(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-22
(54)【発明の名称】ポンプ駆動型二相液冷システム、及びポンプ駆動型二相液冷システムの液体補給制御方法
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
F28D15/02 106A
F28D15/02 101D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577104
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 CN2022080758
(87)【国際公開番号】W WO2022257526
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】202110642644.0
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(71)【出願人】
【識別番号】523465551
【氏名又は名称】北京空間飛行器総体設計部
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF SPACECRAFT SYSTEM ENGINEERING
【住所又は居所原語表記】No.82,Zhichun Road,Haidian District,Beijing 100086,China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】陶成
(72)【発明者】
【氏名】王亜龍
(72)【発明者】
【氏名】劉帆
(72)【発明者】
【氏名】李帥
(72)【発明者】
【氏名】周暁東
(72)【発明者】
【氏名】于新剛
(57)【要約】
ポンプ駆動型二相液冷システム、及びポンプ駆動型二相液冷システムの液体補給制御方法を提供する。ポンプ駆動型二相液冷システムは、ポンプ駆動型二相液体循環回路(100)と、第1貯液タンク(200)と、第2貯液タンク(300)と、を含み、ポンプ駆動型二相液体循環回路(100)には、ポンプ(110)、蒸発器(120)、及び凝縮器(130)がこの順に設けられ、第1貯液タンク(200)はポンプ(110)の前端に設けられ、第2貯液タンク(300)は、第1接続配管(400)を介して第1貯液タンク(200)に連通しており、第2貯液タンク(300)には、第1補給液体注入口(310)が設けられ、第1接続配管(400)には、第2貯液タンク(300)と第1貯液タンク(200)を遮断するように構成された第1弁(410)が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ、蒸発器、及び凝縮器がこの順に設けられたポンプ駆動型二相液体循環回路と、
前記ポンプの前端に設けられた第1貯液タンクと、
第1接続配管を介して前記第1貯液タンクに連通しており、第1補給液体注入口が設けられた第2貯液タンクであって、前記第1接続配管には、前記第2貯液タンクと前記第1貯液タンクを遮断するように構成された第1弁が設けられた第2貯液タンクと、を含む、ポンプ駆動型二相液冷システム。
【請求項2】
前記第1貯液タンクは、最高マーク液位が設置されており、前記第2貯液タンクの最低位置が前記第1貯液タンクの最高マーク液位よりも高い、請求項1に記載のポンプ駆動型二相液冷システム。
【請求項3】
前記第2貯液タンクには、吸引口がさらに設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載の前記ポンプ駆動型二相液冷システム。
【請求項4】
前記第1貯液タンクの上部は上部接続配管を介して前記第2貯液タンクの上部に連通しており、前記第1貯液タンクの下部は下部接続配管を介して前記第2貯液タンクの下部に連通しており、前記上部接続配管及び前記下部接続配管の両方に前記第1弁が設けられている、請求項1に記載のポンプ駆動型二相液冷システム。
【請求項5】
第2接続配管を介して前記第2貯液タンクに連通しており、第2補給液体注入口が設けられた第3貯液タンクであって、前記第2接続配管には、前記第3貯液タンクと前記第2貯液タンクを遮断するように構成された第2弁が設けられた第3貯液タンクをさらに含み、
前記第2貯液タンクは、最高マーク液位が設置されており、前記第3貯液タンクの最低位置が前記第2貯液タンクの最高マーク液位よりも高い、請求項4に記載のポンプ駆動型二相液冷システム。
【請求項6】
温度制御部品をさらに含み、
前記温度制御部品は、前記ポンプの後端から前記ポンプの前端まで貫通している第1冷却分岐、前記ポンプの後端から前記ポンプの前端まで貫通している第2冷却分岐、前記第1貯液タンクの内部に設けられた第1加熱器、及び前記第2貯液タンクの内部に設けられた第2加熱器を含み、前記第1冷却分岐に第3弁が設けられ、前記第2冷却分岐に第4弁が設けられ、前記第1冷却分岐の管路の一部が前記第1貯液タンクを貫通して前記第1貯液タンク内の作動流体と熱交換し、前記第2冷却分岐の管路の一部が前記第2貯液タンクを貫通して前記第2貯液タンク内の作動流体と熱交換する、請求項1に記載のポンプ駆動型二相液冷システム。
【請求項7】
ポンプ駆動型二相液冷システムの液体補給制御方法であって、
前記ポンプ駆動型二相液冷システムは、ポンプ駆動型二相液体循環回路と、第1貯液タンクと、第2貯液タンクと、を含み、前記ポンプ駆動型二相液体循環回路には、ポンプ、蒸発器、及び凝縮器がこの順に設けられ、前記第1貯液タンクは前記ポンプの前端に設けられ、前記第2貯液タンクは第1接続配管を介して前記第1貯液タンクに連通しており、前記第2貯液タンクには、第1補給液体注入口が設けられ、前記第1接続配管に第1弁が設けられ、
前記液体補給制御方法は、
前記第1弁を閉じて、前記第2貯液タンクと前記第1貯液タンクを遮断するステップと、
前記第1補給液体注入口から前記第2貯液タンクへ注液するステップと、
注液完了後、前記第2貯液タンクの温度と前記第1貯液タンクの温度との差が所定閾値を下回るか、前記第2貯液タンクの圧力と前記第1貯液タンクの圧力との差が所定閾値を下回る場合、前記第1弁を開いて、前記第2貯液タンクと前記第1貯液タンクを連通させるステップと、を含む、液体補給制御方法。
【請求項8】
前記第1貯液タンクは、最高マーク液位が設置されており、前記第2貯液タンクの最低位置が前記第1貯液タンクの最高マーク液位よりも高く、前記第2貯液タンクには、吸引口がさらに設けられ、前記第1補給液体注入口から前記第2貯液タンクへ注液する前記ステップの前に、
前記吸引口を通じて前記第2貯液タンクを真空吸引するステップをさらに含む、請求項7に記載の液体補給制御方法。
【請求項9】
前記第1貯液タンクの上部は上部接続配管を介して前記第2貯液タンクの上部に連通しており、前記第1貯液タンクの下部は下部接続配管を介して前記第2貯液タンクの下部に連通しており、前記上部接続配管及び前記下部接続配管の両方に前記第1弁が設けられ、注液完了後、前記第2貯液タンクの温度及び/又は圧力と前記第1貯液タンクの温度及び/又は圧力との差が所定閾値を上回る場合、前記第2貯液タンクに対して降温降圧処理を行う、請求項7に記載の液体補給制御方法。
【請求項10】
前記ポンプ駆動型二相液冷システムは、温度制御部品をさらに含み、前記温度制御部品は、前記ポンプの後端から前記ポンプの前端まで貫通している第1冷却分岐、前記ポンプの後端から前記ポンプの前端まで貫通している第2冷却分岐、前記第1貯液タンクの内部に設けられた第1加熱器、及び前記第2貯液タンクの内部に設けられた第2加熱器を含み、前記第1冷却分岐に第3弁が設けられ、前記第2冷却分岐に第4弁が設けられ、前記第1冷却分岐の管路の一部が前記第1貯液タンクを貫通して前記第1貯液タンク内の作動流体と熱交換し、前記第2冷却分岐の管路の一部が前記第2貯液タンクを貫通して前記第2貯液タンク内の作動流体と熱交換し、
前記液体補給制御方法は、
前記第2貯液タンクの温度又は圧力が、前記第1貯液タンクの温度又は圧力と前記所定閾値との和を上回る場合、前記第4弁を開くか、又は前記第1加熱器を起動させるステップと、
前記第2貯液タンクの温度又は圧力が、前記第1貯液タンクの温度又は圧力と前記所定閾値との差を下回る場合、前記第3弁を開くか、又は前記第2加熱器を起動させるステップを含む、請求項7に記載の液体補給制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号が202110642644.0、出願日が2021年6月9日の中国特許出願に基づいて提出され、当該中国特許出願の優先権を主張しており、当該中国特許出願のすべての内容はここで参照として本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、熱制御の技術分野に関し、特に、ポンプ駆動型二相液冷システム、及びポンプ駆動型二相液冷システムの液体補給制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
通信技術の発展に伴い、チップと通信設備の消費電力はますます高くなり、従来の空冷と単相液冷は次第に放熱のニーズに対応できなくなり、ポンプ駆動型二相液冷は高消費電力の放熱のニーズを解決する面で大きな優位性がある。ポンプ駆動型二相液冷システムの動作原理は、液状作動流体がポンプにより駆動されて蒸発器に入って相変化し、チップの熱を吸収し、気体や液体で凝縮器に入って熱交換し、過冷却状態になって再びポンプに入ることを繰り返すことである。
【0004】
ポンプ駆動型二相液冷システムのコア機能の1つは、貯液タンクによって行われるシステムの蒸発温度/圧力制御である。貯液タンク内は常に気液混合状態であるため、温度と圧力は1対1に対応しており、貯液タンクを温度制御することにより、システム全体の圧力と蒸発温度の制御が可能となる。貯液タンクのもう1つの重要な機能は体積吸収のことで、システムの消費電力又は動作温度が変化すると、システムの作動流体の総体積が変化して、貯液タンクは液位の変化によってこの部分の体積変化を吸収して、システムの圧力を安定的に維持する。貯液タンク内には常に液状作動流体が存在している必要があり、また、ポンプインレットにキャビテーションが発生し、システムの安全な作動に影響を及ぼす可能性があることから、液面が低すぎてはならない。システムの充填量の不足、応用シナリオの変化、作動流体の漏洩などにより液面が低すぎる場合、システムの安定的で安全な運転を確保するため、速やかに液体を補給する必要がある。
【0005】
現在、ポンプ駆動型二相液冷システムでは、液体を補給する際には、一般的にシステムを停止して室温まで冷却する必要があり、作動流体タンクが手動でシステムに接続されて液体補給が行われ、これは、通信設備のポンプ駆動型二相液冷システムには適用されない。システムが停止していない場合、液体補給中にシステムの運転が不安定になるリスクが存在し、液体補給プロセスは相変化を伴い、液体補給ポイントは別の貯液タンクになる可能性があり、また、貯液タンクの温度と圧力が変化し、システム圧力に影響を与え、液体の逆流のリスクもある。そのため、ポンプ駆動型二相液冷システムは、オンラインでの液体補給とシステムの安定な運転を両立させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の実施例は、オンラインでの液体補給とシステムの安定な運転を両立させることができるポンプ駆動型二相液冷システム、及びポンプ駆動型二相液冷システムの液体補給制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様では、本願の実施例は、
ポンプ、蒸発器、及び凝縮器がこの順に設けられたポンプ駆動型二相液体循環回路と、
前記ポンプの前端に設けられた第1貯液タンクと、
第1接続配管を介して前記第1貯液タンクに連通しており、第1補給液体注入口が設けられた第2貯液タンクであって、前記第1接続配管には、前記第2貯液タンクと前記第1貯液タンクを遮断するように構成された第1弁が設けられた第2貯液タンクと、を含む、ポンプ駆動型二相液冷システムを提供する。
【0008】
第2態様では、本願の実施例は、
ポンプ駆動型二相液冷システムの液体補給制御方法であって、
前記ポンプ駆動型二相液冷システムは、ポンプ駆動型二相液体循環回路と、第1貯液タンクと、第2貯液タンクと、を含み、前記ポンプ駆動型二相液体循環回路には、ポンプ、蒸発器、及び凝縮器がこの順に設けられ、前記第1貯液タンクは前記ポンプの前端に設けられ、前記第2貯液タンクは第1接続配管を介して前記第1貯液タンクに連通しており、前記第2貯液タンクには、第1補給液体注入口が設けられ、前記第1接続配管に第1弁が設けられ、
前記液体補給制御方法は、
前記第1弁を閉じて、前記第2貯液タンクと前記第1貯液タンクを遮断するステップと、
前記第1補給液体注入口から前記第2貯液タンクへ注液するステップと、
注液完了後、前記第2貯液タンクの温度及び/又は圧力と前記第1貯液タンクの温度及び/又は圧力との差が所定閾値を下回る場合、前記第1弁を開いて、前記第2貯液タンクと前記第1貯液タンクを連通させるステップと、を含む、液体補給制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本願の実施例は、ポンプ駆動型二相液冷システム、及びポンプ駆動型二相液冷システムの液体補給制御方法を含む。本願の実施例による形態によれば、第1貯液タンク及び第2貯液タンクが設けられ、第2貯液タンクが第1接続配管を介して第1貯液タンクに連通することによって、システムが正常に運転する場合、2つのタンクは体積を吸収する役割を果たし、液体補給が必要になった場合、第1弁を閉じて、第2貯液タンクと第1貯液タンクを遮断し、第1補給液体注入口から第2貯液タンクの内部へ液体を補給することが可能になり、第2貯液タンクはシステム外に遮断されて液体補給を受ける。
【0010】
本願の他の特徴及び利点は、後の明細書で説明され、部分的に本明細書から明らかになるか、又は本願を実施することによって理解される。本願の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲、及び図面において特に指摘された構造によって達成され得る。
図面は、本願の技術案に対する理解を提供するために用いられ、かつ、明細書の一部を構成し、本願の実施例と共に本願の技術案を解釈するために用いられ、本願の技術案に対する制限ではない。
以下、図面を参照して本願の実施例について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願の実施例1によるポンプ駆動型二相液冷システムの構造概略図である。
【
図2】本願の実施例2によるポンプ駆動型二相液冷システムの構造概略図である。
【
図3】本願の実施例3によるポンプ駆動型二相液冷システムの構造概略図である。
【
図4】本願の実施例4によるポンプ駆動型二相液冷システムの温度制御部品の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この部分では、本願の具体的な実施例を詳細に説明し、本願の実施例が図面に示されており、図面の役割は、明細書の文字部分の記載を図形で補完し、本願の各技術的特徴及び全体的な技術案を直感的かつイメージ的に理解できるようにすることであるが、本願の特許範囲を制限するものとは理解すべきではない。
【0013】
本願の説明において、「第1」、「第2」が記載される場合、単に技術的特徴を区別することを目的とするものであって、相対的重要性を指示若しくは暗示し、又は指示された技術的特徴の数を暗示し、又は指示された技術的特徴の前後関係を暗示していると理解すべきではない。
【0014】
本願の説明において、特に明確な限定がない限り、「設ける」、「取り付ける」、「接続」などの用語は広義に理解すべきであり、当業者であれば、技術案の具体的な内容を参照して、上記の用語の本願における具体的な意味を合理的に判定することができる。
【0015】
本願の実施例は、オンラインでの液体補給とシステムの安定な運転を両立させることができるポンプ駆動型二相液冷システム、及びポンプ駆動型二相液冷システムの液体補給制御方法を提供する。
【0016】
本願の実施例の第1態様は、
ポンプ駆動型二相液体循環回路と、第1貯液タンクと、第2貯液タンクと、を含み、ポンプ駆動型二相液体循環回路には、ポンプ、蒸発器、及び凝縮器がこの順に設けられ、第1貯液タンクはポンプの前端に設けられ、第2貯液タンクは第1接続配管を介して第1貯液タンクに連通しており、第2貯液タンクには、第1補給液体注入口が設けられ、第1接続配管には、第2貯液タンクと第1貯液タンクを遮断するように構成された第1弁が設けられる、ポンプ駆動型二相液冷システムを提供する。
【0017】
第1貯液タンク及び第2貯液タンクが設けられ、第2貯液タンクが第1接続配管を介して第1貯液タンクに連通することによって、システムが正常に運転する場合、2つのタンクは体積を吸収する役割を果たし、液体補給が必要になった場合、第1弁を閉じて、第2貯液タンクと第1貯液タンクを遮断し、第1補給液体注入口から第2貯液タンクの内部へ液体を補給することが可能になり、第2貯液タンクはシステム外に遮断されて液体補給を受け、これによって、オンラインでの液体補給とシステムの安定な運転を両立させることができる。
【0018】
以下、図面を参照して、本願の実施例について説明する。
【0019】
図1に示すように、
図1は、本願の実施例1によるポンプ駆動型二相液冷システムであり、このポンプ駆動型二相液冷システムは、ポンプ駆動型二相液体循環回路100と、第1貯液タンク200と、第2貯液タンク300と、を含み、ポンプ駆動型二相液体循環回路100には、ポンプ110、蒸発器120、及び凝縮器130がこの順に設けられ、第1貯液タンク200はポンプ110の前端に設けられ、第1貯液タンク200は、最高マーク液位210が設置されており、第2貯液タンク300は、第1接続配管400を介して第1貯液タンク200に連通しており、第2貯液タンク300には、第1補給液体注入口310が設けられ、第1接続配管400には、第2貯液タンク300と第1貯液タンク200を遮断するように構成された第1弁410が設けられ、第2貯液タンク300の最低位置が、第1貯液タンク200の最高マーク液位210よりも高い。また、第2貯液タンク300には、吸引口320がさらに設けられている。
【0020】
ポンプ駆動型二相液冷システムが正常に運転する場合、第1貯液タンク200及び第2貯液タンク300のいずれも体積を吸収する役割を果たし、第1貯液タンク200には気液が混合されており、第2貯液タンク300には気体のみが存在する。液体補給においては、第2貯液タンク300はシステム外に遮断されて液体補給を受けた後、温度と圧力を調整されてから、システムに再度接続され、システムの温度と圧力を変化させずに、重力によって液状作動流体を第1貯液タンク200に排出し、第1貯液タンク200及び第2貯液タンク300は元の状態で正常な運転を持続し、これによって、ポンプ駆動型二相液冷システムでは、オンラインでの安定的な液体補給ができないという欠陥を解決し、システムの保守性と信頼性を大幅に向上させることができる。
【0021】
第1貯液タンク200及び第2貯液タンク300はそれぞれ上部と下部に設けられるように設計され、第2貯液タンク300の最低位置が第1貯液タンク200の最高マーク液位210よりも高く、これによって、第1弁410を開いた状態で、第2貯液タンク300内の液体のすべてが重力によって第1貯液タンク200に流れることが確保される。正常に運転する場合、第1弁410は開状態であり、第2貯液タンク300には気体しかなく、第2貯液タンク300は第1貯液タンク200の上部にある気体の体積の一部と扱われてもよく、第2貯液タンク300及び第1貯液タンク200の両方により圧力と温度を調整する役割が果たされる。
【0022】
第1貯液タンク200及び第2貯液タンク300内には温度圧力監視センサが設けられている。
【0023】
また、
図4に示すように、ポンプ駆動型二相液冷システムは、温度制御部品をさらに含み、上記温度制御部品は、ポンプ110の後端からポンプ110の前端まで貫通している第1冷却分岐710、ポンプ110の後端からポンプ110の前端まで貫通している第2冷却分岐720、第1貯液タンク200の内部に設けられた第1加熱器730、及び第2貯液タンク300の内部に設けられた第2加熱器740を含み、第1冷却分岐710に第3弁711が設けられ、第2冷却分岐720に第4弁721が設けられ、第1冷却分岐710の管路の一部が第1貯液タンク200を貫通して第1貯液タンク200内の作動流体と熱交換し、第2冷却分岐720の管路の一部が第2貯液タンク300を貫通して第2貯液タンク300内の作動流体と熱交換する。
【0024】
第1冷却分岐710及び第1加熱器730により、第1貯液タンク200の温度制御が行われ、第2冷却分岐720及び第2加熱器740により、第2貯液タンク300の温度制御が行われる。ここで、第1加熱器730及び第2加熱器740は、電気加熱ロッドであってもよいし、電気加熱シートであってもよい。
【0025】
一般には、第2貯液タンク300の温度制御機能は液体補給においてのみ使用され、ポンプ駆動型二相液冷システムが正常に運転するときに使用されない。ポンプ駆動型二相液冷システムが正常に運転する場合、第1貯液タンク200の温度制御は第1冷却分岐710及び第1加熱器730によって行われる。
【0026】
なお、第1補給液体注入口310は、インターフェースとして設計され、その形態について限定はなく、第2貯液タンク300へ液体を補給するように構成され、作動流体タンクや他の注入装置に直接接続されてもよい。吸引口320は、インターフェースとして設計され、その形態について限定はなく、液体補給の效率を高めるために第2貯液タンク300へ液体を補給する前に第2貯液タンク300を真空吸引するように構成される。
【0027】
図1に示すように、第1貯液タンク200は、最高マーク液位210に加えて、中間マーク液位220及び低位マーク液位230が設置されてもよい。ポンプ駆動型二相液冷システムの作業条件が最も低温で電力消費がない場合、液位は中間マーク液位220と低位マーク液位230との間にあり、システムの作業条件が最も高温で電力消費が最大である場合、液位は最高マーク液位210と中間マーク液位220との間にあり、システムが最大電力消費で運転する場合、液位は、単一板のメンテナンスや作動流体の漏液により所定値以下に下がり、中間マーク液位220を例にして、液位アラームを開始させて、液体補給が必要であるように指示する。
【0028】
ポンプ駆動型二相液冷システムの液位が低くなり、液体補給が必要であることが指示されると、第1弁410を閉じて、第1弁410をシステムの外に遮断し、圧力を下げて、液体補給を速めるために、吸引口320を通じて第2貯液タンク300を真空吸引し、ただし、第2貯液タンク300の温度と圧力が室温又は注入装置内の液状作動流体よりも明らかに低くなる場合、このような操作が不要である。第1補給液体注入口310から第2貯液タンク300へ注液し、注液が進むに伴い、第2貯液タンク300の温度と圧力が徐々に上昇する。第2貯液タンク300の液位が注液の要件を満たすと、注液を停止し、第1補給液体注入口310を遮断する。第1貯液タンク200及び第2貯液タンク300の温度と圧力が同じか又は近い場合、第1弁410を直接開き、システムの圧力と温度を変化させることなく、第2貯液タンク300の液体は、第1接続配管400を介して第1貯液タンク200に自発的に流れ、第1貯液タンク200の液位が正常な範囲に上昇し、液体補給工程が完了する。第2貯液タンク300の温度と圧力が第1貯液タンク200の温度と圧力よりも低くなった場合、第2貯液タンク300の温度制御機能をオンにして、第2貯液タンク300を加熱又は冷却して、その温度を第1貯液タンク200に近くしてから、第1弁410を開く。システムの圧力と温度を変化させることなく、第2貯液タンク300の液体は、第1接続配管400を介して第1貯液タンク200に自発的に流れ、第1貯液タンク200の液位が正常な範囲に上昇し、液体補給工程が完了する。
【0029】
図2に示すように、
図2は、本願の実施例2によるポンプ駆動型二相液冷システムであり、このポンプ駆動型二相液冷システムは、ポンプ駆動型二相液体循環回路100と、第1貯液タンク200と、第2貯液タンク300と、を含み、ポンプ駆動型二相液体循環回路100には、ポンプ110、蒸発器120、及び凝縮器130が設けられ、第1貯液タンク200はポンプ110の前端に設けられ、第1貯液タンク200の上部は上部接続配管420を介して第2貯液タンク300の上部に連通しており、第1貯液タンク200の下部は下部接続配管430を介して第2貯液タンク300の下部に連通しており、上部接続配管420及び下部接続配管430の両方に第1弁410が設けられ、第2貯液タンク300には、第1補給液体注入口310が設けられる。
【0030】
図2に示す実施例2では、
図1に示す実施例1とは、以下の点は同じである。
【0031】
液体補給においては、液体補給対象となる第2貯液タンク300をシステムの外に遮断し、液体補給完了後、第2貯液タンク300の温度を制御してから、それをシステムに再度接続する。
【0032】
実施例2では、第1貯液タンク200と第2貯液タンク300との総体積については、実施例1の第1貯液タンク200と第2貯液タンク300との総体積とは設計原則が同じである。
【0033】
図2に示す実施例2では、
図1に示す実施例1とは、以下の点は相違する。第1貯液タンク200及び第2貯液タンク300の高さについて制限はなく、正常に運転する場合は、両方ともに気体状態と液状態が共存する。
【0034】
正常に運転する場合、温度制御を効率化するために、第1貯液タンク200及び第2貯液タンク300について温度制御を同時に行ってもよい。
【0035】
液体補給においては、第2貯液タンク300を真空吸引してはならない。
【0036】
第2貯液タンク300の温度と圧力が室温又は注入装置の作動流体温度よりも高くなる場合、この形態では、液体補給が困難になり、液体補給には注入装置による動力が必要とされるか、又は第2貯液タンク300について降温降圧を行っておく必要があり、液体補給が実施例1の形態よりも困難である。
【0037】
図3に示すように、
図3は、本願の実施例3によるポンプ駆動型二相液冷システムであり、このポンプ駆動型二相液冷システムは、ポンプ駆動型二相液体循環回路100と、第1貯液タンク200と、第2貯液タンク300と、第3貯液タンク500と、を含み、ポンプ駆動型二相液体循環回路100には、ポンプ110、蒸発器120、及び凝縮器130がこの順に設けられ、第1貯液タンク200はポンプ110の前端に設けられ、第1貯液タンク200の上部は上部接続配管420を介して第2貯液タンク300の上部に連通しており、第1貯液タンク200の下部は下部接続配管430を介して第2貯液タンク300の下部に連通しており、上部接続配管420及び下部接続配管430の両方に第1弁410が設けられ、第2貯液タンク300には、第1補給液体注入口310が設けられる。第3貯液タンク500は、第2接続配管600を介して第2貯液タンク300に連通しており、第3貯液タンク500に第2補給液体注入口510が設けられ、第2接続配管600には、第3貯液タンク500と第2貯液タンク300を遮断するように構成された第2弁610が設けられ、第2貯液タンク300は、最高マーク液位が設置されており、第3貯液タンク500の最低位置が第2貯液タンク300の最高マーク液位よりも高い。
【0038】
図3に示す実施例の形態は、
図1に示す実施例と
図2に示す実施例との組み合わせとしてみなされてもよく、その作用及び原理は実施例1及び実施例2を参照すればよく、ここでは詳しく説明しない。
【0039】
第2態様では、本願の実施例は、ポンプ駆動型二相液冷システムの液体補給制御方法を提供し、ポンプ駆動型二相液冷システムは、
図1に示すように、ポンプ駆動型二相液体循環回路100と、第1貯液タンク200と、第2貯液タンク300と、を含み、ポンプ駆動型二相液体循環回路100には、ポンプ110、蒸発器120、及び凝縮器130がこの順に設けられ、第1貯液タンク200はポンプ110の前端に設けられ、第2貯液タンク300は、第1接続配管400を介して第1貯液タンク200に連通しており、第2貯液タンク300には、第1補給液体注入口310が設けられ、第1接続配管400に第1弁410が設けられ、液体補給制御方法は、
第1弁410を閉じて、第2貯液タンク300と第1貯液タンク200を遮断するステップと、
第1補給液体注入口310から第2貯液タンク300へ注液するステップと、
注液完了後、第2貯液タンク300の温度と第1貯液タンク200の温度との差が所定閾値を下回るか、第2貯液タンク300の圧力と第1貯液タンク200の圧力との差が所定閾値を下回る場合、第1弁410を開いて、第2貯液タンク300と第1貯液タンク200を連通させる。
【0040】
本実施例の作用及び原理は、上記の第1態様の実施例のポンプ駆動型二相液冷システムの原理及び作用と同じであるため、ここでは詳しく説明しない。
【0041】
上記のポンプ駆動型二相液冷システムの液体補給制御方法では、第1貯液タンク200は、最高マーク液位210が設置されており、第2貯液タンク300の最低位置が第1貯液タンク200の最高マーク液位210よりも高く、第2貯液タンク300には、吸引口320がさらに設けられ、第1補給液体注入口310から第2貯液タンク300へ注液する前記ステップの前に、
吸引口320を通じて第2貯液タンク300を真空吸引するステップをさらに含む。
【0042】
上記のポンプ駆動型二相液冷システムの液体補給制御方法では、第1貯液タンク200の上部は、上部接続配管420を介して第2貯液タンク300の上部に連通しており、第1貯液タンク200の下部は、下部接続配管430を介して第2貯液タンク300の下部に連通しており、上部接続配管420及び下部接続配管430の両方に第1弁410が設けられ、注液完了後、第2貯液タンク300の温度及び/又は圧力と第1貯液タンク200の温度及び/又は圧力との差が所定閾値を上回る場合、第2貯液タンク300に対して降温降圧処理を行う。
【0043】
上記のポンプ駆動型二相液冷システムの液体補給制御方法では、ポンプ駆動型二相液冷システムは、温度制御部品をさらに含み、温度制御部品は、
図3に示すように、ポンプ110の後端からポンプ110の前端まで貫通している第1冷却分岐710、ポンプ110の後端からポンプ110の前端まで貫通している第2冷却分岐720、第1貯液タンク200の内部に設けられた第1加熱器730、及び第2貯液タンク300の内部に設けられた第2加熱器740を含み、第1冷却分岐710に第3弁711が設けられ、第2冷却分岐720に第4弁721が設けられ、第1冷却分岐710の管路の一部が第1貯液タンク200を貫通して第1貯液タンク200内の作動流体と熱交換し、第2冷却分岐720の管路の一部が第2貯液タンク300を貫通して第2貯液タンク300内の作動流体と熱交換し、液体補給制御方法は、
第2貯液タンク300の温度又は圧力が、第1貯液タンク200の温度又は圧力と所定閾値との和を上回る場合、第4弁721を開くか、又は第1加熱器730を起動させるステップと、
第2貯液タンク300の温度又は圧力が、第1貯液タンク200の温度又は圧力と所定閾値との差を下回る場合、第3弁711を開くか、又は第2加熱器740を起動させるステップと、をさらに含む。
【0044】
以上、図面を参照して本願の実施例について詳細に説明したが、本願は上記の実施例に限定されるものではなく、当業者が有する知識の範囲内で、本願の趣旨を逸脱することなく、様々な変化を行ってもよい。
【国際調査報告】