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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-22
(54)【発明の名称】能動/受動ヒューズモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01H 39/00 20060101AFI20240712BHJP
   H01H 37/76 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
H01H39/00 C
H01H37/76 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503851
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2022037682
(87)【国際公開番号】W WO2023003936
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】17/380,436
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524027271
【氏名又は名称】リテルフューズ インターナショナル ホールディング、エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】524027282
【氏名又は名称】アストーテック オトモーティブ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャンナケサヴェル、ガネシ、ナガラジ
(72)【発明者】
【氏名】ヘッツマンセダー、エンゲルバート
(72)【発明者】
【氏名】ポルトル、ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ラシニ、デレク
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502KK04
(57)【要約】
能動/受動ヒューズモジュールは、ベース;前記ベース上に配置され、かつ前記ベースの頂面におけるキャビティを覆って延在し、そこに形成された複数の弱点を有するヒューズエレメントを有するバスバー;前記ベースの上に配置された火工遮断器(PI)を備え、前記PIは、シャフト内で前記ヒューズエレメントの上方に配置されたピストン、ここで、前記ピストンは、前記ヒューズエレメントにおける前記弱点によって画定されたパターンの幾何形状に対応する幾何形状を有するエッジを有する;コントローラに結合され、かつ前記コントローラから起動信号を受信すると、爆発して前記ピストンに前記ヒューズエレメントを貫通させるように構成された第1の火工点火器;及び一対のリード線によって前記バスバーに結合され、かつ前記リード線にわたる電圧が増加すると、爆発して前記ピストンに前記ヒューズエレメントを貫通させるように構成された第2の火工点火器を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁ベース;
前記電気絶縁ベースの頂面上に配置され、かつヒューズエレメント及び前記ヒューズエレメントの互いに反対の端部から延在する第1及び第2の端子部を有するバスバー、ここで、前記ヒューズエレメントは、前記電気絶縁ベースの前記頂面に形成されたキャビティを覆って延在し、そこに形成された複数の弱点を有する;
前記電気絶縁ベースの上に配置された火工遮断器(PI)
を備え、前記PIは、
シャフト内で前記ヒューズエレメントの上方に配置されたピストン、ここで、前記ピストンは、前記ヒューズエレメントにおける前記複数の弱点によって画定されたパターンの幾何形状に対応する幾何形状を有するエッジを有する;
コントローラに結合された第1の火工点火器、ここで、前記第1の火工点火器は、前記コントローラから起動信号を受信すると、爆発して前記ピストンに前記ヒューズエレメントを貫通させるように構成されている;及び
一対のリード線によって前記バスバーに結合された第2の火工点火器、ここで、前記第2の火工点火器は、前記一対のリード線にわたる電圧が増加すると、爆発して前記ピストンに前記ヒューズエレメントを貫通させるように構成されている
を有する、能動/受動ヒューズモジュール。
【請求項2】
前記一対のリード線は、前記第1の火工点火器の爆発時に、又は前記第2の火工点火器の爆発時に、切断されるように構成されている、請求項1に記載の能動/受動ヒューズモジュール。
【請求項3】
前記一対のリード線は、前記シャフトを通り、前記ピストンの経路を横切って延在する、請求項2に記載の能動/受動ヒューズモジュール。
【請求項4】
前記ヒューズエレメントと電気的に並列に前記バスバーに接続された正温度係数エレメントを更に備える、請求項1に記載の能動/受動ヒューズモジュール。
【請求項5】
前記正温度係数エレメントは、通常の動作温度範囲内で、前記ヒューズエレメントの抵抗よりも大きい抵抗を有する、請求項4に記載の能動/受動ヒューズモジュール。
【請求項6】
前記コントローラは、事前定義された事象の発生時に、起動信号を前記第1の火工点火器に送信するように適応されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の能動/受動ヒューズモジュール。
【請求項7】
前記ピストンは、電気絶縁材料から形成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の能動/受動ヒューズモジュール。
【請求項8】
前記第1の火工点火器及び前記第2の火工点火器は、前記シャフト内で横並び関係で配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の能動/受動ヒューズモジュール。
【請求項9】
電気絶縁ベース;
前記電気絶縁ベースの頂面上に配置され、かつヒューズエレメント及び前記ヒューズエレメントの互いに反対の端部から延在する第1及び第2の端子部を有するバスバー、ここで、前記ヒューズエレメントは、前記電気絶縁ベースの前記頂面に形成されたキャビティを覆って延在し、そこに形成された複数の弱点を有する;
前記電気絶縁ベースの上に配置された火工遮断器(PI)
を備え、前記PIは、
シャフト内で前記ヒューズエレメントの上方に配置されたピストン、ここで、前記ピストンは、前記ヒューズエレメントにおける前記複数の弱点によって画定されたパターンの幾何形状に対応する幾何形状を有するエッジを有する;
前記バスバーに接続され、かつ前記バスバーを通って流れる電流を測定するように構成された電流検知モジュール;及び
コントローラ及び前記電流検知モジュールに結合された火工点火器、ここで、前記火工点火器は、前記コントローラ及び前記電流検知モジュールのうちの少なくとも一方から起動信号を受信すると、爆発して前記ピストンに前記ヒューズエレメントを貫通させるように構成されている
を有する、能動/受動ヒューズモジュール。
【請求項10】
前記電流検知モジュールは、前記バスバーを通って流れる前記電流が事前定義された閾値を超えた場合、前記火工点火器に起動信号を送信するように構成されている、請求項9に記載の能動/受動ヒューズモジュール。
【請求項11】
前記電流検知モジュールは、前記バスバーを通って流れる前記電流が事前定義された閾値を超え、かつ前記コントローラが事前定義された事象の発生を検出した場合、前記火工点火器に起動信号を送信するように構成されている、請求項10に記載の能動/受動ヒューズモジュール。
【請求項12】
前記ヒューズエレメントと電気的に並列に前記バスバーに接続された正温度係数エレメントを更に備える、請求項9に記載の能動/受動ヒューズモジュール。
【請求項13】
前記正温度係数エレメントは、通常の動作温度範囲内で、前記ヒューズエレメントの抵抗よりも大きい抵抗を有する、請求項12に記載の能動/受動ヒューズモジュール。
【請求項14】
前記コントローラは、事前定義された事象の発生時に、起動信号を前記火工点火器に送信するように適応されている、請求項9から13のいずれか一項に記載の能動/受動ヒューズモジュール。
【請求項15】
前記ピストンは、電気絶縁材料から形成される、請求項9から13のいずれか一項に記載の能動/受動ヒューズモジュール。
【請求項16】
電気絶縁ベース;
前記電気絶縁ベースの頂面上に配置され、かつヒューズエレメント及び前記ヒューズエレメントの互いに反対の端部から延在する第1及び第2の端子部を有するバスバー、ここで、前記ヒューズエレメントは、前記電気絶縁ベースの前記頂面に形成されたキャビティを覆って延在し、そこに形成された複数の弱点を有する;
前記電気絶縁ベースの上に配置された火工遮断器(PI)
を備え、前記PIは、
シャフト内で前記ヒューズエレメントの上方に配置されたピストン、ここで、前記ピストンは、前記ヒューズエレメントにおける前記複数の弱点によって画定されたパターンの幾何形状に対応する幾何形状を有するエッジを有する;及び
一対のリード線によって前記バスバーに結合された火工点火器、ここで、前記火工点火器は、前記一対のリード線にわたる電圧が増加すると、爆発して前記ピストンに前記ヒューズエレメントを貫通させるように構成されている
を有する、ヒューズモジュール。
【請求項17】
前記一対のリード線は、前記火工点火器の爆発時に、切断されるように構成されている、請求項16に記載のヒューズモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2019年12月16日に提出された米国仮特許出願第62/948,728号及び2020年6月9日に提出された米国仮特許出願第63/036,613号の利益を主張する、2020年9月15日に提出された米国非仮特許出願第17/021,774号の一部継続出願であり、これらの出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、回路保護デバイスの分野に関し、より具体的には、受動及び能動回路保護エレメントの両方を含む能動/受動ヒューズモジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒューズは、通常、過電流保護を提供するために電気的システムにおいて実装されている。ほとんどのヒューズは、通常動作中に定格電流量を運ぶように構成されているヒューズエレメントを含む「受動」デバイスである。ヒューズエレメントを通って流れる電流がヒューズエレメントの定格電流を超えた場合、ヒューズエレメントは溶融、分解、又は別様に分離し、それによって、電流を阻止して、接続されている電気コンポーネントへの損傷を防止又は軽減する。
【0004】
場合によっては、回路を通って流れる電流量にかかわらず、電気回路に物理的オープン状態を「能動的に」作成することが望ましいことがある。例えば、自動車が衝突に巻き込まれた場合、自動車における電気回路を物理的にオープンにして、接続されている電気コンポーネントの電源が遮断されて、衝突に続いて発生する火災及び/又は感電のリスクを軽減することを確保することが望ましいことがある。そのために、指定された事象の発生時に選択的に作動して、回路内の電流の流れを遮断することができる、いわゆる火工遮断器(PI)が開発されている。例えば、自動車衝突の場合、コントローラ(例えば、エアバッグ制御ユニット、バッテリ管理システム等)が起動信号をPIに送信し、PI内の火工点火器を爆発させ得る。結果として得られるPI内の圧力の増加が、ピストン又はブレードに、PIを通って延在する導体を急速に断ち切ることを強制する。それによって、PIを通って流れる電流は遮断され、誘電材料から形成されるピストンは、導体の分離した部分間に電気絶縁バリアを提供して、それらの間での電気アーク放電を防止し得る。
【0005】
特定の用途では、受動及び能動回路保護エレメントの両方を実装するのが望ましいことがある。さらに、そのようなエレメントを、簡便な取り付けを容易にするコンパクトな省スペースフォームファクタに実装するのが望ましいことがある。
【0006】
本改善が有用であり得るということが、これらの及び他の考慮事項に関連している。
【発明の概要】
【0007】
この発明の概要は、発明を実施するための形態で更に以下で説明される概念から選択したものを、簡略化された形態で導入するために提供される。この発明の概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は不可欠な特徴を識別することが意図されているわけでもなく、発明の概要は、特許請求される主題の範囲を決定する際の補助として意図されているわけでもない。
【0008】
本開示の非限定的な実施形態に係る能動/受動ヒューズモジュールは、ベース;前記ベースの頂面上に配置され、かつヒューズエレメント及び前記ヒューズエレメントの互いに反対の端部から延在する第1及び第2の端子部を有するバスバー、ここで、前記ヒューズエレメントは、前記ベースの前記頂面に形成されたキャビティを覆って延在し、そこに形成された複数の弱点を有する;前記ベースの上に配置された火工遮断器(PI)を備えてよく、前記PIは、シャフト内で前記ヒューズエレメントの上方に配置されたピストン、ここで、前記ピストンは、前記ヒューズエレメントにおける前記弱点によって画定されたパターンの幾何形状に対応する幾何形状を有するエッジを有する;コントローラに結合された第1の火工点火器、ここで、前記第1の火工点火器は、前記コントローラから起動信号を受信すると、爆発して前記ピストンに前記ヒューズエレメントを貫通させるように構成されている;及び一対のリード線によって前記バスバーに結合された第2の火工点火器、ここで、前記第2の火工点火器は、前記リード線にわたる電圧が増加すると、爆発して前記ピストンに前記ヒューズエレメントを貫通させるように構成されている、を有する。
【0009】
本開示の別の非限定的な実施形態に係る能動/受動ヒューズモジュールは、電気絶縁ベース;前記ベースの頂面上に配置され、かつヒューズエレメント及び前記ヒューズエレメントの互いに反対の端部から延在する第1及び第2の端子部を有するバスバー、ここで、前記ヒューズエレメントは、前記ベースの前記頂面に形成されたキャビティを覆って延在し、そこに形成された複数の弱点を有する;前記ベースの上に配置された火工遮断器(PI)を備えてよく、前記PIは、シャフト内で前記ヒューズエレメントの上方に配置されたピストン、ここで、前記ピストンは、前記ヒューズエレメントにおける前記弱点によって画定されたパターンの幾何形状に対応する幾何形状を有するエッジを有する;前記バスバーに接続され、かつ前記バスバーを通って流れる電流を測定するように構成された電流検知モジュール;及びコントローラ及び前記電流検知モジュールに結合された火工点火器、ここで、前記火工点火器は、前記コントローラ及び前記電流検知モジュールのうちの少なくとも一方から起動信号を受信すると、爆発して前記ピストンに前記ヒューズエレメントを貫通させるように構成されている、を有する。
【0010】
本開示の別の非限定的な実施形態に係るヒューズモジュールは、ベース;前記ベースの頂面上に配置され、かつヒューズエレメント及び前記ヒューズエレメントの互いに反対の端部から延在する第1及び第2の端子部を有するバスバー、ここで、前記ヒューズエレメントは、前記ベースの前記頂面に形成されたキャビティを覆って延在し、そこに形成された複数の弱点を有する;前記ベースの上に配置された火工遮断器(PI)を備えてよく、前記PIは、シャフト内で前記ヒューズエレメントの上方に配置されたピストン、ここで、前記ピストンは、前記ヒューズエレメントにおける前記弱点によって画定されたパターンの幾何形状に対応する幾何形状を有するエッジを有する;コントローラに結合された第1の火工点火器、及び一対のリード線によって前記バスバーに結合された火工点火器、ここで、前記火工点火器は、前記リード線にわたる電圧が増加すると、爆発して前記ピストンに前記ヒューズエレメントを貫通させるように構成されている、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】非作動状態における、本開示に係る能動/受動ヒューズモジュールの一実施形態を示す断面図である。
【0012】
図2】作動状態における、図1において示された能動/受動ヒューズモジュールを示す断面図である。
【0013】
図3】本開示に係る能動/受動ヒューズモジュールの別の実施形態を示す断面図である。
【0014】
図4】本開示に係る能動/受動ヒューズモジュールの別の実施形態を示す断面図である。
【0015】
図5A】本開示に係る能動/受動ヒューズモジュールの別の実施形態を示す断面図である。
【0016】
図5B図5Aにおいて示された能動/受動ヒューズモジュールのバスバーを示す上面図である。
【0017】
図6A】本開示に係る能動/受動ヒューズモジュールの別の実施形態を示す断面図である。
【0018】
図6B図6Aにおいて示された能動/受動ヒューズモジュールのバスバーを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示に係る能動/受動ヒューズモジュールが、ここで、添付図面を参照してより十分に説明され、当該添付図面では、能動/受動ヒューズモジュールの好ましい実施形態が提示される。しかしながら、能動/受動ヒューズモジュールは、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書において記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではないことが理解されるであろう。むしろ、これらの実施形態は、本開示が能動/受動ヒューズモジュールの特定の例示的な態様を当業者に伝えるように提供されている。
【0020】
図1及び図2を参照すると、本開示の例示的で非限定的な実施形態に係る能動/受動ヒューズモジュール10(以降、「ヒューズモジュール10」)を示す断面図が示されている。便宜性及び明確性のために、「前」、「後」、「頂部」、「底部」、「上」、「下」、「鉛直」、及び「水平」等の用語は、本明細書において、各々が図1及び図2において現れる際のヒューズモジュール10の幾何形状及び配向に対する、ヒューズモジュール10の様々なコンポーネントの相対的な配置及び配向を説明するために使用されてよい。上記術語は、具体的に言及された単語、その派生形、及び同義語を含む。
【0021】
ヒューズモジュール10は、概して、ベース12、バスバー14、火工遮断器(PI)18を備えてよい。ベース12は、プラスチック、ポリマー、セラミック等のような電気絶縁材料で形成されてよい。本開示は、この点に関して限定されない。ベース12は、その頂面に形成されたキャビティ20を有してよい。
【0022】
バスバー14は、単片の又は1本の導電材料から形成(例えば、銅等の単一シートからスタンピング加工)されてよく、ヒューズエレメント22、及びヒューズエレメント22の互いに反対の端部から延在する第1及び第2の端子部26a、26bを有してよい。バスバー14は、ヒューズエレメント22がキャビティ20を覆って延在する状態で、水平配向においてベース12の頂面上に配置されてよい。第1及び第2の端子部26a、26bは、回路内のヒューズモジュール10の接続を容易にするために、ベース12の側面の外側に、又は側面を越えて延在してよい。
【0023】
ヒューズエレメント22は、バスバー14を通って流れる電流がヒューズモジュール10の所定の閾値、又は「電流定格」を超えた場合、溶融するか、分解するか、又は別様にオープンするように構成されてよい。様々な例において、ヒューズエレメント22は、打ち抜き孔、スロット、薄い又は狭いセグメント、及び/又はヒューズエレメント22をバスバー14の他の部分よりも溶融又はオープンしやすくするための様々な他の特徴を含んでよい。非限定的な例では、ヒューズエレメント22は、30amp及び1000ampの間の範囲の電流定格を有するように構成されてよい。本開示は、この点に関して限定されない。
【0024】
PI18は、その下側部分から突出する取り付けフランジ38を有するハウジング36を有してよい。ハウジング36は、コンポーネント同士をともに鉛直にスタックした関係で締結するために、機械的締結具40a、40bが取り付けフランジ38を通ってベース12に延在する状態で、ベース12の上に配置されてよい。ハウジング36は、自身を通って延在する中空の鉛直に配向されたシャフト43を含んでよい。シャフト43は、ヒューズエレメント22及びキャビティ20の真上に位置する開放底部端を有してよい。
【0025】
ハウジング36は、ベース12のキャビティ20の上方に位置する中空シャフト43内に配置された、可動ピストン又はブレード42(以降、「ピストン42」)を含んでよい。ハウジング36は、シャフト43内でピストン42の上方に配置された第1の火工点火器44aを更に含んでよい。第1の火工点火器44aは、コントローラ45(例えば、自動車のエアバッグ制御ユニット、バッテリ管理システム等)に結合されてよい。自動車衝突(すなわち、ヒューズモジュール10が自動車に実装されている場合)等の事前定義された事象の発生時に、コントローラ45は、起動信号を火工点火器44aに送信し、火工点火器44を爆発させてよい。シャフト43内の圧力の結果として得られる増加が、図2において示されているように、ピストン42に急速にシャフト43の下向きに、バスバー14のヒューズエレメント22を貫通させる。それによって、バスバー14を通って流れる電流は遮断され、誘電材料から形成され得るピストン42は、ヒューズエレメント22の分離した端部間に電気絶縁バリアを提供して、それらの間での電気アーク放電を防止し得る。
【0026】
火工点火器44bがトリガされる(すなわち、衝突の発生時にコントローラ45が起動信号を火工点火器44bに送信することを介して等で)上記で説明された方式は、火工点火器44bの「外部トリガ」と称され得る。様々な実施形態において、ヒューズモジュール10は、加えて又は代替的に、「アークトリガ」機能を含んでよく、第2の火工点火器44bは、シャフト43内で第1の火工点火器44aに隣接して配置されてよい。一対のリード線52a、52bが、第2の火工点火器44bから、それぞれ第1の端子部26a及び第2の端子部26bに延在してよい。様々な実施形態において、リード線52a、52bは、シャフト43を通って/横切ってピストン42の下方に延在してよい。ヒューズエレメント22が(例えば、過電流状態の発生時に)溶融すると、分離した第1の端子部26a及び第2の端子部26bにわたる電圧は、リード線52a、52bに十分な電流を作成して、第2の火工点火器44bを爆発させ得る。シャフト43内の圧力の結果として得られる増加が、(上記で説明されたとともに、図2において示されているように)ピストン42に急速にシャフト43の下向きに、バスバー14のヒューズエレメント22を貫通させる。加えて、ピストン42は、リード線52a、52bを切断して、第1の端子部26a及び第2の端子部26bの間のいずれの潜在的な代替の電流経路も排除する。
【0027】
上記で説明された構成は、限定を意図するものではなく、リード線52a、52bは、シャフト43内以外の様々なロケーションで、及びピストン42以外の構造体によって切断されてよいことが企図される。例えば、リード線52a、52bは、シャフト43を通って延在する代わりに、キャビティ20、又はシャフト43に隣接した他の場所を通って延在してよい。様々な実施形態において、リード線52a、52bは、ピストン42の経路の外側に又はその経路から離れて位置してよく、ピストン42によって直接切断される代わりに、ピストン42から延在するシャンク又は突起によって、又はピストン42の動きによってトリガされ得る電気的/機械的構造体又はデバイスによって切断されてよい。本開示は、この点に関して限定されない。
【0028】
第2の火工点火器44bの爆発後に第1の端子部26a及び第2の端子部26bの間の電気絶縁を確保するための様々な追加の又は代替的なデバイス、構成、及び/又は配置が、本開示の範囲から逸脱することなく実装されてよい。
【0029】
火工点火器44bが爆発してピストン42を押し出す前にヒューズエレメント22が分離し始める(例えば、溶融する)ので、ヒューズエレメント22は、ピストン42がこれを通して押し出される前に弱くなり(例えば、部分的に溶融し)、ピストン42がヒューズエレメント22を断ち切ることがより容易になる。それゆえ、火工遮断器を組み込んだ従来のヒューズモジュールに見られるようなバスバー14の弱くなっていない部分(すなわち、バスバー14の部分的に溶融したヒューズエレメント22以外の部分)をピストン42が貫通することが要求される場合に可能であったであろうよりも、ヒューズエレメント22は厚く/大きくてよい(したがって、より高い電流を扱うことが可能である)。
【0030】
上記で説明されたヒューズモジュール10は、コントローラ45に結合された第1の火工点火器44a、及びそれぞれバスバー14の第1及び第2の端子部26a、26bに結合された第2の火工点火器44bを含むが、第1の火工点火器44a及びコントローラ45が省略され、かつヒューズモジュール10が、バスバー14に接続されるとともに、(第2の火工点火器44bに関して上記で説明されたように)ヒューズエレメント22の分離時に爆発するように構成された単一の火工点火器のみを含む本開示の実施形態も企図される。
【0031】
図3を参照すると、正温度係数(PTC)エレメント60がヒューズモジュール10と並列に接続され得る本開示の一実施形態が企図される。PTCエレメント60は、PTCエレメント60の温度が上昇するにつれて上昇する電気抵抗を有するように形成された任意のタイプのPTC材料(例えば、ポリマーPTC材料、セラミックPTC材料等)から形成されてよい。特に、PTCエレメント60は、所定の「トリップ温度」を有してよく、当該温度を超えると、PTCエレメント60を通る電流を実質的に阻止するためにPTCエレメント60の電気抵抗が急速かつ劇的に(例えば、非線形的に)増加する。PTCエレメント60は、その通常の動作温度範囲内(すなわち、そのトリップ温度未満)で、ヒューズエレメント22の抵抗よりも大きい抵抗を有してよい。
【0032】
ヒューズモジュール10の通常動作中、電流は、第1の端子部26a及び第2の端子部26bの間でバスバー14を通って流れてよい。ヒューズモジュール10を通って流れる電流がヒューズエレメント22の電流定格を超える過電流状態の発生時に、ヒューズエレメント22は、溶融するか又は別様に分離してよい。電流は、その後、唯一の利用可能な代替経路を通って、すなわち、PTCエレメント60を通って、流れるように迂回してよい。電流はこの代替経路を通って流れ得るので、電位は溶融したヒューズエレメント22の分離した端部間に蓄積することが可能ではなく、それによって、それらの間での電気アークの形成及び伝播が防止される。
【0033】
図4を参照すると、電流検知モジュール70(例えば、マイクロプロセッサを有する電流センサ)が、バスバー14の端子部26a、26bのうちの一方及びPI18の火工点火器44aに接続され得る本開示の別の実施形態が企図される。電流検知モジュール70は、バスバー14における電流を測定するように構成されてよく、事前定義された閾値を超える電流の検知時に、上記で説明されたように、起動信号を火工点火器44aに送信し、火工点火器44aを爆発させ、ヒューズエレメント22を破断してよい。電流検知モジュール70は、起動信号を即座に、又は所望の所定の時間量(例えば、10ミリ秒)の後に、及びバスバー14における所望の所定の電流量を検出したことに応答して、送信するようにプログラミングされてよい。様々な実施形態において、電流検知モジュール70は、コントローラ45に接続されてもよく、電流検知モジュール70は、特定の所定の条件が満たされた場合にのみ、起動信号を火工点火器44aに送信するように構成されてよい。例えば、電流検知モジュール70は、電流検知モジュール70がバスバー14における所定の電流量を超える電流を検出する場合、かつコントローラ45が衝突のインジケーションを電流検知モジュール70に提供する場合、起動信号を火工点火器44aに送信するように構成されてよい。本開示は、この点に関して限定されない。
【0034】
図5Aを参照すると、バスバー14のヒューズエレメント22が、ピストン42がヒューズエレメント22をより容易に貫通することを可能にするように機械的に弱められ得る本開示の別の実施形態が企図される(リード線52a、52b等のヒューズモジュール10の様々なコンポーネントは明確性のために図5Aから省略されている)。具体的には、ヒューズエレメント22は、複数の弱点を含んでよく、弱点の幾何形状は、ピストン22の幾何形状に対応する。例えば、図5Bにおいて示されているバスバー14の上面図を参照すると、弱点は、ヒューズエレメント22において形成される複数の打ち抜き孔80であってよく、当該打ち抜き孔は、略円形パターンにおいて配置される。図5Aに戻って参照すると、ピストン42は、打ち抜き孔80によって画定された円形パターンと同軸であり、かつ円周においてこれに実質的に等しい円形の底部エッジ84を画定する凹設底面82を有してよい。それゆえ、ピストン42が展開され可溶エレメント22に係合すると、底部エッジ84は、打ち抜き孔80に跨る可溶エレメント22の狭い部分を容易に断ち切ってよく、ヒューズエレメント22の完全な分離及び貫通が確保される。図5A及び図5Bにおいて示されているピストン42及びバスバー14は、例えば、図1図4において示されたヒューズモジュール実施形態の任意のものにおいて実装することができる。
【0035】
図6Aを参照すると、バスバー14のヒューズエレメント22が、ピストン42がヒューズエレメント22をより容易に貫通することを可能にするように機械的に弱められ得る本開示の別の実施形態が企図される(リード線52a、52b等のヒューズモジュール10の様々なコンポーネントは明確性のために図6Aから省略されている)。具体的には、ヒューズエレメント22は、複数の弱点を含んでよく、弱点の幾何形状は、ピストン22の幾何形状に対応する。例えば、図6Bにおいて示されているバスバー14の上面図を参照すると、弱点は、ヒューズエレメント22において形成される複数の打ち抜き孔90であってよく、当該打ち抜き孔は、直線パターンにおいて配置される。図6Aに戻って参照すると、ピストン42は、打ち抜き孔90によって画定された直線パターンに平行であり、かつこれと整列している直線の底部エッジ94を画定する角度付き底面92を有してよい。それゆえ、ピストン42が展開され可溶エレメント22に係合すると、底部エッジ94は、打ち抜き孔90に跨る可溶エレメント22の狭い部分を容易に断ち切ってよく、ヒューズエレメント22の完全な分離及び貫通が確保される。図6A及び図6Bにおいて示されているピストン42及びバスバー14は、例えば、図1図4において示されたヒューズモジュール実施形態の任意のものにおいて実装することができる。
【0036】
ピストン42及びヒューズエレメント22における対応する弱点の上記で説明された形状、幾何形状、及び構成は、単に例示として提供され、本開示の範囲から逸脱することなく変動し得る。その上、上記で説明された打ち抜き孔80及び90は、ヒューズエレメント22において形成され得る弱点の例にすぎない。様々な実施形態において、弱点は、加えて又は代替的に、ヒューズエレメント22を部分的に又は完全に通して延在する任意のタイプの空隙又は窪みを含んでよい。これらは、様々なタイプのスロット、ノッチ、凹み、キャビティ、溝、ディンプル等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0037】
前述の説明に鑑みて、本開示の能動/受動ヒューズモジュールは、受動及び能動回路保護エレメント(例えば、従来のヒューズエレメント及び火工遮断器)の両方を、様々な用途に対して簡便な取り付けを容易にする単一のコンパクトな省スペースフォームファクタに実装するのを容易にすることが理解されるであろう。
【0038】
本明細書において使用される場合、単数形で記載され、「一(a)」又は「一(an)」という語に続く要素又は段階は、複数の要素又は段階の除外が明示的に記載されていない限り、そのような除外はしないものとして理解されるべきである。さらに、本開示の「1つの実施形態」への言及は、記載された特徴を同様に組み込む追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図されるものではない。
【0039】
本開示は特定の実施形態に言及するが、添付の特許請求の範囲において定義されるような、本開示の領域及び範囲から逸脱することなく、説明された実施形態に対する多数の修正、改変及び変更が可能である。したがって、本開示は、説明された実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲及びその均等物の文言によって定義される全範囲を有することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
【国際調査報告】