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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-22
(54)【発明の名称】バッテリー自動解体システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/54 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
H01M10/54
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572785
(86)(22)【出願日】2023-08-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 KR2023011591
(87)【国際公開番号】W WO2023244095
(87)【国際公開日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】10-2023-0057900
(32)【優先日】2023-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519197594
【氏名又は名称】高麗亞鉛株式会社
【氏名又は名称原語表記】KOREA ZINC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】キム,スン ヒョン
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031RR01
5H031RR07
(57)【要約】
一実施例によるバッテリー自動解体システムは、第1作業台、第2作業台、第3作業台、および放電用作業台を含む作業部と、放電装置と、ロボット装置と、移送装置と、前記ロボット装置および前記移送装置と電気的に連結された制御部とを含み、前記制御部は、前記ロボット装置を制御して、バッテリーパックが前記第1作業台上に配置されるときに、前記バッテリーパックから上部カバーを分離し、前記バッテリーパックが前記放電用作業台上に配置されるときに、前記バッテリーパックを前記放電装置に連結して放電させ、前記放電されたバッテリーパックが前記第2作業台上に配置されるときに、前記放電されたバッテリーパックからバッテリーモジュールを分離し、さらに、前記バッテリーモジュールが前記第3作業台上に配置されるときに、前記バッテリーモジュールからバッテリーセルを分離するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1作業台、第2作業台、第3作業台および放電用作業台を含む作業部と、
放電装置と、
ロボット装置と、
移送装置と、
前記ロボット装置および前記移送装置と電気的に連結された制御部とを含み、
前記制御部は、前記ロボット装置を制御して、
バッテリーパックが前記第1作業台上に配置されるときに、前記バッテリーパックから上部カバーを分離し、
前記バッテリーパックが前記放電用作業台上に配置されるときに、前記バッテリーパックを前記放電装置に連結して放電させ、
前記放電されたバッテリーパックが前記第2作業台上に配置されるときに、前記放電されたバッテリーパックからバッテリーモジュールを分離し、さらに、
前記バッテリーモジュールが前記第3作業台上に配置されるときに、前記バッテリーモジュールからバッテリーセルを分離する、ように構成される、バッテリー自動解体システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記移送装置を制御して、
前記バッテリーパックから前記上部カバーを分離した後に、前記第1作業台に配置された上部カバーが分離された前記バッテリーパックを前記放電用作業台に移送して前記バッテリーパックを放電させ、
前記バッテリーパックを放電させた後に、前記放電用作業台上に配置された前記放電されたバッテリーパックを第2作業台に移送して前記バッテリーパックから前記バッテリーモジュールを分離し、さらに、
前記バッテリーパックから前記バッテリーモジュールを分離した後に、前記第2作業台に配置された前記バッテリーモジュールを第3作業台に移送して前記バッテリーモジュールから前記バッテリーセルを分離する、ように構成される、請求項1に記載のバッテリー自動解体システム。
【請求項3】
前記制御部と連結され、消火水が満たされるように構成された水槽を含む消火装置をさらに含み、
前記制御部は、前記消火装置を制御して前記作業部に配置された前記バッテリーパックを前記水槽に収容させるように構成される、請求項1に記載のバッテリー自動解体システム。
【請求項4】
前記制御部と電気的に連結されたビジョンシステムをさらに含み、
前記制御部は、前記ビジョンシステムを通じて獲得されたデータに基づいて前記ロボット装置を制御して前記作業部上に配置されたバッテリーパックの構成要素を解体するように構成される、請求項1に記載のバッテリー自動解体システム。
【請求項5】
格納ボックスをさらに含み、
前記制御部は、前記ロボット装置を制御して前記バッテリーパックから分離された構成要素を前記格納ボックスに移動させるように構成される、請求項1に記載のバッテリー自動解体システム。
【請求項6】
前記放電装置は放電器およびショート用の放電治具を含み、
前記制御部は、前記ロボット装置を制御して前記放電用作業台上に配置された前記バッテリーパックを前記放電器に連結して前記バッテリーパックを放電させ、その後、前記ロボット装置を制御して前記バッテリーパックを前記ショート用の放電治具と連結して前記バッテリーパックをショート放電させるように構成される、請求項1に記載のバッテリー自動解体システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記放電器を通じて、前記バッテリーパックの残留エネルギーにより前記バッテリーパックを1時間~4時間放電して前記バッテリーパックの電圧が30V以下になるように放電させ、さらに、
前記ショート用の放電治具を通じて、前記バッテリーパックを前記バッテリーパックの電圧が0.2V以下になるように放電させる、ように構成される、請求項6に記載のバッテリー自動解体システム。
【請求項8】
前記バッテリーモジュールは、第1方向に配列された複数のバッテリーセルを含み、前記バッテリーセルは、前記第1方向に垂直である長手方向に延長するボディーおよび前記ボディーの長手方向の両端から延長する電極リードを含み、
前記バッテリーモジュールから前記バッテリーセルを分離することは、前記バッテリーモジュールを、前記バッテリーモジュールを上から見たときに前記第1方向と並んでおり、かつ、前記電極リードの上を通るラインに沿って切断することを含む、請求項1に記載のバッテリー自動解体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリー自動解体システムに関するものである。詳細には、電気自動車やエネルギー格納装置などに用いられるバッテリーパックやバッテリーモジュールを自動で解体する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車に使われるバッテリーはリチウムイオンバッテリーであり、正極材、負極材、電解液、分離膜の4大要素から構成されている。そのうち、正極材に用いられる物質によって、ニッケル三元系(Li‐Co系、Li‐Mn系)バッテリーと、コバルトの代わりに鉄を用いるリン酸鉄リチウムバッテリーが用いられており、今後、液体電解質の火災の危険性を低減するために、全固体バッテリーなど多様なバッテリーが用いられる予定である。
【0003】
二次電池は、電気自動車の生産全期間におけるカーボンフットプリントの30%を占めており、ニッケル、コバルト、マンガンなど金属原料のカーボンフットプリントの割合が高い。殆どの原料の採掘および精製過程で発生し、二次電池の再使用およびリサイクルは2050年のカーボンニュートラル社会への転換に向けた温室ガス排出量の削減に大きく寄与することができる。
【0004】
今後、電気自動車市場の成長に伴い、数年間使用されて廃棄される廃バッテリーの規模が拡大して、廃バッテリーのリサイクルおよび再使用のためのバッテリーリサイクリング(recycling)産業が活性化している。このようなバッテリーリサイクリングを通じて、バッテリーを製造する際、必須に用いられる有価金属(ニッケル、コバルト、マンガン、銅、リチウムなど)を回収およびリサイクルすることによって、資源のリサイクルおよび経済的な利益を創出できるだけでなく、当該金属を採取する過程で生じる環境汚染を減らすこともできる。
【0005】
既存の廃バッテリーパックのリサイクルおよび再使用のためには、作業者が工具などを用いてバッテリーパックを直接分解してバッテリーモジュールを抽出し、バッテリー放電をしなければならないが、この際、塩水(saline water)を利用した放電を用いている。このような塩水放電方式では、廃バッテリーに、塩化ナトリウム(NaCl)または塩化カルシウム(CaCl)を水で3%~3.5%の濃度に希釈した塩水が用いられている。塩水放電方式は最小で8時間から10日以上の長時間が要される。塩水中の放電過程においても、火災および爆発事故が発生することがあるため注意を要し、重金属の流出、および廃水処理による高額の費用が発生し、広い作業空間が必要であるという問題点がある。塩水放電されたバッテリーモジュールは乾燥後に再び直接分解してバッテリーセルを抽出しなければならなかった。
【0006】
上述したバッテリーパックの従来のリサイクル方法は、大抵は手作業で行われるので、非常に非効率的であり、相当な時間を要する。また、分解作業の際、多くの人員が必要であり、作業者が有害な環境に曝される虞が高いため、様々な問題点が発生し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、前記のような問題点を解決できるバッテリー自動解体システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、本開示の一実施例によるバッテリー自動解体システムは、第1作業台、第2作業台、第3作業台、ならびに、放電用作業台を含む作業部と、放電装置と、ロボット装置と、移送装置と、前記ロボット装置および前記移送装置と電気的に連結された制御部とを含み、前記制御部は、前記ロボット装置を制御して、バッテリーパックが前記第1作業台上に配置されるときに、前記バッテリーパックから上部カバーを分離し、前記バッテリーパックが前記放電用作業台上に配置されるときに、前記バッテリーパックを前記放電装置に連結して放電させ、前記放電されたバッテリーパックが前記第2作業台上に配置されるときに、前記放電されたバッテリーパックからバッテリーモジュールを分離し、さらに、前記バッテリーモジュールが前記第3作業台上に配置されるときに、前記バッテリーモジュールからバッテリーセルを分離する、ように構成され得る。
【0009】
前記制御部は、前記移送装置を制御して、前記バッテリーパックから前記上部カバーを分離した後、前記第1作業台に配置された上部カバーが分離された前記バッテリーパックを、前記放電用作業台に移送して前記バッテリーパックを放電させ、前記バッテリーパックを放電させた後に、前記放電用作業台上に配置された前記放電されたバッテリーパックを第2作業台に移送して、前記バッテリーパックから前記バッテリーモジュールを分離し、さらに、前記バッテリーパックから前記バッテリーモジュールを分離した後に、前記第2作業台に配置された前記バッテリーモジュールを第3作業台に移送して前記バッテリーモジュールから前記バッテリーセルを分離する、ように構成され得る。
【0010】
バッテリー自動解体システムは、前記制御部と連結され、消火水が満たされるように構成された水槽を含む消火装置をさらに含み、前記制御部は、前記消火装置を制御して前記作業部に配置された前記バッテリーパックを前記水槽に収容させるように構成され得る。
【0011】
バッテリー自動解体システムは、前記制御部と電気的に連結されたビジョンシステムをさらに含み、前記制御部は、前記ビジョンシステムを通じて獲得されたデータに基づいて前記ロボット装置を制御して前記作業部上に配置されたバッテリーパックの構成要素を解体するように構成され得る。
【0012】
バッテリー自動解体システムは、格納ボックスをさらに含み、前記制御部は、前記ロボット装置を制御して前記バッテリーパックから分離された構成要素を前記格納ボックスに移動させるように構成され得る。
【0013】
前記放電装置は、放電器およびショート用の放電治具を含み、前記制御部は、前記ロボット装置を制御して前記放電用の作業台上に配置された前記バッテリーパックを前記放電器に連結して前記バッテリーパックを放電させ、その後、前記ロボット装置を制御して前記バッテリーパックを前記ショート用の放電治具と連結して前記バッテリーパックをショート放電させる、ように構成され得る。
【0014】
前記制御部は、前記放電器を通じて、前記バッテリーパックの残留エネルギーにより前記バッテリーパックを1時間~4時間放電して前記バッテリーパックの電圧が30V以下になるように放電し、前記ショート用の放電治具を通じて、前記バッテリーパックを前記バッテリーパックの電圧が0.2V以下になるように放電させる、ように構成され得る。
【0015】
前記バッテリーモジュールは、第1方向に配列された複数のバッテリーセルを含み、前記バッテリーセルは、前記第1方向に垂直である長手方向に延長するボディーおよび前記ボディーの長手方向の両端から延長する電極リードを含み、前記バッテリーモジュールから前記バッテリーセルを分離することは、前記バッテリーモジュールを、前記バッテリーモジュールを上から見たときに前記第1方向と並んでおり、かつ、前記電極リードの上を通るラインに沿って切断することを含み得る。
【発明の効果】
【0016】
本開示のバッテリー自動解体システムは、廃バッテリー解体作業の際に投入される作業者人数を最小化し、ロボット装置および開発された自動化機器を用いてバッテリーパックおよびモジュールを自動で分解および分離して、作業者が有害な環境に曝されるのを避け、廃バッテリーの分解または解体能力を向上させ、かつ、本開示のバッテリー自動解体システムは廃バッテリー解体の生産性を増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例によるバッテリー自動解体システムの構成図である。
図2】本発明の一実施例によるバッテリー自動解体システムの平面図である。
図3図2のバッテリー自動解体システムの側面図である。
図4】本発明の一実施例によるバッテリー自動解体方法のフローチャートである。
図5】各作業台で実施される火災モニタリングを示す図である。
図6】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールの解体方法を示す図である。
図7】本発明のバッテリー自動解体システムによって分離されたコンポーネントの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例は、本発明の技術的思想を説明するための目的で例示されたものである。本発明による権利範囲は、以下に提示される実施例やこれらの実施例に関する具体的な説明に限定されるものではない。
【0019】
本開示に用いられる全ての技術的用語および科学的用語は、特に定義されない限り、本開示が属する技術分野において通常の知識を有する者に一般に理解される意味を有する。本開示に用いられる全ての用語は、本開示をより一層明確に説明するための目的で選択されたものであり、本開示による権利範囲を制限するために選択されたものではない。
【0020】
本開示で用いられる「含む」、「備える」、「有する」等のような表現は、該表現が含まれる語句または文章で特に言及されない限り、他の実施例を含む可能性を内包する開放型用語(open‐ended terms)と理解されなければならない。
【0021】
本開示で記述された単数形の表現は、特に言及されない限り複数形の意味を含み得、これは請求の範囲に記載された単数形の表現にも同様に適用される。
【0022】
本開示で用いられる「第1」、「第2」等の表現は、複数の構成要素を相互区分するために用いられ、当該構成要素の順序または重要度を限定するものではない。
【0023】
本開示において、ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いる、または、「接続されて」いると言及された場合、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接的に連結または接続され得る、もしくは新たな他の構成要素を媒介として連結または接続され得るものと理解されるべきである。
【0024】
以下、添付した図面を参照して本開示の実施例を説明する。添付の図面において、同一または対応する構成要素には同一の参照符号が付与されている。また、以下の実施例の説明において、同一または対応する構成要素の重複記述は省略され得る。しかし、構成要素に関する記述が省略されていたとしても、そのような構成要素が、ある実施例に含まれないことを意図するものではない。
【0025】
図1は、一実施例によるバッテリー自動解体システム100の構成図である。図2は、一実施例によるバッテリー自動解体システム100の平面図である。図3は、図2のバッテリー自動解体システム100の側面図である。
【0026】
バッテリー自動解体システム100は、電気自動車などに用いられるバッテリーパックを解体するように構成されている。これは、バッテリーパック内部の構成要素をリサイクルまたは再使用するためである。バッテリーパックからバッテリーセルを抽出すると、バッテリーセルを構成する素材を回収およびリサイクルすることができる。または、バッテリーパックから抽出されたバッテリーモジュールは、他の用途に再使用されることができる。例えば、電気自動車で使われていたバッテリーパックから分離されたバッテリーモジュールを用いてエネルギー格納システム(ESS)を構成することができる。
【0027】
バッテリー自動解体システム100は、作業部110、移送装置120、ロボット装置130を含んでいる。
【0028】
作業部110はバッテリーパックを保持できるように構成されている。バッテリー自動解体システム100は2つ以上の作業台を含み得る。例えば、図2を参照すると、作業部は複数の作業台111、112、113、114、115を含み得る。本開示において、作業部110は、複数の作業台111、112、113、114、115のそれぞれ、または全部を指し得る。
【0029】
互いに異なる作業台では互いに異なる工程が行われ得る。例えば、バッテリーパックが第1作業台111に配置されているときには、バッテリーパックの上部カバーが解体され得、バッテリーパックが第2作業台114に配置されているときには、バッテリーモジュールからバッテリーセルが分離され得る。
【0030】
作業部110は放電用作業台112、113を含み得る。放電用作業台は、バッテリーパックを放電させる工程でバッテリーパックが配置される作業台である。放電用作業台に移送されたバッテリーパックは、放電装置150に連結されて放電され得る。
【0031】
作業部110はターンテーブル(turn table)構造で製作され、回転可能に構成された第1放電用作業台112を含み得る。第1放電用作業台112は、バッテリーパックを放電に適した位置または方向に回転させることができる。バッテリーパックは、メーカーおよびモデルの種類に応じて放電連結部品の位置が全て異なるため、回転可能な第1放電用作業台112を用いると多様な形態のバッテリーパックを扱うことができるようになる。
【0032】
第2放電用作業台113は、バッテリーパックを放電器151を用いて放電させた後、ショート放電用ラック22に移送される前のバッテリーパックの待機場所として用いられ得る。他の実施例において、作業部110は特定のモデルのバッテリーパックに特化した第2放電用作業台113を含み得る。
【0033】
バッテリー自動解体システム100は、第1放電用作業台112および第2放電用作業台113を2つ以上備えることができる。図2を参照すると、第1放電用作業台112と第2放電用作業台113はそれぞれ2つずつ提供され得る。
【0034】
放電用作業台112、113において、バッテリーパックの放電以外に他の工程も共に行われ得る。例えば、バッテリーパックが放電用作業台112、113に置かれた後、バッテリーパックを放電させる前にロボット装置130がバッテリーパックからバッテリー管理システム(BMS)を解体および除去することができる。
【0035】
移送装置120は、バッテリーパックを作業部110に移送するか、作業部110に配置されたバッテリーパックを他の場所に移動させるように構成されている。移送装置120は、ガントリ(gantry)およびガントリに設けられた治具を含み得る。移送装置120は、ガントリに設けられた治具を用いてバッテリーパックやバッテリーパック内部の構成要素(例えば、バッテリーモジュール)をクランピングした後、他の場所に移送することができる。例えば、移送装置120は第1作業台111に配置されたバッテリーパックを第1放電用作業台112に移送することができる。他の例として、移送装置120は、第1作業台111に配置されたバッテリーパック内部のバッテリーモジュールを第2作業台114に移動させることができる。
【0036】
ロボット装置130は、バッテリーパックを解体する装置であり、バッテリーパックの構成要素をバッテリーパックから解体して分離するように構成され得る。例えば、ロボット装置130はロボットアーム(arm)およびロボットアームに装着された多様なツール(例えば、ボルトドライバー、レーザ切断機、トング、のこぎりなど)を用いてバッテリーパックを解体することができる。ロボット装置130の周辺には、レーザカッティングツール、ボルティング処理ツール、ケーブル切断ツール、カバーハンドリングツール、スクラップハンドリングツール、ケーブルハンドリングツールなどが備えられており、ロボット装置130は、必要に応じてロボットアームに結合されるツールを交替することができる。ロボット装置130は、バッテリーパックに他の構成要素を装着することができる。例えば、ロボット装置130はバッテリーパックに放電用治具を装着することができる。放電用治具が装着されたバッテリーパックは放電器に連結されて放電されることができる。
【0037】
ロボット装置130は、バッテリーパックから分離された構成要素を他の場所に移送させるように構成され得る。ロボット装置130は、バッテリーパックから解体された部品(上部カバー、下部カバー、バッテリーセルなど)を格納ボックス(例えば、上部カバー格納ボックス31、下部カバー格納ボックス32、セルボックス33、解体ボックス34)に移すことができる。
【0038】
ロボット装置130は複数設けられ、バッテリーパックの解体作業を迅速かつ効率的に行うことができる。例えば、ロボット装置130は、第1作業台111に配置された対象物を作業することができるように配置された第1ロボット131および第2ロボット132、第2作業台114に配置された対象物を作業することができるように配置された第3ロボット133、第3作業台115に配置された対象物を作業することができるように配置された第4ロボット134および放電用作業台112、113に配置された対象物を作業することができるように配置された第5ロボット135を含み得る。図2に示されたロボットの配置および個数は例示であり、他の実施例でロボットは他の数であっても、または他の位置に配置されてもよい。
【0039】
バッテリー自動解体システム100は、ビジョンシステム(vision system)140を含み得る。ビジョンシステム140は、ロボット装置130と連係してロボット装置130の動きを制御するのに必要な情報を提供することができる。バッテリー自動解体システム100は、ビジョンシステム140を通じて獲得されたデータに基づいてロボット装置130を制御して作業部110上に配置されたバッテリーパックの構成要素を解体することができる。
【0040】
ビジョンシステム140は、ロボット装置130の対象物をカメラで撮影し、ロボット装置130が対象物を正確に作業(例えば、バッテリーパックカバー除去のためのボルト除去、バッテリーパック内部のケーブル切断、バッテリーモジュールの切断など)できるようにしてくれる。また、ビジョンシステム140を用いてバッテリーパックの種類を確認し、その結果に基づいてロボット装置130が、必要な作業を再実行することができる。
【0041】
ビジョンシステム140は、ロボット装置130ごとに構成されるか、作業台ごとに備えられ得る。例えば、バッテリー自動解体システム100に備えられた複数のロボット装置130それぞれにビジョンシステム140が備えられ得る。図1において、ロボット装置130とビジョンシステム140は別個のブロックと示されているが、これは説明の便宜上のものであり、ビジョンシステム140はロボット装置130の一部構成として提供され得る。後述するロボット装置130のバッテリーパックまたはバッテリーモジュールに対する解体および分離作業は、他の説明がない限り、ビジョンシステム140を用いて行われるものと理解され得る。
【0042】
バッテリー自動解体システム100は、放電装置150を含み得る。バッテリーパック内部の構成要素(例えば、バッテリーモジュール、バッテリーセル、バッテリー管理システム(BMS))を解体する前にバッテリーパックを放電させることによって安全にバッテリーパックを解体することができる。放電装置150は、バッテリーパックを強制的に放電させる放電器151、およびバッテリーパックがショートされ得るように構成されたショート用の放電治具を含み得る。ショート用の放電治具は、バスバー(bus bar)およびケーブルで構成された治具であり、ショート用の放電治具は、バッテリーパックの+端子(プラス端子)と-端子(マイナス端子)をショートするように構成されている。ショート用の放電治具は、ロボット装置130を通じてバッテリーパックに装着され得る。
【0043】
バッテリー自動解体システム100は、消火装置160を含み得る。消火装置160は、作業部110上に配置されたバッテリーパックから火災が発生したときに、火災を鎮圧することができる。消火装置160は消火水が満たされるように構成された水槽を含み、火災発生時に作業台を水槽に収容させることができる。作業部110を水が満たされた水槽に入れることによって火災を鎮圧することができる。本開示における作業部110を水槽に入れるということは、作業部を構成する作業台が水槽に入ることを意味する。
【0044】
消火装置160は火災感知センサを含み、火災感知センサを通じて取得した信号に基づいて作業台を水槽に収容させることができる。本開示における火災感知センサは、火災を感知する手段の例示であり、火災は消火装置に備えられた火災感知センサ以外の構成によっても感知され得る。
【0045】
水槽は作業部110の下部に備えられ得る。バッテリーパックに火災が発生すると、作業台を支持しているピストンが下降して、作業部110および作業部110上のバッテリーパックが水が満たされた水槽に浸されることができる。火災が続く場合、外部から水槽に低温の消火水が追加で供給され得る。消火装置160は、水槽の消火水を外部に排出する排出部を含み得る。排出された消火水は再び冷却されて水槽内部に流入することができる。消火装置160は温度センサを含み得る。消火装置160は温度センサを用いて水槽内の消火水の温度を測定し、それに基づいて水槽に低温の消火水を供給することができる。
【0046】
バッテリー自動解体システム100は制御部170を含んでいる。制御部170はバッテリー自動解体システム100を制御する動作を制御する。例えば、制御部170は、ロボット装置130によるバッテリーパックの解体、移送装置120によるバッテリーパックまたはバッテリーパック構成要素の移送、消火装置160の作動などを制御することができる。制御部170は物理的な1つの制御装置に限定されず、バッテリー自動解体システム100の制御に関与する全ての制御装置を含むという概念で理解され得る。例えば、消火装置160は独自に消火装置160の動作を制御する制御装置を含み得、たとえ図1で制御部170が消火装置160と分離されたブロックとして示されていたとしても、制御部170は消火装置160の制御装置を含むものと理解され得る。
【0047】
本開示のバッテリー自動解体システム100は、バッテリーパックを解体する方法や過程を説明しているが、バッテリーパックの解体のみに限定されず、二次電池を含む多様な形態のエネルギー格納装置(例えば、バッテリーモジュール)の解体に用いることができる。
【0048】
図2および図3を通して説明するバッテリー自動解体システム100は例示であり、当該システムが設けられる敷地、または当該システムが担うようになるバッテリーパックのタイプなどにより適切な形態で具現され得る。
【0049】
図4は、一実施例によるバッテリー自動解体方法200のフローチャートである。図5は、各作業台で実施される火災モニタリング290を示したものである。図6は、一実施例によるバッテリーモジュールの解体方法を示したものである。図7は、バッテリー自動解体システムによって分離されたコンポーネントの写真である。下記にバッテリー自動解体方法200を、図1図3に示されたバッテリー自動解体システム100の構成要素を用いて説明する。ただし、図4および図5のバッテリー自動解体方法200が必ずしも図1図3のバッテリー自動解体システム100を用いて実施されることを要するわけではない。
【0050】
下記に説明されるバッテリー自動解体方法200の具体的な動作は、バッテリー自動解体システム100の制御部170により行われ得る。移送装置120、ロボット装置130、消火装置160等の動作は、制御部170により制御されて実施され得る。例えば、ロボット装置130がバッテリーパックの特定構成を解体する動作は、制御部170がロボット装置130を制御し、バッテリーパックの特定の構成を解体するようにするものと理解され得る。他の例として、移送装置120がバッテリーパックを第1作業台111から第2作業台114に移送させる動作は、制御部170が移送装置120を制御してバッテリーパックを第1作業台111から第2作業台114に移送させるものと理解され得る。
【0051】
バッテリー自動解体方法200は、バッテリーパックを提供する工程210、バッテリーパックから上部カバーを解体する工程220、バッテリーパックを放電させる工程240、バッテリーパックからバッテリーモジュールを分離する工程260、およびバッテリーモジュールからバッテリーセルを分離する工程280を含み得る。上述した工程は、互いに異なる作業台で実施され得、この場合、特定の工程が終了した後、後続工程を実施する前にバッテリーパックまたはバッテリーモジュールが後続工程が実施され得る作業台に移送され得る。ただし、工程間の移送は必須ではない。例えば、1つの作業台において互いに異なる2つの工程が同時に実施され得る場合、当該2つの工程間の移送は省略され得る。
【0052】
バッテリーパック提供工程210によりバッテリー自動解体システム100に提供されたバッテリーパックは、運搬装置(例えば、無人運搬車両(AGV、automated guided vehicle))により待機ゾーン(waiting zone)101に移送および載置され得る。バッテリーパックは、パレット(pallet)上に配置された状態で提供され得、運搬装置はパレットと共にバッテリーパックを待機ゾーン101に配置し得る。移送装置120は待機ゾーン101にあるバッテリーパックを第1作業台111に移送する。バッテリーパックが移送装置120に連結される前にバッテリーパックを保持したパレットは、待機ゾーン101の特定の位置に整列され、移送装置120による移送を容易にすることができる。
【0053】
[上部カバーの分離]
移送装置120がバッテリーパックを第1作業台111に移した後、上部カバーの解体工程220が行われる。バッテリーパックが第1作業台111上に保持されると、ロボット装置131、132がバッテリーパックの上部をビジョンシステム140を通じて確認し、ボルトドライバーおよびレーザ切断機のような各種ツールを用いてバッテリーパックから上部カバーを解体する。バッテリーパックは、製造者やモデルにより多様な形態を有するので、バッテリーパックの形態に応じてロボット装置130に備えられるツールやロボット装置130の動きが適宜定められ得る。バッテリーパックから分離された上部カバーは、移送装置120を通じて上部カバー格納ボックス31に移送された後に載置され得る。
【0054】
[移送]
上部カバー分離工程220を経たバッテリーパックは、放電工程240を経る。放電工程240は放電用作業台112または113で実施されるため、第1作業台から放電用作業台112または113にバッテリーパックを移す工程230が実施され得る。
【0055】
[放電工程]
バッテリーパックの放電工程240は、放電器151を利用した1次放電工程と1次放電工程後に実施されるショート放電を用いる2次放電工程を含み得る。
【0056】
上部カバーが解体されたバッテリーパックは、移送装置120により第1放電用作業台112に移された後、第5ロボット135は専用治具を用いてバッテリーパックからバッテリー管理システム(BMS、battery management system)を解体することができる。第5ロボット135は、BMSの解体のためにビジョンシステム140と専用治具を用いることができる。第5ロボット135によりBMSが自動で解体されると、BMSはロボット装置130によりBMS保管ボックスに移送されて格納され得る。
【0057】
BMSの解体が完了すると、放電のためにロボット装置130は、バッテリーパックを放電器151に連結することができる。バッテリーパックは放電器151に連結されて放電される。ロボット装置130は放電用の専用治具を用いてバッテリーパックと放電器151を連結することができる。バッテリーパックは放電器151に連結され、バッテリーパックの電圧が30V以下になる充電状態(State of Charge、SoC)まで放電され得る。例えば、放電器を通した放電は、バッテリーパックの残留エネルギーにより1時間~4時間ほど実施され、バッテリーパックの電圧が30V以下になるようにすることができる。バッテリーパックは、放電器151に連結されて充電状態を確認した後、残留エネルギーは回収してシステム100のための補助電力源として活用されることができる。
【0058】
バッテリーパックが放電器151を通じて素早く放電された場合、バッテリーパックの電圧が、例えば30V以上に再び上昇する現象が発生することがある。この場合、バッテリーパックを再び放電器151に連結してバッテリーパックの電圧が再び30V以下に安定化するまで放電させることができる。追加で実施される放電は、バッテリーパックが第2放電用作業台113に移された後、第2放電用作業台113上で実施され得る。
【0059】
放電器151により一次的に放電されたバッテリーパックは、第5ロボット135によりショート用の放電治具に結合される。ショート用の放電治具に結合されると、バッテリーパックの正極端子と負極端子は互いに短絡し、その状態で移送装置120によりショート放電用ラック(rack)22に移されて据え置かれ得る。放電器151によりバッテリーパックを放電したとしても、バッテリーパックの一定量の電気エネルギーが残っているので、バッテリーパックの電圧が約0.2V以下になるまでショート放電させることによって、後続する解体工程の安定性を確保することができる。バッテリーパックはショート放電用ラック22に移された後、所定の時間、例えば12時間~24時間ほどショート放電され得る。ショート放電用ラック22は、例えば、6つの4段抽斗で構成されており、移送装置120がショート用の放電治具が付着されたバッテリーパックを移送してくると、ショート放電用ラック22において指定された抽斗が開放される。移送装置120は開放された抽斗にショート用の放電治具が装着されたバッテリーパックを入れることができる。
【0060】
前記のような放電は制御部190を通じて行われ得る。制御部は放電器151を通じてバッテリーパックの残留エネルギーによりバッテリーパックを1時間~4時間放電し、バッテリーパックの電圧が30V以下になるように放電させることができる。制御部190は、バッテリーパックが放電器151を通じて放電された後、バッテリーパックの電圧が再び上昇した場合、追加で放電器151を通じてバッテリーパックを放電させることができる。制御部はショート用の放電治具を通じて、バッテリーパックの電圧が0.2V以下になるように放電させることができる。ショート用の放電治具を通じてバッテリーパックを放電させるということは、バッテリーパックにショート用の放電治具を結合させた状態でバッテリーパックを放電させることを意味する。
【0061】
第1放電用作業台112で放電器151による放電が終了した後、バッテリーパックはショート放電用ラック22に移送される前に、第2放電用作業台113上に一時的に配置され得る。ショート用の放電治具はバッテリーパックが第1放電用作業台112、または第2放電用作業台113上にあるときにバッテリーパックに装着され得る。
【0062】
[移送]
放電工程240が行われた後、バッテリーパックはバッテリーモジュール分離工程260を経る。バッテリーモジュール分離工程260は第1作業台111で行われる。したがって、バッテリーモジュール分離工程260が行われる前に、バッテリーパックを放電用作業台112または113から第1作業台111に移送する工程250が行われる。放電工程240でショート放電が完了したりショート放電によるバッテリーパックの完全放電が確認されたりすると、移送装置120は放電されたバッテリーパックをショート放電用ラック22から第1作業台111に移送する。
【0063】
[バッテリーモジュールの分離]
第1作業台111では、バッテリーパックからバッテリーモジュールが分離される工程260が行われ得る。バッテリーモジュールを分離する前に放電工程240でバッテリーパックに結合されていたショート用の放電治具が、ロボット装置130により解体され得る。解体されたショート用の放電治具は指定された場所に移されて保管される。
【0064】
バッテリーパックが第1作業台111に保持されると、第1ロボット131はビジョンシステム140を用いて解体された部分を確認し、ボルトドライバーおよびトングによってバッテリーパック内部に位置するバッテリーモジュールなどに連結された各種ボルト類およびケーブル類などを解体および除去することができる。第2ロボット132はビジョンシステム140により解体部分を確認し、レーザ切断機およびカッターによってブラケット類、プラスチック類などを解体および切断することができる。解体および切断された部品は種類別に分類されて解体ボックス34に載置され得る。
【0065】
バッテリーパック内部には、バッテリーモジュールが2層で配置され得る。この場合、まず上層に配置された上部バッテリーモジュールがバッテリーパックから分離され、その後、下層に配置された下部バッテリーモジュールが分離され得る。バッテリーモジュールが分離された後に残っているバッテリーパックの下部カバーは、移送装置120により下部カバー格納ボックス32に移送され得る。
【0066】
バッテリーモジュールに連結されたケーブルおよびアクセサリー、バッテリーモジュールをバッテリーパックに固定させる構成などが除去された後、バッテリーモジュールがバッテリーパックから分離され得る。
【0067】
移送装置120は、バッテリーモジュールをクランピングして第2作業台114に移送することができる。第2作業台114に移送されたバッテリーモジュールは、第3ロボット133により一部が切断され得る。第3ロボット133は、ビジョンシステム140を用いて切断ツールを正確な位置に位置させた後、バッテリーモジュールの特定の部分を切断することができる。
【0068】
第3ロボット133は切断ツール(例えば、回転ノコギリ)を用いてバッテリーモジュール内に配置されたバッテリーセルが切断されないように、バッテリーモジュールの両終端を切り落とすことができる。例えば、図6を参照すると、バッテリーモジュール10は、一方向に配列されたセル組立体11を含み、セル組立体11は内部に少なくとも1つのバッテリーセル14を含んでいる。即ち、バッテリーモジュール10は一方向に配列された複数のバッテリーセル14を含んでいる。複数のセル組立体11は、エンドプレート12とカバーフレーム13によって囲まれ、相互に固定される。バッテリーセル14は、バッテリーセル14の配列方向に垂直である長手方向に延在するボディー14a、およびボディー14aの長手方向の両端から延在する電極リード14bを含んでいる。ボディー14aの内部には電極組立体が配置される。電極組立体は正極板、負極板および分離膜が積層された形態で提供され、正極板と負極板は互いに異なる電極リード14bに連結される。第3ロボット133に備えられた切断ツールは、バッテリーセル14のボディー14aを切断しないようにバッテリーモジュール10を切断することができる。例えば、切断ツールは、バッテリーモジュール10を上から見たときに、バッテリーセル14の配列方向に延長するものの、バッテリーセル14のボディー14aの外側を通るラインLに沿って垂直方向VDにバッテリーモジュール10を切断し得る。例えば、ラインLはバッテリーモジュール10を上から見たときに、バッテリーセル14の電極リード14bの上を通過し得る。その結果、複数のバッテリーセル14の電極リード14bが切断面に露出され得る(図7の「バッテリーモジュールの切断部」参照)。
【0069】
第2作業台114と第3ロボット133は、1つ以上ずつ備えられ得る。例えば、図2を参考にすると、第2作業台114と第3ロボット133が2つずつ提供され得る。バッテリーモジュールの両終端を切り落とす作業には比較的長時間が要されるので、2つ以上の第2作業台114および第3ロボット133を用いてバッテリーパックの解体速度を高めることができる。例えば、一方の第2作業台114でバッテリーモジュールの切断作業が進められている場合、第1作業台111にあるバッテリーモジュールは移送装置120によって他方の第2作業台114に移送された後、当該作業台の近くに設けられた第3ロボット133により切断され得る。
【0070】
[移送]
前記のように第2作業台114から分離されたバッテリーモジュールは、移送装置120により第3作業台115に移送される工程270を経る。
【0071】
[バッテリーセルの分離]
第3作業台115上にバッテリーモジュールが準備されると、バッテリーモジュールからバッテリーセルを分離する工程280が実施される。バッテリーモジュールが移送装置120により第3作業台115に搬入されると、バッテリーモジュールは第3作業台115にセンタリングされた後にクランピングされる。第3作業台115に固定されたバッテリーモジュールは、第4ロボット134により解体される。第4ロボット134は、ビジョンシステム140により解体ターゲットを確認して第4ロボット134に装着された真空グリッパ、解体用治具を用いて、バッテリーモジュールからプラスチック、セル保護用アルミニウムカバー、その他不要な要素を解体してバッテリーセルを分離することができる。バッテリーセルは第4ロボット134によりセルボックス33に格納される。セルボックス33に一定量のバッテリーセルが載置されると、AGVのような運搬装置がセルボックス33を自動で格納空間に運搬する。バッテリーパックから解体された他の構成要素が載置される格納ボックス(例えば、上部カバー格納ボックス31、下部カバー格納ボックス32)も一定量以上満たされると、運搬装置によって自動で指定された場所に移送される。
【0072】
分離されたバッテリーセルは、リサイクル工程を経ることになる。例えば、バッテリーセルから有価金属などを抽出する工程が行われ得る。
【0073】
[火災のモニタリング]
バッテリー自動解体方法200は、火災のモニタリング290を含み得る。バッテリーパックの解体工程が行われる間、火災発生の有無がモニタリングされ得る。
【0074】
火災のモニタリング290は、上部カバー解体工程220、放電工程240、バッテリーモジュール分離工程260およびバッテリーセル分離工程280が実施される間、作業台上に配置されたバッテリーパックまたはバッテリーモジュールでの火災発生の有無を判断する工程291を含んでいる。火災が発生したと判断すると、消火装置160が作動する(工程292)。例えば、火災が発生した作業台を水槽に浸漬して火災を鎮圧することができる。
【0075】
本発明は、廃バッテリーをリサイクルするにおいて、従来は作業者によって実施されていたバッテリーパックおよびバッテリーモジュールに対する解体作業を、移送装置120、ロボット装置130のような自動化機器を用いて自動でバッテリーパックおよびバッテリーモジュールを解体する。これにより、電気自動車のバッテリーパックを効果的にリサイクルすることができ、バッテリー解体時に生じ得る有害物質の作業者への露出を防止または最小化することができる。
【0076】
以上、一部実施例と添付の図面に示された例によって本開示の技術的思想が説明されたが、本開示が属する技術分野において通常の知識を有する者が理解できる本開示の技術的思想および範囲を逸脱しない範囲で多様な置換、変形および変更がなされるという点が理解されるであろう。また、そのような置換、変形および変更は、添付の請求の範囲内に属すると考えられなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】