(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-22
(54)【発明の名称】血管内カテーテルおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
A61M25/00 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562222
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2022014492
(87)【国際公開番号】W WO2022165300
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523381572
【氏名又は名称】ピアース ホールディングス, エフエルピー
【氏名又は名称原語表記】PIERCE HOLDINGS, FLP
【住所又は居所原語表記】80 River Ridge Drive, Hawkinsville, Georgia 31036, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100167818
【氏名又は名称】蓑和田 登
(72)【発明者】
【氏名】ピアース,トーマス
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA04
4C267AA15
4C267BB02
4C267CC08
(57)【要約】
【課題】従来の針カテーテルよりも高い確率で、最初の試みで血管内ラインを開始することを容易にする血管内カテーテルを提供する。
【解決手段】血管内カテーテルおよびその使用方法に関する種々の実施形態が開示される。一実施形態では、血管内カテーテルおよび針アセンブリは、カテーテル針と、カテーテル針の一部を取り囲むカテーテルシースと、を含む。カテーテルシースは、5度から85度の間の角度をなす挿入用端部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル針と、
前記カテーテル針の一部を取り囲むカテーテルシースであって、前記カテーテルシースは、5度から85度の間の角度をなす挿入用端部を有する、カテーテルシースと、
を備える、血管内カテーテルおよび針アセンブリ。
【請求項2】
前記カテーテル針が14~24ゲージである、
請求項1に記載の血管内カテーテルおよび針アセンブリ。
【請求項3】
カテーテルシースの挿入用端部が約18度の角度をなしている、
請求項1に記載の血管内カテーテルおよび針アセンブリ。
【請求項4】
前記カテーテル針は、面取りされている、
請求項1に記載の血管内カテーテルおよび針アセンブリ。
【請求項5】
前記カテーテルシース挿入用端部の下部厚みが最小厚から最大厚までテーパ状である、
請求項1に記載の血管内カテーテルおよび針アセンブリ。
【請求項6】
前記カテーテルシース挿入用端部の上部厚みが、前記最小厚みから前記最大厚みまでテーパ状である、
請求項5に記載の血管内カテーテルおよび針アセンブリ。
【請求項7】
前記挿入用端部から離れる前記上部厚みのテーパは、前記挿入用端部から離れる前記下部厚みのテーパよりも大きな角度である、
請求項6に記載の血管内カテーテルおよび針アセンブリ。
【請求項8】
前記カテーテルシースの前記挿入用端部が45度から60度の間で角度をなしている、
請求項1に記載の血管内カテーテルおよび針アセンブリ。
【請求項9】
前記カテーテル針が0.027インチに定数を乗じた直径を有し、前記カテーテルシースが0.039インチに定数を乗じた直径を有する、
請求項1に記載の血管内カテーテルおよび針アセンブリ。
【請求項10】
前記カテーテルシースは、ポリウレタンで構成されている、
請求項1に記載の血管内カテーテルおよび針アセンブリ。
【請求項11】
血管内カテーテルおよび針アセンブリを挿入する方法であって、
前記血管内カテーテルおよび針アセンブリは、カテーテル針と、前記カテーテル針の一部を取り囲むカテーテルシースと、を備え、前記カテーテルシースは、5度から85度の間の角度をなす挿入用端部を有し、
前記カテーテル針の端部を血管に挿入する工程と、
角度が付けられた前記カテーテルシースの前記挿入用端部が前記血管内に完全に挿入されるまで、前記血管内への前記カテーテル針の挿入を継続する工程と、
前記カテーテルシースが血管内に残っている間に、前記カテーテルシースを通して前記カテーテル針を引き抜く工程と、
を備える、血管内カテーテルおよび針アセンブリを挿入する方法。
【請求項12】
前記挿入用端部の下部が前記挿入用端部の上部よりも先に血管内に入る、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記カテーテルシースの前記挿入用端部の下部の厚さは、最小厚さから最大厚さまでテーパ状であり、
前記カテーテルシースの前記挿入用端部の上部の厚さは、最小の厚さから最大の厚さまでテーパ状であり、
前記挿入用端部から離れる前記上部の厚さのテーパは、前記挿入用端部から離れる前記下部の厚さのテーパよりも大きな角度である、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記カテーテルシースの挿入用端部は、前記カテーテル針の面取りとほぼ一致するようにテーパが付けられている、
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
挿入中に前記カテーテル針を回転させないことをさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
血管内カテーテルおよびその使用方法に関する。
【0002】
[関連出願との相互参照]
本出願は、2021年1月29日に出願された「血管内カテーテルおよびその使用方法」と題する米国仮特許出願第63/143,422号の優先権およびその利益を主張するものであり、この出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
従来のカテーテルは一般に断面が円形で、先端が針に対して垂直に90度カットされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のカテーテルでは、針が最初に血流に接触した時点ではカテーテルはまだ血管外にあり、カテーテルも血管内に入るまで針とカテーテルの組み合わせで進めなければならない。カテーテルが血管内に入る前にカテーテルに糸を通そうとすると失敗する。また、カテーテルによるカニュレーションを達成するために、針とカテーテルの組み合わせを血管内まで十分に進めようとしている間に、針がカテーテルの反対側の壁を穿刺すると、失敗する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
血管内カテーテルおよび針アセンブリは、カテーテル針と、カテーテルシースと、を備える。カテーテルシースは、カテーテル針の一部を取り囲む。カテーテルシースは、5度から85度の間の角度をなす挿入用端部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照することにより、より良く理解することができる。図面の構成要素は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、本開示の原理を明確に例示することに重点が置かれている。さらに、図面において、同じ参照数字は、複数の図全体を通して対応する部分を指定する。
【
図1】
図1は、1つまたは複数の実施形態による血管内カテーテルおよび針の等角図である。
【
図2】
図2は、1つまたは複数の実施形態による血管内カテーテルおよび針の側面図である。
【
図3】
図3は、1つまたは複数の実施形態による血管内カテーテルおよび針の上面図である。
【
図4】
図4は、1つまたは複数の実施形態による血管内カテーテルおよび針の断面図である。
【
図5】
図5は、テーパの特性となる寸法と割合、直径のサンプルを示す、血管内カテーテルおよび針の挿入端の側面の詳細図である。
【
図6】
図6は、1つまたは複数の実施形態による血管内カテーテルおよび針の使用方法のステップを示す例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、カニューレとも呼ばれる血管内カテーテルの改良に関する。本明細書に記載の血管内カテーテルは、一時的な末梢血管アクセスを提供することを意図している。血管内カテーテルは、静脈内用であれ動脈内用であれ、片側が面取りされた鋭利な鋼製針を有する。この針は、皮膚と平行になるような角度で皮膚に挿入される。針の上にあるカテーテルは、針とカテーテルの組み合わせが挿入された後、血管内に滑り落ち、血管内に液体や薬剤を投与したり、医療器具を挿入したりするために残る。カテーテルは、ラテックス、シリコーン、テフロン(登録商標)、または他の材料でできた柔軟な中空管である。
【0008】
本開示の実施形態は、従来の針カテーテルよりも高い確率で、最初の試みで血管内ラインを開始することを容易にするように構成されている。記載されたカテーテルは、例えば、血液サンプリング、血圧のモニタリング、または流体または薬剤の投与のために短期間の使用のために末梢血管系へのアクセスを必要とする患者における1回限りの使用を意図した無菌医療器具に対応し得る。
【0009】
本開示の様々な実施形態において、カテーテルの端部は従来の90度カットとは異なる。例えば、カテーテルの末端は約45度から60度のカットを有し、より楕円形の外観を与えることができる。しかし、その先端は用途に応じて5度から85度まで変化してもよい。カテーテルの先端に角度をつけることにより、針が血管を貫通する際にカテーテルが血管内に挿入され、配置しようとする際の問題が解消される。これらの実施形態により、血液の「フラッシュバック」時にカテーテルの先端が血管内に入るため、カテーテルを直ちに前進させることができ、何度も試行する必要がなくなる。針は、カテーテルの挿入と同時に抜去される。
【0010】
様々な実施形態において、角度の付いた端部を有するカテーテルは無菌設備で製造することができる。例えば、カテーテルは、3D印刷または角度の付いた端部を組み込んだ型からの鋳造によって角度の付いた端部を有するように作成することができる。その後、血液の「フラッシュバック」時にカテーテルの先端が血管内に入るように、カテーテルを注射針に取り付けることができる。カテーテルは、血管のサイズや用途に応じてさまざまなサイズで製造することができる。カテーテルは、血管内への針とカテーテルの組み合わせのスムーズな移行を可能にするように、遠位側で針と接触するように、周方向に先端をテーパ状に、または細くすることができる。
【0011】
図1は、1つまたは複数の実施形態による血管内カテーテルおよび針アセンブリ100の等角図である。血管内カテーテルおよび針アセンブリ100は、カテーテル針103と、カテーテル針103を取り囲むカテーテルシース106と、からなる。例えば、カテーテル針103はステンレス鋼または他の材料で作られてもよく、カテーテルシース106はポリウレタン、ポリプロピレン、ゴム、または他の材料で作られてもよい。カテーテルハブ、セプタム/バルブ、針ハブ、安全クリップ、セプタムオープナー、セプタムハウジング、安定化翼、注入側ポート、逆流防止など、血管内カテーテルおよび針アセンブリ100の他の構成要素は、簡略化のため省略されている。
【0012】
血管内カテーテルおよび針アセンブリ100は挿入端109と近位端112とを有する。挿入端109は、カテーテルシース106の先端を越えてある程度の距離だけ外側に延びるカテーテル針103の露出部分115を含む。カテーテル針103の先端が血管内に挿入されると、カテーテルシース106が血管内に送り込まれ、その後、カテーテル針103は、カテーテルシース106を通って血管から引き抜かれ、または後退し、最後にカテーテルシース106から取り出される。
【0013】
図2は、1つまたは複数の実施形態による血管内カテーテルおよび針アセンブリ100の側面図である。
図2では、カテーテル針103の露出部分115がより明瞭に見える。また、側面形状を見ると、カテーテル針103とカテーテルシース106の両方のテーパが示されている。この例では、カテーテル針103のテーパはカテーテルシース106のテーパとほぼ等しく、平行または平行に近い。さらに、カテーテルシース106の上面118および下面121の両方は、それぞれ最小厚さから最大厚さまでテーパが付けられているが、テーパ角度は上面118のテーパの方が下面121のテーパよりも大きく、これにより下面121のテーパは上面118のテーパよりも緩やかになっている。全体として、カテーテルシース106の設計は、カテーテルシース106に、適切な位置合わせのためにカテーテル針103の形状に一致し得る前縁を与え、皮膚内および血管内への進入点を最小限にする。
【0014】
図3は、1つまたは複数の実施形態による血管内カテーテルおよび針アセンブリ100の上面図である。
図3はまた、図示のように中心線「A」を規定する。
【0015】
図4は、1つまたは複数の実施形態による血管内カテーテルおよび針アセンブリ100の断面図である。
図4は、
図3に示す中心線「A」における断面図である。ここでは、カテーテル針103の内部チャネルが中心線に沿って見える。
【0016】
図5は、テーパの特性についての寸法と割合、直径のサンプルを示す、血管内カテーテルおよび針アセンブリ100の挿入端109の側面の詳細図である。具体的には、カテーテルシース106の上部テーパ124対下部テーパ127の相違が見られ、上部テーパ124はより鋭く、カテーテル針103の全体的なテーパおよび面取りにほぼ沿って、例えば18度である。対照的に、下部テーパ127はより緩やかであり、例えば10度以下である。カテーテルシース106の内径は0.027インチとして示されており、一方、カテーテルシース106の外径は0.039インチとして示されているが、これらはいずれも近似値であってよく、所望により同様の比率になるように定数を乗じてもよい。直径寸法は針ゲージと共に変化してもよい。
【0017】
図6は、1つまたは複数の実施形態による血管内カテーテルおよび針アセンブリ100の使用方法のステップを示す例示的なフローチャートである。使用方法は、様々な実施形態において、より多くのステップ、異なるステップ、より少ないステップ、または異なる順序のステップを含んでもよい。
【0018】
ボックス603から始めて、使用者はカテーテル針103の端部を血管内に挿入する。ボックス606では、使用者は、角度を付けたカテーテルシース106の挿入用端部が血管内に完全に挿入されるまで、カテーテル針103の血管内への挿入を続ける。カテーテルシース106はカテーテル針106に対してテーパ状に固定されているので、従来のカテーテル挿入のようにカテーテルシース106を挿入する際にカテーテルシース106を回転させないようにすることが重要な場合がある。様々な実施形態では、例えば、シースに対する針の固定を維持するために、近位端で針の回転を防止するための装置(例えば、隆起部、ロッククリップ、戻り止めなど)を備えることができる。ボックス609では、カテーテルシース106が血管内に残っている間に、使用者はカテーテルシース106を通してカテーテル針103を引き抜く。
【0019】
「X、Y、またはZのうちの少なくとも1つ」という語句のような接続詞的言語は、特に別段の記載がない限り、項目、用語などが、X、Y、またはZのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、X、Y、および/またはZ)である可能性があることを提示するために一般的に使用されるものとして、文脈とともに理解される。したがって、このような接続詞的な表現は、一般に、特定の実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、またはZの少なくとも1つがそれぞれ存在することを必要とすることを意図するものではなく、また、そのようなことを意味すべきではない。
【0020】
本開示の上述の実施形態は、本開示の原理を明確に理解するために提示された、単に可能な実施例であることを強調すべきである。本開示の精神および原理から実質的に逸脱することなく、上述の実施形態(単数または複数)に対して多くの変形および修正がなされ得る。このような修正および変形はすべて、本開示の範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【国際調査報告】