の両試験において、疼痛を1つの側面として含む運動障害学会の非運動症状尺度(Movement Disorder Society Non-Motor Symptoms Scale:NMSS)の「その他」領域でポジティブシグナルが観察されたものの、その効果はプラセボ(BIPARK-II試験)で観察された効果よりも小さく、疼痛に対する特異的な効果は同定されなかった。プラセボは、PDにおいてドパミン受容体を活性化し、ドパミン様作用を誘発することが知られている[de la Fuente-Fernandez et al, 2002; Benedetti, 2014; Colloca, 2019; Lou, 2020]。
【発明の概要】
【0010】
本発明者らは、オピカポンの特性および効果に関する詳細な知識、ならびにPDに関連する疼痛の課題について理解した結果、レボドパ/DDCIによる既存の治療の補助療法としてオピカポンを投与した場合の、エンドオブドーズの運動症状の変動および関連する疼痛を有するPD患者におけるオピカポンの有効性を調査することを選択した。このような洞察により、以下に要約する本発明が着想された。
【0011】
第一の概括的実施態様は、パーキンソン病に関連する疼痛の治療における使用のための、レボドパ(またはその薬学的に許容可能な誘導体)と組み合わせる、オピカポン(またはその薬学的に許容可能な誘導体)に関する。
【0012】
第二の概括的実施態様は、パーキンソン病に関連する疼痛の治療において使用するための医薬の製造における、レボドパ(またはその薬学的に許容可能な誘導体)と組み合わせるオピカポン(またはその薬学的に許容可能な誘導体)の使用に関する。
【0013】
第三の概括的実施態様は、パーキンソン病に関連する疼痛を治療する方法であって、治療上有効な量のレボドパ(またはその薬学的に許容可能な誘導体)と組み合わせる治療上有効な量のオピカポン(またはその薬学的に許容可能な誘導体)を、パーキンソン病に関連する疼痛をわずらうと同定された患者に投与することを含む方法に関する。
【0014】
本発明の一例は、添付の図面を参照しながら、詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】エンドオブドーズの運動症状の変動およびPDに関連する疼痛を有するPD患者を対象とした、無作為化二重盲検の、プラセボ対照並行群間の介入試験の試験デザインを示す。V2は、V2aとV2bに分けられていることに留意されたい。V2aでON/OFFのダイアリーの記入が遵守されなかった場合、患者はダイアリーの正しい使い方について再教育を受け、V2bの来院は3~4日延期される。V2aでダイアリーの記入に問題がなければ、V2bは同日に直ちに実施される。図1において、AE=有害事象;DDCI=ドパ脱炭酸酵素阻害剤;L-ドパ=レボドパ;PD=パーキンソン病;PSV=試験後の来院;V=来院。
図2】試験評価のタイムラインを示す。図2において、CGI-C=臨床全般印象度の変化;DDCI=ドパ脱炭酸酵素阻害剤;EMD=早朝のジストニア;KPPS=Kingパーキンソン病疼痛尺度;L-ドパ=レボドパ;MDS-NMS=運動障害学会支援の非運動評価尺度;MDS-UPDRS=運動障害学会支援の統合されたパーキンソン病評価尺度;PDQ-8=8項目のパーキンソン病の質問票;PGI-C=患者の全般印象度の変化;PSV=試験後の来院;V=来院。
【発明の具体的説明】
【0016】
第一の実施態様において、本発明は、パーキンソン病に関連する疼痛の治療における使用のための、レボドパ(またはその薬学的に許容可能な誘導体)と組み合わせる、オピカポン(またはその薬学的に許容可能な誘導体)を提供する。
【0017】
第二の実施態様において、本発明は、パーキンソン病に関連する疼痛の治療において使用するための医薬の製造における、レボドパ(またはその薬学的に許容可能な誘導体)と組み合わせるオピカポン(またはその薬学的に許容可能な誘導体)の使用を提供する。
【0018】
第三の実施態様において、本発明は、パーキンソン病に関連する疼痛を治療する方法であって、治療上有効な量のレボドパ(またはその薬学的に許容可能な誘導体)と組み合わせる治療上有効な量のオピカポン(またはその薬学的に許容可能な誘導体)を、パーキンソン病に関連する疼痛をわずらうと同定された患者に投与することを含む方法を提供する。したがって、第三の実施態様における方法は、パーキンソン病だけでなくそれに関連する疼痛もわずらっており、したがって本発明の恩恵を受ける患者を特定する最初のステップを含む。
【0019】
上記3つの実施態様の各々について、以下の段落において本発明の好ましい態様が記載される。
【0020】
主要な指標
本発明の主要な目的は、パーキンソン病に関連する疼痛の治療である。パーキンソン病に関連する疼痛の重症度は、Kingパーキンソン病疼痛尺度(KPPS)を用いて測定してもよい。KPPSは、PDにおける疼痛の負担を評価し、さまざまな表現型を特徴付けるものである。KPPSは、全14項目を含む7つの領域を含む。上記領域は、以下のとおりである:
1.筋骨格系の疼痛(関節周囲の疼痛(関節痛を含む));
2.慢性疼痛(全身性または臓器特異的);
3.変動に関連する疼痛(運動障害性疼痛、「OFF」ジストニア、または全般的な「OFF」期間の疼痛);
4.夜間の疼痛(痙攣している下肢の動きに関連する疼痛、または下肢の不快な灼熱感で、動かすと改善するもの、または寝返りの困難性に関連する疼痛);
5.顎顔面痛(咀嚼時の疼痛、夜間の歯ぎしりによる疼痛、口内灼熱感症候群);
6.変色、浮腫/腫脹(四肢の灼熱痛(腫脹またはドパミン作動性治療に伴うことが多い)または全身の下腹部痛);および
7.輻射性疼痛(四肢を突き刺すような疼痛/ピンや針を刺すような疼痛)。
【0021】
各項目は、重症度(0 全くない、3 非常に重症)に頻度(0 全くない、4 常にある)を乗じてスコア化され、0~12のサブスコアとなる。KPPSの合計スコア(理論的範囲は0~168)は、疼痛による症状負担を表す[Chaudhuri et al, 2015]。
【0022】
本発明による治療により、これら7つの領域の1つ以上において患者のスコアの低下をもたらす。本発明の恩恵を受ける特定の集団は、KPPSの合計スコアが40以上である患者である。好ましくは、本発明による治療は、KPPSにおける上記患者の合計スコアを(好ましくは8以下のスコアに、より好ましくは10以下のスコアに、最も好ましくは12以下のスコアに)低下させる。
【0023】
パーキンソン病に関連する疼痛は、必ずしもエンドオブドーズの運動症状の変動に関連するわけではなく、あらゆる疾患ステージで起こりうるが、治療される上記患者は、エンドオブドーズの運動症状の変動を経験することが好ましい。エンドオブドーズの運動症状の変動(「ウェアリングオフ」現象としても知られている)は、レボドパの長期投与の結果としてよく知られている。これは、次のレボドパ投与前に、予測可能な症状の再出現または悪化に関する。典型的には、このような症状の再出現または悪化は、レボドパの最終投与から3~4時間後に、薬の治療効果が切れるにつれて始まる。その後、典型的には次のレボドパ投与から15~45分後に症状が改善する。
【0024】
エンドオブドーズの運動症状の変動を経験している患者において、パーキンソン病に関連する上記疼痛は、エンドオブドーズの運動症状の変動に関連する疼痛(好ましくは、運動障害性疼痛、「OFF」ジストニア、または全身性の「OFF」期間の疼痛など)である。この種の疼痛の重症度は、KPPSの領域3による変動に関連する疼痛として測定されてもよい。本発明の恩恵を受ける特定の集団は、KPPSの領域3において12以上のスコアの患者である。好ましくは、本発明による治療は、KPPSの領域3における患者のスコアを(好ましくは2以下のスコアに、より好ましくは3以下のスコアに、最も好ましくは4以下のスコアに)低下させる。この低下は、サブ領域(運動障害性疼痛、「OFF」ジストニア、または全般的な「OFF」期間の疼痛)の1つ以上の低下を含んでもよい。
【0025】
代替的にまたは追加的に、上記パーキンソン病に関連する疼痛は、夜間の疼痛である。このタイプの疼痛の重症度は、KPPSの領域4による夜間の疼痛として測定されてもよい。本発明の恩恵を受ける特定の集団は、KPPSの領域4におけるスコアが8以上の患者である。好ましくは、本発明による治療は、KPPSの領域4における上記患者のスコアを(好ましくは0.5以下のスコアに、より好ましくは1以下のスコアに、最も好ましくは2以下のスコアに)低下させる。
【0026】
患者集団
患者は、パーキンソン病に関連する疼痛をわずらっており、好ましくは、治療される患者は、エンドオブドーズの運動症状の変動も経験する。本発明により治療されるそのような患者は、本発明により治療される前に、最大8時間/日(好ましくは、本発明により治療される前に、0.5~8時間/日、1~8時間/日、2~8時間/日、4~8時間/日、5~8時間/日)の平均OFF時間を経験していてもよい。投与終了時の運動量の変動を経験している患者は、本発明による治療の前に、長期間の治療(例えば、1年超、好ましくは2年超、より好ましくは3年超、さらに好ましくは4年超、最も好ましくは5年超)を受けている傾向がある。本発明により治療される患者は、本発明により治療される前に(例えば、本発明により治療される1ヶ月超前に、好ましくは3ヶ月超前に、より好ましくは6ヶ月超前に、さらにより好ましくは1年超前に、最も好ましくは2年超前に)、運動症状および/または運動合併症(例えば、ジスキネジアを伴うかまたは伴わない運動症状の変動)を経験していてもよい。
【0027】
好ましい患者群は、比較的短期間しかエンドオブドーズの運動症状の変動を経験していない患者を含む。本発明により治療されるそのような患者は、本発明により治療される前に、最大4時間/日(本発明により治療される前に、好ましくは最大3時間/日、より好ましくは最大2時間/日、さらに好ましくは最大1時間/日、最も好ましくは最大0.5時間/日)の1日平均OFF時間を経験していてもよい。比較的短期間しかエンドオブドーズの運動症状の変動を経験していない患者は、本発明による治療の前により短期間(例えば、本発明による治療の前に5年未満、好ましくは4年未満、より好ましくは3年未満、さらに好ましくは2年未満、最も好ましくは1年未満)の治療を受けている傾向がある。本発明により治療される上記患者は、本発明により治療される前に(例えば、本発明により治療される2年未満前に、好ましくは1年未満前に、より好ましくは6ヶ月未満前に、さらに好ましくは3ヶ月未満前に、最も好ましくは1ヶ月未満前に)運動症状および/または運動合併症(例えば、ジスキネジアを伴うかまたは伴わない運動症状の変動)を経験していてもよい。
【0028】
二次的指標
パーキンソン病に関連する疼痛をわずらうことに加えて、治療される上記患者は、1つ以上のさらなる非運動症状を経験していてもよく、好ましくは、上記治療によりこれら症状の1つ以上も軽減される。非運動症状の重症度は、運動障害学会の非運動尺度(MDS-NMS)を用いて評価されてもよい。MDS-NMSは、主要なPDおよび治療に関連する非運動症状の範囲をカバーする13の領域と、8つの領域にわたる抗PD薬のタイミングに関連した非運動症状の変化を評価する非運動変動に関するサブ尺度を含む[Martinez-Martin et al, 2019; Chaudhuri et al, 2020]。好ましくは、本発明による治療は、MDS-NMSにおける患者の合計スコアを低下させる。
【0029】
パーキンソン病に関連する疼痛に加えて(特に「OFF」期間中に)経験されることのある特定の非運動症状は、不安症であり、好ましくは、上記治療は、この症状も軽減する。好ましくは、上記治療は、MDS-NMSの領域Bにおける上記患者のスコアを低下させる。
【0030】
パーキンソン病に関連する疼痛に加えて(特に「OFF」期間中に)経験されることのある別の非運動症状は、うつ病であり、好ましくは、上記治療は、この症状も軽減させる。好ましくは、上記治療は、MDS-NMSの領域Aにおける上記患者のスコアを低下させる。
【0031】
パーキンソン病に関連する疼痛に加えて経験されることのある別の非運動症状は、睡眠障害であり、好ましくは、上記治療は、この症状も軽減させる。好ましくは、上記治療は、MDS-NMSの領域Kにおける上記患者のスコアを低下させる。
【0032】
治療レジメン
本発明の文脈において、有効成分の「薬学的に許容可能な誘導体」という語句は、毒性がなく、患者への投与時に有効成分そのものに変換される化合物を意味する。これは、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物およびプロドラッグ(例えば、エステル)を含む。
【0033】
有効成分オピカポン(またはその薬学的に許容可能な誘導体)が有効成分レボドパ(またはその薬学的に許容可能な誘導体)と組み合わせて投与される本発明の文脈において、「組み合わせて」という語句は、上記2つの有効成分が同じ投与量単位で投与されなければならないことを意味しない。実際、それらは同じ時点で投与される必要さえない。したがって、「組み合わせて」という語句は、単に、上記2つの有効成分が同時に患者においてそれらの薬理学的効果を発揮することを意味する。したがって、上記2つの有効成分は、同一または異なる投与量単位で、同一または異なる投与頻度で、同時に、別々にまたは逐次的に投与されてもよい。
【0034】
オピカポン(またはその薬学的に許容可能な誘導体)の特定の投与量および投与頻度は、熟練した医師により決定されてもよい。好ましくは、1日1回投与される。好ましくは、各用量は、10~100mgのオピカポンに等価(より好ましくは25~50mgのオピカポンに等価、最も好ましくは50mgのオピカポンに等価)である。最も好ましい用量および投与頻度は、1日1回50mgである。オピカポンは、食物およびレボドパと相互作用しうる。したがって、好ましくは、食事の少なくとも1時間前または食事の少なくとも1時間後に投与され、レボドパの少なくとも1時間前またはレボドパの少なくとも1時間後に投与される。特に好適な投与ポイントは、就寝時またはその近く(例えば、睡眠の1時間前まで)である。
【0035】
レボドパ(またはその薬学的に許容可能な誘導体)の特定の投与量および投与頻度は、熟練した医師により決定されてもよい。好ましくは、1日3~10回投与される。好ましくは、各用量は、50~200mgのレボドパに等価(より好ましくは75~125mgのレボドパに等価、最も好ましくは100mgのレボドパに等価)である。好ましくは、1日の合計用量は、300~2000mgのレボドパに等価(より好ましくは500~1000mgのレボドパ)に等価である。
【0036】
レボドパ療法は、多くの場合DOPA脱炭酸酵素阻害剤(DDCI)の使用により恩恵を受ける。したがって、本発明による治療は、好ましくはカルビドパまたはベンセラジドから選択されるDDCIの投与を含む。DDCIの特定の投与量および投与頻度は、熟練した医師により決定されてもよい。好ましくは、1日3~10回投与される。好ましくは、1日の合計用量は、25~500mgのDDCIに等価(より好ましくは75~250mgのDDCIに等価)である。
【実施例
【0037】
本発明を例証する臨床試験が、以下に記載される。
【0038】
試験デザイン
本試験は、エンドオブドーズの運動症状の変動およびPDに関連する疼痛を有するPD患者(試験開始4週間以上前から経験し、スクリーニング時およびベースライン時でのKPPSの領域3のスコアが12点以上)を対象とした第IV相の、無作為化二重盲検の、プラセボ対照並行群間の介入試験である。本試験は、1週間のスクリーニング期間、24週間の二重盲検治療期間および2週間の追跡期間で構成される(図1)。スクリーニング後、来院(V)2において、適格患者は、レボドパ/DDCIによる現在の治療を継続しながら、オピカポン50mgまたはプラセボ(PLC)を1日1回投与する群に1:1で無作為に割り付けられる。オピカポンがレボドパの作用を増強するため、オピカポン治療の最初の数日間または数週間はレボドパ/DDCIの用量を減量する必要がある場合がある;したがって、治験責任医師は、毎日の投与回数を変えずに維持しつつ、必要であればV4までレボドパ/DDCIの1日用量を減量してもよい。必要であれば、用量をベースラインの用量のレベルに戻してもよい。V4以降、試験終了までレボドパ/DDCIの用量を変更すべきではない。抗PD治療レジメンは、V1の少なくとも4週間前から安定であり(表1)、試験期間中も安定を維持する(調整期間中のレボドパ/DDCIを除く)。試験期間中に新たな抗PD薬を開始してはならない。
【0039】
慢性疼痛治療は、V1の少なくとも4週間前から安定しており(表1)、試験期間中は、許可されたレスキュー薬(パラセタモールまたはトラマドール)を除き、新たな鎮痛薬を開始してはならない。試験期間中、鎮痛薬に関連する有害事象(AE)により必要であれば、ベースラインの鎮痛薬の用量を減量してもよい;減量が過剰であると治験責任医師が判断した場合は、ベースラインの用量レベルまで再度増量してもよい。さらに、85日目±4日目(V5)と169日目±4日目(V6)に来院を実施する。一次解析はV6で収集されたデータを用いて行う。追跡来院は、試験薬(オピカポン50mgまたはPLC)の最終摂取から約2週間後の183±4日目(V7)に実施する。早期に投与を中止した患者には、早期中止面会への出席を求める。V6(または、該当する場合は早期中止面会)において、治験責任医師は患者のその後の治療(すなわち、オピカポンの追加処方または他の治療への切り替え)を手配する。
【0040】
試験した集団
選択基準および除外基準を、以下の表1に概説する。
【0041】
試験の評価
研究評価の概要を以下の表2に提示し、これらの評価の時期を図2に概略を示す。
【0042】
有効性
主要な有効性エンドポイントは、KPPSの領域3(変動に関連する疼痛)のベースラインからの変化である。KPPSは、PDにおける疼痛の負担を評価し、様々な表現型を特徴付けるものである。KPPSは全14項目を含む7つの領域を含む。各項目は、重症度(0~3)に頻度(0~4)を乗じてスコア化され、0~12のサブスコアとなる。KPPSの合計スコア(0~168)は、疼痛による症状負担を表す[Chaudhuri et al, 2015]。
【0043】
重要な二次的有効性エンドポイントは、運動障害学会支援の非運動評価尺度(MDS-NMS)の領域B(不安)におけるベースラインからの変化である。MDS-NMSは、重要なPDおよび治療に関連する非運動症状の範囲をカバーする13の領域と、8つの領域にわたる抗PD薬のタイミングに関連した非運動症状の変化を評価する非運動変動に関する下位尺度を含む[Martinez-Martin et al, 2019; Chaudhuri et al, 2020]。
【0044】
追加の二次的有効性エンドポイントは、KPPSおよびMDS-NMSの他の領域および合計スコア(運動障害学会支援の統一されたパーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)の第III部および第IV部におけるベースラインからの変化、パーキンソン病の質問票(PDQ-8)におけるベースラインからの変化、臨床全般印象度の変化(CGIC)、患者の全般印象度の変化(PGIC)、HauserのPDダイアリーによる機能的状態におけるベースラインからの変化、朝のジストニアにおけるベースラインからの変化、レスキュー薬の使用)を含む(以下の表2を参照)。
【0045】
MDS-UPDRSは、1980年代に当初開発されたUPDRSの改訂版であり、PDの様々な側面を評価する;これは、4部から構成される:第IA部および第IB部(日常生活の非運動的側面の体験);第II部(日常生活の運動的側面の体験);第III部(運動検査);および第IV部(運動合併症)。PDQ-8(PDQ-39の短縮版)は、患者報告式のアウトカムであり、通常PDによって悪影響を受ける機能および幸福の8つの側面(運動能力、日常生活動作、感情的幸福、スティグマ、社会的支援、認知、コミュニケーションおよび身体的不快感)を評価する。これは、0点(健康状態良好)~100点(健康状態不良)までの1つのスコアを提供することによって、総合的な健康状態を評価する。CGICとPGICはそれぞれ、試験開始時から患者の全体的な状態がどの程度改善したか、または悪化したかについての治験責任医師と患者の評価であり、7点の尺度を含む(1:「非常に改善した」;2:「かなり改善した」;3:「最低限改善した」;4:「変化なし」;5:「最低限悪化した」;6:「かなり悪化した」;7:「非常に悪化した」)。HauserのPDダイアリーは、各30分間の患者の運動状態を記録するもので、睡眠時;OFF時;ジスキネジアを伴わないON時;厄介でないジスキネジアを伴うON時;厄介なジスキネジアを伴うON時、のようにカテゴリー化される。朝のジストニアのベースラインからの変化を評価する場合、治験責任医師は、患者に最近1週間以内にいかなる朝のジストニアを経験したかどうかを尋ねる(旧版UPDRSの項目35に基づく)。レスキュー薬(パラセタモールまたはトラマドール)を投与する量と頻度は、患者がダイアリーに記録する。
【0046】
安全性評価
安全性評価には、治療に起因する有害事象(TEAE)の発生、バイタルサイン、身体的検査および神経学的検査、通常のラボパラメータのベースラインからの変化などが含まれる(表2および図2参照)。
【0047】
サンプルサイズの計算
主要な有効性エンドポイント(KPPSの領域3におけるベースラインからの変化)については、PLCとの差が3.0であれば臨床的に意味があるとみなされる。以前の研究[Rascol et al, 2016]から、標準偏差(SD)は5.8と仮定されうる。両側有意性αを0.05、検出力を80%、治療割り付け比を1:1とし、上記の仮定を用いると、2×60=120人の評価可能な患者が必要となる。脱落率を15%と仮定すると、合計140人の患者を無作為化する必要がある。無作為化は1:1の割り付け比(オピカポン50mgまたはPLC)に従う。
【0048】
統計学的手法
有効性評価は、無作為化され、主要有効性評価の測定を少なくとも1回実施した全患者と定義される、全解析セット(Full Analysis Set)について解析する。感度を考慮し、全解析セットに含まれ、主要有効性評価に影響を及ぼしうる主要なプロトコール逸脱がない全患者と定義される、プロトコール毎セット(Per-Protocol Set)についても有効性評価を追加解析する。オピカポン50mgのPLCに対する優越性を示すために、主要な有効性エンドポイントは、治療を固定因子、ベースラインKPPSを共変量とする共分散分析(ANCOVA)を用いて分析する。二次的有効性エンドポイントは、適切なパラメトリックおよびノンパラメトリック統計手法を用いて、治療群における探索的手法で分析する。95%信頼区間を含む記述統計量は治療群ごとに提示される。
【0049】
安全性評価は、治験物質を少なくとも1回服用した全患者と定義される、安全性セット(Safety Set)について分析する。TEAEは、TEAEを発現した患者の数と割合についてまとめる。バイタルサインおよびラボパラメータは、絶対値およびベースラインからの変化をまとめた統計量を用いてまとめる。身体的検査および神経学的検査については、まとめた統計量およびシフト表を提示する。人口統計学的特性およびベースライン特性は、記述統計学を用いて提示する。
【0050】
ディスカッション
上記の研究のロバストなデザインは、PDに関連する疼痛の治療におけるレボドパベースの治療法に関する信頼可能なエビデンスの最近の欠如に対処するものである。本研究の特徴は、最近有効性が確認されたPDの疼痛および非運動特異的尺度(KPPSやMDS-NMSなど)を用いていることであり、これまで評価できなかったPDに関連する疼痛の程度の記録に役立つ。例えば、疼痛と他の非運動症状(うつ病、不安、不眠症、自律神経失調症状など)との潜在的関連性を検出可能にするかもしれない。また、これらの尺度とON/OFFダイアリーを併用することで、OFFとONの両方の状態における疼痛をより深く理解することが可能になるかもしれない。プラセボは、PDにおいて、ドパミン受容体を活性化し、ドパミン様作用を誘発することが知られており[de la Fuente-Fernandez et al, 2002; Benedetti, 2014; Colloca, 2019; Lou, 2020]、この作用は3ヵ月時点の研究ではまだ明らかであることが多く[Trenkwalder et al, 2015, Ferreira et al, 2016; Lees et al, 2017]、6ヵ月時点では衰える傾向にある[Borgohain et al, 2014; Hattori et al, 2020]。したがって、この研究の6ヵ月間の経過と二重盲検デザインは、特に疼痛を評価する際に、プラセボ効果と真の効果を切り離すのに役立つかもしれない。
【0051】
【表1-1】
【0052】
【表1-2】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
図1
図2
【国際調査報告】